令和5年2月定例会 第24回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(千葉盛君) いわて新政会の千葉盛でございます。一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員に心より感謝申し上げます。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 まず初めに、震災復興と沿岸振興について伺います。
 東日本大震災津波の復興予算として、国が平成23年度から令和2年度に計上した計約44兆7、478億円のうち、令和2年度末までの支出済額が38兆1、711億円で執行率85.3%、不用額が6兆1、448億円となっていることが会計検査院の調べでわかりました。
 不用の事由としては、事業計画の変更により減額したこと、予定より実績が下回ったことなどが挙げられています。復興予算の主な財源は復興特別所得税などで、使われなかった分は新たに編成される予算に組み直されますが、広く国民に負担を求めているだけに、予算が適正だったかどうかの検証が求められます。
 復興特別所得税については、今後、税率を下げ、その分を所得税の増税に回して防衛力強化に充てる方針が示されており、復興財源のあり方について、今後議論になるものと考えております。
 第2期復興・創生期間では、心のケア等の被災者支援が中心であり、復興計画に基づいた公共インフラの整備のハード事業は、第1期復興・創生期間内にほぼ終わったという認識かもしれませんが、被災地や住民の復興に終わりはありません。被災地では、思い描いた理想のまちづくりを進めたいと思っても、多くの希望や要望がかなわず、我慢を強いられ、不満を抱きながら今日に至っている地域や住民がおります。
 例えば、まちづくり計画検討の過程で、浸水しない区域として住宅を自立再建したものの、防潮堤位置の変更によって浸水域が変更となった場所があり、このような場所から浸水しない場所へ移動するための県道の整備や国道の整備など、本来、復興事業として実施してほしかった道路整備や施設整備、まちづくりなどがたくさんあります。
 会計検査院の報告によると、6兆円を超える予算が不用額となっているとのことですが、復興財源は、国民が被災地の復興のために使用することを理解していただいた上で確保されたものだと思います。
 これまで実施したくてもできなかった事業が数多くあります。被災地のさらなる復興のため、さまざまな財源を活用し、必要な事業を行えるよう国に強く要望すべきと考えますが、御所見を伺います。
 復興事業により三陸沿岸道路が全線開通するなど、三陸沿岸地域の道路網の整備が進められてきましたが、内陸部に比べると最低限の整備がなされた状態だと感じております。
 沿岸部と内陸部を結ぶ道路も整備が進められてきましたが、まだまだ移動には時間がかかります。沿岸部には新幹線も走っておりません。時間的格差が地域の発展に影響を与え、県内でのあらゆる格差を生んでいると感じています。交通手段が限られている沿岸地域にとっては、さらなる道路網の整備による移動時間の短縮が、救急医療や地域振興など今後の暮らしを守っていくための生命線になっていくものと考えます。
 災害時の緊急輸送道路の整備など、災害に強い道路ネットワークの構築も急務です。宮城県には、三陸沿岸道路の4車線区間があります。さらなる復興や産業振興、観光振興など三陸沿岸地域の振興のために、まずは三陸沿岸都市会議でも話題になった、本県における三陸沿岸道路への追い越し車線の追加やハーフインターチェンジのフルインターチェンジ化などの機能強化を実現していくよう取り組んでいくべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 県では、安全・安心な地域づくりの推進として、津波防災施設の整備や自主防災組織の活性化、県民の避難意識、防災意識の向上など多重防災型のまちづくりを推進するとしておりますが、被災地では既に十分取り組んできたことだと感じています。やはり、災害時は道路網の整備がしっかりしていないと避難もできません。今後起こり得る最大クラスの地震、津波や大規模災害への備えと同時に、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築を進めていくことが安全・安心な地域づくりにつながっていくと思いますが、県の見解を伺います。
 昨年は、岩手県政150周年記念事業として、ZOZOマリンスタジアムにおいて、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手のふるさとである岩手県と大船渡市共催の冠協賛試合イベント、黄金の國いわて・大船渡ナイターが開催され、岩手県の観光PRや大船渡市の特産品の販売などが行われたこともあり、大変盛り上がりました。
 ことしは、3月に野球の世界一を決定するワールド・ベースボール・クラシックが開催され、岩手県出身の大谷翔平選手と佐々木朗希投手が出場します。私としては、岩手県、しかも旧伊達藩から2人もワールド・ベースボール・クラシックに出場する歴史的な大会に、岩手県政150周年記念事業として、知事と岩手県の子供たちなど岩手県の方々が応援に行って、岩手県を宣伝し、大会も岩手県も盛り上げてほしかったのですが、そういった計画はなかったようなので大変残念に思っております。
 きっと両選手とも活躍し、日本が世界一になってくれることと思いますので、岩手県民が一体となって盛り上がるような機運の醸成を図っていただきますよう、知事にお願いいたします。
 岩手県政150周年記念事業については、本年2月17日から20日まで開催されたいわて八幡平白銀国体や、6月に高田松原津波復興祈念公園で開催される第73回全国植樹祭いわて2023においてPRを行うようですが、他県では、市町村でも岩手県政150周年記念事業を企画している例もあります。また、子供たちが他県と交流事業を行っている事例もあります。昨年の大船渡市との共催のような市町村と連携した形も大変すばらしいと思います。
 県民と市町村ともしっかり連動して、復興や沿岸振興に寄与するような、特に子供たちが多くかかわるような企画を期待していますが、今後どのような事業を岩手県政150周年記念事業として展開していく考えなのか伺います。
 アメリカのニューヨークタイムズ紙が1月に発表した2023年に行くべき52カ所に、盛岡市が選ばれました。しかも、ロンドンに続き、盛岡市が2番目に掲載され、世界や全国から大きな注目を集めています。
 早速、県はインバウンドの強化を行うということですが、この好機に岩手県政150周年記念事業として訪米し、ぜひとも大谷翔平選手の所属するエンゼルスの本拠地であるエンゼルスタジアムで、岩手県の子供たちとの交流や子供たちの始球式への参加、試合の観覧などを行う事業を実施してほしいと思います。
 知事は、そこで岩手県のものを売ったり魅力をアピールしたり、岩手県の宣伝事業をたくさん行うことで大きなPR効果が期待できると考えますが、このような目玉事業を考えてみてはいかがでしょうか。
 本年6月に開催される第73回全国植樹祭いわて2023では、記念式典を成功させ、東日本大震災津波からの復興の姿を世界に発信するとしていますが、県の考える復興の姿とはどのような姿なのでしょうか。
 復興は、日本全国、世界中からの支援、協力のおかげで進んできました。あらゆる機会を通じて、支援への感謝を伝え、世界中に恩返しをしていくことは、人や地域など、あらゆるものを結びつけ、本県にとって、今後より一層重要になってくると思います。
 しかしながら、復興の歩みを進めていく中で、まだまだ課題が多く存在していることも事実であります。行政が描いた復興計画をもとに取り組んだ形としての復興はほぼ完了したかもしれませんが、人口が大きく減少していくことが予測され、主要魚種の不漁が続き、希望を持てずに困っている人たちが多くいる中で、加えて、移転元地などの利活用が進んでいない実態があるなど、被災地では負の側面もたくさんあります。
 復興の姿を発信するのであれば、よい面も悪い面もしっかりと発信し、まだまだ復興途上の部分もあるから助けてほしい、協力してほしいということを正確に、具体的に発信してほしいと思います。
 世界中に被災地を支援したい人たちがたくさんいると聞きます。そういう方々が、被災地の復興に協力していただけるように働きかけていくことが県の一つの役割だと思いますが、考えを伺います。
 次に、ILC誘致について伺います。
 きっとワールド・ベースボール・クラシックにおいて、大谷翔平選手と佐々木朗希選手が時速160キロメートルを超える剛速球で、先に世界が驚くビッグバンを起こしてくれると思います。その次は、北上山地で東北地方がビッグバンを起こす番です。ちょうど北上山地を中間にするように奥州市と気仙地域から世界で活躍する選手が出てきました。県は、この2人の活躍も大いに活用しながら、国内でのILC誘致の機運醸成につなげていってほしいと思います。
 本年2月8日、一関市において、ILC実現建設地域期成同盟会が設立されました。設立の趣旨は、ILC建設候補地は、東日本大震災津波により人口減少が加速する中で、基盤産業の不振、復興需要の落ち込みに加え、コロナ禍も重なり、多くの課題が山積しています。未来に希望を持って地域を振興し、子供たちにバトンを引き継いでいくためには、ILCの実現は欠かすことができません。ILCの日本建設による効果は、イノベーションや国際人材育成、地方創生、震災復興など多分野にわたることから、これまでの学術プロジェクトとしての検討を超え、国家プロジェクトとして国際的な議論を進めることが必要不可欠です。日本政府が速やかにILCの誘致に向け決断するよう、ILC建設候補地の自治体及び関係団体が一丸となり、ILC建設の実現に向けて、さらに強力な要望活動を進めるというものであります。
 設立総会には知事も出席されましたが、この期成同盟会の設立を受けて、これまで以上に関係団体や自治体などとの緊密な連携が重要になってくるものと考えます。
 今後、県として、ILC誘致実現に向けてどのように取り組んでいく考えなのか伺います。
 県では、岩手県立大学における第四期中期目標を設定し、東日本大震災津波を教訓とした復興支援や、地域社会の課題解決に向けた取り組みなど、県民のシンクタンクとしての機能を充実させることとしており、地域、国際社会の持続的発展に貢献することを基本姿勢として掲げています。
 岩手県立大学のホームページによると、平成23年4月に災害復興支援センターを設置し、東日本大震災津波等により被災した地域の復興を、教職員及び学生のボランティア活動並びに看護や福祉分野の専門性を持つ教職員の派遣等を通じて支援してきました。
 同センターの設置から11年が経過しましたが、この間、岩手県では、激甚化する風水害等の新たな災害を経験しつつ、地域のニーズは、東日本大震災津波からの復興支援から、震災の教訓を踏まえた次の大災害への備えへと変化しつつあります。
 これを受け、岩手県立大学では、東日本大震災津波から12年目、岩手・宮城内陸地震から15年目、昭和三陸地震から90年目を迎える令和5年4月に、災害復興支援センターを改組し、新たに防災復興支援センターを設置するとしています。防災復興支援センターでは、これまでの被災地復興支援活動に加え、次の大災害から生き残るため、地域の防災力向上に資する支援活動、調査研究活動、人材育成活動の三つのミッションに取り組むこととしております。
 この三つのミッションを実現していくためには、東日本大震災津波を経験し、復興の歩みを進めてきた東日本大震災津波伝承館の周辺など、三陸沿岸地域にこそ、その拠点を置くべきと考えます。
 岩手県立大学の防災復興教育の拠点として、防災復興支援センターやキャンパスを三陸沿岸地域に設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 県の観光振興施策には、常々、自治体の枠を超えた連携づくりを期待しているのですが、三陸観光のゲートウエーである東日本大震災津波伝承館や高田松原津波復興祈念公園から、陸前高田市の市街地、他市町村の市街地や震災遺構などへの人の流れがなかなか形成されていないというのが実感です。
 それぞれの市町村はイベントなどさまざまな取り組みを行っていますが、広域的な観光周遊ルートの形成には、地域の枠組みを超えた取り組みが必要になるため、三陸沿岸地域では、そのコーディネートを県や三陸DMOセンターに期待しており、これまでに築いてきた世界中の方々とのつながりを今こそ生かして来訪してもらうことや、八戸市や気仙沼市など県外も含めたルートを考えていくことが必要だと感じています。
 具体的には、イベントやお祭りなどを市町村の枠を超えて上手に結びつけて人の流れを生み出し、宿泊、体験、買い物をつなげたパッケージを一緒になってつくっていくことを地域の観光事業者は期待しています。
 そして、それぞれのイベントには、県の職員が積極的に参加することにより、さまざまな取り組みを連携させながら、三陸沿岸地域の多様な魅力を発信していくことが可能になると考えています。
 県や三陸DMOセンターは、市町村との連携と三陸観光の周遊ルートの形成に本気で取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
 新たな水産資源利活用モデル開発事業費は、水揚げ量が増加している魚種を対象とした新たな水産物の販路、物流モデルの構築に向けた取り組みとのことですが、多くの水産加工業者は、秋サケやサンマなどの主要魚種に対応した震災前の設備をベースに復旧させており、魚種転換に必要な機器や資材の導入が間に合っていないという現状があります。
 新たな魚種を対象とする場合、魚種転換に必要な設備等の導入に係る支援について、県はどのように実施していく考えなのか伺います。
 また、漁業者が新たな操業体制に転換するための漁具や設備の購入費に対し、支援していくべきと考えます。
 さらに、新規の若手漁業者をふやし定着させていくためにも、漁船や漁具、養殖施設なども含め、設備投資に対する大胆な支援を講じていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、いわて水産アカデミーを活用するなど後継者がいない漁業者へのマッチングも強化していくべきと考えます。地域漁業を担う人材の育成を推進していくのであれば、いわて水産アカデミーでその役割を本気でやっていくべきだと思いますが、県の認識を伺います。
 次に、人口減少対策について伺います。
 スポーツ庁と文化庁は、昨年12月末に、学校部活動の地域移行に向けた学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインを策定し、その内容を公表しました。
 令和5年度から令和7年度の3年間を改革推進期間として、地域連携、地域移行に取り組みつつ、地域の実情に応じて、可能な限り早期の実現を目指すとされております。
 本県では、学校部活動の地域移行に向けた実践研究事業を実施しているところですが、中学校の学校部活動の地域移行の課題として、指導者の確保や学校以外での活動場所への移動、保護者の送迎や新たな金銭的負担が発生していることなどが挙げられます。そのため、家庭の事情によって思うように部活動に参加できない生徒が出てくることが想定されます。
 また、現状では、学校部活動をやめてクラブチームに多くの生徒が移り、学校での部活動が実質的に活動不能になった事例や、参加したい部活動やスポーツ少年団における活動ができなくなったために転校した生徒も出てきている状況です。
 このような中で、学校部活動の地域移行によって、子供たちが参加したいと思えるスポーツができなくなる状況を生んではいけないと強く感じているところです。
 県は、実践研究事業を実施する中で、このような課題をどのように認識しているのでしょうか、伺います。
 今後、市町村が取り組む地域連携、地域移行については、県との連携が必要と考えます。例えば、指導者の確保に苦労している市町村には、しっかりとその確保に向けた支援をしていくべきと考えます。
 県としても、専門の指導者を養成、育成していくことなど、学校部活動の地域連携、地域移行に向けて市町村と一緒に取り組んでいくことが重要だと思いますが、県はどのように取り組むのか伺います。
 少子化対策については、国や県でこれまでも実施されてきましたが、出生率は依然として回復せず、令和3年の合計特殊出生率は1.30と6年連続で低下しました。
 国においては、本年4月にこども家庭庁が設置される予定であり、異次元の少子化対策に取り組むと岸田首相が年頭の記者会見で述べております。
 県においては、本年2月6日に令和5年度の組織、職員体制の概要が公表され、安心して子供を産み育てられる環境づくりのために、企画理事を設置するとともに、企画理事の指揮のもと、全庁一体となった少子化対策を強力に推進するため、関係部副部長及び関係課長で構成する少子化対策監を設置することとされました。あわせて、子ども子育て支援室に少子化対策のための特命課長も設置するとのことですが、これらの職の設置により、県の少子化対策が具体的にどのように変わるのでしょうか。
 令和5年度岩手県一般会計予算案に盛り込まれた少子化対策関係事業と新たな職の設置によって、県は、どのように人口減少社会に立ち向かっていくのか伺います。
 令和5年度岩手県一般会計予算案では、高校生までの医療費助成の現物給付の拡大、市町村と連携した第2子以降の保育料の無償化、また、市町村と連携して第2子以降の在宅育児に係る支援金を支給して、子育て世帯の経済的負担を軽減していくということで、県として自然減対策を強化するという印象を受けましたが、本県の少子化対策として、この施策に力を入れたのはどのような理由からなのでしょうか。
 これらの施策は、市町村との連携が前提となっており、強い協調ができて初めて大きな効果が出るものですが、事業の実施に当たり、どれだけ市町村と話し合いを重ね実行することになったのか伺います。
 次に、物価高騰と新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 県では、コロナ禍における物価高騰の影響を受けている消費者や事業者などの県民を広く応援するとして、キャッシュレス決済によるポイント還元事業を実施しましたが、身の回りの生活用品を初め、さまざまな分野で物価の高騰は続いています。
 しかしながら、令和5年度岩手県一般会計予算案には、このような直接的な生活者支援策が盛り込まれていないように見受けられます。物価高騰への対策は、生活に直結するものであり、一日も早い対策が求められていると感じていますが、物価の値上がりに対する県の支援策はどのようになっているのか伺います。
 県は、新型コロナウイルス感染症の影響による売り上げ減少、及び物価高騰等による費用の増加に直面している中小企業を支援するため、原材料等支援金及び家賃等支援金を令和4年度岩手県一般会計補正予算第3号で創設しましたが、手続が煩雑であり手間がかかると不評であったため、ほとんど予算は執行されませんでした。
 今後の中小企業支援策を県はどのように考えているのか伺います。
 県内の観光業は、新型コロナウイルス感染症の影響で行動制限が伴ったときでも、いわて旅応援プロジェクトなどの支援策によって県内客の増加を図ることで、売り上げを確保するなどの状況が続きました。
 県民割が全国旅行支援に拡大していき、現在は、他の都道府県からの観光客がふえている状況だと思いますが、これは全国旅行支援があるからだと考えています。
 このような旅行割引事業が終了した場合、全国の観光地に人が集まることが想定されるため、本県に人を呼び込むためにも新たな支援策を講じていく必要があると考えますが、県の認識を伺います。
 次に、省エネルギー対策について伺います。
 グリーン社会の実現に向けて、住宅を含む全ての新築物件に、2025年度から省エネ基準適合を義務づける建築物省エネ法の改正が成立しました。政府は、2030年度までに省エネ基準を引き上げていくこととしており、本県においても、省エネ住宅の普及促進が必要であると考えます。
 グリーン社会の実現に向けた住宅の省エネルギー対策について、今後、県はどのように取り組んでいく考えなのか伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉盛議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、岩手県政150周年記念事業についてでありますが、この事業は、県民の皆様とともに、岩手県の歴史を振り返り、本県発展の基礎を築いてきた先人の偉業と努力に感謝し、ふるさと岩手に思いを寄せ、岩手県の未来を展望する機会としていくものであります。
 このため、県民を初め、国内外の多くの岩手県にかかわりのある方々が、この思いを共感できる取り組みを進めることが重要であり、今後、多様な取り組みについて、岩手県政150周年記念事業実行委員会において検討を進めてまいります。
 岩手県政150周年記念事業は、未来につなげる事業とすることも重要であり、次代を担う若者や子供たちが主体的に参画できる事業など、幅広く議論し事業の充実を図ってまいります。
 議員御提案の情報発信については、ウィズコロナ時代を迎え、海外との交流が活発になることが見込まれますので、私としても、海外出張の機会等も活用するなど、国内外で積極的に情報発信していきたいと考えております。
 次に、ILC誘致実現に向けた県の取り組みについてでありますが、ILCの実現に向けては、現在、研究者により国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取り組みが進められており、こうした取り組みとともに、ILCの有する意義や価値を県内外の推進団体と共有し、日本誘致に向けた大きな流れをつくり出していくことが重要と認識しております。
 こうした中、先般、岩手県南、宮城県北の市町の長等が中心となりILC実現建設地域期成同盟会が設立されたところでありますが、より住民に近い基礎的自治体と地域の推進団体が主体的に連携し活動を行おうとする、これまでにない新たな動きと捉えております。
 また、この会には、岩手、宮城両県の知事がともに常任顧問に就任し、その活動を支えることとしており、これまで以上に関係自治体等が緊密に連携した活動が可能となるものと考えております。
 今後は、ILC実現建設地域期成同盟会を初めとした県内外の推進団体や自治体と一層の連携を深め、国民的な機運の盛り上がりを図りながら、超党派国会議員連盟等の動きとも連動し、関係省庁への働きかけを強化するなど、ILCの実現に向け全力で取り組んでまいります。
 次に、少子化対策に係る来年度の組織体制についてでありますが、人口減少対策に当たっては、岩手県人口問題対策本部を中心に、いわてで生み育てる支援本部における自然減対策と、いわてで働こう推進本部における社会減対策の総合調整を図りながら、全庁を挙げた取り組みを推進してまいりました。
 いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの初年度となる令和5年度は、人口減少対策に最優先で取り組むこととしており、特に結婚、妊娠、出産、子育て支援など、安心して子供を産み育てられる環境づくりを強力に推進することとしています。
 このため企画理事を設置し、両本部の取り組みの総括や新たに設置する少子化対策監等において立案、評価された具体的政策、施策を共有し、自然減対策と社会減対策の相乗効果を図りながら、効果的かつ効率的な事業展開を図っていく考えです。
 さらに、子ども子育て支援室の体制も拡充し、若者のライフデザイン形成支援、結婚支援体制の強化、第2子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化、医療費助成の高校生等への現物給付の拡大など、各ライフステージに応じた総合的な施策を強化し、市町村や企業などの関係団体との連携のもと、オール岩手で全国トップレベルの子供子育て環境をつくり、希望する全ての県民が、安心して子供を産み育てることのできる社会の実現を目指してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、事業実施のための財源確保に係る国への働きかけについてでありますが、県ではこれまで、復興交付金等を活用し、災害公営住宅の整備や市町村のまちづくりに合わせた道路整備など、被災した社会資本の復旧、整備等を進めてきたところであり、今後においても、社会資本の整備や適切な維持管理に取り組み、地域の社会経済活動の基盤として、暮らしとなりわいを支える災害に強い安全なまちづくりの推進を図っていく必要があると認識しています。
 このことから、現在策定中のいわて県民計画(2019〜2028)第2期復興推進プランにおいては、高規格道路を補完する道路等の整備、緊急輸送道路通行危険箇所や隘路の解消、橋梁の耐震化、防波堤、岸壁等の漁港施設の防災、減災対策の推進などの取り組みを盛り込むこととしています。
 これらの取り組みの推進に当たっては、将来にわたり必要な財源を安定的に確保していく必要があることから、引き続き、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づく取り組みに対する補助金、交付金等の財源確保について、国に強く働きかけてまいります。
 次に、復興の姿の発信についてでありますが、県では、これまでの復興の取り組みで生まれたきずななどを生かしながら、多様な主体が復興について幅広く学ぶいわて復興未来塾や、岩手県と海外の高校生等が互いの震災伝承活動を紹介し、今後の活動をともに考えるオンライン交流などを実施してきたところです。
 また、東日本大震災津波伝承館においても、東日本大震災津波の悲しみを二度と繰り返さないため、来館者が災害を自分事として捉えられるよう、解説員が展示内容を丁寧に説明するとともに、伝承館への来館を契機として広く被災地に足を運んでいただけるよう働きかけるなど、国内外に向けて、震災の事実、教訓の伝承と復興の姿や残された課題など、復興情報の発信に取り組んできたところであります。
 今後も、被災した本県の責務として、第73回全国植樹祭いわて2023を初め、さまざまな機会を捉えて、震災の事実、教訓の伝承に取り組んでいくとともに、復興に取り組み続ける被災地の今を重層的に発信し、継続的な支援につながるよう取り組んでまいります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、三陸沿岸道路の機能強化についてでありますが、三陸沿岸道路の県内区間において、追い越し車線はインターチェンジ付近を中心に上下線それぞれ16カ所、ハーフインターチェンジは19カ所設置されておりますが、三陸沿岸道路の利用状況や周辺の土地利用の変化に対応した追い越し車線の追加や、フルインターチェンジ化などの三陸沿岸道路の機能強化が必要と認識しております。
 昨年2月には、道路利用者のニーズを把握するため、トラックや観光バスのドライバーを対象としたアンケート調査を実施いたしましたが、三陸沿岸道路の利便性を高めるために必要な取り組みとして、休憩施設の整備、追い越し車線の設置及びハーフインターチェンジのフルインターチェンジ化が上位を占めたところであります。
 このアンケート結果も示しながら、令和5年度政府予算提言・要望においては、三陸沿岸道路の機能強化を国に要望したところであり、今後とも、機会を捉えて国に働きかけてまいります。
 次に、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築についてでありますが、激甚化、頻発化する豪雨災害や切迫しているとされる千島海溝沿いの巨大地震などの自然災害の発生時に備え、人流、物流が途絶しない、あるいは早期の通行確保が可能となる強靱な道路ネットワークを構築する必要があります。
 これには、高規格道路を補完する道路の整備によるネットワークの多重性の確保、のり面の防災対策や橋梁の耐震補強による緊急輸送道路の強靱化などの取り組みが重要と認識しております。
 これらを着実に推進するためには、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を初めとする公共事業費の確保が必要であることから、令和5年度政府予算提言・要望において、公共事業予算の安定的、持続的な確保や5か年加速化対策予算の別枠確保、加速化対策期間終了後においても必要な予算確保について、国へ要望したところであります。
 今後とも、さまざまな機会を捉えて国に働きかけていくなど、公共事業予算の確保に努めながら、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。
 次に、省エネルギー対策についてでありますが、県ではこれまで、県産木材を活用した省エネ住宅である岩手型住宅の普及を図ってまいりましたが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、設計者や工務店等の事業者の技術力の向上や省エネ住宅のメリットなどの県民への周知に加え、ZEH基準を上回る基準による省エネ住宅の普及が重要と認識しております。
 こうしたことから、今年度から事業者を対象に、省エネルギーの基準や計算方法等、設計時の技術の習得を目的とした講習会を県内各地で開催したところであります。
 また、昨年12月に、県の補助事業を活用し、ZEH基準により改修された住宅の完成見学会を事業者の協力を得ながら実施し、省エネ住宅の快適性等を体感いただいたところです。
 来年度は、省エネ住宅の施工技術の向上を目的とした講習会を実施するほか、岩手型住宅ガイドラインを改定し、この中にZEH基準を上回る高い省エネルギー性能の基準を盛り込む予定としております。
 引き続き、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネ住宅の普及拡大に取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) まず、岩手県政150周年記念事業の今後の展開についてでございますが、令和5年度においては、特設ホームページの内容の充実を図るとともに、本県の歴史を振り返る動画やパネル等による県内各地における岩手県政150周年の巡回展の開催など、情報発信の強化に努めてまいります。
 また、商工団体と連携して、ロゴマークの積極的な活用や記念商品の開発、販売に着手するなど、岩手県政150周年記念事業の効果が、復興や沿岸振興にも広く波及していくよう取り組んでまいります。
 岩手県政150周年記念事業は、未来につながる事業とすることが重要であり、子供たちの夢を発表する場の検討や、次世代を担う若者たちが具体の企画提案や事業化を進めるなど、積極的な参画を促していきたいと考えております。
 今後も、実行委員会の構成団体や関係機関等と連携しながら、世代を超えてさまざまな取り組みの充実を図り、令和8年度までの記念事業を積極的に展開していく考えでございます。
 次に、岩手県立大学における防災復興教育の拠点整備についてでございますが、岩手県立大学では、令和5年4月に、防災や危機管理、大規模災害からの復旧、復興に関する地域課題の解決を支援するため、防災復興支援センターを設置し、関係自治体と連携しながら、防災、復興に関する調査研究や人材の育成、学生ボランティア活動の支援等の取り組みを推進することとしているところです。
 今年度は、地域政策研究センター内に防災研究部門を設置し、令和5年度のセンター設置に向けて、機能面の強化や教員などの人的体制の整備について検討し、準備を進めていると聞いております。
 防災復興教育の拠点の三陸沿岸地域への設置につきましては、沿岸部には既に岩手県立大学宮古短期大学部が設置されていることを踏まえつつ、令和5年4月から設置される防災復興支援センターの今後の事業展開や地域ニーズ等を勘案しながら、岩手県立大学において総合的な検討を行うことが必要と考えております。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、三陸DMOセンターについてでありますが、三陸DMOセンターでは、今年度、沿岸圏域13市町村をめぐるデジタルスタンプラリーの開催や体験型観光プログラムの商品化支援などにより三陸地域の広域周遊を進めてきたところでありますが、さらに、目に見える形で広域周遊の増加につなげていかなければいけないと受けとめております。
 先般、岩手県中小企業団体中央会との意見交換の場で、地域の宿泊施設と旅行会社が中心となって、これまでは観光と関連が薄かった事業者を含めた連携体制を構築して、宿泊と買い物や体験などを一体的に提供していこうとする取り組みの発表があったところです。
 こうした取り組みは、地域における観光の付加価値を高めるとともに、三陸地域全体に広めていくことで、さらに提供できるメニューも豊富になることから、三陸DMOセンターを核に、市町村を含めた関係者と連携し、取り組み事例の普及拡大を進め、広域周遊ルートの形成へとつなげていきたいと考えております。
 また、三陸DMOセンターでは、デジタルマーケティングに基づく地域観光戦略の策定支援や、市町村、観光関連団体との広域連携によるプロモーションなどを行うこととしており、こうした取り組みも有機的に連携させ、三陸地域が一体となった観光振興を進めてまいります。
 次に、令和5年度岩手県一般会計予算案における生活者支援策についてでありますが、光熱費や物価高騰に対応した支援策については、補正予算による対応を基本にしていると認識しております。このため、今後の物価の状況や国の対応を注視しつつ、必要となる支援策についての検討を進めてまいります。
 次に、中小事業者支援についてでありますが、中小事業者を取り巻く環境は、3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行に加え、昨年来のエネルギーや原材料価格の高騰が継続しているなど、厳しい経営環境にあると受けとめております。
 このため、トラックや貸し切りバス事業者に対して、令和4年度2度目となる燃料費高騰の影響を緩和するための支援を行うとともに、原油価格、物価高騰により経営に影響が生じている中小企業者等に対して、法人15万円、個人7万5、000円の支援金を支給することとし、補正予算案の追加提案を行ったところです。
 なお、このうち中小企業者等に対する支援金につきましては、従前の物価高騰対策支援金に比べて、支給要件の緩和や事務手続の簡素化を図ることとしているところです。
 また、令和5年度岩手県一般会計予算案には、資金繰り支援としての融資の充実や生産性向上を実現するための伴走支援、事業承継者の新分野進出への支援のほか、県内で起業等を希望する若者や女性を対象とした無利子、無保証料の開業資金貸付金制度の創設などを盛り込んでいるところであり、これらの事業を展開することで、コロナ禍や物価高騰等の直面する課題、さらには東日本大震災津波という困難を乗り越え、地域経済を牽引する中小企業のさらなる発展を実現してまいります。
 次に、全国旅行支援終了後の対応についてでありますが、観光関連事業者の方々からは、4月以降も全国旅行支援を継続してほしいとの声もあり、県としては、国の動向や観光関連事業者を取り巻く状況を注視しつつ対応してまいります。
 また、今般、いわて花巻空港の国際線の再開の発表があり、また、ニューヨークタイムズ紙に盛岡市が取り上げられたことを絶好のチャンスと捉え、さまざまな誘客促進の取り組みを沿岸地域を含めて全県的に展開していく必要があります。
 三陸地域への誘客促進については、令和5年度岩手県一般会計予算案において、三陸地域を目的地とした教育旅行を行う旅行業者への支援や、三陸地域の宿泊施設で利用できるクーポンを造成する事業を盛り込んでいるところです。
 加えまして、令和6年1月から3月に、JR東日本等と連携して展開する冬季観光キャンペーンなども実施することとしており、こうした取り組みを通じて、全国旅行支援の終了後も、岩手県全域に多くの観光客を呼び込んでまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、魚種転換への支援についてでありますが、近年の海洋環境の変化によるマイワシやサワラ等の水揚げ量の増加により、県内の水産加工業者は、新たな魚種に対応した製造ラインの見直しや機器整備が必要となっており、県では、国事業を活用し、これまで延べ約70社の取り組みを支援してきたところでございます。
 また、令和5年度は、議員御指摘の事業において、水揚げ量が増加している魚種の有効活用や高付加価値化に向け、高鮮度での流通の実証や販路の開拓、拡大に向けた調査などを行うこととしており、新たな魚種に対応した機器整備への支援とともに、販路開拓などの取り組みを一体的に進めながら、収益力の高い水産業が展開されるよう取り組んでまいります。
 次に、漁業者への支援についてでありますが、県では、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、漁協を核とした共同利用施設として、6、000隻を超える漁船や1万7、000台を超える養殖施設、漁具などの整備を支援してきたところです。
 また、近年の海洋環境の変化を初め、生産性の向上や省力化等に対応した操業体制への転換を推進するため、漁業者への漁船や漁具等の導入を支援する国事業の活用を進め、これまで県内では10漁協で約24億円の事業が実施され、新たに取得した漁船や養殖施設等を活用し、操業の効率化や経営の規模拡大、多角化が図られてきております。
 さらに、独立を目指す新規漁業就業者の初期投資の負担軽減に向け、漁協等が中心となって中古の漁船や漁業資材等をあっせん、譲渡する取り組みも行われており、県としては、今後とも、市町村や漁業関係団体と連携しながら、収益性の高い漁業経営が実現されるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、担い手育成についてでありますが、令和元年度から開講しているいわて水産アカデミーにおいては、これまでに20名が修了し、12名が定置網等で雇用就業、5名がホタテガイ等の養殖業で独立就業、3名が漁家子弟で家業を継承しており、このうち養殖業の3名は、後継者のいない漁業者の経営を継承したところです。
 後継者のいない漁業者の経営を継承する第三者継承は、地域漁業を担う人材の確保に有効でありますが、就業希望者と漁業者との信頼構築や経営継承の時期、条件等の意向の合致が重要と考えております。
 このため、いわて水産アカデミーにおいては、研修生や漁業者との十分かつ丁寧な面談や意向確認を行った上で、経営継承のためのマッチングに取り組むなど、きめ細やかな対応に努めており、引き続き、市町村や漁業関係団体と連携しながら、地域漁業の担い手が確保、育成されるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、少子化対策の取り組みについてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいては、人口減少対策を重点事項の第1に位置づけており、特に自然減対策については、結婚、妊娠、出産、子育ての各ライフステージに応じた総合的な取り組みを強化していくこととしております。
 国の出生動向基本調査によると、理想の数の子供を持たない理由として、子育てなどに係る経済的負担が最も多くなっており、少子化の背景として、子育てに係る経済的負担の軽減は、重要な課題と認識しております。
 このため、令和5年度岩手県一般会計予算案において、医療費助成の高校生等への現物給付拡大、第2子以降の3歳未満児を対象とした保育料等の無償化や、在宅育児支援金の創設などの経済的支援の拡充を盛り込み、県民の皆さんが、希望する子供数を実現できる環境整備を推進していくこととしたものであります。
 次に、子育て支援施策に係る市町村との連携についてでありますが、人口減少対策を力強く推進するには、市町村と一体となって取り組んでいくことが重要であります。
 令和5年度岩手県一般会計予算案に盛り込んだ第2子以降の3歳未満児の保育料の無償化などの事業については、市町村が事業を行う場合に、県は、その要する経費に対して補助するスキームとしており、市町村の取り組みの実施が基本となっております。
 このため、県としては、事業の立案に当たり、検討段階から市町村に情報提供をし、その中で市町村の意見の一部を取り入れるなどして事業内容を精査してきたところであります。
 これらの事業の実施については、市町村の意向を確認したところ、ほとんどの市町村が現在、実施に向けて検討を進めているものと承知しており、円滑に事業実施できるよう、引き続き市町村に対して丁寧な説明に努めてまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、地域移行における県の課題認識についてでありますが、本県では、令和3年度から継続してスポーツ庁の事業を活用した実践研究を行っているところであり、今年度は、これまでの岩手町及び葛巻町に加え、大船渡市の1市2町において取り組んでいます。
 これまでの取り組みにおいて、学校以外の地域のスポーツ施設を活用した事例や、地域の体育・スポーツ協会により、既存の学校部活動にはない種目の活動が行われた事例など、一定の成果があったと捉えております。
 一方、課題としては、一般的に、地域スポーツ団体の整備充実、指導者の確保、大会等のあり方などが挙げられているほか、本県の実践研究においては、競技団体との連携を強化し指導者の確保に取り組む必要があること、活動方針について関係者間で適宜確認する必要があること、学校教育の一環としての部活動とは異なる活動であることから関係者に対して制度の理解促進を図ることが必要であること、新たに費用や送迎の負担がふえるため保護者に十分な理解を得る必要があることなどが課題として示されたところです。
 今後、これらの課題を整理した上で、県の部活動方針の改定に取り組むとともに、先行して学校部活動の地域移行を進める市町村向けに業務や手続等をまとめた手引を作成し、地域移行に向けた支援に努めてまいります。
 次に、市町村と連携した専門指導者の養成、育成等の取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、各地域において、指導者の確保を重要な課題として捉えているところです。
 県においては、地域移行の指導者として活用が期待される部活動指導員に対する配置支援や研修機会の提供、地域スポーツ団体を対象とした指導者の資格取得支援、各競技団体が実施する日本スポーツ協会公認の指導者資格の取得、更新時における専門的指導技術向上プログラムに加え、県内各地におけるスポーツ医・科学、スポーツ・インテグリティーに関する研修会の開催や講師派遣などを実施してきたところです。
 これらの取り組みにより、本県における日本スポーツ協会公認資格取得者数が年々増加しているところであり、また、本県の実践研究においては、既存部活動の外部指導者やスポーツ少年団の指導者等の協力が得られたほか、専門的指導により参加者の技術向上につながったなど、地域人材の活用に一定の成果があったところです。
 今後も、文化スポーツ部とともに、本県中学生それぞれの興味、関心に応じた多様な活動が保障される環境整備に向けて、市町村と連携して、専門の指導員の養成や育成を含めて学校部活動の地域連携、地域移行に取り組んでまいります。
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時4分 休 憩
   
出席議員(44名)
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
1  番 千 田 美津子 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時23分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木宣和君。
   〔20番佐々木宣和君登壇〕(拍手)

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