令和3年9月臨時会 第16回岩手県議会臨時会会議録

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〇48番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 今臨時会に上程されている議案第1号について質疑を行います。
 岩手県独自の緊急事態宣言の発令から専決処分に至るまでの間、当局と質疑のやりとりの機会がありましたが、要領を得たものには至っておりません。知事主導で行った形跡が見てとれますので、この機会に知事に直接お伺いするものであります。
 専決処分に関して、岩手緊急事態宣言からの一連の流れがあるので、一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。
 多くの県民が岩手緊急事態宣言からこのたびの専決処分に至るまでの県の一連の動きについて、かなりのどたばた感を禁じ得ないのではないかと私は感じています。
 まず最初に、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置の適用の要請について伺います。
 知事は、8月18日の夕刻に個人のツイッターで国への要請準備に入ると発信しました。多くの職員が唐突な動きに戸惑いがあったようであります。したがって、今日も、私は県庁の統一感が見られないと感じています。個人のツイッターで県の重要施策にかかわる問題を機関決定する前に発信することは、こうした非常時には、私は異常だと思います。情報管理に関して県のトップが生煮えの政策決定を流したことと受け取られては、県の信用度にかかわります。この経過は今明確にしておかないと、県民の県政への信頼と県自体の政策推進力にもかかわると思います。
 個人のツイッターで発信するに至った経緯と今後の発信のあり方について、明確に説明していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) ツイッターの発信についてでありますが、私のツイッターは、個人の資格で、個人的な見解や趣味的な内容も交えながら発信しているものでありますが、県内の感染状況が、8月19日に人口10万人当たりの新規感染者数が25.2人となり、30人になる可能性が見込まれたことから、国のまん延防止等重点措置の適用を要請しなければならない段階になったと県の内部で検討をしていたところであり、この適用の要請や適用後の実行に当たっては、迅速な手続や対応も必要になりますことから、そういった後々の対応も考慮し、早目に発信することに意義があると考えたものであります。
〇48番(飯澤匡君) 結果として、国からまん延防止等重点措置の適用は見送られました。知事として、ツイッターの発言には責任を負わなくていいのか、その所感を求めます。
〇知事(達増拓也君) 県から国にまん延防止等重点措置の適用を要請する前に、全国知事会のウエブ会議があり、全国知事会としても、事ここに至り、47都道府県で、10万人当たり新規感染者数が最も少ない県も含めて、緊急事態宣言ないしまん延防止等重点措置を適用すべきだということを主張しておりまして、当然その流れの中で岩手県にも適用すべきと私も考え、また、県としてもそう決めて要請したわけでありますけれども、国としては、そうではなくて、緊急事態宣言対象地域とまん延防止等重点措置対象地域、そして県独自の対応をする、その三つに分けて行うのが適当という判断をしたわけであります。それらの議論の過程や、そして、政府の意思決定の過程なども、報道を通じ、県民も含め広く国民の皆さんにも示されながら、そのプロセスは、それなりに御理解いただけるものと考えております。
〇48番(飯澤匡君) この問題は余り長くやらずに、また別の機会にします。
 まん延防止等重点措置の適用の要請によって、多くの県民が協力金等に対して期待と関心を一瞬寄せましたが、これはかなわなくなりました。どの程度の確度をもって要請に至ったのか示していただきたい。その結果、専決処分をせざるを得なくなったと私は思料しますが、そういう経過も含めて、県民は当惑し、さらに盛岡地域限定の施策展開になったことに不満も出ています。それをどのように受けとめているか示していただきたいと思います。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 8月23日に、国に対してまん延防止等重点措置の適用の要請を行った時点では、病床使用率がステージ4の目安を超しておりました。また、国において、まん延防止等重点措置区域の追加の動きが把握できましたことから、この要請を行った時点では、適用について認められる可能性が十分にあると認識をしていたところであります。
 しかしながら、国からは、人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数がステージ3相当であるけれども、増加傾向とはなっていないとの認識が示されました。これは、ちょうど申請する前後のあたりで、一時感染者の数が20人台まで落ちてきた、県民の皆様の御協力のおかげというところでありますけれども、そういったタイミングであったということがあろうかと思います。
 それから、病床使用率はステージ4相当であるということですけれども、感染者の多くが入院できているという、療養上は望ましい状態がつくられているということでありますが、そういった事情から見送られたものと認識しております。
〇48番(飯澤匡君) 確度として、国とのやりとりをしっかりやっていなかったということではないですかね。私はそう思います。
 それでは次の質問です。時短要請を飲食店と盛岡地域に限定した根拠、時期が適切だったかどうかも含めて示していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 時短要請を飲食店と盛岡地域に限定した根拠及び時期についてでありますが、飲食店への営業時間短縮要請については、デルタ株による感染が拡大した8月以降、飲食に起因する感染も多く見られること、また、飲食店を起点として職場や家庭にウイルスを持ち込む例が少なくないこと、学校や施設のクラスターに比べて囲い込むことが難しいことから、感染の起点を抑え込むことが、感染対策として重要と考えたところであります。
 飲食店の利用に当たりましては、飲食の際、マスクを外す必要がありますことから、マスクをしない状態での会話の機会が多くなってしまうこと、長時間の会食は感染リスクが増大することなどから、20時までの営業時間短縮を要請したところであります。
 営業時間短縮要請を盛岡市とした理由は、盛岡圏域の新規感染者の発生数が県内の半数以上を占めること。そのうち盛岡市における新規感染者数が7割となっていること。県内で発生している飲食店クラスターが17件確認されているが、そのうち盛岡市での発生が14件確認されていること。また、感染状況を見たときに、県外からの来県者由来の感染やクラスターの発生が多く確認されており、首都圏等との往来が多く、人口が集積している盛岡市における人流と飲食由来の感染を抑制し、感染を重点的に収束させることが、県全体の感染収束に有効であると考えたところであります。
 なお、営業の自由を制限するような要請であり、必要最小限とすべきであると考え、感染状況を踏まえて、盛岡市を対象としたものであります。
 時期については、国の緊急事態宣言期間に合わせて実効性を高め、なおかつ、効果があらわれるまでの2週間の期間を確保するため、8月30日から9月12日までとしたところであります。
〇48番(飯澤匡君) ただいまの説明は、8月から今日にあって広く感染が拡大しているデルタ株への対応については、私は100%当てはまらないと思います。
 そこでお伺いしますが、飲食店由来の感染が多いと判断したエビデンスを明確に示していただきたいと思います。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 飲食店由来の感染が多いと判断したエビデンスということでありますけれども、盛岡医療圏で発生いたしましたクラスターの半数以上が、これまで飲食店となっているところでありまして、全県の飲食店クラスターの発生状況におきましても、盛岡医療圏のクラスターが、件数、患者数ともに最多となっているところであります。
 また、日々の感染状況を把握する中で、飲食に起因する感染が多いと認識していたところでありまして、その後に数字を取りまとめたところでは、8月以降の新規患者の感染機会におきましても、飲食に起因する感染が3割弱を占めるといった状況になっております。
〇48番(飯澤匡君) 県では、飲食店の感染防止対策に関して認証制度を実施しました。認証を受けるに当たって、多くの飲食店が積極的に取り組んだ結果、県全体で8月27日現在3、137件、盛岡市内では認証対象店数2、689店中1、107件、取得率は41.2%になり、他の自治体よりもぬきんでて取得しています。
 飲食店が積極的に対策を講じている中、時短要請を盛岡市に限定した理由も不明確であります。他の自治体の飲食店からも不満が出ています。こうした矛盾に県の施策として整合性、妥当性はあるのでしょうか。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) いわて飲食店安心認証制度の認証店への時短要請についてでありますけれども、今回の時短要請につきましては、短期間の感染対策の強化によりまして、新規感染者数を徹底的に抑えたいということを狙いとするものでありますことから、いわて飲食店安心認証店も含めて要請をし、協力を願っているところであります。
 積極的に感染対策に取り組んでいる認証店を初め、飲食店が一日も早く時間の制約なしに営業できる環境をつくることが重要だと考えておりまして、総合的な感染防止対策に取り組んでいるところであります。
 人口10万人当たりの新規感染者数が10人未満になり、県独自の緊急事態宣言を解除することができれば、いわて飲食店安心認証店のメリットでありますGo To イートも再開できますので、そういった環境を一日も早くつくって、飲食業の需要喚起策を推進してまいりたいと考えております。
〇48番(飯澤匡君) 盛岡市以外の市町村とのコンセンサスは得ているのでしょうか。協議の場は設けましたか。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) この飲食店への時短要請につきましては、まん延防止等重点措置の要請が形として起点となるわけでありますけれども、この要請中は、その適用が決定し、国との調整結果として重点区域が公表されるといったたてつけになっています。蔓延防止のために限られたエリアで実施するものでありまして、広く協議をするという形はとっておりません。
 そして、8月25日の政府の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして本県のまん延防止等重点措置の適用が見送られましたが、同日、このまん延防止等重点措置の重点区域と想定しておりました盛岡市と必要な調整を行いますとともに、盛岡圏域の市町、そして県内各市には、重点対策区域に盛岡市を指定する旨、電話で連絡をとらせていただきましたほか、それ以外の町村にも、メールにより情報提供させていただいたところであります。
〇48番(飯澤匡君) 情報提供ですよね。そういう非常事態の中において、国の制度のたてつけはそのとおりですけれども、岩手県全体で防止策を展開するに当たっては、私はかなり不十分だと思っております。
 協議の場を設けなかったのは、時間が制約される中でも私はしっかりやるべきだと思うのですが、なぜやらなかったのでしょうか、知事に伺います。
〇知事(達増拓也君) あのときのまん延防止等重点措置の適用区域の拡大は、例えば山梨県など、要請していないけれども、国でそう決めたところがあり、そこは、そうなってから、では、県内のどの市町村を対象とするかなど進んでいったということがあります。
 第5波というのはデルタ株でもあり、その緊急性、非常事態性は非常に高いものがあり、いざ国とさまざまやりとりしながらものを決めていく場合に、非常に速く決めていかなければならないという中、先ほど担当部長から答弁があったとおり、関係するところとはやりとりしながら決めていったということであります。
〇48番(飯澤匡君) やりとりではないですね。一方的な連絡だけです。そのように私は把握しています。
 専決処分と議会とのかかわりについて伺います。8月24日の第5回岩手県議会災害対策連絡本部員会議後に、まん延防止等重点措置が適用されるかされないか不明の中で、議会審査の必要性に鑑み、議長から県に対して、議会審査の日程を確保してほしいと要請しているはずですが、議会の要請を無視した形となっていることについて、県民に対して説明責任を果たしてください。
〇総務部長(白水伸英君) 専決処分と議会への説明についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症関連の予算につきましては、これまでも県議会議員の皆様への説明を丁寧に行うとの考えのもと進めてきたところでございます。
 今回、議員も指摘されましたけれども、8月24日の第5回岩手県議会災害対策連絡本部会議の後に行われました各会派代表者会議の場におきまして、飲食店への時短要請に係る新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の見込み額が最大で140億円もの巨額に上る場合には、専決処分を行うことが適当か否かとの疑義が示された旨、議長から私宛てに電話をいただいたところでございます。
 これを受けまして、翌8月25日―この日は岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部第39回本部員会議で時短要請の措置決定をした前日になりますが―に、議長、副議長、それから各会派代表者会議の構成員の方々に対しまして、感染状況を踏まえ至急の対応をせざるを得ないこと、それから、時短要請に係る新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金については、最大値の140億円ではなく9億円となり、その財源は新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用すること等から、その緊急性や必要性に鑑み専決処分を行わせていただきたい旨を説明し、御理解いただきたい旨を申し上げたところでございます。
 また、本日、専決処分に関し承認を求める議案を提出し、議会で審議をいただいているところでございます。
 今後におきましても、引き続き、新型コロナウイルス感染症関連の予算の計上に当たりましては、より一層丁寧に議会の御意見を伺い、対策に万全を期してまいりたいと考えてございます。
〇48番(飯澤匡君) 青森県、宮城県の感染者増加が著しく、県の仕事は、県境の感染防止対策を同時に進めるのが当然と考えます。知事からは、この県境の防止対策については明確なメッセージや対策が示されていません。これは地域格差を県みずから生んでいるのではないでしょうか。その点についてお伺いします。
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) 県境対策ということでありますけれども、8月12日に岩手緊急事態宣言を発出しておりますが、不要不急の外出自粛を要請しているほか、都道府県をまたいでの不要不急の往来についても自粛するよう要請しているところであります。
 県境をまたいだ必要な出勤や通学、通院などの自粛を求めるものではありませんけれども、感染が拡大する地域へ移動する場合は、基本的な感染対策を徹底し、慎重に行動していただきたいということなどを岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部第37回本部員会議で決定し、知事のメッセージとしても呼びかけているところでございます。
〇48番(飯澤匡君) 今回の専決処分によって、また局面は変わっていると思うのです。ですから、これは同時に、さらに強調して行うことが、県の仕事だと私は思っています。
 私は、税金投入にはタックスペイヤーの視点を忘れてはならないと思います。感染抑止を第1優先にするのであれば、市町村で格差があるワクチン接種に関して予算を投入するのが筋ではないかと思います。盛岡市が大きくおくれていることに、県は問題意識を強く持つべきだと思います。若年層への接種の推進、副反応に関する相談窓口設置を優先的にすべきであります。
 まん延防止等重点措置で県政と国政に生産性のない波紋を広げるよりは、国がまさに踏み出した緊急医療体制の量的緩和政策に、県が率先して手を上げて、県民の安心・安全、経済支援活動にシフトするほうが実利的との意見があります。私もそのとおりだと思います。
 県のパッチワーク的な小出しの政策には、私は実効性が見出せない。専決処分よりオールパッケージとして県民に示すのが県政施策として当然と考えますが、県はやる気があるのか、なぜ出せないのか、出すならいつ出せるのか示していただきたい。
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、ワクチン接種の関係でございます。
 議員から御指摘いただきましたとおり、県内市町村ではワクチン接種を今鋭意進めているところでございますが、やはり人口が多い地域に関しましては、それ以外の地域に比べればおくれているといった実態があるのは承知しております。
 県といたしましても、県で実施している集団接種の2回目以降に関しましては、県央部の集団接種を4割増強するなど、県内での均一な接種に向けて努力しているところでございます。
 そのほかにも、副反応等の相談窓口、コールセンターなども設置しまして、市町村とともに、県民の皆様への不安に応えるべく取り組みを進めているところでございます。
 今後は、若者へのワクチン接種が重要でございますので、市町村がさまざま取り組みをしておりますが、我々もきちんとそれを補完し、一緒になって取り組んでいく立場で、連携してワクチン接種を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(関根敏伸君) 次に、斉藤信君。

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