令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(小西和子君)希望いわての小西和子でございます。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げます。そして、感染された方々にお見舞いを申し上げます。現在療養中の方々には、一日も早い御回復を御祈念申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問をいたします。
 初めに、県民幸福度の向上を図る組織体制について伺います。
 2020年11月1日現在の県職員の欠員数は65人です。改めて、災害対策を含めた、公務運営の体制確保が重要な県政課題であると考えます。東日本大震災津波発災後の県議会の場においても、これまでの行財政構造改革プログラムによる県職員の人員削減などに伴い、円滑な災害対応ができなかったという教訓も共有したところであり、人員確保に当たっては、まずもって東日本大震災津波の教訓を生かさなければなりません。
 2021年度の予算は、命を守る幸福希望予算と命名されています。新型コロナウイルス感染症対策の徹底、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、県民の命を守り、いわて県民計画(2019〜2028)が目指す希望郷いわての実現につなげていく予算と位置づけられています。これを着実に遂行していくためにも、人員確保対策は不可欠です。しかし、次年度の組織、職員体制の概要では、今年度当初から40人程度減少し4、420人程度となる見込みと示されました。
 県は、東日本大震災津波を初め、平成28年台風第10号災害などの諸災害、今般の新型コロナウイルス感染症対策の教訓を踏まえ、県民の命と健康、さらには地域経済、地域社会を守り、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる県民の幸福度向上に向け、改めて県行政の組織体制の強化をどのように進めていこうとするのか、総括的な所見と対応を知事に伺います。
 県職員は、新型コロナウイルス感染症対策が長期化し、保健衛生部門に加え、産業振興部門を初めあらゆる行政分野において新たな対策に従事しています。喫緊の課題として、新型コロナウイルス感染症対策をめぐっては、直接に感染症予防を担う保健所はもとより、児童相談所など県民のセーフティーネットを担う職種で業務量が増大しています。県政推進には、それぞれの分野における専門性を担保するため、人材確保を進めていく必要がありますが、獣医師、薬剤師を初め専門職種の確保は厳しい実情にあります。専門職種の計画的な人材確保のための処遇改善を含めた対策をどう進める考えか伺います。
 また、職員の長時間労働の是正に向け、県は率先して県民に範を示すべきですが、県庁を初め各部局での長時間労働は是正されていません。働き方改革と称して、各所属に一層の業務縮減や見直しなどの取り組みを求めていますが、業務量は依然減少しない実態にある中で、現場は長時間労働の限界にあります。県民サービスの水準維持の観点をも踏まえつつ、実効力のある長時間労働の是正策が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、東日本大震災津波からの復旧、復興について伺います。
 東日本大震災津波から10年の節目を迎えようとしています。被災者の住宅再建や雇用環境の改善、復興道路の整備が進んでいることにより、生活は回復したという声がある一方で、コミュニティー形成に課題があることや、今後の被災地における高齢化や人口減少、新型コロナウイルス感染症の影響による不安の声があります。県職員を初め関係の方々は身を粉にして復興に奮闘しておりますが、マンパワーの不足、財源問題など、今も多くの課題を抱えています。
 県内に1万3、984戸整備されたプレハブの仮設住宅は、10年を経て、ようやく年度内に全員の退去が整う見込みです。しかし、恒久住宅に移った後も、多くの被災者が悩みを抱えています。
 県は、令和3年度当初予算案でファイナンシャルプランナーや弁護士が生活設計を支援する、被災者の相談センターを沿岸1カ所に設置する計画です。ただ、現在は内陸と沿岸の計5カ所にセンターがあり、アクセスの低下は避けられないとの声があります。
 沿岸に設置する(仮称)いわて被災者支援センターの業務内容を伺います。あわせて、内陸避難者や県外避難者に対する支援について伺います。
 東日本大震災津波の復興事業の進捗に伴い、防潮堤など膨大な社会資本が形成されてきています。今後は、増大する維持管理業務への対応として、業務の効率化と人員配置が必要と考えますが、どのように対応する考えか、県土整備部長に伺います。
 任期付職員のうち、任用1年目から4年目までの職員を対象に任用が1年間延長されましたが、続く震災復興業務はもとより、県行政の推進のためにも引き続き必要と言えます。任期付職員の戦力を生かすためにも、任期の定めのない任用職員への採用を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 2020年度から会計年度任用職員制度がスタートし、間もなく1年を迎えます。この制度の導入により、従前の非常勤専門職員、臨時職員のときから、一部処遇が改善された部分もありますが、残念ながら勤務時間の短縮などに伴う報酬額の減少など、マイナス面も少なくないと聞いています。臨時職員、非常勤専門職員の処遇改善となる制度として運用されているのか、改めて課題を整理しながら、処遇改善となる取り組みを進めていただきたいものです。特に、専門的業務を担う会計年度任用職員の一層の処遇改善に向けた検討を求める声が上がっていますが、所見を伺います。
 会計年度任用職員の任用に関し、事業進捗に伴い予算が減額され、必要な会計年度任用職員が任用できない職場実態があると聞いています。制度導入前は、県から必要なマンパワーの確保に努めるとの答弁がありましたが、実態は大幅に乖離していると聞いています。
 特に、公共事業部門を中心に会計年度任用職員が減となると見込まれます。職場で必要な体制確保こそ行うべきと考えます。財源措置を含めた任用確保上の課題は何か、また、その課題をどう解決し、職場の体制確保を進めていく考えか伺います。
 次に、豊かな教育の実現について伺います。
 本年2月3日に、全国の公立小中学校教員の採用倍率が報道されました。岩手県は、小学校2.7倍、中学校3.8倍、全国平均、小学校2.7倍、中学校5.0倍となっています。全国的に見ると、13の自治体で公立小学校教員の倍率が2倍を切っています。岩手県も退職者数がふえたことに伴い、採用者数が増加傾向であるにもかかわらず、教職員の多忙化などの要因もあり、受験者数の減により、採用倍率が低下していると捉えられます。
 全国的に採用倍率が低下しているものの、一方で採用試験の日程を早め、合格発表を早くすることで受験者を確保する、採用試験の内容や実施要領を見直して間口を広くするといった対策を講じたことで倍率が上がった例、また、臨時的任用教職員で合格した人を4月採用ではなく、1月に現任校で採用、前倒し採用とすることで教員確保を行っている県もあります。このまま無策でいれば岩手県の教育の崩壊につながると考えますが、教員の人材確保の具体的な対策はあるのか伺います。
 沿岸地域は、東日本大震災津波による人口流出により、少子高齢化が急速に進んだことを背景に、小中学校の統合が進みました。2010年度と2020年度を比較したとき、沿岸地区の13市町村では186校から127校へと激減しています。このため、子供たちの通学距離が長くなり、学校内外の活動や生活時間への負担などの影響が見られ、心のケアの必要性は増しています。
 2020年度の心とからだの健康観察によれば、優先的に教育相談してほしい児童生徒、要サポートの割合は、全体数は減少しているものの、全県で11.5%、1万2、777人おり、沿岸部は13.8%で、内陸部の11.0%より高い状況にあります。これは、保護者が生活再建のために奔走し、愛情を受けるべき時期に我慢し続け、大きな声を出したくても狭い仮設住宅で制限されて幼少期を過ごしたことも要因の一つです。中には、保護者が生活再建への気力も持てず、ネグレクトに近い状態の家庭も存在しています。奔走している姿を目の当たりにして、自分の大変さを言い出せない、言ってはいけないと考えているからです。このことは、現在も継続しています。
 さらに、2012年度当初194人配置されていた東日本大震災の被災児童生徒に対する学習支援等のための復興加配が、2017年度は176人、2018年度は125人、2019年度は108人と減らされ続け、2020年度は60校80人となっています。子供たちの声を聞くためには、このように復興加配の減少もあり教職員の数が十分とは言えません。東日本大震災津波後も大規模な自然災害が発生していることから、東日本大震災以外の加配も考えるべきであり、子供一人一人に寄り添える環境が失われつつあることを危惧します。
 東日本大震災津波後の心のケアを柱に、子供一人一人が大切にされる環境を整える取り組みを行うべきと考えますがいかがでしょうか。
 学校教育が正常に機能するためには、学校における教職員の働き方改革が急務です。子供のためであればどのような長時間労働もよしとする働き方により、教職員が疲弊していくのであれば、それは子供のためにはなりません。学校における働き方改革の目的は、教職員のこれまでの働き方を見直し、日々の生活の質や教職員の考え方を豊かにすることであり、みずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対してよりよい教育活動ができるようになることです。
 2020年4月から、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律第7条が施行され、正規の勤務時間を除いた時間の上限は、1カ月45時間、年360時間と定められ、教育職員の業務量の適切な管理を行うこととなりました。
 岩手県教職員働き方改革プランの取り組みは終了しますが、超過勤務、多忙化は改善されていません。プランでは、3年間を集中的な取り組み期間とした上で、教職員の充実感などの向上や長時間勤務者の削減を目標に掲げ、教職員の負担軽減、教職員の健康確保等を柱とした取り組みを進めることとなっていました。超過勤務、多忙化による教職員の過労死や病気休職は決してあってはならないものです。そのためにも、学校における働き方改革の実現が急務です。
 岩手県教職員働き方改革プランの目標を達成できなかった要因をどのように分析しているのか伺います。あわせて、次期、岩手県教職員働き方改革プランでは、どのように取り組んでいくのか伺います。
 突然の臨時休校から、1年が過ぎようとしています。新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢が刻一刻と変わる中、学校現場では、知恵を出し合い、工夫を凝らして取り組んできました。これまで当たり前とされてきた学校活動や教職員の働き方を見直すきっかけになりました。これを機に、もとに戻すのではなく、学校活動の一つ一つの教育活動の教育的意義を問い直し、非常時にも対応できるゆとりある学校を目指すべきと考えますがいかがでしょうか。
〔副議長退席、議長着席〕
 次に、子供の幸福度の向上について伺います。
 2018年度に実施した岩手県子どもの生活実態調査では、公的支援施策の周知や活用が十分でないことなどが明らかになっています。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から、子供たちの家庭や学校生活も変更や調整を強いられ、子供の保護者と地域のつながりが薄くなるなど、厳しい状況となっていることに危機感を抱いています。
 こうした中、県では、昨年7月に岩手県子どもの幸せ応援計画を策定しましたが、家庭環境に左右されず、誰ひとりとして取り残すことなく、一人一人の子供たちに寄り添いながら貧困を解消し、発達を保障していくことが、子供たちの幸福度の向上につながると考えますが、計画に係る今後の取り組み姿勢について知事の見解を伺います。
 次に、ひとり親家庭への支援について伺います。
 出口の見えないコロナ禍の、女性への影響が広がっています。仕事を失う人の多さから、女性不況とも言われています。全国の雇用者の最大減少幅は、男性32万人、女性74万人と、男性の倍以上になっています。非正規労働者は、女性53.4%、男性21.7%と女性が多く、雇用調整の対象になりやすいと言われています。
 このことから、岩手県の実態を把握し、非正規労働者に対する雇用対策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 岩手ウィメンズネットでは、1月31日、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんの、コロナ禍のひとり親家庭地方自治体ができることと題した講演をオンラインで開催しました。その中で、生活困窮の相談が5倍以上に激増していること、新型コロナウイルス感染症により7割の母子家庭が影響を受けていること、食事を減らし光熱費を節約していること、新型コロナウイルス感染症による困窮者支援が届きにくかったことも話されました。
 また、ひとり親にとって児童扶養手当の窓口は、嫌な思いをしたり屈辱的な扱いを受けたりするところ、と答えた方が3割にも上ることに驚きました。コロナ禍の中でひとり親が使える制度、緊急小口資金、住居確保給付金、ひとり親世帯臨時特別給付金に行政がつなぐことができていない現状があります。
 また、地域では、困窮していることを周りに知られたくないことから、子ども食堂などでも、居住地域から離れたところを利用している実態があります。
 行政の窓口ハラスメントについてと、地域でのひとり親家庭の思いについて、岩手県の実態を把握しているのか伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、保護者の就業環境が変化し、一時的に就労収入が減少することなどが想定されているところです。各市町村や関係団体には、新型コロナウイルス感染症に関連して、ひとり親家庭から、残業時間が減少した、収入が減少したので転職を考えているなどの声が寄せられているとのことでした。
 こうしたことから、昨年の決算特別委員会では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響が懸念されるひとり親家庭の状況について、さまざまな機会を捉えて実態の把握に努め、必要な取り組みにつなげていく考えとの県からの答弁でしたが、実態をどのように捉えて取り組みにつなげたか伺います。
 2018年度に実施した岩手県ひとり親世帯等実態調査や、岩手県子どもの生活実態調査では、ひとり親家庭において就労状況が不安定なため、収入の低い世帯が多く、子供の進路にも影響を与えるなど、依然として厳しい状況にあることなどが浮き彫りとなりました。
 県では、これらの調査の分析結果を踏まえて必要な施策を盛り込み、第4次計画となる、岩手県ひとり親家庭等自立促進計画(2020〜2024)を策定しています。
 岩手県ひとり親家庭等自立促進計画(2020〜2024)の進捗状況と所感を知事に伺います。
 岩手県子どもの生活実態調査では、ひとり親家庭において公的支援施策の周知が十分に行き届いていないこと、公的相談窓口が十分に活用されていないことなどが明らかとなっています。
 このため、2020年度から実施している、ひとり親家庭等総合相談支援事業で、全県レベルの関係団体ネットワークを構築し、ひとり親家庭が抱える課題の共有と支援のためのガイドラインを策定するとともに、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置し、さらに、ひとり親家庭等の支援施策をまとめたガイドブックの作成、困難事例に対する直接的な支援、地域で相談に対応する民生委員、児童委員の対応力を高める研修や専門的な助言、ひとり親家庭を対象とした家計管理講習会の開催などに取り組むとのことでした。
 また、9圏域ごとにひとり親家庭などの支援に取り組む市町村や社会福祉協議会、ハローワーク、NPOなどで構成するネットワークを構築し、訪問相談や継続的な見守りなどを行う仕組みと専門機関が連携する体制を整備していくとのことでしたが、その進捗状況を伺います。あわせて、早急に対策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、ジェンダー平等の実現について伺います。
 2月3日の公益財団法人日本オリンピック委員会臨時評議委員会において、当時の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、森喜朗会長が、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかると発言したと報道されました。組織の長である会長から、このような偏見に基づく女性蔑視の発言があったことは、委員会の正当性を害する極めて深刻な問題であり、看過できません。
 オリンピック憲章は、当然のことながら性差別を容認していません。国際オリンピック委員会も、オリンピックにおける男女平等を掲げています。ジェンダー主流化が世界的潮流の今日、森前会長の発言は、日本の国際的な地位さえおとしめるものです。
 そこで、知事に伺います。森前会長の発言は、日本社会全体の男性優位社会を映し出していると国内外から批判されていますが、知事はジェンダー平等の視点から、今回のことについてどのように捉え、また、ジェンダー平等で目指す岩手の姿をどう描いているのか伺います。
 2019年12月に発表されたジェンダーギャップ指数は、多くの国で改善した一方、日本は過去最低、153カ国中121位となり逆行しています。2020年までに指導的地位を占める女性の割合を30%にするという第4次男女共同参画基本計画の核とも言える202030は達成されず、国際的に大きく差を広げられる結果となりました。
 しかしながら、2020年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画に約5、600ものパブリックコメントが寄せられ、ジェンダー平等への機運が高まっていると言えます。セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、男女間賃金格差など労働にかかわっても、日本の女性は非常に厳しい状況下にあります。また、男性は、男らしく強くたくましく、男は仕事といったジェンダーの縛りから、長時間労働に起因する過労自殺、過労死などの男性問題も、社会的な大きな課題として改善が求められています。さらに、新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大は、特に女性に深刻な影響を及ぼし続けています。
 女性も男性も、持続可能な働き方と生涯にわたり豊かな人生を送るためには、長年にわたり人々の根底に形成された性別に基づく固定的な役割分担意識や、性差に関する偏見、固定観念、無意識の思い込みを払拭することが大切です。そして、女性の視点を切り口に、弱者と言われる人たちやマイノリティーの人たちに寄り添っていくことが、自分の居場所があり、個人の尊厳が尊重される社会づくりにつながっていきます。
 2014年5月8日に、民間の有識者団体、日本創生会議は、日本がやがて消滅するという警鐘として、全国1、799市区町村の49.8%に当たる896の自治体が、消滅可能性都市であると発表しました。消滅可能性都市とは、2010年と比較した場合、2040年に20代、30代の女性が半分以下に減る自治体を指しています。その根拠は、国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口データです。地方から東京都などの都市部への流出が、地域崩壊や自治体運営の行き詰まりにつながるというものです。
 日本創生会議の提言には、人口減少について、これまで出生率にばかり目が向けられる傾向にありましたが、人口減少の流れをストップさせるには、男性が働き方を変え、育児に主体的に参画すること、女性が能力を生かして社会で活躍できることが重要であると示されています。
 国土交通省が昨年の秋に実施した東京一極集中に関する調査によると、出身地に、夫は外で働き、妻は家庭にという固定観念があると感じている人は、地方から東京圏に出てきた女性に多いことがわかりました。企業等の東京一極集中に関する懇談会は、1月にまとめた提言で、東京一極集中の要因として、大学や企業の本社の集中などのほかに、生まれ育った地元の不便さや閉塞感を指摘しました。是正に向けて、テレワークの普及に加え、地方におけるライフスタイルや男女の役割分担に対する因習的価値観の払拭を提案しました。若者の地方離れを解決する鍵になると見て、ジェンダーギャップ、男女格差の解消に乗り出す自治体もあります。
 兵庫県豊岡市は2018年、女性が働きやすい職場づくりに取り組む事業所を集め、ワークイノベーションを設けました。経営者向けのセミナーや、女性従業員向けのリーダーシップ講座も開いています。豊岡市の2015年の調査で、地元を10代で離れた女性のうち20代で戻った割合は、男性の半分ほどでした。担当者は、若い女性が戻ってこないのは大きな損失であり、課題は、職場、地域社会、家庭などにあるが、まずは職場の意識を変えることから始めていると話しています。
 岩手県の調査では、女性が働きやすい状況にあるとの回答はほぼ変わらず、4割に達していません。県の若者女性協働推進室が行った、平成30年度男女が共に支える社会に関する意識調査の女性が働きにくい理由は、男性は仕事、女は家庭という社会通念、昇進、教育訓練等に差がある、育児施設が十分でないと感じている人が、前回の調査よりも増加しています。また、社会慣習の中で男女が平等と感じている人の割合は、10.9%と非常に低い結果でした。
 調査結果からも、ジェンダーギャップの解消に早急に取り組む施策が必要と考えます。社会の習慣を変えるには長期的スパンで考えていかなければならないからこそ、全ての分野の施策や目標設定等において、ジェンダー主流化が大事であると考えます。その視点が、果たして、次期、いわて男女共同参画プランの中にどのように位置づけられ、2021年度の事業にどのように反映されているのか伺います。
 県内33市町村が設置している防災会議のうち、5町村で女性委員がゼロです。ほかは1人が複数の市長村であるものの、国の男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインの女性委員の割合30%以上を満たしているのは、釜石市のみです。県の防災会議では委員76人中13人が女性で、いわて県民計画(2019〜2028)の目標を達成済みで、割合は17.1%です。国のガイドラインに沿った30%以上は、よりハードルが高いものとなっています。
 県は当面全市町村で女性ゼロ解消を目指し、順次女性の割合を引き上げるよう働きかける考えとのことですが、今後の取り組みとスケジュールについて伺います。
 以上で私の質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、組織体制の強化についてでありますが、県民や岩手県にかかわる人々の幸福を守り育てるためには、被災者一人一人に寄り添った復興の推進や、自然災害、新型コロナウイルス感染症などに対する危機管理体制を強化するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる各政策の実効性を高めていくことが重要であると認識しております。
 このため、令和3年度においては復興防災部を設置し、東日本大震災津波からの復興の着実な推進に取り組むとともに、危機管理から復旧、復興まで一元的に所掌し、迅速な復旧、復興に資する体制を構築してまいります。
 また、デジタル化や先端技術の活用による県民の利便性の向上、若者の県内定着に向けた住宅支援や児童福祉司の増員など、直面する県政課題に対し、的確に施策を展開できるよう体制の強化を図ることとしています。
 今後も、県民一人一人の幸福度を高めていくため、最適な組織体制の構築に努めてまいります。
 次に、子供の幸福度の向上についてでありますが、子供は、一人一人かけがえのない存在であり、未来への希望であるとの考えのもと、昨年7月に策定した、岩手県子どもの幸せ応援計画では、子供の授業の理解度や就学に関する支援などの教育の支援、子供の居場所づくりなどの生活の安定に資するための支援、ひとり親家庭の就労支援などの保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、ひとり親家庭等に対する経済的支援、被災児童等に対する支援の五つの重点施策を掲げております。
 この計画を着実に推進していくことにより、子供の現在及び将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、子供たちが自分の将来に希望を持ち、幸せを感じることができる岩手の実現を目指します。
 次に、岩手県ひとり親家庭等自立促進計画(2020〜2024)の進捗についてでありますが、社会、経済情勢の影響を受けやすいひとり親世帯に対しては、生活の安定と向上を図るための支援を行っていくことが重要であると認識しており、平成30年度にひとり親世帯等実態調査及び子どもの生活実態調査を実施して、その実態把握を行ったところであります。
 調査結果を踏まえて、昨年7月に策定した計画には、相談機能の充実、就業支援対策の充実、子育ての支援、生活環境の整備、養育費確保の促進、経済的支援の充実及び被災遺児家庭の支援の充実の6項目を推進方策として盛り込んでいます。
 この計画に基づいて、昨年8月に子供の医療費助成の現物給付を中学生まで拡大したほか、9月には、ひとり親家庭等応援サポートセンターを設置し、関係機関等の連携による相談支援体制の構築等を進めているところです。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い創設された、ひとり親世帯への臨時特別給付金を、昨年12月末現在で、1万336世帯に支給し支援しています。
 今後も、ひとり親家庭の親が、仕事と子育てを両立しながら経済的に自立するとともに、子供が心身ともに健やかに成長できる地域社会の実現に向け、本計画に掲げる施策に着実に取り組んでまいります。
 次に、ジェンダー平等の実現により目指す岩手の姿についてでありますが、日本国憲法では第14条に、すべて国民は法の下に平等であって、性別等により差別されないことがうたわれており、最近では、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsにも、ジェンダー平等を実現しよう、が目標の一つとして掲げられています。
 また、オリンピック憲章にも、性別を理由としていかなる差別も受けることなく、権利及び自由が確実に享受されなければならないとされており、女性が参加可能な競技数も、女性の参加率も増加しています。2016年希望郷いわて国体においても、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて、ボクシングやラグビーなど六つの種目を新たに女子正式種目に追加して開催したところであります。
 そのような中で、森前会長の発言は、オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切なものであったと認識しております。
 岩手県男女共同参画推進条例においては、その基本理念に、性別による差別的取り扱いを受けないこと、男女が社会のあらゆる分野において個人としての能力を発揮する機会が確保されることを男女の人権が尊重されることとしており、この理念に沿って本定例会に提出している、いわて男女共同参画プランの基本目標に掲げた、性別にかかわらず一人一人が尊重され、ともに参画する社会の実現を目指していく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。

〇議長(関根敏伸君)本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめ延長いたします。

   〔企画理事兼環境生活部長藤澤敦子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君)令和3年度事業へのジェンダー主流化の反映状況についてでありますが、県が平成30年度に行った男女が共に支える社会に関する意識調査によりますと、男性のほうが優遇されていると感じる人の割合は、社会全体や社会通念、慣習、しきたり、地域社会などにおいて、それぞれ約6割から7割となっており、社会のさまざまな場面において、男女の不平等感を持っている人が多い状況にあります。
 あらゆる分野において、男女共同参画の視点を施策に反映させるためには、まずは、取り組みの基盤として、幼少期を初めとする各世代が男女共同参画に向けた意識を持ち、社会全体の機運を醸成していくことが必要であり、こうした男女共同参画の視点に立って、政策、方針決定過程や職業生活、地域社会など、全ての分野に女性の参画を拡大し、多様な意見やニーズを反映させることが重要と考えております。
 このことから、今定例会に提出しております、いわて男女共同参画プランにおいては、男女共同参画の視点に立った意識改革や男女共同参画を推進する教育、学習の充実に取り組むこととして、男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備を柱の一つに掲げたところであります。
 令和3年度は、岩手県男女共同参画センターを中心として、フェスティバルの開催や男女共同参画サポーターの養成、職場、学校、地域等への出前講座などにより意識改革に取り組むほか、県の審議会等委員に占める女性の割合を高める取り組みや、新たに男性社員のワーク・ライフ・バランスにモデル的に取り組む企業を支援する取り組みも行うこととしております。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君)まず、専門職種の人材確保についてでありますが、専門職の職員については、専門的な知識を必要とするそれぞれの行政分野において欠かせない人材であり、その確保は重要な課題であると認識しております。
 このため、行政需要の変化等を踏まえた職員の計画的な採用に努めてきており、今年度におきましては新型コロナウイルス感染症対応のため、保健師の追加募集を実施し、体制の強化を図ったところであります。
 一方で、獣医師や薬剤師などの一部の職種については、採用予定数を確保できていない状況にあることから、職務経験者や有資格者等を対象とした採用試験の実施、獣医師の通年募集、任期付職員採用など、多様な方策により専門職種の人材確保を図っているところであります。
 また、専門職種の処遇については、これまで、獣医師及び薬剤師の初任給や手当の額の引き上げを行ってきましたほか、児童相談所に勤務する児童福祉司などの職員に支給する特殊勤務手当について、月額1万2、800円から2万円に引き上げることとし、今定例会に改正条例案を提案しているところであります。
 今後におきましても、専門職種の確保に向けて、所管部局や人事委員会と連携しながら、あらゆる手段を講じ処遇改善と人員確保の取り組みを一体的に進めてまいります。
 次に、長時間労働の是正についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対策の長期化に伴い、医療提供体制の確保や健康観察等に従事する保健福祉部や保健所はもとより、全庁を挙げた人員体制で運営する宿泊療養施設や経済、雇用対策の業務等により、長時間労働が生じている部署もあるところであります。
 超過勤務の縮減は、職員の健康保持や仕事と生活の両立の観点から重要な課題であると認識しておりまして、特に今年度は各所属に対し、業務継続計画、いわゆるBCPに基づき、業務の緊急性や優先度を踏まえた業務量の管理や業務見直しを行い、職員の負担軽減に取り組むよう周知徹底を図っているところであります。
 また、新規採用職員の増員、任期付職員や会計年度任用職員の任用など必要な人員の確保にも取り組んでおり、こうした取り組みを一体的に進めながら超過勤務の縮減に取り組んでまいります。
 次に、任期付職員の正職員化についてでありますが、県では、震災復興業務等のために採用した任期付職員のうち、任期満了を迎える者を対象に、平成28年度以降毎年度、任期の定めのない職員として採用するための選考を実施しています。
 その実績ですが、令和3年4月1日までの採用見込みを含め、これまでに44名を採用してきております。この選考により採用された職員は、任期付職員として従事していた経験を生かし、震災復興業務を初め県行政全般の業務で活躍しており、県としても、県行政を担う即戦力となる人材の確保につながっていると考えております。
 今後におきましても、職員確保の状況や職員の年齢構成などを踏まえながら、引き続き実施することができるよう検討を進めてまいります。
 次に、会計年度任用職員の処遇についてでありますが、会計年度任用職員制度の導入に当たりましては、制度導入前よりも年収ベースで増額となるように処遇の確保を図っているところでありますが、報酬の水準については、職務の内容や責任、必要な知識、他の地方公共団体との均衡等を考慮し、必要に応じ見直しを行っていくこととしております。これまでも、一部の会計年度任用職員について、募集状況や他県や市町村との均衡を考慮した報酬水準の見直しを行っておりますほか、職員が行う業務内容を考慮した特殊勤務手当の支給などの処遇改善を行うこととしております。
 休暇制度につきましても、国の非常勤職員との均衡を踏まえつつ、人材確保の観点から国では無給としている一部の特別休暇を有給としておりますほか、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、発熱等の症状がある場合に、有給の特別休暇を取得できるよう改正するなど、見直しを行っているところでございます。
 今後におきましても、常勤職員との均衡も踏まえながら、会計年度任用職員の処遇の確保を図ってまいります。
 次に、会計年度任用職員の人員配置についてでありますが、会計年度任用職員については、それぞれの職が担う業務の必要性を十分に吟味した上で、適正な人員配置に努める必要があるものと認識しております。
 そのため、それぞれの職場における必要な業務量を適切に反映させる必要があり、例えば、公共事業所管部局におきましては、震災復興事業の進捗により震災分に係る公共事業費が減少しているため、これに応じて任用数も減員することとなる一方、新型コロナウイルス感染症対策として、保健所や宿泊療養施設に保健師や看護師を任用するなど、新たに生じた業務に対する配置も行っているところでございます。
 今後におきましても、公務の運営は任期の定めのない常勤職員を中心として行うという原則を基本としつつ、業務の状況を適切に把握しながら、会計年度任用職員を含めた適正な人員の確保に努めてまいります。
 次に、地方防災会議における女性委員の登用についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、男女が互いに尊重し合い、ともに参画する社会の実現に向けて各般の施策を推進しておりまして、防災に関する政策、方針決定過程においても男女がバランスよく参画し、地域における多様な視点を取り入れた防災対策を推進することが重要であると考えております。
 特に、より住民に身近な市町村では、避難所におけるプライバシーの確保や備蓄など、女性の視点に配慮したきめ細やかな対応が必要であり、防災行政への女性の参画が極めて重要であると認識しております。
 県では、防災対策の推進に向けた活動が男女共同参画の視点で行われるよう、ことし1月に実施した市町村長を対象としたトップセミナーで女性委員の積極的な登用を要請いたしましたほか、女性委員未登用の町村に対し、職員が直接訪問するなど、働きかけを強化しているところでございます。
 その結果、女性委員未登用の一部の町村からは、婦人消防協力隊長や看護師、保健師等を登用する方向で検討しているとの報告もいただいております。引き続き、今年度末から来年度当初に集中する委員改選時期を見据えた働きかけを積極的に行ってまいります。
   〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君)避難者の支援についてでありますが、(仮称)いわて被災者支援センターでは、恒久的住宅への移行後のローンや家賃負担など、経済面や生活設計等の複雑化した課題に対しまして、弁護士及びファイナンシャルプランナーといった専門家や市町村及び市町村社会福祉協議会などの関係機関と連携し、専門的かつ個別的な支援を行うこととしているものでございます。
 そうした被災者個々の状況に応じた専門的な支援を通じまして、市町村や市町村社会福祉協議会と伴走型のノウハウを共有していくこととしております。
 また、内陸避難者や県外避難者に対しましても、沿岸地区の被災者と同様に被災者個々の状況に応じた支援を行ってまいりますが、これとあわせまして、避難元自治体、これはすなわち避難者の方のふるさとに当たるわけでありますが、ふるさとに関する復興状況を初めとする情報提供を行うほか、帰還の意思やそのもととなる避難者の実態調査及びふるさとへの御帰還の支援など、避難者のニーズに応じた支援を引き続き行ってまいります。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君)復興事業で整備した社会資本の維持管理についてですが、復興事業の完成に伴い、県土整備部では、災害公営住宅1、760戸に対する入居者の収入認定業務や、水門・陸閘自動閉鎖システムの稼働に伴う115カ所の電気機械設備の保守点検など、新たな維持管理業務について実績を重ねているところです。
 復興事業で新たに整備した施設と、これまでに整備してきた施設も含めて、社会資本の機能を将来にわたって発揮し続けていく必要があり、その維持管理体制の整備は重要であります。
 このため、災害公営住宅については、指定管理者において釜石市に支所を新設したことや、水門、陸閘については、建設に携わった専門的な知識を有する電気、機械職を引き続き管理業務に配属するなど、業務の効率化を図っているところであります。
 こうした取り組みに加え、今後は、防潮堤や公営住宅など復興事業で完成したストックを順次取り込んで、岩手県公共施設等総合管理計画に基づいた計画的な予防保全型の維持管理を進め、業務の平準化や効率化を図るとともに、維持管理体制の強化に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)非正規労働者の雇用対策についてでありますが、厚生労働省によりますと、新型コロナウイルス感染症に起因する非正規労働者を含む解雇等見込労働者数は、令和2年2月27日から令和3年2月19日までで、全国で8万8、574人、岩手県では720人となっており、本県においては12月以降、その伸びが鈍化しております。
 県では、解雇や雇いどめとなった労働者等の早期の再就職を支援するため、各種職業能力開発の訓練を実施しているほか、11月以降2地区において離職者向けの企業面談会を実施したところであります。今後においても必要に応じて岩手労働局等と連携を図りながら、企業面談会等の支援策について検討してまいります。
 また、国の雇用調整助成金等の特例措置が4月30日まで延長されたところであり、県としては、引き続き、関係機関と連携して活用を促し、非正規労働者を含む労働者の雇用の維持を図ってまいります。国に対しては、今後も必要に応じ特例措置のさらなる延長を働きかけてまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君)まず、ひとり親家庭に対する支援実態についてでありますが、窓口対応について、これまで、県に対して具体的な声は寄せられていないものの、全国的には、児童扶養手当に係る各種届け出の際に、十分な説明がないままに異性との交際関係について質問されたなどの声が寄せられていることは承知しております。
 県では、国からの昨年7月の通知を受け、窓口を担う市町村等に対しまして、受給資格の認定等に際しては、プライパシーの保護に配慮した事務運営を行うよう周知したところであります。
 受給資格の認定に当たっては、適正な支給手続を行っていくことが求められるところでありますが、必要以上にプライパシーに立ち入らないよう十分に配慮し、地域でのひとり親家庭に必要な支援が行き届くよう努めていく考えであります。
 次に、コロナ禍におけるひとり親家庭の実態把握と支援についてでありますが、本県では、広域振興局等に配置した母子父子自立支援員による相談や、市町村、母子福祉関係団体等を通じて、随時実態の把握に努めているところです。
 これまで、議員から御紹介いただいたとおり、市町村等からは就業などに関する相談があったと聞いているほか、さきに開催いたしました、母子福祉団体、県社会福祉協議会、保育・教育団体、市町村などで構成する、岩手県ひとり親家庭等サポートネットワーク会議においては、保育サービスや子供の教育費などに関する相談が寄せられているものの、新型コロナウイルス感染症の影響による相談が急増している状況にはないと伺っているところでございます。
 しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の拡大や長期化に伴う影響も懸念されることから、県としては、引き続き、ひとり親家庭の状況について随時把握に努め、必要な支援施策につなげていく考えであります。
 次に、ひとり親家庭等総合相談支援事業の進捗状況についてでありますが、令和2年9月1日から、岩手県社会福祉協議会に委託して、ひとり親家庭等サポートセンターを開設したところであります。
 このセンターでは、ひとり親家庭やその支援者等からの相談窓口の設置、ひとり親家庭に対する公的支援施策等の周知と活用を促進するためのガイドブックの作成、配布、岩手県ひとり親家庭等サポートネットワーク会議の開催、民生委員、児童委員に対するひとり親支援に関する情報提供などを実施してきたほか、9圏域でのひとり親家庭等サポートネットワーク会議の準備を進めているところであります。
 本事業を進める上で、さきに開催いたしました岩手県ひとり親家庭等サポートネットワーク会議におきまして、ひとり親支援窓口職員の対応力の向上や、子供が日常生活を過ごす保育施設等における気づきが重要などの意見をいただいたところであり、こうした意見を踏まえまして、関係機関が連携して適切な支援を行う仕組みづくりに努めてまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君)まず、教員の人材確保についてでありますが、本県の教員採用試験の倍率は、国立教員養成系大学の定員の減少や、大学等の新卒者の民間企業への志望者が増加しているなど、さまざまな要因が関係して志願者が減少していることから、ここ数年、低下傾向にあります。
 県教育委員会では、これまで、本県出身者など他県で勤務している教員を対象とする特別選考の実施、県内の公立学校で講師経験のある者に対する一部試験科目の免除措置、一定の資格や教員免許状を所有する者に対する加点措置などを行ってきたところであり、今年度の教員採用試験では、経験豊かな講師や民間企業に長く努める人材等を採用するため、受験年齢の制限を49歳から59歳に引き上げたところです。
 また、県内外の大学の訪問やオンラインでの説明会を実施するなどして、岩手県が求める教員像や教員の仕事の魅力を具体的に説明を行っており、引き続き、岩手の教育を担う人材の確保に向けて取り組んでまいります。
 次に、子供一人一人が大切にされる教育環境の整備についてでありますが、東日本大震災津波の発災以降、沿岸地域のみならず全県が被災地であるとの考え方のもと、児童生徒の状況や支援ニーズを把握しながら、教育環境整備に努めてきたところであり、具体的には、毎年実施している心とからだの健康観察を活用し、震災起因によるストレスはもとより、日常生活におけるストレスからの支援ニーズもいち早く捉え、早期の支援につなげるなど、個に応じた支援を進めてきたところです。
 また、学校では、復興加配教員を効果的に活用するとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等と連携しながら組織的に対応し、児童生徒の支援に努めているところです。
 教員の復興加配やスクールカウンセラー等、学校を支援する専門職の今後の措置については、国に対し被災地の状況を説明し、その継続を求めていくなど、今後も児童生徒一人一人に寄り添った支援の充実を目指し、学校の教育環境整備に努めていく考えです。
 次に、岩手県教職員働き方改革プランについてでありますが、プランに掲げる二つの目標のうち、業務への充実感や健康面での安心感の向上については、今年度のアンケート結果では、授業への集中度や健康の実感において、肯定的実感を回答する割合が増加しているところです。
 また、県立学校の長時間勤務者の割合の削減については、今年度第3・四半期までの状況では、時間外在校等時間が月80時間以上の割合については、目標の3%に対し実績が3.5%、同じく月100時間以上の割合については、目標のゼロに対し実績が0.3%となっています。
 これらについて、これまで行ってきた働き方改革の取り組みに加え、新型コロナウイルス感染症対策のため会議、研修、行事等の見直しを行ったことなどの成果があらわれてきているものと捉えています。
 今般策定した岩手県教職員働き方改革プラン(2021〜2023)においては、県教育委員会の取り組みに加え、県立学校の取り組みと、市町村教育委員会による小中学校の取り組みを位置づけ、学校の取り組み支援、負担軽減のための環境整備や、健康確保等の取り組みを一層推進することにより、県内学校全体の働き方改革の実現を目指すこととしています。
 次に、非常時にも対応できるゆとりある学校についてでありますが、卒業式や入学式、運動会、文化祭などの学校行事の実施については、参加人数を抑えたり、時間を短縮したり、内容を精選するなどの工夫を講じてきたところです。
 今後も、学校行事を初め、さまざまな教育活動の教育的な意義を一つ一つ検討しながら、効果的な実施を推進してまいります。
 また、県教育委員会では、県立高等学校のネットワーク回線の増強、大型提示装置及び無線LAN環境等のICT環境整備を進めてきたところです。
 今後も、ICT機器等の整備された教育環境の中で、効率的かつ効果的な授業づくりや非常時にも対応できる学びの環境を整え、学校の業務負担を軽減しながら、教職員の働き方改革を進めてまいります。
〇31番(小西和子君)まず、総務部長にお伺いいたします。
 正規職員の拡充と会計年度任用職員の確保についてですけれども、国庫補助事業上の問題であれば、会計年度任用職員の人件費相当に関し補助対象とするよう国に要望すべきと考えます。また、県で必要な予算措置を講じるべきではないでしょうか。
 先ほど総務部長は、公務運営は任期の定めのない常勤職員を基本とするということをおっしゃいました。
 そこで、2019年度に策定した定数等管理計画では、2019年度からの4年間において80人から100人の定数増を進めるとしていましたので、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 さらに、任用終了となる方にあっては、事実上の解雇であります。早期に予告する必要があります。その上、コロナ禍で地方経済が疲弊する中、県として雇用対策も行うべきと考えます。コロナ禍で増大した県業務への対応や、県としての雇用対策という観点も考慮し、会計年度任用職員として一定の任用数の確保なども考えるべきではないでしょうか。所見を伺います。
 次に、組織体制の確保のための国への要望についてです。
 必要なマンパワー確保や会計年度任用職員の処遇改善、任用確保など、コロナ禍だからこそ公助が重要となっている中で、増大する公務運営に対応するためにも、組織体制確保のための基礎となる財源の確保は大変重要な課題です。震災復興に係る特別交付税措置が大幅に縮小されます。その中にあって、いわて県民計画(2019〜2028)が掲げる県民の幸福度向上のため、県の公務運営体制確保に向けた財源について、国に対してより一層求めるべきと考えます。見解を伺います。
 次に、内陸避難者や県外避難者に対する支援についてであります。
 いわて被災者支援センターを沿岸に設置するというお話がありましたけれども、やはり拠点を沿岸に一つと内陸に一つ設けるべきではないかという声がそちこちから上がっております。県外避難者対応で、二つの拠点を置いて、全ての被災者に対応できるようにしてはどうでしょうか。全県をカバーするためにも、2カ所が適当ではないかと思います。
 また、内陸避難者の支援というのは5年続けました。5年しかまだ支援ができていないのではないでしょうか。
 県外避難者についてですが、復興庁の調査では、岩手県から県外に避難している方は800人程度と聞いております。そして、アンケート調査では、半数が戻ってきたいという意向を示している。これはすごく大きなことだと思うのです。ですから、電話でとかSNSでとかがありますけれども、やはり直接お会いしてということになれば、内陸部に被災者支援センターがあればいいのではないかと思います。内陸にもセンター機能を残すことを前向きに検討していただきたいです。
 ここで答弁といっても、もう決まっていることでございますので、そういう声を何とか前向きに検討していただきたい。要望にとどめます。
 次に、教育についてであります。
 先ほど登壇して質疑した中にもありましたけれども、不登校がすごくふえております。びっくりするかと思いますが、さまざまな理由があるわけで、30日の欠席にはなりませんけれども、顔見せ登校、それから担任とハイタッチをするタッチ登校ということもあります。そういう子供たちがすごくふえているのです。中には1クラスに5、6人いるという学校もあるのです。子供たちはどうして学校に行けなくなったのでしょう。不登校が小学校でも急増しております。それはとってもゆゆしきことだと思います。
 さらに、小学校のカリキュラムの増大、英語教育、プログラミング教育等、子供たちの負担はどんどん増しておりまして、不適応の子供たちがふえることが今後懸念されます。
 先ほど、心とからだの健康観察の話をしましたけれども、この要サポートが13.8%というのは5、6年前のことで悪化しているのです。中でも沿岸の低学年は高くて、2年生が24.3%と、4人に1人が要サポートなのです。
 これは今までの調査でなかった数値です。本当に子供たちは非常に追い詰められている。そういうことを、私は、国連の子どもの権利委員会の勧告どおりだと思いました。このように日本の教育システムが競争的なために、いじめとか不登校とか、自殺もふえています。
 何とか切り抜けるために、教職員を大勢配置したいのですけれども、驚くべきことに産休代替が入っていません。沿岸だけではありません。内陸も入っていません。ぜひそこにはほかの県より割合の高い指導主事を入れてください。
 働き方改革に戻りますけれども、岩手県の独自の取り組みを先ほど御紹介されましたけれども、もっと大胆にやっていただきたい。
 文部科学省は大胆な削減、教育関係者全てで喫緊の課題というように言っているのですけれども、例えば、全国的には全国学力・学習状況調査、県の調査をやめました。県立高校の7時間目をカットしました。それから、山形県では、2021年、2022年に中学校2校で休日の部活動を地域に移行する実践研究を行うということが示されました。教職員の働き方改革として4億4、597万円計上したというので、びっくりしています。
 そこで、お伺いします。先ほど知事が子供たちの幸福度の向上について答弁してくださいましたけれども、子供たちを誰ひとり取り残すことなく、子供たちの幸福度の向上に向けて進むためには、次期岩手県教職員働き方改革プランでは、先進県に学んで、県独自の現場からも歓迎される取り組みをぜひ実現していただきたい。大胆にやっていただきたい。新型コロナウイルス感染症の関係でさまざまなものが中止になったから目標に近くなったではなくて、これから先も、岩手県の子供たちが幸せになるために、働き方改革の力強い断行をお願いしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇総務部長(白水伸英君)私のほうからは、職員確保について答弁させていただきたいと思います。
 まず、国庫補助事業との関係について御指摘いただきましたけれども、これにつきましては、先ほど答弁させていただきましたように、復興事業の事業量が大幅に減少しております。それに伴いまして、公共事業の事務費も減となっております。それに伴って任用数も減となっている構造があります。もちろん必要な業務にきっちりと配置はしていきますけれども、その大きな背景があるということについて御理解いただければと思います。
 それから、正規職員の確保等についてでありますが、先ほども答弁申し上げましたように、これまでも、公務の運営は任期の定めのない常勤職員を中心として行うという原則のもとで、業務の状況を適時適切に把握しながら、必要な体制の整備に取り組んできたところでございます。
 議員御指摘のとおり、定数等管理計画は2019年から2022年を期間としておりますが、現在この計画に沿って対応しております。引き続き、この計画を踏まえて、しっかりと対応していきたいと考えております。
 それから、会計年度任用職員の任用についてですが、新たに生じた業務に対する配置を行ってきましたほか、今年度、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、経済的理由で修学の継続が困難な大学生等を対象に、会計年度任用職員として雇用してきたところでございます。今後におきましても、県内の感染状況や雇用情勢も踏まえつつ、関係部局とも連携しながら、必要な対応について検討してまいります。
 それから、組織体制の確保のための国への要望についてであります。昨年6月に実施いたしました令和3年度政府予算要望におきまして、会計年度任用職員制度に関する所要の額について、地方財政措置を確実に講ずるように要望を行ってきたところであります。
 また、震災復興に必要な人的支援とその財源措置については、令和3年度以降も、震災復興特別交付税の対象となったところでありますが、引き続き必要な財源措置が図られるよう、全国知事会等とも連携し、国に対応を求めてまいります。
〇教育長(佐藤博君)教職員の働き方改革に向けての決意ということでございますが、その前段で、不登校児童がふえているというところもございました。
 本県の小学校における不登校児童の割合を見てみますと、割合から見れば、全国の出現率に比較すると低い状況にはなっておりますが、近年どんどん数字がふえているという状況にあります。そういった対応をしっかりやっていかなければならないということで、教職員がしっかり子供たちと向き合える時間、体制をつくらないといけないということだと思います。
 そのためには、この働き方改革を積極的に進めていかなければならないということでありまして、これまで3年間にわたり岩手県教職員働き方改革プランの取り組みを進めてまいりました。先ほど実績についてもお話をさせていただきましたけれども、この2月に新しい岩手県教職員働き方改革プラン(2021〜2023)を策定して、そして新たな取り組み等も加えて、教職員が児童生徒としっかり向き合える時間、それから授業や授業準備に集中できるように、あるいは健康で生き生きと働きがいのある職場づくりができるように、この新プランで取り組みを進めていきたいと考えております。
 新プランでは、三つの柱に基づく取り組みを重点的に進めていくこととしておりまして、一つには、先ほど議員も紹介しました先進事例の普及であるとか、地域、保護者への理解醸成、それから学校が主体的に実施する取り組みをバックアップする取り組みを私どもは学校の取り組み支援と位置づけております。それから、学校への人的支援、あるいは制度改善など、学校の働き方改革を進めるための環境を整える取り組みを環境整備と位置づけております。そして、教職員の心と体の健康を確保するための取り組みを健康確保と位置付けており、この三つの柱に基づく取り組みを重点的に進めていきたいと考えております。
〇31番(小西和子君)来年令和3年度の予算は、命を守る幸福希望予算ということであります。本当にこの命名どおりのそのような施策をぜひ実行していただきたい、そう思っております。ありがとうございました。(拍手)
   
日程第2 議案第55号令和2年度岩手県一般会計補正予算(第7号)から日程第44 議案第97号都市計画道路盛岡駅本宮線杜の大橋(上部工)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(関根敏伸君)日程第2、議案第55号から日程第44、議案第97号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。白水総務部長。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君)ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第55号は、令和2年度岩手県一般会計補正予算(第7号)であります。
 これは、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが減少している中小事業者への経営継続支援、大雪による農業被害や除雪への対応など喫緊の課題に対応する予算や、国の補正予算(第3号)を活用した国土強靱化緊急対策に要する公共事業等の予算を計上するほか、県税等歳入の最終見込みや事業費の確定に伴う所要の整理等を実施するものであり、総額8億300万円余の増額補正をするものであります。
 補正の主なものは、被災農業者緊急支援事業費補助16億4、400万円余、経営体育成基盤整備事業費70億8、800万円余、地域企業経営支援金支給事業費補助31億5、200万円、道路環境改善事業費143億4、000万円余、除雪費31億5、000万円余、産業教育設備整備費9億3、000万円余、校舎大規模改造事業費16億6、900万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、職員公舎管理ほか181事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、指定管理者による県民会館管理運営業務ほか22件を新たに追加するとともに、11件について期間及び限度額を変更しようとするものであります。
 また、地方債の追加及び変更は、減収補填債特例分を新たに追加するとともに、16件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第56号から議案第69号までの14件は、令和2年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計ほか10特別会計及び4企業会計の各補正予算であります。これらは、それぞれの事業費の執行見込みに基づき所要額を補正しようとするものであります。
 議案第70号から議案第77号までの8件は、建設事業等に要する経費の一部負担及び一部負担の変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第78号及び議案第79号の2件は、条例議案であります。これは、ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例を新たに制定するほか、県営住宅等条例の一部を改正しようとするものであります。
 議案第80号から議案第91号まで及び議案第97号の13件は、災害復旧工事などの請負契約3件及び変更請負契約10件の締結に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第92号及び議案第93号の2件は、財産の取得に関しそれぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第94号から議案第96号までの3件は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(関根敏伸君)以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時34分 散 会

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