令和2年6月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(菅野ひろのり君) 希望いわての菅野ひろのりです。登壇の機会をいただいたことに感謝し、早速でございますが、質問に入らせていただきます。
 県税収入や予算の観点から、知事が掲げる希望郷いわてをどのように実現していくのか、各分野から質問をさせていただきます。
 まず、県及び市町村の歳入の見通し等について伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛によって県内経済は停滞し、その後、日常を取り戻そうとする動きは始まりましたが、経済回復の見通しは不透明です。各種統計は経済の悪化等を示し、今定例会では、景気悪化に伴い消費税を5%に引き下げる請願も提出されています。
 企業の経営状況は、県税収入を初めとした歳入などに直結します。県税収入額では、ことし5月の法人事業税の調定額が前年比77.8%と既に影響が出始めており、企業、個人などの納税者側には1年間の支払い猶予が措置されましたが、納税者の負担が心配されます。市町村については一般財源から新型コロナウイルス感染症対策費用を捻出し、自粛要請に伴って公共施設等の利用料の減収も想定されます。特に心配されるのが沿岸被災地の企業です。岩手県では令和元年度公共工事額が前年度から18%減少し、震災後の地域経済を支えてきた公共工事が減少することで消費の落ち込みを招き、地域経済が停滞していると聞きます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、県及び市町村の税収入を初めとした歳入の見通しと、国からの財政的支援の見通しを伺います。
 次に、県事業への影響について。
 全国的な新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府は4月7日に緊急事態宣言を発令しました。これによって、人の往来やイベント開催が制限され、県が当初予算で準備していた事業についても、少なからず影響があったものと思います。
 一方、この間も岩手県では感染者ゼロの状況が続き、全国においては5月25日には緊急事態宣言が解除、6月19日には県境を越えた移動も自由になるなど、事態は日々動いておりました。
 知事は、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図っていくとおっしゃっており、私自身も、特に県内経済の回復が急務であると考えています。当初予算で措置した事業を含め今後どのように対応していくのか考えをお聞かせください。
 次に、県の職員体制について伺います。
 県では、新型コロナウイルス感染症対策を統括するとともに、医療提供体制の構築などの業務を進めるため、新型コロナウイルス感染症対策監を設置するとともに、職員の増員を図り、PCR検査や蔓延防止対策などの感染拡大防止対策を担う医療政策室と役割分担させながら、中長期的に新型コロナウイルス感染症対策に当たる体制としています。
 こうした体制整備とあわせ、感染症から県民の命と健康を守るためには、保健所の果たす役割は非常に大きいものと考えます。感染症対応の最前線となる保健所においては、県民からの相談や濃厚接触者の調査、PCR検査の検体の搬送など、平時とは異なる業務の対応に追われています。今後、第2波、第3波の到来も予想される中、これに備えた職員体制を構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、情報化の観点から、県のリモートワークについて伺います。
 県では、ことし4月上旬から、東京事務所など県外の事務所に勤務している職員を対象に在宅勤務を開始し、4月30日からは、県庁、県内各公所においても在宅勤務を拡大して取り組んできました。
 この在宅で勤務する職員が自宅のパソコンを使い、県のネットワークにリモートで接続できる職員数はわずか50人であり、在宅で勤務する環境としては不十分であったと考えています。
 今後、新型コロナウイルス感染症の第2波に備え、在宅の勤務環境を整備していく必要があり、そのためには、在宅勤務者のパソコンを県のネットワークにリモートで接続できる職員数を拡充していく必要があると考えますが、県の今後の取り組みについて伺います。
 東京一極集中について伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大の傾向は、首都圏などの割合が高く、都市部は感染症に脆弱であることが露呈しました。5月28日の全国知事会と国との意見交換会において、西村経済再生担当大臣は地方移住促進に期待感を示し、飯泉全国知事会会長は分散型の新たな国家構造をつくり上げてほしいと発言されていました。
 東京一極集中の是正を振り返れば、1977年に政府が策定した第3次全国総合開発計画以降、40年以上の行政課題であり、1990年代以降は首都機能の移転や道州制の議論があり、2014年の地方創生の総合戦略を旗印に、2020年までに東京圏と地方の転出入を均衡させるとの目標を掲げたとされています。しかし、東京一極集中はとまらず、むしろ拡大をしています。
 東京一極集中の是正には、税や財源の分権がセットでなければ困難であり、一過性の動きにとどまりかねないと、地方分権に詳しい中央大学の佐々木信夫名誉教授は指摘し、京都大学の広井良典教授は、150の要因からAIにて2050年のシミュレーションを行い、日本社会の持続可能性にとって、東京一極集中に示される都市集中型よりも、人口、格差、健康、幸福といった観点からは地方分散型のほうが望ましいという結果が示されたと言います。
 地方である岩手からすれば、東京一極集中の是正は地方創生の一丁目一番地ですが、日本全体の視点からのリスクは首都圏直下型の地震、首都機能の麻痺です。是正は防災リスクの回避であり、国家の最重要課題です。首都圏直下型地震は、今後30年で70%の確率で起きると言われ、最悪の場合、死者約2万人、経済被害は95兆円に達すると言われています。心なしか、最近は地震が頻発しているようにも感じています。
 知事に伺います。
 6月8日の知事記者会見で、首都移転をやるべきだと思う。大学、企業の移転も効果的、新型コロナウイルス感染症対策を日本を変える大きな改革のチャンスとするのであれば、首都機能の地方移転こそ、それにふさわしい改革と発言しています。
 東日本大震災津波からの復興の陣頭指揮をとり、現在は新型コロナウイルス感染症の感染防止対策と経済との両立を行っている4期目の達増知事。私は、経験豊富かつ若手である知事のリーダーシップに期待をしております。現時点で知事が考えている東京一極集中是正に向けた我が国のあるべき方向性と本県の具体策をお示し願います。
 また、東京一極集中の是正には、全国知事会を初めほかの知事とも協力して訴えていく必要があると考えますが、今般のコロナ禍を踏まえ、どう連携し、どのようにリードしていくのか伺います。
 コロナ禍における幸福度の追求について伺います。
 令和2年2月の知事演述の中で、いわて県民計画(2019~2028)が2年目となる本年度は、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略と一体的、総合的に取り組むとしており、施策の推進に当たっては、いわて幸福関連指標の達成度を踏まえた政策評価に加え、今年度新たに発行されましたいわて幸福白書2020により、本県の幸福に関する状況を県民と共有し、施策の実効性を高め、県民の幸福が守り育てられるように取り組んでいくとしております。
 このいわて幸福白書2020の中で、広井教授は、幸福度指標と公共政策の関係性について述べています。幸福については基盤的で普遍性の高いレベルから個人によって多様なレベルまでの重層的な構造があり、基盤的なレベルは幸福の基礎条件と呼べるとし、公共政策の役割は、この幸福の基礎条件の保障と、それへの積極的な関与と把握できるとしています。
 今般のコロナ禍に伴う経済的な落ち込みや、新しい生活様式を取り入れたアフターコロナの社会生活が県民の幸福に大きく影響すると考えますが、これらコロナ禍の影響の多くは今春以降にあらわれるため、県民の幸福の実感の変化やいわて幸福関連指標の動向などは、令和2年度の政策推進の結果を待って評価せざるを得ません。
 このような中、広井教授が示唆する幸福の基礎条件の保障とそれへの積極的な関与を進めるためには、オンラインツールの活用などにより、コロナ禍の影響に伴う県民ニーズの変化などを早期に把握し、対策を講じるとともに、来年度の政策にも反映させる準備を進めていく必要があると考えますが、県として、アフターコロナ社会の中で、県民の幸福度をどのように高めていくか伺います。
 新しい生活様式を受けた希望郷いわての実現について伺います。
 東日本大震災津波では、数百年に一度の災害を前提に、社会システムをつくるべきかという課題が突きつけられ復興が進められていましたが、新型コロナウイルス感染症は終息の時期が見通せない現在進行形であり、新型コロナウイルス感染症以前の社会と現状を比較するのではなく、新型コロナウイルス感染症を踏まえた上で社会をどうつくるべきなのか、私たち一人一人が考える必要があるのだろうと思います。新しい生活様式を踏まえ、身近な例では、マスク着用からソーシャルディスタンス、行事や宴会のあり方、人との距離感など幅広く、どのようにすればいいか多くの県民が手探り状態であろうと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県民の先頭に立つ達増知事は、新しい生活様式を踏まえたこれからの岩手の暮らしをどのように創造し、希望郷いわての実現をどのように行っていくのか伺います。
 防災体制の構築について。
 台風到来の時期が間近に迫っています。平成28年台風第10号は、避難所95カ所に約2、000名、昨年10月の台風第19号は、442カ所の避難所に約1万名が避難しました。東日本大震災津波の際、ピーク時には、399カ所の避難所に約5万4、000名が身を寄せました。避難所は過密状態でありました。
 そして、大規模災害と感染症が同時に発生する複合災害は、過去に何度も起きています。直近では、阪神・淡路大震災。地震後3カ月間に避難所などにおいてインフルエンザが蔓延し、亡くなった震災関連死者数は919名に上ったそうです。避難所には多くの方々が駆けつけ、被災者同士で助け合い、寄り添いながら厳しい試練を乗り越えてきました。しかし、コロナ禍では、避難所自体の三密防止との矛盾が指摘されています。
 言うまでもなく、マスクや消毒の備蓄完備などの感染拡大防止対策の徹底はもちろんのこと、密集しないように分散避難も重要となります。避難所は市町村が設置主体ではありますが、県は、市町村の備蓄状況を把握し、市町村の補完を十分に行う必要があります。
 避難所のあり方はどうでしょうか。分散避難や市町村の枠組みを超えた広域的な避難所の選択、空きホテルの活用や避難を短期、そして長期の2段階に分ける工夫、コロナ禍での新しい避難のあり方を模索すべきです。市町村や各種団体と災害協定なども必要になるでしょう。
 内閣府からは、岩手県に対し、避難所におけるさらなる対応についての事務連絡がありましたが、住民への周知や避難所の開設数を増加させるには、通知だけではなく、人的、財政的支援もあわせて必要なのではないでしょうか。兵庫県では、タイムライン防災の考えを応用した独自の避難所運営ガイドラインを主体的に作成しています。
 そこで、市町村の備蓄状況と県の備蓄補完体制、あわせてコロナ禍における今後の避難のあり方を伺います。
 次に、観光についてです。
 6月19日、いわて観光キャンペーン推進協議会は、県境をまたぐ移動自粛の全面解除に伴い、いわての観光リスタートセレモニーを盛岡市内で開催しました。このセレモニーには、知事を初め県や観光関係者ら約70名が参加し、知事は、感染症対策に取り組む、変わらないよさで新しい取り組みを進める、いわてのよさを県内外の皆さんと共有する。この三つの取り組みを柱とするいわての新しい観光を力強く宣言しました。
 今後、県内外のより多くの観光客の皆さんに岩手へ足を運んでもらう事業が行われていきます。このような事業は、岩手県だけではなく、全国でも同様の事業が展開され、観光客を奪い合う競争でもあります。岩手県の取り組みはどうでしょうか。宿泊割だけの誘客では、他県との差別化が図れず、いかに県内を周遊し、滞在型の観光をしていただくかが重要と考えます。
 そのためには、短期間の事業設計だけではなく、できるだけ息の長いものにしていかなければならず、国のGo To トラベルキャンペーンが始まる夏から、岩手の強みであるすばらしい自然や食が堪能できる秋、冬に観光客のピークを持ってくる工夫や、そこから来年の東北デスティネーションキャンペーンや延期とされている東京2020オリンピック・パラリンピック関連の誘客につなげるなど、長期的な視点での取り組みが必要と考えますが、今後、いわての新しい観光の取り組みの方向性と戦略を知事に伺います。
 また、このGo To トラベルキャンペーンから東北デスティネーションキャンペーンへつなげる連結が、岩手県にとって観光振興の最大の効果が発揮できる仕組みであり、観光客の足を岩手県に向かわせるために、国やJRとどのように連携して取り組みを進めるのか、県の考えを伺います。
 修学旅行の実施について伺います。
 県内小中学校における修学旅行については、新型コロナウイルス感染症の影響により春から秋へ延期となった学校が多数あると聞いています。
 修学旅行は、集団での旅行を通じ日常とは異なる生活環境の中で、歴史学習や自然や文化に親しむなどの見聞を広げることが目的の一つであるとされています。岩手県は、御存じのように、平泉町と釜石市の二つの世界遺産を有し、また、一戸町の御所野遺跡では、世界遺産登録を目指すとともに、三陸、十和田の二つの国立公園を有するなど、歴史、文化を初め自然の宝庫でもあります。
 しかし、県内のこれまでの小学校の修学旅行では、県北の子供たちは県南の平泉町の金色堂など世界遺産を学習する機会があっても、県南の子供たちは仙台市や盛岡市方面が目的地となって、県北へ向かうことは少ないのではないでしょうか。
 岩手の子供たちが、岩手の歴史や文化、自然に触れる経験は、郷土岩手の発見や愛郷心につながるものであります。このことから、岩手全土を生涯学習の場として、子供たちが県内の歴史、文化を学習する機会や自然に親しむ機会を創出するため、修学旅行において、県南の小学校は県北へ、県北の小学校は県南へなど、県や市町村の教育委員会では、国内で唯一新型コロナウイルス感染症の感染者が確認されていない、他県に比べ比較的安全な県内各所をめぐるコースを推奨してはどうでしょうか。
 次に、修学旅行先で新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について伺います。
 県内の中学校や高等学校の修学旅行先は県外が多い状況にありますが、県外の目的地で新型コロナウイルス感染症が発生した場合、中止や目的地の変更が想定されます。その際、問題となるのは、キャンセル料の発生と新たな旅行先の確保です。キャンセル料や新たな旅行先の費用は保護者の負担となります。今後、新型コロナウイルス感染症発生のリスクが続くことが見込まれる中、子供を修学旅行先に送り出す保護者にとっては、常に、このキャンセル料などの費用負担の不安が生じます。
 神奈川県では、キャンセル料について補正予算が組まれ、保護者負担がゼロとなりました。今後、新型コロナウイルス感染症の発生によって修学旅行が中止された場合、キャンセル料の支援等の対策を講じてはいかがでしょうか。
 農業振興について伺います。
 コロナ禍においての農業振興の質問は、肥育農家への支援改善点について、稲作政策、次世代へつなぐスマート農業の3点です。
 まず、肥育農家、肉用牛への支援策についてです。
 皆さん御承知のとおり、東京食肉市場における肉用牛の価格下落については、令和元年は、A5ランクの加重平均で約3、000円で推移していましたが、本年4月には約2、300円まで700円の下落をしたところです。1頭当たり500キログラムとした場合、売り上げは約35万円減少することになります。販売価格が下落し生産費を下回った場合、その差額の9割交付されるのが牛マルキンであります。
 農林水産省は令和2年4月、この算定方式を見直しました。地域算定に使う標準的販売価格を都道府県単位から、より広範囲となる10の地方ブロック単位に変更しました。これは、県によって発動の有無や交付金単価格差が大きくなることによる不公平感を是正するのが狙いとのことです。しかし、制度変更の問題点は、販売価格は地方ブロック単位に変更されていますが、生産費は都道府県のままということです。
 その結果、令和2年5月に岩手県に交付された単価の試算では、県別算定のときよりも、1頭当たり約3万円低くなってしまいます。だとすると生産費もブロック単位にするべきであり、国に強く要望する必要があると考えますが、県の認識と、その後の国の動向について伺います。
 次に、県産米の動向と今後の対応策について伺います。
 平成30年から生産調整が廃止となり、廃止後3年で、需要に応じた米づくりが推進されています。田植えが終わり、畦畔の草刈りと水深管理を行いながら、秋の豊作を願う中の6月、国が示す2020年産米の適正生産量を20万トン以上大幅に上回る可能性があると全国農業協同組合中央会が公表しました。国が示す適正生産量とは、当年度の需要見通しや、翌年6月の民間在庫量の適正水準から逆算しているものに加え、新型コロナウイルス感染症による需要への影響があります。
 インバウンドや外食産業の減少による需要は減少、一方で中食は好調、米の販売環境は不透明感を増しています。岩手県農業協同組合中央会に話を伺うと、岩手県産米を取り扱う卸販売の状況も、業務用米、主食用米によって動向が異なると言います。ひとめぼれ等の主食用米のみならず、金銀のブランド米は好調に販売がなされているのでしょうか。令和元年産米の在庫が余れば、平成26年の1万1、967円から令和元年の1万5、749円と順調に推移してきた米価の下落に直結します。
 農林水産省は、対策として主食用米を飼料用米などに転換した農家が、転作補助を受けるための申請期限を8月まで2カ月延長することを決めましたが、営農座談会や地域の集まりもとまっている中、需要に応じた生産の推進がどこまで行われるか懸念が残ります。県産米の動向と今後の対応策を伺います。
 スマート農業について伺います。
 県はスマート農業の普及について、当初予算では、スマート農業関連の事業を複数計上し、スマート農業の周知、推進、普及拡大に努めています。国は、スマート農業の有効性として、作業の自動化、ドローン、衛星によるセンシングデータの活用などを上げ、県内の基盤整備がされた平坦な圃場では、自動走行のトラクターや直進走行田植機が徐々に普及しつつあります。
 自動走行のトラクターはGPSを駆使し走行するわけですが、例えば、大豆の播種は、畝の間隔を均等に保つ必要があるため、自動走行には数センチ単位の正確さが求められます。GPSを数センチ単位の高精度の位置情報を受けるために必要になってくるのがRTK基地局です。RTK基地局は1機当たり300万円から400万円程度で、その影響の範囲は平坦な環境で10キロメートルから20キロメートルと言われています。岩手県内では、花巻市を初め現在6基の設置があり、市町村が設置をするケース、民間が設置をするケースなど、設置者が異なっています。
 スマート農業の普及拡大には、RTK基地局の増設が必要不可欠でありますが、設置費の負担先の課題があります。民間が行うべきか、受益者が行うべきか、国、県、市町村、どこが行うべきでしょうか。根本的には、次世代に向けた農業を各自治体がどう取り組むと考えているのか、その戦略を県がどのように考えているかが、普及の拡大を握っていると言えるのではないでしょうか。
 そこで、スマート農業など、次世代に向けた県の農業戦略と今後のRTK基地局の整備のあり方を伺います。
 自動車、半導体関連産業における新型コロナウイルス感染症の影響と県の対応について、最後に伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、県内総生産の16.7%を占める本県の産業や経済を牽引する製造業への影響もはかり知れないものがあると思われます。
 県ではこれまで、自動車、半導体関連産業をものづくり産業の中核に据え、企業誘致や地場企業との取り引き拡大、人材育成などに取り組んで、産業の集積と高度化を掲げ、一定の成果を上げてきたと考えています。
 特に自動車関連産業は、本県の製造品出荷額の26%を占めます。本県のものづくり産業の中でも中核となる産業であり、県内地場中小企業も含めてサプライチェーンがしっかりと形成されてきたものと認識しています。
 しかし、リーマンショックを上回ると言われる景気の後退を背景に、国内外の各メーカーの完成車工場が相次いで停止し、金ケ崎町のトヨタ自動車東日本岩手工場も一部操業を停止する事態となっており、県内の中小ものづくり企業の経営にも少なからず影響が出ているのではないでしょうか。
 また、半導体関連産業も県内に複数のデバイスメーカーや半導体装置メーカーが立地し、サプライチェーンの一翼を担う企業や製品の開発段階からかかわる企業もふえるなど、地元の主要な産業に成長しています。
 本県の自動車、半導体関連産業は世界展開するグローバル産業であり、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、中国を初めとする諸外国からの部品調達ルートの途絶や製品の出荷停止など、影響も懸念されるところです。
 トヨタ自動車では、7月には国内工場の減産幅を縮小するとの報道もありますが、新型コロナウイルス感染症により、県内の自動車、半導体関連産業はどのような影響を受け、県としてそれにどのように対応するのか伺います。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東京一極集中の是正についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症における首都圏を中心とした感染拡大は、これまでの首都直下型地震等の大規模災害時のリスクとあわせ、東京一極集中の是正の必要性を広く国民に認識させたものと考えます。東京一極集中の是正に向けては、まずは国が、国家戦略として分散型国土の形成など抜本的対策や地方重視の経済財政政策を実施することが求められ、地方においては、地方の暮らしや仕事を起点とする政策を実施し、これらにより地方への新たな人の流れを創出、拡大していくことが重要であります。
 こうしたことから県としては、岩手のよさ、特に安全・安心に暮らし働くことができる環境を広くPRし、同時に、オンラインを活用した移住相談会やテレワーク等新しい働き方を実践する県内企業の紹介など、現在発展している手法に対応しながら本県への移住、定住を力強く推進してまいります。
 また、全国知事会とも連携し、新型コロナウイルス感染症対策は地方創生につながるとの考えのもと、地方創生の危機突破加速化に向けた提言を取りまとめ、国に提言したところであり、引き続き、他の知事とも連携しながら実効性のある施策の実施を国に強く働きかけてまいります。
 次に、新しい生活様式を受けた希望郷いわての実現についてでありますが、県では補正予算の編成に際し、市町村の要望調査や各関係団体への個別の聞き取り、各種会議等における意見交換などにより、現場のニーズを把握してきたところであります。
 これらを踏まえて、感染防止のための施設改修やテークアウト等への業態転換に係る取り組みなど、新しい生活様式の実践に向けた支援を行うことにより、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図り、生活、仕事、学びの場における新しい日常を進めていくこととしています。
 人と人との出会いや共生をより丁寧に進めていこうとする今般の新型コロナウイルス感染症対策や、そのような社会を大事にしていこうとする、いわゆるアフターコロナの議論については、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる県民、企業、NPO、市町村など、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら岩手県の将来像を描き、その実現に向けて行動していくという理念に相通じるものであり、進む方向には揺るぎがないことを心にとめながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを実現してまいります。
 次に、いわての新しい観光の取り組みについてでありますが、新型コロナウイルス感染症が収束しない中で、将来にわたり持続可能ないわての観光をつくり上げるため、いわての新しい観光を宣言いたしました。
 この宣言では、まずは宿泊施設や観光施設等が県内外の観光客とお互いに配慮し合い、一緒に感染症対策に取り組んでいくこと。
 次に、本県の誇りとする豊かな自然、歴史、文化を初めおもてなしの心を基本とする受け入れ態勢など、変わらない岩手のよさを磨き上げるとともに、ワーケーションやテレワークなど新たな生活様式に配慮した取り組みを進めていくこと。
 次に、県内外の皆様、特に地元や近隣県の皆様にもこれまで以上に楽しんでいただき、高く評価していただけるよう観光コンテンツや宿泊施設の魅力や価値を一層高めていくこと。
 以上をいわての新しい観光として方向づけたところであります。この方向性のもと、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、まずは県内や隣県からの誘客を促進し、お客様には豊かな自然、歴史、文化、食、温泉、体験プログラムなどを体感していただくとともに、地元では観光コンテンツやおもてなしなどを磨き上げていきます。
 このような取り組みにより県内外の皆様の力もいただきながら、観光事業者が力強く新型コロナウイルス感染症を乗り越えていけるよう支援するとともに、一層の観光需要の喚起を図り、来年予定されている東北デスティネーションキャンペーンや東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を生かしたインバウンド誘客までにつなげてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) まず、県及び市町村の歳入の見通し等についてでありますが、今年度の5月末における調定額について、県税収入は、前年度比11億4、000万円、率にして3.3%の減、市町村税収入は、前年度比5億4、000万円、率にして0.4%の微増となっているところでございます。
 税収入を含む県及び市町村の歳入の見通しにつきましては、現時点では詳細に見込むことは困難ではございますが、国や県の景気動向に関する調査等によりますと、今年度から来年度にかけて、企業収益や個人所得の減退が予想されるなど、厳しい状況にあると認識しております。
 国におきましては、新型コロナウイルス感染症に対応する地方税の徴収猶予額に充てることができる徴収猶予特例債の制度が創設されたところでございますが、地方財政の安定的な運営が可能となるよう、国に対し、全国知事会や全国市長会等とも連携し、地方交付税の増額を初め地方一般財源総額の確保や税財源の充実を強く求めてまいります。
 次に、職員体制の構築についてでございますが、これまで県では、医療提供体制の確保、充実や経済対策に関係する業務の急増などに対応するため、保健福祉部や商工労働観光部に対し、全庁から業務支援を行っているところでございます。
 また、保健所については、感染症業務の従事経験を有する保健師などを10名程度県の職員として任用し、体制強化を図ったところでございます。
 加えて、感染者が発生した場合には、患者の移送や健康観察、疫学調査などの業務が更に増加することから、各保健所の担当圏域の振興局から業務支援を行い、保健所の負担軽減が図られるよう体制構築に努めているところでございます。
 新型コロナウイルス感染症対策は長丁場となることが見込まれることから、今後も保健所を初め関係する各部署が状況に応じた適切な対策を進めていけるよう、業務の見直しによりマンパワーを確保し、全庁的な業務支援体制の構築を図ってまいります。
 次に、災害に備えた備蓄体制等についてでありますが、市町村における避難所運営に必要な物資については、4月現在、マスク約100万枚を初め消毒液等を一定量備蓄しているところでございます。
 また、県では、国の物資調達・輸送調整等支援システムを4月から導入しておりまして、これにより各市町村の備蓄状況をより一層迅速、的確に把握することとしております。
 県の備蓄体制についてですが、市町村の備蓄を補完する観点から、市町村に対し災害時に必要な物資を即時に供給できるよう備蓄を行っておりますが、さらに、令和2年度岩手県一般会計補正予算(第3号)によりまして、段ボールベッドなど感染症対策物資の備蓄増を図ることとしております。
 加えて、災害時に必要な物資については、国のプッシュ型支援や民間団体等との応援協定に基づく調達も可能であることから、今後におきましても、国、県、市町村、民間団体が互いに協力し合い、必要な物資の調達、確保に努めてまいります。
 次に、避難のあり方についてでありますが、新型コロナウイルス感染症にも対応した避難のあり方につきましては、議員御指摘のとおり、より多くの避難所の開設、親戚や知人宅、宿泊施設、小中学校の空き教室への避難等の分散避難が求められておりますほか、避難所における十分な換気の実施やスペースの確保など徹底した感染症対策が重要でございます。
 このため、県では、避難所を運営する市町村に対し、感染症対策に係る取り組みを調査し、その結果を避難所運営の参考としていただくため、市町村に対し周知や必要な助言を行ったところでございます。
 また、市町村への人的、財政的支援については、国の被災市区町村応援職員確保システムを活用した応援職員の確保を図るとともに、感染症対策物資の購入や分散避難のため、ホテルや旅館等を確保する費用について、今般、国の臨時交付金が活用可能となったところでございますが、引き続き国に対し、さらなる財政支援についても要望してまいります。
   〔政策企画部長八重樫幸治君登壇〕
〇政策企画部長(八重樫幸治君) まず、県事業への影響についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、これまで3次にわたる補正予算を編成し、県民の命と健康を守ることを最優先にしつつ、社会経済活動への負の影響を抑えるための対策を講じているところであります。
 一方、当初予算に計上した事業の中には、延期や縮小、中止となる見込みのものも含まれています。
 こうした中、今後は、感染の動向を見きわめつつ、大規模なイベントについても段階的に取り組みを展開していくこととしており、新しい生活様式に対応した形での事業実施を含め、当初予算に計上した事業の見直しや追加なども行いながら、本県の実情に即した取り組みを進め、早期の経済回復を目指していきます。
 次に、コロナ禍における幸福度の追求についてでありますが、県では、本県独自のLINE専用アカウントを4月に開設するなど積極的な情報発信を行うとともに、市町村の要望調査や関係団体からの聞き取りなどにより県民ニーズを把握しながら、必要な事業や支援策を実施しているところであり、今後も引き続き、適時適切に追加の対策を講じていきます。
 また、来年度の政策立案を行うに当たっては、今後実施する政策評価において、今年度上半期までの県の取り組み状況や社会経済情勢も勘案して検討することとしており、県民ニーズを踏まえ、さらに加速させるべき施策や新たに追加するべき事業などをしっかり見きわめながら臨機に対応し、県民の幸福度の向上に努めてまいります。
   〔ふるさと振興部長佐々木淳君登壇〕
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 県のリモートワークへの取り組みについてでありますが、本県のリモートワークシステムは、主に出張先での業務の効率化を図るため平成30年度から導入しておりますが、今般、新型コロナウイルス感染症に対応し在宅勤務という形で、県外事務所を中心に活用したところであります。
 現在、在宅勤務での課題や今後のさまざまな状況変化に対応するため、今ある通信機器やネットワーク環境を生かし、リモート接続数を300に増設する改修作業やノートパソコンの整備、テレビ会議システムの充実などの取り組みを進めております。
 また、県の働き方改革推進会議において、定型業務を自動で処理するロボティックプロセスオートメーション、いわゆるRPAやAIの活用、電子決裁等による業務の効率化、テレワーク等による勤務環境の向上などの検討を進めており、機能的で柔軟な働き方ができる環境の整備に向け対応を進めてまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、観光振興に係る国やJRとの連携についてでありますが、東北デスティネーションキャンペーンは、東北6県の広域で、来年4月から6カ月にわたりJRグループ6社が総力を挙げて誘客、送客する国内最大級の大型観光キャンペーンであり、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ観光需要の回復に大きく寄与するものと考えています。
 このため、JR東日本と連携して東北デスティネーションキャンペーン期間の限定企画の開発を観光事業者に働きかけてきたほか、推進組織にもJR東日本が参画し、毎月2回の実務者会議において企画、調整を行うなど、一体となって準備を進めているところであります。
 また、国においては、Go To トラベルキャンペーンを展開することとしておりますが、新聞報道等によりますと、国土交通大臣が来春まで継続する意向を示しているとのことであり、このキャンペーンを活用し、JR東日本とも連携しながら、県としての東北デスティネーションキャンペーンに向けたプレキャンペーンを展開し、デスティネーションとして岩手が選ばれるよう取り組んでまいります。
 次に、自動車、半導体関連産業における新型コロナウイルス感染症の影響等についてでありますが、自動車関連産業においては、サプライチェーンの寸断や世界的な新車需要低迷により、国内外の多くのメーカーが操業を停止し、県内でも、トヨタ自動車東日本岩手工場の大規模な生産調整があり、関連企業への影響も大きいものがありますが、7月からは生産が回復していくと聞いているところであります。
 半導体関連産業におきましては、海外からの部品調達が滞るなどの影響が一部あったものの、感染防止策としての在宅勤務やウエブ会議の拡大によるパソコンやデータセンターの需要の高まりなどにより、その影響は他の産業に比べて限定的と聞いているところであります。
 県では、5月に県内ものづくり企業に対する緊急アンケートを実施したほか、企業訪問等を通じて企業ニーズ等を把握しており、さきの令和2年度岩手県一般会計補正予算(第3号)で措置したものづくり企業競争力強化緊急支援事業費補助を活用して生産性向上や人材育成を支援するほか、設備導入など、企業個々の課題に応じた支援に取り組んでいるところであります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、肉用牛肥育農家への支援策についてでありますが、肥育経営の販売価格と生産費の差額を補填する国の経営安定対策、いわゆる牛マルキンについて、国は、県によって制度の発動の有無や交付金単価に格差が生じ、不公平感が高まっているとして、5月支払い分から交付金の算定を、都道府県を単位とする方法から、全国を10のブロックに分けて算定する方法に見直ししたところであります。
 県では、今回の見直しにより、本県の5月支払い分の交付金単価の低下が懸念されたことから、国に対し、算定方法の見直しを行わないこと、ブロック算定とする場合には、販売価格と同様に生産費もブロックを単位とすることなどを直ちに要望したところです。
 現時点で、国が算定方法を見直すとの情報は得ておりませんが、本県の6月支払い分については、見直し後の交付金の単価のほうがやや高い試算結果となり、県では、今後の交付金単価の動向などを把握しながら、より実態に即した算定方法となるよう、必要に応じて国に求めてまいります。
 次に、県産米の動向と今後の対応策についてでありますが、県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、これまで県オリジナル品種のブランドの確立や、生産者、地域が主体となった売れる米づくりなどに取り組んでまいりました。
 その結果、金色の風、銀河のしずくは、全国的に大変高い評価を得ているほか、主力品種のひとめぼれは、安定した品質により大手米卸売業者から強い引き合いをいただいているところです。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、米は、家庭消費が増加した一方で、外食需要が減少したものの、本年5月末現在の県産米全体の販売数量は前年並みとなっており、在庫数量も東北で最も少ない状況となっています。
 国内では、地域の感染状況等を踏まえながら、社会経済の活動レベルが段階的に引き上げられており、今後、外食需要等の回復が期待されるところです。
 県としては、これまで築いてきた全国の米卸売業者等のネットワークを生かしながら、今年度は、新たに、全国のお米マイスターのいる米穀専門店と連携した金色の風、銀河のしずくの販売促進キャンペーンや、ウエブ動画を活用した広報等のPR活動を展開することとしており、今後とも、県産米全体の販路が確実に確保できるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、スマート農業の普及についてでありますが、スマート農業技術は、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上、軽労働化などが期待され、担い手が希望を持てる魅力ある農業の実現に向け大きな役割を果たすものと考えています。
 このため、いわて県民計画(2019~2028)に農林水産業高度化推進プロジェクトを掲げ、トラクターの自動操舵や、施設野菜の高度環境制御技術、ドローンを活用した病害虫防除の実証等に取り組んでいます。
 また、GPSの位置情報を数センチの精度で補正して利用できるRTK基地局について、県内では、市町村等による整備が進められており、地域の関心も高まっていますが、設置コストが高いこと等が課題となっております。
 県では、本年度、北いわてスマート農業プラットフォーム創造事業により岩手県農業研究センター県北農業研究所にRTK基地局を設置し、自動操舵トラクター等の技術実証を行うこととしています。
 一方、スマート農業技術は急速に進歩しており、基地局の設置を必要としない新たな技術開発の動きも出てきていることから、このような動向なども把握しながら、地域の実情に即したスマート農業技術の普及に取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、修学旅行の実施についてでありますが、学習指導要領においては、日常と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、よりよい人間関係を築くなどの集団生活のあり方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすることとされているところです。
 小中学校が行う修学旅行については、設置者である市町村教育委員会が定める基準に基づき、教育活動の目的や児童生徒及び保護者の意向、感染症対策等を踏まえ、各学校において、修学旅行の実施時期や場所、内容等を適切に判断し、実施するものと承知しています。
 県教育委員会としては、修学旅行やさまざまな活動場面で、県内の歴史や文化、自然に触れる機会を設けるのは意義深いと感じているところであり、新型コロナウイルス感染症対応として、市町村教育委員会の中には、被災地訪問等の復興教育との関連を図った活動や、県内及び地元のよさに目を向けた活動例を示したガイドラインを作成しているところも出てきていると承知しているところです。
 次に、キャンセル料等の支援についてでありますが、県立学校に対しては、生徒の安全を第一に考え、実施時期や旅行先等について、生徒や保護者の理解を得ながら計画することとし、計画変更に伴う追加料金等については、旅行業者との契約内容について再度確認するよう通知しているところです。
 修学旅行のキャンセル料については、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金制度の活用が可能となっておりますが、現在のところ、県立学校においてキャンセル料は発生しておりません。今後については、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
 また、各市町村立学校については、各市町村教育委員会に臨時交付金制度の活用について周知を図っており、各小中学校の修学旅行キャンセル料の発生状況に応じて、各市町村において対応を検討するものと承知しているところです。
〇16番(菅野ひろのり君) 1点、県税収入について伺います。
 きのうの名須川議員の質問の中でも、5月末時点で税収が3.3%減少するとおっしゃっておられました。
 令和2年度の当初予算の県税収入の見込みは1、310億円、令和元年度は、県税見込みが1、290億円ということで、今年度は微増するという計画でありました。今年度、動向をしっかり見きわめていくというのは難しいと思いますが、このまま税収は上がらないという想定でよろしいでしょうか。これは確認です。
 あわせて、県税収入が減少したとき、今さまざま事業を組み立てる中で、要は、財源がなければ当然できないわけであります。一つは手法として、財政調整基金の取り崩しがありますが、過去の例を見ると、減収補填債の発行が行われている場合があります。岩手県では平成21年リーマンショックのとき、減収補填債の発行が72億円あったようですが、今回の県税収入の減少を含め減少だとすると、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、その発行についてはどう考えているのか伺いたいと思います。
〇総務部長(白水伸英君) 県税収入の落ち込み等についてでございます。先ほど御答弁申し上げましたけれども、現時点で今後の県税収入について詳細に見込むことについては、まだ今年度は3カ月しかたっておりませんので困難なところではございますが、国や県の景気動向調査等を踏まえれば厳しい状況にあるというところでございます。
 今後の動向を注視いたしますとともに、議員御指摘のとおり、リーマンショック時など、過去、財源対策として減収補填債を発行してきたというようなこともございますので、こういった減収補填債も必要に応じて発行することも含めて、歳入の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇16番(菅野ひろのり君) これから検討していくということでありましたが、リーマンショック級と言われ、当然これを想定していく中で、歳入に占める県税の割合がどんどん高くなってきていると。平成23年度は13.5%でしたが、令和2年度当初予算ベースでは19.6%、これは増税の影響も当然あるわけですが、県税収入の依存割合がどんどん高くなってきている。最近は2割ぐらいで推移しているというところであります。
 では、減収補填債の発行は、大体企業が決算を終えて、2月補正等で行われるのが一般的だと思っていますが、課題が、交付税の措置は国からは75%しかなくて、25%は自主財源の持ち出しになると。いわば、借りれば県の負担も当然ふえてくる。リーマンショック級の72億円であれば、約十六、七億円ぐらい県の負担が生じるというような状況であります。
 今、非常に厳しい中で、新型コロナウイルス感染症は県の責任ではないというか、全国的なものでありますから、全国知事会でも上げられておりましたが、当然、国に支援を求めるべきだと思います。その点はどう考えていますでしょうか。
〇総務部長(白水伸英君) 今、税収の額等について御紹介いただきましたけれども、これは議員御指摘のとおりでございまして、近年は、歳入全体に占める税収の割合が非常に高まってきております。これは、税制の改革等、例えば法人事業税の見直し等々、税の偏在是正措置等もございまして上がってきたところでございます。
 これについて、減収補填債にどう対応していくかということでございますが、議員からも御指摘がありましたとおり、仕組みについてはちょっと技術的なのですけれども、国の制度でいわゆる留保財源という考え方もございまして、交付税措置が75%ということになっております。この交付税措置については、その拡充も含めて、先ほども御答弁いたしましたけれども、地方一般財源総額の確保は非常に重要になってきますので、全国知事会等とも連携をして、国に対してしっかりと要請、要求等をしていきたいと考えております。
〇16番(菅野ひろのり君) 最後、知事にお伺いしたいと思いますが、横浜市も減収補填債を検討、熊本県でもそういった議論があるようであります。
 また、県では、今後活用できる地方創生臨時交付金がまだ100億円ほど残っているという中にあって、このコロナ禍の中、どうやって安定した資金を確保していくのか、これが非常に重要となってくると思いますが、知事は対策をどのように考えているかお伺いをして、終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県民経済が悪化しますと県税収入も悪化していくということではありますけれども、県民経済が悪化しているときこそ、県の政策としてさまざま支出を伴う事業が求められるということが一般に言えると思います。
 特に、新型コロナウイルス感染症対策に関しましては、命と健康にかかわるものでもあり、また、外的な要因によってさまざま社会経済活動が影響を受けているということもありますので、国の場合は、国の信用力で大きな債務を引き受ける力がありますし、また、今、現に、国はいわゆる10兆円の予備費という空前絶後の予備費を準備しているところでもあります。財源論ということでいきますと、県の新たな債務というような議論にもなっていくわけでありますけれども、新型コロナウイルス感染症対策の事業を行うというところに注目していきますと、国のさらなる地方創生臨時交付金の増額、そして、それは場合によっては、今ある10兆円の予備費をさらに上回る必要性も出てくると、そのような覚悟をもって臨むことが適切と考えます。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時57分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 工 藤 勝 子 君
39  番 中 平   均 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 五日市   王 君
42  番 関 根 敏 伸 君
43  番 佐々木 順 一 君
44  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時17分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。山下正勝君。
   〔12番山下正勝君登壇〕(拍手)

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