令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(神崎浩之君)自由民主党の神崎浩之です。
 東日本大震災津波、その後の台風被害、そして、新型コロナウイルス感染症被害を受けられた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 2月定例会一般質問の機会をいただき、多くの関係の皆様に感謝を申し上げます。
 人類が大きく変貌、変化を強いられる中、この岩手県を引っ張る達増知事の思いをお聞きしたいと思います。この困難に対し、私のできるさまざまな分野で協力し、乗り切っていこうと思っております。私の県議10年の集大成として、初めて一括方式で質問することといたしました。忌憚なくお話しください。
 私も県政にかかわり10年がたちました。私の県議スタートは、震災の年、2011年9月です。そもそも4月の統一地方選挙が東日本大震災津波により選挙が延びるという前代未聞の大災害が起こり、県の予算で見れば7、000億円程度であったものが、復興の予算が同じ額積み増しされ倍の1兆4、000億円と、まさに復旧、復興真っただ中の渦にのみ込まれての出発でした。
 知事は、復興を優先としながらも、県民所得の向上や人口減少対策、医師確保等々の長年の課題への対応や、相次ぐ台風被害への対応に県政のかじ取りを行ってきました。あわせて、岩手県職員や県行政の対応も身近で見せていただきました。10回目の一般質問となる今回は、特に県政運営における達増知事のガバナンスについて御教示いただきたく質問をいたします。
 私は、市議会議員時代、2人の市長の仕事ぶりを見てきました。また、今般のコロナ禍では、さまざまな、まさに都、道、府、県知事の記者会見や振る舞い、ガバナンスを見ることができました。新型コロナウイルス感染症の対応で県独自の方針を示し実践している和歌山県知事、民間経営者手法で県政経営を行っている高知県知事、豊かに感情を表現する青森県知事、そして東京都、大阪府、北海道、関東圏の知事、兵庫県、静岡県、島根県知事など。
 私から見る達増知事は、実にスマートで紳士的な振る舞いであり、私は、もっと気軽に、庶民的に、県政運営についてもみずからの気持ちや方針をざっくばらんに示し、そして積極的、大胆に、時には泥臭く県政を引っ張っていってよいのではないかと感じてきました。それは、知事の県職員への接し方も同様にと感じてきました。
 今回、知事が国家公務員、外務省を志望され、奉職されたきっかけや、国会議員への転身、そして、130万人県民のかじ取りを担う岩手県知事へと転身された動機について、この際、伺ってみたいと思います。
 あわせて、知事就任4期14年目となります。県政運営のトップとして、あるべき姿をどのように描き、これまでどういう思い、心がけで県政に取り組んできたのか、お伺いいたします。
 人には得手、不得手の分野があって当然です。しかし、首長はオールラウンドでの対応を迫られます。知事としてそれをどう克服してきたのでしょうか。
 また、知事は、岩手県では貴重な外務省経験者であります。私は、もっと空港を活用したインバウンド、アウトバウンド、国内を含む観光分野や農林水産物の輸出、産業振興などにその得手分野を生かせたのではないかと感じております。どのように生かしてきたのでしょうか。
 知事はこれまで、現場が第一と発言してきました。震災復興でも、被災者に寄り添うSDGsの一人も取り残さないと繰り返してきました。こうした理念に基づき現場主義で県政運営を図るには、ビジネスパートナーとしての市町村や団体との意見交換はもとより、汗をかいている当事者としての県民、県職員であれば出先の職員の話を聞くことが、間違いない県政運営になると考えます。
 私は、知事は現場に出向くことが少ないと感じていますが、どのように現場主義を実践されてきたのかお伺いいたします。
 次に、職員教育について伺います。
 県政運営を支えるのは人材であり職員です。名将、武田信玄も、人は石垣、人は城、人は堀、つまり、人は石垣や城と同じぐらい戦いの勝敗を決するのに大切だと説いております。目指す将来像を共有し、県政の推進、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる幸福の実現に資する有益な組織を形成していくためには、職員の育成、教育が重要と考えます。
 しかし、残念ながら、職員と接していると、今、知事が何を考え、どうあってほしいかが伝わっていないのではないかと感じます。職員一丸となって県民のために仕事をしていく組織とするためにも、知事みずからが職員に対して求める職員像を発信し、職員のモチベーションを高めていくことが重要と考えます。知事は、職員に対し、どのような職員像を求め、これまでどのようなメッセージを発して職員を牽引してきたのかお伺いいたします。
 次に、幸福についてお伺いします。
 平成31年に策定されたいわて県民計画(2019〜2028)は、政策体系を従来型の部局縦割り型から、県民の幸福を切り口とした、健康・余暇、家族・子育てといった10の政策分野に転換し、それぞれの分野に幸福に関する客観的指標となる、いわて幸福関連指標が制定されました。
 縦割り行政の弊害を正し、効果的な行政運営を目指すため、部局や分野の縦串に横串を刺すという、その発想はすばらしかったと思います。しかしながら、職員一人一人の仕事は、幸福を意識したものとなっているのでしょうか。実際は、上辺だけに横串が刺され、幸福指標にぶら下がるそれぞれの取り組みは、従来どおり部局ばらばらに実施されているのではないか、かえって幸福指標を採用したことにより、事業推進、成果把握の双方が曖昧になってしまっているのではと危惧します。
 取りまとめの段になって、やっと冠に幸福という言葉を書き入れるのではなく、事業の立案、実施の段階から、しっかりと部局連携がとれた取り組みを進め、組織も予算も同様に体系づけることが必要です。幸福を取り入れることによる県行政の成果についてお伺いいたします。
 次に、機構改革について伺います。
 平成12年の地方分権一括法により、県でも振興局の再編に取り組みました。平成18年度には県南広域振興局を、平成22年度には4広域振興局体制としました。10年を経過した今、検証し、見直しが必要なのではないでしょうか。
 県の出先機関としての広域振興局の大きな役割に地域課題の把握があります。今、県の機関として実際に県民にじかに接し、県民の声に触れるのは、今や保健所や農、林、水の普及員などに限られました。とすれば、広域振興局は、積極的に現場に出向き、地域の課題を把握し本庁へつなぐという、本庁勤務での仕事とは逆のベクトルに意識を変え業務に当たらなければなりません。
 しかし、今般の新型コロナウイルス感染症対応における出先の仕事は、それこそ私が広域振興局に出向いて見ていると、今まで私の頭の中でもやもやしていた課題が整理できたほどお粗末な状態でした。出先は本庁からの指示待ちで、地域の課題、実態を十分に本庁に伝えることをしていない。これが県全体の対応におくれやミスマッチを生じさせ、現場の課題置き去りの県の施策になってしまっていることに、将来の県行政を憂慮したところです。
 広域振興局が県の出先としての機能を十分に発揮し、地域や市町村との連携を強化していくためには、権限や予算の付与以上に、何よりも出先の職員の意識改革と本庁の行き過ぎた役割分担の是正、迅速な地域課題の把握を行うことのできる組織体制とすることが肝要です。振興局の再編がどのような理念で行われてきたのか、課題と今後の方向性について伺います。
 次に、デジタル化の推進について伺います。
 新型コロナウイルス感染症により、これまでの仕事の仕方が大きく変わり、日本社会におけるデジタル化が加速しています。デジタル化の推進は、物理的な場所や時間的な制約を受けない効果的な仕事の仕方を実現することにもつながるものであり、県民サービスの向上のため、行政分野においても積極的に推進していく必要があります。
 先日の知事演述においても、官民連携の推進組織と庁内推進本部を設置し、本県のデジタル化を一層推進していく方向性が示されました。県行政のデジタル化については、在宅勤務のための全職員分のノートパソコンの数量整備が優先事項ではなく、最低限の整備から、まずは他機関とオンライン会議ができるよう対外的な体制整備が急務と出先の職員からも聞きます。どのような優先順位で取り組んでいくのか伺います。
 次に、ILC誘致の進捗状況について伺います。
 新型コロナウイルス感染症によりILCの議論を潜在化させることなく、ポストコロナの一番の復活策としてくじけずに推進することが、今の岩手県にとって重要なミッションであります。コロナ禍でも、実は見えないところでILCが進んでいる状況について、この際説明をいただき、県としての推進への熱い思いを語っていただきたいと思います。
 アジア初、日本主催の国際大型科学技術計画であるILC計画は、次世代の技術と人材を生み出し、ポストコロナにおける日本の国際パートナーシップ協調モデルにもなる計画であります。国内外の機運の情勢、事業の確実な振興も図られており、建設実現にはもはや政治判断の域でしかなく、それには、科学という範疇を超えさせ、社会経済成長、地域経済成長、地方創生、まちづくり、地域イノベーション、インバウンド等、科学という文部科学省の枠を超え、内閣府、経済産業省、国土強靱化等の総合的な国の位置づけとして実現を目指す戦略をとるしかないと私は考えます。
 萩生田文部科学大臣や在任当時の竹本科学技術担当大臣もILCの必要性を認め、幸い、文部科学省、高橋ひなこ副大臣主導で、政府内でもILCに関する正しい最新情報の取り入れ、行政での情報の整備が加速し、リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟首脳陣、自由民主党ILC誘致実現連絡協議会首脳陣が、政治主導で次のアクションを準備中であります。
 ILCの実現の価値は、グローバル人材の育成、科学の進展、暮らしに役立つテクノロジーの誕生、次世代の子供たちのためにと。また、イノベーションの源泉は、人材、食、住、医療、教育産業、観光、創薬、環境、エネルギー、新材料、電子部品、通信、人材集積、雇用、製造技術、企業誘致等々です。しかも、その半分の費用は世界が出してくれます。
 2035年の運用開始を目指し、2022年にILC準備研究所設立のためには、この夏の国の概算要求にぜひともこの予算を盛り込まなければならず、まさに今が正念場です。さきに私が述べた戦略と現在の進捗状況について伺います。
 次に、東北ILC事業推進センターの取り組みについて伺います。
 ILC建設の準備に向けて、地域においても国際推進チームとの連携を深め、受け入れ準備を本格化するために、昨年8月、東北ILC事業推進センターが設置されました。鈴木厚人岩手県立大学学長を代表とし、大学と宮城県、岩手県の関係自治体で構成され、地形、地質調査や物流、まちづくりなど、受け入れ準備のために多岐にわたる検討を、部会を設置するなどして着実に進めています。
 地域レベルで準備を着実に進めていることをしっかりアピールし、政府の決断を促していくことが重要と考えますが、東北ILC事業推進センターの取り組み状況について伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。
 政府が必死になって行っている新型コロナウイルス感染症対策に対し、野党を初め、マスコミ、評論家は無責任に批判を発し続けています。世界各国がこの未知のウイルスに対し、国家の安全保障をかけ、試行錯誤を繰り返しながら闘っています。また、いまだ世界でも成功例はありません。
 その批判の内容には、海外からの渡航制限が遅かった、年度末の学校閉鎖は混乱させた。PCR検査体制や保健所の機能は脆弱だった。Go To キャンペーンは失敗だった。自粛要請が甘く、要請に対する経済支援がない。日本はワクチン入手がおくれ、納品スケジュールも示されず体制が組めない等々あります。
 批判は誰にもできますが、これらに対する知事の所感と、では、国はどうすべきであったかについて、政府の対応に対する知事が考える別な対応や手段があれば、この際、御教示いただきたいと思います。
 次に、経済対策について伺います。
 外出自粛などにより、飲食業、宿泊業を初め、さらに関連する県内中小企業は大きな打撃を受け、県内経済に影が差しております。まちを歩いていると、休業、閉店が日に日に目立ち、営業しているお店の店主に聞けば、仕入れ以下の売り上げとなり、店をあけはしているが赤字が重なり続けている。また、店は感染者が出たら倒産だ、お客さんに来てほしい反面、複雑であると話されます。
 こうした事業者に対し、国や自治体は、助成金やつなぎ融資などの資金繰り対策、感染防止対策への助成など目先の対応策は示されております。しかし、長期化する状況や飲食行動や購買方法、余暇の過ごし方等の行動変容により、現在の業態のままでの支援のみでは限界があります。
 今、コロナ禍を乗り切り、ポストコロナを見据え、赤字の店を助け、従業員を守り、事業者の経営体制を強化し、県内経済の持続的な発展を促していくには、新しい生活様式に対応する新分野への進出などの業態変更や販路方法の見直しなどの営業形態の変更を推し進め、経営の行動変容を起こすことが急務であります。
 コロナ禍で先進的に業態変更を進めている事例や、県内企業の現状、今後の県の個々に寄り添った支援の取り組み強化について伺います。
 次に、大雪被害について伺います。
 昨年12月からの大雪被害への対応として、国からは被災施設の撤去、再建に関する費用、農業機械の復旧への支援など、手厚い支援スキームが示されました。県でも、国の支援策に呼応し、国の補助へのかさ上げや、国の補助対象とならない被災農業者に対する補助などを盛り込んだ補正予算が今定例会に提案されました。廃棄物の処理費用の課題もありますが、国の支援に対し、地元からは、ひとまず評価の声をいただいております。
 こうした支援策を最大限に生かし、ことしの営農への影響を最小限にとどめるためには、速やかな施設の再建が必須です。しかし、これだけの数のパイプハウスを撤去し再建するには、人手の確保が大きな課題となります。お金がついても作業してくれる人がいない状況では、再開に大きな障害となります。
 一関市では、パイプハウスの撤去に建設業協会の協力を得ました。また、JA中央会にお邪魔し伺ったところ、県内の仲間として、職員を初め、JA青年部や認定農業者が立ち上がり、ボランティアとして応援する動きも見られ、心温まる思いを感じております。
 こうしたすばらしい状況に対して、とても大事になるのがボランティアのコーディネートです。せっかくの気持ちに対し、お互いぎくしゃくさせることなく進められるよう、コーディネート、調整機能の確立を求めます。
 また、活動に要する送迎や宿泊などへの支援も、早期再開の打開策になるのではないかと考えます。農業の復旧は、営農時期とにらめっこです。営農再開を諦めさせることなく、早期再開に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、環境制御技術による野菜生産の拡大について伺います。
 このたびの大雪被害により、パイプハウスを初め、農業施設に大きな被害を受けました。被害の全容や復旧策はまだ示されておりませんが、復旧計画真っただ中の今、我々が心がけておかなければならない視点は、まさにビルド・バック・ベターです。被災前と同じ作目でよいのか、冬場の葉物や花卉の生産など高収益作物への展開を進め、今後の岩手県の農業の大きな飛躍の転機とすべきです。ピンチをチャンスに、この機会しかありません。
 野菜生産においては、若手農業者を中心に、ICTの活用により単収を飛躍的に高める環境制御技術への関心が高まっています。本県の野菜生産の拡大に向けて、このような環境制御技術の活用による施設野菜の周年生産への取り組みをこの際拡大していくことが必要であると考えます。今回の復旧とあわせ、県は今後どのように推進していくのか伺います。
 次に、森林経営計画の作成促進について伺います。
 本県は、豊かな森林資源に恵まれており、この資源を有効に活用していくことが地域振興において極めて重要です。国では、持続的な林業経営と森林の持つ多様な機能の発揮を図るため、森林経営計画の認定を受け、森林施業を集約する取り組みに対し、間伐への補助金やFIT制度に対応した木質バイオマス発電における調達価格の優遇など、さまざまな支援措置を講じています。
 森林経営計画制度は、健全な森林の育成に資するとともに林業経営にも有益なものでありますが、森林所有者にかわって森林整備の主体となる森林組合や民間事業体では技術者が不足し、計画の作成がなかなか進まない状況です。
 このような状況を踏まえ、森林経営計画の作成促進に向けて、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、木質バイオマス発電の推進について伺います。
 森林資源の活用策の一つとして木質バイオマスの発電利用があります。木質バイオマス発電は、先日、知事が宣言した、いわて気候非常事態宣言における温室効果ガスの削減、災害から県民の命を守る対策を一体的に取り組むという趣旨にも合致し、県産木材の利用促進につながる起爆剤となり、森林の保全や雇用、排熱の農業への活用、災害時の電力供給先としても期待されます。
 県内では五つの発電所があり、新たに立地の話もありますが、豊かな森林資源を有する本県では、その優位性を生かし、さらなる立地を進める取り組みが必要と考えます。
 また、木質バイオマス発電では、FIT制度の優遇措置として、森林経営計画の対象森林から伐採、生産された木材を利用する場合、ほかよりも高い調達価格が適用されます。しかしながら、県内民有林面積の10%を占める県行造林の場合は、森林経営計画は策定されているにもかかわらず、一般材としての安い調達価格が適用されている状況にあります。
 木質バイオマス発電の推進を図るためにも、こうした障害を取り除き、参入しやすい環境を整えることが必要と考えますが、現状と県の取り組みについてお伺いします。
 次に、大学入試への対応についてお伺いします。
 大学入試における県内高校生の学力は、今年度の大学入学共通テストの平均点においては、全国の傾向と同様に向上している一方、いわゆる難関大学への進学者数を見ると、5年前と比較し大幅に減ってきている現状に驚きました。例えば、東北大学への現役合格者も、平成28年度の121人から、令和2年度は何と74人に減っています。岩手県を牽引する人材の確保や医師不足の本県にとって、この傾向はゆゆしき事態であり、上位層への対策を再検討し強力に推し進める必要があると考えます。
 新しい入試制度である大学入学共通テストにおいても、思考力を問う問題がふえ、従前同様の対策では対応できない状況にあると思います。県では高校生の学力向上に向けた対策をどのように行っていくのか伺います。
 次に、一関第一高等学校附属中学校について伺います。
 本県が抱える医師不足への対応や社会の進歩と発展に貢献する次世代のリーダーを育成することを理念に、平成21年度、一関第一高等学校附属中学校が設置されました。
 ことし、附属中学校の制度が12年を迎え、附属中学校に入学し、高校、大学進学、そして、今春いよいよ第1期生が医学部や大学院等を卒業し、就職する時期となりました。効果があると言われておりますが、これまでの成果と今後の方向性について伺います。
 次に、特別支援学校について伺います。
 平成19年の学校教育法の改正により、盲学校、聾学校、養護学校が特別支援学校に見直され、さまざまな障がいに対応可能な体制づくりが図られました。県内では、14校の特別支援学校において、個々の児童生徒の障がい等の程度により、きめ細かな教育が実践され、その理念に沿った教育の推進が図られております。
 では、ここで、提案いたします。この際、特別支援という名称を外すことはいかがでしょうか。
 特別支援学校を卒業した子供たちが健常者と同じように受け入れられる社会であること、そうした社会を目指すことは言うまでもありません。しかし、現在の日本社会においては、残念ながら全ての方が特別支援学校を正しく理解していないことも事実です。また、親御さんたちの中には、自分の子供のことを思うばかりに、障害者手帳の取得や特別な支援を受けることをためらってしまう方もおります。文部科学省の制約は特にないようで、東京では特別支援を外し、〇〇学園と名乗っている学校もあるようです。
 卒業した生徒が就職などの際、無用な差別を受けることがないよう、学校の名称を変更すべきと考えますが、県教育委員会の見解を伺います。
 最後に、ポストコロナ時代への展望について知事に伺います。
 改めて、目の前の患者を何とか救うため力を尽くす医療従事者の皆様、感染拡大の防止に奔走する保健師の皆様、みずから私生活でも細心の注意を払い高齢者と向き合う介護関係者の皆様、全ての関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 この1年、世界が、人類が、新型コロナウイルス感染症と闘い、先が見えない、道しるべもない、怪しい地図が何枚もあり、さまよい、何を信じて進めばよいのか、不安、心配を抱えながら闇を進んできました。
 このウイルスは、病気として重症化したり亡くなったりするだけでなく、経済を疲弊させ、仕事や生活のあらゆる場面で人と人とが触れ合うことを奪いました。しかし、私たちは、感染対策をしながら経済を回していかなければなりません。
 コロナ禍は社会を変えました。かけ声だけだったオンライン会議や在宅勤務が広がり、地方でのリモートワークが進み、東京から地方へ本社を移すなど、都会の満員電車の通勤から地方への移住、岩手県への移住インセンティブが上がりました。
 教育の分野でも、GIGAスクール構想の実現により、学校、家庭とのICT環境が整備され、これは地方の教育格差是正につながります。
 コロナ禍の中、苦しい一年でしたが、新しい生活様式や新しい価値により、私たち地方は地方創生のヒントを得ました。厳しいですが、活路を見出し、新しい未来への明るいビジョンを県民、企業に示していくことが、2021年、我々政治家の大きな使命であります。
 ポストコロナ時代への展望について知事の御所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)神崎浩之議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政運営への思いについてでありますが、高校時代に海外派遣事業で訪れた米国への関心が高まり、大学で日米関係を扱うゼミをとりました。ゼミの先生の勧めに従い、外務省の論文・討論コンクールに応募したところ、外務大臣賞を受賞しました。受賞者は、現地の日本大使館員の案内で東南アジアの国々を視察しましたが、そのとき、自分もこの人たちと一緒に仕事をしたいと思い、外務省に入省することとなりました。
 外務省で米国留学、シンガポール大使館勤務を経て、本省で働いていたときに、今は亡き高橋令則参議院議員から、次期衆議院議員選挙の出馬の意向を問われました。その衆議院議員選挙は、小選挙区制導入後初めての総選挙であり、日本政治の改革に衆議院議員として参画したい、また、ふるさと岩手に貢献できればとの思いから、第41回衆議院議員総選挙に立候補することとなりました。
 平成18年夏、翌年の岩手県知事選挙に立候補するのにふさわしい人材を民主党岩手県連代表として発掘する作業を行う中、総合的に判断して、私自身の立候補が望ましいとの結論に至りました。私個人としても、当時の地方財政や地方経済の危機的状況を打開するため、岩手県政に直接携わりたいと強く思いました。
 県政トップのあるべき姿についてですが、知事というものは、知事がどうあるべきかというよりも、岩手県がどうあるべきかという問題意識を常に抱くことが大事であり、岩手県のあるべき姿については、二つの県民計画や復興計画に示しながら県政に取り組んでまいりました。心がけてきたこととしては、知事の仕事は知ることとして、岩手県のことをよく知ることを心がけてきたところであります。
 次に、行政運営についてでありますが、岩手県行政のトップに求められるのは、岩手県内の知恵と力を総結集させることです。そういう意味では、知事に専門的な知識や経験がなくても、人に動いてもらって、よりよい結果が出れば、県として成功であり、リーダーとしても成功と言えると思います。
 外務省で学んだり経験したりしたこととしては、任務先の国の特徴を把握し、特に強み、弱みを分析することがあり、これは岩手県政の推進に当たっても役に立っていると思います。
 次に、現場主義についてでありますが、県政の推進に当たっては、知ることが大事であり、どんな分野でも答えは現場にあるということが言えると思います。県政の分野に関連し、農林水産業、ものづくり産業、観光業、医療、福祉、教育、文化、スポーツなどの現場を訪問するようにしてまいりました。
 それらの中で印象に残っているものとしては、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の競技力強化のため、各競技の練習の現場を訪問したこと、応急仮設住宅に何度か宿泊したこと、最近では、岩手県における新型コロナウイルス感染症対策関係で、PCR検査の現場、電話相談等の現場を訪問したこと、広域振興局職員の飲食店訪問に同行したことなどが挙げられます。
 県職員についても、仕事上の必要に基づく場合だけではなく、各広域振興局など、本庁以外の公所で働く職員にも機会をつくって会うようにしているところであります。
 次に、職員教育についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)においては、目指す職員像として、地域の課題解決に向け、高い先見性とグローバルな視点を備え、世界の中の岩手を意識しながら、県民視点で県全体の利益を追求する職員を掲げており、その実現のための取り組みを進めることが重要と認識しております。
 また、岩手県職員のあるべき姿や行動基準を掲げた岩手県職員憲章における五つの信条、県民本位、能力向上、明朗快活、法令遵守、地域意識について徹底を図ってまいりました。この職員憲章も踏まえ、年度初めや年頭の知事訓示により、課題意識や求められる職員像を発信するとともに、部課長研修において、職員の育成やマネジメントについて考えを伝えているところです。
 また、若手職員に対しては、採用時の研修や各広域振興局等における若手職員との意見交換の場などにおいて、目指す職員像などの発信、共有を図っております。
 次に、機構改革についてでありますが、広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼とし、地域ニーズに即した施策展開が一層可能となるよう、市町村への支援や、広域的、専門的なサービス提供などを目的に設置しました。
 広域振興局では、地域ニーズの把握に当たり、管内市町村長との意見交換や圏域の懇談会のほか、部門ごとの意見交換を随時行っています。
 新型コロナウイルス感染症対策に関しては、広域振興局では、岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部地方支部会議等において、感染状況、感染拡大防止と社会経済活動両立の取り組みなどについて、市町村等関係機関との情報共有、連携を図っており、こうした現地の情報等については、本庁においても共有しているところであります。
 さらに、管内市町村と商工団体の連携会議の開催、管内事業者の訪問等、さまざまな方法により、きめ細かに現場の状況やニーズを把握しながら、地域経営推進費を活用し、地域経済の活性化に向けた事業を実施しています。
 今後においても、独自性や機動性が発揮できる現在の4広域振興局体制を基本としながら、地域課題等に的確かつ柔軟に対応してまいります。
 次に、感染症対策についてでありますが、国の対応については、県では、政府予算提言・要望や全国知事会を通じて提言や要望を行っているところでありますが、知事の考えを御教示いただきたいということでありますので、私の個人的な考えを述べさせていただきたいと思います。
 いわゆる国内第1波から第3波まで、それぞれの感染が減り始めるところを振り返りますと、日本は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者をゼロに近い状態にまで収束させることが可能と考えます。実際に、第1波は、新規感染者数がほぼゼロになるまで収束することができていましたが、第2波は、東京都などの歓楽街で若者の陽性者の一群が見逃されたことが要因となり形成されていきました。その時点で、都市部における歓楽街の若者の感染対策を徹底的に行っていれば、第2波も第3波も形成されなかったと考えます。
 日本は、感染をほぼゼロにし、感染の大きな波を生じさせないことができる地域であり、社会であり、国であると考えますので、第2波、第3波の形成は残念です。
 次に、新型コロナウイルス感染症を踏まえた展望についてでありますが、過密な都市部の感染拡大が著しいことなどを背景に、地方のよさが再認識され、ふるさとづくりにおける大きな転機を迎えているところです。特に、テレワークを初め、身の回りのあらゆる分野でデジタル化の進展や5Gなどの実用化が進んでおり、このような先端技術の活用は、本県の第1次産業から第3次産業まで、あらゆる産業の技術革新のエンジンとなり、企業の生産性を向上させるとともに、県民生活の利便性が飛躍的に高まり、社会変革にもつながると考えます。
 こうした方向性は、先端技術を活用し、豊かな自然など岩手のよさを生かすことによって、地方の暮らしや仕事を起点とする政策を推進し、県民の幸福度を高めようとする県民計画のビジョンと軌を一にするものであります。
 このため、新型コロナウイルス感染症対策を進めるとともに、10の政策分野に盛り込んだ施策や三つのゾーンを初めとする11のプロジェクトを連動し、加速させながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げるお互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを目指してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔政策企画部長八重樫幸治君登壇〕
〇政策企画部長(八重樫幸治君)幸福関連指標についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる10の政策分野については、各分野に関係する部局が複数にわたることから、計画を推進するための組織として、政策分野ごとに関係部局で構成する部局横断の政策推進クロス・ファンクショナル・チームを設置しています。
 この政策推進クロス・ファンクショナル・チームでは、いわて幸福関連指標の達成状況や社会経済情勢等を踏まえ、政策分野の評価や政策立案の検討を行っており、その結果を踏まえ、各部局において次年度の事業を立案しています。
 こうした政策形成プロセスを経て立案した事業については、予算の部局枠にとらわれることなく予算要求が可能となるように、政策、プロジェクト推進費を設け、いわて幸福関連指標の向上への寄与などを考慮し、令和3年度当初予算案では、事業費ベースで21億円余を計上しているところであります。
   〔ふるさと振興部長佐々木淳君登壇〕
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)デジタル化の推進についてでありますが、他機関とのオンライン会議においては、これまで情報セキュリティー及び通信容量の関係から、職員1人1台端末からの利用は、招待される場合に限り許可制にして運用してまいりました。
 こうした中、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いオンライン会議の需要が急速に増加してきたことから、昨年5月からは、オンライン会議の開催に必要なライセンスを取得し、広域振興局を含む県と市町村との新型コロナウイルス感染症に関するオンライン会議等を開催してきたところであります。
 このオンライン会議の利用は、通信容量の関係から限定的なものであったことから、別途オンライン会議用の専用モバイル回線と端末を準備し、昨年11月からは、20台分を本庁各部局及び広域振興局の九つの合同庁舎に配備し、通信容量の制約に関係なく利用できる環境を整備しているところであります。
 新しい生活様式の浸透、社会のデジタル化の進展に伴い、オンライン会議が標準的なものとなると認識しており、情報セキュリティー対策とのバランスも考慮しながら、現在進めているリモートワークの環境整備など行政のデジタル化に取り組んでまいります。
   〔ILC推進局長高橋勝重君登壇〕
〇ILC推進局長(高橋勝重君)まず、ILCの推進についてでありますが、現在、世界の研究者によるILC国際推進チームがILC準備研究所の令和4年度の設立に向けた活動を進めており、準備研究所が設立され、ILCの建設、運用に係る具体的な国際分担などについて、政府間協議が着実に進展していくことが重要であると考えております。
 県はこれまで、日本政府における早期の意思表明を初め、ILCの意義と多様な効果に鑑み、省庁横断の連携体制を強化し、国内議論を加速するよう関係省庁等に働きかけており、さらに、準備研究所の設立には政府の理解が必要でありますことから、昨年11月には準備研究所設立に積極的に対応するよう要望しております。
 この3月、研究者による国際会議では、準備研究所に関する議論も予定されていると聞いており、議論の内容も踏まえて、予算の確保を初め、準備研究所の設立に向けた関係者の取り組みが具体化されていくものと見込まれます。
 県としては、超党派国会議員連盟、推進団体や関係自治体等と一層の連携を図り、国民、県民の理解を増進していくとともに、建設候補地としての取り組みを着実に進めながら、米欧の協力姿勢を追い風に、日本がILC計画を主導し前進させるよう、引き続き政府に働きかけてまいります。
 次に、東北ILC事業推進センターの取り組み状況についてでありますが、昨年8月、ILC国際推進チームの発足に呼応して、本県を含む岩手県、宮城県の関係自治体、大学等により東北ILC事業推進センターを組織し、高エネルギー加速器研究機構や全国的な推進団体等と連携を図りながら、地形図や地質に関する基礎資料の作成、機材搬送の検討など、建設準備のための具体的、実務的な調査、検討を進めております。
 東北ICC事業推進センターの会議はオンラインを中心に行われていますが、参加自治体を訪問し、研究者と首長等が面談し、広域での取り組みについて意見交換するなど連携を図っております。
 また、これまでの東北における周辺環境調査、受け入れ準備の状況等について取りまとめ、その英訳をILC国際推進チームに提供するなど、建設候補地としてチームの活動にも寄与しております。
 ILCの実現に向けては、建設候補地における準備の進展が政府決断の後押しにもなるものと考えており、県としては、東北ILC事業推進センターでの役割を果たしながら、ILCプロジェクトの推進に全力で取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)コロナ禍における経済対策についてでありますが、先進的に業態変更を進めている事例としましては、テークアウトサービスに取り組み始めた事業者が多くあるほか、温泉旅館が、従来から行っているデイサービス事業に加え、要介護者とその介護を行う家族が安心して宿泊できるプランを設け、他との差別化を図っている事例や、居酒屋が、店舗内部を音楽イベントが開催できるホールにも使えるよう改装し、イベント会場として貸し出すことにより新たな誘客の掘り起こしにつなげている事例などがあります。
 県内企業の現状につきましては、商工指導団体と連携して実施している影響調査の1月末の状況によりますと、感染症の影響により業態転換、新分野進出を行っている、または行う計画があると回答した割合は全体で11%と1割程度でありますが、業種別で見ますと、飲食業が32%と最も高く、次いで宿泊業が29%と、この2業種は3割程度となっています。
 新しい生活様式に対応する新たなビジネスモデルへの転換を含め、事業者には、より一層主体的な取り組みが求められているところと考えます。
 県としては、事業者の取り組みを促進していくため、令和3年度当初予算案に専門家派遣や産業支援機関への経営支援スタッフの配置に必要な経費を盛り込んだところでありまして、引き続き、伴走型支援体制の強化に努めながら、国の小規模事業者持続費補助金や事業再構築補助金等の活用を促し、事業者の経営力の強化に向けた取り組みを支援してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)まず、大雪被害についてでありますが、県では、被災したパイプハウスの撤去や再建等の支援に必要な経費を盛り込んだ補正予算案を今定例会に追加提案したところであります。
 生産者の経営再建に当たっては、これまで、JA県中央会などの農業団体と連絡会議を開催し、パイプハウスの撤去、再建への対応や、農業共済金の支払い状況などについて情報共有するとともに、市町村、JA等を対象に補正予算案に盛り込んだ事業の説明会を県内3カ所で開催し、その内容の周知を図ったところです。
 また、広域振興局等でも、市町村やJA等とパイプハウス再建のための資材や人手の確保に向けた取り組み状況について情報共有したほか、不足が懸念される水稲苗をJA間で融通するための助言などを行っているところです。
 JA県中央会では、県央部や県北部のJA職員のほか、若手生産者で組織するJA青年部の構成員や認定農業者などが、現地に赴き、被災したパイプハウスの撤去等を応援するための準備を進めているところであり、引き続き、関係機関、団体と連携を密にしながら、生産者が意欲を持って春からの生産活動に取り組んでいくことができるよう支援してまいります。
 次に、環境制御技術の活用による野菜生産の拡大についてでありますが、本県では、岩手県野菜生産振興計画に基づき、野菜生産施設の温度や湿度、二酸化炭素濃度などの複数の生育環境をICTにより自動で制御する、高度な環境制御技術の活用による施設野菜の周年生産を推進しています。
 県内では、高度な環境制御技術が初めて導入された平成29年度以降、これまで14経営体でこの技術が導入されており、このうち6経営体でトマト等の周年生産の取り組みが行われています。
 一方、寒冷地である本県においては、暖房コストが増大する冬期間の安定的な収益確保が課題となっていることから、農業研究センターにおいて、本県に適した周年生産のための高度な環境制御技術の活用研究を進めています。
 県では、周年生産を希望する農業者に対し、収益確保が可能な品目の選定や、経営規模に応じた環境制御技術の導入について助言、指導を行うとともに、機械導入等を支援する事業も活用しながら、施設野菜の周年生産が拡大するよう取り組んでまいります。
 次に、森林経営計画の作成促進についてでありますが、健全な森林を計画的に育成していくためには、森林経営計画を作成し、森林施業を適切に行うことが重要であり、県ではこれまで、計画作成の主体となる森林組合等を対象とした研修会の開催や、計画を作成する森林施業プランナーの育成に取り組んできたところです。
 本県では、東北で最も多い93名が森林施業プランナーに認定されていますが、このプランナーが計画作成の実務を担うためには、小規模な森林所有者の合意形成を図る調整力や、広大な森林の現況を正確に把握する技術力などを習得していく必要があります。
 このため県では、昨年度から豊富な実務経験とすぐれた指導力を持つリーディングプランナーを養成し、経験の浅いプランナーを指導する体制づくりや、ドローン等を活用した効率的な森林調査技術の普及など、森林施業プランナーの技術力等の向上を支援する新たな取り組みを進めてきたところであります。
 今後も、こうした取り組みを推進し、高い技術を身につけたプランナーが核となって、県内各地域で森林経営計画の作成が進められるよう、きめ細かく支援してまいります。
 次に、木質バイオマス発電の推進についてでありますが、再生可能エネルギーによって発電された電気を一定の期間、価格で電気事業者が買い取ることを義務づけるFIT制度において、木質バイオマス発電でより高い買い取り価格となる優遇措置が適用されるためには、森林経営計画が作成された森林で生産された木材等を燃料として使用する必要があります。
 一方で、県と土地所有者が分収林契約を締結している県行造林では、土地所有者による主伐後の再造林が行われないおそれがあることなどから、主伐を森林経営計画に規定することはできないとされており、県行造林から主伐された木材は、FIT制度の優遇措置が適用されないという課題があったところです。
 このため県では、林業関係団体と連携し、国に対して県行造林での主伐を森林経営計画に規定できるよう運用の見直しを要望してきたところ、本年1月25日に見直しが行われ、分収林契約終了後に土地所有者が森林経営計画を作成するなど一定の要件を満たせば、県行造林から主伐された木材もFIT制度の優遇措置が適用されることとなったところであります。
 今後、土地所有者等に対し、制度運用見直しの趣旨を説明し、理解を得るとともに、県行造林の森林経営計画に主伐を規定する変更作業を進め、県行造林にFIT制度の優遇措置が適用される環境づくりを進めてまいります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君)まず、大学入試への対応についてでありますが、大学入学共通テストを初めとする大学入学者選抜改革においては、学習指導要領の改訂の趣旨等を踏まえて、より一層、思考力、判断力、表現力等が求められていると承知しています。
 県教育委員会では、教員に対する研修や説明会において、実社会とつながりのある素材を用いた探究的な学びによる授業の実施について周知し、思考力、判断力、表現力等の資質、能力の育成を図っているところです。
 また、医学部志願者を対象としたメディカルプログラムの内容の充実を図るとともに、難関大理系学部、医学部を目指す生徒が多い学校を探究プログラム重点校に指定し、理数教科に関する探究的な学習を行うことで、生徒の科学的思考力の育成及び理数教科のより一層の学力向上に取り組んでいるところです。
 今後も、知識や技能はもちろんのこと、自分で課題を見つけ、主体的に思考、判断、表現する資質、能力を育成し、医師、研究者、情報系技術者等、高度な専門知識や技能等を生かした各分野のスペシャリストやリーダーの育成を目指してまいります。
 次に、一関第一高等学校附属中学校についてでありますが、附属中学校は、医師不足など本県の抱える課題への対応や、社会の進歩と発展に貢献する次世代のリーダーを育成することなどを基本理念として、平成21年度に設置し12年を迎えます。この間、中高一貫教育のもと、生徒がより深く学び、将来の進路目標を達成できるよう、特色ある教育活動を展開しているところです。
 県政課題に対応した人材育成の観点における進路状況を見ますと、これまでに附属中学校出身の一関第一高等学校卒業生では、22人が医学部に進学するなどの成果を上げているものと認識しています。
 次世代のリーダーを育成することに関しては、開校時から6年間を通した計画的、継続的なキャリア教育を推進していることに加え、令和元年度から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールの指定校となり、中学3年生と高校1年生の合同による協働的な探究活動の実践などを通して、本県や世界で活躍し得る人材育成につながっているものと捉えています。
 今後も、生徒一人一人の進路実現に向けた学びに主眼を置くとともに、学校の教育活動の充実に向けて、学校の取り組みを支援していきたいと考えております。
 次に、特別支援学校の名称変更についてでありますが、本県においては、平成19年の学校教育法の改正を受け、学校の校名を変更し現在に至っています。校名変更の際には、どこの地域にあるどの学校種であるかを明確にし、児童生徒、保護者、地域の方々に理解していただき、その上で地域に根差していくことが重要であるとしたことから、支援学校とし、設置されている場所や地名に教育理念や児童生徒への願いを愛称という表現で示す形にしています。
 なお、校名変更につきましては、保護者や生徒等の声も踏まえながら、慎重に対応していくものと考えております。
〇議長(関根敏伸君)この際、暫時休憩いたします。
   午後2時5分 休 憩

出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時23分再開
〇議長(関根敏伸君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。菅野ひろのり君。
〔16番菅野ひろのり君登壇〕(拍手)

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