令和3年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇教育長(佐藤博君)第12回県議会定例会が開会されるに当たり、令和3年度の教育行政推進の基本的な考え方と施策の大要について申し上げます。
 昨年、急速に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、今も、子供たちの学びにも大きな影響を与えています。このような中、日ごろ感染症対策に取り組んでいる教職員、児童生徒、御協力いただいている保護者、地域の皆様に感謝を申し上げます。
 教育委員会におきましては、学校の新しい生活様式に対応した感染症対策を行いながら、児童生徒の健康、安全を第一に、学びの保障等に取り組んでまいります。
 東日本大震災津波の発災から間もなく10年の節目を迎えようとしています。被災した学校施設が全て復旧し、県立野外活動センターの復旧が3月末をもって完了する予定となるなど、復旧、復興に向けた取り組みは着実に進んできております。
 一方では、児童生徒の心のサポートや社会教育の充実など、今後も重点的に取り組んでいかなければならない多くの教育課題があります。引き続き、心のサポート体制の充実や被災した児童生徒への就学支援など、児童生徒一人一人に寄り添った支援に取り組むとともに、東日本大震災津波の教訓を次世代へ継承するため、いわての復興教育の一層の推進や県立野外活動センターの再開、学校、家庭、地域の協働によるコミュニティーの再生などに取り組んでまいります。
 いわて県民計画(2019〜2028)と岩手県教育振興計画は3年目を迎え、岩手県教育振興計画は中間年に当たり、目標を見据えた取り組みを一層推進していく年であります。
 教育委員会におきましては、本県の有する多様な豊かさや人のつながりなどの強みを生かし、岩手特有の課題にも向き合い取り組んでいく、岩手だからこそできる教育、やるべき教育の視点等に立って、引き続き市町村教育委員会等と十分に連携しながら、本県の未来を創造していく人づくりに取り組んでまいります。
 学校教育においては、新型コロナウイルス感染症への対応もあり、全国的にICT環境の整備が急速に進み、本県においても、時代を超えても変わらない教育の基盤となる不易の部分を守り、ICTの活用など時代の変化に即した教育の一層の変革も進めながら、一人一人の実態に応じた学びや創造性を育む学びを実践していくことが求められています。
 昨年度から順次、全面実施されている新しい学習指導要領においても、ICTを活用した学習活動の充実が示されており、この新たな技術革新の流れにしっかりと対応しながら、岩手の子供たちに、確かな学力、豊かな心、健やかな体を総合的に兼ね備え、変容する社会に適応し、社会を創造するための生きる力を育むための教育を進めてまいります。
 また、高校生最大のスポーツの祭典である全国高等学校総合体育大会のスキー競技会が令和4年2月に本県で開催され、高校生スポーツの振興と競技力向上につながると期待しています。来県される皆さんに、岩手の子供たちが目標に向かって挑戦する姿を通して、勇気を与えられるよう取り組んでまいります。
 社会教育や家庭教育の推進においては、子育てや家庭教育を支援する体制の充実に努めるとともに、人生100年時代や超スマート社会を迎えるに当たり、一人一人の人生が豊かで活気のある地域社会の形成に教育分野から貢献できるよう、生涯にわたって学び続けられる環境づくりにも取り組んでまいります。
 以下、教育施策の重点項目について申し述べます。
 まず、東日本大震災津波からの教育の復興について申し上げます。
 きめ細かな学校教育の実践と教育環境の整備・充実、復興を支える人づくりの推進についてであります。
 被災した幼児児童生徒の心のサポートにつきましては、人間関係や経済的な問題などのさまざまな支援ニーズに対応していくため、引き続きスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを効果的に配置し、きめ細かな対応に取り組んでまいります。
 次に、児童生徒が安心して学べる環境の確保につきましては、いわての学び希望基金を活用し、遺児、孤児に対する奨学金の給付など、被災児童生徒等の就学を引き続き支援してまいります。
 さらに、心のサポートや学習支援等にきめ細かに対応するための教職員の加配や、放課後や週末における学習支援などを行う居場所づくりにも取り組んでまいります。
 次に、本県独自の教育活動であるいわての復興教育につきましては、復興教育プログラムに基づく教育活動の推進などを通じて、復興、発展を支える人材の育成に取り組んでまいりました。
 東日本大震災津波から10年の節目を迎える本年におきましては、昨年度改訂した復興教育副読本を効果的に活用するとともに、新たに就学前教育等にも拡充するなど、大震災の経験や教訓を、震災後に生まれた子供たちなど後世に確実に引き継いでいく取り組みを一層推進してまいります。
 また、学校相互の連携や学校と家庭、地域との連携による児童生徒の発達段階に応じた防災教育を推進し、防災、減災に関する知識、技能や、多様な自然災害の発生時に主体的に行動する力の育成にも取り組んでまいります。
 文化芸術環境の整備や伝統文化等の保存と継承についてでありますが、被災地における文化財や美術品などの修復、適切な保存、管理の支援に取り組んでまいります。
 また、被災児童生徒の文化芸術活動の大会参加などへの支援にも取り組んでまいります。
 社会教育・生涯学習環境の整備についてでありますが、引き続き被災市町村の社会教育施設の整備や機能の充実などを支援するとともに、地域住民による子供の学習支援を通じた学習環境の充実、学びを通じた地域コミュニティーの再生などにも取り組んでまいります。
 スポーツ・レクリエーション環境の整備についてでありますが、県立野外活動センターひろたハマラインパークの供用開始とあわせて、東日本大震災津波伝承館いわてTSUNAMIメモリアル等と連携した復興、防災教育に関する研修プログラムを実施するとともに、沿岸被災児童生徒の各種大会参加への支援などに継続して取り組んでまいります。
 次に、学校教育及び社会教育、家庭教育の充実に向けた教育施策の推進について申し上げます。
 学校教育では、岩手の子供たちが、地域とともにある学校においてみずから生き生きと学び、夢を持ち、それぞれの人間形成と自己表現に向けて知、徳、体のバランスのとれた生きる力を身につけていく姿の実現を目指してまいります。
 まず、児童生徒の確かな学力の育成についてでありますが、児童生徒一人一人に基礎的、基本的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力、人間性等を総合的に育むため、児童生徒一人一人の学習のつまずきに対応したきめ細かな指導を充実するなど、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に全県的に取り組んでまいります。
 また、県立高校等へプロジェクター型の電子黒板や生徒向け貸し出し用タブレット端末等のICT機器の整備、岩手大学や県立大学と連携した研究指定校によるICTを活用した効果的な学習指導方法の研究の普及、本格的な遠隔教育の実施に向け、ICT機器等の整備や指導法の研究に取り組んでまいります。
 このほか、理数教科に関する学習を充実する探究プログラムや医学部志望者向けの集中プログラムの実施、幼児教育センターの設置に向けて関係機関と連携した幼児教育推進体制の構築などにも取り組んでまいります。
 次に、児童生徒の豊かな人間性と社会性の育成についてでありますが、本県における自死事案等の発生を直視し、児童生徒一人一人が、自他の生命を大切にし、他者の人権を尊重する教育を推進するとともに、特別の教科 道徳を中核とした道徳性の育成や、教育振興運動と連携した自然体験、奉仕体験等への参加促進、読書活動等の充実による豊かな心の涵養などに取り組んでまいります。
 次に、児童生徒の健やかな体の育成についてでありますが、児童生徒に運動やスポーツに親しむ習慣や能力を身につけてもらうため、幼稚園や小中学校と家庭、地域が連携し、運動習慣の定着を図るための環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
 また、適切な部活動体制の推進に向け、部活動は生徒の自主的、自発的な参加により行われることを徹底しながら、部活動指導員の配置や、関係団体や有識者で構成する研究会で取りまとめられる望ましい部活動のあり方の実現に向け、関係機関と連携し、中学生のスポーツ、文化活動の機会の確保、充実等のための環境整備や体制の構築に取り組んでまいります。
 生徒の自死という痛ましい事案が二度と発生しないように、再発防止岩手モデル策定委員会において実効性のある取り組みについて議論を深め、岩手モデルの発信に取り組んでまいります。
 次に、共に学び、共に育つ特別支援教育の推進についてでありますが、特別な支援が必要な幼児児童生徒一人一人が、共に学び、共に育つ教育を享受できる環境に向け、学習指導における個別の指導計画や学校、家庭、福祉、医療等の関係機関との連携による個別の教育支援計画に基づく総合的なサポート体制の充実を図るとともに、実習先や就労先の拡大を図るための地元企業と連携した技能認定会の実施などにも取り組んでまいります。
 また、全県的な特別支援学校の教育環境を計画的に整備していくため、今年度内に策定する特別支援学校整備計画に基づき、教育環境整備に取り組んでまいります。
 次に、いじめ問題、不登校対策等についてでありますが、いじめ問題に対しては、学校における組織的な対応や関係機関との連携による未然防止と早期発見、迅速かつ適切な対処が重要でありますので、学校いじめ防止基本方針に基づく組織的な指導体制の充実によるいじめ事案への適切な対処に関係機関と連携して取り組みます。
 不登校対策に当たっては、児童生徒に寄り添った教育相談体制の充実などに引き続き取り組んでいくとともに、フリースクール等民間施設と連携し、不登校支援に係る情報共有や民間施設と学校との連携のあり方等に関する協議を進めてまいります。
 また、児童生徒の被害防止や健全育成に向け、教員研修の充実、家庭の理解に基づく情報モラル教育の充実にも取り組んでまいります。
 次に、児童生徒の学びの基盤づくりについてでありますが、家庭や地域との連携による通学時の見守りや、学校施設、設備の計画的な老朽化対策等による学校安全に取り組むとともに、県立学校における普通教室等へのエアコンの整備や老朽化した校舎の改築や大規模改修等も進めてまいります。
 また、関係部局と連携してスクールソーシャルワーカー等による相談体制の充実に取り組むとともに、家計が急変した世帯への就学援助や奨学給付金の給付など、子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく安心して学ぶことができる環境の充実に努めてまいります。
 新たな県立高等学校再編計画については、令和3年度から7年度までの後期計画について、地域検討会議の開催等を通じ、各市町村長を初め地域の皆様からいただいたさまざまな御意見等を参考に、後期計画最終案を作成し、お示しさせていただきました。
 後期計画における生徒の希望する進路の実現と地域や地域産業を担う人づくりの二つの考え方を基本に、子供たちにとってよりよい教育環境を整備するという視点を重視しながら、今年度内に策定し、その推進に努めてまいります。
 また、地域と連携した教育資源の活用などによる県立高校の魅力ある学校づくりにも取り組んでまいります。
 教職員に対しては、令和3年度から令和5年度までの3カ年を取り組み期間とする新たな岩手県教職員働き方改革プランに基づく取り組みを推進していくとともに、法令遵守と服務規律の一層の確保のため、教育に携わる職業人としての倫理観、使命感の一層の醸成に努めながら、県民の皆様からの信頼と期待に応えてまいります。
 次に、地域に貢献する人材の育成等についてでありますが、近年、スポーツ分野を初め、さまざまな分野において、本県出身者が世界や全国を舞台に活躍しております。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により夏のインターハイなどの全国規模の大会の多くが中止となるなど活動が制限される中、スケートインターハイ及び冬季国体のスピードスケート女子500メートルで優勝した盛岡工業高等学校の生徒や全国高等学校文芸コンクール文芸部誌部門及び小説部門の2部門で最優秀賞を受賞した盛岡第三高等学校を初め、多くの子供たちが、この逆境をはねのけ、明るい話題を提供してくれました。
 どんな状況にあっても、夢を持ち努力し続けることの大切さを示した子供たちの活躍を、本県のふるさと振興に向けた地域人材の育成につなげていけるよう、県立高校における地域課題の解決に向けた探究的な学びの実現など、地域との協働による地方創生のための取り組みを推進してまいります。
 また、広い視野や国際的な視点を持って岩手や世界で活躍できる人材の育成に取り組むとともに、いわてキャリア教育指針に基づき、学校、地域、産業界等が連携、協働した取り組みを引き続き推進してまいります。
 社会教育、家庭教育では、教育にかかわる多くの皆様が、主体的、相互的に連携し、助け合うことにより、家庭の教育力の向上に努めるとともに、地域課題の解決に向けた取り組みや文化芸術、スポーツ活動などへの参加を通じて、県民の皆様が生涯を通じて楽しく学び、生き生きと生活していけるような姿を目指してまいります。
 まず、学校と家庭、地域との協働の推進についてでありますが、地域総ぐるみで子供の育ちと学びを支えていくため、引き続きコミュニティ・スクールの導入を促進するとともに、学校運営への地域の参画による地域学校協働活動の充実等に取り組んでまいります。
 また、放課後子ども教室等による居場所づくりや多様な体験活動の充実などにも取り組んでまいります。
 次に、安心して子供を生み育てられる環境づくりについてでありますが、3世代世帯の減少等から、子育てや家庭教育に悩みを抱える保護者が増加し、子育て世代を支える支援体制の充実が求められておりますので、子育てサポーターや相談員等による支援のほか、子育てや家庭教育に関するメールマガジンの定期配信や学習機会の提供などにも引き続き取り組んでまいります。
 次に、生涯を通じて学び続けられる場づくりについてでありますが、人生100年時代の到来等を見据えた、いつでも、だれでも、どこでも生涯にわたって学習できる環境づくりに向け、生涯学習情報提供システムやSNSなどを通じた学習情報提供の仕組みの充実を図るとともに、社会教育施設において、岩手の自然や文化等をテーマとした公開講座の開催や多様な体験プログラムの実施などに取り組んでまいります。
 次に、郷土芸能や文化財の継承についてでありますが、地域の魅力や歴史等をつなぐ郷土芸能や文化財を次世代へ確実に保存、継承していくため策定する本県の文化財保存活用大綱の周知を図るとともに、市町村における文化財保存活用への支援の強化などに努めてまいります。
 また、県立博物館が40周年を迎えたことから、東日本大震災津波から10年目の節目に合わせて、三陸地方の特別企画展などによる魅力発信に努めてまいります。
 以上、教育行政の推進に当たっての基本的な考え方と施策の大要について申し上げました。
 ここで、新型コロナウイルス感染症に関連した本県の公立学校で行われているさまざまな取り組みのうち、中学校生徒による活動を紹介します。
 新型コロナウイルス感染症の拡大という困難な状況の中、盛岡市立上田中学校では、自分たちが今こそ恩返しをして地域を盛り立てていこうと、令和2年6月に中央病院プロジェクトを立ち上げ、隣接する県立中央病院の医療従事者に向けて、激励のメッセージを書いたポスターの贈呈や横断幕を病院側のベランダに掲げるという取り組みを行いました。
 生徒たちのメッセージは、病院に勤務する職員の皆さんに勇気を与えただけではなく、入院されている方やその家族、地域の方への激励にもなりました。この取り組みによって、関係の方々から多くの感謝の声が寄せられるなど、生徒たち自身も驚くような大きな反響を呼びました。
 震災という困難な状況をみんなで助け合って乗り越えてきた経験や震災の教訓を継承するため行ってきた復興教育が、次世代の岩手を担う子供たちに確実に引き継がれ、子供たちは、復興教育を通じて、大切な命を守り、未来を切り開くために何をすべきかを考え、みずから実行することで、多くのことを学んでいると改めて感じたところです。
 本格的な人口減少社会の到来や情報化社会の進展、環境問題、資源の有限化、新型コロナウイルス感染症、持続可能な社会への対応など、子供たちの未来と教育をめぐる環境は大きく変容するとともに、ふるさと振興の期待がますます高まる中、未来の岩手をつくる子供たち一人一人の夢の実現を支え、新たな社会をつくっていく担い手として育てていくため、これからも県民の皆様とともに岩手の教育界全体で支えていきたいと考えております。
 岩手の多様な豊かさとつながりの中での学びと、東日本大震災津波を経験し、世界中の人々からの応援に支えられながら、県民一丸となって復興に取り組んできたさまざまなきずなを力に、岩手県教育振興計画の基本目標である、学びと絆で夢と未来を拓き社会を創造する人づくりに向け、教職員とともに全力で取り組んでまいりますので、議員の皆様並びに県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
日程第6 議案第1号令和3年度岩手県一般会計予算から日程第61報告第2号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(関根敏伸君)次に、日程第6、議案第1号から日程第61、報告第2号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。白水総務部長。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君)本日提案いたしました各案件について御説明申し上げます。
 議案第1号は、令和3年度岩手県一般会計予算であります。
 この令和3年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止や医療提供体制を強化し、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、社会経済活動を支える取り組みや地方創生、デジタル技術を活用し、新たな働き方、暮らし、学びの場を発展させる取り組みを実施するほか、東日本大震災津波からの復興については、被災者の心のケア等、必要な取り組みを着実に実施するとともに、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、県民の幸福度向上を図る10の政策を着実に推進しながら、新しい時代を切り拓くプロジェクトとして、ILCの誘致や、北上川バレー、三陸、北いわての三つのゾーンプロジェクトに関する事業、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が復興五輪にふさわしいものとなるよう、岩手の復興の姿を全世界に発信する事業等を実施するための予算として編成したものであります。
 以下、予算の概要について御説明申し上げます。
 第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ8、104億7、600万円余とするものであります。これを前年度当初予算と比較いたしますと1、218億3、600万円余、率にして13.1%の減となっております。
 次に、歳入の主なものについて御説明申し上げます。
 第1款県税につきましては1、217億4、100万円を計上しており、これは、法人事業税の減などにより、前年度と比較して97億5、400万円の減となっております。
 第5款地方交付税につきましては2、205億200万円余を計上しており、これは、震災復興特別交付税の減などにより、前年度と比較して768億1、000万円余の減となっております。
 第9款国庫支出金につきましては1、131億7、200万円余を計上しており、これは、地域連携道路整備事業や三陸高潮対策事業など、東日本大震災津波からの復旧、復興事業の進捗による減などにより、前年度と比較して502億8、800万円余の減となっております。
 第12款繰入金につきましては145億9、000万円余を計上しており、これは、東日本大震災復興交付金基金からの繰り入れの減などにより、前年度と比較して166億4、700万円余の減となっております。
 第15款県債につきましては780億6、800万円を計上しており、これは、臨時財政対策債の増などにより、前年度と比較して47億8、000万円余の増となっております。
 次に、歳出の主なものについて御説明申し上げます。
 第2款総務費につきましては306億8、900万円余を計上しており、その主なものは、ILC推進事業費1億100万円余、東日本大震災津波伝承館管理費1億1、600万円余、復興五輪ムーブメント推進事業費2億6、400万円余等であります。
 第3款民生費につきましては934億4、700万円余を計上しており、その主なものは、国民健康保険保険基盤安定負担金35億4、300万円余、みたけの杜整備事業費4億4、800万円余、児童相談所整備事業費5億7、800万円余、施設型給付費等負担金71億4、500万円余等であります。
 第4款衛生費につきましては389億5、000万円余を計上しており、その主なものは、新型コロナウイルス感染症入院施設等確保事業費補助134億9、400万円余、被災地こころのケア対策事業費4億1、100万円余、産業廃棄物処理施設整備事業促進費7億4、400万円余等であります。
 第5款労働費につきましては28億5、000万円余を計上しており、その主なものは、いわて就業促進事業費1億3、200万円余、公共職業能力開発費4億4、600万円余等であります。
 第6款農林水産業費につきましては548億円余を計上しており、その主なものは、水田フル活用農業高度化プロジェクト事業費6億6、400万円余、経営体育成基盤整備事業費33億5、900万円余、いわての森林づくり推進事業費15億7、100万円余、さけ、ます増殖費3億9、300万円余等であります。
 第7款商工費につきましては1、606億6、000万円余を計上しており、その主なものは、中小企業東日本大震災復興資金貸付金490億7、200万円余、新型コロナウイルス感染症対策資金貸付金373億3、300万円余、商工業小規模事業経営支援事業費補助13億2、900万円余、中小企業ベンチャー支援事業費1億9、500万円余等であります。
 第8款土木費につきましては527億1、500万円余を計上しており、その主なものは、道路環境改善事業費76億7、000万円余、地域連携道路整備事業費50億9、500万円余、河川災害復旧助成事業費22億400万円余、都市計画道路整備事業費6億4、600万円余等であります。
 第9款警察費につきましては306億4、700万円余を計上しており、その主なものは、ヘリコプターテレビ中継システム整備費1億5、800万円余、警察署庁舎整備事業費26億1、800万円余等であります。
 第10款教育費につきましては1、446億500万円余を計上しており、その主なものは、児童生徒健全育成推進費3億9、600万円余、特別支援学校施設整備費21億5、200万円余、公立大学法人岩手県立大学運営費交付金38億3、100万円余、私立学校運営費補助33億9、200万円余等であります。
 第11款災害復旧費につきましては131億8、200万円余を計上しており、その主なものは、中小企業等復旧・復興支援事業費30億9、400万円余、河川等災害復旧事業費65億4、600万円余、港湾災害復旧事業費14億6、000万円余等であります。
 第12款公債費につきましては934億400万円余を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては925億500万円余を計上しており、その主なものは、公営企業負担金238億8、000万円余、地方消費税交付金301億8、200万円余等であります。
 第2条債務負担行為は、産業廃棄物処理施設整備事業促進ほか44件について、債務を負担しようとするものであります。
 第3条地方債は、県庁舎管理ほか73件について、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
 議案第2号から議案第11号までは、令和3年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算ほか9件の特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第12号から議案第15号までは、令和3年度岩手県立病院等事業会計予算ほか3件の公営企業会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益的収支及び資本的収支の所要額を計上したものであります。
 議案第16号から議案第20号までの5件は、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第21号から議案第42号までの22件は、条例議案であります。これは、岩手県薬事審議会条例を新たに制定し、東日本大震災復興交付金基金条例を廃止するほか、岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例など、20条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第43号は、権利の放棄に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第44号から議案第49号までの6件は、災害弔慰金等支給審査会の委員の任命及び平成23年東北地方太平洋沖地震及び津波に係る災害弔慰金等支給審査会の運営に関する事務の受託の廃止の協議に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第50号は、包括外部監査契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第51号は、岩手県環境基本計画の策定に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第52号は、いわて男女共同参画プランの策定に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第53号は、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の策定に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第54号は、岩手県食の安全安心推進計画の策定に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分につきまして、報告第2号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分につきまして、それぞれ報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
日程第62 発議案第1号岩手県主要農作物等の種子等に関する条例
〇議長(関根敏伸君)次に、日程第62、発議案第1号岩手県主要農作物等の種子等に関する条例を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。名須川晋君。
   〔20番名須川晋君登壇〕
〇20番(名須川晋君)大変見苦しい姿で登壇させていただきますこと、御容赦ください。春の雪解けまでまだ時間があるようでございます。ぜひとも県民の皆様におかれましては、雪道、凍った道の御通行に十分御注意され、特に階段の上りおりには御留意いただきますよう、この雪深い冬でございます、つつがなくお過ごしいただきますように心から御祈念申し上げます。
 それでは、各会派共同提案の発議案として、本日提出いたしました発議案第1号岩手県主要農作物等の種子等に関する条例について、御賛同いただいた各会派を代表して説明させていただきます。
 稲、麦類及び大豆の主要農作物については、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、昭和27年に主要農作物種子法が制定され、都道府県が中心となって種子生産が行われてまいりました。
 このような取り組みにより、稲の生産は拡大し、米の供給不足は解消しましたが、一方で、種子生産においては、国や都道府県の開発品種が奨励品種のほとんどを占めることとなり、民間事業者の稲等の品種開発への意欲が湧かない等の状況が続いたことから、国では、都道府県の力に加えて民間事業者の力も生かした種子の供給体制を構築し、多様な需要に応じた種子が供給される環境を整備することとし、平成30年、同法は廃止されました。
 本県においては、同法が廃止された後、岩手県稲、麦類及び大豆の生産等に関する要綱等を制定し、県が関与して種子を生産し、普及する体制を維持し、その結果、需要に応じて滞りなく種子の生産が行われてきたところでありますが、今後においても、本県で生産を奨励してきた稲、大麦、小麦、大豆、ソバ、雑穀、野菜、果樹及び花卉について、官民の総力を挙げて、その種子等の安定的な生産及び品質の確保を図り、本県農業を持続的に発展させていく必要があります。
 このことから、この条例は、これらの主要農作物等の優良な種子等の生産及び普及に関し、将来にわたり県が実施する措置等を定めようとするものであります。
 条例案の内容といたしましては、本県の主要農作物等の優良な種子等の生産及び普及に関し、県が実施する措置等に関する基本理念について定めること。
 奨励品種の決定、主要農作物等の原種及び原原種の生産に関する計画の策定、原種及び原原種の生産、種子生産ほ場の指定及び検査、伝統野菜等の種子の保存、県民に対する必要な普及啓発など、本県の主要農作物等の優良な種子等の生産及び普及に関し県が実施する措置等について定めること。
 条例に規定する県の措置等を実施するために必要な財政上の措置について定めることなどであります。
 次に、条例の施行期日については、令和3年4月1日を予定しております。
 以上、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
 なお、本条例案の策定に当たり、御意見をいただいた種子生産関係団体等の皆様、県内の各市町村、御協力いただいた議員各位に対し、改めて感謝と敬意を表しまして、提案理由の説明とさせていただきます。(拍手)
日程第63 発議案第2号東日本大震災津波を語り継ぐ日条例
〇議長(関根敏伸君)次に、日程第63、発議案第2号東日本大震災津波を語り継ぐ日条例を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。岩渕誠君。
〔19番岩渕誠君登壇〕
〇19番(岩渕誠君)発議案第2号東日本大震災津波を語り継ぐ日条例につきまして、総務委員会提案でありますので、委員長であります私から御説明申し上げます。
 昨年の9月県議会定例会において、3月11日を岩手県民の日「大切な人を想う日」にすることについての請願が総務委員会に付託され、採択と決定いたしました。
 これを受けて、東日本大震災津波から10年となる本年3月11日に向け、総務委員会において条例案の協議を行ってきたところであり、参考人を招致しての意見陳述の機会やパブリックコメントの実施などを経て成案化し、本日、提案するものであります。
 条例制定の趣旨等については、本則の前に、前文として規定いたしております。それに沿って御説明いたしますと、
 平成23年3月11日、本県にかつて経験したことのない被害をもたらし、突然に多くの大切な人が失われた東日本大震災津波により、私たちは、自然災害はいつでも、どこでも、誰にでも起こりうることを知り、また、家族や友人、地域、国内外の人たちとのきずなや、人と人とが支え合うことの大切さを改めて実感いたしました。
 これまで、国内外から数多くの支援をいただきながら、復旧、復興に全力を挙げて取り組んできた歩みは、今後も続いていきますが、二度と同じ悲劇を繰り返さないために、復興が果たされる日が来ても、東日本大震災津波の記憶を風化させることなく、東日本大震災津波を体験していない世代やこれから生まれてくる子供たちにも、あの日の悲しみと教訓を伝承していく必要があります。
 また、東日本大震災津波により亡くなった人々の果たせなかった想いを引き継ぎ、未来のために力を合わせてより良い地域を創造し築いていくことが重要であります。
 このことから、東日本大震災津波により亡くなった多くの尊い命に追悼の意を表し、東日本大震災津波の教訓を伝承するとともに、これまでの復興に向けた歩みの中で得られた多くのきずなを大切にし、一人一人の大切な人に想いを寄せ、ふるさと岩手を築いていくことを誓い、東日本大震災津波を語り継ぐ日を定めるものであります。
 条例案の内容といたしましては、1、東日本大震災津波を語り継ぐ日を、3月11日と定めること。2、県は、市町村その他の団体と連携、協力して、条例の趣旨の普及や趣旨に沿った取り組みを行うよう努めること、市町村その他の団体が行う取り組みに対し必要な協力を行うよう努めること、県民の自発的な取り組みの促進に努めることであります。
 次に、条例の施行期日については、公布の日から施行することとしております。
 なお、本条例案の作成に当たり、御意見をいただいた皆様、県内の各市町村、御協力いただいた議員各位に対し、改めて感謝と敬意を表しまして、提案理由の説明とさせていただきます。(拍手)
〇議長(関根敏伸君)お諮りいたします。ただいま議題となっております案件は、各交渉団体会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(関根敏伸君)御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第2号東日本大震災津波を語り継ぐ日条例を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(関根敏伸君)起立全員であります。よって、発議案第2号東日本大震災津波を語り継ぐ日条例は、原案のとおり可決されました。
   
〇議長(関根敏伸君)以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時52分 散 会

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