令和元年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和元年11月6日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
農林水産部長 上 田 幹 也
理事 内 宮 明 俊
理事兼副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 隆 浩
技監兼農政担当
技監兼県産米
戦略室長 小 岩 一 幸
農村整備担当技監 伊 藤 啓 治
林務担当技監 橋 本 卓 博
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 石 田 享 一
漁港担当技監 阿 部 幸 樹
競馬改革推進室長 菊 池 正 勝
理事心得 千 葉 義 郎
農林水産企画室
特命参事兼
管理課長 山 本 卓 美
農林水産企画室
企画課長 米 谷   仁
団体指導課
総括課長 菊 池 信 幸
指導検査課長 佐 藤 宗 孝
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 高 橋 浩 進
農業振興課
総括課長 藤 代 克 彦
担い手対策課長 今 泉 元 伸
農業普及技術課
総括課長 菊 池 政 洋
農業革新支援課長 高 橋   守
農村計画課
総括課長 三 河 孝 司
企画調査課長 村 瀬 勝 洋
農村建設課
総括課長 千 葉 和 彦
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 菊 池 徹 哉
水田農業課長 佐 藤   実
畜産課総括課長 菊 池 伸 也
特命参事兼
振興・衛生課長 村 上 隆 宏
林業振興課
総括課長 高 橋 一 志
森林整備課
総括課長 工 藤   亘
整備課長 及 川 明 宏
森林保全課
総括課長 西 島 洋 一
漁業調整課長 工 藤 飛雄馬
漁港漁村課
総括課長 鎌 田   進
漁港課長 内 藤 俊 喜
競馬改革推進監 竹 澤   智
競馬改革推進室
特命参事 小 上 俊 雄
県産米戦略監 小 原   繁

会計管理者 菊 池   満
会計課総括課長兼
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係について延べ20人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇上田農林水産部長 平成30年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
 平成30年度は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、一日も早くもとの生活に戻ることを願う被災された方々の思いに応えるため、なりわいの再生に向けた事業を実施いたしました。
 また、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に向け、被害状況に応じた各種支援策を講じ、生産者の早期経営再開を支援しました。
 さらに、本県農林水産業の持続的な発展に向け、復興の取り組みと軌を一にした強い農林水産業と活力ある農山漁村の確立に取り組みました。
 具体的な取り組みと成果につきまして御説明申し上げます。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、水産業関係では、漁港施設や海岸保全施設の復旧、整備に取り組み、このうち漁港施設については、被災した108漁港のうち、市町村管理漁港も合わせ、平成30年度末までに計107漁港の復旧が完了しました。なお、ことし8月末までに108漁港全ての復旧が完了しております。
 また、農業関係では、被災した農地の復旧が完了し、林業関係では、被災した海岸防災林のうち、17地区で植生基盤の造成や植栽を実施し、12地区で工事が完了いたしました。
 さらに、原木シイタケの生産再開に向け、ほだ木の処理や落葉層除去などのほだ場環境の整備に取り組み、平成30年度末までに、13市町、204人の生産者が出荷再開可能となりました。
 次に、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興については、農林漁業者の早期経営再開に向け、農地や林道、漁港施設等の復旧、整備を進め、このうち漁港施設については、被災した30漁港の復旧が完了いたしました。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた取り組みのうち、農林水産業の未来を拓く経営体の育成については、地域農林水産業の中核となる経営体の育成に取り組み、農地中間管理事業やほ場整備事業等の推進により、認定農業者への農地集積面積が拡大したほか、地域牽引型林業経営体数が増加しました。
 消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立については、県オリジナル水稲新品種金色の風や銀河のしずくのブランドイメージの定着に向け効果的なプロモーション活動を展開した結果、米のヒット甲子園2018において、全国の64品種中、上位9銘柄に選出されるなど全国的に高い評価をいただいているほか、環境制御技術の導入によるスマート農業や、ゲノム解析技術を活用した優良種雄牛―種牛でございます―の造成、さらに東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会等を見据えたGAPの導入促進に向けた取り組みを積極的に推進しました。林業関係では、高性能林業機械の導入等により生産体制の強化に取り組み、素材供給量が増加しました。
 農林水産物の高付加価値化と販路の拡大については、商品開発等のアドバイスや実需者とのマッチング支援等の取り組みにより、6次産業化による販売額が増加したほか、県産農林水産物の輸出先として新たにカナダ市場への新規取引先の開拓などに取り組みました。
 いわての魅力あふれる農山漁村の確立については、いわて農業農村活性化推進ビジョンに基づく地域ビジョンの作成と実践、地域活性化の牽引役となるリーダーの育成、多彩な農林水産物や食文化等を活用した農山漁村ビジネスの振興等に取り組みました。
 次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興については、いわて県民計画(2019〜2028)の復興推進プランに基づき、引き続き、海岸保全施設等の復旧、整備を進めるとともに、復興の先を見据えた経営力の高い経営体の育成や、水産物の高付加価値化等に取り組むほか、原木シイタケの産地再生や風評被害対策に取り組んでまいります。
 平成28年台風第10号災害からの復旧、復興については、引き続き、被害を受けた林道等の早期の復旧、整備に取り組んでまいります。
 また、政策推進プランに基づき、収益力の高い農林水産業を実現するため、地域の農林水産業の核となる経営体の育成や、本年4月に開講したいわて水産アカデミーなどにより、意欲ある担い手の確保、育成に取り組んでまいります。
 さらに、スマート農業、スマート林業の一層の普及や、野菜産地の創造に向けた大規模ハウスの団地的整備、漁港等における増養殖モデルの実証に取り組むとともに、生産基盤の整備を着実に進め、生産性、市場性の高い産地づくりを推進するほか、6次産業化の推進等による農林水産物の高付加価値化や販路拡大、地域資源を活用した農山漁村の活性化などに取り組んでまいります。
 以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の平成30年度の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳出決算についてでありますが、平成30年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページの11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費、並びに12款公債費のうち当部が所管するものを合わせまして1、729億2、661万円余であります。これに対する支出済額は1、059億8、915万円余となり、前年度に比較して、金額で76億3、020万円余、率にして7.8%の増となっております。
 また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けた事業などについて、設計、工法の検討に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の404億361万円余、及び工法の見直しにより工事が遅延したことなどによる事故繰越の150億1、895万円余を合わせまして554億2、256万円余となっております。
 なお、不用額は当部全体で115億1、489万円余であり、その主な要因は、東日本大震災津波からの復旧、復興事業における他事業との調整や計画の見直しであります。
 次に、歳出決算の内容につきまして、便宜、お手元に配付しております平成30年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、予算科目ごとに主な内容について簡潔に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
 歳入歳出決算事項別明細書の246ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であります。2目農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金などの制度資金の貸し付けを行う金融機関に対する利子補給及び農業経営改善促進資金の貸し付けに要した経費であります。248ページをお開き願います。3目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。4目農業振興費の主なものは、農業用機械などの導入への補助、中山間地域等直接支払交付金の交付に要した経費であります。250ページをお開き願います。5目農作物対策費の主なものは、鳥獣被害防止対策や園芸栽培施設及び水稲の乾燥調製施設などの整備への補助に要した経費であります。252ページをお開き願います。6目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費及び高度環境制御技術等の実証に必要な機械設備などの導入への補助に要した経費であります。7目植物防疫費の主なものは、生産者及び農薬販売業者に対する病害虫の防除や農薬の安全使用の指導に要した経費であります。254ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費であります。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。256ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費であります。
 次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。258ページをお開き願います。2目畜産振興費の主なものは、家畜飼養管理施設などの整備への補助及び豚食肉処理施設の整備への補助に要した経費であります。3目草地対策費の主なものは、畜産生産基盤などの整備に要した経費であります。260ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費の主なものは、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査、予防に要した経費であります。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 262ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。2目土地改良費のうち当部関係は、圃場整備や農業水利施設の補修、更新、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境の総合的な整備及び地域共同による農地、農業用水等の地域資源の質的向上を図る活動への交付金の交付に要した経費であります。264ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、沿岸地域における農地の生産性及び収益性を高める整備や農地、農業用施設等の自然災害を未然に防止するための防災ダム、農業水利施設などの整備に要した経費であります。266ページをお開き願います。4目農地調整費の主なものは、農地中間管理機構の業務への補助に要した経費であります。
 次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費などの管理運営や県有林事業特別会計への繰出金であります。268ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものは、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金への積み立てや、間伐、高性能林業機械の導入などへの補助、いわて林業アカデミーの運営に要した経費であります。270ページをお開き願います。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除に要した経費であります。272ページをお開き願います。4目造林費は、植栽や間伐など森林の整備への補助に要した経費であります。5目林道費は、林道の整備に要した経費であります。274ページをお開き願います。6目治山費は、治山や地すべりの防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 276ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費などの管理運営や水産科学館の管理運営に要した経費であります。278ページをお開き願います。2目水産業振興費の主なものは、サケ稚魚などの放流支援やアワビなどの放流種苗生産など栽培漁業の推進に要した経費であります。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合などの検査、指導監督や、漁業近代化資金などの貸し付けを行う金融機関に対する利子補給に要した経費であります。280ページをお開き願います。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会などの開催や漁業調整に要した経費であります。6目漁業取締費の主なものは、漁業取締事務所の管理運営や老朽化した漁業取締船岩鷲の代船建造のための基本設計に要した経費であります。282ページをお開き願います。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。284ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の管理運営に要した経費であります。10目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、漁村環境の整備などを重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要した経費であります。
 次に、大きく飛びまして、350ページをお開き願います。11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、震災などにより被災した農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧に要した経費であります。352ページをお開き願います。2目林道災害復旧費は、平成28年台風第10号などにより被災した林道の復旧への補助に要した経費であります。3目治山災害復旧費は、震災などにより被災した治山施設の復旧に要した経費であります。4目水産業用施設等災害復旧費は、震災により被災した水産業共同利用施設の復旧への補助に要した経費であります。5目漁業用施設災害復旧費は、震災により被災した漁場施設の復旧への補助に要した経費であります。6目漁港災害復旧費は、震災等により被災した漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費であります。
 次に、少し飛びまして、360ページをお開き願います。12款公債費1項公債費であります。1目元金のうち当部の決算額は2、425万2、000円で、就農支援資金の国への約定償還分であります。
 以上で一般会計の歳出決算の説明を終わります。
 続きまして、特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成30年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、34ページをお開き願います。
 県有林事業特別会計の歳入及び歳出の予算現額は37億5、073万円余であります。これに対する収入済額は37億1、541万円余で、一般会計からの繰入金などであります。次に、支出済額は36億8、649万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育などに要した経費であります。
 なお、翌年度繰越額は、他事業との調整等に不測の日数を要したことによるもので、繰越明許費4、086万円余であります。
 36ページをお開き願います。林業・木材産業資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は10億859万円余であります。これに対する収入済額は10億1、119万円余で、前年度からの繰越金や貸付金の償還金などであります。次に、支出済額は9億3、043万円余で、木材事業者等が生産流通の合理化や経営改善を図るための低利の運転資金の融通に要した経費であります。
 38ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は9億8、180万円余であります。これに対する収入済額は9億8、192万円余で、前年度からの繰越金や貸付金の償還金などであります。
 次に、支出済額は10万円余で、沿岸漁業改善資金の回収に要した経費であります。
 以上で特別会計の歳入歳出決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 まず最初に、鳥獣被害防止総合対策事業についてお伺いいたします。平成30年度の当初予算2億1、580万円、決算額では1億2、828万円余であります。農作物被害を防止するため、侵入防止柵の設置や被害防止活動人材の育成、確保に向けた取り組みとの説明でありましたが、どのような取り組みを行ったのか、それから実施内容とその成果、課題について伺います。
〇今泉担い手対策課長 侵入防止柵の設置や被害防止活動人材の育成等についてでございますが、侵入防止柵につきましては、本県で開発しました積雪に強い恒久電気柵などの設置を支援しており、これまでに約900キロメートル設定されております。
 また、被害防止活動人材の育成につきましては、県では、市町村における鳥獣被害防止計画に基づく捕獲などの実践活動を担う鳥獣被害対策実施隊の設置を促進しておりまして、これまでに32市町村で設置されております。さらに、市町村が連携した効果的な被害防止対策を推進するため、広域振興局を単位に、野生鳥獣による被害状況、防止対策についての情報交換を行うとともに、捕獲技術の向上のための研修会などを開催しております。
 こうした取り組みの結果、被害額は減少傾向にあるものの、被害のさらなる低減が課題と考えておりますので、今後とも市町村や関係団体と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋はじめ委員 侵入防止柵が900キロメートル設定されているということでしたが、これは全部でどのくらいのうちの900キロメートルなのか、その辺はおわかりになりますか。
〇今泉担い手対策課長 済みません。全体につきましては把握しておりません。
〇高橋はじめ委員 次に、農作物被害状況についてお伺いします。平成30年度の鳥獣による農作物被害はどのようになっているのか。あわせて5年間の推移、そしてその傾向についてお伺いしたいと思います。
〇今泉担い手対策課長 鳥獣被害状況の推移と傾向についてでありますが、本県における平成30年度の野生鳥獣による農作物被害は、全ての市町村で確認されておりまして、被害額は、県全体で約3億7、000万円となっております。
 平成30年度の被害額につきましては、5年前の平成26年度に比べまして約1億円の減少となっております。
〇高橋はじめ委員 鳥類、獣類ということでの被害だと思いますけれども、鳥類での、例えば5年前の平成26年度から平成30年度に向けた傾向。それからニホンジカやイシノシなどの獣類、そのような分類ではどのような状況になっていますか。
〇今泉担い手対策課長 獣種別の被害額の状況でございます。鳥類につきましては、平成26年度から平成30年度にかけまして約8、000万円ということで、ほぼ同額で推移しております。獣類につきましては、平成26年度約3億8、000万円から平成30年度には約2億9、000万円ということで、減少傾向になっております。
 そのうちニホンジカの占める割合でございますが、ニホンジカにつきましては全体被害額の約半分を占めておりまして、平成26年度の被害額につきましては2億5、000万円、それが平成30年度には約1、900万円(後刻「1億9、000万円」と訂正)ということで、大きく減少しております。イノシシにつきましては、平成26年度の被害額74万円に対しまして平成30年度には約1、500万円ということで、こちらのほうは大幅に増加している状況でございます。
〇高橋はじめ委員 鳥類は横ばい、獣類は減少傾向にあるものの、そのうちのニホンジカは減少、イノシシは増加傾向という今の説明でございました。
 野生イノシシによる被害額がふえてきているということでありますが、被害が発生した市町村について、前に聞いたときには10市町というお話でしたが、各市町の被害額はどのくらいになっているのか、わかっていれば教えていただきたい。
 それとあわせて、野生イノシシによる農作物被害防止対策等について、先ほどは防止柵ということでしたが、それ以上の取り組みは検討していないのか、お伺いしたいと思います。
〇今泉担い手対策課長 まず、市町村ごとの被害額につきましては、県全体の傾向を確認することを目的に、地域の数値は公表しないということで市町村に調査をお願いしておりますので、市町村別の被害額についての答弁は控えさせていただきたいと考えております。
 続きまして、野生イノシシの被害防止対策でございますけれども、イノシシなどの野生鳥獣による農作物被害を防止していくためには、有害捕獲とともに、食害等から農作物を守りまして、さらに集落に寄せつけない対策を地域ぐるみで実施していくことが重要でございます。このため県では、市町村の鳥獣被害防止計画を踏まえながら、猟銃あるいは箱わなによります有害捕獲、恒久電気柵の設置、地域全体での被害防止活動への支援を行っております。
 その中でイノシシにつきましては、捕獲技術向上のための研修会の開催のほか、ICTを活用した箱わなの捕獲実証を県内9カ所で行っております。さらには、有害捕獲をより効果的に行うために、一関市あるいは奥州市等におきまして、赤外線カメラ搭載のドローンを活用した生息調査を行うこととしております。
 今後とも、市町村等と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいります。
〇高橋はじめ委員 それぞれの対策が有効に生きていけばいいなと思っております。被害額がふえてきておりますので、その辺をちょっと危惧いたしておりますけれども、しっかりと対策を進めていただければありがたいと思っております。
 市町村ごとの被害額は公表できないという、その理由は何なのか、ちょっと素朴な疑問を持ちました。被害額が出て何が問題なのか。むしろそのことによって、県全体として、いろいろな情報共有を含めて、イノシシの生息に対する注視とかそんなことも出てくるような気がするのですけれども、その辺はいかがですか。
〇藤代農業振興課総括課長 鳥獣被害全体の市町村別の数値公表ということでございますけれども、これにつきましては、調査は市町村にお願いして行っているわけですが、その際に、県全体としての傾向を把握しますということで、公表はしないという形で調査をお願いしているところであります。ことし改めて市町村に公表の可否について問い合わせをいたしましたところ、幾つかの市町村で、やはりちょっと自分の市町村の被害額については公表してほしくないという御希望もございましたので、個別の市町村の被害額については公表を差し控えさせていただいているという状況でございます。
 また、先ほどの答弁を若干補足させていただきます。
 一つ目は、ニホンジカの被害額につきまして、平成26年度に約2億6、000万円の被害が平成30年度に1、900万という答弁をさせていただきましたが、平成30年度では約1億9、000万円という数字になっております。5年間で被害額が2億6、000万円から1億9、000万円へ推移しているということでございますので、お詫びして訂正させていただきます。
 また、侵入防止柵の設置のところで900キロメートルという答弁をさせていただきました。これについては、平成16年から侵入防止柵の設置を始めておりまして、これまで20の市町村で約900キロメートル設置しているというものでございまして、昨年の平成30年度の実績を見ますと約100キロメートルの設置という状況になっているものでございます。
〇高橋はじめ委員 わかりました。そのイノシシの生息数というのは、担当課なのかどうかわかりませんが、県としてどのような実態として捉えているのか、おわかりであれば伺いたいと思います。
〇今泉担い手対策課長 イノシシの生息数につきましては、環境省のほうで、これまでの捕獲実績に基づいた生息数を推定するという手法をとっているところでございます。本県の場合、まだイノシシの捕獲が年間300頭以下と少ない状況でございます。捕獲実績が少ないということで、そういった手法を用いて県全体の生息数を推定することが難しい状況になっておりますので、当面は環境サイドと連携してモニタリング調査を行いながら、たくさん生息している地域の捕獲を重点的に進め、今後、捕獲の実績をどんどんふやしていくという取り組みをしてまいりたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 通常、豚であると10頭を超える子供を産むわけですが、イノシシは聞くところによると五、六頭前後という話も聞いております。捕獲実績が年間300頭ぐらいということでしたので、生息数が何年か後に倍になるとか3倍になるとか、そんなことが非常に心配されるところであります。やはり生息数の調査あるいは生息域の調査といったものはしっかりと連携をとりながら取り組んでいただければと思っております。
 次に、2点目のアフリカ豚コレラの防疫対策について伺いたいと思います。
 豚コレラ対策については、我が会派の五日市代表が代表質問でも取り上げておりまして、知事から答弁もいただいているところでありますけれども、私もこの件については強い危機感を抱いておりますし、また私の地元の猟友会の方々からも、早く対応しないと大変なことになるということも言われております。
 その中で、知事答弁では、豚コレラ発生以降、岩手県豚疾病防疫連絡会議を3回開催して、飼養衛生管理の遵守、豚コレラウイルスの侵入防止対策の徹底、異常発見時の早期連絡などを要請したと。それから、国としては、感染拡大防止へ、野生イノシシを対象とした侵入防止柵の整備費用に対する助成制度創設、県は、この制度の趣旨とあわせて早期設置に向けた県独自の支援策を講ずると、こういう知事の答弁でありまして、今議会に追加予算の準備を進めているということであります。
 このような対策を進めている中、野生イノシシの感染拡大というのはじわりじわりと北進してきております。感染イノシシ発見時、あるいは豚コレラ発見時等、どのような時点で本県がさまざまな対応をしていくのか、初動のところをお伺いしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 豚コレラの発生農場においては、県及び関係団体等が連携し、飼養される豚の殺処分、殺処分された豚及び排せつ物等の汚染部位の埋却、農場消毒を実施することとしております。
 本県では、速やかに防疫対策が行われるよう、防疫作業を行う県職員651名を事前に指名し、研修等を行うとともに、岩手県農業共済組合、岩手県動物用医薬品協会及び岩手県建設業協会等と協定を結び、殺処分に必要な獣医師及び資機材等が円滑に確保できる態勢を構築しております。
 また、死亡野生イノシシで豚コレラの感染が確認された場合には、確認地点の周辺農場への立入検査に加えまして、捕獲による野生イノシシの浸潤状況検査等を行うこととしております。
〇高橋はじめ委員 そういう意味では、野生イノシシの生息とか、猟友会に協力いただいて捕獲しながら検体をとって検査するということを随時行わなければならないということなので、ぜひそのことをやっていただければと思います。
 埋却地に関しては、今度、農林水産省で養豚農家の一斉点検を進めようとしているということであります。飼育豚1頭当たり約1平方メートルぐらいの用地が必要だということです。本県では40万頭ぐらい豚を飼養しているということなので、その分の用地を確保しなければならないということですが、その用地は確保されているのか。そしてまた、それぞれの農場ごとに県として一度、予定地はどういう状況にあるのか、土地はあるけれども、その土地がすぐ利用できるかどうかも確認しておかなければならないと私は思うのですが、その辺の点検等はどうなっているのかお伺いします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 埋却地の確保でございますが、現在134農場ございますが、全ての養豚場で確保済みとなっております。毎年、家畜保健衛生所の職員が立ち入りしまして、現地を確認している状況でございます。
〇高橋はじめ委員 わかりました。確保されていればいいということで、私も安心しました。
 二つ目には、感染すると100%致死ということで、現状では生ワクチンがないというアフリカ豚コレラの侵入防止に向けて、県としてどのような対応策を進めているかということでありますが、まずこの点、代表質問でも答弁がありましたけれども、お伺いしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 アフリカ豚コレラにつきましては、発生国からのウイルスの持ち込み防止のため、国の動物検疫所と連携いたしまして、海外からの旅行客を対象とした畜産物の持ち込み防止及び靴底消毒の実施等、水際対策の徹底を図っているところでございます。
〇高橋はじめ委員 豚肉製品の持ち込み検査は、聞き取りなのか、それとも荷物を点検するのか。あるいは、大きな空港では、においを嗅ぐ犬を活用して持ち込みを防止するという取り組みもあったりしているわけです。どのような形でそれをやろうとしているのか。
 それから、靴底の消毒ということでしたが、タラップをおりてきてどの時点でやるのかということも大事だと思うのですが、場所は御存じですか、お尋ねします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 まず、旅行客の手荷物の検査についてでございますけれども、これは国の動物検疫所及び税関の職員が対応しておりまして、まずは聞き取りによる調査、それから、荷物につきましては抜き打ちで検査すると伺っております。あと、探知犬の配備というのもございますが、これは大きな空港に配置されておりまして、花巻空港には配置されていないというような状況でございます。
 それから、靴底消毒ですけれども、花巻空港の場合ですと、到着したボーディングブリッジから入った場合に、消毒マットを敷いて、そこの上を歩いてもらうことになっておりまして、私どもも現場を確認しております。
〇高橋はじめ委員 万全な体制であるということを確認できました。
 次に、生ワクチンについてでありますが、生ワクチンの接種時期について。ワクチン接種につきましては、国の指定を受ければ、あとは知事の判断でワクチン接種ができるということのようでございます。本県でどの時点でワクチン接種にゴーサインを出すのか、そのところをお伺いしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 国は、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針を10月に改定し、新たに豚への予防的ワクチンの接種を規定しております。
 この指針では、原則的に予防的ワクチン接種は行わないこととしていますが、野生イノシシにおける豚コレラの感染が継続的に感染されるなど、農場が行う衛生管理の徹底のみでは豚への感染防止が困難と考えられる場合、ワクチン接種地域を指定しまして、指定された都道府県は、知事の判断により予防的ワクチン接種を行うことができることにしております。
 今後、関東地域の養豚業が盛んな県において新たに発生が確認されるなど、さらなる状況の変化が認められた場合には、生産者等の意向を確認した上で、本県の接種推奨地域への指定等について、国への要望を検討していきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 初動が大事ですので、そのタイミングを見誤らないように、おくれることなく適切な対応をお願いしたいと思っています。
 それから、国も県も侵入防護柵の支援助成を検討しておりますけれども、生ワクチンの助成については何も今までのところ言及がないのです。これについては、どのくらいワクチンの接種費用がかかるのかお伺いしたいし、あわせて、このワクチン代は全て養豚農家が負担していかなければならないのか。県とか国の支援策が今検討されているのかどうかも含めて、どのような対応をするかお伺いしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 豚コレラのワクチンについてでございますが、豚コレラワクチンの購入費につきましては、国及び県がそれぞれ2分の1を負担しまして、生産者の負担は発生しません。ですが、接種手数料といたしまして、岩手県手数料条例により、1頭当たり310円を生産者の方に負担していただくこととなります。
 なお、報道によりますと、現在ワクチン接種を行っている県の半数は、初回のワクチン接種手数料を免除しているというような情報もございました。
〇佐藤ケイ子委員長 高橋はじめ委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇高橋はじめ委員 手数料310円、それで、免除している県もあるというただいまの回答でございました。40万頭という数値からいきますと、やはり飼養農家に相当大きな負担があると思うのです。手数料の免除ということをぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、ワクチンそのものが、現状は150万頭ぐらいの国の備蓄であるということです。大きく広がるとなかなかワクチンの準備もできないのかなと思ったりもしているのですが、県としての備蓄はあるのかないのか。あるとすればどのくらいあるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 手数料につきましては、繰り返しになりますが、手数料条例による規定がございます。ただ、一方では、初回のワクチン接種料を免除している県もあるということですので、その辺は参考にさせていただきたいと思います。
 それと、ワクチンの備蓄についてでございますが、ワクチンの備蓄は国が行うもので、県には備蓄のワクチンはございません。あくまでも国が備蓄するものでございます。
〇高橋はじめ委員 備蓄は国でやるということなので、これはしようがないと思いますが、手数料の件につきましては、私は前向きにお願いしたいと思いますが、最後に部長の所感を聞いて終わりたいと思います。
〇上田農林水産部長 手数料の話がございましたけれども、生産者の方々の負担ができるだけないように、これから検討を重ねてまいりたいと思います。豚コレラにつきましては、もう関東地方まで及んでおりまして、切迫した状況と考えております。これからいろいろな対策がございますけれども、できる限り先を見て、おくれることのないよう取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋穏至委員 私からは2点質問させていただきます。
 まず最初に、新規就業者といわてニューファーマー支援事業についてですが、主要施策の成果に関する説明書において、事業の取り組みの指標が目標達成A評価であるけれども、自営就農者の目標数は175人に対して121人と未達成であるということなのですが、これをどのように分析しているかお伺いいたします。
〇高橋農業革新支援課長 自営就農者の目標に対して未達成である状況についてでございますけれども、平成30年度の新規就農者数は全体で245名となっておりまして、その内訳として、自営就農者が121名、これはおよそ49%、雇用就農者が124名で51%となっております。
 このような中身でございますけれども、近年、農業経営体数は減少する傾向にある一方で、個々の経営体が大型化し、雇用就農する方が多くなってきていることで割合がこのような形になってきているということで、相対的に自営就農者の数が割合としては減っていると見ております。
〇高橋穏至委員 資料をいただきまして、数値も見させていただいたのですが、どちらかといいますとこの事業については後継者対策の部分もあって、ある程度そちらのほうは効果を上げているという説明もありました。私が一般質問で取り上げた、特に条件の悪い中山間地域の後継者育成あるいは、やはり外から来ていただかないと継ぐ人がいないという状況の中で、この制度だけではなかなか難しいのかなという条件の悪い地域があると思うのですが、そういった地域に対して、新規就農あるいは外からの呼び込みといったような関連する事業で成果を上げている例がないかお伺いいたします。
〇高橋農業革新支援課長 中山間地域等の条件の悪い地域での新規就農者の確保ということでございますけれども、県といたしましては、そういった条件の悪いところでの自営就農者の確保ということで、県内外における就農相談会の開催等でUターンやIターンの就農促進を図るとともに、農業経営に必要な知識や技術の習得支援、またIターン者への住居の紹介や農地のあっせんなどといった取り組みを通して、中山間地域等の地域の担い手として新しい就農者が定着するように取り組んでいるところでございます。
〇高橋穏至委員 特に当該の町村では本当に重大な課題でございまして、それぞれの町村で取り組んでいる事業もあると思うのですが、その事業の中で組み合わせてさらに支援が欲しいとか、そういった要望等は出ていないでしょうか。
〇高橋農業革新支援課長 各市町村でも、農地のあっせん等、あるいは住居の紹介等の取り組みを行っております。県といたしましても、そういった動きと連携しながら、新たな就農者が確保できるような取り組みをしていきたいと思っております。
〇高橋穏至委員 ぜひ市町村との連携を密にして、市町村がそういった成果を上げられるような支援をさらに考えていただければと思います。
 それでは続いて、畜産振興費、家畜改良増殖対策事業についてお伺いいたします。畜産振興の目標としている繁殖雌牛の飼育頭数は統計結果が公表されておりますが―これは主要施策の成果に関する説明書では、判定されていないが―子牛の供給が追いつかず、現在、高値が続いております。繁殖農家の高齢化等で生産がなかなか続かない状況でもありますが、幾つかの事業をそれに関して行っているようですが、その見通しについてお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 本県の肉用牛の繁殖経営につきましては、全国に比べて規模が非常に小さいことから、規模拡大による経営体質の強化が必要であるということでございます。
 このために、県単の家畜導入事業であるとか、農畜産業振興機構の肉用牛経営安定対策補完事業等を使いまして優良な繁殖雌牛の導入、さらには規模拡大のための牛舎の整備に向けて、畜産クラスター事業のほか、キャトルセンターの整備といったことを進めております。
 こういった取り組みによりまして、本県の繁殖雌牛の飼養頭数でございますが、平成28年度以降増加に転じております。平成31年2月時点では、前年に比べて500頭ほど増加しているところでございます。
〇高橋穏至委員 事前に資料もいただいたところですが、そのほか繁殖の貸付制度とかさまざまあるというお話も伺っておりますが、若干ふえているとはいうものの、どうしても、なかなか大きくはふえていない。その中でよく聞かれるのが、いわて牛というブランドもあるのですが、前沢牛とかきたかみ牛とかさまざまなブランドがある中で、岩手を売り出すというような、特に大きい消費地に対して岩手の畜産のブランド化という部分にかなり課題があるようです。その中でよく言われるのが、規模というかボリューム、牛の数がまだまだ足りていないというお話もお伺いします。
 子牛の高値は繁殖農家にとってはいいのですが、飼育農家にとっては非常に厳しい状態で、優秀な子牛が実はほかの県に行って別なブランドで出るというような状況も出ているようです。
 そういった中で、子牛の確保というのは非常に重要なことではないかと思うのですが、畜産振興対策推進費の中で、農業協同組合を通して、そういった部分の予算の枠もそんなに多くはとれないというお話もあったのですが、もうちょっと目標的に高く持っていかなければならないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇菊池畜産課総括課長 今委員からお話のありました家畜導入事業につきましては、限られた予算の中で、平成30年度につきましては45頭の貸し付けを行っております。もちろんこの頭数では足りないわけでございますので、独立行政法人農畜産業振興機構の肉用牛経営安定対策補完事業という事業がございます。こちらを活用しながら、昨年度は560頭ほどの導入も県単事業とあわせて行っておりますので、昨年度は560頭ほどの導入も県単事業とあわせて行っておりますので、こういった事業を組み合わせながら、効率的に導入の支援を図ってまいりたいと考えております。
〇高橋穏至委員 これから来年度の予算編成に入ると思うのですが、そういった見通しを立てて、ぜひ予算確保していただいて、拡大していただければと思います。
〇千葉絢子委員 私からは、県オリジナル米の現状と今後の方向性についてなど数点伺いたいと思います。
 まず、農林水産部の皆さんが、県産米のブランド化戦略を考えているときに何を思い浮かべているか、どういうゴールを目指しているか、まずは部長にお伺いしたいと思います。
〇上田農林水産部長 オリジナル品種のブランド化に当たりましての考え方でございますが、銀河のしずく、そして、金色の風をデビューさせまして、今のところ非常に高い評価を受けております。
 こういった高い評価を背景といたしまして、そういった評価が県産米全体に及んで県産米全体の評価が上がるように、取り組みをいろいろ工夫しながら進めてまいりたいというのが考えでございます。
〇千葉絢子委員 以降の質問は、ただいまの部長の答弁を前提にお伺いしたいと思います。
 県産米全体の底上げにつながればと、そのきっかけとして二つの基幹米といいますか、銀河のしずくと金色の風の二つのブランドを掲げていると私は思っております。私は、県産米のブランド化戦略を考える際に一番大事なのは、生産者が笑顔で収穫期を迎え、そして、笑顔で年を越すという場面なのです。その映像を思い浮かべています。
 昨年、岩手県米穀園芸生産流通議員研究会でニュージーランドを訪問した際、ニュージーランドでは、どの農家も楽しそうに家族で農業に取り組んでいました。また、政府ともしっかり農業対策、施策に対して、対話を通して自分たちの考えを伝える関係がうまく構築されていまして、1985年を最後に、農家に対する補助金は、ニュージーランドでおおよそ全てカットになったと聞いております。しかし、それぞれの農家が独自の方法でしっかりと国の農業施策と方向性を一にして、そして、楽しそうに取り組んで、夢を語る姿に大変衝撃を受けて帰ってまいりました。
 金色の風の作付面積は、この実施状況報告書を拝見いたしますと、目標の600ヘクタールの4割以下にとどまっているのが数字で見てとれます。このブランド米の戦略の効果は当初の計画どおりになっているのか、今後はどのように進めていくのか、あわせて自己評価をしていただきたいと思います。3年を迎えておりますので。では、この点についてお願いいたします。
〇小原県産米戦略監 金色の風の作付面積が4割にとどまった理由、そして、その目標に対して効果はどうなのか、どういった成果かというお尋ねでございます。
 金色の風につきましては、より高い品質と高価格帯での取引の確保とブランドイメージの定着を目指しまして、いわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づき、いわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部会議のメンバーであります大手米卸業者などの意見、また、生産を担いますJA等からの要望を踏まえまして、作付計画を毎年度精査することとしております。生産地域や生産者を限定して作付を推進したこともございまして、結果的に、御指摘のございました、いわて県民計画(2019〜2028)の具体的な推進方策指標に対しまして作付面積が下回ったものでございます。
 こういった流れの中で、戦略の効果についてでございますけれども、例えば、業界紙によりますと、令和元年産米の10月現在の取引の際の基準価格によりますと、金色の風が全国第3位の価格と戦略の目標を上回っておりまして、これまでの取り組みの成果があらわれているかと考えております。
 今後につきましても、この戦略に基づきまして、生産面では、生産者の栽培技術の向上を図るため、栽培マニュアルの充実に加え、リモートセンシング技術の普及に取り組むとともに、販売面では、県内外でのトップセールスによります高価格帯での取引と販路の拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 売上額についてもお示しをいただきました。平成29年産米金色の風は3億3、300万円、そして、昨年度、平成30年産米は6億3、600万円の売り上げが小売価格からの試算によって示されたわけですけれども、販売戦略についてはどの点が成功しているか。また、銀河のしずく、それから金色の風それぞれの広告費としてどれだけ投資しているのか、その額をお示しいただきたいと思います。
〇小原県産米戦略監 金色の風の売り上げの評価でございますけれども、平成29年産米の3億円に対しまして、平成30年産米については、あくまでもこれは試算でございますが6億円ということで倍増と。これは流通量の増加もございますけれども、いわゆる高値での取引といったようなところを十分に意識して取り組んだこともございまして、最終的には、我々が目標としております単価での流通がされているものと考えております。
 また、銀河のしずくの販売額についての御質問がございましたけれども、あくまでも生産量と小売価格での試算ということでございますが、平成29年産米が15億6、000万円、そして、平成30年産米は26億4、000万円となっております。
 また、あわせて、それにかかわる広告費用という御質問もございましたけれども、金色の風につきましては、県のPR経費といいますか、日本一の美味しいお米生産・販売戦略事業がございますが、そちらの予算で、特にこの部分がPRと切り出しはできませんので、全体の予算額でお示ししますけれども、平成26年度は7、400万円余り、平成30年度は6、800万円余りとなっております。
〇千葉絢子委員 銀河のしずくについてはいかがでしょうか。
〇小原県産米戦略監 失礼いたしました。
 銀河のしずくの広告費につきましては、全体的な広告を全国農業協同組合連合会岩手県本部で担っていただいておりますので、そちらにつきましては、問い合わせをしたところ、非公表ということで、私どもでは残念ながら捉えておりません。
〇千葉絢子委員 広告の費用対効果を見るのに、やはり幾ら元手をかけたかは非常に大事なことであると私は思いますけれども、銀河のしずくの広告費はなぜ非公表なのか、全農岩手県本部にはお聞きになりましたか。
〇小原県産米戦略監 問い合わせの結果は、答えられないということでございましたので、それにつきましては、特に問い詰めるようなことはしておりませんので、現時点で入手しておりません。
〇千葉絢子委員 県と全農岩手県本部が、この岩手のブランド米の二枚看板である金色の風と銀河のしずくをばらばらに広告し、販促しているのは、非常に非効率的に見えるのですけれども、なぜ役割分担をしているのでしょうか。
〇小原県産米戦略監 金色の風と銀河のしずくを別々に販促しているのではないかという御質問でございますけれども、金色の風、銀河のしずくにつきましては、これまで全農岩手県本部と連携いたしまして、大消費地や大手米卸業者に対するトップセールスや米穀専門店を訪問してのPR、県内外でのテレビCMなど効果的なプロモーションに取り組んでまいりました。
 この結果、五つ星お米マイスターが推薦する米のヒット甲子園で、連続で最終審査に残るとか、あるいは、取り扱い米穀店が、金色の風、銀河のしずくについてもそれぞれ倍増するなど、強い引き合いをいただいているところでございます。
 銀河のしずくにつきましては、生産量の拡大に伴いまして、全農岩手県本部が中心となり大手米卸業者への売り込み等を行っております。また、金色の風につきましては、県が中心となりまして、県産米のフラッグシップとして、その特徴を消費者の皆様方にしっかりお伝えできる米穀専門店等への訪問を行っておりまして、それぞれの役割を担いながら、緊密に連携して取り組んでいるところでございます。
〇千葉絢子委員 やはり、お互いにきちんと話して一体的に売っていくことで、岩手県産米の強みというのは相乗効果があるのだろうと思います。
 私が、青森県のおみその売り方は大したものだと思ったのが、青森県で有名なのは津軽海峡ですね。そのおみそのネーミングに津軽海峡と冬景色という2種類を出しているわけです。それを並べて販売することによって、どっちも味わってみようというような、そういう消費者の購買意欲をかき立てる売り方が、青森県は非常に上手なのですね。
 対して岩手はと申しますと、先ほど成功例についてもちょっと御披露いただきまして、例えば、米のヒット甲子園での入賞というのは私も存じ上げておりますし、取り扱い米穀専門店数が倍増したというところを挙げていらっしゃいますけれども、それでは弱いのですよ。残念ながら、国内の米市場は既に飽和状態で、国民は米に困っていないわけなのです。これだけブランド米があふれている状況で、その新参者が新しい市場にシェアをどう獲得していくか、その戦略は、農林水産部だけで考えてはいけないと私は思うのですね。
 例えば、現在のCMはのんさんを起用していますが、その効果について、CMの本数、それからエリアの内訳についてもお伺いしたいと思いますし、今の売り方では、恐らく今後市場は伸びていかないだろうと私は思っておりますが、新しい戦略についても、今考えているところかどうかお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 のんさんを起用した広告の展開等々についてのお尋ねでございますけれども、プロモーションにつきまして、県では、金色の風のプロモーションを実施するに当たりまして、おいしい御飯にこだわる人から愛され続けるお米としての金色の風のブランドイメージが、しっかりと消費者や実需者に広く浸透するような内容であることなどを要件といたしまして、企画提案選考委員会を開催し、4件ほどの提案があったかと記憶しておりますけれども、その結果、のんさんを起用する企画提案が採用されたということになっております。
 そのCM等々でございますけれども、予定も含めましての答弁になりますが、テレビCMにつきましては、首都圏はテレビ朝日を中心にして、県内では県内の民放4社、それぞれ放送期間は、首都圏では10月29日、イベントをした日から11月いっぱいまで、県内におきましても、県内のイベントを開催しました10月13日から11月30日までとなっております。
 放送回数につきましてもお尋ねがございましたけれども、首都圏につきましては、視聴率の積み上げということで、高視聴率の番組についてはちょっと本数が低くなる、あるいは時間帯によっては長さ、回数がふえるということで、本数といいますよりも全体の視聴率の積み上げということで予定をしております。県内につきましては、これは大体でございますけれども、各局20本程度ということで、4社でございますので80本程度のPRになろうかと思います。
 今後の考え方でございますけれども、金色の風、銀河のしずくともさらなる販売促進につなげるため、訴求力のあるコンテンツを用いたPRを進めていきたいと考えておりますし、あわせて、SNS等を活用した情報発信など、より効果的なプロモーション活動について検討していきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 御丁寧な説明ありがとうございます。今の御説明でいくと、各局20本、県内で80本ということですが、県内で1カ月半の放送期間で各局20本というと、1日1本も放送されないわけですね。キー局に関しましては、この金額とこの時間帯だと30本ぐらいじゃないかと予想するわけですけれども、先ほど小原県産米戦略監からもお話がありましたように、全国的に訴求力のあるコマーシャルをつくっていかなくてはいけない。そして、それは県内で売るのか首都圏で売るのか。やはり引き合いを首都圏で求めたいのであれば、首都圏での広告戦略を充実させていく必要があるだろうと私は思っていますが、マーケティングというのはどれぐらいしていますか。のんさんを起用して、どの層をターゲットとして訴求していこうと思っているのかお聞かせください。
〇小原県産米戦略監 CMの効果はいかがかというお尋ねだと思いますけれども、金色の風につきましては、首都圏、関西圏での認知度が比較的高く出ております。銀河のしずくにつきましては、首都圏あるいは中京圏ということで、一定程度の量が流れている地帯では、着実に認知率が上がってきていると考えております。
 なお、金色の風の購買層につきましてアンケートをとっておりますけれども、それによりますと、年収別で800万円以上の世帯では金色の風の認知率が上昇しておりますし、銀河のしずくにつきましては、600万円から800万円の世帯で上昇しているということでございます。こういったターゲットといいますか認知度が上昇する層がある程度見えてまいりましたので、そういったところに訴求できるようなプロモーションを一層考えていきたいと思います。
〇千葉絢子委員 大切なのは、県が把握している600万円から800万円の年代層とCMを打っている時間帯にその番組を見ている視聴者層がマッチするかというところなのですね。そこがしっかり合致しているかどうか、男性なのか女性なのか、そこをもう少ししっかり見ていく必要があるのだと思います。
 皆さんは、ふだんの食卓に上るお米を御自身で買いに行かれますか。それとも家計を預かる奥様にお任せしていらっしゃいますか。恐らくは御家庭でのお米は奥様が買いに行くのではないか、週末、一緒に買いに行ったときも、選ぶのは女性なのではないかと私は思うわけです。
 高齢者の方は、お米は重いので、10キログラム入りとかをそんなに頻繁に買うことはできないわけです。お昼は、うちの父も実家でひとり、独居でございますけれども、パンや麺類を好んで食べているのですね。ということで、お米を買う量と頻度、回数を稼いでいるのは、まさに成長期の子供を持っている家庭の主婦なわけです。その方々への訴求力として、のんさんは本当に適格かどうかというところを私は常々疑問に思っているのです。
 これは広告業界、それからテレビ業界の流れといたしまして、なぜのんさんの起用について私がこう申し上げるかというと、テレビの世界では、事務所に不義理をしたタレントはなかなか使いづらいというイメージがありまして、それで、東京でののんさんのコマーシャルは扱いが少なかったわけです。つまり、7、000万円を使ってどの層に訴えるかというと、県内の600万円から800万円の世帯年収の人たちなのではないか、そういう人たちしか買えないのではないかというのが私の疑問なわけですよ。
 問題は、やはりどの程度マーケティングをしているか。それは、今、年代とか年収の話をしましたけれども、最近、パナソニックの炊飯器に金色の風コースができましたというコマーシャルをよく目にしますが、主婦が選ぶのは象印かタイガーなのですよ。パナソニックではないのです。そういうところもしっかり見てマーケティングをしていただかないと、本当にピントのずれた販売戦略に7、000万円を使ってしまう。
 問題は7、000万円の広告費なのですね。私は以前、銀河のしずくのPR戦略の企画書をつくって、個別に皆さんに御提案したことがあります。歌舞伎座、そして、市川海老蔵さん一家を起用するというものですが、それは3年たった今も、残念ながら実っておりません。
 しかし、来年の東京2020オリンピック・パラリンピックを前に、去年、新潟県では新之助という新しいブランドのお米がデビューしました。パッケージは成田屋、市川海老蔵一家がお家芸としている連獅子を連想させる赤と白の直線のパッケージなのですね。この新之助は、来年の東京2020オリンピック・パラリンピックの直前、5月に市川海老蔵さんと息子の勸玄君が、それぞれ團十郎、新之助を襲名します。それに合わせて新潟県だったら何かしらの手を打ってくるのではないかと、私が新潟県の県産米戦略室の職員だったら考えます。やはりそういう可能性を見つけたらば、すぐにやるのが戦略だと私は思っています。
 一気に全国的な知名度を獲得するにはすぐ取りかかるべき広告戦略のヒントを、私はこの秋に、佐々木茂光委員の地元の陸前高田市米崎町の水田に得ました。というのは、金色に実った水田の中を両手を広げて歩くようないでたちのかかし、その姿が風の谷のナウシカだったのですね。ナウシカの有名なフレーズに、その者蒼き衣をまといて金色の野に降り立つべしという古き言い伝えはまことであったというのがあるのですけれども、私は、金色の風の谷のナウシカというジブリとのコラボレーションを御提案したいと思っています。
 幸い、今月末に岩手県立美術館でジブリの大博覧会がありますね。これは絡んでいるのは多分テレビ岩手だったと思いますけれども、私の古巣とは全く関係がない、そして、金色の風のコマーシャルが流れるテレビ朝日とも全く関係がないのですが、この機を捉えて、ぜひ金色の風の谷のナウシカ戦略をジブリの関係者がいらっしゃるこのタイミングに仕掛けてはいかがかと思います。
 前回の販売戦略は他県にパクられたというようなお話も聞きましたが、それはパクる間を与えるからなのです。戦略というのは、これがぱっと出たらすぐ取りかかる、ほかにつけ入るすきを与えないスピードが非常に大事だと思うのですけれども、このジブリとのタイアップ案、いかがでしょうか。上田部長に伺います。
〇上田農林水産部長 委員から大変すばらしい御提言をいただきまして、私もジブリ、ナウシカもファンでございまして、そういったことでは非常に効果が期待できる内容かと存じます。ぜひ参考とさせていただいて、今後検討をさせていただきたいと思います。
〇千葉絢子委員 ありがとうございます。やはり私は、生産者が喜んで生産をして、収穫をして、これで行けるという実感を早く持っていただきたいと思っています。川村伸浩議員からの一般質問などでもいろいろとお話があるわけですけれども、生産者は迷っているのです。このままブランド米をやっていいのか、それともひとめぼれに戻ったらいいのか。皆さんに自信を持っていただくために我々ができることは、いかに売れる米をつくるかということだと思っております。ぜひ、いろいろなアイデアがおありとは思いますけれども、農林水産部だけで考えるのではなくて、この広告戦略にはジブリ、それから東京の代理店も含めて多角的に取り組んでいただいて、来年の予算に間に合うようなスピード感のある企画を求めて終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員 私は、肉用牛の振興対策と土地改良の問題について質問させていただきます。
 まず、肉用牛の振興対策でありますけれども、岩手県も海外輸出に取り組んで久しくなっておりますが、海外輸出の肉用牛の現状、そして範囲、これからの見通し、また、課題等があればお示しをいただきたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 肉用牛の海外輸出の状況についてのお尋ねでございますが、株式会社いわちくの平成30年度における牛肉の輸出実績について申し上げますと、前年対比28%増の約267トンでございます。その輸出先でございますが、香港や米国等となっております。
 なお、ただいま申し上げた数字でございますが、株式会社いわちくは、東日本では数少ない輸出食肉取り扱いの認定取得をしております施設でございまして、実績数値の中には他県産のものも含んでいるということでございます。
 本県の牛肉輸出については、ただいま申し上げましたように、年々増加しているところでございますが、さらなる輸出拡大に向けては、安全・安心で品質やおいしさにすぐれた県産牛肉を積極的にPRし、現地の流通関係者や消費者から高い信頼と評価をかち取っていくことが重要であると考えております。
 県といたしましては、経済成長が著しく、日本食レストランが増加しているアジア、北米に加え、新たに牛肉の輸出が解禁されましたオーストラリアをターゲットにいたしまして、引き続き、PRレセプションやフェア、商談会を通じ、県産牛肉の評価の向上と新たな販路の開拓、拡大に取り組んでいくこととしております。
〇岩渕誠委員 たしか5年前の海外への輸出量は50トン程度だったと思いますから、この5年間で海外輸出は5倍にふえていると思います。株式会社いわちくの施設整備等も含めた成果がいろいろ出ているのだろうと思いますが、EUのほうもターゲットとしてあると思います。ただ、非常にハードルが高いものですから、全国的にも、これを出荷できる権限を持っている処理場は2カ所しかなかったと思いますので、これはぜひ次の展開に備えていただきたいと思います。
 5倍になったいわて牛、海外での展開になりますが、実はそうなってくると、やはり海外におけるブランドの保護をどうしていくかという問題が出てくると思います。笑い話になりますけれども、私の地域の生産者、それから肉屋が、パリに行っていろいろやってきたときに、パリの生産者からは、和牛というのは日本のものなのですかと、日本にもあるのだという言われ方をして大変びっくりしてきたという話があるのですが、いずれ、岩手のブランドを海外でどう守っていくか、この対策はどうなっていますか。
〇高橋流通課総括課長 県産肉用牛のブランドの保護対策についてでございますけれども、県産和牛の輸出拡大を図っていくためには、海外で流通しているオーストラリア産などのWAGYUと日本産和牛の違いにつきまして、現地の流通関係者や一般消費者にしっかりと認識、理解してもらうことが、ただいま委員からも御指摘がございましたように、極めて重要であると考えております。
 このため、国におきましては和牛統一マークを制定しておりまして、外国産和牛との誤認の防止や、その品質やおいしさなどを海外の消費者にしっかりアピールしていく取り組みを進めているところでございます。こうしたオールジャパンの取り組みをまずは進めることが重要であると考えております。
 また、本県の地域ブランドとしての保護対策といったお話がございましたが、例えば、国の地理的表示保護制度、いわゆるGI制度でございますが、こうした制度の活用も考えられますが、この制度につきましては、地域ブランドとして国がその品質を認めた産品といったお墨つきをいただけるメリットがある一方で、品質や生産方法における厳格な基準など登録に向けた課題も抱えているところでございます。
 今後、農業団体等の意向も踏まえながら、しっかりしたブランド保護に向けた取り組みの検討を進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 いずれ海外で肉用牛を展開すると、これは肉用牛に限った話ではありませんが、現地での商標をきちんと取るなりブランドを保護していかないと、簡単にすりかえられると思います。
 私が二十数年前に担当した事件がありまして、これは皆さんも御承知の繁殖牛のにせ精液事件でありました。品種の違うものの種をつけて売って、それで損害が出たということで、岩手県の場合は当時、遠野市を中心に大きな被害が出たわけであります。種雄牛の精液なども、これは去年海外に持ち出そうとして騒動になりましたけれども、そういった管理もきちんとしていかないと簡単に流出してしまうわけであります。
 今でも和牛精液の残った後のストローと出てくる頭数が合わないというケースが厳密に言うとあると思います。そこをしっかりやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇菊池畜産課総括課長 和牛精液等の不正流出防止対策についてでございますが、昨年6月に和牛の受精卵、あるいは凍結精液が不正に中国に持ち出された事件を受けまして、国は、都道府県に対して、和牛精液等の適正管理について指導を徹底するように通知したところでございます。
 県では、国の通知に基づきまして、県内に81ある家畜人工授精所の稼働状況を調査いたしました。また、研修会を通じて、家畜人工授精師や畜産経営者に対して、和牛精液等の適正な管理について周知徹底を図ったところでございます。
 また、国は、専門家で構成する和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会からの提案を踏まえて、和牛精液等の国外利用の禁止などを盛り込んだ契約を和牛精液の譲渡の際に締結するように、都道府県に対し通知したところでございます。
 これを受けて、県では、本県の和牛精液の供給団体であります一般社団法人岩手県畜産協会に対して、契約の締結について指導したところでございます。
 今後とも、国の動向に注視しながら、関係団体と連携し、家畜人工授精師を対象とした研修会などを通じて、和牛精液等の適正な管理について指導を徹底してまいります。
〇岩渕誠委員 いずれ抜け道はいっぱいあるわけです。万全な管理をして海外展開を図る上で、きちんとやっていただきたいと思います。
 ただ、一方で海外での展開を見据える前に、足元の国内でのいわて牛のブランドというのは、残念ながら非常に低下していると私は思っております。東京食肉市場株式会社への上場頭数などを見ますと、この5年間で3割近くいわて牛の上場頭数は減っております。
 単価からいうと減少に伴って上がっていますけれども、他地域での比較で見ると、これはちょっと惨たんたる状況だと思います。宮城県あるいは栃木県は岩手県のライバル的な産地となるわけでありますけれども、1頭当たり現状でどれぐらい違うか認識はありますか。
〇高橋流通課総括課長 枝肉の東京食肉市場株式会社における卸売価格についてのお尋ねでございますが、本県におきましては、平成30年の県産和牛の去勢の場合の価格をお答えしたいと思いますが、1キログラム当たり、A5等級ですと2、920円という状況でございます。同じくA4ですと2、597円といった価格ということでございます。
 この価格につきましては、近年、先ほどもお話のありましたように高値傾向でございまして、A5等級の場合ですと、5年前の平成26年度と比較いたしますと500円ほど、それ以上上昇している状況でございます。
 一方で、ただいま他県との比較というお話がございました。宮城県、栃木県と二つの県との比較についての数字をお話し申し上げますが、平成30年度の実績で比べますと、A5等級の場合は、宮城県が2、912円、それから栃木県が2、820円ということで、わずかながらではございますが県産の肉用牛が上回っている状況であると承知しております。
〇岩渕誠委員 高橋総括課長、そういう答弁をしてはだめですよ。指導機関は1キログラム当たりの単価で出しますが、農家サイド、経済団体からすると1頭幾らなのですよ。1頭幾ら。岩手県の牛は、今、宮城県と栃木県に比べて、平均でいうと12万2、000円から12万6、000円ぐらい安いのですよ。
 この原因は二つあります。一つは生体の枝重が足りないということ。40キログラムから50キログラム、つまり日本の今の牛のつくり方は増体傾向になっていますから、これは繁殖段階から品種改良して増体しているのですが、岩手県はなかなかその増体に行かないと。そして、もう一つはブランドの低下だと思っています。
 私は、増体は、今生体で1トンの出荷というのは珍しくありませんけれども、動物福祉の観点からいうと、それはやり過ぎだろうという思いもありますから、要は、ブランド力をどうやって高めていくかというところでカバーしていかないと大変だろうと思っています。
 今、東京食肉市場株式会社への上場頭数は、ついに昨年度5、000頭を切りました。そうすると、定時定量に買うことによってブランド力は上がるわけですけれども、これができなくなっているというのが、私はブランド力とか単価の部分での伸び悩みにつながっているのではないかと思いますが、どうお考えですか。
〇高橋流通課総括課長 東京食肉市場株式会社への上場、そして、そのブランドの状況といったようなお尋ねでございますけれども、まず、東京食肉市場株式会社におきましては、平成30年度には、県産牛全体になりますけれども、県外へ出荷している頭数は1万8、000頭余りとなっていますが、そのうちの約27%が東京食肉市場株式会社に出荷されております。数にして4、874頭の和牛が上場されているところでございます。これにつきましては全国第6位という実績でございます。
 こうした中で、上場頭数につきましてお話がございましたけれども、市場関係者からは、今、委員がおっしゃるように、ある一定のロットを確保し、定時定量で出荷することが市場における優位性を得ることであるといったお話も頂戴しております。そういったお話からまいりますと、なかなかそれにお答えできていない状況があると認識しております。まずはロットの確保であり、そして、定時定量で出せるような出荷調整の仕組みが必要ではないかと認識しております。
〇岩渕誠委員 私は、総体の量としてはまずまずだと思うのです。できれば5、000頭台を維持してほしいと思うのですが、実際は、いわて牛というブランドが、イベントのときだけいわて牛、協議会の名前だけがいわて牛で、実際の販売場面においては、いわて南だったり、いわて奥州だったり、前沢だったり、いわてきたかみだったり、非常にブランドが分散して岩手という認識は非常に薄くなっている。私は、やはりブランド統一をきちんと日ごろからやらないと、これはどんどん下がっていくと思うのです。
 若手は、もうやる人は決まっていますから、とにかく農協ブランドではなくて、いわて牛のブランドでやってもらわないと困るというのが若手の経営者の悲痛な声なのです。私は、これは一刻も早くやるべきだと思いますが、いかがですか。
〇高橋流通課総括課長 本年5月でございますが、いわて牛普及推進協議会、この協議会は県、それから市町村、農業団体でつくっている協議会でございますけれども、この協議会におきまして、いわて牛生産流通戦略を策定いたしました。この戦略に基づいて、関係者が一体となって、いわて牛の生産から加工、流通までの関連施策を総合的に推進してまいりたいというものでございます。
 ただいま委員からお話がございましたブランドの統一でございますが、この戦略に基づいて、農業団体の皆様方としっかり連携しながら、今後、統一ブランドいわて牛としての出荷頭数の確保でありますとか、先ほど申し上げましたが、それに向けた体制、仕組みの整備を図るとともに、消費者、実需者に応じたきめ細やかなマーケティングを行いながら、産地の歴史でありますとか風土、生産者のこだわりといったような情報をしっかり発信して、他産地との差別化を図っていきながら、統一ブランドといったようなブランド力の向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これは、農業団体に任せるとどうしてもいろいろなエゴが出てきます。県がやはり主導してやっていただきたいと、これは要望しておきます。
 次に、中山間地域の土地改良と農地政策についてお尋ねします。
 御承知のとおり、岩手県の農地面積の8割近くは中山間地域になっております。岩手県の農業をどうやって振興していくかは、中山間地をどうするかということにほかならないと私は思っておりますけれども、中山間地の土地改良の進捗状況についてお知らせいただきたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 中山間地域における土地改良事業の実績ということでございますが、まずは平成30年度の県営事業で実施した地域の受益面積は、延べ11万9、000ヘクタールでございます。そのうち中山間地域では72.4%の延べ8万6、000ヘクタールで実施しておりまして、事業費につきましては139億1、000万円余のうち、中山間地域では83.7%の116億5、000万円余となっております。
 また、団体営事業で実施いたしました地域の受益面積、延べでございますが、今までで1万2、000ヘクタールでございまして、そのうち中山間地域では31.9%の延べ4、000ヘクタールで実施しておりますし、事業費につきましては、3億9、000万円余のうち、中山間地域では69.8%の2億7、000万円余となっております。
〇岩渕誠委員 私は、今着実に進んでいると思いますが、一つ、県のやっている事業の中で活力ある中山間地域基盤整備事業があります。これは平成27年9月の補正予算で登場して、非常にすぐれた事業だと思っておりますが、これに私はちょっと疑問がございます。拡充してほしいという意味で言っているのですが、岩手県の中山間の農地というのは、実は土地改良区に入っていないところのほうがかなり多いわけであります。ところが、今の事業主体は、今おっしゃられた事業も含め、今の活力ある中山間地域基盤整備事業も含め、ほとんどが土地改良区内の整備事業に充てられているのではないかと私は思っています。
 参考までにお聞きいたします。活力ある中山間地域基盤整備事業で、昨年度は土地改良区外で行った事業があるか、あわせて土地改良区が受益面積として、岩手県の総農地面積に占める土地改良区が中山間で持っている面積はどの程度なのか、お示しいただきたい。
〇千葉農村建設課総括課長 まずは、土地改良区受益外での実施状況ということでございますけれども、昨年度までについては、その実績はございません。
 事業主体別土地改良区が、ちなみに32地区のうち約8割を占めておりますが、そのほか市町村が7地区という状況になっております。市町村が実施主体となりまして、土地改良区に属さない地域でも、普代村で1地区実施をしております。
 それから、中山間地域における土地改良区の占める割合でございますが、県全体で、農林統計の農業地域類型区分で分類いたしますと、中山間地域、それから平場それぞれ、土地改良区のカバー率が、中山間地域では43.2%、平場地域では67.2%という割合になっております。
〇岩渕誠委員 今御紹介いただいたとおり、6割近くは土地改良区に入っていないのですよ。そこの土地改良をどうするかが、まさに農地をどう守っていくのか、農業振興にかかわる大変大きな問題だと私は認識しております。
 本来、活力ある中山間地域基盤整備事業とは、まさにそうした地域でどうするかということをやるために事業化されたものだと私は思っています。私は、やはり今年で5年がたつわけでありますので、事業主体の見直し、緩和をひとつやるべきではないかと思っております。
 一つは、市町村がきちんとこの事業をやるということが必要なのですが、今、地縁団体あるいは中山間の直接支払制度の中で事務をとっている人たちが結構いるわけであります。私は、そういった人たちに要件緩和をして、事業主体になってもいいのではないかと思います。事業主体の適格性が必ず言われますけれども、そこまで広げても今の農村ではやれるところはやれると思っているのです。私は、この事業をもっと強力に進めて、もっと緩和をしていくべきだと思うのですが、いかがですか。
〇千葉農村建設課総括課長 事業主体の緩和についてというお尋ねでございますけれども、本制度創設以来、円滑に事業実施ができるように、事業主体に対しまして設計書作成等の技術的支援を県でやってまいりました。それから、説明会等での意見を踏まえまして、さまざまな御意見の中で、事業主体に農地所有適格化法人を途中から追加するなど、制度の改善にも取り組んでまいったところでございます。
 この事業も本年度をもって一旦事業終期を迎えることにはなりますけれども、後継事業をただいま検討しておりまして、効果の高い制度となるように、今あり方の検討を進めているところでございます。
 市町村を含む多様な実施主体、地域の立地条件、それから、ニーズに応じたきめ細やかな基盤整備に取り組めるように、地域における話し合いの場で、市町村とともに県も参画いたしまして、事業制度の紹介、それから、さまざまな事業の導入に向けていろいろと助言を行うなど支援に努めてまいりたいと思います。事業主体のあり方についても、国の事業制度等もさまざま団体事業等、小規模で実施できる制度もございますので、そういった制度もいろいろとまた研究しながら、今後の事業の検討に向けて進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 ぜひお願いしたいと思います。皆さんが思っている以上に、中山間地の荒廃は相当進んでおります。そして、それは改良区に入っていないところから恐らく進むと思います。それを事前に予算措置をしてきちんとやっていただきたいのですが、これに関連して最後に1点。
 そういう地域では、基盤整備やら、あるいは共同作業をやる取水、排水の関係でいうと、頼みの綱は多面的機能支払の長寿命化対策のお金なのです。ところが、このお金は今年度から、事業をやる場合には200万円という上限がつきました。これでは、とてもじゃないが何もできないというのが多くの農村部の話であります。
 これはいろいろな予算のかかわり、事業のかかわりの中で、輪切りにされて200万円というのが出てきたのはよく理解していますが、これでは実態に合わない。これではまさに荒廃すると思いますので、それは国の問題ではありますが、きちんとこれについても県の実情を話して制度改善を行っていただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時53分 休 憩
午後1時3分 再開
〇佐々木茂光副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日延べ16人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 それでは、質疑を続行いたします。
〇米内紘正委員 私からは、平成30年度の家畜伝染病予防費について質問させていただきますが、豚コレラにつきましては高橋はじめ委員より御質問がございましたので、重複しない範囲で質問させていただきます。
 まず、現在進行形で拡大を続けている豚コレラでございますが、現時点における国内の発生状況及び発生後の処分頭数、今後の国の防疫対策方針についてお聞かせ願えますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 現在の豚コレラの発生状況についてでございますが、昨年9月に岐阜県において国内で26年ぶりに豚コレラの発生が確認され、その後、発生が拡大し、本年11月5日現在で1府7県の83農場で発生が確認されております。
 また、これまでに83農場の飼養豚及び屠畜場4カ所の発生農場からの出荷豚の合計約14万7、500頭が殺処分されております。
 次に、国の防疫対策の方針についてでございます。この方針には、飼養衛生管理基準の遵守による侵入防止対策及び早期発見、通報の徹底や、野生イノシシ対策として経口ワクチンの散布及び捕獲、検査等を強化、さらに、実効性のある防疫体制の整備に向け、都道府県における机上訓練等の実施などが主な内容として盛り込まれております。
〇米内紘正委員 昨年、岐阜県から始まって、今埼玉県のほうまで来ている豚コレラでございます。徐々に近づいてきているわけでございますけれども、県内の関係者からどのような要望が出ていて、それに対してどのような対策がとられているかお聞かせ願えますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 県内の生産者団体でございます岩手県養豚振興会からは、野生イノシシの侵入防止柵の設置に対する県の助成及び、いわて花巻空港における水際対策の徹底等についての要望が出されております。
 県では、この要望を受けまして、県内全ての農場で侵入防止柵が早期に整備されるよう、国の助成制度とあわせまして4分の3を助成するための県独自の事業を創設したところでございます。
 また、国の動物検疫所と連携し、いわて花巻空港におきまして、海外からの旅行客による畜産物持ち込み防止のための広報キャンペーンを実施するなど、水際対策の強化に取り組んでいるところでございます。
〇米内紘正委員 ワクチンに対する要望というのはない状態でしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 生産者からのワクチンについての要望でございますが、岩手県養豚振興会の方々から伺った話では、まず、現時点ではワクチンについては様子を見ながらということで、さらに関東圏での拡大等が広がれば、接種についての要望等を検討したいといった話を伺っております。
〇米内紘正委員 拡大してからワクチンを検討するということでございましたが、午前中の高橋はじめ委員の質問の中での御答弁でもございましたが、県には備蓄はないと。国が全部、150万本のワクチンの備蓄を持っていると。現段階において、そのワクチンが容認された都道府県において130万本がなくなってしまう見込みであると。その中で、いざ、今、いつ、どこで豚コレラが発生する状況かわからないわけでありますけれども、万が一、飛び越えて岩手県で発生した場合に、40万頭を超える養豚業者があるわけで、その中でいきなり足りない部分というのをすぐに準備することができるのでしょうか、お聞かせください。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 ワクチンの増産についてでございますが、やはりそれなりの時間を要するという話を伺っております。県といたしましては、国に、推奨地域のワクチン接種が円滑に行われるよう、さらに十分な量のワクチンの確保及びワクチン接種による風評被害への対応について要望しているところでございます。
〇米内紘正委員 現時点で、拡大してきたらワクチンを要望するということでありますけれども、既に要請はしてあるという理解でよろしいですか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 はい。繰り返しになりますが、国に対しまして、十分な量のワクチンの確保について努めていただくよう要望しているところでございます。
〇米内紘正委員 本当にいつ発生するかわからない状況なので、万全の態勢をとっておくのがよろしいかと思います。
 午前中にもありました処分、埋却について、発生しないに越したことはないですけれども、万が一発生した場合の処分、埋却の体制ということで御答弁がありましたけれども、万が一発生した場合の補償に関して具体的に教えていただけますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 殺処分された豚につきましては、手当金としまして、患畜及び疑似患畜ともに評価額の10分の10が国から交付されることとなっております。また、死体、汚染物品等の焼埋却に要した費用につきましては、国が2分の1を負担しまして、残りを県が負担した場合には、県に特別交付税が措置されることとなっております。
 さらに、移動制限、搬出制限区域内の農場に対しましては、家畜の売り上げの減少等を国と県でそれぞれ2分の1を負担することとされておりまして、この場合も、県の負担分につきましては特別交付税が措置されることとなっております。
 また、発生農場の経営再開に向けましては、家畜疾病経営維持資金あるいは農林漁業セーフティネット資金等の低金利融資制度が措置されているところでございます。
〇米内紘正委員 補償の内容はわかりました。ただ、発生した場合、再開するまでに時間がかかるというところで、補償が出るまでにどれぐらいの期間がかかるかというのはおわかりになりますでしょうか。現在発生した農場を例に教えていただけると大変わかりやすいのですけれども。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 その手当金が交付される時間でございますが、手当金の交付の事務も結構煩雑でございまして、それなりの時間がかかっていると伺っております。早い場合で3カ月ぐらい。また、それ以上時間がかかっている農場もあるようでございます。
〇米内紘正委員 小一年はかかると言われている事例なんかもあるようですけれども、その間の資金対応などに関しては何か策はございますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 その間の資金対応でございますが、先ほど申し上げましたような発生農場の経営再開に向けた低金利の融資制度、そういったものを活用していただくことになります。
〇米内紘正委員 補償までの間は、その低金利の融資を使ってやるということで理解をいたしました。
 では、先日、岩手県でも3億円程度の防護柵の設置の予算が組まれましたけれども、現時点での設置状況あるいは計画を提出済みの農場等の状況をお聞かせいただけますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 防護柵についてでございます。現在、県内には134農場があります。そのうち、既に侵入防止柵を設置済みなどの21農場を除く、113農場が事業の対象農場となっております。このうち85戸から事業参加申出書の提出がございまして、残り28戸につきましても、現在計画書の作成等を鋭意進めておりまして、113農場全てで設置される予定でございます。
〇米内紘正委員 85農場で計画をつくられて、今28農場で計画をつくる予定であると。最終的に113の農場でも防護柵が設置されるのは、いつごろのスケジュール感といいますか見通しになりますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 この事業は本年度の事業でございますので、年度内の完成を目指してということになります。ただ、雪国でございますので、できるだけ早い時期に設置することが望まれますので、いろいろ家畜保健衛生所の職員等が支援しながら、設置について推進しているところでございます。
〇米内紘正委員 では、ほかの都道府県において、東北地方でいいので、防護柵の設置以外の対応を行っている県があれば、その具体例を教えていただけたらと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 東北地域での状況でございますが、私どもが聞いている範囲では、山形県が消毒噴霧器とか防鳥ネット、秋田県で消毒薬の配布等を実施していると伺っております。
〇米内紘正委員 岩手県においては、ほかに車両消毒用噴霧器だったり防鳥ネット、小動物の侵入防止用の施設を支援していく予定はございますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 まずは、アフリカ豚コレラ、豚コレラの侵入防止のための柵の設置について支援してまいりたいと考えております。噴霧器、防鳥ネットについては、いわゆる自営防疫の範囲内ということで取り組んでいただければと考えております。
〇米内紘正委員 可能性が1%でもある限り最善の策をとらないと、発生してしまったらそこから広がっていく一方になるので、本当に完璧に近い対策をとっていくのが望ましいと思っております。例えば岩手県内の市町村とか団体で独自で補助を出す、あるいは出す予定のあるところはございますでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 県内の市町村等の助成についてでございますが、防護柵の設置につきまして市町村を対象とした会議を開催し、国の助成制度の説明及び補助への協力を要請しており、市町村においても応分の支援を行っていただきたいと考えております。
〇米内紘正委員 ということは、まだ市町村で独自で具体的にやるということは決定していないということですね。もしできましたら、県内の市町村で足並みをそろえてやっていただけたらと思います。
 では、豚コレラの対策につきまして、最後に部長にお聞きいたします。
 畜産県である岩手県でございますけれども、清浄国から非清浄国になってしまいまして、これから豚コレラを封じ込めていくためには、かなり長期的なスパンの対策になるかと思います。その中で、いずれはワクチンに頼らない対策というのを確立していかなければいけないと思っておりますが、その中でこれからの対策、方向性をどう考えていくのかというところ。
 豚コレラについては、毎日新聞では報道されていますけれども、まだ一般の方に浸透していないところがあって、実は豚コレラにかかった豚は、食べても大丈夫だということではございますけれども、風評被害のところでかなりこれから拡大していくことがあるかと思います。それに対しても、どのように対策をとっていくかお聞かせいただけたらと思います。
〇上田農林水産部長 豚コレラ対策を長期スパンで考えたときにどうするかというお尋ねでございます。
 豚コレラがかなり蔓延しておりますので、これを撲滅するというところには、確かに委員おっしゃるとおり、時間がかかろうかと思います。恐らく対策としては、ワクチンを大量に投与いたしましてウイルスを全て抹殺すると。日本からウイルスがなくなるまでその対策をとり続けることが必要だと思っております。かなり長期にわたるものでございますが、これは大事なことでございまして、特に豚の輸出に関しましては、非清浄国になりますとかなりハンディキャップを負うこともございます。今のところ国の段階でこういった方針は出してはおりませんけれども、そういったことが想定されるものと承知をしております。
 次に、風評被害についてでございますが、全くおっしゃるとおりでございまして、正確な情報が消費者の方々に伝わって、市場に流通している豚については大丈夫だという安心感を持っていただくことが非常に大事だと思っております。国においても、そういった風評対策につきまして手を打つという姿勢は出していますので、ぜひ、国と連携をとりながら、また地元市町村、生産者の皆さんと一丸となって風評被害対策に取り組んでまいります。
〇米内紘正委員 引き続き万全の対策をよろしくお願いいたします。
 では、2点目になりますけれども、スマート農業に関する予算に関しての質問でございます。今、畜産に関して質問させていただきましたので、スマート畜産のほうの質問をさせていただきます。
 今、スマート畜産も全国的にどんどん導入が進んでいるわけでございますけれども、中でも一番新しいと言ってもいいかと思いますが、牛向けのウエアラブルデバイスの普及状況と普及方法は、牛の生体情報を逐一スマートデバイスで管理しながら、労力を軽減したり生産性を向上させようとするもので、今、岩手県内においてどのくらい普及していて、これから普及させる予定があるのかないのか、その辺をお聞かせいただけたらと思います。
〇菊池畜産課総括課長 ただいま御質問いただきました牛のウエアラブルデバイスの関係でございます。現在、県内60の農場で導入されております。導入した農場につきましては、繁殖牛であれば分娩間隔が県の平均よりも短縮されるなど生産性の向上に非常に有用な技術というように考えております。こうしたことから、普及の拡大に向けまして、県や農業協同組合などで構成します酪農・肉用牛サポートチームが中心になりまして、農家に対しての導入支援を図ってまいりたいと考えております。
〇米内紘正委員 牛向けウエアラブルデバイスだと、導入した農場と導入していないところですごい差が出てきてしまう。発情期の検知に関しても物すごい差が出てきてしまうところでございますので、ぜひ進めていっていただけたらと思います。
 あと、担い手不足です。畜産農家は農場を離れることができずに本当に大変な思いをされて、人手不足というところもますます問題になってきております。スマートデバイス、スマートフォンだったりタブレットになれ親しんだ若い世代は導入するのにそこまで抵抗はないかと思うのですけれども、上の世代の方、これまで築いてこられた知識、経験でされてこられた方は、なかなか導入に、そんなことをしても成功しないのだと、そういう思いを持っていらっしゃる方も結構いらっしゃいます。そこに関して、鹿児島県では自治体としてこのウエアラブルデバイスを推進しているところもありますので、どのように通訳というか、最新の技術を上の世代の方、なかなかそういうものに親しみのない方にも普及していくか、どのように考えているかお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
〇菊池畜産課総括課長 先ほどの答弁とちょっとダブる部分もございますが、ウエラブルデバイスの導入を進めるに当たりまして、いわてスマート農業祭の中で、技術の公開あるいは情報共有、PRを行うことにあわせて、先ほど言ったようにサポートチーム、それから農業改良普及センターによる技術の研修会を通じながら、特に若い方々等に対して積極的に普及を進めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 1点、環境保全型農業直接支払交付金についてお伺いします。平成30年度の取り組みと実績、地球温暖化防止や生物多様性保全への効果がどうだったのかお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 環境保全型農業直接支払交付金についてでありますが、平成30年度における取り組み面積は全国第6位となる3、702ヘクタールで、交付額は約1億8、600万円となっております。
 また、さまざまな取り組みがある中で、取り組み項目ごとに多い順番といたしましては、堆肥の施用が1、176ヘクタール、農薬に頼らず総合的に有害生物を管理する防除技術、いわゆるIPMと呼んでいますけれども、この取り組みが1、047ヘクタール、そして有機農業737ヘクタールなどとなっております。
 また、地球温暖化防止や生物多様性保全への効果についてでありますが、県が行いました平成29年度の調査では、地球温暖化防止に効果のある堆肥のすき込みなどの実施面積が3、100ヘクタールとなっておりまして、約1万3、000トンのCO2削減に相当いたします。これは、本県の年間CO2排出量を平成2年の1、404万トンから令和2年度に1、225万トンへと180万トン削減するとした岩手県環境基本計画におけるCO2の削減目標の約0.7%に相当いたします。
 また、生物多様性保全効果が期待されます有機農業や、先ほど申しましたIPMに取り組んでいる圃場について、トンボやメダカなど指標生物の生息数を調査したところ、いずれもABCでのA評価と高い生物多様性保全効果が認められております。
〇柳村一委員 この取り組みによって地球温暖化防止対策をしてほしいというわけでもないのですけれども、0.7%と3、000ヘクタールの割には結構効果があるのではないかと思いますし、生物多様性ではA評価ということで、平成30年度の主要施策の成果に関する説明書によりますと、特認の取り組みが減っていますし、生産技術の導入面積も減っています。一方で説明会をかなりやられているようですけれども、農業に携わっている方々の環境保全型農業直接支払交付金に対する考え方といいますか、どんな印象をお持ちなのでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 県内の環境保全型農業に取り組まれている農家の方々の意識でございますけれども、私どもさまざまな研修会であるとか説明会を開催いたしまして、この環境保全型農業に取り組む意義、例えば二酸化炭素の削減でありますとか、このような生物多様性が保持されますといったようなことをお知らせしております。
 その結果、全体の面積といたしましては、国の交付金の上限があるものですから、これに対応する面積としては一気にふえるという形ではないのですけれども、そもそも環境に優しい取り組み、先ほど申し上げましたIPM、いわゆる農薬とかによらない総合的な防除などは、交付金の対象外でもどんどん取り組まれているということで、いわゆる環境に優しい農業に取り組んでいる岩手県の裾野がどんどん広がっているということで、生産者の方々の意識も非常に高まっていると認識しております。
〇柳村一委員 意識が高まっているということで、例えば生物多様性の保全に関して言えば、一農家、一事業所だけがやっても、その地域全体がきちんとした保全にならなければ価値が出てこないと思います。この交付金は市町村に届け出るわけですが、市町村でこの取り組みを奨励しているところはあるのでしょうか。また、県はそれに対してどのような指導を行っているのでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 この環境保全型農業直接支払交付金につきましては、地域で組織をつくっていただきまして、その組織的な取り組みに対して市町村を経由して交付金が交付される仕組みになっております。したがいまして、市町村では、予算の関係はあるのですけれども、そういった取り組みをどんどんふやしていきたいという意識がございまして、市町村と県が一緒になりまして、この環境保全型農業直接支払交付金の取り組みを進めておりますし、市町村から、例えば生き物調査であるといった要望があったときには、県が行って、そこでの効果を判定したり啓蒙したりすることで理解を広めているところでございます。
〇柳村一委員 ただいまの御説明で、国のほうで交付金の上限があると。たしか20億円ぐらいですかね。そのうち岩手県は1割ぐらい使っているということですけれども、平成30年度では、交付金が上限に達して減額されたとか、そういう措置はなかったでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 平成30年度の予算の状況でございますけれども、国に要望した額につきましてはほぼ満額措置されておりますが、取り組みの経過の中で環境保全型の取り組みができなかった場合が若干あります。例えば、悪天候が続いて農薬をかけざるを得なかったなどといった形で最終的に減額せざるを得なかった部分はありますけれども、取り組みの要求に対しては措置されております。
 一方で、国の交付要件が、国の定めた取り組みと、それから県と国の取り組みがございまして、その優先順位が変わったことによって、岩手県は県と国の取り組みが多かったものですから、その分が満額出なかったという部分はありますけれども、面積的には交付されているということでございます。
〇柳村一委員 地域特認は一生懸命やれというような国の方針ですけれども、その地域特認が全額出なかったというのは、天候による条件によるものだと解釈をしてよろしいですね。
 全国の中でも結構な額を岩手県が申請して環境に優しい農業を目指しているという部分では、全国的に見てもいいことだと思いますし、兵庫県かどこかでは、この農法によって生産された農産物に付加価値をつけて商品化している。コウノトリ育むお米というので、そういう付加価値をつくってお米を売ったりして、それが無農薬で約1.6倍から1.4倍とか高い価格で取引されているということですけれども、県はこういう取り組みについて、今後このような付加価値をつけた製品の考えみたいなものはおありでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 この環境保全型農業直接支払に取り組んで生産されたお米で、実際に商品化している例が県内にございまして、地域特認取組の中でメダカの保全がございます。このメダカの保全を通じて生産されたお米を、メダカ米という形で、消費者の方に理解していただきながら購入いただいている例がございます。
 環境に優しい取り組みということで、有機もその一環だと思いますけれども、県内でも、この交付金にのっているかのっていないかは確認できないのですけれども、さまざまそういった米は売られていると認識しております。
〇柳村一委員 最後にします。この交付金の実施状況では、まだ県内では20市町村しか申請されていません。この取り組みをもっともっと県としては推進していただければと思いますけれども、今後の地球温暖化防止対策や生物多様性保全に対する取り組みと県の方向性についてお伺いして終わります。
〇菊池農業普及技術課総括課長 環境保全型農業の推進につきましては、安全・安心な農産物の生産や環境と共生する産地づくりなど、岩手県農業の信頼性向上にもつながるとても重要な取り組みだと認識しておりますので、一層の取り組み拡大を進めてまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 私からは稲作についてお伺いいたします。千葉絢子委員と重複するところもありますので、ちょっと順番を入れかえながら質問させていただきます。
 まず、平成30年度、減反が廃止になりまして、需要に応じた米づくり元年と言われた平成30年度でございました。その中で、先ほどもありましたが、金色の風がフラッグシップ米としてデビューをしたわけですが、端的にお伺いいたしますと、前回まで特Aが取れなかったと。そして、評価の一つだという答弁をされてきました。これから、食味ランキングですとかそういった外部評価はどのようにしていくのか、県のお考えを伺いたいと思います。
〇小原県産米戦略監 金色の風の外部評価についてでありますけれども、お米の品質、食味に関する評価を得られるため、これまで日本穀物検定協会が実施いたします米の食味ランキングや、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターが推薦する米のヒット甲子園といったものに参加してまいりました。
 食味ランキングにつきましては、作付面積が1、000ヘクタールに満たないことといったような条件がございますので、3年目となる金色の風につきましては、ことしは食味ランキングの対象にならないことになってございます。
 このため、今年産からは、このほかの各種コンテストなどに積極的に参加するように促しておりまして、例えばJAいわて平泉の金色の風栽培研究会では、米・食味分析鑑定コンクールとか、大阪府民のいっちゃんうまい米コンテストがございますけれども、こういったものに応募することとしております。
〇菅野ひろのり委員 先ほどの千葉絢子委員の質問に対する御答弁の中で価格の話が出ました。全国5位以内を目標にしているところで、特Aが今まで取れなくとも全国3位の価格水準を維持していたと。すなわちこれは、特Aになると何となく売れるのではないか、もしくは高付加価値という印象がついていますけれども、金色の風はそうではないというように、価格が一面として示しているのではないかと思いますが、価格とこの特Aの関係性をどのように考えているかお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 取引価格と特A評価の取得についての関係というお尋ねでございますけれども、特A取得につきましては、高い品質を持つお米を生産できる産地の評価と考えておりますし、価格につきましては、それぞれの品種もしくは生産されたお米が、消費者あるいは実需者から評価されているものと思っておりまして、ニアリーではありますけれども、必ずしも一致するものではないと考えております。
〇菅野ひろのり委員 確かに、私の地元江刺でもつくっておりますが、稲作部会を初め、非常に手間がかかったり、肥料、あとは倒伏の注意、乾燥機の調整、いろいろな工夫をしながらつくっていますから、自信を持って出しています。一方で、特Aを取れなかったことによる残念さというものがありながら先ほどの価格評価、これは前向きに取り組める一歩になると思っています。
 そこで、もう一点お聞きするのですが、では、これをどういうふうに売っていくのか。広告というお話がありましたが、多分、金色の風に対する取り組みというのがなかなか浸透、理解というか、広がっていないのではないかというところに課題意識を持っています。
 例えば山形県のつや姫、これは日本農業新聞からの情報でありますが、10年間で9、500ヘクタールまで作付をしたと。岩手県はまだ228ヘクタール。そしてこの県産米の中での比率、山形県はトップブランドのつや姫を15%までの割合。岩手県の場合は、金色の風は0.5%、銀河のしずくは2%。そして、山形県はさらに県外へも種子を供給していて、他県9県でも6、000ヘクタールぐらいつくっている。要は、幅広く広げて、その中でも山形県が本家だよという中で、つや姫が高価格帯1万8、000円ぐらいでしょうか。そして5万トンぐらいの生産をしているという中で、岩手県は逆ですよね。広告は限定的にやっていますし、そして作付も絞っている。県外へは流出していない。こうなったときに、山形県と岩手県のお米のブランドのつくり方、私は全く違うなと思っているのですが、改めて、県の金色の風ブランド、この付加価値をどうやって向上させ周知していくのか伺います。
〇小原県産米戦略監 金色の風の付加価値をどうやって高めるのかという趣旨で答弁させていただきます。
 金色の風につきましては、そのイメージ、より高い品質、高い価格での取引を確保したいということ、そして、そのブランドイメージを定着させたいということで、いわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、作付に関しましては、大手の米卸業者の意見あるいは生産を担うJAの要望にも応えまして、需要と供給をしっかり見きわめた形で生産量を精査しております。いわゆる売り先がしっかりして、しっかりとした価格が取れるところを狙っております。あわせて、生産面では、生産者の栽培技術の向上を図るために、栽培マニュアルの充実やリモートセンシング技術の普及に取り組んでおりますし、それとともに販売面では、県内外でのトップセールスによる高価格帯での取引と販路の拡大に積極的に取り組んでまいりました。
 こういった取り組みが、金色の風の特徴あるいはポジションをより明確にできると思っておりますし、この付加価値をさらに高める形でとり進めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 戦略にも書かれておりますけれども、稲作、米に対しては今話をしている売り手の部分と、あとは生産者というところの、この二つがあると思うのです。売り手のところでいうと、1万8、000円のラインをさらに高めていく。そのブランドであるとかいろいろ努力をしていくという中でありますが、つくり手の方が自信を持ってつくっている一方で、迷っているという声もあります。それは何かというと、ひとめぼれは1万2、000円から1万3、000円だけれども、金色の風が1万8、000円。だけど、では、その所得、手間、それぞれがどうなのだというところで、金色の風をつくりづらいところがあるのではないかと思っています。といいますのは、私の課題意識の中に、やはり金色の風をつくるメリットをしっかりと生産者の方に持っていただかないと、この岩手のフラッグシップ米の基盤というのがどうしても緩んでしまうというふうに考えています。
 ここはちょっと小岩技監にお伺いしたいのですが、この二大フラッグシップ米の投入の意味、そして、ひとめぼれを含めて岩手県産米の価値をどう高めるのか。金色の風だけではなく、ひとめぼれも上がっていかないと、フラッグシップ米を少しだけつくってやっている価値というのはもったいないと思うのです。その点をお伺いしたいと思います。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいまの御質問は、先ほど千葉絢子委員からもお話がありましたが、私どもは何のためにこのブランド米の取り組みをしているかということでありますけれども、やはり農家の所得向上、そして、農家がお正月を笑顔で迎えられること、これが我々の最終的な目標であり、これに向かって進んでいるということであります。
 今、菅野委員から、金色の風は高い値段で取引されているけれども、つくりづらいのではないか、トータルとして農家の所得向上に結びついていないのではないかという御指摘がございました。私どもにも生産現場から、非常にいい米ではあるけれども、つくりづらいというような声は届いております。そういった声も踏まえながら、今年度もそうですけれども、金色の風の栽培研究会を通じまして、先ほど小原県産米戦略監が申しましたとおり、生産技術を高める、あるいはいいものをつくるような生産面での取り組みにつきましても、高価格帯での販売とあわせて行っておりまして、そういったことを通じてブランド化を図っていく。そして、それが最終的に農家の所得向上に結びついていく。それを農家が認識して、やっぱり金色の風をつくろうという形に持っていければいいなと思っています。
 そして、この二大品種を投入した意義ですけれども、先ほど来私どもが述べておりますとおり、ブランド化戦略に基づきまして生産、販売の両面から積極的な取り組みを展開してまいりました。
 この結果、何回も申し上げておりますけれども、米のヒット甲子園において、それぞれが複数年、最終のノミネート米に選出される。また、銀河のしずくですけれども、本年6月に開催されましたG20大阪サミット2019の夕食会で提供されるなど、全国的に評価が高まってきていると考えております。
 さらに、全国最大級の取扱量を誇る大手米卸業者から、岩手県は、主力のひとめぼれに加えまして、高品質、良食味の県オリジナル品種が二つも加わり、高級ブランド米から業務用仕向けの米までをそろえる全国有数の産地であるという評価もいただいておりまして、引き続き、この金色の風、銀河のしずくのブランド力の向上に注力し、そしてそれが県産米全体、さらには岩手県の農林水産物全体のブランド力向上につながるような形で今後も取り組んでいきたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 御丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。先ほど小岩技監がおっしゃった背景には、恐らく前任の紺野部長、そして現在の上田部長、そして、小岩技監初め県の担当職員の方の地道な活動が実を結んだと考えております。小岩技監の今の思いがこの金色の風の生産者の方々の所得向上につながるように、引き続き御尽力を賜りたいと思います。
 次に、一等米比率についてでございます。本県の状況をどのように捉えているかということでございます。新潟県は高温の影響で33%ということでありましたが、岩手県は91%。ただ、この課題意識は、江刺では90%ぐらいなのですが、例えばJA岩手ふるさと管内、これは様子が全く違うという状況で、他県からも米の買い取り業者が来てしまっているような状況であります。県はどのように把握しているかお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 今年産の一等米比率についてのお尋ねでございますけれども、農林水産省が9月末現在の検査結果ということで公表しておりますが、うるち米の一等米比率が全国では67.6%の中、本県では91%ということで非常に高く、現時点では全国3位という高いレベルになっております。
 ただ、平成30年の98.1%、あるいは平成29年の94%に比べますと若干落ちているということではございます。その要因につきましては、ことし出穂後の8月中旬の気温が非常に高くて、心白、白未熟粒という、お米がちょっと濁るような、白くなるような、そういったものが発生しておりまして、形質が劣るという評価によりまして、昨年などに比べますと若干落ちているところでございます。こういった傾向は、県南部の平場の部分で少し苦戦しているようなことを農業協同組合から聞いております。
 この白未熟粒対策につきましては、夜間の水のかけ流しといったものでの対応をお願いしていたところでございますし、このような情報につきましては、いわてアグリベンチャーネット等々を活用して常に情報提供させていただいたところではございますけれども、残念ながら場所や農家によって違うことがあったかと捉えております。
〇菅野ひろのり委員 平場とか各地域、例えばふるさと農業協同組合であるとか、いわて平泉農業協同組合であるとか、岩手江刺農業協同組合であるとか、そういった単協によって大きな違いはありましたかという質問です。といいますのが、岩手江刺農業協同組合とふるさと農業協同組合でも全然違う。例えば岩手江刺農業協同組合であれば9割ぐらいですので県平均ぐらいと聞いていますが、ふるさと農業協同組合の管内ですと、これが、感覚値でありますけれども6割とかそういうふうに言っている生産者の方もいて、そういった落差が県内にあるのかどうか、そこです。
〇小原県産米戦略監 産地といいますか、農業協同組合間での一等米比率の差はどう捉えているのかという御質問かと思いますけれども、白未熟粒につきましては、色彩選別機で二次調整ができるということでございます。例えば岩手江刺農業協同組合の管内ですと、巨大なカントリーエレベーターがございまして、そちらでしっかりとそういった色彩選別等々をかけることによって、いわゆる一等米をきっちり仕上げるというのがございますし、岩手ふるさと農業協同組合管内ですと、そういった施設利用ではない農家もいらっしゃいますので、一等米に仕上げるものとかかる経費とをてんびんにかけながら経営判断されているようなこともあるかと思います。
 そういった意味もございまして、気象的な差もあるかもしれませんし、そういった対応の差ももしかしてあるかと捉えております。
〇菅野ひろのり委員 これは産地が云々ということではなくて、課題意識として、岩手県全般の集荷量が昨年度も計画値よりも少なかった。昨年であれば、岩手県米穀園芸生産流通議員研究会のときにいただいた資料であれば、出荷契約比で86%ぐらいだった。今回少し一等米比率が少ないのは、岩手県よりも他県のほうがひどいわけですよね。そうなると、現状、今でも他県の民間業者が来て、現金で高いお金を積んでひとめぼれを購入していく。そうなると、岩手県全体で考えたときに、予定していた数量というのがしっかり集まるかどうか、これが非常に大きな課題ではないかと考えております。
 ほかにも質問がありますので、ぜひこれは、集荷がしっかりと計画どおりにいくのかどうか、各単協を含めて動向を確認いただきたいと思います。御所見がありましたらお願いします。
〇小原県産米戦略監 集荷につきましては、単協が集荷したものを全農岩手県本部がさらに集荷し、全国に自信を持って販売することになっておりますけれども、他県からの集荷に対する対応をどのように捉えているかということでございます。
 全農岩手県本部では、集荷のインセンティブも考慮しまして、概算金を上げるといったような対応はしております。こういった一等米比率の背景の中から、隣の宮城県の状況が非常に思わしくないこともありまして、委員おっしゃるような環境もあろうかと思いますけれども、いずれ、しっかりと集荷して、いいものをしっかりと岩手県産米を待っている消費者の皆様に伝えていけるように、関係機関と一緒になって対応してまいりたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 次に、GAPについてお伺いいたします。GAPの一つの目的、そもそもは生産工程管理ということでありますが、その一つのきっかけになりましたのが東京2020オリンピック・パラリンピックであります。岩手県食材が東京2020オリンピック・パラリンピックに対してどの程度供給される見込みであるのか。そしてまた、県のお米の戦略に、GAP取得もしっかりと進めていくのだということが書いてありました。金色の風、銀河のしずくの生産者登録の中にGAP取得者がいるのかどうか、それも含めて確認をお願いします。
〇米谷農林水産企画室企画課長 東京2020オリンピック・パラリンピックへの食材供給ということでの御質問でございます。
 本年6月に国から東京2020オリンピック・パラリンピックへ提供できる食材の調査依頼がありました。それにつきまして、県では、農畜産物につきまして、米やホウレンソウ、豚肉、鶏肉などの生産者、法人など40件33品目を報告しております。
 そのうち、金色の風につきましては、個人、JA部会等でGAPの認証取得等となった5件166農場、銀河のしずくにつきましては、個人、JA研究会でGAP登録となった3件6農場を報告しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 これから、その件数が実際に採択されるかどうかは、県には報告がないと思うのですが、これを一つの契機として、そういった生産工程管理というのを広めていかなければいけないと思っています。
 このGAPの課題ですが、普及拡大しているのは県版GAPなのです。平成29年、平成30年でしたでしょうか、ここ一、二年で二、三百件ぐらい認証されて、グローバルGAP、JGAP、これは1桁台にとどまっている。そもそもGAPというのは国内よりも海外に対して、例えば東京2020オリンピック・パラリンピックで日本に来る海外の方に向けての食材の認証資格でありました。これから国も進めていますJGAP、グローバルGAPに移行していかないと、、岩手県も農産物の輸出を進めている中で、根本的な認証になっていかないと思うのですが、この移行の対策をどのように行っていくのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 県版GAPからグローバルGAP、あるいはJGAP等への移行についての御質問でございます。
 先ほど委員から、GAPの意義ということで、GAPをすることがまず大事だと。私たちも、まずGAPに取り組んでいただきながら、安全・安心、そして働く人たちも健康に働ける農場管理をしていただきたいということでGAPを進めているところでございます。その結果、農業者の生産工程管理がしっかり管理されて、経営もよくなるといったようなことで、まずはGAPを進めているところでございます。
 これを対外的に売っていく場合に、相手から例えば本当にGAPに取り組んでいるのですかといったことに対応するために、県では岩手県版GAPの確認制度を興したところでございますし、公的な部分では、民間ですけれども、JGAPあるいはグローバルGAPという仕組みがあるということでございます。
 したがいまして、まずは、そのGAPの精神にのっとって取り組んでいただくことが最重要。その上で、例えば輸出の場合に、相手国からのグローバルGAPの資格を取っていますか、認証を受けていますかといった求めに応じて、いつでもそういった対応がとれるような形で農家個々の取り組みレベルを上げていきたいと思っておりまして、最終的には農家の経営判断の中で、認証に進むか、あるいは県版GAPで取り組みを深められるかといったことで進めていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 いずれこの稲作振興、そしてGAPも含めて、水田をフル活用していくにはどうしていくのだという、その中の手段であると思います。当局の皆様方におかれましては、本県の主要農産物であります稲作振興に対して、引き続きお力添えをお願い申し上げ、終わらせていただきます。
〇斉藤信委員 それでは最初に、東日本大震災津波からの復旧、平成28年台風第10号からの復旧、復興に続いて台風第19号で大きな被害を受けました県内の農林水産業の被害状況はどうなっているでしょうか。あわせて、農業の復旧の取り組み、国や県の特別の支援を示していただきたい。
〇米谷農林水産企画室企画課長 最初に、台風第19号災害による農林水産業関係の被害状況についてでありますが、11月5日現在の被害額は91億1、753万円となっております。
 このうち農業関係では、パイプハウスなどの破損や飼料作物等の冠水、リンゴの落果、農地への土砂流入や畦畔崩落、水路などの農業用施設の破損などにより、被害額は17億9、197万円。林業関係では、林道や作業道の路肩決壊や、治山施設ののり面崩壊、山腹崩壊などにより、被害額は47億3、333万円。水産関係では、サケ・マスふ化場などの浸水、破損や、定置網、サケ採捕場などの破損、カキ、ホタテなどの落下被害などにより、被害額は11億6、384万円。漁港施設では、漁港施設への土砂流入や浮き桟橋の破損、ケーソンの滑動などにより、被害額は14億2、839万円となっております。
 続きまして、農業関係の復旧の取り組みと今後の見通しについてでございます。
 現在、農地、農業用施設の復旧に向けまして、被災市町村と連携しまして、国の災害復旧事業の査定に向けた準備を進め、復旧工事の進め方などの技術的な助言を行っているところでございます。
 次に、国の特別な支援についてでございますが、10月25日に農林水産省が支援対策を公表しました。この内容につきましては、災害復旧事業などの実施に当たりまして、農業用ハウス、農業機械の導入の事前着手や共同利用施設の修繕の事前着工、机上査定限度額の引き上げによる災害査定の効率など柔軟に対応することとされております。
 また、10月19日(後刻「10月29日」と訂正)には、今般の台風被害が激甚災害に指定されまして、農地、農業用施設や農業協同組合等が所有する共同利用施設の災害復旧事業について、補助率のかさ上げが講じられることとなっております。
 県といたしましては、こうした国の事業を活用しながら、被災した施設等の早期の復旧に向けて、市町村や関係団体等と連携して支援を行っていくこととしております。
 先ほど激甚災害に指定された日を10月19日と申しましたけれども、10月29日の誤りでした。済みませんでした。
〇斉藤信委員 たび重なる大きな災害で、特に私は、農作物では果樹、リンゴの落果、倒木等が2億4、600万円余の被害ということで、これは主には内陸の被害のようでありますけれども、これに対する支援、対策はどうなっていますか。
〇菊池農産園芸課総括課長 県では、農作物災害復旧対策事業の中で、気象災害により著しい被害を受けた被災農家の農業経営や農家生活の安定を図るために、被害を受けた農作物の生育回復、被害の拡大防止に係る経費を支援することとしておりまして、現在この要望調査を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 私は、災害復旧で必要なことは、やっぱり再生産を支援すること、もう一つは、そのためにも収入の確保策、収入確保が絶たれれば、それだけで続けるか続けないかということになるので、再生産への支援と所得確保策はどうなっていますか。
〇小岩技監兼農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいま収入確保対策、経営再建に向けた取り組みがどうなっているか、いわゆるきめ細かな対応について、どうしているのかということだと思いますけれども、先ほど米谷企画課長がハード部門を中心に御答弁申し上げましたが、私からは、離農者を出さないような形でのきめ細かな対応状況についてお話をしたいと思います。
 まず、台風第19号による農作物被害が懸念されましたことから、台風襲来前に冠水した水田などの排水対策や病害虫防除対策について、臨時の農作物技術情報などを発行するなど、まずは技術対策の徹底を呼びかけております。
 次に、台風通過後におきましては、その被害の状況を踏まえまして、時間を置かず共済金の早期支払いですとか経営再開に向けた相談窓口の設置のほか、国に対しまして支援策の要望などを行っております。
 また、今回断水や道路の水没などで生乳を廃棄せざるを得なかった酪農家が15戸、約9、500キログラムに及んでおりますけれども、直ちに生産者団体に対しまして、互助会制度での補償について要請をしております。
 さらに、被災した生産者の早期の経営再建に向けまして、越冬用の粗飼料確保ですとか農業施設、機械のほか、国庫補助事業に該当しない小規模な農地などの復旧などの支援策につきまして、現在、本定例会に予算案を追加提案する準備を鋭意進めており、県といたしましては、台風第19号被害により離農者が出ることのないよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 わかりました。全国的にも2、000億円を超える被害だと言われていますので、国に対しても、大震災並みの支援策が講じられるように、あわせて強く求めていただきたいと思います。
 次に、二つ目の課題でありますけれども、昨年来の日米首脳会談を経て日米貿易協定が調印されました。今、国会でこの協定についての承認の審議が行われておりますけれども、まず最初に、TPP11、日欧EPAによる各農林水産物の輸入の実績、影響はどうなっているか示してください。
〇米谷農林水産企画室企画課長 農林水産物の輸入量の実態と影響についてでございますが、国が公表した資料によりますと、TPP11発効後の平成31年1月から令和元年8月までのTPP11発効国からの輸入量は、牛肉が約24万5、000トンで前年同期の102%、豚肉が約21万8、000トンで前年同期の108%、チーズが約10万6、000トンで前年同期の105%、林産物である合板が約9万3、000立米で前年同期の74%となっております。
 また、日EU・EPA発効後の平成31年2月から令和元年8月までのEUからの輸入量は、牛肉が約1、400トンで前年同期の507%、豚肉が約22万1、000トンで前年同期の113%、チーズが約6万3、000トンで前年同期の114%、林産物である構造用集成材が約43万2、000立米で前年同期の98%となっております。
 食肉の輸入量の増加につきましては、国では、近年の景気等を背景にいたしまして、外食産業を中心に需要が旺盛だったことが主な要因であるとしておりまして、TPP11や日EU・EPAの発効後に輸入量の増加が加速しているということではないとの考えを示し、引き続き動向を注視していくとしております。
〇斉藤信委員 輸入は加速しているわけではないと言うけれども、実態は輸入は加速しているわけですよ。特に、今の答弁にあったように、EUからの輸入量が牛肉では5倍、豚肉では113%、チーズ114%ですね。これとTPP11でもさらにふえている。これはダブルパンチですよ。需要がふえたというのは、関税が低くなって安く入ってくるからなのですよ。需要がふえたということが、まさに輸入をふやしているわけだから、政府のそんな言い分をあなたがオウム返しで言ってはだめですよ。
 それで、こういう中で日米貿易協定が調印されたと。驚いたのは、この日米貿易協定で影響額は600億円から1、100億円の生産額の減少だと。TPP11を加えると1、200億円から2、000億円。これは暫定版の試算で根拠は全く示していません。ペーパー2枚だけです。本格的な試算は年末に出す、国会で協定を通してから出すと。こんなばかな話はないと私は思うのだけれど。私は、やっぱり徹底した根拠のある試算を示すべきだと思いますけれども、いかがですか。
〇米谷農林水産企画室企画課長 今回の暫定値としての公表についてでございますけれども、TPP11のときには暫定値ではなくて公式に発表したというのはありました。それにつきましては、専門家の検証を踏まえた上での正式な公表だったということになっておりました。
 今回は、まだ専門家の検証を踏まえない中での公表だったということで暫定値ということで、年末に国のTPPの関連政策大綱の見直しがありますので、それに向けて公式的な影響額を発表すると聞いております。
〇斉藤信委員 なぜこんなことをするかというと、トランプ大統領の選挙のためなのですよ。そのために、根拠がないけれども、暫定版で、根拠がない中で日米貿易協定だけは国会で承認させると。私は、こんなでたらめなやり方は許せないと思いますよ。
 10月30日付の日本農業新聞で、日米貿易協定とTPP11影響試算についてこう言っているのです。従来どおり、国内対策によって農家所得や生産量への影響はゼロになると説明するが、その根拠や国内対策の内容は今後の国会審議の論点になりそうだ。この試算の根拠は、国内対策によって農家所得や生産量の影響はゼロだということが前提なのですよ。あり得ないでしょう。国内対策が示されていません。国内対策が示されていないのに、農家所得も生産量も影響ゼロだと。これはその上での試算ですよ。これは試算と言えますか
 農林水産部長、こういうものは私は試算に値しないと思うのだけれども、いかがですか。簡単でいいから。
〇上田農林水産部長 今回の暫定値の公表に当たりましては、これまでの経緯あるいは委員からお話がございました、その暫定値を算定したときの積算根拠は一切示されておりませんで、早急に公表して、国民的な議論に付されるべきものと考えております。
〇斉藤信委員 それで、全く根拠のない試算でも、日米貿易協定とTPP11を足すと最大値2、000億円の生産額の減少になると。これまた軽視できないものですよ。真面目にやったら幾らになるか。
 トランプ大統領が何と言っているかというと、アメリカからの輸入は72億ドルふやせると言うのです。72億ドルというのは、これは為替レートがありますけれども、7、200億円から7、600億円ですよ。これだけアメリカは輸入をふやせると、日米首脳会談のときにアメリカの農民団体を呼んで、アメリカの農民の勝利だと言ったのですよ。7、000億円を超えるようなアメリカの農産物の輸入を許した、これが貿易協定じゃないでしょうか。部長、一言。
〇上田農林水産部長 委員から御指摘がございました件ですが、国は資料を公表しております。その中で、2018年における農林水産品及びアルコールの米国からの輸入額、これは影響額ではございません、輸入額が164億ドル、うち関税が撤廃、削減となる品目の輸入額は72億ドルであり、その割合は44%でございます。資料で72億ドル、恐らく根拠の数字はそれかと思いますが、これについては、今回の措置が発動された場合の影響額ではなく、その対象となる貿易額全体を指しているものということでございます。
 また、影響についてだけコメントいたしますと、国から詳細な資料は全く提示されておりません。先ほどお話ししたとおりでございます。例えば、県として影響を推しはかることは、現時点では困難でございます。
〇斉藤信委員 72億ドルの関税が撤廃されるということですよ。
 そういう意味でいけば、安倍首相はウイン・ウインと言っているけれども、全然ウイン・ウインではない。一方的な譲歩。ある新聞は、脅しに屈したと書きましたよ。私は、全くそういう一方的な譲歩、対米追従の交渉だったのではないかと思います。
 その中で、特に重大な問題を二つお聞きしたい。一つは、一番影響があるのが牛肉なのですね。最大786億円です。今、肩ばら肉の100グラムの国産肉は380円台、輸入肉は関税を引き下げると198円。岩手県は有数の畜産県ですから、この影響は極めて大きいのではないか。どのようにあなた方は受けとめているか。
 もう一つは、トウモロコシをどさくさ紛れに275万トン輸入すると。アメリカで余ったからですよ。余った農産物の輸入ですよ。これは額にしますと550億円分ですよ。これは飼料用作物とバッティングするのですね。これまた重大な影響を日本、岩手県の農業に与えるのではないかと私は思いますけれども、これについてはいかがですか。
〇上田農林水産部長 まず、畜産に関してでございますが、本県の場合、農業産出額に占める畜産の割合は約6割でございまして、本県農業に関しての畜産の占めるウエートは非常に高うございます。その中で公表された試算値ではあるものの、国全体での数字ではございますが、TPP11等で県の影響額の試算を私どもやりましたけれども、そのことを勘案いたしますと、県の畜産産業に関して相当な影響があるのではないかと思っております。
 ただ、残念ですが、繰り返しになって恐縮でございますが、国からその試算の詳細についての資料の提供がないものですから、本県への影響を詳細に推しはかることは困難でございます。早く国においてそういった資料を提示していただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今、部長も繰り返し答弁しているように、暫定版の根拠のない試算で、皆さんもわからないと。こうした中で、国会で協定だけ通すということはあり得ないのではないか。
 日米貿易協定はもう撤回をする、日米FTAはやっぱり中止をする、そのことを、そういう状況だったらなおさら求めていく必要があるのではないか、改めてお聞きします。
〇上田農林水産部長 もう国会での審議に入っておりますので、これは国会の審議に委ねるものと存じております。ただ、先ほど申し上げたとおり、こういった国際貿易のルールが変わった場合に、本県の農畜産物に対する影響は非常に大きくなる可能性が高いと思っております。このため、国に対しては、これまでも、日米貿易協定交渉に当たりましては、地域経済、それから国民生活に影響が生じると見込まれた場合には、交渉からの撤退も含め断固たる姿勢で臨むよう要望してまいったところでございます。
 現在、開会中の国会においては、日米貿易協定の承認案が審議されているところでございます。十分議論を尽くしていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、最後になりますけれども、種子条例の制定の取り組みについてお聞きいたします。
 全国的にかなり種子条例の制定が広がっておりますが、全国の取り組みをどのように把握されているか。あわせて、2月県議会定例会で請願が採択されて、私は県当局も真剣にこの県条例の制定に向けて取り組みを進めていると思うけれども、どういう内容で準備を進めているか示してください。
〇佐藤水田農業課長 最初に、道県の条例の制定の状況でございますが、今13の道県で条例の制定を行っているところでございます。
 続きまして、種子条例制定の取り組みについてでございますが、これまで県では、他の道県で制定された条例について、制定の目的や規定の範囲がそれぞれ異なることから、既に条例を制定した長野県あるいは埼玉県を訪問し、条例に盛り込んだ内容とその考え方について調査、研究してきたところでございます。
 また、種子条例の制定に当たっては、岩手県の特徴を反映させた岩手県らしい内容とするのが適当と考えられることから、本県の伝統野菜である安家地大根あるいは暮坪かぶ、琴畑かぶ、矢越かぶの生産状況を確認するなど、必要な情報の収集等の作業を行っているところでございます。
 今後、こうした調査結果を踏まえながら、条例の対象品目の範囲あるいは県が担うべき役割などについて、スピード感を持って検討を進めてまいります。
〇斉藤信委員 全国的に急速に種子条例の制定が広がっていると。この背景には、国会でまともに議論もしないで、皆さんにも全く相談をしないで主要農作物種子法が廃止されてしまったと。やっぱり今は本当に全国から、地方から、地元の種子を守っていく、この取り組みは大変大事だと思うので、ぜひ、これからつくるメリットを生かして、すばらしいものをつくっていただきたい。
〇千田美津子委員 まず最初に、国連の農民の権利宣言についてお聞きいたします。
 国連は、昨年12月17日の国連総会において、小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言、いわゆる農民の権利宣言を決議しております。しかし、日本は残念ながら棄権しております。しかし、圧倒的多数の国々の賛成で可決されております。
 この宣言は、農民を初め農村で働く全ての人が、農林漁業や関連産業などで生活することを権利とし、その保障や支援は国や国際機関の責務として位置づけております。まさしく国連の家族農業の10年決議と同様に、小規模、家族農業生産者を再評価して、これを保護、支援していくための国連決議だと考えますが、どのように捉えておられますかお聞きいたします。
〇藤代農業振興課総括課長 国連におきまして昨年12月に決議されました小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言についてでございますが、国連が、小規模、家族経営などの農家等が食料生産に果たす役割ですとか生物多様性への貢献といったものを評価いたしまして、加盟国に対して、このような小規模農家等の権利を尊重、擁護することなどを促したものと捉えているものでございます。
〇千田美津子委員 まさにそのとおりだと思います。そして、この宣言は全部で28条例から成りますけれども、例えば、食料や農業政策をみずから決める食料主権、それから、今お話がありましたが、種子に関する権利、自家採取の種子を利用することや交換、販売する権利、そして、農村女性の権利など、小規模、家族農業をきちんと評価し、この権利を守る国際的な枠組みが新たに誕生したものであります。
 日本を初め各国は、この宣言を実現する施策を実行することが求められると考えますが、いかがでしょうか。
〇藤代農業振興課総括課長 今、委員御指摘のとおり、今回の国連宣言については、全体として28カ条で構成されております。この国連宣言の第2条では、加盟国の義務が規定されております。その中で、加盟国は、小農と農村で働く人びとの権利を尊重、擁護、実現するため、法的、行政上その他の適切な措置を迅速にとるとされていると承知しております。
 なお、この国連宣言について、先ほど委員の御質問にもございましたけれども、日本国は宣言の採択を棄権したと報道されておりまして、国連加盟国としての対応などに関することについて、国から県に対しての情報提供がございませんので、恐れ入りますけれども、答弁については差し控えさせていただきます。
〇千田美津子委員 いずれ国が棄権しているということで、本当にけしからんと思います。
 先ほどお話があったTPP11や日欧EPA、日米FTA等の貿易協定なども、本当に食料主権という観点から見ても、私は根本的に見直さなければならないものと考えますが、これはこの程度にしたいと思います。
 二つ目、新規就農者への支援ですが、現状については午前中に質問がありましたので、支援策1点だけお聞きしたいと思います。
 平成30年度の農業次世代人材投資事業についてであります。これは平成28年度までは青年就農給付金という名称だったと思いますが、この人材投資事業について、支援実績と今年度の状況、今後の見通しについてお聞きいたしますが、この件数と金額についてお答えいただきたいと思います。
〇高橋農業革新支援課長 農業次世代人材投資資金の交付実績についてでございます。
 平成30年度における全国の交付対象者数は、準備型で2、176人、経営開始型が1万1、498人、合計1万3、674人となっております。うち本県では、準備型が15人、経営開始型が288人、合計303人となっております。
 今年度の本県の交付対象者数は、9月末時点で、準備型が10人、経営開始型が246人、合計256人となっております。
 また、今後の見通しということでございますけれども、10月以降経営を開始する予定の対象者が7人ほどいますので、11月以降に予定されている国の追加要望に必要額を確保していくこととしてございます。
〇千田美津子委員 11月以降に新たに希望をされる方がいらっしゃるということで、その方も申請をされるということでありますが、平成30年度実績に比べますと結構減っているわけです。そして、平成30年度の実績に比べますと5、800万円、私は大幅に減額されていると思うのですけれども、これは申請者数の関係なのかどうか、その点についてお聞きいたします。
〇高橋農業革新支援課長 先に、先ほどの答弁ですが、失礼いたしました。金額を抜かしておりましたので、追加で御報告させていただきます。
 平成30年度の本県の交付金額につきましては3億8、500万円となっております。本年度は、今のところ、約3億2、700万円となっているということでございます。
 対象者数が減少しているということでございますけれども、主な理由といたしましては、これから就農しようという方々を対象とした準備型ですけれども、今年度から先進農家での研修については、農の雇用事業を活用するということで準備型の対象が変わったということで、それに伴って、これに取り組む経営体が少なくなったことで対象が減っているということがございます。
 また、経営開始型につきましては、採択が多かった年がありましたけれども、5年間の継続ということもあり、その方々が平成30年度で終期を迎えたということがありまして、見かけ上は減少しているという状況になっております。
〇千田美津子委員 準備型で対象が変わった、それから、経営開始型で5年間ということから終了している人がいるというお話でありました。しかし、当然対象となる方々について、この減額は大幅な縮小ということで、全国で新規就農者の皆さんが不安を感じて県や国等に声を上げたようでありますけれども、そういう事態は把握されていますか。
〇高橋農業革新支援課長 農業次世代人材投資資金につきましては、新たに農業につく方の農業経営を安定化させるために非常に重要な施策と捉えておりまして、この制度を活用いたしまして新規就農者が経営を安定化させることについて、引き続き、県としては支援してまいりたいと思っております。
 また、一方で、この事業の対象となります就農者以外に、近年、雇用就農という形で、雇用された形で就農する方が伸びておりまして、そちらの方も含めますと、全体的な新規就農者の数は、比較的横ばいで推移していると捉えております。
〇千田美津子委員 私は、新規就農者の方々の数のことを言っているのではなくて、本来、約束した、もらえる範囲からさらに予算が削られて、今おっしゃった雇用就農者を含めた方々が非常に不安を抱かれたと。それで、県内でも全国的にも大きな騒ぎになって、市町村でもそれをどうするかという議論がこの間ずっと続いてきたわけですが、そのことについてお聞きしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業次世代人材投資資金の予算の状況でございますけれども、委員御指摘のとおり、平成30年度と令和元年度の当初予算を比べますと、国の予算は減額されております。
 この背景を見てみますと、昨年度までは、市町村が要望した新規就農者の見込み数に相当する金額を、予算額として内示しておりましたけれども、年度末にその見込みにならず、就農しなかった人の分を返還してきている状況がずっと続いてまいりました。このため国では、今年度から、確実に就農する、就農の準備が整った分について県あるいは市町村に予算を配分するという形をとっておりまして、随時、追加配分、県が追加要望をする形で必要な額を確保していくということで準備をしているところです。
〇千田美津子委員 いろいろ答弁されていますけれども、見込みがどうのこうのじゃなくて、本来もらえるべき金額が市町村に割り当てにならなかったために、実は県であれば、申請者数に対して順番をつけてくださいと。1番から9番まで優先的に満額もらう人の順番をつけてください。そのほかの次の人たちは減額をする人だ、そういう指示までしたのではないですか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業次世代人材投資事業の配分に当たりましては、当初はそういった形で予算が少ないであろうということがありまして、市町村に、確実に就農の準備が整った方を調査してくださいというお願いをいたしましたし、現時点で、就農した方々についての交付金は交付されているということでございます。
〇千田美津子委員 いずれ新規就農者の方々は本当に大事な後継者の方々です。そういう方々ががっかりすることのないように、安心してしっかりした経営に臨むことができるように、ぜひ、そういった立場で支援をお願いしたいと思います。
 次に、ため池等の防災対策についてお聞きいたします。
 大規模地震や局地的な豪雨などによる災害を未然に防止するため、老朽化した農業水利施設等の改修、補強とともに、ため池等の決壊や溢水等を想定したハザードマップ作成等の減災対策が重要だと考えますが、岩手県ではどのような状況となっていますか、お聞きいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 ため池の防災、減災対策についてでございますけれども、県では、現時点で選定しております全ての防災重点ため池、現在898カ所になりますが、こちらについて浸水想定区域図を精査、作成しており、年度末には全ての箇所で完了する予定でございます。
 それから、ハザードマップにつきましては、今申し上げました浸水想定区域図をもとに、国庫補助を活用しながら、市町村が計画的に作成を進め、平成30年度までに38カ所を作成しております。それから本年度、令和元年度は33カ所、さらに来年度、令和2年度は47カ所、計118カ所を来年までに作成することを見込んでございます。
 農業用ため池が決壊した場合に被害が想定される地域の住民の安全・安心を確保するために、決壊時の影響等を勘案しながらソフト対策を優先して進めていくこととしておりまして、ハザードマップ作成が促進されるよう、国に対しまして予算確保を働きかけるとともに、関係市町村と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それで、防災重点ため池について、あわせてお聞きいたします。
 防災重点ため池は、住宅や公共施設などに近く、自然災害で決壊した場合に人的被害が出るおそれがあるとして、避難対応や補強などの優先的な整備を求められているため池のことでありますけれども、県内ではどのくらいあるでしょうか、お聞きいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 防災重点ため池についてでございますが、平成30年7月の西日本豪雨において、小規模なため池の決壊等によりまして甚大な被害が生じたことを受け、国では、防災重点ため池の選定の考え方の見直しを行ったということでございます。
 従来43カ所ということでこれまで防災重点ため池を選定しておりましたが、国の考え方を受けまして、新たな選定基準によりまして、本県における防災重点ため池を5月末までに再選定した結果、農業用ため池は1、925カ所、そのうち防災重点ため池の施設数が898カ所ということで、先ほど申し上げた数字となっております。
〇千田美津子委員 今898カ所が、5月の国の見直しでもっとふえたのかと思ったら、見直しをして898カ所ということで了解しました。
 先ほどのハザードマップの作成は、これから予算も日数もかかるということで、国に対して要望する、あるいは市町村との連携をやっていくということですが、本当にこのハザードマップを898カ所全部でつくられることが本当に大事になってくるわけですが、どのように市町村と連携をしてやっていくか、その点についてお聞きいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 現在、ハザードマップについては、国の防災・減災・国土強靱化のための3か年緊急対策の期間である平成30年度から令和2年度までにおいて全ての防災重点ため池で作成することは、やはり予算的にも、委員がおっしゃるとおり非常に困難と捉えておりますので、国に対しまして、現行助成制度の期間の延長ですとか、それから予算の確保について、まずは要請をしていきたいと考えております。
 それから、決壊した場合の浸水想定区域図は、本年度いっぱいで作成される見込みでございますので、それをもって、ため池の下流に及ぼす影響度合い、住宅の戸数ですとか公共施設の箇所数といったもので、全てのため池の優先順位をまずは見ながら、その影響度に応じて、できる限り予算を有効に活用しながら、その順番に応じて、ハザードマップは市町村で作成することになりますので、市町村の作業のキャパシティーとかといったところもいろいろと打ち合わせをしながら、できる限り前倒しで作成したいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひそのようにお願いしたいわけですが、防災ため池の最後になりますけれども、実は会計検査院が調査をした中で、防災重点ため池のうち約4割で、豪雨の対策工事の必要性が適切に判断されていなかったことが明らかになったという報道がありました。これは自治体の市町村等の調査基準が国の指針よりも低くて、改修が必要なため池が見逃されていたということだったようでありますけれども、岩手県ではどのような状況でしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 昨年度の会計検査院の調査の結果、そういった他県の事例がございましたけれども、堤体余裕高ですとか設計洪水流量など、国の設計指針に定める基準を満たしていないと指摘を受けている状況の中で、本県でも確認してまいったところですが、国の設計指針に基づきまして、そのとおり調査基準を設定しております。
 200年確率洪水流量、それから、今までの最大の洪水流量、さらには近傍の気象条件、類似する地域の近傍流域における流量といった結果から推定される最大の洪水流量につきまして、本県では、その基準を設定しながら検討を進めておりまして、対策工事の必要性を適切に判定している状況でございます。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問になりますが、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業についてお聞きいたします。
 いわて地域農業マスタープラン実践支援事業の成果と現状、今後の見通しについてお聞きいたします。
〇藤代農業振興課総括課長 いわて地域農業マスタープラン実践支援事業についてでございますけれども、この事業は、平成25年度から実施しております県単独事業でございまして、地域みずからの話し合いに基づき策定されました地域農業マスタープランの実現に向けまして、地域の中心となる経営体の規模拡大等に必要な機械ですとか施設の導入を支援しているもので、毎年度約2億円程度の県予算を確保いたしまして事業を行っております。
 本年度につきましては、前年度に比べまして約900万円増の2億1、000万円余の予算を確保いたしまして、約100経営体の取り組みを支援しております。
 今後とも、予算の確保に努めまして、市町村と連携しながら、より効果的な事業が実施されるよう取り組んでいくこととしております。
〇千田美津子委員 この事業を希望する方が非常に多いと聞いておりますが、どのような状況でしょうか。
〇藤代農業振興課総括課長 いわて地域農業マスタープラン実践支援事業につきましては、非常に御要望をいただきまして、先ほど答弁申し上げましたけれども、今年度予算2億1、000万円ほど措置したところでございますが、市町村からいただいた要望額については約2億7、000万円という状況になっておりまして、6、000万円ほどギャップが生じているところでございます。
 そういったギャップにつきましては、市町村と連携しながら、この事業に加えまして、同様の機械、施設等を導入できる国庫事業などもありますので、そういったものの活用を進めているところでございます。
〇千田美津子委員 なかなか満額とはいかないのだと思いますが、農家にとっても非常に要求が多い事業だと聞いておりますので、引き続きの取り組み、支援をお願いしたいと思います。
 通告していたのが環境保全型農業直接支払制度でしたが、これは割愛いたします。
〇佐々木茂光副委員長 おおむね午後3時になりますが、工藤勝子委員の質疑終了後、休憩したいと思いますので、御了承願います。
〇工藤勝子委員 それでは、まず最初に、農林水産部長にお聞きいたします。
 農林水産業は、人間が生きていく上で糧となる食料を生産しているわけです。安全で安心して、また、おいしい食材を安定的に生産しているということに誇りを持って、私も農業者で、そんなに大きな農業をやっているわけではないのですが、そういう思いを持って今日まで農業を続けてまいりました。
 しかし、いわて県民計画実施状況報告書を見て毎年疑問に思うことがあります。それは、県民意識調査で、農林水産業の担い手の確保、重要度27位、満足度46位、産地形成38位、満足度35位、ブランドの確立33位、満足度30位、活力ある農山漁村の形成42位、満足度40位と非常に低いわけであります。
 農林水産部として、毎年このような結果が出ているのですけれども、まずどのように捉えていますでしょうか、部長にお聞きいたします。
〇上田農林水産部長 委員から御指摘いただきましたけれども、県民意識調査結果の詳細な分析は担当部のところでやっておりますけれども、こういったことを見ますと、農林水産業に対する県民の意思はどうかというところが疑問でございます。
 本県の農林水産業でございますが、例えば食品産業とか観光業も含めまして他産業への波及が非常に大きい、そして、裾野の広い産業でございます。それから、地域の経済を支える基幹産業の一つでございまして、将来にわたり持続的に発展していくことが重要でございます。そういった重要性が、私どもの努力が足りなかったということかと存じますが、県民の皆様に浸透していないことは大変申しわけなく、反省しなければならない点だと思っております。
 こういったことを県民の皆様に広くお伝えして、農林水産業が重要であり、そして、これから発展させていくことが必要だという機運の醸成をこれからも図ってまいりたいと考えます。
〇工藤勝子委員 部長がおっしゃいましたように、県民向けのPRが足りなかったということではないかと思っています。今後は販売戦略に掲げる産地間競争、またはグローバル社会がますます進展していくわけで、私も海外戦略に目を向けてきたわけであります。
 でも、岩手県の農産物の消費、これを県民が重要度としてどのように捉えて、満足してもらえるかということが、非常に大事で、県民の方に県の食材を買っていただく、農産物を買っていただく、まずここからスタートしていかなければならないということを考えました。そういうことで、部長がおっしゃいましたように、県民向けのPRや対策が足りなかったのではないかと思っているところであります。
 なぜこのような質問をするのかと申しますと、総括質疑において、知事に農産物の目指す方向性、ビジョンを聞きました。これは、私が前の紺野部長のころから言い続けてきました。上田部長にもお話ししたことがあります。だけれども、県は絶対こういう農家の人たち、県民に対してビジョンを示すという答弁は一切いただけませんでした。
 そういう中において、こういう考えを持っているのは、多くの議員がいる中で私だけなのかもしれませんけれども、農業者の一人として、やはり消費者、県民の全ての方々に、岩手県の農産物のすばらしさをもっともっとPRして、県民の消費者の方々の声を全国に向けていく、全国に発信していく。私たちだけではなくて、県の職員だけではなくて、やはり県民の人たちの口から口へ伝わっていくことが非常に重要ではないかと私は思うようになったわけであります。
 答弁の中を見ますと、JAいわてグループ、県内の森林組合、県森林組合連合会、JFグループ岩手県、この団体、組織、全てのところが目指す姿や経営ビジョンを考えているわけであります。それに対して、県は指導的立場として参画しながらいわて県民計画(2019〜2028)を進めていくのだということを掲げております。
 だけれども、こういう組織、団体がきちんとビジョンをつくっている中で、その先頭に立って指導していかなければならない県が、なぜそういうものをつくっていかないのかということが私は不思議でならないのです。ぜひもう一度、部長にお聞きしたいと思います。
〇上田農林水産部長 委員の御質問でございますが、総括質疑での知事への御質問でもあったとおり、農林水産業に関しての独自のビジョンあるいは計画をつくってはいかがかという趣旨かと存じます。
 知事も答弁の中で触れておりましたけれども、いわて県民計画(2019〜2028)が今年度からスタートしております。その中で、政策推進の基本方向でございますけれども、農林水産業に関しましては四つ柱がございます。一つは経営体の育成でございます。もう一つは収益力の高い産地づくり、三つ目でございますが、高付加価値化と販路の開拓・拡大、そして、最後四つ目でございますが、一人ひとりの暮らしに合った暮らし方ができる農山漁村づくり。こういったものを掲げ、そして、さまざまな方々との意見交換、議論を重ねた上でいわて県民計画(2019〜2028)をつくらせていただきました。
 そういった中に、まず、本県農業あるいは農林水産業の場合に、柱となることが明確に書かれております。そういった委員の御質問の趣旨であります農林水産業に関するビジョンはこのようにいわて県民計画(2019〜2028)の中に盛り込まれていると認識しているところでございます。
〇工藤勝子委員 もう一点お聞きしたいと思っております。この知事答弁の中で、仕事・収入のあるべき姿、農林水産業をものづくり産業などの活力ある産業のもとでと言っています。雇用とか生活とか、所得が得られる仕事につくことができる岩手としていると答弁されています。
 農林水産業を他のものづくり産業分野とどのように関係づけられると考えていますでしょうか。
〇上田農林水産部長 農林水産業と他分野の産業との関連のお尋ねでございます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、本県の農林水産業でございますが、食品産業あるいは観光業といった例を挙げさせていただきましたが、他産業への波及効果が非常に大きい、裾野の広い産業でございます。このため、例えますと、農林水産物の高付加価値化が柱の一つだとお話を申し上げましたが、例えば、農商工連携あるいは6次産業化といった取り組みが行われております。また、それを推進するために農林漁業者、それから流通業者あるいは食品事業者などが連携して取り組みを進めております。
 さらに、魅力あふれる農山漁村づくりにつきましては、遠野市などは先進地でございますけれども、グリーンツーリズムによる交流人口の拡大、こういったものにおきまして、観光事業者と連携した情報発信に取り組んでもおります。
 こういった取り組みや方向性を生産者や関係団体、さらには市町村、そして県が共有いたしまして、連携しながら取り組んでいくことを明らかにしたものと受けとめております。
〇工藤勝子委員 そういう中において、県民へのPRということを最初にお聞きいたしましたけれども、私は、何も東北5県、他県のまねをして、いずれの県でも計画をつくっているわけですけれども、人のまねをすることはない、岩手県独自のものでいいと思っているのです。でも、あのいわて県民計画(2019〜2028)をどれくらいの人が開いて、農業部門をきちんと見るのかというところをどのように捉えていますか。
〇上田農林水産部長 今回つくりましたいわて県民計画(2019〜2028)の中での農業あるいは農林水産業についての記述のお話かと存じます。
 従前の計画の場合には、農林水産業という1項目がございました。今回の計画につきましては、県民全体の、例えば幸せとか、そういったものの観点から領域を区分し直しまして作成したものでございます。
 わかりにくさということにつきましては、いろいろ議論があったものと私も承知しております。その中で、昨年度1年間かけまして、さまざまな方々、団体あるいは市町村、審議会等にお諮りして、御意見を頂戴しながら今のものにまとめていったものでございます。
 内容について、私どもで冒頭申し上げましたとおり、県民の方々に対して、きちんとお伝えをして御理解をいただくことがやはり重要でございますので、今までもそういった取り組みをやってきたつもりではございますが、委員御指摘のとおり、残念ですがそういう結果にはなっていないようなデータもございます。なお一層、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 この、いわての畜産という資料をいただきました。これは平成30年度につくった資料であります。開いてみて、非常に見やすいと申しましょうか、非常にいいものができているなと思っていました。これを、例えば私たちに配付しましたか、ちょっとお聞きしたいと思います。私は初めて見たのですよ。だから、つくって満足しているだけじゃないでしょうか。
 つくったなら、畜産農家にどれだけこういうものを配付しながら、例えば、繁殖頭数がどんどん減ってきている中で、岩手県の目指す方向をしっかり示して、そこに計画を立て、予算立てをして示していくことによって、畜産農家の人たちも、県がこういうものをつくって頑張らせようとしているのだったら、私たちももう少し頑張ってみるかというような考えを持ってくるのではないかと思うのです。
 そういうPRの仕方というのは、非常に優秀な農林水産部の職員がそろっている中で、そういうところが非常に手落ちになっているのでないかと思うのですけれども、所感をお伺いいたします。
〇上田農林水産部長 今御指摘いただいた点については、全くそのとおりかと思います。
 私どもは、さまざまな資料とかデータあるいはそういった情報を持っております。それを県民の方々あるいは生産者の方々、生産団体を含めまして関係の方々に御提供して、その内容を共有することが、これからの施策を進める上で非常に重要だと考えております。
 そういった中で、その冊子そのものについてはお褒めの言葉を頂戴しまして大変ありがたく思っておりますが、こういったものがうまく、そういった認識の共有といいますか、県民全体で一丸となってやっていこうというところに生かせなかったのではないかというような御指摘かと存じます。素直に、そのとおり課題だと受けとめさせていただいて、今後とも、そういった資料等については、ぜひオープンにして、わかりやすいようにお伝えをして、意識といったものを一丸となって共有させていただいて、緊密に連携を図りながら、こういった施策の推進に邁進してまいりたいと思います。
 こういった御指摘をいただいたことについては、今後に絶対に生かしてまいります。
〇工藤勝子委員 そういうことで、まとめたものをもしつくれなかったならば、こういうものをつくっていくということは非常に大事じゃないかと。だったら米の部をつくるべきですよ。米の質問をすると、金色の風とか銀河のしずくばかり出てくるのですけれども、それをつくれない農家がいかに多いかということですよ。
 だったら、岩手のお米のこういうものだってつくって、私たちみたいにあきたこまちしかつくれない地域の、中山間地域のそういう水田を今後どう活用しながら、自然を守りながら地域活動していくかというようなところもまとめていったらいいのではないか。それは林業でも同じ、漁業でも同じだと思うのですよ。
 こういうものがそれぞれの部で、それぞれの課でつくれるのだったら、それぞれの担当部署で大きいもの、立派なものをつくらなくても、こういうものをつくって県民に示していくことが大事だと思うのですが、もう一度お伺いいたします。
〇上田農林水産部長 先ほど御答弁申し上げましたが、そういった今後の県の方向性とか、あるいは県の施策の方向性といったものを県民が広く共有することは、非常に重要なことだと考えております。そういった認識の共有のあり方について、委員からいただいた御提言も参考とさせていただきながら、このあり方について検討を進めてまいります。
〇工藤勝子委員 ぜひよろしくお願いいたします。私にもう一度同じようなことの質問をさせないように、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っています。
 では次に、畜産振興についてお伺いいたします。キャトルセンターに絞ってお聞きいたします。
 キャトルセンターが設置されております。これは繁殖雌牛20頭以上の経営体の育成や肥育経営にかける繁殖部門の導入、一貫経営を推進するためにつくられております。
 そういう中において、このキャトルセンターの成果と課題をどのように捉えていますか、お聞きいたします。
〇菊池畜産課総括課長 キャトルセンターの利用状況と成果、課題についてでございますが、キャトルセンターにつきましては、設備投資を抑えた増頭を可能とするのみならず、省力管理にもつながることから、生産者の高齢化へも対応できる施設であり、平成14年に奥州市において県内で初めて設置され、現在は県内で8カ所に整備されております。
 8カ所の合計でございますけれども、年間約1、200頭の預託実績となっております。平均で約8割の稼働率となっておりますが、課題といたしましては、飼養管理上の問題や労働力不足によって稼働率が低いキャトルセンターも散見されております。
 このため、広域振興局や農業改良普及センターでは、キャトルセンターの運営検討会などにおいて、運営方法、さらには飼養管理技術についての指導、助言を行っておりまして、引き続き、この稼働率の向上に向けて支援してまいります。
〇工藤勝子委員 ここで事故が何件ぐらい発生しておりますか。
〇菊池畜産課総括課長 具体的な事故の件数につきましては、今ちょっと手元に数字がございませんが、群飼い、密飼いで牛の事故が発生しているというのは、年間にある程度聞いております。いずれ、そういったことを防止するためにも、先ほど申し上げたように、キャトルセンターの指導につきまして、例えば、遠野農林振興センター管内であれば、広域振興局が年4回程度、あるいは農業改良普及センターが関係機関を招集して、一緒に検討会を開催しております。そういった中で、そういった事故防止に向けても検討しているところでございます。
〇工藤勝子委員 事故が発生した場合、親牛に保険をかけていれば一定の価格が畜産農家に入ってきます。だけれども、キャトルセンターとしての責任はどうなっているのか、キャトルセンターとしての補償はどうなっているのか、お聞きいたします。
〇菊池畜産課総括課長 具体的な補償につきましては、NOSAIの家畜共済制度がございますので、そちらに加入していれば対象になると考えております。
〇工藤勝子委員 キャトルセンターだけではなくて、今どんどん畜産農家が減ってきている。特に繁殖農家が減ってきている状況にあります。そういう中において、私は、牛飼い女子会もありますけれども、仲間づくりが非常に大事だと思っているのですよ。
 この間も、うちの仲間が9人いるのですが、市場が終わった後、必ず反省会をするシステムになっておりまして、1カ所に集まって飲んだり食べたりしながら反省会をすることになっているのです。
 ここにどなたかの牛が、例えば出産で大変な場合だとか、いろいろな事故が起きたときに、この9人の仲間がそばにいるというのでしょうか、携帯電話で連絡すると、集まってきて手助けをしてくれるチームになっているのです。この間も出産が2週間おくれた牛がありまして、私はそこにいましたので、まず、大変だから獣医師を先に呼びなさいという話をしたのです。獣医師が駆けつける、もう破水しているわけですから、そういう中において、その仲間の人たちが4人集まった。4人で引っ張って、大きな牛が生まれたのです。そうして生まれたところに獣医師が来たのです。
 また、9人の仲間とは別の若い仲間の一人で、県の支援を受けて施設を整備した若い後継者が、親牛が双子を出産して、親牛も双子も死亡させてしまったのですよ。非常に残念な結果だった。そこにはなかなか獣医師が駆けつけられなかった。だから、仲間の人たちと私はその後継者の方に、私たちがいるのだから、そばにいるのだから、なぜ声をかけてくれなかったのだという話をしたのですよ。
 そういう中で、いかに地域の中における仲間づくりの組織が大事かと。そういうところにも県はしっかりと、支援とか何かお金を出せとか言っているわけではないのですけれども、そういう仲間づくりを呼びかける取り組みをすべきではないかと思うのですが、まず、所感をお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 委員御指摘のとおり、仲間づくりは非常に重要なことだと思っております。特に、それぞれの地域に若い方々で組織するグループがございます。そういった部分について、例えば県南広域振興局であれば、私もいた当時にそういう各地域ごとの横の連携といった部分を、地域活性化交付金といいますか地域振興推進費で支援もさせていただいた記憶もございます。
 いずれ、そういった部分の横の連携を行いながら、そういう若い方々の御支援といいますかネットワークづくりについては、進めていくことが重要かと思っております。
〇工藤勝子委員 最後の質問になります。私も、東京2020オリンピック・パラリンピックへの県産食材のPRと現在の状況について通告をいたしているところでもあります。
 そういう中において、千葉絢子委員とか菅野委員からも質問がありましたけれども、県のオリジナル品種は一等米比率がすごく高かったわけです。では、全国はどうかというと、せいぜい65%ぐらいの比率だったと思っています。だったら、ここで県のオリジナル品種をばーんと売り出す機会じゃないかと思ったのですけれども、いろいろお話を伺っているうちに、例えば食材を入れることに対しましても、なかなか簡単にPRしたり食材を入れるようなシステムにはなっていないというお話を聞きました。そしてまた、使っていただいたからといって、都道府県名とか生産者を公表できないとも聞きました。
 では、そこに売り込む生産者としてのメリットはどのように考えているのでしょうか。生産者もわかっているでしょうか。
〇高橋流通課総括課長 東京2020オリンピック・パラリンピック選手村に対する食材の提供でございますけれども、本年6月になりますが、先ほども別の答弁でございましたが、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局から、選手村への食材供給に関する意向調査というものがございました。本県におきましては、供給が可能なGAP等の認証を受けた生産者と食材につきまして取りまとめ、報告を行ったところでございます。
 このオリンピック・パラリンピック選手村におきましては、メーンダイニングとカジュアルダイニングと二つの食材提供の施設がございます。メーンダイニングは、まさに競技を控えている選手の皆様方に提供する施設、そして、カジュアルダイニングは、日本の食文化でありますとか、または被災地の食材といったようなものを広くPRしていただけるダイニング施設ということでございます。
 そうした中で、先ほど申し上げましたが、供給可能な食材については国に報告をしておりまして、現在、飲食提供の業務を受託している事業者の方と組織委員会がメニューを決定したと聞いております。IOCの承認を受ける手続の最中だと承っておりますが、先ほど申し上げましたカジュアルダイニングにおきましては、被災地の情報も含めた発信が可能とお聞きしておりますので、そうした場面を活用して情報発信をしてまいりたいと考えております。
 また、委員からお話がございましたが、提供させていただいた農林水産物につきましては、産地まで公表されるとお聞きしております。ただ、別の機会でもお話があったかと記憶しておりますが、オリンピックで使われたことによって、販売活動に活用するようなことは禁じられているとお聞きしております。
 さはさりながら、そうした中で、我が国で開催されるオリンピックに、しっかり生産という立場から参画をいただいたことにつきましては、生産者の皆様方にも大変励みになるものであろうと思いますし、また、産地が表示されたということで、お召し上がりになったいろいろな方々には、記憶に残るものではないかと思っております。そういった面におきまして、GAP全体の認証を含め、生産者のメリットといったことにもつながっていくものではないかと考えております。
〇佐々木茂光副委員長 工藤勝子委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇工藤勝子委員 JGAP、それからGAPを取得して、このオリンピックに向けて頑張ろうという農家の人たちもたくさんいたのだろうと私は思っております。そういう人たちが、ぜひ元気になって、これからも生産活動に力をつけていけるように、これはオリンピックに出荷できた、できない、それは別として、県としていろいろな方々、後継者を含めてぜひPRをずっとこれからも続けてほしいですし、いろいろな形の中で担い手育成にも御尽力いただきたいと思っております。
〇佐々木茂光副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後3時16分 休 憩
午後3時33分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日10人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 第2部、林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 林業振興という観点で1点お伺いしたいと思います。
 本年は戦後74年の年でありまして、戦後復興期始まりのころに派兵された日本兵が引き揚げてまいりました。当面その人たちが働く場がないということで、国策として植樹を進めてきたわけでございます。その木が、今や60年以上経過をしまして、ようやく伐期を迎えてきていると思っております。東日本大震災津波のちょっと以前から、TWと言うのでしょうか、木材を積んだ車が随分動いているように見えまして、これは林業がようやくいいところに来たなと思っていたところであります。
 そういう中で今回の台風第19号、これはまさに雨台風でありまして、沿岸に集中し過ぎた嫌いがありますけれども、これによって相当多くの被害をこうむったところであります。国道45号が崎山地区で約2週間にわたってストップをいたしました。これは崎山トンネルのトンネルとトンネルの間の20メートルから30メートル区間がコンクリートのトンネルでなかったがために、そこに集中した雨によって土石流がトンネル内に入り込んで、開通まで2週間がかかったというものであります。これは国の管理分でありますので、この際、県道あるいは市町村道について、台風被害からの復旧について伺いたいと思います。
 今回の台風第19号、県道あるいは市町村道について、特徴的だったと思う点がございます。それは、山々の沢伝いに水が流れてきて、当然道路にも水が出てくるわけでありまして、それに伴って土砂の崩壊、のり面の崩壊等あるわけでありますが、その中に、私たちは丸太と言いますが、木材の1間というか10尺というか、そういったものの中で、両側をきちんと切断したものが一緒に流れてきたことであります。重茂半島などはしばらく沢自体が流れてしまいまして時間がかかりましたが、それ以外にも県道の新しいルートの左右ののり面などから随分土砂の流出があって、それによって道路がとまったところがいっぱいございました。
 そういう中で、国有林、県有林、それから民有林と、いろいろあるわけでありますけれども、県道から、あるいは市町村道、そして林道に入って作業道に入っていく。そういう際の、作業が終わった後、材木を切り出した後の林道であれ作業道であれ、その維持管理というものはどうなっているのか。
 といいますのは、今や重機の発達はすごいものがありまして、キャタピラーつきのユンボというのでしょうか、3メートルぐらいのキャタピラーの長さのあるものは、大体どんな山でも登っていけると。そして、木を伐採して、同じ間隔で寸断して、搬出まで機械がやってしまう。そういう時代になってきましたが、その搬出が終わった後の作業道、特に山の沢々を越えて木を切りたい場所に入っていく間の小さい沢なのですが、キャタピラーよりもちょっと広くて深さが深い沢なんかの場合は、その辺の土を集めて沢を埋めて重機が入っていって作業をする。そして、搬出が終わった後、当然撤収をするわけですが、その後に残した木材、丸太といいましょうか、そういったものが片づけられないままに今回の大雨が来てしまったということで、県道等に流出したものだと私は思います。
 ただ、それによりまして、例えば通行中の車両が巻き込まれたとか、通行中の人間が巻き込まれたとかということはなかったのですが、今後もあり得ることとして、林業の仕上げの部分として、撤収の際に、そういう埋めた沢はもう一度掘り起こしてもとに戻しておくと。そういうことがなければ、今回のような雨台風がまた来た際には、どこの場所であっても同じことが起こりかねない、そのように思うのですが。せっかく伐期を迎えてこれからどんどん盛んにしていきたい林業、そういうものがほかに迷惑をかけるようなことになってはいけない、このように思うのですが、そういったものについてはどのようにお考えでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 伐出が終わった後の作業道などの維持管理についてでございますが、県では、過去の豪雨災害で発生しました林地残材の流出などを踏まえまして、学識経験者や林業関係団体等により設置されました森林施業に関する懇話会が定めました伐採等森林施業のあり方に関する指針に基づきまして、林地の荒廃でありますとか下流への土砂等の流出といった災害の防止に配慮した作業道を整備するため、切り土や盛り土などの土工量の低減、排水施設の適切な設置、あるいは道路が沢を通過する場合、洗い越しと呼ばれる沢をせきとめない工法の採用、こういったものなどに努めていくほか、大雨が降った場合でも残材の流出を未然に防止するため、残材などを沢から離れた高い位置に安定した状態で置くことなどにつきまして、林業関係団体等に対し毎年度通知をし、伐採作業に伴って林業事業体などが行う作業道の開設や残材の管理を適切に行うよう、周知徹底に努めてきたところでございます。
 今回の台風第19号に伴う大雨による被害の状況を踏まえまして、県では、改めて林業事業体等に対しまして、この指針に基づきまして、伐採中はもちろんのこと、伐採終了後におきましても、残材が沢へ流出しないよう強力に指導してまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 強力に指導していきたいというお話でありますが、そういうことがなされていれば今回のことは起きなかったと思うのですよね。最もまずいのは、流出してきた木材等が、道路を横断する例えばヒューム管でありますとかボックスカルバートとか、そういったものの直径を超えるものが詰まってしまって、当然、水が流れる先がなければ越水をして道路を洗って、それが違うところにどんどん下を渡って流れていくわけですから。
 実は宮古市の小堀内地区というところがありまして、県道45号が新規ルートで旧道の上を通ったところでありますが、そこで、道路の下を流れる1メートルぐらいのボックスカルバートがすっかりせきとめられまして、道路伝いに水が流れて、低いところから当然下の集落のほうに流れる。その流れ方によっては、恐らく5軒か6軒の家が流される、あるいは被害を受ける可能性があったところなのです。
 ですから、そういったものを今後に生かすために、主に民有林だと思うのですが、今代がわりしておりまして、自分の山を自分で見たことがない人、どこからどこまでが自分の山だか知らない人というのがふえていると思うのです。そういう人は、伐期を迎えた木を切るのに、多分業者にお任せでやってしまって、幾らかのお金が残ればいいということだと思うのですが、そういった場合の仕上げの部分、撤収の際の部分をもうちょっとチェックしていかないと再び起こり得る、そのように思うのですがいかがでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 ことしから始まりました森林経営管理制度の中では、森林所有者が、みずから管理できないような森林につきまして、市町村がその委託を受け、経営に適したような森林については、意欲と能力のある林業経営体がその管理をすることになっております。県では、その意欲と能力のある経営体を今年度82経営体ほど認定したところでございますが、これらの経営体に対しまして、そういった災害が起きないような施業を進めていく指導に加えまして、県でも、そういった取り組みをするように、いろいろな研修を通じながら指導してまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 今までの台風にはなかった集中性といいますか、短時間に雨量の多い台風というのはこれからもあり得ることだと思いますので、ひとつ予防策として、今後発生させないような手当てをしていただきたいと思っています。
 せっかく戦後すぐ植えてきた木がやっと伐期を迎えて、一昨年でしたか、北上プライウッド株式会社の社長にここにおいでいただいて御講演をいただきましたが、国内産材で大体国内の需要は賄えるというお話でした。南洋材等は要らないという話もお聞きしましたが、せっかく林業がこれからいいところに来たぞという場合に、そのいいとこ取りだけをして最後の後始末をしないまま、そのことによって他に被害が及ぶということのないように、さらに重ねて検討なり指導なりをお願いしておきたいと思います。林業についてはこれで終わります。
 次に、水産業のサケについてお伺いしたいと思います。
 25年間しゃべってきましたが全然変わっておりません。そもそもサケの魚体の大きさと価格が違うので、沿岸振興にはサケがどうしても一番先に来るのです。順序とすれば、スルメイカあるいはサンマが来て、そして最後はサケが来る。それで一気に挽回をするという状況なのですけれども、東日本大震災津波以前からどうも消費低落傾向に歯どめがかかっておりません。そういう中で、県は対応策を求めていろいろやってきたようには思いますけれども、どうも自然の摂理にかなっていないやり方をやってきたのではないか。
 例えば4年で帰ってきた親ザケが湾内に入って、自分の生まれた川を探して川に上っていく。その前に、沖合に来た時点で雌ザケを捕まえて、そこから卵をとって、それをふ化養殖場に持っていってふ化事業に充てる。これは絶対に自然の摂理に逆らっているものだと思います。沖合を通ってくるサケは、大体自分の湾がどこにあるのか、湾内を遊よくしながら自分の川を見つけて、そこに上がってきて、そのころにちょうど腹に抱えた卵が成熟してくるのです。したがいまして、そのころにあわせて捕獲をして、雄ザケと一緒にして卵を授精させてふ化場に運ぶ。ですから、未成熟の卵を早々と捕獲して稚魚の確保に向かうというのは、まず根本的に自然の摂理に逆らっていると思います。
 それから、今北上川に戻ってくる魚種が非常に水温の高いところにも戻ってくるみたいなお話で、北上川のサケを使って卵を確保しようという動きがあるように、あるいはやっているように思いますが、北上川から、例えば開運橋のあたりから放流されたサケが石巻市まで200キロメートル、何日かかって海に出ていくかわかりませんが、津軽石川のサケはふ化場から1キロメートルもないところで海に戻るのですね。そういう自然の摂理、多分サケの頭の中のコンピューターには、自分の母なる川を200キロメートルの間にたたき込んだサケと、1キロメートルの間で思い出というか記憶に残したサケと、当然違うと思うのです。それは人間の考えだけでやっているようでありますけれども、私はずっと自然遡上という部分も取り上げるべきだと、人工ふ化は人工ふ化でやってもいいけれども、自然遡上も一緒にやっていく方向でやったらどうだと、ずっとしゃべってきたつもりであります。
 先般の本会議で、田野畑村の松前川の話をしました。これは1、000匹ぐらいのサケが川に遡上してきたという話であります。それは、例えば別な川に放すことができなくて、たまたまそこに放流したサケが4年後に戻ってきたという話でありますが、そうではなくて、私が言いたいのは、自然遡上でも1、000匹帰ってくるサケがいるのではないですか。沿岸の川には、なお70匹来たとか50匹来たとかという川もあるじゃないですか。そういうことを研究していただいたほうが三陸沿岸の漁業に大きく寄与する、このように思っているのですが、素人考えかもしれませんが、それについてどのようにお考えかお伺いします。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの自然遡上でございますけれども、現在、国の研究機関では田野畑村の松前川と宮古市重茂の音部川の調査を行っておりまして、毎年サケの自然遡上がございます。その中では、自然ふ化の再生産が確認されているところでございます。
 震災後は、委員御指摘のように、河川に遡上するサケが大変減少しておりますほかに、3年前の平成28年台風第10号災害で計画放流数が大きく下回った状況もございまして、この状況で自然ふ化放流を拡大していくという状況になりますと、人工ふ化に必要なサケの数を減少させることにつながることとなります。
 自然ふ化については、人工ふ化放流に比べて、卵から稚魚までの生き残りが約7分の1と言われておりますので、結果として自然ふ化放流が多くなることは、海に下る稚魚が減少することにもつながるものと懸念しております。
 このため、サケ資源が十分に回復するまでの間は、ふ化場において、適正な飼育管理を行いまして、計画的に4億尾相当の健康な稚魚を放流していくことが大事だと考えております。サケ資源の早期回復を図ることが大事でございまして、河川での自然産卵、自然ふ化につきましては、現在、国が調査をしておりますこの2河川で、県では引き続き、国と情報交換を密にしながら、サケの増殖研究の課題としてこれから検討してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 サケがとれないということは、漁協あるいは漁業者というよりも、水産加工業者も原材料がなくなってしまうということで、加工業者の冷蔵庫は今空っぽの状況です。物が入っていないのに電気代をかけて冷やすわけにはいかないということでね。したがって、まず、このサケというものは、ぜひ沿岸の議員には関連でも何でもいいからどんどんやってもらいたいのです。避けられない議論だと思っていますので。
 ぜひ本当の沿岸振興のためには、大事なサケという部分を、人工ふ化というのに余りにも染まり過ぎているのではないでしょうか。人工ふ化は人工ふ化でやっていいよ、だけども、幾らかの河川を自然のままに、自然遡上、自然ふ化をさせる川に残したらどうですかと言っているのです。北海道の標津川、忠類川などは、魚種は違いますが、同じサーモン科ですけれども、ほとんど自然遡上をさせているところですよね。豊平川にもウライがありますが、あれは時期的に外すウライですので、自然遡上に結びついていると思っています。
 ですから、サケのことをアイヌ語でイヨボヤと言うのだそうです。数年前にやめましたけれども、新潟県村山市ではイヨボヤ基金というのをつくって、つまり4年かかって帰ってくるということに引っかけて、高校生の大学進学費用をそこから負担して、4年かかれば立派な人になって帰ってくるという基金をつくってね。本会議でも言いましたが、今さらは難しいでしょうが、そういう新潟県村上市の、あそこの日本海のキャパシティーと太平洋のキャパシティーは違うかもしれません。
 それから、あなた方は、ふ化放流をしても損耗が激しいためにとよく言います。スパイクタイヤとかデジタルタイヤとか、車のタイヤなら損耗というのはわかりますけれども、これは損耗ではなくて、食物連鎖のどこかを崩しているからだと、私は素人ですけれども思いますよ。そういうことをあなた方に聞くと、いや、国と一緒に調査しているなんて言いますが、国は国でやってもらって結構ですが、岩手県の有力魚種サケをどうしようかというのを、岩手県内の860もある河川の中の2河川か3河川でいいですから研究的にやってみましょうと言う。それでも4年、5年、6年、あるいは10年ぐらいかかるかもしれませんが、そういうものに取り組む部分を見せないと、来年は来るさ、来年は来るさと、それで20年もたったのですよ。何か新しい手を打たないといけないと思うのですが、それについてどのようにお考えでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 岩手県のサケの増殖についてどう進めるかという考え方でございますけれども、岩手県のサケの増殖体制は、自然産卵をベースにした場合に、例えばロシアの川、北米の川のように、大地が広く大きな川で、そして湖沼もいっぱいあって、自然豊かな中で自然産卵して大きな資源を育てるというだけの大きな自然環境を持っていないのが現状でございます。これは地理的な優位性がやはり北の方面は多いと考えております。
 その中で岩手県は、沿岸の中小河川の中で4億尾の稚魚を放流し、かつては7万トンの漁獲の実績もございましたけれども、これは、やはり人工ふ化放流事業のベースがあって、産業規模でのサケの資源がつくられてきたものと考えております。ですので、私どもは、まず基本は人工ふ化放流事業をしっかりやっていくということで、これまでもやってきましたし、これからもやっていくつもりです。なかなか結果が出ていない状況がございまして非常に心苦しいところでございますけれども、東日本大震災津波での被害を受け、また、地球規模の海の環境が変わりながら、そういう状況にも対応しながらやっていくという考え方で進めてまいりました。
 委員からのいろいろな御提案の中で、自然産卵、自然遡上が大事だという御指摘も十分考慮に入れながら、関係機関あるいは国が今調査しております県内の2河川、私が知る限りでも、小さな河川ですけれどもあと3河川ございまして、自然遡上が成っておりますので、ここでの調査結果も情報共有しながら、自然産卵、自然遡上がサケの再生産にどれだけの優位性があるのかを明らかにした上で、これを人工ふ化放流事業にしっかり技術移転することで効率よくサケをふやしていけるものと考えておりますので、委員からの情報や御指摘も参考にしながら、鋭意取り組んでまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 農林水産部は一発逆転満塁ホームランばっかり狙っているのではないかとずっと思っているのです。まずは塁に出ること。フォアボールでもいい。デッドボールでもいい。振り逃げでもいい。まず塁を埋めて、その上で次なる人にヒットを打ってもらえば1点が入る。そういう感覚を持たなければ、この窮状を打開する手にはならないのではないかな。
 長年の間の岩手県の農林水産部のケーソンがだめになってからのふ化事業に、ずっと国策につき合って、県も大々的に支援をして一緒にやってきた。それはわかります。これまでは随分そのおかげで潤ってきたのも事実なのです。だけれども、それだけではなくて、可能性があるものを試してみるという進取の意気といいますかね。昔の考えばっかりを追い求めても、20年たっても何も変わっていないのですよ。
 そこを打開するためには、何らかの施策が必要だと思いますが、ここでいきなりやりとりしてもどうなるものでもないかもしれません。本当に沿岸はサケがあれば一発逆転満塁ホームランにつながるのは事実なのですが、それをいきなり来年は3万トン、再来年は5万トンというふうにはふえないと思うのです。これまで20年かかって減ってきたやつですから。ですから、そういう打開策をぜひ模索してもらいたい。国が国がと言いますけど、県として、県の沿岸の有力魚種のサケとして、どういうふうに対応するかというのをひとつ議論していただきたい。お願いしておきたいと思います。
 最後に、部長にお伺いいたします。一般社団法人大日本水産会というのが今ございますけれども、随分おどろおどろしい名前です。大日本帝国憲法のころの時代ですよ。それがいまだに生きている。この大日本水産会というのは、いつごろできて、どういう活動をして、どういう事業を展開している団体なのかお教えください。
〇上田農林水産部長 一般社団法人大日本水産会という団体がございます。設立は明治15年と聞き及んでおります。水産業の振興を図りまして、経済的、文化的発展を期することを目的に設立されたと聞いております。
 事業の内容でございますが、残念ですが、岩手県ではこの大日本水産会に加盟しておりませんので、詳細の内容については承知していない部分もございますが、聞き及ぶところによりますと、大日本水産会は、そういった意見を国の政策に反映させる要望活動をやっていらっしゃる。さらには、水産業への功績のあった方への表彰、こういったことをやっていらっしゃると聞いております。
 また、国の委託事業を受けられまして、さまざまな事業を展開していらっしゃると聞いております。例えば、水産物を輸出する場合に、相手先国のHACCPをクリアしないと、つまり施設全体がHACCP仕様になっていませんと輸出できないところがございますが、依頼がございますとそのHACCP講習会を開催しているということがあるようでございまして、私ども岩手県でも、そういった講習会開催をお願いした経緯があるところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 伊藤勢至委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇伊藤勢至委員 この大日本水産会には、かつて、十数年前ですけれども、理事が15名ぐらいいたのですが、そのほとんどが農林水産省の天下りだったのですね。それが、十数年前にこういった議論を始めた途端に、マルハとかニチロとか、そういう大手水産会社の会長たちがみんな理事になって、農林水産省の天下りは隠れてしまったのです。多分副とか何かになっているのでしょう。つまり、第二の退職金をそこからもらっているという団体だったと私は思っています。時間がないのできょうは予告編にしておきます。後でじっくりやりたいと思います。終わります。
〇城内よしひこ委員 私もサケについてお伺いしたいと思います。前置きはカットしまして、主要水産物の漁獲状況、サケ、サンマ、スルメイカの今年度の状況の見通しはどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇工藤漁業調整課長 主要水産物の漁獲状況についてでありますが、今年度の見通しは、サケについては、県水産技術センターの予報によると、11月下旬を中心に漁獲のピークを迎え、昨年度実績を約1割下回る約9、500トンが回帰すると予測されております。また、サンマにつきましては、国の研究機関の予報では、日本近海の資源量は昨年の約7割で、漁期を通した来遊量は昨年を下回り、漁場は沿岸から離れた沖合を中心に形成されると予測されております。スルメイカにつきましては、国の研究機関の予報では、三陸海域への来遊量は前年並みと予測されているところでございます。
 このため、県では、資源量の回復に向けまして、サケについては、計画的な種卵の確保や健康的な稚魚の育成、適切な海水温での放流など、サンマ、スルメイカにつきましては、資源管理の推進などに取り組んでいるところでございます。
 また、近年、資源量が増加しているものの定置網のみ捕獲を認めているマイワシにつきまして、11月から期間を定めて小型漁船による捕獲を認め、漁獲の可能性や採算性を検討することとしております。
 さらに、震災後の復興事業等により防波堤などの整備が進んでいることから、波浪の影響が少ない静穏な海域を生かしたサケ、マス類の海面養殖を推進していこうとしているところでございます。
〇城内よしひこ委員 先ほど来、伊藤委員もおっしゃるとおり、沿岸部では本当に大変な状況であります。先ほども話がありましたけれども、平成28年台風第10号災害の影響というのが、ことしあたりから来年あたりに出てくる時期であります。とするならば、この影響が次の4年後にまた影響を及ぼすのではないのかと心配をするところであります。
 ことしもサケの漁獲量が少ないと、ますます沿岸部の水産加工業は大変になってくるのではないかと危惧するところであります。これを何とかしてほしいと言ってもなかなか難しいところでありますけれども、しっかりとこれまで皆さんが頑張ってきた地道な活動を続けていくしかないと思いますし、先ほど来、伊藤委員が言うように、自然でというのもやはり一考するべきではないかと思うのですが、その辺の考え方というのはどのように思って、4年後に対応できるのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケについてでございますけれども、先ほど伊藤勢至委員の質問の中で触れさせていただきましたが、3年前の平成28年台風第10号災害で、県の全体の計画では約4億尾の放流稚魚が3億尾にとどまっていると。それが4年生として来年帰ってきますので、数量的にはやはり減になることを非常に危惧しているところでございます。県の中では、来年度種卵確保に非常に苦労するような状況になると思われますので、まずは、しっかり再放流するための種卵を確保していく体制を、今年度から業界団体と協議しながら進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 種卵確保というのは大事な部分だと思っています。親魚になる魚が元気なうちに海で捕獲するというのはこれまで何年かしてきたところでありますけれども、しっかりと卵を確保できるような体制というのは、各漁業関係団体との調整はついているのかお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの種卵確保につきましては、県内の各ふ化場間の連携を促すことで、過不足があった場合には種卵の調整ということで移動させて需給関係を調整していくこととします。また、絶対数量が少ない状況も想定されますので、現在、海の定置網でとったサケをふ化場の淡水で畜養しながら卵をとっていく、いわゆる海産親魚から卵をとるということもあわせて事業として進めておりますので、これによって目標とする種卵をしっかり確保していくという考えで今体制を整えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ安定した漁獲になるように願っているところであります。
 そこで、2点目、お伺いしたいと思います。台風第19号による水産関係施設の被害状況についてであります。
 まず、ふ化場の影響について、被害状況、復旧状況、種卵の確保も含めてお伺いするところでありますが、私たちは宮古市重茂のふ化場を視察してきたところであります。川のそばにあって、水が入るとひっくり返るというような状況まで被害を受けたようであります。その復旧状況の見通しと、卵はとったけれどもふ化場は大丈夫なのかということも含めて、全体的な話になろうかと思いますけれども、その辺をお伺いしたいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 ふ化場の被害の関係でございますけれども、県内沿岸にある19のふ化場のうち、被災したふ化場は、11月5日現在で7カ所ございます。また、被害額は約2億6、000万円となっております。
 被災した7カ所のふ化場のうち、3カ所は既に復旧済みでありまして、2カ所は11月末までに復旧し、今漁期のサケの採捕を再開する予定としております。
 一方で、甚大な被害を受けました宮古市重茂のふ化場と大量の土砂が流入しました普代村のふ化場では、一部の飼育池などで現在稼働の見通しがついておりません。それゆえに、来年の漁期に合わせて再開すべく、国の事業を活用した復旧方法を現在検討しているところでございます。
 また、種卵の確保についてでございますけれども、近隣河川あるいは増殖団体の一般社団法人さけ・ます増殖協会と連携しまして、近隣ふ化場あるいは南北のふ化場との種卵調整、それから捕獲したサケの一時畜養なども含めて、関係者で連携して捕獲していく、それから採卵していく体制を整えていくこととしております。
〇城内よしひこ委員 先ほど来話がある4億尾を目標としているということでありますけれども、ふ化場が限られたスペースで、あまり過密な形でふ化、抱卵するとなかなか丈夫なサケにならないのではないかという話がこれまでありましたので、ぜひそういった環境にならないように配慮しつつ、しっかりと手を打ってほしいと思いますし、そのような状況はないか確認したいと思います。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケのふ化場の関係でございますけれども、ふ化場の実態調査、あるいは普及指導員によって各ふ化場の巡回指導をしまして、過密にならないように、健康な稚魚を育成するように努めております。
〇城内よしひこ委員 4年後に向けての作業が現場では始まっています。皆さんも大変だろうとは思いますけれども、しっかりと現地を見ながら手だてを打ってほしいというところであります。
 次に、漁港関係施設の被害状況と早期復旧に向けた今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 漁港関係施設の被害についてでありますが、宮古市の重茂漁港等で臨港道路が損壊するなど、沿岸11市町村で被害が発生し、被害額は約14億3、000万円となっております。
 被災した漁港では、漂着した流木については、漁業活動に支障を来さないよう10月末までにおおむね全ての漁港で撤去作業を完了し、損壊した臨港道路等については、応急工事を実施し仮復旧しているところでございます。
 今後、国の災害査定の対象となる施設については、災害査定終了後、速やかに復旧工事を発注するなど、早期完成に向けて取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 養殖施設であったり網であったりを比較的おかのほうに保管していて、それが今回の台風第19号で流されたりしているということであります。そういったことは調査で見たと思いますけれども、しっかりと次のシーズンに向けてスピード感を持った対応をしていただかないといけないと思っていますし、これまで皆さんの現地に対する一生懸命な思いというのを見てきましたけれども、ぜひその辺のずれのないようにお願いしたいと思います。特に道路関係は、関係する土木の皆さんも大分汗をかいていただいております。そのことについては本当に感謝するところでありますが、切れ目のないような作業になるようにお願いしたいと思います。その辺の対応は大丈夫か、再度確認したいと思います。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 切れ目のない支援ですが、実際、宮古市においては、まだ道路が寸断されて漁港の応急工事等に着手できていないところもございます。これについては、市町村と協力しながら、速やかに工事に取りかかるよう努力してまいります。
〇城内よしひこ委員 ぜひよろしくお願いします。
 最後になりますけれども、漁港内への土砂の流入状況ということで、撤去の見通しをお伺いします。先ほどお話ししたとおり宮古市の重茂漁港に視察に行った際に、上流部の加工場まで海水をくみ上げてあったり、またアワビの畜養場に海水をくみ上げる際の取水口が土砂で埋まってしまって大変だという話でありましたが、そういった撤去の見通し、あるいは他の地域でも類似のことがあればどうだったか、その対応についてお伺いしたいと思います。
〇鎌田漁港漁村課総括課長 漁港内への土砂流入状況についてでありますが、宮古市の千鶏漁港など37漁港で、漁港内泊地への土砂の流入や臨港道路への土砂堆積などの被害が生じております。
 これまでにおおむね全ての漁港で撤去作業を進め、このうち26漁港で撤去が完了しているところであります。
 残る11漁港につきましても、アワビ漁等に支障が生じないよう、早急に撤去作業を完了するよう努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 東日本大震災津波と平成28年台風第10号災害、そして今年度の台風第19号災害と、まさに10年もたたないうちに三つの台風災害、大震災等で大変な被害を受けているわけであります。漁業者も大変疲弊をしております。今後、離漁業、漁業から離れることのないようにきめ細かな手だて、支援をお願いしたいと思いますし、また、これまで震災対応、復旧対応に対応してくださった皆さんにも敬意を表するところでありますが、年末まだまだ災害復旧査定等もあろうかと思います。しっかりと対応していただくようにお願いをしたいと思いますが、部長いかがでしょうか。
〇上田農林水産部長 委員から御指摘ございましたとおり、今回の台風第19号で、特に水産関係の施設あるいは水産業そのものに対しての被害は相当大きいものでございます。そういったことを踏まえまして、先週、議会中でございましたけれども、農林水産省へ行かせていただきまして、水産庁長官に直接お会いすることができました。今の被災の状況等をお伝えし、また、委員から御指摘のあったとおり、東日本大震災津波、3年前の平成28年台風第10号、そして今回の災害と、二重、三重の災害を受けている本県の状況について懇切に説明させていただいて、御理解をいただいたところでございます。水産庁の山口長官からは、ぜひそういったことについては可能な限り迅速に、そして的確な施策を打っていくという温かいお話もちょうだいしております。
 今後とも、国と連携しながら、地元市町村、そして漁業団体、生産者の方々の御協力を得ながら、あるいは一緒になって、今回の災害からの復旧に素早く、そして確実に、着実に進めるように取り組んでまいります。
〇中平均委員 私は、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書の274ページの6目の治山費のほうからであります。
 治山事業費17億5、132万円、45地区ということで資料に出ておりますけれども、全体の整備率というところの数字がちょっと見つけられなかったので、まずこの整備率の関係について、昨年までの整備率の状況をお示しください。
〇西島森林保全課総括課長 山地災害危険地区の整備率についてでございますけれども、平成30年度末現在におきまして、県内には3、776カ所の山地災害危険地区がございまして、治山事業着手済みの箇所は2、056カ所ということで、着手率は54.4%となっております。
〇中平均委員 平成30年度で54.4%の着手率ということでございます。そして、治山調査費が1億114万円余でございます。この調査費でどういった点を調査していきながら、今年度、また次年度以降の箇所につなげていくのかというところをお聞かせください。
〇西島森林保全課総括課長 治山調査費についてのお尋ねでございますけれども、治山調査費につきましては、当年度発生しました山地災害で緊急を要する箇所や、あるいは次年度に事業実施が必要と判断される箇所につきまして、当年度中に測量設計調査を行うものであり、そのことによりまして効果的に活用することで、早期の工事発注に向けた準備を進め、山地災害に迅速に対応できるようにしたものでございます。
〇中平均委員 そういった中で、平成30年度は治山事業費17億円、治山調査費は1億円ということで執行されてきたところでございます。45カ所の治山事業を行ったと資料には出ております。
 それで、今回、台風第19号災害という中で、今年度の治山調査費の表を持ってきていなかったのですが、今年度の執行状況、今の御説明ですと、もともと進めていこうとしていた箇所の調査をしている。また、災害等が発生したときにこの調査費を使って、これからの発注とか災害対応等につながっているということでございましたけれども、今現在、先般の台風第19号で、どのような形でこの予算が使われているのかをお聞きします。
〇西島森林保全課総括課長 令和元年度に調査費として約4、700万円計上しております。そういう中で、現在、委員からお話がありましたとおり、今般の台風第19号あるいは従前の緊急に対策を講じなければならない場所、そういった箇所について順番づけをしてきちんと準備をしていくと、そういった形で使っていきたいと考えております。
〇中平均委員 4、700万円の事業費ということですけれども、今回の災害の規模、後でまた被災状況、どういうふうなところがあるか、今まで整備していたところからの面と、今回の災害を受けて整備しなければならないところと出てくるとは思うのですが、今わかっている範囲で結構ですので、そこを教えていただきたいという点。
 あとは、調査費として今年度当初予算で4、700万円組んでいるということですけれども、実際4、700万円の予算では昨年の予算を見ても足りないのではないかと思うのですが、ここの足りない分の対応。あした補正関係の発表があるとは思うのですが、そこの足りない分の対応というのはどう考えているのか教えてください。
〇西島森林保全課総括課長 昨年度が1億円ほどございましたけれども、昨年度は実は大型の国直轄事業がございまして、事前調査ということで、そちらのほうへ5、000万円ほど使ったという経緯もございます。今年度は4、700万円ほどでございますけれども、そちらにつきまして、まずは各市町村から要望が上がってまいりますので、その要望に応じた形で緊急的なものについて使うこととし、あるいは国へは今、要望活動等を行っておりますけれども、国の治山事業等に附帯して予算が措置された場合にはそういった形のものを、あるいは今後御協議いただく補正の中にも幾らか見ていると認識しておりますので、そういったものを組み合わせながら対応してまいたいと考えております。
〇中平均委員 そういった中で、災害対応ということで上がってきているのだと思うのですね。各自治体から当然上がってきていますし、そういったものに対応していくという点。
 あとは、今回の台風第19号は全国的にも大きな災害だということで激甚災害、またこれからの補正予算等でさまざまな対応が恐らく出てくるのだろうと予測できます。予算がなかなか厳しい岩手県ですから、そうしたときに手を挙げられる態勢をつくっていかないと大変。そういう点を踏まえて、今後どういうふうに考えていくのかという点をお聞きしたいと思っています。治山事業に対するこれからの取り組みと対応については、地域からも上がってきていますし、久慈市、野田村からも要望が出ているのも承知しています。そういった中において、今回の災害の対応も含めて今後の取り組みなり対応なりを教えていただきたい。
 あとは、治山関係の被災状況について、何かわかるものはありますか。
〇西島森林保全課総括課長 まず被災状況、いわゆる治山で対応しなければならない林地荒廃という形になるのですけれども、そちらについて御報告いたしますと、11月5日現在で、林地荒廃は12市町村、98カ所、被害額は32億360万円ほどとなっております。
 また、治山施設被害、いわゆる既存の治山施設、主に山腹ですけれども、そちらが10市町村、19カ所で被害が発生し、被害額は1億2、790万円ほどとなっております。
 また、今後の対応というお尋ねでございますけれども、県では現在、被災市町村と連携して継続して被害状況の把握に努めているところでございます。緊急に治山事業の実施が必要なところもございます。皆様方もごらんになったと思いますけれども、そういった必要な箇所が現地から上がってきておりますので、実際にどういう形で復旧しているのかという事業計画の検討、作成を現地の市町村と一緒に現在並行して行っているところでございます。
 また、国に対しましても、台風第19号災害に係る災害関連緊急治山事業、いわゆる即着できる治山事業の早期採択も働きかけを行っているところでございます。
 今後とも、山地災害の早期復旧に向け、必要な対策をしっかりととってまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひ早期の復旧ということで進めていただきたいということを申し上げます。私も歩いてみましたけれども、治山事業の場合は、林道もそうですけれども、山へ山へと入っていかなければならないので、正直すぐに確認できない点もあって、これからまた出てくるところもあるのかとは思います。今回の災害を見て、内水被害、また土砂の崩落等々、山地からの被害というのも多かったと見て歩いていますので、そういった点を含めて、これからの安心、安全をどうつくっていくかというところで、また非常に大きなところになるのかなと思います。
 そういった意味では、これからの災害対応をきちんとしていくと。そして、あとは計画的に進めていくというところが非常に大事になってくると思いますが、その点、どうでしょう、部長。来年度の予算に向けて。決算を受けての予算につながっていくでしょうから、計画的に今後整備を進めていく。災害対応の分だけではなく、計画的に治山事業等を進めていくというのに関して、整備率等を見てももう少し重点化していく必要もあるのかなと思うのですが、最後に来年度の方向性をお伺いして終わります。
〇上田農林水産部長 治山事業に対してのお尋ねでございます。今回の台風第19号災害で特に目立ちましたのが、山地に集中的な豪雨があり、小さな沢だったところが非常に大きな流水と、それから土砂も流れ出した。それで、沿岸部を中心に非常に広範囲に被害が拡大したということがございます。これに関しましては、特に治山事業を展開いたしまして、その災害予防を進めることが大事だと考えております。
 今後、来年度の予算についてはこれからになりますけれども、まず当面、今回の被害を受けて緊急な手だてが必要な部分がございますので、これについては早急に予算化して着手の準備をするということで、今予算関係の準備を進めているところでございます。そういったことで、災害に強い森林あるいは山づくりに向けまして、治山事業に対しても全力で取り組んでまいります。
〇佐々木努委員 私からは、林業関係2点をお伺いしたいと思います。
 最初に県産材の利用促進についてでありますけれども、岩手県の県木であるアカマツの活用というのは、これから林業振興を図る上で非常に大事なものになってくると思います。昨年、私の地元である奥州市前沢の月山神社の松が名古屋城の天守閣の復元に使われるということになりまして、大きな話題を呼んだわけです。そういう意味では、岩手県のアカマツは、これから全国から注目を浴びる可能性を持ったものだと思っていますので、なお一層アカマツの活用促進を図っていかなければならないと思います。
 そういう中で、昨年度、県としてさまざまな取り組みをしたと私も理解をしています。聞くところによりますと、若手の製材業者と一緒になって新しい製品をつくってそれを売り込んだとか、あるいは平成26年からはアカマツのCLTの研究も進めていて、大分その成果も上がってきているという話で、それも含めて、平成30年度はどのような取り組みをして、どういう成果が上がったのかお伺いいたします。
〇高橋林業振興課総括課長 アカマツの需要拡大に向けた取り組みについての御質問でございます。
 県ではこれまで、アカマツCLT製造技術の研究開発のほか、県産アカマツの普及に向けまして、関係団体と連携しながら、やわらかな木目と光沢を放つ色つやなど、県産アカマツの特徴をPRしますとともに、県産アカマツを利用して建築された住宅の見学会の開催などに取り組んでまいりました。
 また、委員からお話がありましたとおり、現在、県ではアカマツの付加価値向上を図るため、県内の若手製材業者と連携しまして、新たなアカマツ製材品を試作した上で、県外の木材取扱事業者に売り込み活動を実施しているところでございます。昨年でまいりますと、例えばアカマツの硬化材、化粧はり、三層クロスパネル、こういったものの商品試作をこれらの若手製材業者と一緒に実施してまいっておりまして、仙台市場に商品として出しております。
 さらに、アカマツは文化財や寺社仏閣等の修復等の資材として非常に需要があると伺っているところでございまして、御指摘ありました名古屋城天守閣復元工事への県産アカマツの供給実現を契機に、さらなる売り込み活動を進め、需要拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 アカマツのCLTの研究の状況と成果もちょっとお聞きしたいなと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 アカマツCLTの研究状況についてでありますが、林業技術センターでは、平成26年度から平成29年度まで、接着性能や強度性能等のアカマツCLTの実証試験に取り組んでおります。建築部材としてすぐれた強度性能を有することを確認したほか、平成30年度にはアカマツCLT製造に係るコスト等のデータ収集や分析を行ったところでございます。
 令和元年度は、アカマツを含む針葉樹大径材の利用拡大を目的として板材の強度試験等に着手しておりまして、今後は、CLTや集成材の製造に必要な板材の強度性能の評価や、効率的な木材乾燥方法の確立などの研究に取り組むこととしております。
〇佐々木努委員 私も、アカマツのCLT技術は岩手オリジナルですので非常に期待をしているのですが、期待してよろしいのでしょうか。これからこれが林業の救世主になり得ると我々は期待して見ていてよろしいのでしょうか。その感触をお聞かせください。
〇高橋林業振興課総括課長 CLT使用によります施工上のメリットというのがございまして、建築士、建築事業者等に対しまして、これまでも研修会の場におきまして、CLTの建築物の施工事例の紹介など周知してきたところでございます。ただ一方で、現在では建築単価がまだ高い、それとCLTの工場が全国にまだ少ないといったようなことがございまして、課題もまだ多いところでございます。
 今後とも、林業技術センターでの研究成果を周知しながら、共同研究でありますとか企業との連携に向かいまして、検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 ちょっと歯切れが悪かったのですが、まず、いずれこれは我々も非常に関心を持って期待しているものでありますので、研究を早く進めていただいて、実用化に向けて取り組んでいただければと思います。
 また、そのアカマツの利用には、やっぱりCLT工法だけではなく、製品そのものに付加価値をつけていかなければならないのではないかと私は思っておりまして、過去に岩手県工業技術センターが、アカマツとか杉とかの軟材を、傷がつきやすい、あるいは色あせが早いとか、そういうものの解消を目指して塗料をつくったというのを目にしました。木肌塗料というもので、今は特許がなくなっているのですが、平成14年に特許を取ったものがあります。
 農林水産部でも、これを使った製品の研究に加わったと聞いておりますが、この木肌塗料を使った過去の実績等を把握されておりましたら、お聞かせいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 木肌塗料の活用実績についてでありますが、木肌塗料につきましては、杉やアカマツなど軟質の針葉樹材の色合い、素材感の保持と木材表面保護機能を両立するため、平成8年度に工業技術センターで開発された塗料でございます。
 また、木材の表面を硬化させる性能もありますことから、平成12年度に林業技術センター、工業技術センター、県内木材加工事業体の3者の共同研究によりまして、この木肌塗料を使用したアカマツの表面硬化木材が開発されたところでございます。
 このアカマツの表面硬化木材は、大手事務機器メーカーの製品に一部採用されまして、公共施設等の会議室テーブル天板、専門学校のOA用フロアなどに使用された例があると伺っております。
〇佐々木努委員 この塗料は非常にすぐれているという評価をもらっているにもかかわらず、なかなか普及が進んでいないということでありまして、本当に残念に思っています。
 岩手県産のアカマツと岩手県で開発された塗料を使った形で、何かアカマツの利用促進を図れないものかと考えているのですが、その可能性について、県ではどのように考えていらっしゃるのか。私は、そういうものももっと研究して、今、間伐材の利用も大分進んできておりますし、そういうコラボレーションした形で岩手県のアカマツを売り出していくことが、これから活用法を進めていくためにもいい手段ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇高橋林業振興課総括課長 木肌塗料の活用方策についてでありますが、木肌塗料は、材の色合いや素材感を保持するだけでなく、木材の表面を保護する機能を有している高品質な塗料でございます。アカマツ等を活用したフローリング材やテーブルの天板などの表面に傷がつかないよう加工するのには、非常に適した塗料と考えております。
 先般、県内の木材加工事業体から、フローリング材の製造開発に当たりまして塗装に関する相談がありましたことから、工業技術センターにおいて木肌塗装に関する技術的な指導を行ったと伺っております。
 今後も、県では、アカマツの需要拡大に向けまして、アカマツ加工等に取り組む木材加工事業体に対しまして、試験研究機関と連携しながら、ニーズに応じて必要な情報を提供していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 では、2点目になりますが、いわての森林づくり県民税についてお伺いしたいと思います。通告では、これまでの実績ということでお願いしておりましたが、それは結構です。
 時間もないので、単刀直入に質問させていただきますが、これまで14年間、今14年目ということで、主に間伐事業を中心に森林づくり県民税を使った事業が展開されてきたと認識しております。私も以前質問させていただきましたが、なぜ間伐だけなのか。もっとさまざまなものにこの森林税を活用するべきではないかということを指摘させていただいて、その中で、今問題になっている再造林、今、再造林の率は4割に満たない状況なそうでありますけれども、そういうものにもこの税を活用すべきではないかと提言させていただきましたし、これは各種林業団体から毎年のように県に要望されております。
 私は、地元でこの森林づくり県民税の話をする際、何に使っているのかと聞かれると、間伐とか、それから森林を守るための普及啓発事業ですと言うと、いや、うちの近くの山は、みんな伐採になって全然そのままになっているのだけれども、そういうものの造林はどうなっているのか、そういうものに使うのがそのお金なのではないかと聞かれて、なかなか返答に困ったということもあります。
 今、先日の台風第19号災害を初め、山からの水で大きな被害を受けている状況にあって、やはり山の水源涵養能力はこれからますます高めていかなければならないし、そのためには一定の造林、再造林が必要だと私は思っています。
 第3期のいわての森林づくり県民税による事業は来年度で終了。来年度は第4期目に向けての計画策定の検討がなされると思いますけれども、これはもう15年もたつのですから、もう少し県民の目線に立った、自然災害から県民の生命を守るための、そういう意味を持った森林の保全を図るための事業、つまり再造林等にも使えるような検討をぜひしていただきたいと思っています。
 議会でも何回もこの議論はされているし、多くの議員からも、そのように使うべきだという発言があったと思います。それは事業評価委員会でもお話しされていると思いますが、もっと議会からそういう意見が強かったということをお話ししていただきたいと思います。
 我々は県民の代表ですから、我々がそういうことを議会で担当課に強く話をしたということは、ぜひ伝えていただきたいと思うのです。これは部長にお聞きしたいと思います。改めて、そういう事業も盛り込むように検討をしてほしいのですが、いかがでしょうか。
〇上田農林水産部長 いわての森林づくり県民税についてでありますが、委員からお話がありましたとおり、今、第3期の取り組みをしておりまして、第3期は令和2年度で終了となります。したがいまして、第3期以降の県民税のあり方について、現在、事業評価委員会におきまして、そのあり方を検討していただいております。それで、年度末を目途に提言の取りまとめをお願いしているところでございます。
 事業評価委員会におきましては、県民懇談会などを通じまして、県民の皆様を初め、県議会あるいは市町村、そういった御意見を広くお伺いしながら、委員から御提言いただきました再造林等への使途の拡大も含めて、県民税のあり方について議論を深めていただきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 林業に関して伺っていきたいと思います。
 まず、ナラ枯れ対策に関して伺います。
 どんどん沿岸を北上しているというところで、ことしは普代村でも見つかったという状況でございます。このナラ枯れ対策が非常に重要なのは、民有林面積の約半分をナラ類を主体とした広葉樹林が占めているところにございまして、非常に心配されるところでございます。
 この対策としては、ナラ林健全化促進事業に取り組まれていると思いますけれども、平成30年度実績と施工面積確保に向けた取り組みに関して伺います。
〇及川整備課長 いわての森林づくり県民税を財源とするナラ林健全化促進事業の平成30年度実績についてでございますが、2カ所、12.97ヘクタールでナラ枯れ被害に強い広葉樹林への若返りを図ったところでございます。
 施工面積の確保に向けた取り組みですけれども、平成29年度から事業対象範囲を、ナラ枯れ被害木の半径2キロメートル以内から半径30キロメートル以内まで拡大したほか、事業主体につきましては、市町村のみであったものを、林業事業体に拡大するなど事業内容を見直し、活用の拡大を図ってきたところでございます。
 また、県民税事業の現地説明会あるいは各地区の森林病害虫被害対策連絡会議などを通じまして、事業主体となる森林組合や林業事業体への働きかけに取り組んできたところであります。
 今後とも、この取り組みについて市町村や関係団体等と連携しながら、ナラ枯れ防止対策に積極的に取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 ただ、2カ所で12.97ヘクタールというのはやっぱり少ないと思っているところでございまして、この事業は、結局どんどんナラ林を使っていくために創設された事業だと思っています。結局、では、補助金の金額が少ないのか、使い勝手が悪いのか、申請するのが大変なのかとか、そういったところもあるのかと思っていまして、先ほど対応策もお話しされていましたけれども、まず、この施工面積をどんどんふやしていくというところを力強く進めていただきたいと思います。
 次に林道に関して伺います。
 林業の生産基盤を支える事業でございまして、これからどんどん伐期を迎える山もあるわけで、使える山をふやしていくという意味合いでも、この林道の整備をどんどん進めていく必要があると思っておりますけれども、平成30年度の取り組みと今後の取り組みに関して伺いたいと思います。
〇西島森林保全課総括課長 林道整備の平成30年度の取り組みとこれからの取り組みというお尋ねでございますけれども、平成30年度は新規に2路線で工事を着手し、継続路線を含めますと合計22路線、22キロメートルの林道を開設し、平成30年度末で林道整備延長は4、535キロメートルとなっているところでございます。
 また、作業道につきましては、平成30年度、国の補助事業等の活用により125キロメートルを開設し、平成30年度末で整備延長は7、109キロメートルとなっているところでございます。
 委員からもお話がありましたとおり、林内路網は木材生産等を効率的に行う高性能林業機械の普及に伴い、木材の安定供給のための生産基盤として重要であることから、市町村が定めました路網整備等推進区域などを中心に、作業道とあわせ計画的な林道整備を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 まず、きっちりと数字を積み上げていっていただきたいということでございます。
 次に、平成28年台風第10号の林道被害でございまして、被災箇所の平成30年度の進捗率と課題点、復旧を加速化させていくにはどうすればいいか、取り組みと今後の対応策について伺います。
〇西島森林保全課総括課長 平成28年台風第10号の被災箇所に係る復旧の進捗状況と今後の対応策についてでございますけれども、平成30年度末時点で、林道の災害復旧工事の進捗状況は、県、市町村工事合わせまして330カ所のうち256カ所で完成、完成率78%となっていたところでございまして、その後、直近でございますけれども、令和元年9月末時点には288カ所が完成し、完成率は87%まで来ております。
 今後、工事も冬期間に入ることから、引き続き被災市町村と緊密に連携し、年度内の完成に向け、路線ごとの進捗管理あるいは現地指導の徹底、そういったもので一日も早い復旧、復興の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 年度内に何とか完成させようということで、まず、何とか早目に完成していただきたいところなのですけれども、台風第19号でも林道の被害もあったかと思います。林道の災害復旧に関して言えば、どうしても国道、県道、市町村道、林道となって優先順位が高くないところと、被災した地域によっては、業者の確保がなかなか難しいということもあったかと思っています。この平成28年台風第10号で非常に大きな林道災害があって、これを復旧することによって、ノウハウを次の災害のときにも生かしていただきたいということでございます。
 次に行きます。森林整備に関して伺います。
 森林環境税という譲与税の交付が始まりまして、それを財源とする森林経営管理制度がいよいよ始まるということでございます。
 森林経営管理制度のポイントは、森林所有者みずからが森林管理を実行できない場合に、市町村が森林管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託すると。再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林は、市町村が管理を行うもののようでございますけれども、この新しい森林経営管理制度の効率的な運用に向けての県としての取り組み、組織、人員体制について伺います。
〇工藤森林整備課総括課長 森林経営管理制度の効率的な運用への取り組みについてでございますけれども、この森林経営管理制度を着実に進めていくためには、市町村におきまして、森林の状況把握でありますとか森林所有者への経営意向調査の業務に的確に対応できるよう、市町村の実行体制を整備していくことが必要でございます。
 このため県では、昨年6月に農林水産部内に対策チームを立ち上げまして、市町村に対しまして意向調査対象森林の抽出でありますとか施業履歴の確認など、新たに生じる業務に関する助言などを行ってきましたほか、業務の進め方に関する研修会の開催、あるいは森林組合と連携した取り組みなど、他県での優良な事例の紹介を行っているところでございます。
 また、市町村におきまして地域林政アドバイザーとなる人材を確保できるよう、希望する市町村への林業技術者情報の提供を行っていますほか、このアドバイザーを養成する研修も実施しているところでございます。
 今後とも、市町村が森林経営管理制度を適切に運営できるよう支援してまいります。
〇佐々木宣和委員 この森林経営管理制度を市町村が主たるところでやらなければいけないということで、なかなか苦労するのかなと思っているところでもございまして、県が、きちんと取り組みを加速させるように支えていっていただきたいということでございます。
 この森林経営管理制度の効率的な運用と森林経営計画の策定にどうつなげていくのかを伺いたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長 森林経営計画の策定との兼ね合いについてでございますけれども、県ではこれまで、森林を集約するとともに、計画的かつ合理的な施業を確保するため、森林経営計画の作成を促進してきたところでございます。
 一方、新たに始まりました森林経営管理制度では、市町村が森林所有者から委託を受け、森林の状況に応じて、森林の経営管理を市町村みずからが行うか、意欲と能力のある林業経営体に再委託することとされておりまして、国では、このような森林につきましても、可能な限り森林経営計画を立てて、適切な森林施業を確保するよう指導しているところでございます。
 このことから、県では、従来から取り組んでおります森林施業の集約化の促進に向けまして、森林所有者等に対して森林経営計画の作成を引き続き指導していきますとともに、森林経営管理制度を活用する森林につきましても、森林組合等と連携し、森林経営計画の作成に取り組んでいくよう市町村に対し働きかけてまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 この新しい制度ができたことによって、森林経営計画を策定する面積がどんどんふえて、きちんと森林を管理できるような体制が進むことを期待しているところでございます。
 次に、再造林に関して伺います。
 いわての森林づくり県民税の部分は佐々木努委員が質問されましたので、省きまして、平成30年度の皆伐した面積に対する造林面積の実績、割合といわて県民計画(2019〜2028)で50ヘクタールずつ再造林をふやしていくとしていますけれども、その対策について伺います。
〇工藤森林整備課総括課長 平成30年度の再造林の実績とその対策についてでございますけれども、県内の平成30年度の再造林の実績は800ヘクタールとなっておりまして、再造林面積は近年着実に増加しているものの、人工林伐採面積に比較しまして約4割にとどまっているということでございまして、本県の森林資源を将来に向けて安定して確保していくためには、着実に再造林を進めていくことが重要と考えております。
 いわて県民計画(2019〜2028)で掲げた目標の達成に向けまして、着実に再造林を推進していくためには、森林所有者の負担軽減を図る必要がございます。県ではこれまで、森林整備事業の要件を緩和し、低密度植栽を補助対象としてきましたほか、伐採から再造林までの作業を連続して行う一貫作業システムを普及するなど、再造林コストの低減に取り組んでまいりました。
 また、平成29年6月に林業、木材産業関係団体を構成員として設立されました岩手県森林再生機構におきましても、平成30年度から再造林経費の上乗せ補助を開始したところでございまして、森林所有者の負担軽減に取り組み始めたところでございます。
 県としても、引き続き林業関係団体等と一体となって再造林を強力に推進してまいります。
〇佐々木宣和委員 少しずつでも再造林の面積はふやしていかなければいけないということで、さまざまなアイデアを使いながら取り組んでいただきたいと思います。
 次に、素材生産に関して伺います。
 高性能林業機械の導入に関して、平成30年度の取り組みと導入された事業者の方々の課題を伺いたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 高性能林業機械の導入についてでありますが、県では、拡大する木材需要に対応した県産木材の安定供給に向け、国の補助事業を活用した高性能林業機械等の導入を支援してきたところでありまして、平成30年度におきましては、施設整備とリースによる導入の二つの補助事業を活用し、合わせて10台の導入を支援したところでございます。
 高性能林業機械等を導入した林業事業体につきましては、高性能林業機械を計画的に稼働させ、経営の安定化を図ることが課題と認識しておりまして、年間を通じて安定した事業量の確保や効率的な素材生産体制の構築が必要と考えております。
〇佐々木宣和委員 導入された事業者は、稼働率なども上げていかなければいけないというところで、なかなか苦労されている方もいると聞いておりますのでフォローしていただきたいと思います。
 素材生産量の拡大というところの秋田県での取り組みで、秋田県では、ふるさと秋田農林水産ビジョンにおいて、施業の集約化、安定的な原木供給、最適な流通加工体制の構築等により全国最大級の木材総合加工地として飛躍することを目指すということで、取り組んでおられるようでございます。
 秋田県は、大規模サプライチェーンの構築、ソフト面での環境づくりとあわせて、合板工場への設備投資、高性能林業機械の導入、路網の整備と一体的な取り組みをしているということでございます。
 素材生産の拡大に向けて岩手県で取り組みをされていることに関して伺います。
〇高橋林業振興課総括課長 素材生産の拡大に向けた県の取り組みについてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、指標として素材生産量を設定し、2022年の素材生産量151万立米を目指すこととしております。
 このため、いわて県民計画アクションプランにおきまして、豊富な森林資源を生かした木材産地の形成を掲げまして、森林施業の集約化や林道等の整備、路網と高性能林業機械の組み合わせによる木材生産の低コスト化を促進、さらには、県産木材等の高付加価値化と販路拡大を掲げ、付加価値の高い製材品の研究開発や木材加工事業者と大手家具メーカー等とのマッチング支援などに取り組むこととしております。
 こうした川上から川下に至ります総合的な施策を展開し、素材生産の拡大に向けて取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 最後に、県産材利用促進の考え方に関して伺いたいと思います。
 日本の中で今、木材自給率が一番最新の数字で36.6%、国はこれを何とか50%まで上げるということを掲げているところでございます。
 輸入材に頼っている部分を国産材で賄うことを考えていくと、安定して質と量を確保していかなければいけない。これを達成していくことによって、森林が持つ多面的な機能と経済性の両立を達成し林業の成長産業化につなげていきたいと思っているわけでございます。しかし、川上、川中、川下でそれぞれさまざまな課題があって、一つ一つそれをこなしながら今取り組みをしているのですが、結局、木材の利用促進を図っていかないと山側にはね返ってこないということもあって、川上、川中、川下のそれぞれの事業体の方々が、一緒の目標を持って、それに向かって走っていくことが非常に重要だと思っています。
 その出口として、この県産木材の利用促進は非常に重要な政策であると考えていまして、国の政策もありますけれども、改めて、県産材の利用促進に関して、多くの関係者とともにどのように取り組まれていくのか伺って、終わります。
〇高橋林業振興課総括課長 県産木材の利用促進に向けた考え方についてでございますが、将来的な人口減少社会の到来に伴い住宅着工戸数の減少が予測されておりまして、県産木材の需要を維持、拡大していくためには、商業施設等非住宅分野での利用拡大など、新たな需要創出や販路拡大が必要と認識しております。
 このため国では、中高層建築物を中心としたCLT等の新たな木質建築部材の利用を促進しており、県におきましては、本年度から、中大規模木造建築設計技術者の育成研修会の開催や、木造建築に精通したアドバイザーの派遣等に取り組んでおります。
 今後も、県といたしまして、公共施設整備や公共工事における率先利用を図りますとともに、市町村、森林所有者、関係事業者、関係団体、県民等、委員の御指摘がありました幅広い方々と協働し、一体となって県産木材等の利用促進に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 では、私から大きく3点お聞きしたいと思います。まず、メガソーラーの林地開発の許可について伺いたいと思います。
 森林法では、保安林と地域森林計画の対象民有林の開発行為に対して許可申請書の提出を求めておりますが、決算ですので、平成30年度、このメガソーラー関連の許可の状況をお示しいただきたいと思います。また、その中で許可がおりないケースがあれば、どのような場合かお示しいただきたいと思いますし、あわせて、許可をしているけれども、これから着手に向かっていく事業もお示しいただければと思います。
〇西島森林保全課総括課長 メガソーラー関連の林地開発許可の状況でございますけれども、平成30年度の許可実績は9件、81ヘクタールとなっており、このうち8件は着手済み、残る1件は今後着手する予定となっております。
 本県におきまして、林地開発許可の基準や手続については、県のホームページに掲載するとともに、開発を希望する者に対し、森林法に定める基準を満たす開発計画となるよう、しっかりと事前指導を行っていることもございまして、申請書が提出されたもので不許可となった案件はございません。
 なお、全国におきましては、森林法の許可基準を満たさないものについて許可しなかった事例があることは聞いております。
〇佐々木朋和委員 そのうち、保安林も許可申請を出して、許可されれば事業をしてもいいということでしたけれども、この保安林については、県として許可をした事例はあるのでしょうか。
〇西島森林保全課総括課長 保安林につきましては、森林の持つ広域的機能を高度に発揮する森林について指定するということで、保安林については、林地開発許可の対象から事前に外すような形で指導しておりますので、今まで保安林に対して林地開発許可をした例はございません。
〇佐々木朋和委員 保安林という機能の面からそのような対応をしていただいているのはよかったと思っておりますけれども、この地域森林計画の中にある民有林ですから、計画には目標もあり、また、そのための方針もあるわけですが、そことの整合性についてお伺いしたいと思います。
 このメガソーラーの建設に伴う伐採について、県の環境生活部では、やっぱり再生可能エネルギーを進めようということだと思うのですけれども、林業振興あるいは森林保全の観点からはどのように捉えているのか。また、平成30年度から平成40年度までの地域森林計画があるわけでありますけれども、その整合性はとれているのか伺いたいと思います。
〇西島森林保全課総括課長 メガソーラーと地域森林計画との整合性についてでございますけれども、森林法につきましては、知事は、開発行為が災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全の四つの基準に適合すると認めたときは、これを許可しなければならないとされております。
 一方、地域森林計画を樹立する際には、計画案を縦覧に供し、広く意見を求め、極力意見を生かすように取り組んでいるところでございます。
 また、林地開発許可をする際には、関係市町村から意見を聞くこととしており、意見に沿って対応するよう許可条件に付しております。
 林地開発行為が森林に与える影響については慎重であるべきと考えるところでございますが、許可の審査に当たっては、森林の有する機能が確保され、災害の未然防止が図られるよう、しっかりと対応していくことが重要であると考えております。
〇佐々木朋和委員 今、課長から紹介がありましたけれども、森林法については、許可をしなければならないという強い文言があるわけであります。一方で、地域森林計画については、民有林ということで、人の財産という中にあって、森林保全の観点から必要であったとしても、当部としてもとめられない状況にあると。
 武器がない中で戦えというのは大変恐縮なのですけれども、一方で、やはり先ほど佐々木努委員からの御紹介もありましたいわての森林づくり県民税で、我が県は、森林と一見関係のない県民からもお金を集めながら、未来に向けて森林を維持していこうという県だと思っております。そういった中にあって、やはりこのメガソーラーの開発が、このまま森林保全の観点からストッパーがないのもいかがなものかと思っているわけであります。
 そういった中で、今般、環境生活部が所管する環境アセスメントの対象になるということは、一定の歯どめはかかると思っているわけでありますけれども、ただ一方で、これから森林の保全の中にあっては、今回のメガソーラーのこういった開発の背景には、森林保全の不採算性であるとか再造林の難しさから、あるいはまた、代がわりをして森林を手放したいという人たちがふえているのではないか。その一端のあらわれがこのメガソーラーの開発なのではないかと思っているところであります。
 そういった状況を踏まえて部長にお聞きしたいと思いますが、農林水産部として、こういった今のメガソーラーの状況に今後どのように規制をかけていくか、あるいは再造林、林業としての今後の持続可能性というところ、両方必要だと思うのですけれども、これについてどのように対応していくのか伺いたいと思います。
〇上田農林水産部長 森林法に基づきます林地開発許可がございますが、それに関しての規制の強化についてどう思うかという御質問かと存じます。
 先ほど担当の課長から申し上げましたとおり、森林法では、知事がこの許可を出すわけですけれども、災害の防止、水害の防止、水の確保、そして環境の保全、この四つの基準がございまして、これが適合すると認められたときは、これを許可しなければならないと、規制法としては非常に特異なと言っていいのでしょうか、そういったような規定となっております。
 また、例えば、森林法の規定を上回るような制限を県において講じること、例えば条例などで規定するものですが、これは禁止されております。森林法は、そういった森林法を超えるような規制をかけることを地方公共団体に認めておりません。
 そういうことでございますので、その範囲内でどのようにして適切な開発行為に持っていくかということでございまして、先ほど担当の課長から御答弁申し上げましたとおり、地域の森林、林業の振興の観点に照らして適切な開発が行われるように、さまざまな対応をさせていただいているところであります。
 また、現在国では、全国各地で、例えば森林法に基づく林地開発の許可の基準がどうかという話が出ているようでございまして、太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会を設置して、その中では、許可基準の引き上げ、それから強化に向けた検討を開始したと聞いております。県としても、その動向を注視し、しっかりと対応していきたいと存じます。
〇佐々木朋和委員 注視をしていただくということでありましたけれども、こういった状況の中で、今般、森林法についての規制の強化というところで議会からも意見書を上げさせていただきました。県もぜひ、他県とも連携しながら、そういった動きについて、森林県として言うべきことを言っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて、放射性物質被害対策についてお伺いしたいと思います。
 平成30年度、そして本年度、山菜、野生キノコの出荷制限解除となった品目の状況をお示しいただきたいと思います。また、解除に向けた取り組みをこの間どのようになさってきたのか、そしてまた、解除された出荷物の流通状況、震災前との比較はしているのか伺いたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 山菜、野生キノコの出荷制限解除となった品目についてでございますが、山菜類は、県内10市町におきまして、5品目が国から出荷制限を指示され、5品目で県から出荷自粛を要請したところでございます。
 これらの品目につきまして、平成30年度以降は出荷解除となった事例はございませんが、出荷制限指示につきましては、平成27年度に一関市の野生セリ、陸前高田市の一部地域のタケノコの2品目、出荷自粛要請につきましては、平成27年度に奥州市の野生フキ、平成28年度に花巻市の野生コゴミの2品目がそれぞれ解除されているところでございます。
 野生キノコ類につきましては、県内9市町におきまして全ての品目が国から出荷制限を受けておりますが、これまでに解除された品目はない状況でございます。
 県では、出荷制限の対象となっている山菜及び野生キノコにつきまして、平成25年度から放射性物質濃度の経年変化を継続して調査しておりまして、検査の結果、安定して基準値を下回ったことが確認された品目につきましては、出荷制限等の解除に向けて国との協議を進めてきたところでございます。
 今後も放射性物質濃度の調査を継続しまして、安定して低水準にあると認められた品目につきまして、早期解除につながるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋流通課総括課長 山菜や野生キノコ類等の出荷物の流通状況というお尋ねでございますが、県におきましては、出荷制限等が解除されました山菜や野生キノコ類の流通全体の状況につきましては把握しておりませんが、一部、産地直売所における販売状況については承知しております。山菜、野生キノコ類は、産直施設でも販売されておりますので、その状況についてお答えさせていただきたいと思います。
 県が毎年実施しております農林水産物等直売施設実態調査によりますと、県内におきまして、山菜やキノコ類を販売している産地直売所の数は、震災前の平成22年度は196施設ございました。これに対しまして、直近の平成29年度の調査でございますが、173施設ということで、比較いたしますと23施設ほど減少している状況でございます。
 なお、これにつきましては、栽培と野生のどちらも含む販売をしている数字でございますので、御留意いただきたいと思います。
 山菜、そしてキノコ類につきましては、地域における重要な特産品の一つと認識しているところでございます。今後におきましても、産地直売所などの流通関係者の皆様方によります自主的な放射性物質検査などを通じまして、安全性が確認されたものが消費者に届けられるよう努めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 産直において数字を示していただきました。全県下で見ればそのような数字だろうと思いますが、出荷制限地域等を抜き出していけば、なかなか販売状況は厳しいといった状況なのだろうと思っております。震災発災より長い時間がたっているわけでありますが、まだまだ影響下にあることを突きつけられた思いです。
 県の次の県民計画においては、1億円以上の産直の数というのが目標になっていたり、また、フードツーリズムイベントの実施ということで取り組むという話も出ております。そういった中にあって、やはり産直においては、春先、野菜がない中にあって、お客様の足をとめてもらえる大きな存在であった山菜でありますし、また、地域の農家の副収入にもなっていたという認識があります。全体の流通とまではいかなくても、そういった数字を押さえながら、今度、2021年には東北ディスティネーションキャンペーンが4月から始まるということは、産直でも、あるいは道の駅でも山菜が並ぶ岩手県に何としても戻していきたいという思いがありますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、原木シイタケについてお伺いしたいと思います。
 主要施策の成果に関する説明書の中で、乾シイタケの生産量が平成30年は97トンの目標の中、実績値は119トンとA評価となっておりますけれども、震災前と比較してどうだったのか、また、生シイタケ、そしてまた、価格についても、震災前と比較してどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 シイタケの生産量と価格についてでございますが、県内の乾シイタケの生産量は、平成22年、震災前の201トンに対しまして、平成30年は119トンと82トン減少し、震災前の59%となっております。
 一方で、平均市場価格でございますが、平成22年度は1キログラム当たり4、564円に対しまして、平成30年度は3、476円と1、088円低下いたしまして、震災前の76%となっております。
 一方で生シイタケでございますけれども、生産量につきましては、平成22年の6、935トンに対しまして、平成30年は4、195トンと2、740トン減少いたしまして、震災前の61%となっております。平均市場価格につきましては、平成22年度の1キログラム当たり821円に対しまして、平成30年度は825円であり、震災前とこちらはほぼ同程度となっております。
〇佐々木朋和委員 今教えていただいた数字を見れば、発災当初に比べれば前進をしてきたと思いますが、A評価というのは、なかなか生産者の方には伝えられないものだと感じるところであります。
 新しいいわて県民計画では、全体の総量というよりも個人の売り上げとかに特化しているものですから、今後どうしていくかということがなかなか伝わらないところであります。今までの説明書によりますと、平成30年は、植菌でいうと100万本の目標のところ80万本であったということでした。
 新しいいわて県民計画については、2017年の現状値、これは乾シイタケになりますから事前に言った数字とはずれがありますが、現状が88万2、000本の植菌のところを、2022年には98万本に持っていこうという計画でございます。
 それを達成していくためには、休業者の再開でありますとか、また、新規就農者の確保あるいは既存の生産者の規模の拡大が必要でありますが、今後どのような取り組みを行っていくのか伺いたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 生産再開等に向けました今後の取り組みについてでございますが、県では、出荷制限の解除に向けて取り組んでおられる生産者に対しまして、生産再開に不可欠なほだ場の環境整備などを支援申し上げますとともに、シイタケが発生した段階で、順次、出荷制限の解除に向けた検査を実施しております。
 また、新規生産者の確保と定着を図りますため、原木しいたけ新規参入支援事業によりまして、新規生産者が所属する生産組合に対しまして、ほだ木の造成に必要な種菌の助成を行っているほか、生産者を対象にしいたけ栽培基本技術研修等を開催いたしまして、技術習得を支援しているところでございます。
 さらに、規模拡大を行う生産組合に対しましては、これまで特用林産施設等体制整備事業によりまして、国庫補助を活用し、人工ほだ場等の施設整備を支援してきたところでございます。
 今後も、こうした取り組みを進めまして、生産者の皆様が希望と意欲を持って産地再生に取り組んでいただけるよう、引き続き支援を申し上げていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 これから規模拡大というか、全体としての生産量の増大あるいは植菌本数の目標で10万本ふやしていくといったときには、やはりもう少し戦略的に進めていかなければいけないと思っております。
 生産を再開する生産者の方がどれぐらいいるのか。そういった方は東京電力からの賠償も受けられますから、それは早急に進めるべきだと思いますけれども、一方で、新規の就農者あるいは規模の拡大を目指す方々は、賠償の対象とならないわけでありますから、それなりの支援策がなければいけないと思っております。というのは、この主要施策の成果に関する説明書でも、新規就農者数が平成30年度は2人という数字が出ていますから、これは10万本、1年に1万本植えていくとしても10人、5、000本であれば20人、そういった規模拡大者あるいは新規就農者を募っていかなければいけないということになっております。
 そういった意味で、県としては、今後、再開を目指している生産者をどのぐらい押さえているのか、そしてまた、新規就農者対策あるいは規模拡大の方への支援をどのように行っていくのか、その辺の戦略をお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋林業振興課総括課長 再開を目指している方々の状況についてでございますけれども、令和元年5月末時点で出荷制限地域内の原木シイタケの生産者の動向の調査をしております。調査結果では、国から出荷制限指示を受けております13市町の生産者数は952名でございます。現時点で生産の継続の意向を持っておられる方が283名、約30%でございます。このうち出荷制限指示が個別に解除されている方々が201名でございますので、残る87名の方々が、今後再開に向けて動かれると考えております。
 失礼しました。生産継続の意向を示しておられる方々は283名でございます。283名のうち、既に落葉層の除去が完了して生産の準備をされておられる方が273名でございますので、残りが46名となっております。
 46名の方につきまして、引き続き生産再開に係る意向の把握に努めまして、申請いただけるような場合には、除去を実施していくということで考えておりまして、この方々の意向の調査につきまして、今後実施していきたいと考えております。
 支援の関係でございますけれども、規模拡大を行う生産者の方々には、先ほど申し上げました特用林産施設等体制整備事業、キノコ生産の維持、増進を図るため、簡易ハウスでありますとかキノコ原木、菌床資材の導入を支援する事業がございますので、こういったものを用いまして支援をしてまいりたいと考えております。新規生産者の方々の確保に向けた支援といたしましては、原木シイタケの新規参入支援事業、先ほど御紹介しました就業6年目以内の新規参入者がいる生産組合に対しましてのほだ木の整備でございます。こういった事業でありますとかシイタケ栽培の基本研修を通じて、御支援申し上げたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 佐々木朋和委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう御協力をお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 済みません、私の質問が幅広かったので答弁が長くなったのだと思います。
 今、新規あるいは規模拡大の支援策を言っていただきましたが、ただ、それでも、今、東京電力からの賠償が受けられないところは変わりがなく、そこが課題となっていると認識しております。ぜひとも、その件も含めた支援策を御検討いただくようお願いをして、終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより暫時休憩いたします。
午後5時27分 休 憩
午後5時52分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高橋穏至委員 私からは、岩手県の次世代林業、木材産業育成対策事業、1項目の質問となります。
 この事業に関して、あらかじめ資料等もいただいたわけですが、主要施策の成果に関する説明書によりますと、事業活動内容は、学校訪問も目標の倍をして、そして年間の研修時間も目標値をクリアしてA評価となり、そして研修生も15人に対して18人、そして100%がしっかりと林業についているということでA評価になっています。
 人材育成という観点からこのA評価についてお伺いしたいのですが、県内の林業現場からの求職需要に対してしっかりと対応できているのかどうか、その実態についてお伺いいたします。
〇工藤森林整備課総括課長 県内林業事業者の人材ニーズへの対応についてでございますが、県ではこれまで、岩手県林業労働対策基金と連携し、現場技能者の育成研修を実施するなど、実践的な技術を身につけた林業技能者の育成に努めまして、これまでに500名を超える人材育成を確保してきたところでございます。
 一方で、本県の林業就業者数は近年減少傾向で推移しておりまして、高性能林業機械の導入が進み生産性が高まっているものの、林業事業者からは、人手不足を感じているとの声が上がっていることから、新規就業者の確保や定着率の向上などが重要と考えているところでございます。
 このことから、県では、平成29年度から林業の現場で即戦力となる人材の確保、育成を目的に、いわて林業アカデミーを開講しておりまして、修了生の就業を強力に支援してきたところでございます。これまでに修了生全員が希望する県内企業等に就職しているところでございます。
 さらに、就業後の定着支援といたしまして、岩手県林業労働対策基金と連携し、社会保険や退職金共済への加入、適切な能力評価と能力に応じた昇進、昇給を行う制度の導入を促すなど、就業者が安心して働くことができるよう、就業条件の改善を進めているところでございます。
 引き続き、これらの対策を進めまして、県内林業事業者等の人材ニーズに対応した支援を行ってまいります。
〇高橋穏至委員 引き続きやっぱり現場は人材不足だという状況で、私も森林組合の総会等に来賓で呼ばれて出席することがあるわけですが、やはりそのような現場の状況であるということでした。
 こういう集計の取り方をしているかわからないのですが、県内の雇用状況、いわゆる求職に対する応募状況、県は1以上の求人倍率なのですが、林業というくくりで捉えられているのかどうかについてお伺いしたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長 林業のくくりということでございますけれども、岩手県林業労働対策基金では、毎年、就業希望者とその受け入れ側の事業体とのマッチングを行っておりまして、その中から話を聞いておりますと、正確な数字ではございませんけれども、やはり求人に対して着実に就業に結びつく方の割合はあまり高くはないと聞いております。
〇高橋穏至委員 具体的な数字がないという状況のようなのですが、もう一つ気になったのは、いわて林業アカデミーの終了生の林業就職率ですけれども、現場仕事なのか。今、北上にも北上プライウッド株式会社ができたりとか、林業に関係する職業が入っているのですが、そういったのも含めた数字なのかというのがちょっと気になるのですが、それはいかがでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの修了生33名でございますけれども、この33名全員が林業の現場で働いている。特に工場とかではなくて、実際に山で木材を伐採したり運んだり、そういった現場で働いている方々の人数になります。
〇高橋穏至委員 いわて林業アカデミーのほうも今年度で3年目になるのでしょうか、継続してやられているということで、このいわて林業アカデミーに応募する方の動向ですけれども、これは高卒で来られているとか、そういった形なのでしょうか。あるいは県外から転職を求めて入ってきたりとか、さまざまな形態が考えられるのですが、いただいた資料の入講の写真を見ますと、みんな若いので、高卒かなと思ったりして見ているのですが、その応募状況というのはいかがなものでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの定員は毎年15名で募集しておりますが、実際その定員を超えて18名、17名の募集を行って研修を実施しているところであります。
 この研修生の内訳につきまして、15名の定員のうち、最近ですと推薦枠が50名ぐらいという形で進めているのですが、15名のうち10名が高校からの推薦ということで受け付けをしています。年によってその10名の枠に満たない場合がありますので、そういったところにつきましては、県内で既に一般の事業体に就職されている方、林業以外の会社から参入されてくるような方もいらっしゃいますが、構成からすると高校を卒業した方のほかに、一般のところで働いていた方々がまじって研修を構成しているような形になります。
〇高橋穏至委員 事業目標にも学校訪問の校数がありますので、高校へのアプローチというのはしているのかなと思いますけれども、県内のほかの産業も人手不足という状況の中で、なかなかほかの業種のほうから転職どうですかというのも厳しい状況かと思うのですが、県外とかへのアプローチというのはいかがなものでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 まず、学校訪問につきましては、県内の実業高校等に対して話をしまして、そちらのほうから来ていただいている状況でございます。それ以外のところにつきましては、例えば、東京都におきまして森の仕事ガイダンスというものを開催しておりまして、そちらのほうに行って県外からの方々を呼び込む取り組みのほか、県外の説明会等におきましても、そういった方々を呼び込んでいるところでございます。
〇高橋穏至委員 さまざまな取り組みをなされているということですが、現場のほうではやはりまだまだ足りていないという状況の中で、この定員の15名という枠なのですけれども、これは技術的にこれ以上受け入れられないということなのか、それとも、現状に合わせて15人ぐらいしか募集できないという目標設定なのか、そこら辺の設定はどうなっているでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 いわて林業アカデミー定員の15名でございますけれども、まず、いわて林業アカデミーを開講しているのは岩手県林業技術センターでございまして、そのセンターの施設等の受け入れの関係で15名が上限になっております。ただ、希望される方が多いということもございまして、若干、人数を多目にとっておりまして、施設の関係からいくと、やはり18名程度が上限という形になっております。
〇高橋穏至委員 今はこのいわて林業アカデミーの運営事業ということでやっているわけですが、この事業主体は県でありますけれども、ほかの大きな企業体と連携して、例えば研修制度ですとか新たな事業を取り入れて枠を拡大していかないと、なかなか人手不足が解消できないと思われるのですが、そういった見通しは何か考えられているでしょうか。
〇工藤森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーのほかに、岩手県林業労働対策基金と連携しまして緑の雇用の取り組みをしております。この取り組みにつきましては、一般の事業体等で働いていた方々が林業に参入する場合、県内の民間事業体に就職しながら、研修を行い技術習得をしていくという取り組みでございます。
 こういった取り組みを通じまして、県内の林業に新規に就業される方の人数は、最近ですと100名ぐらいの新規参入がございます。その中でも、いわて林業アカデミーと緑の雇用に乗らないで、直接事業体のほうに就職される方もいらっしゃいます。こういった方々につきましては、事業体の中でのOJT研修等を通じて技術を習得している状況でございます。
〇高橋穏至委員 農業でも新規就農者の支援事業とかさまざまありますので、いろいろ工夫していただいて、また事業者との連携で、ぜひ、できれば都会とかそういったところから呼び出すような施策をさらに検討してもらってはどうかということに関して伺って、終わりたいと思います。
〇工藤森林整備課総括課長 近年、林業の現場で働くことを希望される方々が結構ふえております。どういった経緯で来られているかよくわからないところもあるのですが、自然に憧れて来られる方々も結構多いと聞いております。
 ただ、一方で、希望とは裏腹に、実際に県内の事業体で働く場合に、自分が目指しているような仕事の内容でなかったり、あるいは、なかなか給料が思うように高くならないということがございますので、そういった点につきましては、事業体の就労条件の改善を通じまして、離職が起こらないように事業者を指導しながら、人材の育成あるいは確保に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、台風第19号による水産業被害の復旧、復興の取り組みについて。先ほど被害額は11月5日現在で25億9、223万円ということでありました。
 特に秋サケの最盛期を迎える中での秋サケ漁の現状と種卵の確保の取り組み、もう一つは、ワカメ、昆布の種つけの時期を迎えてこの現状、そして対応はどうなのか、お聞きをいたします。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 台風第19号の被害による水産関係施設の被害額は、先ほど委員からもお話がありましたように、合計で25億9、000万円ほどとなっております。このうち懸念される秋サケの関係ですけれども、サケ・マスふ化場は7カ所被災しておりまして、現在調べが上がっている金額ベースでは2億6、000万円ほどとなっておりますので、この早期復旧が求められているところでございます。
 現在、先ほど城内委員の御質問でも答弁させていただきましたが、一部復旧しているところもありますので、なるべく早く年内の復旧を進めて、サケの捕獲、採卵に支障のないように進めてまいりたいと考えております。
 次に、ワカメ、昆布、ホタテ等の養殖の関係でございますけれども、ことしの春から夏の養殖海藻の生産量は、ワカメが1万450トン、震災前の約5割、昆布が5、322トンで、震災前のこれも約5割となっております。
 また、昨年度のホタテガイの生産量は1、770トンで、震災前の3割となっております。
 養殖生産量の減少の主な要因としては、震災後の養殖施設数が減少していることによるもので、さらに昨年はホタテガイの貝毒が広域で発生しまして、出荷自主規制が長期間続いたことで生産量が大きく減少したということでございます。
 県では、海藻や貝類の養殖生産量の回復を図るために、漁協と連携して、意欲ある漁業者の生産規模拡大や、漁協自営養殖の推進、それから省力化機器の導入などを進めて取り組んでいきたいと考えております。また、ホタテの貝毒につきましては、毒化の監視を継続するとともに、貝毒の発生予測や貝毒の毒値を下げる技術開発を進めてまいりまして、生産の安定と安全流通に努めてまいります。
〇斉藤信委員 次に、アワビ、ウニの生産量の実態と対策についてお聞きいたします。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 アワビ、ウニの生産でございますけれども、昨年度のアワビの漁獲量は140トンで、震災前の約4割、今年度のウニの漁獲量は88トンで、震災前の約7割にとどまっておりまして、その原因の一つとしては、餌となる昆布等の生育量の減少が挙げられます。
 県では、栽培漁業推進事業によりまして、漁協のアワビ種苗の生産や放流に要する経費に対して助成しているほか、昆布の生育を促進する取り組みへの補助に要する経費を今般の9月補正予算に盛り込んだところでございます。このような取り組みを継続することによって、アワビ、ウニ資源の回復に努めてまいります。
〇斉藤信委員 次に、魚市場の水揚げ量と水揚げ額はどうなっているでしょうか。震災前と比べてもどうなっているか示してください。
〇工藤漁業調整課長 魚市場の水揚げ量と水揚げ金額についてでありますが、平成30年の魚市場の水揚げ状況は、数量が約10万4、000トン、金額が約198億円で、平成29年に比べまして、数量が1.2倍、金額が約9割となっております。また、震災前3カ年平均と比べまして、数量が約6割、金額が約8割となっております。
〇斉藤信委員 魚市場の水揚げ量でも震災前の6割、金額では84%ということでした。それで、いわて県民計画実施状況報告書では漁業生産額は393億円で、計画目標値の370億円を超えてAランクとなっているのですね。水揚げ額が減少している中で漁業生産額が計画を超えているというのは、どういう要因ですか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 震災後、総じて水産物の価格が上がっております。また、需給関係が逼迫している関係で、養殖貝類を中心に単価が非常に高騰しておりまして、全体の生産量は落ちておりますけれども、金額面で上がっているという状況が見てとれるところでございます。
〇斉藤信委員 私が今聞いた範囲では、生産量は大幅に落ちて、水揚げ額も震災前を超えていないのですよ。その割には、漁業生産額全体というふうに見ると、突然393億円に上がっているというところの理由がよくわからない。具体的にわかりますか。
〇工藤漁業調整課長 漁業生産額についてでございますが、370億円につきまして、これは平成29年の数字となっているものでございます。(斉藤信委員「370億円は計画の数値です」と呼ぶ)失礼いたしました。実績値が393億円でございますけれども、これも平成29年の実績となっております。先ほど魚市場の水揚げ金額について御説明しましたけれども、それは平成30年度の数字となっているところでございます。
〇斉藤信委員 あまり説得力がないのだよね。平成30年度、サンマはとれましたよ。それ以外、そんなにたくさんとれて水揚げ額がふえたという記憶はないのだけどね。それで私は聞いたのですよ。まあ、いいです。後で正確なことがわかったら教えてください。
 それで、水揚げ額を見まして、全体としては生産量、生産額が落ちているのだけれども、田野畑村、普代村、野田村は震災前よりも生産量が、生産額もそうですが、超えているのですね。これは何か理由はわかりますか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 田野畑村、普代村、野田村につきましては、主に定置網の水揚げ量が増加していることで、魚市場の水揚げ量が上がっていると考えております。
〇斉藤信委員 ちょっと応用問題でお聞きしましたけれども、震災前より超えているというので、特別な何があるのかなということでお聞きいたしました。この三つだけなのですよ。県北が全部そうかというと決してそうではなくて、久慈市は65%、種市は34%ですからね、生産量で。だから、この三つがなぜ、震災前を大きく超えているのか、後でわかったら教えてください。
 それで、これは平成30年度までの計画ですけれども、漁業生産額で評価するというのはあまり実態を反映しないと思います。不漁になると価格が上がりますから、私は、一番水産業の実態を示すのはやっぱり生産量ではないかと思います。だから、これからの指標でいけば、額ももちろん大事なのだけれども、やっぱり物がとれているかどうか、ここに水産業の推移が示されますので、そういうふうにしておく必要があるのではないかと思います。
 次に、漁業の担い手確保の現状と対策についてお聞きします。
〇工藤漁業調整課長 漁業の担い手確保策の現状と対策についてでありますが、県では、漁業担い手の確保、育成の取り組みを進めるため、平成28年3月に岩手県漁業担い手育成ビジョンを策定し、これに基づき、漁業経営力向上研修や漁業担い手対策の推進体制の整備、新規漁業就業者の現場での実務研修などを実施してきたところでございます。
 これらの取り組みによりまして、新規漁業就業者数は毎年度40名から50名程度確保しておりまして、漁業センサスによりますと、平成30年の本県漁業就業者数は6、330人で、平成25年時の6、289人と比べ若干増加しているところでございます。
 また、ことし4月には、いわて水産アカデミーを開講しておりまして、漁業就業希望の研修生を対象に、漁業の基礎知識や技術、さらにはICT等の先端技術を駆使した高度な経営手法の習得を支援し、将来の本県漁業を牽引する人材の育成に取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 次に、水産加工業は原材料不足と価格高騰で大変な事態に直面していますけれども、現状と具体的支援策についてお聞きします。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業の現状でございますけれども、平成29年の水産加工業の出荷量は、震災前と比較しまして約8割、出荷額は震災前とほぼ同額となっております。また、平成30年8月に実施した被災事業所復興状況調査では、主要魚種の不漁などから、水産加工業者の多くは原材料確保が課題としております。
 県では引き続き、サケの資源回復を進めていくほか、国の資源管理制度に連動しながらサンマやスルメイカの資源回復に取り組むとともに、養殖生産ではワカメやホタテの生産性向上などを進めまして、新たにサケ、マス類の海面養殖試験なども支援しているところです。
 さらに、サバやイワシなどを漁獲するまき網船の誘致や、小型漁船によるマイワシの捕獲試験を認めるなど、加工原料の確保に努めてまいります。
 また、研修会や商談会などの開催によりまして、マイワシやサバなどを代替原料として活用する方策や新商品の開発、販路開拓なども支援しておりまして、本県水産加工業の復興と経営の安定に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 水産加工業の現状で、生産量は、私がいただいた資料だと9万トンで75%なのですね。これを8割と言うのはちょっとやり過ぎ。そして生産額は684億円で95.1%ですから、100と95ではやっぱりちょっと違うので、これは正確な答弁をしていただきたい。
 それで、私、大船渡市へ行ったときに、大船渡市は、大船渡商工会議所と気仙沼市の商工会議所で研究会をつくって、特にサンマの大不漁がありますので、二つの商工会議所の水産部が協力して対応すると、そういう動きもありました。ただ、水産加工会社の社長にもお聞きしたのですけど、サンマは5年ぐらいは今の大不漁が続くと、こういう認識で対応しないとだめだよと。これは専門家の問題提起だったと。こういう話もお聞きをいたしました。
 大変な状況の中で、もう一つ、魚種転換というのも、魚一つ一つで機械が違うのだと。だから、魚種転換といっても、新たな魚を加工しようとすれば新たな設備投資が必要になってくるということでした。私は、そういう意味でいくと、やっぱりもっときめ細かな対応、緊急の対応、中長期的な対応、これをセットでやっていく必要があるのではないかと思います。今、今とれないわけですからね。そういう中でどう緊急的な対応、中長期的な対応をしていくのかということが大変大事だと感じてきましたけれども、いかがでしょうか。
〇石田水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業者の関係でございますけれども、先ほど委員がおっしゃいました大船渡地区での取り組みの事例を御紹介申し上げますと、水産加工業者が連携して地域の水産物を確保していこうと。そのためには、やはり水産資源の中長期的な動向も、加工業者といえども把握しながら、勉強しながら、それぞれで地域の産地の水揚げをふやしていこうというところから勉強会を始めるというような取り組みで、非常に中長期的な視点に立って自分たちの経営を改善していこうという取り組みで、称賛されることだと思います。
 もう一方で、我々、水産加工業者と勉強会を重ねて、サケやイカやサンマが、非常に資源動向が厳しくて、なかなか原料確保が難しい中で、一方ではイワシやブリ、サバなど、ふえている魚種もありますので、原料転換によって新しいものづくりをするという勉強会を重ねていました。
 ただ、委員御指摘のように、新たな設備投資となるとなかなか踏み切れないところがありますので、水産技術センターの加工実験室などがございますから、そこでものづくりの試作をして、いろいろな商品開発のヒントを得るなど、いわゆるお試しで使っていただきながら、どの程度の商品のロットをつくっていくとか、どの程度の規模で事業展開していく見通しができた先には、新しい加工機械の導入など国の事業も導入しながら支援していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 水産加工業はまさに沿岸の基幹産業、そして雇用の大きな場だと思うので、ぜひ県も、水産加工会社や商工会議所と一体で取り組んでいただきたい。
 最後の質問です。水産資源の保護対策と大型底びき網漁と大型まき網漁の規制の強化というのを、私は、水産資源の保護対策としてやる必要があるのではないかと思います。いわば、今、資源が枯渇している中で大不漁が起きているわけですよね。ところが、まき網船だとかトロール船が根こそぎとっていくと。これをきちっと規制しなかったら資源の保護にならないのではないか。これは現場の漁民の切実な声です。この現状、対応はどうなっているかお聞きします。
〇工藤漁業調整課長 水産資源の保護対策と大型底びき網漁と大型まき網漁の規制強化についてでありますが、水産資源の保護対策につきましては、漁船の隻数や馬力数の制限等によって漁獲努力量を制限する投入量規制、網目の大きさの規制等により漁獲効率を制限する技術的規制、漁獲枠の設定などにより漁獲量を規制する産出量規制の大きく三つの手法があるところでございます。
 大型船による沖合底びき網漁業とまき網漁業につきましては、大臣許可漁業としまして、国が広域的な観点から漁船隻数や漁獲枠などを管理しているところでございます。
 県といたしましては、知事許可となっている沿岸小型漁船漁業の操業の安定と安全を確保するため、大臣許可漁業との操業ルールの調整などにおいて、小型漁船が不利とならないよう、随時、国とも協議しながら漁業調整に努めているところでございます。
〇小西和子委員 それでは、いわて森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
 私はこの事業は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状況で引き継いでいくための県民全員がかかわる事業と捉えております。昨年度のいわて環境の森整備事業で強度間伐実施面積が目標を大幅に下回ったのは、国産材の需要拡大に伴う主伐の増加により、実施主体側の間伐を行う作業員の確保が困難であったことと、事業対象森林の奥地化等により施工可能な森林の確保が進まなかったことが要因であると捉えております。次の目標と実績のところは割愛いたします。事業実施主体の傾向についてお伺いいたします。
 続けます。施工地確保のための昨年度の取り組みと今年度の新規の取り組みについてお伺いいたします。施工対象地で奥地化し通行不能な作業道があることから、作業道補修に必要な重機の運搬経費を補助対象に加えることとしておりましたけれども、取り組み状況はいかがだったでしょうか。手入れ不足の森林の情報提供などの効果もお伺いいたします。それから、施工地に与えた台風第19号の影響についてもあわせてお伺いします。
〇高橋林業振興課総括課長 いわて環境の森整備事業の実績等についてでございます。
 事業主体の傾向についてということでございますが、平成29年度から、いわて環境の森整備事業に参入する新たな事業体の掘り起こしに取り組んでいるところでございます。これまで4事業体が参入するなど、全体として森林組合等に加えまして、民間事業体数の参入が、徐々にでありますがふえていく傾向にあると考えております。
 次に、施工地確保のための取り組みについてでございますが、まずは本年度、作業道補修に必要な重機の運搬経費補助につきまして加算をしたところでございます。まだ具体的な活用実績はございませんが、ことし8月に県内4カ所で開催いたしました、いわて環境の森整備事業地域説明会におきまして、関係林業事業体の方々がお集まりになりましたけれども、参加した複数の事業体から関心を示す声が寄せられたところでございます。引き続き、さまざまな機会を捉えまして環境の森整備事業の周知や林業事業体への働きかけを行いまして、当該制度の活用によって施工地確保が進みますよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、手入れ不足の森林の情報提供についてでございますが、いわて環境の森整備事業の実施が今後想定されます森林の区域を表示しました図面を私どもで作成させていただきまして、ことし9月に広域振興局等を通じまして市町村や事業主体に御提供させていただきました。あわせて、事業体の相談にきめ細かに応じていくことなど、今後の施工地確保に結びつくよう努力しているところでございます。
 最後に、台風第19号が施工地に与えた影響でございますが、現時点で、風倒木や間伐材の流出などの被害は確認されておりません。これまでも、いわての森林づくり県民税で実施いたします間伐作業におきましては、間伐材が流出しないよう、沢筋を避ける、あるいは伐根等を利用した集積を行うなど指導してきたところでございまして、引き続き、森林の公益的機能が確保されますように取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 次、一番問題でありますいわての森林づくり県民税の認知度についてお伺いしたいと思います。前回お伺いしたときは46%に下がってしまったのですね。55%まで上がったのに46%になって、残すところあとわずかであるのに目標70%にまだまだ到達しないということでございます。70%を目指すための取り組みをお伺いいたします。
〇高橋林業振興課総括課長 認知度向上の取り組みについてでございますが、昨年度は、テレビ、ラジオでのCM放送、新聞広告及びインターネット動画検索サイトユーチューブでの広告配信を実施いたしましたほか、いわての森林づくり県民税の役割や森林環境保全の重要性への理解醸成を目的としました動画やパンフレットの制作、配布を行いまして、県のホームページ等へも掲載したところでございます。
 今年度は、新たに林業を担う人材の確保、育成や森林資源の循環利用の推進を目的とした動画を制作いたしますとともに、昨年度に引き続きまして、県内小学校の5年生全員にパンフレットを配付しまして、学校や地域で行われる学習などでの普及啓発を進めていくこととしております。
 また、テレビ、ラジオのCMや県の広報紙などでの周知回数につきましては、今回ふやすということで、あらゆる機会を通じまして県民向けの広報を積極的に行いまして、県民税の認知度が向上するように取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 いろいろ取り組んでおります。やはり県民一人一人から1、000円ずつ納税していただいての事業ですので、ぜひ認知度を高める取り組み、あらゆる世代で認知度が向上する取り組みを要望いたします。
 このいわての森林づくり県民税の事業は、37府県で同じような取り組みをしているわけですけれども、岩手県の場合、担当者が熱心に取り組んでいると他県から高く評価されていると、事業評価委員会で話題になっております。国の森林環境譲与税により林業従事者の確保と市町村の実行体制確保が大きな課題でありますけれど、どのような対策を講じているのか。あわせて、いわての森林づくり県民税事業の見直しの検討が事業評価委員会で行われております。その検討状況と今後のスケジュールをお伺いしたいと思います。
〇橋本林務担当技監 森林環境譲与税による林業従事者の確保等についてでありますけれども、県では、林業従事者を確保するため、岩手県林業労働対策基金と連携し、新規就業者の養成研修等を実施してきたほか、平成29年度から、先ほども話がありましたけれども、林業の現場で即戦力となる人材の確保、育成を目的に、いわて林業アカデミーを開講しているところであります。
 また、県では、市町村の実行体制を確保するため、昨年6月に農林水産部内に対策チームを立ち上げ、市町村に対し、意向調査対象森林の抽出や施業履歴の確保など、新たに生じる業務に関する助言等を行っているほか、業務の進め方に関する研修会の開催や森林組合と連携した取り組みなど、取り組みの優良事例の紹介を行っているところであり、今後も市町村に対し、きめ細かな支援を行っていくところでございます。
 いわての森林づくり県民税のスケジュール、それから検討状況ということでありますけれども、これまで事業評価委員会において、令和2年度までの第3期終了後のあり方について、今年度は3回ほど検討いただいているところであります。ことしの10月になりますけれども、県内4カ所で評価委員も参加し県民懇談会を開催したところであり、事業評価委員会には、年度末をめどに提言の取りまとめをお願いしているところであります。事業評価委員会におきましては、県民アンケートなどを通じて、県民の皆様を初め、県議会、市町村の御意見などを広くお伺いしながら、県民税のあり方について議論を深めていただきたいと考えております。
〇小西和子委員 大きなターニングポイントだと思いますので、しっかりと県民の御意見をお伺いして、よりよい事業にしていただきたいと思います。森林県である岩手県にとっては大きなチャンスでありますので、取り組みの強化をお願いいたします。
 最後に、防潮林の再生についてお伺いいたします。関係者は、どうしたらこれまでよりも強く美しい防潮林を再生できるのかと奮闘しております。まとめて聞きます。防潮林の再生の現状と今後の見通しについて伺います。台風第19号による被害状況をお伺いいたします。
〇西島森林保全課総括課長 防潮林の再生の現状と今後の見通しについてでございますけれども、再生を予定しております防潮林18地区のうち、令和元年12月末までに17地区に着手し、このうち13地区が完成したところでございます。
 未着手になっております1地区につきましては、他所管の防潮堤工事等と調整しながら着手する計画となっており、令和2年度末までには全ての防潮林が復旧されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、二つ目の御質問でございますけれども、今回の台風第19号の防潮林に対する被害状況というお話でございます。現在確認している被害状況でございますけれども、釜石市佐須地区は、大変大きな被害を受けた地域でございますけれども、こちらにおいて隣接する河川の氾濫による被害が発生しており、防潮林内への土砂の堆積と植栽木、防風柵の一部が流失したことを確認しており、早期に復旧できるよう現在検討しているところでございます。
 また、陸前高田市高田松原地区におきまして、暴風等により植栽木の傾きや倒伏が確認されております。今後の生育への影響を見極めるため、経過を観察しながら、枯死した場合には補植を行うなど、健全な防潮林に育成するための取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 台風第19号の暴風で高田松原の苗木が倒れてしまいました。植栽を終えた約8、900本のうちの半数ほどが倒れているというような報道もありました。今までで一番大きな被害だったと報じられております。一本一本竹製の支柱を立てて草刈りをして育ててきた、70センチメートルぐらいに育った苗であります。どうぞ今後とも手入れ等をしっかりとやっていただきたいと思います。
 各地で行われた植樹祭等について、参加人数もあわせてお伺いいたします。
〇西島森林保全課総括課長 防潮林を会場とした植樹祭等の参加状況についてでございますけれども、県内各地で行われている地域住民等に参加していただいた植樹祭については、平成26年度から平成30年度までに宮古市摂待地区ほか6地区で実施しており、延べ1、100名ほどの方に参加していただいたところでございます。今後も、市町村等と連携してこの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 地域住民の方々と一緒に植樹した苗木が、健全で美しい防潮林となって地域の安全と暮らしを守ってくれるよう、今後も適切な保育管理に努め、大切に守り育ててまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 どうして私が防潮林の再生にこだわるかといいますと、関係の方々が、震災後、地べたをはいながら調査研究活動を継続してきたというような記録もございます。防潮林は、先人が私財をなげうち、汗を流しながら残してくれた貴重なふるさとの宝であります。ほぼ復旧したということでございます。
 では、最後に橋本林務担当技監に、いわての森林づくり県民税事業と防潮林の再生についての所感をお伺いして終わります。
〇橋本林務担当技監 まず、いわての森林づくり県民税事業に対する所感でございますが、いわての森林づくり県民税事業につきましては、先ほどもお話ししたとおり、今年度、事業評価委員会の中で提言をまとめていただくことになっております。私も懇談会に4カ所全て回って、直接、森林所有者や一般の県民、森林組合の方などに県民税に対する考え方ですとか思いといったものを聞いてきたところでありますので、それについてはしっかりと事業評価委員会の中で委員の方々にも説明して、提言に向けた取り組みを支援していきたいと考えております。
 防潮林につきましては、被災を受けました沿岸地域においては、潮害から飛砂、農地や居住地等を守る役割とその再生は大変重要であると認識しており、早期完成に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆様は御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって散会いたします。
午後6時40分 散 会

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