令和4年2月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(名須川晋君) 希望いわての名須川晋でございます。
 このたび初めて会派を代表しての登壇の機会をいただきました。達増知事におかれましてはぜひとも積極的な御答弁を期待し、質問に入らせていただきます。
 過去最多となるメダル18個を獲得した日本選手の活躍によって、国民に大いに夢と感動を与えてくれた北京2022オリンピック冬季競技大会17日間の熱戦が幕を閉じました。
 ノルディックスキージャンプ男子ノーマルヒルでは、八幡平市出身の小林陵侑選手が、見事、日本の金メダル第1号を獲得し、ラージヒルでは銀メダルと、岩手県のみならず日本全国に朗報をもたらしてくれました。ノルディックスキー複合男子団体では永井秀昭選手が銅メダルを獲得、同種目では三ケ田礼一さん以来、実に28年ぶりの偉業でありましたし、一関市出身の岩渕麗楽選手のスノーボード女子ビッグエアでのけがを押しての大技挑戦は大変感動的でありました。小西あかね選手、小林潤志郎選手、土屋正恵選手、谷地宙選手ら岩手県ゆかりの皆さんの健闘も、それぞれたたえるものであります。
 まずは、このオリンピックにおける知事の御所感を頂戴いたしたいと思います。
 また、来月4日から13日までの日程で開催されるパラリンピック冬季競技大会においても、阿部友里香選手、狩野亮選手、高橋幸平選手の3名の出場が見込まれており、彼らへの期待とエールの言葉をいただきたいと思います。
 本県の財政状況について伺います。
 本定例会に提案されている令和4年度岩手県一般会計当初予算案は、歳入歳出規模7、922億円、令和3年度と比較して190億円、率にして2.3%の減少ですが、震災事業分の完了等に伴う減少を除けば、ほぼ横ばいとなる予算規模です。
 一方で、県財政の収支ギャップを埋めるための財源対策関係3基金からの取り崩し額は121億円と、令和3年度当初予算の57億円から倍増しています。歳出規模が横ばいであるにもかかわらず、収支ギャップが倍増するということは、歳入規模が縮小していることを意味します。
 先日の知事演述において人口減少に伴う一般財源規模の縮小について触れられており、これが中長期的な財政状況の厳しさの要因と述べられました。この歳入規模縮小の要因について、どのように分析されているのか、まず知事の見解をお伺いいたします。
 知事は、この財政的に厳しい局面を乗り切りながら、人口減少などの重点課題に対応していくためには、安定的で持続可能な財政基盤が必要であり、有識者による持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会を開催し、県行財政の構造的、中長期的な課題の分析を通じて、抜本的な行財政運営の構造改革の方策について、提言を求めていくと表明されております。
 行財政改革としてまず思い浮かぶのは、小泉政権下で実施された三位一体の改革により大幅に地方交付税が減額され、突然に厳しい財政状況に直面した事態であります。平成15年度に策定された岩手県行財政構造改革プログラムでは、毎年度60億円の削減を目標とした県単独補助金の見直し、職員数の10%削減、給与の引き下げなど、突然の財政難に対応するため、極めて厳しい内容とならざるを得ませんでした。誰ひとり取り残さないという知事の政治スタンスから考えても、高齢化社会において県行政の役割が増していることを踏まえても、かつて行われた行財政改革と同様の手法をとることは想定していないと考えますが、この研究会に込めた知事の思いと狙いについて伺います。
 令和4年度当初予算案の重点テーマについて、初めに人口減少対策について伺います。
 人口減少は、労働生産年齢人口の縮小に直結し、産業や社会保障の構造をも脅かす目下最大の課題と言っても過言ではありません。県は令和2年3月に第2期岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、人口の社会減ゼロ、合計特殊出生率の向上に向かって、まさに県庁を挙げた取り組みを進めています。
 コロナ禍の厳しい社会環境の中、県が早くから振興を図ってきた半導体や自動車関連産業は旺盛な雇用を生み、高卒者の県内就職率はことし20年ぶりに70%を超え、人口の社会減も3年連続で縮小するなど、明るい兆しが見え始めている一方、合計特殊出生率は全国平均を下回る状況が続き、厳しい現実も突きつけられています。
 令和4年度当初予算案においても、人口減少を重点テーマとし、子育て支援や県内への若者、女性の定着促進、移住、定住、関係人口の創出などに政策を注力することとされていますが、これまで県が行ってきた人口減少対策への手応えと今後の方針について、知事の考えをお伺いします。
 デジタル化推進の取り組みとして、AI人材の育成やスポーツ指導、鳥獣被害対策などさまざまな分野でDX─デジタルトランスフォーメーションを進めるとともに、これを支える基盤整備の促進に取り組んでいくとしております。
 東日本大震災津波伝承館に整備したローカル5G事業を活用し、地域課題解決の岩手モデルを構築する事業の一環として、先日開催された実証実験では、岩手県立葛巻高等学校の生徒がアバターロボットによる遠隔見学などに参加したほか、知事もオンラインでデモンストレーションを体験されたと伺っていますが、その成果と今後の活用の可能性について伺います。
 グリーン社会の実現について4点伺います。
 知事は昨年2月、気候変動が差し迫った危機であることを県民一人一人が認識し、ともに行動していくためとして、いわて気候非常事態宣言を発しました。温室効果ガスの削減を図る緩和策と、災害から県民の命を守る対策等を行う適応策に一体的に取り組むとして、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロの達成に向けて、省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入に、これまで以上に積極的に取り組むと明記されました。翌月には、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画〜いわてゼロカーボン戦略〜が策定されております。
 さて、岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例いわゆる環境基本条例は、平成10年に公布し、平成11年の改正を経て今に至ります。前文において、恵み豊かな環境と共生する地域社会を共に築いていくという決意を述べ、環境の保全及び創造について、押しなべて普遍的な理念が記されています。
 一方、環境基本条例第9条の規定によって取りまとめられた令和3年版環境報告書には、2015年9月の国連総会において採択された持続可能な開発目標、脱炭素社会、再生可能エネルギーといった新たなキーワードが登場してきています。
 環境基本条例が直近の改正から四半世紀がたとうとする今、地球環境は赤いカラータイマーが一層激しく明滅している状況にあり、全人類が新たな目標に向けて一丸となって取り組む必要があることから、こうした新たな動きも捉まえた環境基本条例の見直しを検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
 脱炭素社会実現を目指す条例の制定の動きが徐々に広がりつつあります。県議会としても、十分な関心と意欲を持って臨む必要がありますが、県民一丸となって取り組むという強い意志を明確とするべく、本県もこの趣旨の条例を制定するべきと考えますがいかがでしょうか。
 企業局の取り組みについて伺います。
 2050年カーボンニュートラルを目指すには、民間企業の参入を容易にする行政としての役割も大事ですが、企業局によるこれまで以上の再生可能エネルギーの開発が一層重要となるのではないでしょうか。2020年3月策定の岩手県企業局長期経営方針(2020〜2029)でありますが、これは先述した、いわて気候非常事態宣言、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画以前の策定でありますから、これに示された数値をさらに挑戦的、野心的な数値に書きかえなければ、この自然豊かな岩手県でさえ、カーボンニュートラルは絵にかいた餅になってしまうと私は危惧するのであります。
 健全な投資を前提としつつも、企業局としてさらなる積極的な取り組みを求めるものであり、なおかつ、2050年までのロードマップを示すべきと考えますがいかがでしょうか。
 Fridays For Future、未来のための金曜日は、2018年8月、当時15歳だったグレタ・トゥーンベリさんが、より強い気候変動対策を求め、一人でスウェーデンの国会前に座り込みをしたことをきっかけに始まった運動ですが、彼女の勇気ある行動に呼応した動きは世界に、そして日本でも、学生たちを中心に全国各地に広がっていきました。昨年8月、岩手県立花巻北高等学校3年生の中澤君、佐々木君を代表、副代表とするFridays For Future IWATEが、岩手県の学校にソーラーパネルの設置を求める要望を県に提出したいとの依頼があり、その橋渡しをさせていただきました。気候変動を促進させる温室効果ガスを減らし、再生可能エネルギーの利用率を高めることで、気候変動対策の一助にすべきとの彼らの強い思いを直接、知事、教育長宛てに熱く訴えたのでした。
 これまでも何度か取り上げてまいりましたが、Renewable Energy100%いわゆるRE100は、企業みずからの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す取り組みのことですが、令和4年2月17日現在、世界で300社以上が加盟、うち65社が日本企業で、ソニーやイオン、アスクルといった名立たる広い業種の大企業が名を連ねています。
 私が特に岩手県が手本とすべきと考えるのが、環境省RE100です。環境省は、2030年を目途とした再生可能エネルギー100%の電力調達を目指し、全国の地方環境事務所管内での取り組みを進め、ビジターセンターや自然保護官事務所など、既にその比率は40%程度達成の見込みとなっています。また、公的機関のための再エネ調達実践ガイドを策定し、地方公共団体等での導入を促していますが、こうした事例に照らし合わせれば、まずは小規模な県有施設からでも導入できるはずです。自然が豊かでみずからが再生可能エネルギーをつくっている本県が、RE100達成施設とうたう事例がいまだないのが不思議でなりません。
 県のRE100の達成を目指す取り組みの推進について、知事の御所見を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策について伺いますが、まずは医療や介護、保健業務に携わるいわゆるエッセンシャルワーカーの皆様の日々の御労苦に深甚より謝意を表します。また、現在治療を受けられている罹患者の皆様の一日も早い御快癒をお祈りし、濃厚接触者に該当し自宅待機中の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 感染力の強いオミクロン株が猛威を振るい、昨日は過去最高となる新規感染者305人が確認されるなど、感染拡大が著しくなっています。本県は、今月1日に開催された岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部第48回本部員会議において岩手緊急事態宣言を改定し、学校での感染対策への取り組みを強化したところですが、県民の不安がますます増大する中、福祉施設等における感染対策のほか、施設を利用される高齢者や障がいをお持ちの方が感染した場合の適切な医療の提供や療養のあり方についても、どうあるべきか問われています。
 オミクロン株の特性に即した感染対策や医療提供のあり方について、今後どのような方針で取り組んでいくか考えを伺います。
 全国的には新型コロナウイルス感染症の感染者数がピークアウトしたという見解があるものの、感染力がさらに強いステルスオミクロン株への置きかわりが進んでいるとの報道もあり、政府の判断と取り組みのおくれが指摘されているワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種が急務となっています。
 国のワクチン供給体制の現状はどのようになっているのでしょうか。また、2回目までと同様の個別接種、集団接種、職域接種等により希望者全員が打てるのはいつごろになるか伺います。
 小児へのワクチン接種についてです。
 来月から5歳から11歳までの小児へのワクチン接種が開始されますが、子供自身も保護者も、ともに不安は大きいものと推測します。しっかりとした判断ができるようどう周知し、十分に御理解いただくよう取り組まれるのでしょうか。
 学校内でのクラスターや濃厚接触者が発生した場合、学校内における接種者、未接種者の分断や差別が懸念されますが、打たない権利も尊重する取り組みについて伺います。また、小児科医が不足する地域での接種体制をどう整えていくか、あわせて伺います。
 事業所のBCP─事業継続計画策定への取り組み強化について伺います。
 改定された新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、国民生活や国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者は、BCPの点検を行った上で、欠勤者が多く発生した場合でも業務を継続することとされており、経済団体に対して加盟者、団体への周知徹底が要請されております。全国的に電力やガス事業者、大手などで策定済みの企業もありますがまだまだ希少で、本県のそれは1社のみとなっています。一定の社員が出社できない場合の業務の優先順位の決定や省人化、自動化、テレワーク可能な環境の構築等、検討すべき課題は、まさに平時の経営のありようにもつながることになりますが、代替の人員確保が難しい小規模、零細企業の割合が大きい本県は、なおのことそうした対応が求められるはずです。
 県内の事業所における新型コロナウイルス感染症に対応したBCPの策定、点検等についてどう取り組まれるのか伺います。
 次に、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンについて伺います。
 本年8月、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの開校が予定されています。このような名門校のインターナショナルスクールが、数ある候補地の中から、豊かな自然を初めさまざまなスポーツや野外活動を行うことができる環境に着目し、八幡平市安比高原に白羽の矢を立て、八幡平市に国際的な教育環境が整備されることは、本県にとっても大変に意義深いものと考えます。
 同校の開校により、人材の育成面はもとより、地域との交流など、さまざまな波及効果が期待されます。本県としても、同校の開校を大きなチャンスと捉え、これを契機としてさらなる地域の振興や国際交流等につなげていくことが重要と考えますが、具体的に今後どのような取り組みを今後進めようとしているのか、お考えをお聞かせください。
 次に、自殺防止対策について伺います。
 私は昨年の6月定例会で、令和2年の自殺死亡率が全国で最も高くなったことを踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し経済も低迷する折、本県の自殺対策アクションプランは十分に機能しているのか、計画遂行の最中である今、一層的確な取り組みを進めていく必要があり、今後の対策をどう考えるのか質問させていただきました。
 知事からは、自殺死亡率の全国平均との差が縮小しており、包括的な自殺対策プログラムなどの取り組みにより一定の成果があらわれているが、コロナ禍にあって自殺リスクが高まることが懸念されることから、メンタルヘルスの普及など、取り組みを一層強化するとの御答弁をいただいたところです。
 先ごろ、警察庁から、令和3年の自殺者数の暫定値が公表されました。県内で令和3年に自殺した人は199人で、令和2年から79人減少し、対前年比の自殺減少率は28.4%で、全国1位となりました。人口10万人当たりの自殺による死亡率は16.4人で、全国ワーストだった令和2年と比べて6.6人減少しております。死亡率の全国平均は16.6人で、都道府県別の数字が示されるようになった平成15年以来、初めて全国平均を下回りました。近年、本県の自殺死亡率は全国ワースト5位から抜け出せずにいたところであり、官民一体となった取り組みの成果を高く評価するものであります。ただ、この結果を一過性のものにせず、新型コロナウイルス感染症感染拡大第6波の影響も十分踏まえながら、今後も着実に自殺対策を進めていく必要があると思いますが、知事の所感と今後の取り組みについて伺います。
 農業振興について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による業務用米の需要減少によって、令和3年産米の相対取引価格は全銘柄平均で1万3、033円、前年度マイナス10%と、農家にとっては非常に厳しい出来秋となりました。岩手県、市町村、JA等で利子補給や各種助成等の支援を講じていますが、ことしもコロナ禍が続き、飲食店の需要が蒸発していることから米価下落の傾向は変わらないとの見込みによって、このままでは農業を続けられないという農家の切実な声を聞きます。
 国は、新型コロナウイルス影響緩和特別対策を進めているものの、市場環境の向上は限定的であることから、県としてどのように取り組まれるのか伺います。
 水田活用の直接支払交付金の見直しについて、今、農家やJAから大きな疑問と困惑の声が上がっています。今後5年間に一度も水張りが行われない農地は、令和9年度以降、交付対象水田としない方針が示されましたが、既に排水対策済みの農地を水田に戻すことは現実的ではありませんし、生産法人が預かっている悪条件にある農地は所有者へ返還せざるを得ないことから、耕作放棄地がふえる可能性があります。
 もう一つ大きな影響が見込まれるのは、飼料作物、牧草であります。多年生牧草について、播種を行わず収穫のみの作業を行う場合は、直接支払交付金10アール当たり3万5、000円のところ1万円へと大きく減額されることとなりました。これでは、作業委託料金やラップなどの資材費を賄うことができず、作業日誌や種子購入伝票等、提出書類の増大といった受託者側の事務作業もふえることから、耕作放棄地の拡大が懸念されるところです。
 県はこの改正の影響をどう捉えているのか、また、国に対して見直すべきとの要望を行うべきと考えますがいかがでしょうか。
 最後に、いわてグルージャ盛岡J2昇“鶴”に係る知事の所感とスタジアム整備の考えについて伺います。
 11月26日、いわてグルージャ盛岡J2昇“鶴”決定の歴史的瞬間をこの目で見ようと、にわかファンではありましたが、カターレ富山とのホーム最終戦の応援でいわぎんスタジアムに足を運びました。白熱した接戦を1対0で制し、残念ながらホームでの優勝はかなわなかったものの、次節のアスルクラロ沼津戦で見事昇“鶴”を決めてくれました。2003年の活動開始以来あまたの困難を乗り越え、J2へと悲願の昇格を決めたことは県民の一人として非常にうれしく、これまでかかわられてきた全ての選手及び関係者の皆様に深甚より敬意を表し、心よりお喜び申し上げる次第です。そして、今週日曜日に行われた昇格初戦のジェフユナイテッド市原・千葉戦では1対0と零封し、見事初陣を飾ってくれました。
 さて、J2ライセンスの基準であるスタジアム収容人数は1万人ですが、現ホームスタジアムはそれに到底及ばないレベルの施設です。参入3シーズン目の2024年までに場所や予算、整備内容を明示したスタジアムの建設計画をJリーグに提出し、2029年までに完成させる必要があります。
 知事は定例記者会見で、スタジアム建設に当たって民間と地方自治体の役割はどうあるべきか広く県民的、盛岡市民的な議論がそれぞれ必要なのだと思うと述べられていましたが、この件についてどう進められていくのか伺います。
 以上で代表質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会についてでありますが、北京オリンピックには冬季として過去最多となる7人の本県ゆかりの選手が出場を果たし、世界の大舞台で、各競技において、それぞれが持てる力を存分に発揮されました。
 中でも、小林陵侑選手がスキージャンプ個人種目で金、銀のメダルを、永井秀昭選手がノルディック複合団体で銅メダルを獲得したことは、本県スポーツ史に輝く偉業であります。
 また、スノーボードビッグエアで4位入賞を果たした岩渕麗楽選手は、超難度の大技に果敢にチャレンジし、世界中の人々に感動を与え、今回のオリンピック屈指の名場面として語り継がれていくと思います。
 本県ゆかりの選手の活躍は、本人のたゆまぬ努力と、指導者や御家族を初めとした関係者の御尽力に加え、県が長年継続してきた選手の発掘、育成の取り組みが、目標としてきたオリンピックの舞台で実を結んだものであり、大変うれしく思っています。改めて、岩手県の潜在力、岩手県の可能性を感じました。日本中に大きな感動と勇気をもたらした本県ゆかりの選手たちは、私たち岩手県民の誇りであり、県民を代表して心から感謝の意を表したいと思います。
 来月開催されるパラリンピック冬季競技大会においても、本県ゆかりの3人の選手の皆さんには、岩手の誇りを胸に実力を発揮し、大いに活躍されますことを期待いたします。
 次に、財政状況の認識についてでありますが、令和4年度岩手県一般会計当初予算案においては、企業業績の回復などを背景として、法人関係税を中心に県税等の160億円の増を見込んでいる一方、地方交付税等については、税収等の増加に連動して減少することに加え、人口減少の影響等による265億円の減を見込んでおり、その結果、一般財源が91億円減少すると見込んでいます。
 今後も、人口減少など本県が直面する構造的、中長期的な課題を背景とした一般財源の減少は続くものと見込んでおりまして、これらの課題に対処するための具体的方策が必要であると認識しております。
 次に、持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会についてでありますが、平成16年三位一体の改革の際の地財ショックにおいては、職員数の削減や給与の引き下げ、補助金の見直しなどの短期的な対応が求められましたが、現在、県が直面する人口減少を背景とした一般財源規模の縮小は、今後の行財政運営にとって中長期的な課題となるものであります。言いかえますと、今起きているのは中長期的な静かなる地財ショックであり、短期的な行財政構造改革とは異なる対応が求められているものと認識しています。
 このような状況下においても、誰ひとり取り残さないという理念のもと、複雑、多様化する県民ニーズに応えていくためには、今後においても、基本的な行政サービスを安定的に提供し、県民の福祉を増進していく必要があります。そのため、本研究会においては、地方行財政にすぐれた識見を有する有識者に今後の人口構造を踏まえた歳入確保策や、あるべき歳出水準、財政目標について御議論いただき、研究会の議論を踏まえた成果を次年度以降の予算編成等に反映していくことで、持続可能で希望ある岩手を実現してまいります。
 次に、人口減少社会への対応についてでありますが、県では、平成27年に岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、人口減少対策を総合的に進めており、これまで岩手で働くについては、自動車、半導体関連産業の集積や高校生の県内就職率の上昇、岩手で育てるについては、保育人材の増加や仕事と育児の両立に向けた環境の整備など、戦略に沿った進捗が見られるところです。
 このような中、全国的な東京一極集中は一層加速しており、本県もその趨勢から免れない状況にありますが、国の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標も踏まえ、社会減ゼロと出生率の向上という目標を維持すべきと考えています。
 今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する大都市のリスクの高さが改めて浮き彫りになり、地方への移住に対する関心の高まり、テレワークを初めとする多様な働き方の加速など、個人の意識、行動変容が起きています。
 この機を捉え、県では、自然減対策として、子供を産み育てやすい社会を目指し、昨年12月に設置したいわてで生み育てる支援本部を司令塔に、結婚支援の強化や産前産後サポートの拡充などを行います。
 また、社会減対策として、岩手県への新たな人の流れの創出や地域の魅力向上を目指し、若者への移住支援金の支給、AIを活用した就職のマッチング、空き家の取得、改修への支援など、本県への移住、定住を一層促進します。
 次に、デジタル化の推進についてでありますが、5Gは、超高速、大容量に加え、多数同時接続が可能であり、広大な県土を有する本県においては、時間や距離の制約を超え、産業や社会の効率化、利便性の向上や新たな付加価値を創出する基盤として重要と考えています。
 今年度においては、東日本大震災津波伝承館にローカル5G基地局を設置し、中山間に位置する岩手県立葛巻高等学校の生徒が東日本大震災津波伝承館を遠隔見学する実証実験を行いました。実験では、5Gによる高精細映像が臨場感ある見学を可能とすることが確認され、参加した生徒は、震災の教訓を学び、災害に対する意識を高める機会となりました。
 来年度においては、県内の複数の高等学校が東日本大震災津波伝承館の遠隔見学を行うほか、ぼうさいこくたい2022が開催される兵庫県神戸市と東日本大震災津波伝承館を結び、お互いの遠隔見学や防災交流などを行い、震災の事実と教訓の伝承、復興の姿の発信に取り組みます。
 また、民間通信事業者や大学等と連携し、5Gなど情報通信技術を活用した産業振興や地域課題の解決モデルの構築にも継続して取り組みながら、全ての県民がデジタル化の恩恵を享受することができる、豊かで活力あふれる希望郷いわてを目指してまいります。
 次に、環境基本条例の見直しについてでありますが、岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例、いわゆる環境基本条例は、地球温暖化や廃棄物の増大等の環境問題に的確に対応するため、基本理念や県民、事業者、県、市町村の役割、施策の基本的事項を定め、この条例のもと、県民総参加で連携して取り組むこととして、平成10年3月に制定したものであります。
 県では、これまで、自然環境の保全や環境影響評価、エネルギー施策等について、この条例を基本としながら、個別の条例や計画に沿って、地球温暖化対策を初めとした具体的な施策を推進してまいりました。近年、世界各地で猛暑や台風等の異常気象が頻発し、世界の気候が非常事態に直面していることから、昨年2月、いわて気候非常事態宣言を行い、気候変動対策に県が率先して取り組むことを表明しました。
 県としては、環境基本条例にのっとりながら、本県の恵み豊かな環境と共生する地域社会を築いていく決意を持って、昨今の地球温暖化に関する国際的な動向等にも対応した積極的な対策を進めてまいります。
 次に、脱炭素社会を目指す条例の制定についてでありますが、近年、世界中の多くの若者が気候変動に対して声を上げ、昨年、県内でも、岩手県立花巻北高等学校の生徒が再生可能エネルギー導入拡大の要望を行うなど、若者が気候変動に対し高い関心を持ち、主体的に行動を始めています。
 県では、こうした動きもあることから、本年2月16日、いわて気候非常事態宣言1周年知事メッセージを発し、改めて気候変動に対する危機意識を県民の皆さんと共有し、県民総参加による地球温暖化対策を呼びかけ、強い決意をあらわしたところであります。
 脱炭素社会を目指す条例制定については、オール岩手で気候変動対策に取り組む意志をより明確にする一つの方策になり得るものと考えられますので、徳島県や長野県等、他県の事例も参考にしながら検討してまいります。
 次に、企業局における取り組みについてでありますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の目標達成に向けて、県が率先して再生可能エネルギー導入の取り組みを進めることは極めて重要であります。
 現在、企業局では、稲庭高原風力発電所や胆沢第二発電所、入畑発電所の再開発事業等に取り組むことにより、再生可能エネルギーの導入拡大に貢献しているものと認識しております。
 今後、企業局では、令和2年度から令和11年度までを期間とする長期経営方針に基づき、令和5年度に次期中期経営計画を策定しますが、その際には、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据えた目標を掲げ、オール岩手での取り組みの中で大きな役割を果たしていくものと期待しております。
 次に、県のRE100の達成を目指す取り組みについてでありますが、県では、県有施設を含めた事務事業における温室効果ガスの排出削減を図るため、久慈地区合同庁舎では本年3月から、二戸地区合同庁舎では4月から、管内で発電された再生可能エネルギー100%の電力を地域新電力を通じて調達するなど、RE100に向けた取り組みを推進しているところです。来年度は、県立学校を含めて約200カ所の県有施設について、再生可能エネルギーの導入に向けた調査を行うこととしており、今後、導入に適した施設から順次取り組んでまいります。
 県としては、温室効果ガスの2050年実質ゼロの達成に向けて、RE100にも率先して取り組みながら、地域経済と環境に好循環をもたらすグリーン社会の実現を進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、オミクロン株は感染拡大のスピードが極めて速い一方、基礎疾患等を有しない50歳未満の感染者の多くは、症状が軽いなどの特徴が指摘されています。
 感染の場面については、教育、保育施設、学校でのクラスターに加え、家庭や職場、高齢者施設等に拡大しており、現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力いただくことが不可欠とされています。
 今般、こうした特徴を踏まえ、県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会からアドバイスをいただき、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議において、県民の皆様に実践していただくようお願いしたところです。
 また、医療については、高齢者や基礎疾患を有する方などに必要な医療を適切に提供するとともに、一般医療への影響を最小限にとどめるため、診療、検査医療機関や健康観察サポートセンターによる健康観察、医療支援等の体制を県医師会等と構築し、重症化リスクが低く入院等の必要がない方の自宅療養を開始したところです。
 県民の皆様には、暮らしと健康を守るため、基本的な感染対策の再徹底をお願いするとともに、今後においても、国内外の知見等を踏まえながら、感染対策に努めてまいります。
 次に、新型コロナウイルスワクチン3回目接種についてでありますが、ワクチンは前倒し接種に必要な分が順次国から供給されており、本県には5月中旬までに約110万回分の供給計画が示されていることから、2回目接種を終えている約101万人全員の3回目接種に必要なワクチンが確保できる見込みであります。
 また、3回目接種の見通しについては、県民のほとんどが昨年11月末までに2回の接種を終えていることから、接種時期のおそい方でも6カ月の期間経過後の本年5月末には開始できる見込みであります。県としては、接種を希望する方が速やかに3回目接種を終えることができるよう、引き続き市町村や関係機関と連携し、医療従事者の確保や県集団接種、職域接種の支援を継続することなどにより、接種の加速に取り組んでまいります。
 次に、小児への新型コロナウイルスワクチン接種についてでありますが、県では、小児や保護者の皆様にワクチン接種のメリット、デメリットを十分に御理解いただきながら接種を判断いただくよう、ホームページやSNS、本県独自のリーフレットの配布により、ワクチン接種の有効性や安全性の情報提供を行っております。また、学校においても、ワクチン接種の有無により、差別やいじめなどが起きることのないよう、国の通知に基づき、県教育委員会において、適切な生徒指導や保護者への理解促進について周知を図っているものと承知しています。
 小児科医が不足する地域では、単独での接種体制確保が困難な市町村もあることから、県は、県医師会とともに、各市町村が郡市医師会単位での関係機関による協議の場を設置し、広域的な接種体制を確保するよう調整しており、引き続き関係機関等と連携し、市町村の接種体制確保を支援してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症に対応したBCPの策定、点検等についてでありますが、県では従前から、中小企業が自然災害等の発生をあらかじめ想定して策定する事業継続力強化計画の国の認定制度を活用しながら、事務継続計画の策定、普及に努めてきたところであり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が長期化する状況において、こうした取り組みをさらに推進していくことが重要と考えております。
 このため、商工指導団体の体制強化を図りながら、民間企業と連携したセミナーの開催や、経済団体が主催する懇談会における講演の場などを通じて、計画策定のさらなる促進に努めているところです。また、新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議を通じて、計画の点検のお願いも行っております。さらに、令和4年度当初予算案において、小規模事業者事業継続力強化支援事業費補助を新たに盛り込み、計画に基づく設備等の整備に要する経費の補助を行うこととしており、こうした取り組みを通じて、業務継続計画の策定等を推進してまいります。
 次に、ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンについてでありますが、ハロウスクールはイギリスを代表するパブリックスクールの一つであり、世界的にも評価の高い教育の実践を通じて世界に貢献する人材を数多く輩出しているほか、地域との交流等にも積極的に取り組んでいると承知しています。その提携校が本県に開校することは、岩手県の教育環境の向上や、多文化共生等への理解、地域の振興等において大きな効果が期待されます。
 今後、学校側との連携協定の締結を視野に、教員や生徒の学習を通じた交流等によるグローバル人材の育成、スポーツや文化活動の交流を通じた国際化の推進、震災について学び世界に発信していただく取り組みなどについて検討してまいります。
 次に、自殺防止対策についてでありますが、議員御紹介の警察庁統計の暫定値によれば、令和3年の本県の自殺者数は199人、自殺死亡率は16.4人で、本統計の公表開始以来、初めて全国平均の16.6人を下回り、県自殺対策アクションプランの令和3年度目標値、自殺者数206人、自殺死亡率17.0人を達成する見込みであります。
 自殺は多様かつ複合的な原因や背景を有しており、現時点で今回の結果について特定の要因を挙げることは難しいところですが、新型コロナウイルス感染者数が他都道府県に比べて少なく、社会経済的、心理的影響が少なかったと考えられること、官民一体となった継続的な自殺対策への取り組みが成果としてあらわれてきたことなども関係しているものと考えております。
 一方で、コロナ禍の長期化による自殺リスクの高まりが懸念される中、いまだに200人近くの方が自殺で亡くなっていることをしっかりと受けとめ、引き続き多様な主体が連携し、岩手県の総力を結集して、誰も自殺に追い込まれることなく、幸福を実感できる地域社会の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、米価下落対策についてでありますが、県では、生産者の所得確保に向けて、需要に応じた主食用米の生産とともに、地域特性を生かした野菜などの高収益作物への転換など、主食用米と転換作物の最適な組み合わせによる水田フル活用の推進や、収入保険等のセーフティーネットへの加入促進に取り組んでいます。
 また、県産米の販路拡大に向け、昨年9月には、世界最多の人口を抱える中国への輸出が初めて実現したところであり、引き続き県産米の輸出拡大を進めてまいります。
 国内では、お米の炊き上がりの白さやおいしさなどが高く評価された銀河のしずくのみを使用したおむすび商品が、大手コンビニエンスストアから新たに販売されることとなり、こうした情報をSNS等で積極的に発信するなど、今後とも県産米の需要拡大を図り、生産者の所得が確保されるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、水田活用の直接支払交付金についてでありますが、国では、米の需要減少が続く中、主食用米から大豆や野菜など定着性、収益性が高く需要のある品目への転換を一層進めるため、今般、見直しを行ったと承知しております。
 こうした制度の見直しに当たっては、生産者の十分な理解が必要と考えますが、生産者等からは、交付金の減額や、今後5年間に一度も水稲を作付しない水田は交付対象外になることで、生産意欲が減退し、耕作放棄地の増加が懸念されること、見直しの提示が唐突であることなどの声が寄せられており、多くの生産者が困惑していると認識しております。
 県では、今回の見直しに関し、生産者等の声を国に伝えるとともに、丁寧な説明を強く申し入れています。また、本県が誇るリンドウは、7年程度で水稲に転換しており、5年に一度の水稲作付については、こうした地域の実情を踏まえて対応するよう、国に強く求めてまいります。
 次に、いわてグルージャ盛岡のJ2昇格についてでありますが、昨シーズン、チームとサポーターが一丸となって快進撃を続け、チーム発足から18年目に悲願であったJ2リーグへの昇格をかち取ったことは、大変喜ばしいことであります。J2リーグでは、秋田県、宮城県、山形県、岩手県の東北4県のチームによる東北ダービーが繰り広げられるなど、大きな盛り上がりとチームのますますの活躍を期待しています。
 J2クラブライセンスの要件であるスタジアムの整備については、まずは、いわてグルージャ盛岡がホームスタジアムの所有者である盛岡市を初め関係者と合意形成を図りながら、整備計画を検討していくことが重要と考えています。
 また、プロスポーツ振興の観点から、いわてグルージャ盛岡を初めとした三つのトッププロスポーツチームと連携し、ファン拡大の取り組みや子供たちとの交流などを通じ、県民的な機運醸成を図ってまいります。
〇議長(五日市王君) 演壇の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、岩崎友一君。
   〔44番岩崎友一君登壇〕(拍手)

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