令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(工藤勝子君)自由民主党の工藤勝子です。
 今定例会において一般質問の機会を与えてくださいましたことに感謝を申し上げ、通告に従って質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 質問に先立ちまして、東日本大震災津波の発生から節目となる10年目に当たり、犠牲になられました多くの皆様方に心から哀悼の意を表し、被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げ、一日も早い復興の完遂を願っております。
 また、新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになられました皆様にも心から哀悼の意を表し、入院や自宅などで療養されている皆様にもお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復を祈っております。
 あわせて、この新型コロナウイルス感染症に昼夜を分かたず対応していただいております医療関係者の皆様、県の職員の皆様、そして家族の皆様にも、改めてこの場をおかりいたしまして、感謝を申し上げます。
 それでは最初に、東日本大震災津波からの復旧、復興の総括について知事にお伺いいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
 2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0という千年に一度とも言われる大地震から巨大津波が発生し、約2万人が犠牲となり、県内でも行方不明者を合せて6、256人の尊い生命と貴重な財産が失われてしまいました。国は復興庁を立ち上げ、各省庁の企画、調整を初め地方公共団体への一元的な窓口と支援に当たり、岩手復興局も設置されました。全国からの救援物資や財政支援、人的支援、ボランティアなど、県民は感謝の気持ちを忘れることはできないと思っております。
 震災の風化と言われますが、震災の記憶と教訓の伝承とともに、復興の姿を発信し、復旧、復興に御尽力をいただいたことに感謝の心も伝えるべきと思いますが、所感を伺い、復旧、復興の実績と課題をどのように総括されているのかお伺いいたします。
 次に、国の試算によれば、東日本大震災津波による被害額は16兆円から25兆円、またこの10年間における復興事業規模は31.3兆円を超えると言われておりますが、本県における復旧、復興に要した事業費をどの程度と試算されているのか、また第2期復興・創生期間の事業規模についても、どの程度と見込んでいるのかお伺いいたます。
 第2期復興・創生期間に入り、三陸の新たなステージを創造しながら、人口減少対策や経済の活性化、コミュニティーの構築、生活支援等に重点を置くことになると思いますが、具体的に新たな事業や継続的な支援事業として、どのようなことに取り組んでいくのかもお伺いいたします。
 三陸地域の活性化のためには、県は仕組みづくりやコーディネートする役割を担い、市町村と連携して交流人口、関係人口の拡大や、観光振興を初めとした産業振興など、三陸地域の活性化を進めるべきと考えますが、県の取り組みと支援のあり方についてもお伺いいたします。
 未曾有の東日本大震災津波から復興をなし遂げつつある本県として、東日本大震災津波からの復旧、復興の成果や課題を捉え、各地でこれからも起こり得る大規模災害から住民の命を守るために取り組むべきことや、そこから少しでも早期の復興を推進していくための提言などについて、国にどのように発信しようとしているのかお伺いいたします。
 ここまでの質問は登壇して行いました。後は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔45番工藤勝子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの支援に対する感謝についてでありますが、これまでの復興10年の歩みにおいては、国内外からさまざまな支援の手が差し伸べられ、家族や友人、地域、国内外の方々との絆や、人と人とが支え合うことの大切さを改めて実感したところであります。
 発災直後においては、救助活動のため自衛隊、消防、警察の方々、また医療救護活動のため医師や看護師などの医療従事者の方々、さらに、あらゆる分野の方々に、全国から駆けつけていただきました。
 その後の復旧、復興に向けて、国内外から支援に駆けつけていただいたボランティアの方々、全国の自治体からの応援職員の方々、数多くの企業や団体、アーティストやアスリートの方々のほか、被災した児童の就学等への多くの寄附や義援金、鉄道や施設の復旧への外国からの援助など、被災地に寄り添い御支援いただいた全ての皆様に、感謝申し上げます。
 この間、天皇皇后両陛下を初め皇室の方々には、被災の状況や復興の様子をごらんいただき、全ての被災者、岩手県民に、慰め、ねぎらい、励ましをいただきました。
 また、これまで被災地で懸命に復興に取り組んできた被災者の方々、そして岩手県民の皆様に対しても、感謝を申し上げます。
 このような感謝の気持ちは、これまでも希望郷いわて国体、希望郷いわて大会や、三陸防災復興プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催などを通じて国内外に発信してきたところでありますが、今後におきましても、本定例会で制定された東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨に沿って、東日本大震災津波伝承館を中心に事実と教訓を伝承するとともに、復興五輪として開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会など、さまざまな機会を通じて、感謝の気持ちと復興の姿を国内外に示してまいります。
 復旧、復興の実績と課題についてでありますが、県では、これまで、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指し、復興計画や、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく復興推進プランに沿って復興を進め、計画された事業の多くは完了したところであります。
 一方で、完了していない一部の社会資本の早期整備や、被災者の心のケア、新たなコミュニティーの形成支援、主要魚種の記録的な不漁や、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者支援など、今後も取り組むべき課題があるところであります。
 発災から10年を迎える中で、復興のステージをさらに前に進め、今後においても、復興の目指す姿の実現のために、必要な取り組みを進めてまいります。
 次に、第2期復興・創生期間における取り組みについてでありますが、今後におきましても、被災者の心のケアやコミュニティー形成支援を継続していくことに加え、新たに(仮称)いわて被災者支援センターを設置し、再建後の生活の安定など、一人一人に寄り添った被災者支援に取り組んでいくこととしております。
 また、被災地のなりわい再生のため、被災事業者に対する経営、金融両面でのフォローアップや、基幹産業である水産加工業の人材確保支援に取り組むとともに、漁獲量の減少対策として、サケの回帰率向上に向けた取り組みや、マイワシ等の増加している資源の有効活用、サケ、マス類の海面養殖、新型コロナウイルス感染症対策として、無利子、低利子の融資による資金繰りの直接的な支援や、買うなら岩手のもの運動などの消費喚起を継続して進めることとしています。
 これらに加え、新たに、沿岸地域への産業振興センターのサテライト拠点の設置によるプロフェッショナル人材の活用促進や、専門経営指導員の配置等による被災事業者の経営力強化への支援にも取り組んでまいります。
 誰ひとりとして取り残さないという理念のもと、三陸のよりよい復興を推進してまいります。
 次に、本県から国に対する提言についてでありますが、近年多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の蔓延を踏まえれば、東日本大震災津波からの復旧、復興の取り組みの中で培った教訓や知見を広く発信し、後世に確実に継承していくことは、被災県として日本全体の防災力向上に貢献するためにも、極めて重要と認識しております。
 そのため、県では、復興の取り組みと教訓を踏まえた提言集、東日本大震災津波からの復興、岩手からの提言を昨年度に作成し、県が取り組んできた防災や災害対策に係る各分野の取り組みや教訓を中心としながら、用地取得迅速化の制度構築など、国が所管する復興を支える制度や財源などの仕組みについても、提言として取りまとめております。
 今後におきましても、提言集を活用した情報発信に取り組んでいくことに加え、政府予算提言・要望や全国知事会などの機会を活用し、復興の教訓、知見を生かした仕組みの構築について、国に対し提言してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君)復興事業費についてでありますけれども、県及び市町村の決算統計によりますと、平成23年度から令和元年度までに約4.4兆円を執行しているところでございます。
 また、第2期復興・創生期間において、本県及び市町村が必要と見込んでいる復興事業費は約920億円となっております。これは、国で昨年7月に決定いたしました第2期復興財源フレームにおける事業規模とおおむね一致しておりまして、令和3年度以降も国として必要な財源を確保できる見込みであります。
 県といたしましては、今後の政府予算編成などにおける国との調整の中で、本県の復興に必要な財源がしっかり確保できるよう、引き続き国に働きかけてまいります。
   〔ふるさと振興部長佐々木淳君登壇〕
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君)三陸地域活性化のための取り組みや支援のあり方についてでありますが、三陸地域の活性化に当たっては、三陸の力を結集することが重要であり、昨年2月に県、沿岸市町村及び関係団体で構成する三陸振興協議会を設置し、三陸の関係者が情報を共有し、連携して三陸の振興に取り組むこととしたところです。
 三陸振興協議会では、防災で世界とつながる三陸や、多様な交通ネットワークで国内外とつながる三陸など、三陸の持続的な発展を目指す三陸防災復興ゾーンプロジェクトを共有し、来年度に向けては、震災復興10年の各種情報発信事業、東北デスティネーションキャンペーン等を活用した事業等に連携して取り組むこととしたところであります。
 今後とも、県と市町村等が連携を図り、復興道路を生かした産業振興や広域観光など、相乗効果や総合力が発揮できるよう、関係者が一体となって三陸地域の活性化に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)御答弁をいただきましてありがとうございました。
 いわて県民計画(2019〜2028)によりますと、未来への伝承、発信から、震災を風化させないために、復興教育や語り部の育成など、多様な広報媒体を活用して発信していくとあります。
 全国知事会からの発信は一方的と思われます。つまり、岩手県からそれぞれの全国の自治体に対して、一方的にこういう発信を続けているのではないかと思っております。その発信の効果、自治体からどのようにその発信を受けとめられているのかということを知事はどのように認識されているのか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君)冒頭、全国知事会からということをおっしゃいましたけれども、全国の自治体からの応援職員に対する感謝の気持ちに関する発信ということであるとすれば、まず、派遣元の都道府県には、知事、副知事以下、県職員で分担して直接訪問してお礼を述べるようにしております。
 また、東京都のように、東京都と岩手県がどのように協力し合って東日本大震災津波からの復興に向かい合ったのかを、東京都庁や東京都の関連施設で定期的に展示会をしていただいたりもしております。
 そして、県の広報も、県内だけにとどまらず、今復興がここまで来ている、そういう中で派遣職員の皆さんの活躍をポスターにしたり動画にしたりしたことも何度もありましたし、その私たちの感謝の思いは、イコール、それぞれの自治体の中でいかに復興にかかわり、そしてその中で、それぞれの自治体もさまざま震災や復興について学ぶことができたという、それらの教訓を共有しているということについては、一定程度できていると思っております。
〇45番(工藤勝子君)感謝の気持ちを発信する事業として、先ほど知事も、希望郷いわて国体を初めといたしまして、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催の話もされました。三陸防災復興プロジェクト2019でのコンサート、また三陸の食を発信する事業も行われました。
 被災地から見ると、これは一過性の事業で終わっているのではないかと思われますが、知事はどのように捉えていますか。
〇知事(達増拓也君)先ほど述べたように、感謝申し上げなければならない対象として、天皇皇后両陛下を初め皇室の方々、また外国からの援助、そして国内外からのさまざまな支援、全国からのあらゆる分野の方々が駆けつけていただいたことへの感謝について、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会、ラグビーワールドカップ2019日本大会岩手・釜石開催、また三陸防災復興プロジェクト2019等々で、感謝の気持ちをかなり効果的に直接伝えることもできたと思っておりますし、また、広く報道されたりすることによって、間接的にも感謝の思いを伝えることができたと思っております。
〇45番(工藤勝子君)先ほども知事が話されましたように、全国の自治体から、人材支援を初めといたしまして財政支援、救援物資、特に警察、医療従事者、消防隊、自衛隊も遠野市に活動拠点を置きまして、多くの支援によって復旧を進められてきたと、私はそのように思っております。
 全国の自治体には、岩手県から感謝の心がしっかりと実は届いていると、そう認識されていると思っております。
 そういう中で、新規の事業として、海外の津波博物館との連携による震災伝承をテーマとした世界会議の開催。また、三陸の多様な魅力を発信し関係人口の拡大を図るために、防災推進国民大会、つまりぼうさいこくたい2021の開催、これは内閣府の開催とも聞いておりますが、少なくとも日程や場所、そういうところは内閣府と詰めていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 防災推進国民大会、いわゆるぼうさいこくたいでありますが、議員がおっしゃるとおり、内閣府が中心となって行われる国内最大級の防災イベントと言われております。
 現在、内閣府と調整しておりますが、開催期日は本年11月6日、7日の2日間の予定となっております。
 それで、ぼうさいこくたいとあわせて、県として併催事業を行ったり情報発信をすることが重要だと捉えておりまして、震災の教訓でありますとか復興支援の感謝の思いをその場でも発信するとともに、三陸地域を防災の学習を行う場とするような取り組みを継続的にぜひ検討していきたいと思っておりまして、三陸に多くの方が来訪し、またそれが継続するような取り組みにしていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)震災から10年というまず一つのくくりというのは、まだ復旧、復興が進んでいないので終わったとは言えませんけれども、例えば会議だとかこういう大会も大事だと私は認識しております。
 でも、私は、私の考えですが、岩手県らしい素朴な言葉で、ありがとうとか、おかげさまでここまで復興できました、復興できた姿をぜひ見に来てくださいと、今まで協力をいただいた人たち、支援いただいた人たち、自治体でいいと思うのですけれども、知事名で─全国から来た人たちは、あのときは宿泊施設もなかった状態だったのです。そして、非常に大変な思いをされて復旧に努力された方々がいっぱいいらっしゃるわけであります。その人たちに対して、ぜひ知事の名前で―今のぼうさいこくたいでもいいのですけれども、全国に招待状を送る。そして、いただいた自治体の判断でしょうけれども、そこから今の復興した姿を、三陸の復興を見ていただくような、私はそういう地域の新たな関係人口がそこにつながって出てくるのではないかと思っておりますけれども、知事はそういう招待状を出すようなことは考えていませんでしょうか。
〇知事(達増拓也君)機会を捉えて岩手県にいらしていただきたいという趣旨の訴えというのは、常日ごろから接する皆さんにはしているところではありますけれども、議員御指摘の招待状、手紙、メール、ありがとう、おかげさま、見に来てくださいというような言葉を端的に伝えるということにつきましては、東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨にも沿うかと思いますので、こういう場でもございますから、ほかの議員の方々、あるいは会派としてそういう提案をいただくということであれば、どういうところに知事名での招待状を送ればいいのか、どのような内容か、メールがいいのか、切手を張って出すような書簡がいいのか、そういったことについて御提案をいただきながら、考えて対応していくこともあり得るかと思います。
〇45番(工藤勝子君)今はインターネットとかいろいろあるけれども、私たちは初めてお手紙をいただいたときには非常に感動するわけです。そういう岩手県らしさのある感謝の伝え方というのも考えていただければと思っております。
 次はハード事業の関係でありますけれども、第2期復興・創生期間に入るわけですが、今後、岩手県もだんだん終ハード事業がわっていくことによりまして、財源の関係が、東京電力福島第一原子力発電所の処理のほうにシフトしてくのではないかと思っています。心のケア、そしてコミュニティーの形成など、人的支援事業に対する財政支援の変化をどのように捉えているかお伺いいたします。
〇復興局長(大槻英毅君)先ほど決算統計によると令和元年度までに4.4兆円執行と申し上げたところでございますけれども、これまでハードが中心でございましたので、かなりの額になっておりました。
 そして、今現在で申しますと、ちょうどハード事業が終わりに差しかかっておりまして、そして一部、12月定例会でも繰越等々の御承認をいただいたわけでありますけれども、こういった部分の予算については既配になっておりますので、これ以外の令和3年度からの新規事業となりますと、基本的にはソフト事業中心となろうかと考えております。
 そういった中で、第2期復興・創生期間の国のほうで今後必要な金額というものを各県に割り振った金額を見ますと、過去に私どものほうで今後必要となる費用が大体1、000億円前後ということで、ちょうど合致しておりますので、大枠のところでは間に合うのでないのかと考えております。
 ただ、いろいろな状況の変化もあろうかと思いますので、そういったことにつきましては、その年その年の予算編成等の中で、私どものほうからいろいろと国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)沿岸地域のことを考えてみますと、この10年間、本当にいろいろなことがあったと私は思っております。こんなに災害というのは続くものかという思いもいたしました。つまり、東日本大震災津波から復興して家を建てられた。いろいろな事が成ってきたときに、今度は平成28年台風第10号とか令和元年台風第19号とか、そして今回はまた、新型コロナウイルス感染症による大きな被害です。私は、被害だと捉えていますけれども、そういう中で立ち上がろうとする。立ち上がってこれでできるぞと思うと、またそこで被災されたりいろいろなことがあって、非常につらい思いをされている人たちというのはいっぱいいるだろうなと、私なりに心病んでいるところでもあります。
 そういう中で、私はどういうところに元気を見出すかというと、やはり子供たちの活躍です。沿岸地域の子供たちが、いろいろな形の中で、文化面でも、スポーツ面でも活躍してくることによって、その姿を見て、今、一生懸命頑張ろうとしている人たちにも、大きな力を与えていくのではないかと思っているところであります。
 そして、次のステージをつくるのは、私は今の児童生徒、子供たちではないかと思います。その子供たちに新たなステージづくりを考えさせてみるということも大事ではないかと思いますが、復興局長はどのように考えますでしょうか。
〇復興局長(大槻英毅君)東日本大震災津波で被災した児童生徒の修学という部分で、全国の方々からいわての学び希望基金という形で多額の御寄附をいただいております。これに基づいて、大学院卒業までの奨学金として使わせていただいて、そのほかに、沿岸地域の子供たちが津波学習をしたり、あるいは昨年度であれば、例えばラグビーワールドカップ2019の機会を活用して海外のアスリートとの交流ができるような事業に活用するということで、学び希望基金でいただいたお金を使わせていただいております。
 いわて学び希望基金を使ってこられた方々の中には、もう就職をされている方もいらっしゃいます。そういった方々が、郷土の気持ちと、あるいは被災の記憶というふうなものを持って活動しているということは、私どものほうでいろいろなお話を聞いている中で、節々にそういうことが出てきております。
 ですので、こういった方々の気持ちを継続的に、いわゆる復興、あるいは地域づくりに役立てていくことが大事だと思っておりますので、これまで子供たちと皆さんと培った絆を大事にしながら、各市町とも協力しながら、地域づくりに一緒に当たっていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)人口減少対策というのは、沿岸地域の課題ではなくて、これはやはり全県下の課題だと思っております。
 将来的な人口減少に歯どめをかけるためには、そこで生まれて、育って、学んで、そしてそこの地域の人材になろうとすることも、一旦まちを離れてどこかに就職するなり大学に行っても、やはり自分の生まれたまちに誇りを持てるようなまちづくりをしなければならないのではないかと思っています。そうすることによって、子供たちはそこで一生懸命頑張るし、出て行った子供たちも戻ってくる。そういういろいろな流れというものを、今後しっかり組み立てていかなければならないのではないかと思っております。
 全ての人に対して優しいまちであったり、そして、今の大人が元気に生き生きといろいろな活動をすることだったり、そうして子供たちに頑張る姿を見せることも非常に大事ではないかなと思っております。
 そういう意味も含めて、ぜひ沿岸地域の活性化に御協力をいただければと思っています。
 また、誰ひとり取り残さない、寄り添いきめ細やかな支援をと知事もよくおっしゃいますが、被災者の相談体制について、岩手復興局も釜石市のほうに来ますが、1カ所とする計画であります。これに対するメリットとデメリットをどのように考えているのか、お伺いいたします。
〇復興局長(大槻英毅君)(仮称)いわて被災者支援センターの関係でございますけれども、発災当初、件数は多かったのですけれども、割と簡単な御相談も多かった。そういう中から簡単な相談といったものがなくなってきて、残っている相談というのが、非常に複雑化した生活相談になってきているという現実がございます。そして、今現在、沿岸に置いている被災者相談支援センターのほうでの統計を見ますと、結局、弁護士の方とかファイナンシャルプランナーのほうに御紹介をするというだけの分類になっている相談がかなりふえてきているということもございます。
 ですので、より身近な場所に窓口を設けて、市町村の生活相談をなさっている方々、社会福祉協議会も含めて、そういった方々と一緒になって、場合によっては訪問もしてお話を伺うというような形でやっていければいいなと思っておりまして、そういった意味で、被災者の方々に近いところにそういうものがあるというのは非常にメリットと思っております。
 ただ、県外の避難者の方々に対するお世話の業務もございます。これもこれまでどおり、県外にお住まいになっている市町村の方々と十分協力しながら、被災地の情報を随時お届けして、そして、御帰還の意思があるかないかという意思確認も、そちらのほうで丁寧にやっていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)御答弁をいただきましたけれども、例えば災害公営住宅が盛岡市を初めといたしまして県下にある程度つくられました。そういう中で、例えば福祉活動コーディネーターや福祉ボランティアの人材というのは育っているのか、聞いてみたいと思います。
〇復興局長(大槻英毅君)まず、沿岸部については、福祉のコーディネートをするという部分では、心のケアのほうと一体となった格好で活動しておりまして、そういった意味で、被災者の方々の抱えている問題点には寄り添った形でできていると思っております。
 盛岡市や内陸のほうにつきましても、例えば南青山にできた最後の災害公営住宅では、もりおか復興支援センターがアパートの1階に入居するということで、非常に被災者に寄り添った形にはなっていると考えております。
 数については足りない部分もあろうかと思いますけれども、今やられている方々は一生懸命努力していただいて、非常に被災者の方々のお力になっていると考えております。
〇45番(工藤勝子君)知事にもう一点お聞きいたします。
 岩手日報の令和3年2月21日の記事で、岩手日報が特別に被災地首長たちのこれからの復興に対する要望をお聞きしたという記事がございました。これを受けて、知事はどのような感想を持ちながら、例えば国に今後どのように働きかけていくか、震災の関係で最後にこれをお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君)御指摘の沿岸被災地市町村の首長の皆さんのインタビュー記事は、大変貴重なものだと思います。
 国への働きかけということをおっしゃったと思いますけれども、陸前高田市の市長は、災害公営住宅の居住年数の問題でありますとか、土地区画整理事業の制度の問題でありますとか、具体的にこう変えたほうがいいというようなことを述べられていて、そのような今後の大型災害対応、そしてそこからの復興の参考になるような具体的なことがほかの市町村長の皆様のお話の中にも書かれていますので、岩手県内はもとより、日本全体として活用すべきものと思います。
〇45番(工藤勝子君)ぜひ、被災地の首長たちの思いを酌み取りながら、よりよいこれからの三陸沿岸の発展のために、知事の御尽力も、私からもお願い申し上げたいと思っております。
 次に、新型コロナウイルス感染症のほうに入っていきたいと思います。県税収入の減による予算編成への影響についてであります。
 令和3年度当初予算案の総額は8、105億円、震災分667億円、新型コロナウイルス感染症対策分959億円で、通常分は7、437億円となりました。昨年度の通常分より726億円の増となっております。
 県税は個人県民税や法人二税の減収により97億円が減となり、厳しい財政運営が予想されますが、令和3年度における予算編成の影響についてお伺いいたします。
〇総務部長(白水伸英君)議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う企業業績の減退等によりまして、県税の大幅な減収が見込まれる中、令和3年度の当初予算の編成に当たりましては、国の地方財政計画を踏まえまして、地方交付税やその代替であります臨時財政対策債の発行額等を適切に見込むとともに、財政調整基金の必要最小限の取り崩しにより対応をすることとしたところでございます。
〇45番(工藤勝子君)毎年のように選択と集中という言葉が出てきます。でも、私はどこに選択をして集中的に予算を使おうとしているのかという姿があまり見えないような気がします。令和3年度は、どのような事業を選択して、集中的に取り組もうとしているのかお伺いいたします。
〇政策企画部長(八重樫幸治君)令和3年度当初予算案においては、若者の自立と県内定着に向けて、ライフステージに応じた住宅支援施策を創設し─これは2億2、000万円ほどになりますが─部局横断的に取り組むほか、気候変動対策として、温室効果ガス排出量の削減に向けた家庭、産業部門の省エネルギー化にも重点的に取り組むこととしています。
 また、障がい者などの支援を要する方々の生活や学びの場を支えるため、障がい者の就労や賃金の向上に向けた支援に加え、一部の特別支援学校や児童相談所の新築整備に着手するなど、福祉施策の一層の充実を図ります。
 さらに、令和3年度は、御所野遺跡の世界遺産登録を見据えた取り組みや、いわてモー!モー!プロジェクト2021による消費拡大、ブランド力の強化に向け、県が中心となって、JA全農いわてとの連携によるプロジェクトを集中的に展開することとしています。
〇45番(工藤勝子君)その中にILCということが入ってこないので、私はちょっと残念に思いました。この間、山下先生のお話を聞いたときに、非常に大事な時期に来ているということであります。しかし、予算書を見ると、予算が減になっているのです。そういうことを見ると、もう少しここに力を入れるのだったら予算を増額すべきと考えますが、そのあたりはどのように考えたでしょうか。
〇ILC推進局長(高橋勝重君)ILC推進費につきましては、本年度、コロナ禍の中にあって、予算の執行ができないとか、予定していた事業が集客の制約によりできないとか、かなり減額が大きかったところですけれども、令和3年度当初予算案につきましては、海外渡航の再開やコロナ禍の収束に臨機に対応できるよう、必要な経費を盛り込んだというように考えております。
〇45番(工藤勝子君)そういうところもぜひしっかりとやっていただきたいと私は思っております。期待をしているわけです。
 次に移りますが、国も県も新型コロナウイルス感染症対策として、事業承継、雇用対策、このたびは中小企業支援などの家賃補助など、いろいろな対策を打ち出しました。
 これらの支援のうち、県の家賃補助支援や国の雇用調整助成金は、前年同期と比較して一定程度売り上げが減った企業が対象となる制度であります。これは制度の問題だと思っていますが、支援を受けられる側と、わずかな差で支援を受けられなかった側が出てまいりました。私にも不公平だという声が聞こえているのですけれども、私はある程度線は引かなければならないという思いがありますが、どのように捉えているかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)県の家賃補助につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている飲食店を初めとした事業者の固定費の負担軽減を図るものでありまして、一定の基準を設けて支援対象者を定める必要があると考えたものでございます。
 そうした考えに立ちながら、事業開始当初の5月におきましては、1カ月の売り上げが前年同月比で50%以上減少した事業者を対象としておりましたが、6月には、3カ月の売り上げが前年同期比で30%以上減少したところも対象とするということで、拡充を図ってまいりました。
 さらには、12月から実施しております1月からの家賃を支援する補助事業につきましては、年末年始にかかりまして必要な支援が速やかに事業者に届くようにという趣旨で、1カ月の売り上げが前年同月比で30%以上減少した事業者にも拡充をしてきたところでありまして、このように売り上げ要件については、柔軟に対応してきたと考えております。
 また、国の雇用調整助成金につきましては、数次にわたり売り上げの要件が緩和されておりますが、国も同様の考え方に立って、柔軟に対応してきているものと認識しているところでございます。
〇45番(工藤勝子君)ここでもう一点聞きたいと思いますけれども、今、県内も新型コロナウイルス感染症の感染者がゼロというような形で続いていると思っております。そういうことから、感染者をこれからも抑え込み、新規感染者が出ないことを私たちも願っているわけであります。そうすることによって、緊急事態宣言も一部で解除になるようでありますけれども、逆に人の流れができる、そして物流も活発に動いていくということにつながっていくのではないかと思っています。
 東日本大震災津波前と後の経済の立て直しをどのように進めていこうとしているかお伺いします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)東日本大震災津波からの復興の過程におきまして、港湾の整備でありますとか、復興道路の整備とか、基盤になる部分の整備というのはかなり大きく進んできております。ものづくり産業もそうでありますし、観光産業もそうであると思います。物や人の動きが活発にできるような基盤ができておりますので、そういったものをしっかりと活用しながら、沿岸地域の経済の復興を果たしていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)同じような質問になるかもしれませんけれども、もう一点通告しておりますのでお聞きいたします。
 2回目の緊急事態宣言が首都圏を中心に発令され、令和3年3月7日まで延長されました。一部が解除になる見込みです。県内のホテル、旅館、民宿などでは、多くのキャンセルが出るとともに、飲食店では会食を控える傾向が強まっております。観光産業、飲食業などへの影響をどのように捉えて、今後の対策や支援をどのようにしようとしているのかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)商工指導団体と連携して実施している影響調査によりますと、直近の1月の売り上げにつきましては、前年同月と比較しまして41%以上減と回答した割合が、宿泊業で58%、飲食業で49%となっており、これらの業種を中心に、厳しい状況が継続していると認識しています。
 このため、県としましては、緊急の支援が必要と考えまして、宿泊業や飲食業を初めとした県内の中小企業者に対する県独自の支援策として、厳しい状況にあっても感染症対策に取り組みながら事業を継続しようとする事業者に対しまして、1店舗当たり40万円の支援金を支給することとし、本日追加提案の補正予算案に必要な経費を盛り込んでいるところでございます。
〇45番(工藤勝子君)ワクチン接種につきましては、代表質問でもいろいろ質疑がされておりました。そういう中において、私は県としての役割、そして国に対して何を問題点として要望されているのか、お伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)ワクチン接種体制は、県と市町村で連携して、今その準備に全力で当たっているところでございます。
 このワクチン接種体制を進めるに当たりまして、国から現時点では、ワクチンの供給時期、供給量など、少しずつは示されておりますが、まだ具体的には示されていないことがございます。
 こうしたことから、供給されるワクチンの種類や量、供給時期の詳細について自治体に示すこと、ワクチン接種に関する具体的情報を国民に対して周知、広報すること、医療機関の協力金等も含め接種体制の整備に係る費用に地方負担が生じないよう国の責任において必要な措置を講じることなどにつきまして、全国知事会、全国市長会、全国町村会と合同によりまして、国への緊急提言を行ったところでございます。
〇45番(工藤勝子君)このワクチン接種は、安全性、有効性が求められております。接種は強制ではなく任意であると思っておりますが、県内ではどのくらいの人が接種すると想定されているのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)新型コロナウイルスのワクチン接種につきましては、接種による集団免役の効果がまだ十分に解明されていないことから、国において、接種率の目標設定は現時点ではなされていないところでございますが、ワクチンの発症予防と重症化防止の効果は確認されていることから、県といたしましては、対象者となる16歳以上の県民は約106万人おられますけれども、その中の希望する方が円滑にワクチン接種ができるよう、さまざまな状況を想定した接種体制の準備を進めているところでございます。
 また、今後示される国からの情報に基づきまして、ワクチン接種の意義や有効性、想定される副反応等につきまして、さまざまな媒体を活用しまして、県民に対して丁寧な周知に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)ワクチン接種における医師、看護師の確保であります。通常でも岩手県は医師も看護師も足りないという状況が続いているわけでありますけれども、十分確保できる見通しは立っているでしょうかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)ワクチン接種の実施に当たりまして、医療従事者の確保が課題となっている市町村もあると承知しております。県では、地域の医療資源の状況に応じまして、市町村に対しまして、二次医療圏内での共同接種の提案を行っているほか、他の医療圏からの派遣応援によりまして、医療従事者の確保などについても関係機関と調整を進めているところでございます。
 今後におきましても、市町村や医師会、医療機関と緊密に連携をしながら、県民の方々へのワクチン接種が安全かつ迅速に実施できるよう取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)昨日、佐々木努議員も質問されておりました、ひとり親家庭の状況についてであります。女性不況という言葉も出てまいりました。つまり、何かこういうことが、コロナ禍のようなことが起きてくると、経済が非常に低迷し、一番先に雇いどめであったり解雇になったりするのは女性であります。本当に弱い立場になっているのではないかと思っています。
 全国の母子家庭の6割が減収になったというデータもあり、11%が収入を失っているという報道がある中で、本県のひとり親世帯の状況をどのように捉えているのかお聞きいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)社会、経済状況の影響を受けやすいひとり親家庭におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、就業状況が変化をいたしまして、一時的に就労収入が減少することなどが懸念されております。
 本県では、広域振興局等に配置をいたしました母子父子自立支援員による相談や、市町村、母子福祉関係団体等を通じまして実態の把握に努めておりますが、現時点では、新型コロナウイルス感染症の影響による相談件数が急増しているといった状況ではないと聞いているところではございます。
 一方で、やはり新型コロナウイルス感染症の長期化の影響というのは今後懸念されるところでございます。引き続き、ひとり親家庭の状況について随時把握に努めまして、ひとり親を含めまして活用できる支援施策につなげてまいりたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)女性が社会に出て働くことによって今日の日本経済を押し上げてきた、非常に大きな力になったのではないかと私は思っているところでもあります。今、私の農村地帯においても、女性の人たちが就労して、頑張っている人たちが多い。一番底にあると思われるような女性たちが、逆に元気を出して経済を引っぱっているのではないかと私は思っています。
 ですから、社会に出て働く女性たちの地位というものを、県が先頭に立って、安定して働くことができるような仕組みなり働きかけを、企業なり、事業所なり、そういうところに働きかけていく役割を担っているのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君)女性の活躍、特に就労支援につきましては、いわてで働こう推進協議会を核といたしまして、産学官金の連携組織において促進していきましょうということで取り組んできているところでございます。
 国におきまして、非正規職員の方を正規職員に転換した場合に助成金を出すような仕組みもありますので、そういったものをしっかりと活用しながら、女性が活躍できるような企業体制をしっかりとつくっていきたいと思っております。
〇45番(工藤勝子君)今は、はやり言葉のように、女性活躍という言葉がよく言われます。ですけれども、この女性活躍に対して、本当に活躍できる社会ができているのかということをもう少し考えていかなければならないのではないかと私は思っております。女性も自立して、それなりの所得を得て、ひとり親でも生きていける、そういう社会の実現が私は望ましいのではないかと思っているところでありまして、ぜひそういう取り組みを、この女性活躍の波があるうちに、いつかまたしぼむときもあるかもしれませんので、そういう役割をぜひ県のほうで担っていただきたい。知事にもそういう役割を期待しておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、コロナ禍における自死についてお伺いいたします。
 先月、令和2年における自殺者数の速報値が公表されました。今回の公表では、発見地別ではありますが、都道府県別のデータも公表され、人口10万人当たりの自殺死亡率は、本県が山梨県と並んで全国ワーストワンとなっております。報道によると、コロナ禍によって全国で女性や子供の自死がふえているとされておりますが、本県の実態はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)今回公表されました令和2年の自殺者数は、発見地をもとに集計された速報値でありまして、全国では2万919人で前年比750人の増、本県は274人で前年比2人の減となっております。
 このうち女性を見ますと、全国では6、976人で、前年比では6月以降、コロナ禍の影響も示唆されていますが、増加で推移いたしまして年間で885人の増、本県は93人で、全国の6月以降のような顕著な傾向は見られておりませんが、年間で前年比13人の増となっております。
 また、19歳以下は全国では776人で前年比117人の増、都道府県別の年間データは公表されておらず、月別のデータを合計いたしますと、本県は10人で前年比2人の減となっております。
 県としては、コロナ禍にありまして、経済情勢の悪化など社会的要因によりまして自殺リスクが高まることが懸念されることから、今後の動向を注視するとともに、現在、公的な調査研究機関が進めております全国の自殺の動向に関する分析結果も踏まえまして本県の取り組みを検討し、引き続き、官民一体となって自殺対策を総合的に推進してまいります。
〇45番(工藤勝子君)私は、今までと同じような対策をしていたのでは、全然減少しないのではないかと思っております。そういう取り組みをやはりもっと市町村と連携しながら徹底的にやらないと、いつまでもワーストワンとか、ワーストツーです。本当に岩手県の住みにくさというか生きにくさ、これを一生懸命、生きやすさに変えると言うのですけれども、全然変わっていないのではないかと思います。自死するぐらい苦しい人たちがいるということの現実を私はわかってほしい。そして、特に子供の自殺は絶対に抑えていかなければならないのではないかと思っているところであります。
 ぜひ、子供の自死を防ぐために、例えばSNSなどを使った相談体制の整備が必要と思いますが、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君)これまで自殺対策アクションプランを平成19年に策定いたしまして、いわゆる久慈モデルという形で包括的な取り組みを進めてまいりました。また、その中にあっても、年代別の取り組みや高齢者向けの取り組み、中高年の働き盛りの取り組み、また委員から御指摘があった若年層への取り組みは、やはりアプローチが違います。そうした意味で、特に若年層の方々に関しましては、教育機関等との連携をしたきちっとした相談支援体制が必要でございます。そうした意味でも、県としてもそういった体制づくりについて取り組みを進めてきたところでございますけれども、コロナ禍にありまして、さまざま子供たちにとっても、毎日テレビ等の映像を見る中で、大きな心理的な負担を受けているのではないかと考えております。そういった今後のさまざまな動向をきちっと分析、把握をいたしまして、青少年の心のケアについても取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君) ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、健康づくりの推進についてお伺いしたいと思います。
 いわて県民計画(2019〜2028)では、第1章に、健康と余暇を挙げております。健康づくりや余暇を楽しむことは個々の考え方ではありますが、がんや脳卒中、心疾患の三大疾病、これもまた全国の最下位のほうに位置しているということであります。生きにくさ、住みにくさ、こういうこともここからも生まれてくるのではないかと思っていますが、現状と対策をどのように考えているかお聞きしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君)本県のがん、脳卒中の年齢調整死亡率は全国の中でも高く、長期的には減少傾向にありますものの、依然として全国との死亡率の差は大きな開きがございまして、特に65歳未満の働き盛り世代からの死亡率も高い状況にあります。
 この要因といたしましては、喫煙率や食塩摂取量、日常生活における歩行数、メタボリックシンドローム該当者の割合など、生活習慣病に関連する数値が全国的に見て改善の余地がある状況にあることが挙げられておりまして、本県における重要な健康課題であると認識をしております。
 このため、県では、健康いわて21プラン及びがん対策推進計画に基づきまして、禁煙支援や食生活改善、運動習慣の定着などに取り組むとともに、企業等におけます健康経営の推進などを図っているところでございます。
〇45番(工藤勝子君)岩手県においては、平成25年3月に議員提案の条例として、岩手県口腔の健康づくり推進条例が、また平成26年には、同じく岩手県がん対策推進条例が制定されております。
 そういう中において、この二つの条例を踏まえて、どのような成果と課題があり、課題があるとするならば、どのような取り組みを今後推進していこうとしているのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)県では、口腔の健康づくり推進条例に基づきまして、イー歯トーブ8020プランを策定いたしまして、口腔保健支援センターの設置や、関係団体と連携した口腔の健康づくりを推進してまいりました。このことによりまして、糖尿病などの生活習慣病との関連がある40代、50代の歯周病有病者率が改善しておりまして、さらに、医科、歯科連携による糖尿病性腎症重症化の予防に向けた推進体制の構築が図られてきたところでございます。
 また、県がん対策推進計画に基づきまして、がん予防の推進、がん医療の充実や緩和ケアの推進、相談支援体制の充実など、県がん対策推進条例に掲げる基本的施策を推進してきたことによりまして、検診受診率の向上や、県内九つ全ての医療圏へのがん診療連携拠点病院の整備などによりまして、がん医療の高度化、均てん化などが図られてきたものと考えております。
 県としては、先ほど申し上げました、やはり食生活、運動習慣、喫煙などの課題の解決に向けまして、これら条例に基づく計画を着実に推進いたしまして、生活習慣病の改善等による健康寿命の延伸につなげてまいりたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)新型コロナウイルス感染症で重篤化するということは、やはり何らかの疾患を持っている人がこのような状態になりやすいということもありました。そういう中において、今、保健福祉部や政策企画部の方々は非常に忙しいところに入っているのだろうなと思っておりますけれども、本気で市町村と連携し、がん、脳血管疾患や心疾患の三大疾病を初め、現在の新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ等の対策を推進するために、県民総参加とする心身とも健やか健康条例なるものを制定すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君)現在6府県におきまして、健康づくりの推進に関する条例が制定されていると承知しております。健康増進対策に加えまして、さまざまな疾病対策から感染症対策まで多岐にわたる健康、医療施策を網羅的に規定する条例につきましては、ほかに先例がないものというふうには認識をしております。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、生涯にわたり心身ともに健やかに生活できる健康づくりと、感染症対策も含めました医療提供体制の充実も掲げまして、各種計画に基づく施策を総合的、一体的に推進しているところでございます。
 議員御提言の条例化につきましては、まずは健康いわて21プラン推進協議会やがん対策推進協議会等におきまして、関係機関、団体や県民などから幅広い御意見をお伺いしながら、研究していくべき課題であると考えております。
〇45番(工藤勝子君)いろいろな形で御検討いただければうれしいと思っております。
 次に、農林水産業振興についてお伺いいたします。
 まず、農林水産業の振興に向けた基本計画と戦略であります。
 この質問については、定例会や委員会において4回目となります。私もしつこく質問してまいりましたけれども、今回でやめようと思っています。総括質疑における議事録を何度も読んでみましたが、知事の答弁も、ちょっと言葉は変わっていても、同じようなことを3回も繰り返していましたし、また今回も同じような答弁になるだろうと予想しましたが、知事も、またやるのかと思わずに聞いていただければ、私はうれしいです。
 そして、農林水産業で営む人たちは毎年のように、どこかで災害に遭い、ことしも新年早々から大きな雪災になりました。その中でも汗を流して頑張っている人たちが少しでも希望や目標を持てるような、若者を励ますような御答弁をいただきたいと思っております。
〇知事(達増拓也君)岩手県の農林水産業振興に向けたビジョンを答弁せよという趣旨の御質問と理解いたしますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)の長期ビジョンにございますように、意欲と能力のある経営体の育成、収益力の高い食料、木材供給基地づくり、農林水産物の高付加価値化と販路の開拓、拡大、一人一人に合った暮らし方ができる農山漁村づくりを政策推進の基本方向として掲げ、さらに、第1期アクションプランにおきまして、4年間で重点的、優先的に取り組むべき政策や、その具体的な推進方策などを明らかにしているところであります。
 この長期ビジョンや第1期アクションプランの内容につきましては、市町村、関係団体などと共通理解を図りながら、具体的な事業を進めているところでありまして、今後とも、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、県や生産者、関係団体等がともに力を合せ、農林漁業者一人一人が、意欲を持って、生き生きと働き、暮らすことのできる農林水産業の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)昨年の決算特別委員会の総括で、知事は、担い手の確保と育成、農林水産業体質の強化という課題は述べられております。しかし、課題に向けた具体的な取り組みは私には見えませんでした。経営体の確保、育成や、生産性、産地づくり、販路の拡大、豊かな農村づくりなど、着実に進んでいると答弁されておりますし、今私が求めているビジョンや戦略は、既に岩手県にあるとも答弁されております。これは、やはりいわて県民計画(2019〜2028)、仕事、収入に入っているということを前提にお話しされていると思っております。
 確かに、農地を集積し、法人組織もふえてきております。実績もあると思っております。今年度は、米価も下落し、コロナ禍によって米だけではない農産物、畜産、林業、海産物にしても、販売不振や価格が下がっている現状をどのように捉えながら、担い手に対して将来の目標を持たせるような情報発信ができているのか、お伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君)ビジョンや計画との関係で、現状と課題をどのように共有して対応していくかということについては、現状と課題は、いわて県民計画(2019〜2028)の政策推進プランにおきまして、農林水産業の経営体の育成、産地づくり、販路の拡大、そして農山漁村づくりという四つのビジョンに、それぞれ現状と課題の分析がございまして、それに対して工程表もあって推進方策が非常に具体的に書かれておりまして、一つ一つ読んでいきますと非常に時間がかかるので、それをこの場で読めという趣旨ではないと思うのですが、先ほどの答弁で申し上げましたように、既にそのように農地で、そしてさまざまな園芸の施設を建てながら、県の職員たちも現場に入って、農家の皆さんや農業団体の皆さんと一緒にもうやっているところでございます。
 そういう中、さまざま、ああしたほうがいい、こうしたほうがいい、そして大雪被害など緊急なことがあった場合には、予定されていない、計画に書いていなかったようなことについても緊急に対応していく。そのように農業経営を持続可能なものとしながら、あらゆる分野、お米にせよ、お肉にせよ、園芸、花卉、新しい分野など、いろいろなチャンスを岩手ブランドによって、高付加価値化、比較的いい値段でも売れるようなものをつくることができるようになってきておりますので、ぜひそのチャンスを生産者の皆さんに生かしていくようにしていただきたいと思っております。
 それから、先ほどビジョンについて、それは共有されていると言ったが、ということがたしか質問に含まれているとお聞きしておりましたけれども、これらビジョンは、それぞれ決して無理なことを言っているわけではないわけでありまして、経営体の育成、産地づくり、販路の拡大、そして農山漁村づくりという、農業経営者の皆様方も自分たちの中からも、そうだそうだそうやろうと、一緒に頑張っていけるようなビジョンを県でも描いていますので、それを関係者一同、共有しながら、進めていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)ちょっと農林水産部長に振りたいと思います。
 私は、このプランというのは、農業者だけのものとして捉えるからできないと思うのです。つまり、これからのビジョンというのは、いかに生産量と消費量、農業者と消費者をどうやって近づけていくかです。そういうプランにもっていかないといけない。私は農業者です。胸を張って言います。知事は消費者です。やっぱりかみ合わないなと思って、私は今聞いていました。
 やはり農業者が、若者が、生きがいを持って取り組んでやるような方針を部長も少し考えていただけないでしょうか。ちょっと所感をお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)農業者と消費者というお話でございました。
 我々農林水産部とすれば、基本、農林漁業者の立場に立って、いろいろプランを立てながら、農林漁業者の収益向上というのを第一の目標ということでずっとやってまいりました。生産の立場からいたしますとそのとおりですが、生産したものを評価していただいて、きちんとした価格で買っていただく、消費していただく、県産品を買っていただくというのも非常に大事な視点だと思っております。
 そういう意味で、ただただ一生懸命つくりっ放しということではなくて、いかにそういった高付加価値化など、岩手県産ならではのものを消費者の方によく理解していただいて買っていただけるか、そういうこともあわせながら、いろいろ施策を進めていきたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)時間が少なくなってきましたので、ちょっと文章を省きながら質問してまいりたいと思っています。
 スマート農業に対して、若者は非常に大きな期待を寄せております。スマート農業技術の導入に向けた取り組みについてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)スマート農業技術に向けた取り組みということでございます。
 スマート農業機械や設備は、機能や価格が多様であることから、導入に当たりましては必要性、収益性を十分に検討することが重要と考えております。
 県では、トラクター等の自動操舵や、施設野菜での高度環境制御、病害虫防除でのドローン活用など、本県で活用可能なスマート農業技術の現地実証の成果をスマート農業事例集として取りまとめることとしておりまして、今後は、こうした事例集も活用しながら、農業改良普及センターを中心に、経営規模、ニーズに応じたスマート農業技術が導入できるように助言するなど、きめ細かな支援を行っていきます。
 令和3年度当初予算案に盛り込みました県単独事業の地域農業マスタープラン実践支援事業費におきまして、スマート農業機械導入の助成対象者を拡充することにしておりまして、こうした事業も活用しながら、地域の実情に即したスマート農業技術が普及拡大するよう積極的に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)次に、4広域振興局の農林水産業の方向性について伺いたいと思います。
 4広域振興局における農林水産業の方向性をどのように明確にしているのか。つまり、広い県土、地形も、自然環境も、風土、そして主なる作物も私は違っていると思っています。そういう一律ではない農林水産業のあり方をどのように受けとめて、農林水産業をこの4広域振興局で成長産業にどう結びつけいくのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)4広域振興局ごとの農林水産業の方向性ということでございます。
 本県は、豊かな自然環境、土地、風土に育まれ、多様な農林水産物が生産されており、各地域の農林水産業を持続的に発展させるためには、地域の特性を踏まえまして、生産性向上や販路の拡大の取り組みを一層推進することが必要と考えております。
 このため、例えば県央地域では、県内一の消費地であります盛岡市を有する強みを生かしまして、食産業にかかわる事業者と商談会を開催し、農産物の販路開拓に取り組んでいますほか、県南地域では、ホップの産地であります遠野市におきまして、おつまみ野菜でありますパドロンを生産し、民間企業等と連携して地域振興につなげる取り組みが行われております。
 沿岸地域では、効率的なサケ、マス類の海面養殖の推進に向けまして、ICTを活用した餌の自動投与システムの実証試験に取り組んでおりますほか、県北地域では、中山間地域に適応したスマート農業の技術実証、木炭として全国で初めて国の地理的表示保護制度に登録された岩手木炭のスイスへの試験輸出の実施等の取り組みが展開されているところでございます。
 今後とも、各圏域におきます立地条件、地域資源を踏まえまして、収益力の高い農林水産業の実現を目指して取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)農林水産省は、主食用米の過剰から、需給対策費として、令和2年度第3次補正予算と令和3年度当初予算と合せて3、400億円を計上しております。そして、一層の転換を進めようとしております。これは、人口減少、高齢化、食生活の多様化など、米の消費が年々減少し、また、そこにコロナ禍が拡大し、外食産業向けの需要が急速に落ち込み、供給と需要のバランスが崩れた状況になっていると思います。
 そういう中において、転作、作付転換を求められております。全国でも6.7万ヘクタール、36万トンの減少ということになっております。岩手県においても、1、239ヘクタールの転換が必要と示されました。県として、この転換に向けての支援の方向性を示すべきと思いますが、お伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)稲作農家の現状と転換作物の方向性ということでございます。
 令和3年産の米につきましては、全国的に需給緩和する中で、米の需給と価格の安定を図るため、主食用米からの大幅な作付転換が必要なことから、県では、飼料用米や野菜、大豆などの作付拡大を推進していくこととしております。
 特に飼料用米につきましては、主食用米と同様の栽培管理ができ、今後も需要が見込まれますことから、作付拡大が図られるよう、国が直接生産者に交付する産地交付金を活用し、本県独自に、飼料用米の作付拡大に対して、主食用米との収入の差を補えるよう支援を拡充することとしているところであります。
 さらに、令和3年度の当初予算案に、新規事業としまして、主食用米から野菜や飼料用米等への作付転換に対して補助する水田フル活用農業高度化プロジェクト事業を盛り込んだところでございまして、県といたしましては、需要に応じた米生産と水田のフル活用により、農業者の所得向上が図られるよう取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)今、転換に飼料用米が求められているところでもあります。そういう中において、飼料用米の増産のための品種の開発についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君)飼料用米増産のための品種開発でございます。
 県では、冷害や倒伏に強く、高い収量が期待できます飼料用米の品種開発に取り組んできたところでございまして、これまで、県南部での栽培に適しました、つぶゆたか、県中北部での栽培に適した、たわわっこなどの専用品種を開発してきたところであります。
 開発いたしました専用品種の収量でございますが、10アール当たり700キログラム以上でございまして、県内水稲の平均収量であります約540キログラムを大きく上回っておりますが、県といたしましては、飼料用米の生産で主食用米並みの収入が確保できるよう専用品種の作付拡大を図るとともに、さらに高い収量が期待できる品種の開発に取り組んでまいります。
〇45番(工藤勝子君)ありがとうございました。あとは、予算特別委員会で行いたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりました。こども本の森遠野整備に合わせた読書活動の推進についてお伺いしたいと思います。
 世界的建築家の安藤忠雄さんが設計施工し遠野市に寄付するという子供向け読書施設として、こども本の森遠野が7月オープン予定です。広いスペースとたくさんの本に囲まれて子供たちの思いを浮かべる想像性、つくり出す創造力を育む場所として、わくわくどきどきする施設となりそうです。
 安藤先生は、未来をつくる子供たちのために、本を中心とした新たな復興のシンボルをつくるというコンセプトと、東北復興のシンボルは子供たちの未来にあるという熱い思いから、東日本大震災津波のときの後方支援活動の拠点となった遠野市への建設となりました。
 今の子供たちは、家庭においてはスマートフォンとかゲーム機での時間が多く本を読む時間が少ないと思われますが、学校の図書館の利用状況と、学校教育の中で本を読む習慣を身につけるためにどのように取り組んでいるのか、教育長にお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君)令和2年度の岩手県子どもの読書状況調査におきまして、1カ月の平均読書冊数を調べております。小学生18冊、中学生5.1冊、高校生2.5冊と、これらの調査結果は、全ての校種において全国の平均を上回っております。
 また、学校の図書館を利用した本の割合につきましては、小学生は56.4%であるとか、中学生が31.6%、高校生が16.3%となっております。
 小中学校におきましては、各教科等で学校図書館を活用した読書指導を計画的に行っておりますし、それから児童生徒が自主的に読書記録や本の紹介等の読書活動に取り組んでいるところでございます。また、親子読書や本の読み聞かせ等のPTAや地域と連携した活動、学校図書館の環境整備など、学校や地域の実態に応じた取り組みを行っているところでございます。
〇45番(工藤勝子君)実は、私の地元の青笹小学校は、読書週間における取り組みの成果という形の中で、今年度、文部科学大臣賞を受賞したところでもあります。だから、学校で取り組もうと思えばできることだと思います。もっともっと読書に親しむ子供たちをつくることができるのではないかと思っているところであります。
 安藤先生は被災3県に対して東日本大震災遺児・孤児育英資金を活用して多額の寄附もされておりますし、全国から1万7、000冊の本も寄贈されたほか、県南広域振興局からも図書の購入費という形で御支援いただいておりまして、この場をかりて心から感謝を申し上げたいと思っております。
 沿岸の子供たちにも、たくさん来館していただくために、交通手段としてのバスの利用に対して、県のいわての学び希望基金を活用していただきたいと私は願っておりますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君)まず、沿岸部の学校あるいは市町村立図書館については、復旧が全て完了しておりまして、それぞれの地域において、読書ボランティア団体等による読み聞かせであるとか、読書活動関連の研修の機会の充実も図られておりまして、このような活動によりまして、身近なところで読書に親しめる環境づくりが進んできております。
 議員御指摘のこども本の森遠野につきましては、現在開館に向けて整備を進めていると伺っております。今後、具体的に施設の詳細であるとか、その利用方法等が明らかにされてくると思いますので、それを注視しながら、子供の読書環境の充実を視点に、その利活用について研究してまいりたいと考えております。
〇45番(工藤勝子君)やはり沿岸から遠野市までは、高速道路ができたものの結構遠いと感じられると思っています。そして、北から南までの子供たちに、どういう建物で、どういう図書の配置で、そしてどういうところで本を、例えば寝ころんで見られるような畳の場所もあるようですけれども、そういう形で本に囲まれた世界、そういうものをぜひ実感してほしいと思っております。
 最後に私の住むところの話をしますけれども、ことしの冬は雪も寒い日も多く、マイナス24度、これは県下で最低だったのではないかと思っていますけれども記録いたしました。間もなく3月です。明るい、本当に暖かい春の日差しを受けて、草木も芽吹きながら、子供たちが元気な声で飛び回る様子を見ると、大人も非常に幸せを感じる、そういう季節になります。農家の人たちも、さまざまな自然災害によって、苦しくとも、つらくとも、ことしも種をまいて頑張ろうとする気持ちが沸いてくるのも、春であります。
 学校の先生が授業で子供たちに、氷が解けたら何になると質問しました。そうしたら、ある子供が、氷が解けたら春になると答えたとき、その先生は、子供の豊かな想像力や豊かな感性に驚かされたそうです。コロナ禍の中で、家庭や学校での生活様式の変化や、人と人の心も殺伐とさえ感じられる中で、学力も大事でありますが、子供の豊かな心を育てる教育をもっと充実し、いじめなどのない学校を岩手県から発信できたらと願っておりますが、改めて教育長にお伺いいたします。
 東日本大震災津波からの心の復興には、沿岸地域の児童生徒が大活躍する姿を見せてこそ、復興に取り組もうとする人たちが元気をいただくと思っております。そのための環境づくり、例えば専門職の先生の配置などを願うわけですが、心の復興に教育からどのように取り組んでいくか、教育長にお伺いして終わりたいと思います。
〇教育長(佐藤博君)本県の教育の特徴でありますいわての復興教育におきましては、いきる、かかわる、そなえるを意識して、豊かな心の涵養等に、さまざまな関係者や専門家と協働しながら、また教職員全員が一丸となって取り組んでいるところでございます。
 県教育委員会としては、モデル事業の提案であるとか、研究実践の周知等、さまざまやっておりますし、昨年、復興教育副読本の改訂等も行っております。そういったものを活用して取り組んでまいりたいと考えております。
 また、現在、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策が求められる中で、子供たちは人や地域等と直接的につながる、かかわるということがちょっと難しい状況にあると思います。心の復興の基盤となるのは、人と人とのつながりであるとか、人との出会い、触れ合い、感謝の心を伝えるといったことが肝要だと思います。子供たちが岩手県やそれぞれの地域のよさを知って、人の温かさを感じながら、自分にできることが何かあると気づいて、考えて、将来に向けてみずから行動につなげていくことが大事で、それを地域や私どもが支えていくことが大事だと思っております。
 時間が超過しておりますが、最後に、すばらしい取り組みをちょっと紹介させていただきたいと存じます。
 釜石高校がメッセージ・プロジェクトというものに1月から取り組んでおります。これは1、2年生の有志20人が自主的に取り組んでおり、今の自分にできることを見つめ、あの日の震災の記憶を次代につなぐという取り組みをしている。そこで、リーダーの言葉の中には、未来の命を救うために今後ずっと語り継がないといけない、小学校に出向いて子供たちに、自分が小さいときに体験したことを伝えていくというような取り組みもしていると伺っております。このように、自分にできることは何かを考えながら次代につないでいく、そういったことを子供たちがみずから考えみずから行動していくというすばらしい取り組みがなされていると感じております。
 そのように、いわての復興教育というのは、すばらしい取り組みをして、そして成果を出し、次代に引き継ぐような取り組みがしっかりされているということを御報告させていただきたいと思います。
   
〇副議長(中平均君)この際、暫時休憩いたします。
   午後3時50分 休 憩

出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後4時7分再開
〇副議長(中平均君)休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
〔31番小西和子君登壇〕(拍手)

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