令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(千葉盛君)いわて新政会の千葉盛でございます。
 このたびの定例会において、一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。
 まずもって、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方々に心からお見舞い申し上げます。
 また、間もなく東日本大震災津波から10年を迎えようとしております。改めて、犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地にさまざまな形でかかわり、寄り添い、応援していただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。
 それでは、通告に従い質問をさせていただきます。
 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 大船渡市では、先月、県内初の中学校でのクラスターが発生し、その学校の全生徒にPCR検査を実施しましたが、経路不明の感染事例が続き、2月16日から20日間の市独自の感染拡大防止特別期間を設け、市民の行動が制限され、市民生活や経済活動に大きな影響を及ぼしました。
 県ではこれまでも、県内における多くの感染事例に当たってきた経験がありますが、県民生活や経済活動に影響が生じないようにするため、その経験や教訓が感染対策にどのように生かされているのか、知事に伺います。
 特に、大船渡市の事例では、感染者等の公表や情報発信のタイミングに関して、もう少し柔軟に対応できたのではないかと市民から指摘を受けました。また、陽性者の発表も重要ですが、子供たちが主な対象となった大規模な検査においては、迅速な陰性発表も重要であることを感じました。
 個人情報にもかかわることから、公表できない内容があることは理解できますが、感染が沿岸部の特定地域に集中しており、記者発表が午後3時に設定されたときよりも、今回は県全体での感染者数が少なかった状況などを踏まえると、記者発表や情報発信をもう少し柔軟に対応すれば、住民、子供たちの感染対策や不安解消にもつながったのではないかと思われます。実際に、一部の例外を除き、大船渡市では午後3時の記者発表後に、感染発表を踏まえた感染拡大防止の市民への発表や呼びかけなどを行っていました。
 ある自治体に感染が集中し、早目の対策が必要なときには、感染者等の公表や情報発信に柔軟性を持たせる必要があると考えますが、どのように対応していくのか伺います。
 今回、中学校における県内初のクラスターが発生しましたが、これまでの学校における感染事例を踏まえ、今後、同様のクラスター等が発生するなどした場合、県教育委員会ではどのように対応されていくのか、その考えを伺います。
 また、クラスターが発生した中学校は休校となったことから、長期間休んだ生徒もおります。感染した生徒へのサポートや心のケア、受験を控えた生徒への対応、学ぶ機会を失った生徒たちへの対応について、県教育委員会ではどのように取り組んでいるのか伺います。
 厚生労働省が令和3年2月22日に発表した人口動態統計速報によると、2020年の出生数速報値は87万2、683人で、前年比で2万5、917人減少しました。また、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した2020年は、妊娠届の提出が前年を大きく下回っており、2021年の出生数は80万人台を割り込む可能性があるとされています。
 このように、コロナ禍において、全国的に産み控えが指摘されている中で、今のところ、岩手県では産み控えの傾向は見られないようでありますが、コロナ禍のような大変な状況においても、結婚や妊娠、出産をためらわせないよう政策を展開していかなければならないと思いますが、県として、コロナ禍の少子化対策をどのように行い、この難局を乗り越えていくのか伺います。
 次に、東日本大震災津波からの復興について伺います。
 知事演述において、誰ひとり取り残さないという理念のもと、被災者一人一人が復興を果たしていけるよう取り組んでいくと述べておりますが、被災地が抱える課題は多様化しており、自治体ごとに課題が異なってきております。県には、しっかりと状況を把握できる各自治体との連携体制の強化や柔軟な対応、予算措置が望まれます。
 特に、沿岸部の基幹産業である水産業の低迷や人口減少、少子高齢化が急速に進んでおり、復興を進めていくためには産業振興が大きな課題であります。
 被災者の心のケアや新たなコミュニティー形成支援なども大変重要でありますが、観光、物流、企業誘致、人材誘致、港湾振興など、自治体の枠を越えた県内外との交流や連携を図り復興を後押ししていくことが県の重要な役割であると考えますが、県としてどのように役割を果たしていくのか、知事に伺います。
 東日本大震災津波発災当初は、水、食料、毛布等の物資が不足しました。また、物資のニーズ把握が困難で、物資の集積、輸送等が非効率であったため混乱が生じました。在宅避難者への物資供給も十分ではありませんでした。
 これらのことから、災害備蓄について、県では、地域防災計画に基づき、発災直後から食料、生活必需品等の流通が確保されるまでの間、市町村の備蓄を補完するという観点で、食料、飲料水などを備蓄しております。
 令和2年度は、新たに新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、段ボールベッドやパーティションなどの感染症対策物資の備蓄も進めているようでありますが、複合的な災害やコロナ禍のように物資不足に陥った広範囲の災害に備えた備蓄について、さらなる対策が必要と考えますが、災害備蓄対策をどのように行っていくのか伺います。
 備蓄物資の保管場所については、大規模災害時に県内全域の被災者へ迅速かつ効率的に供給できるよう、県広域防災拠点として設定した盛岡、二戸、葛巻、遠野、北上の各エリアの施設に分散し備蓄しています。
 コロナ禍において、マスクや消毒液等が不足するなど、必要な物資が確保できなかったということが実際に起きていることから、しっかりとした災害時の応援体制を構築していくことが求められていると考えます。
 協定先との備蓄確保策や連携強化を図り、どのような状況であれ、協定が機能するような仕組みづくりが必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 震災伝承ネットワーク協議会は、岩手県、宮城県、福島県で整備する復興祈念公園及び青森県、岩手県、宮城県、福島県、仙台市において整備または整備を今後検討している震災伝承施設等を含め、震災伝承をより効果的、効率的に行うために、ネットワーク化に向けた連携を図り、交流促進や地域創生とあわせて、地域の防災力強化に資することを目的として設立されました。令和3年2月現在、震災伝承施設の登録状況は4県で271施設であり、岩手県は105施設となっております。
 4県の積極的な連携とともに、施設同士の相乗効果を生み出す連携協力体制の構築や人を呼び込む仕掛けが必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 東日本大震災津波伝承館は、県営施設の中でも多くの来館者を呼び込むことに成功している施設となっております。令和2年9月から10月までに津波伝承館で行った調査によると、津波伝承館を訪れた人が、県内のほかの震災伝承施設より観光施設に関心を寄せていることがわかりました。来館者は29万人を超えましたが、他の震災伝承施設からは波及効果が実感できていないとの声が上がっており、人の流れが観光に向かっている現状が示されました。
 津波伝承館から訪れた、または訪れたい観光施設では、宮古市の浄土ケ浜や世界遺産平泉、龍泉洞などが挙げられております。また、震災伝承施設では、津波伝承館から近い距離にある奇跡の一本松は多くの人から選ばれましたが、ほかの施設は低調でした。また、初めての来館者や日帰りの来館者が多く、移動手段も自家用車で、少人数での来館が多いことがわかりました。
 このことから、来館者をさらにふやしていく戦略やリピーターの獲得、宿泊を伴う震災伝承施設をめぐるルートづくり、施設館同士の効果的な連携や市町村との広域連携強化が、今後、被災地がさらに復興をなし遂げていく上で非常に重要な要素となってきますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、これらの役割を果たし、津波伝承館を拠点としたゲートウエー機能を強化し、マーケティングを重視した運営を行い、交流人口の拡大を図っていくには、人的配置を手厚くするなど、津波伝承館の体制の強化が必要であると考えますが、どのように対応していくのか伺います。
 本県では、発災以降、全国警察から警備部隊、交通部隊、刑事部隊、地域部隊、生活安全部隊及び航空部隊等の特別派遣部隊、延べ約25万8、000人の応援を受け、厳しい環境の中で、被災者の避難誘導や救出、救助、行方不明者の捜索、交通対策、検視、身元確認など、被災地における安全・安心の確保といった幅広い活動に取り組んでいただきました。
 このうち、行方不明者の捜索等を主な任務とする警備部隊は、発災から同年11月22日までの間、延べ約11万人の応援を受け、被災地において捜索活動を実施しており、本県警察官による捜索活動は合計で延べ約460回、約1万1、000人で実施されました。
 東日本大震災津波の県の死者数は1月末現在で4、674人、震災関連死470人、行方不明者1、111人となっておりますが、警察の行方不明者捜索は、10年目以降どのように対応されていくのか伺います。また、月命日の行方不明者捜索の継続など、今後の対応について伺います。
 次に、沿岸振興について伺います。
 沿岸地域の新しい時代を切り開くプロジェクトである三陸防災復興ゾーンプロジェクトの成功は、まさに沿岸地域の未来を切り開くものであります。
 プロジェクトの目指す姿としては、津波伝承館を拠点として教育旅行や企業研修、学術調査などの復興ツーリズムが展開され、国内外から三陸に多くの人が訪れ、防災力向上に大きく貢献すること。県内企業の輸出入や県産農林水産物の輸出の拡大などにより、港湾を中心に復興道路や航路などを活用した物流の結節点として発展し、働きやすく生産性の高い企業がふえ、三陸で働く人々の所得が向上し、地域が活性化すること。三陸鉄道を基軸とした地域交通システムの利便性の向上により、通学や通勤、通院などライフステージに応じた生活圏が拡大し、駅を中心としたまちづくりが進み、広域的な地域社会が形成されること。ジオパーク活動を通じた津波防災等の情報発信や交流イベントの開催により、三陸ジオパークを目指して国内外から多くの人が訪れるようにすること。スポーツツーリズムやフードツーリズムの定着により、三陸の地域ブランドが高まり、国内外から多くの人が訪れ、さまざまな関連産業、サービスも生み出されて、地域が活性化すること。三陸の産業振興や地域振興を担う人材が育成され、さまざまな場面でともに連携し、地域の中で活躍することが掲げられています。
〔副議長退席、議長着席〕
 これらは、全て大変すばらしい目指す姿でありますが、三陸沿岸道路開通に伴い、観光や物流、企業誘致、人材誘致、港湾振興、医療連携などが期待されている中で、県には、このプロジェクトを夢物語にしないで、本気になって取り組んでいただきたいと思います。
 これを実現していくためには真剣な体制づくりが重要でありますが、どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。
 ILCの誘致について、知事は、国内外の動向に臨機に対応しながら、関係団体と連携し、日本政府の早期の意思決定とILC準備研究所設立に向けた積極的な対応について、国に働きかけていくとし、また、ILCによる地域振興ビジョンに基づき、受け入れ環境の整備や加速器関連産業の振興を進めるなど、ILCの実現に向け引き続き全力で取り組むとしております。
 沿岸被災地にとって、ILCの誘致は復興の次のステージへの希望であり、沿岸振興に不可欠なものであります。2月に開催された県議会国際リニアコライダー建設実現議員連盟ILC講演会においても、講師の山下教授は、ことし8月の2022年度概算要求がILC推進事業の進捗にかかわる大きな山場になるという旨のお話をされていました。
 現在、東北ILC推進協議会が公表したILC東北マスタープランにおいて、大船渡港は、ILC建設における物流拠点の一つとして位置づけられ、海外からのILC機材や部品等の輸入港の候補地となっていますが、これを確実にしていくためには、国の動向に先んじて地域での受け入れ準備を進めていく必要があると考えます。
 大船渡市では、大船渡港の活用等プランを作成し、大船渡港からの荷揚げ、その背後地における検査、組み立て、保管など物流ハブ建設地としての利活用、建設候補地までの物流ネットワークの構築、強化を図るため、その可能性をあらゆる角度から検討しています。
 県としても同様に、ILC建設工事において、大船渡港の利活用と、平成29年6月から公募を一時中断している大船渡港永浜・山口地区工業用地の利活用の促進を図るため、また、大船渡港からILC建設候補地までの建設資材の輸送の円滑化に伴う道路整備を早期に検討していくべきと考えます。
 あわせて、これには国による積極的な応援体制も重要となることから、県と沿岸地域、気仙広域とのさらなる連携や体制づくりが不可欠であると思いますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、不漁が続く水産業の振興について伺います。
 水産業を取り巻く環境は、秋サケやサンマ、イカなどの漁獲量の減少や、麻痺性貝毒によるホタテの出荷制限、磯焼けによるウニやアワビの漁獲量の減少、少子高齢化や人口減少などによる漁業就業者の高齢化や後継者不足など、深刻な状況であります。
 また、水産加工業においても、漁獲量の減少による原料不足や価格の高騰が課題となっております。
 これまで以上に人材確保や資源管理、増加している資源の有効活用、生産性向上のための施策、サケ、マス類の養殖の推進、経営力の強化や販路拡大への支援が必要でありますが、水産資源そのものの持続可能性を向上させることが必要とされている中で、厳しい水産業の現状をどのように捉え、課題解決を図っていくのか伺います。
 東日本大震災津波の発災から10年が経過しますが、県内の漁協では、秋サケ等の不漁に伴う定置網漁業の低迷、ワカメやホタテガイ等の養殖生産量の伸び悩みなどにより収入が落ち込んでおり、厳しい経営を余儀なくされております。
 このような状況の中で、来年度からアワビの稚貝放流への助成がなくなることから、アワビ稚貝の放流数を減少したり、放流を中止せざるを得ない漁協があると聞いております。
 放流されたアワビの水揚げが全体の3割とも言われておりますが、稚貝放流数の減少の影響についてどのように捉えているのか伺います。
 また、水産業の振興のため、来年度以降もアワビの稚貝放流への助成を継続していくべきと考えますが、どのように対応されるのか伺います。
 次に、移住、定住政策について伺います。
 少子化や若者の転出超過による人口減少が続いている本県において、若者、子育て世代の移住、定住を促進する上で、住宅補助制度は重要な施策の一つと考えます。
 県では、いわて木づかい住宅普及促進事業において、子育て世代に対し、次世代木材利用創出加算ということで、新築であれば30万円、リフォームであれば5万円加算するとしていますが、子育て世代を支援するという観点から、例えば、子供の人数に応じて加算するなど、多子世帯にさらに手厚く補助すべきと考えますが、子育て世代への加算の考え方について伺います。
 また、住みたい岩手家づくり促進事業には省エネ加算もありますが、2月に県では、気候非常事態を宣言し、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロの達成に向けて、省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入にこれまで以上に積極的に取り組むとしていることから、家庭の省エネルギー化の促進のため、高い省エネ性能等を有する住宅には、さらに手厚く補助すべきと考えますが、見解を伺います。
 県営住宅活用促進モデル事業は、まずは盛岡市、北上市、奥州市の内陸の県営住宅で実施する予定でありますが、早期の県内全体への事業となることを期待しております。
 特に、沿岸被災地においては、災害公営住宅が多く建設されましたが、もともと入居者の高齢者の割合が高く、支援を必要とする人も多い状況であったにもかかわらず、制度上、収入に応じて家賃が引き上げられることから、年々子育て世代の退去が進み、より高齢化が進むことになり、自治会の担い手が不足するなど、コミュニティーの崩壊が危惧されております。
 このような状況の中、この事業は若者の県営住宅への入居を促進し、コミュニティー活動や地域の活性化を図ろうとするものです。
 若者の住居確保や移住推進とともに、災害公営住宅の課題であるコミュニティー形成や地域の活性化のために、早期に災害公営住宅においても同様の事業が行われるようにしていくべきと考えますが、どのように対応していくのか伺います。
 次に、医療体制の整備について伺います。
 県内の医師総数及び人口10万人当たりの医師数は、増加傾向にあるものの、依然として医師不足の状況にあり、全国との格差及び県内の二次医療圏ごとの地域偏在も解消されておりません。
 そのような中、同様の課題を持つ12県で連携し、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会として、国に、医師不足や地域間偏在の根本的な解消に向けた実効性のある施策の実施を求める提言を行い、臨床研修制度の見直しや専門研修の指導医派遣の仕組みの創設など、医師の不足や地域偏在の解消を求めていますが、どのような成果が出ているのか伺います。
 また、県では、地域医療基本法の制定に向け取り組んでいるようでありますが、現在の取り組みはどのようになっているのか伺います。
 令和元年度の医療局職員満足度調査結果によると、ハラスメントに対する知識及び共通理解の醸成や超過勤務縮減への取り組み、施設の老朽化や狭隘化への対応、備品の整理等の対策が課題となっており、特に、看護部門の満足度は、他部門と比較して最も低く、特にハラスメントの項目が低くなっています。
 地域、規模別の満足度については、基幹病院が地域病院と比較して満足度が低く、特に沿岸部基幹病院の満足度が低い状況となっています。
 年代別の満足度については、30代から40代が他の年代と比較して低くなっていることから、この年代が職場の中核となり、業務の責任等が増す年代であるとともに、子育て世代でもあるため、業務配置、人事異動やワーク・ライフ・バランスなどに不満を抱え、満足度低下につながっているものと考えられます。
 ハラスメントについては、職種別や年代別のどの観点からも満足度が低い意見が多く見られることから、相談窓口の設置や研修の実施など、引き続き実効性ある対策をとっていく必要があるとされています。
 このような調査結果から、県立病院の看護師が働きやすい職場環境をつくっていくには、ワーク・ライフ・バランスの充実やハラスメントの防止対策、タスクシフトなど、業務改善による負担軽減などをこれまで以上に取り組んでいく必要があると考えますが、どのように対応していくのか伺います。
 次に、教育政策について伺います。
 小中学校の児童生徒が、1人1台の端末を手にして学ぶGIGAスクール構想の実現に向けた取り組みが進められていますが、その活用策については、各自治体に委ねられています。そのため、全国でもICTを活用した教育に対するビジョンを持ち、積極的に推進している自治体とそうではない自治体では、格差が拡大していることが大きな課題となっております。
 県は、ICTの効果的な活用について、市町村教育委員会と情報共有しながら各学校を支援していくとしておりますが、このままでは、県内でも自治体間や学校間においてICT教育の格差が生じていくのではないかと危惧いたします。
 岩手県学校教育ICT推進協議会が昨年11月に設置されていますが、県内でしっかりとICT教育が推進されるよう、各市町村と連携、協力体制を構築していくべきと考えますが、県はどのような役割を果たしていくのか伺います。
 文部科学省の調査によると、高校の1人1台端末の整備について、今年度中に12県が全生徒分の端末を整備する予定であり、自治体ごとに端末整備の実態にばらつきが出ていますが、県は、県立高校の1人1台端末の実現に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、県ではこれまで、ICTを活用した取り組みをどのように進め、新学習指導要領が学年進行で実施される令和4年度以降、具体的にどのようにICTを活用していくのか伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)千葉盛議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、昨年11月の飲食店でのクラスター発生事例においては、クラスター対策の専門家を招聘し、疫学解析を行うとともに、少人数、短時間、定時換気などの工夫、健康状態が悪いときのいち早い休業などの必要性について助言をいただきました。
 この助言を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策本部員会議において、知事メッセージとして、基本的な感染対策に加え、毎日の健康確認、三密を伴う会合等の回避、事業所に対する業種別ガイドラインによる感染対策の徹底と従業員の健康状態記録、医療機関における症状のある方への積極的な検査の実施などの具体的な要請を行ってまいりました。
 また、昨年12月に医療機関におけるクラスターが発生した際には、国のクラスター対策班に支援を依頼し、もちこまないための院外での活動の際の感染予防策の徹底、ひろげないための入院患者の体温モニタリングによる集団感染の早期探知、つぶされないための保健所等の関係機関との情報共有による早期の対策などの提言をいただいたところであり、こうした内容を医療機関等に対し周知しました。
 今後におきましても、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会等の助言をいただきながら、県民、事業者、医療機関等に対して、感染防止に資する情報を発信してまいります。
 次に、産業振興に係る県の役割についてでありますが、被災地においては、復興需要の縮小や人口減少及び少子高齢化の進行による地域経済への影響が生じている中で、主要魚種の記録的な不漁や新型コロナウイルス感染症の影響が大きな影を落としています。
 このような被災地の課題の変化に的確に対応するため、復興推進プランや第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げる産業の振興施策に加え、戦略的かつ長期的な視点で取り組む三陸防災復興ゾーンプロジェクトに基づき、復興支援を契機とした国内外の多様な主体との連携、協働を一層進めながら、地域の特性や資源を生かした施策を展開し、地域経済の拡大につなげていく必要があります。
 このため、三陸沿岸道路や港湾整備などの新たな交通ネットワークの進展による経済圏の拡大を好機と捉え、企業誘致や水産加工品の販路の拡大による産業の振興や、三陸の豊かな食の発信、東日本大震災津波伝承館をゲートウエーとした広域的な観光振興、プロフェッショナル人材の活用促進や復興支援のつながりを縁とする交流人口の拡大など、地域経済の活性化に向けた施策を進めてまいります。
 引き続き、漁獲量の減少対策や感染症対策に取り組むとともに、地域の強みを生かした広域的な経済活性化の取り組みをさらに進め、持続的に発展する三陸地域を築いてまいります。
 次に、三陸防災復興ゾーンプロジェクトについてでありますが、県では、昨年度、多様な主体の参画のもと、三陸防災復興プロジェクト2019を開催し、復興に力強く取り組む地域の姿、震災の記憶と教訓を発信するとともに、復興支援道路、三陸鉄道リアス線など新たな交通ネットワークを活用し、沿岸地域での広域的な事業をオール岩手で展開したところであります。
 この三陸防災復興プロジェクト2019の目指す姿や取り組みについては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる三陸防災復興ゾーンプロジェクトにおいて継承しており、これまでも震災の教訓の伝承と復興の姿の発信に取り組むとともに、復興の象徴である三陸鉄道を活用した誘客促進や三陸ジオパーク活動の一層の推進、三陸の豊かな食を生かした施策などを展開してきています。
 今後も、県北・沿岸振興本部を中心に、地域産業の振興を図るとともに、三陸地域の多様な魅力を発信して、国内外との交流を活発化し、岩手県と国内外をつなぐ海側の結節点として、持続的に発展するゾーンの創造の実現に向け、全庁挙げて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君)まず、感染者等の公表と情報発信についてでありますが、県では、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、地域での感染症の蔓延を防止し、県民の安全・安心を確保する観点から、患者の個人情報に最大限配慮しつつ、同意に基づき、性別、年代、職業、居住地、症状、行動歴等を公表しております。
 特に居住地については、県内全市町村において対策本部が設置されていること、また、市町村が消毒等の防疫措置を実施する場合があることなどを踏まえ、市町村にも事前に情報提供の上、市町村名も公表しているところであります。
 議員御紹介の大船渡市の事例については、他の患者との接触歴がなく、検査結果の判定についても慎重に行う必要があり、公表まで一定の時間を要したものでありますが、市とも情報共有しながら対応に当たったものであります。
 PCR等検査の結果判明については夜間になることが多く、患者への結果説明と疫学調査については、その後に保健所が行うこととなります。行動歴等の聞き取り調査は、患者の健康状態にも十分配慮した上で実施する必要がありますことから、調査結果の公表については、翌日の午後の取り扱いとさせていただいております。
 一方で、飲食店等において患者が発生し、利用者が特定できない場合などにあっては、感染拡大防止の観点から、速やかに公表を行うこともあるものであります。
 今後におきましても、個人情報やプライバシーの保護に十分配慮しながら、公衆衛生上のリスクに応じて、市町村等とも十分連携し、適時的確な公表に努めてまいります。
 次に、コロナ禍における少子化対策についてでありますが、現在公表されている人口動態統計等によりますと、本県の出生数や妊娠届の減少幅は、前年同期に比べて縮小しており、現時点では、新型コロナウイルス感染症の影響は顕著ではないと考えております。
 一方、婚姻件数については、前年同期比の減少幅が拡大しており、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化すれば、出生数に影響が出てくる可能性があるため、新型コロナウイルス感染症の早期収束に向けて取り組むことが重要と考えております。
 新年度においては、ワクチン接種など、新型コロナウイルス感染症対策に引き続き取り組むとともに、働き方改革や女性活躍支援と連携し、結婚支援、市町村と連携した新婚世帯の住宅支援、特定不妊治療費の助成や修学資金貸し付けによる保育士の育成など、出会い、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない取り組みを総合的に推進してまいります。
 次に、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の成果等についてでありますが、県では、地域医療を守るため、医師の計画的養成や適正配置などを主眼とする(仮称)地域医療基本法の制定を求め、これまで政府予算提言・要望や全国への情報発信などを通じて、その必要性について提言してまいりました。
 また、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会では、昨年7月に、地域医療基本法の考え方も盛り込んだ提言を取りまとめ、8月には、会長である達増知事と副会長の新潟県花角知事の2名により、厚生労働省への提言活動や自由民主党の医師養成の過程から医師の偏在是正を求める議員連盟における講演を行ったところであります。
 医師少数県のそれぞれの取り組みを知事の会として統一的に提言することにより、国や関係団体等に対する影響力が大幅に強化されたものと考えており、これらの取り組みにより、国においては、医学部の臨時定員増の1年間延長や、卒後臨床研修時の地方における研修期間の拡大に向けた議論が進められるなど、提言の実現に向けた動きが出てきているものと認識しております。
 引き続き、医師少数県等と連携をいたしまして、医療、行政関係者の理解促進を図りながら、実効性のある医師不足、偏在対策の実現を目指し取り組みを進めてまいります。
〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君)まず、複合的な災害やコロナ禍における災害備蓄のあり方についてでありますが、県では、大規模かつ広範囲に及ぶ災害に対応するため、東日本大震災津波の災害対応の検証結果を踏まえ作成いたしました災害備蓄指針に基づき、県内五つのエリアに配置した広域防災拠点施設に県の災害備蓄物資を分散して保管しております。
 また、県では、昨年4月に導入いたしました国の物資調達・輸送調整等支援システムにより、各市町村の備蓄状況を迅速かつ的確に把握することが可能となっておりまして、被災地域が広範囲に及び物資が不足する場合、県から広域的な視点で供給を行うほか、県の地域防災計画の規定に基づき、近隣の市町村間の物資の調達、あっせんを行うなど、適切な物資供給を図ることとしております。
 さらに、災害時に必要な物資については、国のプッシュ型支援や民間団体等との応援協定に基づく調達も可能であることから、今後におきましても、県と市町村が連携し、計画的に備蓄を行うとともに、国や民間団体との連携を深め、必要な物資の調達、確保に努めてまいります。
 次に、災害時応援協定についてでありますが、災害時に応援協定が有効に機能を果たすためには、平時から協定締結先の団体、企業等との連携強化を図っていくことが極めて重要でございます。
 このため県では、総合防災訓練において、協定締結先の団体、企業等に参画をいただき、避難者への物資供給に係る実動訓練を実施しているほか、県の防災会議の委員として参画し、災害対応の検証や物資調達等の助言をいただいているところであります。
 今後も、関係団体、企業等との新たな応援協定の締結を進めるとともに、平時における訓練や研修等を通じて、関係する団体や企業等との連携を深め、災害発生時における対応力の向上を図ってまいります。

〇議長(関根敏伸君)本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。

〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君)まず、震災伝承ネットワーク協議会を生かした連携協力体制の構築等についてでございますが、震災伝承ネットワーク協議会は、国土交通省東北地方整備局が主体となって設立いたしまして、本協議会の取り組み方針に基づきまして、伝承施設の登録や3.11伝承ロードの形成、地域における防災教育プログラムの提供、一般向けツーリズムのツアー化企画など、産学官民一体となった取り組みを推進しています。
 令和3年度におきましては、こうした取り組みに加え、新たに、語り部や震災伝承施設関係者が一堂に会した(仮称)震災伝承連絡会議の開催、3.11伝承ロード認知度向上に向けた情報発信、東北デスティネーションキャンペーン特設サイトとの連携による情報発信などの取り組みが計画されているところでございます。
 本県といたしましても、こうしたネットワーク協議会の活動を利用し、東北地域からの教育旅行の誘致や宮城県、福島県の震災伝承施設等をつなぐ震災伝承ツアー実施の検討などに取り組んでまいります。
 次に、東日本大震災津波伝承館を拠点としたゲートウエー機能についてでございますが、コロナ禍で本県の観光客の入り込み数が大幅に減少する中、伝承館では、特に教育旅行が、開館からの半年と今年度4月から9月の比較で約7倍の9、533人となっているなど、県内、東北を初め、小中高の震災学習の場として多くの来館をいただいたところでございます。
 また、岩手県立大学との共同により、個人客を対象に実施いたしました伝承館を拠点としたゲートウエー機能に関する調査では、三陸沿岸道路の開通効果もございまして、県外から車で訪れ、伝承館を起点として県内の観光地や震災伝承施設を周遊したいとする多くの意見がございまして、伝承館のゲートウエー機能の重要性について、調査結果からも明らかになったところでございます。
 来年度は、近隣の震災遺構でございます気仙中学校やタピック45が公開されるほか、県立の野外活動センターの開所が予定されておりまして、学校関係者との連携を図ることにより、教育旅行等の誘致がさらに期待できるものと考えております。
 また、4月からは東北デスティネーションキャンペーンが始まることから、釜石市のいのちをつなぐ未来館など、県内の他市町村の震災伝承施設や観光関係者と連携し、三陸の自然や食、伝承館と震災遺構を組み入れた復興ツーリズムの推進など、沿岸はもとより、県内各地域へ周遊を促す取り組みも進めてまいります。
 また、伝承館の体制については、解説員の人数等に変更はございませんが、来年度は、新たに高田松原津波復興祈念公園内で活動する市のパークガイドと連携をいたしまして、公園全体を防災の学びの場として見学できるよう、受け入れ体制を整備するとともに、連携協定を締結しております岩手大学及び東北大学災害科学国際研究所からの学術的なアドバイスや、三陸DMOセンターなど観光分野の専門家との連携によりまして、体制の充実を図っていく考えでございます。
〔ILC推進局長高橋勝重君登壇〕
〇ILC推進局長(高橋勝重君)ILCの推進についてでありますが、ILCの建設に当たっては、国内外から多くの機材の海上輸送が見込まれ、円滑に陸揚げできる港湾や輸送経路の確保が重要であり、県では、ILCによる地域振興ビジョンに基づいて、輸送経路を想定した課題の整理と対策に取り組んでいくこととしております。
 現在、東北ILC事業推進センターでは、大船渡港の活用等プランも生かしながら、広域での輸送ネットワークの構築について調査検討を進めており、県では、センターと連携した県内ルートの橋梁調査等の実施について、今後、道路管理者と具体化を進めていくこととしております。
 こうした取り組みによって、県内港湾を活用、通行上の支障箇所の対策も勘案しながら、検査、組み立て、保管施設の配置も含めたルート案を構想し、ILCの建設に備えていくよう考えているものであります。
 気仙地区では、3市町とも東北ILC事業推進センターに参加し、また、民間においても積極的にILCの推進に取り組んでいただき、県も地元での説明や意見交換等に努めております。ILCの実現に向けて沿岸、気仙地区と一層の連携を図ってまいります。
〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)まず、水産業の現状についてでありますが、近年の海洋環境の変化等により、サケ、サンマ、スルメイカ等の主要魚種の資源量が減少し、令和2年の県内魚市場の水揚げ量は約8万5、000トンと、震災前3カ年平均の約5割にとどまっています。
 主要魚種の不漁は、漁業者の収入減に直結するほか、水産加工業者の原料不足等につながり、生産から流通、加工に至る関係事業者の経営に深刻な影響を及ぼしていると認識しています。
 このため県では、主要魚種の資源回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業、養殖業の導入の三つを大きな柱として取り組みを進めることとしています。
 主要魚種の資源回復では、秋サケ資源の回復に向け、高い水温でも回帰する北上川水系のサケの遺伝子情報等を活用した種苗の開発を進めています。
 増加している資源の有効利用では、令和元年漁期から、マイワシを対象とした小型漁船の試験操業を実施しており、2年目となることし6月までの漁期では、効率的な操業方法や収益性等について確認することとしています。
 新たな漁業、養殖業の導入では、市場性の高いサクラマス資源の造成や早期収穫が可能なワカメの大型種苗の普及を進めるほか、サケ、マス類の海面養殖を推進することとしています。
 こうした取り組みを積極的に推進し、海洋環境の変化にも対応した安定的な漁業生産の実現を図るとともに、次代を担う若者が希望を持って就業し、活躍できる収益力の高い水産業が展開されるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、アワビ稚貝の放流についてでありますが、本県のアワビ資源は、東日本大震災津波により種苗生産施設が被災し、漁場のアワビも流出するなど、大きな被害を受けたところであり、県では、国の補助事業に上乗せし、施設等の早期復旧を支援してきました。
 また、平成28年度からは、国の復興事業に上乗せし、漁協が実施する種苗放流に係る経費の支援をしてきたところでありますが、国の復興事業は、種苗生産体制が整うまでの5年間とされたところです。
 一方、アワビ資源の回復に向けては、種苗放流による資源造成とともに、漁獲サイズの制限や保護区域の設置、藻場の造成など、適切な漁場管理に取り組んでいくことが重要であることから、水産多面的機能発揮対策事業などにより、地域の漁業関係者との連携による藻場の保全等の取り組みを支援しております。
 県では、国の種苗放流に係る経費の支援が今年度末をもって終了すること、また、近年の海洋環境の変化により磯焼けが発生し、アワビの生育環境が悪化しており、適切な漁場管理の重要性が増していることを踏まえ、令和3年度政府予算に係る提言・要望において、新たに地域の漁場環境に応じたアワビの種苗放流や藻場の造成等に対する総合的な支援制度の創設を提言したところであります。
 残念ながら、本県の提言は国の令和3年度予算案に反映されなかったところですが、アワビ資源の回復のためには、種苗放流や藻場造成等の取り組みを一体的に実施していく必要があり、引き続き、漁業関係者などとも連携を図りながら、国に対し、アワビ資源の回復に必要な事業を創設するよう、粘り強く働きかけてまいります。
 次に、県産木材を使用した住宅建築への支援についてでありますが、県では、住宅着工戸数の減少に伴い木材需要の減少が見込まれることなどから、県産木材の利用を促進するため、いわて木づかい住宅普及促進事業を令和3年度当初予算案に盛り込み、県産木材を使用する住宅の新築やリフォームに対し支援することとしているところです。
 子育て世代への加算については、住宅取得の検討は、出産や子供の入学など子育てに関するライフイベントを契機とすることが多いことから、子育て世代を重点的に支援することにより、住宅建築や県産木材の利用が促進されると考え設定したものです。
 また、将来を担う子供たちに、県産木材に親しみ、そのぬくもりや香り、心地よさなどを感じてもらい、木に包まれた暮らしを体感してほしいとの思いも込めているところであります。
 こうした子育て世代への支援は、都道府県レベルでの実施例は少なく、県産木材の利用促進のほか、移住、定住の促進にもつながる先進的な取り組みと考えており、林業関係団体はもとより、建築設計事務所や工務店など建築関係者とも連携を密にし、広く県民に利用されるよう積極的に周知を図ってまいります。
〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君)まず、省エネルギー住宅等への補助についてですが、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロの達成に向けては、省エネルギー住宅の普及が必要と認識しているところですが、この省エネ住宅の普及に関しては、ことし4月から施行される改正建築物省エネ法においては、小規模住宅については、省エネ基準の適合義務が見送られたところであり、この要因としては、建築士や工務店の省エネ基準に対する習熟状況が低いこととされています。
 こうした状況を踏まえ、県としましては、省エネ性能を有する住宅の普及を図るためには、省エネ基準に習熟した人材の育成を支援することが必要と考えており、関係団体と協力した講習会を開催しているところです。
 まずは、こうした取り組みを通じて、省エネ基準に習熟した建築士等をふやすこととし、国における省エネ基準義務化の動向などを踏まえ、省エネ性能を有する住宅を普及するための制度のあり方について検討してまいります。
 次に、県営住宅活用促進モデル事業についてでありますが、住宅選択においてニーズの高いWi−Fi設備を県営住宅に整備し、移住、定住を希望する方を含む18歳から39歳までの若者を対象に、低廉な家賃で住宅を提供する事業であり、自治会の活動に参加していただくことを入居条件とすることで、地域のコミュニティー活動の活性化にも寄与しようとするものであります。
 この事業については、初年度である令和3年度に導入する4団地において、実際に入居された方や自治会等においてアンケート調査を行い、事業の有効性や改善点を検証した上で、県内の一般の県営住宅への普及を考えているものでございます。
 災害公営住宅への導入につきましては、昨年7月に被災者以外の入居を可能とする一般募集を沿岸部において始めたところであり、この一般公営住宅としての利用状況等を踏まえ、関係市町村の意見も聞きながら、対応について検討してまいります。
〔医療局長熊谷泰樹君登壇〕
〇医療局長(熊谷泰樹君)看護師が働きやすい職場づくりについてでありますが、職員満足度調査の結果におきましては、議員御指摘のとおり、超過勤務時間やハラスメントについての回答が、設問の中でも満足度が低い項目となっておりますことから、超過勤務縮減とハラスメント防止対策が特に重要な課題であると認識しているところでございます。
 調査結果等を踏まえまして、採血業務の臨床検査技師への移管などタスク・シフティングや外部コンサルタントを活用した業務の削減や見直しなど、超過勤務縮減の取り組みを進めております。
 また、ハラスメント防止対策といたしましては、ハラスメントを正しく理解し、ハラスメントのない職場づくりへの意識を醸成するため、研修会等を開催しているほか、来年度は、職員が直接外部の専門家に相談できるよう、相談体制の強化を検討しているところであります。
 これらの取り組みに加えまして、病児保育を導入し院内保育の充実を図るとともに、多様な勤務形態の運用や計画的な年次休暇の取得の促進など、ワーク・ライフ・バランスの充実にも努めているところでございます。
 引き続き、職員満足度調査などを活用し、職員の率直な意見や思いを酌み取り、具体的な改善施策につなげることで、働きやすい職場づくりに努めてまいります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君)まず、学校で感染症等が発生した場合の対応についてでありますが、小中学校の場合、学校設置者である市町村教育委員会と学校が、管轄の保健所と協議し、臨時休業の要否、校舎内の消毒の範囲、濃厚接触者等の特定、保護者への連絡などに対応しています。
 県教育委員会は、教育事務所を通じて情報把握に努めるとともに、必要に応じて助言を行うなどの支援を行っております。
 また、学校においては、児童生徒一人一人の心身の状況を的確に把握した上で、心のケアが必要な場合は、担任等がスクールカウンセラーと連携を図りながら組織的に対応しています。
 さらに、学習面についても、計画的な家庭学習の充実を初めとし、特に中学校3年生に対しての進路相談等をきめ細かく実施しているところであり、臨時休業に際しては、本人及び家庭と連絡を密にとりながら、児童生徒の学習状況の把握と支援に努めているところです。加えて、地域の実情に応じて可能な範囲で登校日を設定し、学習指導を行うこととしています。
 学校再開後は、指導計画の見直しや個別の補充指導など、児童生徒の学習内容の定着や進路実現に向けて丁寧に対策を講じていくものと承知しています。
 県教育委員会としては、引き続き、市町村教育委員会と連携し、感染症対策に努めるとともに、児童生徒が安全・安心な学校生活を送れるよう取り組んでまいります。
 次に、GIGAスクール構想に伴うICTの利活用についてでありますが、現在、各市町村において、年度内に児童生徒1人1台端末等が整備されるよう取り組んでいるところであり、令和3年度から県内各小中学校において、ICTを活用した授業等が順次実施されていきます。
 このため県教育委員会では、大学等と連携した実証研究で得られた活用事例等の成果を県内の各学校に広げていくとともに、総合教育センターの研修について、令和3年度は、基本研修等70講座をICT活用研修と位置づけて実施することとしているところです。
 また、今年度新たに設置した岩手県学校教育ICT推進協議会において、1人1台端末で使用する学習グループウエアや、統合型校務支援システムの導入などについて、ワーキンググループによる具体的な検討を始めたところであり、引き続き、本県学校教育のICT環境の整備と円滑な利活用に向け、市町村教育委員会と連携して取り組んでいきます。
 次に、高校の1人1台端末の整備に向けた取り組みについてでありますが、県立高校の生徒用端末については、臨時休業等の緊急時でも学習可能な環境を整備するため、貸し出し用となるタブレット端末4、160台を令和2年度第4号補正予算により措置したところであり、さらに、国の第3次補正予算による国庫補助等を活用し、タブレット端末4、320台を追加するための補正予算を計上したところです。
 これにより、これまで各学校のパソコンルームに整備してきたタブレット端末等と合わせると、全生徒数2万4、000人の4割程度となるところでございます。あわせて、この整備によりまして約1万台が授業等で活用できる環境が整うものであります。
 一方で、高校においても、義務教育段階と同様に1人1台端末環境を目指す動きが全国的に加速しており、また、生徒の約3割が自分のタブレット端末等を所持している状況にもあることから、これらのことも踏まえながら、県立高校における1人1台端末のあり方について、引き続き検討してまいります。
 次に、ICTを活用した取り組みについてでありますが、県教育委員会では、今年度から段階的に大型提示装置等の整備を進めており、既に整備された学校では、教科書や資料を映し出すことにより、板書やプリント配布等の時間が削減され、グループ学習による対話的な学びの時間が確保されるなどの効果が得られているところです。
 無線LAN環境についても、全県立学校への整備が年度内に完了し、今後、授業等での活用を進めていくこととしています。
 また、今年度から先行して取り組んでいる大学等と連携した実証研究では、教員は、生徒の理解度の把握や回答の集計をリアルタイムで行うことができること、生徒は、互いの多様な考えを共有し、自分の考えを深められることなどの授業改善につながっているところです。
 令和4年度から高校で実施される新学習指導要領においても、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、ICT機器等を効果的に活用するよう求められており、今後は、実証研究等で得られた活用事例等の成果を全県に広げて取り組んでいく考えです。
〔警察本部長大濱健志君登壇〕
〇警察本部長(大濱健志君)まず、東日本大震災津波10年目以降の対応についてでございますが、今なお1、111名の方々が行方不明となっており、県警察といたしましては、引き続き、被災された方々の心にしっかりと寄り添いながら、捜索活動を含めた被災地支援に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、月命日の行方不明者捜索の継続等、今後の対応についてでございますが、平成30年度から、月命日にとらわれることなく、被災地の実情を一番よく把握する沿岸警察署長の判断により、行方不明者の御家族や地域住民の方々からの要望などを踏まえまして、随時、捜索を実施してきたところでございます。県警察といたしましては、引き続き、復興工事の進展等、捜索現場の環境変化を踏まえつつ、関係機関とも連携しながら、継続して捜索活動を実施してまいりたいと考えております。
   
〇議長(関根敏伸君)以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時18分 散 会

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