令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和4年3月18日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
県土整備部長 田中隆司 
技監兼
河川港湾担当技監兼港湾課総括課長 加藤智博
副部長兼
県土整備企画室長 小島 純
道路担当技監 幸野聖一
まちづくり担当
技監 杣亨
技術参事兼
道路建設課
総括課長 照井 巧
県土整備企画室
企画課長 川村 守
県土整備企画室
管理課長 吉 原 武 志
特命参事兼
用地課長 伊 藤 雅 敏
空港管理課長 今   俊 晴
建設技術振興課
総括課長 菅原常彦
道路環境課
総括課長 菅原博秋
河川課総括課長 上 澤 和 哉
砂防災害課
総括課長 戸来竹佐
都市計画課
総括課長 嵯峨俊幸
下水環境課
総括課長 水 野 久 禎
建築住宅課
総括課長 小野寺 哲 志
財政課総括課長 山田翔平
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 川村伸浩委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部関係について、延べ12人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 あわせて、委員各位御承知のとおり、本日の県土整備部の審査の後、議案26件について意見の取りまとめをしたいと思いますので、御了承願います。
 それでは、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇田中県土整備部長 県土整備部所管の予算審査に当たりまして、令和4年度当初予算の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 令和4年度当初予算は、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を計上した令和3年度2月補正予算と一体的に編成したところであります。この中で、震災分も含め、いわて県民計画(2019~2028)に掲げた社会資本整備に係る施策を重点的に推進するとともに、流域治水対策や道路、橋梁等の老朽化対策などの国土強靱化の取り組みを推進することとしております。
 まず、震災分については、道路や防潮堤等の一日も早い完成を目指し整備を推進します。
 次に、国土強靱化については、平成28年台風第10号や令和元年東日本台風により甚大な被害が生じた岩泉町小本川や久慈市小屋畑川等の改良復旧等を推進します。
 また、地すべりによる通行どめが続いている国道107号西和賀町大石地区において、令和4年の積雪期前までに通行確保を図るための仮橋工事を進めるとともに、災害に強い道路ネットワークの構築に向け、トンネル整備を推進します。
 次に、全庁的な重点テーマである人口減少対策については、県外からの移住希望者を対象に、県営住宅の空き住戸を活用した移住、定住機会の創出や空き家の取得、改修を支援し、U・Iターンを促進します。
 また、グリーン社会の実現に向け、省エネ性能を備えた既存住宅の改修促進、岩手型住宅のさらなる普及を進めます。
 続きまして、当部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算についてでありますが、お手元の議案その2の7ページをお開き願います。県土整備部関係の予算は、6款農林水産業費3項農地費147億8、142万円余のうち3億1、773万円余、8ページをお開き願いまして、8款土木費521億5、778万円余、9ページの11款災害復旧費4項土木施設災害復旧費136億1、767万円余、12款公債費923億1、420万円のうち1億1、333万円余、13款諸支出金2項公営企業負担金222億3、056万円のうち8億569万円余であり、総額670億1、222万7、000円となっております。これを前年度当初予算と比較しますと、45億4、737万円余、率にいたしまして7.3%の増となっております。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書に記載しておりますが、説明は省略させていただきます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、県土整備部関係は、13ページをお開き願いまして、27空港管理に係る消防車両の整備から、46河川等災害復旧事業までの20件であり、これは、工期が翌年度以降にわたるものについて、債務負担行為を設定しようとするものであります。
 次に、特別会計2件について御説明申し上げます。
 35ページをお開き願います。議案第8号令和4年度岩手県土地先行取得事業特別会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出予算の総額について、それぞれ5万2、000円と定めようとするものであります。
 36ページをお開き願いまして、歳入の主なものでありますが、1款財産収入は、土地開発基金の運用に伴う利子であり、37ページに参りまして、歳出でありますが、1款管理事務費は、当該特別会計の管理事務費であります。
 次に、少し飛びまして、48ページをお開き願います。議案第12号令和4年度岩手県港湾整備事業特別会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出予算の総額について、それぞれ8億3、574万4、000円と定めようとするものであります。
 49ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、3款繰入金は、県債の元利償還等に充当するため一般会計から繰り入れるものであり、50ページをお開き願いまして、歳出の1款事業費は、埠頭用地の整備等に要する経費であります。
 51ページに参りまして、第2表地方債でありますが、これは、港湾施設整備事業に係る地方債の限度額等を定めるものであります。
 次に、企業会計1件について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、63ページをお開き願います。議案第16号令和4年度岩手県流域下水道事業会計予算についてでありますが、第2条業務の予定量ですが、6市4町の年間総処理水量を6、944万7、000立方メートルと見込み、主要建設事業として、流域下水道施設の改築、更新等を行おうとするものであります。
 第3条収益的収入及び支出の予定額でありますが、収入の第1款下水道事業収益は、市町負担金などであり、支出の第1款下水道事業費用は、処理場費などであります。
 64ページをお開き願いまして、第4条資本的収入及び支出の予定額でありますが、収入の第1款資本的収入は、企業債などであり、支出の第1款資本的支出は、建設費などであります。
 第5条は、都南浄化センター機械濃縮棟脱臭設備更新工事など6件の工事等について、債務負担行為を設定しようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、76ページをお開き願います。議案第20号土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、令和4年度において実施する土木関係の建設事業に要する経費の一部について、受益市町に負担させようとするものであります。
 次に、78ページをお開き願います。議案第21号流域下水道事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、令和4年度において実施する流域下水道事業に要する経費の一部について、受益市町に負担させようとするものであります。
 次に、条例議案3件について御説明申し上げます。
 議案その3の17ページをお開き願います。議案第29号道路占用料徴収条例の一部を改正する条例についてでありますが、道路法施行令の一部改正に伴い、新たに創設された防災拠点自動車駐車場に設ける備蓄倉庫、非常用電気等供給施設、その他これらに類する施設に係る占用料を徴収しようとするものであります。
 次に、議案第30号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち、県土整備部関係の改正内容について御説明申し上げます。
 27ページをお開き願います。長期優良住宅の普及の促進に関する法律の一部改正に伴い新たに手数料を徴収することとし、宅地建物取引士試験手数料の額を増額するとともに、租税特別措置法の一部改正に伴い所要の整備をするものであります。
 次に、47ページをお開き願います。議案第37号花巻空港管理条例の一部を改正する条例についてでありますが、着陸料に対する特例措置の期間を延長しようとするものであります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 早いもので、東日本大震災津波から12年目の年に入りました。この間、インフラの整備といいますか、復旧、復興につきましては、県土整備部の皆さんのまさに真剣なお取り組みがあったればこそ、ここまで復旧してきたもの、このように思っておりまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。
 そういう中で、不謹慎な話かもしれませんが、私は、東日本大震災津波発災から10年、この間、大きなこともまずはなかった。そうしますと、いわゆる三陸沖の日本海溝からひずみが発散されて、当分の間、我が岩手県には大きな津波、地震等はないものと勝手に決めておりましたところ、昨年5月に政府から、北海道千島海溝で大きな地震が発生して、大津波が発生して、そして岩手県にも津波が襲来する。そういう中で、宮古市に約30メートルの津波が来る。銀河のしずく、金色の云々なんて思っていましたところ、青天のへきれき、まさにそういうショックを受けました。何をやっているのだと、実は腹立たしい思いと、けれども、こういうものが出た以上、遊びでやっているわけじゃない、時期とか到達時間とか、そういうものがないのですけれども、やはりこれにはできる限りの備えをして、人命を守っていかなければならないと思うわけでございます。
 そこで改めてお伺いしますが、防潮堤はいろいろ整備を進めていただいていますが、2カ所がまだ残っています。そして、その中には、水門としては閉伊川の水門が今工事中ですが、これが、たしか令和8年ごろまでの計画ではなかったかと思っています。ここも随分何回かの設計変更をして、そのたびに工期が延びてきたわけですが、今まで何回設計変更をして、そして、現在、閉伊川の水門の完成予定はいつになっているのか、あわせてお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 閉伊川水門のお尋ねでございました。閉伊川水門につきましては、令和8年度の完成を目指して、水門土木工事、水門設備工事を推進しているところでございます。
 水門土木工事につきましては、工法変更等を理由にする計11回の変更、水門設備備工事についても計11回の変更をしているところでございます。
 引き続き、令和8年度の完成を目指して進めてまいります。(伊藤勢至委員「金額は幾ら」と呼ぶ)失礼しました。
 水門土木工事につきましては、現在の契約額は319億4、454万100円となっております。水門設備工事につきましては、現在の契約額は81億6、116万3、480円となっております。
〇伊藤勢至委員 閉伊川水門について重ねて伺いますが、これまで11回の設計変更、そして契約をしてきて、現在319億円ということのようです。ざっと見には、川どめのほぼ半分が終わっているのではないか。そうすると、この半分をあと4年かけてやるというのは、ちょっと長過ぎるのではないかと素人的には思います。
 今、何を言いたいかといいますと、千島海溝の地震が発生して津波となった場合には、今工事中のものをいかに早く完成する努力をするか。もちろん設計変更のためには、それなりの理由があって、それに伴って工期も延びたのだと思いますけれども、内容が変わったからといって閉伊川水門全体の長さは変わっていないです。深さも変わっていないのです。そうすると、例えば使う材料をよりかたいものにするとか、そういった関係だと私は思うのですが、発注者として、こういう状況なので、令和8年度までの予定を幾らかでも早めるような取り組みを検討して、県に答えてほしいというのを、これは発注者として注文をつけてしかるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 先ほどもお話ししましたが、閉伊川水門は令和8年度の完成に向けて工事を進めておりますが、現在、令和2年度末までに左岸側の1期工事が完了しておりまして、現在、2期工事の右岸仮締め切り工を進めているところでございます。
 先ほど委員からあと4年というお話がありましたが、発注者としても、1期工事で経験したといいますか、さまざまわかったことをしっかりと生かして、1期の施工実績を踏まえた施工機械の配置とかパーティー数の確保によりまして、確実な工事の施工体制等を構築した上での現在の工期設定ということになっております。しっかりと完成に向けて取り組んでいきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 今は、しゃくし定規のやりとりをしようと思って聞いているのではありません。もしかして北海道千島海溝の地震が発生するかもしれない。あしたかわかりませんよ、あさってかもしれません。けれども、このごろ学者の予測、予見は限りなく精度が高まってきています。20年ほど前になりますか、宮城・岩手内陸地震が来まして、祭畤大橋が落橋しました。そのころから松島沖地震というのは話題に上っておりましたが、そのころは、50年以内に40%か50%ぐらいの確率だったのですが、それが、年を経るごとに期間が短く、確率が高くなってきて、そして東日本大震災津波が来たのです。
 ですから、そういうことから推測するしかありませんけれども、もし千島海溝にまだひずみがたまっていて、それがあるきっかけで起こったとすると、例えば令和8年度の完成と言っていますが、その前に来ないとも限らないわけですね。
 ですから、発注者として、岩手県を守るという気持ちをお持ちなのですから、当然、天下のゼネコンであろうが何であろうが、岩手県民の命は重要視されるべきだと思いますので、思い切って、今の残りの令和8年度までの工期を令和6年度ぐらいまで詰められないかぐらいの話をして、それができたら1億円プレゼントするぐらいやったらいいのではないですか。そういうことは発注機関として当然やるべきであるし、受注したほうも、それは受けると思いますよ。受けざるを得ないと思いますよ。
 そういうことを、これはやっぱり田中県土整備部長に話してもらわなければならないと思うのですが、どんなものでしょうか。
〇田中県土整備部長 日本海溝、千島海溝のお話をいただいていましたが、この地震が切迫しているという報道は、そのとおりだと承知しております。また、16日、おとといも福島県沖を震源とする地震によって、本県には津波はありませんでしたが、石巻市には20センチメートルの津波が襲来しております。
 こうした津波災害から宮古市民の安全・安心な暮らしを守る、確保していくためには、やっぱり閉伊川水門の早期完成が極めて重要であるというのは、伊藤委員の御指摘のとおりだと思っております。
 その安全・安心の確保を一日も早く達成するのは、発注者もそうでありますし、受注者も同じ気持ちでやっていて、今、1期分の左岸側の工事が終わって、右岸側の工事に展開しようとしていますが、現在、仮締め切りの工事に入ったところであります。今年度から来年度にかけて締め切りをやって、1万3、000平米ぐらいの締め切りの中での作業になるのですが、それをやってから、今度、基礎工事に来年度入っていくといった段取りが予定されていて、今のところ、そういった工程に対しておくれは生じておりません。
 これから水中の地下の難しいところに入っていきますが、伊藤勢至委員からお話があったとおり、1期分の反省を生かして、なるべく2期分の時間を短くしていただけないかというお話はそのとおりだと思っていて、そこは受注者とも共有しております。1期分で、機械がなかなか入っていかないとか、転石があって施工がうまくいかないといったところがありましたので、そういった反省を踏まえて、1期分で段取りがえが生じたところは、機械を導入するとかパーティー数をふやすとかといった取り組みをして、2期分ではないような形で、一日でも早く完成を目指してまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 実は、閉伊川では75年前にアイオン台風で大きな洪水が起こりまして、相当数の宮古市民が亡くなっているわけですが、海からの津波予防と同時に、あそこは本来、出口が狭くなっている状況ですので川を広げなければならないところなのです。しかし、その狭い出口を、今、工事のために半分締め切っている状況にあるわけでして、ポンプでかわしているということですので、海からの津波防御ということもありつつ、なおかつ、大雨が早池峰山あるいは区界峠等に降って一気に押し寄せてくると、これまた逆の意味で危ない。したがいまして、これを一日も早く急ぎで終わらせなければいけないと思うわけであります。
 きのうの夜ですか、おとといですか、すごい揺れが来ました。ひょっとして千島海溝の地震が来たのであれば、これはやばいなと思ったのですが、1メートルぐらいの津波ということでしたけれども、宮古湾と山田湾は、千島のほうに向いて開いているのです。ウエルカムの港なのです。だから、まずここでダイレクトに障害物がなく千島海溝から来ると、東日本大震災津波の福島県牡鹿半島沖130キロメートルからとは、距離的には一緒ですが、素人ですけれども時間が早まると私は思っています。ところが、沿岸部の人は30分ないし40分という頭がありますから、特に20分で津波が到達すると相当な被害が出ると心配しております。
 ですから、今、ハザードマップの作成中だと思いますけれども、それができたら、いかに早く沿岸部の被災想定区域の皆さんにそれを教えるか。もちろん我々も一緒にやりたいと思いますけれども、その要諦は、まず逃げること、命を守ることにあると思います。判こを忘れた、通帳を忘れたといって戻った人がいるのですよ。私の先輩が、避難で高台に行って、おふくろを忘れたと戻ったのです。そして、一緒に逝ってしまったということです。
 ですから、命あっての物種ということでありますので、しかも、防潮堤が倒壊した場合、倒壊しない場合、二つあるようだと仄聞しておりますけれども、やっぱり被害の予測は、最悪の部分で対応しなければならないわけですので、その辺を早く県民にも知らせるようにしていただきたい。それについては我々も協力申し上げますということを申し上げて、終わりたいと思います。
〇臼澤勉委員 このたび、いろいろと地震もありました。そして復興からも11年。この11年間で、本当にこの復興事業が、まだ途上ではありますけれども、大方の復興整備事業計画の形が見えてきた区画整理事業、防災集団移転促進事業、あるいは道路であったり、そういったものに対しての県土整備部の皆様方のこれまでの御尽力、そして、先日の地震の対応についても、本当に改めて敬意を表したいと思います。
 それで、私からは、まず、特定機能病院である岩手医科大学附属病院周辺の道路ネットワーク、道路整備のあり方、まさに何か有事があれば、県内各地から救急車等が来て、速達性といった部分の道路整備が重要になってくるという意味合いで御質問させていただきます。
 先日、今週火曜日ですか、15日に国の社会資本整備審議会において、まず、盛岡南道路整備計画、延長7.4キロメートルの部分について、妥当という判断がありましたけれども、今後の計画、手続等についてお伺いいたします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 盛岡南道路の今後の計画についてでありますが、県内唯一の特定機能病院である岩手医科大学附属病院へのアクセス向上を図るこの道路は、盛岡広域都市圏のみならず、県内全域を対象とする、まさに命の道としての役割を果たす重要な道路であると認識しております。
 こうしたことから、これまで県では、政府予算提言・要望において早期事業化を国へ働きかけてきたところであり、1月31日には、県と沿線の盛岡市、矢巾町に加え、岩手医科大学、商工団体と合同で、令和4年度の新規事業化について国に強く要望したところでございます。
 このような中、国では、先月25日に、盛岡南道路について、令和4年度予算に向けて新規事業採択に係る評価手続に着手しており、3月15日には、社会資本整備審議会道路分科会事業評価部会が開催され、盛岡南道路の令和4年度の新規事業化が妥当と判断されたところでございます。
 その後、国において評価結果の取りまとめが行われているものと承知しておりまして、こうした国の動きを注視しているところでございます。
〇臼澤勉委員 これから具体的な計画、事業着手に向かって進んでいくと思いますが、私も以前ちょっとお話しいたしましたけれども、国の道路が、まず縦軸に幹線道路として新たに整備されてきます。そういった中で、国の道路、そして県の道路の役割分担について、やはり全体的な道路のネットワークのあり方を見直していかなければいけないと思います。
 県道昇格を含めた道路ネットワークの検討状況、あるいは今後どのようにお考えになっているのかお伺いします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 道路ネットワークの検討についてでありますが、県では、岩手医科大学附属病院へのアクセス向上を図るため、現在、東北自動車道矢巾スマートインターチェンジから岩手医科大学附属病院へのアクセス道路である県道不動盛岡線の改良工事について、年度内の完了に向けて工事を進めているほか、国道396号から国道4号や岩手医科大学附属病院へのアクセスルートである県道大ケ生徳田線の徳田橋のかけかえ工事を進めているところでございます。
 また、国においては、盛岡市中心部から岩手医科大学附属病院へのアクセス向上に大きな役割を果たすことが見込まれる国道4号盛岡南道路の事業化に向けた手続が進められているところでございます。
 この道路が事業化され整備が進められますと、岩手医科大学附属病院周辺の道路の利用状況が大きく変化することが想定されることから、道路ネットワークのあり方の検討につきましては、盛岡南道路供用後の道路の利用状況の変化などを踏まえながら、総合的に判断していくことが必要と考えております。
〇臼澤勉委員 供用後に着手するということですが、整備計画、そして交通量に基づいた道路整備を行っていくわけですから、供用後に着手するのでは、やはり遅いかと思います。並行して取り組むお考えはございませんか。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 先般、盛岡市が盛岡南道路の終点に当たるところの新たな業務団地の計画を発表しております。これから盛岡南道路を利用して地域振興を図る取り組みが、行政機関でも民間でも進められていくと思いますので、そういう状況を見ながら、道路ネットワークについては検討を進める必要があると認識しております。
〇臼澤勉委員 先ほど徳田橋のかけかえも進めているということでありましたが、改めて、その供用の見通し、あるいは電柱とかが倒壊したら、岩手医科大学附属病院にアクセスする部分に支障が出てくると思うのです。そういった危険性があるということでの電線の地中化、あるいは冬期間、公共交通を使って岩手医科大学附属病院に通う方のバリアフリー化に対する総合的な今の取り組み、お考えについてお伺いします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 徳田橋の供用見通しについてでございますが、国道4号と国道396号や国道455号を結ぶ県道大ケ生徳田線の徳田橋におきましては、橋梁の老朽化への対応や大型車すれ違い困難箇所の解消、歩行者の安全確保を図るため、両側に歩道を設けた橋梁へのかけかえを含む道路改良工事を実施しているところでございます。
 昨年8月に新たな橋の橋台や橋脚が完成し、11月からは橋桁の架設工事を進めているところでございます。橋桁につきましては、3月10日までに橋長365メートルのうち298メートルの架設が終了しておりまして、今後、橋へのコンクリート床板の設置や前後の道路改良工事を行うなど、令和5年度の供用開始を目指して整備を進めてまいります。
〇菅原道路環境課総括課長 岩手医科大学附属病院周辺の電柱の倒壊対策と道路の冬期間のバリアフリー対策についてのお尋ねですが、岩手医科大学附属病院と矢幅駅を結ぶ矢幅停車場線は、通院や医療従事者の通勤等にも利用され、緊急輸送道路にも指定されていることから、重要な路線であると認識しております。
 このため県では、矢幅駅前付近から、岩手医科大学附属病院付近交差点までの延長約1.1キロメートルを又兵エ新田工区といたしまして、電柱倒壊によります道路の閉塞を防ぐ電線共同溝整備による無電柱化や冬期バリアフリー対策を目的とした歩道への消融雪装置の整備について、令和3年度に事業化いたしまして、令和12年度の完成を目指しているところでございます。
 国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等の補助事業を活用いたしまして、今年度は、電線共同溝及び消融雪施設の詳細設計を行いまして、また、昨年9月には、岩手医科大学附属病院前の電線共同溝の管路敷設工事に一部着手したところでございます。
 令和4年度も、引き続き、国の補助事業等を活用いたしまして、電線共同溝及び消融雪施設の整備に向けまして、引き続き取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 今定例会で、自転車活用推進に関する請願も出ておりましたが、この自転車通行空間の整備についてどのような取り組みになるのかお伺いします。
〇菅原道路環境課総括課長 自転車活用推進法に基づきます自転車通行空間の整備についてでありますが、昨年3月に策定いたしました岩手県自転車活用推進計画では、令和3年度から令和7年度までの5カ年間で、いわゆる矢羽根等の路面標示が設置されました自転車通行空間を、県管理道路で16キロメートル整備することを目標としております。
 今年度は、盛岡市内におきまして、盛岡市自転車ネットワーク計画に位置づけられました主要地方道盛岡環状線など8路線、約5キロメートルの自転車通行空間設計を実施したところでありまして、令和4年度から順次整備を進めていく考えであります。
〇臼澤勉委員 ぜひ総合的に歩行者あるいはそういった速達性の向上に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 それから、災害から11年たちまして、沿岸被災地でも災害公営住宅が整備されてきておりました。ただ、先般の日本経済新聞などにも出ていましたが、空き室が非常に目立っているというようなことでございました。
 まず、県の災害公営住宅の供給戸数、それに対する空き室の状況についてお伺いします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 災害公営住宅の供給戸数と空室の状況についてでありますが、東日本大震災津波からの住宅再建のために整備されました災害公営住宅につきましては、県及び14市町村で5、833戸整備させていただきました。このうち、県におきましては2、827戸建設いたしまして、現在、県営住宅といたしまして1、760戸を管理しているところでございます。
 また、令和4年1月4日時点の県営災害公営住宅の空室につきましては、307戸となっております。
〇臼澤勉委員 空き室の割合は何%ぐらいになっているのか、そして、今後、その管理費への影響とか弊害を県はどのように捉えているのかお伺いします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県営災害公営住宅の空き室率につきましては、約17%となっているところでございます。
 この空き室によります管理への影響、弊害についてでありますが、空き室があることによりまして、共用部と言われるエレベーターや集会所の電気料金などの共益費の1世帯当たりの負担額の増加、それから、入居人数が少ないことによる役員やごみ置き場などの当番など、自治会役員の就任機会の増加による入居者の負担感の増加、また、入居者が少ないことによる住民同士のつながりの希薄化などが考えられると思っております。
〇臼澤勉委員 私が今なぜこういう質問をしているのかというと、県が掲げている社会減対策といった部分で、今、4、000人から5、000人ぐらいの社会減がある中で、令和6年に向かって社会減をゼロにするのだ、そして、2040年には岩手県の人口100万人を確保しようという大きな目標を掲げて各部局で汗をかいているわけです。そういった中で、県土整備部が果たす役割は、大きいのではないかという思いでいるわけです。
 沿岸被災地においても人口減という大きな課題がある中で、例えばそういった空き室が17%あるのであれば、やはり市との連携であったり、災害公営住宅との連携、あるいは移住、定住に向けた取り組みを進めていく、そういった活用に向けて積極的に働きかけていく必要があろうかと思います。
 そういった人口減対策に向けた活用方針をどのようにお考えかお伺いします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 人口減少対策に向けました公営住宅の活用方針でありますが、県営災害公営住宅につきましては、空き室対策といたしまして、被災者の方以外に公募いたします一般募集を令和2年7月から実施しております。また、常時募集という形で、応募いただければいつでも入居できる制度を令和3年7月から実施しているところでございます。
 また、コミュニティーの維持を図りつつ、子育て世帯などが退去の不安なく住み続けられるように、収入基準の見直しも行いまして、被災者につきましては25万9、000円、子育て世帯の方につきましては、裁量世帯といたしまして21万4、000円という形で収入限度額を増加いたしまして、退去の防止を図っています。
 また、県営住宅ストックの有効活用という観点から、令和3年度からは、若者向けの住宅支援や人口減少対策への寄与を目的といたしまして、県営住宅活用促進モデル事業を実施しております。令和4年度からは、当該事業の実施につきまして、災害公営住宅を含めます県内全域に拡大するとともに、大学生の入居ですとか県内企業、団体の活用を期待しているところでございます。
 また、あわせまして、移住、定住の促進を目的といたしまして、いわてお試し居住体験事業も来年度から実施する予定としております。
〇臼澤勉委員 そういった事業をやるというのは私も承知しておりますが、それでは、これらの事業が、社会減ゼロに向けてどの程度寄与するのか、お伺いいたします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 本年度から人口減対策、若者への住宅支援対策を行っております事業についてという形で答弁させていただきますけれども、こちらは、県営住宅活用促進モデル事業を本年度から実施させていただいております。
 現在の入居状況につきましては、3戸入居がありますほか、1戸の入居決定、現在1戸が入居の審査中という形になっておりまして、現在5戸の入居が見込まれるところでございます。
 またコミュニティー促進の目的ということで本事業を行っておりますけれども、県が実施したアンケートによりますと、入居された方からは、家賃ですとか居住環境につきまして、おおむね満足しているという回答もいただいています。地域からも、自治会活動ですとか雪かきに積極的に参加しているといった声も聞かれますので、今のところ、入居された方、地域からも、おおむね満足いただいていると考えております。
 事業につきましては、おおむねその効果は発揮されているものと考えておりますので、今後は、それをいかに大きく展開していくかが課題と考えております。
〇臼澤勉委員 4、000人から5、000人の社会減ゼロに向けて取り組んでいくところで、個々の事業の部分については限定的になるかと思います。いずれにしましても、災害公営住宅のみならず、県営住宅は、今後、長寿命化計画の見直しとかも行っていくわけですが、市町村との連携あるいは民間の活用が非常に重要になってくると思います。ここら辺の県、市町村の役割分担をどのようにお考えになっているのかお伺いします。
〇小野寺建築住宅課総括課長 公営住宅についての、県と市町村の役割分担でありますが、現在、県では、岩手県公営住宅等長寿命化計画の見直しを行っているところでございます。こちらの方針といたしましては、現在6、894戸を管理しておりますけれども、こちらの維持管理と活用を適切に図っていく観点から、事業規模の適正化を図りたいと考えているところでございます。
 この中で、市町村との役割分担ですけれども、公営住宅を含めました住宅施策の推進につきましては、地域の住宅事情の課題を把握されております市町村との連携が不可欠と考えております。また、広域的な課題につきましては県が対応するという方針に基づきまして、市町村と県と役割分担しながら、市町村と連携をとりながら進めていくという形で考えております。
〇臼澤勉委員 私は、市街化調整区域の開発許可の弾力的な運用にも県土整備部に積極的に取り組んでほしいと思いますが、最後にその御所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇嵯峨都市計画課総括課長 市街化調整区域における開発許可基準の運用の弾力化等についてでありますが、国におきましては、平成28年12月に開発許可制度運用指針を一部改正いたしまして、開発許可基準の運用の弾力化を図ったところであります。県では、関係する市町と検討を行いまして、市街化調整区域にある空き家を賃貸住宅として活用できるよう、令和2年度に用途変更に係る許可基準を緩和したところでございます。
 また、基準改正のほか、例えば、農家など居住者に制限がある住宅が空き家になった場合には、居住者制限の解除や、その制限解除にあわせた建てかえを認めるなど、既存建築物の活用について許可基準の弾力的な運用に努めているところでございます。
 今後におきましても、市街化調整区域の既存集落等につきましては、令和3年9月に策定いたしました岩手県都市計画ビジョンにおきまして、空き家の増加など地域コミュニティー維持等の課題に対応するため、既存建築物の用途変更等に係る開発許可制度の弾力的な運用を検討するとともに、地区計画制度などの活用により、地域の実情に合わせた土地利用を図っていく方針といたしておりますので、引き続き、関係する市町とも連携しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 私からは、岩手型住宅の普及促進の取り組みについてお伺いいたします。
 本県では、省エネ性能プラス県産材等を使った岩手らしさを備えた岩手型住宅を推進しております。岩手型住宅賛同事業者が着工した岩手型住宅は、令和元年度は229戸中52戸、23%、令和2年度は323戸中74戸、こちらも23%にとどまっている現状です。
 令和3年度の現時点の状況がわかればお示しいただきたいと思いますし、岩手型住宅の取り組みについては、賛同事業者が現在は92者と思っておりますけれども、これをふやしていく取り組みと、2007年度末にガイドラインを作成しておりますが、13年もたっていて、なかなか現状に合っていないということをこれまでも御指摘させていただいております。そのガイドラインの改正が必要だと思っておりますし、省エネ性能アップに関する研修会の開催等も必要だと思っております。
 また、住宅を特に新築する場合は、子育て世代が多いかと思いますけれども、そういった世代への効果的な周知が必要だと思っております。賛同事業者自体の周知、どういった事業者で建てられるのかということも必要だとこれまで訴えておりましたけれども、新年度はどのように取り組むのかお伺いいたします。そして、目標設定についてもお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 岩手型住宅の取り組みと目標設定についてでありますが、まず、賛同事業者をふやして岩手型住宅を普及していくための取り組みといたしましては、令和4年度から新たに実施いたします、いわて住まいのカーボンニュートラル推進事業を行いまして、設計者や工務店を対象とした省エネ住宅の技術基準などの講習会を行い、賛同事業者の登録とあわせまして、技術者、それから工務店の方の技術力の向上を図っていく研修を行いたいと考えております。
 また、ガイドラインの改正でありますが、今、省エネ化もうたわれていますので、断熱性能向上の観点から、現在、国の省エネ基準を岩手型住宅ガイドラインでは準用しておりますが、こちらの見直しに向けまして、本年度はコロナ禍の関係で意見交換ができなかったのですけれども、来年度以降、建築士の方とか関係団体の方と意見交換を進めながら、その見直しの研究を進めていくという形で考えております。
 岩手型住宅の事業者といたしましては、県内事業者を予定しておりますので、このような方たちにつきまして、技術力向上のための研修会を5回開催することを考えているところでございます。
 また、岩手型住宅普及のための来年度以降の取り組みでありますが、令和4年度につきましても、令和3年度に引き続きまして住宅ストックリノベーション事業で岩手型住宅の普及に取り組むこととしております。令和3年度におきましては、農林水産部と連携いたしまして、県産木材を活用いたしました住宅の普及ですとか、イベントを活用した省エネ化の必要性などの普及を図ってきたところでございます。
 これらに加えまして、SNS、のフェイスブックを活用いたしました岩手型住宅のよさを発信する取り組みといたしまして、年度内に賛同事業者92者に対しまして、整備事業の提供などの情報発信として活用いただけるよう依頼を行うこととしております。
 最後に、岩手型住宅の普及に関する具体的な目標でありますが、本年度改定いたします岩手県住宅マスタープランにおきまして、賛同事業者による県産木材を使用いたしました岩手型住宅の建設戸数の割合につきまして、現在23%という形になっていますけれども、令和12年度には40%に向上させることを目標として掲げているところでございます。
〇吉田敬子委員 来年度はグリーン社会の実現の中の一つとしても、カーボンニュートラル推進事業として、こういった省エネ性能の技術、人材育成等をやっていくということでありますけれども、ガイドラインを改正していただくということで、国の基準もそのとおりですが、やはりこれまでのガイドラインの中のアンケート調査でもわかっているとおり、そもそも県内の住宅に住んでいる方々の、特に省エネ性能に関しての満足度が低いわけです。その部分をしっかり引き上げていくことに取り組んでいただきたいと思っております。
 また、今年度中にSNSを活用してということで、新たな取り組みは大変評価いたしますけれども、これは、結局は事業者に対するSNSなのだと思っておりまして、私自身は、事業者もそうですが、そもそも県民に対する岩手型住宅の認知度が低いという現状であって、そういった県民に対する普及啓発が必要だと思っておりました。
 改めてお伺いいたしますけれども、県民に対する普及啓発の部分は、SNSではないということでよろしいのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 ただいま準備しておりますSNSによる岩手型住宅の情報発信でありますが、こちらにつきましては、今、事業者に依頼するといったところですが、事業者からは、このような住宅をつくりましたとか、このような住宅づくりに取り組んでいるという情報を提供いただきまして、それらを県民に向けて発信していくということで考えております。
 こちらにつきましては、県も、もちろんいろいろなイベントなどでの周知にも活用させていただきたいと考えています。また逆に、住んでいらっしゃる方、県民の方から、岩手型住宅っていいよねというような声もいただければ、そのような声も拾い上げまして、広く岩手型住宅、高断熱化の住宅の周知に使っていきたいと考えておりますので、事業者も県民も、皆さん使っていただけるようなものにしたいと考えております。
〇吉田敬子委員 せっかく今年度から農林水産部でいわて木づかい住宅普及促進事業もやっておりますし、県産木材をふんだんに使ってこういう住宅が建てられることを県民の皆さんにわかっていただいて、そして、どこの工務店があるとか、省エネ性能をやれる工務店がどこなのかということにもなかなかつながりにくいと私は思っておりましたので、賛同事業者は92者ですけれども、ぜひここをしっかり、さらに拡大するとともに、県産木材、そして省エネ性能で建てられる工務店はこういうところがあるよということを、積極的に周知していただきたいと思っております。
 住宅に限らず、農林水産部では木造の建設、設計に関する技術者の育成を一生懸命行っていただいておりますけれども、課題を聞くと、やはり大規模な工事になってしまうと、県内の事業者で受け入れられる発注があっても、結局は都内の事業者と一緒のJVになって、そっちで受けてしまっているような現状です。
 コンクリートにはなれているけれども、木材にはふなれだというところを農林水産部からもお話しいただいておりますので、建築士と業者の底上げは、やはり県土整備部での取り組みかと思っておりますが、御所見についてちょっとお伺いしたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 建築物を通じました木材利用の促進についてでありますが、今、委員から御紹介いただきましたとおり、農林水産部におきましては、木造技術者育成ということで、中大規模の技術者向けの講習会を現在行っているところでございます。
 また、県内ではやはり住宅向けが一番需要があるところでございますけれども、住宅につきましては、ただ単純に木材を使って断熱材を入れれば高断熱化でいい住宅かというと、そうではなくて、やはり断熱材の使い方ですとか、断熱化を図るための建具ですとか材料をどのように選んでいくかが重要です。その辺の講習会につきましては、農林水産部と役割分担しまして、来年度から県土整備部におきまして、省エネ住宅技術者推進事業といたしまして、そういう細かいところについては、私どもで拾いながら、役割分担をしながら、県内の技術者育成に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今回ガイドラインを見直していただくということで、大変評価いたしますけれども、農林水産部との連携はすごく重要になってくると思っております。省エネ性能については県土整備部でやっていただいているのですけれども、やはり県産木材も積極的に使っていただきたいというところも岩手型住宅の一つの趣旨に入っておりますので、ぜひ、農林水産部と県土整備部での取り組みを引き続きしっかりやっていっていただきたいと思っております。今後にさらに期待したいと思います。
 もう一つ質問させていただきます。盛り土の規制強化についてお伺いしたいと思います。
 昨年7月に静岡県熱海市で発生した土石流による災害を契機として、盛り土による災害防止に向けた総点検が全国的になされました。昨年末に県から御報告いただきまして、岩手県では対象盛り土182カ所を抽出して、その点検のうち、若干危険性があるところが31カ所だと伺っております。
 その31カ所の中で法的根拠のあるものとないものに分けられていましたが、また、それの現在の状況について、そして、そのうち4カ所は、緊急性はないけれども危険性を認識していると伺っております。それについての現状についてお伺いしたいと思います。
〇川村県土整備企画室企画課長 盛り土の総点検の結果を踏まえた対応についてでありますが、国の依頼に基づき昨年実施いたしました盛り土の総点検では、委員御指摘のとおり、182カ所の目視点検を実施いたしまして、点検の観点に該当する箇所として31カ所を報告させていただいたところでございます。
 これら31カ所のうち是正措置が必要なものにつきましては、盛り土の行為者に対応を求めていくことが基本と考えております。林地開発許可等の法律に基づく土地利用規制の対象となっているものにつきましては、それぞれの法律に基づく是正指示を行っているところでございます。
 一方、法律に基づく規制の対象とならないものもございまして、これらにつきましては、市町村と情報共有の上、必要に応じて行為者に任意の対応の働きかけを行っているところでございます。
 また、委員から4カ所のお話がございましたけれども、こちらの4カ所につきましては、盛り土の変状は確認されたけれども、いずれも直ちに大規模な土砂災害につながるおそれはないと捉えている箇所でございます。これらの箇所の対応といたしまして、施工中の箇所の盛り土につきましては、行為者に対応を指示し、応急対策を実施済みとなっております。
 また、個人所有の小規模な盛り土につきましては、土地所有者と現場の状況を確認の上、対応をお願いしているところでございます。
 これら4カ所につきましては、いずれの案件につきましても、市町村と情報を共有し、周辺住民に対しても周知を図っているところでございます。
〇吉田敬子委員 私も、森林を切り崩して、そこを盛り土にしているようなところの御相談を受けていたのですけれども、そういったところが県内にたくさんあるということで、周辺住民の皆さんは、近くに住宅があると、そのもの自体に危険性がないかすごく不安になっていると思います。
 盛り土行為に対する技術的な基準や手続等の一定のルールを定める必要があると思っております。ただ、国でも規制を強化していくという報道を見てはおりますが、一方で、市町村からは、それに先駆けてやっていきたいという思いもあると聞いています。静岡県などの他県では、もう既に国の規制強化の前に独自に条例をつくっているようなところもあります。そういった中で、岩手県の市町村においては、岩手県にまだそういうものがない中で、なかなか市町村独自で進められないような現状を伺っておりますけれども、県は、どのような認識で取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇川村県土整備企画室企画課長 盛り土の技術的な基準や手続等のルールについてのお尋ねでありますが、国におきましては、盛り土等による災害から国民の生命、身体を守る観点から、盛り土等を行う土地の用途やその目的にかかわらず、危険な盛り土等を全国一律の基準で包括的に規制するため、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案、いわゆる盛土規制法案を本年3月1日に閣議決定したところでございます。
 この盛土規制法案では、都道府県知事等が、盛り土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定しまして、その区域内で行われる盛り土等について許可事務を行うほか、国が定める許可基準に従い、安全対策が実施されているか、確認、検査を行うとされているところでございます。
 今後、国会において審議される内容でありますので、国の動向を注視しながら適切に対応してまいります。
〇吉田敬子委員 国でしっかり強化していただいて、法律にのっとって決めていただくことだと思うのですけれども、そこから漏れるような規模の小さいものであっても、住民の皆さんにとっては、やはり心配であるようなことも聞いております。そこは、県土整備部の所管だけではなくて、農林水産部の所管であったり環境生活部の所管だと思っておりますが、ぜひ県土整備部でしっかりリーダーシップを発揮していただいて、そういった規制強化に取り組んでいただきたいと思っております。
 そういったことになれていらっしゃると言っては失礼ですけれども、そういったことを継続的にやっている事業者が、規制の範囲内で、ぎりぎりの中で何とか上手に分けてやっているような事業者がいらっしゃいますので、そういったところに対するしっかりした指導も強化していただきたいと思っております。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時9分 休 憩
午前11時22分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 それでは、いつもの本題の質問に入る前に、港湾の稼働の状況について確認させていただきたいと思います。
 コロナ禍による特需とアメリカ西海岸のコンテナの回収不能などによって、コンテナ運賃は2020年、上海―ロングビーチ間で2年前の5倍程度にも及んでいます。釜石港にも少なからず影響が出ているのではないかと懸念されていますが、このコンテナ不足、また物流混乱は、ことし6月ぐらいにはおさまるのではないかという予測もありますが、現在の状況と今後の見通しについてお知らせください。
〇加藤技監兼河川港湾担当技監兼港湾課総括課長 釜石港への影響でありますが、委員御指摘のコンテナ運賃の高騰のほか、コンテナ船の運航スケジュールの遅延や空コンテナの不足に起因しまして、空コンテナや水産品の減少など、コンテナ取扱貨物量の減少といった形であらわれていると認識しております。速報値でございますが、令和3年の釜石港のコンテナ取扱貨物量は7、460TEUと、対前年比で約16%の減少となっているところでございます。
 次に、今後の見通しについてでありますが、今回のこの状況につきましては、委員御指摘のとおり、世界的なものでございまして、現時点で収束時期を見通すことができる状況にはございませんが、荷主企業や物流事業者からの情報収集を行うなど、情勢の把握に努めているところでございます。
〇飯澤匡委員 震災から11年を迎えたということで、三陸沿岸道路の全線開通が物流業にも大きな貢献をするというニュースが新聞、テレビ等でもありました。これを生かしていくためには港の稼働が大きな課題になってきておりまして、それをしっかりウオッチしてつなげていかなければならないと思います。
 恐らく仙台港も似たような状況かと思うのですけれども、今後、荷主等と皆さん方がどういう連携を図っていくか、その点についてどういう方針で臨もうとしているのかについてお尋ねします。
〇加藤技監兼河川港湾担当技監兼港湾課総括課長 今年度におきましては、委員御指摘のとおり、三陸沿岸道路の全線開通を契機といたしまして、釜石港のコンテナ貨物の一層の取り扱い拡大に向けまして、釜石市等と連携しまして、荷主企業等へのポートセールスに重点的に取り組んでおります。現在までに延べ84社への訪問等を行ったところでございます。
 今後とも、釜石市と連携いたしまして、また、産業集積が進みます内陸部の市町村とも連携を深めまして、釜石港へのアクセスなど利便性の向上等を企業にしっかりPRしまして、一層の利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 すごく積極的な答弁で、次の最後の質問にもそういうふうに答えていただくようにお願いしたいと思います。
 関連してですが、港関係でちょっと心配なのは、宮古港のフェリー寄港です。せっかくターミナルも立派につくったのですけれども、こういう情勢でなかなか厳しいというのは認識していますが、今後の見通し、対応についてお知らせください。
〇加藤技監兼河川港湾担当技監兼港湾課総括課長 委員御指摘の宮古港のフェリーの関係についての県の取り組みについてでありますが、平成30年6月に就航しました宮古―室蘭フェリー航路につきましては、令和2年3月末をもって宮古港への寄港が休止となりました。その後、室蘭港と八戸港を結ぶフェリー航路として運航が継続されておりましたが、去る2月1日をもって航路が休止となったところでございます。
 県としましては、これまでフェリー運航会社に宮古港寄港再開を要望するとともに、フェリー運航会社や県内外の荷主企業、物流事業者及び関係団体に対しまして、宮古港の優位性や三陸沿岸道路の開通による効果を積極的にPRしてまいりました。
 あわせて、今年度は、宮古市や室蘭市と合同で、寄港再開後に宮古港を利用する可能性のある貨物を把握するため、北海道から関東までのトラック事業者等を対象とする物流動向調査を実施しているところでございます。
 県としましては、フェリー航路の再開について、宮古市や室蘭市と連携しまして、引き続きフェリー運航会社に働きかけていくとともに、今年度の調査結果を踏まえた企業訪問等を通じまして、宮古港の優位性や三陸沿岸道路の全線開通後の利便性について、積極的にPRしてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今、ウクライナへの侵攻によって世界の食料供給が非常に不透明になってきております。恐らく、自国での農産物の生産、流通が見直されるかもしれません。そうしますと、やっぱり北海道が大きな注目の地帯となる。そうしますと、勢い物流も盛んになる可能性もある。そういうこともにらんで、ホクレンであるとか、そういうところともしっかり情報をとりながら、前向きに、せっかくターミナルをつくったのですから、活用できるようにお願いしたいと思います。
 それでは2点目ですが、国道343号の整備促進と関連する大きな事業についてお伺いします。
 まず1点目は、おかげさまで、旧大東町時代に創設換地を行った通称渋民バイパスが開通して、交通の流れが大変よくなって、地域の方々も喜んでおります。これは、大分時間がかかりましたが、皆様方の英断と事業の採択、そしてまた、その実行、大変感謝しております。
 今、渋民地域において道の駅の創設について大部前から話し合いがされて、一関市を中心に内容を今煮詰めている状況でありますが、まず1点目は、一関市との協議の状況について、それから、以前、防災道の駅についても考慮に入れてくれと御提案申し上げました。これは私も、一関市等に、情報を共有しながらこの実現に向けて頑張っていただきたいということを申し上げておりました。その点についてもあわせてお伺いします。
〇菅原道路環境課総括課長 まず、市との協議状況でありますが、委員御案内のとおり、一関市では、国道456号との交差点付近に道の駅を計画しておりまして、令和6年度に道の駅としての開業を目指して、現在、検討を進めていると承知しております。
 現在、一関市では、道の駅の施設配置等の基本設計や道の駅出入り口の右折レーン、敷地造成等の設計を行っていると聞いておりまして、県からも、必要な助言等を行っているところでございます。
 県といたしましても、この道の駅の整備の必要性は認識しており、令和4年度当初予算案に設計や敷地造成等の必要な費用を計上させていただいているところでございます。
 また、防災道の駅に向けた取り組みについてでありますが、一関市の昨年の12月議会におきまして、市長から防災道の駅の選定を目指して基本設計を進めていくとの答弁があったところでございます。現在、一関市では、非常用発電機や貯水槽の設置など、防災機能を有した道の駅の検討を進めていると伺っております。
 防災道の駅の国の認定には、県の地域防災計画等において広域防災拠点の位置づけなどが必要でありますことから、これまで、関係部局間で一関市の計画等について情報共有を行ってきたところでございます。
 今後、今年度防災道の駅として国から認定されました遠野風の丘の事例など、必要な情報を一関市にお伝えするなど、防災機能を有した道の駅の整備に向けて、市と連携しながら進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ここまですごくいい調子で答弁が来ていましたので、この流れでお願いします。
 交通の流れが大分よくなって、あとは陸前高田市へのアクセスをいかに円滑に進めるかということなのです。ところが、大原の市街地を越えると一気に急勾配になって、それからトンネルを何個も越えて、現在の笹ノ田トンネルを越えると、風光明媚なループ橋とは言いつつも、いまだに大変難所であります。この間も、私は大槌町の震災の追悼式に行きましたが、やはり周辺の環境整備が大分進んだこともあって、円滑な車両の運行には、これはなかなか大変だなという思いをさらに強くしたところでございます。
 そこで、この間の地震でループ橋に何かずれがあったとか、そういう報告はないのかお尋ねしたいと思います。
〇菅原道路環境課総括課長 一昨日の地震等に伴うループ橋への被害の状況でございますけれども、現在、細かい橋梁の施設等の点検を進めておりますが、現時点ではそういった被害等の報告は受けていないところでございます。
〇飯澤匡委員 大分がっちりつくって、東日本大震災津波のときもびくともしませんでしたからね。でも、あれで大東町から陸前高田市の矢作地区などに復興支援に行って、大分感謝されました。だから、アクセスというのは本当に太く丈夫につくっておかなければならない。
 さらに強固にするためには、やはり新笹ノ田トンネルの建設ということになるわけですが、これらの進捗状況についてお伺いします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 新笹ノ田トンネルの建設についてでありますが、昨年6月に策定した県全体の広域的な道路ネットワークの長期的な構想である岩手県新広域道路交通計画の中で、国道284号や国道343号を一般広域道路に位置づけ、内陸と沿岸の拠点都市間の連携強化や災害に強い道路ネットワークの構築を図ることとしたところでございます。
 県といたしましても路線の防災機能の強化は重要と考えておりますが、国道343号笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することにつきましては、大規模な事業になることが想定されますことから、安定的な事業予算の確保が課題となるとともに事業効果などを確認することが必要と考えており、岩手県新広域道路交通計画の具体化に向けて、今後、県全体の道路ネットワーク上の課題や整備効果等を検討していく中で、防災面や観光、物流、交通量の推移など、さまざまな観点で分析していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 分析は大いに結構ですけれども、早急に着手をお願いしたいと思います。と申しますのは、震災のときに横軸連携というのはもう少し私自身も力強く御提言させていただければよかったなと反省するところもあるのですけれども、先ほど申し上げました三陸沿岸道路がさらに強化されることになりますと、相反する形で、横軸については少しずつ忘れ去られるような感じを持っております。岩手県が150周年というのだったら、しっかりと県南地域の道路アクセスについても岩手県の均衡ある発展に結びつけていただきたいと、私はそのように思っているわけです。
 ついでに、私は、150周年事業は、これから年次ごとに、来年は147周年ということで申し上げ、再来年は148周年と、蛇足ですけれども、そのような呼称にさせていただきたい。完全に蛇足ですけれども。
 いずれ、今後の展開については、私もたゆまず、ひるまず、継続的に行ってまいりますので、どうかアンテナを下げることなくやっていただきたいと思うのですが、照井道路建設課総括課長でいいです。田中県土整備部長には、次の決算特別委員会の審査で聞きます。照井道路建設課総括課長、よろしくお願いします。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 今年度、道路交通量の調査をやっておりまして、三陸沿岸道路、国道45号を含めた縦軸の交通量は震災前の平成22年に比べてふえております。
 また、主要な横軸の道路の合計交通量は、震災前からふえておりますので、そういうことも踏まえまして、県内の道路整備の構築に向けて進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 1点だけ、ただいま宮古港のルートについて御質問がありまして、ちょっと思い出したことがありましたので質問させていただきます。
 東日本大震災津波復興特別委員会の現地調査で、11月5日に釜石市にお伺いさせていただきました。エア・ウォーター食品物流株式会社の社長に御説明をいろいろといただいて、震災後にこちらのほうで事業を開始していただいたところでございますが、その社長に、宮古港はどうですかと質問させていただきました。そうしたら、大変使いにくいのだということで、何で、あんなに遠い室蘭港から船を出すのだということで、恐らくは、北海道も主要拠点とされている会社は、室蘭港は使いにくいのではないかということで、たしか苫小牧港のほうが近くていいというお話がございました。
 それが物流事業者の本音というか実態ではないかと思いますが、県ホームページの宮古港フェリーターミナルの概要を先ほど見ましたけれども、室蘭・宮古フェリー航路の一日も早い再開を望んでいるという文言も記載されておりましたが、余り室蘭港に拘泥されると、宮古港のフェリールートの再開が一層遠のくのではないかと思ってもしまうわけでございます。
 アンケートもされているということでございますが、その中には、例えば苫小牧とか、ほかのルートも活用できるような中身での質問をされているのかどうかと、あるいは、北海道の主要港を活用した新しいルートの開設も検討しているのかどうかについてお伺いいたします。
〇加藤技監兼河川港湾担当技監兼港湾課総括課長 ただいま御質問いただきました今年度のアンケートの関係でございますが、現在、北海道から関東までのトラック事業者にアンケートをさせていただいていますが、その中では、宮古港フェリー寄港再開に向けた意向についても確認させていただいております。そのときには、まずは宮古港を使う意向を今の時点では確認しているところでございます。ただ、その際に、意向を確認する先としましては、今お話ししましたとおり、北海道のトラック事業者等の方々を対象に意見を伺っているところでございます。
 現時点では、県といたしましては、やはりフェリーの就航を契機とした室蘭市や室蘭商工会議所等との交流や室蘭市等と一体となった活動が重要と考えていますことから、フェリー航路の再開につきましては、室蘭市、宮古市と連携しまして働きかけを行っていきたいと考えております。
 ただ、今年度行いましたアンケート結果をもとに、必要な、そういった見込みのある企業に関しましては、幅広く企業訪問をしていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 室蘭市との交流も大切だと思いますけれども、現実の物流事業者が最短ルートで物を運びたいということは当然でありましょうから、岩手県民のために、室蘭港にこだわらず、事業者の一番使いよいルートを開設していただきますよう柔軟な対応をぜひお願いいたします。
〇岩渕誠委員 私も、宅地造成等規制法の一部を改正する法律(盛土規制法)の関係でお伺いします。
 先ほど吉田敬子委員との間で質疑が交わされておりましたが、ちょっと確認させてください。抽出182カ所で、31カ所が危険だというようなお話がありました。これは、公共工事由来で危険だというようなものはありますか。
〇川村県土整備企画室企画課長 31カ所につきましては、イコール危険と捉えているものではなく、点検の観点から該当する箇所があったというところをカウントさせていただいているものでございますけれども、この中には、公共工事に関係する箇所もございます。
〇岩渕誠委員 盛り土規制、これはかなり拡大してやるということで期待しているのですけれども、盛り土規制のもとになるものは建設残土がほとんどだろうと思います。そして、国全体で言うと建設残土の9割は公共事業に由来すると言われております。したがって、まずは、発注者として、どういう責任でやっていくかが問われてくると思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、今の公共事業によっての残土、これは土量調整でほぼそれを中心にやっていると思いますが、現状、それでどれぐらいカバーして、そしてまた、こぼれている部分はどれぐらいあるのかがわかれば、お示しいただきたいと思います。
〇菅原建設技術振興課総括課長 公共工事における発生した残土の調整状況というお伺いでありますが、委員御案内のとおり、国、県、市町村等と、それぞれ発生する土を流用し合うシステムがございます。ただ、一方で、現実といたしましては、なかなか工事ごとにタイミング等がうまく調整できない事例もございまして、ほとんど活用されていないのが現状でございます。よって、データも私のほうでは押さえておりません。
〇岩渕誠委員 わかりました。やはりそういう意味において、建設発生土、残土をどうするかは、盛り土規制の中で非常に大きなポイントだと思っております。
 そこで伺いますけれども、実は、建設発生土の取り扱いについては、国、県もかなりいろいろなことをやってきたと思います。2003年は建設残土行動計画が国土交通省で示されているとお伺いしていますし、私の手元には、平成29年8月に国土交通省が出した建設発生土の取り扱いに関わる実務担当者のための参考資料があって、そういうものに基づいていろいろやってこられていると思います。
 さっきの質疑にもありましたけれども、土砂条例などは、西日本、首都圏中心にあって、千葉県が一番早くやったと思いますが、一方で、東日本のほうはほとんどないわけであります。そういったこともあって、国土交通省の参考資料の中には、指定処分と自由処分という話があります。岩手県の場合は、今はほとんど自由処分だと考えてよろしいですか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 公共工事の中でも岩手県が発注する県土整備部所管の工事については、委員御指摘のとおり、やむを得ず残土処理を行う場合の受け入れ地、そして建設発生土の内容等は、土木工事共通仕様書において、設計書及び監督員の指示に従わなければならないと定めております。受注者が勝手に処分することはございません。
 よって、発注するまでに処分場所が決まっていない場合におきましても、工事契約後に受注者と発注者が協議をした上で、発注者が処分場所を責任を持って指定するという指定処分としているところでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。実際に運用をお聞きしていますと、例えば今、河川のしゅんせつとかを大変一生懸命やっていただいて河川の安全度が上がっている一方で、その処理の部分でいうと、落札した業者が、地域の中で残土置き場を見つけて、それに対して、県も契約書をとってきちんと担保しているということだと思います。
 確認をしていきますけれども、これは、残土の所有権については、どこまでが発注者の管理で、どこまでが管理を離れる、こういう規定はありますか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 工事で発生した残土の所有権というお尋ねでありますが、県営建設工事につきましては、基本的に受け入れ地で整地されるまでが発注者の管理、そして、その整地後は、土地所有者の管理としているところでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。県営建設工事の中では、そういう仕分けでいって、今のところ、岩手県内では大きなトラブルというような事案はないと思います。
 ここから盛り土規制の話に入っていきますけれども、今回、今国会で恐らく議論して成立するであろうこの法案の中身を見てみますと、法人に対しての罰金のものが、今、先行して話をされています。実は、機能は都道府県の行政の権限とか指導の部分が非常に大きくなる、ここがポイントだと思います。先ほど御説明あったとおり大きく三つぐらいあるわけですけれども、今、土地関連の土地規制をしている法律が、多分27本、28本ぐらいあるのかなと思います。しかも、これが県土整備部でも、いわゆる宅地造成とかのほかにも、砂防法とか、あとは農林水産部では、農地法とか森林法とかがかかわるわけですけれども、これの所管は県土整備部に一本化されると考えてよろしいのですか。
〇川村県土整備企画室企画課長 御質問のありました所管につきましては、委員御指摘のとおり、関係部局が多岐にわたるわけでございますけれども、いずれにしましても、今後、国会において法案の審議が行われるという段階でありますので、国の動向も踏まえつつ、関係部局間で検討してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 検討はしても、多分、県土整備部で覚悟を持って引き受けないと、これはなかなか大変なのかなと思います。ただ、非常に膨大な作業、まず、規制区域をどう指定するかということ、ここからやるとなると大変大きな作業になります。ただ、この改正が、熱海市の大規模土石流で人命が失われたというところから出発していますので、これはぜひ本腰を入れてやっていただきたいと思います。
 そういう中で、ちょっと話が戻りますけれども、残土の処理の部分、特に、県営建設工事に起因した問題にならないようにするには、やはり残土処理に対する予算化の措置をきちんとすることが大事なことだと思います。現状はどのようになっているかお示しいただきたいと思います。
〇菅原建設技術振興課総括課長 建設残土の処理の予算についてでありますが、残土処理費の積算につきましては、県営建設工事に関しましては、現場から受け入れ地までの運搬費用、そして、受け入れ地での整地費用を積算計上しております。
〇岩渕誠委員 これは、県としてはそのとおりだと思います。ただ一方で、いろいろ事情を各企業に伺っていますと、人件費とか材料費は削れないけれども、削りやすいのはここだということで、結果的に、いろいろ企業努力はされるのだけれども、そこのところに本当にお金をかけているかまで県で調べるのはなかなか難しいと思いますが、ここをきちんとやっていかないと、悪質な事案には対応できないのではないかと危惧をしていますが、どうでしょうか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 積算はしっかりしているものの、実際の業者がしっかりとやっているかどうかというお尋ねであります。我々としましては、契約書に基づいてしっかりと規定されております公共工事共通仕様書でやりとりさせていただいています。その中で適切な処理についてうたわれておりますので、今までのところは、そのような大きなトラブルは生じていないと認識はしておりますが、やはり熱海市の事例であるように、いつ何が起こるかわからないところでございます。その残土処理場でのしっかりした対応まで見ながらやっているところでございますが、今後とも、そういうところに視点を置きながら、危険な盛り土をさせないような取り組みをしていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 それはしっかりお願いしたいと思います。
 これが県内の業者と土地所有者の間の契約であれば、ある程度、信頼関係があって、しかも周辺もありますからある程度の監視は可能かと思うのですが、問題は、盛り土規制を全国一律に幅広にかけるとなると、今後、例えば県外から土砂が持ち込まれるケース、これはもしかしたら闇で持ち込まれているのかもしれませんが、これが心配されるわけであります。実際に問題を起こしている盛り土は、大体県域を越えてとか、そういったことで持ち込まれているケースが多いのですけれども、こういうケースは岩手県内ではあるのでしょうか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 県外からの建設残土の持ち込みについてでありますが、現時点では、法令による届け出等が整備されておりませんので、県外から建設残土が持ち込まれているケースを具体に確認することは、我々としては困難な状況でございます。
 一方で、令和3年度から直近3カ年で県土整備部の所管工事におきまして、建設残土が盛り土材料として使われた事例があるか、県外から持ち込まれた事例があるかを若干確認いたしましたところ、そのようなケースは確認されていないところでございます。
〇岩渕誠委員 要は、目の届かないところでは把握自体が困難だということですね。これが、やっぱり今後問題になってくるわけであります。これは、法律案自体はできたのだけれども、細則のところはまだこれからなのでしょうが、非常に心配しておりますのは、まさにそういうところがあるから、ここに反社会的勢力の介在する余地があるというのは、珍しく国土交通省の資料でもはっきり、反社会的勢力の暗躍する温床だみたいな話をしているのですけれども、全くそのとおりだと思います。
 心配しているのは、県境産廃の事件は、まさに産廃をそういう格好で持ち込んだのだけれども、今度は、土砂というものを使っていろいろなものが持ち込まれるケースがあるのではないかと思います。そこは本当に絶対に避けなければならないわけでありますけれども、これに対しての認識と対策、この辺はどのように考えていますか。
〇菅原建設技術振興課総括課長 民間も問わずさまざまなところで発生した残土が、県境を越えて持ち込まれるケースについてという大きなくくりで申し上げる立場ではございませんけれども、県営建設工事に限って申しますと、しっかりと危険な盛り土を回避しなければならないという法の趣旨がございますので、今後、法が整備されましたら、それに追随してしっかり取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 いずれ、細則の決定まで、地方自治体の権限がふえるだけに、その分で心配されることは、国に対してきちんと言っていただきたいと思います。これは農林水産部でも話したのですけれども、やっぱり現場、地方が一番わかっているわけですから、お願いしたいと思います。
 最後に、建設残土は、本当にやばいところはきちんと抑えなければいけない一方で、出たものは有効に使うということから言うと、実は、さっき言った平成29年8月の内部資料、参考資料の中で、例えば採石場を使うとか、あるいは出た残土を有効に使えていないのであれば、ストックヤードとして利用したらどうだというような提言も出てきます。
 今後、岩手県の中で建設残土として発生する、逆に言うと発生してもらわなければ困るようなところは、例えばILCなどをやると、大量の建設残土が出てくるわけです。こういったところは、やっぱりストックヤードとか採石場を使うとか、いろいろなことを考えていかないとならない、有効利用につながらないのではないかと思っているのですが、このあたりをお聞きして、終わります。
〇川村県土整備企画室企画課長 ILCで発生した残土につきましては、東北ILC推進協議会で作成しておりますILCの安全管理という資料によりますと、掘削で出る土砂は、ILC施設内や公共事業などへの再利用を図り、それ以外のものは処分場に埋め立て、これらの場所については、防災面、輸送コスト、搬入出に伴う地域住民への影響、景観等の観点から検討を進めていくとされているところでございます。
〇岩渕誠委員 それはわかっているのです。わかっている上で聞いているのだけれども、要は、ストックヤードという考え方とか、あるいは採石場でなかなか使えなくなっているようなところをうまく有効利用して、土量調整がなかなかうまくいっていないところもあるのですけれども、できるだけ使えるような格好で工夫していただきたいということでございます。要望して、終わります。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時1分 休 憩
午後1時2分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木宣和委員 まず、令和4年度当初予算案について、令和2年度を100としますと、令和3年度は33%、また、令和4年度は35%であるけれども、令和3年度に比べて自己予算はマイナスで、国の経済対策で補正予算を合わせて積み上がっているところですが、やはり震災関連の工事がなくなっているところで大幅に減少しているのは事実です。
 震災関連事業が終了することを考えて、ハードランディングではなくソフトランディングできるように何とか取り組んでいくということだったと思いますけれども、所感を伺います。
 また、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の事業が始まりまして、通常のものプラスアルファで事業ができると期待しているところですけれども、実態はどうなっているか、また、他県の状況はどうか伺います。
〇川村県土整備企画室企画課長 まず、県土整備部の令和4年度予算案に関して、当初予算額は約670億円で、対前年比7.3%の増となり、前年度を上回る規模となったところでございます。
 また、令和3年度2月補正を含む実行予算で見ますと約922億円で、前年度とおおむね同水準の規模となっており、震災前であります平成22年度の当初予算額約758億円を上回る予算額を確保したところでございます。
 県土整備部の予算につきましては、委員御指摘のとおり、復興事業の完了に伴い急激に減少しているところではありますけれども、人口減少や巨大災害の発生などの課題に対し、地域の活性化に資する社会資本の整備や県民の生命や財産を守る防災、減災対策、インフラの老朽化対策等の取り組みを引き続き推進していく上では、国費の確保が重要でありますことから、さまざまな機会を捉えて国に強く働きかけてまいります。
 次に、防災・減災、国土強靭化5か年のための加速化対策の実態についてでありますが、県土整備部における5か年加速化対策を含む国の経済対策の事業規模は、令和2年度の補正予算が約329億円であり、このうち県管理道路の舗装補修に対し約113億円を措置し、69路線、約150キロメートルの補修を実施したところです。
 令和3年度の補正予算は約252億円でありますけれども、今御説明しました前年度に集中的に実施した舗装補修、約113億円を除きますと、前年度を上回る規模となっており、国費を最大限活用して防災、減災対策やインフラの老朽化対策等の国土強靱化の取り組みを推進しているところです。
 また、他県の状況についてでありますが、市町村事業を含めた東北6県における比較で見ますと、本県への配分額は、令和2年度は東北で最も多い配分となっておりまして、令和3年度は、前年比では32%減となっておりますものの、舗装補修を除くと前年度と同程度の規模となっておりまして、東北では3番目に多い配分額となっているところです。
〇佐々木宣和委員 丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。何にしても、国費を使えるものはしっかり使っていくのは非常に重要であると思いますし、国土強靱化の事業に関しては、なかなか事業が実施できていないのではないかというようなマイナスのほうの記事は出るような気がしています。ただ、しっかり使わせていただいていて、整備が進んでいるというプラスアルファの部分をアピールできるといいのかと思います。また、これだけやらせてもらっていて、効果があるところをPRしながら、要望もするといいと思っております。
 次に、平成28年台風第10号災害に関して伺います。
 小本川、安家川、また砂防事業について、進捗と完了予測について伺います。
〇上澤河川課総括課長 まず、小本川や安家川の進捗と完了時期についてでありますが、この二つの河川の改修は、合わせて延長50キロメートルを超える区間の河道の拡幅や掘削等を行う大規模な事業でありまして、沿川の地権者が600名を超えることから、これまで、地元岩泉町と協力して用地交渉や関係機関との調整を並行して進めながら、工事が可能となった箇所から順次着手してきたところでございます。
 令和3年12月末の整備率は、小本川につきましては約47%、安家川につきましては約75%となっております。
 事業の完了時期につきましては、小本川については、事業用地の一部において取得に不測の日数を要することが見込まれるとして、令和4年度から令和6年度の完成時期となりました。安家川につきましては、橋梁設計の見直しなどによりまして、令和3年度から令和4年度となったところでございます。
 今後とも、河道掘削等の工事を鋭意推進してまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 まず、安家川に関しては75%まで伸びたところですし、小本川も47%というところで、昨年度に比べて非常に進捗が見えるところです。発災から5年半たっているのですけれども、河川の改良復旧事業に関しては終わりが多少見えてきたというところで、本当に県土整備部を初め、県の関係者の方々、また、地元のほうも地権者の方々に非常に協力していただいて何とか進めているところです。完了時期は令和4年度から令和6年度に延びたところではありますけれども、しっかりと早急にとり進めていただきたいところです。橋梁の関係などで多少時間がかかるところもありますけれども、そういったもの以外の部分で早く進められる部分はしっかり進めていただきたいところです。
 次に、令和元年台風19号に関して、災害関連事業で残っている部分を伺いたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 まず初めに、先ほど平成28年台風第10号の関係の砂防事業についてもお話がありましたので、そちらから先に御説明させていただきます。
 平成28年台風第10号災害に係る砂防事業についてですが、砂防激甚災害対策特別緊急事業を実施しております14カ所のうち、これまでに岩泉町南三田貝の沢(2)など6カ所が完成しておりまして、現在施工中である8カ所のうち2カ所で年度内の完成を見込んでいるところであります。
 残る6カ所についても、令和4年度内の完成を見込んでおりまして、住民の安全な暮らしの早期確保のため、引き続き円滑な事業推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、令和元年台風第19号に関連する事業についてでありますが、まず、被災しました県管理の公共土木施設につきましては、全189カ所のうち、2月末時点で185カ所(後刻「158カ所」と訂正)、約84%が完了したところであります。3月末までに180カ所、約95%の完成を予定しているところでございます。
 残る9カ所につきましても、現在、鋭意工事を進めているところでありまして、令和4年内の完成を見込んでいるところであります。
 また、砂防堰堤などの整備につきましては、岩泉町など沿岸の市町村25カ所において取り組んでおりまして、現在工事中の14カ所のうち、岩泉町垂水の沢、山田町船越の沢の2カ所について、3月末の完成を見込んでいるところであります。
 残る箇所につきましても、市町村との連携のもと、円滑な事業推進に努めたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 令和元年台風第19号のほうも間もなく終わるというところです。台風関係のところで平成28年台風第10号、令和元年台風第19号を聞いたところでございますけれども、やはり河川防災も非常に重要でありまして、この経験をしっかり将来に生かしていくことが大事だと思っております。
 水防災意識社会の構築から流域治水へというところで、このソフト対策等もさまざま取り組んでおられるかと思いますけれども、令和3年度の取り組みから令和4年度の予定について伺いたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 まず、河川のソフト対策ですが、大規模氾濫減災協議会を通じて、今年度までの5カ年計画ということで事業を進めてきておりましたが、水位周知河川につきましては、現時点で40河川49区間を指定しております。今月中に岩崎川など4河川4区間の指定を予定しておりまして、今年度末までには合計44河川53区間の指定をする計画を達成できる見込みとなっております。
 また、洪水浸水想定区域につきましては、現時点で36河川を指定しております。今月中に水位周知河川である人首川など8河川の指定を予定してございまして、今年度末までに44河川の指定を達成する見込みとなっております。これに加えまして、令和3年7月の水防法改正によりまして、水位周知河川以外の河川についても指定が必要だということで、木賊川など7河川についても指定を予定しておりまして、今年度末までには合計51河川を指定できる見込みとなったところでございます。
 水位計設置等につきましても、この5カ年計画に基づいて進めてきておりまして、これまでに、従来型の水位計64河川90カ所、危機管理型水位計260河川325カ所―県管理河川ですが、設置しております。
 新年度につきましても、こういったソフト施策を引き続き進めてまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 水防災意識社会の構築から流域治水へというところで、以前も御答弁いただいているのですけれども、大規模氾濫減災協議会は行政機関の横の広域連携で、流域治水は地域住民を含めて一体的に行っていくというところです。
 災害は本当にいつ来るかわからないというところで、コロナ禍でなかなか人が集まれないのはあるのですけれども、流域治水に関してもしっかり進めていかなければいけない。
 今度は、流域治水は市町村に頑張ってもらわなければいけない部分が大きいと思っているのですけれども、流域治水に関してどう取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 流域治水のさらなる推進に関しては、流域の多くの事業者や住民との協働、あと、他の水位計の普及が重要であると考えております。まず、それぞれのプロジェクトの内容を住民へ周知するところと、各地域で防災活動に取り組む団体等の流域治水協議会への参画等も拡大のポイントになってくるかと思います。
 事例ではありますが、令和2年度に策定した二級水系小本川の流域治水プロジェクト等につきまして、今年度の小本川水系流域治水協議会では、新たに森林整備の関係機関、そして岩泉町の小本地区自主防災協議会などの地域防災に取り組む民間団体の方々にも構成員として参画していただきまして、連携を強化したところでございます。
 また、各構成員が取り組むプロジェクトのフォローアップを実施するということで、新たな構成員が実施する取り組みについても、プロジェクトへの追加を行い、内容の充実を図ったところでおります。
 また、先ほど市町村の役割ということもあったのですが、今年度、岩泉町と岩泉土木センターの共催によりまして、平成28年台風第10号豪雨災害復興5年伝承事業といったものも開催してございまして、発災当時の映像とか写真を中心に資料展示を行って、防災意識の啓発を図ったところでございます。
 いずれ、市町村の役目は非常に大きいですが、さまざまな自治体が参画していくことが流域治水プロジェクトの展開にも重要かと思いますので、連携しながら取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 しっかりとお願いしたいと思います。
 最後に、道路の関係を伺いたいと思います。
 震災の際のくしの歯作戦であったり、平成28年台風第10号の際は、22路線144カ所だったと思いますけれども、全面通行どめになった。たび重なる災害が起こるたびに、道路の重要性を再確認しているところです。
 災害が起こった際に、多重性をしっかり確保していくことが必要ではないかと思っておりまして、その中で、国道340号の押角トンネル前後の改良は、国道340号全体でも非常に重要であると考えておりますけれども、この押角トンネル前後の改良について状況を伺いたいと思います。
〇照井技術参事兼道路建設課総括課長 国道340号押角トンネル前後についてでありますが、令和2年12月に開通した押角トンネルを含む押角峠工区の前後区間につきましては、宮古市側4キロメートル、岩泉町側9キロメートルが未改良となっております。
 このうち宮古市側につきましては、押角峠工区に接続する1.7キロメートルを令和2年度に和井内―押角工区として事業化し、本年2月から道路本線の改良工事に着手したところでございます。
 また、岩泉町側につきましては、国道455号交差点から1.4キロメートルを浅内工区といたしまして、整備に必要な経費を新たに令和4年度当初予算案に計上したところでございます。
 国道340号宮古―岩泉間は、旧JR岩泉線廃止に伴う代替路線であるとともに、沿線地域の通勤通学、北上高地の物流、観光ルートとして重要な路線でありますことから、引き続き整備の推進に努めてまいります。
〇佐々木宣和委員 新たに浅内工区が工区として始まるというところで、本当にありがたいところです。これで、残りが岩泉町側が7.6キロメートル、宮古市側が2.3キロメートルで、この部分に関しても引き続きお願いしたいと思います。
 震災後の道路整備をこれからは本当に考えて戦略的に取り組まなければいけないと思っておりまして、県土整備部として一体的に取り組んでいただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私から、社会減対策としての住宅支援について伺いたいと思います。
 商工労働観光部の審査においても、工藤勝子委員から、社会減対策がうまくいっているところは、住宅支援策が充実しているという話がございました。そのとおりだと思っております。その中で、まず初めに、県営住宅活用促進モデル事業について伺いたいと思います。
 まず、この事業の目的と期待される効果についてお示しいただきたいと思いますし、また、令和3年度の実績、どの程度の件数を想定して、実際にはどの程度の活用があったのか。令和4年度は180万円から250万円に予算を増額して継続としておりますけれども、令和3年度の結果をどのように分析して利用促進をしているのか伺いたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 県営住宅活用促進モデル事業についてでありますが、若者向け住宅支援施策といたしまして、39歳以下の若年層の住宅確保の支援を目的に、若年層の入居を促進することで、住民の高齢化に伴う自治会活動の停滞ですとか団地内コミュニティーの再生を図る効果を期待しているところでございます。
 令和3年度におきましては、15戸(後刻「30戸」と訂正)を想定しましたところ、現時点で3戸の入居、また、1戸の入居決定及び1戸につきまして、今後の入居に係る審査を行っているところでございます。年度内には計5戸の入居が見込まれているところでございます。
 本年度の分析についてですが、既に入居している3戸の方に対してアンケートを実施させていただきました。家賃ですとか住宅環境につきまして、全ての方が満足しているという回答を得ております。また、あわせて地域貢献ということで自治会にもアンケートを行いまして、自治会からも、自治会活動や雪かきなどに積極的な参加があったという回答があったほか、本事業を推進するためにもっとPRに努めてほしいという御意見なども頂戴しているところで、おおむね好意的な回答であったと考えております。
 このため、事業といたしまして期待している効果やニーズはありますけれども、今後の活用促進のためには、入居促進の実効性を高める必要があると分析しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 15戸の想定をしていて5件だということで、令和4年度は30戸を想定しているということでしたが、アンケートの結果、入っている方は満足だと、それはそのとおりなのだろうと思います。ただ課題は、15戸欲しかったところが5戸にとどまっているところで、では、そこからどうやって広げていくかは、入っている方の満足プラス、どうやったら集まっていただけるのか、今の要件も確認しなければいけないのではないかと思っております。
 先ほど、効果のときにコミュニティーの再生という話がございました。確かに、団地自治会活動とか町内会活動に年3回参加することなどの要件が付されておりますけれども、一方で、商工労働観光部の審査のときに、安藤定住促進・雇用労働室長の話では、これは移住、定住促進でもあるのだという話もございました。そういったときに、こういった条件がプラスになるのか、外から来て、地域に溶け込むためにこういった条件があるほうがありがたいと思われるのか、あるいは今の若者の事実としてどうなのか、そういったところの検討も必要だと思うのですけれども、そういった部分の検討はなさっておりますか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 若者向けといたしまして、県営住宅活用促進モデル事業の考え方になりますけれども、まず、令和4年度におきましては、本事業におきまして事業の実施区域を県内全域に拡大しようと考えております。また、入居対象といたしましては、大学生の方ですとか県内企業、団体向けの貸し出しも考えております。
 委員から御指摘ありました移住、定住という使い方も当然念頭には入っておりまして、その中でどのように移住された方に地域に溶け込んでいただくかにつきましては、引き続きの課題と考えております。確かに、今回のアンケートでの意見でも、人づき合いにおいて少し不安があったというお話もありましたので、この辺の解消につきましては、私どもは住宅政策の所管部局としての観点で今回の事業をやらせていただいておりますけれども、その辺につきましては、関係部局とも連携をとりながら適切に進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 移住、定住になりますと、まさに県内だけではなくて、県外へのPRも必要なのだろうと思います。今、シゴトバクラシバいわてのホームページにも載っているのですけれども、やはり3月、4月は異動の時期でありまして、そのときにどれほどPRするかが大事だと思うのです。初年度は恐らくそれに間に合わなかったのだろうと思いますが、では、今は間に合っているのだろうかと。ホームページ上にはまだ、対象区域は盛岡市、北上市、奥州市となっておりまして、そうするとまた、そこの地域以外は同じことの繰り返しなのではないかと思ってしまうのです。
 今、全域に広げるという話がありましたけれども、どこの県営住宅を使って、どの戸数をどこに配置するというのが決まって、もうPRはしているのですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 来年度の拡充における利用団地の詳細につきましては今後の検討と考えております。ただ、移住、定住者も含めて考えますと、いろいろな場所に住んでみたいというニーズもあるとは考えておりますので、その辺を踏まえまして全域、基本的には、希望される皆さんが、希望される場所に住んでいただけるような対策をとってまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今の時点で来年度住むところが決まっていないのであれば、この年度末、年度始めも間に合わなかったということだと思うのです。私はこれが年々バージョンアップしていくのであれば、補正予算などで対応し、年度末に選んでいただけるような状態にしておく。もっと言えば、移住、定住で外からというのだったら、やはり大学受験とか、そういったところにも合わせて、岩手県の大学に来れば、こういった住宅支援もあるのだなということがわかるような状態にしてこその移住、定住対策ではないかと思いますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 そしてもう一つ、これは入居要件が18歳から39歳までということですけれども、コミュニティー活動に参加していくということは、恐らくそこの団地なり地域の方々は、これからもずっと期待していくのだろうと思います。震災のときも、やはり若い世代が出ていってしまって課題となったと思います。
 この入居要件ですが、39歳を過ぎたらこれは出ていかなければいけないということなのでしょうか。事業の継続性をどう考えていらっしゃいますか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 本事業の継続性でありますが、入居要件は確かに39歳までという形になっております。39歳を超えた場合に出ていかなければならないかといったことにつきましては、基本的には、今の取り扱いですと39歳ということになっていますけれども、住宅であれば、住む場所をいきなり失うというところまでは考えたくないと思っております。ここにつきましては、例えば県営住宅の住みかえですとか空き家の活用ですとか、さまざまな住宅施策が考えられると思いますので、この辺を組み合わせながら、いきなり住宅を失うことがないような形で取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 災害公営住宅のときの教訓をしっかり生かしていただきたいと思います。そういった意味で、まだまだできたばかりの事業で、詰められていないところもあるかと思います。ぜひその辺、そういった中で、今は若い人が来られてよかったなですけれども、地域活動に参加すること、あとは県営住宅にずっと住み続けていいのかということも課題として挙がるかと思いますので、ぜひともその辺も詰めていっていただきたいと思います。
 次に、住宅ストックリノベーション事業について伺いたいと思います。そのうち、若者・移住者空き家住まい支援事業です。
 空き家バンク登録を使って若者の移住、定住を促進しようという事業ですけれども、この事業の目的及び期待される効果について示していただきたいと思いますし、これも令和3年度の実績、どの程度の件数を想定して、実際にはどの程度の利用があったのかお示しいただきたいと思います。
 また、令和3年度の結果をどのように分析して利用促進をしていくのか伺います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 初めに、先ほど答弁いたしましたモデル事業の想定戸数ですけれども、私、15戸と答弁いたしましたが、想定30戸でございます。訂正して、おわび申し上げます。
 続きまして、若者・移住者空き家住まい支援事業についてでありますが、結婚や子育て等のライフステージを控えた若者世代、それから県外からの移住者の皆様につきまして、住宅支援の施策を目的といたしまして、市町村の空き家バンクに登録された空き家の取得ですとか、取得後の水回りなどの改修に対し、市町村と連携して支援することにより住宅を取得し、地元に定着していただくとか、また、最終的には人口減少の抑制につながるような効果を期待しているものでございます。
 令和3年度の実績につきましては、こちらが15件の活用を想定していたところですけれども、現在、市町村の上乗せ補助事業として行っておりますが、6件の利用申請があるところでございます。
〇佐々木朋和委員 令和3年度の結果を分析して、利用促進にどのようにしていくのかもお聞きしたので、お願いできますでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 令和3年度の分析でありますが、こちらにつきましても、想定戸数には届かないものの、空き家を活用する、取得するニーズはあるものと考えております。ただ、空き家を取得した後につきまして、やはりちょっと年代がたったものが多い状況ですので、例えば水回りで最新のユニットバスをつけたいとか、トイレにはウォシュレットをつけたいとか、いろいろなニーズがあるところを分析いたしまして、来年度からは、改修事業を行うという形で拡大を図ったところでございます。
〇佐々木朋和委員 この空き家バンクが始まってしばらくたつのですけれども、全国的な利用や評価はどうなのだろうと私は思っておりました。空き家バンクの県内市町村の活用状況、また全国的な動向をどのように分析していらっしゃるのか。
 あとは、空き家は、先ほどおっしゃったように、高齢の方が、あと何年住めればいいなというところで空き家を買うというところがあると思います。そうしたときに、若者だと、なかなかそういうわけにいかないとか、住宅ローンを組むにも短く設定されてしまうとか、若者世代や、あとは移住者にとって、移住してきて、いきなり中古の空き家を買うのかというようなところもあると思うのです。空き家に対する若者世代や移住者の政策としてのマッチングニーズをどのように捉えているのか伺いたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 初めに、空き家バンクの活用状況、動向、空き家のニーズでありますが、令和3年10月時点の県内の空き家バンクの活用状況ですが、売買におきましては、累計の件数が485件となっております。こちらは、令和2年10月が382件となっていますので、かなり増加しているものと考えております。
 また、賃貸を行うところでは、同様に、本年305件、昨年275件(後刻「272件」と訂正)という形で増加しているところでございます。
 このことから、市町村が運営する空き家バンクになりますけれども、令和3年9月時点で30市町村におきまして空き家バンクの活用が行われているところでございます。また、地元だけではなくて、全国の方々が、その空き家バンクが見られる民間の全国版空き家バンクに登録しているものが24市町村ございますので、こちらにつきましても、活用や運用が進んでいるものと考えております。
 また、空き家バンク活用に係る若者とか移住者の方へのマッチングでありますが、移住者という視点で御答弁させていただきますと、移住するに当たっては、やはり住宅、住むところが先なのか、なりわいが先なのかというところがあります。そこら辺は、やはり商工労働観光部とも連携しながら、適切に住みたい場所、働きたい場所に、住んで、働いていただけるような施策に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 住宅施策が必要だということは同意させていただきたいと思います。あとはお金の使い方ですね。ニーズと合っているかだと思うのです。
 1月29日の日経新聞に、青森県が、3世代同居の住宅を新築する場合に、借り入れに最大80万円出すという記事が載っていました。2015年から2020年までで208戸の同居を後押ししたということで、年平均40件ぐらいのニーズがあるということですね。
 他県では、人口減少対策が始まったときから住宅施策をやってきて、ある程度、結果を出してきている。全国的にも知見がそろってきていると思うのです。そういった中で、岩手県においては、今、令和3年度からとか、新たなものにもチャレンジしているわけですけれども、今から後発するのであれば、知見がそろった部分について、効果があるところにお金をかけていくことも一つなのではないかと思うのです。
 そういった中で、令和3年度、今、正直利用者が少なかったものに、次年度は要件を緩和したり、拡大したり、上乗せしたりして利用を促すということですけれども、潜在的なニーズをどのように捉えて政策を継続していくのか伺いたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 政策的にどのように継続していくかというところでありますが、こちらにつきましては、人口減少対策という大きな重点テーマが一つございます。また、子育て世帯支援ですとか若者住宅支援というさまざまなテーマの中で、住宅施策ということで県営住宅の活用ですとか空き家を活用する取り組みをさせていただいております。
 こちらにつきましては、基本的には、県営住宅活用促進モデル事業も、いわてお試し居住支援事業ということで令和4年度から新たに進めさせていただきますが、これら二つの事業につきましては、県の重点テーマである人口減少対策が大きな視点になっております。こちらにつきましても部局横断で創設させていただいた事業となっていますので、事業推進に当たっては、関係部局と連携しながら取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 いわてお試し居住体験事業について伺います。
 事業目的と期待される効果、3カ月間更新ということで長い期間を想定しているわけですけれども、そういったときにどれほどの人が来ていただけるのか、どのような方を対象としているのか伺いたいと思います。
 また、人口減少対策ワーキンググループでの検討結果を踏まえて創設されたと聞いておりますけれども、どのような課題意識からこの政策が生まれたのか、お示しいただきたいと思います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 いわてお試し居住体験事業の目的と期待される効果でありますが、県外からの移住、定住希望者を対象といたしまして、家電製品等を整備いたしました県営住宅の空き住戸を低廉な家賃で貸し出すことで、移住、定住における心理的、経済的な軽減を図りまして、移住、定住の促進を図るという形で考えております。
 また、入居者の方につきましては、県のSNSなどを通じまして県内での生活の様子を発信していただくことを条件としておりますが、当該情報の発信を通じまして県内の魅力を発信し、岩手県に興味を持つ方をふやす、それから、県外との交流人口をふやすことを目的としております。
 こうした取り組みを通じまして、移住、定住の促進ですとか県営住宅ストックの活用が促進されることを期待しているところでございます。
 この事業の創設経緯でありますが、委員からもお話がありましたが、部局横断的に人口減少に全庁的に取り組む人口減少対策検討ワーキンググループにおきまして、人口の社会減に対する有効な対策ということで議論を進めてまいったところでございます。
 事業の創設に当たりましては、このワーキンググループにおきまして、本県への移住、定住に関心のある方が感じていると思われる、岩手県はどういうところだろう、どういう生活なのだろうというような生活環境への不安が課題と考えられますので、岩手県の暮らしを体験していただくことによって、本格的な移住、定住の機会を設けることとしたものでございます。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇戸来砂防災害課総括課長 先ほど佐々木宣和委員への答弁におきまして、令和元年台風第19号で被災した県管理の公共施設について、2月末時点で185カ所完成と答弁いたしましたけれども、正しくは158カ所でございますので、訂正して、おわび申し上げます。
〇小野寺建築住宅課総括課長 空き家バンクの利活用促進の状況でデータの間違いがございました。空き家バンクの活用というところで、賃貸住宅のところでございます。累計件数が305件で、令和2年10月が275件と申し上げましたが、正しくは272件でございます。おわびして、訂正させていただきます。
〇山下正勝委員 私も2点ほど質問いたします。ただ、1点目の住宅ストックリノベーション事業費については、県産木材を利用した岩手型住宅は吉田敬子委員から、空き家バンクは佐々木朋和委員から質問があり、同じ質問はできないと思っていましたので、違う観点から質問いたします。
 この補助対象は市町村でございます。その場合、2、200万円余と昨年度と同額程度を予算化しております。また、政策評価結果では成果指標がCとなっていますが、その理由は何か。また、成果をA、Bに上げるための取り組みについて、どのようにお考えなのか、伺います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 住宅ストックリノベーション事業につきまして、政策評価結果がCとなっている理由についてでございます。令和3年度から同事業で実施しております若者向け空き家取得支援事業及び木造住宅総合耐震支援事業、この二つの事業につきまして、基本的には市町村が実施する事業への県からのさらなる支援という形で行わせていただいていますけれども、こちらの申請件数が少なかったために、全体的なストックリノベーション事業といたしましてはC評価という形になっております。
 次に、成果を上げるための取り組みでありますが、やはり事業者、建て主がいろいろ取り組んでいただく必要がありますので、活用いただくことが重要と考えております。そのためには、県民の皆様とか市町村に対しまして事業を周知していくことが重要と認識しております。
 令和3年度も行いましたけれども、令和4年度におきましても、市町村訪問による制度のPRを行います。また、いわてグラフ等の広報媒体など、さまざまな機会を通じまして、県民への周知を早期から図ってまいりたいと考えております。
〇山下正勝委員 当然、各市町村ということですが、これは、市町村によってはいろいろなところがあると思いますので、再度、その辺は周知徹底をお願いしたいと思います。
 それと、県産木材とありました。県産木材を活用したということで、今、農林水産部では、山の現場から県産材とするところまではやるのだけれども、その後に住宅をつくるのは県土整備部ということで、先ほど農林水産部と連携をとるという話がありました。その辺をもう少し密にやってもらわないと、CO2削減に対しては、植栽もしなければならないし伐採もしなければならないということもあります。そういうことを考えると、もう少しスピード感を持って、名前のとおり、県産木材を活用した岩手型住宅にもっと力を入れてもらいたいと思います。
 北海道では、平成2年度にも北方型住宅をスタートしているのです。ですから、寒冷地と言えば申しわけないですが、そういうものを含めて、岩手県の木材はいいよということもPRしていかないと、これはつながっていかない。当然、山もよくなるし雇用も生まれるし、いろいろな部分でいいのだと思っていますけれども、その辺はどういう考えでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 岩手県産材利用の観点の事業でありますが、これまで、県土整備部の建築住宅課単独で岩手型住宅に係る事業を行ってまいりましたが、令和3年度からは、農林水産部におきまして、いわて木づかい住宅普及促進事業ができまして、私どもと農林水産部と連携いたしまして県産木材利用のさらなる促進に取り組んでまいりました。昨年までの件数に比べまして、岩手型住宅の補助申請件数につきましては、かなり多くの申請をいただいていると認識しております。
 また、この中で、委員から御指摘ありましたCO2削減は、木造住宅をつくることによりまして炭素の貯蔵が図られて、ひいてはCO2削減、省エネ化につながるところもございます。こちらにつきましても、あわせて連携しながら、先ほど答弁させていただきましたが、農林水産部は基本的には木造の構造的なところですとか木造の大きな建物をつくるという視点からの講習会をやっております。私どもは、省エネ化に資するところという観点から、多少小規模な住宅についての支援を行う、講習を行うというような役割分担をしながら、さらに、それぞれどういうことをやっているか情報共有を図りながら進めてまいりたいと考えております。
 その中で、先ほど紹介がございました北方型住宅といった、すごく高断熱な住宅、省エネに資する住宅という御紹介もいただきましたけれども、岩手型住宅のガイドラインの見直しの中で、この辺の取り組みも進めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇山下正勝委員 ぜひ、大小にかかわらず、岩手県産材は、お互いに連携しながらお願いしたいと思います。
 次に、いわての住まいのカーボンニュートラル推進事業について伺います。これの補助対象は住宅の所有者となっております。これは新規事業であることから注目度が高いと思います。これをどのように取り組み、所有者に利用してもらうのか、お考えを伺います。
〇小野寺建築住宅課総括課長 令和4年度からの新規事業であるいわて住まいのカーボンニュートラル推進事業の内容につきましては、まず一つ目といたしまして、省エネ住宅の基準の推進支援ということで、県内の建築士、工務店につきまして、省エネ基準などの普及セミナーを行います。また、住まいの省エネ改修推進ということで、建て主、住宅所有者が改修に努めるということで、省エネ診断、設計、また、省エネ改修のための工事費に対して支援を行うという形の事業を行うものでございます。
〇山下正勝委員 これは、さっきの岩手型住宅と同じで、最終的には市町村に依頼するのか、それとも岩手県が全体的にやるのですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 こちらにつきましては、県が補助を行う事業になっております。
〇山下正勝委員 わかりました。当然、各市町村によってはいろいろな業者があると思います。一戸町だったのですけれども、一戸町なら一戸町で、町産材を使いながら地元の業者を使うようにして、みんなよくなるような方法をとるとか、そういう考えを持っていかないと、ただ県がやりますと言っても、予算化しても進んでいかないと思っております。ぜひ、林業も盛んにして、住宅とか、住む方も岩手県産材の住宅を建てて、温かい気持ちで生活できるようにお願いしたいと思います。その辺、最後にお伺いして、終わります。
〇小野寺建築住宅課総括課長 岩手型住宅は、県産木材の利用促進という形になります。こちらにつきましては、県の単独補助という形にはなっておりますが、もともと岩手型住宅の理念におきましては、地元工務店の事業の推進、育成という観点もございますので、地元の市町村とも連携をとりながら事業を進めてまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 私からは、水門・陸閘自動閉鎖システムについてお伺いいたします。
 1月にトンガ沖噴火津波がありましたし、16日にも津波注意報が発令されました。まず、その話を聞いて、そのあと維持管理についてお伺いします。
 まず、1月のトンガ沖噴火津波において、津波注意報、警報が発令されましたが、全ての水門、陸閘が想定どおり稼働し閉鎖されたのか、状況や課題等について伺います。また、土曜日の深夜という時間帯でしたが、対応状況や注意報解除後の開放作業等の状況や課題等についてお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 1月16日のトンガ沖噴火津波における水門・陸閘自動閉鎖システムの稼働状況等についてでありますが、この津波発生当時、水門・陸閘自動閉鎖システムの運用箇所は165カ所あり、今回、初めての稼働でありましたが、津波注意報、警報の発表を受けて全ての施設が稼働し、計画どおり閉鎖したところでございます。
 職員の対応状況等につきましては、津波注意報発表時には、各現場の公所や第1統制局のある県庁河川課におきまして災害特別警戒本部による警戒体制が配備されまして、本システムや監視カメラによりまして各施設の閉鎖状況の確認を行ったところでございます。
 この津波注意報解除後の水門、陸閘の開放作業につきましては、通行者の安全を確保しながら現地での操作が必要でありまして、この業務に当たる速やかな人員体制の確保が今後の課題であると考えているところでございます。
〇千葉盛委員 もう少し詳しく聞きたかったのですけれども、注意報が発令されて、最短でどのくらいで閉鎖されたものがあって、最長だとどのくらいで閉鎖されたのかをお伺いします。
〇上澤河川課総括課長 開閉等にかかる時間についてですが、津波注意報が零時15分に発表になりまして、この自動閉鎖の指令の発信が、その時刻と合わせて発信しました。そして、閉鎖を最初に開始したのが零時15分からということでありまして、閉鎖の開始が最も遅かったもので零時25分からとなっております。そして、閉鎖が完了したものにつきましては、最短で零時16分、最も遅かったもので零時35分の閉鎖という状況になっております。
 そして、開放等の作業につきましては、津波注意報等が解除されてからその作業に当たったわけですが、最短で終わったのが14時6分、そして、最後に終わったのが17時ということでございました。
〇千葉盛委員 次に行きますけれども、16日にも宮城県、福島県において津波注意報が発表されましたが、歴史上、津波にはさまざまなパターンがありまして、地震の揺れが小さくても大きな津波になるケースもありますし、地震発生後すぐに津波が到達するケースもあります。そして、トンガ沖噴火津波は、注意報発令前に津波が到達しておりまして、今後も同じようなことが起こり得ます。
 トンガ沖噴火津波は、たまたま小さな津波であったので支障がありませんでしたけれども、閉鎖する前に津波が到達してしまう状況、そして、津波が来てしまったことによって閉鎖できない状況が起こる可能性もありますが、そういったところをどのように捉えて考えているのかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 水門・陸閘自動閉鎖システムは、気象庁が発表する津波警報等を全国瞬時警報システムにより受信することを契機に、衛星回線を通じて県内の水門、陸閘に自動で一斉に閉鎖する信号を送信しまして、各施設がその信号を受信することで閉鎖が開始される仕組みになっているところでございます。
 閉鎖完了までの時間につきましては、岩手県の過去の津波到達時間等を参考に津波到達前までに閉鎖を完了できるよう設定しておりますが、トンガ沖噴火による津波については、津波注意報等発令の前に沿岸部に津波が到達しておりますから、今後の津波対策を考える上で重要な課題として捉えているところでございます。
 いただいた御意見を踏まえながら、今後の水門、陸閘の閉鎖のあり方について、まずは、沿岸の市町村や関係機関と意見交換などを進めてまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 今回のトンガ沖噴火津波が初めてだったということで、これまでは手動だったものが自動になったところからですけれども、トンガ沖噴火津波では、気象庁の予想より早く潮位が上昇したことによって、結局、気象庁で予測ができなくて、注意報を発表したときにはもう既に津波が到達していた。
 そして、16日の地震は、津波到達予想時刻が石巻市の一番早いところで23時50分でした。あくまで予測で、結果的にその後に津波が来ました。そして、地震発生が23時36分でしたから、発生から14分しかありませんでした。
 さっきの話だと、トンガ沖噴火津波のときは、一番遅いところで閉鎖するまでに20分かかった。そして、気象庁の注意報は、地震発生から3分ぐらいかかるのだそうです。そうすると、実質、16日の津波予想まで11分しかなかったということです。そうすると、場所によりますけれども、11分以内に閉鎖が完了しなければならなかったと思うのです。
 何が言いたいかというと、気象庁の発表がない限り、自動では閉鎖されないので、職員の判断というか人の判断で閉鎖しなければならないときがあるのではないかということと、もう一つが、閉鎖までの周知時間の短縮とか、閉鎖開始から閉まるまでの時間の短縮も今後必要になってくるのではないかということをどう考えているかお聞きしたいのです。いろいろな想定をしてほしいということで、答えられる範囲でお伺いします。
〇上澤河川課総括課長 先ほどもお話ししましたが、今後の津波対策を考える上で重要な課題ということと、あと、難しい問題でもあるかと思います。この水門・陸閘自動閉鎖システムの導入につきましては、東日本大震災津波で水門や陸閘を閉鎖するために、その作業に従事する関係者の方が多数亡くなったということによるものです。そこには、現地に駆けつけて津波に巻き込まれてお亡くなりになられたということもありまして、私どもは今回、こういったシステムを考えるに当たっては、消防団の方々が現地に行かなくても自動で閉鎖ができる、あるいはふだん人の往来がないようなところについては、あらかじめ水門は閉めておく。つまり、もう人が駆けつけなくても、そういった注意報等が発令されてからは、一定の防御ラインが構築できるようにということを目指して導入したものです。
 ちなみに、その注意報等が発令される前に稼働させるためには、今回のこのシステムについては、沿岸部の釜石市と県庁に統制局、そして、各公所とか市町村に子局があるのですが、確かにボタンを押せば一気に閉鎖は可能ですが、そのためには、職員が津波注意報等が発令される前に駆けつけなければならないということがあります。そうすると、そういった時間帯に駆けつけられるかどうかといったこともあります。
 あとは、そのボタンを押すときには、さまざまな信号が統制局と子局とつながっていないことで、稼働するまでずっとその信号が送られていくわけです。ですから、いざボタンを押したときには、もう一気に水門とかゲートが閉まってしまう。つまり注意報等が発令される前に閉めると、例えば海岸端で何かしている人がいるときに、そこに取り残されるようなこともありえます。あくまでこれは、今、私の個人的な想定ですが、そういった課題もあると思っております。実際にこういった具体的な活動に携わる人たちの意見も非常に大事になってくるのではないかと思いますので、今後、まずはそういったところから意見交換をしたいと思っております。
〇千葉盛委員 いろいろな想定を今後考えていってほしいと思いますし、もう一つが、例えば宮城県までは、16日にも津波注意報が発令されていましたが、もしかしたら岩手県沿岸の大船渡市とか陸前高田市とか、沿岸南部のほうに来るのではないかとか、いろいろ想定されると思います。今まで消防団とか現場近くの人たちが手動でやるときは、本当に訓練をして、経験とか判断でやってきたものが蓄積されてでき上がってきたものが、今度、一気に自動化になりました。本当にあらゆるケースを考えながら、システムはシステムですけれども、2回も津波が到達しないケース、練習ではないですが、こういったケースがいろいろ出てきていますので、そういったところで上手に、システムに頼り過ぎず、いろいろな判断をしていってほしいと思います。
 次に、維持管理についてお伺いいたします。
 水門、陸閘は、結局は、いざというときに閉鎖されなければ意味がありませんので、現在運用を開始している水門、陸閘は全て稼働できる状態にあるのか、また、維持管理には多額の予算が必要と思いますが、維持管理費についてどのように考え、日々の巡視、点検、管理など、維持管理体制についてどのように整備されているのかお伺いいたします。
〇上澤河川課総括課長 現在運用中の水門、陸閘につきましては、全ての施設におきまして津波対策機能を発現しているところでございます。
 そして、維持管理については単独の事業費となっておりまして、この財源の確保につきましては、平成30年12月に改定された国土強靱化基本計画において、大規模地震想定地域における水門、樋門等の自動化、遠隔操作化を推進するとともに、適切に維持管理していくことと位置づけられていることを踏まえ、毎年度、政府要望をしているところでございます。今後も引き続き要望してまいりたいと思います。
 また、維持管理体制につきましては、水門、陸閘の全箇所運用開始を見据えた広域的な維持管理体制を確立することとしておりまして、引き続き、業務の平準化や合理化、効率化を進めるとともに、維持管理体制の整備に努めてまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 最後に田中県土整備部長に聞いて終わりますけれども、本当に水門・陸閘自動閉鎖システムは、人の命を守るとか財産を守るのもそうですけれども、避難するにしても、1分でも1秒でも長く津波を抑えてくれれば、本当にそれだけでもありがたい存在です。維持管理費用も今後どうなっていくのかわからないですけれども、かなり確保していかなければいけないと思いますし、その体制づくりも、どう構築していくのかは今からだと思います。その辺しっかりといざというときのためにやっていってほしいと思いますので、所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇田中県土整備部長 1月のトンガ沖、それからおとといの福島県沖の地震で、1月のトンガ沖の地震のときは、初めて水門・陸閘閉鎖システムが稼働して、過去の津波の最短の時間が24分ということだったので、それ以内で閉まるという当初の目的でしたが、しっかり機能していることは確認したところです。やはり注意報が出ないときに津波が来る場合もあるということもありましたし、あとは、閉鎖時間をもっと短くしたほうがいいのではないかといったこともいろいろ御指摘いただきました。これについては非常に難しい問題があると思います。いろいろ考えなければだめだという意味で難しいということです。
 経済活動をしている人たちも早く陸側に逃げていただくということもありますから、そういった意味では、一定の時間、あけておかなければいけない時間というのはやっぱりあるのだと思います。ただ、それをどうしていくかは、個別の市町村で考え方が違うと思いますので、その辺は、今回の2回の地震、津波の経験を市町村としっかり共有して、どういった稼働になっていたか、あとは、防災体制も含めてどうしていったらいいかといったところは、社会資本の分野だけではないと思いますので、そういったいろいろな方々と意見交換して、いい方向を考えていきたいと思っております。
 いろいろ御示唆ありがとうございました。
〇高橋穏至委員 私からも、いわて住まいのカーボンニュートラル推進事業費についてお伺いします。
 地球温暖化対策については、9月定例会の私の一般質問で取り上げまして、その中でも長野県の事例をお話ししながら、住宅建築におけるカーボンニュートラルの推進について質問したところでした。ことし、そういったことで新規で事業に入ってきたのは、非常にうれしく思うところでございます。
 そこで、令和4年度の事業の詳細、先ほど何点かもう説明があったわけですけれども、具体的に、建築事業者への技術支援はどういうことをやるのかとか、あるいは補助、先ほどの質疑の中でも、診断、設計に対する支援となっていましたが、具体的な補助の内容をお知らせください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず、建築事業者への技術支援の内容につきましては、住宅の省エネ化の推進に向けましては、住宅、建築物の省エネ基準や技術に習熟した設計者ですとか、工務店の技術者の育成及び国が目指していますストック平均の省エネ性向上には、既存住宅の省エネ化の取り組みが必要と考えております。
 まず、技術者の育成のためには、省エネ制度はもちろんのこと、その施工方法ですとか技術的なものにつきまして精通した人材の育成が必要であると考えておりまして、県といたしましては、省エネの制度ですとか施工方法を紹介する講習会を来年度は県内いろいろな場所で5回開催させていただきまして、制度の周知、それから、断熱工法の取り組み方などにつきまして、広い視点で事業者の育成を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、補助金の関係ですけれども、まず、先ほど答弁いたしました内容の細かいところですが、省エネ診断は、現在お住まいの住宅がどういう状況かを見るものですけれども、こちらにつきましては1件当たり15万円、続きまして省エネ設計は、どのようにすれば省エネ化が図れるかという設計を行う場合に、1件当たり30万円、続きまして、その設計に基づきまして改修を行う場合には1件当たり100万円を支給する形にしておりまして、補助件数につきましては、それぞれ各10件を想定しているところでございます。
〇高橋穏至委員 そうしますと、農林水産部で今までやっていました、いわて木づかい住宅普及促進事業の中で、これは省エネに対する加算という形で省エネ住宅の推進があるのですが、これとは全く別物と考えてよろしいでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 いわて木づかい住宅着工促進事業において、県土整備部で補助している内容につきましては、県産材を使った住宅をつくるときに、岩手型住宅として省エネ化が要件になってきます。その省エネ基準の証明書を取得する場合に上乗せ補助する事業になっております。今回のいわての住まいのカーボンニュートラル推進事業につきましては、改修する際に省エネ化を図る場合に補助するということですので、併用しながら使える制度にはなっておりますが、基本的には別な考え方を持った事業制度と考えております。
〇高橋穏至委員 そうしますと、改修が対象ですので、新築はこの制度の対象外ということでよろしいでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 こちらにつきましては、新築ではなく改修を念頭に考えているものでございます。
〇高橋穏至委員 そうしますと、全体的にどうなのか。改修は改修で確かに大事なのですけれども、新築する際に補助するいわて木づかい住宅普及促進事業のほうは、令和3年度と同じ内容で継続という形で省エネに対する補助をしていくという考え方でよろしいのかと、令和3年度にどれくらいやって、令和4年度もその実績に対してどれくらい用意するのか、先ほど改修は各10件と話がありましたけれども、こちらは何件くらい予定しているのでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 いわて木づかい住宅普及促進事業につきましては、県土整備部ではなく農林水産部になりますけれども、基本的には、省エネ化のための証明書を取得するものにつきましては、上乗せ補助を継続して行わせていただきます。
〇高橋穏至委員 わかりました。一つ進歩ではありますが、画期的な進歩とはほど遠かったと思っておりました。
 私が一般質問で紹介した長野県の事例は、省エネ性能がどれくらい経済的に効果があるかと、もちろんやることによって、ヒートショックがなくなって健康づくりにも役立ちますということで、この省エネ住宅をつくるのに、コスト的には改修よりも新築で上乗せしたほうがずっと安く済むのです。新築にもしっかり目を向けていただきたかったと思います。
 それから、長野県ですばらしいのは、補助金があれば補助金がある分は対象になるのですが、新築あるいは改築する場合に、業者に省エネ性能に対する評価、技術的な仕様をしっかり提示することが義務化されているのです。ですから、建てようとする人、あるいは改修しようとする人は、やる、やらないは個人の自由です。ただ、それをやることによって、昨日かその前にも質疑であったのですが、この改修をすることによって建設費は60万円とか70万円上がるけれども、これは5年とかそこらでペイできますよという説明をするのが大事なのです。それによって普及率を上げていくことになるのですが、なかなかそこまでになっていなかったのは、ちょっと残念でした。
 いずれ、今後検討していただきたいのですが、そこで、10月にも紹介したのですけれども、制度を始めるまでに業者への指導に5年ぐらい時間をかけています。勉強していただいて、それをやる。でも、それを説明することによって、業者にとっても建設単価は上がるわけです。業者の売り上げアップにもなるし、建てた人も、最終的には省エネルギーということで恩恵があり、健康増進にもなるということで、みんなにとっていい政策ですので、ぜひ、またもう一度検討していただきたいと思います。
 質問の部分ですが、実際にそれをやって、長野県では新築住宅の85%が今、全部省エネ住宅になっているのです。2030年のカーボンニュートラルには、目標値100%なのです。今、岩手県の現状と目標値はどうなっていますでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 岩手県の省エネ住宅の関係でありますが、省エネ住宅が岩手県内でどれだけ進んでいるかは、把握しておりません。ただ、国の資料によれば、委員からも御紹介がありましたけれども、令和元年度におきまして、新築住宅の81%が国の省エネ基準に適合しており、さらに、断熱性を高めたZEH基準というものがあるのですが、そちらの適合率は14%と把握しております。
 また、県が主体となりまして、建築士事務所協会の建築士を対象といたしました講習会におきまして、省エネ基準の適合義務化、本年度事業を実施するに当たって、状況を調査するためのアンケートを行いまして、その中では、80%の方が省エネ基準義務化の状況を知っているところ、それから、施工する住宅のほとんどにつきまして省エネ基準に適合していると回答していただいた方が133者おります。岩手県内におきましても、省エネ基準に適合した住宅の普及は進んでいるものと認識しているところでございます。
〇高橋穏至委員 省エネ基準達成、さらに上乗せの基準達成が、それぞれに目標とされているようでございます。
 考え方といたしまして、やはり新築のほうもしっかり取り入れていただくのと、あと、長野県では長野県産材を使いましょうというのもセットになっています。ただ、省エネ性能達成は、プラスアルファではなくて、それはもう必須条件。それをやった上で、県産材を使ったらさらに上乗せという設計になっているのです。ぜひ、建築住宅課でも、農林水産部としっかりタッグを組んで、100%を目指す上ではそういった制度設計になるよう検討いただきたいと思います。これは、今なっていませんので、今後また検討してほしいということで、終わりたいと思います。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時18分 休 憩
午後2時37分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、災害公営住宅の家賃問題についてお聞きします。
 国の特別家賃低減事業の対象世帯、既に5年が経過した世帯、県の家賃低減制度に移行した世帯はどうなっているでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 国の特別家賃低減事業の対象世帯、それから、県の家賃低減制度の状況でありますが、国の東日本大震災特別家賃低減事業対象世帯数は、令和4年1月4日時点で942世帯、全入居世帯1、453世帯における割合は64.8%となっております。
 また、942世帯中、供用開始から5年経過したアパートに居住する世帯は675世帯、全入居世帯1、453世帯における割合は46.5%となっております。
 また、県の独自減免を活用している世帯数ですけれども、令和4年1月4日時点で127世帯となっておりまして、割合は8.7%となっております。
〇斉藤信委員 64.8%が国の特別家賃低減事業、これは15万8、000円が公営住宅の基準です。8万円以下ですね。ですから、その低い基準の半分以下の低所得者が64%を占めているということです。既に5年経過して家賃が徐々に上がり始めています。
 一方で、岩手県は独自に国の低減事業とほぼ同程度の家賃減免の制度がありますから、私は、ここの移行をしっかりやるべきだと思いますけれども、その点はどうですか。既に県のほうが有利な入居者に徹底されているでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 低減制度への移行につきましては、国の低減制度を活用している期限を迎える方、また、基本的には5年間は国の制度は一律なのですけれども、5年目以降は段階的に10年まで上昇していく制度になっております。その中で、県の制度のほうが有利になっている方につきましては、家賃決定の際などを通じまして、適切に御案内しているところでございます。
〇斉藤信委員 ぜひ繰り返し周知徹底していただきたい。
 次に、万収入超過者は来年度―ことし4月になりますけれども、収入基準が259、000円に引き上げとなります。これは私は一歩前進だと思います。どれだけの世帯がこの対象になるのか、ならない世帯はどうなのか、その動向について把握しているでしょうか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 収入超過世帯の状況についてでありますが、県営災害公営住宅における本年1月4日時点で収入基準を超過している世帯は112世帯となっております。そのうち収入超過認定されている世帯は96世帯、今後認定される可能性がある世帯は16世帯となっております。
 また、収入超過認定されております96世帯のうち、収入基準の引き上げにより裁量世帯に移行する世帯は67世帯、収入超過世帯に占める割合は69.8%となっております。
 なお、収入基準の引き上げ後も収入超過認定される世帯は29世帯と把握しております。
〇斉藤信委員 収入基準を引き上げても、3割の方々は残念ながら対象にならない。これは結果的に追い出しになりかねないのです。
 少しリアルな話をしますと、これはある規模の大きい県営住宅で、30代半ばで、自治会の副会長、管理人もやっている方が、新たな収入基準に対してわずか400円程度オーバーしそうだと。現在6万円の家賃なのですけれども、4月から7万1、000円の家賃になったら、これは出ざるを得ない、民間アパートに入らざるを得ないと言っているそうです。子育て世代ですよ。来年4月に小学校に入る子供を抱えて、奥さんはパートで働いている。奥さんはパートですから、私は、この400円弱は何とかなるのではないか、そういう配慮があっていいと思うのだけれども、こういう実例があるわけです。30代半ば、働き盛り、自治会の役員、こういう方々を追い出していいのかと。
 今、目的外使用で若者を移住、定住でやっているでしょう。これはいいことですよ。しかし、今、災害公営住宅に入って定住しようとしている方々を、高い家賃で押し出すなどということをやったら、私は、これは本当に定住に逆行するのではないかと思います。目的外使用の定住の対象にこういう方々をしっかり据えて、子育て中で自治会役員をやっている方ですよ。こういう方々が、安心して入居が続けられるような手だてが必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 収入基準の引き上げの対象とならない世帯の皆様に対する対策でありますが、収入基準の引き上げ後も収入超過認定される29世帯につきましては、引き上げと同時に、高額所得者であっても退去を求めない措置を、県独自の対策として4月から実施することとしております。このような方々につきましても、家賃決定の際の通知などにおきまして、退去を求めないことにつきましては、きちんと通知して、急に住まいを失うことのないように努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 これは回答になっていないのです。退去を求めないだけで、高い家賃になるのだから。高い家賃だったら出ざるを得ないと言っているのです。ここが問題ですよ。
 いいですか、39歳以下の若者だったら、今県営住宅に目的外入居を認めているわけでしょう。被災者で、災害公営住宅をついの住みかとして、子育てもして、自治会役員もやっている。なぜこういう方々が追い出されなくてはならないのか。こういう方々に、やっぱり血も涙もないやり方ではなくて、一緒になって考えて、定住という角度から、特別な手だて、目的外使用も含めた手だてが必要だと思います。
 田中県土整備部長、若者だけじゃなくて、この方は30代半ばですから若者ですよ。被災地の若者を今の災害公営住宅から追い出していいのですか。自治会役員のなり手ですよ。私は、災害公営住宅のコミュニティーの中心になってやっている、こういう方々が住み続けられるような手だてが必要だと考えますけれども、いかがですか。
〇田中県土整備部長 災害公営住宅のコミュニティーの担い手となっている方々に、長く住んでいただけるようにという意味での御指摘と捉えました。長く住んでいただくためには、そういった観点で、12月定例会で収入基準の見直しをさせていただいて、議決いただいて、来年度から対応させていただきますし、あとは、裁量世帯の対象の範囲を拡大するといった取り組みもさせていただくことにしております。
 ただ、そうはいっても、委員御指摘のとおり、全員がそういう対象になるかというと、現状の制度としてはそうではありません。今、何ができるかというと、ちょっと難しいところはあるのですが、どういった制度がいいのか、見直すのかどうかというところでは、当然まだそういう段階ではないので、今これからやろうとしている制度を、まずしっかり皆さんに周知して、長く住んでいただけるようなことで考えていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 私は具体的に提案します。若者向けの目的外使用を来年度は沿岸にも拡大するとなっているのです。そこに、私が紹介したのは全く若者ですよ。そういう自治会の担い手、こういう方々も対象にすると。こういう形で、とりわけ被災者なのだから、そして地元で子育てして、自治会のコミュニティーの中心になっている方々に対して、若者の定住という角度で、そうすれば対象になりますので、ぜひそういうことを考えて、しっかり被災者の切実な願いに応える対応を強化していただきたい。
 次に、2030年に向けた気候危機打開と住宅の断熱化についてお聞きいたします。
 県内の住宅の断熱化の状況ですが、先ほど長野県の話がありました。長野県では、住宅の90%以上が断熱不足と言っているのです。それは基準が違うのです。国の低い基準じゃなくて、本当に断熱に必要な性能基準をもとにしてやれば90%は断熱不足。それを2030年までに全ての新築建築物のZEH、ZEB化を実現する、これが長野県の方針です。
 やっぱり岩手県も、今、住宅マスタープランも出そうとしているでしょう。来年度は、岩手県地球温暖化対策実行計画を見直すと言っています。私は、ここに合わせて、国の低い基準じゃなくて、鳥取県や長野県、そういう国の基準を超えたヨーロッパ並みの断熱基準の住宅建設でCO2削減、健康にもいい住宅の整備を県土整備部としても進める必要があると思いますけれども、いかがですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 国の省エネ基準を超える断熱住宅の建築推進と捉えておりますけれども、こちらの国の省エネ化の断熱基準につきましては、現在、岩手型住宅の基準にも準用しているところでありまして、今の岩手県住宅マスタープランの改定におきましては、このガイドラインも見直すこととしております。この中で、どういった基準がいいのかも検討しながら、県独自の断熱基準も研究してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 もうちょっとリアルに紹介しておきましょう。鳥取県のとっとり健康省エネ住宅性能基準の断熱性能だけ紹介しますと、UA値、国の省エネ基準は0.87、ZEH基準は0.60。とっとり健康省エネ住宅性能基準は、G1で0.48、G2で0.34、G3で0.23。いわばZEH基準を超えたレベルの住宅の整備に最大110万円から150万円の補助ということです。
 長野県が昨年打ち出した信州健康ゼロ住宅指針も、最低基準が、UA値で0.4から0.5、推奨基準は0.3から0.4、先導基準は0.2から0.23。3段階にしていますけれども、これも国の基準を大幅に超えた、それぞれの性能基準に応じた補助をやっています。
 EUは義務化なのです。日本は努力義務なのですね。そういう点でも、基準も低い、そして義務づけもしていない、そういう中で、私は、鳥取県、長野県の取り組みに学んでぜひやっていただきたい。
 一つだけ紹介すると、長野県はどうやってこれを推進しているかというと、いわばレベルの高い住宅をつくれば400万円から500万円高くつきます。しかし、それは年間30万円の水光熱費が削減できて、17年で回収できますと、ここまでやっているのです。だから、そういう具体的な基準、そして、その効果も示して、岩手型住宅という林業の分野とも少し整合性を持たせて、岩手型住宅のレベルを例えば3段階なら3段階定めて、それに応じた支援、補助をするということをぜひ来年度に向けて押し出していただきたい。いかがですか。
〇小野寺建築住宅課総括課長 さらなる断熱化への取り組みと捉えました。こちらの取り組みにつきましては、繰り返しになりますけれども、岩手型住宅のガイドラインの見直しで考えたいと思います。ZEH、いわゆる今の省エネ基準を超えたさらなる高みのZEHという国の省エネ基準、また、長野県ですとか鳥取県の取り組みを今研究しているところでございまして、今後、県といたしましてどれぐらいがいいのかを研究してまいりたいと思います。
 その中で、やはり建て主が納得してその住宅を建てていただけるような制度を確立していく必要があるかと思いますので、その辺は、委員から御指摘あったとおり、どれぐらいで金額が回収できて、どのようなメリットがあるかを適切に伝える方法も一緒に検討しながら、推進を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私も研究しました。住宅見学会にも行ってきました。私が見た住宅は、断熱性能、UA値0.28以下、これはG2グレードです。気密性能C値0.5以下、これもG2、G3のレベルです。こういう住宅は既につくられて、完成見学会に行ったのですけれども、それで坪80万円だというのです。これは決して、そんなに高くない。恐らく10年そこそこで回収できる。エアコン1台、夜だけ暖めて、日中は消して、私が見たときには、居間が24度、風呂場も24度でした。
 こういう住宅が整備されることは、CO2削減にとっても健康にとっても大変すばらしいことではないか。そういう力を持った業者も既に出ていますので、ぜひこのことを進めていただきたい。
 最後にまとめて聞きます。さっきの省エネリフォームは、たった10件でしょう。芽出し程度ですね。やるのなら100件、200件やるような予算を組んでいただきたい。県営住宅の屋根に太陽光発電を設置すべきではないか。
 市町村の住宅リフォーム助成、私は、やっぱり県の住宅リフォームは、本当に高断熱に、思い切ってそういうすみ分けをしてもいいのではないかと思っていますが、市町村の実績を含めて答えてください。
〇小野寺建築住宅課総括課長 まず初めに、県営住宅への太陽光発電の設置についてでありますが、国では、令和4年度から公営住宅の省エネ化、再エネ化導入を図るために、太陽光発電設備を原則設置とした上で、再生可能エネルギー設備の設置につきましても補助対象に追加しているところであります。
 県営住宅への太陽光設備設置の検討につきましては、積雪寒冷地である本県の発電効率ですとか、後づけで設置するという建物構造上の調査等の検討をする必要がございますので、設置の可能性につきましては、他県の事例等の研究を行いながら検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、市町村の住宅リフォーム助成事業の取り組みと実績、経済効果でありますが、県で把握しております市町村の住宅リフォームに関する助成制度につきましては、県内33市町村のうち29の市町村で実施されているところでございます。
 令和3年度12月末時点の住宅リフォーム助成制度の実績につきましては、補助件数が549件、補助額が約8、700万円となっております。経済波及効果につきましては、リフォーム助成制度の対象工事費を捉えますと、約9億8、000万円となっておりまして、補助額に対しまして約10倍の経済効果となっているものと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 私からは、まず、防災、減災対策について質問したいと思いますが、先ほども平成28年台風第10号災害、それから、令和元年台風第19号災害への対応等の状況が示されました。私も河川改修とか砂防施設の整備などのハード対策と、水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定などのソフト対策を効果的に組み合わせた防災、減災対策が非常に重要だと思っております。そういった点で何点か具体的に質問いたします。
 河川改修事業についてお聞きしたいと思います。洪水被害の防止、軽減を図るために、浸水被害が生じるおそれのある河川の改修等を実施されているわけでありますけれども、新年度は、令和3年度に比べまして16億円減少しているわけです。これで本当に河川改修事業に十分な予算と言えるのかどうか、この点を一つお聞きしたいと思います。また、これまでのこれらの整備の進捗状況、あわせて新年度の見通しについてお聞きいたします。
〇上澤河川課総括課長 河川改修事業についてですが、令和4年度当初予算案は、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を計上した令和3年度2月補正予算と一体的に編成し、合わせて約169億円の河川改良費により、広瀬川など29河川の河川改修事業等を行うこととしております。
 また、県管理河川の整備率は、令和2年度末で50.6%となっております。
〇千田美津子委員 これまで50.6%の進捗率ということでありますけれども、やはりこれを今後どう進めていくかも、県土整備部としてはかなり幅広い事業があるわけでありますが、洪水被害を防止する点で計画的に進めているとは思われますけれども、今後の見通し、どのように進めていかれるのかを一つお聞きしたいと思います。
 もう一つは、平成28年台風第10号災害により、岩泉町のグループホーム楽ん楽んで9名の入所者の方が犠牲となられました。さまざまな河川改修事業とあわせて、河道掘削、あるいは立ち木の伐採等も非常に重要だとこの間も感じてまいりましたが、これらについてはどのような状況にあるのかお聞きいたします。
〇上澤河川課総括課長 今後の河川改修をどのように進めていくかということですが、まず、先ほどの令和4年度当初予算案と令和3年度2月補正予算、これらを合わせた予算でしっかり取り組んでいくことと、平成28年台風第10号関係、あと令和元年台風第19号、近年そういった台風等での被害が発生している箇所があります。そういった箇所と合わせて、人口とか資産が集中している箇所、近年のそういった被害があった箇所を優先的に進めていきたいと思っています。
 いずれ、計画的な河川改修に努めてまいりたいと思います。
 また、河道掘削や立ち木の伐採についてどのような進捗状況かというお尋ねでしたが、平成29年度から令和3年度までの5カ年の年次計画として位置づけた河川につきましては、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策等を活用しまして、令和4年2月末までに、河道掘削は114河川のうち伊手川など92河川、立ち木伐採は74河川のうち小田代川など60河川において実施してきたところでございます。
〇千田美津子委員 全体とすれば計画的に整備を進めていくということで、よろしくお願いしたいわけでありますけれども、立ち木の伐採、河道掘削については、河道掘削が114河川のうち92河川、立ち木の伐採は74河川のうち60河川ということであります。
 今、非常に多くの河川で、立ち木が繁茂していて、いざとなったとき本当に大変ではないかという声が届いております。そういった意味で、先ほどの答弁だとそんなに残っていないとは思うのですけれども、これらは、今後どのくらいのペースで進められるわけでしょうか。河道掘削と立ち木の伐採に絞ってお答えいただきたいと思います。
〇上澤河川課総括課長 先ほどの河道掘削は、5カ年の年次計画で114河川、あと立ち木伐採74河川ということだったのですが、中小洪水の発生とか、私どもが管理する河川は300を超えるような箇所もあって、非常に多くの箇所があるということですが、市町村から要望等もいただいております。
 今掲げている河川に対して、先ほど述べた114河川のうちの92河川の河道掘削、74河川のうちの60河川の立ち木伐採ということだったのですが、ここの残っている箇所の今の状況等も鑑みながら、また、市町村からいただいている、また住民の方からいただいている要望箇所も踏まえて、緊急的に対応が必要な箇所を優先にやってまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 相当な事業があると思いますので、すぐにというわけにはいかないと思いますが、確認ですが、先ほどの、河道掘削については114河川、立ち木の伐採は74河川というのは、これは5年の計画だけですか。そうすると、担当部として今後対応すべき河川はどれくらいあるのでしょうか。
〇上澤河川課総括課長 どれくらいというか、やっぱり平成28年台風第10号災害とか、令和元年台風第19号災害とか、大きな洪水等があるとどうしても状況が変わるということで、この114河川とか74河川というのは、平成29年度時点でそういった箇所選定したものであって、これは固定したものではありません。まず一旦は、5カ年の年次計画におきましては、一定のこういった目標を立てながら進めてきたということで、今後につきましては、こういった年次計画ではなくて、まだ手がつけられていないような箇所で緊急的にやらなければならない箇所と合わせて、さまざまな地元からの要望も踏まえて、また、新しい状況というのですか、そういった観点で優先箇所等を考えていきたいと思います。
〇千田美津子委員 緊急に必要な箇所も多分5カ年計画の中で残っていると思いますので、それらも優先しながら、さらに点検を進めて整備をお願いしたいと思います。
 次に、砂防事業についてお聞きしたいと思いますが、県内でもとうとい命を奪った土石流災害が、この間も何件か発生しております。土石流による被害を防止する上で、土砂災害への対応が重要となってまいります。県内では土石流危険箇所は全体でどれだけ把握されているのか、また、そのうち整備が必要と認められている箇所数はどれくらいか。それから、砂防堰堤等のこれまでの整備状況、新年度の見通しについてお聞きします。
〇戸来砂防災害課総括課長 土石流危険箇所の整備状況についてでありますが、土石流危険箇所7、198カ所のうち、保全人家5戸以上などの要整備箇所数は2、204カ所、それに対する令和3年度末の整備状況は、整備済みが221カ所、その整備率は10.0%となる見込みでございます。また、令和4年度末におきましては229カ所の整備を目指しており、その整備率は10.4%となる見込みであります。
〇千田美津子委員 土石流危険箇所7、198カ所のうち、整備が必要な箇所が約3割の2、204カ所ということで、整備率が10%ですね。それで、新年度で229カ所になるわけですから、整備予定は8カ所ということのようであります。これも、本当に人命を優先する立場から言えば、これらへの対応ももっともっと促進しなければならないと思います。
 多額の費用と時間がかかると思いますけれども、ぜひこの整備に努力していただきたいと思いますが、優先度はどのように考えておられるのか。それから、もう一つ、土砂災害警戒区域等の指定の状況についても、あわせてお聞きいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 委員御指摘のありましたとおり、整備には多額の費用と時間がかかるわけでありますが、優先度といたしましては、被災履歴がある箇所ですとか、避難所、防災拠点、要配慮者利用施設が立地する箇所などを優先的に整備を進めてまいりたいと考えております。
 それから、土砂災害警戒区域等の指定状況ですけれども、土砂災害警戒区域の指定が必要な1万3、316カ所に対しまして、令和4年2月末時点における指定状況は1万2、689カ所、その指定率は95.3%。また、土砂災害特別警戒区域の指定が必要な1万2、392カ所に対する指定状況は1万1、773カ所、その指定率は95.0%となっております。
〇千田美津子委員 いずれ、危険箇所の整備については優先すべき箇所をお聞きしました。ぜひそれらを、順番にということになると思いますが、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 それから、土砂災害警戒区域の指定が95.3%まで進んだということで、本当に頑張っていただいたと思っております。それで、この指定がほぼ100%に近い形になって、今後の取り組みですけれども、実際に県民の方々が、この指定の後にどのように自分たちの行動をとったらいいのかをどう周知していくかにかかってくると思います。具体的には、市町村がハザードマップに反映させることが非常に大事になるわけですが、それらの点について、県はどのように考えていらっしゃるか、お願いいたします。
〇戸来砂防災害課総括課長 おおむね全ての区域指定が完了となるわけですけれども、いずれ住民の方々の避難の実効性を高めるためには、土砂災害の危険性の認知度を向上させることが大変重要だと考えているところでございます。
 それで、県で作成しました土砂災害警戒区域の指定図ですとか、基盤になるデータ、それらの資料を市町村に提供いたしまして、まずは、土砂災害ハザードマップの更新を進めていただく。それを住民の方々に広く周知していただく。また、土砂災害警戒区域の看板等を現地に設置するなど、住民が常日ごろからリスクを意識できる取り組みを市町村と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただいたように、県民が本当に理解できるように、県の市町村への支援がますます重要になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、急傾斜地崩壊対策事業についてお聞きしたいと思います。
 これは、急傾斜地の崩壊による被害を防止するために擁壁等の整備を実施するものだと思いますが、予算がいかんせん半分に減っているのです。この半分に減った原因とこれまでの急傾斜地危険箇所数、そして、要整備箇所数、整備率についてお知らせいただきたいと思いますし、また、新年度の対応、見通しについてお聞きしたいと思います。
〇戸来砂防災害課総括課長 急傾斜地崩壊対策事業費についてでありますが、令和4年度当初予算案におきましては、令和3年度と同数の8カ所で事業を予定しているところでございます。
 予算額の減額につきましては、工事の実施箇所が前年度の7カ所に対しまして3カ所に減ったこと、及び他の5カ所が工事着手前の測量設計に必要な予算計上となっていることから、工事費と比較しまして所要額が少額となっているものでございます。
 また、国の経済対策に連動しまして、令和4年度当初予算から2月補正予算に前倒しで計上した分もございまして、いずれ事業の実施に必要な予算額は確保しているところでございます。
 次に、急傾斜地危険箇所の整備状況についてですが、急傾斜地危険箇所6、959カ所のうち、要整備箇所1、599カ所に対する令和3年度末の整備状況は、整備済みが291カ所、その整備率は18.2%となる見込みです。
 また、新年度の対応と見通しについてですが、新規に3カ所に着手しますとともに、工事箇所1カ所の完了を目指しておりまして、令和4年度末においては、整備率は18.3%となる見込みとなっております。
〇千田美津子委員 この急傾斜地崩壊対策事業も、非常に危険な箇所について斜面の所有者等が工事を行うことが困難な場合に、これを県等が施設整備等の防止工事を行うものだと思います。非常に大事な事業でありますけれども、ぜひ、県民の安全のためにもこれを引き続き進めていただきたいと思います。
 それでは、ソフト対策で二つ、水位周知河川と洪水浸水想定区域について、先ほど佐々木宣和委員から質問があって、水位周知河川については44河川、それから、洪水浸水想定区域が51河川を年度内に指定できる見通しが示されました。実は、この洪水浸水想定区域は、令和3年度までの計画となっています。それで、この後の計画はどのように考えておられるのかお聞きいたします。
〇上澤河川課総括課長 この水位周知河川、洪水浸水想定区域の来年度以降の取り組みということですが、これにつきましては、今、市町村と調整を図りながら進めておりまして、大規模氾濫減災協議会を通じて、その計画を立てていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 そういう手法をとられるのもわかるのですが、これは年度内に計画を立てるということでいいですね。
〇上澤河川課総括課長 洪水浸水想定区域につきましては、水防法が改正されたことで、住家等がある箇所についてもそういった区域指定を進めるということですが、それは県内かなりの数の河川になると思います。まず、その河川の選択といいますか、どういった河川が対象となるかを検討しなければならない作業がありますので、今度の大規模氾濫減災協議会で数値そのもの全てを今後の計画として固めるところまでは行かないものもございます。基本的に、新年度の取り組みにつきましては、大規模氾濫減災協議会を通じて、市町村と調整を図りながら定めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 お諮りいたします。当委員会に付託されました議案26件についての意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において、世話人会で御協議願い、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 この際、世話人会を開催するため、暫時休憩いたします。
午後3時20分 休 憩
午後9時46分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 当委員会に付託されました議案26件について、世話人会で協議した結果を御報告申し上げます。
 議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算については、次の意見、すなわち、令和4年度岩手県一般会計予算の執行に当たっては、審査の中で成果指標の妥当性や指標の見直しの必要性が指摘されていることから、次の点に留意されたい。
 人口減少対策については、若年女性の県外流出に歯止めをかけるため、県内で働く女性が抱える困難などの課題を的確に把握した上で、生み育てる環境の整備を図るほか、中長期的な戦略的施策を講じること。
 新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、医療体制の充実や的確な経済対策が行われるよう課題を積極的に把握し、機動的に対応すること。
 厳しい県の財政状況のもと、県内の状況を把握し、国に対して財源の確保と地方の実情を反映した制度設計になるよう提言すること。
 また、東日本大震災津波からの復興の進捗や新型コロナウイルス感染症の状況など社会情勢の変化を見据えて、県民の幸福につながるよう、いわて県民計画次期アクションプランの策定に努められたい旨の意見を付し、原案を可とすることとし、また、そのほかの議案につきましては、それぞれ原案を可とすることとした次第であります。
 これより、討論を省略し、採決を行います。
 まず、議案第2号について採決いたします。
 本案は、先ほど読み上げました意見を付し、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇軽石義則委員長 起立全員であります。よって、議案第2号は、先ほど読み上げました意見を付し、原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、議案第3号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇軽石義則委員長 起立全員であります。よって、議案第3号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号は、原案を可とすることに決定いたしました。
 以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対しまして深く感謝を申し上げます。
 これをもって予算特別委員会を閉会いたします。
(拍手)
午後9時50分 閉 会

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