令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(軽石義則君)希望いわての軽石義則です。
 質疑に入る前に、まずは、世界を震撼させている新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈りするとともに、お悔やみを申し上げます。また、感染からの御回復に向けて懸命に治療されている皆様に対しまして、お見舞い申し上げます。
 その上で、厳しい環境の中で新型コロナウイルス感染症収束のため懸命な努力を重ねている医療や福祉などの関係者を初めとする全てのエッセンシャルワーカーに敬意を表し、感謝を申し上げます。
 これまで経験のない状況の中、存続のため必死に耐えている飲食業や観光業などの事業者の皆様の御努力に、重ねて敬意を表します。
 このたび、会派を代表しての質疑をさせていただく機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、代表質問をさせていただきます。
 初めに、新型コロナウイルス感染症の影響と今後の対応についてであります。
 本県の感染者は、昨年7月29日に全都道府県の中で最後に確認されました。それまでの間、県では、いち早く岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会を設置するなどの体制整備を行ってまいりました。このことは、感染者が発生して以来、本県の感染症対策に力を発揮しているものと考えております。また、保健所や医療機関などの現場においては、これまでに経験がない対応を迫られ、大きな負担の中で、関係者の懸命な努力により、県民の命を守る取り組みをしていただいております。新型コロナウイルス感染症拡大防止の支援策についても、全国知事会の中で知事が積極的な発言をすることにより、国から3次にわたる補正予算として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などが交付されております。
 県は、県民の命を守るため、さまざまな取り組みをされてきましたが、知事は、これまでの取り組みに対しどのように評価し、いまだ収束が見えない新型コロナウイルス感染症について、今後どのように対応していくお考えなのかお伺いいたします。
 また、新型インフルエンザ等対策特別措置法並びに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の改正に伴い、知事の判断ができる法律となりました。蔓延防止等、重点措置の新設や過料の行政罰が運用されますが、これまでの対応と、今後知事としてどのような運用をされるのかお伺いいたします。
 2点目として、ワクチンの接種についてお伺いいたします。
 厚生労働省がファイザー社の新型コロナウイルス感染症ワクチンの正式承認を2月14日に行い、国の指示のもと、医療従事者への接種を優先に実施することとなっており、その後に65歳以上の高齢者が対象となり、基礎疾患のある住民、高齢者施設などの従事者、60歳から64歳の住民が対象となっていきます。県の役割としては、医療従事者等へのワクチン接種体制の構築と、市町村事務に係る調整や助言などが求められているとお聞きしました。
 全国市長会から国に対しての要望書が提出されておりますが、県内市町村からの要望なども踏まえ、現時点での県における準備や体制の整備状況についてお伺いいたします。
 また、ワクチン接種の混乱を回避するためには、県民への接種対象や日程などの事前の周知が大切であると考えますが、今後どのように取り組まれていくのか、あわせてお伺いします。
 3点目として、中小企業者の現状と支援についてお伺いいたします。
 昨年末の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、年明けに11都府県へ緊急事態宣言が再発令されたことにより、県内経済活動は急激に低下し、飲食店を初めとした中小企業者に大きな打撃となっております。全国知事会からも、国に対して支援の要請がされて、緊急事態宣言されたエリアにはある程度の支援策が施されておりますが、エリア外となる本県においても、公正な支援策を求める事業者からの声が数多くあります。新型コロナウイルス感染症拡大防止に真面目に取り組む県民の意識による経済活動の低下は感染者数にもあらわれており、10万人当たりの新規感染者数は全国でも低位に推移し、2月24日時点で553人の感染者となっております。
 このような状況において、県として飲食店などの中小企業者に対し実効性ある支援策を早急に講じなければ、今後の事業継続や経済活動にも大きな影響が出ると考えますが、知事は、中小企業者の現状をどのように捉え、対策を講じようとしているのかお伺いいたします。
 次に、令和3年度一般会計当初予算と組織、職員体制についてであります。
 予算編成の特徴についてお伺いいたします。
 令和3年度一般会計当初予算案は、命を守る幸福希望予算と名づけられました。命を守るという言葉からは、新型コロナウイルス感染症の対策にしっかりと取り組み、震災から10年を迎え、改めて被災者の心のケアなど、人間本意の復興に向き合おうとする知事の思いが伝わってきます。令和3年度予算に込めた思いをどのように実現していくお考えか、知事の決意を伺います。
 2点目として、厳しい歳入の中での財政の安定化について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、個人県民税が11億8、000万円の減、法人県民税、法人事業税についても67億円の減と、県税収入は大幅な減少となっております。こうした県税収入の落ち込みの中、臨時財政対策債の増発や各種事業の経費圧縮に努められ、財源対策基金からの取り崩しについて、前年度を下回る規模にとどめられたことに敬意を表するものであります。
 一方、県政は、県民生活を安心できるものにするため、継続的に多様な施策に取り組んでいく必要があり、将来的な財政の安定化が欠かせないものと考えます。そこで、持続的に県民サービスを提供していくための安定的な財源基盤の構築にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
 3点目として、組織、職員体制について伺います。
 東日本大震災津波からの復興事業や度重なる自然災害の復旧に加えて、新型コロナウイルス感染症への対応など、全国からの応援職員を含めて、現場を支える職員の皆様のこれまでの努力に敬意を表し、感謝申し上げます。
 今後においては、新しい生活様式を取り入れ、新型コロナウイルス感染症対策を講じ、県民ニーズに的確に呼応しながら行政運営を推進するとともに、あわせて働き方改革についても推進していかなければならず、希望郷いわてを継承していく上で、組織、職員体制の不断の見直しが大切であると考えます。
 そこで、令和3年度の組織、職員体制の整備に当たり、知事の考えと今後の組織、職員体制のあり方について伺います。
 次に、自然災害と今後の復旧、復興対応についてであります。
 まず、今冬の大雪被害に対する支援策について伺います。
 昨年12月14日からの大雪は、県南地域を中心に大きな被害をもたらしました。2月4日現在の被害額は、総額30億1、065万円となっており、そのうち農業施設等の被害額が29億9、043万円と大半を占めております。今後、雪解けにより調査が進むにつれ、被害はふえるものと想定されます。私も会派の現地調査に参加し、被災された事業者の方から直接お話をお聞きした上で、現地確認により被害の甚大さを実感いたしました。また、復旧については、春に向けた作業の日程から、業者や資材確保のため積雪の中で撤去や新設の作業を進めなければならない状況についても説明を受けました。
 これらのことを踏まえた上で、北海道東北知事会においても、1月29日に農林水産大臣に緊急要望を出しております。今回の大雪被害に対する支援については、営農意欲を継続する上で非常に重要な対策であると考えます。国から示された支援対策を踏まえ、県として今後どのような支援を行っていくお考えなのかお伺いいたします。
 2点目として、県管理道路などの除排雪対策について伺います。
 年末年始における大雪では、県内各地で被害が発生し、物流や交通など生活に必要な業務にまで支障が及んでおりました。しばらくぶりの大雪への対応であり、道路管理者においては、相互に連携が図られていない部分も見受けられました。道路や歩道の利用者は、国道や県道、市町村道の種別にかかわらず、生活に支障を来さないような除排雪の実施を望んでおります。
 知事は、除排雪の現状の体制をどのように捉え、対策を講じていこうとしているのかお伺いいたします。
 3点目として、10年が過ぎようとしている東日本大震災津波からの復興の対応についてお伺いいたします。
 2月13日に発生した本県での震度5弱の地震は、10年前の東日本大震災津波を思い起こさせるような揺れでありました。津波の発生はなく、被害も大きなものになっていないことは幸いでありました。
 さて、県では現在、岩手県東日本大震災津波復興計画は、いわて県民計画(2019〜2028)における復興推進プランとして、第1期アクションプラン(2019〜2022)で取り組んでおりますが、来年度の当初予算案において(仮称)いわて被災者支援センターの設置が新規事業として計上されております。設置場所は沿岸地区とし、運営はNPOなどの民間団体への委託の予定とされており、専門家、市町村や市町村社会福祉協議会などの関係機関と連携し、伴走型の支援や、県外、内陸避難者への支援について取り組むとのことです。
 生活面や経済面などにおいて、複雑な課題を抱えた被災者に対する専門家等との連携による支援は必要であると考えますが、今後、この事業の将来的な見通しを含め、被災者の支援のあり方について、知事の考えを伺います。
 次に、雇用労働対策についてであります。
 まず、令和3年度いわてで働こう推進方針の関連施策についてお伺いします。
 この方針は、1、県内就業の促進、2、雇用・労働環境の整備、3、生産性の向上、4、企業が求める人材の確保支援、5、地域産業の振興と雇用の確保の五つの柱に基づき取り組みを展開することとしております。
 2月12日現在の集計で、厚生労働省による新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報においては、解雇等の見込み労働者数は、全国で約8万7、000人、岩手県は713人とされております。
 県内の経済状況などから推測すれば、さらにその数は拡大している状況にあるのではないかと考えます。従来の取り組みを継続することも大事でありますが、これまでに経験のないコロナ禍の中で、新たな前例をつくり上げていくことも必要であると考えます。業種によっては、人手不足のところ、離職者の発生するところなど、労働力の需要と供給のミスマッチが解消とならない現状でもあります。現状を正確に把握することによる対策と実行こそが大事であります。
 コロナ禍により先の見通せない時代ではありますが、令和3年度の関連施策において、知事はどのような点に重点を置いているのかお伺いいたします。
 2点目として、若者の移住、定住と就業支援について伺います。
 知事は地元報道紙の新春インタビューにおいて、人口減少対策の目玉として、結婚、出産、子育てと、ライフステージに応じた若者への住宅支援を進め、東京圏から本県へのU・Iターンによる就業、起業の促進とともに、中小企業などの人材確保を図るとしております。結婚したくても、収入の低さや結婚、出産、子育て、教育のコストなどにより踏み込むことができない多くの若者がいる。その現状分析から、空き家や県営アパートなどを活用した低コストでの住宅供給の取り組みには、私も賛同いたします。
 一方、県内の中小企業においては、人材確保のために住宅支援ができる状況にないことも現実であります。さらに、社会の変化とともに厳しい経営環境の中で、従業員の寮を備えている事業者は過去に比較してかなり減少しておりますが、人材確保のために寮の必要性を考え直す流れも出始めております。
 このような中、コロナ禍において、厳しい経営環境に置かれている観光宿泊事業者が、例えば客室を企業の寮として貸し出すなどの新たな事業展開を支援することも、一つの方策だと考えます。県内の中小企業が就職先として選ばれるためには、若者に対し住宅支援など現実的な支援を行うことにより、県内中小企業の認知度を向上させていくことが必要であると考えます。
 そこで伺います。今後、若者の本県への移住、定住を一層推進し、中小企業などの人材を確保していくためには、中小企業や業界団体との連携も必要と考えますが、県は、どのように若者の移住を進め、県内企業への就職、そして定住につなげていくのか伺います。
 3点目として、人材の育成と確保について伺います。
 人材の確保のため、県には奨学金や返還支援などの制度があります。代表的なものは、医師や看護職員等の医療関係者、東日本大震災津波などの被災者や経済的理由により修学が困難な者などに対する支援制度であります。ものづくりにおいては、いわて産業人材奨学金返還支援制度があります。
 県では、自動車、半導体関連産業、医療機器等関連産業の集積を一層促進することとしております。加えて、土木、建築など、地域の産業基盤を支える人材の育成や確保もあわせて考えていかなければ、県民生活に支障を来すことも予想されます。
 人材の育成と確保は今後ますます重要な取り組みとなることは、知事を初め関係者共通の認識であると考えます。そのためには、これまで経験のない取り組みにも挑戦していかなければ、結果は生まれてこないのではないでしょうか。
 そこで伺います。人材育成や確保のためには、新たな奨学金の創設や返還支援制度の拡充など直接的な支援などが必要と考えますが、知事は今後、自動車、半導体関連産業等の集積を初め、本県の地域の産業基盤を支える業種も含めた産業振興を一層推進する上で、人材の育成と確保についての課題をどのように捉え、その推進を図ろうとしているのか伺います。
 次に、生活困窮者への対応について、その支援体制について伺います。
 生活福祉資金貸付制度の従来の貸し付けは、横ばいながら令和2年度の12月末実績は県全体で決定件数350件、決定金額1億9、304万9、000円ですが、特例貸し付けは、令和元年度は緊急小口資金決定件数69件、決定金額1、091万6、000円、令和2年度の12月末実績は、緊急小口資金決定件数は3、143件、決定金額5億4、996万円、総合支援資金は決定件数797件、決定金額5億3、242万6、000円であります。
 これらは生活資金でお悩みの方からの相談を受けてからの手続となることから、業務を担う県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会にとって、その業務量は大きな負担となっております。両協議会では、相談員25人のほか社会福祉協議会の担当職員が対応しておりますが、リーマンショック以後の急増する貸し付けに対応するために配置された相談員は徐々に見直しが図られ、減少してきたところでの業務量増で、厳しい環境での対応を強いられております。
 県では、令和2年度の補正予算により、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う生活福祉資金貸付制度における特例貸し付けの実施に係る事務費を含め補助を行ってきたところでありますが、一方で、従来の貸し付けの実施に係る相談員の配置経費への補助は、令和2年度をもって終了となっています。
 今後はさらに厳しい経済状況が予測される中で、相談業務の増加が予測されます。そのほかにも各種支援事業に取り組んでいる中で、生活困窮者のセーフティーネットとして社会福祉協議会は重要な役割を担っており、その体制の充実を図っていく必要があると考えますが、知事は、コロナ禍における社会福祉協議会の現状をどのように捉え、今後どのように生活困窮者の支援を行っていくのかお考えを伺います。
 次に、復興五輪への対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けては、大会の開催や関連事業の実施に伴う新型コロナウイルス感染症の感染拡大の懸念や、大会組織委員会会長の発言をめぐり会長が交代するという異例の中で、開催を危ぶむ声も聞こえております。
 しかし、本県においては、聖火リレーなどに向けた準備を進めなければならない時期にあることも現実です。スポーツの祭典として、聖火リレーを初め県民全体が盛り上がるさまざまなイベントの実施は、新型コロナウイルス感染症の影響により難しい対応を求められています。東日本大震災津波の発災から10年が過ぎた被災地として、改めてこれまでの支援への感謝を伝えるとともに、岩手の復興の姿を国内外へ発信する好機でもあり、聖火リレーを含め、本県のこれまでの復興五輪の準備状況と、その成功に向けた知事の思いを伺います。
 最後に、新たな県立高等学校再編計画の後期計画について伺います。
 平成28年3月に制定された新たな県立高等学校再編計画の前期計画が今年度で終了し、令和3年度から令和7年度までの5年間の後期計画(案)が教育委員会から示されております。高校再編の基本的方針は、現状の課題を踏まえた上で、教育の機会の保障と教育の質の保障を柱としつつ、地域における学校の役割を尊重した魅力ある学校づくりに向けて進めるものとされております。
 前期計画の推進においては、県内各地の地方創生に向けた取り組みの充実、工業などの人材確保に向けた産業界のニーズの高まり、入学志願者の増加など、計画策定後の状況の変化を勘案して実施時期を延期した学校があるものの、よりよい教育環境の整備に向けて、おおむね計画の考え方に沿った再編がされたと評価されております。
 前期においても計画の見直しがあったように、今後、状況変化が出てくることも予測されます。例えば、いわて県民計画(2019〜2028)の中で、北上川バレープロジェクトやILCプロジェクトにより人口が増加する可能性もあるため、北上川流域におけるまちづくりは、医療、教育、生活、福祉、交通などのインフラを含めた整備を広域的な視点で進めなければならないと考えます。
 前期計画を引き継ぎ、このたび後期計画最終案が公表されました。策定に当たっては、県内各地で地域検討会議や意見交換会等を開催し、地域の代表の方々のほか、広く県民から意見を聞きながらまとめられたものと思いますが、十分な理解が必要かと思います。
 高校のあり方は、地方創生や地域の振興、産業振興等、県におけるさまざまな施策と密接な関係性があると思いますが、今回示された後期計画の最終案について、知事はどのような見解をお持ちか伺います。
 達増知事におかれましては、知事就任以来、未曾有の自然災害を初め、これまで経験のない困難に直面しております。将来にわたって幸福を実現できる岩手県とするリーダーシップを期待し、総括質問を終わります。
御静聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君)軽石義則議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症に対する取り組みについてでありますが、蔓延防止策としては、施設でのクラスター発生時におけるいわて感染制御支援チーム─ICATの支援のほか、国が定義する濃厚接触者より範囲を広げた検査を実施することにより早期に感染者を発見し、感染拡大の防止に取り組んでまいりました。このような取り組みにより、本県の1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は全国と比べて低位で推移しているところです。
 医療提供体制の確保としては、感染拡大時には350床以上の病床を確保することとし、県庁に設置した入院等搬送調整班が広域かつ重症度に応じた入院調整を行う仕組みを整え、患者は無症状や軽症であっても一旦は入院し必要な検査と治療を行う、岩手県独自の手厚い体制を整備しました。
 経済、雇用対策としては、累次にわたる補正予算の措置により、中小企業の資金繰りのための貸付金の創設や家賃支援など、社会、経済への影響を最小限にとどめるための対策を行ってきました。
 誹謗中傷への対応としては、記者会見や知事メッセージを通じて、誹謗中傷は、人権擁護の観点から決して許されるものではないことを強く発信してきました。
 今後においても、感染の収束に向けて必要な対策を推進するとともに、経済的な影響を受けている県民、事業者の皆様の生活の下支えや事業継続の支援に取り組んでまいります。
 次に、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法等の運用についてでありますが、今般の法改正により、新型インフルエンザ等対策特別措置法においては、蔓延防止等重点措置が創設され、営業時間の変更等の要請や、要請に応じない場合の命令、命令に違反した場合の過料などについて新たに規定されたところです。
 現在に至るまで、本県は感染が拡大しているステージ3の状況にはなっておらず、ステージ3にしないことが重要と考えておりますが、蔓延防止等重点措置を実施する状況になった場合では、各種要請に協力してもらえるよう努めてまいります。
 また、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律については、入院措置に応じない場合または入院先から逃げた場合の過料などが新たに規定されたところです。
 これまで、本県においては、こうした事例はありませんが、今後においても、患者や関係者の人権に十分に配慮し、入院措置の趣旨や必要性を丁寧に説明し、御理解、御協力を得られるようにすることを基本とし、罰則の適用は慎重に行うこととして、運用していきたいと考えています。
 次に、ワクチン接種体制の整備状況と県民への周知についてでありますが、県が調整するワクチン接種については、国から供給されるワクチン量に応じて、医療従事者への接種を3月上旬に始めるところであり、安全かつ迅速に接種ができるよう、医師会や医療機関等と準備を進めてまいります。
 また、住民を対象としたワクチン接種については、市町村が体制整備を進めているところでありますが、県では、市町村との意見交換会を開催し、県の取り組み状況等を情報提供するとともに、ワクチン輸送や相談、予約の窓口となるコールセンターの設置、医療従事者の確保などの課題を共有し、市町村の課題解決に向けた支援を行っているところです。
 県としては、今後示される国からの情報に基づき、接種の対象者や時期に加え、ワクチンの意義や有効性、想定される副反応等について、さまざまな媒体を活用し、県民に対して丁寧な周知に取り組んでまいります。
 次に、中小企業者の現状と支援についてでありますが、商工指導団体と連携し実施している影響調査によると、直近の1月の売り上げについては、前年同月と比較してゼロ%から20%減が38%、21%から40%減が30%、41%以上減が30%となっています。
 業種別では、41%以上減の割合は、宿泊業で58%、飲食業で49%、運輸業で48%となっており、これらの業種を中心に、厳しい状況が継続していると認識しております。
 こうした状況を踏まえ、県では、国に対し、緊急事態宣言の対象でない地域においても、持続化給付金の再度の支給などにより事業者を支援するよう、全国知事会などと連携して要望してきましたが、国の動きはいまだ見られないところであります。
 県としては、緊急の支援が必要と考え、宿泊業や飲食業を初めとした県内の中小企業者に対する県独自の支援策として、厳しい状況にあっても、感染症対策に取り組みながら事業を継続しようとする事業者に対し、1店舗当たり40万円の支援金を支給することとし、今定例会に追加提案予定の補正予算案に必要な経費を盛り込むこととしております。
 次に、予算に込めた思いについてでありますが、令和3年度当初予算案は、新型コロナウイルス感染症対策や、東日本大震災津波からの復興を着実に進め、県民の命を守り、いわて県民計画に掲げる、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを前進させる予算として編成しました。
 新型コロナウイルス感染症対策については、感染拡大防止や医療提供体制の強化に万全を期すとともに、社会経済活動を支える取り組みを進めます。あわせて、デジタル技術の活用による新たな働き方、暮らし、学びの場を発展させる取り組みを推進しながら、岩手への移住、定住を加速してまいります。
 また、復興については、完成していない一部の社会資本の早期整備や被災者の心のケアなど、一人一人の復興に向けた必要な取り組みを着実に実施してまいります。
 さらに、若者活躍支援や気候変動対策など10の政策分野に基づく取り組みや、ILC、三つのゾーンを初めとするプロジェクトを展開することで、いわて県民計画(2019〜2028)の実効性を高めてまいります。
 このように、コロナ禍においても引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる施策、事業を推進することで、県民一人一人が希望を持つことのできる、希望郷いわてを目指してまいります。
 次に、財政の安定化についてでありますが、毎年度、その時々の社会情勢や財政需要等を反映させた中期財政見通しを作成し、これを踏まえ、中長期的な視点に立った財政運営が重要であると考えています。
 このため、産業振興や人口減少対策など、あらゆる施策を通じた税源涵養や、国費の活用等による歳入確保の強化、デジタル化など業務の効率化による歳出の見直し等、歳入、歳出の両面から取り組みを進め、限られた財源の効果的な活用を図るとともに、国に対し、地域の実情に応じたきめ細かい取り組みが可能となるよう、地方交付税を含む地方一般財源総額の確保、充実を求めていくことで、安定的で持続可能な財政基盤の構築に取り組んでまいります。
 次に、令和3年度の組織、職員体制についてでありますが、東日本大震災津波からの復興や自然災害、新型コロナウイルス感染症など、複雑化、多様化する危機管理対策の司令塔となる復興防災部を設置し、東日本大震災津波や台風災害等からの教訓、知見を生かし、県民の生命と暮らしを守る組織体制を整備します。
 あわせて、本県のデジタル化の推進により、県民生活の利便性の向上や、業務の一層の効率化に取り組むなど、質の高い行政運営に向け、組織の見直しや体制の強化を図ります。
 今後においても、直面する県政課題に応じた機動的かつ最適な組織、職員体制を構築し、いわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進に取り組んでまいります。
 次に、大雪による農業被害等に対する支援についてでありますが、県では、昨年12月からの大雪により被災した生産者の経営再建を支援するため、今定例会に追加提案予定の補正予算案に必要な経費を盛り込むこととしております。
 支援の具体的な内容でありますが、被災したパイプハウスなどの施設の撤去や再建、修繕等について、国の支援策に県と市町村が上乗せして補助するほか、国の支援策の活用が難しい生産者に対しては、県と市町村が独自に補助するという内容です。
 また、水稲育苗用のパイプハウスの被災により苗の不足が懸念されることから、被災地域外の育苗施設から被災地域へ苗を輸送する場合の経費について、県と市町村が補助するという内容です。
 今回の大雪被害に対しては、広域振興局など県内10カ所に設置した相談窓口での経営相談や、ハウスの再建時期に応じた野菜等の栽培技術の指導を行うなど、被災された生産者の皆さんが引き続き意欲と希望を持って生産活動に取り組むことができるよう、国や市町村、関係団体と連携しながら、きめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、県管理道路などの除排雪の対策についてでありますが、県では、冬期通行どめ区間を除く全ての県管理道路について除雪等を行うこととしており、今年度は、降雪期前に156の企業体と契約を行い、体制を整えました。
 この冬については、一関市で12月の降雪量が過去5年平均の約5倍を記録するなど、県南地区を中心とした大雪により、通行どめなどの交通障害が発生しています。
 大雪時において道路交通を確保するためには、道路管理者相互の連携が特に重要と考えております。
 このため、県では、市町村と連携し、それぞれが管理する道路のうち除雪区間の一部を交換し効率的に除雪を行う、いわゆる交換除雪を行っており、今年度は市町村道34路線、約28キロメートルの除雪等を県で実施しています。
 また、高速道路管理者との交通情報の迅速な共有や東北地方整備局とのホットラインなど、新たな体制を構築し、高速道路が通行どめになった場合に交通量が増加する県管理道路の管理体制の強化を図りました。
 今後の対策については、市町村道との交換除雪のさらなる拡大を検討するとともに、今回の大雪により顕在化した除雪オペレーター不足への対応として、除雪技術を高める講習の場を設けるなど、オペレーターの育成支援にも努めてまいります。
 大雪時においては、国や市町村等との連携のもと、除雪等の作業を担う地域の建設企業と協力しながら、交通の確保に努めてまいります。
 次に、被災者支援のあり方についてでありますが、被災者への支援については、発災直後の被災による生活の変化などへの相談対応から、時間の経過とともに、経済面や生活環境の変化など、複雑な課題に対する個別の支援が必要となるものであり、中長期的に対応する必要があります。
 東日本大震災津波の発災から10年が経過しようとする現在においても、恒久的住宅に移行後のローン返済や家賃負担などの経済面や生活設計など、複雑化した課題への支援が必要な方々がいらっしゃいます。こうした方々に対し、県では(仮称)いわて被災者支援センターを設置し、弁護士及びファイナンシャルプランナーといった専門家や、市町村及び市町村社会福祉協議会などと連携した、被災者一人一人の状況に応じた支援を行うこととしております。
 当センターの設置については、市町村や市町村社会福祉協議会との伴走型支援のノウハウの共有も目的の一つとしており、その進捗や被災地の実情及び被災者のニーズを踏まえ、支援のあり方を継続的に検討しながら、被災者の状況に応じた支援に取り組んでまいります。
 次に、令和3年度いわてで働こう推進方針の関連施策についてでありますが、これまでの県内就職促進に向けた取り組みにより、高校生の県内就職率は年々上昇傾向にあり、令和2年12月末現在の県内就職内定者の割合は70.5%となっています。
 この流れを確実なものにするため、県内企業と新卒者とのマッチングを強化するなど、県内就職を一層促進します。また、若年女性の就業ニーズが高いにもかかわらず人手不足となっている医療、福祉、介護などの分野において、事業所等の情報発信や若手職員等との交流の場を設けることなどにより、マッチングを強化します。
 さらに、コロナ禍において、地元志向や地方移住、U・Iターンへの関心が高まっていることから、若者の移住、定住の促進にも取り組みます。
 次に、若者の移住、定住と就業支援についてでありますが、県では、首都圏に設置しているいわて暮らしサポートセンターや岩手県U・Iターンセンターで、移住希望者へのきめ細か相談対応や職業紹介を行っています。
 また、令和2年3月に開設した就職情報マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてを活用した求職者と企業のマッチングや、首都圏でのU・Iターンフェアの開催、岩手U・Iターンクラブ加盟大学と連携した県内企業情報の発信などに取り組んでいます。
 さらに、市町村と連携し、県内中小企業に就職した方に移住支援金を支給する岩手県移住支援事業を実施し、東京圏からの移住と県内就業を促進しています。
 こうした取り組みを進めていくに当たり、産、学、行政で構成するいわてで働こう推進協議会において情報を共有し、連携を図っているところであり、同協議会において取り組むこととしている各種U・Iターン就職支援や、産業人材の確保支援、働き方改革による企業の魅力アップなどの取り組みとの連動を図りながら、若者の移住、定住や県内就業を一層促進してまいります。
 次に、人材の育成と確保についてでありますが、本県では、自動車、半導体関連産業を中心としたものづくり産業の集積と高度化が進んでおり、企業における高度なものづくり人材等の育成、確保が喫緊の課題となっています。これは、一方では、岩手の産業、経済を発展させ、県民一人一人が豊かな暮らしを得ることにつながる大きな好機と認識しているところです。
 このため、県では、人材育成については、いわて半導体アカデミー、いわてEVアカデミーなど、高等教育機関等と連携した取り組みを行っています。また、県立産業技術短期大学校等の職業能力開発施設や工業高校においては、地域における企業のニーズも踏まえ、地域の産業基盤を支える実践的な技術者、技能者の育成も行っています。
 人材確保については、高校生や県内外の大学生向けの企業見学会、県内ものづくり産業で活躍する若手人材を紹介するPR動画や、生徒、保護者を対象とした企業ガイダンスなどにより、県内企業の認知度向上やマッチング機会の創出に取り組んでいます。平成29年度から実施し、今年度から対象分野などを拡充した、いわて産業人材奨学金返還支援制度についても、高度なものづくり人材等の確保に有効な手段と、高い評価を得ています。
 引き続き、人材の育成と確保に効果的な支援策を講じながら、地域産業のより一層の振興に努めてまいります。
 次に、生活困窮者の支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業等により、生活資金でお悩みの方に対する支援として、県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金の特例貸し付けが、リーマンショック後の貸し付けを大きく上回るペースで利用されています。また、社会福祉協議会等に設置されている生活困窮者自立相談支援機関においても、相談件数が大幅に増加しています。このような状況の中で、各社会福祉協議会は総力を挙げて相談対応等を行っており、生活困窮者のセーフティーネットとして、重要な役割を担っているものと認識しております。
 県では、社会福祉協議会において新型コロナウイルス感染症の影響に伴う生活福祉資金の特例貸し付け実施に必要な体制が確保できるように、令和2年度補正予算に引き続き、令和3年度当初予算案において、貸し付け原資と合わせて人件費にも充当可能な補助金を計上しています。
 今後は、生活資金の貸し付けだけでは生活の再建が困難な世帯の増加が懸念されますことから、貸し付けとあわせて必要な支援が受けられるよう、県、市町村、社会福祉協議会が力を合わせ、生活困窮者自立支援制度など他の制度との連携を強化し、一人一人の課題に応じた適切な支援を行い、経済的な打撃を受けた県民の皆様の生活の下支えに、引き続き取り組んでまいります。
 次に、復興五輪についてでありますが、復興五輪を理念とする東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、これまでにいただいた支援に対する感謝と復興の姿にあわせ、世界遺産、郷土芸能、すぐれた食や観光、物産など、岩手県の魅力を積極的に発信し、さまざまなつながりを生み出していく機会にしたいと考えております。
 県ではこれまで、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期し、オリンピック聖火リレーやパラリンピック聖火フェスティバル、県内20市町村のホストタウンにおける相手国等との交流事業などが安全・安心に行われるよう市町村と準備を進めているほか、小学生等を対象とした復興五輪出前スクール、全市町村での聖火リレートーチの巡回展示などを通じて、機運醸成や情報発信に努めております。
 また、来月には聖火の展示が、そして6月には聖火リレーが県内で行われ、県内全ての市町村を聖火が照らすこととなりますことから、県民とともに復興の誓いを込めて、聖火を迎えたいと考えております。
 ことしは、平泉世界遺産登録10周年であり、復興五輪の開催時期は東北デスティネーションキャンペーンとも重なるなど、国内外から岩手に注目が集まる年です。こうした機会を捉え、復興五輪が復興の力となり、ふるさと振興の前進や、岩手の子供たちの夢につながるよう、復興五輪の成功に向け、オール岩手で取り組んでまいります。
 次に、新たな県立高等学校再編計画後期計画についてでありますが、計画策定に当たっては、新たな時代に求められる資質、能力を備えた人材の育成とともに、全県的な視点に立ち、子供たちにとってよりよい教育環境を整える視点を重視しながら検討を進めたものと承知しております。
 最終案は、地域からの意見や提言等の内容も踏まえ、地域の実情等を十分に考慮し、生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりの二つの基本的な考え方のもと、地方創生における地域の学校の役割を重視した1学級校の維持、県政課題への対応等に向けた一定の学校規模の確保、また、本県に集積するものづくり産業人材等の育成に向けた地域の産業教育の拠点となる専門高校の整備を図るなど、いわて県民計画(2019〜2028)や岩手県ふるさと振興総合戦略に沿った内容になっているものと認識しております。
〇議長(関根敏伸君)演壇の消毒のため、しばらくお待ち願います。
 次に、岩崎友一君。
   〔44番岩崎友一君登壇〕(拍手)

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