令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和4年3月17日(木)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
農林水産部長 佐 藤 隆 浩
技監兼漁港担当 技監兼漁港漁村課
総括課長 阿部幸樹
副部長兼
農林水産企画室長 大 畑 光 宏
農政担当技監兼
県産米戦略室長 藤 代 克 彦
農村整備担当技監兼農村計画課
総括課長 千葉和彦
林務担当技監 橋 本 卓 博
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 山口浩史
技術参事兼
森林保全課
総括課長 西島洋一
競馬改革推進室長 滝山秀樹
農林水産企画室
企画課長 鈴木茂寿
農林水産企画室
管理課長 安齊和男
団体指導課
総括課長 中野文男
特命参事兼
指導検査課長 佐藤宗孝
流通課総括課長兼県産米販売推進監 似内憲一
農業振興課
総括課長 中 村 善 光
担い手対策課長 村上勝郎
農業普及技術課
総括課長 小 原   繁
農業革新支援課長 荻内謙吾
企画調査課長 茂田 剛
農村建設課
総括課長 佐々木 剛
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 佐々木 誠 二
水田農業課長 工 藤 祝 子
畜産課総括課長 米 谷   仁
振興・衛生課長 長谷川 和 弘
林業振興課
総括課長 工藤 亘
森林整備課
総括課長 鈴木清人
整備課長 砂子田 博
全国植樹祭
推進課長 柏葉保行
漁業調整課長 阿部孝弘
漁港課長 佐藤一彰
県産米戦略監 佐 藤   実
財政課総括課長 山田翔平
〇軽石義則委員長 予算特別委員会の開会に先立ち、復興防災部長から、昨日発生した地震への対応状況について報告があります。
〇戸舘復興防災部長 お時間をいただきまして、昨夜の震度5強の地震に伴う被害及び対応状況について報告申し上げます。
 なお、お手元に、本日7時現在の被害対応状況第2報を配付させていただいておりますので、後ほどお目通しをいただければと思います。私からは概要説明をさせていただきます。
 昨日、令和4年3月16日、本県で最大震度5強の地震が発生したことに伴い、県は23時36分に岩手県災害対策本部を設置し対応してまいりました。
 本日3月17日7時現在、8地方支部5市町に災害対策本部、2町に災害警戒本部が設置されております。
 被害状況ですが、人的被害は、転倒や家屋内の落下物による軽傷の方が4名いらっしゃいます。物的被害は、非住家の壁や窓ガラス、ブロック塀の破損等が確認されています。また、道路の通行どめ、鉄道の運休や、一部地域の断水等が確認されております。
 県は、県管理の発電所、水道関係施設等の異常の有無を点検しますとともに、日の出以降、防災ヘリコプターにより上空から道路、河川等を視認しております。これまでのところ被害は確認されておりませんが、引き続き調査をしてまいります。
 これまで市町村等から県に対しての支援要請等は特別なものはなく、被害状況もおおむね確認できましたことから、県は、3月17日、本日9時10分に、災害対策本部から災害特別警戒本部に移行し、引き続き情報収集に努めているところでございます。
 私からの報告は以上でございます。
〇軽石義則委員長 以上で、復興防災部長の報告を終わります。
 復興防災部長は退席されて結構です。お疲れ様でした。
 執行部席消毒のため、しばらくお待ちください。
 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 川村伸浩委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日の農林水産部の審査につきましては、3月7日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野についてそれぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 また、本日は、農林水産部関係について延べ20人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしますので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇佐藤農林水産部長 農林水産部関係の令和4年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災津波を初めとする災害からの復興を着実に進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、本県農林水産業が地域経済を支える基幹産業として持続的に発展し、農林漁業者一人一人が、意欲を持って、生き生きと働き、暮らすことのできる農林水産業の実現に向けた取り組みを積極的に推進するための予算として編成したところであります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、海洋環境の変化等に対応した水産資源の持続的利用と養殖生産量の持続増大を図るため、新規就業者の育成を進めるほか、アワビの種苗放流や大型で遊泳力の高いサケ稚魚の生産技術の現場実装への支援、アサリの養殖生産技術の開発、普及など取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、農業分野では、新型コロナウイルス感染症の影響による米価下落を踏まえ、需要に応じた米生産の推進と県産米の需要拡大、林業分野では、グリーン社会の実現に向け、間伐や造林等の適切な森林整備の推進と、県産木材を使用した住宅購入への支援など県産木材の利用促進、水産業では、主要魚種の資源回復や、マイワシなどの増加資源の有効利用など水産資源の持続的利用と、県産オリジナルの海面養殖用種苗の開発など養殖生産技術の開発、普及による養殖生産量の維持増大などに取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その2の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の511億9、132万1、000円のうち県土整備部所管分を除く508億7、358万3、000円、9ページの11款災害復旧費2項農林水産施設災害復旧費の13億9、318万9、000円、12款公債費1項公債費のうち1、213万6、000円を合わせまして、総額522億7、890万8、000円となります。これを前年度当初予算と比較しますと、38億1、851万2、000円、率にして6.8%の減となりますが、これは国の令和3年度補正予算に対応した国庫事業の本年度補正予算への前倒し調整や事業者の要望に基づく補助費の減等によるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載しておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 12ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、12、公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、26、農村災害対策整備事業までの15件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、令和4年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが7件で、いずれもそれぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 23ページをお開き願います。議案第4号令和4年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ36億9、905万4、000円としようとするものであります。24ページをお開き願いまして、歳入の主なものですが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金であり、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売払収入等であります。25ページに参りまして、歳出の主なものですが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理の保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
 26ページをお開き願いまして、議案第5号令和4年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ8億2、300万円としようとするものであります。27ページに参りまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。28ページをお開き願いまして、歳出の主なものですが、第1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
 次に、29ページに参りまして、議案第6号令和4年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を歳入歳出それぞれ9億9、761万6、000円としようとするものであります。30ページをお開き願いまして、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。31ページに参りまして、歳出1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御報告申し上げます。67ページをお開き願います。
 議案第17号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか8事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、72ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものであります。
 次に、73ページに参りまして、議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、地域水産物供給基盤整備事業ほか8事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、予算関係条例について御説明申し上げます。
 議案その3により御説明いたします。議案その3の18ページをお開き願います。議案第30号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち農林水産部関係の改正内容は、21ページの別表第6中、20については、家畜検査手数料の額を診断用試薬の変更に伴い増額しようとするものであります。次に22ページの右側、24の2については、豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針の一部改正により、家畜防疫員のほか、知事が認定する獣医師も、豚熱予防液の注射を行うことができるとされたことから、この知事認定獣医師への豚熱予防液の交付について、新たに手数料を徴収しようとするものであります。
 次に、22ページの34の2から25ページの34の4までについては、畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律の施行に伴い、畜舎等の利用に際し、建築基準法の規定の適用除外等の規定が設けられたことから、適用除外に必要な畜舎建築利用計画の認定申請等について、新たに手数料を徴収しようとするものであります。
 以上で、予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 昨夜の地震の御対応もあったことと思います。お疲れ様でございます。被害は今のところないということですが、今後、土地改良区の関係で影響が出ることが予想されております。試験通水が4月にずれ込むところも多いようでありますが、これは前倒しでやっていただいて、作付に間に合うように御対応をお願いしたい。被害が出た場合には査定前着工も含めてぜひ御検討いただきたいと、冒頭申し上げます。
 では、質問に入ります。水田活用の直接支払交付金の見直しについて伺います。
 本会議で佐藤農林水産部長は、この水田活用の直接支払交付金の見直しについて、ちょっとわかりにくいと言いますか、よく説明してくれということを国に言っていますという話でありました。一方で、総括質疑の中で保副知事は、もう少し踏み込んで御答弁されたと理解しています。
 今の段階で本県は、水田活用の直接支払交付金の見直しについて、しようがないということなのか、それとも、困るということなのか、これをはっきりしてください。
〇工藤水田農業課長 水田活用の直接支払交付金の見直しに係る県の認識ということですが、本県においては、今回の見直しに関し、まずは、地域においてどのような不安や懸念があるか把握することが重要と考え、その把握に努めてきたところであり、生産者や市町村、農協などからは、生産意欲の減退や耕作放棄地の発生などを懸念する声もありますので、多くの生産者が困惑していると認識しております。
 県としては、生産者の声を国に伝えるとともに、地域の実情を踏まえて対応するよう国に強く求めていく考えで、これがだめとかよいという話ではなく、まず実際の現状を国に伝えていくという認識でございます。
〇岩渕誠委員 佐藤農林水産部長にお聞きします。この水田活用の直接支払交付金の見直しについて、本県にメリットはありますか。
〇佐藤農林水産部長 メリットというお話でございますが、単純にこの交付金の金額だけをお話しいたしますと、交付対象になっているものから外れるものがありますので、交付金の関係ということに関して言えば、メリットということはないと思っております。
〇岩渕誠委員 このことについてはっきり御答弁いただいたのは初めてだと思っております。交付金だけではなくて、メリットを数えたら指が折れない、デメリットを数えると足りないというくらいのことだと思います。
 具体的に聞いていきます。今回の見直しの中では、水張りなどの問題が出ていますが、岩手県が実際に水田活用の直接支払交付金で国からどの程度もらって、その内訳はどうなっているのか。これは恐らく戦略作物助成の分しかわからないと思います。
 それから、県がどれだけ国の政策に協力していたのか、これは転作率で見ればわかると思いますが、まずここをお示しください。
〇工藤水田農業課長 令和2年度の実績ですが、水田活用の直接支払交付金の支払い金額が全体で127億円です。そのうち一部ですが、戦略作物助成ということで、面積は2万1、007ヘクタールになります。
 転作の関係ですが、岩手県の転作の実績としては、令和3年度で47.3%の転作率となっております。
〇岩渕誠委員 この47.3%というのは、全国を5ポイント以上上回り、上から数えて9番目です。それだけ一生懸命やってきたということです。それから、今、127億円という支払い金額が出ました。これは全国で5番目だそうで、まさに国の政策にきちんと対応してきたということであります。
 戦略作物に限定すると、今2万1、000ヘクタールが対象になっていますが、そのうち飼料作物が3分の1以上の7、600ヘクタールです。このほとんどが恐らく永年生牧草だと思われるわけですが、今回は、まき直しをしたら3万5、000円出します。それ以外は1万円ということになっています。
 では、お聞きします。牧草のまき直しの経費はどうなっていますか。
〇荻内農業革新支援課長 牧草のまき直しに係る経費ですが、まき直しに係る除草や耕起、肥料散布、整地、播種、鎮圧などの作業に要する種苗費、肥料費、機械償却費などの経費について、標準的な費用などをまとめた岩手県生産技術体系により積算しますと、10アール当たり5万2、500円と試算されます。
〇岩渕誠委員 3万5、000円もらうために5万2、500円です。1反歩ですよ。1町歩やればその10倍ですから、そういうのをかけるということはまず現実的にないと思いますが、どう思いますか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 牧草のまき直し3万円5、000円のためにということかどうかという御質問ですが、まず、水田活用の直接支払交付金は転換を進めるために措置されているものでございます。
 3万5、000円と5万2、000円との差という部分については、実際に経営される生産者の皆さんの判断にかかってくると考えられます。
〇岩渕誠委員 経営の判断ですが、赤字のところを頑張る人はなかなかいないです。例えば、米農家10アール当たりの収支推移を見ると、最近では令和元年が一番高くて1万3、808円でしたが、足りないです。令和2年は4、321円、どこにも足りないです。令和3年度産、5ヘクタール未満の小規模農家は赤字です。やらないと思います。現実的に、この数字からも、大変厳しいということがわかると思います。
 それからもう一つ、水張りをしなさいというのが今回出てきます。水張りをするには、当然、畦畔がきちんとしていなければなりません。20年も30年も、場合によっては40年、50年、永年生牧草をやっていると、どうしても、いわゆるざる田と言いますか、畦畔から水が漏れるのです。それをどこまで認めるかということもあるのですが、では、交付要件を維持するために畦畔を直さなければならないといったときに、経費はどのくらいかかりますか。
〇佐々木農村建設課総括課長 畦畔を直す経費ですが、一度に整備する量や現地の地形の状況によって施工条件は異なるものと考えますが、国から参考として示されている畦畔整備に係る単価は、100メートル当たり28万円となっています。
〇岩渕誠委員 先ほど3万5、000円と5万2、000円の話をしましたが、これは桁が一つ違いますね。これは1反歩ですよ。1町歩あったら大変な話です。
 例えば、永年生牧草を1町歩やっていると、単純に今だと5年間で175万円くらいもらうはずです。ところが、この計算を見ると、まき直しを1回して、その後1年間1万円もらったとして、1町歩の計算で言うと、5年間で大体70万円ちょっとだと思いますが、そこから経費が引かれるわけです。たださえ今、経営がひどくて、しかも今は配合飼料や肥料の価格が上がっています。尿素はここ5年で大体3割上がっています。1年間で見ても2割上がっています。大体10%から30%上がって経費が圧迫している中で、こんな経費はどこにも出てこないと思うわけですが、ここまでの数字を聞いて、佐藤農林水産部長はどう思いますか。
〇佐藤農林水産部長 先ほどは、今回の交付金の見直しのメリットの話ということで、金額的なことで申し上げましたが、もともと米からなるべく高収益作物に転換しましょうという政策をずっと県も考えながらいろいろ進めてきましたので、これを契機に本気でそちらに移るということも、可能性としては考えられなくもないというところはあろうかと思っております。
 今回の見直しですが、国の説明は、制度の適切な運用をするのだということです。もともと交付対象は水田となっていて、そうでないものは畑地化しましょうということで運用してきたわけです。今回は、ルールの見直しということで、当初は過去5年間水張りをしなかったものは4年度から交付対象外にするという考え方でいたようですが、いろいろなところから強い反発、反対論が出て、今後5年間水張りをしないのであれば令和9年度から交付対象外にするというように制度の見直しを考えたということになっています。これは、交付金をもらい続けるために、米生産をするために水張りをせよと言っているわけではないという説明でございます。
 それから、牧草のコストの関係ですが、コストを考えると、播種をするときと、ただ単に刈り取りをするときだけ、このときは単価がコスト的に同じということはないだろう、なぜこのような単価設定にしたのかという積算根拠を伺っても国から説明はいただけないのですが、同じ単価ではないと言われると、この国の説明に対して正面から異を唱えにくいところがございます。
 一方、生産者の意見ということで、今まで交付されていた交付金がなくなると困るというのは、多分そのとおりだと思っておりますし、唐突だという意見も確かにそうだろうと思っております。これは心情的には非常に理解できるところでございます。
 ただ、本会議でも御答弁させていただきましたが、リンドウなど5年以上でブロックローテーションしている実態もありますから、こういうところは実態が違うということで、国にきちっと意見を申し上げなければならないと思っております。
 いずれ農業生産は、消費者と実需者のニーズを捉えた需要に応じた生産が基本ということで、国は需要の減少が続く米から麦、大豆、高収益作物などへの作付転換を今後も支援するという話をしておりますし、今回の見直しの趣旨を丁寧に説明するとともに、現場の課題を把握し検証する方向であると伺っております。
 何を悠長なことを言っているのだ、牧草単価は4月から変わるのではないかというところはあるかもしれませんが、地域の実情、実態を堂々と説明できる材料を集めて、国にどう物を申していくか、少し作戦を考えなければならないと思っております。
 いずれ目指すところは、生産者の所得が確保され、補助金、交付金がなくても意欲と希望を持ってやっていける足腰の強い農林水産業だと思っておりますので、ここをぶれずにやっていきたいと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 佐藤農林水産部長、前段の話は、国の話をそのまま私に言ってもだめですよ。岩手県の農林水産部長ですから、現場の声にきちんと耳を傾けてください。国の役所がつくっているのは全く机上の空論です。役所の中でどんなに鍬を振るっても、豊穣な大地は生まれないのです。現場の声を聞いて、岩手県の農林水産部として、もっと厳しくやっていただきたいと思います。
 今、金額の話をしましたが、畑作転換という話があります。ブロックローテーションという話があります。これは麦、大豆、牧草ということですが、品質的な問題、収量的な問題があります。県ではブロックローテーションをやります、麦をやります、大豆をやります、牧草をやりますと言いますが、私は品質低下、収量は免れないと思っていますが、どう分析していますか。
〇荻内農業革新支援課長 見直しが実施された場合の麦、大豆、牧草の収量への影響についてでありますが、見直しの実施の有無にかかわらず、汎用化水田などの水はけのよい水田では、質害などの影響は少なく、水張りによる連作障害の回避に対するメリットが期待できますが、水はけが悪い水田においては、麦で1から5割の収量減、大豆では1から2割の収量減、牧草については最大で5割の収量減が懸念されるところです。
〇岩渕誠委員 岩手県は、基本的に土地改良はなかなか厳しいところがあって、金をかけているところは別だけど特に中山間地は水はけのよい田んぼはほとんどないのです。
 そうすると、やれやれと言っているけれども、麦は半分になります。大豆も2割減ります。牧草は5割減ります。今お話はなかったけれども、病害も当然出ます。倒れますね。これをやっていくと質もだめなのです。だから所得の確保ということに絶対ならないと私は思います。
 技術的なことですから、これは農林担当技監に伺います。藤代農政担当技監のふるさとは、転作を一生懸命行っている非常にすばらしい地域だと思います。こういう政策をやっていては、ふるさとの農地は守れないと思います。今の技術的な分析を踏まえて、技術的な観点から、今回の水田活用の直接支払交付金の見直しはどう思いますか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 水田からの転作については、当初は、転作奨励という形ですが、米の消費の減少が続く中で、水田を活用して収益の上がる作物をつくりましょうということに変わり、特に、この水田活用の直接交付金については、その色合いが強くなって、平成29年から、水田機能を有したところを対象にという形に変わってきたと承知しております。
 先ほど佐藤農林水産部長が言われたところもありますが、補助金というのは上手に使っていくことが必要だと思いますので、農家の方は補助金も有効に使いつつ、水田という農地を活用して自分の経営の中でメリットのある作物を選択してつくっていただく。それについて、県は技術的な支援、あるいはハードウエアの支援など、農村でいろいろ活用ができるものについて取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 御答弁の意味がよくわからなかったけれども、この水田活用の直接支払交付金は、いわゆるお金の面と技術的な面だけに限って言いましたが、ただ、農家の経営ということではなくて、農業や農村、産業もそうですが、人口減少にかなりかかわってくる話だと思います。戦後、農業に対するいろいろな改革がありましたが、これをこのまま進めていくのは、イント・オブ・ノー・リターンのものと深刻に思っています。
 県でもう少し頑張ってほしいのは、いろいろな声を聞きますという答弁があったのですが、北海道は既に12月に、これはまずいということで、ホームページ上で、水田活用の直接支払交付金の見直しにより懸念される事項について、取りまとめています。それから、1月には実態調査を行い、地域協議会から700件くらいの意見を呈し、これを四つの項目とその他として20くらいにまとめて公表しているのです。ここには、土地改良区の経営の問題や担保価値の問題、多面的機能支払いの影響、治水の問題、融資の問題など、非常に多岐にわたる問題をやっています。ぜひこういう問題を取り上げて公表してほしいと思うのですが、最後にお聞きします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 まずは、地域においてどのような懸念があるかというところを把握してきたところでございます。
 県としては、さまざまな声や懸念が寄せられているところで、そういう地域の課題等々を今後整理して、本県の実情を国に強く伝えながら、必要な対応を求めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私からも、水田活用の直接支払交付金の見直しについて伺います。岩渕誠委員の質問と重複しないように頑張ってみたいと思います。
 まず、交付金の実績は、先ほど、岩手県は127億円ということでした。今、北海道の事例もありましたが、ちなみに令和2年度、北海道には幾らくらい交付されているのかを含めて、岩手県の交付実績、全国シェアの推移をお示しください。
〇工藤水田農業課長 北海道への実績については、今手元に資料がないので、申しわけございません。
 岩手県への実績は、先ほどの127億円の支払い実績でございます。これは全国の予算の約4%に値します。
〇臼澤勉委員 全国で3、050億円と推移している中で北海道は536億円、全国の予算の約18%のシェアを占めています。岩手県と同じように、あるいは岩手県以上に交付金を受けているという実態にあります。
 そういった中で、先ほど来からいろいろと、本会議でも聞いております。今回は唐突だという御指摘もありますが、平成29年5月30日付で財務省から予算執行調査指摘が示されています。
 これまで岩手県として市町村等に対してどう指導してきたのか、今回の見直しを県としてどう捉えているのか、まずお伺いします。
〇工藤水田農業課長 市町村等への指導や、見直しに対する県の受けとめ等についてですが、水田活用の直接支払交付金については、平成29年度に交付対象水田が明確化されたことから、県ではその内容について、その時点で市町村に通知するとともに、市町村等が事務局を担っている各地域農業再生協議会の担当者会議において周知を図ってきたところでございます。
〇臼澤勉委員 周知を図ってきたと言いますが、なぜこのような意見が出てくるのですか。
 先ほども岩渕誠委員からお話がありましたとおり、北海道では既に、地域協議会説明会や再生協議会の声をただ単に国に届けるといった子供の使いではなく、実際に自分たちの自治体の農業のあり方、水田を活用した米政策を含めた全体での農業のあり方、影響をどう捉え、どうやっていくべきかといったことまで、具体的に農林水産省と意見交換しながらやってきているわけですよ。
 岩手県はこれまで何をやっているのですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水田活用の直接支払交付金が平成29年度に明確化されたという部分については、ただいま御答弁申し上げたとおり、地域農業再生協議会等を通じて周知を図ってきたところでございます。
 交付対象水田については、地域農業再生協議会が確認等をしてこれまで交付してきましたが、今回の見直し等に関して、国と意見交換をしたのかというお話ですが、国と本県との個別の意見交換等はしているところでございますし、実際に農林水産省といろいろと意見交換や、直接、生産現場の現状等をお伝えしているところでございます。
〇臼澤勉委員 それでは伺います。5年以上水張りをしない場合は令和9年度から交付対象から外れると言いますが、畦畔、水路を外した水田はどの程度あるのですか。
〇工藤水田農業課長 現時点で交付対象とされている農地は、全て水田機能を有していると認識しております。
〇臼澤勉委員 そうなのです。そもそもそういった田んぼが交付金の返還対象になるわけですから、基本的にない、私はそのように認識しております。
 そういった中で、それでも今回見直しの影響を受ける農家というのは実際にあります。大きく二つかと思うのですが、一つは、畦畔、水路を維持した上で5年以上のブロックローテーションを組んでいる農家、もう一つが、牧草を作付している農家だと思っております。
 それで、先ほど、交付対象面積2万1、007ヘクタールという説明がありましたが、牧草を生産している面積はどのくらいあるのか。そして、岩手県内の地域のどこに、例えば県南の地域に多くあるとか、その辺の現状をお示しください。
〇工藤水田農業課長 牧草の面積でございますが、戦略作物助成の対象となる飼料作物の面積が、令和2年度の数字ですが、7、648ヘクタールあります。そのうち牧草の面積は約7、400ヘクタールとなっております。
〇臼澤勉委員 飼料作物全体の36%、先ほども3分の1、3割くらいだという話がありましたが、今回、まさにそういう畜産農家の方々への影響が大きいのかなと受けとめております。土地の貸し借り、あるいは営農計画を見直す必要が出てくるので、本当に非常に大きな問題になってくると私も受けとめております。
 それで伺いますが、永年牧草の刈り取りだけを行う年は3万5、000円から1万円になるということで、先ほど、国の積算根拠は聞いてもわからないということですが、改めて聞きます。この生産コストを県はどのように評価しているのか。そして、刈り取りだけの年と、播種から刈り取りを行う年と、生産コストに差があるのかないのか、そこも含めてお答え願います。
〇工藤水田農業課長 牧草の単価の関係ですが、県は国に対し、牧草の交付単価の見直しについて積算根拠を問い合わせているところですが、先ほど佐藤農林水産部長から話がありましたとおり、現時点では回答が示されておりません。
 この見直しに関し、生産者等からは提示が唐突ということでいろいろな声が寄せられており、多くの生産者が困惑していることは認識しております。
〇臼澤勉委員 それではお伺いしますが、皆さんは行政マンとして、ある政策を、あるいは補助金や交付金を予算要求するとき、例えば現状の3万円を見直すといったときに、適当につかみで財政当局に1万円ですと言ってお示しするものなのですか。
〇工藤水田農業課長 そのような積算はないと思いますが、国からは、その積算根拠を示していただけないという状況です。
〇臼澤勉委員 国が示す示さない、まずそこはよいのですが、基本的に根拠を持って、国民からいただいた税金を執行する以上はやはり説明責任も求められます。実際に3万5、000円まであったものを、条件が違う、今回は刈り取りの部分だけの年は1万円にしますということで見直しをかけていくという意味で、必ずここは理由づけがあると思いますし、そこら辺はしっかりと聞き取って詰めていっていただきたいと思いますが、先ほど聞いた、差があるのかどうかだけはまずお答え願います。刈り取りをするだけ、あるいは播種をして行う年の牧草の生産コストの差についての御認識を伺います。
〇荻内農業革新支援課長 播種を行う年、いわゆる草地更新を行う年は、播種と追肥、収穫作業を含め、トータルで10アール当たり11万円ほどのコストがかかります。播種を行わない、草地更新をしない場合は、追肥と収穫それぞれ3回の作業となりますので、10アール当たり6万1、000円のコストがかかると試算されます。
〇臼澤勉委員 作業量が全く違うわけですから、生産コストは明らかに違っております。ただ、実際に農家の方に聞けば、刈り取りだけでも3万5、000円もらってきた部分については、大型機械の導入や機械の償却費も含めて、非常にありがたく使わせてもらっていたというのは当然だと思います。
 ただ、刈り取りだけの年と播種からのときとは、明らかにコスト的には変わってくるので、そこについてはやはり見直さざるを得ないということについて、そこは指摘しておきたいと思います。
 そういった意味で、今後、畜産農家にどのような影響があると捉え、県としてその課題解決に向けてどう取り組むのかというのがこの問題の本質で、水田調整の米の転作に向けての政策を組む以上は、政策目標があって進めているわけです。それが延々といつまでも続くのはあり得ないのはそのとおりだと思いますし、ある政策目標が達成されたときには、その交付金のあり方も見直していくのはやむを得ない。
 ただ、水田の活用、転作のみならず、その補助金のあり方をピンポイントで見ているのではなくて、もっと大きな、ほかの支援策も含めた全体の営農計画を含めた今後の体系についての県としての取り組みなりを議論していかないと、議論が少し小さくなっていると思って見ております。その辺の県の御認識を伺います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 水田農業全体の話ということでございます。
 米の需要が減少している中で、今後とも、本県の水田農業を持続的に発展させる、あるいは維持していくという部分については、需要に応じた米の生産、水田をフルに活用した高収益作物等の導入の部分をいずれ進めていかなければならないと考えているところでございます。こうした中で、水田活用の直接支払交付金については、特に、後段のフル活用の部分に関係してくるのかというものでございます。
 需要に応じた米の生産については、県として米戦略を立てながら両輪の中で取り組んでいるところでございますので、いずれ水田農業をしっかり発展させてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 改めて影響についてですが、例えば中山間地域等直接支払交付金への影響などはあるのですか。
 そして、水田リノベーション事業費が上乗せとなっていますが、新年度の事業計画はどのようになっているのか、あわせて伺います。
〇中村農業振興課総括課長 中山間地域等直接支払交付金への影響ということですが、中山間地域等直接支払交付金は、湛水するための畦畔並びにかん水機能を有している土地が交付対象になっています。水稲以外の作物が栽培されている場合でも、田の機能を有しているものは田とするということで、国にも確認しましたが、中山間地域等直接支払交付金に関しては影響が生じることはないと確認をとっております。
〇工藤水田農業課長 水田リノベーション事業の新年度の計画についてですが、まず水田リノベーション事業については、水田農業から新たな需要拡大が期待される作物を生産する農業へと刷新していく、リノベーションする取り組みを支援するもので、水田を活用した大豆や野菜等の作付拡大に有効な事業と考えております。
 令和4年度は、13地域農業再生協議会において、麦、大豆、加工用米などの約4、800ヘクタールでこの事業の活用が計画されているところでございます。
〇臼澤勉委員 令和4年度の財政制度等審議会において、米政策に関して、大規模な経営体が収益性が低く補助金の多い転作作物を作付する傾向にある、そして、水田農業の生産性を高めつつ転作助成金の財政上の持続可能性を高めていく必要があるということで、今回見直しが出てきております。
 この本質は、県として交付金による影響についての声を聞き把握し、そして分析して、将来、交付金、補助金に頼ることのない農業経営を目指していく岩手県の農業のあり方、水田から次への活用を含めた、集約化も含めて考えていく必要があると思っております。
 佐藤農林水産部長に、この辺の御所感をお伺いします。
〇佐藤農林水産部長 いずれ生産者の所得向上が一番だと思っております。そのためには、生産コストの低減、農林水産物の高付加価値化、そして販売戦略の取り組みを組み合わせで行っていくべきだと思っております。
 今回の交付金の見直し等でどういう影響が出るのかは、正直言って、6月以降にならないと金額的なところをはじけないというところがありますが、どういう影響が出るのか、あと、用意されている交付金、補助金をうまく使って生産者の所得向上をいかにうまく確保していくかというのは、常に考えていかなければならないと思っております。
〇臼澤勉委員 ぜひスピード感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、農林水産省ともしっかりと連携して、岩手県の実情に応じた政策提言も含めて取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、みどりの食料システム戦略について簡単に伺います。新年度の栽培体系のグリーン化、有機農業の導入支援の具体的な事業計画と中長期的な計画目標をどう設定しているのか伺います。
〇小原農業普及技術課総括課長 令和4年度当初予算案に盛り込みましたいわてみどりの食料システム戦略推進事業については、農業の生産力向上と環境負荷への低減の両立に向け、国の新規事業を活用し、市町村や地域の協議会等が行う栽培体系のグリーン化や有機農業の取り組みに係る経費を補助しようとするものでございます。
 その具体的な内容については、化学農薬等の使用量を低減した環境にやさしい栽培技術のモデル実証、ドローンなどスマート農業技術を活用した省力化の取り組み実証、学校給食での有機農産物の利用など、有機農業の産地づくりに向けた取り組みを支援することとしております。
〇臼澤勉委員 いずれ商工労働観光部、環境生活部、農林水産部、部局横断的な組織を編成して、民間を含めた連携体制が必要になります。また、専門的な視点を持った部長級ポストに技術職の登用を含めて、来年度以降の人材育成、連携体制強化の取り組みを図る必要があると思います。あわせて御所見を伺います。
〇安齊農林水産企画室管理課長 グリーン社会の実現に貢献するみどりの食料システム戦略に対応した取り組みの推進を図るためには、もちろん農林水産分野のみで完結するものではございませんので、環境、商工分野と一体的に進める必要がございます。
 県では、4月に環境生活部にグリーン社会の実現に向けた専担組織を設置し、本県における分野横断的な取り組みを推進することとしておりますので、当部としても、環境生活部を初めとした関係部局としっかり連携を深めていきたいと思います。
 また、生産者のみならず、加工、流通業者等の理解も重要と考えておりますので、行政、関係機関との連携を深めてまいりたいと思います。
 技術系職員の育成についてですが、こういった国の政策を踏まえ、県の政策を部局間連携のもとで効果的に展開するためには、委員御指摘のとおり、技術系職員の育成が重要であると認識しておりますので、OJTやさまざまな研修体系、ジョブローテーションの中での部局間交流を進め、多角的な視点を持ち、県政課題に的確に対応できる職員の育成を図ってまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時2分 休 憩
午前11時16分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 大きく2点についてお伺いします。
 まず、令和4年度で全庁的に最重要課題として、人口減少問題について特出しで当ることになっております。農林水産部でも予算化されておりまして、これは後ほど聞きますが、最初に、全庁的にやるということなので、佐藤農林水産部長に、人口減少問題の最重要課題に対する農林水産部としての問題意識について伺いたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 本県の農林水産業は、地域経済を支える基幹産業であり、就業人口の減少や高齢化など環境変化にも的確に対応し、将来にわたり持続的に発展していくことが重要と思っております。
 このため、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、地域の核となる経営体や次代を担う新規就業者の確保、育成、省力化など経営規模拡大にも対応するスマート農林水産業の推進に取り組んでおります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響等により、地方移住に関する関心への高まりもありますし、個人の意識、行動変容もございますので、令和4年度当初予算案において、新規就業者の確保に向け、県立農業大学校、いわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーによる知識や技術習得、経営確立のための資金や機械等の導入を支援するとともに、Uターン、Iターンや関係人口の拡大に向け、本県で就農あるいは暮らしに関する情報発信等に要する経費を盛り込んでいるところでございます。
 こうした取り組みを通じ、農林水産部としても、人口減少に対応する対策を進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 人口減少社会への対応としての農林水産部の予算は、水産、林業、農業、森林農業というように七つの事業があり、これは単年度予算ですので、これからも継続して行うものがあると思うわけですが、人口減少対策について、ことしはざっくり何人くらいふやそうという具体的な目標を設置して行っているのでしょうか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 農林水産部として人口を何人ふやそうという目標はございませんが、農林水産業に係る就業者の目標としては、毎年度440人という目標を立てております。
〇飯澤匡委員 その件についてはまた後で質問します。
 そこで、先ほど挙げた人口減少社会への対応として、全部局35事業で14億800万円です。そのうちいわてニューファーマー支援事業対象者250名、これが前年比241%増で約6億円、非常に大きな割合を占めているわけです。全体的に言うとすごくアバウトなわけですが、この事業は、今回は伸び幅も非常に大きくて、ことし新たにやろうとしている、そのポイントをぜひ示していただかないと、例年やっていることをただ詰め込んだだけと言われてしまうので、その点をしっかり明確に示してください。
〇小原農業普及技術課総括課長 いわてニューファーマー支援事業は、国の農業次世代人材投資事業を活用し、就農準備や経営開始時の早期の経営確立を支援する資金を交付するものであり、直近の5年間で約260名の方々に交付をしております。
 また、国において令和4年度に新規就農者育成総合対策を起こし、これを活用し、これまでの資金交付の支援に加え、新たに就農後の経営発展のために必要な機械、施設等の導入支援に要する経費を今回の当初予算案に盛り込ませていただいたところでございます。
 この機械等の導入支援については、国と県を合わせて4分の3を補助しようとするもので、新規就農者の初期投資額の抑制により、早期の経営安定、地域への定着が期待できるものと考えております。
〇飯澤匡委員 聞けば大変よい事業だと思いますが、新規就農者の開拓に向けて、どのように情報発信していきますか。その方策についてお尋ねします。
〇小原農業普及技術課総括課長 いわてニューファーマー支援事業は、平成24年度から続けさせていただいております。新規就農者の確保に向けた支援事業については、農業改良普及センター、あるいは市町村、関係団体においても、一定程度御理解いただいていると思います。
 今回新たに入りました機械、施設等の導入支援についても、そういった方々を通じてPRしておりますし、何件かの相談にも対応しているところです。ただ、具体的な要綱、要領が国からまだ示されていない状況ですので、概略的な内容をPRさせていただいている状況であると御理解いただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 いずれ金銭的には、県全体での事業の大きな割合を占めていますので、大いに農林水産部には期待し、我々が中間管理をしなければならないかと思っています。県庁内では中間管理するところ、ヘッドクオーターはないようだから、そうしなければならないかと思っています。期待していますので、よろしくお願いします。
 2点目は、酪農の振興についてです。
 さきの一般質問で、武田哲議員の質問に、酪農家の戸数は減っているけれども、乳量的にはよい水準で維持しているという答弁がありました。
 そこで、まず第1点ですが、全国の需給状況についてですね。昨年末には牛乳が、当初は1万3、000トン余るのではないかという話でしたが、だんだんに5、000トンになって、いろいろな方々の御助力により何とか消費できたということです。乳製品の動向も含めて需給バランスを上げたりという状況になって、生産者にとっても、牛乳余りになったらどうするのだということです。
 乳価のこともありますが、需給等の状況について、岩手県はどのように把握し、今後どのように推移するのか。あわせて、乳価の今後の推移についてどのような見込みであるかも伺います。
〇米谷畜産課総括課長 乳製品等の需給の動向と乳価の見込みについてでございます。
 酪農関係団体等で組織する一般社団法人Jミルクの令和4年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しによると、新型コロナウイルス感染症などの影響により、脱脂粉乳の在庫量が今年度末には過去最大の約10万2、000トン、さらに令和4年度末には約13万8、000トンに増加すると見込んでいるということです。
 続いて乳価の関係ですが、乳価については、酪農家から生乳の販売を委託されている指定生乳生産者団体と乳業メーカーの交渉により決定される生乳取引価格から、集送乳経費等を差し引き、加工原料乳生産者補給金等を加算した総合乳価、いわゆるプール乳価は、最新となる令和2年度で1キログラム当たり105.6円と、5年前の100.5円から5.1円高くなっております。
 今年度も高どまりにはなっていますが、先ほど申したように、乳製品等の在庫の見通しがかなりふえるということもあり、今後の乳価については、今の段階で具体的には見通せないと考えております。
〇飯澤匡委員 先ほど来、水田活用の直接支払交付金の議論もありましたが、岩手県として、生産基盤の強化も含め、もとになるのは、どれだけの実入りがあるかを明示していくことが必要だと思うし、その見通しについて県自体でもしっかり持っていなければならないと思います。
 なかなか見通せないという話でしたが、これから下がることはないと思います。グローバル社会になって、世界のどこからでも食料は輸入できることになりましたが、今回のコロナ禍により、やはり自国内での需給はさらに見直されると思います。特に、生乳については輸入できるようにハード面を整備するのは今の時点では難しいので、そうすると、畜産県としては、肉用牛の生産もそうですが、酪農についても、同時にしっかり取り組んでいく必要があると私は思っているわけです。
 岩手県の生乳の移出が、今、東北生乳販売農業協同組合連合会になってから、岩手県というブランドがなかなか出づらくなってきている。これも生産者にとって生産マインドがなかなか上がらない事実にもなっているのではないか。近い要因ではないけれども、遠因としてあるのではないかと思うわけです。
 それで、いわて牛を使った商品開発は、いろいろな方々が中心となって、福田パンやコンビニ各社も活用されていますが、乳製品というのは岩手県でなかなか出てこないのです。年末の生乳が余るというときも、各県、大分PRしました。肉用牛のPRとあわせて牛乳についてもしっかり、岩手県産ということも含めて、いろいろ情報発信する必要があるのではないかと思いますが、その辺の御所見はいかがですか。
〇似内流通課総括課長 牛乳の消費拡大の話がございました。
 酪農家が安心して生乳を供給するために、牛乳の消費拡大の取り組みはやはり重要と考えております。
 県ではこれまで、学校給食用牛乳の安定供給や酪農出前教室等により、消費拡大による普及啓発活動などを行ってきたところであります。今年度、新たに第3回全国ヨーグルトサミットinいわて開催の支援ということで、関係機関、農業関係団体と連携しながら、牛乳の消費拡大の取り組みを進めてきたところであります。
 また、酪農家の商品開発に向けては、例えば葛巻町の乳製品加工研究会では、会員の牧場で生産された生乳を使用したジェラードを製造し自社の工房で直売しているとか、雫石町にある事業者がアイスクリーム工房松ぼっくりの運営をしております。
 県としては、そういう酪農家の方が所得確保できるような取り組みをしっかり支援していきたいと思います。
〇飯澤匡委員 ポイント、ポイントではいろいろなところで努力をされていると私も認識しておりますが、まだまだ系統出荷が中心となっている状況で、全体的に岩手県としてのブランドというのはなかなか厳しいと思います。先ほども言ったように、今、東北生乳販売農業協同組合連合会が一元的にやっている中で、なかなか厳しい状況ではあるけれども、生産者の生産マインドをしっかり支えていくには、マーケットに対するアピールも絶対必要だと思うので、その辺はもう少し研究していただきたいと思います。
 最後に、生産基盤の強化について、若手の酪農者も数少ないながら頑張っている方々がおります。そういう方々に対して、いかに生産意欲を維持できるような形で支援していくかというのは大変大事なことだと思いますが、その点についての現状と、これからどのようにしていくのかお尋ねします。
〇米谷畜産課総括課長 生産基盤の強化策でございます。
 県では、昨年3月に策定した岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画において、これから飼養戸数、頭数の減少が見込まれますが、経営規模の拡大や乳牛の産乳能力向上等により、県全体の生乳の生産量を維持することを目標に掲げております。
 このため、規模拡大を志向する若手生産者の牛舎等の整備に加え、草地基盤の造成、整備、乳牛の預託施設の整備、飼料の収穫・供給を行うコントラクター・TMRセンター等の─外部支援組織と呼んでおりますが─育成、強化などに取り組んでおりますし、県や農協等で組織するサポートチームの活動で、乳量、乳質、分娩間隔の改善などの産乳能力向上を技術的に支援してきているところでございます。
 さらに、労働負担の軽減に向け、スマート農業技術の活用を進めていくこととしております。国の事業などを活用しながら、搾乳ロボットや哺乳ロボットといったスマート技術の導入を支援しながら、生産基盤の強化に取り組んでいくこととしております。
〇飯澤匡委員 人口がどんどん減っていて、学校給食用牛乳も、関東地方ですら需要が大分厳しくなってきているというのが、ここ数年来の状況であると理解しています。
 ここから先、マーケットが縮小していく中で、乳製品としてどうやっていくかという戦略が岩手県でも必要だと思うし、年末に、全国の生乳が余っているときにも、生産地としてタイムリーに情報発信していくことが大事だと思います。佐藤農林水産部長がテレビに出て1リットルがぶ飲みするくらいの迫力で、他県のやらないような、時期を捉えた宣伝をしっかり行ってほしいと思います。その辺は岩手県はどうも下手だから、しっかりやっていただきたいと思います。
 知事は内需拡大といつも言いますが、あれ以上はこれから拡大しませんよ。その中で、どうやって継続的に高品質なものをつくるか、そして、量をきちんと確保するかということを主眼にやっていただきたいと思いますが、佐藤農林水産部長、どうですか。
〇佐藤農林水産部長 酪農の関係のお話をいただきました。確かに、肉用牛と比べて露出度から何から随分劣るのではないかという御指摘は、予算の規模から考えても、実態的にそのようになっております。
 岩手県としては、全国に名立たる畜産県でもございますので、マーケットが縮小していく中での売り込み先、あるいは世の中に受け入れられる、消費者から選んでいただけるような商品開発も念頭に置きながら、私がいろいろなところに出てがぶ飲みしてそれだけ需要が上がるかどうかというのはちょっとわからないところでありますが、PRの仕方も含めて、肉用牛に負けないような方法を考えてまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひ佐藤農林水産部長の牛乳政策、期待をしております。
 そして、私も今回の予算編成の中でポイントだったのが、やはり人口減少のいわてニューファーマー支援事業だと思っております。先ほどの質問と重なりましたので、簡潔なところを伺いたいと思います。
 間口を広げて入るのはよいと思います。ただ、借りた農業者の方々のリスクが非常にあると思っています。農業生産物の価格も上下しますし、やめたときどうなるのか、いろいろあると思いますが、そのリスクをどう捉えているのか伺います。
〇小原農業普及技術課総括課長 いわてニューファーマー支援事業の資金の交付を受けた就農希望者あるいは新規就農者が担うリスクですが、仮に研修終了後に就農しなかった場合や、交付期間中に農業経営を中止した場合、交付期間終了後に交付された期間以上に営農しなかった場合は、交付された資金の返還が求められるというルールとなっています。
 このため、農業改良普及センターにおいては、市町村やJAと連携し、新規就農者の営農計画の策定、あるいは、計画がしっかりと達成できるような栽培技術の習得に向けて、重点的な指導を行っているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 そうすると、恐らく事業採択には厳しい審査も当然必要になってくると思います。まず、事前にそれをしっかり説明していただいた上で、間口を広げつつ、いかに営農を継続できるかというのが一番重要なことだと思いますので、その点をお願いしたいと思います。
 そして、岩手県で新規就農者の育成というと県立農業大学校で、今回も管理費で4億2、000万円計上されています。ICT化等さまざま進んでいると思っていますが、現在の入学者の動向、就農状況など、簡潔で結構ですのでお答え願います。
〇小原農業普及技術課総括課長 県立農業大学校の入学者数は、令和3年度は52名となっており、過去5年間の傾向を見ますと、年によって変動がありますが、48名程度とおおむね横ばいと見ております。
 また、就農状況は、令和3年度の卒業生43名のうち、約6割の25名が自営または雇用就農しており、過去5年間の傾向をみますと、微増傾向となっております。
〇菅野ひろのり委員 国で出している農業大学校に求められる新たな役割と機能という調査の中に、就農率の記載があります。岩手県は、先ほど微増ということで、70%近くあるわけですが、ほかの都道府県、高いところでは北海道は100%近かったり、長野県で9割くらいというデータがある中で、岩手県も、就農者がやると言ったときは、県立農業大学校と先ほどのニューファーマー支援事業による支援などのように、新規就農までの接続は非常に重要だと思っています。教育の期間だけで終わり、こういう事業は別のところというのではなく、新規就農までの接続をしっかりしていただいて、キャリア形成をお願いしたいと思います。
 それで、私も県立農業大学校に伺わせていただくと、校舎が非常に老朽化してきている現状があります。例えば職員室もクーラーがないような中でありますし、講堂も雨漏りがするような状況です。ここで学生が、岩手県や、それ以外の地域からも来て授業を受けて、高いモチベーションで、明るいこれからの農業をICTを活用してできるのかとなると、私はそのように感じられる設備ではないと思います。
 当然予算がある中ではありますが、計画的に改修等を考えていかなければいけないのではないかと思いますが、県の考えを伺います。
〇小原農業普及技術課総括課長 県立農業大学校の施設については、これまで男子寮や体育館の建てかえ、女子寮や食堂の修繕などを進め、今年度はトイレの洋式化、保健室の機能の充実、そして、不具合が生じていた女子寮のボイラーの更新をさせていただきました。
 また、令和4年度は、男子寮のボイラー更新等に要する経費を当初予算案に盛り込ませていただいております。
 今後の県立農業大学校のあり方や必要とされる教育環境について、今検討を進めていまして、国に対しては対応可能な事業の創設を要望しています。今後とも施設整備に要する財源の確保、国への要望等をあわせながら、改善に努めてまいりたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 これは急務な内容であると思います。若い人材を集めて、これから意欲ある農業をやっていただくためには非常に重要なことだと思いますので、ぜひ注力してお願いしたいと思います。
 次に、米について伺います。
 ことしも食味ランキング等が出ました。銀河のしずくは評価が非常に高かったのですが、ひとめぼれは残念ながらランクを落としたという結果であったと思います。気候がどんどん変わってくる中で、この理由、原因をどのように考えられているのか伺います。
〇佐藤県産米戦略監 食味ランキングの関係ですが、確かに銀河のしずくは4年連続特Aでしたが、県南地域のひとめぼれはA’という評価をいただいたところでございます。
 この評価の要因についていろいろ考えてきたわけですが、一般社団法人日本穀物検定協会では要因について詳細を説明していただけないということで、詳細はわかりませんが、いずれにせよA’という評価をいただいたところでございます。
 この受けとめですが、一つの評価だということは明らかであります。ただし、これが全てというわけではなく、例えば本県は全国で一番高い一等米比率を確保しております。そういう評価もございますので、一つの評価、あくまでも参考と受けとめて、いろいろな情報等を聞きながら、県産米の評価を上げていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 では、金色の風は、県ではどういう評価をしているのでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 金色の風については、普及面積が一定の基準を満たしていないので、日本穀物検定協会の評価はいただけないことになっております。
 金色の風の受けとめですが、令和3年産の金色の風のJA等の出荷業者と卸売業者等との相対基準価格は、新聞報道によると、60キログラム当たり1万6、500円と昨年に比べて1、500円低いものですが、11道県の41銘柄中4位、東北地域では、山形県のつや姫に次ぐ価格となっている状況ですので、市場からは高い評価を受けているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 金色の風は食味の評価は行われないのは理解しています。
 私が伺いたいのは、今、ひとめぼれは評価が下がり特Aではなくなってきている。金色の風は、食味ランキングではなく、特定の店に卸し、そういう評価を得ているということですが、今まで、金、銀、ひとめぼれ、フラッグシップ米をつくって、それは特定のところ、そんなにたくさん広げないよということでやってきた。銀河のしずくは、中央から県北地域のほうに、そして、ひとめぼれで特Aを取っていこうというのが県産米の戦略だったと思っているのですが、その環境と評価が変わってきていると思うのです。
 そのような中で、今後、全国に先駆けて、岩手県のお米も誇りある米なのだと、どのような戦略を持ってつくっていくのか、その考えを伺います。
〇佐藤県産米戦略監 岩手県内の品種ひとめぼれについては、依然かなりのウエートを占めていますし、卸あるいは実需者からも高い評価を得ておりますので、やはりひとめぼれが中心となって岩手県を代表する品種という形になろうかと思います。
 金色の風については、価格が高いこともあり、極端に面積が伸びることはありませんが、一定のファンもおりますので、そういう特定の客層を目指して販売していきたいと思っております。
 銀河のしずくについては、まだ面積はひとめぼれに及びませんが、評価が非常に高いということで、一昨日の15日から大手コンビニエンスストアで銀河のしずくのおにぎりが販売されるなど非常に評価が高まってきていますので、これまでの家庭向けに加え、業務用等としても販売するような形で伸ばしていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 私も昨日コンビニエンスストアのおにぎりをいただいてみましたが、陳列も非常にたくさんあり、力が入っていると思いましたし、非常においしくいただきました。
 今、個別に御答弁いただきましたが、生産者の方を含め、岩手県の農業がどういう方向にあるのか。例えば、この間報道にもありました。多収品種をつくっていく研究開発がなされている。あるいは、市場では、加工用米がふえてきている。例えば青森でいうと晴天の霹靂が非常に高い評価を得ている。岩手県はどこを狙うのかというのが薄まってきているのではないかと私は感じています。
 県で県産米の戦略、計画を立てているわけですが、この見直しをどう図り、どういう方向でいくのかというのを改めてしっかりお示しいただきたいと思いますが、今後の稲作生産における佐藤農林水産部長の考えを伺います。
〇佐藤農林水産部長 本県の米の関係でございます。
 ほかの県に比べて、岩手県の米という形でブランド米をなかなか出してこられなかったという弱みがございましたが、金色の風と銀河のしずくと、非常に評判のよい米ができたということで、この二つをフラッグシップ米として米生産のほうは続けていきたいと思っております。
 銀河のしずくについては、あきたこまちから転換を図って、どんどん生産をふやしていきたいと思っております。
 ひとめぼれについては、日本穀物検定協会の評価は落ちましたが、主力品種に変わりはございませんので、こちらの食味向上等も考えていきたいと思っております。
 いわてのお米ブランド化生産・販売戦略を令和3年3月に策定しておりますので、これに基づいてコスト低減などに取り組んでまいりたいと思っておりますが、環境の変化等もございますので、次の危機の見直しのときを踏まえ、必要な見直しを行ってまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひ注力をお願いしたいと思います。取り組んでいただいている中でも、青森県の晴天の霹靂はデビューから7年連続特A、貫禄を見せたと報道になるのです。そうなると、目に触れる機会が多いですから、皆さん自信を持つことができる。先ほどの牛乳の話ではないですが、どれだけよいものをつくっても、PRがしっかりされていないと、フラッグシップ米にはならないと思います。見えてこそ旗ですから、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、水田の活用について伺っていきたいと思います。
 佐藤農林水産部長にまずお聞きしたいのですが、今回の水田活用の直接支払交付金の関係ですが、実際、県に言われても困るというのが恐らく本音だろうと思っています。これは国の政策の中で進められて、その影響が岩手県にも、それぞれの農村にもあるから、私たちは皆さんにお伝えするしかないからだと思っています。
 佐藤農林水産部長は、米生産だけではなく、岩手県の農業や農村を守る上で、国にもっとこういう政策を求めるというマクロ的な考えから、どういったお考えをお持ちか伺いたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 いずれ農業者、生産者の所得向上が一番だと私たちはずっと思って施策を進めてきております。生産条件が悪いところは、コスト制限等を図る、あるいは基盤整備をしていくといったことを進めながら、いかにして生産者の方の所得向上が図れるかということを常に念頭に置きながら、これまでいろいろなことを考えてきております。
 やはり県単独ではできないことがございます。事実上、国にお願いしなければならないところ、国の施策に期待するところがございますので、ぜひ本県の生産者の所得向上につながる取り組みを一生懸命進めてまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 今、所得向上ということを言っていただきました。私もまずは所得だと思っていますし、所得政策と価格政策、これが二つなければいけないと思っています。農業政策、農村政策は切り離して考えられていますが、私は同一であるべきだと考えています。その中で、今回の水田活用の直接支払交付金の見直しは、農業、そして農村にとって非常に大きな影響があると思っています。
 今回、人口減少の問題でも、新規就農者や若手生産者がクローズアップされるのですけれども、岩手県の農業を支えているのは7割以上が高齢者の皆さんで、そして中山間地域である。では、その方たちに新しい投資をしろ、機会を買って耕せと言っても、現実的に無理なのです。
 では、先ほど牧草の話がありました。3万5、000円から1万円になったということです。これを実際にやっているのは、畜産農家というより、営農組織をつくって集落で水田を守っている方々というのが実態なのです。だから、畜産農家だけの問題ではないのです。そうなると、今度は農村集落が疲弊してしまう。だからこれはしてはだめなのだと思うのです。農業政策は、農業をマイナスにするために、今、国がやっているようなものなのです。
 どうですか、佐藤農林水産部長、お考えを伺います。
〇佐藤農林水産部長 国も基本は、地域を疲弊するための政策を考えているとは、私どもも思ってございません。それを受けとめる地域から、実態としてやはり少し違うのではないかとか、地域の実情はこうなっているということがあれば、それはやはり地域の声として国にお届けして、言うべきことは言っていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 今回の大きな問題点は、交付金がポイントにされていますが、国から価格政策や所得政策が示されていないから、交付金を減らされたら食っていけないという話なのです。
 ここで伺いますが、令和3年のお米の収入額と生産額の差額、損益分岐点、岩手県の平均は2.4ヘクタールと言われています。令和3年度は、価格が1万3、288円でした。どの程度の規模であれば黒字になりますか。
〇佐藤県産米戦略監 試算をいたしますと、相対取引価格と国が公表した10アール当たりの収量555キログラムで10アール当たりの総収入額が10万7、790円となっています。
 次に経費については、令和2年産の東北地方の作付規模別の全算入生産費や、3ヘクタールから5ヘクタールの作付規模で10アール当たり11万4、664円ですし、5ヘクタールから10ヘクタールの規模では10アール当たり10万1、455円となっておりますので、5ヘクタール以上の。
〇軽石義則委員長 簡潔にお願いします。
〇佐藤県産米戦略監(続) 5ヘクタール以上の規模であれば黒字になるということでございます。
〇菅野ひろのり委員 今の御答弁では5ヘクタール以上、東北地方全体でもでも2.4ヘクタール、5町歩やっている農家は、中山間地にはまずいないです。これでは食っていけない。食っていけないから、交付金もしっかりと活用しながらやっていかなければいけない。
 では、どうやって自立するのか。さっき、自立できる農業と言っています。ほかの国を見たら、しっかりと農業所得に補償しながらやっているのが実情なのです。今の農業政策では、私たち農家は食べていけないのです。だから、本来、大事なのは、この議論だけではなく、国の政策を含め、米の出口戦略、あるいは水田をどう活用していくのか、食料安全保障の話を含めての議論だと思っています。
 少し飛んでしまったので戻しますが、いずれ今回の水田活用の直接支払交付金は非常に大きな問題があると思っています。それで、予算編成にあわせて、この影響を踏まえて、県はどういった事業が必要になると考えているのか、どういうことを国に求めていく必要があるのか、その点をお願いします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 予算編成についてでございますが、県としては、国の水田活用の直接支払交付金の中に都道府県連携事業というものがございまして、その部分については、令和4年度の予算案に盛り込ませていただいているところでございます。
 具体的には、飼料用米等に5、000円の交付がありまして、国から同額の交付が行われるというものでございます。そうしたところを使いながら、いずれ水田のフル活用に取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時57分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇山下正勝委員 水田活用の直接支払交付金について皆さんお話ししていますが、私は違う観点から質問いたします。
 まず初めに、水田リノベーション事業について伺います。
国産飼料として生産の拡大が見込まれます子実用トウモロコシが水田リノベーション事業の交付対象品目に指定されたことは、午前中の御答弁の中にありました。本県の繋殖農家を始めとする畜産農家はもとより、耕作放棄地の拡大防止や食料自給率の向上、また食料安全保障に大きく寄与するものと考えております。
 そこで、県内における水田リノベーション事業に係る子実用トウモロコシの生産と需要の見通しをどのように推測しているのか伺います。
〇工藤水田農業課長 水田リノベーション事業は、水田農業を新たな需要拡大が期待される作物を生産する農業へと刷新、リノベーションする取り組みを支援するもので、水田への大豆や野菜等の作付拡大に有効な事業と考えています。
 令和4年産からは、委員おっしゃるとおり、事業対象に子実用トウモロコシが追加されました。その子実用トウモロコシについては、現在、3地域農業再生協議会で、昨年産に比べて約6ヘクタール増の約26ヘクタールの作付が計画されておりまして、今後も一定程度の需要が見込まれるものと捉えております。
〇山下正勝委員 昨年9月の農林水産委員会で農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターにお邪魔してきました。その中でいろいろな説明がございましたが、県内の子実用トウモロコシと畜産農家とのマッチングや連携の実態はどのようになっているのか伺います。
〇米谷畜産課総括課長 畜産農家とのマッチングというお話でございます。
 先ほどの御答弁にございましたとおり、現在、子実用トウモロコシが作付されているところは県内3地域でございます。その3地域の地域農業再生協議会において、子実用トウモロコシの生産農家と畜産農家とのマッチングが行われ、畜産農家が子実用トウモロコシの生産農家の圃場に堆肥を還元する、耕畜連携の取り組みが行われているという状況でございます。
〇山下正勝委員 昨年度もそうですが、特にここ3回ほど飼料価格が値上がりしておりますので、畜産農家にとっては大分打撃が大きい。燃料等も高騰していますので、地域は地域のこととして、いろいろな部分で課題を解決しなければならないと思っています。
 それで、飼料価格が高騰している中、子実用トウモロコシは国産飼料の生産拡大に有効な作物だと考えますので、県として、今後、リノベーション事業を活用した子実用トウモロコシの生産をどのように推進していくのか。先ほど3地区とありましたが、いろいろな部分で計画を立ててやらなければならないと思いますが、その辺はどういう考えでしょうか。
〇工藤水田農業課長 今後の展開についてですが、子実用トウモロコシの普及については、令和2年度から農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター及び県市町村生産者等で構成する水稲直播及び子実用トウモロコシ普及促進会が、技術向上及び普及拡大を図っているところでございます。
 また、子実用トウモロコシの利用を希望する畜産経営体のニーズに応じた品質や価格等に対応していくことが重要であることから、排水対策や効率的な施肥、子実の乾燥や保管施設の確保など、県では生産、流通面での技術的な助言や、水田リノベーション事業の活用を進めながら、子実用トウモロコシの生産振興に取り組んでいきたいと考えております。
〇山下正勝委員 午前中には、水田活用の直接支払交付金に関する皆さんのいろいろな意見等がございました。岩手県は広いわけです。そういった意味でも、その地域の問題点の解決策も、事業があるのならそういう事業を使いながら、農家を元気づけるように推奨してもらいたいと思います。
 次に、スマート農業など新技術に対応した農業基盤の整備について伺います。
 農業労働力の減少を踏まえ、農業経営の省力化、効率化の大きな効果を発揮するスマート農業の推進は、待ったなしの課題と私は考えます。県ではいち早く、いわてスマート農業推進研究会を組織し、現場の実証や普及啓発に積極的に取り組まれているものと理解しています。
 また、スマート農業などを進めるために、その技術に対応した基盤づくりが重要であり、全国的にも圃場整備地区等においても、さまざまな取り組みが進んでいると伺っています。
 そこで、本県におけるスマート農業に対応した農業基盤整備の実態はどのようになっているのか伺います。
〇佐々木農村建設課総括課長 スマート農業に対応した農業基盤整備の実態についてですが、農作業の省力化や生産性向上を可能にするスマート農業の導入促進を図っていくためには、農業機械で効率的に作業できる水田の大区画化や、農業用水の細かい制御が可能となる用水のパイプライン化を行う圃場整備の実施が極めて重要と認識しております。
 県ではこれまで、圃場整備事業が完了した花巻市の圃場において、水田の給水をスマートフォンで遠隔操作できる水管理システムを試験的に導入し、水管理に係る作業時間の7割、用水供給量の3割がそれぞれ削減される効果を確認しているところであり、その結果を踏まえ、花巻市と八幡平市などで現在実施中の圃場整備地区において、当該システムの導入を計画しております。
 また、一関遊水地内で整備した大区画圃場においては、令和2年度から令和3年度にかけて、トラクターの自動操舵装置の導入や、農業機械の走行制度を高めるRTK基地局の設置について支援をしてきたところであり、スマート農業の技術導入が可能となるよう、県内60地区において圃場整備事業による水田の大区画化などを実施しているところでございます。
〇山下正勝委員 今はいろいろな部分で基盤整備とあります。私は昨年度も質問しましたが、いずれ東北地方では一番おくれております。データを見るとほかの地域のほうが昨年度よりも頑張っているということで、基盤整備はおくれている。計算すると、やはり岩手県の基盤整備がおくれているのは、たしかにそうなのです。中山間地域はそうです。
 農業をよくするには、いろいろな問題や制限があると思いますが、基盤整備の事業は年間200ヘクタールくらいしか進んでいかないのかという感じを受けますが、その辺はどういう捉え方でしょうか。
〇佐々木農村建設課総括課長 圃場整備事業は国庫補助事業で、私どもは地域の要望を踏まえて国とのやりとりをさせていただき、国庫補助を持ってきて事業をさせていただくといったところでございます。
 中山間地域や平場にかかわらず、地域の御要望を踏まえ、年間300ヘクタール程度の整備と記憶しておりますが、継続的に整備をさせていただいているところでございます。
〇山下正勝委員 これはやはり喫緊の課題だと思っております。何をやっても条件が悪い、水はけが悪い、面積が小さいということですから、岩手県下全部の農家の人たちが問題点であるとして、話が出ているのは当然のことと、私は、受けとめるべきだと思っております。
 次に、地下水位制御システムについて伺います。
 農作業の負担軽減や排水対策の強化などに地下かんがいが有効であり、東北地方各県や北海道において、暗渠排水機能を利用し、地下水の整備を行う地下水位制御システムが圃場整備において施行され、作物生産に成果を上げていると聞いています。本県でも、いわて県民計画(2019〜2028)において、同システム導入を推進していくこととされ、岩手県農業研究センターでも研究や実証を進めているところでございます。
 そこで、本県における地下水位制御システムの研究や実証の成果はどのようになっているのか伺います。
〇佐々木農村建設課総括課長 地下水位制御システムの研究や実証の成果についてですが、地下水位制御システムは、暗渠排水管に用水路から水を供給し地中から水位を上昇させ、排水口の高さを調整しながら、栽培作物の生育状況に応じた水位を安定的に維持するかんがい方式でございます。
 県では、平成30年度に、安価な県独自の整備のあり型を検証するため、かつて整備した既存の暗渠排水施設に給排水装置を設置した試験圃場を整備し、令和元年度からは、この圃場での地下水位制御の操作実証と作物の試験栽培に取り組んできたところでございます。
 その結果、圃場全面で一定の水位を維持することは確認できましたが、転作作物や乾田直播による水稲については、試験期間中は干ばつの発生はなく、他道県で示しているような収量への影響に係る検証はできなかったことから、引き続き実証試験を行っていく必要があると考えているところでございます。
〇山下正勝委員 次に、システムの推進ということで、研究での課題等を踏まえ、今後、システムの導入をどのように推進していくのか伺います。
〇佐々木農村建設課総括課長 今後のシステム導入の推進についてですが、試験栽培作物については、先ほど御答弁させていただいた、他道県のような収量への影響は確認できなかったということで、システムの本格導入に向けては、干ばつ時の収量への影響や水管理労力の低減効果、本システムを構成する暗渠周りを被覆するもみ殻の耐久性の向上、暗渠排水管内にたまった土砂の効果的な排除方法などの検証も行う必要があると考えているところでございます。
 そこで県では、令和4年度も、さまざまな圃場条件での実証に向け、試験圃場を増設し、引き続き収量や品質の向上について効果を検証するとともに、効率的な水管理による生産コストの低減、システムの適切な維持管理手法なども新たに実証しながら、システム導入の可能性について検討してまいります。
〇山下正勝委員 最後に佐藤農林水産部長にお伺いします。
 いろいろ課題はあると思います。岩手県は広いわけでございます。県北地域も、県南地域もそうですが、沿岸地域を含め、その地域、地域の問題点があると思います。その地域、地域でいろいろな農業の形態があると思います。岩手県全体を見ないで、地域のことを考えながら課題等を解決するには予算が伴うと思いますが、どういった方向性のもとで農家に元気をつけるような対策をどのようにやりたい─やりたいというのは言葉が悪いですが、そういう一つの課題があると思っています。今までどのように携わって、農家からもいろいろな相談があると思いますが、それらを踏まえ、どのように解決すれば岩手県の農業がよくなるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 本県は自然環境など、いろいろなところがございます。午前中から御答弁を申し上げていますが、生産者の所得向上が一番だと思っておりまして、そのためには、地域の特性、地理的条件、条件不利地、いろいろなところがございますので、その地域に合った作物、作型を選定していかなければならないと思っております。
 いわて県民計画(2019〜2028)の中には、広域地域振興計画ということで、四つの広域振興局がそれぞれ地域の事情等を踏まえながらいろいろ事業を行っていますので、予算を通知する際にも、広域振興局の意見、本庁の方針をすり合わせながら、基盤整備も含めて、その地域で一番効率が上がるような農業施策を展開していく必要があると思っております。
〇佐々木努委員 畜産振興について1点お伺いします。
 先日の日本農業新聞に2021年の全国96の和牛子牛市場の販売平均のランキングが載っておりまして、興味深く見させていただきました。それによると、岩手県の2つの市場である、県南家畜市場が96市場中47位、中央家畜市場が55位ということで、それぞれの販売価格は、これは私の試算ですが、全国平均より3万5、000円くらい安い価格で取引をされていたようであります。
 県南家畜市場は、かつて私が若いころは、菊谷、恒徳という名牛がいて、その種を島根県の第7糸桜系の雌牛につけると、よい牛が出て本当に高く売れたという経緯があって、全国からも注目される市場であったと記憶しているわけですが、残念ながら、近年は少しずつランクを落として、全国的な評価も落ちているような、と言いますか、ほかが上がっているのかもしれませんが、落ちているような気がします。
 この今の状況について県はどのように市場評価を捉えているか、そして、どのような課題認識を持たれているのか伺います。
〇米谷畜産課総括課長 本県の子牛市場の評価と県の課題認識についてでございます。
 御指摘にありましたとおり、先日の日本農業新聞において全国の子牛市場ランキングが公表されました。県内の中央家畜市場及び県南家畜市場は、残念ながら中位から下のほうに位置するところでございます。価格についても、全国平均と比べると若干安くなっておりました。
 本県の和牛子牛の平均取引価格の全国順位が低い要因としては、全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞を受賞した、かつて県で造成した県有種雄牛の菊福秀のような全国的に評価の高い、すぐれた県有種雄牛が現在不在ということもあり、それが大きな要因ではないかと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 私もそう思います。この世界はとにかく血統が最重要視されるわけで、今、全国の都道府県で本当によい牛をつくろうということで、よい繁殖雌牛の争奪戦等が始まっていますし、それによい種牛をつけて新たなスーパー種雄牛をつくろうという取り組みが行われているわけです。岩手県も同様に行っていますが、岩手県でよい牛が出ないというのが、今の岩手県の市場の評価がなかなか上がらない理由だと思います。
 私も市場関係者あるいは生産者からよく話を伺うのですが、岩手県の種雄牛あるいは種雄牛候補の牛について、種つけの協力はしたいけれども、実際につけても高く買ってもらえない。その理由が、購買者、そして肥育した方々の成績が思ったより上がらないので、他県から来て牛を高く買ってもらえるような状況になっていないのが大きな原因で、繁殖農家もできる限り高く買ってほしいという思いが働けば、事業団の種とか、もっとほかによい種があるから、少々無理してでもそれをつけて高く売りたいという思いを持っているということでありました。
 実際に全国平均を下回る額で取引されているということは、繁殖農家の方々にとっても、本当に残念なことであると思うわけです。
 よい種雄牛がなかなか生まれてこない、今不足しているという御答弁でしたが、そもそも今の県の種雄牛造成のあり方がベストな方法なのかについても、私は疑問を持っています。県として今のやり方、県有種雄牛をどこかの代に入れて県ゆかりのよい種雄牛をつくっていくという考え方について、それで間違いないとお思いなのか、これからもそういう造成の仕方を続けていこうと思っていらっしゃるのか、その辺の認識をお聞かせください。
〇米谷畜産課総括課長 県有種雄牛造成に係る大きな課題と今後の取り組みについてということになるかと思いますが、これまで、先ほどお話しした菊福秀のような歴代最高の枝肉成績を上げたよい種雄牛をつくってきております。また近年では、歴代最高の枝肉成績を上げている菊勝久、安久勝晃、百合雲などの種雄牛を造成してきており、枝肉成績産肉戦については年々上がってきているものと認識しております。ただ、生産者が求める事業団の種雄牛のレベルにはまだまだ達していないところが課題と考えています。
 このため、従来の種雄牛の造成の取り組みに加え、平成30年度から、ゲノム解析技術を導入し、産肉能力にすぐれた雌牛を選びながら計画的な交配をし、種雄牛候補を生産しているところでございます。さらに、生まれてきた種雄牛候補についても、ゲノム解析を行いながら、より早期にすぐれた種雄牛候補の選抜を進めることにより、改良のスピードを上げていこうと今取り組んでいるところでございます。
 このような取り組みを通じ、全国トップレベルの種雄牛を早期に造成していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 そうすると、県有種雄牛が5代の中に一つも入っていなくても全然問題ないということですか。これからは、他県でやっているように、例えば鳥取県の市場に行って800万円とか1、000万円という額で繁殖子牛を連れてきて、それにまた別の県の種をつけて新たな種雄牛をつくる。それを県独自の種雄牛という形で交配を続けていくということも、これから考えられるということでよろしいですか。
〇米谷畜産課総括課長 基本的には、今まで私どもが造成してきたものをベースにしながら改良を進めていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 それでは他県に必ず負けてしまうというのが、本当に多くの生産者あるいは肥育農家の方々の意見です。私はそれを何度も何度も聞いています。確かに県有種雄牛にこだわることも大事ですが、そうであれば、県有種雄牛にこだわった種と全く別の系統のもの、両方を造成していくという方向もあると思うのです。
 県がしなければならないことは、どのようにして、よい子牛を生産してもらい、それを高く売るかだと思うのです。それを第一に考えていただければ、これからの種雄牛造成のあり方というのは、いま一度考え直すべきことではないかと思うわけですが、佐藤農林水産部長、この辺の考え方についてはどうでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 御指摘のとおり、全く県由来のないところから種と雌牛とを交配して種雄牛をつくるというやり方も、物理的には当然可能だと思います。ただ、今まで、県のこだわりといいますか、岩手県由来のということでやってきて、それこそ菊勝久、菊福秀という歴代の牛がいることもあるので、どういう進め方をしていけばよいのか。今、委員からもそういう御意見をいただいたので、種雄牛造成のあり方については、永遠の課題だと思っておりますので、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。
〇佐々木努委員 ここで競馬の話をするのは不謹慎かもしれませんが、昔、日本の競馬というのは本当にレベルが低かったわけですが、ある1頭の馬、サンデーサイレンスという馬を日本が輸入して、そこから日本の競馬は劇的に変わり、今や世界一と言われるまでになったということであります。新しい血をどんどん入れていくということは、牛の世界も一緒だと思っていて、古いものにこだわることも、もしかしたら大事なのかもしれませんが、それでは他県に完全に取り残されてしまう。
 先ほどの販売額ですが、私は全国平均で3万5、000円ほど違うというように計算しましたが、1年間で6億5、000万円ほどの、損失と言うのかわかりませんが、開きがある。これは全国平均ですから、もっと上位の市場を見れば、もっともっと差は広がっていくわけです。
 種雄牛とは経済動物、経済のためにつくるものでありますから、ぜひ県も考え方を少し変化していただいて、よりよいものをつくってほしい。全国から購買者がたくさん来るような種雄牛、子牛生産に力を入れてほしいと思います。これは要望にしたいと思います。
 2点目は、全国平均を下回っているといっても、まだまだ子牛の価格は高い状況が全国的に続いていますが、これから新型コロナウイルス感染症の影響が長引く、あるいは世界の情勢が大きく変わっていく中で、今の価格が維持できるとは私も思っていません。やはり下がってくる時期が来るのではないかと思うわけです。
 そういう中にあって、畜産県岩手としては、牛の頭数を他県に負けないようにふやしていくことが大事だと思います。そういう意味で、繁殖農家をどう育てていくか。繁殖農家の意欲をどう高めていくか。先ほどの種雄牛のこともそうですが、これは県としてもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 その中で一つ、思いつきのようで申しわけないのですが、提案させていただきたいと思います。
 肥育の場合は、さまざまな枝肉共励会が開催されて、そこでチャンピオンあるいは優秀な成績をおさめると、岩手県が主催であれば県知事からの表彰とか、市町村なら市町村、農協なら農協の代表、そういう方々からの賞がもらえるわけですが、繁殖農家は、そこで生まれた子牛が全国和牛能力共進会でチャンピオンになっても、どこからも表彰されることがありません。大変な思いをして出産をさせて、健康な牛に育てて、苦労して出した子牛が枝肉となって立派な成績をおさめても、何の表彰も受けることがない。もしかしたら、やっているところが他県にはあると思いますが、岩手県ではそういう取り組みはしていないと思います。
 肥育農家と一緒に繁殖農家も、県がかかわる枝肉共励会等で優秀な成績をおさめた方には何らかの賞を授与する取り組みは、繁殖農家の励みにもなるのではないかと思いますが、そのような実例はないのか、お考えはないのか。そして、今後取り組んでほしいと思うのですが、そのお考えはないか伺います。
〇米谷畜産課総括課長 本県は全国有数の肉用牛産地でございます。和牛繁殖農家の方々が意欲的に子牛生産に取り組むことは、産地の生産基盤の維持、そして発展には重要なことと考えております。
 繁殖農家の表彰ということですが、県では、生産者の和牛改良への意欲を高めるために、平成29年度から県有種雄牛の生産者に対しまして、県有種雄牛造成功労賞を授与しています。今年度から、県有種雄牛の産地に限定した枝肉共励会を開催するとともに、県内の主要な枝肉共励会等において県有種雄牛の産子で上位入賞した生産者に対し、県有種雄牛最優秀枝肉賞を授与しているということで、肥育農家の方々にはそういった表彰を設けさせていただきました。
 御提案の繁殖農家の方々に対する表彰ということですが、確かに生産意欲の向上あるいは育成技術の向上につながると考えられます。ただ、繁殖農家の育成管理が肥育したときに枝肉成績にどの程度影響しているかとか、技術的に確認がちょっと難しいところがあるかと思いますので、それについてはどのような対応が可能か。繁殖農家を表彰している事例がなかなかないと聞いていましたので、県内外の取り組み事例などをもう一度収集しながら、参考に研究させていただきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 事例のないのはそのとおりですが、事例がないからこそ、岩手県からそういう流れをつくってもらえないかと思うわけです。子牛生産が第一歩ですから。枝肉が評価されるのは当然ですが、子牛を産まれなければその肉も出てこないわけで、すばらしい牛というのは、やはり血統の掛け合わせ、それから育成期間に手をかけられて、厳しい肥育にも耐え、初めて立派な枝肉になるということですから、そういう牛をそこで生産したということだけで、私は十分な価値があると思うのです。
 市町村や農協では、子牛市場で一番高く売れた方を表彰するという表彰制度はありますが、これは何の意味もないと思うのです。よい血統の牛同士を掛け合わせれば高く売れるのは当然ですから、これは何の意味も持たない。繁殖農家の方が認められるのは、自分の家で生産した子牛が枝肉共励会でチャピオンになることだと思うわけですが、佐藤農林水産部長、どうでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 先ほど米谷畜産課総括課長が御答弁申し上げましたが、繁殖農家の育成管理が結果的に枝肉成績にどういう形で反映されるか、どの程度影響しているのかということを見きわめ、確認等をするのは、難しい側面があると思っております。
 ただ、生産意欲の向上ということであれば、繁殖農家に対する意欲向上のあり方も、確かにおっしゃるとおりだと思いますので、どういうやり方ができるのか、引き続き研究させていただきたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 私からは、午前中から議論になっている水田活用の直接支払交付金の見直しについて、一般質問に続いて質問させていただきます。
 まず、今回の制度について、実際にそれぞれかみ砕いたときに、どういった課題があるのか、影響があるのか。そうなると、やはりこれは行われるべきではないという思いの内容で進めていきたかったわけですが、午前中から数字を含めて質問が大分出たところもあるので、重複しないところで質問させていただきたいと思います。
 牧草のまき直しに係る標準経費について、10アール当たり5万2、500円と説明されていましたが、私の資料と一緒であれば、これは2020年のデータで、最近は肥料等も価格が上がっていますし、加えて追肥や刈り取り経費等もこのほかに要するので、この程度の金額では済まないくらい影響が出ているということを先にお伝えさせていただきたいと思っておりました。
 国は、今回の見直しについて、交付対象の水田であり続けるために、今後5年に一度水張りを行い水稲の作付を促しているものではないと説明していますが、実際に示された見直し事項に目を向けてみると、現場の課題を検証しつつ、今後5年間で一度も水張りが行われない農地は令和9年度以降は交付対象としないとはっきり言っているので、実際に促していないと言っているけれども、5年に一回水張りをしないと対象としないと、めちゃくちゃなことを言っております。
 まず一つ目の質問ですが、土地改良区が本県には43区あります。この組織に与える影響について、それから、土地改良区の声も把握されているのであれば、それもあわせてお知らせいただきたいと思います。
〇千葉農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 県内の43の土地改良区において、水路の維持管理のために、改良区の受益であります水田等の面積に応じて農家から賦課金を徴収しているわけですが、今後、水稲の作付を行わず恒久的に畑地に転換されると、土地改良区の受益から外れたり、水田より賦課金が安くなることが想定され、賦課金の収入が減少することにより、施設の維持管理に支障が生じることが懸念されるという声は、さまざまな方々からいただいているところであります。
 今後、受益地内でどのように展開していくか組合員の皆様で考えていただき、その結果、畑地への転換に至るということであれば、それがどの程度の量であるのかについては現段階で県も把握できていない状況ですので、これから毎年、土地改良区と、この制度に限らず基盤整備の関係で意見交換を行う予定ですので、その中で土地改良区の状況を聞きながら、確認させていただきたいと思っております。
〇千葉秀幸委員 農業従事者だけではなく、例えば農業水利施設の建設や管理、農地の整備など、関係する多くの人たちにも影響が出てきていることがわかりました。
 畑作物の生産が固定化している水田は既に水田ではない、畑に地目を変更すると一時的なものは入るかもしれないけれども、今回の見直しで賦課金の収入が減少し、施設の維持管理的なものは入るかもしれませんが、いろいろな支障が出るという懸念の声が、既に上がってきていると思いますし、寄せられております。
 一つ確認です。午前中に臼澤勉委員の御答弁で中村農業振興課総括課長が、中山間地域等直接支払交付金、多面的機能支払いへの影響はないとお答えされていましたが、国は、水田として機能していないところは畑地化しなさいとはっきり言っています。これが畑地化された場合、交付金が減ったり対象外となることから、大きく影響があるのではないかと思っておりますが、改めて御答弁いただければと思います。
〇中村農業振興課総括課長 国に、その点については確認しました。水張りの有無にかかわらず、畦畔あるいは用水路等を有している農地が中山間地域等直接支払交付金の交付対象となっていますので、今回の見直しによる影響はないと聞いております。
〇千葉秀幸委員 なるほど、わかりました。ちょっと改めて私も確認させていただきたいと思います。
〇中村農業振興課総括課長 国は、地目変更まで求めるとは言っていないということでございます。
〇千葉秀幸委員 水田として機能していないものは水田ではないと、はっきり国でも申し上げている資料が、ちょっと手元にないので確認できないので、また後で触れさせていただきます。
 それから、保副知事から、県として今後基本的な数字、生産者にこういう形で交付金が入ってきて、これで維持できなくなるというデータをしっかりと用意した上で、どういう形で国に訴えていくか考えていきたいという御答弁もございました。
 実際にどれほどの影響が出るのか、それぞれの農協等では既に概算の試算を出しているようですが、県としては取りまとめされているのか、お示しいただきたいと思います。
〇工藤水田農業課長 本県のデータの整理状況でございますが、現在は、先ほど来少し話題にもなっている多年生牧草の播種時の経費の試算や、まき直しの関係、国の交付単価の積算根拠、そのあたりは国に問い合わせ中です。あとは、地域のブロックローテーションの取り組み、これらについての確認作業を始めているところでございます。
 国は、今回の見直しに関し、4月から全国調査を実施し、この調査により課題の把握、検証に努めていくとしていますので、県としても、本県の状況をこれから整理しつつ、地域の実態を踏まえて、今後対応していこうと考えております。
〇千葉秀幸委員 これは令和4年度から開始されるものなので、これからデータをまとめて国に提言するのでは、もう開始されてしまって、時間もとてもではないが追いつかないという状況がございますので、まずは早急に取りまとめていただきたいと思います。
 私のところにも奥州市だけの概算の試算等はあるのですが、一般質問でも申し上げましたが、奥州市だけで七、八億円の減少ですから、県全体の金額は相当なものだと理解しています。そこまで調べて、これが大変なのだと、そのデータも示しながら、数字等も活用しながら、国に訴えていただく必要があると思います。
 これまで、この制度が実施されると農業者がいかに困るのか、ほかの委員の質問もあって浮き彫りになってきました。たびたび御答弁いただいて恐縮ですが、佐藤農林水産部長から、この現状を踏まえ、果たしてこの制度は本県の農業にとって実行されるべきとお思いか、お考えをいただきたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 実行されるべきかどうかというお話でございますが、何回も同じ御答弁で恐縮ですが、国からは、もともと交付対象になっているのは水田で、そうでないのは畑地化をしてくださいということで、当初は、過去5年間水張りをしていないところは既に水田ではないでしょうということで、令和4年度から交付対象から外すという話だったのですが、そういう方針が示されたときに、全国から反対の声、反響等があって、考え方を少し変えたようで、過去5年間ではなく、今後5年間、水張りをしないものについては交付から外すということになったところでございます。
 もともと交付対象は水田ということで、交付金をもらい続けるために5年間に一度水張りをしてください、米生産をしてくださいという趣旨ではありませんという説明は再三受けているところでございます。
〇千葉秀幸委員 そのように国は説明しているけれども、実質5年に一度水張りをしないと交付金の対象から外されるということですから、言っていることとやっていることが全然合わないというのが私の認識です。
 実施された場合、本県の農業は今後どのようになっていくとお考えでしょうか。果たして離農者は出ないのでしょうか。
 きょうの新聞で、岩手県選出の横沢高徳参議院議員が農林水産委員会で質疑をしておりました。そのときに農林水産省からは、今回はベストとして出した案であり、白紙や見直しは難しいと、はっきりとおっしゃっておりました。まだまだ地方の声が届いていないという答えだと私は理解しました。
 国より現場を知っているのは岩手県だと思っております。この声を働きかけできるのは知事あるいは農林水産部長だと思っていますから、ぜひとも今回は汗をかいていただき、その実態を踏まえ、より強いデータもしっかり示した上で国に提言していただきたいと思いますが、御所見を伺います。
〇佐藤農林水産部長 総括質疑のときに保副知事からも御答弁さしあげたと思いますが、いずれ地域の実情、国が言っていることについて、理論的な反論というのが非常に難しいところもあると思っておりまして、数字的に説得できるような状況、現地はどういう状況になっているのかということをしっかりと数字等で示せるように、データを拾いながら国にものを申し入れていかなければならないと思っております。
 水張りについては、これから5年の猶予があるということですが、牧草は来年度からすぐそういうやり方をすると言われていますので、説得のできるデータの示し方がどれだけできるかということについて、今までもやってきてはおりますが、引き続き検討してまいりたいと思っております。
〇高橋穏至委員 引き続き、水田活用の直接支払交付金について伺います。午前中からずっとさまざまな議論がされてきました。県から国への要望ということで、今のところは、それぞれの生産者の不安や懸念を国に伝えるだけしかまだできていないのかと思い、これは問題だと思っています。
 例えば、国に要望する場合、全国知事会を通じてということがありますが、今回、他県の動きについて、県では捉えていますでしょうか。
〇工藤水田農業課長 他県の状況ですが、東北地方の関係で各県に問い合わせをしてみました。その結果、特に今のところ国に何かしら要望するという動きはないと伺っております。ただ、何県かは、生産者の声が幾らか上がってきているので、内部で検討はしているという県もございました。
〇高橋穏至委員 先ほど来、話題になっているとおり、この影響が一番大きいのは北海道で、金額も4倍以上の交付金を受けているということで、ネット上でも、北海道の動きがたくさん紹介されています。
 北海道の農政関係部局として、これが発表された昨年から、関係者の連絡会議を12月に開き、さまざまな部会や団体からの聞き取り調査や実態調査をしながら、課題や声をまとめて整理し、そして2月には第2回調整会議でその流れ、今後どう対応していくかというスキームまでつくって取り組んでいるわけですが、そのような取り組みは県ではどのようにされていましたでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 県の取り組みですが、今回の見直しについて国から公表されたのが昨年末でございます。県としては、まず12月に地域農業再生協議会の事務局員会議を開いています。その際に、農林水産省東北農政局に御出席いただき、見直しに係る部分の説明をいただいております。
 会議の場で地域から出されたさまざまな声を後日、改めてまとめ、国にQ&Aのような格好で回答をお願いしたいということで提出しております。
 その回答に係る会議を1月中旬に実施しておりまして、その後も地域からはさまざまな声が寄せられておりまして、以降も国に対し、地域からの意見、あるいは不安、懸念を伝えているところでございます。
〇高橋穏至委員 そこは、ただ地域農業再生協議会の声を聞いてまとめて国に伝えるというだけで、先ほど来の御答弁で出ていた、農業生産者の収益を上げて地域に合った農業をつくっていくという、県としての主体的な取り組みにはまだなっていないのではないかと思うわけです。
 北海道の場合、実情をとらまえた仕組みになるような意見交換をしながら、現状の中で、畑地化している田んぼ、あるいは、田んぼとして水張りは可能ですが、例えば、岩手県で言えばリンドウやアスパラガスのように5年では成り立たない田んぼ、そして、麦などでブロックローテーションを実際にできる田んぼの三つに分類しながら、それぞれの課題を整理し、国に今後の見直しに関してどういう対策を持っていくか。北海道がする対策は、岩手県で言えば県がするのにはどういう対策があるのか、地域農業再生協議会や地域ではどういう取り組みをするのかという令和9年までのロードマップをつくっているわけです。
 やはり県が主体となって地域に働きかけながら、今回の見直しに係る影響について、5年間でしっかりとそれにかわる対策や政策を要望していかないことには、今、現状に合っていない状況の中で、お金だけもらえればいいからこのままにしておいてということにならないのではないかと思うのですが、佐藤農林水産部長、その辺はいかがでしょうか。担当の課長でもよいですが、今後の方向性をお伺いします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 県ではこれまでも、需要に応じた米の生産と水田のフル活用ということで、高収益な野菜等の導入を推進してきたところでございます。それは水田活用の直接支払交付金の制度にのっているところもありますが、そういった部分も含め、いずれ大きな方向性として、米生産、水田のフル活用に取り組んできているところでございます。
 今回、水張りという部分が初めて出されてきました。その中で、委員からお話がありましたように、例えば本県のリンドウは7年程度でローテーションをかけるということでございます。その部分はしっかりと伝えながら、本県の水田農業をどのようもっていくかというところは検討してまいりたいと思っております。
 今後、水田として、どうローテーションをかけながら活用していくのか、畑地化という部分の中で改良して活用していくのかについては、地域の考え方がまずは一番重要になると思いますので、そうした部分の検討なり方向性の取りまとめ等々、県も地域と一緒に行ってまいりたいと考えます。
〇高橋穏至委員 今はまだ現状の取りまとめもできていない状況で、具体的に国にどういう要望をしていくかというのが見えないと思うのですが、その辺はやはり県が、先ほど広域振興局単位で地域事情が違うということで、岩手県の場合は広域振興局も絡んでくると思いますので、水田農業のビジョンをもう一回、県が主導になって、地域と県で国に訴えていく取り組みをしていかなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
〇佐藤農林水産部長 水張りの関係は、先ほどから御答弁していますが、来年度からすぐということではなく、来年から5年間水張りされない場合は令和9年度から交付の対象外になるということに運用が変わっています。
 猶予とは言いませんが、5年間のうちに、どういう形で水田農業を回していくのかということをもう一度、データ等を整理しながら根本的に考え直さなければならないというか、作戦を練り直さなければならないと思っていますので、地域の声、現場の声を踏まえ、どういう将来的なビジョンを描いていくか、検討させていただきたいと思っております。
〇高橋穏至委員 畑地化の部分について、私もそうなのですが、農地中間管理機構を使って5年とかの契約で貸している土地がいっぱいあるわけです。貸し付けるときに、返すときは田んぼでというところがいっぱいあるわけです。そういう田んぼの扱いはどうするのか。戻せるのか。これは北海道でも課題としてきっちり抽出されていますので、そういった課題も踏まえながら、しっかり国と交渉していってほしいと思います。
 そして問題なのは、5年間というスパンがない牧草地は来年度からすぐということで、その中に、例えば県が行う施策として、国の制度はないけれども、まず1年間は国が対策を講じるとか、そのつなぎですね。要は激変緩和といいますか、そういったことも検討する必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 県の対応ということですが、県では、水田活用の直接支払交付金の産地交付金という部分の中で、県枠でのメニューを設定しています。この部分については、次年度の生産者の皆さんの営農計画を早期に立てていただくよう、これまでも、なるべく早く内容を決めて御提示しているところでございます。
 これまで県では、この県枠メニューの中で、ネギやニンニクなど、需要拡大が見込まれ野菜の生産振興につながるよう土地利用型野菜などの生産拡大を支援してきたところでございます。
 こうした中で、例えば今回の牧草単価の減少への対応については、地域協議会への配分もございますので、なかなか現状では難しいと考えているところでございます。
〇高橋穏至委員 もう協議しているのでというのは担当から聞いていたのですが、枠にとらわれず全体の中で調整するということをしないと、現場の声で聞くのは、実はもう借りて牧草をつけているのだけれども、要は借り賃です。借地料は3万5、000円が基本になっているので、その交渉するいとまがないという部分が現実問題として聞かれる。こういう状況だからということで、地主との交渉などに時間が欲しいだろうと思います。今年度だけでもそういった時間的猶予をというのは、やはり今後検討していただきたいと思うわけですが、難しいのは今聞きました。今後検討していただきたいということで、所感を最後に佐藤農林水産部長に聞いて終わります。
〇佐藤農林水産部長 単価の差額分の調整ということで、現場のニーズとすれば、確かにそういうお気持ちは非常によくわかります。ただ、現実問題として、例えば、その猶予の分を県単独事業として措置するというのは、現実的に非常に難しいところもございます。
 先ほど、佐々木農産園芸課総括課長が答弁しましたが、県枠メニューの使い方ということで少し調整する余地があるのかと思います。実は、北海道はそういうやり方で少し考えるという話も聞いているのですが、地域農業再生協議会との意見交換の中で、そちらに配分を回すというので賛同を得られていないのが実情で、来年からすぐにその分を何とか措置できるような状況というのは、手だてが難しいところでございます。
〇千葉絢子委員 私からは、岩手県の主食用米の現状についてお伺いしたいと思います。
 先ほど、菅野ひろのり委員からも、県南産のひとめぼれの食味ランキングの結果について言及がありました。関係者が多分驚くほど低い評価であったのであろうと推察しますが、原因は明らかにされていないということで、特に、分析もしがたいのかとお聞きしたところです。
 この食味ランキングの評価結果が、岩手県産米の全体の卸価格や今後の契約栽培などに及ぼす影響についてはどのように考えているか伺います。
〇佐藤県産米戦略監 初めに、今回の食味ランキングの結果の理由と影響ということですが、一般社団法人日本穀物検定協会では食味ランキングの評価理由について明らかにしていないため、詳細は不明であります。現在、県農業研究センターが中心となり、県南地域のひとめぼれのA’の評価について要因の解析を進めているところでございます。
 次に、影響についてですが、いろいろな方面から聞き取り等を行っています。現時点で県南地域のJAからは、取引業者の対応はこれまでと変わりはないということを聞いております。全国農業協同組合連合会岩手県本部からは、ひとめぼれを初めとする県産米全体の評価は高く、大手米卸売業者等との結びつきがこれまでと変わることのないように取り組みを進めていくということでございます。
〇千葉絢子委員 以前も県産の主食用米については、農林水産部に小岩さんが技監でいらっしゃったときも、いろいろと意見交換をさせていただきました。全国的な認知度として、岩手県のお米が少し買いたたかれる傾向にあることを危惧したような発言も過去にはございました。
 岩手県はお米をつくっているのですかと言われたこともあるということで、岩手県産のお米の認知度は、我々が高く評価しているほど、市場ではブランドとかそういったところを評価されにくいのかというところで、主食用米を頑張ってつくっていらっしゃる米農家の所得をどう上げていくかというのは非常に大事なテーマだと私は思っております。
 この食味ランキングの結果を受けて、県南地域の主食用米について、例えば気候変動など近年の傾向から、収量や食味全体に高温による影響が出ているようなことがあれば、また危惧していることがあればお伺いしたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 農林水産省の地球温暖化影響調査レポートによると、日本の年平均気温は、さまざまな変動を繰り返しながら、長期的には100年当たり1.26度の割合で上昇しているということのようでございます。
 また、昨年5月には気象庁の気象平年値が更新され、例えば盛岡市は、年の平均気温が0.4度上昇しています。水稲栽培において気温の上昇は、カメムシなど害虫の増加や、高温による白未熟粒の発生などの品質低下、食味への影響が懸念されるところでございます。
〇千葉絢子委員 実際に、岩手県の県南産ひとめぼれでは、こういうものが出てきているのか。岩手県のお米の生産環境に障害が出てきているのか。どのように見ているのでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 高温による米への影響ということですが、令和2年産は、登熟期の高温ということで白未熟粒が結構多発した経過がございました。
 令和3年産は、夏場の高温はそれほど影響なく、白未熟粒等の発生はありませんでしたが、温度が高くなると、どうしてもカメムシが多くなり、斑点米が出てくることもございますので、気温が高くなったことによる品質に与える影響は、以前よりは出てきているかと思っております。
〇千葉絢子委員 そうすると、これから気候変動、気温上昇、さらに高くなっていくのではないかという予想がある中で、栽培適地や栽培品種、岩手県のどのエリアでどういう米をつくるかということも見直したり、新しい品種の改良も必要になってくるのではないかと思っております。
 岩手県の二大ブランド米である、銀河のしずくと金色の風の販路は、3年に及ぶコロナ禍の影響で何か変化はありましたでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 銀河のしずく、金色の風の販路については、これまで関係団体と連携し、大消費地や大手米卸業者に対するトップセールス、米穀専門店へのPR、県内外でのテレビCMなど、効果的なプロモーション等により取り組んでまいりました。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、米については、外食等での需要が減少する一方で、家庭での重要が増加しております。
 こうした需要の変化を踏まえながら、銀河のしずくについては家庭食、中食を重点にPR等の販売促進活動を行っており、今月中旬からは、先ほどもお話にありましたが、大手コンビニエンスストアの北東北3県約360店舗で銀河のしずくを使用したおむすび商品が新たに販売されるなど、中食等の需要が拡大してきております。
 また、金色の風については、家庭食を重点に販売促進活動を行っており、全国の米穀専門店約1、400店舗へのあっせん販売や、量販店、米穀専門店での販売促進キャンペーンを展開するなど、消費者に金色の風のおいしさなどの特徴が伝わるよう取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 政策評価等の実施状況報告書を拝見すると、米のオリジナル品種販売数量、目標1万4、000トンに対し1万3、036トン、およそ1、000トン及ばずBという評価でした。また、主食用米、オリジナル品種の作付面積についても、5、800ヘクタールの目標に対し実績値は5、650ヘクタール、こちらもB評価でした。思うように販売、作付もできていないのかという印象を持っております。
 また、主食用米の需要が年に10トンずつ減少しているという現状、また令和3年産米の価格が下落しているという中で、県産米の販売促進、新たな顧客の開拓、消費拡大に取り組む必要ありと書いているのですが、県内や東北地方での需要拡大を目指しているということでよろしいのでしょうか。
 販売戦略についても、最近きちんと販売戦略として我々に打ち出されていない、どれくらい達成しているのかが見えにくくなっているような気がするのですが、この点についてはどのような認識でいらっしゃいますか。
〇佐藤県産米戦略監 米の販売戦略は、昨年度3月に策定し、銀河のしずくについては非常に評価を得ているので拡大していこうということでございます。ひとめぼれについても、非常に安定的に生産され、大手取引先との結びつきも強いということもありますので、これもしっかりつくっていこうということになっております。
 あくまでもひとめぼれを主軸に県産米を考えていくということですし、それに加え、銀河のしずくの評価を得たので、これも拡大していこうという方針でやっているところでございます。
〇千葉絢子委員 では、金色の風はいかがでしょうか。以前、金色の風を発表されるときに、私、その当時の担当だった星野さんとこの委員会室で激論を戦わせた覚えがあり、必ず売ってみせますというようなお話だったのです。それから数年たちまして、金色の風は、なかなか作付面積も広がらず、食味ランキングの対象外になってしまっています。
 作付面積も収量もなかなか思うように広がらないのは、何か理由があるのではないかと思うのですが、なぜ進まないのかというところの分析はしていますか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 金色の風の課題についてですが、生産と販売の両面で、今、若干課題を抱えているところです。
 まず販売面ですが、金色の風は、どちらかと言えば高価格帯で販売する。それから、デビュー以降、対面の試食という形で、よりおいしさをわかっていただいて、金色の風の価格とおいしさを納得して購入していただくというアプローチをしておりました。それがこのコロナ禍で、なかなかそういった取り組みがしにくくなった。去年、奥州市江刺地域の生産者の方から、ことしの金色の風は非常にうまい、自信を持って売れるという本当によいお声もいただいたのですが、よさをアピールできるような売り方につながっていないという課題が一つございます。
 また、生産面の課題は、少し倒れやすい。あるいは収量が、面積当たりで考えると、ひとめぼれより1表分くらい落ちるという形で、トータルとして収入面を考えた際に、農家の方は、やはりひとめぼれのほうがつくりやすいし価格も取れるという考えもあって、なかなか伸びにくい。
 今、それぞれの地域で収量を向上させる、倒伏性を遺伝的に改良するようなことを公益社団法人岩手生物工学研究センターでも取り組んでいます。あと、先ほど言いました販売面では、なるべくウエブや消費者にアピールできる米穀販売店にアプローチしながら、少しでも面積を伸ばしていけるように取り組んでいるところでございます。
〇千葉絢子委員 金色の風は、スタート直後は、世帯収入600万円から800万円のミドルというかアッパークラスを対象に売りたいというような話を承っておりました。ただ、それは、例えば、県内の需要をベースに考えると、果たしてそれぐらいの収入のところに届いているか、そういう人たちが金色の風を選んでくれるか、非常に私は心配なところでありますし、そういった世帯の方々は米穀販売店で買われるのかというところも、ちょっと疑問に思ってもいます。
 これまでの開発にかけた費用、普及のための費用はどの程度に上っているか、それに対し、今の販売実績は本当に効果が上がっているかというところを改めて伺いたいと思います。
〇佐藤県産米戦略監 まず係る経費についてですが、県産米の品種開発経費については、いわてブランド米品種開発推進事業費で、生産振興やPR等の経費については日本一の美味しいお米の国づくり推進事業で予算化していますが、県産米全体として取り組む経費が多く、金色の風のみに要した経費についてお示しすることは非常に難しいところでございます。
 それから、金色の風の実績でございますが、先ほど来話をしていますが、拡大するということではなく、一定の規模で今販売しているということもございますので、面積は昨年並みとなっております。
〇千葉絢子委員 昨年並みで目標は達成されますか。金色の風は、こういう売り方をしたくて開発したのかというのをもう一回考えていただきたいと思います。
 本当に売れるお米をつくる、日本一のおいしいお米だと自信を持って販売して、それがしっかりと農家に還元されるというスタイルが私は理想だと思っているのですが、そういった政策になっているのか。販売戦略についても、昨年、新しくなりましたが、これまでのやり方を踏襲していては、やはり伸びていかないと思うのです。戦略というのはそういうものではないと思うのです。
 本当に上げていくためにはどうしたらいいか、もう一回見直す時期ではないかと思うのですが、来年度の予算額と、作付見込み、販売戦略について改めて伺います。
〇佐藤県産米戦略監 作付見込みについては、250ヘクタールほどということで、昨年と大体同じになっております。
 予算規模については、先ほど来申し上げていますが、金色の風のみということはお示しできないわけですが、日本一の美味しいお米の国づくり推進事業によると、令和4年度は今のところ6、200万円ほどの予算を当初予算案として計上しているところでございます。
 それから、金色の風について、今まではばらつきも少し多かったという指摘が卸からも出てきていましたので、令和3年産からは、調整時のふるい目をこれまでの1.9ミリメートルから2ミリメートルに引き上げて、粒ぞろいを高めた商品をお米マイスター等に評価いただき、以前よりも食味がよいなどの良好な評価をいただいているところでございますので、今後ともこういった実需者の声を聞きながら販路の確保の取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 金色の風の単体では見ていないということですが、始まったときは、県のフラッグシップ米ということで、高価格で岩手県を代表する米として売っていくと言われていたので、銀河のしずくと、金色の風と、ひとめぼれと、戦略に合っているか、どれくらい費用をかけているかというのをしっかり見直すべきだと私は思っております。
 実需者というのは米穀専門店のことなのか、実際に消費者に選んでいただくためにはどうしたらいいかということをもっと考えていかないと、つくっている農家の方に失礼ではないかと思います。県が進めると決めて、そちらに方針転換をお願いし、銀河のしずくや金色の風にシフトした方がいるわけですから、そういった方が報われるような米の販売戦略をしっかりと立てていただきたいということをお願いして、終わります。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時22分 休 憩
午後2時37分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇武田哲委員 私からも、農業振興策について3点ほど伺いたいと思います。
 米検査にかかわることから最初に質問させていただきます。令和4年度から、穀粒判別器による米検査が導入される予定となっています。この米検査において、どういったことが利点として考えられるのか、その点をまず伺います。
〇佐藤県産米戦略監 新たな米検査の利点ということですが、新たな米検査の詳しい内容について余り深くはないのですが、ただ、機械で選別が行われるという話を伺っています。利点ということについては、今のところ承知しかねるところでございます。
〇武田哲委員 今年度から導入される米検査で、令和4年産米から県内の農協でも穀粒判別器の導入を検討しているということです。農林水産省で、今3メーカーから出されている中で、どういった使い方があるのかをこれから検討していくということですが、今年度から農協でも取り入れることを検討しているという話でした。
 要は、フレキシブルコンテナバックの検査を迅速にするために穀粒判別器でしていくということです。そして、紙袋検査は今までどおり1袋ずつの検査で、1袋というか、たしか十幾つの皿に分けて検査していくのですが、要は、私が聞きたかったことは、米検査が変わっていくと、紙袋で検査を受ける米をどう売っていくかというところがこれから求められると思うのです。フレキシブルコンテナパックで出荷するところは、ほとんどが卸や大手の大きなところです。しかし、小さな米穀販売店には、やはり紙袋が求められると思います。
 それで、その紙袋を持っていくような小さなお米の販売業者は、以前、私も若いころ、自分の米を売るために東京都に行くと、よく見たのが、江刺金札米の旗や、そういった岩手県の米という旗をよく見ました。でも、最近はほとんど見ません。岩手県の米とか、米をPRする旗を余り見ることがないのです。米を専門に扱う小さな米屋の人たちは、お客さんにまた来てもらいたいから、消費者に上手にすり込みをするのです。
 ですから、大きな卸に売ることも大事ですが、紙袋で検査を受けた米をいかに有利にしっかりと売り込んでいくかというところが必要だと思うのですが、その点はしっかりと考えておられるのか伺います。
〇佐藤県産米戦略監 米穀専門店への販売ということですが、コロナ禍の前ですと、岩手県の売りは、本当にそういうところを訪問し、積極的に試食していただき、販路を開拓したということでした。ただ、コロナ禍ということで、首都圏の米穀専門店にもなかなか行けない。ただ、波がおさまったときをめがけて行ったりもしていました。そういうところでの販売は大変重要ですので、今後も米穀専門店に対しては積極的に売り込みをかけていきたいと思っております。
〇武田哲委員 これから米を首都圏に運ぶにしても、今までは紙袋でほとんど持っていったのですが、運送業者の人たちもなかなか人手不足です。どうやって大量に届けるかというところに終始しているのですが、そうではなくて、どうやって細かいところまで米を売り込むかというところも、しっかりと着眼して売っていただきたいと思います。
 次に、認定農業者の状況について伺います。これまで認定農業者の登録は随分ふえてきましたが、今後の状況をどのように分析しているのか伺います。
〇村上担い手対策課長 認定農業者の状況についてですが、令和2年度の認定農業者の数は6、347経営体となっております。近年、高齢化に伴う経営規模の縮小等により再認定を見送りしているという実態があり、5年前に比べ約740経営体が減少しています。
〇武田哲委員 高齢化を理由にやめていく人たちの農地の流れはしっかりとつかんでいますでしょうか。
〇村上担い手対策課長 流れがわからないところもありますが、高齢化によって手放した農地が担い手のほうに集積されつつあるということは実態としてあります。
〇武田哲委員 認定農業者協議会の人たちとよく話をすることがありますが、認定農業者をやめていく人たちが、この後5年間営農を続けられますかという理由で、また再認定を受けるかどうか皆さん判断しているのです。入ったときの年齢とやめるときの状況はさまざまあるのですが、高齢を理由に認定農業者をやめたり農業をやめるという判断は違うと思っています。幾ら年をとっても元気に農業ができる環境をしっかりと整えていくべきだと思っています。
 千葉秀幸委員からも、話がありましたが、きょうの日本農業新聞に養老孟司さんが高齢者のことについて書いています。要は、地域の高齢化が悪いことなのか。年をとっても元気に農業ができることが本当はよいことなのだと。新聞の中で、東京都のサラリーマンは、さまざま仕事をして、その後、タワーマンションに帰って、ジムに通ったりして自分の体調管理をしている。しかし、農業をしていると、体を動かす部分は農業によってできるのではないか。高齢者でも楽しく農業できるということを考えていかなければならないという話が載っていました。
 人の生き方や暮らしをこれからどうやって豊かにしていくかという観点をつくっていかないとだめだと思うのです。ましてや、我々農業者は、補助金をもらうために農業をしているのではないです。つくったものをしっかり評価していただき、適正な価格で販売して、1年かけてつくった生産の喜びをどう得るかというところなのです。そうしたときに、高齢者や、いろいろな世代ごとの生産意欲を高めなければならないと思っています。
 我々の会派でも、工藤勝子委員は、元気にはつらつと農業をしながら、すてきに暮らしています。まして、農村部で暮らしている千葉伝委員も、我々現役よりも幅広く活動しています。そういったところを見ても、高齢者という枠で、まるで終わったような話ではなく、どうやって楽しんで農業をするか。腰をかがめなくてもできるような仕事や、軽いものをつくるとか、そういった生産体制に新たに視点を当ててやっていかないと、議論がまるで補助金をもらうための農政になってしまうのです。暮らしを豊かにしていくためですから、私は、そうではないと思っています。どうやって生産を喜ぶか、そして、どうやってその喜びを地域の人たちみんなで分かち合うかというところにあると思うのですが、その点の考えを伺います。
〇村上担い手対策課長 高齢化が進む中で、地域農業をどうしていくのかという御質問だと思います。
 地域農業の核となる担い手を中心として地域農業を進めていかなければいけないと思っております。そうした中でも、本県には小規模農家や兼業農家の方々も含め、多くの農家が生産活動に携わりながら地域社会を支えていくという実態もあります。そういう中でも、小規模農家も、兼業農家も参画した地域農業の維持、発展というのは重要なことだと考えております。
 県では、小規模農家も参画した集落営農や、先ほど言った重労働ではない園芸作物の産地づくり、地域の多彩な資源を活用した加工販売の取り組みを推進することとしておりまして、今後とも地域ぐるみで取り組む農業農村の活性化を実現いこうと考えております。
〇武田哲委員 やはり幾つになっても農業ができる環境を整えてもらいたい。県北地域のほうで八十幾つになるおじいちゃんが、年間1、500万円以上を売り上げているのです。何をつくっているかというと、種生産なのです。軽いものですね。種を収穫して、それをいかに選別し、そしていかに高く売るかというところですが、そこに特化して、重労働ではなく、楽しく、そして結構細かく計算して、もうけるのが上手なおじいちゃんがいます。
 農業生産は、いろいろな意味で、見るところを変えると、本当に生きがいになると思っています。半農半Xもそうです。サラリーマンの仕事をしながら土日は実家で農業をするとか、こういう暮らし方があるのではないかというところを提案していただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。飯澤匡委員からもありましたが、人口減少対策です。この部分でさまざま事業が組まれていますが、人口減少と農業のかかわりをどのように見ているのか、その点について伺います。
〇中村農業振興課総括課長 人口減少と農業についてですが、農業分野における人口減少の社会減対策として、先ほど来出ていますが、U・Iターン等による新規就農者の確保や、多様な形で農業、農村にかかわる関係人口の拡大などの取り組みをこれからは進めていくことが重要であると考えております。
 このため県では、令和4年度当初予算案において、新規就農者確保対策として、就農希望者への情報提供や就農相談活動の取り組み、経営発展に必要な機械、施設等の整備も支援してまいります。
 また、関係人口の拡大という点については、新たに、県内外の他産業従事者を対象に、生産だけでなく、農村での暮らし、あるいは子育ても含めた情報発信や、農村での暮らしを体験するモニター企画を実施する事業を盛り込んで進めていくこととしております。こうした取り組みを通じて、農業、農村の活性化を図ってまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 この人口減少対策、よく岩手県の人口減少を限界集落というショッキングな表現がされていますが、現在、農村社会学の先生方は、修正拡大集落という言葉を使っています。要は、しっかりと農家の暮らしを見つめ直すと、新たな希望が見えてくるのではないかという話なのです。ショッキングな限界集落とか消え入りそうな集落という評価ではなく、どこに視点を当てるか、農村部で暮らすよさを論じ合っている人たちが最近随分います。そこはどのようにお考えでしょうか。
〇中村農業振興課総括課長 本県の農業、農村地域を維持していくとことにおいては、やはりそこに住む人が大事だと思います。地域を維持するコミュニティー、産地もそうです。産地にもやはり人が必要ですし、先ほど来テーマとなっている地域づくりについても、人というものが大事だと思います。
 そういうことで、先ほど来言っておりますが、地域に住む人たちが豊かさを実感できるような施策をこれから進めていかなければならないと考えております。例えば中山間地域等直接支払制度の活用や、国も、特定の地域づくり事業協同組合とか、さまざまな地域づくり活動に当たっての事業が用意されています。こういったものもしっかりと活用しながら、地域に住んでいる人が豊かさを実感できるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 農村社会学の先生方に言わせると、農家の暮らしというのは何が豊かなのか、お年寄りだけが住んでいるから大変な地域でもないという話なのです。要は、そこに出入りする関係人口、交流人口をどう見るか。自分の子供がどこそこに住んでいる、孫がどこにいる、その人たちが1週間のうち何日帰ってくるかとか、集落の人がどんな交流をしていくかというところまで見ながらやっていかないと、限界集落というショッキングな話で終わる話ではないと言います。集落で暮らす楽しみをしっかり見直さないと、ショッキングな言葉だけが踊ってしまって、肝心なところを見失うという話なのです。家族でもあり、そしてそこに暮らす人、いとこやいろいろな人たちがそこにかかわって生きてきているわけですから、そこの再評価をしっかりとこれから見直していかなければ、岩手県のよさというのが見えてこないと思っています。
 そこについてはどのようにお考えか伺います。
〇中村農業振興課総括課長 今コロナ禍の中で、先ほども話題になりましたが、若い人を中心に地方への関心が出ております。何らかの形で農業に携わりたい。そういう意味で、関係人口の拡大というものをこれからもぜひ地域に取り込んでいきたいと思っておりますし、そういう交流を進めることによって、地域の方々は生き生きと働き、生活していけるのでないかと考えています。
〇斉藤信委員 最初に、米価下落の実態と影響についてお聞きします。
 令和2年産米、令和3年産米の米価下落の状況、農家の減収、赤字の農家の実態はどうなっているでしょうか。
〇佐藤県産米戦略監 最初に、令和2年産米、令和3年度米の米価下落の状況についてですが、令和3年産の本県ひとめぼれの出回りから令和4年1月までの出荷業者と卸売事業者との相対取引価格は、60キログラム当たり1万2、586円となっており、令和2年産に比べ、約1、800円程度低下しております。
 次に、農家の減収、赤字の農家の実態でございますが、令和3年産ひとめぼれの令和4年1月までの相対取引価格をもとに、国が公表した本県の10アール当たり収量555キログラムで、10アール当たりの収入額を試算すると10万7、790円となります。
 最新の値であります令和2年産の東北地方の米生産費を作付規模別の全算入生産費で見ますと、約5ヘクタール未満で収入額を生産費が上回る状態になっております。
〇斉藤信委員 県内の平均農家は2.1ヘクタールと昨年の決算特別委員会のときには言っていました。10ヘクタールの農家、100ヘクタールの集落営農では、どれだけの減収になりますか。5ヘクタール未満の農家の農家戸数は何%になりますか。
〇ハクセル美穂子副委員長 答弁できますか。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 5ヘクタール未満の農家戸数を私のほうで御答弁させていただいて、その後に、それ以上の金額について御答弁させていただきます。
 5ヘクタール未満の県の農家戸数ですが、2020年の農林業センサスを見ると約2万6、000戸で、割合的には95%という形になります。
〇ハクセル美穂子副委員長 答弁は後ほどお願いいたします。
〇斉藤信委員 もったいないから、ロスタイムはきちんとはかっておいてください。質問時間が短いのだから。
 5ヘクタール未満、赤字の農家は95%ということでした。圧倒的に県内の農家は赤字生産で米をつくっているということになります。
 それで、ナラシ対策、農業経営の収入保険の加入状況の補填額はわかりますか。
〇工藤水田農業課長 補填額はございません。令和2年産の補填金は、米についてはゼロです。
 令和3年産の補填額については、5月下旬に公表となる予定となっております。
〇斉藤信委員 令和3年産米は5月に出ると言うのだけれども、なぜ令和2年産米は去年の5月に出ないのですか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 令和2年産のナラシ対策の関係ですが、価格差の関係で実際の支払いが行われなかったというものでございます。
〇斉藤信委員 ナラシ対策に入っていても、令和2年産米は対象にならなかったということですね。丸々減収だったということになるのだと思います。昨年の決算特別委員会のときの答えを紹介しますと、令和2年産米は22億円の減収なのです。令和3年産米は65億円の減収見込みということでした。22億円減収になってもナラシ対策の対象にならないということです。これはとんでもない話です。
 それで、もう一つお聞きしましょう。今の令和4年産米の作付面積、減反分、余剰米の実態はどうなっていますか。私は、余剰米を市場から隔離しないと、米価下落の悪循環になってしまうのではないかと思いますが、いかがですか。
〇工藤水田農業課長 令和4年産の減反面積についてですが、県、関係機関、団体で構成する県農業再生協議会では、国が示した令和4年産の全国の主食用米の適正な生産量をもとに、本県の4年産の生産目安を作付面積で令和3年産の実績に比べて約1、700ヘクタール減の約4万4、500ヘクタールとしております。
〇佐藤県産米戦略監 余剰米を隔離しなければ米価が下がるということでしたが、需給あるいは価格の安定については、県というより国の主導により実行していただきたいということで、県においても国に対し再三にわたり要望活動を行っているところでございます。
 それから、先ほど答弁漏れがございました減収額ですが、県平均規模の1ヘクタールの場合は7万4、000円、10ヘクタールでは74万円の減収となっております。(斉藤信委員「1ヘクタールじゃないだろう。平均2.1ヘクタールじゃないの」と呼ぶ)はい。2.1ヘクタールになりますと、大体15万円ほどの赤字ということになっております。(後刻訂正あり)
〇斉藤信委員 きちんと答えてくださいよ。昨年の決算特別委員会のとききちんと答えているのだから。
 それで、実は令和3年産米、令和4年産米の需給見通しを見ますと、令和3年産米の生産量は701万トンでした。そして、需要量は702万トンから706万トンなのです。生産量と需給量は基本的には今合っているのです。ただ、余剰米として、在庫量が去年の6月で218万トン、令和4年6月では213万トンくらいになるということです。
 余剰米を隔離すれば、200万トン保管して、採算が合うようになっているのです。令和4年度、令和5年産の見通しを見ますと、生産量は675万トン、需要量が692万トンですから、若干差がありますが、基本的には生産と需要で量が大体合う。今、コロナ禍の影響で余っている余剰米20万トン、30万トンを隔離したら、米価下落は阻止できるのではないでしょうか。
 では、藤代農政担当技監に聞きましょう。そう思いませんか。簡潔に答えてください。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 米の需給見通しについては、委員御指摘のとおり、令和4年産米の生産量で675万トンというのが国から示されている数字で、これに対し、来年6月末に200万トン程度が在庫としては適正だと国は言っていますので、それを全国で取り組んで、令和4年産の生産量が達成できれば、それを達成できるのだろうと思っていますが、それを達成するのに、本県とすれば約1、700ヘクタールの作付転換をお示ししているところでございます。
〇斉藤信委員 だから、転作しているのです。転作して、とんとんになっているのです。
 ただ、20万トン、30万トンの新型コロナウイルス感染症の影響で余剰米がそのままだぶついていて、国はただ保管だけしているから、これが影響して、このままだったら令和4年産米は暴落しますよ。それを何としても食いとめなくてはならないのではないか。2年連続の下落なのですから。
 それで、米価が2年連続下落して、農家の96%が赤字になっているときに、今政府は何をしようとしているのか。きょう各委員から議論になりました。水田活用の直接支払交付金を大幅に削減する。新型コロナウイルス感染症の影響で困っているときに、また助成金を大幅カットする。私は、このこと自身が、全く農業、農民を省みない、そういう姿勢ではないのかと思います。
 水田活用の直接支払交付金の県内の実績はどうなっているでしょうか。作物別にわかれば示してください。
〇工藤水田農業課長 交付金の県内の実績について、全体の面積は127億円と御答弁させていただいているところでございます。
 その内訳として、戦略作物助成の分について、品目別の交付額は公表されていないのですが、面積が公表されております。牧草や飼料用米トウモロコシなどの飼料作物が約7、700ヘクタール、飼料用米が約3、600ヘクタール、大豆が約3、500ヘクタール、麦が約3、300ヘクタールなどとなっております。
〇斉藤信委員 面積で一番多いのが飼料作物の7、700ヘクタールなのですね。これはほとんど、恐らく3万5、000円が1万円になるでしょう。この影響額は幾らになりますか。
〇工藤水田農業課長 単純に牧草の見直しに係る減収額については、現在、生産者それぞれが作付する作物や面積など、令和4年産の営農計画を検討しているところで、現時点でお示しするのは難しいところでございます。
〇斉藤信委員 余りにも影響額が大きいから答えられないのです。これは深刻な自体です。
 実は、総括質疑のときに高田一郎委員が、ある農業法人の具体的な試算を紹介しました。70町歩の水田、10町歩は牧草、250万円減収です。12町歩は飼料用米、72万円減収です。320万円以上の減収になり、経営計画が立てられないと、現場はこう言っているのです。飼料作物は、ほとんど減収の対象になってしまいます。
 それで、5年に一回水張りだということです。これは全く矛盾している。水田から転作しようと言っているときに、5年に一回水田をつくれと、おかしいではないですか。
 そして、農家の声は、転作ローテーションというのは全く合理性がないということです。大豆にしても麦にしても、飼料作物にしても、そんなことをしたら作物の質が悪くなる。量がとれない。そばなんか、本当に何十年かけてそばのための土地をつくってきた。それを水田に返すということはあり得ないのです。
 これは経済合理性が全くないのです。あるのは何かというと、財務省の攻撃で転作助成金を減らせということです。そのために、こういう見直しを押しつけているのではないですか。
 5年に一回ローテーションという、農業技術上で何かメリットがあるのですか。5年に一回米をつくったらどうなるのですか。こんな矛盾した政策はないでしょう。どうですか、藤代農政担当技監。
〇藤代農政担当技監兼県産米戦略室長 先ほどから再三御答弁を申し上げているところでございますが、水田活用の直接支払交付金については、水田からより収益を上げていただくという形で、他の作物をつくる際に支援する交付金という形で交付されているものでございますので、もし仮に、ここで水稲以外の畑作物が定着しているのではあれば、国のほうでは、畑地として高収益作物をつくって生産を上げてほしいという目的で、今回、見直しをされたと承知しております。
 また、生産者の方にあっては、水田のほうの農地を最大限活用して、収益を上げるような経営をしていただきたいと考えております。
 ただ、一方で、制度の継続を前提に、生産者の方がこれまで取り組んできたという実態も承知しておりますので、そういった地域の実態については、国にしっかりと伝えていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 全く残念ながら、農政担当技監らしい答弁にならなかった。
 保副知事は、総括質疑の答弁でこう言っています。我々とすれば、いかに今回の見直しが現場にそぐわないものであるかということについて、基本的な数字、データを用意した上で、実態として、農家の皆さんの経営が今後も持続可能なように何かできないか、そういった観点で考える、対応すると言っているのです。
 知事は、地域の事情を国に理解してもらって、その地域の状況に合うような農政施策を求めていくようにしていると言っています。生産者の皆様の希望がかない、力強く農業を進められるよう、全国知事会と連携しながら取り組んでいきたい。
 知事、副知事がこんな立派な答弁をしているときに、あなた方は国の言い分をオウム返しにするということですか。おかしいじゃないですか。もっと、現場の農家の実態、要求、矛盾、こういうものをしっかりまとめて、全国知事会、北海道東北知事会を緊急に行うべきです。
 飼料のカットは来年の4月から始まるのです。飼料用米の複数年契約のカットも、来年から始まるのです。5年後ではないのです。そういう緊迫性、緊張感を持って、岩手県の農業を守ると、こういうことで、佐藤農林水産部長、しっかり実態を把握し、整理し、要望をまとめて全国知事会や国に働きかける必要があるのではないですか。
〇佐藤農林水産部長 こちらも先ほど来から御答弁申し上げておりますが、いずれ地域の実情や実態を堂々と国に申し入れできる材料をきちっと整理をしていかなければならないと思っております。その上で、説得力のある中身にして、国に何を申して上げていくか、戦略を考えていかなければならないと思っております。
 全国知事会の関係も、各県から今この問題について残念ながら全国知事会として要望を上げようということになっておりません。そういう実態がまだありませんので、恐らく各県とも同じような状況で、いろいろ悩みを抱えているところだと承知しております。
〇斉藤信委員 だからこそ、岩手県が音頭をとってやるぐらいの構えでやってくださいよ。本当にこれは大変です。結局、あの牧草地は、補助金がなかったら土地を農家に返すことになり、荒廃地になります。麦、大豆も採算がとれなかったらやめるしかないのです。農地の荒廃ですよ。そういう危機感を持ってやっていただきたい。
 時間がないので最後にお聞きしますが、先ほど佐藤農林水産部長は、補助金に頼らない農業の自立と言いました。これは間違いです。
 いいですか。農業所得に占める補助金の割合は、イギリス90.5%、ドイツ69.7%、フランス94.7%、日本は30.2%です。農業というのは戦略物資、安全保障に係る物資、自然環境を守っている、そういう役割を果たしているのです。だから、日本がわずか37%の自給率なのに、100%を超えているフランスでもこれだけ補償しているのです。米価下落の責任もとらない。その中で今度は、この転作助成金まで大幅にカットする。まさにこういう農政でいいのかというのが問われているのです。
 佐藤農林水産部長、先ほどの発言、ちょっと訂正したらよいのではないですか。
〇佐藤農林水産部長 私が申し上げたのは、各国の比較ではなく、補助金、助成金の制度がころころ変わっていくときに、すぐそれが生産者にダイレクトに影響が出るような不安定な状況になってはなかなか難しいのではないかと、そういう意味で申し上げたところでございます。
 生産者が意欲を持って将来を見通しながら生産活動にいそしむことができるときに、その内訳のほとんどが、例えば補助金や交付金ということであれば、そちらが恒久的な制度であれば将来を見通し制度で運用できると思うのですが、なかなかそうなっていないというところがありますので、そういう意味で申し上げたということでございます。
〇千田美津子委員 私も、今議論がありました水田活用の直接支払交付金の見直しについて若干質問をさせていただきたいと思います。
 私も、今回の見直しは、転作が拡大した分を各種の補助単価の切り下げで吸収しようとしているのが狙いではないかと思います。
 これについて農家からは、この間、国の呼びかけに応じて転作に取り組んできたけれども、はしごを外されたという声がたくさん上がっております。県は、農家の皆さんの声や不安を把握されていると言いますが、どうも納得されて進めようとしているのではないかと思えてならないのですが、この点、改めてお聞きしたいと思います。
 また、佐藤農林水産部長は、生産者の所得向上が第一だと強調されてきました。ただ、今回のこの見直しも含めて、多くの農家の気持ちは、率直に言って、意欲がますます低下してしまう、それが実感ではないかと思います。一番は、国の農政に問題があります。しかし、今、県として、このような状況を切り開く展望を示していけるかが大きく問われていると思いますので、改めて見解をお聞きしたいと思います。
〇佐々木農産園芸課総括課長 今回の見直しに当たりまして、生産者の皆さんからは、不安あるいは懸念が多く寄せられているところでございます。
 そうした中で、県としては、いずれにしても、今回の見直しについては地域の実態に合わない部分もあるということで、まず国に、運用に当たってはそうしたところを対応していただくよう、強く申し入れしているところございます。
 本県の農業が持続的に発展する、あるいは生産者の所得がきちっと確保できる、こういった施策等々を国においては実施していただけるよう求めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 今御答弁がありましたが、地域の実態に合わない面もあるではなくて、全く合わないのです。そこの理解が非常に薄いのだと思います。ぜひ、さまざまな関係者の声をしっかり把握されて、国に対して意見を言うような対応していただきたい。
 それで、具体の問題で、産地交付金事業ですが、飼料用米の複数年の契約への支援は、これまで10アール当たり1万2、000円でありましたが、これはこれまで契約していた部分だけ10アール当たり6、000円と半額にする。そして、新規の契約には応じないというものですが、この点についてはどのように判断をしているでしょうか。
 それから、転作の面積に応じた戦略作物の拡大加算が10アール当たり1万5、000円でありましたが、これも水田リノベーション事業を拡大したため終了するという、とんでもない不合理なことになっていると思います。また、10アール当たり3万5、000円の高収益作物の拡大加算も、2021年度限りという状況にありますが、その影響についてはどう見ているでしょうか。
〇工藤水田農業課長 まず一つ目の、飼料用米の複数年契約についてどのように判断しているかというお尋ねですが、これは、取り組み率が約9割に達したということで、複数年契約推進の効果が薄れてきているために、経過措置として半額にしたと聞いております。その辺は、9割に達しているということで、定着している取り組みなのかということで判断しております。
 次の高収益畑地化支援の影響の関係ですが、これについても、先ほどの減と合わせ、どちらも現時点で影響額等をお示しすることは難しいのですが、実際、この畑地化支援については、岩手県は今までの実績はゼロと聞いております。
 三つ目の拡大加算が廃止された件については、転換の拡大を支援する水田リノベーション事業と趣旨が重複するために廃止となっておりますので、県としては、水田リノベーション事業の推進を進めていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 今御答弁がありましたが、飼料用米の取り組み率が約9割に達して定着しているから終わりなのだと、そんなことありますか。食料・農業・農村基本計画で掲げた2030年度の生産努力目標が70万トンでありましたが、これを超えたから飼料用米はこれ以上つくるなというのが今回の見直しであります。農政は猫の目農政と、本当にころころ変わるわけです。国の指導に沿って頑張ってやってきたのに、今度はそれがある程度達成されたからやめる。そして、次なるものをやってくださいという、本当に農家はどこを信じてやればよいのかというのが現状だと思います。
 私はこれも、県のように定着しているからということで理解をすることにはならないと思っています。やはり農家の皆さんが本当に頑張ってやるぞと言える、意欲が低下するのではなくて、意欲が湧くような施策をぜひ示していただきたいと思いますが、もう一度お聞きします。
〇佐々木農産園芸課総括課長 飼料用米について、県では、都道府県連携事業という国の事業と関連する予算を令和4年度の当初予算案に盛り込んでいるところでございます。先ほども御答弁を申し上げましたが、この事業については、飼料用米等を新規に作付する場合、県から5、000円、国から5、000円、トータル1万円が行くと見込んでいる事業でございます。
 こうした取り組みの中で作付転換を進める上で、県としては飼料用米も一つの柱であると思っているところでございますが、収入の部分で一定程度確保されないと、飼料用米の作付も進まないと考えているところでございますので、そうした取り組みについて今後とも進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 次に、戦略作物助成の交付条件が厳しくなりました。5年間一度も水張りをしない農地は交付対象から外すということです。しかし、畑地化しても、麦や大豆、そばも、価格が大変暴落しておりまして、交付金なしには営農が成り立たない。いわば耕作放棄地がふえると、現場からは非常に困惑する声が上がっておりますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
〇工藤水田農業課長 今回の見直しについては、現場のほうでも本当に唐突であるということですし、7年程度で転換しているリンドウ等については、5年に一度の水張りでは収益性が低下するということで、地域の実情を踏まえて対応するよう強く国に申し入れているところでございます。
 これらについては、先ほど来、答弁させていただいているところですが、生産者等からは本当にたくさんのいろいろな不安の声があるのは重々承知しているところでございますので、引き続き、本県の実情等を国には強く申し入れていくとともに、国に対する要望については、交付金の見直しにとどまらず、さまざまな措置を含めた提言なり、どういう形がよいのか、どのようにしていったらよいのかということも、総合的に検討して対応してまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、多年生牧草への助成でありますが、種まきをせず収穫のみを行う年は、現行の10アール当たり3万5、000円から1万円に減額するということです。先ほど斉藤信委員からも紹介がありましたが、これにより大変頑張っている農家の減収が本当に目に見える影響を与えると思っています。私が聞いた話は、20ヘクタールの牧草を作付している農家では、単純に計算しても年収500万円純減となるという見通しを示しております。
 そういった意味で、これについては大変な事態だと思いますし、この間、こういう農家は畜産農家と連携して、また自身が水田でも牧草をつくり、自給飼料を確保してきたのです。そして、輸入干し草の高騰や入手困難の中で、国産の牧草づくりはますます大事に、需要を担っていると思います。ところが、多年生牧草は、毎年種まきしないからという理由でこのようなカットになるということです。これは、必要な地代や機械代も払えなくなってしまうという声がありますが、どのようにお考えでしょうか。
〇工藤水田農業課長 この件については、契約水田農家と畜産農家との契約の仕方もさまざまな形があると思います。実態として、どのような契約方法をされているのかというデータの収集、整理をしていかなければならないと思っております。
 それも含め、今回の見直しに対しては、生産者や市町村、農協などから、生産意欲の減退や離農、耕作放棄地の発生の懸念の声が寄せられておりますので、県としては、このような声を国に伝えるとともに、繰り返しになりますが、こういった地域の実情を踏まえて対応するよう国に申し入れを引き続きしていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 わかりましたと言えばよいのかもしれません。これから意見を聞いて対応するというのもあるかもしれませんが、新年度以降、本当にこういう状況になるとすれば、もっと早目の対応、そして積極的な取り組みが欠かせないと思います。先ほど来、全国知事会の話もありましたが、他の様子を見るのではなく、積極的に県内農家の現状等をつかむ形で、そういう対応をぜひやっていただきたいと思います。
 今回の見直しの影響で、転作に限界があるということで、水稲の作付面積がふえるのではないかという見方もあります。そうなると、国が米の生産調整から手を引いているわけですが、米市場が大混乱に陥って、さらに国産の麦や大豆の生産も減少すると見込まれます。それから、交付対象から外れた田んぼは、補助金がない農地となって、誰も引き受け手がなくなってしまう。その上で耕作放棄地が拡大するのではないかという懸念の声も広がっております。これらについてどのようにお考えでしょうか。
〇佐々木農産園芸課総括課長 米の作付がふえる、あるいは耕作放棄地が生じるといった不安なり懸念の声をいただいているところでございます。
 この交付金については、主食用米からの転換の中で措置されているものございます。補助金の対象外になるという話もあるわけですが、これについては平成29年度から明確化されたという部分もあります。しかしながら、今回見直された内容については、先ほども御答弁申し上げましたが、地域の実態に合わないものもあります。そういったところは、今までも強く申し入れたところでございますし、引き続き、その部分について国に申し入れをしてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 最後に、コロナ禍で、今世界で広がる食料危機への対応ということで、食料自給率の抜本的な向上が必要だという点でお聞きしたいと思います。
 今、パンや食用油、輸入小麦や大豆が原料の食品の値上げラッシュとなっています。飼料や肥料も高騰し、農家の経営を直撃しております。また、FAO─国産食糧農業機関は、2021年11月の世界食料価格指数は134.9で、2011年の世界食料危機を上回り、過去最高になったと発表しております。今、気候危機や出荷コストの上昇、コロナ禍による労働力不足、肥料価格の高騰で、来年以降も世界的に作物の収穫量が減少すると長期予測をされております。食品の値上げの長期化が心配されております。
 そういう中で、日本もお金さえ出せば世界中から食料を輸入できる時代ではなくなっており、一方では、コロナ禍にあって食べたくても食べられない人たちがふえております。食料危機を打開するためにも、今、史上最低の食料自給率を抜本的に向上させなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
〇鈴木農林水産企画室企画課長 食料自給率の観点で御答弁申し上げますが、国においては、食料・農業・農村基本計画において、食料自給率の向上に向けた課題と重点的に取り組むべき事項として、四つの項目を挙げています。消費者と食と農とのつながりの深化、食品産業との連携、国内外の需要の変化に対応した生産、供給、国内農業の生産基盤の強化、これらを掲げ、そのために講ずべき施策として、国内の農業生産の増大を図り、輸入の途絶等の不測の事態が生じた場合にも、国民が必要とする食料の供給の確保を図ることが必要と記載されております。
 食料自給率の向上は非常に重要なことと認識しております。そうした中で、本県農業は地域経済を支える基幹産業の一つとして持続的な発展が必要でございますので、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、農産物の生産拡大や生産基盤の着実な整備、高品質な県産農林水産物の消費拡大等の取り組みを進めているところであり、本県が食料供給基地としての役割をしっかり担い、持続的に発展できるように取り組んでまいります。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐藤県産米戦略監 先ほど斉藤信委員の御答弁に際しまして、農家の減収見込み額について訂正させていただきます。
 JA概算金が2、300円ひとめぼれで下がったということで、それに対し収穫量の555キログラムで試算すると、県平均の2.1ヘクタール規模では44万円、10ヘクタールでは212万円の減収となります。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 説明員の入れかえ及び執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に第2部、林業水産業関係について質疑はありませんか。
〇岩城元委員 水産業振興についてお伺いしたいと思います。
 先日14日に県で、秋サケ、サンマ、イカ、主要魚種の歴史的不漁に伴って、県内水産関係6団体と連携して対策を推進する、不漁に打ち勝つ!岩手県水産業リボーン宣言を出しております。官民一体となり持続可能な水産業の確立を目指すとしております。その実現に向けての3本柱でありますが、1、主要魚種の資源回復、2、増加している資源の有効利用、3、新たな漁業・養殖業の導入の三つを柱として取り組みを進めるとしております。
 そこで何点か質問させていただきます。
 養殖業振興事業費について、令和4年度、新たにアサリの養殖に取り組むとしておりますが、アサリを選定した理由、養殖技術は確立されているのかお知らせください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 海洋環境が変化する中で、アサリ養殖は、ホタテガイに比べ高い水温でも成長が見込まれるとか、出荷の生産期間が短いなど、ホタテの代替種として漁業者から期待されておりますので、アサリが有望ではないかと考えているところでございます。
 次に、アサリの技術開発についてですが、県の水産技術センターでは、令和元年度からアサリの種苗生産と養殖管理技術の開発に取り組んでおります。このうち種苗生産については、その技術を確立しているところですが、養殖化については、成長のばらつきが大きいなど、技術的な課題が残っているところでございます。
 このため、安定した養殖管理のための技術開発と、種苗の量産化技術の開発に要する経費を令和4年度の当初予算案に盛り込み、種苗生産から養殖管理までの一貫した技術の確立を目指すこととしております。
〇岩城元委員 これからその実証実験という形になるのかと思います。単年度の計画ではないかと思いますが、計画期間と実証実験を行う地域、規模はどのようになっているかお知らせください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 期間ですが、アサリの養殖は種苗から出荷まで、ホタテですと3年かかるところが2年かかりますので、複数年は必要であると考えています。
 次に、地域ですが、まず安定した養殖管理については県内4地区での実施を考えております。
 また、種苗の量産化については、種苗生産設備を有する漁協1カ所で実施をしたいと考えております。
〇岩城元委員 そうすると、基本的には静穏域があって、現状ホタテの養殖をされているような箇所ということでよろしいですね。ありがとうございます。
 次に、黄金のウニ収益力向上推進事業について伺います。この事業はウニの二期作の取り組みとして、令和2年度から3カ年の事業実施期間でありますが、昨年末に出荷されるなど、高価格で取引されたと承知しております。これまでの取り組みの成果をお知らせください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 県では、磯焼け状態の漁場に生息するいわゆる痩せウニの有効活用ということで、令和2年度から黄金のウニ収益力向上推進事業に取り組んでおります。
 令和3年度の実績ですが、県内4地区の漁協と連携し、湾内の静穏域や陸上施設を活用し、蓄養技術を確立するためのモデル事業を実施してまいりました。これまでに、蓄養による身入り向上が図られ、高値で取引される年末に出荷が可能となるなど、成果が着実にあらわれております。
〇岩城元委員 まだ現物は見ていませんが、身入りがかなりよさそうだというように拝見しました。
 先ほど磯焼けの話にも触れていただきましたが、次に水産環境整備事業費等について伺います。藻場の再生に向けた今後の取り組みと、先ほどお話をした磯焼けの原因になっているウニを取り除いた後の今の磯の状況もあわせてお知らせください。
〇佐藤漁港課長 藻場の再生に向けた今後の取り組みについてですが、近年のウニの食害を主な要因とした磯焼けにより昆布等の藻場が減少していることから、県では、藻場の再生に向けて、令和3年3月に策定した岩手県藻場保全・創造方針に基づき、今年度から試験的にブロックを投入し、海藻の生育状況を確認しているほか、昆布の養殖技術を応用した海中林と呼ばれる昆布の森づくりなどに取り組んでいるところであります。
 令和4年度は、久慈市侍浜地区など3地区において、地元漁業者と連携しながら本格的な藻場造成に着手することとし、藻場造成に必要な生物調査やブロック製作等の経費を当初予算案に盛り込んでおります。
 今後においては、ブロック投入による藻場造成を計画的に進めるとともに、ウニの間引きなどのソフト対策を一体的に推進し、海域の状況に応じた藻場の再生が図られるよう、市町村、漁業関係団体と一丸となって取り組んでまいります。
〇岩城元委員 間引いた状態で藻場の再生がされるように期待しておりますので、よろしくお願いします。
 次に、サケ、マス類の海面養殖事業について伺います。久慈地区、宮古地区、大槌地区などは昨年から事業化されていると伺っておりますが、今後の課題があればお知らせください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、マス類の海面養殖の今後の課題ですが、サケ、マス養殖の普及、拡大において、海面養殖用種苗の安定確保が課題と認識しております。
 県では、令和4年度当初予算案に盛り込んでいる、さけ、ます海面養殖イノベーション推進事業により、ICT機器を活用した海面養殖用種苗の生産効率を高めるための実証試験、需要増加を見越した県内での種苗の安定供給に向けた体制づくり、他県の競合他産地との差別化に向けた、いわゆるいわてオリジナル海面養殖用種苗の開発などに取り組むこととしております。
〇岩城元委員 課題はそのとおりかと思いますし、今、稚魚の話が出たので、少しふ化場にも触れたいと思います。
 現在は多分10の地域で生産されている稚魚を各漁協で使われているのかと思いますが、海の状態を見ながら作業している養殖事業者は、きょうはちょっと風が強くて作業できないとか、海がしけていて入れないといったタイムリーな対応がなかなかとれないのが課題というように話をされていました。
 そうした中で、地域にもそれぞれサケのふ化場等があるので、そういった近場でうまく供給できないものかという御意見があったのですが、それについて御所見を伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケのふ化場の利用についてですが、通常ふ化場の稚魚生産は11月から5月ころまで行われますので、おおむね6月から10月は利用されていないという状況になります。この期間にその施設を利用して他の種苗を生産するということは、水産振興に資する有効な取り組みと考えています。
 ただ、ふ化場については、サケ稚魚を生産して放流することを目的として国庫補助を導入しておりますので、養殖用など目的以外に使用する場合は国との協議が必要となっております。
 現在、サケ、マスの海面養殖が各地で行われつつありますが、その生産規模拡大に伴い、複数の漁協からふ化場で海面養殖用種苗の生産を行いたいという意向が示されており、既に国と協議が整った漁協もありますし、現在、国と協議中の漁港もあり、その実現に向けて県は支援しているところでございます。
〇岩城元委員 そうしたことで課題を一つずつクリアしていただき、産地化につながればよいと思います。
 次に、ここで養殖されたギンザケ、トラウトサーモンの流通経路等について、わかれば教えてください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 流通経路ですが、現在、主力でやっている久慈地区と宮古地区では、基本的に地元の産地魚市場に流通し、そこの加工屋に流れて流通しています。大槌地区については、一部のサケが地元の産地魚市場を流通して、地元の加工屋に流通しています。ただ、大槌地区の場合は、地元の加工屋に意向の量を確認し、その量を揚げていると聞いております。
〇岩城元委員 秋サケはとれませんが、地元の加工業者にも回っているということですので、そちらの雇用につながるのかと思います。久慈地区では600トンの目標で、加工には120トンほど回るというようなことを漁協関係者からお聞きしていたところでした。
 海面養殖やアサリ、ウニの話を聞いてきましたが、小型漁船漁業者や小さな漁港の生産部会に対して、この事業の経済的な効果が果たして回っているのかという疑問があるのですが、最後にその辺についてお知らせください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 手元に資料はございませんが、サケ、マス海面養殖については、養殖生けすがかなり高価である、種苗の入手について、ルートがあるのでかなり限られるなど、地元の漁業者の方々に余り関係するところはございませんが、今まで地元で漁業者を雇用して、養殖の作業員として雇われているということは聞いております。
〇岩城元委員 私もそのようには聞いていました。先ほど加工の話もしましたが、例えば漁業者の家族が加工場で仕事をするなど、そういった形での経済効果にはなっているのかと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
〇臼澤勉委員 私からは、復興防災部で毎年7月ごろに、岩手県放射線影響対策報告書をまとめております。東日本大震災津波から11年がたちましたが、この中で重要課題の第1番目に、原木シイタケの生産環境の再生の取り組みを掲げています。農林水産部でもその辺は当然認識しておりますし、毎年取りまとめに多分御協力していると思います。
 それで、まず実態を確認させていただきます。原木シイタケの営農再開をしている生産者は、震災前の平成22年度と比べてどの程度減少しているのか、台帳の生産者と比べてどうなっているのか伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 原木シイタケの営農を再開している生産者ですが、県では、震災後に生産者の台帳を作成し、生産者の動向を管理してきております。震災前に露地栽培の原木シイタケを生産していた県内の生産者数は約1、500名でしたが、令和4年1月末現在、出荷可能な生産者数は約570名と4割程度になっております。
〇臼澤勉委員 大幅に、4割程度に減少ということで、深刻な状況と受けとめます。
 県は、この減少している理由をどのように捉えているのか伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 生産者減少の理由ですが、まず、東京電力福島第一原子力発電所事故により国から出荷制限指示を受けたこと、また、震災後の乾シイタケの市場価格の低迷や原木価格の高騰、生産者の高齢化が要因と分析しております。
〇臼澤勉委員 県は、このままこのような状況を継続するというか、手をこまねいているのかというところが多分問われるのかと思います。それで、新規就農を含めた担い手の強化策をしっかり打っていかないと、全国に誇るべき産地であった岩手県の原木シイタケの復活というか復権は果たせないかと私は心配しており、重要な岐路に立っていると認識しております。
 一方で、原木価格の推移についても、生産者の方々から本当に大変だという声を常に聞くわけです。これも震災前に比べ4割程度上昇していると、国や林野庁のデータを見て私なりに取りまとめていますが、県は原木価格の相場の推移をどのように捉え、そして、安定的な原木価格を確保する取り組みをどう進めていくのか伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 安定的な原木価格の取り組み、確保についてですが、県内のシイタケ原木価格の推移については、震災前の平成22年の平均価格が原木1本当たり181円であったのに対し、平成30年には300円台まで上昇し、令和3年には338円と震災前の約1.9倍まで上昇しています。
 県では、高騰する原木価格対策として、国庫補助事業を活用した原木購入経費支援を実施するとともに、東京電力福島第一原子力発電事故の影響により高騰した原木価格と震災前価格との価格差、いわゆるかかり増し経費について、東京電力からの賠償金が支払われるまでの間、原木シイタケ経営緊急支援資金貸付金によるつなぎ融資を実施し、生産者の資金繰りを支援してきたところでございます。
〇臼澤勉委員 私も手元に国の統計データがあり、私なりに整理していますが、平成22年比で、ナラ143%、クヌギ138%という上昇になっているわけです。
 一方で、原木の調達ルートも、震災前と震災後で大きく変化しているのも実態であります。令和2年度の状況を見ますと、震災前は大体福島県の原木が全国に流通していましたが、福島県の原木が流通できないということで、岩手県の原木が青森県、宮城県、茨城県、千葉県、遠いところでは京都府のほうまで流通しているわけです。岩手県の原木は、本来であれば地元で調達して地元の生産にというのが望ましいところですが、一方で全国からの引き合いもあって流れているということです。
 そのように調達ルートが広域的に、変化している中で、県内の生産者から品質の低下、生産量の減少、生産効率の悪化という声をいろいろな会議や勉強会の際によく聞きますが、県はこの現状をどう捉えて対策を打とうとしているのか伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 今お話がありましたとおり、震災前に比べ、シイタケの原木の購入が増加する中、伐採される広葉樹林の状況により、必ずしも、個々の生産者が希望する品質の原木を調達できない場合があると聞いております。
 県では、関係者で構成されているしいたけ原木供給連絡会議において、こうした状況について情報共有するとともに、森林組合や原木を供給する団体に対し、生産者が希望する原木の太さや樹種、産地、供給希望時期などを細かに伝え、希望に沿った原木が供給されるよう努めております。
〇臼澤勉委員 林野庁のデータも、さまざまなデータがホームページから取れるので、私も各年の変化、推移をグラフに整理して見ています。その中で、調達のルートというのは、自分の所有する山林から調達している生産者、あるいは原木所有者から立木を直接購入する方々、これが東日本大震災津波前と比べて43%あるいは48%という感じで半減しており、自己所有からの調達がなかなかできないでいる。一方で、森林組合を通じての購入が、ふえているというか、大体横ばいで推移している状況になっています。
 そして、今、県内で何が課題になっているのか。花巻地区や釜石地区のいわゆるグレーゾーンと言われている地域の方々が、遠距離地域にある山から伐採してくる経費がかさむということで、その経費についても何らかの支援策ができないかという声をよく聞きますが、県の考えを伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 遠距離地伐採に係る経費の支援ですが、自伐の方々は、個々にそれぞれそういう取り組みをされている方もいるようですが、生産者が自己所有山林以外からの原木を伐採するに当たりましては、伐採が可能な広葉樹林の場所の把握や森林所有者との合意形成など、さまざまな課題があると聞いております。調整した結果、なかなか成立しなかったという話も聞いております。
 今後、森林組合や森林所有者の意見も聞きながら検討する必要があると考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 いずれにしても、生産者の方々は、そういう厳しい環境の中で頑張っています。
 そして、もう一つ大きな課題として、ほだ木の指標値というか、50ベクレルよりも相当程度の低い原木を仕入れて、シイタケができたときに100ベクレルを超えないようにすごく神経を使いながら原木生産をしているわけですが、50ベクレルぎりぎりだとちょっとリスキーだということで、あえて20ベクレルといった低い、よりよい原木に植菌しながら、何とか基準値を超えないように超えないようにということで生産に取り組まれています。ただ、残念ながら、結果として100ベクレルを超すシイタケも出てくる場合がたまにあるということも聞くわけです。そうすると産地としても風評被害につながるので、本当に神経を使いながら生産に取り組まれているということです。
 何を聞きたいかというと、シイタケ原木の指標値と東京電力の賠償金とのずれが生じている部分について、どのように解消し、フォローして拾っていくのかといったところがまた難しい問題なのですが、その辺の県の考えを伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 原木の基準値と東京電力の賠償スキームのずれの解消についてですが、東京電力は、原木の購入代金のかかり増し経費の損害賠償については、国のシイタケ原木の指標値となっているキログラム当たり50ベクレル以下を基準として算定しております。県では、国が主催する会議等において、現場では、シイタケ原木の指標値より安全性の高い原木を選択せざるを得ない状況をこれまで繰り返し説明してきたところでございます。
 現時点では、国から指標値の見直しや賠償の基準、東京電力への指導に係る方向性が示されておりませんので、今後も他県等と連携しながら、国や東京電力に対し、引き続き強く要請していきたいと考えています。
〇臼澤勉委員 東日本大震災津波から11年を迎えますが、私は、個々の対症療法的な対応での現地山林の再生にはやはり限界が来るだろうと思っておりまして、山林の再生にどう取り組んでいくのかというところが、11年目を迎えて今問われているのかと思います。
 それで、国の第2期復興・創生期間以降における震災からの復興の基本方針が令和3年3月9日に閣議決定され、うたわれているのですが、そこを少し御紹介します。
 農林漁業者の再建の中で、原木シイタケ等の特用林産物の産地再生に向けた取り組みをさらに進めるということです。特にシイタケの原木生産のための里山の広葉樹林については、その森林の生育状況や放射性物質の動態等に留意しつつ、伐採、更新による循環利用が図られるよう、計画的な再生に向けた取り組みを強力的に推進するということを方針としてうたっているわけであります。
 そこで伺いますが、産地再生に向けて、県としてどのように調査を行いながら、原木が使用できる時期の見通しなどを示して再造林を行っていく考え、あるいはそういう取り組みを進めようとしているのか伺います。
〇工藤林業振興課総括課長 産地再生に向けた原木林再生の方針と対応についてですが、県ではこれまで、シイタケ原木の放射性物質検査を実施してきた結果、出荷制限地域内においても放射性物質濃度が低い森林が確認されており、実際に原木の活用事例が出てきております。
 原木として活用が可能になったことで、新しい方法として示されている再造林による再生だけでなく、伐採後に切り株から発生した新しい芽を更新する天然更新、従来からの方法ですが、これによる再生が期待されているところです。
 このことから、今後は、再生を目指す森林について、再造林と天然更新、どちらの再生方法が適しているか森林所有者等と検討を進めながら、原木林の再生に取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 そういった中で、放射性物質のより安全な原木や広葉樹林の再生を推進するためにということで、広葉樹林再生実証事業を今年度の予算では1、483万9、000円計上されていますが、この取り組みについて、これまでどのような実績か、そして、この実施区域が年々拡大しているのかどうか、その辺の状況について伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 広葉樹林再生実証事業の伐採等の今年度の実績と評価についてですが、この事業は、放射性物質濃度キログラム当たり50ベクレルを超える広葉樹林を伐採し、伐採した木の根元から再生する萌芽枝などの放射性物質濃度を一定期間調査するものであり、令和3年度の実績は、伐採約8ヘクタール、放射性物質濃度調査116カ所で、作業道の開設はございませんでした。
 これまでの調査結果では、萌芽枝の放射性物質濃度が年々低下する傾向は見られたものの、一部にはその傾向が見られないものがございました。
 この事業は、林業事業体等からの申請に基づき実施するものであり、事業を開始した平成26年度から数年間は年間70ヘクタールを超える要望がありましたが、近年は事業の対象となる広葉樹林が奥地化しているなどの理由から数ヘクタールの要望となっており、令和4年度は2ヘクタールの伐採を予定しております。
〇臼澤勉委員 地域からの要望に基づいてということですが、令和3年度は伐採8ヘクタールと、1桁ということで、地域からの要望が限定的になってきているという話のようでございます。
 平成26年度から令和3年度まで、どのくらいの面積を伐採してきたのか、私なりに積み重ねてみると435ヘクタール、そして放射性物質濃度調査は1、797カ所に及びます。地域要望が少ないと言われますが、この事業については、やはり生産者からの要望をもう少し丁寧に聞いてほしいと思います。
 令和7年度の萌芽更新が放射線量の低減に効果があるかどうか検証していくために、この事業を行っていると思っています。もう余り出てこないところも多くなってきているとは言うものの、そうであるならば、岩手県の山林は、原木シイタケの産地再生に向けて、そういう環境が整っていると県は認識しているのでしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 この事業の対象地についてですが、そもそも事業の対象地は、放射性物質濃度が高く、道路条件がよいなど、実際に原木林として活用できる広葉樹林を事業主体の方々が選定しているので、少なくなっているというのは御指摘のとおりでございます。
 私どもとしては、最終的にデータを国等と共有しながら、またシイタケ原木林の放射性物質濃度の成果等を活用し、それをもとにデータを積み重ねていくこととしていますので、要望箇所は少なくなっているのですが、今後、事業の掘り起こしを進めて、データの蓄積を進めていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 最後に佐藤農林水産部長にお伺いします。
 特用林産物の産地再生に向けた取り組みを一言聞いて終わります。
〇佐藤農林水産部長 本県はシイタケの主要な生産地でございました。東京電力福島第一原子力発電事故が起きてから、生産者も減り、生産量も減っているということです。ただ、品質の高い乾シイタケ等を生産する能力は十分に備わっていますので、あらゆる手段をとりながら、ぜひ産地再生に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時16分 休 憩
午後4時32分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 最初に、不漁に打ち勝つ!岩手県水産業リボーン宣言についてお伺いしたいと思います。
 東日本大震災津波以降、漁場や漁港の復旧、また10年かけてそれぞれの浜の整備を進めていると聞きました。その震災の復旧、復興事業の途中から海洋の変化もあったり、また漁業者が被災し大幅に減少したなど、浜の環境は大きく変わってしまいました。
 そこで、今般、不漁に打ち勝つ!岩手県水産業リボーン宣言をされたわけですが、このタイミングで発する意図、そして来年度以降どのような方向性により強化を進めていこうとしているのか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 3月14日に実施しました知事と水産関係団体による不漁に打ち勝つ!岩手県水産業リボーン宣言についてですが、これまで県は、東日本大震災津波の復旧、復興に努めてきたところでございます。復旧事業の進捗により、施設整備などのハード整備が進み、生産の回復は図られてきたものの、近年の海洋環境の変化に伴い、サケ、サンマ、スルメイカ等の主要魚種は極端な不漁に見舞われ、特に、定置漁業に依存する本県の沿岸地区漁協等の経営は非常に厳しい状況にあります。
 今回の宣言は、この海洋環境の変化に対応していくため、大型で遊泳力の高い強靱なサケ稚魚の生産や、アサリ養殖の事業化の推進など、これまでにない新しい取り組みにも果敢に挑戦していく態勢を漁業関係団体と共有するとともに、消費者の方々にも強くアピールするものでございます。
 今後は、宣言にある3本の柱に基づく取り組みをさらに加速し、沿岸地域の基幹産業である水産業が将来にわたって持続的に発展していくよう、漁業関係団体と一丸となって、全力を挙げて取り組んでいくところでございます。
〇工藤大輔委員 今定例会の代表質問において、中平均議員の質問に対し、知事からは、行政と漁業関係団体が一つになって、新しい取り組みをアピールできる体制などを3月中に立ち上げたいという答弁があったわけです。恐らくこのリボーン宣言はそのことかとその後わかったわけですが、もう一つ知事が言った言葉の中で、次世代を担う漁業者が夢と希望を持てる環境づくりが必要ということが新聞報道等で掲載されています。
 今答弁をいただいた中では、アサリ養殖については新規ですが、遊泳力の強いサケの稚魚の生産というのは、今も取り組んでいる事業かと思います。これは、海域ごとにどのように再生をさせていくのか、リボーンさせていくのかが明確に示されていかなければ、漁業者は非常に厳しい不漁が続いている中で、なかなか続けられないという状況にあります。原油価格も高騰していますし、岩手県水産アカデミー等においても、10名入れる人数の中で、いまだ募集をかけても10名いっぱいの応募がないという状況も続いています。
 岩手県の水産業をどのように導くかということでこのような宣言を出されたということは、具体のものを矢継ぎ早に施策として進めていく必要があると思います。もう一度答弁をいただきたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 リボーン宣言においては、リボーン宣言をした会場で、若い漁業者の方々からメッセージをいただき、我々は頑張るぞという映像を流させていただきました。それをもとにリボーン宣言をしていただきまして、これを契機に岩手県の漁業を再生するという意気込みを共有し、新しい取り組みにも果敢に挑戦していくという宣言でございますので、今後、業界と一緒になって、新しい取り組みをどんどん進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 これからの水産業を担う若い漁業者が思いを込めてできるような体制、また研究等も進めていかなければならないと思います。そういった声を拾い上げて取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、次に、主要魚種であるサケの関係について、お伺いします。今回の予算特別委員会の総括質疑で米内紘正委員が質問されましたが、2028年度までに3万トンの漁獲量に向けた放流体制をつくるということで今進んでいるわけです。毎年2月末で漁獲速報をまとめるわけですが、最終はどのようになったかお示しください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの漁獲については、毎年、最終値を2月末で集計していますが、まだ一部集計が終わっていないところがあるので、あくまでも速報値ですが、ことしのサケの漁獲は、13万9、000尾、重量で413トン、金額で37億3、000万円(後刻「3億7、300万円」と訂正)となっております。
〇工藤大輔委員 そうすると、1月末とほぼ同じ、変わっていなかったということでよろしいですか。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 1月末の数字からふえたのは数尾程度ですので、トン数換算では変わらないということです。
〇工藤大輔委員 そうなると、来年の稚魚生産に向けて、採卵計画に対する種卵の確保の状況はどうなっているのか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 現在、サケの資源回復に向けた取り組みですが、3万トンの漁獲に向けた放流計画については、今のところ4億尾の放流を掲げていて、それに向けて親魚や種卵を確保する計画になっています。
〇工藤大輔委員 東日本大震災津波前4億5、000尾放流していたのがずっと続いて、現在4億尾の計画ということですが、今年度の種卵確保は5、800万粒であったと思います。これは計画比では13%となり、その中からどれだけの稚魚ができて放流できたかということになります。来年も、今回の漁獲量からすれば、種卵確保や稚魚の生産はかなり厳しい状況と思いますが、その点について伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほどのサケの金額に少し間違いがございました。3億7、300万円でございましたので修正させていただきます。
 来年の放流計画に向けた種卵確保の見通しについてですが、先ほど御指摘のとおり、ことしの種卵の確保数は5、800万粒と、計画の約13%にとどまっております。
 東日本大震災津波以降、河川遡上するサケのみでは種卵の確保が難しいことから、定置網で漁獲されたサケも親魚として活用してきたところであり、今年度は前年度より時期を早めて、サケ漁の当初から活用を始めております。
 また、他県からも種卵を移入しているところで、今後もさまざまな手を尽くして種卵の確保に努め、サケ資源の回復に全力を挙げて取り組んでいきます。
〇工藤大輔委員 令和3年度は、河川捕獲が4万尾、海産親魚が8、000尾だったと思います。その中で種卵を確保し、稚魚をつくって放流したということになると思いますが、今年度の漁獲数からいくと、記録的というか、かなり漁獲が少ないわけで、どの程度、種卵を確保できるのか、稚魚をつくれるのかというところを伺いたかったので、その辺について、どのような方向性になっているのか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 回帰するサケが少なくなっています。例えばここ5年間を見ると、平成26年は448万8、000尾の定置漁獲がありましたが、そのうち海産で使ったのは2万4、000尾、0.5%という低い数字でした。令和元年度から急激に回帰が悪くなり、令和元年度の海産親魚の率が7%、令和2年度も12.7%まで上がりました。令和3年度は遂に10%を超し、定置漁獲で7万8、000尾とっていますが、そのうち8、000尾の10.3%まで海産親魚を使うような状況になっております。
 ただ、海産親魚を使わないと種卵が確保できませんので、海産親魚を一生懸命集めるということと、特に北海道を意図していますが、他県から移入する努力もして、できる限り種卵を集めて種苗放流をしていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 わかりました。そこで、2028年度までに3万トンの漁獲量を目標とした場合、3年魚、4年魚、5年魚という回帰の状況を見たときに、再来年には4年魚が帰ってくる年の放流になると思うので、放流数をどの程度確保しなければならないのかという大切な年に入ってくると思います。
 そこで、今の漁獲が減っている中で、種卵、尾数の確保ができるのですか。これから続く放流計画では、どのような計画を立てて、その実現に向けて取り組もうとしているのか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 海洋環境の変化に伴い、回帰尾数が非常に悪いということですので、目標を達成するためには、1尾でも種卵を確保するということですが、種卵を集めるのが厳しい状況が多分続くだろうと予測しています。サケの資源回復には、できる限り種卵を確保するとともに、回帰率をさらに上げる取り組みが必要かと思っております。
 このため、令和4年度の当初予算案で、県外から種卵を確保するのに要する経費、強靱で遊泳力の高い稚魚を生産するために必要な経費等を盛り込んでいるところでございます。
〇工藤大輔委員 3万トンとるために、1億尾の放流で足りるのか、足りないのか。例えば令和3年度の魚卵確保で5、800万粒ということですから、全て元気な稚魚をつくったとしても、1億尾以上にはならないわけです。この数で3万トン確保するという計画になるのかどうか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 3万トン確保するために、回帰率2.2%で約4億尾の放流が必要という計算になりますので、4億尾を切るとかなり難しいということになります。
〇工藤大輔委員 つまり、全く足りないということですね。そういった中で、これは加工業者にもかなり協力してもらわなければならないと思いますが、稚魚に回すサケと、イクラ等を販売するために確保するサケがあると思います。できるだけ稚魚に回してもらうということを前々から取り組まなければならないと思いますが、その取り組み状況を伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 岩手県さけ・ます増殖協会等漁業関係団体と、親魚確保が必要だということで、令和3年度から初めて漁期当初から海産親魚やその他の確保をするための取り組みを始めた結果、定置でとれた魚の10.3%をようやく海産親魚に回せたという数字になります。この数字は、過去から比べると多分桁が違うので、漁業者もかなり努力した結果だと私たちは認識しております。
〇工藤大輔委員 ということは、計画達成は当初から無理だということになるかと思います。いずれサケ資源をどう増殖していくか、ふやしていくかということをしっかりと話し合いながら進めていただきたいと思います。
 次に放流事業の関係について伺います。
 第7次栽培漁業基本計画を実行中ですが、今の実施状況、またこれからの方針について伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 第7次栽培漁業基本計画の状況ですが、本県では、平成27年度にその計画を策定し、令和3年度までの7年間でアワビ、ウニ、ナマコなどを対象とした種苗放流数の目標設定や生産、放流技術の開発に向けた取り組みを推進してまいりました。
 これまで県は、漁協等が行うアワビ等の種苗放流を支援してきたところであり、種苗放流数については、計画に定める震災前と同水準まで回復してきているところでございます。また、種苗放流に合わせて、県水産技術センターでは、東北大学や国の研究機関と連携し、アワビやナマコの種苗放流効果の実証に取り組むなど、計画を着実に進めてまいりました。
 今後の方針ですが、国では、現在、第8次栽培漁業基本計画方針の策定作業を進めており、本年6月ころにその内容を公表すると聞いております。
 都道府県が定める栽培漁業基本計画は、関係する法律により、国の方針と調和するものでなければならないとされていますので、県では、次期計画の策定に当たり、国の基本方針の内容を確認した上で、栽培漁業の推進にかかわる本県の漁業関係者や市町村の意見を伺いながら進めてまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 サケがなかなか見通せない中にあると、つくり育てる漁業を進めるというのは、ここを強化していくしかないのかと思います。漁協経営も今非常に苦しい状況が続いていて、その再生に向かっては、やはり根魚の放流事業を拡大するとか、より確実に漁獲できる体制の強化も必要だと思います。
 また、県北地域でいえば隣の青森県階上町がアブラメ放流をしていますが、生産エリアを拡大するために県北地域でもそういった魚種を一緒に拡大させるとか、県南地域のほうとも一緒に取り組める事例もあると思いますので、より効果的に漁獲量が上がる体制を隣県とも協議しながら進めていただきたいと思います。
 いずれ今の水産業の本質的なものを漁業団体とかなり深く詰めていかなければ、このリボーン宣言をしたとしても、宣言をしただけにとまって、効果が見えにくいのかと思います。この辺の取り組みについてどのように強化していくのか、最後にお伺いして質問を終わりたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 国の方針が6月に出てまいりますので、関係団体や市町村としっかり協議し、第8次栽培漁業基本計画を策定してまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 私からは、ガストロノミー事業についてお伺いしたいと思います。
 2019年の三陸防災復興プロジェクト以来、県では毎年数千万円かけてガストロノミー事業を行ってきたと認識しておりますが、この事業の目的と成果についてどのように評価しているか伺います。
〇似内流通課総括課長 ガストロノミー事業についての目的、成果についてということでございます。
 本事業は、三陸防災復興プロジェクト2019における食の関連イベントの実施を契機として、三陸地域の魅力や豊かな食材、食文化を活用して地域振興を進めるために取り組んできたところであります。
 具体的には、首都圏等におけるトップセールスやレストラン等でのフェアの開催などに取り組んできたつながりを生かし、令和元年度から、東北地方では初となる食をテーマとした国際会議を開催したところであります。
 また、この国際会議の開催とあわせて、著名なシェフや学識経験者などが三陸地域の産地を訪問し生産者と交流する三陸と世界をつなぐ食のキャラバン─これは産地見学のようなものです─また、著名なシェフと地元の料理人が協働で県産食材を活用した料理を創作し提供する三陸美食サロンなども実施してきたところであります。
 こうした取り組みにより、令和元年度から3年間での成果ですが、著名なシェフ、料理関係者が延べ478人来県されるなど、本県の生産者やシェフとの間での交流が促進したほか、昨年10月に首都圏を中心とした国内最大のフランス料理イベントにおいて、県産食材であるホタテ、ヒラメなどが採用されました。また、dancyuなど料理専門雑誌に、本県の食の取り組みに係る特集記事が14回掲載されるなど、国内外に向けて三陸地域の食の魅力のPRや、三陸地域のにぎわいの創出の一助になったものと考えております。
〇千葉絢子委員 私は、かねてから、シンポジウムや交流会など、それを成果にする事業というのはちょっと疑問を感じておりまして、このイベントを通じて、沿岸地域の生産者の方々にどのように利益を還元していくかということが大事な視点だと考えております。
 トップセールスやフェアの開催で培ったトップ料理人との関係、PRが結果的にどのようなことにつながって引き合いが生まれるのか。そして、新型コロナウイルス感染症の影響による人流の抑制ということで、いろいろなツアーも中止になったり、先ほど拝見したら、ことしは結構な数の三陸美食サロンも開催中止になっているようです。これに2、400万円から2、500万円、令和2年度は2、500万円ですし、令和3年度は2、600万円の予算を一応計上していますね。これが結果的にどのようにコロナ禍に負けない引き合いにつながって、具体的な流通経路が確保されたのかというところを事業の評価にすべきだと思うのですが、この点に関してはいかがでしょうか。
〇似内流通課総括課長 まず、予算の関係の話をさせていただきます。令和元年度は予算額3、300万円に対して決算額が3、300万円、令和2年度は、9月補正予算により、予算額は3、300万円と少し増額になりまして、決算額は3、100万円という状況でございます。令和3年度は予算額が2、500万円でしたが、委員からお話がございました、今回はコロナ禍ということで、9月に予定していた国際会議の、現地での開催は中止させていただき、VTR配信により行いましたので、決算額は1、300万円となる見込みでございます。
 また、成果の部分です。委員おっしゃるとおり、具体にどういうマッチングや引き合いがあったか。国内最大のフランス料理イベントに県内の食材を今回提供させていただいたところ、これは海産物を含めてですが、参加した全国のフランス料理店573店舗のうち38店舗から県産食材を取り扱いたいという意向がございました。
 それ以外にも、これまでの取り組みの中では、例えば、陸前高田市のカキ生産者が、今回のイベントの参加を契機としてフランス料理店との直接取引につながったということもございますし、また、洋野町の事業者の方も、東京都や福島県の飲食店との取引につながったと聞いております。このような直接取引による料理人とのつながりにより、三陸地域の食材の認知度や評価の向上が期待されるところでございます。
 委員おっしゃるとおり、漁業者に限らず、農林漁業者の所得向上がやはり大事だと思っております。そこはしっかり取り組んでいきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 ところが、来年度の当初予算案は820万円に減額されているのですね。ガストロノミー事業はどのような目標を持つかというと、地域特性を生かした生産性、収益性の高い農林水産業を実現しますという項目に分類されておりますが、これは初期の目的を果たしての減額なのでしょうか。
 また、シンポジウムや交流会はどのような成果につながっているのか。ある筋からの話によると、県職員も結構動員されているようだと聞きます。それはもしかすると残業というか、出張手当もついているのではないかといううがった見方をする方もいて、これが内輪受けイベントになっていないか、もう一度検証すべきだと思いますが、その指摘についてはどうでしょうか。
〇似内流通課総括課長 まず、令和4年度の予算案の関係でお話しさせていただきたいと思います。
 令和4年度の予算案は、委員からお話がございました800万円余の予算を組んでいますが、中身は、食の聖地いわて三陸の魅力再発見事業ということで、食のキャラバンと同じような形で、著名な料理人やジャーナリストが三陸地域の食材の産地を訪問し、産地の生産者とのマッチングを進める、情報発信をするという事業と、食の宝庫いわて三陸フュージョン料理創造事業ということで、これは三陸美食サロンの後継事業ですが、国内の著名な料理人と地元料理人が協働して、三陸地域の食材を活用した料理を創作し、ここでしか食べられない料理を提供するというもので事業を組んでおります。
 委員からお話がございました国際会議や交流会については、来年度は予算の計上をしておりません。ゼロ予算ということで、現在、民間の料理人、シェフの方々が、県の力をかりずに自分たちでそのようなものをやっていきたいという意向がございますので、県としてはその後方支援をしていくことを考えております。
〇千葉絢子委員 知事は、このイベントの開催に当たり、沿岸地域の地域振興として食ということをますます振興していくべきだと考えていて、裾野を広げながらもレベルを高めていくことを進めたいと思いますと話されているのです。知事がどのようなお考えか、私はその真意まではわからないのですが、新しい生活様式などで飲食店に客足が少し遠のいている中で、今後、どのように食を現地で盛り上げていくのか、人を呼ぶイベントをどのように継続していくのかというところをちょっと見直したほうがよいのではないか。別な商談会のような、本当に所得向上につながる方向に持っていくことはできないかと思うのですが、今後の三陸構想推進プロジェクトの進め方、方針についてお伺いして終わります。
〇似内流通課総括課長 事業の見直し、進め方というお話でございました。この事業については、岩手県の調理師会など飲食関係団体、あるいは岩手県漁業協同組合連合会など農林漁業関係団体、沿岸市町村、県で構成する事業実施主体である三陸国際ガストロノミー会議実行委員会において、年度ごとに事業実績の取りまとめを行っております。
 今年度は、3年間の総括として、委員からお話がございました県産食材の利用状況を含めた総括を今月23日に開催する実行委員会の総会で報告の上、取りまとめることとしております。
 いずれにしましても、必要に応じて、市町村、飲食店、商工関係団体も含めて、知事の意見を聞きながら、慎重に取り進めていきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 2019年から総額で7、000万円ぐらい計上している事業ですから、費用対効果はどれくらい出ているのかしっかり検証して、次年度につなげていただきたいと思います。
 それを上回る効果が出ていないと、税金をベースにしたイベントとしては厳しいと思いますし、以前、県政調査会で伺った先生の話では、シンポジウムやイベント形式というのは職員を疲弊させるだけだという御指摘もありました。本当にイベント形式がよいのか。PRの場合はイベントも必要なのかもしれませんが、毎年特定の生産者、特定の県内の料理人だけがかかわるようなイベントではいけないと思っておりますので、もっと裾野を広げるという知事の真意をお酌み取りいただき、発展的な事業にしていただきたいと思っております。要望で終わります。
〇高橋こうすけ委員 私からは大きく1点、さきの一般質問でも少しだけ触れたのですが、県産木材の利用促進と全国植樹祭についてお伺いします。
 来春、第73回全国植樹祭が開催される予定ですが、岩手県は北海道に次ぐ森林面積の広さを有しており、林業関係のさまざまな生産量は全国でも上位の森林県であります。県産木材の利用促進という観点も含めて、岩手県の森林の魅力発信や全国植樹祭の開催に向けた県内外の機運醸成の方策についてまず伺います。
〇柏葉全国植樹祭推進課長 岩手県の森林の魅力発信や県内外の機運醸成の方策ということでしたが、令和3年度は、県内の緑の少年団や小中学校において全国植樹祭で植樹する苗木を育成する苗木のスクールステイの際に、岩手県の森林について学ぶ森林環境学習を行ったほか、大会ポスターに採用する原画を小中学校、高等学校、特別支援学校などから公募するなど、植樹祭や岩手県の森林の恵みの普及啓発を行ってきたところでございます。
 なお、11月には大会の公式ホームページを開設し、こうした取り組みを含め、植樹祭とあわせて岩手県の森林の魅力について発信をしているところでございます。
 令和4年度は、本年1月に策定した基本計画に基づき、引き続き苗木のスクールステイに取り組むほか、開催1年前の時期には1年前プレイベントを前回昭和49年に開催した八幡平市の岩手県県民の森にて開催するとともに、市町村とも連携し、産業まつりなどの各種イベントを通じて、岩手県の豊かで多様な森林資源の魅力を発信していきたいと考えております。
 また、公式ホームページや広報誌、大会ポスターなどさまざまな広報媒体を活用した情報発信に加え、令和4年度の滋賀大会から引き継ぐ全国植樹祭のシンボル木製地球儀を県内全市町村で巡回展示する木製地球儀リレーや、開催日の200日前などの節目に行うカウントダウンイベントなどを通じて大会の機運を盛り上げつつ、木材の魅力等も含めて発信していきたいと考えております。
〇高橋こうすけ委員 さまざまそういったイベント等をやっていくことはすばらしいことだと思いますし、県産木材、国産材の利用推進も、あわせて進めていただきたいと思います。林業、木材業の仕事をしている人たちの収入だけではなく、こういったことが森林保全にもつながると思っておりますし、伐採や植樹が健全なサイクルになっていけば、地球温暖化の対策にもつながると思います。そして、国産材、県産材の利活用、消費の促進は、ぜひ民間とも連携して、どんどん広げていただきたいと思っております。
 そこで、先ほど全国植樹祭に向けたイベント等を少しお話しいただきましたが、もう少し具体的な取り組みや規模感を現段階でわかる範囲で教えていただきたいと思います。
〇柏葉全国植樹祭推進課長 現段階の状況でございますが、ことしの1月31日に全国植樹祭の基本計画が決定したところでございます。開催規模について、招待者はおおむね4、000人ということで、式典会場においては、県産木材などを活用しながら天皇陛下がお着席になるお野立所を建築していくとか、県産の木製品を使いながらさまざまな記念品等をつくるというところでございます。
〇高橋こうすけ委員 植樹祭だけではなく、さまざまな分野で木材を使うところはできるだけ使っていく工夫をしながらPRをしていくということで、ぜひ進めていただきたいと思いますし、そういった活動が、大きな枠ではありますが、人口減少対策や地方創生にもつながっていくと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 今までのこういったやりとりを踏まえ、最後に佐藤農林水産部長の所感をお伺いして終わりたいと思います。
〇佐藤農林水産部長 全国植樹祭の本県開催は49年ぶり2回目ということでございます。全国に復興の姿、それから森林県、林業県である岩手県をPRする絶好の機会だと思っておりますので、関係機関、団体を初め、県民の皆様と一丸となりまして、本大会の成功に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 先ほど臼澤勉委員からも御質問がございましたが、私もシイタケ原木林の再生についてお伺いしたいと思います。
 一般質問の御答弁で、放射性物質濃度の低い森林が出荷制限地域においても確認されており、原木林として活用される事例が出てきていると御答弁をいただきました。実際に、出荷制限地域の中で放射性物質濃度の低い森林はどの程度あって、実際に活用されているのはどの程度なのか、まずお示しいただきたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 出荷制限地域内で実際に利活用された事例ですが、令和元年度から令和3年度までの間で2カ所ございます。その内訳は、トータルで約21ヘクタール、原木の本数にして約7万本でございます。
〇佐々木朋和委員 さらに、県では、周辺の森林についても活用可能として活用を促していくという御答弁をいただきました。その見込まれる面積等はどの程度なのか伺いたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 原木林として使用が見込まれる森林は、先ほども説明しましたが、既に利用が開始されている分を含めると、約500カ所になっています。新たに活用が見込まれる森林については、令和3年度に検査を実施した約40カ所ですが、面積が大小さまざまございますので、具体的に何ヘクタールという数字はお示しできない状況でございます。
〇佐々木朋和委員 放射線の影響が心配されている中で、県の御努力と森林所有者の御協力により、このような形で使える部分が出ているということですが、一方で、なかなかその実態が知られていないという課題があるのではないかと思います。今後さらに活用の促進や萌芽更新等をして森林を使える状態にしていこうという所有者の方をふやしていくためには、どのように情報提供していくかということが大事だと思います。県では、森林所有者に情報提供していくこともそうなのですが、関係団体や生産者へも情報を提供していくべきと思いますが、現状はどうなっているでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 これらの原木林検査の結果については、これまでは森林所有者や森林所有者から立木を購入した伐採事業者のみにお知らせしたところですが、今後は、原木林として使用が見込まれる森林の検査結果について、森林所有者の意向を踏まえながら、関係団体等にお知らせしながら、活用を進めていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。生産者や関係団体に話を聞きますと、近くで原木を求めているという話をよく聞きます。原木林を探しているということですので、所有者のみではなく、これからは団体を通じて生産者へも情報が届くということで、期待したいと思います。
 もう一つ、県は、原木林として活用可能なカリウム濃度が高い候補地を絞り込むために今年度カリウム濃度を調査していますが、今年度の調査面積と、これから原木林として使えるという候補地となった面積、来年度の予定の面積についてお示しいただきたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 カリウムの調査ですが、これは先ほどと同様に面積を直接お示しすることはできないのですが、出荷制限地域内の5カ所において調査を実施しております。
 調査の結果、同一箇所でも土地の形状の違いなどにより数値にばらつきが見られたものの、国が定めている効果が期待される土壌中のカリウム濃度の多いところは、5カ所のうち4カ所確認されております。
〇佐々木朋和委員 カリウム濃度の多い土地というのは、現在森林となっているところを調査しているのですか、それとも更地の状態のところなのでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 既に伐採された森林で、これからまた森林になる場所でございます。
〇佐々木朋和委員 萌芽更新している場所ということですね。これからその4カ所が萌芽更新をされて伸びていって、実際に原木、ほだ木として使えるようになったら、カリウムの多い場所が実際に使えるという実証にもなると思います。
 森林や原木としたいところにカリウムを実際にまくやり方も、東日本大震災津波復興特別委員会で専門家の方から話がありましたが、県として、そういった部分は考えているのでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 カリウムの散布については、森林の面積が非常に広大であるということで、実際に散布するには経費がかかり過ぎることが一つあります。もう一つは、散布することにより隣地に生育している植物への生育障害が発生する可能性がありますので、実際に実施するのは難しいと考えております。
〇佐々木朋和委員 了解しました。私も原木シイタケの視察で関東地方のほうに行ったことがありますが、あちらでは、山の中ではなく、農村部の平地に林があって、そこで生産している現場を見かけました。今、山林の中でまくのは大変だという話もありましたが、例えば休耕田等、震災のときに田んぼなどは除染をしているわけですから、そういったところに原木林をなしていくということも、今後の方向性としてあるのかという感想でございます。
 それで、これら取り組みを進めている中で、先ほど来、面積はなかなか答えられないという状況も承知していますが、全体像を見せていくことが、生産者に生産の希望を持たせることだと思います。そうであれば、この取り組みを進めることにより、出荷制限地域において必要な原木をどの程度賄えるようになるかという方針なり見通しを示していくことも大事だと思いますが、その点については現時点でどのようにお考えでしょうか。
〇工藤林業振興課総括課長 必要な原木の量ですが、これまで県が実施してきている原木林検査に加え、樹木の放射性物質の吸収、先ほどのカリウムの調査を行うことで、原木林の活用可能な候補地がさらに絞り込みできるものと考えております。
 しかしながら、カリウム濃度の調査は今年度から始まったばかりですので、出荷制限地域において必要な原木をどの程度賄えるか、これはなかなかお示しできないのですが、引き続き調査を進め、生産者が安心して利用できる原木を確保できるように、原木林の再生に努めていきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 確保とともに、見える化について、できるだけの努力をお願いしたいと思います。
 ただ、先ほどの答弁の中で、実際に調査希望のところ、あるいは伐採希望のところについて、あとは山の中だという話がありまして、調査は大体できているのだろうと思います。その中で、県として一歩進んで実際に活用に移ったということは評価させていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に、先ほど来、議論の中で、令和2年度は乾シイタケの植菌本数が目標94万本のところ60万本にとどまったということです。その主な原因として、価格の低迷、原木価格の高騰に加え、先ほどの答弁では高齢化という話がございました。
 その中で、価格の低迷の対策として、令和4年度は原木シイタケ販売力アップ促進事業の予算案を計上しておりますが、本年度の事業の内容と令和4年度の取り組みについて伺いたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 原木シイタケ販売力アップ促進事業ですが、今年度は、県産原木乾シイタケの需要拡大を図るため、生産者、集出荷団体及び岩手県立大学との産学官連携により、県立大生が考案した乾シイタケのレシピを紹介する動画の制作や、SNSを活用した発信等によるPRを行いました。また、盛岡市内の飲食店で、レシピ再現メニューを期間限定で提供したところでございます。
 また、県産原木乾シイタケの販路を開拓するために、集出荷団体による首都圏等の飲食店を対象としたウエブ入札システムを活用した直接販売を実施しております。これにより、通常の卸売業者対象の入札会で販売される価格は、大体1キログラム当たり3、000円ですが、これを大きく上回る1キログラム当たり7、000円から1万1、000円で販売できました。また、お買い上げいただいた料理店から追加注文を受けるなどの成果があったところでございます。
 令和4年度は、引き続きこういった取り組みを進めながら、盛岡市内の飲食店において期間限定メニューを提供するなど販路を開拓したり、首都圏の飲食店を対象とした直接販売に要する経費を当初予算案に盛り込み、取り組んでいきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 生産者からは、市場価格はそれほど変わらないのに取引価格が安くなってしまうという課題をいただいていた中で、非常にタイムリーな事業に取り組んでいただいたのだと思います。ぜひこのウエブ入札システムを活用して、より多く販路を拡大していただきたいと思います。
 次に、しいたけ等特用林産振興対策事業費の新規参入者への確保定着支援について伺いたいと思います。この効果及び本年度の執行額をお示しいただくとともに、令和3年度の新規参入者、そして期待をして聞きたいと思いますが、令和4年度の新規参入者の予定をお示しいただきたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 新規参入者への支援の効果ですが、県では、新規参入者等を対象に、シイタケ栽培の基礎技術を学ぶための研修会を開催してきたほか、県が認定した地域の生産技術指導者や集出荷団体と連携し、生産量の増加や品質の確保を目的とした生産技術の向上支援に取り組むなど、新規参入者の定着に努めてまいりました。
 こうした取り組みにより、令和2年度は4名、令和3年度は9名の方が新たに原木シイタケ栽培に取り組み、生産活動を開始したところです。これらの新規参入者を対象にした取り組みに要した経費は、令和3年度は約60万円でございます。
 令和4年度の新規参入者は現在調査中で、詳細な人数については、現時点でお示しできませんが、引き続き、このような取り組みを継続しながら、新規参入しやすい環境づくりに努めていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 このような環境の中で、令和3年度、新規参入者があったということは大変希望が持てることでありますが、執行額が60万円ということで、新規参入者の場合は東京電力からの賠償がなかったりというデメリットもあるわけですから、ぜひとも拡充して進めていただきたいと思います。
 次に、きのこ原木等処理事業費補助について伺います。
 令和3年度が3、380万円余の予算でしたが、令和4年度の予算案は2、370万円余に減少しております。その理由をお示しいただきたいと思います。
 また、今後、この事業を使って整備が想定されるほだ場の生産環境の整備についての予定も、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇工藤林業振興課総括課長 予算額の減少の理由と今後の見込みでございますが、本事業は、震災後、生産再開を目指す生産者の要望を受けて実施してきたものでございますが、国の指標値を超過したほだ木はここ数年ゼロとなっているほか、令和4年度も事業要望は出ておりません。
 また、ほだ場の落葉層除去や泥等のはね返り防止資材の設置については、令和2年度は約2万平方メートル、令和3年度は約1万3、000平方メートル、令和4年度は約9、000平方メートルと減少しておりますので、こういったことを踏まえて、令和4年度の当初予算案を計上したところでございます。
 今後、新たに処理を必要とする指標値を超過した原木、ほだ木は確認されていませんが、生産再開の意向を示している生産者で、ほだ場の環境整備が未実施となっている生産者が数名おります。また、これに加え、意欲的な生産者の方で生産規模の拡大をしたいという方がおりますので、これら生産者の意向を踏まえて必要な予算を措置しながら、ほだ場の環境整備に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 先ほど臼澤勉委員の質問の中で、生産を再開したのは震災前と比べて4割で、ほだ場の整備の要望が年々減少しているということは、やはり高齢化等の問題もあるのだろうと思います。そういった中で、新規参入者の確保と、また、先ほどおっしゃっていただいた規模拡大にも、きのこ原木等処理事業費補助が使えると思いますので、ぜひ周知をいただいて、生産拡大に向けて取り組んでいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、地球温暖化防止、気候危機打開に係る林業分野の取り組みについてお聞きしたいと思います。
 まず第1に、森林吸収量について。2014年は200万6、000トンの削減効果、ところが2017年は108万2、000トンに大幅に減少していますが、この減少した理由は何でしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 森林吸収量の減少理由ですが、森林吸収量の算定は林野庁が行っており、森林の拡大、縮小の変化や、再造林、間伐等の森林整備の状況などについて調査を行うとともに、各都道府県や森林管理局から提出された民有林及び国有林の森林資源に関するデータをもとに、1年間の樹木の増加量を推計し出していると聞いております。
 森林吸収量の増減については、民有林のほか、国有林における間伐等の森林整備の実施状況や、森林の伐採及び伐採後の再造林の状況、樹齢の変化などさまざまな要因が影響しているものと考えられます。
〇斉藤信委員 実は、2016年度は91万3、000トンまで落ちているのです。余りにも下落幅が大きいのでどういうものかと思いますが、2030年度の森林吸収量の目標は133万9、000トンと見込まれていますが、その理由は何でしょうか。低い目標ではないかと考えますが、同時に、この目標を達成する取り組みはどういうものでしょうか。
〇鈴木森林整備課総括課長 2030年度の森林吸収量についてですが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画における2030年度の森林吸収量は、2013年度から2017年度までにおける本県の森林吸収量の平均値を2030年度の森林吸収量として見込んだところでございます。
 また、第2次実行計画では、2030年度の森林吸収量目標を前の計画の114万8、000トンを約17%上回る133万9、000トンとしたところでございます。
 森林吸収量は、森林の高齢化に伴い減少していくことから、県では、2030年度の森林吸収量の目標達成に向けて、利用期を迎えた人工林資源の循環利用を進め、再造林などの適切な森林整備を促進してまいります。
〇斉藤信委員 実は、その岩手県地球温暖化対策実行計画は、来年度見直し、目標も引き上げるということです。昨年度決めた目標がこの間の平均値だったということで、余り前向きに見えないのです。どうせ掲げるのだったら、これまでの最高の200万6、000トンを回復するくらいの目標を示さなかったら、2030年の目標達成に貢献できないのではないか。県が目標を引き上げる、見直す中で、この森林吸収量はどのように見直す考えか示してください。
〇鈴木森林整備課総括課長 人工林が高齢化すれば森林吸収量が減少するのは明らかな事実です。例えば杉であれば30年生から40年生の吸収量が一番多くなります。森林がどんどん高齢化していますので、森林吸収量の数値は、岩手県だけでなく、全国的に割合が小さくなるのは避けられない事実だと思っております。その中で、県として、再造林などを積極的に進めていかに減るのを抑えるか、そういう考えが適切と考えておりますので、見直しに当たってはそういうことも含めながら考えていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 ちなみに長野県は、森林吸収量を引き上げるという目標を去年6月に出していますので、単純でないということはわかりますが、世界でCO2を45%削減するというのがグラスゴー気候合意ですよ。実は今の各国の目標を行っても1.5℃に抑えられない。既に1.2℃くらいまで上がっていると言われて、本当に2030年まで、厳密に言うとあと9年間ですが、どこまでこれに取り組むか問われていますので、岩手県は本州では最大の森林県ですから、ぜひ林業の分野で、長野県に負けないような目標の設定ができるのではないかと思います。
 もう一つ、木材利用や木材バイオマス活用によるCO2削減の目標と取り組みについて示してください。
〇工藤林業振興課総括課長 木材利用、木質バイオマスに関するCO2排出削減の目標値ですが、直接の目標値は定めておりませんが、令和2年3月に策定した岩手県県産木材等利用促進行動計画に、県産木材の利用促進に関する2022年の目標として、素材需要量134万6、000立方メートルと、エネルギー施設でのチップ利用量23万3、800トンを掲げております。
〇斉藤信委員 私は気候危機打開の立場で聞いているので、それを行ったらどのくらいのCO2削減の効果が出るのか、今の情勢のもとでそういう試算をしっかりするべきだと思うのです。林業分野でCO2削減にどう貢献していくか、木材利用の問題でもそういう視点が必要だと思います。
 もう一つ、いわて木づかい住宅普及事業8、700万円、いわての木があふれる空間づくり事業費が新規で1、510万円となっています。県土整備部も住宅に対する補助がある。林業もある。しかし、統一していないのです。岩手県として高断熱化、高気密化、県産材を活用したモデルの住宅建設の統一した企画を示して、思い切ってそれを普及することが必要ではないか。環境省も補助金がある、林業も補助金がある、県の補助金もある。そういうのを全部足したら、かなりの補助になるのではないか。そのかわり、本当にレベルの高いCO2削減に貢献するような住宅をこれから2030年度には多数にしていくという目標が必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
〇工藤林業振興課総括課長 今お話がございましたとおり、県土整備部との連携については、今3年目になりますが、県土整備部の建築の技術者の方を林業振興課にお呼びして、一緒にいろいろな政策の検討に取り組んできたところでございます。
 この中で、例えば今年度から実施しているいわて木づかい住宅普及促進事業の内容や、来年度から取り組む予定にしている民間商業施設を対象とした木造化、木質化、このような部分での連携が大分図られて、内容も大分充実していると理解しております。
 今後は、県土整備部との連携をさらに密にし、内容を見直しながら、よりよい事業にしていく必要があると思っておりますので、引き続き、同じような検討を重ねながら、強力な制度にしていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 明日の県土整備部の審査でも聞きますが、岩手が目指す2030年気候危機打開に貢献できる住宅の整備、リフォームを含めて、きっちりしたレベルの高い企画を定めて進めるべきだと思います。
 次に、水産業再生の課題についてお聞きします。
 岩手県水産業リボーン宣言というのが出ました。極めて時宜に適した宣言であり、方針であったと思います。
 ただ、リボーン宣言というのがわからないのですよ。恐らく漁民の皆さんは、リボーン宣言とは何だ、リボンをつけるのかと。水産業の再生宣言ですよね。
 なぜ美しい日本語を使えないか。片仮名を使うときは大体ごまかすときなのです。本当に政府のやり方はそうなのです。片仮名を使うときはごまかしてしまう。こういう大事な宣言は美しい日本語で打ち出すべきではないかというのが私の感想ですが、中身についてお聞きします。
 主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの水揚げ量を直近で出してください。今年度は昨年度よりさらに落ち込んでいますので、直近の水揚げ量は震災前と比べてどうなっているのか。そして、現段階で、その要因、資源回復の取り組みをどう進めるのかお聞きします。
〇阿部漁業調整課長 主要魚種の水揚げ量についての御質問でございますが、令和3年の漁期における県内魚市場の水揚げ量は、主要魚種別に見ると、サケは413トンで震災前の2%、サンマは2、883トンで震災前の6%、スルメイカは1、102トンで震災前の6%となっています。
 減少の要因ですが、サケは震災の影響が続いているほか、近年の海水温の上昇により、稚魚放流後の減耗があったものと推定されています。サンマは、資源量が低下していることに加え、北からの親潮が弱い状況にあり、本県沖に来遊しづらいという状況があります。スルメイカは、資源量が極端に少ない状況などが指摘されています。いずれも海洋環境の変化による影響が示唆されています。
 これを踏まえ、資源回復に向けての取り組みでございますが、サケについては、稚魚の放流数を安定させるため、種卵の確保に努めるほか、回帰率向上に向けて、放流サイズの大型化や放流時期の見直しなどを進めてまいります。
 また、サンマ、スルメイカは、広域的な資源であることから、国の研究機関と連携して、資源管理の推進に取り組んでいくこととしております。
〇斉藤信委員 今度、サケ資源の回復で、遊泳力の強い稚魚の生産に取り組まれるとのことです。今までは、海水温に強い北上川の稚魚の開発というのもありました。これはどういう科学的な検討でこのようになったのか、あわせて示してください。
 そして、増加している魚種の状況と、有効利用の現状、今後の課題を示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 稚魚の生産に遊泳力の強い強靱な大型の稚魚をつくるということを加えたのは、放流直後に沿岸域には、対馬暖流が津軽海峡を渡ると南下する流れがあり、この勢いが近年強くなっています。稚魚はオホーツク海に行くときに沿岸域を伝って北上していくので、もろに暖流とぶつかるということで、その津軽暖流に打ちかつために、大型で強靱な遊泳力のあるサケをつくらなければならないということで、令和4年度の当初予算案に、そのような稚魚をつくる補助事業を設立したものでございます。
 次に、増加している資源の利用の状況と課題等についてでございます。
 マイワシの水揚げ量がふえているわけですが、マイワシは食用もありますが、養殖魚の餌などの仕向けが多いこと、また、サワラについては、県内では認知度が低く、主要な消費地である関西方面等に出荷されてしまうということで、県内での消費量は少ない状況にあります。
 このため、県では、これらの魚種が地元で付加価値向上につながるように、県水産技術センターにおいて、漁獲時期別の成分分析、主に脂の成分分析等を行っているほか、沿岸広域振興局で成分特性や加工方法等を学ぶセミナーを水産加工業者向けに開催しております。
 また、これらがより高値で地元で取引されますように、鮮度管理の徹底などの高度衛生品質管理による付加価値の向上に取り組むなど、消費者から選ばれる産地づくりを目指すということで、収益力の高い水産業が沿岸地域各地で展開されるように取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 北海道も北海道産ブリを押し出すなどという本当に考えられないような時代になっていて、最大限活用するということです。そのために、さまざまな水産加工への支援なども行っていただきたい。
 最後にまとめて聞きますが、新たな漁業、養殖業、これはサケ、マス関連の養殖が今盛んです。この採算の見通しはどうなのか。稚魚の生産からの一貫体制の取り組みはどうなのか、このことを示してください。
 もう一つは、漁業振興で最も需要な課題と言ってもいいと思いますが、漁業後継者の育成と支援について、これは岩手県水産業リボーン宣言でも提起されていますが、県、市町村の支援策と後継者確保の実績を示してください。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 私からは、サケ、マス養殖についてお答えさせていただきます。
 まず、採算性ですが、サケ、マスについては、近年回転ずし等のサーモンの人気など、国内では生食の需要が堅調に推移しております。また、全国的にサケも含めて原料不足がございますので、例えば今期に水揚げが始まった宮城県の養殖ギンザケの価格が、前年度の2割を超して高値で取引が開始されており、本県においても、採算がとれる方向にあるかと考えております。
 また、一貫体制ですが、現在、宮城県の養殖ギンザケに供給する種苗は岩手県内の養殖業者が中間育成している事例がありますので、今般、来年度の予算案では県産のオリジナル種苗をつくっていくこととしていますし、また、関係の養殖業者とどうやってその供給体制をつくっていくかという検討も進めていきたいと思っております。
〇阿部漁業調整課長 私から、漁業後継者の育成と支援についてお答えさせていただきます。
 県では、漁業担い手の確保、育成の取り組みを進めるために、昨年度、岩手県漁業担い手育成ビジョンを策定し、魚家子弟に限らず多様な人材を地域の内外から新規漁業者として受け入れ、地域が一体となって次代を担う意欲ある漁業者として確保、育成することを基本目標とし、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
 具体的に、SNSの活用等による就業情報の発信や、いわて水産アカデミーもこの中に含まれます。あとは、定置漁業の経営者との連携による周年雇用の場の確保を進めているところでございます。
 一方で、市町村では、就業奨励金や住居費補助などの主に民生部門の支援をいただいているところでございます。
 こうした市町村と連携した取り組みにより、昨年度の新規就業者は、県外出身者10名を含む総勢48名を確保し、また、これまでにいわて水産アカデミーで研修を終えた13名全員が、本県漁業の第一線で活躍いただいているところでございます。
〇小林正信委員 私からは2点、先ほど高橋委員からも質疑がありましたが、林業振興について、特にいわての森林づくり県民税の有効活用については、林業の振興にとって大事な取り組みだと思います。そして、この活用については、持続可能な森林環境を考えたとき、伐採のみならず植栽の取り組みも今後重要となってくるものと思います。
 全国では伐採跡地の再造林が3割程度しか進んでいない状況と伺っておりますが、まず、県民税を活用した植栽の状況について伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 いわての森林づくり県民税を活用した森林環境再生造林の植栽実績についてですが、県では、令和3年度からいわての森林づくり県民税を活用し、公益上重要で早急に整備の必要な伐採跡地等への植栽を支援しており、令和3年度の植栽実績は24ヘクタールとなっております。
 なお、このほか、令和4年度に86ヘクタールを繰り越しし、雪解け後に植栽、植えつけだけするものがございます。
〇小林正信委員 ぜひ進めていただきたいと思いますが、この公益上重要な伐採跡地という点、これは具体的にどういうところなのか伺いたいと思います。
〇鈴木森林整備課総括課長 植栽の対象となる森林についてですが、事業となる森林は、水源涵養機能など森林の有する公益的機能の高い私有林のうち、一つ目は、樹木が生育していない未立木地等であり、植栽によらなければ植生の回復が進む見込みのない森林、二つ目は、伐採前の植生が針葉樹の伐採跡地であり、そのままの状態では植生の回復が難しく、植栽によらなければ早期の森林再生が困難な森林、このいずれかとしております。
〇小林正信委員 了解いたしました。植栽について、植えてもすぐには利益にならないということで、特に民有林においては、なかなか進まない部分もあるのかと思います。今のような公益上重要な跡地ということを明確にしていただいておりますので、いわての森林づくり県民税を使って計画的に植林を進めることが重要であり、先ほど斉藤信委員からもお話がありましたが、森林吸収量の増加にもつながると思いますので、しっかり取り組んでいただくように、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、いわての森林づくり県民税の活用について、森林づくりコーディネーターの育成があります。これは地域に根差して、森林の維持、保全の取り組みをコーディネートしていく人材の育成をするものと認識していますが、この取り組み状況について伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 いわて森林づくりコーディネーターの取り組み状況についてですが、県では、いわての森林づくり県民税を活用した新たな取り組みとして、令和3年度から、地域に根差して森林整備の合意形成等を図る人材を育成するため、いわて森林づくりコーディネーター研修を実施しております。
 今年度は、地域の森林整備活動の核となることが期待される16名を対象として、環境重視の森林づくりに関する研修を初め、合意形成に必要なコミュニケーション研修、森林整備活動における安全指導研修等を実施し、これら全ての研修課程を修了した6名をいわて森林づくりコーディネーターとして認定したところでございます。
 令和4年度においても、引き続き、公益上重要な森林の整備や保全、地域住民による森林づくり活動を推進する人材に育成に取り組んでまいります。
〇小林正信委員 16名のうち6名ということで、かなりハードルが高いと思いましたが、しっかりとこの人材育成を進めていただきたいと思います。
 いわての森林づくり県民税については、申請期間が現場のサイクルと合っていないとか、申請期間に弾力性が欲しいという声もいただいています。しっかりと現場の方々の声を聞いていただき、この県民税の活用が大きく進むようにお願いしたいと思います。
 そして、このコーディネーターの育成もそうですが、林業にとっても人材は重要だと思います。そして、各自治体では、森林環境譲与税が国から配分されておりますが、この使い方について、林業、林政のプロ、または林業のことばかり考えているような人、こういう方が自分たちの自治体にいないということで、この譲与税の使い方に戸惑っているとの実際の声も聞いております。
 県は、各市町村の森林環境譲与税の使い方の状況を把握しているのか。また、活用についての支援等はどうなのか伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 市町村の森林環境譲与税の活用状況等についてですが、県内の市町村では、森林環境譲与税を森林整備や人材育成、木材利用等に活用しており、その中でも適切な森林整備を図るため、森林経営管理制度の運用に活用する市町村が最も多い状況となっております。
 このため、県では、森林経営管理制度の運用が円滑に進むよう、森林、林業関係業務に精通した森林管理システム構築推進員を広域振興局に配置し、地域の実情を踏まえた助言を行うなど、市町村の取り組みを支援しているところでございます。
 今後とも、市町村が、森林環境譲与税を有効に活用しながら、森林経営管理制度をしっかりと運用し、地域の森林を適切に管理していけるよう、市町村の取り組み状況に応じてきめ細かく支援してまいります。
〇小林正信委員 譲与税についてはそのような声も伺っておりましたので、今の取り組みでは足りない部分もあるのかなと思います。さらにきめ細かく、支援員等の働きに期待するところでありますが、お願いしたいと思います。
 そして、人材育成の重要性を鑑みて、県としても、いわて林業アカデミーにより人材育成に取り組んでおります。先ほど工藤大輔委員の話の中で、いわて水産アカデミーは定員に達していないという話がありましたが、いわて林業アカデミーはどうなっているのでしょうか、取り組み状況について伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの状況についてですが、令和3年度のいわて林業アカデミー修了生は16名で、全員が県内の森林組合や民間事業体等に就職先が決まったところでございます。
 平成29年度の開校から令和2年度までの4カ年の修了生64名が、森林組合、民間事業体等で、素材生産や造林の現場の第一線で活躍しております。また、令和4年度は16名が入校する予定となっております。
 今後とも、関係機関と連携しながら、将来の本県林業を担う新規就業者の確保、育成に向けて取り組んでまいります。
〇小林正信委員 人材をつくっていくことが重要だと思います。林業政策に関しては、予算は結構あるけれども、これを使う人材がいないため、なかなか取り組みが進まないという課題もあるのかと感じております。
 特に現場で実際に林業に携わる方の労働環境に関しては、伐採作業、また下刈り作業など、過酷で地道で大変な労力を要する作業があります。しかしながら、なかなか賃金が上がらないし、また賃金が安いという声もあり、こうした面で人がなかなか集まらないとも言われております。県としては、林業に携わる方々の労働環境の改善についてどのように取り組んできたのか伺います。
〇鈴木森林整備課総括課長 労働環境の改善の取り組み状況についてでありますが、県では、林業就業者が安心して働ける職場づくりを進めるため、経営者層の意識改革や経営力向上を図るセミナーなどを開催する取り組みを行ってまいりました。
 また、県が出資している公益財団法人岩手県林業労働対策基金では、林業就業者の給与や待遇を改善するため、月給制かつ通年雇用を促す奨励金の交付、林業退職金共済制度等の掛金の助成、チェーンソーから身を守る防護ズボン等の購入費用への助成などにより、林業経営体の取り組みを支援しているところでございます。
 今後とも、岩手県林業労働対策基金と連携し、本県林業就業者の待遇の改善に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇小林正信委員 通年雇用される人をふやしていくことも必要だと思いますので、ぜひ取り組みを進めていただきたい。
 実際に、現場で働く人を見つけることが大変だと聞きます。一体誰が林業を担うのかという切実な声も伺っております。いわて林業アカデミーやいわて森林づくりコーディネーターの取り組みも重要ですし、その上で、もっと多くの人に、県内、県外も含めて、林業の大事さを認識してもらう、林業にかかわって触れてもらう取り組み、全国植樹祭もございますが、こういった取り組みをさらに大体的にやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 2点目については、先ほど岩城元委員からも質問がございましたが、黄金のウニ収益力向上推進事業について、ウニの二期作に取り組むということで、まずは特に冬期間のウニの出荷状況はどうなっているのか伺います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 ウニの二期作の事業は、令和3年度4地区の漁協等で実施しております。このうち3地区で冬期間出荷しておりまして、トータルで約1トンの出荷を冬期間に行ったことがことしの実績となります。
〇小林正信委員 1トン、かなりの量ではないかと思います。黄金のウニ収益力向上推進事業については、事業名からも、県としてもかなり気合いを入れて取り組む姿勢が伝わってきますが、今後の展開として、さらなる岩手県のウニのアピールが重要になってくるのではないかと思っております。
 近年では、食と観光の融合、岩手県でもガストロノミーの取り組み等もございます。また、体験型の観光の取り組み、例えばウニの殻むき体験とか、そういう体験も取り入れた観光など、こういったウニを使っての観光とも組み合わせたさまざまなウニのアピールに取り組んでいただき、ウニと言えば岩手県、こうしたイメージの定着、岩手県のウニのブランド化を図っていただきたいと思いますが、今後の取り組みのお考えを伺いたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 ウニは、基本的に、春先からのやわらかい海藻を食べて、夏に身が太って、おいしいウニを提供できるということになります。一つは、その時期にゴールデンウイークや夏休みなどがありますので、観光等も十分留意した取り組みを進めていければと思っております。
 また冬場も、先ほど約1トンの水揚げと言いましたが、単価的には年末の需要期になるのでかなり高く取引されていますので、さまざまな売り方を業界と考えながら進めていきたいと思っております。
〇小林正信委員 二期作で一年中ウニが食べられるというのは、他県に比べかなり優位な点かと思いますので、ぜひ取り組みを進めていただきたい。
 先日、洋野町のウニ牧場に伺ってきましたが、ここでウニの餌の開発を北海道大学と連携して実用化しておりました。ウニの餌は海藻や昆布が主なものだと思いますが、持続可能性を考えたとき、磯焼けが進んでいる中で海藻を与えるのはどうかと思います。餌をしっかり開発して実用化していく取り組みを広げていくことも重要なのかとも思いました。
 例えばこうした北海道大学や、今研究を行ってくださっている県内の大学研究機関との連携、また県の連携も、ウニの蓄養については今後充実させていただきたいと思うわけですが、御所見をお伺いして終わりたいと思います。
〇山口水産担当技監兼水産振興課総括課長 今年度、黄金のウニ収益力向上推進事業を実施した綾里漁協においては、国の研究機関が確認した光を利用したウニの成熟抑制の試験結果を取り入れ、野外でLEDを24時間ともすという実証実験に取り組み、通常は8月中に身が溶けてだめになってしまうのですが、9月中旬まで出荷できたという成果も出ております。
 こういうことを大学の知見や連携を通して順次生産現場に取り入れるような姿勢で、ウニの二期作の早期実現を図っていきたいと思っております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんはお疲れさまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
午後6時5分 散 会

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