令和元年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和元年11月7日(木)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
環境生活部長 大 友 宏 司
副部長兼
環境生活企画室長 小 島   純
環境担当技監兼
廃棄物特別
対策室長 田 村 輝 彦
若者女性協働
推進室長 藤 澤   修
環境生活企画室
企画課長 戸 田   新
環境生活企画室
管理課長 前田敬之
温暖化・エネルギ
ー対策課長 高 橋 光 羊
放射線影響
対策課長 川 村   守
ジオパーク
推進課長 藤 澤 壮 仁
環境保全課
総括課長 佐々木 秀 幸
資源循環推進課
総括課長 佐々木 健 司
自然保護課
総括課長 谷 藤 親 史
県民くらしの
安全課総括課長 坊 良 英 樹
食の安全安心課長 佐 藤   敦
県民生活安全課長 武 蔵 百 合
消費生活課長 高 橋 雅 彦
再生・整備課長 八重樫   満
廃棄物施設
整備課長 田 村 良 彦
青少年・男女共同
参画課長 高 井 知 行
連携協働課長 工 藤 祝 子

労働委員会
事務局長 井 上   馨
参事兼審査調整課
総括課長 蛇 口 秀 人

商工労働観光部長 戸 舘 弘 幸
副部長兼
商工企画室長 小 畑   真
定住推進・雇用
労働室長 菊 池 芳 彦
ものづくり自動車
産業振興室長 瀬 川 浩 昭
参事兼
産業経済交流課
総括課長 高 橋  孝 政
参事兼観光課
総括課長 浅 沼  秀 行
商工企画室
企画課長 似 内 憲 一
商工企画室
管理課長 松 本   哲
経営支援課
総括課長 関 口   等
地域産業課長 竹 花 光 弘
観光課特命参事 浅 沼 秀 行
雇用推進課長 西 野 文 香
労働課長 金 野 賢 治
ものづくり産業
振興課長 十良澤  福 志
自動車産業
振興課長 小 野 和 紀
産業集積推進課長 熊 谷 克 行

会計管理者 菊 池   満
会計課総括課長兼
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、環境生活部、労働委員会及び商工労働観光部関係について延べ18人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇大友環境生活部長 平成30年度の環境生活部の決算について御説明申し上げます。
 なお、本年4月に文化スポーツ部から移管された若者文化振興事業費につきましても、現在所管している当部から御説明申し上げますので、御了承願います。
 初めに、当部所管の事務事業に係る取り組みと成果及び今後の取り組み方針について総括的に御説明いたします。
 当部では、東日本大震災津波からの復旧、復興への取り組みを最優先課題とし、あわせて、いわて県民計画の七つの政策分野のうち、環境王国いわての実現、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現を目指し、取り組んでまいりました。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、防災拠点や被災家屋への再生可能エネルギーの積極的な導入を進めてまいりました。
 また、放射性物質の影響対策として、県民の安全・安心を確保するため、環境放射能のモニタリングや測定結果の情報発信等を行ったほか、東京電力による損害賠償の実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
 さらに、NPO等による復興支援活動を促進するため、NPO等の運営基盤強化に向けた取り組みを進めるとともに、若者や女性が将来に向けて明るい希望を描くことができるよう、いわて若者会議やいわて女性の活躍促進連携会議の開催など、若者や女性が活躍する地域づくりに取り組んでまいりました。
 また、三陸ジオパークに関する理解促進や、同ジオパークを核とした交流人口の拡大を図るため、来訪者の受け入れ態勢の整備などにも取り組んだところです。
 次に、環境王国いわての実現についてでありますが、地球温暖化対策の推進として、温室効果ガス排出量の削減に向け、家庭や地域、そして事業者へのさまざまな意識啓発を行うとともに、再生可能エネルギー導入促進のための補助及びセミナーの開催などを行ってまいりました。
 また、循環型地域社会の形成に向けて、廃棄物の発生抑制や再使用、再利用の推進、産業廃棄物の不適正処理の未然防止及び青森県境の産業廃棄物不法投棄事案の原状回復などのほか、公共関与による新たな産業廃棄物最終処分場の整備にも取り組んできたところです。
 さらに、多様で豊かな環境の保全に向けて、希少野生動植物の生息環境の保全や鹿等の野生動物による被害防止対策の推進、自然公園施設の整備を進めたほか、環境学習交流センターによる講座の開催などにより、県民の環境学習を推進してまいりました。
 次に、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現についてでありますが、安全・安心なまちづくりの推進に向けて、県民の防犯意識の高揚のための普及啓発や高齢者及び子供の交通事故防止、性犯罪等の被害者に対する支援や、消費生活相談体制の充実などの取り組みを実施したほか、食の安全・安心の確保に向けて、事業者への監視、指導、食品表示の適正化やリスクコミュニケーションなどに取り組んできたところです。
 また、青少年の健全育成に向けて、次代を担う青少年の健全育成や困難を抱える若者の自立を支援したほか、男女共同参画の推進に向けて、男女共同参画センターを拠点とした学習機会の提供や人材育成などに取り組んでまいりました。
 今後におきましても、本年3月に策定したいわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策の着実な推進を図るため、災害時にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築や、原子力発電所事故に起因する放射線影響対策の推進、三陸ジオパーク活動を通じた交流人口の拡大を図るとともに、温室効果ガス排出削減対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進、廃棄物の発生抑制や再使用、再生利用の推進に取り組むほか、男女共同参画社会の実現に向けた環境の整備を行うとともに、若者や女性の活躍を支援する取り組みも推進してまいります。
 続きまして、平成30年度環境生活部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成30年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。環境生活部関係の決算は、2款総務費8項文化スポーツ費の一部、3款民生費2項県民生活費と4款衛生費2項環境衛生費、16ページに参りまして、12款公債費1項公債費の一部と13款諸支出金3項公営企業負担金の一部であり、予算現額の総額は117億7、258万円余、これに対する支出済額の総額は103億1、473万円余であります。
 12ページにお戻りいただきまして、令和元年度への繰越額は、環境衛生費の10億3、814万円余であります。
 それでは、決算の内容につきまして、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書の189ページをお開き願います。2款総務費8項文化スポーツ費2目文化振興費でありますが、備考欄上から3行目の若者文化振興事業費は、いわて若者文化祭の開催や若者文化関連イベントの開催支援に要した経費です。
 続きまして、202ページをお開き願います。3款民生費2項県民生活費1目県民生活総務費でありますが、203ページに参りまして、備考欄下から4行目の消費者行政活性化推進事業費は、県及び市町村の消費生活相談窓口の機能強化等や消費者教育に要した経費です。205ページをお開きいただきまして、上から2行目のNPO等による復興支援事業費は、復興支援活動を行うNPO等への助成や運営基盤強化を図るための取り組みに要した経費です。次のNPO活動交流センター管理運営費は、NPO活動交流センターの管理、運営と、NPOやボランティア活動の普及啓発等の取り組みに要した経費です。次のいわて県民情報交流センター管理運営費は、県民の交流や活動の拠点であるアイーナの管理、運営や施設の修繕等に要した経費です。2目交通安全対策費でありますが、1行目、交通安全指導費は、正しい交通ルールを守る県民運動の推進や、市町村交通指導員の設置に対する補助などに要した経費です。3目青少年女性対策費でありますが、上から4行目、いわて青少年育成プラン推進事業費は、青少年活動交流センターが行ったいわて希望塾の開催など、青少年の活動支援や交流促進などの事業の実施に要した経費です。一つ飛びまして、いわて男女共同参画プラン推進事業費は、男女共同参画センターが行った意識啓発や、男女共同参画を推進するサポーターの養成などに要した経費です。二つ飛びまして、性犯罪等被害者支援事業費は、性犯罪等被害者に対し医療や相談等の支援を総合的に提供するはまなすサポートの運営に要した経費です。次のいわて若者活躍支援強化事業費は、若者の交流、情報発信の拠点となるいわて若者カフェの機能強化や、若者間のネットワークの構築等に要した経費です。
 次に、少し飛びまして、220ページをお開き願います。4款衛生費2項環境衛生費1目環境衛生総務費でありますが、221ページに参りまして、一番下の環境学習交流センター管理運営費は、環境学習交流センターが行った県民の環境に対する意識を深めるための情報提供や、地域で行われる環境学習などへの支援に要した経費です。223ページをお開きいただきまして、上から3行目の循環型地域社会形成推進事業費は、事業者による廃棄物の排出抑制やリサイクル等のための技術研究開発、製品製造に対する補助等に要した経費です。下から6行目の再生可能エネルギー導入促進事業費は、被災家屋等への太陽光発電設備の設置に対する支援や、発電施設の立地を促進するための環境整備の取り組みに要した経費です。次の再生可能エネルギー利用発電設備導入促進資金貸付金は、省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備を導入する事業者への設置費用や運転資金の貸し付けに要した経費です。次の防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費は、再生可能エネルギー設備導入等推進基金を活用し、防災拠点となる公共施設等への太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の導入等に要した経費です。一番下の三陸ジオパーク活用強化事業費は、道の駅等における案内板の整備など、国内外からの来訪者の受け入れ態勢整備に要した経費です。2目食品衛生指導費でありますが、上から2行目乳肉衛生指導取締費は、食肉の衛生確保を図るために必要な屠畜検査及び残留有害物質検査や屠畜場の衛生指導等に要した経費です。224ページをお開き願います。3目環境衛生指導費でありますが、225ページに参りまして、9行目、水道施設耐震化等推進事業費は、市町村が実施する水道施設の耐震化や老朽化対策、広域化等の取り組みの支援に要した経費です。二つ飛びまして、廃棄物適正処理監視等推進費は、産廃Gメンの配置など廃棄物適正処理の監視、指導等に要した経費です。下から5行目、県境不法投棄現場環境再生事業費は、青森県境に不法投棄された廃棄物について、代執行による汚染土壌の浄化及び原因者等の責任追及などに要した経費です。一番下の産業廃棄物処理施設整備事業促進費は、いわてクリーンセンターの後継となる産業廃棄物最終処分場の整備のため、事業主体である一般財団法人クリーンいわて事業団への施設整備資金の貸し付けなどに要した経費です。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費9億3、056万円余は、水道施設耐震化等推進事業費補助におきまして、補助事業者の事業実施が遅延したことにより繰り越したものです。
 続きまして4目環境保全費でありますが、一番下の休廃止鉱山鉱害防止事業費は、旧松尾鉱山の坑廃水処理及び処理施設の耐震強化工事に要した経費です。227ページをお開きいただきまして、上から5行目の大気汚染防止対策費及び次の水質保全対策費は、県内の大気及び水質の保全を図るため、事業場への立入検査及び各種の調査、測定に要した経費です。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費853万円余は、休廃止鉱山鉱害防止事業におきまして、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものです。
 続きまして、5目自然保護費でありますが、4行目、自然公園等保護管理費は、自然公園保護管理員の設置などに要した経費です。次の国定公園等施設整備事業費及び、その下、自然公園施設整備事業費は、国定公園等の自然公園における歩道標識などの公園施設の整備に要した経費です。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費7、900万円は、国定公園等施設整備事業及び自然公園施設整備事業におきまして、いずれも計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものです。また、事故繰越2、004万円余は、自然公園施設整備事業におきまして、波浪による被災箇所の復旧により工事が遅延したことにより繰り越したものです。
 続きまして、6目鳥獣保護費でありますが、229ページに参りまして、一番上、指定管理鳥獣捕獲等事業費は、本県の鹿生息数を適正な水準にするための捕獲及び新規狩猟者の確保、定着を促進する取り組みに要した経費です。二つ飛びまして、野生動物との共生推進事業費は、ツキノワグマ等の生息数調査及び被害防止のための啓発活動などに要した経費です。7目環境保健研究センター費でありますが、施設の管理運営及び試験研究に要した経費です。
 次に、飛びまして、360ページをお開き願います。12款公債費1項公債費2目利子でありますが、361ページに参りまして、公債管理特別会計繰出金のうち環境生活部所管分は73万円余であり、これはいわてクリーンセンターの後継となる施設の整備に要する経費を事業主体である一般財団法人クリーンいわて事業団へ貸し付けたその利子償還について、転貸債充当分を公債管理特別会計へ繰り出すために要した経費です。
 次に362ページをお開き願います。13款諸支出金3項公営企業負担金1目公営企業負担金でありますが、363ページに参りまして、電気事業会計負担金の全額及び工業用水道事業会計負担金のうち、環境生活部所管分166万円余は、地方公営企業職員に係る児童手当の一部等について、それぞれの会計に対し負担したものです。
 以上で環境生活部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇菅野ひろのり委員 私は20分を目途に頑張ります。よろしくお願いします。3点あります。指定管理鳥獣捕獲等事業のイノシシと、二つ目が再生可能エネルギー、そして新いわて水道ビジョン、この三つでございます。
 まず、簡潔にイノシシについてでございます。昨日の農林水産部では、豚コレラを初めその被害ということについて高橋はじめ委員から質問がありましたが、私からは、まず環境という面から、イノシシの個体数の状況、そして捕獲の状況が岩手県はどうなっているのか伺いたいと思います。
〇谷藤自然保護課総括課長 イノシシの個体数の状況と捕獲の状況についてでございますが、まず、環境省の調査によりますと、平成24年度末で、岩手県、宮城県、福島県の個体数は約10万5、000頭と推計されているところでございます。なお、農林水産省野生鳥獣被害対策アドバイザーによりますと、本県においては、今の段階では捕獲数が少なく地域に偏りがあるということで、県域での生息数の把握は困難と聞いているところでございます。
 それから、イノシシの捕獲の状況についてでございますけれども、平成30年度の県内のイノシシの捕獲頭数は、一般狩猟、市町村が実施している有害鳥獣捕獲、県が実施している指定管理鳥獣捕獲等事業、これらを合わせまして243頭となっておりまして、平成29年度の80頭に比べて約3倍となっているところでございます。こうした現状から、県としては捕獲をさらに推進していくことが必要と考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 この1年で3倍にふえているということで、急激にふえているという実態を確認させていただいたわけですが、環境省は2023年度までに野生イノシシ、鹿も含めてですか、半減させる目標でございます。今、滝沢市、雫石町では無線通信の捕獲のわなを始めて3カ月でしょうか、検証していくということでございましたが、岩手県ではこの環境省の目標に向かってイノシシをどうやって半減させていく考えなのか伺います。
〇谷藤自然保護課総括課長 環境省の目標は半減ということで示されておるわけでございますが、県といたしましては、平成23年度に本県にイノシシが入って以降、極力捕獲したいという思いで推進をしているところでございまして、県として半減ということではなく、可能な限り捕獲に取り組むということで進めているところでございます。
 その中で、ただいま委員からお話がありました無線通信のわなの検証といった取り組みも行われているところでございますので、指定管理鳥獣捕獲等事業と市町村が行う有害鳥獣、これらの情報の共有などを図りながら捕獲に努めていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 今、豚コレラが本県でも非常に重要な課題の中で、なかなか難しいとはいえ実態をどうやって把握していくのか、あるいはそれをどうやって捕獲していくのか、これをさらに追求していかなければいけないと考えています。事前に市町村別の状況をお聞きしたところ、平成30年度は一関市が一番多くて110頭、次は奥州市で43頭、県北地域だと洋野町まで来ていると。あとは転々としているようでございましたが、特に県北地域は養豚などといった畜産農家が非常に多いわけでございますので、環境という側面でもしっかりと把握に努めていただきたいと思います。
 次に、再生可能エネルギー、太陽光発電について伺います。まず、平成30年度の再生可能エネルギーの自給率と太陽光発電の導入実績をお伺いしたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 本県における再生可能エネルギーの自給率でございます。平成30年度の再生可能エネルギーの自給率は29.5%となっております。目標である2020年―令和2年の目標値は35%となっております。
 一方、太陽光発電の導入実績ですが、こちらにつきましては発電能力でございますが、目標である令和2年の太陽光発電の目標は748メガワットに対しまして、平成31年度末現在で太陽光発電は638メガワットとなっております。
〇菅野ひろのり委員 目標に対して大体8割、9割弱ということで、これから再生可能エネルギーの導入がまだ進んでくるわけであります。今、環境アセスメントの話題も出ておりますが、大事なのは、環境の保全をしながら再生可能エネルギーの導入をいかに促進していくのか、計画に合わせていくのかということだと思います。
 県の方針は、義務づけ対象の面積が50ヘクタール以上を第1種事業、そしてあとは第2種事業ということで、20ヘクタール以上ということでつくられているようですが、他県の例も参考にということで、厳しい内容にしております。この厳しい基準にした県の判断、経緯というのはどういうことでしょうか。
〇佐々木環境保全課総括課長 第1種事業を50ヘクタール以上にした理由ですけれども、太陽光発電事業は、条例アセスメントの対象としている県の多くが規模要件を50ヘクタール以上としており、東北でも同様の県があること。再生可能エネルギーの普及も重要であり、事業者の過度の負担にならないような規模を設定したこと。国は、法と条例が補完し合うことで環境影響評価を実施すべき事案を確実に対象にできるという考えを示しているということです。
 第2種事業を20ヘクタール以上にした理由ですが、問題になる事案が林地を造成するケースにおいて多く見られることと、林野庁では、水源涵養保安林について皆伐許可の上限面積を20ヘクタールとしていること。他県でも条例の規模要件として20ヘクタール以上を採用している例があること。皆伐上限面積である20ヘクタールを第2種事業の規模要件として個別にアセスメントの要否を判断することで、本県の実情に適した適切な環境への配慮が求められると考えたからです。
〇菅野ひろのり委員 岩手の地形を考えたときに、中山間地が非常に多いという中にあって、当然、メガソーラーとか森林を伐採しながらやっているようなところは、しっかりと環境アセスメントの中で規制をしていかなければいけない。一方で、県議会でも意見書として出しておりますが、1ヘクタール以下であるとか小規模の発電をどのようにしっかりと見ていくのかということも、メガソーラーと対峙してある課題だと思っています。ただ、事前に資料をいただいた中だと、1ヘクタール以下の案件というのは非常に出しづらいということで、実態の把握がなかなか難しいというように思っておりますが、ぜひこの小規模のところも今後しっかりと注視していただきたいと思っています。
 今回台風の被害があった中で、太陽光パネルは、本県では災害またはそれによる流失は見られなかったということでございますが、このパネルの廃棄といいますか、パネルが壊れていると光が当るだけでも発火してしまう。こういったときの対応方法もしくは処理はどのように考えていますでしょうか。まだ耐用年数までは期間がありますけれども、そのお考えをお伺いしたいと思います。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 太陽光パネルの廃棄の状況についてでございますけれども、現在、県内に設置されている太陽光発電設備につきましては、固定価格買取制度、いわゆるFITが開始された平成24年以降に設置されたものが多く、太陽光パネルの耐用年数が一般的に20年以上であることなどから、老朽化により放置された設備は少ないものと認識しているところでございます。
 しかし、国では、事業終了後の太陽光パネルの放置を防ぐために、平成30年7月から、廃棄費用の積立状況を発電事業者が国に対して毎年報告することを義務づけました。また、現在、確実に廃棄費用を担保するために、発電事業者が外部機関への積み立てをする制度を検討しているところでございます。
 今後、FIT法を所管する国において、太陽光パネルの廃棄について適切な対策が講じられていくものと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 2012年にこの固定価格買取制度が始まって、耐用年数は20年間ということでまだ先かと思う一方で、太陽光発電の採算、売電収入は、一般的には10年程度で回収されると言われる中で、もうそろそろその10年を迎える中で、そのパネルをこれからしっかりと見ていかないと、例えば中国製のパネルであったり他国のパネルも入ってきているような状況で、売り主がわからなかったり、さらには保守が行き届かなくなってくる可能性も十分に考えられると思っています。小規模の発電の件数も非常に多い中で、県には、その太陽光パネルの保守、管理、そして廃棄の方法の策定について、しっかりと考えていただきながら、引き続き対応をお願いしたいと考えております。
 次に移りますが、新いわて水道ビジョンについてでございます。新いわて水道ビジョンを策定し公表していただき、ありがとうございました。今後の人口減少に伴って水道をどう維持していくのか、各自治体の大きな課題だと思っています。今回取り上げられているのは広域化ということで、いろいろお話を伺うと、まだ本県は、例えば宮城県方式のように民間が入ってくる状況ではないにせよ、これから広域化もしくは広域連携が必要になってくるのだろうと考えておりますが、県の認識をお伺いいたします。
〇坊良県民くらしの安全課総括課長 水道事業の広域化の状況についてのお尋ねでございます。
 今般策定いたしました新いわて水道ビジョンには、本県における県内の水道事業の目指すべき方向性を示すとともに、平成30年12月の水道法改正により、都道府県には水道事業者等の広域連携の推進がその責務として規定されたことも踏まえ、広域連携についても盛り込んだところでございます。また、このビジョン策定に当たっては、平成29年1月に、県及び県内全水道事業者等で構成する岩手県水道事業広域連携検討会を設置いたしまして、県内五つの地区ごとに設けたブロック検討会において広域連携のあり方について検討し、その結果を反映させたところでございます。
 県内では、花巻市、北上市、紫波町の事業統合による岩手中部水道企業団の設立や、県北9市町村と八戸圏域水道企業団との県境を越えた連携など、具体的な広域連携の取り組みも進められているところでございます。県といたしましては、先ほど申し上げました各ブロック検討会において、それぞれの地域の状況に応じ、課題や取り組みの方向性について取りまとめた結果を踏まえ、市町村等において具体的な取り組みがなされるよう、必要な助言、情報提供に努めていくこととしております。
〇菅野ひろのり委員 いただいた新いわて水道ビジョンの概要の中では、基幹管路の耐震適合率が非常に重要な部分だろうと思っております。これは通告していなかったのでわかればですが、いただいた中だと、岩手県は2007年度14%だったのが2016年度49%に上がっている。ただ、地域別というのでしょうか、広域圏ごとに見ると、岩手県全体で49.4%に対して、宮古広域は26.8%、あるいは沿岸南部広域は32.9%と、少しおくれているのかなという印象を受けておりますが、この理由など、もしわかればお願いいたします。
〇坊良県民くらしの安全課総括課長 耐震化の進捗状況といいますのは、水道設備の更新時期に当たりまして、その更新する際に耐震管に振りかえていくという流れがございます。
 そういう中で、歴史的な部分を見ますと、いわゆる沿岸部と内陸部と比べた場合には、水道管の設置の時期が、内陸のほうが早い時期に設置をして、その後、沿岸部のほうにというような大きな流れの中で、耐震時期等が早く内陸部のほうでは来ているのかなと考えております。ただ、2011年の東日本大震災津波に伴いましていわゆる復旧、復興を現在進めておるわけですけれども、この復旧の事業の中で、当然のことながら耐震化につなげていくということで、間もなくといいますか、数年後には沿岸部等の率も上がってくるものと考えております。
〇菅野ひろのり委員 この水道の事業の中で、しっかりと安全に水道行政が行えるようにしていかなければいけない。そして、その財源をどうしていくのかということであると思いますが、私自身が今回の課題意識の中で一番思っているのが、水道事業の技術をどうやって継承していくのかということが一番大きな課題になってくるのかと思っております。
 新いわて水道ビジョンの中身を拝見させていただいたとき、水道事業の職員の推移ということで、2006年度は岩手県595人、2016年度は514人、これからも下がっていくという中で、採用してふやせばいいということだけではなくて、多分年齢のバランスもあると思います。しっかりと技術を継承する体制を築くため、これを考えていかなければいけないと思いますが、県の認識、考えをお伺いします。
〇坊良県民くらしの安全課総括課長 まず、水道事業者における職員体制についてでございますけれども、平成28年度における県内の水道事業者全体の職員数は514人、平成8年度は648人ということで、134人、約2割減少している状況でございます。また、委員からお話がございましたけれども、職員の年齢構成を見ますと、40歳から49歳までが35.7%と占める割合が最も高く、次いで50歳から59歳までが27%ということで、職員の高年齢化が進んできているところでございます。こうしたことを踏まえますと、近い将来、水道事業に関する豊富な経験や技術を有する職員の方々が大量に退職することによりまして、断水時の迅速な対応でございますとか施設の効率的な管理など、水道事業の運営に影響が生ずることが懸念されております。
 そのため、新いわて水道ビジョンにおきましては、必要な人材の確保に加えまして、若手職員への水道に関する知識や技術の継承などを方策として盛り込んだところでございます。水道事業者におきましては、退職者の活用、いわゆる再任用といったような活用でございますとか、各種研修会への積極的な参加、さらには民間事業者、工事事業者との実践的な研修会等を開催することも必要と考えておりまして、県としては、そういった研修会等の開催につきまして支援してまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 職員のノウハウの継承、技術の継承というのは非常に時間もかかると思いますし、さまざま民間業者の方々とのそういった連携、活用というのでしょうか、協力をいただきながら、しっかりと引き続き県の水道行政が担えるようにお願い申し上げ、終わりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 私からは2点ほどお伺いしたいと思います。
 まず、ニホンジカの対策についてであります。平成30年度の捕獲頭数はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇谷藤自然保護課総括課長 平成30年度のニホンジカの捕獲の状況についてでございますけれども、一般狩猟、市町村が実施している有害鳥獣捕獲、県が実施している指定管理鳥獣捕獲等事業、これら三つの捕獲を合わせまして1万2、538頭となっておりまして、平成29年度の1万4、318頭と比較いたしますと、12%減となったところでございます。捕獲頭数としては過去2番目というところでございます。
〇城内よしひこ委員 捕獲頭数が1万頭を超えているとはいうものの、県内各地あるいは他県にも、県北、青森県等にも広がっておることを考えますと、もうちょっと数字を上げていけないものかと思うところであります。きのうも農林水産部の審査で鹿被害ということで、一定の水準でおさまっているとはいうものの、県内に拡散している傾向があるので、それを極力抑える方向にしていくべきとは思っております。その辺の方向性とすれば、どういう考えで事業を進めるのかお伺いしたいと思います。
〇谷藤自然保護課総括課長 捕獲を伸ばしていくということにつきましては、私どももそのように考えておりまして、予算的にはある程度確保しながら進めているところでございます。昨年度からことし12%ほど落ちてしまった事情なども、雪の影響といった部分でなかなか捕獲が進んでいないということがございまして、いずれ進めていくためには、市町村が行う有害捕獲、指定管理鳥獣捕獲等事業、それらを連携しまして1年を通じて捕獲の推進に努めていくことと、捕獲技術の研修といったものを組み合わせながら、捕獲の推進に努めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 近年毎年1万頭以上捕獲しているわけですけれども、以前も質問した際に、捕獲後に山に埋めてくるという話をしたところであります。そういうことが岩手の豊かな森林に対する負荷になっているのではないか、環境保全とすれば決していい、勧める方策ではないと思っています。
 そこで、ジビエの取り組みについてお伺いしたいと思いますが、岩手県内でもジビエ料理を提供するところがあります。そういった方々にどこからという話をお伺いすると、北海道であったり他県から仕入れをして提供しているという話をしています。地産地消ではないですけれども、岩手県でこれだけの鹿を捕獲して、ジビエに提供できないものかなと思うのですが、県とすればどのように取り組む考えをお持ちかお伺いしたいと思います。
〇谷藤自然保護課総括課長 捕獲した後の処理として、鹿が山中に埋設されてしまうのではないかということで、まずはその処分の状況から申し上げますと、捕獲した鹿の処分につきましては、約半数が自家消費、そして、そのうちのおよそ半分が焼却、それからその半分が埋設と、大体25%程度と見込まれているところでございます。
 そこで、ジビエの取り組みについてでございますけれども、ジビエは捕獲した鳥獣を地域資源として有効に活用する方法の一つであると認識しておりまして、国でも、処理加工施設の設置など、ジビエの利用拡大に向けた取り組みを支援しているところでございますので、当部といたしましても、相談があった場合には、農政部局と連携して必要な助言等を行っていきたいと考えているところでございます。
〇城内よしひこ委員 鹿の肉を食する、あるいはペットフード等にするというのも方策であろうかと思います。今、谷藤総括課長からも話がありましたが、ペットフードだと農林水産部の担当になるのですか。ジビエの窓口は全部環境生活部で、窓口一本化で対応しているんですか。ペットフード等の窓口はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇谷藤自然保護課総括課長 ペットフードまではちょっと勉強不足で申しわけございませんが、今のジビエの関係でいきますと、施設関係の国の支援とかは農林水産省サイドで支援されているということがございますので、そういった設置に関して相談等があった場合には、環境生活部サイドとしても、衛生関係のほうで協力することができるのかなというように認識してございます。
〇城内よしひこ委員 担当がいろいろあるので、それはそのとおりだと理解します。ぜひ部局横断で連携しながら、前向きに取り組んでほしいと思っています。
 沿岸部の市町村の要望に立ち会う機会がありました。その際にも、鹿の駆除を何とかしてくれと。捕獲ではなくて駆除だという話がありました。
 そこで、担当課の方々が適正数という、先ほど部長も適正数という言葉を使われましたが、私の考え方とすれば、五葉山周辺に昔鹿はいたけれども、我々の住んでいる沿岸部に鹿はいなかったということであります。適正数の考え方というのは、共生できる適正数ということで言っているのかもしれませんけれども、基本的には私はゼロだと思っています。その辺は、部長はどのようにお考えで適切という言葉を使ったのか、ちょっと確認したいと思います。
〇大友環境生活部長 今の適正数の考え方で、いろいろな被害もありまして、農作物被害等を受けられた方々からすれば、ゼロでいいのではないかというお声もあるということは承知しております。
 一方で、当部のほうは野生動物との共生という立場でございますので、どういった形で双方共生できるのかという調整もあって、今のところ頭数で1万頭以上の捕獲を目指しながら、毎年度毎年度対応していけば、一定数のもので対応できるという考えでやっているものでございます。状況状況に応じこの毎年の定数というのは、ことしも前年度より捕獲頭数は減りましたけれども、かなりの目標を持って掲げ、農林水産部とも連携して一定の頭数を上げてまいりますが、皆様の声もしっかりと聞いた上で、その辺の適正数ということで目指して進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 先ほど菅野委員もイノシシの話をしました。鹿もふえてきて、先週金曜日に、夜遅くでしたけれども宮古市に帰る際に、国道106号に鹿が倒れていました。多分前の方がぶつかったのだろうと思います。そういうことを考えますと、我々の地域の適正数というのは何なのかというふうに思いますし、被害を最小限に防ぐために農林水産部関係の方々は電気牧柵という話をします。笑い話ですけれども、本当に我々が電気牧柵の中で暮らすことが、もしかしたら部長の言う適正数になるのではないかと私は危惧しております。ぜひそういったことのないように積極的に捕獲をしてほしいし、そのことが私の考える適正数でありますので、よろしくお願いします。
 そこで、早池峰山への鹿の影響。早池峰山には希少な植物があります。そういったものを鹿が登っていって食べているという話もあるのですけれども、その辺の影響についてはどのように捉えているかお伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 早池峰山へのニホンジカの影響についてでございますけれども、ことし2月に早池峰地域保全対策事業推進協議会シカ対策部会を開催しておりまして、こちらでは、部会委員である県立博物館の主任専門学芸員から、平成30年7月及び8月に実施した食痕調査の結果の報告がございまして、固有種のナンブトウウチソウやミヤマヤマブキショウマ、いわてレッドデータブック掲載種のガンジュアザミなどの食痕が見つかったということで、河原の坊登山道では計41種、小田越登山道では計38種の植物に食痕が見つかったという報告をいただいております。
 また、裸地化の進行ですとか、被食による矮化などのほかに、鹿による地面の掘り起こし跡が初めて見つかるなど、平成29年度と比較しても被害状況が進行しているということが報告されたところでございます。
 このため、シカ対策部会におきまして、この報告により現地の被害状況を共有するとともに、早池峰地域の保全対策を強化する必要性をお互いに認識いたしまして、今年度におきましても、7月に部会委員である県立博物館の主任専門学芸員の協力を得て食痕調査を行っておりまして、調査結果を取りまとめているところでございます。希少種や固有種の詳細な食害の状況について、国、県、地元市、関係機関や猟友会等で構成するシカ対策部会において情報を共有しながら、今後の対策を検討していくこととしております。
〇城内よしひこ委員 それこそ希少種を電気牧柵で本当に囲って守らないといけない状況になりつつあるのかと思っております。そのように鹿がいろいろなところに行くようになって、いろいろな被害が多方面で出てきています。山に植林をすると、その新芽を鹿が食って、植林もなかなか追いつかないという話もあります。そういう話が出てくる以上、新たな対策を考えるよりも、やはりもとを断たなければいけないと思いますので、しっかりと取り組んでいってほしいと思います。
 次に移ります。ニートについてです。ニートという言葉を聞いて久しいわけでありますけれども、対策の取り組み状況と現状の課題をお伺いしたいと思います。
〇高井青少年・男女共同参画課長 ニート対策の取り組みと現状についてでございますが、ニート等困難を抱える青少年を支援するために、いわて若者ステップアップ支援事業を実施しております。コミュニケーション能力等の向上を目的とした活動、交流機会の提供ですとか訪問支援、相談対応、就業に向けたジョブトレーニング等を行っているところでございます。
 平成30年度の取り組み実績でございますが、活動、交流機会の提供が146回で参加が延べ625名、訪問支援の実施が16件、相談対応件数が4、196件、ジョブトレーニングの実施が合計347日で参加は延べ60名となっておりまして、これらの取り組みや国で実施している地域若者サポートステーション事業を通じて、83名の就職などの進路決定につながっているところでございます。
〇城内よしひこ委員 積極的に取り組んでいるということは重々承知しておりますけれども、県内には6、000名近くのニートと言われる方々がいらっしゃるということであります。とするならば、今説明のあった方々は、そういうところに来られるという意味では幸いだったと思います。来られない方々が大半であろうと思っていますので、ぜひこれは、取り組みを強化するか、あるいは教育委員会などの関係部局と連携しながら早い段階で、その子がそういう個性だという、生まれてすぐというわけではないでしょうけれども、小さいうちから対応を考えてしっかりと対策を講ずれば、こういう数字にならないのではないか。
 今、世の中、働く人がいなくて大変だという中にあっても、働かないでこのぐらいの人がいるということが問題であると思っています。ニートと言われる人たちは、一定の年齢を過ぎるとニートの枠から外れていきますよね。そうすると、生活保護であったり、親がいて自分で家族を養えるうちはいいのですけれども、そうでなくなると岩手県全体の負担になっていくと思っています。ぜひしっかりと取り組んでほしいと思いますが、その現状を押さえている数字があるのならば、何人ぐらい岩手県にニートと言われる方がいるのかお伺いしたいと思います。
〇高井青少年・男女共同参画課長 平成29年度の総務省の調査による推計値でございますが、本県のニート、いわゆる若年無業者数は5、800人というような推計値がございます。
〇城内よしひこ委員 総務省の数字から追ってきてということですよね。とするならば、市町村と連携し合いながら、地域にどれだけいるかというのも実際の調査をして、ピンポイントで傾向と対策を考えていかないといけないのではないか。総体でこれぐらいはいるだろうということではなく、積極的な取り組みをしていかないと、少ない人口が減っていく中にあって、こういう方々が数字とすればもっともっといるのではないかとも思ったりして心配しています。ぜひ積極的な取り組みをしてほしいと思いますが、その考えはいかがでしょうか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 今後の取り組みといいますか課題ということでございます。
 委員御指摘のとおり、社会的自立に困難を有する青少年の方々は、みずから相談機関になかなか出向けない方もいらっしゃるということでございます。そういった方たちに訪問支援、アウトリーチと言ったりしておりますが、今後そういった取り組みの充実を図っていって、保健所やハローワークなどの関係機関と連携を図りながら、今後とも職業的自立に向けた支援の継続的な実施に努めてまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 家族の方々も、ニートということを、家庭の中にそういう人がいるというのは、情報発信とすればしたくないというのが常でありますので、ぜひそういった方々にもしっかりと情報が伝わるような形で掘り起こしをして、対策を講じてほしいと思います。部長、いかがでしょうか。
〇大友環境生活部長 今、ニートの方々のさまざまな状況について、委員のほうからお話がありました。私もそのとおりだというように受けとめております。今、対策を講じる前に、そういった方々の状況を把握するということが、また大変な作業であると思います。課長のほうから答弁申し上げましたけれども、これはもちろん当部だけでとどまるものではありませんので、部局連携しながら、また市町村、そしてハローワーク等関係機関との連携というのが非常に大事になってまいりますので、この点につきましては、引き続きということになりますけれども、対応についてはしっかりとやってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 勉強会で伺ったところ、高学歴ニートという方々もいらっしゃるようであります。そういう方々は本当にちょっとしたきかけで職につける方々だと思っていますので、手のつけやすいところからという言い方は変ですけれども、しっかりと対策をとってほしいと思いますが、最後、その所見をお伺いして終わりたいと思います。
〇高井青少年・男女共同参画課長 いわゆる高学歴の方がニートになっているという状況の御指摘かと思います。そういった方も含めまして、取り組みの手法としまして、やはり訪問支援という形で、こちらからそういった方々のところに出向いていって支援をすると。そのような取り組みが重要になってくると思いますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 関連。ニホンジカのことを聞かれましたので、私からも聞いてみたいと思います。
 1万2、538頭捕獲されていましたが、わなでとられた頭数、また猟友会でとられた、そういうのがわかりましたらお知らせいただきたいと思います。
〇谷藤自然保護課総括課長 細かな数字は今手持ちにはないのでございますが、今、市町村が捕獲している有害捕獲と指定管理鳥獣捕獲等事業を合わせまして、全体のおよそ3割がわなで捕獲していると。近年、イノシシですとか山里のほうで生息しているものが結構ふえてきているせいか、いわゆるわなの件数がふえてきているという状況にあると思っています。
〇工藤勝子委員 私が住む地域でも、わなでかなり捕獲している人がいるわけでありまして、これは猟友会に加入したり、鉄砲等のいろいろな難しい手続等がなくても、例えば講習を受けて許可を受けるというのですか、認定を受けるというのですか、そういうことで捕獲できるわけですので、これを進めてほしいと思うのです。その講習の支援みたいなものは県にはないでしょうか。
〇谷藤自然保護課総括課長 今後捕獲を進めていくためには、まず担い手をきっちり確保して、育成していくことが重要だと認識しておりまして、そのため、県では、狩猟免許取得の機会を3回ほど用意させていただいており、県内各地で試験を受けていただけるようにしているということと、それに合わせまして、予備講習会の合格率の向上などを狙いまして、そういった方々に対して無料での講習会を提供して、テキストなどを配布して担い手の確保に努めているところでございます。
〇工藤勝子委員 今現在3割ほどと言っていますけれども、農家の担い手にぜひこの講習を受けて取っていただいて、わなでとらないと遠野は非常に危機的な状態だと私は思っています。
 私が県議会に入った頃、鹿がまだ県下に広まっていない時代。旧三陸町から遠野市に入ってきたときでありまして、どうして遠野市でとめられないのかという話をしたことがあります。遠野市でとめて、これ以上圏外に広まらないように、絶対的に遠野市で絶滅する形にしないと大変になるのじゃないですかという話をしたことがございます。でも、鹿には市町村境がありませんのでどんどん越えていくわけです。そして早池峰に入っている。あれはヤギ科だと思っていますけれども、高いところが好きなのです。なぜかヤギは傾斜地にはい登って、そういう姿勢が好きなのです。だから早池峰のようなところにも入っていくのだろうと思います。早池峰も、今の答弁を聞くと危機的な状況じゃないかと思っているのです。そうであれば、あそこにわなの資格を持っている人たちに、鉄砲はかなり無理だと思いますので、そのわなを早池峰の至るところにかける取り組みをすべきではないかと。高山植物、希少植物があるところです。いろんな囲みをつくっているようでもありますけれども、そういう対策も今後やっていくべきだろうと私は思っております。
 それから、ジビエの話も出ましたけれども、放射性物質の関係はどの程度減少しているのでしょうか。
〇谷藤自然保護課総括課長 放射性物質の関係でございますけれども、今の状況をお話し申し上げますと、例年、熊、鹿、ヤマドリの3種類につきまして、本県の全域を対象にした出荷制限指示が継続されておりますので、この検査を継続しているところでございます。
 平成30年度の状況でいきますと、熊、鹿、ヤマドリ、いずれも基準値を超過するものが出続けているということでございまして、熊に関して言えば、23検体を調査したところ8検体出ております。それから鹿については58検体のうち3検体。ヤマドリについては21検体中3検体という状況でございまして、まだ今もそういう状況になっているところでございます。
〇工藤勝子委員 関連質問ですから最後にいたします。
 地域で農林水産部の補助を受けて電気の線を張っているわけです。こういう取り組みが非常に多くなってきまして、農産物の被害が減少してきていると思っています。我が家は中山間地域ですので何でもいます。ハクビシンがハウスに入って、トマトをさんざん食べていくのです。そういうこともあります。
 いろいろ私も考えながら、何が嫌いかと思ったら、ネットが嫌いだと言われて、ネットをハウスに入らないようにめぐらせたのです。そうしましたら少しはいいのですけれども、結局、そういう電気牧柵みたいなものをやっても、まず熊が通るのです。びびっと来ても死なないという勉強をしたのです。そういうところから今度は鹿も入ってくるようになって、ことしは我が家の大豆は全滅でした。そういう中で、私たちは届け出もしないのです。そういう農家が多いのです。動物被害も多いですから、ぜひ、わななりで捕獲をどんどん進めてほしい。環境生活部としては、共生と部長はおっしゃいましたけれども、とても私たちは共生できない状況なのです。ぜひ、その辺も推進いただきたいと思っています。
 また、私は前にも聞きましたけれども、新聞を見ていると思うのですけれども、JRの電車がとまりますね、釜石線や山田線。これの被害って聞いたことがありますかと前に質問しているのですけれども、聞いていないという話でした。それから、自家用車にもぶつかっている。私も修理に40万円ほどかかりました。そういう中で、自家用車にぶつかっている人たちも住田町の人たちがかなり多くて、総合保険に入っているのですね。そういうところの調査もしていないのだろうと思うのです。私も質問しましたけれども、していないと言っていましたし、多分、その後も調査はしなかったのだろうと思いますけれども、そういうことを調べたことがありますか。
〇谷藤自然保護課総括課長 年度途中のJRの被害状況は一応確認させていただいておりますが、済みません、ぱっと出てこなくて申しわけございませんが、被害が増加しているというお話は聞いているところでございます。
〇中平均委員 私はジオパークとみちのく潮風トレイルについてお伺いします。
 最初に平成30年度三陸ジオパーク活用強化事業費から入ってまいりますが、事業の目的としては、ジオパークを活用した地域振興を図るため、住民等への普及啓発を推進という整備の事業費だったと思いますけれども、改めて、どういうことをやってきたかという確認をまず最初にしたいと思います。
〇藤澤ジオパーク推進課長 三陸ジオパーク活用強化事業費についてでございますが、ジオパークを活用した地域振興を図るため、住民等への普及啓発や来訪者の受け入れ環境整備などを推進してきたところでございます。
 昨年度におきましては、ジオストーリーに沿ったVR動画の制作、三陸鉄道の駅など主要な施設へのインフォメーションパネルの設置、全エリアのガイドを対象とした相互の意見交換や交流などを内容とするガイド研修の実施などに取り組んだところでございます。
〇中平均委員 そういった中で、今月、このジオパークの再認定がめぐってきますけれども、この再認定に向けてどのように取り組んでこられたのか。そして、もう11月ですから、再認定に向けたスケジューリングの点をお示しいただきながら、それに向けて、平成30年3月30日付けでこのアクションプランを提出しているはずですけれども、指摘を受けたところをどう解消して今回の再認定にまた臨んでいくのかという点をお伺いいたします。
〇藤澤ジオパーク推進課長 再認定に向けた取り組み状況についてでございますが、平成29年度の再認定審査の指摘事項に対応するアクションプランに基づき、各市町村単位の地域協議会や三つの広域ブロック会議の設立など、三陸ジオパーク推進協議会の運営体制の強化、フォーラムや研修会の開催によるガイド間の情報共有、エリアとしての一体的活動の展開、案内板の整備やインフォメーション機能の強化による視認性の向上など、市町村や関係団体等と連携しながら、万全を期して取り組んできたところでございます。
 また、スケジュールでございますが、11月12日から14日までの3日間、日本ジオパーク委員会による現地審査が予定され、関係者へのヒアリングやジオサイト、関連施設などの視察が行われることとなっております。
〇中平均委員 いよいよ再認定に向けて12日から現地審査が行われるということで、さまざま指摘を受けてそれに対する取り組みをやってきたと私も理解しております。2月に代表質問をさせてもらった中で、知事答弁でも、必ず再認定を取るという決意をお聞きしたところでございましたけれども、その方向で当然やってきたと思います。地域のジオパークの関連の皆さんとかは当然そういうことで、県にも動いていただいているし、地域としても頑張っていこうと。いろいろ地域間の連携がとれていない点であるとか、この間、地域の認識がまだまだ足りないといった指摘事項をクリアすべく頑張ってきたわけです。その点を受けて今取り組みをしてきて、この12日から現地審査そしてヒアリングが始まっていく中でのスケジュールですけれども、それをクリアしてジオパーク再認定になるのだという―当然、今ここで厳しいと思いますという答弁はないと思いますけれども、改めて、そういう思いでいるものかどうかということをお聞きしたいと思います。
〇大友環境生活部長 今、委員から再認定審査の見通しはどうかという御質問でございました。
 先ほどジオパーク推進課長のほうから御答弁申し上げましたけれども、三陸ジオパーク推進協議会の構成団体、機関による運営体制の強化とか、あるいはガイド間の情報共有とか、アクションプランに基いた取り組みを確実に進めてきているものと私どもでは認識しております。
 こうした中で、このジオパークの取り組みというのはボトムアップアプローチと申しまして、地域の住民の方々が主体となって動くことが大きな流れてございますけれども、そういった中で、三陸ジオパークの魅力を伝える住民主体の自発的な活動が各地で見られるようになってきたということがありますので、住民の皆さんにもジオパークという考え方が着実に浸透しているということのあらわれであって、ジオパーク活動が確実に広がってきているという手ごたえも感じているところでございます。
 再認定審査、まさに来週でございます。日本ジオパークの再認定審査は、ユネスコの世界ジオパークの基準をベースとすることになって以降、かなりハードルも高く、簡単な道ではないと思っておりますけれども、再認定審査に当たりましては、これまでの取り組み状況、今後の展望等をしっかりと説明しまして、確実に再認定されるよう、市町村、関係機関と連携して万全を期していきたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひとも万全を期してまた進めていただきたいと考えております。
 また、そういった中で、このジオパークに関連してみちのく潮風トレイルですが、このジオパークの範囲を全部みちのく潮風トレイルとして走っています。ことしの6月9日に全線開通になって、そして先般の台風第19号の被害を受けたということで、長距離自然歩道等各所壊れたと。土砂崩れ、倒木、落橋等ございますけれども、被災状況を含めて被害額等をどう捉えているか。そして、今回、復旧分が補正予算に入ってきているものかどうか、その点をお伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 みちのく潮風トレイルの台風第19号による被災の関係でございますけれども、11月5日6時現在でございますが、みちのく潮風トレイルを含む自然公園施設の被災状況は、久慈市、宮古市など沿岸5市町村でのり面崩落が6カ所、それから自然歩道内の木道橋の落橋が2カ所、土砂の崩落による自然歩道の通行どめが8カ所、倒木54本となっております。しかし、なお通行どめによってまだ現地に入れない箇所もございますことから、今後、当課職員による現地調査も行いながら、被災箇所の全容の把握に努めていきたいと考えております。
 今般の補正予算に関してでございますけれども、このうち、今現在わかっているものの一部を補正予算として計上する予定としております。
〇中平均委員 調査をまた進めていくということだと思います。全線が開通する前から、私も見ていましたが、地区で利用されている皆さんも、リパックというのですか、これを背負って歩いていると。全線開通したのはことしの6月ですけれども、大震災以降、整備を環境省が進めていく中で、そういう方たちが、その前から部分的には利用されています。そういったところを利用している人は何人くらいいるのか、どちらから来ているのか、そういった状況等の把握はしているものでしょうか。
〇谷藤自然保護課総括課長 みちのく潮風トレイルの利用の状況でございますけれども、ことし全線開通したみちのく潮風トレイルは、青森県から福島県までの4県にまたがる既存の自然歩道ですとか県道、市町村道などをつないだ総延長1、025キロメートルの長距離自然歩道となっておりまして、岩手県分は洋野町から陸前高田市までの499キロメートルとなっております。
 こうした規模から、全区間にわたってトレイルとしての利用状況の把握は非常に難しい状況になっておりますけれども、トレイルのサテライト施設に位置づけられている北山崎、浄土ヶ浜のビジターセンター、それから碁石海岸のインフォメーションセンターの利用者数につきましては、3施設合わせて平成30年度は39万9、531人となっているという状況でございます。
〇中平均委員 3施設合わせてすごい人数だと思ったのですが、北山崎のビジターセンターだと、行かれるのは、当然、歩いている人だけではないですね。そういった中で、観光の入り込み客数という面で言えば、各ビジターセンターの数というのはそのとおりなのだろうと思います。あとは、今話があった北山崎から南に行くコースとか、コースごとにある程度数を把握していかないと、これからインバウンドであるとか、さまざまな対策を考えていかなければならないといったときに、基礎となるデータがない形になってしまうと思うのです。ましてこれから復旧をしていかなければならないときに、こういう利用数があるから早く復旧しなければならないとか、データがあることによって地域のさまざまな―さっきのジオパークの話でもそうですね。この道を歩くことによって、ジオパークというものに対する地域の認知度が上がっていくのは当然ですし、また、観光なりということが出てくるのだろうと。そういった点を踏まえると、全線開通して距離が長いので把握できませんということではなくて、ビジターセンターとともにまた把握をしていく。把握をするまでが環境生活部なのか、それとも、その先の活用を横断的に考えて商工なり観光と考えていくのか、そういった意味を踏まえながら、今後展開を図っていくべきではないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
〇谷藤自然保護課総括課長 これは直接関係するかどうかは別といたしまして、環境省では、みちのく潮風トレイルの利用者の動向につきまして、今後、4県の中心となる名取トレイルセンターが、ツアー参加者などからルートの聞き取りを行うなど、利用の動向に努めていくという話も伺っておりますので、県といたしましても、環境省と情報共有を図りながら対応していきたいと考えております。
〇中平均委員 情報共有もですし、県として発信していくという意味でも、これだけ来てもらっている、そしてさらに、こうやればもっとふえていく、そうした中で、今の遊歩道も部分的には、もう少し安全であればいいかなと思うようなところも当然ありますので、その辺をまたこれから進めていくためにもそういう把握をどうやっていくかということも考えていただく。そして三陸沿岸を走る、いわゆる遊歩道であり昔の旧道を、大震災を受けてもう一回整備し直してみちのく潮風トレイル、復興の一つということで取り組んで整備したところでもありますので、そこを上手に活用していくことが必要だと思いますので、今後取り組んでいってもらいたいと思います。
 所感があればお聞きして終わります。
〇大友環境生活部長 ただいま委員からさまざま御指摘等を受けた件でございますが、まずみちのく潮風トレイルというのは、青森県から福島県までの区間ですけれども、本県を走っているところが一番いい部分で、非常に魅力のあるものでありまして、私はこの三陸ジオパークの活動推進を図る上でも、このみちのく潮風トレイルあとは三陸鉄道と連携して、さまざまなツアーをするということが一番大きな効果が生まれるものだと思っております。
 国の整備の関係でも、県といたしましても、宮城県の名取トレイルセンターは国で整備して、岩手県の各ビジターセンターはサブの扱いですけれども、そちらの施設整備についても、それと同等のものという要望も今しているところでございまして、いろんな面でこれから施設の復旧という大事な課題はあるわけですが、その際には、こういったものの機能強化も含めて対応できればいいと考えておりますので、部単独でも国のほうへの要望としてまいりたいと考えておりますし、各部と連携しながら対応してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 1点お伺いします。いわての水を守り育てる条例に関してお尋ねいたします。
 この条例は10年前に議員発議条例で、我が国の水資源の枯渇状況を鑑みながら、県民にとってこの水というのがいかに資源として大事かと、また、再利用、そして事業者の責任などを明記した条例でございます。
 10年たちましたので、これまで諸施策を各部局にまたがって行っていただいておりますことに感謝を申し上げます。特に環境生活部においては、各部局の取りまとめをずっとしていただいて、報告書もしっかり作成していただいているということで大変ありがたく思っています。あわせて、予算も年々、今日のさまざまな農業施設等の環境も整うということで、国の予算もついていることでありますけれども、下がることなく確保しているということにも私はありがたく思っております。
 そこで、県の責務として条例の第8条に、県は、水環境の保全および水資源の確保を図るため、次に掲げる事項を基本的な内容とする事業を推進するものとすると三つあるわけですが、きょうは1と2について。1、河川など生態系の維持および多様な生物が生息できる親水空間の創造。2、森林および水田が持つ水源かんよう機能の維持および増進。
 先ほど申し上げましたように、条例制定から10年が経過しておりますので、施策の展開方向、また、この間、所管する部としてで結構でありますので、改良された点について実績と自己評価をまずお伺いしたいと思います。
〇戸田環境生活企画室企画課長 条例の第8条の第1号、第2号に基づく実績と自己評価というお尋ねと思いますけれども、これにつきましては、河川が本来持つ多様な生物の生息、生育環境及び良好な水辺空間の保全と創出を図る多自然川づくりを実施するとともに、森林の水源涵養機能を維持増進するため、保安林制度の運用、3施設の整備、伐採跡地の再造林や間伐等への支援ですとか、それから農地の水源涵養機能など、農業、農村の多面的機能の発揮に向けた地域が共同で行う農地、農業用水等の地域資源の保全活動の支援にこれまで取り組んできたところでございます。
 こういった取り組みなどによりまして、公共用水域の環境基準達成率が良好に推移するなど、条例の目的である水環境の保全に一定の成果があったものと考えております。
〇飯澤匡委員 農林水産部等さまざまな部局にまたがっておりますので、詳細な答弁は別の機会に求めたいと思うのですが、今回、水系をしっかり維持していくという観点に立って、昨日も議論がありましたが、太陽光発電―メガソーラーの件です。これは住民との間に、多量の降雨が発生した場合に非常にトラブルのもとになっている。環境生活部では、今回、環境アセスメントの要件を50ヘクタール以上ということで、国の100ヘクタールより厳しくしたということについては評価をいたしたいと思うのですが、ただ、環境生活部は再生エネルギーも推進する立場で、非常に部内でもせめぎ合いの中でどういう方向性をいったらいいのかというのは大変悩ましいところだと思うのです。しかし、現状、かなり厳しい状況が続く中で、水資源、水系をしっかり守るという観点に立ったこの条例の生かし方というのはあると思うのです。
 そもそもこの条例をつくったのは、各部局ごとに水の捉え方がばらばらで岩手県としての姿勢がなかなか出てこないと。これをひとつ守り育てる―これはパテント料としていただきたいところでしたけれども、あるところで使われちゃって―この観点に立ってやっているわけですが、現在起こっているメガソーラーの件について、環境生活部ではどのような考え方を持ってこの条例を活用しようと考えているのか、その姿勢についてお尋ねしたいと思います。
〇戸田環境生活企画室企画課長 太陽光発電の環境アセスメントと水系維持に関するいわての水を守り育てる条例の活用についてでございますけれども、この条例につきましては、先ほど委員から御指摘があったとおり、水を大切にする機運の醸成を図ることによって、水環境の保全ですとか水資源の確保に寄与することを目的といたしまして、基本理念ですとか、県、事業者の責務、それから市町村、県民の役割、県が行うべき事業等を規定しているものでございます。
 一方、太陽光発電につきましては、令和2年4月1日から環境影響評価法に基づくアセスメントの対象となったほか、委員御指摘のとおり、本県の条例に基づくアセスメントについても、同日で太陽光発電を対象とするよう準備を進めているところでございます。
 環境影響評価制度につきましては、事業を実施するに当たって、その事業が環境に及ぼす影響について事業者があらかじめ調査、予測、評価を行い、その結果を公表して、住民、市町村長、知事から環境の保全の見地からの意見を聞き、それらを踏まえて、環境に配慮した事業計画を作成する事務手続を定めたものでございますけれども、いわての水を守り育てる条例に定める基本理念ですとか、それから事業者の責務のもと、この環境アセスメントが適切に行われることで、本県における環境の悪化や景観への影響についてより一層抑制が図られますとともに、水系の維持につながっていくものと考えております。
〇飯澤匡委員 以前この質問をしたときは、環境アセスメント自体は住民とのさまざまなお話し合いをする場として設定して、規制するものではありませんよというような話もありましたけれども、ただ、この局面にあって各地でトラブルが起きていますので、今回、我が県独自の線を引いたということについては高く評価をしたいと思いますが、いずれ、自然環境というものが住民生活の支障にならないようにこの条例を生かしていただきたい。
 それからもう一点、10年間、各部局で諸事業を展開しているわけですが、10年たって同じことを繰り返してはいけない。これでいいのだという答えはないわけでありますので、メガソーラーにしても、近年、再生可能エネルギーの活用というものが国が主導して行っている中でありますし、そのせめぎ合いの中でいろんなあつれきが出ていること、これらもそのときの事象に合わせてしっかり適切な対応をしていくことが大事だと思いますので、日々見直しというものを恐れずにやっていただきたいということを最後に申し上げたいと思います。部長から所感を求めて終わります。
〇大友環境生活部長 ただいまいわての水を守り育てる条例についての質問でございましたけれども、この条例に基づきまして、県民の皆さんそれから事業者の取り組みや県、市町村の施策の展開によりまして、水環境の保全や水資源の確保について一定の成果を上げてきたものと考えております。
 10年間同じことをという、取り組み事業につきましては必要な見直しをしっかりと行っていくことが大事だと思っておりますし、さまざま再生可能エネルギーの導入の促進ということは当部で大きな柱である一方、環境との調和ということもまた大きな柱でございますので、ここの調和をしっかりと対応していかなければならないということで、アセスメントのほうもさまざま国の動向や制度改正、それから他県の制度の状況、いろんなものを見合わせ、県内の動向等も対応しまして厳しい基準を設定したという経過もございます。
 そういった環境の変化等も踏まえまして、今後とも、市町村、事業者、県民と一層相互に連携しまして、協力して施策を展開することによって、本県の良好な水環境を保全し、豊富な水資源を守っていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは大きく2点、災害廃棄物の処理と鳥獣保護費の決算についてお伺いします。
 まず初めに、災害廃棄物処理計画の策定状況はどのようになっておりますでしょうか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 災害廃棄物処理計画の策定状況についてでございますが、災害廃棄物処理計画は、災害時における廃棄物処理を迅速、適正に行うため、仮置き場の設置や災害廃棄物の処理の方法等をあらかじめ定めておくというものでございます。県では、平成28年3月に、県の災害廃棄物処理計画に該当します岩手県災害廃棄物対応方針を策定したところでございまして、県内市町村では四つの市町村で策定済みとなっております。
〇臼澤勉委員 災害廃棄物の処理に当たっては、今回の台風第19号についてもさまざまな課題が出てきているところであります。本県は東日本大震災津波の経験を踏まえて、あの日、あの時、たしか618万トン、そして一般廃棄物の14年分を3年間で広域的処理、ほかの都道府県にも御協力をいただきながら対応してきた、そういう意味ではさまざまなノウハウの蓄積があって、環境省にも働きかけながら、私は国を動かし災害廃棄物の対策指針みたいなものが出てきたきっかけになっているのかと認識しております。
 それで、決算ですから、まず平成28年台風第10号の際の災害廃棄物の発生状況と処理状況はどの程度だったのかお伺いします。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 平成28年台風第10号により発生しました災害廃棄物を処理した量ということでございますが、被害の大きかった久慈市では約5、000トン、宮古市で約7、000トン、岩泉町で約9万2、000トンであり、全体で約10万トンの発生という状況でございます。
〇臼澤勉委員 1自治体でなかなか処理できなかった状況だったと思うのです。この広域処理、今回も普代村の村長からも、広域処理の取り組みについて県にも仲介に入って調整してほしいというお話がありました。広域処理の状況はどういう状況になっているのかお伺いします。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 災害廃棄物の広域処理の状況についてでございますが、今回の台風第19号によりまして被災した市町村が多々あるということで、県では、県内の他市町村の処理施設での処理が行われるよう調整を進めているところでございまして、その結果といたしまして、普代村の災害廃棄物の広域処理が二戸地区クリーンセンターにおいて、今月1日から開始されたところでございます。
〇臼澤勉委員 先ほどの災害廃棄物の処理計画の策定状況は、県、盛岡市、釜石市を初め幾つかの自治体でやっております。私が全国の策定状況を調べましたところ、宮崎県は各市町村、大小関係なく廃棄物の処理計画を日ごろから、平時のときから策定しております。ぜひ県としても、市町村に平時のときからの処理計画の策定を働きかけていくべきだと思いますし、ただ、市町村につくれと言っても職員も減らされている中、専従の職員も限られている、専門的知見もないというところがあります。全部一気にはできないでしょうから、つくりたい、だけれどもつくれないという市町村に対しては、プッシュというか垂直に入って御支援をいただきたいと思います。
 次に、鳥獣保護についてお伺いします。
 菅野ひろのり委員からもイノシシの話がございました。現状は3倍にふえたという話を伺っておりますが、まず自然保護課としての評価、3倍にふえたとはいいますけれども、ここ数年、急激にふえてきている部分があると思うのですけれども、まず、どう捉えているのかお伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 イノシシの状況でございまして、先ほど3倍にというお話でございまして、もう少しさかのぼってみますと、平成28年度が頭数的には94頭、それから平成29年度が80頭ときたものですから、平成30年度で3倍に上がったということに対して当課としても少々驚いている状況でございます。
〇臼澤勉委員 驚いているということで、ここ3年ぐらいの中で2倍そして3倍ということで、倍々とふえてきているのです。県内のイノシシの定着状況というか、要は被害が常態化している場合、あるいは子供のイノシシの捕獲が多く、群れが目撃されているという状況について、今どういう状況になっているのか。
 農産物の被害状況を見ると、これも10市町村においてどんどん被害も拡大しているという数字が私の手元にあります。被害額も1、600万円ということで、被害市町村そして目撃情報も、二戸市とか久慈市あるいは普代村、田野畑村を除いた全県に目撃情報が広がっているという状況になっております。まず県内の定着というか、状況についてどのように認識されているのかお伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 イノシシの捕獲の状況を市町村ごとに見ていきますと、平成28年度は8市町でございまして、平成29年度も8市町、平成30年度になると13市町でございまして、県南部を中心に捕獲を多く占めているということでございます。平成30年度に新たに捕獲実績のあった市町村といたしましては、盛岡市、紫波町、岩泉町、洋野町ということで、捕獲がかなり全域に広がってきているという認識でおります。
〇臼澤勉委員 先ほども菅野ひろのり委員からは豚コレラの対策、私もこの感染源の一つとして、イノシシ対策、これを防除しなければいけないということで、そういう問題意識から自然保護課に問うているところでございます。
 私は頭数についても幼獣というか子供なのか、大人のイノシシなのか、うり坊なのかどうかとか、そういった部分も含め実態をまず把握すること。そして集中的に全県を一気にやるというのはなかなか難しい部分もあろうと思います。集中的エリアを設定してでも捕獲を段階的に踏んでいくべきだと思います。さらに言うならば、猟友会等にも少しお手数をかけるかもしれないですけれども、イノシシの抗体というか、陽性、陰性なのかどうかというところも少し畜産課とも連携しながら、現状を科学的に把握する必要があろうかと思いますが、その辺の御所見をお伺いいたします。
〇谷藤自然保護課総括課長 イノシシの捕獲の実態につきましては、捕獲の結果から、雄雌の識別はするようにしておるのですけれども、うり坊までは手が回っていなかったところでございます。
 それから、豚コレラ対策としてどうするべきかということで、現状は、山中でイノシシの死亡個体が発見された場合は、勝手にハンターがイノシシを動かしてしまいますと感染してしまう、汚染を広げてしまう可能性があるものですから、発見した際には関係機関のほうに連絡を入れて、その上で指示を仰いでそれを処理するという手続を踏んでいる状況でございます。それをこれからどういった形で検体を扱うべきなのかというのは、指導機関のお話を聞きながら対応してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 関係部あるいは環境生活部は環境保健研究センターもございます。家畜保健衛生所のほうとも連携しながら、ぜひ万全を期していただきたいと思います。
 そして先ほど城内委員、工藤勝子委員からも、早池峰の鹿被害の話がありました。早池峰のナンブトウチソウとかミヤマヤマブキショウマとか、地球上にここにしかない、早池峰にしかない植物が被害を受けている。そして、そういう被害が拡大しているということは本当に危機的な状況で、私も非常に危機感を持っております。
 以前にもお話をしましたけれども、中尊寺の金色堂が被害を受けているようなものだという認識をまず自然保護課としても持たれていると思うのですが、まず、現在の早池峰周辺の有害保護と目撃状況、実績と推移をお伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 早池峰周辺の捕獲実績とその目撃情報でございますけれども、早池峰山周辺地域における平成30年度の鹿の捕獲数は1、756頭で、前年度2、598頭に比べまして約800頭ほど減少しておりますが、これも過去2番目の捕獲頭数ということでかなり多い量を捕獲しているところでございます。
 また、平成29年度からセンサーカメラを設置しておりまして、1日当たりの鹿の撮影頻度を調査しております。平成30年度は小田越の2合目付近まで鹿の増加が確認されており、本年度においては設置台数をふやして引き続き調査をしていくこととしております。
〇臼澤勉委員 捕獲頭数が2番目に多い状況ということで頑張られているのかなとも思います。そして、保全対策の実績、今、森林管理署とも連携をとりながら防護柵をやっていると私も認識しておりますし、延長にすれば延べ1キロメートルぐらい囲っている、そのくらい進んできているやにも聞いておりますが、その辺の実績、課題はどのような状況になっているのかお伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 早池峰山周辺における保全対策の状況でございますけれども、高山植物の鹿対策の一環として、防鹿柵の設置を昨年度より東北森林管理局と連携しながら進めさせていただいているところでございます。防鹿柵の設置に当たっては、シカ対策部会委員の御助言もいただきながら、ナンブトウチソウなどの高山植物の群生地に設置することとしておりまして、東北森林管理局と連携をして効果的に希少植物を保護できる場所に設置しているところでございます。
 平成30年度では、県では3カ所、東北森林管理局では4カ所設置したところでございますが、小田越や薬師岳にも新たに設置することといたしまして、県では6カ所、東北森林管理局では5カ所に設置しており、合計で7カ所から11カ所に拡大して、延長として約800メートルほどに拡大して設置しているところでございます。
 県設置分につきましては、7月22日から10月24日までの設置期間内で、鹿の侵入や網へのかみ切りの被害は現在のところ確認されていないところでございます。
 植生の状況につきましては、植生モニタリング調査を行っておりまして、詳細な植生の調査結果を現在取りまとめているところでございます。
 今後におきましても、シカ対策部会の意見を聞いた上で東北森林管理局と調整を図りながら、設置場所や方法などについて検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 鹿の被害は農産物、農業被害のみならず、生態系に与える被害額は本当に算出は困難であります。巨額な損失というか、次の世代にも引き継いでいかなければいけない岩手が誇る重要な資源だと思います。
 そこで、県あるいは国の森林管理局の役割分担とか実効ある対策を今後どう強化して進めていくお考えなのか、お伺いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 関係機関との役割分担や連携についてでございますが、今年度から、早池峰地域保全対策事業推進協議会シカ対策部会に新たに東北森林管理局、それから環境省盛岡管理官事務所、県の猟友会、森林総合研究所東北支所に委員として参加いただいているところでございます。また、県と三陸北部森林管理署及び岩手南部森林管理署遠野支署が、防鹿柵の設置につきまして連携して共同で実施することとして、三者で協定を締結したところでございまして、その結果として、国有林の使用許可の申請手続などが不要になったところもございます。
 今後とも、関係機関と連携いたしながら、早池峰地域における鹿対策の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 最後にいたします。東北森林管理局も鹿にGPSをつけたり行動調査もやっているわけでございます。ぜひ連携を図っていただきたいと思いますし、部長は、今般、早池峰山に登られて現地を確認されてきたと私はお伺いしております。現状を確認しながら、今後の所感を聞いて終わりたいと思います。
〇大友環境生活部長 早池峰山の登山の御質問をいただきまして、昨年の予算特別委員会で、臼澤委員から登ったのかという御質問を受けて、その際、昨年度は天候不順で行けなかったものですから、ことしはとにかく早く行かなければならないということで、7月に早池峰山の現地に行きまして、防鹿柵の設置状況等を確認しながら山頂まで登頂してまいりました。私は入庁して間もないころに行ったきりでずっと行っていなかったものですから、改めて早池峰山からの眺望と、高山植物のすばらしさを堪能して帰ってまいりました。
 防鹿柵ですが、自然保護管理員に案内してもらって見て、効果はあるのですけれども、鹿がかなり上のほうまでどんどん登っていくということで、こういった対応というのは非常に大変なものだということを改めて実感して帰ってまいったところでございます。
 いろいろ関係機関と連携してこの対策を進めてきておりますので、これまでの対策の検証もしながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時56分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木茂光副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ13人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇高橋但馬委員 鳥獣行政運営費についてお伺いいたします。鳥獣保護センターの過去3年間の救護実績を見ると、救護実施数が減少しているのですけれども、この数値の変化をどのように理解しておりますか。
〇谷藤自然保護課総括課長 鳥獣保護センターの救護実績についてでございますが、近年、鳥獣保護センターで救護いたしました鳥類及び哺乳類の救護実績を過去5年間で見ますと、平成27年度が110頭、平成28年度が103頭、平成29年度が72頭、平成30年度が96頭でございまして、例年100頭前後で推移しているところでございます。
 救護頭数の増減につきましては、毎年の気象条件等により変化が生じるものではないかと考えているところでございます。
〇高橋但馬委員 これを見ると、平成29年度の分ですが、鳥類であればハクチョウやフクロウ、獣類ではカモシカ、コウモリなどが保護されているのですけれども、救護対象と対象外の鳥獣の考え方についてお知らせください。
〇谷藤自然保護課総括課長 救護の対象と対象外の鳥獣の考え方についてでございますけれども、鳥獣保護センターでは、県内に生息し、事故等により負傷し、または疾病に罹患した野生の鳥類及び哺乳類を広く救護の対象としているところでございますが、明らかに感染症の疑いがあるもの、重症のため適切な治療を施しても救命の見込みがないもの、人に危害を及ぼすおそれのある熊などの大型獣類などは、救護の対象から除外しているところでございます。また、野生鳥獣による農林業被害の発生状況や生息状況の変化を踏まえまして、有害性が高い鳥獣についても随時見直しを行っておりまして、現在、鹿、イノシシなど24種類を救護対象動物から除外しているところでございます。
〇高橋但馬委員 例えばハクチョウがけがをしている場合とかは救護の対象になると思うのですけれども、いただいた資料で、県の鳥獣保護センターの目的として、野生鳥獣の保護のために治療及びリハビリを行い野生に復帰させるということを目的としているわけですが、収容した鳥獣の取り扱いについてお知らせください。
〇谷藤自然保護課総括課長 収容しました鳥獣の取り扱いについてでございますが、鳥獣保護センターでは、救護の対象となった鳥獣の搬送を受けた場合には、速やかにまず必要な治療を行い、その後の治療やリハビリテーションによりまして、傷病から回復し、野生への復帰が可能となった場合には、原則として発見場所またはその付近の安全な場所で野生に戻すための放鳥獣を行うこととしております。一方、治療やリハビリを行っても野生復帰が困難な鳥獣につきしては、原則として終生飼養とするところでございます。
〇高橋但馬委員 治療して復帰させるというのが基本なのでしょうけれども、そうでない場合というのは、例えば検体の提供であるとか安楽死とかという部分があると思うのですが、その基準をどのように設定していますか。
〇谷藤自然保護課総括課長 検体の提供や安楽殺の基準についてでございますが、県では、獣医学的な知見の向上や環境保全意識の啓蒙活動等のため、鳥獣保護センターに収容されている個体を学術機関等に提供する際の取り扱いにつきまして、ガイドラインを定めて運用しているところでございます。
 このガイドラインでは、学術機関などからの要請に基づいて検体の提供を行うことができることとしておりますが、その場合の提供個体は、野生復帰が不可能と判断された長期収容の個体に限定して行うものとしておりまして、調査研究のための検体提供は、過去5年で9件の事例がございます。
 また、安楽殺につきましては、検体提供と同様に、野生復帰が不可能な長期収容個体が飼養施設の飼養上限数を超えた場合に行うことができるとしているところでございますが、過去5カ年での安楽殺を実施した事例はございません。
〇高橋但馬委員 日本実験動物協会の実験動物の安楽死処分に関する指針によると、実験動物の安楽死処分は、部署責任者がその必要性を判断し、適正な方法等について教育訓練を受けた飼育技術者が実施をするとあるのですけれども、鳥獣保護センターでの実施者は誰になりますか。
〇谷藤自然保護課総括課長 収容鳥獣の安楽殺処分の実施者についてでございますけれども、鳥獣保護センターにおいて鳥獣の安楽殺を行う場合には、環境省が定めた動物の殺処分方法に関する指針に基づいて行っておりまして、本県においては、動物に関する専門知識を有するセンターに勤務する獣医師または自然保護課の獣医師が対応することとしております。
〇高橋但馬委員 検体の提供、そして安楽殺に関しては保護センターではないということでしたけれども、先ほど、検体の部分でいうとガイドラインで決めているという話だったのですが、それは現場の獣医師もしっかりと理解してのことであると認識してよろしいですか。
〇谷藤自然保護課総括課長 基本的なルールについては一応お示ししているとは思っておりますが、そういった何か周知不足があったのかどうか、ちょっとそこまでは把握しておりません。失礼しました。
〇高橋但馬委員 現場の獣医師とたまたま話す機会があり、検体の提供の話になったときに、何か基準となる書類であるとかそういうものがあると非常にありがたいという話があって、多分県としてはそういうガイドラインでしっかりとしたものが鳥獣保護センターにあるのかもしれないですけれども、しっかり情報の共有を徹底したほうがいいと思いまして、今回ちょっと取り上げさせていただきました。その方の理解の不足があったのかもしれないですけれども、鳥獣保護センターは県の重要な個体を預かる、保護する場所でありますし、命にかかわるものでありますので、その辺の徹底をしていただきたいと思いますので、もし何かあればよろしくお願いします。
〇谷藤自然保護課総括課長 検体の提供について、賛成される獣医師とそうでない獣医師がさまざまいらっしゃるのは事実でございます。その制度につきまして、十分な周知ができていたかどうか改めて点検いたしまして、再度、今の勤務している職員に対しては周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
〇千葉絢子委員 私は、提案1件、指摘2件をいたします。
 まずは、DV防止の取り組みの成果と今後の方向性について、またDVと虐待との相関についての考え、さらに目指す姿、ゴールについて、部長にまずお伺いします。
〇大友環境生活部長 DVと虐待に関する相関という御質問でございまして、目指す姿ということでございますけれども、まずDVの被害防止に関しましては、当部のみならず関係機関、団体との緊密な連携のもとで対応する必要のあるものでございまして、岩手県DV防止対策連絡協議会におきまして、いわて配偶者暴力防止対策推進計画の推進、あるいははDV防止対策相互連絡等の情報交換等を行って対応しているところでございます。DVはあってはならないものですので、これは徹底して対応していく必要があると思っております。
〇千葉絢子委員 私、DVに関しては環境生活部、そして虐待に関しては保健福祉部の取り扱いになっているというところに、かねがねちょっと疑問を感じておりました。これは同じく家庭内暴力に分類されるものでありまして、配偶者に向かえばDV、そして子供に向かえば虐待になるわけです。これは身体的な虐待もありますし、面前DVを含む心理的虐待にも相当する。その行為の根底には、相手に対する拒絶もしくは支配というような意識がありまして、私は同一の衝動によるものなのだろうと思っております。
 平成30年度決算の参考資料として、若者女性協働推進室から平成30年度の相談者件数をいただきました。それによると、DVは20代から40代が全体の65%になっておりまして、トータル1、762件のうちこの20代から40代は65%、件数にすれば1、117件に上るわけです。この20代から40代というのは恐らく子供を育てている年代に入るのだろうと思いますけれども、では、虐待の件数はどうかというところを見ると、心理的虐待、これは面前DVも含むものですが、合計で987件、やはり1、000件近くこの心理的虐待の件数が上がっているわけですね。
 私は、これは非常に相関関係があると思っております。先ほど部長から答弁をいただいたゴールテープを切るためには、絶対に許されない行為だというように皆さんが認識をして、件数の限りなくゼロを目指すためには今何をすべきかという逆算、つまりバックキャストの考え方で取り組む時代に今はなっていると思っています。この取り組みをやっているからオーケーではなくて、そのために今何をやらなければいけないかということなのですが、暴力行為から逃れるためには、一時的に避難をするシェルターや保護施設ですね。そういった保護措置。その後は、防止の啓発もありますけれども、環境を整える。それは、逃れるほかには、離婚という選択肢も命を守るためには必要になってくるのだろうと私は思っております。そうしてくると、保健福祉部の虐待と環境生活部所管のDVというのは、やはり連携が取り組みの中で必要になってくるのではないかと思います。まず、この保健福祉部と環境生活部の連携というのが一つです。
 では、30代前半、皆さんのお嬢さんがこのDVの被害者だとします。そうした場合に、子供が2人いるとしましょう。正社員で働いていたけれども、2人目の子供の出産をきっかけに退職、現在は非正規雇用で勤めているとします。夫からの暴力に悩んでいて離婚したいという相談を皆さんが受けたとします。皆さんは我慢しろと言いますか。それとも離婚しろと言いますか。とりあえず家に戻ってこいと言いますか。
 政策を考える上で必要なことは、ペルソナと言いますけれども、どういう人がこの施策を必要としているかということにつながってくると思うのです。私は環境生活部と保健福祉部の連携が必要だと言いましたけれども、いざ離婚して子供2人を自分が引き取って育てていくとなったときに、生活保護をもらう前に、まず就労を考えますよね。そうしたならば、その二つの部局に、さらに商工労働観光部的な観点からの施策が必要になってくると私は思っております。こういう部局横断的に取り組む必要性についてどのようにお考えでありますか。また、その共同研究、それから情報の共有に向けたこの3部局の体制強化と施策の見直しの可能性についてお伺いしたいと思います。
〇高井青少年・男女共同参画課長 DVに関する部局間の連携といったお話、御指摘いただきました。
 先ほど部長からも紹介いたしましたが、DVの防止及び加害者の保護に関しまして、関係機関、団体等の緊密な連携、及び総合的かつ効果的な施策の推進を図るために、岩手県DV防止対策連絡協議会を設置しているところでございます。この中に保健福祉部や警察本部も入っていただきまして、そういった県の機関のほか関係する民間団体等が協働しまして、いわて配偶者暴力防止対策推進計画の推進ですとか、DV防止対策に関する相互の連絡調整―これは児童虐待も含む情報交換をしているところでございます。
〇千葉絢子委員 その取り組みはわかっているのですけれども、そこにさらに、就職というか、就労支援的な側面も見ていく必要があるのではないかという御提案なんですけれども、それに関してはいかがでしょうか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 先ほど、外部の協議会を御紹介いたしました。さらにまた、庁内の関係17室課で岩手県配偶者暴力防止対策連絡会議という会議も構成しておりまして、こちらには商工労働観光部も入っていただいており、この中で、女性に対する就職支援や職業訓練などに関する取り組みなども報告するというような、情報共有のようなことはやっているところでございます。
〇千葉絢子委員 情報共有についてはわかりました。ただ、それが具体的な施策となりますと、DVに関しては内閣府が管轄しておりますし、男女共同参画についてもそうですよね。ただ、虐待となると厚生労働省になってくるということで、国の機関の縦割りがそのまま県の施策に影響されるようではいけないと思っておりまして、今までの取り組みがうまくいっているのであれば、DVだったり虐待というのは減っていかなければいけないと思うのです。なので、今までの取り組みに加えて、やはりそういった人を助けるためには、もっと別な政策的な工夫や組織のあり方というのもちょっと考えなければいけないのではないかなという提案を私はしております。
 保健福祉部で岩手県子どもの生活実態調査というものをしました。実際、就学支援などを受けている家庭の半分はひとり親世帯ということがわかっているわけですけれども、そのひとり親になった理由の中にも、DVが含まれていたりするケースのあるのではないか。また、就労支援が必要な経済的な側面とDV、虐待の相関関係についても、やはり研究をする必要があるのだろうと思っておりますし、それが福祉なのか就労なのか、それとも子育ては例えば女性が多くを担うものといった男女共同参画意識の停滞に由来するものなのかというところも含めて、多角的に取り組んでいく必要があると思っております。
 夫婦間のDVが子供の虐待につながって、その虐待の連鎖を防いでいくためにも、次世代育成や親の支援の取り組みが非常に私は重要だということを、まさにこのDVが年代的に65%を占めている年代に合致しておりますので、そこの支援をお願いしたいと思っています。福祉の側面のみならず、やはり就労、自立支援で、ひとり親でも子供を育てていける取り組み、暴力のある家庭環境から遠ざけて、子供たちにそれを連鎖させない取り組みというのをもう少し真剣に考えていく必要があるのではないかというような提案をして、これについては終わりたいと思います。
 次に、指摘です。若者の活躍支援の取り組みと政策成果について伺いたいと思いますが、若者施策の方向性と現在の事業評価、また具体的な効果としてどんなことを実感していらっしゃるか。そして、万が一足りないものがあるのだとすれば、課題認識と今後10年の目標について伺いたいと思います。
〇高井青少年・男女共同参画課長 若者支援の成果と今後の課題についてお尋ねいただきました。
 若者の活躍支援の取り組みについてでございますけれども、復興を進めていく中、地域で活躍している若者に接しまして、岩手の未来を創造していくためには、若者の継続的な力が不可欠であるといった考えから、これまで県のほうで若者の活躍を後押しする施策を進めてきたところでございます。
 これまで、いわて若者会議では、地域で活躍する若者同士のネットワークづくりを図りまして、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、そういったことに関連したさまざまな意見交換を行ってきたほか、いわて若者文化祭では、多様な文化芸術に積極的に取り組み、新しいことに挑戦する若者の姿を県内外に発信してきたところでございます。
 これらの参加者からは、岩手を盛り上げる志ある皆さんと意見を交わせたことは本当に有意義だったとか、自分たちの個性が出せるすてきな機会だった、今後も続けてほしいといったさまざまな意見をちょうだいしているところでございます。
 こういったことから、地域、学校、職場を超えた新たな若者のつながりが生まれてきたものと考えているところでございます。また、若者の活動、交流スペースであるいわて若者カフェの利用者が、カフェマスターから助言などを受けまして、実際に起業したというような事例も生じているところでございます。
 また、今後10年の目標と課題認識といったこともお尋ねいただきました。
 いわて県民計画(2019〜2028)の長期ビジョンやアクションプランに掲げているとおり、課題としましては、少子高齢化、人口減少が進んでおりまして、地域における若者のさらなる活躍が期待される中、若者の地元志向は強いものの、進学期、就職期の若者の転出による社会減が続いておりまして、多様な分野で若者が活躍できる環境づくりが必要だと認識しているところでございます。
 若者が地域の課題解決を目指して、自由な発想で考え、話し合い、次への活動につなげられるよう、地域づくりボランティア、起業、文化等の多様な分野で活躍する若者の交流促進を図り、若者同士のネットワークづくりの支援に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 ということは、若者の定着率とかそういうことではなくて、活躍の場というのは、文化祭のようなものだったり、ネットワークを構築するというのを岩手の若者政策ではメーンに据えているということでよろしいのでしょうか。それで、社会減だったり若者の将来の定着率だったり、そういうものに関して本当に連動した取り組みになっているのかというところをどのように評価していらっしゃいますか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 目的としましては、若者が地域の課題解決を目指すような取り組みが活発になっていくことを目指しておりまして、実際にいろいろ若者がやりたいことはあるわけでございますけれども、一つには、起業という形になったりすると、まさしく地元に残っていただく、定着するということにもつながっているのかと思っているところでございます。
〇千葉絢子委員 そうしますと、ただいまの答弁では、若者の活躍施策は、文化を通した交流と、それから起業を目的にしているという側面で捉えているということでよろしいのでしょうか。若者の定着というのは、文化を通した交流と起業によるものというふうに考えているということでよろしいのでしょうか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 繰り返しになってしまいますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)の長期ビジョンなどで記載しているのは、若者が地域の課題解決を目指して、自由な発想で考え、話し合い、次への活動につなげられるよう、起業にとどまらず、地域づくりボランティア、多様な分野で活躍する若者の交流促進を図り、ネットワークづくりの支援に取り組むといったようなことを目的としているところでございます。
〇千葉絢子委員 次の10年の県民計画の中では、やはり多様な主体による参画というものが言われています。若者の参画というのは、計画をつくるまでの話を聞くだけでは私は足りないと思っておりまして、今回、幸福の観点、そして若者のいわてで働こう推進協議会など、そういったところでも意見は取り入れられていると思いますが、本当の参画というのは、政策の決定です。意思決定にかかわれるかどうか。そして、自分たちが能動的にこういう政策が欲しいのではないかというのを施策に反映していくことができる。それを取り入れるのが、本当に若者の活躍ができる地域をつくっていくことにつながると私は思っております。
 先ほど御紹介ありました岩手の若者施策の目玉の一つ、いわて若者文化祭ですけれども、平成29年度はたしか予算ベースだと850万円ぐらいだったと思っておりますが、平成30年度の決算ベースでいくと1、300万円余り、額がかなり膨れているのです。もうこれは5年以上続いているものなので、今までで1億円近くに来ているのではないかと思っておりますけれども、これによって具体的な成果がどれぐらい出たのかというところを私は常々疑問に思っているわけです。
 参画とは何か、活躍推進とは何か、現在はこれだったらよいのではないかという官製の若者施策なわけで、自主性を育てるものではないと私はこれは断言したいと思います。
 きょう御紹介したいのは、愛知県新城市ですけれども、人口は4万7、000人です。ここは、平成13年に誕生した市長が、若者が活躍するまちを目指すというふうにマニフェストを掲げたことがきっかけで、平成15年から、条例を制定しまして、若者議会というものに取り組んでおります。今5期目になるわけですけれども、これは、市長が全世界の新城、ニューキャッスルという名前を持つ市などと連携いたしまして、そこで一緒に人材育成をしていこうではないかという取り組みを進めておりまして、若者を派遣する事業から始めました。そうしたら、その初期のメンバーが、自分たちも政策にもっとかかわりたいということで、若者議会を立ち上げる前身の新城ユースの会というのをつくったのです。そこから、若者議会というものがしっかりと立ち上がってまいりました。
 この議会は、3月から4月に委員を募集して、5月に学生の委員が―高校生、大学生ですけれども、その委員が所信表明をします。夏にかけて政策を検討し、8月に中間発表、9月から10月に政策を再検討し、11月に政策を市長に答申するのです。この若者の議会からの提案には必ず予算をつけるということを徹底しておりまして、これがいわて若者文化祭の予算と同じ1、000万円計上しています。
 この提言には、8月の中間発表の段階で部長がかかわります。部長からの厳しい指摘を経て、学生たちが一生懸命政策を練り直して、最終的に提案まで持っていき、毎年年間1、000万円の予算を獲得して事業化するという取り組みを、4万7、000人の自治体が1、000万円かけてやっているのです。これは非常に先進的な取り組みだと思っております。
 これまでに実現したものとしては、図書館リノベーション事業、地域とかかわる若者防災事業、若者アウトドア観光事業、地域でおしゃべり事業、若者議会PR事業、それから教育ブランディング事業やふるさと納税リニューアル事業など、本当に多岐にわたるものを提案し実現してきています。その中で最も私が成果として挙げたいところは、教育ブランディング事業です。これは、地域を考える若者がふえた結果、各小中学校に出かけていって、小中学生の有権者教育をこの若者議会のメンバーが担っているという例に発展しています。
 この若者議会は5期目になりましたので、若者議会出身の市役所職員、また市議会議員が誕生するという、本当に地域づくりに貢献する人材育成を若者政策としてこの市はやっているわけです。
 私は、本来、若者活躍施策はこういったものであるべきと思っていますけれども、今のままの方向性で本当にいいと思っていらっしゃるか、もう一度部長にお伺いしたいと思います。
〇大友環境生活部長 若者推進施策の今後の方向性等についての質問でございましたけれども、私どものほうで、昨年度であれば、いわて若者文化祭、それからいわて若者会議ということで、大きなイベントを2本やっておりまして、それなりの事業費も使わせていただき事業を執行したものでございます。
 今年度も、ちょうどこの週末、いわてネクストジェネレーションフォーラムということで、若者文化祭と若者会議を一つに合わせた形でイベントを企画するということで、その参画に当たりましては、若者の方々で企画部会を立ち上げて、このイベントの企画運営に自主的に参画してもらって、事業の内容等を決定しております。
 そういった検討過程のものをそのイベントだけで終わらせていいのかということは、私どもも問題意識を持っておりまして、そういった方々が公会堂の地下でいわて若者カフェというものをやっていまして、そこで定期的に若い方々が集まっておりますので、一過性に終わらず、先ほど愛知県新城市のお話もありましたけれども、そういった何か若者施策のほうにつなげていけないかということをうちのほうでも模索している段階でございます。イベントはイベントとして、それは目的を達成し、しっかりやってまいりますが、これを何らかの形で継続的なものにできないか、そういう問題意識を持って業務に当たってまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 私は、若者文化祭という形ではない若者施策の展開を期待しております。これだけたくさん若者文化祭が毎年開催されるようになれば、本来であればもっと民間からの資金だったり、県がずっと持ち出しで1、000万円、1、300万円と予算計上しなくても済むようなイベントに育つはずなのです。けれども、そうならないというのは、やはり施策の方向性がもしかしたら間違っているのではないかなというような疑いを持つことが、私は県の事業の見直しで非常に大事なスタンスだと思っています。
 孫子の兵法書には、将は君命を受けざるところありという名言があるのです。これは絶対とされる君主の命令であっても、おかしいと思うのであれば命をかけてでも無視するという者が将であるという意味なのですけれども、部長は知事の施策を支える参謀だと私は思っておりますし、この方向性はちょっと違うのではないですかというように、時には意見するような将であってほしいと私は願っております。また、職員の皆さんもその将を支える知的な部下でありまして、見るべきは県民のニーズだということをぜひ肝に銘じて仕事をしていただきたいと私は願っているわけです。
 この県の10年後、どういう人材を育てていくか。自分を上回る人材を育てるために、今の若者施策は、将来の県庁、それから岩手県の民間企業などにとって本当にプラスになるかというような観点で考えていただきたいということを申し添えて、これについては終わります。
 そして、もう一点、指摘です。これは通告しておりませんが、5月に女性活躍推進員について担当職員にお話を聞きました。そこから半年たちましたので、進捗についてお伺いいたします。
 去年5月にスタートした女性活躍推進員ですけれども、5月の時点で従業員300人以上の企業百数社を回ったとお聞きしました。そして、ことし12月31日までに合わせて190社を回る予定と伺っておりますが、取り組みが始まって1年たちました。この取り組んでみてのまとめ、今後の展開についてお伺いいたします。
〇高井青少年・男女共同参画課長 女性活躍推進員の状況についてお尋ねをいただきました。女性活躍の推進を県のほうで進めるために女性活躍推進員を1名配置しておりまして、鋭意企業訪問しておりまして、順調に制度の普及等を図っているところでございます。数のほうも順調に伸びているところでございまして……(千葉絢子委員「まとめているかどうかです」と呼ぶ)ちょっと済みません。すぐに数字が出てこなくて……。ちょっとお時間をいただいて、またまとめてお話ししたいと思います。
〇佐々木茂光副委員長 千葉絢子委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇千葉絢子委員 最後にいたします。今、平成30年度の決算認定を審議しているわけでありまして、平成30年度に取り組んだ女性活躍推進員のまとめというのは我々の評価の基準になりますから、ぜひこの資料は決算認定のときには出していただきたいと思って、私は5月、6月にお伺いをしているわけです。1年たってその件数は伸びていたとしても、実際訪問してみてどうなのかというまとめをこの決算審議においてした上で、来年度予算編成につなげていくというのが望ましいあり方ではないかと思うのですけれども、それについて、いつまとめが出るのか、それは我々にも提供していただけるのかお伺いして、終わります。
〇高井青少年・男女共同参画課長 数字につきまして、済みません、とりあえず先ほどの6月30日現在でございますけれども……。(千葉絢子委員「数字じゃないです。まとめていただけますかということです」と呼ぶ)では、まとめて後ほどお届けしたいと思います。
〇佐々木茂光副委員長 後でまとめるということですか。いいですか。(高井青少年・男女共同参画課長「はい」と呼ぶ)
〇斉藤信委員 それでは、最初に台風第19号による被害状況と対応についてお聞きしますが、被害状況とあわせて、きょうも補正予算の説明もありましたけれども、国、県による対応はどうなっているか示してください。
〇前田環境生活企画室管理課長 台風第19号による被害状況についてでありますが、まず、水道施設につきましては、沿岸7市町村におきまして、道路崩壊等に伴う水道管の破損などで2、142戸の断水が発生いたしましたが、応急復旧により10月29日をもって全て断水は解消されております。
 また、自然公園施設につきましては、11月5日6時現在ですが、沿岸5市町村において、のり面崩壊6カ所、自然歩道内の木道橋の落橋2カ所、土砂の崩壊による自然歩道の通行どめ8カ所、倒木54本となっております。
 次に、国、県による対応についてでありますけれども、まず水道施設につきましては、本格復旧に向けまして、水道施設災害復旧費国庫補助事業が活用できるよう災害査定に係る調書を取りまとめまして、厚生労働省との協議を行うとともに、被災自治体業務を支援することを予定しております。
 また、自然公園の関係ですが、みちのく潮風トレイル等を含みます三陸復興国立公園でございますが、全国から多くの利用客が訪れる本県の重要な地域資源であることから、被災した集団施設地区や長距離自然歩道等の重要な自然公園施設の国の直轄による早急な復旧整備や、その他の被災施設に対する補助事業の創設などについて、国に対して要望を行っているところでありまして、引き続き、速やかな復旧整備に向けて取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 災害廃棄物の処理についてお聞きいたしますけれども、9市町村13カ所で仮置き場が設置されたと。普代村については、11月1日から二戸地区の広域行政事務組合が処理を開始したと、このように受けとめております。
 きょうの新聞を見ますと宮城県は10万トンという災害廃棄物の量も示されていますが、この災害廃棄物の量、これは推計でいいけれども、今の段階でどれぐらいの規模なのか。そして、補正予算にも被災市町村の災害廃棄物の早期処理というのが入っていますけれども、どれぐらいの広域処理が必要なのか、現段階でわかる範囲で示してください。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 このたびの台風第19号により発生しました災害廃棄物についてでございます。
 その量でございますけれども、宮城県で推定量を発表したというのは承知しておりますが、いまだ本県では災害の状況について調査中という市町村もございますので、まだその量については推定もできていないところでございます。
 また、広域処理につきましては、今お話もあったとおり普代村での広域処理が始まりましたが、これは、災害廃棄物というのは一度に大量に排出されるために、腐敗、悪臭のおそれがあると。それで、早期の処理が求められるという可燃ごみを被災市町村の中では処理し切れないという状況がございまして、ただいま広域処理を始めたところでございます。
 被災市町村の状況については、ニーズを聞きながら、ほかの市町村にあっても必要なところは調整しているという状況でございますので、まだまとまっている段階ではございませんが、幾つかそういう広域処理が必要なところは出てくるということも考えております。
〇斉藤信委員 東日本大震災津波でのあれだけの災害廃棄物の処理をやったわけですから、ある意味ノウハウを持っているし、内陸の市町村も取り組んだわけですから、そういうノウハウを生かして、できるだけ速やかに処理できるようによろしくお願いしたいと思います。
 二つ目に、県央ブロックごみ処理広域化計画についてお聞きいたします。盛岡市は、住民の合意を踏まえて広域ごみ処理を1カ所に集中するということをやっていますけれども、進捗状況はどうなっていますか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 県央ブロックのごみ処理広域化の進捗状況でございますけれども、県央ブロックのごみ処理広域化につきましては、構成する八つの市と町の首長で構成する県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会によりまして検討が進められ、4カ所の整備候補地のうち、平成31年3月に開催された協議会において、盛岡インターチェンジ付近を最も有力な候補地として、地域との協議を継続しているという状況と承知しております。
〇斉藤信委員 盛岡市長が言うように、住民の合意というのは大前提だと思いますね。この点について言いますと、8月に市長選挙が戦われました。3派戦になりましたけれども、現職以外の2人の候補者は、大規模な焼却施設を前潟地区に整備するということに反対、見直しを表明した。あの選挙戦の結果は、谷藤市長が5万4、483票、2人の候補は7万1、574票。これだけが争点ではないけれども、中心的争点の一つでした。いわば対立候補のほうが56.7%の票を占めたと。これは、本当に今立ちどまって見直すべきとの審判が下ったのではないか。
 もう少し言いますと、8月には前潟地区の商店街、これは選挙の最中でありましたけれども、約1、000名の署名を集めて盛岡市に提出いたしました。地元の商店街ですよ。なぜこうなったかというと、地権者の方々は土地を貸しているのですけれども、風評被害で、地代を下げろ、でなければ撤退もあるよと、こういうことを聞いてみんなびっくりして、反対の声がさらに広がっている。
 9月18日には太田地区で説明会があって、80人集まっているのですけれども、圧倒的な反発の声が上がって収拾できなかったと。
 10月28日には前潟自治会が―前潟自治会というのは、上厨川自治会と二つの自治会長の連名で平成28年にあの地域に誘致の要請をしたのですよ。その前潟自治会が、この要請を撤回する申し入れをしました。あれは自治会長が独断でやったことだ、自治会としては正式にその要請はなかったことにという申し入れをしたのです。
 前潟地区での一極集中の大型焼却場整備計画というのは、ますます市民の反対の声が広がっているのではないかと思いますけれども、どう受けとめていますか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 地域住民の意見についてでございますが、広域化による施設整備に対しまして、理解を示す意見のほか、反対する意見などさまざまな意見が出されているとは聞いておりますが、そこは事業主体である盛岡市が地域住民に対し丁寧に説明していくものと考えております。
〇斉藤信委員 当初、盛岡市は3カ所で分散的に盛岡広域のごみ処理を進める計画だった。ところが、県の指導で、1カ所でなければ国の補助金が出ないよと言われて、1カ所の計画にしたのです。私は、県の指導責任は極めて重大だと思って、ここで取り上げているのですよ。なのに、あとはみんな盛岡で対応すべきだと。
 私が言ったように、候補地に挙がれば反対の声が挙がると。4カ所の候補地が出て3カ所がなぜ潰れたかというと、地域住民の反対の声が広がったからですよ。最後に残った前潟地区でどんどん反対の声が広がっている。谷藤市長が住民の合意を得て進めると言うのだったら、私はその条件はなくなったのではないかと思いますが、いかがですか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 繰り返しになりますが、そこは事業主体である盛岡市が丁寧に説明していくものと考えております。
〇斉藤信委員 これは県の県央ブロックごみ処理広域化計画をもとに進められているのですよ。あなた方が決めて押しつけているから問題なの。私は何度もここで取り上げてきましたけれども、一つは、あの地域は、あそこの小学校の喘息罹患率が市内でも最も高いと。なぜ高いのか。私は、やはり交通渋滞、PM2.5などの影響があるのではないかと思いますよ。それ以外に考えられません。そういうものは県が責任を持って調査して、情報を提供すべきだと思います。
 もう一つは、交通渋滞の問題なのです。イオンモール盛岡が出店するときも、交通渋滞が大問題になって、道路を拡幅して、長橋町に行く右折レーンを2車線にして、整備されたのですよ。インターチェンジがある。小岩井農場がある。ゴールデンウイークになったら今でも大渋滞ですよ。そういうところに8市町のごみを一極集中すると。日量500トンと言われるようなごみをトラックで、ごみ収集車で集中するということの弊害は極めて深刻なのではないかと。そういう問題を全く検討しないでごみ処理広域化計画を進めるということは、私は問題だと思うけれども、いかがですか。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 県といたしましては、ごみ処理広域化指針というものは一般廃棄物の広域化を推進するための基本となる指針と考えておりまして、市町村の厳しい財政状況ですとか、あとはきちんと環境保全機能を保った最新設備で立地していくというようなことで、そういった御懸念は担保されていると思いますので、そういった状況を踏まえて構成市町村の中で考えていくべきことだと考えております。
〇斉藤信委員 実は、県央ブロックごみ処理広域化計画の一番の問題点というのは、ごみ問題で一番大事なのは、ごみの減量、資源化なんですよ。このごみの減量、資源化の計画があって、どれほど焼却処理が必要なのかということで計画は立てられるべきだ。ところが、それなしに、日量500トンというとんでもない大規模な焼却場を1カ所に集中して、それも盛岡インターチェンジという交通の要衝に整備するなんていうことは、本当にこれはずさんな計画なのではないか。ごみの減量、資源化の計画はないでしょう。
〇佐々木資源循環推進課総括課長 現在は8市町で一般廃棄物の処理計画をつくっておりまして、それぞれの市町村でごみの減量化計画を策定しているとは考えておりますが、共同で、8市町で広域化していくというものであれば、共通のそういうごみ減量化策というものも今後考えていかれるものと考えております。
〇斉藤信委員 この計画は、今答弁があったように、全く本末転倒になっていると。ごみの減量、資源化なしに日量500トンの巨大なごみ焼却場を交通の要衝に整備するということ自身、私は本末転倒だと、このことは厳しく指摘しておきたいと思います。
 最後の質問です。太陽光発電の環境、景観への影響と規制措置についてお聞きしますが、再生可能エネルギー導入の計画に対する実績は、今どうなっていますか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 再生可能エネルギーの導入計画と実績についてでございますけれども、平成28年3月に改訂しました岩手県地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーの導入想定量は、目標年の令和2年度で、太陽光発電748メガワット、風力発電476メガワット、地熱発電111メガワット、水力発電276メガワット等であり、合計で1、651メガワットとなっております。
 平成31年3月末現在の再生可能エネルギーの導入実績につきましては、太陽光発電638メガワット、風力発電93メガワット、地熱発電111メガワット、水力発電277メガワット等となっており、合計で1、162メガワットとなっております。
〇斉藤信委員 それでは、太陽光発電の認定件数、稼働件数、そのうちメガソーラーの実態はどうなっていますか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 岩手県内の太陽光発電の認定件数、稼働件数についてでございますが、国の公表資料によりますと、平成31年3月末現在で、認定件数は3万5、520件、稼働件数は3万1、543件となっております。そのうち、1メガワット以上でございますが、1、000キロワット以上の太陽光発電の認定件数は180件、稼働件数は114件となってございます。
〇斉藤信委員 1メガワット以上をメガソーラーと言うそうでありますけれども、この発電総量と今の太陽光の実績、メガソーラーはどのくらい占めていますか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 メガソーラーの割合でございますけれども、導入実績容量でございますが、全体で約60万キロワットでございますけれども、このうち1、000キロワット以上の太陽光につきましては、約35万キロワットになっております。
〇斉藤信委員 34万3、950キロワットではないですか。そうですね。そうすると、343メガワットとなりませんか。そうした場合に53.9%占めるということになりますね。そうですね。
 それで、実はメガソーラーは稼働件数が114件なのですよ。認定件数180件ですから、恐らくこの倍以上がこれから稼働するのです。本当にメガソーラー全体で支配されると。この規制が私は大変切実になっていると思います。
 具体的なことでお聞きいたします。大船渡市の大窪山並びに荒金山に計画の太陽光発電計画について、希少猛禽類、イヌワシ、クマタカが高い頻度で出現していると、県内の野鳥の会連名で、岩手県に見直しを求めるべきだと要請しました。この要請についてどう検討して対応していますか。
〇谷藤自然保護課総括課長 太陽光発電設備の建設計画に関する要望書の対応についてでございますが、ことしの9月11日に、日本野鳥の会もりおか他2団体の連名によりまして、県に対して、当該計画の即時中止の行政指導を求める内容とする要望書の提出があったところでございます。
 2カ所ございますので、まず1カ所の大船渡市の大窪山地区は、五葉山県立自然公園の特別地域に該当しておりまして、開発に当たっては、県立自然公園条例第10条第4項に基づく工作物の設置や立木の伐採等の許可を要するものでございますが、許可事務に関する権限につきましては、平成19年に大船渡市に移譲しているところでございます。大船渡市では、平成30年6月に事業者に対して県立自然公園条例による許可を行っておりまして、事業は実施可能な状態となっているところでございます。
 また、大船渡市の荒金山地区については、県立自然公園や自然環境保全地域には該当しておりませんが、開発面積が10ヘクタール以上となる場合には、岩手県環境保全条例第25条第1項に基づく届け出が必要となるため、開発を行う場合には、条例に基づく届け出を行うよう指導しているとともに、要望の内容について関係部局との情報共有を図っているところでございます。
 なお、岩手県希少野生動植物の保護に関する条例第4条において事業者の責務として定められておりますことから、事業者には、生息環境の悪化につながらないよう適切な調査、保全対策を行うよう助言しているところでございます。
〇斉藤信委員 野鳥の会の皆さんの要望書では、こう書いているのです。希少猛禽類のイヌワシ、クマタカ等が高い頻度で出現している高度利用地域であると。この地域は希少猛禽類の主要な狩場となっておる。地元の会員の調査では、イヌワシペアと亜成鳥、クマタカ、オオワシなど12種の猛禽類の生息が確認されていると。
 実はこの隣が夏虫山なのです。この夏虫山にも太陽光発電の計画があって、ここでもイヌワシが頻度高く出現をしていて、そこに隣接したところなのです。このまま太陽光発電なんか認めたら大変なことになる。希少猛禽類というのはまさに岩手の自然環境の一つの象徴ですよ。きちっとこの問題について、対応できないのですか。
〇谷藤自然保護課総括課長 今の条例の枠組みの中で必要な届け出などを行うよう、適切な条例に基づいた手続を行うよう指導しているところでございます。
〇斉藤信委員 希少猛禽類を守る立場が全然あなたから伝わってこないのだけれども。北上山地の本当にわずかな地域なのです。岩手のイヌワシと言ったら岩手の象徴とも言えるようなものですよ。それをあなたが守る立場に立たないでどうするのですか。
 それで、あわせて私はお聞きいたしますけれども、各地で森林伐採、景観破壊、赤土の流出、宮古市田老ではメガソーラーの火災が昨年発生しました。重大な問題が噴出していますけれども、どう把握していますか。
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 太陽光発電の立地に伴う問題の把握でございますけれども、個別案件においては施工方法に問題がある場合あるいは事業者の対応に問題がある場合など、事案により状況が異なっております。法令所管部また市町村と連携しながら、現在、情報の把握に努めているところでございます。
 また、今年度は、国、県、市町村が、再生可能エネルギーの発電設備の課題等について情報交換をする会議を9月に開催したほか、具体的な事例はまだございませんけれども、問題がある個別案件に的確に対応するため、国、県、関係市町村によるチームを編成し、集中的に対応できる体制を今年度つくったところでございます。
〇斉藤信委員 時間ですのでこれで最後にしますけれども、宮古市田老のメガソーラーの火災の出火原因は何だったのか。自衛隊が出動して2日も3日もかかって消火したのですよ。そして、つい最近は、台風第15号で太陽光設備が火災を起こしたということが―2018年度は40件の太陽光発電所の自然災害の被災が報告されています。ですから、安全基準がないのです。私はこれはしっかりやるべきだと思います。そのときに、岩手県がこれからやろうとしている20ヘクタール以上、50ヘクタール以上を対象とすることでメガソーラーは規制できるのか。どれだけのメガソーラーが対象になるのか。対象になるメガソーラーの面積で見るとどうなるか、そこを示してください。
〇佐々木環境保全課総括課長 メガソーラーの対象施設についてでございますが、ただいま、来年の4月1日に条例、規則を改正して、太陽光発電施設を環境アセスメントの対象にするということで準備を進めておりますが、その時点でどれだけの数が対象になるかということは、既存の資料にそのような資料がないものですから、現在、把握できていないのが実情でございます。(斉藤信委員「田老火災の原因わかる」と呼ぶ)
〇高橋温暖化・エネルギー対策課長 宮古市田老で発生しました火災の原因でございますけれども、昨年4月に宮古市田老で森林火災が発生しまして4ヘクタール焼いたものでございますが、この原因につきましては、太陽光発電設備が原因と聞いております。具体的な原因につきましては、動物がケーブルの一部をかじったことによるものと聞いているところでございます。
〇佐々木茂光副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高井青少年・男女共同参画課長 先ほど女性活躍推進員につきまして十分な御答弁ができませんでした。この場で、追加で説明をさせていただきます。
 女性活躍推進員の活動の成果についてでありますけれども、昨年5月に配置しましたいわて女性活躍推進員は、ことしの10月末までで県内の企業539社を回っております。5月の時点で380社でございました。それが今10月末で539社訪問しまして、企業経営等の方々に認定制度の活用等を直接働きかけている状況でございます。
 最近では制度について一定の理解が進んでおりまして、認定企業数5月末時点では82社でございましたが、10月末現在で109社まで伸びており、着実に伸びも見られることから、今後とも、引き続き県内企業等へのさらなる制度の普及に努めまして、女性が活躍しやすい環境づくりを支援していきたいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 私からは、男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備についてお伺いいたします。
 まず、岩手県男女共同参画センターの運営についての所感をお伺いいたします。
〇高井青少年・男女共同参画課長 岩手県男女共同参画センターの運営についてでございます。
 岩手県男女共同参画センターは、男女共同参画社会の実現に向けて、県民が自主的、主体的に活動、交流するための拠点施設として、平成18年にいわて県民情報交流センター―アイーナに開設しまして、情報、学習、相談、交流の各種事業を実施しているところでございます。
 男女共同参画センターの運営についてはNPO法人に委託しているところでございますが、法人の専門性を生かして、男女共同参画プランの実現に向けて、県民ニーズに対応した事業を実施してきたところでございます。例えば、学校や企業等の依頼に基づいて開催している出前講座については、デートDVですとかLGBT講座などニーズの高い講座をふやすなど、広い県土におきましてきめ細かに対応するために精力的に活動してきたものと認識しているところでございます。
〇小西和子委員 精力的に活動していらっしゃるということでございます。アイーナというところは、年末年始と年2日とか3日、施設の点検等なのでしょうか、そのときに休むだけで、あとは全部開館しているということです。本当にフル回転なのだということがわかりました。
 岩手県男女共同参画センターでありますけれども、人件費、運営費はそれに見合った額なのか、東北の他県との比較もあわせて伺います。岩手県は被災県でありますので、そのあたりも加味してお伺いいたします。
〇高井青少年・男女共同参画課長 男女共同参画センターの運営費についてでございます。
 男女共同参画センターは今委員に御紹介いただきましたとおり、アイーナ内のほかの施設と同様に、年末年始及びアイーナ休館日を除きまして、毎日開館しているところでございます。
 男女共同参画センター運営費につきましては、県の他の類似施設と同様に、県の積算基準に基づきまして仕様書に見合った金額を積算させていただいているところでございます。
 宮城県を除く東北各県には、同じように男女共同参画センターが設置されているところでございますけれども、建物全体の管理も含んでいるケースですとか、複数のセンターを設置しているケースなどさまざまでございまして、運営費について単純に比較することは困難なところでございます。
 被災県というお話もございましたけれども、運営費につきましては、県のほかの基準に基づきまして積算しているところでございます。
〇小西和子委員 いただいた資料によりますと、事業費でいきますと、岩手県の施設全体のかもしれませんが、10倍ほどになっているのが青森県、それから秋田県も2倍になっております。山形県は3倍でしょうか。福島県は1.5倍となっておりまして、まず事業費で大きな差があります。人件費につきましても、例えば山形県であれば常勤6人で、割っていきますと1人当たり300万円余になるのかと思っております。岩手県の場合は、人件費が1、872万円余なのですけれども、常勤4人に非常勤7人ということで、これは大変苦しいのではないかと思います。
 子供の貧困は親の貧困であるということを私は一般質問でも申し上げましたけれども、子供のほうの対策それから女性のほうの対策と、両輪で進めていかなければならないと考えますけれども、女性のための就業相談等を受ける側の職員がワーキングプアであってはならないと考えます。大変なスキルを積んでこの仕事が本当にやりがいがあってどうしても続けたいと思うけれども、家族の面倒を見なければならないこともあり、泣く泣くやめていった職員もいるということを人づてに聞いております。支える側の職員がワーキングプアであってはならないと考えますが、いかがでしょうか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 職員、相談員の待遇についてお尋ねをいただきました。男女共同参画センターにおきまして、今もちょっと御紹介がありましたが、働くための第一歩を踏み出したい女性の相談支援として活動を行っておりまして、これにつきましては週3日、午前9時から午後4時まで、女性のための就労相談を行っているところでございます。この就労に係る相談員については非常勤を想定しておりまして、男女共同参画センターの運営に係る事業費と人件費につきましては、繰り返しになりますが、県の所定の基準に従って積算させていただいているところでございます。
〇小西和子委員 同じ繰り返しの答弁になりますね。岩手県というのはどういう県かといいますと、これまでも皆様方が質疑をしていらっしゃいますけれども、若い女性が流出している県であります。働きやすさ、それから生きやすさということを発信していくのも岩手県男女共同参画センターの役割であると考えるところです。さっき御紹介したように、他県のように専門家としての待遇改善をすべきと考えますけれども、さっきと同じ答弁ではない答弁をいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 男女共同参画センターの職員の状況につきまして御質問がございました。男女共同参画センターの相談員ですけれども、生き方、家庭問題、職場の人間関係、DV、性的マイノリティーなど非常に多種多様で複合的な相談に対応していただいております。相談内容に応じて関係機関や専門家につなぐなど、地域の最前線で女性等への支援を行っているところでございます。こうした相談員をサポートするために、専門知識や支援方法について研修を受講する機会を確保したりとか、専門家によるスーパーバイズを受けたりする体制も整えているところでございまして、今後とも、男女共同参画センターが相談員にとって働きやすい環境となるように配慮していきたいと考えております。
〇小西和子委員 何らかの事業を行政から受託してNPOが人を雇用した場合に、人件費の見積もりが安過ぎてワーキングプアを生み出すだけであります。子どもの生活実態調査をして、どんなに苦しんでいる家庭が多いかということも浮き彫りにされたわけですけれども、それを支える側がワーキングプアを生み出しているということです。相談員や支援員のスキルを専門家として評価して、適正な委託料の算出をすべきではないかということを、ここは要望をいたします。
 次に、政策等の立案及び決定への共同参画ということで審議会があるわけですけれども、岩手県男女共同参画推進条例というのがあります。すばらしい条例です。この条例の第25条の2の項目に、男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の40%未満にならない審議会等の割合というのがありまして、平成30年度主要施策の成果に関する説明書の104ページの中ほどにあります。達成度Dというのが並んでおります。これは男女共同参画のバロメーターとも言える指標だと私は考えます。ところが、いわて県民計画(2019〜2028)の指標から削除されておりました。なぜ削除されたのか、その理由をお伺いいたします。重要な指標であることから、進捗状況を公表すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
〇高井青少年・男女共同参画課長 いわて県民計画(2019〜2028)の指標について御質問をいただきました。いわて県民計画を策定する際、指標の設定に当たっては、全国や東北でどの程度の順位を目指すのかといった目標水準がより明確になるように努めたところでございまして、今御紹介がありました男女いずれか一方の委員の数が、委員総数の40%未満にならない審議会等の割合につきましては、比較が可能な全国での数値がなかったことから、いわて県民計画の指標としては採用しなかったという事情でございます。
 いわて県民計画における審議会委員に関連する指標といたしましては、審議会等委員に占める女性の割合をいわて幸福関連指標として設定したところでございます。今の男女いずれか一方の委員の数が委員総数の40%未満にならない審議会等の割合につきましては、いわて男女共同参画プランにおいて参考指標として設定しておりまして、その結果につきましては、岩手県男女共同参画推進条例に基づきまして毎年度公表を行っているものであり、引き続き進捗管理を行っているものでございます。
〇小西和子委員 いわて県民計画の指標に審議会等における女性委員の割合が載っているという捉えでよろしいのですね。
〇高井青少年・男女共同参画課長 いわて男女共同参画プランに載っているというものでございます。
〇小西和子委員 プランにはそれは載っておりますし、それを外したら大変なことになります。例えば、岩手県男女共同参画年次報告書等には毎年載せていただいておりますけれども、岩手県は決して低いわけではないのです。例えば平成27年4月1日現在ですと、岩手県30.6%、それから全国平均も30.6%となっておりますので、ですから、こういうことを県民に見える形で紹介することで、ああ、岩手県も頑張っているというところを見える化していくべきだということをお話ししておきたいと思います。何か対応を考えていただきたいと思います。
 私は、なぜ、毎回毎回男女共同参画にこだわっているかといいますと、もう耳にたこができているかもしれませんが、世界経済フォーラムというのがありまして、そこで性別格差を評価した国別ランキングが発表されます。直近で言いますと、日本は149カ国中110位です。G7では、もちろん断トツ最下位であります。そういうことをすごく安倍政権も気にしておりますし、それから労働力確保ということから、安倍政権の最重要課題の一つに、女性が輝く社会というものを掲げております。そう掲げてから何年もたつわけですけれども、全く改善されておりません。
 本県においても、県民意識調査では、男女の地位の平等化について約7割弱が、社会全体として男性が優遇されていると回答しております。ことしからのいわて県民計画には、参画というのが最初全くなかったんですけれども、最後に、ベースになるものですということで盛り込まれました。性別や年齢、障がいの有無にかかわらず、活躍できる社会をつくりますとなっておりまして、SDGsで言いますと、5番目にジェンダー平等を実現しようとなっているわけです。ですから、大変重要な課題、目標であると考えて質疑をしているわけです。
 では、部長にお伺いします。いわて県民計画のベースとなっている男女共同参画社会実現に向けての決意をお伺いいたします。
〇大友環境生活部長 男女共同参画社会の実現に向けた決意についてでございますが、男女共同参画を実現するためには、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その能力を発揮できることが重要と考えております。このため、県では、いわて男女共同参画フェスティバルの開催やいわて女性活躍企業等認定制度による企業の取り組みの促進などによりまして、男女共同参画や働き方改革について意識啓発を行っているところでございます。
 引き続き、男女平等や多様な性について理解し、尊重する社会となるよう、ともに生きやすく、多様な生き方が認められる男女共同参画社会の実現に向けた環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 男女共同参画社会を目指す議員協議会で、三重県に視察に行ったときのことですけれども、三重県の男女共同参画審議会では、施策の実施状況について評価を行うとともに、毎年、知事への提言を行っています。岩手県でも、男女共同参画の実施状況の評価を、毎年、次の施策に生かしていくような手法をとるべきだと考えますし、今までずっと啓発としてやっていましたけれども、啓発ではなくて、実現に移行して進めていただきたい。要望して終わります。
〇佐々木茂光副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光副委員長 質疑がないようでありますので、これで環境生活部関係の質疑を終わります。
 環境生活部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇井上労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 労働委員会は、中立、公正な立場で、労使間の紛争解決を支援する機関であります。これに加え、近年、労働相談やワークルールに係る出前講座も行っております。
 それでは、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。242ページをお開き願います。第5款労働費のうち、3項労働委員会費が当委員会が所管するものでございます。予算現額の計1億1、783万4、000円に対し、支出済額は1億1、648万7、000円余となっております。
 支出の内訳でありますが、1目委員会費3、119万4、000円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要した経費であり、委員15名に対する報酬及び旅費等の事務費でございます。2目事務局費8、529万3、000円余は、事務局の管理運営に要した経費であり、事務局職員の人件費、旅費、需用費等の事務費でございます。
 以上で労働委員会関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木茂光副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光副委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇戸舘商工労働観光部長 平成30年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部の所管事業に係る総括的な評価及び今後の取り組み方向等について御説明申し上げます。
 なお、移住、定住に係る事務事業が本年4月に当部に移管されており、この部分も含めて説明いたします。
 平成30年度は、いわて県民計画に掲げる産業創造県いわての実現に向けて八つの政策項目について、東日本大震災津波復興計画に掲げる暮らしの再建、なりわいの再生と一体的に取り組んでまいりました。
 以下、9点について御説明いたします。
 まず1点目は、ものづくり産業の振興であります。
 ものづくり産業の中核である自動車、半導体関連産業については、地場企業の技術力、競争力を高めるとともに、サプライチェーンの拡大や企業誘致による産業集積の一層の促進、産業人材の育成と定着、ものづくり革新への対応など、産業基盤の強化に取り組んでまいりました。これらの取り組みにより、キオクシア岩手株式会社の立地や株式会社デンソー岩手の大型増設などの動きに呼応して、自動車、半導体関連企業の立地や地場企業の増設の動きが活発化するなど、北上川流域地域において最先端のものづくり産業の集積が加速しているところであります。
 今後におきましても、一層の集積促進と競争力の強化、県内各地域のものづくり企業の成長や新産業の創出等を支援いたしますとともに、すぐれたものづくり人材の育成、確保、定着を促進してまいります。
 2点目は、食産業の振興であります。
 本県の重要産業の一つであります食産業につきましては、企業や生産者、金融機関等との協働体制でありますフード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチなどを通じて企業間連携などを促進するとともに、商談会やフェアの開催により販路開拓を支援してまいりました。
 今後、さらに企業の新事業活動や連携を促進いたしますとともに、沿岸地域の雇用を支える水産加工業の経営力の向上に向け、きめ細かく支援してまいります。
 3点目は、観光産業の振興であります。
 本県への観光客の誘客拡大については、いわて三陸復興・絆・観光キャンペーンの実施に加え、沿岸への二次交通の充実や地域資源の発掘、磨き上げの支援、教育旅行や企業の防災研修旅行の誘致等に取り組んでまいりました。
 また、国際観光については、東北観光推進機構等と連携し、旅行博等への出展、メディア、旅行エージェントの招請による旅行商品の造成、販売促進などに加え、県内宿泊施設に対する無料公衆無線LAN等の整備など、外国人受け入れ態勢の充実に取り組んだところであります。これらの取り組みにより、観光入り込み客数は引き続き回復基調にあるほか、外国人延べ宿泊者数は過去最高を記録いたしました。
 今後においても、二つの世界遺産や二つの国立公園、さらには、御所野遺跡や三陸ジオパークなどの多様な観光資源といわて花巻空港への国際定期便や復興道路、三陸鉄道リアス線などの新たな交通網を生かすとともに、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019釜石開催の経験を踏まえ、東京2020オリンピック・パラリンピックや東北デスティネーションキャンペーンに向けたプロモーションの展開や、沿岸地域を初めとする教育旅行等の誘致、外国人観光客の誘客を促進してまいります。
 4点目は、地場産業の振興であります。
 伝統的工芸品を初めとした県産品については、その魅力を生かした新たなライフスタイルを提案する展示販売会の開催や、県外アンテナショップ等における情報発信などにより、新規需要の開拓や購買層の拡大に取り組んでまいりました。
 今後とも、先日開催され、多くの方々に御来場いただいたKOUGEI EXPO IN IWATEのレガシーを引き継ぎ、伝統的工芸品を初めとした県産品の魅力を県内外に広く発信するとともに、新商品の開発や販路拡大、担い手確保の支援に取り組み、地場産業の一層の振興を図ってまいります。
 5点目は、新たな産業の育成であります。
 岩手県工業技術センターに、東北地方の公設試験研究機関では初となる、10メートル法EMI測定に対応した電波暗室などを備えたものづくりイノベーションセンターを開設し、新産業創出及びものづくり技術の高度化等への支援に取り組みました。
 今後も、この施設の活用などを通じまして、第4次産業革命技術の導入などによる産業の高度化や新産業の創出に向けた取り組みを支援してまいります。
 6点目は、商業、サービス業の振興並びに中小企業の経営力の向上であります。
 東日本大震災津波により被災した中小企業者への支援については、県単融資制度やグループ補助金の活用促進、岩手県産業復興相談センターによる二重債務問題へのワンストップでの相談対応を通じて債権買い取り等の金融支援にも取り組んだ結果、沿岸地域における被災企業の事業再開が8割を超えているほか、創業や新規事業への取り組みも進んできているところであります。また、中小企業者の経営革新計画や経営力向上計画の策定支援に取り組むとともに、商工指導団体や金融機関等と連携して円滑な事業承継に向けた取り組みを強化してきたところであります。
 今後も、被災した中小企業の本設移行も含め、復旧、復興を支援するとともに、経営力向上や円滑な事業承継に向けた取り組みなどを進めるほか、市町村や商店街を初めとする多様な主体の連携によるまちのにぎわい創出に向けた支援に引き続き取り組んでまいります。
 7点目は、海外市場への展開であります。
 加工食品や日本酒、工芸品等の県産品の販路拡大や県内企業の海外ビジネス展開については、経済発展により購買力の高まっている東アジア地域を中心に、商談会や物産フェアを開催し、販路開拓を支援してまいりました。これらの取り組みにより、東アジア地域への県産品輸出額は、東日本大震災津波直後の大幅な減少から回復してきているほか、海外展開企業の支援件数や商談会等における県産品の取引成約件数も増加してきているところであります。
 今後とも、海外事務所やこれまでの取り組みにより培ったビジネスパートナーとの関係を強化しながら、県産品輸出の一層の促進を初め、事業者の海外ビジネス展開を支援してまいります。
 8点目は、雇用、労働環境の整備です。
 平成30年度の有効求人倍率は年平均1.45倍と引き続き高い水準となっており、中小企業を中心に人材の確保、定着が求められています。また、北上川流域地域における最先端ものづくり産業の集積に伴う人材確保も急務となっています。このため、いわてで働こう推進協議会を核として、オール岩手の体制で県内産業を支える人材確保に取り組んでいます。また、岩手U・Iターンクラブと連携し、学生のU・Iターン就職の拡大を図るとともに、岩手県地域産業高度化支援センターにおけるマッチング支援等により、県内外からのものづくり人材の確保、定着を図ってまいります。
 最後に、今年度政策地域部から移管された移住、定住に関する多様な主体の連携による地域コミュニティーの活性化であります。
 首都圏からの移住、定住促進に向けて、移住相談会の開催や移住体験ツアーなどで本県の魅力を発信したほか、移住相談窓口における移住と就職の一元的な相談対応や市町村、地域団体による受け入れ環境整備の支援に取り組んでまいりました。これらの取り組みにより、首都圏における移住相談件数も増加し、移住者の増加につながっております。
 今後は、本県への移住と本県での働き方、暮らし方の魅力を一体的に発信するとともに、市町村と連携した移住定住推進体制を構築し、移住、定住の取り組みを推進してまいります。
 以上、平成30年度の総括的な取り組みと成果及び今後の取り組み方向等について御説明申し上げました。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 平成30年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。一般会計歳出における商工労働観光部の決算は、2款総務費のうち、4項地域振興費の一部、5款労働費のうち、1項労政費、2項職業訓練費、14ページに参りまして、7款商工費1項商工業費、2項観光費、また、16ページに参りまして、11款災害復旧費のうち、4項商工労働観光施設災害復旧費と13款諸支出金のうち、3項公営企業負担金の一部でありますが、これらの予算現額は1、308億9、537万円余、これに対する支出済額は1、209億6、740万円余、翌年度繰越額は53億2、312万円余、不用額は46億484万円余となっております。
 以下、個々の内容につきましてはお手元の平成30年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので御了承願います。
 それでは、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書の174ページをお開き願います。2款総務費の4項地域振興費1目地域振興総務費でありますが、当部関係は備考欄下から3番目のふるさとづくり推進事業費で、移住相談窓口の設置や、本県の魅力に関する情報発信の充実、市町村等が行う移住推進の取り組みに対する支援に要した経費であります。
 238ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、備考欄一番上の管理運営費は、本庁の雇用対策や労働部門の職員人件費及び平成29年度に実施した国庫委託事業に係る国庫返還金等であります。2目労働教育費でありますが、備考欄の各種労働講座開設費は、企業の経営者や労働者などを対象とした雇用・労働フォーラムの開催などに要した経費であります。3目労働福祉費でありますが、備考欄一番上の労働者等生活安定支援資金貸付金は、育児休業、介護休業を取得した者に対する休業期間の生活資金貸し付けなどに要した経費であります。4目雇用促進費でありますが、241ページに参りまして、備考欄中ほどより少し下のいわてしごと人材創生事業費は、企業の人手不足に対応するため、求職者への就職、職場定着の支援、首都圏の大学生等を対象としたインターンシップの支援等に要した経費であります。二つ下の事業復興型雇用支援事業費は、被災地の安定的な雇用を創出することを目的として、被災者の雇い入れに係る費用の助成等に要した経費であります。
 次に、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、備考欄上から三つ目の認定職業訓練費は、職業訓練法人による認定職業訓練の実施に対する補助などに要した経費であります。備考欄一番下のいわて地域産業高度化人材育成事業費は、ものづくり産業や新たな成長分野等を担う高度技術、技能人材の育成、確保、定着の促進に要した経費であります。次に、242ページに参りまして、2目職業訓練校費でありますが、備考欄一番上の管理運営費は、県立産業技術短期大学校を初めとする県立職業能力開発施設の職員人件費であります。備考欄下から二つ目の就職支援能力開発費は、離職者等の職業能力開発の実施による円滑な再就職の支援などに要した経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、288ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、備考欄一番上の管理運営費は、本庁及び県外事務所等の商工部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。備考欄中ほどの運輸事業振興費補助は、公益社団法人岩手県トラック協会が実施する輸送サービスの改善等の事業に対する補助に要した経費であります。次に、290ページに参りまして、2目中小企業振興費でありますが、備考欄上から三つ目の商工観光振興資金貸付金は、設備投資や事業の拡大を行う中小企業者に対する設備及び運転資金の貸し付けに要した経費であります。その六つ下の中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、県内の被災中小企業者に対する設備及び運転資金の貸し付けに要した経費であります。備考欄下から二つ目の中小企業被災資産復旧事業費補助は、市町村が行う被災中小企業の復旧に対する補助事業への補助に要した経費であります。
 なお、繰越明許費13億6、293万円余は、中小企業被災資産復旧事業費補助が補助事業者の事業実施が遅延したことにより、また、ヘルスケア産業集積拠点整備費補助が基本計画の策定等に不測の日数を要したため、それぞれ繰り越したものであります。
 294ページに参りまして、3目企業立地対策費でありますが、備考欄上から二つ目の企業立地促進資金貸付金は、立地企業が行う設備投資に対する貸し付けに要した経費であります。その下の企業立地促進奨励事業費補助は、市町村による誘致企業への助成事業に対する補助に要した経費であります。一番下の特定区域産業活性化奨励事業費補助は、特定区域における産業の活性化に関する条例に基づく大型投資案件に対する支援に要した経費であります。4目中小企業経営指導費でありますが、備考欄上から二つ目の中小企業ベンチャー支援事業費は、公益財団法人いわて産業振興センターが実施した経営相談や専門家派遣事業等への補助などに要した経費であります。5目貿易振興費でありますが、備考欄の貿易振興団体助成費は、海外販路拡大の支援基盤整備のための独立行政法人日本貿易振興機構、いわゆるジェトロ盛岡貿易情報センターへの負担金であります。6目工業技術センター費でありますが、297ページに参りまして、備考欄一番上の地方独立行政法人岩手県工業技術センター運営費交付金は、同センターに対する運営費交付金であります。
 次に、2項観光費1目観光総務費でありますが、備考欄一番上の管理運営費は、観光部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。備考欄中ほどのいわてインバウンド新時代戦略事業費は、外国人観光客の誘客拡大を図るためのプロモーションの実施や受け入れ環境の整備を実施した観光事業者等への補助等に要した経費であります。その四つ下の東北絆まつり2018盛岡開催費補助は、東北絆まつり2018盛岡の開催経費への補助に要した経費であります。2目観光施設費でありますが、備考欄の観光施設機能強化事業費は、県が整備した観光施設の設備の修繕等に要した経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、354ページをお開き願います。11款災害復旧費の4項商工労働観光施設災害復旧費1目商工観光施設災害復旧費でありますが、備考欄の中小企業等復旧・復興支援事業費は、被災した中小企業等が一体となって復旧、復興を行った場合の施設設備の復旧、整備の補助に要した経費であります。
 なお、繰越明許費39億6、019万円余は、中小企業等復旧・復興支援事業費補助で、補助事業者の事業実施が遅延したことにより繰り越したものであります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、362ページをお開き願います。13款諸支出金3項公営企業負担金1目公営企業負担金でありますが、当部所管は、備考欄三つ目の工業用水道事業会計負担金のうち3、142万円余で、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設の維持に係る経費について、その一部を負担したものであります。
 以上で一般会計決算の説明を終わります。
 次に、中小企業振興資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 404ページをお開き願います。この特別会計の予算現額は、406ページと408ページに記載しておりますが、歳入、歳出それぞれ11億1、458万円余であります。
 まず、歳入につきましては、407ページにお戻りいただきまして、収入済額が総額11億626万円余であり、その主なものは、貸付先企業等からの元利償還金等の諸収入及び貸付金の原資として借り入れた地方債であります。
 次に、歳出につきましては、408ページから409ページに記載しておりますが、支出済額が総額8億7、121万円余であります。
 1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、高度化資金貸付金の貸し付けなどに要した経費であります。
 2項貸付事務費は、ただいまの貸付金の貸し付け及び回収に要した事務経費であります。
 以上で商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
〇佐々木茂光副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時54分 休 憩
午後3時12分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、9人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 商工労働観光部関係の説明に対して質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 それでは、観光費に関連してお尋ねしてまいります。
 平成30年度の沿岸部に対する観光入り込みの状況、震災後の傾向、それから訪問先も踏まえて、まずはお示しいただきたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 震災後の沿岸部への観光の入り込みでございますが、平成30年の沿岸13市町村の観光入り込み客数は約585万人回となっております。平成29年と比較いたしまして4.8%増となっておりますが、震災前の平成22年と比べますと78.2%にとどまっているところでございます。
 中でも、浄土ケ浜を有し、学ぶ防災に力を入れている宮古市ですとか、あまちゃんで全国的に有名になりました久慈市などでは、既に震災前の水準を上回る入り込み客数となっております一方、被害の大きかった沿岸の南部を中心に、観光の入り込み客数の回復が非常に鈍い状況となっております。
〇岩渕誠委員 明るい兆しも見られるのかなと数字上は把握します。沿岸部の観光の一つの売り込みといいますと、学習旅行というのが震災復興に向けた取り組みの中の柱だったと思いますが、この辺はどうなっていますか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 県では、教育旅行につきましては、岩手県観光協会あるいは東北観光推進機構等と連携いたしまして、発地別に見て入り込みの多い北海道、東京都、大阪府に出向きまして、修学旅行の担当教諭、また旅行会社を対象といたしました教育旅行の誘致説明会を毎年開催しております。
 また、震災学習プログラムは本県の教育旅行プログラムとしてはPR要素が強いものでございますので、北海道、首都圏、中部圏、関西圏の修学旅行担当教諭、そして旅行会社の担当者を現地に招請いたしますほか、実際に本県に教育旅行に訪れていただいている学校のほうに、事前学習等に震災語り部の派遣をするなどしているところでございます。
〇岩渕誠委員 それで、実際どうだったのですか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 これらの取り組みによりまして、平成30年の教育旅行の入り込み数は、学校数で延べ3、066校、児童生徒数が20万9、099人回となりまして、震災前の平成22年と比べまして、学校数では612校、児童生徒数で1万7、263人回増加した状況となっております。
〇岩渕誠委員 地元の観光振興という観点からも、教育上しっかりと震災と復興について学んでいただくということからいっても、大変意義があることだと思っていますし、今の取り組みをぜひ続けていただきたいと思うのですが、全体の585万人回、学校数は3、066校という話がありましたが、これはいずれも地形、地政学的にいって滞在型になっていますか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 全ての学校が滞在型というよりは、県内を回って内陸と沿岸を行き来するようなもの、あるいは実際に民泊を兼ねて内陸部に民泊をしてといった旅行も含まれております。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれにせよ滞在の要素も十二分にあるということのようであります。そして、新年度になりまして三陸鉄道の全線開通、それからラグビーワールドカップ2019の開催ということで大変に期待されたところですが、今次の台風被害によって大きく宿泊キャンセルが相次いでいるというような一部報道であります。このキャンセルの状況について県は把握されていますか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 今次の台風第19号によります宿泊キャンセルの状況でございます。一部報道と重なる部分もございますので御容赦いただきたいと思いますが、県内の旅館、ホテル175施設におきまして、台風の通過する前後、10月12日から10月14日までのキャンセルは約1万7、000人泊、そのキャンセルによる概算額は約2億1、000万円という形で、報道されているとおりでございます。
 また、その後、10月15日から11月末までのキャンセル状況を確認しましたところ、県内の旅館、ホテル122施設におきまして約1万4、000人泊のキャンセルが発生し、その概算額が約1億4、000万円となっているところでございます。
〇岩渕誠委員 合わせると3億5、000万円ですか、結構な額になるのですが、私がちょっと思っているのは、農林水産部の被害も同じなのですが、これは今岩手県災害対策本部が出している被害額に入っていませんよね。入っていますか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 現在、災害対策本部のほうで報告させていただいている被害額の中には含まれておりません。
〇岩渕誠委員 問題はそこなのですよ。被害額に合わせていろいろな対策が出てくるわけでありますけれども、そのベースのところが出てこないと、一体どれぐらいの被害なのだという話になるわけであります。
 けさほど説明がありましたけれども、国の3次補正予算の中で、新規で地域なりわい再生緊急対策交付金がこれに見合う形で出てきているのかなと思うのですが、非常に間接的であり、また予算規模2億円ということであります。そうしますと、なかなかこれでは不十分ではないかと私は思います。特にこれから観光振興をする、特に教育旅行などのことも考えれば、震災からせっかく宿泊施設は頑張ってきたわけですから、そこに対してもうちょっと対策ができるのではないか。第4次補正予算も含めて私は検討の余地があるのではないかと思いますが、目が合いましたので、部長、お願いします。
〇戸舘商工労働観光部長 今後の観光面でのマイナスの影響の除去ということになろうかと思いますけれども、県では、地域なりわい再生緊急対策交付金によって、観光PRだとか、特に冬場に向けての誘客対策をしっかりやっていきたいと思っております。
 あわせまして、国におきまして、あす、関連の予備費の活用について閣議決定がなされると聞いておりますけれども、生活・生業支援パッケージということで、この中には観光のいわゆる風評被害対策に充てるような事業も含まれているとお聞きしておりまして、詳細はこれから確認をしていきたいと思っております。あわせて、報道でもありましたように、観光庁では、宿泊費の補助ということで、いわゆるふっこう割の形で支援をする、そういった政策も予定していると聞いています。
 本県でどの程度活用できるかというあたりは、これから国のほうと調整していきたいと思いますけれども、できるだけ最大限そういった国の支援策も活用しながら、被災された事業者はもちろんですけれども、影響を受けた宿泊事業者等に対して、きめ細かな支援に努めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 やはり冬場の食というのは三陸の魅力の大きな一つでもあります。台風が過ぎた後もなかなかキャンセルがとまらないという現状でありますので、政策パッケージを見て、漏れなく財源、政策、総動員して、できれば4次補正予算という格好でつくっていただきたいと思います。
 次に、企業立地、産業集積の状況についてお尋ねいたします。平成30年度における企業立地の実績と傾向についてお示しいただきたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 平成30年度における企業立地の実績についてでありますが、新規立地が10件、増設が14件の計24件となっております。特に、半導体メモリ製造の大型誘致の決定や、大手自動車電子部品メーカーの大型増設などに伴う波及効果により、目標を上回る実績につながっているところと考えております。
 それから、企業立地の傾向についてでございますが、直近5年間を見ますと、自動車、半導体関連企業の新増設のほか、物流関連企業等の立地が進んでいるというように捉えております。
〇岩渕誠委員 5年間の資料をいただいておりますけれども、製造、非製造を合わせて60社を超える立地ということであります。新しい県民計画の中では、北上川バレープロジェクトが産業集積のリーディングエリアということに規定されておりますが、地域別で見ると、やはり北上川流域の集積というのはかなり強まっているのでしょうか。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 地域別でいきますと、やはり北上川流域が件数等々については多いところでございますが、沿岸につきましても、県北につきましても、特徴的な誘致も最近生まれつつあります。医療関係機器でありますとか、食品製造でありますとか、また津波補助金を活用した増設誘致というのもありまして、引き続き、県北、沿岸も含めて、県全体の企業誘致に努力してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 キオクシアの関連、いろいろまたこれからも出てくるのだと思いますけれども、実績ベースでお伺いするには自動車産業を取り上げたほうがいいと思いますので、自動車産業についてお聞きいたします。
 自動車産業についての集積はどうなっているかという観点の中で大きな議論というのは、どれぐらい地元の調達率というものがあるのだろうか。できれば、その契約件数を上げて、地元の調達率を高くするということで、波及効果を高くしていきたいというのが県の考えでもあったと思いますし、産業界の望みだということでもあったと思うのですが、今、自動車産業における地元調達率の内訳はどうなっているのでしょうか。
〇小野自動車産業振興課長 自動車産業におけます地元調達率の推移等でございますが、トヨタ自動車東日本によりますと、平成31年3月時点での東北における主要取引先の拠点数は150ということでございまして、平成24年7月の設立時と比較しましておよそ1.5倍に増加しているということでございます。
 お尋ねの地元調達率やその推移、また県別、業種別等の内訳についての情報は公表されておりませんが、着実に進んでいるものと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。2012年当初、それから間もないころは、地元調達は大体60%という言われ方をしておりました。ただ、グロス―母数が大きくなっていますから、その数字がどうなっているか気になっているところですが、例えば商談成立件数とかでどのようなかかわりになっているかというのはわかりますよね。
〇小野自動車産業振興課長 取引の商談成立の件数でございますが、平成26年度から平成30年度までの5年間、合計で、県の独自の把握でございますが、170件ということで把握しております。その内訳について大まかに申し上げますと、設備、装置が一番大きくおおむね6割、部品加工がおおむね3割、金型、治工具その他で1割程度ということでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。170件という累計、そして設備、装置にかなりシフトしてきたと。コアな部分にシフトしてきたなというように思っていますので、かなり期待できるかと思います。さらに期待できる中身としては、一部ディーラーあたりでは、もう発表になっていますけれども、トヨタ自動車東日本で新車種の導入に踏み切ると。それから、ここ3年、4年で、さらにハイブリッドの小型車を中心に車種を生産していこうという、これは観測も含めて出ているわけでありますが、県とすれば今後の東北における自動車生産の展開をどのように把握されているのか、お示しいただきたいと思います。
〇小野自動車産業振興課長 トヨタ自動車東日本におけます今後の生産についてでございます。来年年明けに、現在岩手工場で生産しておりますヴィッツがフルモデルチェンジするということでありまして、ヤリスと改名して生産されることが発表されております。また、来年末までに予定されております東富士工場の閉鎖に伴いまして、東北にその生産車種の移管が予定されているということで伺っております。
 また、このほかにも、今後、既存の車種のモデルチェンジ、また新型車種の生産開始が続くということが見込まれておりまして、県といたしましては、拠点機能の一層の強化が図られるということで大いに期待しているところでありまして、引き続き情報収集を行っていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 まさに今、第三の拠点というのが、名ばかりではなくて、本当に実を伴って出てくる時期になっていると思うのです。そうなりますと、これまでは県内の地場企業を育成していくといったところが中心だったと思いますが、誘致の関係でいうと、さらにティア1、ティア2というところに対しての働きかけが必要になってくると思います。実際、トヨタ自動車との直取引というのはなかなか難しい。ティア1、ティア2を通してというのが実際のところでありますので、そのティア1、ティア2の動向についてはどのように把握されて、またどのような働きかけをされているのでしょうか。
〇小野自動車産業振興課長 ティア1、ティア2の状況でございますけれども、日ごろより接触をしながら、さまざまな情報交換をさせていただいております。また、今般、これらの生産車種が新たに立ち上がるということになりますと、また新たなティア1、ティア2との取引の開始といったことが生まれてこようかと思います。また、県内の企業におきましても、それらとの取引の開始といった可能性が生まれることが考えられますので、県としてはしっかりとそのあたりの情報の収集を行いながら支援をしてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ぜひお願いしたいと思いますが、ティア1、ティア2を含め今後の自動車産業の集積の展開の中で最大の課題は、工業用地をどう確保するかという問題になってきていると思います。
 既に県内の主要な、そしてある程度規模が確保できる工業用地というのは、ほぼないのではないかと思っております。そういった意味では、今早急な展開を求める企業方のニーズからすれば、リスクは伴いますけれども、きちんと工業団地を造成すると。ある程度の規模で造成するというのが必要になってくると思うのですが、県内の工業団地の造成状況とあわせてお考えをお示しいただきたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 県内工業団地の造成状況、分譲状況についてでありますけれども、まず、工業団地の中で工業用地とそれ以外の用地に分かれるわけですが、工業用地の面積は県全体で約2、400ヘクタールでございます。うち造成済みの面積は約1、950ヘクタール、これは先ほどの2、400ヘクタールの81%程度でございます。
 分譲の状況につきましては、本年10月末現在で、分譲済み面積が約1、890ヘクタールとなっておりまして、工業団地全体に占める分譲率は約8割というところでございます。特に、先ほど企業誘致の話がありました県南地域は、工業用地約1、470ヘクタールのうち約1、340ヘクタールが分譲済みでありまして、分譲率は現在91%ということでございます。
 今後の考え方でございますが、県としましては、自動車、半導体関連産業を初めとする旺盛な企業の投資動向は当面続くと見込んでおります。大規模立地に対する用地の必要性も高まっておりますので、新たな工業団地の整備についても、計画的に進める必要があると認識しております。
 ただ、県の工業団地の考え方につきましては、市町村が整備するということを基本としておりまして、県では、用地選定や整備手法など、市町村による整備計画の立案段階から必要な助言を行うなど、緊密に連携して対応しているところでございます。
〇岩渕誠委員 今、市町村の財政の負担というのは基本的にピークアウトしていますけれども、工業団地の造成ということになりますと巨額の負担も伴うので、遠野方式で、後年度負担の分割とかいろいろな方法でやれると思いますが、いずれ開発の主体を担うのは、今年度から所管が当部になりました土地開発公社だと思います。あえて財務内容には触れませんけれども、大変優良な公社でございます。資金力を生かして地耐力などに対しても―これまでいわゆる切り土、盛り土によって企業の負担というのが全然違うということで、どうしても盛り土の地域の工業団地、用地が売れなかったというような、苦戦をしたこともあると思います。これは、資金力がありますから、地耐力を上げるような形で、特に製造業ですから、地耐力を上げた工業団地の造成に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず土地開発公社のお話がありましたが、工業団地の整備につきましては、主体となる市町村がどのような検討をされるかということになろうかと思います。まず、全国的に見て、一般的に見て、工業団地の整備につきましては、市町村が直営でやる方法と、民間による開発手法を導入するか、あるいは県土地開発公社の活用という方法があろうかと思っております。そういう中で、まず地耐力なり、要は工業団地に付加価値をつけて誘致の幅を広げるということについては、地元市町村の意向も踏まえて種々検討を一緒になってやっていきたいと考えています。
〇岩渕誠委員 きょうはそれ以上やめますから、詳しい話はまた別にしましょう。
 最後になります。半導体関連産業、自動車産業は今大変前途あるような話をお聞きしましたが、どうしても両産業は、国際競争力あるいは国際環境によって非常に受注環境が激変をするという点において懸念が示されているものであります。岩手県の産業構造の中で、この二つの業種に対して、もう一本の柱というのは、先ほど御説明もありましたけれども、食産業であろうと。もう少し育成をしてもいいのであろうと思っているのですが、現在の食産業の立地、育成状況と、そして大事なのは地元産を使っているかどうか、まさに食産業の地元調達率というのはどうなっているか、お示しいただきたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 食産業の立地状況と地元原料調達率についてでありますけれども、食産業における立地件数は、直近5年間でいきますと、新規立地5件、増設が7件の計12件となっております。
 地元からの原料調達状況につきましては、残念ながらちょっと把握できておりませんでした。地域資源の高付加価値化につながる取り組みが展開されているというところでは、間違いないかなというように考えています。具体的には、県北地域においては、ブロイラーの加工企業がスープ製造企業と合弁会社を設立し鶏ガラを活用した新事業を開始したほか、沿岸地域においては、水産物等を活用したおつまみ工場を立地するなど、地域資源を活用する企業の立地が進んでいると考えております。
 今後も、本県農林水産物のさらなる活用について企業に働きかけを行うとともに、新規立地にも取り組んでまいりたいと考えています。
〇佐藤ケイ子委員長 岩渕誠委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇岩渕誠委員 はい、協力します。最後です。
 いずれできれば地元調達率というのは数字にして示される御努力をいただいた上で、最終的には6次産業化の部分にもなってくる話ですので、ぜひこれは宿題として、次の機会にお尋ねしますので、議論させていただきたいと思います。終わります。
〇佐々木宣和委員 初めに、平成28年台風第10号のほうの地域なりわい再生緊急対策交付金は、平成30年度で1、600万円という記載があります。これは県と市町村で4分の1ずつ補助して、事業者が2分の1の自己資金でやるという事業だったかと思いますが、平成28年の発災の被害から、平成28年、平成29年、平成30年と、利用された事業者数と金額の推移を伺いたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 災害時の商工関係の支援策を利用した事業者数と金額の推移についてでありますが、平成28年台風第10号災害においては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく局地激甚災害指定を受けた宮古市、久慈市、岩泉町の3市町が被災事業者の施設設備の復旧や商店街の復旧に対して補助する場合などに、県がその財源を支援する地域なりわい再生緊急対策交付金制度を創設したところであります。
 同交付金制度を利用した事業者数と補助金額については、平成28年度が3市町合わせて149事業者、1億4、180万円、平成29年度が3市町合わせて388事業者、10億2、122万円、平成30年度が岩泉町の11事業者3、281万円となっております。
〇佐々木宣和委員 特に被害が大きかった岩泉町では、平成30年度も使われた方がいらっしゃったというところかと思います。
 これにあわせて、国のほうでやられた事業で小規模事業者持続化補助金(台風激甚災害対策型)というもの、3分の2の補助で上限100万円というもので、商工会を中心に実施された事業があると思いますけれども、これを利用された事業者数を伺いたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 台風激甚災害対策型の小規模事業者持続化補助金についてでありますが、この補助金は、小規模事業者が商工会、商工会議所の助言等を得て被災設備の復旧等に取り組む場合、その費用を国が助成する助成補助金であり、平成28年台風第10号災害においては、局地激甚災害指定を受けた宮古市、久慈市、岩泉町の3市町の小規模事業者等を対象に、補助上限額の引き上げ等の特例措置が講じられたものであります。台風激甚災害に対応したこの補助金については、3市町合わせて133事業者が利用し、早期の事業再建に向けた被災設備の復旧や販路開拓等に取り組んだところであります。
〇佐々木宣和委員 この小規模事業者持続化補助金に関しては、利用の枠の拡大というところで、営業車に関しても使えるようにしたりというような工夫もあったところでございます。金額も、上限が100万円だったので、まずこの小規模事業者持続化補助金を使って、地域なりわい再生緊急対策交付金を次に使うというような方々が多かったように記憶しているのですけれども、県としてその辺は把握されているのか、どういった実情だったのか伺いたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 ただいま委員から御紹介があったとおり、この小規模事業者持続化補助金については、補助上限額が引き上げられたものの100万円というところでして、まず対象になる設備が限定されてくるのかなと思っております。当然、この補助金だけでは施設設備の復旧が間に合わない事業者も多数おられたと考えております。そういった場合には、平成28年度にも県のほうで実施いたしました地域なりわい再生緊急対策交付金、市町村が補助したものについて県も補助するという補助金なども組み合わせて、施設の復旧が図られたものと認識しております。
〇佐々木宣和委員 それで、台風第19号に対しての商工関係の支援策を伺いたいと思います。先ほども多少ありましたけれども、今回と平成28年台風第10号のときとの違いということで言えば、観光物産PRイベント等に要する経費について甚大な被害を受けた市町村に交付しようとするものというのは、観光のところにも使えるのかなということと、あと、補助率が書いてないですけれども、これは100%の補助ということになるのか伺いたいと思います。
〇関口経営支援課総括課長 今定例会に提案する地域なりわい再生緊急対策交付金については、基本的には、平成28年台風第10号災害に行った際の支援と同様なものと考えております。
 一方、国において、あす8日には、生活・生業支援パッケージに係る予備費の使用について閣議決定すると聞いております。中小企業支援策に関しては、被災した施設整備の復旧費用を補助するスキームを盛り込むと聞いておりますが、現時点では詳細は明らかになっておりません。県としても情報収集に努めているところでありますが、国と調整を図りながら、県、国の施策を組み合わせ、被災事業者の早期復旧を支援していきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 国のほうの詳細が決まってまた動いていく話なのかなと思っておりますけれども、一つ心配しているのは、被災した事業者の中で規模が小さい方々の立ち上がりがおくれるということです。平成28年台風第10号のときも素早く取り組んでいただいたのですが、二つの事業所で事業をやめられる方もいらっしゃったと記憶していまして、今回実際に商工関係の被害を受けた方々の詳細の状況を私も全て把握しているわけではないのですが、そういったケースがあるのかなというところを一つ心配しているところでもございます。国の支援策とあわせて、きめ細やかに対応していただきたいと思っております。
 次に移ります。三陸沿岸の観光振興のところで、先ほど岩渕委員からも質問がありましたけれども、主要施策の成果に関する説明書の17ページの実績を見ますと、震災前のところにはまだまだ戻っていないという状況の中で、平成28年には台風第10号災害もあって、今回も台風第19号災害があって、団体の旅行者の方々がキャンセルされて、また道路が非常に傷んでいますので、それもいつ戻ってくるのかということも心配しているところでもございます。
 平成30年度はさまざまなキャペーンを実施して、沿岸市町村の観光入り込み客数は平成29年度に比べると26.6万人の増加があって、この数字を継続的に上げていっていただきたいわけですけれども、各キャペーンの事業の評価と継続性に対する見込みを伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 観光のキャペーン事業の評価と継続性についてでございますが、平成30年度につきましては、東北絆まつり2018盛岡開催など誘客の好機がございましたものですから、沿岸地域を初めとした全県周遊と滞在型観光の促進を目的といたしまして、5月19日から8月26日まで、いわて三陸復興・絆・観光キャンペーンを展開させていただきました。
 この期間中の平成30年5月から8月期の県内観光入り込み数は1、274万3、000人回と、前年となります平成29年の同期と比べまして3.3%増加したところでございます。そのうち沿岸地域が276万8、000人回ということで、前年同期と比較しまして5.7%増加したものでございまして、このキャンペーンを展開したことによりまして、沿岸地域を中心に県内への誘客拡大に効果があったと評価しております。
 キャンペーンの継続につきましては、今年度は、3月21日から11月10日まで、いわて幸せ大作戦!!というキャンペーンを展開させていただいております。4月から6月期につきましては、JR東日本の重点販売地域の指定もいただきまして、JRと連携してイベント列車を走らせたり、三陸鉄道と連携した企画列車の運行、早朝あるいはナイト観光コンテンツを組み込んだ商品造成の支援などを実施してきているところでございます。
 今回こういった台風の被害もございますので、しっかりとこの誘客拡大に取り組んでまいりまして、令和3年度―2021年に東北デスティネーションキャンペーンの実施が既に決定しておりますので、それに向けて県内の各事業者、官民一体となり、沿岸地域を初めとした県内全域に誘客が進むよう取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 この数字がどんどん上がっていくとうれしいところですし、東北デスティネーションキャンペーンも非常に期待しているところです。
 そこで、次に、個人旅行客に対する取り組みと課題ということで伺いたいのですが、主要施策の成果に関する説明書の指標の中で、観光宿泊者数は、従業員数10人以上かつ観光目的の宿泊者が50%以上の施設は、近年の個人旅行者の増加に伴い、団体旅行の受け入れの中心を担ってきた旅館、リゾートホテルへの宿泊者数が減少したことなどを背景にD評価ということになっています。
 実際、個人旅行客に対する対策を考えていかなければいけないような話はよく出るわけですが、これはちょっと通告していないのですけれども、実際の入り込み客数の中で個人旅行客という方々はどのぐらいいるのかということと、その個人旅行客に対する取り組みと課題を伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 まず、個人旅行客というくくりでございます。なかなか統計上、個人旅行客という統計はないわけでございますが、我々は一般的に旅行人数4名程度―一般的なひとり旅、あるいは友人、御家族で動かれる方の割合を見ておりますが、4名程度で動かれる方の割合は、最近の統計上80%を超えた割合になっております。また、同行者のタイプで見ました場合、1人、あるいは友人、家族で動かれる方は約96%という、これは国内に限ってでございますが、大半の方が個人旅行客に分類されるような形になっているかと思っております。
 個人旅行客に対する取り組みでございますけれども、特に三陸沿岸道路の整備あるいは三陸鉄道の全線開通によって、沿岸地域に対する個人旅行客の増加を期待しておったところでございますが、内陸あるいは沿岸を周遊するための二次交通は、移動時間の長さや運行本数が十分でないといった課題を持っているかと思います。
 そのため、県内の各交通事業者が連携いたしまして、県内を周遊するようなパスの販売などにも取り組まれてきたわけでございますが、県としましては、今年度、東北運輸局でやっておりますモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)の導入に向けた実証に参画するなどして、新しい二次交通の充実に向けて取り組んでいるところでございます。
 また、個人旅行客の皆様が旅の情報源としておりますのはインターネットによる情報収集ということを踏まえまして、県の観光協会あるいは三陸DMOセンターのホームページにおける観光情報の発信に加えまして、SNSによるタイムリーな情報発信にも取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、そういった二次交通の充実、あるいは積極的な情報発信をしながら、個人旅行客の誘客に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木宣和委員 まず、個人旅行客の方々が、全体の統計だと思いますけれども80%以上というのは、そういう状況になってきているのかなと思いながらも、三陸沿岸の観光地というのは、ツアー客といいますか、パックで来られる方になれているというか、そこからなかなか新しい状況に対応するのは難しいようなところもあって、団体で来ていただく方もありがたいというのも事実であるようなところで、個人旅行客に対する取り組みと、代理店などにお願いする部分もあわせてやっていく必要があるのかなと思っているところでもございます。
 次に、三陸沿岸道路が観光に与える影響、交通量などの実態調査の予定に関して伺いたいのですけれども、結局、震災があって岩手県内の延長213キロメートルの三陸沿岸道路ができて、八戸と仙台が近くなるというところで、今まで三陸沿岸に来ていただいていないような方にも来ていただきたいという思いがあるわけです。
 地域経済分析システム(RESAS)で数字を拾いまして、フロムツー分析、岩手県にどこの県から多くの方が来られているのかというのを都道府県ごとにランキングしたものを見ると、県全体で、1位が東京都、2位が岩手県、3位が神奈川県、4位が宮城県、5位が埼玉県と。宮古市の場合も、1位が東京都で、2位が岩手県、3位が埼玉県、4位が神奈川県、宮城県と。
 大体県全体でも沿岸の宮古市でも同じような傾向があるのかなというところで、結局、道路が開通したことによって、一番ターゲットというか、来ていただける可能性があるのは、八戸なり仙台の方々に来ていただくのが現実的なのかなと思いながら、宮城県とか青森県の方にどうアタックしていくのかというのがすごく重要なことだと思っているのですけれども、この三陸沿岸道路が観光に与える影響、また、実態として、ことし仙台までの三陸沿岸道路が開通しまして、これが実際どのぐらい南側から北側に来ているのかという調査をする予定などあるのかどうか聞いてみたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 三陸沿岸道路の観光に与える影響でございますが、沿岸地域内での移動につきましては、三陸沿岸道路の整備によりまして、内陸からのアクセスが非常に容易になったということ、また、沿岸地域内での移動も容易になりましたことから、観光交流が促進されると考えております。また、観光客も内陸部を含んでより広域な移動が可能になると考えております。
 交通の量の実態の調査につきましては、観光サイドといたしましては、現在のところは予定していないところでございます。
〇佐々木宣和委員 予定はないというところでございますけれども、結局、三陸沿岸道路ができて利便性が上がって、これをいかに観光振興につなげていくのかというときに、入り込み客数とかいろいろな数字は拾えるのかもしれませんけれども、どこからどう来てもらうのかという実態がわかるようになっていくか、もしくはどういう流れに変えていくのかというのは、考えていくべきなのかなと思っているところでございます。
 次に、また三陸沿岸道路に関連する話ですけれども、震災以降にできた施設、東日本大震災津波伝承館も先ごろオープンしましたけれども、三陸沿岸道路の沿線に市町村ごとに新しい施設がつくられたところでございます。これらを三陸沿岸道路と一体的に相乗効果を発揮していかなければいけないと考えているわけですけれども、この相乗効果の発揮に対する取り組みに関して伺います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 震災後にできました施設との連携の関係でございますけれども、まず県では、この秋に東日本大震災津波伝承館が開館いたしまして、東日本大震災津波の事実を伝えて防災意識の向上を図るために、震災学習を中心とした教育旅行の誘致の中では非常にいい施設ということで、北海道や首都圏などで開催される教育旅行誘致説明会などの折には、積極的に紹介させていただいているところでございます。
 また、県内外から沿岸地域への観光流動を促すため、沿岸被災地あるいは被災地周辺の観光地を周遊するようなツアーに対して助成をしております。また、東日本大震災津波伝承館につきましては、そのツアーの助成に立ち寄る場合の加算をするなどして、便宜を図るような取り組みをさせていただいているところでございます。
 今後におきましても、そういった震災遺構あるいは震災伝承施設と沿岸地域のさまざまな観光コンテンツを組み合わせることによって、沿岸の広域的周遊に相乗効果を発揮できるような取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 あと、道路がまだ北側ができていないということと、まだ新しく施設を建てるような話もあるというように認識していまして、結局、三陸沿岸道路の全長を生かしたそれぞれの地域の相乗効果というのがすごく大事になってくると思っていまして、一貫性というか、道路ができてここまで行けるようになったというのをそれぞれの施設が実感するようなことがすごく重要なのかなと思っているところでもございます。
最後に、観光のウエブ戦略ということで伺います。先ほど個人旅行客の方がインターネット媒体を通して情報を得て観光地に行くというような御答弁もあったかと思いますけれども、この指標の中で、ホームページのアクセス数がなかなか伸びていないというような形があって、旅行情報源が多様化し、ツイッター、フェイスブックなどSNSの利用が増加したことによってアクセス件数が伸び悩んだためというようなこともあります。
 これを受けて、ホームページを見る方が少ないのだったらSNSでというのもわかるのですけれども、先ほどお話しされたかと思いますが対応策と、このホームページにアクセスした方々の解析ということから、どんな情報が得られて、それらを使っていくような発想というのはあるのかというのを伺いたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 ホームページのアクセスでございますが、御指摘のとおり、県の観光ホームページアクセスにつきましては、国の緊急経済対策でふるさと旅行券の発行がありました平成27年度を除きまして、近年は減少傾向で推移しておりました。このため、観光ホームページでの情報発信に加えまして、本年3月からツイッターなどのSNSによる情報発信を始めたところでございます。その結果、日本語版の本年度の4月から10月までのホームページのアクセス数は、前年同期比33.5%と増加しているところでございます。
 また、詳細なアクセスの解析につきましては、まだしっかりと行われておりませんが、外国語版のホームページにつきまして最近のアクセスが非常にふえているというところでございます。これは、解析しましたところ、英語版のホームページに対して、9月のラグビーワールドカップ2019釜石開催の前後に非常にアクセス数が集中しているということで、現在、前年同期比で123.9%ということで、一定の外国人の方が旅行前の情報収集に使われているものと見ているところでございます。
〇佐々木宣和委員 いろいろな媒体を使っていくことはすごく重要だと思うのですけれども、それぞれの精度を上げていくというか、自分でゼロイチでやるとなかなか大変な分野なのかなと思っていまして、それこそちょっと話題になりましたけれども、芸能人の方が京都の観光でつぶやいたら幾ら払ってという話もありました。それはよくないことですけれども、有名人の方も含めながら、SNSなりで岩手県の観光地の存在感をウエブ上に上げていくというのはすごく重要なことだと思いますが、どう取り組んでいるのか改めて伺います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 現在、観光ホームページのほか、SNSとしてフェイスブックですとかツイッターなどを活用して情報発信に積極的に取り組んでいるところでございます。特に外国におけるSNSといたしまして、フェイスブックをタイあるいは台湾、インスタグラムを韓国、中国ではウェイボーという形で、各現地での言葉、ネィティブの方に情報発信を担っていただいております。
 また、インバウンドの対策といたしましては、各国のインフルエンサーと呼ばれる情報発信力の強い方に実際に岩手に来ていただいて、観光地を回っていただきながら情報発信していただくという取り組みをさせていただいております。残念ながら日本のインフルエンサーの方のところは、まだこれから開拓の余地があるのかなというように考えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 佐々木宣和委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事進行に御協力お願いいたします。
〇佐々木宣和委員 まず観光に関するところに期待することは、三陸沿岸道路の話もさせていただきましたけれども、全体的なマネジメントをするということと、今どういう状況なのかということの生きたデータをそれぞれの自治体なり現場の方々と共有するということなのかと思っております。三陸沿岸の観光振興を力強く進めていただくようにお願いします。終わります。
〇工藤勝博委員 私は観光産業の振興ということで何点か簡潔にお伺いいたします。
 みちのく岩手観光立県第2期基本計画は2014年度から2018年度まで展開されました。この期間の総括をまずお伺いしたいと思います。成果と課題ということでお願いいたします。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 みちのく岩手観光立県第2期基本計画の総括でございますけれども、第2期基本計画におきましては、市町村や観光事業者等と連携いたしまして、地域資源を生かした魅力的な観光地づくり、観光人材の育成や二次交通などの受入態勢の整備、効果的な情報発信と誘客活動、国際観光の振興、三陸沿岸観光の再構築などの項目に取り組んできたところでございます。
 これらの結果、平成30年の国内観光客につきましては、入り込み客数ではほぼ震災前の水準まで回復いたしましたし、外国人観光客につきましては、宿泊者数、観光入り込み客数とも、震災前の水準を大きく上回って、過去最高を記録しているところでございます。
 一方、沿岸地域における入り込み客数につきましては、先ほども申し上げましたけれども、震災前の78%程度にとどまっておりますことから、沿岸地域を初めとした全県へのさらなる誘客を促進し、観光消費の拡大による県内経済の活性化を図っていく必要があると総括したところでございます。
 こうしたことから、今年度から始まります第3期基本計画におきましては、施策の方向性をこれまでの観光入り込み客数から観光消費の拡大へというように地域経済の活性化に資するよう軸を移しまして、観光を総合産業として確立すべく取り組んでいくこととしているところでございます。
〇工藤勝博委員 みちのく岩手観光立県基本条例が平成21年3月に公布されました。この辺を一区切りとして、今回は2回目の総括ということで伺いました。
 そういう中でこの観光産業、先ほど総括課長お話しのとおり、総合産業ということになるのだろうと思います。農林水産業、ものづくり産業、そしてサービス産業として観光が担うところは大きいだろうと思います。そういう中で、数字的にもこれだけのものを観光の分野で上げるのだということも必要ではないかなと思っています。
 それで、ちょっと古いのですけれども、2017年の資料で、本県の観光消費、外国人も合わせて1、817億円、国全体ですと25兆5、000億円という膨大な金額になっています。それらも含めて、これからの大きな産業の一つとしてこの観光産業をどう捉えていくか、そしてまた次の第3期の計画にも盛り込む必要があるのではないかと思いますけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 第3期基本計画におきましては、先ほど観光入り込み客数から観光消費の拡大へシフトしたと申し上げましたけれども、第3期基本計画の目標値の中では、目指す姿の目標値、2017年の1、816億円余の現状に対しまして、計画期間の2023年におきましては2、070億円余の目標と定めて取り組んでいくこととしているところでございます。
〇工藤勝博委員 ぜひその数字が達成されるようにお願いしたいのですが、そのためにも、第2期の総括の中にもあります地域資源をどう生かして魅力的な観光地づくりをするかということがやはり大事だろうと思います。目標値をどれだけ達成したのか、平成30年度の部分をお聞きしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 平成30年度の目標値の関係でございますが、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりにつきましては、14件の観光地モデル数を目標としておりまして、実績につきましても14件の実績を得ているところでございます。
〇工藤勝博委員 岩手県には、海から山まで、さまざまな観光資源があるわけです。二つの国立公園、そして二つの世界遺産、また地域によっては食材も大変豊富にあるわけですけれども、来訪者のアンケートを見ますと、岩手に来て期待しているものは、やはりおいしいものを食べることだと。そしてまた、自然景観がすばらしい。温泉にも入れる。さまざまな温泉がある。そしてまた、観光文化施設もたくさんあるということが、来訪者には評価されているということでもあります。さらに磨きをかけるためには、それぞれの地域と一体となった取り組みが必要だろうと思います。そういう中で、DMOも各地でできました。その辺の連携はどうなされているのかお聞きしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 DMOとの連携でございますが、特に県さんりく基金で事務局をしております三陸DMOセンターにつきましては、その一部が観光課と同居しているという関係もありまして、観光のコンテンツづくりあるいは観光人材の育成などにつきましては、非常に緊密な連携をさせていただいているところでございます。
 また、各地にございますDMOにつきましては、それぞれの活動で行われます実績報告の機会ですとか、あるいはDMOが主催されるフォーラムなどに職員が参加して、その活動を参考にさせていただくようなことをしながら連携を図っておりますほか、県と自治体、あるいは官民が連携してつくっておりますいわて観光キャンペーン推進協議会におきましては、その中にDMO推進部会を設置しておりまして、全国の先進的なDMOの取り組みを御紹介するような研修会、セミナーなどをやっておりますし、今後、県内で活躍していただいているDMOの取り組みなどにつきましても取り上げるような形で進めていきたいと考えておるところでございます。
〇工藤勝博委員 一つのDMOではなく、県として全体的な取り組みもぜひこれから必要になってくるだろうと思います。
 次に、今、スポーツツーリズムというのも大変盛んであります。一つのスポーツをやることによって、観光地が生かされるということが多くなってきたと思います。観光とスポーツをこれから融合させて、誘客につなげることが必要だろうと思います。先般のいわて盛岡シティマラソンでも、1万人近いランナーが走ったということもあります。それを大きな岩手の魅力として発揮できればいいと思いますけれども、その辺に関しての取り組みをお聞きしたいと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 スポーツツーリズムの取り組みでございますが、先ほど委員からも御指摘がありましたいわて盛岡シティマラソン、あるいはラグビーワールドカップ2019釜石開催、あるいは八幡平ヒルクラム、こういった非常に大きな大会が県内で開催されているわけでございますが、それらの大会には県内外から多くの参加者に加えて観戦の方に来県していただきまして、大会の前後、県内を観光しているということは承知しているところでございます。
 これまで、県におきましては、各大会の主催者等から要請がありました場合には、その参加者あるいは観戦者への観光情報の提供、あるいは観光パンフレットの配布などをさせていただいているところでございます。
 今後におきましても、そういった大会を通じて誘客ができるような機会がございますれば、当然、積極的に対応させていただきたいと考えておりますし、県のスポーツの担当部局ともしっかりと連携をしながら、誘客につながるような取り組みをしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 ぜひ県でも実行委員といいますかスタッフの一員となって、継続した大会ができるようにぜひやっていただきたいと思います。
 ちなみに、去年からアスピーテラインを利用した八幡平ヒルクライムは、結構、幅広く県内外から来ています。ことしの大会では、外国人の方も何人か参加していました。これは岩手の魅力、八幡平アスピーテラインは、これだけのいい景観といいますか、グラウンドはなかなかないと言われていました。距離にしろ、標高差があると。これが参加する人にとってはすごい魅力があると。ぜひそういう大会を継続して、さらにまた参加者がふえるような仕掛けを県も一緒になってやっていただければありがたいと思います。
 次に、先ほどインバウンドの話もさせてもらいましました。国内の人口減少あるいはまた消費の低迷が考えられます。そこで、インバウンドの仕掛けをどうするか。
 国では、訪日外国人客数が昨年は3、000万人を超えたと、2022年は4、000万人を目標にしているということで、急激に伸びたというのはいろんな規制緩和、飛行場あるいはまたパスポートなりビザの関係も含めて、これからどんどんインバウンドがふえると思います。それらを岩手にどう呼び込むかということがこれから大きな観光産業の鍵を握っていくだろうと思いますけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 インバウンドの状況でございますが、平成30年の本県におきます外国人宿泊者数につきましては、従業員10人以上の施設について、約24万6、000人泊で過去最高となっております。これは、前年と比べましても34%の伸びとなっております。
 国、地域を見ますと、台湾が約14万8、000人泊と最も多くて全体の6割となっておりますが、次いで中国の約3万人泊、香港の約1万5、000人泊となっております。
 昨年、花巻―台北便が就航いたしまして、本年1月には上海便が就航いたしました。今年度、特に台湾便につきましては全体の6割を既に占めているということで、今年度は特に上海便を活用した誘客に取り組むべく、上海における観光情報の発信に重点的に取り組んでおります。その結果、速報値でございますが、8月までの本県の外国人宿泊者数、中国からのお客様は対前年比で71%増と成果が出てきているところでございます。
 今後も、いわて花巻空港の就航便のみならず、仙台国際空港ですとか、羽田空港、成田空港といった主要空港からも岩手にいらしていただけるよう、各市場の動向をしっかりと情報収集しながら、誘客に結びつけるようなプロモーションを展開していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 従来もこのインバウンドの中では台湾あるいはまた香港を重点市場だということで取り組んできて、知事もトップセールスで毎年のように行っているわけですけれども、やはり分母の大きい中国をもっとこれからターゲットにしていかないと、伸びは余り期待できないと思いますし、また、東南アジアの皆さんの経済力が高まってきていると思います。今、結構、東南アジアからもお客さんがふえており、その辺の切りかえもぜひ必要ではないかと思います。
 きのう、おとといの新聞でも、中国からの航空便の便数をかなりふやすということが載っています。飛行場によっては夜間とか早朝とかも受け入れるのだと、そういう対応をしていかないと、現状のままでは逆によその飛行場にとられていく可能性も十分考えられると思うので、その辺の戦略の見直しも必要になってくるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 現在のいわて国際戦略ビジョンの中におきましては、御指摘のとおり、台湾はこれまで重点市場と最重点市場となっておりましたが、重点市場の中には当然中国、韓国、香港が含まれております。現在、県としましては、いわて花巻空港に定期便が就航しております中国を、今年度は特に上海を中心とした誘客プロモーションに取り組んでおります。また、東北域内におきましても、先日11月2日には、大連から仙台への定期便が就航を再開したという事情もございます。また、仙台空港は、北京へ上海経由の仙台便があります。東北のほかの空港にも中国からの定期便が就航するのではないかという状況も生まれてきておりますことから、東北の各県としっかり連携しながら、中国からのお客様を捉えられるような取り組みをしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 第2期基本計画期間にナショナルパーク、国立公園満喫プロジェクトがありました。環境省では、いろんな環境整備のために実施したと思いますけれども、県内の満喫プロジェクトの中で整備された状況はどうなっているでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 八幡平満喫プロジェクトの関係でございますが、大変恐縮ですが、手元に資料がございませんので、今しばらくお待ちいただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 以前にも質問をしたことがありますけれども、特にトイレの洋式化とかあるいは多言語表示の標識とか、旅行者にとっては求められている整備があったと思います。それらは順調に多分やられているだろうと思っております。
 次に、県産品の販売に関して、東京の銀座にあるアンテナショップ、いわて銀河プラザの販売状況についてお伺いしたいと思います。
〇竹花地域産業課長 アンテナショップにおける県産品の販売状況についてでありますが、平成30年度のアンテナショップの販売額は、東京のいわて銀河プラザが約5億500万円余となっておりまして、前年度の約5億2、000万円余と比較すると3%の減少となっております。
 要因といたしましては、いわて銀河プラザの店舗のリニューアル工事がございまして、1カ月程度休業したことがこの販売額の減少の要因と捉えております。
〇工藤勝博委員 昨年9月22日に開業20周年というセレモニーもやったと伺っておりますし、また、一昨年ですけれども県議会の文化芸術振興議員連盟で、いわて銀河プラザそしてまた向かいの歌舞伎座で調査をしてまいりました。社員は一生懸命頑張っているということで、ただ、岩手の物産の本当のアンテナショップということになれば、私は何か物足りなかったと感じています。そこの中で県内の農林水産物も含めていろんな伝統工芸品も取り扱っています。それらをもっとアピールできるような仕掛けも必要ではないかと思っておりますし、せっかくのスペースがある中で、県の観光案内も含めて考える必要があったのではないかと思いますけれども、リニューアルした後の状況はいかがでしょうか。
〇竹花地域産業課長 リニューアル後の販売状況でございますが、令和元年度の上期におきましては、前年度比を9%程度上回る形で販売額は推移しております。また、その販売の工夫につきましても、例えば農産物の取り扱いについて、毎週金曜日、土曜日、日曜日を野菜の日ということで定めまして、例えば大田市場からの経由での岩手の野菜の展開、産直施設からの野菜の展開なども工夫しながら、売り場展開をしているという状況でございます。
〇工藤勝博委員 震災以降、アンテナショップは大変多くの皆さんから応援していただいて、かなり売り上げもあったという記憶がありますけれども、そのときに戻れということはなかなか難しいと思いますけれども、去年でしょうか、サヴァ缶が大変ヒットしたということもありました。よそにはない岩手の味が出るような商品開発も、ぜひしていただければと思います。
 ところで、昨年は事案があったわけです。このアンテナショップを運営しているのは岩手県産株式会社なわけですけれども、納入者に手数料を付加させて、公正取引委員会から警告を受けたということで、その後の状況はどのようになっているでしょうか、お伺いします。
〇竹花地域産業課長 物流コストの増の関係で公正取引委員会から注意を受けたことに関してでございますが、昨年、公正取引委員会から注意を受けた段階で県内企業からの手数料の徴収は取りやめております。その後、岩手県産株式会社のほうで、物流コストの低減策とか、これからの事業者との物流費の負担についての検討会を開催しておりまして、今後、しっかりとした形で、的確な物流費の徴収であるとかといったところを今まとめて、体制について検討している状況でございます。
〇工藤勝博委員 納入業者にすれば、販路拡大を期待して岩手県産株式会社を利用している方がたくさんいると思います。多くの業者の皆さんもそういう思いで岩手県産株式会社を使っているのだろうと思いますけれども、多い業者ですと、手数料だけで677万円などという大変な金額を納めさせられたということですけれども、本当はあってはならないことが起きたということだと思います。どんな業種でも、今のコストは、物流コストと言わずいろんなコストがかかっているので、それを転嫁させたということ自体が大きな問題だろうと思います。
 その当時は会長が知事、そしてまた社長は県職員のOBでした。正月明けに役員会をやってかわったということですけれども、会社内のことだろうと思いますけれども、しっかり監視しなければならないと思いますけれども、その辺は部長からお聞きして終わりたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 岩手県産株式会社の昨年の手数料の徴収に係る公正取引委員会からの指摘ということでいろいろ御心配をおかけいたしましたけれども、岩手県産株式会社のほうで、直ちに物流コストを負担していただく分の手数料については見直しというか、一旦取りやめにしたということで、今後どんなあり方がいいのか検討している段階というのは、今、課長が申し上げたとおりでありますが、本来、物流コストに関しては、一般の商取引上は出品業者が負担するわけでありますけれども、小規模な事業者も多いわけですので、そこを何とかカバーしてあげたいという思いもあってああいう形でやっていたわけですけれども、公正取引委員会からの指摘がありましたので、それはやっぱり適切ではないやり方であろうということで、今取りやめているところであります。
 今後、この物流コストの負担等について検討が進んでいくことになりますけれども、私も取締役として参画をしておりますので、しっかりとかかわっていきたいと思っております。
〇武田哲委員 私からは中小企業の支援についてお伺いいたします。
 まず、県内中小企業の事業承継の課題についてどのような対策をとられたのか。最初、部長からの説明では、円滑な事業承継に取り組んできましたという説明がありました。どのような対策をとられ、そして、その対策の評価についてお伺いをいたします。
〇関口経営支援課総括課長 事業承継の課題と対策についてでありますが、中小企業経営者の高齢化が進む中で、後継者不在の事業者や事業承継の意向はあるものの具体的な準備を進めていない事業者について、円滑な事業承継を図ることが課題であると認識しているところであります。このことから、事業者が早い段階で承継に向けた準備に着手できるよう、平成29年度に、県、商工指導団体、金融機関などにより構築した岩手県事業承継ネットワークにおいて、後継者の有無や事業者の準備状況を対面で調査する事業承継診断を昨年度までに1、308件実施しており、診断先に第三者の承継を含めたさまざまな選択肢や税制などの支援策を示すとともに、事業者の事業承継計画作成を支援しております。
 また、第三者の事業承継を支援するため、盛岡商工会議所が平成27年に開設しました岩手県事業引継ぎ支援センターにおいて、相談対応やマッチング支援を行っており、昨年度までに362件の相談を受け付け、17件のマッチング制約に至ったところであります。
 事業継承に関する相談件数や支援件数は増加傾向にあるなど、事業承継の取り組みについて理解が浸透しつつあるものと考えており、県としても、商工団体や金融機関等との連携を強化し、県内の事業承継が円滑に進むよう取り組んでまいります。
〇武田哲委員 それではちょっと関連があるので、通告しておりました産業支援機関による伴走型支援の推進の中で、推進方策指標が達成度はDということになっていました。今後の対応についてお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 産業支援機関による伴走型支援の推進についてでありますが、委員から今御紹介があったように、具体的推進方策、産業支援機関による伴走型支援の推進に係る指標、商工会、商工会議所経営指導員、中小企業団体中央会指導員による巡回指導等実施企業、組合数の平成30年度の実績値は1万1、716企業、組合で、前年度より487企業、組合が増加したところであります。
 商工会、商工会議所は、地域の中小企業に寄り添いながら事業計画の策定からその着実な実施まで切れ目のない支援を行ういわゆる伴走型支援に注力しており、同一企業に対して継続的に巡回訪問を行っております。
 こうしたことから、支援企業数では目標に達していないものの、巡回指導等の延べ件数では3万6、000件を超えている状況にあります。
 県では、引き続き、伴走型支援に必要な体制を確保しながら、商工会、商工会議所と連携し、地域経済の担い手である小規模事業者の持続的な事業展開を支援してまいります。
〇佐藤ケイ子委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇武田哲委員 お伺いしますけれども、まず、商工会では、商工業小規模事業経営支援事業費を活用して小規模事業者等の実態把握調査をしております。同じように、商工会議所でも行っているのでしょうか。その辺をお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 委員からお話がありました小規模企業実態調査については、昨年に商工会連合会で実施した調査であり、商工会議所においてはこのような調査は実施しておりません。
〇武田哲委員 この商工会で行われた調査の中で、一番問題になったのが事業承継の課題だったと思います。そして滝沢市の例を言いますと、事業承継の継承者がいるかどうかというところで、55%の事業者が後継者がいないと。そしてあと、その内訳でいくと、法人で42%、そして個人事業主になると70%、それから建築になると57%、製造業で52%、それから小売でも同じく52%、卸になると31%、飲食店も62%など、本当に高い割合を示しています。そうした各町村の中でそれぞれ事業承継にこれから向かわなければならない、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っているのですけれども、商工会の今回の調査では、25の商工会が参加しております。ほかの商工会議所などでも同じような調査を行ってしっかりと状況を把握し、今後の課題に取り組んでいくことは考えていらっしゃるのかどうか、お伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 現時点においては、商工会議所地区においての実態調査的なことを実施する予定はございません。
 一方、先ほど答弁させていただきましたが、事業承継の取り組みについては、商工会、商工会議所あるいは産業支援機関、金融機関等で構成する事業承継ネットワークを中心に取り組みを進めております。ネットワークでは、専門のコーディネーターやブロックごとのコーディネーターを配置し、それぞれの地区において事業者を訪問しながら、事業承継の取り組みの現状とか課題とかを把握をした上で相談対応や先ほど紹介しました事業承継診断、こういった中でそれぞれ個々の事業者の課題に応じた対応を図っている状況にあります。
〇武田哲委員 今、全体の調査をする予定はないというお話でしたけれども、やはりこれから必要なことは、しっかりと全体の状況を捉え、どういったことをやっていくかということだと思うのです。
 この事業承継の調査の中で問題だと思ったのは、高齢者になって初めて後継者がいないとか、そういった問題に直面するようです。また、あわせて、県内でこれまで培ってきたさまざまな技術、そして販売網といったものを失ってしまう原因になると思うのです。そのときに、後継者がいないという問題点に気づいて初めて相談に行く、そして、その事実と対面するというやり方ではちょっと遅いような気がするのです。そういった意味でもっと早い行動を期待するわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 今、委員にお話をいただいたとおりに、事業者みずからが相談に訪れることもありますが、なかなかそこまで出向いて相談をしない事業者もおられると認識しております。したがいまして、先ほど伴走型支援でちょっとお話をさせていただきましたが、商工会、商工会議所の経営指導員は、それぞれ地区の事業者を巡回しながらいろんな相談を受け付けております。そういった機会を捉えながら、事業承継あるいは後継者への事業承継の計画の段取りといいますか、その着手についても対応していく必要があると思っております。
〇武田哲委員 私は積極的な支援を望むわけです。私は農業者です。そして農業をしていてやはり後継者難で、各農家の人たちが大規模も小規模も、いろんな人たちが後継者がいなくて諦めるという状況がありました。その中で、県内の状態を見ますと、それに関連する農業機械の販売会社が倒産していくとか、それから経営をやめていくとか、実際、一つの産業を守るということは、それに関連するさまざまな業者の人たちもいるわけです。さまざまな事業者があるわけですから、それに関連するいろいろな企業の人たちの懐に入るお金も減ってくると。そういったところをちゃんと見越してやっていかなければならないと思っています。その点についてお伺いします。
〇関口経営支援課総括課長 地域の経済界の担い手である中小企業者、小規模事業者については、当然いろんな取引先を抱えつつ、1社だけではない、廃業とかという状況で言えば、少なくとも関連した取引先等にも影響が出ますし、当然従業員の雇用等の問題も生じてくるものと思っております。したがいまして、できる限り地域経済にとって欠かすことのできない事業者など多数おられると思っていますので、そこは持続的に維持、発展できるように、後継者の対応を含めて取り組んでまいりたいと思っています。
〇武田哲委員 私は積極的な答弁を期待しているわけです。では、ちょっと角度を変えますが、事業承継税制それから事業承継補助金の認知度はどうなのでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 事業承継税制、事業承継補助金についての認知度をあらわすような資料等はございませんので、なかなかそれについて具体的にお答えすることは難しいかと思っています。ただ、事業承継税制は御存じのとおり、後継者等に事業承継をする場合に、一定の条件のもと猶予税、相続税が100%猶予されるという税制でありますが、その制度がスタートされて毎年その手続を進める事業者が多くなっている状況にありますので、認知については広がっているものと思っております。
〇武田哲委員 商工会で行ったさまざまな調査、これは県が補助金を出して、商工業小規模事業経営支援事業費を活用してそしてこの報告書がまとまったわけです。この報告書の中で見ると、県が補助金を出して調べたものです。この中で、例えば補助金とかそれに関して知らないと。大体1、500社のうち1、300社ぐらいが補助金とか、それから事業承継税制についてちゃんとした知見を持っていないという話です。県でちゃんと補助金を出して行われた報告書、ちゃんと目を通したのでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 小規模事業実態調査報告書については目を通しましたが、済みません、私の認識が不足をしていまして、そこの調査項目まであるということについては記憶しておりませんでした。報告書をもう一度確認しつつ、その対応を図っていきたいと思っております。
 伴走型支援、この調査結果をしっかり分析するとともに、引き続き、商工会、商工会議所の伴走型支援にこれまで以上に取り組んで、事業承継のニーズの掘り起こしにしっかり取り組んでいきたいと思っております。
〇武田哲委員 何というのですか、岩手県は被災地で頑張っている事業者、そして同じように一緒になって岩手を盛り上げようと思っている事業者、技術を何とか受け継ぎたいと思っている事業者、さまざまあると思います。その中で、県がしっかりと補助金を出してやったこの報告書、この中で何が問題点で、では、県は何をしなければならないかという、それを考えなければならない立場だと思います。出先の商工会あるいは商工会議所といったところが、本当に一生懸命額に汗かいて、自分たちの地域の経営者あるいは会社を守りたいと思って頑張っていると私は思っています。そのときに、県が実態をしっかりと把握していないというのは、とても問題だと思います。ですからこそ、今後、しっかりとこの報告書あるいは各町村の動きを把握した上で、今後の事業承継それから事業活動にもっともっと邁進してもらいたいと思います。そうでなければ、さまざまな企業を誘致したとしても、そしてまた後継者がいないということで伴走型支援を推し進めるにしても、ずっと問題は残っていくのではないかと思います。ですからこそ、さらなる御精査をお願いいたします。
 そして次、ものづくりに関してお伺いします。
 ものづくり革新への対応、その中で推進方策の指標を見ますと、これも同じく達成度がDとなっています。この達成度Dになったことで見えてきた課題についてお伺いいたします。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 ものづくり革新の課題についてでございますけれども、県内企業においては、カイゼン活動や生産現場への新技術の導入等の取り組みが行われておりますけれども、業務が多忙であることや人手不足等により、創意工夫功労者賞の応募に至らない企業が多く、特に中小企業からの応募が少なかったこと等の事情により、達成度がDとなったものでございます。
 中小ものづくり企業発展のためには、下請、賃加工型から提案型、高付加価値型の経営にと転換し、高度なものづくりに対応するための基盤形成が必要となっておりますけれども、これを支える特に技術系人材の不足が課題として見えてきたところでございます。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、ものづくり産業人材の育成、確保、定着を掲げ、高等教育機関と連携し、基盤技術の高度化や三次元デジタル技術、IoTやAIといった技術革新に対応する高度技術人材等の育成を進めていくこととしておりまして、引き続き、県内企業の生産性や付加価値向上の取り組みも支援してまいりたいと思っております。
〇武田哲委員 このものづくり活動、きょうの岩手日日新聞にありましたが、オープンファクトリー五感市を開催するようです。こうした対応によって、現場で働いている人たちが日々ものづくりに対する気概といいますか、そういったものを届けていくためには、産業まつりよりもまたさらに一歩進んだおもしろい取り組みだと思っております。そして、現場を見ることによって、この企業で働きたいと思うような人たちも出てくるのではないかと、そういったところにもすごく期待しているわけです。
 今後、こういったものをさらに進めながら、就職のマッチング、さらなる企業の前進に、県はもっともっとしっかりと支援していかなければならないと思いますが、その点についてお伺いいたします。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 今、委員御指摘のとおり、現場を見るというのも非常に大事でございますし、今、五感市のお話もありましたけれども、2年に1回、きたかみ・かねがさきテクノメッセというのも実は開催されておりまして、今年度も開催され、県内から多くの高校生等も含めた学生が現場の見学に来ておりまして、企業の皆さんと触れ合いを持ったということもございます。
 いずれ、ものづくりも含め、小、中、高等学校、大学、それぞれのライフステージに合った体験というのは非常に大事だと思っておりますので、県としてもそのような取り組みは引き続き進めてまいりたいと考えております。
〇松倉史朋委員 私からは、大まかに国際観光について質問させていただきます。
 2項観光費1目観光総務費、備考欄のいわてインバウンド新時代戦略事業費についてであります。
 当事業費において海外へのプロモーション事業が行われているとのことでありますが、その現状及び今後の展望についてお聞かせ願えますでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 インバウンド新時代戦略事業費におけるプロモーションについての御質問でございますけれども、プロモーションにつきましては、先ほど来申し上げましたいわて国際戦略ビジョンに基づきまして、最重点市場、重点市場として台湾、中国、韓国、香港、あるいは開拓市場としてスキーの盛んなオーストラリア、東南アジアのタイなどを市場に、その市場に合った形でのプロモーション展開をさせていただいているところでございます。
 特に台湾につきましては、個人旅行客にシフトしているということから、現在では一般の消費者向けセミナーですとか情報発信を、中国につきましては広大な国土でございますが、今般のいわて花巻空港の上海定期便の就航に伴いまして、今年度におきましては上海を中心とした取り組みとして、まず中国における本県の知名度向上という形で、旅行博でありますとか旅行会社の岩手県への招請、また、それに伴うアフターセールスなどをさせていただいているところでございます。
 また、開拓市場でありますタイにつきましては、まずは知名度をということでございますので、当観光推進機構などと連携をいたしまして、日本政府観光局―JNTOで主催する旅行博への出展、あるいはタイで開催されます旅行博覧会への出展などを行っているところでございます。
 また、オーストラリアにつきましては、スキーに非常にニーズが高いということでございますので、主にスキーを中心としたプロモーションを展開させていただいております。
 韓国あるいは香港につきましては、香港におきましてもまだまだ知名度が不足しているということから、主に旅行会社のセールスと旅行博への出展、ただ、今年度におきましては政情が非常に不安定ということで、若干、旅行博への出展は様子を見ているところでございます。
 韓国につきましても、ソウル事務所を中心といたしまして、メディアの招請ですとか、特に韓国の方は、ゴルフですとか特定の目的で来日される方も多いということで、その市場に合ったプロモーション活動をやっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
〇松倉史朋委員 プロモーション事業におきましては、メディアの招請及び旅行博への出展を中心に行っていると、承知いたしました。
 次に、主要施策の成果に関する説明書の19ページにおきまして、タイ語のホームページのアクセス数が、平成29年度から平成30年度にかけて飛躍的にふえております。また、中韓のアクセス数に関しては半減以下であります。この要因をどのように分析していらっしゃいますでしょうか、所見をお聞かせください。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 ホームページの閲覧数の大幅な増加につきましては、主にホームページの大幅なリニューアルをしたことで非常にビジュアルを重視したホームページに改編をしたことでございます。逆に減った部分につきましては、外国語のホームページかと存じますけれども、導入部を非常に凝ったつくりにして動画を入れたものでございますが、サーバー等の容量からその動画の動きが非常に遅いということで、アクセスされる際にホームページが開いていくまでの時間を要することから、そこが開かないということで展開を諦めてしまうといった、ちょっとお粗末な状況でございますが、そういった状況であると分析しています。
〇松倉史朋委員 今の回答は、動画が重いということが非常に大きな要因なのかということでございますけれども、恐らくそうなのでしょうね。タイとか東南アジアに関してはインターネットの事情が脆弱というところもありますから、恐らくそういう理由も大きいのかと思います。ただ、中韓に関しての半減の理由につきましては、これはただ単に動画の問題でしょうか、それとも政情的な問題でしょうか、どういうところが問題だと考えていらっしゃいますでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 中韓につきましては、やはり韓国、中国とも、どちらかというと情報の取得がSNSから入ってくると現地から情報をいただいております。特に、中国につきましては、中国オリジナルでウィーチャットあるいはウェイボーといったものでございまして、韓国は主にインスタグラムが多く使われていることを聞いており、そちらの影響が非常に強いのかなと考えておりまして、政情不安ではないと存じます。
〇松倉史朋委員 中韓についてはどちらかというとホームページをそもそも見ないのかなというところが解析の要因と承知いたしました。
 続きまして、今回我が県の戦略といたしまして、中国、韓国を重点市場として、タイ、オーストラリアについては開拓市場と扱っているわけでございますけれども、ホームページにつきましてはそういうことですけれども、中国、韓国からの観光客数というのは我が国の統計が示すように、我が国との国際関係によって大きく変動するという特徴があるものと存じております。このように、いわゆるリスクの高い国々に観光の誘致戦略の比重を置くということは、観光業に従事する方々にとってもリスクのあることではないかと思います。
 今現在開拓市場とされておりますタイ、オーストラリアに誘致戦略の比重を移すと、そしてそのリスクを軽減するというところに関しては検討しているのでしょうか、お答え願えますでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 タイ、オーストラリアへの比重に関しましては、現在まだまだ東北という知名度が非常に低いということもございまして、これからやっていかなければならない分野と思っております。また、先だって、仙台空港のほうにタイの国際定期便が就航いたしましたので、タイの方も非常に東北に来たいという意欲は旺盛だと聞いておりますので、特にタイなどにつきましては、ことしの8月にも東北観光推進機構のトップセールスにおきまして東北6県の知事、副知事がセールス活動をさせていただいているところでございます。オーストラリアにつきましては、非常にスキーの意欲が旺盛で、北海道あるいは長野県といったところにも非常に多くのお客様がいらっしゃっているわけですが、岩手県にもかなりふえてきていると聞いております。今年度の冬季につきましては、まだ正確にはどのくらいの数が来るというのはつかんでおりませんが、一部の宿泊事業者からお聞きしたところによりますと、既にオーストラリアからのお客様が入りつつあるということで、今後も積極的にウインタースポーツを中心にプロモーションをしていきたいと考えております。
〇松倉史朋委員 タイ、オーストラリアについては、これからセールスを伸ばしていこうという方針であると承知いたしました。
 中国には大連と雲南に、韓国にはソウルに県の出先機関があると認識しておりますが、こういったものをタイやオーストラリアといったところにも設置する検討はありますでしょうか、お答え願えればと思います。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 ただいま御指摘のとおり、海外事務所でございますけれども、大連経済事務所、雲南事務所、ソウル事務所とございまして、先般知事からも御答弁申し上げたところでございますけれども、さまざま国との連携ですとか、いろんな活動の延長で海外事務所というのができてまいりますので、今観光課からも答弁がありましたとおり、これからの展開で将来的な部分ということでございまして、現在のところは新たな海外事務所の設置については検討していない状況でございます。
〇松倉史朋委員 現在のところに関しては検討していないということで、今後検討していただけたらということを要望いたしまして、次に移ります。
 主要施策の成果に関する説明書の19ページにあります外国人観光客受入態勢整備施設数についてお伺いいたします。
 この施設は海外からの観光客を受け入れるために補助金を受けて開所された施設のことを示すわけでございますけれども、その現状を教えていただけますでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 外国人観光客の受け入れ態勢整備施設でございますけれども、外国人観光客を受け入れる環境促進の整備を行う観光事業者に対しまして、その整備費用の一部を補助しているところでございます。平成27年度から平成30年度までにおきまして117施設、181件の補助を実施してございます。その内訳として最も多いのがいわゆるWi−Fi整備が76件、次いでホームページあるいはパンフレットの多言語対応が60件となっております。
〇松倉史朋委員 こちらの事業におきまして先ほど御答弁いただきましたように、Wi−Fiの整備やパンフレットの多言語対応、また、トイレの洋式化や和室の洋室化といったところでございますけれども、そのWi−Fiやトイレや和室の洋式化に関しましては海外からの観光客にかかわらず、多くの人々に必要とされている事項であると考えます。その改修費用を外国人向けの事業を行う事業者に限って支給する必要性はあるのでしょうか。つまり、外国人向けの事業者に限るのであれば、より外国人向けの設備に限定するべきではないかという考えもあるのかと思うのですが、その辺に関して御所見を伺えればと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 この事業につきましては、国の東北観光復興対策交付金という財源を活用させていただいております。この交付金の事業使途目的がインバウンドの誘客拡大に向けた事業ということでございますので、外国人向けの受け入れ施設に対する補助という形にさせていただいているところでございます。
〇松倉史朋委員 簡潔な答弁をいただきましてありがとうございます。
 次は、外国人宿泊数に関しましてですけれども、外国人宿泊者数が飛躍的に上昇しております。今現在、地域住民とのトラブル等は発生していないと伺っておりますが、今後たくさんの方々がいらっしゃるとそういうことも発生していくのではないかと思います。それに対して、市町村等にいわゆる外国人とのトラブル等に関して調査等はなさっているのでしょうか。また、今後そういった事態が発生する場合に備えての対策等は検討されているのでしょうか、お答え願えればと思います。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 現在、県におきましては、市町村等へトラブル等のアンケートにつきましては実施をしておりませんが、現在のところ、地域住民との間での大きなトラブルがあったということは承知していないところでございます。
 今年度、観光事業者向けではございますが、多様な習慣、宗教、文化等に関する理解を深めるためのセミナーを実施させていただいておりまして、多くの外国人がいらっしゃることによる文化あるいは風習等の違いによるトラブル防止に努めるような形でやっていきたいと考えおります。
 来年度、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますことから、さらなる外国人の増加が見込まれております。今後も、市町村あるいは関係事業者と情報共有しながら、トラブルの未然防止に努めてまいりたいと考えております。
〇松倉史朋委員 セミナー等を実施して多文化に対しての理解を深めていく方向であると、かしこまりました。
 では、最後の質問になります。昨年、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行されまして、本県においても、40件が民泊新法による許可を取得しているとホームページで拝見しております。民泊の運営につきましては、各自治体の条例に大きく左右されるものでございます。これに関しまして、今後の民泊事業に関して今後どういった方向で進めていきたいのかという県のスタンスを最後にお聞きかせ願えますでしょうか。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 民泊事業につきましては、本県におきましては既存の宿泊施設と調和をしながら、おもてなしの力などを生かして多様な宿泊ニーズへの受け皿の一つとして展開されるように、地域の実情に即した対応が重要なことであると考えております。
 県といたしましては、宿泊施設が少ない地域における農林漁家体験あるいはそれらを組み込んだ旅行商品造成促進などによりまして、地域での民泊活用の取り組みの支援をしているところでございます。
 今後も市町村や関係機関と連携をいたしまして、民泊に係ります適正な制度運用を図りながら、滞在型観光を促進して、地域の活性化につなげていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 おおむね再開後2時間が経過しておりますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後5時11分 休 憩
午後5時31分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇浅沼参事兼観光課総括課長 先ほど工藤勝博委員から御質問をちょうだいいたしまして、後ほど答弁させていただくと言っておりました国立公園満喫プロジェクトのインフラ整備の状況でございます。
 国立公園満喫プロジェクトにおきましては、県、国、あるいは市町村、民間団体が協議会を組織して、それぞれの役割でインフラ整備等を進めております。県におきましては、松尾八幡平ビジターセンターの映像コンテンツの多言語化、あるいは無料公衆無線LANの整備、これにつきましては、平成27年度から平成30年度までの間で11件の整備の支援をさせていただいたところでございます。また、宿泊施設における多言語のテレビ案内を平成30年度に1施設整備させていただいております。八幡平市におきましては、見返峠の廃屋の撤去、雫石町におきましては、解説標識の多言語化を実施したところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは最初に、台風第19号災害に対する国と県の支援策についてお聞きいたします。
 商工関係の被害額は578件、6億1、985万円という現状であります。国の支援策は、この間、新聞報道を見ますと、中小企業対策として上限3、000万円の補助金、これは事業主負担が4分の1以上で柔軟に設定できると報道されています。グループ補助金については、中小企業の被害が大きかった福島県などに適用する方向ということですから、岩手県が適用になるかというのは、報道ではまだ不明なのかなと思います。そして、先ほどもありましたけれども、ふっこう割の旅行代金の補助は5、000円の割引ということですが、これも新聞報道では、導入は市町村単位となっています。いわば影響の大きい市町村単位ということなので、これは国の方針を見ないと、どれだけ活用できるかわからないのではないかと思いますが、どのように受けとめていますか。
〇関口経営支援課総括課長 ただいま委員からお話しいただきましたとおり、中小企業者の台風災害復旧に係る農業設備の復旧補助金を国が措置を講ずるという話などは、私どもも新聞報道では知っているところであります。ただ、国のほうから直接その詳細について連絡がないものですから、現時点ではこれ以上の内容はお示しできない状況にあります。県としては国のほうの情報収集をしっかり行いながら、今議会に追加提案する補正予算で、地域なりわい再生緊急対策交付金を予算提案しておりますので、これと国の施策と調整を図りながら、県、国の施策を組み合わせて、被災事業者の早期復旧に取り組んでいきたいと考えている次第であります。
〇斉藤信委員 それで、新聞報道では、きょう非常災害対策本部会議が開かれて、そこでまとめられて公表されるとあります。きょうじゅうに公表なのですね。これは委員長に取り計らいをお願いしたいのだけれども、きょうじゅうに公表されるようですから、ぜひその内容については、できるだけ早く全委員にお知らせできるようにしていただきたい。
〇佐藤ケイ子委員長 世話人会で協議して、対応します。
〇斉藤信委員 議論するような話ではないのです。
 それで、地域なりわい再生緊急対策交付金ですけれども、平成28年台風第10号災害のときに実施いたしまして、大変好評でした。これは、先ほどの答弁を聞きますと、548事業所に11億8、480万円余、事業費ベースで補助されたということでございます。
 それで、今回2億円の補正予算を提案される予定でありますけれども、これは県の負担分で、事業費は恐らくこの倍の4億円ということになると思いますが、前回、この補助額で事業負担はどうだったのか。補助の上限額は幾らだったのか。そして今回、2億円の予算、事業費ベースで4億円という根拠は、被害の実態を踏まえたものなのかどうか、そのことをお示しください。
〇関口経営支援課総括課長 平成28年台風第10号被害のときに実施いたしました地域なりわい再生緊急対策交付金でありますが、事業者に対して施設設備の復旧に要する経費の2分の1を補助する内容であります。その補助分については、委員からお話しいただいたとおりに、県が補助金の半分、市がその半分、つまり県、市、補助金額ベースの半分ずつ負担をするという内容になっております。
 事業者に対する補助金の限度額であります。2、000万円を限度に補助金の限度額を定めております。加えて、大規模に被災した事業者の方には、2、000万円掛ける2ですので、施設の設備復旧費が4、000万円を超える場合については、補助割合を引き下げて対応するようにしております。
 前回の台風では、非常に大きな被害を受けた製造業関係の事業者がおられます。なので、限度はありますけれども、できる限りこういう補助制度を活用いただきながら施設設備の復旧をしていただいたものと思っております。
 今回の予算で提案いたします2億円の規模ということでありましたが、今回追加提案する予算は、平成28年台風第10号の災害に行った支援の実績や、現時点で把握している今般の被災事業者数、被害額等を踏まえたものであり、今の状況においては対応困難な額と考えております。仮にこれで補正する場合には、増額補正予算の対応なども検討させていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 わかりました。今回の地域なりわい再生緊急対策交付金は、まず、平成28年台風第10号災害のときと基本的には同じ中身で実施するということですね。前回も、先ほどの答弁にもありましたが、翌年度に実際にこれを適用された事業者が多かったので、ぜひ実態を踏まえて、国の支援策もうまく活用して対応されるようにお願いしたいと思います。被災事業者に大変激励を与える内容だと思います。
 次に、二つ目でありますけれども、東日本大震災津波からの復興の課題で、仮設施設の入居状況について、全体では484施設になっていますが、その内訳と、それぞれがどのように活用されているか示してください。
〇関口経営支援課総括課長 仮設施設の入居状況と活用についてでありますが、農林業が2者、漁業が279者、建設業が39者、製造業が26者、商業が111者、その他の事業者が27者となっているところであります。
〇斉藤信委員 それで、商業者の場合、いまだに111事業者が仮設店舗で頑張っておられるということです。この111事業者の本設移行、または施設の譲渡だとか、そういう意向調査は行っているのでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 仮設店舗に入居している商業者については111者となっております。このうち88者が本設移行を希望しております。したがいまして、現在仮設店舗に入居している事業者の大半が本設移行を希望しているものと認識しております。
〇斉藤信委員 あとの23事業者はどうなるのですか。廃業なんですか。それとも施設の再譲渡とかあると思うんだけれども、それはわかりませんか。
〇関口経営支援課総括課長 当面、そこの仮設店舗で事業を実施したいという事業者もおられますし、あとは、廃業あるいは別な仮設店舗に移転をしてというところを今考えているという事業者なども含まれております。
〇斉藤信委員 仮設店舗の取り組みというのは、被災した中小業者の営業の再開にとって大変大きな役割を果たしており、これが10年目まで継続されるということは大変重要な取り組みだと思います。東北3県の中でも、恐らく一番活用したのは岩手県です。そういう意味で、大変大きな役割を果たしたと思います。
 最高時731店舗でしたけれども、この731店舗がどれだけ本設展開して、その他、再譲渡などになったか示してください。
〇関口経営支援課総括課長 ただいま御質問いただきましたが、731者というのは商業者の実績でありますので、それでお答えさせていただきたいと存じます。
 これまで仮設店舗に入居した商業者の実績は731者であります。このうち本設移行した商業者は476者、廃業等の理由により退去した商業者は144者、現在も入居を継続している商業者111者となっております。
〇斉藤信委員 先ほどの答弁にもありましたけれども、111店舗のうち88店舗は本設移行を目指していると。最後まで支援をしっかり強めて、本設移行が成功できるようにしていただきたい。そのためにはグループ補助も必要になってくると思うけれども、今後のグループ補助の必要な見通し、どのように受けとめていますか。
〇関口経営支援課総括課長 グループ補助金の今後の見通しについてでありますが、一部の地域では、土地区画整理事業の完了時期が令和2年度と見込まれており、すぐには本設工事に着手できない事業者も見込まれております。このため、国に対し、令和2年度以降のグループ補助金の継続や、複数年度にわたる事業実施のための必要な措置について要望したところであります。引き続き国への要望を行っていくとともに、商工指導団体とも連携し、グループ補助金の申請に向けた周知や相談など、本設再開に向け、被災した事業者のニーズに応じたきめ細かい支援に努めてまいります。
〇斉藤信委員 はい、わかりました。
 次に、高卒、大卒の県内就職率の現状と対策についてお聞きいたします。2019年3月高卒、大卒の県内就職率の実績と評価について示してください。
〇西野雇用推進課長 ことし春―2019年3月の高卒者、大卒者の県内就職率の実績と評価についてでありますが、高卒者におきましては、県内就職率69.0%で、前年度と比較して3.2ポイント上回っております。大卒者に関しましては43.1%と、0.5ポイント下回っております。
 県では、いわてで働こう推進協議会を核といたしまして、高校生、大学生それぞれに向けて、企業ガイダンスでありますとか若手社員との交流会、インターンシップの推進等、県内企業を理解する取り組みを強化しているところでありまして、高校生に関しましては、平成13年度以降で最も高い県内就職率となるなど、これまでの取り組みの成果があらわれてきているものと考えております。ただ一方、大学生については、具体的な数値に結びついていないという状況もありますので、一層の取り組みの強化が必要だと考えております。
〇斉藤信委員 それで、ことしから新しいいわて県民計画(2019〜2028)のもとで、かなり高い目標に取り組んでおりますけれども、2020年3月卒の県内就職率の目標はどうなっていて、今の取り組み状況はどうなっていますか。
〇西野雇用推進課長 2020年3月卒業者の県内就職率の目標でございますが、高校卒業者においては84.5%、大卒者に関しましては48.5%という高い目標を掲げております。
 これに向けまして、昨今の人材不足の状況から、首都圏など県外の企業からのアピールが強まっていることもありまして、まずは県内企業の自社の魅力、価値を高めていただく、そして、その魅力、価値を高校生、大学生にしっかりとアピールしていくことが重要だと考えております。
 そのために、県では、生産性の向上に資する設備投資を支援する国のいわゆるものづくり補助金でありますとか、賃上げを支援する国の業務改善助成金、そして働き方改革の取り組みに対する県単補助などの活用を促進するとともに、効果的な採用活動を企業に実施していただけるようなセミナーの開催により、県内企業の雇用、労働環境の整備、採用力の強化を支援しております。
 また、高校生に対しましては、昨年から実施しております保護者を対象とした企業ガイダンスでありますとか、県内の若手社員との交流会の拡充、そして、ものづくり産業で活躍する若手人材を紹介する動画をDVDにいたしまして、それを県内の高校で授業に活用してもらう取り組みなどを強化しております。そして、5月には知事が盛岡工業高校に出向いて、みずから生徒の保護者に直接、岩手で働き暮らすということを選択する魅力というようなことを訴えたことを初め、それ以外にも、保護者が集まる機会を捉えて、県幹部職員から、現在の岩手の状況、岩手にも魅力的な企業があるということを訴える、これまでにない取り組みを進めているところでございます。
 大学生に対しましては、各大学において県内企業のインターンシップを促進するとともに、就職活動の解禁後すぐに行われている学内合同企業説明会において県内企業の割合をかなりふやしていただいているほか、低学年から県内企業を知るような企業キャラバンでありますとか、県内大学等が連携して行っておりますCOCプラス事業として今月23日にふるさと発見!大交流会を開催し、県内企業の魅力に触れる機会をふやすなど、関係機関が一丸となって目標達成に向けて取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 高卒者の県内就職率がことし3月卒業で69%に徐々に上がってきたということで、これは評価しますけれども、東芝メモリ効果があったのではないかと思います。県内の高校からどのくらいが東芝メモリに、今はキオクシア岩手ですが、実態はどうですか。
〇西野雇用推進課長 キオクシア岩手の採用状況でございます。直近のものをちょっと持ち合わせておりませんで、昨年度の状況で申し上げますと、ことしの3月卒業の高校生に関しましては、大体200名前後がキオクシアに入社したと聞いております。
〇斉藤信委員 県内の高校から200名ということでいいわけですね。69%、恐らくその効果がかなりあったのではないかと思います。そして、今年度の目標は84.5%なのです。これは、ある意味、次元の違う目標を皆さんは積極的に掲げたということで、69%から84.5%というのは、本当に発想の転換、取り組みの転換がなければ、私は到達しないと思います。そういう意味で、今までの延長線上ではない取り組みが必要だと思います。大学の場合もそうで、今までも岩手労働局を含めたいろいろな調査で何が問題かというと、高校生も大学生も地元の企業を知らないと、これは決定的な問題だと思います。
 実は、岩手県国際交流協会の30周年の式典と講演会があって、群馬大学の先生が、留学生の県内就職率を半分以上に高めたというのです。それは何が決め手かというと、やっぱり地元の企業を知ってもらう。それを徹底してやって、地元の企業でも自分たちの能力が生かせる、そういう企業、職場があるということがわかって、留学生でも半分以上が群馬県の地元に就職した。私も大変びっくりしましたけれども、そういう地元の特に頑張っている、やりがいのある企業がどれだけあるのか、それを徹底することが最大の鍵ではないかと思いますけれども、そういう取り組みはいかがですか。
〇西野雇用推進課長 今、留学生の群馬大学のお取り組みも御紹介いただきました。岩手県でも留学生が岩手大学を含め非常にふえているとお聞きしておりまして、岩手県の外郭団体でありますふるさといわて定住財団などでも企業ガイダンスを年数回やっておりますが、今度行う企業ガイダンスにおきましては、岩手県国際交流協会と連携いたしまして、外国人の留学生歓迎でありますとか、外国人の留学生の方々に岩手県の企業を知ってもらう、または就職活動の部分を説明するようなセミナーを合同企業説明会でも取り組むことと予定しております。
 そのような大学生もそれぞれの専門の学部で学んでいるところであり、その専門性を生かしたいという思いで、高校生よりも、やはりそういうところで就職を選ぶという傾向が強いことが調査結果にも出ておりますので、私どもも、それぞれの学部の進路指導の先生とコンタクトをとらせていただいて、学部ごとの就職のマッチングの機会であるとか、低学年からOBの先輩と話し合うような機会をセッテングしていくようしておりまして、今年度初めて大学での企業キャラバンというのをやらせていただいて、ことしは7回まで進めることができております。引き続き臨機応変に対応して、機会を捉えてアピールしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私、岩手県教育委員会から、ことし3月卒業の高校別の就職状況を聞きました。就職者数で多いベストスリーをちょっと紹介すると、黒沢尻工業高校が108人、県内就職率61%です。第2位が盛岡工業高校96人、これは55.5%。第3位は釜石商工高校81人、74.3%。釜石商工高校の比率はかなり高いのだけれども、頑張っている黒沢尻工業高校でも県内就職率は61%なのですよ。だから、全体で84.5%までいくということは、本当に次元の違う取り組みが求められていると、そのことを肝に銘じて取り組んでいただきたい。せっかく高い目標を掲げたのですから、それを本当に実現するような取り組みをお願いしたいと思います。
 最後の質問で、これで終わります。消費税増税への対応ですけれども、キャッシュレス決済の取り組み状況はどうなっているのか。プレミアム商品券の活用状況は3割程度と新聞報道されていますけれども、実態はどうなのか。そして、商業、観光への影響は現段階でどのようにあらわれているのか示してください。
〇関口経営支援課総括課長 キャッシュレス決済の取り組み状況についてでありますが、国の事業であるキャッシュレス・消費者還元事業は、消費税引き上げに伴う需要平準化対策と、国内でのキャッシュレスの推進を図ることを目的として実施されているものであり、岩手県内における申請店舗数は、10月31日現在7、454店舗、利用可能な店舗数は、11月1日現在5、113店舗となっております。
 県では、今年度、全国で4県が採択されている総務省の統一QR「JPQR」普及事業に取り組み、10月18日現在687事業所、914店舗から申し込みがあり、これに加えてコンビニエンスストアチェーンの511店舗、ドラッグストアチェーンの98店舗においてJPQRの利用が可能となったところであります。
 なお、JPQRに参加した店舗のうち1、400余りの事業者は、キャッシュレス・消費者還元事業の対象事業者であり、双方の事業に申し込みをしているところであります。
 次に、キャッシュレス決済の普及率でありますが、国で示している値によりますと、平成26年度の商業統計によると、ちょっと古い資料ですが、キャッシュレス決済対応の店舗の割合は26.2%、キャッシュレス決済の比率は10.59%となっております。
 次に、プレミアム商品券の内容であります。直接の所管は政策地域部でありますが、わかっている範囲で答弁をさせていただきます。
 対象見込み数は、県内で26万5、960人と聞いております。このうち交付決定済み購入引換券―この券があれば購入できますというものだと思っています―それが9万7、171人ということで、対象者数のうち36.5%が商品の購入が可能になっている状況にあると聞いております。
 次に、消費税増税の対応についてであります。消費税増税に関する商業等の影響についてということでお答えさせていただきたいと思います。
 消費税8%となった際の本県の影響を見ると、平成26年の県内経済においては、物価上昇の動き、大型小売店舗販売額、新車登録台数などの個人消費の落ち込み、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数の前年割れなど、税率引き上げや駆け込み需要の反動減の影響が見られたところであり、今回も同様の影響が懸念されておりますが、県内一部の商店街等に聞き取りしたところ、一部商品については駆け込み需要が見られたものの、前回の増税時に比べると落ちている状況という回答をいただいております。
 また、車や住宅等においても目立った駆け込み需要は見られないとの一部報道もありますが、今後発表される国、県の景況調査を注視していくとともに、引き続き商工指導団体と連携して、事業者からの相談に対応していきたいと考えております。
 観光等への影響についてですが、交通機関や宿泊施設等が値上がりしているところでありますが、台風19号の影響などもあって、増税による影響かどうかということは把握できない状況と聞いております。
〇千田美津子委員 最初に、雇用、人材確保策についてお聞きいたします。
 比較的若い方々の県内就職を促進するための施策がいろいろ実施されてまいりましたが、まず一つは、就業支援員による企業訪問とか学校訪問が行われてきましたけれども、この状況について一つはお聞きをしますし、また、U・Iターン就職支援件数も目標値700件をかなり上回っているわけですが、どのような体制でどう支援をされてきたのか、その点をお聞きいたします。
〇西野雇用推進課長 まず、就業支援員による企業訪問、学校訪問の状況についてでございます。
 就業支援員の役割は、高校生の就職支援でありますとか若年者の職場定着支援、あとは地域の方々の雇用労働に係る相談ということで、それにかかわって企業に出向いたり学校訪問をし、また、企業に出向いた際には、そこに定着しているかどうか若手社員と面談をしたり、または企業が活用できる新しい助成金の周知、普及なども行っているところでございまして、県内各振興局等に配置された39名を中心に行っているところでございます。
 新卒者の県内就職の促進でありますとか、職場定着に向けた取り組みを強化していますことから、平成30年度の企業訪問件数、学校訪問件数ともに目標を大きく上回っておりまして、企業訪問件数におきましては、目標の3、500件に対しまして4、000件、前年度から794件増加しておりますし、学校訪問件数は、目標の2、500件に対しまして2、754件と、前年度からこちらも251件増加しているところでございます。
 そしてもう一点、U・Iターン就職の支援体制でございます。U・Iターン就職は、首都圏に窓口を設けて支援しているところでございますが、首都圏においては、まず東京の東銀座、先ほど質問にもありましたアンテナショップ、いわて銀河プラザと同じ建物の中にあります岩手県U・Iターンセンターに職業アドバイザーを2名配置いたしまして、就職相談でありますとか無料職業紹介を行っております。また、そのほか、有楽町の駅前の東京交通会館内にふるさと回帰支援センターがあり、その中にいわて暮らしサポートセンターを設け、キャリアカウンセラーなど2名を配置して相談対応に当たっております。
 そして一方、県内におきましては、ジョブカフェいわて内にいわてU・Iターンサポートデスクを設けて、キャリアカウンセラーを1名配置いたし、企業情報の発信、就職相談を行っており、いずれも窓口での対面相談のほか、電話、今最近ふえているのですがメールの相談対応、それに加えてセミナーなども行っているところでございます。
〇千田美津子委員 特に学校訪問、企業訪問が高校生あるいは若者の相談に丁寧に乗る、あるいは職場定着を促す上でも非常に私は大事な役割を果たしていると思っていますし、もう一つ、企業にとっても使える資金とかそういう部分の情報提供をするということでは非常に大事な支援だと思っています。
 今、39名の方々が配置をされているということでありますけれども、これをふやす予定はないですか。この人数でやっていきたいということなのかどうかが一つ。
 それから、ジョブカフェいわてのサービスを受けて就職が決定した人数が2、026人とあるわけですが、学校訪問、企業訪問での成果というのはなかなか数字であらわすことはできないと思いますが、それらについてはどのように考えているでしょうか。
〇西野雇用推進課長 就業支援員の体制ということでございますが、39名でやっているところ、また、加えて、ハローワークなどにもジョブサポーターのような方がいらっしゃるということ、そして後段で委員からお話がありましたジョブカフェいわてでありますとか地域ジョブカフェということで、県内には若年者の就職支援をする機関がありまして、今若者の県内定着、県内就業の促進を強力に進めていかなければならないところもございますので、その方策と合わせて役割分担、その中で人数なども検討していく必要があると思っておりまして、今はふやすというか、そういうところまではまだ決定しておりません。その役割分担の中で、効果的に活動していただけるような仕組みを考えていきたいと思っております。
 また、その方たちの成果というところでございますが、昨年以降、一番高校生の就職支援に大きくかかわっていただいておりますので、まさにことしの3月卒業した69.0%という県内就職率が一番の成果なのかなと。あとは、そこに至るまでの各学校での企業ガイダンスであるとか、若手社員の交流会の先生方との調整、企業との調整というところでも大きな役割を果たしていただいておりますので、そういう目に見えないところを含めての成果があると考えております。
〇千田美津子委員 引き続き、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それで一つだけ、U・Iターン就職支援が目標値をずっと超えていると思っていたのですが、平成29年度が6、897件ということで、平成30年度が4、000件減っていることになっているのですけれども、これは何が原因ですか。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 平成29年度実績は6、000件でしたか、それについては先ほどからお話が出ているジョブカフェいわてのほうから、登録されている方に一斉のメールでの情報提供ですとか情報配信したものを含んだ形で統計をとっていたものですから、ちょっとそれが評価としてはいかがかということで、翌年にはそこをカウントしない形で改めて評価することとしたものでございます。
〇千田美津子委員 そうすると、実態に合った形の数字が、平成30年度はちゃんとやられたということでいいのですね。
 そして二つ目ですけれども、冒頭に部長からも説明がありましたけれども、U・Iターンの支援と移住、定住促進のために商工労働観光部に定住推進・雇用労働室を設置したというお話がありましたが、今までやられてきた事業と、この定住推進・雇用労働室の役割分担といいますか、どういう状況にあるのか、その点をお聞きしたいと思います。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 U・Iターン支援と移住、定住促進の一体的な推進ということでございますが、移住希望者が移住の検討をするに当たりまして重視すること、その主な事項としては、移住先での安定した仕事が挙げられることなどから、U・Iターンの促進を含む雇用施策を担う商工労働観光部において、移住、定住に関する業務を一元的に推進することとしているところです。
 U・Iターンと移住、定住の一体的な推進に向けましては、本年度から東京事務所に特命課長を駐在させまして、東京の二つの相談窓口、岩手県U・Iターンセンターといわて暮らしサポートセンターの二つを統括できる体制をとりまして、従来は県のU・Iターンセンターのみで行っていた無料の職業紹介について、いわて暮らしサポートセンターでも可能となる体制を整備するなど、どちらの窓口でもワンストップで同じ情報で同じアドバイス、支援を受けられるという体制を整えたところです。
 また、移住促進に向けた情報発信ですとか、首都圏で開催する移住、定住の関連イベントの開催におきましては、岩手の暮らしの魅力の発信ですとか、先輩移住者等をゲストスピーカーに招いた講演とか、従来型の内容に加えまして、今回雇用とU・Iターンが一体ということで、例えば労働局と連携した形で県内の求人情報を提供し、仕事に対する相談を受けるブースを一緒に設けるとか、今までのものにプラスして、仕事と岩手の魅力というものをセットで情報発信していくという形で、移住、定住、U・Iターンの支援を一体的に取り組むこととしております。
〇千田美津子委員 それでは本県の雇用情勢でありますけれども、震災関連復興事業や企業の生産活動、さっきの質疑にもありましたけれども、それらが活発化してきたことによってかなり改善している状況はあるのですけれども、北上川流域における新たな雇用の大幅な増加に対応することが必要ですし、それから正規雇用を私はもっとふやしていただきたいと思いますし、安定的な雇用への移行を引き続き重点的に取り組んでいただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇西野雇用推進課長 正規雇用の拡大及び安定的な雇用への移行でございますが、まず岩手県の正規雇用者の状況から御紹介させていただきますと、総務省の平成29年の就業構造基本調査によりますと、県内の労働者53万1、600人のうち、正規の社員で働いている方は34万1、800人、64.3%と、平成24年の前回調査に比べまして1万3、00O人ほど増加、1.9ポイントほど上昇しているところでございます。
 県では、この正規雇用の拡大や安定的な雇用への移行に向けて、岩手労働局などと連携して、県内の経済団体に非正規社員の正社員転換などの取り組みについて要請しているところでございますし、また、国では、非正規社員を正社員に転換する場合に事業主に助成金を支援するということを行っておりまして、これによりまして県内で正規雇用に転換した社員数は、平成28年度から平成30年度の3年間で1、712名となっております。
 おっしゃるとおり、人口減少が進み、その一方で産業集積が進む状況下において、人材確保をしていくためにはこの雇用の質を高めなくてはならないと、生産性の向上と雇用の質というものは不可欠だと考えております。
 県におきましても、雇用情勢がいいタイミングを活用してぜひ正規雇用、安定的な雇用の体制が進むよう、国と連携しながら正規雇用の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 平成28年度から3年間で助成金を使って1、712名が正規雇用になったと。これはこれですばらしいことだと思いますが、今答弁があったように、ぜひいろいろ関係機関とも連携しながら、この比率をもっともっと高めていただいて、できれば震災前の状況まで、まずはそこまで持っていってもらうようにお願いをしたいと思います。
 それでは二つ目、被災事業者への支援で1点お聞きいたします。
 東日本大震災津波の被災者のことですが、被災事業者の事業の再建や経営の安定、それから経営力向上等の取り組みを効果的に支援するため、各商工団体等が行う被災事業者の復旧、復興支援事業にさまざま支援をしてきたと思いますが、これまでの実績はどのような状況にあるでしょうか。
〇関口経営支援課総括課長 各商工指導団体が行う被災事業者の復旧、復興支援事業についてでありますが、復興局が行っている被災事業所復興状況調査では、被災労働者の経営課題として、顧客、取引先の減少または販路の喪失、業績の悪化等が挙げられているところであり、こうした課題に対応するため、各商工団体等が被災事業者の各種相談対応や専門家派遣などを行っているところであり、これらの支援を重層的に展開するため県では必要な予算を確保し、被災事業者の経営安定や経営力向上等に向けた取り組みを進めてきたところであります。
 平成30年度に補助金を交付した各商工団体等では、支援専門員を配置しての相談対応や専門家派遣等による支援を行い、支援専門員による相談対応については実施した5団体合わせて1、297件、専門家派遣については実施した3団体合わせて904件となっております。
 県では、商工団体等による支援の取り組みが事業者の販路開拓や収益改善、生産性向上などの取り組みにつながっているものと認識しており、引き続き各商工団体と連携し、被災事業者の持続的な事業展開を支援してまいります。
〇千田美津子委員 グループを含めて2、000件以上の相談に対応してきたと、これは本当にすばらしいことですし、被災事業者を本当に励ましてきたと思うのです。さまざまな業績を上げるための支援とかやってきて、その評価というのはなかなか難しいと思いますが、例えば販路の開拓でこういう実績があるとか、何かはかる尺度はないでしょうか。
〇高橋参事兼産業経済交流課総括課長 被災事業者の支援ということで、販路の拡大というところでございますけれども、これまでもさまざま被災事業者の支援ということで、一つは、業としては、商品をつくったりそういった部分の支援ですとか、それから、それをつくるためのアドバイザーの支援ですとか、専門家の方を入れたりとか、特に販路の拡大につきましては、盛岡でも商談会の開催ですとか、それからさまざま岩手の被災事業者が頑張ってつくった商品を何とか応援したいというバイヤーさんの方々もいらっしゃいますので、そういった方々に現地のほうに来ていただいたりとか、ことしは特に三陸復興プロジェクト2019もございまして、それに合わせてバイヤーの方も沿岸のほうを回ったりとかがございますので、東京での商談会、それから名古屋、大阪もございますけれども、そういったところでさまざま支援を行っているところでございます。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは最後の質問になりますが、自動車、半導体関連産業の集積促進についてお聞きをいたします。
 地場企業の半導体関連取引成約件数が80件の目標に対して約倍まで達しているわけですが、どういう状況にあるのか、その実態についてお知らせください。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 地場企業の半導体関連取引成約件数についてでございますけれども、ただいま委員からお話のありましたとおり、平成30年度は平成27年度から4年間の累計目標である80件に対し実績が154件と、目標を大きく上回ったところでございます。
 なお、平成30年度単年度の成約件数は、目標の10件に対して29件となっておりますけれども、この大半が半導体関連の国内最大級の展示会でありますセミコン・ジャパンに出展した県内企業5社による成約件数となっております。
 目標を上回った理由といたしましては、近年、AIやIoTなど、半導体を活用した最先端製品の普及が加速したことを背景として、世界の半導体製品の市場が急激に拡大してきており、産学行政で組織するいわて半導体関連産業集積促進協議会では、これを絶好の機会と捉えまして、県内企業の出展を強力に推進した結果、出展企業のすぐれた技術が世界中の半導体関連企業から評価されたことが、このような成果につながったものと考えております。
〇千田美津子委員 さらに自動車関連産業創出推進事業がありますけれども、その中で工程改善研修の参加企業が10社の目標に対して20社、そしてすごいと思ったのは、その全てに改善効果があらわれたという記載があったわけですが、どういう状況にあるのでしょうか。
〇小野自動車産業振興課長 自動車関連産業創出推進事業の工程改善研修の効果についてでございますが、この事業はいわて産業振興センターに自動車関連企業のOB人材をアドバイザーということで配置いたしまして、県内企業を対象としまして、座学や実践を通じて自動車産業の強みである生産工程改善の知識、ノウハウの習得を促進しまして、品質向上やコスト削減など、競争力の強化を図ることを目的としまして、平成16年から継続して取り組んで実施してきたものでございます。
 平成30年度でございますが、対象企業を当初10社ということで計画をしておりましたけれども、意欲のある企業からの要望を受けまして、最終的には20社を対象ということで実施したところでございます。
 各企業の課題に応じまして改善のテーマは異なるわけでございますが、事業終了時点での聞き取りによりますと、作業時間の短縮であるとか生産能力の向上であるとか、いずれも現場の具体的な効果があったということで高い評価を頂戴したところでございます。
〇千田美津子委員 このように成果が上がると、次に参加を広げることにつながると思いますので、多分これからもっと広がる可能性があると思いますが、どのように見ていらっしゃいますか。
〇小野自動車産業振興課長 年々研修の参加企業は増加をしておりまして、非常に口コミあるいは成果を出しているというところがモデルとなりまして広がってきていると考えております。
 幅広く、できるだけ企業にチャレンジをしていただきたいと考えてございますし、自動車ものづくり産業だけではなくて、幅広い県内企業、さまざまな産業にも適用のできるノウハウだと考えておりますので、今後も積極的に県としても取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 最後の最後です。情報関連産業競争力強化事業で取引あっせんが30件の目標に対して、10倍以上の325件とありました。この事業の取り組みの現状と今後の見通しについてお聞きをいたします。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 情報関連産業競争力強化事業でございますけれども、県では、本県情報関連産業の競争力強化を図るため、本事業を活用して、県外企業との個別商談会等を通じた取引拡大支援や組み込みソフトウエア技術に関する高度人材の育成、支援に取り組んでいるところでございます。
 取引拡大支援につきましては、平成30年度におきましても、いわて産業振興センターが行う取引あっせん事業への補助を行ったところでございまして、個別商談実績としましては、県外企業を本県に招いて開催したビジネスマッチング交流会に15社が参加し、延べ111件の商談が行われ、また、県内企業5社が各種展示会へ出展し、延べ214件の商談が行われるなど、全体として325件と目標を大きく上回る結果となっております。
 これは、これまで培ってきた県内情報関連企業の技術力が高く評価されたことと、いわて産業振興センターによる積極的なマッチングによるものと考えております。
 本県情報関連産業は、県外企業の拠点設置や業容拡大が進んでおりまして、県といたしましては、引き続きこのような企業と技術の向上に取り組む県内企業とのマッチングによる取引拡大を促進するとともに、情報関連産業を支える人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。
〇小林正信委員 私からは移住、定住施策についてお伺いします。
 近年の移住、定住の動向は、初めは無関心だった方が、ちょっとしたきっかけから特産品を買ったり、ふるさと納税をしながら、あたかも階段を上っていくように地域との関係が深まっていって、最終的に移住に至るというケースが多いとのことです。そうした意味から、関係人口、交流人口に着目した取り組みは重要と思いますし、あらゆる機会を捉えてアプローチしていかなければならないと思っております。
 例えば、ふるさと納税をしてくれた方に対して、ふるさと納税感謝祭やふるさと納税バスツアーを行い、1度できた御縁をうまく次につなげている自治体もあるようです。
 県では、1回でも岩手にかかわったり興味を持ってくださった方、また、移住を検討している方に対する個別のアプローチについてはどのような取り組みがなされてきたのかお伺いします。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 移住希望者等に対する個別のアプローチについてでございますが、県では、移住ですとかU・Iターンに関する情報サイトですとかSNS、または情報誌などさまざまな媒体を活用しまして、県の魅力の情報発信ですとか、あとは首都圏で開催する県主催の移住セミナー、また、全国規模の団体が主催する移住フェアの県としての出展、そういったものも通じながら岩手に関心を持ってもらう、また、少し持っている方の関心を高めてもらうという取り組みを行っているところです。
 また、実際に移住を検討されている、希望されている方については、先ほども答弁の中で触れましたが、東京に二つの相談窓口を設置しておりまして、いわて暮らしサポートセンターと県U・Iターンセンターで岩手県での住まいや子育て、生活環境、そういった暮らし全般に関する相談ですとか就職相談等にワンストップで対応しているほかに、実際に岩手に訪れてもらうという取り組みとして、平成27年から移住体験ツアーを年4回実施したり、さまざまなアプローチをしているところです。
〇小林正信委員 1回かかわった方に継続的なつながりを持っていく取り組みが大事と思いまして、このふるさと納税の考え方を発展させたふるさと住民票制度というのを実施している自治体もあるそうです。これはその地域に関心を持った方に継続的に情報発信したり、特別な権利を与えたりする制度だそうですけれども、県においても、このように岩手ファンに対する継続的な発信が移住につながると思います。もう既にこうした取り組みを行っている地域もあるかもしれませんけれども、継続的に何か発送物を送ったりとかコンタクトをとったりする取り組みについての御所見をお伺いいたします。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 委員から御紹介がありましたふるさと住民票制度については鳥取県の日野町などが取り組んでいると認識しておりますが、県内でも住民票制度ではないのですが、同様の取り組みとして、例えば遠野市、八幡平市など七つの市町村でふるさとを応援する方々との継続的なつながりを持つ、例えばふるさと応援市民といった制度の取り組みを行っておりまして、市町村としてもこういった取り組みをしていくことは、継続的な地域のつながりを生み、ひいてはU・Iターンですとか移住といったものにつながることも期待されるものと考えております。
 県としましては、先ほども触れましたが、各種媒体でさまざま岩手の魅力の発信ですとか、首都圏での移住関連イベントを開催しておりまして、引き続きそれに取り組むとともに、そうした取り組みを通じまして、窓口に訪れた方ですとかイベントに訪れた方々の情報について県のU・Iターンセンター等に現在600名ほど登録していただいております。そういった登録をいただいている方には、ダイレクトにかつ継続的に、県の移住イベントですとか支援策の情報といったものを常に発信しながら、本県への関心を高めてもらうという取り組みを行っているところです。
〇小林正信委員 今600名の方、あとは市町村でもそういった取り組みをされているということでしたので、もっとこういう取り組みが7市町から広がるような支援を県でも行っていただきながら継続的につながっていって、最終的に移住に至る取り組みを広げていただきたいと思います。
 移住を考えている方にとって、自分がその地域に住むイメージを持つということが、移住を決める大きなポイントになるかと思います。そうした意味で、1回ためしに住んでみるおためし移住的な取り組みも必要ではないかと思います。移住後の自分の姿を見える化するための移住、定住のための拠点というか、ゲストハウスのようなものとか、希望者を受け入れる面においてはどういった取り組みがなされたのかお伺いします。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 県としては、先ほども触れましたが、平成27年度から移住体験ツアーというものを実施しておりまして、これまで252名の方がツアーに参加していただきまして、そのうち24名の方の岩手県への移住にもつながっております。
 また、こうした移住体験ツアーについては、県内の11市町村においても同様に実施されているところです。
 また、県では、今年度から、実際に岩手県内の企業、事業所で就業体験をしてもらいながら、地域の暮らし、そういったイベントに参加したりとか、実際にいわて暮らしの魅力を感じてもらうという取り組みとして、いわてふるさとワーキングホリデーという事業を実施しております。本年度は2回予定しておりまして、既に実施した第1期においては、特に首都圏の若者中心ですけれども19名の方が県内の11事業所で就業体験を行ったところでありまして、そのうち1名が岩手への移住を決定していただけたという成果も出ております。
 なお、委員からも御紹介がありましたが、県内では11の市町村で短期の移住の体験住宅といいますか、おためし居住といいますか、そういったものを整備していると把握しております。市町村においても、実際に地域に住んでみて、地域の状況を知って移住を検討してもらうという取り組みを行っているところです。
 御指摘のとおり、移住後の生活をイメージしてもらうということは、移住、定住の推進には非常に効果的でありますので、今後とも、移住体験ツアーとかそういった取り組みを県としても継続するほか、市町村による移住、定住の推進の取り組みにつきましても、県のサイトですとか情報発信の手段とあわせて発信しながら、特に積極的にPRしていきたいと思います。
〇小林正信委員 先ほどのワーキングホリデーをやっていらっしゃるということで、それに近い取り組みとしてワーケーションという、ワークとバケーションを合わせて、有給休暇を使って観光しながら、働きながら地域を楽しむという取り組みがあると伺っております。ワーキングホリデーもありますけれども、テレワークのようなこういった取り組みという部分もさらに深めていったほうがいいのではないかと思いますけれども、そういった点についての御所見をお伺いします。
〇菊池定住推進・雇用労働室長 ワーケーションにつきましても、委員御紹介のとおり、まとまった休暇を取得し、観光地とか地方で休暇をとりながらテレワークを使って仕事をするというような制度で、これについてはICTの発展ですとか普及を背景に、徐々にそういった制度を導入する企業も広がってきていると認識しております。こうした取り組みが広かることで、地方への滞在ですとか訪問で人の流れが生まれるということは、交流人口や関係人口の拡大にもつながるものと考えております。
 県といたしましても、ワーケーションやテレワークも含めましてですけれども、地方で仕事また地方で休暇等を過ごしたい方にぜひ岩手県を選択してもらえるように、岩手の豊かな自然ですとか食とか観光、レジャーも引き続き発信しながら、また、テレワークについても関係部局とも情報共有をしながら検討してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 今のワーケーションですけれども、結構北海道から沖縄県までワーケーション誘致という取り組みが深まっているようでしたので、注目していただきながら、また、テレワークという部分の拠点の整備もしながら、岩手県でちょっと働いてみるとか、そういう部分のちょっとした移住、定住も大事と思いますので、お願いをいたします。
 次に、医療機器関連産業創出事業費1、061万円の決算額となっておりますけれども、この事業の内容について教えていただければと思います。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 医療機器関連産業創出事業費の事業内容でございますけれども、医療機器関連産業は、景気の動向に左右されにくく、高齢化社会の進展などにより今後も成長が見込まれる分野でございます。このため、県としては、その産業集積や県内企業の参入を促進するため、委員御紹介のあったこの事業によっていわて産業振興センターにコーディネーターを配置し、大手メーカー等のマッチングや薬事、知的財産戦略への助言を行うほか、県が中心となって組織しておりますいわて医療機器事業化研究会による研究会やセミナーを開催しているところでございます。
 また、ことしで3年目となりますけれども、医療機器を現場で扱う岩手県臨床工学技士会と連携して、医療現場のニーズに基づくマッチング会を開催しているところでございまして、このような機会を通じて新製品の開発を支援しているところでございます。
〇小林正信委員 岩手県で産業振興の3本柱として設定したのが自動車、半導体そしてこの医療機器の分野ですけれども、自動車、半導体企業の集積促進も大変進められているところと思いますし、このものづくり産業の第3の柱として位置づけられている医療機器についても、この取り組みも今おっしゃっていただいたような部分で進んできたことと思います。
 この医療機器の集積に関してはライフサイエンス機器、あと医工産業の創出にかかわる企業ほか、多機関の連携が連携クラスターになっている東北ライフサイエンス機器クラスター(TOLIC)が今頑張っていただいておりますけれども、このTOLICを中心に、医療機器関連産業の集積が期待されているところと考えております。
 今後新たに成長分野として見込まれるライフサイエンス、また、ヘルステック、医療機器関連企業の県内への積極的な誘致をさらに進めていただきたい。
 先ほどもおっしゃっておりましたけれども、今後の予定などをお聞かせいただければと思います。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 今、委員御紹介のありましたとおり、県では自動車、半導体に次ぐものづくり産業における第3の柱として医療機器産業を位置づけているところでございます。
 このようなことから、さらなる医療機器関連産業の集積促進に向けまして、先ほど委員から御紹介のありましたTOLIC、この中にはベンチャー企業もございますので、そのようなベンチャー企業の支援もこれまでの産学官金を通じた連携のノウハウも生かしながら、一方では、企業誘致というものも市町村等と連携して進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 今おっしゃったとおり、産学官の連携の研究からのベンチャー企業が多数誕生して成果を上げております。このTOLICの中心企業の2社が、例えばドイツの世界最大規模の医療機器国際見本市に出展をしたりしておりまして、岩手県で誕生したベンチャー企業が海外に目を向けて海外の販路拡大を今図っていると、すばらしい状況だと思います。こうした成果を踏まえ、県としてはさらにベンチャー企業を、特に医療機器ベンチャー企業への支援を進めていただきたいと考えております。予算的な部分でも事業費が1、000万円ということでしたけれども、コーディネーターもいらっしゃるということですが、予算的な支援も含めてお願いしたいと思いますけれども、御所見をお伺いします。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 ベンチャー支援につきましては、繰り返しになりますけれども、これまで幾つかのベンチャー企業が育ってきてございます。その中で産学官金、先ほど申し上げましたとおり、これらの連携によって、それぞれが持っている制度を組み合わせながらいろいろ支援してまいってきた状況でございますので、これまでの連携の成果というものをこういうノウハウを生かしながらベンチャーの支援に努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 盛岡市の道明地区に整備が進んでいる新たな産業等用地ですけれども、県としてもこの道明地区にほど近い北飯岡に東北初の貸し研究所が新設される予定と伺っております。この新産業等用地に関して、県としてはこれまでどのようにかかわってきたのか。また、先日の報道では、立地候補者に3者の応募があったとのことでしたが、県としても企業誘致に積極的にかかわっていただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか、御所見をお伺いします。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 盛岡市道明地区の新産業等用地についてでありますけれども、盛岡市において、平成30年3月に、市の工業振興ビジョンを改定し、これまでの主要産業である食料品製造業、それから金属製品製造業、情報サービス業といった主要産業に加えて、新たに先端的な技術を活用した医療機器等の製造または研究開発を担う事業をターゲットに、重点的な支援や企業誘致、それからさらには地場企業等のネットワーク形成に取り組むとしておりまして、そのための集積の拠点としての道明地区への新産業用地への整備を進めてきたと伺っております。
 県では、こういった盛岡市の取り組みを踏まえ、連携を強化しつつ、盛岡広域圏におけるヘルスケア関連のものづくり企業の集積、さらには共同研究開発を通じた新製品、新事業の創出を目指し、今年度ヘルスケア産業集積拠点整備費補助により、県工業技術センター敷地内に貸し研究室を中核とするヘルスケア産業の集積拠点施設の整備を進めているところです。
 今後も引き続き、盛岡市及び医工連携や産業集積を推進する民間団体を初め、関係機関との連携を通じてヘルスケア産業の集積を中心に、道明地区新産業用地への産業誘導を一緒に進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 今おっしゃったように道明地区には県の工業技術センター、また、M−tec―新産業創出支援センターが近くて、また、岩手大学と岩手医科大学の中間にちょうど道明地区が位置しておりまして、さまざまな医工連携におけるイノベーションが生まれるのではないかと期待できる地域と思います。
 このセンタービルの整備なども予定されておりましたし、また、新たな駅の整備などの声も聞かれるところでございますけれども、県としても、ものづくりの第3の柱、この医療機器関連の集積をまた研究開発、新しい研究の開発の後押しをぜひしていただきたいと思います。
 最後ちょっと1点だけ、先ほどおっしゃっていた貸し研究所、これは通告していなかったのですけれども、貸し研究所というのはどういった、わかればでいいですけれども、内容を教えていただければと思います。
〇十良澤ものづくり産業振興課長 先ほどもお話ししました貸し研究所ですけれども、先ほど瀬川室長からお話がありましたとおり、岩手県工業技術センターの敷地内に現在整備を進めているところでございます。施設の名称は、これは事業主体は岩手県工業技術センターでございまして、施設の名称をヘルステック・イノベーション・ハブと名前をつけているようでございます。
 中味的には、ラボといわれている貸し研究室と、それから会議室、その他供用施設等で構成されているということで、現在入居者の募集を行っているということでございます。
〇小林正信委員 本当にすばらしい取り組みだと思います。TOLICとかの活動によってiPS関連の京都大学の先生方が岩手県に来ていただいたりとか、京都大学との交流が岩手県で進んでいると。そういった部分では貸し研究所もぜひiPSとか再生医療の部分でも期待できるのかなという気もいたしますので、そういった部分にも目を向けていただきながら、医療機器関連産業をしっかり発展させていただきたいと要望して終わらせていただきます。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 1点だけお願いしたいと思います。
 今回の台風第19号で宮古市松山地区にあります県立高等技術専門校がまた冠水をいたしました。平成30年台風第25号の際には、1階の天井まで冠水をいたしました。そしてその前にも2回ぐらいあったかと記憶しているのですが、県立の学校が4回もないしは3回も冠水をするということは余りないことだと思っております。
 この学校は自動車システム科そして金型をつくる工程を学ぶといいますか、その2科がありまして、毎年20人から30人の卒業生を社会に送り出している重要な学校であります。これは築45年から47年ぐらいになるのではないかと思っておりますが、どうしても先発した学校ですので、隣の県立松山荘よりも地盤が低い、あるいは宮古警察署よりはずっと低いと、こうなってきていますので、グラウンドラインを上げるしか方法がないのだと思います。したがいまして、建築四十五、六年もたっていることから、この際、隣のグラウンドに新築移転をするべきだと思うのですけれども、戸舘部長に一言聞いて終わりたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 宮古高等技術専門校についてでありますけれども、御指摘のとおり、今般の台風第19号に伴う豪雨によりまして、管理棟、実習棟それから寄宿舎が浸水をしたということで、訓練用機器、備品等が一部浸水被害を受けております。
 平成28年の台風第10号災害での経験を生かすような形で台風情報等を早期に入手して、土のうそれから物品の移動によりまして被害をできるだけ食いとめたという形になっておりますけれども、建物には影響がありませんでしたが、御指摘のとおり浸水被害が生じております。
 今後、建物の外部に設置されていますブロック塀の範囲の拡大、これは平成28年台風第10号災害を受けて、その際に浸水をしてきた部分のブロック塀を高くして浸水防止を図ったわけでありますけれども、今度は別なほうから浸水をしたということで、外部からの雨水の流入を防ぐための効果的な対策も今後講じていかなければならないと考えております。
 いずれ、千厩高等技術専門校、二戸高等技術専門校、ほかのいずれの施設も建設後、相当の年数を経過していて、必要な改修を随時行いながら、学生が安心して訓練を受けることができる環境とするように安全性を確保するための検討を進め、訓練環境の維持、整備を図ってまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時50分 散 会

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