令和3年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(小西和子君) 希望いわての小西和子でございます。
 請願陳情受理番号第45号計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める請願について、委員長報告に賛成の立場で討論を行います。
 日本国憲法第26条は、すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とすると、教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、義務教育の無償をうたっています。
 文部科学省は、義務教育費国庫負担制度に関して、この憲法の要請に基づき、義務教育の根幹である機会均等、水準確保、無償制を国が責任を持って支えるものだと制度の基本的役割を規定しています。
 全国どこに住んでいても同じ水準の教育が受けられ、かつ、無償である、この原則を守るために義務教育費国庫負担制度が1953年に成立しました。それまでの県、市町村の負担であった学校の教育費、人件費が、国の負担となり、保護者負担も大きく減りました。
 しかし、政府は1985年から、国の財政状況を理由として次々と国庫負担の対象品目を外し、さらに、2006年の三位一体改革で、義務教育費国庫負担の割合を2分の1から3分の1に引き下げました。減らされた国庫負担は、一般財源として地方に交付税で配分されるようになりましたが、地方財政そのものが厳しい状況になっていることは、御承知のとおりです。つまり、国庫負担金が減り、交付税化されればされるほど、財政の厳しい地方自治体では義務教育費を削減せざるを得なくなり、正規の教職員を維持、拡充することが困難となります。財政力の格差が、そのまま義務教育の水準格差に反映されてしまいます。
 昨年度末にいわゆる改正義務教育標準法が成立し、小学校の学級編制標準が段階的に35人に引き下げられたことは、教育現場が長らく求めてきた制度の実現であり、これまで各自治体が意見書提出を継続してきた成果だと言えます。しかし、基礎定数増への対応は加配定数からの振りかえであり、実質的な教職員定数増となっていません。
 現在、学校現場においては、感染症対策や貧困、いじめ、不登校など解決すべき課題が依然として山積しており、教職員が子供たちとしっかりと向き合い、意欲と情熱を持って教育に専念するための時間を十分に確保する必要があります。
 よりきめ細かな学校教育や豊かな学びと学校の働き方改革を実現するためには、中学校、高等学校の35人学級の早期実施はもちろんのこと、さらなる少人数学級の実現と計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度の拡充が不可欠です。
 この間、教育予算は、義務教育費国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられたことで、各自治体における財政状況が義務教育費に影響する可能性が高まり、自治体間の教育格差が危惧されてきました。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置を行っている地方自治体もありますが、子供たちが、全国どこに住んでいても、均等に一定水準の教育を受けられることが、憲法の要請するところであり、国が果たすべき役割です。
 以上を申し上げ、請願陳情受理番号第45号計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める請願についての賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 次に、斉藤信君。
   〔37番斉藤信君登壇〕

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