令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君)日本共産党の斉藤信でございます。
 請願陳情受理番号第41号県立高等学校再編計画後期計画最終案について丁寧な説明と慎重な協議を求める請願が、文教委員会で不採択されたことについて、反対の討論を行います。
 県立高校再編計画後期計画案は、昨年2月6日に公表されました。その内容は、五つのブロックで八つの高校を4校に統合するという統合計画のみの劇的な計画でありました。それだけに、県教委には統合計画にかかわる地域の自治体、学校関係者、経済界等に丁寧な説明が必要でしたが、残念ながら丁寧な説明は行われてきませんでした。
 コロナ禍のもとで、県内9ブロックにおける地域検討会議は、7月から9月にかけてわずか1回だけの開催でした。胆江ブロック、両磐ブロックでは、一関工業高校と水沢工業高校のブロックを越えた統合案に反対の意見が多数出されたと県教委の資料でも明記されています。盛岡ブロックでは、盛岡南高校と不来方高校の統合計画に、統合地域の校長やPTAの会長から、統合により中学生の選択肢が狭まるという反対、懸念の声が出されました。二戸ブロックでは、二戸市長から、福岡工業高校の存続を求める強い意見も出されました。宮古ブロックの宮古商工高校と宮古水産高校の統合には、宮古市長や漁協関係者等から反対の声が上がりました。
 しかし、県教委は、こうした地域、学校関係者、経済界、業界等の反対の声、懸念の声に耳を傾けることなく、説明会も開かずに、ことし2月1日、後期計画最終案を示しました。最終案では、唯一、宮古商工高校と宮古水産高校の統合は見直しましたが、それ以外の統合計画はそのままとなりました。
 盛岡南高校と不来方高校の統合計画には、盛岡市長と教育長の丁寧な説明と議論を重ね慎重な判断を求める要望書が4回にわたって県教育長宛てに提出されています。盛岡市議会からは、盛岡ブロックの大規模統合計画の白紙撤回を求める意見書が提出されました。盛岡南高校の存続を願う会からの嘆願書は1万5、354筆の署名を添えて提出されています。2月18日に盛岡地区の統合計画に関する住民説明会が開かれましたが、そこでも多くの疑問と反対の声が出されました。こうした自治体、市議会、地域住民の声に誠意を持って対応し、丁寧な説明を行うことは当然のことではないでしょうか。
 盛岡地区の統合計画には二つの大きな問題があります。第1に、盛岡南高校と不来方高校の統合の理由、合理性への疑問であります。都南、矢巾地区は、世帯数も生徒数も増加している地域であります。生徒の進路希望に大きな影響を与えるものであります。また、二つの高校は、それぞれ特色のある魅力のある高校であります。だからこそ地域からも、盛岡ブロック内外からも生徒が集まっている高校であります。こうした高校を突然統合して一つにする合理性がありません。特色ある高校という高校改革の方向からも、逆行するものであります。
 第2に、盛岡への一極集中をなくすために統合するというのも合理性のないものであります。特色のある、魅力のある高校をなくせば、盛岡周辺の高校は守られるのでしょうか。かえって盛岡中心部の私立高校に流れるのではないでしょうか。盛岡周辺部の高校を守るためには、葛巻高校を守る葛巻町の内地留学の取り組みや公営塾の設置、寮の建設などの並々ならぬ取り組みから学ぶべきであります。遠野高校と遠野緑峰高校の存続に向けた、遠野市の高校魅力化プランの独自の取り組みも参考にすべきであります。
 一関工業高校と水沢工業高校の統合計画に対し、両市の市長が、それぞれの地域の工業高校の存続を求めていることとあわせ、商工会議所や建設業協会など経済界からは、統合による通学困難から工業高校への進学希望が減少するのではないかという懸念と、地元企業との結びつきと人材確保への懸念が指摘されています。ブロックを越えた工業高校の統合の意義と内容が全く伝わっていないのではないでしょうか。
 また、どの地域に新たな工業高校を整備するかの考え方をもっと立ち入って示すべきではないでしょうか。工業高校統合の再考を要望する会は、盛岡地区のように地元説明会の開催を求めていますが、余りにも当然の要望ではないでしょうか。県教委はしっかり対応すべきであります。
 福岡工業高校と一戸高校の統合計画最終案には、二戸市議会が、福岡工業高校の単独校での存続を求める意見書を提出しています。
 統合計画には重大な問題があります。第1に、福岡工業高校の新校舎が26億6、000万円かけて整備されたその途端に、工業高校を縮小するということであります。新校舎の整備に当たっては、統合の対象とはなっていないとして整備されたものであります。県北唯一の工業高校であり、県北地域の振興と人材育成にとっても工業高校の充実を目指すべきであります。
 第2に、福岡工業高校の生徒がジュニアマイスターに5人も表彰されています。最高の経済産業大臣賞も受賞しています。こうした高校生の活躍が、ことしの入試の応募者、合格者にも反映しているのではないでしょうか。こうした努力と成果に応えて、工業高校の存続と充実を図るべきではないでしょうか。
 第3に、一戸高校と福岡工業高校との校舎制という統合も、生徒に負担をかけるだけになるのではないでしょうか。どちらの高校も、地域と結びついた高校としての取り組みを強化すべきと考えるものであります。
 今回の高校再編計画後期計画最終案全体にも、重大な問題があります。県教委は、生徒数が大幅に減少することを統合の最大の理由としています。しかし、統合計画のない五つのブロックでは、欠員も生徒減少も続くにもかかわらず、学級減の計画がありません。全体の合理性を欠く計画となっているのではないでしょうか。
 県立高等学校再編計画後期計画最終案について丁寧な説明と慎重な協議を求める請願は、余りにも当然のことであり、本来、請願が出されていなくても行われるべきことであります。2月定例会では、一般質問、予算特別委員会、文教委員会での議論が行われました。こうした説明と議論は、統合計画の当事者である地域でこそ行われるべきではないでしょうか。請願を不採択として、こうした民主的な手続を県議会が否定することは、県議会の自殺行為とも言うべきものではないでしょうか。
 最後に、高校再編の統合計画は、早くても令和6年、7年からの計画です。拙速に独断で決めるべきではありません。県教育委員会は、直接県民に責任を持って教育行政を進める機関であります。県教育委員会に提出された各地域の要望に誠実に丁寧に応え、高校再編後期計画を練り上げるよう強く求めます。
 県議会議員各位の良識ある判断と請願の採択への賛同を求め、請願の不採択に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君)以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第37号75歳以上の医療費窓口負担について原則1割負担の継続を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君)起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第37号75歳以上の医療費窓口負担について原則1割負担の継続を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第41号県立高等学校再編計画後期計画最終案について丁寧な説明と慎重な協議を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君)起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第41号県立高等学校再編計画後期計画最終案について丁寧な説明と慎重な協議を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第38号コロナ禍をのりこえるためにもジェンダー平等施策を強めることを求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君)起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第38号コロナ禍をのりこえるためにもジェンダー平等施策を強めることを求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第36号及び受理番号第43号を一括して採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君)起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第36号及び受理番号第43号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第21号から議案第25号まで、議案第31号、議案第32号、議案第34号、議案第36号、議案第40号、議案第41号、議案第43号から議案第54号まで、発議案第1号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君)起立全員であります。よって、議案第21号から議案第25号まで、議案第31号、議案第32号、議案第34号、議案第36号、議案第40号、議案第41号、議案第43号から議案第54号まで、発議案第1号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第28 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(関根敏伸君)次に、日程第28、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。

〔参照〕
各委員会の閉会中の継続審査及び継続調査事件
1 継続審査
  総 務 委 員 会 請願陳情受理番号第39号
えん罪被害者を一刻も早く救済するために再審制度の速やかな改正を求める請願
2 継続調査
  総 務 委 員 会 ・(仮称)いわて被災者支援センターについて
  文 教 委 員 会 ・専門高校の産業教育について
  環境福祉委員会 ・新型コロナウイルスワクチン接種について
  商工建設委員会 ・コロナ禍における中小企業者の支援について
  農林水産委員会 ・県産りんごの輸出の取組について

〇議長(関根敏伸君)お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長から、お手元に配付いたしてあるとおり、それぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(関根敏伸君)御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
日程第29 議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算から日程第59 議案第42号県民会館条例の一部を改正する条例まで
〇議長(関根敏伸君)次に、日程第29、議案第1号から日程第59、議案第42号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。岩渕予算特別委員長。
〔予算特別委員長岩渕誠君登壇〕

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