令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(菅野ひろのり君)希望いわての菅野ひろのりです。
 登壇の機会を与えていただきました、先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、早速でございますが、質問に入らせていただきます。
まず初めに、コロナ禍における農業施策と新年度の予算編成について伺います。
 コロナ禍において、多くの家庭で自炊をする機会が増加しました。総務省の家計調査で、消費支出額全体に占める家庭内調理の支出比率が21%となり、比較可能な2001年以降で過去最大となったとの報道がありました。
〔議長退席、副議長着席〕
 また、緊急事態宣言下にある首都圏では、消費者の食や農業への関心が高まったと言われ、NHKでは、家族規模で営む中小企業の小さな農業の特集が組まれ、地方の農ある暮らしが見直されています。
 達増知事は、知事演述の中で農業施策にも触れておりますが、私は、加えて、耕地面積が3ヘクタール以下の経営体が全体の約8割、また、耕作面積の約8割も中山間地域にあるという本県の実態を踏まえた農業所得の確保策と、課題である新規就農者の確保、首都圏からの移住施策を一体となって進めることが、コロナ禍において求められている新たな視点だと考えています。
 コロナ禍における課題を踏まえた本県の特性を生かした農業、農村振興をどのように行っていくのか、新年度予算にかける知事の考えを伺います。
 以降は降壇しての質問とさせていただきます。
〔16番菅野ひろのり君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。
令和3年度における農業、農村振興施策についてでありますが、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業であり、また、産地の核となる担い手を中心として、小規模、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わりながら地域社会を支えていることから、こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じて、活力ある農業、農村を実現していくことが重要であります。
 農業従事者の減少、高齢化が進む中、農業の体質強化を図るため、令和3年度当初予算案においては、地域農業の核となる経営体の育成や将来を担う新規就農者の確保のほか、生産性、市場性の高い産地づくりに向けた、金色の風、銀河のしずくを核とした県産米のブランド力向上や、畜産の産地力をさらに高めるための、いわてモー!モー!プロジェクト2021の展開などの取り組みを盛り込んだところであります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響による米の需要減少や、地方への関心の高まりなどを踏まえ、水田を最大限に活用した主食用米から収益性の高い野菜等への作付転換や、将来の移住、定住を見据えたグリーンツーリズム等の受け入れ体制の強化などの取り組みを盛り込んだところです。
 このような取り組みなどを通じて、今後とも、農業経営の発展を目指す農家や地域づくりに取り組む小規模、兼業農家など、生産者一人一人が、意欲と希望を持って生き生きと働き、暮らすことのできる農業、農村の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)知事がおっしゃるのはそのとおりだと思いますし、いわて県民計画(2019〜2028)にもそういったものが示されています。ただ、金曜日に工藤勝子議員がビジョンのお話をされたと思うのですが、私も理解できるところが非常にあるのです。と言いますのが、背中から農村の暮らしというものが伝わってくるからやっぱりそういうビジョンが欲しいのだという、先ほど知事が述べていただいたのはそのとおりなのですが、そうやっている私の地域であったり、奥州市、いろいろな地域で、どんどん農村社会から人が少なくなっていく。これは、その施策を進めているだけでは、大きな生産力の高いところはできるかもしれないけれども、そうじゃない暮らしというのがどんどん変わっていってしまう。そこを私は政策にぜひ反映していただきたいと思っています。
 私は、国が食料・農業・農村基本計画の農業政策と地域政策を別にしていること、これに根本的な課題があると思っておりますけれども、知事においては、ぜひ、さっきの中山間地域であったり、そこに暮らす人たちがいますから、そこに着目した施策もぜひ推進していただきたいと思います。
 そして、新年度の個別の予算編成について伺います。米、園芸、これは中心でありますが、今回は畜産と花卉について伺いたいと思います。
 まず最初に、肉用牛振興についてでございます。
 令和4年、第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会がもう少しでございます。県では、ゲノム解析を用いた種雄牛の選抜を一生懸命やっていただいておりますし、あとは、県種雄牛の取り扱いの割合を高めていく。そのためには、私は、セールスの強化も必要だと思っています。先ほど知事もおっしゃっていただきましたモー!モー!プロジェクトは、12年前に知事発案で始められ、ことし新たに取り組まれます。また、国は、農林水産物の輸出をさらに強化するということで、新年度の肉用牛振興策をどのように行っていくのか伺います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)肉用牛振興策についてでございます。
 本県には、牛にまつわる資源や文化は数多くございまして、牛は岩手の象徴でもありますことから、うし年であることしは、牛をキーワードといたしまして、産地力やブランド力の強化などに取り組む、いわてモー!モー!プロジェクト2021を展開しているところでございます。
 令和3年度におきましては、全国和牛能力共進会鹿児島大会での上位入賞に向けまして、出品候補牛の育成強化、遠距離輸送の影響調査、こういったものに取り組みますほか、県有種雄牛のさらなる利用拡大に向けまして、凍結精液の販売促進活動を強化するとともに、新たに県有種雄牛の産子に限定いたしました枝肉共励会を開催することとしております。
 また、県産牛肉の輸出拡大に向けまして、今年度末までに策定予定のグローバル産地計画に基づきました海外輸出市場のニーズに対応できる産地づくりの推進、それから、関係事業者等と輸出促進活動を行うコンソーシアムを設立いたしまして、産地の特色を生かしたプロモーション活動を行うことにしております。
 今後とも、本県が肉用牛産地として国内外から高い評価が得られますよう、生産者、関係団体等と一丸となって全力で取り組んでまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)上位ではちょっと弱いのではないですか。やっぱり1番を目指していかないと。というのは、1月に菊福秀が亡くなってしまいましたが、この子供が全国の共励会で1位をとったから畜産県岩手ができたわけです。その中で冷凍精液が10万本出ているわけですね。今、岩手県の種雄牛の比率は非常に少なくなっている。ここが課題だと思っているのです。なので、先ほど部長が、今回、人員体制を強化した、ゲノム解析も活用している。私はこれにすごく期待しているのです。
 県の役割は、1位ということをしっかりと明言し戦っていくことですので、ぜひそれをお願いしたいと思いますし、輸出に関しては、当然、全国で取り組み始めます。難しいのは、輸出した先でも産地間競争となる。それがいいのかという議論はありますけれども、どこにどのようにして売っていくのかという出口戦略までしっかりと考えていかなければ、輸出して終わりとなり、本県の和牛がしっかりと定着しないということになります。今は神戸が中心となっているようでありますから、ぜひそこも含めてお願いしたいと思います。
 加えて、次に、リンドウ生産でございます。
 リンドウは、本県が全国シェア6割を誇る産業でございます。来年度予算にはリンドウパワーアップ事業など、いろいろなリンドウ関連の事業があり、今回力を入れていかれると感じました。
 リンドウについては、岩手生物工学研究センターが全国で初めて開発したDNAマーカー技術を活用して、青色八重咲きリンドウの新品種開発が行われました。市場の期待も非常に高く、これは新品種開発の大きな成果だと思います。
 岩手生物工学研究センターでは、高い先進技術に加えて、農業所得に直結することを目標に掲げて研究されています。私は、本県農業の付加価値を高めるものとして大いに期待しております。
 そこで開発された鉢植えの青色八重咲きリンドウの苗供給が、ことしから始まります。現在は鉢植えですが、主力はやっぱり切り花でありますから、そこに広げていけるように、今後も品種開発を行いながら花卉栽培に力を入れていく必要があると思います。
 加えて、全国シェアナンバーワン、これをしっかりアピールすることで、生産者の方々のモチベーションが高まって、花卉振興を推し進めていくものだと考えています。今後の取り組みを伺います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)リンドウのお話でございます。本県では、岩手県花き振興計画に基づきまして、盆や彼岸の需要に向けました切り花品種に加えまして、新たに家庭での需要が期待できます鉢花向けの品種の開発を進めてきたところでございまして、青色で八重咲きの鉢花向けの苗、これはこの春から生産者に供給を開始し、令和4年秋には市場に出荷できる見込みとなっております。
 また、令和3年度当初予算案で盛り込みましたりんどうパワーアップ事業費によりまして、岩手生物工学研究センターが開発いたしましたリンドウの花の色、それから八重咲きを識別いたしますDNAマーカーを活用いたしまして、白、ピンク色で八重咲きの鉢花向けの品種開発に取り組むことにしておりまして、その八重咲き用を切り花の品種の開発につなげていきたいと考えております。
 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会と同時期に開催されます首都圏での各種のイベント、それからウエブ動画配信サービスなどを活用しながら、全国一の出荷量を誇ります本県リンドウの魅力を国内外に積極的に発信することとしておりまして、こうした取り組みによりまして、一層の生産拡大、収益力向上を図ってまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)私は、リンドウ生産は非常にすばらしいと思っています。本県の経営体の面積の小ささ、あとは中山間地域という中において県北の安代から県南の衣川まで生産されています。調べたところ、耕作面積平均は40アールと非常に小さくて、さらに、県内のリンドウ生産農家は550戸ぐらいだそうで1%にも満たない。ここに県が岩手生物工学研究センターと協力して、4年の歳月をかけて品種開発をしていった。さらには、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせて今回の予算をかけていった。予算額の規模は大きいものではありませんが、私はそのような取り組みが非常に重要だと思っています。
 これは要望ですが、岩手県の特色に合った農業施策をしていて、今回のコロナ禍で、移住施策が必要だと私は思っています。チャンスだと。例えば、岩手県移住定住ポータルサイトなどで、しっかりと岩手県のよさや中山間地域での農業、暮らしをセットにして提案していかないと、なかなか地域に人は来てもらえないと思います。広範囲でのスマート農業は大事ですけれども、北海道などにもたくさんありますから、ぜひ、岩手県の魅力をしっかりと伝えていただいて、少しでも岩手県のファンをふやし、ここに住んでくれる方々をつくっていただく施策を推進していただくようお願いします。
 次に、市町村が抱える課題と県との連携、協力について伺います。
 この質問は、私の地元であります奥州市の財政が厳しい中で、県として、県議会議員としてどのような支援、補完ができるだろうということから始まっています。いろいろ調査に行くと、最終的にこれは県全体の課題ということに行き着いて、今回、こちらに重きを置いて質問させていただきたいと思います。
 観点は三つでございます。一つ目は、市町村の税収の状況と合併の総括。二つ目は、市町村が作成する行政計画の作成負担。三つ目は、地方制度調査会の答申。この3点から県と市町村の連携の必要性について、県の考えを伺っていきたいと思います。
 本県も大変厳しい財政状況ですが、33市町村の税収、これはどの程度落ち込みが予想されていますでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)市町村の税収についてでありますが、令和3年度の県内33市町村の市町村税収の見込みは約1、442億円であり、令和2年度の当初予算と比較すると約71億円、4.7%の減となる見込みであります。
 そのうち、税収に占める割合の大きい税目における減収の見込みは、個人市町村民税で約34億円、6.4%の減、法人市町村民税で約26億円、22.8%の減、固定資産税で約9億円、1.3%の減となっております。
〇16番(菅野ひろのり君)やはり市町村も大変な状況であると感じました。あとは、現在のコロナ禍によって減収というのはありますし、平成の大合併による各市町村の財政への取り組み、これにも一つの要因があるのではないかと考えています。
 平成12年4月に地方分権一括法が施行されました。少子高齢化あるいは厳しい財政状況に対応することが目的で推進されたわけであって、県内では33市町村になりました。今回、合併の大きな目的であります市町村の行財政基盤はしっかりと確立されているのでしょうか。平成18年までの合併特例法に沿った合併は、国から手厚い税制優遇措置が付与されました。
 合併後の直面する課題は、合併特例債の期限が到来し、さらに、行財政の効率化が実現していない市町村では、急激なさらなる財政悪化が危惧されていることだと思っています。
 そこで伺いますが、合併し課題が残っている市町村は、市町村自体が改善策を考えて一生懸命やる必要は当然あるわけでありますが、自力で解決できない問題もあり、そこに県のサポートが必要ではないかと思っています。県として、それらの課題をどのように捉え、対応していくのか、知事にお伺いします。
〇知事(達増拓也君)県内の合併市町においては、行政組織の規模の拡大に伴い、専門職員の効率的な配置、増員が可能となり、住民サービスの質の向上につながったほか、合併特例債の発行や普通交付税の合併算定がえなどの手厚い財政支援によって財政基盤の強化が図られ、長年懸案となっていた公共施設や社会資本が整備されるなど、合併の効果があったものと認識しております。
 一方で、各市町においては、人口減少や少子高齢化など市町村を取り巻く環境の変化に対応しながら、安定した行財政基盤のもと、必要な住民サービスの提供や地域課題の解決など基礎的自治体としての役割を果たしていくため、行財政改革に取り組んでいるものと承知しております。
 県においては、合併市町に対し、組織の効率的な執行体制の確立や特例措置終了を見据えた中長期的な行財政運営等、合併後に生じた課題への助言を行ってきたところであり、今後とも合併市町の取り組みに対し必要な支援を行ってまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)今、効果があったというような御答弁をいただきましたが、私が調べると、本当に効果があったのかと感じています。当然、一生懸命された市町村もあるわけでありますが、もともと平成11年に、合併の推進の策定に当たって、自治事務次官通知が出されておりました。どのような効果があると書いてあるかというと、例えば、採用が困難または十分に確保できなかった専門職、保健師、土木技師や建築技師等、これらの採用を増強することができる、次に、医師などによる専門チームが組織できるということが書いてあります。
 さらに、平成大合併の財政学を書かれている専修大学の町田教授によると、合併の効果が発揮されるのは、中心都市の人口密度が大きく変わらない条件のもとにおいてであり、平成の大合併においては、財政効果が発揮されるケースは多くないということをはっきり書いています。
 私は、各市町村の細かいところを把握しているわけではありませんが、合併により広域行政となり非常に生活がしづらい、あるいは施設の統廃合など行政サービスの質が低下しているのではないかと思っています。
 そして、地方分権と行政計画の話に移らせていただきますが、地方分権一括法が施行されましたけれども、私は、分権は進んでいない、むしろ逆行していると思っています。その事例として、昨年6月定例会において佐々木順一議員も同様の課題認識を示されておりました。行政計画の策定が市町村の地方分権阻害要因の一つであると。ポイントとしては、補助金交付の前提となる計画策定が増加している。市町村では計画策定の事務に追われ、地域課題に向き合う余裕がなくなるおそれがある。これらで分権に逆行していることから、国に対して早急に制度改善を求めるべきではないかという質問でありました。
 地方分権と言っているけれども、自治体が計画をつくらなければお金を出さないよということであります。自治体の負担の声も上がっているわけでありますが、さらなる改善と工夫を国に求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県では、市町村に対しての支援策を講じてはどうかと思いますが、知事にお伺いします。
〇知事(達増拓也君)国、地方の本来のあり方を踏まえ、国は国としての役割に専念する一方で、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねていくという地方分権改革を推進していくことが重要であります。
 したがって、国が制度の創設、拡充等を行うに当たっては、地方の実情や裁量の確保に十分配慮する必要があり、補助金や交付金の配分を前提として、一律に計画策定を地方自治体に求めることは極力避けるべきと考えます。
 このような中、全国知事会に設置された地方分権改革の推進に向けた研究会が昨年11月に公表した最終報告において、地方の負担となっている計画策定に関する規定の見直しについて、計画策定を求める法令等の見直し、趣旨、目的の重複や必要性の低下が見られる計画等の統廃合を内容とする提言を取りまとめました。
 これらの内容は、地方分権改革のさらなる推進に資するものでもありますことから、県としても、引き続き全国知事会等と連携し、国に強く働きかけてまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)先ほど知事会を通じて取り組まれていくということでありましたが、引き続きお願いしたいと思います。
 先日、代表質問の答弁であったと思いますが、知事から、知事会を通じて、例えば新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額など、地方の意見が国に取り入れられたということをおっしゃっておりました。やはり緊急時はそうなってしまうのですね。平時からも、国においては地方の意見をしっかりと取り入れていただくように、特に今回、新型コロナウイルス感染症によって地方の意見の重要さがはっきりと示されたと思っておりますので、引き続き、知事におかれてはお願いしたいと思います。
 そして、3点目の地方制度調査会の答申についてに移りたいと思います。
 これは、地方制度調査会の中で、市町村が継続して運営できるよう、県の立場でどのように補完、支援したらいいか考えるに当たって、私は、調査に伺った市町村から意見をいただいてまいりました。現状の県と市町村の連携、協力の仕組みでは、まだまだ受け身という印象が強いと思い、課題意識を持ちました。そこで、私は第32次の地方制度調査会の、2040年ごろから逆算し顕在化する諸問題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申に着目しました。
 この地方制度調査会について、まず確認として伺いますが、国にとってこの答申の位置づけと、我々地方自治体がこの答申をどのように意識すべきでしょうか。
〇政策企画部長(八重樫幸治君)地方制度調査会の答申は、地方制度に関する諮問事項について、国に対し意見を具申するものであり、その答申については、法的拘束力はないものの、国においては、答申を踏まえた地方制度の検討が行われています。例えば、これまでも市町村合併に関する関係法令の改正や、指定都市制度の見直し等に係る地方自治法の改正など、答申を踏まえて地方制度が改正されてきたと認識しています。
 議員御指摘の第32次地方制度調査会の答申では、地方行政のデジタル化、公共私の連携、地方公共団体の広域連携などについての基本的な考え方や方向性がまとめられております。このうち、地方行政のデジタル化については、既に関連法案が今国会に提出されており、この後、公共私の連携や地方公共団体の広域連携についても議論が進められると思われます。
 こうした視点は、いわて県民計画(2019〜2028)を推進する上でも重要な要素となることから、国の動きを注視してまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)答申の中では、都道府県による補完、支援についての考え方にも触れられておりました。その中で二つあるわけですが、一つ目は、市町村が作成する地域の未来予測についてというビジョンについてです。これは、20年先の地域の未来像を客観的なデータに基づき予測するというものです。市町村によっては、高齢化や公共インフラの老朽化の進行、企業、NPOなどの組織の地域資源が異なる中で、どのような未来が実現できるのか、ビジョンを共有することが重要だとされています。
 作成に当たっては、県もデータ整理の支援や地域課題等の見直しを共有することが重要だとされています。この地域の未来予測の作成に向けた国の検討状況はどうなっていますでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)地域の未来予測は、地域の自主的な経営判断に資するよう、地方公共団体が、人口構造の推移や行政サービスの需給の変動等に関する客観的なデータを用いて、それぞれの地域における行政需要や経営資源に関する長期的、客観的な変化、課題の見通しを明らかにすることを目的として、自主的に、かつ、地域の実情に応じて作成するものとされています。
 現在、総務省では、地域の未来予測に関する検討ワーキンググループを設置して、地域の未来予測を整理する際の検討に資するよう、国として例示すべき対象分野や指標、推計方法について具体的な検討を行っていると伺っています。
 検討結果は、3月中旬をめどに地方公共団体へ情報提供される予定でありますので、県としては、その動きに注視しているところであります。
〇16番(菅野ひろのり君)3月中旬ということでありました。これは、今、客観的な数値が非常に多く国の中でも取り上げられております。やはり市町村がこれに対応していくのは非常にハードルが高いものもあるのだろうと思っていますので、この動向を踏まえて、県も支援策を検討いただきたいと思っています。
 二つ目でございますが、市町村の人材不足への支援についてです。ここが今回、私の質問において非常に大きいポイントでありますので、丁寧に伺っていきたいと思います。
 答申の中では、土木技師、建築技師等の技術職員の充足が必要とされております。県が市町村支援、中長期派遣体制の強化を図ることが求められています。加えて、新型コロナウイルス感染症対策のため保健師の増加も求められています。確かに市町村に行きますと、技術職員や専門員の不足というのはどこでも必ず言われました。深刻な問題だと思っています。
 ちなみに、奥州市は合併していますから、人口5、468人の西和賀町や、合併を選択しなかった九戸村、軽米町に伺って意見交換をしてきました。出された意見としては、職員数は減ったけれども業務量は全然変わっていないと。あとは、定住自立圏構想を組んでいるところもありますが、個別課題があって補完し切れていない部分もありますと。さらに、県のプロジェクトで大々的にいろいろしていただいていますけれども、プロジェクトから外れているところもあり、そこでは県のサポートを求めていたり、あとは行政計画の負担。こういうものを聞いていくと、県と市町村の垂直補完あるいは各市町村間の水平連携の必要性があるのではないかと思います。
 そこで伺いますが、小規模自治体でも行財政運営を行っていく中で、技術職員のみならず、企画立案する職員など全般的なマンパワー不足がかいま見えます。この課題に対して、県ではどのようなサポートができると考えていますでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)小規模な町村におきましては、財政面や人員体制の制約があることから、単独では解決が困難な課題への対応や、それぞれの地域の特性を踏まえた取り組みなどを進めるためには、県と市町村、市町村間の連携、協働の取り組みを進めることが必要と考えています。
 このため県におきましては、市町村行財政コンサルティングの実施による行財政運営への助言、市町村職員の専門性を高める人材育成の支援、効率的な除雪業務の実施などの市町村と連携した取り組み、地域課題への取り組みを支援する県職員の駐在などに取り組んでおります。
 また、市町村間の広域連携を支援するため、広域連携に関する制度や先進事例等の情報提供を行っております。
 県といたしましては、引き続き、市町村の意向を踏まえながら、市町村間の広域連携や県の補完など多様な手法の中から、地域の実情に応じた支援を検討してまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)いろいろ検討いただけるということで、ぜひお願いしたいと思いますが、例えば、課題解決に伺って私が一番思ったのが、DXとかAIとかは当然大事なのですけれども、最終的には、やはり人なのだと強く感じました。
 奥州、胆江管内というのか、知事に参加していただいた県民との意見交換会でも、西和賀町では、若手の方々が、厄介な雪にデザインの付加価値をつけて、ユキノチカラとしてブランド化していった。これも若い方々や他県から来られた方々です。例えば九戸村では、行財政運営を確立するために、元県職員の伊藤副村長を加えて、非常に一生懸命頑張られていて、人口減少の対策に注力しました。軽米町では、獣医で農業分野にたけている山本町長を先頭に、鶏ふんの活用や太陽光エネルギーといった施策を柱に立てられていました。
 資源の制約が多い市町村こそ非常に頑張っていまして、いろいろな人が知恵を出し合って、自分たちの強みを見つけてまちづくりに注力をしておりました。
 そこに、先ほどいろいろ言いましたけれども、頑張っている市町村を県が後押しするために、当面、これからも連携等をやっていくということでありましたが、さらに踏み込んでいいのではないかと思っています。
 各市町村で確保が難しいとされる技術、専門職員を県が採用して、例えば市町村へ派遣する方法をとってはどうでしょうか。先ほど駐在されていると言いましたけれども、新たに派遣というのはどうなのでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)現在、3名ほど地域課題の対応に派遣を行っておりますが、実際に垂直補完的なことも含めて、今、モデル的にさまざまな手法で市町村の支援の方法について検証しているといいますか、実証的に取り組みをしている状況にあります。来年度におきましても、派遣、駐在等についてもさまざまな検討の中で対応を進めていくことになります。
〇16番(菅野ひろのり君)通告はしていませんが、その3名の方が駐在している中で、今、どうでしょうか、部長の受けとめとしては、効果、手応えはどうでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)県職員のほうもある程度、その地域課題に対応したノウハウですとか力のある職員が派遣され、市町村からも、こういった課題解決に一緒に取り組みたいといったもののマッチングがとられておりまして、派遣、駐在されている職員は、その地域の中でしっかりと活躍をし、また、地域も効果が上がっていると聞いております。
〇16番(菅野ひろのり君)私も伺ったときに、西和賀町でしたが、地域公共交通の課題を担当者の方が専任でやっていただいていて、非常に評価が高くて、個別の課題にがっちりと県が向き合ってくれていると、市町村とのつながり、課題解決につながるのだなと感じました。
 今まで市町村、市町村と言ってきましたが、一方で、それに対応していく県の体制がどうなのだというのが非常に重要だと思っています。
 県の職員の状況ですが、平成15年、行政改革で5、000名の体制から、平成23年には4、000名、8年で約2割減少しています。そして、近年は新規採用職員などを大幅にふやして、令和2年は4、457名まで回復しています。業務の効率化も図りながら、東日本大震災津波からの復興、あるいはふるさと振興など県政課題に対応するために、職員が一丸となってどうにか対応してきたと認識しています。
 市町村の声に応えるために、土木技師、建築技師、保健師について、県は市町村への中長期派遣などを行う職員の体制の余力はどうなのでしょうか。また、県で市町村へ中長期派遣を行う職員体制に余力がないのであれば、どのような解決策が考えられますでしょうか。事務委託として県が受けたり市町村間連携を進める手段などについて、検討はされていますでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)県におきましては、近年、土木職など技術職の職員の一部については、採用予定数を確保できていない状況にあります。来年度においても、一定の改善は見込まれるものの、全ての欠員を解消するまでには至らないことから、引き続き、他県からの応援職員派遣の継続要請や任期付職員の任期延長などにより、人員確保に努めているところであります。
 県といたしましては、こうした状況の中で被災市町村への職員派遣を行ってきたほか、さまざまな形で市町村への支援や連携の取り組みを行っているところであります。
 今後におきましても、こうした取り組みの成果と課題を検証するとともに、市町村の課題等について意見を伺いながら、地域の実情に応じた支援の方策について検討してまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)県でも市町村との連携、協働に係る取り組みということで、全国的に有名な奈良県の奈良モデルについても触れられておりましたが、広域連携の先進例となる奈良モデルは、どういうことをやっているかというと、道路の維持管理を県が市から業務委託を受けて代行したり、過疎地域においては、県立、国保、町立の三つの病院を一つの広域医療拠点として整備して、さまざまな連携がされています。
 その連携の必要性を認識しているわけですが、私は、これはすごいなと思ったのが、さらに、知事がイニシアチブをとって、市町村長と議論のテーブルに着いてもらって、そこから課題を抽出、連携の方向性を検討して、実際に事業の連携まで持っていっているのがすばらしい点だなと思っています。ただ、有名なモデルと言われても、おおむね10年の歳月がかかる。非常に時間がかかるのだなということがわかります。
 そして、先ほど部長から3市町村に駐在させているという御答弁をいただきましたが、これが、全33市町村にできるかというと、やっぱり難しい問題なのだろうと思います。
 私たちが岩手全体を見たときに、今回も伺って思ったのが、自分だけの地域あるいは選挙区だけではなくて、土台に考えなければいけないのは、33市町村全てが、将来にわたって健全な行財政運営を行って、人口減少の中でも住民に対してサービスを提供していくことだと思いました。大事なのは33市町村全てだと感じたところであります。
 県が中心となってそれぞれの制約条件や課題を出しながら、できる連携、協力を模索して、少しずつ今までの取り組みを見直していく、さらによくしていく。今ある資源を最大限活用する連携、協力の岩手モデルを私はつくり上げていってほしいと思っております。
 現在、県では、知事と首長、副市町村長らとの意見交換の会議は開催しております。それも重要だとは思っていますが、これはまだまだ実質的な連携とはちょっと違うのかなと。情報共有、交換のほうが強いのかなと思っています。
 そして、知事が首長と議論しろという話もありますが、私は、どちらかというと、現在行われていない、ふだんから現場の関係者と直接かかわる職員など、県と市町村の実務者レベルの地域資源、課題を洗い出す作業から必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)実務者レベルでの連携についてでありますが、県におきましては、地域が直面する課題に対応するため、広域振興局において、市町村長との意見交換や圏域の懇談会、御意見のあった懇談会のほか、部門ごとの意見交換を随時行っています。また、企画担当やものづくり、観光などの分野ごとの会議を設け、管内の課題把握とその対応について検討を行っております。
 こうした取り組みに加えまして、県・市町村地方創生推進連絡会議、三陸振興協議会、北上川バレープロジェクト展開研究会など、各ゾーンプロジェクトの市町村との連携組織、さらには市町村の駐在職員との意見交換など、さまざまな方法により、市町村の課題、ニーズ等の把握をしているところであります。
 今後におきましても、市町村と取り組みの方向性を共有しながら、市町村相互や県と市町村の一層の連携を進めることで、行政サービスの維持、向上に努めてまいりたい。そして、いわて県民計画(2019〜2028)を推進してまいりたいと考えています。
〇16番(菅野ひろのり君)連携の資料もいただきました。さまざま各部署で連携しているんだよというのをいろいろいただいたわけでありますけれど、市町村に伺って評価が高かったのは、まず一つは、これにはあらわれていませんでしたが、下水道事業の公営企業会計への移行業務、これは県北の10市町村でされたということでありましたが、共同プロポーザルを実施して、県が仕様書の作成、募集要件をつくってサポートした例。一つの自治体だと、規模も小さいのでなかなかコンサルがつかないからという背景がありましたが、非常にこれは感謝されました。
 あとは、いただいた資料にもありましたけれど、滞納整理機構ですね。これは、自分たちではなかなかできないところを、33市町村が共同して行うことで、平成18年には1.3億円、令和元年には2.3億円と成果を上げてきているということでした。
 ですから、私が申し上げたいのは、部門長の会議をされて、実効的に、どの課題をどうやって解決するのか、そこまで踏み込んでいただきたいということなのです。今、見ればたくさんありますけれど、これから人口減が進んでいって自治体も大変になってくる中、やっぱり自治体だけでは難しいところもありますし、逆に県も、同様に大変になってくるところがあると思うのですね。そこを協力していただきたいと思っています。
 最後に知事にお伺いしますが、行政課題にそういったスピード感を持って対応いただきたいと思いますし、具体的な策、聞いた意見から事業に移す、そういったスタートの地点にあるのではないかと思っています。県と市町村の連携の必要性を今後どうやって進めていくのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君)県では、いわて県民計画(2019〜2028)行政経営プランにおいて、人口減少、少子高齢化を初めとする市町村を取り巻く環境変化を踏まえ、県民に必要なサービスが持続的に提供されるよう、市町村相互や県と市町村の一層の連携を進めることとしています。
 現在、市町村においては、単独で解決が困難な課題への対応や行政の効率化を図るため、定住自立圏や連携中枢都市圏などの制度を活用した広域連携や、自治体クラウドによる情報システムの共同利用などが行われています。
 また、県においては、市町村に対し、中長期的な視点に立った安定的な行財政運営に向けた助言や職員の交流、職員研修の実施による人材育成を支援しているほか、岩手県地方税特別滞納整理機構による事務の共同処理などに取り組んでいます。
 今後、住民ニーズや地域の課題が多様化、複雑化していく中にあって、市町村間の水平的な連携、県による事務の補完など、県、市町村の二層制を超えた柔軟な支援が必要になってくると考えます。
 知事と市町村長による県と市町村の意見交換の場についても、予算と事業執行のサイクルに合わせ、開催時期を年度当初に見直すなど、さらにお互いが知恵を出し合い、県と市町村の連携が深まるよう取り組んでまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)合併後の市町村への対応、行政計画の負担がふえている、専門人材の不足など市町村の抱えている課題に対して、私は岩手モデルと表現しましたが、岩手の連携の形を、長期的な視点でありますが、早々に本質的な議論あるいは事業化をお願いしたいという課題提起でございました。
 奈良モデルと言われるものも10年という非常に長い時間がありますし、現在、人口減がとまる気配はないと私は思っています。そこにコロナ禍ということで、いろいろな課題を抱えていますし、補完する、支援する立場の県も、マンパワー不足だということでございます。ですから、課題を共有して、総力戦で、先ほど知恵と力の総結集という表現を知事はされておりましたけれども、ぜひ、そのような体制で、市町村に寄り添いながらお願いしたいと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症と地域医療構想について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症は、今後、ワクチン接種に進んでいきますが、市町村、自治体との直近で考えられる連携ということにこれもなるのでしょうけれども、ワクチン接種の中で、厚生労働省からは、人員体制の確保、クーポン券等の印刷、郵送、接種会場の準備、超低温冷凍庫の配備など、県や市町村において行う準備が示されていますが、労務負担が非常に大きいと思っています。他県の動向を見ると、例えば、北海道であるとか福島県であるとか、自治体間での共同接種が拡大しているということでございました。
 共同接種を予定している市町村はどの程度あるのか、また、本県の市町村が連携した共同接種をどのように考えているか、現状と今後の見通しをお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君)新型コロナウイルスワクチンの共同接種についてでありますが、複数の市町村による接種体制の整備を検討、調整しているのは、現時点において県内3地域と把握しております。
 共同接種は、輸送や保管などの取り扱いに制限があるワクチンを、限られた医療資源の中で、安全かつ効率的に接種ができるなどのメリットがあり、地域の実情に応じて接種体制の整備ができる有効な手法の一つと考えております。
 そのため県では、市町村の要請に応じまして、他市町村と共同で接種会場を設けるなど、一体的な接種体制を整備する共同接種の実施に向けた支援を行っています。
 今後においても、市町村や医師会等と緊密に連携しながら、住民に対するワクチン接種が安全かつ迅速に実施できるよう取り組んでまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて、地域医療体制の見直しについてもお伺いしたいと思います。
 今回の感染症の拡大によって、状況によっては感染症に対する病床が不足してくる圏域もあるのではないかと思っていますし、そうなると地域医療構想そのものの妥当性というのでしょうか、考える必要があるかと思っています。
 国は、医療計画の記載事項に、新興感染症等の感染拡大時における医療を追加し、5事業を6事業とする医療法改正案を今国会に提出していることから、国のその動きを踏まえた上で、2024年度からスタートする第8次医療計画を策定する必要があります。
 新型コロナウイルス感染症によって、現在の地域医療構想への影響と感染症対策を踏まえた地域医療体制の見直しをどのように行っていくのか伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君)地域医療構想の背景となります高齢化の進展に伴う医療需要の変化など、中長期的な状況や見通しはコロナ禍にあっても変わらないことから、地域医療構想における必要病床数等の基本的な考え方は維持しつつ、将来を見据えた議論を進めていくことは必要と考えております。
 一方で、今般の新型コロナウイルス感染症対応におきましては、感染症病床に限らず、協力医療機関等の一般病床も含めて病床を確保しているところであり、公立、公的医療機関が果たす役割も明らかとなったところであります。
 令和6年度改定予定の第8次医療計画では、新たに記載事項として、委員からも御紹介いただきました、新興感染症等の感染拡大時における医療が追加されることとなり、今後、国において、感染拡大時に活用可能な病床やスペースの確保、専門人材の確保など、具体的な取り組み事項について検討が進められることとなっております。
 県としても、引き続き将来の医療需要を見据えた病床機能の分化や連携に取り組むとともに、国の議論を注視しつつ、新興、再興感染症の発生時に柔軟に対応できる医療提供体制の構築に向けた検討を進めていく考えであります。
〇16番(菅野ひろのり君)やはりワクチン接種に関しても、地域医療構想に関しても、新型コロナウイルス感染症の感染がどの程度ふえていくかというのは、当然、誰もわからないわけで、その設定がなかなか難しいと思っています。ただ言えるのは、少ない医療資源の中で効率的に最大限に行っていくことが重要になることから、これもやはり圏域あるいはほかの市町村との連携を図りながら、体制を築いていっていただきたいと思います。
 そして次に、胆江医療圏の地域医療提供体制の検討状況について伺います。これを取り上げさせていただくのが、今、再検証の対象の病院が岩手県内に10あるうちの三つが胆江圏内になっています。その観点から伺わせていただきますし、やはりこの中に県立病院が入っていますからお伺いします。
 令和3年2月12日に行われた胆江圏域地域医療構想調整会議―以下、調整会議と言わせていただきますが―出席者から、県立病院も含めた形で地域医療の提供体制を検討すべきとの指摘が多くの出席委員からありました。すなわち、ここでは県立病院の議論はされていないということです。
 奥州市長は、令和3年2月22日の市議会一般質問の中で、県立病院を含めた協議をしている時期ではないのではないか、要は、今、それをやっている時期ではないのではないかという質問に対して、今の時期において市と県の議論を始めても、5年かかっても答えは出ない、市立病院としてどう生き残るかの意思固めをしなければならないと答弁されました。私はこれは、いわば市は市、県は県という考え方だと理解しました。調整会議において、県立病院を含めた議論をすべき、奥州市単独では厳しいとの望月アドバイザーや医師会長、その他委員からの発言も結果的にほごにされた形だと思っています。
 調整会議は、構想区域における将来の医療提供体制を構築していくための方向性の共有とされていることから、県立病院を含めない議論は、胆江圏域全体の議論に当てはまらないと私は思います。出席者の声を受けとめるべきではないでしょうか。
 医療法第30条の16には、協議の場での協議が調わない場合は、都道府県医療審議会の意見を聞くこととされており、県は、その他必要な措置をとるべきことを指示することができるとされています。県立病院を含めた議論にするため県が積極的な関与を行うべきと考えますが、胆江圏域の医療提供体制について、県と市における協議の状況と県としての今後の対応について伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君)御指摘のとおり、地域医療構想調整会議は、高齢化の進展等による医療需要の変化を踏まえた効率的で質の高い医療提供体制の実現を目指すため、地域の医療、介護関係者が一堂に会しまして、圏域全体の病床機能の分化と連携に向けた協議を行う場でございます。
 奥州市立病院・診療所改革プランは、奥州市立の公的医療機関の医療提供体制や経営方針を定めているものであり、現在、奥州市として案をまとめている段階と伺っております。
 県としても、奥州市に対しまして、改革プラン内容について地域の関係者と十分に協議、調整を図るよう助言、支援を行うとともに、地域医療構想調整会議におきましても、必要な主体が参画をし、地域の医療提供体制全体に関する協議が行われるよう調整を行っていく考えであります。
〇16番(菅野ひろのり君)これは通告していないので、わかればで結構ですが、奥州市から県に対して具体的な申し出、協議、例えば病床機能をどうしようとか、そういう話は今まであったのですか。
〇保健福祉部長(野原勝君)数年前になりますが、このプランの前に、奥州金ケ崎医療介護計画というものを奥州市で策定されました。そのプロセスの中にあっては御相談いただいたことはございますが、今策定を進めているプランにつきまして、具体的な相談、協議はまだいただいていないところでございます。
〇16番(菅野ひろのり君)その調整会議の中では、県が話を聞いてくれないというようなニュアンスで私は受け取っていますが、そんな発言もあるわけですが、実態はさておいて、やっぱりここは協議していかないと、圏域全体の話なわけですから全然答えは出ないと思っています。
 奥州地域の医療介護計画案の方針で示された中には、胆江圏域においては、救急、入院などの医療資源が充足している。市立病院が担うべき役割は、在宅医療と介護の連携拠点としています。一方、地域医療構想の実現に向けた厚生労働省は、再検証の病院に対して、急性期医療や不採算部門、過疎地域等の医療提供等に重点化するよう、医療機能見直しを達成するために議論を進めなさいと書いています。
 今回、何で私が県と議論しろと言うかというと、今示されている病床数、急性期で過剰とされている病床数が294床と言われています。そのうち、県立胆沢病院337床、県立江刺病院122床、総合水沢病院96床、この3病院で胆江圏域の急性期の病床の85%を占めているわけですね。仮に今、市の話になっていますが、水沢病院が病床数を抱えたままとなれば、300引く100で200床。この200床を胆沢病院、江刺病院でどうするのか、極端な話、そうなってくるわけです。これは、地域医療構想調整会議の中で県を含めて話がされていないのに、影響を受けるのは県立病院です。このままでいいのですか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 今、まだ奥州市で、そのサイズであるとか機能をどうしようか具体に検討されている段階と理解しております。
 地域医療構想については、病床の数であるとか急性期とか高度急性期、慢性期といったものを一応目安としてお示しはしていますが、それを目指していくものではなく、基本的には、高齢化の進展に伴って医療需要が変化してまいりますので、地域の関係者の方々が地域の課題を共有して、みずからの主体的な取り組みとしてどうしていこうかということを協議する場でございます。
 そうした意味では、今の議論の中で、胆江圏域においても、急性期と最初申告されていた病床、病棟についても回復期のほうに転換になるといったような動き、そういった報告をいただいております。全体としては、そういった協議の中で、将来の需要に見合ったような形で各医療機関が検討を進められていると承知しています。
 ただ、やはりそうした中にあって、医療や介護の皆様方が納得する案というのは、それはそうだよねという形でのプロセスが重要だと思っておりますので、こういったものは、各当事者の方々からきちっとお考えを出していただき、その中で調整するプロセス、ここら辺につきましては、県としてきちっと支援をしてまいりたいと考えております。
〇16番(菅野ひろのり君)おっしゃるとおり、プロセスが大事だと思うのです。そのプロセスで求められているのは、県立病院を含めた議論をしてくれと、奥州市だけでは厳しいのだという指摘がされているから、私は当てはまっていないということを申し上げているのです。県の立場は非常に難しいのかもしれませんけれども、県立病院が担ってきた岩手県の医療体制ですから、表でできなければ水面下でもいいと思います。ぜひ、そこをしっかりと進めていただきたいと思います。
 最後に、医療関係について知事にお伺いしますが、医療の本質は、先ほど機能の話もされました。当然そのとおりだと思っています。根本的には、どうやってお医者さんを確保して、これからの医療体制を築いていくのかということだと思います。
 医師確保や周産期医療の点から、例えば、昨年12月の定例会で郷右近議員が示された県立胆沢病院と磐井病院の統合を含めた再編案のように、まずは、医師をどう確保できるか、その目安である500床以上を保有する病院をどう構築していくのか、不足している医療資源をどう確保するのかという検討が必要だと思っています。
 私が言いたいのは、県とか市ではなく、圏域においてどうやって医師を集める方法があるのだと。逆に、胆江圏域は医療が充足している、あるいは県下から見ても多いほうだと思うのです。そのときに、逆にこの契機をチャンスにしたほうがいいのではないか。グランドデザインをしっかり描いて医師確保ができる、そういった病院を目指すべきではないかと思っています。
 現在の医療の中心を担っている県立病院の役割を示して胆江圏域の医療を議論すべきだと考えますが、胆江圏域における今後の県立病院が果たすべき役割についてどのように考えているか、知事に伺います。
〇知事(達増拓也君)胆江圏域における県立病院の役割についてでありますが、県立胆沢病院は、圏域の基幹病院としての機能を担い、二次救急医療やがん医療等の高度、専門医療を提供しており、県立江刺病院は、圏域の地域病院として救急医療やプライマリーケア、基幹病院等での治療後の回復期医療を提供するなど、両病院においては、圏域内の他の医療機関や介護施設等と連携しながら、地域の医療を支える役割を果たしております。
 今後におきましても、医師不足等の限られた医療資源の中で、良質な医療を持続的に提供するためには、県立病院間はもとより、他の医療機関との役割分担と連携をより一層進める必要があります。
 胆江圏域の地域医療構想調整会議には、県立胆沢病院及び江刺病院も参画し、将来の病床数やそれぞれの医療機関が担う機能などに関する議論が行われています。
 医療局及び両病院には、この調整会議での議論を踏まえ適切に対応するとともに、僻地医療、救急医療、高度、専門医療、さらには新型コロナウイルス感染症への対応など、公的医療機関としての役割をしっかり果たしてもらいたいと考えております。
〇16番(菅野ひろのり君)ぜひ、この医療問題は県も踏み込んでいただいて、圏域での議論がしっかりとなされるようにお願い申し上げたいと思います。
 次に、えさしクリーンパークの存続について伺います。
 いわてクリーンセンターの焼却施設は、県が公共関与による全国初の産業廃棄物処理モデルの施設として稼働しました。現在は老朽化により業務を終了しています。附帯施設で年間5万人が利用する浴室と温水プールを備えたえさしクリーンパークが、令和4年、来年3月まで営業を継続することで、市、県、クリーンいわて事業団で覚書を締結しています。
 関係者の構図は、焼却施設の管理者はクリーンいわて事業団、県が32.4%出資です。建物所有者は県、温水プールの運営は奥州市です。
 平成29年3月、ちょうど今から3年前ですが、えさしクリーンパークを守る会という市民の有志団体が発足して、署名活動を一生懸命行っていただいております。クリーンパークを存続させようという署名が現在までに1万7、255筆集まり、平成30年に県と奥州市に提出され、今年度も追加分が市に提出されています。
 奥州市では、えさしクリーンパークを平成34年度以降も事業継続するよう求める請願が平成31年、2年前の定例会で採択され、奥州市の令和2年12月定例会では、令和3年8月までに事業継続の可否について結論を出すとされています。
 要は、署名が集まって、請願も採択されて、さらに来年以降も続けてほしいというのが進んでいるわけでありますけれども、請願を採択されてからこの2年間、表立った行動あるいは状況が全く住民には知らされていない。どう動いているのか何もわからない状況が現段階です。そして、このままだと来年で終了してしまという状況にあります。住民に不安が広がっていますから、私は、この不安払拭の点から現状を明らかにする必要があると考えています。
 そこで伺いますが、昨年12月18日、奥州市長が保副知事を訪問しています。具体的にどのような申し出があったのでしょうか。それを受け、県と奥州市では、現在、協議が始まっているという認識でよいのか、確認を含め伺います。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君)えさしクリーンパークに係る奥州市との協議の状況ということでございます。
 初めに、えさしクリーンパークは、県、奥州市、クリーンいわて事業団の3者の協力のもとに、これまで運営されてまいりました。
 平成28年3月のいわてクリーンセンターの焼却施設の稼働終了に伴い、えさしクリーンパークについても、老朽化が進んでいることから営業を終了する計画としておりましたが、地元の皆様からの存続要望に応え、平成27年9月に3者で施設の取り扱いに関する覚書を締結し、その際、令和4年3月までの営業としたものであります。
 一方、施設の老朽化は急速に進んでおり、さらなる営業継続に当たっては、利用者の安全確保の観点から、天井、内壁、床などの主要構造、電気設備、空調、浄化槽などの大規模修繕が必要であるほか、運営費負担もますます増嵩すると見込まれているところであります。
 このような中、昨年末に奥州市長から、えさしクリーンパークの営業の延長について、施設の老朽化の現状を踏まえた新しい運営スキームを考えたいとの申し出があったところであります。
 現在は、施設の老朽化の現状について、奥州市と相互に確認作業を行いつつ、市からの具体的な提案を待っているところであります。
〇16番(菅野ひろのり君)そうすると、協議は今、お互いの認識の上で進んでいる、始まっているということでよろしいのですね。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君)現在、奥州市からの提案を待っているところであります。
〇16番(菅野ひろのり君)関連してでございますが、県が八幡平市内で計画する次期産業廃棄物の最終処分場の整備について伺わせていただきたいと思います。用地交渉の手続などの関係で、当初計画から開始が1年程度ずれ込んだことで、現在の奥州市江刺での受け入れを令和6年度まで延長ということでございますが、ここは、さらなる地元負担をどう考えていますでしょうか。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君)受け入れの延長に伴う地元負担についてということでございますが、事業団が、昨年11月に地元の3地区で行った埋立期間延長に関する住民説明会においては、交通安全対策と環境保全対策に万全を期してほしいとの要望があったと伺っております。
 このようなことから、事業団から搬入業者に対して、改めて交通安全の徹底や廃棄物の飛散防止、搬入経路や受け入れ時間の厳守などについて徹底させるとともに、排水管理を初めとする埋立処分場の維持管理についても適正に行うよう、事業団への指導を継続していくところであります。
 なお、えさしクリーンパークは、いわてクリーンセンターの焼却施設の余熱利用施設でございまして、焼却施設の稼働終了に伴い、えさしクリーンパークについても営業を終了する計画が当初の予定でありました。
〇16番(菅野ひろのり君)地元の方からすると、県の事情で埋め立てを延ばしている中にあって、当然、我々の申し出も聞いてもらいたいという声というのは非常に高くなってきていますので、これはまずお伝えをしておきたいと思います。
 それで、先ほど覚書のことをおっしゃっておられました。3者で覚書を結んでいるわけでありますが、今後、解体費用を県議会にも上程する等の手続の関係から、運営を継続していく場合は、奥州市との協議をいつまでに完了して県は方針を最終的に示す必要があるのか、今後のスケジュールを伺います。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君)運営継続に係る今後の見通しについてでありますが、3者による覚書に基づき、令和4年3月でえさしクリーンパークの営業を終了した後、解体工事を行うことを想定しております。このため、計画では、令和3年度当初から解体工事の設計に着手することとしております。
 以上のことから、今年度中に奥州市との協議を完了する必要があると考えております。
〇16番(菅野ひろのり君)今年度というのは、今年度、3月ですね。奥州市長からは、昨年12月に来られて、現段階で具体的な提案がないわけです。そして、3月までに結論を出さなければいけない。申し出は、奥州市側からは、延長をしてほしいという具体的な提案があるという前提ですね。それを先方は理解していて、3月末で交渉というか終了だよというような状況でしょうか。確認でお願いします。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君)県といたしましても、施設の解体に係る設計について来年度着手する予定と、当初の計画でそういった予定で進んでおりますので、今年度中にそういった方向性を整理しておく必要があるということで進めているものでございます。
〇16番(菅野ひろのり君)最後に、恐縮ですが知事にお伺いします。今回、そういった状況があるわけでございます。やはり請願の採択、あとは署名の重み、受け入れの延長などを踏まえて、覚書は締結しておりますが、超法規的措置として、ぜひ、終了ありきではなく、まず門戸を開いていただいて、どうやったら実現できるのか、協議をしっかりとしていただきたいと思っています。現段階で提案がない中で延長云々ということは、私からもなかなか言えないところがあります。そういう意味では、どういう方法があるのか、しっかりとお互い協議を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君)県としても、手をこまねいているわけにはいかない大事な問題だと思いますので、協議をしっかりやるよう奥州市に働きかけていきたいと思います。
〇16番(菅野ひろのり君)では、引き続き協議をお願いしたいと思います。
 最後に、今後の社会資本整備について伺います。
 東日本大震災津波発災から10年が経過する中、令和3年、三陸沿岸を貫く縦軸道路、三陸沿岸につながる横軸道路がいよいよ完成のときを迎えようとしています。我々立憲民主党、希望いわてにて沿岸市町村の要望等を伺わせていただいたところ、やはりこれからの地域振興に、道路の完成を大いに期待しているところがございました。県は、縦軸、横軸の復興道路、復興支援道路の開通を見据え、これからの沿岸振興をどのように行っていくのか、その意気込みを知事に伺います。
〇知事(達増拓也君)復興道路、支援道路の整備は、三陸防災復興プロジェクト2019の基本コンセプトとして、三陸がつながる。日本各地や世界とつながる。ひとつになってさらに前に進むと述べられたように、新しい時代を開く礎になるものです。
 このため県では、産業振興を初め、交流人口の拡大に向けた取り組みを積極的に進めていくこととし、企業誘致や新分野への進出などによる経営革新の促進、県内企業の輸出入及び県産農林水産物等の輸出の促進、三陸鉄道等を利活用した誘客や交流の促進などに取り組んでいきます。
 特に、来年度は、復興五輪として開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、全国の防災関係者が一堂に会する防災推進国民大会2021、東北6県で展開される東北デスティネーションキャンペーンなどを好機と捉え、東日本大震災津波伝承館をゲートウエーとした復興ツーリズム、三陸の豊かな食材や食文化を活用したフードツーリズム等を展開し、沿岸地域への新たな人の流れを創出してまいります。
 今後とも、沿岸市町村や関係機関と連携し、復興道路、支援道路の整備効果を最大限生かしながら、新しい三陸の創造を進めてまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)沿岸市町村に伺いますと、やはり今、道路の開通に伴って、産直施設をいかに有効的に生かしていこうかというような声が聞かれますし、東日本大震災津波復興特別委員会で田野畑村に伺わせていただいたときに、道の駅の整備に期待する声がありました。
 このように、沿岸市町村では、整備された復興道路、復興支援道路を生かした取り組みがこれからも広がっていくと考えられますが、県は、これらの取り組みに対してどのように支援を行っていくのでしょうか。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)県では、三陸沿岸道路の整備による新たな交通ネットワークを生かし、企業誘致や時間距離が大幅に短縮することによる水産物の販路拡大や物流の活性化など、産業振興を初め、交流人口の拡大に向けた取り組みを積極的に進めていくこととしております。
 例えば、三陸の食の振興を図る三陸国際ガストロノミー会議の取り組みや、三陸地域における誘客を促進するための観光バスツアーの支援、県北及び八戸圏域内の周遊観光を促進させるキャンペーンの実施などの取り組みを通じて、三陸沿岸道路を生かした沿岸市町村の取り組みを支援していくこととしております。
 三陸沿岸道路の効果を最大限生かし、県や市町村等の事業が相乗効果や総合力を発揮できるよう、市町村や関係者と連携し、地域経済の好循環と新たな人の流れの創出につながる取り組みを推進してまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)あわせて伺いますが、道の駅の誘導策は非常に重要だと思っています。道路を通ると、おりて2キロメートル先、3キロメートル先に行くのはどうしようかと迷ってしまうところがありますけれど、市町村はそこに非常に注力しているわけですから、道の駅の誘導策をどうするのか伺いたいと思います。
〇県土整備部長(中平善伸君)三陸沿岸道路の利便性の向上と道の駅の関係についてですが、沿線市町村においては、インターチェンジに近接した道の駅の整備や移転が進められており、久慈地区の広域道の駅の整備に加え、山田町や普代村でも整備が進められているところです。
 観光や物流など三陸沿岸道路の利用目的に応じて、沿線の道の駅を選択しやすくできるような情報提供により利便性の向上も図られると考えられることから、案内標識の整備や情報マップの作成など、国や市町村と連携しながら必要な対策に取り組んでまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)市町村は非常に期待されていますし、これが今、魚がとれなくてなかなか厳しい中で非常にチャンスだと捉えていると思いますので、ぜひ首長方の声を聞いていただいて、いかに道の駅を活性化できるのか県も一緒になって考えていただきたいと思います。
 そして、次に港湾振興についてでございます。
 私は、釜石港のガントリークレーンの取扱高をどうやったら増加できるのかというところから、港湾振興をいろいろ考えてまいりました。そして、沿岸市町村にさらに活力が生まれるには、重要港湾の機能が最大限に発揮されていかなければいけないと思っていました。
 調査に行ったところ、酒田港では紙おむつ、秋田港では風力発電、八戸港では農林水産物の輸出、仙台港は自動車やタイヤの輸送と、主要産業との結びつきが非常に特徴的だなと。この強みを生かした長期戦略が成果をもたらしていました。
 本県の場合はどうかというと、南に仙台港、北に八戸港と国際港湾に挟まされた環境です。強みは、さっき言った三陸沿岸道路が無料区間であり、東北地方整備局に伺って意見交換した際も、岩手県の強みは道路が無料だということですよという御意見をいただきました。私は、整備された縦軸、横軸の道路をフル活用して、県内の重要港湾に荷を集めること、コンテナの荷を満たすこと、あるいはほかの港湾との連携をしていくことが重要になってくるのではないかと考えています。
 さらに、どうやったら荷を集められるか。具体策のヒントを求めて、内陸部ですが、コンテナの拠点を持っている栃木県佐野市に話を伺いました。インランドポートと言うようでございますが、日本の場合は、京浜港が中心でありますけれど、輸出の状況を見ると、韓国の釜山港が今使われている現状があると。だから、国は京浜港を活用して、どんどん輸出を日本に持ってきたいのだと。その取り組みの中で、あそこは関東だから非常に渋滞してしまう。その緩和策として栃木県の内陸にコンテナをつくったという策でありました。
 すなわち、いかにそういった国の施策と合わせながら環境整備を進めていくか、この視点が重要だと思いますし、加えて言えば物流ですね。物流ドライバーの不足や運送業の働き方改革が陸上運送に変化をもたらす。すなわち、それが港湾の活用につながっていくと思っています。
 これらを踏まえますと、これは県内の取り組みのみで完結する物流ではなくて、視野を広げて、国際的な潮流や運送業の働き方改革を踏まえ、京浜港の緩和策や仙台港などの国内港湾との連携、そして広域での港湾振興を含め県内重要港湾の活用を図るべきだと考えますが、県の考えを伺います。
〇県土整備部長(中平善伸君)港湾振興ですけれども、本県のコンテナ貨物のうち、県内港湾の利用割合は、平成30年度の調査では、輸出で15.5%、輸入では13.6%にとどまっており、依然、他県の港湾の利用が多い状況にあります。
 県では、県内港湾の利用率を高めるため、内陸部と連携した集荷拡大に向けて、県内企業の小口貨物を混載して輸出する実証実験の実施や、首都圏に本社を有する荷主企業や物流事業者に向けた知事のトップセールス、いわてポートフォーラムの開催など、港湾所在地を越えた取り組みを行ってきたところです。
 また、国内港湾と連携した取り組みとしては、コンテナ定期航路で釜石港と接続する横浜港を管理する横浜市と平成30年に連携協定を締結し、双方の港湾のPRなどを行ってきたところであり、このような取り組みは集荷拡大につながるものと考えております。
 今後は、新たに整備された高速道路ネットワークを生かした集荷拡大に努めるとともに、議員御指摘のありました国内港湾との連携についても、他県の港湾管理者と意見交換を行うなど、県内重要港湾の一層の利用拡大に取り組んでまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)最後に、今後の公共土木事業の動向、県内建設業の振興について、まとめてお伺いいたします。
 震災から復興事業も終盤を迎えて、公共事業というのは、国土強靱化の取り組みなどに重きをシフトさせていく段階にあります。この中で国は、道路、橋等の修繕などに対する個別補助制度を創設し、都道府県の取り組みを後押ししています。県では、来年、令和3年度において、個別補助制度を活用し、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
 あわせて、県内建設業者は、受注件数が非常に少なくなってきているような状況があります。例えば、橋であれば鋼橋、メタルですが、その上部工事、あるいはそういったインフラを県内で完結できる設備を持っているのです。一方、橋だったらコンクリートが中心になって、ここは大手ゼネコンが中心になってしまっています。県内の人材を採用して県内でできる仕事は、例えば鋼橋の部分にあるわけであります。
 私は、こういったすぐれた岩手県内の企業が県内の公共土木事業で受注を高めることができるように、総合評価落札方式における地域精通度の加点比重の見直しを行って、地元企業が評価されることが必要ではないかと考えます。県の見解をお伺いします。
〇県土整備部長(中平善伸君)まず、道路の老朽化対策の取り組みでございますが、本県においては、国が令和2年度に創設した道路メンテナンス事業補助制度を活用し、老朽化が進む橋梁やトンネルなどについて、岩手県橋梁長寿命化修繕計画等に基づき、計画的な修繕に取り組んでいるところです。
 このうち橋梁については、令和元年度までに、定期点検で早期に修繕を行う必要があると判定した判定区分IIIの橋梁212橋のうち、令和2年末までに48橋の修繕が完了したところです。
 令和3年度は、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に呼応し計上した予算により、判定区分IIIの100橋及び予防保全的に修繕を行う判定区分IIの12橋について、重点的に修繕を行ってまいります。
 次に、県内の建設企業の地域精通度に関係する御質問でございますけれども、総合評価落札方式における地域精通度評価に関しましては、これまで、地元では災害活動の実績、配置技術者の要件としては、若手技術者の配置、週休2日制の取り組みなど人材育成、働き方改革に取り組む企業の評価をしているところでございます。
 そして、議員から御指摘のあった地域精通度については、昨年4月の見直しにおいて、災害活動の実績の対象を拡充したこと、3項目の評価項目がありますが、この中で最も高い配点割合にしたことなど、災害時において、地域に根差した建設企業の役割を重視した評価としたところでございます。
 今後とも、社会情勢の変化を踏まえまして、地域の守り手として活躍する建設企業を評価できるよう、建設業関係団体の意見も聞きながら、総合評価落札方式の適切な運用となるよう努めてまいります。
〇16番(菅野ひろのり君)ありがとうございました。終わります。(拍手)
〇議長(関根敏伸君)この際、暫時休憩いたします。
   午後3時50分 休 憩

出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時7分再開
〇副議長(中平均君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。臼澤勉君。
   〔22番臼澤勉君登壇〕(拍手)

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