令和3年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(千葉秀幸君) 希望いわての千葉秀幸でございます。
 まず初めに、昨年から猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、いまだ療養中の全ての皆様の一日も早い御回復を心より願っております。
 今や世界中が称賛する活躍を続けている本県出身メジャーリーガー大谷翔平選手は、高校時代に、岩手県大会において高校生最速となる160キロメートルをたたき出しました。後の監督取材を拝見した際、160キロメートルは、ある日突然投げられたわけではなく、160キロメートルを投げるための計画目標を設定し、それに向かって取り組んだからこそ投げられたのだとコメントされております。また、高校のときから世界一のメジャーリーガーになるとも目標を掲げていたそうです。まさに目標を現実のものにし、改めて、目標と達成に向けた計画がいかに重要であるかを学んだエピソードでありました。
 岩手県においても、県勢発展に向け明確な目標設定、そして課題の分析をしっかりと行い成果を上げること、これこそが、その先に達増知事の掲げる幸福を守り育てる希望郷いわての実現があるのだと感じております。そういったことから、執行部の皆様には前向きな答弁を御期待し、以下の質問をさせていただきます。
 初めに、人口減少対策についてお伺いいたします。
 急激な人口減少は、労働力不足や地域の安全環境、経済の衰退、そして社会保障費の負担や税収減少など、非常に広範かつ重大な影響を及ぼすため、岩手県のみならず日本全国の自治体が頭を悩ませている課題であります。
 本県では、これまでも継続的に対策を行っているものの、とりわけ過疎地域における人口減少問題は、深刻な状況が続く見通しとなっております。こうした中で、昨年は、コロナ禍の影響から、本県からの県外転出は例年よりも少なく、県全体の社会減はやや縮小した状況となりました。
 このように、現在は、コロナ禍において地方が注目されており、こうした流れは、本県の社会減に歯どめをかける好機であると捉えます。特に、本県においては、10代後半から20代前半の女性の進学期、就職期の転出が顕著であり、この年代に着目するなど、人口減少対策のさまざまな取り組みを講じていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 昨年の9月定例会での一般質問の際は、知事から、新しい働き方や新しい生活のあり方が強く求められていることを踏まえ、移住、定住の取り組みをさらに強化する方針であるとの御答弁をいただきました。具体的には、これまでの取り組みに加え、ダイレクトメールやウエブ等を活用し、学生や転職希望者などを対象に、岩手県で暮らし、働くことへのPRを行うこと、また、シゴトバクラシバいわてや首都圏での岩手県U・Iターンフェア等により本県の多様な企業の魅力を伝え、求職者とのマッチングを図りながら本県への移住及び定住を一層促進していこうということが示されました。
 まず、これらの取り組みの成果と分析についてお伺いいたします。
 また、人口減少の対策としてさまざまな分野にまたがった施策が必要ですが、岩手県の労働環境についてもさらに改善していくことが重要であると考えます。現在、いわて働き方改革推進運動では、県内540社を超える企業が参加し、働き方の改善を企業の経営戦略の一つとして捉え、企業と労働者の双方の成長のチャンスとして活用されているものと認識しております。また、今回のコロナ禍のような有事の際の備えとしての機能も有することから、今後、さらなる参加企業の増加や労働生産性の向上に役立てられる取り組みとなることを期待しております。
 そこでお伺いいたします。現在、いわて働き方改革推進運動に参加している企業は540社以上となっておりますが、今後の参加企業数の拡充、そして参加企業の働き方改革の改善への成果を県はどう分析されているのかお伺いいたします。
 また、本県の労働環境の大きな課題となっているのが、全国と比較して賃金が低い点や長い労働時間といった点が挙げられますが、働き方改革推進運動に加入している企業と加入していない企業間で、このような課題の改善に差があるのでしょうか。
 本県の特色として建設業が多く、職人作業を求められるような企業の労働時間の改善が思うように進んでいないのも現実であります。人口減少、コロナ禍の中で移住を進めていくために、岩手県の賃金が低い、労働時間が長いという労働環境に対してどのような課題意識を持っているのか、また、県としてどのように対応していくお考えか、あわせてお伺いいたします。
 次に、教育についてお伺いいたします。
 教育者には、学力もさることながら、柔軟な考え方、ポジティブな考え方、発想の転換等さまざまな考え方を身につけることで、子供たちが将来大きく羽ばたける可能性を広げていけるのだと考えており、これまで以上に、子供たちには物事に対する考え方を強化していくことが求められてくると思います。
 文教委員会や議員連盟等で多くの学校現場に足を運ばせていただきましたが、県教育委員会は、これまでさまざまな課題と向き合ってきているものの、依然山積する課題は尽きません。これからの時代は、生徒が自発的に考え、取り組むことがこれまで以上に求められるのではないでしょうか。なぜ学校に行かないといけないのか、なぜ勉強をしないといけないのか等、これらの考え方をしっかりと持つ力を養うことができたら、生徒はみずから学び、目標のためにやらなくてはいけないと自発的に行動するものと考えます。
 人材教育コンサルタントなどの外部人材を今後教育の場に参画させていくべきと考えている企業も多く、全国でも外部人材の活用を重要視している学校がふえつつあるとのことですが、今後、生徒にそういったことに気づかせ、学べるように人材教育コンサルタントなどの外部人材を活用し、学校現場で指導に当たっていただくことも重要な方策と考えますが、これからの教育のあり方も含め、教育長の御所見をお伺いいたします。
 近年、教育の場面でも使われることが多くなってきた多様性という言葉があります。多様性という言葉を自由という都合のいい解釈に変換し、言いわけ文句とならないよう、むしろ多様性、それは子供一人一人が、さまざまな発展に向かって選択できるものであってほしいと願っております。
 そこでお伺いいたします。生徒の多様な学びの場である部活動について、そのあり方が大きく変わろうとしております。岩手県における部活動のあり方に関する方針では、平日は2時間程度の活動とすること、土日のどちらかは休養日を設けると定められております。これに加えて、多様なニーズも考慮し、よりスポーツや文化芸術活動を希望する生徒の受け皿として、総合型地域スポーツクラブ等の充実も求められてきております。
 さらに、令和5年度から、休日の部活動について、地域に移行して活動する場を設けるという方針が国から示されました。その背景には、教職員の働き方改革の改善、生徒数の減少により学校単位での部活動の運営が困難な状況になり、学びの場を失うことにつながらぬようにとの双方の狙いがあると考えます。
 このように部活動改革が叫ばれている中、教職員の働き方改革も大事ではありますが、そもそも子供たちへの教育がおろそかになってはいけないと懸念いたしております。先ほども述べましたとおり、生徒が自発的に考え取り組むことが重要であると考えますが、部活動において、生徒の興味、関心に応じた多様な活動を保障するためにどのように取り組んでいくのか、教育長のお考えをお伺いいたします。
 本県では、令和5年度からの休日の部活動の段階的な地域移行に向けて、令和3年度と令和4年度の2カ年で実践研究を実施することとしており、今年度は、岩手町と葛巻町において実施するものと聞いております。首都圏と本県では環境が大きく異なり、首都圏でできることが本県では困難なことも多いと予想されることから、改めて、この2年間の研究期間にしっかりとした方向性を見出していくことが重要であります。
 地域事情によって大きく環境が変わることから、令和4年度の本県における実践研究は、県中心部や沿岸部等の地域事情が異なった地域での研究も重要であると考えますが、どのように進めていくお考えかお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、今後、実践研究をしながら、さまざまな課題が洗い出されていくものと思いますが、現時点で想定される本県ならではの課題についてお伺いいたします。
 次に、農業についてお伺いいたします。
 全国的な主食用米の在庫量の増加は、消費者の間で進む米離れに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で外食需要が落ち込んでいることが挙げられております。
 そのような中、県産主食用米の令和3年4月時点での在庫量は11万2、500トン、前年同期と比べ1.1万トン増と推計されており、この在庫をいかに消費していくかが課題と捉えております。
 全国的にも在庫が膨らみ、供給過剰が懸念されております。昨年11月に、県や農業団体などでつくる県農業再生協議会は、在庫量を適正値に近づけるため、令和3年産主食用米の生産目安を25万2、945トンと定めております。県は、生産目安の達成のために、これまでどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。
 国が示す飼料用米への作付転換は、コンタミネーション等のさまざまな理由から、特に、小規模農家はなかなか転換が進まないものと考えます。一方で、大規模農家や農業法人であれば、現状は同じであれ、規模が大きいことから作業効率と生産性を生むことができます。そのようなことから、より大規模農家への作付転換のアプローチを強めていくことも一つの改善策であると考えますが、現在、作付転換はどの程度進んでいるのかお伺いいたします。
 農林水産省は、令和3年産主食用米について、令和2年産の生産量に比べて約30万トン減らす必要があると試算しております。野上浩太郎農林水産大臣は、これが実現できなければ、需要と価格の安定が崩れ危機的な状況に陥りかねないと述べているほど重要な課題であります。
 一方、世界を見渡してみると、国際商品市場で農産物やエネルギー、非鉄、貴金属などの価格上昇現象が起きております。これをコモフレーションと言うそうですが、今こそ、このコモフレーションの流れを日本でもつかみ、米の流通を世界に拡大していくのも一つの方策として重要と考えます。
 米の需給安定を図っていくためには、国に実効性のある取り組みを働きかけていく必要があると思いますが、県の認識も踏まえて知事の御所見をお伺いいたします。
 国においては、機械の大型化、高能率化の実現により、我が国農業の小農技術的発展の歴史から見ても画期的とも言える生産力の基盤づくりが、圃場整備によって実現されております。本県においても、圃場整備事業により経営耕地の規模拡大に盛んと取り組んでいる真っ最中であり、水田整備率が平成30年度時点で52.8%まで進んでおります。
 数年前からスマート農業の重要性についての答弁をいただいておりますが、なかなか本腰を入れてスマート農業の積極的な導入を進めているようには感じ取ることができません。
 本県農業が直面する課題に対応するため、以前の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、スマート農業の積極的な導入が必要であると、私は思いを強くしております。労働時間の軽減、担い手確保だけではなく、GPSからの位置情報を補正するRTK基地局と組み合わせることにより、より精緻で効率的に作業ができることも実証されております。
 魅力ある農業県を守り、今後も築いていくためにも、本腰を入れて、まずは立地条件が整っている地域から積極的に導入を進めていくべきと考えますが、県のスマート農業についての方向性も含めてお考えをお伺いいたします。
 次に、医師確保の取り組みについてお伺いいたします。
 医師が都市部に集中する偏在問題で、厚生労働省は、新たな指標をベースに都道府県や地域別の偏在状況を数値化し、医師の総数は全国で32万7、000人と過去最高を更新している一方で、都市部と地方の格差があることが明確になってきました。
 医師偏在指標の上位16都府県を医師最多数都府県、下位16県を少数県に位置づけ、最も高い東京都の332.8に対し、本県は172.7と全国最下位になっております。人口や診療需要に対して十分な医師を確保できていない医師少数県となっていることが明らかとなりました。
 まず、県はこの状況についての要因をどう分析し、どう捉えているのかお伺いいたします。
 このような中、平成30年7月の医療法改正により、各都道府県は、医療計画の一部として医師の確保に関する事項を定めるとされ、今般、医療法等の関係法令及び医師確保計画策定ガイドライン等を踏まえ、岩手県医師確保計画を策定し、令和2年度から令和5年度の期間で医師全体数を2、817人確保する計画を掲げ、改善に向け取り組んでおりますが、計画の基準とした平成28年の医師数は2、458人であり、その目標に到達するまでには新たに359人を確保しなくてはなりません。
 そこでお伺いいたしますが、本県の掲げる医師確保計画において、奨学金養成医師の配置や即戦力医師の招聘による令和5年度までの確保見込み数は234人となっており、確保見込み数を達成しても目標値359人には到底及びませんが、目標値に向けてこの不足分をどう確保し、医師確保に努めていくお考えかお伺いいたします。
 次に、周産期医療体制についてお伺いいたします。
 本県の出生数は昭和55年の1万9、638人から平成30年は7、615人、出生率は昭和55年の13.8から平成30年の6.2と、それぞれ約半減しております。また、合計特殊出生率も、昭和55年の1.95から平成30年は1.41と減少しております。
 出生数の減少にはさまざまな要因はあるものの、将来の未来を担う子供たちやこれから生まれてくる環境を整えることは私たち大人の役割、そして責任であるという強い思いから質問をいたします。
 まず、医師数でありますが、厚生労働省によると、本県の小児科医師数は、平成26年の141人に比べ平成30年には142人と横ばい、産婦人科、産科医師数は、平成26年の100人から平成30年には98人と多少の減少はあるものの、産科医の高齢化率を鑑みると、今後はより減少することが予測されます。
 そのような厳しい現状の中、先ほど取り上げた岩手県医師確保計画では産科、小児科医の確保すべき医師数として産科医23人、小児科医22人を掲げておりますが、先ほどの医師数のデータから見ると非常に厳しく、より取り組みに力を入れる必要があると思われます。
 そこでお伺いいたしますが、これらの現状をどう捉えているのか、また、県では計画目標を達成するための取り組みとして、産科医師数をふやすために、産科医として勤務する意思のある医学生を対象とした奨学金の貸し付けや特例配置等さまざまな取り組みを行っておりますが、その取り組み状況はどうなっているのか、今後の取り組み強化の方向性とあわせてお示しをお願いいたします。
 近年、晩婚化による出産の高齢化等により、リスクの高い分娩が増加しております。日本産婦人科医会医療安全部の妊産婦死亡報告によると、妊産婦死亡の原因の第1位が産科危機的出血、次いで脳出血等、20代前半に比べて30代では2.8倍、40代では4.4倍にまでリスクが上昇されるとされております。それだけ課題が多く、リスクを伴う周産期医療であるがゆえに、県内の分娩取扱医療機関は、平成23年の39施設から、令和2年には25施設と大幅に減少しております。
 そこでお伺いいたします。本県の分娩取扱診療所の開業資金補助があってもなかなか活用されず、分娩取扱医療機関がふえないのが現状である以上、これまで以上に、県立病院を中心に分娩取扱医療機関の体制を強化していく必要があると思いますが、県は、これらの現状をどう捉え、安心して出産できる体制整備を構築していくお考えか、今後の周産期医療を県はどう守っていくのか、知事に御所見をお伺いいたします。
 加えて、本県では、患者搬送や治療動向を考慮し、盛岡・宮古、岩手中部・奥州・磐井、気仙・釜石、久慈・二戸の四つの周産期医療圏を設定しておりますが、今後は医療体制の構築にとらわれず、いつでも、どこでも必要な医療を提供できる柔軟な体制への変化が求められていることから、周産期医療圏の定義の明確化と医療圏の見直しも必要であると考えますが、県の認識について知事にお伺いいたします。
 次に、自殺対策についてお伺いいたします。
 厚生労働省が今月4日に公表した令和2年の人口動態統計のうち、本県の人口10万人当たりの自殺死亡率は、令和元年より0.7ポイント増の21.2となり全国ワーストとなりました。一方、平成15年の自殺者数が527人であったことを鑑みれば、右肩下がりに減少し256人まで減ったことも評価すべき点ではないかと考えております。しかし、全ての都道府県で成果を上げている中で本県が最下位となったことも事実である以上、改善策をより打ち出していくことが求められます。
 まず、このような結果を受けて、県の認識と要因をどう分析されているのかお伺いいたします。
 隣の県、地域性が近い秋田県を見てみると、全国ワーストだった令和元年に比べ、令和2年は2.8ポイント減の18.0で全国10位となり、大幅に改善されております。取り組み内容に目を向けてみると、平成15年度から、身近な人の心の変化などに気づいて相談機関につなぐゲートキーパーの養成を開始されたり、秋田大学が自殺防止に特化した全国初の自殺予防総合研究センターを学内に設置したりと、県全体での取り組みが実を結んだものと考えます。
 本県においても、平成18年度に自殺対策アクションプランを策定し、官民一体となった取り組みを進めていることは認識しておりますが、さらなる取り組みが必要であると考えます。県の今後の取り組みをどのように強化していくお考えなのかお伺いいたします。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済、各家庭へのストレス等、多くの人に負荷がかかってきており、その負荷が今後もより強くなってくることが予想されます。コロナ禍において自殺者が増加しなければいいなと心配しているところではありますが、コロナ禍においての自殺対策の重要性についての所見をお伺いいたします。
 次に、県産木材の利用促進についてお伺いいたします。
 世界で木造需要が逼迫するウッドショックが発生し、有数の木材輸入国である日本にも影響が及んでおります。日本の木材自給率は、上昇傾向にあるものの、依然4割を切っているため、住宅建材での輸入木材の占める割合は大きく、国産材の供給も限られていることから、住宅業界では需給安定の見通しの暗さを悲観する声が上がっております。実際、この減少は第3次ウッドショックとも呼ばれ、木材価格は輸入材、国産材とも急騰している現状であります。
 日刊木材新聞によると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた景気低迷で木材需要が限られており、住宅のはり用部材として使用する欧州輸入材、レッドウッド集成平角は、令和2年8月から12月まで1立方メートル当たり5万2、000円程度で推移していましたが、本年4月には6万5、000円と昨年に比べ1.25倍に上昇。ツーバイフォー材のカナダ産は、令和2年では1立方メートル当たり5万円で推移していましたが、本年4月には8万1、000円の高値をつけ、昨年比1.62倍の価格となっております。欧米に限らずロシア材も含めて輸入材は全般的に値上がりする傾向にあるため、需要の急増から、杉柱角の価格がこの半年で既に1.4倍となっております。
 そこでお伺いいたします。さきに述べたとおり、価格の上昇、そして輸入木材の不足により、これまで以上に事業者の視線は当然国産材に向かってきている状況でありますが、これまで以上の増産に対応できていない現状とその要因について、どう認識されているのかお伺いいたします。
 また、本県においては、県産材を活用したくとも、実際には発注を受けてから加工や乾燥等を行うため、ハウスメーカーや工務店等に木材が入るのに数週間から、長ければ数カ月の時間を要するのが現状とのことであります。
 県産木材需要を安定させることができれば、木材加工工場にかかわる人材も確保でき、先ほど申し上げたスピード感を持った対応、そして担い手不足改善にもつながるサイクルができるであろうと考えます。今後、ウッドショックを招かないためにも、長期的な視点で改善策を打ち出していくことが必要であると考えますが、県の認識についてお伺いいたします。
 あわせて、コロナ禍を克服した中国や米国が景気浮揚策としてインフラ整備を打ち出せば、国際的な木材価格が一段とつり上がる可能性もあり、先ほど農業でも触れたコモフレーションの流れをつかむこともできると考えますが、今後、県産材をどのように国内に周知し販売していくのか、その戦略についてお伺いいたします。
 以上で登壇しての質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉秀幸議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少対策についてでありますが、現在のコロナ禍において、過密な人口を抱える都市部の感染リスクが高いことなどを背景に、令和2年の東京圏の転入超過数は、7年ぶりに10万人を下回るなど東京一極集中の傾向に変化が見られるところです。
 また、テレワークなどを初めとする多様な働き方の加速化などを背景として、本県においても、首都圏からの本店移転に伴う雇用の場が創出されるなど、ふるさとづくりにおける大きな転機を迎えていると認識しております。
 本県では、このような状況を好機と捉え、本年度から新たに、若者の就職、結婚、子育てのライフステージに応じた住宅支援や医療、看護、福祉など女性の就業ニーズの高い職種の県内企業とのマッチングに取り組んでいるほか、ものづくり産業の集積による雇用創出や大学生等の県内定着、安心して子供を産み育てることができる環境づくりなども進めているところです。
 今後も、魅力的な岩手の創造に向け、新たな雇用の場の創出や暮らしの充実に加え、若者や女性活躍の観点からの取り組みなども総合的に展開しながら人口減少対策を推進してまいります。
 次に、米の需給安定に向けた国への働きかけについてでありますが、本県では、国の米政策の見直しを受け、県や関係機関、団体で構成する岩手県農業再生協議会において、平成30年産から、毎年、主食用米の生産目安を決定し、需要に応じた米生産を推進しており、これまでの本県の主食用米の作付面積は、生産目安の範囲内となっています。
 新型コロナウイルス感染症の影響等により全国的に米の需給が緩和する中、令和3年産米については、主食用米からの大幅な作付転換が必要となっていることから、本県独自に創設した飼料用米等の作付拡大支援策の活用も進めながら、鋭意、作付転換を推進しており、生産者の大変な御努力のもと、今年度は当初目標を上回る作付転換が達成できる見込みであります。
 一方、米の生産流通は、各都道府県単位で完結しないため、全国で需要に応じた生産が行われなければ、米価下落など農業経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されますことから、県ではこれまでも、国全体で主食用米の需給と価格安定が図られるよう、実効性のある全国的な推進、調整体制の確立を国に対して要望してきたところであり、今月17日にも、直接、農林水産副大臣に対して要望を行ったところであります。
 今後においても、需要に応じた米生産と水田を最大限に活用した高収益作物の生産拡大を推進するなど、農業者の所得向上が図られるよう取り組んでまいります。
 次に、周産期医療の体制整備についてでありますが、全県的に産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や後継者不足等により分娩取り扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題であります。
 県では、医師養成などにより産科医の確保に取り組んできたところでありますが、昨年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師に対し、岩手医科大学の総合周産期母子医療センターでの義務履行を可能とする新たな特例措置を開始したほか、医療局奨学金に産科医養成のための特別貸付枠を設けるなど、さらなる産科医の確保に向けて取り組んでおり、病院に勤務する産科医数は横ばいとなっています。
 引き続き、周産期母子医療センターを初めとした分娩取扱医療機関の連携を進め、医療提供体制の強化を図るとともに、産科診療所への新たな設備導入等の支援、周産期における救急搬送体制の強化や、市町村と連携してハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業などの取り組みにより、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
 次に、周産期医療圏の設定についてでありますが、県ではこれまで、限られた医療資源のもとで効率的かつ質の高い周産期医療を提供するため、国の指針を踏まえ県内四つの周産期医療圏を設定し、周産期母子医療センター等の医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたところであります。
 現行の岩手県保健医療計画(2018〜2023)策定時においても、周産期医療実態調査を実施し、各周産期医療圏の居住者の出産がおおむね圏域内で完結している状況等を勘案して、現在の四つの周産期医療圏を継続することとしたものであります。
 県では、次期保健医療計画策定に向け、改めて受療動向を確認するとともに、人口動態や医療資源の動向などを踏まえ、中長期的視点から質の高い安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療圏のあり方など、医療提供体制の検討を行ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、移住、定住推進の取り組みについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やこれに伴う地方への関心の高まりを背景に、昨年度新たに実施した事業のうち、まず、ウエブ広告につきましては、特に、本年1月から2月にかけて首都圏の電車内等で行った動画配信の効果により、2月及び3月の移住定住ポータルサイトの閲覧者が、これまでの2倍以上に伸びたところです。
 また、ダイレクトメールについては、本県や東北への就職に関心を持つ学生や転職希望者約2万8、000人に対して、企業紹介イベントや就職情報マッチングサイトシゴトバクラシバいわてなどの情報を発信した結果、マッチングサイトへの登録求職者数が3月末現在で1、700人を超え、特に30代以下の若い方の登録が1、000人を超えたところです。
 これらの取り組みが、若者を中心に岩手県に対する興味や関心の喚起につながっていると受けとめており、移住希望者等への伴走支援の強化を図りながら、具体的な移住、定住に結びつけていきたいと考えております。
 次に、いわて働き方改革推進運動の参加企業の状況についてでありますが、いわて働き方改革推進運動については、情報発信や課題別勉強会の内容の充実を初め、昨年度からは、新型コロナウイルス感染症の感染対策を踏まえた柔軟な働き方の推進に向けて実施しているテレワーク導入推進事業と連動させるなど、さまざまな方法で参加企業の拡充を図っており、参加企業は増加傾向にあります。
 また、本運動への参加をきっかけとして完全週休2日制を実現した企業、ファンつき作業服の導入により作業効率を上昇させた企業、診療時間の短縮により子育て離職防止につなげた診療所を初め、多くの事業所が、長時間労働の削減や人材定着などを実現しております。
 いわて働き方改革推進運動に参加していない企業においても、既に働き方改革に取り組んでいるところもあると思われますが、本運動への参加により、先進的な取り組みをする企業の優良事例を共有し、共通する課題の解決策を一緒に考えていくことなどにより、運動の効果を高めてまいりたいと考えております。
 次に、労働環境の改善についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる、安定した雇用が確保され、また、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手を実現していくためには、長時間労働の是正や賃金の改善を図ることが重要であり、総実労働時間を初めとした複数の指標をいわて幸福関連指標に掲げて取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、いわてで働こう推進協議会を核として、全県的ないわて働き方改革推進運動を展開するとともに、生産性の向上につながる取り組みを行う事業者に補助金を交付するいわて働き方改革推進事業や、すぐれた企業の取り組みを表彰し広く紹介するいわて働き方改革アワードのほか、課題別の勉強会なども積極的に開催しております。
 また、今年度のテレワーク導入推進事業では、企業が策定する労働環境の改善に向けた取り組みの推進に対し、県から外部専門家を派遣して支援することとしており、こうした取り組みを進めながら、より実効性の高い労働環境の改善につなげてまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、令和3年産の主食用米の生産目安達成のための取り組みについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により、全国的に米の需給が緩和する中、米の需給と価格の安定を図るためには、主食用米からの大幅な作付転換が必要となっているところです。
 このため県では、飼料用米や野菜、大豆等への作付転換に向け、国が直接生産者に交付する産地交付金等の活用に加え、本県独自に、飼料用米等の新規作付に対し、主食用米との収入の差を補うための支援策を創設したところであります。
 また、作付転換した場合に活用できる国の交付金の情報等を新聞に掲載したほか、交付金を活用した場合の品目別収入額の試算結果等を掲載したチラシを作成し、県等のホームページで紹介するとともに、地域農業再生協議会を通じて生産者へ配布し、主食用米からの作付転換を積極的に推進してきたところです。
 次に、飼料用米等への転換についてでありますが、県では、令和3年産米の生産目安に基づいた作付転換を進めるため、岩手県農業再生協議会と連携し、各地域農業再生協議会から作付転換の状況を確認したほか、生産目安を超過する地域に対しては、国やJAグループとともに個別に訪問し、全国的な米の消費低迷により在庫がふえ大幅な米価下落が懸念されること、作付転換に向けたさまざまな支援策があること等を丁寧に説明し、主食用米の作付を生産目安の範囲内とするよう働きかけを行ってまいりました。
 また、大規模経営体は、米価が下落した場合の影響が大きいことから、農業法人等で組織する岩手県農業法人協会を通じて、品目別収入額の試算結果等を掲載したチラシを配布するとともに、県農業再生協議会が経営体を個別に訪問し、さらなる作付転換への働きかけを行ってきました。
 こうした取り組み等により、令和3年産の主食用米からの作付転換面積は、現時点で当初目標の約1、200ヘクタールを上回る約1、600ヘクタールと見込んでいるところです。
 次に、スマート農業についてでありますが、スマート農業技術は、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上、軽労働化などが期待され、担い手が希望を持てる魅力ある農業の実現に向け大きな役割を果たすものと考えており、県では、地域のニーズや実情に応じたスマート農業技術の導入を積極的に推進していくこととしています。
 水田の大区画化や排水改良など圃場整備が行われた地域において、自動操舵等のスマート農業技術を活用し、耕起や田植えなどの作業を数センチ単位の精度で実施するためには、GPSの位置情報を補正するRTK基地局の設置が有効です。
 このため県では、RTK基地局の設置等を希望する地域に対し、営農座談会などの機会を捉え、技術の内容や効果、導入経費、活用可能な支援策の助言等を行っており、県内の圃場整備地区においては、国庫事業を活用し、RTK基地局の設置や自動操舵システムを導入した事例もあります。
 一方、携帯電話会社の位置情報サービスなど、RTK基地局と同等の効果が得られる新たな技術も開発されてきており、こうした新技術の動向も把握し、地域に情報提供するなど、スマート農業技術が普及拡大していくよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、木材の増産等への対応についてでありますが、今般のいわゆるウッドショックにより、工務店等では、住宅建築用の輸入柱材等の入手が困難となり県産材に切りかえる動きがありますが、木材の供給は、素材生産業者、製材業者、プレカット業者、工務店、それらをつなぐ流通業者など多様な主体が多くの工程を経てかかわっており、原木の伐採から最終的な製材品の供給までに最短でも数カ月の期間を要するなど、木材の急な増産には即応しにくい状況にあると認識しています。
 また、木材供給体制の構築についてでありますが、県ではこれまで、施業の集約化や高性能林業機械の導入を進め、原木を安定的に供給する体制を強化してきたほか、加工能力が高く、多くの木材製品を製造する製材、合板工場の整備を支援してきており、木材の需要者である工務店等に安定して木材を供給できる体制の整備を進めてきたところです。
 一方で、本県林業、木材産業のさらなる発展に向けては、原木の生産段階、木材の加工段階、住宅建築等での木材の利用段階それぞれの需給情報を県内全体で共有し、各段階の需給の変化に、より柔軟かつ機動的に対応できる木材供給体制を構築していく必要があると考えています。
 このため、県内の素材生産業者、製材業者、プレカット業者、工務店など、林業、木材産業に携わる関係者と連携し、県内全体の需給情報を共有する仕組みづくりを研究していくなど、本県林業、木材産業が持続的に発展していけるよう取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、県産材の販売戦略についてでありますが、県ではこれまで、関係団体と連携しながら、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村施設への県産木材製品の提供や、名古屋城天守閣復元工事への高品質なアカマツ材の供給などに取り組み、本県の品質の高い木材製品のPRを進めてきました。
 また、全国規模の木材製品展示会ウッドコレクションへの出展支援や、県内外の工務店等へ県産木材製品をアピールするパンフレットを作成し配布するなど、豊富で多様な魅力あふれる県産材の販路拡大にも取り組んできました。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に進めていくほか、県産材の新たな付加価値の創出を図るため、強度の高いアカマツやカラマツを用いたはり材等の新たな製品を開発していくなど、国内外への販路拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、医師偏在指標についてでありますが、国から示された医師偏在指標は、人口10万人当たりの医師数をもとに、地域の医療ニーズや将来人口、医師の年齢構成による労働時間の差なども加味して算定されているものであります。
 岩手県については、医療需要が高い高齢者人口が多いことや、労働時間が長く算定される若手医師が少ないことが数値を押し下げた面もありますが、指標が示すとおり、深刻な医師の不足と偏在の状況にあるものと認識しております。
 県では、医師偏在指標の公表を契機として、医師不足など同様の課題を持つ医師少数県12県の知事とともに、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を設立して活動を進めており、国に対する提言等を通じて、実効性のある医師不足、偏在対策の実現を目指しているところであります。
 次に、医師確保計画についてでありますが、岩手県医師確保計画においては、現在、全国最下位である医師偏在指標に基づく都道府県順位を下位3分の1から脱却させることを目標として、令和5年度までに、県全体で359人の医師を確保することとしておりますが、奨学金養成医師の配置や即戦力医師の招聘による確保見込みは234人と、県全体の目標に125人不足する見通しとなっております。
 このため、奨学金養成医師以外の医師も対象とした臨床研修医や専攻医の確保などにより、医師全体の確保、定着を図るとともに、今後とも、奨学金養成医師の計画的な配置や即戦力医師の招聘の取り組みを重点的に行っていくこととしております。
 特に奨学金養成医師については、在学中の医師奨学生セミナーや医師免許取得後の県立病院長経験者による面談などの継続的な働きかけにより、地域医療への意識の醸成を図り、円滑な義務履行や履行後の県内定着につなげていく考えであります。
 次に、産科医等の確保についてでありますが、産科医や小児科医の確保は全国的にも厳しい状況にありますが、県では、周産期医療体制の確保に重点的に取り組むため、計画に定める産科医及び小児科医の目標医師数については、全国平均水準に増員する目標を掲げ、取り組みを行っているものであります。
 これまでも、産科等を選択した奨学金養成医師の配置特例などにより、産科医等の養成、確保に取り組んできたところであり、自治医科大学卒業生を含む奨学金養成医師のうち、産科を選択した医師は8名、小児科を選択した医師は15名となっており、徐々にではありますが増加してきているところであります。
 また、令和2年度から医療局奨学資金に産婦人科特別枠を設けており、令和2年度、3年度にそれぞれ1名の貸付実績があり、産科医を志す医学生の裾野を広げているところであります。
 こうした取り組みのほか、医学部を目指す高校生や医学奨学生を対象としたセミナーの開催、奨学金養成医師集合研修や医師支援調整監による面談など、あらゆる機会を捉えて、先ほど申し上げました配置特例などの制度周知に努めることなどによりまして、研修医や医学生が産科等を選択する機運の醸成を図り、計画目標の達成に向けて取り組んでいく考えであります。
 次に、本県の自殺死亡率の認識等についてでありますが、本県においては、いまだ年間250人を超える方が自殺でお亡くなりになっておられ、自殺死亡率は依然として高位にありますことから、自殺予防対策は喫緊の課題であると認識しております。
 また、令和2年における本県の動向については、6月に公表された人口動態統計では、原因、動機などが示されていないところでありますが、警察庁統計で見ますと、男性は経済、生活問題が、女性は健康問題が最も多く、前年との比較では、経済、生活問題が最も増加したことが特徴であります。
 現在、厚生労働大臣指定法人である、いのち支える自殺対策推進センターが、コロナ禍における自殺の動向分析を行っておりまして、その結果を踏まえ、本県の取り組みについても検討を進めていく考えであります。
 次に、自殺対策の今後の取り組みについてでありますが、本県では、平成19年に自殺対策アクションプランを策定し、包括的な自殺対策プログラム久慈モデルの実践に継続的に取り組むほか、自殺ハイリスク者対策などの取り組みを評価してきたところ、令和2年の自殺死亡率は、全国平均との差がプラン策定前の10.4ポイントから4.8ポイントに減少してきており、一定の成果があらわれているものと認識しております。
 コロナ禍が長期化する中にあって、自殺リスクが高まることが懸念されますことから、悩みを抱えた人を孤立させることがないよう、相談窓口の充実や、県民一人一人が身近な人の心の変化に気づき、専門機関につないでいくなどの支援が重要と考えております。
 このため、今年度は、市町村の相談体制強化への支援や、県精神保健福祉センターの相談体制の充実、加えて、本定例会にメンタルヘルスの普及を図る事業の補正予算案を提案し、取り組みを一層強化することとしております。
 また、相談支援の連携をさらに深め、経済情勢悪化に伴う自殺を防ぐため、県内の関係機関等で構成する県自殺対策推進協議会を7月に開催し、それぞれの役割に応じた取り組みを官民一体となって推進してまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、学校現場における外部人材の活用も含めた今後の教育のあり方についてでありますが、令和4年度から実施される高校の学習指導要領では、学校の教育目標を地域と共有しながら、生徒の健全育成を目指す社会に開かれた教育課程の実現を重視していることから、その実現に向けて、外部人材の活用は重要な視点であると認識しています。
 本県の県立高校においては、高校の魅力化促進事業や探究プログラム事業を実施しており、これらの事業においては、地域住民、地元自治体、産業界及び大学等の高等教育機関などと連携しながら、外部の方々にも探究的な学びに参画していただいているところであり、生徒も意欲的に取り組んでいます。
 県教育委員会におきましては、引き続き多様な外部人材との連携を図りながら、魅力ある学校づくり、生徒一人一人の主体性や自発的に行動する力などを育んでいきたいと考えています。
 今後の部活動のあり方についてでありますが、生徒本位の部活動のあり方については、今般、本県中学生にとって有意義なスポーツと文化活動の今後のあり方について研究を進めてきた有識者会議において、いわての中学生のスポーツ・文化活動に係る提言が示されたところです。
 有識者会議においては、生徒の多様な学びの場である部活動の教育的意義を認識しつつ、中学生本位の有意義なスポーツ、文化活動のあり方の方向性を整理することを目的に検討が重ねられ、中学生の活動を支える市町村、関係団体等に求められる役割や取り組みについてまとめられました。
 今後は、本提言を踏まえ、学校外の活動環境の整備や受け入れ体制構築の推進に向け、さまざまな課題に対応していくとともに、議員御指摘のとおり、子供たちへの教育がおろそかにならないよう、これまで同様、学校で行われる部活動を充実させるとともに、指導者の資質向上を図る必要があります。
 県教育委員会としては、関係部局、市町村教育委員会及び関係団体等と連携を進めながら、中学生の多様な学びの場としての部活動の教育的意義を再認識し、生徒一人一人の目標を実現できるよう学校を支えていく考えです。
 次に、部活動の段階的な地域移行についてでありますが、令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行に向け、令和3年度は、岩手町、葛巻町の2地域において、各地域の特色に応じた地域部活動の実践研究を進めていくこととしています。この実践研究は、本県のほか、全国各地で行われており、本県の各地域における今後の取り組みの参考となることが期待されているところです。
 現時点で想定される課題等については、指導に当たる地域人材の確保に関すること、合同練習等における生徒の移動手段及び経費に関することなどであり、来年度の実践研究においては、本県のさまざまな実情に応じた研究となるよう、研究内容や地域の選定等について、関係部局等と連携しながら進めていく考えです。
〇5番(千葉秀幸君) 御答弁をいただいて、幾つか改めて県の認識をお伺いしたいと思っております。
 先ほど教育長から、人材教育コンサルタントなどの情報も理解しているという御答弁をいただきました。先ほど質問でも申し上げましたが、山積している課題に、学校に行きたくないとかいじめ問題等ありますけれども、生徒をそういった方向に向かわせないために、さまざまな考え方を身につけさせることが、今後なお一層大事なのかなという角度で質問させていただきました。そもそもこれは、道徳の部分だと思いますが、改めて、教育長に道徳に対する重要性について御所見をいただきたいと思っております。
 それから、医師確保についても御答弁いただきました。特に産科医、小児科医の成果がなかなか上げられていない状況でありますが、これまで以上に産科医の確保対策をとってきたものの、なかなか成果が見られないというところからすると、目標を掲げた以上、達成するために成果を上げなくてはいけないというところがあると思うのです。今後、より強化していくという御答弁もいただいたわけでありますが、さらに、目標達成に向けて、新たな取り組み等を検討されているのであれば、その辺についても改めて御所見をお伺いしたいと思います。
〇教育長(佐藤博君) 道徳の重要性について御質問がありましたが、世の中がどんどん変容していく中で、道徳の重要性は、まさに御指摘のとおりだと思います。人間としてのあるべき姿、人と人とのつき合いといいますか交流のあり方であるとか社会とのかかわりのあり方とか、そういったところがますます重要性を持っているのだと思います。
 そういう中で、外部の方々とのつながり、それから、学校教育とは離れた形での社会とのかかわりなどに、外部の方々の識見あるいは学校とかかわっていただくということは、子供たちにとっても、教育に対する貢献に非常につながるものと認識しております。
 そういった意味でも、これまでも外部人材の活用についてさまざま取り組んできているところですが、社会がどんどん変容していく中におきまして、多様な考え方を持ち社会で活躍されている方々に、どんどん学校現場に入っていただいて、子供たちに、変容する社会の中でどういった生き方をしていくか、そして、この社会とのかかわりについて、道徳の重要性についても理解を深めていっていただくよう取り組んでいくことが重要だと思っております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から産科医確保について御質問いただきました。今、岩手県だけでなく全国的にも産科医、小児科医が本当に少なくなってきています。したがいまして、今、即戦力といいますか現場で力になる医師というのは、なかなかすぐにここから養成できるわけではないという現状がございます。
 したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、まずは奨学金制度の運用で、中長期的に確保を目指していく。そのほかにも、先ほど答弁の中で知事の会のお話をいたしましたけれども、今、専攻医制度、専門医制度がありますが、どうしても専門医を取得するためには都市部に集まる傾向がございますので、今、県では国や専門機関に対して、そうした専門医制度の中で、例えば指導医をセットで地方のほうに派遣していただくといったような提言をしているところであります。
 これは岩手県だけではなかなか解決できない問題ですので、医師少数県と連携いたしまして、具体的に今目の前にある施策を国に対して、政策提言していきたいと思います。
 また、やはり産科医の方々に医師としての業務に集中していただくことも重要な視点でございます。岩手県ではいーはとーぶという、市町村や分娩取扱医療機関がネットワークを組んで、全県で妊婦を支援する仕組みを整えておりますので、そういった仕組みの運用。また、令和2年度からは、産科の搬送、妊婦にモニターを装着して、救急隊や総合周産期医療センターでその妊婦の情報を共有して、安全な分娩を行う取り組み。そういった形で、医師の方がその業務に専念できるように、ICTの活用、役割分担、業務分担といった取り組みを進めております。
 そういった周産期医療体制を確保するためのありとあらゆる取り組みを進めまして、本県の周産期医療提供体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時56分 休 憩
   
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
12  番 千 葉 絢 子 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
43  番 伊 藤 勢 至 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時18分再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。山下正勝君。
   〔11番山下正勝君登壇〕(拍手)

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