令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和4年3月15日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
保健福祉部長 野 原   勝
副部長兼
保健福祉企画室長 村上宏治
理事心得 工 藤 啓一郎
参事兼
障がい保健福祉課
総括課長 菊 池 優 幸
医療政策室長 佐々木 亨
子ども子育て
支援室長 中 里 裕 美
保健福祉企画室
企画課長 畠山直人
保健福祉企画室
管理課長 田澤清孝
健康国保課
総括課長 竹澤 智
医療情報課長 大内 毅
地域福祉課
総括課長 阿 部 真 治
長寿社会課
総括課長 前 川 貴美子
医務課長 中田浩一
特命参事兼
地域医療推進課長 鎌 田 泰 行
感染症課長 三浦節夫
特命参事兼
次世代育成課長 日 向 秀 樹
医療局長 小原 勝
次長 小原重幸
経営管理課
総括課長 鈴 木   優
職員課総括課長 宮 好和
医事企画課
総括課長 久 慈 一 広
業務支援課
総括課長 千葉直樹
薬事指導監 勝馬田 康 昭
看護指導監 冨 山 香
医師支援推進室長 植野歩未
医師支援推進監 菊 地 健 治
医師支援推進監 千 田 真 広
財政課総括課長 山田翔平
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 なお、川村伸浩委員及び臼澤勉委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部及び医療局関係について、延べ19人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしましたので、議事進行に御協力をお願いします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩については、これまでと同様でありますので御協力をお願いいたします。
 初めに、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇野原保健福祉部長 令和4年度の保健福祉部関係の当初予算及び予算関係議案について御説明申し上げます。
 初めに、令和4年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、当部では新型コロナウイルス感染症対策の徹底と、東日本大震災津波からの復興を進めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、県民みんなで目指す将来像の実現に向け、各政策分野に基づく施策を推進してまいります。
 まず、健康・余暇の政策分野では、特定健診などの受診率向上の取り組みを初め、自殺リスクが高い方への支援体制の充実強化、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘、周産期医療提供体制の強化などのほか、生活困窮者の自立支援や、介護職員及び保育士の育成、確保などの取り組みを進めてまいります。
 また、家族・子育ての政策分野では、社会全体で子育て支援を行う県民運動の展開や、結婚、出産、子育てなどのライフステージに応じた切れ目ない取り組みの総合的な推進のほか、子供の貧困対策、ヤングケアラー対策などの取り組みを進めてまいります。
 さらに、新しい時代を切り拓くプロジェクトに掲げる健幸づくりプロジェクトを、引き続き積極的に推進していく予算として編成したところであります。
 加えて、東日本大震災津波からの復興を進めるため、岩手県こころのケアセンターなどによるこころのケアの支援のほか、生活支援相談員による見守り活動などの被災者支援の取り組みを進めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症対策については、引き続き、入院病床等の確保や入院等搬送の調整などの対策に取り組むとともに、ワクチン接種の加速化に向け、市町村、県医師会等と連携して、医療従事者の確保や県集団接種、職域接種の支援に取り組んでまいります。
 続きまして、当部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算でございますが、お手元の議案その2の6ページをお開き願います。
 当部関係予算は、3款民生費976億1、356万4、000円のうち、2項県民生活費と5項災害救助費を除く958億4、516万6、000円、7ページの4款衛生費553億1、369万7、000円のうち、2項環境衛生費を除く444億7、081万3、000円。9ページに参りまして、11款災害復旧費1項保健福祉施設災害復旧費の516万4、000円と、13款諸支出金1項公営企業貸付金及び2項公営企業負担金のうち、2項公営企業負担金の一部を除く317億1、664万2、000円であり、合計で1、720億3、778万5、000円の予算となっております。
 これを前年度当初予算と比較いたしますと187億1、176万6、000円の増となりますが、これは前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症に対応するための予算を措置したことなどによるものであります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、保健福祉部所管の事業は、4、みたけの杜整備及び5、いわてリハビリテーションセンター設備整備で、現在のみたけの園の解体及びいわてリハビリテーションセンターの設備整備が翌年度にわたることから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、議案第3号令和4年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算についてご説明申し上げます。
 引き続き、議案その2の20ページをお開き願います。歳入と歳出の予算総額は、それぞれ3億7、295万7、000円であります。
 21ページに参りまして、歳入は、一般会計からの繰入金と、繰越金及び諸収入であります。
 22ページの歳出は、母子家庭及び父子家庭、寡婦の経済的自立、生活意欲の助長、児童福祉の増進などを図るために必要な資金の貸し付けに要する経費であります。
 次に、議案第11号令和4年度岩手県国民健康保険特別会計予算について御説明申し上げます。
 引き続き、議案その2の44ページをお開き願います。歳入と歳出の予算総額は、それぞれ1、102億1、800万6、000円であります。
 45ページから46ページにかけましての歳入は、市町村からの負担金、国の負担金及び補助金、社会保険診療報酬支払基金等からの交付金、一般会計からの繰入金などであります。
 47ページの歳出の主なものでありますが、国民健康保険事業に係る保険給付費等交付金、後期高齢者支援金、介護納付金、特別高額医療費共同事業事業費拠出金などであります。
 引き続きまして、予算に関連する議案について御説明いたします。
 議案その3の12ページをお開き願います。議案第26号国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例についてでありますが、国民健康保険法の一部改正に伴い、引用している法の条文に条項ずれが生じたため、引用条文の条項ずれを改めようとするものであります。
 以上で、保健福祉部関係の予算関係議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 私からは2点お伺いいたします。
 まず一つ目、ひとり親家庭と総合相談支援事業について伺います。
 今年度の政策評価結果等の政策等への反映状況報告書では、評価結果は活動指標C、成果指標Cとなっていますが、本年度の予算は緊縮だということで大体減らされている中で、結果評価がCでありながら、次年度の予算が約70万円ふえている理由をお伺いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 令和4年度当初予算案の増額理由についてでございますけれども、今年度におきまして、相談件数が大幅に増加しておりますことから、来年度はひとり親家庭等応援サポートセンターと関係機関等との調整に要する経費の増を見込むとともに、効果的な支援者向け研修の実施や家計管理、生活支援講習会の増など、事業の充実を図ることとしまして、令和4年度当初予算案に盛り込んだところでございます。
〇小西和子委員 コロナ禍でなかなかうまく進んでいないというようなお話がありましたけれども、次年度こそしっかりと目標の事業を行っていただきたいと思います。
 次です。先ほどもお話がありました相談件数が1、054件と大幅にふえました。ワンストップで対応しているものと思われますが、相談者の満足度をどう捉えているのか伺います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 相談者の満足度についてでございますけれども、ひとり親家庭等応援サポートセンターでは、相談者の意向を伺いながら、必要に応じまして、地域の専門機関につないでおりますほか、状況によっては相談者に同行するなど、相談者に寄り添った対応に努めているところでありまして、具体的には、相談者や家族が福祉制度を利用するために市町村へつなぐ、あるいは養育費や年金受給に関する相談については弁護士につなぐなどの対応を行っているところでございます。
 このサポートセンターでは、その特性上、アンケート等により満足度を図るのが難しいと考えておりますけれども、今年度は、委員からも御紹介がありましたとおり、相談件数が大幅に増加しているところでございますので、引き続き相談者の意向を踏まえ、相談者に寄り添い、満足されるような対応に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 大変大幅にふえているということでありますので、本当に相談員が2人だけで間に合うのかと思っておりました。
 それから、相談受付件数のところで、DV、虐待が51件とありますが、配偶者暴力相談支援センターにつないでいるのかどうか。それから、医療、健康ということも256件もあります。これも先ほど答弁されたように、関係機関につないだのかどうか。これは日向特命参事兼次世代育成課長ならばすぐ答えられると思いますので、お願いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 先ほど御答弁申し上げたとおり、可能な限り、相談者の意向を伺いながら、寄り添った対応をしていくということを基本としております。
 配偶者暴力等につきましては、緊急性の高い事案ということもございますので、関係機関と調整の上、支援をしていると考えておりますし、あとは医療機関等につきましては、状況によりまして、同行して受診を支援する、あるいは新たな福祉制度につなぐなどの取り組みをしていると考えております。
〇小西和子委員 同行支援もあるということですから、ますます相談員が2人では間に合わないのではないかと思われました。それぞれ必要なところにつないでいるという答弁でしたけれども、2020年9月にひとり親家庭等応援サポートセンターが設置されたのですが、その後なかなか広報されないと思って、実は私、誰にも頼まれなかったのですけれども、私の県議会だよりで、それも七、八カ月たってから、ひとり親家庭等応援サポートセンターというのがあるのですよというのをお知らせしました。
 そうしたところ、それを見た方の何人がそれで相談したかわかりませんけれども、その中のお一人から苦情のメールがきたのです。中身までは言いませんけれども、こういう相談をしたならば、そんなのはうちの子供だって同じだから我慢させてというような答えだったというのです。非常にショックを受けると同時に、それがひとり親家庭等応援サポートセンターの対応なのかということで、なぜか私が叱られましたということで、大方は満足しているかもしれませんが、そういう方もいらっしゃったということを報告しておきます。
 9圏域にひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設立し、相談窓口を設け、スーパーバイザーを配置するということでありましたが、見通しはどうなのでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭等サポートネットワーク会議でございますけれども、各地域におきまして、困難を抱えるひとり親の方々がどの窓口に相談しても専門の機関につなぐことができる体制を構築するために、各圏域にひとり親家庭等サポートネットワーク会議を設置することとしております。
 社会福祉法人岩手県社会福祉協議会にありますひとり親家庭等応援サポートセンターがその各地域のネットワーク化を支援する役割を担うということとしております。
 当初は、今年度9圏域でのひとり親家庭等サポートネットワーク会議の設立を見込んでおりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響により、3圏域での開催となったところでございます。
 その他6圏域につきましては、開催に向けまして、開催方法やその時期について、関係機関と調整を図っているところでございますので、早い段階で開催できるものと見込んでおります。
 地域によっては、人材や支援団体等が異なりますことから、各地域の実情に応じて効果的な支援体制となるよう、関係機関と連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇小西和子委員 相談を受けたことについて、ワンストップで答えられるようなスーパーバイザーを配置しなければいけないと思うのですね。そのために9圏域にしたのではなかったでしょうか。最初はワンストップということで1カ所だけはつくりますよということで、予算もそのようについたのですが、査定の段階でその予算が半額に減って、全県、9圏域で対応しますよというふうになりました。ですから、スーパーバイザーを配置しなければ、今までの4万人も対象にした実態調査をする前と何ら変わりはないのではないかと思いますけれども、9圏域の窓口にスーパーバイザーをきちんと配置できるのですか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 スーパーバイザーにつきましては、基本的に、常日ごろからひとり親家庭の方々から相談を受けている広域振興局等をその役割として想定しているところでございます。ただ、そこだけではなくて、多くの関係機関の皆様から支援をいただき、あるいはそのネットワーク化を図って、地域で相談ができるような体制にしていきたいということでございます。
〇小西和子委員 以前と変わらないのではないかと私は思います。ひとり親家庭等サポートネットワークを立ち上げるというのが新たな試みなのかなと。
 振り返ります。2018年、2019年は実態調査をしてまとめて、それで公的支援につながっていないことというのが大きな課題だというふうに捉えました。2020年9月、ひとり親家庭等応援サポートセンターを岩手県社会福祉協議会が委託を受けて設置しました。現在、9圏域中、二戸圏域、宮古圏域、久慈圏域しかひとり親家庭等サポートネットワーク会議を開催していません。
 コロナ禍がコロナ禍がと言いますけれども、長野県ではコロナ禍こそひとり親がすごく困窮しているということで、コロナ禍における子供の貧困についてということで、令和3年6月4日に調査をして、さらにさまざまな対策を講じております。今、ウェブ会議とかオンライン会議とか私たちもやっていますから、ぜひそういうことも活用して進めていっていただきたいなと思います。
 野原保健福祉部長にお伺いしたいのですけれども、この間のひとり親家庭をめぐるさまざまな取り組みについて、ひとり親家庭の幸福度は向上したと考えますか、お伺いいたします。
〇野原保健福祉部長 委員からもこれまでの取り組みを御紹介いただきましたけれども、私どももひとり親家庭の方々、特にコロナ禍にあって、1人でもきちんと支援につなげて、幸福度を上げていくということを目的に取り組みを進めております。
 先ほどおっしゃった満足度といった形で幸福度が上がっているかどうかというのを、我々も定量的になかなか十分把握し切れていないところではあるのですけれども、現況確認等の場を通じまして、その状況については把握に努めてまいりたいと思いますし、さまざまなこの新型コロナウイルス感染症に関する経済指標なども、今後、分析を進めまして、状況把握に努め、また、たくさん相談いただいておりますので、その内容についてもさらに具体的な検討を進めまして、きめ細かな支援につなげてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
 では、二つ目です。生涯を通じた女性の健康支援事業についてお伺いいたします。
 一つ目、若者のライフプラン形成を支援するため、県内の高校生、大学生年代が妊娠、不妊の正しい知識を得る機会を提供するため、普及啓発冊子の配布に取り組みますとありますけれども、2年前にも冊子を配布したという話を聞きました。その際の生徒たちの反応はどうだったのかと、この冊子に対する学校現場の声を聞いたことがあるか伺います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 ライフプラン啓発冊子についてでございますけれども、令和2年度に啓発事業としまして、ライフプランを考えていただけるよう、県内の高校生を中心に、妊娠、出産の基礎知識や不妊に関する知識等をわかりやすく漫画で啓発する冊子を各学校の理解、協力を得まして、約2万5、000部配布をしたところでございます。
 配布後のアンケートにおきましては、妊娠、不妊に関する正しい知識を得られた、意識変容があったと回答した割合が高くなっておりまして、こうした結果からは、ライフプランの形成や正しい知識の普及啓発に一定の効果があったものと考えております。
 また、特定の学年のみならず、全校生徒に配布したいとして、追加配布を希望する学校の声もありましたことから、有意義に活用していただいたものと考えております。
〇小西和子委員 最初に追加配布した学校はどこですか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 追加配布につきましては、具体的な学校名といたしましては、県立伊保内高等学校等がありまして、そちらから1学年分のみならず、全校生徒に配りたいという声がありまして、追加で配布をしたものでございます。
〇小西和子委員 県立伊保内高等学校だけということですね。
 この冊子はどういうものかといいますと、早く子供を持たないと、ここに登場するお姉さんという方が30歳ですが、30歳でもう不妊治療を受けなければならないというような内容で、何年か前に国のほうでそのデータを歪曲して、早く妊娠しなければ産めないよというのを発出したことで、それが間違っているというので回収したこともあったのですけれども、教員から聞いてみたら、出産環境を整備することが先だろうと。安心して出産できる地域が余りにも限られています。
 それから、子育てや教育にお金がかかり過ぎる。国立社会保障・人口問題研究所の調査でも、理想の子供を人数どおり持てない理由に、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからというのが56.3%もあったということを言っていますし、あと、中学校の保健体育の教員にも聞いてみました。中学校では妊娠についてはファジーにぼんやりとしか教えないそうです。
 それはなぜかというと、学習指導要領の中で、そんなことは自然に覚えるものだと、何代か前の総理大臣が言ったがために、全然そこから進んでいなくて、性教育がかなりおくれているのです。ですから自分の身を守ることもきちんとできないということになっています。ですから、高校1年生と高校3年生に配るのでしたね。高校1年生の生徒がそこを見たら、もう中学校のときの性教育からぽんと妊娠のほうまで行くので、びっくりすると思いますよというふうなことでした。
 それでは、コロナ禍で女性に影響が出ていることを認識しているでしょうか。今、必要なことは、デートDV対策や望まない妊娠を防ぐための対策ではないのでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 コロナ禍での女性への影響についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、ストレス等による女性への影響が懸念されておりますことから、県としましても、特にDV相談件数の推移について注視しているところでございますが、配偶者暴力相談支援センターに寄せられました本県のDV相談件数を各年度1月末現在で比較いたしますと、令和元年度が1、887件、令和2年度が1、557件、今年度が1、640件でございまして、顕著な変化は見られていないほか、全国的に見ても同様の状況にあると認識をしております。
 相談件数には大きな変化はございませんけれども、新型コロナウイルス感染症の長期化によりまして、顕在化していないさまざまな影響も懸念されますことから、引き続きこうした動向を注視するとともに、市町村や女性支援を行っている団体を通じた実態把握に努めていきたいと考えております。
 また、デートDVへの対策といたしましては、岩手県男女共同参画センターによる中学生や高校生等を対象としました出前講座を実施しております。今年度は1月末現在で13カ所、中学校、高等学校等において1、481人を対象に普及啓発を図ったところでございます。
 また、望まない妊娠等の対応についてでございますが、県では、各保健所を女性健康支援センターとして位置づけまして、女性特有の心身の悩みの相談に対応するとともに、保健指導、健康教育を実施しております。若年層からの思春期相談についても受け付けておりますが、産婦人科医や助産師等が学校に出向く講演会等を開催しておりまして、こうした取り組みを通じて、デートDVや望まない妊娠の防止に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 質問を短くしようとしているのかもしれませんが、答弁が長い。
 SNSを利用した犯罪ももう岩手県でも起きていますので。
 最後。この事業はリプロダクティブ・ヘルス/ライツというのがありますよね。国連で決めたものですけれども、子供を産むかどうか、いつ産むか、どれくらいの間隔で産むかなどについては選択できて、みずから決定することができます。この事業はリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点を重視したものかどうか伺って、終わります。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 リプロダクティブ・ヘルス/ライツでございますけれども、今、委員から御紹介のあったとおり、妊娠、出産等について情報が得られ、自分で決めることができること、生涯を通じた健康の管理、保持ができることとされているところでございます。
 生涯を通じた女性の健康支援事業につきましては、先ほど申しました女性健康支援センター事業や、不妊専門相談センター事業、妊娠、不妊に関する正しい知識の普及啓発など、四つの事業で構成されておりまして、こうした取り組みはリプロダクティブ・ヘルス/ライツの理念に沿ったものと考えております。
〇軽石義則委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇工藤勝子委員 岩手県医師確保計画についてお尋ねいたします。
 岩手県における医師不足は今に始まったことではありません。長年にわたって確保対策に取り組んでこられました保健福祉部の皆さんには、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思っております。
 その中で、令和2年度を初年度として、令和5年度まで4年間として計画を策定されております。関係法令や医師確保計画ガイドラインを踏まえたものとしてあります。
 資料によりますと、県全体の医師数は現在2、458人、目標医師数は2、817人。確保すべき医師数は359人、二次医療圏ごとの目標医師数は2、592人で、確保すべき医師数は134人となっている。これは、全国都道府県、また二次医療圏ごとの人口10万人当たりの下位33.3%を上回るための数字となっております。
 計画においては、令和5年度に二次医療圏ごとの目標医師数の確保を優先し、地域偏在の解消に取り組む方針を示しております。
 その中で、盛岡医療圏以外の8圏域は、医師数の少数区域であります。具体的な施策として、医師の養成、確保及び定着医師の偏在対策等が挙げられておりますが、令和5年度目標の中で医師確保状況と対策、その課題についてお伺いいたします。
〇中田医務課長 医師確保の状況と課題についてでございますが、医師確保計画では、委員から御紹介がありましたとおり、全国最下位であります医師偏在指標に基づく都道府県順位を下位3分の1から脱却させることを目標としており、奨学金養成医師の配置や即戦力医師の招聘などにより、令和5年度までに266人の医師を確保する見込みとしておりますが、令和2年度の実績は、奨学金養成医師の県内従事者134人、即戦力医師招聘23人の計157人。令和3年度の実績見込みは、奨学金養成医師の県内従事者165人、即戦力医師招聘25人の計190人であり、着実に増加はしていますものの、いずれの年も計画上の見込みを12人下回っております。
 引き続き、医師の絶対数の確保に加えまして、地域偏在、診療科偏在の解消を図る必要があると認識しており、計画目標達成のため、今後とも、年々増加が見込まれます奨学金養成医師の計画的な配置や即戦力医師の招聘の取り組みを重点的に取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 奨学金養成医師という枠を設定いたしまして、これまでも医師の養成確保に取り組んでこられたと思っています。また、新たに東北大学医学部にも地域枠2名を設置される等のこともございました。今後、医師が充足されるとは思いますが、地域偏在や不足している周産期医療を担う産科医や小児科の改善につながるのかどうかお尋ねしたいと思います。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 医療圏ごとの現状と課題についてでございますが、多くの産科診療所があります盛岡・宮古周産期医療圏におきましても、分娩の取り扱いを中止して妊産婦健診などを提供している診療所もふえるなど、他の周産期医療圏と同様に、全県的に分娩取り扱い医療機関は減少しているという状況でございます。
 特に気仙・釜石地域と久慈・二戸地域の周産期医療圏では、分娩可能な産科診療所はなく、周産期母子医療センターである県立病院において、全ての分娩に対応しているなど、周産期母子センターを中心として地域の限られた医療資源のもとで、安心、安全な体制を確保していくことが重要な課題であると認識しております。
〇工藤勝子委員 今、お話がありましたように、産科医の確保状況でありますけれども、現在、岩手県内で102名と資料にはございました。その中で確保すべき目標数は125名と、産科医の不足から、釜石保健医療圏、胆江保健医療圏で出産ができなくなりましたし、そういう形の中で診療だけという形にもなりました。4周産期医療圏の中で、岩手中部・胆江・両磐、気仙・釜石、久慈・二戸、この3圏域では非常に不足している状態です。特に問題は、岩手中部・胆江・両磐の地区ではないかと認識したところでもあります。
 この中で、医師養成事業の中で産科医を選択していただくための対策を検討すべきではないかと思いますが、この点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
〇中田医務課長 産科医師の確保でございますが、産科医の確保につきましては、全国的にも大変厳しい状況であり、県では周産期医療体制確保に重点的に取り組むため、医師確保計画に定めます産科医の目標医師数につきましては、全国平均水準に増員する目標を掲げた取り組みをしているところでございます。
 これまでも産科等を選択した奨学金養成医師の特例配置などによりまして、産科医の養成、確保に取り組んだところであり、自治医科大学を含む奨学金養成医師のうち、産科を選択した医師は11名となっておりまして、徐々にではありますが、増加しているところでございます。
 県におきましては、奨学金におきまして、産科特別枠を設けたり、そういった対策を進めておりますが、産科診療所新規開設、あるいは施設改修、設備導入の支援等とあわせまして、地域で勤務する産科医の招聘につきましても、重点的に取り組んでいるところでございます。
〇工藤勝子委員 なかなか難しい問題だと私は捉えております。そういう中において、私が県議会議員になったときに、県立遠野病院で出産ができなくなりました。私の公約でもありました。ぜひ産婦人科の先生を遠野地域に頑張って呼んできますと言いましたけれども、公約違反しております。
 医療機関に行ってお話を伺ったときに、非常にリスクの高い高齢出産もふえていると。そして、個人的に保険をかけている。もちろん県でもそれを助成しているというお話もございました。
 そういう中において、これからはそういう保険制度にもう少し県が上乗せをしてやるような対策を取っていくべきではないかと、私は考えたところでもあります。
 そういう中において、地域枠養成医師として岩手医科大学の総合周産期母子センターの特例配置状況についてお伺いしたいと思います。地域枠1人と伺っておりますが、この枠をふやすことができないでしょうか。
〇中田医務課長 地域枠の産科医に係る特例についてでございますが、令和2年度から、産科及び小児科を選択しました地域枠養成医師を対象に、養成医師のキャリア形成を充実させるとともに、周産期医療体制の充実にも資するよう、1年に限り岩手医科大学の総合周産期母子医療センターでの勤務を義務履行として認める配置特例を設けているところでございます。
 これまで、特例によりまして、委員から御紹介ありましたが、総合周産期母子医療センターにおいて勤務しました産科医は、令和2年度、3年度とも1名ずつでございまして、令和4年度も1名が勤務する予定となっております。産科を選択する医師は、徐々にではありますが、ふえてきております。また、周産期母子医療センターへの配置も進めておりまして、そういった全体的な兼ね合いの中から1名という状況になっておりますが、今後、産科医をふやしていく過程の中で対応を検討してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、産科医師を補助すると申しましょうか、医療の中で支えてくれる人はやはり助産師ということが非常に大事になってくると思っております。その助産師の確保状況についてお伺いいたします。
 周産期にかかわる医療従事者として、助産師、看護師等の人材の確保もとても重要と考えております。中でも、妊娠から出産、それから出産後に鬱になる人も多いわけですが、母親のいろいろな精神面とか、育児相談等、助産師の果たす役割はとても重要で、大きな役割を担うと思っております。
 現在の助産師の県の状況、人材の把握についてお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 岩手県内におきます助産師の現状と確保の状況でございます。
 県内の就業助産師数は、令和2年は390人と、平成30年から11人減少したものの、平成20年の323人と比較しますと67人増加しており、近年は400人前後で推移しているところでございます。人口10万人当たりの助産師数を見ますと、令和2年は、岩手県が32.2人と、全国の30.1人を若干でありますが上回っているところでございます。
 また、確保状況につきまして、県内大学等の助産師課程卒業者の状況でお答えしますと、平成31年3月卒で24人中12人、令和2年3月卒で22人中13人、令和3年3月卒で16人中11人が、それぞれ助産師として県内に就職しており、毎年、半数から3分の2程度の卒業生が県内に定着しているところでございます。
〇工藤勝子委員 その中で、潜在助産師の復職支援状況もあると聞いております。助産師を目指す学生への就学資金の状況についても、あわせてお伺いいたします。
〇中田医務課長 助産師の復職支援の状況でございます。助産師の復職支援につきましては、助産師を含む看護職員を対象に、岩手県看護協会で運営します岩手県ナースセンターによるきめ細かなマッチング支援を行っているほか、育児休業中の助産師等を対象に、復職後も働き続けるための研修を実施するなど、事業に取り組んでいるところでございます。
〇工藤勝子委員 いろいろ資料を見ると、安心して子供を近場で産める状況というようなことも書かれているわけですけれども、非常に難しい問題もあると思っております。
 そういう中において、産後ケア利用促進事業というのを今度創設されると伺っております。また、市町村における産後ケア事業の拡大を促進していくということで、市町村との協議というものを、今後どのように進めていこうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 産後ケアの充実についてでございますけれども、令和4年度岩手県一般会計当初予算案におきまして、産後ケア利用時の補助制度を設けることとしております。
 この補助制度の創設に当たりましては、市町村等からの要望なども踏まえまして、事業を構成しようというところでございますけれども、各市町村においてはさまざまな取り組みがされているところでございますので、引き続き市町村から御意向を伺いながら、県としても取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 市町村で取り組む産後ケア事業の拡大ということで、県としてもしっかりと相談なり、人員の配置なり、いろいろなところで協力していただかないと、市町村も財政的に厳しいわけで、なかなか助産師を市町村独自で採用するというようなことが厳しい状況ではないかと思っておりますので、その辺のところもしっかり対応していただきますようお願い申し上げたいと思っております。
 コロナ禍の中で、子供を産み育てることを非常にためらっている若い人たちがいらっしゃると聞いております。そういう中において、直近の合計特殊出生率についてわかりましたらお尋ねいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 本県の合計特殊出生率につきましては1.33%となっておりまして、全国平均を若干下回る状況でございます。
〇工藤勝子委員 今お話聞きましたように、1.33%と全国を下回っているということで、年々生まれてくる子供の数が少ないことが目に見えてわかっております。せめて岩手県として全国を少しでも、0.1%でも上回るようなことをしていかなければいけないと思っております。
 子供の出生率が年々低くなっていく状況から人口減少が起きているわけであります。今後の社会経済、また、社会保障等に与える影響が非常に危機的と私は捉えているところであります。どういう形でこれを強化していくかということは非常に難しいことでありますけれども、それぞれの各部署でしっかりとこの人口減少対策に取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。そうすると保健福祉部では、それぞれの地域において、今しっかりと集約されているわけですけれども、そういう中でさまざまな搬送における事業とかも生まれてきております。ハイリスクに対する対応もできております。
 いろいろな形の中で、若い女性の方々が子供を産んで育てたいと思うような環境づくりをしていただかなければいけないではないかと私は思っております。岩手県はそれをどのように危機として捉えているのかというようなことです。そして、やはり対策を強化していくということが非常に大事であり、その成果というものもしっかりまとめていくことも必要ではないかなと思っています。
 最後に野原保健福祉部長に、このいろいろなこれからの人口減少社会における保健福祉部としての果たす役割についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
〇野原保健福祉部長 委員から御指摘があったとおり、出生率の低下によりまして、人口減少が進むことで、労働力供給の減少、地域や社会の担い手の減少などさまざまな社会的な影響が出てくると考えております。
 出生率の向上に関しては、社会的、経済的なさまざまな要因が有機的に関連しておりますし、何よりも委員からもお話があったとおり、子供を産み育てやすい環境づくりが重要でございます。
 当部は、特にその中でも結婚、妊娠、出産、子育て、こういった分野でさまざまな福祉的な施策や支援の施策、医療の体制づくりなどを行っているところでございます。
 このたび、全庁的に、また官民一体となって子育て支援を行うようないわてで生み育てる支援本部を設置したところでございまして、これに加えて、子供を産み育てやすい、働き方、雇用、保育環境、こういった部分については、これまで我々が取り組んでいた以外の労働施策とか、また民間の取り組みとの連携というのが、今後ますます必要だと考えております。
 こうした意味で、我々保健福祉部がコアとなってやっていく気づき、やらなければならない部分を引き続き重点的に取り組むとともに、こうした働き方改革でありますとか、共同参画の部分であるとか、他部局と連携して取り組まなければならない分野についても、連携をして、この少子化対策に特に取り組んでまいりたいと感じております。
〇千葉盛委員 それでは、医療事故調査制度について質問いたします。
 県立病院で数年前に亡くなった患者の遺族の方と話をする機会がありまして、医療局でも質問いたしますけれども、まず保健福祉部に質問いたします。
 この制度は平成27年10月から始まりまして、医療法に基づき、予期しない死亡の原因を調査し、再発防止を図る制度でありますけれども、趣旨や内容がまだしっかりと県民に伝わっていないと感じますが、県では医療事故調査制度について、医療機関や県民に適切に活用されるようにどのように周知し、普及に向けて取り組んでいるのか伺います。
〇中田医務課長 医療事故調査制度の周知、普及についてでございますが、医療法に基づく医療事故調査制度は、医療事故が発生した場合、医療機関において必要な調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関であります医療事故調査・支援センターが集積し、分析、検討を行うことにより、同じような死亡事例が生じないよう、再発防止策の提言を行うことを目的とした制度となっております。
 本制度の周知につきましては、国から委託を受けて、医療事故調査・支援センターが行なっており、医療事故の再発防止に関するポスターやリーフレットを作成し、各医療機関に掲示を促しているほか、同センターホームページなどにより普及が図られております。
 県としましても、ポスターの掲示やリーフレットの配架など、センターの普及活動に協力しておりますが、今後におきましても、県ホームページで制度紹介や県が設置します県民医療相談センターを通じた周知など、普及の強化に取り組んでまいります。
〇千葉盛委員 次に、医療事故制度に関する管理者向け研修への参加の状況はどのような結果になっているのか。また各病院の病院長は参加しているものなのか。特に県立病院の院長は参加しているのかお伺いいたします。
〇中田医務課長 医療事故調査制度に関する管理者向けの研修会についてでございます。
 医師である医療機関管理者及び実務者を対象に、医療事故調査に係る知識及び技能の習得などを目的としまして、医療事故調査・支援センターが公益社団法人日本医師会に委託し、実施しているところでございます。
 令和2年度の受講者数は全国で1、204名、うち医師が563名となっているところでございます。
 なお、この研修は、直接医療機関から日本医師会に申し込むため、県内の各病院がどの程度参加しているかは把握しておりませんが、県立病院におきましては、病院長を初めとした幹部職員が参加していると聞いており、引き続き研修開催についての周知を図り、参加の促進を図ってまいりたいと考えております。
 また、県では、医療事故の再発防止には、平時から医療安全に関する情報や事例を関係者で共有し、連携して取り組むことが重要と認識しており、各保健所が開催しております地域医療安全研修会などにおきまして、医師や医療従事者を対象とした講演会などを実施しており、医療機関の取り組み推進、医療安全の確保を推進しているところでございます。
〇千葉盛委員 その参加状況は把握できていないということでありますけれども、その辺も県としても連携協力してやっていくということであれば、もう少ししっかりと把握されて、この制度のあり方を病院に対しても普及させていくべきではないかと思うのですけれども、その辺をもう一度御答弁お願いします。
〇中田医務課長 委員御指摘のとおり、我々も医療相談の中で、さまざまそういった県民からの相談を受けてございます。各医療機関とも協力しまして、その辺の窓口の体制とか、そういった研修の受講体制につきましても、把握するよう努めてまいりたいと思います。
〇千葉盛委員 保健所では医療法第25条第1項の規定に基づき、医療機関の立入検査実施の際、医療機関が医療事故調査制度に該当する医療事故を、医療事故調査・支援センターに報告しているかどうか、どのように確認し、指導をしているのか。また、報告件数は都道府県によって大きな差が生じているようですが、県内の医療機関から今まで何件の報告がなされて、他県と比較してどのような状況なのかお伺いいたします。
〇中田医務課長 医療事故調査・支援センターへの報告件数でございますが、各地域の保健所が定期的に実施しております病院等への立入検査におきまして、医療安全管理体制等について、検査し、必要に応じて指導を行っており、この立入検査の中で医療事故の状況についても確認をしており、不適当な報告があった場合には指導することとなっておりますが、これまで指導を行った事例は報告されていないところでございます。
 医療事故調査制度により報告された件数は、直近ですと、平成27年10月から令和4年2月まででございまして、全国で2、286件、そのうち東北では150件となっております。県別の件数につきましては、毎年、年報で公表されており、令和2年度の年報で言いますと、本県の件数は17件、東北地方では、福島県が35件、宮城県が23件、山形県が19件、青森県、秋田県が各15件となっているところでございます。
〇千葉盛委員 東北6県の報告件数自体がそんなに多いほうではないと思いますので、その中でも少ない岩手県という状況ですので、そういった意味で、この制度をもう少ししっかりとやってほしいと思います。次の質問をいたします。
 厚生労働省の通知では、遺族等から医療法第6条の10第1項に規定される医療事故が発生したのではないかという申し出があった場合であって、医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明しているかを確認し、指導を行うとありますけれども、保健所ではこれをどのように確認しているのか。実際、先ほど指導が行われてないということでしたけれども、そういう指導が行われているケースはあるのかお伺いいたします。
〇中田医務課長 遺族等に対する説明についてでございますが、委員御指摘のとおり、遺族から医療事故制度に基づく医療事故が発生したのではないかという申し出があった場合で、医療事故に該当しないと判断した場合、病院等の管理者は、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明する必要がございます。
 各地域の保健所が病院への立入検査をする際、重点事項としまして事故等の事例報告について聞き取り調査を行っているところであり、保健所からはこれまで立入検査の結果、指導を行った事例はないと聞いております。
〇千葉盛委員 いろいろな遺族の方がいまして、医療事故を制度として認めてもらえないので、病院で相談するのだけれども、結局は該当しないのでと、丁寧な説明がないという話があるというのは多分御承知だと思うのですけれども、指導のケースがないというのは、そもそも病院で遺族から相談があっても、そこでとまっているからだと思うのですけれども、そういったところは県としてどういうふうに認識されているのか。保健所もそのとおり指導がないというところで、もう終わってしまうものなのか。御答弁、よろしくお願いします。
〇中田医務課長 委員の御指摘でございますが、こちらの制度は医療法に基づきまして実施をされておりまして、いわゆる予期せぬ死亡あるいは死産を対象としておりまして、そこは医学的な医師の判断に基づくということで、報告につきましては、医師である病院管理者が判断するということでございます。
 基本的には、医療機関では、医療に係る安全管理のための医療安全管理委員会を設置しまして、重大な案件については、その委員会の中で検討されていると考えておりまして、そちらの判断により報告に至っていないと認識しているところでございます。
〇千葉盛委員 病院と患者との話になってしまって、この制度をもう少し上手に使っているというか、一生懸命な都道府県では報告件数も多いですし、それによって病院と遺族との関係性も悪化していないというか、悪くないという状況も見られますので、しっかりとやっていってほしいのですけれども、医療局の審査でも質問しますので、最後に野原保健福祉部長にお伺いしますけれども、制度があっても、遺族へのわかりやすい説明もなく、病院が事故と判断しないために調査が進まない現状もあります。病院の判断にかかわらず、遺族の要望で調査できるようにするなど、制度のあり方を見直す必要があるのではないかという意見もありますが、県としてどのように考えるのか所見をお伺いいたします。
〇野原保健福祉部長 先ほど中田医務課長から申し上げましたとおり、医療法に基づいて、病院等の管理者は、医療に係る安全管理のための医療安全管理委員会を設置し、医療事故等、重大な問題等が発生した場合に速やかな原因の究明のための調査や分析を行い、必要な対策を講じることとなっております。
 また、医療事故調査制度については、医療に起因をし、または起因をすると疑われる死亡または死産に対し、管理者が予期しなかったものについて調査対象としており、医学的な知見を持つ医師等で構成される医療安全管理委員会での検討を踏まえて判断を行うものとされております。
 本制度の趣旨については、どちらかというと再発防止というところにきちんと重きを置かれておりまして、責任追及を目的としたものではないことから、遺族側から医療事故調査・支援センターに対し、医療事故が発生したことを報告できないこととされておりまして、委員御指摘のような御意見があることは承知をしておりますし、我々も課題として捉えております。
 一方で、この制度は、国が制度設計しているところでございますので、県としては、まずは各医療機関に設置する医療相談窓口等を通じまして、遺族側に寄り添った丁寧な説明、我々医療相談でさまざまやっておりますけれども、遺族とのコミュニケーションが一番基本的な部分でございます。丁寧に御遺族に説明をし、その中でこういった道、ほかには、やはり法テラスの活用であるとか、我々も医療相談の窓口を持っております。そういったさまざまな機関を通じて連携をして、寄り添った対応ということを我々も心がけてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時5分 休 憩
午前11時17分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千葉絢子委員 それでは、私からは大きく3点お伺いいたします。
 まず遠隔診療、オンライン診療について伺います。 過日の報道によりますと、北上市では、来年度からICTを活用した遠隔診療サービスを導入する方針を固めました。看護師が患者の自宅に出向き、離れた場所にいる医師がオンラインで診察する仕組みを想定しているとのことです。県内には病院のない自治体や、病院までのアクセスが困難な地域が相当数あり、高齢者や障がいのある人、また乳幼児や症状がひどく、病院にまで出向けないひとり暮らしの人、感染症など、あらゆる困難を抱える人からのニーズがあることが考えられますが、県内の導入状況、診療報酬に関する諸課題を踏まえた導入の可能性や方向性について伺います。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 遠隔診療の導入状況、導入可能性、方向性についてでありますが、県では、医療資源の不足や地域偏在を是正し、質の高い医療を提供するために、県全域を対象とした遠隔診断支援を目的としたシステムの整備、運用が大きな役割であると認識しておりまして、これまでに遠隔病理画像診断システムやテレビ会議システムを活用した小児周産期医療遠隔支援システムなど、岩手医科大学と地域中核病院間の病病連携に資するシステムを整備し、運用してきたところでございます。
 地域における遠隔診療の取り組みとしましては、委員御指摘のとおり、北上市で早ければ令和4年度に遠隔診療サービスの実証試験を実施する方針であるほか、八幡平市でも病院と診療所との間での遠隔診療の実証試験を実施していると承知しているところでございます。
 また、遠隔診療に関する課題につきましては、得られる情報が視覚や聴覚に限られるということや、診療報酬が対面での診療に比べ低く設定されているため、医療機関の経営面でのメリットが乏しいこと、必要な資機材に係る費用負担などがあるというふうに認識しております。
 県といたしましては、遠隔診療に係る全国の先進事例について情報収集を行ないまして、その有用性について十分検討していくほか、今後も県内の医療の均てん化の観点から、県全域を対象としたシステムの活用によりまして、地域の限られた医療資源を効果的に活用し、安心して質の高い医療を受けられる体制の確保を進めていくと考えています。
〇千葉絢子委員 先日御説明いただいた資料では、病院間の情報共有とか、あとはその医療的ケア児のオンラインでの診察というところは随分進んでいるようですけれども、医療過疎地域の患者、利用者をどうしていくかというところの議論はなかなか進んでいないのではないかなと思っております。
 そもそも、このオンライン診療は、何らかの理由で病院まで簡単にアクセスできない人に対してどうするかということで、岩手県の場合は医療の均てん化というようなことも考えて、県立病院が各地にありますけれども、面積がとにかく広いこと、それから山間地も多いというところで、この訪問診療システムとか、オンライン診療のシステムを構築するまでの間に、アクセス支援とか、そういったところを充実させていく、何らかの方策を取っていかなければいけないと思いますけれども、この方策については今、どの程度検討されているのか伺います。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 アクセス支援等のお話でございますけれども、具体的には、まだ十分検討は進んでいないという状況でございます。
 周産期の話で申しますと、県ではハイリスクの妊産婦に対して、アクセス支援の交通費等を支給しているという状況はございますけれども、一般的なアクセス支援のところまでは、まだ検討がなかなか進んでいないところでございます。
〇千葉絢子委員 ハイリスクの妊産婦の件は私も存じておりますし、2月定例会でもいろいろやり取りされている経緯も存じておりますが、ただ、一般的な患者の方々の足とか、医療サービスへのアクセスをどうしていくかというところも本来考えなければいけないところで、そこを政策的にもう少し考えていただきたいということであります。
 確かに、ハイリスク妊産婦とか医療ケアというのはわかりやすくて、しかも、それは小額で済む部分もありますけれども、この広い県土でどうやって県民の健康の分野での幸福度を上げていくかというところを、もう少し政策的にアプローチしてほしいという要望を、来年度以降に期待したいと思います。
 先日行われました奥州市長選挙で当選なさった新しい市長が、オンライン診療の導入についても検討を始めるというようなことをお話しになっていました。北上市だけではなくて、ほかの市町村もやはり医療的ニーズに、どの程度応えていくかということに関して、オンライン診療もかなりの選択肢に入ってきているのではないかということがうかがえるわけです。
 診療科とか、医師の地域偏在が、本県で非常に大きな問題になっております。そうした中で、この医療資源を確保するために、北上市は内閣府の地方創生SDGs官民連携プラットフォームのマッチング支援というものを使ってやっているようですが、岩手県もこういうSDGs官民連携プラットフォーム、国の支援メニューなどを使って、ちょっと模索してはいかがかと思いますが、この件について、野原保健福祉部長、いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 委員から御指摘がございました地方創生SDGs官民連携プラットフォームは、登録した会員が抱える課題や実現したいこと、会員が持つノウハウを観覧、利用できるサービスであり、そういった会員間のマッチングをサポートする仕組みと承知しています。
 県では、先ほど答弁しましたとおり、県全体で、どちらかというと専門医が偏在していますので、専門医師同士でサポートする、それで患者に利益するというふうな仕組みを模索してまいりました。委員から御提案あった北上市や奥州市は、かかりつけ医、地域包括ケアの中で医師や訪問看護ステーションやケアマネジャーなどが患者のために医療とか介護にさまざま支援していく、そのために情報共有していく。
 その中で、コロナ禍にあって、ちょうどオンライン診療というのがやっと診療報酬で評価されるようになってきた。これまではなかなかオンライン診療はハードルが高かっただけでなくて評価も低かったのです。これでもうオンライン診療は当たり前になってきましたので、まさに診療報酬のほうで、アクセス支援であるとか、そういったような部分を少し評価していただきたいと我々は考えていますし、岩手県などの場合は、まさにオンラインでいろいろな支援者が情報共有をして地域包括ケアをやっていくという仕組みは、まさにマッチしていると我々も考えておりますので、委員から御提案のあったこのサポートの仕組み以外にも、国のサポートの補助メニューとかいろいろありますので、そういったものはさまざま我々も不断に研究をして、全国の先進事例なども研究しながら、導入については我々も積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 もう3年にもなろうかという新型コロナウイルス感染症の対策で、皆様方には本当に御尽力いただいていることで、さらにこういったニーズもふえてきて、多様化していることに御対応をいただくのは本当に心苦しいと思っておりますけれども、県民のニーズにどう応えていくかというのは常に模索していかなければいけないと思っておりまして、そういう国のメニューとかも利用しながら、整備の方向を政策的に推進していっていただきたいなと思っております。
 次に、ACP─アドバンス・ケア・プランニングの推進について伺います。救急医療の現場におきまして、119番通報により駆けつけた救急隊が、現地に到着してから初めて、人生の最終段階にある傷病者が心肺蘇生などを望んでいないことを伝えられるという事例が全国的にも発生しております。このような場合、傷病者の救命を優先して心肺蘇生等を実施すべきか、あるいは傷病者の意思に沿って中止すべきかの判断を迫られ、救命するという救急活動の原則と、傷病者の意思とのはざまで救急隊や消防本部が苦慮する状況が報告されておりますが、県内でのACPの普及はどの程度進んでいるのでしょうか。
 また、このガイドラインを各地域や都道府県でつくって適用しているようですが、その運用上の課題、県内での実態、また法制化について、現場からのニーズについてどの程度把握しているかをお伺いいたします。
〇佐々木医療政策室長 ACP─アドバンス・ケア・プランニングの普及の状況でございます。
 本県におきましては、患者の希望する医療やケアを実現していくために、県医師会等と連携しながら、県民公開講座の開催、それから、人生の最終段階をどう迎えるかを考えるためのわたしの生きるノートを作成して、全市町村、医療福祉関係団体への配布など、全県への普及啓発に努めてきたところでございます。
 あわせて、そのガイドラインの適用上の課題、それから、県内の実態、法制化のニーズというところでございますが、国では、平成30年3月に、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインを改定いたしまして、医療・ケアのあり方、方針の決定手続を示したところでございますが、委員からお話のありました心肺蘇生等を希望するかしないかの意思決定であります、この心肺蘇生処置拒否─DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)の運用につきましては、制度的な枠組みがございませんで、国からも具体的な方針が示されていないという状況でございます。
 また、こうした中でも、救急医療現場では、このDNARの運用に直面せざるを得ないということもございまして、本県では、久慈広域連合、奥州金ケ崎行政事務組合、宮古地区広域行政組合の消防本部管轄区域内におきまして、関係機関のコンセンサスのもと、運用ルールの策定をしているというところもございますが、制度的な裏づけがございませんことから、国によるしっかりした枠組みづくりが求められているものと考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 県内救急病床における終末期の高齢者の病床の占有率について、救急現場から何か問題提起などがありましたらお伺いしたいと思います。
〇佐々木医療政策室長 県内の救急病床における終末期の高齢者の占有率の部分での医療機関からの問題提起でございますが、救急病床における終末期の高齢者が占める割合につきましては、具体的な数字は把握してないものの、救急搬送されました患者に必要な急性期の処置が行われた後は、症状に応じまして、慢性期の病床へ移送されているものと承知しております。
 現時点では、県内の医療機関から直接の問題提起等はありませんけれども、今般の新型コロナウイルス感染症を初めといたしました急性的な症状のある疾患が生じた場合に、このACPが行われていない場合に、本人の事前の意思が確認できないというようなこともありますので、本人の望む形での医療ケアが実現できないおそれがあるという指摘が、これは一般社団法人日本老齢医学会等で出されていると認識しております。
〇千葉絢子委員 令和4年1月に県立中央病院の運営協議会にお邪魔した際に、逆紹介率がふえていると。100%を超えるような紹介率になっているというデータも示されたわけでありまして、機能分化によって、急性期の治療を終えた後、慢性期の高齢者、終末期の患者を地域の病院にお返しする逆紹介が行われています。その際にACPに取り組んではいかがかというようなところを、かかりつけの先生に逆紹介状に書いていただくことで、ACPの普及というのがもう少し広がっていくのではないかと感じたのですけれども、そのような啓発普及のあり方はいかがでしょうか。
〇佐々木医療政策室長 ACPの普及啓発につきましては、重要な取り組みだと考えております。
 一方で、人生の最終段階におきまして、今はちょっと考えたくないとか、個々の患者がそれぞれ御意見をお持ちかと思いますので、その意見も尊重されるべきものであるということから、患者、御家族の意向をよく聞きながら進めていくということが重要だと考えております。
 このため、委員御提案の、医療機関、介護施設の患者及びその家族に対するACP理解を図る方法につきましても、終末期の患者が、最後まで自分らしく豊かな人生を過ごすための方策の一つとして参考とさせていただきながら、普及啓発の取り組みは、県医師会と連携してやっておりますので、引き続き、県医師会等と効果的な普及啓発について検討してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 最後に、自殺対策についてお伺いいたします。
 去年の自殺者は、県では200人を下回ったことで、過去最少、対策の効果だと受けとめているように感じておりますが、おととしは、人口10万人当たりの自殺率が、6年ぶりのワーストワンであったことを考えますと、まだまだ予断を許さない状況であることは十分認識されているのではないかと拝察するところです。自殺者の傾向や理由などに、新型コロナウイルス感染症の影響をどの程度見て取れているでしょうか。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 自殺者の傾向などへの新型コロナウイルス感染症の影響についてでございますが、統計的にまとめられたものはございませんが、コロナ禍の中、令和2年の全国の自殺者数が前年比増となりまして、男女別では男性が減少する一方、女性は増加となったところでございます。
 このことについては、おととし10月に厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センターがまとめたコロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)の中で考察が行われておりまして、報告書では、女性の自殺の背景には、経済生活問題や勤務問題、DV被害や育児の悩み、介護疲れや精神疾患など、さまざまな問題が潜んでおり、コロナ禍において、そうした自殺の要因になりかねない問題が深刻化し、女性の自殺者数の増加に影響を与えている可能性があるといった指摘がなされております。
 一方、令和3年の警察庁統計の暫定値、本県の自殺者数は前年比79人減の199人。男女とも前年比減となっておりまして、原因動機別では、男性、女性とも健康問題が最も多くなっております。
 自殺は、多様かつ複合的な原因や背景を有しておりまして、現時点で、本県の令和3年の結果について、特定の要因を挙げることは難しいところでございますが、新型コロナウイルス感染者数が他県に比べて少なく、社会経済的な影響や心理的な影響が少なかったと考えられることなども関係しているものと考えております。
〇千葉絢子委員 2016年に日本財団が実施した自殺意識調査というものがありまして、過去1年間、自殺未遂経験のある人は、推計で自殺者の20倍に上る53万5、000人だったというデータがあります。この自殺未遂の年齢別では、20代が最も多かったという結果が出ておりまして、自殺者数にはカウントされないけれども、未遂を繰り返す人、また自殺企図のある人についての傾向は把握していらっしゃるのか。また、その人が自殺を完遂しないための働きかけ、ゲートキープというのはうまくいっているかというところをお伺いしたいと思います。
 ちょっと気になるデータが、令和元年ですけれども、沿岸地域の久慈圏域、宮古圏域、釜石圏域、あと県北地域の二戸市で自殺率が上がっているのです。ここをちょっと心配しておりまして、こういったところへの働きかけ、本当にうまくいっているかというところを、もう一度見直していただきたいと思うのですが、認識をお伺いして、終わります。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 自殺未遂者の再度の自殺企図の傾向について、統計的なものはございませんが、厚生労働省の資料によりますと、自殺者数のうち、おおむね2割に自殺未遂歴があるとされておりまして、本県においても、その自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐことが重要となっております。
 自殺未遂者の支援については、岩手医科大学附属病院において、高度救命救急センターに精神科常勤医を配置いたしまして、身体科医と連携を図りながら、24時間体制で精神症状の評価や治療を行うほか、ソーシャルワーカーによる退院後の受療相談や生活支援のコーディネートを行っております。
 また、県では、県精神保健福祉センターが二戸地域において、救急受診を行った自殺未遂者のうち、支援への同意が得られた方を対象といたしまして、県立一戸病院と、それから管内市町村等と連携し、ケア会議を行いながら、直接自殺未遂者に電話による安否確認を行うなどの支援に取り組んでおります。
 このほかの地域においても、包括的な自殺対策プログラムの中で保健所や市町村が中心となって、関係機関と連携した支援の取り組みが行われているところもございますが、いずれ県といたしましては、引き続きこうした取り組みについて市町村や保健所に情報提供を行うなどしまして、本県の自殺未遂者への対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 それでは、私からも何点か質問させていただきます。
 先ほど来、工藤勝子委員、そして千葉絢子委員も産科や、オンライン診療の質問がちょっとかぶっているところがあるので、多少整理しながら質問させていただきますので、お答えをいただければと思います。
 最初に、そもそも産科の医師がさらに養成していかなければいけないという中にあって、先ほど工藤勝子委員の質疑の中で、地域枠の産科医が令和2年度、令和3年度と各1名、そして令和4年度も1名ということで、また産科を専攻した方が11名というような御答弁がありました。
 ただ、地域枠の中で、この産科を専攻する方々、これをどのようにふやしていくかという中にあっては、例えばそもそも地域枠として受け付ける、もしくは入っていただくときに、入試も含めて、どういう形かで、例えばもっとアドバンテージを与えてもいいのではないか。
 特に、以前に産科医をどのようにふやすかということで質問させていただいた中で、例えば県内に確かにふえてきてはいる。ただし、女性のドクターはそれぞれのライフ、それぞれの生活環境とか、御自身の生活の部分も含めて、転勤とかそうしたことは難しいといった考え方もあるというお話も伺っております。
 女性の産科医を目指す方という意味では、その方々を優先的に何とか育てていただくような環境をつくっていくということも一つの考え方としてはあるのではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
〇中田医務課長 産婦人科医に係る奨学金の拡充ということでございますが、産婦人科を目指す学生に対しましては、令和2年度から、医療局の奨学金制度におきまして、産科特別枠を設けたところでございまして、具体的には月額30万円のところを、40万円の上乗せをしたところでございまして、6年間の総額で2、880万円となっております。毎年度2名の募集枠を設けておりますが、令和2年度、それから3年度と、各1名の応募があったところでございます。さらなる拡充につきましては、こちらの産科特別枠の募集状況とか、あるいは大学等の意見も参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 確かに、行政サイドとしては奨学金をどうするという形でしか誘導的なものはできないかもしれませんけれども、何とか岩手医科大学とも話しながら、県として産科医をふやすという方向で進みたいのだといった部分をもうちょっと強く出してもいいのではないかと思いますので、何とかまたさらに取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 そこで、先ほどお話がありましたとおり、今回、奥州市の市長選挙が行われて、新しい市長が誕生するという運びになりました。その中で、彼から、遠隔医療システムを使ってということで話があります。ただ、この遠隔医療システムについては、これまでも、例えば遠野市で行われているねっと・ゆりかごとか、岩手県周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶとか、また、先ほど御案内のとおりさまざま皆さんが検討されていると。
 しかしながら、工藤勝子委員から先ほどお話がありましたとおり、ねっと・ゆりかごがあっても、やはり産婦人科医が欲しいと。この気持ちは正直なところだと思うのです。私自身もそのように考えます。あくまでこうしたようなオンラインとか遠隔医療は補助的なものであって、やはりきちんと産む場所が欲しい。そうした思いは根底にあるものであって、それで安心を得られるというものであると思います。
 例えば今回、それでもこのシステム等をやっていかなければいけない現状において、そうしたシステムに対する県の評価と、また、今後ますますもしふえてくるとしたら、そして今、こうやって皆さんが標榜している中では、さらにどういうふうな支援をしていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 奥州市モデルの周産期医療についてでございますが、全県的に産科の医師が不足して、分娩取扱機関が減少している中で、限られた医療資源のもとで、ICTを活用した周産期医療体制の確保は重要なものと考えております。
 県では、周産期医療情報ネットワークいーはとーぶを整備し、県内の医療機関や市町村などが妊婦健診や診療情報を共有して、母体搬送や保健指導に必要な情報をリアルタイムに活用できる体制を確保したほか、周産期母子医療センターにモバイル型妊婦胎児遠隔モニターを配備しまして、救急搬送時や自宅モニタリング時に、妊婦や胎児の状況を把握できる体制を確保するなど、ICTを活用しながら、医療機関から離れた地域に住む妊婦にも、安心、安全な医療を提供できる体制の確保を図ってきたところでございます。
 委員御紹介の奥州市モデルのシステムにつきましても、ICTを活用した周産期医療体制確保の取り組みの一つと見受けられまして、胆江地域の周産期医療の充実に資する可能性に期待しておりますが、現時点では、この取り組みの詳細を把握していないものですから、今後、情報収集をした上で、県としての対応のあり方について検討していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひ、これから奥州市のみならず、さらには釜石市とか、果たしてどのようにして周産期医療をしっかり守っていくというか、つなげていくかといった部分は、ICTという部分に対する期待はあると思います。そうした部分をしっかり県でもケアというか、フォローできるような体制をつくっていきながら、産科医をさらにふやしていくということと両面あわせてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それで、令和6年度は、次期岩手県保健医療計画の策定に向けて、新たに新興感染症の感染拡大時における医療が盛り込まれるなど、県民から求められる医療も変わってくる中で、先ほどの産科、地域の周産期医療の課題の解決を含め、必要な医療提供体制をどのように準備していくお考えなのかお伺いいたします。
〇佐々木医療政策室長 周産期医療を含めました次期岩手県保健医療計画についてでございます。
 現在の岩手県保健医療計画につきましては、九つの二次医療圏を設定しまして、圏域内で完結できる体制整備を進めてきたというところでございますが、委員からお話のありました周産期医療、それから精神科救急医療などにつきましては、限られた医療資源を有効活用するために、県内四つの医療圏を設定して対応しているという状況でございます。
 次期医療計画の策定に向けましては、現在、国において、有識者による検討会を設置しておりまして、この新型コロナウイルス感染症への対応、それから、少子化に伴う医療需要の変化、医療提供者側の高齢化の進展もございまして、そうした分析を行っているというところでございます。
 次期岩手県保健医療計画の策定に当たりましては、この国の分析に加えまして、本県におきましても、来年度実施を予定しております周産期医療実態調査を初めとしまして、他の疾病、事業につきましても、その受療動向の分析を進めまして、医療ニーズの変化の把握を行うとともに、医師不足、偏在の状況、それから、医師の働き方改革への対応もございますので、こうした医療提供側の変化も十分に踏まえながら、委員御指摘の周産期医療圏の課題、それから、高度、専門化いたします疾病などの医療ニーズも十分に踏まえて、例えば広域的な連携対応も含めまして、検討を進めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 今、検討中でありますので、ぜひ、しっかり考えていただきたいですし、先ほど冒頭にお話ししました、女性の医師の方という部分を出しましたのは、一昨年、私の知り合いの娘さんが、奥州市のこの産科の現状を見て、産科医になりたい、目指すということで、それで地域枠で岩手医科大学に入られたようです。
 そうした方がいたり、またさらには、知り合いの娘さんの今、中学2年生の女の子が、やはり医者を目指すと。産科医を何とかしなければいけないという、そうした子供たちもふえてきています。そういう方々が岩手県の医療をしっかり支えていただけるような、そうした思いをしっかりと育てていけるような体制を組んでいただきたいと、そうした思いから質問させていただきました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に、介護職員の処遇改善についてお伺いしたいと思います。本定例会に提案されております令和4年度岩手県一般会計予算案には、国の施策に呼応する形で、介護職員の賃金を3%程度、月額9、000円引き上げるための経費が盛り込まれております。待遇や労働環境から、慢性的な人材不足になっている現場から見れば大いに歓迎される取り組みかと思いますが、本県において、この事業の対象となる介護職員はどの程度いるのかお示しいただきたいと思います。
 また、介護事業所には事務職員や調理員など、介護サービスに直接かかわらない職員も勤務されており、今回の賃上げではこうした職員も対象とすることができるようですが、サービス提供に直接かかわらない職員も含めた場合であっても、月額9、000円の賃上げが確保できるのか、見通しをお伺いします。
〇前川長寿社会課総括課長 この事業の対象となります介護職員についてでございます。
 対象となる介護サービス事業者の職員数につきましては、1施設、事業所当たりの常勤換算従事者数と、令和3年10月1日時点での事業所数をもとに算出しまして約3万8、000人、そのうち介護職員につきましては約2万3、000人と見込んでいるところでございます。
 本補助金の交付額につきましては、対象となる介護サービス事業所の介護職員1人当たり月額平均9、000円の賃上げに相当する額とされておりますが、交付額につきましては、サービス提供に直接かかわらない介護職員以外の職員の処遇改善にも充てることが認められております。事業所の判断によりまして、処遇改善の対象とする職員の範囲及び、1人当たりの賃上げの額は異なる形となります。
〇郷右近浩委員 これは、以前に処遇改善でお金が出たときに、あのときは介護福祉士だけという形だったので、それぞれの施設において、では、ほかの職員の方々はどうするのだと。これはその施設としてのモチベーションというか、その中でほかの職員にも分けるとか、またさらには、国のせっかくつけたものだからということだと、ないお金を何とか出しながらということで、それで回してきたといったような、そうした事例も多々見受けられております。
 今回、皆さんに賃上げが行き渡るような形をしっかり取っていただきたいという思いでありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 今回の処遇改善事業につきましては、令和4年9月までの期間が対象とされており、その後は介護報酬の中での取り扱いに移行すると伺っております。介護報酬に移行することにより生じる課題もあると思いますが、県は具体的にどのような課題が生じるものと受けとめているのか。
 そして、そうした課題に対し、どのように取り組んでいこうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇前川長寿社会課総括課長 介護職員の処遇改善に係る課題についてでございますが、本事業は、今、委員からも御紹介ありましたとおり、令和4年10月以降の対応につきまして、国では介護報酬の臨時改定により、新たな加算として措置するということとされております。
 事業所に対して支払われる介護報酬のうち、原則1割を介護サービス利用者が負担しておりますことから、加算の創設等によりまして、介護報酬が増額となることに伴い、利用者負担も増加することになります。
 あわせて、今後、介護保険料も増額となる可能性もありますことから、県としましては、今後の国の動き、検討状況などを注視しまして、利用者負担の増につながることのないよう、必要に応じ、国に対して要望を行っていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 そこですよね。どうしても負担のほうにはね返ってくると。あくまで単純に介護報酬の点数に反映されるだけではなくて、それが負担になってくるということで、その点についてはしっかり留意しながら進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、そうしたことで、介護職員や看護師、障がい福祉や児童養護施設等の職員の処遇改善事業が県の予算に、今回一緒に計上されている一方で、保育士の処遇改善に要する費用については、県予算に計上されず、国が市町村に直接補助する仕組みとなっております。他のサービスと異なり、保育士分のこうした取り扱いになっているのはどういう理由によるものなのかお示し願いたいと思います。
 また、今回の処遇改善について、各市町村の対応状況はどのようになっているのかお伺いします。
〇中里子ども子育て支援室長 保育士の処遇改善のスキームについてでございますが、保育所等の運営に対する財政支援である子どものための教育・保育給付交付金は、もともと国から市町村に直接交付されるスキームとなっております。今回の保育士の処遇改善に係る補助も、令和4年10月以降、同交付金による財政支援に移行するということでありますことから、この同様のスキームとなったものと認識をしております。
 県ではこれまで、市町村に対しまして、処遇改善に係る国の通知等の周知を行ないまして、また、制度に関する市町村からのさまざまな相談に応じるなどの支援を行ってきたところでございまして、現時点で、事業を実施する予定であるのは26市町村となっております。
 また、事業を実施する予定がないとしているのは7市町村でございます。このうち6市町村は公立施設のみでありますことから、給与改定等で実質的な処遇改善がなされているということなどが実施しない理由というふうに聞いております。
 そのほか1市町村で、設置者から申請の希望がなかったことを理由に、事業を実施する予定がないとしておりますが、市町村に対して制度の趣旨を説明いたしまして、再度、事業の実施を働きかけていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 今回、保育所ですけれども、実は現場のほうで、もちろん国と市から、手を挙げますかというか、必要ですかといったような、案内が届いたと。ただ、もちろん期限がある中で、なかなかふだんの業務で忙しい中、その判断をどのようにしていけばいいのかということで、今回はまず見送るというか、手を出せなかったと、対応できなかった保育所があるというような話を聞いてまいりました。
 これは市町村が窓口になっているからという話とか、県が窓口になっているからという話ではなくて、しっかりとこれが行き渡るような形で、県と市町村それぞれと一緒になって取り組みを進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、保育士の処遇改善についても、介護職員同様、12月以降は公定価格の見直しにより対応されるものと伺っておりますけれども、それによってどのような課題が生じるのか。そして課題に対して県はどのように取り組むのか。さらには、ほかのサービス事業者と異なり、県が事業に直接かかわらないことによる制約もあるのではないか。先ほど話したような部分も含めてそうではないかと思いますが、そうした点も含めてお示しいただければと思います。
〇中里子ども子育て支援室長 保育士の処遇改善に係る課題についてでございますが、令和4年10月以降は、全額国庫負担となっております処遇改善臨時特例事業が終了いたしまして、賃金改善分を含めて公定価格の見直しが行われ、県、市町村の財政負担を伴う子どものための教育・保育給付交付金の施設型給付費による処遇改善が図られることとされておりまして、国の地方財政措置はあるものの、県や市町村財政への影響が懸念されるところでございます。
 県としては、今後の国の動向を注視しつつ、必要に応じ、国に対し、県や市町村に過大な負担が生じないよう要望を行ってまいりたいと思っております。
 また、県のかかわりでございますが、先ほども申し上げましたとおり、今回の処遇改善の趣旨は、コロナ禍における保育士たちの対応、また処遇が低いということで、保育士の人材確保にも支障が出ているというようなことを踏まえた今回の国によります対応だと考えております。そのあたりの趣旨を、市町村を通じて十分浸透を図りまして、事業に取り組んでいただくように周知を行っていきたいと思います。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 午前中の質疑を見ても、岩手県の医療の課題は周産期かと思っていました。工藤勝子委員が助産師の人材確保まで進めました。私も、助産師の活用ということで、それをきちんと位置づけて、周産期の支援体制をつくるべきだということで質問いたします。
 県内の産科は窮乏しております。釜石市、奥州市だけではなくて、もともと二戸市、久慈市もそうでありますし、県立中部病院も東北大学が医師を引き揚げるという課題もありました。分娩取扱機関が減少し、県立病院でも大学病院からの派遣医師が心配であります。そこで独立型の助産師の活用、分娩機関としての助産所の整備についてお聞きいたします。
 まず、助産師が開業して、分娩をするその分娩の縛りはあるのかどうか。国、県、団体等のそういう縛りはあるのかどうかをお聞きしたいと思います。
 また、岩手県は助産師が開業して分娩しているところはないと承知しておりますが、隣県、全国では、助産師の開業、分娩は、どういう状況になっているのかお伺いいたします。
〇中田医務課長 助産所の開業の仕組みについてでありますが、助産所の開業に当たりましては、分娩を取り扱うか否かにかかわらず、助産師が助産所を開設した場合には、医療法第8条に基づき、開設後10日以内に、開設年月日、開設者の住所、氏名のほか、従業員数などを、助産所所在地の都道府県知事に届けることとなっております。
 また、助産師でない者が助産所を開設しようとする場合は、医療法第7条第1項に基づき、都道府県知事の許可を受けることとなっております。
 なお、助産所は、病院や診療所と異なり、医師が常駐しておらず、医療行為ができないことから、先ほどの、届出や許可の申請に当たっては、医療法第19条に基づき、あらかじめ嘱託する医師及び病院または診療所を定めることが義務づけられており、地域の医療連携体制の確保が必要であると認識しております。これが国の取り扱いとなります。
 加えまして、助産師の職能団体でございます公益社団法人日本助産師会が示している条件といたしまして、分娩を取り扱う助産所の開設基準について定めておりまして、この中では、助産所の助産師は、分娩を取り扱う場合、経験年数5年以上、分娩件数200件以上、妊婦健康診査200例など、安全な分娩のための高い水準、資質、技術力、体制整備が求められているところでございます。
 続きまして、隣県の状況でございます。委員から指摘がありましたとおり、県内は助産所が17カ所ありますが、いずれも分娩は取り扱っておりません。
 また、日本助産師会で公表しております情報によりますと、全国で入院分娩を取り扱っている助産所は79カ所あり、そのうち東北では3カ所、宮城県仙台市に2カ所、福島県いわき市に1カ所となっております。
 なお、出張分娩を取り扱っている助産所は、全国で74カ所ございますが、東北では0となっております。
〇神崎浩之委員 全国で79カ所、東北でも3カ所が、助産師が開業して分娩をしているということがあるので、岩手県はなぜこれが進まないのか。今、国、県の縛りは、助産師がいて、そして、地域との連携が取れて、団体とすれば、5年、200例という基準があれば、そういう有能な助産師は県内にも多くいると思うのですが、何が課題なのか、お願いいたします。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 先ほど御答弁申し上げましたとおり、分娩を取り扱う助産所を開設するに当たっては、分娩時の異常への対応等の安全確保のために、嘱託医師、嘱託医療機関の確保が義務づけられていることから、産婦人科や産科医療機関が不足している中で、その体制の確保が困難であること。
 また、日本助産師会が示している分娩を取り扱う助産所の開業基準では、先ほど御答弁申し上げましたとおり、経験年数5年以上、分娩件数200件、妊婦健康診査200例など、分娩に関する専門的な技術や一定程度の経験を求めていることなど、安全な分娩のために、高い水準の資質、技術力、体制整備を求められていることなどが、開設が進まない主な課題であると認識しているところでございます。
〇神崎浩之委員 私は、地域との連携ということで、分娩医療機関がないところでは、助産所だけではなかなかつらいところがあると思って、県立病院等で分娩をしている、そういう地域であれば、正常分娩は助産所で、連携は分娩している近くの県立病院、そういうふうな支援体制を構築して、今の県立病院の分娩体制を応援する仕組みを取っていっていただきたいと思うのです。
 分娩施設がないところに助産所ということではなくて、今から、今の県立病院等の分娩体制が逃げられないようにというか、応援するということで、開業医と県立病院、それから、助産所と県立病院、そういうものを確立して、今の体制を何とか維持していただきたいと考えるのですが、県として、助産師が開業し、助産院で分娩できることについての所感をお願いいたします。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 助産師の開業と助産所における分娩についてでございますが、分娩を取り扱う助産所の必要性の議論については、岩手県周産期医療協議会等で具体的な議論を行ったことはなく、また、現在、開設に向けた具体の動きも見られていない状況でございますけれども、周産期医療体制の確保における一つと考えられる一方、嘱託医師とか嘱託医療機関を担う産科医や産科医療機関の負担の問題もございますので、協議会などの場で、助産師の活用について検討を進める中で、検討していきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いします。
 次に、相談業務としての開業助産所の役割について、出産の支援として、市町村の産前産後の支援体制における助産師の活用の推進ということでありますが、今、市町村で、産後ケア事業は実にばらばらであります。やっている、やってないではなくて、対象者、金額、対象の年齢も含めて、いろいろばらばらだと思っていますが、国庫補助の関係であるのか、内容、回数、金額、それから、産後鬱、産前産後サポート事業、産後ケア事業としてショートステイやデイサービスとアウトリーチ、そういうものがメニューとしてあって、さらに国庫補助の裏づけがあるのですが、やっているところ、やってないところ、それから、やっているところでも、対象者や、例えば4カ月とか、1歳未満とか、内容について、非常に市町村によってばらばらだと思っておりますが、このあたりの状況についてはいかがでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 産後ケア事業の対象月齢につきましては、母子保健法におきまして、出産後1年とされているところでございまして、市町村におきまして、助産師等の専門人材や受け入れ施設の状況、利用対象者数などを勘案して、利用回数や対象、利用料を決定していると承知しております。
 また、利用対象者の範囲につきましては、厚生労働省の産後ケア事業ガイドラインにおきましては、同居家族の有無にかかわらず、支援が必要と認められる場合には、積極的に勧奨することが望ましいとされているところでございます。
 また、出産後1年を通じて、メンタルヘルスケアの重要性が高いことなどを踏まえまして、母子及び家族の状況、愛着形成の重要性、地域におけるニーズや社会資源等の状況により、各市町村において判断するとされておりますことから、産後鬱のある方に限らず、このガイドラインに基づき、運用されていると考えております。
〇神崎浩之委員 市町村で非常にばらばらということがあって、マンパワーもあるのかどうかもあるのですけれども、行政のトップは、こういう子供の育児関係は、保健師がいるからいいのではないかみたいな感じに捉えているところがあって、子育て支援と言えば、手当金とか保育園の整備ということなのですけれども、この産後ケアとか産後鬱とかそういうことは、実際は、1歳以降も、断乳の関係もあるし、それから、やはり鬱の関係、育児の関係では、親のお悩みがあるということを聞いております。
 いずれ、産後ケア事業利用促進事業は、今度750万円、利用者の自己負担分を県で見るということですが、750万円と言えば市町村のレベルかなという金額で、1桁違うのではないかと思って見ていたわけですけれども、750万円だということだったので、ぜひ、こういうことで活用のアップを図っていただきたいと思います。
 そもそも33市町村で、正規職員で助産師を配置しているのは何市町あるのか。臨時的な雇用であると、時間で雇われているからということがあって、市町村の施策に声を大きくして言えないというのがあって、専門職は非常に声が届きにくいのですけれども、専門職をきちんと配置して、産後ケア支援体制の整備を全市町村で図っていただきたいと思うのですが、それについてお願いいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 今、2点お尋ねがありました。まず、産後ケア事業利用促進事業費補助についてでございます。産後ケア利用者につきましては、所得に応じまして利用料の一部を負担しているところでございますが、この事業に対して、市町村がその利用料を無償化する場合に、その利用料相当額を市町村に対して補助し、利用者の経済的負担の軽減を図ろうとするものでございます。
 予算額につきましては、令和2年度の利用負担額や利用実績件数とともに、令和3年度の利用見込み、それから、令和4年度の事業の拡大利用者数の増などを見込みまして、令和4年度岩手県一般会計当初予算案に盛り込んだところでございます。
 市町村の助産師の正職員の数でございますけれども、正職員としては3名、実数としては26名おりまして、常勤換算にいたしますと19.5人というところでございます。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いします。
 次に、自宅療養者支援の徹底ということで、新型コロナウイルス感染症の関係で、オミクロン株の感染は言われているとおり驚異的に進行しております。その中でも、自宅療養の陽性者や濃厚接触者への連絡、説明、指導が弱いと思っております。特に盛岡市は1日100人ずつ出ていますからしようがないなと思っていますが、盛岡市のみなし陽性のことですが、疫学調査はやっていないのか、それから、盛岡市の場合の濃厚接触者の判断、連絡も陽性者本人がやれと報道では出ていましたけれども、濃厚接触者の行動の注意事項等も説明しているのか。また、県の保健所は、引き続き、疫学調査、濃厚接触者への対応はやっているのか。これについて、まずお聞きしたいと思います。
〇工藤理事心得 まず、報道機関等において使用されておりますみなし陽性という表現でございますが、これは国からの事務連絡に基づきまして、地域で感染が拡大し、有症状者が医療機関を受診するのに一定の時間を要する状況になっている場合などにおいて、同居家族等の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により、検査を行わなくとも臨床症状で診断することができる、そういう特例でございまして、感染症法上は、擬似症としての扱いとなります。したがいまして、確定した患者さんと同様に、症状とか、行動歴とか、濃厚接触者の調査等が行われるものでございます。
 これとは別に、国からは、感染拡大に伴う保健所業務の重点化に係る事務連絡も示されておりまして、その中で、積極的疫学調査の重点化として、高齢者施設等のハイリスク施設におけるクラスター事例に重点化することとか、学校や保育所等では、みずから濃厚接触者リストを作成するなどの対応も可能であること、あるいは、ハイリスク施設以外の陽性者については、事業者みずから濃厚接触者リストを作成して、陽性者に自宅待機等を求めることなどが示されているところでございます。
 濃厚接触者への対応でございますけれども、濃厚接触者の判断及び連絡につきましては、患者の疫学調査の結果を踏まえまして、原則として保健所が行います。
 ただ、一部の保健所におきましては、感染拡大の状況を踏まえ、これまでのような濃厚接触者の網羅的な調査や検査が困難であることから、国の通知に基づきまして、保健所が特定した濃厚接触者への連絡に関しては、事業所や学校、あるいは患者本人に依頼している場合があると承知しております。
 こういった濃厚接触者への指示とか、行動制限についても、保健所が対応するものでございまして、個別相談についても、保健所が承っております。県の保健所におきましても、一定程度の重点化は行っておりますけれども、例えば、学校、保育所等につきましては、保健所と学校等が濃厚接触者候補者リストの作成を連携協力して実施することとしております。
 また、事業者の責任で、濃厚接触者の候補者リストを作成するということについては、県の保健所ではまだ実施段階にはないところでございます。
〇神崎浩之委員 自宅で陽性確認されてから、入院かホテルか自宅かというトリアージ、それから、自宅療養の場合、どういう説明をしているのか等が非常に心配でありまして、この辺を迅速にお願いしたいと思います。
 質問は、パルスオキシメーターの所有数と貸し出し数と、それから、食事の提供もしているということですが、この点について教えていただきたいと思います。
〇工藤理事心得 パルスオキシメーターにつきましては、自宅療養者に対して、世帯に一つを基本として、貸与しております。いわて健康観察サポートセンターからの貸与件数は、3月11日までの累計で2、252件となっております。
 保健所から貸与の実績については、現在、その保健所の業務状況を勘案して、集計を見合わせているところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 続きまして、食料支援の状況でございます。こちらは、保健所といわて健康観察センター合わせて、3月11日までの累計で1、020件となっております。
〇神崎浩之委員 最後に、いずれ陽性者は、大変なことをしてしまった、連絡が来ないけれども、いろいろ聞きたい。だけれども、申しわけなくて、保健所からの連絡待ちで、問い合わせしづらい、遠慮がちということでありますので、そういうことを加味して対応をしていただきたい。
 最後に、工藤理事心得から、今後の知見、経験から、後輩へひとつメッセージをお願いして、終わります。
〇工藤理事心得 新規感染者が1日100件以上、200件という状況で、今、そこまで頭が回らないような状況でございますが、いずれにしろ、オミクロン株は非常に感染スピードが速いということで、これまで第5波のデルタ株までできていた保健所による疫学調査によって、患者あるいは濃厚接触者を囲い込んで封じ込めるという対応が、実はもうそれが追いつかない状況でございます。物理的に追いつかない。
 そうした中で、オミクロン株では、保健所の調査のスピードを上回る形でどんどん感染が拡大しておりますが、保健所、そして、医療機関あるいは宿泊療養施設のスタッフ、医師会、岩手医科大学、DMAT、ICAT(いわて感染制御支援チーム)といった皆様の御協力をいただいて、何とか対応ができている状況にあると思っておりますので、引き続き、この危機を乗り越えて、ビヨンドコロナといいますか、そういったことになるように、ワクチン接種も努力していきたいと思いますし、関係機関が連携協力して進めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 私は、新年度の医師確保、医師の偏在解消に向けて、非常に大きな準備の年になるという認識のもとに、いろいろお尋ねをしてまいりたいと思います。通告とちょっと順番を変えますので、御対応いただきたいと思います。
 まず、働き方改革についての影響でございます。御承知のとおり、2024年から医師の働き方改革が本格化いたします。これは、進め方によって、地域医療の維持に大変深刻な影響を及ぼしかねないと思っているわけでありますが、現状で、保健福祉部として、この働き方改革の影響の有無、課題についてはどのように認識されていますか。
〇千田医師支援推進監 医師の働き方改革に係る影響と課題についてでありますが、令和6年4月から、原則として、時間外労働の上限を年960時間としつつ、連続した勤務時間の制限であるとか、勤務と勤務の間に一定の休息時間を確保するなどの取り組みが求められていることから、宿日直を行った翌日に休息を与える必要があること等により、各病院の救急患者の受け入れや外来診療への影響が考えられるところでございます。
 それから、平日の外来診療や、休日、夜間の診療体制を維持するために、各病院では、県内外の大学や地元開業医等から、多くの診療応援を受けておりますが、医師の確保、偏在対策が進まないうちに、医師への労働規制が厳格に適用された場合には、大学等からの医師派遣が難しくなるなど、地域の医療提供体制に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
〇岩渕誠委員 これは、基本的に岩手県内では、影響が見込まれると解釈していいですか。
〇千田医師支援推進監 令和6年4月以降の労働時間の管理に当たっては、診療応援の際に、複数の医療機関に勤務するという状況がありますので、こういった複数の医療機関に勤務した場合、その労働時間を通算して管理する必要がある。
 その上で、時間外労働の上限である960時間を遵守していく必要があるということでございますので、そういった上限規制にかからないような形で、受け入れる各病院では、時間短縮の取り組みを進めていく。大学からの応援診療にできるだけ影響が出ないような体制に持っていく取り組みを進めているという状況でございます。
〇岩渕誠委員 建前はそれでいいですけれども、本音ベースで話をしてもらいたいのですが、例えば県立病院への応援の延べ回数、これは昨年の10月の断面で見ますと、月に大体2、350回派遣を受けている。そして、常勤医師と応援医師の割合で言うと、診療応援医師─いわゆる派遣です─は、2割がそこから来ていると。しかも、これは常勤換算で2割ですから、実際のところは3割近く来ているという状況であります。
 このままの体制であると、極めて深刻な影響があり、努力をしても、総体としての医師がふえていない中ではかなり深刻なことを想定しなければいけない段階ではないかと思うのですが、もう一度本音ベースでお願いします。
〇千田医師支援推進監 労働時間の上限規制が始まりまして、どうなるかということでございますが、今、国におきましても、各大学病院、医療機関に、実態調査を行うというお話も聞いております。
 そういった調査の結果を踏まえて、国でもいろいろ検討して何らかの対策が示されるのかなと思っておりますけれども、そういった法規制の適用が実際にどのようになるかというところは、かなり流動的な要素が多くありますことから、今現在で、具体的にどのくらいの影響が出るかというのは、想定することはなかなか困難でありますが、各病院といたしましては、時間短縮に向けたタスクシフトとか、タスクシェアとか、宿直体制の見直しとか、そういったところの取り組みを進めながら、少しでも長時間労働の部分を削減していくという取り組みを行っているという実態でございます。
〇岩渕誠委員 私は、働き方改革そのものについては、これは進めるべきだと思います。今は、過労死基準の2倍を超える勤務時間で医師が頑張っています。非常に自己犠牲の中で地域医療が保たれているということは、これを是正するというのは大事です。一方で、地域医療全体を維持するという、この非常に相反したものを負わなければいけないということであります。当然、今、話があったように、国の対応がまさに求められているわけであります。
 そこで、本会議や総括質疑の中でもいろいろな話が出ていますけれども、国に対して、いわゆる医師不足県が、現状を踏まえて提言をすると伺っております。提言のポイントについては、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
〇佐々木医療政策室長 国への提言についてでありますが、現在、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の構成県と、提言の内容について検討、調整を行っているところです。この提言に向けてのポイントということでのお尋ねでございましたが、まず、特に医師少数県における医師の働き方改革の推進は、医師確保、偏在対策と一体的な推進が必要であるということがまず1点でございます。
 それから、国におきまして、医師の働き方改革が地域医療に及ぼす影響、課題等を具体的に把握していただくことが必要だということで、先ほども答弁申し上げましたけれども、実態調査を早期に実施してほしいということでございます。
 さらに、本県の地域医療につきましては、外来時間、夜間、休日の宿日直業務と、県内外の大学病院の診療応援で支えられているということでございますので、この働き方改革との両立に向けた調整が必要であるということでございます。
 また、加えて、この医師の労働環境を改善し、持続的な地域医療提供体制を構築していくためにも、国におきまして、国民はもとより医療機関、従事者に対しましても、医師の働き方改革についての一層の周知が必要であろうということで、こうした観点での検討が必要と考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 お答えがあったように、同じ土俵で働き方改革と地域医療をどうするかという議論が、これはなかなかなってないというのが現状だと思います。
 そういう意味から言うと、本来は、医師の確保をもう少し急ぐべきものなのですが、実は、今、国の動きを見ていますと、そうではないところがあります。厚生労働省にあります医師需給分科会で出てきたものは、将来的には養成医師は定員を減らすという議論になっています。近々の話で言うと、例えば令和5年度については、歯学部の振り分け枠ということで、7人医師養成に振り分けられていた枠が廃止されるということになります。
 岩手県は、今、ご承知のとおり、30人が地域枠で医師養成をしております。そのうちの7人が廃止となる。これは単純に定員を削るという話ではなくて、いろいろ代替策はあるようですけれども、まず、こういう現象について、臨時増員に当たっての考え方でも示されていますけれども、どのように対応されるのでしょうか。
〇中田医務課長 医学部入学生に係る対応でございますが、国におきましては、令和5年度以降、現在、臨時定員として措置されている歯学部振替枠を廃止し、当該振替枠にかわり、新たに地域の医師確保、診療科偏在対策等に資する地域枠に限定して、臨時定員として認める扱いを示しているところでございます。
 本県唯一の医育機関であります岩手医科大学におきましては、委員から御紹介がありましたとおり、歯学部振替枠として7名の臨時定員が措置されており、当該枠が配置された場合は、入学定員が減少することから、地域に必要な医師の確保に影響が生じるため、入学定員の維持に向け、取り組みを進める必要があると認識しております。
 新たに設定されます地域枠につきましては、今後、国から具体的な要件が示される見込みでありますが、当該地域枠の確保に向けまして、岩手医科大学など関係団体との調整を図り、本県の医学部定数が確保されるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ぜひ、定員の確保はお願いしたいと思います。
 ここで、通達によれば、この廃止をする7人の振り分けの振り分けと言うのでしょうか。これについては、地域枠の従事要件に特定の診療科の位置づけを義務づけるものではないという、要は、どの科に進んでもいいですよということなのですが、今も非常に議論になっていますけれども、ある程度足りないところに寄せるとか、こういった方針を早く決定する。あるいは、総体が必要なのだから、この議論は早急に行っていただきたいと思っています。
 実は、この7人に限らず、この地域枠というのは、平成20年から続く、あくまで臨時措置であります。当面10年間としてきたものが、延長延長になって、そして、令和2年度からは、いわゆる地域枠B、C、それから、東北大学地域枠ということで、増員されているということですが、年間30人、これまで地域枠では235人が入学して、養成をしているという、大変貴重なわけですが、これが臨時枠ということになると、今の医師需給分科会の流れで行くと、これは、2029年には医師が充足するという計算になっています。遅くともその3年後には充足するというようなものが出ていて、要は、医師過剰になるから減らしなさいという話になっているのですね。臨時枠というものを恒久化していくということが必要だと思います。
 幸いにして、医師需給分科会では、相対的には減らすけれども、地域枠については維持しようという流れ、議論が出てきたと思っています。このあたりを大切にしていただきたいわけでありますが、一方で、今の開業医は10万人いるが、これを6万人で間に合うから、4万人を病院に勤務させればいいという暴論もかなりあって、この医師需給分科会の議論の流れは非常に読みにくくなっている。そこで、地域の声にきちんと対応していかなければならないと思うのですが、御所感を伺います。
〇野原保健福祉部長 委員から御紹介がありましたとおり、医師需給分科会の中でも、将来の医師需要について、今の定員増が続いた場合はどうなるかというマクロの推計をして、議論されていると承知しています。
 岩手県を含めて医師少数県は、少なくとも地域枠について、医師の臨時定員増については、恒久化すべきということを強く国に対して訴えているところでございますし、それがなければ、国が定めた医師確保計画─2036年までに達成するとなっているのですが─の達成さえも、それをやったとしても岩手県の場合は難しいというのが推計ですので、これは大前提として、措置されるものと理解していますし、これからも、そういった部分については、地域から強く国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 そもそも医師の働き方改革のAプランで行った場合には、2029年ごろに32万人の医師が出て均衡すると。一般的な労働者と同じ条件にすると、2032年に36.6万人で均衡するというこの前提自体がちょっと怪しいと思っているのです。総量の中でやっているけれども、この前提は、地域の大学に行った人は地域に残るのだとか、あとは、今の新型コロナとかは全く入れてないのです。
 しかも、これは正確に言うと、恐らく医師数ではなくて、医師免許保持者数だと思うのです。そういうことから言うと、この数字自体を変えて、もっと上方修正してもらわないといけない。しかも、OECD基準から言うと、13万人ぐらい少ない基準ですから、この基礎データを認めているうちは、これはなかなか難しいと思うのですが、もう一回野原保健福祉部長お願いします。
〇野原保健福祉部長 国の推計も、その当時は、例えば女性医師の割合とか、医師の働き方改革を進めるとか、あとは、さまざま臨床医師以外にも、養成医師とか、そういったことも一応視点に入れて推計をしたものと理解しているのですが、一方で、医師の働き方改革の状況で地域に与える影響も、国が、今、これから調査をしようとしていますが、医師の働き方改革をきちんと進めていくに当たって、この推計で本当に正しいのかどうかというのは、地域で働く現場のほうからもやはり疑問の点があります。
 あとは、医療の高度化、専門化です。これはなかなか数値化できないのですが、こうした点が加味されていない。この20年間、医師不足がずっと言われているのですが、医療の高度化、専門化によって、医師がカバーできる範囲が非常に狭くなっている。こういう点についても、十分加味して推計をしていく必要があると考えておりまして、こうした点については、地方の立場から、国に対して意見を申し上げていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 医師養成というのは、片方で多過ぎると必ず財政出動がふえるということで、財務系の圧力が強くなってくる。それと、選ばれている人も、東京都中心の医療関係者が多くなる。そういう中で、岩手医科大学の小川彰理事長も医師需給分化会の構成員に入って、そういった今の野原保健福祉部長の発言に沿った主張をされているようですけれども、地方に合わせた政策、医師不足の県の連合で、今、これは活躍のしどきだと思いますので、ぜひお力を十分に発揮していただきたいと思います。
 最後に1点、産科と小児科の連携についてお伺いいたします。これまでの周産期医療の中では、産科をどうするかという問題が多かったわけでありますけれども、実際、今の出産の状況からすると、NICU、新生児医療と密接に関連をしていく。例えば、2、500グラム以下で生まれる人は1995年に6.5%ぐらいだったかな。これが今は10%近くまで来て、これはさらにふえていくと思います。これは高齢化とかいろいろなことが言われていますが、2、500グラム以下で生まれるということは、そのとき40週で生まれて2、500グラムではなくて、多分、切迫早産とかいろいろな疾病があって、前段階で出産をして、その胎児をどうやって助けるかというのが、今10%ぐらいあると認識をしたほうが私はいいと思っているのですが、そうなると、産科の医師と小児科の医師、特にNICUをどう整備するかというのが、本来のリスクを低下させるという意味においては極めて重要だと思います。この辺についてはいかがお考えでしょうか。
〇鎌田特命参事兼地域医療推進課長 産科と小児科の連携についてでありますが、リスクの高い出産につきましては、主に周産期母子医療センターで分娩を取り扱っているところでありますけれども、産科医、小児科医の配置に加えまして、帝王切開などに対応する麻酔科医などの配置のほか、看護師、助産師などさまざまな職種の医療スタッフが必要でありまして、産科分野と新生児科を含む小児科分野が連携して対応してきているという状況でございます。
 県では、これまで周産期医療にかかわる協議を行う岩手県周産期医療協議会の委員に、産科医だけではなく小児科医も任命しまして、小児科医の立場から意見をいただくなど、連携を図ってきたところでございますが、本年度からは、周産期医療と小児医療を総合的、一体的に協議する体制に再編しました岩手県小児・周産期医療協議会を設置しまして、それぞれの立場から、それぞれの医療に関する御意見や御助言をいただきながら、さらなる連携を推進しまして、医療提供体制の充実に努めていくこととしているところでございます。
〇岩渕誠委員 今、NICUの受け入れの週数が問題になっています。34週以降でないとほとんどの県立病院では対応できないのですが、30週とかそういったところでやることも、ぜひ検討していただきたいと思います。
〇米内紘正委員 私は、総括質疑で質問がちょっと抜けてしまっていた部分について質問をさせていただきます。人口の自然減少についてであります。
 今、医師不足の議論の中でもありましたけれども、マクロだけでなくて、地方の実情に合わせた政策をしっかりと打っていかなければいけないというところで、この人口減少問題を考えたときに、婚姻率はその年々の人口の増減に大きくかかわってくるものでございます。数字で見てみると、平成24年に岩手県の出生数が9、276人だった。それから、令和3年、約10年経ったところで6、481人になっているのです。10年で3分の2、3、000人出生数が減っています。もし、今後、また10年で同じ現象を示したら、それこそ4、000人、3、000人という本当に大きな問題だと思っております。
 そこで、いろいろデータを見てみますと、令和元年の人口動態統計によると、全国の婚姻率の平均が4.8%であるのに対して、岩手県の婚姻率の婚姻率は3.7%、全国46位の水準であります。また、2020年の国勢調査の結果、岩手県男性の生涯未婚率は全国トップの28.9%と、このところでかなり問題があるのかな、大きな影響が出ているのかなと感じております。県はこれらの要因をどういうふうに分析しているか。
 あわせて、その分析を踏まえて、来年度どのような事業展開、そして、それらの関連事業の総額はどれぐらいなのか、お示しください。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 ただいま3点の御質問をいただきました。まず、生涯未婚率につきましてですけれども、委員から御紹介いただいたとおり、本県の婚姻率は全国平均の4.8%に対して3.7%となっておりますが、年齢別の数値が公表されていないこともありまして、詳細な分析は困難となっているところでございます。
 また、国勢調査の結果を活用した試算がオンラインで公表されたところでございますけれども、若年層の未婚率が上昇していることも踏まえますと、生涯未婚率の上昇がこれからも続くことが見込まれることから、人口減少対策を進める上では、若年層への一層の働きかけが重要と認識しているところでございます。
 内閣府の少子化社会対策大綱の分析におきましては、多くの方がいずれ結婚するということを希望しながら、適当な相手にめぐり会わない、資金が足りないなどの理由で希望がかなえられていない状況にあること。それから、一生結婚するつもりはないという未婚者がわずかながらもふえている傾向にあるというところでございます。
 要因分析を踏まえました事業展開についてでございますけれども、出会いや結婚を希望する県民の方々に対しては、総合的な支援として、これまでi−サポでのマッチング支援や、新婚世帯に対する引越し費用の助成による経済的負担の軽減、ライフプランを考えていただくセミナーの開催などに取り組んできたところでございます。
 令和4年度におきましては、これまでの取り組みに加えまして、企業や団体等と連携した出会いイベントの開催や、若者向けの住宅取得支援、それから、ライフプランセミナーの開催、ライフプランをわかりやすくまとめて、就労先の研修においても使用できる映像資料の制作など、市町村や団体などさまざまな方々と連携して取り組む予算を予令和4年度当初予算案に盛り込んだところでございます。
 こうした取り組みの経費として、新年度におきましては、保健福祉部以外の事業を含め約1億2、120万円の予算を計上したところでございます。
〇米内紘正委員 最初に申しましたとおり、マクロではなくて、地域事情を見て政策を打っていかなければいけないというところで、今、内閣府のデータを出されましたけれども、内閣府は、国全体のことであります。結婚に関してはいろいろな研究があるのですけれども、特に地域事情が大きくかかわってくるというところがあります。そう考えたときに、今おっしゃったことは、岩手県が全国でトップの生涯未婚率とか、婚姻率が低いということには直接つながらないわけです。岩手県がトップになってしまっているところに、一体どういう原因があるのかというのは、今どういった形で把握をしているのでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 これは、商工労働観光部の事業の取り組みの例でございますけれども、令和2年10月に、いわてで働こう推進協議会が、県内の大学生を対象にした就職・ライフスタイルに関するアンケートを実施しておりまして、この中で、結婚するための条件として、適当な相手とめぐり会えること、経済的な自立とした回答が高くなっておりまして、先ほどご紹介いたしました内閣府の大綱による分析と同様の結果となっていると聞いているところでございます。
〇米内紘正委員 経済状況のところですけれども、これも全国的にしっかり見ていく必要があると思いまして、果たして、経済的な状況というところが、もし、それが一番大きくかかわるところだったら、保健福祉部ではなくて、本当はそこの事業は丸々商工労働観光部とかそちらのほうに行ってしまうわけですね。
 そこのところを細かく、県内、圏域ごととかにしっかり意識調査をするべきなのかと思います。総括質疑のときは社会増減のお話はしましたけれども、こっちは成果の出る施策、政策は何なのだと考えていく必要があると思うのですけれども、人口減少、婚姻率の減少については、一回ちょっと立ちどまって、適当な相手とめぐり会えないというのは、多分、何となく結婚していません、理由は何ですか、相手がいないからなというような一時的なものではなくて、まずはここは多少時間と予算をかけてでも、そこの奥の部分、岩手県が抱える状況を、県立大学とか企業とかと研究するところがスタートなのかなと思います。
 経済状況で言うと、例えば、生涯未婚率の上位に埼玉県とか千葉県とか茨城県も入っているのです。生涯未婚率は、男性は、岩手県28.9%で1位ですけれども、埼玉県も28.1%で4位なのです。ただ、例えば経済状況を見ると、埼玉県とか千葉県は全国でトップ5、トップ6に入っている状況ですので、果たして、経済状況が本当にそこにかかわっているのか。県民の考える意識とどういうふうに関与しているかというのを見ないとなかなか難しいというところがあるのですけれども、野原保健福祉部長に、その辺をまず県内の状況をしっかりと把握する、先ほどおっしゃったマクロではなくて、地方に合わせた施策を展開するという意味でどうでしょうか。
〇野原保健福祉部長 未婚の関係で言うと、適当な相手とめぐり会えないことと経済的なこと、この二つが大きな要因だと言われています。我々もそうだと思っています。
 未婚率についても、年齢別に分析しなければならないと思います。単に未婚率にしますと、岩手県は、20代、30代の人口がちょっと少ないこともあるので、年齢調整をしなければなりませんので、年齢別、男女別に見なければならないと考えています。
 我々の把握している国勢調査のデータを見ると、女性に関しては、全国に比べて未婚率は比較的低い。一方で男性に関しては、20代から40代にかけて全国よりもやはり未婚率が高く、その差もややちょっと広がってきている傾向にあると認識しています。
 こうしたミクロの地域差ですね。例えば盛岡市のような、岩手県の中でも都会型の地域と、県北地域、沿岸地域ではこの傾向が違うのかどうかとか、どうしても標本数が少ないので、評価にはちょっと慎重な評価が必要かと思いますけれども、そういった地域差とか、経年変化とか、経済的な部分との関係とか、過去に比べて、昔はいわゆる出会う機会はいろいろあった、今はちょっと変わってきている。そういうところの意識の違いとか、そういったものを丁寧に分析して、政策を進める必要があると考えております。
〇米内紘正委員 そうですね。ここは本当に、盛岡市と沿岸地域と県北地域と県南地域では、また違うと思うので、それこそ本当に、ミクロに圏域ごとにしっかり考えていかないといけないところなのかなと思います。私もいろいろ見て、女性が県外流出してしまって、若い女性がいないからなのかなとか調べてみたりもしたのですけれども、やはり関係なくて、男性の生涯未婚率が一番低い滋賀県は20%ぐらいですけれども、男女比は滋賀県のほうがよっぽど開いているので、そこもあんまり関係ないのかなというところとか、そこの地域地域に合った政策を展開してほしい。そのため、まず、しっかりとしたサンプル数も集めて調査が必要になってくると思います。
 ここからは、通告はしていないのですけれども、野原保健福祉部長も総括質疑で、知事と私とのやりとりの中でいろいろ聞いていただいたかと思うのですが、幸福というものを目指すに当たって、県民の幸福を考えたきに、今の岩手県内における合計特殊出生率とか結婚の状況は、幸福に関して県民はどういうふうに捉えていると認識していますか。
〇野原保健福祉部長 幸福感はさまざま主観的なものなので、一概には何とも言えないのですが、よく言われるのは、主観的健康感が幸福に関係している。地域との、周りとのつながりの豊かさ、この辺はよく幸福感と関係していると言われています。
 未婚率とか少子化が幸福感とどう関わっているのかという部分は、実際は我々も調査してないですし、私も今の段階で、調査の中からどうだということはちょっと申し上げられる段階ではないのですけれども、今後、少子化が進んで人口が減少していくと、地域活力が下がっていきますよとか、地域経済がどんどん下がっていくかもしれないということは、多分、県民の皆様も実感として少し捉えているのではないかと思います。
 こうした意味では、幸福感にも少子化対策は重要で、これは、行政だけではなくて、県民の皆さんもそういったような状況にあって、みんなでどうしていくかと考えていくこと、こういうことが幸福感にも直接はつながらないかもしれませんが、間接的には、今後、将来に向けての明るい展望をどうするかという部分につながっていくのではないかと考えておりますので、そうした意味では、来年度、県民運動的な取り組みを始めようというのは、県民の皆様や産業界とかにもそういった課題意識を認識していただきながら進めていきたいという思いも背景としてはあるものでございます。
〇米内紘正委員 今、お話しいただいたとおり、やはり主観のところなのです。そのときに、総括質疑のときに、私が一番重要だと思った議論が、幸福感と人権のところで、必ずしも個人の方向性と行政の方向性は一致しないわけであります。
 その中で、幸福関連指標の中にも、合計特殊出生率とかが入っているのです。それは、もはやほとんど幸福はどうかと全く関係しないのです。結婚したいと思う人が結婚する、そうでもないという選択肢もある、子供を何人産みたいというのも、それは個人の考えでありますので、あの辺でもう全く測れない指標になってしまっているのかなというのを感じています。
 そこを変えるために、政策は子育て支援から何からいろいろ大切なものはあるのですけれども、最初に調査がまず必要ですと言ったのも、以前、フィンランドの例を出しましたが、フィンランドはここ10年で1.9%ぐらいあった合計特殊出生率が1.35%で、日本と同じくらいに下がってしまったのです。福祉大国で、ジェンダーギャップ指数世界3位、教育も高校までほとんど無償化されて、余暇も1カ月有給が取れて、育休も男女ともに、お父さんもお母さんも6カ月以上あるというような、ああいう福祉大国でも、それだけ合計特殊出生率が下がってしまった。ただ、別に結婚の満足度とか幸福感は高いわけです。そうなると、もう機能していない。合計特殊出生率はただの社会の状況をあらわす参考データにしかならないのかなと思います。
 さきほど県内のしっかりした調査が必要だと言ったのは、次のことを言いたいのですけれども、国の第2期まち・ひと・しごと創生戦略の中で、成果指標として使っているものが、結婚希望実績指標なのです。5年以内に結婚したいと思っている人が、その5年後に結婚できたかどうか。第一子出産前後の女性の継続就業率、働き方のところです。女性がずっと続けて働くことができたか。夫婦子供数予定実績指標、何人欲しいという子供の数に対して何人お子さんがいらっしゃるかという、成果を見る場合は、幸福度を見る場合は、これは大変かもしれないですけれども、しっかりとした調査、ここのところが本当に一番大切な問題だと思いますので、ここまで含めて、幸福関連指標はなかなか見直せないとかという話かもしれないですけれども、そこまで考えてほしいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇野原保健福祉部長 委員から、きちんと調査に基づいて政策展開すべきという、これは我々も全く同じ思いです。来年度アクションプランを改定する年です。指標についても、また、もう一度どういう視点でかなえていくかという視点で、見直しがされると思います。
 委員から御指摘があったように、希望する子供数を持てる、結婚を希望する方は結婚できる、そういうふうなのが幸福度に関連していると思います。
 一方で、調査に関しては、サンプルサイズとか、調査自体は非常に行政コストがかかります。調査することが目的ではないので、そこをどう兼ね合いをしていくのかと、継続的に取らなければなりません。他の地域とか過去とも比較しなくては評価できませんので、そういった部分、評価や施策についてはさまざまな視点から、不断に研究、検討を進めてまいります。
〇米内紘正委員 調査は大変コストがかかることはわかっています。でも、分野に関しては、9、000人から6、000人、もしかしたら10年後に3、000人という、本当に県の存亡がかかっているものだと思いますので、かと言って、行政がこうしてほしいというところに無理やりそうすることもできない。そのときに、沿岸地域で求められているものは、県南地域で求められているものは何なのだという、まさにマクロではなくてミクロのところで、一人一人の個人に合わせて適切な政策を打っていかなければいけない。
 人権と行政で二律背反というか、本当に難しいプロジェクトになると思うのですけれども、そのためには、最後に幸福につなげるために何をしなければいけないかというところを逆算していったときに、最初に、一旦立ちどまってと言ったのは、一旦立ちどまって、まず県内の状況を把握するというところを、ぜひ部内でも考えていただきたいと思います。さきの総括質疑で、いろいろな指標の議論をした結果、基本は部内から上がっていくものはそのまま通るのだろうと思っていますので、まず部内で議論をしていただけたらと思います。よろしくお願いします。
〇野原保健福祉部長 我々は特に少子化対策、自然減対策を一番多く施策として抱えていますから、もちろん部内できちんと議論してまいりますし、一方で、労働施策とか、縦割り改革とか、我々のテリトリーにおさまらない部分、社会減対策と自然減対策は密接に関連していますし、そういったところは、各部局とも十分に意見交換をしながら、庁内でしっかりと議論を重ねて、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 先ほどまでの質疑の中で重複している部分がありましたので、それを割愛しながら質疑させていただきたいと思います。
 介護人材確保の関係で介護職員処遇改善事業については郷右近浩委員が質疑しております。対象者が2万3、000人だということで、これは1月当たり9、000円の処遇改善を図るわけでしょうけれども、実際は、事業者の規模とか、さまざまな介護スタッフの賃上げとかも絡むので、一律ではなく上がるだろう。それから、介護事業所で当面の運営費も大変だろうということも、そのとおりだと思います。
 それから、10月以降のベースアップについて、これも介護サービス利用料がアップする。それから、ひいては、介護保険料に大きく影響するということになろうかと思いますし、そのとおりの答弁でございました。
 令和3、4、5年度ということで、今、第8期の介護保険事業計画期間中ですけれども、これも会計に大きく影響してくることだろうと思って、大変心配をしているところです。この点、国に財源措置のことを強く申し入れをしていただければと思っているところです。
 次は、社会福祉士及び介護福祉士修学資金貸付事業費補助金、これは令和3年度予算に2、130万円、令和4年度に2、330万円、これの今までの活用状況、そして、就職の状況はどうでしょうか。
〇畠山保健福祉企画室企画課長 お尋ねがありました社会福祉士及び介護福祉士修学資金貸付事業費の補助の活用状況、就職状況についてでございます。
 当該事業による貸し付けによりまして、社会福祉士または介護福祉士の資格を取得しまして、就職状況が判明している直近3カ年の状況でございます。
 貸し付けを受けた学生のうち、県内施設に就職した人数は、平成30年度が43人中36人、令和元年度は61人中53人、令和2年度は46人中37人、計150人中126人の方が就職しておりまして、割合で申し上げますと、84%の方が県内施設に就職しているところでございます。
 また、この中には他のメニューがございまして、離職した元介護従事者の方が再就職する場合に貸し付ける再就職準備金もございます。これが直近3カ年で、平成30年度が6人、令和元年度が5人、令和2年度が14人、計25人となっておりまして、この貸し付けを受けた全ての方が再就職しているという状況になっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。こういう補助メニューを示すことによって、かなりの方々が介護関係の職に就いていらっしゃるということで、この点についてはよかったと思うのですけれども、今は、介護関係の業界の方々、それから、行政の方々も言っているのですけれども、ケアマネジャーをやめる人が次々に出てきている。何年も前から、介護人材の不足は深刻だと言っていましたけれども、本当に、この先、この制度がどうなるのだろう、大変心配だというのが多くの関係者から言われているところです。介護事業はなくてはならない事業なので、さらに発展するよう国の施策を求めていければと思っています。
 次の質問に行きます。コロナ禍の生活福祉資金貸付事業についてでございます。今、令和3年度末になってきましたけれども、これまでの生活福祉資金の特例貸付、緊急小口資金、総合支援資金などがありますけれども、この状況はどうでしょうか。それから、住宅確保給付金、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の利用はあるのかどうか、お伺いいたします。
〇阿部地域福祉課総括課長 生活福祉資金の特例貸付につきましては、令和2年から始まっておりますが、これまでの状況でありますが、令和4年1月末時点です。まず、緊急小口資金が5、637件、10億900万円余、総合支援資金が3、576件、21億2、800万円余、合わせて9、213件、31億3、700万円余となっております。
 次に、住居確保給付金につきましては、398件、6、000万円余となっています。また、令和3年7月から始まりました新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金につきましては、196件、2、900万円余となっております。生活福祉資金特例貸付と住居確保給付金につきましては、その件数は緩やかな減少傾向にありますが、一方で、生活困窮者自立支援金につきましては、再貸し付けの実施や、要件緩和の影響もありまして、増加しております。
〇佐藤ケイ子委員 こういう貸付制度を利用してくださいと言っているわけですけれども、さまざまな制限があって、利用できない方々もいらっしゃいますし、それから、利用しても、今度は、返済が大変困るということで、この制度の改善も必要だといつも思っています。
 新型コロナウイルス感染症関係の貸し付けが2年あるわけですけれども、新年度の動向はどうなるでしょうか。
〇阿部地域福祉課総括課長 まず、生活福祉資金の特例貸付と新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金につきましては、受付期間がこの3月末までとなっておりましたが、今般、6月末までに延長されました。また、今年度、実施主体は市町村ですが、住民税非課税世帯等に1世帯当たり10万円を支給する臨時特別給付金が始まっております。これが令和4年9月末まで受付期間となっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。さまざまなこの制度をしっかりと活用できるように、周知もお願いをしたいと思っております。
 次に、ひとり親家庭等総合相談支援事業についてです。この件については、小西和子委員が触れられておりますけれども、私からは、母子、父子世帯の状況について、児童扶養手当の受給者で世帯数を測っているのだろうと思いますけれども、児童扶養手当の中でも、受給できる人、一部支給の人、支給停止の人があるわけです。その支給停止になっている方々も結構不満が多いのですけれども、その人数、状況はどうでしょうか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 児童扶養手当の受給者についてでございます。福祉行政報告例による令和2年度末現在でお答えしますと、受給者が1万1、536人、うち一部支給者が4、826人、受給者のうち全部停止の方が1、861人となっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
 ひとり親家庭の調査が5年に1回ずつやられているのですね。そうすると、今お答えの1万1、536人ということであれば、平成30年度の調査では1万1、301人ですから、微増という形なのでしょうけれども、この方々の生活の中身がかなり苦しくなっているなと私は実感しているのです。児童扶養手当を受ける際の所得制限の額が低くて、ちょっと頑張って働くと、すぐ児童扶養手当が受けられなくなってしまう。児童扶養手当を受けられなくなると、それだけではなくて、医療費も助成が受けられなくなるとか、さまざまな今回の特別給付事業の10万円とかそういったものも受けられなくなるとか、本当にこの所得制限で大変苦しんでいらっしゃるなと思っております。
 この所得制限のことで、ひとり親家庭等応援サポートセンターにも相談に行くのですけれども、らちが明かないということでありました。これは小西和子委員も触れられておりましたけれども、ひとり親家庭等応援サポートセンターの活動実績、新年度の計画について改めてお聞きいたします。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭等応援サポートセンターの実績等についてでございますけれども、まず、このセンターは幾つかの役割を担っておりまして、そのうち、例えばひとり親家庭等のサポートネットワーク会議の開催、相談窓口の設置、支援者研修、家計管理・生活支援講習会、地域ネットワーク会議の運営支援などとなっております。
 実績につきましては、まずは、ひとり親家庭等サポートネットワーク会議の開催が2回、それから、相談件数は、令和3年12月末現在で1、054件、支援者研修につきましては9回、家計管理・生活支援講習会につきましては1回開催したところでございます。地域ネットワーク会議につきましても、新型コロナウイルス感染症に伴いまして、一部の取り組みとなっておりますが、9圏域中3圏域で開催したところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりましたけれども、支援員が講習会を受けたり、地域のネットワーク会議を開いたりということでございますが、本当に困っている方々の直接的な支援ができているのかどうかというのが大変疑問なところがありまして、私どもは、県内の超党派の女性議員で、岩手ウィメンズネットで情報交換したり、研修会をしたりしているのですけれども、その中に出されてきたのが、ほかの県では、住宅補助、水道代の免除、いろいろある。社会福祉協議会が弁当を出してくれたとかそういうのもある。
 でも、岩手県は何かなさそうだと。それから、ひとり親の相談センターがあることも知らなかった。公的な場所に相談に行っても、結局は民間団体のほうがきちんと寄り添ってくれると。相談しても、具体的にはたらい回しになっているような状況だと。最終的には生活保護を受ければいいでしょうと言うのだけれども、この地域では、車がなければ生活できないので、生活保護を受けるのは何としてもそれだけはやりたくない。だから、何かうやむやになってしまうので、気持ちの上でもすっきりしない状態が続いているというようなこともお聞きしたことがあります。
 本当に寄り添った支援はどういうことかというのを考えてもらいたいなと思っています。今の状況だと、ひとり親家庭等応援サポートセンターに行かなくても、社会福祉協議会でやっている生活困窮者自立支援事業とか、市町村の福祉の相談窓口、それと同じなのです。ひとり親家庭はここに行けばというのが、どうも私には見えない状況ですけれども、私の見解に、そういうことではないのですよということを何か言ってくださいますか。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 ひとり親家庭の方々につきましては、コロナ禍にかかわらず、もともと生活基盤が整っていないとか、障がいがある、あるいは、子供の養育についての困難さがあるというようなことは認識をしております。
 ひとり親家庭の方々に対する施策は、就労も含め、先ほどの手当の関係もそうですけれども、さまざま用意されておりまして、その必要な施策、給付金等にきちんとつなぐことがまずは重要かと考えております。
 相談窓口につきましても、そういう施策をまずきちんと把握して、必要なところにつなぐことができることが、まずもって重要と考えておりますので、広報も含めて、これからも取り組んでいきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 1例を申し上げますけれども、いろいろな制度があるのですけれども、それをどうやって運用していくかという中で、児童扶養手当の所得制限が結構厳しいのですけれども、例えば、子供を1人だけ扶養していれば、192万円の収入があれば、もう対象外になってしまうのです。あとは一部支給になるのですけれども、それだけではなくて、例えば、お姉ちゃんが仕事始めましたよと言うと、そこも収入に全部入れて236万円で、全停止とか、児童扶養手当も受けられなくなってしまうのです。
 そんな中で、この制度がありますよと。相談窓口に行ったら、しようがないですね、こういう規定だと。でも、私と担当者と相談して、世帯分離はできるかできないかとか、税の扶養控除の修正申告をしたらどうなるかとか、そういうことをやってみました。結局は受けられることになって、児童扶養手当を受け続けておりますけれども、本当に死活問題なのです。
 いろいろな制度はありますが、運用の仕方をもうちょっとやりくりしてもらえないかという例を私は体験しておりまして、本当に大変だと思いますけれども、その相談員の方々は、制度の熟知とともに、本当に寄り添った対応をしていただければと思っております。せっかく立ち上げたひとり親家庭等応援サポートセンターが充実されるように願っておりますので、野原保健福祉部長のご所見をお伺いしたいところです。
〇野原保健福祉部長 ひとり親家庭等応援サポートセンターについては、ひとり親家庭の実態調査を踏まえて、施策を実現するために立ち上げた仕組みでございます。
 今、委員からさまざま御指摘いただきました。まだ、周知が十分ではないのでないかとか、きめ細かい支援ができていただけていないのではないかという声をしっかりと受けとめて、進めてまいりたいと思います。
 また、御指摘のとおり、福祉制度はさまざまあります。雇用の制度も関連します。支援に当たりましては、ワンストップで全部解決できないのですけれども、その方にとってどんな支援制度が使えるのか、知恵とか、あとはノウハウですね。そういったものが本当に必要だろうと思っています。今、複合的、複雑な課題を持った支援が必要な方々も多くおられますので、福祉のさまざまな制度、就労の制度、そういったようなさまざまな支援機関と連携し、こういった中にあって包括的な支援ができるようなセンターの仕組みについて、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時22分 休 憩
午後2時37分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇菅野ひろのり委員 私からは、小児へのワクチン接種についてお伺いします。
 一般質問でもありましたが、まず確認ですが、県の小児へのワクチン接種の方針はどうなっているのか。あわせて、ワクチン接種券は、県内それぞれの自治体から発送になっていますが、どのような状況になるか伺います。
〇佐々木医療政策室長 小児へのワクチン接種についてでございますが、県では、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の判断を踏まえました令和4年1月27日付の厚生労働省通知による特例臨時接種として接種を実施するとの内容を踏まえまして、岩手県医師会、関係機関等と調整の上、速やかに接種を開始できるように、市町村の接種体制整備の支援、調整に取り組んでいるところでございます。
 また、接種に当たりましては、本人と保護者の皆様に発症予防などのメリットや副反応などのデメリットを十分に御理解いただくことが必要と考えておりまして、県では、ホームページや独自に作成したリーフレットの配布等によりまして、ワクチン接種の有効性、安全性、副反応等の情報提供を行っているところでございます。引き続き、十分な情報発信に努めていきたいと考えているところでございます。
 それから、接種券の発送の状況でございます。接種券の発送につきましては、各市町村では、国の通知に基づきまして、接種を希望される方が円滑に接種できるように、個別に接種券を送付しているところでございまして、令和4年3月10日時点で、県内では25市町村が接種券の送付を開始し、その他の市町村も3月中に送付開始予定というところでございます。
〇菅野ひろのり委員 私が今回これを取り上げさせていただいたのは、皆さんの御努力いただいている中ですが、その情報自体が、メリット、デメリットがまだまだ公平に伝わり切ってないと思っていますし、保護者あるいはお孫さんをお持ちの方から、本当に接種する必要があるのかという声も非常に大きいなと考えております。
 一方で、今はよくエビデンスと言われますが、情報も非常にたくさんあって、何が本当なのかというような整理も非常に難しいと思っています。その中で、今、分科会では、努力義務が適用にならなかったということでありますが、この理由について県はどのように承知していますでしょうか。
〇佐々木医療政策室長 努力義務の適用除外についてでございますが、国では、新型コロナウイルス感染症について、小児でも中等症や重症例がふえることが予想されており、特に基礎疾患を有するなど、重症化するリスクが高い小児には接種の機会を提供することが望ましいとされております。
 一方で、現時点でオミクロン株に対する発症予防効果、重症化予防効果に関するエビデンスが必ずしも十分ではないということから、予防接種法上の努力義務の規定は適用しないとされたところと存じております。
〇菅野ひろのり委員 実際に、国としても、エビデンスがまだ十分ではないということで、今回、努力義務を適用しないということでありました。
 もう一つが、将来に対する副反応、ここら辺の不安の声が非常に多いのだろうと思っていますが、今、恐らく相談センターに電話相談等があるのだろうと思っていますが、その状況、加えて、今、新型コロナウイルス感染症陽性者が毎日のように200人ぐらい出ているわけでございますが、もし、わかるのでしたら、例えば10代は重症者が少ないようだとか、その傾向はどうなっているのか伺います。
〇佐々木医療政策室長 小児ワクチンの相談センターへの相談の状況について、御答弁申し上げたいと思います。
 薬事承認のございました令和4年1月21日から3月13日までで、この間、全体では、相談センターに1、756件相談が来ておりますけれども、そのうち小児接種の相談に係るものが48件となっております。
 内容につきましては、持病などがある場合の接種の相談が10件、新型コロナウイルスに感染した場合の接種の相談が17件、接種後の副反応等に対する相談が13件、その他は8件という状況になっております。
〇工藤理事心得 子供の感染の状況でございます。
 現在の1日約200件から多い場合は300件ですけれども、この中に重症の方あるいは中等症の方は、子供の場合はいらっしゃいません。
 そして、全国的に見ましても、29歳以下のデータでございますが、中等症1の方でも0.2%から0.3%、中等症の2とか重症になりますと、ほぼゼロというデータが示されているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 相談件数を見ても、まだ実際に基礎疾患やそういったものがある方が心配してお電話をしてくると。実際に感染している方は、10代の方はほとんど重症化する方がいないというのを踏まえたときに、本当に必要な人には接種できる環境を整えるのは、これはすごく大事なことだと思います。
 一方で、ワクチン接種券の発送を全世帯にしているという中にあっては、例えばワクチン接種2回目のときは、小児ではないですが、8割以上。つまり、送られてきたら受けるものだという前提にどうしてもなってしまう。今求められているのは、不安だから、病気を抱えているから必要な人が能動的に打ちたいのだと。そのときにどこで受けられるのですかと、そういうような受けたい人にしっかりと受けられる環境を整備するということだと思います。
 そういった中では、私は、今の県と言うのか、国と言うのか、どちらかと言うと受けることを前提にしているものではないかと感じてしまっていますが、その辺はいかがでしょうか。
〇佐々木医療政策室長 先ほど御答弁申し上げたとおり、国の接種についての努力義務という部分については適用されていないというところでございますが、予防接種法上はワクチンとしては勧奨するという適用となっておりまして、市町村についても、個別に通知をして、接種を促すというようなことでの国からの通知もあることもありまして、まず、それぞれ接種を希望される方が、円滑に接種しやすいような環境を整えるという観点から、各市町村では、そういう形で個別に接種券を送付しているものと考えております。
〇菅野ひろのり委員 国のホームページなどを見ても、そのとおり、どこの都道府県もそうですし、注意喚起の資料に関しても、受けることが前提のようになっているので、私は、県が云々というよりも、その矛盾をすごく感じているわけです。
 そこで、県の独自のリーフレットについて伺います。一般質問の答弁等でも、その対策として、県の独自のリーフレットをつくっているとか、SNSで発信していますということでありました。この内容を見ますと、低学年用、中高学年用、保護者用というふうにできているのですが、例えば中高学年用だと4項目で、新型コロナウイルスに感染するとどうなるのか、ワクチンは何がいいのか、どうやって打つのか、ワクチンを打ったときに気をつけることということで、このリスクというのが、小学生に対してわかるように書かれていない。実際には、重症化する人はいないのだよ、あるいは少ないのだよ、あるいは将来的なこと、これはまだわからないよということを書いてあげないと、子供たちはわからないと思いますが、その点はどうでしょうか。
〇佐々木医療政策室長 小児への県独自のリーフレットについてでございますが、小児の接種に当たりましては、小児と保護者の皆様に、メリット、デメリットを十分に理解していただくことが必要だということで、先般、このリーフレットにつきましては、岩手医科大学附属病院、岩手県医師会の小児専門医に御協力をいただきながら作成したものでございます。
 リーフレットの内容につきましては、できるだけ専門用語を避けて、小学校の低学年、中高学年の別に応じて、わかりやすい表現で作成したというものでございます。
 このリーフレットについて、市町村にお送りしておりますけれども、このリーフレットとあわせまして、保護者の方には、厚生労働省が作成したリーフレット、この中には副反応の状況とか、どの程度の反応があるとか、そういうところも詳しく書いたようなものもあわせて送付するという形で、各御家庭にお届けしているという状況でございます。
〇菅野ひろのり委員 今回のこの小児に対するワクチン接種について、家庭で判断してくださいと言いながら、実際にはそうではない様子を感じているのと、不安の声が非常に広がっていると冒頭申し上げさせていただきましたが、やはり正確な情報提供、恐らくこれしかないのだろうと思っていますので、改めて、どういう発信をするのかでありますが、SNSの活用を徹底いただきたいと思いますし、知事からのそういった情報発信も必要だと思っていますが、正確な情報提供を求めたいと思っています。
 最後に、これが届けられると大体学校で子供たちが聞いて、誰君は打ってきたとか、休んだとかという話になるわけです。これは担当ではないかもしれませんが、保健福祉部として、小学校あるいは中学校、そういったところに対する啓蒙というか情報提供、注意喚起をどのように行っているのか伺って、終わります。
〇佐々木医療政策室長 ワクチンを接種した後の情報等の小中高等学校等の関係でございますけれども、これは県教育委員会でも、接種、それから、接種後の例えば差別があってはならないとか、進め方についても、順次、県の教育委員会も通じながら、情報共有を進めておりますので、今後につきましても、そうしたことで、学校現場でも円滑に接種についての情報が把握できるように努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 冒頭に、野原保健福祉部長に今の感染状況の現状をどう捉えているかお聞きいたします。
 昨日は、174人でしたが、この1週間だと1、713人、連日クラスターも多発していると。こうした状況をどのように受けとめているかお聞きいたします。
〇野原保健福祉部長 県内の感染状況でございます。全国的には、2月上旬ぐらいに首都圏などがピークアウトをして、今、緩やかに減少しているものの、本県を含む東北各県を見ますと、一旦下がったかなと思っても、若干上昇に転じる県もあります。地方部によっては、まだ明確な下降局面に入ったと言える状況にはないと認識しています。
 岩手県においても、2月26日に404名と、過去最高記録して以降、それを超える日はまだないのですが、200名を超える日が連日続いている状況でございまして、感染状況については、いわゆる高どまりの状況ということで、引き続き対策が必要な状況は変わりないと考えております。
〇斉藤信委員 私は一般質問でも取り上げたのですけれども、当面の緊急課題は何かと言えば、やはり3回目のワクチン接種をどう早期に実施するのかと。
 そこで、2月末までに実施すべき対象者に対するワクチン接種状況はどうなっているでしょうか。また、直近の接種状況も示してください。
〇佐々木医療政策室長 2月末までの対象者に対する接種状況でございますが、3回目接種の対象となっている約41万人のうち、約26.7万人の方に接種を行っており、接種率としては約65%となっております。
 また、65歳以上の高齢者への接種状況ということでまいりますと、2月末までに対象となっている32.4万人のうち、19.4万人に接種を行っておりまして、接種率は60%となっているところでございます。それから、直近の接種率は65%でございます。
〇斉藤信委員 私は、優先すべき課題は高齢者施設、高齢者のワクチン接種だと思いますが、3月2日の一般質問のときには、高齢者施設の接種率は約7割と。そのときに、高齢者の接種率は40%でした。これは、今、どこまで行っているでしょうか。
〇佐々木医療政策室長 高齢者施設の接種状況でございますけれども、3月8日に実施した調査でございますが、県内の高齢者施設等776施設のうち、2月末までに接種が終了したのは22市町村、639施設で、82.3%となっております。
 高齢者の接種率については、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、32.4万人に対しまして、19.4万人ということで、接種率は約60%となっております。
〇斉藤信委員 高齢者施設の接種率が82.3%ということでした。この半月で7割から余りふえていないのではないか。対象ははっきりしているのですから、有料老人ホームが多いと思うのだけれども、早急に、100%接種する具体的な手だてが必要なのではないでしょうか。おくれている理由はありますか。
〇佐々木医療政策室長 高齢者施設への接種のおくれの理由ということでございますが、それぞれの市町村での取り組みの部分でもちょっと差があったというところで、それにつきまして、県でもそれぞれの市町村に、接種の促進ということを求めながらやってきたところでございますので、引き続き、接種状況のおくれが見られる部分につきましては、各市町村とも連携しながら、取り組みを進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 18%、約2割弱残っていますから、本当に個別の対策を取って、高齢者施設は一日も早く100%やり切るという手だてをしっかり取っていただきたい。
 高齢者施設のクラスターの状況、施設内での療養状況、これはどうでしょうか。恐らく高齢者施設は3回目接種をした高齢者は多いと思うのですけれども、3回目接種をしても感染していると思われますが、その状況も示してください。
〇工藤理事心得 高齢者施設のクラスターにつきましては、1月以降3月13日現在でございますが、15件のクラスターが確認されておりまして、そちらに含まれる感染者数は374名となっております。
 施設内での療養状況でございますが、本日現在でございますけれども、高齢者施設内での療養者は23人となっております。
 それから、ワクチン3回目接種後の感染につきましては、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム─HER−SYS─によれば、1月から2月の65歳以上の感染者、これは入力がなされていない方を除く有効データということでございますけれども、461名のうち55人、約12%となっております。
〇斉藤信委員 わかりました。3回目接種をしても感染している高齢者がいるということです。
 大きな二つ目に、PCR等検査体制の実績についてお聞きいたします。感染者が発生している医療機関、クラスターが発生している医療機関でのPCR検査体制はどうなっているでしょうか。
〇三浦感染症課長 PCR検査体制についてでございますけれども、新型コロナウイルス感染症による患者が確認された場合の感染症法に基づき、保健所において、積極的疫学調査による濃厚接触者の特定を行い、行政検査を実施しているところでございます。
 医療機関におきましても、感染者が発生した場合も同様の取り扱いとなっておりますが、これに加え、濃厚接触者等の行政検査対象者以外でも、院内感染対策の一環として、医療機関独自の判断で、職員や入院患者等に対して検査を実施していることは多いと承知しているところでございます。
〇斉藤信委員 民間医療機関が独自にそういう検査をしている。これは病院持ちでやっているのです。こういうところに、検査料を含めて、県の支援がきちんと届くようにすべきだと思いますが、いかがですか。
〇三浦感染症課長 行政検査で実施したものについては、全額公費負担の対象になるということと、医師の判断により、診療の一環として実施されている場合については、検査に係る費用負担の自己負担分を公費負担とさせていただいているところでございますけれども、民間医療機関を含む職場において、職場の感染対策として、みずから従業者に対して定期的な検査を実施する場合については、行政検査の対象にならないことから、その費用については自己負担をお願いしているところでございます。
〇斉藤信委員 医療機関で感染者が出た、クラスターが発生したと。しかし、例えば民間で感染症のベッドを持ってないところでも、発生すれば、そこで患者を診るのです。そして、必要な頻回の検査をやっているのです。医療を継続させるためです。私は、そういう点でいけば、そうした病院に対しても、検査料とか必要な物資とか、危険手当も含めて、きちんと支援されるべきだと考えますが、いかがですか。
〇三浦感染症課長 そういったところも含めて、病院や保健所の意見を聞きながら、調整させていただければと考えております。
〇斉藤信委員 よろしくお願いします。
 今、野原保健福祉部長の答弁にもあったように、感染が高どまりしていると。オミクロン株のもとで、本当に経験したことのないような感染の急拡大が続いていると言ってもいいと思います。こういうときに、高齢者施設や教育、保育施設、学校で、定期的、頻回の検査を実施すべきだと思いますが、どれだけ実施されていますか。されてないとすれば、なぜですか。
〇三浦感染症課長 高齢者施設等での定期的な検査についてでございますけれども、高齢者施設に勤務する方を対象とする一斉、定期的な検査については、本県がまん延防止等重点措置地域に指定された場合や、地域の感染リスクが高まって必要と判断される場合等に実施することとしており、その頻度は、厚生労働省の事務連絡において、週1回から少なくとも2週間に1回とされているところでございます。
 現在、県内一部の市町村において、感染症法に基づく行政検査とは別に、高齢者施設、保育施設ほか、社会福祉施設等に係る一斉、定期的な検査を実施しているほか、国が配布する抗原検査キットや、市町村が独自に調達した検査キットを活用した検査が行われているものと承知しております。
 県といたしましては、これらの検査方法を的確に組み合わせて運用するとともに、検査を支える保健所の適切な業務執行体制を確保することなどにより、効果的、効率的な検査の実施を推進してまいります。
〇斉藤信委員 3月8日の総括質疑で、高田一郎委員の質問に対して、野原保健福祉部長は、我々としても、今まさに感染拡大、感染確率が高まっていますので、従事者の方々に関しましては、国が事務連絡で示すとおり、週に1回程度の検査は必要性が高まっている時期と認識している。国や市町村、県で調達した検査キットの有効活用について、市町村とも連携して使用してまいりたいと、答弁しました。
 今まさに感染拡大、そういう状況だと。定期的検査は必要だと、こういう答弁でした。これを何でやられないのでしょうか。
〇三浦感染症課長 高齢者施設等における一斉、定期的な検査の判断につきましては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会の見解において、新型コロナウイルス感染症対策分科会が示すステージ3または4の指標を目安とされており、これは11月の同分科会が示した新たなレベル分類では、レベル3に相当するものでございます。
 現時点におきましては、県内の感染状況はレベル3に相当するものではないものの、今後の感染拡大の状況を注視しつつ、必要に応じて専門委員会の意見を伺いつつ、高齢者施設等の一斉、定期的な検査を行うことを検討してまいります。
〇斉藤信委員 今、検討の時期ではないと思うのです。今まさにやるべき時期なのだと思います。
 クラスターの発生状況を言いますと、1月29件、779人、2月103件、3、070人、3月は13日までで57件、1、105人。特に一番多いのは学校71件、1、967人、教育、保育施設57件、1、802人、高齢者施設15件、374人、医療施設が6件、194人です。
 言わば2月、3月、どんどんふえているという。特に、これは自主公表をされているから言ってもいいと思いますけれども、県立中央病院の院内保育所でクラスターが発生しました。そのために看護師等100人が出勤できなくなった。医療制限せざるを得ないと、こういう事態が今起きているのですよ。保育所でこういうふうに感染クラスターが出ますとね。こういう保育所とか、必要な学校とか、特に高齢者施設で、定期的、頻回の検査をやって、事前に防止する。クラスターにならないように食いとめる。野原保健福祉部長、こういう手だてが今こそ必要ではないですか。
〇野原保健福祉部長 先ほど、三浦感染症課長から答弁もしましたとおり、また、総括質疑でも答弁したとおり、強制検査としての枠組みはそうですが、一方で、国や市町村で配布しているキットがあり、それはまだ十分活用されていないと我々も認識しておりますので、それについては、まさに活用する時期だと考えておりますので、ある資源について、住民の方々の適切な活用については、市町村とも連携しながら、しっかり進めてまいりたいと思います。
 また、行政検査のあり方についても、例えば、どの部分にクラスターが多いのか、どういう施設に多いのか、リスクはどういう方が高いのか、そういったものを十分見きわめながら、検討を進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 この2月、3月は、私は本当に大変な時期なのだと思います。こういうときに、後手後手にならないように、ある意味先手先手で手を打つことが今必要なのではないかということを強く指摘をしておきます。
 無料検査の状況ですけれども、令和4年2月20日段階では1万5、000回でしたが、今はもっと進んでいると思いますけれども、この無料検査での、陽性患者の確認状況はわかりますか。
〇三浦感染症課長 PCRの無料検査についてでございますけれども、3月6日までの実績が出ておりまして、2万428件となっております。この検査において、全体の約1.5%に当たる315件の陽性者を確認しているところでございます。
〇斉藤信委員 無料検査は無症状の人ですよね。これだけ出ているわけです。だから、本当に検査が必要だと。この無料の検査はもっと大規模に県民の方が受けられるようにすべきだということを私は指摘をしておきます。
 死者がじわじわとふえているのではないか。1月以降の死者の数、その要因、分析はどうなっているでしょうか。
〇工藤理事心得 1月以降に亡くなった方、本日まででございますが、13名でございます。全員が65歳以上の高齢者の方、いずれも基礎疾患をお持ちの方となっております。特に80歳以上の方が9名という状況でございます。
 また、クラスターが確認された高齢者施設や医療施設に、入院、入所されていた方については、13人のうちの10人となっております。
〇斉藤信委員 高齢者施設の対策が本当に命を守る上で切実だと。それで、今、自宅療養者が大変急増して2、000人を超えております。自宅療養者に対する医療支援。状態が悪化して入院したケースは何件あるでしょうか。
〇工藤理事心得 自宅療養者につきましては、My HER−SYS等を活用した健康観察のほか、保健所や健康観察の御協力をいただいている診療、検査医療機関において、電話により健康状態を確認させていただいております。
 自宅療養中に調子が悪くなった場合は、御協力をいただいている診療、検査医療機関におきまして、電話等による診療を行い、必要に応じ薬の処方をしていただいております。その上で、自宅療養中に発熱が続き、解熱しない方とか、食事が思うようにとれない方等、入院となった方につきましては、3月12日現在で58人となっております。
〇斉藤信委員 自宅療養者は希望も多いようですし、軽症も多いということで、本当に1月以降、2月以降というのでしょうか、私たちは新たな対応をしているのだと思います。そういう点では、全体とすれば、効果的な対応になっていると思いますけれども、それでも、今、答弁があったように、58人が入院せざるを得ないということもありますから、自宅療養者に対する、手おくれにならない医療、健康観察、支援、これをしっかり継続していただきたいと思います。
〇高田一郎委員 私は、高過ぎる国民健康保険税の課題についてお聞きいたします。
 まず、県内の国保税について、標準モデルで結構ですので、国保税と中小企業で働く方が加入する協会けんぽの保険料はどうなっているのでしょうか。
 あわせて、累積滞納額、滞納処分、短期保険証及び資格証明証の発行状況について、まとめてお聞きします。
〇竹澤健康国保課総括課長 初めに、保険税と保険料についてでございますけれども、夫婦とも39歳以下、就労者が1人、就学児の子供が2人の4人世帯で、年収400万円の場合、盛岡市の国民健康保険税と協会けんぽの保険料の年額を試算いたしますと、盛岡市の国保税が40万円、協会けんぽの保険料が20万2、164円となっておりまして、国保税が19万7、836円高い状況になっております。
 続きまして、累積滞納額等の数字でございますけれども、令和2年度における出納閉鎖時の累積滞納額は、39億3、000万円余でありまして、前年度と比較して、約5億6、000万円、12.57%の減となっております。
 滞納処分につきましては、差し押さえ件数が2、654件で、前年度より140件減、差し押さえ金額は約8億9、000万円で、前年度より4、000万円減となっております。
 また、本年2月1日現在における短期被保険者証の交付世帯数は3、829世帯で、前年度より284世帯減、資格証明書の交付世帯は65世帯で、前年度より14世帯減となっております。
〇高田一郎委員 国民健康保険税は、本当に県民にとって最も重税感のある税であって、そして、最も矛盾に満ちた税だと思います。今、盛岡市のモデル世帯での税額を答弁いただきましたけれども、同じ所得でありながら、協会けんぽは20万円、国保は40万円、2倍の開きがある。前にもお聞きしたのですけれども、この状況はずっと変わらない、こういう状況です。
 低所得者が加入する国民健康保険でありながら、この間、国庫負担をどんどん下げて、そして、加入者にどんどんしわ寄せをさせるような税になっているから、こういう状況になっていると思います。全国知事会が、1兆円の公費投入を求めて、そして、協会けんぽ並みに是正すべきだという要望は当然だと私は思います。この点について、国の動向は、今はどのようになっているでしょうか。どう検討されているのか、この点について示してください。
〇竹澤健康国保課総括課長 まず、1兆円についてのお話でございますけれども、平成26年当時に協会けんぽ並みに保険料負担率を引き下げるために必要な公費として、1兆円という数字が示されまして、その後、国で、全国知事会と協議の上、平成30年度から、3、400億円の財政支援措置を行うことになっております。この3、400億円の財政支援措置につきましては、平成30年以降継続されておりまして、来年度においても継続されるものと認識しております。
 先ほど委員から御紹介のありました国民健康保険料のそういった構造的な課題がありますので、県といたしましては、国に対してさらに充実した財政支援をしていただけるように要望をしてきているところでございます。
〇高田一郎委員 今、答弁があったように、国民健康保険の構造的な問題という話になりましたけれども、国民健康保険の構造的な問題の解決なしに、保険料の統一をするということは、私は、新たな矛盾をつくるものだと思います。
 岩手県がこの間つくりました第2期岩手県国民健康保険運営方針(令和3年度〜令和5年度)では、将来的に、保険税水準の統一を目指すとともに、統一による影響と課題の検証、協議を行う。このように示されております。全国の自治体では、期限を切って統一にするという自治体もありますけれども、岩手県はどちらかと言えば慎重な対応になっているのかなと思いますけれども、現在、どのような検討状況になっているのか、この点について示してください。
〇竹澤健康国保課総括課長 令和3年度から令和5年度までの3カ年の第2期運営方針におきまして、今、委員から御紹介のありました保険率の水準等について議論を行うことにしておりますけれども、市町村の医療費水準につきましては、最大と最小で、約1.5倍程度の差が見られるということでございまして、保険料水準を統一することにより、過渡的に医療費水準が低い市町村の納付金がふえるなどといった課題があることから、保険税水準の統一の定義や時期について、現在も市町村の間で考えに隔たりがございます。
 そうしたことから、県といたしましては、市町村と慎重に検討をすることとしておりまして、その検討の状況を踏まえて、来年度以降の国保運営協議会の中で協議していくこととしております。
〇高田一郎委員 県内の自治体の中でも、保険料が1.5倍の開きがある。それだけでなくて、医療費についても相当な開きがあります。県内で、保険料についても医療費についてもこのような格差がある中で、何よりもこの国民健康保険の構造的な問題解決なしに、保険料を強引に統一してしまったら新たな問題が発生していくことは明らかでありますので、この点については慎重な対応をしていただきたいと思います。
 来年度の県内の市町村の国保税はどうなるのでしょうか。最近、市町村では、保険税の統一を見越して、基金が多額にあるのに、国保税を引き上げている自治体があります。県の運営方針でも、一般会計への繰り入れを解消するとか、赤字の削減解消に向けた対策を進めるという、そういう運営方針に沿ってやられているのではないか。県が主導してそうなっているのではないかという懸念、心配もありますけれども、この辺も含めて、答弁をいただきたいと思います。
〇竹澤健康国保課総括課長 来年度の市町村の国保税についてでございますけれども、来年度市町村が県に納付いたします国民健康保険事業納付金の総額は、295億3、000万円余と見込んでおりまして、1人当たり納付金を考慮した標準保険税率の算定に必要な被保険者1人当たりの保険税額は10万533円と試算しております。この金額は、昨年度算定時の10万329円と比較いたしまして、204円、0.2%の増となっておりまして、ほぼ前年並みという状況でございます。
 一方で、本年2月時点におきまして、市町村からの聞き取りによりますと、来年度、保険税率の引き上げの改定を予定している団体は3団体となっております。一般会計からの繰り入れにつきましては、赤字補填を目的とした繰り入れについては是正していただくように、県から市町村には助言等を行っているところでございます。
〇高田一郎委員 赤字補填のための繰り入れは、それはやはり是正すべきだということで市町村に指導するというお話がありましたけれども、これは、赤字補填とか、あるいは税の軽減のために、一般会計から繰り入れをするというのは、地方自治体の自主的な対応だと思うのですけれども、そこまで県はやってはいけないという指導なのですか。今後とも、一般会計からの繰り入れはやれないということなのですか。
〇竹澤健康国保課総括課長 一般会計からの繰り入れにつきまして、一律にやめていただくような、そのような助言はしておりませんけれども、国民健康保険という特別会計の中で収支が合うように、保険料をいただいて、納付金を出していくと、そういう大きな制度の中で考えますと、一般会計からの赤字補填目的の繰り入れは、本来の趣旨から外れるということで、そういう意味で助言等はさせていただいております。
〇高田一郎委員 今までも、岩手県内でもかなりの自治体で、国保税が高過ぎる。構造問題を解決するために、独自に一般会計からの繰り入れを行ってきました。私は、国の構造的な問題解決がない中で、少しでも税の負担を和らげようというこの地方自治体の対応は全然問題ないと思いますし、今後もそういう対応は続けていくべきだと思うのです。それは、是正しなさいという指導は、何を根拠に是正指導になるのですか。
〇竹澤健康国保課総括課長 国民健康保険の財政につきましては、国民健康保険が、国民皆保険制度の根幹を成すということから考えますと、まず国において、地方に対するしっかりとした財政支援措置があるべきものと考えております。
 一方で、保険の運営主体が自治体であることを考えますと、委員がおっしゃるとおり、一般会計からの繰り出しを判断するのは各自治体でございますけれども、制度本来の趣旨からしますと、その会計の中で収支が合うようにしていただくというのが筋かと考えております。
〇高田一郎委員 ガイドラインはそういうことを言っているのですけれども、是正しなさいという、これは何も根拠がないわけでして、厚生労働省も、一般会計からの繰り入れは、それは法律的には何の制限もないのだということを述べていますので、これはそういう形での指導はやはり改めていただきたいと思います。
 国民健康保険のもう一つの問題は、均等割の問題だと思います。国民健康保険にしかない均等割は、家族が多ければ多いほど税が高くなる。つまり子供が多ければ多いほど税が高くなるという、子育て支援に逆行することになると思います。
 県内でも、宮古市や陸前高田市でも、独自に子供の均等割の減免を行っている自治体が出ておりますけれども、これは全県に広げていくべきだと思います。4月から国の制度として、就学前の均等割の半額助成が始まろうとしております。これは、県、市町村の負担は、全額地方交付税措置されるということでありますから、こうした財源を活用してさらに広げるということも可能になってくると思いますけれども、県も、こういった宮古市や陸前高田市の経験を全県に広げる、そういう積極的なイニシアチブを取っていただきたいと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇竹澤健康国保課総括課長 宮古市では、子育て支援施策の一環として、子供の国保税均等割の免除を実施しているところであり、これに伴う国保税収入の減少につきましては、ふるさと納税等の財源を活用して、一般会計から繰り出しして対応しているものと承知しております。
 本来、子供の均等割軽減措置等につきましては、個々の市町村が財源負担を行いながら導入するものではなく、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で、子育て世代の負担解消が行われるべきものと考えております。
 県といたしましては、県の政府予算提言、要望や、全国知事会等を通じて、子供に係る均等割の軽減措置の対象拡大を国に要望を行っているところであり、今後も提言を行っていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 先ほどお話しした1兆円の公費投入が実現できれば、こういった問題は解決できると思いますので、これにはしっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、自治体独自でもそういう努力が、不公平な税制を改善するという点で、非常に大事な取り組みでありますので、ぜひ、全県に広げるような取り組みをお願いしたいと思います。
 最後は、国民健康保険の課題のもう一つに保険証の取り上げ問題があります。先ほど答弁でも、短期保険証3、829件、資格証明書の交付は65件と、資格証明書は大分数が減ってきましたけれども、短期保険証は相変わらず4、000件近くて、問題なのは、未交付が761件にもなっております。つまり、御本人に短期保険証が渡っていないと。
 今、新型コロナウイルスの感染拡大が続いているもとで、どんなに生活が厳しくても医療を受けられる、そういう環境をつくっていくということが非常に大事だと思います。こういったペナルティーを課さないで、資格証明書や短期保険証をまず渡して、そして、医療を受けられる保障をつくって、あとは個別に相談に取り組むということが自治体の本来の役割ではないかと思います。
 盛岡市では、短期保険証5件、資格証明書2件ということですから、ほとんど発行していないということです。いろいろ調べたら、横浜市でも、300万人都市ですけれども、資格証明書に続いて、短期保険証も原則発行しないと。まず発行して、医療を受けられる権利を保障し、そして、相談活動を強化していく。こういう方向に大きく流れが変わっています。岩手県もそういう立場で対応していただききたいと思いますけれども、この点について改めてお伺いしたいと思います。
〇竹澤健康国保課総括課長 県におきましては、毎年度、市町村の主管課長会議や新任職員研修等におきまして、滞納者に対する適切な対応、これは丁寧に対応していただきたいということでございますけれども、それについて協力をお願いしているところでございます。
 先ほど、委員から御紹介のありました盛岡市の例でございますけれども、庁内横断的に情報共有しながら、そういった滞納をされている方、滞納のおそれのある方に対して対応をされていて、分割納付とか徴収猶予などの取り組みを行っているという話を聞いておりますので、そういった取り組みが全県に広がるように、これからも市町村に対して働きかけていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 厚生労働省も、保険証の発行については、交付の際は機械的、一律的に運用するではなくて、納付できない特別の事情があるか否かを適切に判断するということを述べております。高過ぎてなかなか払えないというのは特別の事情ではないと思いますので、改めて強調しますけれども、医療を受けられる権利をしっかりと保障して、払えない人たちには相談活動で対応していく、こういう方向で改善していただきたいと思います。
〇木村幸弘委員 私からは、自宅療養の関係についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、医療提供体制について、フェーズ3への切りかえによって、感染拡大に備え対応する方針が示されましたが、一方で、自宅療養の実施によって、入院者数の推移は150人から180人前後と、病床使用率水準は、レベル3の指標の50%以下におさめられるような傾向が見られます。
 また、宿泊療養については、自宅療養への転換により、おおむね10%から20%程度と低い使用実態に押しとどめているように見えるわけです。一方で、自宅療養者が雪だるま式に増加する状況を見るにも、医療提供体制をフェーズ3とし、その受け入れ能力があるにもかかわらず、自宅療養に依拠していく対応に私自身は疑問を抱いております。自宅療養となる対象者が増大することによって、保健従事者の支援業務内容や支援体制の負担が逆にふえております。
 また、先ほど来、御指摘のように、学校、学級閉鎖に伴う医療従事者の自宅待機等による病院業務への影響が訴えられるなど、問題の裾野を逆に広げているように見えるのであります。そこで、この2月以降の感染症報告の推移を見たときに、感染者の療養方法の判定について、特に自宅療養者の判定評価が基準に照らして適切な判定かどうか、客観的にわかるように、入院等が必要ない方、ひとり暮らしで家庭内感染リスクが低い方など、分類して公表することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、これまで、第一義として取り組んできた入院、宿泊療養を原則とした対応を、改めてしっかりと運用することが求められると考えますけれども、お伺いいたします。
〇工藤理事心得 自宅療養についてのお尋ねでございます。県では、新型コロナウイルス感染症患者に対して、適切に医療を提供するとともに、一般医療への影響を最小限にとどめ、限られた医療資源を有効に活用するため、患者の状態、重症化リスクや家庭環境などを評価し、療養先を決定しているところでございます。
 この療養方法につきましては、スコアシート等を活用し、年齢や肥満度、喫煙歴、基礎疾患の有無、家庭環境などのリスク評価に基づき選定しておりまして、入院については、酸素飽和度が低いなど呼吸器症状がある方や、高齢で基礎疾患があるなど重症化リスクの高い方、宿泊療養につきましては、重症化リスクの高い家族と同居している場合や、個室での管理が難しい場合など、家庭内感染リスクの高い方、自宅療養につきましては、このような要件に当てはまらない方を対象としているところであり、患者や家族の御希望を踏まえて、個別のケースに応じて、保健所等の総合的判断により対応しております。こうした考え方につきましては、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議等でもお知らせしておりまして、ホームページ等で公表しているところでございます。
 また、県では、新型コロナウイルス感染症に係る医療体制の方針におきまして、重症化リスクが高い新型コロナウイルス感染症患者は、原則、入院または宿泊療養とするということとしておりまして、現在においても、基本的な考え方は変わりませんけれども、オミクロン株の特性等を踏まえまして、一般医療への影響を最小限にとどめるため、ただいま答弁申し上げたような対応を行っているものでございまして、今後においても、変異株の特性や感染状況に的確に対応した医療提供体制を構築してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 これまでも、各委員からもそれぞれ感染症対策にかかわる質問があって、今のような御答弁を繰り返しいただいているわけであります。
 そこで、改めて確認したいこともあるのですが、一つは、感染拡大と自宅療養者の増に対応するために、いわて健康観察サポートセンターの体制が令和4年2月4日設置時の8名から、半月ほどで13名、さらに半月後の3月3日、1カ月間で18名へと増員を余儀なくされました。現場の負担が増していることは明らかです。これは明らかに自宅療養者がどんどん拡大している結果として、私は見ておりました。この状況をどう受けとめているのか伺います。
 また、今回、4棟目の宿泊療養施設を確保すると聞いておりますが、2月1日にフェーズ3を発出した段階で、既に370室が宿泊療養施設として確保されているわけであります。そういう中で、4棟目をさらに増設するということで、これは一体何室追加される考えなのか。また、そのための運営業務に当たる支援者数は、これまでの30名に加えて、何人増員する考えなのかお伺いしたいと思います。
〇工藤理事心得 いわて健康観察サポートセンターにつきましては、保健所と連携いたしまして、保健所からの健康観察依頼に基づいて、健康観察を実施しているところでございまして、2月に入りましてから、各保健所からの依頼が増加してまいりました。それに対応して、対応するメンバー、スタッフについても増員を図ったところでございます。
 それから、宿泊療養施設4棟目でございますけれども、トータル370室という確保室数については変更しておりませんけれども、4棟目につきましては、部屋数として22室を確保しております。ただ、これがシングルだけの部屋ではないものですから、人数とすると、もう少しふえることはございます。
 その中で、支援者数につきましては、新規に、看護スタッフが3名、そして、事務スタッフがたしか6名から7名だったと思うのですけれども、そういった形で増員をさせていただいたところでございます。
〇木村幸弘委員 そういう対応の中で、新年度当初予算案にかかわってもちょっとお聞きしたいのですけれども、新年度当初予算案で、いわゆる感染症軽症者等宿泊療養事業費が43億5、600万円余計上されているわけであります。具体的に、この事業によって、大体稼働見込み数や、あるいは1稼働当たりにどれだけの予算が措置されていると考えればいいのか、その内容について具体的にお伺いしたいと思いますし、今年度の当初予算の中で、34億7、300万円余の同じ予算措置が行われていました。先般、令和3年度岩手県一般会計補正予算(第12号)で11億1、600万円が減額されているわけでありますけれども、この増額した理由についてもお伺いをしたいと思います。
〇工藤理事心得 宿泊療養施設につきましては、フェーズ1、2、3に応じてそれぞれ各室数が決まっておりますけれども、想定している室数は基本370室で考えているところでございます。稼働割合等々については、ちょっと済みません、一定の割合を掛け算しているはずなのですけれども、100%で運用していますと、入所者が交代したときに、すぐに入居できない、消毒等の期間とかがございますので、一定割合、多分8割とかそのくらいだったと思いますけれども、そういった稼働割合を掛け算して算定しているものでございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。多少歩どまりも見ながらということだと思いますので、それは当然必要なことだと思います。
 次に、自宅療養中の外出問題について伺います。令和4年2月10日、県立病院経営委員会の場において、自宅療養中の患者が別の病気の治療のため外出して、受診をしていたことが複数明らかになりました。恐らく県立病院以外でも同様のケースがあるものと推察されますが、県は、どのようにこの問題を把握し、対応しているのかお伺いします。
〇工藤理事心得 自宅療養中の外出に関してでございますが、自宅療養中の方、感染症患者に対しましては、保健所やいわて健康観察サポートセンター等から、療養解除になるまでは外出禁止であることを伝えておりますが、そのほか、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議における知事からの注意喚起や、自宅療養のしおりなどにより周知徹底を行なっているところでございます。
 委員御案内の事例につきましては、保健所指示の自宅療養期間中であったものの、患者本人の症状がなかったことなどから、病院を定期受診されたものと承知しております。このほかにも、濃厚接触者である方が、その事実を連絡せずに、直接受診されていた例や、濃厚接触者である方が、救急車を呼び、搬送された医療機関で問診した際に濃厚接触者であることを申告しなかった例なども承知しております。
 いずれも、外出を禁止されていることについての理解が不足していたものと理解しております。自宅療養者や濃厚接触者となった方には、改めて、注意事項等を丁寧に説明し、御理解いただけるように努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今の事例について御報告をいただきましたけれども、ただ、県立県病院経営委員会の会議録では、そうした濃厚接触者が外出したという表記ではなくて、明らかに自宅療養者という形の中で、病院長から報告がされたという中身になっていますので、その辺の誤解が出ている部分がありますから、きちんと改めていただきたいと思います。
 それから、保健所の判定で使用されていると説明を受けていますスコアシートの判定方法のあり方ですけれども、重症化する可能性がある疾患項目にがん治療中があるにもかかわらず、県立病院の事例で、濃厚接触者だということで、感染者は、そのがんにかかっている方の同居人でありますけれども、自宅療養になっているわけです。
 こうしたリスク因子に基づいて、詳細の聞き取りなどを本当にきちんと行なっているのかどうか。その他の扱いの特記事項、つまりスコアシートが手元にありますけれども、このスコアシートの最後の項目です。その他の特記事項の中で、いわゆる感染者以外の家庭環境の調査事項が、可能であれば記載してくださいという表現で書かれているのです。
 そういった部分を考えたときに、この可能であればという表現ですと、果たして、感染者がそれをきちんと捉まえて、自己申告がしっかりとできるのかどうか。つまり保健所が、この感染者の方と家庭内感染リスクの是非や、ひとり暮らしの問題、そして、同居者がどういう状況なのか、いろいろな形の状況をしっかりと聞き取りながら、その上で、最終的にどう判断するかということが重要だと思うのですけれども、そうした部分についての適切な対応や判定が十分だったのかということについて、どのように受けとめているか伺いたいと思います。
〇工藤理事心得 まず、スコアシートによるリスク評価に関してですけれども、濃厚接触者の場合は、入院等の調整を行うわけではないので、まだスコアシートによるリスク評価を行わないということについては、委員御指摘のとおりでございます。
 また、療養先の選定に用いるスコアシートにつきましては、これは想定しているのは、診療、検査機関におきまして、主に症状や重症化リスクなどを記載の上、保健所に提供するということを目的としたものでございまして、家庭環境につきましては、別途、保健所による疫学調査において詳細を確認することとしております。
 この疫学調査のシートは、A4版で七、八ページにわたる詳細なものでございます。自宅療養につきましては、スコアシート等による主治医等のリスク評価を参考に、行動歴や家族構成等の詳細な調査結果を踏まえて、保健所等が総合的に判断しているところでございまして、今後においても、患者の状態、重症化リスクや家庭環境などを適切に評価して、入院や宿泊療養等の療養先を決定してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 さまざまなトリアージの基本的な方針や考え方について、この間もそれぞれ委員の方々から質問があり、その都度、お答えがあるわけですね。我々もその答えを聞いているわけですけれども、私たちに説明されているいわゆるトリアージの要素として、家庭環境のリスク評価について、特に宿泊療養については、家庭内で重症化リスクの高い家族と同居している場合、個室で管理できない場合など、主に家庭内感染リスクが高い方を対象として、宿泊療養判定にしているということが説明されています。
 しかし、今回のケースを見ると、明らかに家庭内においてがん患者がいまして、重症化リスクが高い家族と感染者が同居しているという実態があったわけです。しかし、それにもかかわらず、自宅療養という判定がされて、この濃厚接触者であるがん患者は、自分のがん治療のために県立病院を訪問して、濃厚接触者でありながら病院の中を歩き回ったわけですね。
 こういうリスクを考えたときに、感染者のみの対策だけではなくて、先ほど疫学調査を保健所でしっかりやるのだというお話でしたけれども、こうした対応を含めて、もっとしっかりとした体制を、あるいは周知を図っていただかないと、逆にリスクを拡大してしまう。そして、感染拡大の家庭に押し込んで、あるいは自宅療養で診てもらうはずなのに、それが逆に感染拡大につながる要因になってしまう。こういうことを決してさせてはならないと思うのです。
 そういう点から、自宅療養の考え方として、今、宿泊療養施設の利用率、使用率が10%から20%ですよ。しかし、予算は370室年間を想定して確保している。しかし、実質的にこういったリスクのある方が宿泊療養という形を取られていないと。私は、いわゆる入院療養がもう大変な状態で、その上困難で、宿泊療養があって、そして、宿泊療養がなお大変な状況になりそうだというときに、やむなく自宅療養という形で何とか御協力をお願いして、感染拡大防止に皆さん協力いただけませんかというのが本来のあり方だと思っているのです。それが、今は逆転しているような気がしてならない。
 だから、学校、家庭、そして、職場、ぐるぐる悪循環の感染拡大につながっているような気がしてならない。野原保健福祉部長が言う高どまりの状態をむしろつくっている要因の一つになっていないのかということを大変懸念しておりますけれども、改めて、そうした部分も含めて、今後どのように考えるかお伺いしたいと思います。
〇工藤理事心得 御指摘はもっともだと考えておりますが、1点、宿泊療養あるいは入院を抑えて、自宅宅療養にという動きは全くございませんで、むしろ、保健所といたしますと、宿泊療養施設に搬送したほうが、例えば健康観察とか、感染拡大のリスクを抑えられるわけですから、そちらのほうをお勧めすることが多いと思います。
 ただ一方で、実際、ビジネスホテルのようなところに1週間なり10日間なりという形で滞在することになりますので、あるいは、その御家庭の事情が結構ございまして、自宅での療養を希望される方が非常に多いという事情がございます。そういった希望等や御家庭の事情を踏まえて、現状として、総合的な判断を行っておりますので、その中で、感染拡大につながらないよう、特に家庭内で高齢者がいる場合とか、基礎疾患をお持ちの方がいる場合とかについては、できるだけ宿泊療養施設をお勧めしているという状況でございますし、もちろん重症化リスクのある方については入院をお勧めしているという状況でございます。
〇小林正信委員 私は、産後ケアについてお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど、産後ケア利用促進事業費、また、市町村の連携等については、神崎浩之委員の議論がございましたので、よくわかりました。
 産後ケアを担う保健師や助産師の存在が、今後、産後ケアには重要なのではないかなと思っておりまして、特に助産師については、先ほどからもさまざま議論もございましたけれども、妊娠、出産、産後ケアと妊産婦に寄り添った支援ができる存在として、県の安心して産み育てることができる環境の整備にとっては重要な存在だと思っております。
 先ほど、工藤勝子委員、また、神崎浩之委員の質問の中で、助産師の状況とか、御活用について詳しく質問していただきましたけれども、私からは、特に助産師の育成、または、助産師に対する支援について、県はどのような取り組みをこれまで行ってきたのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇日向特命参事兼次世代育成課長 産後ケアを担う助産師への支援等についてでございますけれども、県では、産後ケア事業を実施するために必要な専門的知識を身につけるため、母子保健の担い手である市町村の助産師、保健師等を対象に研修を実施し、資質の向上に努めてきたところでございます。
 例年、産後ケアや地域における母子保健活動などをテーマに研修を実施しておりますけれども、今年度は、11月に本県で開催いたしました健やか親子21全国大会におきまして、切れ目のない妊産婦メンタルヘルスケアの推進をテーマに、基調講演やパネルディスカッションなどを行ったところでございます。
 今後も、地域の実情、状況に応じまして、妊娠、出産、子育てにわたる切れ目のない支援が行われるよう、専門人材の支援、育成に取り組んでいく考えでございます。
〇小林正信委員 ぜひ今後も、助産師に対する育成には重点を置いていただきたいと思っております。
 このたび、普通分娩ができなくなった釜石市においては、産後ケア事業の充実がかなり図られておりますけれども、逆に、普通分娩ができる大船渡市では、産後ケアをこれまで担ってきた助産師が高齢化で、この産後ケア事業の存続が難しくなっているということです。出産ができる市では産後ケアが危うくなっている。出産できないところで産後ケアが充実している。これはちょっとあべこべのような状況もございます。
 それについては、助産師とこの産後ケア事業をしっかり支えてくださる人材というものが重要だと考えておりましたので、安心して産み育てるという、この取り組みを充実するためにも、今後一層、助産師の育成、また支援を重点的に行っていただければなと思っております。
 続いて、子宮頸がんについてお伺いしたいと思います。まず、県内の患者の状況と検診の受診率、また、ワクチンの接種状況についてお伺いしたいと思います。
〇三浦感染症課長 子宮頸がんの近年の県内患者の状況でございますけれども、岩手県における子宮頸部のがん患者についてでございますが、2018年度は267人となっており、2017年度の242人からは増加しているところでございますけれども、2016年度の299人からは減少しているところでございます。
 検診の受診率及びワクチンの接種状況でございますけれども、子宮頸がんの検診、受診状況につきましては、一番近いデータが令和元年度になりますけれども、国民生活基礎調査では47.1%となっており、全国平均の43.7%より3.5%上回っているところでございます。また、ワクチンの接種状況につきましては、対象となっている11歳から16歳までの間に3回接種することになっておりますけれども、3回とも接種した対象者は、令和元年度が86名、令和2年度が325名、令和3年度は1月まででございますけれども、518名となっており、接種者、接種率とも年々増加しているところでございます。
〇小林正信委員 わかりました。さまざまな取り組みもあって、ワクチンの接種については少しずつふえてきているといった状況ですが、まだまだこれは全体からしたら少ないのだろうなと。
 子宮頸がんワクチンの定期接種の積極勧奨が再開となりまして、市町村と十分に連携していただきながら、4月から定期接種の対象となっている方に対しては、しっかりと個別的な通知を行っていただくようお願いしたいと思います。
 また、接種の勧奨が差し控えられていた時期に、十分な情報を与えられずに、接種の機会を逃してしまった方がたくさんいらっしゃると思います。そうした方に対する支援、また、きめ細かな情報提供を、市町村としっかり連携して行っていただきたいと思いますが、その取り組み状況等をお伺いしたいと思います。
〇三浦感染症課長 ワクチン接種の勧奨が中止されていた期間の女性に対する支援、情報提供についてでございますが、先ほど委員からも御説明がございましたけれども、HPVワクチンの積極的勧奨については、令和4年度から再開することが決定されております。令和4年3月11日に、ウェブによる厚生労働省の自治体向け説明会が開催されたところでございまして、この説明会によれば、積極的な勧奨を差し控えている間の定期接種の対象であった平成9年度から平成17年度に生まれた女性に対し、令和4年度から令和6年度までの3年間で定期接種の対象とする、いわゆるキャッチアップ接種が実施されることとなっております。
 実施に当たりまして、各市町村に対しては、対象者に対し予診票を送付するなど個別の接種を勧奨することなどの対応を検討するよう説明があったところでございます。県といたしましても、ホームページなどを通じた情報提供を行い、普及啓発に努めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひ、ホームページでの普及啓発も行っていただきながら、市町村でも、受けられなかった方に対する個別の通知をしっかり行っていただくような、そういった市町村との連携、または市町村への通知を、ぜひ、行っていただきたいと思います。その点、ぜひよろしくお願いしたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
〇三浦感染症課長 委員御指摘のとおり、国のほうから正式な通知がまだ発出されてないところでございますけれども、ウェブによる会議も終わったところでございますので、委員から御指摘のございましたとおり、市町村としっかり連携しながら、子宮頸がんのワクチン接種に努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、精神障がい者への支援についてお伺いします。このコロナ禍で、心に不安を抱える方、また、心疾患、精神障がいを抱える方も大変な状況でいらっしゃると思います。
 まず、これまでの大まかな現状とこれまで県が行なってきた支援についてお伺いをしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 精神障がい者の現状と支援策についてでありますが、令和2年度末時点における精神障害者福祉手帳の所持者は1万2、452人でございまして、この5年間で3、144人の増となっております。この手帳の交付を受けた方々には、公共料金等の割引、税金の控除、減免などの支援策が講じられております。
 また、県精神保健福祉センターや保健所に、精神障がい者やその御家族からの相談に対応する窓口を設置しているほか、精神障がいについての正しい知識、権利擁護等についての普及啓発の実施、社会復帰のための学習機会の提供などを行っております。
 さらに、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律により、家事援助や入浴介助などの身体介護、就労の機会や生産活動の機会の提供など、地域生活に必要なさまざまなサービスが提供されているところでございます。
〇小林正信委員 数年間でかなり増加傾向にもあるということでございました。そして、このコロナ禍の影響で、精神疾患、心疾患を抱える方もこの状況下でふえてきているのかなと思います。また、大人の発達障害等も今言われておりますし、子供の発達障害も増加傾向にあるということで、精神障がい者に対する支援もさらにしっかりと充実していかなければならないと思っております。
 精神障がいをお持ちの方、また、その家族が安心していただけるような常設の支援の拠点、支援センターのような場、この設置も今後必要になってくると思います。相談窓口等は定期的にやっていると伺っておりますけれども、こういった支援センターの設置についての御所見をお伺いしたいと思います。
〇菊池参事兼障がい保健福祉課総括課長 精神障がい者の方あるいは家族の方が安心して生活できるよう、そういった支援センターの設置ということでございますが、県では、精神障がい者とその家族が地域の一員として、安心して生活ができるよう、医療や福祉、社会参加などが包括的に確保された、精神障がい者にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進しております。
 現在、盛岡、気仙、久慈の障がい保健福祉圏域をモデルとして、民間団体への委託によりまして、関係機関、団体等による協議の場を設置しながら、家族相談会の開催などに取り組んでおります。
 また、県内の多くの市町村では、地域活動支援センターにおいて、創作活動などの通いの場を提供し、居場所づくりの充実にも取り組んでいるところでございます。
 委員から御紹介のありました支援センターについてでございますけれども、こういった気軽に集まることができる場といたしますと、市町村など身近な地域で実施される必要があると考えております。県としては、引き続き、先ほどお話ししました精神障がい者にも対応した地域包括ケアシステムの構築の推進に取り組むとともに、県全体のセンター機能を有する支援拠点については、精神保健福祉センターや市町村の取り組みなども踏まえつつ、家族団体の御意見も伺いながら、必要性も含め、研究してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 集まる場というものもそうですし、先ほどおっしゃったような、県全体をしっかり包括するような支援センター、中心的な拠点もやはり大事になってくると思いますので、そのあたりは、ぜひ、しっかりと研究、検討していただければと思っております。
 次に、フレイル予防について最後にお伺いしたいと思います。加齢によって筋力や認知機能など、心身の活力が低下した状態を虚弱状態─フレイルと言われておりまして、県内でもさまざまな介護予防、フレイル予防の取り組みが行われてきたかと思いますけれども、コロナ禍によって、集まってそういう活動がなかなかできないとか、そういう状況がお年寄りの心身の活力低下、フレイル状態の増加が懸念されています。コロナ禍におけるフレイル予防の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
〇前川長寿社会課総括課長 コロナ禍における介護予防の取り組み状況についてでございます。県及び市町村におきましては、コロナ禍以前から、介護予防に資する取り組みの一つとしまして、住民が主体となって運営する通いの場の拡充に向けて取り組んできたところであります。令和3年度末で、県内に1、404カ所の通いの場が設置されております。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、こうした通いの場につきましても、一時は約8割が活動自粛となっておりましたが、昨年8月時点での調査になりますが、感染対策を講じた上で、プログラム等も工夫をしながら、約半数の通いの場において活動が再開されておりまして、その後も継続に向けた取り組みが行われていると承知しております。
 また、市町村におきましては、フレイル予防につながります食生活や口腔ケアのポイント、自宅でできる体操等のリーフレットの配布などによる普及啓発を行うとともに、独居高齢者等への電話連絡や訪問などにより、心身の状況や生活状況等の把握に努め、フレイルの早期発見や孤立防止に取り組んでいるものと承知しております。
〇小林正信委員 通いの場も8割が自粛していたのが、半数再開ということでしたけれども、また、オミクロン株の流行によって、さらに、こういう活動がまたちょっと自粛傾向にも来ているのかなと心配しておりました。フレイル予防の取り組みというのは、県としても大事にしている健康寿命の延伸とか、介護給付費の抑制につながってくるものと思います。
 2023年までのいわていきいきプラン(2021〜2023)においても、フレイルの認知度向上、介護予防の必要性を普及啓発する取り組みを推進するとございますけれども、例えば他県では、直接会えない状況の中、オンラインを活用した料理教室や読書会などのイベントを開いて、社会参加を促し、フレイル予防につなげている例もあると伺っております。
 このコロナ禍におけるフレイル予防の今後の取り組みをどう考えているのかお伺いをして、終わりたいと思います。
〇前川長寿社会課総括課長 コロナ禍での今後の取り組みについてでございますが、先ほど委員からも御紹介がありました、全国的にも見ましても、オンラインでの取り組みなど、いろいろな工夫がされております。コロナ禍で外出自粛の期間が長期化することによりまして、運動量の減少による筋力の低下とか、食事量の減少による栄養状況の悪化、人とのつながりの減少による認知機能の低下など、やはりさまざまな影響が懸念されております。
 こうしたことから、先ほども御答弁させていただきましたけれども、運動機能の向上や仲間との交流等を目的としました、通いの場等への社会参加、オンライン等も含めまして、こうしたもので社会参加活動の促進を図りますとともに、高齢者の方々が、健康に関する正しい知識を身につけていただいて、介護予防に自発的に取り組む意識を高めるための健康教育とか、普及啓発も非常に重要であると考えております。
 あわせて、高齢者のフレイル状態を早期に把握した上で、適切な医療サービス等につなげることも重要でございますので、市町村における高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施を推進していくことも必要と考えております。
 こうした取り組みが市町村によって効果的に実施できるように、県では、関係機関と連携し、例えば通いの場における体操指導者の養成とか、介護予防事業への専門職の派遣調整の仕組みづくりなどを通しまして、市町村の取り組みの充実に向けて支援していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 おおむね再開後1時間半が経過いたしますが、保健福祉部の審査において、この後、質疑を表明している委員があと1人となっていることから、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇上原康樹委員 私は、薬に関する問題について質問をさせていただきます。
 いつもの薬がない、手に入らない、届かない、こういう問題が、今、全国的に起きておりますが、岩手県でもこの問題は確認されております。
 この発端は2年前のことですが、北陸地方のある製薬メーカーの工場が、国の承認を得ない、承認されない製造方法で薬をつくったことから、健康被害が発生し、お亡くなりになった方も確認されているという、こういう問題が起きまして、うちはどうなのだろうということで、この製薬会社がそれぞれのラインを点検していったところ、問題がぼろぼろ出てきました。
 そして、そういう中で、自主的に操業を停止したり、薬を生産できない状況に追い込まれていって、そういうことが玉突き状態のようになって、薬の生産に滞りが発生してきたというふうに私の中では理解しておりますけれども、この足りない薬に関する現状を県はどう認識されているでしょうか。また、岩手県の医療現場での影響は具体的に出ているのでしょうか。
〇竹澤健康国保課総括課長 医薬品が不足していることの分析についてでございますけれども、先ほど委員から御紹介のありました後発医薬品─ジェネリック医薬品の製造企業の一部が、医薬品医療機器等法違反により、製品の出荷を長期間停止していることなどを発端といたしまして、これらの企業が生産していた成分の品目を中心に、昨年2月以降、全国的に医薬品の供給不足が続いております。
 また、日本は医薬品の原料の多くを海外から輸入しておりまして、新型コロナウイルス感染症の影響によって、海外からの原料の入荷が不安定となっております。これが医薬品の供給に影響を与えているとも聞いております。
 こうした背景から、医薬品の販売業者におきまして、得意先等への供給の確保のために、新規注文や発注の増加を断るといった出荷調整が行われているとも聞いておりまして、こうした製造段階での出荷の停止、新型コロナウイルスの影響、流通ルートの問題、そういったことが重なり合って今回の供給不足になっているものと分析しております。
 続きまして、県内の状況についてでございますけれども、県レベルでどの程度医薬品が不足しているのかということについては、詳細を把握することは困難でございますけれども、全国的な傾向といたしましては、約3、000品目の医薬品の供給に影響が出ていると国では分析しております。
 こういった状況でございますので、本県においても影響は出ているようでございまして、ことしの1月に一般社団法人岩手県薬剤師会において、医薬品供給不足のお知らせを出しておりまして、供給が不足していること、薬局で医療機関に問い合わせて、その時点で流通している医薬品に変更してもらうなど、患者の方々に薬が切れないように進めているということなどを周知していると聞いております。いずれ県内においても、治療等への影響が懸念されるような状況になっているということでございます。
〇上原康樹委員 かなりグローバルな問題もかかわっていることがわかりました。
 薬が足りなくなりますと、薬局に行きまして、かわりの薬をもらうという場面が出てまいります。医師から処方されたものではないけれども、効能も似ている、安全性も確認されているという理由で、かわりの薬が出てくる場合があるわけです。
 飲むのは人ですから、非常に微妙なのですよね。いつもの薬が体に合っていた人でも、違う薬を飲むことになりますと、それが体に合わないということもなくはないわけです。それに敏感なのが患者の皆さんなのです。
 こういうかわりの薬が適切なものであるかどうかということは、非常に神経を使ってチェックしていないと、患者が置き去りにされていくことが発生するのではないかと心配しています。そういう対応について、どういうお考えでいらっしゃるのかお聞かせいただけますか。
〇竹澤健康国保課総括課長 先ほど紹介させていただきました岩手県薬剤師会からのお知らせの中におきましても、薬局において、医療機関に問い合わせて、その時点で流通している医薬品に変更してもらうということで、医薬品を変更する際には、医療機関に問い合わせて、別の薬にかえてもいいかということを確認した上で、処方をしているということでございますし、県といたしましても、患者の方々が不安に感じることがないように、それぞれの薬局において、丁寧な説明をしていただけるように、関係団体、薬剤師会等を通じて、連携しながら取り組みを進めていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 医薬品メーカーは、とにかく現在をしのがなければいけないという苦しい状態だと思いますけれども、医薬品メーカーに県が寄り添うのではなく、あくまで患者の皆さんに寄り添ってもらいたいというお願いが一つあります。
 それから、ジェネリック医薬品という薬ですけれども、今、生産が大変伸びています。特許が切れた後ですから、生産にはお金がそれほどかかりません。安く生産できます。ジェネリック医薬品がどんどん伸びて、そして、国にとってもこれはメリットがあるということで、流通する医薬品の8割がジェネリック医薬品というところまで来ています。しかし、品不足になりますと、ジェネリック医薬品─後発医薬品を使っていた人が、かわりの薬として、値段の高い先発薬を買わざるを得ないというところに追い込まれていく場合も出てくるそうです。
 これは困ります。安いということで、しかも、効能があるということで買っていたジェネリック医薬品がなくなって、値段は高いけれども、先発薬はどうですかと言われた患者の方は、負担が物すごく上がります。月に500円、600円、そういう値段ではないのです。数千円の差が出てくるそうです。
 こうした先発薬を渡されて、それを使わざるを得ないケースの患者、この負担をどう支援できるのか、サポートできるのか、お考えはありますか。
〇竹澤健康国保課総括課長 今回の医薬品の不足は、本県に限らず全国的な状況でございます。まず、国において、現在も医薬品の製造業者に対して、出荷段階で不足している医薬品については、その生産の増に努めていただくように要請しているところでございますし、また、国においては、流通の状況も調査しておりまして、出荷段階では、医薬品は不足してないけれども、流通が滞っている医薬品があると。そうした流通が滞っている医薬品については、販売業者に出荷調整をしないようにという要請もしております。まず、そういった取り組みを、国においてきちんとしていただくことが重要だと考えております。
 ジェネリック医薬品から新しい薬品にかえる場合の費用負担につきましては、現時点で、県で財政的な支援は考えておりませんけれども、国のほうで、その辺も含めて御検討いただければと考えております。
〇上原康樹委員 国への対応の要望も強く出していただかなければいけない場面が出てくると思います。
 調べてみますと、医薬品の生産は大変窮屈なようですね。少量多品種生産ということで、ラインの予定がびっしり長期にわたって先々まで決まっているそうです。ですから、急に何かのアクシデントが起きても、すぐ対応できない、品不足が続いて、流通が滞るという、そういう体質になっているということらしいです。ですから、急ハンドルは切れない医薬品メーカーです。
 そういう事情を把握した上で、県の医療現場を監視する皆さんにとっても、そうした医薬品の生産の現場の状況をどれだけ正確に把握しているかということも非常に大事になってくると思います。いわゆる薬難民を出さない備えを整えておかなければいけないと思います。
 同時に、医師会の皆さんとのコミュニケーション、意思の疎通も日ごろから図って、今、日本の薬の生産の状況はどうなっているのか、岩手県においてはどういう影響が出そうかということを、密に連絡を取り合っておく必要もあると思います。これからの県の構えとして、どういう姿勢で臨んでいくべきか、お考えですか。
〇竹澤健康国保課総括課長 まず、医薬品の安定的な生産につきましては、県内にも製造工場が5カ所ございまして、県内に本社を置く会社もございますので、そういった工場に対する検査等も本県で行っておりますので、そういったことを通じて、安定的な供給が図られるように、県としても取り組みを進めていきたいと考えております。
 また、この薬の販売業者、薬局がございますので、先ほど申し上げたような流通段階で医薬品が滞ることがないように、出荷調整とか、薬局におかれては、必要以上の在庫を抱えることがないように、協力をお願いしていきたいと考えております。
 医薬品の話でございますので、基本的には、全国的な国における取り組みが重要と考えておりますので、その辺は国のほうできちんと考えていただければと考えております。
〇上原康樹委員 御丁寧な答弁ありがとうございます。
 薬は文字どおり生命線でございます。服用する、利用する皆さんのことをよく考えて取り組んでいただきたいと思います。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。
 保健福祉部の皆さんは御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時23分 休 憩
午後4時42分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇小原医療局長 令和4年度岩手県立病院等事業会計予算につきまして、御説明を申し上げます。
 初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方について、御説明いたします。
 県立病院を取り巻く環境でございますが、医療提供体制の中核であります医師につきましては、絶対数の不足はもとより、地域偏在、診療科偏在が深刻な状況であり、診療体制は当面厳しい状況が続くと見込まれます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響が出る前の令和元年度と比較し、患者数は大きく減少しており、厳しい経営環境に置かれているところです。
 一方、診療報酬の上位の施設基準取得などにより、患者1人1日当たりの収益が増加傾向にあるなど、経費節減の取り組みとあわせ、安定した経営基盤の確立に向け重点的に取り組んでおり、収支の改善が図られてきているところです。
 こうした状況のもと、令和4年度の事業運営に当たりましては、岩手県立病院等の経営計画を着実に推進することにより、県立病院が県民に信頼され、今後とも良質な医療を持続的に提供できるよう、全職員が一丸となってさまざまな取り組みを進めることとしております。
 具体的な計画の推進に当たっては、医師の確保、定着に向けた取り組みとして、働き方改革の推進、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘活動、臨床研修医の積極的な受け入れ、県奨学金養成医師の効果的な配置に継続して取り組んでまいります。
 また、医療の質や患者サービスの向上を図るため、研修の充実等により職員の資質向上を図るとともに、ワークライフバランスの充実やハラスメント防止対策など働きやすい職場環境の整備を行ってまいります。
 こうした取り組みを進めながら、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期した上で、通常診療との両立に取り組むことにより、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めてまいります。
 それでは、議案の説明に入らせていただきます。
 議案その2の53ページをお開き願います。第3条の収益的収入及び支出について、収入ですが、第1款病院事業収益は、1、140億7、200万円余を見込んでいるものであります。
 次に支出ですが、第1款病院事業費用は、1、144億4、400万円余を見込んでいるものであります。この結果、差し引きでは3億7、200万円余の純損失を見込むものです。
 次に、第4条の資本的収入及び支出について、まず、支出ですが、第1款資本的支出は210億1、800万円余を見込んでいるものであり、また、この財源として、第1款資本的収入は148億9、500万円余を見込んでいるものであります。
 なお、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で、説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 今、小原医療局長から説明があったように、大変厳しい環境の中で御精励をされている。特に新型コロナウイルス感染症の対応があって、本当に現場のほうは大変な状況の中、日々御奮闘いただいておりますことに、まず、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 医師の配置はなかなか厳しいということでありましたが、新年度は、少なくとも奨学金養成医師が、これまで最多の119人配置され、県北地域、沿岸地域、課題となっているところにも47人が配置されるということで、少しずつではありますが、成果が見られてきていると思います。
 それから、医師奨学金等の貸し付け決定状況を見ても、医療局の貸し付けについては、ここのところ充足しておりまして、平成20年度以降、300人に対しての貸し付け、すなわち養成者300人というところまで来ていると思います。
 そこで伺いますけれども、それだけ養成し、県立病院は新年度どういった診療体制になろうかと期待されるわけでありますけれども、現状で、新年度の診療科体制、そして、新たな常勤医の配置見込み等についてお知らせいただきたいと思います。
〇菊地医師支援推進監 新年度の診療科体制ということでございますが、未定の部分はございますけれども、病院のほうで広告できる標榜診療科というのがございますが、その数は昨年度の1月と新年度の4月では、数には変わりはございませんが、非常勤の診療科から常勤の診療科にかわるところが幾つかございまして、今、確定しているところでは、県立釜石病院の脳神経内科、こちらは今まで非常勤での応援でございましたが、4月から常勤の医師の配置が行われるということになっております。
 県立釜石病院の形成外科、こちらも岩手医科大学からの非常勤の応援でございましたが、常勤の医師の配置がされる予定でございます。
 さらに、県立久慈病院でございますが、産婦人科の常勤の医師が1名配置されることになっております。
 ただ、プラスだけではございませんで、マイナスの面では、診療科がなくなるわけではございませんが、県立江刺病院の消化器内科で、医師が1名減少するというところもあります。
 以上でございます。
〇岩渕誠委員 大変御苦労された中でも、特に沿岸地域、県立久慈病院に産婦人科の意思が常勤するということは、非常に大きなところかと思います。産婦人科も、奨学金養成医師が10人でしたか。それから、小児科も13人ということで、2桁に乗ってきたということで、今後に期待したいと思います。
 二つ目は、医師の残業時間について、これは働き方改革に関連してお伺いするわけでありますけれども、現在の県立病院の医師の残業状況、これは新型コロナウイルス感染症の対応もありましたし、大変心配をされるところでありますが、
まず、この状況について伺います。
〇宮職員課総括課長 新型コロナウイルス感染症の流行前後における医師の残業時間状況についてですが、新型コロナウイルス感染症の流行前の令和元年度の4月から12月までの医師の1人当たりの月平均超過勤務時間数は49.2時間となっており、新型コロナウイルス感染症の流行後の令和2年度における同時期の時間数は45.9時間、同じく令和3年度は47.3時間となっており、流行前の令和元年度と比較いたしまして、令和2年度は3.3時間、令和3年度は1.9時間、それぞれ減少している状況であります。
〇岩渕誠委員 量的には少し増減があるということですが、減少の方向だということ。ただ一方で、質的な機能、使い方については、これはやはり考慮に入れなければならないと思いますので、適切に管理をしていただきたいと思います。
 県立病院の診療所化、センター化の、実は二つの理由のうちの大きな一つの要因は、医師の非常に厳しい勤務時間が実態だったと思います。当時、初めて実態が明らかになったのは、たしか六十数時間というのが平均で出ておって、80時間とか100時間というのも本当にあったということで、それに比べればかなり改善はしてきていると思います。
 この続きでお伺いいたしますけれども、平均で50時間を切るということになりますと、年間で大体600時間になるのですが、今後、医療局として一つの目指す部分は、働き方改革の適用になる月80時間、年間960時間というのが一つの大きな基準になってくるわけであります。平均すると、超過勤務時間50時間を切っているわけでありますけれども、問題はこの80時間以上が今どのぐらいの割合でいるのか。このあたりをお示しいただきたいと思います。
〇千田医師支援推進監 年間960時間を超えます県立病院の医師でございますけれども、令和2年度の超過勤務の実績からですが、63名ということで、大体1割程度という割合になっております。
〇岩渕誠委員 1割ですか。そのところはなかなか削減は厳しいのというところがあります。そして、まさに、この六十数名分の超過勤務時間を削減の努力をするということをしないと、働き方改革にかかわってきて、地域医療がいきなりストップすると。これは常勤医の話でしょうから、それをどうするかというのは、これは後で聞きます。
 もう一つは、今度は応援医師の問題が出てきます。実際に県立病院に応援をされている医師は、今どのような割合になって、どういうような状況なのか、お示しをいただきたいと思います。
〇菊地医師支援推進監 県立病院における常勤医師と応援医師の勤務状況でございますが、令和3年10月現在におきまして、大学病院や地元開業医等からの診療応援は、県立病院全体で、1カ月に約2、350回であり、その8割が岩手医科大学や東北大学等の関係大学から派遣されております。
 診療応援におきます主な業務内容は、外来診療や手術等に係る応援が約9割を占めております。あと1割につきましては、宿日直の応援ということになっております。
〇岩渕誠委員 そうしますと、応援医師が、手術とか診療とか、いわゆる運営の要、病院経営のところに入っていますから、先ほどの県立病院の常勤医師の超過勤務の状況と、この応援医師の勤務状況は精査をしていかないと、そもそも、これだけ医師不足のところに働き方改革をそのままやれというのは、かなり難しいところがあって、医師の人権も大変大事でありますが、一方で、地域医療が壊れるというところもあるという、非常に厳しい問題があると思うのですが、今後、2024年まで時間があるようでないわけですから、これを医療局としてはどういうふうに取り組むのか、お示しいただきたいと思います。
〇千田医師支援推進監 県立病院といたしましては、国が定めます医師の労働時間短縮計画の作成ガイドライン(案)に沿った形で病院ごとに時短計画を作成しまして、その中に、タスクシフトとか、勤務時間の適正な管理、そういった取り組みについて、病院ごとに項目を定めまして、令和2年度の後半から取り組みを実施しているという状況でございます。
 応援診療を含めた大学からの継続派遣につきましては、そういった取り組みも進めながらも、引き続き強く要望していくとともに、即戦力となります医師の招聘とか、奨学金養成医師の計画的な配置、これまでも医師確保ということで、そのベースの対策は引き続き実施しつつ、先ほど述べました時短計画の取り組みなど、そういう複合的な対策を進めながら取り組んでいくということにしております。
〇岩渕誠委員 わかりました。国にこれを任せきりにするととんでもない案が出てくると思います。いわゆるローテーションでの宿直などという話は、岩手医科大学附属病院の小笠原邦明病院長の言葉を借りれば、それは耳鼻科の医師に対して産科に立ち会えと言っているようなものということで、かなり無理がありますから、そのルールづくりにもぜひコミットしていかないと、かなり現実対応できないという状況、いきなりストップしてしまうということがありますので、大変難しい問題ではありますけれども、ぜひお取り組みをいただきたいと思います。
 次の質問であります。これは地元の話で恐縮ですけれども、コロナ禍においても、県境に接している病院は、県立病院であって、拠点であればあるほど、他県からの患者を受け入れざるを得ない。そして、逆紹介もしなければならないということで、県で策定した医療圏を越えて中核化をしているというのが実情だと思います。
 特に、これは私どもの地域で言うと、県立磐井病院とかがそういうことになるわけでありますけれども、この県境を越えた医療体制についての認識、それから、医療資源、これははっきり言えば、東北大学の医局がこの采配とは言いませんが、かなり深くかかわっているわけでありますけれども、その医療資源もかなり細ってきているという状況があると思いますが、どのように認識されていますか。
〇久慈医事企画課総括課長 県境を越えての県立病院の受療の状況でございます。県立磐井病院におけます宮城県に居住している方の受療状況でございますが、令和3年度の1月末累計では、入院が延べ2、815人、これは全体の延べ患者に占める割合は4.2%でございます。外来は延べ5、646人、これは全体の中で5.9%となっております。このように本県に接する宮城県北地域等から一定数の患者が受診していると認識しております。
 一方で、逆紹介も含む宮城県内の医療機関へ患者としての紹介数につきましては、県立磐井病院におきまして、令和3年度1月末累計ですが、782人でございまして、これは全体の中の10.6%という状況でございます。県立磐井病院は地域医療支援病院として、こうした患者の受け入れとともに、医療機能の分担、そして、役割に応じた高度、専門医療機関やかかりつけ医への紹介を通じまして、効率的で質の高い医療の提供に取り組んでいると認識しております。
〇岩渕誠委員 例えば産婦人科などは、今度胆江医療圏で分娩可能な医療機関がなくなるということで、今の出産取り扱い数は、県内の県立病院の中では飛び抜けて多いのだと認識しております。これは宮城県の県北地域も含めてということになりますが、そういったある意味岩手県の医療政策を超えて取り組んでいるのだけれども、医師の配置計画ということになると、これはどうしても県立病院の枠の中でやってしまうということで、もうちょっと広いところを担うのだということは、県立病院ということを超えていますけれども、これは現実問題として対応しないといけないところだと思っているのですが、どのようにお考えですか。
〇久慈医事企画課総括課長 県立磐井病院の産婦人科分娩の対応の状況で申しますと、令和2年度の県立磐井病院の分娩取り扱い件数は692件となっておりまして、御案内のとおり、県南地域の周産期医療を支える中核病院として、宮城県内からも患者を受け入れているという状況にございます。
 こうした中で、その業務の側面から申しますと、現行の体制ですと、夜間のオンコールに対応できる医師に限りがあると認識しております。一部の医師に過重な負担がかかっているという状況もございます。こうした状況につきましては、関係大学、派遣元の医局等に対しまして、そうした状況をよくお伝えをするということで、夜間の分娩にも十分対応できるような体制を構築していくということが大事だと考えておりますので、引き続き、そうした対応をしていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 今、参考例として出産の関係をお話しいただきましたけれども、これは小児科にしても、NICUにしても同じ話であります。要は、宮城県の県北地域は、市町村立、今はほとんど市立ですけれども、そこの病院が経営をしていて、派遣元も東北大学になっているというのが実態であります。そうした中で、県立磐井病院と比べると、医師の配置数が100床当たりの数で言えば5人とか10人とか、宮城県のほうが低いわけです。東北大学としても、県立磐井病院を何とかしたい。そこで、宮城県の県北地域も含めて、あるいは気仙沼市も含めて面倒を見てくれというようなことが多分あるのでしょう。
 これはもしかしたら胆江医療圏も含めてということかもしれませんけれども、そういった中で、県の医療局として、東北大学だけでなくて、そういう当該宮城県の県北地域の市町村とかと話をした上で、県境地域の医療体制というのを考えないと、どうしても県の枠を超えたところで実際にやっているものですから、このあたりをきちんとやっていかないと、先ほどの医師の働き方改革も相まって、非常に危機的になってくるということが実態だと思います。ぜひ、前向きに検討をしていただきたいのですが、いかがですか。
〇久慈医事企画課総括課長 県南地域の県立病院で運営協議会を設定しております。例えば、その運営協議会のメンバーには、現在、県南部に隣接する宮城県栗原市の担当部局の職員もオブザーバーとして参加している状況にございます。今、御指摘のような課題等につきましては、そうした運営状況の説明とか、情報提供、そして、意見交換といったところも行うことが想定されているところでございます。
 また、行政レベルで申しますと、保健所レベルでございますが、宮城県と岩手県の県際の保健所の合同連絡会が開催されていると伺っております。こうした場を通じまして、地域医療提供体制の確保に係る課題につきまして、提起していくものと考えております。
〇岩渕誠委員 関係機関で言うと、登米市もあるし、気仙沼市もあるから、それは県立大船渡病院との関係でもそうでしょう。ですから、そこはそこで広げてやっていただきたいですし、大事なことは、何かあったときに困るのは、住民がどういう分担だったのか知らなかったという、必ず住民とのコミュニケーションが今までの所々の問題なわけです。その辺も含めて、ぜひお取り組みいただきますようお願いして、終わります。
〇千葉盛委員 それでは、医療事故調査制度について質問いたします。先ほども保健福祉部審査で質問しましたけれども、趣旨として、この制度は、病院や医師の責任追及を目的とした制度ではないので、岩手県では、県立病院が多く基幹的な役割を果たしていますので、この制度の周知、活用、患者へのより丁寧な説明対応を図ってほしいとの思いから質問をしますので、よろしくお願いします。
 まず、医療局では、医療事故調査制度について、県民や県立病院に活用されるように、どのように周知、普及しているのか。また、県民にこの制度の趣旨や内容がしっかりと認識されていると考えているのかお伺いします。
〇千葉業務支援課総括課長 医療事故調査制度の周知、普及についてでございますが、医療局におきましては、各県立病院に対しまして、制度の活用促進が図られますよう、医療事故調査制度の概要や、対象事案が発生した場合の対応等について、岩手県立病院等医療事故発生、発見時の対応マニュアルに掲示し、周知しているところでございまして、また、県立病院におきましては、患者に対し、制度に関するポスターの掲示や入院案内への掲載等により周知を図っているところです。
 医療事故調査制度の県民の認識についてでありますが、県立病院では、主に患者に向けた周知を行っているところでございまして、一般の県民に対しては、国など行政において周知しているものと考えているところです。
〇千葉盛委員 先ほど保健福祉部審査で聞いたときは、参加状況は把握していないということでしたけれども、医療事故調査制度に関する管理者向け研修へ各病院の院長は参加しているのか、また、医療局として参加を促進しているのか、お伺いいたします。
〇千葉業務支援課総括課長 管理者向け研修への病院長の参加状況及び参加促進についてでございますが、医療事故調査・支援センター等が行う管理者向け研修につきましては、制度が施行されました平成27年度から延べ22名の病院長が受講しているほか、病院の医療安全管理室長等の幹部職員におきましても、延べ17名が受講するなど、各病院における医療事故調査制度への組織的な対応に向けた、安全管理体制の整備を進めてきたところです。
 県立病院におきましては、医療事故調査制度の施行に伴いまして、従来より、制度内容について全病院長会議等において周知を図るとともに、医療事故調査に対応したマニュアルを新たに整備するなどの取り組みを行ってきたところでありますが、当該研修の受講につきましても、医療事故調査制度を初め、医療安全対策を推進する方策の一つとして捉えてきたところでございます。
〇千葉盛委員 いろいろマニュアルをつくったり、周知してきているということですけれども、県立病院では、患者が亡くなった場合に、遺族に対して、医療事故調査制度に関する説明がしっかりと行われているのか。先ほどの話だと、県立病院としては余り周知していない。ポスター掲示とかリーフレットとかということはわかったのですけれども、国、行政という言い方をしていましたけれども、余りしていないようなので、その部分と、また、医療事故制度に該当するかどうかはどのような基準で判断されているのかお伺いいたします。
〇千葉業務支援課総括課長 まず、医療事故調査制度の対象となるかどうかの判断についてでありますが、この制度の対象となる医療事故とは、医療従事者が提供した医療に起因し、または、起因すると疑われる死亡または死産で、かつ管理者が当該死亡または死産を予期しなかったものと定義され、また、この医療事故に該当するかどうかにつきましては、医療機関の管理者が組織として判断することとされておりまして、県立病院におきましては、患者の診療に当たった当事者等から事情を聴取し、院内の医療安全会議等の検討を踏まえて、病院長が判断しているところでございます。
 御遺族への医療事故調査制度の説明についてでございますが、医療事故の定義に該当し、制度の対象となると判断した事案について、御遺族に対し御説明しているものでございます。
〇千葉盛委員 そういう制度に該当すると判断した場合には伝えていると。そこがなかなか遺族の方はわかりづらい。そして、遺族の側からすれば、むしろ、もう少し詳しく説明を受けて、事故ではないかとか、そういう判断になる材料をもう少し詳しく教えてほしいと思います。ここにちょっと差が生まれているような気がするのです。
 先ほど、その判断は病院長が行っているということでしたので、次の質問は今の答弁と重複してしまうかもしれないですけれども、質問します。県立病院では、医療事故調査・支援センターに今まで何件報告されているのか。また、その遺族からは今まで何件求められて、そのうち何件報告され、調査されたのか。その判断は病院長が行っているということですけれども、もしくは、その他の管理者が行っている場合もあるのか、お伺いいたします。
〇千葉業務支援課総括課長 医療事故調査・支援センターへの報告件数でございますが、県立病院におきましては、制度が施行された平成27年10月から現在までの間、11件の調査、報告を行っているところです。また、御遺族から調査を求められました件数につきましては、各病院に確認しましたところ、直近3年間では2件ございまして、このうち1件につきましては、求めに応じ、調査を実施したところで、もう1件につきましては、調査の対象とならないものと判断したところです。
 なお、調査の対象となるかの判断につきましては、院内の医療安全会議等で再検討するなど、検討結果を踏まえて、病院長が判断しているところでございます。
〇千葉盛委員 結局、11件しか報告されてないというところが多いのか少ないのか、どのように捉えられているのかということと、2件しか求められてないというのは、これはどういうふうに分析されているのか。その制度を理解してないのか、それとも、そういった制度に該当するようなことが起きていないのか、その辺の分析についてお伺いいたします。
〇千葉業務支援課総括課長 報告件数11件について、多いか少ないかというような中身でございますが、医療事故調査・支援センターが発行しております年報によりますと、岩手県で平成27年10月から令和2年度までの間で17件報告されているようでございます。そのうち10件が県立病院の報告件数ということになっております。
 御遺族から調査を求められた件数は2件でございますが、病院といたしましては、患者への周知については、院内のポスター掲示、または、リーフレットの配布等も行なっておりますが、周知の方法について、もう少し考える余地はあると考えております。
〇千葉盛委員 全国的に比べれば少ない数字なのかなと思うのですけれども、ただ、どういうことが起きているかということもあるので、多い少ないはなかなか言えないのですけれども、2件しか求められてないというのは、その求め方も医療事故調査制度に当てはまるのではないですかと聞いたのを件数に入れているのか、それとも、いろいろ話をしたけれども、結果的に件数に入っていないのか、その辺もちょっとわからないのですけれども、他県に比べればちょっと少ないのかなと思います。1年とかの数字ではなくて、今までの制度が始まってからの件数ですので、周知等をよろしくお願いしたいと思います。
 医療事故調査制度に該当するかどうかも含めて、該当しない場合には丁寧な説明がなかなかなされてないというお話を聞いたので質問しますけれども、厚生労働省の通知では、遺族等から、医療法第6条の10第1項に規定される医療事故が発生したのではないかという申し出があった場合で、医療事故に該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明することとなっていますが、県立病院ではしっかりと対応し、説明できているのか。遺族の認識も含めて、どのように捉えているのか、お伺いいたします。
〇千葉業務支援課総括課長 医療事故に該当しないと判断した場合の御遺族への対応についてでございますが、大切な身内を亡くされた御遺族の気持ちに共感しながら、病院長等がわかりやすく説明することとしているところでございまして、診療の記録などから、医療従事者以外にもわかりやすい表現等を使うなど、できる限り丁寧に説明するよう努めているところでございます。
 御遺族の認識についてでありますが、この制度における医療事故の定義では、提供した医療に関連のない偶発的に生じた併発症など、医療従事者が提供した医療行為に起因しないと考えられるものとか、事前に亡くなる可能性についてカルテに記載されていたものなどは、調査の対象外ということにされておりまして、御遺族への説明に当たっては、丁寧な説明を心がけているところではありますが、制度における医療事故の捉え方について、御遺族と認識が相違する場合もあるところでございます。
〇千葉盛委員 その相違もあるということで、あの件数だけではわからないところもあるのですが、もしわかれば、医療事故調査制度に該当するかどうかの質問だったのですけれども、そういった趣旨というか、苦情というか、そういう訴訟でもいいです、裁判でもいいです、こういった似たような案件で、医療事故調査制度ではなくて、何かそういった訴えをされている方とか、件数がわかればですけれども、わからなくても、そういったことはむしろあるのかどうなのか。これに比べて多いのか少ないのかわからないですけれども、そういったことがあるのか、確認でお願いします。
〇千葉業務支援課総括課長 件数につきましては、今手元に資料がないのですが、御遺族の目的が、御逝去の理由を明らかにすることとか、病院の責任の有無について明らかにするということであれば、調査制度の対象から外れるということになりますので、本意ではございませんけれども、訴訟などの法的手続により解決を目指していくことになります。
〇千葉盛委員 最後の質問にいたしますけれども、先ほど野原保健福祉部長も答弁されていましたけれども、この制度は、病院や医師の責任追及ではなく、訴訟によらず、医療機関がみずから原因究明をして、再発防止をしていくことを目的としておりまして、医師会や基幹病院がリーダーシップを取って、制度普及に力を入れている都道府県では、報告件数が多くなっておりまして、調査により訴訟に至るケースがほとんどなく、むしろ、原因究明によって遺族の理解を得られていると聞いています。
 本県では、県立病院が基幹となっておりますので、県が中心となって積極的に取り組んでいくべきと思いますが、見解をお伺いして、終わります。
〇小原医療局長 県立病院が本県医療に占めるウエートは高いものだと自覚しておりますので、大事な取り組みだと思っております。確かに、病院側ができるだけわかりやすく説明を行ったとしても、御納得いただけなければ進展しないということはあろうかと思います。医療事故調査制度のもとで、調査分析をして、結論を出すということで、訴訟に至るケースがほとんどないということから、関係者が皆納得するために効果的な制度であるということは、委員御指摘のとおりだと私も承知します。
 ただ一方で、この医療事故調査制度については、この案内をしている医療事故調査・支援制度のセンターのホームページで、医療に起因するとか、死亡を予期しなかったという部分の考え方について、説明に多く割かれるなど、この定義についてはかなり慎重に取り扱われている制度であるということでもあります。
 委員から、ほかに医療事故がどういう状況だという御指摘がありました。医療現場では、一般的にですが、過誤による医療事故とか、患者や御家族に納得いただけない事案もたびたび少なからず発生しているわけですが、県立病院では、県立病院等医療安全推進委員会という組織を設けて取り組みを進めるほか、医療事故対応の統一的なルールを定めて、また、日ごろから、先ほどあったような研修なども行って、説明力の向上も図るなど、組織としてこうした事案への丁寧な対応に努めているところです。
 この医療事故調査制度の対象外の事案にあっても、丁寧な対応を行って解決に努めているということは御理解いただきたいと思います。県立病院におきましては、全病院で制度の理解を深めていくこと、患者、御家族への周知を十分に図っていくこと、適切に判断してわかりやすい説明を行うことで、この制度が適正に運用されるように万全を期してまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 今は、新型コロナウイルス感染症の全世界的なパンデミックによって、岩手県が誇る県立病院が本当に県民の命を守っていると思っておりますし、本当に関係者の方々には頭が下がる思いです。
 きょうは、ウィズコロナ、アフターコロナと言われますけれども、今後のことについてちょっと問題提起をさせていただきたいと思います。まず、重要な医療資源であります医師の確保対策についてでありますが、2点お伺いします。
 東北医科薬科大学の1期生の県立病院への臨床研修生の受け入れについて、予定はどうなっているのか。
 2点目ですが、きょう保健福祉部審査でも議論がありましたが、2024年4月からの医師の時間外労働規制に対応した確保状況について。過去に、私が熊谷医療局長に同様の質問をしたときだったと思いますけれども、その時点で、あと約81人増強しなければならないと、このような答弁でした。この状況について、コロナ禍という大変予想外の状況が加わったので、かなり大変だと思いますけれども、今、想定状況というか、どういう状況にあるのかお知らせください。
〇菊地医師支援推進監 まず第1点目、東北医科薬科大学1期生の県立病院への臨床研修医の受け入れでございますが、今年度、第1期生が卒業するということになっておりますが、あす、医師国家試験の合格発表がございまして、それを受けまして正式に決定するものでございますが、令和4年度は、県内の臨床研修病院に4人が採用予定でございます。そのうち県立病院では3人の採用を予定しているところでございます。
 もう一点、計画のお話でございますが、県立病院における医師数につきましては、岩手県立病院等の経営計画(2019〜2024)におきまして、令和元年度から、医師の働き方改革が始まる令和6年度までの6カ年で81名の増員を計画しております。令和4年4月の医師数は68名の増員、計画に対する進捗率は84.0%となる見込みでございます。
 令和6年度から始まる医師の働き方改革に向けて、医師の業務のタスクシフトやタスクシェアなど、県立病院全体で、医師の労働時間短縮に取り組んでいくとともに、即戦力となる医師の招聘や、奨学金養成医師の計画的な配置など、引き続き医師の確保に取り組んでいくこととしております。
〇飯澤匡委員 今、令和4年度がプラス68人ということでしたが、順次、その計画に従っていくのですけれども、その手応えみたいなのはどのような感じでしょうか。教えてください。
〇植野医師支援推進室長 医師配置の手応えと申しますか、状況でございますけれども、おかげさまで、毎年20人から30人ぐらいずつ医師がふえてきておりまして、二、三年前に比べますと大分充足してきていると思っておりますけれども、地域病院等々ではまだ少ない状況でございますので、引き続き、医師の確保に努めていきたいと思っておりますが、奨学金養成医師の配置が進んできておりまして、県北地域とか沿岸地域でも、今、県立病院でも少しずつ充足が進んでいるという状況にございます。
〇飯澤匡委員 わかりました。総体的にはいい方向に向かっていると思います。しかしながら、地域偏在、そして、診療科による偏在は、これからも大きな課題となってのしかかってくると思いますので、この対応は大変厳しいかと思いますけれども、これは将来に向けて努力をしていかなければならないと思います。
 そこで、次の質問ですけれども、前段で新型コロナウイルス感染症対策に、今、全力を挙げられていると申し上げましたが、これも県立病院間の弾力的な病床の運用などによって、県民は大変助かっていると思うのですけれども、これは評価をいたしたいと思うのですが、先ほどお話があった地域病院が、本来やるべき機能がこのコロナ禍によってなかなか住民の期待に応えられてない。
 これはいたし方ないというのは重々わかった上で質問するのですが、今後、地域病院が、この人口減少の中でどうやって特徴を出していくか。常々私は申し上げているのですが、今後の県立病院の運営体制は、しっかり明示をして、地域の皆さんとともに歩む姿をしっかり築いていく必要があると思うのですが、いかが対応されますか、お伺いします。
〇鈴木経営管理課総括課長 地域病院での新型コロナウイルス感染症の診療に当たりましては、呼吸器内科などの専門医が配置されていないということでございまして、圏域内の基幹病院が中心となりまして、診療応援するなど、県立病院のネットワークを生かした診療体制を構築しているところでございます。
 今後の感染症病床の体制につきましては、次期岩手県保健医療計画の策定の過程で検討されるものと承知をしておりますし、また、国で現在策定を進めております新たな公立病院経営強化ガイドラインにおきましては、感染拡大時に転用しやすい施設、設備の整備、それから、各医療機関の役割分担などが求められるとされておりますことから、県立病院に配置されている感染症病床の運営に当たりましては、次期岩手県保健医療計画や国のガイドラインの内容を踏まえて対応していく考えでございます。
〇飯澤匡委員 質問の書き方が悪かったので、ちょっと角度を変えて聞きますね。
 感染症対策は、新たに対策を考えていかなければならないと思います。地域病院の件についてですが、毎年、両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会とか、両磐地域の県立病院運営協議会、これは私の選挙区内で行っているわけですが、残念ながら、この2年間行ってないわけです。院長とも懇談の中でいろいろな問題点やら対策等も一緒に考えてやってきたのですが、なかなか電話をかけてやるような状況でもないし、実際問題、私以上に、住民の方々が救急を断られたり、それから、県立千厩病院から県立磐井病院にすぐ転送されたとか、非常に不安になっている点がよくあるのですよ。これは、今の状況だからしようがないと思いつつも、それはまず押さえておいて、今後、人口減少対策に鑑みた将来像につながる議論が必要ではないかと。
 これは、一関市国民健康保険藤沢病院の佐藤元美院長もこのようなことを提言していらっしゃいますし、医療局というのは経営ですから、将来像にかかわる問題に、しっかり着手をしていかないと、なかなか全体像が見えないままに先細ってしまうという、懸念があるわけです。それについてはいかが検討される方向性なのか教えてください。
〇小原医療局長 人口減少社会を迎えている状況の中で、患者の減どう対応していくかというのは、今、ポストコロナで考えなければならない喫緊の課題であると思っております。国の方向では、急性期病院、基幹病院は、高度医療を担う病院は、さらにその機能を高めていくこと、地域病院は、さらに地域と密着して、急性期後の入院医療を担うとか、施設から短期的に入院される方、あるいは施設にお返しするまでの入院を預かる機能など、そのめり張りのついた基幹病院、地域病院について、国でもうたっているところでありまして、県でもその方向で考えながら、その中で効率的に、良質な医療を提供できるように検討していかなければならないと考えております。
 今後、次期岩手県保健医療計画の策定などにあわせて、我々としても、新しい経営計画をつくってまいりますので、しっかりその辺を議論してまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 その点をぜひお願いをしたい。
 特に、なかなかコミュニケーションが図れない今の状況の中で、フェードアウトは困るのです。せっかく保険医療と密接にかかわった県立病院もそのような姿を追求しているはずですので、地域病院の目的、趣旨が、このパンデミックによって薄れてきてしまうのは、住民が最も恐れることですから、それは、今後も検討材料の中でしっかりやっていただきたいと思います。いち早く、住民の方々といろいろ意見交換をできる場が復活することを私も願っております。
 最後に質問しますけれども、しつこいですけれども、いわてで生み育てる支援本部は、知事が大分力を入れて、本会議場でも県警察本部長に頼んだりして、そのようなことで始まったものですけれども、医療局として、周産期医療等、医療局に課されたミッションは何なのかと。こういう支援本部の中で、医療局は何を果たしていくのかという問題意識について、小原医療局長に問いたいと思います。
〇小原医療局長 御承知のように、このいわてで生み育てる支援本部が設置されたきっかけは、県立釜石病院の分娩休止にあることから、当然に重い責任を負っていると認識しております。支援本部の取り組みでは、五つのライフステージがうたわれておりまして、その中で、2の妊娠、3、4の子育てのステージにおいて、県立病院、医療機関がその中核として、安全、安心な周産期医療、小児医療を提供することに尽きると思っております。
 それから、支援本部で出されました各分野のさまざまな取り組みを活用して、県立病院が支えてもらうということもあろうかと思っております。県立病院といたしましては、医師や助産師などの人材確保や、スキルの維持向上、施設の環境整備に、引き続き努めまして、分娩を行う病院を充実させてまいります。
 それから、出産の前後も、定期健診とか、相談の体制を厚くする、あるいは産前産後ケアについて市町村と連携して実施していくなど、分娩以外にもその役割、やるべきことは多いと考えております。限られた医療資源の中で、安全、安心な周産期医療、小児医療を持続的に提供していくには、どのような体制で行っていくことが適当なのかということも、これから関係の方々とともに考えながら、取り組んでまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 わかりました。政策企画部とか総務部にも質問をしたのですけれども、これは人口減少問題とも密接にかかわる問題ですので、岩手県の将来にかかわる重大なテーマだと思っております。その中間管理をするのが誰かとか、全体像を見回す人がよくわからないので、それは議会なのかなと。本部長がしっかり目配せするのだろうという思いで、せっかく立ち上げたのだったら、これはしっかりやってもらわないとだめなので、結果を出してもらわないと、ただの連絡会議ではだめなのです。それを最後に申し上げて、医療局には、現場であずかる力は、皆さん方にかかっていますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは最初に、県立病院の新型コロナウイルス感染症対応についてお聞きしたいと思います。本会議でもお聞きしました。県立病院は、新型コロナウイルス感染症病床239床を確保して、これは402床全体の中で59.4%を占めるということでありました。今年度、1月以降、新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れ実績はどうなっているでしょうか。
〇久慈医事企画課総括課長 今年度の新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れの実績でございます。令和3年4月1日から令和4年2月末までの累計で、16病院におきまして、1、724人の患者を受け入れてきたところでございます。
 ことし1月以降の受け入れ状況でございますが、1月に11病院において272人、2月には15病院におきまして395人の患者を受け入れてきたところでございます。
〇斉藤信委員 県立病院はPCR等の検査もできる病院となっていますけれども、PCR等検査の実績はどうなったでしょうか。
〇千葉業務支援課総括課長 県立病院におけるPCR等検査の実績につきましてでございますが、県立南光病院を除く19病院に計35台のPCR検査装置と、7台の抗原定量検査装置を配置いたしますとともに、機器が不要で簡易に測定可能な抗原検査キットを、適宜、併用しながら、本年2月末までの累計では、地域診療センターを含む23施設におきまして、検体採取への協力を含め、県全体の検査件数のおよそ4分の1に当たります4万5、880件の検査に関与し、陽性者の早期発見による感染拡大防止につなげてきたところです。
〇斉藤信委員 県立病院は、自前で、短時間で検査結果が出るということだと思いますので、入院患者の受け入れとあわせて、積極的な役割を果たしていると思います。
 同時に、この間、県立病院を含めて、医療機関のクラスターが発生しています。県立病院でのクラスター発生病院数とそれへの対応、教訓を示して下さい。
〇千葉業務支援課総括課長 県立病院におけるクラスターの発生状況についてでございますが、これまで2件のクラスター発生を確認しているところでございまして、クラスターの発生を確認した病院におきましては、病棟等の消毒、入院患者や対応職員のPCR検査の実施、当該病棟に係る入退院の停止などの対応を行ってきたところです。
 クラスターの発生要因につきましては、いずれの病院も、入院した時点では発熱などの感染を疑う症状がなかった患者につきまして、入院後に陽性が判明したことによるものなどが考えられ、一般の患者として、他の患者と病室等を共有していたほか、職員も標準的な防護策は行っていたものの、個人防護具の着用など、感染患者としての対応を行っていなかったことによるものと考えているところです。
 クラスターの発生を受けた教訓といたしましては、これまでも、厚生労働省の指針をもとに、発熱等の症状や、感染者との濃厚接触歴など、感染が疑われる患者に対してPCR検査等を実施してきたところでございますが、クラスターの発生事案を踏まえまして、市中の状況を注視し、感染の拡大が見られる時期等におきましては、入院する患者のスクリーニング検査の実施とか、入院患者へのマスク着用の依頼、また、職員に対しましては、ふだんから休憩時等の感染対策の徹底はもちろん、家庭から持ち込まないよう、就業前のスクリーニング検査の実施などの感染防止策を行ってきたところでございます。今後も、クラスター発生病院での経験を全県立病院、全職員で共有しながら、引き続き、院内感染防止に努めてまいります。
〇斉藤信委員 今、特に保育所のクラスターが、特に3月に入って急速に広がっています。残念ながら、県立中央病院の保育所でもクラスターが出て、これは自主公表されていますけれども、100人規模の職員が当面出勤できないという状況の中で、さまざまな規制もあると思いますけれども、これは、県立病院全体ではどのぐらいの影響が出ているかわかりますか。
 後で調べて、教えてください。時間がもったいないので、次の質問に入ります。
 新型コロナウイルス感染症への対応のもとで、医師、看護師の増員はどう図られてきたでしょうか。
〇宮職員課総括課長 今年度の医師、看護師の増員についてでございますが、医師につきましては、経営計画において、12人を増員する計画に対し、23人の増員としたところであります。看護師につきましては、医療の質の向上で、4人を増員する計画に対しまして、34人の増員、産育休に対する代替職員確保で、15人を増員する計画に対し、15人の増員とし、合計で19人を増員する計画に対し、49人の増員としたところであります。
 それとは別に、今年度、看護師については、病院間の応援体制を強化するため、県北及び盛岡圏域、県央圏域、県南圏域、沿岸圏域の四つの圏域に各8名、計32名を配置するとともに、地域病院の感染症対応強化のため、4つの地域病院に各1名、計4名を配置し、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに対応しているところであります。
〇斉藤信委員 私がいただいた資料では、今年度の看護師の増員は、全体でプラス9、しかし、実績はマイナス10だったと。計画に対してマイナス19と、こうなっているのではないですか。
〇宮職員課総括課長 看護師が減員となっているのはなぜかということですが、看護部門が当初計画より減員となっている理由についてでございますが、これまで患者数の減少等を踏まえた病床適正化を進めてきた結果、令和3年度までの実績が、当初計画の33名を上回る72名の減員となったことによるものであります。
 一方、病床適正化が当初計画以上に進んだことも踏まえまして、医療の質の向上等に係る増員を前倒しで行っており、今回の見直し案では、計画期間全体で、当初計画を18名上回る57名の増員を図ることとしているほか、産育休取得者等に対する代替職員についても、当初計画どおり90名の増員を図ることとしており、今後とも、看護師の負担軽減、良質な医療の提供及び医療の安全を確保するための体制整備に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私が言っているのは、きのういただいた資料なのです。令和3年度、病床適正化等で59人減らしているのです。だから、プラスマイナスでマイナス10になっていると。何でそのことをはっきり言わないのですか。
 病床適正化と言っても、これは、県立釜石病院、県立久慈病院、県立千厩病院は実際にコロナ病棟として使っているのです。だから、減らすどころか、そこに配置しなければならなかった。今本当に、新型コロナウイルス感染症対応で、看護師、医師も含めて、派遣に行ったり応援に行ったり自分の病院で診たり、大変過酷な仕事をしています。
 そのときに、全体で10人減らすなどということがあっていいのかと。おかしいと思いますよ。本当に血も涙もないというぐらいですよ。さっき答弁があったように、あれだけの新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れて、検査もやって、頑張っているわけでしょう。
 そのときに、看護師を減らすと。私は本当に逆行していると思う。今回は、言わば病床適正化で減る分を新型コロナウイルス感染症対応に回せばいいだけの話だったのです。結果的にマイナスと。私はあなた方のこの表を見て驚いた。新型コロナウイルス感染症に対応している中で、ふやすどころか減らしているのだから。おかしいと思いませんか。
 そもそも看護師の増員計画そのものは極めて少なかった、貧弱だった。それを私は一貫して指摘してきたのです。小原医療局長、答えてください。
〇小原医療局長 令和3年度は、実際に、患者数の減少、それから新型コロナウイルス感染症に対応していくために、3病院で病棟を縮小したところであります。その生まれた看護師を新型コロナウイルス感染症対応、それから、さまざまな医療の質の向上、これは救急体制の強化にも充てております。そういったことで対応しておりまして、結果的には、10名減った形にはなっておりますけれども、病棟を減らしているということで回しておりますので、現場としては、それほど減っているという実感を与えているかどうかということになります。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症患者をあれだけ受け入れているということは、コロナ病棟をつくっているのです。県立釜石病院もそうでしょう、県立千厩病院もそうでしょう。県立千厩病院はどうなったかというと、一般病床は1病棟で、100%近い患者数になっているのですよ。だから、減らすところが新型コロナウイルスに対応してやっているのです。それ以上に新型コロナウイルス感染症に対応するための病棟を設置して頑張っているから、これだけの患者を受け入れたのではないですか。
 そういう新型コロナウイルス感染症対応のもとで、私は、本来、減らすべきではなかったと思います。今どういうことになっているかというと、看護師は言わば二八と言って、月8日以内の夜勤、これは今年度の第3四半期までに1、303人が9日夜勤ですよ。令和2年度は1年間で1、112人だった。もう既に、令和2年度の1、112人を上回る9日夜勤をやっているのですよ。
 一方で、超過勤務手当は申請しづらいと。私が県立遠野病院の超過勤務手当不払い問題を指摘したのに、県立病院全体で、その教訓が生かされていない。1、316人の県立病院の職員のアンケートを取りました。ここで、超過勤務を申請しづらいというのが30%ありました。勤務前の残業、いわゆる超過勤務を申請しているのはわずか8.5%ですよ。ほとんどが勤務前30分、1時間超過勤務やっても申請できない。勤務時間が終わっても、その後の超過勤務も申請できないという声が多い。最大の理由は、請求できない雰囲気がある、圧力がある、こういうことですよ。
 看護師の切実な声を一つだけ紹介しましょう。毎月のように退職者が出ている。人員不足がどんどん悪化している。ベテラン中堅看護師がやめている。この2年間新型コロナウイルス感染症と戦い続けて、行きたいところも行かず、我慢に我慢を重ね、医療従事者ということもあり、なるべく外出もせず、子供も遊びに連れて行けず、頑張ってきたのに、今度はボーナスカット。はっきり言ってふざけるなと言いたい。何でいつもしわ寄せを看護師に押しつけるのか。やはり頑張っているのだから、ここに応える看護師の大幅増員をやらなかったら、看護師はこれから確保できませんよ。
 普通退職者を含めて、ことしの退職者は何人ですか。来年度の採用数、あわせて示してください。
〇宮職員課総括課長 看護師の今年度の退職者の状況でございますが、看護師につきましては、141名の退職者数となる見込みでございます。結婚や家族の介護等、家庭事情による普通退職者の増などにより、前年度比で16名の増となっているところでございます。
 続きまして、看護師の今年度の中途採用、来年度採用見込みでございますが、今年度の中途採用につきましては、職員採用選考試験において採用内定とした者のうちから、計7名の資格所有者を前倒しにより採用したところでございます。来年度の採用見込みでございますが、令和4年4月1日付で、計148名の採用を予定しているところでございます。
〇斉藤信委員 ことし141名の看護師の退職があったと。内訳を言いましょう。定年退職26人、勧奨退職者19人、普通退職者─中途退職です─96人ですよ。141人も年間やめたら、いくら採用しても増員にならないのです。今、中途でやめざるを得ない、そういう職場環境を本気で改善しなかったら、看護学生に県立病院は選ばれないと思います。あそこで働きたいと、頑張っている病院だから魅力はあると思いますよ。しかし、さっき私が声を紹介したように、いくら頑張っても報われないと。そこを本当に抜本的に改善していただきたいと思います。
 今度、全看護職員を対象に月4、000円の特殊勤務手当を支給するということは、私は評価します。しかし、期末手当のカットで年間7万4、000円減るのですよ。7万4、000円減ったら、プラスマイナスではマイナスです。ここも、大きな問題で、せっかく国は看護師の処遇改善だと言っているときに、その看護師の期末手当を大幅にカットするというやり方も、また、私は見直すべきだと思います。小原医療局長、本当に看護師が元気で、希望を持って働ける職場にすべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇小原医療局長 前にも答弁したとおり、期末手当の引き下げ、給与改定については、地方公営企業法などで定めるルールが示されておりますので、人事院勧告を尊重した県職員の給与改定に準じて取り扱うことが適当と考えたものであります。
 職員の新型コロナウイルス感染症対応などの御労苦に対しましては、防疫等作業手当などの額を特例で引き上げているほか、職員に対する人事考課や表彰などで配慮をしているところでございます。今後も、モチベーションとなるような必要な対応を考えてまいります。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇鈴木経営管理課総括課長 先ほど、斉藤委員から、学校等の休校による診療体制への影響について御質問があったところでございます。
 県立中央病院以外では、学校、保育施設などの休校等により、直接診療に影響があった事例は発生していないところでございます。
〇軽石義則委員長 他に質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑は終わります。医療局の皆さんはお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。お疲れさまでした。
午後6時1分 散 会

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