令和2年6月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(名須川晋君) 希望いわての名須川晋でございます。
 まず初めに、新型コロナウイルス感染症に係り、達増知事を筆頭とする対策本部の皆様、そして、医療関係者の皆様の御努力に感謝を申し上げます。
 前の4人の質問者の皆様と相当に重複しているところもありますけれども、通告どおりに質問をさせていただきます。
 まずは、新型コロナウイルス感染症への対応についてでございます。
 本県財政への影響について伺います。
 国の2020年度第2次までの補正予算措置に係る本県の一般会計補正予算による本県負担分や財政調整基金の取り崩しの具体的な額について、及び景気失速による今後の税収の落ち込みが想定されますが、現状をどう分析しているのか、まずは伺います。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法について伺います。
 2月中旬の唐突な全国一斉休校は、教育現場に大混乱をもたらし、専門家からの意見を聞かず自分で判断したという総理独断の指示には、大いに疑問を持たざるを得ませんでした。一方で、自治体首長の動向が注目され、特に鈴木北海道知事、小池東京都知事、吉村大阪府知事らの動向を伝える連日の報道は、他県から見るといささか過剰で食傷ぎみでありましたが、危機管理における首長制のメリットも明らかになりました。
 政治は結果責任という言葉がありますが、だとしたら、本県のさまざまな環境的優位性はあっても、私自身は、本県達増知事の対応が最も評価されるべきではないかと考えるものであります。
 さて、新型コロナウイルス感染症対策として首相が緊急事態宣言を発すると、外出自粛や店舗、施設の休業要請、指示など、国民の私権の制限も可能となりますが、具体的な措置は都道府県知事が定めることとされています。
 休業施設の範囲を事前に検討してきた東京都が、国から横やりを入れられ、都知事が、権限は社長かと思ったら、天の声がいろいろ聞こえて中間管理職になった感じとの例のコメントや、大阪府知事が国に休業要請解除の目安を求めたところ、西村経済再生担当大臣が強い違和感があるとの応酬が注目されました。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法によって矛盾がつまびらかとなった国と地方の関係性について、達増知事の率直な所感をいただくとともに、新型インフルエンザ等対策特別措置法の問題点を指摘し、知事会でも俎上にのせて改正につなげるべきと考えますが、いかがでございましょうか。
 県各種計画の整合性について。
 本県は、いわて県民計画(2019~2028)を最上位計画として、基本的な考え方や政策推進の基本方向を踏まえ、一体的に推進していくものとして各種計画が配され、目標達成に向けて日々取り組まれています。
 ほかに質問された方と重複しないところで、ウィズコロナ、アフターコロナ時代における各種計画の整合性をどう図っていくか、特に、外国人観光客の減少から当分は国内の観光客に頼らざるを得ない現状、観光客の満足度として、感染症が発生しにくい環境に恵まれているといった前提条件の変化が予測されるみちのく岩手観光立県第3期基本計画について、また、今回の感染症対策で得られた知見を踏まえ、岩手県保健医療計画及び岩手県地域医療構想の見直しを早期に進めるべきと考えますが、どう取り組まれるかお尋ねいたします。
 感染観察都道府県を維持することについて。
 新型コロナウイルス感染症罹患者は岩手県ではいまだ発生しておりませんが、その要因について知事は、不要不急の外出自粛を求めた独自の行動制限が奏功したことや、人口密度が低いこと、感染者が多い地域からのインバウンド観光客が少ないことを指摘されています。
 しかし、今月19日より県境をまたいだ移動が自由になり、日本全体でより感染リスクが高まっています。知事も事あるごとに発信されているものと思いますが、本県が目指すのは、決して感染者ゼロではなく、感染観察都道府県であり、感染者が発生してもその人を非難しないという風潮を高めていく必要があります。
 全国的には、自粛警察と称され、営業する飲食店等を密告したり誹謗するやからや、あるいは県外ナンバー乗用車に嫌がらせをするといった好ましからざる事例が相次ぎ、残念ながら陰湿な風土の存在が明るみにもなりました。過度の自粛や萎縮は経済的死につながり、新型コロナウイルス感染症の被害をひときわ大きいものとします。
 私の周囲でも、自分が感染1号になりたくないという声をよく聞くのでありますが、インフルエンザ同様に、新型コロナウイルス感染症と共存せざるを得ないのだという意識を持ち、本県は、あくまで感染者ゼロを目指すのではなく、5月26日付岩手県新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針における基本目標である感染観察都道府県を維持することを県民に一層浸透させるべく発信し続けることが肝要です。
 達増知事を筆頭に、関係各機関、各自治体首長、そして私たち議員もですが、この目標を常に県民に発信していくべきと考えますが、知事の所感をお伺いいたします。
 大規模抗体検査の実施について。
 厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査を東京都、大阪府、宮城県の3都府県、計約8、000人に実施し、陽性率がそれぞれ0.1%、0.17%、0.03%であったことが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症の第1波は感染率が思ったより低かったと考えられます。
 山形大学医学部は今月15日、1、009人を対象とした新型コロナウイルス抗体検査を実施し、陽性率は0.5%だったと発表しました。PCR検査で確認された陽性患者数は69人でしたが、統計学的分析では、感染者数は670人から1万人と推計されるとのことであります。
 また、岩手県立中央病院が職員の感染状況を把握するための研究として約1、000人の抗体検査を実施したところ、抗体の保有者が一人もいなかったとのことであります。感染リスクが高いはずの医療従事者が抗体を保有しておらず、県内全ての感染状況を反映しているのかは不明ですが、この検査は、国と同様の精密な抗体検査と聞いており、本県で罹患者が確認されていないことを裏づけられる結果となりました。これは、もはや奇跡的というのが率直な感想であります。こうした検査を活用するならば、例えば、福祉施設において入所者に面会できない状況も続いている事例の回避も期待できます。
 今後も、感染リスクが高い職種に応じた精密抗体検査を拡大することは、本県の新型コロナウイルス感染症対策に必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 切れ目ない観光施策の展開について。
 花巻市は、日帰りや宿泊者を対象とする花巻市温泉宿泊施設等利用促進事業の助成対象を、これまで市民や同居する家族としていましたが、対象拡大を求める声が相次ぎ、あす7月1日より県民に拡大することとしています。
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、地方単独事業はおおむね当該住民のみを対象としているため、宿泊や飲食等、人、物の往来が限定されているのが実情で、独自のアイデアも効果が半減している事例があらわになったと言えるのではないでしょうか。ゆえに、全国一律、自治体境がない観光、飲食、興行、商店街と裾野の広い、予算規模1兆5、000億円ほどのGo To キャンペーンに期待するのですが、導入まではまだ1カ月以上あります。2月から6月までの県内宿泊施設の減収見込み額65億円という難局を乗り越えるべく、助成対象拡大の要請も含め、切れ目なく柔軟な対策が必要ではないでしょうか。
 また、Go To キャンペーンは、全国で旅行者の奪い合いであり、安心して訪れることができるという本県の優位性を加味してもなお、選択への強力な後押しを進めるべきです。その取り組みについて、また、キャンペーン期間は半年とも見込まれていますが、以降の展開も必要と考えますが、あわせて伺います。
 台北便の再開の見通しについて。
 政府は、感染状況が日本と同程度で、相手国と出入国の条件合意を前提に、ビジネス目的の往来を対象に、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国を緩和する方向で進めているとのことであります。
 本県との定期直行便がある台湾は、2003年のSARSの経験をもとに、ITを活用した対策でコロナ禍を素早く最小限に抑えたことが称賛されています。
   〔議長退席、副議長着席〕
 出入国の緩和政策は国家間の交渉によるもので、軽々の対応は難しく、現状、アウトバウンドがどの程度見込まれるかも未知ではありますが、感染者ゼロの本県を初め北東北は、海外旅行者が安心して旅を楽しめる地域でもあります。
 台湾の観光関係者も、本県を注目し、有力な旅行先と見なしていると伺っています。したがって、台湾からの定期便の早期再開を国及び航空会社に要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 リモートワークの普及について。
 新型コロナウイルス感染症対応として、岩手県庁においても暫定的にリモートワークを行ったとのことでありますが、どう総括しておりますでしょうか。また、庁外から県のネットワークにリモート接続できる職員数を拡大させる方向とのことですが、働き方改革、行財政改革に沿った導入手法について具体的に伺います。
 電子決裁システムの導入と判こ行政の転換について。
 平成12年度に策定した岩手県行政情報化推進計画において構築が決定され、平成17年度より試行を開始した電子決裁システムは、おおよそ2年の稼働の後、システムが停止されたとのことであります。リモートワークの普及と電子決裁は相通ずるところがあり、一体化した運用が必要と考えます。
 また、民間会社間の契約において押印の必要があり、代表取締役が緊急事態宣言発動中も電車に乗って出社せざるを得ない事例が報道されておりましたが、岩手県庁においてリモートワークを進めるためには、電子決裁の導入に加え、県が作成する文書について押印を不要とする等の対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 移住、定住の促進の取り組みについて。
 先週発表された経済財政運営と改革の基本方針2020骨子案では、東京一極集中型から多核連携型の国づくりへとの方針が示されました。
 先ごろ行われた、新型コロナウイルス感染症の影響で生活や行動に関する意識がどう変化をしたかを問うた内閣府の意識調査によれば、コロナ禍でテレワークを経験した就業者の割合は34.6%、東京都23区では55.5%に上るとの調査結果でした。また、地方移住の関心が高まった割合は15%、特に都市部の若者にそうした傾向が強いことも判明いたしました。
 首都機能移転や地方分権の議論はとうに霧散し、声高に喧伝された地方創生も、どうやら東京都ひとり勝ちの潮流に抗うことはできず、令和の世も、相も変わらぬ東京一極化は、国家のあり方としてのBCP―事業継続計画の検討を忌避しているとしか受けとめざるを得ません。リーマンショックを優に超えるコロナ経済危機で、人材の流動化が進行し、働き方改革、ワーケーションやテレワーク、5Gなどのキーワードを下地として、地方移住、定住に一層関心が寄せられるチャンスが到来したとも言えるのではないでしょうか。
 コロナ禍を奇貨として、従来以上に政策に積極的に反映されるものと期待するのですが、今後の取り組みについて具体的に問います。
 環境政策について。
 岩手県地球温暖化対策実行計画策定の進捗状況について伺います。
 6月17日時点で2050年二酸化炭素排出ゼロを表明した自治体は18都道府県、47市1特別区26町9村であります。本県も昨年11月に達増知事が英断をもって表明したことを大変評価するわけですが、こうした積極姿勢も踏まえた岩手県地球温暖化対策実行計画を年度内に策定することとしております。
 30年後のゼロカーボン岩手に向けた次のタームは大変重要なものとなりますが、策定に係る進捗状況と盛り込まれる中身の特色についてお知らせ願います。
 気候非常事態宣言について。
 先ごろシベリアで北極圏における観測史上最高の38度Cの気温を記録いたしました。地球温暖化により永久凍土が解け、眠っていた未知の病原菌が覚醒する可能性があるとの指摘は、新型コロナウイルスの世界的蔓延も相まって、危機意識が一層増幅されるのであります。
 例を挙げるまでもなく、近年、気候変動が原因と推測される災害の大規模化が顕著であり、既にことしも九州北部地域は50年に1度と言われる記録的大雨に見舞われております。
 今、気候非常事態宣言を発する自治体は急増し、例えば長野県や神奈川県、大阪市においても、これを掲げております。2019年度版の農業白書から引けば、昨年の台風や豪雨など自然災害による農林水産関連の被害額は4、883億円と、東日本大震災時を除き、過去10年で2番目の大きさとなっており、頻発する大規模自然災害の要因が異常気象であることに、県も異論はないと思われます。
 ゼロカーボンと気候非常事態宣言は表裏一体、ワンセットであって、県民の啓発に大いに機能を発揮するはずです。本県の対応をお示しください。
 再生可能エネルギー100%を目指す取り組みについて。
 昨年6月の定例会一般質問で取り上げたRenewable Energy100%、いわゆるRE100は、企業みずからの事業の使用電力を100%再生エネルギーで賄うことを目指す取り組みのことですが、この6月現在、世界で241社が加盟、うち34社が日本企業で、ソニー株式会社やイオン株式会社、アスクル株式会社といった名立たる広い業種の大企業が名を連ねています。また、RE100大学としては、千葉商科大学が宣言をしています。
 グリーン購入ネットワークなど環境関連の4団体は、昨年秋、2050年までに使用電力の再生可能エネルギー化100%を目指す再エネ100宣言 RE Actionを発足いたしました。国際的枠組みのRE100イニシアチブが大企業を対象にしているのに対し、再エネ100宣言 RE Actionは、自治体、教育、医療機関、消費電力量10ギガワットアワー未満の企業等を対象としており、今や国や政府の緩慢な対応にしびれを切らし、こうした民間からの動きが加速しております。
 ちなみに、福島県では、原発事故の影響もあり、2040年をめどに再生可能エネルギー100%を目指すという高い目標数値を2012年の段階で掲げています。
 このような状況で、本県においても再生可能エネルギー100%を目指す取り組みを推進していくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 日本型直接支払制度について。
 昨年度から多面的機能支払交付金の長寿命化に係る活動について、工事の上限額が設定され、1件当たり200万円未満となりました。これにより活動計画への影響が懸念され、農地の保全を進める団体の不満は大きくなっています。
 全国ではこの上限を引き上げている自治体もありますが、各地の状況をお知らせいただくとともに、実態をどう捉え、どう見直しを進めていくのか、県の方針をお示しください。
 医療政策について。
 新型コロナウイルス感染症感染リスクによる医療機関の減収の状況について。
 新型コロナウイルス感染症感染リスクをおそれて病院への受診を控える傾向や、緊急ではない手術の延期により医療機関が減収傾向にあることが指摘されています。
 本県の現状はどうなっているのか、また、支援を検討しているのか、手術等をもとに戻すことをどう考えるか伺います。
 不妊治療の遅延について。
 令和2年4月7日付で日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会の3学会の見解を受け、国では、特定不妊治療を受けている夫婦が治療の延期等を余儀なくされることを想定し、新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合の助成対象を、時限的に年齢要件や通算回数をそれぞれ1歳引き上げられました。治療される方は比較的高齢で、限られた機会を一度でも逸することは、精神的にも非常に負担が大きいと容易に推測できます。
 現状で不妊治療は正常に戻っているのか、支援ニーズをどう把握されているのか。妊産婦への支援策は第3号補正予算に計上されておりますが、妊娠を望む方への支援について、その対応を伺います。
 さい帯血移植、さい帯血バンクの周知と体制整備について。
 さい帯血とは、さい帯―へその緒と胎盤の中に含まれる血液のことでありますが、公的さい帯血バンクは全国に6カ所あり、約9、000本のさい帯血が保存され、第三者のために主に白血病などの治療に活用されています。
 一方、民間バンク、いわゆるさい帯血プライベートバンクによるさい帯血保存は、赤ちゃん本人やその御家族を対象に、再生医療や細胞治療に用いられ、既に5.5万人の保管実績がありますが、県内で採取できる産科は岩手医科大学等4民間機関とのことであります。
 再生医療の進展により、赤ちゃんの将来のためにさい帯血を保存しようという傾向が顕著になっており、全国的には公立病院で採取している実績もあります。
 県立病院の産科でこうした対応が必要になってくるのは時代の要請であり、翻ってみるならば本県医療の向上にもつながるものと考えますが、いかがでしょうか。
 子宮頸がん検診の受診とHPVワクチン接種について。
 7カ月ほど前の話でありますが、岩手県医師会幹部の先生方と懇談する機会があり、同席された産婦人科医師からの提言をもとに、本県の子宮頸がん検診と小学校6年生から高校1年生までを対象とした計3回のHPVワクチン接種の状況について伺います。
 ワクチン接種の副反応問題により国が積極的接種勧奨を差し控えてから6年余りが経過いたしましたが、昨今は接種を勧められる医学的エビデンスもかなり蓄積されてきております。
 実施主体である市町村が必要な対策を進めるよう県も積極的にかかわるべきであり、対象者や親世代が判断できる情報を提供する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 ギャンブル等依存症対策について。
 日本医療研究開発機構の平成29年度の調査結果によれば、国内のギャンブル等依存が疑われる者の割合は、成人の0.8%と推計されています。人口約123万人、成人人口約100万人の本県に照らし合わせれば、およそ8、000人と推計できます。
 平成30年10月に施行されたギャンブル等依存症対策基本法に基づき、国が平成31年4月に策定したギャンブル等依存症対策推進基本計画では、都道府県における対策推進計画の速やかな策定が示されていますが、本県の計画策定状況はどうなっているのか。また、相談拠点、治療拠点の早期整備、包括的な連携協力体制の構築も盛り込まれておりますが、どう進めていくのか伺います。
 リノベーションまちづくりについて。
 花巻市においては、3年にわたりリノベーションスクール@花巻を開催しておりますが、毎回、特に若い世代の関心も非常に高く、まちづくりの要諦として、その成果は相当にあらわれ、スクール関係者の店舗は若年層に訴求し、半径200メートルのエリア内の価値を高め、大いに集客力を示しています。
 リノベーションまちづくりは、御存じ、紫波町の取り組みを筆頭に、盛岡市、釜石市など徐々に伝播しつつあり、地域おこし協力隊による空き家活用の事例も見られますが、まだまだ県内各地でも温度差があるというのが実感です。
 以前、岩手県公会堂で開催されていた県主催のいわてリノベーションシンポジウムは、行政と民間の公民連携を進め、関心層の体温を温めるのに非常に有効だったと記憶しておりますが、県はここ2年ほど主体的、積極的には取り組んでいないことに疑問を持ちます。
 さきの質問でも述べましたが、人材流動化が進み、リモートワークの浸透など地方に目が向けられるであろうウィズコロナ、アフターコロナ時代の政策に大いにかかわりがあるリノベーションまちづくりに対する県の理解と施策はどうなっているか伺います。
 最後、教育政策についてでございます。
 生徒へのケアについて。
 コロナ禍はスポーツにも大きな影響を及ぼしております。全国中学校総合体育大会、高等学校総合体育大会が中止となり、県中学校総合体育大会、高等学校総合体育大会の代替大会も開催できないことに至った経緯は、教育現場の先生方もじくじたる思いがあったと推察いたします。
 何よりも、青春をかけ競技に打ち込み、急に目標を喪失した最終学年生徒は大変多くいて、将来への展望が見出せず無気力になった生徒もいるやに聞き及びます。私の同級生の高校3年生の娘さんは、県内トップクラスのバドミントンの有力選手で、上位大会で優秀な成績をおさめて関東の強豪大学への進学を目標としていたものの、高等学校総合体育大会の中止によって志がついえ、競技を完全にやめ、仙台の専門学校に行くことに決めたと耳にいたしました。
 こうした事例は枚挙にいとまがないほどで、10月に予定されていたかごしま国体・大会までもが中止するに至っては、大変ふびんで、安易に励ましの声もかけられないほどであります。このような生徒に対して学校はどういうケアをしているのか伺います。
 進学、就職への影響回避について。
 優秀な成績をおさめての進学や就職がかなわず、セレクションさえ受けられない状況は、何とか知恵をもって解消できるのではないかと考えます。生徒たちの可能性が純粋に評価されるべく大学や民間との協議を進めていくべきと考えますが、対応策について伺います。
 来年度の県中学校総合体育大会、県高等学校総合体育大会開催に向けた取り組みについて。
 ことしのように県中学校総合体育大会、県高等学校総合体育大会が中止になっては絶対いけません。さまざま制約はあっても、新しい生活様式を守る中で、今から段階に応じたマニュアルを作成し、関係者、父母等も観戦応援できる形で必ず開催できるように取り組むべきです。少なくとも県中学校総合体育大会、県高等学校総合体育大会は、岩手県は必ず実施できると考えます。
 来年の開催に向けて、県教育委員会としてどのような考えで取り組んでいくか伺います。
 情報モラル教育について。
 ソーシャルネットワークサービスの普及によって、裏づけのない情報を安易に流布したり、いじめなど人格を傷つけ、最悪、人を死にまで追い込むような大変悲しく憂慮すべき事例が多く発生しています。
 誰が言っているのか、出典はあるのか、いつ発信されたか、リプライ欄―返信欄にどんな意見があるか、たたき―攻撃が目的ではないか、まずは一旦保留しよう。公的情報は確認したか。これらの頭文字をとって、だしいりたまごと言うそうですが、ネット上に無数に存在するフェイクニュースを取捨選択する能力や、こうした基本的なポイントを私たち、そして子供たちは習得しているでしょうか。子供たちの情報モラル教育の現状はどうか、一層改善すべき点はないのか、自戒を込めながら伺います。
 以上をもちまして登壇しての質問を終わります。明快で前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新型インフルエンザ等対策特別措置法についてでありますが、特措法では、国の緊急事態宣言のもと、知事みずからの判断で、都道府県内の感染拡大防止や社会経済維持のために、外出の自粛や休業等の要請、解除ができることとされています。
 一方、国の新型コロナウイルス感染症対策本部において決定している新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針では、知事が休業の要請等を実施しようとする場合には、国への事前協議が必要とされています。
 基本的対処方針が法律上の規定を上回るような手続を求めていることから、議員御紹介のとおり、国と都道府県の間で運用上の疑義が生じており、改善の余地があると考えます。
 6月4日に開催された全国知事会議において、これまでの感染拡大防止対応を検証し、次の波に備える有効な検査体制、医療提供体制を早期に構築するため、全国知事会の新型コロナウイルス緊急対策本部のもとに、新型コロナウイルス対策検証・戦略ワーキングチームが設置されたところであります。
 このワーキングチームでは、特措法に基づく外出自粛、休業要請等の運用基準や法的な枠組みのあり方等についても検討を行うこととしており、私もワーキングチームに参加し、全国知事会を通じて国に提言をしてまいります。
 次に、基本的対処方針における基本目標の発信についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県では、感染者ゼロを目指すことではなく、感染観察都道府県を維持することを基本的対処方針において目標に設定しています。
 感染を防止するためには、密閉、密集、密接の三つの密を避け、マスクの着用や丁寧な手洗いを励行するなど、基本的な感染対策を行っていただくことが重要であります。現在も感染者ゼロの状況にあることから、本県での感染者第1号になりたくないという思いが適切な感染対策に結びついているとも思われますが、一方、検査や受診を控えることや来県者等への心ない言動等につながることは好ましくないと考えています。
 今後においても、県民の皆様が、医療関係者や県民生活に不可欠なサービスの提供に従事する方々への感謝の気持ちと、その家族に対する思いやりを持って対応し、来県者等とも連携、協力していくことができるよう発信してまいります。
 次に、再生可能エネルギー100%を目指す取り組みについてでありますが、脱炭素社会の実現に向けて、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーによる電力自給率100%を目指す取り組みは極めて重要であります。県といたしましては、まずは、いわて県民計画(2019~2028)の政策推進プランに掲げる令和4年度の再生可能エネルギーによる電力自給率37%の達成に向け、着実に取り組みを推進してまいります。
 雫石町や葛巻町など、再生可能エネルギーによる電力自給率が100%以上であることを公表している自治体もあり、こうした取り組みが、地域や事業者等の自主的な取り組みとして広がっていくことは、パリ協定の目標達成に地域から貢献する観点からも重要です。
 県といたしましては、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにおける再生可能エネルギーの供給力拡大への取り組みや、温暖化防止いわて県民会議による再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー対策の推進に向けた機運醸成の取り組みなどを通じて、引き続き、電力自給率を向上させてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼環境生活部長藤澤敦子君登壇〕
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) 次期岩手県地球温暖化対策実行計画の策定の進捗状況についてでありますが、2030年度を目標とする次期岩手県地球温暖化対策実行計画については、今月、環境審議会に諮問し、現在、環境審議会大気部会において御審議をいただいているところであり、今後、住民説明会やパブリックコメントを通じて、県民の皆様からの意見聴取を行った上で、今年度末に策定する予定としております。
 計画の策定に当たりましては、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据え、積極的な目標と実効性ある施策を検討するとともに、省エネルギー対策の一層の推進や本県の高いポテンシャルを生かした再生可能エネルギーの導入促進、森林吸収源対策など脱炭素社会の実現に向けた具体的な取り組みを検討してまいります。
 次に、気候非常事態宣言についてでありますが、気候非常事態宣言は、地球温暖化などの気候変動を人類にとっての非常事態として捉え、具体的な対策に取り組むことを宣言する世界的な運動であると承知しております。
 県が見据える温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロは、パリ協定の目標達成に地域から貢献するため、温室効果ガスの排出削減に向けた県としてのメッセージであり、気候変動対策について、国を上回る削減目標を掲げ、温室効果ガス排出削減に向けた具体的な取り組みを進めていこうとするものであります。
 気候非常事態宣言には、各自治体が取り組む地球温暖化対策が記載されているものがほとんどで、その内容については、本県の場合、次期岩手県地球温暖化対策実行計画の策定に向けて作業中であり、さきに出された請願も踏まえ検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) まず、新型コロナウイルス感染症に係る本県財政への影響についてでありますが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、国の財源措置を最大限活用することで、これまで3次にわたる補正予算における事業費計868億8、000万円余に対しまして、財政調整基金の取り崩しは約5億8、000万円となっております。
 また、税収につきましては、5月末までの調定額が前年度比11億4、000万円、率にして3.3%の減となっているところでございます。このうち法人事業税は前年度比7億2、000万円、率にして15.5%の減となっており、特に3月決算法人の申告月である5月は、1カ月間で22.2%の減となっていることから、今後の動向について注視をしていく必要があると考えております。
 次に、県庁におけるリモートワークについてでありますが、職員の感染拡大防止と業務継続体制を構築するため、4月30日から5月15日まで全庁で在宅勤務を導入したところでございます。
 職員からは、通勤時における負担の軽減、感染拡大防止につながったことなどの評価があった一方、県のネットワークへの接続制限により在宅で実施できる業務が限定されたことなどの意見もあり、今後に向けた課題を把握できたものと認識しております。
 こうした課題を踏まえ、県のネットワークに接続できるリモート接続数の拡充やノート型パソコンの整備、業務の効率化に向けたテレビ会議システムの充実などの取り組みを進めているところでございます。
 リモートワークは、感染症の拡大防止はもとより、効率的な業務遂行や多様な働き方を推進していく上で効果的な取り組みであると認識しており、今月に立ち上げました働き方改革推進会議等を活用し、今後も機能的で柔軟な働き方ができる勤務環境の整備に取り組んでまいります。
 次に、電子決裁システムの導入等についてでございますが、電子決裁は、働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、リモートワークの推進に資するものであり、積極的にその導入を推進していくべきものと考えております。
 また、文書への押印についてですが、現在、国において行政手続における書面規制や押印等の抜本的な見直しが議論されておりまして、県においても、こうした見直しを行う必要があると認識しております。
 また、行政事務における決裁は、申請の受け付け、意思決定、許可といった一連の業務プロセスの一部にすぎず、業務プロセス全体の見直しと電子化、押印の見直しをセットで進めてこそ、迅速、正確な業務の処理、ひいては行政文書の確実な保存及び管理につながるものであると考えております。
 県におきましては、先ほども申し上げましたけれども、今月に働き方改革推進会議を立ち上げたところでございまして、その中でリモートワークの推進や電子決裁システムの導入、押印の見直しについて検討してまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、みちのく岩手観光立県基本計画の見直しについてでありますが、同計画につきましては、みちのく岩手観光立県基本条例第10条に基づき、平成31年3月に第3期基本計画を策定したところでありますが、目指す姿や基本施策には揺るぎはなく、地域経済に好循環をもたらす総合産業としての観光産業の振興による観光立県の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
 あわせまして、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、県内誘客から国内広域の誘客、さらにはインバウンド誘客まで、段階的な取り組みの工程を策定する必要はあるものと考えておりまして、早期に策定の上、市町村や観光事業者と共有してまいります。
 次に、観光施策の展開についてでありますが、市町村と共同で実施している地元の宿応援割のほか、7月からは、広く県民を対象とした割引クーポンの発行をスタートさせ、県内流動を促進することとしており、さらには、本県及び東北各県等で構成する一般社団法人東北観光推進機構が実施する東北・新潟応援!絆キャンペーンと連携し、東北全域からの誘客にも取り組んでまいります。
 また、本県がデスティネーションとして選択されるよう、二つの世界遺産、二つの国立公園を初め、復興のシンボルである三陸鉄道、世界に誇る岩手の食などの観光コンテンツや県内外のお客様に対するおもてなしなどを磨き上げてまいります。
 さらに、Go To トラベルキャンペーンは、新聞報道等によりますと、国土交通大臣が来春まで継続する意向を示しているとのことであり、このキャンペーンを活用しながら、県としての東北デスティネーションキャンペーンに向けたプレキャンペーンを展開してまいります。
 こうした取り組みを進めまして、いわての新しい観光を県内外の皆さんと共有し、来春に予定されている東北デスティネーションキャンペーンや東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を生かしたインバウンド誘客までつなげてまいります。
 次に、移住、定住促進の取り組みについてでありますが、議員御指摘の内閣府調査によりますと、テレワーク経験者ほど、地方移住への関心が高くなったと回答した割合が高くなっているため、今後、若い世代を中心に人材が流動化し、地方への新しい人の流れができていくことを期待しているところであります。
 テレワークやワーケーションなど新しい働き方に対応して移住、定住を促進するためには、いわゆる5G―第5世代移動通信システムを含めた情報基盤の整備が重要と考えておりまして、県といたしましては、市町村や通信事業者等に、光ファイバーを初めとする情報通信基盤に係る国の支援制度の活用を働きかけながら、整備を促進してまいります。
 また、移住を希望する方々には、従来から取り組んできた岩手の暮らしに関する情報発信や移住体験ツアー、岩手版ワーキングホリデー等に加え、本年3月に開設いたしました県の就職情報マッチングサイトにおいてテレワーク等を実践する県内企業を紹介いたしますほか、新しい働き方に対応したコワーキングスペースやシェアオフィスなどの情報発信を強化し、本県への移住、定住を促進してまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、岩手県保健医療計画及び岩手県地域医療構想の見直しについてでありますが、保健医療計画は、岩手県感染症予防計画等と整合をとりながら、感染症病床及び医療体制について定めており、また、地域医療構想は、保健医療計画の一部として、一般病床及び療養病床を対象に、病床機能の方向性について定めているものであります。
 国では、保健医療計画及び地域医療構想について、感染症対策も含めた弾力性のある医療提供体制の構築が必要であり、地方自治体と連携して検討を進めていくこととしているところであります。
 県におきましても、今後、医療提供体制を構築していくに当たり、感染症への対応も課題となるものと認識しており、引き続き、国の動向を注視しつつ、感染症対応も含めた地域医療のあり方について検討を行ってまいります。
 次に、大規模抗体検査の実施についてでありますが、抗体検査は、過去の感染の状況を確認できるという特徴があり、今般の国の調査は、国内でどのくらいの方が罹患していたのかを調べることにより、今後のワクチン接種等の感染症対策に資するため実施されたものと承知しています。
 約8、000人に対して検査をした結果、抗体を保有していると判定された方が8人であったこと、また、議員御紹介のとおり、県内の医療関係者1、000人を対象とした調査では、抗体保有者が確認されなかったことから、いまだ感染者が確認されていない岩手県において感染状況を評価するためには、さらに大きな母集団が必要になると見込まれます。
 先般実施した岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会では、抗体検査の有用性等について、当面、国の判断を待つこととされたところであり、今後の国の動向を注視してまいります。
 次に、医療機関の減収の状況についてでありますが、岩手県保険医協会が実施した調査では、県内開業医のうち、医科の83%、歯科の58%において、4月の保険診療収入が前年よりも減少したと答えています。
 また、県立病院の5月末累計の医業収益は、前年同期と比較して約11億8、000万円の減収となるなど、県内の多くの医療機関において経営状況が悪化していると認識しています。
 国では、こうした医療機関の経営悪化の状況を踏まえ、無利子無担保融資の充実などの対策を講じています。県においては、院内感染対策や陽性患者を受け入れる医療機関における空床確保などに対する支援を進めているところであります。
 こうした中、医療機関において延期していた検査や手術等については、感染のリスクを判断し、感染防止対策を講じた上で再開されていくものと考えております。
 医療機関に対するさらなる経営支援策について、引き続き、全国知事会等の機会を捉えて国に対して要請を行ってまいります。
 次に、不妊治療についてでありますが、日本産科婦人科学会等3学会から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、治療延期可能なものは延期すること、患者ごとに状況を説明の上、安心、安全な医療を提供するよう配慮することとの見解が示されたことを受け、国では、特定不妊治療を延期した場合の助成対象年齢及び助成回数等に係る特例措置を設けたところであります。
 特定不妊治療の助成申請は治療後となるため、現時点では助成件数の変化を把握することが難しいところでありますが、県内医療機関では、治療の延期を勧奨しておらず、通常どおり診察を行っていると聞いております。
 県では、治療は一律に延期されるものではなく、感染症の発生状況や患者の治療ステージ等を考慮した上で個別に検討されるべきものと考えており、引き続き、治療状況の把握に努めるとともに、妊娠を望む方が特例措置の趣旨について正しく理解し、適切な治療を受けられるよう、岩手県不妊専門相談センター等を通じて支援してまいります。
 次に、さい帯血移植及びさい帯血バンクの周知等についてでありますが、さい帯血移植は、白血病など血液疾患の有効な治療法の一つであり、国の許可を受けたさい帯血バンクは、さい帯血の安全性及び品質の確保と安定供給を図る上で重要な役割を担っています。
 こうした公的バンク以外にも、議員御紹介の、万が一の病気に備えて個人が保管費用を負担してさい帯血を預ける民間のバンクがあり、再生医療などへの活用も期待されているところであります。
 国内では、民間バンク2社が国に届け出ていますが、国からは、契約内容を確認の上、その利用については、個人の意思と協力医療機関の判断で慎重に行われるよう周知されているところであり、県といたしましては、まずは国との役割分担のもと、公的バンクを通じたさい帯血移植や骨髄移植などの造血幹細胞移植への理解が深まるよう普及啓発に努めていく考えであります。
 次に、子宮頸がんワクチンについてでありますが、直近の平成28年度の国民生活基礎調査によりますと、本県における子宮頸がん検診の受検率は年々増加し46.4%となっております。
 また、県内の子宮頸がんワクチンの接種については、3回とも接種した対象者は、平成30年度が34人、令和元年度が86人と低い状況になっております。これは、副反応の発生状況を踏まえ、希望者のみに接種するという国の方針が反映されているものと認識しています。
 県としては、県民がワクチンの意義や効果、接種後起こり得る症状の二つの側面について正しく理解した上で、接種の実施をみずから選択し、接種を希望する方が、その機会を逃さないようすることが重要と考えています。このため、引き続き市町村、医療機関等とも連携しながら、国のリーフレットの活用などにより、県民に対し適切な情報提供に努めてまいります。
 次に、ギャンブル等依存症対策についてでありますが、本県の推進計画については、早期策定による着実な取り組みの推進を図るため、今年度中の策定を目指し、現在作業を進めております。
 また、個々の状況に応じた適切な支援につなげる相談拠点や治療拠点の整備については、今年度中に、県精神保健福祉センターを相談拠点に位置づける方向で調整を進めているほか、治療拠点となる専門医療機関の選定に向け、現在、県内精神科病院の診療体制や実績等について調査しているところであります。
 さらに、今年度、新たに包括的な連携協力体制として、医療、福祉、司法、事業者等の各分野の関係機関、団体等で構成する協議会を設置することとしており、関係団体等との緊密な連携のもと計画策定を進め、ギャンブル等依存症に伴う多重債務や貧困などの問題を含めた本県の対策を総合的に推進してまいります。
   〔ふるさと振興部長佐々木淳君登壇〕
〇ふるさと振興部長(佐々木淳君) 台北便の再開の見通しについてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、台北便は3月4日から運休しており、今後、航空会社が渡航規制の状況等を見きわめながら運航再開を判断していくものと捉えています。
 現在、その渡航規制により現地訪問は困難な状況でありますことから、航空会社に対し、直接、知事からの手紙により、本県における感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた取り組みを紹介しながら、日本国内でもいち早くいわて花巻空港への運航再開を要請しているところであります。また、現地コーディネーターと連携し、現地での働きかけも行っております。
 国におきましては、現在、一部地域においてビジネス上必要な人材等の往来を可能とする仕組みを試行することとしており、新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、国への必要な要請などを検討してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 多面的機能支払交付金における長寿命化活動に係る工事の上限額についてでありますが、令和元年度は、九つの県において、他の国庫補助事業の要件を満たさず、緊急性が高いと認められる場合など、一定の条件を付して上限額を引き上げていると承知しております。
 県ではこれまで、上限額を国の原則どおり200万円未満としてきましたが、ことし4月、全市町村へ要望調査を行うとともに、複数市町村において現地調査を実施した結果、幅や高さが比較的小さな水路でありながら、延長が長く、改修するとした場合、上限額を超える施設が多数存在することが確認されたところであります。
 このため、今後さらに、他県の状況や県内各地の実情の把握に努めながら、制度本来の目的に沿う小規模な施設の改修などについて、上限額の見直しの必要性も含めて検討を進めていきたいと考えております。
   〔県土整備部長中平善伸君登壇〕
〇県土整備部長(中平善伸君) リノベーションまちづくりについてでありますが、活用されていない住宅や建築物を改修し、新たな用途や機能を与えることによりまちの魅力を高めていくリノベーションまちづくりは、特に、若い世代に関心を持ってもらえることが期待されるなど、地域を活性化する重要な取り組みと認識しております。
 県では、平成27年度からリノベーションまちづくりにかかわる人材の育成や機運醸成のためのセミナー等を開催し、花巻市において、独自の人材育成の取り組みにつながるなど、一定の成果が上がったと考えております。
 一方で、リノベーションまちづくりは、議員御指摘のとおり、一部の地域にとどまっていることから、今年度は新たな取り組みを行うこととしておりまして、その内容は、二戸市金田一温泉センターにおける官民連携の取り組みや紫波町日詰地区における若者が中心となった人をつなぐ拠点づくりなど、具体的なまちづくりの取り組みを全県に水平展開する場を設けるものでありまして、このような取り組みを通じて、引き続きリノベーションまちづくりの普及に努めてまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、中総体及び高総体については、生徒が活躍できる機会を設けようと、各連盟や専門部等で代替大会等を実施または検討しているところであり、県教育委員会でも代替大会等の支援をしているところです。
 また、生徒へのケアについては、大会に参加できない生徒を含め全ての生徒に対して、情報提供や面談等を通して、個々の生徒が進路目標の実現に向けて前向きに取り組めるよう、適切に助言、指導を行っていきます。
 次に、進学、就職への影響回避についてでありますが、文部科学省は、大会の中止や延期等により、令和3年度大学入学者選抜において生徒が不利益をこうむることがないよう、多面的、総合的に評価するよう通知をしており、このことを各県立学校にも周知したところです。
 就職への影響回避については、文部科学省及び厚生労働省が、採用選考開始期日を現行の9月16日から10月16日へと変更したことから、より生徒の希望、適性に合った就職を実現させるために、企業研究や職場見学等を含む就職準備期間を確保することとしています。
 また、県教育委員会としては、全国都道府県教育長協議会を通して、部活動の各種大会等が中止されていることにより、高校生の進学や就職において生徒が不利益を受けることがないよう、国に対して要望しているところです。
 今後におきましても、高校生の進学や就職に向けては、国や関係機関等の動向を注視するとともに、情報の把握に努め、生徒に対し、きめ細かな指導を進めていく考えです。
 次に、来年度の県中学校総合体育大会、県高等学校総合体育大会開催に向けてでありますが、大会の開催は、地域の感染状況や感染リスクへの対応等を確認し、生徒の健康、安全面を最優先に考え、慎重に検討した上で決定されるものと考えます。
 開催に当たっては、基本的な感染対策の実施に加え、各競技団体が競技特性等を踏まえて策定した感染予防ガイドラインに基づき、主催者である県中体連及び県高体連が、生徒の健康、安全の確保を徹底することが必要であり、また、生徒一人一人の日常における健康管理や基本的感染対策の継続が必要であると認識しています。
 県教育委員会といたしましては、各学校の感染防止対策の推進を図るとともに、県中学校体育連盟及び県高等学校体育連盟と連携し、安全、安心に参加できる大会の開催に向けて支援をしてまいります。
 次に、情報モラル教育についてでありますが、情報モラル教育は、全ての校種において、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達の段階を考慮しながら教科等の学習内容として指導を行っているところです。例えば、特別の教科道徳においては、メールと会話の違いを理解し、メールなどが相手に与える影響について考えるなど、インターネット等に起因する心のすれ違いなどを題材とした学習をしているところです。
 加えて、県教育委員会では、昨年度から3年計画により、小中学校、高校、全学校悉皆の研修として、教員を対象とした情報モラル教育の授業づくり研修会を実施し、各校の情報モラル教育の中核的な役割を担う教員の資質向上を図っているところです。
 また、各学校等の要請に応じ、岩手県立総合教育センターにおいて、情報モラルに係る出前研修を実施しており、令和元年度は、児童生徒、教職員、保護者で合計9、600余人が受講しています。
 今後も、児童生徒の実情や発達段階に応じて、情報モラル教育のさらなる充実を図るとともに、情報モラルに関するトラブル等の未然防止や適切な対処が図られるよう、各関係機関との連携を一層強化し、各学校の支援に取り組んでまいります。
〇20番(名須川晋君) 御答弁ありがとうございました。前向きな御答弁も若干いただいたと思いますけれども、まず、環境について知事にお伺いいたします。
 2050年までの二酸化炭素排出ゼロという宣言をしていただきまして、やはりこの岩手の環境大国というところでは、この宣言が必要だったろうと思っております。同じく、先ほど企画理事兼環境生活部長の御答弁で、気候非常事態宣言も、今度、次期岩手県地球温暖化対策実行計画の中で検討していくというニュアンスで受けとめました。
 その中にこの気候非常事態宣言を入れ込むお考えなのか、その辺の確認を、そして、REアクションは、RE100よりも小さい単位でできるということですから、これまでも御提案していたのですが、例えば広域振興局単位とか、あるいは県の施設単位での再生可能エネルギー100%導入というところで一つのモデル的なものを指定して、発信することで、岩手の環境先進県を訴えられるものだと思うのですけれども、達増知事に、その辺のお考えをお伺いさせていただきます。
 また、さい帯血プライベートバンクですけれども、これは消極的というか、今のところはやらないということですが、これは結局、県内でも公立病院の産科で生まれている赤ちゃんがかなり多いわけで、そうすると、さい帯血を保存しないということは、民間で産んでくださいと。公立病院の産科で産む方は、そういう選択肢はないということになろうかと思いますけれども、これはどういうところが課題になってくるのか。技術でもないと思いますし、人員的なものなのか、あるいはこの技術に対しての猜疑心があるのか、その辺の本音、実情をお知らせください。
 また、もう一点でございますが、農林水産部長にお伺いいたします。直接支払制度ですが、しっかりと現地調査を何カ所かされたということですが、前向きな御答弁のようにも受けとめるわけです。実際、改善までいつまで待てばいいのか、いつごろを見込んでいるのか、その上限を引き上げるというところをもう少し具体的に教えていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 昨年、2050年CO2ゼロ宣言を岩手県として行った際には、世界的な気候変動枠組み条約の会議が非常に危機的状況に陥っており、また、そこへの日本のコミットに関しても、石炭火力の問題など、非常に日本に対する風当たりも強い中、地球気候変動対策を地方から後押しして、日本の政策、さらには世界全体の協力を推し進めるという、非常にタイミングとして今ここというところがあり、岩手県、また県北市町村が名乗りを上げたという背景を感じているところであります。
 非常事態宣言もまた、そのような国際的な情勢と、そして日本の世界からの見られ方、また国内的な議論などの状況の中、岩手県がここで旗を掲げることで、大きく前進させるチャンスがあるというような機会を見ながら検討してまいりたいと考えております。
 そして、RE100につきましては、これは、パリ協定の目標達成にも貢献する重要な取り組みでありまして、これについても同様に取り組んでいきたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) さい帯血バンクについてでございます。県立病院等で出産した方が民間バンクを広く利用することが可能となることは、再生医療など本県医療の向上にも寄与しますし、利用者にとりまして、利便性の向上につながるものと考えております。
 この民間バンクにつきましては、利用者と医療機関が契約して行っていくものでございまして、こういった利用ニーズでありますとか、ハード面の整備、また人材の確保といったものが課題としてあろうと考えております。
 現在、県内では、国に届け出を行って指定されている民間企業と契約し提携している協力医療機関が民間で4施設ございます。こうした施設から運用上の課題等も聞き取りながら、県内への普及などについて研究してまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 上限額の引き上げについてでございますけれども、市町村の実態調査等は全部終えております。実際に引き上げをする場合には、国との協議が必要になるということになっておりまして、材料はほぼそろいつつあります。材料が調い次第、東北農政局と協議を進め、協議が調い次第、上限額を引き上げることを考えております。
 遅くても来年度の当初まで、早ければ今年度中に実現できますように努力したいと思っております。
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時7分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 工 藤 勝 子 君
39  番 中 平   均 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 五日市   王 君
42  番 関 根 敏 伸 君
43  番 佐々木 順 一 君
44  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時28分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木朋和君。
   〔15番佐々木朋和君登壇〕(拍手)

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