令和3年12月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(千田美津子君) 議案に対する質疑を行います。
 議案第2号から議案第6号までの人事院勧告に伴う議案について質問いたします。
 議案第2号一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは、岩手県人事委員会勧告により、期末手当をこれまでの3.35月分から3.25月分に0.1月分削減するものであります。
 議案第3号は、一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これも、期末手当を3.35月分から3.25月分に0.1月分削減するものであります。
 また、議案第4号、一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、期末手当の改定において、一般職員については2.6月分が2.45月分に0.15月分削減する、そして、特定幹部職員についても2.2月分が2.05月分に0.15月分削減、さらに、再任用の一般職員は1.45月分が1.35月分に、特定幹部職員は1.25月分が1.15月分に、それぞれ0.1月分削減しようとするものであります。
 また、議案第5号、会計年度任用職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、期末手当を令和4年度から、現行の2.6月分から2.45月分に0.15月分削減するものであり、また、議案第6号の市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例については、一般職員については現行の2.6月分から2.45月分に0.15月分削減し、再任用職員については現行の1.45月分から1.35月分に0.1月分削減しようとするものでありますが、私は、これらの削減は、コロナ禍のもと頑張っていらっしゃる県職員の皆様の努力に水を差すものと指摘させていただきたいと思います。
 そこで、質問でありますけれども、まず第1は、それぞれの条例案の対象職員数は何人になるのかお知らせください。また、この条例によって対象となる医療局や企業局も含めた全体の対象職員数はどれくらいかお知らせください。
 質問の第2は、それぞれの改正に伴う影響額はどれくらいになる見込みか。さらに、医療局、企業局も含めた全体の影響額をお知らせください。
 質問の第3は、今回の期末手当の引き下げは、新型コロナウイルス感染症の対応等に昼夜を分かたず頑張っている保健福祉部や医療局を初め多くの関係部署で働く職員の皆さんのモチベーションを上げるどころか、全く逆になってしまうと考えておりますが、知事は、このことについてどう考え、提案されているのかお聞きしたいと思います。
 質問の第4は、岩手県人事委員会の報告においては、公衆衛生分野及び家畜衛生分野等において役割が重要性を増しているとの文言がありますけれども、今回の改正は、この報告に全く矛盾するものと私は指摘したいと思いますが、いかがでしょうか。
 質問の第5は、不妊治療と仕事の両立についてであります。人事院が新設を表明した不妊治療のための有給休暇の趣旨や他の都道府県の動向も踏まえて、岩手県人事委員会も新たな休暇制度について検討する必要があると指摘しておりますけれども、今回の条例において提案されていないのはなぜか、お聞きしたいと思います。
 質問の第6は、今回の期末手当の削減は、疲弊する地域経済に悪影響を及ぼすと考えるものでありますけれども、この影響についてどう考えておられるでしょうか。
 質問は以上でありますけれども、答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 千田美津子議員の御質問にお答え申し上げます。
 職員のモチベーションについてでありますが、今年度の給与改定については、岩手県人事委員会の勧告を最大限に尊重するという従来からの基本姿勢を踏まえつつ、地方公務員法に定める給与決定の諸原則にのっとり、勧告どおり実施することが適当との判断に至ったものであります。
 今般のコロナ禍におきましても、職員は、それぞれの職場で真摯に職務に精励しており、特に、新型コロナウイルス感染症対応業務に従事する職員に関して、防疫作業に関する特殊勤務手当の増額や保健所等の職員に対する勤勉手当の評価への反映など、給与上の処遇についてモチベーション確保のための対応を行っているところであります。
 今後におきましても、職員の勤務意欲の確保に向け、処遇の改善を図るなど、さまざまな視点からの取り組みを進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、総務部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇総務部長(白水伸英君) まず、それぞれ条例案の対象職員数についてであります。令和3年4月1日現在で、一般職の職員の給与に関する条例の適用職員が約1万700名、市町村立学校職員の給与等に関する条例の適用職員が約8、600名となっております。
 なお、一般職の任期付職員の採用等に関する条例及び一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の適用となる特定任期付職員及び任期付研究員については、現在、任用がないところであります。
 これらの職員数に医療局及び企業局の会計年度任用職員及び技能労務職員を除いた職員数を合わせますと、全体で約2万4、700名となるところであります。
 また、会計年度任用職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案については、令和4年4月1日からの施行となるものでございまして、来年度の任用数は今後調整するため、現時点で対象職員数は明確にお示しできないところでございますが、参考までに、会計年度任用職員のうち、本年12月期の期末手当の支給対象職員につきましてお示しいたしますと、医療局及び企業局を含め約4、200名となっております。
 次に、改定に伴う影響額についてでありますが、県職員1人当たりの引き下げ額については、行政職の40歳主査級職員をモデルに試算いたしました場合、年間給与額で5万8、000円程度の減となるところであり、その総額は、普通会計ベースで12億9、000万円程度の減と見込んでいるところでございます。
 また、医療局及び企業局を含めますと、総額で17億2、000万円程度の減と見込んでいるところでございます。
 次に、人事委員会報告についてでありますが、公衆衛生分野及び家畜衛生分野を担う獣医師の処遇につきましては、議員御指摘のとおり、人事委員会から、採用の促進に向けて、さらに給与上の処遇の改善を図ることについて検討を行うことが必要との報告があったところでございます。
 このことを踏まえ、今回提案した一般職の職員の給与に関する条例の一部改正案では、獣医師の確保に向けた給与上の処遇改善として初任給調整手当の上限額引き上げを行うこととしておりまして、これにより、採用初年度の手当額が年間18万円増額することから、給与改定による期末手当の引き下げ分を考慮いたしましても、一定の処遇改善が図られるものとなっております。
 次に、不妊治療に係る新たな休暇制度への対応についてでありますが、国が昨年5月に閣議決定いたしました少子化社会対策大綱において、不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備が盛り込まれるなど、不妊治療と仕事の両立支援は、官民問わず重要な課題と認識しております。
 国におきましては、民間企業における動向等も踏まえ、ことし8月の人事院の報告において、不妊治療のための特別休暇を新設することとされたところであります。
 本県におきましても、ことし10月の人事委員会の報告において、不妊治療のための特別休暇の創設について検討する必要があるとされたことから、国に準じた不妊治療のための特別休暇の創設に向け、現在、人事委員会と調整を進めているところでございます。
 なお、不妊治療のための特別休暇の創設につきましては、12月上旬に国の人事院規則が改正される見込みであり、その内容を踏まえる必要があるところでございます。
 また、この休暇制度を創設する場合には、条例ではなく、人事委員会規則で規定することとなるところでございます。
 次に、地域経済への影響についてでありますが、先ほど知事から御答弁いたしましたとおり、地方公務員の給与は、人事委員会の勧告を最大限尊重しながら、地方公務員法の給与決定の諸原則にのっとり決定すべきものであり、今般の給与改定におきましても、勧告どおり実施することが適当と考えているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい経済情勢が継続していることは認識しておりまして、県といたしましては、累次の補正予算の適切な執行とあわせ、令和3年度岩手県一般会計補正予算(第9号)に新たな取り組みを盛り込むとともに、今後におきましても、感染拡大の防止に加え、経済的な影響を受けている県民、事業者の社会生活や経済活動の支援に引き続き取り組んでまいります。
〇1番(千田美津子君) 私は、職員のモチベーションを指摘したわけでありますけれども、知事は、人事委員会勧告を最大限尊重すると。そして、新型コロナウイルス感染症対応等で職員の皆さんに真摯に頑張っていただいているので、防疫手当とか給与上の処遇の対応を行っているという答弁もありましたが、これはごく一部になってしまいます。
 それで、今回の給与改定は全体に及ぶものです。新型コロナウイルス感染症対応では、医療関係者のみならず、本当に多くの職員の皆さんが頑張っているわけですから、全県職員がモチベーションを上げて頑張れるような状況をつくるべきだと思っておりますので、そこをもう一度お聞きしたいと思います。
 それから、きのう総務省が、総務副大臣名で地方公務員の給与改定に関する取扱いの通知を出したようであります。これは、国家公務員については、臨時国会が来月になるということで、その取り扱いが地方と異なるということの通知だと思いますが、県は、その取り扱いに対してどのような見解を持っているかお聞きしたいと思います。
 三つ目は、県内市町村における岩手県人事委員会の勧告に対する対応状況について、お知らせいただきたいと思います。
 最後、四つ目ですが、医療局長にお聞きしたいと思います。国の経済対策において看護師の給与の引き上げが示されております。今回、医師、看護師を含めて全体が一時金の引き下げという形でありますけれども、私は、引き下げるどころか、独自の慰労金を支給するなど、そういう手だてこそ必要ではないかと思います。今、第6波に備えて現場でもいろいろ検討がなされ、新型コロナウイルス感染症に感染する危険性がある中で頑張っていらっしゃる方々に対する処遇改善が必要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策につきましては、まず、職員自身が感染しないように気をつけなければならないことがありますし、また、世界的な流行、国内的な流行、県内での流行、かつてなかったような、いわゆるパンデミックという異常な事態でもありますし、職員一人一人の大変さは、非常に大きいものがあると思っております。
 また、市町村との連携、そして、民間事業者の皆さんとの連携、困っている方々、困窮している方々とのやりとりなど、通常業務以上に踏み込んでさらに取り組まなければならないこともあり、職員が直面している仕事の大変さは、非常に大きいものがあると思っております。
 そういった状況を県の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議を初め、随時共有し、私もそこをきちんと理解し、状況を把握しながら、また、県としての目標、例えば県独自の非常事態宣言の趣旨、目的ややり方など、県が県民と力を合わせてやっていること、理解を共有しながらやっていることが実を結んでいる、県民もそれを求めているということも確認できるようにしながら進めていきたいと思っております。
〇総務部長(白水伸英君) まず、議員御指摘のとおり、昨日、国から通知等が来ております。これについては議員御承知のとおりでありますが、国家公務員につきましては、令和3年度の引き下げに相当する額については、令和4年6月の期末手当から減額することで調整を行うこととしているという趣旨でございました。
 県といたしましては、まず、国の考え方に基づきまして、令和3年度分を令和4年度でまとめて引き下げることになりますと、令和3年度末で退職される方については令和3年度分が支給されるということで、職員間に不均衡が生じること、さらに言いますと、令和4年度に新規採用される方についても令和3年度の引き下げ分が反映される可能性があり、これは合理的なのかということがございます。
 私どもとしては、これはさまざまな課題があると考えておりまして、東北6県に、私が総務部長を通じて直接確認いたしました。東北6県の各県については、予定どおり12月で引き下げるということでございましたし、全国の多くの他の県も、同じように12月期で引き下げるということでございましたので、今回、条例を提案させていただいたところでございます。
 それから、県内市町村の状況でございますけれども、現在検討中の市町村も一定数あると聞いておりますが、現時点では、全33市町村中、3分の2ほどが、県と同様に、今回12月期に引き下げる見込みと聞いております。
〇医療局長(小原勝君) 給与改定につきましては、地方公営企業法におきまして、企業職員の給与は、生計費同一または類似の国及び地方公共団体の職員及び民間事業の従業員の給与、それから、当該地方公営企業の経営状況その他の事情を考慮して定めなければならないとされております。医療局におきましても、人事委員会勧告を尊重して、県職員の給与改定に準じた取り扱いを行うことが適当と考えております。
 新型コロナウイルス感染症に対応した職員の御労苦に対しましては、防疫等作業手当の引き上げ、特例の引き上げなどを行っておりますほか、病院は、新型コロナウイルス感染症対応に従事する者、しない者、皆一丸となって対応してまいりました。昨年度実施した慰労金の支出や職員に対します表彰や評価などで配慮を行っているところでありまして、今後におきましても、職員のモチベーションの維持に必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
 慰労金につきましては、昨年度、国の事業として交付されたものでありますが、今後の感染拡大状況なども考慮の上で、要望することなどを含めて検討してまいりたいと考えております。
〇1番(千田美津子君) 最後の慰労金については、職員の大変な取り組み、そして頑張りに応えて、前向きに、国に要望すると同時に、県としても独自にそういう対応をすべきだと私は思いますので、指摘をしておきます。
 会計年度任用職員については、来年からの引き下げということでありますが、実は、会計年度任用職員については勤勉手当の支給がないと思うのです。総務省のマニュアルでは、制度の多くを国の非常勤職員に準拠するように示していると思うのです。そういった意味で、期末手当から削減するということは全体が引き下がることになりますので、私は、勤勉手当の支給をどうしていくのかということが先になるのではないかと思うわけですが、この点をお聞きします。
〇総務部長(白水伸英君) 会計年度任用職員の勤勉手当の関係でございます。これは、議員御承知のとおり、国の制度、地方自治法あるいは地方公務員法の制度の中で勤勉手当についての支給の規定がないところでございます。
 これについては、国にも確認しておりますけれども、国家公務員の扱いなどもさまざま検討されているということでございますので、我々は、その状況について注視しているところでございます。
 一方で、今回の対応につきましては、会計年度任用職員の方につきましては、さまざま任用期間が異なって、その関係によりまして、今回引き下げるとさまざまな不公平が生じかねないということで、令和4年度以降引き下げられるという、一定の対応を講じさせていただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、国の動向等も踏まえて、今後しっかり対応してまいりたいと考えております。
〇議長(五日市王君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第6号までは、総務委員会に付託いたします。
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後1時35分 休 憩
   
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(2名)
2  番 上 原 康 樹 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時42分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   
   報 告
〇議長(五日市王君) 総務委員長から委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   
   日程第4 議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例から日程第9 議案第6号市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例まで(続)
〇議長(五日市王君) 日程第4、議案第1号から日程第9、議案第6号までの議事を継続いたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。菅野総務委員長。
   〔総務委員長菅野ひろのり君登壇〕

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