令和5年2月定例会 第24回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(岩崎友一君) 自由民主党の岩崎友一です。会派を代表して質問いたします。
 令和5年2月6日に発生したトルコ南東部を震源とする大規模な地震によりまして、トルコ及びシリアにおいて甚大な被害が出ております。東日本大震災津波では、トルコ政府による日本国内への物資支援や支援救助隊による被災地での行方不明者の捜索活動が行われました。また、トルコの航空会社による復興支援企画として、三陸鉄道のラッピング電車の運行等、トルコ共和国の皆様からの多大な御支援に改めて感謝を申し上げます。
 そして、亡くなられた方々及びその御家族に心から哀悼の意を表するとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 達増知事が就任されて間もなく4期16年が過ぎようとしております。この間、岩手・宮城内陸地震、東日本大震災津波、たび重なる台風災害、そして新型コロナウイルス感染症と多くの困難があったことと存じます。特に、来月で12年を迎える東日本大震災津波、これは未曽有の大災害であり、最前線で指揮をとってこられましたことに敬意を表します。
 一方、ことしは9月に岩手県知事選挙、岩手県議会議員選挙が行われることから、政治面、政治姿勢において、達増県政16年の総括をしっかりと行い、県民の皆様に理解していただくことが重要であると考えます。そこで、本日はそういった視点で質問してまいりますので、誠意ある答弁をお願いいたします。
 初めに、達増県政16年の総括について取り上げます。
 知事は、就任時から、人口流出、所得の低迷、雇用の悪化、医療崩壊を四つの危機とし、危機を希望にというスローガンのもと県政運営に当たってこられました。この課題認識は私も同様であります。
 あれから16年。知事は今定例会の知事演述において、この間の実績として、人口の社会減は就任当時の6、000人台から4、000人台まで縮小。県民所得は、国民所得水準の7割台から8割台まで上昇。また、雇用環境は、正社員有効求人倍率が0.31から0.96まで上昇。人口10万人当たりの医師数は186人から223人まで増加したと述べております。
 しかし、正しく評価するには、本県だけがどうなっているかではなく、他県との比較が重要であることから、さまざまな指標について分析を行ってみました。
 まず、総務省の人口推計、都道府県別社会増減率によると、知事が就任した平成19年がマイナス5.5パーミルで全国43位、令和2年がマイナス2.5パーミルで全国36位。ちなみに令和元年は全国43位、その前年が全国39位と、全国的には下位で推移しております。
 また、同じく総務省の人口推計、都道府県別人口増減率においても、平成19年がマイナス8.9パーミルで全国44位、令和2年がマイナス11.6パーミルで全国42位となっており、令和元年は全国45位、その前年が全国46位と、決して誇れる成果ではありません。
 県民所得については、平成19年が237万円で全国39位、令和元年が278万円と伸びているものの、全国的にも伸びていますから、順位は35位にとどまっています。
 人口10万人当たりの医師数に至っては、平成20年が178.3人で全国40位、令和2年が207.3人で全国42位となっており、知事の言う危機は希望に変わっているかと言えば、全くそうなっていない現状がありますが、これらの現状をどのように捉えるのか、知事の見解を伺います。
 以下の質問は質問席から行います。
   〔44番岩崎友一君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 16年の総括についてでありますが、知事に就任した平成19年、2007年以来、人口の社会減の拡大や国民所得に対する県民所得の水準の乖離、厳しい雇用環境、地域医療の確保といった、岩手県が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、いわて県民計画(2019〜2028)などの計画を策定し、県政の課題に取り組んでまいりました。
 その結果、1人当たりの県民所得は、平成19年、2007年の237万円から、令和元年、2019年には278万円と1.17倍に増加し、全国平均の増加率である1.04倍を上回っております。また、国民所得に対する県民所得の水準は、平成19年、2007年の77.3%から、令和元年、2019年には87.4%にまで向上しています。
 医師確保については、岩手医科大学の入学定員が80人から130人まで拡大が図られてきたほか、奨学金制度による養成医師の配置数は年々着実に増加し、令和5年度の見込みは145人となっています。
 こうした対策を講じてきたものの、人口10万人当たりの医療施設従事医師数の伸び率は全国平均を下回っており、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいては、女性医師が働きやすい環境整備や病院勤務医の勤務環境の改善などにより、医師の確保と県内定着をより一層進めていくこととしています。
 さらに、医師不足や地域偏在の根本的な解消を図るためには、国レベルの取り組みの強化が必要であることから、医師少数県の12県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会において、実効性のある施策の実現に向け、国に対し強力に提言、要望を行ってまいります。
 本県の人口は、全国より速く高齢化が進んでいることから自然減が大きくなるほか、東京圏との相対的な経済状況の差によって人口移動が大きく変動する傾向があります。
 近年、全国的に東京一極集中に歯どめがかからない中、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う投資が首都圏で増加し、令和元年、2019年をピークとして、本県の有効求人倍率が全国平均を下回り、復興需要や大型工場の新規立地の関係による人の出入りやコロナ禍による地方回帰効果もありましたが、社会減が継続し、また、コロナ禍による出生率の低下等により、少子化が進み、人口減少が進行しています。
 県としては、国に対し、地方を重視した経済財政政策の確実な実施を強く求めるとともに、第2期アクションプランにおいて、性別にかかわらず活躍できる環境づくり、一人一人の能力が発揮できる良質で安定的な雇用の確保を初めとする自然減、社会減対策を進め、人口減少対策をオール岩手で進めてまいります。
〇44番(岩崎友一君) るる御答弁をいただきましたが、私が聞いているのは、知事が就任時に掲げた四つの危機、人口流出、所得の低迷、雇用の悪化、医療崩壊、これらを四つの危機と捉えているわけでありますが、それが希望に変わったかということをお尋ねしているわけでありますけれども、その点は、知事御自身はどのように捉えているのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 国民所得、県民所得の関係では、もともと岩手県は8割水準ということが言われ、国民所得の8割の1人当たり県民所得水準が続いていたにもかかわらず、私の1期目の知事就任あたりで80%を割り込み70%台になり、さらにどんどん減っていくのではないかという危機的な状況でありましたが、その後回復基調で80%を超えて、一時は90%も超え、その水準が今目標となっているところであります。
 そして、人口の関係も、私が知事に就任する前は、先ほども菅野ひろのり議員への答弁で申し上げたとおり、西暦2000年代に入って、岩手県の人口社会減が1、000人、2、000人、3、000人と毎年1、000人ぐらいずつふえ、私の知事就任時は7、000人近くの人口流出になり、それは、放っておくと、過去、バブルのころ、高度成長期にあったような1万人以上が1年に人口社会減になるような危機も当時あったわけですけれども、それ以上の人口社会減はその後起きておらず、基本的にその水準より低く抑えられ、また、県内のさまざまな経済政策や産業政策で上がり下がりがあるような状況となっております。
 そして、医師確保に関しては、数字的には、全国との比較では、まだまだ岩手県は医師不足県の状態が続いているわけではありますけれども、岩手県の医療の現場においては、以前よりも人口当たりの医師数は多くなっている状況で、また、これを今後ふやしていくための方策が、16年前にはなかった岩手医科大学医学部定員増と、そして、それと並行した奨学金医師養成の体制が今できておりますので、16年前にあったような危機は、今は希望に変わっていると言っていいと思います。
〇44番(岩崎友一君) 私は、その認識は甘いと思っています。平成19年の知事の答弁の会議録を見ましても、もっと強い思いで大きな変革を起こそうというようなニュアンスでした。
 ちなみに、ほかのさまざまなデータも私のほうで検証させていただきました。まず、全国の合計特殊出生率、厚生労働省の人口動態統計でありますけれども、これは知事就任時の平成19年が1.39で全国22位、令和3年が1.30で全国36位と一気に落ちています。
 ちなみに、恐らく知事も見ていると思うのですが、厚生労働省の人口動態統計の全国の出生数の1月から11月の速報値が出ておりますけれども、昨年と一昨年の比較だと、岩手県ですが、一昨年が6、207人、昨年が5、535人で増減率はマイナス10.8%と。このマイナス10.8%というのは、全国で唯一、2桁マイナスは本県のみでありまして、当然、全国最下位になっているわけであります。
 また、都道府県の婚姻率、これも厚生労働省の人口動態統計ですが、知事就任の平成19年が4.7%で全国39位、令和3年が3.1%で全国45位、実は平成19年以降、全国ランキングがずっと下がり続けています。
 あと、実質経済成長率も、平成19年が0.3%で全国34位、令和元年がマイナス1.7%で全国34位となっています。この16年間、こういったものは私は成果と言えないかと思うのですが、改めて知事に、この辺の数値や現状も含めた認識、見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 岩手県の合計特殊出生率は、かつては国の合計特殊出生率よりもやや高いという状況で、そして、国の合計特殊出生率が下がっていくと、それと同じくらいずつ岩手県の合計特殊出生率も下がりはするのですけれども、しかし、一定数、岩手県の合計特殊出生率が高い状態が平成17年ごろまで続いておりました。
 しかし、その後、日本全体として、いわゆる団塊ジュニア世代の駆け込み出産という言葉が言われているのですけれども、女性が高齢になってからの結婚、出産があって、それで、日本全体として平成17年から平成27年に向かって10年間、合計特殊出生率が上昇する局面があったのですが、そこで岩手県においては合計特殊出生率がほとんど上昇せず、平成27年ごろに国の合計特殊出生率に追いつかれるような形になっています。
 以来、国の合計特殊出生率と岩手県の合計特殊出生率はほぼ同じ数字で下がってきているわけでありますけれども、最近の状況を分析しますと、岩手県の20代女性の婚姻率や出生率は全国平均より高いのですが、30代の女性の婚姻率や出生率が全国より低いという状況になっています。
 考えられるのは、団塊ジュニア世代のいわゆる駆け込み出産という形で、30代になっての結婚や出産が日本全体としてふえたときに、その際、30代でありますので、働きながら結婚し、働きながら出産をする、結婚や出産をしながらも働き続けることができるといったような現代的な働く環境というものが、都会を中心に整備されていった時期、岩手県はそこがいま一つ改善されずに、そこの30代の婚姻率、出生率のところで日本全体からおくれをとったようになっております。
 むしろ20代については全国よりも婚姻や出産が多いので、平均すると全国の合計特殊出生率と同じくらいになっているという状況でありますので、やはり働き方改革といいますか、30代の女性が働くことと結婚、出産を両立できるような環境を岩手県につくっていくことが非常に重要な局面であり、また、20代の方々の結婚、出産については、今でも全国よりも前向きなところがありますので、そこをさらに伸ばしていくということを今後続けていけばいいのではないかということが、今見えているところでございます。
〇44番(岩崎友一君) 知事、答弁が長いので、短目にお願いします。
 私が聞いているのは、今、全国比較の数値を申し上げましたが、これはもう知事自身は素直に受けとめているということで、事実として、それはそれでよろしいのですか。
〇知事(達増拓也君) もちろんデータに基づきながら政策は進めていかなければならず、今、岩崎友一議員がお示ししたことや私が述べたデータは、基本的に今、事実関係のデータをもとに議論されていると認識しております。
〇44番(岩崎友一君) 今、16年間の知事就任当時からのさまざまな指標に関して数値でお示しさせていただきましたけれども、知事はいろいろ言われましたが、分析して、原因はわかっているけれども、これまで有効な政策を打ち出せなかった結果、こういった現状にとどまっているという認識になりますが、そういったことでよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 岩手県においても、若い方々の結婚、出産をよりやりやすくする施策、また、30代の方々が、ワーク・ライフ・バランス、よい仕事と生活を両立させるような施策を展開してきたところでありますけれども、全国のトレンドと比べて、30代部分についてはまだおくれをとっているということ。20代については、まだ岩手県のほうが強みとしてあるわけでありますけれども、全体として、今、岩手県の合計特殊出生率が全国の合計特殊出生率とほぼ同じになっているという状況は、今後、努力と工夫によって全国以上に高めていくことはできますので、そうしていきたいというところです。
〇44番(岩崎友一君) 簡単に言えば、やはり有効な対策を打てなかった結果が、こういったさまざまな指標が全国でも下位に低迷していると私は認識せざるを得ません。
 知事にお伺いしたいのですが、先ほど知事5期目の出馬を表明されました。これは素朴な疑問で恐縮なのですが、これまでの16年間でできなかったことが、次の4年間で果たしてできるのか、その根拠をお示しいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今議論してきた部分につきましては、今まで以上の政策を今後展開していくこととしておりますので、それぞれ、今よりも生きにくさを生きやすさに変えていくようにしてまいります。
〇44番(岩崎友一君) 先ほど知事の菅野ひろのり議員への答弁を聞いていますと、もうほとんど精神論というか、なります、みんなで頑張りますという、これまでもいろいろな宣言を発したり、そうやってずっと知事が気合を入れてきたわけですけれども、変わってこなかったのです。ですから、やはり16年間でできなかったことが次の4年間にできるというのを、もっと県民の皆様にわかりやすく御説明していただく必要があるかと思いますが、お願いします。
〇知事(達増拓也君) 先ほど、答弁が長いと言われながらも、かなり詳しく、岩手県の合計特殊出生率の低下という現象がどういう要因で起きているかは、県民の皆さんにも伝えたところでありますので、若い皆さんやその若い人たちを取り巻く皆さんは、より前向きに、積極的にやっていただければいいわけですし、そして、30代の女性、その働く現場、そして生活を支える周りの皆さんには、やはりこれは、それぞれがその気になって変わっていかないと、生きにくさを生きやすさに変えていくことはできません。
 さまざま、予算による金銭的なインセンティブでありますとか、今まで知らなかったことを伝える、情報、そして相談体制の強化などもありますので、そうやって改善してまいります。
〇44番(岩崎友一君) なかなかそうかと受けとめられないのですが、とにかく県民みんなでとかと言いますけれども、私は、やはり大事なのは、県として、県知事としてやるべきは、有効な対策をしっかりと事業化する、これが一番大事だと思います。そこはなかなか見えませんでしたが、時間の関係で次の質問に行きます。
 人口減少対策についてであります。
 知事就任時の本県の人口は136万人で、現在118万人。この16年で18万人減少しております。
 今定例会の知事演述でも述べられたように、人口減少問題は非常に重要でありまして、県では、平成26年6月17日、知事を本部長とする岩手県人口問題対策本部を立ち上げました。この主な検討内容としては、人口問題についての情報分析、情報共有、人口の自然減、社会減の解決に向けた施策の協議などとなっておりますが、この平成26年以降も自然減、社会減に歯どめがかかっていません。
 知事は、この現状をどのように評価しておられるでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 人口問題対策本部を立ち上げた平成26年、2014年以降、県外からの新規立地件数が134件、これに伴う新規雇用者数が約6、000人増加。農林水産業の年間新規就業者数が、年間381人から437人まで増加。県外からの年間移住、定住者数が年1、107人から年1、584人まで増加。保育所等の待機児童数が193人から35人まで減少という成果が出ております。
 また、県内の有効求人倍率は、平成25年、2013年以降1倍を超えており、雇用の場の確保が進んでおり、また、いわてで働こう推進協議会の取り組みによって、雇用環境の改善も図られているところです。
〇44番(岩崎友一君) 多分、成果が出たところを答弁されていますけれども、私が聞いているのは自然減、社会減という部分でありまして、これも厚生労働省のデータですが、2014年以降、人口の増減率、社会増減率ともにずっとマイナスで、全国でも下位のほうで推移しているわけであります。
 大きな視点での人口減少、自然減、社会減への歯どめという部分での答弁をお願いしていますので、再度よろしくお願いします。
〇知事(達増拓也君) 岩手県の社会減が2018年に5、215人という、私が知事になって以降では最低というか最も大きい転出超過となったところですが、実は、2018年といいますのは、岩手県の有効求人倍率は1.46とここ10年余りで最も高い年なのですが、全国の有効求人倍率が岩手県の1.46よりはるかに高い年となりました。
 先ほど東京オリンピック・パラリンピックのための投資ということを述べましたが、首都圏においては、もうブームと言っていいような景気のよさで、1.46という、岩手県にしては非常に高い有効求人倍率をはるかに上回る有効求人倍率だったこともあり、岩手県において社会減が多くなったというところがあります。
 岩手県の皆さんは、企業の皆さんも非常に努力されて、そのような有効求人倍率の高さというのは、県内の好景気を反映している数字でありますので、そういう状況だったわけでありますけれども、東京都のオリンピック景気というものが鎮静化し、岩手県においてそのようなよい経済状況を続けることができれば、また人口の社会増減の回復は期待できるわけでありますので、そこに力を入れていきたいと思います。
〇44番(岩崎友一君) 質問と答弁がすれ違っていて、真っ正面から答えていただきたいのです。
 平成19年6月定例会で知事はこういうことを言っています。危機を直視するのは勇気の要ることです。しかし、危機から目を背け危機が去ることを願うだけでは、危機から逃れることはできません。危機から目を背けることなく、その本質を理解し、今までできなかった本当の改革を行えば、危機は希望に変わりますと答弁されているのですが、全然私の質問に真っ正面から答えてくれていませんので、通告しているわけですから、しっかり私の質問の意図と真意を酌んでもらって、都合のいい答弁ばかりされると困りますので、そこをしっかりとよろしくお願いいたします。
 次に、市町村との共同宣言についてでありますが、知事は、新春のインタビューで、人口減少を打開するため市町村と共同宣言をやりたいと表明されております。その趣旨として、市町村や議会等から県と市町村の連携の必要性を御指摘いただいていることなどを踏まえ、県内外の関心を高め、理解と参画を促し、対策の実効性を高めていくことを目的に、県と市町村が連携し取り組む方向性を共同で明らかにするものとしています。
 県と市町村が連携するのは当然でありまして、知事就任当時から、知事は、この人口減少に対して危機感を感じていたこと、また、先ほど取り上げた岩手県人口問題対策本部が平成26年にもう設置されているわけであって、このタイミングでも、こういった共同宣言はできたわけであります。
 ですから、私は、今回の知事のその表明は遅きに失した感が強く、当然、多くの県民、首長からは、これは選挙対策でしょうというような声も聞こえるところでありますが、なぜこの共同宣言をこの時期に行おうとしたのか、また、対策の実効性を高める具体的な手段、事業についてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 人口減少対策については、県、市町村が連携してさまざまな取り組みを進めてきたところでありますが、コロナ禍の中で、令和4年の出生数が80万人を割り、東京一極集中に歯どめがかかっていないなど、全国的にも厳しい状況が続いています。
 こうした状況下で、国では、本年4月にこども家庭庁を発足させ、今このタイミングで異次元の少子化対策に乗り出すことを表明しており、岩手県としても、今このタイミングで人口減少に立ち向かうため、取り組みをもう一段強化する必要があると考えたところであります。
 県のいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランのスタートにも合致する時期でありまして、このタイミングで市町村と県が一層連携を強めて取り組んでいくことを県内外に示し、国の施策とも連携しながら、広く関心を高め、各層の参画を促すことを目的に、市町村とともに共同で取り組む方向を明らかにしていきたいと考えております。
 具体的な施策としては、令和5年度岩手県一般会計予算案におきまして、若者が将来のライフデザインを考え、希望を持って描く機会の提供、不妊治療に要する治療費や交通費の助成、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料の無償化や在宅育児支援金の創設、経済的に困窮している高校生等への大学等進学支援に向けた奨学金の創設など、ライフステージに応じた取り組みや若者、女性の起業に対する支援、地域おこし協力隊の地域への定住、定着促進、東京圏在住の若者等の移住経費等の補助等の移住、定住の促進策など、関連する事業を特に強化しているところであります。
〇44番(岩崎友一君) 国では今回、岸田総理が異次元の少子化対策─これは後から取り上げますけれども─を打ち出したということでありますが、やはり国が、国がではなくて、知事はもう就任当初から人口減少、人口流出をずっと危機感として掲げてきました。平成26年にも岩手県人口問題対策本部を立ち上げたわけであって、ずっとそうやってきて、なぜ今かというのは、国の異次元の少子化対策に合わせてとか第2期アクションプランに合わせてというのでは、やはり遅いと思うのです。
 人口問題というのは成果が出るまでかなり時間がかかりますから、そう考えると、やはり遅きに失した感があると思いますが、知事はいかがですか。
〇知事(達増拓也君) これはあらゆる政策分野に共通することではありますが、さまざまな施策で一定の効果が上がっている際に、さらに効果を上げたいときには、今までやったことがないようなことをやるというのは、有効な手段ではないかと思います。
〇44番(岩崎友一君) 私は、本当に県内の首長だったり県民の方から選挙対策と言われるのも仕方ないと思ってしまいます。ただ、新年度の新たな事業に関しては、私も評価はするところであります。
 せっかくの機会ですから私も一つ提案させていただきたいので、ぜひ受けていただければと思うのですが、岸田総理は異次元の少子化対策を表明しました。大きな柱が、経済的な支援、保育所などのサービスの充実、育休の強化であって、私は、特に育休の強化に注目しております。
 少子化対策は、ニーズに沿ったさまざまな事業、対策を同時並行的に進めていくことが望ましく、産休、育休政策は、これまで国も含めて手薄であったように感じています。今後、国がどこまで踏み込むかはまだわかりませんけれども、中小、小規模事業者が多い本県では、産休、育休をとられると人手不足で会社が回らない、また経営的にも厳しいといった事業者が多く、若者を採用したいけれども採用できないのが実情であるといった声が聞かれます。
 産休、育休や、それによって女性のキャリアが奪われない、失われないといった部分への支援は、若者の地元就職や少子化対策に通ずる非常に重要な視点であると認識していることから、私は、これまでのように国に依存するだけではなくて、知事として、県独自の大胆な働き方改革に早急に着手することが重要と考えています。
 例えば、現在、県では児童福祉施設等の職員を対象に産休等代替職員設置費補助を行っておりますが、このような制度を参考としながら、この対象を30人以下の中小、小規模の事業者も対象とし、男女両方の従業員が、産休だけではなく、育休期間も利用できる、また、補助基準額も増額したり、あるいは国の両立支援等助成金への上乗せ、横出し補助を行うなど、民間事業者にもメリットがある制度を構築すべきと思いますが、知事の見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 中小、小規模事業者への支援については、現在、国において、育児休業取得者の業務を代替する労働者を確保した事業主に最大60万円、また、育児休業を取得した男性労働者が生じた事業主に20万円を支給する両立支援等助成金による支援が行われておりますが、令和3年度の利用実績で150件程度にとどまっているところであります。
 若者、女性に魅力ある職場環境を構築していくためには、まずは、県内の中小事業者の方々に、このような制度を積極的に活用していただきたいと考えており、いわてで働こう推進協議会の構成団体などを通じて、制度の活用を促してまいります。
 また、代替職員を速やかに確保できるようにする仕組みづくりや、会社全体で子育てを支援する風土づくりなどを一体的に進めて、国に対して支援の拡充なども働きかけながら、中小、小規模事業者における育児休業の取得を促進してまいります。
〇44番(岩崎友一君) 国の事業だけ見ますと全国一律ですね。国の事業も、今回は大企業を除いて、中小企業対象に絞るなど制度設計の変更があったところでありますが、やはり岩手県において若者の定着であったり少子化対策をやるためには、独自支援がなければ、本県の魅力をつくらなければ、全国同じルールでやっていたら、多分岩手県も同じような傾向でしか成長もしていかないとなるわけであります。そういった部分で、私は、県独自で踏み込むべきだと思っています。
 少子化などの問題ですと、やはりニーズとしては、経済的な支援と保育所などのサービスの充実、そして、産休、育休をとりやすい環境というのが、さまざまなデータを見ていますと、3割、3割、3割ぐらいで同じくらいニーズがあるのです。
 ですから、この産休、育休の部分に関しては、ぜひ県として踏み込んでいただきたいと思うのですが、もう一度、知事の答弁をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 生きにくさを生きやすさに変えるというのは非常に今、目の前にある喫緊の課題ですので、今、目の前にある支援制度をすぐにも利用していただきたいというのが県の考え方であります。
 なお、議員御指摘のように、児童福祉施設を対象としている産休等代替職員設置費補助の対象を民間にも拡大した場合、約14億円、男女ともに育児休業期間中の対象とした場合には約51億円の予算が必要になるという試算がございます。そういう意味でも、まずは、この国の制度の利用を促していきたいと思います。
〇44番(岩崎友一君) 試算の根拠が幾らかわかりませんけれども、恐らく十数億円の財源は必要だと思いますが、やはり地元定着、出生率を上げていったり、少子化対策といった部分は大胆な政策を県知事が政治判断でやらなければ、これは全く解消していかないと思いますので、ここは知事の英断をお願いしたかったわけですが、まずは国の支援ということになっていました。
 ただ、先ほどから国、国と言いますけれども、やはり達増知事が達増知事である理由としては、国ができないことを地方でやっていくということが大事であって、さまざまな都道府県知事であったり市町村長も、独自支援を結構やっています。ですから、そういった意味では、今の答弁は非常に残念でありましたが、時間がないので次に進みます。
 地域振興について広域振興局の関係を通告していましたが、先に知事の政治姿勢の質問に移りたいと思います。
 知事は、平成19年4月の統一地方選挙において、みずからの任期を2期8年と明言されました。この表明に対し、みずから退路を断つことにより使命を果たすとの、要は覚悟に満ちた決意の表明と受けとめており、究極のマニフェストであると評価する議員も当時おられました。
 この究極のマニフェストとまで評された原則2期8年の公約、マニフェストを何の説明もなく破棄し、今に至った理由についてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 3期目の知事選に立候補するに当たり、私は、平成26年、2014年11月15日に記者会見を開き、次のように述べました。1期目の選挙に当たり、知事の任期は原則2期8年を公約としましたが、東日本大震災津波という未曽有の非常事態が発生し、岩手県として総力を挙げて復興に取り組む中、引き続き、知事として県政を担わせていただきたいと考えます。岩手は一つ、復興に一つをモットーに、本格復興の推進を中心に県政を進めてまいります。
 以上引用しましたが、その後、翌年6月20日に希望マニフェストを発表し、本格復興の推進とその先の三陸振興、若者女性活躍支援と生きにくさの解消、地域医療の充実といきいき健康社会、学び、文化、スポーツの振興、地域資源を生かした産業の発展、環境保全と再生可能エネルギー振興などを政策の柱として選挙に臨み、県民の負託を得たものであります。
 この3期目の選挙は、2期目の選挙の延長上にあったと思います。2期目の知事選挙は、現職知事として、策定してすぐの岩手県東日本大震災津波復興計画を公約とし、県民と共有して復興を力強く進めようと呼びかけました。仮設住宅団地、工事現場、仮設商店街、復旧中の漁港などで多くの県民に接し、感謝の言葉や激励もいただきました。県民との一体感を強く感じ、志を同じくして前進していこうという思いも共有できました。
 そのときの県民の私に対する期待は一人一人さまざまなものがあったと思いますが、総じて、復興から未来に向かう岩手県の知事であり続けることが期待されたと感じております。
〇44番(岩崎友一君) 私は、実はこの2期8年のマニフェスト云々とか多選批判をするつもりもございませんが、知事がこの2期8年のマニフェストを明言したことの真意として、実は平成20年2月定例会で、地方分権の進展に伴い、首長の権限はこれまでと比較し強まっている。その中で、多選は行政の硬直化やマンネリ化を招くおそれがあると述べておられまして、これは全ての多選に関して当てはまるわけではないと思うのですが、私も、この間十数年、県庁の仕事の仕方を見てきまして、課題の原因分析のあり方、指標設定のあり方、これは職員一人一人はそうでないにしろ、課題解決よりも知事を守ることを優先するための組織になってしまっているような気がしているというか、そういったものを正直感じているわけであります。
 これは、まさに硬直化やマンネリ化ではないかと思うのですが、知事の見解を伺います。
〇知事(達増拓也君) 御質問の趣旨がはかりかねますが、まず、1期目の選挙での知事の任期は原則2期8年という公約を3期目以降持たないようにしたのは、先ほど申し上げたように、東日本大震災津波からの復興に取り組んでいくためというところから始まっているものであります。
 また、その後、何か具体的にこれこれ、こういう案件に関して、県としての課題解決より知事を守ることを優先しているという具体的な何かがあれば答弁できますけれども、具体的なものがなければ心当たりがないもので答弁は難しいと思っています。
〇44番(岩崎友一君) 心当たりがないというあたりは、知事自身が既にもう硬直化、マンネリ化している証拠だと思うのですが、これまで議会でも、例えば指標の設定の仕方についてかなり追及があったと思います。ですから、指標の設定が甘いがゆえに、やっているとかそういったA評価、B評価が多いような指標が設定されていて、その指標が設定されたからといって、決して県政課題は解決されていない。こういった質問は、予算、決算特別委員会でもかなり多くの議員からも取り上げられたと思います。
 それは、やはり本当に課題を解決しよう、県民のために頑張ろうという組織としての意識ではなくて、県庁はやっているのだということを示すための指標設定になっている。これが一つの一番わかりやすい例かと思いますが、その辺についていかがですか。
〇知事(達増拓也君) 先ほど議員は、人口の問題に関して事実が大事ということをおっしゃいましたが、この評価に関しましても、それぞれ指標の統計数字の事実関係を整理するに当たって、この分野は何割の割合でこの指標が達成されているというような、そういった事実関係を正確にあらわしているのがあの評価でありまして、そこには、何も、誰も守る、かばうとかという狙いはないわけであります。
 事実をありのまま県民と共有し、その中で岩手県の弱い部分を、さあどうやって解決していこうか、岩手県の強みをどう生かしていこうかという、議論の基本にするための情報を正確に取りまとめているものと理解しております。
〇44番(岩崎友一君) これまでの予算、決算特別委員会、この本会議もそうですが、議論というものの報告が知事にしっかり上がっていないのかもしれません。指標の達成度は高いけれども、課題の解決につながっていないということに関して、結構厳しい指摘がありました。やはりそういった部分は、職員による知事へのそんたくが働いているのではないかという部分が、もう既に硬直化、マンネリ化している証拠であるということで、奇しくも知事が一番最初、2期8年のマニフェストを設定した真意として言ったことが、現実になってしまったということで、残念であります。
 次に、知事の2期目の再選の関係についてお伺いいたします。
 平成23年、東日本大震災津波により県知事選挙、県議会議員選挙は、本来の4月に執行できず、9月に行われました。結果、達増知事が2期目の再選を果たされるわけですが、知事は、県民は知事に何を期待して当選されたと認識しているのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 実は、その部分の答弁も含めて、先ほどの1期目のマニフェストが3期目で変わったことの答弁で述べてしまったのですけれども、3期目に復興に向かっていくために、もはや任期ということは公約にしないという、その3期目の選挙につながるような2期目の選挙であったということでありまして、県民みんなの知恵と力を結集してつくった復興計画を実行していこうということを、私と県民と共有するような形での選挙運動をすることができ、当時、私は県民の皆さんの思い、真剣さ、そして、一緒に復興を進めていけるなという手応え、もう選挙がずっと続いてほしいというくらいの気持ちにまでなったくらい、県民と復興に心を一つにできたと思っております。
 そういう中から感じられる県民の私に対する期待というものが、総じて、復興から未来に向かう岩手県の知事であり続けることが期待されたと感じているということであります。
〇44番(岩崎友一君) 端的に言えば、2期目、再選に関しては、やはり復興をしっかりやってくれというのが、県民の知事に対する思いだったと思っています。
 この翌年の平成24年ですけれども、これは復興元年ということで、本県にとって非常に重要な年でありました。被災地では、警察を初め、御家族の方々が行方不明者の捜索を必死で行っておりました。瓦れき処理が始まって、各市町村では、まちづくりに向けた議論がスタートしたばかりでもありました。
 私も、避難所から応急仮設住宅への入居が始まったものの、コミュニティーの形成であったり、子供の遊び場確保、こういった大きな課題があって現場で奔走しておりました。御家族を失った御遺族の悲しみに耳を傾けることも非常に多かったと記憶しています。
 そのような中、知事は、民主党分裂に伴い民主党を離党。以降は、国民の生活が第一、日本未来の党、生活の党と支持政党を次々とかえて、特に日本未来の党の結成に際しては、知事みずからが滋賀県の嘉田知事と小沢一郎さんを引き合わせ、年末の衆議院議員選挙には、御夫人を日本未来の党から出馬させました。
 この復興元年、県民みんなが力を合わせて復旧、復興を進めようとする中、本来ならば先頭に立って陣頭指揮をとるべき知事が、政策ではなく政局に没頭し、みずからが県民の分断をあおるような言動は、県民の負託に背を向けたと認識しておりますが、知事の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) 平成24年、2012年における政治活動についてでありますが、県議会で何度も答弁しておりますが、知事というものは、判例に示されているとおり、政治的に活動することによって、公共の利益を実現することも職分とするものであります。新しい政党の設立にかかわり、選挙でその政党を支持することや、その政党の候補者を応援することも、公益に資するものであります。
 平成24年、2012年においては、当時、消費税増税法案が提出され、増税により日本経済が失速すれば、被災者の生活の再建やなりわいの再生など復興に悪影響を及ぼす可能性があり、私は反対の意を表明し続けていました。
 当時、日本未来の党は、国民の生活を第一に考え、東日本大震災津波と復興に真剣に向き合い、消費税増税に反対し、またTPPに反対するなどしていました。
 もちろん私の政治活動は、知事としての行政執行とは異なり、誰に対しても強制力を持たないものでありますから、岩手県民がどの政党を支持し、選挙でどの候補者を応援するかは全くの自由であるという大原則のもとで私は活動していたのであり、私の言動が県民の分断をあおるという御指摘は当たりません。そもそも多様な意見が競われるのが民主主義であり、政党間の議論や選挙活動を分断とみなしては、民主主義は成り立ちません。
 日本未来の党からの岩手1区の立候補者については、政治的自由の行使として立候補したのであり、私が出馬させたという議員の指摘が、何か強制性を伴うような意味であれば、それも事実に反します。
 およそ政治活動というものは、選択肢をふやしたり情報をふやしたりすることで人々の自由を引き出すものであり、だから、民主主義国における政治活動は、かけがえのない大切なものであり、他のさまざまな活動よりも優先し得るものなのではないでしょうか。これは反問をしているわけではなく、そうだということの強調表現です。
 令和24年、2012年は、東日本大震災津波直後の日本の命運を左右する大変重要な選挙であり、国民が、より主体的に投票を含め自由な政治活動を活発に行うべき局面だったと思います。
 一方、平成24年、2012年が本県の復興にとって極めて重要な時期だったというのは、そのとおりであります。私も、1月の国体開催の判断、2月の過去最大規模の岩手復興元年予算の議会への提出、3月の陸前高田市と合同での初めての追悼式、4月から6月までのいわてデスティネーションキャンペーン、4月には被災世帯の持ち家再建上乗せ支援の施行、放射線影響対策に関する県内視察も行いました。5月はドクターヘリの運航開始、6月は釜石市での現地復興推進会議の開催、7月には東北ILC推進協議会がこの年に発足しています。9月は二戸市での県北振興会議の開催、11月には復興道路やホテル羅賀荘の復旧関係事業など復興に力を注いでおりました。私が政局に没頭していたというのは、事実に反します。
〇44番(岩崎友一君) 知事の政治哲学を聞いているわけではなくて、私も被災地の人間だからですけれども、本当に現場はまだ混乱中でありました。知事が行政の長という立場と政治家というのを使い分けてこれまでも活動しているのは、何度も答弁いただいておりますけれども、被災地が大惨事で大変なときに、優先すべきは行政の長としての仕事であったのではないかということを私は問うているのであって、知事の政治哲学を聞いて、県民だって、被災地の方だって、決して納得はしないと思います。逆に言えば、そんな大変なときに、そんなことをしていたのだという判断にしか私は至らないと思います。
 時間がないので次に行きますが、民主主義というものはかけがえのないものという答弁がございました。
 実は先日、日本共産党が党首公選の必要性を訴えた元党職員を除名処分にしたことが大きく報じられました。各社、これは民主主義ではないと。ただ、日本共産党の一部幹部は、我々の政党が一番民主的だと反論もしておりますけれども、この日本共産党の言動、判断は、知事が言うかけがえのない民主主義と合致するものなのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の質問の前提には、何か政治というものが、本質的に人を縛り、束縛するような、自由を奪うようなもので、それをやっている間は時間も何もかもとられてしまうよくないもののような言い方しているように聞こえるのでありますけれども、岩崎友一議員も、政治というのは、より多くの人がそこに参画するほどよく、また、一人一人なるべくより多くそこにコミットするほうがよく、それは、そうすればそうするほど、お互いの自由を引き出して、今まで思いつかなかったようなアイデアが出てきて、そして、今までできなかったようなことができるようになる。
 東日本大震災津波からの復興も、あの放射線事故対策も含めて、日本が今まで思いつかなかったような、日本に今までできなかったような、しかし、ドイツではやっているような、ほかの国では取り組んでいるような思い切った、当時、戦後をもじって災害の後、災後という全く新しい時代を切り開くという希望もあったはずで、でも、そうなっていないのは、やはり日本の政治の力がいま一つ弱かったからだと思います。
 そのような自由を引き出しながら、今までできなかったことができるようになるというようなことについては、復興の最中だからこそ、あのとき政治が重要だったと岩崎友一議員も思っているのではないかと私は思っております。そしてそれは、岩手県民にも共通する感覚ではないかと思っております。
〇44番(岩崎友一君) 日本共産党の件、答弁いただいていません。
〇知事(達増拓也君) 当事者ではございませんので、コメントは控えます。
〇44番(岩崎友一君) あれだけ民主主義はかけがえのないものと語っていますからね。知事は、これにしっかり答えていただかなければならないのは、これまでも日本共産党の支持を選挙で受けています。ことしはどうなるかわかりませんけれども、恐らく、ことしの選挙も支援を受けると推測されますから、これはしっかり責任を持って答えていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 関係者がそれぞれ自分の自由を行使して、こういうルールで、こういう集団をつくってやっていこうという、そういう集団の自治において、決まったルールを守って運営していくと。また、それをめぐるトラブルが起きたときにどう解決するかというのは、その関係者、当事者で話し合って決めていくということが民主主義なのだと思います。
 どうも岩崎友一議員の質問を聞いていると、特定の考え方とか特定の行動様式を否定し排除するような政治が、政治の普通のあり方だという前提のもとに、私の政治活動を否定したりとか、それから、ある特定政党のやったことを否定するようなことを聞いているように感じているのですけれども、政治というのは、これは私の政治哲学というよりも、アメリカ独立戦争以来、先人が苦労して、日本でも、特に幕末、明治維新のころに多くの人たちが命を投げ出して確立してきた原理原則であって、基本は、個人の自由な主体性を原則として、そして、異なる意見を認め合いながら、そして、調整をしていくのが政治ということだと思います。
〇44番(岩崎友一君) 日本共産党は、異なる意見を持った職員を除名処分にしたのです。これは大問題と思いますよ。知事の今の答弁からしてもですね。
 もう最後の質問になりますけれども、知事の今までのさまざまな政治的な考え方で、私は、基本的には、岩手県のため、県民のために知事はもう県政に集中する。もし政治にかかわりたかったら国会議員になったほうがいいと思っていますが、最後の質問は、先般の報道によりますと、立憲民主党岩手県総支部連合会が、階猛代議士に対して、一昨年の衆議院議員選挙で対抗馬の擁立を図ったことなどについて謝罪したとのことでありました。
 知事は、その対抗馬である女性に対して、選挙に出馬しないかと声をかけた立場でありますけれども、立憲民主党岩手県総支部連合会が女性候補の擁立を図ったことは、謝罪すべきことであるのかどうか、まず、知事のお考えを伺います。
〇知事(達増拓也君) 特にコメントはございません。
〇44番(岩崎友一君) そう言うと思っていました。ただ、この候補者擁立に関しては、知事も当然絡んでいるわけであります。女性の出馬会見ですと、このたび、達増知事よりお声がけをいただきましたとあります。あと、木戸口英司前参議院議員の会見では、達増知事が自分と一緒に、あるいは自分の思いを継いで、今回政治に向かっていただくという佐野さんを擁立したことは、そのとおりと。
 知事もこれは無責任ではありませんので、最後、しっかりと御答弁をいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県議会においても、自由な主体性に基づいて、議員の皆さんがどういう経綸、岩手県をどう見て、岩手県をどうしようとするのか、具体的にどういうことをしたいのかというのを議論できればいいと思っているところでありまして、今、岩崎友一議員の質問のことについては、今回の本会議の答弁準備はしておりませんでしたので、不確かな情報に基づいた曖昧な答弁は控えさせていただきたいと思います。
   〔「議長、動議」と呼ぶ者あり〕

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