令和元年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和元年11月8日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
県土整備部長 八重樫 弘 明
技監兼
河川港湾担当技監 中 平 善 伸
副部長兼
県土整備企画室長 多 田    繁
道路都市担当技監 田 中 隆 司
技術参事兼
建築住宅課
総括課長 伊 藤 勇 喜
県土整備企画室
企画課長 菊 地 幸 男
県土整備企画室
管理課長 吉 原 武 志
用地課長 佐々木 一 弘
空港管理課長 高 橋 栄 治
建設技術振興課
総括課長 大久保 義 人
技術企画指導課長 菊 地 健 司
道路建設課
総括課長 菅 原 常 彦
道路環境課
総括課長 和 村 一 彦
河川課総括課長 幸 野 聖 一
河川開発課長 佐々木 克 幸
砂防災害課
総括課長 菅 原 博 秋
都市計画課
総括課長 八重樫   学
まちづくり課長 紺 野 憲 彦
下水環境課
総括課長 水 野 久 禎
住宅計画課長 小野寺 哲 志
営繕課長 野 里 茂 生
港湾課総括課長 照 井   巧

会計管理者 菊 池   満
会計課総括課長兼
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部関係について11人の質問者を予定しており、その後、決算15件及び議案2件について意見の取りまとめと採決を行いたいと思いますので、御了承願います。
 初めに、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇八重樫県土整備部長 平成30年度決算の内容について御説明申し上げます前に、県土整備部所管の事務事業に係る主な取り組みと成果につきまして御説明申し上げます。
 まず、震災関連についてですが、岩手県東日本大震災津波復興計画の着実な推進に取り組んだところです。具体的には、防災のまちづくりでは、防潮堤などの海岸保全施設の復旧、整備や水門、陸閘自動閉鎖システムの整備に取り組むとともに、市町村の復興まちづくりの支援やこれと連携した道路整備を進めるなど、多重防災型まちづくりの推進に取り組みました。この結果、県土整備部が所管する防潮堤等の海岸保全施設については、既に着手している全ての計画地区65地区中、平成30年度末時点で46地区が完成しました。
 交通ネットワークでは、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、国と連携し復興道路の整備促進に取り組んだほか、県で整備する復興支援道路、復興関連道路の整備推進に取り組みました。この結果、平成31年3月には東北横断自動車道釜石秋田線が全線開通し、県政史上初めて沿岸と内陸が高速交通体系で結ばれるなど、復興道路等の整備が進み、平成30年度末における復興道路の供用延長は231キロメートルで、事業化延長の64%が供用されたほか、復興支援道路では、改築予定の38カ所のうち29カ所、復興関連道路では、改築予定の21カ所のうち18カ所が供用済みとなりました。
 港湾では、県内の港湾機能の復旧が完了しました。
 暮らしの再建では、被災者の方々が一日も早く安心して暮らせるよう、災害公営住宅の早期整備に取り組んだ結果、平成30年度末時点で、県、市町村合わせて216地区、5、833戸のうち210地区、5、672戸、率にして97%が完成しました。
 次に、震災以外の分野につきましては、安全で安心な暮らしを確保する取り組みの推進や、物流、産業振興を支える取り組みの推進を重点施策とし、いわて県民計画第3期アクションプランに掲げる社会資本の四つの政策項目の着実な推進に取り組んできました。
 まず、産業を支える社会資本の整備では、物流の効率化による産業振興や広域観光ルートの形成を支える道路として、奥州スマートインターチェンジなどの高規格幹線道路へのアクセス道路や一般国道106号宮古西道路などの内陸部と港湾を結ぶ道路等の整備に取り組みました。
 また、港湾の整備及び利活用の促進につきましては、釜石港のリーファーコンセント設備の整備など、港湾施設の機能強化を進めたほか、荷主企業や船会社などへのポートセールスに取り組みました。こうした取り組みの結果、平成30年の県内港湾におけるコンテナ貨物の取扱量は過去最高となり、また平成30年6月22日には宮古―室蘭フェリー航路が開設されました。
 次に、安全で安心な暮らしを支える社会資本の整備では、近年頻発している豪雨や土砂災害などから県民の生命、財産を守るため、治水施設や砂防施設等の整備とあわせ、水位周知河川の指定や土砂災害のおそれのある区域の公表を行うなど、ハード対策とソフト施策を組み合わせた防災、減災対策の推進に取り組みました。また、信頼性の高い道路ネットワークの確立に向け、橋梁の耐震化など防災対策に取り組みました。
 次に、豊かで快適な環境を創造する基盤づくりでは、汚水処理施設などの都市基盤の整備や多自然川づくりによる良好な水辺空間の確保、美しく魅力あるまちづくりの推進などに取り組みました。
 次に、社会資本の維持管理と担い手の育成、確保では、岩手県公共施設等総合管理計画に基づき策定した橋梁やトンネル、ダムなどの個別施設計画に基づき、計画的な維持管理や施設の長寿命化等に取り組みました。
 維持管理の直接の担い手である建設企業の育成、確保につきましては、建設現場の生産性向上に向けてICTを活用した工事や週休2日のモデルとなる工事の試行を拡大したほか、建設企業の経営力強化等に関する講習会を開催するなど、社会資本の維持管理や災害発生時の応急対応に不可欠な地域の建設企業の経営基盤強化や技術力向上に取り組みました。
 次に、県内に甚大な被害をもたらした平成28年台風第10号災害への対応につきましては、被災した公共土木施設の早期復旧、河川の改良復旧事業や砂防堰堤の整備等に取り組みました。
 土木施設災害復旧工事については、平成30年度末時点でおよそ7割強が完成したところであり、引き続き早期復旧、復興に向けて取り組んでまいります。
 以上が県土整備部における平成30年度の主な取り組みと成果であります。
 東日本大震災津波の発災から8年半余、平成28年台風第10号災害から3年余が経過し、県土整備部が総力を挙げて復旧、復興に取り組んでいる中に、今般の台風第19号災害が発生しました。震災復興、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興はもとより、今回の台風災害につきましても、一日も早い復旧、復興を目指し、職員一丸となって取り組んでまいります。
 それでは、平成30年度県土整備部関係の決算について御説明申し上げます。お手元の平成30年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きください。
 まず、一般会計についてでありますが、県土整備部関係は、6款農林水産業費3項農地費の一部、8款土木費、16ページをお開き願いまして、11款災害復旧費5項土木施設災害復旧費であります。これらの予算現額の合計は3、246億7、430万円余でありますが、これに対する支出済額の合計は2、087億1、884万円余となっております。また、翌年度繰越額の合計は1、029億2、861万円余、不用額の合計は130億2、684万円余となっております。
 次に、一般会計歳出決算の内容につきまして、便宜、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の265ページをお開き願います。6款農林水産業費3項農地費2目土地改良費のうち、当部関係は、265ページ右側の備考欄下から4行目、県土整備部となっている行以降の4項目ですが、これは汚水処理施設整備の補助などに要した経費であります。
 次に、少し飛びまして、298ページをお開き願います。8款土木費の支出済額は1、665億9、288万円余となっております。翌年度繰越額は、繰越明許費599億1、952万円余、事故繰越は113億7、731万円余となっており、これらは、震災復旧、復興事業の計画調整に不測の日数を要したことや、工法の見直しにより工事が遅延したことなどが主な理由であります。また、不用額は96億7、277万円余となっており、前年度繰越事業の計画変更や入札執行残などが主な理由であります。
 8款土木費1項土木管理費1目土木総務費の主なものは、職員の人件費など当部の管理運営に要した経費、国庫補助事業費の確定に伴う償還金、特別会計への繰出金などであります。2目建設業指導監督費は、建設業者の指導監督や経営基盤強化支援に要した経費であります。300ページをお開きいただきまして、3目建築指導費は、建築確認事務や耐震診断への補助に、4目空港費は、空港設備の管理運営などに要した経費であります。
 次に、302ページをお開き願います。2項道路橋りょう費1目道路橋りょう総務費は、職員の人件費や事務的経費のほか、市町村道路事業の指導監督に要した経費であります。2目道路橋りょう維持費の主なものですが、備考欄1行目の道路環境改善事業費は、歩道の整備や橋梁の耐震化など道路環境の改善に要した経費であり、下から3行目、道路維持修繕費は、県管理道路の日常的な維持管理や応急補修などに要した経費であります。次に、304ページをお開き願います。3目道路橋りょう新設改良費の主なものですが、備考欄1行目の地域連携道路整備事業費は、一般国道106号など44路線の拡幅、線形の改良、バイパスの建設などの道路整備に要した経費であり、一番下、直轄道路事業費負担金は、復興道路など国が行う道路整備に対する県の負担金であります。
 3項河川海岸費1目河川総務費の主なものですが、備考欄下から2行目の河川海岸等維持修繕費は、河川、砂防、海岸施設の維持管理や修繕に要した経費であります。次に、306ページをお開き願います。2目河川改良費の主なものですが、備考欄1行目の基幹河川改修事業費は、一級河川木賊川など9河川の改良に要した経費であり、その次の行の三陸高潮対策事業費は、二級河川甲子川など11河川の水門や防潮堤などの整備に要した経費であります。3目砂防費の主なものですが、備考欄下から3行目の総合流域防災事業費は、土砂災害警戒区域の指定のための基礎調査などに要した経費であり、続いて309ページに参りまして、備考欄2行目の災害関連緊急砂防事業費は、平成28年台風第10号による被災箇所の砂防堰堤の整備などに要した経費であります。4目海岸保全費の主なものですが、備考欄2行目の津波危機管理対策緊急事業費は、水門・陸閘自動閉鎖システムの整備などに要した経費であります。5目水防費は、水防警報施設の保守整備に、6目河川総合開発費は、簗川ダムの建設などに要した経費であります。
 次に、310ページをお開き願います。4項港湾費1目港湾管理費、備考欄中ほどの港湾利用促進費は、荷主企業の訪問など港湾利用拡大活動のために、備考欄下から2行目の宮古・室蘭フェリー利用促進事業費は、フェリー航路の利用促進に要した経費であります。2目港湾建設費の主なものですが、備考欄1行目の港湾高潮対策事業費は、大船渡港海岸及び宮古港海岸の防潮堤の整備に要した経費であり、続きまして313ページに参りまして、備考欄3行目の直轄港湾事業費負担金は、久慈港湾口防波堤の整備など国が行う事業に対する県の負担金であります。
 5項都市計画費1目都市計画総務費の主なものですが、備考欄中ほどの広域公園管理費は、御所湖広域公園の維持管理などに要した経費であります。2目街路事業費の主なものですが、備考欄1行目の広域公園整備事業費は、高田松原津波復興祈念公園の整備などに要した経費であり、その次の行の都市計画道路整備事業費は、荒瀬上田面線などの都市計画道路の拡幅整備などに要した経費であります。次に、314ページをお開き願います。3目下水道事業費の主なものですが、備考欄2行目の浄化槽設置整備事業費補助は、個人設置型の浄化槽の整備に要した経費の一部を補助した市町村に対する補助であります。
 6項住宅費1目住宅管理費の主なものですが、備考欄4行目の公営住宅維持管理費は、県営住宅の指定管理などに要した経費であり、下から3行目、生活再建住宅支援事業費は、被災者の住宅の新築、改修などに係る経費の一部を補助した市町村に対する補助であります。2目住宅建設費の主なものですが、備考欄2行目、災害公営住宅整備事業費は、奥州市桜屋敷地区など10地区の災害公営住宅の整備に要した経費であります。
 次に、少し飛びまして、354ページをお開き願います。11款災害復旧費5項土木施設災害復旧費の支出済額は418億6、964万円余となっております。翌年度繰越額は、繰越明許費190億8、766万円余、事故繰越は125億1、707万円余となっており、これらの繰り越しは、震災復旧事業の事業計画の変更や平成28年台風第10号災害復旧事業の計画調整に時間を要したことなどが主な理由であります。不用額は33億5、333万円余となっており、前年度繰越事業の計画変更や入札執行残などが主な理由であります。1目河川等災害復旧費の主なものですが、備考欄2行目、河川等災害復旧事業費は、東日本大震災津波や、平成28年台風第10号などにより被災した河川、道路の復旧に要した経費であります。356ページに参りまして、2目港湾災害復旧費の主なものですが、備考欄1行目港湾災害復旧事業費は、東日本大震災津波により被害を受けた大船渡港など6港の港湾施設の復旧に要した経費であります。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、先ほどの平成30年度岩手県歳入歳出決算書の42ページをお開き願います。平成30年度岩手県土地先行取得事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入の状況でありますが、収入済額の合計は24万円余であり、その主なものは、土地開発基金運用の利息収入であります。
 次に、歳出の状況でありますが、支出済額の合計は24万円余であり、一般会計への繰出金であります。
 次に、52ページをお開き願います。平成30年度岩手県流域下水道事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入の状況でありますが、収入済額の合計は76億5、717万円余であり、その主なものは、流域下水道の維持管理費などに係る市町負担金のほか、国庫補助金、前年度からの繰越金であります。
 次に、歳出の状況でありますが、支出済額の合計は64億1、286万円余であり、その内容は、流域下水道の維持管理及び建設に要した経費や県債の元利償還金であります。
 次に、56ページをお開き願います。平成30年度岩手県港湾整備事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
 まず、歳入の状況でありますが、収入済額の合計は22億3、685万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金及び前年度からの繰越金であります。
 次に、歳出の状況でありますが、支出済額の合計は20億4、579万円余であり、その内容は、大船渡港など3港の施設整備に要した経費及び県債の元利償還金であります。
 これで特別会計の説明を終わります。
 以上をもって県土整備部所管に係る平成30年度決算について説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 これまでは、災害は忘れたころにやってくるという話が通ってまいりましたが、今や、忘れないうちに、しかも前の災害の余韻が残っている間に次の番が来るという状況になっていまして、まさに想定外が続いてきているわけであります。この間、県土整備部におかれましては、本庁はもとより、各広域振興局の担当の皆さんが、昼夜を分かたず復旧のために頑張ってきていただいたことに、まずもって御礼と感謝を申し上げるものであります。本当にありがとうございます。今後もぜひよろしくお願いしたいと思います。
 海を見ていたら山が来た、そんな状況にあるわけでありまして、これは、常に山、川、海を同じレベルで見ていなければいけないということを、改めて気がついたところであります。
 そういう中で、三、四日前のテレビでありましたが、岩手河川国道事務所の所長の談話がのっていました。四十四田ダムの今後の対応として、堤体と防潮堤のかさ上げを考えているという話がありました。10年かけて、300億円をかけて堤体を高めるというような話でありました。
 素朴に思うのでありますが、このような大雨の後、ダムの湖底にたまったであろうと思われる土砂等を先に除去するほうが、下流域の住民にとっては最も安心と考えることなのではないか。安い費用で上がるのではないか。四十四田ダムは国の管理でありますけれども、そのほか県の二級河川に存在するダムもあるわけですが、そういったところのかさ上げよりも、まずたまったものを除去する、そういうことが先行するべきではないかと素人的には思うのですが、いかがお考えでしょうか。
〇佐々木河川開発課長 ダム湖内に堆積している土砂の除去についてでございますが、四十四田ダムでは、今年度より北上川上流ダム再生事業の実施計画調査に着手し、ダムのかさ上げ等により、盛岡市における治水安全度の向上を図ることとしております。
 四十四田ダムでは、洪水調節容量をふやす手法として、貯水池周辺の地山掘削やダム下流河川の河道掘削などの複数の案が比較検討されておりますが、堤体を2メートルかさ上げすることで洪水調節容量を約2割ふやすことのできる堤体かさ上げが最適な対策とされております。
 続きまして、二級河川のダムのかさ上げについてでございます。二級河川にあるダムの今の貯水池の土砂の堆積状況でございますが、沿岸地区の二級河川のダムの堆砂はそれほど進んでおりませんので、必要であれば、かさ上げというよりは、土砂撤去のほうを進めていくということを考えております。
〇伊藤勢至委員 いろいろ協議していくということでしょうけれども、私は、湖底の体積が決まっているところが、どんどん埋まって浅くなってきたものの除去を先行するべきではないか、このように思っておりますので、専門家同士の研究を重ねていただきたい。
 県内には、一級河川が207、二級河川が107、そして市町村対応の準用河川が536、合計850の河川があるわけでありますが、主に県の担当としての二級河川について、これからどう対応していかなければいけないかということについて、軽米町の雪谷川の洪水を参考にする点が大いにあるのではないかと思っているところであります。
 ここは1時間当たり100ミリメートルのゲリラ豪雨に襲われまして、河川敷に生えておりました針葉樹、太さが10センチメートルから15センチメートルぐらいですから15年生ぐらいのものかもしれませんが、その根が全部崩れてしまって、倒れて、それが流れに乗って雪谷川を流れていって、昭和橋の橋脚に引っかかってしまった。昭和橋というくらいですから、昭和の初めのころの橋でしょう。橋脚と橋脚の間が狭かった。それが横倒しになった木によって詰まってしまって、そこに他の流木等もたまってダムになって、越波をして大洪水が起こって、そして600戸以上の世帯が浸水の被害を受けたわけであります。私は、あのとき初めて災害がれきの積み上げた状況というのを見て大変びっくりしました。まさか東日本大震災津波以上のものが積み上がる状況が来るとは、思ってもみたことがございませんでした。
 したがいまして、それはそれとしても、この災害に学ぶべきものとして、すぐ私たちは河道掘削に入ってしまいますけれども、河道掘削の前に、河川敷に繁茂している樹木をまず伐採するというのが先行して、さらに河道掘削が必要ではないかと思います。
 戦後74年ということで、ちょうど伐期を迎えてきたここ十年来、材木が動いてくるようになりました。それを加工するために定尺に切った材木があちこちの河川敷に積み上げられている状況にあると思います。大水が出た場合には、完全にこれは下流に流れていくわけでありますので、そういうところと災害防止協定などを結びながら、高手に上げてもらう、そういうことをまず最初にやっていただくべきではないか。
 そして、例えば閉伊川の場合ですけれども、JR山田線と一般国道106号の間に挟まれた道路が非常に狭くて、ここの部分には、クルミでしょうかね、それらを初めとする雑木が非常に多く繁茂している状況にありますので、まずこれら樹木を伐採して、その後、河道掘削という手順が正しいのではないか、私はこのように思いますが、どうお考えでしょうか。
〇幸野河川課総括課長 今、河道内に繁茂している立木の伐採等についてのお話がありました。県といたしましても、河道掘削とともに、立木伐採というのは非常に重要だというように捉えております。このため、現在、国のほうで制度をつくりました防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策におきまして、河道掘削とともに、立木の伐採についても、緊急度の高いところから順次手をつけているところでございます。今後とも、立木による被害を軽減するように努めてまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 中山間地域といいますのは、平らな地域がないということで、どうしても河川敷にというように短絡的に置いてきたかと思うのですけれども、でも、探せばないわけではないのです。例えば旧宮古高校川井分校の校庭は丸々あいておりますので、そういうものを活用しながら、そういうところに移転していただく。
 その前に、本来、堤防と堤防に囲まれた間に民地があるということ自体がおかしいのです。管理するべき者が買い上げておくべきなのですが、これをしゃべるとずっとさかのぼってしまって大変なことになりますので……。本来はそうあるべきでありますけれども、それができない以上、そこの上に繁茂している木を災害防止のためですということで、木の所有者と災害防止協定を結んだ上で買い上げる、そういうことで除去していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇幸野河川課総括課長 河道内の民地に存在している立木の対策についてでございますが、委員御提案のような協定等を組んで立木を除去するという方法も一つの手段だと思います。これからそういう形も研究してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 まずもって、台風第19号での皆さんの御努力に感謝を申し上げます。引き続き、まだまだ年末までに、雪が降る前に工事を急ピッチ、あるいはその調査等もあろうかと思いますが、健康に留意して頑張っていただきたいと思っております。
 東日本大震災津波から間もなく9年が過ぎようとしています。その中にあって、沿岸部は、平成28年の台風第10号と、今回の台風第19号と、三度の被害を受けています。本当に何としたことかなと思って……。立ち上がろうとするところをまた頭からたたかれると、そういった思いであります。皆さんを助けていかなければいけない中にあって、ぜひ急ピッチで工事を進めてほしいなと思います。
 そこでお伺いします。県発注工事ですけれども、平成30年度の件数と落札率の状況はどのように推移してきたか、お伺いしたいと思います。
〇大久保建設技術振興課総括課長 県発注工事の件数と落札率の状況についてでありますが、普通会計の落札ベースで随意契約を含んだデータによりますと、発注件数については、平成30年度では1、209件となっております。震災以降の発注件数の推移について申しますと、平成23年度の2、109件をピークに減少を続け、平成28年度からは1、200件台で推移しております。
 落札率についてですけれども、平均落札率は、平成30年度では93.0%となっております。震災以降の平均落札率の推移は、平成23年度は89.1%でしたが、平成26年度には93.2%まで上昇しました。その後は下降に転じ、平成28年度には90.9%となりましたが、平成29年度は93.0%に再度上昇いたしました。
〇城内よしひこ委員 震災後は、急ピッチで工事を進めるということで、大手ゼネコンが入ってきたり、固まりを大きくして発注したりということで、皆さんに御苦労をかけて、スピード感を持って復旧、復興を進めてきていただいたと。この間、通常に戻りつつあるのかなと思っているところであります。震災後、平成26年あたりは大分不調があったわけでありますが、不調の状況はどのように推移してきたかお伺いしたいと思います。
〇大久保建設技術振興課総括課長 不調の状況についてでございますが、県発注工事の一般競争入札における入札不調の発生率は、平成30年度では19.3%となっております。
 震災以降の入札不調発生率の推移は、平成23年度は8.9%でしたが、震災復旧工事の増加に伴い上昇しまして、平成26年度は20.9%となりました。その後は下降し、平成28年度は9.6%となりましたが、平成28年台風第10号災害復旧工事の増加に伴い、平成29年度以降は再び上昇に転じております。
〇城内よしひこ委員 そこで、今般の台風第19号災害の復旧工事についてですけれども、また入札不調が起こるのではないかなと危惧しております。平成28年台風第10号関係でなかなか契約が調わなかったというところがありますが、そういったことも踏まえて、今回の台風第19号災害の工事発注の見通しはどのように立てていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
〇菅原砂防災害課総括課長 今般の台風第19号災害の復旧工事の発注の見通しというお尋ねでございますが、本日時点で、河川、道路等の公共土木施設の被害状況は、県で212カ所、65億円余、市町村では799カ所、196億円余となっておりまして、県と市町村合わせまして1、011カ所の261億円余となっている状況でございます。
 これら被災箇所につきましては、沿岸を中心に甚大な被害が発生しておりますが、水産業などの地域産業や日常生活を確保するための道路や、河岸の崩落など被害の拡大を防止する必要がある箇所につきましては、緊急度や優先度を考慮いたしまして、国の災害査定前に復旧工事に着手するなど、既に早期復旧に向けて鋭意取り組んでいるところでございます。
 現在、国と災害査定の実施に向けました調整を鋭意進めておりますが、査定後、本格的な復旧に向けまして、順次、速やかな工事発注に取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 これまでも災害復旧に関しては、優先順位をつけて、速やかにやらなければならない工事と、ちょっと待てという工事、災害復旧にちょっと待てはないわけでありますけれども、そういう優先順位というのは必要だと思っています。
 そこで、今後の課題ということですけれども、以前私が建設業の方とお話をする中にあって、東日本大震災津波で下請けをずっとやってきたことによって、通常の市町村あるいは県の発注工事に対する実績がなくなってしまった。実際は工事をしているわけですけれども、そういうことで工事にエントリーできないという話も伺ったりしています。そういった話は皆さんのほうには届いていないでしょうか。
〇菊地技術企画指導課長 入札参加資格の要件についてでございますけれども、私どもも建設業協会の各支部と毎年意見交換を行っております。その中におきましても、施工実績の件につきましては、話題として情報を聞いているところでございます。
〇城内よしひこ委員 そのことによって、先ほどお話ししました入札不調につながるような状況が発生していないか、私は懸念しております。そういったことはないのか、お伺いしたいと思います。
〇菊地技術企画指導課長 入札参加の施工実績要件につきましては、工事品質確保の観点から設定しているものでございます。本県におきましては、東日本大震災津波の発災前より、元請または一次下請の施工実績につきましても、一部業種によっては認めておりまして、入札参加資格者の裾野を拡大し、工事が円滑に施工されるよう条件整備に努めてきたところでございます。
〇城内よしひこ委員 ぜひここはしっかりと、その要件も含めて手だてをしていかないといけないのではないかなと。一部という話がありましたけれども、その一部というのはどういう要件なのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇菊地技術企画指導課長 一部につきましては、一般的な土木工事―道路でいえば橋梁下部工などの道路構造物であったり、護岸工などの河川構造物など、一般的な工事につきましては、一次下請の実績も認めているところでございます。
〇城内よしひこ委員 今回の台風第19号も多岐にわたって被害が発生したというのはそのとおりで、その優先順位というのも、そのとおりであります。しっかりと復旧を期間内におさめるというのが私の言うところの趣旨でありますので、ぜひ県内にある業者をしっかりと使えるような仕組みというのも、建設業協会とも連携をとっているという話でしたので、しっかりと対応してほしいと思います。その辺、部長、いかがでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 3年前の平成28年台風第10号の災害の際に、岩泉町を中心に広域に大きな被害を受けていまして、先ほど申し上げたとおり、ただいまも鋭意復旧、復興に取り組んでおりますが、建設業協会のほうとも、その際にもいろいろ連絡、連携をとらせていただいて、内陸のほうからの会社も大分入っていただけるようになっておりますし、またそういった経験も踏まえて、しっかりと協力、調整、連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 最後になります。本当に皆さんの御苦労に感謝を申し上げ、しっかりと工事が進む、そして期限内に工事が整う、ぜひそのことをお願いして、終わります。
〇千葉盛委員 それでは、質問させていただきます。大きく3点質問させていただきます。
 まず、最大クラスの津波浸水想定区域の設定について質問いたします。平成30年度においては作業に着手できなかったということでありますけれども、まず、現状や策定の見通しについてお伺いいたします。
〇幸野河川課総括課長 最大クラスの津波浸水想定区域の作成についてでありますが、岩手県沿岸地域に影響するとされる日本海溝、千島海溝沿いの最大クラスの津波の断層モデル等については、現在、国において検討が進められているところであります。県といたしましては、その結果が示され次第、沿岸市町村と調整を図りながら、津波浸水想定の設定、公表に向けた検討を進めてまいります。
〇千葉盛委員 想定ができ次第ということですが、その見通しはわからない状況なのですか。もう一度お伺いいたします。
〇幸野河川課総括課長 先ほど申しましたとおり、今現在、国において、その断層モデルに関するさまざまな議論をしているところでございまして、現在のところ、その具体的な公表時期の見通しについては、示されていないところでございます。
〇千葉盛委員 福島県では公表になりましたし、宮城県では2021年度に公表できるのではないかということでしたけれども、岩手県の場合はまた何かいろいろ理由があるのか、その辺ももうし少し詳しく教えていただければ、お願いいたします。
〇幸野河川課総括課長 福島県等で公表しているということですが、先ほど申しました津波が発生する際のモデルの検討については、非常に高度な、かつ広域的な知見が必要なものでありますことから、県でやるよりも、まず国の検討結果を待ってやるのが適当だということで、現在、本県としてはその検討結果を待っているという状況でございます。
〇千葉盛委員 わかりました。できるだけ早くそういったことが進んでいっていただければありがたいです。最大クラスの津波ということで、今の復興まちづくりの前提とは全く変わったものになりますので、浸水する場所が全て変わってきますので、今まちづくりをしてきたところも、恐らくかなり浸水することになるのかどうなのか、ちょっとわかりませんけれども……。
 その中で、今は100年に一度ぐらいのL1で復興まちづくりが進んできて、今度はL2を前提にするのでしょうけれども、例えば今までつくってきた防潮堤とかさまざまあります。それを県としてこれから進めていく中で、いろいろモデルができるまではまだ何とも言えないのでしょうけれども、それはどういった段階なのか。防潮堤を越えてくるとか、防潮堤自体が壊れてしまうとか、そういった少しでも想定があれば教えていただきたいのですけれども。
〇幸野河川課総括課長 最大クラスの津波浸水想定はどのような条件になるのかということであります。
 津波地域づくり法に基づいて浸水想定をシミュレーションするということでありますが、その最大クラスの津波については、悪条件のもとで発生するということを前提に行うこととなっています。例えば、海の潮位は最大の潮位の状態。それから、地震によって地盤沈下がさらに発生する。もしくは、先ほどお話があったとおり、防潮堤を越流した場合はその防潮堤が破壊するというような、最悪の条件下でシミュレーションするということが想定されます。そこら辺を考えながら、国の公表があった際には検討を進めてまいりたいと考えております。
〇千葉盛委員 本当に今までのまちづくりの前提が全て変わってしまいますし─まちづくりはもちろん今までのとおりですけれども、結局、避難のあり方とか、ここは大丈夫だったというところが、また全て変わってしまいますので、早めに策定されることも必要ですし、慎重にしっかりと計画していかなければならないと思いますので、策定することと、あとは、市町村もハザードマップというか、またいろいろな計画をつくっていくでしょうから、住民の周知徹底にも大変時間もかかりますので、その辺の連携もしっかりととっていただきたいなと思います。
 次に、今は津波でしたけれども、今度は洪水のハザードマップということで。台風第19号もそうすけれども、本当に大雨の災害が起きております。そこで、洪水ハザードマップについて、まだ作成できていない市町村もあるようですけれども、まず県内の市町村の作成状況についてお伺いいたします。
〇幸野河川課総括課長 洪水ハザードマップの市町村の作成状況でありますが、本年9月末現在で、28市町村が洪水ハザードマップを作成済みでございます。残る市町村におきましても、順次ハザードマップを作成する予定と聞いております。
〇千葉盛委員 その作成できていない理由というのはどういうところにあるのか、お伺いします。
〇幸野河川課総括課長 洪水ハザードマップは、平成27年の水防法の改正に伴って、最大規模の降雨に対する浸水想定をもとにつくるという仕組みになったということであります。
 現在未策定の市町村については、最大規模の洪水浸水想定は県がつくることになっておりますので、県がその浸水想定をつくるのを待ってつくるということで、現在未作成という状況と聞いております。
〇千葉盛委員 平成27年に法律が変わったということで、県として最大規模の降雨があった場合の浸水想定をつくって、それから作成していくということなので、平成27年に法律が変わったということは、その後に多分浸水想定して、今もされている状況なのでしょうから、これまでつくってきた市町村のハザードマップもまたつくり直すのか、そういったところをお伺いします。
〇幸野河川課総括課長 今お話にあったとおり、既にハザードマップを作成した市町村においても、水防法改正前に、ある一定程度の計画規模での浸水想定に対応したハザードマップになっている市町村もございます。最大規模の降雨に伴う浸水想定が順次整備されていきますので、それに伴ってそのハザードマップについても見直されていくものと考えております。
〇千葉盛委員 いろいろ資料等を見ると、最大規模の河川の指定数が2019年度で23河川となっています。大きい川というか、県管理の中のある程度特定された、水位周知河川の指定されたところということで書いてありますので、それは今から進んでいって、それを前提にハザードマップをつくっていくと。ただ、今回の台風第19号で堤防が決壊した河川の中で、浸水想定されていなかった中小規模の河川がかなりあったということで、そういったところは今後どのように進めていくのかお伺いします。
〇幸野河川課総括課長 中小規模の河川における洪水浸水想定区域の指定についてでございます。県では、平成29年度に開催いたしました大規模氾濫減災協議会―これは国、県、市町村が構成員になって洪水対策を進めている協議会でございますが、この協議会におきまして、平成29年度から令和3年度までの5年間に30河川の洪水浸水想定の指定を行うという計画を取りまとめております。
 この計画に基づきまして、本年9月末現在で19河川の洪水浸水想定区域を指定済みでございます。また、この5年間の計画期間の後、いわゆる令和4年度以降につきしても、引き続き優先度の高い河川から、浸水想定区域の指定を順次進めてまいります。
〇千葉盛委員 指定はどんどん進めていってほしいですけれども、中小規模というか、なかなか進んではいかないのでしょう。結局、浸水想定がされる川でハザードマップがつくられるところというのは、限定的な形になっていくと思うのです。なかなか難しいでしょうけれども、その後にそういう中小の、あまり大きい川ではないけれども県管理のところも引き続き、いつまでにどうのというのはないでしょうけれども、やられていくのかというのをもう一度お伺いいたします。
〇幸野河川課総括課長 繰り返しになりますけれども、まずは今の5カ年計画に沿って進めてまいりますが、その後も、それで終わりということでは当然ありませんで、その次の計画を立てながら進めてまいります。委員おっしゃるとおり、中小河川全てにこれをやっていくというのは非常に厳しいところでございまして、まずは代表的な河川の周辺における浸水想定区域を明らかにしつつ、あとの中小河川については、現地に詳しい市町村に、その地形の状況等を見ていただきながら、随時判断していっていただければなというように考えています。
〇千葉盛委員 しっかり進めていっていただいて、今回の大雨でも、どこから災害が起こるかわからない状況になっておりますので、浸水想定だけではなくて、何かしらそういった災害が起こりにくい工事等も含めて検討していっていただければなと。そういったところをいろいろ調査とかしていただければなと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、外国船籍クルーズ船の寄港拡大についてお伺いいたします。現状の取り組みと成果についてまずお伺いいたします。
〇照井港湾課総括課長 外国船籍クルーズ船の寄港拡大の取り組みと成果でございますけれども、岩手の港湾に外国船籍クルーズ船の誘致を進めるため、港湾所在市と連携して、外国船社の寄港地決定のキーマンを招請し、県内港湾や周辺観光施設の案内を行っているほか、外国船社の日本支社等への訪問、国土交通省主催のクルーズ船社との商談会への参加などをしてきたところでございます。また、毎年、東京都内でいわてポートフォーラムを開催いたしまして、船会社や寄港地観光ツアーの造成等を行っております旅行代理店等に対しまして、知事や港湾所在市長によるトップセールスを行ってきたところでございます。
 取り組みの成果でございますけれども、外国船籍クルーズ船の県内港湾への寄港につきましては、震災前は平成20年度に宮古港へ1隻寄港したのみでございましたけれども、震災後は、平成30年5月6日と同年9月24日にアメリカの船会社が運航いたしますスターレジェンドが宮古港へ寄港いたしましたほか、本年4月25日には、県内初となります10万トンを超えるクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスが宮古港に初寄港するなど、ポートセールスの成果があらわれてきているものと認識しているところでございます。
〇千葉盛委員 成果があらわれてきているということなのでしょうけれども、岩手県には四つの港湾がありますので、それをどのように生かしていくかをお聞きします。
〇照井港湾課総括課長 四つの港湾の取り組みの拡大ということと思いますけれども、県内には、久慈港、宮古港、釜石港、大船渡港の四つの重要港湾がございまして、宮古港におきましては14万トン級までの大型クルーズ船、久慈港、釜石港、大船渡港の3港につきましては、それぞれの港に入港実績のありますクルーズ船と同程度の大きさまでのクルーズ船を対象として、クルーズ船社や旅行代理店への訪問、商談会への参加による誘致活動を展開してきているところでございます。
 クルーズ船社への誘致活動に当たりましては、例えば大船渡港であれば、寄港した際に平泉の世界遺産を寄港地観光ツアーに組み込めることなど、各港湾の特徴や周辺の観光地など、各港の自然や歴史、文化、食など多様な魅力を紹介しているところでございます。
〇千葉盛委員 四つもあるので、いろいろ大変だと思います。いろいろ誘致活動をするために、港湾が四つあって、その港湾を抱えている市が4市あるわけですが、そういったところとどういうふうに連携していくかが課題と思って見ているのですけれども、その辺の取り組みの仕方についてお伺いいたします。
〇照井港湾課総括課長 それぞれの港湾へのクルーズ船の誘致に当たりましては、港湾の施設面ではなく、寄港した際にどのような観光地にツアーとして出かけられるかが重要になってまいります。例えば大船渡港に寄港した際に、遠くは平泉に行くとか、近くであれば碁石海岸に行くということがあるのですけれども、私たちが船会社を訪問する際は、遠くの施設については県が説明をして、近くの飲食とか観光地については市が説明すると。それぞれ自分たちの知識というものを生かしながら誘致活動を進めているところでございます。
〇千葉盛委員 例えば青森県、秋田県はすごく寄港回数がふえております。お祭りや桜といった時期に集中的に外国船が入港しているようです。せっかく四つ港湾がありますので、それぞれいろいろなイベントも開催されていると思いますのでそういったところをしっかり売り込んでいただければいいのかなとは思いますけれども、四つの市と連携していくのは大変だと思いますので、その辺はしっかりとやっていただきたいと思います。
 その中で、2020年度の寄港回数の目標が3回となっているのですけれども、ちょっと目標設定が少な過ぎるのではないかと思いますので、その辺についてお伺いします。
 また、外国クルーズ船誘致に力を入れていくことでどういった効果、例えば誘客数については、特に書かれていないので、ないのかもしれませんけれども、そういったところもどういうふうに考えているのかお伺いいたします。
〇照井港湾課総括課長 寄港数の目標と誘客数の目標の認識でございますけれども、2019年度から2022年度を計画期間といたしますいわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおきまして、外国船社が運航するクルーズ船の寄港回数の目標を設定しております。その中で、2019年―ことしは2回、2020年は3回の寄港を目標としています。毎年着実にふやしていきたいと。なかなか寄港回数は読めないのですけれども、確実にふやしていきたいということで取り組んでいるところでございます。
 実績でございますけれども、2019年―今年度は2回の実績がございます。来年―2020年につきましては、現時点では、大船渡港への初寄港を含め6回、外国船社が運航するクルーズ船の寄港が船会社等から発表されているところでございます。
 寄港による誘客数についてでございますけれども、クルーズ船の乗客定員につきましては、クルーズ船の大きさに応じて大きな開きがございます。一方で、各港湾に受け入れ可能なクルーズ船の大きさにも違いがありますことから、まずは寄港回数をふやすことを目標に取り組んでいるところでございます。
〇千葉盛委員 目標が3回だったのに対して6回なので、大変すばらしいことだと思うのですけれども、6回の内訳を教えてください。
〇照井港湾課総括課長 ポートごとに、大船渡港に2回、宮古港に4回と把握しているところでございます。
〇千葉盛委員 聞き方が簡単過ぎたので、ダイヤモンド・プリンセスが来るとか、どういった船が来るかというところまで言っていただければ。
〇照井港湾課総括課長 早いほうから御説明いたしますと、令和2年4月22日にダイヤモンド・プリンセスが宮古港への寄港、同じく4月27日に8万トンクラスのウエステルダムが宮古港への寄港、8月2日に3万5、000トンのオーシャンドリームが大船渡港に寄港、9月8日にスター・ブリーズ、現段階1万トン余りですけれども、これを改修して、若干大きくなって大船渡港に入港することとなっています。10月23日、3万トンクラスのレガッタが宮古港へ入港、10月26日、11万5、000トンのダイヤモンド・プリンセスが宮古港に入港で、総計6回の入港の計画を把握しているところでございます。
〇千葉盛委員 これから、外国船誘致によって沿岸にも内陸にも経済波及効果があらわれるようにしっかりとやっていっていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 きょうは4点、聞きます。
 まず1点目は、不用額について。
 冒頭、部長から説明がありましたが、平成30年度決算においては土木費96億7、200万円余を計上しております。概要については説明がありましたが、内容、詳細について示していただきたいと思いますし、財源の内訳も示していただきたいと思います。
〇吉原県土整備企画室管理課長 土木費の不用額の内容についてでありますが、主なものを挙げますと、道路環境改善事業の8億8、300万円余、除雪費の8億2、200万円余、地域連携道路整備事業の18億500万円余などがございます。
 これらは、国の2次補正に係る国庫割り当て額が当初の見込みを下回ったことや、降雪量が見込みを下回ったこと、また、主に復興事業において計画検討や工事支障物件の移設に不測の日数を要したことにより繰越額の一部が不用となったことなどが主な要因となっております。
 不用額の財源内訳についてでございますが、国庫支出金が26億3、800万円余、復興交付金基金繰入金などが21億1、300万円余、一般財源が49億2、000万円余などとなっております。
〇飯澤匡委員 一般財源が約50億円余となっておりまして、これは繰り越しではないのですね、不用ということですから、一旦また県庫に入るということなのでしょうか。これはどういう会計処理になりますか。
〇多田副部長兼県土整備企画室長 不用額の一般財源の扱いでございますけれども、これは不用額でございますので、どこにも充てられない費用として次年度への財源に繰越金として持ち越されることになります。
〇飯澤匡委員 大体そういう額が繰り越しになると。いろいろ事由はあると思いますけれども、この事実を確認させていただきたいと思っておりました。
 2点目に入りますが、室蘭―宮古間のカーフェリーの運航状況について。
 最初は、三陸沿岸道路が全線、仙台まで開通しました。開通前と比較しての乗船実績、旅客、トラック、乗用車を種別ごとに示していただきたい。
 それから、かなりトラックが不調ということで、八戸寄港というダイヤに変更されました。その変更後、どのような変化があったのか。特にトラック乗船の実績と今後の振興策について示していただきたいと思います。
〇照井港湾課総括課長 初めに、三陸沿岸道路宮古以南の県内区間の全線開通後の宮古―室蘭フェリーの乗船実績についてでございますけれども、三陸沿岸道路は本年6月22日に釜石北インターチェンジから大槌インターチェンジ間が開通いたしまして、宮古インターチェンジ以南の県内区間の全線が開通したところでございます。
 本年7月から9月までの3カ月間の宮古港発着の乗船実績につきましては、旅客が1万4、703人、トラックが956台、乗用車が4、644台となっておりまして、1便当たりの平均利用数は、旅客が約92人、トラックが約6台、乗用車が約29台となっているところでございます。全線開通前の令和元年6月までの実績と比較いたしまして、1便当たりの平均利用数は、旅客は44人の増加、トラックは6台で横ばい、乗用車は17台の増加となっているところでございます。
 次に、八戸寄港によるダイヤ変更後のトラックの乗船実績と今後の振興策についてでございますけれども、平成30年10月6日の八戸寄港開始以来、平成30年10月から本年9月までの宮古港発着のトラックの乗船実績は3、346台となっておりまして、1便当たりの平均利用数は約6台、八戸寄港前の宮古港発着の1便当たり約8台と比べまして、1便当たり2台の減少となっております。
 また、今後の振興策についてでございますけれども、今年度、県では、トラック利用を促進するため、宮古市や室蘭市と連携して6月22日から10月31日まで宮古・室蘭フェリー物流効果等実証事業を実施いたしまして、トラックドライバーなどから実際に航路を利用した際のメリットや改善点等の意見をいただいたところでございます。今後は、収集した意見等を分析いたしまして、必要な見直しを行った上で今年度内に実証事業を再度実施するとともに、来年2月に東京都内でいわてポートフォーラムを開催いたしまして、物流事業者への航路PRなど、さらなる航路の利用促進を図ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 まとめて聞いたわけですけれども、結構トラックについては厳しい状況が続いているということですね。今、振興策についてもお示しいただきましたけれども、その程度ではなかなか厳しいのではないかという印象です。
 今後どのような策を練ったらいいのか。これは、単なるポートセールスだけにはとどまらず、もう少し産業界とも、特に北海道の方々、農産物主体でしょうからホクレンなどにもしっかり食い込んでお話をしていかないとなかなか伸びないのではないかと思います。今まで港湾課にはいろいろポートセールスを各地でやっていただいておりますけれども、トラック業者も運送業界も含めたいろいろな業種の方を巻き込んでいかないと、6台ではなかなか大変だと思うのですけれども。
 今年度はどれくらい見込んでやりましょうみたいな、そういう身近な目標は立ててやっておりますでしょうか。
〇照井港湾課総括課長 実数としてトラック利用何台という目標は立てておりませんけれども、委員おっしゃるとおり6台というのはやっぱり少ないと認識しておりまして、今回、実証事業で、実際30社程度に利用していただいておりますけれども、大部分の方々が北海道の運送事業者という結果が出ていますので、北海道もターゲットの視野に入れながら今後の利用促進の取り組みを考えていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ちょっと少ないのではなくて、かなり少ないのです。ですから、そういう認識を持って、実証実験は大変結構なことだと思いますが、いずれしっかり食い込んで、内容についても、この荷物はどこからどこまで行ってどういう展開をされるのかということも想定しながら相手と……ただ利用してくださいだけではなかなか前に進まないと思います。これも引き続きウオッチさせていただきたいと思います。
 次に3点目ですが、台風第19号による砂鉄川治水対策について。
 今回、私の選挙区内、特に東磐井地区では、内水処理について住民の方々からも課題を突きつけられております。あの調子であと2時間降られたら過去の災害並みになったのではないかという話もいただいております。
 特に、国直轄の部分と県管理の工事の部分と結節点である東山地域の松川地区、ここについては早くから排水ポンプ車が来て処理されているようですが、住民の方は、それではなかなか。先ほど言った雨量が今回は運がよかったかもしれないという話の中でさらなる対策を求められているわけですが、県土整備部として、今回の砂鉄川のこの状況についてどのように把握して、今後どのような対策を講じたらいいのか、その分析についてお伺いしたいと思います。
〇幸野河川課総括課長 今回の台風第19号に伴う砂鉄川、松川地区の内水処理の現状認識でございますが、今回の台風第19号においては、砂鉄川沿いの内水処理施設―これは一関市に管理委託しておるところでございますけれども―6カ所が稼動いたしまして、道路に一部水が走ったという状況はありましたけれども、家屋への浸水被害はなかったものと承知しております。
 今後、雨が激甚化していることを踏まえてさらなる対応というお話がありましたが、これについては、今回の台風第19号の雨の降り方等を検証しながら、今後、考えてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 各地、特に沿岸地域においては甚大な被害を受けて本当に心からお見舞いを申し上げるところでございますが、私は、平成14年の災害のその前ですか、東山地域で、たしか平成元年だったと思いますけれども、小河川でとんでもない短時間での降雨量があって、死者1名を出した。あのころから大分気象条件が変わってきたと思っています。
 砂鉄川についても国直轄の緊急対策事業で大分改修していただいて、下流部はほぼ、特に川崎地区については安心な状況にはなっていると思いますが、問題は、ここの中通側がぐーっと曲がっていて、非常に地形の状況によって、地域の方々は、ちょっと降っただけでも……。私もちょっと降ったらすぐそこに駆けつけるようにはしているのですが、もう1台ぐらいポンプ車を用意しないとだめなのではないかと。
 今、市に管理委託しているということですが、そうしたならばこの件も一関市としっかりお話をして今後の対策を練っていただきたいと思いますが、市との協議についてはいかがですか。
〇幸野河川課総括課長 内水とお話いただきましたけれども、内水もそうですし洪水対策もそうですが、近年、雨が激甚化していることを受けまして、先ほども申し上げましたとおり、国、県、市町村から成る大規模氾濫減災協議会という仕組みの中で、国、県、市町村で意思疎通を図りながら、洪水、内水について情報共有しているところであります。
 内水対策に関しましては、国でもポンプ車をかなり配置して用意しているところでございまして、そういう場も使いまして、必要な場所の情報共有等を図ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 国では砂鉄川については非常に注目していただいており、今でもさまざまな行事の中でいろいろ情報の疎通はうまくいっていると思うのですが、いずれ市とも直接的な話し合いの中でしっかりと対応していただきたいと思います。私の選挙区内は運よくそれぐらいで済みましたけれども、いつどこで何が起きるかわからないという現状でありますので、しっかりそこら辺は協議を密にしていただきたいと思います。
 さて、最後は、いつもの国道343号の整備と新笹ノ田トンネルの着工についてお伺いします。
 現在、おかげさまで渋民工区の建設については順調に推移していると思っておりますが、今の進捗状況と完工予定について変更はないのか確認させていただきます。
〇菅原道路建設課総括課長 国道343号渋民工区についてでございます。
 一関市大東町大原と渋民間の急カーブとなっております区間を回避するため、この事業、平成27年度に延長5.5キロメートルのバイパス整備に着手したところであります。ことし7月には、最後の大規模構造物でもあります(仮称)渋民トンネル築造工事にも着手したところであります。現在、橋梁や道路改良工事とあわせて、鋭意、事業の進捗を図っているところであります。
 今後は、残る道路改良やトンネルの設備工事等を早期に発注いたしまして、令和2年度内の開通を目指して取り組んでまいります。
〇飯澤匡委員 そうしますと大体予定どおりということになりますね。わかりました。
 さて、本題の新笹ノ田トンネル着工についてでありますけれども、代表質問でも聞きましたが、いつも判で押したような同じ答弁書がコピーで回っているのではないかと思うぐらいであります。
 今回、いろいろな事象を絡めてその必要性を訴えてまいりましたが、いよいよILCの実現が現実味を帯びてきた中で、岩手県の戦略をどうやって……。地域の発展を期するために、横軸道路の連携はやはりしっかりやっていかなければならないという観点に立って、状況が大分変わってきたということで、改めて。
 県南については、欲を言えばといいますか、今回の震災を一つの契機とすれば、広域基幹道路の一つも、国道343号でもいいし国道284号でもよかったのですけれども、せめて新笹ノ田トンネルはやっていただかないと。衝突地点はもう決まっているわけですから、その点に向けた整備促進を戦略的な意味を込めてどういうふうに考えているのか、その点についてお伺いします。
〇菅原道路建設課総括課長 ILC実現に向けた戦略的な対応というお伺いであります。
 国道343号は、観光面や産業面、さらにILCを推進する上でも重要な位置づけを持つ路線として認識しております。観光面では、平泉の文化遺産、あるいは陸前高田市に整備が進む復興祈念公園を結ぶ横軸の周遊観光ルートとしての機能がございますし、産業面では、大船渡港と内陸の工業団地やセメント工場を結ぶ物流ルートとしての機能を有しているところであります。
 また、ILC建設との関連につきましては、新しいまちづくり見据えたアクセスルートとして考えられるところでありますが、笹ノ田峠への新たなトンネル整備という観点につきましては、多額な事業費が必要と見込まれておりますので安定的な事業予算の確保が課題と認識しておりまして、事業効果などを確認する必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 何か前段で言っているのと後段で言っているのは全くかみ合わないのですね。時代の局面とかその趨勢をちゃんとにらんで、どれだけの効果があるかということ、投資的な効果というのは目に見えてわかるわけです。先ほど港湾課総括課長もおっしゃっていたように、平泉との観光ルートと今、答弁にもありましたけれども、そこら辺をしっかり見据えた中でいけば広域基幹道路でもおかしくないくらいです。決まってからやるというのでは……。
 これはやはり、これから政府やいろいろな国との折衝をする中で、横軸の道路はどうなっているのか、岩手県はどれだけ真剣に考えていますかという話に絶対なるではないですか。なりますよね、普通に考えれば。その点についてもっと積極的な投資的な考えを持ってやっていただきたいと思うのですが、もう一回課長に聞きます。同じ内容はだめですよ。
〇菅原道路建設課総括課長 なるべく同じ内容ではない観点で御説明いたします。
 県内の幹線道路ネットワークは、委員御指摘のとおり、縦軸ができ、また横軸ができということで、それに付随する基幹道路という観点では、国道343号は重要な路線という位置づけの認識は変わりないものであります。ただ、今後、それらのネットワークが機能してくる際の交通の状況等はやはり見きわめる必要があると認識しておりますので、それをあわせて見きわめるとともに、国の調査の結果等も踏まえて計画整備の必要性については検討してまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 見きわめるのではなくて、創造性、想像力を膨らませて。大体にして大船渡港、釜石港から横軸を使って内陸にやるとなったら、それなりの県南の道路整備は必要じゃないですか。私なら、地元ということを除いても、やはりそこら辺は考えますよ。
 それから、2月の代表質問でも申し上げましたように、宮城県は築館から沿岸に向かって広域基幹道路を整備しています。震災を機にもっと弾みがついて、宮城の県北部はそういう動脈をつくりつつある。
 今、宮古―室蘭フェリーの話もしましたが、おちおちしていると岩手県をすり抜けてしまって、アクセス道路の定着というのがそういうことになってしまう。私は何回も言いますけれども、戦略的なやり方を考えていかないと、岩手県の観光振興や産業振興がなかなか育っていかない。ILCのプロジェクトなんて千年に一度ですよ。伊藤委員がよく奥羽の歴史を言いますけれども、こんなことはないのだから。それを早く捉えて岩手県の姿勢を内外に示すことが必要だと思うのですが、最後に部長に聞いて、同じ内容ではないものをお願いします。
〇八重樫県土整備部長 委員御案内のILCのプロジェクトは、非常に希有な、岩手にとって壮大な計画の実現が近づいているかもしれないという話はごもっともだと存じ上げております。
 この路線自体は、現在、機能を有しておりますが、笹ノ田峠のループ橋の冬場の交通の危険性は、新笹ノ田トンネル建設促進期成同盟会の会長あるいは9万筆の署名のお気持ち、こういったことから我々は貴重な意見として伺っているところでありまして、非常にそれは重いものと受けとめております。
 この実現に当たりましては、いろいろな事業費の要件もございますので、そういったことも勘案しながら、いずれ、来るべきまちづくり、横軸のネットワークのあり方といったものは、ただいま委員から貴重な御案内があったことも参考にさせていただきながら検討を続けてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最初に不用額を聞いたのですけれども、各種の事業が組み合わされて、一般財源については約50億円です。トンネル整備は大体80億円ぐらいあればできるのではないかという話ですので、それに投資的な効果も加味すれば、私は、余り何度も何度もやりたくないので、早く調査費ぐらいはつけていただいて前に進めていただくようにお願いしたいと思います。
〇柳村一委員 この後、取りまとめもあるようですので、早目に終わらせたいと思います。
 砂防費についてお伺いします。
 平成30年度の砂防対策の事業実績と土砂災害危険箇所整備の進捗率について、土砂災害のおそれのある区域を公表した箇所数の進捗状況と土砂災害警戒区域の指定率についてお伺いします。
〇菅原砂防災害課総括課長 まず1点目でございますが、平成30年度の砂防対策事業の事業実績は、国庫補助事業で岩泉町松橋の沢ほか29カ所、また、社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金で葛巻町の市部内の沢ほか12カ所、さらに加えまして、県単独事業を含め、全てで47カ所で事業を実施したところでございます。このうち、宮古市小土ノ沢ほか3カ所で完成したところでございます。
 次に、土砂災害危険箇所の整備の進捗状況のお尋ねでございますが、砂防堰堤などの対策が必要となります県内の土石流危険渓流は全部で7、198渓流ございます。このうち、保全人家5戸以上などの要整備対象箇所は2、204渓流となっておりまして、本年3月末現在で整備済みが205カ所、整備率につきましては9.3%となっているところでございます。
 次に、土砂災害のおそれのある区域を公表した箇所の進捗状況と土砂災害警戒区域の指定率の状況のお尋ねでございますが、まず、土砂災害のおそれのある区域につきましては、県内の土砂災害危険箇所1万4、348カ所を対象に現在調査を実施しておりまして、区域を指定する前にその調査結果を公表することになっておりますが、本年9月末現在、これまで公表いたしました箇所数は1万1、379カ所で、調査対象箇所に対する率は79.3%という状況になっております。
 また、そのうち土砂災害警戒区域と指定した箇所数でございますが、これも本年9月末現在、7、145カ所の調査対象箇所に対します指定率は49.8%、以上のような状況になっているところでございます。
〇柳村一委員 平成28年台風第10号、ことしの台風第19号など、今の異常気象によるといつどこに災害が起きても不思議ではないと思うのですけれども、砂防対策事業について優先順位みたいなものがあるのでしょうか、その点についてお伺いします。
〇菅原砂防災害課総括課長 砂防対策事業の優先順位のお話でございますが、御案内のとおり、限られた財源の中で事業効果を発現するため、保全人家5戸以上の箇所、あるいは要配慮者利用施設、避難所、避難路、学校、病院などの公共施設がある箇所、また被災履歴がある箇所を優先的、集中的に整備していく方針で取り組んでいるところでございます。
〇柳村一委員 そうしますと、例えば今回の台風第19号で災害が起きたところなどは、今まで優先順位が低かったのが上がってくるという解釈でいいのでしょうか。
〇菅原砂防災害課総括課長 今回の台風第19号では非常に多くの土砂災害が発生しております。これにつきましては、既に土砂災害が発生しているということで、新たに砂防堰堤等の対策を進めていく必要があるものと考えております。
〇柳村一委員 公表した箇所数は、今回の台風災害の箇所数と一致するものでしょうか。
〇菅原砂防災害課総括課長 公表した箇所数と今回の災害との数については一致するような内容ではございません。
〇柳村一委員 土砂災害危険箇所市町村別一覧表というものがありまして、土石流は平成12年調査、急傾斜地は同じく平成12年調査、地すべりが平成9年調査です。今回、県は公表するのを1万4、348カ所という形でやっているわけですけれども、このようにあちこちで災害が起きてくると、この危険箇所だけでは済まないのではないかと思います。指定する危険箇所についてどういう基準で調査されているのでしょうか。
〇菅原砂防災害課総括課長 委員からお話がございました現在調査を進めております1万4、348カ所につきましては、御案内のとおり、土石流、急傾斜地、地すべりということで、これは国の基礎調査等の取り組みの基本指針に基づきまして、平成12年度に国の通達がございました。それによりまして、土砂災害が発生するおそれ、具体的に申しますと、渓流の地形、あるいは急傾斜地ですと勾配が30度等々の条件を踏まえて、それから人家が1戸以上、あるいは公共施設があるなどの条件を具備した箇所を拾い上げました。それが1万4、500カ所ほどの箇所数として今現在調査しているところでございます。
〇柳村一委員 これからも公表していくのでしょうけれども、公表された危険箇所ではないところでも災害は起こり得るわけでございまして、その対策がどうなのかというのをお聞きしたかったのです。指定するのもまだ100%にもなっていない。ましてや整備率が9.何%と。多分100年、200年かかっても終了しないということだと思うのです。そのとき、やはり住民の皆様に周知して、ここは危険です、このくらい降ったら避難してくださいというソフト対策がかなり重要になってくる。とにかく生命を守ってくださいという話になると思うのですけれども、そこら辺の対策はどのような形で行われているのでしょうか。
〇菅原砂防災害課総括課長 まず1点目、先ほどお話しさせていただきましたが、今回の台風第19号と危険箇所との関係でございますけれども、私どもで今押さえている箇所数で申し上げますと、土砂流出、それから急傾斜地等を合わせて97カ所、今回、発生しております。その約8割が今回、1万4、348カ所の土砂災害危険箇所の中で発生している状況になっております。したがいまして、委員からお話のありました、今回、私どもが押さえていない箇所で発生している箇所の対応につきましては、今後、現地の状況を見ながら、調査等、現場を確認して、国とも協議しながら進めてまいりたいと考えております。
 それから、ソフト対策についてですが、御案内のとおり土砂災害基礎調査を終わりまして、現在、県では基礎調査の結果につきましては、県のホームページに掲載、あるいは市町村等と情報共有させていただいております。また、指定になった箇所につきましては、市町村のほうでこれをハザードマップ等に反映させて住民周知、あるいは市町村の地区防災計画への位置づけ、それに加えまして警戒避難体制の整備等を進めております。いずれ、これらの県、それから市町村の取り組みを両方踏まえて住民周知を図ることが非常に大事と思っていますので、引き続き市町村と連携を図りながら住民周知の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 自然の力に対して人間の力というのはなかなか及びもつかないわけでございます。今回の公表を全部行うと8割ぐらいについてはソフト面で対応できるわけでございますので、今後ともそういう災害についてのソフト面の対策をしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、北上川水系の治水についてお伺いします。
 平成30年6月15日に盛岡市渋民地区周辺、9月28日に岩手町五日市地区周辺について洪水浸水想定区域を指定されましたけれども想定最大規模の洪水に対する戸数というのは出ないという話でしたので、指定に対する対策みたいなものは何か行われているかお伺いします。
〇幸野河川課総括課長 想定最大規模の洪水に対するソフト対策についてでございますけれども、御案内のとおり、施設では防ぎ切れない大きな洪水については住民の早期避難につながる対策が重要と考えているところでございます。
 洪水浸水想定区域を指定した後は、水防法に基づき、市町村が避難施設や避難経路等を記載した洪水ハザードマップを作成し、住民へ周知することになっております。これに基づき、各市町村で順次進められていると承知しているところでございます。
 また、県におきましては、大規模洪水時の逃げおくれがないように、水位周知河川の指定拡大、ホットライン、タイムラインの運用など、住民の早期避難につながる取り組みを進めているところでございます。
〇柳村一委員 北上川水系の想定も平成28年に出ていますけれども、それが全部洪水になったらとんでもない被害になると思います。北上川水系には国直轄で5基のダム、県管理で5基のダムがあるようですけれども、今回の台風第19号において、そこら辺の連携みたいなものはどのような形でとられていたのかお伺いします。
〇佐々木河川開発課長 県管理ダムと国直轄ダムの洪水調節のときの情報連携についてでございますが、国と県では、洪水時にダムの放流状況についてファクスや電話で情報交換しております。それ以外には特に情報共有はしておりませんので、お互いの河川情報システムなどで出ています水位情報やダム情報といったものを把握しながらダムの状況について把握しております。
〇柳村一委員 さきの洪水被害において、岩手県でないところでは緊急放流という形で結構問題になったりしておりますので、北上川水系におかれましてはそういうことがないように対策していただきたいのと、あと、先ほど伊藤委員に対する答弁で四十四田ダムの貯水量を2割増すということでしたけれども、果たして2割ふやすだけで大丈夫なのか。例えば貯水することによって洪水を免れても、今度はダムに水がどんどん入っていくわけです。国だから大丈夫だと思いますけれども、そこら辺はどのような考えなのかお伺いして終わります。
〇佐々木河川開発課長 北上川の河川整備でございますけれども、北上川水系の河川整備計画につきましては、平成30年6月に整備計画の変更をいたしました。その際に、北上川上流で四十四田ダムのかさ上げで貯水容量を確保すること、あと、下流部分で盛岡市の夕顔瀬橋と山田線のJR橋の間の200メートル区間が狭窄部になっているところの河川改修をすること、あとは、四十四田ダムと御所ダムで操作規則の見直しなどを進めながら治水安全率の向上を図ってまいるということを聞いております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時51分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日6人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、平成30年度の決算に当たり、まず財源の確保の視点からお伺いさせていただきます。
 社会資本整備総合交付金あるいは国の直轄事業の実績と推移ですが、本県の直轄あるいは社会資本整備総合交付金の財源はどのよう推移してきているのか、まずお伺いいたします。
〇菊地県土整備企画室企画課長 国の直轄事業と社会資本整備総合交付金の推移についてでございますが、まず初めに直轄事業の平成30年度の当初配分額につきましては、東北6県の中で最も多い1、560億円で、震災前、平成22年度の414億円に対して1、146億円の増となっております。
 社会資本整備総合交付金については、通常分ということでお答えさせていただきますが、平成30年度当初配分額は国費ベースで241億円、震災前、平成22年度の256億円に対して15億円の減となっているところでございます。
〇臼澤勉委員 これは、例えば東北の中で見たとき、どのような感じなのでしょうか。特に、東日本大震災津波で受けた宮城県と比べた場合どんな感じなのか、お伺いします。
〇菊地県土整備企画室企画課長 まず直轄事業の関係ですけれども、先ほど申し上げた金額につきましては、復興道路の整備等復興事業で措置されている分が大きいということが要因と考えていまして、被災3県、宮城県や福島県も同じようにふえているといった傾向にございます。
 それから、社会資本整備総合交付金の本県の配分額の推移としまして、平成29年度までは減少傾向にあったものの、平成30年度は増加傾向に転じているところであります。東北各県の状況は、宮城県の令和元年度当初配分が前年度を下回っておりますけれども、ほかの県につきましては、直近3カ年、平成29年度から令和元年度までの配分は、増加傾向にあるものと考えております。
〇臼澤勉委員 国の直轄については、復興事業などもありますけれども、通常分で見ると震災前の平成22年に比べて39%ですよね。震災前414億円あったのが、約100億円に本県の直轄は落ちております。それから、社会資本整備総合交付金についても、上がったとはいうものの、平成30年度については、東北のほかの県に比べても94%と100%切るぐらいの状態で、本当にどんどん減ってきている状況の中で、令和元年度に入って少し上昇に転じていると。ただ、上昇に転じましたけれども、平成30年度から令和元年度までは東北各県とも実は伸ばしておりまして、岩手県の社会資本整備総合交付金の通常分は266億円で、東北6県の中でも一番少ない金額になっているという状況であります。
 午前中、飯澤委員から不用額のお話もありました。岩手でやるべき事業というのは、国土強靱化も含めさまざまある中で、やはりこの財源の確保をしっかりやらなければ、やりたくてもできないというようなことでございます。そういった意味で質問させていただいております。
 防災、減災、インフラ老朽化対策にスピード感を持って取り組むために十分な額を確保すべきと思いますが、県土整備部としてどの程度確保したいのか、あるいは今のこの状況で満足しているのか、お伺いいたします。
〇菊地県土整備企画室企画課長 財源確保の関係でございます。今年度の県の当初予算につきましては、通常分の公共事業費を5%のプラスシーリングにより編成しておりまして、令和2年度の当初予算においても同様の基準としているところであります。
 さらに、今定例会におきまして、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策などによる国庫支出金の内示等に伴う増額の補正予算を提案し、先般、議決をいただいたところであり、必要な予算の確保に努めているところであります。
 国費の配分も伸びてきているものと認識しておりまして、さらなる国費の確保に当たっては、令和2年度までの措置とされている、先ほど申し上げた防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策の継続も含めて、政府予算要望等により国に要望しております。引き続き、さまざまな機会を捉えて国に強く働きかけていきたいと考えております。
 どの程度確保したいかということでございますけれども、広大な県土を有する本県においては、ハード対策とソフト施策を組み合わせた防災、減災対策、それから産業振興や観光振興の基盤となる道路等の整備、施設の長寿命化対策など、社会資本のさらなる整備が必要でありますし、それらの適切な維持管理も必要でありまして、今後も、国費を最大限活用しながら、国土強靱化等の必要な予算を確保してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 平成30年度の土木費の決算額は1、666億円ですか、道路橋梁とかが約半分を占めていますよね。あと、河川海岸費が2割というような中で、最近のこういった災害、国土強靱化にもしっかりと対応しなければいけないし、インフラの老朽化対策も重要なテーマであります。ただ、限られておりますので、予算も一般財源費を伸ばしているのは評価しますけれども、ともにそういった国の予算も含めて、しっかり確保していきたいと思います。
 そういった中で、土砂災害などの災害対策、国土強靱化でございます。午前中、柳村委員からもお話がありましたが、私は急傾斜のところで聞きたいのですけれども、急傾斜地の崩壊対策の整備の必要箇所、あるいはこの整備率は順調に進んでいるという評価なのでしょうか。A評価を取っているようではありますけれども、この手応え、御所見をお伺いします。
〇菅原砂防災害課総括課長 ただいま臼澤委員から、急傾斜地崩壊対策の整備状況等のお尋ねをいただきました。
 現在、県内で急傾斜地崩壊危険箇所は6、959カ所ほどございます。このうち保全人家5戸以上などの要整備対象につきましては1、599カ所となっておりまして、本年3月末現在の整備済みが281カ所、整備率は17.6%という状況になっております。この17.6%という数字をどのように評価するかでございますが、私どもは着実に対策を進めている状況で、全国的にも20%程度で進んでいるというような状況でございます。
〇臼澤勉委員 本当に頑張っているのはわかるのですが、東北の中でも恐らく最下位ですよね。低い状況になっていると。ただ、県民の生命、財産を守るというのは、本当に喫緊の課題でありテーマであります。予算がある程度限られているわけですから、ハードの部分を頑張って推進しようといっても、時間もこれから100年とかかかるようだったら遅いのではないか。そういった意味でのソフト対策を少し並行して、両立して進めるべきだと思っております。
 そのためにも、がけ地近接等危険住宅移転事業であったり、そして県単独事業で、増田県政のときにも、コンクリートで固めるのではなくて移転しましょうと。がけ近ですね、がけ崩れ危険住宅移転促進事業でしたか、そのような事業をやっております。5戸ぐらいまとまって、もう移転させましょうというような事業もあるはずです。今のそういった事業の実績状況、進んでいない要因はどのようにお考えになっているのか。どうやったら進むか、お伺いいたします。
〇菅原砂防災害課総括課長 ただいまのがけ崩れ危険住宅移転促進事業、これは県単独事業でございますけれども、この事業につきましては、委員御案内のとおり、土砂災害警戒区域内に住宅が5戸以上ある箇所におきまして、土砂災害特別警戒区域内の全ての住宅が移転に合意いたしまして、かつ、国の制度を活用し、市町村が事業主体となりまして、これは国土交通省の住宅局所管の事業でございますが、がけ地近接等危険住宅移転事業、いわゆるがけ近事業と言われておりますが、これを利用して住宅を対象とした移転を実施しているものでございます。
 これまでの実績ですが、平成18年度より事業を実施しておりまして、釜石市など合計9地区の13戸がこの事業を活用し移転しているところでございますが、平成28年度以降はその実績がないという状況でございます。
 課題でございますが、さまざま課題があるかと思いますが、私どもとすれば、現在の住居への愛着、あるいは移転に伴います建てかえ等の住宅建設等に係る資金の調達、また移転先や地域コミュニティーの確保など、住民個々のさまざまな事情から、移転合意がなかなか進まないという要因があろうかと認識しております。これらにつきましては、住民の危険個所に対する認識、あるいは本事業制度についていかに住民に知っていただけるかなど、住民への認知度の向上が課題であるかと思っております。
〇臼澤勉委員 最近の災害を受けて、県民の意識が非常に高まっているというか、危険を本当に問題意識として持っていると思うのです。ですから、そういった意味では、10年くらい前に創設したそのがけ近事業は、なかなか進まない部分はあるにしても、ただやはり、私も県内を歩いて思うのは、河川のそばであったり、あるいはこの前、普代村へ行って土砂が入ってきた住宅を見ても、同じコミュニティーの中で集団で移転する。あるいは、町内の低未利用地や空き地といった部分を手当てしながら、少なくとも安全なほうに移転していくような事業に対するニーズというのは出てきているのではないかと思いますので、ぜひ丁寧にそこら辺もPRしながら、そしてもう少し、その事業の内容もさらに充実させなければいけないというのであれば、ハードにかける予算を考えれば、ある程度そういったソフトで安全を確保するというのはありだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、都市計画費についてお伺いいたします。5年に1度ですか、5年ごとに都市計画に関する基礎調査が行われておりますけれども、平成30年度はどのような見直しを行ったのかお伺いいたします。
〇八重樫都市計画課総括課長 都市計画に関する基礎調査に基づく平成30年度―昨年度の見直しについてでございます。都市計画に関する基礎調査につきましては、都市の現況や将来の見通しを把握するためおおむね5年ごとに実施しているものですが、その調査結果につきましては、県及び市町村が行う都市計画の見直しなどに活用しているところでございます。具体的に平成30年度につきましては、市町村で都市計画の決定、変更、手続きが79件、県では18件という形で、都市計画の決定変更をしているところでございます。
〇臼澤勉委員 私は問題意識として、人口減少の中で移住、定住促進を進めていかなければいけないという思いであります。私もいろいろ、例えば盛岡広域管内を歩いてみると、特に市街化調整地区域での空き家や低未利用地がふえてきているなという実感を持っております。
 市街化調整区域の規制緩和について、人口が増加から減少に転じたのですから、今までの政策のポイントを少し見直す、そして持続可能な地域社会をつくっていくというのであれば、この都市計画の基本的なスタンスは維持しながらも、市街化調整区域の部分の活用を少し前向きに検討すべきだという視点でお伺いしますが、市街化調整区域内の空き家率、あるいは低未利用地の発生状況、推移はどのようになっているでしょうか。
〇八重樫都市計画課総括課長 市街化調整区域内の空き家や低未利用地の状況と推移についてでございます。
 空き家につきましては、先ほど申し上げた基礎調査においては調査項目としていないため、市街化調整区域内の空き家に関するデータは持ち合わせていないところではございますが、総務省、国が5年ごとに調査を実施しております住宅土地統計調査におきましては、市町村単位ではありますが、空き家の数、空き家率が公表されているところでございます。
 これで市街化調整区域を設定しております盛岡市、滝沢市、矢巾町の3市町の合計を直近3回の調査結果で見てみますと、平成20年度の空き家数が2万3、540戸、平成25年が2万4、230戸、平成30年が2万5、940戸と、空き家の数自体は増加している状況にございますが、総住宅数も増加しておりますことから、空き家率で見ますと、平成20年が13.7%、平成25年が13.5%、平成30年が14%と、ほぼ横ばいという状況でございます。
〇臼澤勉委員 盛岡広域の市街化調整区域の面積はどの程度かといいますと、私が住む矢巾町については、本当に9割が市街化調整区域なのです。ほとんどが。逆に言うと、1割しか市内化区域として設定していないと。本当にある意味では絞って絞って、当時の方とは言いませんけれども、いろいろな意味での設定を本当に緻密に設定してきていると。ただこういう中で、また盛岡広域で見ても、この面積割合も、ほぼ8割……8割強ぐらいですかね。あと、人口も、この市街化調整区域には3分の1の方が住んでいるというこの事実。3割です。約1万人が矢巾町については住んでいると。
 こういった中で、この市街化調整区域の規制がそのまま続いていくと、何が起こるかというと、新たな人がなかなか入ってこないがために、小学校もそうですし、その地域、昔の旧町村の合併の市町村区域もどんどん人が減っていっているような状況なのです。ですから、核となるところは押さえながらも、コンパクトにしながらも、しっかりとそういう拠点を地域地域につくっていく。それは、国土形成計画についても、そのような思想で今進んでいるということでございます。
 そういうことで、こういった市街化調整区域の空き家についても、国のほうでは、産直であったり、あるいは農家レストラン、古民家カフェといった部分への活用もできるように規制の緩和を平成28年にしているわけでございますが、県としてはどのように取り組むお考えかお伺いいたします。
〇八重樫都市計画課総括課長 国の開発許可運用指針の見直しに伴う弾力化への取り組みについてでございます。
 先ほど委員がお話ししたとおり、直近では、平成28年に国が示しました市街化調整区域内の空き家等を観光振興や移住、定住に活用できるような既存建築物の用途変更につきまして、県としては平成28年度から検討を進めております。これは、県と関係市町―先ほど申しました盛岡市、滝沢市、矢巾町で構成するワーキンググループで主に検討しておりますし、そのほかにも岩手県開発審査会―これは各分野の専門家により構成されている審査会ですが、これらからも意見を聴取しながら進めているところです。その中では、市街化区域と整合を図らずに市街化調整区域内の許可基準を緩和していくことは、都市全体の力を落としかねないのではないかという慎重な意見があったところでございます。
 しかしながら、そうは言いつつも、今後も、都市の健全な発見と秩序ある整備を目的とした都市計画法の趣旨を踏まえまして、関係市町の意向、あるいは地域の実情やニーズに応じた開発許可の弾力的な運用について継続的に検討していく考えであります。
〇臼澤勉委員 国のほうで、市街化調整区域の古民家、あるいは観光振興、移住、定住を促進しようということで、開発許可制度の運用の弾力化を平成28年12月に出しております。これを受けて、例えば東北の中でも、山形市においては都市計画法第34条第12号に基づく条例を制定するとか、天童市においては地区計画の策定、あるいは新潟市においては同条第14号に基づく許可基準とか、さまざまな動きがほかの自治体では実はもう動いているのです。
 そういった中で、都市計画、私は人口が減っているから無秩序に開発をしろしろと言っているわけではないのです。ある程度持続可能な岩手の地域をつくっていくためには、市街化調整区域の部分についても、例えば空き家も一つの社会資本だという大事な視点を持ってこれを活用する。そして、この活用に当たっては、都市計画のほかにも、農地つきの空き家であれば新規農家の農地面積要件だとか、さまざまな課題があるわけでございます。これを都市計画あるいは県土整備部として、国の基準の改正に合わせて前に動かそうではないですか。そうでなければ、ほかの自治体との競争にも負けるというか、勝ち負けでないにしても、移住、定住の促進が図られない、私はそのように思っております。
 ぜひ、都市計画の許可権限を有する県、県土整備部として、積極的に国の基準改正に合わせて解消の道を開くという視点で、都市計画の政策を打ち出してほしいと思いますが、八重樫部長、いかがでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 ただいま臼澤委員から御案内のありました国の運用指針の改正がございました。県の基準とか、あとは市でも取り扱っている基準がありますが、これを変えないというつもりはないです。そのニーズを我々一緒になって確認しようという場がこのワーキンググループでありまして、決してそこに戸を立てているわけではない。御案内いただきましたような空き家の具体的なニーズですとか、そこの土地利用に関するニーズが出てくれば、自然とそういった議論が涵養されて、必要な制度の改定といいますか基準づくりが進んでいくものと考えておりますので、そこはまた柔軟に対応していきたいと考えているものであります。
〇臼澤勉委員 地元では、岩手医科大学の移転もさることながら、例えば盛岡南公園に県営球場も整備される。あるいは、今般、一般国道4号の盛岡南道路の計画も話がある中で、地域を歩いていて思うのは、矢巾町に限らず盛岡広域の市街化調整区域の中を歩くと、本当にそういうニーズが高いのです。新たなチャンレンジをしたい。産直レストランだとか古民家を使った活用もやりたい。以前、樋下委員が質問されていたことも私は覚えておりますが、そういうニーズがあるのです。
 そういった中で、ぜひ、平成28年の開発許可運用指針の一部改正に合わせて、県としても一歩メッセージを発していただきたい、このように思うのであります。このままだと、市街化調整区域内の住宅や市場の流通というのは、本当に現実的に困難な状態になっています。ですから、ぜひここは、地元の自治体とも当然調整しながら、そういうニーズがありますので、しっかりと対応していただきたいと思います。終わります。
〇千葉秀幸委員 私からは、国道の冬期通行どめ箇所と期間について質問いたします。決算事項別説明書303ページにあります除雪費33億5、700万円余、この中に、通行どめ開通に係る除雪費が組み込まれているということを把握した中で、質問させていただきます。
 現在の岩手県における冬期通行どめ箇所は、国道340号、国道342号、国道397号の3路線の6カ所と認識しております。まず、これらの開通時期は毎年ほぼ一定の期間ですが、果たして本当に適切な開通日なのかお尋ねいたします。
〇和村道路環境課総括課長 委員お尋ねの国道の冬期通行どめの時期の妥当性ですけれども、通行どめをしております各路線につきましては、積雪量が多く、さらに急勾配、急カーブが連続する箇所等がありまして、冬期間における安全な通行の確保が困難であることから、数カ月間の通行どめを実施しております。
 本区間の冬期通行どめの解除を行うに当たりましては、自然な雪解けを待つのではなくて、降雪期の終了を待って直ちに春先除雪を実施いたしまして、その後、道路の安全性を確認した上で、早期の交通開放に努めているところでございます。
〇千葉秀幸委員 毎年、雪解けを含め環境は変わってきているところでございます。特に今は地球温暖化とも言われており、積雪量は昔と変わってきているところです。そして、雪が降る時期、解ける時期も変化していく中で、開通時期が毎回一定でございます。もう一度お尋ねしますが、本当にそれでも適切なのでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 先ほども申し上げましたが、春先除雪に関しましては、雪崩が伴うことなどがございまして、その安全性を十分に確保した上で行っております。
 ただ、例年に比べまして積雪量が少ない年に関しましては当然早めております。例えば国道397号の場合も、ここ数年で見ると、ことしが5月22日、その前が5月22日、平成29年は5月17日になっておりますが、平成28年は雪が少なかったことから、5月2日に開通しております。
〇千葉秀幸委員 今、安全性という話が出ましたけれども、安全性ということは何をもって示しているのでしょうか。規定とかそういったものはあるのでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 まず、除雪をする場合には、作業員の安全確保がございますので、先に現地の状況を確認いたしております。それで除雪作業ができるとなった場合には、作業に入りまして、除雪をまず行います。その後に、防護柵等の修繕とか路面の清掃、補修。それが全て終わった後、今度は、のり面にまだ雪が残っておりますので、その雪が雪崩が起きないかどうかを目視で確認した上で、それで初めて安全と確認して通行どめを解除しております。
〇千葉秀幸委員 今、目視というお話をいただいたのですが、その目視の判断ということが個人的には納得いかないところでございます。また、県民の皆様にも説明できないようなことでございます。一定の安全性の規定もあって、それに伴い判断をしているなら、やむを得ないかなというところもあります。
 それでは、今お話が出ました国道397号についてでございます。今話したとおり、5カ所は4月中旬でございますが、国道397号1カ所に関しては、ゴールデンウイーク後の6月下旬でございます。しかし、5月のゴールデンウイークというのは大型連休でございまして、繰り返しになりますが、物すごい来場客が見込まれる期間でございます。例えば一部の箇所に落雪、雪崩が懸念されているとしたら、そこにフェンスや防除柵を設置する。それにかかる工事費より経済効果が上回るとなれば、そういった取り組みもいかがかとは思いますがどうでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 まず、国道397号で申しますと、道路の安全点検で約20カ所の雪崩が発生すると想定される箇所がございます。そのうち6カ所につきましては、既にスノーシェッドを設置して対策をとっておりますが、まだ14カ所が残っております。その残り14カ所のスノーシェッドの事業費についてはまだはじいておりませんけれども、仮に一番最近できました国道397号のスノーシェッドは約9億円かかっておりますので、なかなか全体的なバランスを考えると難しいのかと考えております。
〇千葉秀幸委員 本来であれば通年通行にしてもらいたいなという個人的な思いはございます。例えばトンネルを掘るとか、県ではそういった前向きな発想、試算をとったことはあるのでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 この路線に関しましては、トンネルを通して通年通行するというような試算とかはしておりません。
〇千葉秀幸委員 話を聞く上では、数百億かかるということも私の耳には入ってきたところでございます。これが計画に盛り込まれるとなると、さすがにそれは私も強引にお願いしづらいところもございますが……(「頑張れ」と呼ぶ者あり)はい、ありがとうございます。それはいま一つの例えであって、そういった前向きな動きをしていただきたいなと思っております。事業費には毎年一定の予算があって、例年どおり進めているわけでございますが、それでは岩手県はなかなかよくならないのかなと思っております。
 国道397号沿いの胆沢川では、毎年カヌーのジャパンカップが開かれております。また、東京2020オリンピックのカヌー競技の事前合宿地になる可能性もございます。日本競技、世界競技の会場が岩手県で支持されているので、これを地元でPRしない手はないわけでございます。そのためにも、国道397号の開通時期というのはぜひとも見直していただきたい課題でございます。今後前向きに検討していただきたいと思っております。ぜひ前向きな答弁をいただき、終わらせていただきます。
〇和村道路環境課総括課長 先ほども申しましたが、冬期除雪に関しましては、安全性を確保するということが一番になっております。その安全性を確保するためには、ある程度の日数が必要だということもございますので、なかなか開放時期を急に早めるというのは難しいところでございますけれども、その年の降雪状況によりましては早めることもできますので、できるだけ早期開放に努めていきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 済みません。最後でございます。その安全性が目視で判断されているというのが、本当に腑に落ちないところでございます。であれば、こういった一定の規定に達しないから開通できないというような文言があれば、多少納得せざるを得ないところもございます。そういったところもしっかりと判断していただきまして検討していただきたいと思います。終わります。
〇斉藤信委員 最初に、災害公営住宅におけるコミュニティー確立の取り組みについて質問します。
 災害公営住宅での孤独死は、昨年18人と、前年比3倍に急増しました。ことしの9月末までに11人が孤独死し、累計で45人となっております。この事態を部長はどう受けとめているのか。孤独死防止のために、どういう状況で孤独死したかを検証すべきだと前に私は提言しましたが、どのように検討されたでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 災害公営住宅における孤独死についてでございます。
 ひとり暮らしとはいえ、おひとりでお亡くなりになったという事態は大変痛ましいことでありまして、そうした事態はあってはならないことであり、極力改善していくべきものと考えております。
 この孤独死の状況につきましては、保健福祉部及び岩手県警察本部と共有しておりまして、これまで亡くなられた45人のうち70歳以上の方が約7割と伺っておりますし、こういった高齢者が多い状況となっていると認識しております。また、亡くなられた方の発見までの時間、期間でございます。これはさまざまではありますが、お亡くなりになってから1日以内の発見の方々が19名いらっしゃるという情報も共有させていただきました。
 このような状況に鑑みまして、高齢者が孤立を深めることがないよう、高齢者の見守りとコミュニティーの形成に取り組んでいくことが大変重要な課題であると考えております。
〇斉藤信委員 昨年度から災害公営住宅での孤独死が急増しているということで、私は繰り返し警鐘を鳴らしておりました。その検証を求めたのは、どういう支援が必要なのか、どういう支援があったら、そういう孤独死を防止することができたのか、そういう検証をしっかりやって、そのための必要な対策を、具体的対策を講じるようにしていただきたい。
 今、災害公営住宅の入居者の特徴というのは、高齢化と生活苦です。ひとり暮らしの高齢者世帯が31.4%、65歳以上の高齢者が41.2%、これは全体として県平均の11.6%より高いのです。そして、災害公営住宅の入居基準の半分以下の低所得者が69%を占めていると。超低所得者ですね。
 だから、高齢者の孤立化、孤独化を防ぐためには、高齢者の見守りと人と人との関係、コミュニティーの確立が重要だと思いますが、具体的にはどう取り組まれているでしょうか。
〇伊藤技術参事兼建築住宅課総括課長 災害公営住宅における高齢者の見守りとコミュニティーの確立についてでございますが、高齢者の見守りとコミュニティーの確立は非常に重要な課題であり、災害公営住宅において高齢者が孤立を深めることがないよう、コミュニティ形成支援事業などによりまして、コミュニティー形成に関する相談、団地内の花壇の手入れなどの美化活動や入居者交流イベントなどの開催、共助の場面を設定した防災訓練などを実施しているところでございます。また、自治会名簿の作成支援も含めまして、引き続き入居者が相互に支え合う取り組みを進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 あまりにもあっさりしていて、中身がないということなのです。コミュニティ形成支援員は、たった2人です。28団地4、000人が入居している中で、1人は盛岡、1人は沿岸、これでほとんどまともな活動はできていないと思います。阪神・淡路大震災での兵庫県は、2017年度でも2億円かけて災害公営住宅に支援員を配置しているのです。20年近くたって、それでもこういう形でやっているのです。私はそれも前に紹介したことがあります。
 今、災害公営住宅というのは、これからの高齢化社会のまさに先取りなのです。ここでどう手だてをとるかというのは、必ずその後のさまざまな取り組みに生かされる。そういう課題ですから、ひとり暮らしの高齢者は、あなた方はわかっているわけだから、そういう方々をしっかり訪問し、そして訪問するだけではない、一人一人の関係を構築していくことが必要だと思います。思い切った手だてを、今、講じるべきだと思います。
 それで、コミュニティー確立にとって自治会の確立、入居者が参加する取り組みが重要だと思いますけれども、自治会未確立の団地はどうなっているでしょうか。災害公営住宅の集会所が週1回程度しか使われていないというのが実態ですが、何が原因なのか。これがコミュニティー確立の拠点として使われるためには、どう支援すればいいのか、お聞きします。
〇伊藤技術参事兼建築住宅課総括課長 まず、自治会の確立と入居者が参加する取り組みについてでございますが、令和元年8月31日現在、自治会が未組織となっている県営災害公営住宅は、既に供用開始しております28団地中10団地となっているところでございます。
 県では、災害公営住宅コミュニティ形成支援事業によりまして、先ほど委員からもお話がございましたが、2名のコミュニティ形成支援員を配置しまして、入居者から相談に応じた市町村や支援団体等への連絡調整、入居者交流会の開催の支援、自治会設立の支援などのコミュニティー形成に向けたきめ細かな対応をしていただいているところでございます。
 それから次に、集会所の利用が週1回程度であるということで、この原因と取り組みについてでございます。
 まず、原因につきましては、これらの団地は供用開始から間もないということ、あるいは自治会組織がまだ十分でないなどが、集会所の利用が少ない主な原因と考えているところでございます。
 活発な集会所の利用に当たりましては、負担が一部に集中せず、多様な人がかかわり合って、個々の意識、関心を高め、自立したコミュニティーの形成に取り組むことが重要であると考えているところでございます。
 引き続き、災害公営住宅のコミュニティ形成支援事業による自治会活動や、住民同士の交流の機会となる活動の支援を行うとともに、利用が活発な団地の利用事例の共有を図るなど、関係部局とも連携しながら、集会所の利用促進に取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 あまりにも無味乾燥な答弁で、本当に実感が伝わってこないのです。
 今、災害公営住宅の集会所がどうなっているか。大体月に2回から4回、少しよくて5回から6回です。週に1回使われるかどうか。ほとんど使われていないという感じです。
 集会所というのはなぜ整備されたかというと、これは阪神・淡路大震災の教訓なのです。コミュニティーを形成する、確立する、その拠点として立派な集会所がほとんどのところでつくられている。それが活用されていないというところに、私は本当に危機感を持って取り組む必要があると思います。
 自治会ができたところも、やはりみんな苦労していて、その自治会の機能が果たされていない。まだ自治会がつくられていないところが10団地ある。だから、こういう点で、結論から言うと、2人のコミュニティ形成支援員を配置するだけでは何ともならないのだと。さっき阪神・淡路大震災の教訓を紹介しましたけれども、50戸以上の災害公営住宅には支援員を配置する。実は、災害公営住宅は、集会所と支援員の事務室が整備されているのです。これが阪神・淡路大震災の教訓なのです。建物はそうつくったけれども、中身はそうなっていない。保健福祉部などともっと協議して、ここのギャップをしっかり受けとめてやっていただきたい。
 それで、コミュニティーをつくる上で、入居者名簿の提供ということを私は提起してきました。県も提供しますと。入居者の同意を取って、そして個人情報保護の一定のマニュアルもつくってとやっていますけれども、やはりどこか典型をつくってやっていかないと進まないと思うのです。
 そこでお聞きしますけれども、入居者の同意でどのぐらいの回答の世帯数になっているのか。やはり100%近い回答を、同意します、しませんを含めて9割、10割の回答をしっかり求めるべきだし、きちんと提供して、入居者の全体を自治会の役員の方々が把握して活動するということが必要なのではないか。いかがですか。
〇伊藤技術参事兼建築住宅課総括課長 入居者名簿の提供に向けた同意の状況についてでございますけれども、令和元年9月30日現在、同意書を配布した世帯が1、343戸に対しまして、同意書を提出いただいた世帯数は719世帯、率にしますと53.5%となっているところでございます。
 また、項目別の同意状況ですけれども、提出世帯数719世帯のうち、氏名について公表してよろしいという世帯が625世帯で86.9%、性別につきましては614世帯で85.4%、生年月日につきましては563世帯で78.3%、災害時の支援を希望する世帯が537世帯で74.7%となっているところでございます。
 先ほど委員からもお話がございましたように、提出率が53.5%と、まだ十分ではないという状況にございます。引き続き意向確認の同意書の提出を求めていくとともに、これまでもございましたけれども、自治会の活動等の場を通じて、入居者への説明に取り組んでいきたいと考えています。
〇斉藤信委員 私の一般質問に、知事はこう答弁しました。自治会設立や名簿の作成などについて、県のほうで対応しているという話がありましたが、やはりさらに力を入れて、実質的に孤独死が起きないように、コミュニティーづくりということを進めていきたいと。これは知事答弁ですからね。
 私は、この知事答弁を踏まえて、名簿を提供できるような自治会を二つ、三つとつくって普及していただきたい。実は、全国から注目されているのです。入居者名簿を提供するという前向きの態度を示したのは、岩手県なのです。
 私はなぜこのことを言うかというと、普通の町内会というのは、子供が小学校に入れば記念品を贈る。中学校に入れば贈る。二十になれば、そして敬老の日には75歳以上のお年寄りに記念品を渡す、これが町内会、自治会なのです。ところが、誰が入学したかわからない。誰が敬老の日を迎えるのかわからない。これが今の実態なのです。だから、そういうことをしっかり提供してやっていただきたい。
 栃ケ沢災害公営住宅は、全世帯に安心キットを配っているそうです。なぜかというと、毎日のように救急車が来るからです。高齢者が倒れたりと。それで、いろいろ議論して、安心キット、いわば、どんな薬を飲んでいるのか、何かあったときに対応できるような、知らせるようなものをみんなに配った。そういう努力をしているところもあります。ひとつ、そういう取り組みをぜひ進めていただきたい。
 次に、洪水ハザードマップの作成状況と県民への徹底の問題についてお聞きいたします。先ほども議論がありました。28市町村でハザードマップがつくられていると。しかし、これは旧基準ですね。最大の想定でつくられている市町村は幾らでしょうか。
〇幸野河川課総括課長 洪水ハザードマップを作成済みの28市町村のうち、想定最大規模に対応した洪水ハザードマップを作成しているのは、8市町でございます。
〇斉藤信委員 洪水ハザードマップというのはなぜ大事なのか。例えば、昨年、西日本豪雨で51人の犠牲者を出した岡山県倉敷市真備町は、想定浸水域と実際の浸水域がほぼ一致した。だが、県のその後の調査では、マップの内容を把握していた世帯は2割強にとどまったと。あれだけの大きな豪雨も、ハザードマップの想定浸水域と一致した。しかし、それを自覚していたのは2割強だったと。恐らく今回の場合も、同じような状況になっているのではないかと思います。
 そういう意味で、平成27年度に水防法が改正されて、最大の浸水と雨量ということが基準になりました。ですから、去年、ことしの大雨洪水を見れば、まさに想定外なんて言っていられない、今まで最大規模の大雨洪水が起きていると。そういう点では、自分がどれだけ危険なところに生活しているのかということを自覚してこそ、避難の指示というのも生きるのです。
 そういう意味で、最大の想定で作成しているのはまだ8市町だということですので、これをどういう形で全市町村に広げていくのか、具体的な取り組み、見通しを示してください。
〇幸野河川課総括課長 洪水ハザードマップを想定最大のものに切りかえていくためには、まず県が各河川において想定最大規模の浸水想定区域の指定をすると。まずそれがあって、それを提供して、市町村のハザードマップに反映していただくという形になろうかと思います。
 現在、県では、大規模氾濫減災協議会におきまして計画を立てました平成29年から令和3年まで、この間に30河川の浸水想定を指定するという目標に向けて進めております。現時点で、計画30河川のうち19河川を指定したところでございます。今後もこの計画に沿って、できるだけ早期に最大規模の浸水想定の指定が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 5カ年計画で30河川、現在19と。5カ年計画で30河川指定すれば、何市町村でこのハザードマップができるのですか。
〇幸野河川課総括課長 これまでも想定最大規模の浸水想定を指定した河川もございます。
 申しわけありません。ちょっと現時点ではその数値を把握しておりませんので、御了承いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 先日、NHKで、北上川の最大想定のハザードマップのニュースがあり、私も改めてびっくりしたけれども、北上川に想定最大で大雨が降った場合には、盛岡駅が5メートル浸水すると、そういう想定ですよ。恐らくそういうことを自覚している県民というのはほとんどいないのではないか。だから、ハザードマップをしっかり作成して、それが住民の、県民の認識、自覚になるように丁寧に説明し、対策を考えていただくというようにしないと。自主防災組織にもきちんと説明するとか、そういうことまでやらないと。ハザードマップは全戸配布したけど、わかっているのは2割弱だったと、こういうことに今なっているのではないか。そういう意味で、ぜひ想定最大のハザードマップができるように、しっかり進めていただきたい。
 もう一つ、今回の大雨洪水の災害で特徴的なのは、内水氾濫であります。私は久慈市へ行ったときに、長内川の支流の小屋畑川、久慈川の支流の沢川が氾濫して大変な浸水被害になったと。きょうの新聞を見ましたら、小屋畑川の河道は掘削するという早めの対応が示されて私はよかったと思いますけれども、久慈市から言われたのは、沢川は県管理で、この沢川の治水対策を早く県は示してほしいと、こういう要望をされたのですけれども、これはどうなっているのでしょうか。
〇幸野河川課総括課長 今回の台風第19号におきまして、御指摘のとおり沢川の周辺においても浸水被害が生じたということは承知しております。
 現在、県では、今回の内水氾濫に係る浸水の範囲、洪水の痕跡などの調査を進めているところでございます。今後は、その調査を踏まえまして、必要な対策について検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 もう一つ洪水対策でお聞きしたいのは、今、簗川ダムがほぼ完成に近いところまで来ています。私はいろいろな問題があると今まで指摘してきたけれども、この簗川ダムの計画雨量というのは、2日間で210ミリメートルなのです。今、210ミリメートルなんていう、計画雨量だったら、もうダムはあふれてしまう。今度の大雨洪水で宮古市でも400ミリメートル、普代村でも400ミリメートルですよ。300ミリメートル以上、ほとんどのところで降っています。この簗川ダムは、そういう300ミリメートル、400ミリメートルの雨が降ったら、ダムからあふれてしまうということになるのではないのかと。そういうことも含めて、一定の規模の大雨には対応できるけれども、今回のような大雨には対応できないということもしっかり示して、そういうときはこういう対策をということをセットでやるべきだと私は思いますけれども、いかがですか。
〇佐々木河川開発課長 計画規模を上回る降雨への対応でございますけれども、簗川ダムの治水計画につきましては、平成3年度の建設採択時に検討を進め、雨量としては簗川流域に降った大正5年から平成2年までの75年間の実績降雨をもとに、治水安全度である100年に1回起こり得る降雨を算定しております。それが簗川の計画降雨で、流域全体に降った場合を想定した雨量として2日間に210ミリメートルとしております。
 簗川ダムは自然調節のダムでございますので、その210ミリメートルをさらに超えた場合は―洪水調節容量には限界がございますので―ダムの天端付近に設置した洪水吐きから越流してダム下流への放流量が増加することとなります。そういった場合においても、事前に関係機関への周知や住民への警報活動を行うことなどの対応を考えております。
 ダムに限らず、施設の能力を超える洪水は発生するという認識のもと、住民の円滑で迅速な避難を促すため、盛岡市を初めとした関係機関と一層の連携を図ってまいります。
〇斉藤信委員 簗川ダムは、今までの75年間の実績で210ミリメートルと決めたのでしょう。しかし、今、それを超える大雨が県内各地で降っているのです。私は、治水対策の一番のかなめは、やっぱり堤防の強化だと思います。破堤しない堤防、これを強化すると。ダムによってこの堤防強化がおろそかにされてきたというのが今までの治水対策の結果です。そういう原点に立ち返った治水対策を進めていただきたい。
 最後の質問ですけれども、国道340号押角トンネル前後の道路整備の取り組み状況を示していただきたい。
〇菅原道路建設課総括課長 国道340号押角トンネル前後の道路整備についてでございます。
 押角トンネルを含む押角峠工区につきましては、令和2年度の開通を目指しまして、現在、トンネル舗装工事等を進めているところであります。
 押角トンネル前後につきましては、ルートや構造、それから優先区間の検討を行いまして、まずは早期の事業効果が見込まれる押角峠工区が接続する宮古市側の2キロメートルの区間について、令和2年度の新規事業化を目指して、現在、公共事業評価の手続を進めているところであります。
〇斉藤信委員 これで終わります、本当に。
 今、私、前後と言ったけれども、前しか答えられなかった。残念。ちゃんと答えればこれで終わったのですけれども。
 宮古市側も、4キロメートルのうち2キロメートルなのです。そして岩泉町長は、岩泉町のほうもやってほしいのだと。これは切実な声です。岩泉町側は今後どういうふうに取り組むのかということも含めて答えていただきたい。
〇菅原道路建設課総括課長 押角峠、トンネル前後のうちの岩泉町側について申し上げますと、岩泉町側につきましても押角峠工区と同様の規格で整備が必要と認識しております。現在、ルートや構造、優先区間の検討を行っているところでありまして、押角峠工区や宮古市側の進捗も踏まえながら、引き続き事業化の時期を検討してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 私は、大きく分けて3点お聞きいたしますが、最初に、洪水土砂災害対策についてお聞きいたします。午前、そして午後もかなりの委員が質問されておりますが、重複しないように質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 一つは、河川改修、それから砂防堰堤の整備、そして河道掘削等のハード対策がやられてきたわけですが、その現状をお知らせください。
 二つ目に、水位周知河川でありますけれども、平成30年度で36河川が指定されておりますが、今後の取り組みについてもお聞きいたします。
〇幸野河川課総括課長 まず、河川改修の状況でございます。
 平成30年度末の県管理河川の整備率は49.1%であり、緊急性、重要性を踏まえながら、河道拡幅や築堤の改修を進めているところでございます。
 次に、河道掘削や立ち木伐採についてでありますが、今年度、奥州市広瀬川など39河川において実施しているところでありまして、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策による国費も活用しながら着実に進めているところでございます。
 続きまして、水位周知河川の今後の見通しでございます。
 先ほど御案内のありましたように平成30年度末までに36河川が指定済みでございますが、今年度は2河川を指定し、9月末現在で38河川が指定済みとなっているところでございます。
 今後も水位周知河川の指定を重点的に進めることといたしまして、令和3年度末までに44河川の指定を目標に計画を進めていくものでございます。
〇菅原砂防災害課総括課長 砂防堰堤の整備状況の御質問でございますが、砂防堰堤の対策が必要な県内の土石流危険渓流は7、198渓流ございまして、このうち、保全人家5戸以上などの要整備対象箇所は2、204渓流となっております。本年3月末の整備済み箇所は205カ所、その整備率は9.3%となっている状況でございます。
〇千田美津子委員 河川の整備率は49.1%ということでもっと進めてほしいわけですが、膨大な経費と時間がかかるということで、これは着実に進めていただきたいと思っております。
 午前中も質疑がありましたが、そういう意味では、ハード対策というよりも、河道掘削、立ち木の伐採をもっと進めていただくことが当面の大きな課題と思っておりますので、これも頑張っていただいて、39河川やっていただいているということなので、ぜひこれもお願いしたいと。
 それから、砂防堰堤の要整備対象箇所が非常に多いわけですが、そういう中で9.3%という整備率であります。これらも、いずれ全体の中でどこをどうやっていくか、臼澤委員からもお話がありましたけれども、ハードだけではなくソフト面も組み合わせた周知とかでこれらを払拭していくことがますます求められていると思います。この間の豪雨災害の教訓からしても、ぜひ全部進めてほしいわけですがなかなかそうはいかないということで、住民の生命を守るという観点から―次の質問にもかかわるのですけれども―ぜひ横の連携の中で、今、岩手県はいろいろやらなければならないところがいっぱいあるけれども、どこに集中的に投入していくか、そういう対策、課ごとのではなく全体的な対応が求められている。対応といいますか、検討が求められているのではないかと思いますが、その点お聞きしたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 横の連携による総合的な防災対策ということで御指摘があったと存じ上げます。
 前の答弁にもありますが、大規模氾濫減災協議会に国の防災関係組織、そして県、市町村、報道関係機関等々も参加していただいて、いろいろな課題、それから新しい動きの共通認識といったことを話し合って、そして、いざとなった危機に備える素養を養っていく。各市町村の首長が直接参加されてそういったことをやっている。そういった機関もありますし、県庁の中にも総合防災室、県土整備部、その他機関が連携しまして災害に備えるというシステムはでき上がっておりますので、それぞれの管理者、責任者がいち早く情報共有をしながら、そしてまた、これまでのいろいろな教訓を共有しながら取り組んでいくべきものと考えております。
 また、ハード整備につきましても、予算、人材が限られている中で、まず優先的に行うべきもの、こういったところを先鋭化して、幾らでも効果を高めていくような整備を心がけてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 次は土砂災害警戒区域でありますけれども、これについては柳村委員からもお話がありました。土砂災害警戒区域7、145カ所があるわけですが、このうち、特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンはどれくらいありますか。
〇菅原砂防災害課総括課長 県内の土砂災害危険箇所のうち9月末現在の土砂災害警戒区域指定箇所は7、145カ所で、そのうちの特別警戒区域の数というお話かと思いますが、特別警戒区域につきましては、7、145カ所のうち6、598カ所でございます。
〇千田美津子委員 今の話ですと、約92%がいわゆるレッドゾーン、特別警戒区域ということであります。県民の皆さんは、警戒区域ということまではわかっていても特別がつく意味がわかるようでわからない。その辺を少し解説をお願いしたいと思います。
〇菅原砂防災害課総括課長 特別警戒区域と特別がついている意味がなかなかわからないという御質問でございますけれども、御案内のとおり、土砂災害警戒区域には二つ、イエローゾーン―警戒区域ともう一つ、委員からお話がありましたとおりレッドゾーンがございます。
 このレッドゾーンにつきましては、これまで、土砂災害のデータ等によって科学的な知見でもって、現地、それから降雨の状況等々を踏まえまして、人家等に著しく被害、損害をこうむるおそれがある区域。著しくと申しますのは、人命にも影響がある、そういう非常に危険な区域ということで設定している区域でございます。
〇千田美津子委員 今、御説明いただきましたが、人命にかかわる区域ということで、この区域の指定を早めると同時に、その意味合いが住民の皆さんにしっかり届くように周知をお願いしたいと思います。
 平成30年度末と9月末の指定を見ますと、半年間で500カ所以上指定がふえているのです。限られた体制、予算の中でこれらをやっていただいたことは本当にすごい努力だと思います。ただ、指定率は49.8%ですから、あと半分ぐらい残っておりますので、まずその半分をやり切って、そして県民の皆さんにも生命を守る行動をとってもらうという取り組みをぜひ強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇菅原砂防災害課総括課長 ただいま千田委員から私どもの警戒区域等の指定に伴います取り組みについていろいろ評価いただいたわけでございますが、住民に土砂災害への危機意識を認識していただきまして、防災意識を高めていくことが非常に大事と思っております。そういった中、今後とも、これら土砂災害警戒区域の指定の加速化に向けまして、市町村、あるいはノウハウを有しますNPO団体、ボランティア団体、市町村を含めた関係機関とより一層連携いたしまして、効果的、効率的な住民への説明に努めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 ちょっと順番が逆になりましたけれども、土砂災害警戒区域等を指定するに当たって基礎調査結果を公表しているわけですけれども、これは9月末現在で1万1、379カ所というお答えがありました。率とすれば79.3%に達しているということで、指定になる前にまず調査をしてもらうのだと。他県のこの間の被災を見ましても、その調査すら行われていなかったところもかなりありましたので、そういった意味では、基礎調査をまず100%に向けて取り組んでいただくことが非常に大事かと思いますので、その点お聞きします。
〇菅原砂防災害課総括課長 土砂災害危険箇所の区域指定の前に、土砂災害防止法に基づいて、基礎調査を実施して公表することになっております。この基礎調査につきましては、委員お話しのとおり、現在、79.3%という進捗状況でございますが、今年度末の完了に向けて、現在、鋭意取り組んでおりますので、御理解をよろしくお願いしたいと思います。
〇千田美津子委員 土砂災害で、後の質問は重複しておりますので割愛いたします。
 質問の二つ目は、交通安全施設整備事業のうち、通学路における歩道整備の現状についてであります。
 これまでも何度もやってきたわけですけれども、平成30年度の歩道整備の状況、そして整備箇所数、整備延長と事業費等、事業実績についてお知らせいただきたいと思います。あわせて、今後の整備方針と県内の未整備の歩道延長についてもお聞きいたします。
〇和村道路環境課総括課長 初めに、整備状況でございますが、通学路における歩道整備の状況につきましては、平成30年度は、事業費約7億2、800万円、34カ所で事業を行い、約2キロメートルが完成したところでございます。
 次に、今後の整備方針についてでございますが、歩道の整備については、平成24年度に実施した緊急合同点検により歩道設置が必要となった箇所及び市町村が策定する通学路交通安全プログラムに位置づけられた箇所を優先的に進めるとともに、緊急に歩行者の安全を確保する必要がある通学路指定箇所や交通量が多い箇所、事故多発地点において必要性や緊急性などを総合的に判断し、進めているところでございます。特に、児童が安全に通学できるよう、小学校周辺の通学路の歩道整備については、いわて県民計画(2019〜2028)に位置づけ、未整備区間の解消に取り組んでいるところでございます。
〇千田美津子委員 未整備の歩道延長はどのくらいでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 未整備の歩道延長につきましては、平成31年4月1日現在で、通学路延長約1、100キロメートルに対しまして約270キロメートルとなっております。
〇千田美津子委員 平成30年度も、完成延長が2キロメートル、34カ所をやっていただいたということであります。ただ、この間も毎回のように言っておりますけれども、未整備の歩道がまだまだあるわけですね。268キロメートル、平均で1年に2キロメートル整備したとすれば130年かかるわけで、未来を担う子供たちの生命の安全の点からも、何とか計画をもっと前倒ししてやっていただきたいと思います。いわて県民計画(2019〜2028)の2022年度までの予定目標を見ますと、2019年、2020年は抑えているのですけれども、2020年から2021年にかけては4.1キロメートル、2021年から2022年にかけては3.2キロメートルふえる見込みになっております。私は最低でも3キロメートルくらいにはふやしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 いわて県民計画(2019〜2028)におきましては、今、委員おっしゃったとおり後半にかなり延長を延ばす形になっております。歩道につきましては、1カ所1カ所いろいろな条件がございまして、例えば土地の問題ですとか、人家が連檐しているところの場合は家の軒先を削るとか、かなり用地交渉的に難しいところがございます。それでも必要なところにはやらなければならないということで、一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 いろいろな御苦労があって、この平成30年度の2キロメートルも整備されたと思っております。その上で要望いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後になりますが、県道、国道、また市道等、県内の道路における除草の仕方で、今、ラウンドアップマックスロードの使用が問題視されておりますが、これの県内での使用の現状についてお聞きいたします。
〇和村道路環境課総括課長 今、県内の県道、国道、市道というお話でございましたが、私どもで押さえておりますのは県管理道路ということで、県管理道路について御説明させていただきます。
 道路における除草剤の使用につきましては、県管理道路の路肩の除草につきましては機械により行っており、除草剤は散布しておりません。ただし、歩車道境界ブロックとアスファルト舗装とのすき間などに生えてくる草につきましては部分的な使用の実績がございました。
〇千田美津子委員 広い範囲での使用ではなかったようでありますけれども、すき間とはいえ、使う量によってはかなりの影響があるということで、ラウンドアップマックスロードは、国際的にも今、発がん性が問題視されております。使用中止の運動が広がっていますし、これが日常的に使われることになれば健康被害が心配されておりますし、今、これの使用を禁止、規制している国が広がっておりまして、販売会社に賠償を命じる判決も出ております。県で使用しているということになれば、ああ、いいのだなということで市町村も含め使用が広がる可能性があるということで、ぜひ県についてはきちんと使用しないという対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 今、委員御指摘の除草剤につきましてはいろいろなマスコミ報道があることは存じ上げておりますが、今現在、すぐ使用禁止という話にはなってございません。いずれ県としましては、除草剤の使用に当たっては周辺環境への影響や散布の必要性も検討しながら対応していきたいと考えております。
〇小林正信委員 私から、流域下水道事業についてお伺いいたします。
 流域下水道については、下水処理だけではなく、環境や衛生面も含めて、県が主体となってこれまで維持管理の取り組みを進めてこられたことと思います。
 しかしながら、近年の施設の老朽化、人口減少による使用料収入の減少など、さまざまな環境の変化により経営は年々厳しくなっていくものと考えられます。そうした中、総務省では公営事業の基盤強化のために企業会計方式の適用を進めており、本県でも流域下水道の公会計化に向けて作業が進められているところと思います。
 まず、公会計化の進捗状況、また、設定した目標の期間内に公会計へ移行できるものなのかお伺いいたします。
〇水野下水環境課総括課長 流域下水道事業の企業会計化の進捗状況でございます。
 本県の流域下水道の状況でございますが、平成27年度に地方公営企業法の適用の基本方針を策定いたしました。また、それに引き続きまして、固定資産の調査と評価、公営企業会計システムの整備、関係部局や関連市町との協議、調整等を順次進めてきたところでございます。
 今年度は、本9月定例会におきまして流域下水道事業の設置等に関する条例案を提案いたしまして、さきに議決をいただいたところでございます。現在、令和2年度当初予算編成に向けて関連市町との協議を進めてございまして、2月定例会におきまして法適用初年度の予算案を提案させていただく予定としております。
 平成27年度に総務大臣から法適用の通知がございまして、これは令和2年4月1日の適用ということでございますけれども、本県におきましても、このスケジュールに沿って、現在、適用作業を進めているところでございます。
〇小林正信委員 順調にしっかり進んでいると思いますけれども、企業会計化における影響についてはどのように考えておられるのかお伺いいたします。
〇水野下水環境課総括課長 企業会計化に伴います影響あるいは効果等でございますけれども、発生主義あるいは複式簿記の採用、官庁会計と異なる企業会計の特質によって経営状況が明確化されること、また、減価償却の導入により、金額ベースで資産の状態等を的確に把握することで更新計画等の策定に役立つこと、また、類似の公営企業あるいは民間企業との比較可能な情報開示が充実することにより、経営状況をより正確に評価、判断することが可能となることなどがあるものと考えているところでございます。
 先ほど委員からもお話がございましたとおり、人口減少の影響や、施設あるいは設備の老朽化などの課題に対応していくため、公営企業会計の適用に取り組みまして、一層の経営基盤の強化を図っていくことと考えているところでございます。
〇小林正信委員 そのとおり本当に人口減少していく中で経営のスリム化もやっていかなければならないと思うのですけれども、特に心配しておりますのは、県民の皆様、特に利用者の皆様の負担がふえてしまう部分だと考えております。現在、各市町村に出していただいている負担金、処理料金が公会計化によって改定されれば利用者への影響も出てくると思いますので、公会計化移行時にはそうした点も御配慮いただきながら進めていただきたいと、これは要望で終わらせていただきます。
 次に、合併処理浄化槽の面についてお伺いさせていただきます。
 本年6月、単独処理浄化槽から合併浄化槽への転換を促す改正浄化槽法が議員立法によって成立しました。単独処理浄化槽は、し尿以外の雑排水がそのまま排水されるので、河川や水質汚濁などの原因になっております。現在も約400万基が国内で稼動しており、今のペースでは30年後も130万基が残ると予測されているそうです。平成30年度においては合併処理浄化槽の普及率の達成度がB評価となっておりますけれども、これについてどう捉えておられるのかお聞かせください。
〇水野下水環境課総括課長 合併処理浄化槽の普及率についてでございます。
 浄化槽の整備につきましては、設置する住民の皆様の意向を踏まえながら進めていくことが重要でございます。設置される方々の中には高齢者世帯がふえているところでありますし、設置に要する経済的な負担なども影響して目標の達成には至らなかったものと考えているところでございます。
〇小林正信委員 さまざまお金もかかるだろうし大変な部分もあるのですけれども、やっぱり良質な水環境を保全していくためにも、今後も合併処理浄化槽の普及促進に取り組んでいただきたいと思います。
 例えば、静岡県の富士宮市では浄化槽の台帳をつくって、市役所の職員が戸別訪問をしてさまざま相談をしながらやっていくとか、また、地図情報システムの活用とか、単独処理槽を合併処理槽に改造するような取り組みも検討されているそうです。
 今後、他県のそういった先進事例も研究していただきながら、各市町村との情報共有が大事だと思いますので、そういう部分もしっかりしていただきながら普及促進の手だてについて考えて取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、それへの意気込みというか、そういった点をお伺いしたいと思います。
〇水野下水環境課総括課長 普及促進の取り組みでございます。
 まず、整備を進める市町村に対しまして、浄化槽設置整備事業費補助など県の補助制度によりまして財政支援を行っているところでございます。あわせて、出前講座あるいは施設見学会の実施、また、普及啓発パンフレットの作成あるいは配布など、いわゆる普及啓発活動にも取り組んでいるところでございます。
 本県の単独処理浄化槽は全国と比べてかなり件数としては少ない状況でございますので、地域の浄化槽整備が主体になりますけれども、引き続き、汚水処理ビジョン2017の目標達成に向け、市町村と連携して、地域住民の皆様の御理解をいただきながら浄化槽の整備を進めていきたいと考えております。
〇小林正信委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 3点目は、急傾斜地崩壊対策事業費についてですけれども、先ほど臼澤委員が詳しく質問していただいて、また詳しい答弁がありましたので、1点だけ。
 私の住む盛岡市においても、平成25年の大雨では繋地区の皆さんが大変な被害を受けられましたし、山岸地域に住んでいらっしゃる私の知人も、いつになったらこの急傾斜地の対応、整備が進むのかということで、本当に心配の声が上がっている。岩手県内においてもどこにおいてもそうだと思いますし工事がなかなか難しい急傾斜地だと思うのですけれども、今また台風第19号の復旧もあるところでありますが、今後どのような計画や目標を立てて急傾斜地の整備事業を進めていかれるのかという点をお伺いいたします。
〇菅原砂防災害課総括課長 急傾斜地崩壊対策事業に係ります今後の具体的な計画の進め方という御質問でございますけれども、先ほど来各委員の方々に御答弁申し上げておりますが、御案内のとおり、整備が必要な箇所が相当数ございます。そういった中で、限られた財源の中でより事業効果を発現するため、人家戸数あるいは現在の斜面状況、被災履歴、また、再三申し上げますが、要配慮者利用施設、公共施設等々の状況を見きわめながら、市町村の御意見も伺いながら、順次、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇幸野河川課総括課長 先ほど、斉藤信委員の御質問の中で、県が想定最大の浸水想定を令和3年までに整備した暁には何市町村が整備されることになるかについてお答えできませんでしたが、これについては26市町村でございます。
〇上原康樹委員 私は、道路をテーマに質問いたします。
 岩手の至る所で道路工事が行われています。車で走れば、道路の補修作業に出会わない日はありません。夕暮れに向かって、山合い光も届かなくなって冷えてくるこの時間も道路を直している大勢の方がいらっしゃるわけです。広い岩手の道路を管理することは大変なことですが、まず、伺います。
 県が管理する道路は何路線で、総延長にすると何キロメートルぐらいでしょうか、伺います。
〇和村道路環境課総括課長 現在、県で管理しております国道、県道を合わせまして255路線、約4、200キロメートルの道路を管理してございます。
〇上原康樹委員 すごい距離です。岩手の動脈、静脈、毛細血管という気がいたします。
 道路は、天候に対してむき出しの状態でございます。今回の台風第19号による道路の被害もそれでございます。けさの資料によりますと、県管理道路の全面通行どめは6路線6カ所ということですが、その復旧工事、冬を越えて続きそうな路線箇所はあるのでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 今、委員御指摘のものは台風第19号関連かと思いますが、今現在、6路線6カ所を通行どめにしております。
 今現在、鋭意、仮設道路等工事をしておりまして、一応年内に何とか1カ所は通行どめを解除したいと考えております。それ以外につきましては年度をまたぎますし、規模の大きいものにつきましては来年度までかかると考えております。
〇上原康樹委員 まだまだ工事は続くということで、台風第19号の傷が癒えることはしばらくないということですね。
 平成30年度の道路維持修繕費は65億4、671万円余でした。また、凍雪害対策事業費が1億3、202万円余。これから厳しい冬を迎えます。本州最寒冷地と言われる地域を抱える岩手です。積雪はもちろん、凍結など、道路も傷みます。実際管理されていて、岩手の寒冷地の道路、橋梁も含めて、そのダメージ、特徴をどうごらんになりますか。
〇和村道路環境課総括課長 道路における規模の大きな施設としましては橋梁やトンネル等が挙げられますが、これらの施設に関しましては、平成25年の道路法の改正により点検が5年に1度の頻度で義務づけられたところで、昨年度までに1巡目の点検が終了いたしました。
 道路施設の法定点検における健全度の診断区分は、状態のよいほうからI、II、III、IVの4段階となっておりまして、1巡目の点検におきましては、その一番悪い健全度IVのものはございませんでした。その次の健全度IIIについては早期措置段階ということで、その橋梁やトンネルを今現在、優先して整備を進めております。
〇上原康樹委員 御丁寧な説明ありがとうございました。
 道路をつくったら点検して補修して、また定期的に補修と、その繰り返しになるわけですね。でも、少しでも長持ちする道路、橋梁になればお金もかかりませんし、ドライバーも助かります。そういう工夫はされていますでしょうか。建設現場での新しい技術的な試みなどがあればお聞かせください。
〇大久保建設技術振興課総括課長 道路を長持ちさせる技術開発についてでございますけれども、道路、橋梁を初めとした社会資本の建設、補修における技術開発につきましては、多くの建設企業、資機材メーカー等が進めておりまして、県内の建設企業等でも取り組まれているところでございます。
 企業やメーカーが開発した技術につきましては、登録して周知する制度がございまして、国では、新技術情報提供システム、英語の頭文字をとって通称NETISと呼んでおりますが、こちらの制度が平成10年度から運用されております。
 また、県では、岩手県新技術等活用促進事業といたしまして、県内の建設企業が独自に開発した新技術等のうち、公共事業への活用が可能なものについて登録し、ホームページによる公表を行っております。こちらについては平成17年度から運用しております。
 現在、NETISには約2、800件の新技術が登録され、道路、橋梁を長持ちさせる建設、補修の技術に関しても数多く登録されております。また、県内の建設企業等においても、コンクリートのひび割れ補修や廃発砲スチロールを再利用したアスファルト用の添加剤などの道路、橋梁の建設、補修に関する八つの技術開発がなされておりまして、県の制度で登録しているところでございます。
〇上原康樹委員 そういう技術開発の中で、岩手県内の企業が特許を取得したという事例はありますでしょうか。
〇大久保建設技術振興課総括課長 先ほど申しました岩手県新技術等活用促進事業に登録された技術のうち、道路、橋梁を長持ちさせる技術で特許を取得しているものは2件ございます。
〇上原康樹委員 道路整備にかかわる企業の頑張りがあるということですよね。そうした技術を県は積極的に採用されていくおつもりでしょうか。どのように普及させていくお考えでしょうか。試験的、お試しにとどめていくなどということはちょっと考えたくないのですけれども、どうでしょうか。
〇大久保建設技術振興課総括課長 道路補修の技術開発も含め、県内の建設企業が行う技術開発については企業の経営基盤強化につながるものと捉えておりまして、県では、建設業総合対策事業の中で支援を行っております。
 具体的に申しますと、先ほど申しました登録制度のほか、新技術開発や新分野進出を行う場合に要する経費の一部を補助する建設業新分野進出等事業費補助金、複数の企業が共同で行う新技術、新工法の共同研究に対して経費の一部を補助する企業共同研究モデル事業、新技術、新工法の開発、新分野、新事業への進出等の取り組みを表彰する新分野進出等表彰事業などがございます。
 社会資本の維持管理を担っていく地域の建設企業の経営基盤強化は今後も重要と認識しておりまして、県としても、地域の建設企業の技術開発を引き続き支援していく考えでございます。
〇上原康樹委員 厳しい寒さは岩手独特の環境でございまして、その中から生まれる知恵、技術は胸を張って他県に示せるものだと思います。よりよい道路にするために御活用いただきたいと思います。
 次の質問です。
 冬の道路で、防雪トンネルによくお世話になります。あの防雪トンネルの設置場所、どういう判断でその場所が選ばれているのでしょうか、伺います。
〇和村道路環境課総括課長 冬季の風雪が強い地域で、周りに遮るもの、例えば木や建物がない場所に対してこういう構成のトンネルをつくっております。
〇上原康樹委員 まさにそのとおりだと思います。
 せっかくつくったトンネルが撤去されるケースがあるのです。国道455号、盛岡市と岩泉町方面を結ぶおなじみの道路。途中、岩洞湖があって、冬はワカサギ釣りの風景が広がります。あの国道455号の盛岡市寄りの防雪トンネルのことですが、あそこは上り坂、蛇行を繰り返す場所に大きな防雪トンネルがありました。現在、ありません。この一、二年のことです。最近、撤去されました。私は、あそこを走るたびにその理由を一生懸命考えております。県の御判断で撤去されたでしょうか、理由をお聞かせください。
〇和村道路環境課総括課長 今、委員から御指摘のありました国道455号の盛岡市玉山区大の平地区におけますスノーシェルターにつきましては、平成27年度から平成29年度にかけて撤去いたしました。
 この施設は設置から30年以上経過しておりましたが、その間に周囲の立ち木が成長し防雪機能を果たしていることが確認され、新たな施設に更新する必要がないと判断されたことから撤去するに至ったものでございます。
〇上原康樹委員 問題ないですかね。じゃ、言いますよ。
 あの防雪トンネルがあった場所は、岩洞湖方面から来ますと急な下り坂の直線の先に右へ鋭く巻き込む急カーブが待っております。まるでサーキットです。路面が凍る時期の運転はとても緊張する国道455号の中でも一番の難所だと私は感じております。その防雪トンネルの撤去。風に吹かれて吹きっさらしの中で、路面はアイスバーンになります。ずるっときます。路面が凍る時期の運転はとても緊張します。そういう現場の状況を知った上で行われたのか疑問が残ります。理由をもう一度お聞かせください。
〇和村道路環境課総括課長 スノーシェルターを撤去した箇所につきましては、その後、凍結抑制剤自動散布装置を設置するなど路面凍結対策も行っております。また、撤去後につきましては大きな人身事故も発生していないことを確認しております。
〇上原康樹委員 まさかトンネルの維持管理が大変だから、もう取ってしまえということで撤去したのではないでしょうね。伺います。
〇和村道路環境課総括課長 管理の問題ということではなく、本当に実際に現場を確認した上で、スノーシェルターと同じような機能を立ち木が果たしていると判断しております。また、日中スノーシェルターの中が凍ってしまうし、逆にトンネルの外が解けているという状況がございまして、スノーシェルターの中のほうが危ないという話もございましたので撤去いたしております。
〇上原康樹委員 メンテナンスにはいろいろあると思いますけれども、ドライバーファースト、利用者最優先で道づくり、防雪トンネルづくりをお考えいただきたいと思います。
 最後の質問でございます。
 決算特別委員会の最後の質問は、少し希望の光差すテーマにしたいと思います。
 道路環境改善事業費84億2、309万円余に絡めて、道路と景観についてでございます。
 私ごとですが、20年以上前、ある地図会社の二輪ユーザーのための地図をつくるため、岩手地域のモニターボランティアとして、道路や景観の情報を地図会社に上げて、地図に私のコメントが記載されていたわけでございます。タイトなコーナーの連続、一気に視界が開け太平洋が広がる、こういうコメントを出しておりました。
 岩手の道路は、走っていて楽しいのです。春は花の季節、新緑のころ、そして紅葉、余りの美しさに感動する場面が当たり前のように次々あらわれます。それが岩手の道路です。岩手の道路はA地点からB地点への移動のためだけにあるのではなく、岩手を体感するロードだと感じております。多くの観光客を岩手ファンにする関係人口を拡大させる力を持つ道路です。そういう視点も含めた道路づくりについてどうお考えでしょうか。
〇和村道路環境課総括課長 岩手県には岩手山やリアス式海岸といったすぐれた自然があり、四季折々の美しい景観は岩手県の重要な資産であると認識しております。
 道路においては、のり面の緑化を行うこと、防護柵を周囲の景観に調和する色とすること、構造物はシンプルなデザインにすることなど、周囲の景観に配慮した設計を行っているところでございます。
 また、景色を見るためのスペースとして設置しているものではございませんが、旧道敷地を活用したもしもしピットやチェーン脱着所などの車両を停車させる舗装したスペースを道路脇に整備し、案内標識により道路利用者に周知しているところでございます。
 今後も景観に配慮した道づくりを行うとともに、適切な管理を行っていきたいと考えております。
〇上原康樹委員 ありがとうございます。しっかり考えていらっしゃるのですね。
 観光客のみならず、多くの県民がお気に入りの風景を撮影してインスタグラムなどインターネット上に発信するなど、視覚的なコミュニケーションの時代です。とっておきの1枚をおさめるためのささやかなスペースが道路脇にあってもいいと思います。今、お話に少し出ましたね。
 例えば、久慈の小袖海岸、あまちゃんロード、あそこは道幅が大変狭い区間がありまして、駐車不能の場所が多いのですが、でも、私、大好きな場所が1カ所ありまして、小さな草地があるのです。草地、ここがポイントです。舗装されていないからとってもナチュラルなのです。あそこは、心置きなく北三陸の海に向き合える。これは本当に誰もがあそこに車をとめてカメラを取り出したくなる場所です。
 道路整備上の偶然の産物だったかもしれませんが、そんな猫の額ほどの場所で大きな思い出を持ち帰る人々がいるはずです。今後の岩手の道路づくり、道路整備の上で、こうしたちょっとしたスペース、今までなくても、ちょっとしたスペースをぐっと風景のほうに近づけるような形で建設していく、整えるということは予算上どうなのでしょうか、できそうですか。
〇菅原道路建設課総括課長 ただいま委員から一つの事例として、小袖海岸に行くところの道路、まさに今、我々が1.5車線道路という整備を行っているところであります。その中には、委員おっしゃるような小さなスペース、そこに駐車帯もあるところです。そこが全部官地、つまり公の土地であればそれなりの工夫もあると思いますけれども、極力そういうものは活用しながら整備をするというような考えで進めてまいりたいと思っております。
〇上原康樹委員 岩手の道が希望へ向かって走ることを願って、質問を終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでございました。
 お諮りいたします。当委員会に付託されました決算15件及び議案2件について、その意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において世話人会で御協議願い、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 この際、意見の取りまとめのため暫時休憩いたします。
   午後2時58分 休 憩
午後5時47分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 決算15件及び議案2件に対する世話人会の意見を取りまとめましたので、その結果を御報告申し上げます。
 議案第37号平成30年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて及び議案第38号平成30年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについての2件は、それぞれ原案を可とすることといたした次第であります。
 次に、認定第1号平成30年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、次の意見、すなわち、1、決算に対する全般的な意見。
 平成30年度における本県財政は、景気の緩やかな回復傾向のもと、個人所得及び企業収益の増などに伴い県税収入は過去最高となり、また、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は16.7%と前年度に比べ1.5ポイント改善し、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を7期ぶりに下回った。
 一方で、依然として県債の償還が高い水準で推移するとともに、災害対応や社会保障関係の経費増加などにより、今後も引き続き厳しい財政運営を強いられることが予想される。
 このような中、県では、平成30年度予算を東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、ふるさと振興を着実に推進するための予算と位置づけて取り組みを推進してきたところであり、職員の懸命な努力により本格復興への歩みは着実に進んでいるものの、いまだに応急仮設住宅などでの不自由な生活を余儀なくされている方々や、平成28年台風第10号で被害に遭われた方々の暮らしの再建、なりわいの再生など、引き続き復旧、復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
 加えて、令和元年台風第19号に伴う災害により甚大な被害が発生し、たび重なる自然災害により県民生活や県内経済に非常に大きな影響が生じていることから、早期の復旧、復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
 今後の財政運営に当たっては、被災者一人一人に寄り添いながら、県民が実感できる復興を強力に推進し、本県の喫緊の重要課題の克服に向けた施策を展開していくため、人材の確保など体制面を強化しつつ、岩手県中期財政見通し(令和元年度〜4年度)において、令和2年度以降に82億円から98億円程度の収支ギャップが生じると見込まれている状況を踏まえ、あらゆる手段により歳入確保に全力を傾けるとともに、より効果的な事業を厳選するなど徹底した歳出の見直しを行って、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
 また、このような認識のもと、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、新たな交通ネットワークやさまざまなつながりを生かした沿岸地域の総合的な振興と震災の教訓の伝承、国際リニアコライダーの実現、県北・沿岸振興のほか、人口減少対策や医療、介護、福祉の充実、教育の充実、文化、スポーツの振興、防災、減災対策、地域特性を生かした産業の振興など、ふるさと振興に向けて、本県が直面する課題を踏まえた具体的な取り組みを着実に推進されたい。あわせて職員の人材育成にも取り組まれたい。
 なお、政策等の評価の実施に当たっては、それらの成果をより適切に評価するとともに、評価の実効性を高めるよう引き続き取り組まれたい。
 令和2年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい。
 2、事務の適正化等に関する意見。
 平成30年度決算の監査結果では、事務の適正化について前年度に指摘を受けたにもかかわらず同一事務について連続して指摘を受けたものが認められたことから、全庁的なチェック体制の強化に引き続き取り組むとともに、職員の意識改革を図るよう強く指摘されている。
 県においては、適切な積算根拠に基づき県民の理解を得られるような予算編成や事務の執行を行うとともに、補助金事務や委託契約においては、適正な事務処理を確保するため、従来からの内部考査の実施等に加え、今年度整備された内部統制体制の運用による相互牽制機能を高める取り組みを通じて、より一層の内部管理体制の充実に努められたいとの意見を付し、認定することし、認定第2号から認定第15号までの14件は、認定することといたした次第であります。
 これより採決いたします。
 お諮りいたします。議案第37号及び議案第38号の2件について、一括して採決いたします。
 各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇佐藤ケイ子委員長 起立全員であります。よって、議案第37号及び議案第38号の2件については、原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第1号平成30年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇佐藤ケイ子委員長 起立全員であります。よって、認定第1号平成30年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第2号から認定第15号までの14件について、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇佐藤ケイ子委員長 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第15号までの14件については、認定することに決定いたしました。
 以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。
 委員各位の御協力に感謝を申し上げ、これをもって決算特別委員会を閉会いたします。ありがとうございました。(拍手)
   午後5時56分 閉 会

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