令和元年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

令和元年11月1日(金)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
文化スポーツ部長 菊 池   哲
副部長兼文化
スポーツ企画室長 岩 渕 伸 也
参事兼スポーツ
振興課総括課長 藤 田 芳 男
ラグビーワールド
カップ2019
推進室長 木 村   久
文化スポーツ
企画室企画課長 中 村 佳 和
文化スポーツ
企画室管理課長 鈴 木   忠
文化振興課
総括課長 高 橋 久 代
世界遺産課長 佐 藤 嘉 広
大会運営課長 高 松 秀 一

教育長 佐藤 博
教育次長兼
教育企画室長 佐 藤 一 男
教育次長 梅 津 久仁宏
教育企画室
教育企画推進監 大 畑 光 宏
予算財務課長 山 本 洋 樹
学校施設課長 新 田 芳 文
教職員課総括課長 山 村   勉
首席経営指導
主事兼小中学校
人事課長 金 野   治
首席経営指導
主事兼県立学校
人事課長 高 橋 一 佳
首席指導主事兼
学校調整課
総括課長 木 村 克 則
首席指導主事兼
産業・復興
教育課長 軍 司   悟
特命参事兼
高校改革課長 藤 澤 良 志
首席指導主事兼
生徒指導課長 橋 場 中 士
学校教育課
総括課長 小久保 智 史
首席指導主事兼
義務教育課長 小野寺 哲 男
首席指導主事兼
高校教育課長 里 舘 文 彦
首席指導主事兼
特別支援教育課長 高 橋   縁
首席指導主事兼
保健体育課
総括課長 清 川 義 彦
首席社会教育主事兼生涯学習
文化財課総括課長 佐 藤 公 一
首席社会教育
主事兼文化財課長 岩 渕   計

企業局長 藤 澤 敦 子
次長兼
経営総務室長 菅 原 健 司
技師長 細 川 普 基
経営総務室
管理課長 高 橋 啓 三
経営企画課長 菅 原 克 浩
業務課総括課長 村 上 敏 弘
電気課長 駿 河 弘 美

会計管理者 菊 池   満
会計課総括課長兼
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開きます。
 伊藤勢至委員及び工藤大輔委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、文化スポーツ部、教育委員会及び企業局関係について延べ20人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇菊池文化スポーツ部長 平成30年度の文化スポーツ部の決算について御説明申し上げます。
 なお、本年4月より若者文化関係事業を環境生活部へ移管しておりますので、これから御説明申し上げますのは、現在、当部が所管している内容でありますことを御了承願います。
 初めに、当部所管の主な事務事業に係る取り組みと成果などについて総括的に御説明申し上げます。
 当部では、東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画―古い計画―に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向け、文化芸術の振興と豊かなスポーツライフの振興の二つの政策項目について取り組んでまいりました。
 まず、東日本大震災津波からの復興についてでありますが、文化芸術の鑑賞機会の確保や、被災した郷土芸能団体の活動再開に対する支援などを実施してまいりました。
 次に、文化芸術の振興についてでありますが、文化芸術情報の発信、文化芸術活動の支援や交流の場の創設、世界遺産の理念と価値の普及、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録や平泉の文化遺産の拡張登録に向けた取り組みなどを進めてまいりました。
 次に、豊かなスポーツライフの振興についてでありますが、選手育成や指導者育成の推進、障がい者スポーツの振興に取り組むとともに、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたホストタウン登録や事前キャンプの誘致、ラグビーワールドカップ2019釜石開催に向けた機運醸成や受け入れ態勢の整備などを進めてまいりました。
 なお、本年3月にいわて県民計画(2019〜2028)を策定したところでありまして、今後は、この新しい県民計画に掲げる文化、スポーツの振興に向けた取り組みを着実に推進し、県民の文化芸術活動や鑑賞の機会、スポーツを楽しむ機会の充実などを図ってまいります。
 続きまして、平成30年度決算の概要について御説明申し上げます。
 お手数をおかけしますが、お手元の平成30年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。文化スポーツ部関係の決算は、2款総務費8項文化スポーツ費のうち、今年度より環境生活部に移管した若者文化関係事業を除いたものでありますが、これらの支出済総額は28億8、254万円余であり、翌年度への繰越額は3億9、349万円余、不用額は4、387万円余となっております。
 それでは、お手数をおかけします。お手元の歳入歳出決算事項別明細書により詳細について御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 それでは、お手元の歳入歳出決算事項別明細書をごらんください。184ページ、185ページをお開き願います。2款総務費8項文化スポーツ費1目文化スポーツ総務費でありますが、備考欄の上から2行目、三陸地域文化・スポーツ未来へのかけはし推進事業費は、沿岸広域振興局が実施した広域振興事業でありますが、ラグビーふれあいイベントの開催など、交流人口の拡大による地域振興の促進に要した経費でございます。次に、186ページ、187ページをお開き願います。2目文化振興費でありますが、備考欄の上から2行目、岩手の文化魅力発信事業費は、日仏友好160周年を記念してパリで開催された日本文化紹介行事ジャポニスム2018の出展に要した経費であります。二つ飛びまして、郷土芸能復興支援事業費補助は、被災地における郷土芸能活動の保存、継承を支援するため、市町村が実施する郷土芸能団体等への活動再開の支援に要した経費への補助であります。一つ飛びまして、障がい者芸術活動支援事業費は、障がい者の文化芸術活動を支援する人材の育成や関係者のネットワーク形成を行うため、障がい者芸術活動支援センターの設置、運営に要した経費であります。六つ飛びまして、被災地児童生徒文化芸術支援事業費は、被災した児童生徒の心の復興を図るため、文化芸術に触れる機会を提供するために要した経費であります。一つ飛びまして、岩手芸術祭開催費は、県民のすぐれた文化芸術活動の発表の場と鑑賞の機会を提供するため、岩手芸術祭の開催に要した経費であります。次に、188ページ、189ページをお開き願います。備考欄の上から5行目、世界遺産登録推進事業費は、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録や平泉の文化遺産の世界遺産拡張登録に向けた取り組み、明治日本の産業革命遺産の保存活用等に要した経費でございます。
 なお、備考欄の上から3行目、若者文化振興事業費は、環境生活部への移管事業でございます。
 次に、3目スポーツ振興費でありますが、備考欄の上から4行目、復興五輪ムーブメント推進事業費は、ホストタウンや事前合宿の誘致、聖火リレーの実施に向けた体制整備等の実施に要した経費であります。2つ飛びまして、障がい者スポーツ振興事業費は、障がい者スポーツの振興を図るため、スポーツを行う機会の提供や指導者養成、総合型地域スポーツクラブにおける受け入れ態勢整備等に要した経費であります。次の高齢者スポーツ活動振興事業費は、高齢者の生きがいと健康づくりを推進するため、岩手県長寿社会健康と福祉のまつりの開催等に要した経費であります。三つ飛びまして、体育大会開催、派遣事業費は、岩手県民体育大会の運営、国民体育大会への選手団派遣等に要した経費であります。二つ飛びまして、オリンピック選手等育成・強化事業費は、スーパーキッズの発掘、育成やトップアスリートの活動支援に要した経費であります。一つ飛びまして、パラリンピック選手等育成・強化事業費は、障がい者スポーツ選手の育成や障がい者トップアスリートの活動支援等に要した経費であります。次のいわて競技力向上事業費は、岩手県体育協会が実施する競技団体への競技力向上支援に要した経費の補助等でございます。一つ飛びまして、スポーツ医・科学サポート事業費は、競技団体へのトレーナー派遣や各種研修会など、スポーツ医・科学の知見に基づくサポート活動の実施に要した経費であります。次に、190ページ、191ページをお開き願います。備考欄の1行目、ラグビーワールドカップ2019開催準備費は、釜石市と連携し、大会開催に向けた機運醸成や受け入れ態勢の整備に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。お手数をおかけしますが、189ページにお戻り願います。繰越明許費3億9、349万円余は、いわてスポーツクライミング拠点形成推進事業費のうち、県営運動公園内にボルダリング施設を整備する経費につきまして、国の補正予算に対応し事業を実施するため繰り越したものでございます。
 以上で文化スポーツ部関係の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇菅野ひろのり委員 質問させていただきますが、いよいよ週末にラグビーワールドカップの決勝が行われるということでございまして、菊池部長がきょう東京に行かなければいけないということですので、進行に協力しながら進めてまいりたいと思います。
 パラリンピックについて伺います。
 パラリンピック選手等育成・強化事業の取り組みと成果をまずお聞きします。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 パラリンピック選手等育成・強化事業の取り組みと成果についてでございます。
 本事業につきましては、障がい者スポーツ選手の競技力の向上を目指して、選手の競技活動をサポートする取り組みと位置づけております。平成30年度におきましては、15名の障がい者アスリートをいわて障がい者スポーツ強化指定選手として指名いたしまして、選手及び介助者も含めた遠征費等に要する経費を支援したところでございます。
 また、この強化選手に加え、将来、障がい者トップアスリートを目指す選手の方々も対象としまして、スポーツ栄養やスポーツ心理等の講義、また体力測定、トレーニング方法等の研修会もあわせて開催したところでございます。
 その成果といたしましては、平成30年度の、先ほど申し上げました強化指定選手15名中、6名が日本国内最高峰と言われておりますジャパンパラ競技大会に出場するなど、事業の成果が徐々にあらわれてきていると考えておりまして、今後こうしたアスリートの活躍が大いに期待されると考えております。
〇菅野ひろのり委員 先日のラグビーワールドカップでも盛岡市にある障がい者支援施設緑生園がナミビアと交流があったとか、希望郷いわて国体でもありました。参議院議員の横沢さんもパラリンピックに出場したという経緯があって、これほど障がい者スポーツが注目を浴びる機会はなかなかないのではないかと考えています。岩手県でも洋野町のパラリンピック陸上競技に4大会連続出場の大井利江選手が東京2020パラリンピックに向けて今も頑張っていると聞いております。
 そこでお伺いしていきたいのですが、パラリンピック大会における本県のかかわり方、岩手県がパラリンピックにかかわっていくことでどういった成果があるのか、また、取り組みをどのように行っていくのか伺いたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 まず、東京2020パラリンピックに関係しての御質問でございます。
 本県といたしましては、委員も指摘されておりますとおり、機運の醸成につきまして、東京2020パラリンピックの存在は大きいものと考えておりまして、具体的に県内では遠野市で視覚障がい者の5人制サッカー、ブラジル代表の事前キャンプが行われております。
 また、ラグビーワールドカップ2019釜石開催のテストイベントと連携したパラリンピック競技の体験イベント等も行われているところでございます。1年前イベントとして東京2020オリンピック・パラリンピックの機運醸成で体験型のイベントも実施するなど、徐々にパラリンピックの機運醸成、そしてまた、パラリンピックというスポーツについての県民の方々の意識の底上げを考えております。
 県のかかわりでございますが、パラリンピックに出場する本県選手の輩出につきましては、選手強化費といたしまして、海外遠征を行う選手等に対する参加経費の支援、また新たに、先ほど言いましたけれども、ジャパンパラ競技大会ではトレーナーが初めて参加しまして、多分ほかの県では例がないと思うのですけれども、障がい者の方にケア等をしていて、スポーツ医・科学に基づいた支援、障がい者アスリートへの波及と申しますか手当てについても努めている状況でございます。
〇菅野ひろのり委員 今までいろいろ議会の中でも取り上げられている中で、競技選手の費用負担に対してそういった支援が必要ではないかという声が、例えば軽石委員やさまざまな委員からあるところでありますが、私もこれは引き続き求めてまいりたいと思いますし、今回取り上げさせていただいたのは、パラリンピックの選手を育成していこうということだけではなく、なぜパラリンピックに参加していくのか、この意図にあると思っているのです。
 といいますのも、やはりパラリンピック選手が活躍していくことでその理解がより一層広がること、そしてそこに対する競技人口、健常者も障がい者も一緒にできる環境を目指していくことが最も重要と考えています。
 岩手日報の8月の東京2020パラリンピックの1年前当事者アンケートで、期待するところとして、大会が障がいの理解につながると答えた方が62%もいるということで、より一層注目度も高まる中で、理解をしていってほしいということが伝わってきているのだと思います。
 そこで、では岩手がどうやって理解を進めていくのかというと、さっきのトップアスリートを育成していく事業と考えていますが、もう一つ、障がい者スポーツ振興費がございます。これは、その裾野を広げていくということなのだろうと思いますが、先ほど御答弁いただいた課題も踏まえて、今後どのようにスポーツ人口の裾野を広げていくのか伺いたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 今お話のありました障がい者スポーツ振興事業は、私どもでは裾野を広げる事業と位置づけております。この事業につきましては、岩手県障がい者スポーツ協会にスポーツ教室や大会等の事業を委託しているものでございます。
 この事業をやってみての課題といたしましては、障がい者の方のスポーツ参画機会の確保の関係で、スポーツをする場の確保がまず必要ではないかが1点目でございまして、それを取り巻く、またサポートする指導者の確保が2点目でございます。3点目でございますが、そういったスポーツ活動を支える体制をちゃんと整備しなければならないという三つを大きな課題として私どもは考えているところでございます。
 今後、この課題に対応いたしまして、まず活動の場の確保でございますが、地域にあるスポーツクラブや競技団体の協力を得まして障がい者の受け入れ態勢の整備拡大。また指導者の確保ということで、障がいの特性と申しますか特徴がございます。障がい者の方の健康や安全管理に配慮した指導が行える、オールジャパンで日本障がい者スポーツ協会公認の指導者の養成を進めていくことが2点目。そして体制の整備でございますが、地域における障がい者スポーツ団体、○○市障がい者スポーツ協会のような団体組織の設立に向けての情報提供や助言等を支援していくという考え方に基づきまして、裾野の拡大に取り組んでいきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 先ほど、場の確保、指導者、そして体制という答弁をいただきました。文部科学省の障がい者、健常者のスポーツ、レクリエーションの活動の障壁になっているのは何かというアンケートがあるのですが、その中に、体力がないというのが非常に多く、26.7%挙げられておりました。実際にスタートするときに、障がい者の方が自身の体力がないからできないと。つまりはサポートを必要としていると私は理解しているわけです。極端な例でいうと、例えば、横沢参議院議員がやっているチェアスキーなどというのはなかなか難しい。ですから、身近にあるスポーツ、卓球バレーなどもあると思うのですが、そういった身近に触れ合えるスポーツを通じて広げていく体制もつくっていかなければいけないと思っております。まずスポーツを始めるに当たって、県ではどんな体制で障がい者の方々をサポートしていく予定なのかお伺いします。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 障がい者スポーツを推進する中核的組織といたしましては、一般社団法人岩手県障がい者スポーツ協会、平成29年―2年前に設立された団体でございますが、これがふれあいランド岩手にございます。ここには、ふれあいランド岩手という特性を生かした、障がい者も含めたいろいろな団体が入っております。そういうところとの連携を深めながら、まずは障がいのある方につきましては、いろいろな体験から始まって具体的に何かやってみようという機運が上がるよう、障がい者スポーツ協会のスポーツ振興推進員が相談等を受けながらスポーツに当たっていくことをサポートするところから始めている状況でございます。
〇菅野ひろのり委員 今、御答弁いただきましたように、資料でもいただきましたが、ふれあいランド岩手を中心にやっていると。そして、平成29年ですか、2年前に協会を設立していただいた。職員体制も充実させてきていて事務局のほかに県職員の方の派遣もいただいているということで、徐々に強化しているという県の姿勢が見える内容だと思っております。
 一方で、2点ありまして、一つは、市町村、これまで障がい者の協会を設立されたのは一関市ということで、まだ全県的には広がっていないというのが見られます。岩手は広大な県土が特徴で、障がい者の方の移動範囲は狭いということで、全県的に広げていくには少し足りないのかなと考えています。
 いわて県民計画(2019〜2028)の中でも、参加する方々は今3、000人ぐらいで、2022年に1万2、000人ぐらいまで広げていくということだと、体制を盛岡市のふれあいランド岩手一つだけではなく、もっと広げていかなければいけないのではないかと考えておりますが、県の認識をお伺いしたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 障がい者スポーツの推進体制の強化ということだと思います。
 先ほど申し上げましたとおり、中核的組織としては県の障がい者スポーツ協会。ただ、平成29年2月設立ということで、きちんとした経営と申しますか運営が安定するにはまだ時間が必要と考えております。そのため、委員御指摘のとおり、平成29年度は障がい者スポーツ振興推進員3名の配置、そして今年度からは、先ほど御指摘のとおり、私どもの職員をスポーツ振興専門員ということで駐在させております。特別支援学校の先生でございまして、そういう形で協会との連携強化を図りながら障がい者スポーツの推進に取り組んでいって、徐々にということでございます。
 一方、御案内のとおり、市町村では一関市の障がい者スポーツ協会の設立のみにとどまっているということでございますが、ほかの自治体にも設立に向けた動きがあるやに聞いております。ただ、まだまだということでございます。
 私どもからすると、ふれあいランド岩手にあります県障がい者スポーツ協会の安定した運営、まだ設立2年半でございますので、ここが拠点としての役割をきちんと担えるような体制の整備も含めた支援をまずやっていく。そして、委員御指摘のとおり、ほかの地域、例えば市町村もしくは市町村体育協会と連携しながら、そういうサポート体制も将来的には考えていかなければならないと考えておりますが、まずは今、この中核的組織をきちんと運営、安定させるということをしています。
 なお、職員が県内を回りながら、いろいろとサポートと申しますか相談に乗っているという状況を申し添えさせていただきます。
〇菅野ひろのり委員 確認ですが、先ほど市町村のお話がありました。具体的に、例えば来年設立しそうであるとか、そういう話ではないということですね。そういう検討はあるけれどもということでいいのですか。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 おっしゃるとおりでございます。まだ具体的というところまではいっていないと聞いております。
〇菅野ひろのり委員 先ほどふれあいランド岩手の話をさせていただきましたが、予算が少ない中で少しずつ広げていくということだと思いますが、協会の役員は、岩手県は副会長が2名、理事が6名、合計8名という体制です。鳥取県だと副会長が4名、理事は15名、これだけでも合わせて19名で、関連組織も非常に幅広い体制をつくっていると。岩手県ももう少し踏み込んで、理解を深めながらできるのではないかと思っています。
 最後にしますが、東京2020オリンピック・パラリンピックが一つの機運の醸成のピーク、そしてこれからテレビ報道等、さまざまアスリートが出る中で、今のタイミングを逃してしまうと、これからどうやって広げていくのか難しくなってしまうのではないかという懸念を持っています。
 そうなりますと、今回、決算審議ではありますが、来年度の予算に向けて、例えば広域振興局単位に担当者を配置していくとか、各市町村の体育協会と連絡してそういった係を設けていくとか、予算拡充と体制強化を行うべきと考えますが、県の御認識をお伺いいたします。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 来年度の取り組み、そして体制と予算というお話を頂戴いたしました。
 私ども、文化、スポーツの振興を担う特命課長という職の者を平成29年度に各広域振興局に設置しております。この特命課長は、各地域の文化、スポーツ活動の振興に取り組んでいるということでございまして、こういう職員の配置も既にございますので、この職員を通した支援は当然考えていかなければならないと考えております。
 具体的な組織体制につきましては、委員からお話もございました市町村や体育協会、また身体障がい者協会などとの連携は大事だと思いますので、そこは私どもの職員も含めて県内を回って、個々に市町村等の話を聞きながら体制の構築に努めていく。
 そしてまた予算につきましては、やはり来年、東京2020パラリンピックがございます。機運が盛り上がっている状況でございますので、ぜひとも私どもとしても、各地域のスポーツクラブや団体へ障がい者スポーツに対する支援や指導者の育成、そしてまた、障がいのある人もない人もともにスポーツをやるという共生社会の実現という観点からも非常に重要な取り組みと考えておりますので、来年も一層その拡充に努めていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひこの機会を逃さずに、予算拡充、体制の強化をしていただきたいと思います。
 私、世話人でもありますので、15分でしょうか、協力して終わらせていただきます。
〇米内紘正委員 私からは、大きく2点について御質問をさせていただきます。
 まず、平成30年度のソフトパワーいわて戦略推進事業費の決算についてお伺いいたします。
 コミックいわてWEBによる漫画配信を初めとするいわてマンガプロジェクトでございますが、いわて県民計画のKPIの一つでもあるコミックいわてWEBの直近5年間のサイト訪問者数の推移とその算出方法についてお伺いいたします。
〇高橋文化振興課総括課長 コミックいわてWEBにつきましては平成25年9月に開設しておりまして、年間訪問者数は、直近5年間といたしますと、平成26年度8万5、666人、平成27年度7万9、108人、平成28年度13万6、809人、平成29年度17万7、163人、昨年度は16万9、250人となっております。
 また、その算出方法につきましては、コミックいわてWEBのサイトにアクセスした延べ人数をカウントしているものでございます。
〇米内紘正委員 延べ人数ということで、多分、各ページに1人が何回もアクセスしたらそれもカウントされていると思います。本事業内容の趣旨として書いてありましたのは、漫画を活用して岩手県の伝統芸能、食文化などの魅力を発信し、交流人口拡大の取り組みを推進するとありますので、一番の目的は漫画を読んでもらうことだと思っております。サイトに訪問してもらうことではなく。
 その中で、ウエブ上で配信されている漫画を実際に読んだ人の人数、読者数はわかりますでしょうか。
〇高橋文化振興課総括課長 コミックいわてWEBにつきましては無料で配信しておりますことから、いわゆるページビューでお答えさせていただきますと、開設から本年9月末現在で計194万4、925ページとなっております。
〇米内紘正委員 ページビューということでございますので、それはイコール漫画を読んだ人の人数にはならないと思います。コミックいわてWEBのサイトの形式が漫画の画像データをページに張りつけているだけなので、実際に読んだ人の人数というものはわからないと思います。
 何でこのような質問をしたかと申しますと、執行部の皆様方は、コミックいわてWEBを最近、読んでいらっしゃいますでしょうか。私も見てみたのですけれども、現在、PCでもテレビでもモニターディスプレーの市場だとフルHD―ハードディスク、ワイド型のディスプレーが主流になっていまして、その中で見ると漫画がとてつもなく読みづらいのです。横型の中で、半分が切れてしまっているのです。ホームページに来てくれた方が何万人という数字は出ているかもしれないのですけれども、果たして読んでいる人がどれぐらいいるのだろうかと。漫画が読みやすいように各ページを1ページに縮小して読もうとしても、25%ぐらいに縮小するとやっと見られるのですけれども、これは字が小さ過ぎて読めないのです。
 年間訪問者数、ウエブサイトへのアクセス数をKPIにしておりますけれども、本来の漫画を通じて魅力を発信していくという主眼を考えると、なかなかこのKPIとその目的というのは一致していないのではないかと思います。
 ただ、いわてマンガプロジェクトの展開というのはウエブ上だけではないと思いますので、ほかのメディア媒体における漫画の展開方法。展開している場合はその実績、紙媒体であれば発行部数、電子媒体であればダウンロード数を教えていただけますでしょうか。
〇高橋文化振興課総括課長 コミックいわてWEB以外の展開方法と実績についてでございますが、ウエブで配信しました作品を毎年取りまとめて単行本コミックいわてとして発行しており、昨年度まで第8巻まで発行しているところでございまして、ここ最近は年間4、000部の発行を行っているところでございます。
 なお、電子書籍としての発行は行っておりません。
〇米内紘正委員 年間4、000部、プラス、電子書籍はやっていないということですけれども、先ほども申しましたとおり、ウエブ上での漫画の閲覧というのは大変見にくい状況にあって、今、電子書籍が世の中に浸透している状態にあって、先ほど言った画像データをそのまま直接張りつけるというのは一世代昔のやり方で、今では個人のブログでやっているぐらいだと思うのです。今、普通はデジタルブック形式ですね。普通に漫画を読むようにスライドしながら見ていくデジタルブック形式でやっていると思います。
 しかも、コミックいわてWEBという独自のプラットフォームを、限られた予算の中でメンテナンス、維持していく。今、電子書籍もどんどん集約が進んで、アマゾン、楽天という巨人に県の限られた予算の中で立ち向かっていくのはかなり無謀なのではないかと私は思います。だったら、民間のプラットフォーム、アマゾンや楽天なりの民間のプラットフォームに相乗りして、時代についていくのであれば、電子書籍版を無料でダウンロードして配信したほうが確実に漫画の発信につながっていくと思うのです。電子書籍を利用している方の7割は無料版を楽しむというデータもございますので。しかも、先ほど申しました、ページに漫画の画像データを張りつけるというやり方だと、何人が読んだのかわからない。でも、先ほど申しましたデジタルブック形式だったら、民間のプラットフォームでやれば、年代とか性別とか、誰がどこまで読んだのかとか、全部わかるのです。
 ですので、分析して効果測定をするという意味でも、新しい方法、時代の流れに合った方法を考えていかなければいけないのかなと思いまして、当初の漫画を通じて魅力を発信するということで、いわてマンガプロジェクトの今後の方針と展開。あと、今年度から漫画を国際交流のツールとして活用するということで計上されたいわての文化国際化推進事業費の具体的な方策についてお尋ねいたします。
〇高橋文化振興課総括課長 岩手の漫画を通じた取り組みについてでございますが、県としてはこれまで、単行本の発行やウエブの運営、また、いわてマンガ大賞というコンテストも全国から作品を応募していただいて実施しているところでございます。日本の漫画は海外でも人気が高いことから、コミックいわての英語版やフランス語版を作成しまして、フランスで開催されたジャポニスム2018など、海外での大規模なイベントでもPRしているところでございます。ウエブでも外国語ページを作成しまして、海外にも発信しているところでございます。
 今後は、こうした漫画を通じて始まった、例えばフランスの専門学校との交流を深めていきますほか、いわてマンガ大賞コンテストへの海外からの応募増に向けた取り組みや、国内外で開催されるイベントでの情報発信も行いながら、本県の漫画文化の海外に向けた魅力発信に注力していきたいと考えております。
〇米内紘正委員 今、多言語による漫画の発信ということでお答えいただきましたけれども、私もホームページを拝見しました。グローバルというタブというかボタンが追加されていますけれども、物すごく問題があるなと思ったのは、あのトップページに行くのに、海外の方、例えばフランスの方が日本語でコミックいわてWEBと打ってトップページに来ないと、あそこから読めないですよね。中に確かにフランス語版の漫画とかは載っていますけれども、フランスの方があのページにアクセスするには日本語にすごく詳しい方でないとできないという弊害がありますので、発信する取り組みはしているということでお話しされているのですけれども、本気度というか……。
 漫画ってすごく強い発信力を持っていると思います。世界で何億部と売れている日本の漫画もありますので、それで文化の発信。過去においては、新渡戸稲造の武士道は日本人の美学を世界に発信するという意味でもかなりの力があった。文学、漫画というものの発信力を本当に使っていくというのであれば、今のままでは……。ことし行われた第9回いわてマンガ大賞コンテストに関しても、昨年は234作品の応募があって、ああ、多いなと思って見てみたのですけれども、1こまから4こままでの作品が200作品、一般作品は34作品で前年より減っていて、毎年、受賞している方も結構かぶっているのですよね。
 私が感じたのは、大変恐縮ですけれども、10年前においてはすごく新しくて斬新な取り組みだったと思うのですが、だんだん惰性でやってしまっているのではないか、そういう感覚を持ちました。もし今のこの状態のまま続けていくのであれば、その見直しなどをしたほうがいいのかなと。ただ、漫画の力自体は―私も漫画大好きですし―ありますので、もしやっていくのであれば、本気で漫画を読んでもらうということをKPIにも入れてやってもらえたらなと思います。
 2点目になります。
 いわて競技力向上事業費の決算についてでありますけれども、私も若者っぽく、漫画の次はゲームについて質問いたします。
 昨今、eスポーツ―エレクトロニックスポーツの市場規模が世界的に拡大してきてその規模は2019年で11億ドルを超えると言われておりますけれども、前年比26.4%増で、本年は茨城国体の文化プログラムでも採用されました。岩手県にもeスポーツ協会があって、その一つの種目で国体でベスト8に入っておりました。eスポーツがスポーツかどうかという議論についてはいろいろ……。英語のスポーツの概念の中には入るけれども日本語のスポーツにはなじまないとか、そういう議論はありますけれども、ささいな問題はおいておいて、岩手県において、世界的な盛り上がりを見せるeスポーツ市場に今後、県がどのようにかかわっていくのか教えていただけますでしょうか。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 eスポーツについての御質問でございます。
 御案内のとおり、eスポーツは、都道府県対抗という形で茨城国体で今回初めて、文化プログラムとしては2年前の平成29年度から始められているものでございます。これにつきましては、全国的にeスポーツに対する興味や関心が高まってきていることによるものと考えておりまして、本県では、地域の活性化や地域振興策の一助としてもeスポーツは有効だと考えております。
 ただし一方で、御案内のとおり、成長期の子供の体力の低下やゲーム依存症の増加といった負と申しますかマイナスの懸念が指摘されているところでございます。委員御指摘のとおり、国でもいろいろと議論している中でございますし、また、国際オリンピック委員会―IOCでは、昨年12月に国際競技団体の役員らが参加する五輪サミットがございまして、この中で、eスポーツについては、スポーツという言葉を使うことについて研究が必要だという声明を出されている状況もございます。
 こうしたことから、いい面、悪い面があるということで、私どもとすれば、いわて県民計画、また、その個別計画のスポーツ振興計画におきましても、eスポーツを取り巻くさまざまな国内外の動向をきちんと注視して、また、eスポーツ協会等、関係する団体等の設立もございます。こういう中を踏まえながら、かつニーズも考えながら、本県においてeスポーツをどのようにしていくのかという可能性について研究していくことにしておりますので、この方針に沿って進めたいと考えております。
〇米内紘正委員 確かに運動とか体力不足というところは問題になってくるところであると思いますけれども、今、小学生の子供たちの夢の上位にユーチューバーやプロゲーマーなどがあるという現実もあって、eスポーツの世界における視聴者数は今年度4億5、000万人ということで、交流人口の拡大というところには一役買うのではないかと。東京都もeスポーツに対して5、000万円の予算を計上したということで、何か新しいことに対してチャレンジする姿が見えると、岩手に住む若者も、何か岩手県、新しいことやるじゃんと明るく前向きに考えていけるようになるかなと思いますので、ぜひ研究のほうを進めていただけたらと思います。
 最後の質問になりますけれども、先般行われました第1回いわて盛岡シティマラソンが国内外より9、000人を超える参加者を集めて大成功をおさめましたけれども、県外からも多数の参加があって、関係人口の増加というところにダイレクトにかかわるイベントでありました。このイベントに対して、県としてはどのようなかかわり方をして、どのような支援をされたのかについて具体的に教えていただけたらと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 先般行われましたいわて盛岡シティマラソンについてでございます。
 委員御指摘のとおり、多数のランナーの参加、そしてまた、盛岡の景色を楽しみながら走れたとか、いい大会だったという声があったと聞いて、大変な盛り上がりだったと考えております。
 このシティマラソンにつきまして、県では、商工会議所や報道機関、また盛岡市などで構成する実行委員会に参画しております。
 支援についてでございますが、昨年度の準備段階から今年度の2年間にわたりまして、大会に要する経費に対しての支援を行ったところでございます。具体的には、平成30年度に300万円、今年度に500万円の支援をしたところでございます。
 また、今後のかかわり方という御質問でございますが、来年度以降の開催につきましては、今後、実行委員会で検討するというふうに受けとめておりまして、その結果等を踏まえて適切な対応を考えていきたいと考えております。
〇米内紘正委員 次期ふるさと振興総合戦略の中でも社会減対策の中にはまず関係人口の増加ということを掲げていらっしゃると思いますので、それにダイレクトにつながるイベントなので、来年度以降、開催される場合は、ぜひ支援内容を強化していただけたらと。実行委員の中には、東北の県庁所在地の中で初めて行われるフルマラソンであるにもかかわらず、県の関与あるいは支援が薄かったと嘆いていらっしゃる方もいらっしゃいますので、ぜひ強化していただけたらと思います。最後、要望して終わります。
〇吉田敬子委員 スポーツを通じた地域振興についてお伺いいたします。
 先ほど米内委員からもありましたように、先週はいわて盛岡シティマラソンが開催されまして、県議会からは我が会派の高橋但馬委員も頑張って参加いたしましたし、県庁の職員の皆さんの中にも参加された方がいるということを伺っておりまして、大変な盛り上がりだと私自身も感じております。応援された方々もたくさんいらっしゃいました。私自身も応援してみて、スポーツを通じた一体感というのは本当にすばらしいと感じましたので、こういう取り組み、ぜひ県を挙げて頑張っていきたいと感じた次第であります。
 そこで、スポーツを通じた交流人口の拡大に取り組むいわてスポーツコミッションの取り組み状況について、平成30年度の成果についてどうなっているか。スポーツ大会、合宿、イベントの参加者はコミッション設置年の平成29年度からどのように推移しているか。そしてまた、本県における観光目的の入り込み客数のうち上記スポーツ関連がどの程度で推移しているのか、まずお伺いいたします。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 いわてスポーツコミッションの取り組み状況等々の御質問でございます。ちょっと長くなりますけれども、御了承賜ればと思います。
 まず初めに、平成30年度のコミッションの取り組み状況等の関係でございます。
 スポーツ大会や関連イベント等の誘致、スポーツツーリズムの拡大によりまして、先ほど申し上げましたいわてスポーツコミッションの位置づけはますます上がっていると考えておりまして、平成30年度の取り組みといたしましては、スポーツ合宿等の誘致に向けた首都圏の大学、企業チーム、旅行代理店を対象にした合宿相談会を2回開催したところでございます。また、国内外への県内スポーツ施設やスポーツ関連イベントの情報発信、そしてトレイルランやカヌーなど、いわゆるスポーツアクティビティーの創出可能性調査などを行ったところでございます。
 結果といたしまして、このスポーツコミッションが関係するスポーツ大会や合宿、マラソン等のスポーツイベントへの参加者数は、平成29年度の約13万人から平成30年度は約13万3、000人と、約3、000人増加したと私ども捉えているところでございます。
 次に、スポーツ関連の観光の入り込み客数の推移でございます。
 岩手県観光統計における調査対象施設のうち、スキー場や海水浴場などのスポーツ・レクリエーション施設の入り込み客数でございますが、平成29年度は全体で約2、759万人、そのうちスポーツ・レクリエーション施設への入り込み客数は約244万人、そして平成30年度は全体で約2、840万人、うちスポーツ・レクリエーション施設関係が約253万人でございまして、平成29年度から平成30年度にかけまして約9万人の増加でございます。
 どのぐらいの推移かということでございますが、ここ5年間では年間約250万人前後で推移している状況でございます。
〇吉田敬子委員 やはり数字から見ても、スポーツ関連で岩手県にたくさんの観光客がいらっしゃっているということでありますけれども、私としてはまだまだ伸び代がある分野ではないかと思っているので、実際にふえてはいるのですけれども、本来はもっと伸びてもいいのではないかと感じております。
 岩手県ではいわてスポーツコミッションを設置しておりますけれども、地域でもそれぞれのスポーツコミッションを設置されております。市町村においてのスポーツコミッションの設置と、県との、それぞれではあると思うのですけれども、どのような連携を図ってきて成果等が見えているのかお伺いしたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 いわてスポーツコミッションと各市町村の類似のコミッション関係の連携等についてでございます。
 委員御指摘のとおり、いわてスポーツコミッションは県全体を網羅するものでございます。そしてまた市町村は、各市町村の地域資源等を活用したスポーツツーリズムの実施等ということでございまして、スポーツコミッションの会議等には同じような市町村のコミッションの方にもいらしていただいて、私どもと一緒に講演会を聞くとか情報連携をしております。また、先ほど申し上げましたアクティビティーの調査でも、市町村と一緒にその可能性を調査するという形で連携しながら進めているという状況でございまして、役割分担からすると、いわてスポーツコミッションは県全体のもの、そこに関係する各市町村の取り組みを私どものほうで支援しますし、また、市町村でのコミッションは、それぞれの特性を生かした活動を行っている状況でございます。
〇吉田敬子委員 私が知っている範囲では3市町でスポーツコミッションが設置されていると思っているのですけれども、例えば33市町村のうちのそれ以外の市町村にもスポーツコミッションをつくっていってほしいという取り組みを県としてするものなのか、それとも岩手全体で網羅しているところはそれとして活動していくのかお伺いしたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 委員御指摘のとおり、今、市町村にあるコミッションは三つでございまして、盛岡広域、北上市、花巻市でございます。ここの地域、市では、一定と申しますか、スポーツコミッションについての積極的な活動をされているということで、その他がどうかということでございますが、全ての市町村で立ち上げるというよりは、私どもでその弱い部分を補完することも含めて、コミッション自体の活動は当然活発化していただきたいという思いはありますけれども、そこが全部市町村ということではなく、広域でやる必要も当然出てきます。スポーツ施設を利用する場合、一つの市町村だけということではない可能性も当然ございますので、着眼点とすると、広域レベルで進めていくのが現実的、もしくは効率的ではないかと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどの答弁の中でもありましたが、平成30年度は岩手の豊かな自然を生かしたスポーツアクティビティの創出可能性調査をされまして、その結果をどう分析されているのか、生かしていくのかお伺いしたいと思います。
 その中で五つ、先導モデルとして県では取り上げまして、雫石町のホーストレッキング、花巻市ではカヌーやボート、ラフティング、そして久慈市のシャワークライミング、大船渡市のスキューバダイビング、田野畑村のアドベンチャートレッキング等、まずは五つを先導にということで取り組まれていくということでありますけれども、まずはその結果と分析についてどのように捉えているか、今後の取り組みについてもお伺いしたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 スポーツアクティビティーの関係の御質問でございます。
 私どものこの調査、県内全部の市町村を対象に実施したところでございます。また、その分析と申しますか結果でございますが、各市町村からは、トレイルランやトレッキングなど、それぞれの地域特性、地域資源を生かした幾つかの提案がございまして、改めて本県が数多くのスポーツ資源を有していることを感じたところでございます。
 一方、そのすぐれた資源に対する地域に住んでいる方の認知度の低さも指摘されております。例えば、大船渡市に住んでいらっしゃる方が委員御指摘のスキューバダイビングをやってみて、大船渡の海がこんなにきれいだったのかと改めて驚いたというような意見があるとおり、地域での資源の認知度が低いというのもまた課題として認識しているということでありますので、今後、市町村や地域の住民、NPOを巻き込んだ取り組みが必要であると分析したところでございます。
 次に、五つの市町におけるスポーツアクティビティーの実証事業についてでございます。
 これは、今、御案内のとおり、例えば雫石町だと乗馬による野山の散策のホーストレッキング等々をやっておりまして、この五つの団体と連携いたしまして、先ほど言いました地域住民と協働しながら、市町村とともにアクティビティーを楽しむモデルづくりに今、取り組んでおります。具体的には、専門家をお呼びして、その指導による情報発信、やっぱりPRしなければならないということでございます。また、接客がございます。お客さんに対する対応ということで、接客対応のスキルアップの講習や、市町村や地域住民と連携したワークショップを来年行うという取り組みを進めていきながら、アクティビティーの充実、そして県内への波及を進めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 私も、今回、調査していただいた中で、例えば久慈市のシャワークライミングのこともこんなに活発にやっているというのを改めて知りました。自分の市町村だけではなく、岩手全体でこんなにアクティビティーがあるということを県民も知らなくて、県外に行っている人たちももしかしたらいらっしゃるのではないかということをすごく感じております。地元でまずは盛り上がるということ、今回の盛岡シティマラソンでも、マラソンに全然興味がなくてもマラソンってこんなに楽しいのだということを感じた方はすごくいらっしゃるということを、いろいろな方から伺っています。そういうことを通じて、やはり地元がまずは盛り上がっていくことが大事だということを私も感じましたし、この調査の報告書の中にもやはりそのように言われている。
 ただ一方で、せっかくいいアクティビティーなのだけれども対応できる人が少なくて、予約を例えば1カ月、2カ月前にとった上で人を確保しなければいけないというような状況だと、せっかくあるアクティビティーができないというのがすごく残念に感じているところです。そういった意味では、地域スポーツマネジメントというか人材も含めて、それをできる人をこれから……。せっかく調査を33市町村全部やった上で、今年度から始まる岩手県スポーツ推進計画の中にもスポーツアクティビティーをうたっていらっしゃることを大変評価しておりますけれども、そのために、では次、何が必要かというところで、そういう人材の確保という部分もあると感じております。
 岩手の豊かな自然を生かしたスポーツアクティビティの創出可能性調査報告書の中に、体験料が全て現金払いとなっているということで、今後はスマートフォンとかクレジット支払いが主流となるから早急に対応が必要ではないかということを書いておりますし、そういう声を私も実際聞きました。この報告の中のアクティビティーを体験された方で、やはり外国人の方だとスマートフォン決済のほうが楽だったりというのがあるので、ツーリズムの観点からもぜひそういう普及を進めていっていただきたいと思っておりますが、今後の取り組みについて改めてお伺いしたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 スポーツを通じての地域活性化、地域振興は、大きな大会の誘致もございますが、自分たちが住んでいるところの地域資源を活用した、アクティビティーを活用した地域振興というのもまた一方であるところでございます。
 委員御指摘のとおり、スポーツアクティビティーについては、いろいろな資源を活用して、また、ちょっとした捉え方というか、アプローチの差によって結構化けると言えば失礼ですけれども、いろんな要素を含んでいると捉えておりますので、スポーツ推進計画にもありますとおり積極的な対応と、また、委員おっしゃっていましたが、人材の育成というのはかなりの課題だと考えております。これへのケアも必要で、全体としては、スポーツを通じて地域振興、地域活性化に結びつくような施策を進めていく考えでございます。
〇吉田敬子委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 最後に、経済の活性化につながるスポーツの推進の部分でお伺いしたいと思います。
 県内にはトレッドミル、体を動かすスポーツに関するマシンだとか機能性表示食品、スポーツウエアを製造している業者が結構いらっしゃって、今回のいわて盛岡シティマラソンでも、EXPOブースにたくさん設置されておりました。そういうスポーツを通じたビジネスをやられている方々も、県外でいろんなスポーツ大会をやるときに多分出店されているので、相乗効果というか、巻き込んでいくためには、スポーツビジネスの盛り上げというのも大事だと私は感じておりまして、事業者の新たな商品開発等の取り組みを促進することも重要だと感じております。これはスポーツ推進計画の中に書かれているので、文化スポーツ部でも取り組まれることだと認識しておりますが、部としての今後の取り組み方針についてお伺いしたいと思います。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 スポーツビジネスの展開についての御質問でございます。
 御案内のとおり、いわて県民計画、またスポーツ推進計画につきましても、スポーツビジネスの創出、拡大というものをうたっております。私どもとしては、まず、産学官連携によるネットワーク体制を整備することが必要ではないかと考えております。今年度は、県体育協会でありますとか、商工労働観光部所管のいわて産業振興センター、また、大学等々の産業支援機関との協議を行いながら、その体制整備の取り組みを進めてきているところでございます。
 その中での議論、また課題として取り上げられておりますのは、委員がおっしゃった新しい商品の開発支援も含めて、スポーツビジネスへの参入を検討している企業の掘り起こしが必要ではないかと。また、新たな商品開発を行う場合の企業への支援体制をきちんと、商工労働観光部なのか文化スポーツ部なのかという組織の問題も含めて、そこを充実すべきではないかと。さらに、実際の販路拡大、開拓でありますとか、この辺の支援の見通しをある程度つけないと、商品開発というのは難しいのではないかと、一般的なことも含めまして指摘されているところでございます。
 今後につきましては、こうした課題を解決するために、先ほど申し上げましたネットワークの体制を、私ども官民一体による推進体制ということで、いわてスポーツ推進プラットフォームというものを構築しながら、県内企業が行うビジネスへの参入とか、新商品の開発に対する支援等々の充実を図りながら、地域の活性化につなげていくという考え方で進めたいと思っております。
〇吉田敬子委員 例えば農林水産部にもまたがる健康機能性食品に関する研究開発をされている方もいらっしゃったり、商工労働観光部も含めていろんな部局にまたがっていますので、そういった取り組みをすることによって、スポーツを通じた地域振興と経済の活性化にさらに力を入れていただきたいと思っております。
 今回、トレイルランニングがモデルとしてピックアップされなかったので、私としては残念に思っているのです。トレイルランニングという言葉がせっかくスポーツ推進計画の中に入って、県としても、トレイルランニングの可能性を認識していただいたにもかかわらず、市町村でのスポーツ可能性調査にひっかからなかったという、そこは残念だと思っておりますが、これはこれからだと思いますので、ぜひ引き続き取り組んでいただきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 私は1点、ラグビーワールドカップ2019開催準備費にかかわってお伺いします。
 まずもって、1試合、ナミビア、カナダ戦は中止になり残念でありましたけれども、1試合は開催されたということで、釜石鵜住居復興スタジアムの建設からこれまでの皆様方の御努力に敬意を表したいと思います。
 さて、問題は、スタジアムの維持を初め、皆さん方、よくレガシーをこれからどうやって活用するかという話が出ていますが、その全体像がまだ全然見えてこないので、その点についてお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、現在、釜石市で議論が展開されております釜石鵜住居復興スタジアムの今後の運営体制づくり、新聞紙上などではその内容について触れられておりますけれども、県はどのように内容を把握されているのか。それから、これからの県の関与はどのようにされていくのか、この点について、2点お伺いします。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 10月10日に釜石市が立ち上げました釜石鵜住居復興スタジアム運営委員会には、釜石市からの要請を受けまして、県がオブザーバーとして参画しております。地域のまちづくり関係者や商工会議所、ラグビー関係者など13名の委員と、学識経験者など9名をアドバイザーに迎え、今後の活用等について検討を進めているところでございます。
 第1回の運営委員会では、スタジアム運営方針と運営体制、そして、昨年度、釜石市が委託したスタジアム運営計画について協議し、今後、スタジアムの運営主体を釜石市から民間主導に、時期は令和3年4月の移行を目指して検討を進めていると承知しているところでございます。
 次に、県の関与の関係でございますが、このスタジアムが、釜石市民のみならず、子供からお年寄りまで全ての県民にとって、ラグビーなどスポーツを初め、教育、文化、観光など、さまざまな分野での積極的な活用が図られるように、釜石市を初めとする関係者と密接に連携し、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 スタジアムの維持費については4、000万円強かかるのではないかと言われていまして、当初から、市の負担としては大変なものだなという議論がありました。いずれ、やり方としては、これから釜石市が中心となって運営をするという基本的な考え方はそのとおりなのだろうと思いますが、冒頭に申し上げましたように、ラグビーワールドカップの開催を一つの契機にして、レガシーを生かすという言い方をされていますね。今の答弁だと、外から見て、スタジアムの活用にしろ、非常に県の姿勢としてはちょっと頼りない感じがするのですけれども、もっとレガシーというようなお話をするのであれば、教育委員会等も通じながらラグビー競技のさらなる発展をさせると。確かにいろんな競技がありますけれども、この機会に、どうやってこの競技を通じて岩手県らしさを発揮させていくのかという考えに立ったものを示していただかないと、こうして単独で文化スポーツ部となっているわけですから、その点についての方針は、部長いかがでしょうか。
〇菊池文化スポーツ部長 まず、開催までに当たりまして、この場を借りまして改めて申し上げますが、一般質問等でも御答弁申し上げましたが、県議会の皆様も一丸となってワールドカップ開催実現に向けて取り組んでいただき、御尽力いただきました。それにつきまして、そのお力に対しまして改めて敬意と感謝を申し上げます。
 例えば今回の県議会の皆様方が一丸となって取り組んでいただいたように、さまざまなレガシーの種がいっぱいあるわけですが、それらを実現していくには、県あるいは市町村の行政のみの力ではなかなか難しいものがございます。一番の大きなレガシー、しっかりとしたレガシーになっていく大きな種は、県民がラグビーに対して共有する意識感が高まってきていることでございますので、そうした県民がラグビーを身近なものとし、そして楽しむあるいは愛する、子供にプレーさせる、そういった足元からのさまざまな県民の取り組みがまず必要だと思っています。それを絶やさずつなげていくには、行政のみならず、民間活力も加えて、そして県民誰もが、そうだねという活動に仕上げていくことが重要だと思いますので、釜石鵜住居復興スタジアム運営委員会ができておりますが、のみならず、今後どのようなソフト面での展開を図っていくかは、しっかりと考えていかなければならないと思っているところでございます。
〇飯澤匡委員 今、決意をいただきました。今の時点ではそのようなところかなとは思うのですが、継続して我々も提案をさせていただきますし、釜石市はラグビーの聖地として、たくさんの方々の御助力を得てスタジアム建設に至ったと。その思いもしっかりつないでいく必要がある。これは本当にレガシーの一部となって、非常にすばらしい要素だと。これはテレビでも、かつての新日本製鐵釜石ラグビー部V7選手の石山さんにスポットライトを当てて放映もされましたけれども、そういうところだと思うのです。
 あと、今、部長がいみじくもラグビー競技のお話もされましたが、これは以前、教育委員会でもお話をしたのですけれども、どうも今のラグビー人口については、先ほど底上げという話がありましたけれども、高校で15人集めるのは難しいと。セブンズもなかなか難しい。今、高校でも混合チームがありますが、少しでもラグビーをやりたいという人はいるのですが、校長先生によって、危険だからやめなさいと、いっそのこと廃部にしなさいと。残念ながら、我が母校でもそういう話があったと聞いていまして、これは、いかんともしがたい、非常によろしくない風潮だと思っておりました。したがって、これはラグビーだけにとどまらないですが、教育委員会ともしっかりと通じた形で総合的なスポーツの振興というのを図っていかないと、私は発展的な形にならないと思うのですが、その見解を聞きたいと思います。
〇菊池文化スポーツ部長 世の中が、委員がおっしゃるところの風潮めいた動きがあるということは、私も何となく感じているところですが、今回、ラグビーワールドカップの試合を県民の多くの人たちが見ていただいたと思うのですが、にわか何とかという話もあるのですけれども、ラグビーのスポーツというのは実はおわかりのとおり、規律が全てを支配している。しっかりとしたルールにのっとってプレーをしないと、ルールを守らないとすぐ退場になるとか、そういった細かな点から県民の理解は大分進んできているのではないかと思います。人口減少社会が進む中で、学校の生徒数の問題とかいろいろあると思いますが、今回のラグビーワールドカップ全編を通じて―あしたが最終ですが―県民のラグビーへの身近な捉え方、見方そしてつき合い方、そういったものが大分変わってくるのではないかと期待しております。我々文化、スポーツ行政としては、そういった観点から、一層県民理解を深めていく取り組みが必要であろうという認識をしております。
〇飯澤匡委員 最後にしますが、話はまたスタジアムの活用策についてですけれども、ラグビーの拠点というと盛岡市、また盛んな北上市、そしてもちろん釜石市という拠点が岩手県にはあるわけですから、その拠点をどのように有機的につなげてラグビーの競技の振興、それからスポーツの振興を図っていくか、これは非常にシーズとしてはすばらしいものがまたさらに加わったと思っていますので、そこはしっかり文化スポーツ部でやっていただくようにお願いをしたいと思うのですが、その所感についてを最後に伺って終わります。
〇菊池文化スポーツ部長 私も高校時代は、体育部ではないですがラグビーとつき合うこともありました。冬の時期はラグビーを体育でやるわけですけれども、その中でクラス対抗とかやりまして、みんなで準優勝まで頑張ろうとか、優勝まで頑張ろうとやってきた経験もありまして、ラグビーのよさというのは単に爽快感のみならず、先ほど申し上げました規律あるプレーとか、人格陶冶にもつながるさまざまな面を持ったところだと思っています。そして、その聖地がまた一つ釜石市にしっかりとしるされたということでもございますので、特に若人の皆さんについて言えば、目指す場が生まれ、そして目指す世界が見えてくる、いいきっかけだと思いますし、県内の既存のラグビーが盛んな地域、あるいはこれから伸ばそうとする地域もたくさん出てくると思いますが、ぜひラグビーに前向きに取り組めるようなネットワークづくりとか、そういったものから始めて、スポーツ振興の中の大きな一つの柱としてラグビー振興にも取り組んでいきたいと思っております。
〇田村勝則委員 きょうもたくさんの質問者がございますので、長くならないよう質問をしてまいります。
 まず1点目、生涯スポーツ施策の取り組みについてでありますが、これは端的にお聞きいたします。
 現在、高齢化とともに生涯スポーツにかかわる人たちも多くなってきております。私の町内でも、野球を初め競技スポーツに40代、50代、60代、70代、80代とか、今、年代別に分かれての競技スポーツがたくさんございますから、いそしんでいる方も多いわけです。しかし、いざ、勝ってしまうと全国大会、九州に行ったり四国に行ったりしなければいけないという状況が出たときに、いろいろ困難を来しているのが最近の現状でございます。地方自治体もなかなか財政面でも厳しいということもあって、支援策には苦慮しているという現状があるわけですが、県としてどのような支援策に取り組んできておられるのか、1点お聞きいたします。
〇藤田参事兼スポーツ振興課総括課長 高齢者スポーツの関係で、全国大会への出場に係る支援についてでございますが、高齢者のスポーツ、健康で生きがいを持ちながら生活できる、健康づくりであるとか生きがいづくりでの支援という形で、私どもではスポーツの推進を行っております。具体的に全国大会に出場するような場合での支援には、健康と福祉の総合的な祭典と言われるねんりんピックというのがございまして、ことしは和歌山県であるのですけれども、ねんりんピックの全国大会につきまして、私どものほうで平成30年度に800万円余の支援、交通費であるとか宿泊費を出しているという現状でございます。これにつきましては、岩手県を代表している選手団ということでの支援の内訳でございます。
 委員御指摘のシニア世代、年代別で全国大会に出場が決まった場合の支援ということにつきましては、残念ながら、県としての支援策は今のところはない状況でございますし、また、関係する団体にも確認しましたけれども、委員がおっしゃるような支援策もしくは助成はないと聞いております。
〇田村勝則委員 私も現実、そのような状況は承知しております。
 そこで、もう一歩前に進めて、生涯スポーツに取り組んでいくためには、金銭面だけではなくて、いろいろな支援の仕方があると思いますので、関係団体といろいろな協議をしながら取り組んでいただくようにお願いをして、これは終わります。
 次に、伝統文化、芸術活動の支援について伺います。
 私の尊敬する九州の宮崎県の高千穂神社の後藤俊彦宮司は、高千穂神楽を引率して何度もヨーロッパ公演などをしております。その中で、国家というものは単に軍事力や経済力だけではなくて、その国の持つ伝統や文化も大きな力を持つということを痛感したと述べておられました。そういう意味で、岩手も非常に文化の豊富な、あるいは芸術、伝統芸能の豊富な県でございます。しっかりとこのよさをもっと発信していくべきという思いで質問をさせていただきます。
 平成30年度いわて県民計画実施状況報告書の134ページにありますが、まず1点目は、県内在住の芸術家等の派遣回数の達成度が示されております。Aということでございますけれども、その内容、芸術家等の人数についてお聞きをしたいと思います。
〇高橋文化振興課総括課長 県内在住の芸術家等の派遣についてでございますが、この事業は、県内の子供たちに文化芸術に親しんでもらうこと、それから県内在住の新進、若手芸術家の人材育成という目的によりまして実施している事業でございまして、県芸術文化協会が岩手県文化振興基金を活用し、年10回、芸術家を小中学校ですとか特別支援学校に派遣して、児童生徒に生の文化芸術に触れる機会を提供しているものでございます。
 また、芸術家等の人数でございますが、派遣された芸術家等につきましては、平成30年度は、オーケストラを初め民謡やジャズなど、幅広いジャンルから延べ9団体、93名を派遣しているところでございます。
〇田村勝則委員 9団体ということですが、実際、オーケストラという話がありましたけれども、もう少しいろいろな芸術家もいらっしゃるのだろうと思いますけれども、その反響はどのような中身になっているのかもお聞かせいただけますか。
〇高橋文化振興課総括課長 この岩手の芸術家の派遣事業につきましては、県内在住の新進、若手芸術家の派遣ということでございまして、オーケストラにつきましても、いわてフィルハーモニー・オーケストラあるいは県内の弦楽研究会ですとか、ギターアンサンブル、民謡協会などの団体を学校に派遣しております。
 学校からも大変好評をいただいていることに加えまして、新進、若手の芸術家が、いろいろな場において技術向上なり子供たちとのかかわりの中で、さまざまな反響を見ながらの技術力向上というところでも非常に効果がある事業だと、芸術文化協会からも聞いているところでございます。
〇田村勝則委員 私も本当に効果があると思います。ですから、そのような反響等も考えた場合、次の新たな事業展開にもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、豊かな創造性の涵養と文化芸術活動への支援の二つ目ですが、活動再開に至った郷土芸能団体数が示されております。数値的には達成度はDということでありますけれども、県としても、積極的に被災地の郷土芸能復興のために努力をしていることに関しては敬意を表するところでございます。
 私の尊敬する方でも、釜石に住んでいるから虎舞をやっているのではない、虎舞をやっているから釜石に住んでいるのだということに感激をして、一生懸命、沿岸の被災地の芸能支援等も続けている方もいらっしゃいます。そういう中で、県としても積極的に取り組んでいただいてはいるわけですけれども、残念ながら、ここに整備予定地の造成のおくれという、意味がわからない理由が書いてありますけれども、そのようなことで3団体から2団体になったということも書いてありますが、現状はどのような取り組みだったのか、お聞きしておきます。
〇高橋文化振興課総括課長 県では、東日本大震災津波で被災した沿岸地域の郷土芸能団体が活動再開に必要となる施設等の整備を市町村が補助する場合に、市町村に対しまして補助を実施しているところでございまして、これにより、活動を再開した団体数につきましては、委員お話のとおり、平成30年度末で24団体となっているところでございます。
 また、この24団体への支援のほかにも、岩手県文化振興基金事業を使い、被災した用具の更新、補修等につきましても補助を実施しておりまして、これは平成30年度末で、延べ93件ほどの支援を実施しているところでございます。こういった県あるいは文化振興基金との連携によりまして、被災した民俗芸能団体が活動再開に向けて取り組めるよう、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
〇田村勝則委員 非常にさまざまな切り口から支援をしていただいているのは私もよく承知しております。かつて、例えば民間では、日本音楽財団が所有していた、ちょっと舌をかみそうな名前ですけれども、ストラディバリウスをオークションにかけて12億円をつくって、日本音楽財団が伝統芸能の復活のために支援をしてきたということも言われております。このような民間の活動は非常に大事なわけですけれども、県としても、岩手県は間違いなく文化財の宝庫ですから、しっかりと復活、再生するために取り組んでいくべきと思いますけれども、今後の取り組みについてもう一度お伺いしておきたいと思います。
〇高橋文化振興課総括課長 先ほど達成度がDということで、委員からお話しいただいておりますが、恐縮でございますが少し補足して説明させていただきます。
 再開困難な団体の主な理由といたしましては、記載しておりますとおり、用具庫等整備する団体がございましたが、整備予定地の土地造成が進まなかったことなどによりまして整備ができなかったということでございます。今年度もおくれたということで3団体ほどの整備を予定していますが、しっかりとそこにつきましては補助を実施していきたいと考えております。
 また、民俗芸能への県としての支援の取り組みということでございますが、委員お話しのとおり、岩手県は民俗芸能の宝庫ということでございまして、数ばかりでなく、すぐれた民俗芸能が多数あるということで、県内のみならず、全国からも高い評価をいただいているところでございます。
 県といたしましては、毎年、岩手県民俗芸能フェスティバルを開催いたしまして、県内の民俗芸能団体をお呼びし、県民の皆様方に民俗芸能についての理解を深めていただく機会とすることに加えまして、民俗芸能の伝承、あるいは高校生の民俗芸能団体もフェスティバルにお呼びして芸能を披露していただいておりますので、人材育成といったことにもつながっていくように努めているところでございます。
〇田村勝則委員 今、民俗芸能フェスティバルという話もございました。平成30年度は私の記憶では12月1日に実施して、非常ににぎやかなフェスティバルになっているわけですが、そしてまた、後継者の育成にももちろん資しているわけでございます。
 最初に伝統芸能などを日本の国で披露したのが、大正14年、日本青年館のこけら落としだったということが何かに書いてありました。そういう意味で、民俗芸能というのは人の心を捉え、そしてまた魅力があると思います。今後、復活、再生をさせて、これからさらに継承していくためには活動の場、披露する場が必要なのです。そういうことから考えますと、我が岩手は重要無形民俗文化財の指定第1号である早池峰神楽を初め、東日本大震災津波の後にまた指定になりました鵜鳥神楽とか、そして鬼剣舞やら虎舞やら、鹿踊やら田植踊やら、さんさ踊りとかたくさんあるわけですけれども、そういう芸能をしっかりと見ていただく場をつくっていく必要があるのではないか。
 そこで提言を申し上げますけれども、今、県公会堂も余り使用頻度は高くないわけですので、あのようなところを利用して公演をしていくことも必要なのではなかろうか。
 宮崎県の場合は、高千穂神楽は夜神楽として365日、毎日やっております。広島県では定期公演ということで、水曜日の夜やっているということがございます。ぜひ岩手も、しっかりとそういうことに取り組んでいく活動もしていただければと思うわけですが、答弁をお願いして終わります。
〇高橋文化振興課総括課長 県といたしましては、民俗芸能団体を披露する場ということで、先ほど御答弁申し上げましたように、岩手県民俗芸能フェスティバルを毎年度開催しておりますほか、実は県内市町村におきましても、民俗芸能の発表の場をさまざま設けております。
 当部で少し調査させていただきましたところ、30市町村で延べ72回ほどの、さまざまな芸術祭ですとか郷土芸能祭りですとか、そういった場で市町村単位でも地元の芸能を御披露している、あるいは他市町村と連携している部分もあるかと思います。そういったことで、市町村との連携も図りながら、県全体として民俗芸能の宝庫、岩手を盛り上げていけるように取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇田村勝則委員 今、岩手に訪れる外国人も多いわけですけれども、外国の方々が訪れて感動することの一つに、伝統芸能鑑賞というのがございます。ぜひそういう視点からもしっかりと今後も取り組んでいただきたいと思います。答弁は要りません。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇上原康樹委員 私のお話は10分前後で終わりますので御安心ください。
 決算特別委員会ですからお金の話になります。私は、100万円を超えるあたりから読み込む声が震えてまいります。一生懸命文化振興費を読み込みました。決算額8億7、500万円余り、よろしいですよね。この文化面のお話ですが、岩手とつながる人々、関係人口をふやそう、岩手のファンをふやそう、その大きな目標実現のための具体策について質問してまいります。
 先ほど8億7、500万円余りの文化振興費と申し上げましたけれども、その中で、おやっと思う金額が民俗芸能伝承促進事業費、これが265万円でした。私にもすんなりと読めました。
 国の重要無形民俗文化財であり、ユネスコの無形文化遺産である早池峰神楽に象徴される岩手の伝統芸能のすばらしさ、御承知のとおりです。さまざまな分野での後継者不足が言われていますが、岩手で神楽を初め剣舞など、郷土の伝統芸能、伝統文化を守り伝えていこうとする人々の数、団体の数、県は把握されておりますでしょうか。
〇高橋文化振興課総括課長 神楽、剣舞を演じる団体の数についてでございますが、平成23年3月の岩手県民俗芸能伝承調査によりますと、神楽が401団体、剣舞が123団体となっております。
〇上原康樹委員 すごい数だと思います。ツイッターなどを見ていても、大小さまざまな郷土芸能を発信しているグループがいかに多いかということを私は実感しております。それで、民俗芸能伝承促進事業費が265万円、これは何だと思いました。私はやはりこういうものを、こういう情報を共有、発信していくことがとても大切なことになってくると思うのです。活動だけではない、その姿、舞台を新たに令和の技術で映像に残し、岩手の財産として効果的に世界に向けて発信すること、その計画や構想を県はお持ちでしょうか。
〇高橋文化振興課総括課長 すぐれた民俗芸能を県内、国内外に発信していくことについての考えということでございますが、現在、民俗芸能につきましては、いわての文化情報大事典という県のホームページを開設しておりまして、郷土芸能ダイジェスト映像集というものを、100団体を超える民俗芸能の動画を公開させていただいているという取り組みもございます。また、国内外への発信といいますと、映像ということではございませんが、例えば昨年度、フランスでジャポニスム2018という盛大なイベントが開催されておりますが、県内の民俗芸能団体を数団体派遣しまして、非常に地元のフランスの方々から高評価をいただいているといった発信にも取り組んでいるところでございます。
 今後につきましても、どういった方法で国内外への発信ができるかにつきまして、現在、来年度の予算に向けまして検討を進めているところでございます。
〇上原康樹委員 来年度の予算に向けてという話が出てまいりました。これまで、フィルムであるいはハイビジョンで幾度となく撮影され、保存されてきた伝統芸能の世界ではありますが、撮影技術は時代とともに飛躍的に進歩を遂げています。現在その最先端は、8Kと呼ばれる超高精細の画像です。画像の粒子を肉眼で確認できないほどの技術、本物と画像の見分けが困難とまで言われるこうした画像技術で、岩手の伝統芸能を等身大で撮影、保存し発信する、その価値は十分にあると感じますが、お考えをお聞かせください。
〇高橋文化振興課総括課長 民俗芸能の高精細な映像制作、発信につきましては、まず県内市町村を通じてということも含めまして、各民俗芸能団体が保存ということで映像記録を制作しているということもございますので、そういった情報の収集、集約、発信を県ではホームページ等で行っていきたいと考えております。
 委員お話しのとおり、民俗芸能の宝庫である岩手のすぐれた民俗芸能を8Kなどの質の高い映像として記録、発信していくことにつきましては、今後研究させていただきたいと考えております。
〇上原康樹委員 これまで伝え切れなかった伝統の世界、非常に精細な世界が生き生きと鮮やかに表現されれば、岩手の魅力は増して、関係人口、岩手ファン誕生の後押しになると思われます。今後のますますの御検討をお願いいたします。
 次でございます。観光産業の振興に関する決算の中に、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりが六つの事業、決算額7、000万円余りでございました。これに関しまして、私は遠野のお話をさせていただきます。
 遠野市綾織地区で、今、大きなプロジェクトが進行しています。工藤勝子委員の地元のお話で恐縮です。
 国の重要文化財千葉家住宅。江戸時代末期に建てられたという豪農の邸宅というより、とりでのようなたたずまい。うずたかく積まれた石垣、その上に巨大な南部曲り家、そして蔵。日本の原風景、遠野を見守るように建っています。この千葉家住宅の大改修が今進められています。県は、この改修のことを把握されておりましたでしょうか。
〇高橋文化振興課総括課長 千葉家住宅につきましては、平成19年に、委員おっしゃるとおり、国指定重要文化財に指定されまして、平成25年に遠野市が公有化しましたが、経年により傷みが激しいことから、平成27年から遠野市において保存修復工事を実施していることにつきまして承知しているところでございます。
〇上原康樹委員 ここから文化財に関する県と各市町村との連携の話になっていくわけですが、その千葉家住宅の大改修、現場に行きますと世紀の大改修と、地域が盛り上がっているわけです。市長も頑張っているようですけれども。
 現在、現場は工事のための屋根に覆われて作業が進んでおります。解体工事の中で、時代の貴重な品々も発見されています。この工事は、令和5年に完了予定、建物の活用、運営について1年かけて準備して、令和7年のグランドオープンということになっています。
 県は、この遠野市の文化財保存活動に、岩手の文化発信にかかわっていくお考えはありませんでしょうか。
〇高橋文化振興課総括課長 現在、千葉家住宅の保存活用の取り組みにつきましては、県教育委員会のほうで、国と遠野市との調整とか国庫補助金の取りまとめを行っておりますほか、遠野市が設置しております保存と活用について検討する委員会でございますが、重要文化財千葉家住宅保存活用委員会に文化庁とともにオブザーバーとして参画しておりまして、修復の方法ですとか保存方法について、県教育委員会のほうで指導、助言を行っていると聞いております。
 千葉家住宅の保存活用の取り組みにつきましては、多面的な要素を盛り込んでいるということもございますので、当部としても、本県のすぐれた文化財を生かした地域活性化が図られるよう、教育委員会とも連携しながら、どのようなかかわりができるかにつきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
〇上原康樹委員 千葉家住宅の改修、保存工事とともに、遠野市は、千葉家住宅を中心として周辺の山や田園地帯を初め、水の流れ、植物の生態系までも含めて、地域一帯を日本の原風景として整備、滞在型の観光地を目指しているという説明を私は聞きました。文化と歴史、さらに観光と環境というテーマが重層的、立体的に構築されていくこのプロジェクト、観光客を沿岸地域に導く内陸の拠点になるかもしれません。
 遠野市といいますと、あの東日本大震災津波のとき、後方支援の内陸の拠点として大変貢献された地域でございます。遠野市とそして沿岸を結ぶ千葉家住宅、一つの市の取り組みではありますが、それを岩手全体の中でどう生かしていくのか、県の腕の見せどころのように存じます。
 以上、質問を終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時51分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木茂光副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について延べ14人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤教育長 平成30年度の教育委員会関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会が所管する事務事業の総括的な取り組みと今後の取り組み方針等について御説明いたします。
 教育委員会におきましては、東日本大震災津波からの教育の復興といわて県民計画の着実な推進の二つを大きな柱として、学びの場の復興と、いわて県民計画に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、学校教育、社会教育の分野を中心に施策の重点化を図り、本県教育の振興に取り組みました。
 第3期アクションプランにおける七つの政策に位置づけられている教育・文化の中のそれぞれの政策項目に沿ってその概要を申し上げます。
 児童生徒の学力向上につきましては、各学校において、全国学力・学習状況調査等の分析結果を活用し、学校組織全体での学力向上に向けたわかる授業の浸透を図るとともに、家庭学習についても、家庭の協力を得ながらその充実に努めてきております。
 また、新たな学習指導要領の完全実施に向け、学校の実態や特色を踏まえた教育課程の編成など教育活動の充実に取り組むとともに、新たに導入される大学入学共通テストの実施に向け、教員の指導力向上や生徒の受験対策の充実などに取り組みました。
 今後におきましても、県、市町村、学校、家庭、地域との十分な連携のもとに、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進め、ICTを活用した効果的な授業の推進や家庭学習のさらなる充実などに取り組んでまいります。
 また、将来の本県の発展を担う多様な人材を育成するため、大学等との連携による探究的な学習の推進など、生徒の課題発見、解決能力の育成に取り組むとともに、産業界等との連携のもと、若者の地元定着の強化に向けて、生徒や保護者、教員の地元企業等に対する理解の促進などに取り組んでまいります。
 豊かな心を育む教育の推進につきましては、東日本大震災津波で被災した児童生徒の心のサポートに加え、学校における教育相談体制の充実を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、さまざまな支援ニーズを踏まえたきめ細かな対応に取り組みました。
 また、児童生徒が自他の命と他者の人権を尊重し、大切にする教育を推進するとともに、考え、議論する道徳科の授業をかなめとする道徳教育や、文化芸術体験活動の充実などに取り組みました。
 今後におきましても、児童生徒が相談しやすい環境づくりを推進し、いじめや不登校の未然防止、早期発見、適切な対応などの組織的な取り組みを強化するとともに、学校、家庭、地域が連携したボランティアなどの体験活動や読書活動の充実などを通じて、豊かな心を育む教育を推進してまいります。
 健やかな体を育む教育の推進につきましては、希望郷いわて元気・体力アップ60運動を推進し、児童生徒が運動やスポーツに親しむことのできる環境づくりや健康教育などに関する指導者の資質向上に取り組みました。
 今後におきましても、学校と家庭、関係機関等が連携し、児童生徒の運動習慣の定着を図るための環境づくりや肥満予防などの健康教育を推進してまいります。
 また、岩手県における部活動の在り方に関する方針に基づき、部活動休養日の設定など適切な部活動体制を推進するとともに、地域の人材を活用した部活動指導員の配置などに取り組んでまいります。
 特別支援教育の充実につきましては、児童生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応するため、個別の指導計画等に基づく支援や、通常の学級に在籍しながら特別な支援を必要とする児童生徒への通級による指導などに取り組みました。
 今後におきましても、就学前から卒業後までの切れ目のない一貫した教育が実現できるよう、就学支援ファイルや引継ぎシートなどを活用した円滑な引き継ぎを推進するとともに、交流籍を活用した特別支援学校の児童生徒と小中学校の児童生徒との交流や共同学習など、共に学び、共に育つ教育を推進してまいります。
 家庭・地域との協働による学校経営の推進につきましては、教育振興運動と連携した体験活動等の充実や、実践的な取り組みを核としたいわての復興教育など、学校、家庭、地域との協働を推進してきました。
 今後におきましても、家庭、地域との協働による学校経営を推進するとともに、昨年度に改訂したいわての復興教育プログラムに基づき、内陸部と沿岸部の学校間、異校種間の交流による学習や教科横断的な復興教育を推進し、引き続き岩手の復興、発展を支える人材の育成に取り組んでまいります。
 生涯を通じた学びの環境づくりにつきましては、県民一人一人が生涯を通じて学び続けられるよう、市町村との連携を図りながら、生涯学習情報提供システムなどにより、学びの機会や活躍の場等に関する情報提供などに取り組みました。
 今後におきましても、多様な学習機会の充実など、いつでも、どこでも、誰でも生涯にわたって学習を継続できる環境づくりを推進するとともに、被災市町村の社会教育施設の整備や機能の充実などを引き続き支援し、学びを通じた地域コミュニティーの再生、維持向上にも取り組んでまいります。
 なお、本年3月にいわて県民計画(2019〜2028)と岩手県教育振興計画を策定したところであり、両計画のもとに、本県の有する多様な豊かさや人のつながりなどの強みを生かしながら、本県の未来を創造する人づくりに取り組んでまいります。
 以上が総括的な取り組みと今後の取り組み方針等についてであります。
 続きまして、決算額等について御説明申し上げます。
 お手元の平成30年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。教育委員会関係の一般会計歳出決算額は、10款教育費の支出済額1、473億5、764万円余のうち、16ページ、8項大学費及び9項私立学校費を除いた1、374億6、673万円余と、次の11款災害復旧費6項教育施設災害復旧費の10億1、160万円余を合わせた1、384億7、834万円余となっており、翌年度への繰越額は14億28万円余となっております。また、不用額は7億2、080万円余となっており、その主なものは、教職員の人件費の執行残及び施設整備に係る入札執行残によるものなどとなっております。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、お手元の平成30年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 決算事項別明細書の326ページをお開き願います。説明は、備考欄に記載している主な事業等について御説明いたしますが、事業ごとの金額については省略させていただきますので、御了承願います。
 10款教育費の1項教育総務費でありますが、1目教育委員会費の支出済額3、062万円余は、委員会の運営に要した経費であります。2目事務局費の支出済額28億3、159万円余の主なものは、事務局職員人件費等の管理運営費のほか、東日本大震災津波により被災した幼児、児童、生徒の就園や就学機会を確保するため、市町村が行う被災幼児就園支援事業及び被災児童生徒就学援助事業に要した経費への補助、親御さんを亡くした児童生徒等に奨学金の給付を行ったいわての学び希望基金奨学金給付事業費などであり、繰越明許費121万円余は、公用車の購入に要する経費について、年度内に納車が困難となったことから繰り越したものであります。328ページをお開き願います。3目教職員人事費の支出済額127億9、237万円余は、教職員の健康診断等を実施した人事管理費、児童手当、退職手当の支給に要した経費などであります。4目教育指導費の支出済額10億778万円余の主なものは、震災の影響を受けた幼児、児童、生徒や不登校の生徒等を支援するため、スクールカウンセラーの配置などを行った児童生徒健全育成推進費、県立学校等をICTで結ぶいわて教育情報ネットワーク運営費、特別な支援を必要とする児童生徒のために支援員や看護師の配置などを行った特別支援教育推進事業費、330ページに参りまして、県立高等学校における進学対策講座の開催や各学校の進学指導の取り組みを支援したいわて進学支援ネットワーク事業費、県立学校において実践的な外国語指導を行った外国語教育推進事業費、沿岸部被災地域の県立高等学校生徒の進路実現や復興を担う人材の育成を支援した県立学校復興担い手育成支援事業費、小中学校の学力向上対策などを行った指導運営費であります。5目教育センター費の支出済額4億5、364万円余は、総合教育センターの管理運営に要した経費であり、繰越明許費1、424万円余は、総合教育センター電気室の高圧機器更新工事について、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。332ページをお開き願います。6目恩給及び退職年金費の支出済額7、291万円余は、恩給及び扶助料などの支給に要した経費であります。
 次に、2項小学校費でありますが、1目教職員費の支出済額436億8、470万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費であります。
 3項中学校費でありますが、1目教職員費の支出済額267億1、614万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費であります。2目学校管理費の支出済額578万円余は、一関第一高校附属中学校の管理運営に要した経費であり、繰越明許費3、032万円余は、一関第一高校附属中学校普通教室の冷房設備整備について、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。
 334ページをお開き願います。4項高等学校費でありますが、1目高等学校総務費の支出済額258億837万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費に要した経費であります。2目全日制高等学校管理費の支出済額15億6、173万円余の主なものは、県立全日制高等学校の管理運営に要した経費であります。3目定時制高等学校管理費の支出済額7、677万円余の主なものは、県立定時制高等学校の管理運営に要した経費であります。336ページをお開き願います。4目教育振興費の支出済額38億6、873万円余の主なものは、県立高等学校に係る産業教育設備、情報処理教育設備などの整備費、農業実習や共同実習船運航のための教育実験実習費、公益財団法人岩手育英奨学会に対する高校奨学事業費補助、被災した生徒への教科書購入などに要する経費の一部を給付したいわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費、高校授業料相当分を支援する公立高等学校等就学支援金交付事業費であります。5目学校建設費の支出済額35億6、998万円余の主なものにつきましては、久慈高校及び福岡工業高校の耐震改築を行った校舎建設事業費、千厩高校の校地整備を行った校地整備事業費であり、繰越明許費1、215万円余は、水沢高校のブロック塀改修工事について、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。338ページをお開き願います。6目通信教育費の支出済額600万円余は、通信教育の管理運営に要した経費であります。
 次に、5項特別支援学校費でありますが、1目特別支援学校費の支出済額115億2、205万円余の主なものは、教職員の人件費等の管理運営費のほか、盛岡ひがし支援学校の整備などの施設整備費であり、繰越明許費11億1、172万円余は、一関清明支援学校旧本校舎売却に伴う不用物品処分委託、特別支援学校普通教室等の冷房設備整備、盛岡ひがし支援学校厨房改修工事に係る設計業務について、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。
 340ページをお開き願います。6項社会教育費でありますが、1目社会教育総務費の支出済額12億3、098万円余の主なものは、県立青少年の家の管理運営費、被災地における子供たちの放課後の安全・安心な居場所づくりのための、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費、社会教育に係る職員人件費などの指導運営費であります。2目文化財保護費の支出済額5億2、490万円余の主なものは、指定文化財の保存、修理に対する補助や、震災により被災した博物館所蔵文化財の修理等の支援を行った文化財保護推進費、被災地における埋蔵文化財調査の支援を行った遺跡調査事業費、柳之御所遺跡の学術発掘調査や史跡整備を行った柳之御所遺跡整備調査事業費であります。342ページをお開き願います。3目芸術文化振興費の支出済額1、467万円余の主なものは、全国高等学校総合文化祭や全国中学校総合文化祭への参加に要する経費を補助した高等学校文化活動支援事業費、岩手県中学校文化連盟補助、被災地の児童生徒が文化活動の大会等に参加する経費を補助したいわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援費補助であります。4目図書館費の支出済額3億3、009万円余の主なものは、県立図書館の管理運営に要した経費であります。5目博物館費の支出済額3億7、441万円余の主なものは、県立博物館の管理運営に要した経費であります。344ページをお開き願います。6目美術館費の支出済額4億9、574万円余の主なものは、県立美術館の管理運営に要した経費であります。
 7項保健体育費でありますが、1目保健体育総務費の支出済額3億8、267万円余の主なものは、県立学校児童生徒の健康診断などの児童生徒保健管理費、学校管理下における生徒の事故や災害に係る共済の掛金及び給付金、保健体育に係る職員人件費などの指導運営費であります。346ページをお開き願います。2目体育振興費の支出済額1億980万円余の主なものは、オリンピック、パラリンピックへの興味、関心を高め、スポーツを通じて国際、異文化理解、共生社会への理解等を深めるため、オリンピアン等を学校へ派遣したオリンピック・パラリンピック教育推進事業費、体育、スポーツの振興と健全育成、競技力の向上を目的として事業に係る経費を補助した岩手県高等学校体育連盟強化事業費補助、岩手県中学校体育連盟強化事業費補助、被災した生徒の運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助したいわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援事業費であります。
 次に、ページを飛びまして、356ページをお開き願います。11款災害復旧費の6項教育施設災害復旧費でありますが、1目学校施設災害復旧費の支出済額6億2、849万円余の主なものは、大雨や台風等の自然災害による県立学校施設の災害復旧に要した経費であり、繰越明許費2億3、062万円余は、大槌高校教職員住宅の復旧工事について、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。358ページをお開き願います。2目体育施設災害復旧費の支出済額3億8、311万円余でありますが、野外活動センターの移転復旧に係る建築設計業務委託及び用地取得に要した経費であります。
 以上が決算の概要についてであります。
 最後になりますが、県民の皆様からの本県教育に対する期待と信頼に応えるため、学校教育の充実や教職員による不祥事の発生防止に不断に取り組むとともに、教職員一人一人が自信と気概を持って子供たちに向き合うための環境の整備などにより一層取り組んでまいりますことを申し上げ、私からの説明といたします。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇佐々木茂光副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋はじめ委員 ただいま、教育長から不祥事防止についての言及もありました。私からは、まず最初に、教職員の処分事案についてお尋ねしたいと思います。
 過去5年間の内容別の処分件数、できれば職種別、それと東北各県及び全国の状況がわかっていればお伺いしたいと思います。
〇山村教職員課総括課長 処分件数でございます。
 過去5年ということで、平成27年度は21件、平成28年度は27件、平成29年度は22件、平成30年度は17件、本年度は10月までで6件となっております。
 職種別ですが、この5年間の全体で、教諭が60件、事務職員が5件(後刻「8件」と訂正)、臨時職員などその他の職員が14件、管理監督責任などにより、校長が8件、副校長が3件となっております。
〇高橋はじめ委員 忘れたころに教職員課からメールが来まして、不祥事の発生、処分の実施という報告がたびたびあるわけでございます。こういう状況を私はゼロにしてほしいなと思います。これは我々県民もそうですし保護者もそう思っていると思いますが、こうした状況につきまして、教育長の所感をまずお伺いしたいと思います。
〇佐藤教育長 県教育界を挙げて不祥事の防止に取り組んでいる中で、今回、9月初めに悪質かつ重大な違法行為がしかも重ねて発生したということで、本県の教育に対する県民の信頼を大きく損ねたと思っており、大変遺憾に思っております。
 事案の発生を受けまして、直ちに所属長に対して緊急に全ての職員と個々に面談を行うよう指示したところでありますし、また、緊急の教育事務所長会議を開催し、市町村教育委員会にも指示を徹底するよう伝えたところであり、さらに、10月3日には県立学校長会議がありましたので、その場で私のほうからコンプライアンスの徹底について改めて注意喚起等を行ったところであります。
〇高橋はじめ委員 私も以前、監査委員をやらせていただきまして、各学校に行ってコンプライアンスの取り組みなどといったものの説明を受けております。さまざまな取り組みをしているということですが、なかなか撲滅というか発生ゼロに抑えることができないという現状であります。教職員の体罰や道路交通法違反あるいは飲酒運転、わいせつ、セクハラ、窃盗、かつては薬物違反等々、非常に心の痛む事件が後を絶たない現状であります。
 この犯罪防止へ、今もお話ありましたが、具体的にどんな取り組みをされているのかお尋ねしたいと思います。
〇山村教職員課総括課長 再発防止に向けて、初任者研修、あるいは勤務年数に応じて全員が参加する悉皆研修において、コンプライアンスの徹底について講座、こまを設けてやっております。また所属内で、所属長と職員が定期的に面談を行う際にコンプライアンスの徹底をしております。
 また、不祥事を起こした教職員に対しては、一定期間、再発防止に向けた処分の後の事後研修を行うなど、不祥事の防止に向けて取り組んでいるところでございます。
〇高橋はじめ委員 そうした取り組みを進めているがこういう状況と。これは取り組みそのものに問題があるのか、それとも教員の自覚がなかなかしっかりとしたものにならないのか、その辺はどう捉えているのですか。
〇山村教職員課総括課長 申し上げたように、いろいろ取り組みをやっているところでございます。その中で不祥事が起きているということで、そういった取り組みの中でも、自分の問題として捉えられない、自覚を欠いた一部の教職員がこういった不祥事を起こしているものと受けとめております。
〇高橋はじめ委員 ほかの人のこと、自分は全く関係ない、自分はそういうことはあり得ないという思いがあるのかどうか、その辺は非常に重要なことだと思っております。
 それと、気になるのは、校長、副校長の事案も先ほどありました。校長で8件、副校長で3件と。管理監督すべき立場の方がこういう不祥事ということで出てくる。これもいかがなものかと思っていますが、校長においては、学校経営もさることながら、みずから律していくという自覚も人一倍欲しいと思っておりますけれども、その辺はどんな取り組みをされていますか。
〇山村教職員課総括課長 校長、副校長の処分については、部下の教職員が不祥事を起こし、処分を行った際に管理監督責任を問うという形で処分している事例が多い状況でございます。
 校長、副校長につきましては、まさに職場のマネジメント、不祥事防止の取り組みを推進、実施する立場でございますので、会議等の場で、教育長からも先ほど説明ありましたけれども、教育長から直接、注意、指示する機会もございますし、新任の監督者研修の中でもコンプライアンスを徹底する取り組みをどう進めるかなどのテーマで研修を行うなど、管理職がコンプライアンスの取り組みをきちんとできるような取り組みを行っているところでございます。
〇高橋はじめ委員 そうした取り組みが有効に働いていけばと、そんな思いをしております。
 児童生徒に道徳教育をする一方で教職員が事件、事故を引き起こしているということ。かつては、教師あるいは医者、警察官については、聖職とか聖職者と言われ、非常に人格も高潔で大変すばらしい人だと地域の方々も信頼を置いている、そういう方々であったわけであります。
 児童生徒には賢く清く正しく元気はつらつにと、知、徳、体の向上を岩手県の教育目標に掲げていながら、その範を示すべき教職員の事件、事故が児童生徒に与える精神的な影響ははかり知れないものがあるようにも思うわけであります。こうした事件、事故を起こした学校での児童生徒に対するケアというものはどのように取り組まれているのか伺います。
〇山村教職員課総括課長 不祥事が発生した学校においては、その事案の内容に応じて、まず全校集会などにより児童生徒に説明を行う。あわせて保護者に対しても説明会を開いて説明を行い、その上で、担任の教員はきちんと児童生徒の見守りを強化するということで、担任だけではなく学校の教員の中で、児童生徒の様子についていつも以上に注意して情報共有をするような取り組みをしております。また、事案が深刻な場合には、スクールカウンセラーを活用するなどもしているところでございます。
〇高橋はじめ委員 スクールカウンセラーの活用も含めて、やはり細かに目配り、気配りをしていただいて、先生があんなことをしても許される社会だと思われないように何としてもやっていただかなければならないと思っていますので、ぜひ今後とも取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、学校事務補助非常勤職員配置事業は、平成30年度から新規の事業として、当初予算で2、000万円、決算は1、246万円となっております。事業の内容は、教員の勤務負担を軽減し、児童生徒への指導や教材研究等に一層注力できる環境を整備するため、教員の業務支援を行う非常勤職員を配置するということでありました。
 職員の業務支援とありますけれども、具体的にどのような業務支援を行ったのか、その内容。
 それから配置人員。別資料で、13人を予定し、13人を配置した。成果としては、業務支援体制を整備し、負担軽減の効果があった学校の割合は100%ということでありました。13人を配置した学校、配置した基準、それから配置者の教員資格、あるいは事務技能といったものがどんな形で求められてその13人を採用したのか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇山村教職員課総括課長 学校事務補助非常勤職員、私どもはスクールサポートスタッフと呼んでおります。この事業でございますが、配置したのは、小学校6校、中学校6校、義務教育学校1校で、計13校でございます。教員の勤務状況などを考慮して、各地域のおおむね大規模校に配置しております。
 その非常勤職員の任用に当たっては、特に資格等の条件は設けておりません。
〇高橋はじめ委員 補助的な業務ということですか。その辺もう一度。
〇山村教職員課総括課長 業務内容でございますが、先生たちの事務的な仕事を補助するということで、具体的には、いろいろな学習プリントなどの印刷やデータの入力といった仕事がございますので、それをやるという仕事でございます。
〇高橋はじめ委員 お伺いしておりますと、どの程度教職員の業務の支援になっているか余り想像できないのです、先生の仕事はかなりありますので。この間もテレビでやっていましたが、授業が終わって部活動に行って戻ってきてプリントなどの採点をして、次の日の授業の準備とか相当な準備もしなければならない。プリントとかそういったものという今お話もありました。私は、病院であれば医療クラークという事務職を設けておりますけれども、そういうイメージで、今後、学校もそういう形で取り組んでいくのかなというイメージを持っておりました。
 大規模校ということでありますが、もう少し拡大していってもいいのではないかと思っています。平成31年度―令和元年度の予算は3、070万円、昨年に比べて1、000万円ほどアップしておりました。13人からふやしたのかなという思いもしておりますが、今後どういうふうにこれをふやしていくか、計画はあるのでしょうか、お伺いします。
〇山村教職員課総括課長 今年度は配置を拡大いたしまして、小学校11校、中学校11校、義務教育学校1校で、計23校に配置しているところでございます。今、そういった配置をしているところでございますので、これの効果的な活用などに努めていきたいと考えております。
〇高橋はじめ委員 学校現場での働き方改革の一環としていろいろ取り組まれていることは理解しております。せっかくこういう方を採用するわけですから、その効果がしっかりあらわれるように取り組みをしていただきたいと思いますし、また、可能な限りふやしていただければと思っておりますので、今後、私も注目して見守っていきたいと思います。
 もう一点、通告しておりませんでしたが、けさほどの新聞報道で、英語の民間検定試験について、文部科学省が延期することを決めたというニュースが飛び込んできました。2020年度から始まる大学入学共通テストについては、共通テストの受験料に加えて、英語民間検定試験の受験料が最低でも5、800円、最も高い試験で2万5、000円を超えると言われておりました。また、試験会場が都市部で、離島や僻地の受験生はさらに交通費や宿泊費を負担しなければならないなど、経済格差や地域格差等、多く問題が指摘されているということで国会でも取り上げられたりしておりました。そうした問題指摘に、現在、文部科学大臣の身の丈発言ということで、非常に言語道断、怒りが大きくなる、そういう発言もあったわけであります。
 けさ、文部科学省より正式に導入延期の発表がありましたけれども、県としては、令和2年度政府予算要望に大学入試に係る英語の検定試験料等の支援ということで要望しておりますが、検定料をどの程度と捉えておったのか。仮に導入となれば、本県の受験生を持つ家庭の負担はどの程度になるのか、もし予測しておるのであればお伺いしたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 英語の民間試験でございますけれども、本県で受験可能なのは英検とGTECの二つでございます。英検は準2級検定で6、900円、それからGTECが6、820円となっております。このほかに発生する費用で想定されるものとしては、試験会場までの交通費、場合によっては宿泊費等が考えられます。
〇高橋はじめ委員 2万5、000円を超えるような金額でないと聞いて少しは安堵いたしました。受験生を抱える家庭におきましては、やはり負担がふえていくことは非常に問題があると思ってその推移を見守っておりましたけれども、当面延期すると聞いてとりあえずほっとしておりますが、このことについて教育長はどのような所感を持っておられるのか伺いたいと思います。
〇佐藤教育長 文部科学省が英語民間検定試験の導入について見送ると発表されたと。私どもは報道等での情報ということで、正式に文部科学省からきちんとした情報提供はまだされていないところでございます。
 先ほど委員からもお話があったとおり、県としましても、令和2年度の政府予算要望におきまして、検定料に対する財政支援の実現等を強く要望してまいりました。経済状況や居住地による受験機会の格差が生じることのないようにということも踏まえての要望でありましたし、全国都道府県教育委員会連合会等を通じて均等な受験機会の確保などについても要望してきたところでございます。加えて、民間検定の主催団体に対しましても、検定試験を高校で実施するなどの対応がとれないかという働きかけも行ってきたところでございます。
 先ほども申し上げましたとおりまだ詳しい情報については把握できておりませんが、今後とも国の動向を注視しながら情報収集に努めまして、正確な情報を生徒、保護者、各学校に提供してまいりたいと考えております。
 あわせて、英語力の向上については大事なことでありますので、本県の高校生が希望する進路実現が着実にできるよう、英語教育についても力を入れてまいりたいと考えております。
〇佐々木順一委員 関連。高橋はじめ委員の英語民間検定試験に関連して御質問させていただきます。
 まず、教育長に聞きます。
 この英語民間検定試験は、そもそも現行のセンター試験では、特に英語の話す能力を検定することは困難であるということから導入されたものと承知しております。ただし問題は、金銭的に余裕があれば事前に何度でも試験を受けることができること。あるいは今、御答弁されましたが、地方や離島の受験生は交通費、宿泊費。本県も県土が広いわけでありますから、同様の経費、時間もかかります。すなわち、地理的あるいは経済的に格差が出ることが以前から指摘されております。
 ついては、人種、信条や性別や社会的身分、特に経済的地位、または門地によって教育上、差別されないというのが教育基本法の基本理念でありますが、この制度が教育の機会均等の理念を損ねていると思うのかどうか、まずこの御認識をひとつお伺いいたします。
 あわせて、身の丈発言。この身の丈発言だけとれば、余り解説がないわけでありますからその字面のとおり解釈してしまうわけでありますが、これにはイントロダクションがあるのです。導入部です、イントロダクションというよりも。文部科学大臣が語った導入部であります。すなわち、裕福な家庭の子供が回数を受けてウオーミングアップできるようなことはあるかもしれないが、そこは自分の身の丈に合わせて2回を選んで勝負してもらえればと。2回というのは、IDをもらってから試験を2回受ける、このことであります。さらに、地方などで検定試験が受けられない場合については、人生のうち1回や2回は、ふるさとから出て試験を受ける、そういう緊張感も大事である、こういう二つの発言をしておりますが、この2点について、まず教育長の認識と所感をお伺いいたします。
〇佐藤教育長 まず、1点目の教育の機会均等という観点でございますが、委員からもお話がありましたとおり、本県は県土面積が広くて、地理的条件が首都圏に比べますと非常に大きなハンデを持っているということで、生徒らは、きちんと自分の進路を実現するために一生懸命勉強しているわけであります。そういった中で、自分の進路を実現するためにそういった試験を受けなければならない。そういったところで、経済的あるいは地理的なハンデというものはやはり解消していかなければならない。可能な限りの支援は必要だと思っております。そういった意味でも、政府への予算要望についてもそういったことをお願いしてきたということがございます。
 それから、身の丈発言、今、イントロダクションの部分を御紹介いただきました。その発言そのものについてはコメントは控えさせていただきたいと存じますが、先ほども申し上げましたように、本県の地理的条件あるいは経済的なハンデについては、本当に克服していかなければならない大きな課題であると思っております。
 私自身も本当に自分の行きたい進路に行けなかったという思いも実はありましたので、そういった意味でも、そういう機会、チャンスを失うことにつながることのないように、やはり子供たちは、目指すべき夢、あるいは人生をどのように生きていくかということで一生懸命考えて努力しているわけでありますので、そういったところを私たち行政はしっかりと支えていくことが大事だと考えております。
〇佐々木順一委員 教育長の立場上、なかなかストレートに答えられないことは重々推しはかって、理解したつもりであります。つもりですよ。
 しかし、やはり全国高等学校長協会も正面から文部科学省に要望しております。公正、公平が依然として担保されていないと、こう言い切っているわけです。そして、制度導入の延期と見直しを求めた意見書まで出しております。これは全国の校長会でありますから、岩手県の校長会も当然賛意を示している。しかし、校長会のバックには、日本全国の高校2年生の受験を控えた方々がいるのです。だから、この高校生のパワーがやはり見直しを表明させたという理解を私はするべきだと、こう思っております。
 きょうは、小久保学校教育課総括課長がおいでになっております。そもそも当初から問題があると言われている制度でありましたから、文部科学省の中におかしいのではないかという声はなかったのですか。前川喜平さん以来、余り存在感がない文部科学省でありますが、この際、思いのたけをお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇小久保学校教育課総括課長 私は文部科学省から出向して岩手県にお世話になって、今3年目になります。私の任命権者は岩手県でございますので、岩手県の立場として必要なことをお答えしたいと思いますが、この民間試験につきましては、委員の方々も御案内のとおり、英語教育の充実という視点から、今までの読む、聞くのみではなく英語の4技能の力を評価したいのだという仕組みで導入が検討されたと。ただ実際に、今の大学入試センター試験は2日でやるわけです。採点は1週間前後になるわけですが、それをスピーキングやライティングまで採点しようとすると現実的に無理だというところで民間試験の活用といった選択肢が出てきた、経過はそういったことだったと承知しております。
 ここからにつきましては私の所感も含めてですけれども、教育行政を実施するに当たっては、やはり子供たち、学校の現場で何が起こっているかといったところまでしっかりイマジネーションすることが非常に大事であると考えております。
 今回の文部科学省の判断そのものについて一つ一つ申し上げるのは難しいのは大変恐縮でございますが、いずれにしても、実際に一人一人の子供、一人一人の先生、学校におりていったときにこの施策がどういうふうに反映されるといいますか対応しなければいけないのかといったところは、国及び、我々もそうですけれども、教育行政全体として考えていかなければならないと思います。
〇佐々木順一委員 済みませんでした、突然で。
 ただ私は、結果的に文部科学大臣は一つだけいいことをしたと思っているのです。主権者教育の生きた一級の教材を身をもって呈してくれたということです。今、高校2年ですから、受験のときは18歳になっていますから、生きた教材を示してくれたことは私は認めてあげたいと思っております。
 いずれ、英語検定は単なる検定ではなく、受験生にとっては進路にダイレクトにつながる大学入試でありますから、全然重みが違うわけであります。スケジュールありきでもしこのまま進んでいれば、入学試験に関して大混乱に陥ったことは必至であります。危機一髪で回避されたことは大変いいことだと思っておりますので、ぜひ今回の教訓を踏まえて、どういう制度がいいのか、これから皆さんでまた専門的な角度からいろいろ検討していただいて、できれば全国の教育長会議とか、全国知事会もいいと思いますが、いろいろなことでこの問題に真剣に向き合って国に提言をする、そういうところまでぜひ視野に入れて取り組んでいただければと思っております。
 最後に、大学入試センター試験の被災地臨時会場の継続実施について。
 今まで釜石高等学校、大船渡高等学校で臨時に会場を提供していただいてきたわけでありますが、令和2年度はどういう見込みであるのか、このことを聞いて終わります。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 これまで臨時会場という扱いでやってまいりましたが、大学入試センターからは、臨時会場としての取り扱いは、昨年度―前回で終了ということで、ただ、岩手県ではやはりまだいろいろな事情もあるでしょうからということで、岩手大学と県で協議してきまして、今年度は、特例というか、今までどおり釜石会場、大船渡会場の実施を進めていく方向でございます。これは1年ごとにさらに検討していくことになっております。
〇山村教職員課総括課長 先ほどの答弁の中で、数字の読み間違いがございました。
 処分件数の職種別の話をしたとき、事務職員を私、5名と読みましたが、8名でございます。済みません。
〇岩崎友一委員 私からは、大きく2点取り上げたいと思います。
 まず1点目、児童生徒健全育成推進費に関して、いじめ対策について取り上げたいと思います。
 国におきましては、平成24年7月の滋賀県大津市の自殺事案を受けて、平成25年、いじめ防止対策推進法を成立、公布、施行して、その後もさまざまいじめ防止等のための基本的な方針の改定や重大事態の調査に関するガイドラインを策定したり、どんどんそういった取り組みを進めているわけでございます。
 やはり一番大きく変わったのが、いじめというものを発生件数ではなく認知件数で捉えて、重大化する前に早期発見の上、対応していくという形で進めてきたところであります。そういったカウントの仕方も変わりまして、県においてもいじめの認知が積極的に進んできたと思っております。
 私は、昨年もその前の代表質問でもこの問題を取り上げてきたところでありますが、ずっとこの認知件数は伸びてまいりまして、平成30年度では小、中、高、特別支援学校を含めて7、694件が認知されたところでございます。
 最初に1点だけ確認させていただきたいのが、この認知件数でありますけれども、学校数にすれば488校。前年より3校減少したということで、488校というのは県内の公立学校の何割を占めるのか。また、前年度より3校減少したというのは、後ろ向きに捉えるわけではないのですが、しっかり認知の取り組みを進めた上でゼロだったのか、それとも認知への取り組みがしっかりと行われなかったのかという部分の認識についてお伺いしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 学校の認知でございますが、今年度、認知をした学校の割合で申し上げたいと思いますが、86%が認知したということでございますので、認知がなかった、ゼロの学校というのが14%でございます。昨年度と比べますと、昨年度が約15%でございましたので、今年度、学校の統廃合等がございまして、その影響で若干認知がゼロという割合が減ったという状況でございます。
〇岩崎友一委員 ということは、決してやっていないというわけではなく、しっかりやっているという認識でいいと思うのですが、しっかり認知を進めると。
 やはり認知をするというのは、さっき申し上げましたように、早期発見をしていじめの重大化を防ぐことが重要であるわけでありますが、平成30年度の7、694件のうち、重大事態というもの―文部科学省ではいじめ防止対策推進法の第5章第28条第1項第1号、第2号で定めているわけでありますけれども―は何件あったのかお示しいただきたいと思います。
 あわせて聞きますけれども、その内容です。第1号に関しましては、いじめにより、児童等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認められるとき、第2号は、いじめにより、児童等が相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときとあるのですけれども、その件数と具体的な事例についてお示しいただきたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 重大事態に関するお尋ねでございます。
 平成30年度、国の調査によります本県の状況でございますが、いじめ防止対策推進法の第28条第1項に規定する重大事態は平成30年度は13件の発生ということでございます。また、うち、御案内のありました第1号に関するものが4件、第2号に関するものが9件となっております。
 県立学校における重大事態につきましては、どちらも第1号に該当するもので2件でございました。その他、小中学校につきましては11件(後刻「10件」と訂正)となります。
〇岩崎友一委員 私がもう一つ聞きたかったのが、第1号、第2号に該当する内容が具体的にどういったことであったのかをお示しいただきたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 第1号に関するものでございますが、先ほど2件と答弁いたしましたが、被害者が2名いた事案もありますので、カウントとしては3件とすると先ほどの13件と照合いたします。そのうち第1号に関するものにつきましては、精神疾患を患った者が1件、あとは金品にかかわるものが1件で、該当者が2名ということで2件ということでございます。もう一つ、身体にかかわるものが1件の、合計4件が第1号にかかわるものでございます。そのほか、不登校にかかわるものは先ほど申し上げましたとおり、9件ということになります。
〇岩崎友一委員 それで、この重大事態が発生した場合に関してでありますけれども、同種の事態の発生の防止のために、速やかに適切な方法により、事実関係を明確にするための調査を行うこととされております。そしてまた、この調査を行った上で、いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対して、必要な情報を適切に提供しなければならないというのが法の規定でありますけれども、その辺の対応状況はどのようになっているのでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 昨年度の重大事態の発生への対応ということでございますが、発生を受けまして、学校と県教育委員会で、または小中学校については服務管理責任のある市町村等が対応することになりますが、学校と協議の上、第三者委員会等を設けて対応することになりますが、一時的には学校の調査ということで全て対応しております。
 その学校の調査にかかわりましては、学校の調査組織に第三者の方を何名かお迎えした組織で対応するということにしております。
 事実関係を明確にするための調査等を進めて、先ほど御案内がありましたとおり、児童生徒や保護者等への説明をして、調査結果を理解していただくということになっております。その後、その調査報告書につきましては、それぞれの首長に提出するという運びになっております。
〇岩崎友一委員 私が確認をしたかったのは、今回、第1号、第2号、合わせて13件、重複する部分もありましたけれども、そのような対応をしていて、結果として、生徒は不登校とか欠席がちにならずに、今はしっかりと学校に通学できている状況なのでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 県立学校の事案につきましては、全て解消したと申し上げたいと思いますし、市町村の学校での重大事態については、おおむね解消との報告を受けております。
 このおおむね解消という部分については、子供の状況は解消したというものもございますが、保護者の方がまだ御理解をいただけないような事案であるとか、不登校の状態がまだ多少続いているというもの、さまざまだと捉えております。
〇岩崎友一委員 親御さんが納得されていない状況の中で、しっかりとその辺は説明をしていかなければならないと思うのですが、そういった説明に関しての責任というものは、県立であれば恐らく県にあって、市町村立であれば市町村にあるかと思います。ただ、市町村立であっても市町村の判断に任せきりとならずに、県としてもしっかりと指導をしていく立場にあるかと思うのですが、その辺の対応はどうなっておりますでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 対応でございますが、県立であれば私どもが所掌しておりまして、さまざまな学校への支援であるとか対応等をさせていただいているところでございますが、市町村立であれば、県から派遣しております指導主事等もおりますので、学校の支援にはそのような指導主事がかかわるということもございますし、県の場合においては、いじめ問題に係る解決支援チームというものを設置しておりますので、市町村の求めに応じて、そのチームを派遣しながら、さまざまな条件であるとか対応とかのお手伝いをさせていただいているところでございます。
〇岩崎友一委員 さまざまな取り組みが進められているのはそのとおりでありますけれども、いじめ防止対策推進法の趣旨に照らし合わせても、とにかく早期発見できるようにしっかりと努めていただきたいと思います。
 この件について最後に確認なのでありますけれども、この重大事態の中で、犯罪行為に該当するものがあったのかどうかだけお知らせください。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 お尋ねの件でございますが、先ほど金品に係る第1号事案が1件発生ということでございますので、それにつきましては警察の捜査等にも御協力をいただいて、解決のために連携しながら取り組んだという事案でございました。
〇岩崎友一委員 わかりました。今回、いじめ防止対策推進法に関しては、文部科学省だけではなくて、警察もそうですし、法務省の人権擁護局もしっかりと横連携を図りながらやっていこうというのもありますので、その辺もしっかりと活用というか連携しながら、重大事態が発生しないように取り組んでいただきたいと思います。
 それで、今回いただいた資料の中でもう一つ気になったことがありまして、いじめの内容についてでございます。パソコン、携帯電話等で誹謗中傷的な嫌なことをされるということで、これは県でもアンケートをとっているからしっかりとしたデータが出てきているかと思うのですが、これは全体の区分からいくといじめの割合が2.7%であると。ただ、これが小学校、中学校、高校の順に増加しているということで、こういった犯罪が低年齢化しているということに私も怖いなと、対策を打っていかなければならないと思うのであります。特に、小学校でパソコン、携帯電話を使っていじめがあるという場合、本人が気づかずに、周りの人だけが知っているという状況も出てきてしまうかと思うのですけれども、そういった部分を確認する部署というか、調査する組織というか、学校の先生というか、そういったものは今あるのでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 ただいまお尋ねいただいた件でございますが、それぞれの自治体によってその取り組みはさまざまだと存じておるところでございますが、ネットパトロールなどという言葉もございますように、以前に比べて、パソコンや携帯電話等の誹謗中傷等もふえている実態もあります。まだまだ潜在化されているものもあると思いますので、そういう意味では、そのような部分にアンテナを高くしながら対応してまいりたいと思いますし、生徒個々のアンケートによりましては、個人の状況であるほかに、周りの子供たちの状況も聞くような項目等も取り入れまして、そのような情報についても収集できるよう対応について改めて周知を図り、徹底してまいりたいと思っております。
〇岩崎友一委員 県でも、いわて「いじめ問題」防止・対応マニュアルをつくっており、このアンケートがどういったものか私も見せていただきまして、あとは学校ごとにそれぞれ若干対応も違うということでありましたけれども、丁寧なアンケートだと見させていただきました。そういった中で、さまざまないじめの内容であったり、状況も傾向も県では把握できていると思いますので、そういったものをしっかりと生かしながら先手の対策を進めていただきたいと思います。
 それと、先ほど道徳の話が高橋はじめ委員からも出ました。昨年度から小学校、今年度からだと思うのですが中学校、道徳が教科化されたわけでございます。文部科学省の趣旨としては、道徳教育を通して、いじめの撲滅ということを目指しているかと思うのですが、その道徳の教科化の導入はしっかりと全校でなされているのか。また、道徳という授業の中で、実態としてしっかりと授業が行われているのかどうか。
 なぜ実態を聞くかというと、道徳という教科はあると。ただ、道徳の教科の時間に違う授業に振りかえられていたという声を、以前、学校の先生から聞いたことがございまして、そういった懸念から確認をさせていただくものでありますので、よろしくお願いします。
〇小野寺首席指導主事義務教育課長 道徳の教科化についてでございますが、委員がおっしゃられたとおり、平成30年度から小学校、本年度から中学校において全面実施をしております。したがって、教科書を使用した道徳科の授業が実施されておるところであります。
 現在は全ての学校で、年間35時間の道徳科の授業を、道徳のかなめとして教育活動全体を通じて推進しているところであります。
 授業の振りかえ等ということで御指摘がございましたが、もしかしたら、学校によってはその週の都合上、何らかのことで違う授業をするかもしれませんが、年間を通しては35時間実施しているということで把握しているところであります。
 また、いじめ防止との関連におきましては、小学校低学年段階から、道徳教育を中心として、命ある全てのものをかけがえないものとして尊重し、大切にすることの学習を積み重ねるとともに、教育活動全体を通じて多様な体験活動を行いながら、豊かな人間性と社会性を育む教育に取り組んできているところでございます。
〇岩崎友一委員 時間の関係で、教職員間と、教員から児童生徒へのいじめの状況はきょうは質問しませんけれども、実は私も気になっているのが、いじめの問題は、ふだん多くの時間を過ごす学校でありますから、教職員の方々、特に担任の先生の役割も大きいと思うのですが、今いろいろ新聞などを見ていても、家庭での子供との会話が減ったり、さまざまな要因も絡んでくるのではないかということを考えさせられております。今、県としていじめ問題対策連絡協議会も設置していまして、そこにはPTA連合会の会長も入っておりますので、お父さん、お母さんに対する教育というのは変ですけれども、しっかり子供との向き合い方とか、例えば子供に携帯電話を持たせて遊ばせることが及ぼす影響であったり、そういった部分も協議をしていただいて、お父さん、お母さんにもしっかりと問題意識を持ってもらうということも進めていただきたいと思います。
 次に、2点目に行きます。特別支援学校のスクールバスの運行についてでございます。
 県の主要施策の成果に関する説明書でも、特別支援教育の充実ということで、県としても特別支援教育には力を入れているのはわかるわけですが、その教育の内容も大事なわけでありますけれども、しっかりと教育を受けられる環境の整備というものも重要であると思います。
 釜石祥雲支援学校に通う子供のお父さん、お母さんから、確かに釜石祥雲支援学校でも1台のバスは運行していると。ただ、それが一部の生徒しか利用できないということで、ほとんどの児童生徒の保護者が送迎をすることが多いということでございます。ただ、保護者が送迎するとなると、保護者の負担も非常にふえる。そしてまた、保護者が例えば具合が悪くて送迎できない場合は、学校を休ませざるを得ないという状況もあるということで、教育の充実を進めるのであれば、まずはスクールバスをしっかり運行して、障がいを持っている子供でも安心して教育を受けられる環境の整備を進めるべきと思います。そういったことから、夏に、大槌町長と教育長にも要望させていただいたわけでありますけれども、その後の検討状況はどのようになっておりますでしょうか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 釜石祥雲支援学校のスクールバスの運行に向けた取り組み状況についてでありますけれども、通学バスの具体的な運行計画の検討や運行に係る安全確保、保護者からの要望事項と今後の合意形成等について、具体的に意見交換をしているところであります。釜石祥雲支援学校としても、運行経路の拡大に向けて試走や校内検討委員会を開催するなど、取り組みを進めていることを確認しております。
 今後も、関係地域や当該校と情報共有を行いながら、安全性を確保しつつ、負担や不便さの軽減を図ることができるよう、取り組みを進めていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 今、前向きに進めていただいているということに感謝したいと思います。実はこれは前から要望がお父さん、お母さん方の中ではあったらしくて、県に要望をさせていただいたのはことしの夏でありましたが、ずっと困っていたということもございましたので、早急に進めていただきたいと思います。
 いろんな試験運行なども含めて、いつくらいから開始したいという見込みというものは今お示しできますでしょうか。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 具体的な日時等の明言はできかねますが、早急な形での取り組み、まず雪が降る前にはもう少し試走をしながらスムーズな運行になるように、安全確保を含めまして進めていければと思います。
〇岩崎友一委員 最後、スクールバスの関係で、今釜石祥雲支援学校を取り上げました。ただ、いろいろ聞いておりますと、県でも盛岡市、花巻市、宮古市のそれぞれ特別支援学校やPTA連合会から要望があったり、またそれ以外の地域でも、ぜひスクールバスをという声があるようです。いかんせん、特別支援学校というのは県の中でも数が少ないわけでありますから、通学にかかる距離が長いということも挙げられると思うのですけれども、県全体としてのスクールバスの運行に関する今後の方針、例えば来年の予算に向けた対応等々もあるかと思うのですが、その辺の方向性について確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 岩崎委員からも御指摘があったとおりですけれども、スクールバスの運行につきましては、通学の安全確保や利便性、保護者の負担軽減の観点からも非常に大事なものと認識しております。
 県教育委員会といたしましては、特別支援学校に係る整備計画等も策定を予定しておりますので、そちらに盛り込むことも検討した上で、スクールバス、通学バスについても検討を加えていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 不登校児童生徒に対する支援についてお伺いしたいと思います。
 まず、不登校の児童生徒数の推移と不登校の理由の現状についてお伺いします。
 文部科学省が17日に公表しました2018年度の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によりますと、平成30年度の不登校児童生徒数は、岩手県は、公立小学校が283人、公立中学校が975人、計1、258人ということで、前年度比で214人の増加になっております。教育委員会では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用などによって教育相談体制の充実を図られておりますけれども、こういった不登校の生徒を学校にまた戻すというか、通ってもらう対策が必要だと思いますし、それと同時に、民間のフリースクールなど、子供の事情に応じた多様な学びの場を用意するということも大事だと思っております。その中で、適応指導教室やフリースクールになりますが、学校以外の機関に相談や指導等を受けている児童生徒数はそれぞれどの程度で推移しているのか、お伺いしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 ただいまのお尋ねでございますが、県内には、教育委員会等が設置している適応指導教室が24施設ございます。また、民間やNPOが設置しておりますフリースクールは、5施設であると確認をしております。平成30年度に適応指導教室で相談、指導を受けた児童生徒は、小学生27名、中学生132名、高校生1名の160名でありました。また、民間施設で指導、相談等を受けた児童生徒につきましては、小学生21名、中学生32名、高校生13名の計66名でありました。
〇吉田敬子委員 その中で、フリースクールや適応指導教室に相談した子供たちが出席扱いとなる場合がありますけれども、この児童生徒の数と、県はどのような分析をされているかお伺いしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 指導要録上の出席扱いになった割合でお答えしたいと思いますが、適応指導教室においては72%、民間施設においては9%となっております。
 これにつきましては、文部科学省等からの通知もございますが、民間施設等における学習の計画や内容が学校の教育活動に照らし合わせた結果、適切と判断された場合については、学習評価の結果を子供たちや保護者に伝えることで、その後の児童生徒の指導に生かすという観点から、校長の判断によって出欠扱いが判断されているものでございます。
〇吉田敬子委員 適応指導教室では72%が出席扱いになっておりますけれども、フリースクールでは9%の出席扱いということで、確かに内容の部分もまだまだ課題があるかと思いますので、そこは民間のほうではありますけれども、ぜひレベルというか、質を高めていく必要があるかと思います。
 一方で、自宅においてIT等を活用した場合も出席扱いにできる制度もあると伺っておりますが、これに関しての県の児童生徒の数についてお伺いしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 ICT等を活用した学習活動を出席扱いにする要件についてお答えいたしますが、不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談や指導を受けられるような場合(後刻「受けられないような場合」と訂正)に行う学習活動とされております。訪問等により、対面指導が適切に行われることを前提とし、学習の計画や内容が学校の教育課程に照らし、先ほど申したとおり、校長が適切と判断した場合ということになっております。
 平成30年度の国の調査における本県の状況でございますが、このような形で出席扱いとなった件数についてはございませんでした。
〇吉田敬子委員 実際には岩手県だけでなく、全国的に、ITを活用した自宅学習が出席扱いになるケースが今のところ少ないということで、全国的な課題ではあると思うのですが、学校それぞれの判断によって、認知というか周知もなかなか徹底されていないのではないかという御指摘もいろいろ見聞きしております。
 私は、フリースクール等を選べる子供だったり、適応指導教室に通える子供もいる一方で、それもできない中で、ただ、自宅では何かしら子供たちに教育の機会が与えられるのであれば、そういうことで出席扱いになる子供たちが1人でも多くふえればいいなという思いで質問させていただいておりますが、この自宅においてのIT活用の学習については課題もあるかと思いますけれども、教育委員会での取り組みとしては、今後どのように展開といいますか取り組まれていくおつもりか、お伺いしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 不登校児童生徒の支援のあり方ということでございますが、今般、今週になりますが、文部科学省から支援のあり方の通知が改めて出されました。その趣旨といたしましては、不登校児童生徒の指導要録上の出席の扱いに係る過去の通知における記述等が、今般の施策等で取り組んできたことで誤解等が生じるおそれがあるというもので、改めて発出されたものでございます。今週に私どものところに届きましたので、10月30日付で学校にはこの通知を発出しております。
 通知の趣旨につきましては、大きく変わっているわけではないのですが、例えば出席扱いの要件の部分で、不登校にある子供たちが学校復帰を前提としているという以前の通知があったわけですが、それにつきましては、今回は、当該児童生徒が現在における登校を希望しているか否かにかかわらず評価をしましょうと表現が変化したところもございます。今後、県内の指導主事や、また県で配置をしております在学青少年指導員等が学校を訪問した際に、まずはこの趣旨等について学校等に伝えて、正しく運用されるように指導してまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 不登校で学校に行けない子供たちの教育の格差が広がっていかないように、休めば休むほどまたそこの部分がわからなくなっていく、さらにまた学校に戻りづらくなるという悪循環がありますので、行けなくても、どこかで接触なり自宅なりで教育の機会が確保されるような仕組みづくりにしっかり取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、幼児教育についてお伺いしたいと思います。
 10月から幼児保育の無償化が始まりましたけれども、公立、私立の幼稚園、保育所、認定こども園等が一体となった幼児教育の質の向上や、小学校教育との円滑な接続なども視野に、幼保の別にかかわらず、教育面の共通した支援を行うことが求められていると思っております。保育士の確保が課題であるのですけれども、平成30年度の県の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
 国では、幼児教育センター設置を全国で求めておりますけれども、全国の取り組み状況を含めて、県の今後の取り組み方針についてもお伺いしたいと思います。
〇小野寺首席指導主事義務教育課長 幼児教育の質の向上、小学校との接続、あわせて幼児教育センターについての取り組み状況等でございますが、まず初めに幼児教育の質の向上につきまして、県教育委員会では、小学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通し、幼児のよりよい発達や学びにつながる幼児教育について、幼児教育に携わる教員及び保育士等を対象とした保育の専門性を高める研修会や、人材育成及び幼稚園、保育園の経営の充実を目指す管理職対象の協議会を実施してきております。また、本年度は、それに加え、これまでの研修を保育士の処遇改善につながるキャリアアップ研修と位置づけ、研修への参加意欲を高めながら、幼稚園教員、保育教諭、保育士等の資質向上に努めているところであります。
 あわせまして、小学校との接続でございますが、小学校低学年を主に、特に入学当初のことを意識したスタートカリキュラムというものがあるのですが、そのスタートのときのカリキュラムをどのように設定し、どのように指導すれば幼稚園の学びを小学校に生かすかということにつきまして、指定地域を決めて、実践的研究を進めているところでございます。
 次に、幼児教育センターの状況と県の取り組み方針についてでありますが、国では、平成28年度から、幼児教育の推進体制構築事業により、幼児教育センターの設置と幼児教育アドバイザーの配置による幼児教育の質の向上を目指しているところであります。
 文部科学省の委託調査によりますと、平成29年1月時点における幼児教育センターを設置している自治体は、全国の都道府県と全国の市町村のうち、43の自治体でありました。加えて、今年度、全国の状況について県教育委員会として情報収集いたしましたところ、幼児教育センターの設置に向け動いている自治体が確実にふえていると捉えているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、今般策定されたいわて県民計画(2019〜2028)長期ビジョン及び第1期アクションプランにおいて、幼児教育センターの設置や幼児教育アドバイザーの養成等による幼児教育推進体制の強化に取り組むこととしており、今後とも、関係する部局や関係機関及び市町村等との連携を深め、幼児教育の充実に取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 これは保健福祉部との連携も含めてということになると思いますけれども、保育士の確保が大変課題であるので、幼児教育センターを設置しても、研修を受けるための保育士さんの時間の確保もなかなか厳しいという実情も他県のいろいろな資料を見ますと書いてあり、そのとおりでして、ただ、質の確保は大変重要であると思っておりますので、ぜひ県のほうで引き続きセンター設置に向けて取り組みを進めていただきたいと思っております。
 なぜこの幼児教育について取り上げさせていただくかといいますと、県の子どもの生活実態調査の中間報告では、ひとり親家庭の貧困対策が急務であることなどが浮き彫りになりました。また、県内では、生活保護世帯の子供の大学等の進学率は、2016年度に28%、県全体の68.8%に比べると大変低くなっております。学歴が高いほど高所得の仕事につく割合が高い状況だと考えれば、学習や多彩な体験活動を小さいうちから支援する意義が大きいと言われております。また、体験から学ぶことは多くて、幼児期の環境で就学期に既に差が生じている場合もあると言われております。さらに、海外の研究では、低所得層の子供に質の高い幼児教育を提供することで、将来の経済状況の改善が期待できるという指摘もあります。
 岩手県医師会の少子化対策委員会でも、最近では、乳幼児期の非認知能力を高めるという取り組みが大事だということで、今年度から、県医師会でも取り組みがされていると伺っております。やはり小学校からも大事ですけれども、そこの時点で差が出ないようにするためには、未就学児の取り組みがすごく私も大事だと思っておりますが、県としての幼児教育、未就学時期の教育のあり方についての認識と、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇小野寺首席指導主事義務教育課長 幼児教育のあり方についての県の認識と取り組みについてでございます。
 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼児が身近な環境の中で、主体的な学びを通して試行錯誤を繰り返す中でさまざまな活動を展開し、充実感や満足感を味わうという体験を重視した環境を通して行う教育の充実が求められていると捉えております。また、子供が社会の変化に対応し、生きる資質、能力を育むためには、幼児教育から高校教育までを見通して、学びの連続性の確保がより重視されていると認識しております。
 取り組みといたしましては、繰り返しになりますが、関係部局や関係機関と連携を図りながら、幼児教育の充実に向け、幼児教育センターの設置や幼児教育アドバイザーの養成、そして、その活用のあり方などについても議論しながら、幼児教育の推進体制の構築に努めてまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。これは教育委員会だけにかかわらず、保健福祉部の分野がすごく大きくなってしまうのですが、他県では幼児教育という部分にも注力して、特に自然体験をたくさんさせることが非認知能力を高めるということで、森のようちえん事業をふやしたりということをされております。岩手だと保健福祉部になってしまうのですけれども、幼児教育センターを設置した中で、一緒に保健福祉部と教育委員会との連携で中身の充実を図っていく、長野県とか滋賀県でもそういう取り組みをされていますので、センター設置だけではなくて、どういうことをやっていくかという中身が重要だと思いますので、幼児期から義務教育課程を通じて、しっかり取り組んでいけるように対策をお願いしたいと思います。
〇佐々木茂光副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 先ほどICTにかかわる答弁で、間違って答弁しましたので訂正させていただきます。
 ICTを活用した学習活動の出欠扱いの要件でございますが、不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談、指導を受けられないような場合に行う学習活動とされておりますが、私は、相談、指導が受けられる場合と申してしまいました。正しくは受けられない場合ということで訂正をさせていただきます。
〇佐々木努委員 私は2項目を通告しておりましたが、教職員の不祥事事案の再発防止策については高橋はじめ委員が取り上げましたので、質問は割愛させていただきますが、いずれ、今年度になってからの教職員の不祥事事案については、ほとんどが酒酔い運転ということで、昨年度は1件もなかったのですが、ことしは半年で4件。これはまだ処分されていないので1件という形で私のほうには資料をいただきましたけれども、4件発生をしていて、忘れる間もなくファクスが来る状況で本当にびっくりしています。
 それで、酒酔い運転で捕まるというのは、偶然ではないと私は思っています、しかも4件も。こういう予備軍の方々というか、もう何度も繰り返している方々がもっといるのじゃないかと実は思っておりまして、これは何とかしないと、これからもこういう状況が私は続いていくのではないかと思います。
 それで、何か不祥事が起きるたびに教育委員会で頭を下げて、そして、それぞれの所属長に対して通知をするということがこれまでもずっと続けられてきましたけれども、何か起きてからではなく、私は定期的にしっかりと教育委員会で指導を行っていくことが大事なのだと思いますので、そこをぜひお願いしたいと思います。
 それではもう一項目、部活動について今回もお聞きをさせていただきたいと思います。
 初めに、通告していませんので、差し支えない範囲でお答えいただければと思います。
 私もちょっとうっかりしていまして、ことしの8月に岩手県における部活動の在り方に関する方針、これが改正されていたというのを気づかなくて、それで改めて慌てて見てみたのですが、大きく変わったところは、部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであり、参加を義務づけたり、活動を強制したりしないよう、留意することということが新たに加えられました。これは私は非常に重大なことだと思うわけですが、あえてこの方針に盛り込んだ意図をお聞きしたいと思います。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 昨年6月に策定した岩手県における部活動の在り方に関する方針を、今般改定いたしました。その改定のきっかけは、国の文化庁が示した文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの改定によるものでございます。県の方針につきましては、もともと運動部、文化部ともに該当する中身となっておりましたが、この国のガイドラインの改定をきっかけにいたしまして、これまでさまざま議論がなされてまいりました義務的な部活動のあり方、実態に対応いたしまして、今般、義務づけたり強制したりしないという趣旨を新たに盛り込んだものでございます。
〇佐々木努委員 そうしますと、県教育委員会としての考え方は、中学生あるいは高校生は、自発的に、自主的に部活動を行うべきなので、入部するかしないかについては本人の意思であるということを明確に打ち出して、それを学校現場に徹底させるという趣旨でよろしいということですね。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 今般の改定に伴いまして、全学校や教育事務所、各市町村の教育委員会を通じまして周知しているものでございまして、各市町村、各学校でも、県の改定の趣旨を踏まえての改定をお願いしているところでございまして、来年度から盛り込めるものについては取り入れてもらって活動に反映させていただくという流れで考えております。
〇佐々木努委員 これを子供たちや保護者に説明をするのは非常に難しいと私は思うのですけれども、これまではほとんど義務的にというか、強制加入のような形になっていたものが、こういう形で文書として出てくるということになると、では、入らなくてもいいのだよねということに必ずなってくると思います。それはそれで世の中の流れとか、あと全国的な傾向とか、そういうもので仕方がない面もあると思うのですが、そうなるとちょっと心配をされるのは、例えば中学校から高校に行く際の入試の内申書、これにどのように影響してくるのか。今までは、どこのクラブでこういう活動をして、こういう成績を上げてきたというのが評価されたりしているわけですが、今もそうなっているかどうかわからないのですけれども、その内申書にも影響してくるのだと思いますが、そういう面はこれからどう検討されようとしているのか、お聞きします。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 各市町村や各学校で、本県の部活動の在り方に関する方針の改定に伴っての趣旨を御理解いただいて盛り込んでいただくことになっているのですけれども、全ての改定が全ての学校において一律に同じようにとはすぐにはならないかという現状がございますので、各学校の実情等を踏まえた改定となろうかと思いますが、改定が進む中でさまざまな委員御指摘の問題ですとか課題も出てくるかと思います。少しずつ課題を整理しながら、今回の改定の趣旨に沿った方向性で部活動が進んでいただけるように努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 今の話はちょっと無責任ですよね。各市町村によって、部活動は別に入らなくてもいいのだよというところがあれば、そうじゃないところもあるということが、その生徒の将来に影響してくることに絶対なりますよね。教育委員会としては、それで本当にいいのか。県教育委員会としてそういうことでいいのか。勝手に各市町村で考えてやってくださいということで、本当にいいのでしょうか。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 委員御指摘のとおり、県の方針、国の方針に従っての大前提という方向性はございます。その方向性に向かっていただきたいということで、丁寧に説明を繰り返していきたいと思います。すぐにという、一律、来年スタートに全学校がとは現実難しい問題があろうかと思いますので、少しずつでもその方向性に向かうように丁寧に説明してまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 わかりました。まだ時間もありますし、市町村教育委員会とやりとりをする場面もあると思いますので、ぜひ子供たちの不利益になるような形にはしないように、よろしくお願いをしたいと思います。
 それで、部活動の在り方に関する方針の中で、部活動の休養日や練習時間が定められ、全県で同じようなルールで今部活動が行われていると認識をするわけでありますが、県内の全中学校において、県の方針に沿ったそれぞれの教育委員会あるいは学校の方針がきちんと守られているかどうか、その辺を把握されておりますでしょうか。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 中学校における各学校の方針に示された休養日、あるいは活動時間が守られているかどうかといった詳細につきましては、毎年、年度末の調査によりまして、全学校の実態把握をすることといたしております。
〇佐々木努委員 まだ調査はしていないということのようでありますけれども、私も自分自身で学校に聞いたりして調査をさせていただいているわけですが、学校側の話ですと、このルールを学校としてはきちんと守っていると。部活動もきちんと決められた時間、そしてその後のスポーツ少年団の活動、部活動の顧問がそのままスポーツ少年団の指導者をしている場合は、きちんと2時間で練習を終わらせている、そのように学校側としては守っていると。ところが、そうではない、部活動が終わって、そしてその後スポーツ少年団の活動に移るときに、顧問の先生がそこから抜けるという形になると、地域の指導者が入ってくる。その方々がなかなか時間を守らない。3時間、4時間という練習になってしまう。あるいは、土日も中学校の顧問の先生がいなければ丸々土日練習をする、あるいは早朝練習をするということがある一部の部で行われているという状況。これは私が調査をしたところ以外でも、多分、全県そういうことになっていると思っています。
 本来、部活動改革については、先生方の働き方改革の側面もありますが、私は子供たちの多忙化についても解消するために、これは文部科学省なり教育委員会が取り組んでいるという認識をしているわけでありますけれども、一部においてはそういうものが守られていない。それぞれの市町村教育委員会、学校が方針をつくってからもう半年になるけれども、学校の力が及ばないところでそういう状況が続けられているということに対して、どのような所感をお持ちでしょうか。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 部活動を補完するような形で、保護者主宰ですとか、委員御指摘のスポーツ少年団に引き続いての活動ということでございますが、今回の方針でも、引き続き同じメンバーで活動する場合には定められた活動の時間の中でということで、あらゆる機会を通じまして説明し続けているところでございますが、実態は、委員御指摘のとおりの現状もございます。多くの学校では、地域の指導者や保護者が一体となった中学校の部活動連絡会というのを開催しておりまして、その中で正しい時間の順守ですとか望ましい部活動のあり方について、共通理解のもと進めていただいておりますので、そういったところを進めながら、少しでも方針に沿った形で全体の活動が行われるように進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 学校としての取り組みがしっかりとされていると、それ以外のことについては地域の活動だという認識で、このままの状況で教育委員会としては特にアクションを起こさないということになるのか、それとも、さっき私が指摘したように、実態はそういうことになっているということに対して、県教育委員会としてしっかりと動かれるのか。あるいはそのあたりの地域との調整、それを学校がやるのか、一体誰がやるのか、一番難しいところだと思うのですけれども、学校の力が及ばないところもあると思うので、一番難しいところなのですが、それを誰がやるべきだと思うのか、所感をお伺いたします。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 一番肝心なことは、生徒が安全第一で、生徒の心身ともに健全な育成を目指すものがスポーツ活動、部活動という認識に立っておりますので、生徒が望ましい活動を進めるために母体となる、部活動が基本であれば中学校の教員が中心になって望ましい活動を進めますが、その後、例えばスポーツ少年団に移行する場合は、その生徒がそのまま引き続き活動するということでございますので、中学校が、地域の指導者ですとか保護者と一体となって同じ生徒をきちっと育てるという観点で指導していただきたいと、県教育委員会としても進めてまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 先ほど部活動連絡会のお話が出てきましたけれども、私は前に、部活動連絡会のメンバーに生徒も加えるべきではないかということを指摘させていただきました。そのときは検討しますという話でしたが、今回はそれは改定をされていません。子供たちもそういう場に入れて、こういう議論をみんなでしているから練習時間を守ろうということを、生徒にもしっかり植えつけていくことが私は大事だと思います。指導者の言いなりになって時間を守らないで練習をするようなところがどんどん出てくれば、子供の教育そのものに大きな影響が出てくると思いますので、その部分も御検討いただきたいと思います。
 最後になりますけれども、今、中学校のお話をしましたが、高校の部活動は、本当の意味で高校生が自主的に活動しているのだと思いますので、私的には、何時間練習しようが、365日練習しようが、それはそれで仕方がないというか、いいのかもしれないと思うときもありますが、ただ一方で、私は議員になってから毎年のように高校生の子供を持つ親御さんから、高校の部活動のことについていろいろ要望をいただいています。一般質問でも何度か取り上げさせていただきましたが、とにかく休みは一切ない。ゴールデンウイークも休みが一切ない。それで疲れて帰ってくる。将来、大学入試を控えて、自分の進路をしっかりと目指すことができるのか、そういうことが親としては非常に不安だという指摘をたくさんいただいてきました。教育委員会のほうにも直接そのことを申し上げたこともありますけれども、これは最後に教育長にお聞きをしたいと思いますが、高校生の部活動のあり方、特に休養日の設定とか、方針ではうたわれていますけれども高校生はかなり緩いと実は思います。これに沿ってやっているところはほとんどないと私は思っていますが、方針をしっかり定めたのですから、これをどうやって守らせていこうとお考えなのか。そして、中学校の部活動、先ほど私が申し上げましたさまざまな課題について、教育長としてどのように改善をされていこうとしているのかを聞いて終わります。
〇佐藤教育長 県でこの方針を定めたわけでありますので、これは当然に、市町村教育委員会そして各学校現場に、県の方針としてしっかり浸透させ取り組んでいただくことを、私どもはしっかり取り組んでいかなければならないと考えております。
 また、高校の部活動についても、休養日をしっかり確保するということについて、私は県立高校の校長と懇談する機会も持っておりまして、そういった場でも働き方改革あるいは部活動指導員の配置をして取り組んでいただくようお願いをしているわけです。ただ、懇談の中では、部活動の指導に情熱を燃やしている教員も中にはいると。なかなかしゃべりづらいということもお聞きするのですが、そうは言っても、選手強化とかいろんな取り組みをする中で、1人の監督とか教師に負荷がかかるようではだめじゃないかと。今の時代はチーム的に取り組みの仕方も変わってきているということもあるので、さまざま工夫をしながら、そのために部活動指導員も配置しているので、子供たちの健康状態も考慮しながら、あるいは試験期間とかをきちんと配慮しながら対応するよう指導をお願いしておりますので、そういった取り組みは引き続き徹底をしてまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 関連。先ほど清川総括課長の答弁の中にあったことでちょっとお聞きをしたいのですけれども、部活動というのは強制加入ではない。にもかかわらず、子供や保護者の間には、3年間の間に転部すると、その後、高校入試の際に使われる内申書に影響があるということが通説として語り継がれておりまして、我慢をして3年間、つらい思いをしながら部活動を続けている子供、それを見守る保護者も大変多うございます。
 新しい取り組みを中学校に要請していくのは、私も転部した娘を持つ親として大変歓迎をしておりますけれども、その取り組みを進めるのであれば、高校入試の中で、一定程度、内申書を加味する学校もありますね。その学校を受験する子供たちにとって、その取り組みを県教育委員会がことしの8月から進めているのであれば、受験生にとって内申書の部活動についての記載をどうするか。中学校の制度を変えるのであれば、それの受け皿となる高校入試の内申書の中で、部活動をどう扱うかということについても、高校にもそれなりの指針を出すべきだと思うのですが、市町村教育委員会に任せて中学校などで取り入れるのは段階的にというお話もありましたけれども、それではちょっと子供たちの利益のことを考えれば、部活動の強制加入をやめようという学校はなかなか減っていかないのではないかと思いますが、高校側への働きかけも必要だと思いますが、その点について再度お願いいたします。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 入試の調査書のことでございますが、今は部活動の欄と独立したものは一切ございません。部活動とか、委員会とか、あとボランティア活動をしたとか、そういうことを書く枠が一つあるだけになっておりますので、例えば1年生のときに運動部で2年生のときに文化部になったとか、そういう記載があっても不利になるとか、そういうことは一切ございません。
〇千葉絢子委員 それでは、学校の現場の保護者と子供たちに、非常に間違った認識が植えつけられておりますので、そこは各市町村教育委員会を通じて、ぜひ子供と保護者に正しい理解が得られるように、強制加入ではなく、学校の教育の一環ではないのだというところを認識していただけるように御指導をいただきたいと思います。自発的そして自主的な活動であるというところを、本当に理解していない子供たち、保護者が多いのです。なので、それが部活動での困難につながっていることも現状でありますので、ぜひそこを、通達の仕方を今一度お考えいただきたいということをお願いして終わります。
〇斉藤信委員 関連。部活動にかかわって、私は保健体育課総括課長の答弁は不十分だと思うのです。部活動が生徒の自主的、自発的な活動だというのは、今に始まったことじゃないのですよ。これは文部科学省の基本的な立場でしょう。学習指導要領でどう規定されているのか。ところが、今まで岩手県は強制加入をしてきたと、ここに一番の問題があったのです。本来、自主的、自発的活動なのに、全国で岩手県の強制加入率が一番高いのです。私はそこに大きなゆがみがあったのではないかと思いますが、そこの基本点をしっかり説明してください。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 部活動はこれまでどおり、教育の一環として取り組む中高生の人格形成に大きな意義のある活動であると捉えております。部活動が強制加入ということで取り進めていたわけではありませんが、そういった背景がございまして、各学校では、慣例によりまして、恩恵の高い部活動の加入率というものにつながっていると捉えております。
〇斉藤信委員 総括課長、そんな認識じゃだめなのですよ。結局、自主的、自発的な活動ということを今まで徹底してこなかったから強制加入が続いたのです。今回、文部科学省の部活動のガイドラインもそうですし、県でもそうなのですけれども、なぜこの自主的、自発的活動ということを明記したかというと、一つは教師の多忙化ですよ、部活動が大変な負担。もう一つは、スポーツ医・科学の観点から見て休養日が必要だと。子供の成長過程にとって、適切な部活動のほうが適切な活動なのだと、こういう到達点で出されているのです。もちろん今までの経過があるから、私はまだまだ学校現場、生徒のところまで徹底しているとは思わないけれども、そういう中身をしっかり徹底して―自主的、自発的活動というのは、本当は生徒の意欲の出る活動なのです。強制でやるのではないのだから。これぐらい意欲の出る活動はないので。そして自分たちで活動計画を立て、目標を立てて取り組むという本来の姿に部活動を改革しようというのが今度のガイドラインですよ。私はその趣旨をしっかり徹底すべきだと思います。あなたの答弁は聞いていて全然不十分ですよ。もう一回お聞きします。
〇清川首席指導主事保健体育課総括課長 今回の改定と昨年の方針の策定の周知をどのようにするか、しっかり進めてまいりたいと思いますが、何よりも生徒の健康、安全、それから過度な練習が生徒の心身に与える影響が大きいということを丁寧に説明しながら、しっかり浸透させてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時6分 休 憩
午後3時23分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ10人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇郷右近浩委員 では、簡潔に質問してまいります。
 私からも、先ほど来質疑がありました適切な部活動という観点で何点か質問させていただきたいと思います。
 部活動指導員の配置事業について私からも質問させていただきます。
 部活動指導員につきましては、平成29年度はモデル事業として、そして平成30年度は新規事業として2、600万円ほどが予算化され、平成30年度において中学校15校15名、高等学校23校27名が配置されたと承知しているところであります。その中で、配置された学校現場、そして県教育委員会の評価と課題をどのように捉えているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 昨年度、部活動指導員を配置いたしました県立学校を対象にいたしました状況調査によりますと、部活動指導員の専門的な指導により、指導体制が充実した、あるいは顧問教員の部活動指導従事時間数が減少したといった回答が8割を超えるなど、配置による成果があったと捉えております。
 一方で、地域によっては、部活動指導員の配置を希望しても各競技の専門的な指導ができる人材の確保が困難であること、あるいは、既に外部コーチが複数いる中学校の場合、1人に絞ることによって不公平感につながるといった理由などからなかなか配置が進まないといった課題もございます。
〇郷右近浩委員 今回の部活動指導員の配置については、そもそも部活動における教員の長時間労働の是正、さらには、部活動自体を、子供たちにとってきちんと1時間なら1時間、しっかりとした濃密なものにするといった中で、専任の指導員、これまでいろいろな経験をしてきた指導員の方々に指導していただくことができる。これは双方ウイン・ウインの関係でそうしたことができるというもので、私自身、すばらしい形で進むのではないかと期待してこれまでもずっと委員会等で質問させていただいてきたものであります。
 そうした中にあって、令和元年度9月末日付で中学校55校60名、高等学校34校45名の配置と大幅にふえてきているということで、これは、先ほどいただいた評価が周りにも浸透してきた中で配置がふえてきているものと私は考えるわけであります。ただ、先ほど34校45名と言いましたとおり、今後、各校において複数名の配置の要望がどんどん出てくるのではないか。
 当初、平成29年度のモデル事業のときには中学校1校に対して1名―サッカー部でしたけれども―そういう形であった。各校1人だけ。ではサッカー部だけではなくほかの部、バレーボール部でも欲しい、何部でも欲しい、そうした形の中でふえてきた。またさらには、先ほど御説明あったとおり、これまでやっていただいてきた外部講師の方々を部活動指導員として、引き続き教えていただく体制をとっていった。
 その要望等に応えるため、どんどんふやしていくことも考えていかなくてはならないと思いますけれども、今後の対応や指導員の展開等をどのようにしていくのかお伺いしたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 委員御指摘のとおり、複数名の指導員の配置を希望している学校もございます。今後、そういった学校の要望にも応えていきたいと思います。そういったところで配置をどんどん進めてまいりたいと考えております。
 また、現在、未配置の市町村あるいは学校に対しましても引き続き事業の周知を図りながら、複数の部が活用できるアスレティックトレーナーの任用や文化部の指導者の任用の事例等も紹介しながら制度の充実に努め、事業を推進してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 冒頭に平成30年度当初予算が2、600万円ほどというお話をさせていただきました。これが平成31年度当初―令和元年度分で4、600万円余。そしてその予算は、高等学校における部活動指導員の配置については全額交付税措置されるものでありますけれども、中学校においては、国3分の1、県3分の1、そして市町村3分の1と。結局、それぞれ市町村もこの財源をしっかりとつくり上げていかなければならないという中にあって、また、そもそも論でいうと、国がどのぐらいの規模まで交付税措置というかお金を出してくれるのかといった部分を考えると、全ての要望に応えられるのか、どのような形の部活動のあり方というか指導体制のあり方を考えていくのか。そうした部分は、県教育委員会は何か……どのぐらいまでできるといった考え方なのか、どういうふうに進ませたいという考え方なのか、そうしたものをどのように持っておられるかお伺いしたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 国が示しております展開につきましては、毎年1人ずつ増員していくということで、3カ年にわたって、最終的には各校3名ずつという配置を見込んでいるものでございまして、その分の予算措置も準備されていると捉えております。
 それにあわせて、市町村は3分の1の負担もございますが、委員御指摘の教員の負担軽減という点と適切な部活動の推進という二面性をしっかりと実現するために、趣旨の理解を進めながら市町村にも要請していきたい、配置を進めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 先ほどの佐々木努委員の質疑の際に部活動のあり方というお話がありました。部活動のあり方自体、そして適切な部活動はどのような形なのか、過渡期なのかなという気もします。それぞれの学校がそれぞれの学校としてさまざまな種目のクラブをつくれなくなったといった部分があったり、またそれが、いつか来た道でありますけれども、総合型地域スポーツクラブのほうに行って運動活動をやるといった考え方であったり、またさらに、もちろん学業という部分、そして子供たちの体の健全な育成という面から、その中で部活動のあり方をどのようにしていけばいいか、全てのバランスを今、本当に考えていかなければいけない、トータルで考えていかなければいけないと思いますが、そうした中で、ぜひ子供たち、学校現場にとって最善の道を進めていっていただければと思います。
 次に、その中で子供たちの体の部分に関することでありますけれども、県内公立中学校へのエアコンの設置についてお伺いさせていただきたいと思います。
 平成30年度の補正予算において計上されましたブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金を活用したエアコンの設置でありますけれども、そもそも設置予定なしとした市町村はともかく、設置予定とした市町村でもまだ設置になっておらず、来年の夏にも間に合うかどうかわからない状況になっているものと私は認識しております。
 一義的にこの部分については、県教育委員会のほうでどうこうしろという話はできないものと認識しておりますけれども、県としては今のこの状況をどのように認識しているか、どのように要因を把握しているのかお伺いしたいと思います。
〇新田学校施設課長 市町村立の小中学校につきましては、国の臨時特例交付金を活用してエアコンを整備することとしております。現在、各市町村において事務を進めているところであり、今年度稼動予定と来年度稼動予定がおおむね半々程度と聞いております。
 花巻市を初め、着手が早かった市町村におきましては、今年度、既に稼動しておりますが、一方で、学校数が多い市町村では、学校ごとに電気設備などの条件が異なり、設計に時間がかかることから来年度の稼動となりますが、全ての市町村が今年度中に設置を完了する見込みであると聞いております。
〇郷右近浩委員 今回のエアコンの特例交付金ですけれども、これについては充当率100%、交付税措置60%ということで、ざっくり言って27%ほど市町村の持ち出し分が出るということで、非常にそうした部分も悩ましい結果になっているのかなという思いもあります。ただ、せっかくつけるという方針で進んでいる以上、だとしたら一つでも次の夏にしっかり間に合うような形でつけていっていただければと思います。
 そしてそのことは、もちろん高校の現場にも同じことが言えるのではないかと思っております。県立高校においては、これまで、県が県単事業として保健室及び夏期課外学習室へ設置してきたものと承知しておりますけれども、まだ83%、55校しか設置されていない。残り17%、11校はどのような対応になっていくのかお伺いしたいと思います。
〇新田学校施設課長 現時点で未設置の11校についてでありますが、エアコンの設置に伴い電気設備などの更新が必要となることから、当初の整備スケジュールどおり、今年度内に工事を完了させて来年の夏から稼動を予定しておるものでございます。
〇郷右近浩委員 ぜひ間に合わせていただきたいと思います。ただ、私自身は、高校においても、保健室や夏期課外学習室のみならず普通教室への設置も必要ではないかと考えているものであります。この暑さというのは、小学生や中学生はもちろん体力的なものもあって、守っていく優先順位を考えて、国も今回このような措置を出してきたのだと思っておりました。しかしながら、やはり子供たちが勉強するしっかりとした環境をつくっていく中にあっては、やはり高等学校への設置も必要ではないかと思っているわけでありますけれども、それに対しての県のお考え。そして、国等へ例えば要望等をもし行っているとすれば、そうしたものもあわせてお知らせいただきたいと思います。
〇新田学校施設課長 県立高校の普通教室へのエアコンの設置についてですが、生徒等の熱中症対策や学習環境の改善という観点から極めて有効であり、小中学校と同様に整備を進めていく必要があると考えております。
 ただ一方で、導入に当たりましては相当程度の財政負担が伴うことから、引き続き国に対して地方財政措置の拡充を要望していくとともに、県におきましてもさまざまな整備方法等を検討するなど、計画的な整備に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 また、国に対する要望についてでございますが、本年6月に、令和2年度政府予算提言、要望としまして、小中学校と同様に高校へのエアコンの設置に係る事業も国庫補助対象とするように要望しているところでございます。さらに7月には、全国都道府県教育長協議会及び全国都道府県教育委員協議会を通じまして、高校におけるエアコン設備の設置について地方財政措置の拡充を求めるように要請しているところでございまして、引き続き国に対して要望していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひ要望活動を続けながら、ただ、その要望はどれぐらい実る形になるのかあれですけれども、その際、しっかり県として、ではどうできるか、そうしたものをあわせて考えていっていただければと思います。
 私自身も平成29年に金ケ崎中学校の生徒からお手紙をいただいて、部屋が40度になると。校舎を新しくしたがゆえに風が通らなくて、授業中に40度になる部屋で授業しているのだといったことで、金ケ崎町教育委員会と一緒に見に行って、まさにそうだったということがあります。その子は受験生、3年生だったわけでありますけれども、そんな中で勉強していることを考えると、先生も本当にふらふらしながら授業をしていたのが私の目にしっかりと、まだ鮮明に覚えているのですけれども、ぜひそうした環境を少しでもよくしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
〇高橋穏至委員 関連。ただいまの郷右近浩委員への答弁の中で、部活動指導員制度について、今後需要があればどんどんふやしていきたいということでした。私、この間の一般質問で、根本的やり方を考えて、一般のクラブチームのあり方、中学校のスポーツの振興のあり方ということで質問させていただいたのですが、そのときは、根本的なあり方として、知事部局である文化スポーツ部と連携しながら全体的に考えていくという答弁をいただいたような気がしたのですが、どうなのでしょうか、この整合性は。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 今回の方針のお話とあわせて、現状、中学生のスポーツ、文化の活動につきましては、研究チームを立ち上げて調査研究をすることといたしております。
〇高橋穏至委員 研究していくということはあったのですが、今の答弁を聞いていて、学校教育の中の部活動の中でという答弁にしか聞こえなかったのです。学校教育の中だけではもう限界が来ているので、総合的にやったほうがいいというのを一般質問で聞いたのですよ。私は、そのときの教育長からの答弁からも、それを踏まえて検討したいと聞いたように思ったのですけれども、先ほどのやりとりは学校教育の中でというふうにしか聞こえなかったので、そこら辺、教育長、どうでしょうか。
〇佐藤教育長 一般質問で高橋穏至委員から御質問をいただきまして、私もそのようにお答えしております。
 今回、望ましい部活動のあり方を検討する必要があるということで、その中でプロジェクトチームを立ち上げて、教育委員会のみならず、文化スポーツ部等、それから関係団体等、有識者からの御意見も参考にしながら生徒本位の有意義な活動の方向性について検討していくとお答えしておりますので、そのように、今後は、チームでの検討もまた県教育委員会が主体となって、子供たちの望ましい部活動のあり方をしっかり検討していきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 答弁の訂正をさせていただきます。
 岩崎委員からいじめの重大事態についてお尋ねをいただきましたが、小中学校の重大事態を私、11件と申してしまいましたが、正しくは10件でございました。10件ということで訂正をさせていただきます。
〇松倉史朋委員 私からは、大きく2点、質問いたしたいと思います。
 初めに、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書341ページ、第10款教育費第6項社会教育費第1目社会教育総務費、備考の生涯学習推進費についてであります。
 当該費用には、平成30年度主要施策の成果に関する説明書115ページに記載されております児童生徒の読書者率の向上に係る事業費用が含まれているわけでございますけれども、当事業に関して幾つか質問させていただきます。
 まず、当事業において目標とされている読書者率の向上というところに関しまして、読書者の定義及びその向上のために県が行っている施策を具体的にお教えいただけますでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
読書者の定義でございますが、1カ月の間に1冊以上本を読んだ児童生徒としております。
 また、県の施策につきましては、本県では5年ごとに岩手県子どもの読書活動推進計画を策定いたしまして、子供の読書活動をどのように進めるかというところを方針を決めて進めているわけですけれども、岩手の子供が自主的に読書活動を行うことができるよう、子供が本に親しむ環境づくり、家庭、地域、学校等が連携、協力した取り組みの推進、子供の読書への関心を高める取り組みの推進、この三つの基本的な考え方のもと、一つは、県内6の教育事務所ごとの読書活動推進体制の整備、二つ目は、本県オリジナルの100冊分のブックリストの配布等による普及啓発の取り組み、三つ目は、ボランティアや学校担当者の資質向上のための研修などに取り組んでいるところでございます。
〇松倉史朋委員 その定義に関して、近年ではスマートフォン等の操作時間が若い世代を中心に増加中でございますけれども、そちらの定義の中の1カ月に本を読んだ児童生徒というところに関して、その本というところの読書に関しまして、スマートフォンやタブレット端末等による閲覧は含まれているのでしょうか、御回答くださいませ。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
本県におきましては、毎年10月に県内小、中、高等学校を対象に、岩手県子どもの読書状況調査を行いまして、読書状況の把握に努めているところでございます。その質問項目の読書活動という中に電子書籍での読書も含めているところでございますが、いわゆる通常の紙媒体の読書と電子書籍での読書を分けては把握しておりません。
〇松倉史朋委員 分けて把握されていないというところに関しまして承知いたしました。
 主要施策の成果に関する説明書の115ページでございます。こちらの実績値を見ますと、学年が進むにつれて読書者率が低下していることが見てとれます。小学校においては99%、中学校においては95%、そして高校になると77%と。特に高校生になると数値の減り幅は顕著になっております。こちらの要因というのは何であるか所見をお聞かせ願えますでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
学年が上がるにつれて読書の状況が停滞していくのは全国的な傾向でもございますが、先ほど申し上げた本県の子どもの読書状況調査によれば、特に中学生、高校生において1カ月で1冊も本を読まなかった理由、本を読まなかった児童生徒に問うた理由では、読みたい本が見当たらない、勉強や部活動が忙しく、読書の時間が確保できないことなどが主要な理由として挙げられているところでございます。
 それに対しまして、県といたしましては、先ほど申し上げましたが、県の、特に中高生をターゲットにして、中高生のためのブックリスト、いわての中高生のためのおすすめ図書100選、略していわ100と呼んでおるのですが、そのブックリストを全ての中高生に配布し、その活用を奨励しているところでございます。
 また、同時に、県内全ての中学校、高等学校の図書館担当者を対象といたしまして悉皆研修を行いまして、今申し上げましたブックリストの活用方策や、最近は子供同士で本を紹介したり話し合いや批評をしたりするビブリオバトルというのが非常に注目されているのですが、そういう取り組みの実践事例の研修であるとか、あるいは、公立図書館と学校図書館担当者相互のネットワークづくりを促すなどの取り組み、加えまして、学校における一斉読書活動の実施など、読書に取り組む時間の確保の促しに取り組んでいるところでございます。
〇松倉史朋委員 先ほど、中高生に対して100冊分のブックリストを配布されていると御答弁いただきました。こちらのブックリストというのは、具体的にはどういった年齢層といいますか、どういった方々が選定しているのかお聞かせ願えますでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
現在、配布しておりますのは一昨年改定したものでございますが、その選考に当たりましては、県内の公立図書館の司書、高等学校、中学校の図書館担当の先生、それから、地域において読み聞かせ活動等のいろいろな読書推進に係る活動を展開されている活動実践者の皆さん等々で構成する選定委員会を設けて選定したということでございます。
〇松倉史朋委員 ブックリストに関しまして、図書館の司書や先生方から選定いただいているということですけれども、このブックリストに対する感想といいますか、実際に読むのは中高生の皆様でしょうから、そちらからのフィードバックはとっているのでしょうか、お伺いいたします。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
手元に資料を持ち合わせていないのですが、印象深いのは、ある高齢の女性からお手紙をいただきまして、子供に本を贈りたいのだけれども、何を贈ったらいいかわからなかったと。そうしたところこのブックリストがあるという話を聞いて、それを通して本を選んで贈ることができた。とても助かったというようなお手紙を頂戴したのが一番印象に残っております。
 そのように、一人一人の読む本のガイドになると同時に、今、公立図書館あるいは学校図書館の選書の一つの参考に活用いただいているという面もございます。
〇松倉史朋委員 先ほど、高齢の方からお手紙をいただいた、大変役立ったというお話を伺いましたけれども、何と申しましょうか、それは選ぶ人にとってはよかったのかもしれませんけれども、実際に読むのは中高生でございますので、読者にとって魅力ある本の選定が必要になるのではないかと思います。そのためには、やはり若い年代層、大学生、もしくは当の読む学生本人たちの意見も取り入れるべきではないかと思うのですけれども、そちらに関しての所感をいただけますでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
先ほど、一昨年改定したと申し上げたのですが、そのときの選書委員会は先ほど申し上げたとおりでしたが、その前、初版の選定の際は中学生と高校生にも編集委員になっていただいて選定に取り組んだ経緯がございます。
 今回、初版の100冊のうち50冊を入れかえて改定して出したのでございますが、御指摘のとおり、中高生のニーズに合っているかということは非常に重要なところでございますので、今後、その視点ももちろん大事にしながら取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇松倉史朋委員 そこに関しまして一つ質問でございますけれども、初版のものに関しては中高生にも選んでいただいたと。昨年度からはそれを除いたということでございますけれども、そちらを除かれた理由に関しましては何か経緯等ございましたでしょうか、御説明をお願いいたします。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
100冊のうち約半分ぐらい取りかえたと申し上げましたが、その取りかえた50冊の中には、既に絶版になって販売されていないもの、それから、今回は震災後に改定ということもございまして、震災を踏まえた―今すぐは申し上げられないのですが―テーマをいろいろ決めて選書しておりまして、震災後の復興に向けてというテーマを一つ掲げたものですから、そこの入れかえ。それから、時代に応じた、ぜひ今こそこれが必要だというような本のセレクトにも取り組んだという事情がございまして、結果、50冊の入れかえとなったものでございます。
 もちろん最初の50冊は、引き続き重要というかぜひ読ませたいということで掲載を継続しているものでございます。
〇松倉史朋委員 テーマを絞られたことによって改定が行われたということでございましたけれども、テーマを絞られたから中高生を除かれたということになるのでしょうか。
 また、この事業の目的に関しましては、読書率の向上でございます。確かに読んでほしい本のテーマはあるのでしょうけれども、読書率を向上させるためには、やはり若い人たち向けのテーマ選定が必要であると考えるわけですが、そちらのほうはいかがでしょうか、お答え願えますでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
言葉が足りませんでした。テーマを絞ったわけではなく、テーマ数はそれぞれ、済みません、今手元に資料がないのですが、10テーマぐらいの設定があったと思います。その中で入れかえをしたということであります。
 中高生を今回、選定に加えなかったことについては、非常に残念ではありましたが、いろいろ制約があってちょっとそれがかなわなかったということで、今後、その声はできるだけ取り入れる工夫をしてまいりたいと思います。
〇松倉史朋委員 今の御答弁の中にございました制約について、もしわかるようでしたらお教え願えればと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
さまざまいろいろな補助事業の上で、適切な財源の活用により進めなければならないというところから制限があったと御理解いただきたいと思います。
〇松倉史朋委員 たびたび同じことを聞いてしまって申しわけありませんけれども、財源的な制約と、中高生、若い人を排除するというか意見を入れなかったこととどのように関係があるのか、もしおわかりになるのであればお教え願いたいなと。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長
結果、排除と言われれば受けとめざるを得ないのですが、意図して排除したわけではなく、残念ながら今回はその方策を取り入れることができなかったと御理解いただきたいと思います。
 言うまでもなく、先ほど申し上げましたが、中高生のニーズ、思い、どういうものを求めているかが最も重要なわけで、大人がこれを読みなさいと押しつけるような考え方は全く持っておりません。願いはもちろんございますけれども、子供たちの立場になって考えつつ、自主的に本を手にとることができるようにするにはどうしたらいいか、どういう方策が考えられるかというもとで取り組みを進めているところで、まだ力不足のところはございますが、今後さまざまな方の御意見を頂戴しながら工夫をして取り組んでまいりたいと思います。
〇松倉史朋委員 何度も質問をしてしまいまして申しわけございませんでした。
 読書率の向上は、我が県における児童生徒の学力の向上に密接にかかわっている案件であると考えますので、引き続き、皆様におかれましては、よりよい施策の実施を目指していただくことを要望いたしまして次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書329ページ、第10款教育費第1項教育総務費第3目教職員人事費、備考の教職員人事管理費についてであります。
 当該費用には、平成30年度主要施策の成果に関する説明書120ページに記載されております部活動指導員配置に係る事業費用が含まれているわけでありますが、当事業に関して質問させていただきます。
 なお、先ほどこれに関しては質問がなされたところでございますので、私からは幾つか割愛して質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、先ほど御答弁がありました、部活動指導員の状況調査で、配置の効果があったという回答が8割あったことについてでございます。こちらの8割の効果というものの効果測定に関しましては、現場の教職員の方一人一人にアンケートをとってやった結果でありますでしょうか、お答え願えればと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 配置した学校での調査でございますが、部活動の担当顧問の各学校1名の実施状況の調査の回答によるものでございます。
〇松倉史朋委員 各1名といいますと、では、各校から各1名のアンケート調査という認識でよろしかったでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動指導員を配置した各部の顧問から聞き取って、学校代表が回答したということでございます。
〇松倉史朋委員 では、各校の代表の方から聞き取りを行ったという認識だと捉えました。
 それに関して、現場の教職員の方の多種多様な意見も必要になるのではないかと思うわけですけれども、現場の教職員の方、実際に教壇に立たれている方、部活動にかかわっている方々はたくさんいらっしゃると思います。今後、その方々に広範なアンケート、広範な調査を実施する計画はございますでしょうか、御回答をお願いいたします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 現段階では、全員の教職員に向けてのアンケートの計画はございませんが、いずれ配置人員をきちっと検証していく上で、現場の教員の意識をしっかり吸い上げながら次の事業につなげてまいりたいと考えております。
〇松倉史朋委員 現在、人材確保難、多種多様なスポーツがございますので、なかなか全てに万能な方というのはいらっしゃらないでしょうけれども、この人材確保に向けていろいろと取り組みはあると思いますが、具体的なところをもしよろしければお教えいただけますでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 先ほどもお答えいたしましたけれども、地域によって専門の指導者がいないという現状が一番深刻でございますが、どの競技にも共通する、いわゆるトレーニングを指導するトレーナーや指導者の活用というのは大変有効と考えておりまして、専門の競技でなくても複数の部に効果的な指導ができる、そういった任用も有効と考えておりますので、そのあたりも広めてまいりたいと考えております。
〇松倉史朋委員 確保というところに関しまして、具体的にどのように人を集めているのかに関して質問したいと思います。
 ハローワークとかたくさんあるのでしょうけれども、そういう専門技能を持った方の募集というのは非常に、なかなかそこら辺にいるものではないと思いますので、それをどうやって集めて来ていただくのかに関してはどのような施策を実施しているのかお答え願えますでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動指導員の任用につきましては、希望する学校が基本的に地域の人材を探しまして推薦するという形で任用が進められるといった仕組みになっております。ただ、専門的な指導の人材の確保が難しいといった面につきましては、競技団体等から紹介をいただくなどしながら地域の人材活用ということにつなげております。
〇松倉史朋委員 先ほど、今後の採用人数の目標というところで各校3名という御回答があったと思います。多種多様な競技があるわけですけれども、この3名という人数につきましては調査の結果そのように決定されたのかお伺いしてもよろしいでしょうか。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 3名につきましては、国の方針の段階的な措置でございます。
〇松倉史朋委員 部活動指導員につきましては、現在、教職員は多忙で、教職員を希望する学生もいないと聞いておりますので、今後、職員の待遇改善において非常に重要な施策と思います。ぜひ皆様にはよりよい施策の実施を要望いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、いわて進学支援ネットワーク事業に関して質問をさせていただきます。
 こちらの事業、平成30年度の主要施策の成果に関する説明書の中で、医学部の進学セミナーを開くものに対しても事業費が決算の中で計上されているのですが、この医学部進学セミナーへの参加校が昨年度はゼロ校となっておりますけれども、その理由は何だったのかについてお聞かせください。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 平成30年度医学部進学セミナーの受講学校がゼロ校だった理由についてでございますが、医学部進学セミナーは、職業としての医師への理解を深めるとともに、医師を志す動機づけを図り、本県の地域医療の将来を担う医師の確保、定着を促進する目的で、保健福祉部が主体となって実施している事業でございます。
 平成29年度までは3月に実施しておりました。しかしながら、医学部進学者の拡大を図るため、高校1年生が進路決定―文系とか理系とか分かれる前に本セミナーを開催することが効果的であると判断いたしまして、開催時期を3月からことしの8月に変更したものでございます。そのため昨年度はゼロ校という形になっております。
〇ハクセル美穂子委員 効果のある時期にやるべきだというお考えがあって時期をずらしたという御説明がありました。それについては、私も効果がある時期にやるほうが絶対にいいと思いますので、3月よりは8月のほうがいいという御判断をしたことについては賢明な御判断だったのだろうと理解しています。
 それでは、この医学部進学セミナーの今年度8月に行ったときの参加者の人数や、参加された方の反応等について、どういったお声があったのかについてお伺いしたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 今年度8月3日に実施いたしましたセミナーにつきましては、県内15校から86名の参加がございました。アンケートでは、セミナーに参加した高校生の9割がセミナーを受講したことで医師を目指したいと回答しているなど、医学部への進学を志望する生徒の拡大につながっているものと認識しております。
 感想ですけれども、地域医療について初めて詳しく知ることができて興味が湧いた、ふだんの勉強の仕方がわかったなど、1年生の早い時期に開催することで医学部進学の意欲につながっているものと考えております。
 今後も引き続き、医学部進学を志望する生徒が目標を着実に実現できるとともに、本県の医師の確保につながるよう一層の内容の充実に努めてまいります。
〇ハクセル美穂子委員 目標では10校という中で、15校から86名。人数的には若干……。募集人数は150名程度を目標にされていたと思うのですが、それにはちょっと少ない感じはしますが、来てくださったと。
 86名は全部1年生なのでしょうか。募集要項の中には1年生、2年生、3年生とその保護者と書かれているのですが、実際の1年生の生徒数がもしわかれば教えていただきたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 人数でございますが、1年生に限定するものではございませんので、今ちょっと……。済みません、ちょっとお時間をいただければ後でお答えします。申しわけございません。
〇ハクセル美穂子委員 では、1年生は何人入っているか後で教えていただきたいと思います。
 私、この実施要綱を見て気になったのは、私も進学のときを思い出しながらいろいろ見ましたが、お医者さんになろうと思う方、最初からこのセミナーに行こうかなと思う方というのは限定されてくるのではないかなと。お医者さんにちょっとでもなりたいと思っている子供たちが来るようなセミナーなのか、それとも全然考えていない子供たちに対して医師というものはすばらしいというのを教えるセミナーなのか、その辺の趣旨というか、どういうポイントにのっとってされたセミナーだったのかという点についてお伺いしたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 本来の目的は医師を何とか確保したいというところで、医師の裾野を広げるということでございます。今回、8月に実施時期を変更したのも、医師ってどうなのだろうかと医者の息子さんや娘さん以外の生徒にも広く知ってもらいたいという意味でございます。
〇ハクセル美穂子委員 私、実施要綱をいただいて見ていまして、一つ目が、まず、実際のお医者さん、若手女性医師による動機づけの講座、もう一つが受験対策についてもされているのです。これはこれで本当にお医者さんになろうとしている方に対する支援策だと思うのですけれども、本来、医師を志す動機づけを図るというのであれば、受験対策の前に、まず医師になりたいとちょっとでも思うような、もう少し裾野を広げたセミナーにならないと、なかなか本来の裾野というのは広がらないと感じております。
 それから、県内の生徒の中には、医学部に進学できるような優秀な方の中にも、家庭の事情などではなからお医者さんになるのは無理と思っているお子さんもいるのではないかと私は感じるのですけれども、そういったお子さんや保護者に、医学部に進学するためにはこういった奨学金や、お金がかからないでお医者さんになる方法があるというような説明をされる機会はこの中であったのでしょうか、それをお伺いしたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 本医学部進学セミナーにおきまして、奨学金制度の相談会の時間をお昼休みの時間に保護者向けに行っております。それからまた、医学部進学セミナーとは別に、高等学校の進路指導担当者の会議におきましても、担当課から奨学金の説明に出向いております。
 あわせて、令和2年度入試、今度の入試から岩手医科大学の地域枠の奨学金制度の大幅な見直しがございますので、10月に、医療政策室、医療局医師支援推進室、岩手医科大学職員が県立高校を訪問いたしまして、岩手医科大学医学部地域枠入学試験及び奨学金の説明を行っております。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひ保護者の方に対する説明も必要だと思いますし、もう高校生ですから、自分だけで来ている子もいるかもしれません。お母さんには言えないけれども、でも医者になりたいと思っている子もいるかもしれないので、そういった医師を志す子供たちの本当の後押しになるセミナーになるように、ぜひ保健福祉部の皆さんとも連携しながらやっていただきたいと思います。
 もう一点、これはアイーナでやられていると思うのですが、年に1回開催ということでよろしいのでしょうか。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 アイーナを会場に年1回実施しております。
〇ハクセル美穂子委員 それでは、これまで私が指摘した部分も改善を加えていただきたいのと、それから、アイーナに来られないお子さんもいると思います。県南、県北とか沿岸。医師不足が非常に大変な地域でやっていないというのはちょっと……やるべきではないかと私は思います。ぜひその点については保健福祉部ともしっかりと連携して開催数をふやしていただきたいと思いますので、その点についてはお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員 私は3項目通告しておりましたけれども、議事進行に協力し、職員の残業等の問題につきましては他の委員に譲りたいと思います。
 まず、第3項の中学校費に関連してお伺いいたします。
 平成21年度に、唯一の県立中学校であります一関一高附属中学校が開設いたしました。そして昨年、設置10年ということになりました。いろいろ議会でも議論があって開設された学校でありますけれども、特に県政人材の養成ということも開学に当たっては要請されていたわけでありますが、この10年の進路、特に県政人材育成の状況についてまずお示しいただきたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 設置10年におけます県政人材育成の状況についてでございますが、一関第一高等学校及び附属中学校におきましては、中高6年間を見通した探究学習のプログラムの実践や、附属中学生が高校生の課題研究発表会に参加するなどの取り組みにより、学力の向上や進路意識の高揚が図られているところでございます。
 大学進学実績におきまして、特に医学部への入学者数について、平成22年度から平成26年度までの5年間が現役生で合計5名であったのに対しまして、附属中学校の1期生が大学に入学した平成27年度から平成31年度までの5年間では合計27名で、県政課題に対応した人材育成の観点からも一定の成果を上げているものと認識しております。
 また、今年度からは文部科学省指定のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けまして、一関地域の自然、資源、産業、文化を対象とした中高合同による協働的な探究活動の実践などにより、本県や世界で活躍し得る科学技術人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 県教育委員会といたしましては、スーパーサイエンスハイスクールの取り組みを中軸とした中学校、高校の連携した取り組みにより、一層教育効果が高まるよう引き続き支援してまいります。
〇岩渕誠委員 医学部の人材、かなり成果を上げていると。これは、中学校の進学者のみならず、切磋琢磨して高校から入った生徒にも刺激を与えた結果だと理解しております。
 開設当初、校舎が手狭で体育館もなかった。あるいは、入った子供たちよりも親のほうがなぜかエリート意識を持ってしまって、学校経営上、大変問題もあったということもありましたけれども、10年過ぎますと落ち着いてきて、曲がりなりにも10年の中で伝統や校風ができてくると思います。
 そうした中で、今、成果についてはその一端を御披瀝いただきましたけれども、課題についてはどのように把握されておるのでしょうか。
〇藤澤特命参事兼高校改革課長 課題についてでございますけれども、まず、一関一高附属中学校につきましては、委員から御紹介があったとおり、平成21年度に設立ということでございまして、医師等の県政課題への対応や次世代リーダーを育てるという観点では、先ほど高校教育課長から申し上げましたとおり、一定の成果も上がっているところでございます。
 課題としましては、少子化に伴う児童数の減少によりまして中学校の志願倍率が低下している状況にあること、それから、一関市内の小学校が中心でございますけれども、その一定数の生徒が附属中学校に入学することによる影響があると思っております。
〇岩渕誠委員 昨年、10年でありました。10年という時間は、1期生がことし社会人になったという年でもあります。この学校については、開学から節目節目で検証を行ってきたわけであります。もちろん長い教育のスパン、人材育成でありますからあくまでもその断面でありますし、進路についてもその一部分ということが言えますが、10年という期間を踏まえて、社会人になる子供たちも出てきた中で、県として、県立中学校、中高一貫教育についての検証を私はやる必要が当然あると思っておりますが、いかがでしょうか。
〇藤澤特命参事兼高校改革課長 県立中学校の評価でございますけれども、今春、附属中学校の第1期生が委員から御指摘のとおり4年制大学を卒業いたしまして、医学部など6年制の大学に進学した生徒もおります。あとは理工系の大学に行った生徒では大学院に進学しているという状況でございます。
 他方で、県内の生徒数は平成21年3月の段階では約1万3、600人でございましたが、来年3月になりますと1万600人ほどと、約3、000人の減少という状況もございます。
 こうしたことから、生徒数の動向あるいは県立中学校の卒業生の進路実績等も十分に見きわめながら、それから、中高一貫校の設立の基本理念に照らしてどうかといったことについて人材育成につながっているかどうか、さまざまな角度から考えてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 課長、考えるということはやるということですか。
〇藤澤特命参事兼高校改革課長 卒業生の進路実績等も十分見きわめながら考えていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 教育長、どうしますか。
〇佐藤教育長 藤澤課長から答弁しておりますとおり、第1期生がことしの春、4年制大学を卒業して社会人になっている子供もいると。それから、医学部に進学したり大学院に進んでいるということで、まだまだ実績といいますか、附属中学校から高校、大学と進んで、そして社会人になってどういう活躍をしていくかということについては、私はもう少し実績なりデータを集めながら分析をしていく必要があるのではないかと思います。確かに委員おっしゃるとおり、10年というスパンも一つの考え方ではあるのだと思いますが、今環境的には中学生の子供たちもどんどん減っていく中で、本県では初めて中高一貫校としての附属中学校を設置して、そして県政課題の人材育成ということに取り組んできているわけでありますけれども、そういった中で実績も出てきていると。この先、どのような形であり方を考えていくかということを分析なり、いろいろとさまざま検討していかなければならないと思いますが、私はもう少し実績、データを集めながら検討していく必要があるのではないかということで考えておりまして、もう少し時間をいただければと思っております。
〇岩渕誠委員 私がこの10年の検証ということを話しているのは、誰が、何人、どこの大学に入って、どういうことだったということもさることながら、中高一貫という、岩手県の中では公立高校として初めて併設型としてやった中で、教育の質がどういうものであったのか、こういったものを議論することが私は本質論ではないかと思っているわけであります。
 実際に開学当初は、中高ともにかなり指導力の高い教員を集めて、とにかく実績を出すのだという方向でかなりの配慮があったと思うわけでありますが、これも10年たちますと特別な配慮ということではなくて、通常の人事配置の中でやっているわけでありますから、問題は、そこに根づく教育の質がどうなっているのかということを検証するのが私の言っている本意であります。それをやることによって、単純に一関一高附属中学校という学校がどうなのかということにとどまらず、県内の中等教育のあり方にどう波及をしていくのか、このあたりまで視野を広げた議論にしていかないと、いわゆるこの中学校の教育成果というものをフィードバックしていく責務が私はあると思っているのですが、いかがですか。
〇佐藤教育長 私が教育長に就任してから一関一高に、学校現場に実際に伺ってみました。そして附属中学校の生徒の授業の様子等も拝見させていただきました。そういった中で、教育の質、いわゆる指導のあり方であるとか教員の配置であるとか、それは当然大事なことでありまして、実際、今、大学入試改革でも探究的な学びとかそういったところに深く入ってきて、私がちょうど伺ったときは化学の授業をされておりまして、仮説を立てて、実験をどのような形で進めるかという授業を実際に拝見することができました。そういった意味で、教育の質を高め、中学校、高校一貫として学んでいく。中学生が一関一高のいろんな成果の発表会にも一緒に入って学んでいくということも実際に取り組まれていると伺っておりますので、やはりそういったことにしっかり取り組んでいけるように、スーパーサイエンスハイスクール―SSHにもなっておりますから、そういったものを生かしながらしっかり取り組んでいくことを私どもが支えていくことが大事だと思います。10年間の取り組みについて、単純に卒業後の進路の成果を追うということではなくて、実際に子供たちが進路実現を図るために、どういった学びにしっかり取り組むかということについては、しっかり支えていくように取り組んでまいりたいと考えます。
〇岩渕誠委員 これは10年前の全国的な学力向上とか人材育成のトレンドというものはみんなシステム的に、中高一貫で他県は成果を上げているから中高一貫というような話になっていたわけですけれども、その後小中一貫のほうが効果があるとか、来年長野県に開校しますけれども、いや、幼稚園から義務教育をずっとやったほうがいいのだという形で、新たなスタイルの学校が全国各地で出ているわけであります。それが岩手県にとってどういうものが一番ふさわしいかということを、次世代の教育のあり方を含めて考えた場合に、今の中高一貫というのをきちんと教育の質という面で検証していくことが必要ではないかという意味であります。そして、そのことが喫緊に、今、高校改革、再編という問題にもかかわってきておりまして、単純に学科の再編、統合という、人口減少に対応した部分ではなくて、次はどうするのだという議論にもつなげていく、そういう議論を期待したいわけでありますが、所感があれば伺います。
〇佐藤教育長 その点につきましては、まさに委員の御指摘のとおりでありまして、新たな県立高等学校再編計画の後期計画の策定作業も今進めているわけでありますけれども、そういった中で、いかに地域の、本県のふるさと振興をしっかり支えていく人材、あるいは県内だけに限らず、日本、世界に出て、そして活躍する人材というものをしっかり育てていかないといけないということでありますので、そういった中で附属中学校のあり方についてもさまざまな御意見をいただきましたので、そういったことも踏まえながら検討してまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 了解いたしました。では、次の質問に移ります。
 教育改革2020に向けた取り組みでございます。
 昨年度入学した高校の生徒は、実際に大学入試を新制度でスタートするということでありますが、まず大学入試改革に向けて県教育委員会としてどのような取り組みをしておられるのか、お伺いいたします。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 大学入試改革に向けた取り組みについてでございますが、今般の大学入学者選抜改革は高大接続改革の一環として高等学校教育改革とともに行われるものでございます。資質、能力の着実な育成に向けた授業改善を求めるものであります。
 県教育委員会といたしましては、大学入学者選抜改革対策事業を立ち上げまして、大学入学共通テストに関する情報収集、さらには分析、指導法の研究、外部講師を招聘しての研修会などを通しまして、入試改革に対応した教員の指導力向上や授業改善に取り組むとともに、いわて進学支援ネットワーク事業において、1年生、2年生を対象とした大学入学共通テスト対策講座を実施するなど、取り組みを行っているところでございます。
 今後も、高等学校の授業において、思考力、判断力、表現力等の育成への取り組みを一層活性化させるとともに、文部科学省、大学入試センターからの情報を注視しつつ、受験に対応できる力の育成に努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 教育改革では小学校での英語の必修化、プログラミング授業というのも展開されますが、その対応は県教育委員会としては十分なのでしょうか、お聞かせください。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 まず初めに、小学校英語の必修教科化についてでありますが、県教育委員会では、学習指導要領の全面実施を見据え、平成27年度から平成30年度までの4年間で、外国語の指導力向上のための研修会を実施してきたところであります。県内全ての小学校において、外国語教育の推進役となる教員を延べ700名ほど受講させております。この研修を受けた教員等が中心となり、校内での研修を実施することで、県内全ての小学校教員に外国語の指導法等を伝達しているところであります。
 その一方で、教科としての外国語の授業が実施されるに当たり、教師自身の英語使用について不安を感じている場合も少なからずあると承知しております。そこで、本年度からは、教員の指導力及び英語力を一層向上させるために、外国語に係る研修を小中学校合同で実施し、より専門的かつ実践的な内容を取り扱いながら研修を進めているところであります。また、外国語の先進的な研究に取り組む小学校を指定し、その研究成果をリーフレット等にまとめ、県内に普及することとしております。
 これらの取り組みを通じまして、教員が自信を持って外国語を指導できる指導力及び英語力の向上に資するとともに、子供たちが外国語に興味を持ちながらコミュニケーションを図る基礎となる資質、能力を身につけることができるよう、教職員の負担軽減に配慮しながら、市町村教育委員会と連携して学校を支援してまいります。
 次に、プログラミング教育についてでありますが、子供たちが将来どのような職業につくとしても、時代を超えて普遍的に求められる資質、能力を育むために、小学校においては、その一つとして、児童がプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動を計画的に実施することとしております。
 現在、教育委員会におきましては、教員がプログラミング教育への趣旨や内容についての理解を深め、指導力の向上を図るため、授業づくり研修会等を実施しております。また、県内の小学校においては、外部人材を活用し、関係機関と連携を図りながら、実践的、体験的な学習に取り組んでいるところもあると承知しております。
 今後、小学校のプログラミング教育を通して、プログラミングの技能の習得に偏ることのないように留意しつつ、子供たちが興味、関心を持ってプログラミングを行い、身近な問題の解決に主体的に取り組んでいく態度や、よりよい社会を築こうとしていく態度の育成に努めていきます。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ、外部登用の必要が私はあると思います。英語に関してもプログラミングに関しても、大人の社会であれば、知っている人に聞くというのが一番早いわけでありまして、そこは教員の努力は努力として多としますけれども、現状、地域に優秀な人材があれば、それを活用していくということも当然考えるべきだと思っております。
 この2020年の教育改革、今、テクニカルな部分の対応がどうなのかということをお聞きしたわけでありますけれども、教育改革については10年に一遍学習指導要領が変わって、そのたびに教育が変わるのではないかということでいろんな話になるのですが、私は今回の教育改革の大きなポイントというのは、何を学ぶか、何ができるようになるかということが明示されている以上に、どういうような学びをするか、学び方に着目をしているというのがこれまでと大きく違うということであります。それは文部科学省が言うには、主体的、対話的で深い学びと翻訳をしたようでありますが、要はアクティブラーニングであります。これは、私は今までの教室を変えていかないと、教員の考え方を変えていかないと、このアクティブラーニングまでには到達をしないだろうと思っておるのですが、今はテクニカルな部分での対応をお聞きしましたけれども、このアクティブラーニングをさせていく、それが社会の評価、要請になっているわけでありますけれども、これについては、県教育委員会としてはどのような対応を考えていらっしゃるのでしょうか。
〇小久保首席指導主事兼学校教育課総括課長 いわゆる主体的、対話的で深い学びに関するお尋ねでございます。その中身については委員御案内のとおりだと思いますが、端的に申し上げれば、子供たちが学ぶことに興味、関心を持つ、それから学ぶ意義、意味というものをしっかり感じてやるというところ、また、子供たちの対話、それから自分の中での考えのめぐらせ方を通じてどんどん思考していくといった対話的学び、それから、質の高い疑問を子供たちに発生させることですとか、ほかに学んだことと結びつけて生かしていくといったような、どんどん学びを深めていくといったようなプロセスが重要であると理解をしているところであります。
 本県におきましては、今、小、中、高等学校を通じまして、授業の基本的な構成を示したいわての授業づくり3つの視点というものを平成27年度に策定をしまして、授業の構成という視点から各学校の取り組みを推進してまいりました。この浸透については一定の成果はあると捉えておりますけれども、今後におきましては、これを子供の学びがどうなっているか、子供の定着状況、子供の問いの発生状況はどうなっているかといったような、子供の視点から改定をしていく必要があると思っておりますので、このいわての授業づくり3つの視点を改定するとともに、それをベースにして教員研修のあり方ですとか、さまざま改善を加えていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 私は単純に、今までインプット型の教育をしてきたものを、アウトプットがうまくいかないからきちんとアウトプットまでやりましょうというのが、この2020年の教育改革の大きなポイントだと思っているわけです。そうすると、それは教育の中でも、例えば反転教育とかハーバード白熱教室とかがありますけれども、これは最終形だとしても、それを教育の現場に求められていると私は思っているのです。そうすると、一つは、もっと基礎教育をきちんとしないとそれに対応できないという一面がある一方で、議論をして思考能力を高めるという部分について言うと、戦後ずっと続いてきた、教室に教員が君臨をして統治をしてという形ではなく、多様性のマネジメントをしていかないと、今後の教育には全く当てはまらなくなってくると私は思っているのです。そういう観点で、私は県の教育の指導のあり方、教員の意識のあり方が変わっているのかどうかというのが一番問題だと思っているのですが、いかがですか。
〇小久保首席指導主事兼学校教育課総括課長 まさに委員御指摘のとおり、その教員の意識を改善、充実していくということは大変重要だと思っております。私は先ほど授業づくりというところで限定して申し上げましたけれども、今回のいわて県民計画(2019〜2028)及び岩手県教育振興計画におきましては、子供の学びの充実という観点から、設定した指標面においても、子供の受けとめ方がどうなっているかといった視点で指標を設定しました。子供たちがそういうふうに変容、成長していくためには、教員がどう意識を変えていかなくてはならないのかといったところを追求してまいりたいと思っているわけでございます。
 委員が御指摘になられた基礎、基本につきましても、いわゆる狭義の、狭い意味での基礎、基本なのではなくて、常に活用できるような知識、技能が大事だといったことは当然認識をしておるわけでございますし、議論をして思考を深めていくということは大事なわけであります。
 今後の教員研修や授業の研究、教育のあり方を考えていく上において一番基本なのは、子供たちがどのように問いを発生させてそこから考えていくかと。その問いを発生させるためには、子供が自分で問いを発生させる部分と、教員が働きかけなければいけない部分が大変多うございますので、そういった授業のあり方といったことに、授業だけではなくて、さまざまな学習のあり方については、先ほど申し上げた基盤に立って検討していきたいと思います。
 また、委員から御指摘がありました外の資源の活用ということも、岩手県の場合は地域にさまざまな方がいらっしゃるといったこともございますので、カリキュラム・マネジメントという言葉もあるわけですけれども、学校において、学校の中の先生方の活躍、それから地域の皆さんの協力も得て教育を充実させていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 通告しておりましたが、私も中高一貫教育に関する質問でございますので、議事進行に協力して関連質疑にさせていただきます。
 先ほどの岩渕委員の質疑では、併設型の中高一貫校、一関一高についてが中心でありました。私もこの一関一高の検証をすべきであって、また、医学部への進学、今医師不足の中、大変すばらしい成果を上げていると思っております。
 もう一点、連携型の中高一貫校ということで軽米町、葛巻町の取り組みについて、今回私の質問のポイントは、先ほどは教育の質という着眼点でございましたが、地域への定着という観点でこの連携型の中高一貫校がどうであったか、これもあわせて検証すべきだと考えております。
 その中で、以前、高橋前教育長から地元定着に成果が上がっているという答弁がありました。一方で、平成27年に、二戸ブロックの意見交換会の中で、軽米町の参加者が、この中高一貫教育は本来の姿ではないのではないかと。一関一高のように併設型にしたほうがいいのではないかという声も上がっておりました。私の地元の小中学校は今統廃合が進んでいる中、中高一貫教育が地域に学校、そして拠点を残す一つの方策ではないかと、主観的ではありますが考えております。県の認識をお伺いしたいと思います。
〇藤澤特命参事兼高校改革課長 連携型の中高一貫校についてのお尋ねでございますけれども、現在、御紹介がございましたとおり、軽米町と葛巻町で取り組んでおりますが、6年間の一貫した教育、計画的、継続的な学習指導、進路指導などで、学力の定着であるとかあるいは地元定着にも一定の成果があるものと思っております。
 県内就職の状況という観点で見ますと、県内の中ではその2校が必ずしも高いというわけではありませんけれども、もともと就職する生徒の数も少ない、割合としては多くないということもありますので、そこは人数によって変動があるものと思っております。
 それから、地元からの入学者の状況については、大体その2校については6割くらいでございますけれども、少し低下傾向にあるという状況でございます。
 そのような中で、今後のあり方ということでございますけれども、この軽米町、葛巻町の2校につきましては、平成13年度、平成14年度にこのような形をとらせていただいているわけです。その後、県内各地域の高校では、この連携校以外でも地元の中学校、高校との連携が図られているところも出てきております。
 地域に貢献する人材の育成という観点からは、こうした連携型の一貫校の成果ももちろんあるのですけれども、新しくそういう動きも出ておりまして、国の事業もあるところですので、さまざまな角度から考えてまいりたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 その中で、人口減少や、先ほど入学者数が低下しているということがありました。そして戻りますけれども、先ほど岩渕委員の一関一高の検証のところで、教育長からはもう少し様子を見たいという御答弁だったと思うのですが、今、例えば私の地元の小学校でも入学者数が1人、2人、ない年もあって、中学校の存続も難しくなっている。地域の高校も再編で学校数、学級数が減って、さらにこの5年、10年はなかなか待てない。そのときに、数合わせだけではなくて、新しい教育という提案をしていかなければいけない、既にそういう時期に入ってきているのだと思います。改めて、中高一貫教育、あるいはこれからの岩手の教育のスタイルがどうあるべきなのか、その検証を求めて終わりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 先ほどハクセル委員から御質問のあったセミナーの参加者、学年別でございます。1年生が32名、2年生が50名、3年生4名、計86名となっております。
〇高田一郎委員 最初に、就学援助制度についてお聞きしたいと思います。
 子どもの生活実態調査では、就学援助が十分足りているかの問いに対して、足りていない、余り足りていないを合わせると47.9%となっております。この点について、県教育委員会はどのように受けとめているのか。
 あわせて、今、小中学校の教育費の父母負担が大変大きい状況になっていると思います。この父母負担についてもどのように県教育委員会は把握されているのか、まずこの現状について示してください。
〇新田学校施設課長 岩手県子どもの生活実態調査検討委員会において、中間報告を取りまとめました岩手県子どもの生活実態調査について、ことし10月に公表された結果によりますと、就学援助世帯における両親のいる世帯と比較しまして、母子世帯において、学校に必要な費用として十分に足りている、または足りていると回答した割合は低くなっていると認識しております。
 就学援助制度につきましては、経済的な事情を抱えた子供の学ぶ機会を保障する重要な役割を担っており、今後とも、制度周知の徹底や対象世帯の的確な把握が行われるように、市町村教育委員会等とも一緒になって取り組んでまいります。
 次に、保護者負担についてでありますが、文部科学省が保護者負担に係る調査として隔年で行っております子どもの学習費調査によりますと、公立小学校に在学している児童1人当たりの年間負担額は、直近の平成28年度調査では、全国平均で32万2、000円となっており、同様に、公立中学校は47万9、000円、全日制高等学校は45万1、000円となっていると承知しております。
〇高田一郎委員 今、新田課長から説明がありましたように、この就学援助制度というのは、学びの機会を保障する大事な制度であって、充実していかなければならない課題だと思っています。それで、今現在の修学旅行費とか新入学児童生徒学用品費、卒業アルバム代等についての単価の引き上げが、要保護児童生徒に対しては今年度から改善されました。準要保護児童生徒については改善されているのか、これが1点です。
 あわせて、時間がないので引き続きお聞きしますけれども、修学旅行費の支給などについても積み立てをしなくてもいいような制度に、いわば概算支給をするようにこの間ずっと求めてきました。今現在、県内33市町村はどう改善されているのか、この点についてまとめてお聞きします。
〇新田学校施設課長 まず、準要保護児童生徒に対する援助費の拡充についてでありますが、修学旅行費につきましては、本年度は、昨年度の28市町村から一つふえまして、29市町村が実費支給となっております。残る4市町村は、国の補助金単価を参考に支給しておるものでございます。
 また、新入学児童生徒学用品費等につきましては、国の単価引き上げに呼応しまして、基本的に国の補助金単価で支給されております。
 卒業アルバム代等につきましては、およそ半数の市町村が新たに補助項目に追加したところでございまして、残りの市町村におきましても、現在、検討が進められているところであります。
 次に、修学旅行費用の支給改善の取り組み状況についてでございますが、修学旅行費につきましては、就学援助世帯に対する援助費の支給が実績額に応じた精算払いとなっており、費用の事前積み立てを伴う保護者の一時負担が生じていることから、保護者の負担軽減を考慮しまして、修学旅行前の概算払いに対応している市町村がふえてきております。
 具体的には、昨年度は3市町村が概算払いに対応しておったのですけれども、今年度は5市町村となっておるものでございます。
〇高田一郎委員 少しずつではありますけれども、確実に改善といいますか、拡充されているということを感じております。今月にも教育行政についての各市町村の担当者会議もあるというお話をいただいておりますので、この就学援助制度の充実、拡充についても深い議論をしていただいて、県内全ての市町村でこの制度が拡充できるように、県の積極的なイニシアチブを求めたいと思います。
 そこで、もう一つお伺いしたいのですけれども、この就学援助制度については、33市町村で児童生徒に対する支給率の格差が非常にある。例えば久慈市では、全児童に対する支給率24.13%に対して、一番低い自治体は金ケ崎町の5.49%になっております。確かに三位一体改革で、国庫補助制度が廃止になって市町村の裁量ということですから、ある意味では格差があってもやむを得ないと思いますけれども、余りにも格差が拡大し過ぎると思うのですが、この辺については県教育委員会としてはどのように分析されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇新田学校施設課長 児童生徒に対する支給率の差についてでございますが、要保護世帯への就学援助は国が定めている制度でありますので、対象世帯や費目、支給額に市町村ごとの相違はないものでございます。一方で、準要保護世帯への就学援助につきましては、市町村ごとに、それぞれの地域の実情等を勘案した上で認定が行われていることから、支給率に差が出ていると捉えております。
 また、市町村別の対象児童生徒数の割合で見てみますと、東日本大震災津波後に設けられました被災児童生徒就学援助制度の対象となる児童生徒が多い沿岸部の市町村につきましては、内陸部の市町村に比べて支給率が高い傾向にあると認識しておるものでございます。
〇高田一郎委員 格差が出るのはやむを得ないと思いますけれども、余りにも格差が広がり過ぎるので、このことも含めて担当者会議でも実態を明らかにして、さまざまな支援をしていただきたいと思います。
 台風第19号災害でも、被災した児童に対する学習支援について10月15日付で文部科学省から通知も出されました。また、学用品の再支給とか、高校では家計が急変した世帯への就学支援金の支給、こういった具体的な通知も出されました。一遍の通知だけではなくて、しっかりと児童生徒、保護者に届いて、きめ細かな支援が届くようにしっかりと丁寧な対応をしていただきたい。これは時間がないので要望だけにとどめておきたいと思います。
 次に、特別支援学校のスクールバス運行等についてお聞きいたします。
 岩崎委員からも質問がありました。県内各地でさまざまな要望、課題があることを実感いたしました。私もいろいろ相談を受けまして、千厩中学校分教室に毎日送り迎えをしている保護者から、高校になったら、車椅子対応なのでスクールバスには乗れないと。35キロメートルも離れたところに毎日送り迎えをしなければならないと。仕事をやめざるを得ないという訴えもされました。先ほどの答弁では、特別支援学校の整備計画と一体で検討していくというお話でありましたけれども、しかし、これは、こういう議論を待たないでも対応できるのではないかと思います。これが1点です。
 また、たんの吸引が必要な子供を抱える保護者からは、学校に看護師が配置されないために、毎日学校に行って教室で付き添っているという訴えもされました。自営業者ですから、忙しいときは学校にも行けないと。これは教育の機会均等からすれば、直ちに是正しなければならない課題ではないかと感じましたけれども、この点について具体的な県としての対応策、支援策について伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校におけるスクールバス、通学バスの運行等についてですけれども、特別支援学校の子供たちの通学については、通常の学校に在籍する子供たちと違って、より丁寧な対応が必要だと認識しております。各校において保護者の送迎、通学バスの利用、さらには自分の力で通ってきている子供たちもいることから、それぞれのニーズに対応した丁寧な対応を考えてきております。
 今後も、各校の対応だけでなく、県全体としての対応を検討していきまして、子供たちの実態をしっかりと把握しながら、学校とともに、教育委員会として適切な対応をしていきたいと考えております。
 それから、医療的ケアの子供についてですけれども、今、具体的なところでお話があったのですが、当該の教育委員会にもこちらのほうから訪問し、子供たちの様子を適切に聞きながら、保護者も交えた形で、より適切な対応を考えていきたいと思っております。
〇高田一郎委員 両方とも、より丁寧な対応を適切にやっていきたいという答弁でありました。丁寧な対応を適切にやっていただきたいと思いますけれども、ただ、バスの問題については、特別支援学校の整備計画と一体的に検討という、そういう時間をかけるのではなくて、高齢者用のリフトつきバスというのも介護施設ではあるわけです。これは特別支援学校の整備計画の議論を待たなくても、お金の問題はあるでしょうけれども解決できる問題ではないかと思いますが、具体的にそういう対応はすぐできないものか。あるいは後者の医療的ケアが必要な子供たちのお話もしましたけれども、これも丁寧な対応をするということでありましたけれども、具体的に何ができない原因なのか、すぐ対応できないのか。毎日付き添わなければならない、そして自営業をやっている人が、忙しいときは子供に学校を休ませるという事態は一刻も早く避けなければならない問題ではないかと思いますけれども、この辺について改めてお聞きします。
〇高橋首席指導主事兼特別支援教育課長 委員の御指摘のとおり、早急に対応を進めるところではありますけれども、私ども教育委員会も、どんな点が困難なのかという実態を十分情報収集をしていきまして、かなえられるところから、順次、実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇高田一郎委員 具体的な提起をしましたので、具体的な対応をしていただきたいと思います。
 次に、教職員の産業医の面接指導についてお聞きいたします。
 人事委員会の質疑の中でも、時間外勤務が月100時間を超える県立高校の教員が668人、全体の19.8%いると。これに大変私もびっくりしましたけれども、産業医の面接指導を受ける教職員が1人もいなかったということについても二重に驚きました。これはなぜこういう状況になっているのか、その原因をどう把握しているのか、この点についてお聞きいたします。
〇山村教職員課総括課長 平成29年度に県立学校に勤務する教職員で、面接指導を実施した者はありませんでした。平成30年度の実施者は12人でございます。面接指導を受ける教職員が少ない理由としては、一つには、所属長や当該教職員がこの制度について理解が十分でないためと考えられます。また、もう一つは、教員は子供のためという思いで、熱心に授業とか部活動に取り組んでいて、それが勤務時間が長くなることにつながる場合もあり、そういった場合に、本人としては、自分の心身の負担感にはつながらない場合もあるなどの理由が考えられるところでございます。
〇高田一郎委員 何か危機感がないという感じがしました。月100時間というのは、過労死ラインをはるかに超える水準なのです。これは法の趣旨からすれば、直ちに取り組まなければならない課題だと思います。県教育委員会も危機感を持って対応していくべきだと思いますけれども、具体的にこういう人事委員会の指摘を受けて、県教育委員会としてどのような対応をされるのか、この点について伺います。
〇山村教職員課総括課長 面接指導の実施につきましては、所属長及び全ての教職員に対して制度の周知を図るほか、時間外勤務の多い所属については、当課の担当者及び保健師も訪問しまして、制度の説明をして活用を働きかけていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 教職員の働き方改革プランなるものをつくって長時間労働をなくそうという取り組みが行われている中で、こういう状況になったというのは非常に残念な結果でありますので、しっかりと成果が出るように県教育委員会挙げて取り組んでいただきたい。
 最後に、県の学習定着度状況調査についてお聞きいたします。
 学力テストについては、全国学力テスト、県、市町村と、それぞれ学力テストを行って教職員の大きな負担になっていると思いますし、また、子供たちのテスト漬けと点数評価で、子供たちも苦しめられているという状況になっているのではないかと思います。それで、きょうは県の学習定着度状況調査について、教職員にどれだけの時間的な負担がかかっているのか、これにかかわる予算がどうなっているのか、この点について伺います。
〇小久保学校教育課総括課長 まず、県の学習定着度状況調査に係る予算でございますが、令和元年度の予算額が1、445万9、000円であります。それから、この調査に対応する学校の教員が要する時間でございますが、この調査にかかわる学校での主な対応については、教科調査や質問紙調査の採点、入力ですとか、児童生徒へ結果を配布するといった対応がありますけれども、時間につきましては、児童生徒数や教員の数など、学校の規模によって必要な時間が異なるため、申しわけありませんが、一概にお示しすることは難しいというものでございます。
〇高田一郎委員 そこはちゃんと県教育委員会もしっかりと調査すべきだと思います。
 私は教職員組合が行った実態調査を紹介したいと思いますけれども、学力調査は10月2日にやって、2カ月半ぐらいかけて結果が出るということをお聞きしました。全国学力テストは教職員が採点するわけではありません。県の学力テストは教職員が採点するのです。入力も含めてかかった時間というのは、5時間以上かかったのが7割、10時間以上が4割と。もう5時間、10時間、多いところは20時間もかけて採点だけに時間を費やす。それで、どれだけの効果が得られたのかということについて、その結果に基づいて指導、改善し、学力が向上することを目的に行っているのですけれども、この実態調査では、この結果が授業の改善に役立っているかということに対して、中学校では58%、小学校では52%が、いいえとなっているのです。
 寄せられた意見も紹介しますけれども、採点、入力で10月の3連休が潰れるなど、時間外勤務をしなければならなかった。子供の学びの時間を奪って、1日中の調査は子供たちにとって大きな苦痛になっているという、さまざまな意見も寄せられております。この実態を県教育委員会としてどう受けとめているのか。そして目的にふさわしい効果が本当に上がっているのかどうか、この検証についてお伺いしたいと思います。
〇小久保学校教育課総括課長 先ほど御答弁申し上げたとおり、時間的なものにつきましては大変恐縮ですがお示しはできないのですけれども、確かに採点、入力について一定の時間がかかるというのはそのとおりです。今の県の小学校5年生、中学校2年生の学習定着度状況調査においては、期間を1カ月設けまして、その中で学校の実態に応じて採点、入力をしていただくということになります。採点につきましては、ある意味、子供たちのつまずきを把握する最も基本的な局面でありますので、そこはしっかりと行っていただきたいと思っております。また、事務的な部分については、さまざま今後検討の余地もあるのではないかと考えております。
 また、調査の目的に即した効果という点でございますけれども、まさに調査というものは、子供たちのつまずきを把握して指導、改善に生かすというところであるわけでありますが、これまでも県教育委員会から、しっかりと目標を設定して、調査の結果を活用して指導、改善に生かしていくという指導についてはしておりまして、定量的な成果としては、指導、改善に取り組んでいると答える学校自体は非常に高い割合にあります。ただし、効果を上げていくという点においては、子供たちのつまずき、どう間違えているのかというところを詳しく見ていくことが必要であると考えておりますので、これまでの学校の取り組みの蓄積のもとに、さらにそういった点からの調査の分析、活用ということを周知してまいりたい。その分、例えば全部を網羅的に分析するのは大変ということであれば、絞ってでも、深く子供たちの姿を、調査を通じて見ていっていただきたいと考えております。そうしたことについて、今年度、小中学校の校長を対象とした研修講座で周知をしているところでございますけれども、また、さまざまな機会を捉えて学校現場に即した対応をしていきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 高田一郎委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇高田一郎委員 わかりました。教職員の現場の声というものが一番大事だと思います。成果もある、全くゼロではないと思いますけれども、現場では6割が役立っていないという声もあります。長時間労働をつくる要因にもなっています。市町村教育委員会としっかり協議をして対応していただきたいということを申し上げて終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後5時14分 休 憩
午後5時33分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 私は、数点、簡潔に質問いたします。
 今、学校現場において指導主事の派遣が本当に重要になっておりますけれども、今の配置の現状と今後の対応についてお聞きいたします。
〇山村教職員課総括課長 指導主事につきましては、平成30年度は、県教育委員会から県内全ての市町村教育委員会に対し指導主事42人を派遣しているところでございます。今年度においても同様でございます。
 指導主事の派遣については、これまでも市町村教育委員会からの要望を踏まえて対応しているところであり、今後においても、市町村の状況、要望等を踏まえて対応していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 市町村によって指導主事を頼りにしている現状があります。先がなかなか見通せない中で、配置をぜひ継続してほしいという要望がどこでもありますので、今の答弁にあったように今後もよろしくお願いしたいと思います。
 それでは二つ目、先ほど来部活動指導員の配置について質問がありましたが、その答弁等を聞く中で1点お聞きしたいと思います。
 平成30年度は14校に14名の配置をして、たしか新年度は全中学校に1名ずつ158名の配置を目指していたと考えておりましたが、現実は55校60名にとどまっていると聞きました。募集してもなかなか応募がないとか、配置できない理由はあると思いますけれども、この現状についてもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動指導員の配置につきましては、まず、各学校が要望しているかどうかが第一優先でございます。生徒のニーズ、学校のニーズに合わせて、適切な部活動、それから教員の負担軽減がなされるよう、学校が求めるものに対して配置を進めるものでございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、なかなか地域では人材が見当たらないことが一番多い課題であり、配置が進まない原因でございます。それから、もともと指導している外部コーチですが、仕事の関係で部活動の指導になかなか当たれない実態もあると認識しております。そういったことからなかなか配置が進まない現状がございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、当初、全中学校に1名ずつ配置したいという点は変わってはいないのですね。ただ、各学校が要望しているかどうかが大きくかかわっているということでいいのでしょうか。
 それから、9月現在で55校に60名が配置されているようですけれども、市町村の数を調べますと、7市5町になっていますよね。ですから、半分以下になっている状況です。ほかの市町村は希望していないということなのかどうか。大きな市などでも配置されていないところがあるのですけれども、人材を確保できないのか、それとも希望していないのか、その辺についてお聞きします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 未配置の市町村につきましては、その要因として、希望しても見当たらないというケースと、まだ制度運用に踏み切れないといった両面があると認識しております。
〇千田美津子委員 いろいろ市町村によって事情があると思いますけれども、指導員の配置の目的は、教職員の働き方改革を大きく進めようという柱があったと思うのです。ですから、市町村にだけ任せるということではなく、やはり各市町村とも連携しながら、県がどの程度支援すればどうなるか。さっき国が各校に3名を目指すという話がありましたが、3名になる前に、最低でも1名配置できるような状況を私はつくっていくことが重要だと思うのですけれども、その点もう一度お聞きします。
〇清川首席指導主事兼保健体育課総括課長 各校1名ずつをまずは目指しまして、特に未配置市町村、未配置学校につきましては、お任せするのではなく、成功事例やうまくいっている具体例をまとめ、それを提供しながら、こういった活用事例があるということも周知しながら活用の促進につなげてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 今、御答弁ありましたように、やはり有効活用する上で、さまざま市町村あるいは学校との懇談をする中で配置をふやしていく、これが重要だと思いますので、ぜひそういう立場で引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 三つ目ですが、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてお聞きしますが、特に暴力行為といじめの問題でお聞きしたいと思います。
 暴力行為の状況を見て驚きましたが、生徒間暴力が416件、前年度より92件ふえている。それから、器物の損壊は66件、これは前年度の2.2倍にふえている。その中でも、特に小学校の生徒間暴力が304件、前年度より111件ふえているという報告を見て私も驚いたのですけれども、この状況をどのように捉えておられますかお聞きいたします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 暴力行為の状況についてでございます。
 委員御指摘のとおり、特に小学校は前年度と比較し111件増加したということでございますが、非行的なものによって暴力行為がふえているという報告ではございません。
 我々としましては、いじめの定義が変わって、けんかやふざけ合いであっても見えないところでの被害性に着目するということで、背景にある事情等の調査を行った結果、子供たちが足で蹴ったとかこづいたとかつねったというものまで暴力行為として計上されるということでございますので、これはいじめの積極的な認知とリンクしている数字であろうと捉えております。
〇千田美津子委員 判断する尺度が変わっていってということで少しは安心しました。ただ、ちょっとしたからかい程度でやっているだけだったらいいのですけれども、これがだんだんエスカレートして不登校につながるとか、そういうのが私は恐ろしいと思ったものですから、そういった意味では、これまで以上に子供たちに親身になった対応、そしてその後のフォローも重要だと思いますので、ちょっと蹴ったくらいだと済まさないで、その背景を十分に分析しながら引き続き対応をお願いしたいと思います。
 それでは、いじめの状況ですけれども、認知件数が小学校で前年度に比べて924件ふえています。それから中学校は70件、高校は38件、特別支援学校が9件増となっております。これも小さなことも見逃さないという捉え方の中で件数がふえてきている部分もあろうかと思います。ただ、いじめ問題に対する取り組みの状況を見ましたら、職員会議を通じていじめ問題について教職員間で共通理解を図ったというのが一番多かったのですけれども、その程度で終わるときと、もっと深い分析が必要だったりすることも多々あるのではないかと思いまして、この取り扱いが本当にこれでいいのかというのが一つ疑問でした。
 それから、いじめを認知することがふえるのはそれはそれでいいのですけれども、人を傷つける本当のいじめなどへの対応をきちんとやるためには、体制をどう強化していくかということが必要ではないかと。そういう意味でも、スクールカウンセラーあるいはソーシャルワーカーにいろいろ取り組んでいただいていると思いますけれども、私はこの配置を広げていくことが必要と思いますが、その点いかがでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 学校の取り組みとしますと、学校のいじめ対策組織というものがございますので、共通理解を図る以外にも、さまざまな校内での研修、また、県教育委員会でも昨年度から6年間かけて全校種における管理職研修及び担任層の研修という2本柱で教員の資質向上の研修を行っております。そのような研修を受けた先生方が各学校の中心となり、いじめ防止対策について取り組んでいただいていると思います。
 また、体制の強化という部分でございますが、これまでスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置をしておりますが、国への要望についても随時行いまして、拡充等の手厚い支援についても要望しておるところでございますので、子供たちの教育相談の充実という観点から、引き続き配置についての要望をしてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今の取り組みを強化していただくことと、いじめはどんな理由があってもいけないことだと、そう思う児童生徒の割合をふやしていくというのが県の具体的な推進方策指標にあったと思うのです。その目標に対して、小学校が127.5%、中学校が240%でA評価になっております。どんな理由があってもいけないという尺度からすれば、小学校でも127.5%ということは、そもそもの目標が低いからこういういじめがどんどん広がっているのではないかと私は思うのです。この点、いかがでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 まさにいじめ防止対策については学校や教職員のみの取り組みでは不足することから、児童生徒の主体的な取り組みという視点が大事と思っております。
 今、御指摘いただきましたいじめはいけないと思う児童生徒の割合をふやしていくことについては、子供たちが主体的に取り組み、例えばスマートフォンのルールをつくったり、小学校ではちくちく言葉とかふわふわ言葉などを定義づけ、どういう言葉が子供の人権を侵害する言葉なのかという取り組みをしながら、子供たち自身の気持ちが変容するような取り組みを引き続き各学校にしていただいたり、また、その好事例についても紹介しながらそのような取り組みを広げてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 そういう取り組みが当面求められるということで理解するわけですが、私は、どんな小さないじめであっても、受けるほうが嫌な思いをすればやっぱり大きな問題だと思うのです。ですから、そういうことを絶対やってはいけないという教育がもっと大事だし、それから、子どもの権利条約に沿った形の、この間、一般質問で小西和子議員が提案した子どもの権利条例、子供の権利という視点から、そういう条例が必要ではないかと思います。
 暴力行為でもささいなことという捉え方もあるようですけれども、ただ、今現実にこういうことが起きている、不登校もふえているときに、子供たちの権利のしっかりした教育が必要という点では、学校現場だけではない、県民みんなで子供の権利というものを捉えて動けるような状況をつくるには、この条例制定の必要があるのではないかと。これは教育委員会だけではないのですけれども、私はそういうふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
〇佐藤教育長 一般質問の際に小西和子議員からもありまして、私どもは、いわて県民計画(2019〜2028)と岩手県教育振興計画の中でもしっかり子供たちの人権を守る教育について掲げて取り組んでいることは答弁でも申し上げました。そして、条例所管が保健福祉部ですけれども、今、いわての子どもを健やかに育くむ条例があります。県の施策を進めていく上では、保健福祉部と教育委員会、他の部局ともしっかり連携を図って、両計画に掲げる施策の推進にしっかり取り組んでいかなければならないと考えております。そういった意味でも、今、子供に関する、していかなければならないさまざまな取り組みが山積しております。そういったところを県の施策として部局間の連携を図りながら、しっかり子供たちを支えていくということに取り組んでいきたいと思います。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
 最後ですけれども、小学校の英語専科教員の配置についてお聞きいたします。
 今、英語専科教員の配置によって、児童の外国語活動に対する興味や関心が高まっております。外国語を用いたコミュニケーションに対する積極的な姿勢が育つこと、それから外国語活動に係る校内研修等が充実する、そして各先生方の指導力の向上にもつながっているとお聞きしております。
 現在の小学校の英語専科教員の配置がどのようになされているか、また、今後の配置についてもどのようにお考えかお聞きいたします。
〇金野首席経営指導主事兼小中学校人事課長 小学校英語専科教員は、県内八つの市と二つの町の16校に16名配置しております。この16名は、配置校以外の24校においても兼務しております。より専門的な指導が期待できる英語専科教員の配置により、児童の英語に対する興味、関心等が高まっていると捉えております。
 今後も、文部科学省における英語専科教員、職員定数の改善に注視するとともに、国の加配を有効に活用しながら、効果的に配置することで質の高い英語教育の実現に努めてまいります。
〇千田美津子委員 国の加配を効果的にということでぜひお願いしたいわけですが、配置基準をぜひ緩和して配置をもっとふやしてほしいという市町村の要望がありますが、そういうものに応えられる状況にあるのでしょうか。ぜひ応えていただきたいと思うのですが、それをお聞きして終わります。
〇金野首席経営指導主事兼小中学校人事課長 まず、配置基準にかかわっては、一つ、英語の普通免許を有する者と。小学校専科でありますので、中学校、そして高等学校の英語の普通免許状を持っている方ということになります。そして、週24時間以上の指導を担当するという基準に基づいて配置しております。この基準に基づきながら、さまざま免許を持っている方の人材確保も踏まえながら、より英語教育の充実が図られるように配置に努めてまいりたいと思います。
〇小林正信委員 私のほうから、児童生徒健全育成推進費のスクールソーシャルワーカーの件についてお伺いします。
 スクールソーシャルワーカーは、子供と家庭を包括的に支援できて、子供の貧困のセーフティネットになっているという意味でも大変重要な事業だと思っております。平成30年度のスクールソーシャルワーカー18名の配置状況と活動内容についてお伺いします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 配置状況でございますが、県内六つの教育事務所に合計で18名を配置しているところでございます。
 活動内容につきましては、例えば不登校への対応、家庭への支援に加えて、学校と福祉機関、医療機関等との連携、調整を行ったりすること、また、児童生徒を取り巻く環境に働きかけるなどの活動を担っており、その対応数についても年々増加しておるところでございます。
〇小林正信委員 対応数も増加しているということですが、主要施策の成果に関する説明書の117ページに実績が載っているわけですけれども、スクールソーシャルワーカーの支援児童生徒数、目標値が170名に対して実績値が624名ということで達成度はAということです。達成する分にはいいことだと思うのですけれども、達成し過ぎなのではないかという気もします。これは要するに18名で170名を見ると。大体1人当たり10名から9名というのが適切な数ではないかということでこの目標にしたと思うのですけれども、この実績値でいくと1人当たり34名から35名の担当というか、生徒を見なければならないと。こういった部分で非常にスクールソーシャルワーカーの負担がふえているのではないかと懸念されますけれども、その部分に関しては、この活動はきめ細やかな活動になっているのかどうか確認いたします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 委員から御案内いただきましたとおり、18名に対して支援対象者が600名を超えるという状況でございますが、それぞれ教育事務所に配置しているスクールソーシャルワーカーにつきしましては、各学校からの要請を受ける形で支援を行ったり、または域内の状況に応じて訪問するという形によって活動をしていただいております。現在、各教育事務所から人員の要望等は届いていないところでございますが、我々といたしましても、年々活動実績がふえていますので、国に対しての要望等については引き続き行ってまいりたいと思います。
〇小林正信委員 国ではスクールソーシャルワーカーの大幅な拡充を計画していると伺っているのですけれども、今後の増員の予定について県では国から何か情報を得ているのか、また、増員の予定はあるのかどうかをお伺いします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 国の調査研究協力者会議において、最終的には全ての中学校区に常勤のスクールソーシャルワーカーを配置するという動きがあることは承知しておりますが、まだ常勤化の部分についての状況は国から示されておるところではございません。
 あわせて、本県のスクールソーシャルワーカーを担っていただく人材についてもなかなか確保が現在難しいという状況もございますので、国への要望とあわせて、本県の社会福祉士会等に、また養成する大学等にその養成等も含めた増員について働きかけてまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 確かにスクールソーシャルワーカー、ソーシャルスキルを身につけている方は多くないという部分で人員の確保というのは難しいと思うのですけれども、努力していただきたいと思いますし、学校によっては、スクールソーシャルワーカーに対する理解が余りないので配置を希望しない学校もあると伺っています。現状についてお知らせいただきたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 配置を希望しない学校ということで、先ほども申し上げましたが、派遣につきましては、学校からの要請に応える形や定期的な訪問の形で行われております。そのような状況の中、またニーズがふえているということも申し上げたところですが、実際のところ各学校の要請には偏りがありますので、活用に至っていない学校もあることについても事実でございますが、そのようなニーズの掘り起こしという部分については、今後、教育事務所等を通して働きかけてまいりたいと思っております。
 また、現在、県教育委員会では、今年度内を目途としてスクールソーシャルワーカーの活用指針を作成中でございます。これを年度内に作成して、学校や保護者の皆様等へも積極的にこの指針を周知いたしまして、そのような教育相談体制があることについて知っていただき、活用してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 本当にこの活動指針をつくられるというのはすばらしいことだと思います。スクールソーシャルワーカーの働きというのは、子供の貧困が今、問題になっておりますけれども、非常に有効な取り組みだと思いますので、ぜひこの周知をお願いしたいと思います。
 中学校から高校に進学すると教育行政が市町村から県にかわるので、スクールソーシャルワーカーと支援を受けていた子供の関係が断ち切られてしまう懸念があります。切れ目のない支援を中学から高校に行うためにも、学校、地域、NPO等とスクールソーシャルワーカーの連携が必要だと思いますけれども、この連携がどのように行われているのかお伺いします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 中高の連携という視点でお答えさせていただきます。
 進学に伴う中学校、高校間の連携につきましては、生徒のさまざまな必要な情報を丁寧に引き継ぐなどの取り組みが校種間で行われているものでございます。スクールソーシャルワーカーのかかわりや助言についても情報共有を図る等、支援の充実の継続について取り組んでまいりたいと思っております。
 また、県教育委員会では、県立学校に対するスクールソーシャルワーカーの支援体制の構築を県社会福祉士会に依頼しており、直接、学校が社会福祉士会に出張の相談をするとか電話相談をするという形に切りかえております。全県をカバーできる体制をそのような形で整えております。
 今後におきましても、社会福祉士会との連携もさることながら、市町村福祉担当部局との連携を強化しながら、切れ目のない支援体制の構築に取り組んでまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 中学校で不登校になって、そのまま高校に行けないという生徒もいらっしゃるので、そういった支援もぜひお願いしたいと思います。
 高校の中退に関する質問をしたいのですけれども、学業不振や人間関係の悩みなどを理由に高校を中退する人は年間5万人前後に上ると言われております。進路が定まらないまま中退した若者が社会から孤立化し、ひきこもりや生活困窮に陥るケースも少なくないと聞いております。
 岩手県の平成30年度の高校生の中退者の数がわかれば教えてください。
〇軍司首席指導主事兼産業・復興教育課長 高等学校における中途退学者の数でございますが、平成30年度は204名でございます。
〇小林正信委員 本当に未来ある高校生が204名中退されているということで、中退が悪いというわけではないですけれども、やっぱり何か事情があったのだなと思います。
 群馬県や愛知県では、国のモデル事業として高校中退者を対象とした無料の学習会を行ったりしていると。また高知県では、高校を中退した生徒の個人情報を県内のサポートステーションに提供する仕組み、若者はばたけネットを構築して就労や学習支援を行っているそうです。
 こうした取り組みは若者の孤立化や貧困化を防ぐ上で有効な取り組みと考えますが、岩手県において、高校中退者を支援するためのサポートステーションなどの支援機関と学校との情報共有はどのように行われているのかお伺いします。
〇軍司首席指導主事兼産業・復興教育課長 学校と支援機関との情報共有の件でございますけれども、学校では、退学する生徒のその後の見通しにつきまして生徒、保護者の相談に乗っておりまして、必要な場合には、地域若者サポートステーションやジョブカフェ等の関係する支援機関を生徒や保護者に対して紹介しているところでございます。また、退学後であっても、生徒側からの相談には随時教員が個別に対応しているところでございます。さらに、生徒や保護者と支援機関がつながり、就学、就労を進めるため、必要に応じて学校が支援機関と情報共有しながら支援をしている事例もあると承知しております。
 教育委員会といたしましても、今後も学校と支援機関等が連携し、中途退学者を支援できるよう努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 そういった支援もなされているということで、どれくらいの方が支援したり学校に相談したりしたかという部分はわからないと思うのですけれども、昨年204名が中退されたということで、できればこの204名全員が何らかの支援につながるような取り組みを行っていただきたいと希望するところであります。
 続きまして、先ほど吉田委員からもお話がありましたけれども、フリースクールについてお伺いします。
 平成28年に公布された義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法では、フリースクールなど学校以外の学びの場の重要性を認めるという法律であります。また、不登校児童生徒の多様な学びを推奨する法律であります。
 岩手県におけるフリースクールの現状についてどのように捉えられているのか、また、フリースクールに対する今後の県としてのかかわりについて御所見をお伺いします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 県内には民間やNPO団体等が設置するフリースクールが5施設あると確認しております。県教育委員会では、各教育事務所に配置しております在学青少年指導員がこれらのフリースクールを訪問するなどして、支援内容の特徴や児童生徒への支援のための情報共有などに努めておるところであります。
 また、今年度、フリースクールが主催した研修会について、その内容が不登校児童生徒の支援のあり方を学ぶ機会として公益性があると判断いたしまして、県教育委員会として後援を承認するなどの支援も行ったところであります。
 今後も、教育委員会、学校、民間施設とが相互に不登校児童生徒やその家族を支援するために十分な協力関係が保たれますよう、また連携に努めてまいります。
〇小林正信委員 盛岡市だとこのフリースクールに通ったことを出席日数として認める通知などが出されていたりして、フリースクールはなかなか学校になじめない方に対する大事な居場所ではないかと思いますので、ぜひ県においてもフリースクールへの支援というか、かかわりを持っていっていただきたいと思います。
 同じく教育機会確保法においては、夜間中学の設置促進が明記されています。国では各都道府県に1校の設置を促す方針と伺っておりますが、岩手県においてはどういった検討がなされているのかお伺いします。
〇小野寺首席指導主事兼義務教育課長 夜間中学の設置に関するこれまでの検討状況についてでありますが、本県では、現在のところ夜間中学は設置されておりませんが、義務教育段階を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校などさまざまな事情により中学校での学習が十分できないまま卒業した方などの義務教育を受ける機会を保障することは、教育機会の確保の観点から極めて重要であると認識しております。
 県教育委員会といたしましては、平成28年度に文部科学省からの委託を受け、岩手県中学校夜間学級の設置に関する検討委員会を立ち上げ、本県の状況を把握するための調査と方向性についての検討を行いました。検討委員会では、早急に設置が必要というニーズは認められなかったことから、一定のニーズが確認された時点で改めて具体的な設置のあり方について検討することなどが報告書でまとめられているところであります。その検討委員会の報告を踏まえて、現在も毎年、調査を実施しているところであります。現段階では、夜間中学、中学校夜間学級の設置に係るニーズは顕在化しておりませんが、今後とも、学びの機会の保障や中学校卒業認定に係る制度等の周知を進めていきます。
〇小林正信委員 主に外国人労働者の方の息子さんや娘さんといった方が多いのかなという部分もあるんですけれども、やはりこういった学びの場の確保にも必要な部分があると思うので、検討をしっかりしていただきたいと思います。
 最後に、いじめ対策について伺います。
 長野県ではLINE株式会社と提携してSNSを活用したいじめの相談体制をつくって、これが契機になって、国では、SNS相談体制充実の費用を平成29年、平成30年と計上しております。岩手県ではこれまで、LINEなどSNSを活用した相談体制、いじめの相談体制についてどのような検討がなされたのかお伺いします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 いじめの相談体制についてお答えいたします。
 現在、県教育委員会では、いじめ等に対応する電話とメールによる相談体制のみを行っているところであります。電話相談件数につきましては年々増加しており、平成30年度は1、781件の相談が寄せられたところであります。
 SNSの相談につきましては、時間や期間を限定するなどしながら運用している他県の自治体等があることは承知しております。児童生徒にとって身近で相談しやすいという有効性がある一方で、文字情報やスタンプから相談者の心理状態を的確に把握することが困難である等の課題も報告されておるところであります。
 今後におきましても、既存の相談体制の充実に努めながら、国の施策の方針や他県の取り組みの動向等にも注視してまいりながら対応等について検討させていただきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでございました。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇藤澤企業局長 平成30年度の企業局関係の決算等について御説明申し上げます。
 初めに、企業局の事業の総括的な取り組みと成果及び今後の取り組み方向について御説明申し上げます。
 平成30年度の事業運営に当たりましては、公営企業の経営の基本理念である経済性の発揮と公共の福祉の増進を踏まえながら、平成28年度から令和元年度までの第5次中期経営計画に基づき、クリーンな電力と良質な工業用水の安定供給に取り組むとともに、施設の計画的な改良、修繕や業務コストの節減を図り、効率的な経営に努めてまいりました。
 電気事業については、簗川発電所の発電所基礎部のコンクリート打設や水圧鉄管の据えつけなどの現地工事を行い、令和3年度の運転開始に向けて発電所の建設を進めたほか、入畑発電所水車発電機のオーバーホールなど、既設の発電所の大規模修繕等に取り組みました。
 また、出水率が平年を上回ったことや高森高原風力発電所が順調に通年運転したことなどにより、供給電力量は目標を達成するとともに、純利益も前年度に引き続き10億円台となりました。
 工業用水道事業については、施設の改良、修繕を行いながら安定供給に努めたほか、大手半導体企業の進出に伴う新たな水需要に対応するため、新浄水場の基本設計を進め、施工者を決定するなど、施設の建設、整備を推進しております。
 営業収益は、設備改修に係る給水停止に伴う基本使用水量の減少により前年度より減額となったものの、経費の効率的な執行に努めたことなどにより、純利益を確保することができました。
 このほか、地域貢献の施策として、平成18年度から市町村が行う再生可能エネルギー導入の取り組みを支援しているほか、本県の最重要課題である震災復興、ふるさと振興へ寄与するため、平成30年度から東北電力株式会社との共同の取り組みとしていわて復興パワーを開始し、電気料金の割引や一般会計への繰り出しによる関連施策の財政支援を行っているところです。
 次に、今後の取り組み方向でございますが、今年度が第5次中期経営計画の最終年度となっており、これまでの取り組みの総仕上げとして、一層の安定供給と安定経営に努めてまいりたいと考えております。また、令和2年度以降の長期経営方針及び中期経営計画の策定を進めております。
 電気事業では、運転年数100年の実現に向けて、施設の状況に応じた計画的な改良、修繕に取り組むとともに、簗川発電所の建設や稲庭高原風力発電所の再開発に取り組み、本県の再生可能エネルギーによる電力自給率の向上に努めてまいります。
 また、令和2年度から令和3年度の売電先については、電力自給率の向上、安定経営及び地域貢献を基本方針として、新たに県内の地域新電力を対象に加え、契約手続を進めているところであり、引き続き、電力システム改革の動向や事業を取り巻く環境の変化に適切に対応してまいります。
 工業用水道事業では、新たな水需要への対応など、経営環境の変化に適切に対応するため、新浄水場等の施設の建設、整備を進めるとともに、配管の更新などの安定供給及び安定経営に向けた取り組みを進めてまいります。
 地域貢献では、再生可能エネルギーの導入促進や水源涵養を目的とした植林活動への支援などを継続するとともに、いわて復興パワーの取り組みを踏まえて、引き続き電力供給を通じた地域貢献に取り組んでまいります。
 それでは、企業局の平成30年度決算等について御説明申し上げます。
 まず、認定第14号平成30年度岩手県電気事業会計決算の概要について御説明申し上げます。
 電気事業会計決算の1ページをお開き願います。
 なお、決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は消費税抜きの金額で作成することとなっており、金額に相違がありますので、あらかじめ御承知願います。
 それでは、(1)収益的収入及び支出でありますが、収入の第1款電気事業収益は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は69億9、983万円余であります。
 主な内訳でありますが、第1項営業収益53億7、358万円余は、胆沢第二発電所など16カ所の水力発電所に係る電力料収入等であり、第2項附帯事業収益13億8、007万円余は、稲庭高原風力発電所、高森高原風力発電所及び相去太陽光発電所に係る電力料収入であります。
 次に、支出の第1款電気事業費用は、表の右から4列目に記載のとおり、決算額は57億8、189万円余であります。
 主な内訳でありますが、第1項営業費用43億7、356万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項附帯事業費用10億5、319万円余は、稲庭高原風力発電所、高森高原風力発電所と相去太陽光発電所の運転及び管理運営に要した経費であります。
 次に、2ページをお開き願います。(2)資本的収入及び支出のうち、収入の第1款資本的収入は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は2億8、235万円余であります。
 主な内訳でありますが、第2項長期貸付金償還金2億6、933万円余は、一般会計等からの長期貸付金に係る償還金であります。
 次に、支出の第1款資本的支出は、表の右から6列目に記載のとおり、決算額は14億6、232万円余であります。
 主な内訳でありますが、第1項建設費4億9、379万円余は、高森高原風力発電所及び簗川発電所の建設に係る工事費などの経費であり、第2項改良費4億3、997万円余は、発電所と管理施設等の改良や更新に要した経費であり、第4項企業債償還金4億1、421万円余は、発電所建設のため、過年度に借り入れた企業債に係る償還金であります。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に対し不足しておりますが、欄外に記載しておりますとおり、減債積立金等で補填しております。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は、一番右側の中ほどに記載のとおり9億6、127万円余となっております。経常利益は、右側下から4行目に記載のとおり11億5、098万円余となっており、当年度純利益は、経常利益と同額の11億5、098万円余であります。また、当年度未処分利益剰余金は、純利益にその他未処分利益剰余金変動額を加え、二重下線を付した19億4、644万円余であります。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書でありますが、表の中段の当年度変動額及び下段の当年度末残高の主な項目について御説明いたします。
 表の左から6列目に記載されております利益剰余金のうち減債積立金は、企業債の償還財源として4億1、421万円余を取り崩したため、当年度末残高は16億59万円余となっております。8列目に記載されております建設改良積立金は、建設改良事業の財源として2億3、156万円余を取り崩したため、当年度末残高は20億1、286万円余となっております。9列目に記載されております中小水力発電開発改良積立金は、水力発電施設の改良費の財源として1億4、968万円余を取り崩したため、当年度末残高は5億4、337万円余となっております。10列目に記載されております環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金は、地域貢献のための事業の財源として2、924万円余を取り崩したため、当年度末残高は1億2、697万円余となっております。また、12列目に記載の震災復興・ふるさと振興パワー積立金は、震災復興及びふるさと振興のための事業の財源として8、486万円余を取り崩したため、当年度末残高は1億7、513万円余となっております。さらに、隣の欄の未処分利益剰余金は、当年度末残高が19億4、644万円余となり、利益剰余金の合計は、当年度末残高で67億4、365万円余となっております。表の右から2列目の評価差額等は、株式の時価評価差額で34億8、100万円余であり、資本金、剰余金を合わせた資本合計の当年度末残高は49億279万円余(後刻「419億279万円余」と訂正)となっております。
 なお、5ページにあります剰余金処分計算書は、未処分利益剰余金の処分案と重複しますので、説明を省略させていただきます。
 また、6ページ以降の貸借対照表、事業報告書、附属書類につきましても、説明は省略させていただきます。
 失礼いたしました。先ほど、資本金、剰余金を合わせた資本合計の当年度末残高でございますが、49億と申し上げましたが419億279万円余の誤りでございました。
 次に、議案第37号平成30年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その3により御説明申し上げますので、議案その3の1ページをお開き願います。平成30年度岩手県電気事業会計の未処分利益剰余金は19億4、644万円余でありますが、このうち7億9、546万円余を資本金に組み入れるとともに、10億4、098万円余を減債積立金に、1億1、000万円を震災復興・ふるさと振興パワー積立金にそれぞれ積み立てようとするものであります。
 電気事業会計に関する説明は以上であります。
 続きまして、認定第15号平成30年度岩手県工業用水道事業会計決算の概要について御説明申し上げます。
 工業用水道事業会計決算の1ページをお開き願います。1の決算報告書でありますが、(1)収益的収入及び支出のうち、収入の第1款工業用水道事業収益は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は9億7、765万円余であります。
 主な内訳でありますが、第1項営業収益9億119万円余は、工業用水の給水料金収入等であります。
 次に、支出の第1款工業用水道事業費用は、表の右から4列目に記載のとおり、決算額が8億4、102万円余であります。
 主な内訳でありますが、第1項営業費用7億7、842万円余は、工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した費用であります。
 なお、第1項営業費用の翌年度繰越額121万円余は、第二北上中部工業用水道設備改良事業の工事の一部において、関係機関との調整に日数を要したため繰り越しとなったものでございます。
 次に、2ページをお開き願います。(2)資本的収入及び支出のうち、収入の第1款資本的収入は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は3億4、182万円余であります。
 主な内訳でありますが、第1項企業債3億4、050万円は、工業用水道施設の建設費及び改良費に係る企業債の借り入れであります。
 次に、支出の第1款資本的支出は、表の右から6列目に記載のとおり、決算額は10億9、946万円余であり、主な内訳でありますが、第1項建設費5億3、813万円余は、浄水場建設工事等に要する経費であり、第2項改良費2億785万円余は、工業用水道施設の改良や更新に要した経費であり、第3項企業債償還金2億8、414万円余は、工業用水道施設の建設改良事業のため、過年度に借り入れた企業債に係る償還金であります。
 なお、第1項建設費の翌年度繰越額1、021万円余は、第一北上中部工業用水道浄水場建設事業の用地費等の一部において、設計の策定調整に日数を要したため繰り越しとなったものであり、第2項改良費の翌年度繰越額4、576万円余は、第二北上中部工業用水道設備改良事業の工事費の一部において、関係機関との調整に日数を要したため繰り越しとなったものであります。
 また、資本的収入額が資本的支出額に対し不足しておりますが、欄外に記載しておりますとおり、減債積立金等で補填しております。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、電気事業会計と同様に、営業利益は、一番右側の中ほどに記載のとおり7、600万円余となっております。経常利益は、右側下から4行目に記載のとおり1億464万円余となっており、当年度純利益は、経常利益と同額の1億464万円余であります。
 また、当年度未処分利益剰余金は、純利益にその他未処分利益剰余金変動額を加え、二重下線を付した1億7、633万円余であります。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書でありますが、表の中ごろの当年度変動額及び下段の当年度末残高の主な項目について説明します。
 表の左から5列目に記載されております利益剰余金のうち減債積立金は、企業債の償還財源として7、169万円余を取り崩したため、当年度末残高はありません。
 また、隣の欄の未処分利益剰余金は、当年度末残高が1億7、633万円余となり、利益剰余金の合計は、当年度末残高で未処分利益剰余金と同額となっております。
 資本合計の当年度末残高は、表の一番右側に記載のとおり、資本金、剰余金を合わせた36億4、260万円余となっております。
 なお、5ページにあります剰余金処分計算書は、未処分利益剰余金の処分案と重複しますので、説明を省略させていただきます。
 また、6ページ以降の貸借対照表、事業報告書、附属書類につきましても、説明は省略させていただきます。
 次に、議案第38号平成30年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、議案その3により御説明いたしますので、議案その3の2ページをお開き願います。平成30年度岩手県工業用水道事業会計の未処分利益剰余金は1億7、633万円余でありますが、このうち7、169万円余を資本金に組み入れるとともに、1億464万円余を減債積立金に積み立てようとするものであります。
 以上で企業局関係の決算等について説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 早く終われという空気をひしひしと感じておりますので、スピーディーに進めてまいりたいと存じます。
 まず企業局の皆様には、両会計とも純利益をきちんと確保していただいておりますことに敬意を表する次第でございます。
 私のほうからは、風力発電といわて復興パワーについてお伺いをいたします。
 高森高原の風力発電、先ほど藤澤局長からも、平成30年1月1日から通年運転が開始されたということで、まず平成30年度は1年間を通して運転をされたということでございますが、順調ということであったのですが、平成30年度の実績と、あと、課題のようなものがあればお示しを願いたいと思います。
〇駿河電気課長 高森高原風力発電所の平成30年度の運転実績についてでありますが、目標電力量の4、919万キロワットアワーに対しまして、発電実績が5、218万キロワットアワーとなっておりまして、目標に対する達成率は106.1%となっております。
 目標を上回ることとなった要因といたしましては、多くの発電電力量が見込まれます12月から2月にかけて、想定以上の風に恵まれたことによるものと見ております。
 それから、次に今後の課題についてでございますけれども、平成30年度の達成率が106.1%と、運転状況は良好になったわけでございますが、この状況を維持していくことが重要と考えております。今後も重大な事故(後刻「故障」と訂正)等が発生しないよう、維持管理に努めてまいりたいと考えております。
 また、今年度は、10月現在で地元の小学校を含む9団体、134名の方に見学していただきまして、私たちのほうでは案内を行ったところでありますけれども、今後も、環境学習などの場として地域の方々に活用していただけるよう、積極的にアピールしてまいりたいと考えております。
 失礼します。先ほど重大な事故が発生しないようと申し上げましたけれども、故障が発生しないようということで訂正させていただきます。
〇五日市王委員 あとは風がきちんと吹いてくれれば順調かなと思ったので、いずれ、これは120億円ぐらいでしたか、投資をして建設した大事業でございまして、まずは初年度が順調にいったということは、大変地元としても安心をいたしましたので、引き続きよろしくお願いしたいと存じます。
 次に、稲庭高原風力発電所のほうに参ります。こちらは目標電力量に対し実績が94%と、わずかに及ばなかったわけでございますが、この要因はどのように捉えているのかお伺いをいたします。
〇駿河電気課長 稲庭高原風力発電所の目標達成についてでございますけれども、平成30年度は、目標電力量の419万キロワットアワーに対しまして、実績は393万キロワットアワーということで、目標の達成率は94%となっております。
 この94%になった要因でございますけれども、発電所が運転開始をしてから18年が経過しております。耐用年数の20年に近づきまして、発電機のコイルの焼損や制御機器の故障が生じたことに伴います発電停止によるものでございます。現在、再開発事業いわゆるリニューアルを計画しておりまして、それまでの間、メンテナンスを行いながら運転を継続したいと考えております。
〇五日市王委員 そのリニューアルの事業の概要と、今後のスケジュールについてお伺いいたします。
〇駿河電気課長 再開発事業、いわゆるリニューアルの事業についてでございますけれども、発電所の規模である出力に関しましては、現在、送電線に空き容量がないという状況のため、現状と同じ1、980キロワットとしております。
 開発の事業費につきましては、税抜きで8億5、000万円余を見込んでおります。そして、令和3年の運転開始を目指しております。
 風車につきましては、既設と同じ3基の場合、それと1基に集約した場合とで経済性を比較したところ、1基で再開発をしたほうが建設費それから維持管理費ともに低減できるという結果になりましたので、新設については1基で計画をしております。
 再開発後の供給電力量でございますけれども、年間約550万キロワットアワーとなりまして、現在の設備よりも35%の増加を見込んでおります。
 次に、この事業のスケジュールについてでございますけれども、令和2年度につきましては、地質調査それから基礎の設計、風車の製作を実施しまして、令和3年度に風車の据えつけを行う予定にしております。
〇五日市王委員 今まで3基だったものを、要は大きなものを一つつくるということですね。高さがこれまで75.5メートルだったものが119メートルになるということなのですが、ここは結構落雷の多いところで、たびたびとまったような気もするのですが、最新のものだから大丈夫だと思うのですが、高くなったことによってその辺の心配がないのかということと、あと、今回、送電線に空き容量がないため同じような出力なわけでございますが、もし仮に空き容量が確保できた場合は、さらに増設という考えがあるのかどうかということについてもお伺いをいたします。
〇駿河電気課長 雷の対策についてでございますけれども、既設の風車につきましては、風車導入初期のころということで、雷に弱い機種でございましたが、最近は技術開発が進歩しております。現在のものよりも雷に強い風車を導入できると考えております。
 それから、送電線の空き容量がもしあった場合でございますけれども、空き容量が確保できるというときにつきましては、経済性その他を勘案の上、検討してまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 ぜひそういった場合は、さらなる増設も検討していただければと思います。
 次に、いわて復興パワーについてお伺いをいたします。
 この事業は平成30年度からの2カ年ということで、先ほど局長からも説明がございましたが、企業局と東北電力との共同で震災復興及びふるさと振興に寄与するということで、そういった事業の補助金の交付を受けている事業者、しかも高圧受電している方々に一律5%の割り引きをするという事業でございますが、大変すばらしい事業だと思って見ておりましたが、平成30年度の実績と評価についてお伺いをいたします。
〇菅原経営企画課長 いわて復興パワーについてでございますが、いわて復興パワーは、平成30年4月から、企業局が発電した電力を活用し、県政の最重要課題であります震災復興及びふるさと振興に貢献するため、企業局の売電先でございます東北電力株式会社が、沿岸地域の事業再開した企業やふるさと振興に取り組む企業を対象に電気料金の割引を実施し、また、企業局におきましては、一般会計への繰り出しを通じて、ふるさと振興総合戦略に掲げる施策等に対し、財政的に支援を行ってきたところでございます。
 平成30年度におきます電気料金割引の実績及び評価についてでございますが、平成30年度に割引の対象となりました事業所は650件ございました。1億4、300万円の電気料金の低減効果があったというところでございます。また、ことしの1月から、いわて子育てにやさしい企業等、いわて女性活躍企業等の認定を受けた企業等及びいわて働き方改革推進運動への参加宣言を受理された企業等を対象に追加したところによりまして、認定取得等のインセンティブを高めつつ、ふるさと振興の取り組みを推進することができたと考えております。
 さらに、一般会計への繰り出しにつきましては、知事部局の4事業に総額8、500万円の繰り出しを行い、県内中小企業者の新たな事業活動への支援や、国際リニアコライダーを契機とした関連産業の振興施策などへの支援を実施したところであります。
〇五日市王委員 いわて復興パワーの実績は650件ということだったのですが、たしか対象となる企業が1、000件ぐらいだったですか、そのうちの650件ということでよろしいですね。
〇菅原経営企画課長 委員御指摘のとおり、私どもの発電いたします電力量を、高圧受電をしていらっしゃるお客様の平均的な電力量で、どれくらいのお客様に御利用いただけるのかということで1、000件が上限ということを考えていたところでございますが、それに対して650件であったということでございます。
〇五日市王委員 1、000分の650ということでいいのですね。了解です。
 今年度から、今お話があったように、子育てと女性活躍、そして働き方改革を推進している企業にも対象を広げたということですが、こちらのほうの実績はどうなっているのですか。
〇菅原経営企画課長 いわて子育てにやさしい企業等などの個別の活用数でございますが、まず、いわて子育てにやさしい企業等につきましては、適用となっておりますのが7件でございます。また、いわて女性活躍企業等につきましては6件、いわて働き方改革につきましては38件というところでございます。
〇五日市王委員 わかりました。いずれ、これは申請をすればすぐ受けられるといいますか、大変いい補助金というか支援策だと思います。2カ年の事業ということで、一応今年度で終了ということだと思うのですが、監査意見の中にも、この事業は、地域貢献活動については、被災地への支援も実施するなどその効果が認められることから、今後とも地域のニーズを的確に把握して積極的に取り組まれたいとありますが、来年度以降の方針はどうなっているのか教えていただきたいと思います。
〇菅原経営企画課長 来年度以降の方向性についてでございますが、いわて復興パワーの取り組みにつきましては、東北電力会社との今年度までの2年間の売電契約に基づく取り組みということになっておりまして、企業局では、来年度から2年間の新たな売電契約に向けた公募型プロポーザルにおきまして、県の施策推進に寄与する取り組みの提案などの地域貢献の取り組みを大きく評価いたしまして、契約候補者を選定したところでございます。
 来年度以降の取り組みにつきましては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる施策などの推進に貢献できるよう、売電契約の内容と合わせて、契約候補者と協議、調整を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 了解しました。私は今回の対象の企業とか、考え方はすごくいいと思うのです。今後続けるということであれば、いわゆる企業局は水と風と太陽の恵みで電気を発電して成り立っているわけですので、同じく、水と風と太陽を恵みにしている農業分野にもぜひとも、何かちょっと具体的な方法は浮かばないですが、方向性として農業分野、畜産関係もいろいろありますが、電気を絡めてもそうですし、何かそういったものも手だてができないのかと思っておるのですが、その辺、局長いかがですか。
〇藤澤企業局長 企業局は地方公営企業でございますので、地域貢献というのは地方公営企業にとっても大きな役割の一つだと考えております。現在のところは、水源涵養で例えば植林事業を行ったり、あるいは市町村に対して太陽光等の街灯、クリーンエネルギーを利用した設備を整備する際の補助などもやらせていただいておりますけれども、そういったことも踏まえつつ、委員からお話のありました件につきましても、今後幅広く検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、稲庭高原風力発電所再開発については五日市委員が詳しく質問しましたので、稲庭高原風力発電所は、本当にしょっちゅう雷でやられたので、新しい高森高原風力発電所はほとんどないのか、軽微なものにとどまっているのか、そのことを示してください。
〇駿河電気課長 高森高原風力発電所での雷の被害でございますが、昨年1月に運転開始して以来、高森では雷の被害は発生しておりません。
〇斉藤信委員 わかりました。あわせて、蓄電池が設置された風力発電でありましたけれども、この蓄電池の効果というのはどのように発揮されているのでしょうか。
〇駿河電気課長 蓄電池の効果でございますけれども、この高森高原風力発電所は、電力会社の要請に基づく電気の出力変動緩和用の蓄電池を設置したものでございます。蓄電池は、風の強弱によって発電機の出力が変動するわけですが、この変動を蓄電池の充放電によってある程度一定にする効果がございます。
 出力変動の対策につきましては、20分間における出力変動の幅を最大出力の10%以内に抑えることが求められております。1年間の技術検証の結果、99%以上の時間帯でこれを達成したということが認められております。また、これについては、電力会社からも、技術要件を満足しているということを確認した旨の回答を得ているところでございます。
〇斉藤信委員 次に、企業局長が最初の説明のところで、新浄水場の整備に取り組むという話がありました。この新浄水場の整備というのは旧東芝メモリ、新しい名前はたしかキオクシア岩手でしたか、これに対応する新浄水場の整備計画、事業費、進捗状況を示してください。
〇村上業務課総括課長 新浄水場の整備状況につきましてでございますが、新たな浄水場の整備につきましては、昨年度、基本設計や埋蔵文化財の試掘調査などを行うとともに、詳細設計及び本体工事の受注候補者を選定、3月に、それらの受注候補者と基本協定を締結したところでございます。現在は詳細な設計を進めているということで、並行して10月から浄水場整備予定地内の既設の構造物を撤去する工事に着手しているところでございます。
 事業費につきましては、現在のところ約156億円程度を見込んでございます。
 現在、新浄水場から給水する水量につきましては、日量6万立方メートル程度の容量を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 156億円の、ある意味巨大プロジェクトです。私が2月議会で聞いたときには、2020年度から給水を始めるという話でしたが、これから整備して間に合うのですか。
〇村上業務課総括課長 整備計画といたしましては、2022年度中の給水を予定しているところでございます。今の状況としましては、おおむね順調に進んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 たしか、2月のときには2020年度という回答があったと思います。違いますか。(「違います」と呼ぶ者あり)そうですか。そしたら議事録が間違っていましたね。議事録が恐らく間違っていたと思います。2022年度からと。
 それで、当初は2万立方メートルから給水されると。第3期計画で。2月に聞いたときには、45年間で17億円の利益という話でした。これは変わっていませんか。
〇村上業務課総括課長 はい。45年間で17億円の黒字の見込みというのは現在のところ変わっておりません。
〇斉藤信委員 何年たったら採算点にいくのですか。
〇村上業務課総括課長 現在、黒字化は2040年度を見込んでおります。
〇斉藤信委員 わかりました。本当に巨大プロジェクトで、キオクシア岩手の工場そのものがかなり大規模なものですから、かなりの先行投資だと思いますので、慎重にしっかりやっていただきたい。
 最後の質問ですけれども、企業局の臨時職員、非常勤職員の会計年度任用職員の移行についてお聞きをします。
 会計年度任用職員の制度の対象となる職員はどうなっているでしょうか。職種の内訳を含めて示してください。
〇高橋管理課長 企業局におきます会計年度任用職員の対象となる職員でございますが、現在の職種区分で申し上げますと、非常勤専門職員が2名、期限付臨時職員のうち事務職が12名、同じく期限付臨時職員のうち運転職が8名、その他日々雇用職員が3名となっております。合わせて25名であります。
 なお、企業局におきましては、新たな制度への移行について、配置人員は現在の数を維持したいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 私は人事課にもお聞きして、基本的には今の臨時職員、これはフルタイムの会計年度任用職員に、そして非常勤職員の場合にはパート採用となるのですけれども、そして期末手当が出る、フルタイムの場合には退職金も出るという話でありましたが、企業局の場合は、フルタイムの職員がパートに切り下げられるということはないと思いますけれども、いかがですか。
〇高橋管理課長 企業局におきますフルタイム、パートタイムの区分でございますが、現在の非常勤専門職員及び臨時職員の制度移行後の勤務時間については、各所属に配置する事務職14名については、業務の量や内容を確認しつつ、業務の見直しが可能かという点も含め、処遇面を総合的に検討した上で、週30時間のパートタイムとする予定でございます。一方、臨時職員のうち運転職8名については、遠方にある発電所施設への運転業務があるなど、企業局における勤務実態を考慮し、週38.75時間のフルタイム勤務とする予定でございます。
〇斉藤信委員 そうしますと、会計年度任用職員移行の対象25人のうち、実に12人の事務の臨時職員がパートになるのですね。基本給がマイナスになると。私は、これは会計年度任用職員の制度の趣旨に反するのではないかと思いますが、特別手当は今までフルタイムの臨時職員には、かなりの病気休暇、その他保障されていたと思いますけれども、これは特別休暇、特別手当もなくなるということになりますか。
〇高橋管理課長 制度の移行に伴います休暇制度でございますが、現在の非常勤職員と同様の制度を想定しております。国では、無給休暇としている一部休暇について、例えば子等の看護休暇、短期看護休暇、夏季休暇、こういったものを有給休暇として本県では追加する予定でございまして、そのほか賃金は月額が下がる状況はそのとおりでございますけれども、年次有給休暇の繰り越しを可能にするなどの手当てをして、処遇の確保を図られるようにしたいと考えております。
〇斉藤信委員 基本給を引き下げるというのは、会計年度任用職員制度の趣旨に反すると思います。それでお聞きしますけれども、パートに移行した場合でも期末手当、その他が出た場合に、年収ベースでマイナスになるのかプラスになるのか、このことを示してください。
 同時に、企業局の場合には恐らく国の財政支援というのはないと思うので、これはまず自腹で対応しなければならないと。財政所要額がどのように変わるのか、このこともあわせて示してください。
〇高橋管理課長 まず、フルタイムの臨時的任用職員が週30時間の勤務の会計年度任用職員に移行した場合でございますが、年額では、1年目、これは期末手当の支給率が1年目は低い理由によりますけれども、1年目は年収ベースで約10万円ほど増額になります。それから、2年目でございますが、これは期末手当が満額支給される状況になりますので、約23万円ほどの増額になると見込んでおります。そのほか、通勤手当、特殊勤務手当、それから常勤職員の例により手当がございますので、総じて一定程度の増額があると考えております。
 それから、財政所要額の関係でございますが、この制度の移行に伴いまして、約1、300万円ほど負担が増額になると見込んでおります。内訳としまして、期末手当が新たに制度が始まりますので1、300万円のうち1、000万円ほど、それから退職手当が150万円ほど、それから共済、社会保険といったものが160万円ほどということで、この1、300万円ほどの割合でございますが、約2割ふえるという内訳でございます。
〇斉藤信委員 基本給は下がるけれども、年収ベースでは1年目で10万円、2年目で20万円増額になると、ぎりぎりセーフという感じでしょうか。そして1、300万円ほどの費用負担増になるということですね。わかりました。以上で終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時5分 散 会

前へ 次へ