令和5年2月定例会 第24回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇6番(岩城元君) 希望いわての岩城元です。今定例会におきまして、登壇しての一般質問の機会をいただき、先輩議員、同僚議員に感謝を申し上げ、通告に従い順次質問をさせていただきます。
 まず、第1次産業の振興についてお伺いいたします。
 本県水産業の状況は、主要魚種のサケ、サンマ、イカなど漁獲量が激減し、漁業者や加工業者、また、消費者に多くの負の影響が及んでおります。サケについては、魚卵の確保や強い種苗の育成など、常に改善を行い取り組んでおりますが、なかなか資源の回復までには至っておりません。
 こうした状況を受け、県では、サケ、マス類の海面養殖や、ウニの蓄養、アサリの養殖の実証事業など、海洋資源の回復に努めております。
 また、磯焼け対策としては、藻場保全・創造方針において、令和3年度から令和12年度の10年間を計画期間として、平成27年の藻場面積である2、300ヘクタールまで回復させるとしております。
 そうした中、私は、昨年12月に洋野町でウニの蓄養に取り組んでいる株式会社北三陸ファクトリーに視察調査に伺いました。
 現在、全国的に海水温の変化やウニの増加により海藻が繁茂しなくなる磯焼けと呼ばれる状況に、多くの漁業関係者が大変な思いをしております。
 その状況を打破すべく、北三陸ファクトリーでは、北海道大学と連携し、まずは、海岸からウニの駆除を行い、そのウニを海面で蓄養し、冬場に出荷するなどの取り組みを行っており、市場で高く評価されております。また、ウニバターなど加工品の商品開発も行っており、通年で商品出荷が可能となるような事業展開を行っております。
 こうした事業に加え、ウニの殻を活用した海藻の苗床も開発し、それを漁場、海に戻すことで藻場の再生にも取り組んでおります。さらには、海藻が吸収する二酸化炭素をブルーカーボンクレジットに換算し、カーボンニュートラルに資する取り組みにつなげるなど、循環型の事業によりSDGsに積極的に取り組んでいきたいと話されておりました。
 そこで伺います。県では、令和4年3月に、水産関係団体とともに、岩手県水産業リボーン宣言を発出いたしました。この宣言では、主要魚種の資源回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業・養殖業の導入に取り組むとしております。
 このうち、主要魚種の資源回復において、サケの資源回復に向けた取り組みと並行して、サケのふ化場経営の安定化に向けたふ化場施設の有効活用の取り組みもあわせて行うと伺っておりますが、現在の有効活用の取り組み状況とその取り組みに対する県の支援策について伺います。
 また、県内の多くの漁業協同組合は、その経営基盤が脆弱になっている状況にあります。
 岩手県水産業リボーン宣言では、漁業者の負託に応える経営基盤の立て直しにも取り組むとしておりますが、県の本年度の基盤強化への取り組み状況と今後の支援について伺います。
 現在、本県におけるウニの蓄養状況と支援の状況はどうなっているでしょうか。また、先ほど、藻場の再生に係る先進取り組み事例を紹介しましたが、磯焼け対策の現在の取り組み状況と今後の進め方について伺います。
 次に、林業振興について伺います。
 本県は本州で一番の森林面積を誇り、森林からさまざまな恩恵を受けております。また、森林は、水源涵養や温室効果ガス吸収にも寄与するなど、その整備の重要性が広く認識されております。
 そうしたことから、県では、平成18年に、いわての森林づくり県民税を創設し、以降、環境重視の森林づくりと森林との共生に取り組んでいるものと認識しております。また、国では、平成31年に森林環境税と森林環境譲与税を創設。市町村及び県に森林整備の財源が譲与されております。
 この二つの財源を活用した取り組みの中で、岩手県における森林整備や環境の保全に対する事業は、いわて環境の森整備事業やスマート林業事業、森林情報クラウドシステム整備事業などが挙げられますが、事業主体となっているのは、森林組合や比較的規模の大きな林業事業体となっているのが現状です。事業を計画的かつ効率的に行っていくためには、合理的であり、やむを得ないことではありますが、一方で、県内には小規模な林業事業者や山主が個人で整備をしている森林も多く存在しており、こうした方々には、なかなか支援の手が行き届いていないと感じております。
 私は、森林環境に配慮しながら、壊れにくい作業道をつくり、山を大事に守りながら林業に従事している方々にも、森林整備に関する同様の支援をしていくことが重要と考えます。
 そこでお伺いいたします。県では森林・山村多面的機能発揮対策事業で森林作業道の開設にも補助しておりますが、山に行くまでの作業道であり、補助額も十分ではないほか、補助対象は地域の里山の環境保全に対する取り組みへの支援であり、地域住民等の活動組織に対する支援が主となっていると認識しております。
 林業をなりわいとする事業者に対しては、支援を手厚くするなどの見直しが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 森林資源の活用と環境保全の観点から、高知県や宮城県では、県単の事業として、0.1ヘクタールの非常に小規模の面積であっても支援できる制度を構築しております。岩手県の山林は急勾配で傾斜のきつい山が多く、大型の林業機械や車両では作業が困難な地形も多くあります。
 小回りがきき機動力のある林業事業者が果たしている役割の重要性を認識し、森林・山村多面的機能発揮対策事業だけでなく、例えば、他県の例のように、県単独事業の検討など当該事業者が活躍できる環境の整備、支援が必要と考えますが、お考えを伺います。
 本年1月21日に宮古市で開催された宮古市自伐型林業フォーラムに参加いたしました。
 宮古市では、森林環境譲与税を活用し、森林の環境を整備するため、環境に負荷の少ない自伐型林業に取り組んでいるところです。
 フォーラム会場には、山林所有者の方など40名を超える方が参加しており、県内からも、地域おこし協力隊から自伐型林業に従事した方や今後取り組みたいという方の事例が発表されました。
 会場で紹介された高知県佐川町の事例では、〇細の地主が持つ山林を町で取りまとめ、地域おこし協力隊の方に山林の整備と管理を委託しております。そこで得られた収入で、協力隊は卒業後も町に定住して、なりわいを継続しております。
 県として、広大な森林面積をどう環境整備していくのか、これには長期的で持続可能な取り組みが必要と考えます。
 県内の市町村でも広がりつつある自伐型林業による、森林と共生し、環境に配慮した管理手法を支援していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、鳥獣被害対策について伺います。
 県内全域で拡大している鹿やイノシシなどによる農作物への被害や、豚熱など畜産業への被害が深刻な状況です。
 県でも、ニホンジカの捕獲頭数は年々増加し、令和元年度は1万4、420頭だったものが、令和3年度では2万6、839頭と倍増しております。また、イノシシの捕獲頭数は、令和元年度は346頭ですが、令和3年度は945頭と3倍に増加しております。
 今後も捕獲頭数は増加していくものと考えますが、市町村では、鳥獣被害対策実施隊が有害捕獲を行っている状況にあります。実際に有害捕獲に携わる方からお話をお聞きする機会がありましたが、市町村の境界付近での捕獲作業の際に、隣の市町村に逃げられてしまうと、境界を越えて捕獲することができないとの声がありました。
 そこでお伺いいたします。国では、鳥獣捕獲の強化等の取り組み支援のため、鳥獣被害防止総合対策交付金を設けておりますが、本県のこれまでの取り組み状況はどうなっているでしょうか。
 また、県では、来年度、この交付金を活用し、新たに有害鳥獣捕獲等強化支援事業により、広域的な捕獲のための体制構築を支援することとしておりますが、今後どのように取り組んでいくこととしているのでしょうか。
 また、捕獲したニホンジカやイノシシの処理についてでありますが、約半数は埋設、焼却されており、残りは従事者によって消費されていると認識しております。しかし、今後の頭数増加が予想される中、狩猟者の収入確保の観点や生命を粗末にしない自然への敬意などの観点からは、埋設、焼却を減らして資源として活用すべきと考えます。
 国では、令和5年度の鳥獣被害防止総合対策交付金の対策のポイントとして、ジビエ利用拡大への支援も掲げております。
 県内でも一部ジビエ利活用の成功事例があることを認識しておりますが、県全域でのジビエの利用拡大に向け、販路の拡大、飲食業との連携が必要と考えますが、所感をお聞かせください。
 次に、最大クラスの津波被害への対策について伺います。
 昨年公表された岩手県地震・津波被害想定調査報告書によると、建物被害では、東北地方太平洋沖地震のケースで3万5、000棟が全壊、また、人的被害、死者数は、日本海溝モデルの冬の夕方18時ごろで最も多く、7、100人の死者が想定されました。このほかにも、電力や通信、水道など甚大な被害が想定されております。
 昨年11月16日ですが、久慈市におきまして津波避難訓練が実施されました。私も消防団員としてポンプ車に搭乗し、マイクにより地域住民の皆様に避難を呼びかけました。避難誘導の後、避難所へ向かいましたが、例年より多くの方が避難されていました。特に目を引いたのは、小学生の生徒たちでした。久慈市では、最大クラスの津波被害想定の発表があったため、市内小中学校にも避難訓練実施の案内を行い、避難意識の向上に努めたとのことで、関心の高さを示しているのだと感じました。
 そこでお伺いいたします。政府は、日本海溝・千島海溝地震防災対策推進基本計画を昨年9月に見直し、死者数を今後10年で8割減らす目標を掲げました。
 しかしながら、東日本大震災津波を経験した本県では、家屋被害の軽減はもちろんのこと、人的被害についてはゼロにすることを目指すべきと考えており、そのためには、知事として、県民に対して、しっかりとスケジュールを提示した上で県の対応を発信していくことが重要であると考えます。
 県では、最大クラスの津波被害の減災に向けた対策として、今後どのような取り組みを講じていくこととしているのでしょうか。スケジュールも含めてお示し願います。
 地域住民においては、避難意識の向上や速やかな避難行動、自主防災組織などとの協力、連携といったソフト対策が重要となり、自治体による支援が必要となるほか、自治体においても、避難ビルの指定や避難タワーの整備、避難路等の速やかな整備が必要と考えられます。
 これら地域住民におけるソフト対策への支援や避難施設等の整備に関しては、市町村が主体となって行うものですが、県として、市町村に対し、ハード、ソフトの両面からどのような支援を行っていくお考えでしょうか。また、国に対しても補助の一層の拡充について要望すべきと考えますが、状況について伺います。
 津波浸水想定における市町村庁舎の浸水シミュレーションによれば、浸水想定の深いところから見ますと、釜石市9.06メートル、野田村7.78メートル、大槌町6.9メートル、久慈市6.85メートルなどとなっております。
 災害発生時に対策本部が設置される庁舎で、その機能が十分に発揮できるのか、地域住民には大きな不安がつきまといます。各市町村の有事の際における対策状況はどのように把握しているのでしょうか。
 次に、人口減少対策について伺います。
 いわて県民計画(2019〜2028)の第2期アクションプラン最終案では、人口減少問題に立ち向かうため、政策推進プランにおいて、人口減少対策に最優先に取り組むこととしております。
 その中の重点事項として、男女がともに活躍できる環境づくりを進めるとともに、産業政策を総合的に展開し、一人一人の能力を発揮できる多様な雇用の確保を進めながら、結婚、妊娠、出産、子育てへの支援などの自然減対策や、若年層の県内就職、移住、定住の促進などの社会減対策を強化することとしております。
 この取り組み方針の中で、今回、社会減対策についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより人流が抑えられてきました。本県の令和3年の社会増減は2、750人の減で、転出が減少した一方で、令和4年の社会増減は4、129人の減と転出が増加に転じております。
 この令和4年の数字は、令和3年10月1日から令和4年9月30日までのデータにより算出しておりますが、令和4年3月の全国におけるまん延防止等重点措置の終了、同年5月末の新型コロナウイルス感染症岩手緊急事態宣言の解除等による人流抑制の緩和の時期とも符合しており、コロナ禍の影響を受けない通常の人の流れのもとでは、本県の社会減を食いとめることが非常に難しいことをあらわしているとも捉えられます。
 また、政府においては、東京23区の大学定員規制について、デジタル分野に限り2024年度にも緩和する検討に入ったとの報道もあり、こうした動きがさらなる社会減を加速させることも懸念されます。
 県として、このような現状をどのように捉え、今後、第2期アクションプランに基づき、どのような対策をしていくのか伺います。
 社会減対策のうち、県内の高卒者及び大卒者の県内就職の促進についてお聞きいたします。
 県内の若者の流出を防ぐことは、ひいては出生数の増加にもつながることが期待され、自然減対策にもなり得る重要な施策です。
 大学の進学のために県外に行った生徒についても、就職は地元の岩手県にと志向している方が相当程度いると思料され、そのニーズにしっかりと応える形で、県が主体となって、県内企業や本県の魅力を伝えていくことが必要と考えます。
 そこで伺います。県内の高卒者及び大卒者の県内就職の状況はどうなっているでしょうか。また、県内就職率向上のため、どのような取り組みを行っているかお伺いします。
 県では、U・Iターン就職の促進にも取り組んでおりますが、これまでの成果と課題について伺います。本年1月と2月には、U・Iターンフェアを東京都と仙台市で開催しておりますが、その反響なども含めお伺いいたします。
 いわて産業人材奨学金返還支援制度は、将来の本県産業を担う人材の確保と県内への定住を促進するため、本県産業を牽引する企業への就職を予定している学生や既卒者が、本制度の認定を受けた県内の企業に就職する場合、岩手県と認定企業とで出捐した基金により、奨学金の返還を支援する制度となっております。令和2年度からの実績を見ますと、120名の募集に対し、毎年50名前後での推移となっております。
 制度の活用が伸び悩んでいる実態をどのように分析し、今後どのように取り組んでいくこととしているのでしょうか。
 また、制度の対象となる企業は、ものづくり、IT企業や建設関連企業などに限定されておりますが、幅広く多くの産業や企業に展開することも検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、地域資源の活用について伺います。
 国の2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、環境省では、2025年度までに少なくとも100カ所の脱炭素先行地域を選定するとし、昨年、第2回目の選定が行われました。
 脱炭素先行地域とは、民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めて、その他の温室効果ガス排出削減も地域特性に応じて実施する地域のことです。
 今回、本県からは宮古市と久慈市が選定されました。宮古市では、国立大学法人東北大学及び宮古市脱炭素先行地域づくり準備会議と連携し、拠点集約エリアである中心市街地と、震災復興で再整備された田老地区において、住宅等に太陽光発電、蓄電池を最大限導入するとともに、田老地区遊休地に設置する太陽光発電を夜間連系太陽光発電として活用するほか、国産中型風力発電の導入により、再生可能エネルギーの最大限活用と脱炭素化を実現。また、宮古市版シュタットベルケの枠組みを活用し、エネルギーの地産地消による地域内経済の好循環を創出するとともに、収益を公共交通の維持等に活用することとしております。
 また、久慈市では、久慈地域エネルギー株式会社及び株式会社岩手銀行と連携し、過疎地域である山形町、旧山形村の全需要家を対象に、オンサイトPPA事業等により太陽光発電、蓄電池を最大限導入するとともに、市有地等へのオフサイト太陽光発電の導入や、市内に設置予定の大規模陸上風力発電のうち1基を地産地消用として活用することで脱炭素化を実現。また、バーク─樹皮を活用した木質バイオマス熱電併給システムの導入を図り、さらに、再エネガイドラインに基づき、風力発電の作業道を森林事業者向けに開放することで林業振興を図る計画で選定されました。
 この事業では、応募や選定は各市町村が直接環境省の事業に申し込んでおりますが、県として、宮古市と久慈市の今後の取り組みをどのようにサポートしていくお考えでしょうか。
 また、ノウハウや事業を行う中で得られた知見を共有するなど、県内へ速やかに波及できるような取り組みが必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 北岩手は、食産業、アパレル産業、漆関連産業を初めとする地域産業や、御所野遺跡、再生可能エネルギー、ドラマあまちゃんのロケ地など訴求力のある豊かな地域資源を擁する一方で、全県に先行して人口減少と高齢化が進行している状況にあり、あらゆる世代が生き生きと暮らすことができる持続的な地域活性化が急務です。
 県では、こうした課題に対応するために、いわて県民計画(2019〜2028)長期ビジョンに掲げる新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つとして、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトを立ち上げ、部局間連携による地域産業の展開や交流人口の拡大の取り組みを推進してきたと認識しております。
 さらに、令和3年8月には、北岩手をめぐる新たな社会情勢の変化に対応し、幅広い分野で柔軟に産学官の関係団体等が連携し、本ゾーンプロジェクトを推進することを目的に、北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムが設置されております。
 北岩手では、久慈市で採掘される恐竜の化石や漆黒の宝石ジェットなど、今後さらに磨き上げられていくことが期待される新たな地域資源も発展の追い風となるものと考えます。
 このプロジェクトについては、工程表によれば、令和4年度をもって短期的取り組み期間を終えようとしており、令和5年度は、中期的取り組みへと取り組みの段階が移行する時期であります。
 北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムに関しては、昨年2月定例会の一般質問において、他の議員から、組織をつくって議論して終わるというだけのものにならないことを、当然のこととして期待しているとの指摘もあったところです。コンソーシアムを通じた分野横断的な産学官連携がなされたことにより、どのような取り組みの拡充や効果につながっているか、また、今後の展望についてお伺いいたします。
 先ほども触れましたが、久慈琥珀博物館のこはく採掘体験場及び隣接する化石凝集層─ボーンベッドからは、竜脚類やティラノサウルス類などの恐竜の歯化石、カメ類やワニ類の骨格など30種類前後の脊椎動物化石が2022年3月現在で2、600点以上も発見されており、日本の恐竜時代─中生代白亜紀の生物相を解明するための重要な地域となっております。
 これまで、本地域からは多数の竜脚類恐竜の歯の化石が発見されております。竜脚類は史上最大の陸上生物を含む恐竜の分類群であり、植物食と推定されてきました。しかし、現在、竜脚類恐竜に似た形態をした動物はおらず、植物食とする確かな証拠はありませんでした。
 歯には、食べ物によって顕微鏡レベルの微小な磨耗痕─デンタルマイクロウエアができます。今回、保存のよい久慈産の竜脚類の8本の歯化石に残されたデンタルマイクロウエアの形状をレーザー顕微鏡によって立体的に測定し、表面形状をデジタルデータ化し、現在の動物からの同様のデータと比較することで、竜脚類が食べていたものの物性、かたさを明らかにすることができました。
 具体的には、竜脚類の食べ物は、貝の殻よりやわらかく、卵の殻や肉よりもかたいということがわかり、食べ物は植物であるという推定が妥当だと示されました。恐竜が食べていたものの物性が、客観的な証拠により示されたのは世界で初めてです。
 また、早稲田大学の平山廉教授は、ティラノサウルス類の歯にまつわる検討課題を解決するためにも、今後の追加資料の発見が期待される。なお、このような古生物学上の重要な資料の発見が、東北地方のさらなる復興につながることを期待するものであると述べております。
 そこで、知事にお伺いいたします。このように太古のロマンと悠久のときを感じさせる恐竜の化石は、学術的にも日本の恐竜時代を照らす貴重な財産であり、県北振興を図る上でも重要な地域資源になり得ると思います。
 知事御自身の恐竜の化石に対する興味、関心と、恐竜の化石を生かした県北振興についての所感を伺います。
 以上で登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩城元議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、最大クラスの地震、津波被害想定を踏まえた取り組みについてでありますが、県では、昨年11月に、沿岸12市町村と岩手県地震・津波減災対策検討会議を立ち上げ、自動車による避難や避難行動要支援者の避難のあり方など、市町村に共通する課題について検討を進めています。
 具体的な対策については、ことし夏ごろをめどに取りまとめ、市町村と連携しながら減災に向けた取り組みを推進していくとともに、県の地域防災計画に反映させることとしています。
 さらに、市町村津波避難計画の策定の手引きとなる津波避難計画策定指針や広域防災拠点配置計画、災害備蓄指針、災害時応援受援計画についても、順次見直しを行うこととしています。
 また、津波から身を守るためには、直ちに、より安全な場所に避難することが何よりも重要であることから、検討会議での議論と並行し、市町村が津波避難ビルの指定に必要な調査や住民の防災意識の向上、自主防災組織の活性化などに速やかに取り組むことができるよう、令和5年度岩手県一般会計予算案に、本県独自の支援制度を新たに盛り込んだところであります。
 こうした取り組みなどにより、自助、共助、公助による防災体制づくりを強化するとともに、再び津波による犠牲者を出さないという強い決意を県民や市町村、関係機関としっかり共有し、あらゆる主体と連携しながら、何としても命を守るための地震、津波防災対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、社会減対策についてでありますが、本県の社会減は、進学や就職に伴う若年層の転出超過が大きな要因となっており、近年は、コロナ禍により都市部における感染症リスクが認識され、地方移住への関心が高まりましたが、東京圏における景気の回復や行動制限の緩和等に伴い、東京圏への流入が再び加速しており、東京一極集中に歯どめがかかっていない状況にあります。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、若年層の県内就職やU・Iターン促進などの取り組みを一層強化、拡充するとともに、若者や女性が活躍できる環境づくりやDXの推進による柔軟で多様な働き方の普及などに、市町村や関係団体等とオール岩手で取り組み、魅力ある地域をつくってまいります。
 さらに、今般のニューヨークタイムズ紙の2023年に行くべき52カ所に盛岡市が掲載されたところでありますが、記事の内容にある執筆者のクレイグ・モド氏の旅のスタイルは、交流人口、関係人口の増大につながるものであり、このチャンスを生かしてまいります。
 加えて、社会減対策には、地方の創意工夫による取り組みとあわせ、全国的な課題である東京一極集中の是正が不可欠でありますことから、県は、地方重視の経済財政政策の実施を初め、地方への移住、交流の促進など、人の流れを生み出す政策や地方独自の取り組みを後押しする財源の確保などを国に継続して要望してまいります。
 次に、恐竜の化石を生かした県北振興についてですが、本県では、昭和53年、1978年に岩泉町において、日本初の恐竜化石であるモシリュウが発見され、近年、久慈市においては、ティラノサウルスなどの肉食恐竜の歯の化石が複数発見されました。これは全国でも貴重な発見で、今後の全体骨格の発見に期待が高まるなど、私も関心を持っているところであり、この地域に中生代の地層があり、こはくや恐竜の化石が発掘されることは、本県の財産として大変ありがたいと思っております。また、世界中の人たちが興味、関心を持ってくれる地域になり得るとも考えております。
 現在、久慈市と県北広域振興局が連携し、早稲田大学の発掘作業への支援を行っているほか、久慈市は、国内の恐竜化石産出自治体でつくるにっぽん恐竜協議会に参画し、さまざまな自治体間連携に取り組んでいます。
 また、三陸ジオパーク推進協議会では、シンポジウムなどを活用した情報発信、三陸DMOセンターでは、全国各地の教育旅行説明会での発掘体験プログラムのPR、三陸鉄道では、恐竜の化石をテーマとした企画列車の運行などに取り組んでいるところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、ふ化場の有効活用についてでありますが、本県沿岸のふ化場は、おおむね11月から翌年の5月までサケ稚魚を生産し、6月から10月までは利用されていないことから、こうした未利用期間を水産振興に活用することは、有効な取り組みと考えております。
 一方、国事業を活用し整備、復旧されたふ化場をサケ稚魚の生産以外に利用する場合には、国への協議が必要とされていることから、県ではこれまで、地域からの要望を踏まえ国との協議を進めており、県内では、現在、久慈市などの三つのふ化場で、ギンザケやトラウトの海面養殖用種苗の生産が行われております。
 また、令和5年度は、養殖用種苗の供給拡大とふ化場経営の安定に向け、ふ化場を活用したサケ、マス類の海面養殖用種苗の飼育管理の向上と生産コストの低減に向けた技術開発に取り組むこととしており、今後も、地域のニーズを踏まえたふ化場の有効活用の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、漁業協同組合の経営基盤の強化についてでありますが、本県の漁協は、水産振興の中核的な役割を担っており、将来にわたり組合員の負託に応えていくことができるよう、経営基盤を強化していくことが重要であります。
 県では、県漁連等で組織するJF経営指導岩手県委員会に参画し、漁協の経営基盤強化に向け、収益事業として期待されるサケ、マス類の海面養殖などの取り組みを盛り込んだ経営改善計画の策定指導や助言を行ってきたところです。
 また、経営改善指導に基づく新たな設備投資のための資金への利子補給や運転資金の調達に向けた国事業の活用を支援するとともに、漁協の販売事業の強化に向け、漁協役職員を対象とした商品開発やマーケティング等を学ぶセミナーを開催したところです。
 令和5年度は、漁業関係団体と連携した経営改善指導や漁協の資金調達への支援とともに、販売事業の強化に向けたマーケティングの専門家派遣などを行うこととしており、引き続き、漁協の経営基盤が強化されるよう支援してまいります。
 次に、ウニの畜養についてでありますが、県ではこれまで、県内8漁協と連携して磯焼けした漁場に生息する過剰なウニを間引きし、このウニを畜養するウニの二期作の取り組みを進めてきたところです。
 また、身入りが少なく商品価値の低い間引きしたウニの付加価値向上に向け、畜養したウニの食味や商品価値を確認するための試験販売への支援や、LED照明を活用したウニの出荷時期を延長する技術の導入などの取り組みを支援してきたところです。
 これまでの取り組みにより、間引きしたウニの有効活用や夏場の出荷時期の延長が図られるとともに、高い価格での取引が期待される年末にも一定の品質で出荷が可能となったことなど、こうした成果につながっており、現在は、県内10漁協においてウニの畜養の取り組みが行われております。
 令和5年度は、天候や海の状況に左右されず、ウニの出荷適期である夏場や高い価格での取引が期待される時期に、ウニの安定的な出荷を可能とする畜養技術の開発を行うこととしており、引き続き、ウニの二期作の取り組みが拡大するよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、藻場の再生についてでありますが、県では、藻場の再生に向け、藻場保全・創造方針に基づき、ウニの間引きや昆布の養殖技術を応用した海中林の設置などのソフト対策と、ブロック投入等による藻場造成のハード対策を一体的に進めております。
 これまで、県内6地区で海中林の設置や昆布種苗を付着させたブロックの試験的な投入などを進めてきたほか、今年度は、新たに久慈市侍浜地区など3地区において、地元漁業者と連携したウニの間引きやブロックの投入による藻場造成に取り組んでおります。
 こうした取り組みに加え、令和5年度は、大船渡市などにおいて、藻場造成に必要な海藻の生育状況やウニの生息密度の調査などを行うこととしており、今後とも、藻場の再生が着実に図られるよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
 次に、森林・山村多面的機能発揮対策事業についてでありますが、この事業は、国の交付金を活用し、森林の有する多面的機能の発揮を目的に、森林所有者や地域住民等で構成する活動組織が行う里山林の保全活動や山村地域の活性化の取り組みを支援しているもので、県内では、今年度約90組織が活動しております。
 また、国の交付金においては、森林、林業を支える山村の過疎化等が進む中、木材生産を主目的とした森林整備によらず、コミュニティー活動の活発化により集落周辺の森林を保全していくことが効果的として、地域住民等の活動を支援対象としているものです。
 このため、木材生産を主目的とする森林整備を希望する事業者について、県としては、国の森林整備に関係する事業やいわての森林づくり県民税を活用した事業などの情報も提供し、さまざまな事業を活用できるよう支援してまいります。
 次に、小規模な林業事業者への支援についてでありますが、林業従事者の減少、高齢化が進む中、森林整備や木材生産などを小規模で行う林業事業者は、森林組合や林業事業体とともに地域林業を支える担い手として重要と考えております。
 このため県では、小規模な事業者の森林整備に係る技術力の向上や労働災害の防止に向けた安全技術の習得に向け、チェーンソーや刈り払い機の操作資格の取得支援や伐採技術の研修のほか、労働安全の知識や安全に作業するためのポイントを学ぶ研修などを実施してきたところです。
 また、関係団体等と組織するいわて里山再生地域協議会と連携し、小規模な林業事業者等が行う里山等の森林整備活動やチェーンソー等の導入を支援するとともに、国の補助事業を活用できるよう、森林経営計画の策定支援などに努めております。
 こうした取り組みによっても、なお対象外となる小規模な林業事業者につきまして、どのような対応が可能か検討してまいります。
 次に、持続可能な森林管理についてでありますが、森林は、県土の保全や水源の涵養、木材の供給など、多面的機能を有しており、こうした機能を将来にわたり発揮させていくためには、健全で多様な森林の育成が重要です。
 このため県では、間伐や伐採跡地への再造林などの計画的な森林整備による森林資源の循環利用を推進するとともに、公益上重要で緊急に整備が必要な森林の間伐を行い、針葉樹と広葉樹が混在する水源の涵養等の公益的機能の高い森林に誘導しております。
 また、自伐型林業は、長期にわたり伐採本数を抑えた間伐を繰り返し行う施業方法で、環境に配慮した森林整備の有効な手法の一つと考えております。
 森林整備に当たっては、森林所有者の意向を尊重していくことが必要であることから、自伐型林業の手法も含め、所有者がみずからの意向に合った多様な管理方法を選択できるよう、情報提供するなど、健全で多様な森林の育成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、有害鳥獣対策についてでありますが、県では、市町村の鳥獣被害防止計画を踏まえ、これまで有害鳥獣の捕獲とともに、侵入防止柵の設置や里山周辺の除間伐などの地域ぐるみの被害防止活動を支援しており、今年度は、鹿やイノシシの捕獲頭数が、過去最多となった昨年度を上回っており、12月末現在、鹿で前年同月比125%、イノシシで150%となっているほか、12市町村で約120キロメートルの侵入防止柵の設置などが実施されたところです。
 令和5年度は、被害防止対策のさらなる強化に向け、市町村、関係団体等と連携しながら、より効果的な対策を推進する特命課長や広域振興局等に県や市町村等で組織する現地対策チームを設置し、地域と緊密に連携した対策を実践していくこととしています。
 さらに、県が主体となって市町村を越えて移動する野生鳥獣の広域捕獲活動を実施することとしており、こうした取り組みを通じて、野生鳥獣による農作物被害が低減するよう取り組んでまいります。
 次に、ジビエの利活用についてでありますが、捕獲した鹿肉等を活用することは、野生鳥獣による被害防止対策のほか、地域資源の有効活用につながるものと考えております。
 本県の鹿肉は、放射性物質の影響により国から県全域を対象とした出荷制限を指示されており、鹿肉の利用に当たっては、県が策定した食肉利用する鹿全頭の放射性物質検査の実施等を定めた出荷検査方針に基づき、鹿肉の適切な管理や検査を行うなど、放射性物質の基準を下回る鹿肉のみが流通する体制の整備が必要とされております。
 県としては、鹿肉の活用に関心を示す市町村等から要望があった場合には、出荷制限の一部解除に向けた鹿肉の適切な管理や検査を行う体制整備などを支援するとともに、県内での取り組み事例や食肉処理施設の整備、販路開拓の取り組みに活用可能な事業の情報を提供するなど、捕獲した野生鳥獣を地域資源として有効活用する取り組みを推進してまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、津波対策に係る市町村への支援についてでありますが、国は、いわゆる日本海溝・千島海溝地震対策特別措置法に基づき、昨年9月に、本県沿岸市町村全てを、特に著しい津波災害が生じるおそれがあり、津波避難対策を強化すべき特別強化地域と指定したところです。
 特別強化地域に指定された市町村が実施する避難タワーや避難路の整備などのハード対策について、国は、補助率を2分の1から3分の2にかさ上げし、市町村の負担となる3分の1についても、交付税措置のある有利な地方債が活用できるようにするなど、手厚い地方財政措置を講じています。
 また、県では、国の支援制度がハード対策のみを対象としていることから、令和5年度岩手県一般会計予算案に、市町村によるソフト対策を対象とした本県独自の支援制度を新たに盛り込んだところであり、新たな津波浸水想定の公表に伴い、必要となる防災対策、避難所等における低体温症対策、津波防災の普及啓発、自主防災組織を活用した共助の取り組み促進などを支援していくこととしています。
 沿岸市町村が津波対策をより一層推進していくためには、国による支援が重要と考えており、国に対し、引き続き、関係道県と連携しながら、さらなる補助率の引き上げや対象事業の拡充などを要望してまいります。
 次に、市町村庁舎の防災対策についてでありますが、新たな津波浸水想定区域内に庁舎が位置しているのは、沿岸12市町村のうち9市町村となっています。
 この9市町村における対応策の検討状況については、庁舎の移転を検討中が1市町村、災害発生時の代替庁舎の確保を検討中が2市町村、庁舎の浸水対策や電気設備等の2階以上への移転を検討中が3市町村、具体的な対応策を検討中が3市町村と把握しています。
 市町村庁舎は、災害発生時における応急、復旧対策や復興に向けた被災者支援等の拠点となる重要な施設であり、災害時に市町村庁舎が機能不全に陥らないよう、市町村の検討状況等に応じ、必要な助言を行ってまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、県内就職率向上の取り組みについてでありますが、昨年3月卒業者の県内就職率は、高校生が74.1%、大学生が44.9%となっており、高校生が調査開始以降で最高値、大学生についても過去に比べて高い数値となっております。
 県内就職率を向上させていくためには、小学生段階から、保護者を含めて県内の企業や産業状況を理解していただき、子供たちみずからが、将来のライフデザインを考えるためのキャリア教育を充実させていくことが重要であると考えております。
 こうした考えのもと、小学生向けの企業見学会や中学生向けの職場体験活動、高校生向けにはワークショップや企業説明会、就職促進情報誌の配布、大学生向けには職場体験プログラムなどを実施し、小学校から大学まで、県内企業の魅力等を伝える取り組みを行っているところです。
 また、令和5年度岩手県一般会計予算案において、保護者向けのインターンシップセミナーの開催や受け入れ企業のプログラムの充実に向けた支援の取り組みを盛り込むなど、若者の県内就職促進に向けて取り組みを強化していくこととしております。
 次に、U・Iターン就職の促進についてでありますが、U・Iターン就職者数については、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランにおける令和4年度の目標数値7、060人に対し、途中の実績になりますが、昨年12月現在実績で4、658人となっているところでございます。
 県内の高校生や大学生の県内就職は着実に向上しているところでありますが、自動車、半導体産業を中心としたものづくり産業の集積が進んでいることや、人口減少の進展により、さまざまな産業分野で雇用ニーズが高まっており、今後、首都圏の大学等に進学した若者を中心に、U・Iターンを促進していくことが重要となっております。
 こうした中、昨年9月に、市町村と連携して都内で開催した移住フェアには、コロナ禍前の2倍以上となる300名を超える方々に来場いただいたほか、1月から都内及び仙台市で、実際に求人を求める企業とU・Iターン就職を希望する若者等のマッチングを目的に開催した岩手県U・Iターンミニフェアにも、都内で83名、仙台市で62名に来場いただいたところです。
 こうした取り組みを通じまして、U・Iターン就職者をさらにふやしていく一定の手応えも感じているところであり、令和5年度岩手県一般会計予算案においては、新たに就職情報マッチングサイト内のインターンシップ情報ページの強化や岩手県で働く魅力、価値を紹介する新たなコンテンツの設置、就職促進情報誌の発行などの事業を盛り込んでおり、一層のU・Iターン就職の促進に取り組んでまいります。
 次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度についてでありますが、利用実績が定員に達していない要因の一つとして、コロナ禍の影響により就職イベントが中止になるなど、PRの機会が限定されたことが考えられるところです。
 一方で、制度利用者へのアンケートでは、本制度を契機として岩手県への就職に至ったとの回答が63.6%、企業へのアンケートでは、人材確保に効果があったとの回答が92.7%となっており、ものづくり、IT関連企業や建設関連企業における高度人材の確保に一定の成果を上げていると捉えております。
 ものづくり産業の人材ニーズが高く、制度活用への期待が大きい中、学生が就職を希望する企業と制度を活用する企業が一致しない例もあり、さらに参加企業や学生をふやしていく必要があります。
 県としては、将来の本県産業を担う高度人材の確保と県内定着、U・Iターンの促進といった目的達成のため、より多くの学生や企業に利用されるよう、企業や大学等への積極的な働きかけのほか、ホームページや新聞広告、就職イベントなど、あらゆる機会を捉えて制度の周知に努めてまいります。
 また、対象業種につきましては、現行制度の運用から3年が経過しましたことから、見直しの必要性を含めた今後のあり方について検討を行っているところです。
 検討に当たりましては、コロナ禍においても県内経済を支えるものづくり産業の人材需要は引き続き旺盛であり、また、人口減少に伴い、さまざまな分野で人材確保へのニーズが高まっている状況などを踏まえ、高度人材の確保と県内定着につながる、より効果的な制度となるよう努めてまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) 脱炭素先行地域についてでありますが、県として、必要に応じて助言や事業スキームへの参画を行ってきた結果、昨年11月に宮古市と久慈市が脱炭素先行地域に選ばれたことは画期的であり、他の市町村が脱炭素の取り組みを地域経済の文脈で捉えるきっかけにもなったと考えております。
 先月開催した県市町村GX推進会議の準備会合の中でも、両市の担当者から今後の取り組みの概要を御紹介いただいたほか、こちらからは、国や県の支援メニューを改めて説明するなどしたところであり、今後も、両市を初め、市町村の取り組みを支援してまいります。
 また、準備会合の中では、市町村同士の横の連携の重要性についても話題に上ったところであり、特に久慈市は、県北地域の9市町村で北岩手循環共生圏を形成しておられますので、県としても市町村連携による効果の波及を促してまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトについてでございますが、北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムにおいて、北岩手13市町村や企業など多様な主体が地域課題をテーマとするプロジェクトに取り組んでおり、本年度は、新たに東京大学を中心に、岩手県立大学と県によるゼロカーボンと豊かさの両立を目指すCOI−NEXTも開始したところであります。
 コンソーシアムでは、葛巻町が先行する特定地域づくり事業協同組合制度の他市町村への導入のほか、一戸町における木質バイオマスエネルギーを生かした地域内エコシステムの構築など、森林資源を生かした新ビジネス創出の支援も行っているところであります。
 COI―NEXTでは、高校生を対象とした脱炭素未来ワークショップなど、地域の未来を支える人材育成の取り組みを開始したほか、中山間地における持続可能な地域交通システムや、農産物の出荷や宅配を組み合わせた高齢者向けの新サービスの開発など、地域の直面する課題解決の社会実証を開始したところでございます。
 今後とも、このコンソーシアムを推進母体として、北岩手をフィールドとした研究や社会実証の成果が早期に発現されるよう、大学や市町村と連携して取り組むとともに、市町村の課題解決を図り、北岩手の振興に取り組んでまいります。
〇議長(五日市王君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第5号令和5年度岩手県一般会計予算から日程第95 議案第98号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(五日市王君) この際、日程第2、議案第5号から日程第95、議案第98号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ