令和4年2月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(千葉秀幸君) 希望いわての千葉秀幸でございます。当選後、早くも4度目の登壇の機会を与えていただいた先輩、同僚議員の方々に心から感謝いたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大がとまりません。まずは、関係している全ての方々に感謝を申し上げますとともに、現在感染され、自宅療養を含め入院されている方々の、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 このウイルスが猛威を振るってからの数年、新型コロナウイルス感染症対策一辺倒に世界中が追われ、心を傷つけられた方が多い中、その逆境を乗り越え、人々に明るい話題を届けていただいたニュースも数多くあったのも事実であります。
 今後、コロナ禍を乗り越え、あるいは共存していかざるを得ない場合であっても、本県が、これまで新型コロナウイルス感染者数が全国で4番目に少ないことでおわかりのとおり、引き続き、県民一丸となって魅力ある岩手をつくってまいることを強く望んでおります。そのためにも、我々議員と当局の方々が両輪となって取り組んでいく必要があると考えることから、当局の方々には、前向きな明るい未来ある答弁を御期待申し上げます。
 初めに、令和4年度当初予算案についてお伺いいたします。
 先月、コロナ禍を乗り越え復興創生をデジタル、グリーンで実現すると題し、令和4年度の本県の当初予算案が示されました。予算規模は、令和3年度の8、105億円に比べ、令和4年度は7、922億円と182億円の減となっております。震災分を除く歳入の内訳を見ると、地方交付税が11億円減少するほか、実質的な交付税である臨時財政対策債が252億円の減と大幅に減少しております。
 一方で、県税を見ると、昨年度の令和3年度の1、217億円に比べ、令和4年度は1、307億円と91億円の増となっております。これは、一部大手企業の法人事業税の増であります。
 今回注目すべき点は国からくる交付税の減の部分であり、それは本県の人口減に歯どめがかかっていないことを意味しております。
 そこでお伺いいたします。まずは、これらの現状から、令和4年度は財政調整基金から121億円程度取り崩す実態をどう分析し、評価されているのか、また、翌年度以降も基金を取り崩さざるを得ない状況が続いた場合、本県が直面する危機を県はどう理解しているのかお伺いいたします。
 そんな中、令和4年度当初予算案における主な取り組みとして、人口減少社会への対応、デジタル化の推進、グリーン社会の実現の三つの重点テーマの推進を掲げられましたが、これらの推進を柱とし、期待される成果を県はどのように考えているのかについてもお伺いいたします。
 さきに申し上げたように、財政調整基金は、歳入の急激な減少や非常時における歳出増など財源不足の調整に備え年度を越えて積み立てておく、いわば自治体にとっての貯金のようなものですが、本県では、当初予算編成において財源不足を解消するため、毎年度、慢性的に取り崩しております。
 ちなみに、今年度の2月補正予算案を踏まえた令和4年度末の財政調整基金残高は226億円であり、令和4年度当初予算案の121億円と同等の金額を取り崩した場合、2年を待たず財政調整基金は底をついてしまいます。
 新型コロナウイルス感染症対策関連だけ見ても、感染拡大第6波以降の対応、冷え込んだ景気の回復策、県民に対する生活支援など、この先も緊急の財政出動が予想され、非常時に県民の生命、財産を守るためには、柔軟かつ迅速に財政出動ができるような備えが不可欠だと考えます。
 私は、県が財政調整基金について一定の残高を確保、維持していく目標を設定して取り組むことが望ましいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、医療人材の確保についてお伺いいたします。
 昨年の一般質問でも触れたように、医師が都市部に集中する偏在問題で、厚生労働省は、新たな指標をベースに都道府県や地域別の偏在状況を数値化し、医師の総数は全国で32万7、000人と過去最高を更新している一方で、都市部と地方の格差が鮮明であることが示され、本県は、人口や診療需要に対して十分な医師数を確保できていない医師少数県となっていることが明らかになりました。
 とはいえ、東日本大震災津波後からの岩手県への関心も高まり、岩手県立大学看護学部や私立看護学校の卒業生の医療現場への県内就職率が微増していることも事実であります。
 これまで県財政を投じている岩手県立大学看護学部に着目し県内定着率を見てみると、令和3年度の入学者92名のうち、県内入学者は62名、割合にすると67%、県外入学者は30名の、33%であります。出口の卒業者を見てみると、県内就職者は、令和2年度86名のうち39名と45%程度にとどまっております。一方で、県内の私立の看護学部及び看護学校への入学者は、令和3年468名中、県内入学者は380名、卒業者の県内就職者が、449名中293名の、65%と、約7割の方が県内就職をされております。
 岩手県立大学看護学部もさることながら、高い学費を払いながら県内定着率が高い私立の看護学部及び看護学校の重要性と、公立である岩手県立大学の県内就職率についての県の御所見をお伺いいたします。
 看護学生が、在学中に県内の県立病院等で研修を重ね、その現場を見て就職先を検討していく中において、本県の研修先である県立病院等は、現場の医師が少ないこともあり、研修生に向き合う時間もままならず、そこにはいい光景が生徒には映らず、結果、県内の病院への不信感が生じ、県内病院から目を背けざるを得ない環境をつくり出しているということも、先生や生徒との意見交換から浮き彫りになってまいりました。
 これは県内の定着率が上がらないことの大きな要因とも考えますが、現在の看護学生の研修体制について、これらの現場の意見も踏まえた御所見をお伺いいたします。
 次に、医師の働き方改革についてお伺いいたします。
 昨年5月、改正医療法が成立し、それに伴い、医師の時間外労働規制も大きく変わろうとしております。改正の趣旨を説明すると、良質かつ適正な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する観点から、医師の働き方改革、各医療関係職種の専門性の活用、地域の実情に応じた医療提供体制の確保を進めるため、長時間労働の医師に対し医療機関が講ずべき健康確保措置等を講ずるということであります。
 具体的改革としては、医師に対する時間外労働の上限規制の適用が開始される令和6年4月1日に向け措置を講ずる。1、勤務する医師が長時間労働となる医療機関における医師労働時間短縮計画の作成。2、地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度の創設。3、当該医療機関における健康確保措置の実施等が挙げられております。
 そこでお伺いいたしますが、本県では、岩手医科大学から毎月450名程度の非常勤医師が県内外に派遣されておりますが、これらの働き方改革により、現在の広域な本県をカバーする医師の派遣が困難になることも想定されるわけですが、これら医師の働き方改革により想定される本県の課題も含め、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、地域医療確保暫定特例水準、すなわち連携Bに位置づけることで、これまでどおりの派遣も可能となる場合もあるやに伺っておりますが、まずは、現在派遣している医師の夜勤や宿直等を含めた勤務実態をお示し願います。
 あわせて、一定事情から年960時間を超えている医師もいると考えられることから、速やかに医師労働時間短縮計画の作成を行い、医師を引き続き派遣できる体制を整えていく必要があると考えますが、現在の作成状況とその後の派遣体制の見込みについてもお伺いいたします。
 また、この医師の働き方改革には、2035年には暫定特例水準の解消、つまり特例を設けず医師一律の勤務時間を年960時間とすることを目標にする考えであることも示されております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このことから、本県の医療を守るためにも、今後、より一層の働き方改革を進めていくとともに、医師不足の改善に向けて力を注ぐことが重要であり、かつ急務であると考えますが、県の医師確保計画も含め御所見をお伺いいたします。
 とはいえ、この制度には労働時間の換算に、宿直等で仮眠をしている時間、あるいは日常業務のほかに新たな医療についてのさまざまな勉強時間等も含まれた場合、年1、860時間を優に超えてしまう場合も大いに想定されます。
 このことから、同様の課題を持つ医師少数県12県の知事とともに、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の会長を達増知事が務められていることから、ぜひ、知事が牽引役となり、これらの課題に柔軟な対応を求めるよう国に提言していく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、周産期医療についてお伺いいたします。
 これも昨年の一般質問で取り上げさせていただきましたが、県内の分娩取扱医療機関は、平成23年の39施設から、令和2年には25施設と大幅に減少している中、野原保健福祉部長より、引き続き周産期母子医療センターを初めとした分娩取扱医療機関の連携を進め、医療提供体制の強化を図るとともに、周産期における救急搬送体制の強化や市町村と連携してハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業などの取り組みにより、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいりますとの答弁を頂戴したところであります。
 その半年後の先々月、地元奥州市では、唯一分娩を取り扱っていた開業医が、今月末でお産を取りやめることがマスコミで報道され、分娩可能な施設がいよいよゼロになり、県内の分娩取扱医療機関は22施設になります。これにより、地元では多く不安の声が寄せられ、波紋が広がっております。
 そこでお伺いいたします。まずは、この現状をどう捉えているのか、また、今後、妊婦が安心して出産できる周産期医療体制の充実に努めるためにどう対策を講じていくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
 現在の妊婦、出産に係る支援として、自宅等から総合周産期母子医療センター、または地域周産期母子医療センターまでの移動が困難な距離にあるハイリスク妊産婦について、市町村が妊婦に助成した交通費や宿泊費の2分の1を県が補助するという制度があります。
 しかし、分娩施設までの移動距離や現在の分娩体制を踏まえれば、ハイリスク妊産婦のみに限らず、中、低リスクの妊婦への交通費や宿泊費の補助など制度を拡充する必要があると強く求めるものであります。改めて、本県の現状と課題も含め県の認識をお伺いいたします。
 私なりに、これまで子育て経験のある方、現在の妊婦にお話を伺ってまいりましたが、特に、1人目の出産予定である妊婦にとっての一番は、不安であるとのことです。それらを払拭すべく、本県でも遠野市、大船渡市、陸前高田市、住田町、普代村において、市町村在住の妊産婦及び育児中の保護者の方を対象に、スマートフォンアプリLINE等を活用し、医師、助産師から無料で医療健康相談を受けられるサービスを導入しております。
 しつこいようですが、分娩体制に課題を抱え、妊婦の時間外外来もない本県にとって、オンライン等による相談体制を整えることは重要であります。ましてや、いつ、どこで、どう容体が変わってくるかもしれない妊婦をサポートしていくためにも、24時間コールセンター等を設け、安心につながる体制を整備する必要があると考えますが、これらの提案も含め県の認識をお伺いいたします。
 次に、水田活用の直接支払交付金の見直しについてお伺いいたします。
 この交付金の来年度以降の運用見直しについては、非常に不安の声が広がっております。最終的には国が決定するところでありますけれども、農業県である本県にとって、しっかりと生産者の思いを受けとめて、国に発信していただきたい、そんな思いから質問させていただきますが、まずは冒頭、令和4年産米について伺います。
 現在、本県の令和3年度の主食用米以外の飼料用米や加工用米の水稲の作付状況は8、233ヘクタールであり、そのうち飼料用米の作付面積は4、683ヘクタールとなっております。飼料用米は令和元年に3、724ヘクタールですから、飼料用米の作付がふえていることがわかりますが、主食用米には、かつてない在庫が積み上がっている状況にあります。
 国では、来年度の主食用米の需要見通しについて、初めて全国で700万トンを下回る692万トンとなる見通しを示し、令和4年産米の作付面積は令和3年産よりも全国で26万トン、面積にして3万9、000ヘクタールの作付転換が必要と示されました。
 県内においても、これまで生産者の皆様に作付転換に応じていただいておりますが、恐らく令和3年産並みの作付転換が必要になるだろうと考えます。まずは、令和4年産の本県における作付状況はどのようになっているのかお伺いします。
 また、昨年の米価下落を受けとめ、令和4年産米の生産について、県としてどのような考え方で取り組みを進めていくのか、本県はどのようにして需要と価格の安定に努めていくお考えかお伺いいたします。
 昨年12月に水田活用の直接支払交付金について、従来の内容と大きく異なる令和4年度以降の見直しが農林水産省から示されました。
 昭和45年から、いわゆる減反政策が始まり、米余りを打開するためにほかの作物に転換することが政府の方針として進められてきました。それ以来、本県は、他都道府県よりも積極的に転作に応じ、転作率は高く推移していると承知しております。
 そういった農業従事者が努力を重ねているにもかかわらず、今回示されたその主な内容は、まず、交付金対象として、令和4年度から向こう5年間、水張りを一度もしなかった農地は交付対象外とする。戦略作物助成について、多年生牧草は、収穫のみを行う年の助成を10アール当たり3万5、000円から1万円に減額する。産地交付金については、転作作物拡大加算、高収益作物等拡大加算、飼料用米米粉用米の複数年契約の内容を見直す等さまざま言われております。
 そこで、この制度に伴う現場の実態を明らかにすべく、地元の方々と意見交換を行ってまいりました。すると、示された見直しが本当に来年度始まるのであれば、経営が成り立たないのではないか、離農者がふえ耕作放棄地が拡大するとの大きな不安の声が広がっております。
 私の地元の影響額の試算では、奥州市全体の牧草を含む飼料作物作付面積は12万8、039アール、3億409万4、050円の減少見込み、水張りが行われない可能性のある農地は、令和9年以降に17万2、203アール、4億2、717万3、084円の減少見込みとなっております。ある生産者に言わせれば、この見直しが本当に実施されるのであれば、我が町の稲作農家はみんないなくなってしまうと懸念の声が寄せられております。
 もしこの交付金の対象外となった農地がふえた場合、農地の資産価値が下落し耕作放棄地がふえることも懸念されます。耕作放棄地がふえれば、今でも話題になっておりますけれども、熊やイノシシなどの有害鳥獣がもっと人里に近いところに出てくることを誘発することにもつながりかねないと考えます。
 また、今後5年間水張りをしないことを条件に交付対象外になることについて、限られた期間の中で水張りの有無をチェックするには、地域再生協議会の人員確保等が問題になってくると考えます。
 そもそも今回の見直しは政府による離農促進策だ、耕作放棄促進策であるという極めて厳しい声も私のもとに寄せられているところであります。また、見直しのタイミングが余りにも唐突過ぎであり、とても対応できるものではないと考えますし、何よりも、政府の方針に従って転作を積極的に進めてきた水稲農家にとっては、裏切られた気持ちが強くあると思います。
 県は、岩手県農業再生協議会の構成員でもありますし、米の生産目安の設定を初め、本県稲作の方針決定に大きな権限を持つものであります。各市町村、農業団体、生産者等の関係団体と一致結束をして、稲作を初めとする本県農業が持続的に発展するように努めていく責務を負っているものと考えます。
 今回の見直しの内容並びに本県への影響に関し、県はどのような認識を持ち、どのように対応していくお考えか、知事にお伺いいたします。
 次に、学校現場におけるICT活用についてお伺いいたします。
 文部科学省は、令和4年2月9日時点での全国の公立幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校における特定の学年、学級の臨時休業を行っている学校、学校全体の臨時休業を行っている学校を集計し、2月18日付で調査結果を公表いたしました。
 その結果、学校全体の臨時休業を行っていたのは、小学校545校、中学校68校、高校19校、幼稚園70校、特別支援学校15校の計717校、学年閉鎖や学級閉鎖を行っていたのは4、895校であり、学校種別では小学校が最も多く3、353校でした。
 この状況は本県においても例外ではなく、令和4年2月24日現在、全校の臨時休業は、小学校66校、中学校43校、高等学校29校、特別支援学校8校の合計146校、学年閉鎖や学級閉鎖を行っていたのは211校でした。その中でも、小学校の休業や学級、学年閉鎖が177校あり、全体の50%であります。
 今後、クラスターを抑え込むことはもちろん、同時に学びの場も確保していかなくてはなりません。本県では、小中学校への全児童生徒1人1台端末の整備が完了し、今年度から順次本格運用を開始していると伺っております。県立高等学校においては、全体の7割となる1万5、980台の整備が完了し、今後、個人生徒が保有している3割の端末と併用することで、1人1台端末環境を整えていくこととしております。
 そこでお伺いいたします。さきに述べたように、学校における休校が相次いでいること、また、今後も新型コロナウイルス感染症の感染拡大による休校を余儀なくされた場合も想定し、ICTを活用した自宅でも学べる環境の体制整備が求められると考えますが、現在の活用状況も含め御所見をお伺いいたします。
 令和4年1月末時点での臨時休業等の非常時における端末の持ち帰り学習の準備状況調査で示された新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業状況及びICTの活用環境調査等の結果並びにやむを得ず学校に登校できない児童生徒等に対する学習指導についてのデータを見ると、準備済み率が、全国平均で、小学校95.2%、中学校95.2%、平均で95.2%に対し、本県は、小学校77.4%、中学校79.9%、平均で78.3%と、それほど低い数字には感じないものの全国ワーストという結果でありました。つまり、全国同様にタブレット端末が配布されているにもかかわらず、本県はそれを最も活用できないということが明らかになりました。
 新型コロナウイルス感染症の影響により前倒しで予算を組み、整備を進めたにもかかわらず、このような調査結果となった原因をどう分析し、今後の有効活用を図っていくのかお伺いいたします。あわせて、自宅等の多様な通信環境に対して、どう対策を講じ対応しているのかについてもお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症についてお伺いいたします。
 本県でも感染者の発生がとまりません。本年1月8日にオミクロン株による市中感染が複数確認され、かつてない水準にまで新規感染者がふえ、感染防止対策が喫緊の課題となっております。
 県はこれまで、岩手警戒宣言や岩手緊急事態宣言により、感染リスクの高い場所への外出の自粛、感染が拡大している地域との往来の慎重な判断、学校行事や部活動における対策の強化など、県民の行動抑制を含む強い感染対策をお願いしてまいりました。その成果もあり、全国の直近1週間10万人当たりの新規陽性者数は、2月27日現在、全国で11番目に低い176.4となっております。
 感染者は増加しているものの、他県との比較では、比較的感染者を低水準に抑え込めている現状をどう評価されているのか、県の御所見をお伺いいたします。
 また、一方では、本県の感染者の特徴は、幼稚園、小中学校の学校関係のクラスター、最近では高齢者施設のクラスターもふえてきております。
 学校での感染対策の再徹底を図るとともに、今後、学びの場も確保する観点から、濃厚接触者をしっかりと特定した形の検査と柔軟な対応が求められると考えますが、今後の対策を含めた県の考えをお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉秀幸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、財政調整基金の残高についてでありますが、議員御指摘のとおり、財政調整基金は、地方財政法の趣旨にのっとり災害等の予見できない将来の財政支出に備えて積み立てているものであり、令和3年度においては、同基金も活用しながら、新型コロナウイルス感染症対策として12回の補正予算を機動的に編成してきたところであります。
 財政調整基金も含め、財源対策基金残高について一定の水準を財政目標として設けることは、将来の財政支出に備え、安定的で持続可能な行財政基盤を構築していくに当たって、重要な検討課題の一つであると認識しております。
 そのため、今後、開催予定の持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会における議論等も踏まえて、基金残高の適正な水準も含め中長期的な財政目標について検討を深めてまいります。
 次に、医師の働き方改革に伴う本県の課題についてでありますが、令和6年4月から、医療機関の管理者に対して、原則として医師の時間外労働の上限を年960時間としつつ、連続した勤務時間の制限や勤務と勤務の間に一定の休息時間を確保する等の取り組みが求められています。
 県では、医療機関における医師の働き方改革に向けた取り組みを支援するため、令和元年度、医療関係団体及び自治体等で構成された医師の働き方改革の推進と地域医療を守るネットワークいわてを設置し、医師の働き方改革と医療提供体制の確保の両立に向けた課題等の共有や制度に関する研修会の実施などに取り組んでいるところであります。
 一方で、本県の地域医療は、医師不足と地域偏在という危機的な状況下で、県立病院を初め県内の公的病院では、診療科によって、平日の外来診療や夜間、休日の宿日直業務について、県内外の大学病院からの多くの医師の診療応援によって支えられている現状にあります。
 このような大学からの診療応援医師の勤務実態も含めて、医師の不足と偏在が医師の過剰な負担や勤務につながっていると考えており、医師確保対策が進まないままで医師の働き方改革に係る労働規制が厳格に適用された場合、地域の医療提供体制に多大な影響を及ぼす可能性があることから、医師の働き方改革の推進に当たっては、医師確保、偏在対策と一体的に進めることが必要であります。
 次に、医師の働き方改革に向けた国への提言についてでありますが、本県を含む他の医師不足の地域でも、ただいま申し上げたような課題を有していることから、12の医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会においては、医師の働き方改革の推進は、地域における医師確保、偏在対策の着実な進展を前提に一体的に進めるよう提言を行ってきたところであり、現在、構成各県における具体的な課題等を踏まえた新たな提言を行うため、医師の働き方改革と一体的な医師確保、偏在対策の推進、医師の働き方改革が地域医療に及ぼす影響、課題等に関する実態調査の早期実施、医師の宿日直許可に関する運用のあり方、医師の働き方改革の導入に関する国民へのより一層の周知などについて検討しているところであります。
 今後も引き続き、同じ問題意識を有する医療関係団体等と連携し、知事の会における要望、提言活動を積極的に展開していくとともに、全国知事会や政府予算要望提言等を通じて、医師の働き方改革の推進が地域の医療提供体制に影響を及ぼすことのないよう、医師不足と偏在の解消に向けたさらなる取り組みの実施を求めてまいります。
 次に、周産期医療についてでありますが、県内の周産期医療は、全県的に産科の医師が不足している中、医師の高齢化の進行や後継者不足等により、分娩扱いを断念せざるを得なくなるような状況が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは、重要な課題であります。
 県では、医師養成などにより産科医の確保に取り組んできたところですが、昨年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師に対する新たな特例措置を開始したほか、医療局奨学金に特別貸付枠を設けるなど、さらなる産科医の確保に向けて取り組んでおり、病院に勤務する産科医数は横ばいとなっています。
 胆江地域への対応については、2月に開催した岩手県小児・周産期医療協議会や岩手中部・胆江・両磐周産期医療圏連絡会議において、県南周産期医療圏内の妊婦健診等を実施する地域の診療所と分娩を行う医療機関が連携して、安心安全な出産ができる環境を確保していくことを確認したところであります。
 引き続き、リスクに応じた分娩取扱医療機関の連携を進め、医療提供体制の強化を図るとともに、令和4年度当初予算案や今回の補正予算案に盛り込んだ県南周産期医療圏におけるモバイル型妊婦胎児監視モニターを活用した救急搬送体制の強化や産科診療所への新たな設備導入等の支援、アクセス支援の拡充などの取り組みにより、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
 次に、水田活用の直接支払交付金についてでありますが、国では、米の需要減少が続く中、主食用米から大豆や野菜など定着性、収益性が高く、需要のある品目への転換を一層進めるため、見直しを行ったと承知しております。
 こうした制度の見直しに当たっては生産者の十分な理解が必要と考えますが、生産者等からは、交付金の減額による生産意欲の低下や見直しの提示が唐突などの声が寄せられており、多くの生産者が困惑していると認識しております。
 県ではこれまで、水田活用の直接支払交付金について、毎年、国に対し、助成水準の維持や制度の恒久化、十分な予算措置等を要望してきたところであり、今回の見直しに関しても、生産者等の声を国に伝えるとともに、丁寧な説明を行うよう強く申し入れているところです。
 また、5年に1度の水稲作付については、本県のリンドウなど、5年以上の周期で作付転換を行っている品目もあることから、地域の実情を踏まえて対応するよう国に強く求めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) 財政調整基金の取り崩しの評価等についてでありますが、令和4年度当初予算案におきましては、一般財源が91億円減少する見込みであるなど、人口減少の影響等を背景として多額の収支不足が発生する厳しい財政状況下での予算編成でありました。
 そのため、財政調整基金の取り崩し額につきましては、議員御指摘のとおり、令和3年度当初予算の約2倍となる121億円となったところであります。
 今後も、人口減少など本県が直面する構造的、中長期的な課題を背景とした一般財源の減少は続くものと分析しておりまして、このような環境の変化に対応するため、これまでの取り組みに加えて、抜本的な行財政運営の構造改革の方策を早急に検討する必要があると認識しております。
 そのため、地方行財政にすぐれた識見を有する有識者により構成する持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会を開催することとし、その成果も踏まえて、安定的で持続可能な行財政基盤の構築に努めてまいります。
   〔政策企画部長石川義晃君登壇〕
〇政策企画部長(石川義晃君) 重点テーマのうち、人口減少社会への対応では、産後ケアの実質無償化など、安心して子供を産み育てる環境の整備やU・Iターンの一層の促進など、岩手県への新しい人の流れを創出することなどにより、出生率の向上と社会減ゼロの実現を目指します。
 また、デジタル化の推進では、市町村の行政デジタル化や中小企業のデジタル化の促進などにより、全ての県民が、デジタル化の恩恵を享受することができる環境の整備につなげてまいります。
 そして、グリーン社会の実現では、本県初の水素ステーションの設置や燃料電池自動車の導入支援、海洋エネルギーを活用した新産業の創出に向けた研究開発、県産木材の利用促進等による森林の循環利用など、地域の強みを生かした取り組みにより、地域経済と環境の好循環の実現を目指します。
 以上、三つの重点テーマの推進により、県民が、より暮らしやすく、働きがいがあり、魅力ある地域づくりに向け実効性を高めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、県内看護師等養成施設の状況についてでありますが、看護師養成所、看護系大学など、県内の看護師養成施設卒業者の県内就職率は、震災前の平成21年度は50%を下回っていたものの、看護師等修学資金貸付枠の拡充、中高生を対象とした進学セミナーや就職、進学説明会の実施など、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づく施策を総合的に実施してきたことにより、令和2年度時点で64.9%まで上昇してきたところであります。
 民間の養成施設については、看護師等修学資金貸付制度を利用する生徒が多いことから、修学資金の事業効果が反映されているほか、地元医師会等とのつながりなどから、民間医療機関に就職する者が多く、民間医療機関への人材確保に大きな役割を果たしていると認識しています。
 岩手県立大学看護学部については、他の医療系私立大学も同様の傾向にありますが、県外出身者の割合が30%程度あるため、その影響から県内就職率は50%程度となっており、特に、岩手県立大学は、看護師修学資金の利用者も少ないことから、令和2年度時点で県内の3大学で最も低い45.3%にとどまっていると考えております。
 岩手県立大学教員からは、新型コロナウイルス感染症の影響などにより地元志向も高まっていると聞いており、岩手県立大学と連携しながら、本県の看護師の確保、定着を進めてまいります。
 次に、看護学生の実習体制についてでありますが、県では、看護学生が効果的に実習を受けることができるよう、岩手県看護協会に委託し、実習施設の実習指導担当者を対象に、看護実習指導者講習会を実施しているところであります。
 一方、実習先である医療機関においては、出産や育児による代替職員の確保や高度、先進医療に対応した手厚い看護体制を維持する上で十分な職員数を確保できていないケースもあり、依然として看護学生の実習指導者も含めた看護職員の確保が厳しいといった課題があると認識しております。
 看護学生は、実習を通じて、先輩看護師の姿や現場の雰囲気から、その実習施設を就職先として選択するとの声もあることから、指導者の資質向上など実習の充実は、看護学生の県内定着率を高める上で重要であり、一層の取り組みの強化が必要と認識しております。
 県としては、引き続き、講習会を実施し、実習指導者の資質向上を図っていくとともに、養成施設及び医療機関等との情報交換会などによる実習体制の充実、就職説明会や医療機関におけるインターンシップの実施により、県内医療機関の魅力を発信するなど、本県の地域医療に貢献する看護職員の育成、確保に取り組んでまいります。
 次に、医師の勤務実態と医師労働時間短縮計画作成の取り組みについてでありますが、県立病院を初め県内の公的病院には、岩手医科大学や東北大学などの関連大学または地元開業医等から診療応援が行われており、例えば岩手医科大学から県立病院に対する令和3年の診療応援の実績は、平日の勤務時間帯の診療応援が月に約1、300回、宿日直の診療応援が月に約120回となっております。
 医師労働時間短縮計画については、今後、国から策定ガイドラインが示されることから、それらに沿って、各医療機関において、令和6年4月の施行に向けて、計画に基づいた取り組みが推進されるものと考えておりますが、例えば県立病院では、現在、国のガイドライン案に沿った内容で、医師の労働時間短縮に係る計画表を作成し、医師の労働時間短縮の取り組みを進めるなど、計画策定に向けた準備が進められております。
 今後の医師の働き方改革に対応した各医療機関の対応や法規制の運用の実際など流動的な要素が多数ありますことから、現時点で計画策定後の派遣体制について試算することは困難でありますが、引き続き、関係大学等から診療応援が得られるよう、県としても各医療機関の取り組みを支援してまいります。
 次に、医師の働き方改革に向けた県の取り組みについてでありますが、医師の働き方改革の推進と地域医療を守るネットワークいわてにおいて、医療機関の好事例を共有し、医療現場での取り組みの促進を図っておりますが、今後においては、県民の皆様の理解と協力も必要でありますことから、リーフレットの作成など働き方改革の推進の必要性と医療提供体制の確保に向けた取り組みなどについて、情報発信に努めていくこととしております。
 また、県で設置しております岩手県医療勤務環境改善支援センターにおいては、社会保険労務士等のアドバイザーや研修講師の派遣、勤務環境改善に資する設備整備への補助などの支援のほか、医療クラークの配置など、医師の労働時間短縮に向けた医療機関の取り組みを引き続き支援してまいります。
 こうした取り組みに加え、医師の働き方改革と医療提供体制の確保の両立に向けては、地域における医師確保、偏在対策の着実な進展が前提となりますことから、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成など、岩手県医師確保計画に基づく施策と一体的に取り組み、医師不足の解消に努めてまいります。
 次に、妊産婦の交通費等への支援策についてでありますが、ハイリスク妊産婦については、主に周産期母子医療センターで対応することとなるため、正常分娩の妊婦と比較して通院に長距離移動を余儀なくされる場合が多いことから、身体的、経済的な負担の軽減を図ることを目的として、県では、令和2年度から、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業を実施しているところであります。
 令和2年度は、6市町村、30人の活用実績でありましたが、令和3年度は、13市町村、110人ほどの活用を見込んでいるところであり、着実に利用の拡大が図られてきておりますが、令和4年度においては、分娩後の産婦健診に係る交通費等を対象とするなど、妊産婦への支援の充実を図るとともに、引き続き、未実施の市町村に対して、事業を周知し活用を促してまいります。
 また、ハイリスク以外の妊産婦に対する交通費や宿泊費の支援は、母子保健を担っている市町村が実施しており、現在17市町村で取り組んでいるところでございます。
 こうした市町村の取り組み状況や課題等を踏まえ、昨年6月に、国に対して、ハイリスク以外の妊産婦も含めたアクセス支援に対する財政支援制度を創設するよう要望したところであり、今後の国の動向も注視しながら、支援のあり方について検討してまいります。
 次に、妊産婦の相談体制の充実についてでありますが、県内の分娩取扱医療機関が減少している中、県としても、医療提供体制の充実と合わせて、相談体制の充実など、妊産婦の不安や負担を軽減させるための取り組みを進める必要があると認識しております。
 妊産婦の相談体制については、妊婦健診等を行っているかかりつけ医や、その妊婦の分娩を取り扱う医療機関による相談を基本としつつ、緊急を要する場合には、周産期母子医療センターと救急搬送を行う消防機関が、リアルタイムで情報共有を行いながら対応するなど、必要な医療につなげるための体制を確保しているところであります。
 また、妊産婦の悩みや心身の不調に関する相談に対しては、妊産婦に対して、子育て経験者や助産師等による相談支援を行う産前・産後サポート事業を17市町村で実施しているほか、県でも、今年度構築しております子育て支援ポータルサイト及びアプリにおいて、プッシュ型の情報提供を行うこととしており、この中で妊婦に対する相談窓口などの紹介も予定するなど、相談体制の充実が図られているところであります。
 県としては、医療上のリスクを適切に判断し、また、妊産婦の不安を軽減させるための相談体制のあり方について、議員御指摘の御提案も含めて、関係者の意見等を踏まえながら研究を進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の感染状況の認識についてでありますが、本県の感染状況は、2月には、直近1週間の10万人当たりの新規感染者数が県全体で100人を超える水準にまで感染が拡大しており、クラスターについても、学校や教育、保育施設を中心に多く確認されております。
 また、高齢者施設のクラスターも2月以降複数確認され、高年齢層の感染者数も増加しており、今後、病床使用率の上昇につながることが懸念される状況と認識しております。
 本県としては、依然として過去にないレベルの新規感染者数が継続している一方、議員御指摘のとおり、他県と比較しまして、比較的低水準にとどまっているのは、第5波までと同様、県民や事業者の皆様の御協力によるところが大きいものと考えております。
 今後とも、必要な方への確実な医療の提供、重症化リスクに応じた医療体制の強化、保健所業務の重点化や支援の強化など、今後想定される感染拡大に備え対策に取り組んでまいります。
 次に、今後の感染防止対策等についてでありますが、県では、学校や教育、保育施設での感染拡大により、児童の保護者が濃厚接触者等となり、出勤できない事態が多数生じたことを踏まえ、県及び関係市町村の教育委員会と連携し、教育委員会の職員が、保健所にリエゾンとして参画する仕組みを構築するなど、学校現場と保健所の連携強化に努めてまいりました。
 あわせて、県全域において、保健所と学校が連携して、速やかな濃厚接触者の特定、行政検査の実施及び健康観察等を効率的に行う体制を2月10日付で整備したところでございます。
 児童生徒の学びの場を確保する観点からも、学校と保健所の連携を密にして、迅速な濃厚接触者の把握と学校の的確な感染対策措置が講じられるよう対応してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、本県の主食用米からの転作の状況についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により全国的に米の需給が緩和する中、国は、令和4年産の全国の主食用米等の適正生産量を、令和3年産実績に比べ約3.7%減の675万トンとしたところです。
 本県では、県、関係機関、団体で構成する県農業再生協議会において、国が示した適正生産量をもとに、令和4年産の主食用米からの転換面積を、前年実績に比べ300ヘクタール少ない約1、700ヘクタールとしたところです。
 次に、令和4年産の主食用米の生産についてでありますが、米の生産流通は、都道府県単位では完結せず、国全体での対応が極めて重要であることから、県では、国に対し、これまで、米の需給と価格の安定化に向けた真に実効性のある在庫対策や需要拡大対策の推進を要望してきたところです。
 米の需給緩和が続く中、需要に応じた主食用米の生産とともに、地域特性を生かした野菜などの高収益作物への転換が重要であることから、県では、主食用米と転換作物の最適な組み合わせによる水田フル活用の取り組みを推進していきます。
 また、米生産に当たっては、消費者や実需者から高い評価を得ている銀河のしずくの生産拡大、GPSを活用した田植え機や自動水管理システム等のスマート農業技術の普及拡大、リモートセンシング技術を活用した施肥管理や適期収穫など、生産性の向上と高品質、良食味米の安定生産を推進していきます。
 また、県産米の販路拡大に向け、中国等への県産米の輸出拡大、首都圏等での販売促進キャンペーンの実施、大手コンビニエンスストア等と連携した消費拡大など、県産米の一層の需要拡大を図り、生産者の所得が確保されるよう積極的に取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、ICTの活用状況についてでありますが、県教育委員会では、非常時であっても児童生徒の学びをとめないという観点から、ICTの活用は不可欠であると考えており、これまでも、通知等により、全ての児童生徒、教員の準備が整うのを待たずに、可能な範囲からICTを活用していくよう促しているところです。
 県立学校においては、学級、学年閉鎖等が長期化する場合に、オンラインでの指導や課題の送受信等を実施しているところであり、引き続き、オンラインを活用した学びの保障の強化に向けて、先進的な取り組み事例等の周知など情報共有に努めてまいります。
 小中学校の自宅での活用状況については、市町村によって異なっているため、一概にお答えすることは困難でありますが、例えば、臨時休業等においても、自宅にいる児童生徒をオンラインでつないで双方向でやりとりしながら授業を行ったり、デジタルドリルを活用したりするなど、ICTを活用しながら、工夫して学びの保障に取り組んでいる事例もあると承知しています。
 次に、今後のICTの有効活用に向けた課題と対策についてでありますが、持ち帰りの活用状況が低い要因については、端末の破損時のルールが未整備であることや通信環境が整備されていない家庭があるため、公平性に欠けることへの配慮などが挙げられます。
 一方、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により休業等の措置がとられている学校においては、積極的にデジタルドリルの活用やオンライン授業に取り組んでいる例もあり、岩手県学校教育ICT推進協議会のワーキンググループを通じて周知を図っているところです。
 また、児童生徒の学びを保障するため、端末の家庭への持ち帰りが可能となる環境を早急に整えるよう市町村教育委員会へ通知するとともに、要請に応じて、オンライン活用・業務推進班を県教育委員会から派遣する支援体制等を整えているところです。
 今後、通信環境等に関する課題への対応についてもワーキンググループの検討項目として、市町村教育委員会と連携を図りながら検討を進め、各学校の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇5番(千葉秀幸君) 御答弁いただきましてありがとうございました。
 まず、知事から財政調整基金について御答弁いただきました。しかしながら、具体的な数値目標額は示されなかったわけですが、もちろん今幾らあればいいのかということに関しては、多いに越したことがないわけですから、具体的数値を示すことも難しいことは私も理解いたしております。
 しかし、これだけ財政調整基金が切り崩されることがある場合、一定程度の目標は示していくべきだと思っております。なぜかというと、その目標額を示したことによって、職員の皆さんも、そこに向かって目標を持って取り組めるというところ、そして、何より県民の方々が不安を感じているところに対して、数字を示すことによって、一定の安心感や不安を少し和らげることにつながればという思いでありますが、それを踏まえて、もう一度御答弁いただきたいと思っております。
 あとは、水田活用の直接支払交付金についてでございます。先ほどの知事の答弁を聞いても、あるいは先日の部長の答弁を聞いても、農業者の声はしっかり把握していただいているということは理解いたしたものの、そうであれば、丁寧な説明を国に求めていくという答弁に私は納得しかねました。なぜなら、この見直し制度は、撤回、廃止すべきものだからです。どうせ国が示したものだから変わらない、理解はするではなく、ぜひ、本県の農業者の声をしっかりと伝えていただきたいと思いますが、それらも踏まえて、もう一度答弁をいただきたいと思います。
〇総務部長(白水伸英君) まず、財政調整基金の関係でございますけれども、議員も御承知のとおり、今後、財政目標も含めて、新たに立ち上げます行財政研究会において議論いただいて検討していきたいということで、知事演述で発表させていただいたところでございます。
 議員も御承知のとおり、この財政目標につきましては、他県においても、さまざまな数値目標を立てて取り組んでいる事例もございます。具体的には、大きく言いますと、いわゆるストックとフローといいますか、今ある残高べースと毎年度の収支について目標を設定していくという考え方をとるケースが多いように感じております。
 そういったことも含めて、有識者からも御意見をいただいて、持続可能な本県の財政運営ができるように、しっかり検討して取り組んでまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 水田活用の直接支払交付金の見直しの関係でございます。生産者からは、いろいろ大変だということは重々お話を聞いておりますし、この関係につきましても、国にきちんと県の状況をお伝え申し上げているところでございます。先般も、国の農業水田対策室長が見えられたときに、こういう状況だというお話はしておりますし、何より、生産者が非常に不安に思っているということで、丁寧な説明をぜひお願いしたいということは、繰り返し申し上げてきたところでございます。
 水田活用の直接支払交付金でございますけれども、これは、もともと現行のルールでも水稲の作付が困難な農地は対象外としているということになっておりまして、こちらの関係で、今般国が、前回、要綱の見直し等が平成29年に行われたわけでございますけれども、そういう状況の確認をきちんとするようにということでの見直しと承知しております。
 そういうこともございまして、現状等がどうなっているのか、実際に現場でどういう状況が起きているのかということは、国に重々お伝えしているところでございますし、国会でも、この関係につきましては十分いろいろな意見が出ているということでございます。そういった状況を見ながら県の対応なりを考えていきたいと考えております。
〇5番(千葉秀幸君) 本当に不安だとか、そういう次元じゃないです。もうこれはやめるしかない、離農につながるという厳しい現場の声があります。私も先ほど思いを伝えさせていただいたのですが、本当に、より大きい声で働きかけをしていっていただきたいと強く要望いたします。
 それから、県南圏域の周産期医療の充実についても御答弁いただきました。私は先日、地元奥州市と意見交換をさせていただいてきたのですが、県の現在の方針を踏まえても、ドクターも不足しているので、地元奥州市に分娩施設を今設けてほしいという考えには至らないということもお話しされてきたのですが、それこそ釜石病院もドクターが不足する状況において、奥州市に欲しいということは言えないことは理解していました。だからこそ、せめて安心してお産できる体制整備だけは確保してほしいとの声をいただいてきました。
 つまり、どういうことかというと、安心してお産できるには、県の環境整備にはまだ課題があるものだと私は理解してきました。これらを踏まえて先ほど提案をして、質問したわけですが、状況は、いずれ日々変わっているので、より安心してお産ができる環境整備に向けて柔軟に対応していただきたいと思いますし、新規事業も盛り込んでいたようですから、ぜひとも期待したいと思います。
 最後でございますが、教育長にお伺いいたします。
 ICT、1人1台端末は、そもそも新型コロナウイルス感染症対策にも有効とのことから前倒しで整備されたものです。それにもかかわらず、活用状況が悪いどころか、多くの校長先生が持ち帰らせていないといった状況です。
 これは、不登校生徒や何らかの理由で休んでいる生徒にも、応急的な観点では有効なものと私も思っております。ぜひ早急な活用を促していただきたいと思いますし、活用方法においては、多少の不安があっても、今、ネットでも使い方も検索できます。ユーチューブでも載っていることがあります。積極的に、このためというわけではないですが、これだけ休校等が続いているのであれば、学びの保障、すぐに対応しなくてはいけないと思いますので、改めて再周知を図っていただきたいと思っておりますが、御答弁をいただければと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 県南圏域の周産期の関係でございます。知事からも御答弁させていただきましたけれども、2月に関係者で集まって協議をさせていただきました。分娩を取りやめる医療機関は、年間に約150分娩を取り扱っているのですけれども、それについては、県南圏域の各周産期母子医療センターや分娩取扱医療機関で、確実に、安全に分娩に大丈夫対応できるということも確認させていただきました。
 また、今後の方向性として、県の令和3年度2月補正予算案で新規の事業についても御説明させていただきましたが、そのほかにも、医師会で、例えば救急隊への救急搬送の教育、支援でありますとか、あとは、市のほうも産前、産後ケアの充実、またアクセス支援も拡充していくこと、そういったようなことについても方向性を確認させていただいたところでございます。
 こうしたことについても丁寧に地域の皆様方に説明しながら、関係機関で連携して取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇教育長(佐藤博君) 端末の持ち帰りについて、これは基本的に小中学校、特に小学校の低学年が多いのだと思います。今回の質問にありました持ち帰りの率が本県は低いという状況は、データ的に見てみますと、実は特定の市でありまして、数が多いところ、そこが持ち帰りの率が下がる要因になっております。
 市町村教育委員会の状況を伺いますと、端末の破損時のルール、この取り扱いをどのような形で決めていくかは、さまざま検討を加えているようでございますけれども、例えば、持ち帰ったときに、故障であるとか紛失、盗難とか、さまざまあるのですが、そのときの補償、それをどのような形で補償するか、これが保険等で賄うことができるとすれば、市町村の財政でも予算措置が必要になってくるというようなことで、いろいろと調整に手間取っているような部分もあるやに聞いております。
 ちなみに、県立学校については公費で修理すると。ただし、重大な過失であるとか故意による場合は、個別判断で基本的には保護者が負担するようなこともございますけれども、そういったルールの検討もあるということでございます。
 私ども、このように感染が拡大している中で、子供たちの学びの保障ということで、改めて教育長方には、子供たちの学びの保障に向けてしっかり対応していただくようお願いしていきたいと考えております。
〇5番(千葉秀幸君) ICTの1人1台端末はきのう、おととい配られたわけではないのです。もう前からこういった事態を想定されて導入されているのに、これだけ実態が低いということは、本当に、柔軟な対応も含めて、現場等の声も含めて連携もどうなのか、実現に至っていないのかということを強く思いましたので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 最後に、しつこいようですが、水田活用の直接支払交付金は、私の思いがまだ届いていないのかと思います。現場の声は本当に大変です。これは引き続き、私は諦めず議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時11分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
35  番 佐々木 茂 光 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時33分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
〇副議長(小野共君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇副議長(小野共君) 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋こうすけ君。
   〔7番高橋こうすけ君登壇〕(拍手)

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