令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(佐藤ケイ子君)希望いわての佐藤ケイ子でございます。
 先ほど環境福祉委員長から報告のあったうち、請願陳情受理番号第37号75歳以上の医療費窓口負担について原則1割負担の継続を求める請願、及び請願陳情受理番号第38号コロナ禍をのりこえるためにもジェンダー平等施策を強めることを求める請願について、神崎委員長の報告のとおり、決定すべきことに賛成の立場で討論をいたします。
 まず、後期高齢者の医療費窓口負担の2割への引き上げについて、単身世帯の場合、年収200万円以上を対象とすることで法案が用意されておりますが、本県で影響を受ける保険者は3万1、000人、14.2%の方々が、1割負担から2割負担と倍額の負担を求められることになるということです。
 高齢者の方々は複数の受診をしている方も多く、現状でも医療費の負担感は大きいと言われております。2割負担になれば、受診抑制により、さらなる症状の重症化や事態の悪化を招くおそれ、長期的に見て、かえって医療財政を悪化させるおそれがあると懸念されております。
 特に、コロナ禍にあって、感染拡大の収束及び社会不安の解消がなされない中で医療費の窓口負担を引き上げれば、その受診抑制に拍車をかける可能性が高いと日本医師会も指摘しています。
 一方で、2022年以降、団塊の世代が後期高齢者となれば、現役世代の負担は、今後さらにその厳しさを増していくことも危惧されているのも事実ですが、政府は、公費負担の拡充により現役世代の負担を軽減し得る負担構造改革を早急に実行すべきと考えます。少なくとも、今般の後期高齢者の医療費の窓口負担の引き上げで試算されている800億円程度については、後期高齢者の負担増によってではなく、公費で軽減すべきであると考えるものです。
 消費税増税のときだけ社会保障の充実を言うのはおかしいと思います。高齢者の健康と命を危険にさらさせないよう、委員長報告のとおり、本請願を採択することに賛同いたします。
 次に、ジェンダー平等施策を求める請願について、委員長報告は採択であり、願意を酌み取ったものと理解します。
 請願項目の3項目のうちの一つである選択制夫婦別姓の制度導入について反対討論がありましたが、選択的とは、全て別姓に切りかえろというわけではなく、同姓を望むカップルは、これまでどおり同姓を選択すればよいだけ、別姓を望むカップルは選択すればよいだけのことです。
 選択的夫婦別姓の民法改正案については、法制審議会が答申してから四半世紀以上たちますが、国会の議論は進んでいません。そればかりか、昨年、閣議決定した第5次男女共同参画基本計画は、第4次計画まではあった選択的夫婦別姓の導入検討の文言まで削除し、後退してしまいました。
 夫婦同姓を主張する方々には日本古来の伝統と言う方もいますが、明治31年民法成立からのことであり、120年ぐらい前につくられたものです。社会変化に応じた見直しは必要なことです。
 また、海外では、夫婦同姓を厳格に義務づけている国は日本だけと言われており、国連女性差別撤廃委員会からも、何度も制度改善の勧告が行われています。今回、国連女性差別撤廃委員会からの文書を外務省が2年以上放置したことも、問題になっています。
 法のもとの平等、男女共同参画基本法、女性活躍推進など男女平等が進んでいるかのように見えますが、結婚による氏変更の96%は女性が事実上強いられており、間接的差別です。それに対し何の思いやりも見せないばかりか、実生活に不都合が生じて声を上げている人々を無視し続けることは、人権侵害に相当するのではないかと思います。
 不利益を受けている例として、氏変更によりキャリアがリセットされるという仕事上の不利益、銀行口座などの名義変更の煩雑さ、アイデンティティーの喪失感を多くの女性が担わされてきました。変更した人でないと実感できないと思います。私自身も、長い間、違和感を持って暮らしてきました。
 よく、旧姓使用で対応可能だろうと言われますが、本人確認の煩雑さ、国家資格など戸籍上の氏が義務づけられているものも多数あります。また、事実婚のカップルの病院での手続問題、子供は婚外子で差別され、パートナーが亡くなっても相続権がないなど、法的に夫婦として保障されないままです。
 次々に不利益の声を上げ、夫婦別姓を求める訴訟が続いています。最高裁は昨年12月、事実婚の夫婦3組が起こした家事審判を大法廷で審理すると決めました。年内にも新たな憲法判断が示される可能性があります。
 内閣府の2017年の世論調査では、選択的夫婦別姓について賛成が42.5%で、反対29.3%、通称使用を認める24.4%ということでしたが、反対の多くが60歳代以上の方々でした。また、市民団体、選択的夫婦別姓全国陳情アクションが昨年実施した調査では、20ないし50代の約7割が選択制に賛成と、女性や若い世代ほど理解を示す割合が高かったということです。
 世論は変化しているのです。選択制夫婦別姓は、特定の人たちに課せられた不利益を改善するという合理性があります。しかし、反対派の主張は、家族のきずな、一体感、愛だとか、急にロマンチックな感情論が入り込んできます。しかし、氏が同じであれば離婚しないとは言えず、主張に説得力がありません。そもそも、きずなだとか一体感という抽象的なものを人々に押しつけ、制度で縛ることに危うさがあります。不利益をこうむる女性たちの痛みが、長年にわたって無視され続けてきたことに思いをいたすべきです。
 次、請願の2項目の女子差別撤廃条約の選択議定書の締結についてと、3項目の女性の貧困、DV対策の強化については省略いたします。
 以上、ジェンダー平等を推進するため、本請願は、神崎委員長報告のとおり、採択することに議員各位の御賛同をお願いし、討論といたします。(拍手)
〇議長(関根敏伸君)次に、高田一郎君。
〔13番高田一郎君登壇〕

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