令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇36番(佐々木努君)いわて県民クラブの佐々木努です。
 会派を代表して質問いたします。
 初めに、東日本大震災津波からの復興のさなか、新型コロナウイルス感染症という新たな脅威にさらされている岩手県にあって、県民の命と暮らしを守るため日々奮闘しておられる知事を初め職員の方々に敬意を表します。
 さて、いわて県民計画(2019〜2028)という新たな航海図を広げ、県民の幸福を守り育てる希望郷いわてという帆を上げて新たな船出をした岩手丸は、少子化という大波と新型コロナウイルス感染症という強風が吹き荒れる海を、多くの県民を乗せ、航海を続けています。順風満帆な航海など望めませんが、どんなに困難な航海であっても、船長である知事と船員である職員には、乗客である120万県民を決して遭難させることなく、安全に航海を続ける義務と責任があります。毎年のように発生する自然災害、加速する人口減少、深刻な医師不足、改めて突きつけられた自殺率日本一という悲しい現実、この先、岩手丸にとって厳しい航海になりますが、知事初め職員の皆さんには、常に県民の命と暮らしを守るという使命感を持ち、誰ひとり取り残すことなく、我々県民を希望郷まで導いてくださることを期待しています。
 冒頭そのことを申し上げ、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
〔副議長退席、議長着席〕
 全国的に新型コロナウイルス感染症の感染が広まっていますが、本県においても、昨日まで553人の感染が確認され、亡くなられた方は30人となっています。
 改めてお亡くなりになられた方々に対し哀悼の意を表しますとともに、感染された方々にお見舞いを申し上げます。また、感染者の治療に当たられている医療関係者の方々、並びに、感染拡大防止や経済対策に一丸となって取り組んでおられる全ての方々に、心から感謝申し上げます。
 日本でもワクチン接種が始まったとはいえ、新型コロナウイルス感染症の終息はまだ先が見えません。県当局におかれましては、ワクチンの円滑な接種を初め、これまで以上に感染防止対策に努めていただきますとともに、感染拡大の影響で経済的、精神的に大きな影響が出ている多くの県民への支援を国や市町村、民間団体とともに進めていただくようお願い申し上げます。そのことを申し上げ、以下2点について伺います。
 初めに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって生活が困窮しているひとり親世帯の支援についてお聞きします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大でより大きな影響を受けるのは、ひとり親世帯、特に非正規雇用が多い母子家庭だと言われています。これまで国において、二度にわたり、ひとり親世帯への臨時特別給付金の支給が行われましたが、年度がわりを控えて家計の出費は増加が見込まれ、ひとり親家庭はさらに苦しい状況に追い込まれると指摘されています。県としても早急に独自の支援を強化する必要があると考えますが、今後の取り組みについてお聞きします。
 この間、医療、介護、福祉、教育の現場では、患者や入所者等の感染防止に腐心されてきました。その苦労をされてきた医療従事者や介護従事者の方々に慰労金が支給されたことは当然であったと思いますが、一方で、コロナ禍の中、大切な子供たちを預かる保育園や幼稚園などで働く方々には、いまだ慰労金が支給されていません。ことしに入り青森県で保育施設のクラスターが発生するなど、子供を預かる施設で働く方々の苦労は一層増していますが、県として慰労金を支給する考えはないか伺います。
 壇上での質問は以上とし、以下の質問は質問席で行います。
   〔36番佐々木努君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
 ひとり親世帯への支援についてでありますが、国では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、補正予算の編成等により、ひとり親世帯への臨時特別給付金を創設したところであり、昨年12月末現在、県及び市を通じて1万336世帯に支給し支援しているほか、県内18市町村において、国の臨時交付金等を活用し、独自の支援を行っているところであります。
 県としては、収入の減少など、生活への影響を受けているひとり親世帯については、継続的に支援していく必要があると考えており、全国知事会を通じ、対策を講じるよう、緊急提言を実施したところであります。今後も、引き続き全国知事会と連携して、ひとり親世帯への継続的な支援など、将来世代等を応援するための対策について、国に働きかけてまいります。
 次に、保育施設等に勤務する職員への慰労金の支給についてでありますが、全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大する中にあって、子供との直接的な接触が避けられない職場で、社会機能を維持するための業務を継続していただいている保育士等への慰労金の支給については、政府が給付することとした医療従事者等と同様に、国の財源により国全体のスキームで行われることが望ましいと考えています。
 県としては、全国知事会等を通じて、感染の不安を抱えながらも勤務を継続している保育士等に対し、慰労金の支給を含む処遇改善等の取り組みを進めるよう国に対して要望しているところであり、今後も機会を捉えて国に働きかけてまいります。
 なお、県では、令和3年度当初予算案に、保育施設等が感染症対策の徹底を図りながら事業を継続するために必要な経費を計上しております。
〇36番(佐々木努君)私の期待する答弁内容ではありませんでした。
 私がなぜひとり親世帯への県の支援について、この新型コロナウイルス感染症対策のところで述べたかと言いますと、県の新型コロナウイルス感染症対策事業において、ひとり親世帯への支援というのが丸々欠けているのです。今一番大変なのがひとり親家庭、特に母子家庭だということは皆さんよく御存じのはずなのに、この部分が欠けているというのが私は理解できない。民間団体が一生懸命ひとり親世帯の支援に取り組んでいる。子ども食堂、そして食料支援─フードパントリーと言うのだそうですが、そういうもので一生懸命取り組んでいますが、そこにどうしても県、あるいは市町村もそうですが、姿が見えないというのが、私は不思議でならないわけです。
 県もさまざまな事業に取り組んでいることは理解していますが、今一番大変なひとり親家庭に直接的に支援が届く、そういうことも新型コロナウイルス感染症対策の中で私は考えていただきたいという思いで質問させていただきました。今の施策をもう一度見直して、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 それから、保育士等への慰労金でありますが、私も知事と同じように、これは国が一元的にやるものだと思っております。そういう観点から、我々岩手県議会も国に対してそのことは求めてきたところでありますが、国が支給しないという姿勢をとっている以上は、私は、国にかわって県が支給するということだってできるのではないかと思うわけであります。
 実際に山形県では、既に保育士や、幼稚園教諭、それから放課後児童クラブで仕事をされている方々に、1人当たり5万円、1万3、000人の方に支給したということですが、そのような実績もある。静岡県では、今2月定例会が行われているわけですが、そこで、1人当たり5万円の支給をするための予算を計上しているという取り組みもあるわけです。
 国がやらなくても県ができる。私は岩手県でもぜひやってほしいと思うわけでありますが、多分これ以上聞いても同じ答えしか出てこないと思うので聞きませんが、ぜひ検討していただきたい。
 そうでなくても岩手県は保育士が非常に不足しているわけです。その理由の一番は、給料が他の業種と比べて低いということで辞めてしまう、あるいは他県に行ってしまうということがあるわけでありまして、これは保育士確保の面からも私は大事な取り組みではないかと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、少子化対策について伺います。
 令和元年の人口動態統計の年間推計によりますと、本県の令和元年の出生数は、前年から641人も減って6、974人になったそうです。またしても大幅な減少ということになりました。ピークは昭和24年だそうですけれども、そこと比べると86%の減少だそうです。当時と比べると、今1倍ほどしか子供が生まれていないことになるということです。もちろん合計特殊出生率も、岩手県は今回も国を下回った1.35という非常に残念な数字になっています。
 そこにこの新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけるわけでありますが、人と人とが触れ合う時間が極端に減ってしまって、このことで男女が出会う時間、機会ももちろん減っているわけであります。また、将来どうなるのだろうという不安から結婚をためらう方もたくさんいらっしゃると聞きますし、そのことも含め、結婚する方が少なくなる。そして妊娠もためらう方がふえているという状況、これが今深刻な状況としてあらわれているということであります。
 岩手県もこの先、一体どれだけ子供の数が減るのかと思うと、私は正直恐ろしくなります。
 知事はこの極端な出生率の減少についてどのように受けとめていらっしゃるか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君)本県の出生数を現時点で公表されている人口動態統計の1月から9月までで比較しますと、令和元年が前年同期比6.9%減、令和2年が4.0%減となっており、減少幅が縮小しています。また、妊娠届け出数については、4月から10月までとなりますが、令和元年が前年同期比7.9%減、令和2年が4.6%減となっており、減少幅が縮小していることから、本県では、新型コロナウイルス感染症の影響は、現時点では顕著ではないと考えられます。
 一方、婚姻件数については、1月から9月までの人口動態統計によると、令和元年が前年同期比0.9%減、令和2年が14.8%減となっており、令和元年はいわゆる令和婚による効果がありましたが、令和2年は、コロナ禍にあって減少幅が拡大傾向にあります。
 以上の状況から、新型コロナウイルス感染症が長期化すれば、出生数にも影響が出てくる可能性があり、新型コロナウイルス感染症の早期収束が喫緊の課題であると受けとめております。
〇36番(佐々木努君)私なら、非常に深刻な状況と受けとめているというように答弁をするところでありますが、いま一つ深刻に受けとめていらっしゃるのかなと疑問に感じる答弁で、残念です。いつものことですのでこれは仕方がありませんが、私は、この少子化問題、岩手県は三つの弱点を抱えていると思っています。
 これに、特にコロナ禍の中で、これまで以上に取り組んでいかなければならないと思うわけでありますが、まず一つは、未婚化、晩婚化の解消であります。残念ながら岩手県は婚姻率が全国でワースト2、結婚しづらい、そういう県になっているわけでありまして、これがやはり少子化の大きな要因です。これを解消するために、県全体の結婚支援センターをぜひつくってほしいとお願いしてきたのはそのことが理由でありますし、設置後も、何とかこのセンターの機能を充実させて、そして実績を上げてほしいというように求めてきたところであります。
 しかしながら、このi−サポ―“いきいき岩手”結婚サポートセンターの実績は、私は非常に思わしくないなと残念に思っているわけでありますが、知事はこれまでの実績をどのように評価されていますか。
〇知事(達増拓也君)i−サポは、平成27年10月の開設以降、拠点の増設や出張サービス、お出かけi−サポを順次拡大し、結婚したい県民の希望をかなえるため支援してきたところです。
 i−サポ設置による結婚支援により、会員同士での成婚180人、i−サポで活動しながら会員以外の方と成婚された方73人を合わせて、253人の方が成婚に至っています。
 また、県の取り組みに呼応しながら、県内市町村において、i−サポへの入会金の助成等が行われているほか、県内において民間団体による出会いイベントやセミナーなども開催されており、結婚支援の取り組みが広まってきた成果もあると認識しております。
 今後も、会員数を増加させ、マッチング率を高めるため、SNSを活用して民間団体や市町村の取り組みを含め、結婚支援に関する情報を発信するとともに、人工知能などを活用した新しいシステムの運用を開始し、これまで紹介できなかった会員のマッチング機会の増加に取り組んでいくこととしています。
 県としては、引き続き市町村、関係団体等と連携を図りながら、県民の結婚したいという希望をかなえるため取り組んでいく考えであります。
〇36番(佐々木努君)マッチングにAIを導入するというのは私も聞いておりますが、これは時間がかかっているようですね。運用は多分新年度になるのではないかと思いますが、仮にこのAIを導入しても、私は、成婚実績はそれほど期待できないと思います。
 実際に私は愛媛県の結婚サポートセンターに何回かお邪魔しているのですけれども、ここは既に1、000組以上成婚の実績があるわけでありまして、その半分がこのマッチングシステムです。もちろんAIも入れています。もう半分は結婚サポーター、支援員制度ですね。この支援員の活動によって実績を上げているという取り組みになっているわけであります。
 岩手県は、今のままでいっても、思ったような効果は多分出ないと思いますが、どうでしょう、岩手県でもこの支援員制度を取り入れてみてはいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君)他県では、結婚サポートセンターの会員を支援するため、結婚支援員を導入している例もあると承知しておりますが、本県の会員の中には、i−サポを利用していることを他の方々に知られたくないとの意見をお持ちの方もいると聞いています。
 こうしたことから、まずは会員に対して、どのような支援が必要か、アンケート等を実施する予定としております。
〇36番(佐々木努君)そこからスタートですか。わかりました。いずれ検討を速やかにお願いしたいと思います。そうしないと絶対に成果は上がらないと思います。
 それから、聞くところによりますと、来年度はi−サポのスタッフの人員を見直すというような話が私には聞こえてきております。よもや人員を減らすなどという愚かなことは考えていないとは思うのですが、このi−サポの機能の充実というのは、やはり私はスタッフの増員だと思っています。会社訪問も含めた周知、あるいは相談業務、イベントの開催等、スタッフのやることは山ほどあると思うのです。そういう中で、ぜひスタッフの増員を図っていただきたい。これは要望にとどめさせていただきます。
 二つ目、民間企業による子育て支援の充実、これも岩手県は他県に比べるとおくれていると思っています。
 国は、平成15年に次世代育成支援対策推進法を制定して、常時雇用101人以上の従業員のいる企業に対して一般事業主行動計画―これは会社版の子育て支援計画になるわけでありますが、これを義務づけています。100人以下の企業に対しては努力義務ということになっているわけであります。
 岩手県も、101人以上の企業は464社あるわけですが、ここは全部100%子育て支援計画を立てている。ところが100人以下の企業、これは5万社以上あるのですかね。はっきりとした数字はわかりませんが、5万社以上はほとんど行動計画を立てていないという状況で、これでは民間企業における子育て支援はなかなか進まないのではないかと思うわけであります。
 そういう中で、富山県では平成23年度に、常時雇用従業員51人以上の企業に対しても策定義務にする条例をつくったわけです。そしてその後、今は31人以上の企業に義務化をしているということで、たくさんの企業が子育て支援計画、一般事業主行動計画をつくっているわけです。
 岩手県もそのぐらいの取り組みをしないとなかなか子供はふえていかないと思うわけですが、その考えはないですか。
〇知事(達増拓也君)中小企業に対する一般事業主行動計画の策定については、策定義務の対象が301人以上から101人以上の企業へと順次拡大されてきたところであり、条例化については、県民の理解を初め、企業等に対する影響等も勘案しながら研究していくべき課題であると考えております。
 本県では、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされている常時雇用労働者が100人以下の企業等を対象に、計画の策定促進に向けたインセンティブとして、いわて子育てにやさしい企業等認証制度を実施しております。
 認証を受けた企業等は1月末で延べ218社となり、今年度の目標の215社上回っているところですが、その認証企業等のうち約半数が従業員30人未満であるなど、本県に多い小規模企業等において計画策定に効果があるものと認識しておりまして、引き続き認証を受ける企業等の拡大に取り組み、計画策定を促進してまいりたいと思います。
〇36番(佐々木努君)この提案は、私が平成27年からやっていますから、もう7年間ずっと同じ質問をさせていただいていますが、答弁は何も変わらないということで、非常に残念です。もう少し前向きな答弁といいますか、前向きに考えていただきたい。そうしないと、岩手県の出生数はこれから本当に大変な減少になると思います。御検討をよろしくお願いします。
 三つ目は、周産期医療であります。
 医師少数県と岩手県は言われていますが、その中でも特に産科、小児科の医師が少ないという状況であって、県内各地から産科医の不足についての不安の声が聞こえてまいります。
 そんな中で、昨年、中部病院から東北大学医学部の医師がみんな引き揚げたということには非常に大きなショックを受けました。幸いにして岩手医科大学の支援がありまして事なきを得たということでありますが、改めて、岩手県の周産期医療は大変な状況なのだということについて、私は認識を新たにしたところであります。
 県においては、これまで産科医の確保について取り組まれてきたということは私も理解しているわけでありますけれども、東北6県どこも大変な状況です。そういう中で、果たして産科医をこれから集められるのか、確保できるのかということ、これについて非常に大きな不安を持っているわけでありますが、県として産科医の確保の見込みは立っているのか、あればその根拠をして示していただきたい。
 また、今後もし医師が確保できない場合は、どのようにして岩手県の周産期医療体制を確立していくのか、維持していくのか、そのことについてもあわせてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君)産科医の確保については、昨年度策定した医師確保計画において、平成28年度の102人から令和5年度までに全国平均並みの125人に増員する目標を掲げ、産科を選択した奨学金養成医師の配置の特例措置や、今年度から新たに設定した医師奨学資金の特別枠に加え、医師の招聘などに引き続き取り組んでまいります。
 また、県では、これまでに県内の分娩取扱医療機関に超音波画像診断装置を設置し、関係大学と連携した遠隔画像診断による医療連携を推進するとともに、産科診療所の新規開設や施設改修のほか、新たな設備導入等を支援してきたところであります。
 さらに、今年度は、モバイル型妊婦胎児遠隔モニターによる妊産婦の緊急搬送時の支援や、分娩取扱施設から遠隔地に居住するハイリスク妊産婦の移動に係る支援制度を創設したところであります。
 今後も引き続き、こうした取り組みによって、安心して妊娠、出産ができる周産期医療体制の充実に努めてまいります。
〇36番(佐々木努君)将来的なところまでは提示できなかったというように私も理解していますし、そうだろうなというようにも思います。
 私は、胆江二次医療圏のある奥州市に住んでいるわけでありまして、胆江二次医療圏だと分娩ができる公的医療機関はないわけであります。ですから、多くの市民が、県立の病院や市立の病院に産科を復活させてほしいという強い思いを持っているわけであります。私ももちろんそう思っている者の一人でありますけれども、医局の方あるいは現場の医師に聞くと、非常に医師が不足していて、それは現実的ではないと。まず自分がいる今の職場を維持していくだけで本当に大変なのだという声が聞こえてくると、本当にそれが現実なのだろうと思うわけでありまして、これはもうお願いしかないわけでありますが、県には、今の周産期医療体制だけは、少なくとも維持してほしい。そして、先ほど岩崎友一議員も取り上げましたけれども、特定不妊治療とか、そういう不妊治療ができる施設をしっかりと確保してほしい。
 そのためには、やはり産科医をふやしていかなければなりません。今ある医療機関の中の産科の医師の人数をまずふやす、倍増させる。そして、そのために女性の医師の支援をしっかりやっていく。そういうことにしっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、女性活躍支援について伺います。
 正直、この女性活躍支援という言葉は、私は余り好きではなくて、これは男性目線の差別的な言葉ではないかと思うわけでありまして余り使いたくないのですが、国も県も使っている標準語となっていますからあえて使いますけれども、御容赦いただきたいと思います。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森前会長の発言、これは私はやはりあってはならない発言だったと思いますし、国民の批判あるいは世界中の批判は当然のことだったと思います。残念ながら日本はまだまだジェンダー平等という面では発展途上であって、そのことを世界に知らしめることになってしまったことは残念でなりません。この森前会長に対する批判は当然でありますけれども、私は、今回のこの問題の本質だけは絶対に見誤らないことが大事だと思います。
 それは、政策決定の場で女性蔑視の発言がなされる。つまり政策決定、方針決定の中にいまだに男女不平等という状況があるということ。これは組織委員会だけではなく、多分社会のさまざまなところにあるのだと思います。それを改善していかない限り、女性が安心して暮らせる社会、活躍できる社会というのは絶対につくれないと思っています。ですから、このジェンダー平等をどう進めていくのか、これがやはり一番の鍵ではないかと思うわけであります。あの問題以降、私はそういうことをずっと考えて、今回この問題を取り上げることにしたわけであります。
 県でも、知事が先頭に立って、女性が生きにくい社会を生きやすい社会にしていくのだと語って、女性活躍支援に取り組んできました。ただ、私の目には、何がどう変わったのか全然見えてこないわけであります。これは私だけではなく、もしかしたら多くの県民が、生きづらいなとか、生きにくいな、やっぱりよくならないなと思っているのではないかと思うわけであります。それを示す数値が、実は県が今改定中のいわて男女共同参画プランにあるわけでありまして、そのことについてお聞きしたいと思います。
 このプランの指標の中に、審議会等委員に占める女性の割合というものがあって、目標が40%に設定されています。さまざまな委員会があると思いますが、その女性の割合を40%にしようという目標でありますが、この10年で目標を上回ったことは実は一度もないわけであります。男女共同参画を進める、女性の活躍支援を進める、そういって頑張っているはずの県が、この10年間、全く改善することができていないということ。なぜそういうことになっているのか、その要因と、これからどうやってそれを改善していこうとするのか、そのことについて知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君)県では、今定例会に提出しております、いわて男女共同参画プランにおいて、施策の基本的方向の第1の柱に、あらゆる分野における女性の参画拡大を掲げ、政治、行政や民間、地域における政策、方針決定過程への女性の参画拡大を推進することとしております。
 県の審議会等委員に占める女性の割合の向上につきましては、これまでも取り組みを推進してきたところですが、近年その割合は30%台後半で推移しております。
 今年度審議会に行った聞き取りによれば、構成メンバーのうち、公募委員や消費者、利用者などの分野では女性の選任は比較的容易であるが、関係団体及び行政機関の役職員や医師、弁護士、大学教員等の専門分野においては、女性がいない、あるいは女性が少ないため推薦が得られず、女性の選任が難しいことなどが挙げられたところであります。
 女性の登用拡大に向けては、官民連携組織であるいわて女性の活躍促進連携会議の活動を通じて、将来指導的地位に成長していく人材をふやす取り組みを進めながら、引き続き、審議会ごとに役職員に限らない幅広い人選や推薦団体の見直し、公募制の導入の検討を促すとともに、今後、関係団体と積極的に意見交換を行い、専門分野における女性人材の計画的な登用や育成について働きかけることにより、女性委員の割合の向上に努めてまいります。
〇36番(佐々木努君)失礼かもしれませんが、私は、本気で取り組んでいないのではないかと思うわけであります。そもそも取り組む気もないのではないかと。
 40%を達成させるなんていうのは、そんなに難しいことではないと思いますよ。知事が先頭に立って、何としても40%にしろと言えば、多分みんな各部署、頑張って40%にしようとしますよ。知事は号令をかけたことってあるのですかね。
 そんなに難しいことではないと思うし、確かに、審議会委員の男女を半々にすることに何の意味があるのかとか、男女にかかわらず適任者がなればいいのではないかという意見もあるわけでありまして、それは私も否定はしませんけれども、そもそも男女共同参画を先頭に立って進めている県の委員会が、いまだにこの目標にはるかに及ばないような取り組みしかできていない。この数字ですら、形ですらつくられていないということ自体、どうやって県民に説明するのか、私は全然理解できないわけであります。
 まずは、こういうところから県の本気度を見せなければ、県民が男女平等にしっかりと取り組んでいこうなんていう気にはならないのではないかと思うわけですが、知事、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君)関係団体や行政機関の役職員、また医師、弁護士、大学教員等の専門分野から推薦をお願いしているところで、女性の選任が難しいということが起きているという課題が指摘されております。そこで、そうした団体や行政機関、また専門分野に対して、役職員に限らない人選、また推薦団体を見直すこと、そして公募制を導入することなどを促しているところでありまして、中長期的には専門分野における女性人材の計画的な登用や育成を行うことを働きかけ、女性委員の割合の向上を進めていきたいと思います。
〇36番(佐々木努君)私は知事がこういうことを先頭に立ってやるべきだと、本当に思いますよ。そうでなければ、女性の活躍支援なんていう言葉は絶対に口にしちゃだめだと思います。こういうところは本当にしっかりやってください。目に見えるのですから、こういうところをやっていただきたいと思います。それが必ず女性の生きやすい社会への転換につながると私は思っていますので、ぜひお願いします。
 それから、職員の育児休業の取得についても伺います。
 これも女性活躍支援ということでは重要な取り組みだと思います。職員だけかと言われるとちょっと困るわけでありますが、まずは県から模範を示さなければならないと思うわけであります。
 国は、今、男性の育児休暇の取得を一生懸命促進している。これはまさに女性の育児の負担を取り除く、そして男性が育児に対しての理解、男女平等に対する理解を深めるために大事な施策だということで取り組んでいるわけでありまして、県もやはり同じ考えで進めていると思いますが、残念ながら、県の男性の育休の取得数は、去年ですと、取得可能者58人に対して、わずか9人しか休まれていないということです。これでも、その前の年に比べるとよくなっているので、後退はしていないわけですけれども、まず県から男性の育休の取得率を上げる努力をすべきだと思いますが、その推進策について知事に伺います。
〇知事(達増拓也君)これまで、出生前の所属長面談や、育休取得者を講師とした子育て支援セミナーの実施など、育児休暇の取得促進に取り組んできたところであり、令和元年度における知事部局の取得率は、前年度比較で9ポイント増となる15.5%となっています。
 さらなる取得率の向上には、職員の意識改革や不安解消が重要でありますので、今年度は、育児休業等の取得に向けた男性育休メンター制度の試行や、子供が生まれた職員への知事メッセージカードの送付など、新たな取り組みを実施するとともに、正職員による代替配置も拡充しているところです。
 引き続き、男性職員の育児参加の促進に向けて、仕事と家庭の調和がとれた職場環境づくりに取り組んでまいります。
〇36番(佐々木努君) 職員の意識改革というよりも、私は職場改革だと思います。知事は2016年6月に育ボス宣言をされました。育ボスというのは、インターネットで調べると、男性の従業員や部下の育児参加に理解のある経営者や上司のことを言うと。子育てに積極的にかかわる男性を育メンと呼ぶのにならって、その育メンを職場で支援するために、部下の育児休業取得を促したり、仕事で育児を両立しやすい環境の整備に努めるリーダーを、育ボスと呼ぶのだそうです。
 知事は育ボスですよね。知事みずからそういうものを職員に働きかけていますか。
〇知事(達増拓也君)先ほど答弁したメッセージカードの送付のほか、庁議の場などにおいて部局長に対し男性職員の育休取得を組織的に推進するよう、強く働きかけているところであります。
 昨年度実施した職員アンケートによると、自分以外に面倒を見てくれる人がいるという育児参加意識の低さや、休むと職場に迷惑をかけると思うという育児休業取得に対する業務上の不安が大きな要因と考えられますので、この点、たとえ自分以外に面倒を見てくれる人がいても、男性、父親みずから育児することに意義があるということ、また、休むと職場に迷惑をかけると思うという考え方は改めるべきだということを、私からも随時伝えているところでありますけれども、こうした意識の改革や不安解消にはさらに取り組んでまいりたいと思います。
〇36番(佐々木努君)これは口で言ってもだめなのですよ。こういうものは、男性職員は1週間でもいいから100%とるのだというように、職場全体としてしっかり決めなければだめなのですよ。これをぜひやってほしい。そして、そこから広めてほしい。市町村にも広める。そして民間にも広める。そういう取り組みをやってほしい。
 もし仕事が忙しくてそういうことは無理だと言うのだったら、それはまるっきり危機管理体制がなっていないということですよ。いつ何か災害が起きたときに、周りの人がサポートできる体制を常につくっていくということが、結局、育児休暇がとれるかとれないかということにもつながってくるわけでありまして、私は、しっかり職場でそのような環境、体制をつくってほしい、そして、できる限り100%を目指してほしいと思います。
 大分時間がなくなりましたが、次に、HPVワクチンについて伺いたいと思います。
 女性特有のがんに子宮頸がんというものがあるわけでありますが、全国で年間約1万人が罹患、約2、900人が死亡しているということでありまして、近年はこの患者数、死亡者数とも増加しているということであります。
 発症のピークは30代で、20代から30代の女性で妊娠できなくなる女性が毎年1、200人いるそうで、この病気はマザーキラーと呼ばれているということです。
 子宮頸がんの95%はヒトパピローマウイルス―これはHPVと訳しますが、この感染が原因でありまして、子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、性的接触だと考えられています。HPVはごくありふれたウイルスであって、性交渉の経験がある女性のうち50%から80%はHPVに感染していると推測されておりまして、性交渉を経験する年ごろになれば、男女を問わず多くの人がHPVに感染するそうです。そして、そのうちの一部の女性が、将来、子宮頸がんを発症するということになるのだそうです。
 しかし、この子宮頸がんは、実はワクチンで予防できる数少ないがんでもありまして、今、世界80カ国以上で予防接種が行われております。日本でも2013年に、小学校6年生から高校1年生を対象に、国の定期接種が始まりました。ところが、接種を開始したわずか2カ月後に、国は接種によって重い副反応が出たとして積極的勧奨を中止して、7割あった接種率が、今は1%に満たないまでに落ち込んでしまっているということであります。
 その後も、国は、日本産婦人科学会、あるいは日本小児科医会が、積極的勧奨を行うべきだという要望をしているにもかかわらず、いまだに積極的勧奨はしていないということで今に至っているということです。
 岩手県も、多分国のこの指導等に従っていると思うわけでありまして、接種率も上がっていないと思われますが、これまでの接種率の推移、それからHPVワクチンについて、どのような考えを持って、どのように対応してきたのかについても伺います。
〇知事(達増拓也君)岩手県におきまして、HPVワクチンは3回接種することになっておりますが、初回接種者数では、平成30年度が67人、令和元年度が161人、令和2年度については12月実施分まで494人となっています。接種者数、接種率は年々増加していますが、他の予防接種に比較すると低い状況にあります。
 県としては、県民がワクチンの意義や効果、接種後に起こり得る症状の二つの側面について正しく理解した上で、接種の必要性をみずから選択すること、また、希望する方がその機会を逃さないようにすることが重要と考えております。
 県では、これまで、県民に対しこのような正しい理解に向けての情報提供を行うとともに、予防接種の実施主体である市町村に対し的確な対応を行うよう通知し助言するなど、支援に努めてきたところであります。
〇36番(佐々木努君)消極的な発言でなくてよかったと思うわけであります。我が県でも毎年100人の方が罹患して30人が子宮頸がんで亡くなっているということでありますが、このままワクチンを接種しないと、この状況は永久に続くということでありまして、私は、やはり若い大事な命を守るためにも県には積極的に情報発信をしてもらう。それには、接種率を上げるための情報発信をしていただく。
 確かに国は積極的勧奨はしていませんけれども、定期接種であることは事実でありまして、愛知県の名古屋市立大学が論文で出した接種と副反応の因果関係はないという、名古屋スタディという研究成果を見ても、これは安全であると私は理解していますので、ぜひ県には積極的にこの接種率を上げる取り組みを進めてほしいと思うわけでありますが、知事、もう一度お願いします。
〇知事(達増拓也君)県では、これまで、ワクチンについての正しい理解に向けて、ホームページでの情報発信を行うとともに、予防接種の実施主体である市町村に対して、国が作成したリーフレット等を活用して、住民に対する情報提供を行うなどの対応をお願いしてまいりました。
 今般、令和2年10月に厚生労働省から、接種対象者が情報に接する機会を確保し、接種するかどうかについて検討、判断できるよう市町村が、原則、対象者に個別に通知することが示されました。
 県といたしましても、市町村と連携し、HPVワクチンについての適切な情報提供に努めてまいります。
〇知事(達増拓也君)今申し上げましたように、接種対象者の皆さんに、個別に、一人一人に通知されれば、接種しようという方がどんどんふえると期待しております。
〇36番(佐々木努君)わかりづらいですけれども、接種させたいということでよろしいわけですね。わかりました。
 岡山県では、県が独自リーフレットを既に発行いたしまして、県民に配布しています。これは反対の団体から大分抗議があったということでありますけれども、あえて岡山県は県民に対して情報を発信した。そして、知事はこのようなメッセージを発しています。
 私は、予防できる子宮頸がんに対して、できることはしっかりと行い、救える命を一人でも多く救っていきたいとの強い思いを持っています。このリーフレットが、子宮頸がんについて皆さんで話し合い、理解を深めるきっかけになることを願っております。
 知事が、県民を何としても守りたい、子供たちを守りたいという思いから、批判を恐れずにリーフレットの作成を部下に指示して出した。このリーフレットを県民に配布したということであります。
 私は、このワクチンのことだけではなく、知事みずからがしっかりと県民に対して、自分が思うこと、こうあってほしいということをさまざまな場面で発信していくことが非常に大事だと思います。今回のこの子宮頸がんワクチンもそうです。知事が打ってほしいと思うのなら、私は、積極的に情報発信を知事みずからしてほしい。
 全てのことにおいて、今後、知事が県民に知事の言葉で、さまざまな情報、思いを発信していただくことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君)以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時35分 散 会

前へ 次へ