令和3年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(上原康樹君) 無所属の上原康樹でございます。
 マスクを外して真っすぐ声を出せるありがたさをかみしめて、1年半ぶりの一般質問でございます。御答弁の内容によりましては再質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 初めに、地震への備えについてです。
 東日本大震災津波発災から10年余り。改めて、犠牲になられた皆様へ哀悼の意をささげます。
 さて、けさも岩手県は揺れました。釜石市で震度3の地震でした。考えてみますと、この春、岩手県には大きな地震が相次ぎました。そこで、初めに地震への備えについて伺います。
 2月13日の福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震では、岩手県内で最大震度5弱を観測、各地で停電が発生、交通機関がストップしました。5月1日の宮城県沖を震源とするマグニチュード6.6の地震では、岩手県内で最大震度5弱を観測しました。この5月1日の地震はとりわけ強く、一瞬、3.11の揺れを思い起こさせるものでした。私は思わず、津波は大丈夫かと声を上げました。結果的に津波はありませんでしたが、沿岸南部では震度5弱を観測しました。あのとき、3.11の教訓を胸に刻んだ人々は、とっさにどのような行動をとったのでしょうか。住民の方々の自主的な判断、迅速な避難行動、その意識が問われた瞬間だったと思います。
 そこで伺います。2月と5月の地震の直後、津波のあるなしにかかわらず、自主的に高台を目指す行動があったかどうか、県は実態を調査し総括したのでしょうか。
 もう一つ、地震に関連しての質問です。岩手県で緊急地震速報の予報が一瞬発表され、直後に取り消されたという報道がありました。これは4月8日午前10時51分、雫石町に設置されている地震計が、最大で震度5弱程度以上と推定される地震波を検知し、主に事業者などが利用している緊急地震速報の予報を発表しました。しかし、周辺の地震計では同じような地震波は検知されなかったため、予報を出した10秒後に、取り消しを知らせるいわゆるキャンセル報を発表しました。このため、一般向けの緊急地震速報の警報は発表されませんでした。この原因について、気象庁は、周辺の地震とは違うノイズが混入した可能性があるとして調査しているとコメントしました。
 近年、強い地震が頻発している日本列島、とりわけ東北地方、この岩手県もです。あの緊急地震速報の切り裂いてくるような音は、3.11以来、二度と忘れられない音になりました。それは同時に、短時間であっても、次の行動、最善の行動は何かを考える猶予の音でもあります。その緊急地震速報に誤報などあってはならないことです。
 そこで伺います。緊急地震速報は、一義的には気象庁にかかわる案件でありますが、事は防災のシステムの問題であり、県民の安全にかかわることです。県は、この事態にどういう意識をお持ちなのか、また、情報の収集には当たられたのか伺います。
 この誤報の案件に関して私なりに考えました。岩手山麓、雫石町、大地を揺らすようなノイズと聞いて思い浮かんだのは、何らかの爆発かと思ったのです。強力な爆発物の取り扱いといえば、まず、すぐ思い浮かぶのは自衛隊の岩手駐屯地です。砲撃訓練の音や振動は、20キロメートル離れた盛岡市内にも届きます。ズシン、ドシンと空気が震えます。その訓練についてこの場で論じることはありません。自衛隊に落ち度はありません。緊急地震速報のシステムを誤作動させるかもしれない可能性の一つとして、訓練で使用される強力な爆発物も排除されるものではないと考えた次第です。
 そこで私は、滝沢市がホームページで公表している自衛隊の訓練内容を閲覧させていただきました。誤作動が発生した4月8日の訓練の内容を追っていきますと、TNT爆破薬という訓練項目が記載されていました。このTNT爆破薬は、ほかの訓練日には記載がありません。4月8日だけなのです。ここからの推理は控えさせていただきます。強力な爆薬を使用するのは自衛隊に限った話ではありませんし、山を崩すような大がかりな土木工事で、発破作業は珍しいことではありませんから。
 いずれにせよ、4月8日の地震計の誤作動は何によって引き起こされたのか。大規模な爆破作業などの外部的な要因か、それとも観測機器の内部的な要因か、あるいは人為的なものか。原因をあらゆる角度から突き詰め、より正確な観測システムが構築されてほしいと願います。事は住民の命にかかわるシステムの精度の問題です。誤作動の原因を何らかのノイズで済ませておくわけにはいかないのです。
 そこで伺います。今回の誤作動について、判明した事実があれば御説明願います。あわせて、緊急地震速報システムの精度の改善などについて、気象庁に強く申し入れるべきと考えますが、御所見を伺います。
 ノイズだけならまだしも、実際の地震となると事態は深刻です。少し振り返るだけでも、岩手県では内陸部でも大きな地震を観測しています。例えば、平成10年9月、岩手山南西山麓を震源とする地震が発生、最大震度6弱。また、平成20年6月の岩手・宮城内陸地震で最大震度6強。祭畤大橋が崩落しました。このように、岩手県は沿岸も内陸も全県的に地震の脅威にさらされています。
 そこで伺います。地震発生時の避難と言えば津波被害からの避難が想定されますが、内陸部でも大規模な地震が立て続けに発生していることから、住民への意識啓発を図るほか、危険箇所の点検や避難所の環境整備、岩手山などの火山活動の監視など、関係機関とも連携しながら多角的に対策を講じていくべきと考えます。県の今後の取り組みについて伺います。
 次に、県立高校の再編について伺います。
 令和3年度になって、新たな県立高等学校再編計画後期計画(最終案)にかかわる説明会が改めて開催されました。動き出すかに思われた県立高校の再編計画でしたが、昨年の暮れになって高校の統合に対する反対の声が高まり、盛岡南高校の存続を願う人々からは、計画の白紙撤回を求める1万5、000筆を超える署名が県教育委員会に提出されました。また、各自治体や産業界からも統合に反対の意思表明がありました。
 こうした広範囲な民意の高まりを前に、県教育委員会は、一旦立ちどまり、より多くの県民に丁寧な説明を行うとして、今回、四つのブロック会場で説明会を開いたのです。
 私は、計画に反対する県民の皆さんの論理と心情に触れようと思い、全ての会場に出向きました。同時に、仕切り直しとなった県教育委員会の態度に注目しました。地域の高校に対する思いは、少子化をめぐる生徒の減少、学校規模の縮小などというデータだけでは到底説明し切れない、地域の人々の魂が宿るテーマです。県教育委員会の再説明の様子を固唾をのんで見守りました。
 まず、二戸ブロックです。福岡工業高校と一戸高校の統合案に関し、県北地域の工業に携わる人材の育成はどうなるのか、県央、県南地域の工業高校を充実させるのなら県北地域はどうなるのか、置き去りにするのかといった批判の声が上がりました。そのほかにも、統合案の公表が唐突であったと感じて、県教育委員会に対する不信感があるとか、地元との信頼関係がないなどの激しい声が上がりました。
 そして、私の印象に強く残ったのは次のやりとりでした。県教育委員会から、存続が決まった学校は、魅力ある学校づくりの努力が評価されたからですという説明に対し、会場からは、それでは、それはいつまでにやればいいのかという質問に、できるだけ早目にという返答でした。統合案ができているのに間に合うわけがありません。全くかみ合いません。このように、説明はこれまでの内容を踏襲したもので、質疑応答も問題点を深める話し合いにはならず、県教育委員会の冷静といいますかクールな対応が際立つばかりでした。
 そこで伺います。県教育委員会は、地域での説明会を改めて開催するに当たり、何が必要と考え、これまで以上に関係者とどう向き合おうと考えたのでしょうか。
 二戸ブロックに続いて開催された胆江ブロック、両磐ブロックの説明会は、二戸ブロック会場に比べればやや落ちついていたと思います。その空気に気持ちが和らいだのか、県教育委員会の職員も、小規模校の悲哀について涙を流し計画の必要性を訴えていました。記憶に残った会場からの声は、学校を統合、新築する際、建設地の選定をどうするのか、そのプロセスを透明にすべきというものでした。
 そこで伺いますが、水沢工業高校と一関工業高校の統合に伴う建設地の選定に関し、今後、地域住民に対しどのように説明し理解を得ていくおつもりか、お考えを伺います。
 最後に開催された盛岡ブロックの説明会では、盛岡南高校と不来方高校の統合案へ、厳しい声が相次ぎました。盛岡市南部及び矢巾町は、岩手医科大学の移転などで人口が増加する地域であるにもかかわらず、その地域の高校をなぜ今減らすのか。この質問に県教育委員会から明確な答弁はなく、全県を見据えての措置という地域の人には受けとめ切れない答弁でした。
 そこで伺います。人口が増加する矢巾町と減少が緩やかな盛岡市南部で高校を統合する意義や必要性について、改めて見解を伺います。
 ここまで四つの説明会の報告と質問を重ねてきたのですが、締めくくりは盛岡会場の最後の場面です。会場から、今後さらなる説明会の開催はあるのかという質問に対し、県教育委員会は、現時点では考えておりませんと返答しました。なおも会場から、統合は最後の手段である、膝を交え時間をかけて話し合いをという歩み寄りとも聞こえる声が上がりましたが、県教育委員会は、再度その考えがないことを明言しました。私には、両者の溝が深まるばかりのように見えました。
 全ての説明会が終わった直後、5月24日、県立高校再編計画最終案は成案となりました。結果的に、令和3年度まで延長された一連の説明会は、計画遂行のための段取りの一つにすぎないと受けとめる人々をふやしたのではないでしょうか。これでは禍根を残すと感じました。
 そこで伺います。今後、地域住民との対話の場を柔軟に設けるべきと思いますが、お考えを伺います。
 次に、水道事業の民営化と今後の自治体運営について伺います。
 こうしている今も、地下の水道管には良質な水が流れています。この水道水をめぐり大きな変化の波が押し寄せています。水道事業の民営化です。
 人口減少によって水の需要は低下し、並行するように水道事業の収入が減少しています。一方で、老朽化した水道管の更新、さらには、耐震補強工事が求められています。水道事業を担うのは地方自治体ですが、この困難な課題は大変な重荷となっています。蛇口からほとばしる清らかな水の道は、決して真っすぐではないのです。
 こうした状況の中、自治体の負担を減らす目的で水道事業の民営化が導入され始めています。岩手県のお隣の宮城県では、請負業者も決まり、来年4月には自治体から民間へ事業が移されるところまで来ています。厳密には、資産は公のもので、経営は民間事業者に任せるというものです。これをコンセッション方式─コンセッションとは公共施設運営権です。しかし、宮城県内の市民団体などからは、契約の内容が不透明だとして、安全な水の確保に不安の声が上がっています。
 そこで伺います。岩手県にとっても非常に関心のあることだと思いますが、水道事業におけるコンセッション方式について、どのように評価しているのでしょうか、御所見を伺います。
 翻って、この岩手県の水道事業にも変化の兆し。2年前の秋、奥州市と金ケ崎町に水道水を供給している奥州金ケ崎行政事務組合は、人口減少による需要の低迷などを理由に、自治体に請求する令和2年度から令和4年度までの水道料金を4割引き上げることを決めました。一般家庭の水道料金について、現時点でこの引き上げによる影響はないようですが、奥州市と金ケ崎町の財政への影響や今後の一般家庭の水道料金の値上げが懸念されています。前回の一般質問でも取り上げたところです。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで伺います。奥州金ケ崎行政事務組合では、令和5年度以降の水道料金をどのようにする見込みなのかお示し願います。
 また、水道事業が抱える将来的な課題に向けて、事業の広域化が検討されています。そこで伺います。本県も岩手県水道事業広域連携検討会を4年前に設置し、課題の整理と今後の取り組みの方向性を探っていますが、その進捗状況を伺います。
 人口の減少、それに伴う税収や利用料金の減収によって、施設の維持管理の経費が自治体財政の大きな負担になっていることは事実です。だからということで、効率化のみを求め、民間に事業を委託する、場合によっては外国資本の企業に任せるケースも出てくるのでしょうか。企業は利益を追求します。利益のために水の質や量が調整されることも、ないとは言えません。しかし、水は商品ではありません。私たちの命そのものです。良質な水を安定して供給する、それは命を守る事業です。その使命を担う地方公共団体の存在の意義は、そこにあると思います。
 思えば、この国の歩みは民営化の連続でした。民営化によって古い経営体質は打ち壊され、合理的に、効率的に、ある意味、革新的に問題は解決されると多くの人々が期待を寄せました。しかし、現実はどうだったでしょうか。検証すべきことも少なくなかったはずです。私は、民間企業の力を否定しているのではありません。その管理運営にはよほどの熟慮と厳格なルールが求められると言いたいのです。
 伺います。人口減少社会における今後の自治体運営が正念場を迎えている中で、水道に限らず、事務事業の民営化や広域連携の検討、取り組みは、この岩手県においても加速していくのでしょうか、知事の所見を伺います。
 次に、岩手と中国のこれからについて伺います。
 岩手県は、中国の遼寧省大連市と雲南省昆明市に事務所を開設し、経済的、文化的な交流の拠点としており、中国への進出を目指す岩手県内の企業を支援しています。日本の隣国、古来より交易を重ね、日本文化に多大な影響をもたらした中国です。歴史的な困難を乗り越え、今やGDP世界1位の座をうかがう勢いと存在感は圧倒的なものです。今後、事務所を持つ岩手県は中国といかに向き合っていくのか、大きな課題です。
 そこで伺います。現在、中国に開設している岩手県の事務所は十分に機能を果たしているでしょうか。これまでの活動についてどう評価し、課題があるとすればそれは何か伺います。また、今後、中国に新たな事務所を開設する予定はあるのか、あわせて伺います。
 さて、岩手県と中国の交流は、同時に日本と中国のかかわりでもあり、さらには、世界の国々と中国の関係という視点を抜きに語ることはできません。それはそれ、これはこれと分けて考えるわけにはいきません。私たちの隣人中国は、14億の人口を抱え、急速な経済発展、技術開発などで爆発的な成長を続けています。その勢いは地球規模の拡大となり、一帯一路の世界戦略へと突き進んでいます。その巨人の歩みは、ともすると力任せとなる印象です。
 こうした中国の振る舞いに、言うべきことは言おうという世界的な機運が高まっています。対中政策に関する列国議会連盟、略称IPACが昨年6月に結成されました。このIPACは、日本を含む世界19カ国の民主主義諸国の国会議員たちによって設立された国際議員連盟です。中華人民共和国をめぐるさまざまな課題に対して、民主主義国家が協調、連携して対応していこうというものです。日本の議員も超党派で参加しています。
 立ち戻って、岩手県の中国事務所。事務所が有意義な活動を持続的に展開できるためには、互いに認め合い、尊敬し合い、信頼し合うことが基本であると思います。その場限りの商談や交流会にとどめず、50年先、100年先を見据えた日本と中国、岩手県と中国の幸福につながる灯台としての岩手県の中国事務所であってほしいと願うものです。そのためには、今後さらに発生、拡大するかもしれない深刻な課題に、目をそらすことなく真摯に向き合い、率直な意見の交換ができる関係になれるのかが重要だと考えます。
 そこで、知事に伺います。知事は、岩手県と中国が相互に利益を享受し合える仕組みについて、今後どのような構想、理念のもとに構築しようとしているのか。政治家の出発点が外交であった達増知事だからこそ、このような質問をさせていただく次第です。知事の御所見を伺います。
 最後に、コロナ禍のその先、アフターコロナはどうなるのか、どうすべきなのかを伺います。コロナ禍の先の道しるべです。
 新型コロナウイルス感染症は、この1年半、世界的規模で人々の日常や社会、経済、国のありようまで変えてしまうほど猛威を振るっています。日々アナウンスされる感染者の数は、岩手県においても、もはや抗いようのない現実として受けとめるほかはなく、また、ワクチン接種の動向を見つめながら、コロナ禍の収束はいつの日になることか見通しも立たず、変異株の出現におびえ、閉塞感の中で私たちの日々は過ぎていくばかりです。
 その中で、この定例会でも多くのことが論じられてきました。検査体制、医療体制、給付金、教育現場での対応、そしてワクチン接種のこと。まだまだこれから先、対応すべきことはふえていくのではないでしょうか。それらはおおむね、人数ですとか、金額ですとか、数字、データで説明されることが多いのですが、そうした説明ではすくい上げられない、伝え切れない問題が日ごとに膨らみ続けているように思えてなりません。
 例えば、新型コロナウイルス感染症にかかった方々のその先のこと。治療を受けて完治しても、もとの仕事に戻れるのか。退職を余儀なくされ、新たな仕事にもたどり着けず、追い込まれ、絶望している人々がいます。
 飲食店や観光業、文化芸術など人の流れを抑える名目で営業や活動が規制され、給付金だけでは立ち行かなくなり、借金を重ね、もうだめかもしれないというところまで追い込まれている人々がいます。
 不要不急の移動が制限されて、遠く離れた家族ときずなを深めることもできず、孤立感に苦しんでいる人々がいます。
 さらに、オンラインの授業、会議などの増加で、相手の目を見て、心の動きを感じながら、生きた肉声によるコミュニケーションが衰弱し始めていないかという懸念もあります。その結果、人と人とのかかわりが希薄になってきたような漠然とした不安。県は、こうした社会に漂う不透明な空気をどのように受けとめているのでしょうか。
 新型コロナウイルスワクチン接種が本格化し、長いトンネルの先にかすかな光が見えつつあるような気がします。そこで、コロナ禍のその先のことです。新型コロナウイルス感染症の収束後に向けて、速やかに人と社会の回復をどう進めるのか、準備を進めておく必要があると考えます。そうした観点から、私は幾つか提案をしたいと思います。シンプルに夢を込めて申し上げます。
 提案その1、まちへ出よう。移動することがはばかられていた、自己規制していた気持ちを開放する全県的なキャンペーン。Go To トラベルではありません。Go To イートでもありません。もう一度、私たちの地域のまちの魅力、自然の魅力に触れよう。楽しさを再発見しよう。出かけようという取り組みです。
 提案その2、声を出そう。マスクに覆われ会話もままならなかった日々の中で、萎縮した肉声のコミュニケーションのすばらしさを体感し、思い出そう。そのためのイベントや機会をしかけようというものです。
 提案その3、復活しよう。コロナ禍で撤退を余儀なくされた人々の中に、もう一度あの仕事、活動に挑戦したいと願う人々を支援しようというものです。
 提案その4、かなり具体的です、医療現場総点検。病院も医療関係者も、新型コロナウイルス感染症の対応に追われ、従来の診療や治療の形、心を取り戻す必要があるのではないでしょうか。コロナ禍で病院から遠ざかってしまった患者のフォロー、サポートを手厚く実施し、いつもの病院を取り戻す取り組み。コロナ禍で改めて浮き彫りになった岩手県の医療現場の課題点を整理し、補強しようというものです。
 以上四つの提案、まことに素朴ではありますが、提言させていただきました。
 苦しんだその先に光が待っていると思えればこそ、人は今を頑張ることができるのです。そこで知事に伺います。県民の幸福を守り、育てていく観点で、知事は、コロナ禍の先の道しるべを今後、県民にどのように提示していくおつもりなのか、私の四つの提言に対する受けとめとあわせて決意を伺います。
 以上、五つの質問をさせていただきました。御答弁によりましては再質問させていただきます。
 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 上原康樹議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少社会における今後の自治体運営についてでありますが、人口減少や少子高齢化を初めとする環境変化などにより住民ニーズが多様化する中、住民に身近な行政サービスを提供する市町村は、その役割がますます重要となっており、限られた財源や人員などの経営資源を最大限有効活用しながら、自治体運営を進めていく必要があります。
 そのため、現在、市町村では、定住自立圏や連携中枢都市圏などの制度を活用した広域連携や自治体クラウドによる情報システムの共同利用、指定管理者制度等の民間活力の導入によるサービス向上などの取り組みが行われているところです。
 また、県では、岩手県地方税滞納整理機構による徴収事務の市町村との共同処理を通じ、事務処理の効率化や人材育成を行っているところです。
 自治体運営においては、安全・安心な住民生活を確保し、県民に必要なサービスを持続的かつ安定的に提供できるよう取り組んでいくことが重要であり、今後とも、市町村に対し適切な官民連携のあり方や安定的な行財政運営等について助言を行うほか、市町村間の広域連携や県の補完など多様な手法の中から、地域の実情に応じた支援を検討してまいります。
 次に、岩手と中国の今後のあり方についてでありますが、岩手県と中国は、これまで長い間にわたって、技術研修員の受け入れや訪中団の派遣などの交流の歴史があり、中国経済の発展につれて経済関係のつながりも深まってきました。
 本県では、平成19年に遼寧省大連市と地域間連携の推進に係る協定を、平成25年には雲南省と友好交流協力協定を締結し、職員の相互派遣、経済、農林業、観光などさまざまな分野での交流を重ねてきており、南部鉄瓶の販路拡大や青少年交流による相互理解の促進など、一定の成果を上げているところであります。
 本県が開設した大連経済事務所、雲南事務所のいずれの事務所も、岩手県の事情にも明るい現地出身の中国人職員を所長に起用し、現地関係者と円滑な意思疎通を図る体制をとっており、このような取り組みを支える大きな力となっているところであります。
 今後とも、中国における二つの事務所をゲートウエーとして、岩手県と中国の双方の住民が往来を重ねながら、相互の観光資源、言語や文化、特色ある物産など幅広く理解を深められるよう、地方政府間交流、経済、観光交流等の一層の拡大を図ってまいります。
 次に、コロナ禍の先の道しるべについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、本県においても、人々の仕事や暮らし、学びの場にさまざまな影響が生じており、多くの県民がさまざまな不安を抱えているものと認識しております。一方、県民が力を合わせて感染症対策を行うことは、県民が抱えている不安を取り除くのみならず、地方創生やデジタル化の推進にもつながるものであり、県民一人一人が未来への希望を持てるよう、地方がよりよくなっていく政策の流れをつくっていきたいと考えております。
 また、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受けていた人の移動やイベントが再開されれば、例えば、インバウンドも含めた観光産業におけるV字回復に向けた取り組みや、文化、スポーツのさまざまな大型イベントなどによる地域振興にも思い切って取り組んでいきたいと考えており、議員御提言の前向きな思いを大切にしつつ、今は、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   
〇議長(関根敏伸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔企画理事兼環境生活部長石田知子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) 水道事業におけるコンセッション方式の評価についてでありますが、コンセッション方式は、平成23年の民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の改正によって創設されておりますが、水道分野においては、日常生活に欠かすことのできない重要なライフラインであることを踏まえ、平成30年の水道法改正によって、最終的な給水責任を地方公共団体に残すなど、公の関与を強化した新たな仕組みが導入されたところであります。
 県としては、水道事業の基盤強化に向けて多様な選択肢が広がったものと考えておりますが、水道事業者が、みずからの事業環境を踏まえ、将来にわたって水道事業を安定的に運営できる手法を選択することが重要であると認識しております。
 本県のように、中山間地などの条件不利地域においても有効に機能するかなど、全国の先行事例も踏まえ、さまざまな観点から慎重に検討されるべきものと考えております。
 次に、岩手県水道事業広域連携検討会における検討状況についてでありますが、県では、県と県内の全水道事業者等で構成する当該検討会の検討結果を踏まえ、広域連携の取り組みの方向性を盛り込んだ、新いわて水道ビジョンを令和元年に策定したところです。
 また、国からは、県内の水道事業に係る広域化の推進方針や当面の具体的な取り組み内容について定める水道広域化推進プランを令和4年度までに策定するよう要請されており、今年度は、当該検討会において、事業者連携による共同発注の検討など、さまざまな広域連携の取り組みに関するシミュレーションを実施しているところです。
 来年度の水道広域化推進プランの策定を目指し、引き続き、各事業者の課題解決に役立つ広域連携の具体化に向け、必要な調整や支援を行ってまいります。
   〔復興防災部長戸舘弘幸君登壇〕
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) まず、自主避難の状況についてでありますが、県では、本年2月及び5月の地震により県内で最大震度5弱が観測されたことに伴い、県災害警戒本部を設置し情報を収集いたしました。
 各市町村では、地震発生直後に気象庁から津波の心配がない旨の発表があったこと及び被害の状況を踏まえ、避難所を開設しなかったことを確認しています。
 また、住民の自主避難の状況について確認したところ、全ての市町村から、自主避難は行われていない、または自主避難の有無は把握していないとの回答があったところであります。
 なお、県内で最大震度5弱が観測された3月20日の地震では、宮城県に津波注意報が発表されたところ、これを受けて、宮古市において約10名が自主避難したと聞いております。
 地震による強い揺れを感じたときは、身の安全を確保するとともに、気象庁からの津波情報など情報収集に努め、速やかな避難行動につなげることが重要であり、今後においても、市町村と連携し啓発に取り組んでまいります。
 次に、緊急地震速報の誤報についてでありますが、緊急地震速報は、地震の発生後、強い揺れが到達する前に、事業者等にとっては、例えば、鉄道事業者が列車の速度を落とす、工場等で機械制御を行う、住民にとってはみずからの身を守るなど、各主体が地震による被害を軽減するための重要な情報であります。
 この緊急地震速報には、1点の震度計で最大震度3以上またはマグニチュード3.5以上の地震波を計測した場合に発表する予報と、2点以上の震度計で最大震度5弱以上の地震波を計測した場合に発表する警報があります。予報は速報性を重視し、精度が低いうちから、事前に希望する鉄道事業者や病院等の特定事業者に対し配信されるものであり、その後、精度を上げながら複数回配信され、誤作動があった場合には、速やかにキャンセルされるものであります。警報は、一般住民を対象に配信されるものであり、確実性が重視されるものと承知しています。
 今回の緊急地震速報については、予報が出された10秒後に取り消しを知らせるキャンセル報が出されましたが、念のため盛岡地方気象台に連絡し、既にキャンセル報が発表されたことや、誤報については、一般住民へ伝達されるものではなかったことを確認したところであります。
 次に、誤報の原因等についてでありますが、盛岡地方気象台に改めて確認したところ、今回の誤報は、計測センサーの故障によるものと推測されることから、現在、誤作動した震度計の運用を停止し、センサーの修理または交換を検討している旨の回答がありました。
 また、気象庁では、誤報を防ぐため、過去の事例を踏まえ、地震学的にあり得ない振幅値が観測された場合には計測データから除外するなど、技術的な改善を図っていると聞いています。
 気象庁には、計測機器のメンテナンスをしっかり行うこと、技術的な改善をさらに進めることなど、できるだけ誤報がないようにしていただきたいと考えています。
 次に、内陸地域における適切な避難に向けた対策についてでありますが、まずは、災害に対する備えの意識を高める取り組みが求められます。このため県は、これまで、市町村等と連携しながら、住民参加型の総合防災訓練の実施、地域防災サポーターの派遣による自主防災組織等の取り組み支援、防災士制度を活用した地域の中核人材の養成、学校における防災教育の推進などに取り組んでまいりました。
 また、公共土木施設管理者による道路や橋梁等の定期点検や地震発生時等の緊急点検、県が作成した市町村避難所運営マニュアル作成モデルによる市町村の避難所運営支援、地震計や監視カメラなどを活用した気象庁の常時観測による火山活動の監視などに、関係機関が連携して取り組んでいるところであります。
 今後も引き続き、国、県、市町村が連携し、防災、減災対策を進めますとともに、自主防災組織の活動支援や総合防災訓練の実施などによりまして、適切な避難行動につなげる防災意識の啓発に取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 奥州金ケ崎行政事務組合から奥州市及び金ケ崎町への供給料金についてでありますが、奥州金ケ崎行政事務組合においては、2市町への供給料金を令和2年4月に令和4年度までの3年間を期間とする改定を行ったところでありますが、一般家庭の水道料金は2市町それぞれの判断で据え置いたものと承知しております。
 令和5年度以降の供給料金については、奥州金ケ崎行政事務組合では、ことし4月に胆江広域水道用水供給事業施設整備等検討委員会を設置し、水道用水供給施設の今後の整備方針や事業計画等の検討を進めているところであり、当該委員会での検討結果を踏まえ判断するものと伺っております。
 なお、令和5年度以降の奥州市及び金ケ崎町の一般家庭の水道料金については、2市町が、その時点での水道事業の経営状況等を踏まえ、それぞれ検討するものと認識しております。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 大連経済事務所及び雲南事務所についてでありますが、県では、中国における県産品の販路や観光誘客の拡大などにより、本県経済の活性化を図るため、大連市と昆明市の2カ所に現地事務所を設置しております。
 このうち大連経済事務所においては、上海万博出展を契機とした南部鉄器の普及拡大、県産品を取り扱う現地企業の開拓、いわて花巻空港への上海線の誘致、地方政府間交流などを進めております。
 また、昆明市の雲南事務所においては、経済、青少年、農林業分野などで幅広い交流活動を進めており、経済分野では、県産日本酒の新規取引の支援、林業分野では、岩手県林業技術センターと雲南農業大学の共同研究などを行っております。
 県ではこれまで、本物志向、品質重視の富裕層をターゲットに市場開拓を展開してきたところであり、現地企業の開拓が着実に進む中、今後は、富裕層に加えて、さらに広いマーケットの需要にも対応していく必要があると考えております。
 なお、当面は、現在の二つの事務所を拠点として活動していく考えでございます。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、新たな県立高等学校再編計画後期計画(最終案)に係る説明会の開催についてでありますが、当初、令和2年度内の策定を予定していたところでありますが、説明会開催に係る要望等をいただいたことから、教育委員と協議の上、計画の内容をより多くの方々に御理解いただくため、4月から5月にかけ、統合予定校が所在する県内4ブロックにおいて実施したところです。
 説明会の実施に当たっては、県立高校を取り巻く現状と課題、これまでの議論の経緯、各地域の統合の必要性及び統合後の姿などについて、データ等を用い、より詳細に解説した資料を作成し、計画に対する理解を深めていただくよう説明を行ったところです。
 次に、胆江、両磐ブロックにおける説明会についてでありますが、胆江、両磐の両ブロックの説明会においては、統合案に対する一定の理解や賛同を示す意見を多数いただいたところです。その中で、県南地域に新設する工業高校の設置場所に関する発言もあり、決定までのプロセスを明確にし、客観性、透明性を持って進めてほしいとの意見をいただきました。
 新設校における充実した教育活動の展開や生徒の通学の利便性を重視しながら設置場所を選定したいと考えており、外部有識者等で構成する委員会の設置も視野に入れながら、客観性や透明性の確保、住民への説明のあり方を踏まえた選定過程について検討してまいりたいと考えております。
 次に、盛岡ブロック説明会についてでありますが、高校は義務教育と異なり、生徒が、学校の特色や魅力、将来の進路希望等に応じて志望校を選択しているものであり、盛岡市南部及び矢巾町の生徒においても、多様な進路を選択しているところです。
 盛岡ブロックにおける中学校卒業者数は、計画案策定時の令和2年度に比較し、令和7年度には190人の減少が見込まれており、さらにその先も大幅な減少が推計されることから、それにあわせた高校のあり方への対応は喫緊の課題となっており、生徒の多様な進路希望等に対応するため、これまで行ってきた学級減によらず、盛岡一極集中の是正や学校配置のバランスを考慮の上、盛岡南高校と不来方高校の統合による、一定の規模を確保したより発展的に特色ある教育を実践する学校の設置について検討を進めたものです。これらについては、地域検討会議、意見交換会及び盛岡ブロックで開催した説明会等においても説明しているものであります。
 次に、今後の対話の場についてでありますが、計画の策定に当たっては、県教育委員会では、平成30年12月から2年半にわたり、地域検討会議や意見交換会等を開催するとともに、パブリックコメントを実施したほか、策定時期を延期の上、改めて説明会を開催するなど、より多くの方に理解をいただけるよう取り組みを行ったところです。
 今後、新たな県立高等学校再編計画後期計画を推進するに当たっては、県立高校のよりよい教育環境を整備するため、統合対象校の校長、PTAや同窓会、地域の産業界、所在地の教育委員会の代表者等で構成される統合検討委員会において意見等を伺い、整備の内容や進捗状況などの情報発信にも努めながら、丁寧に進めてまいりたいと考えております。
〇2番(上原康樹君) 2点ほど再質問させていただきます。高校再編と中国と岩手県のこれからですけれども、まず高校再編から行きたいと思います。
 一番驚いたのは、順調に行っているかと思っていた新たな県立高等学校再編計画後期計画が、最後の土壇場になって多くの反対の声を浴びたということです。それは、この計画の進め方のプロセスに何か欠けるものがあったのではないか、反省すべき点があったのではないか。あの住民たちの反応というのは、一晩で生まれたものではないと思うのです。
 二戸会場の反応の中では、この計画の進め方が唐突に感じたと。ということは、それだけ広く、強くこの計画が知らされていたのだろうか。予定どおり文書で説明会がありますと広報し、そして人々に集まっていただき、話し合いをして、一つ一つ全部段取りは整えていったのだという意識だったかもしれませんけれども、会場からは唐突だったという言葉があったのです。これは教育長としてはどう受けとめられていますか。
〇教育長(佐藤博君) 昨年2月にこの後期計画案を公表させていただき、そして、1年間かけてさまざま、地域検討会議であるとか要請に基づいた意見交換会等、丁寧に対応してきたつもりでございます。唐突に感じたという地域の方々の反応でございますが、それについては、ちょっと私どもも、どういった受けとめ方をされたのか。
 私どもは、先ほども答弁申し上げましたように、平成30年12月から2年半をかけて、そして昨年2月に計画案を発表し、1年間かけてさまざま御意見をいただき、最終案の形を出して、さらにさまざま要望等をいただいたことから、追加での説明会を開催してきたところでございます。私どもとしましては、時間をかけ、そして資料も追加で作成させていただきましたけれども、丁寧に対応してきたつもりでございます。
〇2番(上原康樹君) 御説明ありがとうございます。だけど、ちょっと違うなと思いました。県教育委員会は、粛々、着々、予定表に従って進めたわけです。けれども、地域住民というのは、そういう行政の、県教育委員会の時間感覚ではない。全体を必ずしも正確に把握もしていない。あるのは、何だそれという感覚的なものだと思うのです。やはりかみ合わなかったのだと思います。
 それで伺います。これから人口は減っていくでしょう。生徒数も減少していくでしょう。学校の規模も小さくなっていくと思います。では、また新たな高校再編の計画が持ち上がったときに、今回のこの多くの反対の声を聞いて再説明が次の年度まで先送りされた、こういう事態を反省材料として、そして改善のための材料として、県は、これまでにはないその説明プロセスをどう構築しようとしているのか、御説明ください。
〇教育長(佐藤博君) 今回の後期計画の策定に向けましては、地域の代表者による地域検討会議であるとか一般県民との意見交換会、それから、要望に応じた説明会を複数回開催してまいりました。また、パブリックコメントも実施しまして、広く一般県民からも、県立高校のあり方であるとか計画案について、多くの機会を設け意見を伺ってきたところであります。
 こうした経緯につきましては教育委員に報告を重ねておりまして、その上で、5月24日の教育委員会臨時会も開催することとなりました。臨時会におきましては、さまざま御意見をいただいておりますけれども、その中では、反対される方々のお気持ちも大変わかる。学校がなくなって喜ぶ方は一人もいない。これまでの岩手県の教育の歴史は、統合を積み重ねてやってきた。今後は、将来の子供たちのために、よりよい環境でよりよい学びをするため、将来の話を検討していくべきだといった意見。それから、全県下で幅広く未来の岩手を担う人材を育成するためには、これまでの伝統を踏まえて、地域の方も心を一つにして進んでいく必要がある。今回の後期計画は、やはり今進めていかなければならないといった意見。地方創生であり、そのためにも盛岡地区への一極集中を是正すること、将来の子供たちの学びの保障という観点から、まず第一歩を踏み出す必要があるという意見。この計画案を具体化するに当たっては、各地域の方々から多面的な御意見や知恵を拝借しながら、よりよいものにしていくということで、ぜひ力を入れていただければという意見。そして、母校がなくなるということで、さまざまな思いを抱く方のことを考えるとつらい決断である、この計画に賛成できない方々の御意見には心情的に理解できる、その中には大切な意見がたくさん含まれていると思う、この点に関しては、これから統合検討委員会等を立ち上げ協議していく中で、生かせるところは生かし、さらに、これから出てくるいろいろな意見を含めて十分に協議を尽くせるようにしていただきたいという意見もいただきました。その上で、最終案の決定がなされたところであります。
 県教育委員会といたしましては、今後は、子供たちのためによりよい教育環境の整備に向けて、統合検討委員会の場において、丁寧かつ慎重な検討を進めながら対応してまいりたいと考えております。
 また、将来想定されるこの計画策定に向けたプロセスに際しましても、今回の意見等を生かしていくことが重要と考えております。
〇2番(上原康樹君) 最後に意見があります。説明会場の空気、県教育委員会の空気、これが全然暗いのです。どうしてまた同じことを説明しなければいけないのかなという徒労感と、疲労感と、これが強いのです。聞いていてありありと気持ちがにじんでしまっているのです。ですから、質問する人たちも全然話が進んでいかないのです。一つ一つが分断されてしまう。これは、人と人との会話になっていないのです。文書を前にして、読まされて、見せられて、そこに何か意見はありますかと言われている、この連続なのです。これはよくありません。
 説明会というのは、やっぱり人の機微に触れる瞬間がなければ、反対している人たちは、一歩も半歩も近づいてきてくれません。こういうところが、いつまでたっても、こういうことがまた起きるかもしれないという危惧を感じさせるところなのです。
 ですから、県教育委員会としては、それは本当に不本意なことだったと思います。データを積み重ね、読み込んで、徹底して練り上げた今回の計画案だったと思います。それはすばらしい、立派だとは思いますけれども、その先、その完璧である論理を人の心のひだに溶け込ませることができるかどうかというところが、全くできていなかったのです。これでは、何度やっても説明会は成立しないのではないかと思いました。
 これからは県教育委員会の皆さん、人間力を蓄えて、さあ、話し合いましょう、皆さんの要求はここですね、でも、ここにはこういう困難があって無理です。ここはまだ妥協できるかもしれない、努力してみましょうか。いろいろな人間としての反応というものがあって初めて説明会は生き生きと前進して、そして次なる具体策につながっていくと思うのです。
 皆さんお一人お一人は、すばらしい能力を持っているはずの県教育委員会。ここはやっぱり人間が人間を説得するということはどういうことかということを今回学ばれたことでもあるでしょうし、それを大いに生かして、これからこの高校再編がよりよい方向に進んでいただきたいと思います。
 続けて、次の質問でございます。岩手県と中国のこれからでございます。
 向こうの二つの岩手県事務所は、所長は大変すばらしい方で、能力の高い方と伺っております。全幅の信頼を岩手県は寄せているわけです。しかも、日本で働いた経験もある、この岩手県で働いた経験もある、すばらしい所長だと思いますが、せっかく岩手県事務所と名乗っている以上、日本の方、岩手県出身の方にその役割を担ってもらいたいと思うのも、私は人情としてあると思います。
 その辺は、例えば、日本人は岩手県の中国事務所の所長にはなれないとか、中国人でなければだめだとか、そういうルール、取り決めというのがあるのですか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 現地事務所の所長についてでございますけれども、中国との経済活動やさまざまな交流を効果的に進めていくためには、岩手県の事情に明るく、日中両国の文化や諸習慣に精通した方、これはもちろんでございますが、現地の地方政府とのネットワークを持っているということを非常に重要視しております。何か交流をしようとするときに、地方政府の方とのネットワークがないとなかなか進んでまいりませんので、そういうことを重視しておりまして、そういう方2人にそれぞれ所長になっていただいているということ、これが他県にない本県の最も大きい強みだと思っております。
 こうした考え方のもとで今後も現地事務所の運営を行っていきたいと思いますけれども、特に、所長は中国の方でなければいけないといったルールはございませんし、若い職員を現地に派遣したりしておりますので、そういう中で中国に通じた岩手県職員の育成も図ってまいりたいと考えております。
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号令和3年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第19 議案第18号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(関根敏伸君) この際、日程第2、議案第1号から日程第19、議案第18号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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