令和元年9月定例会 決算特別委員会会議録

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令和元年10月31日(木)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
政策地域部長 白 水 伸 英
副部長兼政策
推進室長兼首席
ふるさと振興監 小 野   博
地域振興室長 小笠原 隆 行
国際室長 佐々木 真 一
交通政策室長 箱 石 知 義
科学・情報
政策室長 古 舘 慶 之
三陸防災復興
プロジェクト2019推進室長 小野寺 宏 和
参事兼市町村課
総括課長 小 原 由 香
参事兼調査統計課
総括課長 千 葉 達 也
政策監 村 上 宏 治
評価課長 北 島 太 郎
調整監 鈴 木 俊 昭
ふるさと振興監 和 田 英 樹
政策推進室
管理課長 浅 沼 玉 樹
学事振興課
総括課長 工 藤 直 樹
地域振興監 畠 山   剛
県北沿岸振興課長 大 釜 範 之
地域連携推進監 高 橋 則 仁
国際監 澤 田 彰 弘
特命参事兼
地域交通課長 渡 辺 謙 一
空港振興課長 小笠原   徳
科学技術課長 阿 部   博
総括プロジェクト
推進監 酒 井   淳

ILC推進局長 佐々木   淳
副局長兼事業
推進課総括課長 高 橋   毅
企画総務課
総括課長 鈴 木 俊 昭
企画総務課
管理課長 浅 沼 玉 樹
計画調査課長 澤 田   仁

警察本部長 島 村   英
警務部長 大 塚 健 滋
生活安全部長 吉 田 良 夫
刑事部長 中 野 和 朗
交通部長 小田島 洋 憲
警備部長 新 家 勝 昭
警務部参事官兼
首席監察官 石 川   康
警務部参事官兼
警務課長 玉 澤 賢 一
警務部参事兼
会計課長 千 田 敬 喜
生活安全部
参事官兼
生活安全企画課長 菅 野 一 也
刑事部参事官兼
刑事企画課長 高 橋   仁
交通部参事官兼
交通企画課長 佐々木 雅 夫
警備部参事官兼
公安課長 乳 井   博
総務課長 吉 田 知 明
交通規制課長 南 部 一 成

会計管理者 菊 池   満
会計課総括課長兼
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 小 原 重 幸
〇佐藤ケイ子委員長 これより本日の会議を開きます。
 工藤大輔委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、政策地域部、ILC推進局及び警察本部関係について延べ20人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 初めに、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇白水政策地域部長 それでは、平成30年度の政策地域部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 まず初めに、政策地域部所管の事務事業に係る総括的な評価と今後の取り組み方針につきまして、資料がなくて大変恐縮でございますが、御説明させていただきます。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興への取り組みにつきましては、JR山田線の三陸鉄道への経営移管に向けた支援、それから、被災地域を運行するバス路線の維持を図るための支援、被災地の子供たちの学びの支援等を行ってまいりました。
 次に、いわて県民計画に掲げる取り組みにつきましては、県の政策推進の方向や具体的な取り組み内容を示し、県民等がみずから取り組みを進めていくビジョンとなるいわて県民計画(2019〜2028)の策定や広域振興局体制のもと、市町村や県民と連携し、各圏域の目指す将来像の実現に向けた取り組みを行ってまいりました。
 特に、県北・沿岸圏域の振興に向けて、地域資源の活用による交流人口の拡大等の取り組みのほか、本年開催いたしました三陸防災復興プロジェクト2019の機運醸成等に取り組んでまいりました。
 また、地域コミュニティーの活性化に向けた取り組みの支援のほか、県内高等教育機関と連携した共同研究等に取り組むとともに、国際交流の分野におきましては、海外とのネットワークの形成、関係機関と連携して多文化共生の推進等に取り組んでまいりました。
 また、公共交通、情報基盤の分野におきましては、市町村と連携し、岩手県地域公共交通網形成計画の策定や市町村における地域事情に応じた交通体系の構築支援など、公共交通の維持、確保と利用促進に取り組んでまいりましたほか、携帯電話の利用可能地域の拡大に対する支援、ICT利活用の促進などに取り組んでまいりました。
 今後におきましても、引き続き、政策評価制度に基づきまして、各施策の成果や課題等の検証を行い、その結果を新規施策の展開や既存施策の見直し等に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 なお、本年4月の組織再編に伴いまして、学事振興関係業務につきましては、総務部から当部へ移管されました。また、移住、定住関係業務につきましては、当部から商工労働観光部へ移管いたしましたほか、本年8月には、ILC関係業務につきまして、新設されたILC推進局へ移管しておりますので、ただいまから御説明申し上げますのは、現在、政策地域部が所管しております内容であることを御了承願いたいと思います。
 それでは、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開きいただけますでしょうか。政策地域部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、1項総務管理費、2項企画費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、それから、16ページ、17ページに参りまして、10款教育費のうち、8項大学費及び9項私立学校費でありますが、これらの支出済額総額は193億8、535万円余でございまして、翌年度への繰越額は1億3、738万円余、不用額は3億3、641万円余となっております。
 それでは、決算の内容につきまして、歳入歳出決算事項別明細書に基づき御説明させていただきます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業の内容を中心に御説明させていただきますので、御了承願います。
 それでは、事項別明細書の166ページ、167ページをお開きいただけますでしょうか。2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費でございますが、支出済額11億7、777万円余につきましては、財務会計などのオンラインシステムや通信ネットワーク等、庁内の行政情報システムの管理に要した経費でございます。
 続きまして、168ページ、169ページをお開きいただけますでしょうか。2項企画費1目企画総務費でございますが、当部関係の支出済額3億4、755万円余のうち、ILC推進局に移管いたしました管理運営費の一部を除く2億7、088万円余の主なものについて御説明申し上げます。まず、一番右端の備考欄でございますが、政策地域部の上から二つ目のいわて三陸復興のかけ橋推進事業費につきましては、復興支援ポータルサイト等を活用して、県内外企業とのネットワーク強化、情報発信等に要した経費でございます。その二つ下の高等教育機関連携推進費につきましては、雇用創出や若者定着の促進を図るため、県と地方大学の連携によりまして、市町村の地方創生総合戦略の支援や、地元中小企業と県立大学による共同研究等に要した経費でございます。続きまして、次の170ページと171ページをお開きいただけますでしょうか。2目計画調査費のうち、当部関係の支出済額は2、558万円余でございますが、その主なものについて御説明申し上げます。一番右端、備考欄の政策地域部の下から二つ目でございますが、次期総合計画策定費につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)の策定のため、県民等からの幅広い意見聴取、情報発信等に要した経費でございます。次に、4目科学技術振興費の支出済額1億3、619万円余のうち、ILC推進局に移管いたしましたプロジェクト研究調査事業費を除く7、581万円余の主なものについて御説明申し上げます。次の172ページと173ページをお開きいただけますでしょうか。一番右端の備考欄の上から四つ目、科学技術イノベーション創出促進事業費につきましては、将来有望な研究シーズや地域資源を活用した研究開発への支援等に要した経費でございます。その下のいわて戦略的研究開発推進事業費につきましては、大学等の技術シーズを活用した製品化や事業化に結びつく研究開発への支援等に要した経費でございます。
 次の174ページと175ページをよろしくお願いいたします。4項地域振興費1目地域振興総務費の支出済額38億6、688万円余のうち、商工労働観光部に移管いたしましたふるさとづくり推進事業費を除く38億1、809万円余の主なものについて御説明申し上げます。まず、一番右端、備考欄の上から四つ目でございますが、地域経営推進費につきましては、広域振興局におきまして、市町村やNPO、民間等との協働のもと、圏域の振興を図るために要した経費でございます。一つ飛びまして、携帯電話等エリア整備事業費補助につきましては、携帯電話の利用可能地域の拡大を促進するため、市町村が行う整備事業に対して補助をしたものでございます。その下の県北・沿岸振興費につきましては、県北・沿岸圏域の振興を図るため、地域資源の活用による地域活性化に向けた取り組み等に要した経費でございます。一つ飛びまして、三陸総合振興推進費につきましては、三陸地域における交流人口の拡大等を図るための推進体制の検討や、本年開催いたしました三陸防災復興プロジェクト2019の開催に向けた取り組み等に要した経費でございます。その下のいわてへの定住・交流促進事業費につきましては、被災地の復興や過疎地の活性化を担ういわて復興応援隊の受け入れ等に要した経費でございます。下から二つ目の地域総合整備資金貸付金につきましては、地域の振興に資するため、民間事業活動を支援するための資金貸し付けに要した経費でございます。続きまして、176ページと177ページをよろしくお願いいたします。2目市町村振興費の支出済額7億5、103万円余のうち、主なものにつきまして御説明申し上げます。一番右端の備考欄の下から二つ目、市町村振興宝くじ交付金につきましては、市町村への貸付原資や交付資金とするため、公益財団法人岩手県市町村振興協会に対しまして、市町村振興宝くじ等の販売収益金を交付したものでございます。続きまして、3目交通対策費の支出済額27億5、494万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、上から三つ目でございますが、三陸鉄道運営支援事業費につきましては、山田線の経営移管に伴いまして、三陸鉄道及び沿線市町が実施した車両や駅施設の整備等に対しまして、交付金を交付したものでございます。一つ飛びまして、並行在来線対策事業費につきましては、IGRいわて銀河鉄道による鉄道事業の経営を支援するため、県と沿線市町が連携し、車両更新に要する経費等について、基金に積み立て等を行ったものでございます。その下のバス運行対策費につきましては、地方バス路線を運行するバス事業者に対しまして、国庫補助制度に基づき運行欠損額に対する補助をしたものでございます。下から二つ目のいわて花巻空港利用促進事業費につきましては、交流人口の拡大や地域経済の活性化を図るため、岩手県空港利用促進協議会の活動の支援等に要した経費でございます。その下の被災地通学支援事業費補助につきましては、いわての学び希望基金を活用し、公共交通機関が実施した高校生等への通学費用の負担軽減支援の取り組みに対しまして補助したものでございます。次に、4目国際交流推進費の支出済額1億6、341万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。178ページ、179ページをよろしくお願いいたします。まず、上から三つ目の留学生等人材ネットワーク形成事業費につきましては、本県と海外との人的ネットワークを形成するため、県内大学等で学ぶ外国人留学生に対する支援や海外研修員の受け入れ等に要した経費でございます。一つ飛びまして、世界と岩手をつなぐ地域の国際人材育成推進事業費につきましては、地域を支える国際人材を育成するため、高校生を対象とした海外派遣研修の実施等に要した経費でございます。
 次に、5項選挙費でございますが、支出済額4、720万円余は、県選挙管理委員会の運営に要した経費でございます。
 続きまして、182ページと183ページをよろしくお願いいたします。7項統計調査費でございますが、支出済額4億968万円余は、人件費及び一般管理事務並びに県単独で実施いたしました統計調査及び国の委託により実施した統計調査に要した経費でございます。
 次に、総務部から移管いたしました学事振興関係業務につきまして御説明申し上げます。ページが大きく飛びまして恐縮でございますが、346ページと347ページをよろしくお願いいたします。10款教育費8項大学費1目大学費の支出済額42億3、904万円余は、公立大学法人岩手県立大学に対する運営費交付金や施設等整備費補助金に要した経費でございます。
 次に、9項私立学校費1目私立学校費の支出済額56億5、186万円余でございますが、私立学校に係る就学支援金交付金や運営費補助、被災児童生徒等に対する授業料の減免など、私学の振興に要した経費でございます。
 なお、政策地域部の繰越明許費でございますが、1億3、738万円余となっておりまして、その主なものは、県北広域交流拠点施設整備費補助4、923万円、三陸鉄道復興地域活性化支援事業費補助6、387万円余などにつきまして、計画調整に時間を要したことなどから繰り越しをしたものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇佐藤ケイ子委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは大きく2点、簡潔にお伺いいたします。
 まず、地域経営推進費と地方創生の取り組みについてお伺いいたしますが、平成30年度の地域経営推進費の取り組みの成果と評価をどのように御認識されているかお伺いします。
〇畠山地域振興監 平成30年度の地域経営推進費の取り組み成果と評価についてでありますが、平成30年度は、県事業として134事業、1億7、781万円余を執行したほか、市町村が実施した136事業に対して2億6、939万円余の支援を行ったところです。
 例えば、県事業では、沿岸広域振興局において、復興後を見据えた地域力強化のため、食を活用した地域づくりイベントへの支援や、三陸の未来を支える地域づくり人材セミナーを開催したほか、市町村事業では、県北広域振興局において、二戸市、軽米町、九戸村、一戸町の4市町村が共同で実施するカシオペアブランド推進協議会におけるカシオペアブランド魅力発信ツールの制作や東京でのPRイベントを支援しており、広域振興局長の判断のもと、地域課題に的確に対応したきめ細かな施策が展開されたと考えております。
〇臼澤勉委員 地域経営推進費は、地域課題解決型で、まさに広域振興局と各市町村が一緒になって進めていく、首長からも非常に期待の大きい事業でございます。
 そういう中で、今、本県が抱えている社会減対策、東京一極集中の是正に向けた地方創生に活用していく必要もあるかと思うのですが、そういった地方創生に向けた活用へのお考えをお伺いします。
〇畠山地域振興監 地方創生に向けた地域経営推進費の活用方針についてでありますが、地方創生については、今年度、県及び多くの市町村が次期地方版総合戦略の策定を進めているところであり、国の地方創生推進交付金を活用し施策を展開していきますが、県においても、地域の特性やニーズに対応するため、地域経営推進費を活用し、よりきめ細やかに事業を展開してまいります。
〇臼澤勉委員 今、国の地方創生推進交付金のお話もございました。他に地方創生拠点整備交付金とか、国でも東京一極集中の是正に向けた事業がございます。私は、積極的に県あるいは市町村が活用していくべきだと思っておりますが、県の実績、市町村の実績はどのようになっているのかお伺いします。
〇畠山地域振興監 地方創生拠点整備交付金等の市町村と県の実績についてでありますが、平成27年度までの地方創生加速化交付金は、現在、ソフト事業を中心とした地方創生推進交付金と、ハード事業を中心とした地方創生拠点整備交付金に分かれておりまして、平成30年度におけるそれぞれの実績を申し上げますと、まず、地方創生推進交付金については、市町村において46事業、4億3、742万円余、県において13事業、4億516万円余となっており、具体的には、洋野町において、蓄養ウニのローカルブランディングを確立するための市場分析や、事業者がウニ蓄養試験を実施する経費への補助を実施したほか、県においては、リンゴや短角牛などの農畜産物の生産技術の向上対策や、商品開発、販路拡大等の支援を実施したところです。
 また、地方創生拠点整備交付金については、市町村において5事業、1億5、984万円余、県において1事業、1億5、806万円余となっており、具体的には、大槌町において新産業創出研究センターの研究棟整備を実施したほか、県では、スマート農業技術に対応した機械や施設を一体的に整備し、岩手県立農業大学校の教育、研修機能を強化したところです。
〇臼澤勉委員 さまざまな取り組みが県内で取り組まれているということでございます。私は、さらに県の財政も厳しい中で、こういう国の交付金事業も積極的に活用して、課題解決に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、ICT利活用推進計画についてお伺いいたします。
 昨年度―平成30年度に岩手県ICT利活用推進計画を策定しておりますが、この取り組み状況、そして推進上の課題認識をどのように捉えているかお伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 岩手県ICT利活用推進計画の取り組み状況と推進上の課題についてでございますが、ICT利活用推進計画につきましては、本年3月に、地域の課題解決と県民の利便性向上のために策定したところでございます。
 本計画の推進に当たりましては、岩手県ICT利活用推進有識者会議を設置いたしまして、ICT利活用に当たっての御意見をお伺いしているところでございますし、庁内におきましては、各部局の企画課長等で構成します連携チームを設置し、計画の着実な推進に努めているところでございます。
 一方で、来年から第5世代移動通信システム、いわゆる5Gの商用サービスが開始されるということがございます。近年の情報技術の進歩は非常に著しいと感じているところでございます。
 県といたしましても、このような動向を踏まえつつ、計画を着実に推進していくことが必要と考えております。
〇臼澤勉委員 今回の知事演述でも、知事は、ソサエティー5.0は、岩手でこそ活用、実装の可能性が大きいのだということを述べられておりました。そういう意味においても、まず、推進に当たっての情報通信基盤整備が非常に大事になってくると思うのですけれども、今の整備状況あるいは今後どう進めていくのかお伺いいたします。
〇古舘科学・情報政策室長 情報通信基盤の整備についてでございますが、ソサエティー5.0社会の実現に向けて、第5世代移動通信システム―5G、光ファイバー等は、重要な情報通信基盤であると認識しております。
 国におきましては、来年度の予算要求におきまして、5G等の携帯基地局の整備、ローカル5Gの実証、高度無線環境整備等の予算を要求しているものと承知しております。
 県としましても、このような動向をしっかり踏まえまして、ローカル5Gを活用しました地域課題の解決方策を積極的に検討しまして、情報通信基盤の整備が促進されるよう努めてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 本当にこの基盤整備が大事になってまいります。県庁内のそういった環境整備ももっともっと進めていかなければいけないと思っているのですが、一方で、主要施策の成果に関する説明書の中でも、情報通信基盤の整備のところで、インターネットの利用率などもD評価ということで、まだまだ低調な傾向にありますけれども、やはりこういった部分も全県挙げて前に前に進めていく必要があろうと思います。今後の取り組み方策、課題認識等をお伺いします。
〇古舘科学・情報政策室長 インターネットの利用率でございます。ただいま御指摘ございましたが、全国的に見ますと、平成29年度80.9%、それから平成30年度は79.8%と、対前年比1.1ポイントの減となっている中で、本県におきましても、平成29年度が70.5%、平成30年度につきましては69.4%と、対前年比でやはり1.1ポイント減少している状況にございます。
 この結果を踏まえまして、県といたしましても、ICTの一層の普及のために、本年度より開始いたしましたアドバイザー制度の活用、フェアの開催などによる普及啓発の推進などに努めまして、着実に計画が推進されるよう努めてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 このICT利活用推進計画の中でも、さまざまな取り組みがあります。私は、その中でも、一般質問のときにもお話ししましたけれども、まさに地域課題解決型で、免許返納者の地域公共交通確保、利便性の向上を積極的に進めていく必要があろうと思いますし、市町村の枠を超えた広域的な公共交通の利用促進に取り組むべきと思っておりますが、改めて、今後の取り組み方針についてお伺いします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 ICTの地域公共交通への活用についてでございます。
 岩手県ICT利活用推進計画におきましては、ICカードやスマートフォンアプリを初めとしたICTの導入など、交通事業者の取り組みを支援することによりまして、公共交通の利便性やサービスの向上を図るとしてございます。
 今後の方針ということでございますが、まず、ICカードにつきましては、県内でまだ一部導入されているだけということで、こちらの導入を進められるよう、昨年度は、JR東日本が開発を進めております地域連携ICカードについての勉強会を、バス事業者あるいは鉄道事業者にお声がけをしまして開催したところでございます。こちらについても、引き続き、導入に向け交通事業者と意見交換を重ねてまいりたいと思います。
 また、スマートフォンアプリの活用につきましては、今年度、紫波町におきまして人工知能搭載の配車システムを活用いたしましたデマンド交通の実証運行の先進事例について実証運行しておりますので、この先進事例について各市町村へ情報提供するなど、地域公共交通確保へのICT活用に取り組んでまいりたいと思います。
 特に、部内に専門の科学・情報政策室がございますので、そちらとも連携しながら、公共交通への活用について進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 最後にいたしますが、この社会減対策に対しての重要なポイントの一つが公共交通対策でございます。ICTを活用し、今後どういうふうに、今は進めていく本当に大事な計画初年度でもありますので、平成30年度決算を踏まえて、部長に今後の意気込みを聞いて、終わりたいと思います。
〇白水政策地域部長 今、委員から御指摘いただきましたように、ことしは、いわて県民計画(2019〜2028)を策定いたしまして、その中で、特に社会減対策としても公共交通の維持、確保、利活用促進は非常に重要だと考えております。
 その中でも一つ、ICTを活用したということで、先ほど紫波町のAIを活用したデマンド交通のお話もさせていただきましたが、先進的な地域では、自動運転の実証などにも取り組んでいるという動きもあるような状況でございます。先進事例もしっかり研究、検討しながら、本県の施策も講じてまいりたいと考えております。
 もう一点、重要な視点としては、委員からも御指摘がありましたけれども、市町村との連携だと思います。県としては、広域的な観点からしっかりと交通体系を整備していくのですけれども、やはりコミュニティー交通、地域の最後の、特に市民、住民の皆さんに一番近い市町村の交通網の充実あるいは連携は非常に重要だと思いますので、そのような視点も含めてしっかり対応してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私は、情報システム管理費の電子県庁運営費9億6、900万円余について質問させていただきます。
 関連経費の推移は、以前はオンラインシステム運営費と行政情報ネットワーク運営管理委託費が電子県庁の運営費の9割を占めていたと思いますけれども、平成30年度決算での割合はどう変化しているのか、そして、電子申請サービスの運用状況についてもお知らせください。
〇古舘科学・情報政策室長 電子県庁運営費に占めますオンラインシステム運営費と行政情報ネットワーク運営管理委託費の割合でございますが、平成30年度決算額9億6、900万円余のうち7億3、300万円余であり、全体の約75%を占めているものでございます。
 割合が下がった理由でございますが、平成26年度から今年度にかけまして、給与や税、財務会計システムにつきまして、独自の規格を持つ汎用機から業界の標準規格に基づいて構築されたシステムへのオープン化を進めておりまして、その結果、オンラインシステムの運営費が低減されたこと。それからもう一点、県と市町村が共同でインターネットの通信監視を行います岩手県情報セキュリティークラウドの運用による経費が増加したことにより、割合が下がったものでございます。
 次に、電子申請サービスの運用状況でございますが、現在の電子申請システムは、平成27年10月から運用しているものでございます。更新の前年度であります平成26年度の県民利用実績は7、803件でありましたが、利用実績は着実に伸びておりまして、平成30年度は1万1、481件、平成26年度に比べまして47.1%の増となっております。
 平成30年度の利用におきましては、自動車税の納税通知書等の送付先の住所変更の届け出、それから、岩手県職員の採用試験の申し込みで多くの利用があったものでございます。
〇高橋但馬委員 経費の低減にも寄与していると思うのですけれども、基幹業務システムのオープン化やサーバーの統合により業務の効率化及び高度化が進んでいると思うのですが、それと同時にシステムの情報量がふえてきていると考えるのですが、情報のセキュリティーの取り組みについてお知らせいただきたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 情報セキュリティーの取り組みについてでございますが、マイナンバー制度の運用開始を契機といたしまして、平成29年度から情報セキュリティー対策を大幅に強化しているところでございます。
 具体的には、庁内のネットワークをインターネットの接続できるネットワーク、それから、LGWAN接続系のネットワーク、マイナンバー系ネットワークと3分割いたしまして、ネットワーク間の通信を原則禁止することで、インターネット経由のサイバー攻撃等の拡大を防止できるネットワーク構成にしているところでございます。
 また、県と市町村のインターネットの通信を集約いたしまして、24時間365日、セキュリティーの専門家による高度な通信監視を行う岩手県情報セキュリティークラウドの運用を行っているところでございます。
 また、職員に対しては、各所属の情報化推進担当者でありますITサポーターに対する研修のほか、新採用職員や新任の担当課長などの基本研修におきまして、情報セキュリティーの意識啓発に取り組んでいるところでございます。
〇高橋但馬委員 いずれ、このようにインターネット社会がどんどん進んでいく中で、情報の管理は非常に重要だと考えております。今、答弁にもありましたけれども、セキュリティー強化についてもかなり取り組まれていると思うのですが、国のホームページもハッカーにやられるような時代になっておりますので、引き続きしっかりと管理をしていただきたいと思います。
 また、他県では人口知能、いわゆるAIを取り入れているところもありますけれども、他県の情報をどのように把握しているのか、そして、業務に活用していく考えを県として持っているのかお知らせいただきたいと思います。
〇古舘科学・情報政策室長 AIの活用に係る他県の情報の把握、それから業務への活用についてでございますが、AIやロボットなどによる業務の自動化、いわゆるRPA等の新たなICTの活用は、今後の業務の効率化の推進、県民サービスの利便性向上のために重要であると認識しておるところでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)の行政経営プランにおきましても、AI、RPA等の行政事務への導入に向けての検討を進めることとしているところでございます。
 AIの他県の導入状況についてでございますが、全国知事会や全国都道府県情報管理主管課長会議の全国調査等を利用しまして、情報の把握に努めているところでございます。
 全国知事会の地方発の行政改革プロジェクトチーム会議が、令和元年5月に取りまとめましたAI・RPA等先進技術の活用事例調査によれば、AIを活用した取り組みは35都道府県で74件の取り組みが行われている。導入している機能で多かったものは、音声認識による議事録作成支援が30件、それから、問い合わせ対応等の行政サービスの案内であるAIを活用したチャットボット等が18件でございました。
 県では本年度、具体的な取り組みといたしまして、AIを活用いたしました音声認識技術による会議録作成支援システムを導入し、本年7月から庁内で一部運用を始めているところでございます。
 また、AIのチャットボットなどのAI技術の行政事務での活用につきましては、他都道府県の先進事例を参考にさせていただきながら、その導入可能性について検討してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私の一般質問の答弁のときと同じような感じなので、取り組みとしてはこれから考えていくという方向でよろしいですか。
〇古舘科学・情報政策室長 議事録作成につきましては、今のところ、既にかなり実績が出ておりまして、10月29日までで延べ377回、483時間分の会議録の作成として利用されているところでございます。
 AIのチャットボット等の利用につきましては、現在、ほかの都道府県等にも、どういう活用をしているのかということを今調査させていただいているところでございますので、その調査結果に基づきまして、導入について検討させていただきたいと思っております。
〇高橋但馬委員 いずれ、業務の効率化、あとは、最終的には県民の満足度の向上に寄与していただきたいと考えておりますので、引き続きの取り組みをよろしくお願いいたします。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、171ページの次期総合計画策定費に関連する質問をさせていただきます。
 平成30年度、次期総合計画を策定されました。策定をしている期間内には地域説明会などさまざま重ねてきたと私も認識しておりますが、計画自体の理解促進を図る会をどこで、どういうふうに、何回開催されて、それで県民の皆様の理解がどの程度深まってきたとお考えなのかをまず聞きたいと思います。
〇村上政策監 次期総合計画策定費についての御質問をいただきました。
 いわて県民計画(2019〜2028)については、多様な主体が、岩手の将来像などを共有し、ともに取り組みを進めていくためのビジョンであると捉えております。
 このため、計画の策定に当たりましては、地域説明会を県内11カ所で2回ずつ、延べ22回開催しております。このほか、県民フォーラムやワークショップ、パブリックコメントなどを実施して、広く計画に対する理解醸成に取り組んだところでございます。
 さらに、大学生や子育て世代、障がい者などを対象とした意見交換なども行いまして、これらも参考にして計画を取りまとめたところでございます。
 その周知の状況ということでございますが、申し上げましたとおり、さまざまな機会を通じて、多くの県民の皆様と説明や意見交換を行ってきましたので、そうした意味で、県民計画について目にしたり耳にしたりという方は、相当数いらっしゃるのではないかと受けとめております。
〇ハクセル美穂子委員 次期総合計画を策定している間に、県民の皆様に次の計画について理解をしていただく行動もあわせてやってきて、スタートしたら実行に移せるような状態で進めてきたと私は理解しているのですが、同じ理解でよろしいでしょうか。
〇村上政策監 この策定につきましては、県のみならず、多様な主体の皆様の御参画をいただき、御意見もいただいて策定する必要があるということでございますので、より多くの方に御理解いただいて計画のスタートに当たりたいという思いで策定してきたものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 そうですね、そう思っておりました。ですが、今回の9月定例会の知事の御答弁の中に、これから、今度この総合計画に関するフォーラムを開かれるとかといった御発言がありまして、私の理解とちょっと相違があるのではないかと思っていまして、実際に、じゃ、去年何をやってきたのかということを今ここで聞かせていただきました。相当数の県民の方々が、次期総合計画の策定にいろいろとかかわり合いながらつくってきたのであれば、やはり短い10年の間の行動計画というか、そういうものでありますので、またもう一年フォーラムやら何やらに時間を費やすのはいかがなものかと思うのですが、その点については今後どのように進めていくことをお考えなのか、そこについてお伺いいたします。
〇村上政策監 計画の推進についてでございます。策定した計画につきましては、もちろん県のみならず、県民の皆様、市町村、関係団体、企業、NPOなど、多様な主体の参画、それから、それぞれの主体の主体性を持った取り組みが推進のためには必要であると思っております。計画の推進に当たりましても、これまで以上に御理解と共有を進めていくことが重要であると思っておりまして、こういった取り組みを計画させていただいたところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 これまでも何回も計画策定のときに私も質問させていただきましたけれども、お互いに幸福を守り育てるという非常に大きな目標を掲げた計画であると。10年で本当にそこまで到達できるような目標をきちんとつくって行動するのがいいのではないかというような意見を私は述べてまいりましたけれども、まず、まるで日本国憲法のような大きなビジョンを持った目標で行くとお決めになったのですから、やはりこれは本当に、前から私が指摘したとおり、方向性がぶれやすい、一人一人にとって全然違う幸福のあり方もありますし、目標として進むところがぶれていきやすい計画ではないかということを指摘させていただいてまいりました。
 実際に、これからもフォーラムを重ねないといけないぐらい、やっぱりぶれやすいのかなということが明らかになってきたのではないかと私は感じているのです。もう計画は策定してしまったのですから、そこをぶれないようにするために、フォーラムとか、職員の皆さんの時間を多く使い過ぎないように、これに付随する計画をつくるのはまた時間がかかることではあるのですが、県民の方々がぱっと理解できて、そして、どういう方向性で一人一人ができることをやっていくべきかということがわかりやすい何か工夫をしていかなくてはいけないのかなと感じているのです。その点については、現在の時点でどんな工夫があるのか、お考えがあるかどうかお聞かせください。
〇小野副部長兼政策推進室長 先ほど政策監から答弁いたしましたように、まずは、策定に当たりまして、できるだけ多くの県民の声を聞きました。そして、これから推進に当たりましては、県民計画につきましては幸福度の向上といったものを掲げておりまして、その中で具体的に10の政策分野、それから、幸福関連指標、さらに県民意識調査による県民の幸福に関する実感など、これらをしっかりと把握しながら進めていこうといったことでございます。
 それに当たりましては、やはり抽象的なことではなく、今お話ししたような、それぞれの指標であったり意識であったりがどうなっているのかについて共有しながら、そのためには次にどういった取り組みが求められるのか、あるいは見直しが必要ではないのかといったことを一つ一つ重ねていって、大きな県民計画の目標に到達できるようにしっかりと積み重ねていくことが必要と考えております。フォーラムの開催に当たりましては、そういった点に十分に留意しながら進めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 そういうふうにならないような計画を立ててほしいということをずっとお話ししてきて、結局、立てた後に、またフォーラムで具体的なところをもう一回お知らせしないといけないとなるようなのであれば、10年のうちの一体何年分が実行の計画になるのか、私はすごく疑問に感じています。
 いずれ、わかりづらい計画でありますので、フォーラムを開いて、そして実行するための内容を今度は県民の皆様に理解していただかなくてはいけないというところになってくると思いますが、フォーラムをしたからといって、じゃ、見えてくるのかも私はちょっと疑問だと思っています。
 幸福度とかいわて幸福関連指標も、もちろん活用するということはあるのですけれども、行動目標に、たった10年の中で何を私たちはやっていくべきなのか、きちんと焦点が見えるような形でフォーラムとか、これからの推進のための事業についてもぶれないような形でやっていただきたいと願っています。
 最後に、これからの10年、ただ理念をずっと言っていくのではなくて、実際に岩手県がよくなるために、そして、県民の皆様が幸せになっていくために、この10年何をやっていくのかをどう示していくのかというようなところを、意気込みというか考え方を最後に部長に聞いて、質問を終わりたいと思います。
〇白水政策地域部長 委員御指摘いただきましたとおり、昨年度、まさにこの県議会でも本当にたくさん御意見をいただきまして、それを我々も受けとめて計画を策定してきたところでございます。まさに今年度に入りまして、それを実証していかないといけない今後10年の取り組みということでございます。
 今、副部長からも答弁いたしましたように、実施段階に当たって、我々の体系として、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてという目標のもとに、この具体的ないわて幸福関連指標、あるいはその下に、さらに具体的推進方策指標という、さまざまな幸福度を具体的に、客観的に把握していくような指標を設けましたので、今度は、それをしっかりウオッチして、例えば見直しあるいは政策評価をしていくことが必要になってきます。
 ですので、まさに今そういう過程におる中でのフォーラムの開催も位置づけ、あるいはことしはワークショップ等もしておりますけれども、そういった取り組みということで理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、委員おっしゃったとおり、10年間の息の長い取り組みでありますので、しっかりと県民の皆様の理解も得ながら、あるいは連携しながら、具体的指標の動向を見て、必要な見直しあるいは評価をきちんとやっていくということで取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 私から大きく2点お聞きしたいと思います。
 まず、ふるさと岩手応援寄付についてお伺いしたいと思います。
 平成30年度の受け入れ状況は6、859万3、263円と、復興関連事業への寄附の減少傾向があり、また、事業によってばらつきもあり、全体としても震災から時間がたつにつれて減少傾向にあると認識しております。
 それを受けて、今般10月にリニューアルを行いました。質問も総務部からこちらの政策地域部へということでございましたので、この場で質問させていただきますが、これまでの取り組みをどのように評価し、また、どのような趣旨でリニューアルを行ったのか、事業の選定基準等も含めてお伺いしたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 ふるさと岩手応援寄付の取り組みの評価とリニューアルの趣旨についてでございますが、本県のふるさと岩手応援寄付は、多くの方々から県の施策や事業に共感され、支援をいただけるよう、これまでも具体的な事業に寄附できるほか、施策の分野ごとへの寄附も可能としてきたところでございます。前回見直しを行った際の平成29年度には寄附額が約60%増加するなど、一定の御理解をいただいてきたものと認識しているところでございます。
 今般、リニューアルを行った趣旨でございますが、今年度からいわて県民計画(2019〜2028)がスタートし、政策的な枠組みが新たに構築されたことから、ふるさと岩手応援寄付につきましても、いわて県民計画に沿った形にするとともに、現行の寄附項目の中には、ラグビーワールドカップ2019の開催準備など今年度の中途で完了する事業もあったことから、切れ目なく寄附の受け入れができるようリニューアルしたところでございます。
 寄附対象事業の選定に当たりましては、いわて県民計画に沿った形ということで、いわて県民計画に掲げる復興と10の政策分野の中から、訴求力があり、ふるさと岩手応援寄付になじむと思われる事業につきまして、全庁的な検討を行い、選定したところでございます。
〇佐々木朋和委員 今般、リニューアルに当たっては、事業応援型寄附に特化していく形になりましたが、今までは6事業だったのが20事業に拡充されております。その中で、これまでも寄附の集まらない事業もあり、また、これからそういった項目が多くなって、情報発信、寄附の受け付けの仕方、また各事業ごとの目標を掲げるなど活動の仕方が重要になってくると思いますが、どのようにこの事業を展開していくのか伺いたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 ふるさと岩手応援寄付の事業展開についてでございますが、今回のリニューアルに当たりましては、多くの方々に共感をいただけるような寄附対象事業を設定するほか、より応援しやすい仕組みをつくり、訴求力の高い情報発信を行うため全庁的に検討を行ってきたところでございます。
 その結果、情報発信につきましては、募集する事業ごとに、抱えている課題、それから使い道、取り組み状況といったものをわかりやすく伝えるため、県のホームページをリニューアルしたほか、より寄附をしやすくするため、年内には民間ポータルサイトによる寄附募集も行うこととしております。
 また、訴求力を高めるためには、先ほど申し上げましたとおり、定期的に見直しを行うことが必要と考えておりまして、より共感をいただけるよう、今後も寄附項目を見直し、情報発信を行ってまいります。
〇佐々木朋和委員 この情報発信については、きのう復興局の審査でも、東日本大震災津波伝承館については、その施設でも寄附を募るような形も行うという話もございました。こういった情報発信や寄附については政策地域部でということですけれども、各担当部課においても、そういったところにそれぞれでも取り組んでいくのか、このような事業の推進体制はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 PR事業の推進体制でございますけれども、政策地域部で全体の中の調整をいたしまして、県のホームページで一括PRするとともに、各部においても、パンフレット等を使って広報いただくよう、部局連携で取り組んでいくような推進体制としております。
〇佐々木朋和委員 きのうの東日本大震災津波伝承館に関する答弁でもボックスを設けて少額でも集めていくという話でありましたけれども、そうであれば、例えば500円、1、000円寄附したら、その場で記念品がもらえるとか、そういった各部きめ細やかなやり方を行って、ぜひ県民の皆さんに訴求していただきたいと思います。
 そういった中で、この寄附金の活用についてですけれども、これまでは、各事業に寄附された金額が、各事業予算にプラスとされるのではなくて、そこに一般財源が繰り込まれて横並びになっていくようなイメージだったと認識しております。今後は、県民の県政への参画意識を高めるためにも、クラウドファンディング的な手法も意識した取り組みも行うべきと考えますが、所感を伺いたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 寄附金の活用状況でございますけれども、ふるさと岩手応援寄付は、歳出予算として議会にお諮りし、成立した事業につきまして幅広く寄附を募り、事業の財源として活用しているところでございます。
 委員御指摘のクラウドファンディング型のふるさと納税でございますけれども、これにつきましては、目標額や募集期間を設定して寄附を募る手法でございまして、活用している自治体もあると承知しておりますが、寄附額が目標額に達しなかった場合の取り扱いなど、さらに研究が必要と考えているところでございます。
 なお、今般のリニューアルにより、寄附者が具体的な使い道をイメージできるよう、具体的な事業に寄附する事業応援型寄附を充実させたところでございまして、引き続き、ふるさと納税制度の趣旨を踏まえながら、より多くの共感をいただけるよう取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 今の御説明だと、要は、一つの事業が例えば100万円と決まっていて、応援をしたいという県民あるいは県外の皆さんが、その事業に50万円寄附したとしたら、事業全体が150万円の予算で充実してやられるというのではなくて、そこに一般財源が入って、結局、100万円の事業になるということですね。それであれば、寄附した皆さんは、自分が参画してこの事業が充実したではなくて、県全体の予算が助かったというだけになってしまうのではないかという問題意識でありました。そういった部分では、ある程度、寄附が集まった事業については少し予算が拡大されるとか、何かそういったような仕組みというのはできないものなのでしょうか。
〇和田ふるさと振興監 寄附の対象事業でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、歳出予算として決められた事業費の総額という範囲を議会にお諮りして、その中で事業を推進していくということになります。
 先行して活用している自治体の例をお伺いしますと、目標額に達しなかった場合、そういった事業というものを中止して寄附者にお返しするとか、あるいは事業を縮小したりしている例もございますことから、目標額の設定につきましては、その取り扱いについて今後研究してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、いろいろ工夫をしながら進めていただきたいと思いますが、要は、これまでは総務部の、まさに税務、税収という観点からの取り組みだったのが、政策地域部に引き継がれたということで、まさに関係人口の増加確保という政策的な視点から、このふるさと岩手応援寄付を使って進めていただきたいという思いが強くございます。
 そういった中で、当部では、ふるさと振興総合戦略も所管をしておりますが、関係人口の増大というのが岩手とつながるということで、これからプラスになっていくわけでありますけれども、関係人口の増大確保という視点で、本事業がどのような役割を果たしていくべきだと考えているのか伺いたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 関係人口の増大確保への役割についてでございますけれども、ふるさと納税は、生まれたふるさとやお世話になった地域、これから応援したい地域などの力になりたいとの思いに基づく制度でございます。こういった寄附を契機に、岩手とつながりを持ち続けていただくことが重要と考えております。
 現在策定を進めております次期岩手県ふるさと振興総合戦略では、新たに4本目の柱として、岩手とつながるを追加し、岩手ファンの拡大や関係人口、交流人口の拡大に向けた取り組みを進めることとしております。
 寄附を通じて、岩手とつながった方がふえることは、関係人口の創出、拡大に資すると考えておりまして、こういった観点からも、より共感を得られるよう、今後、一層取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 それでは、この分野の最後お聞きしたいと思いますが、返礼品についてでございます。
 今般のリニューアルに伴って、岩手ブランドの情報発信を図ることも目的に、返礼品もリニューアルをいたしました。これは寄附金額に対して十分なのか、どのような基準でこの単価を決定したのかをお示しいただきたいと思います。
 また、関係人口の増大に向け、みずからの寄附がどのように使われているのかという見える化も重要だと思っております。県では、体験型旅行商品を開発し、返礼品とする予定としているということですが、それも含めて、この見える化の取り組みについてどのように考えているのか伺いたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 返礼品についてでございますが、これまで、本県では、県の施策、事業への支援に対する謝意を基本とし、過度にならない範囲内で選定してまいりましたが、本年6月に、総務省から示された基準を踏まえまして、今回、3割を上限として返礼品を選定したところでございます。
 なお、返礼品の選定に当たりましては、県産品の販路拡大といったことにつなげていく観点から共通の返礼品を設定し、県アンテナショップでの売れ筋商品や、県が実施する特産品コンクール等で入賞した商品など、岩手ブランドの情報発信等に資する県産品を選定したところでございます。
 次に、返礼品を通じた活用状況の見える化についてでございますけれども、寄附をいただいた事業の取り組み状況や成果をお知らせするため、毎年度、県のホームページ上に、活用状況についてお知らせしたいと考えておりますほか、例えば、三陸鉄道への支援については、一定額以上の寄附をいただいた方に返礼品として車両運転体験を行うなど、現地の状況をごらんいただくというような取り組みも進めております。
 寄附の使われ方がよりわかりやすく伝えられるよう、今後、検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 続いて、バス運行対策費及び地域バス交通支援事業費補助等についてお伺いしたいと思います。
 県は、平成30年度、持続可能な公共交通ネットワークの構築を図るため、平成31年3月に岩手県地域公共交通網形成計画を策定したと主要施策の成果に関する説明書に記載されております。その基本方針の2に、幹線路線や広域バス路線と地域内公共交通の適切な接続拠点の設定及び接続利便性の向上を掲げております。この地域公共交通網形成計画は、県が国とともに助成をする広域バスとともに、地域内公共交通も計画になくてはならない主体であると思っておりますが、県の地域内バスに対する支援の方針を伺いたいと思います。
 また、接続拠点の設定に伴う待合等の整備についてどのように支援をしていくのか、伺いたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 地域内バスに対する支援の方針についてでございますが、市町村が行う地域内公共交通の運行や支援に対しましては、まず、国におきましては、8割の特別交付税措置があると。そのほか、地域内フィーダー系統補助の制度がございます。また、県におきましても、希望する市町村に対しまして、有識者による活性化支援アドバイザーの派遣、あるいは、地域公共交通活性化推進事業費補助によりまして交通体系の再編に伴うコミュニティーバス、あるいはデマンド交通の実証運行などへの補助を行っているところでございまして、引き続き、これらの施策によりまして支援を実施してまいりたいと考えております。
 また、待合所の整備についてでございますが、県としては、広域バス路線と地域内公共交通との利便性向上のためには、市町村と連携して適切な接続拠点を設定していくことが必要と考えておりまして、今年度、新たに設置いたしました地域内公共交通構築検討会におきましても、この待合所の整備に関しまして市町村から支援の必要性について意見がありましたことから、その意見を踏まえまして、現在、検討を進めているところでございます。
 持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向けて、引き続き、取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 待合所はありがとうございます。ぜひ、検討を進めていただきたいと思います。
 地域内公共交通について、今、国の支援、特別交付税が8割という話もありましたけれども、地域内公共交通について、平成30年度は9路線、また、令和元年度では6路線が廃止の方向となっておりますし、広域バス路線については、令和元年度で、検討中も含めて5路線が国庫補助路線ですけれども、廃止の方向に動いているということでございます。
 その代替の検討なのですけれども、その多くが、市町村でデマンド交通やコミュニティーバスで代替を行う方針となっております。先ほど御説明がありましたが、自治体が直営をしていくとなったときには、8割が交付税措置されるという一方で、これは一括交付金でありまして、市町村からは財政圧迫の不安の声が出ております。その中で質問させていただきますが、本年度、国庫補助が外れるあるいは廃止になる広域バス路線への補助についてはどのように考えているのか。
 また、5路線廃止となった場合、県としては半分が県の補助ですから、手元に残る県補助金額があると思うのですが、それはどのくらいになっているのか。そしてまた、その浮いた財源の活用の方向性というのはどのようになっているのか、伺いたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 大きく分けて二つ御質問をいただきました。
 まず、国庫補助の対象外となる広域バス路線の補助についてでございます。国庫補助対象路線は、県単補助の対象路線とあわせまして、これまで県が、国、市町村と連携して支援をしてきました地域公共交通のネットワークを維持していく上で重要な路線であり、国庫補助要件割れした場合で、県単補助の対象とならないときは、代替となる公共交通を維持しなければならない市町村の負担がどうしても増加するおそれがあると認識しているところでございます。
 県といたしましては、市町村と連携して、地域公共交通を維持、確保していく必要があるとの考えのもと、先ほども申し上げましたが、新たに地域内公共交通構築検討会を設置いたしまして、市町村から意見を伺いながら、補助要件割れとなった路線に対する支援について検討してまいりたいと考えているところでございます。
 また、補助路線の廃止により、県補助の不用となる額ということでございますが、仮に被災地特例が廃止されまして補助要件を満たせなくなった場合の県補助の不用額は、5路線で約2、200万円程度となるものと考えております。
 この額をどのように活用するかとの委員からのお尋ねでございますが、路線の廃止によりまして補助が不要となった予算を財源に新たな制度を設けるということではなくて、地域内公共交通の支援について、どのようなメニューが必要かという観点で補助制度の見直しを行うことが必要と考えております。
 繰り返しになりますが、本年度、先ほど申しました地域内公共交通構築検討会を開催しておりまして、地域内公共交通への補助のあり方を議論してきたところでございます。この検討会での市町村の意見や要望を踏まえながら、地域内交通への補助制度の見直しを検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 その検討というのは、運行補助も含めて検討していくということでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 特に国庫補助路線が地域内公共交通となった場合の市町村への支援ということですので、委員御案内のとおり、そういった面で検討してまいります。
〇佐々木朋和委員 今、5路線の予定を見てみると、廃止せざるを得ない、国庫補助が受けられなくなってもコミュニティーバス等で代替をすると、それを市町村でやっていくという判断が多くあるように思っております。政策的にも、例えば地域あるいは市町村に病院の専門科がないといった場合には、バスを使って県立病院に行かなければいけない場合もあります。そういった意味でも確保していかなければいけない路線というのはあるわけですので、今、検討していただいているということですから、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
また、今は5路線にとどまっておりますが、少し課長に触れていただきましたが、これから被災地特例もなくなっていく方向の中で、こういった路線が多く出てくる危険性があると思っておりまして、今、公共交通維持の危機的な状況にあると思っております。その中で、岩手県民計画アクションプランの数値目標を見ますと、これまでの項目を踏襲するものが目立ちます。そういった危機に瀕している中にあって、県はこの状況をどのように捉え、また、公共交通の維持に向けてどのような新たな手を打っていくのか、方向性を聞いて終わりたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 公共交通の現状とその維持に向けた方策についてでございますが、委員から御指摘のとおり、本県に限らないと思いますが、本県の公共交通を取り巻く現状は、人口減少などによりまして利用者が減少していること、あるいは国庫補助の被災地特例が来年度までとされていることで、補助要件割れにより、バス路線の維持が難しくなる可能性があること。その一方で、高齢化が進行する中、高齢者の運転免許の自主返納が増加し、公共交通の必要性はより高まっていると思っております。また、復興したまちづくりに合わせた公共交通を形成することも必要ということで、さまざまな課題があると認識しております。
 なかなかこれに対する特効薬というのはないという現状ではございますが、県といたしましては、まずは市町村や事業者、高齢者の代表者などの関係者と協議を重ねながら、昨年度計画を策定したところでございまして、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向け、住民の日常的な移動を支える広域バス路線の維持など、各事業を関係者がそれぞれで実施することで、これらの課題を解決していこうという計画としております。
 引き続き、関係者と協力しながら、公共交通の維持、確保に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇田村勝則委員 私からは、平成30年度の県民意識調査を踏まえて3点について質問いたします。ちょっと重複した部分がありますので、その点は割愛いたします。
 県民意識調査は、御承知のとおり平成12年から実施され、平成30年度は16回目ということでありますが、いわて県民計画の政策に関する県民の満足度を定期的に把握するということと、県が今後重点的に取り組むべき施策の方向性を明らかにすることを目的とするということで取り組まれておるわけでございますけれども、平成30年度の意識調査の中にこういう項目があります。
 高齢者や障がい者が安心して暮らせる地域社会であることというのがありますけれども、この重要度を見れば90.4%、平成31年度は90.7%で、非常に高い重要度になっております。しかしながら、一方では、満足度は18.5%で、満足あるいはやや満足といった点では、非常に低い評価になっているということがございます。そのポイントは、やはり前段の委員の方々も取り上げているように、公共交通政策というものが重要ではなかろうかと思います。
 そこで、少し前にさかのぼるような話になりますけれども、県では、岩手県地域公共交通活性化協議会を組織して、平成30年度の資料を見ますと、4回、会議を開催して今後の素案をまとめてきたと。そういう中で、素案に対する意見募集も、ことしの1月から2月にかけて実施しておられるようでございます。やはり県民の声をしっかりと施策に反映するという意味から重要な取り組みであろうと思いますけれども、まずは県民の意見募集はどのような中身であったのか、お聞きしておきたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 昨年3月に岩手県地域公共交通網形成計画を策定したところでございますが、その際にパブリックコメントを1月から約1カ月間実施いたしました。その結果として、意見は3件ほどございましたが、3件の中身といたしましては、観光客も利用しやすい環境整備について反映させるべきとか、複数の公共交通事業者で活用できる共通の企画切符のようなものもやってはどうかと。あと、主にバスですが、運転手の確保がなかなか難しくなっているので、それも計画の中に反映させてはどうかという意見がございました。いずれも、それぞれ意見を反映させる形で計画を策定しております。
〇田村勝則委員 しっかりと反映しているということでありますが、そこで、具体的には、鉄道駅のバリアフリー化の取り組みについてでありますけれども、私は、これまで2度バリアフリー化の質問を取り上げてまいりました。6月議会でも取り上げたわけでありますけれども、これからの時代は高齢化していきます。そして、本当に誰にでも優しいまちづくりという観点からいきますと、障がい者の方々も使いやすいような鉄道駅でなければいけないと思うわけです。
 私の質問に対して白水政策地域部長は、バリアフリー化の必要性が高いと認められる駅に対する国の補助制度の拡充を要望するとともに、引き続き、市町村と連携しながら、鉄道事業者に対しバリアフリー対策の推進を働きかけてまいりますというような答弁でございました。そのような姿勢があって、国もかなりバリアフリー化に積極的に取り組むような姿勢を見せているところでございます。県としても、今後とも、積極的な取り組みをしていくべきと思いますけれども、現時点ではどのような対応でしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 駅のバリアフリー化の取り組みでございますが、まず、駅のバリアフリー化については、多くの方々が利用し公共交通の結節点となる鉄道駅のバリアフリー対策の推進は、高齢者や障がいを持つ方々の利便性の向上や安全・安心の確保のためにも、重要な取り組みと認識しているところでございます。
 県の取り組みといたしましては、直近、昨年度の例で言いますと、三陸鉄道におきましては、今不通になっておりますが、新駅の宮古市の払川あるいは八木沢宮古短大駅についてバリアフリー化をしておりますし、また、旧山田線、JRが整備した駅におきましても、陸中山田駅、大槌駅、鵜住居駅についてバリアフリー化対応としております。また、IGRにおきましても、昨年度、厨川駅ホームの点字ブロックの整備をする、あるいは川口駅におきましてホームのかさ上げで、列車とホームの段差を解消するといった取り組みが進められております。
 制度としては、一般質問で部長が答弁申し上げたところでございますが、国では、1日当たり平均利用者数が3、000人以上の鉄道駅についてバリアフリー化を進めるということでございます。
 県内の内陸の鉄道駅の状況を御紹介いたしますと、県内では、1日当たりの平均利用者数が3、000人以上の駅は、新幹線駅では全3駅において、また東北本線では6駅中2駅、IGRでは4駅中2駅がバリアフリー化されているところでございます。
 先ほど国に要望するということでございましたが、引き続き国に対して要望するとともに、まず市町村の要望をしっかり伺いながら、鉄道事業者に対してバリアフリー対策の推進を働きかけてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇田村勝則委員 丁寧にありがとうございました。
 鉄道駅のバリアフリー化は先ほどの答弁は利用者数3、000人以上で整備ということもありましたけれども、直近、私が見たところの内容では、国は、先ほど申し上げたようにガイドラインをかなり見直しをしてきておりまして、当初は5、000人以上というのが最低ラインだった。今は、1日乗降客数3、000人以上が来年度までの整備の状況なわけですけれども、今月さらに見直して、3、000人未満であっても、地域の強い要望がある、あるいは地方公共団体の支援が得られる駅、そういうところについては全てバリアフリー化を進めるという、かなり積極的な取り組みに、今度ガイドラインの改定がなされたようでございます。
 そこで、県としても積極的な情報収集もしつつ―県は交通政策を牽引していくという、先に立って交通政策を進めるという立場でもあるわけですから、積極的に取り組んでいただきたいと思うわけですが、まずその点もう一つお聞きしておきます。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 1日当たりの平均利用者数が3、000人未満の駅についてもということで、国でも従来から、特にバリアフリー化の必要性が高いと認められる駅等については補助対象とはしているところでございまして、県としても3、000人未満でも高齢者、障がい者が利用するところは必要だという認識でございますので、地元市町村と連携しながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇田村勝則委員 快適で魅力あるまちづくりを進めていくためには、不特定多数の者が利用する公共的施設のバリアフリー化率の達成度も上がっていかなければいけないと思うわけですが、平成30年度の取り組み状況を見ると達成度がDとなっております。そういう意味でも、しっかりと駅のバリアフリー化、エスカレーター、エレベーターが必要なところも非常に県民要望として多くなってきておりますので、引き続き頑張って取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、先ほど臼澤委員、佐々木朋和委員からも質疑がありましたが、バス路線についてお聞きしたいと思います。
 県は今71路線でしたか、広域交通路線がたくさんあるわけですが、広域交通等先ほど言った地域公共交通とあるわけですけれども、しっかりとした路線の見直し等も進めておられると思います。今年度から本格的に開業しております岩手医科大学が矢巾町に移転したことによって、交通路線の見直し等もしっかりと取り組んでいかなければいけないのではなかろうかと思います。花巻市では、病院までのバスか何かを出している。矢巾町も駅から病院までということもあるようですが、残念ながら、なかなかそういう対応もできない自治体も多いわけでありますので、県として、今のニーズ、住民ニーズがどこにあるのかということをしっかり把握した中で交通路線も検討していかなければいけないと思うわけですが、その点だけ1点お聞きして終わりたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 岩手医科大学の矢巾町への移転に伴う移動手段、公共交通の確保ということでございます。
 まず、JR盛岡支社において、朝の通勤時間、通学時間帯の臨時列車として、開業に合わせて1便増便したほか、土日運休していた朝の時間帯も、毎日運行に増便しているという状況がございます。
 また、バス路線につきましては、委員からもお話がありましたが、矢幅駅と岩手医科大学キャンパスを通る路線の乗り入れをやったほか、矢幅駅での鉄道との乗り継ぎが考慮されたダイヤ設定を行うなど、一定の利便性が確保されていると認識してございます。
 紫波町から岩手医科大学への路線ということにつきましては、現在、見前回り志和線というのがあるにはありますが、なかなか時間帯がよろしくない状況だということでございます。もともと南のほうから来る、矢巾以南から新しい岩手医科大学に通院する患者さんにつきましては、これまでも盛岡まで来て、今内丸メディカルセンターになっておりますが、そこまで約2キロメートルぐらいあると。矢幅駅からも同じぐらいの距離だということで、特に利便性については大きく損なうことはないのかなと思っておりましたが、患者でございますので、地域の意見を聞きながらバス事業者と協議してまいりたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇斉藤信委員 それでは、最初に平成28年台風第10号災害に対する県独自の支援策の実績と、今回の台風第19号への県独自の支援策の検討についてお聞きをします。
〇小原参事兼市町村課総括課長 まず、平成28年の台風第10号災害に係る市町村に対する支援でございますが、平成28年の台風第10号災害につきましては、被害が特に甚大でありました宮古市、久慈市、岩泉町に対しまして、普通交付税の繰り上げ交付15.3億円が行われるとともに、特別交付税につきましては、平成28年度から平成30年度の3カ年で117.5億円を確保いたしました。
 それから、県独自の支援としましては、平成28年度に特定被災地域復興支援緊急交付金を8.3億円、それから平成29年度に特定被災地域復興支援特別交付金を8、700万円交付いたしまして、それとともに、岩泉町に対しましては、自治振興基金から3.4億円の無利子の貸し付けを行ったところでございます。
 それから、マンパワーの確保につきましては、内陸市町村からの人的支援、それから県任期付職員の採用、派遣、それから県外自治体に対する人的支援の要請を行いまして、人材の確保に努めてきたところでございます。
 今回の台風第19号災害の支援についてでございますが、まず今回の台風第19号につきましては、記録的な大雨等により、県内全域に非常に大きな被害が発生していること、それから東日本大震災津波、それから平成28年台風第10号災害からの復興途上にある中で、二重、三重に被害に遭われた地域もあることから、まずは国に対して早期の復旧に対する財政措置、それから生活再建に向けた制度の充実などを要望しているところでございます。
 このような中、県としては、現在は被災市町村と連携しまして被害状況の把握に努めるとともに、市町村の要望を踏まえまして、当面の資金繰りを円滑にするための普通交付税の繰り上げ交付、それから復旧、復興事業に携わる応援職員を確保するため、県市長会、それから県町村会と連携しまして、被災を免れた内陸市町村からの派遣に向けた調整を行っているところでございます。それから、あわせて、これから被災市町村の財政状況等を踏まえながら、特別交付税の要望などを通じた財源確保、それから財政支援のあり方について検討を進めてまいりたいと思います。
 ということで、まずは国の制度でいただけるものは最大限いただくということで、その状況を踏まえまして、加えての県単での支援については検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 平成28年の台風10号災害は主に岩泉町、そして宮古市、久慈市の、ある意味、特定の自治体に大きな被害を与えたと。改めて見て私は驚いたのですけれども、全壊が478世帯、大規模半壊が534世帯、被害額が1、428億円ということで、本当に岩泉町を中心にした大被害だったと思います。
 それで、私はこの間、宮古市、山田町、普代村、久慈市と台風第19号災害で現地調査をしてきましたけれども、共通して言われたのは、平成28年台風第10号のときの地域生業再生緊急対策交付金、そして県の復興支援特別交付金が大変助かったという声でありました。今、市町村課総括課長が答弁したように、国の支援がまず大前提であると思います。同時に、国の支援の対象にならない事業も私は必ず出てくると思うので、平成28年台風第10号災害で大変大きな効果を発揮したこうした取り組みは前向きにぜひ検討していただきたい。
 私は一般質問で住家被害について取り上げたときに、知事は、平成28年台風第10号災害のときの県単独事業についは前向きに検討すると。これは半壊、床上浸水について県単独補助。平成25年の豪雨災害のときには、被災者生活再建支援金が対象にならなくて、全壊、大規模半壊にも独自支援したのです。こういう経過がありますので、国の支援を最大限実現しながら、県単独の支援もぜひ並行して検討していただきたい。
 それで、今の答弁の中で応援職員の調整ということもありました。私も実際に現地からもそういう要望をいただきました。特に土木職員の応援要請というのがありましたけれども、実際に既に応援している自治体もあるようですけれども、その状況はどうなっていますか。
〇小原参事兼市町村課総括課長 台風第19号に係る人的支援につきましてですけれども、今私どものほうで聞いております要望については、手持ちでは4町村から要望がございます。その中では既に早いところでは今週から入っているところもございます。山田町につきましては、5名の要請がありまして5名確保済み、それからほかに、市長会、町村会を通さない独自の確保として、紫波町それから北海道の池田町からも来ているというのは伺っております。それから、洋野町、普代村、田野畑村については、現在調整中ということでございます。
 それから、これ以外にも被害状況が明らかになったら今後出していきたいというところで、宮古市、久慈市あたりも、今後、出さなければならないのではないかという話は内々には聞いております。
〇斉藤信委員 わかりました。かなり被災の箇所が多いので、この応援職員の要請にはできるだけ機敏に対応していただくようお願いをします。
 次に、三陸鉄道の被災状況と復旧の見通しでありますけれども、その前に、最初に、三陸鉄道全線が3月23日ですか、一貫経営になりました。大変好調だったと思いますが、被災前までの三陸鉄道リアス線の利用客、実績はどうなっているでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 三陸鉄道の被災前の利用状況……(斉藤信委員「台風被災前でしょう」と呼ぶ)はい、失礼いたしました。一貫経営後の4月から8月までの5カ月間で、利用者数が前年の約2倍、運賃収入は同じく前年の約2.4倍という状況で、経常収支も前年同期から9、800万円余の改善となったところでございます。
〇斉藤信委員 実は三陸鉄道の目標は、年間50万人から100万人に利用客をふやすと。今の実績は利用客でわかりますか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 失礼いたしました。4月から8月までで49万4、500人余となっております。
〇斉藤信委員 49万4、500人となると、大体昨年度の実績は4月から8月でクリアしたと。100万人の目標でしたから、半分まで行ったということですよね。そういう中で本当に大きな被害で、今運行しているのは163キロメートルの中で50キロメートル、30%にとどまっていると。それもこの復旧はなかなか厳しいという話も私は聞いてきましたが、簡潔に、復旧の見通しを示してください。
 そして私は、特に宮古―釜石間というのは戦前に整備された区間で、以前から災害に弱いと言われていた。大震災津波のときにも現況復旧で、しっかりした改良がされなかったという話も聞いてきました。三陸鉄道の北リアス、南リアスは、津波にも対応できるようなしっかりした形に整備されたと思うのですけれども、今回、三陸鉄道については改良復旧がぜひとも必要だと思いますが、復旧の見通しと、改良復旧の課題についてどう受けとめているでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 まず、復旧の見通しでございますが、三陸鉄道では被害が、線路被害で77カ所、電力信号通信被害で16カ所という状況で、甚大な被害となっております。
 復旧の見通しとしては、三陸鉄道では、土砂の除去等により早期運行再開につながるような箇所の工事を先行して実施するとしておりまして、具体的には、津軽石―宮古間については11月中の運行再開を、また、田老―田野畑間につきましては12月中の運行再開を目指して、現在、復旧工事を進めているところと聞いております。
 改良復旧の必要性についてでございますが、三陸鉄道では、被害の大きい箇所を中心に、国の鉄道運輸機構の技術支援も受けながら、被害状況の調査を進めているところでございます。
 現在の災害復旧制度では原形復旧が原則となっておりますことから、委員から御指摘のとおり、原形復旧するだけでは再び被害を受ける可能性がありますことから、復旧に当たりましては、将来にわたる安全性の確保に資する改良復旧が可能な限りできるよう、国に対して要望しているところでございます。
〇斉藤信委員 津波で被災をして、今度の台風で被災ということですからやっぱり改良復旧しないと、これから豪雨災害が今まで以上の頻度で襲来するということを考えれば、ぜひともこの改良復旧を実現させるように取り組んでいただきたい。
 それともう一つ、こういう要望がありました。今、代替バスを運行しているのですね。これは高校生の通学の、もう本当に切実な課題でありまして、ただ、長期間かかると。保険にも入っているようですけれども、長期間かかるということで、1日当たり90万円かかっているのだそうです。この代替バス運行というのは、三鉄が果たしてきた役割を被害の中でも維持していく。それは、その後にとっても大事な意味を持つと思うので、この代替バス運行に対しても、必要な場合県の支援が求められると思いますけれども、いかがですか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 代替バス運行への支援についてでございますが、三陸鉄道は、地域住民にとって重要な生活の足となっておりまして、住民の移動を確保するためには、鉄道が復旧するまで代替バスの運行は必要と県としても考えております。
 委員からただいま御指摘のありましたとおり、1日約90万円ということになってございますので、この費用について、国に対してまずは財政支援を要望していくとともに、県といたしましても、三陸鉄道の運休期間はしっかり代替バスを運行できるよう、財政的にも支援を検討してまいります。
〇斉藤信委員 前向きの答弁でありました。三陸鉄道は大震災のときにも復興のシンボルの役割を果たしたと。本当にことしこそ新しい転機になると思ったこの矢先に台風第19号の被災を受けたというので、私は本当に残念なので、これまた三陸鉄道ができるだけ早く息を吹き返すということが、今度の台風第19号災害の復旧、復興にとっても大変重要な課題だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、三陸防災復興プロジェクト2019の成果をどう継続、発展させるのかについてお聞きします。
 三陸防災復興プロジェクトの成果について、本会議の答弁でも約18万3、000人の参加、35億円を超える経済波及効果と答弁をされておりました。この参加人数そして経済波及効果以外に、私は今後の復興後の取り組みにとっても大変重要な成果、教訓があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇酒井総括プロジェクト推進監 三陸防災復興プロジェクト2019の成果についてでございますけれども、数量的な成果につきましては先ほど委員御指摘のとおり、本会議でも答弁させていただいたところでございますけれども、このプロジェクトにおきましては、国、外国政府、国際機関、企業、団体、そして次世代を担う若者など、多くの方々に参画をいただいたところでございまして、多様な主体とのつながりも復興の力とする開かれた復興の意義を確認するとともに、岩手の復興が、世界そして未来に広がっていく形を共有することができたと認識しております。
 特に、いわて絆まつりin宮古2019では、県民の力を結集し、三陸沿岸を初め、県内全市町村の郷土芸能が一堂に会するとともに、県内各市町村長等にも御出席をいただきまして、改めてオール岩手で復興のゴールに向かっていく姿を示すことができたと考えております。
 閉幕後に意見交換した沿岸市町村長からも、観光客数が増加するなど顕著な効果が見られた。市町村だけでイベントを行うには限界があることから、今回感謝している。風化防止や防災意識の啓発にも寄与できたと考えるといったような御意見をいただくとともに、全ての市町村から、何らかの形での継続実施を求める声があったところでございます。
〇斉藤信委員 今度の三陸防災復興プロジェクト2019で、市町村単独で取り組まれた事業というのはどのぐらいあるのか。
 それと、今後、どう継続、発展させるかということについて、これはいわて県民計画(2019〜2028)でも三陸防災復興ゾーンプロジェクトという形で、取り組むとなっているわけです。問題は、例えば来年、再来年に向けて、具体的にこれにどう取り組んでいくのかというところもできるだけ具体的に示してください。
〇酒井総括プロジェクト推進監 まずは市町村単独の事業ということでございましたけれども……、関連事業といたしましては……(斉藤信委員「時間がもったいないから後からでいい」と呼ぶ)済みません。ちょっとお時間を頂戴したいと思います。
〇小野寺三陸防災復興プロジェクト2019推進室長 この会期中に市町村が一緒になって実施していただいた事業ですけれども、全部で59事業実施していただいております。
 具体的に、個別に特徴的なところを申し上げますと、例えば住田町では、木造の応急仮設住宅を再現した展示をしていただきましたし、それから宮古市でも、防災復興特別展示の実施をしていただきました。それから釜石市では、釜石市、大船渡市、気仙沼市の有志と連携をされて、我々が6月1日に実施したオープニングセレモニーに合わせて、会場の外で食のイベントを開催していただきまして、そういった形で、多くの市町村で会期に合わせて復興状況の取り組みの発信を行ったほか、食や観光資源等を活用した交流人口の拡大に向けた取り組みを行っていただいたところでございます。
〇高橋地域連携推進監 三陸防災復興プロジェクト2019の今後についてでございますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)の三陸防災復興ゾーンプロジェクトでは、三陸防災復興プロジェクト2019の目指す姿や取り組みを継承し、持続的な三陸地域の振興につなげていくということとしております。したがいまして、来年度以降は、三陸防災復興ゾーンプロジェクトに位置づけて実施することとしておりまして、先ほど具体的にという話でございましたけれども、その詳細につきましては、今年度実施した成果も踏まえまして、現在検討中でございます。
 来年度は、復興五輪を掲げる東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されるなど、国内外から三陸地域が注目を集める年となりますので、それらの関連事業や市町村、関係団体とも連携を図りながら、東日本大震災津波の教訓や復興の姿を伝承、発信するとともに、三陸地域の多様な魅力を発信することにより、国内外との交流の活発化を図ってまいります。
〇斉藤信委員 これで最後です。消費税増税の影響、経済波及効果についてお聞きします。
 きのう総務部審査で私は質問いたしまして、8%増税で県民総負担額は625億円と。10%増税ではさらに331億円という答弁がありましたが、これが与える経済波及効果はどうなるのか。全国的には、8%増税前と比較して、1世帯当たりの消費支出が20万円減少して、労働者の実質賃金は15万円減少しておりましたが、岩手県の場合はどうなっているでしょうか。
〇千葉参事兼調査統計課総括課長 まず、消費税増税の影響といいますか経済波及効果についてのお尋ねでございますが、前回、消費税が8%に引き上げられました平成26年の県内経済におきましては、物価上昇の動きというのが見られましたほか、百貨店、スーパー販売額、新車登録台数などの個人消費の落ち込み、さらには、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数が前年割れするなど、税率の引き上げや駆け込み需要の反動減の影響が見られたところでございます。
 今回、消費税率が10%に引き上げられたことによりまして、同様の影響が懸念されますことから、今後公表されます、ただいま申し上げましたような各種経済指標の動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。
 それから、消費税8%増税後の本県における1世帯当たりの消費支出額、それから労働者の実質賃金についてのお尋ねでございますが、まず、消費支出額につきましては、これは総務省の家計調査によりますけれども、平成30年のこれは盛岡市の2人以上の世帯になりますが、1世帯当たりの実質の消費支出が336万3、167円となっておりまして、消費税8%増税前の平成25年の341万9、567円と比較いたしますと、5万6、400円の減、率にいたしまして1.6%の減となっております。
 それから、労働者の実質賃金でございますが、これは厚生労働省の毎月勤労統計調査によりますが、平成30年の岩手県の雇用者1人当たりの実質支給総額になります。従業員5人以上の事業所になりますが、平成30年は325万7、732円となっておりまして、平成25年が338万8、837円となっておりますので、比較いたしますと13万1、105円の減、率にいたしまして3.9%の減という結果になっております。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時1分 休 憩
午後1時3分 再開
〇佐々木茂光副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ14人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 それでは、質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 私から、まず最初に、応援職員の派遣状況についてお伺いいたします。午前中も若干質疑がありましたけれども、重複しない程度に質問いたします。
 一つは、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号の応援職員の具体的な状況、必要数と確保数、充足率がどうなっているのか。それから、今、全国各地で台風災害が起きております。本当に全国各地から応援職員が岩手に来て活躍していただいておりますけれども、来年に向けた応援職員の確保がかなり厳しいのではないかという状況だと思います。来年に向けた応援職員の見通しがどうなっているのか、この点についてまずお聞きしたい。
〇小原参事兼市町村課総括課長 東日本大震災津波、それから、平成28年台風第10号災害に係る応援職員の派遣状況でございますが、令和元年10月1日現在で、東日本大震災津波に係る被災市町村の応援職員は、必要数が429人に対し408人が確保されておりまして、充足率では95.1%となっております。
 それから、平成28年台風第10号災害に係る応援職員は、必要数21人に対し21人が確保されておりまして、充足率は100%となっております。
 それから、来年度の必要数については、例年、11月下旬に県内全市町村を対象とした被災地の人材確保の連絡会議を開催いたしますので、それに向けて必要数を取りまとめているところでございまして、具体的にはお示しできませんが、復興事業の進捗に伴い、減少傾向が続いていくものと思われます。
 ただ、必要数が減少したとしても、被災市町村では相当な量の業務が残されておりますので、今後とも、必要な応援職員が確保されるように取り組んでまいります。
 今回実際に、具体的には台風第19号災害の被災に伴いまして、長野県佐久市から来ていただいておりました2名が、今、一旦帰市するということで地元にお帰りになっておりまして、来年度も、地元の被災状況によっては派遣継続できないところもあるかと思いますけれども、なるべくなら県外でも派遣継続が可能なところはお願いしますとともに、内陸市町村を含めた県内での人材確保にも努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 今答弁あったように、長野県佐久市では派遣元に戻るという状況があって、そういう状況もまた広がってくる可能性があるかと思います。
 復興を加速させていくためには、どうしても財源とマンパワーが必要であります。これは、全国各地で災害が起きている状況もありますので、国がしっかりとした支援をやっていかなければならないと思いますので、国にもしっかり働きかけて必要な人員を確保していただきたいと思います。
 もう一つ、被災地から要請があるのは、マンパワーの確保とともに財源の確保ですね。先ほどの答弁でも、普通交付税については繰り上げ交付が行われたという話もありました。被災地に行ってみて、特別交付税が早く欲しいという要望も強く寄せられております。この特別交付税の交付についてはどういう見通しになっているのか、この点についてお伺いいたします。
〇小原参事兼市町村課総括課長 特別交付税の交付の見込みにつきましては、直近だと12月中旬に毎年交付される特別交付税がございますが、そちらの積算について、今、被災したところについては11月20日ぐらいまで積み上げを延ばして待っていただいているので、11月20日の締め切りまでに、必要額をなるべく積めるところは積んで、12月中旬の交付を受けて当面の資金には充てたいと考えております。
〇高田一郎委員 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、岩手県立大学の問題について二つほどお伺いしたいと思います。一つは、県立大学の県内の就職状況について、どのような状況になっているのか。4年制大学、短期大学、学部別の就職率、県内就職率について、まずその現状を示してください。
〇工藤学事振興課総括課長 まず、岩手県立大学の卒業生の就職率についてでございますけれども、4年制大学のほうは、平成30年度の就職率、4学部につきましては99%でございます。それから短期大学は、盛岡短大、宮古短大計で94%となっております。
〇高田一郎委員 すみません、私が聞いたのは、学部別の県内就職率をお聞きしたのです。
〇工藤学事振興課総括課長 失礼いたしました。県内就職率につきましては、4学部合計で、平成30年度44.5%、各学部別では、看護学部が45.7%、社会福祉学部59.1%、ソフトウェア情報学部19.3%、総合政策学部60.2%。それから、盛岡短大68.2%、宮古短大73.3%となっております。
〇高田一郎委員 県内就職率が全体では44.5%で、看護学部については45.7%、ソフトウェア情報学部については19.3%という数字であります。
 岩手県立大学は、昨年、開学20周年を迎えまして、ことしは21年目になります。言うまでもなく県立大学の開学の目的は、地域に貢献する大学であり、また、地域に貢献する人材を育成することを大きな目的にして、大きな役割を果たしていただいております。
 しかし、県内の就職状況を見ると、県内就職率が非常に低いと思うのです。これは、いわて県民計画(2019〜2028)でも51.5%にするという目標を掲げていますけれども、これ自体、決して高い数字ではないと思います。県内の高校も含めて、県内の大学についても県内就職率を高める取り組みにしっかり取り組む必要があると思うのですけれども、この辺についてはどんな取り組みがされているのか、どのように引き上げるために対応しようとしているのか、この点についてお伺いいたします。
〇工藤学事振興課総括課長 県内就職率を引き上げることは非常に大きい課題と考えておりまして、なかなか上がらない背景としましては、全国的な人手不足を背景に、特に首都圏の大手企業の求職活動が活発ということもあるようであります。特にソフトウェア情報学部は、全国的なIT人材の不足を背景に県外企業から物すごく多くの求人が寄せられている。それから、さまざまな待遇等がよい首都圏の大手企業にも人気が集まっていることもありまして、なかなか県内就職率は高まっていないところではあります。
 ただ、そうは言いましても、県内にすぐれた企業があることを知らないがゆえに県外に就職してしまう学生もいらっしゃるともお聞きしておりますので、そういったことがないように、理解を深めていただく取り組みが必要と考えております。
 県立大学では、これまでも、そうした県内就職率の向上に向けて、学内での合同企業説明会ですとか企業見学会、他の大学と連携したインターンシップを実施してきたところでもございますし、平成30年度には、学生が早い段階から、一、二年生のうちから、県内企業への理解を深めるということで、そういった低学年向けの業界研究セミナーを開催するなどの取り組みも始めたところでございます。
 今後とも、企業や業界団体と連携しながら、大学が学生にとって魅力ある就職先を創出、開拓するなど、県内就職率を高めていくように、県としても支援してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 わかりました。いずれ地域に貢献する人材を育成するという目的でつくられた大学でありますので、県内就職率が50%を切るというのは余りにも少ないと思います。従来の延長線上にとらわれない対策をしっかりとっていただいて、県民計画での51.5%自体、決して高くない数字でありますので、ぜひ全力を挙げて取り組んでいただきたい。
 県立大学への大学授業料無償化に伴う影響についてお伺いしたいと思います。
 来年度から修学支援新制度が導入されて、政府は、消費税増税を財源として、いわゆる大学の授業料無償化を進めようとしております。
 4月以降の岩手県立大学については、現在でも大学独自に大学、短大、大学院の学生に対する授業料の免除を行っております。これが4月以降、修学支援新制度導入に伴って、学生にどういう影響が出てくるのか、この点についてお伺いします。
〇工藤学事振興課総括課長 高等教育の修学支援新制度の導入によります県立大学の授業料減免への影響についてでございますが、まず、県立大学では、現在、大学独自に、経済的理由によって授業料の納付が困難で、学業優秀と認められる大学、短大、大学院の学生の授業料を全額免除しているところでございます。
 平成30年度は、前期と後期で減免しておりますので、その延べ数ですけれども、延べ535名、総額1億3、400万円余の授業料減免を行っていますし、今年度は、前期の減免から試算しますと、年度で延べ594名、総額1億5、000万円余の免除が見込まれているところでございます。
 一方、来年度から始まります国の高等教育の修学支援新制度による授業料等減免制度は、住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯の学生を対象にして段階的に減免することになっております。
 この国の新制度は、県立大学の今の授業料減免制度より対象範囲が狭くなっておりますし、大学院生も対象外となりますので、県立大学の試算によりますと、来年度のこの国の新制度だけによります免除は延べ482名、総額で9、200万余の免除と見込まれるところでございます。
 国の新制度によります授業料減免の財源につきましては、国が地方交付税によって全額措置する方針が示されているのですけれども、一方で、現在、県立大学が独自に実施しております授業料減免も国の地方交付税が財源となっておりまして、その来年度以降の具体的な算定方法については、まだ示されていないところであります。仮に国の新制度だけで授業料減免が行われた場合には、今年度の大学独自の減免に比べて、延べ112名、総額で5、800万円ほどの減免額の減少となる試算となるものでございます。
〇高田一郎委員 今、具体的な数字が出ました。今年度の実績見込みでは594人の学生が減免の対象になっていると。つまり岩手県立大学の授業料は1年間で53万5、800円ですね。これが現在では、見込みですけれども、594人が減免の対象になっていると。これが新制度に移行すれば、減免の対象になるのが482人ということですね。そうすると112人の方々が影響を受けるということですか。
 国の制度は、全額免除とか3分の2免除、3分の1免除があるわけですが、これを含めてどのような人数に影響するのか。今まで全額免除だった人が3分の1免除になるとか3分の2免除になるとかあると思うのですね。そして、これまで大学の授業料を免除された方々が、授業料の免除制度の対象範囲が狭くなる、つまり年収が低くなることによって全く免除が受けられない、年間授業料の53万5、800円を丸々負担しなければならない方も出てくるという説明だったと思いますけれども、全額負担しなければならない学生がどの程度出てくるのか、その辺の具体的な数字をまず示してください。
〇工藤学事振興課総括課長 先ほどの来年度からの国の新制度によります授業料減免の今年度減免の見込みよりもどのぐらい減るか、その全額、3分の2免除、3分の1免除の内訳についてですけれども、まず、今年度の前期から試算しました令和元年度の見込みは、594人の学生が全額免除の見込みでございます。それが、来年度の全額免除は246人になる見込みでして、そのほか、3分の2免除が136人、3分の1免除が100人ということで、全額、3分の2、3分の1のいずれかの免除になる学生を合計すると482人ですけれども、全額免除の見込みは246人と減るものでございます。
〇高田一郎委員 つまり、新しい制度に移行することによって、これまで594人が全額免除になっていたものが246人になるということですね。これは、国の地方交付税の算定根拠が今の時点になってもまだ示されていないということになりますと、今まで授業料の全額免除を受けていた学生の半分以上の方々が負担増になる、あるいは授業料を全額払わなければならない事態になるということだと思います。これは大変なことだと思うのですね。
 政府は、消費税増税の財源を活用して大学授業料の無償化をやると言っていますけれども、本当に一握りの学生に対する免除であって、既に大学独自の減免制度で対応しているところは逆に負担がふえてくる、そういう構図になっていくわけです。これが、国の財政措置が示されなければ大変な事態になってくるのではないかと思うのですけれども、県としてはどのような対応をされるのでしょうか。国にしっかり財政措置を求めるとともに、県としても必要な対応をしていくべきだと思うのですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
〇工藤学事振興課総括課長 この件につきましては、学生が不利益を受けることのないようにすることが必要と考えておりまして、県としましても、県立大学とこれまでも相談しながら対応してきたところであります。
 ことし6月に実施しました来年度政府予算等に係る提言、要望の知事からの要望を初めとしまして、機会を捉えて、国、文部科学省に対して、減免の対象となる学生が不利益を受けることがないように、必要な財政措置を継続するように要望してきているところでございまして、文部科学省でも、担当レベルではありますけれども、課題として認識したということまでは言われているところであります。実際、国立大学でも同じような状況があるということで、文部科学省では、国立大学に対する調査も行っていると聞いております。
 そういうことで、県立大学では、いずれ学生が不利益を受けることのないように対応を進めているところでございますし、そういった国による国立大学への調査の動向も見ながら、県としましても支援をしていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 私からは、公共交通の維持、確保と利用促進について、大きく分けて2点お聞きいたします。
 1点目、バス交通につきましては、午前中も多くの方の質疑があったわけですが、重複しない範囲で行いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、広域生活バス路線の維持ということですが、バス1路線当たりの平均乗車密度が落ちているということで、達成度がD評価になっておりますが、県内はどのような状況にあるのか。それから、今後の対応策ということで、難しいことではありますけれども、それについてお聞きしたいと思います。あわせて、公共交通活性化支援チームが支援を行っておりますので、この支援の状況についてもお聞きいたします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 2点御質問いただきました。まず、1点目の広域的バス路線の平均乗車密度の関係でございます。
 平成29年度の3.4人より平成30年度は3.6人と若干改善したものの、依然として人口減少などによる利用者の減少のため、目標値であります4.0人を達成できず、達成度はDとなったものでございまして、広域バス路線の維持に向けた取り組みを強化していく必要があるものと認識しております。
 このため、今年度から、県、市町村、交通事業者等によりますバス路線活性化検討会を新たに設置しておりまして、バス路線ごとの利用促進策あるいは鉄道との乗り継ぎ改善、運行経路の効率的な見直しの検討などに取り組んでいるところでございます。
 また、ノンステップバスの導入によるバリアフリー化など、高齢者や障がい者を初め、誰もが利用しやすいサービスの提供に向けたバス事業者の取り組みを支援していくこととしております。
 次に、活性化支援チームの支援の状況についてでございます。
 平成30年度におきましては9市町村に対し支援を行っているということで、具体的には三つほど挙げさせていただきますが、久慈市における広報を活用した市民への情報発信に関する支援、釜石市におけます市内公共交通の再編の検討の支援、あとは、奥州市における交通計画策定に伴う市内公共交通体系見直しの検討の支援を行ったところでございます。
〇千田美津子委員 バス路線の密度4人を目標にして取り組んで、そこには達しなかったけれども、平成29年度よりは上昇しているということで、これが廃止につながらないように、ぜひ対応策を立てていただきたいと思います。
 今御紹介あったように、バス路線活性化検討会でさまざま検討されているようですので、あわせて、バス路線維持のための改善検討路線の状況についてお聞きしたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 バス路線維持のための改善検討路線の状況についてでございます。
 平成30年度は、国庫補助路線は44路線ございまして、このうち被災地特例により輸送量の補助要件が緩和されることで補助対象となったものは15路線でございます。また、県単補助路線は13路線ございますが、このうち被災地特例により平均乗車密度の補助要件が緩和されることで補助対象となっているのは7路線ございます。
 昨年度は、再編が実施されたばかりの路線や、別途利用促進の検討がなされておりました路線を除きまして、53路線について、路線見直しや利用促進の検討を行ったところでございますが、今年度からは、全57路線を対象に検討することとしておりまして、特に、被災地特例による補助要件の緩和により補助対象とされている路線については、複数回検討を実施するなど、引き続き、広域バス路線の維持に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 まず、活性化支援チームの支援も行われてきたわけですけれども、先ほど久慈市、釜石市、奥州市の部分で御紹介いただきました。この支援団体数が、目標値が16に対して実績が9となっておりますけれども、この支援団体が減っている理由は何かあるのでしょうか。それから、活性化支援チームのこれまでの成果といいますか取り組みをどのように評価していらっしゃるのかお聞きします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 活性化支援チーム派遣支援の数が減少していることにつきましては、県におきましても、年度当初というか前年度中に各市町村に対して支援の要望の状況をお伺いしながら、大体これぐらいだろうということで計画を立てているところでございますが、市町村の計画あるいは再編の進捗の状況によりまして、取りやめになったりということがございます。
 そのほか、既に過去の年度において支援した市町村については、アドバイザーの方と直接つながりが持てているということで、県を通さずに支援を受けている状況もございます。
 ただ、まだまだ市町村によっては今後再編が必要になるところもございますので、担当者会議等におきまして、この活性化支援チームの活動についてPRしながら、市町村に対して支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 活性化支援チームのアドバイスを経ないで直接やりとりできる市町村が出たということは、いわば自立に向けて動いているといい方向に捉えていいかと思いますが、いずれ、国、それから県の補助がある全部の57路線について、バス路線活性化検討会ということで、全路線を俎上に上げながらさまざま検討されるということで、引き続き市町村との連携がますます重要になってくると思うのですが、今後の方向性について改めてお聞きしたいと思います。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 今後の方向性ということでございますが、委員からも御指摘があったとおり、何といっても、関係者が集まって協議をして、路線ごとに具体的に利用状況を見ながら、あるいは活性化促進策をみんなで検討しながらやっていくことが効果的であると思いますので、引き続き、この支援チームによるもの、あるいは活性化検討会での検討は、今後も続けてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 もう一点、かしこい交通ライフチャレンジウィークという事業があったようですが、これについてはB評価になっておりますけれども、どのような評価をされ、そして、今後の事業展開についてはどのようにお考えでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 かしこい交通ライフチャレンジウィークについてでございますが、公共交通の利用促進を図るためには、県民の利用を喚起していくことが必要であり、公共交通に関する情報の提供やイベントの実施などにより啓発を図るほか、モビリティ・マネジメントによります行動変容の取り組みをしていくことが重要と考えているところでございます。
 このような考えのもと、全県的な利用促進キャンペーンとして、これまで、かしこい交通ライフチャレンジウィークを例年10月ごろに実施してきたところでございまして、平成30年度の参加者数は、平成26年度の1万8、000人から約2倍の3万4、000人となったところでございますが、目標を3万6、000人としておりましたので、それを若干下回り、B評価となったところでございます。
 このモビリティ・マネジメントにつきましては、地道に取り組んでいく必要があると考えておりますことから、今年度から名称を公共交通スマートチャレンジと変更しまして、より多くの県民の皆様に参加してもらえるよう、また事業者への参加要請も強めながら、一層の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 何か名称が変わったようですけれども、やっぱり多くの県民がそういうものに参加しながら、みずからどうあればいいかを考えるいい機会だと思うのですね。もっとPRして参加者をふやしていっていただきたいと思います。
 バス交通の最後ですけれども、バスの利用者がどんどん減ることによって、国等の補助要件に満たない路線が出てきております。ただ、これらが補助対象外となると、交通不便地域ほど住民の足の確保が困難になるということで、非常に大きな問題だと思います。
 それから、広域的、幹線的な生活バス路線の多くは、市町村境を越える路線が多いわけで、市町村が個別に努力をするというよりも、大きな連携した対応が必要だと思っております。そういう意味で、私は、県単補助を継続することはもちろんですが、補助要件の緩和でバス交通を維持させる対策がより重要ではないかと考えますので、お聞きいたします。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 広域バス路線に対する県単補助の関係でございます。
 国庫補助事業は1日3往復以上が要件となっておりますが、県単補助事業は1日1往復以上でも対象としておるところでございまして、国庫補助事業の対象とならない路線についても、市町村と連携して支援を実施しているところでございます。これについては、今後も継続実施していきたいと考えております。
 一方、委員からお話のありました要件の緩和につきましては、1日1往復以上の要件はこれ以上緩和することは難しいと。あと平均乗車密度4.0人以上というもう一つの要件がございますが、これは、やはりバスでの移動ということを考えて、タクシーとの役割分担を考慮し、あるいは効率的な運行ということも考えまして4人以上という要件を設定しているところでございます。これを3人以下とすると、40人乗り、50人乗りのバスで3人を運んでというのは、やはり効率の面でも問題がある、検討するところがあるかということで、より効率のよい、例えば地域のデマンド交通とか、小さい形のコミュニテイーバスとかといったことに再編を促すという意味でも、やはり4人以上は堅持したいと現時点では考えております。
〇千田美津子委員 いずれ、いろいろな支援があると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 二つ目、JR東北本線の利便性の向上について質問いたします。
 公共交通の根幹をなす東北本線でありますが、今、北上―一関間の運行は、盛岡―北上間が上下線とも平均して30分に1本であるのに対し、1時間に1本程度の運行となっております。これは通勤、通学の利便性が低い状況にあると思いますが、実態をどのように把握されておられるでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 東北本線の一関―盛岡間のうちの北上―一関間の状況ということでございますが、まず、下りでいいますと、盛岡駅着で見ますと、一関発が18本、北上発が11本ということで、やはり北上―一関間は少ない状況となっています。上りにつきましても、盛岡発で一関まで行くものが18本、北上まで行くのが13本ということで、上りについても北上以南は少ない状況となっております。
 県といたしましては、毎年度、各市町村からダイヤ改正にあわせての各種JRに対する要望を取りまとめて、JR盛岡支社に対して要望活動を行ってございます。その際、北上駅と一関駅間の運行本数の増加については、やはり5市町村から6件の要望があったところでございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、JRには既に要望は行っているということですね。それで、JRの回答はどのような状況でしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 北上―一関間の運行本数の増加に係る要望については、JRからは、保有する車両の運用上の問題でなかなか難しいということで、実現はしていないところでございます。
〇千田美津子委員 結局、乗る人が少ないのではないかとか、そういう心配からなのでしょうかね。効率的な運用ということはわからないわけではないですけれども、これからの県南地域の産業集積、人材育成等を考えると、これらの増便は必要だと思うのですね。
 それで、各5市町村、多分、一関市、奥州市、紫波町、金ケ崎町、平泉町から要望があったということで、私は、各市町村からの要望というのは、住民の要望だったり企業からの要望だったり、それらをしっかり把握して県への要望と思うのですね。ですから、それを裏づけるような県としての調査なり、ただJRに要望しましたよではなくて、県もそういう積極的な姿勢で、産業政策的なことも含めて取り組むべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
〇渡辺特命参事兼地域交通課長 特に北上―一関間につきましては、委員御指摘のとおり、その沿線地域において自動車や半導体産業の集積が進み、広域からの通勤利用の増加が見込まれるなど、東北本線の利便性の向上は重要な課題と認識しております。
 ニーズを県でと今、私は受け取ったのですが、やはり、まずは要望する市町村において、どれぐらいのニーズがあるか、あるいは企業からの要望がどれぐらいあるかを把握していくことが第一歩かと考えております。県でということもあるかもしれないですが、県としてもなかなか難しい面もあります。
 地域におきまして、要望するための協議会を立ち上げる準備を今、奥州市が中心となってやっているということも伺っておりますので、そこには当然、広域振興局も検討に加わるということでございますので、そこでの議論も踏まえながら、県としても、できる範囲での支援を商工労働観光部とも連携しながらやっていきたいと思います。
〇千田美津子委員 最後になりますけれども、きょう取り上げたバス、それからJRの問題も含めて、この利用を広げる取り組みは、地球温暖化対策とも相まって、今本当に大事な、有効な施策だと私自身も思います。
 今、市町村と連携しながらいろいろ頑張っていただくという方向が出されましたが、大災害を阻止する上でも、地球規模での温暖化対策に取り組むという点で、ぜひこれを県としても頑張っていただきたいということで、部長に所見を聞いて、終わります。
〇白水政策地域部長 今、委員から幾つかの非常に重要な御指摘もいただいたと思っております。これは、昨年度の決算特別委員会でも、千田委員から公共交通を取り上げていただきまして、その後、我々もいろいろ施策を検討してきたところでございます。
 御承知のとおり、ことしは新しいいわて県民計画もできましたし、それから、交通網の形成計画も策定いたしました。やはり公共交通は、これから人口減少あるいは少子高齢化という中で、本当に重要な施策の一つだと認識しております。利用促進あるいは確実な整備にはしっかり取り組むとともに、今、市町村との連携ということがキーワードとして出てきておりますけれども、まずは県と市町村の役割分担であると思いますので、そこはしっかり押さえながら、そうは言っても、連携しながら取り組んでいかないといけない部分もたくさんございますので、そういった視点もしっかりと勘案しながら、着実に進めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私は1点だけ、洋上ウィンドファーム事業化促進事業費についてお伺いします。
 県では、再生可能エネルギーの自給割合を高める意味で、さまざまな風力、水力、地熱等の発電が行われていると思います。洋上風力発電については、実証実験がたしか釜石市の沖合で何年か行われて、今度は洋野町の沖合で調査が行われていると認識しておりますけれども、これまでの成果についてお伺いします。
〇阿部科学技術課長 洋上風力発電のこれまでの成果についてのお尋ねでございます。
 県におきましては、震災前の平成22年から海洋資源の活用促進ということで、幅広い観点から海洋資源をどう活用すればいいかを検証してまいりました。その中で、国の事業を導入するなどして海洋資源、具体的には洋上風力発電であるとかについて、有望な地域が県内にあることを実証したところでございます。
 委員、今お話がありましたように、釜石市におきましては、その成果をもとに、国の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドの指定を受けまして各種の実験等を行ってまいりました。
 また、洋野町におきましては、県が先導する形で、先ほど申しました各種の実証実験あるいは風況調査などを行いまして、洋野町が有望であるという方向が見出されました。それを町にバトンタッチする形で、昨年度から、町が主体となりまして、協議会を立ち上げ、風力発電の導入に係る具体的なガイドラインにつきましては、事業者が遵守すべき事項、あるいは漁業振興等の地域振興への取り組みなども盛り込んだものを町としてまとめ、それをことし4月に広く公表したという段階になっております。
〇小林正信委員 もう一点、企業局に係る部分になるかもしれないですけれども、この洋上風力発電が事業化する際に、この事業主体はどこになるのかを、支障のない範囲で結構ですけれども、教えていただければと思います。
〇阿部科学技術課長 洋上風力発電の事業主体のお尋ねでございます。現在、我が国で事業化なされている例が、千葉県の銚子沖で行われている事例がございますが、そちらについては、民間事業者の方が事業主体という形になっております。また、長崎県の五島市では、浮体式といいまして、ぷかぷか浮かぶ形の風力発電につきましても、民間事業者の方がいわゆる事業主体となっております。恐らくはといいますか、一般的には民間企業の方が事業者となり、売電、発電行為を行うものと承知しております。
〇小林正信委員 たしか北海道のせたな町でしたか、あそこは自治体がやっていたのではないかと思いますけれども、そこをちょっと確認させていただけますか。
〇阿部科学技術課長 委員御指摘のとおり、いわゆる地域エネルギー会社というものをつくって行う場合、これは洋上風力に限らず、普通の陸上の風力発電でもそういった事例もございますので、100%民間主体、あるいは自治体が出資する地域エネルギー会社という形の様相もあるかと思います。
〇小林正信委員 2018年に通称再生可能エネルギー海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が可決されて、洋上風力発電の導入促進がかなり期待されているところでありますけれども、ヨーロッパでは洋上風力発電がかなり導入されて、ただ、日本においても、海に囲まれておりますので、洋上風力発電の促進はかなり重要なことではないかと思います。
 先ほど、地域エネルギー会社みたいな、自治体と民間が一緒にやるみたいな部分もおっしゃっていただいたのですけれども、今後のこの事業のスケジュールがわかればお知らせいただきたいと思います。その部分をお聞きして、終わりたいと思います。
〇阿部科学技術課長 洋野町におけます洋上風力発電の事業化のスケジュールというお尋ねでよろしかったでしょうか。これにつきましては、三井不動産株式会社が、昨年9月から11月にかけましてボーリング調査を行っております。その結果をもとに、具体的な工事の方法であるとか採算性の検討などについて、現在検討を行っているとお伺いしておりまして、具体的に建設の時期ですとかは、まだ検討を進めている段階だと認識しております。
〇千葉絢子委員 それでは、私からは大きく2点お伺いしたいと思います。
 まずは、県立大学卒業生の県内就職率と社会減ゼロに向けたふるさと振興総合戦略についてお伺いいたします。
 県内からの転出超過は昨年5、000人を超えたところでございます。これは首都圏などでの採用活動の活発化などを理由に挙げておりまして、中でも若年層の占める割合が高いことが問題だと私も考えておりますけれども、県は、この中で特に取り組むべき課題を何だと認識していらっしゃいますでしょうか。
〇村上政策監 若年層の県外転出について県が取り組むべき課題ということでございますが、委員から先ほどお話しがございましたとおり、平成30年の本県の社会減5、215人を年齢階級別に見ますと、15歳から19歳までの転出超過が1、752人、20歳から24歳までの転出超過が2、077人、これらを合わせた15歳から24歳までで見ますと3、829人となっておりまして、これは全体の7割を占めております。特に、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期の転出超過が顕著となっております。
 こうした状況は、給与などの面で首都圏と格差があることに加えまして、県外企業の採用活動が活発であること、県内企業と比較して、首都圏の大手企業や人気企業が早期に就職選考を開始する傾向にあるため、岩手で働き、岩手で暮らすことの魅力を知らないまま就職活動などを進めてしまうといったことも背景としてあるのではないかと考えております。県内企業の魅力向上、企業の学生に対するアプローチの強化、新規学卒者とのマッチングなど、若年層の県内就職の促進に向けた施策の拡充を通じて、若年層の県外流出を食いとめることが重要と受けとめているところでございます。
〇千葉絢子委員 実に転出超過の7割を15歳から24歳までが占めている。これは、現在の社会減ではなくて、いずれ自然減につながっていく由々しきことだと私は思っております。
 それで、県立大学の卒業生の県内就職率は先ほども議論に出ておりましたが、目標値が平成30年度は52.5%を目指しておりました。ただ、実績値といたしましては44.5%。これは、第3期アクションプランが始まった平成26年の現状値と同じ値であります。県全体ですとか、あとは県でも必要とされている、先ほども欠員の話が出ておりましたが、県職員、公務員として必要な人材を県内で育成し、そして定着につなげているのかという、これは県立大学の存在の意義というか、人材を輩出すべき任務を担っていると、私、県立大学の役割についても考えておりますが、このことに対して本当につながっているのかというところをしっかり検証する必要があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇工藤学事振興課総括課長 県立大学の卒業生の県内定着についてでございますけれども、先ほども答弁いたしましたが、平成30年度実績で、4学部の平均で県内就職率は44.5%というところでございます。
 県立大学では、大学の第三期中期計画に、県内就職促進についても掲げて、いわてで働こう推進協議会とか、県内中小企業団体中央会、県内自治体等と連携を図りながら、県内就職率の向上に向けた取り組みを行っているところでございます。
 特に、インターンシップですとか企業等説明会など全学的な取り組みのほかに、学部ごとにも、看護学部では地域医療を知る県内バスツアーの実施、ソフトウェア情報学部では、県内企業等から提示された課題に取り組むプロジェクト学習など、それぞれの学部の特徴を生かした取り組みも行って、県内定着率の向上に取り組んでいるところでございます。
 それから、公務に従事する人材の育成につきましても、平成26年度から、公務員試験対策講座を導入しておりますし、平成29年1月からは、公務員試験対策関係の総合相談窓口を開設するなどの対応を行ってきたところでございまして、公務員等への就職状況につきましては、平成30年度75名、うち県内には47名となっているところでございます。
 今後におきましても、学生が早い段階から県内企業等の魅力を知る機会を設けるなど、関係機関、団体と連携しながら、県内定着が進むよう取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 工藤総括課長、私は高田一郎委員への答弁と同じ答弁が聞きたいわけではないのです。こういうふうに取り組んでいますというのは、先ほどもお伺いいたしました。けれども、その結果が、公務員試験、県職員採用試験の倍率、平成29年4.1倍、そして平成30年3.9倍と低下につながっているのだと私は思うのですね。
 事業としてやっているけれども、つながってはいないのではないかというような疑いを持つことも必要だと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇工藤学事振興課総括課長 取り組みが具体的な数値につながっていないかもしれないということにつきましては、目標値になかなか到達できない、あるいは到達しそうだったけれども、また伸び悩んでいることにつきましては、県立大学、それから県としましても課題と考えておりまして、これまでの取り組みで必要なものは、効果を検証しながら続ける、そして、新たな取り組みとかも知恵を出しながらやっていかなくてはいけないというところをもちろん課題として考えて、相談しているところでございます。引き続き、大学、私どもで知恵を出したりしながら、それから、関係機関等の皆様のお知恵もおかりしたり、相談しながら、対応していきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 それでは、インターンシップのお話も出ましたので、インターンシップについてもお聞きしたいと思います。
 県立大学卒業生の県内就職率が44.5%と平成26年の値と同じだということは先ほどお話ししましたが、県内大学生等のインターンシップ参加者が目標の802人に対し、平成30年度の実績値では626人。これは平成26年の現状値629人よりもさらに下回ってしまったという、つまり目標の80%にも満たなかったということが、いただいた資料によりますとわかったわけです。
 しかも、それは昨年度、県民計画の最終年度の実績値でございました。この最終年度の実績値として、平成26年の値と同じもしくは下回ったことに関しての所感をお伺いしたいと思います。
〇工藤学事振興課総括課長 県内大学生等のインターンシップの参加者数でございますけれども、御指摘のとおり、目標値につきまして、平成30年度の参加者数は達成度78%ほどということで届かなかったところでございます。先ほどの県内就職率の向上と同じように、これまでもさまざまな取り組みを行ってきたところですが、さらに知恵を絞ってやっていく必要があると考えているところでございます。
 県立大学では、多様なインターンシップがありますということを紹介して、参加を推進するための説明会を開催するとか、それから県立大学が幹事校になりまして、県内の大学等と連携して、インターンシップの受け入れのためのポータルサイトを開設したり運用したりして、これまで参加者数の増加を図ってきたところでございます。
 そうした今の達成度の状況も踏まえまして、引き続き、そうした取り組みですとか、それから、学生が早い段階から県内企業の魅力を知るなどのセミナーの開催、それから、インターンシップにつきましては、インターンシップ参加学生と受け入れ企業が事後研修で交流するような取り組みも始めたところでございますので、そういったこともしながら、さらに知恵を絞って、県内定着につながるように取り組みを進めていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 次期ふるさと振興総合戦略の四つの柱の一つが、岩手で働くとなっております。その施策推進目標の中に、若者の仕事や移住に関する願いに応え、県外への転出超過を解消する社会減ゼロを目指しますとあります。これは、定着率の低さというのを早急に改善しなければいけない。そのためには、新たな産業の創出ですとか、いろんな取り組みが進められると思いますけれども、ただ、私が一番問題だと思っているのは、大卒の女性の就職先をいかに岩手県内につくっていくかだと思います。でなければ、15歳から24歳までの社会減3、829人という数は減っていかないのですね。これは、首都圏の企業などの旺盛な採用というような外的要因にのみ依拠するものではないと私は思っておりまして、ここを何とかしなければ、ふるさと振興総合戦略としてはやはり不十分であろうと思うのですけれども、今後の大卒女性の就職先の確保の必要性と、今後の取り組みの方向性についてお考えを伺います。
〇村上政策監 大卒女性の就職先の確保の必要性と今後の取り組みの方向性ということでございますが、先ほど申し上げました本県の人口の社会減の中でも、特に22歳前後の女性の転出超過数は大きいものとなっておりまして、この影響が、その後の女性人口の減少につながっていく傾向にあると考えておりまして、大卒女性の地元定着につながる県内就職先の確保というのは重要な課題であると認識しております。このため、企業に対しましては、採用力強化の支援のほか、人材確保に向けた先進的取り組みの促進、働き方改革の推進による女性の活躍や働きやすい職場環境づくりの促進に取り組んでいるところでございます。
 また、学生に対しましては、県内企業を知り、そこで働くことに魅力を感じていただけるよう、大学生が主体となって運営するふるさと発見!大交流会や企業キャラバンの実施、就職ガイダンスにおける企業等のプレゼン、インターンシップの実施、岩手U・Iターンクラブを活用した県内企業の情報発信など、U・Iターン就職の支援強化などに取り組んでおります。
 現在、策定の検討を進めております次期ふるさと振興総合戦略におきましては、こうした取り組みに加えまして、委員のお話にございましたとおり、ものづくり産業の全体的な底上げ、新産業の創出、若者の起業支援といった取り組みを盛り込むこととしておりまして、戦略を総合的に推進することにより、大卒女性を含めた若者の県内就職を促進してまいりたいと思っております。
〇千葉絢子委員 以前、県の施策を担当している方といろいろお話をさせていただいた機会に、若者とか女性が今後県内で定着をし働いていくための方策として、起業というのも非常に大きいウエートを占めているような感じに受け取りましたけれども、その施策を掲げている方にお聞きをしました。その方も女性でしたけれども、実際、では、あなただったら起業しますかと言ったら、いや、私はちょっとという反応だったのです。なので、やはり御自身の御家族、娘さんそして息子さんが、岩手で就職する場がないから起業するしかないといったときに、皆さんは本当に賛成されるのか。本当に御家族の中で、今まさに県外に出ていこうとしているような年代の方々が、どうしたら岩手に興味を持って定着してもらえるか。それは10年後に答えが出るわけです。ぜひ、ここはしっかりと対話をして、御家族それから娘さん、息子さんがいる場合は、その御友人などにも聞いていただいて、それこそ広くその世代の方のニーズと、県が提供しているメニューのマッチングが図られているかどうかというのを―皆さんも、この地域に住む住人のお一人として実感できるような政策を展開していただきたいと、県民の目線からは願っております。
 次に、ふるさと振興総合戦略の中で新しく加わった重視する視点というものがありますけれども、この三つ目、地域経営の視点で取り組むという観点から、少子化に伴う高校再編の議論についてお伺いいたします。
 地域を担っていく人材の育成についての観点から、きのう、公立高校の来年度入学定員が発表になりました。子供の数の減少に伴い、また公立高校の定員が減ったわけですけれども、我々県民は、我々の地域の高校はどうなるのか、そして母校は今後どうなっていくのか真剣に議論をし、その行く末を案じているわけです。それが高校再編のあり方に関する地域の研究会というか、県民との意見交換会みたいなところもありますけれども、そういった中で、政策地域部からは、私学振興のために、昨年度はおよそ57億円ですね。毎年50億円以上計上、執行しているわけですけれども、高校再編の議論の中で、検討会議の中で、定員減を公立高校がこのまま学級減とか統合とか、そういう縮小の議論を公立高校のみが担っていくべきなのかという、県民のかなり突っ込んだ意見が見られました。これについて、双方のバランスについて、県教育委員会も含めて部局横断的な情報共有とともに、地域経営の視点から、政策地域部の担当の方も交えた対話と議論が必要だと思いますけれども、こういった公立高校再編に伴う私学に対する会議のメンバーの意見というのは、政策地域部ではどのぐらい把握していらっしゃるのかお伺いします。
〇工藤学事振興課総括課長 少子化に伴います公立、私立高校の定員のバランスですとか高校再編とかに係ります部局横断的な情報共有についてでありますけれども、まず、私ども関係部局間では、地域での意見交換会とかでこういう話が出ていますのは、随時、情報共有をさせていただいているところでございます。それに加えまして、公立、私立の高等学校の教育に関するいろいろな問題がありますので、そういったことを協議したり連絡を図ったり、県の高等学校教育の振興を図るということで、当政策地域部と私立学校関係者、県教育委員会との間で、岩手県公私立高等学校連絡会議というのを開催しております。昨年度までは総務部がメンバーでしたけれども、今年度から私どもがメンバーになって会議を開催し、高校再編の関係ですとか、募集定員の情報、公私立の関係も含めて定期的に意見交換を行っているところでございます。
 今後も県内高校教育の一層の充実に向けて、連絡会議等を通じて、引き続き、県教委とも連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 先日開かれた一番新しい盛岡地域での高校再編に関する議論の中でありましたのが、公立高校も数を見直していかなければいけないという議論になってしまっている以上、どのようにやっていったらいいかというところで、かなり踏み込んだ議論がありました。それは、昭和50年以降に生まれた新しい学校から削っていくという方法も考えたほうがいいのではないかということを発言した方もいらっしゃったのです。県教育委員会それから政策地域部、私学の方との連絡協議会があって、そこで情報共有をしているということですが、そこまで切実な意見が県民の会議のメンバーから出ているということを踏まえて、もう少し真剣に議論をしていく必要があるのではないかと、私は今、工藤総括課長の答弁を聞いて感じました。県民の方は本当に自分の地域の高校がどうなっていくのだ、このまま学校の規模が減っていって、子供たちの教育の質が確保されないのであれば、高校の数を削減していく順番も考えなければいけないのではないかという議論が出始めているのですね。ぜひそこは、政策地域部の方もしっかりと会議録をごらんになるなり何なりしていただいて、真剣に高校再編のあり方についても考えていただきたいと思います。
 というのは、なぜ私が政策地域部のところで私学の話をするかというと、どんな教育が子供たちの県内定着につながっていくかということを、これは県教育委員会だけではなくて、ふるさと振興総合戦略の中でも十分考えるべきだからと思っているのです。その教育方針によって公務員の人手不足ですとか、あとは産業振興、それから地域の持続可能性を高めていくということに子供たちの教育、それが定着につながっていくことを優先して考えれば、これは政策と教育のあり方というのは、私はもっと密接であるべきだと思っております。
 最後にですけれども、いただいた主要施策の成果に関する説明書、いわて県民計画実施状況報告書の3ページにあります、一番下の今後の方向には、年度後半に実施する政策形成支援評価において、社会情勢等も含めた詳細な分析を行い、政策推進プランの施策に反映とあるんですけれども、この分析結果、年度後半というのはいつごろなのか。また、この計画の総括になる部分だと思いますので、私たち議員にも御提供いただきたいと思うのですが、この方向性についてお伺いいたします。
〇佐々木茂光副委員長 千葉絢子委員に申し上げます。当該委員でありますことから、簡潔に願います。
〇北島評価課長 主要施策の成果に関する説明書の3ページの今後の方向のところの、年度後半に実施する政策形成支援評価についてのお尋ねでございました。
 この主要政策の成果に関する説明書については、指標の達成度を取りまとめたものになっています。今、まさに、この政策形成支援評価というものを行っていまして、指標の状況に加えて、社会経済情勢も含めた今評価を行っていまして、12月議会に皆様に政策評価等の実施状況報告書を説明する予定になっております。
〇佐々木茂光副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光副委員長 質疑がないようでありますので、これで政策地域部関係の質疑を終わります。
 政策地域部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、ILC推進局長にILC推進局関係の説明を求めます。
〇佐々木ILC推進局長 それでは、平成30年度のILC推進局の決算につきまして御説明申し上げます。
 ILC推進局につきましては、本年8月の組織再編により、これまでの室課から、部局の一つとして新設したものであります。本年3月7日の政府による関心表明を受けまして、政府レベル、研究者レベルでの議論が進展し、ILCの実現に向け着実にステージが変わってきており、国内外の動向に臨機に対応するため、組織体制を強化したところでございます。
 業務内容といたしましては、ILCの実現に向け、震災からの復興とILCを核とした国際学術研究拠点の形成を図るため、受け入れ環境整備の取り組みの強化や国内外への情報発信を推進するとともに、国民的な機運醸成を図るための取り組み等を実施してまいりました。
 それでは、決算の概要について御説明申し上げます。
 なお、ただいまから御説明申し上げますのは、組織再編後、現在ILC推進局が所管しております内容であることを御了承願いたいと思います。
 それでは、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。ILC推進局関係の決算につきましては、2款総務費のうち2項企画費の一部でありますが、これらの支出済総額は1億3、704万円余でございまして、不用額は744万円余となっております。
 次に、決算の内容につきまして、お手元に配付しております歳入歳出決算事項別明細書によりまして御説明させていただきます。
 事項別明細書の168ページと169ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費でございますが、当局関係の支出済額は、備考欄の政策地域部の3億4、755万円余のうち、7、666万円余であります。当局関係の事業は、一つ目の管理運営費の一部でありますが、これは、当局内の職員人件費や管理運営に要する経費でございます。次に、170ページと171ページをお開き願います。一番下の4目科学技術振興費の支出済額1億3、619万円余のうち、当局関係の支出済額は6、038万円余であります。次の172ページと173ページに参りまして、当局関係の事業は、備考欄の一番下のプロジェクト研究調査事業費であります。これは、ILCの実現に向けまして、国内外への情報発信や関連企業への参入促進支援、受け入れ環境の取り組み等に要した経費でございます。国内への情報発信につきましては、昨年8月に東京で開催したノーベル賞受賞者を招聘してのシンポジウムへの協力や、本年3月の政府関心表明を受けての講演会を開催するなど、県民、国民理解の増進に取り組みました。国外へは、知事のCERN訪問や海外研修者向けの英語版ホームページ、THE KITAKAMI TIMESの運営などにより、建設候補地岩手の準備状況や魅力の発信を行いました。また、地元企業の加速器関連産業への参入促進に向け、技術セミナーの開催や、企業と研究機関等との共同の取り組みを促進するなど、研究開発等の支援を進めるとともに、研究者の現地視察や建設候補地の地質等技術的な照会などにも対応いたしました。建設候補地としての受け入れ環境整備につきましては、今後の科学技術分野を支える人材の育成事業、保育、医療などの居住環境の検討も進めました。その他、国への要望や研究者コミュニティーの議論などの各種情報収集に要した経費でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐々木茂光副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇菅野ひろのり委員 プロジェクト研究調査事業費を含め、ILC推進に関して全般的に行われていますので、まず決算を踏まえ、今までこのILC推進にどのような取り組みをしてきたか、端的に伺いたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILC推進に向けた取り組み、まず平成30年度ですけれども、県立大学との共同研究あるいは居住環境についての海外研究者と意見交換などILCの受け入れ環境整備、それから関係団体と連携した要望活動、首都圏でのイベント、あるいはILCに関する講演会、勉強会なども開催しておりまして、これにつきましては154回の開催、延べ1万2、000人余りの参加を得ております。また、加速器関連産業研究ということで、県内外の企業を対象に、技術セミナーですとか高エネルギー加速器研究機構の視察を行うなど、加速器関連産業の拠点形成に向けた取り組みを進めております。
 今年度につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げるILCプロジェクト推進の初年度ということで、これまでの取り組みも踏まえながら、ILCによる地域振興ビジョンを策定しまして、外国人向けのワンストップサービスを想定したIoT機器等の実証試験ですとか、外国人子弟の受け入れに向けた小中学校の条件整備の検討など、本県の実情に即した取り組みといったものを進めております。
 また、今年度新たに、今後の科学技術分野を支える人材育成の取り組みとして、県内の高校生を対象として理工系の研究コンテストを開催しまして、最優秀のチームをスイスにある素粒子物理学研究所―CERNに派遣する事業を行っておりますし、ILC誘致の盛り上がりに向けて、ILCサポーターズの取り組みなどの支援を行っております。
〇菅野ひろのり委員 150回、1万2、000人の参加、本当にたくさんの事業を通じてこのILCの推進、そして理解をより一層広げていこうという御努力を非常に感じております。
 一方で、10月5日でしたでしょうか、奥州市、一関市のほうでも、まだILC誘致に関して不安視するような声があると聞いております。奥州市そして一関市で解説セミナーを開設しているようでございますが、そのときの状況であったり感触をどのように受けとめられているか、お伺いしたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ただいまお話がありましたILC解説セミナーを10月5日に、奥州市前沢と一関市川崎で開催しております。奥州会場の参加者は25名、一関会場は74名の方の参加がありまして、先ほど申し上げました高エネルギー加速器研究機構などの研究者などが説明を行い、質疑応答を行いました。
 どちらの会場とも、ILCに関して、今回のセミナーを通じて、納得した上で推進に賛成したいという率直な質疑応答もありました。一方、お話がありましたとおり、一関会場のほうでは、ILCで生じる排水の取り扱いとか、福島原発事故の影響と関連した質問などもありました。
 いずれ、こういった形で、機会を設けて理解を進める取り組みをしておりますので、今回の会場でもいろいろ率直な御意見もありましたので、理解の進展につながったものと考えております。
〇菅野ひろのり委員 私は奥州市江刺種山の下のあたりに住んでいるわけですが、ILCの先端といいましょうか、来た場合に、そこら辺の伏流水であるとか湧水に対してILCの影響を非常に気にする方もいらっしゃいます。例えば今回の会議の中で2点大きな論点となったのが、ビームダンプそしてトリチウム、この2点であったと、10月6日の地元新聞ですが胆江日日新聞に載っておりました。
 ビームダンプについては、放射性物質が最も生成される場所で、地震発生時の対策、信頼性が非常に不安視されている。2点目がトリチウム、ビームから出る水というのでしょうか、この安全性また自然環境への影響、また、この処理をどうしていくのか。
 先ほど御説明の中で、住民から御理解いただいたというような御答弁をいただきましたが、このセミナーの開催で皆さん安心していただいたのか、理解されたのか、もう一度そこら辺を、先ほどの安全性を含め御答弁いただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ただいまお話のビームダンプ、水の関係等につきましては、会場でもやはり質問が多い状況でありました。KEKの研究者の方から、ビームダンプの取り扱いについて大分丁寧に説明をしたわけですけれども、やはり1回の説明ではなかなかわかりにくいということもあって、メールでのお問い合わせなどもありますので、これにつきましては継続して今後とも説明を丁寧に続けていくと、御質問を受けながら対話型で説明を行っていくということ、KEKのほうとも連携しながら進めていくということは非常に重要だと考えております。
〇菅野ひろのり委員 私もそうだと思うのです。これは、聞けば、多くの方は納得いただけると思うのですが、まだまだもしかして対話の回数が少なかったのかなとも感じているところでございます。その上で、放射性廃棄物の最終処分場への受け入れといいますか、県のスタンスも気にする方が非常に多くいらっしゃると思いますが、その点はいかがでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 放射性廃棄物に関する県のスタンスについてでありますけれども、直接的に、私あるいはILC推進局が所管しているわけではないのですが、担当部署といろいろと情報共有しながら説明会等の対応をしております。
 放射性廃棄物の処分場につきましては、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律によりまして、地元自治体の意見を聞き、十分に尊重しなければならないとされております。岩手県では、放射性廃棄物の最終処分場を受け入れる意思がないということを議会の場で繰り返して答弁しておりまして、解説セミナー等で御質問があった場合にも、この旨を説明しているところです。
 なお、この法律で定められております高レベル放射性廃棄物の最終処分場の構造上の要件というのは、地下深度300メートル以上となっておりまして、ILCは海抜110メートル前後に建設ということで、深度が50メートルから100メートルということで、もともと要件が異なっているというものであります。
〇菅野ひろのり委員 先ほどのビームダンプやトリチウムの件とあわせ、こういった不安な声がある場合、より丁寧な御説明をいただいて、ILCをみんなで最終的に盛り上げていくということで、丁寧な御説明を引き続きお願いしたいと思います。
 そして、ILCに関して、今、リニアコライダーワークショップが仙台市で行われています。10月28日から11月1日まで5日間、盛岡市でやって以来3年ぶりということで、22カ国から402名の参加があるそうですが、今回のポイントとして二つ、仙台宣言というのでしょうか、その採択と、研究者の議論が進められているわけでございますが、まず初めに、このリニアコライダーワークショップでの議論はどのような内容で行われているのか、わかる範囲で結構です、お願いいたします。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ただいまお話がありましたとおり、今週まさに開催中でありまして、世界各国から400人程度の研究者等が集まって実施されております。具体の内容につきましては進行中ということもあって、細かいテーマについてはなかなか難しいところもあって、全体的にはILCに関する研究発表や情報交換、それから素粒子物理に関する研究、あるいは関連技術に関したテーマ、これらの意見交換、発表等が行われております。
 それから、10月28日、29日には、加速器関係の県内外の企業ですとか地元の自治体のブース出展も行われておりまして、各企業の技術力ですとか、岩手、東北地域の魅力の発信等も行われております。それから、あしたには、関連行事として講演会も予定されております。
〇菅野ひろのり委員 まだこれからということだと思いますが、その中で、11月1日に仙台宣言が採択される見込みということだと思いますが、最後に局長にお伺いしたいと思うのですが、仙台宣言に対する局長の期待、そして、これからより一層盛り上げていかなければいけない中、知事もきょうですか、参加されているということで、今後の意気込みをお伺いしたいと思います。
〇佐々木ILC推進局長 仙台宣言につきましては、報道等でもニュースとなっております。まさに今取りまとめ中と伺っております。世界の研究者が世界に向けてどういったメッセージを送るのか、我々も注目しているところでございます。
 ヨーロッパの計画あるいは国内の手続等々、今まさに段階的に議論が進んでいて、また、議論を進めるこのタイミングにおいて東北から一定のメッセージが出るということは、意義が大きいことだと期待しております。我々もそういったメッセージも受けて、国への働きかけ等も行っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
〇千葉秀幸委員 先日、会派で台風第19号の視察に行ってまいりました。この災害の要因は大雨によるものです。普代村においては、1時間降水量95ミリメートル、これは全国1位です。久慈市においては71ミリメートル、全国9位となっております。宮古市では24時間の降水量が394ミリメートルと、観測史上最大の雨量でございます。平成28年台風第10号に続き、数十年に一度と言われている災害が、岩手においても数年に一度来る時代となっております。
 そこで、今回の安全性で言えば、ILCの場所は北上山地の山間部でございます。花崗岩を初めとする強靱な地盤とは言われているものの、今回のような記録的豪雨が北上山地に降った場合は表面が崩れ、土砂災害が発生する可能性も多いのではないかと考えられますが、どうお考えか伺います。また、その対策についての説明もお聞きしたいと思います。
〇澤田計画調査課長 土砂災害についてのお問い合わせでございます。
 ILCにつきましては、基本的に地中ではありますが、標高110メートルの高さに掘られるということになっておりまして、強固な花崗岩の中にトンネルをつくるということになっております。そのアプローチの部分、アクセストンネルをつくることになると思うのですが、つくる場所につきまして、十分現地の状況とか土砂災害の状況とかを踏まえながら場所をしっかり検討するよう、今後、研究者の方々と詰めていきたいと考えております。
〇千葉秀幸委員 ILCは、東日本大震災津波の復興のシンボルとして、岩手にとっても非常に大きな取り組みであります。私も早期実現を願うものです。しかしながら、県民にとって安全性が最も重要です。ぜひ、それらの不安もしっかり取り除いていただき、実現に向けてよろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 私からも、ILCの安全対策について伺いたいと思います。
 平成30年9月に日本学術会議は、国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見の個別所見の中で、地域振興、環境への影響に関する事項について、建設候補地と目される地域住民に対して、科学者コミュニティーが、正確な情報提供に基づいて一層充実した対話がなされることが肝要であると述べられておりまして、誘致実現に向けて大事な部分だと思っております。それを受け、県は、科学者コミュニティーと一体となって地域住民に対して安全性の説明会を開催し、平成30年度から今日まで丁寧に進められたことに、心から敬意を表させていただきたいと思います。
 先ほど菅野委員からも御紹介がありましたけれども、10月5日に、一関市、奥州市で行われたILC解説セミナーにおいては私も参加をしてまいりましたが、放射化をするビームダンプ水については、放射線のレベルにかかわらず、保守点検作業中であっても河川に排出しない旨が説明され、資料にも明記されたことを評価したいと思いますが、改めてその点を確認したいと思います。
〇澤田計画調査課長 ビームダンプ水についてでありますが、ILCには、ビームダンプという電子や陽電子のビームを安全にとめる装置がございまして、ビームの吸収体として、電子側と陽電子側それぞれ50トン、2カ所で合計100トンの水が使用されます。その水がエネルギーを吸収する形で放射化するものでございます。
 ILCでは、このビームダンプ水を排水せずに循環させて使用する上、万が一の際でも外部に漏えいすることがないよう、多重の防止策を講じると、研究者からILC解説セミナーの場などにおいて説明がなされているものでございます。
 県としては、ILCの安全対策が確実になされるよう、引き続き研究者等に要請していくとともに、ILC計画の進捗に応じて得られた情報については地域の皆さんと共有し、引き続き、住民理解の増進に努めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 説明の中では、福島第一原発と混同して考える方もいらっしゃいましたが、水は先ほど100トンとおっしゃいましたけれども、電車の貨物二つ分、これ以上はふえない中を管理していくのだということで大変説得力のある説明をしていただきまして、私は奥州市の会場でしたが、皆さん、納得をされているような状況であったと思っております。
 一方で、今ビームダンプ水の話がありましたけれども、ビームダンプ水があって、それを冷却する管が第一次冷却水そして第二次冷却水とあるわけですけれども、この第一次の冷却水については、その会場で配られた事前質問回答資料において、主加速器のパワーは1キロワット以下で、ビームダンプの1、000分の1であると。それを冷やす一次冷却水は直接ビームにさわらないけれども、変わらないので、トリチウムの生成量は桁違いに少ないと。一次冷却水は加速器室で使用されるため、放射化のおそれがあるものとして扱いますと。排水する場合も、法令の値より十分低い管理目標値を設定すると。一次冷却水は基本的には排水しませんが、保守作業等で加速器部分の一部の冷却水の排水が必要になった場合は検査を行い、管理目標値を満たしていることを確認してから排出しますという記載がございます。
 これを聞いていると、排出するのかしないのか、放射化するのかしないのか、大変わかりにくいという印象を持ったものでありますから改めて質問をしますが、一次冷却水は河川に排出されるものがあるのか。もしあるとすれば、その頻度を教えていただきたいと思います。
〇澤田計画調査課長 一次冷却水は、ビームダンプ以外の主加速器や電源装置などに使用される冷却水であり、ビームダンプ水のように直接ビームと接することがないため、生成されるトリチウムの量は非常に少ないと考えられています。
 また、一次冷却水は基本的には排水を行わないことになっております。ただし、保守点検等で生じた水の排水が必要となった場合には、管理目標値に適合し、周辺に影響を及ぼさないことを確認してから排水すると、研究者から説明を受けているものでございます。
 いずれ、定期的に排水するものではないということで、ちょっと頻度については今のところ承知しておりません。
 県としては、周辺に影響を及ぼさないことが何よりと考えておりますので、引き続き、今後も研究者等に要請していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 局長にお聞きをしたいと思います。
 県の役割は何なのかといったときに、科学者の皆さんからすれば、恐らく基準値以下、しかも管理数値はもっと低くする。それであれば大丈夫だろうという思いがあるかもしれませんが、岩手県南は震災のときの調査区域にもなったという状況がある中にあっては、たとえ微量であっても、恐らく住民の心はざわつくのだろうと思っております。ビームダンプ水がふえないということで管理できるのであれば、点検時であっても、そういった第一次冷却水だって流さないで管理をするという、しかも微量であれば、ふえないのであれば、そういった設計も可能ではないかと思うわけです。そういったところであれば、県のほうが科学者コミュニティーと連携をとりながら、地域の状況の思いを伝えながらそういった方向に設計を持っていくということも可能ではないかと思うわけですが、所見を伺いたいと思います。
〇佐々木ILC推進局長 委員のお話のとおり、県とすれば、やはり安全で科学的に証明された、周囲に影響を与えない、それが原則だと思っております。ですので、私どもも、例えば保守点検の水といった際には、実際どういったものかということは問い合わせておるのですが、保守点検で実は水が出ないことが多いこともあるそうで、ただし、本当に出たときには、管理区域なので、それは検査をして、例えば全然問題がなければ流しに流すとか、そういうこともあり得るので、こういった答え方をしているという話でした。我々とすれば、それであれば、何かの入れ物に保管するとか確保するとかで、周囲にまさに影響を与えないようなやり方があるのではないかというのは申し入れております。ですので、我々の立場とすると、地域の方々が安全で、周囲に影響を与えない、それが前提で研究所はつくられると、そういう立場で私どもは臨んでいるところです。
〇佐々木朋和委員 局長のお話を聞けば、安心する部分が出てきます。そういった説明の場においても、科学者の方はもちろん専門家ですから、説明の第一義は科学者の皆様方だと思うのですけれども、地域の住民の中に入って、よりかみ砕いて説明をするということが県の役目だと思いますので、ぜひとも今のような説明もやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、ILCによる地域振興ビジョン、五つの柱について伺いたいと思います。
 県は、平成30年度部局横断的なワーキングチームをつくり、ILCによる地域振興について議論をし、まとめて本年4月にILCによる地域振興ビジョンを策定いたしました。10月5日のセミナーにおいても、一般の方から、財源についての質問に対してまだ財源の裏づけはないと回答しておりましたが、一方、科学者の先生からは、国益に資するものは国が、地域住民の利便、向上につながるものには県、市町村の負担も出てくる旨、一般論としてお話がありました。
 我々も、議会派遣でCERN近郊の自治体にお話を伺いに行った際、日本の市町村、県、国という枠組みではなくて、コミューンという枠組み、自治体の形であったために、日本とは違う形態であり、インフラ整備や関連産業の誘致、集積の取り組みなど、国、県、市町村の費用分担について明らかになりませんでした。
 また、CERN近郊は経済的発展を遂げておりましたが、企業誘致や経済発展、地域振興、産業集積等の研究所の誘致と別枠で進める必要がある旨、話を聞いてきております。その点は担当課の同行も視察にはございましたし、派遣団からの県への提言書として提出もしております。
 今、建設について国際的な費用分担の話も出てきておりますが、インフラ整備やこういった地域振興策についてはどのように研究が進んでいるのか。費用やそういった事業規模、あるいは国、県、市の費用分担について現時点で答えられる範囲をお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCの整備の費用ということで、研究所本体、研究施設本体は国際研究所の実施になりますので、まさに今、国際分担の議論がされているところ、この前も提言があったところです。周辺の例えば住環境ですとか、あるいは接続する道路等のインフラ整備等、こういったものについては研究所が直接やる場合も考えられますし、国、県、市町村、地元の自治体等で取り組むものもあると考えられます。ILCのこの全体的な計画について、東北マスタープランというまとまったものがありまして、これにあっては、さらに周辺環境整備は民間活力を導入しながら、自治体においても適切な役割分担で対応するものとされております。
 このILCの建設、そもそもの正確なといいますか、具体的な建設場所等もこれからの検討になりますので、位置、規模によって大きく変わるという可能性もありますので、今後、国際的な役割分担ですとか、国、県、市の役割、果たすべき機能、こういったものを全体的に検討していって、全体として調整されていくものと考えておりますが、県としては、これは非常に大きなプロジェクトですので、国家プロジェクトとして取り組んでもらいたいということで、そういった面の働きかけも国に引き続き行っていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 産業集積についてもお聞きしたつもりだったのですが、今後研究施設についての誘致実現をした後に産業集積、CERNに行って聞いてきた部分は、それだけでは産業集積というのは進まなくて、さらに自治体あるいは国を挙げての努力によって産業集積もなしてきたという話もありました。そういった予算も必要になるのだろうと思います。逆に言えば、施設は来たけれども、その分の予算がありませんでしたでは、なかなか地元としても厳しいものがあると思うのです。やはりその点についても、今、国際的な建設についての話し合いが行われている中にあって、それが済んでからだという話もあるでしょうが、同一的に進めていくということが、国としてILCは効果があるのだということを示していく部分にもなると思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 産業面の取り組み、産業振興ということで、これについても、今も加速器産業に参入するための研究会といったものをやっておりますけれども、非常に大きなエリアで実際に企業集積を図るということにつきましては、企業誘致といいますか、あるいは新たに起こすという意味での起業とか、さまざまな取り組み、アプローチが考えられますので、それについて単にILCということではなくて、県の産業施策の中で考えていくもの、例えば筑波でも、研究学園都市の中では特別法をつくって税制の一部優遇ですとか、そういった制度を設けてこれまで進めてきているものもありますので、そういったところも研究しながら取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 そういった取り組みは、現時点でどのぐらいの予算規模の事業になっていくというのはわかりますか。
〇佐々木ILC推進局長 今、研究所本体がどれぐらいの規模で、どういう機能を持たせるかということが議論されていて、我々とすれば、周辺の道路、水、あるいは生活環境をどうするかというのはもちろん議論になると思っています。ということで、ILCの効果が最大限発揮するにはどういった取り組みが必要かというものをまずは地域振興ビジョンで共有して、では、我が自治体ではこういうことをやりましょう、県ではこういうことをやりましょうといったものを広く議論した上で、その上でILCは国家プロジェクトとしてできるだけ国でさまざまなことを対応していただいて、県とすれば、本当に県の特色を生かところの役割分担といいますか、そういったところを調整していければと思っておりまして、あらあらの例えば基準単価ではじこうと思えばできるわけなのですが、それが場所によって変わることと、数字が出た瞬間から、これはもう覚悟があるのですねというような話に持っていかれるとか、その辺のいろんな調整があるかと思っておりますので、いずれは、数字として地元としてはどうかというタイミングが来るものだと思っています。その数字を使って、調整するときには先んじて国に対して説得力がある材料を持って国と調整をする、そういう対応が必要だと思っておりますので、御懸念は、地域の負担がどうなるか、財源は大丈夫かといったところかと思いますので、その辺のところは折を見て委員の皆様にもお諮りしながら調整して進めさせていただければと思っております。
〇佐々木茂光副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時55分 休 憩
午後3時13分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ8人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇斉藤信委員 ILC推進局が新たに設置されたということなので、質問に立ちました。日本共産党の立場は、ILCに対しては、科学技術の進歩、発展に寄与するという立場で基本的に賛成です。同時に、このILCというのは8、000億円近くの経費のかかる巨大な国際的、国家的プロジェクトでありますから、そのためには、国民的な理解、県民的な理解を踏まえて進めるべきだと。その際、日本学術会議の提言、所見というものを尊重して進めるべきだというのが、私たちの立場であります。その立場に立って幾つか質問いたします。
 一つは、10月2日に高エネルギー加速器研究機構の国際分担等に関する提言が出されました。この提言は、どういう性格の提言なのか、そして、その提言の中身について、わかりやすく示してください。
〇澤田計画調査課長 国際分担に関する提言についてでありますが、本年3月7日の政府による初めての関心表明を受けまして、高エネルギー加速器研究機構が本年5月に、欧州、北米、アジアの7名の研究者から成るILC国際ワーキンググループを設置し、建設経費、運転経費の国際分担の考え方、ILCを実現するための組織のあり方などについて議論が行われたものであり、ILCプロジェクト実施に関する提言として10月2日に公表されたものでございます。
 この提言は、今後のILCに関するさまざまな議論の場で役立てられることを期待して、研究者の観点で取りまとめられたものです。
〇斉藤信委員 KEKと簡単に言いますけれども、これは、KEKが設置した国際ワーキンググループの議論を踏まえて提言を出したもの。これはILCの国際機関が出したものではないですね。あくまでもKEKがだしたもの。ここに参加した科学者は個人の資格で参加しているのですね。私は、KEKが、今後の国際的議論、政府の議論を進める上で出した提言という性格ではないかと思いますが、それでいいですか。
〇澤田計画調査課長 そのとおりでございまして、提言では、経費の国際分担としまして、建設経費のうち、トンネル等の土木建築はホスト国の負担。加速器物品はILC研究所に参加するメンバー国での分担。電気機械設備等のインフラは主にホスト国の負担としておりまして、運転経費は、参加メンバー国で分担することを政府間であらかじめ合意しておくべきであることとしております。
 組織のあり方としては、準備期間においては、世界の研究機関の間による覚書に基づきILC準備研究所を設置し、KEKはホスト研究所としての中核を担うこと。政府間合意が成立した段階では、準備研究所はILC研究所に移行し、ILCの建設、運転において長期的に責任を負うことなどが上げられているものでございます。
 この提言を参考にしまして、国際的な経費分担や組織運営の議論が深まることを望んでおり、今回提言されたものでございます。
〇斉藤信委員 今、仙台で国際会議が開かれているので、KEKの提言が、要はILCにかかるわる研究者の国際機関の合意になるのかならないのか、そういうことも議案されているのかどうか。
 それと、具体的なものは、ILCの土木建築費の最大1、290億円は日本の負担ということを打ち出したのですね。これは政府のILCに関する有識者会議、これは昨年7月4日ですけれども、ここで見直したILC計画の概要、いわば費用額が出されました。最大約8、000億円というものでありましたが、そうしますと、土木建築費はホスト国の日本が負担する、インフラも日本が負担する。そうすると、今まで私たちは8、000億円かかる経費を世界と日本で半分ぐらいの分担ではないのかと議論してきたと思うのですね。ところが違ってきますよね。土木費、インフラ整備は日本の負担となる、残ったものの分担が最大で恐らく2分の1だと思うのです。そうすると、最大8、000億円のうち、4、000億円ではなくて5、000億円余ぐらい、それを超えるかは日本の負担になるというKEKの提言ではないですか。
〇澤田計画調査課長 最初に、リニアコライダー国際会議(LCWS)で現在行われておりますけれども、今回そういった提言がございましたが、研究者間の会議ということで、今後、政府による役割分担、経費分担の議論が深まることを望んでおるところでございます。
 経費につきましては、加速器本体に係る費用が4、000億円を超えておりまして、かなり大きい負担となりまして、この部分については各国の分担となると思います。そういうことでございまして、土木建築費は1、290億円ということで示されておりましたが、加速器本体とかの費用が結構かかるものですから、トータルはまだわからないのですけれども、そういったことで、日本の負担についてはまだわからないということでございます。
〇佐々木ILC推進局長 国際ワーキンググループの報告書、KEKの提言がわかりにくいのは、そのとおりであります。まずもって、改めて整理しますと、3月7日に政府が初めての関心表明を出した。しからば、どういった形で国際協議が進むかといったものの、いわゆるたたき台といいますか案をまずは研究者のあるべき論で議論しましょうということで、組織にとらわれない各国圏域の研究者が、どういう形の分担がいいかということで議論をまとめたのが、この報告書ということになります。このまとめた報告書については、ぜひとも各国が国際的な議論を深める資料として使ってほしいと研究者から出されているということであります。
 アメリカのディスカッショングループにおいては、この国際ワーキンググループの報告書を注視するというような議論のプロセスが4月にあったところです。それから、ヨーロッパにおいてもディスカッショングループの設置が合意されておりますので、こういったものが議論されて国際的な役割分担が深まるものと捉えています。
 おおむね半分がホスト国というのは、これまで大きなプロジェクトのいわば暗黙のルールのようなものだと言われております。ですので、今回はまさにホストの国が土木建築の部分、これはもう直接近いところがやることが効率的であり、またメンテナンスにも有利であろうという見方をされているようです。そういったことも含めて、全体としてどれぐらいの負担になるかが、これから議論されるものと捉えております。
〇斉藤信委員 KEKの、ある意味一つの研究機関の提言ですから、これは国際的な合意になったわけではない。ただ、その中で、土木建築費はもう日本が負担すべきですという具体的な提言をすれば、あとの部分は折半となりかねないのではないかと、私はそういう問題を指摘したのであります。
 それで2番目に、やっぱりILCを推進する上で、日本学術会議が昨年12月19日に出した、文部科学省の諮問による回答、国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見、この所見がすごく大事だと思うのですね。そこで正確に、この所見で示された具体的な課題は何なのか、そして、それへの対応は今どうなっているか、簡潔明瞭に答えてください。
〇澤田計画調査課長 日本学術会議の指摘に係る取り組みについてでございますが、昨年12月の所見では、経費が大きく長期にわたる大型計画であり、学術界全体の理解や支持が必要なことと、ILC計画に関して、地域振興、環境への影響など地域住民との対話が肝要であることなどの指摘がありました。
 学術界全体の理解や支持につきましては、現在、マスタープラン2020の策定プロセスを初め、研究者が他分野の学会等で説明を行うなど尽力していると聞いておりますが、ILCに対する他分野を含む研究者コミュニティーのコンセンサスが広がっていくものと考えております。
 県においては、関係団体と連携し、ILCの国民的理解の増進を図るとともに、建設候補地として行っている関連調査の結果を提供するなど、研究者コミュニティーの取り組みに協力しているところでございます。
 また、地域振興や環境への影響などに係る地域住民との対話につきましては、県ではこれまで、県内各地で行っている講演会等におきまして、ILCを契機とした地域振興について説明してきておりますが、現在は、本年7月に策定した地域振興ビジョンにより、より具体的な説明を行うとともに、関係団体や研究者と連携し、ILCの最新の動向や計画内容について地域住民に解説する対話型のILC解説セミナーを開催しております。
 さらに、住民からいただいた質問への回答を全てホームページで公開するなど、地域住民の理解の増進に取り組んでいるところです。
〇斉藤信委員 もっと正確に、私は指摘しながらお聞きしたいのだけれども、日本学術会議の所見では、学術的意義を認める一方で、こういう指摘があるのです。ILC計画は、いわゆる標準模型を超える新物理の方向性を探索するものだ。その標準模型を超える新物理の探索には、加速器、非加速器とともにさまざまな実験的アプローチがある。その中でヒッグス結合の精密測定という研究課題が極めて重要なものであることについては合意が得られていると言っているのです。だから、さまざまなアプローチがあるのだという指摘をしているのです。
 そして、二つ目に、所要経費が格段に大きく、かつ、建設開始から研究終了までの期間が30年と長期にわたる超大型計画であることから、学術界における広い理解と支持が必要だと。この点では、諸分野の学術コミュニティーとの対話が不足している。他の諸学問分野の大型研究計画も含めたILCの位置づけに関しては、さらに広範な議論が必要だと。私は、マスタープランでの議論は、一つのある機関での研究だと思いますけれども、これは密室の協議なのです。広い議論にならないのです。私は、広い研究分野の科学者間の検討がまだ行われていないと思います。もっと行われるべきだと思います。
 そして、きょうも議論されていますけれども、学術的意義の説明に加えて、地域振興の文脈で語られている事故及び土木工事や放射化物生成の環境への影響に関する諸事項について、国民、特に建設候補地と目されている地域の住民に対して、科学者コミュニティーからの正確な情報提供に基づいて一層充実した対話をなされることが肝要であると。これは議論もされているし、そういう取り組みもされていると私は思います。
 さらには、学術会議は、研究者、技術者は日本の現状では不足しており、新たな人材育成、海外からの参画によって賄うと説明されているが、不確定要素が多い。こういうことも指摘した上で、総合所見として巨額の経費の主要部分を日本が負担することに十分に見合うものであるとの認識には達しなかった。現状で提示されている計画内容や準備状況から判断して、ILC計画を日本に誘致することを日本学術会議として支持するには至らない。これが結論なのです。
 そういう意味でいくと、この学術会議の提言を踏まえて、学者間でのもっと広範な議論がされる必要があるのではないか。今のILC研究者は素粒子物理学の、さらにもっと集約された人たちです。ここで一致しているのは全くそのとおりです。私は素粒子物理学の研究者も大方一致していると思うけれども、それ以外の研究者の合意形成は全くこれからなのではないかと。
 そういう意味で、こうした課題が、国内的にも、そして県内のレベルでも、さらに積極的に取り組まれる必要があると思いますけれども、いかがですか。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 今、委員からお話がありました広範な理解、学術分野、それから国民全体ともに広く理解を深めることが必要だというのは、お話しあったとおりだと我々も認識しております。
 学術界全体の理解や支持については、今、御説明しましたマスタープラン2020のプロセスの中でもKEKが中心になってやっておりますし、また、他分野の学会等での説明も行っていると聞いておりまして、そういった活動も通じて、こういう所見もあってのことだと思うのですけれども、ほかの分野の学会等での説明も行っているということですので、こういった取り組みでコンセンサスが広がっていくものと期待しております。
〇斉藤信委員 その点ではかなり認識が私とずれていると思います。大体、国内の世論を見たって、岩手、東北は加熱しているけれども、全国的に見て、岩手県の北上山地にILCという国民的な規模の世論形成はないと思います。そして、学者間のそういう議論は、残念ながらまだなされていないのではないかと私は思います。私はマスタープランの協議だけでは、科学者間の合意形成はできないと思います。
 それで、やっぱり財政問題がもう一つの大きなネックになると考えていますが、やっぱり1、100兆円の財政赤字を抱えている中で、本当に日本の財政そのものを、無駄をなくして、科学技術にもっと国家財政を投入していくという姿勢が政府に見られなければ、学者にも国民にも、これはなかなか理解しがたいのではないかと思います。
 先日、私は岩手大学70周年祝賀会で県立大学の鈴木学長にこのことを率直に聞きました。鈴木学長は、いやいや、あるところにはお金はあるのですよと言うのですよ。いろいろな無駄なプロジェクトがたくさんあって、そういうものを見直せば、ILCの年間の額でいけば200億円、300億円というのは難しいことじゃないのですと。鈴木学長は、かなりグローバルに、そして科学技術の研究のさまざまな実態を見ている人ですから。しかし、そういう無駄をなくすことがなければ、この財源は出てこないと私は思います。そういう意味でも、本当に財源問題も正面から議論していかなければだめなのではないかと。最後に、局長に聞いて、終わります。
〇佐々木ILC推進局長 財源問題は確かに委員御指摘のとおり、課題と見れば課題であろうかと思いますが、そのまま日本に対する投資でもありまして、その投資がどう生かされるか、あるいはいろいろな機器をつくる際に、日本の投資が、性格的には新しい産業を興す投資ととることもできるのではないかと思います。いかに日本の経済が潤い、また、イノベーションによって新しい価値を生んでいくかといった視点も総合的に考えて、ILCそのものを捉えていければよろしいかと我々は思いながら、国への要望であったり、国の関係者もそう思っている方も多いと思っておりますので、ILCの実現に向けて、皆様とともに一生懸命取り組んでいきたいということであります。
〇小林正信委員 私からは、先ほどILC推進局長からお話もありましたけれども、各界の有志組織のILCサポーターズについてお伺いします。
 先日、夢実現へ協力訴えという題で、ILCサポーターズの決起集会の記事を拝見したのですけれども、このILCサポーターズは、映画監督の押井守さんが発起人で、映画とかゲームとか、あとは出版業界の方、61名の著名人がサポーター、そして一般サポーターが32万人を超しているということでした。
 県ではもちろんこのサポーターズへの支援は行っていると先ほどお伺いしましたけれども、これまでの連携状況についてお伺いできればと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 ILCの実現に向けて国民的な理解、それから支援の広がりも重要と考えておりまして、県を初め、KEKと関係団体一体となって、マスコミ、各種媒体を活用した周知活動などを展開しております。
 ILCサポーターズは、お話しあったとおり、映画監督の押井守さんが発起人となって昨年度立ち上がって、首都圏でのイベント開催等を行っております。
 ことしまた、10月15日に東京大学福武ホールで、昨年度設立にかかわった人たちが呼びかけて、ILCサポーターズ2019決起集会を開催して、お話があったようなイベントとなったものであります。
 決起集会ということで、この後も対談とかSNSでの発信など、参加型の話題を提供する形での活動を続けていくとしております。
 企画段階から県でもこれに参画しておりまして、本県の東京事務所駐在も事務局として運営を支援するなど、ともに活動を行っております。
〇小林正信委員 東京でILCへの理解を促進する活動をしていただけるのは、本当にありがたいことだと思いますし、その決起集会で、声優さんがデザインしたILCのゆるキャラとかも披露された。岩手県では、ILCそばっち君とか、ヒッグス君とか、既にゆるキャラはいるのですけれども、こうした一般の余りILCに関心がないような方にもいろいろなアプローチをしていく必要があるのかなと。ILCの周知には本当に頑張っていただいていると思うのですけれども、先ほどもお話がありましたが、日本全国への周知がまだちょっと足りないかと思います。その上で世論が、日本にはやっぱりILCが必要だなとなることによって、政府も動くのではないかと。
 先ほどおっしゃったとおり、あと8回ぐらいこのサポーターズでイベントを予定しているということでしたけれども、例えば達増知事と押井守さんが対談するとか、そういったことをしたりして、SFが好きな人とか、サブカルチャーが好きな人とかにアピールができるのではないかと思っておりました。そういうことで世間の注目も集まるのではないかと思うのですけれども、今後のILCサポーターズとの連携について、どのように予定されているのか、考えておられるのか、御所見をお伺いします。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 サポーターズとの活動ですけれども、先ほどもお話ししたのですが、サポーターズに参加している著名人の方同士の対談を定期的に6回から8回というようなことで計画しておりまして、来年2月までを一つの目安として、そういったものを行って情報発信していくことを今計画しております。
 それから、例えば先ほどあったSFで言えば、SFファンの方々が毎年、全国いろいろなところで集会を行っていたりもするのですけれども、そういったイベントに我々も参加して、ILCのPRを行ったりといった形での活動も行っております。
〇小林正信委員 非常に夢のある事業でございますので、先ほどおっしゃったような取り組み、小さな取り組みも少しずつ積み上げていって、日本中に周知されるような取り組みをさらに進めていっていただきたいと思います。
 もう一点、ILCの誘致をもって創造的復興を行っていくとたしか知事がおっしゃっていたかと思うのですけれども、ILC誘致が被災地にとってどのような影響をもたらすのか、具体的にどのようにこのILC誘致が復興に寄与するのかという部分を教えていただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 創造的復興ということで申し上げますと、東日本大震災復興構想会議の開催趣旨にもございまして、単なる復旧ではなく、未来に向けた創造的復興を目指していく、これが震災復旧、復興の中では重要であるとされております。
 県でも、東日本大震災津波復興実施計画で、人やモノの交流の活発化による創造的な地域づくりの促進を掲げて取り組みを進めております。
 ILCの実現ということは、世界中から多くの研究者、技術者等が岩手、東北に居住するということで、外国人研究者等と地域が共生していくことで、グローバル人材の育成や多文化共生といった社会の実現が期待されますし、新しく加速器にかかわる産業ということで産業振興、これまで以上に高度な技術の集積、科学技術の発展といった産業の創出にもつながるものと考えております。
 そういった国際研究都市の形成ですとかイノベーションの創出など、これまでを超えるといいますか、さらに展開のある事業展開ということで、創造的復興に位置づけて取り組んでいるところです。
〇小林正信委員 では、具体的にILCができたことによって、このようなことが被災地に有益な結果をもたらすとか、そういったことは特に考えていらっしゃらないということでしょうか。
〇佐々木ILC推進局長 ILCによって、あるいはILCの効果がどれだけ高まるかは地域振興ビジョンに掲げさせていただいておりまして、まず、コアになるのが国際研究拠点をつくろうということ、その周辺にはイノベーションを起こそう。あと、海外の方々にたくさん住んでいただこうという受け入れ、多文化共生。それから、教育的な部分でも、海外との交流あるいは外国との接触、いろいろな交流の中で教育的効果も発揮していこうといったプランというかビジョンがございます。
 特に、沿岸地域におきましてはさまざまな、世界からいろいろな支援を受けたり、外国人との接点がこれまで以上に意外とふえてきていると思います。そういったところで、国際的なまちづくり、あるいは研究者が沿岸に行って、いろいろな高度な授業を行うとか、新しい教育モデルとか、あるいは子供たちが研究所に見学に来て最先端の研究を学ぶ、それから、沿岸には港湾もありますので、港湾を活用した、例えば物流のILC関連拠点を整備していき産業振興を図る、被災地においてもいろいろな可能性はあると思っております。
 第1次産業の振興も実は極めて大事な取り組みだと思っておりますので、さまざまな産業を関連させて、ILCをいかに活用していくかといったものを、特に被災地、沿岸もよくよく特徴を生かすという目線で我々も取り組んでいきたいと思います。
〇小林正信委員 今の答弁を最初にいただきたかったなと思いましたし、福島県ではイノベーション・コースト構想とかが進んでいるのですけれども、ILCと創造的復興という部分で考えると、ILCが来ないといつまでも創造的復興が進まないのではないかという懸念もあります。しっかりと被災地の方の声をお伺いして、それに応えられるような取り組みを進めていっていただきたいと期待いたします。
 被災地にイノベーションを起こしていくのが創造的復興になるのではないかと思うので、そういった部分を沿岸市町村とも連携しながら取り組みを進めていただきたい。また、被災者の方からしっかりニーズをお伺いしながら、ILCがどのように被災地に寄与するのかという部分をしっかり見きわめながら進めていっていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いして、終わります。
〇佐々木ILC推進局長 委員御指摘の大事なポイントはしっかり受けとめて進めたいと思います。
 実は、福島県とも連携しておりまして、イノベーション・コースト構想に関して、どういった進め方をしているか、今後、福島県はどう復興しようとしているかという意見交換をさせていただいております。イノベーション・コースト構想とILCは似たようなものですので、連携して進めることについては、福島県からも、一緒にやりましょうという話もいただいております。
 ILCを説明する際には、福島県のイノベーション・コースト構想の名称、あるいはそういった中身も一緒に話をさせていただきますということで、福島県には了解をいただいております。そんな関係で、福島県とも情報交換しながら進めさせていただいておりますので、しっかりとイノベーション創出ができるよう努めていきたいと思います。
〇飯澤匡委員 当該委員ですので簡潔に質問します。
 今、解説セミナーのリスクコミュニケーションについていろいろな委員からお話がありましたが、3月下旬にKEKの照沼教授から議会にも説明がありました。その際、私も教授に、これから詳細な設計が入るわけで、そこの中で、より詳細設計に基づいた説明を住民の方にもすべきだという話もさせていただいて、まだ具体的には詰めていませんが、この間の資料を拝見しますと、かなりブラッシュアップされて、理解が進むような段階には、よく読めばなるのだろうなという印象を受けました。
 そこで、さきほど一次冷却水の話が出ましたけれども、あれは、具体的にはどれだけ放射性を帯びるのかとか、それも、今答えなくて結構ですけれども、具体的に科学的見地に立って、そこの中で議論していかないと、放射性と言っただけで、ばーんと反応する人がいるわけで、実際の数値に基づいていろいろな判断をしていくことが大事だと思います。
 各大型加速器を既に行っているCERN、SLAC、それからDESYは、もう既にこういう安全対策を講じているわけですが、我が国でやろうとして最も懸念されるのは、地震の中でどういった影響が出るだろうかということです。今回のQ&Aの中にも入っていますから、そこのところをしっかり、もうちょっとさらに進んでいく必要があるかと。
 ただ、このリスクコミュニケーションについては、仮にILCが決定したとしても、建設途上、そして、運転が稼働してもずっとずっと続く話ですから、これに対する県として、実現したら、いろいろ国等の関与もかかわっていくでしょうけれども、その継続性について委員会でも質問しましたが、その点について確認させていただきたいと思います。
〇高橋副局長兼事業推進課総括課長 安全対策等に関するILC解説セミナーは、これまで5回開催してきております。これについては、KEKの研究者等と連携して、これからも継続した実施が必要だと考えております。地元からも、いろいろな場所でやってほしいというお話を伺っておりますし、いきなり専門的でなくて、もう少し普通に、一般の人がわかるようなところから、そもそもの話も聞きたいというようなお声もいただいておりますので、対話型とかいろいろな形で説明会を続けていきたいと考えております。
 それから、研究機関の方々とも意見交換している中で、やはり海外では、建設中あるいは稼働した後も、オープンデーといいますか、中を公開するとかという取り組み、PRといいますか、わかってもらう取り組みをしているという話も伺っていますので、そういったところも含めて研究機関と連携しながら続けていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 それでは、質問のILC地域振興ビジョンについてお話をさせていただきたいと思います。
 一つ、これは皆様方にも認識を新たにしていただきたいと思うのですが、CERNは、設立当時から、あくまで基礎科学を追求するために、ヨーロッパの各国が資本を出してつくった施設です。したがって、民間との連携というのはそもそも想定していないわけですね。
しかし、年月を経て、インターネットのウエブの発明であったり、いろいろなことが発展的、重層的に発展したことによって、いろいろな効果が出てくるのだという象徴的な話が出ています。しかし、ILCについては、これはもう当初から民間との連携を既に目的といいますか包含しながら進めていくということですから、明らかに、これは国家プロジェクトの中で、先ほどから話が出ているイノベーションと産業振興、そして、今度、岩手県が担っているのは地域振興だと思います。
 これからその長期計画も含めてILCが実現することを見据えてやっていかなければならない。やはり地域の特性を生かすことが一番大事だと私は思うのですが、まず、その点についての局長の所感をお寄せください。
〇佐々木ILC推進局長 CERNのケースは、全く委員御指摘のとおりでして、平和的な研究施設ということで、基礎科学に純化した研究所でスタートしております。ここ10年ぐらいでしょうか、ナレッジ・トランスファー・センターといったものを用意して、CERNの成果を地域、世界に技術を展開して貢献していこうといった動きに変わってきております。
 ですので、今々のCERNの動きは、どう産業振興につなげていくかという動きがあるので、これはもう参考になるものだと思っていますが、当初の計画あるいはどういうまちづくりをするか、周辺処理をするかについては、CERNも含めですが、ほかのいろいろな事例、研究所だけではない、世界でいろいろなまちづくりをやられているものを参考にしながら、世界のモデルをつくるというような観点で、関係者とともに、まさに全体をどうデザインし、どういうふうに国、県、市町村、民間がかかわっていくかといったことの対応をきちんとこれからやっていく状況になっているかと思っています。
〇飯澤匡委員 今、非常に示唆に富んだお話をいただいたと思っています。吉岡先生が、目指すところはシリコンヒルズだと。いわば、産業振興軸をしっかりつくって、エリアをつくっていくのだと。これはシリコンバレーを参考にしながら言った言葉だと思うのですが、まさしくSLACは、スタンフォード大学を中心にして、ああいう企業群をまとめて、米国経済の1990年代の産業を牽引したと思っています。目指すべきは、ああいう産業群をどうやってつくるかということだろうと思います。
 そこで質問しますけれども、地域振興ビジョンについて、先ほどの質問者への答弁の中にも一部ありましたが、まず第1に、地域の第1次産業といかに組み合わせていくのか、これが第1点。2点目は、やはり明確なエリアマネジメントをしっかりやっていかないと、後々にいろいろな民間のデベロッパーが入ってきて、非常に単純なまちづくりをされてしまったのでは、地域としてもよろしくない話ですから、この地域振興ビジョンの中にしっかりエリアマネジメントというものを加えて進めるべきだと思いますが、その点についてはいかがですか。第1次産業とともに答弁願います。
〇澤田計画調査課長 ILCによる地域振興ビジョンについてでありますが、本ビジョンでは、ILCと第1次産業のかかわりとしまして、ILCの施設から生じる排熱を利用した農産物の栽培とILC関連施設への県産木材の活用等によるグリーンILCの取り組みを推進していること、研究者や見学者が、本県の食や自然等を体感し、岩手の魅力が世界に広まること等を目指す姿に掲げ、取り組みを進めています。
 第1次産業は本県の基幹産業であることから、さらなる地域資源の活用に向け、岩手県ILC推進本部において全庁挙げて検討していく考えです。
 エリアマネジメントにつきましては、CERN等の国内外の大型研究拠点プロジェクトの事例を参考にしながら、研究機関と連携しまして、本県にふさわしい自然との調和や多文化共生社会の形成など、外国人研究者やその家族が、地域において住民と交流し、快適に暮らすことができるコミュニティーが形成されるように取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後にします。つくば研究都市ができたときに、日本では、どういった居住環境をつくるのだとかという明確なビジョンが余りなかったのですね。その結果、これは吉岡先生の話ですが、大きなデベロッパーが入って、60坪の土地、30坪のうちに30坪の庭というような区画を沿線にばあっとやってしまって、結局非常に人工的な地域の特色をあらわさないまちになってしまったと。これを負のと言ってしまったら地域の人に非難されてしまうので、負とは言いませんけれども、この教訓はしっかり生かしていかなければならないと思います。
 それからもう一つ、まだラグビーワールドカップ2019をやっていますが、山本先生がこの間の日本チームのことを賞して、多くの国籍を持つチームがあれほどの成果を上げた。これからのグローバル社会を見据えた場合に、これはいろいろな困難が我が国にも立ちはだかることがあるだろう。しかし、今回の日本のチームを一つの成功の事例として、苦しくなったらあのチームのことを思い出すべきだというコメントを出していましたが、私は、まさしくそのとおりだと非常に感動しました。
 ですから、やはり未来に向かってどういうエリアマネジメントをしていくかは重要な鍵なので、それから、土地を利用した地域の産業、それはすなわち、やはり第1次産業です。数千年と言われる、我々の文化が発祥したときから第1次産業というのはあるわけですから、これをしっかりこの中に組み入れてやっていかなければならないと思いますが、最後、局長の所感を求めて、終わります。
〇佐々木ILC推進局長 ILCを契機としたまちづくり、地域づくりについては、岩手県の特徴でもある、和といいますか、自然との調和といいますか、まさに自然とともに共生し、また多文化とも共生していく、その優しさというか、言葉になかなか言いにくいのですが、岩手県のよさをいかに発揮していくかということかと思っています。
 ですので、岩手県の自然に対する思いとか歴史を大事にする文化といったものも、何かしら施設あるいは環境の中で実現していくような努力はし続ける必要があろうかと思っています。
 30年、50年ずっと先を見据えたまちづくりが大事だと思っておりますので、委員御指摘の点も踏まえながら、世界が一つになる、サイエンス・フォー・ピースという言葉もあるようです。そういったことをまさに岩手、東北から発信するといった思いも含めて、まちづくり、環境づくり、そして、第1次産業はまさに食を通じた、生き物が生活する、成長する大事な過程でもありますので、そういった岩手の食に対する重要性も新しいまちづくりの中にしっかりと組み入れた、ちょっと漠とした話で大変恐縮ですが、岩手のよさを特徴として最大限出すようなまちづくりを皆さんとともに考え、つくり上げていくことかと思っております。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 先ほど日本学術会議の話がありました。いろいろな御託を並べた上で、賛同しかねるという部分に皆さんが心配しているようでありますが、見る目を変えれば、日本の中に学術会議なるものが幾らあるのかわかりませんが、学術会議ごとの予算分捕り合戦があって、ILC研究の部分に7、000億円もとられてしまうと、自分たちの研究費がなくなるということを含んで言っているのだと私は読み解くべきだと思っております。
 そういう中で、今度、各国で費用を分担しようという話が出てきました。これは大いに前進だと思っております。そして、岩手の北上高地を選んでというか、先に手を上げたのは日本国岩手県ではなくて、CERNに集合しているリン・エバンス先生方を初めとする物理学者を中心として、スイスの施設では歪曲しているので若干電気抵抗があるのでいい数値を得られない、したがって、真っ直ぐな、できれば地下100メートルのところに30キロメートルの岩盤が欲しいという話から始まったように思っております。
 途中で、福岡県と佐賀県の脊振山地がどうこうというものが出ましたが、こんなものは、あるセメント屋のおやじの御託でありまして、一向に気にする必要はない、このようにも思っております。
 したがいまして、20キロメートルになりましたが、世界の中でここしかないというまさに天与の財産でありまして、岩手県始まって以来の世界的な研究機関が来る。これを迎えるのは我々の役目で、それを活用していただくのは、次を生きる若者の世代であるはずであります。私は、当初2万人から2万5、000人の新しい都市ができるという話も聞いたような気がしております。そういう次なる世代に、もっと夢を語っていく部分から入っていかないといけないのではないかと思っております。
 我々は、どうしても東北、岩手というところにいまして、私らも小さいころ、何か悪いことをすると、蒙古が来るぞと言われたものです。そうすると黙ってしまったものですが、まさに岩手県にとっては、いい意味の蒙古が来るのかもしれません。したがいまして、それを定着させていくのは我々の役目だと思います。したがいまして、そういう点を持って、これからの若い人たちに夢を語っていくことが大事だと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
〇佐々木ILC推進局長 重い言葉として受け取りたいと思います。このILCにつきましては、やはり先輩方が、本当に岩手に北上山地があって、これをどうILCに生かすかということをずっと積み重ねてきて今があると思っています。そういった積み重ねも含めて、今後、まさにこれからの世代に、30年、50年、100年、我々がどういいものとしてつくり、残していくかということかと思いますので、委員の言葉も重く受けとめて取り組んでいきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 ILCでとめていくからだめなのだと思います。ILCプラスWじゃないですか。ILCウエルカム。終わります。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようでありますので、これでILC推進局関係の質疑を終わります。
 ILC推進局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇島村警察本部長 平成30年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波及び台風第19号に伴う県警察の取り組みにつきまして御説明申し上げます。
 東日本大震災津波により、本県では4、675人のとうとい命が失われ、1、100人を超える方々がいまだに行方不明となっているほか、先日の台風第19号においても2人の方のとうとい命が失われております。
 県警察といたしましては、行方不明者の御家族等からの御要望を踏まえながら捜索活動を継続して実施するほか、各種鑑定の活用等による身元の割り出しを引き続き推進してまいります。
 また、東日本大震災津波及び台風第19号により被災した地域では、復旧、復興事業に伴う人や車の流入増加などによって、各種犯罪やトラブル、交通事故の発生等が懸念されておりますので、地域の方々の御要望や御意見に真摯に耳を傾けながら、復旧、復興のステージに応じた支援すべき具体的な施策を打ち出し、被災地の安全・安心を確立するための活動を推進してまいります。
 続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
 県警察では、平成30年の基本姿勢を県民の期待と信頼に応える力強い警察とし、活動重点に県警察の総力を結集した被災地の復興を支える治安活動の推進など4項目を掲げ、必要な各種施策を推進してまいりました。
 それでは、平成30年中の県内の治安情勢について御説明申し上げます。
 初めに、刑法犯の発生状況等についてでありますが、刑法犯の認知件数は3、458件で、前年より23件増加しております。
 罪種別に見ますと、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数が増加しました。このほか、犯罪に発展するおそれのある子供や女性に対する不審者による声かけ事案等の認知件数も増加しております。
 一方で、特殊詐欺の認知件数が減少しているほか、サイバー犯罪に関する相談件数は減少しておりますが、依然として高水準で推移しております。
 次に、交通事故の発生状況等についてでありますが、発生件数、負傷者数ともに15年連続で減少、死者数も59人と前年比で2人減少し、昭和29年以降最少となりましたが、人口10万人当たりの死者数は東北6県で最も多くなっております。
 平成31年の県の施策に関する県民意識調査においては、交通事故の少ない社会づくり、犯罪への不安の少ない社会づくりが、それぞれ重要度の高い項目の上位にランクされており、県民の皆様が良好な治安の維持を強く望んでいることがうかがえます。
 県警察といたしましては、このような諸情勢を踏まえ、県民が安全・安心を実感できる地域社会の実現を図るため、総力を挙げて各種施策に取り組んでいるところであります。
 続きまして、平成30年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成30年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。第9款警察費の歳出予算現額は285億2、341万円余で、これに対する支出済額は275億6、971万円余、執行率は96.6%であります。支出済額は前年度に比べますと9億7、597万円余、率にして3.4%の減となっております。
 なお、翌年度繰越額の合計額は5億4、877万円余となっております。これは、警察署、交番等の庁舎新築、交通安全施設整備などの明許繰越に係る事業費であります。
 不用額は4億492万円余となっており、その主なものは、職員給与関係の退職者が見込みを下回ったことによる退職手当の残、運転免許関係の講習業務の委託実績が下回ったことによる委託料の残などであります。
 次に、16ページをお開き願います。第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費の中に警察施設の災害復旧事業費も含まれておりますが、詳細につきましては、後ほど歳入歳出決算事項別明細書により御説明させていただきます。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、平成30年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、第9款警察費の説明に際しましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げます。
 決算事項別明細書の318ページをお開き願います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの給与費が主なものであります。警察費の決算額に占める給与費等人件費の割合は78.5%となっております。次に、320ページをお開き願います。第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両、警備船、警察用航空機の維持管理などに要した経費であります。第4目警察施設費は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費であります。次に、322ページをお開き願います。第6目は、恩給及び退職年金の経費であります。
 第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理などに要した経費であります。第2目刑事警察費は、各種犯罪の捜査、取り締まり、安全・安心なまちづくり推進事業などに要した経費であります。次に、324ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全や指導取締活動、交通信号機等の交通安全施設の整備及び維持管理などに要した経費であります。
 次に、350ページをお開き願います。警察施設等の災害復旧事業に要した経費につきまして御説明申し上げます。第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費第1目警察施設災害復旧費の歳出予算現額は28億9、429万円余で、これに対する支出済額は8億2、348万円余、執行率は28.4%であります。東日本大震災津波により被災した警察施設の復旧事業として、大船渡警察署港交番、大船渡警察署赤崎駐在所、釜石警察署等庁舎の新築工事を施工しております。
 なお、翌年度繰越額は20億3、772万円余であり、東日本大震災津波により被災した釜石警察署等の庁舎新築などに係る事業費であります。
 不用額は3、307万円余であり、その内容は、警察施設災害復旧事業における工事請負費の入札執行残などであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇城内よしひこ委員 3点ほどお伺いします。まず最初に、特殊詐欺についてであります。
 特殊詐欺が近年形を変えて、いろいろな犯罪の温床になっているかと思っておりますが、これまでの状況と課題がありましたらお願いします。
〇吉田生活安全部長 特殊詐欺について御質問をいただきました。まず、特殊詐欺の発生状況等について冒頭御説明をさせていただきます。
 特殊詐欺の過去3年の被害状況についてでありますが、初めに認知件数でありますけれども、平成28年は110件、平成29年は72件、平成30年は27件でございました。被害額は、平成28年が2億135万円、平成29年は1億6、346万円(後刻「1億6、364万円」と訂正)、平成30年は約8、908万円でありました。
 特徴的傾向といたしましては、平成30年までは架空請求詐欺の割合が高かったところ、昨年から本年にかけまして、警察官や銀行員等を語るオレオレ詐欺、キャッシュカードを狙ってATMからお金を引き下ろす手口等が増加しておりますほか、依然として高齢者の被害割合が高水準で推移しております。
 次に、今後の課題についてでございますけれども、高齢者の被害を防止しつつ、新たな特殊詐欺の手口に対応することが重要であると考えております。
 今後の取り組みについてでございますが、ただいま申し上げました課題に対応するために現在行っておりますが、被害防止広報センターからの電話による注意喚起ですとか、県担当部局との連携による民生委員等からのチラシ配布による啓発活動など、関係機関、団体と連携した広報啓発活動を継続いたしまして、県民の防犯意識の高揚を図って、この種事案の抑止を図ってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 皆さんの活動のおかげで被害が少しずつ減ってきたとは思っております。ただ、これは認知件数ということで、まだまだ氷山の一角という表現は適切ではないかと思いますけれども、そういうことのないように、泣き寝入り等がもしかしたらあるのかもしれません。そういった方々に対するサポートも、もしかしたら必要だと思いますので、ぜひそういうことに努めてほしいし、また、水際でしっかりと対処、対応ができるように、関係するコンビニエンスストアであったり、郵便局であったり、金融機関であったり、これまでも御協力をいただいている方々と連携して、しっかりと防いでほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇吉田生活安全部長 委員から今御質問いただいたとおり、特殊詐欺を防ぐためには、ひとり警察の力ということではなくて、皆さんのお力添えが必要であることは申し上げるまでもございません。
 私は今、過去3年間、平成28年から平成30年までの発生状況で減少していることは御説明したところでございますが、実はことしに入りまして、若干上昇に転じていることも事実でございます。先ほど私からも答弁いたしましたとおり、昨年来ちょっと手口が変わってきております。さまざまな手口の中で、過去には架空請求詐欺が多かったわけでございますけれども、最近は先ほど申しましたキャッシュカードを狙うということがございまして、こういったことについて広く県民の皆さんに迅速にお知らせをして、注意喚起を図っていきたいと考えております。
 そういった対策として、私ども今ぴかぽメールと言って、できるだけ皆さんに迅速に情報を提供したいということでやっておりますが、特に高齢者の方々について、メールで配信してもなかなかごらんいただく機会が多分少ないのではないかということもありまして、メールの最後には、ぜひ、御家族にこの情報を共有してほしいと、離れて暮らしている方にもぜひ教えてやってくださいという書き添えをするなどして、工夫を凝らした施策を推進したいと考えておりますし、とりわけ、高齢者の方々、貴重な御自分の財産をこういった犯罪でとられるということは非常によくないことでございますので、私どもは積極的にそういった施策を推進してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 元号が変わったということで、キャッシュカード等の機能がどうのこうのということで、まさに手口が多様化していく傾向にありますので、ぜひしっかりと先を読む形で、対処、対応をお願いしたいと思います。
 次に移ります。自動車専用道路の事故についてお伺いしたいと思います。
 おかげさまで東日本大震災復興津波のリーディングプロジェクトであります三陸沿岸自動車道が完成をしてきて、ことし全線開通の予定が発表され、心待ちにするものでありますが、高齢者の方々の事故等が発生をしてはいないかと心配するものでありますが、これまでの状況についてお伺いをしたいと思います。
〇小田島交通部長 三陸沿岸道路における交通事故の発生状況についてでありますけれども、本年9月末現在、人身事故件数は、重傷事故1件を含む3件、死者数はございません。傷者数は3人となっております。
〇城内よしひこ委員 思いのほかスムーズに皆さん利用されているのだなと思っております。
 これからもしっかりと皆さんの指導等もお願いしたいと思っておりますが、普通の道路へ入るためのランプというのですか、入り口のところ、有料の高速道路とは違う形状の取りつけ道路になっていますので、そういったところ、結構皆さん危なく、入り口を間違ったりして途中で戻ってくる人があるのです、びっくりするのですけれども。そういったことも注意をして、見守るという言い方は変ですけれども、不可抗力だと思いますので、ぜひその辺も注意喚起をしてほしいと思いますが、近年、御高齢の方の自動車免許の返納を、事故が起こらないようにということで進めていらっしゃいますけれども、特に御高齢の方に対する注意喚起をしてほしいと思います。
 先週、宮古市から北上市まで道路を運転してきたのですけれども、ちょうど釜石自動車道路から花巻市に向かう途中で大渋滞がありまして、前を見たら軽トラックが走っていました。およそ時速50キロメートルのスピードでずっと走っていて、大渋滞したので、そういった方々も結構中にはいらっしゃいますので、自動車専用道路の本来の目的を果たすように注意をしてもらえればいいなと思うのですが、路側帯というのですか、車がとまれる部分があるのですけれども、そこにもとまらないでずっとまっすぐ走っていくという……(発言する者あり)いや、そうですか。譲り車線でも自信を持って走られるのでちょっとびっくりするのですけれども、ぜひそういう対応もしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇小田島交通部長 高速道路等、ふだん使っておられない方につきましては、今、有料道路とは違いまして自由にといいますか、普通の道路のように通行できますので、なれないという部分ではいろいろ迷い等もあると思います。まず、逃走防止につきましては、例えば道の駅等におきましてそういった安全を訴える広報啓発活動というものも実施いたしておりますし、また、沿岸住民の方々に、開通に当たりまして自動車専用道路を安全に走行するため、ある意味講習会的なものも地域ごとに開催もいたしております。また、日常の活動におきましても、通常の活動の中でいろいろな方の運転というものが、必要に応じてですが、いろいろ確認をしたり、また、時には指導をしたりといったことを進めながら、円滑と安全とをあわせ持って事故防止に努めていきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 引き続き、大きな事故が起こらないようによろしくお願いします。
 次に、3点目です。道路規制についてお伺いしたいと思います。
 沿岸部は新しいまちづくりが進んでいますし、また、県内においては岩手医科大学の移転に伴い、新たなまちが形成されていると私は認識をしておるのですが、そういった中で、新たな道路の規制というのは必要であると思いますし、人の流れが大きく変わる中で、しっかりと安心・安全を確保するためには必要だと思いますが、その辺はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
〇小田島交通部長 新しいまちづくりに合った交通規制の必要性について、私ども、県内各地において宅地開発とか企業等の進出に伴いまして新たな道路が整備され、道路利用者を取り巻く交通環境というものが、その地域によっては大きく変わっていくと認識をいたしております。そのため、道路における危険を防止して交通の安全と円滑を図るために、必要とされる交通規制を実施してきたところでございます。
〇城内よしひこ委員 地域の実情に合った形で、地域を知っている方々、現場の方々との連携をしながら、しっかりと安心・安全を図ってほしいと思います。
 今後、いろんな計画はお持ちでしょうけれども、今後の課題も含めてお伺いして終わりたいと思います。
〇小田島交通部長 県内におきましては、今後も大規模な企業の開業及び道路の供用が予定されておりますことから、付近住民の皆様の御意見、御要望というものを踏まえながら、道路管理者等と連携の上、道路の供用開始等に当たりまして、必要な交通規制が遅滞することがないように、効果的な交通規制を行ってまいります。
〇斉藤信委員 それでは、東日本大震災津波の行方不明者の捜索と身元不明遺体について、昨年度の捜索、今年度の取り組み、その結果はどうなっているでしょうか。
 身元不明遺体は、2月末で50遺体という答弁がありましたが、その後の確認状況はどうなっているでしょうか。
〇新家警備部長 捜索活動の取り組みについてお答えします。
 平成30年度の取り組みは、従来、警察本部主導で実施してきた捜索を、4月以降は、地域の実情を最もよく知る警察署長の判断で実施する随時の捜索に移行し、47回、565人を動員して実施しております。
 昨年度につきましては、残念ながら行方不明者御本人や、行方不明者につながるものの発見には至っておりません。
 次に、今年度の取り組みとその結果についてでありますが、今年度は、10月30日現在で17回、224人を動員して捜索を実施しております。今年度につきましても、現在のところ、残念ながら、行方不明者御本人や行方不明者につながるものの発見には至っておりません。
〇中野刑事部長 2月末以降の身元不明者の身元確認状況についてでありますが、本年2月18日、大槌町内の河川工事現場で発見された身元不明の御遺体について、DNA型鑑定やCT画像鑑定の結果から、震災で亡くなられた、当時89歳の女性と身元が判明しまして、本年6月に御遺族に引き渡しております。
 なお、この御遺体は、新たに震災で亡くなられた御遺体と判明したものでありますので、身元不明の御遺体、50体には変更ございません。
〇斉藤信委員 来年で震災から、年度で丸10年目を迎えるということになりますので、まだ1、100名余の行方不明者がいるという中で、ぜひ最後まで取り組みを強めていただきたい。
 次に、昨年度決算にかかわる課題についてお聞きいたします。
 県警察全体の超過勤務時間、超過勤務手当の支給の実績、この間の推移を含めて、どう改善されているか示してください。あわせて、年次有給休暇の取得状況についても示してください。
〇大塚警務部長 まず、平成30年度の警察職員の超過勤務につきましては、月平均1人当たりに換算いたしますと、超過勤務時間数が約17.8時間、支給時間数が約17.3時間、超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は、約97%でございます。
 次に、過去5年間の推移につきましては、超過勤務時間数は、月平均1人当たり、平成26年度は約20.9時間、平成27年度は約21.1時間、平成28年度は約22.8時間、平成29年度は約19.7時間。超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は、平成26年度は約86%、平成27年度は約85%、平成28年度は約88%、平成29年度は約90%でございました。
 次に、年次有給休暇の取得状況についてでございますが、平成30年中の職員1人当たりの年間平均取得日数は10.1日でございまして、前年比2.1日増となっております。
〇斉藤信委員 超過勤務時間と超過勤務手当の実績が97%と、ほぼ実態に近づいてきたと。私は、これは大変な改善だと思います。
 実は超過勤務時間と超過勤務手当をしっかり出しているのは県警本部だけなのです。あとはもう、超過勤務手当イコール超過勤務時間になっているので、その点、私は県警察は大変実態に合わせた―そこの乖離があったので、この間この問題を取り上げてきました。97%まで改善をされてきたと、これは評価をしたい。
 それと、年次有給休暇については、私は2月の予算特別委員会のときには、各行政機関別でいけば年8日というので一番少なかった。今、やっと10日を超えるところまで来たと思いますけれども、これは労働基準法も改正になりまして、月45時間となっていますが、県警察の場合、特殊な任務もあると思いますけれども、月45時間を超えている職員数というのはぱっと出ますか。
〇大塚警務部長 労働基準法改正前の平成30年度の状況でございますけれども、月45時間を超える超過勤務をした職員数は延べ738人となっております。
〇斉藤信委員 ぜひ、この超過勤務時間も月45時間、これを目指して取り組んでいただきたい。具体的な取り組みはやっているでしょうか。
〇大塚警務部長 県警察におきましては、超過勤務につきましては、職員の健康保持や勤務環境改善の観点からも、まずは縮減することが必要であるということで認識をしておりまして、事務の合理化、効率化とともに、縮減に向けたさまざまな取り組みを推進しておりまして、徐々に改善が図られていると認識をしております。
 他方で、警察業務は、地域の安全を確保するため、昼夜を分かたず、事故や事件に即時に対応しなければならないという特殊性を有しているところも事実でございまして、県警察といたしましては、引き続き、事務の合理化、効率化を推進するとともに、突発的な事案に対処する必要がある場合には所要に措置を講じるなど、適切に対応してまいります。
〇斉藤信委員 次に、捜査報償費の決算額、執行額の推移について示してください。
〇大塚警務部長 捜査報償費の5年間の決算額の推移についてお答え申し上げます。
 平成26年度が1、067万9、000円、平成27年度が1、072万4、000円、平成28年度が1、040万7、000円、平成29年度が864万6、000円、平成30年度が700万1、000円となっております。
〇斉藤信委員 捜査報償費は、私は警察のさまざまな事件が起きたときの一つの大きなテーマになったので取り上げているのですが、今の答弁のように、平成26年度の1、067万円から平成30年度は700万円ですから、300万円以上減少してきたと。それだけ私は無駄があったと思います。それでも、どの年度もまだ予算額とかなり乖離があるのですね。例えば平成30年度は1、172万円余の予算で700万円ですから、執行額は7割弱です。まだまだこれは見直しが可能なのではないかと思います。いかがですか。
〇大塚警務部長 捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間など、さまざまな要因によるものでございまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でございます。
 また、当初予算の計上額は、基本的に前年度の実績、各所属の事件捜査の状況等を勘案して積み上げてまいるものでございます。
〇斉藤信委員 前年度の実績を踏まえてというのであれば、平成29年度は864万円の実績なのですね。それが平成30年度の予算は1、172万円になるのです。大体、30%ぐらいを上乗せして予算化されている。
 これは県警本部長にお聞きしましょう。捜査報償費は、5年間継続して減少してきていると。私はいい傾向だと思うけれども、なぜ継続してこれだけ減少しているのか。今まで無駄があったのではないのか。また、別なものに使われてきたのではないかと思いますが、いかがですか。
〇島村警察本部長 まず最初に、執行額が減った理由については先ほど警務部長が答弁申し上げましたとおり、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因によるものでありまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でありますので、一概には申し上げられません。
 それから2点目の、ほかのものに使ったのではないかという御指摘がありましたけれども、そういう事実はございません。
〇斉藤信委員 根拠のある答弁はありませんでしたね。一般論ですね。5年間、確実に減り続けていると。それは、私は具体的に何が減ったのか。5年間の経過で私は具体的に聞いているのだから、まあ、一般論でしか答えられていないというのも、今現段階の答弁だと思う。これはこれ以上しませんが、私はまだまだ徹底して中身を検証して見直すべきだと指摘だけしておきます。
 次に、県警察の児童虐待に対する対応状況についてお聞きいたします。
 昨年度の児童虐待事案に対する対応状況、県警本部と各警察署の対応の体制と取り組みについてお聞きします。
〇吉田生活安全部長 児童虐待の対応について御質問をいただきました。初めに、平成30年中における児童虐待の取り扱い数は443件、前年と比較いたしまして68件(後刻「48件」と訂正)増加をしております。
 次に、通告状況でございますが、平成30年中における通告人員は611人、前年と比較して46人減少しております。
 611人の内訳といたしまして、虐待の態様別に、身体的虐待が104人、それから性的虐待が2人、ネグレクト―育児放棄等でありますが88人、心理的虐待が417人であります。
 事件として検挙した件数につきましては7件で、このうち5件、約7割が傷害罪でありました。
 次に、児童虐待への対応についてでございますけれども、対応につきましては四つの基本的な考え方を持って対応しております。一つ目が、警察官の早期臨場と児童の直接の安全確認。それから二つ目が、児童相談所への速やかな通告。三つ目が、法令違反等があった場合は速やかな事件捜査をすること。四つ目が、関係機関に対する照会及び情報提供の徹底でありまして、これを基本として対応しております。
 次に、警察本部と各警察署の対応の体制について御質問がございました。警察本部の体制は、警察署からの報告事案を一元的に集約し、署と並行して危険性、切迫性を判断、チェックするため、生活安全部生活安全企画課内に、警視以下14名体制の人身安全対策室を設置し、対応しているところでございます。また、事件検挙、行政措置、被害者の保護対策等に関する指導、助言、支援要員の派遣等を行うため、警察本部内に生活安全企画課長を司令塔として、それから刑事企画課長を副司令塔として、本部対処体制を構築しております。
 警察署の体制につきましては、署長を統括責任者、副署長等を副責任者といたしまして、生活安全課員、刑事課員及び指名を受けた地域課員による署対処体制を構築しております。
 次に、取り組みについて御質問がございましたが、警察署で虐待事案を認知した場合は、警察本部に速報させるとともに、相互に危険性や切迫性の判断や事件化の検討、児童相談所への通告等を講じるべき措置の検討を行いまして、早い段階から警察本部と警察署が一体となった取り組みを行いまして、迅速な児童の保護対策を講じているところでございます。
〇斉藤信委員 警察に対する児童相談の相談件数、取り扱い件数も多いので、事件によっては命にかかわり大変問題なので、児童相談所と適切な連携を強めてやっていただきたい。
 次に、西松園地区のいわて生協前の交差点、これは松園交番前の交差点でもありますけれども、この地域の方々から、人と車の交通事故が多いと。できれば、人と車が交差しないスクランブル交差点にしていただけないかという要望がありました。この10年間、交通事故の件数、実態はどうなっているのか。そして、これに対して県警察はどのように対応しているのか。スクランブル交差点の可能性を含めて答えてください。
〇小田島交通部長 初めに、交通事故の件数についてでありますけれども、過去10年からとなります平成21年以降、本年9月末までの間、重傷事故1件を含む13件の人身交通事故が発生しております。
 その内容を見ますと、人対車両の事故が9件で、その多くが道路横断中の事故であり、次いで車両相互の事故が4件となっております。
 次に、対応についてでありますが、付近は住宅地でありますことから、受け持ち警察官による通学、通勤時間帯に合わせた保護誘導活動、パトカーによる広報啓発活動等を実施いたしております。
 続きまして、スクランブル交差点に向けての要件についてでありますけれども、歩車分離式信号に関する指針に基づき、歩車分離制御により防止することができたと考えられる事故が、過去2年間で2件以上ある場合、もしくは、公共施設等の付近または通学路で、交通の安全を特に確保する必要があり、かつ、歩車分離制御導入の要望がある場合、もしくは、自動車等の交通量及び歩行者の交通量が多く、歩車分離制御の導入により、横断時の安全性向上と交差点処理能力の改善を図ることができると認められる場合に検討することとされておりまして、その導入に当たりましては、渋滞が悪化し、または新たに渋滞が発生することによって交通の円滑に著しい影響が及ぶと見込まれる場合、もしくは、信号の待ち時間が増加することによって、歩行者等または自動車等の信号無視を誘発するおそれのある場合を考慮し、適否を判断するということになります。
 スクランブル交差点の設置の可否につきましては、交通規制基準によりますと、スクランブル方式は斜め横断可の規制を伴いますので、その対象路線は、繁華街、駅やバスターミナルの周辺で、信号機が設置されている次のいずれかに該当する。一つは、斜め方向への横断目的の歩行者が多い交差点、または、交差点の形状等から歩行者の斜め横断の効果が期待できる交差点となっておりますことから、例えば要望を受理あるいは警察において検討の必要性を認めた場合には、交通量等の必要な調査を行いまして、設置可能な交差点であるかどうかを判断していくこととなります。
〇斉藤信委員 歩車分離、スクランブル交差点の可能性は可能性として検討していただくとして、実際に13件の人身事故が起きている中で、特にこの地域は小学校も中学校もある。保育園、幼稚園もあって、保育園、幼稚園の散歩でも利用される交差点ですから、いずれにしても、事故防止の対策をぜひ検討していただきたい。
 最後ですけれども、警察官の自殺事案についてお聞きします。
 1月28日、盛岡東警察署の署員が勤務時間中に庁舎内で自殺したこの事案を、私は予算特別委員会でも取り上げました。その原因について鋭意調査中と。この調査の結果はどうなったのでしょうか。
〇石川参事官兼首席監察官 本年1月の盛岡東警察署員の自殺事案につきましては、原因、動機を含めまして詳細を調査したところでありますが、その結果につきましてはプライバシーにかかわることであり、お答えを差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 2月議会では、その原因を鋭意調査するという答弁だったのです。この事件は、私は重大だと思うのは、県警察の若い警察官が庁舎内で自殺したということなのです。庁舎内の自殺というのは、やっぱり抗議の意思が含まれるのですね、皆さんの職場の中で自殺をするわけだから。私はだから、若い警察官が死に追いやられるようなパワハラがなかったのか。警察署としても今後の教訓、また、対応すべき課題がなかったのか、それを明らかにするべきじゃないですか。個人のことを聞いているのじゃないのだから。
〇石川参事官兼首席監察官 繰り返しとなりますが、調査結果につきましてはプライバシーにかかわることでございますので、お答えを差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 県警察は、都合が悪いとそういう答弁なのですよ。答えないのですよ。例えば競馬の捜査はやっていると。覚せい剤疑惑はわからないと。やっているかどうかも答えない。やっていればちゃんとやっていると答えればいいのに、都合の悪いことは答えない。私はその典型だと思いますよ。若い警察官がなぜ自殺に追い詰められたのか。私は人を聞いているのじゃない、所属も聞いていませんよ。あなた方が鋭意調査して、原因がわかったと。県警本部の中にパワハラがなかったのですか。県警本部にかかわる、そういう職務上で問題はなかったのか。それは答えられますか。
〇石川参事官兼首席監察官 繰り返しとなりますが、自殺の事案につきましては、プライバシーにかかわることでございますので、お答えを差し控えさせていただきます。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇吉田生活安全部長 答弁の訂正を一つしたいと思います。
 先ほど城内よしひこ委員からの質問に対しまして、特殊詐欺の被害状況のうち、平成29年の被害額を、私が約1億6、346万円と話しましたが、金額は約1億6、364万円でございました。訂正します。
 たび重ねて誤った数値の答弁をして恐縮でありますが、私、先ほど斉藤委員の質問のうち、児童虐待の取り扱い件数を、前年と比較して68件と答弁したのですが、これは正しくは、48件の増加でございます。
 繰り返しますが、平成30年中における児童虐待の取り扱い件数は443件、前年と比較して48件増加であります。訂正をさせていただきます。
〇小西和子委員 それでは、私からは、主要施策の成果に関する説明書の90ページの下段にございます交通事故の少ない社会づくりの重要度は3位ということから、交通事故防止対策について質問をいたします。
 昨年も発生件数、傷者数とも15年連続して減少しております。これは県警察の皆様方の努力のたまものということで敬意を表したいと思います。
 死者数は前年に比較して2人減少しております。昨年の全事故に占める高齢者死者の割合は67.8%で、前年と比べて21.9ポイントも増加しております。歩行中が16人で最も多いのですけれども、全体の40%を占めております。次が問題だと思います。中でも、横断歩道でないところで13人が亡くなっております。昨年の状況をどのように分析しているのか。ことしは高齢者の死者数が減っておりますが、どのような対策をとっているのか伺います。
〇小田島交通部長 初めに、平成30年中おける高齢者の交通事故発生状況についてでありますけれども、発生件数が828件で、前年比68件の減少、死者数が40人で、前年比12人の増加、傷者数が492人で、前年比42人の減少となっており、発生件数、傷者数は減少しておりますけれども、死者数は増加したところでございます。
 高齢者の死亡事故の特徴といたしましては、死者に占める高齢者の割合は過去10年間で最も高い、委員からお話がございましたとおり67.8%と、前年に比べ大きく増加と。
 状態別では、道路横断中が15人で最も多く、自動車運転中が14人で、前年の7人と比べて大きく増加。時間帯別では、午前10時から午後零時までの死者が最も多い8人で、前年と比べ4人増加などが挙げられます。
 なお、過去10年間の推移で見ますと、高齢運転者の運転免許人口が約1.5倍に増加しているものの、高齢運転者の免許人口1万人当たりの事故発生件数は、半数以下に減少しているという状況にございます。
 次に、高齢者の事故防止対策についてでありますけれども、まず、高齢歩行者対策といたしまして、道路横断中の行動を疑似体験し、安全行動を再確認する歩行環境シミュレーター等を活用した参加、体験、実践型の交通安全教育、反射材用品の直接貼付活動等による着用の促進、高齢者世帯訪問を通じての安全意識の高揚などを行っているところでございます。
 また、高齢運転者対策といたしましては、ドライブレコーダーを活用した個別具体的な安全指導、運転者疑似体験型集合教育装置による運転者教育などを通じまして、加齢に伴う身体機能の変化を認識していただきながら、危険予測に基づいた具体的な防衛運転の励行など、安全意識を高める指導を継続いたしております。
 さらに、運転免許の自主返納制度と返納者に対する支援措置の周知のほか、試乗を含めた安全教室を通じ、安全運転サポートカーの普及にも配意しているところでございます。したがいまして、一般ドライバーに対しましては、横断歩道における歩行者の確認と、横断者がいた場合の停止義務の周知徹底を図るため、コンビニエンスストア駐車場及び幹線道路における駐留警戒などの目立つ街頭活動により、広く注意喚起を行っているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇小西和子委員 さまざまな対策をとっているのですけれども、なかなか高齢者の死者数というのは減らない状況ですので、さらに力を入れていただきたいと思います。
 それでは、昨年の沿岸5署の交通事故発生件数、死傷者数ともに前年に比べ減少しております。ことしの死傷者数は9人と減っておりますが、うち、高齢者死者数が9人のうち8人と、前年と同数でありますけれども、この状況をどのように分析しているのか、あわせて主な対策について伺います。
〇小田島交通部長 交通死亡事故率を見ますと、内陸部に比べ、平成26年から昨年まで約2倍と高どまりの状況にあります。これは、震災後の復興作業等による交通量の増加が要因の一つであると分析をいたしております。
 主な対策についてでありますけれども、復興関連事業所等の運転者に対する安全教育、また、交通機動隊沿岸分駐隊による活動、さらには、沿岸分駐隊以外の交通機動隊本隊、県北、県南分駐隊の集中投入による各種活動、警戒活動、取り締まり活動も実施いたしております。
 また、通学路及び生活道路での速度抑制、安全確保活動、信号機、道路標識等の安全施設等の整備、また、コミュニティーラジオ局との協働による広報啓発活動等を実施いたしております。
〇小西和子委員 通学路における安全の対策ということに力を入れてくださっていること、本当にありがたいと思っています。まだまだ復興途上の地域もありますので、これからもよろしくお願いいたします。
 次に、高齢者の死亡事故が多いと、ここが本当に岩手県の課題だと思っておりますので、今後とも万全の対策をお願いしたいと思います。
 続きまして、子供、女性を犯罪から守る対策についてお伺いしたいと思います。
 昨年の声かけ等脅威事犯の認知件数が増加しております。特徴、要因と子供を犯罪から守る取り組みと対策について、簡潔にお答え願いたいと思います。
〇吉田生活安全部長 いわゆる声かけ等脅威事犯の認知件数についてでございますけれども、平成30年中は539件で、前年と比較して25件増加しております。
 特徴的傾向といたしましては、道路上における事案が350件、全体の約6割を占めております。時間帯は、児童生徒の下校時間帯である午後2時から午後6時までが262件で、全体の約5割を占めております。
 行為の形態では、声かけや盗撮、他人の姿を撮影する容姿撮影、被害者の後をついていくつきまといなどの形態が全体の約6割を占めております。
 また、認知件数は、平成27年以降500件台で推移しており、昨年は前年と比較いたしまして約5%増加しております。
 増加の要因を明確に申し上げることは困難でございますけれども、児童生徒、保護者の防犯意識の高まりなどから、早期に通報がなされていることが要因の一つであろうと考えております。
 子供や女性を犯罪から守る対策についてでございますけれども、教育委員会、学校等の関係機関、団体に対する速やかな情報提供、被害者にも加害者にもならないための安全教育、啓発活動、先ほど申しましたが、ぴかぽメール配信をしておりますけれども、こういったぴかぽメールの活用や県警ホームページによる不審者情報の配信、平成30年6月、関係閣僚会議決定の登下校防犯プランに掲げる各種施策の推進などを行っているところでございます。
 なお、行為者を特定して指導警告をした場合や事件検挙した場合なども、情報として、先ほど申しましたぴかぽメールなどで配信しておりまして、これによりまして地域の皆様の安心感醸成に努めているところでございます。
〇小西和子委員 昨年は声かけ等脅威事犯から犯罪に至った事件が41件であって、検挙しているということを以前にお伺いしましたけれども、昨年とことし、声かけ等脅威事犯から犯罪に至った例をお伺いいたします。
〇吉田生活安全部長 声かけ等脅威事犯から犯罪に至った事例についてでございますけれども、ただいま委員から御質問があったとおり、平成30年中は合計41件、本年は、9月末現在で37件を検挙しております。
 平成30年中及び本年9月末現在の検挙の内容は、強制わいせつ、公然わいせつ、建造物侵入等の刑法犯、のぞきなどの軽犯罪法違反、痴漢、盗撮などの迷惑防止条例違反などとなっております。
 主な例を申し上げますと、平成30年中は、7月に、県央部において40代の男性が商業施設内の女子トイレに侵入し、居合わせた10代の女性に声をかけるなどして、建造物侵入罪で逮捕しております。また、本年は、7月に、県央部において20代の男性が商業施設内にいた女児、女の子を呼び寄せてわいせつな行為を行ったということで、強制わいせつ罪で逮捕しております。
〇小西和子委員 本当に怖いです。実は私は小学校の教員をしていたのですが、勤務した学校で、ある女の子が車で連れ回されたのですね。そして無事に発見はされたのですけれども、その後、その女の子の笑顔を見ることはありませんでした。
 では、次に行きます。昨年のストーカー相談は240件、検挙件数は26件、ことし9月末で既に27件であります。ストーカー事案の特徴についてお伺いいたします。あわせて、ことしの対策について簡潔にお伺いいたします。
〇吉田生活安全部長 ストーカー事案に関して2点御質問をいただきました。一つ目、ストーカー事案の特徴につきまして、元配偶者や元交際相手等の顔見知りからの被害が約7割でございまして、その態様といたしましては、被害者の家に押しかけるなどの行為、拒否されているにもかかわらず復縁や面会を迫る行為、乱暴な言動をする行為、しつこく何度も電話をかけたり、メールやSNSでメッセージを送ったりする行為が約9割を占めております。
 また、ストーカー規制法に基づく禁止命令につきましては、平成30年中は13件であったものが、本年9月末現在で既に33件と大幅に増加をしているところでございます。
 次に、対策についてでございますけれども、被害者等の保護を最優先として、あわせて加害者の検挙、以後のストーカー行為を禁止する命令や警告を実施いたします。また、状況が落ちついたか否かについて、被害者等に必要に応じて安全確認を行うなど、再び被害を受けることがないように、対策を徹底しているところでございます。
〇小西和子委員 先ほどもお話をされましたけれども、声かけ等脅威事犯、ストーカーもでございますけれども、被害者にも加害者にもならない教育というのが非常に重要になってくると思いますので、教育委員会等と連携をして取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは、最後に、本部長にお答えいただきたいと思います。子供、女性を犯罪から守る対策について決意をお伺いいたします。
〇島村警察本部長 子供や女性を守る対策についての決意でありますけれども、全国的に見れば、登下校中の子供が殺傷されるなどの重大事件が発生しておりまして、子供や女性をいかにして守るのかということに関心が高まっていると認識しております。
 この種の犯罪は大都市圏に限らず、いつ、どこで発生してもおかしくはないものでありまして、子供や女性を対象とした脅威事犯等が身近で発生しているということが、地域住民の方々が不安を感じている要因として挙げられるものと考えております。
 警察といたしましては、まず、発生した事件の検挙はもとより、関係機関と連携し、この種被害に遭わないための安全教育や啓発活動等の諸対策を推進いたしまして、被害を未然に防止してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
   午後5時7分 休 憩
午後5時27分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 私は、安全・安心なまちづくりにかかわって質問させていただきます。
 私は、高齢者の安全運転講習と特殊詐欺も通告しておりましたけれども、先ほど城内委員の質疑で明らかになりましたので、これについては割愛いたします。
 一つ目は、信号機等の交通安全施設の整備でございます。
 平成30年度の信号機設置状況と特徴、今年度の設置見込み、さらには、これまでの信号機の要望数、設置数、整備率をお知らせください。それからもう一つ、震災以降の県内での信号機設置の全体数はどれくらいになっていますか。年度別にお知らせください。
〇小田島交通部長 初めに、平成30年度の信号機設置状況と特徴についてでありますが、震災対応分として、陸前高田市、大船渡市、山田町、宮古市に土地かさ上げ後の歩行者安全対策や市街地整備に伴う交差点の安全対策といたしまして、定周期式信号5基、押しボタン式信号2基の計7基、通常対応分として、盛岡市、大船渡市、釜石市、久慈市に、通学路や歩行者の安全対策として、定周期式信号4基、押しボタン式信号3基の計7基、合計14基を整備いたしております。
 次に、今後の設置見込みについてでありますが、令和元年度につきましては、震災対応分として、陸前高田市に、土地かさ上げ後の交差点安全対策や復興支援道路整備に伴う交差点安全対策として、定周期式信号2基、通常対応分として、盛岡市、花巻市、金ケ崎町、奥州市、一関市、宮古市、久慈市に、通学路や交通の円滑化の安全対策として、定周期式信号6基、押しボタン式信号2基の計8基、合計10基の整備を予定しております。
 続きまして、過去5年間の信号機の要望数、設置数、整備率についてでありますが、平成26年度は、要望数31カ所に対して、翌平成27年度の設置数は10カ所で、整備率は32.3%、平成27年度は、要望数46カ所に対して、翌平成28年度の設置数は13カ所で、整備率は28.3%、平成28年度は、要望数41カ所に対して、翌平成29年度の設置数は12カ所で、整備率は29.3%、平成29年度は、要望数48カ所に対して、翌平成30年度の設置数は14カ所で、整備率は29.2%、平成30年度は、要望数38カ所に対して、令和元年度の設置数は10カ所で、整備率は26.3%となっております。
 続きまして、震災以降の信号機設置の年度別全体数についてでありますが、平成23年度の設置数は1、908基、平成24年度の設置数は1、888基、平成25年度の設置数は1、901基、平成26年度の設置数は1、899基、平成27年度の設置数は1、880基、平成28年度の設置数は1、883基、平成29年度の設置数は1、888基、平成30年度の設置数は1、902基となっております。
〇千田美津子委員 過去5年にさかのぼって整備率、上申数等をお答えいただきましたが、私はこの間ずっと取り上げてまいりましたけれども、この整備率が、実は平成25年度の整備が18カ所で、そのとき40%の整備率だったのですが、そこをピークに、今お答えがあったようにとうとう26.3%まで落ちました。これは、本当に人命優先にしていかなければならないのに、私は、この状況は大変な実態だなと思っています。
 そして、今、県内の信号機全体の数字もお答えいただきましたけれども、平成30年で1、902基ですね。震災のあった平成23年度は1、908基ですから、むしろ減っている状況です。私は、今、交通事故がふえている中で、なぜこういうことになっているのか理解できないのです。しかも、上申数が平成30年度で38カ所と大変少なくなっているのです。これは、勘ぐると、県内の16警察署で上申する数を割り振りしているのではないかと疑ってしまうわけですが、現実はどうなのでしょうか。
〇小田島交通部長 警察本部で割り振りしているということはございません。
〇千田美津子委員 そのように答えてくるだろうとは思いましたけれども、実は水沢警察署に、例えば奥州市でどのくらい信号とかそういう要望を出しているかという資料をいただいたのですけれども、1年間で信号機は11件の要望がありました。この中には、保育園が新しくできて、周辺の環境が変わって、園児たちや子供たちが大変な状況にある。それから、中学校の校長先生から出たところは、やはり4車線道路で、歩道があっても、とまる車が少なくて子供たちが大変危険だと。そういうことで信号の設置を要望しています。ところが回答は、交通量からして現状の対応だという冷たい回答になっています。
 そういう中で、信号機は11件の要望があった中で、1件だけは、歩行者用の信号設置とするという回答があって、水沢警察署管内は、奥州市だけではなくて金ケ崎町もありますので、信号機だけの上申数をたった1件に絞っているのかなと私は思いました。16の警察署で38件の上申数ですから、単純に割っても2件から3件ということですね。
 私は、そういう状況では、本当に子供たちの安全、県民の安全を守ることができるのかという点で非常に疑問でありますが、この実態についてどのようにお考えでしょうか。
〇小田島交通部長 委員御指摘のとおり、信号機の設置等で重要なことは、地域住民及び道路利用者の意見に十分配慮することでございまして、設置に関する御要望につきましては、交通安全を願う県民の皆様の切実な思いとして受けとめているところでございます。
 ただ一方で、老朽化が進む信号機あるいは道路標識の更新が相当数に上っているほかに、道路整備に伴い必要となる信号機や道路標識等の新設、移設等も多い現状から、住民の皆様からの要望や期待に十分に応え切れていない現状にございます。
 県警察といたしましては、このような状況を踏まえまして、県内16警察署からの上申内容について、設置効果、緊急性、住民要望等を勘案して、より必要性が高い信号の効果的な整備を図ってまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今、御答弁あったように、信号機そのものが老朽化したりという部分で、予算が全体で確保できないとか、そういう理由は多々あると思います。ただ、必要なところに全部つけられるとは思いませんけれども、やっぱり子供たちや、そういう方々の安全からいって、周囲が必要だというところが少しでも、例えば11分の1だと、10年上申してもなかなか設置されないということになりますね。ですから、この上申数をもう少し、よく県警察は、優先度からしてやっているのだということを言われますけれども、その優先度というのは、やっぱり人命優先で、本当に必要なところをしっかり見て対応していただく、これが私は必要ではないかと思いますが、本部長、一言お願いします。
〇島村警察本部長 先ほど交通部長が御答弁申し上げましたけれども、警察署からの上申要望数を絞るということはございません。予算の制約がありますので、たくさん予算があれば幾らでも信号機がつけられるのですけれども、限りがありますので、信号機を初めとする交通安全施設につきましては、交通の安全と円滑を確保する上で必要かつ重要なものでありますことから、安全・安心を実感できる交通環境を確保していくためにも、当該施設に関する御要望につきましては、先ほど交通部長が申し上げましたとおり、地域住民や道路利用者の意見に十分配慮し、可能な限り御要望にお応えしたいと考えております。
〇千田美津子委員 人命を守るのは信号機だけではないので、横断歩道とか、そういう部分も含めて、私はぜひ対応していただきたいと思うのです。
 ただ一つ、奥州市からいただいた資料の中で信号機に関する要望があるのですけれども、感応が非常に鈍くなって、いつまでも変わらない信号機があるから取りかえてほしいという要望があったのですが、それに対しては、交通量からして現状対応だという回答になっています。
 私は、この周辺は幼稚園もあり、小学校の通学路になっているので子供たちも通っている道であります。最初からの設置だと700万円から1、200万円でしたか、かなりの予算が必要なりますが、こういう感度が悪くなったものを取りかえるとか、そういう対応はもっとやれるのではないかと思いますがどうなのでしょうか。
〇小田島交通部長 これまでもそういう必要性、緊急性がございますれば、それぞれに対応しているところでございます。
〇千田美津子委員 では、そういう要望については、人命優先ということで対応をぜひお願いしたいと思っております。
 あとは、信号機の設置方針をお尋ねしようと思いましたが、信号機の設置とか撤去の検討に当たって一番留意しなければならないのは、地域住民及び道路利用者の意見に十分配慮することということが、信号機の設置方針にきちんと書いてあります。ですから、こういう立場を今後とも貫いていただきたいと思います。
 それでは、次に移ります。犯罪のない安全・安心なまちづくりの問題で、一つは、非行少年を生まない社会づくり推進事業についてです。サポート隊の支援数がD評価となっていますが、この状況についてお知らせください。二つ目は、犯罪少年の再犯抑止の現状と今後の対応についてお聞きします。
〇吉田生活安全部長 二つ御質問がございました。初めに、少年サポート隊による活動が達成度Dであったことについてであります。
 少年サポート隊による支援数及び現状認識でございますけれども、少年サポート隊は、例年、大学生ボランティア20名程度で構成されまして、非行などの問題を抱えた個々の少年の立ち直り支援を目的として、対象少年側の希望に基づき、県警察が勉学支援や農作業、ものづくり、料理などの体験活動を企画して、対象少年と参加を希望する隊員との交流を図る支援活動でございます。
 昨年度中の支援数は、委員御指摘のとおり、いわて県民計画の目標35回に対して20回にとどまり、達成度がDとなりました。
 その主な理由といたしましては、対象少年側の希望を優先させましたところ、隊員側―これは大学生側でありますけれども―の都合がつかずに不参加となった、あるいは逆に、対象少年側の都合が悪くなったこと、あるいは農作業が悪天候等によって中止になったなどが挙げられます。
 なお、今年度でありますけれども、前年度までの要因分析を踏まえまして、対象少年と隊員双方に比較的時間的余裕が生まれます夏休み期間を中心として集中的に計画したところでございます。その結果、9月末現在で既に前年度を超える26回の支援を実現するなど、本年度は良好に推移しているところでございます。
 少年サポート隊は、問題を抱えた少年の立ち直り支援において、少年と大人の橋渡し役を担うなど重要な取り組みでございます。
 今後とも、隊員が無理なく支援に参加できるように計画を推進するとともに、隊員に対しても、積極的な支援活動への参加の呼びかけ、少年の立ち直り支援を強力に推進してまいりたいと考えております。
 二つ目といたしまして、犯罪少年の再犯の抑止について御質問がございましたけれども、犯罪少年の再犯抑止の現状と対応策についてでございますが、まず、同じ少年が再び非行を繰り返す割合、いわゆるこれを再犯者率と申しますけれども、この再犯者率につきましては、平成30年中は33%でありまして、平成28年からほぼ横ばいの状態で推移しております。
 県警察では、再犯抑止のため、非行少年を生まない社会づくりの一環として、少年に手を差し伸べる立ち直り支援を実施しているところでございます。具体的には、少年サポート隊のほか、問題を抱える少年に対して、学校、児童相談所、警察等の関係機関がチームを編成して、助言、指導を行う少年サポートチームや警察職員による愛のレター作戦等を実施しているところでございます。
 今後も、それらの対策を強力に推進するとともに、警察職員による支援が必要と認められる少年への面接指導、児童生徒等を対象とした非行防止教室や少年警察ボランティア等と連携した朝のあいさつ運動、愛の一声運動などを積極的かつ効果的に実施して、再犯の抑止に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 少年サポート隊については、夏休みを利用したことで回数がふえているということで、非常によかったと思っております。やっぱりこういう事業は大切な事業であります。今後とも学生、そして対象の少年の方々の意向も聞きながらということが私は非常によかったと思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 また、再犯抑止の対応については、本当に大変な支援になるわけですけれども、さまざま工夫をされて温かく見守っている、そして、やっぱりいろいろな相談にも来られるような状況をつくっているということだと思いますが、例えば、こういうところがあればもっといいのにというところがあれば、お知らせいただきたいと思います。
〇吉田生活安全部長 少年の再非行を防止することは、さまざまな環境をそれぞれ個別に検討、処遇してやることが重要だろうと考えております。非行に走った少年の環境は、一律にこういうところが悪いとか、こういうところを修正すればいいというものではなくて、個々人の環境をしっかり把握した上で、その少年の現状に合った支援が必要だと考えております。したがいまして、一概にこれをやれば特効薬になるというものはなかなか申し上げにくいところではございますけれども、そういった実態を把握しつつ、きめ細かな対応に努めてまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 私からも、高齢者の事故に関する質問をさせていただきたいのですけれども、警察庁の発表で、上半期に全国で発生した75歳以上の自動車事故のうち、ブレーキとアクセルを踏み間違えた等の人的要因の事故が約11%あったところです。10件に1件は踏み間違いで亡くなっているというデータですけれども、平成30年の県内の踏み間違いによる事故の状況がもしわかれば、お伺いします。
〇小田島交通部長 平成30年中のブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故についてでありますけれども、発生件数は21件で、前年比2件の増加でありまして、このうち、いずれも前年比でありますが、重傷事故は2件で、1件の減少、軽傷事故は19件で、3件の増加、傷者数につきましては、2名の重傷者を含む27人で、5人の増加となっており、死亡事故の発生はございませんでした。
 事故の特徴でありますけれども、運転手の年齢別では高齢者が最も多く8人で、前年比2人の増加であり、次いで30代が5人と、前年比で4人の増加となっております。
〇小林正信委員 私の知り合いでも踏み間違いでコンビニエンスストアに突っ込んだりとか、それは警察に届けていないから事故にはなっていないと思うのですね。こういう事故はたくさんあるのではないかと思うのですけれども。事故にはなっていますけれども、警察は関知していないということでした。
 自動車というのは重要な生活の足で、なかなか免許を返納するというのはできない方も多いのではないかと。東京都とか兵庫県では、踏み間違い防止の後づけ安全装置に対する補助を行っていると。県内では八幡平市が、この後づけ安全装置の補助を行っているのですけれども、非常に好評だと。岩手県でもこうした事業は踏み間違いを防止する上で有効と考えますが、御所見をお伺いします。
〇小田島交通部長 私どもでも、交通事故の防止や被害の軽減に非常に有効であると考えておりまして、そういった補助装置の設置あるいは自動ブレーキ等が搭載された安全運転サポート車の乗車体験講習会を開催するなどして、そういった啓発をしておるところでございます。
〇小林正信委員 啓発しながら、もしこれは有効な取り組みだということであれば、考えていただきたいと思うところでございます。
 次に、子供が犠牲になる悲惨な事件や事故が多くなっていると感じております。まず、県内における子供がかかわった事故が平成30年のうちはどれほどあったのかお伺いします。
〇小田島交通部長 昨年の発生件数は前年比22件減少の108件、死傷者数は、前年比27人減少の121人であり、死傷者のうち、死者は前年比3人増加の4人、傷者数は前年比30人減少の117人でありました。
〇小林正信委員 121人の子供の死傷者があったということで、非常に痛ましいことだと思います。ことし5月にも、散歩中の保育園児のところに車が突っ込んで、16名が死傷するという事件があったと。そういったことがあった大津市では、ドライバーに注意喚起を促すキッズゾーンというものを創設したそうでございます。これはスクールゾーンに準ずるようなものでございまして、これが大変効果が上がっているということを伺っております。
 県内における保育施設の付近と未就学児が通るであろう歩道に関する安全確保策についてお伺いします。
〇小田島交通部長 県内の幼稚園等におきまして、施設側において抽出した日常的な移動経路、いわゆる散歩コースの危険箇所につきまして、本年9月末までに各警察署が各施設、地域の教育委員会、自治体等関係機関と合同で緊急安全点検を実施したところであります。
 これを受けまして、今後、それぞれの対策を検討、実施してまいりたいと思っております。
〇小林正信委員 安全点検ということで、実地調査をしっかりやっていらっしゃるということでしたので、これが子供たちの安全にしっかりつながるような取り組みにしていただきたいと。
 また、子供を守る取り組みとして、警察庁は、全国の防犯ボランティアのリーダーの皆様を集めた研修会を開いて、防犯のノウハウを伝える形の支援を行うと伺っております。現在、防犯ボランティアの皆さんは、高齢化とか人手不足が問題となっておりまして、何らかの支援が必要ではないかと思っております。
 県内における防犯ボランティアの活動状況と、何か支援策といったものはないのかということをお伺いしたいと思います。
〇吉田生活安全部長 県内における防犯ボランティアの活動状況についてでございますけれども、平成30年12月末現在で354団体となっております。活動につきましては、防犯パトロール、子供の保護、誘導、防犯広報、危険箇所の点検など多岐にわたって活動いただいているところでございます。
 次に、支援についてでございますけれども、いわて県民計画におきましては、防犯意識の高揚に向けた県の取り組みとして、地域住民、自主防犯団体、事業者と行政が連携して、地域ぐるみで犯罪を防止する地域安全活動を促進するほか、自主防犯団体の優良活動事例の紹介、防犯研修会や地域安全マップ作成などの活動へのアドバイザー派遣を通じて、地域における防犯活動の活性化を促進することとしております。
 警察の取り組みといたしましては、防犯ボランティアに対し、日々発生する犯罪情報や子供や女性の安全に関する脅威事犯の情報を提供するとともに、各地域において講話等の研修会を開催するなど、その活動の支援を行っているところでございます。
 引き続き、防犯ボランティアの活動が活性化されるよう必要な支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
〇小林正信委員 本当にこの防犯ボランティアの皆さんの課題はどうやれば解決できるか、ちょっと私も思い浮かばないところですけれども、警察の皆さんもしっかり連携していただきながら、子供の見守り活動を活発に行っていただきたいと思っているところでございます。
 最後に、JAFの調査によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面で車が一時停止する割合は、全国平均でわずか8.6%だったそうであります。岩手県では、運転マナーがよいため、私の主観ですが、横断歩道で一時停止する車は結構多いように感じますが、日本は、歩行者の死亡率が欧米に比べ格段に多いとのことで、歩行者の安全を守るためにも、自動車と歩行者が一番接触する危険がある横断歩道における安全確保が必要と思います。
 横断歩道歩行者の安全を守る取り組み状況についてお伺いして、終わります。
〇小田島交通部長 横断歩行者の安全を守る取り組みについてでありますが、各警察署ごとに、信号機のない横断歩道のうち、通学路や過去に死亡重傷事故が発生するなど、横断歩行者の安全を確保することが特に必要と認められる場所など59カ所を安全モデル横断歩道として指定し、集中的な取り締まりや警戒活動に取り組んでおります。
 また、平時におきましても、各横断歩行者の安全を守るために、運転者の方には歩行者優先意識の徹底、そして、歩行者の方におかれましては、横断時のとまる、見る、待つという安全行動の徹底をしていただくということで、指導あるいはそういった見守りという活動を進めております。
〇佐藤ケイ子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 質疑がないようですので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆さんは御苦労さまでございました。警察本部の皆さんは退席されて結構です。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時59分 散 会

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