令和3年12月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(工藤勝子君) 自由民主党の工藤勝子です。今定例会において一般質問の機会を与えてくださいましたことに感謝を申し上げ、通告に従って質問をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に、知事の政治姿勢についてお伺いします。
 第49回衆議院議員総選挙結果を受けての所感についてお伺いします。
 第49回衆議院議員総選挙が告示になり、10月31日の投開票の結果、候補者1、051人で当選者465人が決まりました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 結果として、自由民主党が小選挙区189人、比例代表で72人が当選となり、合わせて261議席を獲得し、単独で過半数を確保したことで、岸田政権の継続となりました。しかし、自由民主党の公示前の議員数は276人で、有力な候補者も議席を失ったことから21人の減となり、また、小差で勝敗が決まるなど、政権与党においても、国民の審判の目は厳しかったと思っています。
 岩手選挙区においても3区で善戦したものの、1区で議席を失う結果となり、次の国政選挙においても、自由民主党は厳しい状況にあることに変わりはないと私は捉えております。
 今回の衆議院議員総選挙の結果を受けて、知事の所感をお伺いいたします。
 この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
   〔45番工藤勝子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 第49回衆議院議員総選挙結果を受けての所感についてでありますが、前首相の退任により新しい自公連立内閣が発足し、その直後、解散総選挙が行われたため、多くの国民が何を議論し、何を決定することが求められているのか、迷うところがあった選挙であったと受けとめております。一方、野党の側は、政権交代可能な健全な政党政治を日本につくるという変革のビジョンを明確な野党共闘の形でアピールできなかったため、政権交代という大きな流れをつくるには至らなかったと考えております。
 選挙は、主権者がその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会であり、その結果は尊重されるべきものであります。多数を得た与党には、さまざまな声に耳を傾けながら、新型コロナウイルス感染症対策を初め、東日本大震災津波からの復興や、東京一極集中の是正による真の地方創生の実現など、政策課題の解決に努めていただきたいと思います。
〇45番(工藤勝子君) 私が予想していた答弁とはちょっと外れてしまって残念に思っております。
 定例記者会見の情報を何回か読み返してみました。衆議院議員選挙の結果について記者の皆さんに話されているわけですが、私の頭ではなかなか理解できないこともありましたので、その中から拾って知事に聞いてみたいと思っております。
 知事は、ドラマチックではない展開になってしまったということを言っております。知事が期待していた選挙結果にならなかったということでしょうか。これは、1区とか3区の結果のことか、また全国的な結果からなのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) ドラマチックではないという答えは、たしかあのときの質問が、知事は今回の衆議院議員選挙を映画スターウォーズに例えていたけれども、結果についてどう思うかという話の流れの中での質問だったと記憶しておりますが、そのようなドラマチックな展開にはならなかった、映画のようにはいかないという意味で、そのように答えたと記憶しております。
〇45番(工藤勝子君) 任期満了に近い状態で衆議院は解散したわけでありまして、これは与党にとっても野党にとっても、選挙が前提であると捉えていたと思っています。
 そういう中において、知事は、参議院議員選挙や知事選挙のような野党共闘の形が岩手選挙区ではとれなかったというようなことを言っておりますけれども、それはなぜできなかったと捉えているのかお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) きのう投開票が行われた立憲民主党の代表選挙のプロセス、また、泉健太新代表の発言の中でも、これから総括をした上で、どうすればよいのか改めて決めるということで、かなりいろいろな意見があり、さまざまな方々がさまざまな形で検討していると思います。いずれにせよ、政権交代を決める選挙という形にはならず、なぜそうなったかについては、いろいろな理由があるのだと思います。
〇45番(工藤勝子君) 今の政権交代については、また後の質問で聞きたいと思っております。
 有権者の投票行動に対する御所見についてお伺いしたいと思います。岩手選挙区で、自由民主党候補が3区で善戦し、1区で議席を失った選挙結果の要因は、新型コロナウイルス感染症に対する入院病棟確保やワクチン接種の課題、さらには、落ち込んでしまった中小企業や飲食業、サービス業や観光業等への支援体制や米価下落対策が乏しく、厳しい状況への対応のおくれがあらわれた結果とも思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) NHKの出口調査によりますと、今般の衆議院議員選挙において有権者が投票の判断基準として重視した主な政策は、経済、財政政策、新型コロナウイルス感染症対策、社会保障の充実などとなっております。
 政府による新型コロナウイルス感染症対策に対してはさまざまな批判もあり、日本経済は、もともと成長率が低かったところに、新型コロナウイルス感染症の影響で諸外国以上に経済が落ち込み、低迷しております。国民の現在の困窮や将来への不安も広がっており、こうした状況が選挙の結果にも影響を与えたと思われます。
 今回当選した衆議院議員の皆さんには、このような有権者の声にしっかりと耳を傾けて、県民の期待に応える政策を着実に推進するとともに、地方が主役になるような社会をつくっていただくことを期待いたします。
〇45番(工藤勝子君) それでは、先ほど言いました政権交代への期待についてお伺いしたいと思います。
 知事は就任以来、小沢一郎衆議院議員を師と仰ぎ、一環して自由民主党に対しては野党的な立場を貫いてこられたと思っております。私は、片方に寄らない中立的、また県民党的な立場での知事として県政を担うことができないかと質問したこともありますが、かたい意志と曲げない信念を持ち続ける知事を一方では評価したいと思います。
 その中で、小沢一郎衆議院議員が野党共闘による政権交代を主張される中で、知事も野党がまとまることでの政権交代を期待していたのか、また、政権交代で何が変わると知事は期待されていたのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 日々の政権運営に時間とエネルギーをとられる与党に対し、野党は国民との直接的なやりとりや政策研究に時間とエネルギーをかけ、現状よりもすぐれた政策パッケージを用意することが可能であり、その政策を有権者に浸透させ、次の選挙で勝利することができれば、そのような政権交代が繰り返されるほど、政治は進歩、発展すると認識しております。
 今回の総選挙に向かう1年の間に、政権交代の可能性が見えた局面もあり、野党が力を合わせて、日本の現状をよりよくするような政権交代に私も期待したところであります。主要な政党グループがお互いに切磋琢磨しながら、国民生活の向上や日本の発展を競い合うダイナミックな政治のサイクルが確立してこその民主主義であると考えるところであり、日本の長期的な経済の低迷、東京一極集中、国民生活の貧困化や格差の問題、行政の不正疑惑などの問題も、そのような政権交代サイクルの中で解決されていくことを期待しております。
〇45番(工藤勝子君) いろいろと述べられましたけれども、確かに知事の言うとおりだと私も思っております。自由民主党も緊張感を持ってしっかりと国民の期待に応えていく必要があるだろうと思っております。
 知事は、政権交代可能な健全な政党政治を日本にきちんとつくるべきであるというような発言をされております。政権交代はわかります。健全な政党政治とは、野党共闘の政治のことなのか、また、何を指しているのか教えていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 選挙で負託を得た政党、これは複数の政党から成る連立でもよいのですけれども、そちらの代表が首班、内閣総理大臣となって内閣を形成し、政党として、日常の活動の中で国民とともにつくり上げてきた政策を内閣として実現する。そして、それがうまくいかなかったり行き詰まったりする一方で、他方の政党あるいは政党グループが国民の支持を得て次の選挙で国民の負託を得た場合、その代表が内閣を組織して、前よりもよい政策を展開する。そうした繰り返しの中で、実態として、国民生活が向上し、日本が発展するという結果を出していく。
 そういう結果を出すことができる、そして、形式的にも、基本的には二つの政党ないし政党グループが交代に政権を担っていくような形が健全な政党政治に基づく民主主義だと思っております。
〇45番(工藤勝子君) そうすると、知事から見ると、今の自由民主党は健全な政党政治とは言えないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 世界のさまざまな政治、政党のあり方からいきますと、日本における人権の守られ方でありますとか、日本の経済社会の状況でありますとか、自由民主党政権、自公連立政権が一定の国民生活の水準や日本のありようを実現していると思いますが、それよりよいものを考えていかなければならないし、また、実行していかなければならないと思っております。
 そういうことができる他の政党ないし政党グループが、国民の負託に基づいて政権をとって、それを実行していき、そしてその間、自由民主党、そして自由民主党と他の政党のグループでもよいのですけれども、過去の自分たちのやり方を上回り、現在の相手方の与党を上回るような政策や政治の進め方を、さらなる政権交代で実現していくという競争が実現するほうがよいだろうと思っております
〇45番(工藤勝子君) 私は頭が悪いので、回りくどく言われるとなかなか理解できないのでありますけれども、知事が一生懸命答えていただけたことに対しては、感謝申し上げたいと思います。
 知事はまた、岩手県から日本の政治を変えるということもよく話しております。岩手県から日本の政治を変えるためには、やはり選挙なのでしょうか。また、岩手県を変えなければならない要素として、今、何が必要なのかお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 基本的には二つ。一つは、国政選挙において、実はここ30年くらいのところで、日本においても、いわゆる55年体制という自由民主党の与党が永久に続くような体制から、自由民主党は政権を運営するには連立をつくらなければならない時代に変わり、そしてまた、自由民主党が含まれない連立与党が日本にも形成されることが起きてきているわけでありまして、そのような国政の変化を引き起こすに当たって、岩手県選出の国会議員が大きな力を果たしてきたということで、そういう国会議員を選んだ岩手県民が、岩手県から日本を大きく変えてということがあります。
 また、いわゆる55年体制のもとでも、革新自治体という言葉がありましたように、地方自治においては、国政与党ではない政党を基盤とした知事が選ばれたり、議会がそちらを支持したりということが起きたわけで、岩手県でも、ここ30年の間にそういうことが起きている。県民がそのような選択をしているという意味で使っております。
〇45番(工藤勝子君) 知事は、記者会見の中で、国会議員が地元から要望を聞いて国に予算や対策を要望することを否定したのではないかと思っています。私は、国会議員であれ県議会議員であれ、地元の課題や要望をまとめて国や県に要望する、働きかけるという活動は、議員の一つの仕事ではないかと認識しております。
 率直に言いますと、与党国会議員は地元に張りついて声をお聞きするのではなくと、否定しております。そういう中において、知事の考える議員としての仕事はどのように捉えているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 私が言いたかったのは、まず、与党議員の基本的な仕事は、内閣を形成し、その内閣によい仕事をさせることであります。
 それから、もう一つのポイントとしては、日本には与党議員でなければ政府に言うことを聞いてもらえないかのごとき風潮があり、野党の議員では、国とのパイプがない、政府とのパイプがなく、政府は言うことを聞かない。
 ただ、政府はあくまで行政ですから、不偏不党、公正中立、国会議員の要望、あるいは国会議員ではなくても、自治体の長でありますとか、いろいろな団体の長でありますとか、どのような党の関係者であろうと、党との関係がない人であろうと、政府は公正中立、不偏不党に相手をしなければならない。そういう政府のあり方を実現する役割のほうを与党議員は力を入れてやってほしいという思いから述べたところであります。
〇45番(工藤勝子君) ここは知事と合わないところでありまして、私も一人の県議会議員なわけですけれども、私は遠野市出身で遠野市を選挙区にしていますので、遠野市の課題や県民のそれぞれの課題も合わせて、議員の仕事に誇りを持ちながら、地域課題を拾い上げて、少しでも安全で安心して暮らせる、県が求める幸せな社会をつくっていくのが一つの仕事であると私は思っております。そのようにして行政にお願いしなければ、議員個人では何もできるものではないと思っています。
 ですから、国会議員にしても、岩手県の課題、例えばILCなり、新型コロナウイルス感染症の関係であったり、経済の再生であったり、こういうことを地元の議員がどんどん国に要望して初めて、岩手県のさまざまなことが課題解決に少しずつでも向かっていくのではないかと思っております。
 そういう中において、今回、鈴木俊一財務大臣が就任されました。菅内閣から衆議院議員総選挙の前に岸田内閣が誕生し、組閣において鈴木俊一衆議院議員が財務大臣に就任されました。財政的に厳しい状況にある岩手県内市町村からは、喜びや期待の声が上がりました。財務大臣の就任に当たり、知事はどのような対応をされたのでしょうか。また、特に要望されたことがあったのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 10月4日の大臣御就任時及び11月10日の再任の際に、県政記者クラブからの要請に応じて取材対応をし、鈴木俊一財務大臣は、東日本大震災津波の被害や復興の状況、また、ILC─国際リニアコライダーについてよく御存じの方であり、大いに期待したいこと、積極財政で国民経済を底上げしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を克服し、地方が主役になるような経済社会をつくっていただきたいことなどをコメントいたしました。
 御就任直後に祝電と生花をお送りしたほか、10月16日に行われた岸田総理大臣の被災地等視察の際に同行された鈴木俊一財務大臣にも一ノ関駅でお会いをし、祝意を述べさせていただき、懇談の中で、取材対応で述べたような内容をお伝えしたところであります。
 去る11月29日には、新型コロナウイルス感染症対策及び令和4年度政府予算に係る提言・要望を関係省庁に行いましたが、財務省において鈴木俊一財務大臣と面会し、地方一般財源総額の確保を初め復興予算の確保、国際リニアコライダーの実現といった岩手県の最重要課題について要望し、その重要性の認識を共有したところであります。
〇45番(工藤勝子君) やはり知事としてしっかりと対応されたと、お話を聞きました。今回、財務大臣に就任されているわけですけれども、まず公正、公平が旨だろうと思っています。その中において、鈴木俊一財務大臣への期待の言葉がありましたらお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 端的に申し上げて、先ほど申し上げましたように、東日本大震災津波の被害や復興の状況、そして、ILC─国際リニアコライダーについてよく御存じの方でありますので、その点を大いに期待したいということ。そして、積極財政で国民経済を底上げしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を克服し、地方が主役になるような経済社会をつくっていただきたいです。
〇45番(工藤勝子君) 私としては、これからもしっかりと鈴木俊一財務大臣と連携をとってほしいと、そのように要望したいと思っております。
 次に、女性の政治分野への参画についてお伺いいたします。
 平成11年、国は男女共同参画社会基本法を制定し、あらゆる分野への女性の参画と活躍を推進してきました。県においても、いわて男女共同参画プランを策定し、女性の参画拡大を推進したことから、政治や行政分野を初め、民間企業や組織団体への女性参画も前進してきたと思っております。
 国では、国会議員の候補者に占める女性の割合を2025年度までに35%とする目標を掲げているものの、世界のレベルとは比較にならない状況と思っております。
 今回の衆議院議員総選挙においても、女性の立候補者は186人、その中で当選者は、小選挙区24人、比例代表21人の45人にとどまりました。当選率は24.2%、全衆議院議員に占める女性の比率は9.7%となり、前回より0.4ポイント下がる結果となりました。
 そこで、女性が政治分野に参画する環境や理解が進まないことに対して、知事の所感をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 国の第5次男女共同参画基本計画においては、指導的地位に占める女性の割合が2020年代の可能な限り早期に30%程度となるよう目指して取り組みを進めていますが、議員御指摘のとおり、今般の選挙においても、女性議員の割合は約1割にとどまっており、政治分野における女性の参画は大きくおくれたものとなっています。
 一方、諸外国における男女共同参画の推進のスピードは速く、台湾やドイツ、ニュージーランドなどの女性リーダーたちが新型コロナウイルス感染症対策においてすぐれた手腕を発揮したと評価されており、今後もより多くの女性リーダーが誕生していく可能性を感じております。
 本県では、県議会議員に占める女性の割合は14.6%と、全国6位で上位であるほか、県内の県議会や市町村議会の女性議員等で構成する岩手ウィメンズネットでは、能力向上やネットワークの構築などに取り組んでいると承知しております。
 このような女性議員団体による活動がさらなる効果を上げていくことを期待いたします。
〇45番(工藤勝子君) 女性が政治分野に参画するには、男性も女性もそうですが、まず選挙をクリアしなければならないわけです。その中でも、女性は、まず家族を説得することができるかとか、公費では賄い切れない資金問題もあります。さらには子育て、家庭の両立、仕事をやめることに対する不安等もあるだろうと思っています。
 そういう中においても、これらのことをクリアして、今岩手県議会に、私を含めて7人の女性議員がおり、活躍しているわけです。次の選挙に向けて、私はもっとこの場に女性の人たちが参画できるよう、県のほうでも、もっともっと推進してほしいということを要望したいと思っております。
 次に、女性の政治参画のための制度づくりについてお伺いいたします。
 世界の中で政治における女性参画の比率が高いヨーロッパ等の国々では、一定数を女性に割り当てるクオータ制度があります。しかし、日本では理解が進まない状況にあり、私は現行の小選挙区制度と比例代表との重複のあり方を検討するなど、積極的に比例代表候補の上位に女性を上げられる制度にすべきと考えています。その制度づくりは一義的には国がやることですが、女性の政治参画が県の進めるいわて男女共同参画プランの実現にもつながることから、女性があらゆる分野に参画しやすい環境をつくるためにも、地方から声を上げていくことが重要と思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 諸外国においては、男女間格差を是正する方策として、性別等を基準に一定の人々や比率を割り当てるクオータ制の導入が進む中、我が国においては、議員選挙において、男女の候補者数ができる限り均等となることを目指して、議員立法で政治分野における男女共同参画の推進に関する法律を制定し、推進されていると理解しております。
 全国知事会及び北海道東北地方知事会では、本年6月以降、世界ではクオータ制の導入等により、女性の政治、経済への参画が進んでいる状況に鑑み、政治分野における女性の参画拡大を推進するため、法の実効性ある取り組みを進めることを国に提言したところであります。
 また、11月には、北海道、東北各県、新潟県の知事が共同で、女性活躍推進に向けた共同宣言、輝く女性ほくとう宣言を行い、政策、方針決定過程への女性の参画拡大に向けて、組織トップ層の意識改革を図るとともに、女性リーダーの育成に取り組むことを呼びかけました。
 政治、経済、社会など、あらゆる分野において、男女がともに参画し、女性が持てる能力を発揮し、活躍できる環境の整備に向け、県としては、国や他の自治体と連携した取り組みも推進してまいります。
〇45番(工藤勝子君) 知事は、今回の衆議院議員総選挙で、1区に女性候補を擁立したと思います。1区には自由民主党現職の女性候補もいましたが、2人とも目標に届かず残念な結果となりました。知事は、擁立した女性候補を、今後どのように支援しながら、次の目標に向かわせようとしているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 今回の衆議院議員総選挙で、立憲民主党の比例東北ブロック候補になった議員御指摘の方は、留学経験に基づく国際感覚や、被災地においてさまざまな声を聞いた復興支援員の経験をお持ちの方であり、それらを生かして、地方で活躍する若者たちの突破口を開きたいという強い決意で臨んだと受けとめております。そのような人が、岩手県のため、そして日本全体、ひいては国際社会のために、伸び伸びと活躍できる環境づくりを、我々、上の世代はしていかなければならないと考えております。
〇45番(工藤勝子君) そういう形の中で知事が押し上げた人なわけです。彼女も一大決心をされたのであろうと思っております。そういう中において、知事がしっかり今後も支えてあげる。そのようにして女性を次の目標に進ませることも私は非常に大事な要素だと思います。それをしなければ、知事みずからが女性議員の候補者を否定することになってしまうのではないかと捉えておりますが、その辺のところ、明快なお答えはできないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 私は、過去、衆議院議員時代、総支部長をしている選挙区内から、2人の女性県議会議員の誕生に微力ですが力を尽くしたこともあり、基本的に、自分はそういうことをするものだと思っております。先ほど申し上げましたように、特にまた、これからの女性が伸び伸びと活躍できるような環境づくりをしていかなければならないと考えております。
〇45番(工藤勝子君) 投票率向上への対策についてお伺いいたします。
 今回の衆議院議員総選挙の投票率は、小選挙区で55.93%と発表されました。前回の2017年のときは53.68%で2.25%上回りましたが、戦後3番目に低い水準という結果でした。投票率が高かったのは山形県の64.34%、低かったのは山口県の49.47%、岩手県は60.38%でした。
 そこで、各選挙において投票率が低下する原因を調査し、県民が権利を放棄しないという意識を高めるPRや対策を考えるべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 今回の衆議院小選挙区選出議員選挙における全国の投票率は、議員御指摘のとおり戦後3番目の低さであり、本県の投票率も有権者総数の6割程度にとどまったところであります。
 公益財団法人明るい選挙推進協会では、国政選挙や統一地方選挙が行われる都度、有権者への意識調査を実施し、前回、平成29年に行われた衆議院議員総選挙では、投票を棄権した主な理由として、選挙への関心のなさや投票日に仕事があったことが挙げられています。
 このようなことから、県及び市町村の選挙管理委員会では、今般の衆議院議員総選挙において、ポスターやSNS広告の活用やショッピングセンターでの期日前投票所の設置など、選挙への関心を高めるための啓発や投票機会の確保に取り組んでいるところであります。
 選挙は、国民が主権を行使し、政治に参加する最大の機会であり、選挙に対する関心を高め、投票率の向上を図ることは、民主主義の基盤を支える意味でも極めて重要であります。
 今後、選挙管理委員会によるPRや候補者、政党によるアピール、そして主権者教育の充実などによって、投票率が向上することを期待します。
〇45番(工藤勝子君) NHKでもアンケートをとっているわけですけれども、一番の課題は、若者世代の政治参加の活性化が課題だという話をされております。データから見ても、20代と60代の投票率では、20代の投票率、つまり投票総数の中から見ても、約20%以上、20代の投票率が低い結果になっております。直近3回の衆議院議員選挙においても、そのような状況になっております。
 やはり若い世代への積極的な情報発信が求められると思いますが、この点についてもお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 若い世代に対する情報発信が特に必要というのは、そのとおりだと思います。
〇45番(工藤勝子君) ぜひ、岩手県が日本トップの投票率になるように、いろいろな形の中で、教育から始めてほしいと思っております。
 次に、農業振興についてお伺いいたします。
 有機農業の推進であります。令和2年度の国の食料・農業・農村白書によりますと、みどりの食料システム戦略について、ことし5月に、2050年までに目指す姿を公表しております。その中に、農林水産業におけるCO2ゼロエミッション化、化学農薬使用量50%低減、化学肥料使用量30%低減、そして有機農業の取り組み面積の割合を25%、100万ヘクタールに拡大するとあります。
 県においても、今日まで、後継者を中心として有機農業を推進し、エコファーマー認定制度も行ってきたと思っておりますが、現在の実態と課題についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 有機農業の推進についてでありますが、2020年農林業センサスによれば、県内で、有機農業に取り組む経営体は約2、600経営体で全国第5位となっているものの、持続性の高い農業生産方式に取り組むエコファーマーの認定件数は、農産物の価格的な優位性につながらないこと等により年々減少し、令和2年度は約230件となっております。
 有機農業の取り組みは、高温多湿な日本の気象条件のもとでは、病害虫や雑草が発生しやすいため、従来の化学農薬等を使用する栽培方法に比べ、収量や品質が不安定であることから、有機農業に取り組む生産者からは、栽培技術の指導や安定した販路の確保を求める声があるところです。
 このため、県では、有機農産物の生産、流通に精通する有機農産物等アドバイザーを希望する生産者へ派遣し、栽培管理等を支援するとともに、生産者や流通業者、消費者などで設立された岩手県有機農業連絡協議会と連携し、有機農業を紹介するイベントなどを開催してきたところであり、今後とも、関係団体と連携し、有機農業の取り組みを支援してまいります。
〇45番(工藤勝子君) 私も農業をしていますので、有機栽培の一番の条件は土づくりであろうと思っております。そういう中で有機栽培をしている岩手県の人たちは2、626戸と、予想以上に多いという実感を持ちました。施設運営が多いのだろうと思っていますが、農業経営の中で生産性を高めながら労働力を軽減しコストを下げ、所得を上げる工夫や努力を重ねている中で、さらに環境問題を掲げるゼロエミッション化への対応ができるか。私も農業をしていて、虫が食べたものは産直施設に出してもなかなか売れません。そのような中で、どういう経営ができると考えているのかお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 農業分野においては、農業機械や園芸施設での化石燃料の使用等により、温室効果ガスを排出しております。これを削減していくとともに、農地に炭素を貯留する取り組みを推進していくことが重要であります。
 このため、県では、温室効果ガスの排出削減に向け、園芸施設への木質バイオマスボイラー等の導入、水田からのメタンガス発生要因となる微生物の活動を抑制する中干し期間の延長の取り組みを進めるとともに、土壌中に炭素を貯留する堆肥や緑肥等による土づくりを推進することとしております。
 一方、さらなる排出削減に向けては、革新的な技術開発などが不可欠で、国においても新技術の開発を進めるとしておりますので、将来的にこうした技術の導入も図りながら、農林水産業のCO2ゼロエミッション化に対応した収益性の高い農業経営が実現できるように取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君) 2050年ということですので、まだまだ時間があるとは思いますが、確実に進めていかなければならないだろうと思っています。国も、農業に対して、CO2の関係やみどりの食料システム戦略ということも含めて、大きく舵を切っているのではないかと思っています。それに岩手県もしっかりと乗って対応していかなければならないと私も思っております。
 そういう中において、農業新聞に掲載されていたのですけれども、青森県黒石市の株式会社アグリーンハートでは、2015年から、9ヘクタールで米や園芸品目を無農薬、無肥料、無堆肥による自然栽培を始めております。また、朝日新聞では、リンゴの自然栽培に取り組み、長年かけて苦労の末に生産に結びつけた木村さんという人も紹介しております。私も交流があります。この株式会社アグリーンハートは、自社の販売店とインターネット販売が主であり、販売先の確保と、安定して生産できる技術を確立しながら、周囲、つまり現状の栽培を行っている生産者の理解が必要と述べております。
 また、鹿児島県姶良市の姶良有機部会の今村会長は、JAや行政のフォローアップが不可欠とし、有機農業に精通した指導員不足を課題としておりますが、県として有機農業の指導員の人材確保についてどのようにお考えかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 有機農業の指導員の人材確保についてでありますが、県では、有機農業などの環境保全型農業を推進するため、平成12年度から有機農産物の生産や流通に精通している方々を有機農産物等アドバイザーとして登録し、有機農業に取り組む生産者へ派遣し、栽培管理等を支援してまいりました。
 また、昨年度、国が有機農業の推進に関する基本的な方針を見直したことを踏まえ、国際水準である有機JAS認証制度に対応した指導ができる人材を新たに養成し、アドバイザーとして登録してきたところであります。
 本年度も、農業普及員等を対象にこうした人材の養成を進めておりまして、引き続き、有機農業などの環境保全型農業が普及拡大していくよう、積極的に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君) 有機農業で苦労してつくられた農産物は、消費者の方々から評価されて、それなりの価格で買ってもらう体制づくりをしていかないと、なかなか難しいのだろうと私は思っていますので、その辺もお願いしたいと思います。
 次に、米の販売価格についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は農家に大きな影響を与えました。農産物の販売の伸び悩み、特に米価の下落には、驚きとともに、販売の低迷に先の見えない暗い影を落としました。先般の決算特別委員会では、5ヘクタール未満の米農家は赤字と試算されるとの報告もありました。県内における3ヘクタール未満の米農家は約9割となっており、小規模農家などは高齢者によって作付され、あわせて地域の農地も守られている現状から、掛け金の高い収入保険への加入も少ないと思っております。
 そこで、今年度の米の販売価格と、前年対比で何バーセントくらいの減になると想定されているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 米の販売価格でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、全国的に米の需給が緩和していることなどから、全国農業協同組合連合会岩手県本部においては、令和2年産米の在庫状況、取引価格の動向、令和3年産米の収穫量などを勘案し、ひとめぼれのJA概算金を60キログラム当たり1万円と、前年に比べ20%引き下げたところでございます。
 また、本県の令和3年産のひとめぼれの出荷業者と卸売事業者等との相対取引価格を見ると、10月末現在で、60キログラム当たり約1万3、000円と、前年に比べ約10%の低下にとどまっております。
 今後、社会経済活動の回復が期待されていますが、農林水産省が先月示した向こう1年間の米の需給見通しでは、需要の減少が見込まれており、今後の米の販売価格の推移を現時点で見通すことは非常に難しいと考えております。
〇45番(工藤勝子君) 次に、未来に向けた米づくりビジョンの策定についてお伺いしたいと思います。
 秋の収穫も終わり冬を迎えておりますが、この冬場の時期にこそ、農業経営を考えていく時間と思っております。在庫米の過剰から、主食用米の面積割を見守っている農家もあると思っております。
 そこで、今後の米づくり農家の安定的な所得確保に向けて、未来に向けた米づくりビジョンを示し、農家に元気を与えていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 また、ビジョンづくりに向けて、農家の実態と今後の方向性のアンケート調査も実施すべきと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 県では、平成26年の米価下落等を受けまして、本県の米づくりの方向性を明らかにするため、平成27年にいわての美味しいお米生産・販売戦略を策定し、3年ごとに見直しを行いながら、高品質、良食味米の生産等による売れる米づくりや、県オリジナル品種のブランド化による県産米の販売促進や消費拡大に取り組んでまいりました。
 これまでの取り組みにより、令和2年産米の一等米比率は全国第1位となったほか、飲食、宿泊施設などで県産米を常時提供する店舗数は、戦略策定前に比べて約3倍に増加したところでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響等による米の需要や消費の変化などに対応するため、本年3月に新たないわてのお米ブランド化生産・販売戦略を策定したところでございます。この戦略の策定に当たっては、生産者や関係機関、有識者の意見を踏まえ、生産、販売などに係る具体の取り組みを盛り込んだところでありまして、県としては、今後とも、関係機関、団体と緊密に連携しながら、需要に応じた米生産と水田のフル活用により、農業者の所得向上が図られるよう全力で取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君) 私もずっと、例えば農業ビジョンをつくるべきだという話もしてきました。県内全体を見てもやはり稲作が中心だと私は思っております。そういう中において、米をターゲットにした将来に向けた県としての取り組み方向、農業者も団体も一緒になって未来を見つめていく米づくりビジョンを、農家に対してしっかり示していくべきではないかという思いもございます。ぜひこれからもそういう部分について御検討をいただきたいと思っておりますが、所感があればお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 御指摘のとおり、本県にとりまして米は主力品種でございます。一方で、国全体の米の消費量は年々減少していますので、米をいっぱいつくりたいという思いがあっても、必要とされる量以上につくると、やはり米価に響いてきます。農業者の方々の所得を確保することを考えると、米をつくりたい方は、米と、その他野菜、高収益の作物等との組み合わせにより、持続可能な所得が確保されるような農業経営が必要だと思っております。
 生産者の皆様の考え方や関係団体等から意見をお聞きしながら、本県の農業の方向性は常に考えてまいりたいと思っております。
〇45番(工藤勝子君) どうぞよろしくお願い申し上げます。
 中山間地域における担い手の育成と課題についてお伺いいたします。
 年々高齢化も進み、農業をリタイアする人たちも多くなってきています。中山間地域の中で条件不利地域の山際から耕作放棄地が広がってくる状況にあり、ニホンジカや野生動物の住みかとなった農地は、再生不可能に近い状態のところもあります。自分たちの住んでいる地域を守り、持続可能な地域として生き残り、次世代につなげていくことができるのかは、住んでいる人たちは認識しておりますが、手さぐり状態であると思っています。その中で、ことしの米価の下落によって、小規模農家からは米づくりをやめるという声を聞きます。年々ふえ続ける委託と、点在する農地に、担い手となっている人たちからは限界状態とも言われておりますが、数少ない担い手が所得を確保し、生きがいを持って働いていける方向性を見出せることができるかは、今、地域にも行政にも投げかけられている大きな課題と思っております。
 そこで、県は、中山間地域における担い手の育成と課題をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 中山間地域の担い手育成についてでございます。
 農業従事者の減少、高齢化が進む中、本県の中山間地域においては、不利な生産条件の中で、地域の核となる経営体や小規模、兼業農家など、多様な担い手が生産活動に携わっており、後継者等が就業意欲を持てる安定した所得や雇用の場を確保していくことが重要であります。
 このため、県では、県独自の地域農業マスタープラン実践支援事業や、国の中山間地域等直接支払制度などにより、担い手の経営規模の拡大や経営の多角化などの取り組みを支援しており、遠野市では、Uターンした若手農業者が、県事業によりコンバインを導入し、水稲の作業受託面積を拡大するとともに、新たにピーマンやニンジンの生産、販売を行うことで、年間を通じた所得の確保のほか、雇用の場の創出につなげている事例も出てきております。
 また、県内の生産者を初め関係機関、団体が広く参集するいわて農林水産躍進大会において、こうしたすぐれた取り組みを表彰するとともに、県のホームページ等を通じて広く発信しており、県では、引き続き意欲ある担い手を育成し、中山間地域の活性化に向け、積極的に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君) 中山間地域における農業農村の多面的機能を維持していかなければならないと、私は思っています。私の地域でも、ほとんどが小規模農家で、農業をしている若者はほとんどいません。他産業に行って収入を得て家計を立てているという状況です。
 そういう中において、地域の担い手の捉え方を今後考えていくべきではないかと思います。他産業で働く人たちにも、自分たちで農地を守っている人たちもいるわけです。つまり土日の農業ということにもなるわけですが、こういう人たちの対策というのでしょうか、こういう人たちをまとめたグループ組織化を県が音頭をとって、担い手と認定はしなくても、地域の守り手とする。持続可能な地域をつくっていくために必要な人材として捉えながら支援していく必要があると思いますが、その考えはどうでしょうか。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 御指摘のとおり、中山間地域の状況は、なかなか若手の人たちがいらっしゃらない。いても、農業だけではなかなか所得を確保できませんので、他産業等で収入を得て、御実家の例えば小規模な面積で農作物をつくっているという状況にあると思っております。
 中山間地域を維持していくためには、やはりそこに人の手を入れて環境を整備しながら、農地を荒らさないで農業生産を続けていくことが大事だと思います。御指摘のございました、専業でやれる若い方がいないところでも、力を結集して農地を守っていくような仕組み、例えば中山間地域等直接支払制度等で環境を守る仕組みもございますので、このような既存の制度をフル活用して、さらに足りないところがあるとすれば、その辺を守っていけるかということは、いろいろ検討させていただきたいと思っております。
〇45番(工藤勝子君) これは、行政だけではなく、今地域に住んでいる人たちが考えて、そういう人たちをまとめる力が地域になければならないと思っております。それがその地域をこれからも持続的に発展させていく一つの大きな要素になると私は捉えているところであります。今後、私の地域でも、そういうところに力を入れていけたらよいと思っております。
 新規就農者育成総合対策への課題と対応についてもお伺いいたします。
 農林水産省は、将来の担い手となる新規就農者に対して最大1、000万円を一括支援する方向で概算要求する中で、償還金は国と地方自治体が負担する方向を示しておりますが、財政事情が厳しい地方自治体の対応に格差が出ないか心配されるところです。この事業における県としての課題と対応についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 新規就農者育成総合対策への課題と対応についてでございます。
 新規就農者の確保、育成に重要な役割を果たしてきた国の農業次世代人材投資事業では、事業費の全額を国が措置してきたところでありますが、令和4年度予算の概算要求で示された新規就農者育成総合対策においては、地方公共団体に対し新たに2分の1の財政負担を求める内容となっており、財政力の弱い地方公共団体では、新規就農者等に対する支援が十分に行き届かないことが強く懸念されるところでございます。
 このため、県では、国に対し、新規就農者育成総合対策について、全額国費により措置するよう要望するとともに、全国知事会農林商工常任委員長として知事みずからが緊急提言を行うなど、積極的に要請を行ってきたところでございます。また、各ブロックの知事会、全国市長村会、全国町村会、全国農業協同組合中央会等においても、同様の要望が行われているところでございます。
 県としては、今後の新規就農者の確保、育成に支障が生じることのないよう、引き続き、国に対し強く要請してまいります。
〇45番(工藤勝子君) まだまだこれは定まったものではなくて、地方自治体負担もこれから大きな課題になってくるのだろうと思っておりますが、ぜひこういう事業に県としてもしっかり予算を確保していただきたい。岩手県にも新規就農者の方々が300名近くいるわけです。それは、JAに入るか、また、いろいろな組織、団体に入っているという形もありますが、そういう人たちがこういう事業にうまく便乗しながら、岩手県の農業を発展的に担っていけるように、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、米価下落に対するさらなる支援についてお伺いいたします。
 県は、米価下落対策として、9月補正予算により、農家への融資や販売戦略の対策を講じることにしました。
 宮城県大崎市では、水田10アール当たり4、000円の支援を行うとともに、種もみや肥料の経費の一部を賄うものとして、農家の生産意欲の向上を狙いとしての支援策を打ち出しております。予算は、国の地方創生臨時交付金の活用であります。
 また、県内の市町村においても、少しでも負担を軽減し意欲を持てるよう支援を打ち出しているところもありますが、県として、補正予算以外に、さらに検討されていることについてお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 米価下落に対するさらなる支援でございます。
 米の生産流通は都道府県単位では完結せず、国全体での対応が必要となることから、県ではまず国主導による実効的な過剰米への対策、それから消費喚起などの需要拡大策を推進するよう国に繰り返し要望しておりまして、一昨日も国に対する要望活動を行ったところでございます。
 また、生産者の経営安定に向けた資金繰り支援、県産米の一層の需要拡大に速やかに取り組むため、9月定例会最終日に補正予算案を追加提案し議決いただいたところでございまして、この取り組みを着実に実施するとともに、今般の国の経済対策や他県の取り組み状況等も踏まえまして、さらに必要となる効果的な取り組みについて、引き続き検討してまいります。
〇45番(工藤勝子君) 先ほども話しましたが、県内全域において稲作は経営の中心であると私は捉えております。おいしいお米づくりに挑戦している人たちもたくさんいらっしゃいます。頑張っている農家の思いをしっかり酌み取りながら、今後もしっかりと支援体制をとってほしいと思っております。
 輸出米に対する情報発信と戦略についてもお伺いいたします。
 全国の米の1人当たりの年間消費量は、昭和37年度の118.3キログラムが最大であり、平成28年度は54.4キログラムと、半世紀の間に2分の1の消費に落ち込んでいます。人口減少や高齢化、食の多様化などが原因と思われます。また、令和元年度53キログラムに対し令和2年度は50.7キログラムと、コロナ禍によってさらに消費が落ちております。
 これから岩手県のおいしいお米をどのようにして食べてもらうかが大きな課題です。各県のブランド米が出回る中で、産地間競争も激化していると思っております。さらに海外戦略で売り込む努力を重ねているとも思っております。他県に負けない情報発信も工夫するとともに、今後の米の輸出に対する戦略をどのように推進しようとしているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 県では、平成29年3月に策定した、いわて国際戦略ビジョンで、米を重点品目の一つに掲げ、アジアや北米地域をターゲットに、バイヤーの招聘による産地での商談会、海外の量販店等でのフェアの開催など、関係者が一体となって米の輸出拡大に取り組んできました。
 その結果、県産米の輸出量は、平成22年度の約104トンから、令和2年度には約619トンとなりまして、さらに本年9月には、世界最多の人口を抱え巨大な市場を有する中国への輸出も初めて実現したところでございます。
 今後、米の輸出をさらに戦略的に進めていくため、現在、海外から求められる品質等に対応した産地づくりを進めるための輸出事業計画を策定しているところでありまして、この計画に、海外の実需者と太いパイプを有する輸出コーディネーターを活用した新規市場の開拓、本県ゆかりの大使が赴任しております現地の在外公館等との連携による県産米のプロモーションの強化を盛り込むこととしておりまして、県産米のさらなる輸出拡大を積極的に進めてまいります。
〇45番(工藤勝子君) ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、協同農業普及事業の評価と期待についてお伺いいたします。
 昭和23年、国は、戦後の食料増産と豊かで近代的な農村生活の実現に向けて、農業改良助長法を制定し、県においても、昭和25年には、各地域に農業改良普及員と生活改善普及員を配置されました。緑の自転車で農家を回り、生活改善では台所のかまどの改善からという記録もあります。
 間もなく75年を迎える協同農業普及事業の歴史の中で、農業生産技術の向上を初め、青年、女性組織を育成し、衣食住の改善や担い手となるリーダーの育成、農村女性の地位の向上から、男女共同参画への道を開きました。
 県内全域で若者や女性が技術を磨き、創意と工夫を重ね、6次産業化への実践など、普及員の皆さんの歴史があり、そして時代に対応した技術と能力を持っての農業、農家への支援に対して、私は高く評価し、感謝もしております。
 そこで、協同農業普及事業が間もなく75周年を迎えるに当たり、知事に評価と今後の期待についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県の協同農業普及事業は、農業生産の振興や次代を担う青年農業者の育成、農村の活性化に向けた活動を基本に、常に農業者と密接にかかわり、農業者や地域からの要請等に的確に対応しながら、普及指導活動を実践してまいりました。また、東日本大震災津波等により大きな被害を受けた被災地の営農再開に向けた取り組みを支援してまいりました。
 このような活動等により、本県の多彩な気象条件や立地特性を生かした全国有数の畜産や野菜の産地が形成されるとともに、地域農業の核となる経営体や小規模、兼業農家も参画する集落営農組織の育成のほか、被災地の営農再開が着実に進むなど、農業普及事業は本県の農業、農村の発展に大きく貢献してきたところであります。
 農業従事者の減少や高齢化、経済のグローバル化の進行など、農業を取り巻く環境が大きく変化する中、このような環境変化に的確に対応し、より効果的な普及指導活動を展開していくため、令和元年度に各農業改良普及センターに産地の活動を支援する産地育成課、経営支援等を行う経営指導課、農村地域の課題解決を支援する地域指導課を設置するなど、普及指導体制を強化したところであります。
 今後とも、本県の農業普及事業が農業者の経営発展と地域農業の充実強化に一層貢献できるよう、関係機関、団体等と緊密に連携しながら、現場の最前線で普及指導活動を積極的に展開してまいります。
〇45番(工藤勝子君) やはり知事がしっかりとこういう指導者の人たちを評価することによって、また士気が高まって、さらに一層、農家の人たちの支援に力を入れていくものと私は思っておりますので、今後ともぜひそういう形で協同農業普及事業を応援していただきたいと、知事にお願いしたいと思います。
 農業普及員のあり方でありますけれども、農業普及員の人員削減については、一般職より緩やかに対応していると言われておりますが、デジタル社会の中にあっても、私は古い人間なので、農業指導は現場にあると思っています。
 そこで、新たな担い手への対応、安全・安心な食料生産、産地間競争、スマート農業もありますが、課題が山積する中で、農業普及員のあり方についてお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 本県の農業、農村の振興を図っていくためには、現場で直接農業者に接して、農業技術や経営管理等を指導する農業普及員の役割が重要でありまして、農業者の期待も大きいと認識しております。
 県では、岩手県農業普及員育成基本指針を策定し、農業者との信頼関係の構築や指導方法を学ぶOJT、地域の合意形成をコーディネートできる能力を高めるための事例研修、さらに技術力を高めるための専門技術研修などにより、農業普及員が普及指導活動を行う上で必要となる知識の習得や技術の向上に努めているところでございます。
 また、県内に九つの普及センター、三つのサブセンターを設置いたしまして、地域の農業特性を踏まえたきめ細やかな普及指導活動を行っており、今後とも農業普及員の指導力の向上を図りながら、農業者や地域のニーズに迅速、的確に応える普及指導活動を展開してまいります。
〇45番(工藤勝子君) 政府の協同農業普及事業の推進には、大きな目標があったと思います。戦後の食料難の中で食料増産、そして明るい農村と、これは私は今も変わりないと思っています。つまり、輸入がいっぱい入ってきて豊かなわけですが、岩手県は日本の食料提供県岩手とするという目標を持つならば、やはり食料の増産は今後も課題ではないか。そして、明るい農村をつくるということはこれからも必要であり、明るくなければ後継者も残っていかないわけでありますので、ぜひそういう目標の方向を今後も掲げていってほしいと思っています。
 次に、学校教育の充実についてお伺いいたします。
 第74回全日本合唱コンクール全国大会の結果を受けての所感についてお伺いいたします。
 本年度の第74回全日本合唱コンクール全国大会において、黒沢尻北小学校、矢巾北中学校、盛岡第四高等学校、不来方高等学校が、最高賞や金賞を受賞されるなど、岩手県の音楽レベルの高さを一層広められたと思っています。コロナ禍でも、それぞれ練習にも工夫をし、心を一つに合わせ、ふるさと岩手の思いと、仲間と歌える喜びが表現された結果と思っております。
 児童生徒の大活躍をたたえ、県民が喜びを伝えていくことも、次のステップに進ませる励みになると思っております。熱心に御指導された先生方にも敬意を表し、教育長に所感をお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 第74回全日本合唱コンクール全国大会で、黒沢尻北小学校と盛岡第四高等学校の両校が最高賞を受賞し、本県では初の最高賞ダブル受賞という快挙をなし遂げました。また、不来方高等学校の13大会連続の金賞受賞、矢巾北中学校の金賞初受賞など、岩手県の合唱のレベルの高さを示したところです。
 コロナ禍の影響で中止となった昨年度の悔しさを内に秘めながら、ことしは新型コロナウイルス感染症対策を講じながら、先輩の分まで研さんに励んだ成果が、ここに実を結んだものと思います。
 今回の活躍が、多くの県民の皆さん、児童生徒に感動と勇気そして希望を与えてくれたものと思います。
 県教育委員会としては、本県の文化振興の基盤となる学校教育における文化芸術活動の充実を図りながら、今後も児童生徒の文化活動の支援などに取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君) ぜひ御苦労された先生方にも、教育長のほうからよく伝えていただきたいと思っております。
 私は、教育のことははっきり言ってよくわかりません。私は息子を育てる中において余り褒めたことはありませんでしたが、学校現場の中で、小さなことでも、子供たちができたことを素直に褒める教育を今後進めるべきではないか。小さなことでも何かできたことを評価するということを一人一人の子供たちに向かって先生たちがしていったならば、褒められたことに対して嫌だと思う子供たちはいないわけです。そういう教育に対し教育長はどう思いますでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 子供たちの今年度の活躍は本当にすばらしいものがございます。ただいま紹介しました全日本合唱コンクールのほかにも、スポーツの分野でも、小学生、中学生、高校生が日本一になっています。それから、それ以外の分野でも、文化芸術関係あるいは産業教育の分野でも目覚ましい活躍をして、全国大会でも上位入賞しております。
 そして、指導している顧問の先生方や児童生徒も、私のところに報告に来てくれます。その際には、顧問の先生方にもねぎらいの言葉と感謝の言葉を、そして子供たちには、これまでの努力に対して褒めること。子供たちは無限の可能性を秘めている、自分の目標や夢に向かってしっかり努力を続けていただきたいというような励ましの言葉もあわせて行っているところであります。
 そのように、コロナ禍にあっても子供たちはしっかり学び、私どもは学校教育活動をしっかり支えて、子供たちの健康、安全を守っていきたい。そして、学びの支援に取り組んでいきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君) 次に、コロナ禍における学校教育についてお伺いいたします。
 県内においても、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種も進み、12歳以上の2回目の接種率が84.5%となり、県内では感染者ゼロの日も続いていることから、教育現場においてもほっとしていると思っております。
 全国的には、誹謗中傷があったり、学校でのいじめや不登校になるなどの事案が発生いたしました。ことしの5月15日には、知事も感染者を中傷する風潮に警鐘を鳴らしております。
 そこで、児童生徒の新型コロナウイルス感染症の感染もあったと思いますが、学校としての子供たちへの対応について、心の教育、元気な体をつくる食育教育など、収束が見えない中で新型コロナウイルス感染症対策の教育ができたのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 学校におきましては、手洗いやせきエチケット、換気などの基本的な感染症対策の徹底のほか、体全体の抵抗力を高めるため、十分な睡眠や適度な運動、バランスのとれた食事を心がけるよう、児童生徒の発達段階を踏まえた指導を行っているところです。
 また、道徳教育を初めあらゆる教育活動において機会を捉え、いじめに係る内容を取り上げ、児童生徒の新型コロナウイルス感染症への感染及びワクチン接種の有無を理由としたいじめや偏見等が生じないよう、児童生徒の意識啓発やその醸成を図っているところです。これまで、教員の指導や児童生徒の取り組みなど、学校現場でのさまざまな工夫や努力により、学校内の感染拡大は極力抑えられているのではないかと考えております。
 今後も、感染防止対策に取り組み、児童生徒が健康で安心な生活を送ることができるよう、指導の充実に努めてまいります。
〇45番(工藤勝子君) よろしくお願いいたします。
 次に、GIGAスクール構想についてお伺いいたします。
 都市部と比較して地方の教育現場においては、ICT整備がおくれていたと思います。GIGAスクール構想によって、本県でも、児童生徒への1人1台端末等の整備が進み、今年度から本格運用が始まり、意欲的に活用されているとのことです。児童生徒がインターネットを活用して、広い視野から情報収集や、写真や動画による学習活動の記録を共有、小テストの配信や回答の集計など、児童生徒の学習状況をリアルタイムで把握できるということですが、今後の活用のあり方や効果的な活用についてお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 県内の小中学校においては、1人1台端末の整備が進み、授業支援ソフトやオンラインドリル等を活用した多様な実践が展開されてきているところであり、県教育委員会では、いわて学びの改革研究・普及事業において、県内のICTを活用した先導的な授業の実践例を公開して普及に努めているところです。
 今後は、全ての学習の基盤となる言語能力や情報活用能力、問題発見、解決能力等の育成に向けて、子供たちの学習意欲を高め、協働的な学びを促進する手段として、ICTを効果的に活用し、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組んでいく考えであります。
〇45番(工藤勝子君) GIGAスクール構想によって整備したICTを有効かつ効果的に活用していくためには、専門的な知識を有するサポーターを配置し、教職員を適時適切に支援していくことがとても重要と思われますが、そうした支援について現在どのように取り組まれているのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 県教育委員会では、県立学校におけるICT活用を促進するため、昨年度から専門人材を有する民間企業への委託により、GIGAスクールサポーターの各学校への派遣等を行っているところです。今年度は、総括サポーター1名と、エリアごとに各学校を支援するサポーター3名を配置し、電話相談や学校訪問等により、ICT機器の操作方法の指導や、授業支援ソフト等を効果的に活用するための助言等の支援を行っているところです。
 また、市町村教育委員会では、今年度、GIGAスクールサポーター等を20市町村で配置しており、残りの13市町村では配置がないことが課題となっております。そこで、岩手県学校教育ICT推進協議会等を通じて広域的な対応を検討するなど、今後も県と市町村が連携した取り組みを進めていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君) このGIGAスクール構想の実現によって、今後、児童生徒一人一人の能力を伸ばし、学力の向上や学習定着度に期待することができるのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 県教育委員会では、児童生徒一人一人の学力を育んでいくため、訪問指導等を通じて学校が調査結果を分析し、組織的に課題改善に取り組む体制づくりや、授業改善を支援しているところです。
 加えて、GIGAスクール構想のもと、学習履歴の見える化や、児童生徒の学習定着度に応じた出題が可能となるオンラインドリル等の活用により、個別最適な学びの充実による学力向上が期待されるところです。
 今後も、先導的事例の横展開を図るなど、ICTを効果的に活用した授業の普及促進に向けて、市町村教育委員会と連携して、学校教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君) 有効的な活用を期待したいと思っております。
 次に、消防指令業務の共同運用についてお伺いいたします。
 県内の10消防本部が、119番通報の受信や出動指令を行う消防指令業務の共同運用を目指し、協議を進めているとの報道がありました。新たな消防指令センターは、盛岡地区広域消防組合の盛岡中央消防署に整備し、令和8年度からの運用を目指しているとのことですが、県では、この動きを把握されているのでしょうか。また、このような共同運用の取り組みを国は推進しているものなのでしょうか。全国の状況も含めお伺いいたします。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 消防指令業務の共同運用についてでありますが、本県の消防本部においては、平成28年6月から、盛岡地区広域消防組合消防本部、奥州金ケ崎行政事務組合消防本部、そして北上地区消防組合消防本部による共同運用が行われています。この施設設備が更新時期を迎えることから、県内全域での共同運用の議論となったわけです。
 総務省消防庁では、平成17年度以降、当初は平成28年度の消防救急無線のデジタル化に向けた効率的な施設設備の整備に向けての取り組みとして、その後は、消防の広域化を見据えた連携、協力の取り組みとして、消防指令業務の共同運用を推進しているところでございます。
 令和3年4月現在、全国では724本部中、46地域194本部で共同運用が行われていますが、おおむね消防救急無線のデジタル化の際に取り組まれたものであり、現在、施設設備の更新時期を迎えつつあることから、各地で共同運用が議論されているところでございます。
〇45番(工藤勝子君) 今回、県内消防本部が議論を始められた消防指令業務の共同運用のメリットとして、どのようなものが考えられるのかお伺いいたします。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 消防指令業務の共同運用のメリットでありますが、施設整備費の削減、通信要員の効率的な配置による現場要員の充実、災害情報の一元的な把握による効果的、効率的な応援体制の確立、現場に最も早く到着できる部隊に出動命令を行う、いわゆる直近指令などの高度な運用の実現などがメリットとされています。
 共同運用の議論を開始した10消防本部においては、今後、そうした効果をより高められるよう議論を進めていくところと聞いております。
〇45番(工藤勝子君) 今後、10消防本部の共同運用の議論はどのように進められていくのか。また、今回の議論への参加を見送った一関市消防本部及び大船渡地区消防組合消防本部は、どのような対応になるのかお伺いいたします。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 現在、盛岡地区広域消防組合消防本部消防長を委員長とする岩手県消防指令業務共同運用推進委員会の場で、施設整備の内容等を検討しているところでありまして、今年度末には法定協議会の設置が予定されています。
 県としては、10消防本部に対し、共同運用の協議が円滑に進むよう支援するとともに、今回参加を見送った2消防本部に対しては、10消防本部の議論の進捗状況を適宜情報提供するなど、県内各消防本部の連携がとれるように、必要な支援をしてまいります。
〇45番(工藤勝子君) 次に、ILCの推進についてお伺いいたします。
 10月16日、岸田首相は、就任後早々に初めて本県を訪れて、東日本大震災津波からの復興状況を視察されました。知事もお出迎えから同行されて、沿岸地域においては復興状況を説明されております。
 大船渡市においては、地元住民との対話の場で、国際リニアコライダー建設の予算措置を求める声も出されたと報道されておりますが、知事も岸田首相に対して、ILC推進に対する理解を求め要望をされたのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) ILCは、我が国が標榜する科学技術創造立国と科学外交の実現など、我が国の成長戦略に貢献する極めて重要な計画であり、被災地である東北でのILCの実現は、東日本大震災津波からの創造的復興や、世界に開かれた地方創生に資するものと考えております。
 今回、被災地の視察に来られた岸田首相には、視察先の東日本大震災津波伝承館で、私自身が直接、本県の復興の成果と課題を説明し、東日本大震災津波からのさらなる復興に向けて、東北でのILCの実現についてもお力添えをお願いいたしました。
 大船渡市で行われた地元の方との車座対話で、出席者が、ILCが実現した未来への思いを述べた際に、岸田首相は、地元の期待が大きい、ぜひ受けとめると述べられ、心強く感じたところであります。
 また、お出迎えした一ノ関駅では、ILCを東北にと書かれた横断幕やのぼりを目にされ、私からも説明しており、今回の視察を通じて、ILCに対する地元の期待や熱意を御理解いただけたものと受けとめております。
 ILCの実現に向けては、これまで、与党や関係省庁を訪問し、繰り返し要望活動を行っており、今週月曜日にも上京し、鈴木俊一財務大臣を初め関係省庁の大臣、副大臣に面会し、要望してきたところであり、今後も機を捉えて積極的に働きかけてまいります。
〇45番(工藤勝子君) 私は、県民の理解、それから東北全体の理解、さらには国民の理解も大きな課題だと思っております。知事は、北海道東北地方知事会や全国知事会において、ILC建設推進に向けた話題の提供や要望、理解促進に向けた発言もされていると思っておりますが、その点についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) ILCの実現に向けては、岩手県内、東北及び全国で理解を深め、取り組みを広げていくため、さまざまな機会を通じて協力をお願いしております。
 北海道東北地方知事会では、平成24年度から毎年度、ILCの実現を国に提言しており、全国知事会にも本県から働きかけ、令和4年度国の施策並びに予算に関する提言・要望では、初めてILCが具体的に盛り込まれるなど全国の知事に理解をいただき、一体となってILCの実現を政府に要望しております。
 東北地方整備局や東北経済産業局の計画、政策の中で、ILC計画の動きを取り上げるなど、東北では国の機関も理解を示し、日本商工会議所など経済三団体が国に対しILC誘致に関する共同声明を出すなど、民間による全国的な取り組みも広がっているところであります。
〇45番(工藤勝子君) ありがとうございました。ちょっと時間がありませんで、最後の項目を残してしまいましたけれども、ぜひILC推進に向けて、知事みずからがもっともっと情報を発信していただきたいと思っております。
 以上をもって一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(小野共君) 以上をもって工藤勝子さんの一般質問を終わります。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時16分 休 憩
   
出席議員(43名)
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(4名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
23  番 千 葉 絢 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時38分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。郷右近浩君。
   〔30番郷右近浩君登壇〕(拍手)

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