令和3年12月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(ハクセル美穂子君) いわて県民クラブのハクセル美穂子です。
 発議案第1号ガソリン価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率適用停止を求める意見書について、賛成の立場から討論を行います。
 発議案第1号ガソリン価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率適用停止を求める意見書は、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第44条により、別に法律で定める日までの間、その適用が停止とされている租税特別措置法第89条揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止の凍結を解除し、1リットル当たり28.7円の本則税率を適用することにより25円ほどガソリン価格を低減し、国民生活への影響を最小限に抑えるよう政府に対し強く要望するものであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって冷え込んでいた世界経済の回復が図られているにもかかわらず、主要産油国の原油増産が据え置きとなっていること等を要因として、国内のガソリン価格の高騰が続いています。11月のガソリン価格は平均で160円を超え、一部170円台で推移している地域もあったようです。
 これを受け、政府は、ガソリン価格の全国平均が1リットル当たり170円を超えた場合、石油元売事業者に対して1リットル当たり最大5円の補助金を支給する方針を示しました。しかし、この補助金は、石油元売業者に対する補助金であり、小売業者において、消費者が手にするガソリン価格を確実に5円引き下げることにつながると言い切れるものではありません。ガソリンが消費者の手に届くまでの間に、5円分の補助金が経費の一部になり消えてしまう可能性も否めません。
 また、日本と同様にガソリン価格の高騰に影響を受けているアメリカ政府が、日本を含めた5カ国と協調し、石油備蓄の放出について表明いたしました。アメリカが放出を要請したとの報道により国際的な原油先物価格が一時下落しましたが、その時点で効果は出尽くしたとの分析もあり、この取り組みによって、どの程度までガソリン価格の低減が図られるかは定かではありません。
 一方で、私たちはこれから厳しい冬を迎えます。そして、冬はさらにガソリン等揮発油の需要が高まっていく季節であることは、皆様御承知のとおりです。そのような中、今回のガソリン価格の高騰は、コロナ禍からの回復にあえぐ国民生活に大きなマイナスの影響をもたらすものです。運輸業、製造業のみならず、冬季の農林水産業にも多大な影響を及ぼし、経済活動の活発化に懸命に取り組む方々に不安な日々を強いることになりかねません。
 県と県内市町村が連携して、困難を抱える県民の皆様に対する冬期間の支援策を打ち出していますが、引き続きガソリン価格の高騰が続くようであれば、これら支援策も十分とは言えない状況になってしまいます。
 本則税率を適用すると1カ月で1、000億円ほど税収が減るという試算もあり、本県の地方揮発油税譲与税30億円余にも影響があるであろうことは十分に理解いたしますが、原油価格が下がることによって実質GDPが押し上げられる効果があることから、長期的に見れば税収の向上に資するという意見もあります。
 いずれにしても、新型コロナウイルス感染症の影響により疲弊した国民に対して、二重の苦難となり得るガソリン価格の高騰を抑えることは喫緊の課題であり、政府は、国民が安心して冬の生活を営んでいけるよう最大限の努力をするべきと考えます。
 加えて、この制度は2010年4月に成立しましたが、翌年3月に東日本大震災津波が発災したため、その復興財源を確保するという名目で運用が凍結されました。震災から10年の節目を迎え、復興道路として国が整備を進めてきた三陸沿岸道路も来る12月18日に普代―久慈インターチェンジ間25キロメートルが通行可能となり、全区間359キロメートルの整備が完了となります。
 復興財源を確保するという特例税率の適用停止を凍結した目的もほぼ達成されてきている現状に鑑み、今後は、コロナ禍後の国民生活安定のため、必要によっては特例税率の適用停止を図ることができるよう法整備を進めるべきです。
 以上によって、ガソリン価格の高騰が国民生活に多大な影響を与えると判断した場合に、揮発油税及び地方揮発油税の特例税率の適用を停止し、国民生活の安定を図り、経済活動への影響を最小限に抑えることを要望する発議案第1号に賛成いたします。
 多くの議員の皆様の御賛同を心からお願い申し上げ、賛成の討論といたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、高田一郎君。
   〔13番高田一郎君登壇〕

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