令和2年6月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(吉田敬子君) いわて新政会の吉田敬子でございます。
 一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様、そして県民の皆様へ感謝を申し上げます。
 きのうの一般質問と一部重複する部分もありますが、知事初め執行部の皆様の明快な御答弁に御期待申し上げ、以下、通告に従い質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症への緊急事態宣言が5月25日に全面解除され1カ月が経過しました。まずは、かけがえのない命をなくされた皆様に謹んで哀悼の意を示すとともに、現在も闘病されている皆様の早期の御回復を願うものであります。また、医療従事者の皆様の献身的な御尽力、外出や営業自粛を初めとする県民や事業者の皆様の御協力にも、心から感謝を申し上げます。
 今後は、次の感染の波を抑止しつつ、社会経済活動を段階的に引き上げていく新たなステージに入りました。しかし、以前の社会にもとどおりということではなく、新型コロナウイルス感染症を乗り越え新しい時代、いわゆるポストコロナ時代をつくっていくことになります。
 徹底した感染予防と社会経済活動の段階的な再開を両立させるために、まずは、感染者の早期発見、追跡、入院治療を可能とする検査、医療提供体制の構築が重要となります。
 6月19日からステップ2へ移行し、県をまたぐ移動も可能となり、今後さらに人の往来再開も見込まれる中、今後のPCR検査と抗原検査などの新しい検査の活用策、地域外来・検査センターの設置、無症状、軽症者を含めた患者の確実な受け入れ、医療提供体制が現在どこまで整っているのか、今後の見込みについてもお伺いいたします。
 7月10日からステップ3へ、8月以降は観光も可能となります。ステップ2へ移行した6月19日、いわて観光キャンペーン推進協議会で、いわての観光リスタートセレモニーが開催され、いわての新しい観光宣言がなされました。観光業の方からは、県内経済、特に飲食業が盛り上がらないと観光業なんて盛り上がらないとの話もいただいています。
 今後、さらなる支援が必要と考えますが、知事は、県内の宿泊業を初めとする観光関連産業への影響について、どう捉え、今後どのような支援を行っていくのか。また、観光振興は県をまたぐものを含めて徐々にとありますが、新しい観光とは具体的にどのようなものになるのでしょうか、お伺いいたします。
 知事は、先日、国の省庁に対する来年度予算に関する要望提案活動をインターネットを活用してリモートで行われ、新型コロナウイルス感染症対策に正面から向き合うことで、いわて県民計画(2019~2028)の目標や各省庁の政策目的に向かっていけるというビジョンを共有できたとツイッターで発信されました。
 ポストコロナ時代において、いわて県民計画(2019~2028)の中で加速して取り組まなければいけない部分、追加しなくてはいけない部分も出てきたのではないかと思いますが、めり張りをつけて計画を進めるべきではないでしょうか、知事にお伺いいたします。
 この後の質問は降壇して質問席で行います。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔27番吉田敬子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の観光産業等への影響と支援についてでありますが、商工指導団体と連携し実施している経営状況調査によると、直近5月の売り上げについて、前年同月と比較して41%以上の減少と回答した事業者の割合は、宿泊業が95%、飲食業が69%、運輸業が64%となっていました。観光関連産業を中心に大きな影響が生じていると認識しているところであります。
 県では、3年間無利子とするとともに保証料を全額補給する新型コロナウイルス感染症対応資金の貸し付けや、家賃補助など中小企業への支援策に加え、さきの令和2年度第3号補正予算において、感染症対策に必要な設備の整備等への支援や宿泊業者が実施する生産性向上等の取り組みに対する支援金のほか、県内宿泊需要の喚起のための宿泊助成制度を設けたところであります。
 また、いわての新しい観光についてでありますが、まずは、宿泊施設や観光施設等が県内外の観光客とお互いに配慮し合い、一緒に感染症対策に取り組んでいくこと。次に、本県の誇りとする豊かな自然、歴史、文化を初め、おもてなしの心を基本とする受け入れ態勢など、変わらない岩手のよさを磨き上げるとともに、ワーケーションやテレワークなど新たな生活様式に配慮した取り組みを進めていくこと。さらには、県内外の皆様、特に地元や近隣県の皆様にも、これまで以上に楽しんでいただき、高く評価していただけるよう、観光コンテンツや宿泊施設の魅力や価値を一層高め、将来にわたり持続可能な岩手の観光をつくり上げていくものであります。
 次に、県民計画の取り組みについてでありますが、県民計画に掲げるさまざまな取り組みについては、新型コロナウイルス感染症の発生を踏まえ、今後、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立に向けて、臨機に対応することが重要と考えます。
 具体的には、全国的なさらなる感染拡大に備えて医療提供体制の強化を図りながら、タブレット端末等の前倒し整備を生かした学びの改革プロジェクトの展開、テレワークや在宅勤務など多様な働き方の進展による関係人口の創出、拡大や、移住、定住のさらなる推進を通じた東京一極集中の是正などの取り組みを加速していく必要があると考えております。
 このように、本県の新型コロナウイルス感染症対策は、いわて県民計画(2019~2028)と目指す方向を一にするものであり、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向け、進む方向には揺るぎがないことを心にとめながら計画を推進してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) 新型コロナウイルス感染症における医療提供体制についてでありますが、検査体制については、現在5医療圏で設置している地域外来・検査センターを7月中に全ての医療圏において設置する方向で検討を進めているほか、唾液によるPCR検査や抗原検査など、検査体制の充実を図っているところです。
 病床の確保についても、簡易陰圧装置等の整備による感染症対応の病床確保を進めているほか、重点医療機関の設置について検討しているところです。
 また、軽症者等が療養する施設として、県内に1施設85室を確保しており、合計300室の確保に向け調整を進めております。
 6月19日に、国からの事務連絡で、3月、4月の国内流行状況を踏まえた新たな流行シナリオが示されたことから、本県における医療体制について改めて精査し、次なる波に備えた医療体制の充実に努めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 新しい観光の部分についてでありますけれども、知事のおっしゃったとおり、また、私自身も岩手県の自然のよさを伝えるいい機会になればいいなと考える一方で、観光関係者の皆さんは、お客さんに積極的に来てくださいとも来ないでとも言えず、経済回復への期待と感染拡大への不安とのジレンマで揺れているのが現状だと思っております。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大がとまらなければ、IMFでは2021年も世界はゼロ成長になるとも予測されておりまして、国内で新型コロナウイルス感染症を抑え込んでも、世界経済が動かなければ景気回復は難しいとされている中で、私は、やはり行政による手厚い支援がこれからも重要になってくると考えております。
 知事に御確認したいのですけれども、今後、新しい観光を進めていく中で、第2波、第3波が来れば、この観光振興は事実上ストップせざるを得ないような状況になるかと思います。その場合、県内経済の影響を把握し、そして、今後の予測もした上で、補償や支援についてはこれまで以上の対策が必要だと思っていますけれども、今現在でその件に関する認識について確認させてください。
〇知事(達増拓也君) 現在、岩手県の観光につきましては、まず、市町村―これは商工会議所、商工会のエリアとも大体重なるわけでありますけれども、それが、地元に宿泊しよう、地元の観光施設を利用しようということで、それぞれ市町村独自のクーポン券を発行するなど、そこに県も支援をして、まずは身近な市町村サイズ、市町村の観光振興というところを回して、そこからさらにオール岩手、県民が県の中での観光を楽しんでいただくということ。そこからさらに段階的に県境をまたいだ観光も盛り上げていこうということでやっておりますので、世界全体の新型コロナウイルス感染症の蔓延がおさまらず、また日本国内でも一定の感染があったとしても、まず、地元での経済が回っていくことに力を入れていくという基本的な考え方があります。
 その中でも、県内で感染者、検査で陽性という人が出てきたり、さらにそれが広がれば、その直接関係あるところから始まって、そこに近いところについては、観光を含む経済活動についても制限がかかってくる可能性はございます。
 そもそも感染対策と社会経済活動の両立を図っていくに当たって、飲食店の座席数を減らすとか客の数を減らすとか、構造的に収入が下がらざるを得ないような形になる部分もかなりあると見ておりまして、そういったところについては、過去の収益の損失も含めて、これから生じるであろう収益の損失に対しても、公がしっかり補っていく必要があると考えております。
 国、県、市町村それぞれがそこを補う事業を今も行っておりますけれども、足りないのであれば、きちんと追加的な補正予算をお願いしたり事業を加えていくようにしたいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 最後の答弁のとおりだと思います。そこを引き出したかったのです。今後も、必要なところへの支援策をしっかりと財政的なものも含めてやっていかれるということで、ぜひお願いしたいと思っております。
 次に進みたいと思います。子どもを産み育てやすい環境づくりについてお伺いします。
 まず、知事に伺います。仕事と育児の両立の難しさや経済不安で、結婚や出産をためらう人も多いのが現状です。コロナ禍による景気や雇用の情勢悪化が続くと傾向はさらに加速するおそれもあります。
 厚生労働省の人口動態統計によると、昨年の出生数は86万5、000人余りで統計開始以来最少を記録しました。合計特殊出生率も1.36となり、前年から0.06ポイント低下し、岩手県では平成30年の1.41から1.35となりました。今定例会に提出されているいわて子どもプラン(2020~2024)では、令和4年に出生率1.58の目標を掲げていますが、踏み込んだ取り組みをしないと出生率は上がりません。
 公益財団法人1more Baby応援団がことし5月に公表した既婚男女約3、000人の意識調査では、7割が子供を産みやすい国に近づいていないと回答しています。若い世代が将来に展望を描ける岩手県にするためには、家庭、子育てと仕事とを両立しやすい環境であること、経済的な安定が得られる就業、生活環境であること、まちが多くの人にとって住み続けたい、戻ってきたいと思える魅力や文化、環境、支え合いのコミュニティーづくりによる安心感を持っていることが重要ではないかと考えています。
 知事は、岩手県が子供を産み育てやすい県に近づいているとお思いでしょうか。また、その理由はなぜですか。今後の具体策についてもお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、市町村などさまざまな主体と連携し、結婚、出産、子育て支援などの取り組みを進めてきたところであり、令和2年県民意識調査の安心な子育て環境整備の満足度が、平成30年、平成31年調査と比較して上昇しているところであります。
 一方、本県の合計特殊出生率は全国と同様に低下傾向にあり、県では、少子化対策、子育て支援は、将来に関する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であるという認識のもと、これらの課題に対応するため、本定例会に、いわて子どもプラン(2020~2024)の策定について議案を提出しているところであります。
 このプランに基づいて、子供の医療費助成の現物給付の拡大による経済的支援、仕事と子育てを両立するための働き方改革や女性活躍支援を進めるとともに、結婚、出産、子育て等に関する情報を切れ目なく提供し、社会全体で子どもを生み育てやすい環境づくりを推進していくこととしております。
 これらの取り組みに当たりましては、県、市町村、保護者、子供、子育て支援機関等、事業主及び県民の適切な役割分担のもと、相互に連携し、社会全体で県民の結婚、妊娠、出産及び子育てを支え、誰もが子どもを健やかに育みやすいと実感できるいわての実現を目指してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 私が聞き漏らしたのかわからないのですが、知事は子供を産み育てやすい県に近づいているとお思いでしょうか、端的にお答えください。
〇知事(達増拓也君) 県の施策に関する県民意識調査によると満足度は上昇しているところでありますけれども、合計特殊出生率の数字に着目しますとそれは減っているところであり、そのような長短合わせたような思い、そして結果が岩手では出ているということと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 知事御自身の感覚を伺いたかったのですが、若い世代では、未婚、既婚を問わず、平均して2人程度子供を持ちたいと考えているという報告もあります。これは現実と理想に乖離があるということであって、そういう御認識が知事にあるのかどうかというのが私たち県民にとってすごく大事なことですので、調査がこうだから結果がこうではなくて、知事御自身の感覚をぜひ持っていただくことが大事だと思っています。
 私は、これまで出産、育児というのは親の自己責任、個人の問題だと捉えられがちだったのではないかと感じています。知事もおっしゃったように、社会全体で育てていこうという意識も実際広まってはいますが、言葉だけが歩いているのではないかと、当事者の一人としてはそう感じて、まだまだ抜本的な取り組みが必要ではないでしょうか。
 以後は、個別の質問をしながら、また知事にもお伺いしていきたいと思います。
 令和元年12月、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律、いわゆる成育基本法が施行されました。社会的経済的状況にかかわらず安心して次代の社会を担う子どもを産み、育てることができる環境が整備されるように推進することを基本理念としております。この基本理念にのっとって、以下、質問させていただきます。
 まずは、周産期医療体制の充実についてお伺いいたします。
 岩手県は、九つの医療圏に対し、患者搬送や受診動向、医療資源などの観点から平成20年4月に四つの周産期医療圏を設定し医療提供体制を整備しています。国の医療計画の見直し等に関する検討会では、産科関係学会から、医療圏の設定の見直しや周産期母子医療センターの集約化、重点化に関する提言も出ています。
 ことしに入り、岩手県周産期医療協議会の会長でもある岩手医科大学の馬場長先生とも懇談させていただきました。県内の分娩を取り扱う医療機関は年々減少し、ことし5月でまた一つの診療所が減り、周産期医療圏を設定した平成20年の45施設から、現在は25施設にまで減少しました。分娩を取り扱う医療機関が周産期母子医療センターのみである周産期医療圏も存在します。一方で、医学的ハイリスクのみならず、メンタルヘルスなど社会的ハイリスク妊産婦も増加しています。さらには、令和6年度の医師の時間外労働の上限規制、働き方改革の施行にも対応していかなければなりません。
 こうした状況の中、周産期医療圏の設定、集約化、重点化についての今後の考え方についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 周産期医療圏の設定については、県では、これまでも保健医療計画策定の中で、岩手県周産期医療協議会等において協議を進めてきたところでございます。現行の岩手県保健医療計画(2018~2023)策定時においても、周産期医療実態調査を実施し、各周産期医療圏の居住者が圏域内で出産した割合が8割程度と、おおむね圏域内で完結している状況等を踏まえて、現在の四つの周産期医療圏を継続することとしたものであります。
 県としては、次期保健医療計画策定に向け、改めてこの実態調査を実施するとともに、精神疾患を合併した妊産婦等、社会的ハイリスク妊産婦への医療機関の対応について把握を進め、さらには、働き方改革への対応など医師を初めとした医療従事者の勤務環境の改善にも十分配慮しながら、人口動態や医療資源の動向などを踏まえ、中長期的な観点から質の高い周産期医療の提供を進めていくための周産期医療圏のあり方など、医療提供体制の検討を進めていく考えであります。
〇27番(吉田敬子君) これは医療関係者だけではなく、市町村や地域住民などで、より丁寧に、本当に丁寧に進めていく、対応していく必要が私はあると思っていますので、早目早目に着手すべきではないかと、馬場先生からもそのようにお話をいただいておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、産科医の確保対策についてお伺いいたします。
 本年3月に岩手県医師確保計画が策定されました。県では、即戦力医師の招聘や奨学金医師養成などにより産科医確保に取り組まれ、平成30年度からは、産科を選択した奨学金養成医師の配置特例を設け、今年度からは、地域枠養成医師を対象に、岩手医科大学附属病院の総合周産期母子医療センターでの専門研修期間の一部を義務履行として認めることとし、また、医療局奨学金にも産科の特別枠を設定するなど、総合的な施策の展開に大変努力されていることに敬意を表したいと思います。
 一方で、岩手県周産期医療協議会などでは、産科医の確保は小児科、麻酔科もセットでなくてはならないとの御指摘もあります。今回の岩手県医師確保計画の中では、令和5年度までに23名の産科医師確保の目標を掲げていますが、前述の視点は考慮されているのでしょうか。また、目標達成のための追加施策について、あわせてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 産科医等の確保のための施策についてであります。
 周産期医療提供に当たっての小児科医及び麻酔科医の必要性につきましては、岩手県医師確保計画の上位計画である岩手県保健医療計画に盛り込んでおり、小児科医については、岩手県医師確保計画においても、令和5年度までに22人を確保する目標を掲げ、取り組んでいるところであります。
 また、奨学金養成医師について、専門的スキルの維持、向上のための研修期間を設けるなど、義務履行とキャリア形成の両立を支援することにより、麻酔科を含む全ての診療科の医師確保、定着に努めております。
 産科医、小児科医確保のための新たな取り組みとしては、議員から御紹介いただきました義務履行の特例措置や医師奨学資金の新たな特別枠の設定を行ったほか、岩手医科大学への寄附講座の設置により、障がい児・者医療に従事する小児科医等の育成及び確保を進めることとしており、これらの取り組みにより目標の達成を目指してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 県は、今回の岩手県医師確保計画の中で、計画期間内に医師数の大幅な増加を図ることが困難であることから、現在の診療体制を維持するために必要な医師数を確保することを方針として掲げておりますが、医師確保が困難であれば、院内助産や助産師外来の設置目標など助産師を活用した今後の方針についても具体化すべきではないでしょうか。アドバンス助産師の育成状況、潜在助産師の確保や現場への復帰状況について、あわせて県の見解をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 助産師の育成、確保についてでありますが、助産師に関しては、令和元年度の岩手県ナースセンターにおける求職登録者数は10名、センター事業等による復職者数は平成30年度及び令和元年度とも1名ずつではございましたが、県内の助産師就業者数は増加傾向にございます。また、県内のアドバンス助産師数は、制度開始時から5年間で153名と順調にふえているところでございます。
 助産師外来や院内助産の取り組みは、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応する上で有効であり、その導入促進や助産師外来等を担う人材の育成、確保が重要と認識しております。県では、この人材確保を進めるとともに、周産期医療協議会等において意見を伺いながら、助産師の活用の具体的な方策等について検討を進めていく考えであります。
〇27番(吉田敬子君) 昨年度まで3年間、潜在助産師の掘り起こしや研修が実施されてきましたが、ぜひ、これを生かすことが大事です。一方で、アドバンス助産師の方々も5年で153人いらっしゃるということで、その方々が具体的に現場に復帰している人数は先ほど御答弁いただけなかったように感じますが、改めてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 岩手県で行っている事業を活用して現場に復帰された方は1名ということですが、助産師につきましては、いわゆる病院で勤務する以外にも、産後ケアでありますとか産前産後の母子保健や周産期に関連する事業に必要な人材でございます。こうした市町村におけるさまざまな母子保健事業について従事、また流動的に就業いただいていると認識しておりまして、こうした助産師の就業状況についても把握、精査して充実に努めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 例えば市町村の産後ケアで実際に従事されている方が何人かを県で把握していない、今後把握していきたいという御答弁だったと思いますが、現場にしっかり復帰できているのかを県で把握することが大事なのではないでしょうか。せっかく掘り起こして、研修はやったけれども現場に生かされる研修内容なのかどうか、もしくは現場でもっとこういうことが必要なので、産後ケアのこういう部分を研修として次にやっていきますという次のステップにつながらないのではないでしょうか。改めて答弁いただきたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 先ほどの周産期医療体制のところで、次期保健医療計画、2024年からと申し上げました。国の基本的な検討の方向で、こういった潜在助産師であるとかアドバンス助産師の活用を進めていく有効な事業が各地で進められておりまして、そうした事業について精査をし、検討した上で全国展開を図っていく方針が示されております。
 こうした各地で行われている事業も我々はきっちりと精査をいたしまして、また、議員から御指摘があった現場でどのような状況にあるのかということもあわせて精査いたしまして、今後の周産期医療体制の充実に向けて検討を進めていく考えでございます。
〇27番(吉田敬子君) 産科医の先生からも、周産期医療圏を今後もし見直したりする過程の中で、出産後も地域で妊産婦を見守る体制を自分たち産科医と助産師と一緒に現場で連携していくことが重要だとおっしゃっていますので、助産師が現場でどのように活躍されているか、頑張られているか、または、こういったことがさらに必要なのだということを、産科医の確保と一緒に助産師の研修ということを考えて両輪で取り組んでいっていただきたいと思っております。
 次に行きます。茨城県では、平成29年度から医師不足対策の一環として、私立高校に対して、過去3年間の大学医学部医学科への進学実績に応じて補助金を出す取り組みをしています。
 一方、本県では、医学部を目指す中高生へのキャリア教育支援を行っており、大変よい取り組みと考えますが、まずは、公立だけでなく私立高校の医学部進学者数の把握をし、実績ある公立、私立高校への補助も検討してみてはいかがかと考えておりますが、県の見解をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 医学部を目指す高校生へのキャリア教育支援についてでございます。
 令和2年度における県内の高校からの医学部進学者数は65名で、高校別に見ますと、県立高校からが64名、私立高校からは1名となっております。そして、地域別に見ますと、盛岡圏域が52名、岩手中部圏域と両磐圏域がそれぞれ5名、その他の圏域が1名から2名となっており、地域によって進学者数に差が生じている状況でございます。
 このため、今年度から、県教育委員会と連携して、高校や地域に関係なく医学部進学を目指せるよう、医学部進学を希望する生徒の学力向上や意識醸成のための体系的、集中的な
 である岩手メディカルプログラムを開始したところであります。こうした取り組みや、議員から御紹介があった茨城県等の他県の状況等を踏まえまして、効果的な取り組みについて研究してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 妊産婦へのアクセス支援についてお伺いいたします。
 今年度新たに事業化されましたハイリスク妊産婦のアクセス支援については、心から敬意を表したいと思います。
 今回対象となった妊産婦については、周産期母子医療センターだけでなく、民間診療所を希望する方への拡充や、母子保健法では妊産婦の定義を産後1年までとしていることから、妊産婦のアクセス支援であるならば、妊婦健診だけでなく産婦健診も対象とすること、市町村の妊産婦に対するアクセス支援の現状には格差もあり、周産期医療圏外へ通院する全ての妊産婦に対しても拡充していくことなども今後検討していただきたいと思っております。
 また、障がいを持って生まれた場合はNICUへの入院で産婦の通院は継続されますが、その場合についても対象とすべきと考えております。これらについての県の見解をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 妊産婦へのアクセス支援についてでありますが、分娩医療機関の機能分担により、ハイリスク妊産婦は基本的には地域の周産期母子医療センターで対応することとなりますが、正常分娩の妊婦と比較いたしまして、通院に長距離移動を余儀なくされることなどから、身体的、経済的な負担の軽減を図ることを目的として、県では、今年度新たにハイリスク妊産婦アクセス支援事業を実施することとしたところでございます。
 議員御指摘の事業対象の拡大、拡充については、ハイリスク妊産婦アクセス支援事業の今年度の実施状況を踏まえまして、産婦健診や新生児がNICUに入院した場合の産婦の通院等については、まずは、市町村等を通じましてニーズや課題等の把握に努めてまいります。
〇27番(吉田敬子君) 先ほどさまざまな事例を挙げましたけれども、これらも岩手県周産期医療協議会の産科の先生や小児科の先生、障がいがあった場合という件に関しては、保健福祉部長もいらっしゃった岩手県周産期医療協議会での先生の御発言でもありました。特に、障がいを持って生まれると本当に御家族の負担が大きいものですから、妊産婦という定義をしっかり踏まえたアクセス支援に取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、産後ケアの取り組みについてお伺いいたします。
 産科医等の不足、分娩施設が減少する中で、さきに挙げた周産期医療体制の整備を図ると同時に、地域で妊産婦を支える取り組みは一層重要であり、その一つの産後ケアの充実については、これまでも提言させていただいております。今回の岩手県医師確保計画の産科医師数の大幅な増加を図ることが困難であるとの県の認識があればなおさらです。
 周産期医療体制と産後ケアの提供体制は、セットで考える必要があると思っています。切れ目のない支援を目指す子育て世代包括支援センターの設置や産後ケアの内容には、地域差があるのも現状です。自治体の行う産後ケアに対し、広域で利用できるよう県が支援する仕組みを早急に整えるべきと考えています。
 現在、新型コロナウイルス感染症対策として、国において、市町村が実施するオンラインによる保健指導等の実施や、里帰り出産が困難な妊産婦に対する育児等の支援サービスの提供などに対する支援を実施しています。花巻市では、これを活用して、産後ケア事業の受託団体が行うオンライン相談に対し補助することとしたそうです。オンラインであれば、花巻市民に限らずどこからでも相談が可能となります。新型コロナウイルス感染症を契機と捉え、例えばこの団体へ県が支援をして、県内全ての産婦のオンライン相談を可能にする広域の取り組みに着手してはいかがかと考えております。
 国の新たな少子化大綱の中で、昨年成立した母子保健法の一部を改正する法律を踏まえ、出産後の母子に対して心身のケア等を行う産後ケア事業について、令和6年度末までの全国展開を目指すとされましたが、今後の県の産後ケアの取り組みについて県の見解をお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 2点御質問をいただきました。
 まず、妊産婦のオンライン相談についてでありますが、国では、新型コロナウイルス感染症の流行下において、事業の実施主体である市町村が、オンラインによる両親学級等の保健指導を実施するための設備等を補助するとともに、原則、訪問や集団により実施されている産後ケア事業等を電話やオンラインで実施することについても、時限的ではございますが、事業の一環として位置づけることを可能としたところでございます。
 このような外出することが難しい状況においては、オンラインによる取り組みが有効と考えられることから、県では、市町村に対しまして、これらの事業に関する情報提供を行うなど、取り組みの支援をしているところでございます。
 オンライン相談の広域化については、利用ニーズの把握や市町村の実施体制、相談後のフォローアップのあり方など、実施に当たっての課題について、今後、市町村と意見交換をしていきたいと考えております。
 次に、産後ケアについてでありますが、産後ケア事業の実施については、母子保健法の一部改正により市町村の努力義務とされており、妊産婦等が身近な地域できめ細やかなケアを受けられる環境を整備することが重要でありますことから、県では、いわて県民計画(2019~2028)政策推進プランにおきまして、2022年度までに全ての市町村で実施されることを目指して取り組んでおります。
 昨年度末現在、18市町で産後ケアが実施されておりまして、本年4月から3市町で新たに実施されるなど、実施市町村は増加しているところであります。
 県では引き続き、保健所単位で開催している連絡調整会議の場を活用し、県内市町村等の取り組み事例の紹介や事業を行うための課題の整備など、単独では事業の実施が困難としている市町村における事業展開の手法も含めて、市町村と意見交換を行いながら、地域の実情に応じて取り組むことができるよう助言するなど、事業の実施主体である市町村を支援していく考えでございます。
〇27番(吉田敬子君) 産後ケアの内容には、宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型と3種類あるわけですけれども、産後ケアをやっていますという市町村を数えたとしても、その内容が自治体によってすごく格差があることは保健福祉部長も御存じのことだと思います。
 そういった産後ケアを2022年までに全市町村でやる、全市町村で一つでもやっているイコール産後ケアが充実しているということではないということをお伝えしつつ、産後ケアの中身までしっかり市町村と連携していただいて、これをやるには、人もそうですけれども、財政的な支援もすごく必要になってくると思っております。市町村の産後ケア事業の実施に対する支援をするとお話しされていますけれども、やれない市町村があった場合に、広域で取り組めるようにするのが県の役割であると思っております。
 これまでも、私以外の議員も取り上げていらっしゃいますけれども、そこにしっかり議論というか着手をしていただいて、産後ケアをやっていますというだけでなく、広域でやったほうがもしかしたら人材もそこまで必要なかったりするかもしれないですので、産後ケアを受ける産婦の需要や声もぜひ聞いていただきたいと思っております。
 ここは、毎回取り上げさせていただいて大変恐縮ですけれども、地域で妊産婦を見守る体制をつくっていかない限り、初めて出産する方が2人目を産もうとするときの産後1年までの負担を少しでも軽減させることが次につながるステップになると私は思っておりますし、そういう方々にも接してきました。児童虐待、産後鬱予防のための事業でもありますので、もっと踏み込んで、そしてスピーディーに取り組んでいただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。妊産婦への医療費助成についてお伺いします。
 岩手県では、他県に先駆けて昭和48年から妊産婦の医療費助成を開始し、現行の給付制度になって4年がたとうとしています。その間、さきに述べたとおり、昨年12月に成育基本法が施行されました。現在、対象は妊娠5カ月から産後1カ月までとなっていますが、母子保健法に規定する妊産婦の定義を踏まえ、助成期間を母子健康手帳交付から産後1年までとするべきではないでしょうか。
 今年度から、ひとにやさしいまちづくり推進指針が新しくなりましたが、ひとにやさしい駐車場の妊産婦の対象期間も見直していただきました。さきの2月定例会では、岩手県保険医協会からも、助成期間に加え、所得制限の撤廃についての請願があり、採択もされました。
 母子健康手帳交付から産後1年までとした場合、どの程度の財源増が必要となるのでしょうか。今後の県の考えについてもお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 妊産婦の医療費助成についてでございます。
 この事業は、議員から御紹介いただいたとおり、全国で本県を含む4県のみで実施しているところでございまして、一部の県では、妊産婦特有の疾病に限定して助成するところもある中、本県では疾病の制限を設けず、妊娠中期から産後1カ月までに受けた医療を幅広く助成対象としており、安全、安心な出産環境の整備に寄与しているところであります。
 助成期間を母子健康手帳交付月から産後1年までに拡大した場合の県の財政負担額を試算いたしますと、現在の1億1、000万円から2億5、000万円増加すると見込まれるほか、市町村も同額の負担増が生じますことから、助成期間の拡大に当たりましては、妊産婦の医療ニーズや市町村の意向も十分踏まえつつ、慎重に検討していく必要があると考えております。
〇27番(吉田敬子君) 次に、多様な保育サービスの充実についてお伺いいたします。
 本県では、休日保育や一時預かり、ファミリーサポート事業などの利用には、自治体や地域間で格差があります。内閣府では、平成28年度から企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を行っていますが、岩手県での利用は余り耳にしません。
 今回のコロナ禍では、在宅勤務となったことでベビーシッターの需要が高まったと聞いています。母親の1日の育児時間が5時間以上ふえたとの調査結果もありますが、平時から就業形態や就業の有無にかかわらず、誰でも子供を預けられるようサポートしてもらえる、時代に即した多様な保育サービスの充実は重要と考えております。
 本県における多様な保育サービスの提供は十分とお考えでしょうか、お伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 多様な保育サービスの充実についてでございます。
 地域の実情に応じた子育て支援施策として実施されている地域子ども・子育て支援事業については、令和元年度の実績を平成30年度と比較いたしますと、延長保育、一時預かり、病児保育等については、実施箇所数が増加傾向にございます。また、従業員の働き方に応じ、多様で柔軟な保育サービスを提供することができる企業主導型保育事業所なども着実に増加しているところでございます。
 県におきましても、地域における多様な保育サービスをさらに充実していくことが必要であると認識しており、そのためには、市町村と連携して、地域の実情に応じた取り組みを進めていくことが重要と考えています。
 県では、市町村が地域の保育ニーズに応じた必要なサービスを提供できるよう、岩手県子ども・子育て支援事業支援計画に基づき、市町村との意見交換を丁寧に行いながら、施設整備及び運営に対する財政支援や保育人材の確保などに取り組み、市町村を支援してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 次に移ります。多胎児家庭への支援についてお伺いします。
 これは昨年6月の一般質問でも取り上げさせていただきました。いわゆる双子以上、三つ子等の家庭に対する支援でありますけれども、本県の多胎児の分娩件数は、平成29年は78件、出生数における多胎児の割合は約1.8%で、この30年間で約0.5ポイントの増でした。
 昨年は、研究するという余り前向きでない御答弁をいただきましたが、厚生労働省では、今年度から多胎児がいる家庭に対する支援を開始することとしております。昨年の御答弁は多胎児家庭の数の割合などから判断されたのかもしれませんが、数の問題ではなく、それがたとえ1組であったとしても、その大変さを理解することが大事ではないかという視点から、昨年度、取り上げさせていただきました。
 国の方針決定から県の見解はどうなりましたでしょうか。今後の考えについてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 多胎児家庭への支援についてでありますが、県では、安心して子供を産み育てられる環境を整備していく上で、子育て負担の大きい多胎児家庭への支援の充実を図ることが重要と考えております。
 今般、国において、孤立しやすく、産前、産後で育児等の負担が大きい多胎妊産婦等を支援するため、新たに産前、産後サポート事業に支援のためのメニューを創設し、市町村が行う多胎妊産婦等の負担感や孤立感の軽減を図るための取り組みに対し、財政支援を行うこととしたところであります。
 県としては、市町村において積極的な事業展開が図られるよう、国庫補助事業を周知するとともに、先行事例を紹介するなど、市町村の取り組みを支援していく考えであります。
〇27番(吉田敬子君) ぜひよろしくお願いいたします。先ほどもお話ししましたけれども、それは本当に数の問題ではなくて、全体の子供の数の何割しかいないからということではなく、その御家族にとっての負担というのは、2倍、3倍になるわけです。ですので、その数が少ないからという理由ではなく、市町村でしっかりやっていただけるように、県も声を上げてお話ししていただきたいと強く願います。
 次に、がん患者に対する妊孕性温存治療への支援についてお伺いいたします。
 国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは、ゼロ歳から14歳の小児と15歳から39歳の思春期、若年成人を指すAYA世代のがん患者に関する報告書を昨年公表しました。報告書によると、AYA世代の患者は75.9%を女性が占めていることがわかりました。年代別に見ると、19歳以下は女性は5割以下ですが、20歳から24歳で6割を超え、25歳以降は8割前後となります。
 2人に1人はがんになる時代です。がん治療を若い世代が受けると、女性は卵巣、子宮、男性は精巣などの生殖機能に悪影響が出る可能性があります。治療後に妊娠したいという希望をかなえる温存治療は、保険適用外のため、女性は20万円から50万円、男性が4万円から6万円かかり、また、保存を続けるために毎年数万円ずつかかります。
 本県では、平成30年3月に第3次岩手県がん対策推進計画を策定し、その中でもAYA世代のがん対策についてうたっていますが、岩手県のAYA世代の患者数の推移の状況と将来の妊娠に備え、治療前に卵子や卵巣組織の一部、精子をとり凍結しておく妊孕性温存治療への助成についての本県の考えをお伺いいたします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 妊孕性温存治療への支援についてでありますが、県内の15歳から39歳までのAYA世代のがん罹患数は、岩手県がん登録事業報告書によりますと、平成26年診断例では172人、平成27年は158人、平成28年は212人となっております。
 妊孕性温存は、若年のがん患者の治療中や治療後における生活の質の維持、向上を図る上で重要と考えているところでありますが、一方で、20歳以上40歳未満のがん患者に対する医療費助成等の支援制度がなく、全国的に患者の負担が大きいことが課題となっております。
 このことから、妊孕性温存治療への支援については、昨年度までに12府県が実施し、今年度は10県が開始すると承知しており、県では今後、これら他府県の取り組み事例について情報収集するとともに、医療関係者等との意見交換などにより、県内の状況等について把握を進め、今後の支援のあり方について検討していく考えであります。
〇27番(吉田敬子君) 今後、妊娠、出産したいという希望をかなえるためにも、がん患者の支援の整備を一生懸命されておりまして、今年度はウイッグに対する助成も開始されるということで、大変敬意を表したいと思います。
 2人に1人ということで、本当にいつがんになってもおかしくないような現状の中で、AYA世代、若い女性の患者がふえている中でのこういった助成は、本当に必要になっていくと思います。今年度からは新たに10県で開始されたということで22都道府県になるわけです。ぜひ岩手県でも検討していただきたいと思っております。
 ここまで、子供を産み育てやすい環境づくりについて、細かい支援策について取り上げさせていただきました。今、家族のあり方、働き方、価値観などは全てにおいて多様化してきておりますので、支援策も多様であるべきなのではないかという観点からさまざまな質問をさせていただきました。
 子供は授かりものとはいえ、時期を考えて産みたいと思っているのも現実です。先ほど挙げた団体の公益財団法人1more Baby応援団の調査では、2人目を考えている家庭で最も多いのが兄弟で2歳差を希望しているという結果でありました。しかし、理想と現実には大きな差があって、家庭によってもちろんさまざまな事情があるとは思いますが、2人目を望んではいるものの、毎日の育児で疲れ果て、夫婦で向き合う時間もなかったり、もしくは、そうしているうちに年齢的に厳しくなったり、結果的に2人目を諦めていることも少なくないかもしれないということをきょうはお伝えしたいと思っております。
 最初、知事に、岩手県は子供を産みやすい環境に少しでもなっていますかという質問をさせていただきましたが、今の社会構造や家族構成、そして女性の気持ちをもっともっと酌んでいく必要があると私は思っております。
 晩婚、晩産と言われる傾向の中で、短いスパンでの出産を目指す夫婦がふえているのではないかというような報告といいますか文献も最近見ました。一概には言えませんけれども、実際に晩産化になればなるほど、本来2人欲しいと思っていれば、やはりそこのスパンが短くなり、育児、家事の負担がすごく高まるわけです。何がサービスとして必要なのか、どんな支援が必要なのか。こういうことはなかなか表に出てこないかもしれませんが、女性は、私も含めてですけれども、自分のキャリアも年齢も考えてそのような現実もあるということをぜひ心にとめていただいて、今後の支援策の参考にしていただければと思っております。
 改めて、知事に、今後の岩手県を子供を産み育てやすい環境にしていきたいという決意を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 令和2年度県の施策に関する県民意識調査の安心な子育て環境整備の満足度が平成30年、平成31年調査と比較して上昇している背景には、今、保健福祉部長が答弁してきたような、市町村と県が連携しながら、さまざまな妊娠、出産、子育て支援の施策がふえてきている、充実してきていることがあると思います。
 一方、合計特殊出生率の低下については、やはりこれは深刻な状況と受けとめておりまして、県でも、もう一歩踏み込んだ施策が必要であろうということで、担当に、統計の数字の分析からやり直して、そして施策を改めてまとめる作業を指示しているところであります。
 その中で、岩手県でもともと出生数や出生率がある程度あった20代が、人口の社会減で県外に出ていくという傾向が一つ要因としてあることと、30代、40代の出生数、出生率が、岩手県において他県と比較して高くないというところも指摘されたところであります。
 他のいわば都会的な部分のある都道府県において進んでいるような30代や40代の出産を支援するような仕組みについて、今、議員もそういったところをかなり意識されて質問されてきたのではないかと受けとめているところでありますけれども、そこは岩手県として、さらにさまざま勉強して力を入れていかなければならない部分と考えております。今まだ内部で検討中でありますけれども、できるだけ早く、具体的な政策として県民の皆さんにお示しできるようにしていきたいと思います。
〇27番(吉田敬子君) 寄り添っていただいたというようにポジティブに捉えておりますけれども、ぜひ具体策について、今後大変期待したいと思います。ありがとうございます。
 次の質問にまいりたいと思います。移住促進と雇用対策についてお伺いいたします。
 初めに、新型コロナウイルス感染症拡大を受けた今後の働き方と地方への移住の促進についてお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、都市部を離れて地方で暮らすことへの関心が高まりつつあります。内閣府が行った新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた働き方や意識の変化に関する調査では、就業者の34.6%が不定期を含めたテレワークを経験し、地方移住については首都圏の20代の関心が特に目立ち、3割近くが高まっていると回答しています。東京一極集中の是正、企業のリスク分散など、地方への移住を促進するチャンスであり、県でも、岩手県新型コロナウイルス感染症対策の基本対処方針において、今後の働き方としてテレワークなどの取り組みの推進に言及しています。
 県は、首都圏の企業や人々を受け入れるためのさまざまな環境を整備する発想が必要と考えますが、本県への移住の促進について、今後の課題や取り組みの方向性についてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 本県への移住の促進についてでありますけれども、議員御指摘の内閣府調査によりますと、テレワークの経験者のうち、東京圏では約4割の方が今後の利用を希望しており、特に東京23区にあっては、5割を超える方が希望している状況と認識しております。
 今後、テレワークなどの新しい働き方を推進する企業や、こうした働き方のもとで地方への移住を希望する方々に対応していくためには、情報通信基盤の整備を加速することがまず必要だと考えております。県といたしましては、市町村や通信事業者等に、光ファイバーを初めとする情報通信基盤に係る国の支援制度の活用を働きかけながら、整備を促進してまいります。
 また、移住を希望する方々には、仕事と暮らしの拠点に関する情報提供のさらなる充実が必要であると考えておりまして、新しい働き方を実践できるコワーキングスペースやシェアオフィス、住宅などの情報を市町村との連携をさらに強化しながら発信して、岩手県への移住を促進してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 県内に現在テレワークができる企業がどのくらいあるのかを把握することがまずは大事だと思っておりますし、テレワークを導入したい企業に対する支援策も今後必要になってくると思いますので、ぜひこの件について検討を進めていただきたいと思っております。
 次に、若年女性の就業促進についてお伺いいたします。
 2019年の総務省の統計、住民基本台帳人口移動報告をもとにした女性の転出実態についての調査結果が先ごろ報告され、他地域へ移動する女性全体のうち15歳から29歳の若年女性が占める割合が、岩手県はワースト10位に入っております。若年女性の転出を食いとめることが人口減少対策の重要部分でもあると認識しております。
 ことし4月、ヘルスケア産業の拠点となる貸し研究施設ヘルステック・イノベーション・ハブが開所になりました。女性社員の割合は2割程度と聞いています。県は、ヘルスケア産業を自動車、半導体に次ぐ本県ものづくり産業の第3の柱と位置づけておりますが、県が力を入れる産業に女性労働者の就業の視点をしっかり入れていただきたいと思っております。
 若年女性の県内企業への就業促進について、県の支援策をお示しください。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 若年女性の就業促進への支援についてでありますけれども、県では、女性が働きやすい環境整備につながる各種認定等の取り組みを進めておりまして、いわて女性活躍企業等の認定実企業数は、令和2年6月25日現在で153社に、いわて子育てにやさしい企業等の認証実企業数は114社となっておりまして、女性が長く安心して働き続けることができる企業がふえていると認識しております。
 また、県単独の補助によりまして企業の働き方改革の取り組みを支援いたしますとともに、県内企業の優良な取り組み事例をいわて働き方改革アワードにおきまして広く情報発信し、普及啓発を図っているところであります。
 若年女性が、こうした状況をよく理解した上で就職先を決めていただけるよう、県内で働く女性と学生、生徒との交流の機会の創出や、ものづくり産業等で活躍する女性を動画で紹介する取り組みを通じまして、県内の多様な分野で活躍している女性の情報や働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業の情報をしっかりと発信し、県内企業への就業を支援しているところでございます。
〇27番(吉田敬子君) 時間がないので次に行きたいと思います。男女共同参画社会の実現についてお伺いいたします。
 平成11年の男女共同参画社会基本法の制定から昨年で20年が経過しました。本県では、平成12年3月にいわて男女共同参画プランを策定し、平成14年10月には岩手県男女共同参画推進条例を制定しました。男女共同参画社会の実現こそが、誰もが生きやすい社会の実現であるため、岩手県が目指す一人一人の幸福につながるのではないでしょうか。
 これまでの取り組みで本県の生きやすい社会の実現はどう達成されているのか、知事の御所見をお伺いいたします。また、現在のいわて男女共同参画プランは今年度が最終年度となっておりますが、プランの達成状況と今後の方針についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 男女共同参画の取り組みについてでありますが、県では、いわて男女共同参画プランの基本目標に、男女がお互いに尊重し合い、共に参画する社会の実現を掲げ、男女共同参画センターを中心として意識啓発や学習機会の提供を行ってきたほか、官民一体となって設置した、いわて女性の活躍促進連携会議の活動を通じて、女性が働きやすい環境整備などの取り組みを進めてきたところであります。
 その結果、女性の経営者や専門的、技術的職業従事者が増加し、女性の年齢別労働力人口の割合をグラフであらわしたいわゆるM字カーブの底が浅くなってきており、平成27年の国勢調査では、ほぼ全ての年齢階級で全国平均を上回る状況となっております。
 また、平成27年度から昨年度までの5年間では、県の採用職員に占める女性の割合が約1割増加し40.8%になったほか、いわて子育てにやさしい企業等認証制度の延べ認証企業数が32社から148社まで増加するなど、女性の就業が進み、仕事と子育てを両立しやすい環境が整ってきているものと認識しております。
 引き続き、家庭、地域、職場などさまざまな場において、男女が、お互いにその人権を尊重し、責任を分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に向けた環境づくりに取り組んでまいります。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) いわて男女共同参画プランの達成状況についてでありますが、プランでは、目標値を定め施策として取り組むものとして主要指標を24項目設定しており、直近の取りまとめでは、そのうち18指標が年度目標値を8割以上達成している状況にございます。
 具体的には、女性の活躍のための経営者や従業員向けの研修参加者数、そして共働き世帯における男性の家事時間の割合、地域の活動を支える男女共同参画サポーターのうち男性の認定者数が着実に増加しており、職場や家庭、地域における人材育成や意識啓発が進んできている状況にございます。
 男女共同参画のさらなる推進に向けましては、女性活躍の促進、ワーク・ライフ・バランスの推進、女性に対する暴力の根絶などに引き続き取り組んでいくことが重要であると認識していることから、その具体的な推進方策について、次期いわて男女共同参画プランに位置づけ、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇27番(吉田敬子君) 先ほど、知事と企画理事兼環境生活部長から、男女が性別にかかわりなく全てに自分らしく生きやすい社会に少しずつなっているということで答弁がありましたが、次の質問に入りながら、私の課題認識として取り上げさせていただきたいと思っております。
 この男女共同参画社会の実現というのは、全ての人というところであります。LGBTの理解促進の取り組み等についてお伺いいたします。
 大阪府は、ことし1月、LGBTなど性的少数者のカップルを公的なパートナーとして認証する大阪府パートナーシップ宣誓証明制度を始めると発表しました。都道府県では茨城県に次いで2例目となります。
 NPO法人虹色ダイバーシティによると、パートナーシップ証明が受けられる自治体は、日本全国で令和2年4月現在で47自治体に上りますが、東北では一つもありません。対象を性的少数者に限定せず、男女の事実婚カップルを加えている自治体もあります。茨城県では、県営住宅に入居する際の同居人が親族という要件に、パートナーシップ認定を含めています。
 また、性的少数者に配慮するための何らかの取り組みを実施している企業は全体の約1割にとどまることも、厚生労働省の初の実態調査でわかりました。まだまだ社会全体の取り組みが進んでいないというのが現状ではないでしょうか。
 今月6月は、いわて男女共同参画推進月間でもあり、先月のいわて男女共同参画フェスティバルのテーマは、性の多様性・LGBTと男女共同参画でした。岩手県では、岩手県男女共同参画センターが積極的にさまざまな事業展開をし、LGBTへの理解促進に努めています。
 今後は、さらに、企業はもとより、教育現場への理解促進の取り組みが重要と考えておりますが、本県のパートナーシップ制度導入に関する見解とあわせてお伺いいたします。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) LGBTの理解促進に向けた取り組みについてでありますが、県ではこれまで、岩手県男女共同参画センターにLGBTに関する相談窓口を設置し対応するとともに、啓発パネルの貸し出し等により普及啓発を行ってまいりました。
 また、平成29年度からは、学校や企業などを対象とした出前講座を実施しており、中学校や高等学校の生徒や教職員に対する啓発を行ってきたほか、令和元年度には、生徒や保護者向けの新たなリーフレットを作成し活用しており、こうした機会をさらに拡充し、教育現場への理解促進に取り組んでいくこととしております。
 パートナーシップ制度につきましては、多様な性に配慮する取り組みの一つであると認識しておりますが、まずは、こうした相談対応や普及啓発などの取り組みを積み重ねながら、性別にかかわりなく多様な生き方が認められる社会の実現に向けた意識の醸成を進めてまいりたいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 岩手県男女共同参画センターでLGBTの相談支援を行っております。その相談件数は、設置した平成28年は42件でしたが、昨年度は274件と6倍になっているわけです。この男女共同参画社会の実現は、男性、女性だけではなく全ての人ということであって、性的少数者の方々も含めたものになっていくと思っております。
 次期男女共同参画プランの策定の中でぜひ検討していただきたいことが、先ほど企画理事兼環境生活部長から御答弁がありましたとおり、現在は、女性の活躍支援や女性に対する暴力の根絶等、4本柱を施策の基本方針とされておりますけれども、これまで、性的少数者の方々は潜在化されていたのだと思います。であれば、これからさらに生きやすい社会を実現していくためには、もっと積極的に、特に次期男女共同参画プランの施策の中に、LGBTへの理解促進に関する施策を柱として掲げてもいいのではないかと私は思っておりますが、御答弁いただきたいと思います。
〇企画理事兼環境生活部長(藤澤敦子君) 性的少数者の方々の学校や職場、社会生活における生きづらさを解消するため、次期男女共同参画プランの検討におきまして、こういったことを念頭に置きつつ、審議会の委員の皆様と議論を重ねながら対応について考えてまいります。
〇27番(吉田敬子君) ぜひよろしくお願いいたします。
 そのLGBTの支援ですけれども、県がやらない限り、なかなか市町村もできないということもあるように聞いておりますので、次の男女共同参画プランの中にしっかり盛り込んでいただきたいことを要望して、次の質問に行きたいと思います。
 農林水産業の振興についてお伺いいたします。
 家族農業への支援についてお伺いいたします。
 今回のコロナ禍は、国民が農業や食について考える契機になり、食生活への変化があらわれていると私は感じています。家庭の食が大きく変化する中で、食料自給率や輸出依存のリスクへの関心も高まる中、日本の農業、岩手県の農業にいかに関心を持ってもらうか、生産者の顔の見える取り組みなどの工夫が重要だと改めて感じております。そういった取り組みに力を入れているのが家族農業の皆さんでもあります。
 国際連合は、世界の食料安全保障確保と貧困撲滅に大きな役割を果たしている家族農業について、2019年から10年を国連家族農業の10年と定めました。世界の食料生産額の8割以上を占める家族農業が果たす役割の重要性を強調しています。
 家族農業は日本の農業の中心的形態ですが、高齢化や後継者不足により大規模化が加速しているのも実情です。大規模化を推進する一方で、ICTやAIなどを駆使した次世代農業を掛け合わせた新たな家族農業の実現が、SDGsの取り組みにも寄与するものと私は考えております。
 家族農業について、県はどのように考え支援していくのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 家族農業への支援についてでありますが、本県の農業経営は、経営体の約97%が家族経営体であり、農業生産に重要な役割を担うとともに、国土の保全や地域文化の伝承など、農業、農村の多面的機能の維持に大きく寄与しております。
 本県の農業が今後とも地域経済、社会を支える持続的な産業として発展していくためには、家族経営の安定化とその果たす役割が重要であることから、県では、いわて県民計画(2019~2028)に基づきまして、多くの小規模、家族経営を中心とする集落営農組織等の経営規模の拡大やスマート農業技術の導入による生産活動の効率化などを進めるとともに、農村の活性化に向けた小規模、家族経営などの地域を支える多様な生産者による農地や景観の保全、地域文化の伝承など、地域の農業、農村を維持する取り組みを推進しております。
 また、家族経営による食料生産や多面的機能の維持、発揮に寄与する取り組みは、持続可能な地域社会の実現を目指すSDGsにつながるものと考えており、県としては、今後とも、さまざまな役割を担う家族農業を支援してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 次に、農林水産分野の食品廃棄物削減の取り組みについてお伺いいたします。
 先ほど申し上げたSDGsにおいては、食品廃棄物の削減に関する目標も掲げられています。今回のコロナ禍で収入が減ったり失業したりする人がふえている影響から、現在、全国のフードバンクに食料を求める問い合わせが相次いでいます。フードバンク岩手では、市民、企業からいただいた食料品を岩手県内の生活に困っている方々へ支援機関を通じて無償の食料支援を行い、早期の生活改善につなげる活動をしています。また、子ども食堂の食料支援にも申し込みが殺到しています。
 こうしたフードバンク等に、出荷規格から外れ、まだ食べられるのに捨てられてしまう農林水産物を提供する取り組みが有効と考えられます。生産者や事業者、いわゆる農林漁業者や食品関連事業者が、規格外の農産物や余剰在庫の活用に向けて、JA等の関係団体や流通関係者との連携を構築し、農林水産分野における食品廃棄物削減に取り組むことは、SDGsのつくる責任、使う責任の目標達成にもつながります。
 そこで、本県の農林水産分野における食品廃棄物削減に向けた取り組み状況と、こうした取り組みを進めていくための課題についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) 農林水産分野における食品廃棄物削減の取り組みについてでございますが、県では、規格外の三陸産カキ等をフレーバーに使用した米粉スナックや、収穫段階で傷ついたトマト等を活用した野菜ドレッシングなど、これまでは廃棄せざるを得なかった生産物を活用した商品の開発を支援しております。
 また、野菜などの腐敗を防ぐ効果のある鮮度保持フイルムの導入を促進するなど、流通段階での品質低下を防止し、販売できずに廃棄する野菜を発生させない取り組みを進めております。
 フードバンク等への食材提供につきましては、JAいわてグループが、規格外の農産物や産直施設で売れ残った食材等を集め、県内のフードバンクや子ども食堂に提供する活動を行っていると承知してございます。
 農林水産分野における食品廃棄物削減には、関係者の機運醸成と連携が課題であると認識しており、県としても引き続き、JAいわてグループを初めとする関係団体と意見交換等を行いながら、意識啓発や連携促進に取り組んでまいります。
〇27番(吉田敬子君) 次に、いわての森林づくり県民税の活用についてお伺いいたします。
 平成18年度に創設されたいわての森林づくり県民税は、今年度が第3期の最終年度です。本年3月、事業評価委員会からの、県民税を継続し、使途拡大など施策の充実を図ることが必要との提言から、県はこのほど素案をまとめられました。
 また、このコロナ禍で、自然環境での遊びも再認識されています。本県は、森と自然の育ちと学び自治体ネットワークに加盟しております。これは、森と自然を活用した保育や幼児教育について、理念や実践経験を全国の自治体間で共有しようとするもので、保健福祉部が所管されています。これまで鳥取県など、森と自然を活用した保育、幼児教育の県レベルの認定制度が創設されております。また、滋賀県では、森林環境学習の裾野の拡大という観点から、子育て、教育部局と連携して、初めて農林水産部が主体となった認定制度が創設されました。
 私は、森林との共生の取り組みとして大事なのは、幼少期から森や自然に親しめる環境をつくることと考えます。そうすることで親世代が再び学ぶ機会ともなるからです。本県での全国植樹祭は令和5年開催と1年延期されることとなりましたが、全国植樹祭を契機として県民の森林に対する関心を高めることにもつながります。
 農林水産部としても、いわての森林づくり県民税などを活用して、森と自然を活用した保育、幼児教育を進めるため、森と自然の育ちと学び自治体ネットワークを所管する関係部局と連携して取り組んでいただきたいと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) いわての森林づくり県民税の活用についてでありますが、県では、いわての森林づくり県民税を活用し、公益上重要で緊急に整備が必要な森林を針広混交林へ誘導する強度間伐を初め、地域住民等が行う森林づくり活動や森林環境学習への支援等に取り組んできたところであります。
 今般公表いたしました令和3年度以降のいわての森林づくり県民税の素案は、今後、県民の皆様を初め、県議会等の御意見を伺いながら成案としていくものでございますが、この中では、幼児や児童生徒等を対象とした自然観察会など森林環境学習への支援のほか、新たに森林環境学習のフィールドとなる森林公園の機能強化や森林を学ぶ活動を支援する人材育成を盛り込むなど、取り組みを拡充したいと考えております。
 こうした取り組みによりまして、幼児も含め幅広い年齢層の県民が、森林との触れ合いや森林の役割等を学ぶ機会が得られ、また、子供たちの豊かな体験活動の充実が図られるよう、活動フィールドの紹介や県民税による助成制度の情報の提供などを進めていきたいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) 教育政策についてお伺いいたしたいと思います。
 GIGAスクール構想についてお伺いいたします。
 国が進めるGIGAスクール構想は、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機と捉え、本県においてもより早期に実現することが望まれます。
 本県の小中学校、高校におけるパソコンの1人1台端末の実現はいつごろ達成する見込みでしょうか。また、全ての児童生徒のオンライン学習が可能となるには、今後どのような支援策が必要となってくるのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 県教育委員会では、現在、県立附属中学校及び特別支援学校の小中学部に1人1台端末の整備を進めているところでございまして、今年度中の整備を予定しています。
 また、県内各市町村におきましても、今年度にはほとんどの小中学校に整備される見込みでありますが、一部の市町村では来年度に繰り越される場合もあると伺っております。
 なお、オンライン学習等を推進していくためには、通信環境が十分に整っていない家庭への支援等が必要であり、配信する授業内容やオンライン教材等をどのように工夫していくか、こういったことも重要であると考えております。
 県教育委員会では、家庭への貸し出し用モバイルルーターの整備やオンライン学習支援サービスに取り組むための経費についても令和2年度の補正予算により措置したところであり、引き続き、オンライン学習等も含め、ICTを活用した授業改善や児童生徒の確かな学力の育成を推進してまいります。
〇27番(吉田敬子君) 最後の質問に行きたいと思います。文化芸術を生かした魅力あるまちづくりについてお伺いいたします。
 若い世代が将来に展望を描ける岩手県とするためには、その一つに、まちが多くの人にとって住み続けたい、戻ってきたいと思える魅力や文化、環境であることだと考えております。
 先日の人口減少対策調査特別委員会の講師の方からは、おもしろい人の誘致についてのお話をお伺いいたしました。おもしろい人とは、活動量の高い方、関係性の広い人、デザイナー、建築家などと定義。これからは、工場の誘致だけでなく人の誘致、値段や量ではなくデザインやおもしろさをとお話しされていました。
 また、知事もネクタイを持っていらっしゃる障がい者アートを拠点に幅広く活動をされているヘラルボニーは、全日本仮囲いアートプロジェクトというすてきな取り組みをされております。建設、住宅を守る仮囲いをミュージアムと捉えたアートプロジェクトです。県民が目に触れる場所がアートであふれたらすてきだなと私自身思っております。日常でアート、文化芸術に触れることで養われるアイデアやコミュニケーション能力などがあるのではないかと考えております。
 平成29年には文化芸術振興基本法が改正され、平成30年には障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が施行されました。
 本年、新たに岩手県文化芸術振興指針が策定されましたが、岩手県における文化芸術の持つ創造性を生かした地域振興の取り組み、考え方についてお伺いいたします。
〇文化スポーツ部長(石川義晃君) 文化芸術を生かした魅力あるまちづくりについてでありますが、県では、一人ひとりが豊かな文化芸術とともに生きる地域社会の形成を目指し、県民誰もが文化芸術を鑑賞、参加、創造できる環境の整備や文化芸術を通じた交流人口の拡大などに取り組んでまいりました。
 具体的には、歴史的建造物をユニークべニューとして活用した中尊寺レクイエムコンサート、楽器演奏や舞踊、絵画などを体験できるキテミテ体験!みんなdeアート、障がいを持つ方々の作品に身近に触れることができるいわてアール・ブリュット巡回展などを県民、企業、団体、市町村など多様な主体とともに実施するとともに、いわての文化情報大事典ホームページなどで情報発信をしてきたところでございます。
 県としては、新型コロナウイルス感染症対策を講じつつ、今年度も岩手芸術祭を開催するなど、引き続き文化芸術の振興を図り、観光やまちづくりなど、さまざまな分野と連携して相乗効果を生み出していきたいと考えております。
〇27番(吉田敬子君) ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって吉田敬子さんの一般質問を終わります。
   
〇議長(関根敏伸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時32分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 千 葉 絢 子 君
12  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 工 藤 勝 子 君
39  番 中 平   均 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 五日市   王 君
42  番 関 根 敏 伸 君
43  番 佐々木 順 一 君
44  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時53分 再開
議長(関根敏伸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。名須川晋君。
   〔20番名須川晋君登壇〕(拍手)

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