令和3年12月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(郷右近浩君) 希望いわての郷右近浩でございます。
 今定例会において登壇の機会をいただきました先輩議員、そして同僚議員に感謝申し上げ、順次質問を行わせていただきます。
 なお、先に質問いたしました工藤大輔議員と重複する質問も多くありますが、御了承いただきたいと思います。
 まず最初に、知事の行財政運営についてお聞きしてまいります。これまでの財政運営の評価と課題についてお伺いします。
 達増知事は平成19年に就任され現在4期目の折り返しを迎えておられますが、知事就任当時は国全体がいまだバブル崩壊の後遺症に苦しむ停滞の中にあり、その後もリーマンショックの影響等、大変なスタートであったと思います。
 知事が就任する前、国は経済対策として大型の補正予算を毎年度のように編成し、本県でも、この経済対策とあわせ、県単独事業も動員し、岩手県立大学やアイーナの整備、新幹線の盛岡以北の延伸など、多くの施設整備が行われました。
 また、知事が就任した時点での県の借金、県債の残高は1兆3、922億円、わずか10年間で倍増しておりましたし、かつて1、500億円を超えていた財源対策基金の残高はわずか282億円と5分の1の水準まで減少しておりました。実質公債比率、将来負担比率とも悪化しており、知事の就任以降も悪化し続けることが見込まれておりました。
 達増知事の県政運営は、この極めて厳しい財政状況下での船出でした。
 一つの見方として、過去の公共投資の世代間負担の公平性という目が見れば、そのインフラを活用している後年度の世代も負担するという考え方もあるかとは思いますが、大幅な人口増加が見込めない、負担の担い手が大幅に増加しない状況で、この難局を乗り切ることは容易ではなかったと推察いたします。
 知事就任当時を振り返り、その時点の財政状況をどのように認識されながら、これまで県政運営を進めて来られたのか、そして、その成果を現時点でどのように総括しておられるのか、知事に伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、行政運営の評価と課題についてお伺いします。
 財政状況が厳しい中、知事が就任時から注力してこられたのは、行政運営の質であったと思います。それまでの外部コンサルタントによる政策立案、形成過程を内製化し、職員自身がPDCAサイクルを回しながら毎年度の行政運営を行ってこられ、今では全国的に当たり前となった政策立案、事業実施、評価という流れは既に県庁組織に定着しております。
 また、現在のいわて県民計画(2019〜2028)は、幸福をコアにした斬新な内容であり、その先進性は全国からも注目されているとともに、財政が厳しい中でも、さまざまな主体と連携しながら成果を上げていく達増県政のスタイルは、幸福という県民が共有しやすく親しみやすい言葉とともに、県民の間にも浸透してきていると感じております。そして、この計画の理念を知事と共有しつつ、県民の共感を得ながら事業を進めていくことが、今の県庁組織に求められる行政運営の姿勢だと考えます。
 先ほどの質問と重なり恐縮ですが、知事就任当時を振り返り、就任時点で課題であると認識していた組織上の課題はどのようなものだったでしょうか。また、その課題を解決するために組織運営上、配意した点はどのようなものだったのか、知事にお伺いします。
 以下は質問席で質問させていただきます。
   〔45番郷右近浩君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの財政運営の評価と課題についてでありますが、知事に就任した平成19年当時、本県は、国の経済対策に呼応した道路整備や河川改修などの公共投資に加えて、岩手県立大学やいわて県民情報交流センター―アイーナの建設等により、臨時財政対策債を除く県債残高は平成以降最も高い水準で高どまりし、財源対策基金の残高についても最低の水準となるなど、厳しい財政状況にあったと認識しております。
 そのような状況下において、平成19年度に策定した岩手県集中改革プログラムや、平成25年度に策定した公債費負担適正化計画のもと、歳入確保と歳出の見直しを図りつつ、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく10の政策分野や、新しい時代を切り拓くプロジェクトなどの施策を着実に推進してきたところであります。
 私の就任期間中、平成23年度から9年連続でプライマリーバランスの黒字化を達成するとともに、公債費負担適正化計画についても2年前倒しで目標達成を実現いたしました。
 その結果、臨時財政対策債を除く県債残高についても、知事就任前の1兆2、100億円から7、300億円へ4、800億円減少させるとともに、財源対策基金の残高を282億円から423億円と141億円増加させるなど、安定的で持続可能な財政構造に向けて着実に成果を上げてきたと認識しております。
 次に、これまでの行政運営の評価と課題についてでありますが、知事に就任した当時、加速する地方分権改革の動きに対応し、地域が真に自立した、地域住民の共生する地域社会を実現するために、分権型社会にふさわしいシステムを確立していく必要があると認識しておりました。
 このため、地域社会のあらゆる構成主体が岩手県の将来像などを共有し取り組みを進めていくビジョンとなるいわて県民計画(2019〜2028)を策定するとともに、政策評価等により成果や課題の検証を行い、より実効性の高い政策を推進してまいりました。
 また、組織運営上、意を用いた点としては、より質の高い県民本位の行政サービスを提供していくため、職員が能力を十分に発揮できる環境づくりや、組織力を最大限に発揮できる体制の整備等に取り組んできたところであります。
 加えて、新たに生じた課題に臨機に対応するため、東日本大震災津波の発災後、速やかに復興局を設置するとともに、大規模自然災害や新型コロナウイルス感染症を初めとする危機管理上の課題に対応するため、復興防災部を設置するなどしてきたところであり、今後とも、行政課題に応じた機動的な組織体制の整備に取り組んでまいります。
   
〇議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇30番(郷右近浩君) 知事が就任した時点、そしてまたその後、リーマンショックであったり、さらには岩手・宮城内陸地震、東日本大震災津波、そして今は新型コロナウイルス感染症ということで、本当に県民の命と生活を守りながらも、県の財政をしっかりとしたものに確立していく、そうした中において、非常にしっかり頑張っていただいてきたと思うものであります。
 また、その厳しい状況の中、今お話にありましたとおり、公債費負担適正化計画の前倒しの達成、そしてプライマリーバランスの黒字化の継続による着実な県債残高の圧縮など、一時の危機的な状況を脱したことは高く評価するものであります。
 しかし、知事就任当時に136万人だった本県人口は既に120万人を切っており、人口減少が続いているほか、高齢化率も20%台から30%台に上昇し、社会の構造的変化がとまることなく進んでおります。その財政的な影響については、さきの定例会で当会派の菅野ひろのり議員が指摘したところでありますが、言うまでもなく、行政運営においては財源と人材は車の両輪であり、いずれも欠かせない要素でありますが、人口減少、特に若年人口の減少は、県政を担う職員などの人材確保に影響があらわれると思われます。
 知事は、これからの行政運営の課題をどう認識し、県政の推進に努めていく考えかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 人口減少や少子高齢化の進行等に伴い、実質的な一般財源が減少するとともに、行政運営を担う人材を確保することが課題であると認識しております。このような状況下にあっても、安定的に行政サービスを提供するとともに、新たに生じる課題を的確に対処していくためには、財政や人材確保の両面において、持続可能な行財政基盤を構築する必要があります。
 人口動態や社会経済情勢の変化に伴い、複雑、多様化する県民ニーズに応えるため、中長期的な視点に立って県の行財政基盤の構造的な課題の分析を深めつつ、毎年度の予算編成において限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めるなど、将来にわたって安定的な財政運営を行ってまいります。
 さらには、働き方改革や行政のデジタル化を進めるとともに、研修等の充実強化により、県政課題に果敢に挑戦する有為な人材を育成、確保し、資質向上を図りながら、県政の推進に努めてまいります。
〇30番(郷右近浩君) これから人口減少社会を迎えていく中にあって、違うフェーズというか、また大変な場面の中での行財政運営という形になってくると思います。しっかり意を用いながら進めていただきたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について幾つかお伺いさせていただきます。
 県内の新型コロナウイルス感染症の感染状況は、いわゆる第5波において発令された岩手緊急事態宣言期間中の8月20日には、県内の新規感染者数が過去最多となる63人が確認されるなど、感染が拡大しました。その後、本県の感染状況は徐々に落ちつきを見せ、10月中旬から11月中旬においては、34日間連続で新規感染者が確認されず、医療提供体制も療養患者がいない状況が続きました。
 また、国の専門家の分析によると、全国の感染状況についても、昨年の夏以降で最も低い水準が続き、新規感染者数の減少に伴い療養者数や死亡者数も減少が続いており、特に重症者は昨年の秋以降で最も低い水準となっているとの分析が出されております。
 知事は、県民に対し、基本的な感染対策をしっかりと行った上で、社会活動、経済活動などを活発に行っていただきたいとの知事メッセージを出されましたが、改めて知事は現在の県内の感染状況についてどのような認識をお持ちかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 全国の新規感染者数については、9月下旬以降大幅に減少しており、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いています。
 岩手県においても、10月11日以降、およそ1カ月半にわたり、県内における感染経路不明の新規感染者が確認されておらず、昨年の夏以降、最も感染リスクが低い状態にあると認識しております。
 今後、年末に向けて気温が低下し、屋内での活動がふえるとともに、忘年会、クリスマスやお正月休み等の恒例行事により、さらに社会経済活動の活発化が想定されます。
 また、昨日、国内で初めて確認された新たな変異ウイルス、オミクロン株による感染拡大も心配されていますが、現在は、基本的な感染対策をしっかりと行い、感染リスクを低く抑えていくことで、このようなさまざまな活動を安心して行うことができると考えております。
〇30番(郷右近浩君) オミクロン株の出現により、県民からは不安の声等が、また上がってくると思います。そうした中にあって、しっかりと医療提供体制を構築していく。その部分についてはまた後ほどお伺いさせていただきますが、県民に対して、何かあったときに安心できる体制をしっかりつくっていただきたいと思います。
 次に、経済状況の認識についてお伺いします。
 国や県が行っている新型コロナウイルス感染症による影響調査では、これまでの国、県、市町村のさまざまな経営支援策などにより、一時持ち直しの傾向はあるものの、長引くコロナ禍の影響により、飲食、観光、宿泊、交通などを初め関連する多くの企業では、依然として厳しい状況が続いているとの調査結果が出されております。
 国では、事業規模80兆円に迫る超大型の経済対策の実施が見込まれていることから、今後、県としても国と連動した必要な経済対策について検討がなされることと思いますが、それに先立ち、現在の県内の経済状況をどのように見ているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 感染者数が急増したこの夏の第5波が収束し、全国的にも社会経済活動が動き始めている状況を背景に、11月29日に公表された日本銀行盛岡事務所の岩手県金融経済概況によりますと、県内経済は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が落ちつく中、一部に持ち直しの動きが見られているとされ、10月末に公表された、持ち直しの動きが一服しているとの景気判断を引き上げる内容となっています。
 また、商工指導団体と連携し毎月実施している影響調査の直近10月末の結果では、前々年同月比の売り上げが幅広い業種で改善傾向にあり、経済活動の動きに回復の兆しは見えてきているものの、41%以上の売り上げ減少が、いまだ宿泊業で51%、飲食業で42%などとなっています。
 さらに、運輸業や小売業などにおいても、客足の回復がなかなか進まず、コロナ禍前の売り上げには遠く及ばないといった声が多くあると、商工指導団体を通じて確認しており、県内経済は依然として厳しい状況が継続しているものと受けとめています。
〇30番(郷右近浩君) そのような認識を持っていていただいて本当にありがたいと思います。
 きのう同僚である工藤大輔議員と一緒に市況調査をいろいろしてまいりました。飲食店などにおいても、金曜日、土曜日、週末は入るけれども平日はやはり席があいたまま、もしくは、週末入ったとしても早い時間に皆さん帰られていくということで、やはりなかなか戻り切っていない、そうした思いを抱いております。
 そのように経済状況が停滞している中で、事業者がこれまで借りた新型コロナウイルス感染症対応資金の返済も始まってくるということで、経済を動かしていくこととあわせて、対策等をしっかりと行っていかなければいけないと考えるものですが、お考えをお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) お話があった事業者の資金繰りについてですけれども、我々は事業者に対する資金繰り支援を効果的に行うために、国の機関、金融機関、商工指導団体を構成員とする新型コロナウイルス感染症に係る経済金融連絡会議を設置し、複数回、会議を行っています。
 この中で、昨年度いわゆるゼロゼロ融資を受けた事業者には、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化は余り考えずに、据置期間をなくして今年度からすぐ返済を始める形で借りた事業者も多く、そうした事業者の返済を心配する声が金融機関を中心に非常に多くあるため、その会議の中で、条件変更等を柔軟に対応して支援していくことを確認しております。また、11月に開いた会議においても、年末に向けてそこはしっかり対応していくという話をしております。
 そうした中で、経済は回復してきておりますけれども、感染状況の推移によってはまだ先行きが見通せないところでございます。今後の対策については、国の経済対策が公表になりましたが、持続化給付金の後継事業となる事業復活支援金なども盛り込まれておりますので、これらの取り組みと連動した県としての経済対策について、今後、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の本県への配分額も見きわめながら、検討を進めていきたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) 今検討されているところだと思いますが、これは待ったなしというか、これから返済が始まるということで、多くの、特に飲食店など、融資を受けた方々が、不安な中でも何とか前に進もうとされている。もう前に進めないのではないかと思ったときには本当に大変なことが起こるということを考えると、なるべく早く方向性だけでも県民の皆様方にお伝えできるように、しっかりと事業者支援をしていく、これまでのゼロゼロ融資についても対策をとっていくと、今答弁いただいたようなものをさらにアナウンスしながら進めていただきたい。制度ができてからではなくて、そうしたことをしっかりやっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 また、先ほども触れましたが、11月15日に開催された岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部の第43回本部員会議において、知事は、感染リスクが低くなっていることを背景に、社会活動、経済活動を活発に行ってもらいたいこと、飲食店、宿泊施設等を応援してほしいことを、県民の皆様方に呼びかけられました。
 岩手県において総じて低い感染拡大レベルが維持されてきたことと、社会活動、経済活動を自粛する真面目な県民性は無関係ではないと考えます。
 感染拡大防止対策を講じることは当然ですが、社会活動、経済活動の活発化に向けて、職員も含め、県民の皆様に対して、改めて知事からのメッセージをお願いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 本県の感染状況については、10月11日から本日まで、新規感染者が1名しか確認されていない状況であり、人口10万人当たりの新規感染者数はゼロ人であることから、本県の感染リスクはかなり低くなっています。これは、県民の皆様が基本的な感染対策をきちんと行っていただくなど、適切に行動していただいているおかげであり、改めて感謝申し上げたいと思います。
 昨日、国内で初めて確認された新たな変異ウイルス、オミクロン株による感染拡大も心配されていますが、現在は、基本的な感染対策をしっかりと行い、感染リスクを低く抑えていくことで、社会経済活動を安心して行うことができると考えております。
 岩手県職員に対しては、地域社会の一員として、職員憲章に掲げる地域意識の観点から、地域経済の回復の一助となるべく、基本的な感染対策を徹底した上で、県内事業者を応援するよう奨励しているところであります。
 県民の皆様にも、感染対策が整っている、いわて飲食店安心認証店を積極的に利用いただくほか、現在実施している、いわての食応援プロジェクト、いわて旅応援プロジェクト、いわて飲食店安心認証店スタンプラリーを活用の上、飲食店、宿泊施設等を応援くださるよう、お願いしたいと思います。
〇30番(郷右近浩君) 今またあえてメッセージをお願いしましたが、知事がメッセージを出してから、県内の各市町村においても、市町村の首長の皆様方が、それぞれいろいろなメッセッージを出しております。もちろん感染対策に気をつけながら、そして感染対策をしっかりとしているお店でという話ではありますけれども、その中で、みんなで動ける範囲で動きながらやっていこうという、そうした思いが出てきていると感じております。
 先ほど県民性という話をしました。オミクロン株は感染力が強いということで今盛んに報道されております。しかしながら、それが重篤化するものかどうかもまだわからない中において、ただその報道だけで、もしかすると真面目な岩手県民は二の足を踏んでしまう部分もあるかもしれない。やはり、しっかりと対策をして、その上で皆さんに投げかけを続けていただければと思います。
 またこれは、9月定例会でも質問がありましたが、これから季節性インフルエンザの流行期とかぶってくるわけであります。例年、多数の発熱患者等が発生しており、専門家によると、これまでの医学的知見に基づけば、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を判別することは困難であるとの指摘がなされております。
 現在は全国的に新型コロナウイルス感染症の落ちつきがある一方、今後、年末に向けて気温が低下し、屋内での活動がふえるとともに、年末の各種恒例行事や人の移動が活発になることで、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大と季節性インフルエンザの同時流行も多少懸念されるところであります。また、オミクロン株の流行という懸念もあります。
 県では、昨年度も地域の実情に応じて相談、診療、検査の体制を整備し、発熱患者等への対応を行ってきたと思いますが、昨年度の対応や今夏の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、検査や病床確保など、どのような医療提供体制で対応していかれるのかお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 医療提供体制についてでありますが、外来での相談、診療体制については、インフルエンザの同時流行に備えて設置した診療、検査医療機関を11月末時点で360カ所指定しており、県医師会と連携の上、体制の充実を図ったところであります。
 検査体制については、例年のインフルエンザの流行期と同程度の発熱患者等が増加することを想定した検査需要に対応できるよう、最大時に1日当たり約1万5、000件の検査を実施できる体制を確保したところであります。
 入院等の医療体制については、ワクチン接種による効果等も踏まえつつ、今後、感染力が2倍となった場合にも対応できるよう現在の病床等の確保計画を見直し、ことしの夏の流行の1.2倍の患者の受け入れを想定し、病床については従来の計画から50床増床し400床、宿泊療養施設についても、従来の計画から70室増室し、370室確保する計画としたところでございます。
 新たな変異ウイルスであるオミクロン株について、国内でも確認され、今後の感染拡大も懸念されるところではございますが、引き続き、万全の体制を整えてまいります。
〇30番(郷右近浩君) インフルエンザの対策をしっかりと準備しながら、さらに新型コロナウイルス感染症の対策もしっかり行っていただきたい。
 国の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会においては、ワクチンを2回接種した場合でも、接種後の時間の経過とともにワクチンの発症予防効果等の有効性が低下するとの報告があり、国では12月から3回目のワクチン接種を開始する方針としております。
 諸外国においては、ブレイクスルー感染も発生し、感染が再拡大しているとの報道もあり、今後、我が国でも新型コロナウイルス感染症の第6波の到来により、ワクチン接種済みの方も含めて感染拡大が懸念される面もあります。
 県では、県医師会や医療機関等と連携しワクチン接種を進めてきたと思いますが、3回目の接種は冬期間となるため、移動手段の確保や防寒対策のほか、1回目、2回目と同様に、県による大規模集団接種も必要と考えます。
 移動手段について、これまで県でも、タクシー利用に要する経費に対する補助がありましたが、それが本当に市町村で使われているのかどうか。なるべくならしっかりと使っていただいて、全ての皆様方が、バスを乗り継いでなどという話ではなく、安心してワクチン接種に向かえる体制をしっかり構築していただきたいと思います。これまでの成果や課題を踏まえた円滑な接種体制の確保をぜひお願いするところであります。
 次に、いわて旅応援プロジェクトについてお伺いします。新型コロナウイルス感染症対策として県が実施した事業者支援の状況について、幾つか質問してまいります。
 本県では、関係者の皆様の尽力や全県にまたがる県立病院を初めとする公立病院のネットワークが功を奏し、自宅療養ゼロを現実のものとして達成し、そのかいもあって、全国に比較し感染状況は落ちついた数値として推移してまいりました。
 一方で、先ほども指摘したように、真面目な県民性に由来するものか、自主的な行動抑制のレベルが強過ぎるがゆえに、落ちついた感染状況とは裏腹に、宿泊、飲食を中心に外出を伴う県民の行動はまだまだ低調であり、その傾向は今も続いております。
 さきの定例会において補正予算を追加提案し、事業費が増額されたいわて旅応援プロジェクトについては約50億円の規模となり、国のGo To トラベル事業の再開が年明け以降と見込まれる中、県内旅行の促進策として活用されていると認識しております。
 この機会に、県内観光の魅力を県民が見直すことは、今後、隣県、全国、海外と旅行需要が回復してくる中で、全県民を挙げたおもてなしの質を高めることにも大いに役立つのではないかと思います。
 いわて旅応援プロジェクト第1弾の利用実績は延べ約45万1、000人、執行額は約28億円、また、第2弾では約36万人分相当の利用を見込んでいるとのことですが、本事業について、事業者の方々からどのように評価されていると捉えているのかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) いわて旅応援プロジェクトについては、本県では、年度当初の4月16日から事業を開始し、その後、8月上旬までは事業を中断することなく実施できており、こうした都道府県は全国でも非常に数少ない中の1県となっております。関係団体のアンケートにおいても、県民割等の支援が観光客の減少を補ってくれている、県民割は好評で多くの利用があるなどの声をいただいております。
 また、第2弾を10月1日から開始しておりますが、全国的な感染状況の落ちつきと相まって、先ほど知事が答弁しておりますけれども、事業所の影響調査では、41%以上減と回答した宿泊業の割合は51%ですが、この数字は、9月末から19ポイント低下した数字となっております。
 さらに、先月開催された関係団体との意見交換において、さきの9月定例会における予算増額による追加配分によって、事業実施期間の12月末までの観光需要の喚起につながったなどの声をいただいておりまして、事業期間を通じて一定の評価をいただいたものと受けとめております。
〇30番(郷右近浩君) この件についてもさきに質疑がありましたが、私自身も、年明け以降の事業延長についてしっかりと対応していただきたいという思いを持って質問しようと思っていました。
 ただ、先ほども答弁がありましたが、国が地域観光事業支援の3月までの延長や隣県までの拡大を打ち出してきている中にあって、だとすると、県としてもそこまでしっかり継続していかなければならない。もちろんそのためには、さらに予算等を考慮しながら進めていかなければならないと思いますが、その点についてはどのように考えておられるかお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 国の地域観光事業支援の事業期間は、郷右近議員がおっしゃるとおり令和4年3月10日宿泊分まで延長されたところでありまして、県としては、先ほど工藤大輔議員の答弁の中でも触れましたが、地域観光事業支援の予算枠が一本化され、その中での流用も可能となりましたので、こうした国の予算措置の状況や、国によるGo To トラベル再開の時期等を含めた考え方を踏まえながら、対象範囲の拡大や実施期間等について、速やかに検討を行っていきたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) いわて旅応援プロジェクトを国のGo To トラベルにしっかりつなげていくという切れ目のない形でぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、8月26日に県が専決処分を行った新型コロナウイルス感染拡大防止協力金、いわゆる時短協力金についてお伺いいたします。
 専決処分の是非については、定例会でもさまざまな議論があったところであり、私も専決処分については抑制的に運用すべきであるとの考えには賛成するものであります。一方で、新型コロナウイルス感染症との闘いにおいては、緊急、想定外の連続でもあったと感じております。
 そうした中で、当時の感染状況や全国的な感染拡大の動向を踏まえれば、私は、県独自の営業時間短縮要請、時短協力金支給の決定はタイムリーなものだったと考えます。
 この時短協力金の支給状況と事業者からの評価についてお伺いいたします。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 新型コロナウイルス感染拡大防止協力金についてでありますが、この協力金については、要請期間終了を待たずに協力金の一部を支給する早期申請の仕組みを設けたところでありまして、283件、313店舗、5、477万5、000円の申請を受け付け、書類に不備がない場合はおおむね4日程度で支給し、10月1日までに完了しているところでございます。
 本申請については、受付期間である10月31日までに1、236件、1、502店舗からの申請があり、このうち11月29日現在で1、180件、1、410店舗、5億7、810万8、000円を支給し、早期申請分と合わせて6億3、288万3、000円が支給済みとなっております。
 事業者からの評価については、営業時間短縮要請は感染が拡大しておりやむを得なかった、感染拡大防止に効果があった、早期申請により協力金が迅速に支給されたなどといった評価の一方、もっと早く実施すべきだった、認証店制度を有効活用すべきといった御意見も頂戴したところでありまして、今後の対策の参考としていきたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) 今回、営業時間短縮要請、そしてその協力金を受けた事業者の方々は、おおむねありがたかったと思っているとは思います。
 ただ、さきの定例会でもさまざま議論になったのは、一つには、対象をどのようにしていくか、盛岡市だけかという話や、さらには専決処分に関しての部分であったと思います。
 私は、専決処分に関しては、先ほども話したとおり、これまで県としては、他の都道府県と違って、専決処分等はなるべく行わないようにしながら、そのときそのときに必要なものを議会に提示しながら進めてきたと認識しておりますし、その中でしっかりと向き合って、今回の対象や、どのようにしていくかという方針を決めてこられたのだろうと思います。
 個人的には、それぞれの県議会議員、そして私自身も地元を持っていて、地元の窮状などをさまざま見聞きし感じている中で、全県でという思いはもちろんありましたし、私自身は知事からもそうした思いは見受けてきたところであります。
 ただ、国の制度とあわせてどのようにしていくかという中でこのような形だったと思っておりますから、今回のこの部分については役に立ったのだろうと思っております。また適宜適切に対策をしっかりとっていただければと思います。
 次に、地域企業経営支援金についてお伺いいたします。
 岩手県では、新型コロナウイルス感染症の影響が幅広い業種に及んでいることを考慮して、他県に先駆けて独自の地域企業経営支援金の交付を行い、昨年度、令和2年度の交付実績は31億円、今年度も既に52億円もの予算を計上しております。
 これまでの給付実績は、売り上げが減少した事業者に対する支給額が19億2、000万円余、また、いわて飲食店安心認証制度の認証を取得した事業者に対する支給額が3億6、000万円余、これらに加えて上限額引き上げ分の支給も進められているとのことでありますが、事業者からはどのように評価されていると捉えているのかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) コロナ禍で売り上げが減少する中小事業者の事業継続を図るための減収補填策については、まず、昨年度、国による持続化給付金の支給が行われたところでありますけれども、感染拡大の長期化に伴いまして、関係団体を初め持続化給付金の再支給を求める要望が多く寄せられたところでございます。
 このため、令和2年度補正予算事業として、県独自に地域企業経営支援金を支給することとし、また、令和3年度も同様に実施するとともに、国に対して持続化給付金の再支給を継続して要望してきたところでございます。
 影響調査における国、県、市町村の支援策の活用状況では、地域企業経営支援金が金融支援策や雇用調整助成金などを上回って活用されており、また、東京商工リサーチによる調査を見ても、新型コロナウイルス感染症の影響がある中、県内企業の倒産、廃業も低水準で推移しております。また、商工指導団体からも、事業者の営業継続につながっているといった声を多くいただいておりまして、事業継続に一定の効果があったものと受けとめております。
〇30番(郷右近浩君) 私の耳にも、そのような声が届いております。これまで、まず事業者を何とか支えていただくということで進めていただいてまいりました。そこで、今回、国の経済対策で、地域や業種を限定しないとする方針の事業復活支援金が盛り込まれている中で、どう整理していくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 国が公表した経済対策に盛り込まれている事業復活支援金については、現在、我々が持っている情報に基づきますと、県が実施している地域企業経営支援金と事業内容、売り上げ要件など重なり合っている部分が多いと受けとめております。したがいまして、事業復活支援金の内容をきちんと見きわめながら、今後の地域企業経営支援金の取り扱いを含めて、どのように行っていくべきか検討を進めているところでございます。
〇30番(郷右近浩君) これまで県が独自で進めてきましたが、地域や業種が幅広く対応になるということでありますので、これを機に、これまで対象にならなかった方々も含めて、しっかりと対応できるような形で進めていただきたいと思います。
 次に、国の経済対策についてお伺いしてまいります。
 本定例会に提出されている補正予算案についてお伺いします。
 今年度は既に8次の補正予算を編成しており、今回の補正予算は第9号となりますが、県議会としても4月、5月、9月と臨時会を開いての予算審議を行い、迅速な新型コロナウイルス感染症対策の実施につなげてまいりました。
 そして、今定例会に提出されている補正予算額は約14億円であり、全額が新型コロナウイルス感染症対策のための予算ということであります。
 現時点で必要な事業を計上していることとは思いますが、先ほども指摘したとおり、現在、国では事業規模78.9兆円という巨額の経済対策が議論されており、財源は赤字国債の発行などにより2021年度補正予算案や2022年度予算案で確保し、16カ月予算として一体的に編成するとされていることから、その対応については今回の補正予算には計上されておりません。
 県に配分されている新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、いわゆる臨時交付金は、既にその全額を予算計上済みとのことであり、今回の補正予算編成には財源的な制約があったのではないかとも懸念しますが、国から配分通知のあった臨時交付金を含め、国の経済対策のうち、知事が特に早期に実行を期待する分野、事業は何かお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 国が掲げる経済対策の4本の柱のうち第1の柱である新型コロナウイルス感染症の拡大防止では、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活を支える取り組みとして、事業復活支援金や緊急小口資金等の特例貸し付けなどが盛り込まれており、早期の実施が求められるところであります。
 また、第2の柱であるウィズコロナ下での社会経済活動の再開については、国主導により安全・安心を確保した上で力強い経済対策を早期に実施することが必要と考えております。例えばGo To トラベルについては、本県においても、地域観光事業支援を活用した県内向けの事業を実施していますが、既に配分予算は執行済みであり、早期に予算の追加配分がなされるよう、先般も国への要望を行ったところです。
 県としては、引き続き、国の補正予算案の審議を注視しながら必要な情報収集を進め、県予算での対応が必要な事業について適時適切に補正予算の編成を行っていく考えであります。
〇30番(郷右近浩君) これまで県がやってきて非常に効果が出ている事業が多くあります。それを、またしっかりと予算の裏づけをしていただきながら進めていただければと思います。また、これまでどうしても対応できなかった部分にしっかり目を配っていただければと思います。
 次に、現在編成が進められている令和4年度当初予算についてお伺いいたします。
 来年度予算については、9月28日に公表された予算編成通知において、いわて県民計画(2019〜2028)の推進や新しい時代を切り拓くプロジェクトに加えて注力していく分野として、人口減少社会への対応、デジタル化による地域課題の解決、グリーン社会の実現に資する施策という三つの重点テーマが新たに設けられております。
 今回のコロナ禍で表面化した国全体としてのデジタル化のおくれ、全世界的なうねりとなっている二酸化炭素排出の削減、そして、さまざまな施策を動員してもなおとまらぬ地方の人口減少、いずれも国、地方を挙げて取り組まなくてはならない危機的と言っても過言ではない課題であります。
 現在、編成中の令和4年度当初予算案についてコメントすることは難しいかもしれませんが、特に知事が意を用いて予算編成することとして、各部局に指示している事項についてお示し願います。
〇知事(達増拓也君) 本県財政は、人口減少に伴う地方交付税の減少、高齢化等に伴う社会保障関係費の増や、依然として高い水準で推移する県債の償還など、より一層厳しい状況が続くことが見込まれます。
 このような情勢の中、令和4年度当初予算においては、東日本大震災津波からの復旧、復興に必要な取り組みを着実に実施するとともに、全ての事務事業を精査し、限られた財源を重点的かつ効果的に活用しながら、いわて県民計画(2019〜2028)を着実に推進する予算として編成する考えであります。
 このような考えのもと、各部局に対しては、施策の企画立案に当たって、ILCを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの実現につながる取り組みに意を用いるほか、結婚支援の強化、産前産後サポートの拡充を初めとした子供を産み育てやすい社会の実現に向けた取り組み、教育、介護、子育て分野等のデジタル化、スマート農林水産業の推進など、デジタル技術の活用による地域課題の解決、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギー住宅の普及など、2050年カーボンニュートラルの実現につながる取り組みなど、三つの重点テーマに資する施策を戦略的に展開できるよう、新たな事業の創出や事業のブラッシュアップを指示しているところであります。
〇30番(郷右近浩君) コロナ禍の中、しっかりと対策をとって闘っていきながらも、県が未来に向かってしっかり歩いていく中で、現在の岩手県の課題や、これから将来に向けてという部分で、さまざまお考えになられていることは理解いたしました。
 令和4年度当初予算をこれから編成していく中にあって、国が経済対策をさらに強く打ち出してくることが考えられます。新型コロナウイルス感染症への対策であったり、それ以外の経済対策も含めて、知事は特にどのような分野に意を用いて経済対策を進めていこうと考えているのかお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 国の経済対策においては、新型コロナウイルス感染症に万全を期すとともに、新しい資本主義を起動し、成長と分配の好循環を実現するため、4本の柱に基づく対策を講じることとしており、県としては、これらも活用し、三つの重点テーマに資する施策を展開するための予算を編成する考えであります。
 具体的には、人口減少対策への対応では、経済対策に盛り込まれているこども・子育て支援の推進の内容を踏まえながら、少子化の克服や子供を産み育てやすい社会の実現に向けた取り組みを展開します。
 また、デジタル化による地域課題の解決では、意欲ある地域による自主的な取り組みを応援するためのデジタル田園都市国家構想関連地方創生交付金の活用を視野に、デジタル技術の活用により、地域の個性を生かしながら、持続可能な経済社会の実現を目指してまいります。
 さらに、グリーン社会の実現では、国のクリーンエネルギーへの投資を踏まえ、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めます。
〇30番(郷右近浩君) わかりました。今回、令和4年度当初予算と同時進行の経済対策ということで、あえてお聞きしましたけれども、しっかりとリンクしながら、それぞれが相乗効果を出せる形で、もしくは補完できる形でやっていかれるのだろうと感じたところでありますが、それを支える税収の動向についてもお伺いしたいと思います。
 今回の国の経済対策の財源として、昨年度の国税収入が上振れしたことによる剰余金や、今年度の国税収入も好調であると伝えられております。新型コロナウイルス感染症の影響がある中でも、好調を維持する企業、巣ごもり需要やデジタル化の流れに乗って好調となった企業など、消費税や法人税などの税源は比較的堅調に推移していると感じております。
 県の税収は、令和2年度決算で法人二税280億円と税収の2割を占め、景気の動向に左右されやすい税収構造である中、このような国税の動向は明るいニュースのようにも見えますが、県内の市況を見れば、余り明るい話は聞こえてこないというのが実感であります。
 国、県を挙げて経済対策を実施し、また、県民のマインドが上向くことで、県内経済が活性化することを期待するものですが、現時点で今年度の税収見込み、来年度の税収への新型コロナウイルス感染症の影響をどのように見込んでいるのかお伺いいたします。
〇総務部長(白水伸英君) 令和3年度の県税収入額については、直近の10月末時点の実績で、現年課税分の調定額が前年度比30億7、100万円、率にして3.2%の増となっているところであります。
 その要因としては、法人事業税において、一般機械や電気機械製造業などで伸びているほか、地方消費税の税率改正により、現時点で増収となっていることが挙げられます。一方で、法人事業税において、運輸通信が減収となるなど、コロナ禍の影響もあり、業種間、また同一業種の中でも企業間で差が生じているところであり、引き続き、その動向を注視する必要があると考えております。
 令和4年度の県税収入については、9月に公表した岩手県中期財政見通しにおいて、令和3年度当初予算と比較して54億円、率にして4.4%の増となる1、271億円を見込んでいますが、新型コロナウイルス感染症の影響や経済への動向も注視しつつ、12月下旬に公表される国の地方財政計画や各種統計等をもとに積算してまいります。
〇30番(郷右近浩君) 確かに、非常に好調な企業が多いというのは、先ほども申し上げましたが、それは私も実感として感じております。ただ、反面、商店というか個人事業主は結構大変であったり、もちろん業種によって大きなばらつきがあったり、そうした部分が非常に多く感じられます。しっかりと税収を見込み、そして、例えば税収が上振れした場合にどのような対応ができるのか、しっかり考えていただきたいと思います。
 また、今回の予算編成方針では、来年度の新型コロナウイルス感染症対策については別途通知するとされております。確かに現時点での感染状況は落ちついているものの、第6波と言われるような大きな感染の波があった場合はもちろんのこと、先ほどから述べているように、県内事業者の苦境を考えれば、来年度以降も対策が必要なことは明らかであります。
 先ごろの新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査によれば、全体の4分の3の事業者が、経営への影響が続いていると回答し、およそ半数の事業者は、今後も売り上げの減少を見込んでいるということであります。8割近くの事業者が景気回復を要望し、いまだに4割程度の事業者からは、資金繰り支援のニーズが寄せられるなど、とても年度内にその影響がおさまるとは見通せない状況であります。
 県では、来年度の新型コロナウイルス感染症対策として、これらの事業者に向けてどのような事業を実施する必要があると認識しているのでしょうか。
 必要な財源確保などについてもお聞きしようと思いましたが、さきに質問した議員の答弁でいろいろお聞きしております。年内にワクチン接種証明書の電子証明の枠組みができる中で、例えばこれからワクチン・検査パッケージ等を使いながら、人の動き等もしっかりとつくっていくという答弁もありました。私自身は、今後、しっかりと事業者に向けての事業をつくっていくという部分においては、第10号の補正予算案等が早く出てくることを期待するものでありますが、まだまだ市況が大変な中、そうした部分について県はどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 来年度の事業でありますが、先ほどから答弁しておりますとおり、幅広い業種の売り上げがコロナ禍前には遠く及んでおらず、引き続き、事業の継続と雇用の維持に向けた取り組みを、来年度も含めて推進していく必要があると考えております。
 また、国においてGo To トラベルの再開なども予定されておりまして、今後、経済活動が活発化していくことを期待しておりますけれども、一方で、オミクロン株による感染拡大も心配されているなど、状況が不透明なところもありますので、こうした状況変化に柔軟に対応した取り組みを、来年度においても、関係団体とのさらなる連携強化のもとで進めていく必要があると考えております。
 最後に、ECサイトを活用した販路開拓やテレワークの普及など、新しい生活様式に対応した取り組みの支援を強化しつつ、商工指導団体や金融機関とも連携した本業支援、これについて力を入れてしっかりと行っていきたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) 先ほども話しましたが、ワクチン・検査パッケージをこれから行っていきながら進めていかなければならないということであると思います。そうすると、例えば技術認証等の実証については、現在もさまざまなところでそうした動きがありますが、県としてはどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 議員御紹介のとおり、技術認証の実証実験については、今、全国各地で行われておりまして、一部実験が終了して、その結果が報道等で漏れ聞こえてきているわけでありますが、利用者の皆さんからはおおむね好意的な評価が多いと受けとめています。また、事業者の方にとっては、確認が少し負担になるなどの御意見も報道されているところであります。
 まだ実証実験は続いておりますので、その結果については、しっかりと情報を把握しながら、本県での運用に生かしていきたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) 国のほうでもどんどん進めてくるという中で、岩手県でもしっかりと体制をとっていただきたいと思います。
 次に、地域医療の今後の方向性についてお伺いしてまいります。
 最初に、医師の不足と偏在対策について、地域医療の今後の方向性についてお伺いします。
 厚生労働省は、医師の偏在状況を客観的に比較するため、都道府県や地域別の偏在状況を数値化した医師偏在指標を公表しました。これによると、最も高い東京都の332.8に対し、本県は172.7と全国最下位となり、都市部と地方での深刻な格差が改めて明確になったのは御案内のとおりであります。
 これに対し県では、令和2年度から令和5年度までを計画期間とする岩手県医師確保計画を策定し、医師偏在指標に基づく順位が全国の下位3分の1を上回るという目標を掲げていますが、目標達成に向けてどのように医師を確保し偏在対策を進めていくのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 令和2年3月に策定した岩手県医師確保計画の目標を達成するため、今後とも、即戦力医師の招聘の取り組みを重点的に行っていくとともに、年々増加が見込まれる奨学金養成医師について、沿岸、県北地域への配置の必須化や、産科及び小児科に係る特例措置などにより、地域、診療科偏在の解消に取り組んでまいります。
 また、これらに加え、医師不足や地域偏在の根本的な解消のためには、国レベルの取り組みが必要であることから、医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会において、国に対して医学部臨時定員増の維持、恒久化や、医師の研修制度の見直し等の医師確保に係る具体的な提言を行うなど、引き続き、実効性のある医師不足、偏在対策の実現を目指してまいります。
〇30番(郷右近浩君) これまでも知事は、全国知事会等での発言や、地方の医師不足をどのようにしていかなければいけないか、多くの提言や活動をされてきたことは評価しているものであります。
 さらに、現在、奨学金養成医師ということで、これまで岩手県でしっかり育ててきた医師の卵が、少しずつ少しずつ育ってきている。そうした中で、岩手県の医師不足は、数的には解消が少しずつ見え始めているのかなと思います。ただ、地域偏在、診療科の偏在という部分については、これからどのようにやっていかなければならないのか私自身改めて心配しています。
 そうした中で、次に、広域医療圏と医療圏の見直しについて伺ってまいります。
 岩手県保健医療計画においては、保健医療圏は、地域の特性や保健医療需要に対応して、保健医療資源の適正な配置を図りながら、これらを有効に活用し、包括的な保健医療サービスを適切に提供する体制の体系化を図るために設定する地域的単位とされており、特に二次医療圏は、入院医療を中心とする一般の医療需要に対応するほか、広域的、専門的な保健サービスを効果的、効率的に提供するための圏域として設定するものとされ、本県では現在9医療圏が設定されております。
 一方で、周産期医療においては、県内四つの医療圏を設定し、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制が構築されておりますが、今後、本県において、ますます医師不足や医師偏在等が進んだ場合、他の疾病においても、独自の医療圏の設定が必要となるなど、これまでのきめ細やかな保健サービスの提供が難しくなり、医療圏の見直しを含め、広域的な対応も踏まえた医療圏の考え方についての検討が必要になってくるかと思います。
 これまでも一般質問の機会等にさまざま質問させていただいてまいりました。私自身は、これまで岩手県が医療に対する危機等をさまざまな形で乗り切ってきたところを拝見しましたし、また、その時々で何とか手を打ってこられた。しかしながら、現実に、今、特に産科を中心に医師がいないというところから始まって、果たして医療圏は電子的なものだけとかで乗り切れるのか、安心を提供するためにはどのようにしていかなければいけないのか、そうした思いでおります。
 そこで、ただいま質問した部分について県の御所見をお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 岩手県保健医療計画においては、医療法の規定に基づき、地理的条件、交通事情等の社会的条件も考慮し、九つの二次医療圏を設定しており、一般の医療需要及び脳卒中や心筋梗塞など、速やかに受療する必要がある疾病については、圏域内で完結できる体制整備を進めてきたところであります。
 一方、限られた医療資源を有効活用するため、がんなどの5疾病や、救急、周産期医療などの5事業については、それぞれに係る医療連携体制を構築する際、二次医療圏にこだわらず、患者の移動状況や地域の医療資源等の実情に応じて、圏域を弾力的に設定することも可能とされており、議員御指摘のとおり、周産期医療については、県内四つの医療圏を設定し、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の構築を図っているところであります。
 次期岩手県保健医療計画の策定に当たっては、新型コロナウイルス感染症の対応等を検証の上、新たに新興感染症等の感染拡大時における医療を盛り込むほか、保健所のあり方や高齢者福祉圏域、人口構造の変化や受療動向など、地域医療を取り巻くさまざまな環境について、必要な分析を行い、広域的な対応や医療圏のあり方も含め、効率的で質の高い医療提供体制の構築に向けた総合的な検討が必要であることから、庁内にワーキンググループを設置するなど、きめ細かい体制を整え、検討を進めていきたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) この件に関しては再質問をしません。なかなか答えづらい部分だと思います。ただ、本来的に二次医療圏として9医療圏となっているものが、周産期に関しては四つの医療圏とされている。既にここで、二次医療圏という考え方で全て押さえられないというのが見えている。この部分を、例えば心筋梗塞にしても、もちろん周産期が一番なのですけれども、果たして9医療圏という枠におさまるのか、さらには4医療圏という枠でこのままやり切れるのか。そうした部分も含めて、これからまたさらに考え直して、考慮していかなければいけない時期に来ていると私は考えているものですから、この間、この医療圏の問題を取り上げさせていただいております。
 本当に答えの出ないところだと思います。ただ、しっかりと御検討いただきながら、岩手県の医療をしっかり守っていただきたいと思います。
 そこで、余り個別具体の部分にはさわりたくないのですが、ただ、これだけはちょっとお聞きしたいので、次に、奥州市における市立病院の再編計画についてお伺いしたいと思います。
 奥州市においては、奥州市総合水沢病院の老朽化に伴い、これまで新市立病院の整備について紆余曲折を経ながら検討が進められてきたところですが、本年3月に、総合水沢病院、国民健康保健まごころ病院、前沢診療所を統合し、2025年度に新病院を開設するとともに、衣川診療所を無床化する計画が発表されました。
 地元に根づいたきめ細かい医療で地域を支えてきたまごころ病院、前沢診療所の廃止、衣川診療所の無床化は住民に大きな不安をもたらし、その後、胆沢、前沢、衣川地区の住民団体が相次いで奥州市議会に存続を求める請願や陳情を提出したことに加え、住民説明会においても統合案等への反対の声が続出したことなどもあり、このほど市がこの病院再編計画を見直すとの見解を示したことは御案内のとおりであります。
 奥州市が示した統合案が実行されれば、まごころ病院において行われていた訪問診療が崩壊してしまうことが危惧されるほか、新市立病院の設置は、地域の先端医療を担ってきた県立胆沢病院との機能分担や、さらには立地条件の重複による競合を招き、結果として地域の医療資源の適切な機能分担等に反するものとなってしまうことも懸念されます。
 そこでお伺いします。奥州市が発表した新市立病院の開設を前提とする病院再編計画は、地域医療構想に照らして望ましいものと言えるのか、県のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、地域医療構想の策定主体でもある県は、何期も進まない胆江圏域の地域医療構想の原因にもなっている、迷走する奥州市立病院の再編計画の策定に際し、本来的ではないとしても─これは私自身も本来的ではないと思っていますが、地域医療構想自体ができないという面を踏まえて、積極的にコミットしていくべきときを迎えていると私は考えるものでありますが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 奥州市における市立病院の再編計画についてでありますが、病床数及び医療機能に関する方向性については、昨年度の胆江圏域地域医療連携会議において了承された奥州金ケ崎地域医療介護計画を踏まえ、急性期病床の減少を図りつつ、回復期病床や急性期医療、在宅医療、感染症対応に関する機能を維持するなど、地域医療構想を踏まえたものと認識しております。
 また、市立病院、診療所の統合、再編や立地等に関する具体的な計画については、奥州市において検討されるべきものでありますが、地域の医療提供体制に大きな影響を与えることから、地域住民や医療関係者等の十分な理解と合意を得ながら、検討を進める必要があるものと考えております。
 県としても、奥州市に対して今後の協議の進め方に関する助言を行うほか、地域医療構想調整会議に、病院経営に精通した地域医療構想アドバイザーを派遣するなどの取り組みを行い、地域住民や医療関係者とのコンセンサスが早期に得られるよう、支援を継続してまいります。
〇30番(郷右近浩君) 私も、一義的には、それぞれの行政単位で、もちろん奥州市がしっかりと考えなければいけないことであり、その後、県が一緒になって、どのような形でつくっていくかという形になろうかと思います。
 ただ、ここまで何期も、本当に6年ぐらい、胆江地区の地域医療計画が、全部そのまま焼き直しと言ったら聞こえが悪いですけれども、進まない。ここは何とか手を差し伸べると言ったらおこがましいですが、しっかりと一緒になって考えていただくような場面に来ているのではないかということで、きょうは質問させていただきました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に、今後の市町村の行財政運営についてお伺いしたいと思います。
 県では各市町村の令和2年度決算概要を取りまとめ公表しているところであり、公表資料によると、県内市町村においては、実質公債費比率等の健全化判断比率に大きな変動はなく、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は改善傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことから、引き続き、将来を見据えた長期的な視点による財政運営を進めていくことが重要としております。
 健全化判断比率の4指標について、県内では早期健全化基準以上となる市町村はないとのことですが、私の地元である奥州市においては、実質公債費比率が八幡平市と並び県内で最も高い割合となっており、将来負担比率は減少傾向にあるものの、県内市町村では比較的高い状況にあることとあわせ、財政健全化に向けた取り組みを進めていかなければ、公債費負担の増加によって財政構造が硬直化し、行政サービスの低下などが懸念されるところであります。
 県において、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた県内市町村の今後の財政状況の見通しをどのように捉えているのかお伺いします。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 今後の市町村財政の見通しについてでありますが、令和2年度決算における市町村税収入額は1、533億円余であり、令和元年度決算額と比較して1億円余、率にして0.1%の減にとどまったところでございます。また、新型コロナウイルス感染症対策に要した経費は1、542億円余ですが、その98.4%は、国、県支出金により賄われております。今後のさらなる対応についても、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の追加交付が見込まれるところでございます。
 一方で、景気動向に関する調査等によりますと、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は依然として厳しい状況にあると認識しております。県内市町村の令和3年度当初予算における税収は1、441億円余で、令和2年度決算額と比較して91億円余、率にして6.0%の減となっております。
 県としては、引き続き、財政見通しのヒアリング等を通じて市町村の財政状況を把握し、安定的な財政運営の実現に向けて必要な助言を行うとともに、国に対し、地方一般財源総額の確保や税財源の充実を強く求めてまいりたいと考えております。
〇30番(郷右近浩君) 先ほどは、特に私の地元の奥州市を引き合いに出しましたが、県内市町村はどこでも大変だということで、私どもの会派では、市町村要望で各市町村を歩かせていただきました。その中でも、財政に伴うものも含めて、本当にさまざまな悩みが出てきております。そうしたものをきちんと一緒になって考えていっていただければと思います。
 そのためにも、広域振興局と市町村の連携による地域振興の取り組みについてお伺いしてまいりたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでの東京一極集中にも変化が生じ、一部では地方への移住、定住が見られるものの、本県においては引き続き人口減少が加速しており、高齢化や人口の低密度化による行政コストの増加が避けられない状況となっております。
 財政状況が逼迫する市町村においては、これまでと同様に単独で行政サービスを維持、向上させていくことは現実的に困難な状況であり、市町村間の連携や、管内市町村の状況を熟知している各広域振興局と連携することで、1プラス1が3や4の効果を期待できる事業をつくり出せるのではないかと考えております。
 もちろんその部分については、広域振興圏という考え方を出したときから、そうした考え方の中で実際に進めてきたものと思いますし、各広域振興局の果たすべき役割は、今後の県全体の発展のためにも、改めて重要であると考えております。
 今後は、各市町村において効率的な行財政運営を進めていくために、地域振興など、各広域振興局と市町村がこれまで以上に一緒に取り組みを進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 広域振興局と市町村の連携による地域振興の取り組みについてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)行政経営プランにおいて、人口減少、少子高齢化を初めとする市町村を取り巻く環境変化を踏まえ、県民に必要なサービスが持続的に提供されるよう、市町村相互や県と市町村の一層の連携を進めることとしております。
 広域振興局においては、市町村長との意見交換等を随時行い、管内の課題把握に努めるとともに、地域経営推進費等を活用し、広域連携など、広域振興局のさまざまな施策や事業に反映させています。また、小規模自治体への支援として、自治体DXを着実に推進するため、これをテーマとして県内数カ所の市町村をモデルに、広域振興局とともに重点支援を行っていくことを検討しているところでございます。
 県においては、地域が置かれている状況や地域資源の特性をしっかりと捉え、各圏域の強みを伸ばし弱みを克服する施策を講じていくことが重要であると考えております。引き続き、さまざまな機会を捉え、市町村との連携を充実させ、地域振興に取り組んでまいります。
〇30番(郷右近浩君) 地域振興は、その地域をよく知る両者がコミュニケーションをとり一緒に取り組む中で、これまで以上にパイプが太くなっていくのではないかと考えております。県と市町村が同じものを見て同じものを感じながら、一緒になってさらに前に向かっていく、ぜひそうしたものをつくり上げて、さらにパイプを太くしていっていただきたいと思います。
 次に、最後の項目の、誘致企業の規模拡大についてお伺いしたいと思います。
 県の企業立地促進奨励事業費補助については、県北、沿岸地域に立地した一定要件を満たす企業に対しては、工場等の増設に対しても補助を実施しているところですが、自動車関連産業を初めとする多くの誘致企業が立地している県南地域においては、本県や本社機能を移転する場合を除いて、工場等の増設に対する補助は行われておりません。これは、ひとしく県全体をどのように盛り上げていくかという中で、これまでとってきた方向性であり、そのこと自体は理解するものであります。
 しかしながら、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、製造業を初めとする企業の設備投資計画は低調となっておりましたが、一部で回復の兆しが見られて、これから投資がふえてくるのではないか。とすると、こうした機会を捉えて、誘致企業へきめ細かい支援を行うことでさらなる投資を呼び込み、経済回復も見込まれるのではないかと考えますが、県南地域における工場等の増設への補助を拡充することについて、県の所感をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県南地域は自動車、半導体関連企業を初めとする産業集積が進み、最新の設備と技術で最先端の製品を生産する地域へと成長しており、企業の進出や増設の動きが非常に活発化しております。
 今後、ものづくり産業の集積を一層推進していくための企業に対する増設を含めた支援については、限られた財源を効果的に活用できるよう全県的な視点に立った上で、企業のニーズなどを十分に踏まえつつ、市町村とも連携して取り組んでまいります。
 なお、企業が増設を行う際には、資金や用地、人材の確保のほか、取引先の拡大など、企業ごとに課題が多岐にわたることから、企業訪問等を通じて課題の把握に努めながら、市町村や関係機関と連携して個別に対応しているところでございます。
〇30番(郷右近浩君) そういう答弁だろうなと思っておりました。確かに本当にこの広い岩手県をひとしく発展させていきたい、県の姿勢としてはまさに大事なところだと思います。ですから、県南地域だけがどんどん大きくなっていくことがいいわけではない、そうした思いは私にもあります。
 ただ、今回これを取り上げさせていただいたのは、実は、塩野義製薬株式会社のグループ企業であるシオノギファーマ株式会社が金ケ崎町に立地しているわけですが、例えば新型コロナウイルス感染症の経口薬を塩野義製薬株式会社で開発中という報道が流れると、それがもしこの岩手県でつくられ、そのために工場を大きくしようとしていたら、何かに岩手県としてもかかわれたらという思いもあって、今回この質問をさせていただきました。企業誘致も含めて、ぜひ岩手県全体で、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
 以上、答弁は結構です。終わります。
〇議長(五日市王君) 以上をもって郷右近浩君の一般質問を終わります。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時5分 散 会

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