令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和4年3月16日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
労働委員会
事務局長 藤田芳男
審査調整課
総括課長 谷藤親史
商工労働観光部長 岩渕伸也
副部長兼
商工企画室長 木村 久
参事兼
産業経済交流課
総括課長 橋 場 友 司
定住推進・雇用
労働室長 安藤知行
ものづくり自動車
産業振興室長 十良澤 福 志
観光・プロモー
ション室長 高 橋 孝 政
商工企画室
企画課長 伊五澤   敬
商工企画室
管理課長 星 野 俊 一
新産業育成課長 藤 村 真 一
経営支援課
総括課長 阿部 博
地域産業課長 竹 花 光 弘
雇用推進課長 田 中   聡
特命参事兼
労働課長 四戸克枝
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 小野和紀
自動車産業
振興課長 小笠原徳
産業集積推進課長 金 野 拓 美
プロモーション
課長 千 葉 敬 仁
企業局長 佐藤 学
次長兼
経営総務室長 八重樫 浩 文
技師長 藤原清人
特命参事兼
経営総務室
管理課長 鈴 木 光 将
経営企画課長 伊藤邦彦
業務課総括課長 山谷紀彦
電気課長 高橋 浩
発電所再開発
推進課長 石 川 幸 洋
財政課総括課長 山田翔平
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 川村伸浩委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日は、労働委員会、商工労働観光部及び企業局関係について、延べ16人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩については、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇藤田労働委員会事務局長 労働委員会関係の歳出予算につきまして、御説明申し上げます。
 お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の150ページをお開き願います。
 5款労働費3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、138万円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15名に対する報酬、旅費等の事務費でございます。次に、2目事務局費8、927万円余は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員の人件費、旅費、需用費等の事務費でございます。
 合わせますと、151ページの計の欄のとおり1億2、065万円余となるものでございます。
 以上で、労働委員会関係の歳出予算についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇名須川晋委員 それでは、労働相談の現状と課題について質問させていただきます。
 新型コロナウイルス感染症も猛威を振るって3年目になりますけれども、その内容等も変わってきていると思いますし、現実として、相談のあり方についても、対面しての相談ができなかったときもあったかと思います。現在、第6波が猛威を振るっていますが、相談については通常のやり方でなされておりますでしょうか。
〇谷藤審査調整課総括課長 コロナ禍における労働相談業務の実施についてでありますが、本年度の労働相談の実施状況は、令和3年8月に発出されました岩手緊急事態宣言の期間中には、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、一時、対面による月例無料相談会の開催を1回ほど見送りまして、フリーダイヤルに限定した対応を行った時期がございましたが、9月以降は、コロナ禍における労働環境の変化等に伴う労使関係者が抱える不安の解消や労使関係紛争の未然防止を図る上で、対面による相談の重要性に鑑み、委員の意見を踏まえまして、室内の消毒、換気、参加者の検温等の感染防止対策を図りながら、年度当初の計画に基づいて実施しているところでございます。
〇名須川晋委員 では、業種別、雇用形態別、年齢別、男女別、地域別の相談内容についてお知らせいただきたいと思います。
〇谷藤審査調整課総括課長 労働相談の状況についてでありますが、まず、労働相談の件数につきましては、令和3年度2月末までに受け付けた労働相談件数は401件ございまして、昨年同月の369件に比べ8.7%の増となっているところでございます。
 性質別に見ますと、業種別の件数は、事務局で聞き取りにより把握できた範囲で申し上げますと、医療、福祉関係が最も多く、次いで、飲食、生活関連等を含めたサービス業に従事する方々からの相談が多い状況になっております。
 雇用形態別の相談については、正規雇用者が137人、非正規雇用者が130人、使用者からの相談及び不明が135人となっておりまして、正規雇用者と非正規雇用者はほぼ同数となっているところでございます。
 年齢別の相談につきましては、多い順に、50代、40代、30代となっているところでございます。
 男女別の相談者数については、男性が191人、女性が204人となっておりまして、男性、女性ほぼ同数となっているところでございます。
 地域別の相談者数は、四つの広域振興圏別に集計しておりますが、多い順に、県央広域圏が146人、県南広域圏が94人で、4広域圏のうち、県央及び県南広域圏からの相談者が約9割を占めている状況になっております。
〇名須川晋委員 昨年は%、十数%多くなっていたということで、さらに今回8.7%多くなっているというのは、コロナ禍が原因なのだろうと思いますし、医療、福祉、飲食関連ということですから、その影響が大きく反映されているのだと思います。
 例えば労使間の問題の調整というところだけでなく、先日から議会でも指摘がなされておりますけれども、生活福祉資金貸付事業とか生活困窮者自立支援、ひとり親家庭等総合相談支援という施策があって、コロナ禍でいろいろ生活に難がある方への支援事業があるわけです。そういうところもしっかりと紹介をして、当面暮らせるような方法もあるのだという情報提供もなされているのかどうかお伺いいたします。
〇谷藤審査調整課総括課長 新型コロナウイルス感染症に明らかに関連していると考えられる相談として把握しているものの中では、相談内容として、賃金手当に関する相談が新型コロナウイルス感染症関係のうちの35%と最も高い状況になっております。そういった中で、手当や給付金を含めた形で支援策があるということも、情報提供としてさせていただいているところでございます。
〇名須川晋委員 個別労働紛争と労働争議の状況について、今どういう件数になっているのかお伺いいたします。
〇谷藤審査調整課総括課長 労働委員会が取り扱いました事件の状況についてでございますが、まず、個々の労働者と事業主との間の紛争である個別労働関係紛争のあっせんにつきましては、令和3年度の新規申請が2件、令和2年度からの繰越事件が1件ございまして、この3件に対応したところでございます。
 また、本年度は、労働組合と使用者間の紛争である労働争議事件の調整事件はございませんでしたが、県内の医療系の労働組合から、使用者の団体交渉拒否を理由とした不当労働行為の救済申し立てが1件ございました。
〇名須川晋委員 制度の周知状況についてお伺いさせていただきます。岩手県は広大な面積を有しておりますけれども、県全域をカバーするための取り組みについてお伺いいたします。
〇谷藤審査調整課総括課長 制度の周知に向けました県全域をカバーするための取り組みについてでありますが、労働委員会では、県内各地域における労働問題の解決支援を行うため、事務局によるフリーダイヤルによる労働相談のほか、県北・沿岸地域を含めた県内11市町村に委員が出向いて行う出前無料相談会を年13回ほど実施しているところでございます。
 また、各広域振興局に配置しております就業支援員にも、フリーダイヤルや個別労働紛争のあっせん制度等の制度を周知し、労働委員会制度の活用を促すとともに、相談事案の内容に応じて、最寄りの労働局を案内し相談をつなぐなど、関係機関などとも連携しながら問題の解決に努めているところでございます。
 また、令和4年度からは、近年の多様な働き方に対応し、委員による出前無料労働相談会の夜間開催を1回から2回にふやして実施するほか、これまでの電話や対面による労働相談に加えまして、場所や時間にとらわれず手軽に相談しやすい環境を整備するため、新たにメールによる労働相談を開始することとしておりまして、現在、開設に向けて準備を進めている状況でございます。
〇名須川晋委員 先ほど四百件程度の労働相談があるということでしたが、労働委員会という存在自体を知らない方も大勢いらっしゃると思います。どこに相談をしていいのかわからない方も多分その四百何件の何倍もいるのではないかと思いますが、そういうところについて、しっかりとPR、周知をしていただきたいと思います。
 メールでの相談について、いつごろからというところも含めてもうちょっと詳しく教えていただけますか。
〇谷藤審査調整課総括課長 メールを活用した労働相談についてですが、先ほど申し上げたとおり、多様な働き方に対応するということで、仕事時間中になかなか電話をかけられない方々もいらっしゃいます。また、電話を直接かけるのは、声を聞かれてしまうということでちゅうちょされる方々、あるいは、若い方々で、SNSにはなれていらっしゃいますが、電話には余り関心を持たれていない方々などもいらっしゃいます。いろいろな方々が気軽に相談できる環境を整備するということで、メールによる相談を開設することといたしまして、令和4年4月から運用していきたいと考えております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは、退席されて結構です。お疲れさまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇岩渕商工労働観光部長 商工労働観光部関係の令和4年度歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、10の政策分野に基づく取り組みの推進により、安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現を図ってまいります。
 まず、復興推進の取り組みでありますが、新たな交通ネットワークの完成などを背景に、地域の特性を生かした産業振興や経営力の向上に向けた支援などに引き続き取り組むとともに、三陸DMOセンターの活動拠点を沿岸部に移し、復興で培った国内外とのつながりなどを生かした観光振興の取り組みの強化を図ってまいります。
 また、10の政策分野やプロジェクトの推進につきましては、自動車、半導体関連産業を核としつつ、幅広い分野の産業集積を進め、デジタル技術を活用して事業の生産性向上を図りながら、若者や女性の県内定着や首都圏を中心としたU・Iターンを促進してまいります。
 また、本年7月から9月までの期間においては、青森県、秋田県と連携し、北東北の広域観光をPRする北東北三県観光キャンペーンを実施いたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化によって極めて厳しい状況にある事業者に対する経済対策につきましては、資金繰り等の直接的支援、需要喚起策、新しい生活様式に対応した本業支援を、感染状況を見きわめながら、国や市町村の取り組みと連動させながら適時適切に実施してまいります。
 以上の基本的な考えのもと、政策推進に当たっては、関係団体等の意見を聞きながら、最大限の政策効果を発揮できるよう努めてまいります。
 それでは、予算議案について説明申し上げます。
 まず、議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その2の6ページをお開き願います。
 当部関係の予算は、2款総務費4項地域振興費の一部2億4、012万2、000円と、7ページに参りまして、5款労働費1項労政費及び2項職業訓練費の合わせて26億8、550万7、000円、7款商工費の1、347億470万2、000円、9ページに参りまして、11款災害復旧費3項商工労働観光施設災害復旧費の3億9、950万5、000円の、計1、380億2、983万6、000円となっております。これは、令和3年度と比較し286億50万7、000円、17.2%の減となるものであり、感染症対策関連資金や大震災復興資金に係る貸付金の減少が減額の主な要因となっております。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係は、事項欄6から11までの6件であり、損失補償に係るもの4件、保証料補給に係るもの1件、離職者等再就職訓練に係るもの1件となっております。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 32ページをお開き願います。議案第7号令和4年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ18億8、758万4、000円とするものであり、令和3年度と比較いたしまして4億1、573万6、000円、28.2%の増となるものであります。増額の主な要因は、中小企業基盤整備機構への償還金の増によるものでございます。
 以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、海外戦略についてお伺いしたいと思います。
 今回お示しいただいております令和3年度の政策評価結果等の政策等への反映状況報告書を拝見させていただいても、また、さまざまお聞きする中でも、今回、新型コロナウイルス感染症の影響も含めて、海外での販売が停滞しているかのような印象を受けております。もちろん、県でもそうしたことを課題として、今回、海外のインターネット通販サイト等を活用した販路拡大であったり、オンラインによる商談機会等の創出、さらに、海外事務所や現地バイヤーと連携して販路の再構築や新たな市場開拓等により、県内事業者の海外展開支援に取り組むといった形の方向性を出されております。
 もちろん、この間、ヨーロッパや中国への、日本酒や米の輸出が決まるなど、いい方向性もさまざま出てきている中で、アフターコロナを見据え、これからどのようにしていくか、その展開をさらに進めていくべきと思いますが、県のお考えをお伺いしたいと思います。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 海外戦略についてでありますが、県ではこれまで、県産品の販路拡大や県内企業の海外でのビジネス展開の支援に向け、海外での展示会や見本市への出展、現地バイヤーの招聘などを行ってきており、県産品の輸出額も順調に増加してきたところで、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、国際間の人的移動が制限されたところです。
 こうした状況におきましても、県では、中国や韓国に設置している現地事務所を拠点として、オンライン商談による新規取引先の開拓、中国ECサイトでの県産品販売、中国の大手ECモール日本支社のバイヤー招聘など、委員からも御紹介いただきましたようなコロナ禍に対応した新たな手法を用いながら、県産品の販路拡大に取り組んでいるところでございます。
 新年度におきましては、コロナ禍を経て海外ビジネスの現場で生じている変化に的確に対応しながら、中国ECサイトでのライブコマースへの現地著名人、いわゆるインフルエンサーの起用による本県の知名度向上や現地ニーズに合った商品の開発支援、海外ECモールへの参入支援による販売チャンネルの拡大などに取り組んでまいります。
 今後とも、三つの海外事務所を設置している本県の強みを最大限生かしながら、県産品のさらなる輸出拡大を図ってまいります。
〇郷右近浩委員 確かに、これまで岩手県は海外の三つの事務所を起点に、現地の方々を雇用しながらしっかりと自走ができる形で戦略を進め、販路拡大につなげてきたと認識しております。さらに、ヨーロッパ等でのさまざまなイベントや、商談会等にも参加しながら進めてきたと思います。
 今、コロナ禍の中で、実際問題、そうしたイベント等に関しては特に手詰まり感もあろうかと思います。現地事務所をますます活用する中で、確かにインフルエンサーであったりインターネットであったり拡大は、人の目に触れる機会の創出としては有効だとは思います。しかし、特に中国ビジネスなどにおいては、これまで私が見聞させていただいた中では、やっぱり人と人とのつながり、そうした信用的なつながりが非常に大きいと思います。
 岩手県は、すばらしい人材を含めて、これまで築き上げてきたものがしっかりとあるということで、ただ、今、中国に行ってしまうと、2週間待機してやっと入国して、そしてまた帰ってくるのに2週間ということで、なかなか難しいとは思います。ただ、2週間待機して、2カ月行ってだったら十分ペイするような部分もあろうかと思います。
 本当にアフターコロナの種をしっかりとまくと。これまで震災以前から、岩手県としては、海外戦略の計画を立てて、そして、震災後に花開くような形の中で、これまで事務所であったりファンの拡大であったり、しっかりと進めてきた実績があると思います。そうしたものをしっかりと今後も続けていっていただいて、岩手県の物が海外で有名になれば、それが逆輸入ではないですけれども、岩手県というブランドのさらなる確立ができると思います。
 米の部分では、直接的ではないにしても、今回、セブン・イレブンのおにぎりに銀河のしずくが使われるようになったとのことです。これには農林水産部のみならず、商工労働観光部などさまざまな方々がかかわって実現にたどり着いたと思っております。そうした一つ一つの積み重ねをさらに続けていっていただきたいと思いますが、ことし、その点をさらに前に進めていくという部分で、御所見をいただければと思います。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 今、委員から御紹介がありましたとおり、岩手県では、中国の二つの事務所でありますが、岩手県にいたことのある現地の所長を配置して、現地のスタッフを置いて活動している状況で、これが、コロナ禍においても非常に強みを発揮したところでございます。
 まだ世界的に感染拡大がおさまっている状況ではないですが、そのときが来れば、直ちにまた現地に行って、委員御指摘のとおり、経済交流には、やはり人と人とのフェース・ツー・フェースの関係が強い力を発揮する場面があります。具体的な商談等は確かにオンラインとかでできるのですが、そこに、例えば県の幹部等が行って、先方のビジネスの主要な方ですとか、地方政府の役職にある方と直接会って、お話をしてくることも重要であると思っております。そういった機会に向けて、私たちも準備を進めていきたいと思っております。
〇郷右近浩委員 どうぞよろしくお願いします。
 それでは次に、新型コロナウイルス感染症の影響に係る事業者支援についてお伺いさせていただきます。
 過日行われました岩手県生活衛生同業組合5団体による経営継続のための支援のお願いについては、事業継続支援金や飲食店利用促進策Go To イート、また運転資金等、日本政策金融公庫等の融資の返済期限の延長、猶予等の要望があったものと承知しております。
 これまでも、Go To イートや事業者支援という面ではさまざまな団体から要望をいただいている。そして、県でも何とか応えようとしてこれまでやってきたと承知しております。
 このたびの要望につきましても、岩手県生活衛生同業組合5団体のみならず、県内の事業者にとって同じ思いと私自身は感じております。県としてはどのように受けとめ、対応されていこうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇伊五澤商工企画室企画課長 県が商工指導団体と連携して毎月実施しております影響調査では、多くの事業者において、長期にわたって売り上げが減少していることを背景に、国や県に要望する支援策としまして、景気回復策や資金繰り支援が多くを占めており、また、生活衛生同業組合を初めとした業界団体等からの要望も、同様の支援を求める声が多いところでございます。
 令和4年度当初予算案では、飲食店や商店街の売り上げ回復を図るためのキャンペーンの実施等による需要喚起策や融資制度を初めとした直接的支援、中小企業のデジタル化に向けた各種支援策とのマッチングやECサイト活用による販路拡大など、本業支援のための施策を盛り込んだところでありますが、現在のオミクロン株による第6波によって、多くの事業者がさらに深刻な状況にあることから、県としまして、関係団体と連携しながら、追加事業の構築などを含めた効果的な支援の方法等を検討してまいります。
〇郷右近浩委員 一つずつ話をさせていただきたいと思いますが、これまで運転資金等融資をさまざまな形で受けた事業者の方々ですけれども、やはり当初は、このコロナ禍の影響が1年ないし2年ぐらいで済むのではないか。そして、もとに戻るという前提条件でお金をお借りしたものが、コロナ禍が長引いていく中で、しかも、アフターコロナでもとのような売り上げ規模に戻るかという不安も含めて、皆さんどのようにしたらいいかと考えています。
 例えば、本来の返済金額も含めて、ここから返済ですとなったときに、果たして返済できるのか。返済が始まったときに商売をやめるといったような考え方を持っている方も少なくないとこの間伺ってまいりました。
 やはりどこかである程度は返済期限を繰り延べしていく。返済しやすいようにスキームがえをしていくといったところも含めて、きめ細かい対応等も必要かと思います。
 そして、事業継続支援金みたいな形、ただし、これは本当に全県にかけたときに、規模観の問題も出てきますから一律ではないと思いますが、もちろん県としても国に対して求めているとは思いますけれども、そうしたものの合わせ方をしっかり考えていきながらやっていかなければならないと思います。
 まずは、これから県として、繰り延べであったり、今後の返済に向けて、その方々に対してどう寄り添っていくか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 ただいま委員から御指摘ありましたコロナ禍の融資返済の部分であります。我々も各種方面から返済への不安といった声を聞いております。
 現状ですが、例えば返済猶予期間をさらに延ばす、あるいは1回の返済額を減らすといったいわゆる条件変更などにつきましては、実際に対応しておりますし、金融機関あるいは商工指導団体の会議の場でも、柔軟な対応をするようにしていきましょうということで、関係者一同、方向性は同じところを向いて対応しているところでございます。
〇郷右近浩委員 もちろん返済というかしっかりと経済環境をよくするためにも、今回求めがありましたGo To イートという部分で、ただこれは、よく飲食店だけかというような話も私の地元でもあります。だけれども、飲食店を通して、例えば仲卸であったり、さまざまな業種に波及していくと。また、何より人が少しでも出てくる。
 今、岩手県内で200人超えの感染者が出ている中で、アクセルとブレーキのバランスをどうするのかといった課題等はあろうかと思います。ただ、現在、岩手県においても、いわて旅応援プロジェクトをやっている中で、宿泊施設でさまざま問題が起きているかというと、それぞれが感染対策をしっかりして、きちんとやられています。
 そうしたものも合わせると、このGo To イートをどこかの段階である程度早く出せればといった思いがあります。もちろんそれをやっていくためには、準備期間等も結構かかると思います。例えばチケットを刷るであったり、各市町村とやりとりをしたりとか、いろいろなことがあると思います。それをやるとしたときに準備期間等がどのくらいかかるか、そもそも論として、県としてどのような対応をされようとしているのか、お伺いしたいと思います。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 Go To イートの件でありますが、先ごろ飲食店の同業組合からの要望等も県で受けているように、まちの現場においてはGo To イートをやってほしいという声が強いのは、私どもでも強く理解しております。
 令和4年度の当初予算案には、飲食店の支援ということで、別の事業ではありますが、補助金という形で飲食店及び商店街の振興を図るための事業への補助を盛り込んでおります。
 Go To イートに関しては、第1弾及び第2弾については、原資の部分が農林水産省から配分されて実施してきたところですが、現在聞いている情報では、追加配分の予定はないという状況ではありますが、県として、消費喚起の部分は、直接支援と合わせてどうバランスをとりながら地域経済を回していったらいいかということで、これから詰めていくこととしております。
 準備期間のお話がありましたが、前回、例えば第2弾の事務局経費については県で負担しておりますが、そのときの事例で言えば、2カ月弱ぐらいかかっていたところでありました。
〇郷右近浩委員 準備期間という話を聞きましたのは、国でも、例えばGo To トラベルをどのようにしていくかといったことが若干議論になっております。再開するのかといったような話も漏れ聞こえてきます。そうした中で、岩手県はもちろんとめていなかった話ではありますけれども、現在、岩手県で新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の部分でも何十億円かあるという中にあって、前回の予算額が、たしか8億円ぐらいだったと記憶しています。例えば、4月にもGo To トラベルを国が動かすのか、そうした部分、これから先を見据えた中で、もう準備をしていって、しかも、それがそのときにできるかどうかは、まずはやるという方向さえつくれば、あとの時期的な判断等もできる部分はあろうかと思います。
 先ほどお伺いしたように、前は2カ月ぐらいかかったという話ではありますけれども、そうだとすると、もう今から準備をしていってもいいのではないかと私は思います。いつかはやりたいといったお考えが、少しでもあるのであれば、私は、もう今から準備していくべきと考えますが、岩渕商工労働観光部長の御見解をお伺いしたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 今定例会の一般質問等におきましても、事業者支援についてさまざま質問をいただきまして、知事からも、さらなる支援が必要な状況だという答弁をしております。
 そういう状況につきましては、商工指導団体や関係団体も同じでありまして、我々も、厳しい状況にあるということを関係団体等とも共有しているところでありまして、早期の対策を行っていかなければいけない。2年間の中で2月が一番大変だという声もありますので、そういう認識でおります。
 こうした状況にスピード感を持って対応していきたいと考えておりまして、県として今、どういう対策ができるかをさまざま検討しております。ただ、委員から御指摘ありましたとおり、どのような対策を打つにしましても、予算措置後に一定の準備期間が必要になりますので、現段階で県ができるような対策について、すぐにでも予算化できるように、現在、検討を急いでいる状況にあります。
〇郷右近浩委員 もちろん、実際やっていただきたいというのはそうですけれども、それにしても、さっきの繰り返しになりますが、いつからやるかという部分は置いても、例えば、そうしたことを県がやろうとしている、それを予算という形でなのか、いろいろな考え方を示していく中で、現在はGo To トラベルが動いている、いわて旅応援プロジェクトが動いている。そして、まんぷくチケットであったりGo To イートが動いていく。そうした中で、今度は、それ以外の部分の業種に何をやっていくのか。
 そうしたものを、もちろん一気に全部という話ではありませんが、一つ一つしっかり積んでいって、そして、それをやろうとしている部分を見せるだけでも、県民、事業者、さまざまな方が、安心してくださる側面はあろうかと思います。しっかりとそうした部分で対応をとれるように、さまざまな準備を進めていっていただきたいと思います。
 繰り返しても同じ答弁にしかならないでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 対策を急いでやらなければいけないと思っております。検討の途上なので、はっきりとしたことは申し上げられませんけれども、可能であれば、今定例会中にでも何らかの策を出せないものかというスピード感で、今、検討を進めております。
〇工藤勝子委員 私からは、U・Iターン推進事業に伴う移住、定住の推進についてお伺いいたします。
 人口減少の課題は、知事はよく東京一極集中が原因だと言われてきました。そういう中で、2年前から、首都圏を中心として新型コロナウイルス感染症が蔓延してきたことや、全国でのデジタル化の推進によって、地方においての勤務も可能となりました。
 コロナ禍の収束が見えないので、自然環境に恵まれている地方への子育て世代や若者の関心が高まってまいりました。全国的に地方自治体は、移住、定住、U・Iターンに、住宅支援など予算を大幅に拡充し、競争が既に始まっております。現状としては、首都圏に近い埼玉県とか長野県に集中しているとも言われておりますが、その先、東北地方、そして岩手県へと呼び込む力が求められていると私は思っています。
 これまでも、各委員から移住、定住に対する提言や御意見があったと思っておりますけれども、この人口減少の中にあって、県が本気でこの課題に取り組んできたということが、私は余り感じられませんでした。移住、定住に向けて取り組んでこられました今日までの成果、実績、課題についてお伺いいたします。わかれば、直近の状況、そして、若い女性のU・Iターンの状況についてもお伺いいたします。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 移住、定住の関係でございます。
 県ではこれまで、移住者を実際に地域で受け入れる市町村と連携いたしまして、移住定住ポータルサイトやSNSによる情報発信、移住相談会の開催などにより、岩手県で暮らし、働く魅力を発信してきたほか、県が運営する就職情報マッチングサイトでの求人情報の発信、求職者と企業とのマッチング支援、東京圏からの移住者に対する移住支援金の支給などに取り組んできたところでございます。
 令和3年度の実績について一部御紹介させていただきます。移住相談件数は昨年度に比べ約1.5倍と増加している。それから、県外からの移住者数12月末現在で1、151人、これは前年同時期の846人から36%増加しているといった状況でございます。
 それから、女性の移住者の関係でございます。こちらは、県全体のデータがありませんので、県が東京都に設置しております、いわて暮らしサポートセンターでの移住相談を経ましてつかんでいる数字ということで御紹介させていただきますけれども、平成29年度から令和2年度までの間に本県に移住いたしました118人のうち、約4割が女性、そのうちの約7割が39歳以下という状況でございます。
 委員からも御紹介がありました地方への移住に対する関心が高まって、東京圏の転入超過の傾向に変化が見られるということでありますので、東京圏の若者に対しまして、本県で働き、暮らすことへの関心を高めるための情報発信を強化するなど、効果的なU・Iターン対策を一層推進することが必要でありますので努力してまいります。
〇工藤勝子委員 確かに1.5倍にふえてきているわけでありますけれども、これは他県でも同じではないか、私はそのように捉えているところでもあります。特に住宅支援などが充実しているところなどは、移住者の方々が多いというような情報もあるわけであります。
 そういう中において、結局、U・Iターンし、そして移住してこられた人たちが、遠野市でもそうですけれども、結果として、そこから戻られる人たちも出てきているわけです。それはなぜかというと、やはり地域住民とのいろいろなコミュニケーションがとれなかったり、風土の違いなど、いろいろあるわけです。
 移住した人たちにしっかり定住していただくために、移住、定住した人たちへのフォローというのでしょうか、相談窓口をここにきちんと設けてやるべきだと思います。それは、それぞれの各市町村の役割だと言うかもしれませんけれども、そういうところの相談員の支援とかは県がやっていくべきではないかと思っているのですが、所感を伺いたいと思います。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 移住されてきた方へのフォローということでございます。基本的には、委員から御指摘がありましたとおり、住まいですとか仕事、子育てといった地域の暮らしを最も把握しており、移住者を実際に地域で受け入れる市町村、あるいはそこの市町村で地域づくり等で活躍されているNPO法人との連携が、重要であると認識しております。
 県では、市町村における一元的な相談窓口となります岩手県移住コーディネーターの登録制度を令和2年2月に創設いたしまして、登録拡大を進めているところでございます。
 こちらとの連携につきまして、東京都の相談窓口との連携もそのとおりですけれども、盛岡市に県の定住関係の相談窓口を設けております。そちらでも連携して、市町村と一緒になりまして、伴走型支援を進めていく体制をとっているところでございます。
〇工藤勝子委員 遠野市には山・里・暮らしネットワークのNPOがあるわけで、かなりしっかりと支えたり、いろいろな情報交換をしたりしているようでありまして、やはりNPOの育成も非常に有効ではないかと思っているところであります。
 そういう中において、令和4年度、新規事業が組まれております。一つは、いわてターン促進事業費、それから、いわて暮らし応援事業、もう一つ、いわてお試し移住体験事業、これは県土整備部とありました。移住支援金等のこともありますが、この新規事業について、もう少し詳しくお願いいたします。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 令和4年度の新規事業についてでございますけれども、まず、いわてターン促進事業費は、お盆、正月の帰省シーズンに合わせまして、県内の新幹線駅での広告掲出や相談ブースの設置によるUターン促進のプロモーション活動を市町村と連携して行う。あと、岩手暮らしの魅力を発信する移住ガイドブックを市町村の移住コーディネーターなどと協力して制作するといったことで、こちらにつきましては、情報発信を強化する取り組みということになります。
 次に、いわて暮らし応援事業費では、U・Iターン就職を一層促進するため、新たにAI技術を活用したマッチングの促進を図りますほか、移住支援金の拡充や若者向けお試し就業機会の拡大など、本県への具体的な移住やU・Iターン就職を見据えて行動している若者等に対する支援を強化する取り組みでございます。
 それから、移住支援金のお尋ねがございました。こちらは大きく2種類ございまして、国が要件を定める支援金、それから、今年度、県が独自支援として創設しましたいわて若者移住支援金がございますけれども、国が要件を定める移住支援金につきましては、令和4年度に新たに子育て加算が追加されます。現状の世帯に対する100万円に加えまして、18歳未満の世帯員を帯同して移住された場合、1人について30万円を追加で支給することとしたところです。
 さらに、いわて若者移住支援金についてでございますけれども、新たに新卒者向けの要件を追加いたしまして、東京圏の大学等を卒業し、県内の中小企業等に就職した者に対しまして、一律15万円の移住支援金を支給することについて、新たに取り組んでいこうとするものでございます。
〇工藤勝子委員 こういう取り組みによって、少しでも若い人たちが岩手県に移住、定住されて、そして、人口減少に少しでも歯どめがかかるようなことになればいいなという期待を込めて、今回お伺いしたわけでもあります。
 市町村やNPO法人との連携について、前にお聞きしたときには、既に33市町村に窓口が設置されているという話でありました。設置しているけれども、遠野市のことだけ話をしてますが、1人の課長が三つぐらいの役割を持っているのです。何とか課長とか、何々室長とかですね。県もそうじゃないかと思っているのです。
 市町村も県もそうですが、この移住、定住に向けて、しっかりとした職員配置をすべきではないかと思っております。その辺についてどのように考えるか。お聞きしましたら、今回も移住、定住に係る県の職員は増員にならないという話でした。人口減少対策に商工労働観光部として本気で取り組むならば、もっと、首都圏から人を呼び込むということに力を入れてほしいと思っております。
 そういう中において、市町村との連携といいますけれども、どういう形で連携をとっているのか。私は、コロナ禍の中ではありますけれども、やはり県の職員と市町村の職員が一堂に会して情報共有することが必要ではないかと思っていますが、そういう取り組みについてはどのように考えていますでしょうか。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 市町村との連携ということでございます。基本的には、市町村、それから移住コーディネーターとの連携という形になりますけれども、県では、移住相談窓口等で受けた相談を、移住相談の内容に応じまして、岩手県移住コーディネーターにつないで、切れ目のない移住相談を実施しております。
 また、県のいわて暮らし移住定住ポータルサイト、いわてイーハトー部に入ろうがございます。これについては、写真コメント入りでプロフィールを掲載しておりますが、岩手県移住コーディネーターが、SNS等で発信する移住情報、それから地域の魅力を、県のSNS等で二次的に情報拡散してまいります。
 それから、県主催の移住イベントにおきましては、市町村等と連携して開催いたしますとともに、岩手県移住コーディネーターに優先的にPRの機会を設定しているものでございます。
 それから、先ほど御紹介いたしました新規事業、例えば帰省シーズンに合わせた県内の新幹線駅での広告掲出、相談ブース、こういったUターン促進のプロモーション活動は、市町村と連携して行うことになっておりますし、移住ガイドブックも、市町村の移住コーディネーターなどと協力して制作するといった形で、一層市町村との取り組みを強めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 県の事業の中でオール岩手という言葉が使われております。本当に各部局一緒になってオール岩手で取り組んでほしいと思っています。
 その中でも田舎暮らしを求めて移住してくる方もあります。田舎暮らしということになると、農林水産部との関係、住宅の関係だと県土整備部になるかもしれませんが、そういう中で、部局の横断的な人口減少対策の一つとして、こういう移住、定住に対する意見交換の場を県は持っているでしょうか、お伺いします。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 他部局との連携ということでございます。
 基本的には就業、移住、定住関係は、いわてで働こう推進協議会という大きな枠組みがございます。こういったものを基本といたしまして、関係部局、関係各種団体と連携して取り組んでいるということになります。
 あと、農林水産部との連携になりますけれども、具体的には、首都圏の相談窓口におきまして、新規就農等に係る相談窓口を紹介したり、いわて暮らし移住定住ポータルサイトにおきまして、いわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーの紹介、それから農林水産業に係る地域おこし協力隊の募集情報発信、農林水産関係の就業支援に係るイベント情報の発信といったことで、連携して取り組んでおります。
〇工藤勝子委員 移住、定住された人たちの就職状況についてお伺いしたいと思います。いろいろな紹介をされているようですけれども、実際にどのような形で就職ができているのかもお聞きしたいと思います。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 移住、定住された方の就職状況ということで、県が把握しておりますのは、県が運営するマッチングサイト、シゴトバクラシバいわてにおきまして求職登録した方の状況でございます。
 ここで職業紹介などの支援を行った方ということで、U・Iターン就職した人数になりますけれども、令和2年度の135名に対しまして、令和3年度1月末日現在で302名という実績でございます。
〇工藤勝子委員 やはり移住、定住される方々は、まず、一番先は住宅がどうなのかということを心配してくるのです。そして次は、生活していかなければならないので、就職はできるのか。この辺のところをしっかりフォローする情報発信することによって、岩手県に来る人たちも多いのではないかと思っています。
 また、県の魅力ということに対して、私も重要だと思っているのですけれども、自分がこういう自然豊かなところに毎日暮らしているとは当たり前で、そして周りの人情が豊かなのも当たり前で、特に何かということは感じないわけであります。
 県として、岩手県はこれだという短い文章で、心に刺さるような表現の情報発信をしてほしいのです。そういうことで、何か考えていらっしゃいましたらお聞きしたいと思います。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 本県の魅力を短くということでございましたが、例えば、県の移住相談窓口を訪れた移住希望者の方からお話を聞いてみますと、例えば、観光で訪れた際の印象がよかったであるとか、委員からもお話がありましたが、豊かな自然の中で子育てがしたい、林業や漁業、農業に興味がある、新しいことに挑戦したい、そういった声が寄せられているところでございます。
 こういったことからも、やはり広い県土を有し、自然環境に恵まれている、食べ物、空気がおいしいといったようなところを基盤といたしまして、広い県土といろいろなメニューがあるということで、移住希望者の多様なニーズに対応できる環境にあることが、本県の強みであろうとは考えております。
〇工藤勝子委員 では、もう一点、いわてで働こう推進協議会がございますが、移住、定住、U・Iターンの推進がしっかり明記されております。いろいろな形の中で成果、実績と課題についてお伺いするわけですけれども、高校卒業生の70%以上が県内に就職するというようなこともあって、そういう成果があらわれてきたのかと捉えているわけであります。
 そういう中において、やはりオール岩手を核とした体制が述べられておりますし、また、いわてで働こう推進協議会を中心として、岩手ファーストと言っているのです。オール岩手はよく理解したのですけれども、岩手ファーストは何を意味しているのか意識改革の関係を聞いてみたいと思っております。実績と課題、そしてこの岩手ファーストについて、それぞれの部局における意識改革が進んでいると捉えているのかも、あわせてお伺いしたいと思います。
〇田中雇用推進課長 いわてで働こう推進協議会についてでありますが、この協議会は、若者や女性の県内就職の拡大を通じて本県の産業振興と人口減少に歯どめをかけることを目的に、平成28年2月に設置したものであります。
 この組織は本部的な機能を担っておりまして、構成する関係団体の皆様が、さまざまな取り組みをすることによりまして、先ほど委員から御紹介のありました高校生の県内就職率の向上であったり、また、自動車、半導体関連産業を中心とした産業集積の加速化、人口の社会減の減少傾向というようなところにつながってきておりまして、現在、コロナ禍ということですが、同様の傾向にあると受けとめております。
 一方で、今後、U・Iターン希望者を含めまして若者や女性の県内就業を促進していくためには、やはり若者や女性にとって魅力ある県内企業をふやしていく必要があることから、デジタル技術を活用した企業の生産性向上など、雇用、労働環境の整備を進めていく必要があると考えております。
 このことから、令和4年度ですが、若者や女性の県内就業の一層の促進に向けまして、先ほど申し上げましたいわてで働こう推進協議会の本部的な機能として、新たに、県内大学、企業と連携した学生等の県内就業支援の強化であったり学生等に対するU・Iターン支援の強化を行うとともに、省力化や機械化、デジタル化によります生産性向上等により働き方改革を進めるよう、企業に対して具体的な働きかけを行っていくこととしております。
 先ほどお尋ねのありました岩手ファーストですが、住むにしても、働くにしても、まず岩手県を優先して考えてみましょうと。我々の意識としても、やはり岩手県のよさなりをしっかりアピールしながら岩手県への定着を進めていきたいということで、岩手ファーストという言葉を使っているものでございます。
〇工藤勝子委員 一番の課題は、高校や大学を卒業、高校を卒業した若い女性の方々が、県内から離れるということです。これが多いわけです。そういう中において、商工労働観光部として、ぜひ女性が魅力を感じる企業の誘致を積極的に進めてほしいと思っております。最後にその所感を伺って、終わりたいと思います。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 女性が活躍できる企業の誘致ということでございます。
 これまで議会でもいろいろお話をさせていただきました。まずは企業でございますので、男性、女性ということではなく我々は取り組んできたところではございます。その中で、いかに県内の若者を含む皆さんが、その企業に就職していただけるかというところで、企業誘致に取り組んできたところでございます。
 一方、女性のという視点も、これまでも何回か指摘されているところでございます。企業については、女性を採用したいと考えている企業もあって、受け入れ環境を整えているところもございます。そういうところも動画などで紹介しながら、我々とすれば、女性としても活躍できる場所があるというところを一生懸命PRしながらやってきたところでございます。
 女性を特に採用してくれというお願いはしておりませんけれども、いずれ県内から若者が出ていっている状況ですので、企業誘致の段階から、県内で何とか雇用をお願いしたいという取り組みを進めてきたところでございます。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時11分 休 憩
午前11時22分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇吉田敬子委員 質問に入る前に、私はきょう、イワテメイドアパレルのジャケットを着用させていただいております。県ではアパレル振興に大変取り組んでいただいておりまして、県北地域等のアパレル関係の方―県北地域だけではないのですけれども、コロナ禍の中で、今年度もアパレル振興に一生懸命取り組まれて御尽力いただいておりますが、やはり現場の企業の方のお話を聞くと、まだまだ大変だということも伺っておりますので、ぜひ今後もよろしくお願いいたします。
 質問に入りたいと思います。雇用労働環境の改善の取り組みについてお伺いいたします。
 先日、内閣府の調査結果の公表がありまして、結婚について、したくない、どちらでもいいと消極的な考えを示す20代、30代にその理由を尋ねたところ、約4割の女性が、家庭と仕事の両立の負担を挙げたことがわかりました。
 県でも、これは環境生活部の所管ですけれども、男女がともに支える社会に関する意識調査をしておりますが、こちらでも、仕事と家庭、社会活動の両立に理想と現実には差があることがわかっておりまして、女性の意識や考え方が職場で反映されているかとの問いに対しても、余り反映されていない、または、ほとんど反映されていないと答えている割合がふえている現状です。これについて、商工労働観光部としては、どのような認識で、これに対して何に取り組んだのか。
 また、こちらも環境生活部の所管ですが、女性活躍促進に関するアンケート調査をしております。この中では、この結果について、商工労働観光部としてどのような認識で、どのような取り組みをされてきたのか、結果の所感をお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 仕事と家庭の両立等についての認識と取り組みについてでございますが、両立支援のためには、働く方が、性別にかかわらず、それぞれのライフスタイルに応じた多様な働き方を実現できる雇用労働環境の整備が求められておりまして、経営者の意識改革ですとか柔軟な勤務制度の整備、各種休暇制度の整備の促進等が重要と考えております。
 こうした考えのもとで、企業向けのセミナーですとか企業訪問の機会を捉えまして、これまでも、長時間労働の是正ですとかテレワークの導入、各種休暇制度の導入について働きかけてきたところです。
〇吉田敬子委員 調査結果の所感についてお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 私も、この調査結果を拝見いたしましたけれども、委員御指摘のとおり、特に仕事と家庭、社会活動の両立の理想と現実のギャップが大きいことにつきましては、女性だけでなく、男性についても同じような結果でありました。また、中には、女性の管理職の割合が増加したとか、働く状況が改善されているという面も読み取れると思っております。
〇吉田敬子委員 では、女性活躍推進に関するアンケート調査の結果の中に、女性の採用や登用に関する目標設定というところがありまして、設定していないし今後も設定する予定はないという企業が全体の60%もあるわけです。設定しているところが11.9%、女性登用が必要ないと思っている企業が6割で、これが最多ということです。
 女性活躍推進に向けた取り組みが特にない場合の今後の取り組みについても聞いております。その結果、特に必要性を感じておらず取り組まないという企業が58.1%で、これが一番多い状況で、プラス、必要性は感じているが取り組むことは難しいが33.8%。これを足すと、取り組んでいない企業が91.9%になっているわけですね。
 これは環境生活部の調査結果ではありますけれども、いわて働き方改革等でも、こういった調査結果を共有されていると思います。これは、企業側に対する取り組みとして商工労働観光部が積極的に取り組んでいただかないことには何も進まない現状ですけれども、これについての所感をお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 委員御指摘のとおり、取り組みが進まないというお話をいただいておりますけれども、一方で、ことし4月には、女性の積極的な採用や昇進を大企業に促す女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍促進法)に基づく一般事業主行動計画の策定、届け出や、その情報公開の対象、また、次世代育成支援対策推進法に基づくくるみん認定の認定基準の改正など、制度としてのしっかりした動きがありまして、企業がしっかり制度を守っていかなければいけないという方向にもございます。そういう制度の周知促進などをきっかけにしながら進めてまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 その制度はそのとおり、ぜひ進めていっていただきたいのですが、実際に労働者の側がどのように感じているかというところにも意識していただきたい。会社が一生懸命やっていただくことももちろんですが、結局は、運用としてはなかなか難しいような現状なのではないかというところで、ぜひ踏み込んでいただきたいということで質疑させていただいております。
 いわて女性の活躍促進連携会議も環境生活部が所管ですけれども、こちらは子育てだったり建設関係などの5部会がありまして、その一つにいわての女性の就業促進部会があって、これは商工労働観光部も一緒になっているはずです。こちらの令和3年3月の提言書をまとめられましたね。男女ともに働きやすい職場環境づくりを目指してというところでありますけれども、では、この提言書はどのように生かされたのかお伺いしたいと思います。
〇伊五澤商工企画室企画課長 委員から今お話しがあったいわての女性の就業促進部会は、県内の女性経営者や従業員8名程度で構成して、女性の活躍あるいは就業促進をどのように図っていくか検討している部会でございます。昨年、提言をまとめまして、その中では、女性の活躍を阻む要因としてアンコンシャスバイアス―無意識の偏見が一番の要因ではないかと。意識しないところで、男性はこうあるべきとか、女性はこうあるべきとか、経営者も含めて、従業員も含めてそう思い込んでいる。そこを解消しないと、女性の会社の中での活躍がなかなか進まないのではないかといったところで提言をまとめたところでございます。
 この提言に基づきまして、例えば、ことし7月に、盛岡工業クラブの方々と一緒に男女ともに働きやすい職場づくりに向けた勉強会、意見交換会を行いまして、実際にそれをもとに、我が社ではこうしていきたいといった発表もあったところでございます。
〇吉田敬子委員 まさにそこを何とかしていかなければいけないところで、先ほどのアンケート調査の結果ですけれども、女性管理職、役員が登用されていない理由の一番は、現時点では必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない43.1%。そういった経験を有する女性がいないのは、本当に能力がないのか。私は、そうではなくて、そういった方々を引き上げていくことが、ロールモデルも少ない中で、いろいろな働き方で、女性の役員の方、管理職の方をふやしていくことが重要だと思っております。
 先ほどの認識は私も同じでして、商工労働観光部として、それが結果に結びつくのがなかなか難しいとは思いますけれども、無意識のバイアスがかかっていること、もう一つ、適当な職種、業務がないというのが次に多くて、それも、結局は女性の管理職の方々が、今までいないから女性にはできないのではないかというバイアスがかかっていることが多いことで、なかなか進まないのだと思います。私は、そこに少しずつでも風穴をあけて、確かに、商工労働観光部ではいろいろな講演会、セミナーで県内の企業の事例を挙げられていますが、今後とも、ぜひこちらを何とか改善していただきたいと思っております。
 総括質疑で取り上げさせていただきましたけれども、仕事と家庭の両立支援、そして、仕事と不妊治療の両立支援、女性管理職、役員登用に関する講演会、セミナー等は、これまでどのように開催されたのか、これで十分との認識なのか、課題認識を伺います。
 副知事から御答弁いただきましたけれども、県から資料をいただいた中では、不妊治療については、商工労働観光部として具体的に何かセミナーをやったというところを私は見つけられなかったのですけれども、その認識について、それで正しいかお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 仕事と家庭の両立ですとか仕事と不妊治療の両立、そして女性の管理職登用等のセミナーの開催状況についてでございますけれども、こういう内容を含むセミナーにつきましては、年に二、三回開催しているところでございます。不妊治療だけをテーマにしたものではございませんけれども、直近3年間の中では、働き方改革と人材育成に係る勉強会の中で、不妊治療休業を最長2年間まで取得可としている企業の事例紹介を行わせていただいております。また、先ほど昇任等の話もありましたが、女性の本音を語る意見交換をし、反映させる企業経営の講演会なども開催しております。
 また、働き方アワードの表彰式などでも、女性活躍推進に係る有志のプロジェクトチームが、いろいろな職場の制度改正をなさって、実際に新卒の採用増に結びつけたり、女性の管理職登用に結びつけたり、育児休業を初め、子育てに優しい業務体制に改善した企業の取り組みも紹介しております。
 不妊治療だけのセミナーは開催しておりませんけれども、いろいろなセミナーの中で、要素を取り入れながら開催していると認識しております。
〇吉田敬子委員 総括質疑の際にもお話しさせていただいたのですけれども、これは国の調査ですが不妊治療に係る実態を知っているかという調査があって、全く知らないが33.7%、ほとんど知らないが43%と、76.7%の方が理解していないとなっています。
 これまでの取り組みの中で、不妊治療に関する取り組みをしている企業を御紹介いただいたことは大変感謝いたしますし、よいと思いますけれども、不妊治療自体がどういうものなのかをわからないと、なかなか企業において、それがうちの会社で本当に必要なのかというところに進まないというところを私は課題認識として持っております。
 不妊治療をしている人は夫婦の約5.5組に1組ということではありますが、これは、不妊治療をしていなくても子供が欲しいという方々や妊活をしたいという方々等、もっと多くの方が対象になるようなことでありますので、子供を欲しいと思っているときに、働き方改革だったり企業の理解がいかに必要かを知っていただくためには、不妊治療の制度を持っている企業の紹介ではなくて、他都道府県の、不妊治療がどれだけ大変かというところに踏み込んでやっているところに、私もオンラインでさまざま参加させていただきました。今後は、紹介だけでなく、こういったことで大変なのだというところまで踏み込んでいただきたいと思っておりますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 私自身も周りにそういう方がいらっしゃって、重々認識しているところでございます。
 また、ことしテレワークの導入推進補助金の説明会を行いましたけれども、そのテレワークも、4割、5割が育児や介護をする方を楽にしたいというか、そこに導入したいというお話でしたが、実際の計画書などを見ると、対象者は何人いるかというところの人数が少なかったのです。そういうところで、むしろ女性だけではなく、これは男性もとれるのだけれども、そういう認識が企業にないのではないかと。そこで、必要だということで育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律(改正育児・介護休業法)等の周知をそこの場でやらせていただきましたが、委員御指摘のとおり、不妊治療等につきましても、そういうセミナーの中で御紹介させていただきたいたいと思います。
〇吉田敬子委員 おっしゃったとおり、女性だけではなくて、男性もそのとおりですし、来年度以降に期待したいと思います。
 新年度は、人口減少対策が重点テーマの一つになっておりまして、また、いわてで生み育てる支援本部を設置しておりますが、これは部局横断的に取り組むというところでありますけれども、商工労働観光部として何が変わるのか、具体的な取り組みをお伺いしたいと思います。
〇四戸特命参事兼労働課長 いわてで生み育てる支援本部についての当部の具体的な取り組みについてでございますけれども、この支援本部につきましては、自然減対策の充実強化のために、令和3年12月に設置されたところでございまして、結婚、妊娠、出産、子育ての各ライフステージに応じた効果的な取り組みとこれらを支える基盤づくり、社会全体で安心して産み育てられる環境づくりの機運醸成に取り組むこととしています。
 当部では、引き続き、女性、子供、家庭を支える基盤づくりに向けて、人材の確保、そして仕事と子育ての両立支援に取り組むこととしております。令和4年のいわて働き方改革加速化推進事業におきましても、先ほどもちょっと御紹介させていただきましたが、中小企業におけるテレワークの導入、拡充に要する経費の補助を進めることで、柔軟な働き方を普及促進してまいりたいと思っております。
 また、先ほどの繰り返しになりますが、不妊治療と仕事の両立、改正育児・介護休業法等を初めとしまして、仕事と子育ての両立支援につながる勉強会の開催に取り組むこととしております。
 また、いわてで働こう推進協議会では、毎年、県と岩手労働局、市町村の3者で、安定的な雇用確保のための要請活動を通じて、30を超える経済団体等に働きかけを行っております。本年4月から一般不妊治療が公的医療保険の対象にもなりますので、希望する方が治療に専念できる職場意識の醸成ですとか、改正育児・介護休業法等の各種休暇制度の導入、また、ワーク・ライフ・バランスなど、誰もが希望に応じた働き方が実現できる環境づくりに対しても要請してまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 保健福祉部や環境生活部で、仕事と家庭の両立支援の中で、家事の負担を軽減する取り組みをやっているのですが、企業、仕事のほうについて、商工労働観光部でそこの課題認識を共有していただいてやっていただきたいというところで質疑させていただいています。来年度以降は、人口減少対策も重点テーマになっていますので、今後さらに注視させていただきますので、強化に取り組んでいただきたいと思います。
〇千葉絢子委員 それでは、私は2点お伺いいたします。
 まず、先ほど来議論されております、いわてで働こう推進協議会についてお伺いいたします。
 総括質疑でお伺いできなかった分も含めてお伺いしたいと思いますが、いわてで働こう推進協議会は、岩手労働局の指摘からは、高卒者を対象として主に施策が練られているような印象があるということはこれまでもお話をしておりますけれども、これまでの役割と具体的な政策評価をお示しいただいた上で、これまでの協議会の議論や施策の積み重ね、この新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおいてどの程度有効だったか。この検証をしているかどうか。また、検証結果は、政策の方向性や妥当性を判断するために、我々議員や県民はどのように知ることができるかお伺いいたします。
〇田中雇用推進課長 まず、いわてで働こう推進協議会についてでありますが、この協議会は、若者や女性の県内就職の拡大を通じて、本県の産業振興と人口減少に歯どめをかけることを目的で設置したものでございます。
 これまで、県の指標として、高校生の県内就職率の向上を一つ定めておりますので、そこの取り組みであったり、あとは自動車、半導体関連産業を中心とした産業集積の加速、人口の社会減の減少傾向につながってきていると認識しておりまして、コロナ禍においても同様の傾向であると受けとめております。
 また、コロナ禍を踏まえまして、県、岩手労働局、市町村の3者で雇用調整助成金等を活用して、雇用を維持していただくよう緊急要請をするなど、経済団体等を通して県内企業に働きかけたところであり、こうした活動によりまして、県内の多くの事業者の事業継続と雇用の維持が図られてきたものと受けとめております。
 続きまして、これまでの取り組みがどの程度有効だったかの検証でありますが、いわてで働こう推進協議会は、オール岩手で取り組みを進めるための本部的な機能を担っているものでありまして、基本的には、毎年度実施しています県の政策評価によりまして、指標の達成状況などを勘案しながら、翌年度の活動の方向性や事業構築に反映させているものでございます。
 また、コロナ禍が及ぼす影響は、新型コロナウイルス感染症に伴う事業者への影響調査などを実施するほか、国の労働力調査やジョブカフェいわてにおける相談状況なども把握しながら、さまざまな対策を進めてきたところでございます。
〇千葉絢子委員 先日の総括質疑は皆様も恐らく庁内放送でお聞きになっていたかと思いますが、東京都などでは、女性労働者に対する影響、こんなことが考えられますというのを東京大学の研究者とともに公開研究会を開催したりしております。
 いわてで働こう推進協議会の資料をいろいろいただいておりますが、施策の方向性で女性に対しても言及されているわけですけれども、ただいまの答弁ですと、やはり女性に限らず、若者の、高校生の県内就職に重点を置いているとか、全世代というか全性別型というようなお話もありますが、私も、先ほどの吉田敬子委員も、女性の労働環境改善のために、商工労働観光部でも政策的な補強が必要ではないかと重ねて申し上げているわけです。
 令和4年度の中で、特に女性の就労や待遇の環境改善につながるものがあれば御紹介いただきたいのですが。
〇田中雇用推進課長 女性労働者のための政策というお尋ねでございます。いわて県民計画(2019〜2028)に掲げます安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手県を実現していくため、女性を含めて性別にかかわらず、その能力を発揮できる環境を構築していくことが重要であるという認識のもと、令和4年度当初予算案におきまして、女性の活躍支援に関する事業として、新たに、女子学生を対象とした若手社員との意見交換会、職場体験等を実施するほか、女性受講者が多い離職者訓練の実施に当たりまして、託児サービスつきの訓練や短時間コースの設定などの配慮のほか、従来のコースの中に基礎的なITスキルを習得するカリキュラムを盛り込むなど、取り組みの強化を図っているところでございます。
 また、就職氷河期世代の非正規労働者等を対象としたスキルアップセミナーや企業とのマッチング等による正社員化への支援であったり、働き方改革に関する企業アンケートの実施、企業におけるデジタル技術の活用による生産性向上の取り組みなど、女性も働きやすい労働環境の構築促進に向けた取り組みを強化していくこととしております。
〇千葉絢子委員 女子学生と企業のマッチングや意見交換会は、非常に有効だと思います。前に実施していただいた、県内の大学生がどんな分野に就職を希望しているかという調査結果とは、ちょっとミスマッチかと思えるところも出てきました。これは岩渕商工労働観光部長からじきじきに資料もいただいて、御説明も受けたところですけれども、ここをどうしていくかの施策とニーズのすり合わせの見直しがそろそろ必要かと私は思っております。
 今、職業訓練のお話も出ましたのでちょっとお話ししますと、やはりグリーンとかデジタルなど国や県の注力する重点施策に沿って職業訓練の領域を見直したり、企業への働きかけ、先ほど十良澤ものづくり自動車産業振興室長は、女性を採用してくれというお願いは特にしていないということでしたが、私は、各企業とお話しさせていただくときに、女性を採用してくれと本当にお願いしています。そうしたら、ことし2人採用したよ、高卒で盛岡工業高校から2人大工さんになってくれるよというようなお話とか、大卒の女性を2人採用したよ、給料も20万円あげることにしたよというようなお話をいただいたりしております。やはり採用してくれと直接働きかけることは非常に大事だと思っています。
 それから、企業への働きかけ、動機づけ、目に見える形で目標値を掲げて促進するなどの支援策は、本当に必要だと思っています。そうでないと、きのうの野原保健福祉部長の答弁にも、社会減、自然減につながるという認識でいらっしゃるということで、働く場が岩手県にきちんとあるか、そして、婚姻を結べるような状況にあるかどうか。
 今、結婚、出産適齢期の男女比を見た場合、どう見ても男性のほうが多いわけです。3年以上前にお伺いしたときに、その年代では男性が5、000人多い。女性が少なくて、全てカップリングしたとしても男性が5、000人余ってしまうような状況だというデータも御紹介いただきました。そういうところを、男性、女性ともにとおっしゃいますけれども、女性をどうしたら流出させないかということが人口減少の歯どめには一番有効ですので、その点に特化した政策を考えていただきたいと思っております。
 具体的な方策をなかなか読み取ることができなくて、昨年の今時期にいただいたいわてで働こう推進協議会の今年度の取り組みの中には、女性への施策の一つとして、からだ測定会という謎の事業が含まれていたのですね。これは、ショッピングセンターなどでの通りがかりの人を狙ったイベントで、御自身の健康状態、体力が労働に適したものか、まだ働ける体か見てもらうようなものが堂々と事業に名を連ねておりました。去年の部局別審査でも、これは何ですかと指摘しましたが、これから女性や高齢者の就労につながったようなケースはあったのでしょうか。これは特出しで事業化していたものなのですけれども、この事業の目的と、それから成果をお示しいただけますか。
〇田中雇用推進課長 沿岸地域で実施しましたからだ測定会の事業ですけれども、これは、今働いていない女性や高齢者の方々が仕事につきたいというときに、その動機づけというか後押しをするということで、体力測定等を行いまして、十分ですよということではないですが、大丈夫ですよというところをやって就業に結びつけたいというものの一環でございます。
 これを受講した方がどれだけ就職したかというデータは持ち合わせておりませんけれども、これは昨年度までやりまして、コロナ禍でできなかったところもあるのですが、その成果につきましては、リーフレット等に記載しまして、事例として紹介しているところでございます。
〇千葉絢子委員 そもそも女性の労働者が、それから女性の存在が、岩手県にとって必要なのかどうかというメッセージが、県内の特に若い女性に伝わっていないことが問題だと私は思っているのです。女性一人一人が、子供を産むこと、家族のケアを一番に考えること以外にどの程度期待されているのかがなかなか伝わっていないので、女性が県外に出ていってしまうというようなことが起きていると私は感じております。
 女性たちに、あなたたちのことをきちんと忘れていないよ、大事だよというメッセージを送っていくためには、本当に女性に特化した労働施策をつくっていかないと、どんどん逃げていってしまうと思うのです。
 例えば、私は今、親の面倒を見ておりますけれども、それは、私に収入があるから親の介護とか通院とかの、費用を負担できるのであって、皆さん、奥さんの御両親とかの介護をするときに、御自身でどのぐらい費用を負担されているのかと思うのです。お嫁に行ってしまうと、実家のことはなかなか手を出せなくなったりしてしまうのですけれども、その実家の親を見るために、奥さんたちも経済力を持っていれば、旦那さんに、今度、介護にもこういうお金がかかるのだけれどというような話をもっとしやすいと思います。ひとり親とか非正規労働者、それから女性の低所得を放置することは、その親の世代の健康とか福祉にも大きく影響してくるということなのです。女性の施策をもうちょっとしっかりやってほしいと私は申し上げているわけです。
 アンケート調査は実態調査ですから必要だと思います。私は項目も考えたのです。家族構成とか、就業形態とか、勤務時間、休暇、希望する賃金と実際の賃金にどれぐらいの差があるか。これは子供でもその格差を調査していますけれども、それと意識、待遇、賃金などの男女格差をどの程度感じているか。管理職志向の有無とその理由、それから、満足度、将来への不安、必要としている支援。これは自由記述で、どんな困難を抱えているかというニーズ調査をしていただきたいと思っています。有効な施策はそこから生まれると思っておりまして、ぜひ実施に向けて検討していただきたいのですが、岩渕商工労働観光部長、いかがでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 女性の労働施策についてですけれども、県で今、さまざまな産業分野で人手不足が顕著になってきておりますので、そういう中でも、そこは絶対に必要な人材ということで取り組みを進めております。
 それから、アンケート調査につきましては、具体の施策に生かす意味で、どういうやり方がいいのかしっかり部内で検討していきますけれども、私が一つ申し上げたいのは、女性の賃金を上げたりするときに大事なのは、これは全国的な問題だと思っていますけれども、男女が同一労働についていないことだと思っております。
 さっきの管理職登用の話もあるのですけれども、結局、企業も、これから女性等の活躍を見据えてやっていかないと競争に破れていきます。そういう中で、女性が一般職、総合職的なものにつかないと、これは解決しない問題だと思っております。そこが一番大事だと思っております。
 県内は、もちろん幅広い企業が欲しいのですけれども、さっきアンコンシャスバイアスの話をしましたが、そういうところを企業に働きかけていく。いわてで働こう推進協議会という有効な組織がありますので、そこを通じて、しっかりその辺を含めて、これはすぐに解決するのは難しいかもしれませんが、きちんと意識を変えるように、その働きかけをしっかりやっていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 今の岩手県の労働施策については、先ほどの四戸特命参事兼労働課長の答弁からも、企業側、施策をする側から見た施策であって、働く人の満足度がどうかというところ、アウトカム指標というか、そういうところがなかなか見えてこない施策だなと感じています。
 男女共同参画分野と労働施策はすごくリンクしていて、広島県の男女共同参画のプランでは、かなり踏み込んだ満足度調査みたいなものもしていて、実際、いつでも必要なときに子供を預けて働くことができると感じている女性の割合というような満足度をベースにした指標になっているのです。実際、働く側がその制度を使って、どの程度岩手県に定着したい、これだったらできると思えるか、もっと実効性のある、施すではなくて、受ける側から見たら、こういう制度があったらありがたいよねという視点を持っていただきたいと思っております。
 こういう女性の視点は、何回か指摘をしているのではなくて、何回も指摘をしているわけで、そこは御認識を改めていただきたいと思っております。
 それから、職探しについてですけれども、ハローワークを通じての職業訓練は、いろいろメニューもありまして、無料で受けられる国のものもたくさんありますが、実は今、仕事を探している人たちは、インターネットの求人サイトを利用していまして、ハローワークが提供する訓練の情報になかなか接しづらい状況もあります。その訓練メニューの周知のあり方ですを、できれば退職するときに手にできればいいという気もしております。託児利用も今1桁ですね。もう少し周知をしていただければ、職業訓練が、7人とか5人とか、もうちょっとふえていくと思います。
 それから、これは国の施策にもなっていくと思いますが、長期で資格が取れるような訓練を受けているときの生活の保障ですね。そこを私も国に訴えていきたいと思っておりますし、県でも、何かしら国のメニューが使えるのであれば、こういった生活資金を受けながら訓練が受けられるメニューがありますよということも紹介していただきたいと思います。とにかく、自分と家族を養っていける経済力を女性に身につけてもらうにはどうしたらいいかという視点で物事を考えていただきたいと思っております。これは要望にいたします。
 次に、在外事務所についてお伺いいたします。
 岩手県は、中国と韓国に合わせて三つの在外事務所を置いていますが、それぞれの設置目的と期待されている役割、県内の輸出額に占めるこの三つの事務所の貢献度について、どのように評価しているか伺います。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 在外事務所の評価についてであります。
 大連経済事務所は、中国との経済交流の促進や観光客誘致の拡大による本県経済の活性化を図ることを目的に、平成17年に設置しました。
 雲南事務所は、本県と雲南省とで締結した友好交流協力協定に基づき、経済、青少年、農林業分野など幅広い交流活動を進めることを目的に、平成30年に設置しました。
 北東北三県・北海道ソウル事務所は、観光客の誘客拡大、物産の販路開拓、文化交流等を拡大し、本県の地域経済の活性化を図ることを目的に、平成14年に4道県が合同で設置いたしました。
 輸出額についてですが、中国への輸出については、例えば、令和2年の日本酒輸出額は過去最高の6、288万円余で、震災前の平成22年の約4倍に増加しております。また、韓国への輸出についても、平成30年の日本酒輸出額が過去最高の2、956万円余となっており、平成22年の約3.6倍に増加したところでありまして、現地事務所の販路拡大の取り組みが一定の成果を上げたものと認識しております。
〇千葉絢子委員 では、この新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中でも、農林水産物、それから県内のお酒といったものの輸出にはすごく貢献しているという認識でよろしいですね。
 毎年度の予算が三つの事務所で総額7、000万円に上っています。この職員体制についてもお伺いしたのですが、韓国については持ち回りでありますけれども、中国の2カ所については、雲南事務所は3人いらっしゃる中で人件費が1、474万2、000円かかっています。大連経済事務所のほうは、5人に対して人件費が2、628万円かかっているのですね。人件費がかなり大きい。人数が少ないにもかかわらず、これはかなりの報酬ではないかと見ておりますが、この職員体制、内訳、活動状況と県内経済にもたらした効果について示していただきたい。それから、県民の幸福にはどのように寄与しているのか。この予算規模が、財政研究会が発足することを踏まえて、本当に適正かどうか、見直しの必要性はないのか、あわせてお伺いいたします。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 職員体制等についてでございますが、御指摘ありましたとおり、大連経済事務所及び雲南事務所に関しましては、管理運営費として計上している予算のおおむね3分の2が人件費となっておりまして、そのほかは、事務所の賃借料とか光熱水費、旅費などとなっております。
 県内経済への効果及び県民の幸福への寄与度というお話、あるいは財政的な観点ということですが、いわて県民計画(2019〜2028)では、意欲ある県内事業者の海外展開を促進し、企業活動を活発化するため、海外事務所を活用することとしておりまして、三つの事務所が、現地でのネットワークを生かして、海外展開を図る事業者を支援してきた結果、いわて県民計画(2019〜2028)の幸福関連指標である農林水産物の輸出額が順調に推移するなど、県内経済に一定の効果をもたらしているものと認識しております。
 予算規模につきましては、事務所を運営していくため必要最小限となる予算を計上しているところでございます。毎年度見直しを行っておりまして、今後も、必要最小限の予算の中で、現地事務所の機能を最大限に発揮しながら、県内事業者への効果的な支援を行ってまいります。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時4分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 私からは、2点お伺いさせていただきます。午前中の審査で郷右近浩委員からもお話がありました、新型コロナウイルス感染症対策における事業者支援につきまして、お伺いいたします。
 この予算特別委員会中にも、先ほどもお話がありましたとおり、飲食業生活衛生同業組合を含めた団体から、県に対して改めて要望がございました。いろいろと答弁がありましたけれども、極めて厳しい深刻な状況にあるということで県も認識しておりましたし、保副知事からは、新聞記事を見ましたが、改めてちょっと踏み込んだ別なステージに入ってきているのだと。やはり県としての支援も考えていかなければいけないという答弁がありましたけれども、改めて、先日の組合員からの要望を受けて、今の県の評価、今後の対応についてお伺いします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 先日、生活衛生同業組合から要望を承りましたし、県で毎月実施している影響調査では、多くの事業者において長期にわたって売り上げが減少していることを背景に、要望する支援策として景気回復策や資金繰り支援が多くを占めておりまして、生活衛生同業組合からも、そういったところについて支援をしてほしいという声をいただいているところでございます。県としても、そういう声が大きいという認識でございます。
 令和4年度当初予算案では、飲食店、商店街の売り上げ回復を図るためのキャンペーンの実施による需要喚起策や、融資制度を初めとした直接的支援などの施策を盛り込んだところでございますが、委員御指摘のとおり、現在、オミクロン株による第6波によって、多くの事業者がさらに深刻な状況にありますことから、県としまして、関係団体と連携しながら、追加事業の構築などを含めた効果的な支援の方法等を検討しているところでございます。
〇臼澤勉委員 本当に待ったなしの極めて深刻な状況というのは、商工指導団体を通じていろいろな調査をやっているわけでございます。
 一昨年2月にも岩手の飲食業界を守る会からも要望があったわけでございまして、私も事業者の皆様からさまざま聞いていて、お金が欲しいというお話というよりは、現在の我々の抱えている現状を聞き取ってほしいというか、1年前も詳細な調査、体制をつくってほしいとの要望が岩手の飲食業界を守る会からも上がっているわけです。そういった部分について、県は、商工会、商工会議所からのアンケート調査だけでなく、実際に生の声を直接聞きに行っているのかどうか、その現状をお伺いします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 商工労働観光部で行っている影響調査のほかに、事業者の声を聞くことが施策を検討する上でも大事と認識しておりまして、例えば、飲食店や宿泊事業者を含めた生活衛生業者、環境生活部で行っているいわて飲食店安心認証店については、環境生活部や関係団体においてアンケート調査を行っておりまして、その結果について、庁内で我々も含めて情報共有しているところでございます。
 それから、定期的に事業者との意見交換あるいは経済金融連絡会議という金融機関や商工指導団体が一堂に会した意見交換の場を設けまして、そういうところで事業者の声を丁寧に拾っているところでございます。
〇臼澤勉委員 私は、県としてもやれることはやっていると思うのです。ただ、昔、例えばCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)のように、2人1組ぐらいで、チームを組んで、全体の会議ではなくて、個別に金融機関に行ったり、あるいは信用保証協会を含めた実際のデータに基づいた今の企業の実態、それこそ、ABCランクではないですけれども、赤信号が点滅しているような実態の企業に対しての分析と直接声を聞きながらの対策を、もっと踏み込んで今以上にやっていく段階に入ってきていると思っております。
 そして、前に聞かせていただきましたが、飲食業あるいはそういったサービス業で、資金繰り支援の要望が非常に高いのですけれども、今はもう償還が開始されて、返済緩和条件の変更とかも多くなってきた、極めて厳しい状況にあると私も捉えております。
 ここら辺の経営状況の認識、そして、実効ある経営支援対策を今やらないと、まさに二極化しているこの状況に対して、飲食業とかといった部分の業種をある程度絞り込んだ対策も必要になってくると思いますが、その取り組みについてお伺いいたします。
〇阿部経営支援課総括課長 飲食業界の皆様の苦境につきましては、私どもも常日ごろ、さまざまな方面からお話を聞いております。そして、借り入れたお金につきましても、手元の資金が減少しているという状況も金融機関からも聞いておりますし、資金的な面に関しましては、極めて苦しい状況であると考えております。
 先ほど、私から借入金の返済について柔軟に対応しておりますという旨はお話をさせていただいたところですけれども、第6波の長期化とウクライナ情勢などを含めますと、今後、さらに経営環境が急速に悪化することが心配されますので、事業者の実情に応じて、それぞれの置かれている状況はさまざまかと思います。借り入れの返済に困り、延ばせば何とかなる、あるいはそれも立ち行かない、あるいはさらに厳しい状況、それぞれの状況がおありだと思います。それぞれの事業者の皆様の実情に応じました、よりきめ細かい資金繰り支援を早急に行っていく必要があると考えております。
〇臼澤勉委員 早急に取り組んでいくということですが、現時点で具体的にどういうような体制で、あるいは金融機関とか保証協会も巻き込みながらどう考えているのか、もしお考えがあったらお知らせください。
〇阿部経営支援課総括課長 事業者の皆様方のいわゆる金融面の支援につきましては、商工会議所、商工会などの商工指導団体に加えまして、金融面からの視点が必要でございますので、金融機関あるいは信用保証協会、これら3者を交えた個別の企業をどうしていくかという打ち合わせが、既に釜石地区、あるいは遠野地区では明確に行われているところがございます。そういったものを全県的に広げたり、いわゆる商工指導団体だけではない、金融機関だけではない、異なる視点でさまざま支援ができる複数の機関が集まった体制で支援を行っていくということを現在やっていることもあり、それを広げていく必要があると考えています。
〇臼澤勉委員 そこら辺はスピード感も持ってやっていかなければいけないのだと思います。
 それで、やらなければいけないことが非常にいっぱいあるし、やりたい気持ちもあると思ってはいるのです。ただ、そういった中で、第2期岩手県国土強靱化地域計画においても書いているのですけれども、中小企業の事業継続計画の策定促進を図っていくという、これは、決して災害だけでなくて、今回の新型コロナウイルス感染症対策についても、令和3年度の岩手県国土強靱化地域計画にもしっかりと書いているのです。そして、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業経営強化法等の一部を改正する法律に基づいて、感染症対策を含む事業継続力強化支援計画を進めていると思うのですけれども、現在の策定状況はどのようになっているのか、お伺いします。
〇阿部経営支援課総括課長 ただいま委員から御紹介いただきました事業継続力強化支援計画を少し御説明させていただきます。
 自然災害の影響などによりまして商工業者の事業活動に支障を来す事態が生じているということで、令和元年に国が設けた支援制度でございます。商工会または商工会議所が、市町村と連携して策定する小規模事業者の事業継続力強化を支援する計画で、県が認定するものになっております。
 県では、令和2年1月に計画の策定に必要となります申請ガイドラインを作成し、市町村及び商工指導団体に対しまして支援計画策定の促進を図っております。これまでの策定状況は、平泉商工会と平泉町が共同で策定した1件でございます。
〇臼澤勉委員 その現状について、県は今どう考えているのか、あるいは今後どう進めていこうとしているのか、簡潔にお願いします。
〇阿部経営支援課総括課長 先ほど委員からも御紹介がありました企業を取り巻くリスクに関しては、自然災害のみならず、新型コロナウイルス感染症が含まれておりますので、この1件というのは、さらに促進する必要があると考えております。
〇臼澤勉委員 いずれ、そういう認定を受けた事業者に対しては、税制の優遇措置などの支援というものをある程度集約化しながら、整えたところについては手厚く支援していくというスキームなどについても、そういう整理ならば財政課もある程度議論には乗ってくるのだろうと私は思っておりますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 そして、今の政権において、新しい資本主義ということで、成長と分配ということを掲げて好循環を生み出そうとしております。今回の新型コロナウイルス感染症対策においても、まさに今の雇用の部分、雇用調整助成金は6月まで延長されるわけでございまして、まさに企業あるいは働く人々の家庭を守っているわけですが、守られる企業数あるいは現在の県内の交付規模は、どのようになっているのかお示しください。
〇田中雇用推進課長 雇用調整助成金の活用状況についてでありますが、岩手労働局によりますと、雇用調整助成金の交付により雇用を維持された人数は把握していないということでありましたけれども、3月11日現在の支給決定は2、926事業所、延べ2万7、882件で、金額は250億2、000万円弱となっております。
 また、コロナ禍によりまして休業させられた労働者のうち、休業手当を受けることができなかった労働者がみずから申請することができる新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、同じく3月11日現在で、支給決定は9、513件で、5億7、700万円余となっております。
〇臼澤勉委員 約260億円近くの財源で県内の雇用を守っているということを確認させていただきました。
 今、県内の企業の賃上げの現状、その理由を県当局はどのように把握、分析されているのかお伺いします。
〇四戸特命参事兼労働課長 県内企業の賃上げの状況についてでありますが、政府の毎月勤労統計調査によりますと、県内の5人以上の事業所の決まって支給する給与の額は、令和2年の平均が1カ月当たり23万3、696円に対しまして、令和3年の平均が23万5956円と2、260円上昇しております。
令和2年と令和3年の全国との差では、実際、少し縮小してきたところですが、伸びは鈍いものとなっております。
〇臼澤勉委員 県内中小企業の付加価値に対する人件費の割合、労働分配率と言っていますけれども、ここら辺の状況は何割ぐらいを占めて推移してきているのか、また改めて状をお伺いします。
〇四戸特命参事兼労働課長 労働分配率の推移について、岩手県のデータはございませんが、内閣官房の新しい資本主義実現本部事務局の資料によりますと、平成12年度から令和元年度までの全国データが出ております。その中では、労働分配率については、高い順から、小企業、中小企業、中堅企業、大企業という順になっておりまして、長期的には緩やかな減少ということになっております。
 コロナ禍前のデータではございますけれども、令和元年は、資本金1、000万円未満の小企業については82.3%、資本金1、000万円以上1億円未満の中小企業につきましては77.1%となっております。
 コロナ禍によります企業収益の減少等により、中小企業は厳しい状況に置かれているものと予測されているところでございます。
〇臼澤勉委員 厳しい状況においても、企業の皆さんは、人材を引きとめようということで頑張って賃上げにも取り組んでいると認識しております。積極的な賃上げに取り組む企業に対しての県の取り組み、国の支援制度も含めて、今後、県はどのように対応していくのかお伺いします。
〇四戸特命参事兼労働課長 賃上げの取り組みについてでありますけれども、国につきましては、賃金の引き上げに向けた中小企業等の支援策として、業務改善助成金でありますとか、正社員化に向けて賃金改定などをした事業者に対して助成するキャリアアップ助成金といったものを設けているところでございます。
 また、一定要件を満たした上で賃上げを行った場合に、その増加額の一定割合を法人税額または所得税額から控除する賃上げ促進税制が、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度で適用することとなっております。こういった制度につきまして、県としましても、活用促進を図るべく県のホームページ等で周知を図っているところでございます。
 また、県につきましては、賃上げに取り組む継続的な経営力の強化ですとか生産性向上の実現も必要ということで、県においては、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた中小企業等が行います新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築、生産性の向上に向けた主体的な取り組みを支援するための事業継続伴走型支援事業費補助により、事業者の本業の立て直しに向けて、商工指導団体の体制強化を図っているところでございます。
〇臼澤勉委員 いずれ、人への投資が非常に重要でございます。この前、産業技術短期大学校を回ったときに、研修機材が大分老朽化していて、人材育成、教育訓練にも、支障というレベルかどうかは別にしても、新たなハード、ソフトの対応も迫られてきているということで御要望も受けておりました。今後、産業技術短期大学校の教育訓練施設の充実については御要望にして、次の質問に移ります。
 次に、地域未来投資促進法に基づく県の基本計画最終年度に当たりますが、現在の実績、評価をどのように捉えているのかお伺いします。
〇藤村新産業育成課長 地域未来投資促進法についてでありますが、県では、市町村や産業支援機関、金融機関等と連携いたしまして、現在までに37件の事業計画を承認し、課税免除、補助金審査上での加点措置、低利融資など事業者の取り組みを支援しております。
 また、付加価値創出額につきましては、各事業計画の累計額が約69億4、000万円と目標額に達しておりますけれども、こちらについては、国から、計画期間の最終年度での評価を求められておりまして、令和4年度において計画値の評価を行い、評価を踏まえて後継の基本計画に反映させたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いずれ、自動車、半導体、医療機器関連産業を戦略産業にして、県は成長産業振興をしていくということで掲げております。まさに先ほどの成長なくして分配なしという議論のとおり、商工労働観光部として、積極的な岩手県の成長産業を育成していくといったことで取り組んでいると思いますが、現在のコロナ禍の具体的な影響をどのように把握しているのかお伺いします。
〇十良澤ものづくり自動車産業振興室長 本県の主要なものづくり産業における新型コロナウイルス感染症の影響についてでございます。
 自動車関連産業では、長引くコロナ禍の影響による世界的な半導体不足や部品の調達難によって、トヨタ自動車株式会社が国内工場の生産ラインの稼働を断続的に停止し、これに伴い、本県自動車関連企業の中には、一時的に工場の稼働を停止するなどの影響が出ているものでございます。一方、自動車の受注は好調を維持していると伺っておりまして、今後、減産された分の挽回生産が見込まれているところでございます。
 それから、半導体関連産業では、コロナ禍による在宅勤務であったりウエブ会議等が拡大しました。これに加えて、5GやAI等の技術革新やデジタル化の進展などによって、今後、データ通信量が飛躍的に増大すると見込まれております。こういうことを背景にしまして、本県に立地する主要な半導体関連企業においても、かつてない規模で生産が拡大していると伺っております。
 それから、医療機器関連産業は、自動車や半導体のようなサプライチェーンがございませんので、産業全体の影響を把握するのは難しい状況にはありますけれども、例えば、ヘルステック・イノベーション・ハブに入居している企業が、新型コロナウイルス感染症対策関連製品を主力として大幅に業績を伸ばしているほか、大手製薬企業と連携した製造ラインの自動検査システムの開発、あるいは産学連携による脳卒中リハビリ装置の開発などが進められておりまして、今後、これら研究開発の成果があらわれてくるものと期待しているところでございます。
〇臼澤勉委員 私も今回貴重な経験をさせていただきましたし、地元に医療機器の抗原検査キットを開発している企業もおりまして、まさにそういった製品を使わせていただいておりました。今後、ぜひそういった企業の育成に取り組んでいただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からは、企業の採用力強化について伺いたいと思います。
 令和4年度の新規事業で、いわて暮らし応援事業費において、U・Iターン者受け入れ企業向けの採用力強化研修、また、いわて就業促進事業費において、大卒者等若者人材の確保を促進するための勉強会を企業向けに行うということを評価させていただきたいと思います。
 一方で、採用力強化についての政策の体系的な位置づけとなりますと、令和4年度いわてで働こう推進方針では、課題として、人口減少、少子高齢化が進む中で、産業集積等に伴う新規雇用が増加しているとして、取り組みとしては、県内企業の認知度向上の促進ということになっております。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)の第1期アクションプランも同様に、採用力強化、企業への努力を求める、あるいは支援をするという方向ではなくて、認知度の向上にとどまっていると感じますし、また、いわてで働こう推進方針の中でも、企業が求める人材の確保支援という分野においても、高校の魅力化というところにつながっていると思っております。
 こういった認知度アップという取り組みだけではなくて、産業集積以外でも、今、人材が求められておりますし、そういった企業に対する採用力の強化の取り組みも、多様な雇用の創出、また、中小企業振興という両面から今後重要になってくると思います。
 県は、企業の採用力強化の必要性についてどのように認識しているのか、まず伺いたいと思います。
〇田中雇用推進課長 企業の採用力強化の必要性についてでありますが、県内企業の人材確保を支援するため、これまで、企業ガイダンスの実施やシゴトバクラシバいわての運営などによりまして、学生等と県内企業のマッチング支援に取り組んできたところですが、県内の特に中小企業におきましては、首都圏等の県外企業と比べて、自社の魅力をうまくPRできていない企業が多いことが課題と認識しております。
 このため令和4年度から、新たに、いわて暮らし応援事業及びいわて就業促進事業において、新卒採用、中途採用それぞれに応じた採用力強化の研修等を実施することとしているものです。
 両事業とも、産業集積が進む自動車、半導体関連企業に限らず、県内の中小企業を主な対象とした事業であり、研修等を通じて企業の採用力向上を図り、これまで以上に県内企業の魅力を広く県内外の学生、求職者に発信することによりまして、県内中小企業の人材確保を促進していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 そういった分野へ一歩足を踏み込んだところを評価させていただきたいと思います。
 この二つの新規事業ですけれども、今少し述べていただきました。その中で、採用力強化に関する事業の予算規模や、対象企業、想定企業数、そして研修や勉強会の内容についてどのようになっているのか、お示しいただきたいと思います。
 先ほどの答弁では、認知度の向上というところに言葉の結びがありましたけれども、私は、アピール力プラス、行く行くは働き方改革につながるような、やはり採用には雇用環境の整備が必要になってくると思います。そちらの方向にも取り組みが伸びてくるような勉強あるいは研修の内容であるべきだと思うのですけれども、あわせて伺いたいと思います。
〇田中雇用推進課長 採用力強化に関する事業の予算規模、対象企業等についてですけれども、まず、いわて暮らし応援事業において実施する企業向け採用力強化研修については、対象企業は、主にU・Iターン人材の中途採用を計画している県内企業を予定しておりまして、予算規模は480万円程度となっております。
 研修内容としましては、採用計画の立て方、採用媒体等での自社のアピールの方法など、採用力強化セミナーを4回、計100社程度で実施する予定であります。
 また、このセミナーの参加企業のうち、具体的に採用体制や採用方法の見直しを希望する企業20社程度に対して、複数回のコンサルテーションを実施するとともに、具体の採用につながり成果があらわれた5社程度の事例発表を行う予定としております。
 次に、いわて就業促進事業費において実施する企業の大卒者等若者人材確保を促進するための勉強会については、対象企業は、主に新規学卒者の採用を計画している県内中小企業を予定しておりまして、予算規模は760万円程度となっております。
 研修内容としましては、採用したい学生の明確化、その学生に対するPR力の向上、企業の魅力の掘り起こし等をテーマにセミナーを実施するというところで、個々の企業の魅力の掘り起こしでは、労働環境もテーマになってくるものと考えております。
 また、学生や教育機関を交えました採用活動に関するワークショップ等を開催することとしておりまして、計10回の実施で500社程度の参加を見込んでおります。
〇佐々木朋和委員 講演を聞くといったところを予想していたのですが、かなり深いところまでやっていただけるということで、応援していきたいと思います。
 こういったものが毎年続きながら、そしてレベルアップしていくことが採用力の強化につながっていきますし、また、中小企業等の底力の引き上げになってくると思います。
 そういった意味で、今後この取り組みを継続していくためには、いわてで働こう推進方針の中での記載や、あるいはいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでの採用力の強化に対する指標化、そして、今後の中小企業振興の重要課題として人材の確保が、まず第一の重要ポイントとして挙げられると思います。
 第2期アクションプランの中での中小企業振興の分野での記載も検討すべきと思いますけれども、所見を伺って、終わりたいと思います。
〇田中雇用推進課長 採用力強化事業の位置づけについてでありますが、県内企業における深刻な人材不足はずっと続いておりまして、県内外からの人材の確保については重要な課題と認識しております。
 企業の採用力向上についても、数値目標は掲げていないものの、これまで、いわてで働こう推進方針の取り組み内容や、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの具体的推進方策として記載して、企業支援を行ってきたところでございます。
 本事業につきましては、これまでの取り組みをさらに強化、充実して実施するもので、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおける指標の設定等については、他の県内就業促進等の指標とあわせまして総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 中小企業、小規模事業者振興と観光振興の2点伺いたいと思います。
 まず、商工業小規模事業経営支援事業費補助、また、中小企業連携組織対策事業費補助で、商工会議所だったり商工会、また中小企業団体中央会、この商工支援団体の令和4年度の体制についてお伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 商工指導団体の令和4年度の体制についてでございます。
 まず、商工会議所、商工会、商工会連合会に対しましては、商工業小規模事業経営支援事業費補助金により、経営指導員等の人件費あるいは伴走型支援に要する経費を補助しておりまして、令和4年度は270名分の人件費を盛り込んだところでございます。
 また、岩手県中小企業団体中央会に対しましては、中小企業連携組織対策事業費補助金により人件費や伴走型支援に要する経費を補助しておりまして、令和4年度は20名分の人件費を盛り込んだところでございます。
〇佐々木宣和委員 少し確認ですけれども、令和2年度に、商工会議所に1名増員、商工会連合会に2人増員して、それぞれの商工会を回るとか、人員体制を拡充したイメージだったと思うのですけれども、これは、その拡充したものが継続する体制なのかどうかを確認したいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 今年度の人件費は270名分と申しましたけれども、昨年度からは1名減となっております。これは退職した方の分ということになりますので、昨年度からは1名減ですので、商工会連合会全県を回る体制は維持しております。
〇佐々木宣和委員 維持ということです。
 次に、国の補助事業はさまざま出ておりますけれども、事業復活支援金などは特に大きな予算がついていますが、拡充されたものと予算規模と過去との比較を伺いたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 国の支援事業を大きく二つ御紹介したいと思います。
 まず、事業復活支援金についてですけれども、売り上げ減少分ということで、令和3年度補正予算2兆8、000億円余の予算で全国的に展開されております。
 これは、令和2年度に実施されました同様の持続化給付金の最終予算が5兆円程度となっておりますけれども、持続化給付金は12カ月分の売り上げ減少が対象、事業復活支援金は5カ月分ということになりますので、対象期間が4割ほどに短縮されておりますことを踏まえますと、おおむね同程度の規模の予算ではないかと考えております。
 また、事業復活支援金は、売り上げ減少率の要件を緩和するなど、より多くの事業者の方を支援できるように制度の拡充が図られております。
 また、新分野展開等、事業者の方々の取り組みを支援します事業再構築補助金につきましても、次回の公募分から売り上げ減少要件の緩和、あるいはグリーン成長枠ですとか回復・再生応援といった新しい枠の創設など、社会情勢を踏まえた大幅な拡充がなされているところであります。
〇佐々木宣和委員 非常に大きな予算がついて、そしてまた具体的な事業も実施されております。事業再構築補助金のお話をしていただきましたけれども、ものづくり補助とか持続化補助金は商工会でかなりおなじみのものですけれども、これも拡充されているところでもおります。
 こういった支援事業をどうやって事業者が使っていくのかというところで非常に重要になってくるのが、専門家の派遣だったり事業者間の連携であると思うのですけれども、事業継続伴走型支援事業費補助が1億4、000万円ぐらいありますけれども、これについての実績、そして、令和4年度はどういった形で取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 ただいま委員から御紹介がありました事業継続伴走型支援事業費補助ですが、これは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の方々に対しまして、新分野展開などの事業計画策定支援などを行っている事業でございます。これらの中で専門家派遣を行っておりますが、令和4年1月末現在の派遣回数は約400回となっております。
 令和4年度につきましては、いわて産業振興センターや各商工会議所、商工会連合会に相談対応スタッフを配置するほか、引き続き、専門家派遣に要する経費を同補助金で補助し、相談体制の強化を図ってまいります。
 加えまして、岩手県中小企業団体中央会を通じて、事業者が連携して行う地域課題解決に向けた取り組みに対し、新たに補助を行うこととしております。
〇佐々木宣和委員 相談の量と質を上げることが非常に重要だと思っているのですけれども、一つ共有したい数字を御紹介させていただきます。先ほどの事業再構築補助金に関して、応募件数と採択数で、岩手県は390件応募し、採択が183件、46.9%の採択率。全国を見ると、8万3、011件の応募で、採択が3万5、233件、42.4%でございます。採択率に関してはかなり頑張っているという印象なのですが、応募件数については、100分の1ルールを考えると半分以下ぐらいなのかと思っているところです。
 県も、事業者支援をいろいろしなければいけないけれども、財政的にもなかなか苦しい中で、予算的には厳しい。ただ、国はすごくいい事業をつくってくれて、これをしっかり使っていく必要があると思っています。この相談の量と質を上げるということで目標感を持ってやっていただきたいのですけれども、事業再構築補助金に関しての採択数、応募件数に関して、岩渕商工労働観光部長はどのように思われているのか伺いたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 事業再構築補助金につきましては、私も直接金融機関の方から昨年来話を聞いている中で、非常に相談が多いという話を聞いて、金融機関も一生懸命やっていると感じているところです。本県の件数が少ないのが意外な感じもしたのですけれども、あわせて、最近、金融機関の方から、補助金を採択されても、自己負担分が非常に大変だというような声は聞いております。
 ただ、今、コロナ禍が長期化する中で、きちっと事業を再構築していくことは非常に大切だと思っておりますので、少しでもプッシュ型で支援できるように、また、これも先ほどの臼澤勉委員の質問にも共通するのですが、支援体制を絶対強化しなければいけないと思っておりますので、そこの対策も急いでやりながら、活用を促進するように体制を整えていきたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 しっかりとした商工業者、中小企業、小規模事業者振興をするとすれば、まずは商工支援団体の強化なのかなということで、初めに聞いた人員体制で1人減るというのも、何となく、どうなのかなと。また、商工労働観光部自体の予算額としても、令和2年度を100にすると令和3年度は126になっていて、今回は105と減っているところもあって、まず土台しっかりとしていかないといけないということが予算書から見えるような気がしており、商工支援団体と連携しながら、しっかりと取り組んでいただきたいところです。
 次に、観光振興を伺います。
 三陸観光地域づくり推進事業費3、700万円ですけれども、教育旅行の実績と、この予算によってどのぐらいできるものなのかを伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 教育旅行の実績と予算についてでありますが、実績につきましては、直近ですけれども、令和3年1月から9月の本県の教育旅行客の入り込み状況は、県全体では学校数が2、082校となっておりまして、対前年同月比では58校増加し、2.9%増となっているところです。このうち沿岸地域への入り込み状況は、学校数が346校となっておりまして、対前年同月比では187校増加し、117.6%増という状況でございます。
 それから、令和4年度の三陸観光バス運行支援事業費補助ということで、この事業の中にバス運行支援事業を入れ込んでいまして、当初予算では1、190万円計上しております。教育旅行に係るバス運行支援としては280台見込んでおりまして、令和3年度の実績をもとに算出いたしますと、学校数では約160校の利用を見込んでいるところでございます。
〇佐々木宣和委員 コロナ禍で非常に大変な中でも微増という形で、頑張っていただいたと思っております。
 観光業にとってはかなり苦しい状況が続いているところですけれども、新しい動きというか、継続してやってきたものもしっかりつなげていかなければならないですし、いわて旅応援プロジェクトも、近場の人が近場の宿泊地に行くという流れも継続していかなければいけないと思っております。
 最後の質問ですけれども、いわての新しい観光推進体制整備費1、900万円というところで、データ分析やマーケティングを活用した観光コンテンツの造成や、戦略的にプロモーションを行う体制整備を行うということが書かれておりますけれども、その体制に関しての今までの課題と新たな体制の差分は何なのかというところで、データ活用について言えば、マーケティングをするのは誰がやるのかというところを伺いたいと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 いわての新しい観光推進体制整備事業についてでありますが、こちらは、コロナ禍により旅行形態が団体旅行から個人旅行へ変化し、多様化する旅行者のニーズへの対応や地域主体の誘客策が必要であることから、観光データに基づくマーケティング分析を活用しながら展開していくということで、委員御指摘の内容となっております。
 これまで、岩手県観光協会等と連携しながら、観光客誘致説明会や旅行エージェントの商品造成支援などを中心に取り組んできたところでありますが、来年度は、データに基づく効果的なプロモーションや、地域と連携して観光地域づくりを推進していく新たな体制を構築していくことにしております。
 具体的には、岩手県観光協会に外部からの専門人材を配置いたしまして、観光マーケティングデータを一元化するプラットホームの構築や、データを活用した観光客の動態等の分析を行うこととしております。
 また、分析結果につきましては、地域への還元を目的としたセミナーの開催のほか、地元市町村、観光協会、民間事業者などと連携しながら、データマーケティングを活用して、専門人材による地域の戦略策定や推進体制の支援などに取り組んでいくこととしております。
〇佐々木宣和委員 コロナ禍でデータ活用というところが今いろいろな分野でも言われるところなのかと思っておりますし、特に、答弁されたように、今、団体旅行がかなりなくなっているので、それには対応しなければならないというところです。
 データのところも、今までアンケート調査とかいろいろやっていたところが、ウエブ上だったりGPSのログだったりというもらったものを解析できる形にもなってきているので、そういった流れをうまく活用しながら、そして、そのデータを地域に還元していくような体制で取り組んでいただきたいと思っております。
〇千葉盛委員 先ほど来、事業者支援について議論がありましたけれども、私からも事業者支援について質問させていただきます。
 まず、飲食事業者、宿泊事業者等への支援についてお伺いいたします。
 事業者数の状況等を把握することは、支援制度を創設する上で予算規模を決める際や事業の執行状況を調べるにも大変重要であり、新型コロナウイルス感染対応地方創生臨時交付金の有効活用にもつながっていくと思います。
 県では、県内の飲食事業者、宿泊事業者の事業者数はどのくらいあり、営業している事業者数や廃業など営業していない事業者数を把握しているでしょうか。
 また、いわて飲食店安心認証制度の対象事業者数と、認証を受けている事業者数は把握されているのか、お伺いいたします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 まず、飲食業につきまして、食品衛生法による飲食店の許可を受け、客席を設けて飲食を提供する県内の店舗数は約9、000店、このうち令和4年2月末現在のいわて飲食店安心認証制度の認証済みの店舗数は4、968店となっております。
 次に、宿泊業についてでありますが、旅館業法の許可を受けて旅館やホテルを営む県内の施設数は約1、100施設となっております。
 また、民間の信用調査会社の東京商工リサーチによりますと、令和3年に本県の飲食業や宿泊業を含むサービス業ほかという産業分類におきまして、休業や廃業または解散した企業は90社となっております。
〇千葉盛委員 廃業等をしたのは90社ということですけれども、例えば飲食店、いろいろ基準はあるでしょうけれども、約9、000店で、認証を受けているのが約5、000店。この約9、000店は本当に全て営業しているものなのか、あと、宿泊業者も約1、100施設ということでしたけれども、組合に入っている、入っていない、いろいろありますが、これも実際、300施設くらいしか稼働していないのではないかといった話もあるのですけれども、そういった誤差といいますか、その辺はどう捉えていますでしょうか。
〇伊五澤商工企画室企画課長 飲食店の許可を取っている店舗で実際に営業している、あるいは休業している数を把握しているかという御質問と受けとめました。実のところ、約9、000店のうち、実際に何店営業しているか、休業しているか、現時点の数については、なかなか数字として示しにくいところでございます。実際に営業許可を取ったとしても、法令上は、例えば廃業した場合は速やかに廃業届を出さなくてはならないのですが、現実問題として、そういう届を出さないで休業している店、あるいは一時的な休業で、そのうち再開するという店もあるところでして、そういったところの実態を把握するとなるとなかなか困難なところがあって、正確な数字が示せないのが実態でございます。
〇千葉盛委員 宿泊施設も約1、100施設なのだけれども、300施設ぐらいしか営業していないのではないかというのは、先ほどの質問でも言いましたけれども、どういうふうに支援していくのかというときに予算規模を決めるわけですが、そうすると、そこに誤差が生じてしまうのではないかという話なのです。その辺についてお伺いいたします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 例えば飲食業につきましては、食品衛生法に基づく許可数が約9、000店ですが、このほかのデータとしまして、国で行っている経済センサスによりますと、本県の飲食店については平成28年度は約6、000店という統計が出ておりまして、こちらのほうが営業している事業所数としてはより実態に近いと受けとめまして、例えば、昨年度行った家賃補助などにつきましては、この数字をもとに予算規模を決めさせていただいたところでございます。
〇千葉盛委員 飲食のほうはわかりました。約6、000店というのを基準にやったということですね。あと宿泊施設も誤差があると思うがどうかという話もしましたので、次にお答えください。
 次に進みます。県では、いわて飲食店安心認証制度により、認証店が感染対策をしっかり行っているか、訪問して確認しているようでありますけれども、その際、先ほどの答弁でも、アンケート調査を行っているとか、認証店制度も活用してしっかりと話を聞いているよいう話だったのですけれども、全部は回っていないでしょうが、認証店を回る際に、不備や不正を調査するだけで、事業者の様子を聞くような意見交換などがないとの話を聞きました。
 せっかく認証を受けたお店を訪問する機会があるので、商工会議所等に頼るだけでなく、商工労働観光部でも、この制度を有効に活用して、事業者が現在どんな状況なのか、どんな課題や悩みを抱えているのか、どんな支援を必要としているか、そういった話をきちんと聞いて、情報を収集して政策を構築していくことが、コロナ禍の現在の必要な取り組みだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 現時点では、感染対策をしっかり行っているかどうかのチェックを行っている状況です。委員御提案の認証店訪問の際の情報収集につきましては、支援策の検討に当たり、事業者の状況や課題などの把握が必要不可欠であることから、アンケート調査に加え、認証店訪問について、訪問調査する際に、事業者の生の声を聞くようなことができないか、環境生活部と相談していきたいと考えております。
〇高橋観光・プロモーション室長 先ほどの質問の宿泊事業者の登録と実際の数というところで、委員御指摘のとおり、登録は大体800施設から1、000施設ぐらいあって、実際に支援が入っているのは400施設ぐらいという数字になっています。それは、今のいわて旅応援プロジェクトもございますし、あと、昨年度、新型コロナウイルス感染症対策として宿泊施設に100万円の支援金を出しまして、その際に調査したところ、実際は400施設ぐらいというところでした。あと、新型コロナウイルス感染症の関係で宿泊施設を休みますとか、岩手緊急事態宣言が昨年出て、その期間は閉めますという状況があって、先ほど伊五澤企画課長が答弁したとおり、日々動くもので、おおむねそういった数字で押さえているところでございます。
〇千葉盛委員 宿泊施設も約400施設ということですし、飲食店は約6、000店くらいではないかということで、しかも、認証店にも約5、000店近く入っているということなので、どこに行って調査するかというのはかなり限られてきているので、情報収集はかなりやりやすくなってきていると思います。そういうものをしっかりと、調査して、今後の政策構築に役立てていってほしいと思います。
 先ほど来、御質問がありましたけれども、岩手県では現在、長期間にわたり独自の緊急事態宣言を出しており、この宣言は、県民の外出抑制に非常に強い効果をもたらしていると思います。
 令和4年3月9日には、飲食関連の五つの組合から、前回の宣言のときより厳しい状況であり、岩手版Go To イートの再実施などによる飲食店利用促進策や、コロナ禍で借り入れた融資の返済期限延期、猶予などの県への要望がありました。現在、支援等が何もない状況ですが、今後、飲食事業者への具体的な支援を考えているのかお伺いいたします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 県が商工指導団体等と連携して毎月実施している影響調査あるいは関係業界団体からの要望では、景気回復策や資金繰り支援が多くを占めているところでございます。
 先ほど部長が答弁したとおり、県としてもさらなる事業者支援が必要な状況にあると考えておりまして、商工指導団体や関係団体などともそうした厳しい状況にあることは共有しておりまして、早期の対策が行われるべきと受けとめております。
 こうした状況にスピード感を持って対応していくことが重要と考えておりまして、どのような対策を講じるにしても、予算措置後に一定の準備期間が必要となりますことから、現段階で、県としてできる対策をすぐ具体化できるように急いでいるところでございます。
〇千葉盛委員 わかりました。急いで具体的な支援策の構築をお願いいたします。
 今までは、飲食事業者、宿泊事業者への支援でしたけれども、それらの事業者に限らず、制度設計に事業者の意見や現場の状況を生かす仕組みづくりが大変重要だと思います。蔓延防止対策については、県、市町村、保健所、医師会等、今後につながる体制が構築されてきていると思いますけれども、事業者支援については、現場の声を吸い上げる仕組みが構築されていないのではないか、弱いのではないかと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇伊五澤商工企画室企画課長 現場の声を吸い上げる仕組みの構築についてでありますが、県では、国や金融機関などで構成する新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議や、経済団体との意見交換会、県内事業者との意見交換会などを開催しまして、情報収集に取り組んできたところでございます。
 例えば、経済金融連絡会議につきましては、中小企業者などへの支援策の円滑な実施に資することを目的に、事業者の状況を初め、県や国、商工団体や金融機関が行っている取り組み等を情報共有するとともに、参加者の間で意見交換を行うなど、令和2年3月から、これまで9回開催してきたところでございます。
 また、個別の支援策についての意見交換も行っておりまして、例えば、いわて旅応援プロジェクトにつきましては、関係団体と意見交換しながら、事業実施に際しての補助要件や提出書類の設定について、わかりやすく、煩雑にならないような工夫をするとともに、常に見直しを図ってきたところでございます。
 今後においても、引き続き、こうした会議や意見交換を行いながら、県が行う支援策に対するさまざまな声を受けとめて、事業に反映するように努めてまいります。
〇千葉盛委員 わかりました。よろしくお願いします。
 次に、いわて旅応援プロジェクトについてお伺いいたします。
 いわて旅応援プロジェクトの割引を利用するには、現在、12歳以上に予防接種済み証等または検査結果通知書を必要としております。5歳から11歳までのワクチン接種について、予防接種法の努力義務が課されておらず、法律に基づく協力要請さえされていない状況で接種が始まっておりますけれども、今後、県が宿泊割引を実施する際には、5歳以上から予防接種済み証等または検査結果通知書を必要としていくのか、現状においてどのように考えているのかお伺いいたします。
〇千葉プロモーション課長 いわて旅応援プロジェクトの利用条件についてでありますが、いわて旅応援プロジェクトの財源としております国の補助金、観光庁の地域観光事業支援になりますけれども、現時点での交付要綱では、12歳以上の方はワクチンを接種済みであること、またはPCR検査等の検査結果が陰性であることが利用条件とされております。また、12歳未満のお子さんにつきましては、同居する親などが一緒の場合には検査結果は不要ということで、検査を要しない取り扱いとなっているところでございます。
 来年度も、この国の補助金を活用しながら事業を進めていくこととしておりますので、国が定める利用条件に基づいて、引き続きいわて旅応援プロジェクトを運用していくことで考えております。
〇千葉盛委員 現在の状況はもちろんそうなのですけれども、県としては、その辺について国にどう求めていくのか。国が5歳以上にすれば、そのとおりなのか、そうでなければ、そうなる前に子供にはいろいろな議論があるというか、特に、ワクチン接種しなければいけないわけではないですし、そもそも子供にそういったものを求めることが私自身はおかしいと思います。12歳以上となっていること自体も疑問に思っています。結局、子供は子供だけで動くわけではないですし、必ず大人がついたり、誰かがついて宿泊するものですから。
 県の考え方として、今の12歳以上に課されていることについて、12歳未満にも課すべきなのか、課すべきではないのか、お考えがあればお伺いいたします。
〇千葉プロモーション課長 お子さんにつきましては、努力義務が課されていないということで、それをもって利用条件にすることにはなかなか難しいところがありますけれども、県としましては、いわて旅応援プロジェクトを利用していくに当たっては、まず、事業者と利用者の双方が感染防止対策を徹底しながら、有効にこの制度を使っていただきたいと考えているところでございます。
〇千葉盛委員 もちろん話し合って決めていっていただく。国がまず出してこないので、県として先に言ってもいいと思います。みんながそう思っているかどうかわからないですが、私が意見交換した宿泊事業者の方々は、特段、今、12歳以上であってもそんなに必要ないよと。結局、家族で来たり、修学旅行にしても、先生が引率したり、それで十分だということです。
 ただ、逆に言えば、こうやって制度で接種していなければだめとか、陰性証明書を出さなければだめというのは、結局、ワクチン接種をしている子供を把握し、ワクチンを打ってくださいとなってしまいますので、これはいかがなものかと私は思います。
 できれば県から、今は12歳以上になっていますけれども、12歳未満は入れなくていいのではないですかという意見も出していいのではないかと思いましたので質問しました。なかなか答えられないと思いますので、これで終わりにします。よろしくお願いします。
〇高橋穏至委員 私は、移住、定住に関連する事項について3項目出しておりました。最初の移住定住促進事業については、午前中の工藤勝子委員からも出されておりましたので、まとめて全体的なお話で伺いたいと思います。
 先ほど工藤勝子委員の質問からも、移住、定住促進に関する事業の令和3年度、令和4年度の実績と令和4年度の取り組みの紹介がありました。継続事業二つ、一部新規、そして新規事業二つという形であるのですが、要は、令和3年度の事業結果を踏まえて、どこに注目して、令和4年度は何を改善したのか、それについて伺いたいと思います。
〇安藤定住推進・雇用労働室長 移住、定住の促進に向けた取り組みでございます。県ではこれまで、移住定住ポータルサイトやSNSを活用した情報発信、市町村と連携した移住相談会の開催など、岩手県で暮らし、働く魅力の発信のほか、就職マッチングサイトでの求人情報の発信、求職者と企業とのマッチング支援、移住支援金の支給などに取り組んできたところでございます。
 これらの取り組みもございまして、移住相談件数は昨年度に比べ1.5倍、県外からの移住者数が36%増と増加傾向にあるところでございます。それを踏まえまして、さらにUターン者と若者をターゲットとした取り組みを強化することとしたところでございます。
 一例を挙げますと、情報発信強化を主といたしますいわて暮らし応援事業費につきましては、先ほど申し上げました就職マッチング支援の強化に向けたAI技術の活用ですとか、採用力強化研修の実施、お試し就業・お試し居住体験機会の提供、それから、東京圏の大学等を卒業し、県内の中小企業等へ就職した若者への移住支援金の支給を新たに加えたということになります。
 それから、いわてターン促進事業費につきましては、Uターンを促すということで、高校生に対して就職促進情報誌を全員配布ということで対応しておりますけれども、こちらの配布に合わせまして、高校生の進学等の進路意向や就職に関するニーズの調査を行って、将来のUターン施策に資する形でのデータ収集に努めてまいりたいと思っておりますし、これも何回も申し上げていますが、お盆、正月の帰省シーズンに合わせた県内主要駅での広告掲出、相談ブースの設置、それから、市町村の移住コーディネーターと協力しての移住ガイドブックの作成に新たに取り組むこととしております。
〇高橋穏至委員 特にUターン、Iターンに関しては、若者にターゲットを置いたという説明だったかと思います。
 それで、午前中、千葉絢子委員の質問にもあったとおり、特に若者のほかに女性という視点、女性にどうやって岩手県に定着していただくかという課題を2項目めにしているわけです。
 これまで、私も女子学生の県内就職率向上を取り上げてきたわけですが、今回は視点を変えて、国際女性デーの記事で、岩手大学理工学部工学ガールズの記事がありました。要は、大学に占める女子の理系の割合が海外に比べて非常に低いと。これまでは、女子学生が求められる職場環境をつくるとか就職先をつくる。要は、ものづくりだけやっていていいのかというような話で、企業誘致するにしても、女性が就職できるような企業がなければだめではないかという視点でこれまで質問してきたのですけれども、ものづくりとか理系の工場が多いのであれば、逆に、そういったところに関心を持ってもらう学生がどうなのだというところの視点からいくと、日本は工学、製造、建築関係の大学生の女性の割合は16%しかない。これがOECDは25%ある。それから、自然科学、数学、統計とか、いわゆる理工系に関しては、日本は27%ですけれども、OECD平均だと52%ということで、半分以上が女性です。その原因として、女子は理系が苦手というジェンダーバイアスがかかっていると。こういうもとで、そもそも目指す土壌が育てられてこなかったことにも注目する必要があるのかなと思います。
 岩手大学工学部の工学ガールズというグループは、小学校に行って出前実験をしたり、女性の先輩が理科の実験をしたりとか、工学に関心を持たせる活動をしているそうです。そういった就職のもとになるような関心を持たせる事業は、人口減少の特別チームができまして、これは商工労働観光部の問題なのか教育委員会の問題なのか、なかなか取り組みはわからないところなのですが、関連する事業として、未来のものづくり人材育成・地元定着促進事業ということで、小中学校から社会人まで幅広くものづくりの人材を育成しますという事業があるのですが、ここには女性という観点はないのです。ただ、将来の人材をしっかり確保する上ではそういった視点が必要ではないかと思って質問するのですけれども、どなたが答えられるでしょうか。
〇金野産業集積推進課長 若年女子の県内就職向上対策についてでございます。将来のものづくりを担う人材の育成、確保、定着を図るためには、小中学生の早い段階から、ものづくりに触れ、興味、関心を持ってもらうとともに、地元にも多様なものづくり企業があることを知ってもらうことが重要であると考えております。
 このため県では、各地域のものづくりネットワーク等と連携した小中学生を対象とした企業見学会ですとか出前授業、ものづくり体験教室等、現地、現物に触れ、働く人の生の声を聞く取り組みを実施するとともに、保護者等を含めた地元企業の認知度向上に努めているところです。
 令和4年度は、引き続きこのような取り組みを進めるとともに、将来、職業を考える際に本県のものづくり企業が選択肢の一つとなるように、進学校の生徒等を対象とした地域企業の理解を深める取り組みや、進路の選択にかかわりを持つ教員や保護者に対する取り組みをさらに強化し、将来のものづくり産業を担う人材の育成、確保を促進してまいります。
〇高橋穏至委員 関心を持ってもらうこと、これは全体的なところですけれども、特にその中で、女性でも活躍しているのだというのを見せるような工夫がないと、関心の持ち方は変わらないのかなと思うわけです。
 先ほど千葉絢子委員から、各企業の管理職になる女性の割合が低いという部分においても、工学系、理系の研究系の方とか、総合的にしっかりと学んで就職する女子の割合がふえないと、結局、管理職系につく女子もふえていかないのが原因の一つにあるのではないかと思います。例えば、同じ職場の経験をさせるにしても、実際に活躍している女性の方がそこに来て説明されると、全然見方が変わってくるのではないかと思うのですけれども、そういった工夫というのはいかがでしょうか。
〇金野産業集積推進課長 委員御指摘のとおり、先ほど御答弁させていただきましたけれども、出前授業は、県内のものづくり企業の経営者ですとか従業員の方が学校に行って、児童生徒にふだんの取り組みですとか、ものづくりの楽しさを紹介する取り組みになります。その中で、小中学校、高校で講義いただくのに、女性の経営者ですとか従業員の方に講師として行ってお話しいただくといった取り組みをしております。
〇高橋穏至委員 ぜひそういった機会をどんどんふやしていって、時間のかかる取り組みですけれども、そこから意識して始めることが必要ではないかと思います。
 3項目めは、人交密度向上プロジェクトということで、関係する事業のところで説明書に観光プロモーション室の取り組みが書いてあったのですが、人交密度向上プロジェクトにおける室の取り組みを簡単に説明いただければと思います。
〇高橋観光・プロモーション室長 人交密度向上プロジェクトについてでありますが、ICTやAIの技術を活用いたしまして、岩手県との関係人口の拡大を図り、継続的かつ重層的なネットワーク形成などによる人交密度の向上を目指すプロジェクトでございます。
 特に観光面におきましては、コロナ禍により旅行形態が団体から個人へ変化し、多様化する旅行者ニーズへの対応、地域主体の誘客策が必要であるということで、先ほども御答弁申し上げましたが、来年度は、観光のデータ分析ですとかデータに基づくマーケティングによる戦略的なプロモーションを展開していくための推進体制を構築することとしております。
 さらに、この取り組みを進めつつ、東北ディスティネーションキャンペーンでつくり上げた観光コンテンツのさらなる磨き上げなどを行いながら、7月から3カ月間実施を予定しております北東北3県による大型観光キャンペーンや、世界遺産と魅力ある地域資源を結びつけた特別体験ツアー、震災の経験や教訓を学ぶ復興ツーリズムなどの取り組みを、現在実施しておりますいわて旅応援プロジェクトと連動しながら進めてまいりたいと考えております。
 また、バーチャル技術を活用して本県の多彩な魅力を発信することにより、若年層の本県への関心を高めるなど、岩手ファンをふやしながら、さらなる交流人口の拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 このテーマを取り上げましたのは、先ほど、移住、定住促進に関して、例えば、コロナ禍だからワーケーションとかを使って岩手県に呼び込もうとか、いろいろ事業を考えられているのですが、昨年12月24日に新産業創出・働き方改革調査特別委員会の調査がありまして、三菱総合研究所の松田主任研究員から、マッチングプラットフォームについて御講演いただきました。
 その内容では、人口減少だから全国各地で同じことを考えているわけです。その中で、岩手県でなければいけないという理由は何かありますかといったときに、都市からはどうしても条件のいいところにいきます。したがって、岩手県でなければならないという理由は何もないと。
 そんな中で注目できるのが、交流人口による経済効果は大体これくらいありますというのを示されて、交流人口の中でも、一定してしっかりとした経済効果を上げるためには、リピーターが必要になってくる。
 そして、もう一つの切り口は、岩手県の特色は何ですかというときに、自然とか、先ほどの観光、三陸とかあるけれども、それは全国に比べて岩手県に来る一番の理由になるのかというところからいったとき、先ほど観光・プロモーション室長が答弁したとおり、団体からだんだん個人に変わってきている。そんな中で、継続して来ていただきながら経済効果を上げていくために、一つの切り口が、都市部にある企業の社会貢献活動とマッチングさせる。要は、岩手県でこういったところに行って活動して、そして、会社が社員を送り出してリフレッシュしてもらって帰ってくる。この会社は地域の活性化に貢献しているという社会貢献のPRにもなるという関係をつくっていくのがポイントだという講演をいただきまして、この考え方は非常に大事なことではないかと思って伺ってきました。
 午前中の議論で、工藤勝子委員から、農村部への体験の宿泊とか、さまざまプログラムをつくりながら、特定の企業にPRして、企業はこの地域のこういった産業に貢献していますといって、来ていただいて、帰ってもらうというのを、それぞれの地域に合ったプログラムを都会の企業にプロモーションしてつなげて、交流人口をふやしていって経済効果を上げていくというものが紹介されたのです。
 そういった取り組みをするために必要なのが、マッチングさせるプラットホームです。これは、観光・プロモーション室がやるのかどこがやるのかというところがまだないわけで、これから移住、定住に向けて、特別プロジェクトチームも活用し、取り組んではいかがでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 関係人口、交流人口の拡大から定住、移住まで、委員がおっしゃるとおり、全国での競争になって、真っ白な地図の中から岩手県を選ぶというのは、非常にハードルも高くなっていくという認識でおります。それで、岩手県の大きな強みが、食とかいろいろあるのですが、それも全国各地同じだと思います。
 今、私が一番生かさなければいけないと思っているのが、復興で培ったつながりをきっかけに、これを絶対に絶やさないように、さらに太くするように、実際に応援に来ていただいた方が、私の地元の小さい町の駅前の食堂がやっているかどうかを気にして、小さい町まで来たりしていただいていますので、そういうつながりを生かした観光振興や教育旅行などを移住、定住に結びつけることが大切だと思っております。これは、市町村としっかりとタッグを組んでやらなければいけないと思っています。
 それから、どこでやるのかという話につきましては、特に、我々は、それぞれのところでやって全く構わないと思っています。そんなに部局連携ができていないわけではありませんので、どこかで何かつくらなければできないというものではありません。やれるところが関係するところに提案して、一緒にやりましょうという形で進めていけば、きちんとできます。組織だけどんどんつくっていくと、それはそれで、いろいろな課題も出てくると思いますので、これは、しっかりとよいところを生かして進めるという意気込みでぜひやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇高橋穏至委員 今、岩渕商工労働観光部長から震災復興の貴重な資源があるということでした。私は、新しく対策のチームをつくれということではなくて、もう既に人口減少対策というチームがあるわけです。その組織の中で、誰がトップになってしっかりと全体を見るか。できるところがやればいいではなくて、どこでもやりましょうと呼びかける人がいなければいけないと思いますし、先ほど、このテーマに関しては、あしたの農林水産部審査のほうがいいのかと、いろいろ考えたのですけれども、でも、観光・プロモーション室があるから、質問したのですが、いずれ、それぞれの部局でやれるテーマだし、やらなければいけないテーマなのです。ふるさと振興部もそうです。
 ただ、その中で連携しているのは、ことしできた人口減少対策だと思いますので、それぞれの部局でできることをやっていただくというのをそこでしっかりとテーマの一つにしていただいて、ただ、全体をマネジメントする人が必要ですし、全体像を見られなければいけない。三菱総合研究所で聞いたときは、マッチングプラットホームという一つのプラットホームをつくっているわけですが、それを企画するのはどこかにあって、実際にやるのはそれぞれという形でもいいと思いますので、そういった仕組みが必要だと思って話したのですが、いかがでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 失礼いたしました。一つ一つについて、どこがリーダーシップを持ってやっているかといえば、移住、定住につきましては当部で所管しておりますので、そこはしっかりしています。関係人口になれば、関係人口のプロジェクトということで、ふるさと振興部で所管しています。ただ、似ていますので、そこの連携が大事だという趣旨で発言させていただきました。一つ一つで見たときには、きちんとした担当部局があって、それをまとめるのが人口減少対策を担うところであってという形はありますので、決してばらばらにという意味ではありませんので、そういう組織を生かしてきちんと連携してやっていくように努めてまいります。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時26分 休 憩
午後2時42分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇米内紘正委員 私は、総括質疑でも少し触れましたけれども、買うなら岩手のものECビジネス展開事業についてお聞きいたします。
 まず、令和3年度の買うなら岩手のもの運動展開事業の事業実績と評価、その評価を踏まえた上で、令和4年度の買うなら岩手のものECビジネス展開事業がどう展開されて、どういう目標になっているのかお示しください。
〇竹花地域産業課長 初めに、令和3年度の事業内容と成果についてですが、本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により深刻な売り上げ減少に見舞われている事業者の、新たな販路の開拓と売り上げの確保を支援するために実施したものです。
 具体的には、大手ECモールや、買うなら岩手のものバーチャル物産展を活用したネット通販市場の販路開拓に取り組み、最新の集計になりますが、令和4年3月10日現在、349社を支援し、6億6、700万円余の売り上げがあったところです。
 また、縫製業の自社商品開発を支援する、イワテメイドアパレルプロジェクトには、昨年度を上回る10社が参加し、県の企画した受注会等で370万円余の売り上げがあったところです。
 また、買って、食べて地域を元気に応援キャンペーンでは、令和3年度は、東京都、大阪府、福岡県の大消費地において、アンテナショップや駅、空港などを起点にフェアを開催し、3月10日現在で1、900万円余の売り上げがあったところです。
 令和3年度の買うなら岩手のもの運動展開事業の販売実績は、現在のところ6億9、000万円余となっています。
 次に、令和4年度の事業内容と目標についてです。令和4年度は、国内の大手ECモールを生かした取り組みを拡大することとし、令和3年度に引き続き、楽天市場におけるウエブ物産展を開催するほか、新たなECモールとも連携し、新規参入を支援することで、3億円程度の売り上げと30社程度の新規参入を目指してまいります。
 さらに、新たな取り組みとして、海外のECモールへの参入支援を行うこととし、モールへの出店と広報宣伝、現地ニーズにマッチした商品の企画開発を一体的に支援することで、5社程度の新規参入を目指してまいります。
 また、買うなら岩手のものバーチャル物産展は、事業者にとって出店が容易であり、ネット通販ビジネスの裾野を拡大する大切な役割も果たしていることから、来年度は、メール会員向けの広報やサービス拡充など、顧客ターゲットを明確にした取り組みを進めながら、今年度と同様の3、000万円程度の売り上げと参加事業者のスキルアップを目指してまいります。
 最後に、令和3年度の事業内容の評価と令和4年度の対応についてですが、国内大手ECモールは、大きな売り上げが見込める市場であることから、取り組みを継続していきますが、モールによって出店条件や費用負担も大きく異なることから、令和4年度は、新たな大手ECモールとの取り組みを加えるなど、事業者の選択肢をふやしていこうと考えています。
 また、コロナ禍で越境EC市場も拡大していることから、新たに海外のECモールへの参入支援も行ってまいります。
 一方、買うなら岩手のものバーチャル物産展については、2年間やってきましたが、大手ECモールと比較して、不特定多数の消費者をサイトに呼び込むことが難しい面もあることから、令和4年度は、メール会員を対象としたサービスの拡充や宣伝広告に注力するなど、顧客ターゲットを明確にして取り組みを進めてまいります。
〇米内紘正委員 事業の目的として、コロナ禍で厳しい状況にある事業者の支援ということで、ECサイトへの参入を支援するのは大変いい事業だと思います。楽天市場のほうでもかなり結果が出ている乗数効果の高い政策だと思うのですけれども、今、何回か顧客ターゲットという言葉が出ていましたが、今、この顧客ターゲットはどこに置いているのですか。
〇竹花地域産業課長 顧客ターゲットにつきましては、特に、今申し上げたのはバーチャル物産展についてでございます。今まで、バーチャル物産展は、不特定多数のお客様も入れながら、何とかコロナ禍で売り上げを上げていこうということで取り組んできましたが、来年度以降は、顧客を絞って、特に、これまで6、000人以上のメール会員を得ておりますので、そういったところをターゲットにして、しっかりと攻めていきたいと考えています。
〇米内紘正委員 顧客ターゲットのところですけれども、私もいろいろ見させていただいて、バーチャル物産展のホームページ、あるいはヤフーや楽天市場に岩手県産株式会社が出しているもの。このキャンペーンの名称として、買うなら岩手のものキャンペーンと、過去の議論を見ていても、最初は、県民に県産品を消費してもらう、地元のものを買って盛り上げようよというところからのスタートだったのです。
 ただ、今回、来年度、ECビジネス展開。ECビジネスというのは、いわゆる域内のマーケットではなくて、さっき越境ともおっしゃっていましたけれども、日本全国、国外に出ていこうというところで、買うなら岩手のものというのをどう感じるかと考えたときに、東京都でも去年チラシを配布されましたね。自宅に、買うなら秋田のものキャンペーンといってチラシが入っていたときに、何でとなるのではないか。申しわけないです、これは完全に主観なのですけれども、県民だったら頑張って応援しようよとなる。ただ、それが県外に行ったときに、何で買うなら岩手のものなのだとなるのではないか。ホームページとか全部に買うなら岩手のものと出ているのです。県外にいる岩手県民に向けてだけだったら訴求効果は高いかもしれないですけれども、これをいろいろなECサイト、楽天市場だけではなくて、例えば、アマゾンやヤフーで展開したときに、この名称は使い続ける予定なのですか。
〇竹花地域産業課長 買うなら岩手もの運動は、コロナ禍において、当初は地産地消でマーケットをつくるしかなくて、県民の皆様の協力を得ようということで進めてきました。これも2年たってきたところで、そしてまた、来年度からは局面が大きく変わるときだと思っていますので、名称についても、すぐここで、変える、変えないということは言えませんけれども、そういった配慮はしていくということで検討させていただきたいと思います。
〇米内紘正委員 次に、独自のECサイトのバーチャル物産展のほうですけれども、メール会員にターゲットを絞って市場の中でやっていくということであれば、私はそれはそれでいいと思うのですが、今年度やったように、2、000万円の予算をつぎ込んで、100万枚チラシをばらまいて、売り上げが2、000万円でしたという使い方は、本当によろしくないと思うのです。
 特に、民間の事業分野じゃないですか。民間の事業分野に行政が参入していって、そこでネットショッピングの支援だったらわかるのですけれども、そこでチラシをばらまいて、やはりそれは税金ですから、それで売り上げが上がらないというのは、本当に反省しなければいけないところだと思っていましたので、そういうのは、来年度からはやらないほうがいいと思ったところであります。
 ECサイトへの展開が容易だという話があったではないですか。地元の事業者が、スタートのところとしてバーチャル物産展は容易に入れるという話はあったのですけれども、ただ、そこに入っても、なかなか売り上げが上がってこないわけですね。そうすると、最初から大手のECモールへの出店を促していくという方法はとれないのですか。
〇竹花地域産業課長 確かに、そういった面はあると思っています。ただ、ことしの大手ECモールへの参入支援は、最初の説明会には百五、六十人のお客様が来られましたが、最終的に新規参入したのは32社ということで、参入していく上でのハードル、これは少し補助もしましてハードルを下げたのですけれども、継続していく上で、人件費とか予算がかかるということで二の足を踏む方もおります。
 大手ECモールは一つ大きなターゲットとしながらも、バーチャル物産展という形でまず入り口に入っていただく。そこで来年度、予算も大分削減しましたけれども、事業者の育成に注力していこうと思っていますので、その中で事業者を育ててステップアップさせていくような組み合わせで使っていくとか、そのあたりを工夫してまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 ステップアップのところでも、まずボトルネックのところを把握しておかないと、例えば、大手のECサイトに参入する上での人件費とか費用の部分が問題だとしたら、幾らバーチャル物産展で練習したとしても、結局そこには参入していけないわけですよね。そうすると、バーチャル物産展だけでは売り上げが余りない状況ですから、独自のECサイトのあり方は考えていかなければいけないというか、大手のプラットホームに支配されてしまっている世の中において、つい先日もありましたけれども、セブン&アイ・ホールディングスですら、独自のECサイトを閉鎖するのです。その中で、第三セクター、行政が戦っていく、そこに公的資金を投入していくことの目標というか、何をもって成果とするかというのは、本当に難しいところだと思います。
 事業者にとっては売り上げが上がることが一番の目的であって、ネットショッピングの形式を整えることが目的ではないので、そこを含めて、独自のバーチャル物産展のあり方について岩渕商工労働観光部長にお聞きします。
〇岩渕商工労働観光部長 一つは、事業者支援として、そこはしっかり新しい生活様式に対応したということで、ECサイトへの参入の取り組みをきちんとやっていきたいというのが第一でございます。
 バーチャル物産展の話は、予算特別委員会の総括質疑から私も話を伺っておりまして、委員がおっしゃるとおり、最終的な政策目的を見失わないようにというのは、我々も強く考えているところです。今回もかなり見直して予算も圧縮しているのですけれども、引き続き、新しいECサイトをどうやれば本当に広く県内の事業者支援になっていくかを常に考えながら、常に改善していきたいと思います。
〇米内紘正委員 独自のECサイトに関しては、ネットショッピングのところ自体が、まさに民間の血で血を洗うような激しい激烈な競争社会になっていますので、その中でどういう方向を向いていくかというところで、先ほど竹花地域産業課長にお聞きしたのですけれども、越境ECサイトの件。海外向けのというところで、きょうも、中国だったり韓国だったりの海外事務所の件も出ていますけれども、具体的な案としては、中国のアリババだったりとか、10億人を超えるような会員サイトを想定されているのでしょうか。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 今回、買うなら岩手のものに計上している越境ECについては、台湾、東南アジアを想定しております。先ほどの海外事務所の答弁の中でも少し触れましたが、中国については、一定程度ECサイトに関した取り組みを始めておりまして、今回、当初予算案に計上した分については、さらに販路を広げていこうという考えです。
〇米内紘正委員 中国でECサイトに出店しているところは何社ぐらいになるのですか。先ほど5店舗ほどと言ったのは、台湾、東南アジアで来年度5店舗ぐらいを目標にやるということになるのですか。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 中国で出店しているのは、それぞれの会社がという形ではないのですが、30社(後刻「10社」と訂正)程度が出店しております。5社と申し上げたのは、それとは別に、台湾、東南アジアに出店していく会社の想定といいますか、5社程度、できればもっと多く出したいということでございます。
〇米内紘正委員 とにかく、アジア圏域もそうですし、アメリカもそうですけれども、ECサイト、ネットショッピングがもう主流になってきているのです。これまでパソコンだったのがどんどんスマートフォンになってきているわけです。ネットショッピングの中でもスマートフォンを使ったネットショッピングは50%を超えているわけです。そうすると、スマートフォンの中にアプリがなければ選択肢に入らない。さっきの独自のECサイトの話もありましたけれども、そもそもなければ開かないという状況になっていますので、時代の変化のスピードも速いので、そこは臨機に対応していっていただけたらと思います。
 次に、移住、定住政策ですが、こちらは、事業内容等についてはたくさん質問が出ておりましたので、総論的なところとして岩渕商工労働観光部長にお伺いしたいと思います。
 これは総括質疑の中でも知事とやりとりをしましたけれども、移住、定住政策の場合、基本的には外部に向けた働きかけになります。県外から県内に来てもらおうというところで、移住した人が成果、実績として上がってこなければ、そこに投じられた予算は全く県民に還元されないのです。もしゼロ人だったら、全く県民に還元されない。ほかの医療、福祉、介護、教育などと違って、やっぱりこれは成果が求められる事業だと思っております。
 ここで何をもって移住、定住政策の成果とするのかというところを、お伺いしたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 移住、定住というところがすごく大きく聞こえてくるのですけれども、我々が一番に考えているのは、今、産業振興の集積が進んでいるのですが、その場で働く人材が非常に不足しているというのが喫緊の課題でございます。
 それで、一番ターゲットにしているのは、U・Iターンの中でも、一回進学して出ていった若者たちに、企業の情報を出ていく前からしっかりとわかってもらって、心を離さずに、一般質問でも答弁していますが、それで帰ってきてもらうのが一番の目標だと我々は思っております。
 それと、移住、定住といったときには、先ほど答弁いたしましたけれども、漠然と首都圏から何人来てもらうというのは非常に難しいわけでございまして、それもターゲットを絞っていかなければいけない。そういうときに、震災で培ったつながりとかを生かして、特に今、愛知県との交流がすごいです。企業も応援してくださっています。そういうところとの交流人口をふやしながら、岩手県に来てもらって、二地域居住とか、いろいろなものに発展させたいというのが次のターゲットと私は考えております。
〇米内紘正委員 おっしゃるとおり私も、ターゲットを狭く狭く絞っていかないと、漠然と東京都からとか、ましてや首都圏からなどと言っていても、限られた予算の中で、こればかりはどうにもならないことだと思っています。だから、ここの地域からは、こういうストーリーを持った人がこうやって移住してきてくれた。そのストーリーが愛知県だったら愛知県で広がってというところで、そうすると、そこから来てくれた人は、岩手県で幸せになってくれることが一番大切です。ただ、そこがどう進捗しているかというのは、最終的な幸せだったとしても、私は途中の管理をしなければいけないと思います。そうしないと、そこに投入された予算が適正だったかどうかがわからないのです。
 私は、知事とは意見が全く違いましたけれども、やっぱり人数のところを見なければいけないと思うのです。でも知事は、憲法上、居住、移転の自由があるから、人数ではないのだと。そういうのを強制するつもりは全くないのですけれども、そういう人数は見ないほうがいいのだと言ったのですが、そういう中で商工労働観光部では何を整理するというか、どういうことを目標にされるのでしょうか。
〇岩渕商工労働観光部長 目標のお話ですけれども、私も余り突っ込んでいくのはどうかと思うのですが、事業をやるときに、我々も政策評価システムの中で事務事業レベルの目標もきちんと出してやっております。今回のU・Iターンにつきましても、何人の登録とか目標は定めておりますので、全く人数とかを定めていないということではありません。
 ただ、そこが今度、大きい目標にきちんと関連づけていくのかという話になると、またいろいろ議論はあるのでしょうけれども、常に我々は目標を持って、それが最後の大きな幸福関連指標に結びつくようにするという意識で全ての事業を実施しています。種々御意見はあるかと思うのですが、そこは日々改善しながら、しっかりやっていきたいと思います。
〇米内紘正委員 岩渕商工労働観光部長のおっしゃるとおり、日々、一つ一つの積み重ね、地域地域の積み重ねが、最後、全体の数字として出てくる、それが結果としてあらわれる、満足度、幸福度になってあらわれるものだと思っていますので、やっぱり足元の一つ一つの事業であったり数字を、ぜひ大切にしていっていただけたらと思います。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、新型コロナウイルス感染症関連の事業者支援についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症による事業者の影響と実態についてでありますけれども、この2年余、この影響が継続している。そして、1月以降、オミクロン株で本当に桁違いの感染が急拡大して、1月以降の事業者の影響というのは極めて深刻ではないかと私は受けとめていますが、どのようにリアルに現状を把握しているでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 委員御指摘のとおり、我々がやっている影響調査でも、オミクロン株の猛威で1月以降、かなり苦境を訴えるといいますか、それがうかがえるような大幅な売り上げの減少が見えております。
 また、先ほど来、繰り返しになりますけれども、各組合の方々からの要望でありますとか、私どもとしても、商工機関あるいは金融機関を通じての各事業者の動きということになりますが、そこで交わされる、あるいは報告される中身についても、かなり厳しい状況にあることは承知しております。
〇斉藤信委員 リアルにと言ったのに抽象的でした。
 1月の事業所の影響調査では、21%以上の売り上げ減少が64%でした。そして、41%を超える売り上げ減少が、宿泊業では36%、飲食業では41%、運輸業では31%。41%以上の売り上げ減少というのは、普通なら即倒産してもおかしくないぐらいの打撃ですよ。そういうのが2年余継続して、さらに悪化している。私は、このことをしっかり踏まえた上で県の対応策がとられなければならないと思っています。
 そこで、私は一般質問を行いましたが、知事は、切れ目なく事業者の皆さんへの支援が行われるように対応していきたいと答弁いたしました。ところが、今年度末で国の支援も県の支援も切れるのです。切れ目なくと言ったら、4月から事業者の新たな支援がなくてはならない。
 そこで、先ほど岩渕商工労働観光部長がかなり踏み込んだ発言をしたと思っています。今すぐにでも予算化できるように準備している。今定例会中にでもというスピード感で検討していると。すごいですね。これは、来年度補正予算を切れ目なく出すと受けとめてよろしいですか。
〇岩渕商工労働観光部長 先ほど答弁申し上げましたとおりでございまして、今、検討を早急に進めておりますので、具体的な中身は何かというのは、ここで話すことは難しいですけれども、県でとり得る対策も現在の状況では限られてきますし、準備期間等も必要ですので、できるものをまずは予算化したいという趣旨の発言をさせていただいたところです。
〇斉藤信委員 できるものは今定例会中にということですね。わかりました。
 岩渕商工労働観光部長は、私の質問に対して、現在の事業者の実態に応じたさらなる支援が必要と考えており、このため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のさらなる増額や大胆な経済対策を国に強く働きかけながら、県としての追加事業の構築や既存事業の拡大、拡充を含めた検討を進めてまいりますと、答えているのです。
 きょうは、もっと立ち入って今定例会中に補正予算を提案するということを聞きました。実は、今年度最も喜ばれた県の施策は、地域企業経営支援金でした。これは、1月の事業者実態調査でも、何を利用したかという項目で、第1位は市町村の独自補助でした。ほとんど同じ率で県の地域企業経営支援金でした。国が無策な中で、県と市町村の支援が県内の中小企業を支えてきたと私は思うのです。
 そして、今、市町村は、もっとたくさんあると思いますけれども、例えば、これは1月以降だけで、宮古市、花巻市、北上市が家賃補助、大船渡市はプレミアムつき商品券、陸前高田市もプレミアムつき商品券と20万円から30万円の事業者支援をやるということを3月議会でも打ち出しております。
 市町村は現場に近いですから、本当に今こういう支援をしないともたないという判断でやっていますので、県も、昨年は財源がなかったけれども、財政調整基金を取り崩してやったのです。昨年、知事は、そのぐらいの決断をしたのです。そういうことも含めて、補正予算で100億円ぐらい財政調整基金を積んでいますから、その気になったら、かなりのことができると私は思いますので、しっかりやっていただきたい。
 そこで、いわて旅応援プロジェクトの実績と4月以降の取り組みはどうなるか。きょうの新聞に、昨日、国土交通大臣が、県民割をブロックに拡大すると明言したとありました。恐らく4月以降は県民割をブロックに拡大ということではないかと私は受けとめましたが、4月以降の取り組みの方向性を示してください。
〇千葉プロモーション課長 初めに、いわて旅応援プロジェクトの実績でありますが、第1弾及び第2弾の2月末までの精算状況の合計は、利用人数が約79万4、000人、割引額とクーポン券を合わせた利用金額は約45億9、000万円となっております。
 それから、4月以降の取り組みについてでありますが、昨日、国土交通大臣が記者会見をしていますし、きょうも報道等ではいろいろ情報が出ていますが、現時点におきましては、国からまだ正式な連絡が来ていないところでございます。ただ、把握しているところで、国の地域観光事業支援が現時点では3月31日までとなっておりますが、国では、令和4年度への予算の繰越手続が整った段階で、補助対象期間を延長する方向という話を聞いております。
 いわて旅応援プロジェクトを円滑に進めるためには、早期に事業の期間であるとか割引の内容とか範囲の拡大といったところを関係者に周知する必要があることから、国から連絡があり次第、速やかに事業を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ああいうニュースがあったら、通知を待つのではなくて確認する。今、定例会中なのだから、こういう大事なことは、私が通告して質問しているのだから、国に確認をして答弁するぐらいの構えでなければだめじゃないですか。大体、きのうの答弁を見たら、国土交通大臣の記者会見は、4月からブロック拡大としか読めないでしょう。
 それで、今、いわて旅応援プロジェクトの実績の答弁がありました。第1弾は4月16日から、第2弾は3月31日までですけれども、3月14日までの実績が45億9、100万円です。今定例会で12億円補正して、その後、80億円補正したのです。これは2年間分ぐらいの県民割なのです。これを中断する理由は全くない。
 そういうことで、できるだけ早く確認をして、そして、きちんと県民にも早くお知らせする、ホームページでも明らかにする。この間、3月11日までというものの延長は、県のホームページにも出ないのだから。我々にも通知がないのだから。こういうのはだめです。本気でやろうとしているのかと私は本当に疑ってしまいます。予算だけは莫大に、どういうわけか予算化、事業化されているのです。この半分でも事業者支援しなくてはならない、そのことも私は強く求めておきたいと思います。
 一言、これは評価をしておきたいと思うのだけれども、これはきょうの河北新報ですが、東北地方の宿泊者、2011年以降は最少になったという中ですが、前年比で伸びたのは岩手県と青森県でした。前年比は5.5%伸びて、2019年比では27.5%減。
 だから、私は、県民割が前年比を上回る宿泊客になったと思うのです。そういう意味で、これは40%以上の売り上げ減少の中で本当にかろうじて今持ちこたえている。そして、この産業はかなり裾野の広い産業ですから、私はそういう点でも影響は大きいと思うので、ぜひ、いいことは早く、県民にわかりやすく徹底するということを強調しておきたいと思います。
 次のテーマに入ります。東日本大震災津波からのなりわいの再生について。
 グループ補助の今年度の実績と来年度の見込みを示してください。あわせてグループ補助を受けた事業者の経営実態、倒産件数はどうなっているでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 今年度のグループ補助金の実績についてでありますが、令和4年2月末現在で、東日本大震災に係るものが、3グループ3事業者に対して9、500万円余を、また、福島県沖地震に係るものが、1グループ2事業者に対して3、700万円余を交付決定しているところであります。
 来年度の見込みにつきましては、市町村や商工指導団体と連携して需要把握に努めているところでありまして、現在、新規申請3グループ、4件の要望を確認しております。
 また、経営実態であります。グループ補助金交付事業者の経営実態につきましては、東北経済産業局が昨年8月に実施し、12月10日に公表した東日本大震災グループ補助金フォローアップ調査の結果によりますと、震災直前の水準以上まで売り上げが回復している事業者の割合は、岩手県では36.1%となっております。
 また、グループ補助金を交付した後に倒産した事業者は、令和4年2月末現在で19者となっております。
〇斉藤信委員 このグループ補助金の交付を受けた経営実態は今の答弁のとおりですけれども、実は前回、令和2年10月公表と比べると、震災前の水準以上の回復が44.6%が36.1%に。そして、売り上げが震災前の水準に達していないというのが55.4%から63.9%に悪化しているということで、本当に震災、新型コロナウイルス感染症、大不漁、さまざまな困難に直面しているのが実態だと思います。
 そこで、水産加工業の実態と振興策についてお聞きいたします。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 水産加工業の実態についてでありますが、近年の主要魚種の不漁により国産原材料の確保が困難となる中で、高騰分の価格転嫁が難しいことや、新型コロナウイルス感染症の影響により外食需要が縮小したことによりまして、多くの事業者が利益の確保に苦慮していると承知しております。
 県が事業者に行った聞き取りでは、一部には消費者向けのネット通販で売り上げを伸ばしているものもありますが、多くの事業者は、事業継続に向けた課題として、魚種の転換や高付加価値商品の開発、販路の拡大、確保を挙げておられます。
 このため県では、今後の振興策として、アドバイザーの派遣や商品開発に係る相談会の開催等により、売れる商品づくりを支援していきますほか、県内外での食の商談会の開催や、民間企業と連携し、航空機で輸送した新鮮な海産物を西日本の飲食店等で提供する取り組みを本格化させるなど、新たな販路開拓につなげてまいります。
 また、いわて希望応援ファンドに沿岸地域の事業者の優先補助枠を新たに設け、水産加工業を初めとする事業者の新事業の展開を支援してまいります。
〇斉藤信委員 水産加工業は沿岸被災地の基幹産業であります。先ほどグループ補助で倒産した19件のうちの5件は水産加工業ですから、これは水産振興課とも連携しながら、水産加工業への支援策を多面的に強化していただきたい。一部に売り上げを伸ばしているところはあります。ですから、こういう経験、教訓がどう普及できるのか。あとは協働ですね。水産加工業者の協働というのも今つくられていますので、協働の力でどう再建、振興を図るのかも考えてやっていただきたいと思います。
 次に、三つ目の課題です。雇用拡大と県内就職率の目標達成に向けた取り組みについてお聞きします。
 新規学卒者の求人状況、自動車、半導体、医療機器の岩手県が主とする求人と就職の状況はどうなっているでしょうか。
〇田中雇用推進課長 新規学卒者の求人状況等についてでありますが、岩手労働局によりますと、令和4年3月卒の高校生の県内求人数は、令和4年1月末現在で5、421件と、前年同期比で1.9%の増となっております。自動車、半導体、医療機器の分野別に一律に求人を分類することはできませんが、製造業全体では1、752件と、前年同月比で9.2%の増となっております。
 また、令和4年3月卒の高校生の就職内定率ですが、令和4年1月末現在で95.1%であり、前年同期比0.2ポイントの減でありますが、そのうち県内就職の内定割合は73.6%と、2.6ポイントの増であります。また、製造業に内定している者の割合が、内定者全体の42.9%を占めております。
〇斉藤信委員 これは高卒ですけれども、1月末で県内就職率73.6%ということでありました。84.5%というのが県の目標なのです。去年は71.4%でしたから、これは前進したとは言えますけれども、去年の水準が全国35位なのです。だから、73.6%というのは、残念ながら微増という範囲にとどまっているのではないか。
 そこで、目標達成に向けてどういう取り組みをすべきなのか。私は本会議で、北陸3県、山形県等の取り組みに学んで強化すべきだということを提起しましたが、90%を超える北陸3県、80%を超える山形県と何が違って、今どう取り組んでいるのかということを具体的にお聞きいたします。
〇田中雇用推進課長 他県との取り組みの比較についてでありますが、北陸3県、山形県等の状況を見ますと、全ての高校を対象としましたキャリア教育支援や、進学を希望する高校生に対して地元の魅力ある企業や暮らしやすさを知ってもらう取り組みなどがあり、こうした取り組みを長年にわたって着実に実施してきたことが、効果を上げている一つの要因ではないかと推測されます。
 本県ではこれまで、学校関係者、民間企業等と連携を図りながら、小中学校の段階から企業見学会や企業ガイダンス、出前授業などを実施するとともに、高校生に対しては、就業支援員による個別面談等の支援をしておりまして、今年度、新たに県内就業・キャリア教育コーディネーターを広域振興局に配置しまして、進学希望者も含む高校生への県内企業の認知度向上等のキャリア教育支援の取り組みの強化を図っているところでございます。
 令和4年度は、これらの取り組みに加えまして、県内の大学等と連携して、授業を活用した県内企業の魅力紹介、普通高校の生徒も含めた県内企業等との交流イベントの開催、女子学生を対象とした若手社員との意見交換会や職場体験等の実施によりまして、高校生、大学生を含めまして県内への就職という流れを着実につくっていくことによって、将来、県内に定着する人材を確保していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 就業支援員、キャリアコーディネーターを配置したと言うのだけれども、就業支援員の数の範囲内でのキャリアコーディネーター配置なのです。そして、県内で、いわば専門高校のセンター高校には、残念ながら配置されていない。県内就職率で一番頑張らなくてはならないところに、残念ながら配置されていないというのも実態です。そういう意味で、本当にしかるべき手だて、対策がとられるようにしっかりやっていただきたい。
 私は本会議で、新規学卒者の県内就職のために、首都圏と何が違うか、一つは、寮、社宅なのです。就職したら自立したい。しかし、そういう設備がない。私はそういう意味で、本会議でも紹介しましたけれども、水産加工業者が実習生を確保するときのアパートの整備には、補助金を出しているのです。だから、県内就職を高めるためのそういう取り組みも、きっちり支援する必要があるのではないかと考えますが、いかがですか。
〇四戸特命参事兼労働課長 県内就職に向けた寮、社宅整備への支援についてでありますが、県内就職の向上、U・Iターン促進を進めていくためには、若者や子育て世代の暮らしやすさを確保していく必要がございます。こうした方々が、委員御指摘のとおり、生活の上で負担になっている住宅費ですとか通信費等に要する経費の負担軽減を図ることが必要であるとも考えております。
 県では、令和2年度に若者向け住宅支援施策ワーキンググループを設置しておりまして、若者向けの住宅費用ですとか移住費用等の負担軽減に関する支援施策の一体的な検討を進めてまいりました。それは、今後も人口減少対策の一環として検討を継続しているところでございます。
 こうした中で、令和3年度から、県土整備部でWi−Fi通信環境がある県営住宅を提供するモデル事業を実施しておりますし、令和4年度は、この範囲を県全域に拡大して活用いただくことで、就業者への住宅支援制度のない県内企業に対しても貸し出すというところが、新しい部分になっております。
 当部といたしましては、働き方改革推進運動に参加している企業等にこういった情報を周知して、活用促進に努めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇橋場参事兼産業経済交流課総括課長 先ほど、米内紘正委員への答弁中、私から、中国ECサイト出店企業数について、約30社と申し上げましたが、約10社の誤りでした。申しわけございませんでした。
〇千田美津子委員 まず、事業者支援について何点かお伺いしたいと思います。かなり質疑が交わされましたので、重複しない範囲でお聞きいたします。
 いわて旅応援プロジェクトでありますけれども、今、第1弾の後の第2弾が今月末までということで実施されておりますが、それぞれ登録事業者数、さらに第2弾は配分されましたけれども、配分数はどうだったか。そして、現時点での事業効果をどう分析されているかお聞きいたします。
〇千葉プロモーション課長 まず、いわて旅応援プロジェクトの登録事業者数についてでありますが、第1弾につきましては、昨年8月15日現在で、宿泊施設、旅行会社及びクーポン券利用施設の合計で3、501の登録があったところでございます。第2弾につきましては、今月3月14日現在で合計3、599の施設、事業者が登録しております。
 それから、配分数につきましては、割引原資は第2弾から適切に予算を管理するために配分方式を採用しておりまして、第2弾の配分額は現時点で約41億円でございます。
 事業効果ですけれども、新たに喚起される需要額を割引原資の2倍とするなどして、総務省の経済波及効果の簡易計算ツールによりまして単純に算定すれば、約237億円と見込んでいるところでございます。
〇千田美津子委員 経済波及効果が約237億円ということで、影響というか、非常に効果があったと思います。
 それで、適切に管理するために配分されたということですけれども、第2弾の延長の際の配分が適正に行われたのか。さっきもお話がありましたけれども、宿泊施設等が知らないでいたという事例がかなりありまして、施設等への周知がどのようになされたのか。これは、多分新年度も継続していくことになると思いますので、県民にとってすごく喜ばれる、そして、事業者にとってもいい事業でありますので、みんなが納得して、やるぞという形で進めるべきではないかと私は思いますが、どうでしょうか。
〇高橋観光・プロモーション室長 先ほど千葉プロモーション課長から答弁申し上げた、第2弾から配分方式ということですけれども、第2弾は、第1弾の残額を使って進めましょうということで、予算が、第1弾のときは全て精算で割引ということでありましたが、第2弾からは、限られた予算の中でやらざるを得ないというところで、配分方式にしたところであります。
 事業者への周知についてでありますけれども、第2弾の制度をつくるときに、地元の旅行業協会とか旅館・ホテル生活衛生同業組合とも、どういう方式でやるかという意見交換をした上でこういった制度をつくったところであります。
 途中、予算の関係で割引がなくなりましたとか、一時的にうちは終わりましたといったところがあって、国の追加予算を待ってまた継続という状況がありましたけれども、今回、お話しのとおり、先般、八十何億円の補正予算が組まれましたので、そういったところは事業者の御負担にならないように、できるだけ県民の方も使われやすく、事業者にとってもスムーズに事業が運営できるように努めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひそのように進めていただきたいのですが、実は、宿泊を申し込むとすれば1カ月前という方々が多くて、この間、そういう情報がおくれたために、かなり断ってしまったという反省もあって、これからの分については、先ほども話があったように、早目に情報をいただいて、県民に本当にいい形で利用してもらうようにお願いしたいと思っております。
 いわて旅応援プロジェクトは、地域の活性化の上でも非常に大事な事業だと思いますので、もう一度その点をお聞きいたします。
〇高橋観光・プロモーション室長 御指摘のとおりでありまして、今のいわて旅応援プロジェクトが3月31日までということで、国の要綱では、現時点ではそのような状況でございます。国でも延長を見据えてさまざま準備をしていると伺っております。3月31日といっても、今月も中旬に入ってまいりましたので、いずれ、早い時点でそういったところはスムーズに事業が展開できるように、こちらでも準備を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 それでは次に、中小、小規模事業者への支援であります。この事業者支援も、大変厳しい経営状況にあるということが皆さんからもこもごも語られました。そういう中で、東京商工リサーチがことし1月18日に2021年の新型コロナウイルス感染症関連の経営破綻が、2020年の約2倍に増加したと発表しております。その中でも、息切れによる新型コロナウイルス感染症関連の経営破綻は今後も高水準で推移する可能性を指摘しているわけですが、どのように把握されているでしょうか。また、県内の状況をどう見ておられ、また、今後の支援策についても対応されると思いますが、それらについてお聞きいたします。
〇阿部経営支援課総括課長 先ほど委員からお話がありました東京商工リサーチの公表資料によりますと、本県における2021年の新型コロナウイルス感染症関連の倒産は12件でございました。2020年は6件でございましたので、2倍に増加している状況であります。
 そして、影響調査でも、売り上げが41%以上減少している事業者の割合が、直近1月末では一転して上昇に転じております。コロナ禍の長期化で厳しい状況に置かれている事業者の増加が心配されるところでありますので、県内事業者の方々の状況を注視していく必要があると考えております。
 令和4年度当初予算案に計上していた各種のキャンペーンといった需要喚起策なども展開しながら、資金繰りの支援の部分は、各事業者の方々によって置かれている状況はさまざまでございます。よりきめ細かな、こちらから一歩踏み込んだ状況の改善を図っていく必要があると考えております。
〇千田美津子委員 今の答弁のように進めていただきたいわけですが、全体の倒産件数そのものは減っているのですけれども、ただ、新型コロナウイルス感染症関連は2倍となっているということで、本当に深刻だと思います。
 なぜ全体の倒産件数が減っているように見えるかといいますと、事業環境が悪化はしているけれども、国や県、市町村のさまざまな給付金や貸付金などの、新型コロナウイルス感染症関連支援で延命をしているために、そういう状況になっているかと思います。そういった意味で言えば、これからの支援策が重要になってくるわけです。そういった意味で、先ほど来答弁がありましたように、中小、小規模事業者への支援をぜひ強めていただきたいと思います。
 次に、事業復活支援金について質問させていただきます。
 衆議院議員総選挙の際に岸田首相が持続化給付金並みの給付を公約したわけですけれども、発表された事業復活支援金は、個人事業主は100万円から50万円に半減されて、持続化給付金のいわば半分になってしまいました。これは期間もあるわけですけれども、家賃支援金もありませんので、給付額の増額が私はどうしても必要だと思いますし、一部対象外とされているのが、みなし法人、そして個人家主も対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 事業復活支援金につきましては、県では、全国知事会を通じまして、支援額の増額あるいは売り上げ減少率の、要件緩和などについて要請を行っているところであります。
 また、弾力的な制度運用、あるいは給付対象期間を4月以降も含めるよう、あわせて要請しておりまして、今後も機会を捉えて継続して国に要請してまいります。
〇千田美津子委員 国に対して要請しているということで、本当にそういう姿勢が大事だと思うわけですが、事業復活支援金が去年の11月からことし3月までの5カ月間とされたために、半分に減っているわけです。これは大いに問題がありますし、それから、オミクロン株の登場で3月までに業況が回復する見通しが全くない中で、やはり持続化給付金並みに拡充すべきだと考えますので、この点、部長にお聞きしたいと思います。
〇岩渕商工労働観光部長 先ほど来答弁いたしておりますとおり、事業者を取り巻く環境は非常に厳しい中で、一般質問の中での答弁が全てなのですけれども、いろいろな対策が必要だと思っております。予算規模が大きくなるものなどいろいろありますので、そういうものについてしっかりと国に財源、交付金の増額を要望しながら、県として実施していきたいと思いますし、できるものについては早急にやるという姿勢で、事業者に寄り添って支援をしてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いします。
 次に、地方公共団体による小規模事業者支援推進事業がありますが、これの岩手県の取り組みの現状と今後の見通しについてお聞きいたします。
〇阿部経営支援課総括課長 国の地方公共団体による小規模事業者支援推進事業につきまして、本県では、国の小規模事業者持続化補助金が不採択となった事業者の方が、商工指導団体の支援を受けて事業計画をブラッシュアップし、販路開拓や生産性向上に取り組む事業に対して、事業費の3分の2を補助する小規模事業者支援推進事業費補助金を実施しまして、令和3年度は9事業者へ総額280万円余の補助を行っているところであります。
 令和4年度は事業の見直しを行いまして、自然災害や感染症等の経営リスクに対し、事業者が事前対策の計画を策定し、国が認定する事業継続力強化計画制度の一層の普及に向けて、当該計画に基づく設備等の整備に要する経費の補助を行う、小規模事業者事業継続力強化支援事業費補助を令和4年度当初予算案に新たに盛り込み、企業における業務継続計画の策定を一層促進していくこととしております。
〇千田美津子委員 令和3年度は、不採択となった9事業者に対してですが、それでほぼ救われたのでしょうか。それと、新年度は新たな小規模事業者事業継続力強化支援事業費補助ということで、要綱を見ましたら、10者を予定しているようなのですが、少ないのではないかと思ったわけですが、この辺はいかがでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 今年度まで実施しておりましたこちらの補助事業は、小規模事業者持続化補助金の不採択事業者の方を対象にということでありまして、9事業者の支援でしたけれども、全ての把握はしておらず恐縮ですが、不採択となった方全てではなく、その一部の方々ということで、再チャレンジしてみようという意欲をお持ちの方を支援する制度でございます。
 来年度は事業継続力強化計画を作成し、そこに書かれてある必要な設備、私どもが想定しておりますのは、例えば、発電機ですとか、あと、こういう御時世ですので、データをクラウドに上げるときのデータ保管料のようなものを想定しております。
 10者ということでありますけれども、計画をつくった上で、実際、設備を買う方に補助する制度でございますので、まず、制度の普及を図っていきたいというところで10者とさせていただいたところであります。
〇千田美津子委員 補助対象のメニューがかなりあるなと今思いました。大事なのは、最終的に何者というよりも、いかにアピールして、こういう事業が使えますよ、ぜひやってみませんかという周知をやっていただくことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、安定的な雇用の促進と求職者支援についてお聞きしたいと思います。
 今、新型コロナウイルス感染症の拡大の長期化に伴って、全国的に正社員の新規求人数が減少しておりまして、生産性の向上による非正規雇用から正規雇用への転換を促進する必要があること、さらには、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、解雇、雇いどめの動きがあることから、安定的な雇用の維持、確保に取り組む必要があると、この間述べられておりましたけれども、県内の状況についてお知らせください。
〇田中雇用推進課長 県内の雇用環境についてでありますが、県が実施している毎月勤労統計調査によりますと、令和2年1月以降の労働者数の変化を見ると、フルタイム、パートタイムの別、男女別とも、労働者数やその割合に大きな変化は見られないところでございます。
 新規求人数及び有効求人数についても、岩手労働局の取りまとめでは、令和元年度から令和2年度については、いずれも約20ポイント減少していたものですが、令和2年度と直近の12カ月─これは令和3年2月から令和4年1月の合計になりますが─を比較しますと、10ポイント以上増加している状況でございます。正社員の有効求人倍率は、令和4年1月で0.96倍と、10カ月連続で前年同月比を上回っている状況でございます。
 しかしながら、雇用調整助成金を利用している県内事業所が一定数あることや、コロナ禍による県内の解雇見込み数が令和2年2月27日から令和4年3月11日までの累計で1、154人となっていることなどから、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響に注意していく必要があると考えています。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただいたように、雇用調整助成金の活用、休業支援金・給付金の申請件数も日を追うごとに増加している状況を見ると、やはり大変な状況があるのではないかと思います。
 それから、今答弁がありましたけれども、ことし3月末までの解雇等の見込みも159事業所、1、000人を超える状況となっているということで、これも大変な状況になりかねない。そういった意味では、県を初め、関係者の取り組みが非常に大事になってくるかと思うわけですが、この点いかがでしょうか。
〇田中雇用推進課長 コロナ禍の労働者に対する対応ですけれども、コロナ禍で県内の事業者の売り上げが落ちている現状がありまして、その中で非正規の方々への影響が大きいということがあります。そういうことから、ジョブカフェなどでの相談対応をしっかりしていくことと、離職された方への離職者訓練等できっちりと支援を行いながら、雇用の維持、確保に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いします。
 働き盛りの世帯の年間所得がこの25年間で100万円以上減少したことを示す資料を内閣府がまとめて、今月3日に開催された経済財政諮問会議に提出されたようであります。非正規雇用の若年単身世帯の割合が大きく上昇しているというデータもこれには盛り込まれております。これらについて担当部としてどういう所感をお持ちか、また、今後の対応についてどうお考えかお聞きいたします。
〇田中雇用推進課長 働き盛り世帯の所得減についてでありますが、本県においても全国と同様の状況であると考えております。厚生労働省によりますと、県内で不安定な就労状況にある35歳から44歳の方が約6、200人と推計されておりまして、社会全体で受けとめるべき重要な課題と認識しています。
 このため県では、いわゆる就職氷河期世代の正規雇用化を支援するため、岩手労働局等の関係機関、団体で構成するいわて就職氷河期世代活躍支援プラットフォームに参画しまして、情報共有を図るとともに、令和2年度から地域就職氷河期世代支援加速化事業を実施しております。令和4年度は、ジョブカフェいわての開館時間の延長やスキルアップのためのe−ラーニング講座、雇用促進のための企業向けセミナー等を実施することとしております。
〇小林正信委員 私は、医療機器関連産業創出事業に関連して、ヘルスケア、ヘルステック産業の充実についてお伺いしたいと思います。
 まず、2019年の医療機器生産金額は383億円と過去最高となり、コロナ禍によって健康への関心が高まる中で、2020年の生産金額はどのようになっているのかお伺いします。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 県の医療機器生産金額についてでございます。厚生労働省が毎年実施しております薬事工業生産動態統計調査の直近の数字で、2020年で280億円となっております。
〇小林正信委員 前年よりも100億円程度下がっています。新型コロナウイルス感染症によってどのような影響があったのかというところもしっかり分析していただきたいと思います。
 昨年3月に医療機器関連産業イノベーション創出戦略が策定されましたけれども、これによると、2028年には575億円の生産金額を目指すという話でありました。せっかく戦略を立てられましたので、しっかりと生産金額を上げていただく取り組みを充実させていただきたいと思います。
 まず、現状として、岩手県の生産金額も東北で4位となっておりまして、福島県と山形県のが生産金額が2018年から大幅に増加しております。こうした他県の取り組みも参考にすべきと思いますけれども、本県と東北他県の取り組みを比較しての所感についてお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 他県との比較ということでございます。東北では、第1位が福島県で、秋田県、青森県、その次の第4位が岩手県でありますが、上位の3県は、中核となる大手の医療機器メーカーが立地しておりまして、そこに引っ張られて生産金額が大きくなっている部分があろうかと思います。
 それから、福島県につきましては、医療機器産学官連携に盛んに取り組んでいる状況でありまして、今、国の後押しも大きくなっているということであります。
岩手県も中核となるメーカーがあっての数字になっておりますが、盛岡市のヘルステック・イノベーション・ハブを拠点とする入居企業が、現在、大幅に業績を伸ばしているところであります。
 また、今年度は中核となるメーカーと地場IT企業とのマッチングを進めておりまして、地域での取引拡大を支援しているところであります。
 こうした取り組みが相乗効果を生みまして、生産額の増加につながっていくことを期待しております。
〇小林正信委員 2020年は100億円ほど低いけれども、2021年の売り上げはかなり期待できるということかと思いますけれども、2028年の575億円、これは明確に目標を決めておりますので、これに向かってしっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
 そして、イノベーション戦略については、2020年から2028年の計画期間で展開することになっておりますけれども、2010年からの第1期、2015年からの第2期を受けてやってきた部分もあると思うのですが、第1期、第2期と比べて結構長いスパンの計画期間となっております。これは、戦略が中だるみになって、漫然と惰性的な進め方になってしまうことが懸念されるわけです。イノベーション戦略の定期的な振り返り、チェック、また、それを受けた見直し等も必要と考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 戦略の振り返り等についてでございます。昨年3月に戦略を策定いたしまして、今月末で1年経過するところであります。一方で、計画の期間自体は長いスパンとなっております。
 まず、今年度の取り組みにつきまして、今後、県内の医療機器関連産業の関係機関でありますとか有識者の方々にお集まりいただく場を設けて、実績の共有、取り組みの検証とフィードバックといったことで、適切に進捗管理を行いながら、必要に応じて見直しも図りながら進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ、県が主体となって、こういった振り返りの取り組みをこまめにやっていただきたいと思います。
 また、県内では、これまでさまざまな技術を研究し展開してきた、本当にすばらしいものづくり企業の皆様がいらっしゃいます。医療機器、ヘルステック産業にも、新たにこういったものづくり企業に参入していただくことも必要になってくると思いますけれども、新規参入に対する支援、また、県内企業への周知についてお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 県内企業の新規参入支援等についてでございます。今年度は、医療機器事業化コーディネーターによる医療現場のニーズと県内企業とのマッチングによる7件の参入支援のほか、個別企業の参入に係る相談への対応、県内企業の技術シーズをまとめたパンフレットによる情報提供などを行っております。
 また、例年であれば、臨床工学技士会の医工連携マッチング会における医療現場ニーズの情報提供や、個別相談の対応に加えまして、参入企業の開発事例の紹介や参入に必要な知識の情報提供を行うセミナー等も開催しております。
 残念ながら今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もありまして、これらの開催は取りやめたところでございますが、これにかえまして、動画による参入ポイント等の情報提供を実施しているところでございます。
 こういった取り組みを通じまして、県内のさまざまなものづくり企業、自動車、半導体関連も含めまして、これらの企業に成長性のある医療機器関連分野へ新規参入いただけるよう、支援及び周知を図っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 企業とのマッチングというのは、コーディネーターも県にいらっしゃいますけれども、県にしかできない部分も多いと思いますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。また、市町村との連携についても重要だと思います。矢巾町においては、ヘルステック分野、医療分野などの取り組みを進めるデジタルトランスフォーメーションの先進的な取り組みを行ったり、こうした矢巾町を初めとする各市町村における先進的な取り組みとの連携が、今後この戦略の推進にも必要と考えております。
 また、市町村と連携して企業誘致についても進めていっていただきたいとも考えております。県内各自治体との医療機器関連産業、ヘルステック分野における連携状況、また、企業誘致の状況についてお伺いします。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 市町村との連携等についてでございます。産業振興を進めるに当たりましては、市町村との連携が重要であるという認識のもとで、県ではこれまで、企業誘致の初期の段階から、市町村と情報を共有しながら、連携して取り組んでいるところでございます。
 こうした市町村との連携によりまして、医療機器関連産業におきましては、近年、洋野町に医療用のステープラーの製造企業が立地いたしまして、工場の増設にも結びついておりますし、また、盛岡市に立地いたします衛生用品の製造企業が、新たに工場を増設するなど、その取り組みの成果があらわれてきているところでございます。
 産学官連携といった部分でも、市町村との連携を進めながら、しっかりと市町村の戦略、方針と足並みをそろえながら進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。今までのお話を聞いておりますと、県が中心となってさまざまなコーディネート役を行って進めてきている部分もあると思っております。2010年に設立された東北ライフサイエンス・インストルメンツ・クラスター―TOLICですけれども、これまでも、県内だけではなく県外との交流も活発に行って、ヘルステック産業の集積に影響を与えてきたと認識しております。
 県としても、TOLICの歩みとあわせて、ヘルステック・イノベーション・ハブの建設など集積に尽力してきたことと思いますが、今後、TOLICなどを通じて県外の企業や大学、また、県外の研究機関との連携、交流も県として深めていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 TOLICを通じました県外企業等との連携についてでございます。今、委員からお話しがありましたとおり、盛岡市に設置しましたヘルステック・イノベーション・ハブの主な入居企業が、TOLICの関連企業でございます。
 TOLICでは、産学官連携、企業連携による最先端のライフサイエンス機器の創出に積極的に取り組んでいるところでありまして、現在でも、東京大学、京都大学などの著名大学、理化学研究所、産業技術総合研究所、宇宙航空研究開発機構などの国立研究開発法人、それから、大手医療機器メーカー、医薬品メーカーとも密接な連携を図りながら、さまざまなプロジェクトを進めていらっしゃいます。
 県といたしましては、こうした連携が円滑、効果的に進められるよう、これまでにも、情報交流の場の提供、競争的資金導入への協力、情報発信面での連携など、各種の支援を行ってきたところでございます。岩手県内でこのような形で産学官、有力な県外の機関と地場の企業とが情報、人、技術の交流を一層深め、本県においてさらなる新たな連携が生まれていくよう、今後も引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 県外のさまざまな研究機関、大学等との連携も十分あるという部分で、TOLICとヘルステック・イノベーション・ハブがあるという点は、ヘルステック産業の集積において他県にない強みであると思いますので、ぜひとも今後も綿密な連携と活用をお願いしたいと思います。これまでもものづくり自動車産業振興室、また、保副知事も定期的にヘルステック・イノベーション・ハブを訪れていただいて、小まめな意見交換を行ってきていただいたと認識しておりますので、引き続き十分な連携をお願いしたいと思います。
 そのヘルステック・イノベーション・ハブが、現在、満室に近い状況になっています。イノベーション戦略では、今後の取り組みとして、優遇制度の検討、インフラの整備を挙げております。具体的には、例えば、市町村の優遇措置、優遇制度への県の上乗せ、また、ヘルステック・イノベーション・ハブの機能拡大や市町村と連携してのインフラ整備等が考えられますが、具体的な県のお考え、取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 優遇制度とインフラの整備等についてでございます。企業誘致を進めるに当たりましては、県では、広域的な視点から補助金などの優遇制度の運用をしておりまして、医療機器製造業を含むものづくり企業につきましては、市町村との協調によります補助制度を運用しているところでございます。
 今後、さらなる産業の集積を図るための優遇制度やインフラの整備につきましては、市町村の産業振興施策との整合性を図りながら、産業の動向、企業ニーズを踏まえまして、必要に応じて市町村や関係機関と一緒になって考えていきたいと思います。
〇小林正信委員 お願いいたします。
 続いて、IT産業の集積についてもお伺いしたいと思います。
 ヘルステック産業同様、IT産業についても、いわてIT産業成長戦略を策定し取り組みを進めておりますけれども、IT企業の現在の岩手県の集積状況、また、集積のための優遇制度、インフラ整備について、取り組みをお伺いします。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 IT産業の集積についてでございます。IT産業は、本県では盛岡市や滝沢市を中心に集積しておりまして、この統計の数字は若干古いのですが、平成30年に経済産業省が行いました特定サービス産業実態調査の調査結果によりますと、事業所数は岩手県全体で144社となっております。東北6県では第3位でございます。これらに加えまして、近年はサイバーセキュリティーを専門とするIT企業の本店の移転でありますとか、AIの社会実装を最先端で行う企業の進出など、過去5年間で14社が新たに立地しているところでございます。
 IT企業の新規立地に対する優遇制度といたしましては、ソフトウエア業を対象とした企業立地促進奨励事業費補助金に加えまして、情報処理部門を含む本社機能の移転、拡充に取り組む企業への税制優遇を行っているところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。新たに14社ということで、特にIT企業集積について、その拠点となっているのが滝沢市のIPUイノベーションパークだと思うのですけれども、これについては、県としても県のデジタルトランスフォーメーションを進める上で重要な存在であると思います。現在のイノベーションパークの状況をお伺いします。
 また、以前も取り上げさせていただきましたけれども、岩手県立大学の西澤元学長が提唱した門前町構想です。IPUイノベーションセンターを中心に据えた周辺のまちづくりを含めた産業集積につきまして、これが進むことによって、さらなるIT人材の集積、また、人材の県外への流出を防ぐことにもつながると考えております。滝沢市や民間との連携も見据えたIPUイノベーションパークの拡大についてお伺いします。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 滝沢市IPUイノベーションパークの現在の状況、拡大への支援ということでございます。滝沢市IPUイノベーションパークにつきましては、岩手県立大学の正門の向かいにある強みを生かしまして、県、滝沢市、県立大学が連携しまして、IT関連企業の誘致や人材育成などの取り組みを進めてきたところでございます。現在では合計で30社のIT関連企業が立地しておりまして、県内におけるIT産業の一大集積拠点となっております。
 これまでは集積を促進するステージにあったと考えておりますが、次の発展ステージへ移行する時期を迎えつつあると認識しております。今年度から、今後のパークのあり方につきまして、事務レベルではありますが、滝沢市、岩手県立大学、県の3者による打ち合わせをさせていただいておりまして、この中で、パークの拡張についてもあわせて検討を行っているところです。
 引き続き、立地企業の成長支援とともに、企業間連携や産学官連携によりまして、集積の相乗効果が発揮されて、より広域に波及していくよう、関係機関と連携して取り組んでいきたいと考えております。
〇小林正信委員 岩手県立大学周辺のまちづくりですけれども、岩手県立大学の学生からも、県立大学周辺にアルバイトする場所がない、あと、集まる場所がない、また、お店が少ないとか、学生が交流する場として物足りないという意見も出ているということでした。
 以前もお話しさせていただきましたけれども、アメリカのシリコンバレーでは、カフェとかバーとかレストランで自然発生的に企業や業種間での交流、コーディネートが行われていた、そこで新しい産業が興っていったと。多分こういうものが門前町構想の考え方だと思うのですけれども、今、県と滝沢市と岩手県立大学の3者でさまざま事務レベルの打ち合わせをしているということでしたが、そういったまちづくりも含めた取り組みを進めていって、人材集積、また、IT人材の流出を防ぐ取り組みをぜひ進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 そして、IT企業の集積には、IT人材の流出を防ぎながら育成も必要と考えます。北九州市では、北九州市立大学と民間企業、行政がつながって、北九州市版のデジタル人材育成プラットフォームを創設して、20代、30代の失業者、非正規雇用者、また、子育て中の女性などに対するITに関するリカレント教育を実施しているとのことです。
 本県でも、IT人材の確保はデジタル化を進める上では急務であり大事な点であると思うのですけれども、IT人材確保のためのリカレント教育にも力を入れていくべきではないかと考えますが、御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
〇小野特命参事兼ものづくり産業振興課長 IT人材の育成やリカレント教育についてでございます。県内ではこれまで、学生向けには岩手県立大学や岩手大学など、企業向けには、株式会社岩手ソフトウェアセンター等が主体となりましてIT人材育成に取り組んでまいりました。これに加えまして、高度技術者の育成といたしまして、岩手県立大学に設置しております、いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターにおける高度技術者の養成事業、あるいは組み込みソフトウエア分野の技術教育イベントでありますETロボコンの開催などを通しまして、学生や社会人を対象としましたIT人材の育成に取り組んできたところでございます。
 一方、近年、小学校でのプログラミング教育の必修化など、IT人材育成の一般化が進んでおります。こうした中、県内におきましては、例えば、滝沢市のタキザワイノベーションチャレンジといった取り組みですとか、八幡平市のスパルタキャンプといった取り組み、それから、民間企業が主催いたしました学生アイデアコンテストであったり、プログラミング教室など、さまざまな主体による、さまざまな層を対象としたIT人材育成、確保の取り組みが活発化しております。
 県といたしましては、他県の優良事例も参考にしながら、県内の大学、関係機関とも連携いたしまして、引き続き、離職者や求職者も含めた幅広い層を対象といたしまして、リカレント教育も含めましたIT人材の育成、確保に取り組んでいきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時13分 休 憩
午後4時28分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇佐藤企業局長 企業局関係の令和4年度当初予算について御説明申し上げます。
 初めに、令和4年度当初予算における基本的な方針といたしましては、岩手県企業局長期経営方針(2020〜2029)及び第1期中期経営計画に基づき電力と工業用水の安定供給に努めるとともに、電気事業では、高経年化した既設の水力発電所の再開発事業などに取り組んでいくこととし、また、工業用水道事業では、本格化する新浄水場の建設事業などに取り組んでいくこととしております。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 議案その2の56ページをお開き願います。議案第14号令和4年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量ですが、年間販売目標電力量の合計を、次の57ページの上から3行目に記載のとおり、5億6、690万9、000キロワットアワーと見込むものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款電気事業収益は81億2、300万円余、支出の第1款電気事業費用は66億7、000万円余であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款資本的収入は1、900万円余であります。58ページにお進み願います。支出の第1款資本的支出は32億1、200万円余であります。
 第5条は、債務負担行為でありますが、胆沢第二発電所代替放流設備(機械・電気設備)工事など4事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 電気事業会計予算の説明は以上でございます。
 次に、60ページにお進み願います。議案第15号令和4年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 第2条は、業務の予定量ですが、(1)は、年間総給水量を1、442万2、245立方メートル、1日平均給水量を3万9、513立方メートルとそれぞれ見込むものであり、(2)は、主要建設事業として浄水場を建設しようとするものです。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款工業用水道事業収益は14億9、500万円余であります。61ページに参りまして、支出の第1款工業用水道事業費用は9億1、600万円余であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であり、収入の第1款資本的収入は64億5、200万円余、支出の第1款資本的支出は68億1、700万円余であります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇柳村一委員 電気事業についてお伺いします。
 岩手県企業局長期経営方針(2020〜2029)及び第1期中期経営計画の令和4年度目標に対しての令和4年度電気事業予算の達成見込みについてお伺いします。
〇高橋電気課長 令和4年度の電気事業予算の達成見込みについてでありますが、岩手県企業局長期経営方針(2020〜2029)及び第1期中期経営計画における令和4年度の収益的収支の目標は、税抜きで約14億5、000万円となっておりますが、令和4年度当初予算案においては、収益的収支は税抜きで約12億6、000万円を計上しており、目標をやや下回る見込みでございます。
〇柳村一委員 年間の販売目標電気量が約2、800万キロワットアワーで、ちょっと減になっていますけれども、ここら辺の影響が出ているものでしょうか。
〇高橋電気課長 今、委員御指摘の電力量の件もございますけれども、主な要因といたしましては、仙人発電所の水車発電機分解点検補修工事等による修繕費の増、それから、令和3年度の退職者の増に伴う退職給付引当金繰入額の増によるものでございます。
〇柳村一委員 では、電気事業において地域貢献という事業を行っていますけれども、令和3年度までの地域貢献の事業内容と事業費、令和4年度における事業内容と事業費についてお伺いします。
〇伊藤経営企画課長 地域貢献の取り組み実績と令和4年度の取り組み内容についてでありますが、企業局では、グリーン社会の実現に向けて、市町村等が行う再生可能エネルギー設備の導入や植樹活動を支援しているほか、震災復興及びふるさと振興への寄与を目的として、いわて復興パワーによる電気料金の割引や、一般会計繰り出し等の地域貢献に取り組んでいるところでございます。
 再生可能エネルギー設備の導入支援につきましては、平成18年度から令和3年度の16年間で、延べ155件、3億7、600万円余を市町村に補助してきており、令和4年度は3、000万円余の支援を予定しております。
 植樹活動につきましては、平成16年度から令和3年度の18年間で延べ238地区、4、300万円余の支援を行い、令和4年度は300万円余の支援を予定しております。
 いわて復興パワーによる電気料金の割引につきましては、平成30年度から令和3年度の4年間で延べ778件の事業所で利用され、約6億8、000万円の料金低減効果が図られたところであり、令和4年度におきましても、さらなる活用を図ってまいります。
 また、県の震災復興・ふるさと振興関連事業に対する一般会計への繰り出しにつきましては、平成30年度から令和3年度までの4年間で23事業、3億9、000万円余を繰り出し、令和4年度は7事業、9、300万円余の繰り出しを予定しております。
 このほか、県の再生可能エネルギー導入促進事業等に対する一般会計への繰り出しとして、平成18年度から令和3年度の16年間で延べ3億7、000万円余を繰り出ししており、令和4年度は4、000万円余の繰り出しを予定しております。
〇柳村一委員 一般会計においても、企業局の貢献度はが高い事業を今まで着実にやっているようですけれども、岩手県企業局長期経営方針(2020〜2029)の最終年度の令和11年に企業債残高がなくなる予定ですし、新たな企業債の発行も今までやってきていないということで、長期経営方針によると、平成22年が5億7、600万円余だったのが、令和2年度では36億円余の純利益も出ているようで、すごく優秀な企業局だと思うのですけれども、財政課として、この企業局の財政をどう思われますか。
〇山田財政課総括課長 企業局の財政状況という観点ですけれども、知事部局等の一般会計の財政状況と比較してというような形で一般論として申し上げることしかできないわけではありますが、先ほど委員御指摘のとおり、起債を行わない観点というのは起債余力と一般的に言われておりまして、例えば、岩手県の今回の一般会計当初予算案ですと、7、900億円のうち500億円の地方債を発行しております。500億円というのは、基本的にはハード事業など、後年度に負担を求めてよいものに関しては起債をさせていただいております。
 全国の状況を見ますと、よく言われますのが、東京都でほかの県と違って税収が高い、収益があるという観点から、起債余力がたくさんあるという状況で、起債ができるけれども、企業債、地方債を発行しないという状況もありまして、企業債を発行しないのが、いわゆる収支の状況がよいか、悪いかをあらわすことになっております。
 企業局において企業債を発行しないというのは、確かに、委員御指摘のとおり、大変健全な経営をしていると承知しております。
〇柳村一委員 財政課のお墨つきもありました。ただ、長期経営方針では、既存発電所の更新や改良計画は載っていますけれども、簗川以降の新規の計画はない。今、財政課もおっしゃっているように、とても優秀な企業局であるのであれば、新規の発電所をもう少しつくっていって、地球温暖化、カーボンニュートラルに向けての施策の取り組みを行っていくべきではないかと思います。
 長期経営方針では、運転100年を実現するための基盤づくりを掲げていますけれども、これだけ優秀であれば、100年先を見据えた基盤づくりに変えていってもいいのではないかと思うのですが、そこら辺はいかがでしょうか。
〇高橋電気課長 委員御指摘のとおりでございます。企業局では、長期経営方針に再生可能エネルギーの維持、拡大を掲げて取り組んできておりますけれども、再生可能エネルギーの開発には、現在、さまざまな課題もあるところでございます。ただいま、委員から御指摘いただいた点も踏まえながら、引き続き事業化の可能性に係る調査、検討を進めまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇八重樫次長兼経営総務室長 委員から御指摘がありました企業債の関係でございます。
 まず、御案内のとおり、工業用水道事業につきましては、北上市の新浄水場の関係で企業債を発行して充当しております。また、電気事業会計におきまして、これまでも、直近ですと高森高原風力発電所のときにも13億円余(後刻「23億円余」と訂正)の企業債を充当しておりますし、それ以前の早池峰発電所等にも企業債を充当しておりまして、現在も毎年償還を行っているところでございます。
 純利益では、令和2年度におきましては、決算で御案内のとおり、22億円ございますけれども、そうした利益剰余金につきましては、これまで建設に充ててきた企業債の返済、あるいは将来の改良、新規建設も見据えて、そういったものも含めて建設改良積立金等の積み立てを現在も行っております。
 先ほど高橋電気課長から、今後とも新規の調査、研究をやっていくという答弁をいたしましたが、そうした新規の開発が仮に具体化された際には、今申し上げました既存の積立金を充当するとともに、有利な企業債があれば、そういった企業債の活用も視野に入れて財源の確保に努めていきたいと考えております。
〇柳村一委員 地域貢献の充実というところで、電力を通じた地域貢献とか地球温暖化に向けた取り組み、水素利活用推進プロジェクトも掲げております。環境生活部では、水素利活用推進プロジェクトをつかうというところが岩手県にないので、水素燃料電池の車を買って、つかうというところに充てると言っていました。
 企業局が再生可能エネルギーをつくれない一つの理由として送電網を挙げているようですので、再生可能エネルギーを使って、水素でつくる、ためるという部分を担うことができれば、送電網がなくても電力はつくっていけるわけです。今度、優良企業でありますから、地域貢献の場で使えるような仕組みを考えていくのも一つの手ではないかと思います。
 それで、令和5年度策定予定の次期中期経営計画について、知事は、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据えた目標を掲げ、オール岩手での取り組みの中で大きな役割を果たしていくことに期待していると企業局に対しておっしゃっていました。次期中期経営計画の部分で、こういう部分の視野を取り入れて計画を立てていったほうがいいのではないかと思いますが、そこら辺についての考えを伺って、終わります。
〇八重樫次長兼経営総務室長 ただいま委員から御指摘のありました、再生可能エネルギーを使って水素を生成して、それをエネルギーにするという取り組みは、山梨県企業局で、太陽光パネルで発電した電力を使って水素を活用するという事例がございます。
 本県も、そういった先進的な事例も研究しながら、環境生活部を初め、関係部局とも連携しながら、引き続き研究しつつ、あと、次期中期経営計画にも、反映できるところは、可能であれば反映することも視野に入れて、検討していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、県政の重点課題であるグリーン社会実現の取り組みの角度で質問します。
 これまでの企業局における再生可能エネルギーによる取り組み、CO2削減量はどうなっているでしょうか。
〇高橋電気課長 企業局の再生可能エネルギーによるCO2排出量削減効果についてでありますが、過去3年間を例にとりますと、供給電力量をCO2排出削減量に換算した値は、令和2年度は約35万トン、令和元年度は約28万トン、平成30年度は約31万トン、平均では約31万トンとなっております。
〇斉藤信委員 令和2年度が約35万トンでしたが、平成30年度は31万トン、令和元年度は28万トン。この上下は何の関係によるものですか。
〇高橋電気課長 年度によって排出量が変わるのは、降水による川の出水量の影響でございます。
〇斉藤信委員 今後の再生可能エネルギーの開発、CO2削減の目標、見通しはどうなっているでしょうか。
〇高橋電気課長 今後の再生可能エネルギーの開発、CO2排出削減量の目標、見通しについてでありますが、令和5年度までを取り組み期間とする現在の中期経営計画においては、簗川発電所の新規開発と稲庭高原風力発電所の再開発を具体的な取り組みとして掲げておりまして、供給電力量は年間約1、200万キロワットアワーの増加目標を達成する見込みでございます。これをCO2排出削減量に換算しますと約6、600トンでございます。
 また、令和6年度以降につきましては、入畑発電所及び胆沢第二発電所の再開発により、供給電力量は年間約56万キロワットアワーの増加を見込んでおりまして、これを同じくCO2排出削減量に換算いたしますと約300トンとなっております。
〇斉藤信委員 昨年立てた第2次岩手県地域温暖化対策実行計画では、2030年までに2013年比で41%CO2削減とあります。計画を立てたときの企業局としての削減目標はあったのでしょうか。
〇伊藤経営企画課長 中期経営計画は令和2年度に立てまして、その時点では、いわて県民計画(2019〜2028)は作成されていたのですけれども、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画はその後に作成されましたので、CO2削減の目標値については、経営目標にはございません。
〇斉藤信委員 中期経営計画を立てたのがその前だったとしても、去年、県全体の目標として41%削減と決めたわけです。それは各部局で、各分野でこれをどう達成するかということになるわけじゃないですか。私は、企業局もその重要な一翼として、しっかり目標を持って、目標達成の一翼を担うことが必要なのだと思います。
 それで、実は41%削減目標というのは、去年の時点では国の計画を上回っていたけれども、今、国も見直して、国の計画よりも低くなった。そして、COP26で、世界平均で2030年までに2010年比で45%削減が合意をされた。ところが、今、各国の目標を足しても、それは行かないのです。だから、各国の目標をさらに引き上げるというのがグラスゴー合意だったのですね。
 これを受けて、岩手県は来年度、第2次地球温暖化対策実行計画を見直すというのが本会議での知事の答弁でありました。来年度、この実行計画を見直して、せめて世界平均を超えるような目標を持って取り組まなくてはならないと私は思っています。長野県は60%削減の目標です。そのぐらいの目標を持たなくてはならないと思うけれども、それに呼応した企業局のCO2削減目標を来年度しっかり立てるべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
〇伊藤経営企画課長 来年度、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画のCO2削減目標値を変更するということは承知しております。次期中期経営計画につきましては、令和5年度策定予定でございます。2050年度の地球温暖化、温室効果ガス削減実質ゼロを見据えまして、令和5年度に中期経営計画の電力量なりの目標を設定していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 来年度、県の目標を見直すというときに、企業局は令和5年度ですということではないのだと思いますよ。だから、全体の中期経営計画は令和5年度でそれはいいですけれども、CO2削減の全県の目標をどうやるかということで、私は、その分野での企業局の目標計画は、県の見直しとセットで示されるべきだと思います。
 地球温暖化対策推進本部会議に佐藤企業局長も出ているのだから、これは佐藤企業局長に聞きましょう。そこで決めるのだから、私はそことセットで、企業局の目標、役割も明確にされるべきだし、皆さん自身も真剣に考えて、2030年までに45%削減にどう貢献するかということは、本当に企業局がしっかり目標計画を持つことが必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇佐藤企業局長 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の改定に当たっての企業局としての目標設定等についてでありますが、地球温暖化対策実行計画は、来年度、改定作業に入ることは承知しております。その中で、委員から御指摘がありましたように、その本部会議といいますか合同の会議の中の一員に企業局長が入っております。そういったことだけではなくて、実行計画の県としてつくる改定版の作業の中に、企業局としてしっかり入りまして、具体的に、その中で企業局がどのような位置づけなり役割を期待されているか等も踏まえまして、県の改定作業にしっかり参画、コミットしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 現段階の皆さんの取り組みは既設の改修ですね。これは結構大規模な改修。基本的には発電量は変わらないのだけれども、年間発電量は効率性がよくなってふえるということです。それはそれで評価しますけれども、それはわずかなのです。これから大幅にCO2削減しようと思ったら、また発想を変えて取り組む必要があるのではないか。
 それで、今、企業局がかかわった前向きな取り組みという点でいけば、CO2フリー電気の供給というので、アマリングリーンでんきに滝発電所の電気を供給して、久慈市の合同庁舎はそれでRE100ということで、二戸市も、御所野縄文電力株式会社の発電所だと思いますけれども、RE100を目指すということです。
 私は、企業局のこうした発電を県や全体のCO2削減の取り組み、地産地消の取り組みに結びつけていく必要があると思いますけれども、これをどう広げるか、そういう計画方針はあるのか示してください。
〇伊藤経営企画課長 CO2フリー電気の地産地消の推進の取り組みでございますが、企業局では、県内の産業、経済の発展と民生の安定に寄与する観点で、これまでも県内の電力の安定供給を基本として取り組んできたところでございます。
 地域経済循環の担い手である県内の地域新電力を支援するため、令和2年度から、公募型プロポーザルにおいて、県内事業者を対象とした県内枠を設定しているところでございます。
 令和4年度から令和5年度の売電につきましては、県内枠を設定いたしまして、滝発電所の電気を久慈地域エネルギー株式会社に供給する契約を締結しております。
 県内枠として早池峰発電所という枠もあったのですけれども、そちらは残念ながら公募がない状況でしたので、県内の地域新電力にアンケートをとりまして、ニーズ等を調査しております。次の売電契約が令和6年度以降になりますけれども、その際には、ほかの地域での新電力等のニーズ等を確認しながら、どういった方策でやるかを検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 あともう一つ、私が検討してほしいのは、来年度、県は県有施設200カ所で太陽光発電等の開発可能調査をやります。私は、ここに企業局の施設も入るのではないかと思いますが、今、新北上浄水場建設を大規模にやっているわけです。こうした新しい施設、既存の施設に、私は、太陽光発電を積極的に企業局としても設備すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋電気課長 企業局の施設における太陽光発電設備の導入ということでありますが、まず、平成10年度に北上市の工業用水道施設内に既に30キロワットの設備を設置済みでございます。
 また、企業局で所管する2カ所の事業所のうち、県南施設管理所につきましては、平成25年度に10キロワットの設備を設置しておりまして、もう一つの施設総合管理所は、令和5年度に建物の改修を予定しておりますので、それに合わせて設置に向けて検討しているところでございます。
 これらの発電設備につきましては、売電を目的としたものではなくて、それぞれの施設で消費する電力を供給するものであります。排出するCO2削減にも貢献するものですので、今後も、可能性のある施設については、導入を検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 今、整備中の新北上浄水場の施設はどうなのでしょうか。私は、新設こそ性能のいいものを整備すべきではないかと思います。
 最後ですけれども、旧稲庭高原風力発電所が既に解体されました。最終的な費用対効果はどうなったのか。その教訓を新設の太陽光発電にどう生かすのか、このことについて示していただきたい。
〇高橋電気課長 旧稲庭高原風力発電所の費用対効果についてでありますが、損益につきましては、事業終了後の風車の撤去費用等を含めますと、収益が約14億2、000万円に対しまして、支出が約16億5、000万円となり、損益は約2億3、000万円の赤字となる見込みでございます。
 なお、効果につきましては、平成13年9月に営業運転を開始して以来、令和3年2月までの19年5カ月間で約7、000万キロワットアワーの電力を供給しております。CO2排出量換算で約3万8、000トンの削減に貢献したほか、県内で稼働している風力発電の先導的な役割も果たしたものと考えております。
〇山谷業務課総括課長 ただいまの委員のお尋ねは、太陽光発電への稲庭高原風力発電所のこれまでの実績とか経験なりを生かせないのかといった御質問だったと思いますけれども、発電の手法が違うということで、受電したり発電したりする部分については、こういった建設なり改良を職員が経験することで、技術的な部分での知識や経験をため込んで、企業局の職員にとっては非常に有益な技術だったり知識になっていくかと考えております。
〇斉藤信委員 旧稲庭高原風力発電所は、初めて企業局が風力発電に取り組んだということで、雷でストップしたり、さまざま私もこの場でお聞きいたしました。しかし、そういう取り組み経験が高森高原風力発電所に生かされていると思うし、今度は1基ですけれども、性能のいい風力発電になったということは評価をしたい。ただ、結果として2億3、000万円の赤字だったというのは、経営としては残念な結果だったということを率直に指摘しなければなりません。
 いずれにしても、きょうは、グリーン社会の実現、気候危機打開という角度で、私は、企業局が今までのノウハウを生かして新たな役割を発揮することを強く求めたいと思います。最後に佐藤企業局長にお聞きして、終わります。
〇佐藤企業局長 企業局における今後の新たな分野等に対する取り組みなどについてでありますが、まず、先ほど委員から御指摘があったとおり、旧稲庭高原風力発電所の計器につきましては、そういった御指摘も受けまして、反省等も含め今後の事業展開に生かしてまいりたいと思います。
 今後も、そういった面で企業局の強みと考えております技術やノウハウの蓄積を生かしまして、新規の開発や再開発に取り組んでいきたいと考えておりますが、再生可能エネルギー導入に当たりましては、送電線の空き容量の不足に伴います接続の制約や、水力発電所開発適地の奥地化に伴います建設コストの増加などの課題もございますところ、現時点では、新たな発電所の建設に直ちに取り組むには課題も多いところでございます。
 ただ、今後につきましては、まずは、現在予定している再開発事業を電気の安定的供給のために着実に進めつつ、新しい分野や可能性につきましては、柔軟な発想でさまざまな可能性等について研究、追求してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇八重樫次長兼経営総務室長 先ほどの柳村一委員の答弁についてでございます。先ほど、高森高原風力発電所の起債額を私は13億円余と申し上げましたが、こちらは令和3年度末の残高見込みでございまして、総額としては23億円余の起債額でございましたので、おわびして、訂正をさせていただきます。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆様はお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時8分 散 会

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