令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

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令和4年3月10日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
復興防災部長 戸舘弘幸
副部長兼復興危機管理室長 菊池芳彦
副部長 工藤直樹
参事兼復興推進課
総括課長 大 坊 哲 央
総括危機管理監 吉田陽悦
復興危機管理室
企画課長 高橋正志
復興危機管理室
管理課長 柳原 悟
放射線影響対策
課長 武蔵百合
復興くらし再建課
総括課長 澤田彰弘
被災者生活再建
課長 下川知佳
防災課
総括課長 中里武司
特命参事兼
防災危機管理監 西島 敦
消防安全課
総括課長 栗澤孝信
県民安全課長 多賀 聡
企画理事兼
環境生活部長 石田知子
副部長兼
環境生活企画室長 菊池正勝
環境担当技監兼
廃棄物特別
対策室長 佐々木 健 司
若者女性協働
推進室長 高 橋 久 代
環境生活企画室
企画課長 尾形憲一
環境生活企画室
管理課長 及 川 博 英
温暖化・エネルギー
対策課長 高 橋 ゆかり
特命参事兼
ジオパーク
推進課長 菊 池   学
環境保全課
総括課長 黒 田   農
資源循環推進課
総括課長 佐々木 秀 幸
自然保護課
総括課長 藤 原 由喜江
県民くらしの
安全課総括課長 新 沼   司
食の安全安心課長 佐 藤   敦
消費生活課長 藤 本 さとえ
特命参事兼
再生・整備課長 田村良彦
廃棄物施設
整備課長 古澤 勉
特命参事兼
青少年・男女共同
参画課長 前田敬之
特命参事兼
連携協働課長 高 田   聡
財政課総括課長 山田翔平
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 なお、佐々木茂光委員、城内よしひこ委員、川村伸浩委員及び臼澤勉委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日は、復興防災部及び環境生活部関係について、延べ16人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は23分といたしますので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、関連質疑の取り扱い、換気のための休憩につきましては、これまでと同様でありますので、御協力をお願いいたします。
 初めに、復興防災部長に復興防災部関係の説明を求めます。
〇戸舘復興防災部長 それでは、令和4年度の復興防災部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、復興防災部における予算の編成に当たっての基本的な考え方について説明させていただきます。
 令和4年度は、復興推進プランに掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信の取り組みを着実に実施するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、自助、共助、公助による防災体制づくり、事故や犯罪が少なく、安全・安心に暮らせるまちづくりなど、県民の幸福度向上を図る10の政策分野に基づく施策を推進してまいります。
 まず、復興推進の取り組みについてでありますが、暮らしの再建に向け、被災者の生活再建先における円滑なコミュニティー形成を支援するコーディネーターの配置や、なりわいの再生に向け、被災地域の基幹産業である水産加工事業者が行うデジタル化や人材確保等の取り組みに対する支援など、引き続き中長期的に取り組むべき課題について、被災地の状況に応じ重点的に対応してまいります。
 また、復興フォーラムや震災語り部・ガイドサミットの開催、東日本大震災津波伝承館の運営などを通じ、震災津波の事実と教訓の伝承、発信等に取り組んでまいります。
 次に、政策推進の取り組みについてでありますが、自助、共助、公助に基づく防災体制づくりに向け、地域防災サポーターの派遣による防災知識の普及や、自主防災組織の組織化、活性化の促進、市町村による消防団員確保及び機能充実に向けた取り組みへの支援を行います。
 また、事故や犯罪が少なく、安全・安心に暮らせるまちづくりに向け、県民の防犯意識の高揚を目指す取り組みや、はまなすサポートによる性犯罪等被害者への総合的な支援、交通事故防止や交通安全意識の醸成を図る取り組みを進めてまいります。
 続きまして、歳出予算について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。復興防災部関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち、6項復興防災費の14億9、100万円余、3款民生費のうち、2項県民生活費の一部2、600万円余、7ページに参りまして、上から2行目、5項災害救助費5億3、300万円余、続きまして、9ページに参りまして、12款公債費の一部1億7、400万円余、これらを合わせまして、総額で22億2、600万円余となっております。前年度当初予算額と比較しますと11億5、000万円余、率にして約34.1%の減となっておりますが、これは、県が実施する応急仮設住宅用地の原状復旧の完了等によるものでございます。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で復興防災部関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 早速質問に入りますが、本日が、ちょうど東日本大震災津波の日から満11年目の日であります。この間、いろいろなことがありましたけれども、私は、実際にこの場で地震を経験した人間として、その後もいろいろかかわってまいりましたが、初動の部分は、岩手県が一番立派だったと、私は今でもそのように思っておりますし、これが次なる復興にも、いい意味で先鞭をつける働きになっていったと思っております。今後もあり得ることでありますので、初動という部分を常に頭に置いて素早い対応をしていくことが、どういう場合も必要だと思っているところであります。
 いろいろなことがありましたけれども、昨年4月、頭から水をかぶるような報道がございました。それは、北海道沖千島列島のあたりを震源とするマグニチュード9ぐらいの地震が発生して、そして、本県の特に宮古港では29.8メートルの津波が予想される、そういう記事が出まして、びっくりもいいところ、何だ、これはと思ったところであります。
 こういうことを言っては不謹慎かもしれませんが、我々のこの岩手県沖の日本海溝の、いわゆる学者先生方が言うプレートのひずみは、今回の東日本大震災の震源で全部抜けたといいますか解放されて、その結果、しばらく三陸沿岸には地震がないのではないかと思った人もいらっしゃるかと思います。実は私もそう思っておりました。私の代ではもう大きな地震はないだろう。そうすると、私の代以後にあるようなことについての大事な点を申し送っていかなければならないと考えていたわけでありますが、まさに青天のへきれきでした。
 29.8メートル。現在、県内をそれぞれ防潮堤がおおむね11メートルの高さで囲ってガードしているわけですが、2カ所残っている。これも年度がかわって早い時期に完成するということでした。ただ、これが28メートル、29メートルになりますと、簡単に言って15メートルオーバーする高さであります。そういう単純計算にはならないのかもしれません。そうすると、今度はそれに対する対応策を検討していかなければならない。
 今、ハザードマップの作成中と伺いました。最も悪い条件で確定していくものもあるのでしょうけれども、その中で、冬の夜間であると岩手県の死者が1万2、000人ぐらいになるのではないかという報道があったところであります。これは東日本大震災津波の倍の人数でありまして、これはとんでもないものだと思っております。
 ハザードマップをただいま作成中だと思うのですが、それに対してどういうものを骨子としての取り組みをなさっているのか、我々県民にはいつそういうことを教えていただけるのか、その辺を含めてまずお伺いしたいと思います。
〇中里防災課総括課長 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震についてでございます。昨年4月に国では浸水想定、それから、12月には被害想定を公表したところでございます。
 国の被害想定では、冬の深夜に日本海溝沿いで巨大地震が発生し早期避難率が低い場合につきましては、最も被害が大きいとされています。本県においては、死者約1万1、000人、全壊、焼失棟数約1万8、000棟の被害が予測されているところでございます。
 このことにつきましては、やはり地震による強い揺れを感じたときには、身の安全を確保するのがまず一番大事だと思っております。その身の安全の確保とともに、情報の収集に努めながら、速やかに避難を行っていくことが重要と改めて認識させられたところでございます。
 県ではこれまでも、繰り返し防災意識の普及啓発、それから防災教育の推進、避難場所、避難路、避難の手法等を定めた避難計画の策定等の促進に努めてきたところでございます。また、市町村と連携いたしまして、広域的で実践的な総合防災訓練の実施にも努めてまいりました。このことについては、繰り返し地道にやっていかなければならないと考えております。
 今回、国で被害想定を公表いたしましたけれども、被害の大きさを公表した一方で、早期避難によって犠牲者を大幅に減らすことができることも示されたところでございます。現在、県が検討を進めている地震津波被害想定につきましては、今後、国の減災対策、現在県が進めている浸水想定等を踏まえまして、県民の適切な避難行動につながる指針を示すと考えております。公表については、新年度8月ごろを予定しているところでございます。
〇伊藤勢至委員 東日本大震災津波の震源は、宮城県の牡鹿半島沖130キロメートルの、深さたしか30キロメートルから50キロメートルぐらいだったと思いますけれども、その際に宮古湾に津波が到達したのは、多分40分ぐらいの時間がかかっていたかと思います。牡鹿半島の先から宮古港の中に進入してくるのです。つまり、ゴルフで言うと、どえらいフックラインで来る。フック以上だな。180度ぐらい戻るのですから。海の流れは、そのまま真っすぐに行くと思っているのですが、海流の関係もあるでしょうけれども、湾内まで進入してくるとは、素人ですから考えにくいのですが、実際には来たのです。
 ただ今回、北海道沖千島列島ということになりますと、実は宮古湾も山田湾も、まさに千島列島を向いて開いているのです。したがいまして、東日本大震災津波の震源地から来た時間と、学者先生のおっしゃる千島沖で起こった場合、宮古湾は一番高い津波が予測されているわけですけれども、何の障害もなくダイレクトに来るということからいくと、恐らく到達時間が東日本大震災津波の半分ということもあり得るのではないかと思います。
 各報道を見ていますと、到達時間のことは書いておりません。したがいまして、ハザードマップを作成する際には、可能な限り到達時間も、もちろん正確に何分何秒というのは書けないでしょうけれども、例えば東日本大震災津波のときは宮古港まで40分かかった。仮に日本海溝千島海溝沿いで発生した場合は20分台の可能性もあるぐらいを書き込んで啓蒙していかないと、沿岸の人は、地震が来れば津波が来る、大体40分から1時間かかる。もうそれが何年も前から根っこに入っているのです。したがいまして、避難をしよう、まあ40分もある、20分でなんて、そういうものが代々伝わって残っているのです。
 避難はしなければならない、その時間が大事です。今の時代ですから伝え方は幾らも可能だと思いますが、まずは命が助かること、みずからが助かること、周りの人も助けること、これが大事だと思うのです。
 そういう中で消防団。県民は、消防と言うとみんな一緒だと思っているのです。常備消防と義勇消防は違うということがわからない県民がいらっしゃいます。常備消防というのは、各自治体が持っている、まさに市町村職員としての消防です。それ以外の消防は義勇消防。義を見てせざるは勇なきなり、だから義勇なのです。
 ところが、実際に住民誘導、避難誘導をして犠牲になっているのは義勇消防のほうが多いのですが、多い少ないの話ではなくて、義勇消防団員も一家の大黒柱、地域に帰れば地域のリーダー、そういう方々が多いわけです。40分の到達時間のつもりで活動していたけれども、津波が20分で来た。それでは消防団員の犠牲がまたふえかねません。
 したがいまして、今回の東日本大震災津波の消防団対応の中で、20分は住民のために、あるいは15分とか働いて、その時間が過ぎたら自分も避難しようということが出てきましたが、沿岸13市町村の消防団の避難の時間が微妙に違うのです。ですから、これは、沿岸の消防団は20分とか15分は救助活動をするけれども、過ぎたら自分も逃げる、そういうものを統一しておかないと現場が混乱する。そのために消防団が犠牲になってはいけないとも考えるのですが、そういうところにも留意していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、もう一つ言いますが、30年ぐらい前になりますけれども、北海道南西沖地震、奥尻島の地震がありました。東日本大震災津波以降、岩手県の被災した市町村は、随分そこの復興の状況を視察に行ったようであります。でも、復興状況を見てもどうにもならないのです。大事なことは、このときの地震が発生して、津波がどういう時間で来たかということなのです。
 奥尻島の場合は、地震が発生してから5分で来たのです。これは日本海側ですから海底の様相が違うのかもしれません。イコール岩手県ということにはいかないのかもしれませんが、5分で来る津波もあったのです。青苗地区はほとんど全滅の状況でした。それは、やっぱり20分、30分、40分かかるという時間のすり込みがあったからだと思うのです。
 ですから、そういうことが大事だということも加味したハザードマップを作成していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
〇栗澤消防安全課総括課長 それでは、まず、消防団員の避難等に関してでございますが、前回の東日本大震災津波の際、消防団の水門閉鎖活動、避難誘導活動等によりまして90名の方が亡くなっております。
 その震災を受けまして、各市町村で消防団の避難ルールを策定しております。委員御指摘のように、避難ルールそのものが避難の時間が15分とか20分前とまちまちでございます。ましてや、最近、町並み等も変わっておりますので、各市町村の防災担当課長には、避難ルールの見直し等について毎年の会議等でお願いしております。
 避難、退避の徹底は当然でございますけれども、いわゆる消防団が水門閉鎖作業をしない、させないという取り組みが大きいと思いますし、ましてや避難誘導等を危険な区域で行わせないようにということで、ドローン等による避難誘導事業についても、これから力を入れていかなければならないと感じているところでございます。
〇中里防災課総括課長 北海道南西沖地震、奥尻島の地震でございます。マグニチュード7.8、最大震度5、津波の高さ31メートルを超えるということで、人的被害、物的被害、大きな被害を出した地震でございます。津波の到達時間が5分ということで、あっという間に来た地震でございました。
 いずれ、地震が起きて、津波警報等が発令されたらば速やかに逃げるというのは、先ほど申しましたけれども、そこはもう徹底してやっていかなければならないと考えております。
 今後、県で公表される浸水想定を踏まえまして、各市町村におきましては、ハザードマップの作成に着手する、見直しを行っていくことになるかと思いますし、被害想定をその後、公表することにしております。それを踏まえて、住民、関係機関と、タイムラインの作成等で、いかに大きな被害から逃げるかといったところを検討していくことを考えております。
〇伊藤勢至委員 もう一つ、今、トンガの火山が爆発して、海底地震が、8、000キロメートルを延々と伝わって久慈市には1メートル10センチの津波が来たわけですが、どうも今、地震津波ということで海だけを向いているようではやっぱり心配がある。
 15年ぐらい前になりますか、宮城・岩手内陸地震がありました。私たちは、地震津波というのは絶対海だとばかり思っていて虚をつかれた感じでありましたが、その間に宮城・岩手内陸地震、そして、一関の祭畤大橋が落橋して数名の方が犠牲になっています。ですから、海を見ながらも、やはり内陸の情報も集めるという気持ちを持っていないといけない。
 岩手山地震も、死火山ではありませんで、休火山でありますから、これもいつどうなるかもわからない。そういうこともトータルで見ていただかないといけない、そのように思います。
 それから、これは自然のことですので、私たち人間としては避けられない。避けるのであれば、高いところに今から移転しておかなければいけないということですが、それもなかなか簡単ではないということです。
 そういう中で、地震が来た場合の、今度は復興の部分にも触れておかなければならないのですが、これは東日本大震災津波からの大きな教訓だと思うのです。実は、当時、岩手県の13市町村、住田町も入ってですが、13市町村の中で国土調査が100%終わっているのは野田村、田野畑村等、ほんの少ししかなかったのです。宮古市は35%、山田町も三十五、六%、大槌町も三十四、五%、釜石市も40%ぐらい。これに対して、内陸の市町村はほとんど100%終わっていたのです。したがって、これが復興の際の、例えば道路をつくる、防潮堤を建てる、橋をかける、そのときの用地の取得について非常に時間がかかり作業がおくれたのです。
 洋野町大野に災害公営住宅が県内で一番先に建ったのは、やっぱり国土調査が100%終わっているからです。それから、田野畑村も2番目か。田野畑村の島の越漁港は38メートルの津波が来ていました。これは海底の岩盤の様子が違ったのでしょう。
 ですから、県北地域から県南地域までが全部一緒の条件ということはないと思うのです。まず、時間がかかるということ、高さも違うということ。そういうものをいち早く県民に知らしめるためにハザードマップを作成中だと思います。御苦労なことではありますが、まず大事なことは、命を守ってください。地震発生から津波襲来までの間に、すべからく避難してください、逃げてください、命を守ってください、まずはここだと思うのです。その辺も含めて、ぜひ早い情報提供を県民に示していただきたいと思うのでありますが、戸舘復興防災部長から伺って、終わります。
〇戸舘復興防災部長 今、委員から御指摘いただきましたとおり、何よりも、やっぱり早期に避難するのが一番大事でありますし、それは、消防団員も含めて、命をしっかり守っていかなければならないと思っています。
 東日本大震災津波の経験を踏まえて、防潮堤で防ぎ切れない最大クラスの津波に対しては、ハード、ソフト総動員いたしまして、多重防御という考え方で、住民の一刻も早い避難を減災に結びつけるということで取り組んできたところでございます。
 委員から御指摘のありました昨年12月に国が公表した被害想定においても、繰り返しになりますが、早期避難により犠牲者を大幅に減少できるとされておりますので、今、県が検討を進めております地震津波被害想定において、県民の皆さんが適切に避難できるように、その対策を示してまいりたいと存じます。
〇岩崎友一委員 関連ですので、簡潔に。
 今の日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震の関係で、復興防災部長からも、中里防災課総括課長からもちょっと触れられましたけれども、各市町村の浸水想定区域は、たしか今月中に発表と思っていたのですが、3月も中旬になりますが、これはいつ発表されるのでしょうか。
〇中里防災課総括課長 浸水想定につきましては県土整備部の所管、それから、被害想定については当部の所管ということで作業を進めているところでございます。県土整備部からは、今月中に公表すると伺っております。
〇岩崎友一委員 これは部局を分けてやるものではなく、聞いておりますという答弁も、復興防災部としては無責任だと思いますので、ぜひ共有していただきたいと思います。
 もう一つ、地元の話で恐縮ですけれども、その公表を待って、例えば釜石市だと、市庁舎の建設のあり方を決めていくという状況で、今ストップがかかっている状況ですので、速やかに公表していただきたいと思います。各自治体が待っていると思います。
 それと、今回この関係で、国会のほうの自由民主党の議員連盟で、今の通常国会で日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の改正を目指している状況であります。私も情報はさしてないのでありますが、ハード、ソフトの両方が検討されているということであります。現段階で、こういった事業に補助金をつけるとか、県で入手できている情報があれば御教示願いたいと思います。
〇中里防災課総括課長 詳細については承知していないところでございます。情報収集には努めてまいりますが、昨年12月に公表された国の被害想定については、避難路の確保とか避難場所における防災対策、防寒対策といった低体温症対策についても触れられておりますし、津波避難ビルの指定、それから、津波避難タワーの整備等の必要性についても新たな課題として提言されたところでございます。
 南海トラフにつきましての特別措置法がございますけれども、この改正に向けまして、南海トラフ地震と同程度の法制度の整備など、国の財政支援について働きかけていきたいと考えておりますし、市町村と連携いたしまして、新たな対策への対応についても検討してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 わかりました。ぜひ、市町村にはまず被害想定、浸水想定をしっかり示して、その上で、こういった対策が必要だという部分に関しては、できるだけ国の支援も必要であると思いますので、しっかり取りまとめた上で、市町村が行う事業にしっかり補助なりの予算がつくように努めていただきたい。先ほど申し上げましたように、やはりしっかり連携を図ってほしいです。これは県土整備部というわけではなくて、そういった部分を全て管轄している、網羅しているのが復興防災部の役割だと思いますので、そこは、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私も、最初に自助、共助、公助による防災体制の整備について伺いたいと思います。
 先ほどの議論で、この前のトンガ沖海底火山の噴火による津波警報と避難指示についての教訓は、地震津波被害想定の中で減災対策を示すというような答弁がございましたけれども、一方で、夜間の避難は、2019年の台風第19号の夜間の避難のときにも、やはり避難者が少ないということで課題になって、取り上げさせていただきました。そのときは国の方針も、レベル4の中に避難勧告と避難指示があって、なかなか避難勧告になっても、勧められているだけで住民の皆さんは動かないという課題があって、それが今改善されて避難指示に一本化されたという状況でした。しかしながら、避難指示が出ても、やはり今回も夜間の避難はなかなか動いていただけなかったという状況にあるのではないかと思っております。
 そういった中で、もちろん地震津波への対応は最優先でやられるべきですけれども、一方で、これは地震津波の対策の中だけではなくて、台風被害も含めて防災体制全体の課題として、自助、共助、公助の中に組み入れて体制整備をするべきではないかと思います。
 その中で、初めにお聞きしたいのですけれども、令和元年の台風第19号の災害以降、どのような体制整備を県としては行ってきたのか、また、国のガイドライン等を変更された部分があったのか、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇中里防災課総括課長 国におきましては、令和元年台風第19号の災害対応を検証するために、中央防災会議にワーキンググループを設置いたしました。この議論の中で顕在化した課題等に対応するということで、昨年5月に災害対策基本法を改正したとともに、市町村が避難指示等の発令基準、伝達方法等を定めたマニュアル等を作成する際の指針である避難情報に関するガイドラインを改定したところでございます。
 このガイドラインにおきましては、災害対策基本法の改正を踏まえまして、委員から御紹介があった避難勧告と避難指示の一本化、それから、警戒レベル5、緊急安全確保については、自宅や近隣の建物で緊急的に安全確保を促す情報ということで整理されましたし、警戒レベル3の名称については、早期避難を促すターゲットを明確化するということで高齢者等避難に見直したところでございます。
 県におきましても、災害対策基本法の改正内容につきましては、市町村の主管課長会議、それからワークショップ等で周知を図ってまいりました。
 それから、令和元年台風第19号につきましては、振り返り報告書におきまして、市町村による避難指示の発令が夜間になったという課題がございました。多くの人が夜間に避難したと見られるという課題を踏まえまして、できるだけ早期の避難指示の発令と日中の避難完了に努めることについて、県の地域防災計画に追記したところでございます。
 また、岩手県の風水害対策支援チームから助言を受けて県が市町村に助言を行う仕組みがございますけれども、この助言に関する記者発表に際しまして、住民に対しまして、より切迫感が伝わるように、報道機関を通じてそういったことを伝えていきたいということで、大型スクリーンの活用などで、助言内容、防災上留意すべき事項について伝える取り組みを行ってきたところでございます。
〇佐々木朋和委員 御説明ありがとうございました。国の法律が変わって、より強く避難を呼びかけることができるようになったということですけれども、やっぱり夜間の避難は、結局、自助だけでは難しいのだろうということだと思います。やっぱり公助、共助のところで、避難に対するサポートや考え方を、より県がリーダーシップをとって明確化していかなければいけないのではないかと思います。
 例えば、夜間であれば、避難所に行くことよりも垂直移動のほうがいいのかとか、あるいは支援者への取り組みについても、やはり地域でまとまってやっていかなければいけません。今回のトンガ沖地震においては、専門家の中でも、車移動についてはタブーとされていたのですけれども、夜間においては、高齢者に対しては車での避難も想定に入れながら計画を立てていかなければいけないのではないか。あるいは避難指示者に対して避難者数が圧倒的に少ない中で、避難指示者の範囲も適切なのかといった議論もされているとお聞きしております。
 そういった中にあっては、先ほど御説明がありました昼間に避難指示を出せればいいのですけれども、今回のように突発的な場合は出せない。やはり夜間の避難そのものについての対策も、より強化していかなければいけないのではないかと思います。
 その中で、夜間避難の課題と、また、冬場の避難の課題をどのように県としては捉えているのか、お示しいただきたいと思います。
〇中里防災課総括課長 冬場、それから夜間の避難における課題ということでございます。
 県におきましては、今回の災害対応を検証するために、沿岸12市町村からヒアリングを行ったところでございます。市町村からは、夜間であること、それから避難場所の寒さを敬遠して避難をちゅうちょした方がいらっしゃったのではないかといった課題が挙げられているところでございます。
 また、昨年12月の国の被害想定におきましては、冬場の路面凍結、積雪路面での徒歩での避難速度については、やはりそれ以外の季節に比べれば避難速度が低下するといったところも指摘されております。特に、避難行動要支援者につきましては、さらに避難速度が低下するといったことも見込まれるところでございます。こういったところが課題として挙げられているところでございます。
 県が現在検討を進めております地震津波被害想定でございますけれども、定量的な被害想定に加えまして、津波避難計画の策定指針の改定、減災に向けたソフト対策についても示すこととしております。
 今回顕在化された冬場の夜間の避難における課題を踏まえて、避難意識の向上、避難場所の整備、防寒対策、自動車による避難の対象者、具体的な避難手順などの減災対策について検討してまいります。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いします。御指摘しましたけれども、もちろん津波、地震対策は最優先されながら、内陸も含めて、台風被害、水害も含めて防災体制全体の中の議論として深めていただき、ぜひ、各市町村と連携しながら強化に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、岩手緊急事態宣言について伺いたいと思います。
 今、2回目となる岩手緊急事態宣言中であります。1回目は8月に行われまして、県民に不要不急の外出自粛を要請しました。行っていた飲食や宿泊の補助も停止した状況でありましたけれども、専門家委員会の中で、今後の対応として、公共施設の利用制限や飲食店等への時短要請については、一定の条件のもと緩和することも考えられるというような指針も示された中で、今般2回目となる宣言については、県民に不要不急の外出自粛を求めるものではなく、また、宿泊補助も現在継続しております。
 しかし、岩手緊急事態宣言という名称が同一ということもあるのでしょうか、飲食店、宿泊施設―宿泊は、現在も補助事業が行われておりますけれども、大きな影響を受けていると認識しております。
 また宣言期間も、前回は1カ月程度でございましたが、今2カ月と長期化しておりまして、今後、なれの危険も出てくると認識しております。
 今、国のまん延防止等重点措置の基準の主なものは、病床使用率に変わっております。前回は10万人当たりの感染者でございました。それが変わったのですけれども、県の宣言は今もなお10万人当たり15人以上、また、解除は10万人当たり10人以下という条件になっております。そうなると、全国ではまん延防止等重点措置が解除されているのに、岩手県は緊急事態宣言が継続しているというような状況も想定されております。
 来年度、考えたくはないですが、もしかしたら第7波、第8波ということで緊急事態宣言をやる可能性もあると思います。そういった中で、今後の岩手緊急事態宣言の運用の方針はどのようにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
〇吉田総括危機管理監 岩手緊急事態宣言の運用方針についてでございますが、2回目となる今回の岩手緊急事態宣言については、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会の見解や、昨年11月に全面改定された国の基本的対処方針を踏まえ、オミクロン株の特性も考慮しつつ、これまでの知見を生かして、社会、経済活動への影響の軽減を図りながら、効果的な感染対策を実施する内容としたところでございます。
 岩手緊急事態宣言は、まん延防止等重点措置の要請の検討も視野に入るレベル3の感染状況に至らないようにすることを目的として実施しているものであり、他の都道府県におけるまん延防止等重点措置の終了について、岩手緊急事態宣言の解除と直接の関連はないところでございます。
 岩手緊急事態宣言の解除の考え方につきましては、これまでの県内の直近1週間の対人口10万人当たりの新規感染者数が10人を下回った場合に加えまして、新規感染者数の減少傾向が2週間程度継続した場合にも、県内の感染及び医療提供体制、公衆衛生体制の逼迫状況を踏まえて、県対策本部長が総合的に判断するとしているところでございます。
 現在、オミクロン株の特徴に対応した感染拡大防止対策の全体像を示すよう国に対し要請しているところであり、今後、国の基本的対処方針が変更された場合、本県における岩手緊急事態宣言の感染拡大防止策についても変更を検討するところでございます。
〇佐々木朋和委員 専門的な説明をしていただきまして、全部わかり切れなくて申しわけないですけれども、要は、今の運用でいくと、これからも岩手緊急事態宣言という名前のもと、それぞれに県民に対しては制限をしていただくところの呼びかけというのは、随時変わっていくということでしょうか。
〇吉田総括危機管理監 今回の2回目の岩手緊急事態宣言の内容が1回目と異なることについては、県の基本的対処方針の改正にあわせまして、対応の目安ということで概要をお示ししたところであります。それから、実施を決定した際につきましても、知事から、1回目と内容が異なることについて留意するというメッセージも発したところでありまして、その内容については、県民の皆様に御協力をお願いして、わかりやすい情報発信に努めているところでございます。
 今後におきましても、その内容につきまして、感染状況を踏まえながら、国の基本的対処方針や岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会の意見を伺いながら検討していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今のお話ですと、県としては、国の基本的対処方針の改定を行ったたびに、岩手緊急事態宣言の中身も変わっていくというようなお話でよろしいですか。
〇吉田総括危機管理監 効果的な感染対策となるよう、変異株等のウイルスの特性を考慮しつつ、対策を講じていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 わかりました。最後にコメントして終わりたいと思いますけれども、やはり新型コロナウイルスという未知のものに対して、さまざま対応が変わっていくのはそのとおりだと思いますけれども、県民に正しいメッセージが伝わるように努力いただきたいと思います。
 また、先ほどおっしゃったように、県の基本的対処方針によって岩手緊急事態宣言が変わるのであれば、前もって、県の基本的対処方針を変えたときに、今度、緊急事態宣言を出すのであれば、こういったものを出しますといったことを事前にお知らせいただいて、ぜひ感染防止と、また社会経済活動の両立を図るように努めていただきたいと思います。
〇岩渕誠委員 私からは、防災に関連してお尋ねしてまいります。
 新年度の事業に広域防災拠点設備等整備費が入っておりまして、これは一部新規ということになっております。新規の内容は、配置計画についての見直しと承知しております。いわゆる兵たん部門をどうするかというところでありますけれども、この現状の配置の状況、現状認識と課題について、まず伺います。
〇中里防災課総括課長 広域防災拠点配置計画についてでございます。
 東日本大震災津波に係る災害対応の検証を踏まえまして、平成26年3月に計画を策定したところでございます。
 この計画におきましては、自衛隊、消防機関等のベースキャンプ、ヘリポート、物資の搬入や荷さばき等ができる既存施設を中心に、県内全域で発生する大規模災害に対応する人、物、情報に関する機能を有する広域防災拠点につきましては、県央の盛岡、花巻エリア、それから、被災地に近い場所で支援を行う前進基地となる後方支援拠点につきましては、二戸、葛巻、遠野、北上の四つのエリアに配置しているところでございます。
 計画の策定から8年が経過しているところが課題と考えておりまして、その間、復興道路を初めとするインフラ整備の進展、それから、本県最大クラスの津波浸水想定の検討等、さまざまな外部要因の変化等もございます。この間のこういった環境の変化も踏まえまして、現況に即した見直しが必要と考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。現状認識と課題を伺ったわけですが、それを踏まえて、今後、計画の見直しの基本的な方向性はどう考えていますか。
〇中里防災課総括課長 計画見直しの基本的方向性についてでございます。先ほど申し上げました復興道路等のインフラ整備の進展にどう対応するかといったところ、それから、近年頻発、激甚化する風水害災害についてどう対応するか、また、災害の広域化といったところもございます。こういったことについてどう対応するかが見直しの視点と考えております。
 新年度、令和4年度におきましては、外部有識者、関係機関などで構成いたします(仮称)アドバイザー会議を設置いたしまして、こういった見直しの視点、論点等について検討していただきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 要は、今の答弁の中でポイントの一つは、風水害災害も対象にするという理解でいいですね。
―はい、わかりました。(後刻、中里防災課総括課長より訂正あり)
 それで、今話がありましたけれども、復興道路の完成ということであります。確かに現状を見ますと、沿岸部には拠点がないわけであります。これは、まちづくりが進展中であることを踏まえて、当時は沿岸部には配置しなかったわけでありますけれども、より前線での兵たんの必要性は当然あるわけでありまして、この辺はどのように考えていますか。
〇中里防災課総括課長 沿岸部への拠点配置の必要性の前に、先ほど風水害災害を対象にすると言った件でございますが、現在は、地震津波等を対象とした広域防災拠点と整理しているところでございます。今回の見直しに当たりまして、新たに風水害災害についても広域防災拠点の対象とするかどうかについて議論いただくということで、現時点では、風水害災害については、入れ込むということではなくて、今後検討をお願いしたいということでございました。失礼いたしました。
 それから、沿岸部への拠点配置の必要性でございます。現在、委員御指摘のとおり、沿岸部には後方支援拠点が配置されていないところでございます。しかしながら、震災から11年が経過していることで、三陸沿岸道路にあっては、東日本大震災津波の浸水区域を回避するなど、災害に強い道路が整備されているといった状況もございます。
 また、浸水想定についても現在検討が進められているということで、今後、新たな浸水想定地域が公表予定といった状況もございます。
 こうした計画策定後の変化にも対応した配置計画となるよう、新たな後方支援拠点の配置についても検討が必要と捉えてございます。
〇岩渕誠委員 説明はわかりました。これは、いろいろアドバイザー会議などをやるのはいいのですけれども、県の意思として、沿岸部にはつくるのだ、というものがないと進まないと思います。はっきりしてください。
〇中里防災課総括課長 沿岸部への配置の必要性についてでございます。繰り返しになりますけれども、新年度、(仮称)アドバイザー会議を設置いたしまして、その中で専門的な見地、それから市町村行政、関係機関の活動に詳しい方からの意見も踏まえまして検討していくことを考えております。
〇岩渕誠委員 戸舘復興防災部長、やっぱり我々は大きな被害を受けてこの場に立っているわけです。だから、この検討を専門家に任せ、委ね切りではなくて、意思を持って委ねないとだめだと思います。もう一度伺います。
〇戸舘復興防災部長 先ほど防災課総括課長から答弁いたしましたけれども、今回の配置計画見直しの視点の基本的な方向性として、復興道路等のインフラ整備の進展をしっかりと受けとめて見直しをしていくことにしておりますので、それは当然、沿岸部への後方支援拠点の配置が視野に入っての検討ということをアドバイザー会議にお願いするということであります。
〇岩渕誠委員 そこまで言っていただくと納得いたします。
 さて、沿岸部の配置については、今、方向が示されたわけでありますが、現状で、広域支援拠点は飛行場のある花巻エリアということになるのですが、後方支援拠点については、二戸、葛巻、遠野エリア、そして北上エリアということになっております。これは、実際の一番初めの拠点配置計画のときにも議論したのですけれども、県南部のほうがちょっと薄いのではないかということです。やっぱりその辺の、バランスをとっていかなければいけないということと、風水害を災害想定の中に入れたとなりますと、これは県南部にも必要なものだと思います。これについてはどうお考えですか。
〇中里防災課総括課長 県南部への拠点の配置につきましては、委員から御紹介あったとおり、北上エリア、遠野エリアに配置しているところでございます。
 一方で、近年、気候変動等の影響によりまして災害が激甚化、頻発化している状況にございます。広域的な災害がふえているところから、県境をまたいだ応援、受援といった対応についても、どう対応していくかも含めまして、さらなる後方支援拠点の配置についても検討課題と考えております。
〇岩渕誠委員 きのうの岩手県の150周年はどうなのだという話じゃないですけれども、伊達藩にもないとだめだと私は思います。今、県境の部分もということでありますので、それは先ほどの戸舘復興防災部長答弁に準ずるものと受けとめたいと思います。
 さて、この広域防災拠点ですけれども、現状は、いわゆる兵たん部門の確保ということで、ロジスティクスの関係のところが強いわけでありますが、私はこれを、単なるいわゆる倉庫という考え方から、防災拠点でありますから、例えば防災情報の提供であったり、拠点というのがどこにあるか、多分地元の人たちすら知らないと思います。だから、やっぱりそこに行って、何か最新の防災の情報がわかるとか、そういうようなバージョンアップをしていかないと、せっかく防災拠点を配置するのに、ただの倉庫ということでは、私は税金をかけるのであればもうちょっと工夫が必要ではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。
〇中里防災課総括課長 広域防災拠点につきましては、既存の施設の活用を前提として整備してまいりました。それぞれの施設の設備等を最大限活用しながらやっていくのが基本となっています。今回の見直しに当たりましては、各市町村に対しまして、広域防災拠点として活用可能な施設について、現在、照会、調査を行っているところでございます。調査結果についても、新年度の活用を検討していくところでございます。
 情報発信という課題がございますけれども、市町村からの回答結果なども含めて、どういった機能が提供できるのか、また、どういった機能が必要なのかを総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ぜひ、そこに行って何かを得られるような、そういった工夫も、もちろん予算がない中で既存施設を利用するというのは大前提ですけれども、ソフト的な面で何かを考えないと、せっかく今まで積み重ねてきた教訓を共有するのはとても大事なことですから、そこについてはぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 2点目、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震について私も伺います。
 この被害想定は、本当に東日本大震災津波を超えるものであって、特に津波は、東日本大震災津波のL1から、グレードが上がってL2の津波が想定されるということであります。これについては、各市町村とも県はいろいろと協議をされているのだと思います。その中で多重防災という考え方が出てきたと思うのですけれども、今後の新しい想定についての具体的な防災対策あるいは事前復興の考え方はどう整理していますか。
〇中里防災課総括課長 現在、県におきましては、浸水想定、被害想定に取り組んでいるところでございます。浸水想定で使用した地震、浸水域等のデータを被害想定の検討に活用していくということで、連携して取り組んでいるところでございます。
 それから、国が昨年12月に公表した日本海溝・千島海溝沿いの被害想定につきましても、被害想定の項目、それから手法について、今回の被害想定調査に活用するということで取り組みを行っているところでございます。
 具体的には、地震津波による人的被害、物的被害、鉄道、道路、港湾等の被害箇所数、断水人口、停電件数といったインフラ被害について、市町村ごとに定量的な被害を示すということで取り組んでおります。
 被害想定を取りまとめるということで、これを市町村の津波避難計画の策定に資する県の指針の改定、それから減災に向けたソフト対策についてもお示しするということで、先ほど伊藤勢至委員のところで申し上げましたけれども、本年8月の公表に向けて作業を進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 これは、当初は6月の末に公表予定でした。8月になった理由は何ですか。
〇中里防災課総括課長 当初、3月までに被害想定の計算作業を終えた後に、市町村等への説明を行いまして、6月までの公表を目指してきたところでございます。
 この被害想定につきましては、先ほど申した国の被害想定に加えまして、防災対策を踏まえて検討するということで考えておりましたが、昨年12月に公表された国の被害想定については、定量的な被害量の公表にとどまったところでございます。
 今後、被害を軽減するための減災対策について国から示されるということですので、それを受けて検討するタイムスケジュールで考えたところ、当初予定していた6月を、やはり8月に見込まざるを得ないといった状況にございます。
〇岩渕誠委員 災害は待ってくれませんので、国が、スケジュールどおりやってくださいと言うけれども、スケジュールどおり国の被害想定が来ないですから、ぜひとも前倒しできるものは前倒しをしていただきたい。
 逆に言えば、その時間を、どうしてもそれまでかかるというのであれば、東日本大震災津波以降整備した避難計画であったり避難の状況については、もう一度再点検する必要があると思います。先ほど車での避難という話がありました。新型コロナウイルス感染症対策の中では、やはり避難所に入るよりは車で行ったほうが感染対策上いいというようなこともあります。それから、実際に歩いての避難を言われていますけれども、例えば東日本大震災津波伝承館から一番近いところまで歩いていくと、20分から25分かかります。災害を勉強しに来た人が、25分歩いていかなければいけない。中には不自由な人もいるでしょう。そういったときに、果たしてそういうことでいいのか。避難タワーを東日本大震災津波伝承館の前につくったほうがいいのかとか、もう一回そういう検証をして、それは早くやらなければいけないと思います。
 これは、全ては財源によるものだと思います。被害想定とセットで、本来は閣法で、内閣から財源対策を明示して早急にやるべき話ですけれども、先ほど紹介がありました自由民主党の議員連盟で今やっている。今国会に提出ということでありました。会長は鈴木俊一財務大臣だそうですから、これは私も期待しております。
 ただ、これを見ていると、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法と同じスキームですから、補助率を2分の1から3分の2にかさ上げするとか、あとは津波で30センチメートル以上の浸水が地震発生から30分以内に生じる地域をベースにするとか、基本は変わらないと思います。ただ、そこに寒冷地、低体温症というところが入ってくるのですが、問題は、この進め方です。多分これは戸舘復興防災部長もそんなに反対しないと思いますけれども、この法律の適用を受けるには、一旦、特別強化地域を指定するわけです。そして、それに基づいて事業計画をつくらなければいけないのです。そうすると整備までまたかなり時間がかかるわけです。
 ところが、岩手県のような被災地は、これをやっているわけですから、この手順を相当簡素化して吹っ飛ばさないと、次のときに間に合わないということがあります。これは議員立法でつくっても、実際のところの運用は省庁がやりますから、財源と合わせてこれをきちんとやらないと間に合わない。この問題はあると思いますけれども、認識を伺います。
〇戸舘復興防災部長 今、御指摘がありましたとおり、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に関して、法改正の動きがあるということで、委員御紹介のとおり、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法を先例としてのものとなると思われますけれども、そこにしっかり対応できるように事前の準備はしていかないといけないと思っております。そこはしっかり認識しております。
 今、津波被害想定の作業、これは先ほど御指摘ありましたとおり8月公表を見込んでいますが、幾らかでもこれを前倒しできるようにしたいと、我々もそのように思っておりますので、全力を尽くしてまいりたいと思います。新たな検討項目が出てきて、ずるずる先延ばしにするという考えはありませんので、現段階の状況のものを踏まえて、遅くとも8月までにはしっかり公表できるように準備してまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 これは前に向かって話したほうがいいのか左に向かって話したほうがいいのかよくわからないけれども、法律上のたてつけは、必ず事業計画をつくってやらなければいけないということです。これは相当時間がかかる話です。復興だってそうでした。やっぱり事業計画ありき。それは確かに大事なのだけれども、これをやっているとどんどんおくれてしまっている。けれども、岩手県は、もうそういうベースがあって、どこに課題があるかがわかっているのだから、そこをかなり吹っ飛ばしてやらないと、また同じことが起きてしまうから、これは早くやったほうがいいということなのですが、どう思いますか。
〇戸舘復興防災部長 御指摘を踏まえて検討してまいりたいと思います。
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午前11時6分 休 憩
午前11時22分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、最初に被災者の生活再建を支援するいわて被災者支援センターの問題について、本会議に続いて取り上げたいと思います。
 きのうの岩手日報に遺族アンケートというものが報道されました。健康面の変化で、悪化、やや悪化と答えたのが54.3%、経済的な変化で悪化しているというのが50.4%と、大変深刻な状況が丸11年を迎えてもあるのだと。
 こうした中で、昨年5月からいわて被災者支援センターが設置されました。これは、実は10年間は沿岸4地域に県が被災者相談センターを設置していたのです。その規模を半分にして新たな形で再編したというのが実態だと思います。
 しかし、私は、11年目以降もこうした被災者に寄り添った生活再建を支援する体制をとったことは評価をしたい。ただ、今の被災者の深刻な実態に十分対応できているのかという点でいけば、私は、本会議でも指摘したように、この体制は不十分なのではないかと思います。
 まず最初に、1月末までの相談件数や弁護士等の相談件数を示されましたが、2月末の件数は出ていますか。
〇下川被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの2月末の相談件数についてでございますが、そちらは、今、委託先で内容等について精査している段階で、県への報告はまだいただいておりません。
〇斉藤信委員 聞けばわかると思うのです。私は2月3日にいわて被災者支援センターを訪問して、取り組みを聞いてきました。2月3日ですから、これは12月末までの相談件数だと思いますけれども、相談回数が773回でした。1月末が995回でしたから、月で大体100件を超えるような相談があったということになります。
 県内外の避難者の実態調査をやって、いわて被災者支援センターの存在が周知されて相談件数が増加している、こういうお話でした。だから、周知されて、相談件数がある意味、尻上がりでふえている。
 本会議で相談件数の状況に応じて、相談支援員を増員するなど柔軟に対応していると知事は答弁したのです。相談支援員増員といっても、県の予算は人員4人分です。これを増員したら、委託事業者が自腹で人をふやすしかないのではないですか。
 県はこの増員の実態に対してきちんと手当てしているのでしょうか。
〇下川被災者生活再建課長 いわて被災者支援センターの相談支援員の増員についてでございますが、いわて被災者支援センターの体制につきましては、今年度開設当初、職員6名でスタートしたところでございます。6名のうち相談業務に携わる職員は4名でございました。その後、相談業務を行う職員を年度途中に2名増員しておりまして、現在は相談を行う職員が6名となっております。
 こちらにつきましては、昨年度末にいわて被災者支援センター開設に当たりましての企画競争を実施したところでございます。その際に、いわて被災者支援センターの受託先となりましたNPO団体から、職員を7名置くということでの企画提案をいただきまして、その後いろいろありましていわて被災者支援センターがスタートになったところがございますので、今年度の委託料につきましては、年度途中での変更はしておりません。
〇斉藤信委員 今年度も来年度もいわて被災者支援センターの委託費というのは、相談員が3名、事務職員が1名という人件費しか見ていないのです。それを今答弁あったように、それでは足りないから、相談員を最初から4名にして、事務職員を2名にして6名でスタートした。そして、さらに2名ふやしたということでしょう。だから8名体制ですね。人件費は4名分しか見ていないのです。私は、やっぱり実態に即してこれは手当てをすべきではないかと思います。
 戸舘復興防災部長、委託費は人員4名しか見ていない。しかし、実際は今8名体制でやっているということ、これはきちんと手当てすべきことではないでしょうか。
〇戸舘復興防災部長 いわて被災者支援センターの運営に係る予算につきましては、先ほど被災者生活再建課長から答弁したとおり、企画提案に基づいて措置をしている状況でありまして、その人件費は4名分ということであります。その中で、いわて被災者支援センターで兼務のような形のものも含めて、相談体制を構築しながら対応していると承知しております。
〇斉藤信委員 だから、結局、人件費4人分では対応できない相談業務、弁護士の相談体制に対応しているのです。私は、そこをしっかり見るべきだと思います。
 お聞きしますけれども、伴走的な支援で個別支援計画を何件作成されているかわかりますか。
〇軽石義則委員長 答弁できますか。
〇下川被災者生活再建課長 個別支援計画の策定数でございますが、委託先からは毎月報告をいただいておりましたが、申しわけありません、今は手元に持っておりませんので、後から回答させていただきたいと思います。1月末の数字でございます。
〇斉藤信委員 伴走型支援というのは、例えば弁護士にこれまで81回相談をすると。弁護士の相談というのは、事前に予約をして、その相談の中身を整理してやるのです。そして、そこで一定の解決策が示されたら、その中身によって個別支援計画を立てて、その後のフォローもしているのです。
 私が2月3日に聞いたときには、133件の個別支援計画を立てていました。この時点で終了したのは24件ということでした。だから、伴走型支援というのは、1回相談すれば終わりではないのです。
 今回の目的は生活再建、特に困難で複雑な課題に対応する。だから、毎週弁護士との相談もしているのです。その準備からフォローからやっているわけです。そして、相談件数全体が増加しつつある。
 今までは、10年間は4カ所でやった。それを今、釜石のセンターと内陸のサブセンターでやっているわけです。私はそういう意味で、相談業務、伴走型支援、これは全国のモデルになるような取り組みだから言っているのです。全国のモデルになるような取り組みを今やり始めているから、全国でいろいろな災害があって被災者が出たときに、岩手県はこう取り組んだというモデルになるような取り組みをしっかり進めていただきたい。
 そこでもう一つ、これは本会議の答弁でもあったのですけれども、避難者のアンケート調査をやりました。帰郷希望者、岩手県に戻ってきたい、沿岸に戻りたい、これが県外の方は36世帯、県内の方は42世帯、合計78世帯でありました。この帰郷希望者が求めている必要な情報は何でしょうか。
〇下川被災者生活再建課長 今年度実施いたしました県外及び県内避難者に対する実態調査の結果でございますけれども、帰還する上で支障となっていることにつきましては、家の再建のめどが不明、県内や避難元市町村に仕事が見つからないなどという回答があったところでございます。
〇斉藤信委員 避難者実態調査をやったのはいわて被災者支援センターですけれども、分析したのは県です。
 正確に言いましょう。第1位は、仕事のこと48%、第2位は、住まいのこと48%、第3位が、生活資金のこと46.1%、第4位が、体や心の健康のこと38.8%でした。
 だから、私は、78世帯が今度の調査で帰郷したいと、これは貴重だと思います。帰郷できるように、今求めている情報に基づいて支援を継続する、このことが大変重要だと。
 そしてもう一つ、まともに答えないでしょうから私が言いますけれども、帰郷希望者が今の生活で困っていること、一つが、体や心の健康のこと32.4%、生活資金のこと24.4%でした。
 せっかくそういう避難者の調査をやって実態を把握したのだから、それを踏まえた支援の継続、強化、体制の強化も含めてしっかり進めていただきたい。予算が決まったからこの枠の中でやってくださいということではなくて、その相談の内容や件数が増加したら、私は、その状況に応じて必要な委託費も含めて柔軟に考えるのが当然だと思いますけれども、改めて戸舘復興防災部長に聞きましょう。
〇戸舘復興防災部長 この実態調査の結果として、今お悩みのこと、帰還する上で支障となっていることは、今、委員御紹介のとおりでありまして、県では、災害公営住宅の募集案内ですとか、いわて暮らしサポートセンター等の情報を送付するなど、帰還に向けて支援を開始しているところでございます。
 また、帰還希望者の詳しいことをしっかり把握して支援につなげていくために、回答があった78世帯に対しまして、順次いわて被災者支援センターが連絡をとって個々の状況を確認している段階でございます。令和4年1月末現在で、21世帯に連絡をとってやりとりをしている状況であります。
 引き続き、避難者の帰還につながるように、市町村とも十分に連携をし、また、いわて被災者支援センターとも十分な意思疎通を図りながら、支援を継続してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 被災者支援センターについては、私以外にもこの予算特別委員会でも議論になりました。きのうは朝日新聞が取り上げました。きょうは岩手日日が、被災者支援センターについて注目して報道もしています。大変注目されている取り組みですから、本当にこれが全国のモデルになるような取り組みにしていただきたい。
 私は本会議で言ったのですけれども、岩手県こころのケアセンターは、今も四つの沿岸地域に地域センターを設けて、ここは1カ所8名から9名の体制です。全体で52名の体制でやっているのです。知事は、岩手県こころのケアセンターは減らすつもりは全くない、中長期でやりますと言明をしています。
 私は、被災者支援センターもそういう位置づけで、せめて岩手県こころのケアセンターの1カ所並みの8名、9名の体制が必要な、そういう重要な生活再建を、だから心のケアと生活再建の支援というのは両輪だと思います。そういうことでしっかり進めていただきたい。
 2番目の課題に入ります。来年度、実は被災者住宅再建支援事業費補助1億1、590万円余予算が計上されています。これは、県が市町村と共同して100万円の補助を行うということでありますが、来年度、住宅再建を希望している再建の見込み世帯数はどうなっているでしょうか。
〇下川被災者生活再建課長 被災者住宅再建事業費補助の関連でございますけれども、本制度を創設した平成24年度から令和4年1月末までに1万255件、県と市町村を合わせた補助額で144億7、662万円余を補助したところでございます。
 来年度の当初予算案に当たりましては、市町村等から支給見込み件数を調査いたしまして、全体で187世帯を見込んだところでございます。
〇斉藤信委員 来年度も187世帯の方々が住宅再建を予定しているということで、私は大変重要だと思います。そういう点でいくと、内訳をいいますと、複数世帯が135世帯、単数世帯が52世帯ということでお聞きしています。しっかり住宅再建を支援していただきたい。
 当初、住宅再建というのは、岩手県は1万件ぐらいを見込んで、それを超えて独自の自主的再建が進んでいるということですから、私は、住宅再建に対する支援策が功を奏していると。特に、県の市町村と共同した100万円と合わせて、沿岸市町村も200万円、300万円の支援をしました。沿岸市町村の住宅再建の補助の状況を示してください。
〇下川被災者生活再建課長 市町村の住宅再建に係る独自施策の状況でございますが、今年度、10市町村におきまして、建設、購入費へのさらなる補助ですとか借り入れに対する利子補給の補助などの独自事業を実施しているところでございます。
〇斉藤信委員 県と相まって市町村もこういう支援をやって、厳しい中でも被災者の自主的再建が進んできたと思いますので、しっかり支援をしていただきたい。
 次に、3番目の課題です。被災事業者支援について、地域基幹産業人材確保支援事業のこれまでの実績、来年度の見込みはどうなっているでしょうか。
 沿岸地域起業者等成長支援事業について、これまで起業した女性、若者など164者の状況と、それへの支援の状況はどうなっているか示してください。
〇澤田復興くらし再建課総括課長 まず、地域基幹産業人材確保支援事業についてでございますが、本事業は平成27年度から実施しておりまして、昨年度までの6年間で、宿舎整備事業を16者、家賃補助事業を4者、職場環境改善事業を2者が活用しておりまして、計22者に対しまして8、100万円余の補助金を交付したところでございます。
 また、今年度につきましては、宿舎整備事業を2者、職場環境改善事業を5者が活用しておりまして、1、500万円余を交付決定しているところでございます。
 来年度につきましては、市町村を通じた要望調査を行い、これに基づき宿舎整備事業5者、職場環境改善事業2者の活用を見込んでおりまして、補助金等として2、401万5、000円を当初予算案に計上しております。
 次に、沿岸地域起業者等成長支援事業についてでございますが、平成25年度から昨年度までの8年間で計164者に対して起業、新事業の支援に係る補助金を交付してきたところでございます。こういった事業者の方々へのさらなる支援ということで、今年度から取り組んでいるものでございます。
 状況といたしましては、この補助金の交付先に対して、一定期間、事業の実施状況の報告を求めております。そういった中で、今年度報告のあった事業者につきましては、令和元年と令和2年の比較で売り上げ状況、実施状況の報告を求めたところ、事業者の約6割が令和元年よりも売り上げを伸ばす状況になっております。一方で、約4割の事業者につきましては、売り上げを落としている状況にございます。
 交付先の事業の継続と成長をサポートするため、県の商工会連合会に専門経営指導員1名を配置いたしまして、経営問題を抱えている方や新たな取り組みを行う方などへの経営指導を実施しております。あわせて、より専門的な支援が必要な方に対しては、専門家を派遣いたしまして、さまざまな支援を行っている状況でございます。
〇斉藤信委員 水産加工などで技能実習生などの宿舎整備に支援してきた。私は、かなり積極的な取り組みだったと思います。
 あわせて、164者の若者、女性の起業を支援してきた。これは貴重ですが、これが継続されないで、それをフォローする取り組みになってしまった、これはちょっと残念です。フォローの取り組みももちろん大事ですけれども、私は、やっぱり攻めの起業をさらにきめ細かに支援する取り組みも必要なのではないかと思います。
〇澤田復興くらし再建課総括課長 沿岸事業者の起業支援等でございますが、県では、震災直後から支援を行ってきたところでございます。そうした中で、現在、県のほかの支援制度でありますとか、商工会とか商工団体でもさまざまな支援制度、市町村でもそういった制度を取りそろえている状況を踏まえまして、県はアフターフォローに専念する、そちらに力を入れるということで、今年度から事業の取り組みを変更させていただいたところでございます。こういったところで寄り添う支援を行っていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 県内要配慮者利用施設の避難確保計画策定状況と避難訓練の実施状況、それから、今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
 今、全国で自然災害が多発している中で、要配慮者利用施設の避難確保計画の策定を急ぐこと、さらには、避難訓練の重要性が増していると思いますので、これまでの状況、今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
〇中里防災課総括課長 まず、要配慮者利用施設の避難確保計画についてでございます。令和4年1月末時点の策定率は90.4%となっております。また、同様に避難訓練の実施率につきましては83.4%でございます。
 県におきましては、定期的に庁内関係部局との連絡会議を開催いたしまして、防災に関する情報共有、それから取り組みに係る意見交換を行っています。
 また、市町村等に対しましては、計画策定率の低い市町村について、施設管理者等を対象とした講習会等を開催しているということで、この講習会を通じて、避難確保計画の策定をしてもらうように取り組んでいるところでございます。
 また、本年度、県の総合防災訓練でございますが、会場となりました西和賀町の要配慮者利用施設の避難訓練を行ったところでございます。その成果については、実施結果報告書を取りまとめまして、各市町村にも情報共有を図って、普及啓発にも取り組んでいるところでございます。
 今後についても、全ての対象施設におきまして、計画策定、避難訓練が行われるよう、市町村とも連携して取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 ただいまの答弁で、策定率が90.4%、避難訓練の実施率が83.4%ということで、これだけ見れば非常に頑張っていると言えるわけですが、ただ、いかんせん、担当部の説明を前回いただいたときに、浸水想定区域と土砂災害警戒区域内にある対象施設数が、いわば分母が大きく減っている。そのために策定率が上がったり実施率が上がったと思います。
 どれだけ減ったかというと、前回7月31日分で1、378カ所あったわけです。それが1月31日現在で1、244カ所に134カ所減っています。これはなぜ減ったかが問題なのですけれども、国が策定率あるいは避難訓練の実施率を高めるために、市町村が本来地域防災計画にのせなければならないけれども、それらも県は、必要な施設だということで全部入れていたのです。私は岩手県がやってきたことが正しいと思うのですが、いかんせん国は、市町村の防災計画にまだのっていないところは載せるなという指示があったと思いますけれども、これ自体、大変なことだと思います。
 最初に言いましたように、自然災害が多発している中で、いわば自分で移動できない、避難できない方々でありますから、そういう施設にいらっしゃる方については、早く計画を立てて、避難訓練もやる、これが、いわば事業者に課せられた、水防法、土砂災害防止法の改定でそれが義務づけられたのに、国はそれらから減らすというか、分母を減らす指示をしてきていると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
〇中里防災課総括課長 要配慮者利用施設でございます。社会福祉施設、医療施設、学校といったところが対象となるものでございます。
 委員からお話があったように、こういったところが分母としてこれまで集計を行ってきたわけですけれども、国の統計との整合性を図る観点からも、市町村の地域防災計画で指定を行っている施設を対象として、今回集計を行ったところでございます。そういうことから、市町村におきましては、市町村地域防災計画への施設の掲載を進めていかなければならないと思いますし、事業者におきましては、計画の策定、それから、計画に基づく避難訓練の実施をどんどん進めていくことが必要となってまいりますので、県におきましては、市町村と連携して、講習会の実施、関係部局とも連携して計画策定、訓練実施、それから、地域防災計画への掲載について進むように取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 今、御答弁あったように、市町村の地域防災計画にまずのせることが大前提ですね。それをやることが第一ですし、また、今回、例えば分母から消されたところが134施設もあります。それらについては、水防法、土砂災害防止法の適用から免れるわけではなくて、むしろ、もっと努力しなければならないということで、県も市町村とタッグを組んでやる必要があると。むしろ、昨年までの答弁よりも責任が増しているのではないかと思いますが、市町村の受けとめはどうでしょうか。
〇中里防災課総括課長 市町村におきましては、今年度も担当者レベルの会議、それから年度当初の防災担当課長会議等におきましても、地域防災計画策定、避難確保計画、それから訓練実施の重要性について説明し、私どもからも計画策定、訓練実施を促進するよう要請しているところでございます。
 市町村地域防災計画に盛り込んでもらうところが大事だと思いますので、そういったところを中心に取り組みを進めてまいります。
〇千田美津子委員 一つ確認しておきたいのは、統計との整合性をとるためにとお答えいただきましたけれども、結局は、国からの指示があったということで理解してよろしいですか。
〇中里防災課総括課長 従前、県におきましては、対象となる施設を市町村地域防災計画にのっている、のっていないにかかわらず集計してきたわけですが、やはり国との集計を比較しますと、どうしても数字のずれが出るところがあります。そこについては、市町村とも相談して、地域防災計画に掲載している施設を対象とした集計としたところでございます。
〇千田美津子委員 集計云々よりも、実態がどうなのかが、担当は重々わかっていることだと思いますが、やっぱりそういう危険性があるところがこんなにもあるのに、それをなくしてしまって本当にどうなのかなと。それで適正な統計と言えるのかどうかが問われると思います。
 それで、今回の対象施設数から全くなくなった市町村が6市町村もあるのです。今まで対象施設とされていた市町村の中で、今回の国の指針によって、いわばゼロ、見えなくなったところが6市町村も出てきました。それから、対象施設数が30以上も減っている市町村が3カ所。いずれ、全体では15市町村でこの対象施設数が減ってしまっている。私は、これが適正な統計と言えるのかどうかが本当に疑問であります。
 最終的には、住民の命を守る取り組みを国としても県としても進めていく必要があるのに、統計上、避難計画の策定率が本当に高くなっているように見せるような統計の出し方が、果たして正しいのかどうかという点では本当に疑問があります。ぜひ、県としても、市町村と本当に連携しながら、多分、市町村の防災計画にのせられていない市町村は、体制上も大きく問題があるかと思います。そういうところには、県としてもこれまで以上に支援をしていただいて、まず計画をつくる、そして、施設については計画を策定させ、そして訓練を実施してもらう。そういうことまでぜひ手だてをお願いしたいと思いますので、もう一度お聞きします。
〇中里防災課総括課長 種々御指摘いただいたところでございます。繰り返しになりますけれども、年度当初、4月に予定しておりますが、市町村防災担当課長会議において、ただいま出された課題等について、改めて市町村には伝えて、見直しを要請してまいります。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。現場が頑張っているのは重々わかっているのですけれども、やっぱりそういうつじつま合わせみたいなものがやられてくると非常に疑問です。これは県の責任ではありませんので、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 では、二つ目、コロナ禍での地域コミュニティーにおける防災体制の強化と地域防災力強化プロジェクト事業の現状についてお聞きしたいと思います。
〇中里防災課総括課長 まず、地域防災力強化プロジェクト事業でございます。構成事業として、実践的な研究、検証を通じてモデル事例をつくるということで行っております自主防災組織活性化モデル事業がまずございます。それから、自治会の行う防災研修会等に対しまして、消防とか行政のOBの方をお願いしております地域防災サポーターの派遣、それから、自主防災組織の中核人材の育成を目的とした防災士養成研修に取り組んでおりまして、こういった事業を通じて、地域コミュニティーの防災力の向上に取り組んでいます。
 また、今年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、地域防災サポーターによる講演については、オンラインで実施するなど、感染対策にも工夫しながら事業を行っているところでございます。
 加えまして、自主防災組織の現状を知りたいということで、平成29年度に1度行っておりますが、自主防災組織に対しまして実態調査を今行っているところでございます。どういった組織のプロフィールなのか、どういった活動を行っているのかといったところをお聞きしているところでございます。
 また、地域防災サポーター向けにもアンケートを行っておりまして、今後どういった活動を行ってもらうかといったあたりを検討したいというところで、こういった実態の把握にも努めたところでございます。
 いずれ、自主防災組織については、地域の防災力の向上に多大な貢献をいただいている組織でございます。引き続き、市町村と連携して、組織の活性化、組織がないところについては組織化について取り組んでまいります。
〇軽石義則委員長 この際、千田美津子委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 千田美津子委員、御了承願います。
午後0時1分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 続けて質問させていただきます。
 コロナ禍の中でもさまざま事業に取り組んでいただいて、本当に御苦労があると思います。そういう中でちょっと気になっているのが、自主防災組織の実態調査をやられて、その結果を踏まえながら取り組んでいくという方向が示されておりますけれども、今、県全体では組織率は88.4%となっています。これについてどのような調査結果だったか、そして、どのようにしていくか、本当に集まること自体が大変な中ですが、その点一つお聞きしたいと思います。
〇中里防災課総括課長 自主防災組織の組織率でございます。委員から御紹介あったとおり、令和3年4月1日の組織率は88.4%でございます。組織数についてはふえている傾向にございますが、一方で、県北、沿岸部の組織率が低い傾向にあるというところが課題だと捉えています。
 このため、本年度におきましても自主防災組織活性化モデル事業を行ったところでございます。本年度については、公募を行いまして、釜石市の中妻地区、それから久慈市の東広美町をモデルとして取り組んでいるところでございます。組織化、活動の活性化に向けた支援について、岩手大学の先生方の御協力をいただきながら、課題の洗い出し、それからワークショップ等を行ってまいりました。
 この取り組みを通じて、この二つの地区においては、地域の災害リスクの認識、それから、災害時要配慮者、支援者の分布について地図に落とすといったマップ化による整理などの成果が得られたところでございます。
 令和4年度におきましても、自主防災組織活性化モデル事業に取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは次に、風水害対策支援チームについて、お聞きしたいと思います。
 県の防災対応力をさらに向上させる上でも、風水害対策支援チームの役割はますます重要かつかなめになってくると思います。それで、コロナ禍ではありますけれども、この間の取り組みを通じて、新年度こうやっていくということがあれば教えていただきたいと思います。
〇中里防災課総括課長 風水害対策支援チームでございます。台風等によります風水害が予測される場合に、集まっていただいて、気象情報を集めることによって、今後、風水害が起こり得ると予想される地域の絞り込みを行った上で、警戒を要する時間帯、それから防災上の留意事項など、県から市町村に対する助言内容について検討するチームでございます。
 今年度におきましては、7月の台風第8号の接近の際に支援チーム会議を開催いたしまして、それを受けて、県から全市町村に対して助言を行ったところでございます。
 このチームの活動でございますが、平常時におきましては、盛岡地方気象台と連携いたしまして、市町村職員を対象とした研修会、図上訓練を行っています。市町村長が気象情報を踏まえて適時適切に避難情報を発令することができるように、市町村の支援も行っているところでございます。
 課題としては、やはり避難率の向上が大きいかと思っています。市町村や住民に対しまして、差し迫った危機が伝わるように県からの防災情報の発信を工夫する必要があると考えています。
 このため、今年度においては、先ほども答弁申し上げましたけれども、市町村への助言内容に関する記者発表を行いますが、その際に、より効果的に切迫度合いが伝わるように、県の大型スクリーンを活用して助言内容、防災上留意すべき事項を伝えるなどの取り組み始めたところでございます。
 新年度におきましても、出水期前にチーム員連絡会議を開催いたしまして、連携体制の確認、強化を行うとともに、防災情報の発信について工夫してまいります。
〇千田美津子委員 大変だと思いますが、引き続き、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後の質問ですが、被災者の参画による心の復興事業でありますけれども、これは、被災者自身が参画し、活動する機会の創出等を通じ、被災者が生きがいを持って生活することなどを支援する民間団体等の取り組みに要する経費を補助しているものだと思いますが、これまでの実績と今後の見通し、そして課題についてお聞きしたいと思います。
〇下川被災者生活再建課長 被災者の参画による心の復興事業についてのお尋ねでございますが、県では、平成29年度から、被災者の参画による心の復興事業について開始しているところでございます。今年度までに延べ46団体が事業を実施したところでございます。
 今後の見通しについてでございますが、令和4年度におきましても、引き続き補助事業を実施しまして、支援団体を通じて被災者の心の復興を図ることとしているところでございます。
 課題についてでございますが、事業終了後も被災者が自主的に活動を継続するためには、取り組みの企画、計画の段階から被災者自身が参画することが重要であると考えておりますが、そのような取り組みがなされるよう、中間報告会や今年度から実施している審査委員会による現地視察等の場を通じまして、各団体への助言を行っているところでございます。
〇千田美津子委員 これまで46団体ということでお話がありましたが、新年度はどれくらいの団体が取り組む予定でしょうか。
〇下川被災者生活再建課長 令和4年度の実施団体についてでございますが、実施に関しましては、4月以降に補助団体を募集する予定でございます。令和4年度につきましては7団体(後刻「8団体」と訂正)程度の実施を想定しているところでございます。
〇小林正信委員 今、千田委員からも質問がありましたけれども、私からも、被災地のコミュニティー形成支援について質問があります。
 震災から11年目を迎えるに当たって、復興防災部も、また知事も、このコミュニティー形成支援、また心のケアの充実を何度も述べられております。コミュニティーの維持ではなく形成ということですので、この11年間、コミュニティーづくりについてはまだ形成途上にあると考えております。県として、このコミュニティー形成の現状についてどう考えているのか、また、11年間このコミュニティー形成の支援を行ってきた部分もあるかと思うのですけれども、成果とその現状についてお伺いしたいと思います。
〇下川被災者生活再建課長 コミュニティー形成の現状についてでございますが、被災者が恒久的な住宅など新しい環境で生活をするためには、住民がお互いに支え合うコミュニティーの形成が重要であると認識しております。
 そのため県では、市町村社会福祉協議会への生活支援相談員の配置や災害公営住宅等への地域見守り支援拠点の設置、市町村及びコミュニティー支援を行う民間団体等の調整役となるコーディネーターの配置などに取り組んでいるところでございます。
 これらの取り組みによりまして、令和3年9月末現在で、災害公営住宅184カ所中172カ所で自治会が設立されるなど、コミュニティー形成が進みつつあると認識しております。
 一方で、災害公営住宅入居者の高齢化や自治会の担い手となり得る世代の退去、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるイベントや交流機会の減少など、被災地のコミュニティー形成や維持、継続に向けた課題も明らかになっていると認識しております。
〇小林正信委員 そうした課題を受けて、引き続きコミュニティー形成事業を行っていくということだと思いますし、また、今、コーディネーターの支援というお話もありました。
 このコミュニティー形成について、二つの事業についてお伺いしたいと思うのですけれども、まず一つ目の、被災地コミュニティ支援コーディネート事業は、500万円の増額でコーディネーターを増員すると答弁でも何回かございました。これまでのコーディネーターの取り組みの状況と増員に至った背景、増員によって今後どのように取り組みが充実するかなど、今後のこの事業の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇下川被災者生活再建課長 来年度のコミュニティ支援コーディネート事業についてでございますけれども、今年度までは、コーディネーターを配置しまして、住民に身近な自治体である市町村とかコミュニティー支援を行う民間団体等の連携が必要であることから、そういうところへの調整役、またノウハウの提供を行うコーディネーターを配置しまして、被災地と内陸の災害公営住宅を設置している市などに対して助言等を行ってきたところでございます。
 また、過年度には、これまではコミュニティー支援員ですとか自治会役員等といった地域のキーパーソンの育成などにも取り組んできたところでございます。
 来年度、平成(後刻「令和」と訂正)4年度につきましては、こうした取り組みに加えまして、コーディネーターを増員しまして、災害公営住宅における自治会運営に関する課題解決に向けた助言ですとか、自治会運営のノウハウの共有等を目的とした交流会の開催などを行いまして、コミュニティー形成に向けた自治会活動への支援を強化していきたいと考えております。
〇小林正信委員 コーディネーターお一人お一人の活動が非常に重要となってくると思いますので、引き続き、この取り組みは充実させていっていただきたいと思うと同時に、もう一つの事業、先ほど千田美津子委員からもお話があった被災者の参画による心の復興事業について。これはさまざま事業の取り組みをお伺いしましたけれども、およそ1、000万円の減額となっております。この減額の理由についてお伺いしたいと思います。
〇下川被災者生活再建課長 今御質問ありました心の復興事業をお答えする前に、済みません、先ほど私、被災地のコミュニティ支援コーディネート事業のところで元号を間違えて、令和のところを平成と申し上げましたので、訂正させていただきます。申しわけありませんでした。
 次に、被災者の参画による心の復興事業についてでございますが、来年度の当初予算案におきましては1、811万円を計上しまして、今年度の当初予算の2、812万円に比べまして約1、000万円の減額となっております。こちらにつきましては、これまでの交付実績、実際に補助団体に交付になりました補助実績を踏まえまして、補助事業者数を見直したことによるものでございます。一応、今年度と同程度の補助ができる内容になっていると認識しております。
〇小林正信委員 事業者数を見直すというお答えでございました。コーディネーターの増員については評価いたしますけれども、例えば、被災地のNPO等による支援事業も1、300万円の減額となっておりまして、被災地のコミュニティー支援に関しては、全体的には予算として後退しているという印象を受けました。
 予算が減っているということは、今、事業者を選んだというお話もありましたけれども、被災地で活動している民間団体が、自分たちで自立できるようになったからということなのか、それとも活動する人が減っているからということなのか。そのあたりの状況がもしわかっていれば伺います。民間団体がしっかりひとり立ちできるようになってきているのか、それとも活動する人自体が減ってきているのでコミュニティー支援の額も減ってきているのか、そのあたりの状況がもしわかれば、教えていただければと思います。
〇下川被災者生活再建課長 当部で行っております被災者の参画による心の復興事業についてでございますが、こちらは、御案内のとおり、被災者自身が主体的に参画して活動する機会を創出することで、被災者が他者とのつながりや生きがいを持って前向きに生活することを支援するということで、被災者の前向きな活動につながるような、その活動に対する補助を行っているものでございます。支援団体の運営費等の支援というような補助の性格ではないことを御理解いただければと思います。
 事業者の減少についてでございますが、過去に補助金を受けた事業者等の個別の状況につきましては確認していないので、明確な理由については把握しておりませんが、応急仮設住宅から災害公営住宅など恒久的な住宅への移行を初めとする復興の進展に伴いまして、市町村や市町村社会福祉協議会による見守り等のさまざまなコミュニティー支援の取り組み、また、例えば介護福祉の分野などでも、住民主体による介護予防の取り組みとか、さまざま住民が交流するような機会がふえていると思います。そういうことによりまして、外部団体からの取り組みも少し減ってきたかと感じているところでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響も多少あるかもしれませんが、例えば、数は多くありませんが東京都のほうから岩手県に来て心の復興事業を行っていた団体も、あったわけですが、そういうところが活動を控えたというような背景も多少あるかと考えております。
 いずれ、必要な時期に必要な支援が届くように、引き続き、本事業の周知には努めてまいりたいと思います。
 あと、コミュニティーに関しましては、来年度、先ほどお話ししました被災地コミュニティ支援コーディネート事業におきまして、コーディネーターを配置しまして、これまでは、どちらかといいますと市町村ですとか支援団体に対してのコーディネートだったり助言だったりという形の支援を行ってまいりましたけれども、来年度は、市町村等の意向も聞きながらということにはなりますが、実際に災害公営住宅の自治会などに対する支援も予定しているところでございます。
 引き続き、コミュニティーの形成については取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひお願いしたいと思いますし、市町村とか社会福祉協議会の取り組みにも少しずつコミュニティー支援等が移行している部分もある、また、最終的には、こうした民間団体とかNPOも自立していく必要もあると思うのですけれども、11年目でまだコミュニティー形成に課題がございます。ハード面の整備によっての予算の減少に引っ張られて、ソフト面での対策の予算も減少しているのかもしれないといった危惧もあります。今後、心のケアもそうですけれども、コミュニティー形成支援をしっかり充実できるような予算の配慮をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、沿岸地域起業者等成長支援事業について伺います。この事業の概要とこれまでの取り組み状況、そして、こちらも予算が昨年から減額になっておりますけれども、その理由についてお伺いしたいと思います。
〇澤田復興くらし再建課総括課長 沿岸地域起業者等成長支援事業についてのお尋ねでございます。
 まず、事業の概要でございますが、本事業は、沿岸地域において復興まちづくりに合わせて新しいビジネスを立ち上げた事業者や、販路の回復、新商品開発等に積極的に取り組む事業者の事業の継続や成長を支援するものでございます。
 具体的には、岩手県商工会連合会に専門経営指導員を1名配置し、平成25年度から昨年度まで、県が起業、新事業等に係る初期費用補助金を交付して支援いたしました164者への巡回指導を行うほか、経営課題の解決、クラウドファンディングの活用、ECサイトを通じた販路開拓及び新型コロナウイルス感染症の影響を克服する取り組み等について、専門家を派遣して支援しております。
 これまでの取り組み状況と予算の減額理由についてでございますが、本年2月末現在で、専門経営指導員によります経営指導が40者、専門家派遣による現地指導が30者に51回、このうちクラウドファンディングに関する専門家派遣が2者に対して3回となっております。
 来年度の当初予算案におきましては1、099万3、000円を計上しておりまして、今年度当初予算の1、157万2、000円に比べまして57万9、000円の減額となっておりますが、こちらにつきましては、クラウドファンディングに関する専門家派遣につきまして、今年度の派遣実績に基づきまして、回数でありますとか単価を見直したこと等によるものでございます。減額にはなっておりますが、今年度と同程度の活動ができる内容として計上しております。
〇小林正信委員 被災地で起業した方たちは、復興に伴って新たなことに挑戦できるのかなとか、そういう希望を持って移住してこられた方もいらっしゃるかもしれない。県としても、被災地における新たな取り組みを十分にこれからも支援していただきたいと思いますけれども、この支援事業と、例えば、今、岩手イノベーションベースとかございますし、また、きのうも質問させていただきましたが、地域おこし協力隊のネットワークといったあたりとの連携も大事かと思うのですけれども、この事業との連携状況についてお伺いしたいと思います。
〇澤田復興くらし再建課総括課長 岩手イノベーションベースや地域おこし協力隊など他事業との連携についてのお尋ねでございます。
 まず、岩手イノベーションベースとの関係でございますが、委員御承知のように、こちらにつきましては、令和2年9月に開設されてございます。岩手イノベーションベースにつきましては、毎月、先輩の起業家等を講師としてお招きいたしまして、講演やディスカッションを行う月例会や、経営者によるメンバーが、事業経験や課題等の共有により経営活動への気づきや、学びにつなげるフォーラムを開催しております。こういった月例会、フォーラムの開催情報を、当課でこれまでの起業、新事業の支援活動を通じてつながりを持った沿岸地域の事業者の方々に御紹介するなどの連携を図っているところでございます。
 岩手イノベーションベースにつきましては、年商1億円の起業家の輩出を目指すということで取り組んでおりまして、岩手イノベーションベースの支援策とは異なりまして、本事業による支援先につきましては、沿岸地域の日常生活に密着した小規模な事業者の方々が多いところでございます。そういう形でちょっと違いがあるわけではございますが、その中でも成長を志向する事業者の方々もいらっしゃいますので、そういった方々に対しましては、岩手イノベーションベースが行う取り組みは非常に参考となるものと考えております。こういった取り組みも活用して、事業の成長に結びつけていただけるように、今後も連携を密に図っていきたいと考えております。
 また、地域おこし協力隊につきましては、協力隊の制度の中に起業支援メニューが組まれておりまして、活動を終えた隊員の方々が任期を終えられて起業する際に、そのメニューを活用して起業を行っているという状況でございます。そういった起業に関しましては、協力隊のメニューを活用するケースが多いと把握しておりますが、実際、起業した後にいろいろ課題とかも生じることと思いますので、そういった課題につきましては、地元の商工団体等にもし相談等が寄せられましたら、当課の本事業においても必要な支援を講じていきたいと考えております。
〇小林正信委員 起業家に対するこうした支援とか地域おこし協力隊の取り組みなどで、若い世代の方々が被災地で活躍する姿が目立ってきているかと考えております。今後、これらの取り組みをさらに伸ばしていただいて、特に、さらに被災地における起業、あとはまた、少し大きく、ベンチャー企業の活躍とか、そういった取り組みをぜひ創出していただけるようにお願いしたいと思います。
 以前、秋田県の取り組みを紹介させていただいたことがあるのですけれども、土着のベンチャー企業ということで、ドチャベン事業を取り上げさせていただいたことがあるのですが、これがかなり秋田県で結果を出しているということです。大都市よりも、こういった被災地のような課題先進地、課題が多い地域で起業家やベンチャーが伸びていることが、この事業が成功している一つの証明になっているかという気もします。
 今後、例えば起業家が入居したり交流したりできるインキュベーション施設みたいな、こういった既存の建物を利用したり、施設をつくったり、そういった施設の設置とか被災地における事業の枠をさらに広げていくような、応援するような、支援もしながら新規事業を被災地で創造していくような取り組みも必要になっていくかと思うのですけれども、そのあたりの今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇澤田復興くらし再建課総括課長 今後の取り組みについてでございますが、沿岸地域におきまして起業や新事業活動への進出が積極的に行われ、事業者の方々が地域経済の牽引役となっていただけるよう、来年度につきましては、引き続き、岩手県商工会連合会に専門経営指導員を配置するとともに、課題に応じて、こういった事業者の方々に専門家を派遣いたしまして、事業の継続でありますとか成長をサポートしていきたいと考えております。
 また、沿岸地域の各市町村や地元の商工団体、岩手イノベーションベースのような全県的な組織との情報交換や連携の強化も図りまして、起業や新事業を行いやすい環境を整えてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇下川被災者生活再建課長 先ほど千田美津子委員からの御質問で、被災者の参画による心の復興事業の令和4年度の予算計上の見込み事業者数についてお答えした際に、7団体とお答えしましたが、8団体でございますので、訂正させていただきます。申しわけございませんでした。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興防災部関係の質疑を終わります。
 復興防災部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇石田企画理事兼環境生活部長 それでは、令和4年度岩手県一般会計予算のうち、環境生活部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 初めに、当部における予算編成の基本的な考え方でありますが、東日本大震災津波からの復興を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の推進を図るほか、重点テーマであるグリーン社会の実現に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。復興の推進については、災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築に取り組むとともに、NPO等が行う復興支援活動等を支援してまいります。
 次に、10の政策分野についてですが、家族・子育てについては、青少年が、個性や主体性を発揮して自立した活動ができる環境づくりに取り組むとともに、動物愛護の意識を高める普及啓発の取り組みなどを推進してまいります。
 居住環境・コミュニティについては、水道施設の広域連携や市町村等が実施する耐震化や老朽化対策等の支援に取り組んでまいります。
 安全については、消費者施策を推進するとともに、いわて飲食店安心認証店における新型コロナウイルス感染症対策の徹底と利用促進に向けて取り組んでまいります。
 自然環境については、生物多様性の保全や自然との触れ合いの促進、良好な大気、水環境を守る活動や、三陸ジオパークに関する取り組みなどを推進するとともに、廃棄物の発生抑制や再使用、再生利用の推進、産業廃棄物の適正処理の推進などに取り組んでまいります。
 また、温室効果ガス排出量2050年実質ゼロに向けて、新たに、水素ステーションや燃料電池自動車の導入支援などに取り組んでまいります。
 参画については、男女共同参画社会の実現に向けた環境の整備を行うとともに、若者の活躍支援や、企業等におけるワーク・ライフ・バランスの推進など、女性の活躍支援に取り組んでまいります。
 以上が、環境生活部の令和4年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございます。
 続きまして、予算議案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。環境生活部関係の予算は、3款民生費2項県民生活費の一部と、7ページに参りまして、4款衛生費2項環境衛生費、9ページに飛びまして、12款公債費1項公債費の一部及び13款諸支出金2項公営企業負担金の一部を合わせまして、総額120億7、414万3、000円であります。これを前年度当初予算額と比較いたしますと13億6、300万円余の増となります。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、当部関係は、3産業廃棄物処理施設整備事業促進であり、これは、同事業に係る周辺環境整備事業について、工期が翌年度以降にわたることから、債務負担行為を設定しようとするものであります。
 以上で、環境生活部の予算関係議案についての説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小西和子委員 私からは1点、ジェンダー平等社会実現についてお伺いいたします。
 いわて県民計画(2019〜2028)の当初の案には参画は含まれていませんでした。県内の女性リーダーの皆さんが声を上げ、やっと全項目のベースとして入りました。ジェンダーの主流化ということになります。
 SDGsの5番目の目標は、ジェンダー平等を実現しようということです。これまでジェンダー平等―男女共同参画と県では言っていますけれども―を牽引してきました岩手県男女共同参画センターの果たしてきた役割について伺います。
〇高橋若者女性協働推進室長 岩手県男女共同参画センターが果たしてきた役割についてでありますが、岩手県男女共同参画センターでは、毎年6月の男女共同参画フェスティバルの開催や、男女共同参画サポーター養成講座、復興・防災への女性参画促進のための研修などのほか、女性のための就労相談、LGBT相談など各種事業を実施しておりまして、令和2年度の講座や相談の利用実績は、新型コロナウイルス感染症の影響で減少したものの、延べ8、636人となっております。
 岩手県男女共同参画センターは、男女共同参画に向けた県民の実践活動の場であるとともに、学習機会の提供、相談対応、情報の収集、提供などを行う総合拠点として重要な役割を担っており、今後とも、その機能を十分に発揮できるよう推進してまいります。
〇小西和子委員 数年前に東北地方の男女共同参画センターを調査いたしましたときに、予算、人員、業務内容を調査したのですけれども、驚いたことに、岩手県のセンターは、予算は本当に限られた額でありましたが、業務内容は多岐にわたっていました。全国的にも、多くの成果を上げているということで高く評価されているということを聞いております。
 全国的にはこのような直営のセンターが、私が調べたときには12あったのです。半数は直営でしたので、そこの都道府県では、男女共同参画、ジェンダー平等という政策をすごく重要視しているのだなと思いましたし、岩手県を初め、民間委託しているところもあります。
 そういうことで、これからも岩手県男女共同参画センターの活動を注視していきたいのですが、多分これは全体の予算が減っているからだと思いますが、次年度の予算額が減額になっていることは残念だと思っております。
 次に、コロナ禍での女性のためのつながりサポート事業の意義についてお伺いいたします。
〇高橋若者女性協働推進室長 女性のためのつながりサポート事業の意義についてでありますが、昨年7月に開設したいわて女性のスペース・ミモザでは、本年1月末現在、精神不安や子育て、仕事等に係る延べ562件の相談に対応してきたほか、市町村や大学等に対して延べ4、110人分の女性用品の提供を行ってきました。
 コロナ禍で女性が抱えるさまざまな困難を受けとめ、寄り添った支援を行うミモザの取り組みは、女性一人一人の安心感の醸成や課題の解決に向けた糸口に結びついているものと認識しております。
〇小西和子委員 いわて女性のスペース・ミモザの活動ですけれども、相談も電話、対面、メール、オンライン、あと専門家にもつないでいるということですし、サロンを開設したり、出張相談もしている、女性用品の提供も、大学、中学校、高校、団体ということで、ほとんどの市町村に行っております。コロナ禍で困難を抱えている女性の皆さんが、本当に望んでいる活動だったのではないかと思います。次年度も、この活動をさらに強化して、困難を抱えている女性の助けになれればいいのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、私がきょう一番皆様方に訴えたいことを申し上げます。次年度のいわて県民計画(2019〜2028)関係の三つの重点テーマの一つが人口減少対策です。たくさん事業が提起されているのですけれども、ジェンダーギャップ解消の視点がやや欠けているのではないかと思いましたので、取り上げてみました。
 タイムリーなことに、きのうだったでしょうか、発表がありました。2021年住民基本台帳人口移動報告がありまして、本県の女性は男性の2倍流出しているということで、男性が987人に対し、女性は2倍超の2、025人。男性と比べた女性の転出超過は全国的にも顕著でありますけれども、特に本県では、非常に差が大きいということでして、女性に仕事で選んでもらえるように地方が知恵を絞らなければ、今後も同様の傾向が続くと有識者が言っております。
 それで、私がずっと注目していた兵庫県豊岡市は、ジェンダーギャップ解消戦略を策定いたしまして、何とかこのギャップを埋めようという取り組みをしております。兵庫県豊岡市のジェンダーギャップ解消戦略のはじめにというところの中貝宗治市長の言葉をちょっとだけ読みます。
 気がつくと、若い女性たちが、まちからすーっといなくなっていました。
 20代で男性は2人に1人帰ってきているのに対し、女性は4人に1人しか帰ってきていませんでした。
 若い女性たちが、豊岡に住みたいと思っていないのではないか?豊岡があまりに男性中心社会であることに最大の要因があるのではないか?女性が住みたいと思うまちを創り上げない限り、まちは女性に選ばれず、衰退の道を歩むほかはありません。
 ほんのちょっとした文ですけれども、私は、ここからすごい危機感を感じまして、これは岩手県も同じではないかと思います。
 そこで伺います。岩手県における若年女性の人口流出に歯どめをかけるためにも、ジェンダーギャップ、男女格差解消に取り組むべきと考えます。女性も働きやすく働きがいを感じる事業所をふやすことを通じた職場のジェンダーギャップ解消の取り組みを、まず始めてはどうでしょうか。
 続いて、職場に加えて、家庭、地域、学校を含む県全体のジェンダーギャップ解消に向けた取り組みについて、環境生活部が中心になり議論を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
ただし、数年前に調べたのですが、環境生活部の男女共同参画担当の予算がどんどん減っていて、人員も減っているという動きがありましたので、本当にかなり負担になるのであれば、全庁的にぜひこの取り組みをして、女性に選ばれる県になってほしいと思うのですけれども、石田環境生活部長、よろしくお願いします。
〇石田企画理事兼環境生活部長 女性に選ばれる県として率先してというお話でございました。確かに、自分も気づかなかったのですけれども、東京都に行って、大学を卒業して戻ってきたときには、非常に違和感を感じました。それまで何も気づかなかったのですが、東京都に行って戻ってきたときに、何というか、今まで住みやすかったというか気づかなかったところが、あれっと感じたところでございます。
 それから、男女雇用機会均等法の制定から三十数年がたちました。やっと、女性の活躍が求められるようになって、企業も、やはり非常に危機感を持っていると感じております。今までは女性の活躍ということでやってきたのですけれども、今は、社会全体、岩手県全体が、女性が働きやすい環境にしなければならないというのは、非常に危機感を持っているなというのは、このごろは非常に感じているところでございます。
 そこで、環境生活部が中心になってということでございます。今までも部局横断で、女性の活躍について、それから、審議会の女性の委員についても大分働きかけてきたのですけれども、いずれ、危機感を持って取り組んでまいりたいと思っておりますので、委員の皆様方も、どうぞお力添えをよろしくお願いしたいと思います。
〇小西和子委員 心強い答弁をいただきました。
 工藤勝子委員も先日お話になりましたけれども、どんな指標があるのか、今取り組んでいるさまざまな政策でも、ジェンダーギャップを解消しようというところもあるのですね。それを、これとこれはこの部分では雇用の部分だそうだよとか、学校ではこうだよとかというものが可視化されるようになって、ことしはこのくらい進んだねとか、頑張れば届くような目標を掲げて取り組んだらいいのではないかと思うのです。
 例えば、これは県教育委員会のほうですけれども、混合名簿。今は性別で分けない名簿と言うのですけれども、これも本当に岩手県は全国で下の下の下、九州地方か岩手県かというくらい、東北地方の他県はもうとっくに実現しているのに岩手県は遅かったのです。でも、2022年までに100%にしますと県教育委員会が掲げたのですね。それで、県立高校はもう何年も前から100%なのです。小学校、中学校の多忙化で夜中まで働いている人たちも、これはだめだ、頑張らなければならないというので、小学校は80%台、中学校は70%台までアップしたのです。
 やはり目の前に目標があると、このことを頑張れば女性に選ばれる県になると頑張るのではないか、取り組みを強化すると思いますので、何とか環境生活部を中心に全庁的に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇佐々木宣和委員 大きく二つ伺いたいと思います。まず一つ目が、営業施設経営指導費について、3、892万円余でございますけれども、今、コロナ禍で長期化しているところもあって、非常に苦しい状況にあります生活衛生事業者の組合、また、その公益財団法人岩手県生活衛生営業指導センターの支援体制、コロナ禍でこれまで取り組んできたことと、令和4年度、新しい年度の体制について伺いたいと思います。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 生活衛生営業者に対する支援体制についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した令和2年度以降、生活衛生営業者の経営等を指導する公益財団法人岩手県生活衛生営業指導センターにおきまして、国等の融資や給付金の申請等の相談にワンストップで対応するための相談窓口を設置し、事業継続や経営再建に取り組む生活衛生営業者に対する支援体制を構築してきたところでございます。
 具体的には、令和2年度は、中小企業診断士や税理士等8人から成る専門家チームを設置し、75人の経営特別相談員から成る申請支援チームの設置、加えて、指導センターの経営指導員を2名から4名に増員しまして経営相談等に対応しており、令和3年度は、社会保険労務士の増員など専門家を12人とし、経営特別相談員を77人に増員するなど、体制を強化して対応しているところでございます。
 令和4年度におきましても、令和3年度と同規模の体制を構築することとしており、生活衛生営業者の事業継続等を支援していくところでございます。
〇佐々木宣和委員 継続してそういった体制をつくっていただけるというところで、非常にありがたいと思っております。令和4年3月9日に、知事に対して、岩手県社交飲食業生活衛生同業組合など県内飲食関連5組合の方々から要望もあったところでありまして、何とかこの事業を継続してきたところでありますけれども、政策金融公庫からの借り入れの返済も始まるような時期でもあり、丁寧に対応していっていただきたいというところでございます。
 次に、カーボンニュートラルについて伺いたいと思います。
 令和4年度当初予算案の注力する取り組みとしてグリーン政策を挙げられております。その中で、体制としてゼロカーボン特命課長を配置するというところもあります。横断的な施策の推進ということも書かれているところでございますけれども、具体的に何を見る特命課長なのか。部局の進捗を見るということであれば、計画を持っているところで、環境生活部自体でその計画の進捗を図るところでもあると思いますが、部局横断で図っていくと、商工労働観光部や農林水産部などとも連携しなければいけないと思っておりますし、市町村の取り組みを支援していくところ、予算で言えば、事業化を前提として地域新電力等を支援していくというようなことも書かれているところでもあります。また、民間の進捗も、再生可能エネルギー導入低金利融資も書かれているところでございますけれども、この特命課長は、具体的に何を見る特命課長とするのか伺いたいと思います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 施策の推進体制についてでございます。グリーン社会の実現に向けた推進体制の強化を図るため、令和4年度は、委員から質問のありました特命課長及びグリーン社会推進課長を設置するということでございます。
 特命課長は、各般の施策の展開に当たり、庁内外のさまざまな主体との調整を担うということでございまして、具体的には、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に基づくゼロカーボンの取り組み、これは県内のさまざまな事業者であるとか県民への働きかけもございますし、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた市町村支援など、また、県庁内の調整といったものを想定しております。
〇佐々木宣和委員 再質問させていただきたいのですけれども、お話しされたことは、これまでも取り組んできたようなところでもある、それを拡充するのかもしれませんけれども、差分として、新しく役職を二つつくるというところでもありますので、要は、前と何が違って、どういったことを具体的にやっていくのかをもう一度お答えいただけるとありがたいのですが。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 これまでとの違いということですけれども、令和4年度当初予算案におきましても、グリーン社会の実現というところで、県有施設の再生可能エネルギー導入調査でありますとか、また、市町村に対する再生可能エネルギー導入のための計画策定の支援などを行うことも考えております。そのほか、新規事業として強化、拡充するようなもろもろの調整などを図る、ゼロカーボンに向けたものを図ることを想定おります。
〇佐々木宣和委員 具体的にお話しされましたけれども、事業に関して二つ伺いたいと思います。ゼロカーボン推進事業費の新規の部分、先ほども多少お話しいただいたかと思いますけれども、その部分を伺いたいと思います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 ゼロカーボン推進事業費の新規の事業の部分でございますけれども、県有施設約200カ所を対象とした再生可能エネルギーの導入に向けた調査を行いますとともに、専門家による県の各地区合同庁舎のエネルギー使用状況などを調査いたしまして、アドバイス、提案を行う省エネ最適化診断を織り込んだところでございます。
〇佐々木宣和委員 次に、J−クレジット制度に関して伺いたいと思います。昨年の決算特別委員会でも伺わせていただきましたけれども、国の制度でありまして、これはクレジットの商品をつくる側と買う側をどうつくっていくのか、上げていくのかということだと思っております。通告では、県南地域と県北地域の連携ということも書かせていただきましたけれども、これに関して伺います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 J−クレジット制度などのカーボンクレジットについてでございます。これは、売る側、買う側とおっしゃいましたが、温室効果ガスの排出削減または吸収量の増加につながる事業を実施するJ−クレジットをつくる人と、あと、これを使う人、購入する側との連携というところでございます。これは、国がクレジットとして認証する仕組みでございます。
 農林水産部の所管事業はありますけれども、昨年9月に開始いたしました県内金融機関等の仲介による、いわゆる県有林J−クレジットの購入を希望する企業とのマッチングの取り組みを行っております。今年度のこういった取り組みにより、2月18日現在の販売実績が昨年度の10倍以上と大幅に増加したところでございます。
 このように売り手、買い手のマッチングがうまくいくような、具体的に、買い手の企業が多くいるようなところと森林資源等エネルギー資源が多くあるところのマッチングなどが、うまくいくように取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 その取引が10倍になったというところは、すごくすばらしいことだと思っているところでございます。
 これも昨年の決算特別委員会のときにもお話ししたのですけれども、J−クレジット制度、カーボンクレジット制度みたいなものがなかなか浸透しなかった理由は、林業で言うと、民有林がこのクレジットに追加されるような話まで広がらなかったようなところがあった。今、県有林事業で、地方銀行や商工労働観光部などと組んでそういったことをやっていることはすばらしいところなのですが、民有林事業まで何とか広げていきたいというか、ストックする部分をもっとふやしていくためにはどうすればいいのかということを、何か考えられているのか伺いたいと思います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 民有林も含めた森林吸収量の取り組みでございますけれども、こちらは、主に森林政策ということでございます。県有林の間伐などによる森林資源を涵養していく取り組みと合わせまして、計画的に森林を整備していくということで、このJ−クレジットのもととなり得るような資源の涵養を進めていくことを、農林水産部などと連携して取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐々木宣和委員 県有林でやれる部分はいいのですけれども、何とか広げないと、一般的に、また地域というキーワードでも広がっていかないのではないかと思います。特に、林業の現状を考えると、民有林で吸収源対策をやるような除間伐みたいなものをしっかりやるのはなかなか難しいことがあって、今政策もいろいろ動いているところでもありますので、林業サイドとしっかり連携した上で取り組んでいただきたい。できる部分を何とか広げるような動きに努めていただきたいところでございます。
 最後に、CO2排出量をゼロにする、カーボンニュートラルというところでありまして、2018年の県の排出量が出ているわけですけれども、横ばいでなかなか厳しい状況ということはそのとおりであります。その数字の出し方としても、製造品の出荷額だったり世帯数だったりとあるので、なかなか難しいかというところはあるのですけれども、目標をしっかり立てて取り組んでいると。2020年までに1990年比で25%減らすと言っている中で、やれることをどんどん拡張していかなければいけないと思っております。
 県として、カーボンニュートラルに取り組む役割、その進捗管理までうまくできるのかというところもありますけれども、いろいろな主体に働きかけることだったり、連携のマネジャーになることだったりが期待されていると思いますが、このカーボンニュートラルに取り組む県としての役割を伺いたいと思います。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県の役割についてでございますけれども、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画に掲げる温室効果ガス2050年実質ゼロの達成に向けまして、県は、県民、事業者、市町村などの活動を促進するための技術的な助言や情報提供などを行うほか、県全体の地球温暖化対策の牽引役として、みずからの事務事業における地球温暖化対策を推進することとしております。
 近年の国内外での地球温暖化対策を取り巻く大きな状況変化を踏まえまして、令和4年度も引き続き、県民、事業者等の活動支援や県による率先した取り組みなどの強化、拡充を図ることとしておりまして、県民、事業者と危機意識を共有しながら、一人一人の行動につながるよう、オール岩手で気候変動対策に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 住宅宿泊事業法について伺います。
 住宅宿泊事業法施行から昨年9月で3年が経過しました。観光庁の住宅宿泊事業の宿泊実績を見ると、法施行から令和3年3月末までの岩手県の延べ宿泊人数は5、768人泊と、宮城県、福島県に次いでの3位でした。県としてこの辺をどう分析しているかお尋ねいたします。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 宿泊実績についてでございます。委員から御紹介がありましたように、延べ宿泊者数でございますが、本県は東北で3位ということで、各年度ごとに見ますと、平成30年度が1、097人、令和元年度が3、056人、令和2年度が1、615人となっている状況でございます。
 また、実際に泊まった宿泊者数の内訳でございますが、令和元年度は、国内利用者が73.1%、海外利用者が26.9%でございましたが、令和2年度は、国内が92.7%、海外が7.3%と、国内と海外の割合が大きく変動している状況でございます。
 こうしたことから、令和2年度の宿泊者数に新型コロナウイルス感染症の影響が出ているものと考えているところでございます。
〇高橋但馬委員 数値としては伸びてきているという捉え方でいいと思うのですけれども、全国的に好調なインバウンドの需要に支えられて、一時2万件を超えた届け出住宅数ですが、コロナ禍により大幅な減少に転じたと推測します。
 また、令和2年決算特別委員会の答弁では、新型コロナウイルス感染症を理由とした廃止は1件ということでしたが、現状をどう把握していますか。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 コロナ禍による影響の現状把握についてでございます。住宅宿泊事業の届け出事業者数でございますが、平成31年3月末で27件、令和2年3月末で23件増加の50件、令和3年3月末で11件増加の61件であり、届け出件数の伸びは鈍化しているところでございます。
 さらに、令和4年2月末では2件の減少に転じておりまして、現在の届け出事業者数は59件となっております。
 また、県内の事業廃止件数の総数でございますが、令和3年12月31日現在で16件となっております。事業廃止理由でございますが、広域振興局の保健福祉環境部等に聞き取りした結果でございますが、旅館業の営業許可の取得によるものが4件、賃貸借契約の解消によるものが4件、来客者が少なかったことによるものが2件、新型コロナウイルス感染症の感染を懸念したものが1件、住宅の利用方法の変更等事業者の自己都合によるものが5件となっている状況でございます。
 新型コロナウイルス感染症を理由とした廃止については、令和2年決算特別委員会の答弁時と変わらず1件であることから、事業廃止の面から見た影響は少ないものと認識しております。
〇高橋但馬委員 了解しました。
 他県では騒音や路上での迷惑行為等、民泊に起因するトラブルが発生していると聞くのですけれども、県内のトラブルの発生状況はどう把握していますか。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 県内の民泊事業者を起因とする苦情等の状況でございますが、広域振興局等に聞き取りしたところ、大きな問題は特に起きていないと確認しているところでございます。
〇高橋但馬委員 住宅宿泊事業者、いわて旅応援プロジェクトに登録しているところもあると思うのですけれども、登録状況と利用状況についてもお知らせください。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 いわて旅応援プロジェクトへの住宅宿泊事業者の登録状況でございます。先ほどお答え申し上げました令和4年2月時点における住宅宿泊事業の届け出事業者数59件のうち、5件となっているところでございます。
 利用状況につきましては、令和3年4月16日から8月14日までの第1弾では362人、令和3年10月1日から令和4年3月31日までの第2弾では238人の利用となっている状況でございます。
〇高橋但馬委員 インターネットなどで調べると沿岸地域のほうの民泊で非常に高評価のところもあるようですので、このまま使われていっていただきたいと考えるところであります。
 住宅宿泊事業法は、施行から3年で見直すということを聞いているのですけれども、国としての動きはどうなっているかお知らせください。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 住宅宿泊事業法の見直しについての国の動きでございますが、国に確認したところ、平成30年6月の法施行から1年半ほどたった令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により訪日外国人旅行者数が激減したことなどを踏まえまして、現時点における住宅宿泊事業の実態を把握するための調査を今後行いながら、どのような対応が必要になるのか検討していくということで、現時点で見直し等の動きにまではまだ至っていないというところでございます。
〇高橋但馬委員 コロナ禍を経て激変した新たな環境を踏まえた見直しを期待する声もあるということでありますので、ぜひとも、環境生活部でアンテナを高くして、国の情報を早くキャッチして、それを伝えるように努めていただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 自然公園の施設整備についてお伺いいたします。
 まず、登山道、遊歩道の改修が予定されておりますけれども、実施計画の具体的な内容をお聞きしたいと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 登山道、遊歩道の改修の実施計画についてでございますけれども、国立公園及び国定公園等の自然公園施設については、環境省の自然環境整備交付金を活用しまして、5カ年の整備計画に位置づけて、順次改修を行っているところでございます。
 令和4年度の事業についてでございますが、十和田八幡平国立公園の黒谷地湿原における木歩道の再整備、栗駒国定公園におきまして、北上市から奥州市にかけましての焼石縦走線歩道の再整備を計画しているところでございます。
〇工藤勝博委員 一昨年からのコロナ禍の中にあっても、八幡平も含めて登山あるいはトレッキング、そしてキャンプ場なども大変にぎわっております。そういう中での自然と親しむ自然公園でありますけれども、それらの環境整備ということで、前からそれぞれの地域の中では要望があったと思います。それらも含めて、早急に整備、そしてまた、岩手県の自然のすばらしさを多くの皆さんに親しんでもらうことは大変大事かと思っております。
 ただ、全体の予算枠が前年度より大分削られているということで、今後の整備を大変心配しております。前年度より4、300万円も減額ということは、何か別な要素もあったのでしょうか、お聞きしたいと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 減額についてでございますけれども、必要額については随時要望している状況ではございますが、本年度当初で、昨年度に比べまして国の交付金が6割減(後刻「4割減」と訂正)という状況もございまして、令和3年度の2月補正予算で盛り返したところもあるのですが、やはり必要なところを精査いたしまして、過不足なく国に要望していくような状況でございます。
〇工藤勝博委員 ぜひ十分な予算確保にも努めていただきたいと思います。
 それから、2点目になりますけれども、奥地等産業開発道路、いわゆる奥産道です。雫石町から東八幡平の歩く県道についてでありますけれども、平成19年6月29日に連絡歩道を含めて4.7キロメートルが供用開始されております。歩く県道なわけですけれども、その中で、私も県議会に籍を置くようになって初めて現地調査したのが、この歩く県道でありました。9月の終わりの紅葉真っ盛りの中です。
 そういうすばらしい県道があるわけですけれども、その中で、わかる範囲でいいですが、昨年、令和3年の利用状況等をお聞きしたいと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 いわゆる奥産道の利用状況がございますけれども、奥産道は、委員から御紹介がありましたとおり、整備済みの道路を既存の登山道とつなげまして、一連を登山ルートとして歩行者に開放されております。現在、たくさんの方々に利用されておりまして、特に紅葉時期、9月下旬から10月上旬にかけましてがピークと伺っておりました。令和3年度に調査した状況では、過去最高の約2、200人の方が、三ツ石山荘の前を通過していらっしゃったと伺っておりました。
 それから、先ほどの答弁だったのですけれども、国の交付金6割減と説明いたしましたが、4割減と訂正させていただきます。済みません。
〇工藤勝博委員 年々三ツ石周辺の紅葉は、マスコミもその時期にタイミングよく報道されているということで、本当にすばらしい岩手県が誇る財産だと思っております。大変活用される歩く県道ですけれども、ただ、その環境整備として、三ツ石山荘にはトイレがあります。その前も後もないということで、登山者の中には、大変不便だな、何とかしてほしいなと思っている方がいます。実際歩いてみれば、そのとおりなのです。手前のほうで用を足さなければだめだ。それをわかっている人はいいのですよ。わかっていないで歩く県道に入ると、どうしようかと大変な思いをします。それらも含めて、この歩く県道の環境整備をどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 混雑時の対応とトイレの部分でございますけれども、確かに、三ツ石山荘には二つトイレがございますが、かなり混雑しているとは伺っておりました。ただ、やはり登山者数のピークが、短い期間にすごく殺到するということもございますので、そちらのトイレの状況とか、あと、早池峰山で行っているような、登山者のマナーとして携帯トイレの携帯の励行につきまして情報発信したいと思います。また、リーフレット等も早池峰山等で配布しておりましたので、それらを参考にしながら啓発していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 登山マナーとしてはそういう事前の準備も必要だろうと思いますけれども、私も若かりしころは登山、山歩きをしました。なかなかそこまでの準備はしたことがないし、今でも携帯トイレを使ったこともありません。立派なさわやかトイレでなくてもいいと思うのです。期間限定でも使用できるようなトイレ、簡易トイレでもいいだろうと思いますけれども、それらは配慮するべきではないかと思います。
 いずれ、何もないと、やはり茂みの中に入っていきますよ。そういうことがあれば、ますます環境が悪化します。それらも含めて再度お考えを聞きたいと思います。
〇藤原自然保護課総括課長 さまざまな方策があるかと思います。簡易トイレを置くことも一つの案ではあるかと思いますけれども、いずれ、国や地元市町、あと観光協会等関係機関も含めまして、どのようなことができるか考えていきたいと思っております。
 早池峰山のほうですと、携帯トイレブースを設けて、そこで気兼ねなくできますので、それですと、私たちのほうでも取り組みやすい形がありますで、具体的にはそちらのほうも検討していきたいと思います。
〇工藤勝博委員 ぜひともお願いしたいと思います。地元の市町でも、あるいはまた観光協会でも、皆さんからの声が届いていると思うのです。ぜひそういう取り組みをしていただければ、できれば、これからのシーズンに間に合うようにお願いしたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーに関しての導入促進事業ということがありますけれども、一つは、再生可能エネルギーで取り組みやすい太陽光あるいは風力でありますが、今回、私は太陽光のメガソーラーに関しての状況をお聞きしたいと思います。
 今までも含めて、これからの事業計画も当然上っていると思いますけれども、その辺の設置状況をまずもってお聞きしたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 メガソーラーの状況ということでございますが、県内の1、000キロワット以上の太陽光発電事業につきましては、国の事業計画の認定件数が令和3年11月末時点で164件でございまして、稼働している施設は、令和3年9月末時点で145カ所でございます。
〇工藤勝博委員 それぞれ、今後もゼロカーボンに向けての取り組みやすい電源として多分太陽光が、メガソーラーが導入されると思うのですけれども、全国的にも、その設置場所によっては、地域住民に大変不安を与えているということがあります。
 特に、県内でも遠野市でしたか、表土をはいで、そしてまた、大雨のときに河川に泥流が流れた、あるいは全国でも、切り土ならいいけれども、盛り土のところに設置している状況、大変危惧されるような状況があります。その辺の実態調査は、県ではどういう形でなされているのかお聞きしたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 大規模な施設の導入に当たりましては、委員がおっしゃったとおり、土砂の流出、そのほか景観への影響、動植物の生息、生育環境の悪化などの懸念が指摘されているところでございます。
 調査ということでございますが、こちらにつきましては、国では、大規模な太陽光発電事業につきましては、環境影響評価法に基づくアセスメントの対象としておりますし、本県でも、環境影響評価法の対象とならない規模の太陽光発電事業につきましては、条例に基づくアセスメントの対象としておりまして、その中で調査しているところでございます。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 1点補足させていただきます。
 今、高橋温暖化・エネルギー対策課長から設置前のアセスメント等の御説明を申し上げましたが、昨年でしょうか、熱海市で太陽光発電設備近傍の土砂崩れ等があったということで、本県においても、県土整備部で県内の状況を確認していると伺っております。
〇工藤勝博委員 わかりました。特にメガソーラーは、地元の企業がやるのであればいいですけれども、大方は外資系とか他県の業者が多いので、その辺の配慮がなかなか行き届かなかったり、地元との協議も滞っている部分があります。十分に気をつけながら認可というか、直接的な県との契約ではないと思うのですけれども、そういうことに配慮していただければと思います。
 次に、再生可能エネルギーのFIT制度が始まって10年たちます。太陽光パネルが大分劣化しているところもあると思いますし、いろいろな状況の中で廃棄ということも当然出てきます。おととしの年末から正月にかけて、県内でも大規模な豪雪でかなり破損した太陽光パネルがあるわけですけれども、そういった場合の廃棄の仕方、処理の仕方、その辺は県ではどのような指導をなされているのかお聞きしたいと思います。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 廃棄パネルの処分についてでありますが、現在、太陽光パネルは、廃止された場合、産業廃棄物として適正に処理されており、貴金属は回収され、精錬工場などでリサイクルされております。
 県内においても、奥州市水沢にある業者が廃棄パネルのリサイクルシステムを開発しておりまして、そちらでは全量がリサイクルされている状況で、私も現場を見て、県南部で大雪で出た廃棄パネルが再利用されている状況を確認しております。
〇工藤勝博委員 県内にそういうリサイクルなり、あるいはまた解体もやってくれる業者がいることは、大変心強いと思いますし、これから数年内に相当大量の、更新になればいいけれども、そのまま放置するようなことも懸念されてもおります。そのときは、ぜひともそういう業者をあっせんしてもらって、安全な処理の仕方をしてもらい、最後に残ったものは最終処分場ということでよろしくお願いしたいと思います。
 もう一点です。メガソーラーの周辺の方から大変不安な声がありました。というのは、山林火災あるいは原野火災、そういう不測の事態が生じたときに、どのように消火するのか、どういう消火体制をとるのかということを、県ではどのように把握しているのかお聞きしたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 消火につきましては、メガソーラー設備で火災が発生した場合につきましては、放水等による通常の消火活動が可能であると考えております。
〇工藤勝博委員 SNS、インターネットでも、この件に関しては大変拡散されて、通常の消火はできないという情報もあったりします。それはなぜかと私もちょっと調べてみました。そうしたら、やはり電源が、電気があるから、水をかけても感電するという状況があるそうです。それらも正確な情報をこれから伝えながらやっていかないと、ただ水をかければ消えるというものではないと思うので。消防庁なり、あるいはまた各消防分署に指導していただければと思います。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 太陽光パネル等からの火災の場合ですが、委員御指摘のとおり、通常の消火ではできないのではないかとか危険ではないかという声があることで、本年1月に一部の報道でそういったことがあったと聞いています。ただ、消防庁でも平成26年に太陽光発電設備の火災について報告書を取りまとめておりまして、万一、太陽光発電設備で火災が発生した場合においても、例えば6メートル以上離れるとか、一定の配慮のもとに通常の消火ができるという報告書をまとめております。それは、消防庁から、そのラインで、本県であれば復興防災部になろうかと思いますが、通知されております。
 委員御指摘の通常のものと異なるというのは、例えば化学薬品のようなもので、水をかけることによって、かえって火勢が増すとかいった場合は、通常の水による消火はできないということでございます。太陽光発電に関しましては、そういった懸念はないということでございますので、我々としても、そういった不安が払拭されるように、地域の皆さんにはお話をしてまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 ぜひともそういう不安が出ないようにお願いします。ここ数年、岩手県でも、釜石市であった山林火災以降、大規模な火災はないわけですけれども、これはいつまたどこで発生するかわからないです。特にメガソーラーの場合、原野とか山林とかの周辺に多いので、消防署に十分徹底していただいて、安全な消火に努めていただければと思います。
 最後に、石田環境生活部長に、岩手県のすばらしい自然環境をこれから後世にどう伝えていくか、あわせてお聞きして、終わりたいと思います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 岩手県のすばらしい自然をどのように後世に伝えていくかということでございます。やはり岩手県は、沿岸地域では三陸復興国立公園というすばらしい海、そして内陸地域には十和田八幡平国立公園、そして、栗駒国定公園、早池峰国定公園といった豊かな自然がずっと脈々と地域の皆さん、県民の皆さんの理解のもとで守られてきたと思っております。
 確かに今、再生可能エネルギーということで、さまざまな開発についても行われておりますけれども、国では、環境に配慮するということを必ず盛り込んでおります。やはりそういうことを外から来た人にも理解していただく、それで我々は、皆さんがこうして守ってこられた環境をすばらしい形で次の世代にもつなげていくことが大事かと思っております。
 環境生活部としても、市町村の皆さんと連携しながら、そういう基本的な考え方をきちんと伝えながら取り組んでいきたいと思っております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時36分 休 憩
午後2時52分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、上水道のことと鳥インフルエンザの関係を通告しております。それで、鳥インフルエンザのほうを先に質疑したいと思います。ことし2月に久慈市で発生いたしました高病原性鳥インフルエンザの発生に係る対応についてですけれども、作業に当たった県職員の皆様、そして市町村職員の皆様、本当に御苦労さまだったと思います。緊急の対応なのに、24時間対応をしなければならない、そして、こういった作業になれないところで、真冬の大変寒い中でやるということは大変なことだなと、改めて御苦労さまだったなと思いを伝えたいと思います。
 それで、復興防災部等からの資料で毎日の対応を見ましたら、殺処分には3日間で県職員が延べ545人、消毒ポイントには県職員が213人、市町村職員が120人ということで、全部合わせると延べ878人が従事しておられます。本当に大変な環境だったということであります。
 夜間ですので、氷点下の中、暖房もほとんどなかった、それから休憩する場所もなかった。食事も、夜中の2時から作業に当たったのだけれども、お弁当が配布されたのは、翌日の昼しか来なかったとか、水も本当になかった。それから、持ち物なども、持ち込んではだめだとマニュアルには書いてあるようなのですけれども、持ち物を置く場所もなく、結局は現場に持ち込んでしまったとか。それから、トイレも男女兼用だったし、ライトがなくて、夜中で本当に困ったということなどありました。手袋も不足していて、前に使った人のものを使ってしまったこともあったというのも出ていました。
 あとは、超過勤務の問題とか代休の問題とか総務部のほうなのですけれども、こういう厳冬の中で、大変な環境の中での作業をどう認識していらっしゃるでしょうか。
〇佐藤食の安全安心課長 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、委員からお話がありましたように、3交代24時間体制で対応に当たったところでございます。
 それから、作業環境に関する部分でございますが、特に、農場での殺処分等の業務に当たりましては、どうしても一度に多くの職員を送る必要があるということで、ここにつきましては、近隣の公民館を使ってはいたのですが、やはり一度に多くの人数が動員されたことがありまして、休憩スペースの不足といった意見は寄せられております。その後の作業においても、一部、資材の不足や、弁当の手配が間に合わなかったということで、職員に不便をおかけした部分があることは認識しているところでございます。
 具体の話になりますが、トイレの話もございました。トイレにつきましては、リース会社から借りて、男女兼用という形で、余り環境がよくないところではございましたが、ライトをつけるとか、そういうことをリース会社と調整したところだったのですが、それはなかなか難しいというところで、ヘッドランプを代用して使うような形で対応させていただいたところでございます。
 いずれ、緊急対応ということで準備が不行き届きな部分がありましたことを、十分認識しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 本当に緊急で大変だったと思います。物資を調達するのも緊急にどうやってやるか、これは、今は鳥インフルエンザがあったわけですけれども、次々に考えられる緊急事態、危機対応があると思います。ぜひ、この教訓を生かしてもらいたいと思っているわけです。
 一部、物品の不足ということもありましたので、ふだんからそういう物品は調達できないものなのか、それから、県職員のこの対応のマニュアルづくりですけれども、これは広域振興局単位のマニュアルづくりになっているのでしょうか。どこであってもおかしくないので、その地域に合ったマニュアルとか、役割分担とかを決めるのは当たり前なのでしょうけれども、このマニュアルの不備というか、マニュアルどおりにできなかったものもあると聞いているのですが、そこの認識、この成果と課題、教訓をどのように生かしていくかお答えいただきたいと思います。
〇佐藤食の安全安心課長 まず1点、物資の不足の部分でございますが、基本的には、こういった防疫資材に関しては備蓄されているものと承知しております。ただ、先ほどもお話ししました緊急対応の部分で不足したということで、調達が若干間に合わなかったということで、後半部分という言い方はおかしいのですが、途中からは、資材についてはしっかり調達されていると確認しておりました。
 それから、マニュアルの関係でございます。基本的には、こちらのマニュアルにつきましては、岩手県鳥インフルエンザ等発生時対応要領というマニュアルを作成しまして、それに基づいて支部の役割を記載しております。各広域、地方支部においては、支部ごとにそれをアレンジして、支部の役割分担をしてマニュアルをつくっているところでございます。
 ただ、弁当に代表されるように、緊急対応でなかなか手配が難しい部分もございまして、例えば、第1陣につきましては、県庁から弁当を持って行っていただくような対応もさせていただきながら、とにかく、何とか緊急時に滞らないような対応に終始したところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 御苦労さまでした。本当に緊急時ということで大変だと思いますし、今回は久慈市なわけですけれども、結局は、県内あちこちの県職員が動員に協力したわけですね。釜石市からも、遠野市からも、一関市からも行った。その中で、現地に行くまでの移動時間は時間外勤務の対象にならないとか、それから、休日を振りかえしろといっても現実的には振りかえできない状況なのだと。人員配置の問題とか日ごろからの問題が、やっぱりそういうときに大きくなるということで、それは総務部の問題でもありますけれども、本当に、こういう危機対応を日ごろから考えてもらいたいという思いであります。本当に御苦労さまでございます。
 次は、上水道の関係に移ります。
 水道の施設耐震化についてです。水道施設耐震化等推進事業費12億7、600万円余ですけれども、国は、水道の基幹管路の耐震適合率を2022年度末までに50%以上にするという目標があるようですが、県内の耐震化率はどうなっているでしょうか。そして、事業計画はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 県内の水道事業の耐震化の状況でございます。基幹管路の耐震適合状況をあらわします耐震適合率につきましては、令和元年度、本県は49.5%と、全国平均の40.9%を上回っている状況でございます。
 また、事業計画につきましては、国におきまして、今後見込まれる事業費を把握して、計画的に水道事業者の耐震化等の取り組みを支援していくために都道府県に策定することを求めておりまして、我々としましては、市町村等の水道事業者の要望を踏まえまして、計画期間を5年とする計画を国に提出しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 5年間の計画を出して整備を進めていくということなそうですけれども、耐用年数40年を超えている管路はどの程度になっているのでしょうか。それからもう一つ、令和2年度と令和3年度とも補正で3億円以上減額しているのですね。その要因は何なのでしょうか。補助率の問題なのか。補助率も、100%補助もあれば、3分の1補助もあったり、いろいろあります。使い勝手の問題なのか。それから、事前の市町村との計画調整の問題なのか。どういうことで、まだまだ整備しなければならないのだけれども、3億円以上減額しなければならなかったのかお伺いいたします。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 耐用年数を超えている管路の状況でございますが、本県の令和元年度末の耐用年数超過率は13.2%で、全国平均の19.1%に比べ5.9ポイント低い状況でございます。
 続きまして、予算の状況でございます。水道施設耐震化等推進事業につきましては、国からの交付金を財源に県から水道事業者に補助しているものでございます。補助に当たりましては、毎年度、水道事業者からの要望額を取りまとめて、これぐらい必要だということで国に要望しているところでございます。
 県の当初予算につきましては、水道事業者の要望額を基本にしまして、水道事業者の事業の進捗ですとか状況の変化などに柔軟に対応できるように、一定の変更額も想定して計上しているところでございます。
 令和2年度、令和3年度とも事業内容に大きな変更がなかったことから、想定していた変更分について減額しているものでございまして、事業者の要望額は満たしている状況でございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。水道施設耐震化は前々から計画を練って着実にやっていかないと、すぐにできる事業ではないので、本当に市町村と密に連絡しながら、国にもしっかり予算措置してもらうようにお願いしたいと思います。
 次は、水道事業の広域化のことですけれども、水道広域化プランを策定するということでございますが、これは安全な水道水の確保、収支の課題、人材確保、育成の課題、施設維持、管理など多数の課題があると思われます。この課題認識はどうでしょうか。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 水道事業についての課題認識でございます。今後の水道事業を取り巻く経営環境につきましては、多くの市町村で、人口減少に伴い水需要が減少し、現行の料金水準では給水収益が減少する一方、老朽化施設の更新等により水の供給に要する原価が増加するものと見込まれております。
 また、業務執行体制については、水道事業に携わる職員数が減少する中で、高齢層の職員ですとか経験年数の浅い職員の割合が高くなっていること、さらには、技術職の採用が難しくなっている等の状況となっております。
 こうしたことから、水道料金の見直しなどによる財源確保や業務の効率化による経費削減、将来にわたり安定して給水サービスを提供できる持続可能な業務執行体制の構築など、水道の基盤強化が水道事業者に共通する課題であると認識しているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。そのとおりなのでございますけれども、それで、県は、広域化を推進するという立場になってくるのでしょうか。国がそういうふうに進めろということになっているのですけれども、国は、広域化プランを策定させて、スケールメリットを生かして、最終的にはコンセッション方式とかで民間に水道を移管させたいというのがあるのかと私はずっと思っているのですが、やはりこれは広域化すべきだと思っていらっしゃいますか。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 水道事業者の広域化のことでございますが、基本的に、各水道事業者が、それぞれの事業環境を適切に分析しながら、どういった手法で自分たちの水道事業の経営を成り立たせていくのかにつきましては、住民の皆さんと意見交換をしながら取り組んでいくべき課題と認識しております。その中の手段の一つとして、広域化のお話があると認識しております。
 県としては、スケールメリットがとれる部分の広域化というのは確かにあるところでございますが、地域によっては、やはりなかなか難しい状況もありますので、まずは、各事業者が、自分たちがどうしていくべきなのかを考えていただいて、その意向を尊重しながら、各事業者が持続的に経営が継続できるように支援してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 そのとおりだと思いますけれども、地方公営企業の決算状況の資料を市町村課のホームページから引っ張ってきますと、今、どこの事業団体も、市町村繰り入れも入れて大体黒字状態なのですが、赤字団体は6団体あるのです。累積欠損を出しているのは7団体。でも、経常収支比率から見ますと、県平均は111.5%で、何とか経営が成り立っている。一番経営がいいのは矢巾町で158.9%、一番経営が苦しいのは西和賀町で46%という数字が出ているようです。
 各事業団体で経営状況が全く違う、それから施設の老朽化度合いが全く違う、企業債の状況が違う。それで、給与格差もありますし、たくさんの課題があろうかと思います。
 岩手中部水道企業団が統合したのが7年ぐらい前だったと思いますけれども、その統合前に十数年かけて検討してきているのです。北上市と花巻市と紫波町が、今、岩手中部水道企業団で、これは広域化のいいモデルだと全国からも研修会の問い合わせが来たり、講師の依頼があって、行って講演したりしているというのですけれども、本当にそれまで大変な作業を繰り返してきて、そして、広域化をなし遂げたという実績があります。それでも今、やはり新たな課題がどんどん出てきておりまして、なかなか広域化というのも簡単なものではないと思っています。
 水道の技術者は、何か伝統工芸みたいな感じらしくて、技術力も、新しい技術があるのでしょうけれども、なかなかその技術の継承は難しいし、市町村職員だと、水道技術者だけれども、建設の部署に行ったり農政の部署に行ったりして、なかなか技術が継承されない。だから、そういう意味では、広域の企業団で専門で技術継承できるのは、メリットとしては言われておりますが、本当に大きな課題だと思います。
 県で、新いわて水道ビジョンが出されているのですけれども、これは五つの区分でエリアを見たほうがいいと考えているかと思いますが、県北広域ブロック、県央広域ブロック、沿岸は宮古広域ブロックと沿岸南部広域ブロック、あと花巻市から一関市が全部一緒の県南広域ブロックとか、こういうエリア設定の考え方は現実に即しているのだろうかと私は疑問に思っております。
 各事業団体が連携協定を結んで、隣接の団体との緊急時の対応、事故時の対応は連携しておりますが、県のこのエリア設定は難しいのではないかと私は思っているのですが、市町村とか水道事業団体からは、何か広域化についての意見とかが出されているのかどうかお伺いします。
〇新沼県民くらしの安全課総括課長 広域化に当たってのエリア設定でございます。やはり水道事業を考えていく上で、水の流れですとか地形的なものを考慮して検討するべきところがございまして、そういったことを加味しまして、現在の盛岡広域と県南広域、沿岸部で言えば沿岸南部広域と宮古広域と、あとは県北広域というようなところでエリアを区分している状況でございます。
 また、水道の広域化につきましては、県内の水道事業者で構成します水道広域化推進プランの検討会を立ち上げておりまして、その中で皆様の御意見を聞きながら進めているという状況でございます。
〇佐藤ケイ子委員 いずれにしても、こういう協議を重ねていかなければならない話ですし、あと、負債というか経営状況がよくない団体をどうやってフォローできるのか、それこそ市町村間の信頼関係であったり、さまざまなものをクリアしないとできない問題だろうと思います。市町村等の意見をお聞きしているのでしょうけれども、ぜひ連携をとってやっていただきたいと思います。
〇高橋穏至委員 私からは1点だけです。三陸ジオパーク推進強化事業費についてです。
 総括質疑でも触れられておりましたが、この事業に関しては、令和4年度の新規事業ということで事業費は760万円、事業内容ですけれども、ジオパークを活用した地域振興を図るための事業となっております。令和3年度は、三陸ジオパーク活用強化事業費730万円、三陸ジオパーク地域基盤強化事業費990万円があって、要は二つの事業を一つにして減額したというような中身なのですけれども、果たして、それぞれの事業内容をどう精査して、どう変わっていったのかということ、その関係性についてと、令和2年度に関しては約3、780万円という予算でしたが、三陸ジオパークの取り組みの全体像、流れはどうなっているのかについてお伺いします。
〇菊池特命参事兼ジオパーク推進課長 令和4年度の事業内容と令和3年度事業の内容及び関係についてでありますが、令和3年度の三陸ジオパーク地域基盤強化事業費では、ジオパーク教育を推進するための中学校での公開モデル授業や、ジオパークの機運醸成を目的とするためのシンポジウムの開催などに取り組んだところです。また、三陸ジオパーク活用強化事業費では、三陸ジオパーク推進協議会の負担金や事務経費を計上しているところです。
 令和4年度におきましては、これらの取り組みの成果を生かし、県や構成市町村等が連携しながら、協議会において、教育旅行プログラムの開発やセミナー等を行うものとしており、三陸ジオパーク推進強化事業費にそれらの事業実施のための負担金等を盛り込んでいるところであります。
 次に、三陸ジオパークの取り組みの全体像と今後の方向性についてでありますが、令和2年度の三陸ジオパーク活用強化事業費におきましては、三陸ジオパークの案内のためのウエルカムボード設置費2、600万円余を計上していましたが、令和2年度までに内陸部からジオパークエリアへの主要な経路沿いに設置を終えたものであります。
 三陸ジオパークにつきましては、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、世界ジオパークの認定を見据え、三陸の地質遺産や文化、自然を活用した教育、保護、保全、新たな魅力の掘り起こしと国内外への情報発信、ジオツーリズムなどに取り組んでいくこととしております。また、日本ジオパーク委員会からは、東日本大震災津波の記憶を後世に伝える役割も期待されております。
 今後、県といたしましては、市町村や関係団体等とも連携しながら、ジオパーク活動の着実な推進を図り、令和5年秋の審査で日本ジオパークに再び認定されるよう取り組んでまいります。
〇高橋穏至委員 そうすると、令和5年の認定に向けて段階的に取り組んでいるという理解でよろしいのでしょうか。それから、令和4年度はプログラムを組み立てて商品開発とは載っていたのですが、令和3年度の負担金はなくなっている、令和4年度は負担することはないのでしょうか。
〇菊池特命参事兼ジオパーク推進課長 取り組みにつきましては、今年度、三陸ジオパーク推進行動計画を構成市町村等とともに策定して、段階的に審査に向けて取り組んでいくこととしております。
 また、令和4年度の負担金は盛り込んでおりますので、その負担金をもとに協議会事業を展開していく予定としております。
〇高橋穏至委員 実は、総括質疑で、方向性としてこの三陸ジオパーク事業って何だろうという根本のところの事業目的ですね。目指すところはどこなのかということで、いわて県民計画(2019〜2028)の中でも、自然環境の政策分野には三陸ジオパーク、こういった自然の環境を生かして人材育成とかフォーラム、学習会、パンフレット、交流イベント等を通して地域振興するのだと。要は、最終的に地域振興、そして国内外との交流人口の拡大だという目標になっていて、成果指標が二つあるわけです。三陸ジオパーク自体の取り組みの拡大のための学習会ですとか、そういった地域の環境整備の部分と、もう一つは、ジオサイトの観光入り込み数。入り込み数のほうは、要は、この地域振興の最終目的の交流人口の拡大とか、そっちのほうにつながる指標なのかと見られるのですが、最終的にはそっちのほうが主なのでしょうか。将来的には、観光という部分のための材料という位置づけなのかと捉えていたのですが、どうなのでしょうか。
〇菊池特命参事兼ジオパーク推進課長 ジオパーク活動ですけれども、こちらは、もとは世界ジオパークというかユネスコのプログラムという形になっておりまして、いずれ大きく三つの目的を求められております。地質遺産の保護・保全、教育活動、それを活用した持続的な利活用による交流人口の拡大等を求められております。
 県といたしましても、三陸ジオパーク推進協議会とそのような目的に向けて取り組んでいきたいということで、教育面で学習会、講演会の参加数を目標に、あとは、交流人口の拡大ということで、主要ジオサイトの入り込み客数を目標に掲げているところであります。
〇高橋穏至委員 大体整理できてきたのですが、その中で、やはり人材育成あるいは地域のフォーラムですとか、そういった周知をしていくのが前半戦であって、3番目の目的である交流人口ですとかそれを活用した観光との結びつきという部分で、目的としたところのいわて県民計画(2019〜2028)の観光部門では、三陸ジオパークという言葉は資源であるという一言しか出てこないのですね。
 実際に進める観光のほうは、三陸DMOセンターを中心に観光政策を進めていくということで、三陸DMOセンターの事業を見ると、三陸ジオパーク協議会は連携する団体だと載っているのですが、これから交流人口をふやしていったり内外にPRしていく部分では、特にことしの事業のところでは、PRするプログラムを組んだりとかいった部分のノウハウは、むしろ三陸DMOセンターのほうにあるのかなと思っております。
 三陸DMOセンターで公開している三陸観光ポータルサイト、さんりく旅しるべを見てみますと、三陸ジオパークが関係するのは、要は三つのポイントで、行く、楽しむ、知るという三つの切り口でさんりく旅しるべのホームページは成り立っているのですけれども、三陸ジオパークは、知るのイベント情報にしか紹介がないのです。例えば、楽しむプログラムには紹介されていないのです。そして、おすすめルートでも紹介されていないのです。
 やはりここが縦割りといいますか、本来行く、楽しむを目指すべきなのに、そちらに紹介がなくて、学習的な知るというところにしかないということで、これは連携をもう少し考えていかなければならないのではないかと思うのですが、いかがですか。
〇菊池特命参事兼ジオパーク推進課長 ただいま御指摘のとおり、最終的には交流人口拡大ということで、来年度、三陸DMOセンターが宮古市に事務所移転になりまして、私ども三陸ジオパークの事務局と同じ事務所内で4月から活動することになっています。いずれ、連携を進めたいと考えておりまして、先ほどの教育旅行プログラムにつきましても、検討して、来年度以降、震災学習等を強力に進めていくという部分がありまして、三陸ジオパークとしても、そこに商品として出せるようなプログラムづくりに連携して取り組んでいきたいということから提案させていただいております。
 いずれ、委員御指摘のとおり、来年度以降、三陸DMOセンターと連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋穏至委員 ぜひ、その連携をしっかりとしながら、やはり最終目標をしっかり掲げながら、令和5年に登録になりましたら、それを使って岩手県に人を呼び込んで交流人口の拡大を図っていただきたいと思います。せっかくたくさんいたガイドも、ガイドをする機会がなければ出番がなくなって、出番がないということは、自分は何のためにガイドをやっているのだろうと。来ていただいた人にガイドができて喜んでもらえる、これが楽しみであり、それこそ達成感だったり幸福につながってくるわけです。そういったものを見据えた上でしっかりプログラムを組んでいただきたいですし、連携もしっかりしていただきたい。将来に向けての目標設定、達成度の指標が出ていますけれども、これはもっと高くなければいけないのではないかと思いますので、そこら辺を検討していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
〇菊池特命参事兼ジオパーク推進課長 委員御指摘のとおり、いずれ交流人口拡大を最終目標に掲げておりますので、そこにつながるような形で、関係部署、それから三陸ジオパークのガイドもおりますので、関係する市町村、関係団体と連携しながら、その目標に向かって取り組んでいきたいと考えております。
〇柳村一委員 地球温暖化対策関連予算についてお伺いします。
 予算における重点事項説明書に掲載の部分で、地球温暖化対策事業費、ゼロカーボン推進事業費、再生可能エネルギー導入促進事業費、いわて水素モビリティ実証事業費、これらの事業の取り組みで、令和4年度にどのように地球温暖化対策を推進していくのかお伺いします。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 地球温暖化対策関係の予算でございます。
 まず、地球温暖化対策費でございますが、これは、主として県民の皆さんへの啓発等に使う予算でございまして、県民の皆さん一人一人の具体的な行動につなげるために、温暖化防止いわて県民会議を中心とした省エネ一斉行動等の県民運動、それから、ホームページ、各種媒体による広報、そして、小学生向けの出前授業などを実施することといたしております。
 それから、ゼロカーボン推進事業費でございますが、これに関しましては、省エネ住宅に関する相談ですとか、事業者への省エネルギー設備導入の補助、これは、令和4年度は件数を拡充しております。また、県有施設への再生可能エネルギーの導入に向けた可能性調査などを行うことといたしております。
 申しわけございません、出前授業に関しては、ゼロカーボン推進事業の中で実施します。
 三つ目でございますが、再生可能エネルギー導入促進事業費でございますが、沿岸地域の被災家屋等への太陽光発電の導入を支援する事業を引き続いて実施してまいります。
 それから、市町村が自立・分散型エネルギー供給システムの構築に向けた計画づくりを行う場合に支援するものでございまして、これに関しても、本年度は1件を補助しておりますが、来年度については3件ということで拡充することにいたしております。
 最後に、いわて水素モビリティ実証事業費でございますが、これに関しましては、水素ステーションの設置に対する支援、それから、燃料電池自動車の導入の際の支援、それから、県みずからも燃料電池自動車の購入ということで、これらを通じまして、温室効果ガス排出の抑制に努めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 御説明ありがとうございます。細かい部分で何点か聞きたいのですけれども、ゼロカーボン推進事業費の中で、省エネ住宅に関する相談、広報を実施すると御説明がありましたけれども、省エネ住宅に対して、相談件数が何件ぐらい来ているのかわかりますか。
 あと、広報を実施するとされておりますけれども、どういう方法で広報されているのかお伺いします。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 省エネ住宅の相談件数についてでございます。これは令和3年度から開始したものでございまして、6月から1月末までの時点で、相談件数163件でございます。
 あと、広報についてでございますけれども、県の広報媒体であるとか、家庭向けに省エネのメリットを伝えるようなやり方、いろいろな仕組みで取り組んでいるところでございます。
〇柳村一委員 地球温暖化・エネルギー対策調査特別委員会で北海道ニセコ町にお邪魔したときですけれども、あそこは、北海道だということで、住宅の高気密化を図って、できるだけゼロカーボンに向けていくというようなことで、来年度に条例をつくって、普通に建てた場合と高気密にして建てた場合の2種類を提示して、例えば、普通に建てると2、000万円です、高気密にすると2、400万円ですと示して、でも、その後のランニングコストを考えるとこうですよというのを説明するそうです。どちらを建てるのかは建築主の考えということですけれども。
 岩手県もこういうぐあいに選択肢を出してあげるような施策を実施して、もっともっと県民の方々に地球温暖化対策に対する取り組みを考えてもらうような場にする、家をつくるときに、そういう考えも必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 住宅の関係の省エネについてのお尋ねでございましたが、委員御指摘のとおり、本県は非常に寒いものですから、住宅の省エネは重要なものと考えております。まず、当部といたしましては、相談、広報等を実施しておりますが、実際に建てる段のそういった具体的な例、自分ごととして皆さんに捉えていただけるような方法は、県土整備部と連携して考えていきたいと思っております。
 来年度、岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しを行いますし、条例についても一般質問で御質問がございましたが、そういったものも検討してまいりますので、その中で位置づけるなど、他先進県の例なども含めまして研究してまいりたいと思っております。
〇柳村一委員 やはり家庭で、どうしても北国は灯油を使ったりで化石燃料を使う機会がありますので、それをできるだけ減らしていくことが、岩手県のカーボンニュートラルにつながると思いますので、その辺の普及啓発を一生懸命お願いしたいと思います。
 次に、県有施設の再生可能エネルギー導入に向けた可能性の調査と先ほどおっしゃっていましたけれども、県有施設に導入する再生可能エネルギーの種類、場所によっていろいろな再生可能エネルギーが使えると思うのですが、その辺は、どのような形で調査されるのでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 来年度、県有施設約200カ所を対象に再生可能エネルギーの導入の可能性調査を行うことにしております。その選択肢でございますが、主として太陽光になろうかとは思いますが、太陽光に限らず幅広に考えていくということでございます。
 というのは、本県は沿岸地域と内陸地域で日照時間とかも違いますし、積雪といった環境もございますので、太陽光一辺倒ではないだろうと考えております。それぞれの建物に応じて何が適当なのかということ、それから、あわせまして本県は、県庁舎もそうでございますが、築年数の非常に長い建物もございますので、物理的に太陽光が設置可能なのかどうかも含めまして、可能性を調査していくということで考えております。
〇柳村一委員 ニセコ町でも、やはり公共施設がそういう取り組みをするのが啓蒙の一番近道だということを言っていますし、例えば小風力とか小水力、あとバイオマス、その地域地域によって得意な分野がいろいろとあると思います。逆に、そこの地域の特色あるものを使って、県有施設が再生可能エネルギーを使っていますよというほうが、かえって地球温暖化に対する意識が高まると思いますので、その辺を広い目で見て調査していただきたいと思います。
 それから、再生可能エネルギー導入促進事業の中で、被災家屋等への太陽光発電導入支援がありましたけれども、今までの実績とか来年度の導入見込み数がわかりましたら、お知らせ願います。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 被災家屋への太陽光発電の設置状況でございますが、これは被災直後から始めておりまして、被災後、平成24年度、平成25年度あたりには400件余りという数字が出ておりましたが、復興の進展とともにだんだん減ってきておりまして、今年度は40件弱(後刻「30件弱」と訂正)になろうかと思っております。来年度につきましては、十分な需要に応えられるよう70件分の予算を措置しているところでございます。
 加えまして、先ほどの公共施設の関係に少しつけ加えさせていただきますと、太陽光のお話を申し上げましたが、そのほか、例といたしましては、例えばLED設備、LED照明なども含めまして有利な地方財政措置もございますので、そういったものを活用して、財政負担の軽減を図りながら、できる限り進めていきたいと考えておりますので、付言させていただきます。
〇柳村一委員 いい取り組みだと思います。先ほど、復興防災部の審査の中で、来年度、被災者住宅再建事業費補助で187世帯を計画しているようなことをおっしゃっていましたので、その187世帯に、こういう取り組みをやっているよと普及啓発していくのも手ではないのか。そういうことによってもう少し広がりが出てくると思いますので、復興防災部と相談しながら、その辺を進めていただければと思います。
 次に、水素についてお伺いします。水素ステーションの設置に対する支援ということで、対象が事業者で、補助率が6分の1という形のようですけれども、その設置するステーションの機能がどういうもので、事業者はどういう事業者を見込んでいるのかお伺いします。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 来年度、いわて水素モビリティ実証事業費で水素ステーションに関する補助を予定しております。これは、これまで国の補助が大型、中型の水素ステーションのみを対象としておりましたが、先般の第3次補正予算で小型のものも対象にするということで拡充されたものですから、そういったものを使って水素ステーションの補助を行いたいと考えているものでございます。
 1カ所当たり最低10台の使用は必要だろうということで、その導入補助、ステーションが2カ所でございますので、10台分盛り込んでおりますので、そういった形で需給両面からの水素の利活用を進めていきたいと考えております。
 業者でございますが、全国的に見ますと、エネルギー関係の、日本水素ステーションネットワーク合同会社―JHyM―という特殊会社があるのですが、そことタッグを組んでやっているのがほとんどでございますので、エネルギー関係事業者を念頭に協議を進めていきたいと思っております。
〇柳村一委員 インターネットで見ると、今までは約4億円の施設をつくるので補助金を使って1億5、000万円ぐらいかかっていたのが、今回は1億5、000万円ぐらいの支出でやるのだけれども、補助金を使うと500万円ぐらいで建つような感じで書いてありました。
 あと、水素を補充するときに、今までは運び込んでそこに水素を入れていたのが、設置場所で水素をつくることも想定されているようなのですけれども、岩手県は、再生可能エネルギーもあちこちで一生懸命やられていますし、その余剰の部分のことも考えると、山奥に水素ステーションをつくってたらどうかと思いますが、そういうことも考えられるのではないかと思うのですけれども、そこら辺はどうでしょうか。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 整備費でございますが、モデル的な例といたしまして、小型のステーションは1億5、000万円程度というのが試算で示されております。これに対して国からの補助が1億円で、設置者の負担が5、000万円になりますので、そのうちの半分、2、500万円を県が補助しようと考えているものでございます。
 それから、水素の生成方法でございますが、委員御指摘のとおり、他でつくって運ぶ方法と現地でつくる方法がございます。今回考えておりますのは、この小型ステーションを現地でつくる、いわゆるオンサイト方式の水素ステーションということでおりますので、運ぶ手間はないと考えております。
〇柳村一委員 可動式の水素ステーションもあります。車に水素ステーションがあって、それが動ける。ただ、場所は指定しなければいけないものもあるらしいので、その辺、岩手県にとってどういうものがいいのかを研究しながら導入を進めていただければと思います。
 あと、水素利活用PR車両の導入支援がありましたけれども、車両の金額と補助金額がどのぐらいになるのかをお伺いします。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 今回は、先ほど申したとおり、需給両面から水素の利活用を進めようという考えで、車両購入費17台の補助を考えております。燃料電池自動車でございますが、700万円ちょっとということで考えておりまして、これに対して国の補助が140万円余りございます。これに県が、ラッピングの費用も含めまして100万円の補助を考えておりますので、御購入いただける方の負担は500万円強ということになります。
 今回、ラッピングの費用にも補助を行うことを考えておりますのは、何分、県内に燃料電池自動車が走っていないといいますか、県内では1台のみ登録されているところでございますが、県民の皆さんに、こういったものが実用化されどんどん広がってきていますよというのをごらんいただけるようにということで、そのPRを兼ねて、ラッピングの費用も含めまして1台100万円の補助を考えているところでございます。
〇柳村一委員 燃料電池自動車は欲しいけれどもラッピングは嫌だと言ったらどうなのかと、それは置いておいて、県でも公用車を購入すると先ほどおっしゃっていましたけれども、何台購入するのか、あと、どのような部署に配車してPRしていくのかお伺いします。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 委員がおっしゃるとおり、県では3台購入を考えておりまして、具体の配置先の検討はこれからになりますが、一応、エネルギーを担当する当部、それから総務部、商工労働観光部などを想定しております。具体の配置先については、実際に購入する段において決定したいと考えております。
〇柳村一委員 インターネットで調べたのですけれども、水素1キログラムの販売価格を1、100円とすると、燃料電池自動車(FCV)が100キロメートル走るのに948円かかるそうです。電気自動車(EV)は充電料金がキロワットアワー20円から30円とすると333円から500円、ガソリン車は1リットル144円―今はもっと高いですけれども―で720円かかるということなのですが、県で配車する水素自動車、燃料電池自動車について、そのランニングコストはどういう形で支払われるのか、また、どういう費用進度を考えているのかお伺いします。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 今回はモデル的に導入するものでございまして、まさに実証事業でございますので、実際に走行させて、そういったデータ、燃費、費用を含めましてこれぐらいかかりますというものを押さえた上で、それもまた広報の一つかと思っております。
 水素ステーション、それから自動車についてもですが、かつてはもっと高かったわけですが、広がるにつれて徐々に低減化されてきておりますので、この先、技術開発とともにそういった方向も望めるのではないかとは考えております。
 いずれ、CO2削減というスタンスでございますので、そういった面での環境価値も含めて、どういったものかを実証していきたいと考えております。
〇柳村一委員 その700万円ちょっとのものが、ただ単なる置物にならないようにしっかりと県民に啓発活動ができればいいと思います。
 私の一般質問のときに、石田企画理事が、県民と危機意識を共有して、一人一人の行動につながるようにオール岩手で気候変動対策に取り組んでいきますと言っていましたけれども、啓蒙はまだまだだと思うのです。本当に県民一人一人がしっかりと危機意識を持ってやっていかなければいけないと思いますので、今回新しい事業が当初予算案に入ってきている中で、今後、2050年カーボンニュートラルに向けてどのように発展させていくおつもりなのか、最後にお伺いして、終わります。
〇石田企画理事兼環境生活部長 今までは、やはり県でもどうしても理解促進の面が強くて、省エネに取り組みましょう、あるいはこういうものがありますよというのが多かったのですけれども、今回は、やっと具体的な水素という玉が形になってきました。また、今、ウクライナの関係、ロシアの関係でエネルギーに対する意識も大分皆さん高まってきたかと思っています。
 そこで、この機を捉えて、まずはしっかり、県としてもこういうふうにやりますよというものを周知していきたいと思っていますし、来年度は、市町村の連絡窓口もつくります。市町村の首長からも、それぞれ来庁いただいて、取り組みたいというお声も聞いておりますので、まずは、県だけでなくて市町村も一緒になって取り組めるようにと考えております。
 そして、いずれ水素の一番の魅力は、ためられることなのではないかと思っています。沿岸地域でこれから、来年、再来年というわけではないですけれども、将来、いずれは海洋を利用したエネルギーが豊富に出てくるのだろうと思っています。これは、系統につながなくても、水素でためられれば使えると。そして今、ある程度その技術も確立されています。ボンベで運ぶこともできますし、あるいは滝沢市のスイカのガスタンクみたいな形での保管もできるということもあります。
 ただ、今それは財政的な面でなかなか難しいので、そこはうまく国の実証事業を入れながら、県としてきちんとわかりやすい形で取り組んでいければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菊池副部長兼環境生活企画室長 先ほどの答弁の中で、被災家屋等太陽光発電設備導入費補助の本年度の実績でございますが、私から40件弱と御説明申し上げましたが、30件弱、現在のところ二十数件でございますので、おわびして、訂正させていただきます。
〇斉藤信委員 私も、地球環境問題について質問いたします。
 令和4年2月28日に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2作業部会が第6次となる新たな報告書を公表いたしました。これは、人間の活動が引き起こす気候変動が、既に広範囲に悪影響と損失、損害を与えているという報告であります。既に現状で約33億人から36億人が気候変動に対して脆弱性があり、水害、水不足などの被害を受けやすい状況にあり、世界の平均気温は既に1.1度上昇しているとのことです。2030年までに平均45%のCO2を削減しないと後戻りできない状態になってしまう、こういう科学者の厳しい指摘でありました。
 これは質問項目に入れていませんから聞きませんが、2030年までというのが、私たちにとって極めて重要な期間になるという立場で本会議でも取り上げました。
 一つは太陽光発電について、今回、県が県有施設200カ所の調査をするということをお聞きしましたけれども、問題は、全ての住宅、全ての事業所の屋根に太陽光発電を整備する、こういう意気込みで今取り組む必要があるのではないかと思います。
 まず、現状、住宅の太陽光発電はどのぐらい設置されているのか、事業所の太陽光発電の設置状況がどうなのか把握しているでしょうか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 太陽光発電の設置状況についてであります。令和3年9月現在の導入実績でございますけれども、10キロワット未満の主に住宅用のものが3万1、253件であり、また、ほとんどが主に事業用と考えられる10キロワット以上のものが4、772件となっております。
〇斉藤信委員 事業所も聞いたのだけれどもわからないということですか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 事業用のものでございますけれども、主に10キロワット以上のものは住宅ではございませんので、これが4、772件、事業所のものと捉えております。
〇斉藤信委員 長野県は、去年6月にカーボンニュートラル戦略ということで2030年までに6割のCO2を削減する、再生可能エネルギーは2倍にする、こういう意欲的な目標を打ち出しました。私は、これをぜひ参考にしていただきたいと思います。
 長野県の住宅の太陽光は今8万2、000件なのです。これを2030年には22万件、2.7倍にふやすと。岩手県の計画は2025年までしかないのです。これも、今2万9、000件なのですけれども、3万8、500件にする。1.32倍程度です。2030年の目標がありません。
 私は、2030年が焦点なのだから、2030年までにどういう規模でこの太陽光発電の導入を拡大するのか。もう新しい開発の時代ではないと思います。今ある住宅や事業所の屋根へのソーラーパネルの設置で太陽光発電を拡充すべきと考えますが、いかがですか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 現在も、東日本大震災津波により被災した家屋への太陽光発電事業の支援や、また、事業所向けとしては低利融資事業を行っておりまして、これらの取組を引き続き行ってまいります。
 現在の岩手県地球温暖化対策実行計画でも、省エネ住宅などの導入を進めていくことを記載しております。ただ、今回、国の動きであるとか、また、グラスゴー気候合意といった国内外のさまざまな情勢がございますことから、来年度この実行計画を見直すこととしておりまして、その中で必要な施策についても検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ぜひ、新たな開発に頼るのではなくて、既存の住宅、事業所の屋根を最大限使う、そして、2030年までの具体的な目標を持って欲しい。長野県を参考にひとつやっていただきたい。
 二つ目は、住宅の省エネ、断熱化ですけれども、環境省の住宅の断熱化への補助制度はどう取り組まれているでしょうか。施工可能な工事事業者の状況は把握されているでしょうか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 環境省の補助制度についてでございます。環境省が経済産業省、国土交通省と連携して実施しております、省エネ、再エネを組み合わせて年間のエネルギー収支をゼロにする住宅を整備する事業、いわゆるZEH等支援事業がございます。こちらの補助事業でございますが、補助事業の執行団体が公表した資料によりますと、本県の令和3年4月から10月末までの戸建て住宅補助決定件数は40件となっております。
 また、その施工可能な事業者でございます。こちらは、いわゆるZEHビルダー・プランナーでございまして、環境省の補助制度の補助要件が、このZEHビルダー・プランナーが設計、建築、改修、販売する住宅となっております。令和2年度が直近の数字でございますが、本県の登録者数は192事業者となっております。
〇斉藤信委員 なぜ私がこれを聞いたかというと、実は昨年つくった第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の中の指標に省エネ住宅ストック率があるのです。この省エネ住宅というのは、二重サッシまたは複層ガラスを使用している住宅。これは、率直に言って、ほとんど断熱性能はないのです。余り意味がない。だから、例えば現状値、これは2018年ですけれども62.5%になっているのです。こういうのは全然指標になりませんから。
 今、環境省も国土交通省も、2030年には最低基準でZEH、ZEB、大体そういう基準です。私は本会議で紹介しましたけれども、鳥取県はその上を行くレベルを目指しています。
 そういう意味で、住宅の断熱性能の基準も、実は日本の基準は、ヨーロッパと比べて余りにも低くて問題にならないというのが専門家の見方です。長野県も、鳥取県もそれを超えてやろうとしていますので、それをぜひ参考にしていただきたいと思います。
 実は、家庭から排出されるCO2で何が一番多いかというとクーラーとか冷蔵庫とかの家電製品なのです。それで、長野県では、家電製品を販売するときに省エネ性能説明義務という取組をしています。いわば家電製品もピンからキリまでですから、この家電製品はこれだけの省エネ性能があって、少し高いけれども何年で元が取れますと、こうやっているのです。
 実は、暖房は灯油より家電製品のほうがエネルギー消費量が多いのです。省エネ家電製品がかなり出回っていますから、そういうものが積極的に使われるような、長野県のように業者に説明義務を課すとか、そういうことでしっかり取り組む必要があるのではないかと思いますが、考えていますか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 ただいま委員から紹介がありましたとおり、長野県では、家庭の省エネ化の推進であるとか、そういったものも含め全国的に先進事例と認識しております。
 来年度、グリーン社会を推進していく中で、先ほど申し上げたとおり、計画の見直しなども行ってまいりますし、また、全国の中でも先進的なところで進めている脱炭素社会を目指す条例というものもございます。いろいろな義務づけとかといったものは条例などでうたうところもあるかと一般的には認識しております。そういった見直し、また、条例策定に向けた検討の中で、先進事例を参考にしながら検討してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 来年度、岩手県地球温暖化対策実行計画を見直すと、これはもう明確に知事も表明いたしましたので、そう考えると1年もないと思うのです。だから、全国の取り組みを研究しながら、本当に学べるもの、生かせるものは最大限生かすと。そのために必要な条例改正とか補助制度とかは、大いに英知を結集してやっていただきたい。
 そこで、私がこれだけは見直してほしいと思うのが、いわて水素モビリティ実証事業です。今、燃料電池車は県内にどれだけ普及していますか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 県内の燃料電池車についてでありますが、国の公表資料によりますと、本年2月末現在1台の登録でございます。
〇斉藤信委員 県内に1台しかないのですよ。普及していないというのは、普及しない理由があるのです。実は、今、燃料電池車を製造している自動車会社は世界で二つしかありません。トヨタ自動車株式会社と韓国の現代自動車だけです。いわば、これはもう競争で決着がついたと言わなくてはならないぐらいなのです。
 使う自動車がないのだからこんなときに、税金を使って使われない水素ステーションをつくって、こんなでは採算がとれないでしょう。私は、手を上げる業者がないのではないかと危惧するぐらいです。県庁で3台使ったところで、これは成り立たない事業ではないのかと思います。
 長野県はどういう計画を立てているか。これは2019年の数字ですけれども現在EVが1、911台です。これを2030年には10万台、乗用車の1割まで広げると。いわば本気になってCO2削減をやろうと思ったら、具体的で効果的な対策こそ必要ではないでしょうか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 水素を使った燃料電池自動車でありますけれども、本県において普及が進まない最大の原因は、その水素を供給する水素ステーションがまだ設置されていないところと考えておりますので、来年度、その水素ステーションの導入に向けた補助を検討しているというようなこともございます。
 また、国の水素エネルギーに関する戦略など、国でも水素の利活用に関するものを戦略的に進めておりまして、その一環として、今般、国でも補助事業が行われていると認識していますので、この機を捉えて、令和4年度岩手県一般会計当初予算案で予算化しているということでございます。
 世界の流れとしても、ドイツのメーカーも参入する動きがありますので、そういった流れも捉えて、県として、まずは実証事業に取り組んでまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 余りにも全体を見ない答弁ですね。本当に、国の補助制度ができたから手を上げたという程度ですよ。CO2削減に取り組もうなどという気持ちが全然伝わらない。電気自動車の普及計画がないではないですか。やっと今電気自動車に光が当たって、トヨタ自動車株式会社も本気で電気自動車の生産に入りました。しかし、何が問題かというと、これは充電設備がまだ十分ないのです。
 県の計画に、次世代自動車でCO2の排出削減とあるでしょう。これは何でやるんですか。次世代自動車を拡大してCO2を削減する計画を出しているでしょう。その中身を示してください。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 第2次岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして、指標として乗用車の登録台数に占める電動車の割合を掲げております。令和元年度の現状値として17.4%であるものを、2025年度までには29.0%を目標として掲げると。県内の電動車の導入割合も一定程度ございますので、これは、国でも電動自動車を導入する場合の補助などがございます。そういったものもございますし、また、なるべくCO2の排出削減をするということで、ガソリン車からの転換も広く呼びかけてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 電動車の中にはハイブリッドが入っているのです。世界的にはハイブリッドは入れていないのです。長野県の計画にも入っていないです。さっき私が紹介した電気自動車。そして、あなた方の計画には、次世代自動車の普及等で28万5、000トンのCO2を削減するとなっているのです。これは電気自動車ではないのですか。FCVも入っているのですか。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車などを含めたものでございます。
〇斉藤信委員 だったら台数を示してください。
〇前田特命参事兼青少年・男女共同参画課長 現在の次世代自動車の普及状況でございます。
 まず、電気自動車、いわゆるEVでございますけれども、令和3年3月時点で1、198台となっております。また、プラグインハイブリッド車、いわゆるPHVと呼ばれるものですが1、593台となっております。FCVは、先ほど答弁申し上げたとおり1台ということでございます。HV、ハイブリッド自動車でございますけれども9万9、123台となっております。これら次世代自動車を合計しますと11万340台、国の資料によりますとそういう状況になっております。
〇斉藤信委員 全然答えになっていないです。EVとPHVで乗用車の中で0.52%ですよ。これをリアルに見て、何を普及すべきかという戦略を立ててやるべきですよ。FCVを3台買って、水素ステーションをつくって、どうやってCO2削減ができますか。これは宣伝にもなりませんよ。今、本当にEVでやるのだったら、EVのしっかりした目標を持つことです。
 ハイブリッドは次世代自動車に入っていないというのが国際的な考え方です。そういう意味で、これは見直しの課題だと思うので、これだけのお金をかけるのだったら、もっとEVの普及に本格的に取り組むというふうに見直した方がいいのではないか。採算のとれない事業をやって、これは本当にプラスになりませんよ。そのことを率直に指摘しておきます。
 県央ブロックのごみ処理広域化計画について、この間の進展状況、地域住民の合意はどう図られているか。ごみの減量計画はあるのか。
 また、今、決められた予定地は盛岡市前潟のイオンモール盛岡の近くです。いわば交通の要所、まちづくりの要所ですよ。排ガス対策とか交通渋滞対策は検討されているのか。まとめてお聞きします。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 まず、進捗状況についてでありますが、昨年3月に開催された県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会において整備予定地が決定された後、同年5月及び10月に盛岡市前潟地区において住民説明会などが開催され、意見交換が行われたと聞いております。
 また、12月1日に開催された協議会では、広域処理開始後の焼却処理以外のごみ処理体制や最終処分の方針などの課題について、8市町間で協議、検討を行うため、全体の工程を1年おくらせ、新たなごみ処理施設は令和14年度からの稼働を目指すことになったと承知しております。
 次に、県央ブロックのごみ減量計画でございますが、県央ブロックの8市町においては、各市町それぞれで一般廃棄物処理計画などを策定し、ごみ減量化に取り組んでいるところでございます。
 今後は、広域化に向けて8市町において循環型社会形成推進地域計画を策定し、ブロック全域におけるごみ減量化のための3Rの目標、施策を定めるとしております。
 続きまして、排ガス対策ですが、盛岡市クリーンセンターにおいて、現在は国の基準よりも厳しい基準で運転しております。新しい施設についても、地域との協議によって設定されると思います。
 また、交通渋滞対策については、今後実施する環境影響評価の中で、より詳しい調査を行い対応していくと考えております。
〇斉藤信委員 結局、減量計画もない、渋滞対策の検討もない、全ては場所ありきで進められていると。このことを指摘して、終わります。
〇小林正信委員 私からは1点だけ、子供、若者の育成支援についてお伺いしたいと思います。
 平成22年に子供、若者の抱える問題の深刻化、また環境の悪化を受けて、子供、若者の総合的な支援のための子ども・若者育成支援推進法が施行されました。岩手県としても、この法律を受けて、これまでさまざまな取り組みをやってこられたと思うのですけれども、この取り組み状況についてお伺いします。
〇高橋若者女性協働推進室長 県のこれまでの取り組みについてでありますが、県では、平成22年度にいわて青少年育成プランを改定し、この法律に基づく計画として位置づけまして、青少年健全育成施策に取り組んできたところでございます。
 平成28年度には、岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議を設置しまして関係機関の連携に努めてきましたほか、平成29年度には、総合相談窓口として県内2カ所、1カ所につきましては、アイーナにある青少年活動交流センターの青少年なやみ相談室、それから、岩手県精神保健福祉センターの岩手県ひきこもり支援センターを位置づけまして、相談支援などに取り組んできたところです。
〇小林正信委員 答弁にもございましたとおり、この法律に基づいてだと思いますけれども、岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議を設置されてきたということで、この会議には、困難を有し支援を必要とする子供、若者に対する支援を効果的かつ円滑に実施する、このような目的があります。
 この会議の開催状況、その内容、また、この会議を受けて展開された施策がございましたらお伺いしたいと思います。
〇高橋若者女性協働推進室長 岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議のこれまでの開催状況等についてでございますが、このネットワーク会議は、教育や福祉、労働等の関係機関や民間の支援団体を構成メンバーとしておりまして、毎年、子供、若者を取り巻く状況について情報交換を行っておりますほか、研修会を開催して各構成機関の対応力の向上を図っているところでございます。
 本年度は、日ごろの支援にかかわる課題を各構成機関から提出いただきまして、具体的には、不登校等により進路の決まっていない生徒への切れ目ない支援のあり方ですとか、障がいや貧困が背景にある青少年への効果的な支援方法などについて、現場での対応の実例等も交えながら意見交換をしてきたところでございます。
 岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議を受けまして、毎年、各機関の相談対応方法等を盛り込みました相談対応機関リストを作成しておりまして、各機関の専門性を生かした連携の強化に努めているところでございます。
〇小林正信委員 この会議と、あとまた相談についての取り組みもしっかりやってこられたということで、県では、先ほども答弁にありましたけれども、子ども・若者総合相談センターを設置されています。このコロナ禍で、特に困難を抱える子供や若者の世代もかなり大きな影響を受けていると思います。相談事業についても、この中で重要な取り組みかと思いますけれども、この相談の状況についてお伺いしたいと思います。
〇高橋若者女性協働推進室長 相談支援の取り組み状況についてでございますが、青少年なやみ相談室では、土日、祝日も含めまして、常時、電話、面談、メールで青少年や保護者等からの相談に対応しておりまして、相談受理件数は例年600件前後となっております。
 コロナ禍ではございましたが、コロナ禍の影響で相談がふえたという状況は伺ってはいないところでございます。
〇小林正信委員 コロナ禍であるにもかかわらず相談がふえていないというのも、少し課題もあるのかなと思いました。困難を有する子供、若者の支援については、子供・若者育成支援推進法が定められているとはいえ、具体的な取り組みの推進については、当局としてもなかなか悩んでいらっしゃる部分もあるかと思います。
 しかしながら、県の若者政策については、若者女性協働推進室が担当かと思いますけれども、若者活躍のほうに重きを置いて、困難を抱える若者には十分な支援ができているのかというようなところの疑問が私もあります。
 このコロナ禍で子供や若者を取り巻く環境はかなり悪化している、これは県でも御承知のこととは思います。令和3年度の子供・若者白書では、自殺、児童虐待、不登校、いじめ、若年無業者、これが軒並み悪化している状況です。こうした状況で、若者の活躍を支援することも大事ですけれども、子供、若者の支援施策にしっかりと予算をつけていくべきではなかったのか、こちらに集中するべきではなかったかと思います。
 私自身も、社会的包摂について、この間言及させていただいたのですけれども、この若者女性協働推進室の取り組みを見ても、いわて県民計画(2019〜2028)の理念である社会的包摂が反映されていないのではないかと。ソーシャル・インクルージョンが、さまざまな事業に行き渡っていないのではないかと感じているところです。
 子供、若者の自立支援は本当に難しい課題で、若者女性協働推進室だけではなかなか難しい部分もあり、他部局の力をかりて取り組まなければ大変難しい大きい課題なのではないかと感じております。今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇高橋若者女性協働推進室長 先ほど新型コロナウイルス感染症の関係でも、相談件数としては例年の600件前後で推移しているというお話をさせていただきました。ただ、例えば、コロナ禍での女性へのつながりサポート事業ということでいわての女性スペース・ミモザという拠点施設を開設しておりまして、そちらでも相談件数がかなり増加してきているということがございまして、さまざまな相談機関へ相談できるような体制の中の一つが、青少年なやみ相談室であったかと考えております。
 また、今後の取り組みについてでございますが、やはり子供、若者を取り巻く環境が複雑化、多様化しております。困難を抱える青少年の課題に適切に対応するためには、委員お話のとおり、さまざまな分野、関係機関が一層連携して取り組んでいく必要があると考えております。
 この岩手県子ども・若者自立支援ネットワーク会議のほかにも、いわて若者ステップアップ支援事業ということで、困難を抱える青少年向けの事業を当室でも実施しております。これは、岩手労働局や関係市町村と連携した取り組みでございますので、いずれ、こういった各般にわたる施策に連携して取り組みながら、困難を抱える子供、若者の支援に丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 いわて若者ステップアップ支援事業も非常に重要な事業だとは思うのですけれども、これは以前から取り組んでいらっしゃる事業ですね。コロナ禍でございます、本当に重大な影響を受けている子供、若者に対する一層の新たな取り組みも必要だったのではないかと思います。
 千葉県では、子ども・若者推進法を受けて、環境生活部で子ども・若者育成支援室、このための室を設けて、これも恐らくこの法律を受けての設置だと思うのですけれども、子ども・若者総合相談センターについても、県の合同庁舎にしっかりと場所を設けて、専用ホームページもしっかり開設して、重点的に取り組みを進めております。
 いわて県民計画(2019〜2028)の理念にソーシャル・インクルージョンを掲げていることは、本当にすばらしいことなのですが、せっかく社会的包摂をやっていくぞと言っている岩手県が、千葉県に負けているのではないかと。しっかり千葉県に負けない取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 環境生活部が総合的、また包括的に困難を抱える子供、若者を支援する取り組みは、コロナ禍で大変重要な取り組みだと思うのですけれども、今後しっかりと充実に向けて取り組んでいただきたいと思います。最後にもう一回、今後の取り組みに対する考え方を聞いて、終わりたいと思います。
〇高橋若者女性協働推進室長 委員お話のとおり、困難を抱える青少年の課題に対しまして、丁寧に、適切に対応していくことが非常に大切なことであろうと考えております。また、こういった子供たちは、人口減少の中で次代を担う大切な人材であると考えておりますので、今後とも、国、市町村、それから関係部局と総合的に取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 関係部局の力もかりてということですが、やはりどこかがリーダーシップを発揮してというのは、これまでも議論があったところです。この子供、若者の困難をどの部局がリーダーシップを発揮してやっていくのかということも重要だと思いますので、しっかりと責任の所在というかリーダーシップを発揮する人を明確にして取り組みを進めていく、これは一つ一つの事業でもそうだと思うのですけれども、これをぜひお願いしたいと思います。進まなかったら責任をとるというような思いで、この重要な問題には真剣に取り組んでいただきたいと要望して、終わりたいと思います。
〇ハクセル美穂子副委員長 再開後、おおむね1時間半が経過いたしますが、この後、質疑を表明している委員があと1人となっていることから、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇高橋はじめ委員 私からは、土壌汚染対策法の運用について何点かお尋ねしたいと思っております。
 この土壌汚染対策法の中で、第4条第1項に土地の形質変更届の提出というのがありまして、3、000平米以上の土地の形質を変更する場合、工事の3カ月前に届け出をしなければならない。その内容は、地盤の改良、掘削、盛り土、杭、鋼矢板の打設、それから舗装の剥離、こういった分野になるわけでありまして、今、全国的にもこの届け出の失念に関して、さまざまなところで是正に向けた取り組みがされている。広島県では、県営の工事でもそういうものがあって、関係職員の処分をしたりということも新聞記事でありました。そういったことを背景にお尋ねしたいと思います。
 直近5年間の届け出状況はどうなっているのか、それから、届け出が提出された場合に、その現地を確認しているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇黒田環境保全課総括課長 委員お尋ねの直近の届け出の状況等についてでございますけれども、本県での直近の数字といたしまして、平成28年度から令和2年度までの5年間で、毎年おおむね200件前後の届け出が出ておりまして、5年間のトータルで1、046件の提出がございました。
 そして、現地確認についてでございますが、調査命令を発出する際に行うほか、土地の所有者の同意が得られる場合などにおいては、必要に応じて現地確認を行っているところでございます。
〇高橋はじめ委員 1、046件ということでございますが、その一方で、要するにこの法律の解釈をしっかりできていなくて未提出のところはどれくらいあるのかと。
 私がなぜこの質問をするかというと、県議会に対して軽米町から陳情書が2回にわたって出されております。昨年9月3日に希望いわて会派宛てに一つ、これは資料もついておりました。二つ目には、10月12日、これは五日市王議長宛てに陳情書が同じ内容で来ておりました。
 それで、いろいろ医療局にも聞きますと、5月10日にこの陳情書に書いている内容については回答を申し上げている。回答を申し上げているが、この9月、10月にまた、医療局に出したと同じような内容の陳情書が出てきていることから、なぜだろうということでいろいろ調べておったのですが、その際に目にしたのが、この第4条第1項の届け出が3件出ていなかった。
 それでもう一件、このかるまい交流駅(仮称)整備事業建設予定地も出ていなかったので、それは出したことで未提出ということでなく、指摘があって出したからとりあえず間に合った。あとは、もう工事が終わってしまっているのが3件出て、それから、てんまつ書も出てきているという事態を見つけました。
 先ほども言ったように、この法律の解釈が各市町村でうまくされているのかということも含めて、未提出が今までどれくらいあったのか。それらについては、どういう事由なのか。その後、措置はどうされたのかということを含めてお尋ねしたいと思います。
〇黒田環境保全課総括課長 未提出の形質変更届についてでございますが、過去には県に対する未提出事案がございまして、その理由について調べてみますと、委員がおっしゃるとおり、担当者の法令に係る知識不足、届け出が必要であることを知らなかった、また、行政の場合ですけれども、担当の引き継ぎなどが行われる際にしっかりと情報が伝わっていなかった、そのほかでは、工程の変更などにより届け出を出す時期を失念していたなどがございました。また、このような事例が探知されました場合には、早急に届け出を提出するように指導しております。
 また、事案につきまして、既に形質変更が開始されていた場合におきましては、法に基づく届け出に準じた書類を早急に作成して、関係書類もあわせて提出するように指導しております。また、そのおくれた理由などにつきましては、再発防止内容を記載したてんまつ書の提出を求め、県から注意書を交付している状況でございます。
〇高橋はじめ委員 この法律におきましては、法令違反があった場合、罰金とかいろいろ処罰の記載があるのですが、そういった事例はないですか。
〇黒田環境保全課総括課長 特にございません。
〇高橋はじめ委員 ほかの県では、こういう事例が出た場合には処分をした県もあるようでございます。周知がしっかりされているのかどうかが一番問題であって、それが理解されていないので、なかなか処罰、処分ということもしにくいのかなという思いもちょっとしておりましたが、再発防止の取り組みについてはどう進めておられるのか伺います。
〇黒田環境保全課総括課長 再発防止の取り組みでございますけれども、県としては、土壌汚染対策法に基づく届け出の必要性や重要性については、法が施行されて以降、これまでも、県の関係部局、市町村などの自治体、そして建設関係団体には毎年通知を出しております。しかしながら、委員御指摘のとおり、失念するような事案もあることから、今後につきましても、事業者の団体の研修会のような直接お話ができる機会を捉えて、よりしっかりと周知を図っていきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 昨今この土壌汚染の問題や、全国的に問題になっている盛り土の関係など、非常に大きな問題として取り上げられております。これについては、県もしっかり目配り、気配りをしながら、また、各広域振興局の保健福祉環境センター―保健、福祉、環境と三つ担当している大変大きなセンターになるわけですが、そういうところでも、しっかり明るい担当者を配置しておかなければ、なかなかいい指導ができないのではないかと思っておりますので、その辺の人員配置等についても、ぜひ考えていただければと思います。
 それから、この陳情書の中では1億6、500万円ほどの処分料を医療局に求めているわけであります。それで、いろいろな資料、軽米町議会の議事録なども取り寄せてみましたが、400平米で500トンが医療廃棄物です。混在したからそれぐらいになるのでしょう。これの処理費用を含めて、その間の工事を停止した補償料とかもろもろで1億6、500万円の請求が来ているわけであります。
 軽米町の当時の病院規模からして、そんなに医療廃棄物が捨てられたとは私は思いませんし、私も昭和46年に会社に入社したのですが、その当時の会社には、大きなれんが造りの焼却炉があって、燃えるごみは大体そこで焼却し、焼却灰はドラム缶に入れて廃棄物処理業者にお願いする。壊れたものは、どこかに穴を掘ってちらちらと埋めていたのではないかと。私は、その壊れたごく一部が見つかったのではないかという思いもしております。
 この医療廃棄物と言われる量はどの程度と推定されているのか。それから、鉛も検出されたということでありました。病院で鉛を使うのかということがあるわけですが、もし使うということであれば、どのようなところで、どの程度使われたものか、もしおわかりであれば、その辺をお尋ねしたいと思います。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 工事用地から掘り出されて処理を行った土砂まじりの医療廃棄物については500トン余りと聞いておりますが、医療廃棄物のみがどのぐらいあったかについては、報告を受けておりません。
 また、鉛が検出されたということで、病院由来かどうかということですが、これについても、病院由来かどうかは特定されておりません。
〇高橋はじめ委員 まあ、そういうことでしょう。
 先ほども申し上げましたけれども、医療廃棄物の量は、人間が掘って埋めるわけですから、直径でもせいぜい2メートルぐらい、深さも1メートルも掘ったら、そこの穴に落ちてけがをするということがありますので、せいぜい四、五十センチメートルぐらい掘っているかもしれませんね。
 それと、鉛ということに関しては、病院の建物を昭和44年に軽米町に無償譲渡したわけです。軽米町はその病院の建物を使って企業誘致をされ、その企業誘致はファッション系、ストッキングの製造工場だったのですけれども、今、女性用のストッキングはカラフルになっておりますが、染物として、ごくまれに鉛も使われている、そんな話も耳にするわけであります。
 そういうことを含めて、この500トンというのは非常に大きいし、鉛というのも変ではないかという思いをしておりますが、もう一度そのところをお伺いしたいと思います。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 その量についてですが、もとの量がどのぐらいあったか報告を受けていないので、500トンが多いのかどうかについては、こちらではちょっと判断ができないということでございます。
 また、軽米病院の後に誘致された工場については、地歴調査からは鉛を使用したという地歴はございません。そのことから、鉛が検出された原因については、バッテリーなど、または自然由来でも出る可能性はありますので、県として特定するのは困難だと考えております。
〇高橋はじめ委員 わかりました。専門的な調査機関に依頼してしっかりと調査すれば、およその姿がわかったのではないかと思っておりますけれども、なぜか工事を急ぐ余り、早々に現物等を処分してしまったということが、今日まで大きな問題として残っているわけであります。
 それで、三つ目には、旧軽米病院、旧と言いますけれども、本来は旧々軽米病院なのですね。今の病院は県立軽米病院ということで3代目になるわけですが、最初の軽米病院が2代目の病院跡地に移転したのは1969年、昭和44年ということで、廃棄物を埋設したのは50年以上も前であります。それで廃棄物処理法違反に該当するのかと。この法律は、たしか翌年かその次の年にできたような気がするのですけれども、50年以上も前なのに、これは廃棄物処理法に違反するのか。
 また、医療局は、この軽米町から陳情を受けている損害金について、果たして損害賠償に応じる必要があるのかどうか、環境生活部としての見解をお伺いしたいと思います。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 廃棄物処理法が施行されたのは昭和46年でありまして、それ以前に廃棄物を埋めたとしても、廃棄物処理法違反には該当しないと考えております。
 また、損害賠償のことについては、当事者間の問題であり、廃棄物処理所管部としては、申し述べることは差し控えさせていただきます。
〇高橋はじめ委員 法ができる前のごく一般的にやられている処理方法であったわけでありますので、それに応じて、医療廃棄物で見つかったのは、壊れた体温計2個と注射器1個だったと思います。あとは薬が入っていたのではないかという小瓶が1個とか2個とか、そんな話もありました。それらを含めて全てが医療廃棄物という捉え方も、ちょっとおかしいという思いもいたしておりました。
 この軽米町議会のやりとりを含めて、この医療局に対する請求までのいろいろな経過を見ますと、非常に疑問に思うところがたくさん出てきております。そういう中で、医療局だけに任せないで、しっかり県としてもその対応というか回答を出していく必要があるのではないか。廃棄物のエキスパートは環境生活部ですので、医療局は、どちらかというと医療専門ですから、そのところを連携していかないと、廃棄物処理法を含めたところは、医療局では余りエキスパートがいませんので、そのことは大事にしていただければと思っております。
 軽米町の土地購入は平成28年度末、これは平成29年3月に購入して、そのときに登記しておりました。法務局に行ってみました。3月末に登記しておりました。ただ、そのときに建物についてどうかと登記を見ましたら、実は、県立病院が登記簿上はまだ残っているのです。建物として、所有が岩手県で残っているのです。抹消登記されていない。つまり昭和44年に軽米町に譲渡したときに、本当は軽米町が建物の所有権の移転登記をしなければならなかった。それから、平成17年に建物を壊した。壊したときに、この登記を抹消しなければならなかった。そのことがされていなくて、いまだに建物が残っている状況なのです。これは今後大きな問題にならないのか、ただ抹消するだけでいいのか。
 それと、平成29年度に調査、基本設計業務をやっている。平成30年度に詳細設計業務を終えている。令和元年度は、関係する町道の改良工事をやっている。それで、工事を具体的に始めたのは令和2年度で、10月19日に起工式をやった。事の経過は起工式後に、23日に工事説明として地域住民の方に説明会をやったら、いろいろごみ等を燃やしていた場所があの辺だと。それで、住民から話を聞いて初めて、軽米町がそこを掘ったら医療廃棄物が出てきたということなのです。
 土地を買ってからこの2年あるいは3年余り、あるいは詳細設計が終わったのは平成30年度、この時点で本来は地域住民に説明すれば、あのあたりにあると、こうした状況もわかるような気がするのです。そうしたら、そのことをもとに、さまざまな試掘をしたり調査をすれば、こんな大きなことにならないで済んだ。そういったところも、ちょっと軽米町の対応としてはおかしいのではないかという思いも私はしております。
 いずれ、こうしたことはどっちにとっても余りいいことではないので、未然に防ぐような取り組みをそれぞれの地域や関係部署でやっていただければと思っております。
 県北広域振興局二戸保健福祉環境センターでは、県境産廃のことも含めて、産廃については拠点として今まで取り組んできたという思いをしております。そういうところでこの問題が2年、3年続くようなことは、私は非常に残念でならないと思います。ぜひ、次善のというか、あらゆる考えられることを含めて、担当部局としてしっかり対応していただければと思っております。
 最後に、石田環境生活部長にこの件について所感を伺って、終わりたいと思います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 いずれ、開発行為に関する法令は、環境法令以外にもさまざまございます。そういうことで、県でも複数の部局が関係することとなりますので、今後も、市町村や関係部局と情報共有しながら、開発行為を事前に把握した場合には、開発事業者等に対し、関連法令への適合性を確認してもらうと。
 あとは、やはり事業者はどうしても、補助事業であったり、そういうものに間に合わせるために急ぐ場合もありますから、しっかりとそういうことも確認していただくことを、県からも、必要に応じて市町村に対して指導、助言等を行っていく必要があると考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時48分 散 会

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