令和3年12月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第7号令和3年度岩手県一般会計補正予算(第9号)、議案第12号県営住宅等条例の一部を改正する条例、議案第16号岩手県立高田松原津波復興祈念公園の指定管理者を指定することに関し議決を求めることについて、質問いたします。
 議案第7号令和3年度一般会計補正予算(第9号)は、新型コロナウイルス感染防止対策に関する13億9、100万円余の補正予算であります。
 給与費が2億1、500万円余計上されています。これは、ワクチン接種や中小企業支援を初めとする新型コロナウイルス感染症対応等による業務量の増加に伴う超過勤務手当を増額補正するものであります。
 今年度、知事部局において、他律的業務の比重が高い部署において、一つ、月100時間以上、二つ、連続する2カ月から6カ月の平均が80時間超、三つ、これ以外の部署においては月45時間を超えて超過勤務を行った職員数はどうなっているでしょうか。どういう職種で超過勤務が増加したのでしょうか。職員の健康管理対策、超過勤務を調整するための職員の増員、応援体制はどう行われたのでしょうか。
 議案第12号は、県営住宅等条例の一部を改正する条例であります。
 東日本大震災津波の被災者に係る収入超過者の認定及び高額所得者に対する明け渡しの請求の特例措置を講じようとするものであります。具体的には、災害公営住宅の収入基準を現行の月収15万8、000円から25万9、000円に引き上げるものであります。
 県営災害公営住宅に被災者が入居する場合は収入基準がなく入居できますが、収入基準を超えた被災者の場合、3年が経過すると、収入超過者として上限7万7、400円まで家賃が引き上げられます。その結果、これまで自治会の担い手であった働く世代が退去せざるを得ない残念な事態が出ています。今回の収入基準の引き上げは、この問題を打開する一歩となるものであります。
 そこで具体的にお聞きします。一つ、現在の収入超過者の実態はどうなっているでしょうか。認定収入超過者、今後、認定予定の収入超過者を示してください。
 二つ、これまでに収入超過者はどれだけいて、退去された方はどれだけいたのかを示して下さい。
 三つ、今回25万9、000円まで収入基準を引き上げることによって、収入超過者とならず、家賃が引き下げとなる世帯はどれだけでしょうか。実際にどれだけの家賃引き下げとなるのか具体例を示してください。
 四つ、月収31万3、001円以上の世帯は高額所得者となり、これまでは住宅の明け渡しが求められてきました。今回の条例改正案では、明け渡しは求めず、割り増し家賃のもとで入居継続が可能となります。対象となる世帯の実態はどうなっているでしょうか。
 五つ、月収25万9、000円を超える世帯は、引き続き上限7万7、400円の割り増し家賃となります。県営災害公営住宅の空き室がふえる中で退去せざるを得ない状況が残されます。さらなる独自の軽減策が必要ではないでしょうか。
 六つ、市町村との協議も行ってきたと思いますが、市町村の災害公営住宅でも同様の対策が講じられるのでしょうか。
 議案第16号は、岩手県立高田松原津波復興祈念公園の指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。具体的には、高田松原津波復興祈念公園マネジメント共同体を指定管理者としようとするものであります。
 そこで質問します。一つ、高田松原津波復興祈念公園マネジメント共同体の構成団体と、これまでの実績を示してください。
 二つ、高田松原津波復興祈念公園の管理運営方針はどうなっているでしょうか。
 三つ、年間の委託費と正規、非正規の人員の体制、賃金水準と労働条件はどうなっているでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇総務部長(白水伸英君) 知事部局における超過勤務の状況についてでございます。
 令和3年4月から9月までの速報値におきましては、月100時間以上の超過勤務を行った職員は全体で73人おりまして、超過勤務の上限等の区分ごとに、他律的業務の比重が高い部署のうち、月100時間以上の超過勤務を行った職員は44人、連続する月の平均が80時間を超えた職員は51人となっております。また、これ以外の部署において、月45時間を超えた職員は128人となっております。
 新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、特に、ワクチン接種体制の構築や積極的疫学調査、入院搬送調整等の業務を担う医療政策室や各広域振興局保健福祉環境部において超過勤務時間が多くなっておりまして、感染者数の拡大時には、保健師等の専門職員の負担が大きくなっているものと認識しております。
 こうした超過勤務が多い職員に対しましては、長時間労働による健康障がいを防止するため、産業医による保健指導を行うとともに、ワクチン接種や軽症者等宿泊療養施設の運営業務に対する全庁からの業務支援を実施いたしましたほか、保健所支援本部による支援や専門職員の保健所間応援派遣などを行ったところであります。
 また、年度途中に医療政策室へ職員を増員いたしましたほか、令和2年度末と比較し、会計年度任用職員を含めて保健師を22人増員しておりまして、今後におきましても、必要な人員体制の確保に取り組んでまいります。
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、現在の収入超過者の実態についてでありますが、県営災害公営住宅における本年10月1日現在の収入基準を超過している世帯は116世帯であり、このうち収入超過認定されている世帯は100世帯、今後認定される可能性がある世帯は16世帯となっております。
 次に、これまでの収入超過者数と退去者数についてでありますが、先ほど御答弁させていただきましたが、令和3年10月1日現在の収入超過者として認定されている世帯は100世帯となっております。
 なお、時点が異なりますが、令和2年度末までに退去した収入超過者は28世帯となっております。
 次に、家賃が引き下げとなる世帯についてでありますが、県営災害公営住宅において、本年10月1日現在で収入基準を超過している100世帯のうち、対象となる世帯は70世帯となっております。具体例といたしましては、釜石市平田アパートの3DKに居住し、月収20万円、入居後6年目を想定した場合、これまでは収入超過認定を受けた場合、家賃減免措置後の上限家賃である月額7万7、400円となっておりましたが、条例改正後は、収入に応じた家賃である月額4万3、200円となるものでございます。
 次に、高額所得者の実態についてでありますが、県営災害公営住宅における本年10月1日現在、31万3、000円を超えている高額所得世帯は22世帯となっております。
 次に、独自の軽減策についてでありますが、今回の改正は、公営住宅法で定めた上限額25万9、000円まで引き上げようとするものであり、さらなる家賃軽減措置については難しいと考えております。
 なお、高額所得者であっても退去を求めない措置を、独自の軽減策として提案させていただいております。
 次に、市町村における対応についてでありますが、花巻市と岩泉町において、裁量階層世帯の収入要件を25万9、000円に引き上げたことは承知しておりますが、今回の条例改正案に関する内容や事務処理の参考例を各市町村に提供したところであります。各市町村が、それぞれの地域の実情に応じた措置を講じられるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。
 次に、高田松原津波復興祈念公園の指定管理者の構成団体と実績についてでありますが、今回指定しようとする高田松原津波復興祈念公園マネジメント共同体の構成団体は、一般財団法人公園財団と特定非営利活動法人みどりの相談室であります。一般財団法人公園財団は、公園の管理運営を主な事業とする団体であり、13の国営公園を管理運営しているほか、16の地方公共団体の都市公園や公共施設を管理運営している団体であります。
 特定非営利活動法人みどりの相談室は、県内の造園事業者等から成るNPO法人であり、内丸緑地や県立緑化センターのほか、盛岡市が所管する盛岡城跡公園の指定管理を行っている団体でございます。
 次に、管理運営方針についてでありますが、高田松原津波復興祈念公園の基本計画では、犠牲者への追悼と鎮魂の場を維持し、東日本大震災津波の記憶と教訓の伝承や復興のありようを国内外に向け発信するとともに、中心市街地や道の駅と一体となって、地域のにぎわい創出に貢献する管理運営が求められるとされております。
 このことを踏まえ、復興祈念公園において、多様な活動が展開できる環境が整えられるなど魅力あるサービスを継続的に提供できるよう、国、県、市が連携した管理運営を目指すとともに、市民やNPOとの協働による管理運営体制の構築を目指すこととしております。
 次に、年間の委託費と人員体制等についてでありますが、指定管理に要する経費としては、年間3、842万円の指定管理料を見込んでおります。
 人員体制については、管理運営業務責任者1名、施設管理等を担当する業務担当者1名、利用者サービス等を提供する庶務担当者1名のほか、清掃、巡視等を担当するマルチスタッフ3名の計6名の体制となる見込みであります。職員6名のうち、管理運営業務責任者と業務担当者の2名は正職員、それ以外の4名は正職員以外となる見込みであります。
 賃金水準につきましては、指定管理者候補者からの聞き取りによれば、現時点で、正職員の年収は540万円から660万円程度、正職員以外の年収は200万円から240万円程度を見込んでいるとのことであります。時給に換算いたしますと、正職員は1時間当たり2、780円から3、400円程度、正職員以外は1、000円から1、240円程度と試算されます。労働条件については、職員6名とも週40時間のフルタイム勤務を予定しているとのことであります。
〇37番(斉藤信君) 今回超過勤務手当をいち早く対応し、2億1、500万円余となっています。私はこれを評価したいと思います。
 そして、かつてない新型コロナウイルス感染症の感染拡大のもとで、大変献身的に奮闘されたということにも敬意を表したいと思います。先ほどの、産業医による保健指導は、100時間を超えた方々が対象なのでしょうか。どれだけの方々が対象になったのかを示してください。
 二つ目に、県営災害公営住宅の収入基準の引き上げの問題でありますけれども、私は、かなり前から収入超過者の対応を求めてきました。かなり時間がかかりました。市町村とも協議をしてきたと思うのですけれども、今の答弁を聞くと、花巻市と岩泉町は既に収入基準を引き上げていると。あとの沿岸市町村の多くに災害公営住宅があるのです。収入超過者もいると思うのです。私は、やはり市町村と足並みをそろえて取り組むべきだと思いますが、市町村との協議でどのように今後の方向を確認しているのか改めてお聞きします。
 それと、高田松原復興祈念公園ですけれども、既に国営追悼祈念施設は国からの委託で運営しております。面積そのものは狭いのだけれども、委託料は5、000万円余と聞いています。県営の復興祈念公園は広大な面積です。それが委託料はわずか3、842万円で、人員体制も、正規職員が2人、非正規職員が4人と、こんな貧困な体制で本当に管理運営ができるのでしょうか。
 高田松原津波復興祈念公園は、今、東日本大震災津波伝承館もあり道の駅もあります。そして、あそこには四つの震災遺構もあるわけです。ですから、これを本当に活用した総合的な管理運営が求められていると思うのだけれども、委託料も少ない、人員体制も少ない、それで本当に管理運営できるものかどうか。管理面積は広いのに、なぜ国の追悼祈念施設の管理運営よりも大幅に少ないのか。
 そして、これは最後ですけれども、非正規職員の場合は、週40時間勤務といいながら、最低賃金は時給1、000円で、年収200万円ということはワーキングプアですよ。私は、県が委託するこういう事業で、ワーキングプアやワーキングプアに準ずるような労働者をつくってはならないと思います。県が締結する契約に関する条例も制定されているではないですか。そして、非正規職員の人数が正規職員の倍ですよ。
 すばらしい施設なのだから、本当にみんなが安心して働けるようなしっかりした管理運営体制をとるべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇総務部長(白水伸英君) まず、私から、産業医による保健指導の状況について答弁を申し上げたいと思います。
 まず、対象者についてでございますが、月100時間を超えた職員、連続する月の平均が80時間を超えた職員、それから、労働により心身の疲労の蓄積や健康上の不安を有している職員で、本人の申し出があった職員または所属長が必要と認める職員について保健指導を行っております。
 今年度の実績でございますが、4月から直近の10月までということで恐縮でございますが、現時点で287人となっております。これは前年同月に比べ多い状況となっておりますので、引き続き、超過勤務の削減にあらゆる方策を講じてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(田中隆司君) まず、災害公営住宅に係る市町村との協議の方向ということでありますが、今回の条例改正案については、各市町村に提供させていただいています。今回条例として議決いただければ、また、その内容を改めて市町村を回って周知させていただいて、なるべく一緒の方向になるように、引き続き市町村の相談に乗ったり支援をしていきたいと考えております。
 それから、国営追悼祈念施設との比較ということでありますが、国営追悼祈念施設は、御案内のとおり、復興の象徴として、10ヘクタールの面積でありますが、国が設営して管理しているということであります。復興祈念公園を訪れる方々のメーンの動線になっているところでありまして、そこはしっかり管理していく必要があるものだと思っています。
 県のほうもそれにならってというところではありますが、ほかの県立公園との単価を比較すると、花巻広域公園、御所湖広域公園は1ヘクタール当たり84万円から93万円ぐらいですが、高田松原津波復興祈念公園については100万円程度ということです。
 いずれ、今回が最初の取り組みということでありますので、公園の利活用の促進を図りながら、次の展開で柔軟な対応も検討していく必要があるかと思っていますが、まずは運営をしていくといったところが大事な部分かと思っております。
 それから、非正規職員につきましては、県が締結する契約に関する条例の規定によりまして、指定管理者に賃金及び社会保険に関する事項を遵守させるとともに、毎年度、職員の配置などの管理運営体制も含めた施設の管理運営に係る評価を行っていくこととしております。
 今後におきましても、適正な雇用労働条件が確保されるよう、引き続き指定管理者制度の適正な運用に努めながら、高田松原津波復興祈念公園の利活用の促進、適正な管理に努めてまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 災害公営住宅の収入基準の引き上げについて、これは本当に前向きな対策なので、来年4月からまた新たな家賃になりますから、私は、早く適切にアナウンスをして、今の収入超過者が安心して継続的に入居できるようにしていただきたいと要望して終わります。
〇議長(五日市王君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第7号から議案第17号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第18回県議会定例会 令和3年12月3日)
総務委員会
1 議案第7号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款
       第2款
2 議案第8号
3 議案第9号
4 議案第11号
5 議案第13号
6 議案第17号
文教委員会
1 議案第7号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第10款
   第3条第3表中
    追加中 2
2 議案第14号
環境福祉委員会
1 議案第7号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款
       第4款
商工建設委員会
1 議案第7号
   第2条
   第3条第3表中
    追加中 1
2 議案第10号
   他の委員会の付託分以外
3 議案第12号
4 議案第15号
5 議案第16号
農林水産委員会
1 議案第10号
   別表第6の改正関係
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時27分 散 会

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