令和3年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(千葉伝君) 自由民主党の千葉伝です。
 県民にとって重要な県政課題及び地域課題について順次質問いたしますので、県民にわかりやすい答弁をお願いします。
 初めに、県政推進の基本的な考え方についてお伺いします。
 知事は、さきの2月定例会の神崎浩之議員への答弁において、4期14年の県政運営のトップとしてのあるべき姿について、知事がどうあるべきかというよりも、岩手県がどうあるべきかといった問題意識を常に抱き、それを二つの県民計画や復興計画に示しながら、県政に取り組んできたと述べられました。
 二つの県民計画や復興計画については、将来像と方向性を示した上で、住民や地域社会にも目標達成に協力を求める戦略計画の性格を有しており、その実現には、計画が描く、岩手県がどうあるべきかというビジョンを広く共有することが重要と考えます。
 ここで、二つの県民計画と復興計画の関係を私なりに整理すると、現在の県民計画は、前の県民計画を土台に、県政の最重要課題である復興を織り込んだ上で、基本目標に幸福を掲げたものと捉えておりますが、現在の県民計画に至るまでに、知事が抱く岩手県がどうあるべきかという考えは、どのように変わってきたのでしょうか。
 また、復興からのその先の地域振興が必要な局面を迎えていることや、ポストコロナのビジョンが求められる現状など、岩手県の急速かつ大きな変化をどう捉え、今後県政をどのように推進していくのか、知事の考えをお伺いします。
 次に、東日本大震災津波からの復興についてお伺いします。
 東日本大震災津波の発災からこの6月で10年と3カ月が経過しました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福と、今なお行方不明となっている1、111名の方々が、一日も早く御家族のもとへ戻られますことをお祈り申し上げます。
 震災からの復興に当たっては、これまで国内外から多くの支援をいただき取り組んできたところであり、本県では、社会資本の整備などのハード事業は、一部を除きおおむね完了が見込まれているところであります。
 国においても、これまでの10年間の取り組みを継承し、令和3年度から令和7年度までの5年間を新たに第2期復興・創生期間と位置づけ、被災者支援を初めとする残された事業に全力を挙げて取り組むことにより、復興事業がその役割を全うすることを目指すとされています。
 一方で、造成宅地や移転元地などにおいては、未利用地が残っているほか、報道によれば、災害公営住宅に入居された方々が、環境変化によりストレスを抱えるなど、ソフト面での課題も多く、復興は道半ばの感もあります。
 知事は、復興の施策を進めるに当たっては、被災市町村とも連携し対応してきたと思われますが、これまでの10年の取り組みをどう評価しているのかお伺いします。
 10年を経過した被災地では、安全の確保に向けて、完成していない一部の社会資本の早期完成が望まれています。また、復興道路等も整備され、北は八戸市、南は仙台市、そして内陸部とのアクセス性が向上しているものの、経済環境は、人口減少や高齢化の進展のほか、復興需要の縮小、近年の主要魚種の不漁等により水産業も厳しさを増しており、特に、新型コロナウイルス感染症の影響により観光客の入り込み客数が大幅に減少するなど、被災地のなりわいの再生に向けた取り組みへの支援が必要となっています。
 さらに、被災された方々の心のケアや災害公営住宅や高台の団地などに移転した方々のコミュニティーの形成支援などが、中長期的に取り組むべき重要な課題となっています。
 このような残された課題のうち、ハード事業にあっては、一部の整備が残る防潮堤等の海岸保全施設の状況はどうなっているのか。また、ソフト事業にあっては、なりわいの再生や暮らしの再建などにどのように対応していこうとしているのか、知事にお伺いします。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症が国内で初めて確認されてから、約1年半が経過しようとしています。この間の医療従事者の皆様の御尽力や感染拡大防止に配慮した新しい生活様式や事業活動などに、県民、事業者の皆様が取り組んでいることに、改めて敬意を表します。
 現在、全国的に流行が拡大している変異株が県内でも確認され、新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認される状況が続く中、県民の平穏な暮らしを一日も早く取り戻すことが求められています。
 こうした中、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立に向けた切り札であるワクチン接種の加速化について、国、地方を挙げた取り組みが進められています。
 現在、医療従事者や65歳以上の高齢者の接種が進んできており、65歳未満への接種に向けた取り組みも始まっていますが、県は、本県のワクチン接種の状況をどのように評価しているのかお伺いします。
 また、集団免疫の早期獲得に向けて、国、県、市町村、医療機関等が連携し、県内全ての地域において、ワクチン接種を希望する方に迅速に接種が行われるよう取り組むことが重要であり、県は、市町村のワクチン接種体制強化を支援するための市町村支援チームの設置や、県内2カ所に集団接種会場を設置するなどの取り組みを進めています。
 ワクチン接種のさらなる促進を図るには集団接種の拡充等が必要と考えますが、県として、いわゆる打ち手や会場の確保などの課題をどのように把握し、対応していくのかお伺いします。
 次に、新型コロナウイルス感染症に係る医療体制についてお伺いします。
 4月25日に発令された3回目の緊急事態宣言は、最終的に全国10都道府県に発令され、沖縄県を除く9都道府県については6月21日付で解除されたところでありますが、大阪府や沖縄県などでは、医療の逼迫が連日報道されていたところであります。
 東北地方においても、宮城県仙台市で感染者が急増し、患者の医療機関受け入れが困難になるなど医療体制が逼迫し、全国知事会を通じ、本県からも多くの看護師が支援に派遣されたと聞いています。幸い本県では、全国に比較すると新規感染者数は低く抑えられていると認識していますが、盛岡市を中心に感染がおさまらない状況が続いています。
 今後、新たな変異株であるいわゆるインド株―デルタ株の影響、また、3回目の緊急事態宣言解除後のリバウンドを懸念する声も上がっていますが、本県の医療体制の現状と今後の感染拡大を見据えた医療体制はどのようになっているのか、お伺いします。
 また、特に看護師等の医療従事者は、その確保が厳しい状況にあると考えますが、感染拡大時の医療従事者の確保をどのように進めていくのか、あわせて伺います。
 次に、県内経済への影響と対策についてお伺いします。
 国内での感染拡大が1年以上にわたり、この間、大都市圏等を中心に緊急事態宣言の発出が続くとともに、東北地方においても、本年4月から5月まで、宮城県がまん延防止等重点措置の対象とされたところです。こうした地域における酒類を提供する飲食店に対する営業時間の短縮や酒類の提供停止といった協力要請などの動きは、対象地域には含まれない本県の県民の行動にも少なからぬ影響を及ぼし、県内事業者の経営環境は、ますます厳しくなっているものと考えます。
 県では、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、経済、雇用対策の実行に当たっては、産業、業種ごとに課題を把握した上で対応していくとしていますが、直近の県内経済への影響をどのように捉えているのかお伺いします。
 また、今後は、融資や支援金の支給といった対応に加え、県内外でのワクチン接種の進捗に伴って、社会経済を取り巻く環境が大きく変化していくことを見据えた対応も必要と考えますが、県としてどのような支援策を講じていくのかお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 加えて、飲食店などが大きな影響を受ける中、国は、飲食店における感染防止対策の徹底、強化を図るため、本年4月23日に新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を改定し、政府は、第三者認証による認証制度の普及を促すこと、都道府県は、同制度の確実な運用を図ることとされ、さらに4月30日には、感染対策に係る認証基準(案)を示し、第三者認証制度の導入に可及的速やかに着手するよう通知しております。
 こうした状況を踏まえ、県は、飲食店の新型コロナウイルス感染対策認証制度を導入することとし、去る6月7日に認証基準を公表しましたが、基準の内容や具体的手続がどうなるのか、また、制度はいつからスタートできるのかお伺いします。
 次に、畜産業の振興についてお伺いします。
 本県の令和元年の農業産出額は総額2、676億円であり、このうち畜産が1、569億円と全体の約6割を占めています。なお、本県の畜産の産出額は全国第4位であるとともに、乳用牛、肉用牛が5位、豚が7位、鶏が3位となっており、全国有数の畜産県であります。
 そうした中、酪農、肉用牛においては、飼養戸数、頭数とも年々減少傾向にあり、担い手の確保とともに、生産基盤の強化に取り組んでいく必要があると考えます。
 一方、養鶏や養豚においては、全国的な家畜伝染病の発生が問題となっており、養鶏では、昨年度に国内で2年11カ月ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生し、その後も発生が相次ぎ、全国で多くの鶏が処分されています。
 また、養豚では、豚熱が東北でも山形県の養豚場で発生するなど、これまでに13県に拡大し、24万頭余りの豚が殺処分されています。
 さらに、この6月には、隣の宮城県において野生のイノシシで豚熱の感染が確認され、本県も、国からワクチン接種推奨地域に指定されました。いよいよ本県でもワクチン接種が必要となっています。
 こうした状況のもと、県は、乳用牛、肉用牛の生産基盤の強化などについて、どのように取り組んでいくのかお伺いします。また、豚の防疫対策として、特に、豚熱のワクチン接種に向け、どのように対応していくのかお伺いします。
 全国和牛能力共進会の宮城大会から4年がたち、来年には、いよいよ第12回全国和牛能力共進会の鹿児島大会が開催されます。全共は、県有種雄牛のすぐれた能力と和牛産地岩手の力を全国に示す絶好の機会であります。また、上位入賞した種雄牛の産子は、子牛市場において高値で取引され、産地の高い評価につながるなど、生産者の所得向上につながる大会であり、上位入賞に向けた取り組みが重要であると考えます。
 県内では、全共に向けた候補牛が生まれてきており、出品候補牛の選抜も始まっていると聞いています。第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会の上位入賞に向け、現在の県の取り組み状況と今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
 本年4月に、本県の和牛改良を牽引してきた県有種雄牛菊福秀号の功績をたたえ、県が、県南和牛育種組合に菊福秀号の両角を展示したものを贈ったとの報道がありました。菊福秀号は、種雄牛候補として産肉能力を評価するため肥育した子牛が、県畜産共進会で名誉賞を獲得するほか、県有種雄牛として、国の全国肉用牛広域後代検定事業において、脂肪交雑の遺伝能力が4年連続で第1位を記録するなど、本県の和牛振興に大きく貢献したと承知しています。
 全国に誇る種雄牛を造成していくことは、産地として高い評価につながるとともに、肉用牛の生産拡大や生産者の所得向上につながると考えています。県では、すぐれた県有種雄牛の造成と凍結精液のさらなる利用拡大に向け、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、本県は広い県土を有し、営まれる産業の中で農業は主要な産業の一つであることから、本県農業の振興についてお伺いします。
 初めに、農業の品目の中で主要作物である米の販売戦略についてお伺いします。
 長年続く米消費量の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による外食需要の減少により、米の需給が緩和し、米価の下落が懸念されています。ことしも田植えは終了しましたが、新聞等で入ってくる情報は、米は米でも転作である飼料用米への作付転換の話題がほとんどであり、これでは生産者の米づくりに対する意欲が低下してしまうことが懸念されます。
 生産者の意欲を高めていくためには、県のオリジナル品種である金色の風、銀河のしずくが、消費者の消費意欲を喚起し、米卸からも高く評価され、それが牽引役となって県産米全体の消費や評価を向上させること、また、輸出など新たなマーケットを開拓していくことなどが重要と考えます。
 県では、本県オリジナル品種を含めた県産米全体の生産、販売をどのように展開し、生産者の意欲の喚起、所得の向上を図ろうとしているのか、今後の戦略についてお伺いします。
 次に、スマート農業についてお伺いします。
 農業従事者の人口はここ10年で大きく減少し、2019年の農業従事者の年齢構成において65歳以上が全体の約7割を占め、高齢化が進行しています。
 また、以前に比べ新規農業雇用者の確保が厳しくなっております。国民の重要な食を守る農業において人材確保がさらに厳しくなると、農業そのものが一層衰退してしまうことが懸念され、それを避けるためには、将来を見据えた新しい農業のあり方を模索する必要があり、国では、ドローンやロボット技術、ICTを活用した新しい形の農業、いわゆるスマート農業に取り組み始めています。
 本県においても、いわて県民計画(2019〜2028)において、農林水産業高度化推進プロジェクトを掲げ、最先端技術を最大限に活用し、生産性の向上を図り、収益性の高い農業の実現を目指すため、スマート農業を導入し、推進しようとしています。
 今の農業の現場において、さまざまな課題と向き合う中、スマート農業の導入に大きな期待が寄せられていますが、一方では、機械のコストが高く、環境整備も十分に進んでいない状況にあります。
 スマート農業の導入に当たっては、経営規模を考えた技術指導が必要になると考えますが、スマート農業のさらなる普及において、メリット、デメリットと普及拡大に向けた取り組みをどう進めるのかお伺いします。
 次に、林業の振興についてお伺いします。
 需要の逼迫によって木材価格が平時の数倍に急騰するウッドショックでありますが、アメリカでは2020年夏ごろからささやかれ始め、日本では2021年3月ごろから表面化しました。この背景には、アメリカの新設住宅戸数の増加、コロナ禍の中国における早期経済活動の再開、コンテナ不足等が挙げられています。
 現状の価格が急騰しているからといって、それに対応するべく、例えば、製材業者が乾燥設備を拡張するような動きもないと聞いており、また、伐採業者にすれば、山から木を搬出するまでには数カ月かかるために、いつまで高値が続くのかという不安の声も聞いています。
 県では、こうしたウッドショックによる国内の木材需要、県内事業者への影響をどう把握しているのか、先行きをどう予測しているのかお伺いします。
 また、今回のウッドショック、サプライチェーン―供給網の混乱を機に、地域にある製材、加工施設の重要性の見直しにつなげることが重要であります。県産木材の利用促進に取り組んでいますが、木材を製品化するまでには、乾燥も含めて時間的な幅があることから、山主、伐採業者、製材業者、合板業者の連携、そしてその関係者が木材市場への情報感度を上げることが重要であります。
 長らく言われている林業の成長産業化への課題は、公益的機能の維持、増進と経済性の両立であり、行政からの補助を多く活用する山側と木材を利用する市場との連動をどうしていくかを考えれば、木材の利用がどんどん進めば森林整備も進むことにつながります。
 先ごろ閣議決定された新たな森林・林業基本計画では、2030年の国産木材供給量を現状の1.4倍の4、200万立方メートルにふやすことが明記されておりますが、林業県である岩手県は、この目標に向けどう取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への対応についてお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まであと25日となり、いよいよ大会本番が近づいてきたと実感しております。
 本年3月25日からスタートした聖火リレーについては、本県では今月16日から3日間にわたって行われ、北海道から渡された聖火を宮城県にしっかりとつなぎ、オリンピック、パラリンピック本番までの機運が高まったところであります。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させるためには、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を可能な限り最小限に抑えることにより、県民を初め、国民全体が開催を望むような環境をつくることが不可欠でありますが、全国的にまん延防止等重点措置の適用が継続されるなど、大会開催に向け解決すべき課題があるものと承知しております。
 コロナ禍にある現在の日本の状況を踏まえた上で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について、私は、安全で安心できる形で成功裏に終わることを願うものでありますが、知事はどのように認識しているのかお伺いします。
 また、ホッケー競技において、私の住む岩手町出身の3選手が東京オリンピックの日本代表に内定したことで、本県ゆかりの選手は7人となりました。一つのオリンピックにこれほど多くの本県関係者が出場することは今までになかったことであり、大変喜ばしいことであります。
 本番での活躍を大いに期待するとともに、オリンピック終了後のアスリート強化、育成にも力を入れていくべきと考えますが、県は、東京オリンピック内定選手を初め、障がい者を含めたトップアスリートに対して、どのような支援を行っていくのかお伺いします。
 6月27日現在、県内におけるホストタウンは20市町村となっており、登録件数は21件で、東京都の29件に次いで全国第2位の登録数となっています。これらホストタウン等の交流事業については、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が1年延期されたことや、いまだに収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症の状況などの影響が及んできていると聞いています。
 県として、ホストタウン等の取り組みに係る影響をどう把握し、今後どのように支援していくのかお伺いします。
 最後に、盛岡以北の道路整備についてお伺いします。
 豊富な地域資源を生かした産業の振興や救急医療の支援、また、頻発する自然災害における迅速な救急活動のために道路が果たす役割は、非常に大きいものがあります。
 盛岡以北においては、国道281号の抜本的改良整備などを求める国道281号整備促進期成同盟会に加えて、平成30年10月には、自動車専用道路の整備を求める北岩手・北三陸横断道路整備促進期成同盟会が設立されるなど、盛岡以北における道路整備に関する地域の期待は非常に大きいものとなっています。
 県はこれまで、盛岡以北における内陸部と沿岸部を結ぶ道路ネットワークのあり方について、関係市町村等と意見交換を重ね、盛岡以北の基幹となる道路における拠点の考え方などを共有していると認識しています。
 このような中、今月15日に、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる本県の将来像を踏まえた広域的な道路交通の今後の方向性を定める、岩手県新広域道路交通ビジョン及び岩手県新広域道路交通計画が策定、公表されたところであります。今回の計画においては、国道281号や北岩手・北三陸横断道路について、どのような考え方で位置づけられたのかお伺いします。
 また、盛岡以北の道路ネットワークの強化に向け、国道281号の現在の整備状況も含めて今後どのように取り組んでいく考えなのか、あわせてお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政推進の基本的な考え方についてでありますが、私が知事に就任した当時、年間6、000人を超える人口の社会減や県民所得の低迷、厳しい雇用情勢や深刻さを増す地域医療など、岩手県は危機に直面しており、こうした危機を克服するため、さきのいわて県民計画において、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる希望あふれる社会を目指す姿とし、県民とともに取り組んできたところであります。
 また、東日本大震災津波からの復興に向けた基本方針においては、被災者一人一人の幸福追求権を保障するとともに、犠牲者のふるさとへの思いを継承することを原則として復興を進めてまいりました。
 このような経緯を踏まえ、いわて県民計画(2019〜2028)において、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標に掲げ、県政の推進に取り組んでいるところであり、復興の先の地域振興や、いわゆるポストコロナの新しい生活様式を踏まえた施策を進める上でも、県民一人一人に寄り添いながら、人々の暮らしや仕事を起点とする政策や、多様な主体の参画やつながりを生かした取り組みなどを展開してまいります。
 次に、東日本大震災津波からの復興についてでありますが、県ではこれまで、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指し、復興計画や、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく復興推進プランに沿って復興を進めてまいりました。
 復興を進めるに当たっては、被災市町村を支え、ともに取り組むことが重要との考えのもと、任期付職員を含む県職員を市町村に派遣するとともに、本格化する復興工事に必要な技術者や建設資材の確保、関係工事の工程管理など市町村等と調整する場を設置し、連携しながら事業を進めたほか、災害公営住宅については、県と市町村がそれぞれ分担して整備を進めるなど、ハード、ソフト事業の両面において市町村と一体となって取り組んでまいりました。
 その結果、これまでの10年間で、災害廃棄物の処理、被災した公立学校や漁港の復旧、復興まちづくりの面整備や災害公営住宅の整備が完了し、応急仮設住宅等での全ての入居者の方は、本年3月までに恒久的な住宅に移行されました。
 また、復興道路や海岸保全施設の整備、大型商業施設の開業や被災事業所の再開が進んでおり、港湾整備は、ガントリークレーンの供用開始やコンテナ定期航路の開設による経済効果をもたらしています。
 計画された復興事業の多くが完了しており、残された課題については、市町村と県が力を合わせ、国とも連携しながら対応してまいります。
 次に、残された課題への対応についてでありますが、ハード事業のうち、防潮堤等の海岸保全施設については、計画した134カ所のうち9割を超える122カ所が完成しており、残る12カ所についても、一日も早い完成に向けて引き続き取り組んでまいります。
 また、なりわいの再生に向けては、三陸沿岸道路や港湾整備などの新たな交通ネットワークの進展による経済圏の拡大や、利便性の向上を好機と捉え、復興特区制度等を活用した産業集積の促進、水産加工品の販路の拡大、東日本大震災津波伝承館をゲートウエーとした広域的な観光振興など、地域の特性や資源を生かした施策を展開し、地域経済の拡大につなげてまいります。
 さらに、暮らしの再建に向けては、被災者の心のケアやコミュニティー形成支援を継続するとともに、今年度新たに設置したいわて被災者支援センターにより、時間の経過に伴い複雑かつ多様化した課題に対し、関係機関や専門家と連携して、一人一人に寄り添った支援に取り組んでまいります。
 今後とも、誰ひとり取り残さないように、引き続き、地元市町村、さらには釜石市に移転した復興庁岩手復興局などと連携しながら復興を進めてまいります。
 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会についてでありますが、本大会は、復興五輪として、東京都での開催をIOC―国際オリンピック委員会が決定したものと理解しております。
 東日本大震災津波は、近代日本が経験した関東大震災に次ぐ自然災害であり、第二次世界大戦以来の大災害でありました。それは、日本にとってのみならず、世界各国の国民にとっても大きな衝撃であり、世界中から救援や支援の手が寄せられました。
 そのような震災があった国で、震災後10年間の復興の姿を改めて世界で共有するという復興五輪は、極めて意義深いものであり、岩手県にとっても大変重要な機会と考えます。
 このような大会を開催し、成功させるためには、今、世界全体が直面する脅威である新型コロナウイルス感染症に対し、人類全体の知見を共有しながら、世界最先端の感染対策と言うべきものが求められます。それは、大会に関連する感染の拡大、まして死亡の増加などが起きないようなものであるべきと考えます。
 東日本大震災津波の犠牲者と新型コロナウイルス感染症の犠牲者に思いを寄せ、関係者一同、真剣に取り組むことで、このような感染対策が実現し、大会が成功することを念願いたします。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長石田知子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(石田知子君) いわて飲食店安心認証制度についてでありますが、県では、国の基準案を基本に、公衆衛生等の専門家の意見も踏まえ、国が必須としたアクリル板等の設置、手指消毒の徹底、食事中以外のマスク着用の推奨、換気の徹底に、県独自の項目として来店者名簿の作成等を加え、全28項目を認証基準とする本制度を創設いたしました。
 具体的な手続といたしましては、基準に沿って感染対策を実施した飲食店は、申し込みを行い、県では、現地確認の上、黄金の國をイメージした認証ステッカーを交付、認証することとしております。本日6月28日から申し込みを開始し、より多くの飲食店の方々に認証を取得していただきたいと考えております。
 県といたしましては、このいわて飲食店安心認証制度について、県民の皆様に広く周知し、飲食店の方々と来店者の皆様、双方が安心できる環境を整えてまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、ワクチン接種の状況についてでありますが、接種順位が上位に位置づけられる医療従事者等については、医療機関や関係団体等の御協力のもと、3月6日の接種開始から医療機関や集団接種会場での接種を行ってきましたが、6月末の終了を予定していた接種希望者約4万9、000人の接種については、6月18日をもって終了したところであります。
 また、高齢者については、4月12日から順次接種が行われており、県による市町村の接種体制確保の支援などを通じて接種の加速化に取り組んできたところ、6月26日時点において、接種見込み者全体に占める1回目接種者の接種率は55.2%、2回目接種者の接種率は22.6%となり、県内の全ての市町村において7月末までに希望する高齢者への接種が終えられるよう、全力で取り組んでいるところであります。
 これまでの県内のワクチン接種はおおむね順調に推移しておりますが、より対象者の多い65歳未満の方への接種に移行することから、引き続き、市町村や医療機関、関係団体等と連携し接種の加速化に取り組んでまいります。
 次に、ワクチン接種の促進に向けた今後の取り組みについてでありますが、全国的に接種が進められる中で、特に問診に当たる医師や注射を行う看護師などの医療従事者の確保が喫緊の課題となっております。
 このため県では、市町村の接種体制強化に向けて、6月1日に保健福祉部内にワクチン接種・市町村支援チームを設置し、医療従事者確保に向けた関係機関との調整を行っていますほか、二次医療圏域で医師、看護師等の確保が困難な市町村に対し、医療従事者の広域的な派遣調整を実施しています。
 また、ワクチン接種のさらなる加速化に向けては、筋肉内注射を行う医療従事者を確保する必要がありますことから、6月17日に、岩手県歯科医師会に対し、接種への協力を依頼したところであります。
 県としては、希望する方が一日でも早く接種を受けられるよう、引き続き、市町村や関係機関等と連携し接種に従事する医療従事者の確保に取り組むとともに、県が実施する集団接種の継続や拡充、そして医療機関による個別接種の促進などに取り組むこととし、本定例会において補正予算案を追加提案する準備を進めているところであります。
 次に、新型コロナウイルス感染症に係る医療体制の整備についてでありますが、県では、岩手県新型コロナウイルス感染症医療体制検討委員会における議論を踏まえ、病床確保や宿泊療養施設の設置を進めてまいりました。
 現在の医療体制は、発生拡大期のフェーズ2の状況であり、即時稼働できる病床として250床を確保しているほか、5月以降の患者増加に伴い新たな宿泊療養施設を稼働させたところであります。
 今後、変異株等により感染が拡大し、感染蔓延期のフェーズ3となった場合も想定し、病床を350床確保する計画としているほか、宿泊療養施設についても、現在稼働している施設と合わせて300室、合計650人分を確保することとしております。
 加えて、退院基準に達した患者を受け入れる後方支援医療機関の整備などに係る補正予算案を本定例会に提案しているところであり、限りある医療資源を有効に活用し、必要な医療の提供と病床の効率的な運用に努めてまいります。
 次に、看護師等の医療従事者の確保についてでありますが、県では、クラスターが発生した病院などに対しまして、県内の看護職員や臨床工学技士などを派遣する事業を実施しているところであります。
 また、感染者が大幅に増加した際、宿泊療養施設の運営に必要な看護職員を民間医療機関等から派遣応援いただく仕組みづくりを県医師会の協力を得ながら進めていますほか、さらに感染が拡大し県内の医療機関だけでは患者対応が困難となった場合は、全国知事会を通じ、全国に看護職員等医療従事者の派遣要請を行うこととしており、これらに要する経費について本定例会に補正予算案として提案しているところであります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県内経済への影響についてでありますが、日本銀行盛岡事務所が6月24日に公表した岩手県金融経済概況によると、県内経済は、サービス消費を中心に引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直しているとされ、5月末と同様の内容になっております。
 また、商工指導団体と連携し毎月実施している新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査の直近5月末の結果では、前々年同月比で売り上げが41%以上減少している事業者の割合は27%となっており、昨年末から横ばいないし微増の状況が続いておりますが、これを業種別に前月と比較すると、特に飲食業が、38%から45%に売り上げが減少している割合が高くなっており、今後の売り上げ見込みについても飲食業で厳しく見込む割合が高くなっております。
 次に、支援策についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、昨年受けた融資の返済がことしから開始する事業者もあり、金融機関からは、据置期間の延長などの対応を行いながら、いわゆる本業支援を強化していく必要があるとの声を多く聞いているところでございます。
 このため、いわて旅応援プロジェクトに加え、今回の補正予算案に、感染対策の認証を受けた飲食店で利用できる食事券を発行するいわて飲食店応援事業や、県産品の消費を喚起する、買って、食べて地域を元気に応援キャンペーンなどを盛り込み、需要の喚起につなげていきたいと考えております。
 また、商工指導団体、産業支援機関等と連携して、新しい生活洋式に対応した、あるいはIoT、AIを活用するなどによるビジネスモデルへの転換、産業技術の高度化、人材育成など、将来を見据えた足腰の強い産業構造への転換を図るための本業支援の取り組みを強化してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、乳用牛、肉用牛の生産基盤の強化についてでありますが、本県の酪農、肉用牛は、産出額、飼養頭数とも全国上位に位置するものの、経営規模が小さく生産コストも高いことから、経営体質の強化が重要であります。
 このため県では、本年3月に策定した岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画に基づき、県や農協等で組織するサポートチームにおいて、乳量、乳質の改善や分娩間隔の短縮等の取り組みを支援するとともに、規模拡大を志向する農家の牛舎整備に加え、産乳能力の高い乳牛や優良繁殖牛の導入のほか、省力化に向けた発情発見補助装置や分娩監視カメラ等のICTの活用などを進めていくこととしています。
 今後も、こうした取り組みにより生産基盤の強化を進め、本県が全国有数の畜産県として持続的に発展するよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、豚熱のワクチン接種の対応についてでありますが、現在、県ではワクチン接種の実施に必要なワクチン接種計画の確認を国に申請しており、国による確認が終わり次第、速やかに県内136の養豚農場全てを対象に、家畜保健衛生所の職員などの家畜防疫員が接種を行うこととしています。
 ワクチン接種は、現時点で7月上旬からの開始を見込んでおり、豚熱ウイルスの侵入リスクが最も高いと考えられる宮城県に隣接する県南地域から接種を開始し、順次、県央地域、県北地域へと対象を広げることとしております。
 また、初回の接種については県全体で約43万頭と想定し、現在、農場との調整等を進めており、おおむね3カ月間で全ての養豚農場での接種完了を目指しているほか、今後生まれてくる子豚等への接種も着実に進めていくなど、養豚農場で豚熱が発生することがないよう全力で取り組んでいきます。
 次に、第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けた取り組みについてでありますが、県ではこれまで、次期鹿児島大会での上位入賞に向け、平成30年度に策定した第12回全国和牛能力共進会総合戦略に基づき、生産者の指導を行う専門職員の育成や雄、雌それぞれの候補牛を計画的に生産するため、性判別精液の活用などを進めてきました。
 こうした取り組みにより、昨年10月から出品候補となり得る子牛が順次生まれており、体型を審査する種牛については、県、関係団体等で組織した鹿児島全共出品候補者支援チームにおいて、生産者を個別に巡回し、候補牛の飼養管理や牛を理想の姿勢で立たせるための調教方法などを指導しています。
 また、肉質を審査する肉牛については、畜産研究所等において、超音波診断装置を活用した定期的な肉質調査の結果に基づき、よりサシを入れるための飼料の給与方法などを指導しているところです。
 さらに、今年度は鹿児島県までの牛の遠距離輸送試験を行い、輸送ストレスによる体重減少などの影響を緩和する対策を検討するなど、引き続き、次期鹿児島大会での上位入賞に向け、生産者や関係団体と緊密に連携しながら計画的に取り組みを進めてまいります。
 次に、県有種雄牛の造成と利用拡大についてでありますが、県ではこれまで、全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞を受賞した菊福秀のほか、本県歴代最高の枝肉成績を上げた菊勝久や安久勝晃など約70頭の種雄牛を造成しており、今年度は、菊福秀の産子で脂肪交雑にすぐれる結乃宝を造成したところです。
 このような本県独自の優秀な種雄牛を継続的かつ早期に造成していくため、平成30年度から産肉能力の把握に有効なゲノム解析技術を活用した種雄牛造成を進めており、今年度は、ゲノム解析により選抜した種雄牛候補2頭について、産肉能力を評価するための子牛生産に取り組むこととしています。
 また、県有種雄牛の産肉能力の高さをアピールし、より一層の利用拡大を図るため、今年度から、新たに種山畜産研究室に県有種雄牛のPR活動を行う専門職員を配置し、凍結精液の販売促進活動を強化するとともに、県有種雄牛産子に限定した枝肉共励会を開催することとしています。
 今後とも、このような取り組みにより全国トップレベルの種雄牛を造成し、本県の肉用牛生産の拡大と生産者の所得向上を図ってまいります。
 次に、県産米の生産、販売戦略についてでありますが、県では、本年3月に策定した新たないわてのお米ブランド化生産・販売戦略に基づき、高品質、良食味米の生産等による売れる米づくりや、県オリジナル品種のブランド化等による県産米の評価向上、消費の拡大を進めていくこととしています。
 具体的には、消費者や実需者から高い評価を得ている銀河のしずくの生産拡大とともに、リモートセンシング技術を活用した施肥管理や適期収穫など、高品質、良食味米の安定生産に取り組むこととしています。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響等により米の需給が緩和傾向にある中にあって、消費が堅調な家庭での需要拡大に向け、首都圏の生協等と連携した販売促進キャンペーンを行っているほか、本定例会に提案した補正予算案に、県内の消費者をターゲットに御飯食の情報発信や県産米の販売促進活動に要する経費を盛り込んでいるところであります。
 さらに、県産米の輸出拡大に向け、本年度は、海外市場から求められる品質等に対応した産地づくりを進めるためのグローバル産地計画を策定することとしており、こうした取り組み等を通じて、引き続き、生産者が意欲を持って米生産を行い、さらなる所得の向上が図られるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、スマート農業についてでありますが、スマート農業は、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上、軽労働化などのメリットが期待され、大規模農家から小規模農家まで、幅広い農業者が希望を持てる魅力ある農業の実現に向けた重要な取り組みです。
 一方、急速に高性能化が進むスマート農業機械や設備は、必要以上に多機能であることや高額であることがデメリットであり、導入前に必要性、収益性を十分に検討する必要があります。
 このため県では、本県農業者の幅広いニーズに応えた比較的低コストで導入可能な機械や技術の開発などに取り組んできたほか、導入を希望する農業者が最新の技術に触れることができるよう、スマート農業機械展や地域での作業実演会を開催し、この様子を動画やSNSで発信しています。
 また、県内で活用されているスマート農業技術の概要や効果、導入例などを事例集として取りまとめ、ホームページで広く農業者等に紹介するとともに、経営規模やニーズに応じた技術導入ができるよう助言などを行っているところであり、引き続き、生産性の向上につながるスマート農業技術が、広く県内に普及拡大するよう取り組んでまいります。
 次に、いわゆるウッドショックの影響についてでありますが、国内の木材需要は、輸入木材製品の不足感の広がりから価格が上昇し、その代替として国産材製品に注目が集まり、その原料となる原木の需要が高まっていると認識しています。
 原木価格については、林野庁の資料によると、本年4月以降、全国的に価格の上昇が見られ、5月の杉の価格は、九州地区で前年同期比75%増となった県もありますが、本県では前年同期比18%増で、コロナ禍以前の価格と同程度にとどまっています。
 一方で、県内の工務店等では、住宅建築用の輸入柱材等の入手が困難で、県産材に切りかえる動きがあり、こうした需要の増加に対し、県内の製材、集成材工場は既にフル稼働で対応していますが、県内全体の需要を満たすまでには至っていないと聞いております。
 ウッドショックの要因は、北米における住宅着工戸数の増加、中国での木材需要の拡大、世界的なコンテナ不足による輸送コストの増大などとされているところですが、現段階で、これらが解消される時期などの予測は困難であり、今後の見通しをお示しすることは難しいと考えております。
 次に、国の森林・林業基本計画に対する県の取り組みについてでありますが、今般閣議決定された森林・林業基本計画は、森林を適切に管理し、林業、木材産業の持続性を高めながら成長、発展させることを目指すものであり、適正な伐採と再造林の確保、国産製材品の競争力強化、都市等における木材利用の推進などの施策を掲げています。
 県ではこれまで、合板や集成材などの木材加工施設や木質バイオマス発電施設の需要に応えるため、森林施業の集約化や高性能林業機械の導入支援等により県産木材の安定供給に取り組んできました。
 新たな森林・林業基本計画を踏まえ、全国第2位の森林面積を誇る本県としても、関係団体と連携しながら、伐採と造林の一貫作業やICTを活用した木材の生産、流通、管理の促進など国の施策に対応した取り組みを積極的に進め、県産木材の供給拡大に努めていくとともに、再造林等による森林資源の循環利用を確保し、持続可能な林業の実現を目指してまいります。
   〔文化スポーツ部長熊谷正則君登壇〕
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) まず、本県トップアスリートに対する支援についてでありますが、東京オリンピック内定選手は、国や中央競技団体から遠征費や練習拠点の提供などの支援を受けているところですが、県では、これら国などの支援に加え、オリンピック内定選手を初めとする日本代表選手やその可能性を持つ選手に対し、県体育協会を通じ、各種大会や強化合宿等の遠征費などを支援しています。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会終了後も、引き続き新たな有望選手を強化選手に指定し、トップレベルの試合経験を積ませるなど、アスリートの強化、育成に取り組んでいきます。
 また、障がい者のトップアスリートについても、強化指定選手に対し、遠征費等の支援や指導者の派遣、高性能な競技用具の貸与を行うなど、競技活動を支援していきます。
 次に、ホストタウン等の交流事業についてでありますが、県では、定期的な市町村訪問やオンライン説明会の開催など、本事業の事務局である内閣官房と連携を図りながら、状況の把握に努めてきたところです。
 現時点では、事前キャンプを行う市町は、直接交流が6、オンライン交流への見直しが3、調整中が1であり、事後交流を行う市町村は、直接交流が1、オンライン交流への見直しが4、調整中が9と把握しています。
 県としましては、直接交流を予定している市町に対しては、内閣官房と連携しながら、新型コロナウイルス感染予防対策を盛り込んだマニュアルの作成など、受け入れ態勢の整備を引き続き支援していきます。
 また、オンライン交流を予定している市町村には、動画メッセージの交換やインターネットを使った児童生徒と選手の交流事例を紹介するなど、有意義な交流を継続できるよう支援していきます。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) 盛岡以北の道路整備についてですが、まず、新たな広域道路ネットワーク計画については、地域の将来像を踏まえた広域的な道路交通の方向性などを定めるもので、県全体の道路ネットワークの計画としては、平成5年以来、28年ぶりの計画となるものです。
 計画では、拠点都市間の連絡強化を主な目的として路線を選定しており、東北縦貫自動車道、三陸沿岸道路の縦軸と宮古盛岡横断道路や釜石自動車道などの横軸を高規格道路に位置づけるとともに、内陸と沿岸の拠点都市間を連絡する国道281号などを一般広域道路に位置づけました。
 また、久慈市と盛岡市の連絡強化に向け、将来的には高規格道路としての役割を期待する構想路線(仮称)久慈内陸道路を位置づけました。こうした考え方については、北岩手・北三陸横断道路整備促進期成同盟会の市町村長の皆様と認識を共有しているところであります。
 国道281号の整備状況と今後の取り組みについては、昨年12月に岩手町大坊の2工区の供用を図ったほか、現在、令和3年度内の供用を予定する久慈市下川井工区、令和2年度に事業化した案内―戸呂町口工区の整備を進めているところであり、トンネル等の整備により、災害時にも機能する信頼性の高い道路となるよう計画的な整備に取り組んでまいります。
〇46番(千葉伝君) 私の質問にそれぞれ御答弁いただきありがとうございます。
 私の冒頭の質問は、知事に対して、岩手県のあるべき姿、知事がどういうことを考えて県民を引っ張っていくか、こういうことの考え方を聞いたつもりであります。御答弁は、今現在取り組んでいる中身として、それぞれ御答弁いただいたところでありますが、私からすればちょっとぴんと来ないというのが本音であります。もっともっと岩手県のトップとしての知事の考え方が岩手県民に浸透していくやり方で進めていただきたいと私は常日ごろ思っているころでありますので、これから施策を進めるに当たっては、明るい面はもちろんですけれども、隠れた面を含めて岩手県民にしっかりと知事が自分の考え方を示していただいて、積極的、強力な進め方をしていただきたいという思いでお聞きしました。
 それで、先ほど畜産の振興に関する質問の中で、平成30年に26年ぶりに発生した家畜伝染病である豚熱の対策の御答弁をいただきました。いずれワクチン接種がこの豚熱への最善の策でありますので、感染源の対策としてのワクチン接種と、もう一つ、感染源の一つであるイノシシの対策も含めて、怠りなくお願いしたいと思います。
 ところで、もう一つの家畜伝染病である高病原性鳥インフルエンザの防疫対策について、再質問させていただきます。
 本県の養鶏は全国第3位の産出額となっており、畜産の中で大きなウエートを占めております。これまで、国内において本年3月までには18県で52事例が発生し、過去最多となる約990万羽が処分されたと聞いています。これまでに本県の養鶏場において、高病原性鳥インフルエンザは発生しておりませんが、一たび発生すると、養鶏場のみならず地域経済にも大きな打撃を与えることになります。
 県では、高病原性鳥インフルエンザの発生防止のため種々取り組んできていることは承知していますが、今後、渡り鳥の飛来するシーズンに向けて、どのような対策を講じていくのか、改めてお伺いします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 高病原性鳥インフルエンザ対策についてでありますが、国の調査によりますと、昨シーズンの全国の高病原性鳥インフルエンザの発生要因は、鶏舎出入り口での消毒が不十分であったことや防鳥ネットが未整備であったことなどが多数指摘されておりまして、改めて消毒の徹底や野鳥等の侵入防止対策が重要と認識しているところでございます。
 このため県では、渡り鳥が飛来する10月までに、100羽以上を飼養する全ての養鶏場に、家畜保健衛生所の職員が立ち入り、衛生管理の徹底を指導しますほか、これまで飼養衛生管理基準で鶏舎への設置が義務づけられておりました防鳥ネットについて、堆肥舎等についても本年10月までに設置することが義務づけられたところでございますので、これを支援するための経費を本定例会に提案いたしました補正予算案に盛り込んでいるところでございます。
 今後とも、県内の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生することがないよう、生産者や関係機関、団体等と緊密に連携しながら、防疫対策の徹底に全力を挙げて取り組んでまいります。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時58分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
12  番 千 葉 絢 子 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時18分再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。名須川晋君。
   〔20番名須川晋君登壇〕(拍手)

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