令和3年12月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 通告に沿って質問をいたします。
 第1に、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守る課題についてであります。
 新型コロナウイルス感染症は、8月に首都圏を中心に感染爆発が起こり、自宅療養者は13万5、000人、自宅で亡くなった人は250人にもなりました。
 岩手県は、全ての感染者を診察し、入院または宿泊療養を基本に対応するなど、全国でも先進的な対応が行われました。医療資源が乏しい中で重症者を比較的少なく抑えることができたことは、今後に生かすべき教訓であります。これまでの取り組みをどう評価し、第6波に備えていくのでしょうか、知事にお聞きいたします。
 次に、感染対策であります。
 ワクチン接種を行っている諸外国では、時間の経過とともに中和抗体の低下でブレークスルー感染が起こり、また、規制の緩和による感染の再拡大が発生しています。ドイツでは1日の感染者が6万人を超え、日本よりワクチン接種率が高い韓国では、1日の感染者が5、000人、重症者は600人と過去最大となっております。
 国内では、感染者が大幅に減少しているものの、感染伝播が継続している状況を踏まえ、感染対策の継続、強化など一層の取り組みが必要となっております。とりわけ3回目のワクチン接種を確実に進めることが重要となっております。
 そこで、幾つか質問いたします。県内の2回目の接種率は人口比で、11月30日現在80.3%となっております。20代は77.9%、そして30代は78.7%となっており、若い世代への接種率をどう上げていくかが今後の課題であります。どう取り組まれるのでしょうか。
 高齢者施設については、入所者と従事者を同時に接種することが必要であります。市町村と連携して取り組むべきでありますが、県の対応について伺います。
 ワクチン接種会場までのタクシーを活用した運送費支援は、これまで16市町村で実施され、市町村から歓迎されました。高齢者の3回目の接種は冬期間の2月から3月がピークとなるだけに、前回以上に活用されることも予測されます。これまでの実績と3回目に向けた支援の具体的な方針を示してください。
 次に、PCR検査であります。
 ワクチンの感染予防効果は半年で50%まで落ち、また、感染しても症状が出にくくウイルスが常在するような状況に変わっていると専門家は指摘しております。したがって、高齢者施設や医療機関等での定期的な検査が必要であります。
 県内のPCR検査能力は1日4、886件に拡大されました。感染拡大するハイリスクな場所については定期的な検査を行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、医療機関及び保健所の体制強化であります。
 県南地域の公立病院では、1病棟を新型コロナウイルス感染症病床にして対応したため、他の病棟の病床使用率は100%前後となり、一般医療を行いながら大変な困難の中で診療に当たられたと医師から伺いました。
 県は、今後の感染に備え、新型コロナウイルス感染症病床を400床、宿泊療養施設を370室整備する方針でありますが、医師、看護師の増員こそ必要であります。どのような対応を考えているのでしょうか。
 和歌山県では、全ての陽性者に対して入院措置を続け、これまで入院した5、169人の追跡調査を行いました。その結果、検査の時点で無症状だった1、199人のうち331人、25%が肺炎と診断されました。76人が酸素投与が必要な中等症以上となり、20人が死亡したということであります。感染後の容体変化に対応した支援とともに追跡調査が必要と考えますが、岩手県では、これまでどのような分析、調査と対応が行われてきたのでしょうか。
 次に、県民の暮らしと事業者への支援であります。
 10月の事業者実態調査では、影響が継続している75%、特に前々年度との比較により、41%以上の売り上げ減少は、飲食業では42%、宿泊業では51%にもなっており、感染者ゼロが続く中にあっても厳しい現状にあります。県は、県内事業者や生活困窮者の厳しい現状をどう把握されているでしょうか。
 政府が経済対策で行おうとする臨時特別給付金は、住民税非課税世帯や子供のいる世帯に支給となり、新型コロナウイルス感染症で最もしわ寄せを受けた非正規労働者や多くの学生は対象外となります。事業復活支援金は、支給要件を緩和しましたが、個人事業主で持続化給付金の半額となります。それぞれの支給される対象世帯または事業者数と交付額はどう試算されているのでしょうか。
 いわて飲食店安心認証制度による認証店は、11月26日現在、4、598件となっています。対象店舗約9、000店の5割程度にとどまっております。認証店が少ないと思いますが、課題と今後の対応策も含め示してください。また、認証店に対する支援金の支給状況についても示してください。
 6兆8、000億円規模の地方創生臨時交付金が国会に提出される予定であります。この6兆8、000億円の内容、本県への配分額をどう試算されているのか。今後配分される財源を活用して経済対策にしっかり取り組むべきであります。12月末で終わるいわて旅応援プロジェクトを初め、経済対策にかかわる取り組みを早期に予算化すべきと考えますが、どう検討されているのでしょうか。
 次に、生活困窮者に対する支援と相談体制であります。
 生活福祉資金の特例貸付が増加し、本県では、10月末現在、緊急小口が5、335件、総合資金は3、172件となっております。生活困窮者自立支援金についてはわずか82件となっており、この間、求職要件などが厳しいと現場からも改善を求める声も出ております。
 このたび、生活福祉資金の特例貸付や生活困窮者自立支援金の見直しが行われましたが、どう見直しされたのでしょうか。生活や就労支援など、生活困窮者の自立支援に取り組む業務が増加しております。現場からは、生活改善に向けた充実した伴走型支援ができないとの声が出ております。社会福祉協議会職員の増員が必要と考えますが、県はどう対応されるのでしょうか。
 次に、東日本大震災津波からの復興と被災者支援についてであります。
 これまで継続してきた被災者の医療費、介護保険利用料などの免除措置は、被災者の命綱として大きな役割を果たしてきました。しかし、県は、市町村の動向などもあって、今月末でこの事業を終了する方針であります。
 知事は9月県議会定例会で、生活困窮者自立支援制度やいわて被災者支援センターによる相談等により、被災者の方々が経済的な理由により必要な支援が受けられないことがないよう支援していくと答えています。そもそも生活困窮者自立支援事業は、生活困窮者への就労支援や生活費の貸し付けなどを行う事業であり、医療費の窓口負担を免除できる事業ではありません。
 岩手県保険医協会の調査では、4月から自己負担が発生した被災者のうち、通院できなかったは12.7%、1月から負担が発生した場合、通院できないは24.2%となっております。
 経済的な負担で通院できない被災者の実態を把握して、具体的な支援策を講ずべきと考えますが、県の対応を伺います。
 次に、災害公営住宅入居者への見守りとコミュニティー支援についてであります。
 県営災害公営住宅では、9月末現在、入居世帯数は5、287世帯、65歳以上のひとり暮らしは35.1%。高齢化、生活苦、孤独化が同時進行しており、災害公営住宅での孤独死も続いています。
 被災者の見守りとコミュニティー支援が重要であり、50世帯以上の災害公営住宅に生活支援相談員の配置を繰り返し求めてきました。10月末現在では3市町4カ所にとどまっており、多くの集会所は鍵がかかっている現状にあります。
 先月、私は南三陸町の被災者支援の取り組みを調査してきました。南三陸町では、738戸の災害公営住宅に10人の支援員が配置されていました。志津川中央災害公営住宅142戸には2人の生活支援員が常駐し、見守りや相談活動、住宅内交流会、そして地域交流事業、毎日の体操に取り組まれ、事務室のホワイトボードは行事でびっしりでありました。
 みんなの食堂という事業は、入居者が弁当をつくり、地域の皆さんの協力を得て高齢者宅への宅配弁当に取り組まれておりました。また、生活支援コーディネーターも参加した支援員の経験交流を行い、支援のあり方を学びながら取り組んでいました。支えてもらう仲間がいて入居してよかったと入居者からもお話を伺い、支援員が常駐していることが入居者の大きな安心と支えになっているということを感じる調査でもありました。
 県内で配置されている災害公営住宅や南三陸町の経験に学び、集会所への生活支援相談員の配置に今こそ取り組むべきであります。新年度に向けどう検討されているのでしょうか。
 次に、いわて被災者支援センターについて質問いたします。
 いわて被災者支援センターは、住宅ローンの返済や家族関係の悩みなど多様な悩みを抱える被災者への伴走型支援を行っています。先日、この活動状況を学ぶために、いわて被災者支援センターを調査いたしました。県内外の避難者実態調査も対象が限定され、被災者の相談も即対応できないなどの課題も伺いました。
 活動の取り組み状況、課題を県はどう把握されているのでしょうか。全国から注目された取り組みで重要な事業でありますけれども、わずか4人の人件費では十分ではないと感じております。抜本的な体制と予算の拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、東京電力福島第一原子力発電所事故による汚染水の処理問題であります。
 4月の政府によるALPS処理水の海洋放出決定から本県で初めて説明会が行われました。盛岡市、宮古市の2会場では、参加者からどのような意見が出されたのでしょうか。東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染は、暮らしとなりわいに深刻な被害を及ぼしました。ALPS処理水の海洋放出は、震災、大不漁、新型コロナウイルス感染症の三重苦にさらに追い打ちをかけるものであります。
 東京電力は、海洋放出する際のトリチウムの濃度について規制基準の100分の1まで薄める、風評被害が生じた場合は賠償を行うとのことでありますが、そもそもこれは海洋放出決定前に説明すべき内容であります。
 政府と東京電力は2015年、福島県漁業協同組合連合会に対して、関係者の理解なしに汚染水のいかなる処分も行わないと文書回答しているにもかかわらず、海洋トンネルをつくり沖合に放出することまで計画しています。知事は、こうした政府と東京電力の対応についてどのように受けとめているでしょうか。
 海洋放出には40年かかるとされ、その間に大型タンクで保管することもできます。トリチウムの分離技術も研究され、実証実験も行われており、海洋放出以外の立場で英知を集めることが必要であります。
 宮城県は、海洋放出以外の方法についても国に検討を求めています。宮城県と連携して国に求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、米価の大暴落と岩手県の農業についてであります。
 岸田内閣総理大臣は9月の総選挙で、市場隔離を含めた十分な支援を行うと訴え、総裁となりました。しかし、10月の所信表明では、一転して、市場隔離は制度の趣旨に合わないと表明し、15万トンの特別枠で対応しようとしています。しかし、15万トンの特別枠は保管料を補助するものであって、1年後には古古米として売却するものであり、米価の暴落を抑える対策とはなりません。
   〔副議長退席、議長着席〕
 在庫米を買い上げて生活困窮者への支援を行うなど、市場隔離こそ必要であります。国に対して市場隔離をしっかり求めていくべきと考えますが、県の考えを伺います。
 令和3年産米は県内で2、000ヘクタールの作付転換となりましたが、令和4年産は新たに4万ヘクタールの転作が必要と農林水産省は述べております。本県ではどの程度になるのでしょうか。
 新たな作物への転換を進めるには初期投資への支援と、飼料用米にしても主食用米と遜色のない収入となるような支援でなければなりません。令和3年産米は、県の水田転換緊急対応助成と国の都道府県連携型助成を合わせて10アール当たり1万円の助成が行われ、主食用米と遜色がない対応がされました。飼料用米の補助金が確保されるのでしょうか。国、県の支援策はどうなるのでしょうか。
 今、世界的な原油価格や穀物相場の上昇で、生産資材、春肥料、飼料などが高騰し、農業経営に深刻な影響が出ております。燃料が高騰し、この冬だけでも100万円規模で負担がふえる、こう試算する農家も出ております。燃料や肥料などが高騰しても農産物価格に転嫁することはなかなかできません。
 農家の皆さんは、この1年間、大雪やひょう被害、新型コロナウイルス感染症と大きな痛手を受けています。県は、こうした実態を把握して必要な支援策を講ずべきと考えますが、県の対応について伺います。
 次に、学生、生活困窮者への食料支援についてであります。
 子ども食堂や子ども宅配を行っている団体には、政府備蓄米が無償交付されていますが、どれだけの団体が交付を受けているのでしょうか。今回、国の経済対策で食料支援が拡充されると言われていますが、その内容についても示してください。
 政府備蓄米の無償提供は、あくまで食育の観点での提供であり、生活困窮者へ広く提供するものではありません。県として、学生やひとり親家庭など生活に困窮する世帯へ食料支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 給食施設における県産農林水産物の利用実態調査では、県産米の活用が、社会福祉施設は87%、公立病院は30.2%、県立病院は99%となっております。また、地産地消給食事業者に認定されていない民間企業の社員食堂は調査対象となっておりませんが、県産米が十分利用されていない実態にあります。
 民間企業、公立病院、そして社会福祉施設に働きかけ消費の拡大に取り組むべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、気候危機の打開についてであります。
 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、いわゆるCOP26で、岸田首相は、焦点の石炭火力に一言も触れず、火力発電がアジアでも必要と訴え、また、アンモニアや水素を石炭にまぜて燃やす技術を開発すると強調し、石炭火力発電を温存、維持する演説を行い、この演説で、日本は国際協力NGOから化石賞を受賞いたしました。
 一方、COP26グラスゴー気候合意では、気温上昇を1.5度に制限する努力を追求することや石炭火力の段階的な削減も確認し、各国の2030年削減目標を来年末までに必要に応じて検証するよう要請いたしました。
 知事は、COP26の成果及び政府の対応をどのように受けとめているでしょうか。
 次に、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しと目標の達成について質問いたします。
 政府の地球温暖化対策計画では、CO2削減目標を2010年度比42%減でありますが、これは国連IPCCが示す45%減よりも低い目標であります。岩手県の実行計画では、2013年度比41%減となっております。県の削減目標をさらに見直す必要がありますが、いかがでしょうか。
 岩手県におけるCO2排出量のトップは産業分野で41%、製造及び民生業務部門では2018年度比で排出量は増加しております。県は、大きく排出する企業に地球温暖化対策計画書の提出を義務づけておりますが、達成率は53%であります。
 目標を達成するためには企業の取り組みが重要であります。目標を達成できない要因、目標を達成するための県の支援策を示してください。
 県の実行計画では、2030年度までに再生可能エネルギーによる電力自給率65%を目指すと積極的な目標を掲げていますが、太陽光、風力、地熱、水力など、それぞれの分野でどう取り組み、目標を達成しようとしているのか示してください。
 再生可能エネルギーの拡大には、環境を壊さず地域に貢献できることが大事であります。森林法のメガ発電開発など、大規模な施設建設への規制には限界があります。環境保全と建設可能地区を明確にしたゾーニングをつくることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、省エネルギー対策であります。
 民生家庭部門におけるCO2排出量は20.8%と産業分野に次ぐ排出量であります。この実行計画では、2013年度比4割削減目標を掲げていますが、暮らしや産業、地域におけるエネルギー消費量削減の具体的な対策を示してください。
 高断熱、高気密な住宅は、省エネ効果とともに、ヒートショックやアレルギー、ぜんそくなどの予防、改善効果があるとの調査結果もあります。
 長期優良住宅、岩手型住宅、そして住宅用太陽光発電導入など、住宅建築物の省エネルギー化の一層の普及促進が必要であります。目標と取り組みはどうなっているでしょうか。
 第5に、介護保険制度について質問いたします。
 特別養護老人ホームなどの食費、居住費の負担について、この8月から補足給付の見直しにより負担軽減措置が縮小されたことから、大幅な負担増となりました。いわての介護を良くする会の調査では、回答施設入居者数3、593人のうち、月額2万円以上の負担増が775人、最も負担が増加した額の平均は4万円で、月額約9万円の負担増の入居者もありました。
 補足給付は、2005年の介護保険制度改悪で食費と居住費用を全額自己負担にしたときに、厚生労働省が低所得者に配慮するとして導入されたものであります。入所者からは、いつまで入居できるのか不安だという声も出ております。
 県は、こうした補足給付の見直しによる県内の実態や影響をどう把握されているのでしょうか。住民税非課税世帯にも新たな負担を求めるこの補足給付の縮小は中止を求めるべきでありますが、いかがでしょうか。
 次に、特別養護老人ホームの待機者や住宅で介護を続ける介護者への支援であります。
 非正規雇用と不安定な雇用条件のもとで、家族介護に必死に取り組む介護者が増加しています。90代の介護度4の両親を介護する50代の男性から、仕事を続けながらの介護も、また離職もできない。入所が決まっても利用料を払えない。こういう相談を受けました。コロナ禍の中で、在宅介護を担っている方々の負担は一層増加しています。
 国民年金で入れる特別養護老人ホームというものがあるのでしょうか。利用料の負担が軽減できる支援制度はどうなっているのでしょうか。
 特別障害者手当は、介護度4、5で対象になる場合があります。在宅介護を支援するためにも、この制度の周知とともに介護手当の拡充、増額が必要と考えます。市町村の支給状況はどのようになっているでしょうか。
 介護施設の老朽化に伴う改築、そして待機者解消のための整備が必要であります。老朽化で改築を検討する社会福祉法人からは、建設コストが上昇し施設更新には13億円程度必要だが、補助金は2億円にもならない。法人の努力だけでは厳しいという声もありました。施設整備に対する補助の拡充を検討すべきでありますが、いかがでしょうか。
 最後に、憲法改悪とオスプレイ参加の日米合同訓練の問題についてであります。
 憲法改正をめぐっては、総選挙後、三つの動きがありました。一つは、自由民主党が改憲に向けて党内に憲法改正実現本部を立ち上げたこと、二つ目、敵基地攻撃能力の保有を初め、自衛隊を海外派兵型の軍隊につくりかえる動きが進んでいること、三つ目、日本維新の会や国民民主党が憲法改正論議加速で合意したことなどであります。
 こうした動きは、憲法第9条改正の国会発議を行うことに置かれております。中国を念頭に、日本を取り巻く安全保障の環境の厳しさが改憲論議の理由となっております。しかし、中国の覇権主義的な行動は、国際法に基づいた冷静な外交的批判で包囲していくことが大事であります。軍事対軍事では悪循環をつくり出し、東アジアの平和と安定にとっても逆流と危険をつくり出してしまうのではないでしょうか。
 総選挙後のこうした憲法第9条改正の新しい動きに対する知事の見解を伺います。
 オスプレイが参加する日米の共同訓練は、あす14日から岩手山演習場などで行われようとしております。米軍機オスプレイは、飛行ルートや日時も明らかにせず、各地で事故を起こす欠陥機と言われ、ことしも各地で飛行中の部品落下、夜間無灯火での低空飛行訓練などを繰り返してきました。
 知事は、11月11日の防衛省の記者会見発表後、速やかに訓練内容や安全性などについての丁寧な説明を求めるコメントを発表し、15日には、東北防衛局に要請を行いました。機敏な対応であったと思います。東北防衛局から丁寧な説明や安全性などの回答がこの間あったのでしょうか。
 米国と軍事同盟を結んでいるドイツやイタリアでは、訓練や演習は許可、承認が必要で、国内法が適用されております。しかし、日本では、国内法が適用されず、訓練内容もルートも明らかにしないまま訓練が行われています。
 この訓練の中止と、そして、日米地位協定を見直すよう政府に強く求めるべきでありますが、知事の見解を求め、私のこの場での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、取り組みの評価と第6波への備えについてでありますが、この夏の感染拡大を踏まえた今後の保健・医療提供体制の整備に係る目標と目指す水準については、10月に国から、1、全ての感染者が、速やかに健康観察や診療を受けられること、2、早期に適切な治療を受けられ、重症化が最小限に抑制されること、3、入院を必要とする者が、迅速かつ確実に入院等につなげられることの3点が示されました。
 本県では、新規感染者は、原則入院または宿泊療養施設での療養とし、これを経ずに自宅療養を行うことはしないとの方針に基づき、この夏の感染拡大時においても、全ての感染者に対して速やかに疫学調査を行い、早期に適切な入院治療や宿泊療養につなげる体制が維持されたことから、国から示された目標、水準には、既におおむね対応できていたものと考えております。
 その上で、県としては、次の感染拡大に備え、この夏のピーク時における入院患者の1.2倍の患者数を想定した病床や宿泊療養施設の確保などにより、今般確認されたオミクロン株への対応も含め対策を強化していく考えであります。
 次に、東京電力福島第一原子力発電所事故による汚染水の処理についてでありますが、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の取り扱いについては、国は、福島県の地元自治体や農林水産業者を中心に報告や意見交換を行い、加えて、関係者の意見を聞く場の開催や国に寄せられた意見等も踏まえて、国の責任において処分方法を決定したとしています。
 しかしながら、その処分方法や処理水の安全性、風評対策などについて、国内外の理解が得られているとは言えない中での決定であり、県内の市町村などから、海洋放出によらない新たな処理、保管方法の検討を求める意見が出されているほか、漁業者からは、風評被害を懸念する声が上げられています。
 県としては、水産業を初めとする関係団体や関係市町村等への丁寧な説明と真摯な対話、慎重な対応を国に求めてきたところであり、今般、国への働きかけにより、県内の関係者等に対する説明の場を盛岡市と宮古市で設けたところでありますが、出席者からは、方針決定に至る経緯への不満や安全性に対する不安、風評被害への懸念、さらに丁寧な説明を求める声が上げられたところであります。
 国においては、安全性や風評被害への依然として強い不安や懸念の声に真摯に対応し、さらに丁寧な説明や不安、懸念を払拭する具体的な取り組みが必要と考えます。
 次に、処理水の海洋放出についてでありますが、処理水の処分に関する基本方針については、国の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会において、専門家が風評影響など社会的な観点も含めた総合的な議論を行い、技術的に可能な処分方法を検討し、海洋放出がより現実的であるとした報告書を踏まえ、国において決定したとされています。
 県としては、処理水の処分は、本県の自然環境や漁業を初めとする産業に影響を及ぼすものであってはならないと考えており、政府予算要望を初め、さまざまな機会を捉えて、関係団体や関係市町村等に対する丁寧な説明と慎重な対応を要望してきたところであります。
 また、これまで全国知事会及び北海道東北地方知事会を通じて、国民の理解を得る取り組みや事業者などに対する万全な風評対策とともに、新たな技術動向の調査や研究開発を継続するよう国に要望してきたところであります。
 今後においても、安全に関する客観的で信頼性の高い情報の発信や安全性をさらに高める処理技術の研究開発の継続など、県民の安心が得られるような具体的な取り組みを引き続き求めてまいります。
 COP26の成果及び政府の対応についてでありますが、COP26では、交渉の過程で先進国と中進国の攻防が見られたものの、最終的には、二酸化炭素排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減や、化石燃料への非効率な補助金の段階的廃止への努力を加速させること等を各国へ求め、また、地球温暖化に伴う被害を低減するために、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標実現に向けた努力を追求することが合意されたものと承知しております。
 目標の達成に向けて、先進国も中進国も含めて、あらゆる国々が努力して地球温暖化対策を進める責任があり、我が国においても、地方から率先して対策に取り組んでいく必要があると感じております。
 県として、いわて気候非常事態宣言に基づき、気候変動に対する危機感を県民と共有し、2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けて、県民総参加による地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、憲法第9条の改正に向けた動きに対する見解についてでありますが、日本国憲法第9条は、さきの大戦とそこに至る日本のあり方について、深い反省のもと、過ちは二度と繰り返さないという国民的な決意として定められたものであり、その趣旨は、国際連合憲章の理念にも合致する極めて重要な条文であると考えております。
 今回の衆議院議員総選挙において、憲法改正が国民的な争点になったとは考えにくく、各政党や国会議員の皆さんにおいては、改めて、民意を尊重し、新型コロナウイルス感染症対策を初め、重要な課題に優先的に取り組んでいただきたいと思います。
 民意を尊重せずに、先ほど述べた趣旨の憲法第9条を改悪するべきではなく、政府においては、近隣諸国との友好と正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求めることを期待したいと思います。
 次に、日米共同訓練についてでありますが、日米共同訓練の実施については、国民の理解が不可欠であり、訓練の安全性については、国が丁寧に説明していく必要があると考えております。
 岩手山演習場における日米共同訓練の実施については、同演習場が、日米地位協定の規定に基づき、米軍が一定の期間に限って使用できる施設、区域に位置づけられており、これまで13回実施されています。
 しかしながら、オスプレイの飛行が伴う訓練は初めてであり、これまでの経緯を踏まえれば、安全性等に対する地域住民の不安を払拭することが重要であり、国に対してはそうした対応を求めてきたところでありますが、いまだ県民に対する十分な説明等はなされていないと認識しております。
 県としては、訓練の実施によって、県民の生命、健康、財産等に影響を及ぼすことがないよう、引き続き、関係市等とも連携し、県民の安全を最優先に対応してまいります。
 また、日米地位協定の見直しについては、全国知事会において毎年度行う国への要望の中で、航空法令や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることなど、抜本的な見直しを要望しているほか、令和2年11月には、米軍基地負担に関する提言の中でも同様の決議を行い、国に要請したところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長石田知子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) まず、いわて飲食店安心認証店についてでありますが、本県は、東北の中で福島県に次ぐ認証店数であり、多くの飲食店に認証基準に沿った感染対策に取り組んでいただいているところであります。
 感染拡大の防止と社会経済活動を継続していくため、引き続き認証制度の普及が重要であることから、再度の訪問確認を行い、認証制度の質を担保するほか、いわての食応援プロジェクトやスタンプラリーキャンペーンなどにより認証店の利用促進を図るとともに、市町村や商工会議所、商工会等とも連携しながら、より多くの飲食店に認証をしていただくよう取り組んでまいります。
 次に、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しについてでありますが、本県の実行計画におけるCO2を含めた温室効果ガスの削減目標については、県独自の取り組みのほか、国の施策による削減可能量も踏まえた上で、基準年の2013年度比で2030年度までに589万トン、41%の削減を目標としたところです。
 国が本年4月に削減目標を引き上げ、10月には地球温暖化対策計画を改定しており、今後、都道府県の計画を改定するためのマニュアルが示されることから、本県の実行計画についても、目標見直しを含めて改定を検討してまいります。
 次に、地球温暖化対策計画書の目標達成についてでありますが、その原因の一つに、省エネルギーに向けて努力しているにもかかわらず、目標の設定の仕方が事業の実態に合っておらず、想定以上に受注量がふえたなど、結果として目標未達成となっているケースが見受けられます。
 県としては、省エネルギー設備導入に係る補助等によって、目標達成に向けた取り組みを支援することに加え、計画策定時に事業実態に適合した方法で目標設定するよう助言や指導を行うことにより、企業の目標達成率の向上を図ってまいります。
 次に、再生可能エネルギーの自給率向上に向けた取り組みについてでありますが、全国的にも優位な風力、地熱を初め、太陽光、水力、バイオマスなど本県の再生可能エネルギーの高いポテンシャルを踏まえて、地域ごとに活用しやすい再生可能エネルギーの創出、導入、利用拡大を図ることにより、電力自給率65%の実現に向けて取り組むこととしております。
 例えば、風力では、県北地域を中心として多くの導入計画があり、さらに導入を進めるため、国及び市町村との連携による環境との調和に配慮した事業化への支援に取り組んでまいります。
 また、太陽光では、住宅用の太陽光パネル、蓄電池設備の共同購入や企業への低利融資による貸付金事業等により、建物の屋根の上などへの設置を進めてまいります。
 次に、再生可能エネルギー拡大に係るゾーニングについてでありますが、国は、大規模な再生可能エネルギー事業を環境影響評価法に基づく環境アセスメントの対象としており、本県でも、一定規模の太陽光発電事業等については、令和2年4月から、国よりもさらに厳しい規模要件で、岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントの対象としております。
 また、国や県のアセスメントの対象とならない事業についても、環境保全に関する遵守事項等が盛り込まれた国の事業計画策定ガイドラインや環境配慮ガイドラインを開発事業者に周知し、環境への配慮を求めているところです。
 まずは、これらの取り組みをしっかりと行いながら、環境との調和に配慮した再生可能エネルギーの導入を図ることとし、議員お尋ねのゾーニングについては、国や他の自治体の動きを見ながら総合的に検討してまいります。
 次に、エネルギー消費量削減の具体的な対策についてでありますが、国では、これまで進めてきた工場等への省エネルギー性能の高い設備、機器の導入支援等に加え、今後、住宅や建築物の省エネ基準への適合義務づけ拡大等の取り組みを進めることとしており、また、本県では、独自の取り組みとして、暮らし分野における住宅用の太陽光、蓄電池設備の共同購入への支援の実施、産業分野における中小事業者等を対象とした国の支援対象にならない規模の高効率省エネルギー設備導入に係る費用の補助、市町村には、公共交通機関の利用に向けた普及啓発、地域公共交通体系の再編や利用促進に取り組む市町村への補助等に取り組んでおります。
 今後も、国が進める取り組みを有効に活用しながら、県独自のエネルギー消費量削減に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、若い世代のワクチン接種率の向上についてでありますが、本県では、年代順に予約を受け付けてきた市町村もあるため、若い年代ほど接種率が低い状況にあると認識しております。
 こうした状況を踏まえ、県の第3期集団接種においては若者を対象とした先行予約を実施したほか、市町村の集団接種会場の新規設置やワクチンの融通調整などに取り組んだ結果、若い世代も含めて接種率の向上が図られてきたところであります。
 また、現時点で1、2回目の接種を受けていない方がいることを踏まえ、3回目接種と並行して、全市町村で未接種者が接種できる体制を確保しております。
 今後は、若い年代の接種率の一層の向上に向け、接種を希望していない方にも十分配慮しつつ、県のホームページやSNSなどを通じ正確な情報発信に取り組むとともに、希望する方が円滑に接種を受けられるよう、ワクチンの配分調整などを通じて市町村の接種体制の確保を支援してまいります。
 次に、高齢者施設等の入所者と従事者への接種についてでありますが、議員御指摘のとおり、重症化リスクの高い入所者の感染を防ぎクラスターの防止を図る上では、入所者と従事者への同一機会での接種が有効と考えております。
 県では、1、2回目接種の際に、市町村に対し、高齢者施設等の従事者などへの早期のワクチン接種を働きかけ、市町村においても、地域の特性や感染状況などを踏まえ、入所者と従事者への接種を進めてまいりましたが、こうした取り組みにより、県内の高齢者施設や障がい者支援施設では、8月上旬までにおおむね2回の接種が完了したところであります。
 3回目接種においても、クラスターの防止や接種の効率性の観点から、こうした取り組みが効果的と考えられますことから、2回目接種終了から8カ月を経過した方が、速やかに接種を受けられるよう、市町村と連携し接種体制を確保してまいります。
 次に、PCR検査についてでありますが、県では、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会に意見を伺いながら、蔓延期における一斉、定期的な行政検査の実施方針について定め、これまで、市中感染のリスクが高まった場合に、市町村とも連携し、高齢者施設や繁華街の飲食店等を対象としたPCR検査を実施してまいりました。
 県としては、高齢者施設等の従事者への集中的検査等について、緊急事態宣言等の対象地域に限らず財政措置を行うよう、全国知事会を通じて国に要望しているところであります。
 今後も、行政検査の実施方針に基づき、専門委員会等の意見を参考にしながら、必要に応じて高齢者施設等への一斉、定期的な行政検査を実施してまいります。
 次に、医師、看護師の増員についてでありますが、本県においては、新型コロナウイルス感染症の対応に対し、適切な医療を提供するとともに、一般医療への影響を最小限にとどめ、限られた医療資源を有効に活用する医療体制を方針としており、医療従事者の体制については、それぞれの医療機関において、職員の配置がえ等により計画的に対応いただいているものと承知しております。
 このうち県立病院においては、多忙となっている病院に対して、病院間の医師、看護師の相互応援等を行っており、看護師については、応援体制強化などのため今年度から36名を配置していると聞いております。
 また、宿泊療養施設の看護師については、会計年度任用職員や人材派遣会社への委託などにより体制強化を図ってきたところであり、今後、さらに増員が必要な場合は、これらに加え、民間医療機関からの応援体制も構築しているところであります。
 次に、容体変化に対応した支援についてでありますが、本県においては、入院中に容体が変化した方については、随時経過観察しており、入院した医療機関で治療が困難な場合は、高度医療機関等への搬送調整を行っています。
 宿泊療養施設に入所された方については、毎日数回、体温や酸素飽和度などを確認しているところであり、容体が悪化した場合、医療機関に受診または必要に応じて入院いただいているところであります。
 また、患者のうち、人工呼吸器、ECMO、ネーザルハイフロー、抗体カクテル療法の実施や重症化の状況等については、本県においても医療機関を通じ把握しているところでありますが、新型コロナウイルス感染症に係る調査や分析については、議員御紹介のもののほか、例えば、後遺症や感染ルートの状況など多様な項目が想定され、調査に対して医療機関に一定の負担も生じますことから、今後の感染症対策に生かしていくために、どのような項目が必要であるか検討を進めてまいります。
 次に、生活困窮者の現状と臨時特別給付金についてでありますが、県では、市町村や社会福祉協議会等と連携し、自立相談支援機関などにおける相談支援を通じて、生活に困窮している方の現状の把握に努めておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、令和2年度以降、新規相談受け付け件数は大幅に増加しており、生活福祉資金の貸し付けや各種給付金の支給などの経済的な支援についても、引き続きニーズが高い状況にあると認識しております。
 そのような中、今般の国の経済対策において、さまざまな困難に直面している方々が、速やかに生活、暮らしの支援が受けられるよう、子供のいる世帯や住民税非課税世帯への給付が実施されることとなったものであります。
 支給される交付額の試算については、子供のいる世帯への給付として、16万8、000人余の児童を対象に、クーポンを含む168億2、000万円余を見込んでおり、住民税非課税世帯への給付については、現在、市町村において世帯数の把握等を進めているところであります。
 次に、生活困窮者に対する支援と相談体制についてでありますが、今般の国の経済対策においては、生活福祉資金特例貸付の申請期間の延長に加え、生活困窮者自立支援金について、再支給の実施や支給要件のうち求職活動が緩和されたことなどにより、コロナ禍で困窮する世帯への支援を貸し付けから給付へシフトするよう、見直しがなされたところであります。
 コロナ禍の影響により、社会福祉協議会や生活困窮者自立相談支援機関における新規相談件数は大幅に増加していることから、県では、社会福祉協議会や自立相談支援機関において、貸し付けや支援に必要な人員体制が確保できるよう、本年度、特例貸付の原資と合わせて人件費や自立相談支援機関の体制強化に要する補助を実施しているところであります。
 今後は、貸し付け終了後の生活再建に向けた包括的な支援がさらに重要となりますことから、引き続き、社会福祉協議会などにおける人員体制の確保を通じて、さまざまな困難を抱える方々に適切な支援が行えるよう取り組んでまいります。
 次に、被災者の医療費等の免除継続についてであります。
 一部負担金免除終了後においても、医療を必要とする被災者が適切な医療を受けられることは重要なことと考えており、経済的な理由により受診をためらっている被災者が、高額療養費制度の活用や生活福祉資金の貸し付け、被災者の置かれている状況によっては、生活保護による医療扶助の活用などを図ることにより、医療が受けられるよう、市町村や社会福祉協議会等に対しまして、さまざまな支援制度の周知について協力を依頼したところであります。
 一部負担金免除終了後の被災地の医療の状況について把握することも必要と考えておりますが、受診控えの実態については、その定義や調査方法についてさまざまな課題が考えられますことから、まずは、保険者である市町村等から被災者が抱えている医療の課題について聞き取りを行いますほか、国保データベースの活用などにより状況の把握に努めてまいります。
 県としては、一時的な措置でありました一部負担金免除終了後においても、恒常的な仕組みの中で、市町村を初め社会福祉協議会などの関係機関と緊密に連携を図りながら、被災地の状況把握に努めるとともに、さまざまな制度を活用しながら、被災者一人一人の状況に合わせた支援が行われるよう取り組みを進めてまいります。
 次に、災害公営住宅入居者への見守りとコミュニティー支援についてでありますが、本県では、生活支援相談員を配置して、被災者の見守り等の個別支援やサロン活動等の地域支援を重点的に実施する地域見守り支援拠点の設置を推進してきたところであり、現在、5市町で9カ所の拠点が設置されております。
 これらの拠点は、4カ所の災害公営住宅のほか、複数の災害公営住宅が立地する地区や防災集団移転先団地、被災者が通いやすい商店街などに設置され、災害公営住宅への定期的な出張を行うなど、地域の実情に応じて設置、運営されております。
 来年度の見守り、コミュニティー支援の体制については、現在、市町村や市町村社会福祉協議会の意向を伺いながら調整を進めているところでありますが、今後も、こうした地域の実情に応じた拠点の取り組みを進め、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が、相互に支え合うことができる福祉コミュニティーの形成を推進してまいります。
 次に、補足給付の見直しについてでありますが、今般の見直しは、介護保険制度の持続可能性の確保と在宅で介護を受ける方との公平性等の観点から、一定額以上の収入や預貯金等をお持ちの方を対象に、食費の負担額の見直しが行われたものと承知しております。
 見直しによる影響については、市町村からは、利用者からの負担増に対する問い合わせや苦情が寄せられていると聞いており、特に、預貯金の基準の見直しにより対象外となった方は、増額幅も大きいことから、介護保険施設を退所せざるを得ないということのないよう、市町村と連携し、見直しの影響や実態の把握に努めてまいります。
 また、国に対しては、これまでも、制度運用上の課題等を把握した上で必要な見直しを行うとともに、低所得者対策を一層拡充するよう要望してきたところであり、今後も、国の動向を注視しつつ、必要な働きかけを行ってまいります。
 次に、介護施設入所に係る支援についてでありますが、施設の整備に当たり、国において、要介護高齢者の尊厳の保持と自立支援を図る観点から、ユニット型個室の整備を推進しているところでありますが、ユニット型個室の利用料は高額となることから、県では、一般的に利用料が低く抑えられる多床室の整備も地域の実情に応じて認めているところであり、低所得の方でも入所可能な水準となっております。
 また、利用料の負担軽減ができる支援制度については、補足給付のほか、介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人等により、利用者負担額の4分の1を減免する制度もあり、県内132法人において行われております。
 次に、在宅介護者等への支援についてでありますが、特別障害者手当は、在宅の重度障がい者の負担軽減を目的とするものであり、県では、ホームページでの周知のほか、市町村に対し効果的な広報の実施を依頼しております。
 また、いわゆる介護手当については、国の地域支援事業を活用し家族介護者への慰労金として支給されており、令和2年度は5市町村で74件、約116万円の支給を行ったところであります。
 地域支援事業を活用した家族介護者への慰労金の増額、拡充については、制度上、財源として介護保険料も充てられており、保険料への影響も考えられますが、支給単価の上限等の定めはなく、市町村の裁量で支給額を決定することが可能となっております。
 特別障害者手当も、いわゆる介護手当も、介護を要する方やその御家族の経済的な負担を軽減するための支援策であり、市町村とも連携しながら、多くの方に利用いただけるよう周知を図ってまいります。
 次に、介護施設整備に対する補助の拡充についてでありますが、県ではこれまで、定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホーム等の整備に対する補助について、国が示した基準単価の上限額を採用し、順次単価を引き上げてまいりましたが、定員30人以上の特別養護老人ホームの整備に対する補助について、直近では平成30年度に単価の引き上げを行い、全国平均を上回る単価により補助を行っております。
 県としては、これまでも随時補助単価の見直しを行ってきたところでありますが、今後も、社会情勢の変化等を注視し、必要に応じて見直しの検討を行ってまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 新型コロナウイルスワクチン接種市町村輸送機能強化事業費補助、いわゆるタクシーを利用した輸送費補助でございますが、予算額1億120万円に対し、これまで、2回目までの接種に要する経費として16市町村に7、800万円余を交付決定しておりますが、これら市町村の10月末時点の執行見込み額は3、350万円余となっており、予算に対して約33%の執行率となっております。
 冬期間におきましては、高齢者等の接種会場までの移動手段の確保がより困難となる場合も想定されますことから、この執行残を活用し3回目の接種についても補助対象とすることとし、現在、各市町村に対しまして所要額の調査を行っているところでございます。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、県内事業者の現状と事業復活支援金についてでありますが、県内の中小事業者は、幅広い業種でコロナ禍前の売り上げに遠く及んでおらず、引き続き厳しい状況にあり、また、各種支援策のうち地域企業経営支援金が金融支援策や雇用調整助成金などを上回って活用されている状況から、事業継続を図るための減収補填策に対するニーズが高いと受けとめております。
 国における事業復活支援金の対象事業者数や交付額の算出方法は把握しておりませんが、本県が地域企業経営支援金の実施に当たって活用した経済センサスによる業種別事業者数と影響調査による売り上げ減少の状況をもとに機械的に計算すれば、農林水産事業者を除き、約4万事業者中、約9、000事業者が対象となり、交付額は約60億円と算出されるところであります。
 次に、いわて飲食店安心認証店に対する支援金の支給状況についてでありますが、11月29日現在、3、394事業者、3、855店舗に対して3億8、550万円を支給しております。
 なお、現在約200店舗が支払い手続中であるほか、全ての認証店に申請書を送付しており、コールセンターでの問い合わせ対応も行っております。
   〔政策企画部長石川義晃君登壇〕
〇政策企画部長(石川義晃君) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金と今後の経済対策についてでありますが、今般増額された6兆8、000億円の内訳を見ますと、地方が活用可能な単独分が約1兆5、000億円、検査促進枠分が約3、000億円、協力要請推進枠等分が約5兆円となっております。このうち、検査促進枠分、協力要請推進枠等分については、事業の実績が確定した段階で交付限度額が算定されるものでございます。
 また、地方が活用可能な単独分につきましては、国が配分の都度、都道府県の交付限度額の算定方法を交付金制度要綱において示しておりまして、現段階ではその詳細が明らかになっていないことから、本県への配分額は算定できない状況でございます。
 今後、臨時国会において、経済対策に係る補正予算案が審議される見込みでありますことから、県といたしましては、引き続き情報収集を進め、県予算での対応が必要な事業について、適時適切に補正予算の編成を進めていく考えであります。
   〔復興防災部長戸舘弘幸君登壇〕
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) いわて被災者支援センターについてでありますが、本年4月の開設から10月までの相談対応実績は、相談支援員が531回、弁護士などの専門家が49回となっており、沿岸各地はもとより、県内陸部や県外を含め被災者からの相談にしっかりと対応していただいています。
 また、県外及び県内他市町村への避難者で、前回調査の際、帰還意思なしと回答した方や既に帰還された方などを除いた方々を対象に、被災元自治体等への帰還意思などを確認する実態調査を行っているところでありまして、この結果に基づいて、市町村等と連携しながら、帰還意思のある方の帰還に向けた支援を行うこととしています。
 今後に向けましては、支援員を必要とする被災者にいわて被災者支援センターを周知し、利用につなげたり、被災者が身近な地域で伴走型支援を受けられる環境を構築するためには、市町村や市町村社会福祉協議会の役割が重要でありますことから、今後さらに連携を強化する必要があると考えています。
 いわて被災者支援センターの体制や予算につきましては、被災者を取り巻く状況や昨年度までの被災者からの相談件数の推移等を踏まえ措置したものでありまして、現時点においては、おおむね当初の想定どおりの運営がなされているものと認識しています。
 今後も、被災地の実情及び被災者のニーズを踏まえ対応してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、米の需給対策についてでありますが、米の生産流通は、各都道府県単位では完結せず、国全体での対応が極めて重要であることから、県ではこれまで、国主導による実効的な過剰米への対策などを繰り返し要望してきたところです。
 今般、全国知事会農林商工常任委員会では、国に対する提言に米の需給と価格の安定化に向けた真に実効性のある在庫対策や、消費喚起などの需要拡大対策の推進を盛り込み、国に対し要望していくこととしており、県としては、引き続き、全国知事会、北海道東北地方知事会とも連携しながら、国に対し対応を強く求めてまいります。
 次に、作付転換面積についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により、全国的に米の需給が緩和する中、先月、国は、令和4年産の主食用米等の適正生産量を全国で675万トンとし、令和3年産に比べ21万トン、約3%の削減としたところです。
 この削減量は、令和3年産の36万トン、約5%よりも少ないことから、令和4年産の本県の作付転換面積は、今年度の実績2、000ヘクタールを下回ると見込んでおります。
 次に、作付転換への支援についてでありますが、県では、全国的な米の需給緩和により、主食用米からの大幅な作付転換が必要となった令和3年産の米について、特に、主食用米と同様の栽培管理ができ、今後も需要が見込まれる飼料用米の作付拡大が図られるよう、本県独自の事業を創設し、国の都道府県連携型助成と合わせて、主食用米との収入の差を補えるよう支援を行っているところです。
 国の令和4年度予算概算要求には、主食用米からの作付転換等を支援する水田活用の直接支払交付金約3、300億円が盛り込まれ、今年度と同様の都道府県連携型助成も位置づけられているところです。
 こうした国の状況を踏まえ、現在、県の支援策を検討しているところです。
 次に、農家への支援策についてでありますが、本年10月の東北地方のA重油価格は、前年同月比で約4割上昇したほか、本年第3・四半期の配合飼料価格は、前年同期比で約2割上昇しています。
 県では、野菜や花卉の生産に暖房を使用する生産者に対し、燃油使用量の節減に向け、保温効果の高い二重カーテンの活用や暖房機の保守点検による効率的な運転などの省エネ生産技術を周知するとともに、燃油価格が一定の基準を超えた際に補填金が交付される、施設園芸セーフティネット構築事業への加入を促進しています。
 また、国の配合飼料価格安定制度について、配合飼料価格が高どまった場合でも、畜産経営体の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう、国に対し要望しているところです。
 今後とも、こうした燃油を節減できる省エネ技術の徹底や国のセーフティネットの活用を進めるなど、生産者の経営安定に努めてまいります。
 次に、政府備蓄米の無償交付等についてでありますが、国では、御飯食の拡大を支援するため、政府備蓄米を、子供に食事を提供する子ども食堂は、団体ごとに1申請当たり90キログラムを、子育て世帯に食材を提供する子ども宅食は、団体ごとに1申請当たり300キログラムを上限に無償交付しており、県内の本年度の交付実績は、11月末現在で、盛岡市の1団体、300キログラムとなっています。
 また、来年1月から、子ども食堂への上限数量が90キログラムから120キログラムに引き上げられるほか、先般、閣議決定された国の令和3年度補正予算案で示されたコロナ影響緩和特別対策に、JAなど集荷団体が子ども食堂等の生活弱者に米を提供する場合に、その経費を全額支援する事業が盛り込まれているところです。
 県では、こうした支援策の情報を関係団体等に提供してまいります。
 次に、県産米の消費拡大についてでありますが、民間企業の社員食堂等で県産米を使用することは、県産米の需要拡大のためにも重要であると考えています。
 県ではこれまで、県産食材を積極的に利用するいわて地産地消給食実施事業所を79カ所認定するなど、市町村、関係団体等と連携しながら地産地消の取り組みを進めてきたほか、給食提供事業者と連携し、県外の社員食堂等において県産食材を利用したいわてフェアを開催してきたところであり、県内外の民間企業等において、県産米を初めとする県産食材の利用が拡大しています。
 県としては、さらなる県産米の利用拡大に向け、民間企業や病院、福祉施設等に対し働きかけを強化するなど、市町村、関係団体等と一体となって取り組んでまいります。
   〔県土整備部長田中隆司君登壇〕
〇県土整備部長(田中隆司君) 省エネ住宅の普及についてでありますが、岩手型住宅賛同事業者92者を対象としたアンケート調査では、令和元年度は、着工戸数229件のうち、岩手型住宅は52件、その割合は23%、令和2年度は、323件のうち74件、23%となっており、着工件数は増加しておりますが、その割合は伸びていない状況となっております。
 県といたしましては、現在改定を進めている岩手県住宅マスタープランにおいて、岩手型住宅の建設戸数の割合を引き上げることなどを目標に掲げる方向で検討しており、岩手型住宅のメリットをSNSなどを活用し多くの世代に周知することや、設計者や工務店の技術者の育成等の取り組みを進めることにより、岩手型住宅を初めとする省エネ住宅の一層の普及を推進してまいります。
〇13番(高田一郎君) それでは、一通り答弁いただきましたので、再質問いたします。
 まず、ワクチンの接種にかかわって質問いたします。
 1日から始まったワクチン接種について、来年3月までに必要なワクチンが確保される見込みとなっておりますが、ファイザー社とモデルナ社がそれぞれ半分というような説明もいただいております。これは、やはり受ける側にしてみれば、選択できなくなるのではないかという課題とともに、複数のワクチンを使うことで医療機関の負担がふえ、結果的に接種がおくれてしまうのではないかという懸念、心配もあります。
 この配分調整については県が行うことになっていますけれども、どのような配分調整になるのでしょうか。
 ワクチン接種については、スムーズに接種できるように、これまで職域接種に県内では21団体が取り組みました。県も集団接種にこの間、積極的に取り組んで、90人以上の事業所についても、いろいろ調べたら、50団体、8、276人の方々が接種をして、ワクチン接種の促進に大きな役割を果たしてきました。
 これらの職域接種や集団接種については、3回目をスムーズに進めていくため、引き続き積極的に取り組むべきではないかと思いますけれども、集団接種の考え方について答弁いただきたいと思います。
 それから、新型コロナウイルス感染症の後遺症について野原保健福祉部長から一言触れられました。今、この新型コロナウイルス感染症の後遺症については、特に若い人たちの間で増加して、中には、なかなか職場の理解も得られずにやめてしまった事例も出ていると伺っております。
 東京都世田谷区では、大規模なアンケート調査を行い、無症状者の中に3割も後遺症が残った方がいたほか、また、埼玉県では後遺症外来を設置するなど、相談所なども全国各地につくられています。こうした新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する現状把握に加え、支援に乗り出す自治体も広がっていますけれども、岩手県はどのような対応、取り組みをしているのか、しようとしているのか、このことについても答弁いただきたいと思います。
 それから、被災者支援について、被災者の医療費の免除措置の問題については、野原保健福祉部長からさまざまな支援制度を周知していきたいと答弁がありました。知事からは、経済的な問題で医療が受けられないことのないようにしなければならないという答弁もこの間ありましたけれども、さまざまな制度を周知したとしても、なかなか具体的なものが見えてこないわけです。
 そこで私は、例えば、災害公営住宅の集会所などを使って、医師や保健師の方々の力もかりて、無料健康相談会や健康予防教室などを定期的に開いて、生活相談支援員と連携しながら、被災者の置かれている相談、実態を把握していく取り組みが必要ではないかと思います。
 もう一つは、医療を受けられるという問題では、無料低額診療事業というものがあります。野原保健福祉部長は御存じだと思います。これは、生活困難者が、経済的な理由によって必要な医療を受けられる機会を制限されることのないようにと、社会福祉法の規定に基づいて、医療費が無料、または低額な料金で診療できる事業であります。
 県内では六つの医療機関があります。まだ少ないとは思いますけれども、ここはDV被害者とかホームレスという、本当に今大変な人も受けられますが、同時に、この事業は低所得者も受けられる制度です。医療機関は少ないですけれども、やはりこういう制度を周知するとともに、こういった施設の数をもっと広げていくことも大事です。野原保健福祉部長は、さまざまな支援制度を周知していくだけでなく、もっと具体的に踏み込んで、経済的な問題で医療を受けられないことのないように具体的な支援策を打ち出してほしいと思いますが、この点についてはどう考えているでしょうか。
 もう一つ、被災者支援については、災害公営住宅の集会所への人の配置の問題です。南三陸町のことについて紹介いたしました。やはり人がいるといないとでは随分大きな違いがあります。
 そこで伺いたいのは、岩手県の場合、県営災害公営住宅30カ所のうち、月に集会所が1桁台しか利用されていないのは25カ所となっています。ほとんどの集会所が月1回か2回程度であり、鍵がかかっているという状況になっています。この現状は何が原因なのかを改めてお聞きしたいと思います。
 同時に、予算の問題ですけれども、復興庁の2020年度の予算の執行状況について新聞でも報道されております。被災者支援事業については、2020年度の執行率が64%となっています。だから私は、こういった国の予算をもっともっと活用できるのではないかと思います。第2期復興・創生期間でこの事業は終わってしまうから、段階的に予算も減らしてしまおうということになったら問題だと思います。
 国にしっかり予算を要求し、必要な予算を確保して人の配置をしていく努力が必要ではないかと思うのですが、その点について改めてお聞きしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員からさまざま御質問をいただきました。まず1点目、来年3月までの3回目のワクチン接種の見込みでございます。
 国からは、2月、3月に、ファイザー社のワクチンが約6割、モデルナ社のワクチンが4割と、約半々といいますか、それぐらいの形だと具体的に示されました。まだ個別にどの時期にどれぐらい来るかが示されていないのですが、市町村に対して、大まかには2月、3月にそういった枠組みで配給されるということが国から説明があったところです。
 これに対しまして、やはり1回目、特に高齢者に関してはファイザー社のワクチン接種を受けた方が多く、同じワクチンを打ちたいという方が多いことも想定されます。市町村からも懸念の声が上がっておりまして、私ども、全国知事会等を通じまして、希望しているワクチンをきちっと受けられるように、国の責任において、そこは確保に努めてほしいという要望はしているところでございます。
 また、医療機関の負担になるということもございます。事前にモデルナ社のワクチンにより集団接種で接種した実績がございますので、医師会等とも連携しながら、そこは混乱のないように進めてまいりたいと思います。
 また、3回目の集団接種につきましては、1、2回目は県が実施して、集団接種、職域接種も対象として行ってまいりましたが、まだモデルナ社製のワクチンについては、3回目は薬事承認されていないこともございます。こうした動向、また、混合接種の詳細について、国では認めておりますけれども、そういったところもきちんと十分見きわめた上で、今後、県による3回目の接種のあり方について、検討を進めてまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症の後遺症でございます。やはり新型コロナウイルス感染症に関しまして、後遺症で悩んでいる方が非常に多くいらっしゃいます。だんだん知見も出てまいりまして、今般、後遺症に関するガイドラインも国から示されてまいりました。こういったものを活用しながら、医療従事者の方々にも、支援の仕組み、医学的な治療といったものの知見が固まってまいりましたので、周知して、支援に当たっていきたいと思っております。
 また、県としても、後遺症に関しまして、どんなニーズがあるのかに着目して、今後は実態把握の調査をしたいと考えております。今、その内容について検討を進めているところでございます。
 続きまして、被災地の相談ということで、議員から集会所等での健康相談の実施についてのお話もございました。今般11月、市町村に被災者の方々や今回対象から外れる方々の実態把握について改めて依頼したところです。市町村では、医療も保健所として行っていまして、住民の方々への特定健診、保健指導などもきめ細かく行っておりますので、地域に応じて健康相談等の場としての活用などについても市町村とともに検討を進めていきたいと思いますし、市町村にも申し上げていきたいと思います。
 また、無料低額診療事業についてでございます。議員から御紹介のあったとおり、無料低額診療事業は、社会福祉法に基づいて無料または低額な料金で低所得者のために行う事業で、県内に6医療機関がございます。これも確かに具体的な事業でございますので、今後、市町村と連携しながら、被災者の生活困窮度に応じて、このような無料低額診療事業を行っている医療施設を紹介するなど、被災者が適切な医療を受けられるように促してまいりたいと考えております。
 続きまして、地域見守り拠点支援事業ということで、公営住宅の集会所などを活用して行っていますが、議員御指摘のとおり、週に何日か開催というようなところもございますので、こういったところの集会所なども活用して見守りなどできるような形にできないかということは、市町村や市町村社会福祉協議会等とも意見交換しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 被災者支援事業につきまして御質問を頂戴いたしました。今、いわて被災者支援センターを設置しているわけでありますが、この事業の実施に当たりましては、本年2月に、予算額、業務内容、そして組織体制などをお示しして、コンペ方式で企画提案を募集して、応募団体から提出された企画提案書、プレゼンテーションによる審査をしまして、県が示した予算の範囲内で、その組織体制、配置職員数等を上回る提案を行った団体を受託候補者として決定し、今、1年目の運営をしていただいている状況でございます。
 いわて被災者支援センターの運営実態、そして、被災者の実情等を踏まえて今後については検討してまいりたいと思いますが、国から充てられる予算が十分にあるから拡大するということではなく、現場の実態に合った予算を措置してまいりたいと考えております。
〇13番(高田一郎君) ワクチン接種や後遺症問題については、野原保健福祉部長から前向きな答弁があったと思います。ただ、集団接種については、これまでモデルナ社のワクチンで対応したと思うのです。だから、今後、両方来るということになると、先ほど私が指摘したように、また、野原保健福祉部長も心配するように、さまざまな問題が起きてくるかと思います。そういう意味では、今回も、集団接種と職域接種については、モデルナ社のワクチンで対応するというメッセージを早くつくっていく必要があるのではないかと思うのです。もうワクチン接種は始まっていますから。
 先ほど、野原保健福祉部長が集団接種のあり方について検討すると述べていますけれども、どのあたりで検討するかわかりませんが、早くそういう方向性を示すべきではないかと思うのですが、その点についてもお伺いしたいと思います。
 また、災害公営住宅への生活相談支援員の配置についてですけれども、私は、南三陸町のすばらしい経験に学んで、南三陸町での取り組みがなぜ岩手県ではできないのかという思いを持っています。人が配置されることで、本当に入居者の安心感が生まれます。そして、1人70世帯を担当しているので、入居者の顔がみんなわかる。どのような悩みや病気を持っているのか、そういうことがわかる。そして、入居している方々も、ここに入居して楽しいというお話も伺いました。
 今後5年間の施策が大事になってくると思います。そういう意味では、やはりしっかりと人を配置することが大事だと思います。9、000人以上の入居者のうち、35%がひとり暮らしです。私は、きちんと対応しないと単なる高齢者住宅になってしまうのではないか、孤独死で亡くなる方ももっとふえるのではないかという心配、懸念もあります。ぜひ、そういう対応をとっていただきたいと思いますので、前向きな答弁をお願いしたいと思います。
 最後に気候危機の問題について一言お伺いしたいと思います。
 先ほどの答弁も聞いていまして、岩手県における温室効果ガスの実質排出量は、基準年から見ても増加していますし、ここ五、六年、排出量はほとんど並行して、余り減っていないのです。
 それで、お伺いしたいのは、さきのCOP26の会議でも、世界の削減目標を実行しても2.7度になってしまう、そういう危機感から、ああいう形で声明が出されたと思います。だから、岩手県が目指す目標は、単なる目標ではなく、やはり目標というのは必ず実行しなければならない、必ず達成しなければならない、そういう決意で知事を先頭に取り組むべきだと私は思います。この点について知事にお伺いしたいと思います。
 同時に、知事は、県民運動が必要だという話もされました。私もそう思います。それで、お伺いしたいのは、ことし岩手県ではいわて気候非常事態宣言により温室効果ガス排出量2050年実質ゼロの実現に向けて宣言を行いましたけれども、調べてみますと、県内ではまだ14市町村しかこの宣言を行っていません。県民運動を全体に広げていくという点では、県がしっかりイニシアチブを発揮して、このゼロ宣言を全ての自治体で実施する、広げる、そういう取り組みをお願いしたいと思います。
 今、若い人たちがこの問題に非常に関心を持っています。私たちの未来を奪わないでと世界各地で若い人たちが運動しています。地球温暖化対策のさまざまな政策決定の中に、これから若い人たちをどんどん入れていく、こういう取り組みが必要なのだろうと思いますけれども、この点について改めてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手県内の温暖化対策、産業界での二酸化炭素排出量削減につきまして、岩手県は、復興によるさまざまな産業、なりわいの再生があり、また、日本の中でも岩手県に拠点性があるということで、新たな工場の新設、増築などが進んだこともございます。一方、新しくできるところ、増設されるところは、かなり進んだクリーン工場になっているというところがございまして、そういう努力がこの数字の面にも出てくるように努めてまいりたいと思います。
 そして、市町村の対応については、やはり市町村の住民の皆さん、市町村の団体自治と同時に住民自治としても盛り上がる、その上で団体自治として自主的に決めることを期待するところでありますが、そのような機運醸成は、県も率先して行っていかなければならないと思っておりますので、そういうふうに進めていきたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) ワクチン接種でございますが、職域接種については、国からは1、2回目と同様に、モデルナ社製ワクチンを使用することを想定するという方針が示されておりますので、そういった想定で準備を進めているものと考えております。
 また、県の集団接種につきましては、まだ都道府県の集団接種の方針について、国から具体の部分が示されていないところでございますが、そういった方針も見きわめながら、早期に方針を示してまいりたいと考えております。
 また、被災地における地域見守り支援拠点でございます。現在、各地では、災害公営住宅に限らず、さまざまな被災者の方がおりますので、地域の実情に応じて、各市町村が工夫しながら進めているものと考えております。
 来年度も見守り拠点の設置を検討している市町村もあると伺っておりますし、現在、来年度の生活支援相談員の配置については、市町村や市町村社会福祉協議会との調整を進めているところでもありまして、その中で検討を進めてまいりたいと考えております。
〇13番(高田一郎君) ちょっと答弁漏れがありましたのでお尋ねします。2050年二酸化炭素実質ゼロを表明している自治体が14市町村しかないわけで、これは、やっぱり全ての自治体に実行計画を策定させて、自治体が先頭に立ってゼロにしていくのだという取り組みが必要なのだろうと思いますし、先ほど若者の政策決定への参加も非常に大事なのではないかという質問をしたつもりでありますので、石田企画理事兼環境生活部長から答弁いただきたいと思います。
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) ゼロ宣言についてでございますけれども、市町村は、今14市町村ということでございます。やはり市町村におきましては、市町村独自の地球温暖化対策の実行計画をつくっていただいて、どのようにゼロにしていくかは、地域の実情に応じた形でやっていくのが、住民の皆様にも理解されるのではないかと思っております。
 したがいまして、県といたしましては、まずは、市町村への支援として実行計画を策定するよう、その策定については、県でも必要な助言等を行いながら支援してまいりたいと思います。また、今回、国の地球温暖化対策計画の目標がさらに引き上げられましたので、県に改定のマニュアルが今月にも示されるということもございます。それらも示しながら、市町村での実行計画の策定支援に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、その中で、若者への支援について取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(五日市王君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第7号令和3年度岩手県一般会計補正予算(第9号)から日程第12 議案第17号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてまで
〇議長(五日市王君) この際、日程第2、議案第7号から日程第12、議案第17号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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