令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君)日本共産党の高田一郎でございます。
 新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、今なお闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。また、大変困難な中で奮闘されている医療従事者、関係者の皆様にも深い感謝を申し上げます。
 それでは質問に入ります。
 まず第1に、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守る課題についてであります。
 県内の感染確認は、昨年7月29日以降、県外由来の感染が散発的に発生し、一時収束傾向となりましたが、11月に感染経路を追えない患者の確認が続き、複数のクラスターが発生し一気に広がりました。昨日現在、累計では554人となりました。年齢、死亡者の特徴、無症状者や後遺症の状況、クラスターの発生状況など、感染状況全体の特徴をどのように分析されているのでしょうか。
 鶯宿温泉病院では118人となり、厚生労働省のクラスター対策班が入り封じ込めに全力を挙げていただきました。一方、三愛病院では14人で封じ込めることができました。それぞれの感染拡大の教訓について、どのように分析されているのでしょうか。
 全国のクラスターの発生は2月15日現在5、104件となっており、うち高齢者、医療施設は一番多く1、891件、37%になっております。高齢者施設等でのクラスターの発生は、施設内での治療を継続せざるを得ない事例もあり、重症者をふやす要因にもなっております。
 2月の政府分科会提言でも高齢者施設での社会的検査を提言しており、改定された政府の基本的対処方針でも、特定都道府県に対しての高齢者施設従業員等への集中的検査の計画書を策定することが示されるなど、検査の必要性を提起せざるを得ない状況になっております。既に、全国では18の都府県が高齢者施設での社会的検査を実施し、今後実施を計画している自治体は7県あり、全国の半数を超える25都府県が実施または計画をしています。
 PCR検査は、介護現場で働く関係者の強い要望でもあります。岩手県よりも感染が少ない秋田県、島根県でも実施しており、岩手県でも社会的検査に踏み切るべきでありますが、いかがでしょうか。
 感染抑止に向け、医療機関等への支援や保健所体制強化は必要な課題であります。政府が医療機関への減収補填を拒んできた結果、全国各地で冬のボーナスカットや看護師の離職などが起きております。使命感だけでは働き続けることができないという現場の声に応えていくべきであります。
 保育現場などへ対象範囲を広げ、第2弾の慰労金の支給と地域医療を支える医療機関への補填を行うべきでありますが、どう検討されているのでしょうか。
 先月、一関保健所を訪問し仲本所長と懇談をいたしました。仲本所長は、奥州保健所所長も兼務しながら全力を挙げていました。保健師も大阪へ派遣し、また、現在、大船渡保健所の派遣要請にも応えていると伺いました。クラスターが発生した時期には、職員は、通常業務を行いながら休日返上で深夜まで業務を行っている現場の苦労をお聞きすることができました。さらなる保健所の体制強化が必要と感じました。
 保健師の追加募集も実施されていますが、何人の増員となるのでしょうか。
 ワクチン接種については、県民の中には期待がある一方、不安の声も少なくありません。安全性、有効性、副反応等のリスクについて、県として迅速かつ徹底した情報の提供をすべきであります。県、市町村においても、相談センターなども設置して対応すべきでありますが、どのように対応されるのでしょうか。
 厚生労働省によりますと、ワクチンによる発症予防効果は臨床実験で確認されておりますが、感染予防効果は明らかになっておりません。ワクチンの効果が長期にわたって続くかどうかもわかっておりません。社会全体での効果が確認されるのは時間がかかると専門家から指摘されております。
 ワクチン頼みではなく、検査体制の強化、医療機関への支援などの取り組みを同時並行で行うことが必要でありますが、県の認識について伺います。
 感染対策補助金については、12月末現在の支払い件数は7、115件となっており、事業者からは大変歓迎されております。今後も感染対策に継続した取り組みが必要であり、継続した支援が必要であります。県内の商工会議所、商工会からは、消耗品3割の緩和とともに製造業、建設業など対象業種の拡大の要望が寄せられております。第2次の感染対策補助金に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症は弱い方々に深刻な影響が出ており、とりわけひとり親世帯、生活困窮者への支援は急務であります。最近、子供にはもう少し我慢ねと言っているけれども、こんな生活が続くと不安だ、こういう声が寄せられました。政府は、生活福祉資金や生活保護制度も紹介しておりますが、現実的にはさまざまな困難な課題があります。
 最大200万円まで借りられる生活福祉資金は、新型コロナウイルス感染症特例で借りやすい制度になっておりますが、新たな借金には変わりありません。1月末現在、県内の融資決定件数は、緊急小口資金は3、379件、総合支援金は891件と前年比で約6倍になっています。財務省は、生活困窮者への限定給付の考えもないとしておりますが、厚生労働省は、無理な返済を求めず給付にする際のあり方を検討し始めております。給付となれば制度の利用を促すことができ、生活福祉資金が利用しやすくなります。
 返済免除要件を明確にし、給付措置として対応できるよう国に強く求めるべきであります。国の動向は現在どうなっているでしょうか。
 コロナ禍の影響で失業、生活困窮者がふえる中で、最後のセーフティネットである生活保護の役割が今問われております。生活保護を利用する資格がある人のうち実際に利用している捕捉率は22.9%との推計を厚生労働省は公表しております。生活保護は恥だという意識や、あるいは制度が正確に知られていないことがありますけれども、最大の理由は扶養照会であります。
 福祉事務所が生活保護申請者の親や兄弟などの親族に対して生活援助が必要かどうかを問い合わせる扶養照会が、申請を阻む大きな壁になっています。昨年、住まいを失いかけ私に相談された70代男性も、生活保護だけは絶対嫌だ、娘に迷惑をかけたくないということでありました。
 平成29年度に行った厚生労働省の調査では、扶養照会調査において金銭的な援助が可能となった件数は3万8、000件中わずか600件、1.5%程度であります。扶養照会は、福祉事務所の業務負担も多く、生活保護から遠ざけるものであります。不要で有害な扶養照会はやめるべきと考えますがいかがでしょうか。
 第2に、東日本大震災津波からの復興について質問いたします。
 東日本大震災津波から間もなく10年になろうとしております。岩手県内の犠牲者は、直接死4、647人、行方不明1、111人、震災関連死は470人となりましたが、震災関連死を多く出したことは痛恨のきわみでありました。震災では、劣悪な避難所での生活、狭い仮設住宅での生活が長期化する中で、生活再建、とりわけ被災者の命と健康を守ることは最優先の課題でありました。
 国がわずか2年で打ち切る中で、10年にわたって被災者などの医療費、介護保険利用料の免除を継続し続けてきたことは、被災者の命と暮らしを守る最大の成果であり、被災者の最も切実な要求に応える取り組みであったと思います。
〔議長退席、副議長着席〕
 沿岸市町村の厳しい財政事情の中で、11年目も、非課税世帯に限定しながら12月末まで継続実施となったことは、極めて重要な成果だったと思います。知事は、この10年間、復興にどんな思いで取り組まれてきたのでしょうか。
 10年たっても残された課題がたくさんあります。期限を切って支援を打ち切るのではなく、支援が必要な人には最後の一人まで支援を行うことが必要と考えますが、今後の復興における知事の思いについて伺います。
 被災者の見守り、コミュニティー形成への支援は、ますます重要な課題であります。災害公営住宅には、現在9、100人を超える被災者が入居しており、高齢者と低所得者が多く、孤立化と孤独化が進行しています。
 現在、65歳以上のひとり暮らし世帯は33.6%、特別家賃軽減の対象世帯は67%を占め、こうした中で孤独死が急増しています。これまでも災害公営住宅のコミュニティーの確立と見守りの強化を繰り返し求めてきました。コミュニティー形成の拠点である集会所への生活支援相談員の配置は4カ所にとどまっており、集会所の利用は、月1回から2回が19カ所、3回から5回が5カ所程度となっております。
 2月に完成した盛岡市の南青山災害公営住宅には、もりおか復興支援センターに市から5人が配置され、近隣に居住する被災者を含めた支援が行われております。こうした取り組みが大事であります。自治会役員は高齢化と担い手不足が問題となっており、行政の責任で対応すべきであります。来年度どれだけ広がるのでしょうか。
 災害公営住宅は収入にかかわりなく被災者が入居できますが、収入基準を超えると大幅な家賃の引き上げとなり、退去を迫られます。自治会の担い手でもある共働き世帯が退去せざるを得ない問題の解決が必要であります。
 陸前高田市が国土交通省との協議を踏まえ、みなし特定公共賃貸住宅制度を災害公営住宅に導入しており、県や他の市町村にも広げるべきであります。
 県はこれまで、市町村との意見を踏まえてスピード感を持って取り組むとしておりますが、その後の検討状況について伺います。
 また、知事は施政方針演述で、若者への住宅支援に取り組むと表明いたしました。県が計画する県営住宅活用促進モデル事業は、自治会への参加を条件に、低廉な家賃で住宅を提供することにより地域の活性化を図るものでありますが、これを災害公営住宅にも広げていくべきと考えますがいかがでしょうか。
 水産、加工業の再建は、県が被災事業者に対する独自の被災資産復旧費補助を実施し、その後のグループ補助金が実現し、9割近い水産、加工業者が再建を果たしました。再建事業者の二重ローンを棚上げする仕組みを国に提案し、二つの二重ローンを解消する機構がつくられ、277件の債権買い取りが行われ事業者の再建を後押しいたしました。しかし、被災事業所の再建による借金の返済、主力魚種の大不漁など、東北経済産業局のグループ補助金交付先アンケートでは、震災前までの売り上げ回復は44%にとどまっております。そこに新型コロナウイルス感染症の感染拡大が加わり、基幹的な産業である漁業、水産加工業や観光業は大打撃を受けております。
 主力魚種の不漁は、地球温暖化も指摘され早期の回復は困難であります。とれる魚で対応する魚種転換と海面養殖が必要であります。知事は、マイワシなどの資源の有効活用、サケ、マス類の海面養殖などを推進すると述べておりますが、魚種の転換にしても新しい設備投資が必要であります。どのような支援策を県は検討されているのでしょうか。他産業よりも賃金が低く人材不足も課題であります。これまでにない支援を行うべきでありますが、県のさらなる支援策について伺います。
 津波で被災したまちづくりは大規模災害に対応した事業とはならず、既存の土地区画整理事業、防災集団移転促進事業、そして漁業集落防災機能強化事業による取り組みとなりました。土地所有者の同意に時間がかかり、かさ上げ事業の完成に10年もかかるなどの結果、住宅再建が待ち切れずに高台に移転したために未利用地が発生いたしました。
 既存の整備事業では課題が多過ぎます。今後の災害に備え大震災に対応できるまちづくり、復興事業の創設と制度の見直しを国に求めていくべきと考えますがいかがでしょうか。
 東日本大震災津波では、東京電力福島第一原子力発電所事故による原子力災害が発生しました。地震災害による人類史上最大の惨事となり、10年たってもふるさとに帰れない状況が続いております。
 しかし、菅政権発足後、高浜原発の再稼働容認、六ケ所村の高レベル核廃棄物貯蔵施設の安全審査の合格、女川原発の容認と急速に原発政策を進めております。さらに、汚染水処理は2021年度中に決着しようとしております。沿岸自治体の首長からは、漁業者が今、マイナスから出発し、コロナ禍で大打撃の中にあって水産業に深刻な打撃となると訴えています。一切説明も相談もない国の対応を厳しく批判しておりました。
 汚染水からの分離が困難とされるトリチウムについては、国が世界に公募したところ、ロシアの原子力企業が、小規模施設実証実験で99.9%分離が可能とする提案を行っていたのに対して、政府が大規模施設では困難と提案を受け入れなかったことが最近明らかになっています。汚染水の海洋投棄は新たな風評被害が避けられず、県漁連もこの間反対の声を上げてきました。
 今結論を出さず、陸上保管を続けながらトリチウムを除去する技術の研究開発を行うなど、海洋投棄、海洋放出でない方法の追求とともに、自治体関係者への説明を行うことを国に強く求めていくべきと考えますがいかがでしょうか。
 第3に、介護保険制度について質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、昨年春以来、マスクや消毒液などの不足、感染防護のために出費を強いられ、介護サービスの利用自粛等により事業所収入が減収となりました。また、利用自粛に伴い身体あるいは認知機能の低下についても問題となっております。
 県は、コロナ禍における介護現場の影響をどう把握されているのでしょうか。施設内で感染が出た場合の速やかな入院措置と応援体制、感染対策の指導についても課題があり、施設長からも切実な要望として要請されました。社会福祉法人では専門的な知識もなく、ゾーニングを含めた対策の指導が必要ですが、これらについてどう対策がとられているでしょうか。
 介護保険制度がスタートしてから20年となりました。県は、介護保険制度の課題と問題点をどう検証されているでしょうか。この20年間、県内の平均介護保険料は2、868円から5、955円と2.07倍となりました。しかし、持続可能な制度とするために、認定基準や施設入所基準の見直し、総合事業の導入、重い利用料など、介護保険料を払っても必要なサービスが十分受けられない制度となっております。区分支給限度基準額に対する利用率あるいは特別養護老人ホームの待機の現状、介護人材不足の現状はどうなっているでしょうか。必要なサービスが受けられているのでしょうか。
 特別養護老人ホームについては、入所基準が見直され、どの施設でも介護度4、5が中心となっております。国の職員配置基準では対応できず、職員をふやして対応しています。現行の介護保険制度は、高齢者の要望に応えられない多くの矛盾を抱え、一刻も放置できない現状にあるのではないかと考えます。介護の社会化を目的に始まった介護保険制度がスタートして20年、検証をしっかり行い、制度の改善を求めていくべきと考えますがいかがでしょうか。
 第8期事業計画に向けてさらなる利用者の負担増も計画されております。施設入所者への食事負担あるいは高額介護サービス費の負担限度額も引き上げられますが、その影響はどう試算されているのでしょうか。介護保険料の引き下げに踏み切る自治体がある一方、大幅に引き上げを検討する自治体もあります。県内の状況はどうなっているのか、どれだけの負担増となるのでしょうか。
 次に、第4に、大雪による被害対策と岩手県の農業政策について質問いたします。
 昨年12月14日からの大雪により、県南地方を中心に農業施設などに甚大な被害がありました。2月18日現在、農業施設4、059棟、被害額は34億円、大雪被害としては過去最大となりました。新型コロナウイルス感染症で農畜産物の価格下落とも重なり、被災農家は心が折れている状況であります。それだけに、一人の離農者も出さない決意で被災者支援を行うよう、年末から県に支援を求めてきました。
 2月26日に提案された令和2年度第7号補正予算には総額16億6、000万円余の補正予算が提案され、国補助事業では支援できない被災農家にも県単独事業で対応されたことは、高く評価するものであります。しかし、予算が措置されても、きめ細かな支援が必要であります。
 被災農家の中には、牛舎と育苗ハウスが倒壊し、購入したばかりの田植え機を破損した農家もあります。集落営農の中心にいる農家を離農させないためにも、被害規模に応じた柔軟な支援をすべきであります。資材価格の高騰、資材の調達、育苗の確保はどのようになるのかなど農家は困っております。育苗の確保を含め具体的な営農再開、再建の見通しはどうなっているでしょうか。
 コロナ禍による和牛の販売環境の急激な悪化に高値で導入した牛の出荷が重なって、多くの畜産農家も厳しい1年でありました。肉牛農家の頼りとなる牛マルキンについても4分3補填が続き、算定方法も見直されるなど、コロナ禍の中にあって十分なセーフティネットにならない課題もありました。
 今後、牛マルキンの生産者負担金やコロナ禍で借り入れた借金返済が始まれば、さらに経営は厳しくなります。肥育経営生産基盤強化緊急支援事業の継続支援、あるいは学校給食への提供を含めさらなる販売促進を行うべきであります。今後の畜産対策にどう取り組まれるのでしょうか。
 コロナ禍により岩手県の農業も大きな影響を受けました。しかし、同時にコロナ禍が浮き彫りにしたのは、食料を海外に依存させず、地域内で生産して消費することの重要性であります。規模拡大や効率的な農業ばかりを追求してきた農業政策から、家族農業を含め意欲ある全ての農業者への支援こそ必要なときであります。
 そして、このコロナ禍の中にあって、農村に移住して農的な暮らしを始めようとする若者、女性が増加するなど、既存の価値観が大きく変化する時代でもあります。岩手県における家族農業の位置づけ、岩手県の農業の方向性について県としての見解を伺います。
 最後に、新たな県立高等学校再編計画後期計画最終案について質問いたします。
 生徒の希望する進路の実現、そして地域や地域産業を担う人づくりを基本に検討されてきた後期計画最終案は、統合による大規模校の設置、そして、ブロックを越えた工業高校の統合計画案となっており、丁寧な説明と住民の理解を得ることが、高校再編を進める大前提として進めていかなければなりません。
 不来方高校と盛岡南高校の統合案は、この間、1万5、000人を超える反対署名が県教育委員会に提出され、盛岡市議会では、統合見直し請願が採択されております。県教育委員会はこれをどう受けとめているのでしょうか。
 これまで県教育委員会の高等学校再編計画の基本方針では、県立高校の望ましい規模を4学級から6学級としておりますが、今回の最終案は8学級から11学級となっております。基本方針を根本から変える最終案ではないでしょうか。
 一関工業高校と水沢工業高校の統合案は、商工会議所、建設業協会、地元自治会からも異論が出ており、住民の理解が得られているものではありません。
 一関工業高校では、地域と共同し産業スペシャリストの育成を目標に掲げて、工業人として地域産業を支える人材の育成に取り組まれております。地元の現場見学、地域産業講座と5日間の職場体験、地元企業講話などが行われ就業体験学習に結びついております。そして、技術・知識を地域につなげるプロジェクトとして地域課題解決でも、地域に貢献しております。東磐井地区からの通学は生徒の3割、自転車通学が238人となっております。ブロックを越えた統合案は、地域との結びつきを弱くし、通学困難となる生徒が増加しかねません。
 一関商工会議所からは、県教育委員会に見直しを要望したい。ぜひ住民説明会も開催してほしい。こう要望されました。地域からの要請があればしっかりと対応すべきでありますが、県教育委員会の対応についても伺います。
 福岡工業高校と一戸高校の統合案は余りにも唐突ではないでしょうか。工業学科を削減し専門高校の充実に逆行するものであり、これも地元の理解が得られていません。しかも、福岡工業高校は26億6、000万円の事業費で改築工事が行われており、計画性がないと批判が出ております。
 各地で賛成どころか厳しい意見が出ているのではないでしょうか。最終案が出てからどれだけの住民説明会が行われたのでしょうか。県教育委員会は、今回の最終案に県民の理解が得られたと受けとめているのでしょうか。
 この1年間は、新型コロナウイルス感染症による対応で、高校再編問題は十分な議論がされない現状にありました。住民から異論が出ている最終案については慎重に対応すべきことを求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症の検査についてでありますが、県では、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会での提言や国からの通知を踏まえ、2月19日に開催した岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会で協議の上、新型コロナウイルス感染症の蔓延期における検査方法を定めたところであります。
 この方針では、本県が緊急事態宣言の対象地域となった場合は、全県を対象として、医療機関及び高齢者施設等に勤務する者や入院、入所者を対象とする一斉、定期的な検査を行うとしたところであります。
 また、特定の地域における網羅的な検査の実施については、市中感染のリスクが高くない状況下では推奨しないという県の専門委員会の見解を踏まえ、地域において、多数の感染者または複数のクラスターが発生した場合には、県の専門委員会の意見をいただいた上で、当該地域を対象として同様の検査を行うこととしています。
 県としては、この方針のもと、引き続き岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等の意見を伺いながら、適切な行政検査を実施し、感染拡大防止に取り組んでまいります。
 次に、復興への思いについてでありますが、発災以降、一人一人の幸福追求権を保障すること、犠牲者のふるさとへの思いを継承することという原則のもと、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指す姿として、県民一丸となって復興に取り組んでまいりました。
 復興を進める中で、国の制度では補い切れない支援策の創設や、本県の要望により東日本大震災復興特別区域法の一部改正に反映された土地収用手続の迅速化など、被災地の人々の暮らしや仕事を起点に復興に取り組んできたところであります。
 このような復興の実践の過程で学び、培ってきた幸福を守り育てる姿勢は、持続可能な開発目標SDGsの誰ひとりとして取り残さないとする理念に相通じるものであり、今後の復興を進めるに当たっても重視していく必要があると考えています。
 そのため、今後においては、完成していない一部の社会資本の早期整備を進めることに加え、復興のステージをさらに前に進める中で、被災者一人一人に寄り添い、心のケアやコミュニティーの形成など、きめ細かな被災者支援に継続して取り組んでまいります。
 さらに、被災地においては、主要魚種の記録的な不漁や新型コロナウイルス感染症の影響が大きな影を落としており、これらの影響を受ける事業者への支援に注力してまいります。
 引き続き、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、被災者一人一人の復興をなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していく考えであります。
 次に、原子力発電所事故による汚染水についてでありますが、東京電力福島第一原子力発電所で発生している汚染水は、多核種除去設備―ALPS等によって処理され、発電所敷地内のタンクに保管されていますが、処理水の取り扱いについては、昨年2月の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告書や国に寄せられた意見等を踏まえて、国の責任において処分方法が決定されるものと認識しております。
 一方、処理水を海洋放出する案に対しては、漁業関係団体が風評被害への懸念から反対意見を表明しているほか、自治体の首長からは、海洋放出以外の方法について再考を促す声も示されていると承知しております。
 処理水の処分方法は、本県の自然環境や漁業を初めとする産業に影響を及ぼすものであってはならないと考えており、これまでも全国知事会及び北海道東北地方知事会から国に対し、正確な情報発信と具体的な風評対策を示すよう要望してきたところであります。
 国においては、処理水の取り扱いについて安全性の確保を大前提に、環境や風評への影響などを十分議論の上、漁業関係者を含む国内外の方々の理解を得る必要があると考えております。
 次に、本県の農業の方向性についてでありますが、本県の農業経営は、経営体の約97%が家族経営体であり、家族経営体は、本県の農業生産や農業、農村の多面的機能の維持などに重要な役割を果たしています。
 多くの家族経営体に支えられている本県の農業が、従事者の減少や高齢化が進む中にあって、地域経済、社会を支える持続的な産業として発展していくためには、地域農業の核となる経営体を中心として、新規就農者や小規模、兼業農家など多くの経営体が生産活動に携わりながら、ともに豊かさを実感できる農業、農村を築いていくことが重要と考えております。
 このため県では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、地域農業を牽引する経営体を育成するほか、多くの小規模、家族経営を中心とする集落営農組織等の経営規模の拡大や生産活動の効率化を進めてまいります。
 また、活力ある農山漁村づくりに向け、小規模、家族経営などの地域を支える多様な生産者による地域の農業、農村を維持する取り組みや将来の移住、定住等を見据えた都市と地域住民の交流、連携活動を進めていくこととしています。
 今後とも、農業経営の発展を目指す農家や地域づくりに取り組む小規模、兼業農家など、生産者一人一人が意欲と希望を持って生き生きと働き、暮らすことのできる農業、農村の実現に向け取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君)まず、本県における新型コロナウイルス感染症の状況についてでありますが、特徴としては、感染者の年齢層は、20歳代、50歳代、40歳代の順に多いが、全国と比較しますと70歳以上の割合が高いこと、死亡者は30名が報告されており、全てが65歳以上の高齢者または何らかの基礎疾患のある患者でありますこと、無症状病原体保有者は、報告された感染者の約20%と全国平均並みとなっていること、クラスターは、昨年9月以降、職場、飲食店、医療機関等において16件発生していることなどが挙げられます。
 また、全国的な傾向と同様に、活動性の高い若い方から感染が始まり、同居家族や職場での感染が増加し、その後、医療機関、福祉施設、学校等に拡大していることがうかがわれます。
 感染者の症状や感染経路等については現在分析中であり、今後公表する予定としているほか、後遺症については、実態を把握することが必要と考えており、本県で退院、療養解除された方々を対象とした調査を実施することを検討しています。
 次に、感染拡大の教訓についてでありますが、県内2カ所の医療機関で確認されたクラスターについては、いずれも入院患者及び職員間で、飛沫感染や接触感染により感染が拡大したものと推定されています。
 この2事例に関し、国のクラスター対策班の提言も踏まえて、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースからは、大きく4点の教訓が得られています。
 1点目は、院内における感染制御の責任者を明確にし、感染対策チームを中心に統一的な対策を行うこと。2点目は、現場の気づきを集約する仕組みを構築し、院内における発熱者の増加等の異常を速やかに探知すること。3点目は、院内で感染者が確認された場合に備え、事前に専用区域等を検討すること。4点目は、職員の厳密な健康観察、適正な個人防護具の着脱方法の訓練、休憩室等の職員共有スペースの感染防止対策を実施することであります。
 これらの教訓を生かし、今後とも、医療機関、高齢者施設等への技術的助言に努めるほか、クラスターが発生した施設には、クラスター制御タスクフォースを派遣するなど、感染拡大防止に努めてまいります。
 次に、慰労金と医療機関への減収補填についてでありますが、全国的に新型コロナウイルス感染症対応が長期化する中にあって、強い使命感を持って業務に従事いただいている医療従事者等への慰労金の追加支給や、子供との直接的な接触が避けられない職場で社会機能を維持するための業務を継続していただいている保育士等への慰労金の支給対象の拡大については、国の財源により国全体のスキームで行われることが望ましいと考えています。
 また、医療機関への経営支援については、県ではこれまで、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる入院施設の設備整備、病床確保に対する支援や院内感染対策への支援等を行ってきたところであり、さらに、今般の補正予算及び当初予算案に入院受け入れ医療機関に対し、危険手当の支給経費を補助する事業費を計上したところであります。
 県としては、慰労金の拡充と医療機関への経営支援について、全国知事会を通じて国に要望しているところであり、今後も機会を捉えて国に働きかけてまいります。
 次に、保健所職員の体制強化についてでありますが、新型コロナウイルス感染症への対応により逼迫する県内各保健所の体制強化を図るため、昨年12月に保健師の追加募集を実施したところであります。
 令和3年4月1日の採用者数については、実施済みの通常募集の7名と今回実施した追加募集の8名を合わせ15名を予定しており、退職補充分を除くと10名程度保健師を増員できる見通しであります。
 また、国では、感染症対応業務に従事する保健師の恒常的な人員体制を強化するため財政措置を講じることとしており、こうした状況を踏まえながら、引き続き必要な保健所体制の強化に努めてまいります。
 次に、ワクチンに関する情報提供についてでありますが、現在、国内で接種が進められている新型コロナウイルスワクチンは、国内外の臨床試験から得られた有効性や副反応等の安全性の知見について、国の専門機関による分析、評価により薬事承認されたものであります。
 国では、薬事承認後においても、現在実施している医療従事者向けの先行接種などにおける副反応を疑う事例を収集し、安全性や有効性に関する情報を国民に対しホームページなどで随時発信しております。
 また、県と市町村では、相談体制としてコールセンターなど相談窓口を設置することとしており、県では、市町村で対応が困難な医学的知見が必要となる専門的な相談などに対応し、市町村では、接種場所やクーポン券等に係る住民からの問い合わせに対応することとしています。
 県としては、県民がワクチンの意義や効果、想定される副反応等について正しく理解した上で、接種の必要性をみずから選択すること、また、希望する方がその機会を逃さないようにすることが重要と考えており、今後示される国からの情報に基づき、さまざまな媒体により県民に対して丁寧な周知に努めてまいります。
 次に、検査体制の強化等についてでありますが、現在、我が国で薬事承認され導入が進められている新型コロナウイルスワクチンについては、発症予防と重症化防止の効果は認められているものの、感染予防と集団免疫の効果は、まだ十分に解明されていないものと承知しております。
 そのため、感染の蔓延状況が改善するまでの間は、マスク、手洗いなどの基本的な感染対策を継続することに加え、検査体制や医療提供体制についても、引き続き手厚い体制を維持することが重要と認識しており、令和3年度当初予算案において、PCR検査や病床確保等に必要な経費を盛り込んだところであります。
 次に、生活福祉資金についてでありますが、今般の特例貸し付けに係る償還免除要件については、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができるとされていたところでありますが、先般、国から、緊急小口資金については、令和3年度または令和4年度の住民税非課税の場合に一括免除を行うとの方針が示されたところであります。一方、総合支援資金の免除要件については、引き続き検討することとされております。
 償還開始は、据置期間の1年間延長により令和4年度からとなりましたが、県では、全国知事会を通じて、償還免除の要件を住民税非課税世帯に限定せず、借受人の収入実態等に基づき判断するなど、さらに緩和するよう国に緊急提言を行ったところであり、今後も機会を捉えて国に働きかけてまいります。
 次に、生活保護に係る扶養照会についてでありますが、生活保護法において、民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものと定められていることから、保護の実施機関においては、要保護者に扶養義務者がいる場合には、国が定める基準により扶養能力調査を行っております。
 これまでも、扶養義務の履行が期待できないと判断される扶養義務者には、基本的には直接の照会は行わないこととしてまいりましたが、今般、国により、今の時代や実態に沿った形で運用できるよう、扶養照会の取り扱いについて見直しが行われたところであります。
 扶養照会では、金銭的な扶養に限らず、精神的な支援の可能性についても確認してきたところでありますが、扶養照会が壁となり保護の申請をためらわせることがないよう、要保護者の相談に当たっては、今般の改正の趣旨も踏まえ、丁寧に生活歴等を聞き取り、個々の要保護者に寄り添った対応がなされるよう、保護の適正実施に努めてまいります。
 次に、災害公営住宅のコミュニティー形成支援についてでありますが、本県では、市町村社会福祉協議会に配置した生活支援相談員が、市町村等と連携しながら、災害公営住宅等における被災者の見守り、コミュニティー形成支援等に取り組んでまいりました。
 令和元年度からは、見守りやコミュニティー形成支援を重点的に行うため、生活支援相談員を災害公営住宅の集会所や地域の空き家に配置する地域見守り支援拠点の取り組みを実施しており、本年2月末現在、5市町9カ所の拠点を設置し、うち災害公営住宅への設置は3市町4カ所となっております。
 令和3年度は、新たに1市3カ所で設置し、うち災害公営住宅は1カ所を予定しており、県としては、住民に最も身近な市町村や市町村社会福祉協議会の意向を踏まえながら、地域の実情に応じた拠点の設置を進めることにより、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が相互に支え合う福祉コミュニティー形成を進めてまいります。
 次に、介護現場の感染症対策についてでありますが、介護現場への影響については、昨年10月分の本県の1事業所当たりの平均介護保険給付費は、介護報酬の増額改定も反映されていることから、新型コロナウイルス感染症による影響の評価は難しいところでありますが、前年同期比で、介護老人福祉施設では1.6%、訪問介護では7.7%、通所介護では2.8%の増加であり、また、サービス受給者数は、介護老人福祉施設及び訪問介護では増加しており、通所介護ではわずかながら減少している状況にあります。
 感染対策につきましては、施設内患者発生時における職員等が不足する場合の派遣応援システムの構築、本県の感染症対策チェックリストを活用した具体的な感染対策の助言、高齢者施設等を対象とした感染症対策の研修会の開催などにより、感染防止対策を支援しています。
 また、大規模クラスター発生時においては、いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースの派遣を行っています。
 さらに、介護施設等の簡易陰圧装置の設置、ゾーニング環境等の整備、多床室の個室化などを支援する経費を当初予算案に計上しているところであります。
 次に、介護サービスの現状についてでありますが、本県の区分支給限度基準額に対する利用率については、介護保険事業報告をもとに算定したところ、令和2年10月におけるサービス提供分で50.3%となっています。
 特別養護老人ホームの待機者は、令和2年4月1日現在における在宅待機者は1、299人で、このうち市町村が早期の入所が必要と判断した待機者は813人となっています。
 介護人材不足については、令和2年12月の県内の有効求人倍率が、全産業の1.06倍に対して、介護職では2.49倍となるなど人材不足が顕著な状況にあり、介護サービスを安定的に提供するためにも人材確保対策が重要と考えています。
 県としては、依然として特養待機者が多いことから、施設整備への補助を行うとともに、総合的に介護人材確保対策を進めることにより、サービス提供体制の確保に引き続き努めてまいります。
 次に、介護保険制度の改善についてでありますが、国において、2025年に向けて、さらにはその先の2040年を見据えて、介護予防、健康づくりの推進、保険者機能の強化、地域包括ケアシステム推進及び持続可能な制度の構築等の観点から、社会保障審議会での議論も踏まえ、介護保険制度の見直しを進めていると承知しています。
 県としては、県民が介護に不安を持たず、安心して老後を送るためには、介護保険制度の円滑かつ安定的な運営と適切なサービスの供給を図ることが重要であるとの認識のもと、これまでも国に対して、安定的な介護サービスの提供のための介護報酬設定や、利用者負担の軽減など低所得者対策の充実等について要望してきたところであります。
 今後も、国の動向を注視しつつ、介護を要する高齢者に必要なサービスが必要なときに提供できるよう、さまざまな機会を捉えて国への働きかけを行ってまいります。
 次に、介護保険料の見通し等についてでありますが、議員御指摘のとおり、令和3年8月から、介護保険施設における食費の基準費用額が増額改定されるとともに、高額介護サービス費については、収入要件に新たな区分が設けられ、自己負担限度額の上限額が引き上げられる予定となっています。
 今回の制度改正による影響については、基準費用額では、食費全額を本人が負担する施設入所者に限ってのあらあらの試算となりますが、4、400人程度が負担増となる見込みであります。
 また、高額介護サービス費では、国が推計した割合を単純に当てはめますと、自己負担限度額の上限額が引き上げられるのは400人程度と見込まれます。
 また、第8期計画期間の介護保険料については、各保険者において算定しているところであり、現時点では具体的な額をお示しできる状況にはございませんが、県介護保険事業支援計画の最終案に向け、3月中旬に各保険者の見込み額を取りまとめる予定であります。
 なお、昨年実施したヒアリングによりますと、県内24保険者中18保険者が増額を見込んでいると承知しております。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)まず、感染症対策補助金についてでありますが、感染症対策は、消毒液の設置、マスクの着用にとどまらず、パーテーションや換気設備の設置等、店舗内の環境整備を進めていただく必要があることから、補助対象経費については、消耗品の購入を一定額までとしたものであります。
 また、対象業種については、不特定多数の方々と対面で接客する店舗を持ち、感染リスクが高いと考えられる飲食業、小売業、サービス業などを対象としたものであります。
 今般、感染症の影響が継続する中、これまでの支援策に寄せられた御意見も踏まえながら、さまざまな固定費や消耗品を含む感染症対策費用等にも充てられる使途を限定しない支援金を1店舗当たり40万円支給することとし、今定例会に提案した補正予算案に必要な経費を盛り込んだところであり、これにより事業者を支援してまいります。
 次に、水産加工業の再建についてでありますが、主力魚種の不漁が続く中での原材料の調達や、人口減少や少子高齢化が進む中での人材の確保は、水産加工業が直面する重要な課題であると認識しています。
 このため県では、原材料の調達については、魚種を転換し代替原料を活用した加工品開発の促進に向け、専門家派遣や相談会の開催、いわて希望応援ファンドによる助成などにより消費者ニーズに対応した付加価値の高い商品開発を支援しており、県内外での商談会や大手量販店でのフェアの開催、沿岸部へのバイヤー招聘などにより販路拡大も支援しています。
 また、設備投資については、国の各種補助事業の導入や設備貸与事業の活用を促進しています。
 人材の確保については、就職面接会や企業見学会の実施、従業員宿舎整備等への補助により引き続き支援してまいりますとともに、新たに令和3年度から、プロフェッショナル人材の活用促進に係るサテライト拠点を沿岸に設置し、水産加工業の生産性、付加価値の向上などを支援してまいります。
〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君)まず、みなし特定公共賃貸住宅についてですが、中堅所得者向けに災害公営住宅を提供するこの制度の導入に当たりましては、被災者や公営住宅が本来対象としている所得階層の入居希望者に影響を与えないことが条件となります。
 このため、今年度は、被災者の入居が見込まれる住居を一定数確保した上で、残る空き住戸について、一般の方を対象とした募集を昨年7月、8月、10月、12月、そして、ことし2月と5回実施してきたところであります。
 この一般公営住宅としての運用を開始した後に生じる空き住戸の状況を踏まえまして、入居者のニーズや市町村の意見等も参考にしながら、沿岸地域の復興にふさわしい制度となるよう検討を進めてまいります。
 次に、若者への住宅支援についてですが、県営住宅活用促進モデル事業については、初年度である令和3年度に導入する4団地において、実際に入居された方や自治会等に対してアンケート調査を行いまして、事業の有効性や改善点を検証した上で、県内の一般の県営住宅への普及を考えているものであります。
 災害公営住宅への導入につきましては、昨年7月に被災者以外の入居を可能とする一般募集を沿岸部において始めたところでありますので、この一般公営住宅としての利用状況等、関係市町村の意見等も踏まえながら対応について検討してまいります。
〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君)まちづくり事業の見直しについてでございますが、発災以来、用地取得に際しまして、相続登記の未了や所有者不明等の理由により取得困難な土地等が多数存在し、手続に時間を要したことから、県では、国に対しまして用地取得の迅速化に向け、岩手弁護士会との共同による提言や政府予算提言・要望を実施してきたところでございます。
 この結果、平成26年5月に東日本大震災復興特別区域法の一部が改正され、土地収用手続の迅速化が一部実現したところでございます。しかしながら、これによってもなお、事業実施において地権者からの同意取得に時間を要することから、平成26年度からは、円滑な用地取得に向けた公共の利益の増進と土地等の私有財産の制限のあり方などについて幅広い議論、検討を進めるよう、国に対して継続して提言、要望を行っているところでございます。
 また、同様に、防災集団移転促進事業における移転元地の利活用についても、具体的な利活用計画のある土地についてのみ国の支援が認められるなどの要件に制限があり、まちづくりに時間を要する状況にあることから、被災地域の実情に即した柔軟な運用について検討するよう、平成27年度から国に対して提言、要望を行っているところでございます。
 近年、全国で大規模災害が多発していることから、将来の災害に備え、本県が経験した復旧、復興の教訓や知見を広く発信していくことが極めて重要であるため、昨年度、提言集東日本大震災津波からの復興―岩手からの提言―を取りまとめ、各都道府県に情報発信し、課題の共有化を図っているところでございます。
 今後におきましても、全国の自治体とも連携しながら、復興の取り組みや経験を生かした仕組みの構築について、引き続き、国に対して提言をしていきたいと考えております。
〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)まず、大雪被害に係る営農再開の見通しについてでありますが、県では、被災したパイプハウスの撤去、再建や不足が懸念される水稲苗の確保などの支援に必要な経費を盛り込んだ補正予算案を今定例会に追加提案したほか、市町村やJA等を対象に補正予算案に盛り込んだ事業の説明会を県南3カ所で開催し、その内容の周知を図ったところです。
 また、広域振興局などに設置した相談窓口での経営相談やハウスの再建時期に応じた野菜等の栽培技術の指導を行っています。
 現在、補助事業の実施主体となる市町村やJAと広域振興局等が連携し、被災した生産者の再建意向や事業要望の取りまとめを行っているほか、不足が懸念される水稲苗をJA間で融通するための調整を進めています。
 県としては、関係機関、団体と連携しながら、引き続き、生産者が意欲を持って春からの生産活動を行っていくことができるよう、鋭意取り組んでまいります。
 次に、今後の肉用牛振興についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた肉用牛肥育農家の経営安定に向け、これまで、県内での牛肉の消費拡大とともに、肥育素牛の導入支援や、国の経営安定対策、いわゆる牛マルキンの生産者積立金が枯渇したことから、生産者積立金から交付されるべき交付金の一部を支援してきたところであります。
 また、うし年であることし、牛をキーワードに展開している、いわてモー!モー!プロジェクト2021の取り組みとして、県内外におけるいわて牛の販売促進活動等による牛肉の消費拡大、県有種雄牛の産子に限定した枝肉共励会の開催による県産牛肉の評価向上、出荷実績に応じて奨励金が交付される国庫事業の要件となる生産者のコスト低減の取り組み支援などを進めることとしており、こうした取り組みを通じて、引き続き生産者の経営安定が図られるよう取り組んでまいります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君)まず、不来方高校と盛岡南高校の統合案についてでありますが、盛岡南高校と不来方高校の統合に対して、盛岡南高校の存続を願う会からの嘆願書や盛岡市議会からの意見書が提出されており、盛岡南高校関係者を中心とした地域の方々の思いは十分に理解し、重く受けとめているところです。
 最終案公表後の2月18日には説明会を開催し、盛岡ブロックの現状と学校統合案の背景や盛岡南高校、不来方高校統合新設校の姿、盛岡工業高校の移転、整備について、資料を準備して丁寧に説明させていただきました。
 県教育委員会といたしましては、全県的な視野に立ち、生徒にとってよりよい教育環境の整備をしていくという考え方を重視してまいりたいと考えております。
 次に、一関工業高校と水沢工業高校の統合案についてでありますが、胆江及び両磐ブロックの地域検討会議等においては、県南地域における大規模な工業高校の新設について、一定の規模や充実した設備のもとで、より高度な技術を学ぶことは重要であるとの意見がある一方で、圏域の広い統合により通学が困難となる生徒が生じる懸念があるなどの意見もいただいたところです。
 今回お示しした最終案では、これらの意見を踏まえ、地域の学びを確保するという観点からも、千厩高校の産業技術科は統合の対象とせず、東磐井地区の生徒の通学圏に工業の学びを残すよう修正を加えたところです。
 統合までには一定の準備期間を置くこととしており、今後においても、地域の関係者等の意見を踏まえながら、生徒にとってよりよい教育環境を整備してまいりたいと考えております。
 次に、福岡工業高校と一戸高校の統合案についてでありますが、福岡工業高校の校舎については、安全で安心して学ぶことのできる教育環境の整備を図るため、早急に耐震化を進める必要があったものです。
 二戸ブロックの中学校卒業者数は今後も減少し、両校の入学者の推計からは、将来において、福岡工業高校2学級と一戸高校3学級を維持することが難しい状況にあるため、地域を支える人材育成に配慮した学科や系列を維持しつつ、生徒にとってよりよい教育環境を整備するという視点を重視し、最終案としてお示ししたものであります。
 昨年2月の計画案公表後、パブリックコメントを実施するとともに、地域検討会議等を開催して統合の趣旨等について説明するなど、要望への対応を含め、意見交換の機会を多数設けてきたところです。
〇13番(高田一郎君)それでは、再質問いたします。
 知事からPCR検査の考え方について答弁いただきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の厄介なところは、無症状者が感染を広げているということなのです。だから、この1年間の教訓は、積極的な検査戦略を持つということだったと思います。
 先月の専門家会議の指摘には、このような内容があります。都道府県は、保健所の業務をふやさないように配慮しながら、高齢者施設の職員が定期的に検査が受けられるように支援していただきたいと。これを受けて厚生労働省も、高齢者施設での積極的な検査を実施すべきだという通知を出しているわけです。
 先ほど、岩手県においては、県内で複数のクラスターが発生するとか市中感染が広がるとか、ある一定程度の感染が広がった場合に対応するということでありますが、しかし、そうではなくて、やっぱり積極的な検査戦略、高齢者施設などについても、定期的検査に踏み込む方向にかじを切っていくべきではないかと思いますが、この点について改めてお聞きしたいと思います。
 次に、医療従事者の課題ですけれども、やはり使命感だけでは働き続けることができないという声がたくさん、この間私たちに寄せられました。県は、医療従事者の厳しい現状をどのように把握されているのかについてもお聞きしたいと思います。
 岩手県医療労働組合連合会が新型コロナウイルス感染症患者に対応している看護師にアンケートをとりました。そのアンケートの結果について私も拝見いたしました。精神的負担が86%、身体的負担が66.4%となっております。中には、やっぱり感染をして、家族にうつしてしまってはいけないという緊張感の中で毎日業務に当たっていると。そして、病室の清掃、患者家族への対応は、半数近くの人たちが過酷な労働だと訴えております。
 そして、驚くことに、一般病床とのかけ持ちをしているとか、あるいは救急外来1人体制で救急患者あるいは発熱患者を見なければならない、こういう体制でいいのでしょうかと。あるいは、ホテルに宿泊する場合に、看護師が駐車料金を負担しなければならないなど、職場の環境改善と人的配置にも課題があるのではないかとこのアンケート結果を見て感じました。
 改めて、県は、この新型コロナウイルス感染症患者に対応している医療現場の厳しい現状をどう把握され、そして、一つ一つの課題にどう対応されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
 そして、アンケート結果では、PCR検査をきちんとやってほしいのだという声が共通しております。このPCR検査にどれだけ対応されているのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
 次に、経済対策についても一言お伺いいたします。
 経済対策では、深刻な経営を強いられている事業者に対して40万円の給付を行うということで、これは大変事業者から歓迎されております。しかし、商工会、商工会議所などからもお話を伺うと、30%の減収でというのは本当に心が折れると。この30%という数字は廃業も考えざるを得ない数字なのだ、こういうお話をいただきました。やっぱりスピード感を持った取り組みが必要だと思います。この中小事業者への40万円の給付金はどんなスケジュールで対応しようとしているのか、今後のスケジュールについてお伺いしたいと思います。
 それで、地元割クーポンについて代表質問でも議論されました。延長を求める質問でありましたけれども、毎月の新型コロナウイルス感染症に伴う事業者の影響調査でも、一番影響を受けているのは、飲食業でもありますけれども、それ以上に、数字を見ると宿泊業者なのです。やっぱりこの40万円では宿泊業者は、助かりますけれども、何ともならないという状況にあるのではないかと思います。
 やっぱり岩手県の感染状況に照らして、私は、大事な支援策であると思いますけれども、なかなか延長が難しいと判断した理由は何なのか、また、地元割クーポンの利用実績がわかれば教えていただきたい。
〇保健福祉部長(野原勝君)議員から保健福祉部関係で3点御質問いただきました。社会的検査について、医療従事者の現状について、また、医療現場におけるPCRの実態ということでございます。
 まず、社会的検査の実施についてでございます。
 先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、さきに岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会にお諮りいたしまして、議論させていただきました。
 この中では、やはり岩手県はまだ感染リスクが少ないような状況でございます。こうした非常に少ない地域において、蔓延状況が非常に低い状況にあっては、患者確認に至るケースが少ないということ。また、これはスクリーニング検査の特性として、陽性判明的中率と申しまして陽性者の中で実際に感染者である確率を申しますけれども、感染の蔓延が低い状況ですとどうしてもこれが低くなる、いわゆる偽陽性となる方が非常に多く出てまいります。そういった可能性も考慮しての判断だったと理解をしているところでございます。
 一方で、先ほど御答弁申し上げましたとおり、多数の感染者また複数のクラスターといった地域で検査すべき蓋然性が高まった場合には、当該地域を対象とした網羅的、定期的な検査をきちんとやらなければなりませんので、そういったことを実施するといった方針を定めたところでございます。
 続きまして、医療従事者の現状ということでございます。
 今、医療現場の皆様方は、高い緊張感のもとに一般医療、そして新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たっておられます。本当に非常に激務の中で日々診療に当たっておられますことに関しまして、深い敬意を表するものでございます。
 こうした医療現場の皆様方の勤務環境改善を図っていくことは非常に重要な視点でございまして、こうしたことから、県としては、さまざまな感染防止対策、院内感染防止対策に資するための支援などの取り組みを行ってきたところでございますし、先ほども答弁申し上げましたけれども、そうした医療従事者に報いるために、各医療機関では危険手当という形で支援をしているところでございますが、県としても、新たにこの危険手当の支給経費を補助する事業という形で、この2月補正予算、そして当初予算案にも計上させていただいたところでございます。こうした日々頑張っておられます医療従事者の皆様方の支援につながるような環境整備につきましては、現場の状況を見ながら不断に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、3点目、医療現場におきましてPCR検査等がどうなっているのかということでございます。
 例えば新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れております、重点医療機関というものがございますが、こうした医療現場の従事者につきましては、個人防護具の着用など基本的な感染予防策を適切に講じて治療に当たっておられますので、いわゆる県の積極的疫学調査で定める濃厚接触者には該当しないため、行政検査の対象とはなっていないものの、一方で、やはり患者に対応いたしました医療従事者に症状が出た場合には、速やかに行政検査の対応としておりまして、これまでも多数実績がございます。
 なお、一部の重点医療機関におきましては、患者に対応した医療従事者、また救急患者などに対しましても、必要に応じて、行政検査とは別に院内でPCR検査を実施しており、独自に感染防止対策を講じていると承知しております。実態として、多くの医療機関で、院内で独自の努力でPCR検査を実施されているものと承知しているところでございます。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)まず、1店舗当たり40万円の定額を支給する地域企業経営支援金支給事業費についてのスケジュールのお尋ねでありますけれども、これは、現在、補正予算ということで提案させていただいている段階であります。可決いただきましたら速やかに準備を進めたいと思いますが、商工会、商工会議所を窓口として受け付けをする予定としておりまして、そちらの体制もしっかりと整備していただいた上で、極力、今月中にはスタートできるように進めてまいりたいと考えております。
 それから、地元割クーポンについてでありますけれども、利用実績ということですが、7月から9月まで実施しました2、000円割引は約9万6、000人泊となっています。そして、10月から3月まで実施した3、000円割引は、2月末時点での精算件数になりますが、速報値で約7万1、000人泊となっています。そして、岩手県民以外の東北各県、新潟県の県民を対象にしたおでんせ岩手県3、000円割引は、2月末時点で、精算件数は、速報値になりますが約2万5、000人泊となっております。
〇13番(高田一郎君)やはり検査のキャパシティーに余裕がある今こそ、検査体制を強化すべきだと思いますし、新型コロナウイルス感染症の患者に対応している医療従事者の実態を把握して、全ての従事者を行政検査の対象にするように、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 医療現場の実態については、医療局長からもコメントがあればお願いしたいと思います。
 次に、復興の課題についてもお伺いしたいと思います。
 災害公営住宅のコミュニティー確立とひとり暮らし高齢者の見守り支援は、今後ますます重要な課題だと思っております。生活支援相談員の今年度の配置状況を見ますと、121人に対して、現在110人程度になっているのです。来年度の計画を聞いてみたら87人と、どんどん少なくなっている。この5年間でなくしてしまうのではないかという心配があります。十分な体制になっているのでしょうか、この点についてお聞きしたいと思います。
 災害公営住宅の集会室への支援員の配置、これも私たちは毎定例会のように一般質問で求めてきました。これはなぜ全体に広がらないのかということをお伺いしたいと思います。
 私も、南三陸町のことも触れて、南三陸町では60戸以上の災害公営住宅に複数の支援員を配置して、6人体制で全部の災害公営住宅に入居している方々への個別具体的な支援を行っているのです。これは難しいことではないと思いますけれども、なぜ全域に広がらないのか、この点についても伺いたいと思います。
 それで、高校再編についても教育長から答弁がありました。私が質問の中でお聞きしたのは、今回の最終案が、住民の理解が得られたと受けとめているのかどうかということをお伺いしたのです。各地で反対が広がっている中で、やっぱり今度の最終案は、学級減ではなくてブロックを越えた統合なのですね。基本計画にもない大規模校をつくるということですから、とりわけ住民の理解と合意が進める大前提だと思うのです。そうなっていないと私は思うのですが、県教育委員会としてどういう理解をしているのか、住民の理解が得られたのかどうかということが一番肝心なことでありますので、この点についてお聞きしたいと思います。
 時間がないので、私は地元の一関工業高校と水沢工業高校の統合についてお聞きしたいと思います。
 一関工業高校は、今、東磐井地域から通学している方々は44人になっているのです。JR大船渡線の始発に乗って、教育長も一関市出身だから十分わかると思うのですけれども、朝食と昼食弁当の2食持って通学するのですよ。こういう生徒が少なくないのです。宮城県北からの生徒もいるのです。校長先生にお聞きしますと、やっぱり生徒の8割が、一関工業高校で学びたいのだということで入学している子供たちがたくさんいるというお話を聞きました。
 私は、ブロックを広げてしまえば、ブロックを越えて集約してしまえば工業の学びが選択できなくなるのではないかと思います。そういう懸念は県教育委員会として持っているのでしょうか。
 そして、一関工業高校を視察したときに、やっぱり地元企業と学校との連携、地元企業が物心両面で支援しておりますし、職場体験とか、あるいは子供たちが地域に入って、地域の課題解決のために一生懸命取り組んでいる。そういう中にあって、地元企業に就職してみようかという機運が高まっているということもお聞きいたしました。
 今度の統合案で、全体学級数に対しての工業学科の割合がさらに減るわけです。こういう中で本当にいいのかという疑問がたくさん寄せられています。この疑問や懸念に対して教育長はどのようなお考えを持っているのか、この点についても伺いたいと思います。
〇医療局長(熊谷泰樹君)県立病院の実態ということでのお尋ねでございます。議員御発言のとおり、新型コロナウイルス感染症患者に対応する現場からは、やはり精神的、肉体的な負担が大きいというお話を伺っております。特に、一旦ある地域で発生すると、そこで数多く発生する、ある特定の病院に集中するというようなところがあって、その発生したときには相当程度の負担があるところでございます。
 院内での人材のやりくりのほか、不足する場合、県立病院全体のネットワークがありますので、そういったことで、大変になっている病院に職員を応援するという形でやっているところでございます。
 それから、PCR検査の関係でございますけれども、基本的には、先ほど保健福祉部長が御答弁したとおり、病院でございますので、完全防御という格好で対処しておりますが、どうしても気づかないで入院して、入院後に新型コロナウイルス感染症を発症するケースもございます。そのときに完全防備でないところもありますので、そうした場合には、院内感染を防ぐために、接触した職員、患者等につきましては、PCR検査を実施しまして状況を確認しているところでございます。
 それから、やはり病院職員でございますので、患者と接する場面が多うございます。職員が体調不良を訴えるときがありますので、そこは病院の予算で独自にPCR検査を実施し、安全を確認しているところでございます。
〇保健福祉部長(野原勝君)生活支援相談員の御質問をいただきました。生活支援相談員の配置につきましては、現地で支援しております市町村や市町村社会福祉協議会と十分意見交換をしながら調整しているところでございます。
 来年度の配置につきましても、11の市町村及び市町村社会福祉協議会と個別に意見交換をさせていただきまして、地域の実態等を踏まえ87名の配置計画とさせていただいたところでございます。被災地におきましては、見守りでありますとかコミュニティー形成支援は重要な課題でございますので、民生児童委員、また市町村が配置している支援員と十分連携しまして、被災地の支援に引き続き取り組んでまいります。
〇教育長(佐藤博君)県南地域の一関工業高校と水沢工業高校の統合ということでございまして、地域検討会議等でもいろいろと説明をしてまいりました。また、地元からも、この見直しについての提言、それから御意見等も頂戴しております。地域検討会議等での意見の中でも、県南地域に多様な工業の学びを配置する、そして産業人材のさまざまなニーズに対応していくことについての一定の理解というものもあります。
 また、一関工業高校の地域と共同したさまざまな取り組みといったことについて、私も把握しているところでありまして、地元の企業の支援あるいは協力を多くいただいております。また、現場見学であるとか就業体験といった取り組みも、地元企業からの協力をいただいてやっていることも伺っております。そのように生徒が地域に積極的に出ていって地元と連携した活動をしているということは、十分承知しております。こうした取り組みが新設統合校にも引き継がれて、そして、より発展させていっていただければということも期待したいと思います。
 きのうも御答弁申し上げたのですが、仮に現行のままそれぞれの工業高校を存続させていった場合には、中学卒業者数の減少が見込まれていることから、地域での工業の学びをどうやって維持していくか、仮にそのまま残していった場合には、ブロック内の専門高校、他の農業高校とか商業高校との統合による学科の減少等も想定されると。そうなった場合には、工業の学びができなくなるというようなこともございます。やはり県南地域の将来を見据えて、現段階から、県南地域の基幹となる工業高校の整備を検討し、この地域の産業、商工業を支える人材の育成に貢献していきたいと考えております。
 それから、東磐井地域からJRで通学している多くの生徒がいることも把握しております。今後、統合を進めていく上で通学支援の課題も出てまいります。生徒等に対する通学支援策についても、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
〇13番(高田一郎君)高校再編のことについてお伺いいたします。
 今、教育長から、ブロックを越えた統合計画なので通学支援も考えているというような話でありましたけれども、現在、県内の県立高校で通学支援をやっているところはあるのですか。
 それで、今初めて通学支援を検討しているという話がありましたけれども、地域住民から見れば、統合のメリットが全然見えないのですよ。どこの場所につくるのか、どういう工業高校にするのか、そして、単独校よりもこういうすばらしい教育ができるのだというようなものが全くないから、統合のデメリットしか地域住民はわからないのです。そういう中で今反対の声が起きている。
 一関市長は、先週の市議会の中で統合反対を表明いたしました。勝部市長は、身近に工業高校がなくなることにより、工業高校への進学を断念せざるを得ない状況が生じるおそれがあることを強く危惧していると。今後における工業分野の人材確保の観点だけではなく、若者の地元定着の面からも影響が大きいものと考えることから、この最終案では、市民や市内の企業から理解を得ることは難しいと述べております。やっぱり通学困難になる問題、地域の企業との連携が希薄になってしまう、こういう懸念がある。一方、統合してどうなのか、そのメリットも見えない。こういう中で最終案がつくられました。
 一関市長はそういうことを表明しましたけれども、商工会議所を初め経済団体も、来週、見直しを求めて、県に対して要請行動を行うという話も聞いております。
 私は、こういう状況の中で、地域住民の理解を得られない中で最終案を決めてしまうことは、やはり民主主義のルールからしてもあってはならないことだと思います。恐らく今月、最終案が教育委員会会議に提案されて、議論されるのでしょうけれども、今そういう段階にないのではないかと。やっぱり反対の声に耳を傾けて、住民によく説明して、住民の理解を得る努力を行うべきであります。そういうことで対応していくべきだと思いますけれども、改めて教育長の見解をお伺いしたいと思います。
〇教育長(佐藤博君)まず、通学支援についてでございますけれども、県が直接通学支援を行っているかというと、これは現在は実施してはおりません。むしろ各地域の小規模校等が設置されている地元の市町村等で、多額な御支援等をいただいていると。地元に進学してもらいたいということでの通学支援等については、地元市町村の支援が多くなされております。
 ただ、県の今回の最終案の計画の中には、通学支援についても検討を進めていくという記述もきちんと書いております。そういった検討も進めていかなければならない。こういった広域の統合もせざるを得ないような状況になっていく際には、やはり生徒に対する支援についても、あわせて検討していかなければならないということを踏まえてのものでございます。
 それから、なかなかメリットが見えないというようなお話もございますが、先ほども答弁申し上げましたように、このまま地域の生徒、令和7年度以降の中学校卒業者数も見ていきますと、今回の計画期間の令和7年度あたりでは、両校合わせて240人程度でございますが、その先になってきますとどんどん減少していく見込みでございます。
 今回の統合による新設校を設置する立地場所とかはこれからの検討になりますし、どういった施設規模であるとか、どういった内容にしていくかというのは、今後の統合検討委員会等で、地元、行政関係者であったり産業関係者であったり、それから中学校の校長等を含めて多くの方々から意見等を伺いながら、調整会議で検討を進め、そして魅力ある統合校をつくっていくことが大事だと思います。その際には、多様な地域の産業に貢献できるような、さまざまな学びができるようなコースも設置していくということ、そして、最新の施設設備、研修資機材を用意して、魅力ある学校にして、県南の各地域からこの学校に入っていただいて、そして、岩手県を支える、あるいは世界で活躍できるような産業人材の育成を図っていきたいということで考えているものでございます。
〔「関連」と呼ぶ者あり〕

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