令和5年2月定例会 第24回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(千田美津子君) 日本共産党の千田美津子です。
 私は、請願陳情受理番号第94号及び請願陳情受理番号第96号並びに議案第68号について、各委員長報告に反対の立場で討論をいたします。
 まず、請願陳情第94号の「安保関連3文書」改定の撤回と大軍拡・大増税の中止を求める請願であります。
 政府は昨年12月16日、安全保障関連3文書の改定を閣議決定しましたが、これは憲法第9条のもとで、これまで歴代の自由民主党政府も守ってきた専守防衛の原則を大きく転換し、日本への攻撃がなくても、米軍が海外で戦争を始めた際は、自衛隊が米軍と一緒に敵基地を攻撃することが可能になることは、相手国から報復攻撃をされて日本が戦場となる危険性を含むものであります。
 岸田首相は、安全保障関連3文書で決めた敵基地攻撃能力の保有について、日本への武力攻撃を抑止するためと繰り返しておりますが、令和5年3月2日の参議院予算委員会において、日本共産党の小池晃書記局長は、防衛省が全国の自衛隊基地を核兵器などによる攻撃にも耐えられるよう強靱化する計画を立てていることを明らかにしました。このことは、抑止ではなく、日本中に戦火が及ぶことを想定したものであり、抑止のためというのは欺瞞でしかありません。
 さらに、昨年12月とことし2月には、ゼネコン関係者と自衛隊基地の強靱化に関する意見交換会を開催し、全国に300ある自衛隊基地、駐屯地などが持つ約2万3、000の建物などを強靱化するとしています。これについて浜田防衛大臣は、5年間で約4兆円をかけて集中的に実施した上で、おおむね10年後には、全ての施設に対してできるようにしたいと答えるとともに、強靱化の中身は、司令部など自衛隊の主要施設を地下化したり、構造を強化したり、核攻撃にも耐えられるようにするという基地強化計画となっています。
 敵基地攻撃能力保有の現実的な危険は、米国の戦争に、集団的自衛権の行使として日本が加わり、相手国に敵基地攻撃を行うことであります。そうなれば、相手国からの報復攻撃は避けられません。これについても浜田防衛大臣は、日本が集団的自衛権を行使した後に、相手国から攻撃され、大規模な被害が生ずる可能性を2月6日の衆議院予算委員会で認めています。
 このような中、日本共産党は、憲法第9条を生かして東アジアに平和をつくる外交ビジョンを提案いたしております。今、ASEAN─東南アジア諸国連合は、ASEAN10カ国と日米中など8カ国でつくる東アジアサミットを平和の枠組みとして強化し、行く行くは東アジア規模の友好協力条約を展望し、ASEANインド太平洋構想を提唱しています。
 今、日本が取り組むべきは、ASEANの国々と協力し、東アジアサミットを強化し、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしていくため、憲法第9条を生かした徹底した平和外交こそ取り組むべき政治の最大の仕事ではないでしょうか。
 元自由民主党総裁の河野洋平さんは、決してあの過ちは繰り返さないと何十年も言い続けて、その結果がこの政策転換というのはあり得ないと批判しており、評論家の故加藤周一さんは、かつて、戦争の準備をすれば戦争になる確率が大きい。平和を望むならば、平和の準備をしたほうがいいと述べておられました。軍事に軍事で構えると無限の悪循環になるだけであり、今やるべきは戦争の準備ではありません。徹底した外交努力で地域の緊張を緩和することこそ重要であります。
 このような観点から、請願陳情第94号は採択すべきであり、不採択とした総務委員長報告に反対をいたします。
 次に、請願陳情第96号原発回帰への方針転換に反対し、原発に頼らないエネルギー政策を求める請願でありますが、これは、昨年12月22日、岸田首相を議長とするGX─グリーントランスフォーメーション実行会議において、新たな原発推進政策を含む基本方針を取りまとめ、ことし2月に閣議決定されたものであります。
 これまで政府自身が、可能な限り原発依存度を低減するとしてきた立場を180度転換し、原発再稼働の加速、60年を超える長期運転、次世代革新炉への建てかえと、原発を最大限活用することを含んだ方針となっています。東京電力福島第一原発事故では、多くの人が避難を強いられ、暮らしの土台である地域の産業と文化が破壊され、今なお、多くの人が苦しんでいます。このような危険をはらむ原発は社会とは共存できません。
 令和5年3月4日に公表された日本世論調査会の調査では、原発の最大限活用を評価しないが64%、建設推進に反対が60%などで、政府方針に反対が多数となっています。原発回帰への方針転換は、甚大な被害を及ぼし、今も収束が見通せない福島第一原発事故の反省も教訓も投げ捨て、国民の生命と財産、日本の経済と社会を危険にさらす道であり、原発のリスクを軽視することは許されません。
 エネルギーの安定供給にとって重要なのは、自給率の向上です。核燃料は輸入資源であり自給率向上には何ら貢献しません。国内資源である再生可能エネルギーの利用拡大を進めるべきです。
 政府の試算では、国内の再生可能エネルギーの潜在能力は現在の電力使用量の7倍以上もあります。気候危機打開のためには省エネルギー対策と再生可能エネルギーの普及、拡大こそ重視されるべきであります。ところが、供給力が一時的に需要を上回るときに、太陽光発電などの出力を抑えて原発の運転を維持するという運用が行われています。原発という障害をなくしていくことが、再生可能エネルギーの拡大にとって不可欠となっています。
 以上のような観点から、請願陳情第96号は採択すべきであり、不採択とした環境福祉委員長の報告に反対いたします。
 最後に、議案第68号岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンターの指定管理者を指定することに関し議決を求めることについてであります。
 この議案については、第1に、これまでの県直営での管理費が1億16万円余だったものが、指定管理で7、868万円余に2、147万円余削減されます。特に、人件費は1、529万円余の削減となっています。しかも、正規職員が5人から4人に、非正規職員が7人から5人に削減となります。結局、経費の削減、人員の削減が、指定管理に移行する最大の理由になっていることです。
 第2に、非正規職員の5人の賃金は時給1、147円となっています。1日7.75時間、月20日働くとして、月収が17万7、785円にしかなりません。一時金が出るとしても年収で216万円です。指定管理の期間は2年となっており、安定した賃金も雇用も確保できないのではないでしょうか。
 第3に、指定管理によって学芸員が1人削減することも問題です。
 以上の理由から、議案第68号について、文教委員長の報告は原案を可とするものでありましたが、私は委員長報告に反対いたします。
 以上でありますが、何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、米内紘正君。
   〔8番米内紘正君登壇〕

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