令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和4年3月14日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
文化スポーツ部長 熊谷正則
副部長兼文化
スポーツ企画室長兼オリンピック・
パラリンピック
推進室長 佐 藤 法 之
文化スポーツ
企画室企画課長 佐藤卓也
文化スポーツ
企画室管理課長 佐藤竜太
文化振興課
総括課長 岡部春美
世界遺産課長 佐藤嘉広
スポーツ振興課
総括課長 畠山 剛
冬季国体・マスターズ推進課長兼
事業運営課長 松崎雄一
特命参事兼
連携調整課長 高 松 秀 一
教育長 佐藤 博
教育局長 佐 藤 一 男
教育次長兼
学校教育室長 高橋一佳
教育企画室長兼
教育企画推進監 渡 辺 謙 一
参事兼教職員課 総括課長 八重樫   学
予算財務課長 千 葉 順 幸
学校施設課長 新 田 芳 文
学校教育企画監 中川覚敬
首席指導主事兼
義務教育課長 三浦 隆
首席指導主事兼
高校教育課長 須 川 和 紀
高校改革課長 森 田 竜 平
首席指導主事兼
産業・復興教育課長 菊池郁聡
首席指導主事兼
特別支援教育課長 近藤健一
首席指導主事兼
生徒指導課長 泉 澤   毅
首席経営指導主事兼小中学校
人事課長 金野 治
首席経営指導主事
兼県立学校
人事課長 木村 基
首席指導主事兼
保健体育課
総括課長 清 川 義 彦
首席社会教育主事兼生涯学習
文化財課総括課長 藤 原 安 生
首席社会教育主事兼文化財課長 岩渕 計
財政課総括課長 山田翔平
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 なお、川村伸浩委員、臼澤勉委員、及び高橋こうすけ委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日は、文化スポーツ部、教育委員会関係について、延べ16人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしますので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩については、これまでと同様でありますので御協力をお願いいたします。
 初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇熊谷文化スポーツ部長 令和4年度岩手県一般会計予算、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、令和4年度当初予算編成に当たっての当部の基本的な考え方でありますが、文化芸術・スポーツ分野は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた分野の一つであり、そのような中にあっても、本県アスリートの世界的活躍はもちろんのこと、子供たちのスポーツや音楽、文芸活動での目覚ましい活躍は、岩手県民としての誇り、勇気や希望といったスポーツ、文化芸術のすばらしさを改めて再認識する機会となりました。引き続き、スポーツの力、文化の力を岩手の力につなげていけるよう取り組んでいきます。
 まず、復興推進の取り組みでは、著名な音楽家との交流の記録の作成、情報発信や、さんりく音楽祭2022の開催など、音楽の力による被災者の心の復興に取り組みます。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、健康・余暇分野では、官民一体による文化芸術・スポーツ推進体制を構築するとともに、岩手芸術祭の開催、障がい者文化芸術の振興のほか、県民誰もが生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会型スポーツの推進に取り組みます。
 教育分野では、障がい者を含むトップアスリートへの支援や、スポーツ指導におけるデジタル化に取り組み、指導者の資質と競技力向上を図ります。また、スーパーキッズ事業では、取り組み開始から15年目でオリンピックメダリストを育てるという目標を達成しました。引き続き岩手の子供たちの無限の可能性を引き出し、本県スポーツの競技力向上につなげていきます。
 居住環境・コミュニティ分野では、日本スポーツマスターズ2022及びいわて八幡平白銀国体の開催に向け準備を進めるとともに、スポーツ大会、合宿の積極的な誘致など、人的、経済的な交流の一層の拡大を図ります。
 歴史・文化分野では、平泉世界遺産ガイダンスセンターを核に、平泉の価値を国内外に発信するほか、平泉、橋野、御所野の三つの世界遺産の理解促進、交流を図るとともに、民俗芸能フェスティバルの開催など、地域の誇る歴史・文化資源の活用を推進します。
 次に、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。当部関係の予算は、2款総務費8項文化スポーツ費の40億9、300万円余であり、対前年比で7億300万円余の減となっております。
 予算内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 テンポよく質問させていただきたいと思います。
 まず、スポーツ振興について伺います。きょうは1点だけです。
 これまで県は、地域活性化スポーツ推進事業において、いわてグルージャ盛岡、岩手ビックブルズ、釜石シーウェイブスRFCとの連携事業を行ってきました。実際問題としては、それぞれの団体に対してまず活動するお金をしっかりと出し、それをもってそれぞれのスポーツが盛り上がるように、そしてそれが次の世代につながっていくように、県がやられてきたという認識を持っております。そうした中で、例えばラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催や、いわてグルージャ盛岡がサッカーJ2リーグへの昇格を果たすという形で、よい循環が生まれてきていると思っているところであります。
 ただ、そうした中で、2019年3月12日から5月31日に、いわてグルージャ盛岡と公益財団法人岩手県サッカー協会の連名で行ったスタジアム整備を要望する署名は、14万1、347筆でした。そうしたものを要望として出しながらもJ2に上がったいわてグルージャ盛岡は、これからどのような形でスタジアム整備や今後の活動をしていくのか。続けることができるのかと言いかえなければならないかもしれませんが、これに対して県はどのようなお考えか伺います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 今年の2月19日に行われたJ2リーグ開幕戦では、昨シーズンの勢いそのままに、Jリーグ発足時からのチーム、ジェフユナイテッド千葉を相手として1対0で勝利したところであります。今シーズンは、一昨日のベガルタ仙台戦を終え、現在2勝2敗の8位となっており、3月20日には北上市でホーム開幕戦が行われる予定で、これまでのサポーターのほか多くの県民の方々に興味、関心を持っていただくことを期待しております。
 県としても、J2昇格の機会を捉え、県民的な機運の醸成やファンの拡大に向けた取り組みを推進してまいります。
 スタジアム整備については、令和元年6月にいわてグルージャ盛岡と公益財団法人岩手県サッカー協会の連名による要望書が、14万人を超える署名とともに県及び盛岡市に提出されたことを受け、盛岡市では令和2年度にホームスタジアムであるいわぎんスタジアムにJリーグの基準を満たす照明設備を整備し、県でも補助を行ったところです。
 今後は、まずは、いわてグルージャ盛岡が盛岡市を初め関係者と合意形成を図りながら、整備計画を検討していくことが重要と考えております。
〇郷右近浩委員 これまでも県に、署名のときのみならず、いろいろな形で要望や話をする機会があったと認識しています。そうした中で、知事も、あるときには補助参加というか、何とか応援していくといった表現をされているときがありました。その場合は盛岡市が主になるのかと思うのですが、ただ、盛岡市が主になるのか県が主になるのかなどと言っている形より、一緒になって地域のスポーツを盛り上げる、特に施設などというものは考えていかなければならないのかなと思います。ただ、奥州市にできるのならそれはそれでうれしいのですが、盛岡市にという形だと思います。そうであるとするなら、しっかりそこの部分を考えていただきたい。
 国民体育大会のときもありましたが、岩手県営運動公園も本来はきちんと再整備をしていくべきなのかと思います。ただ、国民体育大会のときは、陸上は北上市という形で、県内のどこをどう使っていくという中で整備していくと思うのです。
 今回は盛岡南公園に野球場ができるということで、子供たちもさまざまな機会に使える施設ができてくる中で、そうした設備をしっかりつくっていくことは、必要なことではないかと思っています。どの競技がどうというのみならず、いろいろなことができる。サッカー場ができれば、ラグビーもそこでできるでしょうし、それぞれの相乗効果を考えながら使用していくことも可能だと思います。
 今後も、いわてグルージャ盛岡、岩手ビックブルズ、釜石シーウェイブスRFCをそれぞれに支援しながら、そして次の世代につながっていくような取り組みをさらに進めていただきたいと思いますし、期限が迫っているJリーグの基準を満たすスタジアム建設問題に対しては、なるべく早目、早目に動いていただけるような取り組みをお願いしたいと思いますが、御所見をお願いします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 御指摘いただいた点は、非常に参考になる御意見だと思っております。やはり主役となるのはいわてグルージャ盛岡ですので、いわてグルージャ盛岡の考え、あるいは現ホームスタジアムの所有者である盛岡市の考えを尊重することが大事だと考えています。もちろん相談が寄せられた際には丁寧に対応してまいりたいと考えますが、まず、いわてグルージャ盛岡の関係者と合意形成を図られて、その整備計画を検討していくことが重要と考えております。
〇郷右近浩委員 例えばこのスタジアム建設等に係るお金は、さまざまな形が考えられると思うのですが、例えばスポーツくじのtotoを使うとなれば、totoを申請するのには、民間より市町村、市町村より都道府県のほうが使える額の幅が広くなることは、もちろん県も承知していると思います。そのときに、事業主体はどこかという部分については弾力的に、できるだけ実現に一歩でも近づくような取り組みをさらに進めていただきたいと思います。答弁は要りません。
〇高橋穏至委員 私からは、いわて文化芸術王国構築事業費について伺います。
 令和4年度いわて文化芸術王国構築事業費473万9、000円と昨年度の事業費1、992万3、000円の事業の内容の違いを伺います。それから、令和4年度はいわてアーツコンソーシアム推進事業費800万円が計上されていますが、それらの関係について伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 いわて文化芸術王国構築事業費についてですが、令和3年度においては、本事業により文化芸術活動に対するアドバイスや情報提供等を目的とした岩手県文化芸術コーディネーターの各広域圏への配置、県内の文化芸術情報を発信するホームページいわての文化情報大事典の運営、いわて県民計画(2019〜2028)の文化スポーツレガシープロジェクトに掲げる官民一体の文化芸術推進体制の構築に向けた先行事例の情報収集や研修などに取り組んできたところです。
 令和4年度においては、文化芸術の力を一層発揮するための環境づくりを進めるため、これらの取り組みのうち官民一体の文化芸術推進体制の構築の取り組みを新たにいわてアーツコンソーシアム推進事業費として事業化し、一層の推進を図ろうとするものです。このいわてアーツコンソーシアム推進事業費においては、文化芸術に携わる民間の若者や女性の芸術家等によるチームにより、本県の地域の文化資源を生かした文化芸術プログラムの企画、実施に取り組むとしているところです。
〇高橋穏至委員 昨年、コーディネーターを含めさまざまな事業をいわて文化芸術王国構築事業費で行い、ことしは、そのうちからコーディネーター分だけ残し、それ以外について別事業という形で組んであるわけで、その別事業にしたのがいわてアーツコンソーシアム推進事業費ですが、第3期岩手県文化芸術振興指針─2020年から2024年─の中で、官民一体となった体制ということで、アーツカウンシル機能の推進にずっと取り組んできているわけです。この状況についてお知らせください。
〇岡部文化振興課総括課長 官民一体の文化芸術推進体制の構築の取り組み状況ですが、令和3年度までは他県の先行事例の調査や、県内の文化芸術団体との意見交換を行いました。
 令和4年度においては、いわてアーツコンソーシアム推進事業を新規事業として立ち上げ、先ほども申し上げたとおり、文化芸術に携わる民間の若者や女性の芸術家等によるチームをつくり、本県の地域の特色ある文化資源を生かした文化芸術プログラムの企画、実施に取り組むこととしているところでございます。
〇高橋穏至委員 官民一体となった連携体制の構築が第3期岩手県文化芸術振興指針の中では重要事項として取り上げてあり、その中でいろいろ調査したということですが、その期間中ずっと取り組んだのは、アーツカウンシル機能ということで、アーツカウンシルの構築に取り組むということでずっと来ているのですが、急に名称がアーツカウンシルからアーツコンソーシアムに変わったということなのです。
 それに関して、変わった経緯と、この調査事業は平成31年度に岩手県文化芸術振興基盤強化事業業務委託ということで2年間調査をされているのですが、その調査にはどれくらいかけて、調査結果はどうだったのか、お知らせください。
〇岡部文化振興課総括課長 まず初めに、岩手版アーツカウンシルと言っていたのをアーツコンソーシアムという仮称の名称に変わった経緯についてですが、これまでアーツカウンシルに取り組んでいる他の都道府県を調査したところ、さまざまな機能を持ち合わせていました。例えば事業の補助を中心にしているところや、本県が目指しているようなプログラム型のもの、相談対応を中心にしたものなど、さまざまな機能を持ち合わせたアーツカウンシルがありました。
 本県においては、若者、女性の活躍も主眼にしているので、そういった方々の活躍の場を広く確保する必要がありますし、これまでの芸術団体等のつながりも大切にしながら、そういった新たな試みを展開しようということで、今、アーツコンソーシアムという仮称の名称を使っているところでございます。
 次に、これまでの岩手県文化芸術振興基盤強化事業業務委託についてですが、岩手県文化芸術振興基盤強化事業は、文化芸術振興の企画、推進体制の基盤強化を図るとともに、本県の文化芸術の発信力及び訴求力を強化することを目的とし、平成29年度から令和3年度まで委託事業として実施してきたものです。
 具体的には、文化芸術活動を支援する岩手県文化芸術企画調整マネージャーの配置、官民一体の文化芸術推進体制に関する調査研究、公立文化施設の自主企画力の向上等を目的としたアートマネジメント研修、文化プログラムの地域開催を促進するアウトリーチ研修などに取り組んできたところでございます。
 この事業の成果については、アートマネジメント研修等を通じて、文化芸術の振興や文化芸術を生かした地域づくりなどに取り組む人材の育成及び相互交流を促進したことであり、官民一体の文化芸術推進体制に関する先行事例調査や関係団体等から聴取した御意見を今後に生かしてまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 この調査事業の中からも、アーツカウンシルの今後のあり方というのが出てきて、それで今回名前が変わって仮称でアーツコンソーシアムとなったのですが、このアーツカウンシルの中ではさまざまな機能に取り組んでいる事例があって、しかも、カウンシル全体としてはそれらを包括的に事業としていかないと、実際には文化芸術の振興は進まないと思われるのですが、今回はその中で、若者、女性に特化してしまって、一部にしてしまったというのはどういうことなのか。これで岩手県に文化芸術王国を目指すのかと、非常にタイトルに違和感があるわけですが、その辺の見解を伺います。
 それから、平成29年度から令和3年度、岩手県版アーツカウンシル構築の行程表があるわけです。その行程の中で先ほどの調査事業がされてきているのですが、令和3年度が構築準備で、令和4年度に設置するという行程です。アーツカウンシルの構築を令和4年度からスタートするというような位置づけで工程表があるのですが、そうすると、このスタートはアーツコンソーシアムと捉えるのか、その辺について伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 (仮称)アーツコンソーシアムという形の経緯についですが、私どもは、県内の関係団体や学識経験者の方々に、本県が目指す官民一体の推進体制とはどういうものがふさわしいか、御意見を聞きに行きました。
 その中で、総花的なものより特色のある文化芸術をしていくのがよいのではないか、地域資源を生かした文化プログラムの実施、支援を行うほうがよいのではないか、次世代の担い手の継承が鍵ではないか、本県ならではの文化芸術を享受できる環境を持続可能なものにしていくことが必要ではないかというような御意見をいただきました。
 そういった意見を参考としながら、現在はそういった形で進めたいと思っておりますし、さらに、機能がさまざまございますが、進めながら考えるということも可能かというところもありまして、まずは特色ある取り組みをしてみようというところでございます。
 さらに、行程の関係ですが、文化・スポーツレガシープロジェクトにおいては、令和4年度までにその推進体制の構築を検討することになっておりまして、令和4年度において、まずは(仮称)いわてアーツコンソーシアムということで、若者や女性を中心としたチームで、文化芸術プログラムの企画、実施をしていきたいと考えております。
〇軽石義則委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇高橋穏至委員 先ほどの私の質問で一つ、調査事業は平成29年度から令和3年度までで、この調査にどれくらいかけたのかという答弁が抜けておりましたので、その答弁をお願いします。
 それから、この事業に関しては、常任委員会の中でも地元の芸術コーディネーターの方からお話を聞きながら、この話題が出てきたので取り上げたのですが、そうすると、平成29年度から令和3年度まで調査した中で取り組むべき課題はたくさんあるけれど、とりあえずは若者、女性という要は人材育成に絞ってスタートし、これから広げていくという解釈でよいのか、その点について伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 答弁が漏れまして申しわけございませんでした。この岩手県文化芸術基盤強化事業業務委託について、平成29年度から令和3年度までの委託料の合計額は5、561万4、000円です。
 まずは、そういった人材育成と文化プログラムを実施していきたいということです。また、アーツコンソーシアムの中で、さらに、岩手県の文化芸術の振興のためには、こういった機能も必要ではないかというところがあれば、それは随時見直し、改善を図りながら行っていくというように考えております。
〇高橋穏至委員 そうすると、今回、若者、女性というか、人材育成という部分からスタートするということで、それ以降にまた必要な機能があればという話でしたが、具体的には人材育成にどのような形で取り組んでいくのか。県内の若者や女性の活動している方々を集めて、会議だけなのか、要はその中身です。特に芸術文化を広げるためには、県民を巻き込んだ事業を行うとか、何かプログラムがないと実際に成果は出てこないと思うのですが、そこはどう考えていますか。
〇岡部文化振興課総括課長 今後の展開ですが、まず若者、女性の芸術家等によるチームについては、現在、複数名の方の選定作業をしているところです。その中で、岩手県の文化芸術の振興にどのような取り組みをしていくべきかといった課題の整理などもしていただきながら、まず取り組めるものは何かといった企画のところを検討していただきたいと思っておりますし、来年度においてはその成果を見出してもらうために、実施につなげていきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 チームをつくって検討していくことは段階的には必要なことだと思いますが、せっかく5年間5、000万円という非常に大きな金額をかけておりますので、これは一体何だったのか、もう一度検証しながら、そこをどう生かしていくか、次につなげていくというのが一つポイントだと思います。
 また、チームをつくると言いますが、文化芸術は分野がたくさんある中で、そんな少ないチームでよいのか。できれば、それぞれの分野ごとに事業を考え、事業を実際に行うことでスキルというか企画力をつけていくことが必要になってくると思いますので、その辺をしっかりとしていただきたいと思います。
 また、これはスタートの段階で、さらに今後展開していくという考え方でよいのかどうか、最後にもう一度確認して終わりたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 委員からいただいた御意見について、岩手県の文化芸術は本当に幅広いところでいろいろな活躍が見られるので、全体を見渡しながら、チームの中でいろいろな視点から検討していただく。若者、女性の視点でいろいろなことを検討していきたいと思っていますが、若者、女性だけが実施するということではなく、周りの文化芸術団体の方々からも助言をいただき、支えながらやっていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 最初に、アスレチックトレーナーの関係について伺います。
 アスレチックトレーナーはメディカル部門に強いトレーナーということで、国内では公益社団法人日本スポーツ協会認定、特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会認定、この二つのトレーナーの資格があると認識しています。
 日本スポーツ協会公認のアスレチックトレーナーの場合は、JSPO加盟団体からの推薦が必要となっており、毎年育成する人数も限られていると認識していますが、現在の県内の状況について伺います。
 また、平成28年の希望郷いわて国体に向けて選手をサポートすることを目的に、県版のアスレチックトレーナーの養成事業を開始し、国民体育大会では大きな成果に結びついたと思っています。その後、数次にわたって育成してきたわけですが、その現状について伺います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 アスレチックトレーナーについてですが、まず、日本スポーツ協会その他、東京都のほうで養成する人数については、手元に細かい数字はございませんが、先ほどいただいたとおり、団体等からの推薦や本人の希望等々で選考されるという内容になっていると承知しています。
 そして、岩手県版は、平成28年開催の希望郷いわて国体に向けて平成20年度から養成を開始したいわてアスレチックトレーナーで、理学療法士などの医療関係者を中心に平成25年度までに2期にわたる養成を行い、女性8名を含む67名を認定したところです。
 認定者には柔道整復師など自営の方や医療機関に所属する理学療法士が多く、全国大会など県外への派遣の際は、休業や勤務シフトの組み直しなどが必要となることから、トレーナーの一層の人員確保が課題でありました。
 このことから、令和元年度から今年度までの3年間にわたり第3期の養成を行い、来月には女性11名を含む52名が新たに認定される見込みでございます。
〇工藤大輔委員 コロナ禍で新たに52名ということで、競技団体それぞれから希望が出されていると思います。女性の希望も非常に多く、これまで1期、2期で8名、今答弁いただいた3期で11名が新たに認定されるようですが、競技団体の希望とのマッチング状況、それに応えられる状況になっているのか伺います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 先ほど御質問いただいた日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者の数が確認できました。令和3年10月現在でアスレチックトレーナーは32名認定されています。
 次に、ただいま御質問いただいた女性のトレーナーの関係についてですが、トレーナー派遣は、国民体育大会種目の41競技団体中、今年度は29団体から要請があり、できる限りニーズに応じられるようにマッチングを実施して派遣を行ってきたところです。そのうち女性トレーナーの派遣を希望する団体は19団体と多かったですが、女性トレーナー8名の登録のうち、出産や子育て等により今年度はなかなか活動できなかった方もおり、全ての要請に応えられないような状況でした。
 このため、新たに認定する見込みの11名を加え、新年度は女性トレーナーの体制を強化し、競技団体のニーズにより応えられるようにマッチングを進めながら、効果的なサポートにつなげていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 まだまだ女性トレーナーは必要だと思います。また、各種大会に帯同していただけるようにするには、その体制も整えていかなければならないと思います。それについても拡充していただきたいと思います。
 また、公認のアスレチックトレーナーも男性が多かったと記憶していますが、競技団体から吸い上げてバランスのよい形にしていきながら、トータルでそれぞれの競技団体の希望に応えられる体制をつくってもらうよう要望したいと思います。
 そのほかに公認のスポーツドクターというのもあるようですが、県内の状況がわかれば教えてください。
 次に、映像分析ソフトを活用した指導者の養成と選手強化について伺います。
 現在、競技団体においてゲーム分析や動作確認指導などのデータを活用した取り組みが、学校やスポーツ団体で進んでいると認識しています。また、これらについては、プロや大学の強豪校でも以前から活用されているものであり、今後、これらを活用した指導者の養成と選手強化にどのように取り組んでいくのか、必要な分野だと思いますので御答弁いただきたいと思います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 まず、日本スポーツ協会のスポーツドクターの数ですが、令和3年10月現在で81名という状況になっています。
 それから、映像ソフトを活用した指導者の養成と選手強化の関係ですが、県では今年度、競技団体の指導者を対象に、国内における最先端のデータ活用状況を学ぶ講習会を開催し、選手強化における映像分析の重要性を共有したところです。
 これに続き、来年度においては、新規事業として、オリンピック選手やプロスポーツチーム等が採用している映像分析ソフトを導入して、ソフトの活用と映像データによるコーチングができる指導者の養成を図ることとしております。
 県内の活用状況ですが、本県競技団体を対象に、令和2年度にスポーツデータの活用調査を行いました。その中で、スポーツデータ活用が重要との回答が92%でしたが、スポーツデータを活用した指導はしていないという回答が59%で、指導現場での活用が課題であるという認識があぶり出しになったと考えております。
 また、スポーツデータを活用していると回答した団体の活用状況は、体力測定結果などによる体力データの活用が63%であったのに対し、映像による運動動作の確認や分析は44%にとどまり、その内容は、撮影した映像をそのまま見ながら確認するだけという回答が多い状況でした。
 このような内容も踏まえ、先ほど申し上げた取り組みを進めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 それぞれ競技によって導入ソフト等も違うかと思いますが、その辺はどのようなサポートがあるのでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 今予定しているソフトの概要ですが、基本的に県でソフトを一括で入手し、希望する団体にそのソフトを活用できるライセンスを使っていただくような形で、そのライセンスを使いながらソフトに入れば、例えば各競技団体が選手の映像を撮り、それをそこにのせると、動作解析あるいはゲームの解析のようなものが、そこで加工したりしながら使える。それをクラウド上にあげて、遠隔でも指導者と選手が共有しながらディスカッションできるような状況を今考えていますので、各種目に応じた使い方が可能だと考えております。
〇工藤大輔委員 わかりました。普及のほうをよろしくお願いしたいと思います。
 次に、県内でこれまで取り組んできたスーパーキッズの認定について、県北地域、沿岸地域等では、移動にかなり労力を要したり、また経済的負担もあって、応募等も少なかったのではないかと思います。
 現在の圏域別の認定状況と、先ほど伺った映像等を用いながらの指導も今後行われていくと思いますが、取り組みについて伺います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 スーパーキッズの認定についてですが、令和3年度は認定者147名で活動しました。
 認定者の圏域別の割合は、県央地域が55.1%、県南地域が26.5%、沿岸地域が11.6%、県北地域が6.8%で、県北地域、沿岸地域の出身者は27名、18.4%となっています。
〇工藤大輔委員 想像したとおりの数字の状況だと思います。これまでも県央地域だけの募集ではなく、沿岸地域や県北地域で募集するという取り組みもされてきたり考えられているという話も聞いていたので、これからも、時間や距離を超えて、チャレンジしたい子供たちがよりチャレンジしやすい環境をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 最後に、アスリートの競技継続に向けた就職支援について伺います。
 国内外で活躍するアスリートの県内の定着状況を伺いたいわけですが、これは各種スポーツの成績にも関係しますし、また国民体育大会の成績にも関係していると思います。希望郷いわて国体のときには、自治体や民間企業に協力していただきながらその体制を整えてきましたが、国民体育大会が過ぎてしまうと、それも少しずつ減ってきていると思います。
 県内で活動したいという希望を持ちながらも、なかなかその環境が整わない、あるいは受け入れ先がないということで県内での活動ができないアスリートに、より一層受け入れ体制を整えることが必要かと思います。
 あわせて、岩手スポーツアスリート無料職業紹介所も設置してこれまで取り組んでいますが、現状の成果を伺います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 先ほどいただいた御質問の中で、一つお答えし切れていなかった部分があったかと思います。
 スーパーキッズの応募の掘り起こし、それから全域に向けた取り組みということで、現在、県北地域、沿岸地域で体験会や選考会を開催していますので、これらの取り組みを定着させながら、参加者の増加に取り組んでいきたいと思っております。
 また、今年度措置したリモートによる活動に向けた取り組みですが、今年度の予算でタブレットを整備し、これを今後スーパーキッズの皆さんに貸与することにより、遠隔地からのプログラムの参加が可能となるように、また、参加する子供たちや保護者の皆さんの移動の負担感が軽減されるように取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、アスリートの県内定着の関係で御質問いただきましたが、県では、希望郷いわて国体を契機としてアスリートの県内定着の取り組みを進める中で、アスリートと企業を結びつけるマッチングイベントを平成25年度から9年間にわたり開催してきました。その結果、正職員として148名、臨時職員として135名が採用されてきたところです。
 このほか、希望郷いわて国体後の平成29度年からは、競技団体の独自の活動により県内に就職したケースもふえており、令和2年度までの4年間で28名の採用につながっております。
 主な採用の選手としては、例えばスピードスケートの松井大和選手、松澤優花里選手など、日本代表クラスの選手が県内に定着して、本県の選手として活躍していただいているところです。松井大和選手は、皆さん御承知のとおり、スピードスケートワールドカップ2021第3戦で優勝を飾るようなすばらしい成果を上げていただいています。
 それから、岩手スポーツアスリート無料職業紹介所については、公益財団法人岩手県体育協会が令和2年10月に開設したアスリート版ハローワーク岩手スポーツアスリート無料職業紹介所に対し運営に係る経費等を支援し、年間を通じてアスリートと企業のマッチングを行っているところです。
 令和2年度は、紹介したアスリート5名のうち、国際大会出場経験者1名を含む2名が県内の事業所に採用されておりまして、令和3年度は、紹介したアスリート23名のうち、国際大会出場経験者2名を含む3名が県内事業所に採用されました。
 現在、紹介所への登録アスリートは29名、登録企業は19社までふえておりますので、今後、アスリートのさらなる県内定着に向けて取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 受け入れる企業、自治体も含めてふやしていかなければ、アスリートの方々の定着は進みません。先ほど国民体育大会の成績のことも言いましたが、やはり県内で活動し活躍するアスリートは、子供たちにとっても県民にとっても非常に夢がありますし、近くでそういった刺激を受けながらスポーツ活動ができるような取り組みが今後ともより一層進んでいくように、取り組んでいただきたいと思います。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします
午前10時57分 休 憩
午前11時12分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 新規事業に計上されているいわての文化国際交流推進事業について、その基本的な方向をお聞きしたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 いわての文化国際交流推進事業は、本県の民俗芸能や伝統工芸、歴史など豊かな文化資源の魅力を国内外へ発信し、本県への関心を高め、関係人口の増加につなげることを目的にしているものです。
 その中身ですが、映像の制作による発信については、国内外を問わず、インターネットにより人々が映像コンテンツに触れる機会がふえていることから、映像による情報発信をしようとするものです。本県の観光名所、世界遺産、スポーツ、食、伝統工芸等の文化資源について、短編映像を制作し、ユーチューブの県公式動画チャンネルやSNSにより発信しようとするものです。また、海外向けに多言語字幕版もあわせて掲載します。
 さらにもう一つ、漫画を活用した海外との文化交流については、フランス及び中国と岩手県の学生をオンラインでつなぎ、漫画やイラストによる相互の文化紹介や、漫画編集者等によるワークショップを行うこととしているものでございます。
〇工藤勝博委員 新しい取り組みとして、映像を使った発信ということのようですが、岩手県にはさまざまな文化芸術があると思いますし、また世界遺産も、去年、御所野遺跡が登録されたので三つの世界遺産、そして自然的な部分も発信できれば、相当インパクトのある映像ができると思います。
 それも含めて、今のNHKの大河ドラマ鎌倉殿の13人で、ちょくちょく奥州藤原氏の平泉文化が出てきます。岩手県の魅力を世界に発信するとなれば、黄金の国ジパング、それは岩手県であり、平泉町なので、それらも含めた発信力を高めるべきではないかと思いますが、そういう取り組みについてはどこまで検討されているのかお聞きします。
〇岡部文化振興課総括課長 御指摘の世界遺産平泉は、我が県の誇りでありますし、世界の宝でもあります。本県は三つの世界遺産を有することとなりましたので、来年度に向けては、首都圏での広報、周知活動、さらには三つの世界遺産の動画を制作することとしており、首都圏のみならず世界へ発信してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 今ロシアがウクライナに侵攻して大変な状況になっています。そういうことを考えると、藤原文化は平和を求めた文化でもあります。これらもあわせて、映像なり、あるいはまた文字でも発信するべきではないかと思いますので、ぜひともそれらも含めて検討していただければと思います。
 それから、本年8月29日にハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが開校します。生徒、教員等、多くの外国人が岩手県で暮らします。岩手県の風土、文化、歴史を発信できる絶好のチャンスでもあると思います。特に子供から大人まで簡単に理解できる仕掛けが重要と思われますが、その部分に関してはどういうお考えでしょうか。
〇岡部文化振興課総括課長 ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン開校による本県の風土、文化、歴史の普及についてですが、本県には、先ほども申し上げたとおり、平泉の文化遺産、明治日本の産業革命遺産、北海道・北東北の縄文遺跡群の三つの世界遺産に加え、ユネスコの無形文化遺産である早池峰神楽や来訪神、仮面、仮装の神々を構成する行事の一つである吉浜のスネカを初め、各地域に民俗芸能が伝承されています。
 ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校については、こうした特色ある本県の歴史、文化について、生徒や教員の皆様に御理解いただくとともに、その魅力を世界に発信していただく契機と捉えているところです。
 具体的な取り組み内容については、ふるさと振興部と連携して検討、協議を行っていきたいと考えておりますが、岩手県平泉世界遺産ガイダンスセンターが昨年11月にオープンしたので、そのセンターへの来訪を促進し、世界遺産の価値の普及を図るとともに、多様な民俗芸能や豊かな自然、風土に根差した伝統文化等について、英語や中国語など多言語化したコミック岩手なども活用しながら、理解、関心の醸成に努めてまいりたいと考えています。
〇工藤勝博委員 平泉文化を支えたのは、気仙地区で産出された金であったと歴史的にも言われています。相当な金鉱脈があって、それが藤原文化の財力です。そして、中国なり海外の多くの地域にそれを提供しながら文化を高めたという歴史がありますが、今度、ILCであの地域を20キロメートルも掘ったら、また新しい金鉱脈に当るかもしれない。希望を持ちながらILCも進めていくと、黄金の国がまた復活すると期待しています。それらも含めて、関連性が当然あると思うので、取り組んでいただければと思います。
 2点目は、特別国民体育大会冬季大会スキー競技会の準備費についてですが、まず、本年、第71回全国高等学校スキー大会が八幡平市でありました。そしてまた隣の秋田県での第77回国民体育大会冬季大会スキー競技会での県勢の結果について、どのように評価されているのかお聞きします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 先月開催された二つの大会ですが、前回との成績の比較では、全国高等学校スキー大会は前回入賞者数5に対し今回は2で、国民体育大会冬季大会スキー競技会は、前回天皇杯順位5位に対し今回は8位でした。
 本県選手は精いっぱいの健闘を見せましたが、両大会とも前回の結果を上回ることができませんでしたが、少年種別の選手強化を進めたことにより、前回は入賞できなかった選手層の強化が図られ、例えばクロスカントリーにおいては入賞に至ったケースが複数あるなどの好材料もあったところです。
 今後は、来年のいわて八幡平白銀国体に向け、全国大会で入賞実績のある選手や競技団体が行う強化事業に対する支援を行うなど、全国で上位入賞できる選手の増強を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 5年前の希望郷いわて国体冬季大会のときは、選手強化もなされて優秀な成績をおさめられたわけですが、年々じり貧という状況になっています。その一番の課題は、特に冬季スポーツのスキーあるいはスケートの底辺が少なくなってきているというのもあります。昨年も同じような質問をさせてもらいましたが、その辺からしっかりと捉えていかないと、なかなか最終的な結果にはつながらないという思いもしております。
 ことしの北京2022オリンピック冬季競技大会でも、小林潤志郎、小林陵侑兄弟、永井秀昭選手、スノーボードでは岩渕麗楽選手が大活躍しました。そういう選手が目の前にいるということも、これからの小さい子供たちの取り組む目標になると思います。それらも含めて、しっかり環境をつくる必要があると思います。来年は国民体育大会もありますが、その辺はどういうお考えでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 今年度開催された東京2020オリンピック競技大会あるいは北京2022オリンピック冬季競技大会では、本県ゆかりの選手は両大会とも過去最多の各7名、14名が出場しましたが、オリンピックや国際大会を初め国内外で活躍する選手を育成するためには、その成長過程においてそれぞれの段階に応じた適切かつ効果的な支援が必要であると認識しております。
 県としては、国民体育大会及びオリンピックにおいて採用されている51種目を対象に、競技団体のほか、日本代表やそれに続く実績を持つ選手に対し、強化練習や合宿など活動経費の支援や、競技団体が行うジュニア選手の中長期的な育成等に係る経費への支援を行っているところです。
 また、日本スポーツ協会公認指導者資格の取得を支援するほか、来年度から新たに、オリンピック選手やプロスポーツ選手等が採用している映像分析ソフトを導入し、映像データによるコーチングができる指導者を養成するなど、指導者の資質向上や指導体制の強化を図り、選手が高いレベルで練習できる環境の整備に取り組んでまいります。
 今後も、県体育協会や県内の競技団体と連携し、本県選手の育成及び練習環境の支援を行っていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 環境はすごく整ってきていると思うので、あとは、誰かが背中を押しながら、選手の発掘もそうですが、伸びしろを見定める必要があるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 直接的に来年に向けた施設整備の内容をお聞きしたいと思います。
〇松崎冬季国体・マスターズ推進課長兼事業運営課長 
 開催に向けた施設整備の件ですが、八幡平市が実施する八幡平市田山スキー場矢神飛躍台の整備に係る財政支援を行うとともに、競技大会で使用する計測機材、スノーモービル、アルペンポール・フラッグ等の備品を整備したところです。
〇工藤勝博委員 冬季スポーツの中で、特にジャンプ台の整備は年々充実していただいていますし、それを活用することによって次の選手が育つと思います。八幡平市田山スキー場には、県のスモールジャンプ台とミディアムがあります。70メートル級のジャンプ台は地元八幡平市の所有となっていますが、その環境整備は、こういう大会の中では一番重要な鍵を握るのではないかと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、いろいろな形で大会のボランティアが必要なわけですが、ボランティアも年々年をとってなかなか大変だという声があります。大会を開催する中では、地元だけではなく、県民皆でかかわりを持ちながら大会のスムースな運営、あるいは県勢の活躍が目の前で見られるような大会になるような準備をしていただければと思います。
 次に、先ほどもありましたいわて競技力向上事業費についてですが、公益財団法人岩手県体育協会を窓口にして各競技団体に支援していると伺っています。オリンピックでも新たな種目が増加していますが、選手の育成あるいは練習環境の支援はどのようになっているのかお聞きします。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 先ほどと少し重なる部分もあり恐縮ですが、県としては、国民体育大会及びオリンピックに採用された51種目を対象に、競技団体のほか、日本代表やそれに続く実績を持つ選手に対し、強化練習や合宿など活動経費の支援、あるいは競技団体が行うジュニア選手の中長期的な育成等に係る経費への支援を行っているところです。
 また、日本スポーツ協会公認指導者資格の取得を支援するほか、来年度から、先ほど申し上げましたが、映像分析ソフトの導入により指導者を養成、そしてコーチングの高いレベルで進められるように、指導者の資質向上や指導体制の強化を図りながら、選手が高いレベルで練習できる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後も、岩手県体育協会や県内競技団体と連携しながら、本県選手の育成、練習環境の支援を行ってまいります。
〇工藤勝博委員 去年の東京2020オリンピック競技大会でも新しい種目が採用されています。スポーツクライミング、スケートボード、サーフィン、空手でありますが、その中で特にスポーツクライミングは、本県の伊藤ふたば選手もメダル候補だったわけですが、岩手県営運動公園には三つのフルの施設があります。
 去年の夏休み、コロナ禍の中でしたが、低学年の子供たちがかなりの人数、ボルダリング教室に参加していました。底辺の拡大はその辺から始まるのではないかと見ています。特に、それをサポートするには、岩手県体育協会の皆さんもそうですが、それを支える高校生のボランティアもたくさんいて協力していました。
 その辺の支援のあり方はどうお考えでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 スポーツの底辺を支える子供たち、未来を担う選手の育成につながる支援、ボランティアやお力をかしていただいている方々の御協力は大事であると考えております。
 これまでも、今御紹介がありましたスポーツクライミングは、岩手県の山岳・スポーツクライミング協会あるいは岩手県体育協会と一緒になりながらいろいろと取り組みを進めてきたわけですが、新しいスポーツもありますし、あるいは今お話しいただいた若い世代に対する支援というものを、引き続き連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 そういう積極的に活動している部分の支援も十分評価して、これからのさらに内容の濃い育成につながればよいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう1点、県内にもセミプロと言ったらよいか、そういうクラブチームが、ラグビーの釜石シーウェイブスRFC、サッカーのいわてグルージャ盛岡、バスケットの岩手ビックブルズ、今度女子のサッカークラブチームFCゼブラレディース岩手ということで、そういうスポーツを通じながら、交流も含めて、人材育成がどんどん進んでいます。その辺の捉え方はどうなのでしょうか、お聞きしたいと思います。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 お話しいただいたとおり、クラブチームの活動も年々盛んになっており、まずは、今御紹介いただいた三つのトッププロスポーツチームは本県の宝でございますので、ふだんからいろいろと連携させていただきながら、地域の活性化に向けて一緒に取り組ませていただいております。
 クラブチームについても、まだそこまで行かないレベルではあるかもしれませんが、スポーツを通じて地域を盛り上げる、県民に元気を与えるというところに関しては、価値は一緒であると考えています。
〇工藤勝博委員 去年は、大リーグの大谷翔平さんに始まって、野球から大変元気をもらいました。冬は小林陵侑選手で、地元の新聞社から号外が出るような活躍というのは、県民が本当に心から喜ばしく、頑張れるなという思いにつながっていきます。
 そういうことも含めて、スポーツが一つの大きな産業として成り立つような岩手県であってほしいと思います。スポーツで稼げる、スポーツで地域が元気になる、そして県民も元気になる。そういうことも含めて、最後に熊谷文化スポーツ部長に聞きたいと思います。
〇熊谷文化スポーツ部長 まず、スポーツ振興の中での競技力の向上については、委員からもお話があったとおり、裾野の拡大が大事だと思います。どっしりしたピラミッド構造をつくり、段階に応じた指導強化を図っていくのが理想ではないかと思っています。遊びから始まるものでもよいと思うので、そこからピラミッド構造で選手強化を図っていく取り組みが重要でありますので、スーパーキッズによる育成も含めて、取り組みを続けていきたいと思います。
 また、間もなく選抜高等学校野球大会も始まりますし、プロ野球では佐々木朗希選手や堀田賢慎選手の活躍が期待されるところで、大変楽しみであります。
 こういった県民がみんなで応援できるというのがスポーツの特徴でありますし、これを地域の力にしていくというところが大事だと思いますので、スポーツ振興を引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
〇武田哲委員 私からも何点かお伺いします。
 障がい者芸術活動支援事業費が減になっています。この後聞いていく各事業にもつながるのですが、現在、コロナ禍において、さまざまな文化活動が低迷しています。その中で、障がい者芸術活動支援事業費が減になった要因についてと、今後アフターコロナを見据えてどのように取り組んでいかれるのか伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 まず初めに、障がい者芸術活動支援事業費については、障がい者芸術活動支援センターの設置、運営を委託するもので、当センターにおいては、障がい者やその家族、事業者等に対する芸術活動への相談対応、創作活動を支援する人材の育成や展示会の開催等、障がい者文化芸術の裾野を広げるための支援を行っています。
 令和4年度当初予算案における減額の要因については、令和3年度と同様の取り組みを行うこととしていますが、これまでの事業実績を踏まえた見直しを行ったことによるものでございます。
 また、アフターコロナを見据えた、コロナ禍の中での支援については、本県では、障がい者の作家の方々の作品をいわてアール・ブリュット巡回展で県内の数カ所に展示し、鑑賞していただいています。
 あとは、コロナ禍で会場にお越しいただけない方も多くございますので、そうした方がホームページ等でも鑑賞できるようなデジタルを活用したものも制作していきたいと考えております。
〇武田哲委員 障がい者の方々は、コロナ禍でいろいろなところに出歩くこともままならない状況にあります。ほかの事業にも言えるのですが、その中でしっかりと活動支援をしていかないといけない。これまで文化振興費は、令和元年度は岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンターの建設があったので、全体の予算額はそれなりにありました。しかし、平泉世界遺産ガイダンスセンターの建設費を除いた金額を見ると、令和元年度、令和2年度、令和3年度と、毎年着実に減っています。
 文化振興費がコロナ禍にあっても毎年どんどん減っていく状況の中で、先ほど工藤勝博委員とのやりとりの中でも、底辺から上までしっかりと活動をつくっていくという、スポーツのほうはかなりしっかりとできてきたのかもしれませんが、文化芸術活動に関しては、全体の予算額も毎年減っています。
 その中で、岩手県がどう取り組もうとしているのかというのが見えてこない。結果が全然ついてこない。高校生の文化活動では、県立盛岡第三高等学校、県立盛岡第四高等学校が全国表彰を受けています。しかし、その後の支援もなかなか見えてこない。
 障がい者も含め、いわての民俗芸能活性化交流促進事業費も減っています。次の世代を育てるところのお金もかけない、そして活動への支援も行わないという状況はどのように感じているのか伺いたいと思います。
〇岡部文化振興課総括課長 予算の減額については、今年度の事業を進めていく上で経費の精査などがあったことによるもので、今年度の中身を来年度も行うという方向にもっていきたいというようには考えております。
 文化芸術の取り組みの中では、県だけではなく、市町村、文化芸術団体等が一緒になってさらに取り組みを進めていくことが必要になってきますので、そういった連携をさらに構築するような形で、岩手県の文化芸術を振興してまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 さまざまな県内の団体等という話がありました。例えば黒沢バレエなどバレエ団の人たちは、集団でする演目はなかなかできないということです。そのように芸術活動、文化活動、ましてや民俗芸能も、次の人を教えるにしても、コロナ禍では次の人が入ってこない。それを知っていながら、このような予算組みで本当にしっかりと守っていけるのでしょうか、その辺を伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 文化芸術の今後の振興についてですが、多くの県民の皆様に興味、関心を持っていただくことの必要性を感じていますし、特に若者の方々が岩手県の誇れる文化芸術への関心をいかに高めていくかというところを、文化芸術団体の皆様とも少しずつ話し合いを進めているところです。
 今後、そういった岩手県の文化芸術を担う方々への周知や意識づけに取り組んでまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 いわて芸術祭地域活性化魅力発信事業費もそうなのですが、芸術祭に参加する人たちもなかなか出てこられない。ましてや、茶道では、お濃茶の回し飲みもできなくなっています。このコロナ禍において、さまざまなそういった文化芸術活動ができなくなっている状況をしっかりと支援するという方向性を見せなければならないと思うのです。
 ましてや、若い人たちへもという話もありました。人が集まることもなかなかままならない。人と集まって活動することもできない。大きな声を出して歌うこともできない。合唱も難しい。そうした状況を知っておきながら、こうした予算組みの状況で、コロナ禍の中でストップした文化芸術活動をどう盛り上げていくか、その姿勢が見えてこない。そこをもう一度伺います。
〇岡部文化振興課総括課長 コロナ禍における文化芸術への支援についてですが、私どもも定期的に文化芸術団体の活動状況をアンケート調査しているところで、やはりコロナ禍による影響を受けているということをアンケート結果からも理解しています。
 一方で、基本的な感染対策を講じながら文化芸術活動に少しずつ取り組み始めている団体もあります。そうした取り組みを進めている団体と、新型コロナウイルス感染症の基本対策をどのようにとったらよいかという情報交換もしながら、少しでも進められるようなきっかけづくりをしてまいりたいと考えております。
〇武田哲委員 コロナ禍で、県民も文化芸術活動に携わる人たちも、いろいろな意味でそれぞれ活動を模索していると思います。ましてや、文化芸術に触れる機会もどんどん減ってきている中で、心の豊かさや生活の潤いなどは見逃してはならないことだと思っています。そして、生活の豊かさとは何だろうというところをもう一度原点に返ってしっかりと支えていかなければ、本当に大切な心の豊かさが育っていかない状況になっていくと思います。
 ここ3年間、文化振興費は着実に減っています。そうした中で、県民の暮らしにゆとり、幸福とか何とか言っていますが、県民にとって何が幸せか、幸福感を伝えるという意思が感じられないのです。その姿勢が見えてこない。スポーツに関してはしっかりと結果は出ていると思いますが、本当に必要なものをしっかりと県民と共有するという姿勢をもっと示していただきたいと思っています。その辺を最後に伺って終わりたいと思います。
〇熊谷文化スポーツ部長 委員からお話がありましたとおり、コロナ禍では多くの文化芸術団体に活動の制約があったところであります。一方で、コロナ禍だからこそ文化芸術に心の潤いや、こういったときだからこそ欠かすことができないところを再認識する機会にもなったと思っております。
 限られた予算ではありますが、事業効果を最大限発揮できるよう努めていきたいと思います。例えばいわてアーツコンソーシアム推進事業は、民間との協働をテーマに選考して、県職員、あるいは若手の芸術家、女性、若者がチームをつくってプログラムを企画、実施までしていこうという取り組みになります。そういったところも行いつつ、あと、70年以上続いている岩手芸術祭なども継続開催しながら、文化芸術の振興にもしっかり取り組んでいきたいと思います。
〇高橋但馬委員 スポーツ振興費について伺います。
 先ほど郷右近浩委員からいわてグルージャ盛岡について触れましたので、重複しない部分を質問していきたいと思います。
 まずは、今回J2リーグに昇格しました。J3リーグですと15チーム、J2リーグに上がると22チームで戦うため、ホームゲームがふえるということで、鹿児島ユナイテッドFCのJ2昇格シーズンの経済効果が、県内で前年の15億4、600万円から36億8、300万円と倍以上にふえたという報道がありました。
 この辺を踏まえて、県内の経済波及効果をどのように試算しているかお知らせください。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 J3リーグからJ2リーグに昇格したチームの経済効果については、各地域の経済研究所等が試算していまして、チームによってばらつきはあるものの、例えば今御紹介いただきました県や、ガイナーレ鳥取の場合には約6億円から8億円の経済効果があるとされています。
 また、Jリーグデータサイトによれば、2021シーズンのJ3チームの平均入場者数は1、913人であるのに対し、J2チームの平均入場者数は3、910人と約2倍で、入場者増加による入場料収入の増加や、それに伴う飲食、宿泊、お土産、観光、交通など、さまざまな分野における経済波及効果が期待できると考えております。
 一方、いわてグルージャ盛岡の2021シーズンのホームゲームにおける平均入場者数は1、394人で、J3チームの平均は下回っていますが、今後、この経済波及効果に向けて期待ができると考えています。
〇高橋但馬委員 コロナ禍で経済が疲弊している中で、非常に明るいニュースと考えています。
 また、現在ホームのいわぎんスタジアムは4、900人収容で、J2基準の1万人収容には満たない。2024年までにJ2基準を満たしたスタジアムの建設計画をJリーグに提出しなければいけないということですが、いわてグルージャ盛岡と盛岡市、岩手県との話し合いはどうなっているでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 いわてグルージャ盛岡との話し合いについては、現在のホームスタジアムの所有者である盛岡市とともに、これまで何度か話し合いの機会を持たせていただいているところでございます。
〇高橋但馬委員 話し合いの機会を持たれているということですが、どのような話し合いをされているのでしょうか。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 現時点でのチームの考えを伺ったところですが、チームとしても、具体的な内容について現在検討を行っているということでしたので、そのような段階にございます。
〇高橋但馬委員 2025年までに県内においてJリーグが定める基準内でのスタジアムをホームとできなければ、J2ライセンスだけではなくJ3ライセンスも不発行となるということです。スポーツを通じた地域活性化を図るためにも官民一体で取り組むべきと考えますが、県の考えをお示しください。
〇畠山スポーツ振興課総括課長 県ではこれまで、いわてグルージャ盛岡を初めとした三つのトッププロスポーツチームと連携し、ファンの拡大の取り組みや、子供たちとの交流などを通じて、県民的な機運醸成に努めてきたところです。引き続き、スポーツによる地域活性化に向け、サッカー教室や健康づくり教室の開催など、チームと連携した取り組みを行ってまいります。
 スタジアムの整備に当たりましては、まずはいわてグルージャ盛岡が、ホームスタジアムの所有者である盛岡市を初め関係者と合意形成を図りながら、整備計画を検討していくことが重要であると考えています。
〇高橋但馬委員 ぜひ県も積極的に声かけをして、いわてグルージャ盛岡と盛岡市、そして岩手県の話し合いが円滑に進むように努めていただきたいと思います。もしこれでJ3ライセンスも不発行となると、全国で唯一Jリーグチームを持たない県になってしまいますので、その辺もぜひ考慮に入れて取り組んでいただきたいと思います。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。
 文化スポーツ部の皆さんはお疲れさまでした。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時56分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤教育長 教育委員会関係の令和4年度岩手県一般会計予算について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会における当初予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、教育委員会においては、いわて県民計画(2019〜2028)、岩手県教育振興計画の諸計画等に基づき、学びと絆で夢と未来を拓き社会を創造する人づくりの実現に向けて、東日本大震災津波からの教育の復興と学校教育及び社会教育・家庭教育の充実の二つを大きな柱として、長期的な視点に立ち、関係機関と十分に連携しながら、本県の未来を創造していく人づくりに取り組んでいく考えであります。
 また、教育活動における新型コロナウイルス感染症対策を一層徹底し、児童生徒の健康、安全を第一に学びの保障等に取り組んでまいります。
 令和4年度においては、東日本大震災津波の経験や教訓の次世代への継承、児童生徒一人一人に寄り添った支援に引き続き取り組むほか、いわて幼児教育センターを中核とした幼児期における教育の質の向上、市町村等と連携した学校におけるICTの効果的な活用の推進、児童生徒が健康的な生活を送るために必要な運動習慣、食習慣及び生活習慣の改善等を図る一体的な取り組みの推進、時代の変化に即した教育環境の整備と、地域との共創による魅力ある学校づくり、コミュニティ・スクール導入の推進と教育振興運動を基盤とした地域学校協働活動の充実などの重要課題に積極的に取り組んでまいります。
 なお、全体的な方針については、去る2月16日の開会日に行わせていただいた教育長演述で申し上げたとおりであります。
 それでは、一般会計予算の歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の8ページをお開き願います。教育委員会が所管する予算の合計額は、10款教育費の1、408億3、098万円余のうち、ふるさと振興部が所管する1項教育総務費の一部、次のページの一番上の8項大学費及び9項私立学校費を除いた1、300億2、468万円余に、次の11款災害復旧費5項教育施設災害復旧費の3、000万円を加えた総額1、300億5、468万円余であります。これを令和3年度当初予算額と比較しますと、36億1、688万円余の減となっております。
 予算の内容については、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 14ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、教育委員会関係のものは、事項欄47の校地整備事業の1件であり、工期が翌年度にわたることから、期間及び限度額を定めて、債務を負担しようとするものであります。
 以上が教育委員会の所管事業等についてでありますが、県民の信頼と期待に応えるため、教職員の法令遵守と服務規律の一層の確保などにも引き続き取り組んでいく考えであります。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 一般質問で通告していましたが、時間が不足で質問できなかった項目についてお尋ねします。
 少子化がどんどん進行して、生徒数の減少という状況になってきております。これがどんどん進んでいくと、学校の統廃合もまた議論になってくるのかと心配もしております。ただ、広い岩手県、四国4県分に相当する岩手県ですので、その統廃合にも限界があるわけです。学校を残すとなると少人数での学級編成になり、必要な教職員の配置ができるのかというところに結びついてくるわけです。そうしたときに、教職員を配置できないところをどうカバーしていくかというところが、遠隔授業に結びついてくると思っております。どこの地域においても、教育の質が低下しないように、同じような水準で高校教育が受けられる体制を目指していければと思っています。
 県教育委員会は、令和3年度から令和5年度の3カ年にわたり、文部科学省委託事業である地域社会に根ざした高等学校の学校間連携・協働ネットワーク構築事業を導入し、県総合教育センターから県内小規模校5校に対して、令和4年度から遠隔授業の配信を開始されます。大規模校から小規模校への遠隔授業配信の試験導入から、このたびの県立総合教育センターから小規模校への授業配信という方式に改めての本格導入の取り組みは、大変評価申し上げたいと思います。
 県立総合教育センターと県立西和賀高等学校での取り組み、そして昨年末に、手本とした高知県教育センターと高知県立佐川高等学校を私も調査、研修してまいりました。本県における遠隔教育ネットワーク構築事業が順調に推移していると見受けられ、関係各位に感謝を申し上げる次第であります。
 少子化における県立高校の生徒減少に伴う教員の配置は厳しくなっており、小規模高校の教育の質の向上を初め、進学に伴う専門性の高い授業に対する有効活用など、まだまだ遠隔授業の活用が始まったばかりであります。
 そこで何点か伺いますが、まずは、令和3年度の事業実施内容と評価について、どうであったか伺います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 令和3年度の事業実施内容と評価についてですが、県教育委員会では、これまで課外授業等で実施してきた遠隔配信の研究成果を踏まえ、国から3年間の指定を受けているCOREハイスクール・ネットワーク構想事業の1年目である今年度は、機器やネットワークの整備を行うとともに、県立総合教育センターから五つの小規模校に遠隔授業の試行配信を行い、本格実施の準備を進めてきたところです。
 今年度の取り組みにより、機器やネットワーク等のハード面の環境が整うとともに、遠隔授業を実施する際の指導方法や評価方法等について課題が整理されたところであり、令和4年度からの本格的な遠隔授業の実施に向けての基盤が整ったと認識しております。
〇高橋はじめ委員 機器の整備、ネットワークの構築、指導方法の確立と、さまざまな課題をそれぞれ解決されて、4月からの本格授業に臨む体制が整ったということでした。
 昨年11月29日の岩手日報に、遠隔授業の紹介の記事が載っていました。遠隔授業導入へ着々、5つの高校で配信を試行、来年度から本格実施ということで、生徒たちが授業を受けている風景や、県立総合教育センターで配信している写真も載っておりました。
 その中で、実際にその授業を担当した教諭、授業を受けた生徒あるいはその保護者の反応はどうだったのか伺います。受け取っている状況について所感を伺いたいと思います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 今年度試行実施した授業等については、連続3日間を2回、各校で実施しました。
 その中で、初めはやはりなれの問題もあり、うまくいかないところもあったわけですが、特に秋口に行った2回目の実施については、そういう課題も解決され、配信する教員、受信する教員、もちろん生徒たちも自然な形で授業等、あとは課題等も受信しておりました。
 今後、通年で行っていきますので、その中で新たな課題等が出てきたら、それに向けて対応してまいりたいと思っております。
〇高橋はじめ委員 おおむね順調にスタートしているという現場の声を伺い、安心しました。
 次に、令和4年度は本格的に単位の取れる授業配信を行うとのことですが、令和4年度の取り組みのポイントと言いますか、先ほど言われた令和3年度からの課題、あるいは課題解決に向けた取り組みを含めた授業の配信は、令和4年度はどのように取り組んでいかれるのか伺います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 令和4年度の取り組みと課題及び課題解決についてですが、令和4年度は、通常授業の中での遠隔授業の実施により、県立高校5校に対し、数学及び理科の3科目の週16時間分を配信し、単位認定を行う予定です。また、配信センターとなる県立総合教育センターの中に遠隔授業を担当する教諭を複数配置するなど、体制の強化を図っているところです。
 課題としては、遠隔授業による単位認定については、新規の取り組みであるため、遠隔による指導や学習評価の方法について、さらに研究を行いながら取り組みを進める必要があると認識しています。
 また、課題解決への取り組みとしては、オンラインを活用しながら、配信する授業者と各受信校との情報共有を密にすることで、指導方法等の事例を蓄積し、整理しながら、受信校全体で共有することを計画しています。
〇高橋はじめ委員 この事業の2年度で、単位の取れる本格的な授業の実施ということで、令和4年度、令和5年度で、そのあたりの体制をしっかりと固めていこうということだと思っております。
 高知県の教育センターに行ったときは、たまたま化学の授業をされていました。1人の先生が実験するところにカメラを当てて、実験をしながら授業配信をしておりました。
 本県が始めるのは座学というか普通科目中心という感じですが、化学を含めた専門性の実験や、小さい実験等を伴う教科については、今後どのように考えていくお考えでしょうか。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 今年度も、遠隔授業の試行配信の中で、単純な座学の授業だけではなく、小さな実験や、実際に生徒がオンラインを使いながら作図をするような授業も含めながら実施しています。今後も、オンラインは使っていますが、できるだけ対面授業に近いような形で進められるよう、研究を重ねていきたいと思っています。
〇高橋はじめ委員 幅がどんどん広がっていくことは非常によいと思っています。
 それ以外にも、私が見てきたのは、英語の授業もしておりました。英語は外国の方の授業でしたが、補助的に日本の方も1人おられました。その配信はお二方でしたが、生徒たちは発音から何から対面と全く違和感がないような授業を受けており、ああいう形もいいと思い見てまいりました。あと2年間、ぜひさまざまな実績を積み上げて、遠隔授業をしっかりと本物にしていただければと思っております。
 最後に佐藤教育長に伺いますが、この3年間の実証の先であります。遠隔授業を本格的に導入することによって高校教育はどのように変わっていくのか、岩手県の将来構想はどのように展開していくのか、現時点での考えを伺いたいと思います。
〇佐藤教育長 先ほど須川首席指導主事兼高校教育課長から具体例をまぜながら答弁しましたが、これまでの取り組みから、遠隔システムの活用は、多様な教科あるいは科目の解説や専門性の高い授業等の配信が可能となり、委員御指摘のように、広大な県土を有する本県の高校教育においては、教育の機会と質の充実を図ることができるものと捉えております。
 現在モデル校5校で実施しているところですが、将来的には、遠隔授業を受信する対象校の拡大あるいは配信する教科の拡充を図り、これまで整備を進めてきたICT機器等を活用した教育環境を生かして、遠隔教育の充実をさらに進めていきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 私の地元の西和賀高等学校では、ことし受験生が40人でした。今までは大体30人前後であったのです。そういう意味では、1学級分の定数の応募があって非常に驚きました。
 こういう形で、西和賀町にいても普通に授業を受け、大学等の受験もできるというのがじわじわ伝わり、今までそういう環境になかったから、わざわざ盛岡市や北上市の高校に通っていたものを、地元で通える流れになっていけるのかという思いもして見ておりました。
 そういう地域がありますので、小規模校のためにも、ぜひこの遠隔授業の充実を図っていただければと思っております。
〇工藤大輔委員 最初に復興教育の関係について伺いたいと思います。
 これまで、いきる、かかわる、そなえるという三つの視点を重視し、小学校低学年と高学年用の副読本、中学校用、高等学校用の副読本をそれぞれ準備しながら、内容をかなり詰めて、また改訂をしながら、学校教育の中で復興教育を進めてきたと理解しております。
 復興教育は、東日本大震災津波からの教訓を語り継ぐ、またそれを生かしていくということですが、災害だけにとらわれず、人材育成の観点等も含めて、今日まで進めてきたと思いますが、それらが学校現場でどのように生きているのか、まず最初に伺いたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼産業・復興教育課長 岩手県の復興教育については、震災の教訓を語り継ぎながら、次世代に生きる子供たちにしっかりとその教訓を語り継いで、将来、岩手県の復興、発展に寄与する子供たちをつくっていきたいということで進めてきたところでございます。
〇工藤大輔委員 そのとおりだと思います。
 それで、それぞれの副読本を見ると、かなり集められ、地域の産業など特色のあるものも用いながら教育に生かしていると思うのですが、今回、就学前から持続的な復興教育を進めることを目的として、絵本てとてをつないでをつくられたということで、県議会議員にも配付されました。
 就学前の子供たちへの復興教育は、果たしてどのようなものを必要としているのか、どのようなことを身につけてほしい、心の中に持ってほしいということで行おうとしているのか、その方向性について伺います。
〇菊池首席指導主事兼産業・復興教育課長 このたびの絵本てとてをつないでは、本県独自の教育プログラムであるいわての復興教育を就学前教育に拡充するために、生きるをテーマとして、検討委員会の方々の助言をもとに作成したものです。
 今回のてとてをつないででは、命のつながりや家族の大切さ、ふるさとを愛する気持ちを育む等を狙いとしており、就学前施設、生涯学習施設、公立小学校、中学校、県立学校等へ配布することとしております。
 今後も、絵本を活用することにより、就学前からの発達過程に合わせた継続的ないわての復興教育を推進し、郷土の復興、発展を支える人づくりを目指してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 私は、てとてをつないでを何度も読み返してみたのですが、最初、意図するところがよくわからなかったのです。三陸鉄道に乗っておじいちゃん、おばあちゃんに会いに行く、そしてそこで地域のお祭りに参加するという形の一連のものだったと思いますが、復興教育という中で果たして就学前の子供たちに何が必要なのかと考えれば考えるほど、あの内容でよかったのか。津波や震災のことが一切直接的な表現になっていなかったので、何かあったほうがよいのではないかという思いも持ちました。
 直接写真ではない、絵本というやわらかい伝え方によって、言葉もやわらかくすることによって、より心に残るものがあるのではないか。例えば危険を察知したときには逃げなければいけないとか、これは津波てんでんこの精神と一緒だと思いますが、そういったものがあってもよかったのかとも感じました。
 宇部京子さんという絵本作家の方が、リアスのうみべさんてつがゆくという題名の絵本をつくられています。これは震災5日後に動き出した三陸鉄道の物語ですが、方言を用いながら、津波の表現も非常にやわらかくて、わかりやすくて、津波とか何かというのが嫌だという子供がいるかもしれないですが、うまく表現されているという絵本がありました。ああいった中身のもの等でも、子供たちに十分伝わるのではないかという思いも持ったところです。
 幼稚園、保育園等でも、避難訓練等も実際には実施していて、現場では災害や津波のことも伝えるような取り組みがされているという思いもします。そういった中で、現場と県教育委員会の思いが合っていたのかと感じたところでもあります。
 私の思いはこうなのですが、所感があれば伺いたいと思います。
〇菊池主席指導主事兼産業・復興教育課長 現在、東日本大震災津波後に生まれた子供たちが小学校に入学していることから、小学校入学前から小学校での復興教育に円滑に結びつけるために少しずつ進めていきたいということで、今回の絵本の作成に至ったものでございます。
 今回の検討委員の方々には、絵本作家のほかに、小学校の校長先生、保育園、幼稚園の園長先生、あるいは読み聞かせボランティアの代表等にも参加いただき、検討を進めてきたものです。その中で、震災のつらさや大変さを前面に出すのは難しいのではないかという御意見があり、人と人とのつながりや温かさを中心とした表現になったものです。
 今回は、いきるについての絵本になったわけですが、今後、かかわる、そなえるに係る絵本をつくる場合には、震災にどのように触れていくのかということも、検討委員会の中で考えていく必要があるのかと考えております。
 委員からいただいた御意見等も参考にしながら、今後も復興教育に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 もう一つ感じたのが、小学校低学年用の副読本の最初に出てくるのが、陸前高田市の伝承館にある消防車が津波に遭ってぼこぼこになってしまった写真と、その説明です。それが低学年の副読本の最初に来る画像です。それと今回の絵本との流れからいくと、すごいギャップを感じます。てとてをつないでの絵本から、いきなり消防車が壊れた写真につながるような形に思えます。
 今後、先ほど答弁がありましたからよいのですが、それを埋めるような、どういうものを就学前の子供は学んで小学校に上がって復興教育を受けてもらいたいか、その辺もまた整理しながら、よりよい取り組みをしていただきたいと思います。
 次に移りたいと思います。コロナ禍での対策ですが、学校でクラスターや多数の感染者がふえている状況が現在も続いています。これまでの対策を踏まえ、新年度も間もないわけですが、学校現場においてどのようなことを特に注視し、新型コロナウイルス感染症対策に当たらなければならないのか、その取り組みの方針を伺います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 学校の新型コロナウイルス感染症対策の取り組みについてです。
 感染が再拡大した1月以降、県立学校、市町村教育委員会等に対し、基本的な感染症対策の徹底、学校行事や部活動等の活動制限等の対策について指導、助言してきたところでございます。
 また、クラスターが発生した学校については、学校の運営継続やオンライン等の活用を積極的に推進するための助言や、学校からの要望に応じて指導主事等を派遣するなど、支援を行っているところでございます。
 さらに、今後、学年末を迎え、学校外での生活時間がふえることや、春季休業に入ることから、毎日の健康観察の徹底や体調不良時は外出を避けるなどの感染症対策について、改めて徹底を図ってきたところです。
 新年度においても、最新の知見や国の動向を注視し、必要な情報を速やかに学校等に提供していくとともに、感染状況に応じた対策を徹底し、学校教育活動の継続に努めていきます。
〇工藤大輔委員 その中で、県教育委員会では部活動に関して学校へのお願いということで、平日2時間以内の練習、土日は練習しないとか、市町村における活動も同時にそれに従って遵守されているのかと思います。
 大会等も近づいてくるわけですが、この制限を継続することへの課題と実際の解除については、どのような考えを持って進めていこうとするのか伺います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動に関する制限及び解除基準についてですが、委員御案内のとおり、現在の部活動に係る制限は、本年2月1日付で通知している内容です。活動は平日のみ2時間以内ということで、感染防止対策を講じながら、最大限、活動の機会を保障しているものでございます。各学校においては、制限を遵守しながら活動内容を工夫し、質の高い活動を行っているものと認識しています。
 解除の基準については、岩手緊急事態宣言の状況も含め、地域の状況や他県の取り組み等も踏まえながら、現在出されている部活動に係る制限を検討していくことになると考えています。
〇工藤大輔委員 岩手緊急事態宣言からいくと、解除基準は1週間当たりの新規感染者が10人を下回ればということで、今の状況を見ると果たしていつになるかと思います。
 各種大会等も近づいてくる中で、解除の目安や、どのようになったら学校へのお願いを省くとか、いろいろやり方があると思います。もう少し具体に方針を聞かせてもらいたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 現在のところ、岩手緊急事態宣言の中の学校へのお願いということで部活動の制限をかけているもので、基本的には宣言に従う内容が継続しております。
 ただ、4月になり各種大会や発表会が行われるところがあり、大会あるいは発表会を控えている部活動は1カ月前からその制限によらないということを盛り込んでいるので、4月中旬以降の大会、発表会等については、3月中旬あたりからの活動も活発になっていくものと理解しております。
 宣言解除が基本となりますが、そればかりではなく、地域の状況、学校の状況、それから、先ほど申し上げたとおり他県等も踏まえながら対策を講じていく、対応していくことになろうかと思います。
 現在、非常に制限がかけられて大変な状況が続いていますが、予定されている大会や発表会が中止になってしまわないように、県下の生徒、教職員の共通理解のもと、感染防止対策に取り組んでいただいているということでございます。
〇工藤大輔委員 つまり、1カ月前からの練習等は、対外試合も含め、少し遠征のような形も県内であればできるということで、その大会が済めばまた2時間で対外試合禁止に戻るという認識でよろしいですか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 現在の制限によると、委員お話しされたとおり、大会が終わって、次の大会の直近1カ月になった時点で、改めてまた活動が緩和されることになります。
〇工藤大輔委員 今、学校現場での感染が非常に多い状況で、とにかく抑えなければいけない、対策を強く講じなければいけないこともよくわかるのですが、大会や発表会は種目によってそれぞれ月別に違い、皆4月にあって4月に完結するわけではなく続くわけですから、県民にもわかりやすくしていただきたいと思います。一方で緊急事態宣言を発令していて、一方でその期間だけが解除になるというのも、宣言の名前が大きいゆえにわかりにくいという声もありますので、全体的に対策を考えながら進めていただきたいと思います。
 また、これは指摘にしたいと思いますが、県のホームページに、学校現場における新型コロナウイルス感染症対策等についてという項目があるのですが、令和3年12月28日が最終更新日になっています。今言ったように学校へのお願いもそうですが、その都度対策が変わっています。変わっていてもここの部分は更新されていないので、一つのところを見れば学校への対策がわかるような取り扱いにしていただきたいと思います。
 最後に、いわての高校魅力化グランドデザインについて、簡潔に聞きたいと思います。
 新年度から県全体でこの取り組みを進めようとしていますが、各校でスクール・ポリシーや計画を策定することになっていくわけです。これは新しい取り組みで、先進的に取り組んでいる学校でも、複合的にもっと充実させなければいけない。そして、スクール・ポリシーですから、地域も含めた共通の認識を立てなければいけないという、合意をとることも必要かと思います。
 今後、この策定等に県としてどのような支援をしていくのか伺います。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 いわての高校魅力化グランドデザインに基づくスクール・ポリシーや計画の策定支援についてですが、県教育委員会では昨年10月に、いわての高校魅力化グランドデザイン for 2031を策定したことから、各県立高校に対しては、県立学校長会議や担当教員等を対象としたオンライン説明会を実施し、趣旨やスクール・ポリシー策定の進め方等について周知を行ってきたところでございます。
 また、2月には、オンラインを活用した情報交換会を実施し、スクール・ポリシーの策定状況や学校外の関係機関との連携状況等について、学校間で情報交換を行ったところです。
 加えて、各校の問い合わせ等に担当指導主事が随時対応しているところでございます。
 今後も、関係機関との連携、協働やスクール・ポリシーの策定が円滑に進むよう、訪問支援を通じて学校に対する丁寧な説明、助言を行ってまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 私が以前お伺いした際に、市町村とも一緒になってつくっていくということのようでした。市町村によって、自治体内に1校というところもあれば、盛岡市のように複数校ある自治体もあったり、それぞれだと思いますが、これらの趣旨がしっかり伝わるようなサポートを全県立高校に実施していかなければならないと思います。訪問というのは、基本的にはそのとおりだと思いますが、専門の方や担当の方を配置しながら進めていただきたいと思います。
 何か所感があればお伺いして質問を終わります。
〇須川首席指導主事兼高校教育課長 委員御指摘のとおり、一つの市町村に一つの場合もあれば、一つの市に複数の高校がある場合もあります。それぞれの場合において、どのように協働の会議体をつくったらよいかというモデルも説明会等で示しながら、例えばたくさんある市は、それぞれの学校とすると負担になるので全体的な話は1回で済ませ、あとは各市の部局と学校が直接やりとりするというモデル等を示しながら、まずは地域の方々に、各学校がこんな形でこれからやっていきたいというのを十分説明し御理解いただいた上で、スクール・ポリシーを策定していくという形にしたいと思っております。
〇佐々木努委員 部活動について1点のみ質問させていただきます。
 昨年の決算特別委員会の時点で、部活動は任意であるということを盛り込んだ市町村の部活動の在り方に関する方針を改定した市町村は32で、一関市のみが改定していなかったことがわかったわけですが、その後、どうなりましたでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 市町村の部活動の在り方に関する方針の改定状況についてですが、委員お話しのとおり、1市において検討中となっていましたが、先日、その1市は、任意加入の内容を盛り込んだ方針の改定を決定したということで、現在、その運用に向けて準備を進めていると伺っております。
〇佐々木努委員 この間、県教育委員会においては、まだ未改定のところに対しての働きかけを行っていただいたと理解しています。大変お疲れさまでした。
 その上で、去年の4月からは、ほとんどの市町村で中学校の部活動は任意加入になったわけですから、加入状況にも変化があらわれていると思いますが、ここ数年の部活動の加入状況の推移はどのようになっていますか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 県内中学校における部活動の加入状況についてです。
 初めに、部活動の加入率について、昨年度、令和2年度は調査未実施でしたので、令和元年度と今年度の比較をさせていただきます。令和元年度の調査結果では、加入率、男子96.5%、女子97.7%でした。今年度、令和3年度は、男子94.2%、女子96.0%となっています。
 加入のあり方について、いずれの部にも所属しないことを認めている中学校は、令和2年度には150校中60校、40%でしたが、令和3年度は、149校中80校、53.7%という結果でした。
 また、運動部あるいは文化部等へ所属させるが、学校外の活動を優先させている中学校は、149校中69校、46.3%で、いずれの部にも所属しないことを認めている中学校80校と合わせて、県内149校全ての中学校が学校外の活動に対して配慮している状況にあります。
〇佐々木努委員 去年から任意加入にしたわけですから、かなり数字に変化があらわれるのではないかと思っていましたが、実際には2ポイントくらいしか下がらなかったということです。
 私も部活動はできるならしたほうがよいという思いを持っていますので、それが市町村の方針、学校の方針が徹底されてその程度の減少で、全国より10ポイントも高い加入率が続くというのであれば、それはそれでよいことだと思いますが、清川首席指導主事兼保健体育課総括課長が後段で話したように、学校ごとに対応が違っている。それぞれの市町村の教育委員会が任意であるとうたっているにもかかわらず、まずは所属させ、そして学校の部活動以外の課外活動については優先するとしている学校が半分近くあるということが、もしかしたらこの加入率にも影響を及ぼしているのではないかと私は心配しているわけです。
 任意加入であれば、学校で課外活動は優先させるけれどもクラブ活動には所属させるということを決める必要はないし、むしろそれはルールに反しているのではないかと思うわけですが、この考え方についてどのように思いますか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 現在、各市町村の部活動の在り方に関する方針の改定が進んでおり、それに従って中学校がその在り方の方針を決めていくという流れの中で、今後、市町村の方針にならった形がふえてくると見込んでいるところですが、今その途中段階ということで、現実には、いまだ各中学校おいては、部活動の教育的意義を重んじているところもあり、放課後の子供の安全という観点も含め、子供の居場所として何らかの部に所属させたいという考えが残っているものと捉えております。
〇佐々木努委員 そうすると、徹底されるのはこれからという認識でよろしいわけですか。
 全国平均でも約85%の子供たちが部活動に入っています。これは任意であってもそのような数字になっているということですから、仮に岩手県がしっかりと任意であることを徹底したとしても、部活動の加入率はそれほど下がらないと思います。
 確かにそれぞれの学校、それぞれの校長先生等の教育の方針にあるかもしれませんが、半数の学校が、まだ全国的な流れ、あるいは県、市町村がつくったルールのとおりに行っていないということは残念なことであります。県教育委員会も大変だと思いますが、引き続き、市町村、それからそれぞれの中学校に対し、しっかりと徹底してもらうように働きかけていただきたい。
 部活動は、先生方も子供たちに対し、いろいろ指導の方法があると思います。最初から入っても入らなくてもよいということだけで指導すれば、入る子供たちも少なくなってしまうと思うのですが、任意だけれども、君たちにとって、友達関係も形成していく、学年の上下の関係も形成していくとても大事な活動であるということもあわせて話すこと。無理に加入させて、ただ課外活動は優先するということでは、このルールにのっとったことではないし、子供たちにとってもよくないことだと思います。きちんと大人がつくったルールを子供たちに理解させて守らせるのは大事なことだと思いますので、ぜひその辺はぶれのないように取り組んでいただきたいと思います。
 佐藤教育長から一言もらって終わります。
〇佐藤教育長 まさに委員御指摘のとおりだと思います。方針は方針として決めていただき、その上で、部活動の教育的な意味であるとか、学校でのさまざまな活動の中で友達づくりであるとかいろいろなことにつながっていくわけですから、そういった教育的価値をしっかり理解していただいた上で、自主的、自発的に部活動に加入していただいて、学校での生活を充実したものになっていくことが一番重要なことだと思います。
 私も、この2年間、コロナ禍のために、義務教育の校長先生方と懇談する機会がございませんでした。さまざまな会議を通じて、学校現場にも、そういったことをしっかり伝えていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 質問に入る前に、先ほど工藤大輔委員から質疑のありました、てとてをつないでの部分です。私も実はあれを読み解くことができなかったというか、訴えたいことを正確に受けとめることがなかなかできなかった。ちょっと抽象的過ぎて難しいと感じていました。ただ質疑については、工藤大輔委員がかなりオブラートに包んでソフトに質疑されていたので、私も同感だということを御理解いただければと思います。
 それでは、本題であります、GIGAスクールに関連し、1人1台端末の使用状況について伺います。
 今回、GIGAスクール構想、そしてこの一連の中で、特に新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を使いながら、各市町村で一気に1人1台端末の整備が進んだものと、私自身も感じております。特に、今回は学校の臨時休業や、さらに、これまで幾らか時間があった中で、各市町村の小学校、中学校で、しっかりと端末を使いこなす形で進んでいっていればいいと感じておりました。
 ただ、残念ながら、資料でもいただきましたが、臨時休業等の非常時における端末の持ち帰り学習の準備状況ということで、令和4年1月末時点でありますが、岩手県は他の都道府県に比べて、現在、実際に使用しているという部分が低くなっていると感じております。
 それは、先日の一般質問の中でもさまざま質疑があり、そのときに、持って帰って壊れることの危惧という部分の説明もありましたが、私自身は、それよりも何よりも使いこなせていないという感じを受けているのですが、その点について県の認識と対応を伺います。
〇三浦首席指導主事兼義務教育課長 1人1台端末の使用状況等についてですが、今回の臨時休業の状況において、県教育委員会では、非常時であっても児童生徒の学びをとめないという観点から、ICTの活用は不可欠であると考えており、これまでも通知等により、非常時においては全ての児童生徒への通信環境等の準備が整うのを待たずに可能な範囲からICTを活用するなど、柔軟な対応を市町村教育委員会に働きかけてきたところでございます。
 ICTの活用をふだんから積極的に推進している市町村あるいは学校等においては、今回の臨時休業時においても、デジタルドリルの活用やオンライン授業などに積極的に取り組んでいると伺っています。
 こういったすぐれた活用事例等について今後も引き続き紹介していくとともに、岩手県学校教育ICT推進協機会の検討ワーキンググループを通して、家庭への端末の持ち帰り等も含めたICTの活用全般について、市町村教育委員会と連携を図りながら、各学校の対応を支援してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 臨時休業にかかわらず、長期休業や、さまざまな場面で、もしこれを学校として教育の一環として使っていくというのであれば、もう少し前に進んでいてよかったのかなと思います。
 ただ反面、個人的には、例えば家に帰ってゲームをしている子供が、さらにまた電子機器を見るのは果たしてどうなのかという面はあります。そうした子供の健康も含め、いろいろな観点で検討した中で、しっかりと持ち帰ることができるような環境をつくっていってはどうかと思うわけです。
 今回特におくれているところは、奥州市と盛岡市なのか、大きい都市部という話もありました。市域が広いところですと、通信環境等も全部しっかりとなっているかどうか。それに対してどのような対応を子供たちにとっていけばよいか、コスト的なものも含めて、いろいろ検討される部分がさらにまた多くなってくるのかもしれません。そうしたものも含めて、県と一緒になって話をしながら、県の小中学校すべからく、教育方針も含めて、前に進めていっていただきたいと思います。
 今回は、市町村学校教育ICT活用促進事業費の中で、GIGAスクール運営支援員を設置するということですが、GIGAスクール運営支援センターの役割と今後の対応について伺います。
〇渡辺教育企画室長兼教育企画推進監 GIGAスクール運営支援センターの役割についてですが、県教育委員会では、これまで、県立学校における1人1台端末や大型提示装置などのICT環境の整備とあわせ、教員のICT活用を支援するための研修の充実や、GIGAスクールサポーターの配置などに取り組んできたところでございます。
 来年度に向けては、本格的なICTの活用が進む中で、教員への支援をさらに充実させていくことが重要と考えておりまして、ICT機器等のトラブルや操作支援等に関するヘルプデスクを開設するとともに、学校への訪問指導等を行うGIGAスクール運営支援センターを、参加を希望する市町村と連携して、県で新たに設置することとしたところでございます。
 同センターにおいては、各学校の支援を行いながらICTの活用事例を収集することとしており、県教育委員会と県内全ての市町村教育委員会で構成する岩手県学校教育ICT推進協議会を通じて事例を広く普及するなど、今後も県と市町村が連携して、学校におけるICTの効果的な活用を積極的に進めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 今回、国が旗振り役でGIGAスクール構想の実現ということで進めている中で、岩手型という形になるのか、もともとのベースがあったとしても、子供たちの学習環境の整備につながるものに、特に今回は新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をかなり使って前倒しで行った市町村があると思います。
 私自身は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に関しては、本来的には困っている現場にしっかり使うべきだという思いの中で、未来的な部分にどこまで使っていいのかというバランスの中では、端末整備はこれまで市町村で何カ年計画かで考えていたものだとすると、そのスケジュール感はよかったのか、今回ちょうど使えるからこれに使ってしまってよかったのか、どうなのだろうという思いはあります。
 しかし、せっかく整備したものですので、有効に活用できるように、市町村と一緒に考えていっていただければと思います。
〇吉田敬子委員 まず初めに、多様な学びの場の提供について伺います。これは不登校対策の一つとしての質問とさせていただきます。
 先日の総括質疑の際に、多様な学びの場の提供について県の取り組み方針を伺いましたら、まずは学校が居場所となるような魅力ある学校づくりを進めてほしいと期待しているとの御答弁をいただきましたが、2017年施行の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律との整合性について県の認識を伺います。
 また、今年度、フリースクール等との合同会議を開催し大変好評だったという県の認識でしたが、具体的にどのような支援についての期待があったのか伺います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 まず、多様な学びの場の提供について、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律との整合性についてですが、いわゆる教育機会確保法は、不登校児童生徒等に対する教育機会の確保について、安心して教育を受けられる学校環境の確保と整備、個々の状況に応じた必要な支援等を基本理念として示されているものです。
 この法を受けて、文部科学省から基本方針や支援の在り方に関する通知が示されておりまして、本県ではこの通知等に基づき、不登校児童生徒の支援に対する基本的な考え方の周知や、必要な支援体制の整備に努めてきたところでございます。
 具体的には、学校復帰を含めた児童生徒の社会的な自立を目指すことを支援の視点とし、個々の状況を的確に把握して個別支援に当たること、本人や保護者の希望を尊重し、教育支援センターや民間施設等と連携しながら適切な学習環境を整えること、さらには、不登校が生じない魅力ある学校づくりに取り組むこと等について学校に周知しながら、重点的に取り組んできたところでございます。
 県教育委員会では、今年度から民間施設と連携会議を開催し、不登校の未然防止対策として、魅力ある学校づくり調査研究事業に継続して取り組んでいるところであり、今後も法や基本方針、文部科学省の通知に基づいた不登校対策に取り組んでいきたいと考えています。
 また、今申し上げたフリースクール等の連絡会議は、今年度の9月に県教育委員会がオンラインで開催し、県内のフリースクール等、九つの民間施設の代表の方に参加いただきました。
 意見の中では、教育機会確保法や文部科学省から出された不登校支援に関する通知等について、学校への周知をより一層進めてほしいこと、不登校の要因を正確に分析し、その要因に基づいた支援を行ってほしいこと等の意見が出されました。
 また、それぞれの民間施設における取り組みや、通級する児童生徒の様子、学校との連携の様子等について意見交換を行い、相互のネットワークをつくる機会となったところでございます。
 今後も連絡会議を継続してほしいという意見も出されておりまして、それを受け、県教育委員会としては、次年度以降もぜひ継続していきたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 先ほどの御答弁で、活動の一つに学校復帰等社会的自立を目指すということがありました。教育機会確保法には学校復帰ではなく社会的自立を目指すということが明記されて、もちろん学校復帰もその一つには入っているのですが、社会的自立を目指すことが主で、通知の中では学校復帰という文言はなくなっています。
 もちろん学校に戻れる子は学校に戻れるような支援が必要ですが、学校に戻りたくても戻れなかったり、もしくはそれ以外の支援を必要としている子供たちが年々ふえているわけです。これに対して、連絡会議の中でも、不登校関係の通知について、学校現場への周知を一層進めてほしいということが強く言われていますし、私自身もそういう声を聞いています。県教育委員会として、学校には個々に通知されていると思いますが、それが私は不十分だと思っております。
 総括質疑でも取り上げましたが、神奈川県ではホームページにも、実際にフリースクールはこういうところがあって、教育相談機関はこのような場所があると示しています。そして、フリースクールの見学会を県教育委員会が主催していたり、本当に踏み込んだ活動をしている中で、岩手県はまだまだそこに全く至っていない現状で、答弁も、まずは学校が居場所となるようなと、学校に戻ることが前提になっているということで、私はその認識は教育機会確保法等との整合性がとれていないと思っているのですが、改めて伺います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 いわゆる教育機会確保法の社会的な自立について、学校復帰だけを目指すことではないというのは御指摘のとおりですが、学校復帰も社会的な自立の一つとなっていまして、社会的自立の一つとして学校復帰もあるということは、その後の通知の中でも示されているところでございます。
 それから、その通知が学校現場に不徹底だったという御指摘については、先ほどの岩手県不登校児童生徒支援連絡会議の中でも、まだまだ全ての学校の理解ができていない部分があるのではないかという御指摘を受けたところで、それについては今後も周知の徹底を図っていかなければならないと我々も感じたところでございます。
 それから、まずは学校が居場所ということについては、学校の先生たちが学校現場で幾ら努力して不登校の子供たちを改善の方向に導いたとしても、新たに別な子供が出て、それで不登校がふえているという現状があります。
 そこで、学校がどの子にとっても居場所となるような対策が必要だと考えています。そして、学校生活に意義を持って生活してほしいということを目指していくことから、まずは学校が居場所となるようなという趣旨で先日もお話しさせていただいたところで、新たに不登校になる子供を出さないで、今何らかの理由により学校に来られなくなっている子供たちについては、学校に来ることも含めながら、それぞれの生き方を考えてもらう方向に指導してまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 令和3年度政策評価等の実施状況報告書「政策評価レポート2021」の中の、児童生徒に寄り添った教育相談体制の充実等による不登校対策の推進は遅れとなっています。
 過去5年間の県内の不登校の状況を見ると、小学校が183人だったのが、5年後の令和2年度は356人と2倍になっています。中学校は530人から516人、高校は880人から1、016人ということで、小学校の不登校児童生徒が特に大きく増加している状況です。
 県の不登校対策の推進の遅れについては、新年度はこのフリースクールとの合同会議を踏まえて、何に具体的に取り組むつもりか伺います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 新年度は、未然防止に特に努めてまいりたいと考えているところでございます。未然防止の一つとして、魅力ある学校づくりを推進してまいりたいと考えておりますし、また、何らかの理由により不登校になってしまった児童生徒に対しては、そこに寄り添えるスクールカウンセラー等を配置したり、教職員も一人一人に寄り添えるような体制を整えてまいたりいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 結局、未然防止であって、実際に今不登校になっている子供たちに対する支援は何をされるのですか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 現在不登校になっている子供たちに対しては、不登校になって一番大変なのは、やはり学習に対するおくれであると伺っています。それについては、個々の児童生徒の状況に応じ別室で、または、今1人1台端末が普及しているので、それを活用したオンラインでの授業に努めてまいりたいと思いますし、先ほどの繰り返しになって恐縮ですが、一人一人の心に寄り添いながら支援対策を進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 寄り添っていただくことは大変重要で、そこはしっかりやっていただきたいのですが、具体的なところをお伺いしたわけです。
 例えば、県では教育支援センターを設けているわけです。一方で、12町村では、旧適応指導教室もまだないわけです。それを拡充していくということなのか。
 一方で、せっかく民間のフリースクール等の連絡会議があって、そういった場所も居場所として県として認知していただきつつ、学習支援にも取り組んでいくつもりだという答弁をいただいたのですが、遅れという政策評価があって、具体的に何をしていくのかというところが新年度はなかなか見えてきません。
 国からの通知で、多様な教育機会を確保する必要があるという法律にのっとったものの後に通知が来ている中で、出席扱いについて、例えばそれはICTを活用した学習活用や、民間施設等を活用している出席扱いについて、また民間施設についてのガイドラインも文部科学省が試案として出しているわけで、例えば私が調べた段階では、京都府や兵庫県、鳥取県、沖縄県等、県独自に民間施設についてのガイドラインをつくっている都道府県もあるわけで、せっかくフリースクール等との連絡会議があって、さまざまな声があって、できたたばかりで今年度は1回だと思いますが、これでは不十分だと思いますが、改めてお伺いしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 県内においては、委員御指摘のとおり、県内各地に教育支援センターいわゆる適応指導教室等が設置されているところでございます。ただ、そこも利用率がそれほど高いわけではなくて、それぞれの理由があって、そこへも通えない子供たちがいるということ。それから、仮にそれを拡充したとしても、本当にそれが実質的に効果的になっていくかというのは、またいろいろな問題があるのではないかと考えているところでございます。
 それから、フリースクール等民間施設との連絡会議は、今年度第1回を始めたばかりで、その中でまず、今後どのような連携を図っていったらよいのか、どのような方策を立てていったらよいのかというような協議を進めながら、次の対策を立てていきたいと思っております。
 不登校になっている児童生徒は、本当にさまざまな理由によって、いろいろな問題を抱えているのが現状で、一つの方策をとったからといって、必ずしもすぐ解決するということにはなっていかないと思いますので、それぞれの多様な場にどのように対応していくか、これからさまざまな関係機関が連携をとりながら進めていかなければならないと感じているところでございます。
〇吉田敬子委員 来年度以降も連絡会議を設置して開催されるということですから、しっかり現場の声を聞いて─現場では、今回は9施設の方が参加されましたが、最近では金ケ崎町、盛岡市でも新たなフリースクールの設置があります。これは各市町村でそういったニーズがあるから、それに対応した民間の取り組みが加速しているという認識を踏まえて、しっかり対応していただきたいと思います。
 次に、いじめや自殺防止対策について伺います。
 まずは、再発防止岩手モデルについて、これは令和3年度内の策定予定でしたが、継続して令和4年度も行っていくと伺っています。いつまでに策定するのか伺います。
〇木村首席経営指導主事兼県立学校人事課長 再発防止岩手モデルの策定に向けては、これまで5回の策定委員会を開催してきました。第3回の策定委員会では、御遺族様、被害生徒御家族様から意見陳述を行い、第4回の策定委員会では、人事管理等検討部会から、顧問教諭の問題ある指導を防止できなかった理由の解明について中間報告を行うなど、各部会において鋭意協議、検討を重ね、策定委員会において議論を深めてきたところです。
 しかし、協議、検討はまだ途中段階であり、外部委員の意見等も踏まえ、2月に行われた第5回の策定委員会において、策定委員会の協議を令和4年度も継続することについて提案し、了承を得たところでございます。
 今後は、部会ごとに調整したスケジュールに従い、二度と同様の事案を起こさないための実効性あるモデルを策定できるよう、県教育委員会の組織全体を挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 いつまでに策定するのかと伺いましたが、改めて伺います。
〇木村首席経営指導主事兼県立学校人事課長 先ほどお答えしたとおり、令和4年度も協議を継続することが了承されました。したがいまして、令和4年度においても、御遺族様、あるいは被害生徒御家族様、外部委員の皆様の意見に耳を傾けまして、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
 令和4年度内に部会の協議、検討等が進んだものについては、策定委員会で了承されたものについて、順次公表してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 令和4年度中に策定するということでよろしいのかと受けとめましたが、本来は令和3年度中に策定予定だったと思います。もちろん御遺族様、皆様方の思いも含めて真摯に丁寧に対応する必要がある一方で、特に相談体制です。結局、再発防止に向けたところでありますから、今でも悩んでいる子供たちがいるのであれば、その子供たちを救うことが、この再発防止の一番の次の役目だと私は思っていますので、生徒をすくい上げる体制の整備の部分は早急にしていただきたいと思っております。
 会派でも先日勉強会をして、そのことについてお話しさせていただきましたが、順次、部会ごとというか、それぞれで策定というか、前倒しでしていくというところでよろしいのか、改めて伺います。
〇木村首席経営指導主事兼県立学校人事課長 県立学校生徒自死事案を受けて設置した第三者委員会の調査報告書によると、悩みや苦しみを抱えた生徒が援助希求できる体制の構築が提言されており、策定委員会の自殺予防教育検討部会において、相談体制整備に向けた検討を進めているところです。
 当該部会においては、生徒に対する心のケアや教育相談等のスキルを向上させるための研修システムの策定や、生徒が困難な事態に陥ったときなどにみずから対処する方法を身につけるための援助希求プログラムの開発に向け、自殺予防を担当する職員等の研修会や心のサポートをテーマとした研究授業なども実施し、学校における支援体制の確認や校内研修の充実に向けた取り組みを行っているところでございます。
 引き続き、苦しむ生徒が置き去りにされることがないよう、必要な体制の構築に向けた協議、検討を進め、その取りまとめ案を策定委員会に諮り、了承をいただき次第、順次発信していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 その相談体制の部分については、しっかり早目に取り組んでいただきたいと思っておりますが、個別にそれぞれ決定したところで出していくというのもどうかと思います。私の発言もちょっと矛盾してしまうのですが、できればしっかり早目に早目に対応していただきたいですし、児童生徒のSOSを受けとめられる体制整備について、策定を待つのもそうですけれども、現在も県としては、再発防止岩手モデルの策定とは別にそれは継続してやっていただいているものと思っておりますが、その部分については、新年度、何か新しく力を入れて取り組むところがあればお示しいただきたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のとおり、現在、県教育委員会では、電話による相談窓口や、そのような相談窓口を紹介するカードを全児童生徒に配る取り組みを行っているところです。また、各関係機関でもそれぞれ相談窓口が用意されておりまして、その相談窓口のリストをつくり、相互に共有することにより相談に適切に対応していくよう取り組んでいるところでございます。
 新年度新たにという部分については、今御指摘いただいている再発防止「岩手モデル」策定委員会の意見も参考にしながら、さらによりよい相談体制の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 まさに今悩んでいる、困っている子供たちを救うことが一番ですので、しっかり早急に対応していただきたいと思います。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時26分 休 憩
午後2時43分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 まず、幸福関連指標の特別支援学校が適切な指導、支援を行っていると感じる保護者の割合について伺いたいと思います。
 この指標は、第1期アクションプランからできた指標で、現状値を6割と想定して、令和4年に約7割に上げようという目標とお聞きしています。今のところ令和元年で62%、令和2年で60.8%という現状をどのように認識しているのか。また、適切な指導、支援を行っていると感じないと答えた方々の内容はどのようなものか伺いたいと思います。
 あわせて、近年の支援を必要とする子供たちの増加や、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の成立等の状況の変化を見れば、指標が特別支援学校のみのものでよいのか、幸福関連指標ですので、県の取り決めだけではなく、県民全体で目指す指標ですので、このままでよいのか所見を伺います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 いわて幸福関連指標における現状の認識についてですが、令和元年度の62%から1.2ポイント減少しているのは、コロナ禍のため学校行事や学習活動の制限があったこと等により、保護者の満足度が低下したのではないかと推察しております。
 保護者は多様なニーズを持っていますことから、今後も、行事を含めた学習活動全般の取り組みに対する保護者のニーズを丁寧に把握しながら、児童生徒一人一人の個別の教育支援計画や個別の指導計画に基づき、適切な指導、支援を行い、教育の充実に努めていきたいと考えております。
 それから、指標の設定についてですが、御指摘のとおり、近年、特別な支援を必要とする児童生徒等の増加や、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の成立などにより、全ての校種において特別支援教育の必要性が高まっています。
 いわて幸福関連指標の表記は特別支援学校のみとなっていますが、第1期アクションプランの具体的推進方策の指標として、特別な支援を必要とする児童生徒の校種間の引き継ぎを行った学校の割合や、小中学校及び高等学校の教員が特別支援学校の授業研究会、研修会に参加した人数を指標としており、全ての校種において特別支援教育が一層推進されるよう取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 今の件で再質問をさせていただきます。コロナ禍の影響でという話でしたが、これは、アンケートを聞いた結果、その中の自由記載などで新型コロナウイルス感染症の影響部分が入ってきたからなのか、または、県教育委員会としての考えなのか教えていただきたいと思います。
 また、具体的な推進指標の中では、特別支援学校以外は反映されているという話でしたが、私の質問は、幸福関連指標が県民の目指すところですので、第2期アクションプランの策定において、この点については時代の流れも見ながら検討すべきではないかという質問でしたが、もう一度答弁をいただきたいと思います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 いわて幸福関連指標の今回の数値の見解ですが、この数値は各学校の学校評価のアンケートの記載に基づいて集計しているものです。数値が下がったことについて自由記載があったかというと、そうではなくて、県としてそういう推察をしたというところでございます。
 それから、いわて幸福関連指標への小中学校の特別支援の観点も取り入れるべきではないかということについては、確かに特別支援学校の学校評価のところから抽出したものだけですと、現在のインクルーシブな流れ、全校種における特別支援教育の推進というところでは、ある一定の方向性だけしか推しはかれないものであるかと思います。
 次のいわて特別支援教育推進プランの策定に関しても、アンケート等によって、小中学校等のニーズについても吸い上げる努力をしていきたいと思っておりますし、この指標についても検討してまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 前向きな答弁をいただいたと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 ぜひ、この指標について、コロナ禍というところもあるのですが、それ以外のところでもないか、ぜひアンテナを高く取り組んでいただきたいと思います。
 その中で、これからこの分野については、予算もかけて拡充していくべきだと思いますが、現状はどのようになっているのか。ともに学び、ともに育つ特別支援教育を進めますという政策項目の推進予算について伺いたいと思います。
 令和3年度の政策評価結果等の政策等への反映状況報告書によれば、支援を必要とする生徒、児童の数は増加している。また、多様化を認めておりますが、政策推進の予算そのものについては増加傾向にあるのか、お示しいただきたいと思います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 支援を要する児童生徒の増加あるいは多様化についてかかわった予算についてです。
 例えば県立学校医療的ケア体制整備事業については、看護職員1人当たりの勤務時間数をふやしたことにより増額しております。
 高等学校における特別支援教育支援員の配置にかかわるかがやきプラン推進事業費については、肢体不自由等の個別の支援を要する生徒、その他の要支援生徒の状況を踏まえ、支援業務の多い学校へ所要の人数を配置することとし、その結果として減額となっております。
 そのほか、各事業において必要なところに適切に予算配分を行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今御紹介いただいた県立学校医療的ケア体制整備事業費は660万円の増ということで評価したいのですが、一方で、ほかの部分は減になっており、全体で見ると、予算規模としては上がっていないのではないかという印象を受けました。
 この医療的ケア体制整備事業費は、学校への看護師派遣だと思いますが、どのような拡充を行っているのか。また、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律では、学校の設置者に責務を設けているわけで、国の法律になったということで、この法律の成立に伴って、体制整備に対し、国からどのくらいの予算が来ているのか、あわせて伺います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 看護職員の配置に係る予算の拡充についてですが、令和4年度は、県立学校に在籍する医療的ケア児が1名増加する予定で、看護師1人当たり勤務時間をふやすことに伴い拡充したものです。
 あわせて、小中学校内に設置している特別支援学校分教室においても、医療的ケアを実施できるように、分教室専任の副校長と看護師を新たに配置するものです。
 なお、国からの予算については、看護師の配置に係る経費3分の1以内の補助があります。
〇佐々木朋和委員 私も今まで、一関清明支援学校千厩分教室については、管理者がいないということで看護師配置ができないと訴えてきたところですが、今回そのような措置をしていただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。
 一方で、国から3分の1の補助があるということですが、これは新たなものでしょうか。もしそうであれば、県の全体予算としては県の持ち出しは少なくなっているわけで、その分、他分野への拡充もできるのではないかと今感じたところですが、その点はいかがでしょうか。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 国からの看護師配置に係る経費3分の1の補助は、これまでも取り組まれてきたものであり、国全体としては、2、400人規模から3、000人規模に拡充しているところです。
 岩手県としても、特別支援学校に配置する看護師の配置の補助や、市町村に配置している看護師についても、市町村で切れ目ない支援体制整備充実事業に申し込んでいただいて、やはり3分の1の補助をいただいている形になっています。これまでどおりですが、人数の申請等によって、また増額になっている形です。
〇佐々木朋和委員 わかりました。医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行により、保健福祉分野においてもあわせて大幅な予算の拡充が期待されたわけですが、現場としてはなかなかそこまでには至っていない現状と認識しています。数をふやすのはありがたいことですが、県だけではなく、市町村も厳しい財政状況ですから、補助額の拡充や割合のアップをぜひとも、我々も声を上げていきたいと思いますし、県のほうでも要望していただきたいと思います。
 次に、これからの特別支援教育の課題だと思っているところですが、義務教育については親御さんも頑張って通わせるけれども、高校になった時点での進学というのはどのくらいまで進んでいるのかという思いがあります。
 特別支援学校から高等部への進学の状況、あわせて、前から訴えていますが、スクールバス等の通学支援、令和4年度の拡充状況はどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校から特別支援学校高等部への進学の状況についですが、令和4年度、医療的ケアの必要がある中学部3年生は5名で、そのうち4名が県立特別支援学校高等部への進学を予定しています。令和3年度は、医療的ケアの必要がある中学部3年生は1名で、県立特別支援学校高等部へ進学しています。
 医療的ケアに限らず、令和4年度の特別支援学校全体の進学状況については、高校入試の結果が出ていないため全体像をお示しすることができませんが、令和3年度は121名中6名が高等学校、114名が特別支援学校高等部へ進学しています。
 それから、スクールバス等通学支援ですが、医療的ケアのお子さんについて、現状は、医療的ケア児の安全確保のため保護者による送迎をお願いしているところです。今後は、一人一人の医療的ケアの内容、長時間の乗車による負担、看護師の同乗、緊急時の対応等を踏まえて、保健福祉関係機関等とも調整を図りながら慎重に対応していきたいと考えております。
 まずは、医療的ケア児が地域の学校で安全に学ぶことができるよう、特別支援学校の本校舎だけでなく、特別支援学校の分教室あるいは県立高等学校等における医療的ケアの実施体制の整備に努めていきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 最後に佐藤教育長に御答弁いただきたいと思います。
 今、県の財政状況も厳しい中で全体的にマイナスシーリングですが、特別支援教育については、ニーズの高まり、また医療的ケアの拡充や多様化もあるので、やはり予算を確保して取り組むべきだと思います。
 また、特別支援学校の整備計画の中に、高校の分教室もあります。今回、小中学校への看護師派遣という一歩踏み込んだ対応をしていただいて大変ありがたかったと思っています。高校への拡充や、あとは、今回は市町村の学校の中に県の予算でさまざまな施設整備も含めてやっていただくということですが、これからは市町村、県、財政厳しい中にあって、連携して医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の趣旨も鑑みながら進めるべきだと思いますが、市町村の連携も含めて御答弁をいただいて終わりたいと思います。
〇佐藤教育長 特別支援教育、特に今般の医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行に伴い、私どもも見える形で一歩でも二歩でも前に進みたいという思いもあります。実際に多様な支援の必要な家庭もあるわけで、それに対してどのような形で具体的に対応していくか、地元の市町村と調整を図りながら、今般、分教室にも看護師の配置を実現できたところでございます。
 また、昨年、特別支援学校の整備計画をつくりまして、非常に厳しい財政状況の中にありながらも、分教室から独立した支援学校の整備ということで、これまで課題となっていた県北地域、二戸地域にも特別支援学校の整備を進めることを決定したところです。これについても、地元の市町村と具体的な整備計画の内容、それから具体的な整備手法として、二戸地区に関しては福岡工業高校の土地を活用する予定としております。ここは非常に駅に近い場所で、立地条件も非常にすばらしいところですから、地域との協創に新たな考え方等も盛り込みながら、地域とともに多様な支援のニーズに応じた特別支援教育の推進に努力していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 私からは、学校での新型コロナウイルス感染症の感染状況と感染対策について伺います。
 まず、県内の児童生徒、教職員の感染状況はどのようになっているでしょうか。
 学校のクラスターについては、第6波になってから県内では60件を超え、全体の4割近くになっています。県教育委員会はこれらの状況をどのように受けとめているのか、この点についてまず伺います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 学校現場での感染状況についてですが、3月13日時点の公立学校においては、児童生徒2、666人、教職員178人の感染が判明しています。
 クラスターの発生は、これまで71件を数えています。
 感染の場面を分析すると、教育、保育施設で子供が感染し、次に同居する家族が感染し、兄弟姉妹が通う学校に感染が広がっているケースが多数確認されています。
 オミクロン株の影響による感染が再拡大した1月以降、県立学校及び市町村教育委員会等に対し、基本的な感染症対策の徹底、学校行事や部活動等の活動制限等の対策について指導、助言をしてきたところでございます。引き続き、市町村教育委員会等と連携し、感染拡大防止に努めてまいります。
〇高田一郎委員 大変な感染の広がりだと思います。それで、教職員のワクチン接種、検査体制の強化が徹底的に大事だと思います。この点について、どのように取り組まれているのでしょうか。
 抗原検査キットの活用状況も示していただきたいと思います。
 なお、教育委員会の取り組みの中で、さまざまな感染対策の支援が行われているとお聞きしました。学校現場では、感染が出れば保健所と一緒になって濃厚接触者を特定したり、大変な苦労をされていると思います。本当に御苦労だと思います。
 それで、学校支援チームを設置して、相談や学校への職員派遣など、さまざまな活動が行われていると思いますが、この1カ月ちょっと、どのような取り組みが行われるのか、わかれば示してください。
〇八重樫参事兼教職員課総括課長 まず、教職員のワクチン接種については、感染の拡大防止の観点から有効な方策であると認識しており、学校の教職員は、社会的機能を維持するために必要な事業の従事者等として、積極的な追加接種の対象者とされていることから、2回目の接種完了から6カ月以上経過して追加接種を希望する教職員が速やかに接種を受けられるよう、接種券の早期発行について、保健福祉部を通じて各市町村に依頼しているところです。
 また、市町村教育委員会、そして県立学校に対しては、追加接種を希望している教職員が接種の機会を逸することがないよう、必要な助言や対応について依頼しているところです。
 引き続き、関係機関と連携しながら、ワクチン接種の促進に取り組んでいくこととしております。
 次に、教職員に対する検査です。文部科学省が定める新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に基づき、発熱等の症状がある場合には、自宅で療養することや医療機関を受診することを原則とした上で、直ちには医療機関を受診できない場合等において、抗原簡易キットを活用した検査を実施しているところです。
 また、抗原簡易キットについては、教職員が濃厚接触者に特定された場合に、待機期間短縮のために使用できるとされていることから、早期の職場復帰へ向けても活用していくこととしております。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 抗原簡易キットの活用状況ですが、1月31日時点で、県立学校には4、400回分が配布されていますが、活用は13校89回です。市町村立の学校は4、740回分を配布していますが、活用は33校220回となっています。
 それから、学校支援チームですが、県教育委員会では、継続的な学校運営の確保に向け、事務局内に情報収集・相談窓口班と、オンライン活用・業務支援班を設置し、学校において児童生徒や教職員が不安や対応に苦慮しているケースには助言を行うほか、必要に応じて指導主事を派遣するなど、児童生徒の学びの保障に努めているところです。
 また、保健所業務が逼迫している状態を見て、保健所との連携を図り、濃厚接触者等の特定や連絡調整などの業務支援を行い、学校や地域の社会活動への影響の低減が図られるよう努めているところでございます。
〇高田一郎委員 ワクチン接種については、市町村が接種券を発行するのですが、それだけでは促進にならないと思います。教職員の皆さんは優先接種がありますが、接種券が届いていない場合も例外的な措置ができるという規定もあります。今、集団接種会場も相当あきがあります。
 そして、市町村で優先接種の教職員、スクールカウンセラーを含め、その他の教育に従事する方々に接種券を早く届けるという実務が行われているかどうかも含めてしっかりと調査し、進捗管理をしていくべきだと思います。
 接種券を発行するのは市町村ですから、それだけではやはり進まないということで、県教育委員会もしっかりかかわって対応していただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
 抗原簡易キットはほとんど使われていません。感染が広まっている地域では、PCR検査を含めて週1回行うというのが県の方針です。そういう方向で対応していくべきだと思いますが、全体の量が足りないので、これは国にしっかり求めていってほしいと思いますが、結局、抗原簡易キットには使用期限があるわけですが、使われないものは破棄処分になるのですか。
〇八重樫参事兼教職員課総括課長 まず市町村の取り組みの部分についてです。文部科学省では、県及び全国の市町村に対して、教職員のワクチンの優先的な追加接種の取り組み状況について調査しているところです。
 令和4年3月3日時点の本県の状況は、既に優先的な追加接種の取り組みを実施している市町村が17市町村、3月中に接種券の早期発行に取り組んでいくと表明しているところが12市町村という形です。
 県としては、そういう取り組み状況を市町村に確認しながら、引き続き、関係機関と連携して、ワクチンの追加接種の促進を図っていきたいと考えております。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 抗原簡易キットの使用期限は、県立学校に配布されたもののうち、最長で2023年1月までが期限となっています。それ以外はおおむね2020年10月ごろまでの使用期限となっています。使用期限が過ぎたものは破棄するように文部科学省から指示されております。
〇高田一郎委員 学校現場での教育活動を継続して、児童生徒の学びを保障する上で、学校現場での感染対策は本当に大事ですので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次は、復興庁及び経済産業省作成のチラシの学校への配布問題について伺います。
 ALPS処理水は飲んでも大丈夫だ、誤った情報に惑わされるな、こういうALPS処理水の安全性を強調するチラシを放射性副読本とセットで県内の学校に直接送付されておりました。被災自治体、漁業関係者や学校現場からも、戸惑いと怒りの声が出ています。
 県教育委員会は、この間、この問題に対してどのような対応をされてきたのでしょうか。また、このチラシはどのように配布されているのか、その現状を示してください。
〇中川学校教育企画監 ALPS処理水に関して、県の対応についてお答えします。
 県立学校については、本年2月8日の県立学校長会議の場において、本チラシについては、さまざまな意見があることから、配布は当面見合わせるなど丁寧に対応するよう周知したところです。
 なお、本チラシの配布の経緯については、昨年12月17日に文部科学省から放射性副読本の改訂に関するチラシが発出され、これを受けた県教育委員会が各市町村教育委員会に放射性副読本の改訂についてのチラシを周知したところです。
 ただ、この副読本の改訂の通知に関しては、委員御指摘のチラシの内容はなく、その後、12月下旬に県教育委員会にチラシが届いたということです。その後、年明けにかけて、各県立学校に直接届いたと承知しております。
〇高田一郎委員 県立学校長会議を開いて配布は見合わせる、丁寧な対応を願いたいという対応をしたと思います。
 それで、今回の国の対応はどうだったのか、しっかり検証する必要があると思います。ALPS処理水の海洋放出については、専門家の間でも意見が分かれる問題です。何よりも国民の合意がない。関係者の理解なしに海洋放出はしないという約束を、関係者にそういう話をしながら一方的に決定したものであります。こういう経過や反対の声が根強くあることを紹介もしないで、一方的に政府の見解を伝えている。このこと自体問題だと思いますし、市町村教育委員会を通さずに学校に直接送付されていた。二重に問題だと思います。
 私は、今後こういう学校現場への政治の介入に等しいような対応は今後あるべきではない、そういう思いから今回質問をしました。
 佐藤教育長にお聞きしますが、市町村教育委員会を超えてチラシや副読本を配布したなどということは、今までなかったです。こういう今回の対応について、県教育委員会としてしっかりとした考えを持って対応していくべきだと思いますが、佐藤教育長の見解はいかがでしょうか。
〇佐藤教育長 今回のALPS処理水のチラシの配布の仕方ということですが、これは私どもも丁寧な対応をしなければならないということで、本年2月8日の県立学校長会議の際には、一旦この配布を見合わせるよう指示したところです。
 市町村教育委員会を通さずに学校へ直接配布したという進め方については、国においても、丁寧さを欠いているものと受けとめています。この件に関しては、国会のほうでもさまざま議論がなされ、総務省としても、県及び市町村教育委員会を通さずに送付してしまったことについては反省の弁も出されているところです。
 今後も、国の対応を注視しながら、私どもも適切に対応してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 では、それは、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、県内の公立学校のトイレへの生理用品の配置状況について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の感染が長引く中で、家庭の経済状況が悪化して、生理用品などが購入できない事例も県内で実際に起きています。県内では、いわて女性のスペース・ミモザでの無料配布や、北上市においては、学校のトイレに無償で設置するなど、この取り組みが岩手県内でも広がっています。女子トイレにも返却不要な生理用品を設置するなどの取り組みを県教育委員会サイドでも広げていくべきだと考えますが、まず、県内の公立学校での設置状況はどうなっているでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 県内公立学校のトイレへの生理用品の配置状況についてですが、トイレに生理用品を配置した学校は、本年2月18日時点の調査ですが、小学校は4校、割合にして1.4%、中学校は10校、6.7%、高等学校は42校、65.6%、特別支援学校は6校、42.9%となっています。
〇高田一郎委員 高等学校は65.6%だけれども、小学校、中学校は設置率が非常に少ないと思います。県教育委員会として、学校のトイレに設置するということを広げていく取り組みが必要ではないかと思います。
 私も昨年、この運動に取り組んでいる新日本婦人の会という団体と一緒に教育委員会に申し入れをした際に、父兄から、思春期の女の子にとって、保健室に行って相談するのは非常にハードルが高い、声を上げづらいという声もあります。
 そうした児童への配慮も必要ではないかと思いますが、トイレに設置することについて、県の今後の取り組みについて伺いたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 今年度、県立学校においては、全ての学校に生理用品を配布しました。配布した際、学校の実情に応じてトイレ等の手にとりやすい場所に配置し、必要とする児童生徒が安心して使用できるように工夫すること、そして、児童生徒に対し設置の趣旨や利用上のルールを指導するとともに、衛生的に管理することなど、留意事項を示したところでございます。
 引き続き、必要としている児童生徒が安心して入手できるように、市町村教育委員会とも連携して、今後も対応してまいります。
〇高田一郎委員 昨年9月から、東京都では、全ての都立学校250校に、トイレへの設置でスタートしました。
 どのように変わったかと言いますと、今までは保健室に取りに来る生徒が月10人ほどだったのが、少ない月でも80枚とか200枚となって、非常に効果があらわれているということです。東京都港区での調査では、学校生活で生理用品がなくて困ったという児童生徒が2割近く、9割の子供がトイレへの設置を望んでいるという調査もあります。
 恐らく岩手県でもそういう傾向にあるのではないかと思います。やはり県としてトイレへの設置にこだわって取り組む必要があるのではないかと思います。安心して使える配慮も非常に大事だと思います。この点について、改めて今後の取り組みについて伺って終わりたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 今年度配布した生理用品の使用の状況と今後のニーズを把握した上で、今後もしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 トイレへの配置は、必要としていることを言い出しにくい生徒にとっては、大変有効な手段の一つと考えております。トイレを含めて、その管理方法、設置に当たっての趣旨をしっかり理解させること、利用上のルールを指導することを進めながら、本当に困っている生徒に行き渡るように、学校での取り組みを今後も支援してまいりたいと考えています。
〇千田美津子委員 先ほど吉田敬子委員が取り上げられましたが、私からも、いじめ、不登校の現状等についてお聞きしたいと思います。
 まず、県内のいじめ、不登校の現状、それから新年度の対応方針、さらには、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置についてお聞きしたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 まず、県内のいじめ、不登校の現状についてですが、令和2年度、県内のいじめの認知件数は、小中高、特別支援学校、全ての校種を合わせて8、146件、前年度より142件増加しています。不登校児童生徒は、小中高合わせ1、888人で、前年度より96人増加しています。
 いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こり得るとの前提のもと、初期段階のいじめであっても、積極的に認知することが重要で、近年のいじめ認知件数の増加は、いじめ事案が深刻化する前に組織的に対処した結果であると捉えています。
 県教育委員会としては、いじめの認知件数が多い少ないではなく、認知したいじめにどのように対処したかが重要であると考えておりまして、認知はそのスタートラインに立った証であると思っております。今後も、学校における積極的認知と、適切な対処及び未然防止が図られるよう努めてまいりたいと思います。
 次に、いじめ、不登校の新年度の方針についてですが、いじめに対する具体策としては、未然防止の取り組みとして、いじめが起きにくい学校、学級風土づくり、適切な対処として、早期発見と解消に向けた適切な対処、研修の充実として、教職員の資質、能力の向上を図る校内研修の充実を重点に取り組んでいるところです。
 不登校に対する具体的な対策としては、未然防止のための魅力ある学校づくり調査研究事業の実施、不登校児童生徒の支援のための対策、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携した個別支援の推進等に取り組んでいるところです。
 新年度は、スクールカウンセラーの配置については、今年度の配置率を維持しつつ、中学校、高等学校では100%の配置を予定しています。また、配置されていない学校においても、緊急時には全ての学校に対応するように体制をとっているところです。
 それから、スクールソーシャルワーカーの配置については、これまで県内六つの教育事務所に計18名を配置していましたが、新年度は1名増の計19名の配置を予定しています。その1名は、県内全県のソーシャルワーカーへのスーパーバイズとしての役割として配置を予定しているところです。
 今後においても、今年度の取り組みを継続、充実を図りながら、個々の児童生徒に応じた支援体制に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 御答弁があったように、特にいじめについては、認知した件数がどうのこうのではなく、いろいろな形で認知ができ、そしてそれにどう対処したかが重要なわけです。ただ、小学校のいじめがふえてきているという状況があり、それへの対応はどのようにされているのかというのが一つです。
 それから、スクールカウンセラーの定期的訪問ですが、中学校、高校が100%定期的な配置をしているのに比べ、小学校は47%にとどまっているのですね。小さいうちからさまざまな手だてをするという点では、小学校へのスクールカウンセラーの定期的配置ももう少しふやすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 小学校のいじめの増加については、先ほども答弁させていただきましたが、初期段階のものを積極的に認知してきたことが増加の要因と捉えています。学年ごとの数字は公表していませんが、そこを内々に分析したところ、学年が上がるにつれていじめの数が減少する傾向があります。つまり、低学年ほど、まだ集団生活の未経験が多く、学年が上がるにつれ、集団生活を通してさまざまなことを学びながら、交流のあり方等も身につけていきながら、成長が図られているものと捉えています。
 それよりもまず認知漏れがないように、困っている子供に適切な対応ができることのほうを大事にしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、スクールカウンセラーの小学校への全校配置についてですが、専門職であるスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについては、相談体制の充実の観点からも大変重要なことであると認識しております。ただ、有資格者が極めて限られている状況で、本県の状況を見ると、早期の増員はかなり厳しいものがあると認識しております。
 今後も、国や他の都道府県の動向を注視しながら、関係部局とも連携しながら、国に対してスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実にあわせて、処遇改善も働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 御答弁がありましたように、解決というより認知漏れがないように現場としては取り組んでいるということで、それはそれで非常に大事だと私も思います。
 それで、実は、大阪府の寝屋川市の取り組みが、今、全国から注目されています。ここは、市長部局に観察課を設置して、いじめの訴えがあったときに、すぐ当日かその翌日のうちに対応する。さらに、月に1回、いじめ通報促進チラシを配布しているということです。これもいわば認知漏れがないようにという点では、すごく積極的な対応だと思います。
 なぜこのように言うかといいますと、いじめが不登校につながったり、さまざまな形で連動するものですから、大きな事態にならないうちにしっかり対応すべきだということで、寝屋川市のような取り組みも検討していくべきかと思いましたが、その点、どうでしょうか。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 御指摘のとおり、大阪府のほうでいじめの対策課のようなものを配置しているのは、私も承知しております。
 本県においては、限られた人材の中でどのように対応していくか、困っている子供たちがそこにいるという状況の中で適切に対応していくにはどうしたらよいか、与えられた環境の中で精いっぱい工夫しながら取り組んでいるところでございます。
 今後も、そこについては、先ほども申し上げましたが、他の都道府県の動向等も注視し、それを参考にしながら、子供たちのために充実、改善を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 先ほど、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについては、有資格者が限られているのでということでしたが、スクールソーシャルワーカーは新年度から1名増員していただくということです。それは本当によかったと思います。
 この間も、さまざまな場面で、スクールソーシャルワーカー等をもっとふやすべきだと指摘してきましたが、先ほどの答弁では、やはり確保が大変なのですね。大学との連携も含めて、その辺の状況をもう一度お知らせいただきたいと思います。
〇泉澤首席指導主事兼生徒指導課長 スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの確保の状況についてですが、有資格者は本当に少なくて、スクールソーシャルワーカーは特にいろいろな福祉施設等でも雇われているという状況がありますので、学校でのスクールソーシャルワーカーの処遇等に合致する方がいないという現状にあります。週2日という勤務状況になっているので、それだけでは生活できないような状況もある中で、何とか人材を確保しながら学校に配置しているという状況です。
 スクールカウンセラーは、次年度も全県で延べ114名を配置しようとしておりますし、スクールソーシャルワーカーは、来年度は19名の予定になっています。
〇千田美津子委員 それでは、引き続き努力をよろしくお願いします。
 次に、通学路の安全対策についてお聞きしたいと思います。日ごろから、各学校における通学路の安全対策、安全点検の実施等を推進しているわけですが、昨年6月に千葉県八街市で発生した小学生が死傷する事故を受けて、教育委員会、学校、警察署、道路管理者等の合同点検が行われました。それで、県教育委員会として取り組むべき箇所、それから、どのような対応がなされたかお聞きします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 今年度、千葉県八街市で発生した下校中の小学生の交通死亡事故を受けて、県教育委員会では、各県立学校及び市町村教育委員会に対し、交通事故防止及び通学路の安全確保について通知したところでございます。
 また、市町村において、関係機関と連携し、緊急合同点検を実施しました。この点検は今回の事故を踏まえてということで、見通しのよい道路や幹線道路の抜け道など車の速度が上がりやすい箇所や、大型車の進入が多い箇所のリストアップや、保護者から改善要請があった箇所などの新たな観点を踏まえて実施したところです。
 岩手県において対策が必要とされた箇所は全部で908カ所となっており、そのうち教育委員会、学校が対策を講ずるべき箇所は516カ所でした。その516カ所のうち、既に対策済みが331カ所、本年度中に実施予定としたものが181カ所、来年度以降に実施としたものが4カ所でした。
 教育委員会や学校としての主な対策の内容ですが、通学路の変更、スクールガードなどボランティアによる見守り活動、具体的な危険箇所を示した上での危険回避について等の注意喚起となっています。
 県教育委員会としては、今後も関係機関と連携を図り、児童生徒への安全教育の徹底と、地域全体で子供を見守る体制の整備を推進して、通学路における安全確保に努めてまいります。
〇千田美津子委員 大半が今年度中に実施されるということで安心しましたが、残る4カ所は対策がなかなか難しいということで残ったのでしょうか、その点、お聞きします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 残る4カ所は道路が新設される箇所です。それに伴い来年度から新たに通学路を設定することになるので、新たな対策が求められるということで来年度以降となるため、通学路の変更やスクールガード等の見守りボランティアの人材確保等、改めて検討することになっています。
〇千田美津子委員 関係機関が連携して、子供たちが安全に登下校できるように、引き続き取り組みの強化をお願いしたいと思います。
 次に、学校施設の機能性能の向上を図るためにいろいろ取り組んでいただいています。この間、学校施設の耐震化、エアコンの設置、トイレの洋式化等に取り組んでこられたようですが、進捗状況についてお聞きします。
〇新田学校施設課長 まず、学校施設の耐震化の状況ですが、市町村立小中学校については、文部科学省の調査によると、令和3年4月1日現在の耐震化率は99.6%となっています。県立学校については、伊保内高等学校の改築をもって耐震化率100%を達成しております。
 次に、エアコン設置の状況ですが、市町村立小中学校については、令和4年3月までに全ての市町村でエアコン設置を完了予定と聞いております。県立学校についても、国の交付金等を活用し、今月中に全ての学校へのエアコン設置を完了する予定です。
 次に、トイレの洋式化の状況ですが、市町村立小中学校については、文部科学省の調査によると、令和2年9月1日現在の洋式化率は54.9%となっています。県立学校については、教育企画室の調査によるものですが、令和3年5月1日現在の洋式化率は、高等学校が40.7%、特別支援学校が62.1%、中学校が54.5%となっております。
 トイレの洋式化率については、改築時期の違いなどにより学校によって異なっていることから、学校の実情や要望等を踏まえ、個々の学校単位での過半数を目指し、早期に対応していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 ちょっと確認しますが、エアコンの設置はことし3月末までに全ての市町村立小中学校ということですが、市町村立小中学校の全ての教室と捉えてよいのか。全ての市町村で手がけるけれども相当数が残っているということもあるので、その点はどうなのか。
 それから、県立学校も今月中にエアコンが設置されるということですが、全ての教室と理解してよろしいでしょうか。
〇新田学校施設課長 エアコンの設置についてです。
 まず、市町村立小中学校においては、国のブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金と、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を活用し、基本的に教室に設置しております。
 教室以外についても、例えば職員室や特別教室等は、市町村が学校と協議し、各学校の実情に沿った形で場所を決めて設置していると聞いております。
 また、県立学校については、同じくブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金と、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を活用し、基本的には普通教室、特別教室、職員室等の管理諸室等に設置しております。全てということではありませんが、学校側の実情、要望等を踏まえて設置しているものでございます。
〇千田美津子委員 予算の枠もあるからだと思いますが、こういう地球温暖化が進んでいる中で、できれば全ての教室に設置していただきたいわけです。学校の意向に沿った形で対応してきたということですが、子供たちや教職員の皆さんが使う場所については、最低限きちんと対応していただきたいと思いますので、引き続き、市町村立小中学校についての調査もよろしくお願いします。
 それから、トイレの洋式化ですが、建てられた年代が違うということで、様式化率は決して高いわけではないと思います。今家庭は洋式になっていて、学校に行くのがすごく抵抗があるという子供たちが多いわけです。これらについても、ぜひ設置率が高まるように取り組みをお願いしたいと思いますが、もう一度これについて答弁をお願いします。
〇新田学校施設課長 おっしゃるとおり、トイレの様式化については、いわゆる生活洋式の変化や、場合によっては避難所としても活用されるという形で、学校施設の多様な利用者への配慮などの観点から、県教育委員会では、基本的に過半数を洋式化することを原則としながら、校舎の改築や大規模改修等にあわせて、順次その整備を進めてきたところです。
 特別支援学校と中学校については、過半数に達しているものの、高等学校は達していないことから、現在、学校施設の耐震化やエアコン整備と同様に、重点推進項目と位置づけて改修に取り組んでいるところです。
 今後、個々の学校の状況等を踏まえながら、必要な箇所について早期に重点的に対応していきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 2点お伺いしたいと思います。
 最初に、がん教育総合支援事業について伺います。
 事業説明の中においては、がん教育に携わる指導者の理解促進と資質向上を図るために作成された指導マニュアルを普及啓発するための研修会等を開催することになっています。そこで、具体的な内容について伺いたいと思います。
 1点目は、がん教育の指導者という位置づけです。どういう立場の方々が、がん教育指導者となるのか、そして、どのような立場でがん教育を行うのか、まずお聞きします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 学校におけるがん教育は、学習指導要領において、がんについて取り扱うことが明記されています。それに基づき、保健体育や道徳等のほか、特別活動も含め、学校教育活動全体を通じて行われる健康教育の一環として進めていくものです。
 指導に当たっては、学校の全教職員の共通理解のもと、学級担任、教科担任等が中心となり、養護教諭と連携しながら行うもので、地域や学校の実情に応じて、専門医等の指導、協力を得るなどして、効果的に進めていくものとしております。
〇木村幸弘委員 そこで、がん教育指導者を研修する際の基本のマニュアルが作成されているわけです。学校におけるがん教育指導者向けマニュアルということで、私も手元に資料をいただきました。
 そこで、このマニュアルは、どのような作成経緯で、あるいはどういう監修作業を行ってその内容が検討されてきているのか、内容等も含めてお示しいただければと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 がん教育指導者向けのマニュアルは、県医師会や県歯科医師会等の関係者、がん専門医等の御協力と御指導のもと、県教育委員会が作成し、令和3年2月に全ての学校に配布したところです。
 内容については、文部科学省が示している学校におけるがん教育の在り方を初め、がん教育推進のための資料や教材等を参考に、本県におけるがん教育の基本的な進め方についてまとめたものでございます。
 このマニュアルにおいては、児童生徒の発達段階に応じ、小学校、中学校、高等学校における授業展開例の紹介や、がん教育を進めるに当たっての外部講師の活用方法など、効果的ながん教育を推進するための内容を盛り込んでございます。
〇木村幸弘委員 そこで、具体的にこういう指導を研修されて、がん教育の実践になるわけですが、一つは、がん教育の実施についてこれまでの実績を伺います。今、マニュアルの内容等の紹介の中でもありました対象となる小学生、中学生、あるいは高校生などに向けた授業等がどのような形で行われたのか、その実績について、もしお話ができるのであれば報告をいただきたいと思います。
 あわせて、指導者のための研修会が行われているわけですが、具体的に開催実績、そして講師陣等の陣容、どういう方々をお呼びして、どのような研修会が行われたのかについても伺いたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 がん教育の実施状況についてですが、がん教育を実施している学校は、令和3年度、今年度の調査によると、小学校が202校で68.2%、中学校は150校、100%、高等学校は34校、54%となっています。
 また、今年度、県立学校12校に対し、がん教育講演会にがん専門医等の講師を派遣したところです。
 さらに、今年度、教職員等のがん教育指導力向上を目的とした研修会を開催し、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の県内の学校の教員が参加し、実践紹介や講義を受講したところです。
 研修会の講師についてですが、がん教育を進めるに当たっては、学校医、がん専門医、がん経験者など、外部講師を積極的に活用することが重要であると考えております。がん教育は、多様な人材が参画し、それぞれの専門性やこれまでの経験を十分生かせるような指導の工夫を行うことにより、より実践的で効果的なものになると期待されているところでございます。
 県教育委員会においては、県立学校のがん教育講演会への講師派遣、これは岩手医科大学の先生方、県立病院の先生方等にお願いしてありますが、ほか、県対がん協会の出前授業の活用など、外部講師の活用体制の整備を図っているところです。
 また、がん教育を進めていく上では、教職員の指導力向上が大変重要であることから、研修会を開催し、専門的な知識を有する講師による講演、マニュアルを活用した実践例の紹介、指導の充実に当たっているところでございます。
〇木村幸弘委員 中学校は100%という報告をいただきましたが、小学校、高等学校はまだ100%ではないということで、例えばこのがん教育の実施については、年間の学習計画の中でどのように位置づけられているのか。100%ではないということは、年間の計画の中に盛り込まれていない学校と盛り込まれている学校と温度差が出ているのか、その実態はどうなっているのか、確認したいです。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 中学校において100%の実施となっているのは、学習指導要領において、今年度から完全実施とされたため、学習指導要領に盛り込まれたとおり実施しているということです。
 高等学校においては、令和4年度入学生から段階的に実施と明記をされているので、今後ふえていくものと捉えています。
〇木村幸弘委員 わかりました。いずれ非常に大事な学習の機会であり、がん教育に対する理解促進を図るために重要だと思いますので、ぜひ県内の小中学校、高等学校と、それぞれが必要な時間をしっかりと確保していただき、がん教育の実施の充実強化を図っていただきたいと思います。
 あと、意見です。このマニュアルを見て感じたのですが、外部講師の活用方法の中で、医療関係者ばかりではなく、実際にがんサバイバー、体験をした方、あるいは患者の会の方々の活用も必要ではないかと思います。また、特に若い子供たちの世代ですので、例えば今AYA世代と言われる世代の中で、みずからのがんの経験をいろいろなメディアあるいはソーシャルネットワークを通じて発信している方々がたくさんおります。そういった方々の活用は、同世代としてより身近に感じるところがたくさんあると思うので、そういった部分での活動の仕方の検討もぜひ進めてみてはどうかと思います。
 最近、池江璃花子さんなど、がんを患いながらもそれを克服して活躍されているスポーツ選手であるとか、著名な方々の姿を子供たちは目にして、耳にしているわけです。そうしたことが希望や励みにもつながり、あるいは、自分の御家族やいろいろな方々にもしっかりと支えになっていくような、そんながん教育の充実を図っていただきたいと思いますが、佐藤教育長、どうでしょうか。
〇佐藤教育長 がん教育の推進ですが、今、ICT機器の整備がどんどん進んできています。そういった機器を活用して、御提案のあったように、さまざまな疾病と向かい合っているトップアスリートの方の体験談などを入手できる機会もありますし、教材として活用することもできるわけです。
 がん教育について正しく理解する上で、外部の専門家のほかにも、今御提案のあったような方々を通じて、理解の促進に向けて、これまで整備してきた機器等もフルに活用しながら、拡充に努めていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 次に、岩手県立特別支援学校の整備計画について伺います。
 令和4年3月1日に、文部科学省の調査で、特別支援学校の教室不足数が明らかになりました。本県は、前回の令和元年5月時点の44教室の不足から、令和3年10月時点では五つ減って39教室が不足であることが示され、報道もされています。その不足数について、令和6年度までの教室不足解消の集中期間における解消計画が、本県の場合はゼロであったこともあわせて報じられているわけです。
 改めて、本県の教室不足の実態について、県内の支援学校、分教室の内訳と増減の推移について、特に整備計画の中で示された不足数の推移ですね。令和元年の44教室から令和2年までの資料が整備計画にのっているわけですが、ここでは34教室ということで10教室減っています。今回の文部科学省の報告の中で、逆に5教室ふえて39教室が不足になるということが明らかになっているわけですが、なぜそうなったのかということなどを含めてお伺いしたいと思います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 本県の特別支援学校における教室不足の実態についてですが、今年度の調査において、本県の特別支援学校の教室不足数は全体で39教室となっております。
 内訳は、盛岡みたけ支援学校が8教室、盛岡ひがし支援学校が6教室、前沢明峰支援学校が4教室、一関清明支援学校が4教室、気仙光陵支援学校が3教室、釜石祥雲支援学校が10教室、宮古恵風支援学校が4教室、計39教室となっているところです。
 教室の不足の推移ですが、令和元年度44教室、令和2年度は県独自の調査を行い34教室ということで、10教室減っています。
 この要因としては、以前から教室不足が言われていた盛岡みたけ支援学校の児童生徒数が、盛岡ひがし支援学校ができたことにより分散したことと、前沢明峰支援学校で作業棟を設置したことで普通教室が確保されたということもあります。施設整備等の改修あるいは学校を新たにつくったということで、減少に転じたという形になります。
 そして、今年度39教室と、昨年度よりふえたというところですが、こちらは、盛岡ひがし支援学校が完成年度を迎えましたが、当初の計画予想よりかなり児童生徒数が増加しているということで、既に教室不足があらわれ始めている、そのことが数値が上がった主な要因となっております。
〇木村幸弘委員 教室の解消に一生懸命努めていただいていることは理解しますが、ある意味いたちごっこ的なところがあり、なかなかそこが十分に埋め切れていない。そういった状況の中で、この間にも学校現場では、教室を分割したり他の教室でない場所を教室に切りかえたり、いろいろな創意工夫で教室不足に対処していると聞いていますが、改めて、現場はどのような形で教室不足を補っているのか、現場の状況と課題についてお示しください。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 教室不足の補い方についてですが、授業の実施に支障がないように配慮しながら、特別教室からの転用や教室の間仕切り等によって対応している現状です。その際、例えば児童生徒が逆に減少に転じた場合には、転用前の機能を回復することも想定しながら整備しているという状況でございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。新年度に向けて県立釜石祥雲支援学校が新築移転されるということです。先ほど各学校の推移と状況をお聞きし、県立釜石祥雲支援学校は10教室の不足であったということですが、新築移転することによって解消がしっかりとされるものになるのか、その点について確認させてください。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 県立釜石祥雲支援学校の新築移転による不足解消の効果についてですが、新築移転により、今年度生じている10の教室不足は解消されます。
 また、移転後のさらなる児童生徒数、学級数増も想定し、教室配置の工夫や間仕切りによる教室確保の準備を整えています。
 新築移転によって教室不足の解消以外にも、体育館や特別教室の整備による教育環境の充実が図られていくものでございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。新しい整備計画に基づいてこれからしっかりと取り組んでいただくことになるわけですが、先ほど佐藤教育長の答弁の中でも、二戸市が今後新たな計画として整備を進めていくという話もあり、整備計画にも確かにそのことが方向としては示されているわけですが、今後の整備方針ということで、依然として不足する教室の解消、校舎の老朽化あるいは狭隘化の対策を今後どのように順次整備を図っていくのか、その考え方や方針について伺います。
 それから1点確認です。今回の報道の中で、文部科学省が設定した令和2年度から令和6年度までの教室不足解消の集中期間における本県の対応ということで、報道ではこの間の解消がゼロだということですが、今お聞きすると、釜石祥雲支援学校の10教室が減じられるわけです。この関係をどのように整理すればよいのか、その点についてもあわせて説明をいただければと思います。
〇近藤首席指導主事兼特別支援教育課長 まず、先ほど釜石祥雲支援学校は10の教室不足が解消になると言った件ですが、この教室不足調査の時点で、就学等の状況の見通しがなかなか立てにくかったものですから、計上しなかったということになります。新築の計画を進めるとともに、今後の就学の状況が明らかになってきたことで、教室不足は解消するという見直しとなっております。
 全体の今後の教室不足解消の方針についてですが、岩手県立特別支援学校整備計画において、県立釜石祥雲支援学校の新築移転、あるいは二戸地区における新設校の設置により、教室不足の解消を図っていくこととしています。
 教室不足数は、その年度ごとの各校の就学の状況により増減があるために、計画的になかなかこの数を減らすというところをお示しすることが難しいものですから、今後も、児童生徒数の推移や就学相談の状況、各校においては、障がいの多様化による個別対応の状況なども聞こえてきておりますので、そういう状況等を注視し、各校や地域との情報共有を密にしながら、実情に応じて対応、改善を図っていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 佐藤教育長の懐の深さを頼りに幾つかお話を伺います。よろしくお願いします。
 ロシアによるウクライナ侵攻が続いています。この戦争の不条理と残酷さは、岩手県の児童生徒の皆さんも日々目撃しているところです。感受性の強い年代の子供たちにとっては強い衝撃となっていることが想像されます。とりわけ自分たちと同年代の若者たちの姿を目の当たりにして、彼女、彼らはどんな思いでいるのか、胸がつぶれる思いです。
 佐藤教育長は、この戦争は子供たちにとってどういう存在になっているのか、心理的な影響がないかどうか、お感じになっていることがあったらお聞かせください。
〇佐藤教育長 まず、ロシアのウクライナ侵攻は、毎日ニュース等で、さまざまな衝撃的な映像が報道されています。私もその報道等に接し、特に、例えば病院あるいは学校への爆撃とか、本当に凄惨な、悲惨な映像も見ました。まさに子供たちへの強い衝撃もあると私も捉えております。今の時代にこのような状況がまさか起こり得るのかと、ある意味では私も目を疑うような、でも、実際に行われているという現実もございます。
 今後、どのような形になっていくかでありますが、こういうことはあってはならないという思いを強くしながら、今後の対応等についても心してまいりたいと思います。
〇上原康樹委員 この惨たんたる状態を茫然と見過ごして終わりというのでは、余りに絶望してしまいます。今世界で最も平和を求めている国は、当然ウクライナだと思います。ウクライナの人々だと思います。そして、人間の本当の幸せは何かということを考え抜いた宮沢賢治のふるさとが、岩手県であり、イーハトーブでございます。この二つの土地は決して無縁ではないと感じています。どこか心の底に通じている部分があるのではないかと思って、今こういう話を始めた次第でございます。
 ウクライナでふるさとの町や村が破壊されていく,もう絶望の一途です。しかし、こういう惨たんたる状況の中で人間は、幸せですとか、平和ですとか、そういうものをとことん考えるようになると思うのです。これは大変不幸なことではあるけれど、大切なことに思い至る一つの道筋になるとも思っています。
 子供たちがこのウクライナの現状について感じることがあり、そしてそれは何か行動できるのかと思いついたときに、教育者が横にいるかどうかということも、とても大切なことだと私は思っております。子供たちに、生徒たちに寄り添える教育者になれるのか、この辺は、佐藤教育長は今どんな思いでいますか。
〇佐藤教育長 まず、平和教育についてですが、学校現場では学習指導要領がございまして、ちなみに小学校、中学校、高等学校の学習指導要領では、社会科であるとか地理歴史科、あるいは公民科の目標において、平和で民主的な国家や社会の形成者として必要な資質や能力を養うこととされています。
 また、高等学校の地理歴史科の目標には、ちょっと引用させていただきますが、我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め、国際社会に主体的に生き、平和で民主的な国家、社会を形成する日本国民としての必要な自覚と資質を養うとあります。
 また、高等学校の公民科の目標には、広い視野に立って、現代の社会について主体的に考察させ、理解を深めさせるとともに、人間としての在り方、生き方についての自覚を育て、平和で民主的な国家・社会の優位な形成者として必要な公民としての資質を養うと書かれています。
 各学校にICT機器等が整備されまして、そういうものを使ってやっていただくということが非常に大事だと思います。
〇上原康樹委員 今すぐに平和ということにもなりませんし、事態はまだまだどう展開していくのかわからない状態です。ウクライナに対して岩手県の子供たちがどういうアクションがとれるのかは、まだ全くわからない状態です。
 そういう中で、戦争で荒れ果てた中でも、やがて暮らしを取り戻し、社会を取り戻そうと再び歩き出す人々の姿が見られるかもしれません。そう願います。
 そこに寄り添える私たちの心があるとすれば、まさに、あの東日本大震災津波の中から立ち上がって、支え合って生きてきた岩手県の人々の心こそ、寄り添ってしかるべきであろうという気持ちにもなるわけです。
 ウクライナとイーハトーブは全く無縁ではない。今、ひょっとしたら、物すごく近いところにあるかもしれない。そういう考えを持ってあの惨状をじっと見つめるわけでございます。
 今、その距離は近いと言ったけれども、本当に技術的にも、オンラインで、人と人は今簡単に技術的にはつながります。技術的にはつながっても、本当に彼らに寄り添えるマインドがある人々かどうか。聡明な優しい岩手県の若者たちにこそ、その資格があるような気がしてなりません。
 令和4年度、岩手県の予算という枠の中には、オンラインを使って子供たちの教育に資するイベントないしは研究授業も用意されておりますが、ここは今動いている世界に即応する形で、岩手県も、岩手県教育委員会も、子供たちと一緒に、着実に歩みを進めながら、こういう難しい問題にも逃げることなく向き合って、少しでもよい方向を考えるという空気を醸し出してみるのはいかがでしょうか。佐藤教育長、いかがでしょう。
〇佐藤教育長 本県は、東日本大震災津波という未曾有の大災害にありました。そこから11年が経過しているわけですが、震災当時、国内外、世界から多くの支援をいただき、そして今の状況に至っているという状況にあります。これも岩手県の復興教育の中で、東日本大震災津波から立ち上がって、岩手県民が復興に努力してきた。それも世界からの支援の賜物だということであります。これは復興教育の中でも改めて認識を深めていただくとともに、委員からもお話がありましたとおり、最新のインターネット社会では、国内外の方々と交流を行うことが可能となっております。
 これまで県立高校でも、中国や他の国とオンラインでの対話交流をしてきた経緯もございます。このグローバル社会の中で探究的な学びを進め、生徒が主体的に行動することが本当に望ましいことであり、どのような探究的な学びをするか、岩手県と世界をつなぐ人材の育成ということを私たちは考えております。
 そういった岩手県の若者こそ資格があるという御指摘であります。私どもは、そういった学びができるようにしっかり支援してまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 すぐれた教育を受けた若者たちは、聡明な若者になると思います。若いときに物すごく難しい問題と向き合い、考えて、考えて、考え抜いた経験を持つ若者たちは、その後の人生は豊かになると思います。強いものになると思います。そういう聡明で怜悧な岩手県の若者たちを育てるためにも、起動的に日々起きる世界の現象は一体どういう意味を持つのか、そしてこれからどうなっていくのか、それを絶えず考え続ける若者を育てていただきたい。その気持ちでいっぱいでございます。
 きょうは、佐藤教育長、難しい話にたくさんお答えいただきまして感謝申し上げます。ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
 一日も早い平和を祈っております。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
午後4時17分 散 会

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