令和4年2月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 新型コロナウイルス感染症の危機が県議会にも迫ってきておりますので、マスクをしたまま質問をさせていただきます。
 冒頭、令和4年2月24日に開始されたロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略を強く糾弾し、軍事行動の中止を求めるものであります。今回のロシアの行動は、主権尊重、領土の保全、武力行使の禁止などを義務づけた国連憲章に違反するものであります。また、プーチン大統領が、ロシアは核兵器保有大国であることを誇示して、攻撃されたら核兵器で応えると公言したことは重大であります。
 今、必要なことは、国際社会が協調して効果的な経済制裁を行うこと。何よりもロシアの侵略を許さない世界中の世論と運動を広げることであります。核兵器廃絶を目指す運動の強化、核兵器禁止条約の日本政府の批准も重要な課題だと考えます。知事の見解を求め ます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県政の緊急課題、重要課題について、主に達増知事に質問します。
 第1に、新型コロナウイルスのオミクロン株による感染の急拡大から、県民の命と暮らしを守る課題について質問します。
 オミクロン株の特徴は、感染拡大の速度が非常に速く、再感染リスクや二次感染リスクが高いことであります。その結果、全国でも、県内においても、新規感染者は、デルタ株の時と比べて三、四倍の速度で感染が急拡大しています。
 学校、教育、保育施設、高齢者施設等でクラスターが発生し、休校、休園措置や濃厚接触者となって、病院や介護施設、公共交通機関などのエッセンシャルワーカーが出勤できなくなる事態も発生しています。高齢者の感染が増加し、1日当たりの死者数は過去最多を記録する事態となっています。
 東京都や大阪府など、大都市を中心に医療逼迫の事態となっています。この背景、要因には、第5波が収束した後で、第6波、オミクロン株への対応をとらず、3回目の新型コロナウイルスワクチン接種の対策やPCR等検査体制を構築してこなかった岸田政権の責任は重大だと指摘しなければなりません。
 県内の新型コロナウイルス感染症の感染急拡大も深刻であります。2月に入って6、013人の感染拡大となりました。最近では毎日300人を超える状況です。2月のクラスター発生は103件、1月の29件の3.5倍以上となりました。
 知事に質問します。新型コロナウイルスのオミクロン株の特徴と感染の急拡大をどう認識されているでしょうか。岸田政権は、いまだにデルタ株を前提にした11月の対処方針を変えていませんが、県として、オミクロン株に対応した全体的なパッケージの対処方針を示し取り組むべきではないでしょうか。
 登壇しての質問は以上であります。あとの質問は、一問一答で行います。
   〔37番斉藤信君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、ロシアによるウクライナ侵略についてでありますが、今回のロシアによるウクライナ侵略は、国際の平和及び安全の維持を目的とする国連憲章に違反するものであります。全ての国連加盟国とその諸国民が一致して侵略行為に抗議し、停戦を求めるべきであります。
 国際世論の広がりは大変重要であり、核兵器廃絶を目指す運動など、さまざまな平和や諸国間の友好のための運動とも連携しながら、声が上がっていくことが重要と考えます。
 次に、オミクロン株への対応についてでありますが、オミクロン株は、感染拡大のスピードが極めて速い一方、基礎疾患等を有しない50歳未満の感染者の多くは、症状が軽いなどの特徴が指摘されております。
 岩手県においては、1月8日にオミクロン株の市中感染が確認されて以降、新規感染者数が増加し、3月1日現在、県全体の直近1週間の10万人当たりの新規感染者数は186.7人となり、感染が急拡大しており、学校や教育、保育施設を中心に多くのクラスターが確認されているほか、高齢者施設のクラスターも2月以降、複数確認され、高年齢層の感染者数も増加していると認識しております。
 県では、岩手県の新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針のもと岩手緊急事態宣言を行い、オミクロン株の特性も考慮し、一定の社会経済活動を維持しながら、効果的な感染対策となるよう取り組むとともに、医療については、重症化リスクが低く入院等の必要がない方の自宅療養の体制を整備し、高齢者や基礎疾患を有する方などに、必要な医療を適切に提供するよう取り組んでいるところであります。
〇37番(斉藤信君) 全国知事会の緊急提言では、感染収束の見通しが立たず、多くの地域で保健、医療体制が危機的状況に陥りつつあると指摘しています。
 オミクロン株による感染の急拡大を抑止するためには、新型コロナウイルス感染症の危機が始まって以来、一番深刻になっている現在の危機的状況について県民に正しく認識されるように、知事が先頭に立って強く発信し、行政と県民、事業者等が一体で感染対策に取り組むことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 感染拡大防止に当たっては、国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードも示しているとおり、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化、徹底が重要であり、また、現在の感染状況を県民や事業者の皆様と広く共有し、感染拡大防止に協力いただくことが不可欠と考えております。
 このため、2月18日及び2月25日に開催した県の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議においては、最新の感染状況や医療提供体制の状況、各地域における市町村、学校、医療機関などの取り組み状況を共有するとともに、国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの意見や、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会からいただいたアドバイスに基づき、オミクロン株の特性を踏まえた感染拡大防止策について、事業者の皆様、県民の皆様に対し実践いただくようお願いしたところであります。
 今後におきましても、引き続き、県民一人一人にオミクロン株の特徴や県内の感染状況等を正確に理解していただき、行政や関係機関等と危機感を共有しながら、感染拡大防止策の徹底が図られるよう、適時適切な知事メッセージの発出などによって呼びかけてまいります。
〇37番(斉藤信君) 2月18日、25日の県の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を開かれて、オミクロン株への対応方針が示されたと私も把握しております。ただ、そのときのメッセージというのは大変短いものです。
 オミクロン株が今までにない速度で急拡大しており、全国的には過去最多の死者数を記録している、こういう状況のもとでは、知事や、例えば保健福祉部長が、県民にしっかりこういう特徴を説明して、県民、事業者一体の感染抑止の取り組みを訴えることが必要ではないかと思います。感染状況は、毎日、事務部門から説明されますけれども、そこでの説明にとどめていたら、この危機感は伝わらない、そのことは指摘だけしておきます。
 当面の緊急課題は、3回目の新型コロナウイルスワクチン接種を思い切って推進することであります。特に、重症化リスクの高い高齢者の接種を早急に完了させるべきです。
 高齢者施設の入所者と職員の接種の状況を含めて、現状と今後の対策を示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 3回目のワクチン接種についてでございます。
 県内の高齢者施設においては、令和4年2月末までにおおむね7割程度まで接種が進んでいるものと認識しておりますが、県としては、クラスターが発生している状況を踏まえ、感染拡大防止を図る観点から、さらなる接種の加速が必要と考えております。
 現在、こうした高齢者施設での早期接種に加えまして、学校や教育、保育施設など社会機能を維持するための業務に従事する方々、いわゆるエッセンシャルワーカーへの早期の接種券の送付等を市町村に要請しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 2月28日段階でワクチン接種は全体では18.5%、65歳以上は40%でした。今、おおむね7割というのは、高齢者施設の接種の状況ですか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員御指摘のとおり、高齢者施設の接種の状況でございます。
〇37番(斉藤信君) 私が今指摘したように、65歳以上だと40%です。高齢者施設でもまだ7割にとどまっています。2月中にやろうというのが国の方針だった。そういう意味で、今一番大事な対象が高齢者であり高齢者施設ですから、それを本当に一日も早く進める、これがオミクロン株対策の決定打であり、第5波の教訓だと私は思います。その点でもう少し立ち入った方向を示せませんか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員御指摘のとおり、今、若者中心ではありますが、高齢者の感染、特に高齢者施設でのクラスターが広がってきている状況です。特に御高齢の方は、基礎疾患も有しておりますし、重症化や死亡リスクの高い方々でございますので、高齢者施設でのワクチン接種を進めていくことが急務だと我々も認識しております。
 市町村も、そのような認識に立ちまして、今、本当に鋭意努力をしておりまして、県医師会等関係団体ともそういった課題意識は共有しておりますので、一刻も早くこうした施設への接種が終了するように、全力を挙げて連携して取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 学校、教育、保育施設でのクラスターが多数発生しています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑止し、学校、保育園等の機能維持のためにも、こうした職員のワクチン接種も優先的に進めるべきではないでしょうか。
 県の集団接種では職域の接種にも取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 今、県の集団接種が先週から始まったところでございます。この県の集団接種で、現在、特別支援学校の教職員への接種を実施しておりまして、その他のエッセンシャルワーカーの方々にも順次進めまして、接種の加速に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、県の1、2回目の集団接種で実施いたしました中小規模の企業等を対象とした団体接種についても、接種間隔が6カ月を経過する段階で、3回目を対象とする県の集団接種の中に組み入れられるよう、検討を進めていきたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 私は、学校の教職員や保育園等の職員の優先接種を進めるべきだと思います。それぞれ21市町村が既に優先接種に取り組んでいます。本当に今の感染状況に対応した対策を先手先手で打っていくことが必要だと思います。そういう点で、質問したのにも答えないということでは、私は問題だと指摘をしておきたいと思います。
 職域接種は、第1回目、第2回目のときに大きな効果を発揮しましたので、やはり今までやったことは全てやる、そういう意気込みが伝わるような取り組みにしていかなければだめだと思います。
 それで、感染急拡大のもとで、PCR検査、抗原検査の重点化が行われています。現在の検査能力と検査の実績、試薬や検査キットの不足の状況はどうなっているでしょうか。
 医療機関や高齢者施設では、感染状況によっては、毎日の検査、少なくとも週2回程度の検査が必要だと考えますが、どう対応されているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 検査についてでございます。
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく行政検査として、県内では、最大時には1日当たりPCR検査が4、886件、抗原定性検査が8、885件まで対応可能で、2月には1日平均でPCR検査が約760件、抗原検査が約350件、最大で見ますと、両検査合わせまして約3、000件実施をしているところでございます。
 PCR検査等の試薬については、現時点において一部海外生産品に制限はありますが、国内生産品の供給に滞りはなく、検査実施機関において必要量は確保されていると報告を受けております。
 また、抗原検査キットについては、地域的な需要の偏りなどによりまして、1月から2月上旬にかけまして一時流通が滞ったものの、現在は、この流通が回復しつつあると承知しております。
 また、高齢者施設等に勤務する方等を対象とする一斉、定期的な検査については、本県がまん延防止等重点措置区域に指定された場合、また、地域の感染リスクが高まって、必要と判断される場合等に実施することとしているところでございますが、その場合には、週1回か少なくとも2週に1回実施をしたいと考えております。
 また、現在、県内一部の市町村におきましては、高齢者施設ほか社会福祉施設等に係る一斉、定期的な検査を実施しているほか、国の配布事業によりまして、医療機関や高齢者施設などに12万個以上の検査キットが配布されておりまして、これを活用した検査が行われているものと承知しております。
 各市町村とも連携し、行政検査として実施する一斉、定期的な検査のあり方や抗原検査キットの一層の活用などについて検討し、進めてまいります。
 なお、行政検査とは別に実施しております無料のPCR等検査については、2月20日までに1万5、000回余の検査を実施しており、一部の事業者においては、抗原検査キットの不足により一時的に受け付けを休止したところもございましたが、現在は、おおむね供給が回復していると報告を受けております。
〇37番(斉藤信君) 県は、無料のPCR検査、抗原検査を3月末まで延長すると発表しました。これまでの実績はどうなっているでしょうか。既に予約もとれない状況も出ていますが、どう把握、対応されているでしょうか。
 感染が急拡大する中で、2月末、入院患者が157人と抑えられ、宿泊療養は111人、自宅療養者は2、610人となっています。
 トリアージの基準はどうなっているでしょうか。家庭内感染防止のためには、宿泊療養をふやすべきではないでしょうか。
 自宅療養者が急拡大しています。健康観察、訪問診療、訪問看護、食料支援、介護支援はどれだけ実施されているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 無料のPCR検査でございます。先ほども一部答弁させていただきましたけれども、2月20日までに1万5、000回余の検査を実施したところでございます。一時期、抗原検査キットの供給が滞って予約等の滞りがございましたけれども、現在は、その回復に向かっていると承知しております。
 新型コロナウイルス感染症患者の療養先でございます。こちらについては、患者の状態、重症化リスクや家庭環境などを評価いたしまして、入院や宿泊療養等、療養先を決定しているところでございます。
 トリアージの基準については、スコアシートなどを活用いたしまして、年齢や肥満度、喫煙歴、基礎疾患の有無、家庭環境などのリスク評価を行っておりまして、宿泊療養については、家庭内で重症化リスクの高い家族と同居している場合や個室での管理ができない場合など、主に家庭内感染リスクが高い方を対象としているところでございます。
 現在のオミクロン株の流行は、若い年代や無症状もしくは症状が軽度である方が多いという特徴に加え、自宅療養を希望する方が多いことから、入院、宿泊療養に比べまして自宅療養者が多い状況にございますが、このほど4棟目の宿泊療養施設を確保したところであり、今後とも、患者の状態や家庭環境等も考慮しながら、適切な療養先を判断してまいります。
 また、自宅療養の状況でございます。自宅療養の導入以降、保健所やいわて健康観察サポートセンター、自宅療養に協力をいただける診療・検査医療機関が連携いたしまして自宅療養者の支援をしてきたところであり、2月28日までに5、626人への健康観察、延べ623件の食料支援を行っております。
 なお、2月28日時点の自宅療養者2、610人のうち53.5%の1、396人が、健康観察アプリ、マイハーシスを利用しております。
 また、訪問診療やオンライン診療の実施数は取りまとめていないところでございますが、県内全圏域に2月24日現在で163の協力医療機関があり、健康観察のほか、自宅療養者の状況に応じて診療対応をいただいているものと認識しております。
 なお、介護が必要な方については、先ほど答弁申し上げたリスク評価において、基本的には自宅療養対象とはならないものと考えておりますが、状況に応じまして協力医療機関により対応いただいているものと認識しております。
〇37番(斉藤信君) 年代別に自宅療養者を見ますと、60歳以上でこれまで500人、70歳以上でも220人いました。こうした高齢者が自宅療養となった理由は何でしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) リスク評価でさまざまな因子を評価しております。年齢のほかにも、基礎疾患の有無、喫煙歴、肥満歴、家庭の療養環境なども勘案して判断しているところでございます。
 それに加えて、療養者自身の御希望がございます。医師が判断して、ある程度健康な御高齢の方で自宅療養に耐えられ、自宅療養を希望されている方に関しては、医師が1回診察の上、毎日健康観察をいたします。そういった判断のもとで、一部の高齢者の方については、適切な健康管理のもとで自宅療養の対応をさせていただいているものでございます。
〇37番(斉藤信君) 新型コロナウイルス感染症患者対応の病床の確保について、県はフェーズ3の400床を確保しています。公的、公立病院で何床、県立病院では何床確保しているでしょうか。1月以降の入院患者数、公立、公的病院、県立病院での入院患者数はどうなっているでしょうか。
 看護師の処遇改善の対象病院、対象人員、予算の計上、その実行はどうなっているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 病床確保についてでございますが、3月1日現在、確保病床は402床となっており、うち県立病院は239床、県立病院以外の公的、公立病院は133床となっております。
 入院患者は、1月以降2月末までに1、003人となっており、うち、県立病院は621人、県立病院以外の公的、公立病院は305人となっております。
 次に、看護師の処遇改善についてでありますが、国では事業の対象施設について、令和2年度1年間の救急搬送件数が200件以上で、診療報酬の救急医療管理加算の算定を届け出している病院、または三次救急を担う救命救急センターを有する病院としており、本県では2月時点で31病院が対象となっております。
 処遇改善の内容は、令和4年2月から9月までの看護職員1人当たり月額4、000円の賃金引き上げを行うもので、看護職員6、400人分に係る経費と賃金引き上げに伴う社会保険料の事業主負担の増加分について、令和4年度当初予算案に計上しており、その事業費は2億4、200万円余となっております。
 対象病院においては、年度内に給与規定の改定及び2、3月分の賃金を支給することとされており、来年度に4月以降支給分と合わせて補助金の交付を行いたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 医療局長に聞きます。県立病院では、この処遇改善をどれだけの看護師を対象に実行するのかを示してください。
○医療局長(小原勝君) 医療局における看護師の処遇改善についてでありますが、国の看護職員等改善事業については、先ほど保健福祉部長から答弁がありましたとおり、一定の救急医療を担う病院とされているところですが、当該事業の補助対象となる県立病院は15病院ございます。
 本県の県立病院では、病院間の看護職員の業務応援が活発に行われていることなどを考慮しまして、全ての病院、地域診療センターに勤務する看護職員、数で申し上げますと、2月1日時点で3、460人を対象といたしまして、令和4年2月から9月まで月額4、000円の特殊勤務手当を支給することとしたところです。
 なお、10月以降につきましては、これが診療報酬改定により賃金引き上げ措置がなされるとされておりますことから、改めてその対応については検討してまいります。
 この手当の支給に係る予算については、費用のうちの給与費に、手当及び社会保険料事業主負担の増加分を令和3年度2月補正予算案で3、200万円余、令和4年度当初予算案で1億3、900万円余確保しているところです。
 その支給方法でありますが、2月分及び3月分については、3月に2カ月分の手当を合わせて支給することとして準備を進めております。4月以降は、毎月の支給とすることとしております。
〇37番(斉藤信君) 次に、長引く感染拡大で事業者は疲弊しています。政府の持続化給付金と家賃支援給付金は1回限りで、今回の事業復活支援金は1月31日から申請が始まりましたが、事業費も実際の給付額も持続化給付金の半額となっており、家賃支援給付金はありません。こうした中で事業者の経営を支えたのが、2回にわたる県の地域企業経営支援金でありました。市町村独自の支援金も大きな支えとなりました。
 いわて旅応援プロジェクトは12億円余の補正予算案が今定例会で既に議決され、82億円余の補正予算案も今提案されていますが、他の事業者への支援策は残念ながら示されていません。事業者支援の継続強化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が長期化する中、本年1月以降の感染の急拡大、また、原油高や資材不足による原材料価格の高騰も相まって、より幅広い業種の事業者がさらに厳しい状況に置かれており、今後、手元資金の減少や売り上げが回復しない状況の継続により、多くの事業者が、借入金の返済に支障を来すことや今後の事業継続に影響を及ぼすことが心配されるところであります。
 こうした状況から、現在の事業者の実情に応じたさらなる支援が必要と考えております。このため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のさらなる増額や大胆な経済対策を国に強く働きかけながら、県としての追加事業の構築や既存事業の拡大、拡充を含めた検討を進めてまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 知事も本会議で、県としても追加事業の構築や既存事業の拡大、拡充を含めて検討を進めるとした答弁がありましたが、事業復活支援金は、11月から3月までなので、来年度の対策が全くないのです。
 これは早めに対策をとっていただきたいので、来年度、県としてどう事業者を支援するのか、知事にお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 具体的には部長から答弁させたいと思いますけれども、切れ目なく事業者の皆さんへの支援が行われるように対応していきたいと思います。
〇37番(斉藤信君) わかりました。4月早々にでも臨時議会を開いて、早く手を打っていただきたい。
 第2に、東日本大震災津波から11年を迎える復興の課題について質問いたします。
 被災者の医療費、介護保険利用料等の免除を11年目は非課税世帯に限定しつつ実施してきたことは、被災者の命と暮らしを守る上で、文字どおり命綱の役割を果たしてきた特筆すべき成果です。知事は、これまでの実積と取り組みをどう認識されているでしょうか。
 残念ながら昨年12月末で終了しましたが、岩手県保険医協会の被災者実態調査では、昨年4月から免除措置が切れ窓口負担が発生した国保世帯では、通院できなくなったと答えた被災者は12.7%、後期高齢者は10.0%でありました。ことし1月から窓口負担が発生する被災者は、通院できないと答えた国保世帯が24.2%、後期高齢者で17.7%となっています。
 被災者がこれまでどおり必要な医療を受けられるように、実態を把握し具体的な支援を強化すべきと考えますが、どう取り組まれるでしょうか。
 無料低額診療に取り組む医療機関の拡充、生活支援相談員による相談と支援、いわて被災者支援センターでの取り組みなど、具体的な支援に取り組むべきではないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 応急仮設住宅での暮らしなど、住宅環境悪化に伴う疾病リスクの増加などの被災者の健康面や経済面での不安の軽減を図るため、国による免除措置が終了した平成24年10月以降、医療費の一部負担金等の免除を実施する市町村に対して、その経費の一部を財政支援してまいりました。
 令和3年4月から12月までは、免除対象であった被災者のうち、住民税非課税世帯を対象に支援を継続したところであり、この結果、これまで延べ32万人を超える被災者の方々に、適切な医療等を受ける機会の確保と健康の維持増進等に寄与してきたものと評価しております。
 一部負担金免除終了後の被災者の支援については、昨年11月に、市町村や生活支援相談員を配置する社会福祉協議会等に文書で協力を依頼したところであります。その後、市町村に寄せられた相談状況について調査したところ、10市町村に医療費負担の軽減方法等についての相談があり、市町村においては、高額療養費制度や生活困窮者自立支援相談制度等について説明し、具体の支援につながった事例も生じていると聞いております。
 今後におきましても、市町村に寄せられた相談内容や、無料低額診療事業を実施している医療機関の取り組みについて、市町村や社会福祉協議会、いわて被災者支援センターなどの関係機関と共有するとともに、一層の連携を図りながら、被災者一人一人の状況に応じた支援が行われるよう取り組みを進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 被災者の心のケア、子供の心のケアの取り組みは極めて重要な取り組みです。今年度の相談、診療の実績と来年度の取り組み、心のケアの体制はどうなっているでしょうか。
 いわて被災者支援センターの取り組みも重要であります。困難を抱える被災者、避難者に対して、弁護士等による専門的な相談と伴走型の支援を行っています。県内外の避難者の実態調査も行っています。今年度の実績を示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 被災者等の心のケアなどについてでございます。
 今年度の岩手県こころのケアセンターの相談支援等の実績は、昨年12月末現在で、相談件数は延べ5、811件で、感染症対策のため相談頻度の調整等を行った令和2年度の実績を上回って推移しております。
 また、いわてこどもケアセンターの沿岸地域への巡回相談などによる受診件数も延べ1、458件で、昨年度から増加している状況です。
 来年度においては、引き続き、両センターを拠点として被災者一人一人に寄り添った相談支援等を継続するとともに、心の健康についての普及啓発や地域の人材育成を行い、関係機関、団体と連携しながら被災者の心のケアに取り組んでまいります。
 また、岩手県こころのケアセンターの体制については、医師や看護師等の専門職に事務職などを含め52人で、このうち沿岸地域4カ所の地域こころのケアセンターが34人となっており、いわてこどもケアセンターも含め、来年度も今年度と同程度の体制を確保する方向としております。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) いわて被災者支援センターの取り組み実績についてでありますが、昨年4月の開設から本年1月末までに、沿岸各地を初め県内陸部や県外を含め被災者212人からの相談に対して、延べ995回対応しております。
 その内容といたしましては、住宅ローンや家計の見直し、家族間のトラブルなど経済面や生活面に関するものが多く、市町村、市町村社会福祉協議会と連携し対応いたしますとともに、専門的な支援が必要なケースにつきましては、弁護士やファイナンシャルプランナーと連携し対応しておりまして、延べ81回の専門家派遣を行っています。
 また、本年度は1、073世帯を対象に県外及び県内避難者実態調査を実施し、県外36世帯、県内42世帯、合わせて78世帯が、被災元自治体等への帰還意思があることなどを確認したところでありまして、帰還意思のある方には、災害公営住宅の募集案内を送付するなど、市町村とも連携しながら、避難者それぞれのニーズに応じた支援を行っているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 知事にお聞きいたします。困難を抱える被災者の生活再建を伴走型で支援する取り組みは、全国的にも注目される取り組みです。今後ますます求められる取り組みでもあります。それにしては余りにも人員、事業費が少な過ぎるのではないでしょうか。配置はたった4人です。岩手県こころのケアセンターが4カ所ありますけれども、せめて1カ所当たり8人から9人ぐらいの体制に拡充すべきではないでしょうか。
 県外及び県内避難者実態調査では、帰郷したいとの答えが78人おります。私は、こうした方々に本当に継続的な支援も必要だと思います。そういう意味で、全国に誇れる取り組みをぜひ進めていただきたい。知事にお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 発災からの時間の経過とともに、恒久的住宅への移行後のローン返済や家賃負担など、経済面や生活設計の面などで複雑かつ多様な課題を抱える被災者への支援が必要なことから、今年度、いわて被災者支援センターを設置し、弁護士やファイナンシャルプランナーといった専門家や、市町村及び市町村社会福祉協議会などと連携して、被災者一人一人の状況に応じた支援を行うことといたしました。
 同センターでは、相談内容に応じ、弁護士などの専門家派遣や伴走型によるきめ細かな支援を行い解決に至った事例も相当数あるほか、相談件数等の状況に応じ相談支援員を増員するなどし柔軟に対応しているところであり、来年度においても同様の体制を基本とすることとしております。
 今後とも、被災地の実情や被災者のニーズを踏まえ、市町村及び市町村社会福祉協議会との連携も強化しながら、被災者一人一人に寄り添い支援してまいります。
〇37番(斉藤信君) 岩手県こころのケアセンターは、本当にすばらしい取り組みです。52人の体制もすばらしい。
 いわて被災者支援センターもすばらしい取り組みですが、それにしては余りにも体制が弱過ぎますから、知事も現場をぜひ見ていただいて、これが本当に全国のモデルになるような取り組みにぜひ拡充をしていただきたい。
 第3に、気候危機打開の課題について質問します。
 昨年11月、COP26、国連気候変動枠組条約締約国会議が開催され、グラスゴー気候合意が採択されました。知事は昨年2月、いわて気候非常事態宣言を行いました。今回のCOP26とグラスゴー気候合意の内容と意義をどう受けとめているでしょうか。
 また、産業革命前から気温上昇を1.5度Cに抑え、2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには2030年までの取り組みが決定的だとして、各国にCO2削減目標の引き上げを求めました。県として具体的にどう取り組もうとしているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) COP26におけるグラスゴー気候合意では、二酸化炭素排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減や、産業革命前からの気温上昇を1.5度C以内に抑えるという目標実現に向けた努力を追求することが合意されたと承知しております。
 また、目標の達成に向けて、先進国も中進国も含めて、あらゆる国々が努力して地球温暖化対策を進める責任があると確認したことに意義があると考えており、我が国においても積極的な対策に取り組んでいく必要があります。
 県では、令和4年度当初予算案において、重点テーマであるグリーン社会の実現に向けて、県産木材の利用促進、省エネ住宅の普及、水素の利活用、再生可能エネルギーの導入促進等の取り組みの充実強化を盛り込んだところであります。
 さらに、昨年3月に第2次岩手県地球温暖化対策実行計画を策定して地球温暖化対策に取り組んできたところですが、その後のグラスゴー気候合意等を受けた国の削減目標の引き上げ等、計画策定時の状況が変化したことから、来年度、県計画を改定することとしており、その中で本県における削減量や施策についても検討し、温室効果ガス排出量の削減に向けさらなる高みを目指して取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 来年度計画を見直しする、こういう答弁でありました。
 グラスゴー気候合意では、2030年までに1.5度Cに抑えるためには世界全体の二酸化炭素排出量を45%削減することが必要だとしています。ところが、排出量5番目の日本の政府の目標は2013年比で46%、2010年比では41%で45%より低いため、この引き上げが求められています。
 先進県の長野県の削減目標は60%であります。岩手県は、東日本大震災津波からの復興に10年、11年かかりました。スタートがおくれたのはやむを得ませんが、東日本大震災津波からの復興、そしてコロナ禍からの復興は、一言で言えばグリーンリカバリーだと思います。
 気候危機を打開する新たな豊かな社会を構築していくことが、今後の大きな課題になると私は思いますので、岩手県が、先進県の取り組みをしっかり研究しながら、日本政府の目標を上回り、グラスゴー気候合意にふさわしい目標をしっかり立てて取り組んでいただきたい。
 具体的な課題についてお聞きいたします。
 日本共産党は昨年9月に、気候危機を打開する2030戦略を明らかにし、省エネと再エネで2030年までに最大60%削減する具体的な政策を示しました。
 全国の先進的な取り組みに学び、省エネルギーの思い切った取り組みを具体化すべきだと考えますが、東京都は、都の公共施設に太陽光発電の設置を計画的に進めるとしています。岩手県においても、基本的に可能な全ての公共施設に太陽光発電の設置を計画的に進めるべきではないでしょうか。
○企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 太陽光発電の設置についてでありますが、県では、温室効果ガスの排出削減に率先して取り組むため、岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、県有施設に再生可能エネルギーを最大限導入し、エネルギーの地産地消を推進することとしております。
 昨日から、久慈地区合同庁舎に地域新電力を通じて再エネ由来の電力調達を行うこととしておりますし、令和4年度当初予算案には、約200カ所の県有施設の再生可能エネルギー導入に向けた調査を盛り込んでおり、今後、県全体の施設の適正管理の視点も踏まえ、総務部を初め関係部局と連携して、導入に適した施設から取り組みを進めてまいります。
 日照量や積雪量等、本県の地域特性も踏まえ、太陽光発電も含めた再生可能エネルギー由来の各種発電の利活用も図りながら、省エネルギー対策や再生可能エネルギー導入促進に積極的に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 県の公共施設は、実は、既に学校や庁舎など55施設で太陽光発電が整備されています。古いものもありますから、新しいものにかえる必要があると思いますけれども、私は、岩手県が率先して進めるというのは、自立型の都市を目指すこととあわせて、全ての住宅、事業者に太陽光発電を整備する先導役を果たしてほしいということで、きょうは取り上げました。
 次に、県はこれまで、被災家屋等への太陽光発電の導入を支援してきました。この実績を示してください。
 長野県では、2015年度から、床面積10平方メートル以上の全ての建物を新築する建築主に対して、環境エネルギー性能と自然エネルギー設備の導入の検討を義務化し、84%を超える建物が、国が定める省エネ性能基準を満たし、30%以上の建物で再エネ導入が行われていると明らかにしています。こうした取り組みを岩手県でも実施すべきではないでしょうか。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 被災家屋等への太陽光発電の導入支援についてでありますが、この制度は、東日本大震災津波で家屋等に被害を受けた方を対象として、東日本大震災津波復興基金を財源に、家屋の新築や修繕の際の太陽光発電システム設置経費の一部を補助しているところでございます。
 平成24年4月の制度開始から本年2月10日までの交付実績でございますが、件数は2、583件、導入設備の出力合計は1万2、894キロワットとなっております。
〇県土整備部長(田中隆司君) 建物の新築に係る省エネルギーの取り組みについてでありますが、国からは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅建築物の段階的な省エネ基準の引き上げの方針が示されたところであります。
 県といたしましては、改定を進めている岩手県住宅マスタープランに掲げる住宅の省エネルギー化の推進に取り組むとともに、方針を踏まえた国の基準の見直しの動向を注視しながら、他の自治体の取り組み状況などを把握していきたいと思っております。
〇37番(斉藤信君) 鳥取県では、国の省エネ基準を上回る欧米の基準に匹敵する3段階の住宅向けとっとり健康省エネ住宅性能基準を設置して、意欲的な工務店を支援し、健康省エネ住宅の普及を図っています。令和2年度までの3年間で2、283件、補助額11億9、682万円となっています。
 こうした取り組みに学んで、国の低い基準を超える高断熱の住宅建築を推進し、必要な補助制度を整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(田中隆司君) 高断熱住宅の建築推進についてでありますが、新築住宅については、国では2030年度に、年間の省エネ、再エネを組み合わせてエネルギー収支をゼロにする住宅、いわゆるZEHの基準を確保する方針を示しており、国が示す基準の動向を注視し、高断熱化に向けた研究をしてまいります。
 また、2050年のカーボンニュートラルの実現には、既存住宅の改修による住宅全体の省エネ性能の底上げが必要と考えておりまして、令和4年度当初予算案に新規事業として、いわて住まいのカーボンニュートラル推進事業を盛り込んだところであります。
〇37番(斉藤信君) リフォームに対する助成は見ました。国の基準は世界的に低くて全て問題になりません。鳥取県の取り組みを紹介したので、その程度にとどまらないで、気候危機打開の立場でやっていただきたい。
 気候危機打開の課題は地球環境を守る課題であり、その実現は人類にとって死活的な課題です。同時に、省エネルギー、再生可能エネルギーによる取り組みは新たな社会改造ともいうべき課題で、新たな産業と雇用を拡大する取り組みでもあります。
 知事が先頭に立って、全部局の英知を結集し、さらに県民、事業者一体となった取り組みが必要です。そうした体制を構築すべきではないでしょうか。事務局を担当する課、室の抜本的な強化、拡充が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 県では、全庁横断的に地球温暖化対策を推進するため、知事を本部長とし、副知事、各部局長などで構成する岩手県地球温暖化対策推進本部を設置し、岩手県地球温暖化対策実行計画を着実に進めるため、目標達成に向けた取り組み方針等を決定するとともに、全県的な団体、機関で構成する温暖化防止いわて県民会議において、県民総参加の運動を展開してきたところであります。
 この取り組みにおける推進体制を強化するため、来年度早々から、円滑に関係事業や各般の取り組みに着手することができるよう、既に本年1月に職員2名を配置したほか、来年度、環境生活企画室にグリーン社会推進課長及びゼロカーボンを担当する特命課長を設置することとしております。
 県といたしましては、気候変動に関する情勢が大きく変化している中で、取り組みの充実強化を図ることとしており、知事が先頭に立ってオール岩手での地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 気候危機打開は、まさに県政にとっても中心課題であり緊急課題です。その位置づけでぜひ取り組みを強化していただきたい。
 第4に、雇用の確保、とりわけ県内就職率向上の課題について質問します。
 いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランでは、高校生の県内就職率の目標を84.5%としています。高い目標を設定したことは評価しますが、昨年3月末の県内就職率は71.4%、全国順位は35位、東北では5番目となっています。ことし3月末卒業生の県内就職率は12月末段階で73.4%と前進していますが、84.5%の目標とは大きな乖離があります。人口減少が続く中で、自動車や半導体産業等では求人が増加しています。
 知事は、県立産業技術短期大学校で講演し、岩手県の企業の魅力と県内就職の重要性について話されています。県内就職率の目標達成に向けた決意と具体的な取り組みについてお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県では、自動車、半導体を中心としたものづくり産業の集積が加速し、また、ITや物流を中心に、ものづくり企業以外の立地も活発化しており、こうした動きに対応するための人材確保が急務となっています。
 こうした中、本年3月末の高校卒業予定者の県内就職内定率が平成8年度以降最も高くなっていますが、企業が求めるニーズに応えていくためには、大学生等を含めた地元定着をさらに進めていく必要があり、こうした思いから、先般、県立産業技術短期大学校において、ものづくり産業の集積と若手人材ニーズの高まりなどについての講話を行ったところであります。
 令和4年度は、新たに普通高校の生徒も含めた県内企業等との交流イベントの開催、また、女子学生を対象とした若手社員との意見交換会や職場体験を実施するといった取り組み強化を図るほか、引き続き、小学生段階からの企業見学会やキャリア教育支援などの地元企業認知度向上に向けた取り組みを行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、より多くの若者や保護者等に、県内企業の待遇面も含めた魅力を理解してもらうことに努め、あわせてU・Iターンの取り組み強化を進めながら、産業人材の確保を図ってまいります。
〇37番(斉藤信君) 全国、東北の状況を見ますと、富山県は県内就職率95.2%、福井県は93.8%、石川県は93%となっています、山形県は80.8%、宮城県は80.7%であります。こうした県の取り組みをどう把握しているでしょうか。岩手県の取り組みと何が違うでしょうか。
 岩手県の若年者雇用動向調査によれば、県内に本社を持つ企業を1社も知らない割合が36.6%となっています。地域、地元で頑張っている企業、魅力ある企業の状況を、高校生、大学生はもとより、小中学生のときから学ぶ機会を思い切って強化すべきではないでしょうか。
 もう一つは、労働条件の改善と一体に福利厚生の充実を図ることです。事業所の寮や社宅の整備が首都圏と比べておくれています。外国人実習生のために宿泊施設の整備に県は補助していますが、県内就職を高めるためにも事業所の寮や社宅の整備を推進し、補助すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 北陸3県や山形県、宮城県におきましては、キャリア教育や就職支援を行うアドバイザー等の学校への配置、地元企業ガイダンスの開催、求人開拓、定着率向上のための高校教員の企業訪問などを行っていると承知しております。
 これらの取り組みを参考に、本県では、これまでの就業支援員に加え、令和3年度から、新たに県内就業・キャリア教育コーディネーターを広域振興局に配置するなどの取り組み強化を図っていますが、引き続き、先進事例の活用やこれらの地域の高校生の就職実態の分析なども行いながら、より効果的な取り組みの構築を進めてまいります。
 若者の県内就職の促進に向けましては、小中学生の段階から地元の企業を知ってもらうための取り組みを展開しつつ、高校卒業後に岩手県を離れている期間におきましても、県内企業の魅力や就職に関するイベントの開催、情報発信を切れ目なく行い、岩手県から心を離させないようにしていくことが重要であると考えております。こうした考え方のもと、小学生に対しましては身近な職場の見学、中学生に対しては職場体験活動などを行い、地元企業と触れる機会を創出しています。
 また、各地域ものづくりネットワークと連携した小中学生を対象とした企業見学会や出前授業、ものづくり体験教室を実施し、保護者等を含めて地元企業の認知度向上に努めております。
 今後、市町村と連携して、こうした取り組みに参加する学校をさらにふやし、また、地元企業にも幅広く受け入れを働きかけていくとともに、令和4年度は、新たに民間企業と連携した小学生向けの仕事体験イベントを開催することとしており、こうした取り組みを通じて、長期的に県内就職につながる施策の強化を図ってまいります。
 事業所の福利厚生の充実でございますけれども、県内就職率の向上やU・Iターンの促進を進めていくためには、若者や子育て世代の暮らしやすさを確保していく必要があり、こうした方々が生活をする上での負担となっている住宅費や通信環境の整備に要する費用の軽減を図っていく必要があると考えております。
 こうした考えのもとに、県では、令和2年度にワーキンググループを設置して、若者向けの住宅費用や移住費用の負担軽減に関する支援策の一体的な検討を進めてきたところであり、今後も人口減少対策の一環として検討を継続することとしています。
 令和4年度においては、結婚、子育て世代が空き家を取得して必要となる改修を行う場合の支援等も行うこととしており、今後、こうした取り組みを民間企業と連携して進めることを含めて検討を行ってまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) ぜひ、84.5%という高い目標を掲げたわけですから、それを達成するために、それにふさわしい取り組みを全国の先進的取り組みに学びながらやっていただきたい。
 第5に、教育の課題について質問いたします。
 県立福岡工業高校と県立一戸高校の統合問題について、県立福岡工業高校の入学者と資格取得などの実績を示して統合計画の見直しを求めてきました。来年度入学試験の志願者数が明らかになりました。県立福岡工業高校は推薦1名、志願者数は61名で、今年度の入学者を超える状況となっています。
 私は、先日、県立福岡工業高校を訪問して、今年度の生徒の取り組みを聞いてまいりました。ジュニアマイスターの特別表彰が5名、ゴールド認定13名を含め33名が認定され、国家資格取得でも延べ227名が合格するなど、すばらしい実績を上げています。
 二戸市の教育長にもお聞きしました。二戸市では、市の広報で県立福岡工業高校と県立福岡高校の魅力を継続して紹介するとともに、県立福岡工業高校の実績、魅力を紹介するパンフレットの作成を補助し、さらに、4月からは通学費の2分の1補助を実施します。予算は約1、000万円ということであります。
 教育長に質問します。県立福岡工業高校の志願者の状況と生徒のすばらしい実績、二戸市の並々ならない取り組みをどのように評価しているでしょうか。こうした実績と取り組みを無視する統合計画は、見直すべきではないでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 県立福岡工業高校と県立一戸高校の統合についてでありますが、今後、入学者選抜が行われた後に入学者の状況等を分析する予定でございますが、県立福岡工業高校への志願動向に関しては、同校における資格取得の実績等に加えまして、議員の紹介にありましたとおり、二戸市による学校の魅力発信や通学支援の取り組みによる面も推察されます。こういった取り組みで地域と学校の連携、そして協働が進んでいるものと捉えております。
 一方で、二戸ブロックの全ての高校では、大幅な欠員が生じているところです。また、統合を予定している令和6年の同ブロックにおける中学校卒業予定者数は、ことしの413人に比較して約16.5%減の345人となる見通しであります。また、その後も減少傾向にあり、令和12年、これは現在の小学校1年生でありますが、300人を切る見通しとなっております。
 県教育委員会としては、地域の関係する方々との丁寧な議論を重ね、二戸ブロックにおける専門教育の拠点となる学校を整備することにより、県立福岡工業高校、県立一戸高校の両校にある農業、工業、商業、福祉の専門的な学びをブロック内に確保しながら、各校の実績や成果を継承するとともに、それぞれの学びの連携等も通じて、地域や地域産業を支える人材の育成を図ってまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 教育長の答弁は本当に残念であります。これだけ県立福岡工業高校の学校、生徒が頑張って、二戸市も取り組んで、2年連続で2学級規模を維持して、すばらしい実績を上げている、これに背を向けるということはないと思います。県北唯一の専門高校、2学科を維持しなかったら専門高校を維持できないのです。今のような資格取得ができないのです。
 私は、本当に血も涙もない―高校再編というのは、高校生の学びを保障し、地域の人材確保なのです。それに貢献している高校をなぜ縮小、統合しようとするのか。あしたの文教委員会でまた聞きます。
 次に、県立不来方高校バレー部員が2018年7月3日に自死してから3年8カ月が経過しました。第三者委員会の調査報告書が出されたのが2020年7月22日であります。1年7カ月余かけた調査報告書では、顧問教師による長期にわたる執拗な暴言、叱責が明らかにされ、顧問の叱責や発言が自死に至った要因とされました。あわせて、学校、県教育委員会の対応の問題点も指摘されました。
 顧問教師による暴言、体罰は、前任校である県立盛岡第一高校でも行われ、顧問と学校がそれを否定したために裁判に訴えられました。その結果は、判決において、顧問教師による暴言、体罰が認定されました。
 体罰を否定していた顧問とそれをうのみにしてきた学校、県教育委員会の責任は重大ではないでしょうか。調査報告書と裁判の結果について、教育長はどう認識され、何を反省しているのか示してください。
〇教育長(佐藤博君) 第三者委員会の調査報告書では、当該校の事案発生に至るまでの学校及び県教育委員会の対応について、顧問教諭への指導や裁判情報の共有などの面で不足した点があったとの指摘がされているところです。
 また、当該顧問教諭による前任校での不適切指導について提起された民事訴訟の判決では、顧問教諭の言動が、人格を否定し、またはおとしめるものであり、教員としての裁量を超えた違法な行為であるとされたところです。
 調査報告書の提言を受けまして、現在、再発防止岩手モデル策定委員会におきまして、前任校の事案から当該校の事案が発生するまでの学校及び県教育委員会の対応について、調査、確認を行っているところです。
 これまでに行った調査、確認の中で、前任校の事案について、学校による顧問教諭の指導内容の確認が十分でなかったこと、県教育委員会による積極的な実態把握や学校への指導、助言が行われなかったことなどが明らかとなっています。
 顧問教諭による一連の不適切な部活動指導について、学校及び県教育委員会は、正確な事実の認識ができず、当該顧問教諭への指導が十分なものとならなかったことについて、大変重く受けとめております。
〇37番(斉藤信君) 重大なことは、顧問による暴言、体罰の実態に、県教育委員会が目を塞いできたことであります。
 仙台高裁の審理で、被害生徒の後輩が、顧問による異常な体罰、暴言の実態を具体的に証言した陳述書が提出されました。県教育委員会は反論しませんでした。どういう暴言、体罰が述べられていたのでしょうか。その事実になぜ向き合わなかったのでしょうか。そのことが、県立不来方高校での自死事件につながったのではないでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 前任校の事案に関して裁判所に提出された陳述書には、被害生徒の同級生部員が何度もびんたされたことや、当該被害生徒の卒業後も、後輩部員への平手打ち、髪をつかまれ壁に激突させられる、ボールや鍵を投げつけられるなどの行為があった旨、記載されていたと承知しております。
 県教育委員会では、平成30年6月に当該陳述書を受理していますが、その訴訟上の対応について検討していたところ、7月に自死事案が発生し、その後、御遺族からの御要望をいただいて、御遺族や関係者との協議を経て、第三者委員会の設置及び調査が進められてきたものです。
 第三者委員会の調査報告書では、自死事案の発生の一因として、前任校の事案の詳細が当該校に共有されず、顧問教諭に対する管理、指導が不十分なものにとどまったことが指摘されており、県教育委員会としては、陳述書に記載された行為についての事実確認も必要と認識しております。
 そのため、現在、顧問教諭の処分に向けた調査の中で、当該陳述書に記載された内容について関係者への確認を進めているところであります。
〇37番(斉藤信君) 私が先ほど言ったように、自死事件から3年8カ月経過しているのです。そして、今取り上げた陳述書は平成30年6月に出されました。私も読みましたけれども、すさまじいものです。この陳述書は、そういう暴言、暴力が、県立盛岡第一高校、前任校で恒常化していたということです。あなた方が、反論もしないでこれを認めたとしたら、事の重大性がわかったのではないでしょうか。
 この陳述書に見られる暴言、体罰にあなた方は目を塞いだのではないかと私は先ほど指摘しました。そのことについてどうですか。
〇教育長(佐藤博君) 当時の対応についても現在調査、確認を行っているところでございます。それらを通じて、改めて対応等についても検討してまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 自死事件から3年8カ月です。調査報告書が明らかになってから1年7カ月が経過しました。なぜ顧問教師はいまだに処分されないのでしょうか。これまで明らかになった事実だけでも、免職に値する事件ではないでしょうか。顧問教師は弁護士を立てているようですが、調査に協力しているのでしょうか。どれだけ顧問教師の聴取は行われているのですか、示してください。
〇教育長(佐藤博君) 懲戒処分等の措置の手続におきましては、通例、主たる非違行為のほかに同様の行為等がないか確認することとしております。
 本事案に関しては、前任校の事案で一度処分したことや、その事案の裁判において、ほかにも平手打ちなどがあったとする書証が示されていることを踏まえ、前任校赴任時までさかのぼって、元部員等多くの関係者を対象として調査を行っているため時間を要している状況にございます。
 第三者委員会の調査報告書では顧問教諭の不適切な言動が明らかにされておりますが、当該報告書は、法的責任や特定個人の責任を問うものではないとされております。処分に向けては、処分権者である県教育委員会が、改めて関係者に対して事実関係を調査し、現在その作業を進めているところでありますが、できるだけ早期に判断するよう取り組んでいきたいと考えております。
 なお、顧問教諭に対する聴取でございますが、弁護士を立ち会わせて行いたいという申し出もありますが、その聴取の進め方については協議が調っておりますので、準備が整い次第、これから実施することとしております。
〇37番(斉藤信君) 事実の確認と言いますけれども、私が先ほど紹介した後輩部員の陳述書、これだけ重大な事実が出されて、これが確認されたら、それだけでも免職に当たるじゃないですか。
 改めて紹介します。髪をつかまれて壁に激突させられた、体育館の壁に3回ほど頭を打ちつけていました。先生は、てめえなどと怒鳴っていました。同じく、髪をつかまれて壁に投げつけられたことがありました。平手打ちと言いますけれども、こういう平手打ちですよ、30分ぐらい、繰り返し繰り返し怒鳴りながら平手打ちをしていました。先生の怒鳴り声とパチンパチンという音が響き渡り―怒鳴られながら平手打ちを受けていた。この本人は、3発思いきり平手打ちされた。日常の練習でボールを顔にぶつけられることがあった。こういう暴力なのです。隅から隅に調査することではなくて、重大な、本質を突くような暴言、暴力の実態を明らかにして速やかな処分をしなくてはならない。3年8カ月も経過してはだめです。
 それで、どれだけ顧問教師の聴取をしたのか、わずか2回です。それも事件直後だけです。顧問教師に3年数カ月も聴取をしていないのです。調査にならないのではないですか。これは県教育委員会の怠慢ですよ。速やかにと言うけれども、どう速やかにやるのですか。いつまでにやるのですか。
〇教育長(佐藤博君) 先ほども答弁しましたように、処分の措置の手続におきまして、通例、主たる非違行為のほかに同様の行為等がないかどうか確認する必要がございます。それで、前任校赴任時までさかのぼって、元部員等の多くの関係者を対象にということで作業を進めております。鋭意、今調査等を進めておりますので、その作業の進捗状況にもよりますけれども、先ほど申し上げましたように、できるだけ早期に判断するように作業を進めていきたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 沖縄県の高校で、先生の叱責によって1月末に自殺した問題がありました。この処分は7月に行われています。半年ちょっとです。これは叱責で自殺に追い込まれたものです。
 県立盛岡第一高校事件で、日常的な暴言、暴力をやって、県立不来方高校で自死まで追い詰めた。この顧問教師が、なぜ今も教師として存在しているのか、このことに遺族や被害者は強い怒りを持っています。県教育委員会の姿勢がそこに示されているのではないか。
 この顧問教師に幾らの給料を払っているのですか。3年8カ月の給料総額は幾らですか。私は本当に、ここから見ても税金の無駄遣いじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
 2回しか聴取をやっていないのは、県教育委員会がやっていないのか顧問教師が断っているのか、どちらですか。このことを示してください。
〇教育長(佐藤博君) まず、年収等ということでございますが、これは、県人事委員会が公表しております資料に基づいて試算した場合、年収として630万円ほど、それから、事案発生後から現在まで3年8カ月に及ぶわけですが、これも概算になりますが2、300万円程度と見ております。
 そして、当該顧問教諭に対する聴取でございますが、御指摘のとおり、2回というのは事案発生直後に行っております。その後、私ども第三者委員会に調査報告書の取りまとめをお願いしまして、一昨年の7月22日に報告書の提出をいただきました。その内容等を確認し、その後、当該顧問教諭に対して聴取をするということで進めてまいりました。
 その間、どのような形での聴取対応となるか、そこの調整には若干時間を要したところであります。それが、弁護士立ち会いのもとというようなことで申し入れがありまして、そして今般、聴取に対応していただけることになって、これから対応してまいるところでございます。
〇37番(斉藤信君) 私は、本当に県立盛岡第一高校の事件、県立不来方高校の事件、学校と県教育委員会の対応が今も問われている、このことを厳しく指摘しておきます。あしたの常任委員会でもまた聞きますが、本当に責任感を持って、速やかに、県教育委員会の姿勢を示せるようにしていただきたい。
 最後に、警察本部に係る諸課題について質問いたします。
 県警察本部職員の不祥事について質問します。この5年間の懲戒処分となった件数、免職となった件数とその中身、訓戒、注意を含めた不祥事の件数と主な内容を示してください。
〇警察本部長(森下元雄君) 過去5年間の懲戒処分についてでありますが、平成29年に5件、平成30年に3件、令和3年に4件の計12件となっております。
 このうち免職となったものは3件となっており、平成29年に異性に対する信用失墜事案で1名を、平成30年に職務放棄事案で1名を、令和3年に大麻取締法違反事案で1名を、それぞれ免職処分としております。
 なお、令和元年、令和2年は、懲戒処分者はありませんでした。
 次に、過去5年間の懲戒処分に至らない訓戒、注意についてでありますが、67件を措置しております。
 主な内容につきましては、不適切な異性交際が12件、パワーハラスメントが10件、信用失墜事案が5件、交通事故関係が5件、セクシュアルハラスメントが4件などとなっております。
〇37番(斉藤信君) この5年間で、女性に対する信用失墜行為や強制わいせつ事案など3件の免職、停職、減給の事案がありました。訓戒、注意の件数を見ると、不適切な異性交際が12件もありました。そのほかにセクハラ、パワハラ事案もあります。
 公安委員長に質問します。こうした事態は、県警察本部の体質、ジェンダー平等に反する異常なことだと考えますが、公安委員会として報告を受けているでしょうか。公安委員会として協議し、適切な指導をしているでしょうか。県警察本部におけるジェンダー平等実現の取り組みはどうなっているでしょうか、示してください。
〇公安委員会委員長(石川哲君) 最初に、非違事案に対する公安委員会の対応についてでありますが、非違事案発生に際しましては、その都度、県警察本部から報告を受けており、その際に、発生の経緯、背景等について説明を求め、委員間の協議を行い、個別の事案に応じた再発防止等について指示しているところであります。
 次に、県警察本部におけるジェンダー平等実現の取り組みについてでありますが、県警察本部では、男女を問わず、さまざまな事情を抱える職員が、仕事と家庭を両立し、有能で意欲ある人材を活躍させるための取り組みの一層の推進を図るため、岩手県警察における次世代育成支援及び女性職員の活躍推進のための行動計画を策定し、警務部長を責任者とする女性職員施策検討推進チームにおいて、女性職員の活躍及び全職員のワーク・ライフ・バランスに関する施策を推進しているとの報告を受けております。
 また、公安委員会といたしましても、女性職員との意見交換を行っており、引き続き、女性職員活躍等のさらなる推進を図るため取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 今の答弁で、私が指摘した女性にかかわる異常な事件、懲戒処分でも訓戒、注意でも、これだけ出ているということは、ほかの職場と比べても異常じゃないかと思います。その点についての認識を公安委員長に聞いたのです。公安委員長は、これだけの事件が起きていることについてどう受けとめていますか。
〇公安委員会委員長(石川哲君) 確かに、議員がおっしゃるとおり、残念ながら性的な問題を抱えている職員がいるということは、認識せざるを得ないと思っております。
〇37番(斉藤信君) 認識せざるを得ないではだめです。異常な事態に対して対応するのが、私は公安委員会の責任だと思います。
 昨年9月には、大麻取締法違反で県警察職員が懲戒免職処分となりました。許されないことです。覚醒剤事犯、大麻事犯の検挙件数、検挙人員の推移を示してください。
 改めて質問しますが、岩手医科大学元教授による覚醒剤疑惑事件は、捜査されたのでしょうか、されなかったのでしょうか、示してください。
〇警察本部長(森下元雄君) 覚醒剤事犯及び大麻事犯の検挙件数及び検挙人員についてでありますが、過去5年の推移についてお答えいたします。
 覚醒剤事犯の検挙件数、人員は、平成29年が24件、17人、平成30年が33件、24人、令和元年が29件、19人、令和2年が37件、24人、令和3年が33件、22人であります。
 大麻事犯の検挙件数、人員は、平成29年が11件、9人、平成30年が9件、7人、令和元年が18件、14人、令和2年が19件、14人、令和3年が18件、9人であります。
 また、お尋ねの岩手医科大学の関係でありますけれども、個別の事案を捜査しているか否か、あるいはその捜査状況など具体的な事柄については、答弁を差し控えさせていただきます。
〇37番(斉藤信君) 昨年9月3日に県警察職員からも、大麻取締法違反事案で免職処分されています。深刻なことです。薬物事犯というのは初動捜査が決定的なのです。捜査したかしていないかという点は、初動捜査していないのではないですか。初動捜査していたらすぐわかる話なのです。覚醒剤を打たれた女性が打たれたと告発したのです。それを初動捜査しなかったでしょう。そして、この教授は翌年3月に退職しているのです。罪を認めたようなものです。そして、挙げ句の果てに、その職場に当時の刑事部長が再就職をした。もみ消したと言われても仕方ないではないですか。
 初動捜査したのですか、しなかったのですか。何年間も捜査したかしないかわからないというのは答弁にならない。覚醒剤事犯というのはどうやるのですか。
〇警察本部長(森下元雄君) 薬物事犯の捜査を含め、いかなる事案であっても、捜査をしている、していないを含め捜査状況を明らかにすることは、捜査の手のうちをさらし、被疑者の逃走や罪証隠滅など捜査に支障が生じるおそれがあると考えております。
○37番(斉藤信君) あなたはやらなかったと手のうちをさらしているのです。客観的にはそういう答弁なのです。私はそのことを厳しく指摘したい。
 公安委員長も、県民の信頼を裏切るようなことはやらないということで責任を果たしていただきたい。
 終わります。(拍手)
〇副議長(小野共君) 以上をもって斉藤信君の一般質問を終わります。
 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第2号令和4年度岩手県一般会計予算から日程第67 議案第67号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇副議長(小野共君) この際、日程第2、議案第2号から日程第67、議案第67号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので発言を許します。高田一郎君。

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