令和4年2月定例会 予算特別委員会会議記録

前へ 次へ

令和4年3月8日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 中 村 佳 和
議事管理担当課長 藤 枝   修
主任主査 藤 平 貴 一
主任主査 糠 森 教 雄
主任主査 増 澤 綾 子
主任主査 鈴 木 貴 博
主査 阿 部 真 人
主査 刈 屋 江美子
1 説 明 員
知事 達 増 拓 也
副知事 保   和 衛
副知事 菊 池   哲
企画理事兼
環境生活部長 石 田 知 子
復興防災部長 戸 館 弘 幸
ふるさと振興部長 熊 谷 泰 樹
保健福祉部長 野 原   勝
ILC推進局長 高 橋 勝 重
議会事務局長 南   敏 幸
次長 下山義彦
総務課総括課長 米澤 勉
政策調査課長 大 坊 真紀子
総務部長 白 水 伸 英
理事兼副部長兼
総務室長 千 葉 幸 也
参事兼行政経営推進課総括課長 西野文香
総務室管理課長 大森健一
特命参事兼
法務・情報公開課長 戸 田   新
人事課総括課長 加藤勝章
職員育成課長 熱海淑子
財政課総括課長 山 田 翔 平
税務課総括課長 今野 浩
管財課総括課長 平 野 信 二
総務事務
センター所長 小笠原 祐 喜
政策企画部長 石 川 義 晃
統括調査監 上和野 里 美
副部長兼
首席調査監 坊良英樹
技術参事兼
政策企画課
総括課長 照井富也
政策課長 加 藤 真 司
評価課長 高橋幸司
秘書課総括課長 佐藤益子
秘書課
儀典調整監 高橋利典
秘書課管理課長 阿 部 美登利
広聴広報課
総括課長 村上 聡
報道課長 和 田 英 樹
総括調査監 畠山英司
調査監 内城 仁
調査監 佐 藤 直 樹
会計管理者兼
出納局長 永井榮一
副局長兼
総務課総括課長 藤 澤 良 志
入札課長 安倍 均
会計課総括課長兼会計指導監 大 塚 貴 弘
審査課長 大 崎 誠 幸
人事委員会
事務局長 今 野 秀 一
職員課総括課長 藤村 朗 
監査委員事務局長 小 畑   真
参事兼監査第一課
総括課長 小 守 健 一
監査第二課
総括課長 佐々木 昭 司
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 なお、佐々木茂光委員、城内よしひこ委員、川村伸浩委員及び臼澤勉委員は、欠席とのことでありますので、御了承願います。
 議案第2号から議案第21号まで、議案第26号、議案第27号、議案第29号から議案第31号まで、及び議案第37号の以上26件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会総務部、政策企画部、出納局、人事委員会及び監査委員関係の質疑を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 また、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、新型コロナウイルス感染症対策として、換気のため、午前は1回、午後はおおむね1時間半ごとに休憩いたしますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き総括説明に対する総括質疑を行います。
   〔千葉絢子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千葉絢子委員 いわて県民クラブの千葉絢子です。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。
 初めに知事に伺います。来年度当初予算案では、人口減少社会への対応、デジタル化の推進、グリーン社会の実現の三つが重点テーマに挙げられています。一方で、既存事業の多くが継続となり、人員や予算が厳しい中での事業増による多忙化と、政策効果の希薄化につながらないか心配しています。
 改めて、来年度実施する事業において、どのように知事は選択と集中を行ったのか、選択と集中についての基本的な考え方、戦略を伺います。
〇達増知事 令和4年度の予算編成では、政策評価結果等を踏まえ、ゼロベースで事業の必要性と優先順位を見きわめ、重点化を図ることや、三つの重点テーマに沿った事業の検討に特に留意することなどを基本方針として示したところであります。
 このような方針のもと、新型コロナウイルス感染症対策により事業数が増加している中で、中期財政見通しで見込まれる収支ギャップなども踏まえながら、経常的経費などに削減目標を設定することによる、既存事業の事業費の縮減や、事務事業評価の活用による効果的、戦略的に事業を進めるためのスクラップアンドビルドなどを進めるとともに、新たに設定した三つの重点テーマについて、重点措置分として10億円を超える新規事業を計上するなど、選択と集中を行ったところであります。
〇千葉絢子委員 選択と集中については、野村総合研究所の解説では、競争戦略上得意とする、あるいは得意としたい事業分野を絞り込み、そこに経営資源を集中するということを指しています。どんな事業でも競争に勝つためには、それ相応の経営資源、ノウハウの蓄積、また、迅速な意思決定を必要としますが、その一方で、多くの事業を抱え込むほど一つの事業に投入できる経営資源は限られ、どれも中途半端になることが少なくありません。
 選択と集中と言いながらも、岩手県が今陥っているのはこの状況ではないかと、私は大変懸念しておりますが、私が伺いたいのはそういうことなのです。改めて認識を伺います。
〇達増知事 地方自治体の事務といいますのは、県であれば、これは県民のために行われるもの、県民の事務でありまして、この県民の経済、社会活動が多様化、複雑化するにしたがって、やはりこの事務も多様化、複雑化していくものでありますけれども、そういう中にありまして、それぞれの担当部局におきまして、事務の見直し、重点化を図り、そして、財政部局と調整をしながら、妥当な予算、そして、妥当な事業ということで、選択と集中を行ったところであります。
〇千葉絢子委員 県民のために行われるべきものであるということは、私もそのとおりだと思っておりますし、職員一人一人がそれを心にきちんと念じて、職務に当たっていただきたいと願っているところであります。
 今定例会の開会に当たっての知事演述を伺いました。知事の所信の一端とおっしゃっておりながらも、各部局が取り組んでいる事業の羅列が多く、各部局が取り組んでいる事業をそれぞれ持ち寄って、それを紹介して所信にかえたという印象で、知事の政治家としての今の危機的な状況に立ち向かう強い思いとか、豊かであろうはずの知事御自身の人間性になかなか迫ることができなかったと私は感じております。
 知事はこの岩手県をどうやって幸せに導こうとしているのか。私は、今、県がやっていることを聞きたいのではなく、問題意識を聞き、政策談義をしたいと、この総括質疑に臨んでおります。
 さて、きょう3月8日は国際女性デーです。この日は、1908年アメリカのニューヨークで参政権のない女性労働者が、労働条件の改善を要求してデモを起こしたことに始まり、1975年に国連がこの日を国際女性デーと定めました。男性が女性にミモザの花を贈り、日ごろの感謝をあらわす日とされています。
 きょう私もミモザカラーでこの総括質疑に来ておりますけれども、1日ずれたことで、この日に私の政策テーマについて知事とお話しできること、大変意義深いと感じております。私への答弁が、女性労働者に対して、知事や居並ぶ男性幹部職員の皆さんがどう思っているか象徴的に捉えることができると思っております。どうぞ、奮って前向きな御答弁をお願いいたします。
 政治家を志したときから、私のテーマは、女性の労働施策の充実による貧困の解消と希望出生数の実現、そして、次の世代の教育と育成についてです。その実現のための基礎となる総合計画の審議では、実現を裏づけるための財政課題について懸念を示しました。総括をする10年後に、私たちの一体どれぐらいの者が立ち会えるのか、そのときに責任を負わされるのは、現執行部やここに居並ぶ我々ではないかもしれないから、無責任に理想を掲げるものではないと申し上げました。
 そのときは、アクションプランの実行期間の財源を示せば十分で、その後の計画実行に必要な財源については、あらゆる手段で歳入を確保するとおっしゃっていましたが、あれからたった3年で収支ギャップは現実のものとなり、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会を立ち上げて、第三者からアドバイスをもらって立て直さなければならない事態になりました。これはコロナ禍があったからではなく、コロナ禍がなければもっと危機が早まったものと私は感じております。
 こうした中で、今回の予算編成が、本当に県民の暮らしに寄り添った必要不可欠なものなのか。去年までは数千万円あった予算が数百万円の規模に縮小、その一方で、新たに立ち上がる組織の予算が、目的に対して過小過ぎるなど、多くの疑問がありますが、今回の総括質疑では、女性の流出、少子化の根本解決のための労働施策について選択し、集中してお伺いすることにしております。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性の非正規労働者の減少、つまりは解雇や自殺者の増加など、女性に深刻な影響を及ぼしています。女性の労働者の半分以上が非正規雇用でありますけれども、その多くが、この新型コロナウイルス感染症で大きな打撃を受けた、飲食、サービス業や観光、宿泊業に従事していて、生活の糧を失っています。新型コロナウイルス感染症の流行によって、この2年の間に県内の女性労働者が受けた打撃について、県はどのように認識しているでしょうか。
〇保副知事 県内の実態の数字ということで、県が実施しております毎月勤労統計調査によりますと、令和2年1月以降の労働者数の変化ですが、フルタイム、パートタイムの別、男女別とも、数字の上では労働者数やその割合に大きな変化はございません。
 ただ、この調査には、雇用調整助成金を利用して休業している労働者なども含まれているため、実態としての数字は正確ではないのではないかと思っております。
 また、国には全国規模での労働力調査がございまして、こちらを見ますと、男女とも令和2年4月に大幅に減少しております。特にその中でも女性の減少幅が大きく、非正規労働者の減少が顕著になっていることが読み取れます。
 これの産業別では、飲食業、生活娯楽業、宿泊小売業などで男性と比較して女性の減少が大きくなっております。一概に全てこの傾向を県内に当てはめることはできませんが、推しはかることはできるのではないかと思います。
 それから、ジョブカフェいわてにおける女性からの相談件数が増加傾向にあるということで、令和元年度は1、156件でしたが、今年度は、2月末現在で1、696件と1.5倍になっております。
 また、県では昨年7月、いわて女性のスペース・ミモザを開設いたしましたけれども、本年1月末までの相談件数は562件でございます。そのうち直接仕事に関する相談が51件となっております。
 このようなことを総合的に考えますと、本県におきましても、飲食、宿泊、小売業で、女性がパートタイムで働く割合が高いということですので、その影響は非常に大きいものと受けとめております。
〇千葉絢子委員 私は、この2年の間に、知人を3人自殺で亡くしました。どなたも飲食業に就いていらっしゃった方です。非常に大きな影響が出ていることが、今答弁いただいた数字でもわかるわけですけれども、内閣府男女共同参画局に事務局が置かれているコロナ下─アンダーコロナですね─の女性への影響と課題に関する研究会では、去年4月の報告書において、誰一人取り残さないポストコロナの社会へという提言をまとめています。それによりますと、今回のコロナ禍で、女性の状況が著しく悪化しているのは、経済、健康、家事、育児などの無償ケア労働、また、暴力の四つの領域となっています。
 具体的には、最も打撃を受けた飲食業などの対面サービス業の多くを女性の非正規雇用者が担っていたことにより、女性の貧困化が進んだこと。休校やテレワークにより、家事や育児の負担が増大したこと、強いストレスが与えられた状況下で、パートナーが自宅にいる時間がふえ、家庭内暴力の犠牲となる人がふえたことなどです。
 国際的にも、この感染症が猛威を振るい始めた2020年の4月9日、国連のグテーレス事務総長が、女性と女の子を新型コロナウイルス感染症の対応の中核に据えるべきであると各国政府に提言しました。あわせて、新型コロナウイルス感染症に関する全ての意思決定の場に女性が参画すること、新型コロナウイルス感染症による影響に対処する全ての枠組みへのジェンダー視点の主流化などを、対策として提言しています。
 この時点で既に、大きな打撃を受けるのは労働者を含めた女性であると指摘されておりまして、各国政府に、女性の権利や意思決定の場をきちんと与えないと大変なことになるぞと警鐘を鳴らしていたわけですね。
 そこでお聞きします。岩手県では、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、女性の労働者の県内の趨勢がどうなっているか、情報収集とそれに基づいた対策などは行ってきたのでしょうか。
 また、この状況下で、本人や家族の解雇などで、新たに職に就かねばならなくなった女性労働者に対し、これに特化した支援や取り組みなどはどのように行ってきているか伺います。
〇保副知事 先ほど幾つか数字を申し上げましたが、県がさまざま取り組んでおります相談とか、そういったところでの件数の趨勢、また、その中身といったことを我々も注視しているわけですけれども、岩手労働局がさまざまな雇用に関するデータを持っておりますので、そちらからの情報提供を受けつつ、県としても、ジョブカフェいわてや各振興局に配置している就業支援員、また、職業訓練を実施しております職業能力開発施設などと連携して、女性の皆さんの相談状況などを共有しているところでございます。
 コロナ禍で、女性の方からの相談や、また、女性の方が離職をされて、その方々が職業訓練を受けることも増加しているという状況を踏まえまして、これは特に女性向けですけれども、早期の再就職に向け、昨年度、就職面談会を県内2カ所で実施しております。
 また、各地区のハローワーク等と連携して、就職相談会の開催、離職者訓練のコースの拡充などを行っております。この離職者訓練は、受講者の約7割が女性で、子育て中の求職者、あるいは配慮が必要な方が受講しやすいように、託児サービスつきの訓練や、短時間で集中してやるといったようなコースの設定などを工夫いたしまして、より女性の皆さん、特に子育ての方が利用しやすくなるような配慮も行ってきております。
 この訓練におきましては、従来のコースの中に、基礎的なITスキルを習得するカリキュラムを盛り込むなど、デジタル化が急速に進んでいる中で、受講者が新たなスキルを身につけるよう改善を図ってきており、引き続きニーズに合わせて工夫をしていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 先日、3機関を視察してまいりました。その際に、女性に対する職業訓練は、今までのメニューと新しいメニューもあるそうで、国費で資格が取れる、24カ月─2年間のメニューとかもあるのですけれども、二、三カ月の訓練ですぐに現場に出て行けるようなコースを望む方が多いと聞きました。ただ、そうすると、スキルアップにはつながらず、結局、所得向上にはなかなかつながらないといったところがありまして、ぜひ、国費で無料で受けられる職業訓練のPRなどにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大期の令和2年3月には、全国規模での一斉休校が行われまして、自宅での子供の監護のために、退職したり、あるいは休職をしなければいけない、休暇をとらなければいけない、さまざまな介護サービスなどの利用を一時縮小されるなど、特に女性が家事と育児、介護など、家族の世話を担う役割を求められまして、そういった労働者の中には、退職、転職を余儀なくされた人たちもいて、この時点で、子供のいる女性労働者が主に影響を受けるということは優に想像できたはずなのです。
 我々議員の中にも、2年前の今ごろ、子供を伴って議会に臨んだ者もおりましたし、県庁職員に対しての便宜が図られなかったということが非常に残念でなりませんでした。
 誰が新型コロナウイルスに感染だ、きょうは何人だという騒動に我々が明け暮れている間に、日本の女性労働者を取り巻く環境はもっと悪化しております。東京都では、東京大学に研究を依頼し、都の社会福祉審議会で、コロナ禍の女性への影響と今後の課題について、去年9月、公開研究会を行いました。女性を取り巻く環境の現状把握と施策展開について既に動いているのです。
 資料を見ますと、コロナ禍直後に女性に何が起こって、どんな課題が出ているかというのが、きちんと整理されています。御紹介しますと、女性就業者数の低下幅が男性就業者に比べて大きい。主に、製造業、飲食業、生活娯楽業における女性就労者の減少が大きい。医療現場を支える多くが女性であり、ワークライフバランスの確保が困難、仕事の満足度の低下は、保育、教育、サービス、医療の分野で大きい。家庭内家事、育児負担が女性に依然偏る。家庭内暴力の相談件数は前年度比で1.6倍に増加した。
 自殺者数は、おととし6月から7月にかけて男女ともに大きく増加。量的には男性の数が多いが、前の年の同じ月と比べると女性の増加程度が大きく、特に8月期の女子高校生の増加が顕著であったということです。
 これらは、我が岩手県にも当てはまるものが多いのではないかと感じております。
 また、令和2年11月に独立行政法人労働政策研究・研修機構がNHKと共同で行った調査によれば、雇用に大きな影響を受けた女性労働者を業種別に見ると、飲食、宿泊業が最も多く58%、また、生活娯楽等サービス業も38%に上っていて、解雇や雇いどめにあった女性の3割強は再雇用に結びついていないことがわかりました。
 県ではこの数年間、いわて女性活躍推進員の起用や、男女共同参画サポーターの養成、いわて女性の活躍促進連携会議、いわてで働こう推進協議会などの取り組みを通して、若者や女性の定着、企業の男女共同参画や、女性管理職の登用などを促進してきたのであろうと認識していますが、これらの活動がどの程度実を結んで、厳しい状況下の中での企業側の雇用継続などにつながっていると評価しているか、経年で改善している数字があったら、あわせてお示しいただきたいと思います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 これまでの女性の活躍施策に関する評価についてでありますが、県では、男女共同参画センターを中心とした女性の就労相談や、就業に向けた学習機会の提供等に取り組むとともに、あらゆる分野の審議会や市町村防災会議への女性委員の登用など、政策、方針決定過程や市町村防災行政への女性の参画拡大を進めてきたところです。
 その結果、審議会等に延べ約500人の女性委員が就任し、ほぼ全ての市町村防災会議に女性委員が登用されたところであります。
 また、女性が働きやすい職場、環境づくりを進めるため、いわて女性活躍企業等認定制度の創設や、いわて女性活躍推進員の活動により、認定企業数は、平成29年10月の制度導入から本年1月までの4年半で314社となったところであります。
 認定企業の約半数を占める建設業では、現場の環境改善や技術部門への女性の配置が進められているほか、多くの認定企業から、企業のイメージアップによる人材確保や、両立支援制度の充実による休暇取得者の増加につながった等の意見が寄せられております。
 官民一体で取り組みを進めるいわて女性の活躍促進連携会議の就業促進部会では、経営者の意識改革や、職場、環境改善への提言、コミュニティFMによる先進事例の発信等を行っており、民間での自主的な取り組みも広がっていると承知しております。
 引き続き、関係部局や関係団体等と連携しながら、女性が活躍する環境整備に向けて取り組みを一層進めてまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 私がお伺いしたいのは、一層進めていく取り組みのほうなのです。女性労働者の満足度などを測っていますか。
 では、いいです。次に行きます。
 経営者側とか、施策をする側のデータは豊富なのです。ただ、実際働いている人たちが、その賃金に満足しているか、その労働環境に満足しているかというところを測るのが、本来の政策評価ではないかと私は思っているわけです。
 さきに紹介した東京都の社会福祉審議会の研究会では、このパンデミック下で女性に何が起こっているのか。また、解決すべき課題について、私も先ほど御紹介したとおり、それを見れば行政は何をすればいいのかということがわかるわけです。あれがあれば、岩手県の職員たちだって、何をしなければいけないかというのは多分わかるはずなのです。そういう施策の展開にああいう資料を使っていただきたいと私は思っております。
 それに対して、我々岩手県が行ってきたこれまでの新型コロナウイルス感染症対策は、ほぼ感染ゼロ対策に傾いている傾向があると私は思っておりまして、県独自の緊急事態宣言、また、それに伴う地域限定での飲食店への協力金支給、経営者向けの国の補助金制度の周知がメーンで、生活に困窮している女性労働者を、特にひとり親世帯を含む非正規労働者を政策の対象に含まず、新型コロナウイルス感染症で顕著な影響が出ているというのはわかっているにもかかわらず、県の取るべき政策から疎外してきたのではないかということを、皆さん自問、そして、反省をしていただきたいと思っております。
 コロナ禍における女性や非正規の労働者に対する労働施策が、全く不十分であると私は考えておりますが、この点について、なぜ取り組んでいただけないのか、知事のお考えを伺います。
〇達増知事 コロナ禍における女性、非正規労働者に対する労働施策についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、令和2年3月以降、一貫して、女性パートタイム労働者の占める割合が高い宿泊業や飲食業の売上減少が大きい状況が続いており、こうした事業者の事業継続と雇用の維持を図ることを重点に、コロナ禍における経済対策を展開してまいりました。
 具体的には、家賃補助を国に先駆けて市町村と連携して実施したほか、地域経営支援金の二度にわたる全国的にも手厚い規模での支給、さらには、いわて旅応援プロジェクトや、いわての食応援プロジェクトによる需要喚起を進めてまいりました。
 こうした県の対策と、国における、持続化給付金や雇用調整助成金、個人を対象とした休業支援金、給付金などの支援が連動することにより、県内の多くの事業者の事業継続と雇用の維持が図られてきたと受けとめております。
 県としても、女性を対象としてきめ細かな支援策を講じており、また、全国知事会を通じて、非正規雇用労働者、女性等の再就職及び正社員化に向けた支援として、基金を活用した緊急雇用創出事業などによる雇用の受け皿の確保や、キャリアアップ助成金の拡充などについて、要請活動も行っております。
 今後も、女性や非正規労働者に対する支援も含め、コロナ禍が及ぼす実情を踏まえ、国や市町村、関係団体と連携しながら、必要な対策を行ってまいります。
〇千葉絢子委員 緊急雇用対策事業は、ほとんどが非正規だと思います。女性の労働者の半分以上は非正規雇用だと申し上げました。非正規雇用の方々の所得のボリュームゾーンは200万円以下なのです。その労働者をふやしてどうするのだと私は思います。正社員をふやしていく、しっかりとその立場を保障する、可処分所得をふやしていくというのが、女性の労働施策で一番大事なところだと私は思っております。
 新型コロナウイルス感染症対策において、女性労働者、非正規雇用者の困窮、また、貧困にあえぐ子供の増加を、実際に知事は見聞きしたことがありますか。現場に赴いて、困難を抱える人たちと向き合ってきたかお伺いします。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、かつてない困窮に陥っている方々がいらっしゃり、ひとり親家庭の方から、給料が減額となったため、貸し付けを検討している、子供が大学を卒業したが、就職ができず、貸付金の支払いの猶予をしたいといった相談や、生活困窮者の自立を支援する事業を通じて、収入が減って、家賃や公共料金の支払いができないなどの訴えが寄せられています。
 それぞれの方々の個別の対応については、母子父子寡婦福祉支援貸付金の償還猶予や生活福祉資金の特例貸付、住居確保給付金の給付につなぐなど、関係機関と連携して具体的な支援を行ってまいりました。
 また、このような実態を踏まえて、困難を抱える女性を支援するため、いわて女性のスペース・ミモザを設置し、相談対応や居場所づくりに取り組んでいるほか、岩手労働局、市町村とともに、雇用の維持、待遇改善を図るため、経済団体等への働きかけや飲食店への家賃補助、地域経営支援金など、給付する対策を行ってまいりました。
 このような取り組みを通じて困難を抱える方々に寄り添い、行政として支援を実施してまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 今までやってきた事業の御紹介でした。これだけ女性の労働者に対する環境が悪化しているということを、これだけデータとかほかの都道府県の取り組みなども御紹介しながらも、これまでの政策を継続して、新しいものには取り組まない、令和4年度もこの事業で行くという理解でよろしいでしょうか。
〇達増知事 令和4年度の新規事業については、予算書に書かれているとおりでありますし、また、その中で、継続とされているものについては、それなりにそれぞれ県の担当が、さまざまな関係団体、そして、市町村とともに、困窮している皆さんの声を伺いながら、あるいは相談しながら、効果のあるものを進めていこうということで、予算として提案しているものであります。
〇千葉絢子委員 では、岩手県にとって女性の労働者はどんな位置づけで、女性労働者の待遇改善、所得向上のために、今、取り組まなければいけない喫緊の課題は何だと思われますか。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事に就くことができる岩手を実現していくためには、性別にかかわらず、その能力を十分発揮できる環境を構築していくことが重要であります。
 県内では、自動車、半導体産業を中心とした産業集積が進んでいるほか、人口減少の急速な進展に伴って、観光業や飲食業はもとより、医療、福祉分野や教育を含めたあらゆる分野において、人材確保を進めていく必要があります。
 人材確保を進めていくためには、働く場が性別にかかわらず魅力あるものであることが求められるため、生産性向上による賃金の向上や、正社員化の促進による女性労働者に占める非正規労働者の割合の改善などの取り組みを強化していく必要があると考えております。
 このような考えのもと、令和4年度は、コロナ禍で急速に加速したデジタル技術も活用し、中小企業者が行うテレワーク導入に要する経費の補助等による柔軟な働き方の普及、促進や、介護職員の負担軽減や業務効率化を図るため、介護ロボット等の導入に要する経費の支援なども行って、女性が働きやすい労働環境の構築の促進、生産性向上による所得の向上に取り組むこととしております。
〇千葉絢子委員 ぜひ賃金のこともしっかり考えていただきたいと思っております。なぜ地方から女性がいなくなるか。つまりは、社会減の原因は何かということをちょっとお話ししたいと思います。
 一つはジェンダー格差の問題です。これは、過日、沿岸地域の若い女性の減少率について特別委員会でお尋ねした際に、復興防災部も認識されていると思いますが、本県は男性のほうが優遇されていると答えている女性の割合が高いということで、企業もそのとおりであるということ。
 もう一つは産業の問題。女性が働きたいと思う職種が少ないので、岩手県に残るということは自分の選択肢や可能性を狭めてしまうということになるのかもしれません。
 そして、最も大きな課題は賃金です。低賃金だということ。暮らしの糧を得るために、やりがい、求人の多さ、働きやすさということも大事ですが、ひとり立ちできる資金を確保できるか、経済的に自立できるかどうかが、岩手県の女性にとっては、その後の結婚や出産、子供の養育に不可欠な条件でありますので、現在の岩手県が置かれている、長時間労働の割に低賃金で、子供や家族の世話をするのが女の当たり前で、自分を家族の形に合わせてきた母親世代を見て、私は大都市で羽ばたきたいという夢を持って、地方から逃げ出して行くというのが、実際のところではないかということが、これまでの取材や職場、また、大学での講義、地域社会の中でかかわってきた客観的な立場と、岩手県に実際に住み、働き、育ててきた当事者の女性としての私の実感であります。
 東京一極集中の結果の地方の空洞化、東京都だけに原因があるのでしょうか。知事に認識をお伺いします。
〇達増知事 東京一極集中と岩手県の人口減少の関係についてお尋ねということかと思いますけれども、東京一極集中という問題の中には、東京都と岩手県における経済状況、雇用状況、労働環境の違い、また、さまざまな社会、文化的な違い、そういった中で、岩手県を含む地方から東京都に向かう大きな人の流れが、過去に生まれてきたということでありますが、その中には、政策的に変えられる要素、相対的な所得、委員がおっしゃるように、賃金に代表されるような労働環境、そして、その労働環境を支える相対的な経済状況です。
 これは、過去繰り返し私からも述べているところでありますけれども、地方と首都圏の相対的な経済水準、有効求人倍率であらわされるような、それが相対的に広がったときに東京への人口流入がふえ、縮小したときに地方への回帰が起きている。そういったことを今まで述べてきていると、今思い出しながら語らせていただきました。
〇千葉絢子委員 やはり賃金は大きな割合を占めるのです。この問いの本当の答えと克服しなければいけない課題は、この実の中にあるということにもっと皆さんに気づいてほしいと私は思っております。地方ならどこでもいいわけではないのです。この移住、定住の機運が地方に高まっているときに、どう岩手県を選んでもらうか、差別化を図らなければいけないわけです。そのためには何らかのインセティブ、アドバンテージを与えて、人材を確保するというのは、何も、不足しているお医者様など医療資源だけでなく、一般の労働者、県民に対しても同じだと思うわけです。
 先ほど年収の話をちょっといたしました。総務省の就業構造基本調査によれば、本県の30代から40代の女性の収入で最も多いゾーンは、100万円から140万円なのです。また、男性の平均収入も300万円台が多くなってます。しかし、海外情勢などで原材料や食料の価格が上がり、悪いインフレーション、いわゆるスタグフレーションが起こるのではないかという懸念もある中、社会保障が充実していない子育て世代は、結婚や出産、育児は、自分の可処分所得がさらに減る大変なリスクだと考えてしまっています。これが現在の日本の少子化の根本的な原因で、これを打開するためには賃上げしかないと、所得をふやすための国策、また、県の戦略の立案と実行しかないと私は考えています。
 そもそも女性の労働者は、岩手県にとって欠くべからざる人材なのか、女性一人一人が、子供を産むこと、また、家族のケアを一番に考えること以外に、どの程度期待されているのかが、全く伝わってこないのです。
 県庁でも、男性職員のサポートをすることを求められる、自分の希望の仕事を任せてもらえないという女性職員の方から、多くの不満が私のところに寄せられています。それは、例え議員としてこの場に立たせてもらっている私とて、議員になっても抱き続けている感情です。民間企業の仕事に従事して、女性を取り巻く労働問題に、社会に問題を感じて、退職をいたしまして、選挙によって多くの御支持をいただいて、このような意思決定の場に送り込んでいただいたのに、声になかなか耳を傾けていただけずに、女性活躍は何かと、私は自分にも、そして、この社会にも問い続けております。
 多くの県民の支持を得ているのは知事だけではございません。私たち議員も選挙を経て、有権者からの付託を受けてここにいるのだということを、知事御自身にも、そして、ここにおいでの執行部の皆さんにも、どうか忘れないでいただきたいと思います。
 子育て応援の店がふえたから、子供を安心して産めるわけではありません。不妊治療や産後のケアももちろん大事ですけれども、それがあるから安心して子供を産めると言い切れるわけではないと私は思っております。
 教育や子育てにかかる費用が大き過ぎて、子供を持つことを肯定に考えられないという結果は、国立社会保障・人口問題研究所の調査からも明らかなのです。その世帯への教育費の支援や医療費助成などの社会保障が足りないことが少子化の原因であり、クリアすべき課題だというのは、日本労働組合総連合会の芳野会長も先日の討論番組でしっかりとお話しでした。
 その課題を正面から見つめ、政策を打っていくべきだと考えておりますけれども、県の認識お伺いいたします。
〇石田企画理事兼環境生活部長 女性活躍に係る課題と対応についてでありますが、1986年の男女雇用機会均等法の施行後、約30年を経て、2015年の女性活躍推進法の制定で、社会全体で女性活躍を一層推し進めることとされ、本県においては、部局横断の女性活躍推進本部による取り組みのほか、いわて女性の活躍促進連携会議を中心として、行政と民間が一体となった取り組みを推進してきたところであります。
 女性活躍を推進する上での課題としては、経営者等へのポジティブアクションの理解促進、ワークライフバランスなど、女性が働きやすい職場環境整備が必要であると考えております。
 また、本年2月のいわて女性の活躍促進連携会議では、産業、経済団体の代表から、女性活躍は浸透しつつあるという意見があったものの、一方で、経営者や役員の意識改革、長時間労働の解消や家庭と両立できる環境整備、さまざまな職務経験による女性管理職登用の推進が必要である等の意見が出されたところであります。令和4年度のいわて女性の活躍促進連携会議の活動として、経営者の意識改革や、関係機関と連携した女性が働きやすい環境整備等の取り組みを一層進めるとともに、いわてで働こう推進協議会が進める、テレワークの導入による柔軟な働き方の普及促進等、各種取り組みと連動しながら、性別にかかわらず、その能力を十分に発揮できる環境づくりに努めてまいります。
〇千葉絢子委員 2月18日の岩手日報の論壇に投書された、24歳の釜石市の女性会社員の投稿を御紹介したいと思います。
 女性活躍変わるべきは誰か。女性はもう手いっぱいの状況だ。低賃金で働き、家事や育児をこなして時間がない。こんな中でどうやって活躍すればいいのだろう。ありとあらゆるハンディを抱えて仕事で活躍するなんて、むちゃぶりにもほどがある。政府や会社の打ち出す女性活躍推進の主語は大抵女性だ。変わるべきは私たちなのだろうか。イメージアップの上辺の女性活躍推進、持続可能な開発目標ではなく、本当の意味で持続可能な社会をつくるための女性活躍が求められている。男性活躍推進に熱心な社会で御活躍される男性の皆様、ぜひ御一考をと。強烈な皮肉でありました。
 岩手県の労働施策が、女性労働者を取り巻く困難にきちんとフォーカスして、数値目標をしっかり掲げて、満足度向上に深く寄与することを願い、総括質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
〇軽石義則委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ちください。
 次に、高田一郎委員。
   〔高田一郎委員質問者席に着く〕(拍手)
〇高田一郎委員 日本共産党の高田一郎でございます。
 新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守る課題について、質問いたします。
 第6波でも高齢者に感染が広がって、命を落とす人が増加しています。全国の死者数は令和4年2月だけでも4、000人を超えました。70歳以上は9割強となっており、高齢者施設でのクラスター増加と関連しています。県内でも、クラスターの件数は第5波と比べて10倍を超えています。高齢者の死者数の増加、高齢者施設の感染拡大の要因をどのように分析し、今後、どう対応しようとしているのでしょうか。
〇達増知事 オミクロン株については、基礎疾患等を有しない50歳未満の感染者の多くは症状が軽いなどの特徴がある一方、デルタ株に比べて感染拡大のスピードが極めて速いといった特徴があります。また、感染の場面を分析すると、教育保育施設、学校でのクラスターに加え、家庭や職場に拡大しており、家族が高齢者施設に勤務している場合など、感染の自覚がないまま出勤し、高齢者への感染につながっているものと考えております。
 2月以降に確認された10人の死亡者の方々については、いずれも高齢で基礎疾患を有する方々となっていますことから、死亡者を減少させるためには、重症化リスクの高い方が多く利用している高齢者施設での感染拡大を防止することが、喫緊の課題と認識しております。
 高齢者施設における感染対策については、平時からの取り組みが重要でありますことから、今後においても、最新の知見に基づき更新されるマニュアル等の活用の徹底を図るほか、施設内感染発生時等における事業継続計画の策定の支援に取り組んでまいります。
 また、感染者が発生した施設においては、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースによる感染制御、トリアージの支援を行うことにより、施設内での感染拡大及び重症化防止に努めてまいります。
〇高田一郎委員 高齢者施設に対しては、今後、ますます対策の強化が必要だと思います。特に有料老人ホームも含めて、十分に感染対策を学んでいるわけではありません。オミクロン株の特徴を踏まえて、外部からの感染対策の支援が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
 もう一つ大事なことは、高齢者施設でワクチン接種を一刻も早く取り組むことだと思います。いつまでに終了させるのかも含めて、目標を持って、最優先の課題として取り組む必要があると私は思いますけれども、改めて、ワクチン接種の対応についてお聞きしたいと思います。
〇野原保健福祉部長 まず、介護施設における感染対策についてでございます。介護施設における感染拡大を防ぐためには、ゾーニングや個人防護具の着脱、医療者の健康管理等を適切に行うことが重要でありますが、委員御指摘のとおり、介護施設の職員は必ずしも感染対策の訓練を受けているわけではなく、また、施設によっては、居室が多床室であり、陽性者の個室管理が難しいなどの構造的な課題も抱えております。このため、保健所や広域振興局では、感染対策について、医療安全研修会や、介護サービス事業者への集団指導において研修を行っているほか、保健所長や保健師が介護施設等を訪問するなどして、指導を行っております。
 また、介護施設等において、クラスターが発生した場合、感染者や出勤可能な職員の人数等も踏まえ、個々の施設の状況に応じた柔軟な対応が求められることから、これらに精通した専門家による支援が不可欠であり、これまでも多くの施設において、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースによる支援を行ってきたところであります。
 今後におきましても、こうした専門家の知見を生かす取り組みとして、例えば、さまざまな対応事例から得られた具体的なノウハウを学ぶ研修を行うなどにより、介護施設職員の対応力向上に向けた支援に取り組んでまいります。
 次に、ワクチン接種でございます。委員御指摘のとおり、今は比較的子供たちの感染が多いのですが、これが高齢者のほうに広がっていくということで、重症化リスク、また、死亡リスクが高い高齢者が集団で住んでおられます施設の対策が重要であり、ワクチン接種を進めている市町村、県及び医療関係者において、ワクチン接種を速やかに行うという共通した認識で進めております。
 2月末時点で、市町村でも施設へのワクチン接種を加速化するということで、重点的に進めておりまして、我々が把握している段階では、おおむね7割以上は接種が完了したと認識をしておりますが、さらに、ワクチン接種を希望する方々が一刻も早く終了するように、市町村と連携して取り組みを進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 高齢者施設でクラスターが起きれば、命にかかわる問題だと思います。先ほどのワクチン接種率が7割ということは決して高くない数字だと思いますので、重症化、死亡リスクを大きく下げる大きな役割を果たしているのがワクチン接種だと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、もう一つ心配なのは陽性率の高さであります。2月末の陽性率は24.29%、第5波では最大でも8.72%ですから、大変高い数字だと思います。捕捉率が低く、多くの陽性者を見逃しているのではないでしょうか。こういうときに検査数を拡大して、感染の実態を広く把握する必要があると、そういう時期ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、高齢者施設からは、せめて週2回検査をしたいけれども、なかなか検査キットがないという声が、どこの施設に聞いてもいまだに共通しております。この検査キットの配布と利用状況、どのようになっているのでしょうか。
〇野原保健福祉部長 PCR検査等につきましては、行政検査のほか、薬局等における無料検査、市町村が高齢者施設等に対して実施する一斉定期的検査、国が配布する抗原検査キットを使用して、高齢者施設等が実施する検査などがあり、広く実施されているところでございます。
 本県の検査体制については、昨年夏の第5波での対応を踏まえ、PCR検査等については、1日当たり4、033件から4、886件に、抗原定性検査についても6、317件から8、885件に拡充したところであり、現在の検査需要にも対応し得る体制を確保していると認識をしております。
 一方で、効率的な検査の実施には、受け入れ可能件数の確保だけではなく、検体採取や検査に至るまでのさまざまな事務処理などをスムーズに進めることが必要であり、主にこうした業務を担う保健所の役割が重要でありますことから、引き続き保健所の適切な業務執行体制の確保に努めてまいります。
 また、高齢者施設への抗原検査キットの配布については、県内の入所系施設675カ所に対し、約7万9、000回分が国から配布されており、使用実績のうち県に報告があったものについては、2月末現在で約4、300回分となっているほか、独自支援として、抗原検査キットを確保し、事業所等へ配布するなどの支援を行っている市町村もあると承知しております。
〇高田一郎委員 岩手県の検査方針は、感染が広がっている場合は、高齢者施設などについては定期的な検査をするということです。先日の一般質問の野原保健福祉部長の答弁でも、感染が広がっている現状にあり、実施を考えたいと述べておりました。私は、今まさに感染が広がっている状態でありますので、今こそこれをやるべきだと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
 また、PCR検査については、無料の検査は県民から大変歓迎されております。しかし、これも今月末までとなっておりますので、この延長が必要だと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
 また、令和4年度当初予算案には、PCR検査促進事業費として22億円の予算が計上されております。具体的な今後の検査体制、検査戦略をどのように考えているのか、この点についてもあわせて伺います。
〇野原保健福祉部長 感染リスクが高まっております。行政検査という枠組みで申しますと、県の新型コロナウイルス感染症対策専門委員会の見解においては、いわゆる以前の国の分科会が示すステージ3または4の指標を目安として実施すべきとしています。これは今のレベルで言いますと、レベル3に相当するものでございます。
 現時点においては、県内の感染状況はレベル3に相当するものではありませんが、行政検査として一斉網羅的な部分については、専門委員会の意見を伺いつつ、行ってまいりたいと思っています。
 一方で、先ほど御答弁申し上げましたとおり、行政検査の枠組み以外に、国から多くの抗原検査キットが配布されています。市町村独自で、例えば盛岡市などは、もう1月から高齢者施設の検査を始めました。また、多くの市町村で抗原検査キットをリスクの高い施設に配布する取り組みを進めています。
 我々としても、今まさに感染拡大、いわゆる感染確率が高まっていますので、従事者の方々に関しましては、国が事務連絡でも示すとおり、週に一遍程度の検査は必要性が高まっている時期と認識しておりまして、国や市町村、県で調整した抗原検査キットの有効活用について、高齢者については、市町村とも連携をして支援をしてまいりたいと考えております。
 また、来年度のPCR検査についてでございます。令和4年度におきましても、今、実施をしております感染が不安な県民等が受検できる体制の整備を努めることとしておりまして、この検査に必要な予算については当初予算案に22億円計上させていただいているところでございます。
 これらの無料検査、また、これまで実施しております行政検査に係る令和4年度当初予算案については、第5波及び第6波の検査実績を超える規模の約35億円を計上しているところでございます。
 そのほか、先ほど申しました国の配布事業によるキットの活用などもあわせまして、効率的、効果的な、また、感染実態に適応した検査の実施を推進していく考えであります。
〇軽石義則委員長 この際、高田委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 高田委員、御了承願います。
午前10時59分 休 憩
午前11時12分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 先ほど、野原保健福祉部長から、盛岡市については、高齢者施設の一斉定期的な検査をやっているというお話でしたけれども、結局、答弁でよくわからなかったのですが、その他の地域については一斉検査をやるのですか。
〇野原保健福祉部長 私どもが承知している範囲では、市町村単位で一斉定期的な検査は盛岡市だけで、そのほかについては、市町村で抗原検査キットを用意して高齢者施設等に配布し、従事者等に対して検査することを支援している市町村があると承知しているところでございます。
〇高田一郎委員 岩手県の検査方針も、感染が拡大しているところは幅広く一斉定期的な検査を実施するということになっております。今まさに感染が拡大している状況ですので、ぜひこれは決断していただきたいと思います。
 次に、自宅療養者は、現在、2、197人となっております。2月は、70歳以上は延べ225人になっております。健康観察や食料支援、医師の往診体制など、一人一人に寄り添った支援が行われているのでしょうか。
〇野原保健福祉部長 自宅療養者への支援でございますが、県庁に設置しておりますいわて健康観察サポートセンターでは、保健所と連携しながら、自宅療養者の健康観察や、相談対応、必要に応じた食料品の提供等を行っており、2月28日まで993人の支援、延べ5、407件の健康観察を行っています。
 また、自宅療養の導入以降、保健所による健康観察のほか、協力をいただける診療検査医療機関など、センターや関係機関が連携して、自宅療養者を支援してきたところであります。
 この協力医療機関は、現在のところ、全9圏域で163医療機関となっており、健康観察のほか、自宅療養者の状況に応じて、診療対応いただいているものと認識しております。引き続き、関係機関と連携を図りながら、協力医療機関の一層の拡充とオンライン診療の普及などに努め、患者への適切な療養先の選定及び必要な医療の提供に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 
 介護が必要な方は、基本的には自宅療養とはしないという県の方針でありましたが、先日、担当者にお伺いしたときに、高齢者施設の方は、いわゆる施設待機が40人になっているというお話を聞きました。今、具体的にどの程度になっているのか。また、その理由は何か。この点についてももしわかれば、お伺いします。
〇野原保健福祉部長 現在の高齢者施設での待機数は、毎日取りまとめておりませんので、その点御理解いただければと思いますが、高齢者施設の方々に関しましては、クラスターが起こった場合は、保健福祉のためのチームを派遣しております。感染制御のICAT、あとは、療養中の方々の医療サポート、入院支援等を判断し、サポートするチームを派遣しております。
 クラスターごとに、例えば症状のあるような方、医療が必要な方に関しては、入院等調整班と連携して入院対応、または、ワクチンを既に2回接種されていて、症状がほとんどないような方に関しては、例えば抗体療法などを施設で実施するなどにより、医療の管理を必ず行い、その上で、例えば適切な療養場所、冬の寒い時期に御高齢の方が転院をするのは、これはこれでリスクがございますので、介護施設で、医療の支援を受けながら療養するほうが適切だと判断された方に関しては、医療の適切な支援下におきまして、施設での療養ということも行っているというのが状況でございます。
〇高田一郎委員 それでは次に、介護現場の感染対策の課題についてお伺いいたします。
 居宅介護事業所の職員は、防護服などを完全防備で対応するなど、感染リスクを背負いながら、高齢者宅を訪問して頑張っています。介護報酬加算も特にない中で、費用もかさみ、職員の負担も大変大きくなっています。コロナ禍における居宅介護サービスの役割について、県はどのように評価しているでしょうか。
〇菊池副知事 コロナ禍での居宅介護サービスの役割についてでございますが、居宅介護サービスは、コロナ禍においても利用者やその家族の生活にとって欠かせないものでありますことから、例えば、デイサービスにおいて陽性者や濃厚接触者が確認され、やむを得ずサービスの縮小等を行う場合にありましても、代替サービスとして、居宅を訪問してサービスを提供するなど、必要なサービスの提供に努めていただいているところにあります。
 居宅介護サービスの従事者は、利用者と密に接する時間が多く、感染リスクを抱えながらの介護は、心身の負担も大きいと伺っておりますが、要介護高齢者や障がい者の在宅生活を支える重要な役割を担っているものと認識しております。
 また、費用の関係について申しますと、訪問介護を行う職員が、自宅療養や濃厚接触者へサービスを提供した場合、割増賃金や危険手当などについては、サービスの継続に必要な経費として、補助を行っているところでございます。
 この補助は、これまで、クラスターが発生した施設を中心に活用されてきた実態がありますが、訪問介護等の在宅介護サービスにおいても活用可能であることは、既に周知しているのですが、先般、改めて、居宅サービス事業者に対して、この補助金の有効活用についても、改めてお知らせしたところでございます。
〇高田一郎委員 北上市などでは、事業者に固定費を援助しているとか、あるいは、訪問ケアプランの作成などに当たっても、さまざまな支援を行っております。コロナ禍の中でも、在宅介護サービス、ケアプラン作成は、欠かせない重要な役割を果たしていますので、事業者や職員の負担を軽減して、事業継続できるような後押しをすることが大事だと思います。
 県としても、北上市の例を全県に広げるなど、さらなる支援策を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇菊池副知事 居宅介護サービス事業者への支援に関する御質問でございますが、県では、感染者や濃厚接触者に対応した事業所等に対し、地域医療介護総合確保基金を活用し、サービスの継続に必要な経費の補助を行っているところでございます。
 居宅介護サービス事業者などにおいて、職員が、陽性者や濃厚接触者にサービスを提供した場合の割増賃金や手当のほか、衛生用品の購入費用などの補助に要する経費に、令和4年度当初予算案にも盛り込んでいるところでございます。
 また、市町村においても、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用するなどにより、地域の実情に応じて対策を講じているところでございまして、介護現場の実態やニーズの把握に努めながら、感染拡大時においても、居宅介護サービスが継続して提供されるよう、県、市町村それぞれが所要の支援を行っていく考えでございます。
〇高田一郎委員 昨年、事業を休止したというのが111件、毎年3桁を超える介護事業所が事業をやめざるを得ない状況になっております。新型コロナウイルス感染症の影響で事業を休んでしまって、この事業に対する原資補填を求める声も最近幾つか寄せられました。ニーズを把握するということでありますので、実態把握を行って、県として、さらなる支援のあり方をぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、介護職員の処遇改善支援補助金について伺います。2月から9月を対象に、月額9、000円を引き上げるという岸田政権の方針でありますけれども、その賃上げの実態を、今、どのように県は把握されているでしょうか。
〇菊池副知事 委員御指摘の介護職員処遇改善支援補助金でございますが、令和3年11月19日に閣議決定された、新たな経済対策に基づきまして、令和4年2月から9月分を対象に、介護職員の収入を3%程度引き上げるために要する経費に対して補助を行うとしております。
 現行の処遇改善加算を取得し、かつ、令和4年2月分から賃金改善に取り組んでいる介護サービス事業者等を補助対象としておりまして、賃金改善を開始した旨の報告書の提出期限は3月末までとされておりますことから、現在、現行の加算を取得している2、500事業所のうち、2月末現在ではございますが、1、169事業者から報告書の提出がなされているところでございます。
 この賃上げの関係は、手続上、今申し上げましたように、報告書の提出がありまして、対象となっていくプロセスがありまして、月末までの受け付け期間の中の2月末現在の提出状況までが把握されているところでございます。
〇高田一郎委員 3%、9、000円という話ではありますけれども、どこの施設に聞いても、なかなかそうならないと。大体3、000円から6、000円という話を聞いております。
 介護従事者によれば、1桁違うという声も出ております。しかも、10月からは、介護報酬となってしまいますので、利用料や保険料にはね返るという新たな問題も出てきております。
 さらなる処遇改善、他の従事者と比べても、月額8万円も違って、なかなか介護従事者になれない要因となっております。ですから、さらなる処遇改善とともに、保険料や利用料にはね返るのではなくて、そうならないような直接補助となるように、この改善を国に求めていくべきだと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
〇菊池副知事 委員御指摘のとおり、令和4年10月以降の対応については、国では、介護報酬の臨時改定による新たな加算として措置することとしております。その動向については十分注意しつつ、利用者負担の増につながらないよう、必要に応じ国に要望していく考えでございます。
〇高田一郎委員 それでは次に、小学校休業等対応助成金について、質問をいたします。
 これは保育園の休園や小学校の学級閉鎖などで休む労働者に、賃金を保障する国の制度であります。今、県内でも学級閉鎖あるいは休園が相次いでいますけれども、県内のこの臨時休業等の状況がどうなっているのか。また、小学校休業等対応助成金の活用状況について、県はどう把握されているのでしょうか。
〇保副知事 教育、保育施設や学校等の休園、休校等の状況につきましては、令和4年1月1日以降2月24日までの期間で申し上げますが、延べ347の学校、施設が休園、休校等の措置を取っています。
 この助成金については、岩手労働局に確認したところですけれども、2月25日現在で、県内に本社のある延べ67事業者からの申請を受け付け、今のところ、59事業者への支給を決定したという状況でございます。
〇高田一郎委員 県内337の学校、施設が休業となって、岩手県内では、67事業所の申請で、59事業所ですか。いずれも大変少ない数ですね。これは、なかなか制度がよくわからない、ほとんど知らないというのが実態だと思います。
 これは、子供が感染して濃厚接触者になって休んでも対象になるのです。非正規とかパートタイマーなど、不安定雇用のもとで働く人ほど、私はパートタイマーだから対象にならないのではないかということで活用されない。私の周りにもたくさんいらっしゃいます。子供が感染しても、安心して休める、こういう制度をつくったにもかかわらず、ほとんどと言っていいほど使われていないという実態だと思います。
 もう一つは、個人でも申請できますけれども、個人で申請した場合は、助成金が8割支給です。そして、事後でも会社が休業を認めることが要件になっていますので、会社がオーケーしなければできないのです。だから、制度を関係者に徹底するとともに、休暇付与事業者の義務化など、この制度の改善が必要ではないかと私は思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇保副知事 この制度の周知ができていないのではないかということですが、もちろん国の事業ではありますけれども、県としても課題意識は持っております。商工団体や小学校、あるいは県のホームページなどを通じて、事業者や保護者への周知を図っております。
 また、2月25日には、県の新型コロナウイルス感染症対策本部第50回の本部員会議の場を活用いたしまして、改めて、周知を図り、また、知事のメッセージの中でも、事業者の方々に、保護者が希望に応じて休暇を取得しやすい環境整備ということで、お願いも行っております。
 国の制度であるということで、これは、全国知事会を通じて、期間の延長や支給額の上乗せなど、引き続き、取得しやすい制度となるように、国への要望もしているところでございます。
〇高田一郎委員 制度の徹底と改善にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後の質問ですけれども、水田活用の直接支払交付金について質問いたします。
 今回の見直しは、転作交付金は抑制すべきだという財務省の財政制度審議会の建議を受けて行われたものであります。農業を発展させるということではなくて、財政削減を最大の目的にしております。しかも、米価がこのように大暴落しているもとで、これを具体化してしまえば離農に拍車をかけることは、これはもう明らかだと思います。
 そこで伺います。今度の交付金見直しは、5年後のことではなく、ことしからすぐ影響が出ます。飼料用米などの複数年契約加算と牧草の単価見直しによって、県はその影響をどう試算されているでしょうか。
〇保副知事 私どももこの見直しの中身を詳細に承知したのは12月のことでございます。今、それぞれの経営体あるいは農家の皆様において、どうしようかと非常に困惑と混乱が広がっていることは我々も認識しております。
 今の具体的に数字でということだと思いますけれども、最終的には、数字で取りまとめることにはなりますが、現段階では、まさに個々の経営体の皆様がどうなるかということを、それぞれ今やっている最中ということで、現時点では、影響額をお示しするのは難しいところでございますので、そこは御勘弁いただきたいと思います。
〇高田一郎委員 概算金のときは一定のルールで試算したのですけれども。ちょっと残念です。県南地域のある農業法人では、ことしから328万円の減収になる、経営計画が立てられない、借りた土地は一部返したいと、こういう声も既に出始まっております。今回の見直しで最悪なのは、5年間で一度も水張りしない農地は対象から外すということであります。
 そこで、まとめてお聞きしますけれども、水張りできない場合は、大幅な収入減収となります。交付対象から外れることで、土地の評価の下落、土地改良区への維持管理、中山間直接支払交付金への影響が考えられますけれども、どのような検討をされているでしょうか。
 また、水張りを行う場合は、水田を戻すための補修作業、作付の増加で、需要に応じた米生産の影響や、収益性のある他の作物への転換が停滞することなど、さまざまな懸念があると思いますけれども、それぞれの影響や懸念について、県としてどのような検討をされているのでしょうか。
〇保副知事 そもそもの水田活用の直接支払交付金は、水田機能を有する農地を対象に、主食用米からほかの作物への作物転換を支援するために交付ということで、国では、今回の見直しは、その交付の対象の水田であり続けるということのために、今後、5年間に一度は水張りするということで、水稲の作付をしなさいと、そのようなことを促しているものではないとの説明をしております。
 また、国の説明では、畑作物の生産が固定化している水田については、これはもう水田ではないということが考えられると、そのようなお話であります。そういったものについては、高収益作物畑地化支援という、そちらのほうの枠組みで恒久的な畑地化を促すということ。
 それから、この5年に一度ということで設けている、いわばローテーションということなのですが、連作障害を回避し、収量、品質の向上を図るため、水稲と麦や大豆等の転作作物とのブロックローテーションをきちんとやれということを促し、これを定着させると、そういったことを狙いとしているという説明を受けております。
 また、その土地の評価については、国からは、水張りの有無により地目の変更を求めるものではないと、そのような話を聞いております。
 土地改良区の実態といたしまして、水路等の維持管理のため、水田等の面積に応じて、農家から賦課金を徴収しているということでございます。今回の見直しで、賦課金の収入が減少すると、ひいては施設の維持管理に支障が生じるのではないかと、そのような懸念が多数寄せられているということは、私どもも承知しております。
 それから、中山間地域等直接支払交付金は、水張りの有無にかかわらず、これは畦畔や用水路等を有している農地が交付対象ということで、今回の見直しとは直接関連せず影響はないと、これは国からそのように聞いているという段階でございます。
〇高田一郎委員 半分以上が国の説明でありましたけれども、水田活用の直接支払交付金というのは、畑作物の生産維持とか、中山間地域の振興、農地の保全、環境の保護などにも、十分役割を果たしていることを踏まえて、交付金削減ではなくて、その役割を強める方向で、この交付金の見直しを求めていくべきだと思います。その基本的な考え方について、お伺いしたいと思います。
〇保副知事 今回の見直しは、12月に入って急に私どもに情報が入ってきたということで、非常に唐突でありまして、農家の皆さん、現場に大きな動揺があるという状況はございます。
 国の言い分はこれは再徹底だということで、基本的なフレームについては、今の制度ができたのは平成25年度からでありまして、平成29年度に一旦厳格化を図るということも行われてきた、交付対象を明確化するということが行われてきておりますが、今回、その再徹底だという説明をしております。
 ただ、現場にすれば、これまでこの交付金をいただいて、さまざまな形で営農を仕組んできたということがありますので、急に再徹底と言われても、それは困るということは実態としてあります。
 国は、今のところ、その辺の姿勢はちょっとかたくなでございまして、我々とすれば、今回の見直しがいかに現場にそぐわないものであるかということについて、エビデンスといいますか、基本的な数字は、これだけの生産に対してこういう形で交付金が入って、これで維持ができているといったようなしっかりしたデータに基づいて訴えていかないと、なかなか国は言うことを聞いてくれないのではないかと思っております。そこは非常に厳しいところがあるかもしれませんが、我々としても、そういうことをしっかり用意した上で、どういう形でそれを国に対してできるか。
 それから、この交付金の制度ではない形でも、実態として、農家の皆さんの経営が、今後も持続可能なように何かできないかと、そういう観点からも考えていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 今、保副知事から、データに基づいて、しっかり国を説得できるように対応していきたいと、これまでの答弁から一歩二歩前向きの答弁だったと私は受けとめております。
 本当に、今、義務でもない77万トンもの米を輸入しながら、それでも農家の皆さんは、転作が必要だということで、この減反政策に協力して、農地をずっと守ってきたわけです。5年たったらもう水田ではないとか、ブロックローテーションが有効だとか、これは、農家に自己責任を求める今回の見直しだと私は思います。
 与党の中からも見直しを求める質問も出ております。こういうときに丁寧な説明を求めていく。これではなく、問題点を整理して、しっかりと国に改善を求めていってほしいと思います。
 今回の議会でも、リンドウとかハウスの設置など、水田に戻せない農地がたくさんあるということも、他の同僚委員から、これは無理なのだという、そういう声が出ておりましたので、知事も、全国知事会を通じて、積極的に取り組んでいただきたいと思います。知事から一言あれば。
〇達増知事 農家の皆さんは、基本的には米をつくりたいという思いがある中、状況が許せば、また、米をつくれるような水田という形の中で、当面は、野菜とかリンドウとか付加価値の高い園芸作物など、この新機軸を展開することで、希望を持って地域で農業を持続させていくということが、岩手県のそれぞれの地域でかなり軌道に乗ってきているという手応えがある中での今回のこういう見直しであります。
 全国でも、各都道府県それぞれの地域でやはりそういう状況でありますので、この国による説明という機会を通じながら、地域の事情を国に理解してもらって、その地域の状況に合うような農政施策を求めていくようにしているところでありますけれども、そういった生産者の皆さんの希望がかない、そして、力強く農業を進められるよう、全国知事会と連携しながら、取り組んでいきたいと思います。
〇高田一郎委員 終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
次に、木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕(拍手)
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘です。
 令和4年度当初予算案においては、人口減少社会への対応、デジタル化の推進、グリーン社会の実現を掲げ、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを目指しておりますが、この三つの重点テーマから、より具体的な施策について伺います。
 人口減少社会への対応として、自然減対策については、子供を産み育てる環境づくりのため、医療的ケア児支援センターの設置などを新規に打ち出しておりますが、特に課題となっている産科医療体制の確保について、周産期医療圏ごとの課題をどのように認識しているのか。令和4年2月に開催された岩手中部・胆江・両磐周産期医療圏連絡会議で、どのような内容が協議され、方針が検討されたのか伺います。
 また、子育て支援のための経済的支援の充実について、新年度における具体的な取り組み内容について伺います。
〇菊池副知事 まず、県内の周産期医療は、全県的に産科の医師が不足している中、医師の高齢化の進行や後継者不足などにより、分娩取り扱いを断念せざるを得ない医療機関の増加が懸念されているところでありまして、周産期医療圏において、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制を確保していくことは、重要な課題であると認識しております。
 このような中、4月から産科診療所での分娩取り扱いの中止が見込まれます胆江地域への対応については、この2月、岩手中部・胆江・両磐周産期医療圏連絡会議を開催し、胆江地域における妊婦の方が、県南周産期医療圏内で確実に出産を行うことができること、周産期医療圏内の妊婦健診等を実施する地域の診療所と分娩を行う医療機関が連携して、安心、安全な出産ができる環境を確保していくことを確認し合ったところでございます。
 また、子育て支援のための経済的支援の充実に向けた令和4年度の新たな取り組みでは、岩手県ハイリスク妊産婦アクセス支援事業の対象に、分娩後の産婦健診にかかる交通費等を加え、妊産婦への支援の充実を図るとともに、産後ケア利用者が負担する利用料を無償化とする市町村への補助制度を創設し、利用者の経済的負担の軽減を図っていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 次に社会減対策においては、移住、定住施策の充実、強化が求められておりますが、新規事業であるいわてターン促進事業費、いわて暮らし応援事業費について、これまでの事業と比べて、その特徴や期待される効果及び成果目標を具体的に伺いたいと思います。
〇保副知事 まず、いわてターン促進事業費は、お盆と正月の帰省シーズンに合わせて、県内の新幹線駅に相談ブースを設置するなどいたしまして、プロモーション活動を行うということ。それから、市町村と連携しまして、いわて暮らしの魅力を発信する移住ガイドブックを制作するといったようなことでの情報発信を強化する取り組みでございます。
 また、いわて暮らし応援事業費は、U・Iターン就職を一層促進するということで、新たにAIの技術を活用したマッチングの促進を図ること。あるいは、移住支援金の拡充、若者向けのお試し就業機会の拡大など、本県への具体的な移住や、U・Iターン就職を見据えて行動している方に対する支援を強化しようとするものであります。
 これらの取り組みによりまして、移住相談ケースの増加や、県が運営する就職情報マッチングサイト、シゴトバクラシバいわては一番のポータルになるわけですけれども、新たな登録を500人獲得することを目標にしております。また、このサイトを活用したマッチングの就職者150人を目標に取り組みたいと思います。
〇木村幸弘委員 次に、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業費が新規事業となっておりますが、この事業の狙いと具体的取り組み内容について伺います。
 また、多様な学びの機会の保障という観点から、不登校児童生徒などの学びの場所、居場所づくりなど、教育機会確保法に基づき、児童生徒が安心して教育を受けられる環境づくりに対する、本県における方針がどのようになっているのか。また、県内のフリースクール等民間施設との連絡会議において、具体的にどのような検討、協議が行われてきたのかについて伺います。
〇菊池副知事 まず、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業についての御質問ですが、県教育委員会では、令和2年度から、高校の魅力化促進事業により、小規模校28校において、地域の抱える課題解決に取り組む探求活動を地域住民等と連携して行うことで、生徒の自立性、協働性などを高めるとともに、地域への当事者意識を涵養し、将来の担い手を育成する取り組みを進めてきたところと聞いております。
 令和4年度からは、この事業を拡充し、いわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業として、全県立高校で実施していくことで、県内全域で高校の魅力化の取り組みを進め、ふるさとの創生につなげることを狙いとしております。
 具体的取り組み内容としては、高校魅力化を広げるネットワーク競争事業の中で、外部人材を活用し、学校と地域との連携、協働の方法などへの支援、助言を行うこと。市町村に対して、学校と地域などをつなぐ人材の配置等への支援を行うことを想定しております。加えて、魅力化フォーラムの開催や、ウエブ上での情報発信などを予定していると聞いております。
 また、高校魅力化を深める探求競争事業の中では、学校と市町村、地元企業、地域住民などが、持続的、組織的に教育活動に取り組むための会議体を設置し、そのような関係団体と共同しながら、生徒が課題等を見出し、その解決に主体的に取り組む探求的な学びの支援を予定していると聞いております。
 次に、教育機会確保法に基づく教育環境づくりについての御質問ですが、県教育委員会では、不登校の未然防止を狙いとした魅力ある学校づくりを推進するとともに、県及び市町村教育委員会が設置した教育支援センターとの連携や、オンラインを活用した学習など、安心して教育を受けられる学習環境の整備、充実を図っているものと承知しております。
 また、御指摘のフリースクール等の民間施設との連携強化を推進するため、今年度より、県教育委員会が不登校児童生徒支援連絡会議を開催いたしまして、情報交換、課題の共有、学校と民間施設との連携のあり方などについて、意見交換を行ったところであります。
 会議の中では、各施設から、不登校支援に係るフリースクール相互や県教育委員会とのネットワークができたとの前向きな評価をいただいたと聞いております。
 学校においては、家庭、地域を含め、組織的に個別の支援を行ったことで不登校が解消したという例もあると聞いております。今後も、学校と地域、関係機関と連携しながら、魅力ある学校づくりや個々の状況に応じた、学びの機会を確保するなど、地域の資源を生かした教育環境の整備に努めてほしいと、私は考えているところでございます。
〇木村幸弘委員 社会、暮らしのデジタル化の推進についてですが、健康づくりや災害に対する備えなど、県民の日常生活にかかわる幅広い分野での推進が求められるものと考えますが、まず、健康づくりプロジェクト推進費について、事業の狙いと具体的取り組みについて伺います。
 あわせて、災害時ドローン導入促進事業費についても伺います。
〇菊池副知事 私からは、健康づくりプロジェクト推進費について、御答弁させていただきます。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)に健康づくりプロジェクトを掲げ、健康、医療、介護のデータを連結するビッグデータの連携基盤の構築を進めてきたところでございます。具体的には、国民健康保険などの県内各医療保険者などが保有する健診や、医療介護のレセプトデータなどを匿名化した上で、集積する岩手独自のシステムの構築を進めてきたところでございます。
 本プロジェクトの令和4年度の取り組みについては、これまで構築したシステムを活用した分析により、地域の健康課題の見える化を進め、市町村などが行う健康づくりの取り組みを支援するとともに、分析結果も踏まえ、SNS等を活用して、健康づくりに向けた情報発信を行い、健康寿命が長く、生き生きと暮らすことができる社会の実現に努めていく考えでございます。
〇戸舘復興防災部長 災害時ドローン導入促進事業費についてでございますけれども、県内の市町村と消防本部では、リースや協定等も含めまして、令和3年9月1日現在で、17市町村、8消防本部においてドローンを導入しておりまして、災害時の利用方法としては、多くの市町村等において、被害状況の撮影などとなっています。
 近年、ドローンの性能が飛躍的に向上しておりまして、被害状況の撮影などにとどまらず、例えば大規模災害時の避難誘導や、捜索救助活動などに活用することによりまして、市町村等の災害対応能力の強化や、消防団員等の二次被災リスクの軽減などが期待できますことから、本事業は、このような活用の手法を確立するとともに、ドローンを導入していない市町村等への導入促進につなげることを目的としています。
 このため、具体的な取り組みといたしまして、津波災害や土砂災害が想定される幾つかの市町村におきまして、ドローン活用の実証実験を行います。そして、その成果や手法について、防災訓練での実演、報告会などを通じて、市町村等と共有を図りまして、ドローンの有効かつ積極的な活用を促していくものであります。
〇木村幸弘委員 次に、県民の命と健康、地域医療体制の充実強化という点から、各医療圏の地域医療情報ネットワークの普及促進と利活用について、現状と今後の取り組み方針を伺います。
 また、消防指令システムの共同運用に向けた検討状況と、県が果たす役割、共同運用によって救急搬送の円滑化を求める、医療機関における課題がどのように解決されるのか、その効果について伺います。
〇菊池副知事 私からは、地域医療情報ネットワークの関係についてお答えさせていただきます。
 県では、住みなれた地域での医療、介護の支援が円滑に受けられるよう、医療機関と介護施設などを連携する地域医療情報ネットワークの構築を、二次医療圏域ごとに推進しており、これまでに5圏域においてシステムが整備されているところでございます。
 これらの圏域では、ネットワークの普及と利活用の促進に向けて、運営主体である各法人が圏域内の医療機関等を訪問して、ネットワークへの参加を促しているほか、ホームページや自治体の広報を活用し、住民への広報活動を実施していると承知しております。
 一方で、このシステム構築に当たっては、将来にわたって持続的に活用されるよう、地域において、参加機関が運営主体やランニングコストなどの課題を共有し、システム構築の必要性などについて合意形成を図った上で、検討を進める必要があることもあり、現時点では、未導入の圏域でのシステム構築に向けた具体的計画には至ってないところと承知しております。
 県では、これまでシステム構築に多額を要することから、その導入経費に対して補助を行うとともに、ネットワーク運用における情報提供の技術的支援を行っており、今後もこうした取り組みを通じて、ネットワークの普及に向けて地域の主体的な取り組みを支援してまいります。
〇戸舘復興防災部長 消防指令業務の共同運用についてでありますけれども、本県におきましては、平成28年6月から、盛岡地区広域消防組合消防本部、奥州金ケ崎行政事務組合消防本部及び北上地区消防組合消防本部による共同運用が行われておりまして、この施設設備が更新時期を迎えますことから、県内10の消防本部での共同運用の議論が始められたものであります。
 現在、盛岡地区広域消防組合消防本部消防長を委員長とする岩手県消防指令業務共同運用推進委員会の場で、施設設備の内容等を検討しているところであります。本年4月には法定協議会の設置、令和8年度からの運用開始が予定されております。
 共同運用の効果につきましては、国によりますと、施設整備費の削減、通信要員の効率的な配置よる現場要員の充実、災害情報の一元的な把握による効果的、効率的な応援体制の確立のほか、現場に最も早く到着できる部隊に出動指令を行う、いわゆる直近指令などの高度な運用の実現など、他の消防本部の部隊の動きを把握できることで、消防本部間の連携、協力が容易になるとされておりまして、救急搬送の円滑化に寄与するものと認識しております。
 共同運用の議論を開始した10消防本部におきましては、今後、そうした効果をより高められるよう議論を進めていくと聞いておりまして、県としては、共同運用の協議が円滑に進むように支援してまいります。
〇木村幸弘委員 デジタルの中で、命あるいは健康づくり、安全、安心、こうしたものがしっかりと取り組まれることが重要だと私は思っていまして、その点で、ネットワークの構築も含めて、まだまだ課題があるわけですから、本来、点と点、線と線、面と面、ばらばらではなくて、一体的にこれが有効的に作用できるような形をしっかりとつくってほしいということを申し上げておきたいと思います。
 グリーン社会の実現について、市町村等においては、自立・分散型エネルギー供給システム導入の取り組みの一環として、地域新電力の設立や地域に根ざした再生可能エネルギーの地産地消を根ざした取り組みが進められています。
 県では、再生可能エネルギー導入計画を策定する市町村等の事業を後押ししようとしていますが、県内各自治体や民間による活動と県民の参画による全県的な展開に向けたビジョンについて、県の考えを伺います。
〇達増知事 県内では、県北9市町村と横浜市が連携した北岩手循環共生圏や、企業、自治体の事業活動を再生可能エネルギーで補う再エネ100宣言、鶏ふんを利用した自然循環型のバイオマス発電事業等を、地域で率先し、創意工夫を凝らして、脱炭素化を目指す取り組みが行われています。
 これまで県では、中小企業への低利融資による支援や、自立分散型エネルギーを構築する市町村の計画づくりの支援等を行うとともに、全県的な団体、機関で構成する温暖化防止岩手県民会議を中心に、さまざまな取り組みによる県民運動等を展開してまいりました。
 来年度においては、市町村が行う地球温暖化対策実行計画策定を支援する窓口の設置や勉強会の開催のほか、当初予算案に県内初の水素ステーション設置や、燃料電池自動車導入等に必要な経費を盛り込んでおり、再生可能エネルギー導入促進に向けた県民、事業者の一層の理解促進を図ることとしています。
 このような新たな地球温暖化対策を進めながら、県内のあらゆる主体が連携し、地域経済と環境の好循環をもたらすグリーン社会の実現を目指してまいります。
〇軽石義則委員長 この際、木村幸弘委員の質疑の途中ではありますが、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 木村幸弘委員、御了承願います。
午後0時2分 休 憩
午後1時2分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 令和4年2月18日の知事メッセージでは、感染者の増加と高齢者、基礎疾患者の重症化への懸念、さらに、医療機関の濃厚接触関連での医療現場への負荷と影響について言及され、増大する自宅療養者へのお願いが述べられています。
 岩手緊急事態宣言以降のこうした県内の実態を踏まえたとき、病床使用率やその他の指標の数値が基準に達していない場合においても、基本的対処方針のレベルを3に引き上げて、早目の対策を講じていく考えはないのか、知事に伺います。
〇達増知事 レベル2からレベル3への移行については、国において緊急事態宣言を検討する際の判断材料の一つであり、全国統一的に取り扱う必要があるとして、病床使用率や重症病床使用率が50%を超えた場合等に、都道府県が総合的に判断することと通知されています。
 これを受けて、本県のレベル3への移行の判断基準は、病床使用率や重症病床使用率が50%を超えた場合に、感染状況、その他さまざまな指標もあわせて評価し、県が総合的に判断するものとしているところであり、現時点では、県内の病床使用率及び重症病床使用率、いずれも50%を超えていないことから、岩手県はレベル2の段階にあると判断しているところです。
 県では、レベル3に至らないようにすることを目的に、岩手緊急事態宣言を行い、オミクロン株の特性も考慮し、一定の社会、経済活動を維持しながら、効果的な感染対策となるよう取り組むとともに、医療については、重症化リスクか低く、入院等の必要がない方の自宅療養の体制を整備し、高齢者や基礎疾患を有する方などに必要な医療を適切に提供するよう取り組んでいるところであります。
 今後、さらなる感染拡大により、医療提供体制に支障が生じるような場合には、県民の皆様に対する行動制限を含む、強い感染対策を講じてまいります。
〇木村幸弘委員 基本的には、現状の状況の中では変わらないということでありますけれども、ただ、2月16日記者会見でも、重点措置適用を要請しないかという問いに対して、いわゆる爆発的感染拡大あるいは手に負えないような事態を、現在では食いとめていると判断していると。病床使用率が重要な指標ではあるけれども、例え50%以下で、その分、自宅療養にしわ寄せがきつくなってきた、そういう状況が今のところはないという認識であり、そういったレベルを上げることに考えがないということが、会見でも述べられております。
 私は、今の状況を考えたときに、いわゆる総合的な判断というところで、いわゆる病床使用率や重症化率が50%を超えたからどうという判断ではなくて、今の岩手県の感染者の増加、そして、雪だるま式に膨れ上がっていく自宅療養者の数、こうした状況を考えたときに、果たして今のレベルでいいのだろうかということを思っておりました。
 3月1日には、盛岡市保健所が人的資源の逼迫、そして、感染者の特定調査が実施できない状況だということで、患者本人が濃厚接触者を特定してみずから連絡をするような取り組みをしなければならなくなった。そして、濃厚接触者自身が症状がある場合に、検査をせずにみなし陽性で判定するという運用がスタートするという状況で、県も盛岡市保健所のこういった発表に対して、同様の方式を検討しているということが、マスコミでも報じられておりました。
 感染拡大の影響によって、現場の対応が追いつかない事態、感染者に保健所業務の一端を負わせる。濃厚接触者をみなし感染者として扱うという状況が、果たして、しわ寄せがきつくなっていない事態と言えるのかということが、私は甚だ疑問であります。そもそも知事の言う爆発的感染状態、手に負えない事態になったときに判断するようでは、本県のような医療保健体制が脆弱な体制のもとでは、それこそ手おくれになりはしないかと心配しております。
 改めて、知事の今後の感染対策に対するリーダーシップに期待するとともに、先手先手の感染対策による封じ込めに対する考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 先手先手という意味では、1週間10万人当たりの新規感染者数が15人を超えたところで、県独自の岩手緊急事態宣言を出して、県民の皆さんに、特に警戒力を高めていただきながら、感染対策を徹底するという、そういう状況の枠組みの中で、ここ一、二週間ぐらいのところは、委員御指摘のとおり、それまでなかったような厳しさに直面した段階ではあったのですけれども、一方、県の1週間10万人当たり新規感染者数、最大値を記録しつつ、今、そこから少しずつ下がってきているような傾向もあるところであります。
 新規感染者数が日々一定期間で倍になるような形になるとか、いわゆる感染爆発の兆しはこの一、二週間出なかったところでありまして、既存の枠組みの中で対応しているところでありますが、委員御指摘のとおり、要は、実質的に、県民一人一人の命、健康を守るために、手に負えないような事態にならないこと、それを防ぐことがさまざまな対応基準の眼目でありますので、症状の悪化あるいは命の危険、そういったことが防げるはずなのに、防げなくなるようなことにならないよう早目早目の対応を心がけていきたいと思います。
〇木村幸弘委員 いずれさまざまな取り組み対応をしていることは、そのとおり理解いたします。
 そういう中で、知事メッセージの発出の内容についても、私はもう少ししっかりとしてほしいという気持ちを持っておりました。感染拡大に対する県民への基本的な注意喚起とともに、自宅療養者への支援と考え方に触れて、どうしても最終的には、感染者個人とその家族の感染拡大予防の責任を自助努力に委ねているような姿勢に見えます。
 県として、社会的な感染予防対策として、2月1日以来、まん延防止等重点措置要請の検討を含む行動抑制的な強い表現は影を潜めております。むしろ、これだけ感染拡大が高どまりし続けている状況の中において、しかも、死亡者が1カ月足らずの間に10名増加するという状況に至ったときに、果たして今までのメッセージを繰り返すだけでいいのかと思います。
 したがって、知事メッセージには、単なる状況説明、あるいは、家庭内感染対策と自宅療養者への内容を呼びかけるというだけではなくて、今の第6波の間に、死亡者がふえていること、高齢者や基礎疾患者への影響などを踏まえて、無症状、軽症を楽観することのないように、社会全体として、感染拡大防止として、今後、抑制措置を具体的に検討する情勢まで今来ているという危機感を明確に、しっかり伝えながら共有を図っていくという発し方はいかがでしょうか。
〇達増知事 いつ誰が感染してもおかしくないような状況であると、そういう危機感については、この知事メッセージの中にも盛り込んだつもりでございます。
 また一方で、オミクロン株も、当初の株分かれする前の最初の新型コロナウイルスと同じような、基本的な感染対策によって感染を防ぐことができるものでもありますので、この基本的な感染対策の再徹底が非常に重要ということ、国のアドバイザリーボードからも繰り返しそういうメッセージが出されていたことを、岩手県においても発していたところであります。
 一方で、基本的な感染対策によって予防可能ではあるのですけれども、何かの拍子にそういう基本的な感染対策ができなかったときに感染が起きますと、一度に周りの人に一気に数がふえるというのがオミクロン株の特徴でありますから、そのオミクロン株の特性に応じて、この場面に応じた特段の感染対策をまたお願いするというところもありました。
 そして、自宅療養については、決して自己責任ということではなく、多くの方が自宅療養する中、自分のやり方は本当にこれでいいのだろうかという不安がある。また、これから自分が自宅療養するかもしれない。自宅療養というのは一体どういうものなのだろうかという、そういう不安を持つ県民の皆さんもふえている中、改めて、自宅療養のマニュアルを県のホームページで公開しながら、きちんと医療的に見守り、観察体制もあって、必要であれば、すぐ入院とか宿泊療養施設も行けるということを、改めてお知らせするという趣旨で行ったものであります。
〇木村幸弘委員 終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、小林正信委員。
   〔小林正信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小林正信委員 まず、東日本大震災津波からの復興について伺います。
 この3月で東日本大震災津波から11年目を迎えますが、被災された方の中には、一生心の傷を抱えていくだろうとおっしゃる方もおられ、被災者の支援は、何年たったから終わりというものではないと感じております。被災者に寄り添った心のケアを考えたとき、岩手県こころのケアセンターの重要性は、今後増していくものと考えますが、令和3年度の取り組み内容、また、これまでの課題を踏まえ、今後、どのように被災者の心のケアに取り組んでいくのかお伺いします。
〇菊池副知事 県では、東日本大震災津波で被災された方々の精神的な負担の軽減を図るため、岩手医科大学に設置する岩手県こころのケアセンターを中心に、沿岸地域4カ所の地域こころのケアセンターを拠点として、専門的ケアを実施してきているところでございます。
 本年度─令和3年度は、被災者が身近なところで精神科医など専門職による相談が受けられるよう、震災こころの相談室を沿岸7市町村で開設するとともに、市町村等が行う特定健診、こころの健康調査などの保健事業、地域住民を対象とした心の健康教育や人材育成、健康サロンなど、普及啓発活動への支援を行ってきているところでございます。
 被災地においては、時間の経過に従って、被災者が抱える問題が複雑化、多様化してきており、被災によるストレスに加え、復興の進展に伴う生活環境の変化が、精神的な負担になっているなどの課題が生じているものと受けとめております。
 このため県としては、第2期復興・創生期間においても、見守り活動等と連携した相談支援体制を堅持し、被災者一人一人に寄り添った支援を継続するとともに、専門スタッフの確保やスキルアップ等により支援の質を高め、中長期的な心のケアに取り組んでいく考えであります。
〇小林正信委員 また、昨年から設置されているいわて被災者支援センターですけれども、生活面や経済面等について複雑な課題を抱えた被災者に対し、岩手県独自の伴走型支援に取り組んでおります。令和3年度の取り組み内容、また、これまでの課題を踏まえ、今後どのような取り組みを進めていくのかお伺いします。
〇戸舘復興防災部長 いわて被災者支援センターについてでありますけれども、昨年の4月の開設から本年1月末までに、沿岸各地を初め県内陸部や県外を含め、被災者212人からの相談に対しまして、延べ955回対応しております。
 その内容といたしましては、住宅ローンや家計の見直し、家族間のトラブルなど、経済面や生活面に関するものが多く、市町村、市町村社会福祉協議会と連携し、対応いたしますとともに、専門的な支援が必要なケースにつきましては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携し対応しており、延べ81回の専門家派遣を行っております。
 また、本年度は、1、073世帯を対象に県外及び県内避難者実態調査を実施し、県外36世帯、県内42世帯、合わせて78世帯が被災元自治体等への帰還意思があることなどを確認したところでありまして、帰還意思のある方には災害公営住宅の募集案内を送付するなど、市町村とも連携しながら、避難者それぞれのニーズに応じた支援をしているところでございます。
 被災者からセンターに寄せられる相談につきまして、解決に時間を要する案件も多くございます。弁護士等の専門家との十分な連携が必要です。また、被災者が身近な地域で伴走型支援を受けられる環境を構築する必要もあると考えています。このため、今後とも、弁護士等の専門家を活用するセンターの機能を生かしながら、市町村、そして、市町村社会福祉協議会との連携をさらに強化しまして、被災者一人一人に寄り添って支援してまいります。
〇小林正信委員 現在、災害援護資金の返済が既に始まっております。さらには新型コロナウイルス感染症関連の貸し付けの返済も始まります。震災から11年目ですけれども、被災者の経済的困窮がふえてくるちょうど節目に今当たっているのではないかと感じております。この伴走型支援、また、個別的支援、そして、心のケアが、本当に今後大事になってくると思いますので、ぜひともこの取り組みの充実をお願いしたいと思います。
 さて先日、盛岡市の災害公営住宅において、盛岡復興支援センターの取り組みを伺ってきました。入居されている方々に対するアウトリーチ支援、また、訪問した方を地域コミュニティーにつなげるといった入居者の孤立防止に有効な取り組みを展開されておりました。
 県内の災害公営住宅、また、被災地の孤立化の防止、また、コミュニティーの形成について、今後の取り組みをどのように考えておられるのかお伺いします。
〇戸舘復興防災部長 被災者が恒久的住宅など新しい住環境で孤立せずに安心して生活していくために、住民がお互いに支え合うコミュニティーの形成が重要と認識しております。
 このため県では、市町村社会福祉協議会への生活支援相談員の配置や、災害公営住宅等への地域見守り支援拠点の設置、市町村、そして、コミュニティー支援を行う民間団体等の調整役となるコーディネーターの配置などに取り組んでいるところであります。
 今年度は、これらの取り組みに加えまして、新しい生活様式を踏まえたコミュニティー活動の好事例を紹介する事例集を作成し、市町村や市町村社会福祉協議会、コミュニティー支援を行う民間団体等に配布をし、それぞれの取り組みの参考にしてもらうこととしています。
 さらに来年度は、被災地コミュニティー支援コーディネート事業において、コーディネーターを増員いたしまして、自治会運営への支援や自治会同士の交流会の開催など、自治会活動への支援を強化することとしております。
 県といたしましては、こうした取り組みによって、被災地における孤立の防止やコミュニティーの形成等を支援してまいります。
〇小林正信委員 今後、継続的に困難を抱える被災者を支援していくためには、重層的支援体制整備事業の充実、展開が被災地で必要と考えます。重層的支援体制整備事業アドバイザーを派遣するなど、県として、被災地の各自治体における取り組みを支援すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇菊池副知事 県では、これまで被災地における見守りやコミュニティーの形成を通じて、被災者が孤立を深めることがないよう、生活支援相談員の配置や地域見守り支援拠点の設置などの支援に取り組んできたところでございますが、発災から間もなく11年が経過しようとする中で、被災者が抱える課題も複雑化、多様化してきており、こうした課題に対応する包括的な支援体制を構築していく必要があると考えております。
 委員御質問の重層的支援体制整備事業は、介護や子育て、生活困窮などの属性や世代を問わない支援を一体的に実施する新たな事業として、本年度創設されたものであり、県としては、被災者のさまざまなニーズに対応する包括的な支援体制を構築する上で、有効な取り組みであると考えております。
 本県の沿岸市町村では、来年度、岩泉町が事業を実施することとしているほか、2市町において、令和5年度の実施に向けた検討を進めていると聞いております。
 県では、今年度、担当課に特命課長を新設して、事業の推進体制を強化し、研修の開催やアドバイザーの派遣等のノウハウ面での支援のほか、地域福祉における専門人材として、事業の中核を担うことが期待されるコミュニティーソーシャルワーカーの養成などにより、市町村における事業導入を支援しているところであります。今後も、こうした支援を通じ、実施市町村の拡大に努め、被災者を支える包括的な支援体制の構築を進めていきたいと考えているところです。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 つづきまして、トンガ沖の海底火山噴火で発生した津波において、岩手県沿岸地域に津波警報と避難指示が出され、そうした中、沿岸12市町村で避難した人の割合は4.7%にとどまったとの報道がありました。東日本大震災津波では、車の渋滞により多くの方が命を落とされましたが、冬期間また夜間の避難を考えたとき、車での避難も必要となってくるのではないかと考えております。
 例えば、今後、スムーズに車による高台への避難を可能とする避難道路の整備、また、高台における避難スペースの確保等も必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
〇戸舘復興防災部長 岩手県地域防災計画では徒歩での避難を原則としている一方で、避難所までの距離や避難行動要支援者の存在など、地域の実情に応じて、やむを得ず自動車により避難せざるを得ない場合においては、避難者が自動車で安全かつ確実に避難するための方策をあらかじめ検討することとしています。
 昨年12月に、国が公表した日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震に係る被害想定におきまして、冬期の凍結路面や積雪路面での徒歩での避難速度は、それ以外の季節における避難速度より低下するとされておりまして、特に避難行動要支援者にあっては、さらに避難速度が低下することが見込まれます。
 今後、市町村の意見も伺いながら、やむを得ず自動車により避難せざるを得ない場合における安全かつ確実な避難のため、自動車による避難の対象者や具体的な避難手順について検討を進めてまいります。やむを得ない場合の自動車による避難を含め、円滑な避難には、安全に通行できる避難道路や、多数の避難者を収容することができる指定緊急避難場所等の確保が重要であります。
 県といたしましては、避難道路等の整備に向けて、引き続き、国に対し財政支援の強化を要望いたしますとともに、民間企業との協定による避難場所の確保など、県民の皆様が適切な避難行動を取れるように取り組んでまいります。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 続いて、新型コロナウイルス感染症対策について質問いたします。本会議でも議論があったとおり、感染拡大により、飲食店を初めとした県内小規模、個人事業者に大きな影響が出ており、岩手県独自の緊急事態宣言の発出により少なからず影響を受け、コロナ禍以降、この2月が最もつらかったとの声も伺っております。
 また、飲食店を初めとする小規模、個人事業主の失業者の苦境に対し、知事から何らかの強い応援のメッセージを求めるような声もいただいておりますが、飲食店を初めとする小規模、個人事業者に対して、知事はどういった支援をお考えなのかお伺いします。
〇達増知事 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の波が繰り返される中、感染がかつてない勢いで急拡大した本年1月以降、原油高の影響も相まって、飲食店などの個人事業者を含めた小規模事業者を初め幅広い業種の事業者が、感染対策に協力いただいているにもかかわらず、さらに厳しい状況に置かれていると受けとめております。
 感染の拡大を食いとめて減少させていくことが、事業者に対する最大の支援と考えておりますが、第6波が長期化している今、事業者の実情に応じたさらなる支援策を行う必要があると考えており、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のさらなる増額や、幅広く手厚い大胆な経済支援を講じることを国に強く働きかけながら、県としての追加事業の構築や、既存事業の拡大、拡充を含めた検討を進めてまいります。
 また、支援方法については、直接的支援と需要喚起策の大きく二通りが考えられ、今後の感染状況を見きわめながら、より効果的な支援につながるようなものとすべきと考えております。
 さらに、広く県民の皆様には、その時々の感染状況や、社会、経済活動の状況に応じて、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を通じた知事メッセージを発出しており、飲食店の利用や応援に関しても、引き続き、機会を捉えてメッセージに盛り込んでまいります。
〇小林正信委員 ぜひお願いします。飲食店の皆さんは本当に取り残されていると、支援がないというようなお声もいただいておりますので、具体的な、また、間接的な支援をぜひお願いします。
 現在、国では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対し、事業復活支援金制度の支援を行っておりますけれども、これは申請が複雑であるとか、オンラインの申込みを支援する窓口が県に1カ所しかないなど、事業者が申請を敬遠してしまう状況もあります。国の制度ではありますが、県としても、さらに大々的な周知、また、申請手続の支援を充実させるべきと考えますけれども、御所見をお伺いします。
〇保副知事 国の事業復活支援金につきましては、県としても、ぜひ多くの事業者の皆様に活用していただきたいと考えております。県では、県のみならず国や市町村のものも含め、ワンパッケージにした形で支援策をまとめたものを用意しまして、利用者の便宜を図っております。そういったものをぜひ御活用いただきたいですし、このことにつきまして、ホームページや広報誌を活用して周知を行っております。
 国の事業ではありますが、県の地域企業経営支援金事務局などにも問い合わせがありますけれども、そちらでもしっかりと対応しているところでございます。
 また、この制度では、商工会議所、商工会、金融機関などの方々が、登録確認機関ということで位置づけられております。岩手県の場合は、商工会議所、商工会が、県の支援制度初めさまざま地元の市町村の支援制度などを受託して、これまで取り組んできた実績がございまして、地域の実情に熟知しているということがあります。そういうところを事業復活支援金でも使えるということを、我々もさらにPRしながら、ぜひ便宜を図っていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひお願いいたします。
 先日、盛岡市内で子ども食堂を開設されている方のもとに、立て続けに、あした食べる物がないので助けてほしいとの電話があり、その2件とも、このコロナ禍で仕事が減り、あすの食料が買えないお母さんからの電話だったそうであります。
 県では昨年より、いわて女性のスペース・ミモザを設置し、多くの相談を受けておりますが、さらなる周知、充実も必要と考えます。御所見をお伺いします。
〇石田企画理事兼環境生活部長 昨年7月、国の交付金を活用して開設したいわて女性のスペース・ミモザでは、相談対応や居場所づくり、女性用品の提供等に取り組んでおります。
 不安や孤独を抱える女性が、いわて女性のスペース・ミモザの利用につながるよう、これまで専用のホームページの開設のほか、市町村広報誌や新聞への掲載、テレビ、ラジオ、SNSでの発信等、さまざまな媒体を活用して広報を行い、本年1月末現在で562件の相談が寄せられたところでございます。
 また、市町村や大学、全県立学校等に女性用品を提供したほか、県内の各子ども食堂にチラシを配布し、経済的に困難を抱える女性に対して、いわて女性のスペース・ミモザの周知や女性用品の提供を行ってまいりました。
 来年度においても、いわて女性のスペース・ミモザを支援拠点として設置し、市町村や関係機関等と連携しながら、困難を抱える女性一人一人に届くよう、さらなる周知を行うとともに、女性用品の提供について拡充するなど、支援の充実に努めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 続きまして、ドクターヘリについて伺います。ドクターヘリが県内に導入されて10年がたちました。これまで一切無事故でヘリの運航に携わってくださった関係者の御努力に敬意を表するものであります。
 ドクターヘリについては、手前みそで恐縮ですが、我が党が中心となって、他党の皆様の御協力もいただきながら、議員立法によって緊急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法が成立し、以来、全国の配備が進み、多くの方の命を救ってきたものと理解しております。
 まず、この10年間の実績と導入効果について、また、この間の運用で見えてきた課題についてお伺いします。
〇菊池副知事 平成24年5月にドクターヘリの運航を開始してから、本年1月末までにおける要請回数は5、321回、出動回数は3、694回となっておりまして、1日当たりの平均出動回数は1.04回となっております。
 ドクターヘリの出動により、救急専門医が救急患者と早期に接触し、治療を開始するとともに、迅速に医療機関へ搬送することにより、救命率の向上と後遺症の軽減に効果を上げてきているものと認識しております。
 これまでの運用における課題としては、天候不良によりドクターヘリが出動できない場合などにおける対応や、ドクターヘリによる新生児搬送への対応など、さまざまな状況に的確に対応した救急搬送体制の構築が求められているところでございます。
 現在、ドクターヘリが出動できない場合については、現場の救急隊が救急車により症状に応じた医療機関に搬送しておりますほか、広域連携による他県ヘリでの対応も行っており、また、新生児搬送につきましては、昨年度策定した搬送実施マニュアルをもとに、今年度、地域周産期母子医療センターと岩手医科大学間での搬送訓練を実施し、本年4月の運用開始を目指して準備を進めているところでございます。
 引き続き、救命救急活動の高度化に向けて、不断の取り組みを進めていく考えでございます。
〇小林正信委員 ドクターヘリの運航について、フライトドクターやフライトナース、また、パイロットや整備士は充足しているのか。また、運航における隣県との連携、協力体制は十分なのかという部分もお伺いしたいと思います。
〇菊池副知事 まず、フライトドクターやフライトナースは、基地病院であります岩手医科大学附属病院の医師及び看護師がローテーションを組んで従事していただいておりまして、パイロットや整備士は、岩手医科大学と委託契約を締結している運航会社が人員を配置している状況にあります。現時点で、各スタッフの不足により運航に支障を来す状況にはございません。安定した運航体制が確保されているものと認識しております。
 また、北東北3県の広域連携でございますが、平成25年4月の運航開始から本年1月末までの広域連携運航回数は327回、宮城県との広域連携については、平成29年4月の運航開始から本年1月末までで14回の連携実績がございます。
 一方、県北地域の自治体等からは、救急搬送体制のさらなる充実に向けて、北東北3県広域連携運航に係る臨機応変な運用について要望をいただいておりますことから、医療、消防等を初めとする各関係者の意見を聞きながら、実現に当たっての具体的な課題を整理し、青森県、秋田県とも協議を進めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひ、今後も無事故の運航で、県民の命を守っていただきたいと思います。
 続きまして、PPP/PFIの推進については、以前も取り上げさせていただきましたが、民間活用によるコスト削減が期待でき、県内でも各自治体が先進的な取り組みを行っております。秋田県では、公民連携のためのプラットフォームを設置、セミナー等を行い、取り組みを充実させていると伺っております。
 岩手県においても、PPP/PFIを推進するためのプラットフォームを設置するべきではないか。また、民間ノウハウ活用の余地があると考えられる施設整備事業を抽出し取りまとめた、いわゆるPPPロングリストの作成を行っていくべきではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
〇白水総務部長 国におきましては、地方公共団体や金融機関、企業等の関係者が参画し、PPP/PFI事業のノウハウの習得や、ネットワークの構築等に取り組む地域プラットフォームの形成を推進しておりまして、本県は、東北各県等で構成する東北ブロックプラットフォームコアメンバー会議に加えまして、盛岡市が金融機関等と構成する盛岡PPPプラットフォーム会議に、県内の市町村とともに参加しているところでございます。県におきましては、当面はこの枠組みを活用しながら、導入案件の形成能力の向上や、実務的な知見の集積等を行ってまいります。
 また、PPPロングリストについてでありますが、県では、岩手県公共施設等総合管理計画に基づき、個々の公共施設等の個別施設計画を策定し、公共施設等の全体状況の把握と、中長期的な視点に立った公共施設等のマネジメントの取り組みを推進しているところでございます。
 効率的かつ効果的な公共施設の整備等を進めるため、PPP/PFI手法の活用は有効な手段の一つと認識していることから、今後、予定しております県の公共施設等総合管理計画の改訂等も踏まえ、関係部局とも調整を図りながら、このリストの作成等も含めたPPP/PFIの推進方策を検討していきたいと考えております。
〇小林正信委員 今、盛岡市のものに参加しているということで、県独自として県の公共施設をしっかりやっていかなければだめだと思うので、ぜひ県のプラットフォームをつくっていただきたいと思います。
 続きまして、災害時は、応急仮設住宅として、平常時は宿泊施設として利用できるいわゆるムービングハウスの活用が各地で進んでおります。県内でも、岩手町では既に災害時の活用が決められており、秋田県では日本ムービングハウス協会と災害時における応急仮設住宅の建設に関する協定を結び、宮城県においても同様の手続が進んでいると伺っております。
 岩手県においても、例えばこうした協会と協定を結ぶなど、ムービングハウスを活用し、災害時に備えるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇菊池副知事 一定の住環境や電気設備などが付属し、コンテナ等の移動式の木造住宅でありますムービングハウスにつきましては、応急仮設住宅としての活用も有効であると受けとめているところでございます。
 災害時の協定についてですが、東日本大震災津波においては、災害時における応急仮設住宅の建設に関する協定を当時締結していた1団体により、当初は仮設住宅の建設を進めていたところでございますが、他の事業者などの参画もあり、建設の加速化を図ることができたところでございます。こうした経験を踏まえ、改訂を進めている岩手県住宅マスタープランにおいて、頻発、激甚化する災害への対策の検討を進めている中で、多様な供給主体との協定締結による迅速な応急仮設住宅の建設を位置づけようとしているところでございます。
 委員御指摘のムービングハウスの件については、協定内容として災害時における導入の仕方や、維持管理面での課題、他県の協定締結の動向などを踏まえながら、活用のあり方の検討を進めていくこととしております。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いします。
 最後に、地球温暖化対策について、県が掲げる2050年のカーボンニュートラルという目標には、CO2の吸収源の強化が欠かせないものと考えます。沿岸海域の海草や藻類などの海洋生物に吸収、貯留されたCO2はブルーカーボンと呼ばれており、国土交通省は、令和元年、ブルーカーボンに関する有識者検討会において、活用策の議論をスタートさせました。
 岩手県においても既に研究が進んでいると伺っておりますが、ブルーカーボンについて、豊かな三陸の海を有する岩手県が、そのポテンシャルを生かし、さらなる調査、研究を進め、全国に先駆けて取り組みを充実させるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 平成21年10月に、国際連合の環境計画部門等から、地球上の植物等が吸収する炭素のうち、海洋の植物が吸収する炭素、いわゆるブルーカーボンがその55%に相当するが、森林に比べ、海洋における藻場等で炭素を吸収する機能等が見過ごされていることなどが報告され、ブルーカーボンの重要性が初めて強調されました。
 当時は知見不足で、ブルーカーボンの貯留源としての議論は見送られ、その評価等は次の課題であるとされたところでありますが、我が国では、世界全体で温室効果ガスの排出削減に最大限貢献することを目的に、令和2年1月に、内閣府が革新的環境イノベーション戦略を策定し、ブルーカーボンによる炭素吸収等の評価技術を確立することを目指すとされたところであります。
 この戦略に基づき、国の研究機関が中心となって、藻場等による炭素の吸収と貯留等の評価モデルを開発するための調査研究が始められ、今年度から、県水産技術センターも共同研究に参画しており、令和4年度当初予算案には、ICTなどを活用した藻場の炭素吸収量をモデル的に試算する調査経費を新たに計上いたしました。
 こうした研究は、全国8カ所で行われている先進的な取り組みであります。本県では既に藻場の再生事業を積極的に行っており、今後とも、国の研究機関や大学等と連携を図りながら、自然豊かな岩手県の海をフィールドとして、温暖化防止に向けたブルーカーボンの調査研究を積極的に推進してまいります。
〇小林正信委員 ぜひお願いします。
 私ども公明党も、ブルーカーボンの利用促進について、国会議員によるプロジェクトチームも設置しまして、先日はその会合に、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合の桑江理事長をお迎えして、ブルーカーボンの現在の取り組み、沿岸域におけるカーボンオフセットを利用しての藻場の管理等について講演をいただいたところであります。
 岩手県においても、今後、国との連携、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、また、国からさまざまな講師を招くとか、そうした先進事例をしっかり勉強していくと、具体的な取り組みをさらに進めるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇保副知事 知事からも御答弁申し上げましたとおり、どのように吸収量を評価して実際の数値にしていくかということは、今、国を中心に評価検討が一生懸命進められているということでございます。
 実は県内には、既に普代村におきまして、村内で生産される養殖ワカメと養殖コンブについて、これは横浜市がブルーカーボン・オフセット制度─これは横浜市が独自にやっているものです─の認証を受けて、そのクレジットを販売して得た収益を同村の養殖業の活性化に充てる取り組みが行われております。
 こういった事例が今後いろいろたくさん出てくると非常にいいと思っているわけですけれども、まずは岩手県の場合、藻場の保全が大事でありますので、現在、県としては、藻場の再生に注力して努力をしていきたいと考えております。
 また、令和4年度の当初予算案には、ゼロカーボン推進事業費を盛り込んでおりますが、この中で、こういったブルーカーボンに関するさまざまな新しい情報なども取り入れるということに意を用いていきたいと考えております。
〇小林正信委員 今回の質疑で、被災者支援、コロナ禍で大変な状況の方々の支援を取り上げさせていただきました。いわて県民計画(2019〜2028)の理念に、社会的包摂の観点に立った取り組みを進めるとございますけれども、本当にすばらしい理念で、これが県の計画に入っているのは本当にすばらしいことだと思いますけれども、社会的包摂というこの理念が、コロナ禍にあって実現が難しくなってきているのではないかと危機感を持っております。
 ぜひとも、知事初め県職員の皆様には、社会的包摂等の理念、最も弱い立場の方々の視点を常に心にとどめて、この理念がかけ声に終わらないように、令和4年度の予算、事業の執行に当たっていただくよう念願をいたしまして、質疑とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 質問者席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、上原康樹委員。
   〔上原康樹委員質問者席に着く〕(拍手)
〇上原康樹委員 無所属の上原康樹でございます。よろしくお願いします。
 最初に水素から質問をさせていただきます。新しいエネルギー、水素を実際にどう活用していくのか。昨今の石油価格の高騰などの影響もありまして、待ったなしの状況です。広大な岩手県においては、物流や移動をいかに効率的に行えるかが切実な課題となっています。水素は大きな鍵を握るものの一つだと思っています。御存じのとおり、水素は利用段階で二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーです。国は、水素社会の実現に向けて水素基本戦略を策定し、各種施策を展開する一方、水素エネルギー白書においては、燃料電池の耐久性や信頼性などの技術面、コスト面のほか、制度整備、水素供給体制など、多くの課題が存在しており、これらの一体的な解決に向けた取り組みが必要であると指摘しています。
 本県も国の動きに連動し、令和4年度当初予算案において、水素関連製品の導入に向けた事業者に対する支援や、水素関連産業の可能性の調査など、取り組みを広げる構えです。
 しかし、広く多くの県民や事業者に、新しい燃料、水素が身近に感じられる取り組み、メリットが理解できる取り組み、現実的な未来のエネルギーであると思えるような取り組み、アクションがもう一つ見えにくい状態だと感じます。県は、水素という新しい自動車燃料を導入する社会的な環境整備をどのように進めていくのか、今後の方向性について所見を伺います。
〇石田企画理事兼環境生活部長 水素を使った燃料電池自動車は、電気自動車に比べて、航続距離が長い、充填時間が短い等のメリットがあり、世界中で自動車の脱炭素化の流れが加速する中、大都市圏や宮城県、福島県では導入されておりますが、多額の設置費用を要する水素ステーションは県内に未設置であり、燃料電池自動車は本県にほとんど導入されていないところです。
 しかしながら、今般、小規模の水素ステーション整備が国の補助対象となった機会を捉えて、当初予算案におけるいわて水素モビリティ実証事業費では、水素ステーションの設置や、燃料電池自動車の導入に要する経費を盛り込んだところであり、さらに来年度は、水素利活用に関するシンポジウムを開催するなど、県民への機運醸成に努めることとしております。
 広大な県土を有する本県において、移動手段としての自動車は、県民生活、事業活動に欠かせないことから、県としては、水素利活用の理解促進の取り組みを進め、燃料電池自動車の需要拡大を図っていくこととしており、あわせて、水素の供給網のあり方についても、さまざまな先行事例を参考にしながら研究してまいります。
〇上原康樹委員 水素の力はさまざまな分野で応用できるものと考えます。部局横断で取り組むことも想定されるテーマになりそうです。柔軟な取り組みをお願いいたします。
 次です。データセンターの地方分散について伺います。先ごろ、5Gや自動運転、AIによるビッグデータの処理など、デジタル化の進展に伴い重要性が高まるデータセンターについて、国がリスクの分散のために地方分散を進めるため、自治体が候補地を調査する費用を補助するという報道があったところです。
 国は、今後5年程度で、民間企業のデータセンターを地方に十数カ所誘致し、分散を進める方針であり、建設に数百億円規模の投資が見込まれるほか、メンテナンスなどにより人の往来もふえることが予想され、地域の経済波及効果も大きいとしています。
 また、さきに国が公表した有識者会合による中間取りまとめ報告では、拠点データセンターの整備に当たって重視することとして、広大な面積を有することや岩盤の強さなどが挙げられており、岩手県はまさにどんぴしゃりです。条件を満たしているものと考えます。
 データセンターは、基本的に事業者のビジネスとして運営される施設であることから、設置主体は民間事業者となるものの、国や地方の仕組みにかかわる大きなテーマであり、地方自治体も、各種許認可や、地域住民に理解を求めることなどにおいて、大きな役割を担うことが想定されます。データセンターの地方分散に伴う本県への立地の可能性について、これまでの検討状況とあわせ所見を伺います。
〇保副知事 今、委員からデータセンターに必要な条件といたしまして、岩盤とか大きな面積ということもございましたが、データセンターはそれ自体が熱をどんどん放出するというものでございますので、冷涼な気候ほどいいと言われております。そういう意味でも岩手県は狙っていけるというように考えております。
 現在、国内のデータセンターの7割が関東に集中していると言われております。国がそのような最適な立地配分を行うことは理にかなっていると考えております。国では、データセンターの誘致に前向きな自治体と意見交換を行い、地方へのデータセンター整備の考え方を取りまとめた上で、事業者を募集すると聞いております。こうした国の意向を受けまして、私どもから県内の市町村に意向を確認したところ、今のところ、全部で九つの市と町が関心を示しているということでございます。現在、国や民間事業者、電力会社との意見交換を行っているというところでございます。
 県といたしましても、そういったことを踏まえて、市町村や事業者の意向を踏まえ、連携しながら立地に取り組んでまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 データセンターの維持管理には、膨大な電力が必要になると言われています。県の腕の見せどころもあるかと思います。よろしくお願いします。
 次です。被災地のまちづくりについて伺います。東日本大震災津波から間もなく11年が経過しようとしています。被災地のまちづくりの基盤となる面整備については、全ての予定箇所が完了したものの、かさ上げされた造成宅地や防災集団移転促進事業による移転元地などの被災跡地の利活用率は全体の約54%にとどまるなど、被災地復興の土台整備は先行き不透明な状況です。
 県は、住宅、事業所の建設に対する支援など、各種施策を展開していますが、空き地問題は被災した人々の心の変化というデリケートな問題が絡んでおり、本当に幸せになるためにどのように暮らしていけばいいのか、被災地では苦しい自問自答が続いています。市町村も、人々の思いと折り合いながら、地域をどう形づくっていくべきか、道筋を見きわめ切れず苦慮していると伺っています。
 時間の経過とともに地権者の意識も変わっていく中、被災地のまちづくりについて、県は地元の市町村とどのように連携し、本当の復興を成し遂げるおつもりか、所見を伺います。
〇戸舘復興防災部長 被災地のまちづくりについてでありますけれども、移転元地につきましては、これまで県は、市町村に対して、活用事例や各種施策などの情報提供をいたしますとともに、産業利用を促進するための津波立地補助金や復興特区税制などの支援策の活用を促してきたところでありまして、周年型の栽培施設や、農業テーマパーク、食品製造工場などの立地が進んでいます。
 また、かさ上げされた造成地につきましては、市町村のまちなか再生計画の策定を支援するとともに、こちらも津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金や中小企業等グループ補助金の活用を促してきたところでありまして、山田町、釜石市、大船渡市、陸前高田市の中心市街地には、大型商業施設などが整備され、まちなかのにぎわい創出が実現しています。
 一方で、産業誘致に当たりまして、企業が津波浸水域にある移転元地への進出にはちゅうちょする例がありますほか、造成地では、土地相続の問題などで、土地売買、賃貸借のマッチングが進まないことなどによって、対応に苦慮する市町村もあると承知しております。
 県といたしましては、これまでの取り組みに加えまして、復興庁が行っております土地活用ハンズオン支援事業に参画し、事業採択された市町村の取り組みを支援いたしますとともに、復興庁と県が主催する土地活用推進のためのプラットフォーム会議を通じて、先行事例やノウハウを市町村と共有し、意見交換を行っているところであります。
 今後は、さらに市町村からの要望に応じまして、土地の利活用に向けた計画策定や、支援制度の活用、マッチングなどを伴走型で支援するなどのまちづくりの主体となります市町村としっかりと連携して、復興庁、関係機関の協力を得ながら、土地の利活用を促進してまいります。
〇上原康樹委員 住民の意向を大切にしていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次は、医療を支える交通網の整備についてです。
 医師不足、診療科目の減少など、医療が県民の健康や命から、もうこれ以上遠ざかってほしくないという県民の思いがあります。物理的にも遠くに感じる地域の医療機関という問題があります。アクセスの問題です。現状では、バスの運行が1日に1本とか2本とか、通院の不便、苦労は増すばかりです。さらに、コロナ禍で利用者が減少するなど、路線の維持がますます困難な状況であると認識しています。
 こうした状況を踏まえ、地方公共交通のあり方については、利用者の視点に立って、専用のマイクロバスの運行や、路線、運行本数の充実などのきめ細かい支援を、市町村と連携し、取り組んでいく必要があると指摘され続けています。病院にたどり着くまでの困難、これは大きな問題です。
 この医療と県民の物理的、心理的な距離を埋めてこそ安心な暮らしが保障できると考えますが、本県の病院、医療機関へのアクセスにおいて、地域公共交通における現状の課題認識と今後の方向性について所見を伺います。
〇熊谷ふるさと振興部長 乗合バスや地域鉄道等の地域公共交通は、人口減少や少子高齢化の進行等により利用者の減少傾向が続いている中で、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が大幅に減少し、厳しい状況に置かれております。
 こうした中、県におきましては、通院や通学、買い物など、地域住民の方々の生活の足である地域公共交通の維持、確保は極めて重要な課題と認識しており、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている乗合バス事業者、第三セクター鉄道事業者、タクシー事業者が、安全、安定運行を継続できるよう、昨年度に引き続き、運行支援交付金を交付いたしました。
 なお、医療機関の通院につきましては、市町村において、コミュニティーバスやデマンド交通等により、移動手段の確保に向けた取り組みが行われており、県におきましても、その実証運行などに対して支援を行うことにより、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向けた取り組みを進めているところでございます。
 また、公共交通事業者におきましても、乗車等のサポートや、鉄道とタクシーが連携した通院切符、鉄道とバスがセットになった妊産婦向けの割引切符の販売など、通院手段の確保に向けたさまざまな取り組みが行われております。
 県といたしましては、今後も引き続き、新型コロナウイルス感染症の公共交通事業者への影響等を注視しながら、適時適切に必要な支援を検討していくとともに、県民の皆様が安心して暮らせるよう、市町村や公共交通事業者とも連携しながら、地域の重要な移動手段である地域公共交通の維持、確保に努めてまいります。
〇上原康樹委員 関連しまして、道路そのもののことについてです。
 ことし1月には、盛岡市の永井地区と矢巾町の岩手医科大学付近とを結ぶいわゆる命の道となる新たなバイパス道路─盛岡南道路について、達増知事らが国に対し、早期の事業化について要望するなどの動きも見られたところでございます。
 現在の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
〇達増知事 県内唯一の高度救命救急センターである岩手医科大学附属病院へのアクセス向上を図る、この国道4号盛岡南道路は、盛岡広域都市圏のみならず県内全域を対象とする、まさに命の道としての役割を果たす重要な道路であります。
 こうしたことから、これまで県では、政府予算提言要望において早期事業化を働きかけてきたところであり、この道路の都市計画決定の進捗等も踏まえ、1月31日には、沿線の盛岡市長、矢巾町長に加え、岩手医科大学、商工団体とともに、令和4年度の事業化について、国に強く要望をいたしました。
 このような中、国では先月25日に、盛岡南道路について、令和4年度予算に向けて新規事業採択に係る評価手続に着手したことを公表いたしました。
 今後、国において、学識経験者等への意見聴取や、評価結果の取りまとめなどの手続が進められるものと承知しております。
〇上原康樹委員 ありがとうございました。待っている県民は多いと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に子供へのワクチン接種についてです。
 令和4年度当初予算案においても、新型コロナウイルス感染症対策関連予算が、多岐にわたる分野において計上されたところであり、県の御努力に感謝申し上げます。
 こうした中、厚生労働省は、5歳から11歳の子供への新型コロナワクチン接種について、1月21日にファイザー社のワクチンを薬事承認し、正式に公的な接種として位置づけ、早い地域では接種が開始されています。
 そのような中、子供へのワクチン接種に反対する声が聞かれるようになりました。岩手県民からも不安の声が聞かれます。私のところにも届きました。
 我が子へのワクチン接種に直面するとき、親は、自身の接種以上に神経質、ナーバスになり、万が一のリスクを受け入れられない思いになります。まして、ワクチンによる健康被害の情報などに触れれば、接種を避けるケースも出てくるのは当然かと思います。
 県の役割は、ワクチン接種のメリットと同時に、疑問や不安に対し、冷静かつ正確な説明を尽くし、万が一の事態に万全の体制で子供の命を守る用意ができていることを示すことではないかと考えます。
 子供へのワクチン接種を進める上での課題と今後の取り組みについて伺います。
〇野原保健福祉部長 小児へのワクチン接種についてでありますが、国内における5歳から11歳までの新型コロナウイルス感染症患者の大多数は軽症であるとされる中、ワクチンの有効性に対する疑問や副反応への不安を持つ方が多いと承知をしており、小児への接種に当たっては、本人と保護者の皆様に、ワクチン接種の発症予防効果などのメリット、副反応などのデメリットを十分に御理解いただきながら、判断いただくことが重要と考えております。
 このため県では、独自に作成した小児と保護者用のリーフレットを配布するとともに、ホームページ等を通じて、ワクチンの有効性や安全性、副反応等の情報発信に取り組んでいるところであります。
 また、副反応などの医学的な相談については、県の専門相談コールセンターにより24時間対応し、強い症状が見られ、医師の判断を要する事例などは、小児科専門医から助言、指導を受け、きめ細かに対応する体制を確保したところでございます。
 さらに、副反応等で治療が必要な場合には、かかりつけ医や接種した医療機関での受診を基本としつつ、対応が困難な事例は、二次医療圏の基幹病院や、岩手医科大学附属病院において、受診する体制を構築したところでございます。
 県としては、引き続き、市町村や県医師会、関係機関等と連携し、ワクチンに関する科学的に検証された正確な情報提供に努めるとともに、相談、治療体制の確保に取り組んでまいります。
〇上原康樹委員 ありがとうございました。野原保健福祉部長の誠実な説明の御様子にただただ感服して、私の質疑を終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 これより各部局の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
午後2時11分 休 憩
午後2時42分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより、各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせのとおり、質疑項目が複数ある場合、関連する項目はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととなっております。
 また、議会運営委員会において、新型コロナウイルス感染症対策として、部局別審査においては、各日の質問予定人数に応じて、その都度、世話人会で協議の上、質疑の目安時間を決定するとされたところです。
 本日は、この後、議会、総務部、政策企画部、出納局、人事委員会及び監査委員関係について、延べ13人の質問者を予定しており、世話人会の協議により、本日の質疑の目安時間は20分といたしました。
 また、関連質疑については、目安時間を10分とすること、同一部局の審査において、質疑と関連質疑を行う場合は、その日の質疑の目安時間の範囲内とすることにいたしましたので、議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇南議会事務局長 それでは、令和4年度の議会関係の歳出予算について御説明を申し上げます。
 お手元の議案その2の6ページをお開き願います。議会関係の歳出予算は第1款議会費の13億4、581万円余であります。これを前年度の当初予算と比較しますと6、987万円余の減、率にして4.9%の減となっております。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、84ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきます。
 第1款議会費第1項議会費のうち第1目議会費は、議員の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、84ページから85ページにかけてでありますが、第2目事務局費は、議会事務局職員の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要する経費並びに議会改革の一環としてICT化を推進するためタブレット端末及びペーパーレス会議システムを試行的に運用するための経費であります。次に、第3目議員会館費は議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で、議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは質問します。議会棟の喫煙室の問題についてお聞きします。
 全国都道府県、東北各県の議会棟の喫煙室の設置状況はどうなっているでしょうか。
〇南議会事務局長 まず、全国の都道府県議会における喫煙室の設置状況についてでありますが、令和3年10月時点の調査では、敷地内全面禁煙は6道府県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが11府県、建物内禁煙が11都県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが19県となっております。
 次に、東北の各県議会における喫煙室の設置状況についてでありますが、敷地内全面禁煙は青森県、秋田県の2県、敷地内禁煙で敷地内に喫煙専用室ありとするものが福島県の1県、建物内禁煙が宮城県、山形県の2県、建物内禁煙で喫煙専用室ありとするものが本県の1県となっております。
〇斉藤信委員 建物内に喫煙室がある。これは19県で、28都道府県が建物内には喫煙室はないと、こういうことです。東北でも岩手県だけです。私は、大変おくれた状況になっていると思います。
 新型コロナウイルス、とりわけオミクロン株の感染が県議会にまで及んでいる。こうした中で、政府も新型コロナウイルスの感染リスクが高いと指摘されている喫煙室は、私は直ちに閉鎖すべきではないかと考えますが、新型コロナウイルスオミクロン株の感染対策からどう考えますか。
〇南議会事務局長 喫煙室の取り扱いについてでございます。平成26年7月の議会運営委員会で、分煙施設としての喫煙室を設置することが決定され、同年11月に設置されて以来、議会事務局ではその維持管理を行ってきているところであります。
 この維持管理の範囲は、分煙施設としての喫煙室を御利用いただく上で、日常必要となる出入り口の開閉や清掃の確認など必要最小限のものとなっており、事務局の判断で当該喫煙室を閉鎖するような権限までは有していないものと認識しておりますので、御理解賜りたいと存じます。
〇斉藤信委員 私が、今、提起したのは、新型コロナウイルスオミクロン株による感染が県議会まで及んでいる中で、喫煙室は、感染リスクが高い場所として、政府の方針でも指摘されていることから、この喫煙室は当然閉鎖されるべきではないかということを指摘いたしました。
 そもそも県庁全体が敷地内全面禁煙です。そして、全国でも、今、答弁があったように、建物の中に喫煙室を設けているのは19県にとどまっている。東北では岩手県だけという状況を考えても、私は、今の新型コロナウイルス感染症の感染状況から見て、直ちに県議会がどういう感染対策をとっているのか、このことが問われるのではないかと思います。
 これは、議会事務局長が答弁できないという側面もあるでしょうから、私は、改めて、議会運営委員会にこの問題を提起したい。
 それで、私は、この喫煙室というのは、残念ながら全面禁煙になっている県職員も利用している。実態があります。いわば逃げ込み部屋になっているのです。こういう点でも、このあり方が問われますが、私は、議会開催以外のときは、基本的に会議室と同じように閉鎖すべきではないのかと思いますが、いかがですか。
〇南議会事務局長 先ほども申し上げましたとおり、分煙施設としての禁煙室は、平成26年7月の議会運営委員会で設置することが決定されたところでありますが、その際、閉鎖する期間の取り決めはなかったほか、閉会中に議員が利用することもあり得ることから、事務局の判断で閉鎖することはできないものと考えております。
 仮に、こうした閉鎖期間を設けるのであれば、分煙施設としての喫煙室の取り扱いの根幹にかかわる問題でありますので、議員の皆様方で御協議の上お決めいただくべきものと考えております。
 議会事務局といたしましては、お決めいただいた方針に従って対応してまいります。
〇斉藤信委員 わかりました。
 私は喫煙室の管理の問題を提起しているのです。喫煙室というのは、特権的に議員だけが利用できる、議員に用事があって来た方が利用できるとなっているのです。
 ところが、議会閉会中、議員がいないときに開けていたら、県職員の皆さんにも使ってくださいということになってしまうのです。だから、私は、会議室と同じような、せめて、そういう利用の仕方にすべきではないのかと思います。
 これもあわせて議会運営委員会に提案したいと思います。
 次に、県議の海外視察費についてお聞きいたします。
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収束していない中で、私は来年度も実施すべきではないと考えますが、今年度の全国の実施状況、来年度の予算案計上の状況を把握しているでしょうか。
〇米澤総務課総括課長 全国の実施状況についてでございますけれども、令和3年度において、実施したところは0県でございます。実施しないが、本県を含めまして26府県、これは1月時点の調査でございましたので、まだ未定というところが21都道府県ございました。
〇斉藤信委員 実は、令和2年度も実施ゼロでした。令和3年度も、今言ったように実施は今のところゼロ。既に実施せずと決めたのが26府県、未定のところは、この時点で未定ですから、ほとんど実施しないと思います。
 世界的なパンデミックは収束していませんので、来年度も中止すべきだと、私は思います。
 次に三つ目ですけれども、政務活動費、領収書のホームページでの公開について、質問をしたいと思います。
 政務活動費、領収書のホームページでの公開について、全国、県内の議会ではどのようになっているでしょうか。
〇南議会事務局長 政務活動費の領収書をホームページで公開することについてでありますが、本年2月28日現在、都道府県議会では、秋田県、宮城県など22都府県において公開しており、昨年と比較いたしまして、1県の増となっております。
 また、県内の市町村議会では、盛岡市、宮古市など11市町において公開しており、昨年と比較して増減はありません。
〇斉藤信委員 今、答弁があったように、全国は22都府県で、既に政務活動費の領収書のホームページでの公開が実施されています。県内の市町村議会でも、11市町実施をしている。これは、議会改革の姿勢が問われるのだと思うのです。
 以前は、岩手県が全国の議会改革の先頭に立っていた時期がありました。しかし今や、おくれにおくれて、全国がやっても岩手県は尻込みする残念な事態でありますが、これを実施する上で、何か事務局として障害はありますか。
〇南議会事務局長 領収書をホームページで公開する場合の課題でありますが、ホームページで公開するためには、議員から提出された全ての書類について、PDFデータファイルを作成する必要がございます。これを今年度の政務活動費の閲覧資料をもとに具体的に申し上げますと、こうしたA4サイズのフラットファイルで51冊、資料の枚数といたしましては約8、500枚、これを議員ごとにPDFデータファイルとして作成するための業務量が増加するものと見込んでおります。
〇斉藤信委員 既に全国で実施されている22都府県、県内では11市町もやっていますが、それはそういう形でやられているわけですか。確認します。
〇南議会事務局長 ホームページに公開する以上、PDFデータファイルとしてアップする形になりますので、そういう形でやられているものと思います。
〇斉藤信委員 私は、この政務活動費を領収書を含めて公開すると、これは県民の知る権利を保障することになると思います。国会では、当選すると使途不明のお金が100万円出るということが大問題になっていますけれども、我々一人一人が、この政務活動費を、何に使っているのかホームページに公開することにより、議員一人一人の活動実態を示すことにもなり、県民の知る権利を保障することにもなります。
 ぜひ、こうした改革を県議会としても直ちに着手して進めるように、この場で問題提起をして、私の質問を終わります。
〇伊藤勢至委員 ただいま、分煙室についてのやりとりがありましたが、あそこは喫煙室ではありません。分煙室とこれから言っていただきたい。まず、その点を指摘をしておきたいと思います。
 そういう中で、昨年の10月、宮古市も人口が5万人を切りました。そうしましたところ、地方交付税が5億円カットされます。そういう中にあっても、たばこ税は4億円ぐらいがそのまま入っているのです。そういう中で、県内の32市町村や、岩手県では、一方ではたばこ税が相当なウエートを占めて、それが県民のいろいろな生活向上のために使われている。そういうことも一緒に加味して考えていかなければいけない問題だと思います。
 確かに、受動喫煙という話が出てきましたから、喫煙者の一人として、そばの人に迷惑をかけてはいけないという思いからほかでは吸わないように、そういうところで吸うように自分でも心がけているつもりでありまして、今は、交通事故があっても、絶対に100対0の負担率はないのです。98対2とか、90対10とか、必ず比率があってのことですから、世の中を広く見て話をしていただかなければいけない。私はそのように思っているので、これはあくまでも議会運営委員会で取り上げる問題なので、議会事務局長に聞く問題ではないかもしれませんけれども、オール岩手を見る中で、どういうお金がどういうところで役に立っているかということももちろん議論の中に含めていかなければいけない、このように思います。
 それから、今や人が人を殺しても、誰が見ても、これは殺したほうが悪い、やったほうが悪いと思いながらも、今や弁護士がつくのです。そして、それも必ず100対0にはなりません。それは生存権を保障するためだと思います。そういう中で、水清ければ魚すまずと言いまして、世の中はきれいなものだけで成っているわけではないのだと思います。ですから、一人だけがいい格好をするような、俺だけが正義の味方だみたいな言い方というのはいかがなものか、私はそのように思っております。
 したがいまして、県議会が決めていく問題であるということでありますが、どうぞ、岩手県の換金作物としてのたばこはいまだに有力な品種でありますから、そういう人々の所得の向上にも役立てている。そういうこともトータルで考えながら、この委員会室にいらっしゃる先生方でぜひ御判断をいただきたいと、私は思っております。
 それから、海外視察の話が出ましたが、これは、議員が大いに自己研鑽をして、見聞を広める、自分を高めるためには絶対必要なものであって、それが県民に還元していくということを考えますと、井の中のカワズになってはいけないという大命題を我々は忘れてはいけない。お金で買えないものもある。そのように思います。
 したがいまして、今この時期に海外視察などというのはそぐわないのかもしれませんけれども、新型コロナウイルス感染症の感染が落ち着いたら、議員の資質向上のために、特に前のほうの若い方々は大いに、ロシア、ウクライナ、あるいはヨーロッパ、アジア、アメリカぐらいは出かけてきて、見聞を広め、自己を高めていただきたい。私はそのように思っているのでありますが、自分だけしゃべって終わるわけにいかないので、議会事務局長から感想を伺って、終わります。
〇南議会事務局長 ただいま伊藤勢至委員から2点ほど御所見を頂戴いたしました。
 まず1点目は、伊藤勢至委員がおっしゃる分煙室であります。前回の昨年の決算特別委員会の際に、伊藤勢至委員から分煙室というお話もありましたので、私も本日の答弁では、あえて、分煙施設としての喫煙室という配慮をさせていただいたところでございます。
 毎回、伊藤勢至委員から、たばこ税等への配慮といったようなお話がございますので、私も改めて、これまでのさまざまな経緯を調べてみた際に、ちょうど令和2年1月に、北海道・東北六県議会議員研究交流大会が福島県で開催されておりました。その際に、分科会の一つに健康寿命をテーマとして斉藤信委員も御出席をされ、やはり東北各県議会のこの喫煙室の問題について取り上げたことがございました。
 その際に、東北各県におきましても、当然のことながら、喫煙者と非喫煙者との意見の違いもありましたし、また一方で、健康増進法の観点から受動喫煙は防止していかなければならない。また一方では、先ほど伊藤勢至委員からお話のあった、葉たばこ産業の振興とか、たばこ税の税源確保、そういったような問題等もあり、東北各県議会ともいろいろな観点からたくさんの議論をした上で、最終的にさまざまな形で落ち着いているものと考えております。また、この健康増進法は平成30年に改正されたわけでありますが、国会においても同様な議論があったものと承知しております。
 したがいまして、本県議会におきましても、こういった総合的な観点から、議員の皆様方で総合的な議論がなされ、そして、そのあり方が検討されていくべきものと考えております。
 2点目、海外行政視察のお話がございました。海外行政視察につきましては、今、これから先の新型コロナウイルス感染症の感染状況を予測するのはなかなか困難でありますが、私ども議会事務局職員といたしましては、議員の皆様方の議会活動あるいは議員活動といったものを円滑に推進するために下支えをしている、そういった役割だと認識をいたしておりますので、いつ何どき海外における行政視察を行う機会が発生するかもしれない、そういったときのために、来年度当初予算案には所要の予算額を計上させていただいたところでありますので、そういったものを必要な都度、速やかに執行できるような、そういう体制を今後とも確保してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇白水総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明申し上げます。
 議案の説明に入ります前に、令和4年度当初予算案の編成に当たりまして、当部の基本的な考え方について御説明をいたします。
 令和4年度当初予算案は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図るいわて県民計画(2019〜2028)を軌道に乗せ、コロナ禍を乗り越え復興創生をデジタル・グリーンで実現する予算として編成したところであります。
 また、令和4年度は、歳入の確保を図るため、県税につきまして、引き続き、滞納整理の強化による収入未済額の縮減や、課税対象の適切な捕捉などに努めるとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の実効性を高めるため、行政経営プランを推進し、将来にわたって安定的な財政構造の構築が図られるよう、行財政研究会の成果も踏まえつつ、歳出の重点化や行政の効率化に取り組むとともに、庁内DXや職員の働き方改革を推進してまいります。
 続きまして、議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算のうち総務部関係の歳出予算について御説明を申し上げます。
 議案その2の6ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の表中総務部関係の予算は、2款総務費のうち149億6、290万円余、9ページに参りまして、12款公債費のうち919億9、889万円余、13款諸支出金のうち569億4、085万円余、10ページに参りまして、14款予備費6億円を合わせまして総額1、645億266万円余であり、前年度と比較し、27億円余の減額となっております。
 また、予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されており、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 続きまして、議案第9号令和4年度岩手県公債管理特別会計予算について、御説明を申し上げます。
 少し飛びまして、39ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算にございますように、歳入歳出それぞれ1、549億9、893万円余であり、前年度と比較し、112億8、965万円の増額であります。
 歳入でありますが、県債管理基金の財産運用収入や一般会計及び県債管理基金からの繰入金並びに県債であります。
 次に歳出でありますが、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債の発行手数料などであります。
 続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
 冊子がかわりまして、議案その3の13ページをお開き願います。議案第27号岩手県県税条例の一部を改正する条例について御説明を申し上げます。これは、法人の課税標準の区分経理の義務に係る電気供給業の区分等を改めようとするものであります。
 以上で、総務部関係の議案の説明を終わります。何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 それでは、お尋ねをしてまいります。
 新年度の予算では、三つの重点施策テーマが設けられております。このトータルの財政措置状況、そして、特に、一部新規含めて3分の2が新規事業になっているデジタル分野への財政措置状況をお示しいただきたいと思います。
〇山田財政課総括課長 三つの重点項目に関する予算措置の状況についてでございますけれども、まず1点目の人口減少社会への対応といたしましては、合わせて約14億円を措置しております。その内容といたしましては、子育てを応援する機運醸成に向けた県民運動の展開や産後ケアの実質無償化のほかにも、県内学生を対象とした定着促進に係る事業などを計上しております。
 続きまして、2点目のデジタル化の推進につきましては、議員御指摘のとおりでございますけれども、約44億円ほどを措置しておりまして、内容としましては、AI人材の育成でありましたり、スポーツ指導、鳥獣被害対策、災害時ドローンの利用、ローカル5Gの活用などに係る事業を計上しております。
 また、3点目のグリーン社会の実現についてでございますけれども、こちらにつきましては、合わせて43億円ほど措置しておりまして、本県初の水素ステーションの整備や、燃料電池自動車の購入支援に係る事業などを計上しております。
〇岩渕誠委員 新型コロナウイルス感染症対策が全体で700億円を超える規模であります。それに比較して、三つの分野で100億円を超える財政措置がされている。しかも、これをよく見てみますと、新規事業は大体64あるわけでありますけれども、そこにかけられた予算は35億円と認識しています。マイナスシーリングが行われた新年度の予算で、新規事業の数と言い、その量と言い、これはかなり財政当局も努力されたのだろうと思っております。
 特に、先ほども指摘しましたが、デジタル投資については、全部で45事業あるうち31事業が新規あるいは一部新規と、こういうような流れになっています。このところの評価をお聞かせください。
〇山田財政課総括課長 デジタル分野に特化した評価というところでございますけれども、今般、全県民の方々がデジタルの恩恵を受けられるようにという理念のもとに、この新規事業を今回このように多く計上させていただいております。また、厳しい財政状況の中でありますけれども、委員から御指摘いただきましたように、その厳しい財政状況においても、シーリングで10億円を生み出しながら、既存の事業からの財源を捻出し、重点テーマの一つとしてデジタル分野に注力していくという予算内容としております。
〇岩渕誠委員 デジタル分野は、県民生活の向上ということで、これを見ますと、県土整備部以外の主要部局にはデジタルの重点項目に基づいたぶら下がった予算になっていると思っています。
 一方で、県庁の基幹システムに対しての更新費用が新年度の予算で出てきています。これは、いわて情報ハイウェイの更新でありますし、また、電子県庁構想などの投資ということになるわけですけれども、いわて情報ハイウェイは基幹システムであります。行政のDX化をするに当たっては根幹の部分でありますから、これについて投資されるということですが、DX化、デジタル化の視点とすれば、どれだけその投資コストを下げていくか。行政の場合は利用勝手というところもあるでしょうけれども、まずは投資することによって、将来的にどれぐらいのコスト削減が可能なのかというところが一つのポイントだと思っているのですが、このあたりはどのようなことになっていますか。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 今、委員から御紹介いただきましたいわて情報ハイウェイでございます。県の広域振興局等広域のネットワークを結ぶ基幹システムということで、前回平成29年に更新したものの再度の更新ということになります。
 この数年、画像データのやりとりが非常に多くなってきておりまして、帯域がかなりきつくなっているということから、データ量の増加に伴いまして、帯域を拡充していきたいと考えております。具体的には、特に広域振興局から本庁のところを今まで100メガだったのを1ギガ、あとは単独公所のところを10ギガから100ギガにというような形で、そういうところの帯域の確保を前提に更新してまいりたいと思います。
 まさに財政状況が厳しいところでございますので、保守関係の契約の仕方を見直しまして、毎年のランニングコスト、保守経費のところの軽減を図っているというところでございます。
〇岩渕誠委員 これは具体的に答弁してほしかったのですが、いわて情報ハイウェイ整備費は、新規、改修で3億2、700万円、電子県庁の運営費は1億5、700万円減って6億8、300万円になっています。
 これは、イニシャルコストはいわて情報ハイウェイのほうでしょうけれども、トータルでどれぐらい減るのか。あるいは、今のシステム上、減るのは限りがあるのか。このあたり、具体的な数字は出せますか。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 ランニングコストの軽減というところですが、具体的な話で申しますと、先ほどのいわて情報ハイウェイに関しましては、現在の試算で10倍ほどの帯域確保となっておりますが、経費といたしましては500万円ほどの増で済むという形で、コスト削減というところまではなりませんが、可能な限り経費を抑える形の契約で考えております。
 また、ほかのところに関しては、機器の更新の部分をかなり見直してきており、今までもサーバー機能の統合とか、オープンシステムにしてかなり削減はしているところで、今後は、保守管理とか運営のところで工夫を重ねていかなければいけないと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。
 特にいわて情報ハイウェイは、今までも保守管理コストが非常に莫大で、これが本当に総務部の予算の中では結構大変だったところだと思います。ただ、こういう状況の中で、一概にこれは削減だけを目標にしなくて、500万円程度のところは許容範囲なのかなと思っています。
 問題は、それをどういうふうに生かすかという、質をどう高めていくかというところで、コストパフォーマンスというのはそういった観点も含めての計算をしなければいけないと思っているのですが、いわゆる量的な部分で整備をするということですけれども、これは質的にはどういう展開をするような計算になっていますか。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 昨年度来ノートパソコンを整備したり、ウエブ会議システムの拡充とかリモートワーク環境を整備しております。そういうところをいかに生かしていくかというところで、働き方の質というようなお尋ねだったと思います。
 今年度の当初予算ベースでの比較ですが、まずは旅費が1億8、500万円ほど全体で縮減となっております。それ以外のところはなかなか数字で直接的なものをあらわすことはできないと思っておりますが、いかにリモート環境、ペーパーレス環境をうまく活用して、仕事の仕方を見直していくかというところが肝だと思っておりまして、今後、職員には職員しかできないような相談対応とか、施策の企画立案に注力できるような作業部分を、IT化、DX化でもって減らしていく、業務の高効率化を進めていくことがやはり必要なのだと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。
 いずれ削減を目指しつつも、質的にどうしていくかというのがこれからのデジタル化、DX化へのリターンとして求められるところだと思いますので、それはぜひお願いをしたいと思います。
 次に、税収の見通しと分析について伺います。
 これは予算書上は、個人県民税も法人二税もプラスになっていますが、これはあくまで対前年度比の伸び率であります。ただ、昨年は新型コロナウイルス感染症の感染状況が厳しかったというところもあって、本来これは比較して見なければならないのは決算見込比だと思っています。それからすると個人県民税は横ばいだと思いますし、法人二税もそんなに上がらないのかなというのが実態のところだと思います。昨年対比で見れば四十何%はあるけれども、実質的にはそんなに上がらないというのが実態だと思います。
 そして、その部分で心配をしているのは、法人事業税を見た場合に二極化をするのではないか、このあたりなのです。これが改善をされるのかしないのか、このあたりはどういうふうに分析していますか。
〇今野税務課総括課長 法人事業税についてのお尋ねですけれども、委員御指摘のとおり、法人事業税につきましては、コロナ禍の影響によりまして業種によって差が生じております。その中でも、運輸通信業や建設業において落ち込みが見られるところであります。
 ただ、令和3年3月決算法人が好調であったこと、その後も、製造業において、食料品とか半導体関連などの電気機械が堅調なことでありましたので、全体では、現在では前年度を10%程度上回る状況で推移をしております。
 これは、各企業の経営努力とか、あとは、各種経済対策の効果によるものと分析をしておりますが、令和4年度の当初予算案につきましては、国の地方財政計画を参考としまして、この伸び率につきましては、今後、縮小していくものと見込んでおりますけれども、若干ながら令和4年度についても増収傾向が続くものと積算したところであります。
〇岩渕誠委員 確認しますが、二極化が進んでいると、あるいは二極化は縮まってないということでいいですか。
〇今野税務課総括課長 直近の徴税状況で判断いたしますと、二極化については、現在も差がある状況にあります。
〇岩渕誠委員 そのとおりだと思います。
 問題は、税収見通しの中にコロナ禍の分は入っているのですけれども、原油高騰分が全く反映されてないです。今お話あったように、運輸とかそういったところがなかなか税収が上がらない、業績が上がらないところがさらに打撃を受けるというような税収構造になってきているのではないかと思います。
 そうなると、私が心配をしているのは、二極化の拡大によって何が起きるかということで、これは税収の下振れリスクがかなり激しいのではないかということを私は心配しているのです。今の段階ですから、まだ、これを断定的に言うことはできません。令和4年6月、7月ぐらいになればある程度見えてくると思うのですが、このあたり、実際に原油高騰分が入ってないから下振れリスクはあると思うのですけれども、これをどういうふうに認識していますか。
〇今野税務課総括課長 委員御指摘のとおり、原油高騰分につきましては考慮されておりませんので、今後の影響等について注視していく必要があると感じております。
〇岩渕誠委員 原油高騰だけでなくて、これからどんどん経費がかさむような状況になります。恐らく国際的にコモフレーション―国際商品市場全般の価格上昇なのだと思います。そうなると原価は上がりますから、これは相当な下振れリスクを覚悟しなければならないと、私はちょっと危惧をしておりました。
 そこで総務部長にお伺いします。税収が下振れした場合には、減収補填債という形になるということですが、これは75%しか今年度の地方交付税の歳入にならない。ところが一方で、増収をしたときには、この基準財政収入額が増えますから、そうすると、今年度の交付税は過払い所得ですから返してくださいみたいな話になって、これは令和3年度2月補正で100億円積んだわけです。そうすると、もらうときは100%返してください、出すときは75%しか出しませんという、この地方交付税の制度自体に問題があると思いますが、どういう認識ですか。
〇白水総務部長 委員御指摘のとおり、税収の動向につきましては、今後、原油高の傾向もありますので、そこをしっかり注視をしていくことと、それから、さらに穀物の関係も高どまりしてくる傾向があるということですので、さまざまな要素が出てきておりますので、これについてはしっかりと注視をしていかないといけないと思っております。
 それから、減収になったときの措置につきましては、委員からも御紹介いただきましたとおり、減収補填債という仕組みがあります。ただ、その大きな発想は、いわゆる法人関係税の変動が大きいものですから、それについて措置を講じていきますということだったのですけれども、令和2年度は、さらにそのほかのさまざまな消費税とかかなり減りましたので、国が特例的に対象拡大をして措置をしてくれたという経緯がございます。
 ですので、来年度につきましては、既存の制度プラス、税収の動向によっては、例えばほかの税目も拡大をお願いするとか、そういった対応についてはしっかりと国に要請をしていかないといけないと思っております。
 それから、減収補填債制度の75%補填につきましては、これはふえるときも減るときも一応75%ということですので、そこは同じなのですけれども、ただ、25%の分については、いわゆる留保財源ということで、そこは自治体の自助努力ということになっていますので、そこについては、25%でいいのかどうかという、その留保財源が適正かどうかという議論も全国的にはあるところではありますけれども、それについても、減収の動向等をよく見て、必要に応じて国にしっかりと提言、要望等はしていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 これで最後にします。
 総務省からおいでになった皆さんは、本当に地方財政のことを、特に岩手県のような条件不利地で、どうやったら財政的な自立ができるかということで御努力いただいてきました。いろいろ留保財源分の25%をいじるとか、そのようなことはやっているのだけれども、そろそろ限界だと思います。
 これは、制度的に人口比で言っている地方交付税の本則の部分に手をかけないと、これは地方のかかり増し経費だって十分に見てもらってないというのは、教育、医療の費用を見てもわかると思います。だから、本則の部分に手をかける議論を始めていかないと、地方財政は本当に大変なことになる。特に岩手県の場合は、今、臨時財政対策債の償還が臨時財政対策債の発行額を上回る状態がここ5年続いています。さらに、ここからピークになります。かなり厳しい状況の中で、地方交付税の本則、この対応が地方財政の鍵を握ると思うのですが、最後に総務部長の見解を聞いて、終わります。
〇白水総務部長 今、委員から重要な御指摘をいただいたと思っております。まず、この交付税制度については、一般質問あるいは昨年の決算特別委員会でも御指摘いただきまして、本当にそのとおりだと思っております。
 一つは構造的には、人口をもとに算定されるという割合が7割、8割ございます。これについては、三大都市圏も一部人口減のところも出てきていますけれども、大部分が人口減の中ですので、岩手県だけではなくて、三大都市圏外の地方部については、これは非常に危機的な状況だと思います。
 ですので、問題としては、国の立場では、一般財源総額の確保ということで、いわゆるマクロベースの全体では確保したと言いながら、ミクロベースの個々の自治体で見たときに、かなり減らされている状況になっていますので、それについてはしっかりと指摘をしていかないといけないと思っております。ですので、まず、人口ベースの考え方に、今どう対応していくのかということです。
 具体的には、総括質疑でも答弁させていただきましたけれども、例えば本県であれば、病院の関係です。医療費などについても、繰り出しに対して控除措置が半分ぐらいしかないとか、あるいは学校についても、基本的には国の考え方としては、減ってきたら再編ということで、生徒数が一定のところに措置をしていくということですけれども、どうしても再編の一定限度があるわけです。例えば小規模高校にも配慮した算定の仕方とかそういったことについては、しっかりと言っていかないといけないと思っております。ですので、そもそもの人口の考え方と、それぞれの項目ごともきっちりと問題を明らかにして言っていかないといけないと思っております。
 いずれにいたしましても、この3月から持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会も始まりますので、そこでもいろいろ御意見もいただいて、多角的にこれはしっかり分析して取り組んでいきたいと思っております。
〇神崎浩之委員 まず初めに、県の機構改革は総務部が決めるということでありますので、このコロナ禍の3年間の広域振興局の仕事の検証をして、そろそろ本庁の組織改革だけではなく、出先の広域振興局を強化しないと、住民や市町村に寄り添った行政はできないと思っております。ことしも引き続き、全く変化がありませんので、大きな意味での広域振興局の組織改革ということでお聞きします。
 県政の発展には、地域や市町村との連携、県民目線の施策、市町村との距離の近い県組織の現場を担う広域振興局の役割は重要だと思っております。今の広域振興局の位置づけは半端であり、本庁との役割分担、それから、命令系統、広域振興局の職員なのか、本庁の部の職員なのか、報告、連絡、相談、こういうものは広域振興局長なのか本庁なのか、コロナ禍を含め災害時は、どっちが上司なのかということが、職員すら曖昧になっているというような感じであります。職員自体が曖昧ということで、特にコロナ禍を初めとした危機管理事案への対応について、この本庁との役割分担、命令系統について、この際、はっきりお答えいただきたいと思います。
〇加藤人事課総括課長 まず、役割分担についてでございます。広域振興局については、市町村との適切な役割分担のもと、市町村への支援や、産業振興、社会資本の整備、環境保全など広域的、専門的な行政サービスの提供を行うことを目的として設置しております。地域の特性やニーズに応じた広域的な施策の推進に取り組んでいるところでございます。
 一方で本庁は、各広域振興局が効果的、効率的に施策を展開できるよう、全県的な調整を担っております。
 こうした本庁との役割分担のもとで、広域振興局においては、広域振興事業や地域経営推進費などを活用して、圏域の目指す姿の実現に向けて、機動的に地域の特色ある取り組みを展開しているところでございます。
 もう一つ、命令系統についてでございます。行政事務に関しましては、各分野において法令等に基づいて対応が求められております。多くの事務が広域振興局長に委任されておりまして、広域振興局長の指揮監督のもとに市町村や関係団体と連携、調整を図りながら業務に当たっているというところであります。
 広域振興局長は、局の施策の基本方針の決定など、所管区域内の出先機関の長の指揮監督等についても、総合調整の役割を担っております。
 こうした考え方のもとに、広域振興局内のさまざまな行政事務は、局長の命令系統にありまして、分野横断的な取り組みを迅速に実施することができる体制となっております。こうした体制のもとに、新型コロナウイルス感染症への対応に当たっても、局内の各部、センターから保健所に業務支援が行われるということで、広域振興局長のリーダーシップにより総合調整が図られているものと考えております。
〇神崎浩之委員 何となくそう思うのですけれども、実は、広域振興局長が上司というよりは、本庁の部のほうに顔を向いて仕事をしていると思います。恐らく事業の予算はそっちから流れてくるので、例えば一関土木センターであろうが、一関保健福祉環境センターであろうが、県南広域振興局長というよりは広域振興局の部、それから、本庁の部を向いて仕事をしているというふうに感じます。
 特に県南広域振興局は、組織再編から時間がたっていて、大分ふぐあいがあると思います。今回のコロナ禍の対応でも、例えば県南広域振興局は、奥州市にある保健福祉環境部の中に三つの保健所、二つの保健福祉環境センターということで、奥州市にある県南広域振興局の部長とか、企画課長に、部内、それから、部外の部局横断的なマネジメントを期待しているわけですが、その辺について、管理職は、部を越えてということがあって、非常に大きな仕事だと思っております。
 マネジメント能力のある人材を設置してほしいわけでありますけれども、このあたりは、人事として、適切なマネジメント能力ある方を、県南広域振興局以外にも各広域振興局の中で、部局横断でマネジメントできるような能力の方を配置しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇加藤人事課総括課長 個別の人事のことについては、具体的にというところはなかなか難しいところもございますが、いずれにしましても、広域振興局の役割は、各4広域振興圏独自の取り組みということで、それぞれ取り組みがなされております。そうした役割を果たしていただくことを前提に、人事についても、適材適所の人材配置ということで進めているところでございます。
〇神崎浩之委員 今後も、年功序列ではなくて、適材適所で配置していただきたい。
 細かいことはあしたのふるさと振興部の審査で聞いてまいります。出先の広域振興局がきめ細やかな状況を把握してない、現場に行かない、市町村に電話での実態把握をしている、県民や団体に行かない、声を聞かないというような、迅速な情報共有、意思決定は、広域振興局が地域の現状、情報を集めない等々、そういう課題を持って、本来はこういう細かいところからふるさと振興部でやりとりをしてから、最後に総務部に機構改革ということでぶつけたかったのですが、審査の順番が逆でありますから、大局的なところから行くわけですけれども、言いたいのは、結果として、重要な情報が予算や施策を組み立てる本庁に届かない。現場の声を聞いていないし、それから、本庁の皆さんが直接現場に行くわけにいかないので、適切な情報を広域振興局から皆さんに届けていかないと、予算や、さまざまな施策を組み立てるところに現場の状況が行き届かないということ、危機感を感じているところであります。
 広域振興局の職員一人一人が、県の出先機関としての役割をしっかりと認識して、より地域の課題に寄り添い、機動的、効果的に対応していく組織としていくためには、まず本庁と広域振興局の権限の見直し、これは出先と本庁と、権限移譲した弊害があると思いますので、その権限の見直しや、それから、総務部人事課で、現場で地域のために尽力した職員をしっかりと評価する、そういう仕組みをつくってあげないと、地域の中で、広域振興局を通して、そういう要望が本庁になかなか上がっていないという状況になるのが心配でありますが、この二つについて、どういうふうになっているのかお伺いをいたします。
〇加藤人事課総括課長 まず、広域振興局の権限の見直しの件でございます。広域振興局の業務の完結性を高めるため、県民や事業所の利便性向上を図る観点から、本庁から広域振興局への事務移管を進めて、全県的な調整を必要とする業務を本庁に集約して、県全体として効率的に業務を推進するための体制としてきたところでございます。
 ただ一方で、新型コロナウイルス感染症を初めとする有事の際には、本庁と広域振興局間の連携が一層重要となるものと考えております。
 こうしたことから、必要に応じて、本庁からの助言、連絡調整を行うということと、本庁と広域振興局間で緊密な情報共有を図っておりまして、具体的には、クラスターの発生等により業務が逼迫する保健所に対しまして、本庁、広域振興局の職員から成る保健所支援派遣チームが業務支援に当たるなど、迅速な連携体制を構築しているというところもございます。
 今後におきましても、本庁と広域振興局間で、課題やさまざまな取り組みを相互に共有しながら、広域振興局が独自性や機動性を発揮できるように、広域振興局やふるさと振興部を初めとした関係部局と連携しながら、組織全体が円滑に運営できるように取り組んでいきたいと考えております。
 もう一つは、職員の評価の部分でございます。いわて県民計画(2018〜2029)におきましては、目指す職員像として、地域の課題解決に向け、高い先見性とグローバルな視点を備えて、世界の中の岩手県を意識しながら、県民視点で、県全体の利益を追求する職員ということを掲げております。
 また、職員のあるべき姿や行動基準を定めた岩手県職員憲章におきましても、地域意識を掲げて職員と共有しながら、徹底を図ってきたところです。委員のお話にありましたように、地域ニーズに即した施策展開を実行するためには、職員が現場に赴いて、地域の声に耳を傾けることが重要と考えております。
 引き続き、あらゆる機会を通じまして、職員と目指す職員像の意識共有を図りながら、県民とともに地域の課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 さまざまな地域の課題を本庁の方に言っても、なかなか現場のことがよくわかっていない。何で現場に行かないのだというと、権限移譲しているから、それは広域振興局のほうでということになっています。
 前は、監査とか本庁から行きましたから、本庁の職員が地域の細かい課題まで把握していたわけですが、権限移譲したために現場に本庁の方が行けない。そういうことで、地域の住民の課題が吸い取ってもらえないのではないかと思っておりますので、盛岡市とか水沢市とか久慈市とか釜石市は、本局があるからいいのですけれども、そこから出たところの地域の弊害について、今後の広域振興局のあり方、機構改革について、次の1年でぜひ進めていきたいと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
〇千葉理事兼副部長兼総務室長 広域振興局の再編でございますけれども、4広域振興局をつくる際に、私も、条例改正とか、それから、広域振興局の設置を担当者としてやらせていただいておりましたので、思い入れがすごくあるところです。
 広域振興局につきましては、それぞれ市町村と連携して、市町村の体制強化、それから、産業振興をしっかりやっていくという理念でやってきたところですけれども、一方では、委員御指摘のとおり、年数がたちまして、これをしっかり検証して、また、変えていかなければいけないというところは、問題意識として持っております。
 他県との比較とか、財政規模が似ているようなところとか、職員規模が似ているようなところとの比較も今後いたしまして、岩手県の特徴として、どういうところがあって、あるいは広い県土にどういうふうに対応していく必要があるのかといったあたりを、関係部局とも連携しながら、検討していきたいと思っております。
〇神崎浩之委員 期待します。
 次に、持続可能で希望ある岩手県を実現する行財政研究会について、これは一般質問でもありましたけれども、メンバーの構成であったり、スケジュール、例えば何回ぐらいやるかとか、内容とか効果を、もう少し具体的に教えていただきたいと思っています。
 それから、この研究会がどこまで踏み込んでいくのか、これから財政が大変だという中で、この研究会と知事と総務部と政策企画部と、そして、お金と事業とのせめぎ合いがあって、例えば予算書で言えば、款項目のどこまで行くとか、性質別に踏み込むとか、投資的経費をどうだとか、基金残高がどうだとか、どういうところまでこの研究会が踏み込んでいくのか。それと事業との関係についてお聞きしたいと思います。
〇山田財政課総括課長 持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会についてですけれども、まず人選です、大変申しわけないのですけれども、現在、調整中というところでして、こちらにつきましては、地方行財政にすぐれた識見を有する有識者の方々に、今まさに、お声がけをまさにさせていただいて、調整をしているところですので、具体的な人選が決まり次第発表させていただきたいと考えております。
 続きまして、その内容につきましても、この研究会の構成員の方々が決まり次第、その有識者の方々等と相談をしながら、どういった議論をしていくのかといったことは決めていくとしております。
 その中で、知事の答弁にもありましたとおり、今後、人口減少を背景とした一般財源規模の縮小といった、中長期的な課題がある中にあって、その歳入構造であったり、歳出構造であったり、そして、財政目標であったりといったところが、主な論点になってくるのかなという形を想定しております。
 また、具体的な効果といったところですけれども、スケジュールともかかわるところですけれども、ことしの秋口を目途として、まず、その成果といったところを取りまとめて、次年度以降の予算編成等に実施可能なものについては反映をしていくという形を想定しております。
 また、効果のところと重複するのですけれども、今回なぜやらないといけないのかといったところは、先ほどのとおりですけれども、人口減少、一般財源の縮小といったところに対して、どのようなアプローチができるのかといったところについて、今後、検討を深めていくと、今現在考えております。
〇神崎浩之委員 期待する半面、縮こまらなければいいなということもありながら、それの確保策も含めて言っていただきたい。
 それから、最後にもう一つ、退職、採用について、新型コロナウイルス感染症の対応による多忙部局の職員の動向が心配であるということで、定年退職前に退職するような事案がないのかどうかということ。それから、定年退職を迎えて、その再雇用の状況についてどうなのか。特に、保健師とか専門職で、まさにまだまだコロナ禍が続いていく中で、その二つの心配についてお答えいただきたいと思います。
〇加藤人事課総括課長 委員から、多忙部局というお話がありましたが、例えば新型コロナウイルス感染症対策の関係ということで、保健福祉部をお話しさせていただきますが、中途でやめられる方、普通退職者につきましては、令和3年度は5名ございました。その後、中途採用者も4名ありまして、来年度当初でも、新規採用者は35名ほど保健福祉部で配属予定でありますので、人員補充についてはそういった形での措置がなされているところです。
 保健師等退職者の再任用の状況ですが、そちらについては、希望ある方については当然任用を進めさせていただいております。保健師についても、こちらからも再任用の手続は進めておりますが、まだ人数は確定しておりませんので、今の段階では、人数は答弁を控えさせていただければということであります。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、財政状況の関係についてお伺いします。
 今回、16カ月予算ということで、令和3年度補正予算と令和4年度当初予算案ということで中期財政見通しを機会あるごとに出しているわけですけれども、大変厳しい財政状況だという、そういう意味を共有してもらうということでしょうし、堅実な財政運営をしていきたいということなのだと思います。
 今までの何回かの中期財政見通しの資料を比較しましたけれども、オオカミ少年のように、基金があと2年、あと3年で枯渇するというのが毎回書かれております。今後の取り組みも書かれるのですけれども、あらゆる手法による歳入確保、歳出の徹底した見直し、選択と集中で効果的な活用、地方交付税の財源保障を国に訴えていく、これも毎回同じです。
 財政確保は、本当に特効薬もなくて、国の財源対策で大幅に影響を受けるわけでして、岩手県の財政が厳しいというのはそのとおりですけれども、今回は見たことのないような大型補正予算が組まれまして、本当にこれはどうなるのかと思っていまして、県民福祉を後退させることなく、健全化に向けて意識的に運営していくのだろうと思っております。
 それにしても今回の大型補正予算ですけれども、地方交付税が182億ほど大幅に増額された。財政調整基金積立金、県債管理基金積立金、合わせると265億円積み立てる。並びに公債管理特別会計繰出金が約51億円と大幅に増額されたわけです。
 一見、後年度負担がもう削減されたようにも思ってしまうわけですけれども、これが後年度の普通交付税の精算減額に対応すると書かれているのですけれども、具体的にどういうことを想定して、どの程度の金額を見なければならないのか。
 それから、もう一つ、臨時財政対策債の償還のための交付税措置も後年度も確保されると考えていいのかどうかお伺いします。
〇山田財政課総括課長 まず、後年度の普通交付税の精算減額についてでございますけれども、委員御承知のとおり、地方交付税につきましては、一定の標準団体を念頭に置いた上で、その行財政運営に必要となる標準的な歳出、こちらは基準財政需要額から標準的な収入─基準財政収入額を差し引いた、その差分で算出がされるところでございます。
 基準財政収入額につきましては、税収の実績に応じた減額精算制度、実質的な返還制度でございますけれども、そのような制度が設けられております。
 今般、令和3年度において、法人関係税の税収が、当初の見込みより増収になったことに伴いまして、令和4年度以降3カ年にわたり、その増収見合い分の3分の1ずつを普通交付税から減額されるという制度になっております。今般の財政調整基金の積立金115億円につきましては、これに対応するものとなっております。
 また、臨時財政対策債でございますけれども、委員御承知のとおり、地方の財源不足を埋めるために、交付税の代替財源として、特例的に発行が認められている地方債でございますけれども、その償還額につきましては、今年度の普通交付税で全額措置されるとなっております。
〇佐藤ケイ子委員 そういうことなのだと思いますけれども、実際に本当に実額で来ているのかというのも、最後は補正係数を掛けたりしてわけわからなくなってしまうので心配なところですが、臨時財政対策債部分はきちんと財源措置されていると財政当局はおっしゃるのだと思います。
 それから、令和2年度決算後の財政指標の一覧が皆さんに配られているのですけれども、東北各県の財政指標を私も比べてみました。地方債残高、経常収支比率、義務的経費比率、実質公債費比率、将来負担率とかいろいろあるわけです。多少の差はあるのですけれども、本県は割と平均的と考えていいのではないかと思ったりしました。
 特に注意しなければならない指標は何なのかと思って、私は将来負担率を気にしなければならないのかと思ったのですけれども、どうでしょうか。
〇山田財政課総括課長 委員から御指摘いただきましたとおり、財政指標はさまざまあります。財政状況を示すための財政指標につきましては、その見方として、現時点における当該団体の財政運営上の問題の把握といった点、それと、将来、長期的な財政運営の健全化を図る観点からということで、フローとストックという両面において、それぞれの指標の意図などを活用しながら見るというのが必要ということで、特に注意しなければいけない指標を一概に述べることは難しいというところであります。
 参考になるものといたしましては、国では、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づきまして、平成19年度決算から、実質公債費比率でありましたり、御指摘いただきました、将来負担比率などの健全化判断比率4指標の公表を義務づけしているところでございます。
 実質公債費比率でありましたり、将来負担比率について、本県において見てみますと、まず、実質公債費比率は、令和2年度決算で13.7%となっております。こちらは当該年度において、どれだけの公債費負担が財政状況に対して重く負担となっているかという数値ですけれども、水準としては東北で上から2番目、かなり重い状況です。かつ全国で見ましても、47都道府県中6位の水準となっております。
 そして、委員御指摘いただきました、将来負担比率というところですけれども、こちらにつきましては、令和2年度決算で221.5%となっておりまして、こちらの水準につきましては、東北で3位、全国で10位という水準となっておりまして、全国47都道府県のうち、将来における公債費の負担が重い県で言うとトップ10に入っているという状況となっております。
 このような手法につきましては、東北各県、全国と比べても、非常に高くなっているというところで、現時点、また、その将来において、公債費の負担が高くなっていると分析しております。
〇佐藤ケイ子委員 中期財政見通しの指標を毎回見る中で、基金残高がどうなるかということを注目していくような、そういう記載の仕方だと思っているのです。県債残高は別の資料を見ていかなければならないのですけれども、宮城県とか秋田県は基金残高も県債残高も記載されてわかりやすいのです。宮城県は、県債残高について、適正管理目安1兆円と表示しているのです。宮城県は1兆4、800億円ほどの県債残高はあるのです。本県は、県債残高は1兆2、600億円ですけれども、県債残高の適正という目安はあるのでしょうか。
 それから、県債残高を減らすのか減らさないのか、それよりも基金を積まなければならないのか、どちらを重視していくのかと思うのです。
 財務省は、地方の基金残高を問題視しておりまして、交付税削減の理由にしたがるところがあるわけですけれども、基金も大事ですけれども、私は、県債残高、将来負担比率を気にしなければならないのではないか。公表というか、わかりやすくオープンにしなければならないのではないかと思って見ているのです。
 各県の財政見込みを見てみました。宮城県、秋田県、山形県。青森県は探せませんでした。どこも、数年で基金が枯渇するという状況になっておりまして、本県も大変だけれども、みんな大変なのだと。そんな中で、本県は県立病院を抱え、小規模高校も存続させなければならないということ、結局、県民が何かしら我慢しながらも、みんな真面目に協力しているということなのだと思います。
 改めて、本県だけでなくて、全国どこの自治体も大変な状況だということ、財源対策に大きく影響されるということ。国はプライマリーバランスを無視してやっていますけれども、地方はなかなか難しい。
 質問は、県債残高や、将来負担比率について、もう少しわかりやすくやる必要があるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
〇山田財政課総括課長 まず1点目の中期財政見通し等々における、どのような表示をしていくか、どのように県民に示していくかという観点でございますけれども、我々も、財政状況の見える化を、平成28年から中期財政見通しを毎年公表させていただいておりますし、令和3年9月に公表させていただいたものに関しましては、初めて人口減少の影響がどれほどかというのを具体的な数値であらわすような形で、なるべくわかりやすく見える化を図っていこうという形でやってきております。その上で他県を参考にしてよりわかりやすくというのは、不断に行っていかなければならないと感じておりますので、今後そのように取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地方債残高を減らしたほうがいいのか、もしくは基金を積み立てたほうがいいのかという御質問もいただいたかと思っておりますけれども、まさにそこは財政運営としてどうしていくかというところでございまして、我々も将来に対する負担を減らさなければならないという形、財政健全化をどう進めるかという観点から必要だと考えております。その観点から令和3年度2月補正におきましては、50億円の繰り上げ償還でありましたり、110億円の将来世代に対する負担の軽減も行わせていただきました。
 いずれにしましても、こういった財政健全化の取り組みにつきましては、今後においても着実に推進してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 では、次の質問に行きます。職員の状況についてです。
 新型コロナウイルス感染症に対する職員の確保状況と新年度の体制はどうでしょうか。保健所体制とか、保健師確保、応援体制、医療政策室の体制など、大変気になるところですけれども、どうでしょうか。
〇加藤人事課総括課長 新型コロナウイルス感染症に対応する体制の状況でございます。これまでも、業務の状況に応じまして、医療政策室につきましては体制の拡充を図ってきておりまして、令和2年度末に比べて、今年度当初には6名、年度途中には3名を増員したほか、来年度においても2名を増員する方向としております。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に見られた昨年度以降、保健所の保健師を12名増員しているほか、本年4月には、保健師8名の採用を予定しております。
 あわせまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う入院、搬送調整の業務や新型コロナウイルスワクチン3回目接種、あとは自宅療養者の健康観察等を行ういわて健康観察サポートセンターの運営、検体搬送や感染症法に基づく事務手続などの業務に対して、全庁から業務支援を行っておりまして、さらに緊急時に即時に支援できるようにするためのバックアップ職員なども含めまして、現時点においては270人規模の支援体制を組んでおります。
 今後におきましても、業務量や今後の見通しを踏まえて、機動的に業務支援体制を組むとともに、必要なマンパワーの確保に取り組んで、柔軟かつ最適な体制の構築に努めていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
 本当に現場は大変疲弊しているようです。長時間労働、休日勤務でも代休も取れないということで大変なようであります。
 職員の関係については、専門職のこととか超過勤務の状況、精神疾患の状況をお聞きします。
〇加藤人事課総括課長 まず専門職種の取り組み状況について、答弁させていただきます。
 専門職種については、専門的な知識を必要とする行政分野において欠かせない人材と考えておりまして、確保は重要な課題と認識しております。現在、コロナ禍において求人活動に制約がある中、今年度は、11種の通年募集とか、土木職の試験採用に任期付職員経験者の先行採用など、多様な方策による採用を行っております。
 また、新たに、日本獣医師会や県薬剤師会のホームページに本県の採用情報を掲載いたしまして、受験者確保の取り組みを行ったところ、県外在住の薬剤師の採用につながるなど、効果があったところでおります。
 また、専門職の処遇改善については、今年度、獣医師の初任給調整手当の引き上げに係る条例改正を行ったほか、保健所に勤務する保健師等に支給する特殊勤務手当を引き上げる改正条例案を今議会に提案しているところでございます。
 引き続き、所管部局や人事委員会と連携しながら、人員確保と処遇改善の取り組みを一体的に進めていきたいと考えております。
 また、超過勤務の状況でございます。令和3年4月から令和4年1月までの全庁における1人当たりの月平均超過勤務時間の速報値でございますが、全庁で14.2時間となっております。令和2年度の同時期と比較して、0.7時間、4.7%の減となっております。これは新型コロナウイルス感染症の対応による業務の増加により、保健福祉部などで超過勤務時間が増加した一方で、全庁的な業務継続計画─BCPの実行などにより業務の見直しに取り組んだ結果と認識しております。
 令和4年度におきましても、超過勤務が多い所属に対するヒアリングや業務見直しを進めるとともに、必要に応じて全庁的な業務支援を行うなど、職員の負担軽減に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇小笠原総務事務センター所長 長時間労働における保健指導対象者数についてですが、令和3年12月末現在、延べ397人となっております。令和2年度同時期は244人となっておりまして、153人増加しております。
 保健指導対象者には、産業医が面談を行い、心身の状態を確認し、必要な指導を行っております。今後も、産業医による保健指導を継続し、長時間労働に伴う職員の健康障がいの未然防止に努めてまいります。
 次に、精神疾患による療養者の状況でございますが、令和3年度1月末現在、延べ97人となっております。これは令和2年度の同時期と同数となっております。療養に至るには、環境の変化や仕事の悩み、また、個人的な事情、あるいはこれらが複合的になってさまざまな要因が考えられるところでございます。
 今後も、職員個々の実情に応じ、職員に寄り添ったメンタルヘルス対策を展開してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 現場は大変でございます。よろしくお願いします。
 最後に、緊急時の職員の対応についてお伺いします。
 久慈市の高病原性鳥インフルエンザの対策で、大変御苦労されたわけです。その殺処分とか消毒の対応に、延べ878人の県職員や、市町村職員の大変多くの方々が作業に当たったわけですけれども、その中で、夜間氷点下の中での本当に大変な作業だった。休日出勤だけれども、振替も現実はできない状況で、食事や、お弁当とか水の配給もずっとおくれた。夜中から働いたのに、次の日の昼しかお弁当が来なかったとか、トイレも真っ暗な中で用を足すのは大変だったとか、久慈市なわけですけれども、一関市とか釜石市から来るのも、移動時間は超過勤務対象外になるとか、本当にいろいろな問題が出ていますけれども、こういうことを把握していらっしゃるでしょうか。
〇加藤人事課総括課長 今般の高病原性鳥インフルエンザの消毒対応につきましてでございます。県内の養鶏場で発生した今回初めてのケースということもありまして、対応職員のシフトにおいて、個々の職員の移動時間への配慮、休憩時間を十分加味できなかった部分や、当初の対応において一部物品の不足など、労働安全衛生上の課題もあったと伺っております。
 今後におきましても、今回の業務実態を踏まえまして、所管部局とともに、勤務時間の割り振りのあり方等を検証いたしまして、職員の過度な負担とならないシフトや、必要な物品の事前確保など、職員の労働安全衛生の確保策について、あらかじめ検討する必要があるものと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時14分 休 憩
午後4時33分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位並びに執行部に申し上げます。この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇武田哲委員 それでは、人事管理費が、令和4年度当初予算案で増額している中身について、ちょっとお伺いしてまいりたいと思います。
 令和元年度に比べて、約10億円ふえております。ほとんどが退職手当等なのかもしれませんけれども、ピークは大体いつごろになるのか、その点についてお伺いしたいのと、あとは、昨年度、新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業費がありましたけれども、これはどこに溶け込んだのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
〇加藤人事課総括課長 退職者のピークでございますが、現時点で確定的なところはなかなか難しいところがありますので、粗い数字になってしまうかもしれませんが、御答弁申し上げます。
 令和5年度以降の退職者につきましては、令和5年度から定年引き上げが実施されたと仮定した場合に、令和13年度まで定年年齢が隔年で1歳ずつ引き上げられる段階的な定年引き上げ期間中においては、2年に一度、定年退職者がいない年が生じることとなります。
 令和4年度から令和8年度までの5年間で見た場合に、定年退職者がいない年は、普通退職等で50名程度、定年退職者が生じる年には、最大で180名程度の退職者を見込んでおります。5年間トータルで見ますと、630名程度の退職者が生じるものと考えております。
 ただ、新型コロナウイルス感染症対策保健衛生人材確保事業費につきましては、今年度、総務部でまとめて、こちらで措置しておりましたが、来年度以降は保健福祉部に移管になっておりまして、保健福祉部で措置するということです。
〇武田哲委員 それでは、最初の予算の部分の説明で、行政経営プランに基づいてと総務部長からの説明にもありましたけれども、行政経営プランは大体何年ぐらいを見越して立てられているのか、その点をお伺いしたい。
 今回、超過勤務手当が昨年に比べて若干少なくなっております。この行政経営プランに基づいてどういった働き方改革に取り組むのかというところとあわせて御説明いただければと思います。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 行政経営プランですが、これも第1期アクションプランと同様に、来年度─令和4年度が最終年度で、2022年度までとなっております。
〇加藤人事課総括課長 超過勤務の減の部分につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、昨年度比で、超過勤務の全体の時間数につきましては減っています。それに伴いまして、額についても減額しています。
 いずれ年度途中に、さらに突発的な超勤の需要等がありましたらば、その場合は、また、補正予算で措置しますが、現時点ではそういう額で措置する見込みであります。
〇武田哲委員 超過勤務手当をもう一度お伺いしますけれども、働き方改革にはさまざまあると思います。働き方改革の中で、リモートとかさまざまあると思いますけれども、どういう質の高め方といいますか、どう考えておられるのかお伺いいたします。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 働き方改革ですが、昨年度、働き方改革推進会議という、庁内で部局横断の会議をつくりまして、その中で岩手県庁働き方改革ロードマップを定めました。そして、その中には、業務効率化などとあわせまして、例えばフレックスタイム制度の導入など弾力的な働き方の推進みたいな項目も設けております。個人の事情に合わせまして自分の勤務時間を割り振りするという制度的なものとリモート環境の整備、または、リモート環境においても行政サービスをとめないという形で、電子決裁システムの導入なども図っております。
 それらをうまく生かすというような環境整備を契機といたしまして、業務見直しを進めるという形で、超過勤務の削減などにも取り組んでまいりたいと考えているところです。
〇武田哲委員 それでは、職員研修費についてお伺いいたします。
 この職員研修費は、毎年大体同じ金額で計画されておりますけれども、どういった視点でこの職員研修をなされているのか。そして、どういったことを近年の課題と捉えて、この職員研修をやられているのか、その点についてお伺いいたします。
〇熱海職員育成課長 職員研修費の部分でありますが、職員の資質向上を図るということで、研修会などの開催費用を計上しております。
 研修の考え方ですが、行政経営プランに基づきまして、求められる人材像、職員像に職員の資質を近づけるということでやっております。具体的には、地域課題に対応できる職員の育成、若手女性職員の活躍支援などを掲げて、研修体系に位置づけて、内容を見直しながら行っております。
 近年の新しい視点ということで申し上げますと、今まさに来年度の研修計画を検討中でありますが、来年度は新たにOJT研修を盛り込もうと思っております。また、メンタルヘルスという部分を少し拡充するという考え方で、各職層でその講義を取り入れるといったようなメニューの構成を、ただいま検討中でございます。
〇武田哲委員 今年度組まれているOJT研修の中で、先輩の職員の方がついてやるのかもしれませんけれども、その中で、定年延長とかさまざまこれから出てくるわけです。どんなふうに生かす予定なのか、その辺ももう一度お伺いしたいと思います。
〇熱海職員育成課長 来年度に計画をしておりますOJT研修につきましては、若手職員のケアを少し拡充しようということと、あとは、我々が開催する研修会とは別に、実地の職場研修を少し円滑に行えるようにしたいという視点でOJT研修を企画しております。
 昨年度は、OJTハンドブックという少しテキスト的なものを人事課で作成いたしました。それをもとに、今年は少し実践的な部分をOJT研修ということで展開しようという考え方になっております。
 その中には、管理職員の部下に対する指導方法とか、あるいは先輩が後輩に指導するような部分を盛り込んでおりまして、その中には、技能が高い先輩職員から若手職員への技能の継承という部分も盛り込まれておりましたので、そういう実践的な展開を今後やっていければと考えております。
〇武田哲委員 その研修がうまく生かされて、さらなる県政発展に生かしていただけるように希望いたします。
 県外事務所費です。若干減っておりますけれども、県外事務所費の今後、この事務所のあり方について、今どのようにお考えになっておられるのか、役割について、どういうふうに考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
〇大森総務室管理課長 県外事務所費の減の理由でございますが、これは岩手県東京事務所の管理運営費でございますが、前年度と比較しまして、163万円余の減となっております。
 この主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートでの会議が増加したことなどによりまして、幹部職員の上京機会が減ったため、タクシー等現地交通費を119万円減額するなどしたものでございます。
 続きまして、岩手県東京事務所の今後の役割でございますが、東京事務所には総務行政部と企業立地観光部を置きまして、首都圏における県の総合窓口としての役割を担っております。
 具体的には、総務行政部、総務部の所管ですが、中央省庁との連絡調整とか、岩手県人会、岩手県学生援護会―学生さんが住まわれている寮でございますが、そういったものの活動支援、あとは、県税滞納者への訪問催告などの業務を担っております。
 商工労働観光部が所管しております企業立地観光部においては、県産品の販路拡大とか、首都圏企業の誘致、フォローアップ、U・Iターンの促進、観光客の誘客促進などの業務を担っているところでございます。
 DXの推進とか働き方改革の推進ということで、さまざま岩手県東京事務所の役割も変わってくる面があるかと思いますけれども、今後におきましても、国や他の都道府県との連絡調整とか、本県とゆかりのある企業、団体との交流拡大を通じまして、東日本大震災津波からの復興や、ふるさと振興の推進ということで、岩手県東京事務所の首都圏における拠点としての役割は、引き続き重要であると考えておりまして、そういった役割を今後とも担っていくものと考えております。
〇武田哲委員 この岩手県東京事務所の役割は、コロナ禍でもあり、なかなか人の行き来も難しい中で、ますます大きくなるのではないのかと思っております。ましてや、県がやろうとしているILC誘致とか、力を入れていることに省庁とどう連絡調整するかとか、そこのところが、皆様も東京圏に要望活動になかなか行きづらい、そういった閉塞感の中で、この岩手県東京事務所の役割はもっと大きくなると思うのです。そのときに、もう少し人を岩手県東京事務所に入れてもいいのではないかなと思っているのですけれども、その点についてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
〇大森総務室管理課長 委員御指摘のとおり、今、東京圏との往来がなかなか難しい状況になっておりまして、その中にありまして、岩手県東京事務所は、中央省庁の職員の方々で、岩手県出身者とか県にゆかりのある方とかキーパーソンの方を定期的に訪問して、岩手県の情報を提供したりとか、あるいはそういった方々から有用な情報をいただいて、フィードバックするというような役割を担っております。
 例えば新型コロナウイルスワクチン接種の関係でございますけれども、昨年、国からの公式な情報がなかなかもたらされない状況にありましたけれども、昨年の2月に、新型コロナウイルスのワクチン接種に関する自治体からの疑義照会等に対応するためということで、全国知事会を通じまして、厚生労働省から職員派遣の要請がありまして、昨年2月から9月まで岩手県東京事務所職員2名を交代で派遣したところでございます。
 当時、なかなか公式の情報がない中でありましたけれども、この岩手県東京事務所のリエゾン派遣職員を通じまして、国からの新型コロナウイルスワクチン情報とか、他道府県からの情報など、非常に有用な情報を提供してもらいまして、本県の新型コロナウイルスワクチン接種、集団接種の進め方に大いに役に立ったということでございます。
 増員の関係でございますが、令和元年の8月にILC推進局を設置したときに、ILC推進局の事業推進課に本籍を置く職員を岩手県東京事務所に1名駐在ということで置いておりまして、ILC関係の団体の要望活動の支援とか、関係機関との連絡調整とか、首都圏の広報イベントなどに、ILC推進局と連携しながら、あとは総務行政部が一体となって対応しているところです。
 引き続き、岩手県東京事務所の役割なり、首都圏における拠点としてのさまざまな役割がありますので、そういった将来的なものを見通しながら、適切な体制を検討してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 それでは最初に、来年度当初予算案で、新型コロナウイルス感染症対策に966億円となっておりますが、その財源内訳はどうなっているでしょうか。
〇山田財政課総括課長 新型コロナウイルス感染症対策966億円でございますけれども、財源の内訳ということで申し上げますと、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金でありましたり、緊急支援包括交付金でありましたり、新型コロナウイルスワクチン接種等々に係る国庫補助金等々を財源として使っております。
〇斉藤信委員 そうすると、基本的にはまず国庫ということで理解してよろしいですね。
〇山田財政課総括課長 基本的には、その国庫を最大限に活用しながら、必要となるものについては、一般財源を財源として活用しているというような状況にございます。
〇斉藤信委員 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付実績と事業化の実績を示してください。
〇山田財政課総括課長 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の事業実績という観点ですけれども、まず新型コロナウイルス感染症対策関連966億円に関しましては、感染拡大防止の対応として325億円、社会生活、経済活動を支える取り組みとして634億円、また、新しい働き方、暮らし、学びを進める取り組みとして約7億円の3本の柱、となっておりまして、先ほどの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、令和4年度当初予算案におきましては、36億円を活用しているという状況となっております。
〇斉藤信委員 私がいただいた資料では、令和3年度の配分額は67億8、800万円で、今後、活用可能額が67億8、800万円です。令和4年度当初の予算充当額が36億1、100万円で、残額は31億7、800万円となっています。
〇山田財政課総括課長 失礼いたしました。お見込みのとおりでございます。
〇斉藤信委員 今のは、そのとおり質問項目を出していたのです。
 もう一つ、国の補正予算では、未交付額が、国レベルでは6.1兆円あると思います。これは、岩手県には、今後どれだけ交付される見通しか示してください。
〇山田財政課総括課長 国の未交付額6.1兆円ですけれども、先ほど委員からありました68億円がその内数に含まれております。その6.1兆円のうち1兆円が交付限度額として、本県では68億円が示されているという状況になっておりまして、国のマクロにおける残額という観点でおりますと、国が補正予算でありましたり、予備費を活用しておりまして、実際にあと幾ら地方単独事業として交付するかというところの詳細が明らかではないという状況ですけれども、地方単独に活用可能なものとしては、2、000億円が留保されていると推察されているところでございます。
〇斉藤信委員 本会議の知事の答弁で、事業者支援について、実は、国の事業復活支援金は昨年の11月からことしの3月までなので、来年度分がない。いわば途切れないように対応する、こういう答弁でした。来年度は事業者支援がないのです。
 これは総務部長に聞きましょう。途切れないように事業者支援をやるということになれば、これは、4月早々にでも県独自の地域経営支援金のような対策が求められていると思うけれども、どのように検討されていますか。
〇白水総務部長 委員から御指摘いただきましたとおり、一般質問でもやりとりをさせていただきまして、この厳しい状況の中、さまざま経済支援、事業者支援をしていかないといけないのではないかという御意見を承ったところでございます。
 まず、財政当局としましては、山田財政課総括課長からも答弁させていただきましたけれども、今、令和4年度当初予算案に充当して、残額が32億円ですけれども、これは、我々の認識としましては、32億円しかないというかなり虎の子のような状況になってきております。
 これはほかの県ももう使い切ったというようなところも出てきているようでございますので、そこについてはマクロベースの留保分の2、000億円の早期の交付といいますか、配分決定をしていただくことと、さらに、この情勢ですので、追加で、国も新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は配分すべきだということを強く訴えていきたいと思っております。
 その上で、今ある32億円とあわせて、来年度これを繰り越して、これを財源に充てていくわけですけれども、医療提供体制の確保とか、さらに、第7波、第8波が来るのは余り想像したくないですけれども、財政当局としては最悪のことを想定して、必要な部分については見込んでおきたいというところがございますので、まさに、医療提供体制の確保だとか、あるいは、委員も御指摘ありました経済的な支援とか、あるいはそのほかのさまざまな交通関係とか農業関係もございましょうし、教育の関係もあると思いますので、そういった部分を幅広く想定しながら、来年度、必要な財源措置をしっかり講じていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 事業者の状況は、毎月の事業者調査でも、特にオミクロン株の感染拡大以降、大変深刻になっているというのが実態です。ですから、知事も途切れないように対応をすると、こういう答弁になったと思います。
 今年度の時期には、財政調整基金を取り崩して事業化したということもありました。だから、必要な対策はしっかり取るし、必要な財源を確保するということで、ぜひその点は進めていただきたい。
 次に、県職員の超過勤務の実態と解消策についてお聞きいたします。
 これは、私が決算特別委員会のときにも取り上げたのですけれども、県庁には他律的部署があって、これは100時間未満まで超過勤務を認めるということでした。一方で、100時間を超える実態も明らかになりました。
 他律的部署という形で指定をされている職員はどのぐらいなのか。そして、80時間以上、100時間以上超過勤務をしている職員はどれだけいるのか、示してください。
〇加藤人事課総括課長 まず他律的部署に指定されている職員数でございますが、これは月の平均の職員数でお答えさせていただければ、全庁で1、600人弱という職員数になっております。
 次に、今年度の100時間超の県職員の実態でございますが、令和3年4月から令和4年1月までの速報値においては、月100時間以上の超過勤務を行った職員は全体で106人おります。そのうち他律的業務の比重が高い部署の職員は74人となっております。
 新型コロナウイルスワクチン接種体制の構築や入院、搬送調整、積極的疫学調査などの新型コロナウイルス感染症対応などにより、職員負担が大きい状況が続いているというところでございます。
〇斉藤信委員 先ほどの議論でも、中途退職者も出ているという話もありました。新型コロナウイルス感染症、とりわけオミクロン株の感染拡大は、私は災害対応に近いと思います。ある意味突発的に仕事がふえているという側面もありますけれども、しかし、この新型コロナウイルス感染症対策は長期にわたっているのも事実です。もう2年数カ月にわたっているのです。
 そういう意味では、抜本的な人事の体制を私は構築しなければならないのではないかと。二つの側面でお聞きします。
 一つは、先ほど答弁があった270人規模で応援体制を取ったという話がありました。私が保健福祉部から聞いているのは171人という話でした。保健福祉部では171人の応援体制、人事課から聞いたら270人ということなので、これはどういう中身で270人と言っているのか。
 もう一つは、新型コロナウイルス感染症対策という体制は極めて弱かった。この間、正規の職員、保健師がどのぐらい増員されてきたのか。来年度どのぐらい増員の計画なのか。医療政策室全体ではどうなのか。
 この二つの点についてお聞きをしたい。
〇加藤人事課総括課長 先ほど270名の業務支援体制ということで答弁をさせていただきましたが、当初は、保健福祉部で取りまとめた資料等については、例えば軽症者の宿泊施設の業務支援の人数、これは30名体制を組んでいるのですが、そういったところが落ちていた部分とか、あとは、先ほど御答弁させていただきましたが、バックアップ体制で常に準備できるという形で、予備で備えている職員が49名おります。そういった人数諸々を含めますと、270名体制ということでございまして、こちらの数字については、最終的には令和4年3月4日の新型コロナウイルス感染症対策の本部員会議資料でも出させていただいて、保健福祉部ともこれは調整した数字ということで、こちらのほうが最新ということで御理解いただければと思います。
 保健師の人数でございますが、新型コロナウイルスの感染が拡大した以降、保健所の保健師につきましては、12名を増員しております。さらに来年度4月からは8名の採用ということで予定しております。
 また、医療政策室の増員数につきましては、来年度2名の増員ということで調整しているところでございます。
〇斉藤信委員 今まで保健師は12名増員、来年度はさらに8名増員。ただ、先ほどの答弁を見ると、増員した中でやめている。これはマイナスしなくてはならないと、こういうことになりますか。
〇加藤人事課総括課長 確かに、来年度8名採用であります。今回、今年度末も含めまして、退職の意向を示されている、これから示す予定の方も含めましてプラスマイナスでどのくらいの増員になるかということにつきましては、現時点ではまだ確たる数字は出せてないような状況でございますが、いずれ採用については、来年度8名の採用でございます。
〇斉藤信委員 わかりました。いずれにしても、現局面で本当に大変な感染拡大の状況なので、大いに応援し、激励しながら、必要な体制の維持確保に取り組んでいただきたい。
 次に、公文書管理条例についてお聞きいたします。
 公文書管理条例の制定を準備しているということでありますけれども、私は、公文書管理条例制定に当たっては、公文書が県民の共有財産であり、県民の知る権利を保障する、また、県民が県政に参画する、そういうことを保障するものだという、きっちりしたこの理念を明記することが必要だと思いますけれども、条例制定に向けてどのような取り組みとなっているでしょうか。
 また、今、検討されている条例の主な内容、特徴について示していただきます。
〇戸田特命参事兼法務・情報公開課長 最初に、条例制定の取り組みについてでございますけれども、令和3年6月県議会定例会において知事が答弁申し上げたとおり、令和4年6月県議会定例会の提案を目指して検討を進めているところでございます。
 これまで、令和3年12月から令和4年1月にかけて、パブリックコメントを実施したほか、現在では、知事部局以外の実施機関に案を提示し、意見を聞いているところでございます。
 今後は、パブリックコメントで提案があった意見とか、他の実施機関から提案された意見を踏まえて、成案を策定していく予定です。
 次に、条例案の主な内容と特徴についてですけれども、主な内容としましては、行政文書等の作成、整理、保存等の文書管理に関する基本的な事項とか、公文書の適正管理に関して調査審議するための第三者機関である公文書管理委員会の設置、それから、歴史的に重要な価値を有する行政文書等のうち、一般の利用に供するために保存措置を取られた文書である特定歴史公文書の保存や利用について定めることとしております。
 主な特徴としましては、行政文書等を廃棄する場合とか、行政文書等を特定歴史公文書として選別する場合に、公文書管理委員会の意見を聞くこと、それから、特定歴史公文書の保存方法や利用請求の手続について定めることなどがあります。
〇斉藤信委員 パブリックコメントは何件、どういう意見が出され、どう対応されているでしょうか。
〇戸田特命参事兼法務・情報公開課長 パブリックコメントの結果でございますけれども、お一人の方から2件の提案がございました。1件目が、いわゆる文書公開に関して、どこまでアクセス可能で、どこまで公開を求めたり検索可能かというところを明記したほうがいいという項目と、それから、東日本大震災津波とか新型コロナウイルス感染症関連以外にも、例えば岩手県の水害対策に関する文書について関心のある県民もいるかもしれないということなので、そちらについて、特定歴史公文書に入れたらどうかという御意見がありました。
 1点目の件につきましては、御提言に沿った内容で条例の案を制定する予定ですし、2点目につきましては、御意見を踏まえて、今後、事案を運用の中で検討していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 公文書管理条例の制定に当たって、パブリックコメントがこの程度というのは、私は本当に問題だと思います。県民に周知、徹底されてないというあらわれなのではないか。県民と一緒に公文書管理条例をつくるというぐらいの気構えでこれをやっていかなくてはならない。
 これは最後の質問です。旧盛岡短期大学跡地の利活用について、盛岡市の活用計画、盛岡市との協議、これはどうなっているでしょうか。県としての活用計画も含めて示してください。
〇平野管財課総括課長 旧盛岡短期大学跡地の活用についてでございます。
 まず盛岡市の活用計画等についてでございますが、市におきまして、一部を山王児童・老人福祉センター移転候補用地として活用したいという意向でございまして、市における児童センター未設置地区へのセンター設置が完了した後に、この移転整備を行う予定と伺っているところでございます。
 県といたしましては、盛岡市と土地の譲渡方法とか時期について、調整を行っているところでございます。
 次に、県の活用計画でございますが、現在、文書庫として活用している部分以外につきましても、県の老朽施設の移転用地等として活用する方向としておりまして、今後、具体的な活用について、敷地全体が有効に機能するよう調整を図っていくこととしているところでございます。
〇斉藤信委員 旧盛岡短期大学跡地は、地元の要望もあって、そして、盛岡市とも協議をして進めていますし、立派に造成しましたので、できるだけ地域住民の要望をしっかり聞きながら、盛岡市との協議を進めていただきたいと思います。
〇小林正信委員 私からは1点だけ。公共事業における官民連携については、先ほど総括質疑でもお伺いしましたけれども、具体的な事例として、陸前高田市のオートキャンプ場につきまして、民間活力の導入ということで、デザインビルド方式という公民連携の手法を用いると伺いました。
 総務部として、公民連携のさまざまな手法について、これまで調査研究を行ってきたことと思いますけれども、デザインビルド方式について、商工労働観光部から相談等があったのか、また、連携があったのかお伺いします。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 今、御紹介ありました陸前高田オートキャンプ場モビリアの再開に向けた施設整備に当たりましては、テントの大型化とか、利用者のニーズなどが多様化していることに対応しまして、施設をよりよく充実させる観点から、設計施工を一括発注するという、いわゆるデザインビルド方式による公民連携の手法で整備することとしております。
 この整備手法の導入の検討段階から、当部には商工労働観光部から相談を受けているところでありまして、両部連携のもと、民間事業者のノウハウやアイデアを把握するためのサウンディング型市場調査等を行ってきたところでございます。
〇小林正信委員 今おっしゃったように、デザインビルド―設計施工を一括で発注して、維持管理、運営は別にすると、そういった方式なのかなと思います。サウンディング型聞き取り調査等もしっかり行っていただいて、公民連携の取り組みを進めてこられたと思うのですけれども、このデザインビルド方式のこれまで導入の実績があったのかどうかということ。また、導入することによるメリット、今後の導入可能性はどれくらいあるのかということについて、お伺いしたいと思います。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 今回のデザインビルド方式による導入実績ですが、県営建設工事において、このような設計、施工を一括発注を採用した例はございます。具体的に言いますと、災害公営住宅などがそうでした。
 そして、今回の陸前高田オートキャンプ場モビリアは、それに加えて、運営予定者となります指定管理予定者の選定もあわせて行うというところが特徴かと思います。このような形は県事業では初ということになります。
 今回のメリットですが、設計者、施工者に加えまして、指定管理予定者までを一括公募選定するということから、運営を見据えた運営予定者の意向も踏まえた施設整備も可能であって、民間のノウハウを最大限に生かした施設の整備、運営が期待されるというところでございます。
 このようなメリットもございますので、今後におきましては、施設の特徴またはスケジュール感、さまざまなものが関係してくるかと思いますが、有効な施設はあろうかと考えますので、今回の事例を全庁的に共有するなどして、公民連携を推進していきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひ、今回のような事例を積み重ねていただいて、ノウハウも蓄積をしていただきたいと思うのですけれども、PFIの導入については、10億円以上の事業について検討するということにたしかなっていたかなと思うのですけれども、今後こういった公民連携事業の実績をたくさん積んでいくには、10億円以下の公共事業についてもPFIを検討していくべきと思いますけれども、そのあたりの御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
〇西野参事兼行政経営推進課総括課長 公共施設の整備等に関しましては、先ほど部長からも御答弁させていただいたとおり、PPP/PFIの手法導入は有効な手段の一つと考えております。
 本県の指針におきましては、優先検討事業ということで、10億円という一つの基準は設けておりますが、10億円未満の整備事業費であっても、その内容が手法導入になじむものであれば、導入を検討していくことが必要と考えております。
 引き続き、案件がある関係部局とも連携を図りながら、PPP/PFIの導入なども、民間との協働ということで推進していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今回の予算の編成に係るプロセスとシステムについてお伺いします。
 問題を明確にするために、今回、県では来年度予算案については、人口減少は重点テーマに置いてありますので、前段の議論がありましたけれども、私は人口減少の対応についての予算化の過程について、また、予算管理についてお伺いしたいと思います。
 まず最初にお伺いしますが、大変財源が厳しい中、政策的経費として捻出されたことは見て取れますので、それは評価しますし、今まで人口減少問題については、我が会派で積極的にいろいろ提言をさせていただきましたが、知事答弁は、毎回、いわて県民計画(2019〜2028)に書いてありますということで、それにとどまっていたわけですが、このテーマでは今回一歩踏み出したと、評価をしたいと思います。
 そこで、人口減少にかかわる問題については、昨年の12月末に全庁的に、いわてで生み育てる支援本部を設立して、いろいろ情報の共有とか、いろいろな施策の管理に当たると思いますけれども、今回、人口減少についても密接にかかわらなければならないと思うのです。その点について、予算編成に当たってどういうような留意をされたか、総務部長もそのメンバーの一人でしょうから、これは総務部長に最初に聞いたほうがいいですね。もう既に終わったことだし、皆さん方はわかっていることですから、簡潔にお願いします。
〇白水総務部長 委員から、今、御指摘いただきました、まさに全庁的に取り組むいわてで生み育てる支援本部の設置ですけれども、私もメンバーになっております。これについては、もちろん今まで部局間連携してきたところでございますけれども、改めて一堂に会しまして、連携等を進めていこうという確認をしたところでございます。
 会合の中身としましては、各部の事業を説明する場ももちろんあったのですけれども、見ていますと、当然うちの部局でも関連するとか、さまざま気づきもありましたので、このいわてで生み育てる支援本部は非常に有意義な仕組みだと思っておりました。
 委員御指摘いただきましたとおり、今回の予算案も何とか捻出して、人口減少を重点テーマの三つのうちの一つの柱にも設定いたしましたので、今後、執行段階においても、この本部の機能をフル活用しまして、部局間の連携を高めて、より効果が出るように取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そこで、私は、事業を全部拾い出してみました。さっきも議論ありましたが、ことしの当初予算案については、14億800万円余計上をされている。前年が同じ予算で9億2、000万円ですから、約4億8、700万円増加した。
 ところが、その内容を見ますと、新規事業で額が多額なのは、いわてターン促進事業費の3、900万円、それから、いわて暮らし応援事業費で1億2、500万円、非常に大きく伸びたのがいわてニューファーマー支援事業費5億9、400万円です。主要三つ合わせますと大体4億円ぐらいになって、これを除くと大体前年並みということになるわけです。
 この三つを挙げたのは、本当に中長期的に人口の減少がとどまるかという点について、私は、短期的目標の中で動かすもので、これは事業費の多寡ではないです。事業が全部で35あるのですけれども、戦略的に動いているようにはとても見えないのです。そこら辺をどういうふうに予算調整して、どういう効果を狙ったのかという点について示してください。
〇山田財政課総括課長 人口減少対策に係る予算の考え方でございますけれども、委員御紹介いただきましたとおり、事業費が多いものはございます。ニューファーマー支援などは、国の制度が改正されておりますので、しっかりと新規就農を呼び込むという観点から措置させていただいております。
 また、委員から御指摘いただいたとおりでございますけれども、その事業の多寡ではないというところ、我々もそれは考えておりまして、今般の事業化に当たりましては、部局とよく調整させていただいた結果ですけれども、まず、安心して子供を産み育てられる環境をつくっていこうという観点から、先日来御紹介させていただいておりますいわてで生み育てる県民運動の展開や産後ケアの実質無償化といったところを新たに予算措置しておりますし、加えてソーシャルインクルージョンという観点から、今回新たに、いわて幼児教育センターの設置、医療的ケア児支援センターの経費、里親委託ポスタリング業務といった観点の事業も盛り込んでおります。
 加えて、移住、定住対策でありますが、今般、お試し居住といったところで新規事業をそれぞれ盛り込んでおりまして、その事業費として多いのは確かにございますけれども、事業費が小さくてもその効果が出るのではないかという観点から、それぞれ予算を措置しているようなところでございます。
〇飯澤匡委員 
 先ほど指摘しましたが、メニューが多い、新規もある。ところが、これを全体で動かすときにどうなるかという、中間管理をどうするかということなのです。さっきも指摘しましたように、非常に短期的な意味合いが強い予算措置です。
 その中で、予算の選択と集中という理念がどういうところに発揮されたのか、改めて、もう一回聞きます。事業名はいいですから、その理念だけお知らせください。
〇山田財政課総括課長 令和4年度当初予算編成における選択と集中、めり張りある予算編成という観点ですけれども、その事業化に当たりましては、既存事業からどうやって財源を捻出できるか、そして、マクロの数字ですけれども、10億円という財源を捻出した上で、どのような分野に新しく事業化していくかという観点から、今回三つの重点テーマにつきましては、10億円を超える重点措置をしております。そのような形で財政当局としては、選択というもの、そして、集中というものをしてきたと考えております。
〇飯澤匡委員 
 観点を変えて聞きますけれども、これは大きな35事業があるというふうに拾い出しましたが、どの程度達成されたかという中間管理は誰がやるのですか。ヘッドクォーターはどこですか。スーパーバイザーは誰ですか。示してください。
〇山田財政課総括課長 予算化した事業のその執行管理という観点でございますけれども、まず第一義的には、その予算化をした原部局が、しっかりとその事業についての進捗であったり、フォローアップであったり、その評価であったりということをするというようなところですし、そして、本県におきましては、事務事業評価や、政策評価といった観点もございます。
 また、予算の執行という観点から言いますと、財政課においても、その年度途中でどのような執行がなされているかというのは、もちろん事業の契約の起案でありましたり、そういった過程はありますので、そういったところでしっかりと確認、チェックをしているところでございます。
〇飯澤匡委員 それだと、今までやっていることと変わらないのではないですか。今までやっていてうまくいかなくて、重点化したのでしょう。それでは余り意味がないのです。私は、事業が全部悪いとは言わないけれども、事業効果を中長期的に達成する目標をきちんと定めていかないと、本当の意味での人口減少対策にならないと思います。
 総務部長に改めて聞きますけれども、この事業を全体的にまとめて、どこの部分が足りなくて、どこをもう少し伸ばすということを全庁的でやるというのだから、そこできちんと指示する人がいないと、部局ごとにやったのでは全く進捗管理できないのではないですか。全体的な政策は重点政策として動かすのでしょう。では、これは知事がやるのですか。それとも副知事がやるのですか。それとも、これも決まってないのですか。どうなのでしょう。総務部長お願いします。
〇白水総務部長 今、委員から、事業を執行するときの取り組みをしっかり工夫をせよという御指摘、そのとおりだと思っております。
 今回、重点テーマということで設定をいたしました。ほかにもDXの推進、グリーン社会の実現も同じだと思いますけれども、これについては、今まで、もちろんその担当部局がしっかり取り組むのは大前提だったのですけれども、部局間をまたがる取り組みが非常にふえてきている。これは、委員御指摘の子育て支援の取り組みもそうですし、今申し上げました、グリーン社会の実現もDXの推進もそうであります。そこについては、委員御指摘の観点をしっかり踏まえて取り組んでいかないといけないと思っております。
 子育て支援の取り組みの関係につきましては、委員からも御紹介いただきましたけれども、知事トップの部局長の会合といいますか本部も立ち上げましたので、そこはひとつ有効に活用していかないといけないと思っております。
 ふるさと振興総合戦略ということで、出生率とかさまざまな指標もつくっております。それを踏まえて、さまざまな国の交付金なども充当してやっておりますので、そういった指標などのチェックももちろん必要になってきますし、そういったこととあわせて、これについては、部局連携でしっかり取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今まで部局連携でやって、結果が出なかったのでしょう。今回、予算をこれだけ捻出したというのだったら、それだけの責任体制をつくるべきではないですか。今の総務部長の答弁では私は納得いかない。それでは今までの延長線です。効果が上がるというふうになかなか期待感が出ない。
 今日、総括質疑で千葉絢子委員が、これから若い女性の低賃金をいかに脱出するかというお話が出ましたけれども、これは中長期的に大変重要な施策だと思うのです。若い女性が岩手県にいないと、子供も生まれないし、人口もふえていかないのです。
 その中で、今回どのように予算化されているかというと、その観点に立って、ストレートに突き刺さる事業施策は見当たらないのです。
 これは千葉絢子委員ともお話ししたけれども、何となく低予算で、短期的に少し効果が出そうなというものを、全部悪いとは言わないです。苦労した跡もそれは理解しますけれども、そこに中長期的戦略が出てこない。スタートから大いに課題山積ではないですか。私はそういう認識です。
 これを事業管理するにしても、短期的な目標しか掲げてないから、どれだけ効果が出るのかというのは甚だ疑問ですけれども、体制について部局連携だけではいけないと私は思うのですが、これをもう一回考え直してくれませんか。できないようだと、私は達成できないと思います。
 民間会社だったら、こういう計画を出して、私が社長だったら、これは誰が責任を取るのだ、誰が管理するのだと言います。連携でできますかという話なのです。できなかったらどうするのだと。総務部長、そう思わないですか。
〇白水総務部長 委員の御指摘いただきました、これは、まさにさまざま課題が複雑化、多様化しているというところがまず構造的にあると思います。そういう意味で、これは岩手県だけでなくて、私もほかの県でもさまざま勤務してきておりますし、国の省庁でも勤務しておりますが、国でも、まさに省庁に分かれて縦割りで、全然進まないということで、内閣府で子ども家庭庁を設置してやろうとしているのですけれども、その組織をつくったとしても、実際、機能するかどうかというのは、中の職員の連携とか省庁の連携とかそういうのがあるところなのです。
 これからどう進めていくかという中で、単純に新たな組織をつくれば、それでうまく進むのかというと、そうでもありませんので、そこはそれぞれどういう形が一番いいのかということだと思います。
 では、どう進めていくかということですけれども、私が今申し上げましたのは、連携、協力を強化していくというやり方の一つとして、本県は知事トップの本部を設けて取り組んでいくというやり方があります。実際、第1回いわてで生み育てる支援本部の会合をやってみて、改めて連携をしていく重要性は私も感じたところであります。今回さまざまな事業を予算措置しましたので、今後、まさにこれを進めていく段階ということですので、その中で、いわてで生み育てる支援本部のもとにしっかり取り組んでいくということだと思います。
 来年度、まさに次期アクションプランの策定も控えますので、そういった中で、どういう形でもっと進めていけばいいかどうかというのは、また、検討する過程はあると思いますので、そこは、また、来年度進めながら、よりよいものにしていくというのは重要だと思いますけれども、いずれにいたしましても、今、岩手県としては、そういう形での本部をもとにしっかり取り組んでいこうということでございますので、それについては、その体制のもとでしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 35のメニューの中で、前段言いましたけれども、直接的に刺さる政策が見当たらない、これは私の印象です。皆さん方はちょっと違うと言うかもしれませんけれども、要するに、政策の大きな幹が見当たらないのです。サイドディッシュばかりなのです。
 これをどうやってやるかということは非常に難しいし、何が中心なのかというのは次の政策企画部審査で聞きます。皆さん方は予算調整するという過程で、なかなか御苦労もあったということを含みつつ聞いているのです。
 そこで話変わりますけれども、きょう知事答弁で重大な発言がありました。予算の事業の選択と集中という観点に立って、予算の調整の妥当性を見出していくのが、岩手県政のあり方だというわけです。
 いろいろ事業サービスは県民のために供給はする。そこで折り合いをつけて、妥当性だと言っているわけです。事業の選択と集中とこれは全く相反することだから、私は非常に危ない発言だと思うのです。ひょっとして、私はこういう体制で進んでいるがゆえに、こういうことになったのかと思うのですが、いかがですか。
〇山田財政課総括課長 知事の発言についての御質問ですけれども、その予算編成過程において、さまざまな方々の意見を反映するのは当然のことでございますし、まさに総務省においても、地方自治とは何かという観点で、説得力、納得力というこの二つが大事だというようなこともよく言われるところでございます。
 そのような観点から、我々は、予算編成、予算調整をしておりますけれども、県民に納得感が得られるもの、そして、その予算の妥当性、客観的、主観的妥当性といったところを見出していくのは、これまでの予算編成においてもやってきましたし、国における予算編成においても同様にされていると承知しております。
〇飯澤匡委員 私の言っているニュアンスがちょっとうまく伝わってないかと思うのですけれども、いずれ知事がその文脈の中で言った妥当性という言葉は、今、財政課総括課長が言った妥当性という意味合いではなくて、選択と集中という考え方とは真逆のような、そういう受け取り方をしました。こういう発言が、我々も県民の代表ですけれども、どこまで本気で選択と集中を進めているのだろうという思いをしたわけでございます。
 予算の編成については、皆さん方一生懸命やっているのはわかるのですが、いずれ税金でやっていることですから、その効果を得て進めていくようにしないと、これは税金の納税者に対する効果が出ないということなのです。
 私の問題意識は、何回も繰り返しますけれども、いわてで生み育てる支援本部の延長上で、この人口減少対策予算が組み立てられたとしたら、そういう中間管理をする人―スーパーバイザーがいないとだめだということをあえて申し上げさせていただきます。
 答弁は要りません。ありがとうございました。
〇千葉絢子委員 ただいまの飯澤匡委員の質疑に関連して質問させていただきます。
 先ほど、予算化した部局が評価、進捗管理、目標達成を基本的にすべきというような御答弁ありました。奥州市長選挙で当選された新しい市長は民間出身ですので、選挙後のインタビューで、いつまでに結果を出す、この分野ではどんな成果が出たかお示しすることを市民の皆さんに約束するとおっしゃったのです。
 行政が求められているのはまさに私その部分だと思っておりまして、その資金として税金を使えるというところが行政の強みだと思っております。きちんと進捗管理をするというようなお約束をいただかないと、このいわてで生み育てる支援本部が果たしていく役割が、はっきりしないと思うのですけれども、この予算化した部局、保健福祉部になっておりますので、保健福祉部が進捗管理するという考え方でよろしいのでしょうか。結局、部局間連携するということになっても、主にそこを所管する保健福祉部がこの全庁的な取り組みの進捗管理もする、責任を取るということでよろしいのでしょうか。
 そうすると、これまで我々が指摘してきた、本当にいわてで産み育てるというのは、保健福祉的な観点でよいのか。そもそも結婚する、出産する、教育するというような原資として必要な、我々の所得をどうするかというようなところをどういうふうに進捗管理していくのという疑問がまた生まれてしまったのですが、この点について明確な答弁を求めます。
〇白水総務部長 今、重要な御指摘をいただいたと思っております。例えばうちの総務部でありましたら、働き方改革推進ということで答弁をさせていただいておりますけれども、私も部長に就任して丸2年ですけれども、岩手県庁働き方改革ロードマップをつくりました。ここで4年ないし5年間で何をしていくかということで、これを設定をして、まずはそのハード整備からということで、1人1台パソコンの整備とか、電子決裁システムとか、あるいはフレックスタイムとか、さまざまな制度を導入して、この2年間で一定成果も出てきたと思っております。
 そういうような形で、このさまざまな分野でそういう工程表といいますかロードマップをつくって、きっちり管理をして見ていくということが重要だと思っております。そのツールの一つとして、例えば政策評価とか事務事業評価というようなことも位置づけられると思います。それから、いわて県民計画(2019〜2028)に基づいてさまざまな手法の議論もいただきましたけれども、そういったものも判断する一つの観点だと思います。
 その意味で、今答弁をいたしましたのは、今回、予算は子育ての関係をさまざま計上いたしましたので、まず所管部局でしっかり責任を持ってやっていくのですけれども、飯澤匡委員にも答弁させていただきましたように、岩手県で知事をトップとするいわてで生み育てる支援本部も立ち上がりましたので、来年度、その事業の執行の中で、しっかり状況確認と、それから、何が足りないのかということの分析、検証をしっかりしていかないといけないと思っておりますので、これは担当部局の保健福祉部だけに任せるのではなくて、そこは全庁挙げてやっていくべきものだと思っております。
〇千葉絢子委員 これまでの協議会形式で、このいわてで生み育てる支援本部が、その年の取り組みの方向性、展開する取り組みの具体策を出す。そして、会合のたびに、報告と情報共有、また、年度末が迫ってきたらば、次の年度の取り組み方針を打ち出す、確認するという、報告と情報共有の場だけにならないようにというところは、財政課でもしっかりと管理をして、予算が本当に適正かどうか、機能しているかというのをしっかりチェックすべきだと思っております。
 そうでないと、いつまでたっても課題は同じ、その取り組みがうまくいっているのか、検証、また、対話はなしというような協議会形式ですと、本当に見ばえのいい小規模な予算をちりばめて終わってしまうのです。根本解決をするべきだと私は思っておりますので、本当にいわてで生み育てる支援本部というようなもの、あくまでもこれは例に挙げたものですけれども、協議会形式にならないように、これだけはくぎを刺して、終わります。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のためしばらくお待ち願います。
 次に、政策企画部長に政策企画部関係の説明を求めます。
〇石川政策企画部長 令和4年度の政策企画部関係の歳出予算について、御説明申し上げます。
 初めに、政策企画部の予算編成に当たっての考え方について御説明いたします。
 政策企画部は、総合的な政策の企画立案、推進、知事、副知事の秘書業務及び広聴広報を担当しております。
 まず政策企画関連では、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の推進に当たり、全庁的なマネジメントサイクルを確実に機能させながら、各部局と連携して着実に政策を進めてまいります。
 特に、令和5年度を始期とするいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン、政策推進プランの策定に向け、総合計画審議会のほか、新型コロナウイルス感染症対策を通じて培われたさまざまな主体との協力関係も生かしながら、広く意見を伺ってまいります。
 広聴広報では、引き続き、県政懇談会などを通じて県政に関する意見、提言を把握し、施策への反映に努めてまいります。
 また、県政番組などを通じ、東日本大震災津波からの復興を初めいわて県民計画(2019〜2028)に掲げた主要施策を、県民の皆様に適時的確に伝えるとともに、県外に向けては、東日本大震災津波を風化させず、復興への継続的な支援につながるよう、復興の歩みを進める岩手県の姿や岩手県の魅力を発信してまいります。
 新型コロナウイルス感染症に係る対策につきましては、県のホームページを初め、テレビ、ラジオなどを通じ、引き続き、県民の皆様への適切な情報提供に努めてまいります。
 それでは、政策企画部関係の令和4年度の歳出予算について御説明いたします。
 議案その2の6ページをお開き願います。政策企画部所管の歳出予算は、2款総務費2項企画費13億8、092万円余のうち8億475万円余となっております。
 予算の内容につきましては、予算に関する説明書に記載されておりますが、説明は省略させていただきますので、御了承願います。
 以上で、説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇神崎浩之委員 私は、幸福関連指標の活用についてお伺いをいたします。
 これは、知事が鳴り物入りというか、当時の時流に乗ってテーマを設定したと思っております。もとより個人の幸福は個人の価値観によるものだという議論があって、そんな中でさまざまな計画の上位指標だということになっております。政策評価があったり、事務事業評価があるのですけれども、その上にこの幸福指標が載っているということなのです。
 そこでこの幸福に関する課題について、テーマについて県民はどう対応しているのか。それから、県職員の皆さんはどういうふうにこれを日常に生かしているのかということで、まずお聞きいたしますけれども、一般の県民に対してのこの幸福関連指標です。幸福という単語はいいのですけれども、一般県民にどう働きかけ、そして、効果を得ているのか。皆さん方にとって、県民の幸福のテーマの手応えについて、どう把握していらっしゃるのかをお伺いいたします。
〇加藤政策課長 県民に対する働きかけの状況でございますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)について、県民への浸透を図るため、いわて幸福白書を作成しまして、幸福度の向上につながるトレンドや、国内外における幸福をめぐる動きに加え、幸福関連指標を含めた県の施策や今後の方向について、幅広く紹介しているところでございます。
 また、四半期ごとに発行している広報誌いわてグラフにおきまして、毎年、当初予算の紹介を行っているほか、毎号、10の政策分野の中から1分野を取り上げ、幸福を守り育てるための取り組みを紹介するなど、県民のいわて県民計画(2019〜2028)への理解醸成に努めているところでございます。
〇神崎浩之委員 皆さんの働きかけはわかるのですけれども、それを働きかけたことに対する県民の皆さんが受ける手応えはどうなのですか。
〇加藤政策課長 先ほど御紹介申し上げました広報誌の読者アンケートなどによりますと、例えば6月当初予算を紹介した回でございますが、感想として、幸福希望に関する予算に興味を持った、あるいは幸福希望予算について、岩手県が何を大切にして、どのような取り組みにしていこうとしているかがわかったとの声をいただいているところでございます。
 また、草の根的な取り組みであります、幸福について考えるワークショップを毎年開催しておりまして、実際に県民の方々に、幸福について考えていただきまして、それを県でも、県民の声をいただいてということで、そういった形での反映にも努めているところでございます。
〇神崎浩之委員 後段はわかりました。
 前段の分は、幸福という単語ということと、あと予算ですから、どうやって幸福という概念というか考え方を県民の皆様と一緒に共有していくのかというのが、大きな課題ではないかと思います。
 それから、県職員についてはどうなのか。職員は日ごろの仕事の中で幸福をどういうふうに意識して日々の仕事に就かれているのか。私は、前のように、農業は農業、県土整備は道路をつくる、保健福祉はこうだという縦割りの事業の中で、目の前の仕事をこなさなければならないという中で、その幸福という視点をもとに、県職員の皆さんがどのくらい幸福を意識して日々の業務に当たられているのかというのが、非常に疑問であります。
 いろいろな部局の方と話をしても、幸福という言葉は出てきてないのです。最近はいろいろな資料からもなくなってきて、予想どおりという気がするのですけれども、日常業務は、10の政策分野ではなくて、保健は保健、商工は商工、農業は農業、県土は道路でしているのではないかと思うのですけれども、皆さん方の部として、職員の幸福の手応えはどういうふうに感じているかをお伺いいたします。
〇加藤政策課長 日常業務と10の政策分野との関係でございますが、委員御指摘のとおり、職員は、保健福祉部、商工労働観光部あるいは農林水産部といった組織のもとで日常業務を進めているかと思います。今、こうした組織は、そもそも県民にとってのわかりやすさ、あるいは過去からの経緯、あるいは商工費、農林水産費といった予算科目など、そういったところを踏まえてのことと考えております。
 一方、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野は、県民の幸福の実感に関する12の領域をもとに設定しておりまして、基本目標と各政策分野、それぞれのいわて幸福関連指標がどのようにつながっているのか、あるいは各政策分野の取り組みを推進し、指標の向上を図ることで一人一人の幸福度が高まっていくという、基本目標の位置づけに向けた県の政策の体系を明らかにしているものでございます。
 こういった計画や理念などにつきましては、庁議あるいは訓示、さまざまな協議の場において、知事が職員に伝える機会も多いところですが、日ごろの業務の中でも、例えば各部局の政策形成プロセスにおいて、理念や趣旨に立ち返って、次年度の事業立案を進めているところでありまして、それによって、職員にも10の政策分野はある程度浸透しているのではないかと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 私は、日ごろの自分の部局の事業の進捗と、それに横断された10の政策分野という二つの層があって、それが逆に職員の邪魔になっているのではないかという気もするのです。総括質疑の中で、菅野ひろのり委員であったり米内紘正委員がお話ししています。
 さまざまな指標の設定とか、その指標の設定の妥当性もあるし、その整合性が取れていないという指摘もありましたけれども、例えば幸福の指標ではない計画の中での話ですけれども、重なり過ぎて曖昧で、本筋が見えなくなるという話もありました。それぞれを見なければいけないとか、それによって職員が振り回されるということで、私は、各部の事業計画とその上の上位指標である幸福関連指標が、まさにそうではないかと思っております。皆さんはやっているということになりますけれども、それは政策企画部の自己満足ではないかという、大変失礼な言い方だけれども、そういうこともあって、当初、行政の縦割りを打破するために、縦軸に横串を刺すということで、部局横断という話もありますけれども、私は、非常に期待していたのです。縦軸に横串を刺すということに期待したのですが、そういうことで縦割りを打破するような具体的な効果とか事例がありましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇加藤政策課長 縦割りの打破ということでございます。
 委員の御指摘のとおり、幸福度という横断的な視点を入れると、政策を総合化することに通じるというような京都大学の広井良典教授のお話もありまして、まさにそういった縦割りの弊害を排するというところを、目指しているところでございます。
 今10の政策分野のもとで、事業なり施策を進めた結果、例えば居住環境、コミュニティー分野でございますが、これは移住、定住が主な施策になっているのですが、通常でありますと、県土整備部、社会基盤とかそちらのほうが主になるのですが、居住環境、コミュニティーに移住、定住があることによって、例えば今回の予算で行きますと、県土整備部のお試し居住がパッケージ化してできるようになったというところがあります。
 あともう一つは、仕事、収入でございますが、これは正社員の有効求人倍率を幸福関連指標に掲げてい」るのですが、これは原因を探っていくと、実は結構きちんと求人が出ている。介護とか保健福祉部への求人が出ているのですけれども、それに対して申し込みがない。求人と求職のミスマッチが出ているといったところも明らかになったりしまして、保健なり福祉系の大学を回って歩いて、こういう職業がありますという、そういったキャラバンにつながったという、そういった部局横断の取り組みといった事例があるところでございます。
〇神崎浩之委員 資料を見ても、両方見なければならないということもあって、総括質疑でも2人の委員がおっしゃっておりましたけれども、さまざまな計画があって、緻密過ぎて、それに振り回されて、現場の業務にエネルギーが取られてしまっているのではないかという心配をしております。
 振り回される人はいいですけれども、全く無視して事業を突っ走っている方もいて、それもいいのかと思ったりしているのですけれども、政策企画部長、このあたりはどうですか。いつまでやりますかと言ったら失礼な話なのですけれども、どうも、冠が邪魔になっているような感じもあるのですが、その辺をお伺いします。
〇石川政策企画部長 これまで、課長等が答弁させていただきましたが、幸福関連指標といったような考え方はなかなかすぐには御理解いただけないような部分もあると思います。ただ、我々、10の政策分野をもとに県民がどの程度幸福を実感しているのかといったような県民意識調査なども行いまして、その結果をもとに翌年度の事業も組み立てていくといったような形で取り組んでおります。
 部局横断的な課題が、県政課題としてたくさん出てきておりますので、何をもってそれを進めていくのかという面では、このいわて県民計画(2019〜2028)の新しい考え方が、やってみる価値があるのだと考えております。
〇神崎浩之委員 さっきの議論にもありましたけれども、部局横断するということは、誰が進捗管理していくのかということもあって、ただ、幸福というテーマはいいとは思うのですけれども、非常に難しいテーマだろうと思います。
 一方、これに振り回されることがないようにと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。余り複雑にしないで、目の前のことにエネルギーを費やせるようなことがいいと思います。
 それから、もう一つの質問は、戦略的政策形成調査費があって、これは名前的には非常に期待ができるような事業だと思っているのです。額は少ないですけれども、戦略的政策形成調査費ということで、この言葉に期待するのです。これが出た背景とその効果をどういうふうに考えていくのか。そして、それを政策企画部から各部局へどういうふうに流していくのか、連携の橋渡し、この辺を教えていただきたいと思います。
〇加藤政策課長 戦略的政策形成調査費でございますが、こちらは継続している事業でして、社会、経済情勢の変化等に伴い生じる県政課題あるいは年度途中の新たな課題に、的確かつ迅速に対応するため、新たな施策形成に向けて、部局横断的に取り組むための調査研究あるいは仕掛けづくりを行うもの。あと、効果的な施策形成を行うために、外部有識者からのアドバイスや情報収集を行うための経費となっております。
 この経費を活用しまして、過去には、いわて県民計画(2019〜2028)策定プロセスにおきまして、先ほど御紹介しました京都大学の広井先生から幸福関連指標の設定に関して助言をいただいたり、あるいは広井先生を講師とした県民フォーラムの開催、あとは、中央大学法学部の宮本太郎先生などをお呼びして有識者等の意見交換などを開催して、岩手県の目指すべき将来像の策定の検討につなげたりしているところでございます。
 なお、今年度につきましては、新たに、本県ゆかりの若者が指導役となりまして、県の幹部職員へ助言を行う岩手版リバース・メンター制度、逆メンターという制度でありますが、それを立ち上げまして、IT、文化芸術、農林水産部の3分野で試行的な取り組みを実施しております。来年度は、こちらの3部局の取り組みを拡大し、横展開しまして、それの橋渡しといいますか、我々政策企画部が橋渡しとなりまして、ほかの部局の分も広げていく、そういった予定をしているところでございます。
〇神崎浩之委員 いずれ幸福とも関連するようなことでありまして、ぜひとも効果のある事業にしていただきたいと思います。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後6時0分 休 憩
午後6時17分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 最初に、来年度、いわて県民計画(2019〜2028)の第2期アクションプラン策定の時期となりますけれども、東日本大震災津波からの復興と、新型コロナウイルス感染症対策の取り組みの教訓を踏まえたアクションプランにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇照井技術参事兼政策企画課総括課長 第2期アクションプランについてでございますが、政策推進プランの第1期を振り返りますと、令和元年度からこれまでの間、新型コロナウイルス感染症が10の政策分野に幅広く影響を及ぼしていることから、第1期を評価するに当たりましては、新型コロナウイルス感染症対策の成果や課題、また、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた教訓などを丁寧に把握した上で、第2期の検討を進めたいと考えております。
 また、復興につきましては、復興推進プランにおきまして取り組みを進めているところでございますが、ハード面において、復興推進プランに計画された事業の多くが完了する一方で、被災地の産業振興や地域振興、心のケアなど全県での対応が求められる分野もありますことから、第2期アクションプランの策定に当たりましては、政策推進プランと復興推進プランとを連動しながら、検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 私が、東日本大震災津波からの復興と新型コロナウイルス感染症対策の取り組みを踏まえてと強調したのは、どちらも県民の生命と安全が危機にさらされた。そのときに政治のあり方が根本的に問われたのです。今も問われているのだと思います。
 例えば東日本大震災津波のときには、県はどういう基本方針でやったのか。被災者一人一人の幸福追求権を保障する、いわば憲法13条の立場で復興に取り組んだ。私は全国に誇れるようなすばらしい取り組みだからこそ、被災者の医療費免除の取り組みとか、生活再建への支援とか、今もやっている心のケアの取り組みとかに結実しているのだと思います。
 復興はまだ途上ですから、これはこれで引き続きやらなくてはならないけれども、私は、いわて県民計画(2019〜2028)の第2期アクションプランに、この精神は生かされなくてはならない。新型コロナウイルス感染症対策も県民の命と安全が脅かされる課題でありました。そういう意味で、ここからしっかり教訓を踏まえて、政治の原点に立ち返って、県政のあり方を示すような計画にしていただきたい。
 もう一つは、来年度当初予算案の重点テーマが三つ提起されました。私は、この重点テーマは、人口減少社会への対応、デジタル化の推進、グリーン社会の実現、これは来年度だけの重点テーマではないと思うのです。かなり中長期的な、ある意味第2期アクションプランの重点テーマと言っても過言ではない重要性を持っているのではないかと思います。
 デジタル化の推進では、私は気をつけてほしいのは、県民の個人情報を保護するという大原則をしっかり守って、デジタル化が県民の利益に結びつくような、そういうことをしっかり進めていただきたい。
 グリーン社会の実現については、私が一般質問でも取り上げましたが、東日本大震災津波からの復興、新型コロナウイルス感染症からの復興は、グリーンリカバリー、新たな社会の改革、改造だと思っています。それが新しい豊かな社会の実現につながると思っていますが、いかがでしょうか。
〇照井技術参事兼政策企画課総括課長 令和4年度当初予算案におきまして掲げました三つの重点テーマでございますが、委員がおっしゃるとおり、これはいずれも中長期的な取り組みが必要だと考えております。
 このうち、グリーン社会の実現につきましては、環境分野での投資、雇用の拡大と経済成長を促すグリーンリカバリーの視点も踏まえながら、コロナ禍からの経済再生と脱炭素化の達成に向けまして、経済と環境の好循環をもたらす取り組みを進めることが重要と考えております。
 第2期政策推進プランの具体的な内容の検討につきましては今後行うことになりますが、例えば事業所における再生エネルギー、再生可能エネルギーの設備導入や省資源型ものづくりの促進には、水素の利活用や海洋エネルギー等を活用した新産業創出森林整備、県産木材の利用促進などの森林の資源の循環利用、省エネルギー性能を備えた岩手型住宅の普及など、新たな取り組みの追加や現在の取り組みを深化、拡充していくことが必要と考えております。
〇斉藤信委員 グリーンリカバリーにかかわって言えば、地球温暖化防止の実行計画の見直しを来年度行うと、知事も言明しました。来年度当初予算案は芽出し程度なのです。2030年までに世界で45%CO2を削減する。それに見合った積極的な目標を掲げて、そのための具体的な計画の策定というのが来年度であり、私は、総合的に省エネ、再エネ、そういう方向が示されるような、地球温暖化の防止計画の見直しと一体で第2期アクションプランを考えていただきたいと思います。
 一言、これは環境生活部審査で聞きますけれども、私は水素利活用はちょっと違っているのではないか。モビリティーはEV化をやらなければだめです。水素自動車はほとんど普及してないのです。だから、そういう点でいくと、率直に言えば、これはCO2削減に結びつかないと思います。 それで、第2期アクションプランについては、今後の検討スケジュールがわずか1年ですから、私は、県議会も一緒になって議論をして、すばらしいものにすることが大事だと思いますが、今後の検討スケジュールを示してください。
〇照井技術参事兼政策企画課総括課長 第2期アクションプランの策定に当たりましては、第1期アクションプランの取り組みの成果や課題、新型コロナウイルス感染症への対応などをしっかり総括した上で、検討を進めることが重要と考えております。
 このため、来年度の早い時期から、市町村、企業、団体等の意見交換を行い、また、県議会や総合計画審議会の意見も伺いながら、令和4年度内の策定に向けて、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ぜひ、各界の意見、そして、県議会と連携して、この計画策定を進めるようにお願いをしたい。
 次に、知事の県政懇談会の取り組みと成果についてですけれども。この間、今年度は7回行われて、そのうち4回は若者、女性、その他一般というテーマで、ほとんどが若者が対象だったのではないかと思われるような中身です。私は、これからを担う若者、女性からしっかり意見を聞くことは大変大事な取り組みだと思いますが、今年度実施した懇談会の内容、特徴、そして、県政への反映はどうなっているか示してください。
〇村上広聴広報課総括課長 今、委員から御紹介がありましたとおり、本年度はこれまで7回開催しておりますが、そのうち4回につきまして、若者、女性、大学生等を対象とした懇談会を実施しておりますほか、一般を対象とした懇談会におきましても、若者、女性を含めた多様な立場からご参加いただくなど、懇談会全体を通じまして、若者、女性の積極的な参画が図れるよう取り組んでいるところでございます。
 県政への反映についてでございますが、1例を申し上げますと、昨年10月に、東日本大震災津波の教訓の伝承と復興の姿の発信を懇談テーマにした際は、県内各地で、東日本大震災津波の伝承、発信にかかわる取り組みに携わる4名の女性の皆様にご参加をいただきました。
 その中で、伝承施設やまちづくり団体のガイドが一堂に会し、それぞれのよいところを吸収することができればよいのではないかという意見、提言があったことを踏まえまして、令和4年度に開館から3年を迎えます東日本大震災津波伝承館を拠点といたしまして、各地の伝承施設関係者や語り部団体等が一堂に会し、学び合えるような事業を計画するなど、県政懇談会で出された意見、提言の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 資料をいただいて、お聞きをしますけれども、県政要望の中で一番多いのは苦情だったということです。どういう苦情だったのか、そこにどういうふうに対応したのか、これを示してください。
〇村上広聴広報課総括課長 今の委員の御指摘は、県政懇談会でということではなくて、全般の県政提言ということかと思います。
 今お話がありましたとおり、歴年でございますが、令和3年、県政提言83件いただいておりますが、一番多いのが苦情ということになっております。これにつきまして多いのは、電話対応の際の受け答えについて、いかがなものかという苦情がございましたし、喫煙の関係で、県職員かどうかというのははっきりしないところがありますが、県庁舎のかいわいでたばこを吸っている職員と思われる方がいるというところを頂戴しているのが多いところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 これは本当の最後ですが、来年度の県政懇談会の方針を示してください。
〇村上広聴広報課総括課長 来年度の県政懇談会の方針についてでございますが、知事が直接テーマに関連する活動に参画している方々の声を聞きまして、いわて県民計画(2019〜2028)の実現に向けて、県民が一体となって取り組む意識を醸成する機会とすることを目的といたしまして、引き続き、いわて幸せ作戦会議として県政懇談会を実施することとしております。
 具体的には、主要テーマを復興やふるさと振興、新しい時代を切り拓く取り組みといたしまして、年10回程度の開催を予定しております。また、令和4年度当初予算案の重点テーマでございます、先ほど委員からご紹介ありました人口減少社会への対応、デジタル化の推進、グリーン社会の実現を懇談テーマとしたり、デジタル環境の進展を踏まえまして、県内各地を結んだオンラインでの懇談会も開催したいと考えております。
〇飯澤匡委員 それでは、先ほどの総務部の質疑に続いて、重要施策に掲げられました人口減少対策について。
 まず政策企画部長に、さっき総務部に予算の枠を決めたという観点で、どういう進捗管理するというような話を中心にさせていただきましたが、今回は本当に重要課題として取り上げたのですね。その姿勢については私は評価をしたいと思うのですが、問題は、どうやって効果が出るかということですが、今回、重要施策として、まず最初にお伺いしますが、体系化するに当たって、35の事業を認定されて予算化されたということですが、令和4年度、どういうところに配慮して、この重要施策に立ち向かおうとしたのか、その点について明確な方向性を示してください。
〇石川政策企画部長 人口減少対策、今回、三つの重点テーマを設けておりますけれども、デジタルの推進につきましても、グリーン社会の実現についても、最終的には人口減少対策につながっていくものだと認識しております。
 御質問はどのような形で事業を組み立てていったのかということでございますが、事務的なお話をしますと、人口減少対策のワーキンググループ、これは各部局に集まっていただいて、どのような形で来年度─令和4年度取り組むのかというような組み立てをさせていただきまして、今回載せたものでございます。
 人口減少対策としては自然減対策と社会減対策二つございますけれども、どのような形で進めていったらいいのかというのは、一つの部局だけではなくて、関係するいろいろな部局、これが集まって話し合い、一つ一つその阻害要因みたいなものを解決していく、そういう姿勢が必要であると考えております。
〇飯澤匡委員 体系化という言葉を出したので、令和4年度の体系的にこうやって進むのだという大筋のところはあなた方が整理して、これでお願いしますと予算編成に回したのでしょうからどうやって決めたのか。
 さっきの議論でも、部局ごとにメニューを出して、それで全体的に動かしていきましょうという話だったのですけれども、あなた方の仕事は、それを体系化させてどうやって前進させるか。要は、その化学変化をどうやって起こしていくかということを、重要施策だから今回やるのでしょう。それはどういうふうに配慮したかということを聞いているのです。
〇加藤政策課長 人口減少ワーキングにおきまして事業の検討を行ったところでございますが、この背景といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響がございまして、自然減については、新型コロナウイルス感染症の影響で婚姻数が減るというのが全国的に報道等でありまして、それに伴い出生数が減るのではないかといった問題意識を持ったところでございます。
 一方、社会減につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして転出が大幅に改善したのですが、転入、呼び寄せるほうが、地方の関心が高まっているにもかかわらず、きちんと呼び寄せできていないというところがありまして、社会減は転入に注力するということで、事業の検討を進めたところでございます。
 体系というお話になりますと、御案内のとおり、ふるさと振興総合戦略が幅広に人口減少対策を体系化しているものでございますが、今回、令和4年度当初予算案におきましては、先ほど申し上げました自然減であれば、婚姻、出生数、社会減であれば転入で、こちらのところに注力するという観点で、事業の予算立てをしたところでございます。
〇飯澤匡委員 ポイントはわかりました。
 私はあまり満足のいくものではないけれども、次年度につなげるために、その中長期的な戦略として、政策企画部なのだから、今年度予算案を、今後どういうふうにして展開していくのか、その長期展望を示してください。
 各部局に、主軸となる事業はこれだけでは足りないと思うけれども、将来どういうふうに考えているのか、それを示してください。
〇加藤政策課長 中長期的なというところでございますが、令和4年度は、先ほど申し上げました視点で、自然減については出生、社会減については転入ということで、そこに注力した事業を中心に組み立てておりまして、例えば人口自然減につきましては、人口規模が同じぐらいの県と比較しますと、岩手県の婚姻件数が落ち込みが大きい。それに伴いまして、第一子の出生数も落ちているという関係が見られたところでございまして、まずはそこのところということで、結婚シーンにおける商工団体、企業との連携を拡充するというところを盛り込んでおります。
 もう一つ、これは国の調査ですが、希望する出生数にならない理由というのを聞いているのがありまして、それの一つの理由として、育児負担が大きいというのがありましたので、第一子が順調に育てば、第二子、第三子にもつながるだろうという考え方のもと、今回、産後ケアの実質無償化を入れ込んでいるものでございます。
 社会減の転入につきましても、同様に、令和4年度注力するところということで、お試し居住とか、帰省時のプロモーションとか、そういったところを入れ込んでいるものでございます。
〇飯澤匡委員 余りうまくいきそうな気がとしないのだけれども、いずれ、どうやって管理するのかというのは大変な作業だと思います。決算の場面でそれを明らかにしていきたいと思います。
 そこで、もう一つ気になったのは、いわて県民計画(2019〜2028)で10の政策分野。これは35の事業がありますけれども、その分野ごとに予算が張りついて再掲数が、35事業のうち20事業なのです。要は、10の政策分野がいっぱいある中に、三つも四つも同じ予算がぶら下がっているのです。こういうやり方は予算効果が出るのですか。私は甚だ疑問なのだけれども、注力すべきところは、一本化でぐぐっと進めていくというのが一番効果的なやり方だと思うのだけれども、これは事業評価するのにもちょっと大変なのではないかと思うのですけれども、どういう考え方ですか。
〇加藤政策課長 再掲につきましては、御指摘のとおりでございまして、10の分野に分けた際に、主要なといいますか一番関連があるところにその事業を載せて、その上で他の関連するところに再掲という形にしているものでございます。
 人口減少ということで、どういうふうに最終的に仕上げたかというのは、予算のあらましということでポイントをまとめているのですが、そこのところで一つのパッケージではないですが、固まりとして見せるような形で工夫をしているところでございます。
〇飯澤匡委員 努力は認めますけれども、かなり苦しいです。県民にとってわかりやすいことになっていますか。私は、それが政策をつくる上で大事な観点だと思うのですけれども、これでは事業評価するのにも難しいし、何とか予算をかき集めてといいますか、事業をかき集めて、まずやってみようよというような、ことしはそういうことでいいでしょうが。
〇石川政策企画部長 我々の仕事は、県民への説明責任が一番大事だと思います。そういった意味では、委員からお話があったとおりだと考えております。それをどのように県民の方々に見せるかということだと思います。我々も、このようなワンパッケージという形の見せ方で、何とかご理解いただこうと考えておりますが、至らない部分については、不断の努力でもって改善していきたいという考えです。
〇飯澤匡委員 要は部局再編のときに、政策地域部から、総合政策室に戻ったような格好になっていたのです。あなた方が中心になって体系的な政策をつくらないと物は動かないのです。本当は、さっき言った総務部と審査が逆だったら、もうちょっと深みのある議論ができたと思うのです。今まで知事は人口減少については、重要施策として取り上げて、ようやくいわて県民計画(2019〜2028)をどうぞ見てくださいということを言っていたから。見てくださいではない、どうやって進めるかだから、それには緒についたのかと思うのですが、やはり中長期的な観点で、岩手県に若い女性が住んで安心して子供を産めるということをどうやって進めていくのか。
 それから、いわてで生み育てる県民運動推進費は、本当にわかりにくい。また、どこかイベントの会社か何かにやるのではないですか、違いますか。こういうお金の使い方ではなくて、もっと腰の入れたやり方にしていかないと、いわてで生み育てる県民運動推進費などはどれだけ効果が上がったかと事業評価できないのではないですか。そこを考えるのがあなた方の仕事でしょう。体系的というのはそういうことなのです。
 今回、手をかけたのは評価しますけれども、もっといい方向にしていかないと、同じ税金を使うので、効果が上がらないと意味ないです。そこをしっかりやっていただきたいと思います。
 知事が、いわてで生み育てる支援本部について、一般質問をした3人目の質問者に対して大立ち回りをやって、やります、警察本部長もどうぞお願いしますと言った割には、今回の予算で余り出てこない。予算で出てきてないのですから、それはちょっとパフォーマンス過ぎるのではないかなと思います。いずれ、これは予算を通すかどうかも含めて、しっかり考えさせていただきたいと思います。
 最後に政策企画部長もその支援本部のメンバーだから、その点についてどういうふうな役回りで当該部局は進めようとしているのか、それについて方針を示していただいて、最後にします。
〇石川政策企画部長 御案内のとおり、ただいま委員からお話しいただいた、我々に対する叱咤激励だと受けとめております。
 我々は、いわて県民計画(2019〜2028)を推進する立場から、この人口減少対策もしっかり進めたいと考えておりますし、また、我々は市町村ともいろいろ意見交換をしますが、各市町村を回っても、何が一番課題か、これは人口減少対策だと異口同音に伺っております。しっかり取り組まなければいけないと考えております。
 いずれ、我々、今の若い女性の方々が少しでもいい環境で子供を産み育てられる環境づくり、これをしっかりつくっていかなければいけないと考えておりますし、次の世代にしっかりとした岩手県をつくって、受け渡していくことが大事だと考えておりますので、そういう視点でもっていわてで生み育てる支援本部のほうにも参加していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 私は、事業を持ち寄るのではなくて、あなた方がしっかりした第2期アクションプランの政策をつくって、各部局でこういう考え方でやったらどうなのだと。それには問題があるのですか。そして、現場の声はどうですか。岩手県としてはこうやって動かすのだという方針を示さないと、これは持ち寄りではやはりだめです。
 さっき総務部長に聞いたら、スーパーバイザーはいないと。知事が長だと言うけれども、そんな進捗管理はやらないでしょう。これではどう考えてもうまくいかないです。しっかりお願いします。我々は執行部ではないからお願いするしかない。あなた方は政策企画部なのだからしっかりやってください。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで政策企画部関係の質疑は終わります。
 政策企画部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のためしばらくお待ち願います。
 次に出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇永井会計管理者兼出納局長 出納局関係の予算について、御説明申し上げます。
 まず、議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算のうち出納局関係でありますが、予算に関する説明書86ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち出納局関係の予算は、説明欄の中ほどに記載のとおり8億3、137万円余であり、職員の人件費等の管理運営費及び県営建設工事入札業務に係る経費です。次に、88ページをお開き願います。下段の5目会計管理費2億3、873万円余は、説明欄に記載のとおり財務会計システム運営費等です。
 次に、議案第10号令和4年度岩手県証紙収入整理特別会計予算ですが、同じく予算に関する説明書の379ページ、380ページをお開き願います。歳入歳出予算額はそれぞれ35億3、518万円余です。
 まず歳入ですが、381ページにお進みいただき、1款証紙収入1項証紙収入は1目県税9億6、635万円余、2目使用料及び手数料21億5、435万円余、3目軽自動車税環境性能割4億1、446万円余です。
 次に、歳出ですが、383ページをお開き願います。1款繰出金1項一般会計繰出金は、1目県税、2目使用料及び手数料に係る証紙収入と同額を一般会計に繰り出すものです。
 次に、384ページをごらん願います。2項歳入歳出外現金繰出金は、1目軽自動車税環境性能割に係る証紙収入を所在市町村に払い込むため、歳入歳出外現金に繰り出すものです。
 以上で、出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 入札制度の課題について質問をいたします。出納局が入札制度の窓口になっていますので、この間、岩手県建設業協会盛岡支部の皆さんから、盛岡管内の県議会議員へ要望もいただきました。それを踏まえてお聞きをします。
 一つは、この5年間、落札率はどう推移しているでしょうか。
〇安倍入札課長 5年間の落札率の推移でありますが、県営建設工事における一般競争入札の平均落札率は、平成29年度が92.1%、平成30年度が92.5%、令和元年度が91.6%、令和2年度が91.6%、令和3年度が12月末までで91.8%となっております。
〇斉藤信委員 92%前後で推移をしているということだと思います。
 そこで、岩手県建設業協会盛岡支所の皆さんからの強い要望は、予定価格の事前公表制度について、これをやめてほしいと。いわば現場を実際に調査して積算するという原点に立った制度にすべきではないかという提案、要望でございました。
 予定価格の事前公表制度について、全国、東北の実施状況はどうなっているでしょうか。
〇安倍入札課長 予定価格の事前公表の状況についてでありますが、全国では、事前公表は、一部に事後公表との併用を含みますが、令和3年10月1日現在27都府県で採用されており、東北では本県を含む5県で採用されております。
〇斉藤信委員 品確法―住宅の品質確保の促進等に関する法律の改正における運用指針では、予定価格は、原則として事後公表とすると国が指導していると思いますけれども、岩手県がなぜこの事前公表にこだわっているのか。業界の皆さんの要望に背を向けている理由は何でしょうか。
〇安倍入札課長 予定価格の事前公表についてでありますが、本県では、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには、予定価格に係る不正防止の観点から有効なものとして導入しているものです。
 なお、国においては、予算、決算及び会計令で事後とされていますが、地方公共団体については、地方自治法同法施行令に規定がなく、裁量に委ねられています。
 事前公表に当たっては、国の指針に基づき十分検討を行いながら運用をしており、制度導入以降、本県においては不正事案は発生していないこと等から、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら、適切に対応をしてまいります。
〇斉藤信委員 最初の答弁にもあったように、事後公表のみというのが20県です。そして、国は事後公表で、品確法でもそういうふうに指導している。現場の建設業者はこう言っているのです。
 本来の設計図書を検討して、現地調査による積算を行う入札方式に切りかえ、技術と経営にすぐれた企業が施工できるようにするため、運用指針で示している予定価格を事後公表にするようにお願いしたい。これは道理あるのではないでしょうか。国も事後公表で、20の県が事後公表をやっていて、今、私が、紹介しましたけれども、現地調査による積算をしっかりやる入札制度にしてほしい。これは道理ある要望であり、提言ではないでしょうか。いかがですか。
〇安倍入札課長 国が示す指針では、予定価格の事前公表による懸念される事項ということで、落札価格が高どまりになること、くじ引きによる落札率の増加、あるいは建設業者が見積り努力をせずに参加するといったような懸念がされているところでありますが、本県では、落札価格の高どまりについては、直近3カ年の平均落札率が91%台であり、著しく高い状況にはなっていないこと、また、くじ引きによる落札率の増加については、その発生割合が1%前後と低い状況であり、入札書の提出時に工事費内訳書の提出を求めており、積算が正しくされているかどうかについてもチェックしているものでございまして、現時点では弊害が生じていないものと考えております。
〇斉藤信委員 私の質問に答えていないのです。断る理由にもなっていないのです。
 現場の建設業者は何と言っているかというと、例えば予定価格が公表されれば、現場は見なくてもパソコンできちんとそれなりの積算ができるのです。現場の業者はそう言っているのです。
 だから、設計図書に基づいて現場を見て、積算を積み上げて、そういう入札にしてほしいというのは、積極的で前向きな提案ではないですか。違いますか。このぐらい真面目な提案はないと思います。断る理由は何なのですか。
〇藤澤副局長兼総務課総括課長 予定価格の事前公表についてでございますけれども、本県としましては、入札の透明性の向上とか、あるいは事務効率といった観点から、また、過去の経緯も含めまして、公正な入札制度を執行していくという観点で、事前公表という仕組みを設けております。
 先ほど委員から御紹介がおりましたとおり、内容が十分な積算をされてないケースが出てくるのではないかということにつきましては、今、本県で導入しております総合評価落札制度、それから、低入札価格調査制度によりまして、工事の内訳書をきちんと提出してもらうということをやっておりますので、その中で積算をきちんとした入札がされるよう確認をしているところでございます。
〇斉藤信委員 現場の業者が、予定価格が事前に公表されれば、今の技術だったら、現場を見なくても皆さんが納得するような積算はできると言うのです。そういうことではなくて、設計図書に基づいて現場を見て価格を積み上げるような、そういう入札にしてほしいということなのです。
 あなた方は、事前公表で、結局、予定価格が示されないと談合をするのではないか。それはもう昔の話だと私は思います。本当に汗水流してこの仕事を取ろうと、そして、この入札に参加する、そういう業者を育てるということが私は今求められているのではないかと思います。この真面目な要望、提言を真剣に検討をしていただきたい。
 次に、最低制限価格制度の導入についても切実な要望がありました。全国の都道府県での最低制限価格の導入状況はどうなっていますか。
〇安倍入札課長 最低制限価格の導入状況についてでありますが、令和3年10月1日現在で、全国では43都道府県で導入されており、東北では、青森県、秋田県、山形県、福島県で導入されております。
 本県では、平成19年7月の入札制度の見直しの際に、今後、一般競争入札を本格的に実施していくに当たり、透明性を一層高めるため、また、総合評価落札方式を導入し、拡大していくという観点から、最低制限価格制度を廃止した経緯があります。
 現在、本県が採用している総合評価落札方式及び低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業のすぐれた技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格及び品質が総合的にすぐれたものを契約の相手方にしようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりもすぐれたものと考えております。
 さらに、低入札価格調査制度において、ダンピング防止のため一定の価格を下回る場合には自動的に失格とする基準、いわゆる失格基準価格を設けて、一定額を下回った場合には失格としております。競争性、透明性、経済性を確保しつつ、企業の地域活動が適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング対策にも適切に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 今の答弁にあったように、全国43都道府県は最低制限価格制度を導入していると、圧倒的多数なのです。だから、私は、これを固辞して導入しないという道理は、全国から見ても異常ではないのかと思います。総合評価制度は最低制限価格の対象にならない。それはそうです。しかし、全国でやっているのだから、対象になるものは最低制限価格の導入をしたらいいのではないですか。
 建設業者の方々は、結局、最低制限価格がないと落札価格がどんどん下がってしまうと、そういう危惧を持っています。低入札制度についても、岩手県は低いところから8割です。それで、価格を設定する。全業者を対象にしてほしい。やはり厳しい戦い、競争をやっているわけだから、少しでも低入札価格の水準を上げてほしいというのも要望です。
 ましてや今、復興が終わって、仕事量も大幅に減少した中で、本当に大事な仕事を一つ一つ取りたい。私は、この願いは当然なことなので、全国の圧倒的多数が最低制限価格制度を導入しているもとでこの導入に背を向けるというかたくなな姿勢は見直すべきではないでしょうか。低入札価格制度についても、改善の余地があるのではないでしょうか。これは最後に、改めて聞いて終わります。
〇永井会計管理者兼出納局長 ただいま委員から、最低制限価格制度の導入とあわせて、県内建設事業者の皆様のこの10年間の復興工事への貢献、それから、それに伴う技術力の向上というところもしっかり反映したらいいのではないかというような御提案としてお伺いさせていただきました。
 まず、総合評価落札方式と最低制限価格の関係につきましては、委員からも御紹介のあったとおり、いわゆる総合評価という制度でございますので、価格以外の多様な要素、技術力、それから、特に最近は地域貢献度を非常に高く評価をしているところでございまして、これをいわゆる価格というところで一律に切ってしまうと、地域貢献度とか技術力といったものも評価されないようなことになりかねませんので、今現在はいたし方がないところではございます。総額評価落札制度の拡大については、昨年度ですが、ダンピング対策を強力に推進してほしいという事業者等の意見も踏まえて、対象工事を拡大させていただいたところでございます。
 設計時点では総合評価方式の導入割合を6割程度に高めたいと思っておりますが、本会議等では、県土整備部で、それをさらに上回るような率が適用になっているということで答弁もあったように記憶してます。
 また、いわゆるポスト震災復興ということで、例えば沿岸地域への参入要件を従前どおりに見直したりとか、技術者は、今、人手が非常に足りないということもありましたので、配置要件などこういったものも緩和したりというようなこともしながら、できるところはしっかりと対応させていただいているところでございます。
 いずれにしても、先ほど御答弁申し上げたとおり、広く業界の皆様の意見を伺いながら、受け入れられるところは受け入れ、入札制度の公正、公平な運用とともに、元請、下請問わず、技術と経営にすぐれた企業の育成にも貢献できるように、入札制度については、不断な見直しを図ってまいりたいと考えているところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のためしばらくお待ち願います。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇今野人事委員会事務局長 それでは、人事委員会関係の予算につきまして、御説明を申し上げます。
 お手元、予算に関する説明書、恐縮ですが、110ページをお開き願います。2款総務費9項人事委員会費のうち1目委員会費の684万円余は、委員3人分の報酬、その他、委員会の運営に要する経費でございます。次に、2目事務局費の1億4、523万円余は、事務局職員19人分の人件費、事務費など事務局におきます任用、公平審査、給与関係事務等の管理運営に要する経費でございます。
 以上で、人事委員会関係の予算の説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 2021年度実施の事業場調査結果についてお聞きします。
 これは、教員の場合は月100時間以上、県職員の場合は30時間以上となって、その調査が行われていますが、その調査結果に基づく主な指摘事項はどうなっているか示してください。
〇藤村職員課総括課長 事業場調査の主な内容といたしまして、超過勤務等の状況について申し上げますと、まず、教育職員以外の職員については、月平均で30時間を超える超過勤務を行った職員がいる事業場は、令和2年度は前年度から10事業場減少した38事業場となっているところでございます。
 これらの事業場に対しましては、文書によりそれぞれの事業場の状況に応じた指導を行っているところですが、さらに、長時間勤務を行う職員が継続的に発生している等の事業場につきましては、訪問の上、業務の実態を踏まえて、きめ細かな助言、指導に努めているところでございます。
 次に、教育職員につきましては、超過勤務を命ずることができる業務が、いわゆる超勤4項目に限られておりますので、それ以外の業務を含めました時間外在校等時間で申し上げますと、月100時間を超える職員がいる県立学校は、令和2年度は前年度から39事業場減少した22事業場となっているところでございます。
 これらの事業場に対しましては、職員の勤務負担の軽減を図るとともに、長時間労働を行った職員が医師による面接指導を確実に受けられるよう指導したところでございます。
〇斉藤信委員 教員の場合は月100時間以上で、他の職員の場合は30時間以上で、レベルがえらい違うのだけれども、これはなぜなのですか。
〇藤村職員課総括課長 事業場調査におきましては、これまで、教育職員の勤務の状況が100時間を超える職員が非常に多かったというところに着目いたしまして、教育職員につきましては、月100時間以上の職員を減らすというところで、調査の主な指導ということで進めておりました。
〇斉藤信委員 これまで、教員の超過勤務は極めて異常だということを示しているのだと思います。しかし、教員というのは超過勤務をやっても手当はつかないのです。これは二重の異常です。100時間も超えているのに手当がつかない。これは、この国の制度、法改正も必要なのだけれども、こういう異常な実態を調査しているのであれば、そういう制度の改善を強く求めていく必要があるのではないか。
 もう一つ、先ほど、総務部で超過勤務をお聞きをしました。100時間を超えた職員が106人いて、うち74人は他律的部署、いわば100時間未満までは認められるけれども、それを超えた人が74人もいました。だとすれば、これは、県庁職員の場合も、この異常な長時間労働、超過勤務の実態も、人事委員会として把握をして改善を指導すべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇藤村職員課総括課長 今年度の事業場調査におきましては、令和2年度の実績になりますけれども、教育職員以外の職員につきましては、月100時間を超えた職員は、令和2年度は実人数で前年度から16名増加して129名となっているということでございます。
 これらの職員につきましては、人事交流等により退職した職員2名が年度がわりのタイミングにより受けられませんでしたが、そのケースを除き全員が産業医による面接指導を受けたところでございます。
〇斉藤信委員 だから、県職員も129人は100時間超えていたということでしょう。そういう実態も調査できちんと明らかにして、私は改善を求めるべきだと思います。
 あわせて、100時間を超えた教育職員は、事業場は大幅に減少して、改善が見えるけれども、実数は何人ですか。そして、今までは、医師の面接も受けてないのが多数だったけれども、どれだけ面接が受けられるようになっていますか。
〇藤村職員課総括課長 これも令和2年度の実績でございますが、教育職員につきましては、時間外在校等時間が月100時間を超えた職員は、前年度から595名減少して73名となっております。
 これらの職員につきましても、産業医との日程調整が困難であった等の事情で受けられなかった職員3名を除き、全ての職員が面接指導を受けたところでございます。
〇斉藤信委員 これで最後にします。
 教育職員の場合には、月100時間はかなり減少したということだと思います。それはそれで私は成果だと思うけれども、それでも73人いるということ自身、これは本当に命と健康にかかわるレベルだと思いますので、本当に月100時間を超えるような超過勤務は基本的にはならない、そういう立場でしっかり指導を強化していただきたい。
 最後に、人事委員会事務局長に聞いて、終わります。
〇今野人事委員会事務局長 月100時間というレベルは、いわゆる過労死ラインということで、まさに委員おっしゃるとおり、健康と命にかかわると、そういった水準でございます。
 人事委員会といたしましても、そういうことを十分念頭に置いた上で、任命権者と連携して超勤縮減に一層努めてまいります。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
 人事委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 執行部席の消毒のためしばらくお待ち願います。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇小畑監査委員事務局長 監査委員関係の予算について、御説明を申し上げます。
 お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、112ページをお開き願います。2款総務費10項監査委員費のうち1目委員費の予算額1、992万7、000円は、監査委員4人の報酬、給与及び監査等に要する経費でございます。次に、2目事務局費の予算額2億2、642万9、000円は、事務局職員21人の人件費等、事務局の管理運営に要する経費でございます。
 以上で、監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますよう、お願い申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑は終わります。
 監査委員事務局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後7時21分 散 会

前へ 次へ