令和元年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

令和元年10月28日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 泉   裕 之
議事調査課
総括課長 嵯 峨 俊 幸
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 千 葉 絵 理
主査 上 野 公一郎
主査 鈴 木   忍
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 鈴 木 貴 博
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
副知事 保   和 衛
会計管理者 菊 池   満
会計課総括課長兼
会計指導監 山 梨 康 紀

秘書広報室長 高 橋 勝 重
理事兼秘書広報室
副室長兼
首席調査監 上和野 里 美

総務部長 八重樫 幸 治
総務部副部長兼
総務室長 千 葉 幸 也
財政課総括課長 小 原 重 幸

政策地域部長 白 水 伸 英
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 小 野   博

文化スポーツ
企画室企画課長 中 村 佳 和

環境生活企画室
企画課長 戸 田   新

保健福祉企画室
企画課長 阿 部 真 治

商工企画室
企画課長 似 内 憲 一

農林水産企画室
企画課長 米 谷   仁

県土整備企画室
企画課長 菊 地 幸 男

復興局長 大 槻 英 毅
復興局副局長 森   達 也

ILC推進局長 佐々木   淳
ILC推進局
副局長兼事業
推進課総括課長 高 橋   毅

経営管理課
総括課長 吉 田 陽 悦

教育企画室
教育企画推進監 大 畑 光 宏

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 鈴 木   敦
参事兼監査第一課
総括課長 安 部 光 一
監査第二課
総括課長 小 守 健 一
〇泉議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介を申し上げます。
 工藤勝子委員、委員長席にお着き願います。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま紹介のありました工藤勝子であります。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。
 委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に佐藤ケイ子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐藤ケイ子さんを決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐藤ケイ子さんが決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐藤ケイ子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知を行います。
 佐藤ケイ子委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長佐藤ケイ子君委員長席に着く〕
〇佐藤ケイ子委員長 ただいま決算特別委員長に選任されました佐藤ケイ子でございます。
 御推挙いただき、大変光栄に存じております。
 委員各位の前向き、そして闊達な審議をお願い申し上げ、スムーズな進行に御協力をいただきますようお願い申し上げたいと思います。そして、職責を全うしていきたいと考えておりますので、どうぞ御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。(拍手)
 引き続き副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に佐々木茂光君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐々木茂光君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木茂光君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐々木茂光君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 佐々木茂光副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇佐々木茂光副委員長 ただいま選出をいただきました佐々木茂光でございます。
 佐藤委員長を補佐し、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、委員の皆様方の御協力をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明後日は、知事、副知事、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明後日の総括質疑終了後から11月1日まで、及び5日から8日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、決算15件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、11月8日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、6日目の農林水産部の審査につきましては、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、議案第37号及び議案第38号の以上17件を一括議題といたします。
 これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇菊池会計管理者 平成30年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に平成30年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完する説明資料として平成30年度歳入歳出決算説明書をお配りしておりますので、便宜、この歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。第1平成30年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてでありますが、平成30年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、ふるさと振興を着実に推進し、県民の明日への一歩とともに進む予算として9、533億4、826万円が措置され、前年度の当初予算と比べ263億8、426万円、2.7%の減となっております。また、その後の補正予算におきまして、三陸防災復興プロジェクト2019の開催準備経費、ふるさと振興を推進するための経費や国の補正予算に対応した災害復旧事業などに要する経費などの措置により148億8、700万円の増額補正が行われたところであります。これに前年度からの繰越額2、143億7、470万円を加えた最終予算額は1兆1、826億996万円となり、前年度に比べ779億2、598万円、6.2%の減となっております。
 次に、この予算に対する決算についてでありますが、初めに、一般会計について御説明いたします。
 まず、歳入についてでありますが、少し飛びまして、44ページ及び45ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
 左から三つ目の欄、平成30年度の収入済額は1兆500億6、980万円で、右の45ページ中央の欄、前年度との比較増減額は417億6、917万円余、3.8%減少し、収入率は、左端の欄となりますが、予算現額に対して88.8%、調定額に対して97.7%となっております。
 なお、収入未済額は、左の44ページに戻っていただきまして、右端の下の欄でございますが、249億2、322万円で、前年度に比べ3億1、836万円余の増となっており、この収入未済額の主なものは、諸収入であります。
 次に、歳出についてでありますが、また少し飛んでいただきまして、52ページ及び53ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
 左から二つ目の欄、平成30年度の支出済額は9、768億4、105万円で、右の53ページ、二つ目の欄、前年度との比較増減額は291億7、970万円、2.9%減少し、執行率は、左の52ページ、右端の下の欄でございますが、予算現額に対して82.6%となっております。同じページの中央の欄、翌年度繰越額は1、716億872万円余で、前年度に比べ427億6、597万円余の減となっており、この繰越額の主なものは、土木費や災害復旧費であります。
 右隣の欄の不用額は341億6、018万円余で、前年度に比べ59億8、030万円余の減となっており、この不用額の主なものは、災害復旧費や土木費であります。
 次に、実質収支の状況についてでありますが、少しお戻りいただきまして、42ページ及び43ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表の一番上、一般会計の欄でございますが、歳入総額は1兆500億6、980万円、歳出総額は9、768億4、105万円であり、右の43ページにお移りいただきまして、歳入歳出差引額は732億2、875万円となっております。
 また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源541億7、729万円余を差し引いた実質収支額は190億5、145万円余の黒字となっております。
 続きまして、特別会計の決算について御説明申し上げます。33ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況を、ページ中段の特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
 母子父子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の歳入総額は3、047億6、350万円余で、前年度に比べ1、013億9、511万円余の増であり、その主なものは、平成30年度に設置した国民健康保険特別会計の増によるものなどであります。次に、歳出総額は2、998億7、507万円で、前年度に比べ1、000億8、724万円余の増であり、その主なものは、歳入同様、国民健康保険特別会計の増によるものなどであります。
 なお、実質収支は、各特別会計とも黒字または収支均衡となっております。
 次に、決算の特色についてでありますが、恐縮でございますが、再度1ページにお戻りいただきたいと思います。中段の2決算の特色をごらん願います。
 決算の特色といたしましては、第1に、決算規模が前年度を下回ったことであります。歳入におきましては、繰越金、繰入金、国庫支出金などの減により前年度に比べ417億6、917万円、3.8%減少し、歳出におきましては、土木費、公債費、商工費などの減により前年度に比べ291億7、970万円、2.9%減少しております。
 第2に、県税収入が増加したことであります。県税収入は、企業収益の増加に伴い法人事業税が15億3、186万円、6.0%増加したほか、消費の持ち直しに伴い地方消費税譲渡割が6億9、103万円、3.3%増加したことなどにより前年度に比べ29億3、678万円、2.2%増加し、過去最高の1、342億2、683万円となっております。
 第3に、投資的経費が減少したことであります。投資的経費は、地域連携道路整備事業費や港湾高潮対策事業費などの減少による土木費などの減に伴い普通建設事業費が120億5、087万円、5.4%減少したことなどにより前年度に比べ138億3、704万円、4.5%減少し、2、925億2、228万円となっております。この結果、歳出総額に占める投資的経費の割合は、前年度に比べ0.4ポイント減少し、30.0%となっております。
 第4に、翌年度繰越額が減少したことであります。翌年度に繰り越した金額は、復興関連事業が進捗したことなどに伴い前年度に比べ427億6、598万円、19.9%減少し、平成23年度以降で最少の1、716億872万円となっております。
 第5に、県債残高が減少したことであります。県債残高は、県債発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還額を下回ったことから前年度に比べ195億3、286万円、1.5%減少し、1兆2、630億9、894万円となっております。
 以上で平成30年度歳入歳出決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、各部局におきまして所要の措置を講じているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきますので、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐藤ケイ子委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、希望いわてが33分、次に、自由民主党が31分、次に、いわて新政会が21分、次に、いわて県民クラブが15分、次に、日本共産党が11分、次に、社民党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小林正信委員、無所属工藤勝子委員、無所属上原康樹委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、明後日の遅くとも正午までに終了することを目途にしたいと思っておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。名須川晋委員。
   〔名須川晋委員質問者席に着く〕
〇名須川晋委員 若干顔が赤く腫れておりますけれども、恐らくストレスや疲れだと思います。きょう、この総括質疑が終われば多分快方に向かうと思いますので、よろしく前向きな御答弁をいただければと思います。
 まず初めに、今回の台風第19号の被害に遭われた皆様方に心からお悔やみ、また、お見舞いを申し上げたいと思います。これまでは10年、20年に1度という被害が、今回は100年に1度ということのようでございましたけれども、これが毎年あるいは1年に1度、2度来るような時代になってきているのではないかと思っております。こういう災害を克服していくような行政をこれから進めていかなければいけない、そういう思い、意味合いを込めた質問を何点かさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まずは実質公債費比率についてでございますけれども、公債費負担適正化計画の前倒し達成がなされたとのことでございまして、大変喜ばしいことであったと思います。県の実質公債費比率が平成30年度決算で18%を下回り、公債費負担適正化計画を2年前倒しで達成したことが報告されました。計画の早期達成について敬意を表するものでありますが、どのような方策によって計画達成がなされたのかまずはお伺いいたします。
 また、この間、さまざまな災害等も発生しておりますが、計画を推進することによって対応に支障は生じなかったのか伺います。
〇達増知事 平成25年度に公債費負担適正化計画を策定し、事業の効率化、重点化に配慮しながら新規の県債発行を抑制してまいりました。また、震災特例として創設された補償金免除繰上償還制度を活用して11億円を繰り上げ償還するということも行いました。そのような形で利息負担の軽減と県債残高の圧縮に取り組んできたことによって、今般、平成30年度決算において実質公債費比率が18%を下回り、当初の計画を2年前倒しで達成することができました。
 一方、この間、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの復旧、復興など、優先的、集中的に取り組むべき課題に対しては十分な予算を措置して対応するなど、県としてしっかり取り組んできたものであります。
〇名須川晋委員 岩手県の現状認識についてでございます。
 平成30年度決算を受けた県の実質公債費比率は16.7%となりましたが、総務省の速報によりますと、同年の全国平均は10.9%と公表されています。実質公債費比率は財政の弾力性をあらわす指標でもありますから、数値が低いほど財政運営の自由度が高まるものと考えますが、県は現状の実質公債費比率についてどのように認識しているのかお伺いいたします。
〇達増知事 県の平成30年度決算に基づく実質公債費比率は、前年の平成29年度と比較して1.5ポイント低下しましたものの、いまだ全国に比べて高い水準にあり、18%という一つの基準はクリアしたところでありますが、引き続きその推移について注視していく必要があります。
 委員御指摘のとおり、実質公債費比率の高い状況は財政の硬直化を招く要因となるものであり、これまで同様、実質公債費比率の低下を図り、柔軟な財政運営に努めてまいります。
〇名須川晋委員 今後の財政運営についてでございますけれども、実質公債費比率が18%を下回ったことにより、県債の発行に国の許可が不要となりました。一方で、依然として全国に比べ楽観視できない状況にあることは数字としてあらわれております。
 そうした中、さきに示された令和2年度の予算編成方針では、来年度の公共事業について2年連続で1.05倍のプラスシーリングとし、このことは評価するものでございますが、必要な投資の促進と後年度の公債費負担をいかにバランスさせていくかということが持続可能な県の発展に不可欠と考えますが、この点について県はどのように対応していこうとしているのかお伺いいたします。
〇達増知事 令和2年度の当初予算編成につきましては、震災対応予算が徐々に減少する中、公共投資を計画的に進めていくため、公共事業費の要求基準について、昨年度に引き続きプラスシーリングといたしました。公共投資の推進には積極的な国庫財源の活用が不可欠であり、プラスシーリングの設定に当たっては、補助事業の獲得に十分留意するとともに、有利な起債や低利資金を活用するなど、同時に後年度負担の軽減も図ってまいります。
 引き続き、財政運営の健全化に努めながら、県民生活の土台となる公共投資を着実に推進してまいります。
〇名須川晋委員 続きまして、消費増税の影響についてお伺いいたします。
 消費税収の見通しについてでございます。
 今月より消費税が2%上がり、10%となりました。県でも引き上げ分の地方消費税として0.5%が歳入とされることとなっており、今年度予算に既に歳入見込みが反映されておりますが、消費税は、企業決算の時期の関係から、歳入が平年度化するのは数年先と見込まれます。県では、平年度化された消費税収をどの程度と見積もっているのかお伺いいたします。
 また、消費者の買い控えや節約志向が進み、米中貿易戦争といった外的要因により景気減速が明らかになりつつありますが、社会保障の充実に関する施策は既に動き出しており、待ったなしという状況です。仮に消費税収が減収となった場合、来年度の予算編成にどう影響するとお考えか伺います。
〇八重樫総務部長 今回の消費税率引き上げに伴う実質的な増収額について試算いたしますと、今年度3億円余、令和2年度が47億円程度、そして、影響が通年であらわれます令和3年度以降は59億円程度と見込んでおります。この増収分は全額を社会保障施策に要する経費に充てることとされておりまして、地方財政制度上、財源保障がなされているものであります。したがって、仮に予算編成に当たり税の減収が見込まれる場合、同額の地方交付税等により減収分が補われ、増税によって賄われる社会保障施策については支障が生じない仕組みとなっています。
〇名須川晋委員 キャッシュレスサービスの導入についてお伺いいたします。
 消費税増税に伴い、今月からキャッシュレス決済へのポイント還元制度が始まっております。これは、国の経済対策として、消費低迷を防ぐとともにキャッシュレス決済の普及を進めることが目的ですが、県内のキャッシュレス決済の普及状況についてお伺いいたします。
〇保副知事 総務省がことし3月に公表した資料によりますと、岩手県のキャッシュレス決済対応店舗の割合は、全体に対して26.2%、キャッシュレス決済―クレジットカード及び電子マネーでの決済の比率は10.6%にとどまっている状況でございます。
〇名須川晋委員 それが全国平均と比較してどうなのかというところですけれども、恐らく低いものと思っております。
 いずれにしましてもキャッシュレス決済はこれから普及していくはずでございますが、小規模零細企業、店舗の高齢化されている方々というのは、非常にこの導入に及び腰だと思われます。ただ、やはり導入したほうが後々いいと思われるわけでございますけれども、これについてどのような対応をされているかお伺いいたします。
〇保副知事 ちなみに、先ほどの比率は―ここに全国順位の資料がございますけれども、対応店舗の割合で申し上げますと全国の都道府県中38位、決済の比率で申し上げますと全国の47都道府県中42位という状況でございます。
 委員、今、お話しのとおり、小さい店舗などでは導入にちゅうちょするというような状況も見られますけれども、県では今年度、全国で4県が採択される総務省の統一QR「JPQR」普及事業に採択になりまして、積極的にそのおくれを取り戻すことから取り組んでおります。10月18日現在、この統一QRコードに687事業所、914店舗から申し込みをいただいております。これに加えまして、コンビニエンスストアが511店舗、ドラッグストアが98店舗、合計で1、523店舗におきましてこの導入が進んでいるという状況でございます。
〇名須川晋委員 このJPQRも恐らくは7社ぐらいということで、ほかのいろいろなペイがあるわけでございますけれども、それらの有名どころも使えないということになるわけです。
 いずれ、小さい店舗の方々は手数料の関係も非常に大きい要素として控えているということもありますけれども、やはりその利点をしっかりとお伝えして、ぜひともキャッシュレスサービス、またはJPQRの普及を図っていくということで積極的に進めていただければと思っております。
 復旧、復興後の県財政についてお伺いいたします。
 県財政は東日本大震災津波以降1兆円を超えましたが、平成29年度には1兆円を下回り、令和元年度は9、355億円となりました。震災発災以前では平成13年度に9、000億円規模となった時期はありましたが、震災直前には7、000億円弱の予算規模となっております。
 岩手県の直近の県内総生産は名目で4.7兆円程度で、県の一般会計予算はその2割程度と巨大なウエートを占めていますので、県財政の姿が県経済全体に与える影響は非常に大きいものがあります。復興事業費は今後漸減することが確実ですが、県の予算規模はどう推移していくものと見込んでおられますでしょうか。
〇八重樫総務部長 予算につきましては、毎年度、国の予算編成動向や地方財政計画などを踏まえて編成しているところでありまして、今後の予算規模について一概にお答えすることは困難でありますが、今般、公表いたしました岩手県中期財政見通しでは、令和4年度までの通常分予算について、今年度とおおむね同程度、今年度の当初予算額が6、661億円―通常分―でありますので、それと同程度の規模で推移するものと見込んでおります。
 これは、公債費が減少する一方で高齢化等に伴う社会保障関係費の増加や来年度のプラスシーリング等も踏まえた普通建設事業費の増加などを見込んだものであり、予算編成に当たりまして、今後も引き続き限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、必要な事業を推進してまいります。
〇名須川晋委員 次に、いわて県民計画(2019〜2028)についてお伺いいたします。
 これにつきましては、さきの一般質問でも複数の議員の皆さんが取り上げておられますが、当初から質問を予定しておりましたので、そのまま質問させていただきます。
 まずは、いわて県民計画第3期アクションプランの達成度の総括についてお伺いいたします。
 平成30年度は平成21年から10年間のいわて県民計画の最終年であり、第3期アクションプランの最終年でございました。さきに公表された主要施策の成果に関する報告書では、みんなで目指す姿として設定した86の目標値に対し80%以上の目標達成率を示している指標は81.4%となり、農林水産業や環境の分野で高い成果が見られた一方、医療・子育て・福祉や教育・文化の分野では指標達成におくれが目立ったようです。県はこの結果をどのように分析し、評価しておられるのでしょうか。
〇白水政策地域部長 本定例会に提出いたしました平成30年度主要施策の成果に関する説明書における目指す姿指標の達成度についてでございますが、達成またはおおむね達成となった指標が、委員御指摘のとおり、環境分野では全て、農林水産業分野では9割を超えていたのに対しまして、医療・子育て・福祉分野で6割、教育・文化分野でおよそ8割となっているところでございます。
 その理由といたしまして、まず、医療・子育て・福祉についてですが、人口10万人当たりのがん、脳血管疾患及び心疾患で死亡する女性の数について、心疾患で死亡する方は前年度より少なくなったところでございますが、脳血管疾患で死亡する方がふえたこと、また、特別養護老人ホーム等の地域密着型サービス拠点数につきましては、介護人材の不足、建設費の高騰等を背景に、民間事業者の整備が進まなかったことなどにより目標を達成できなかったところでございます。
 また、教育・文化につきましては、学校の学びをもとに授業時間以外の学習に自主的に取り組む児童生徒の割合について、インターネットやメールの利用時間が増加傾向にあることなど、学習時間の確保が十分に進まなかったこと。また、県内学卒者の県内就職率につきましては、首都圏を中心とする県外企業の採用活動が盛んであったことなどにより目標を達成できなかったところでございます。
 今後、これらの評価結果に加えまして、社会経済情勢の変化や、県以外の実施主体の取り組み状況なども踏まえた総合評価を行いまして、施策や事務事業の見直しに反映させることでいわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進を図ってまいります。
〇名須川晋委員 いわて県民計画(2019〜2028)の取り組み姿勢についてでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)は、既に4月から第1期アクションプランの計画がスタートしております。政策分野は、産業、雇用、農林水産業といった縦の政策体系から、健康・余暇や仕事・収入といった横の広がりを持った体系に見直され、部局横断や政策間連携がこれまで以上に求められる県民計画となっておりますが、県では、全計画の指標達成度の分析、評価も踏まえ、どのように新しい計画を推進していくかお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)では、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標とし、より県民一人一人の視点に立った政策を展開するため、幸福の実感に関連する健康・余暇から参画までの10の政策分野を設定しています。
 計画の推進に当たりましては、委員御指摘のとおり、部局横断や政策間連携が重要でありますので、各分野に設置した政策推進クロス・ファンクショナル・チームにおいて、前計画における取り組みの課題も踏まえながら、いわて幸福関連指標等の状況や社会情勢などを総合的に勘案して政策評価を行い、マネジメントサイクルを機能させて計画の実効性を高めてまいります。
〇名須川晋委員 いわて県民計画、新しい計画の県民への浸透についてお伺いいたします。
 知事は、さきの知事選挙においていわて県民計画(2019〜2028)をマニフェストに掲げ、多くの県民の支持を得て当選を果たされました。今回の県民計画は、特に幸福がテーマであり、行政のみならず、県民の皆さんに幅広く浸透してこそその政策が生きるものと思います。
 そこで知事にお伺いいたしますが、知事選挙を通じ、いわて県民計画(2019〜2028)はどの程度県民に浸透が図られたとお考えか伺います。また、今後どのように全県民に理解を広げ、幸福度を高めていくお考えか、あわせて伺います。
〇達増知事 このたびの知事選挙では、県内全市町村、各地域を回り、多くの県民の皆さんと直接接し、課題や要望を伺いながら、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標や一人一人の暮らしや仕事などに着目した政策の内容についても県民の皆様に御説明する機会を得ることができ、一定の理解を得ることができたものと考えております。
 計画の推進に当たりましては、引き続き県民の十分な理解を得ることが重要でありますので、計画冊子の作成、配布や、ワークショップ、また県民フォーラムの開催などさまざまな機会を通じて、計画の理念や政策推進の基本方向等について広く県民との共有に取り組んでまいります。
 また、計画に掲げる政策の展開に当たりましては、県民を初め、地域社会を構成する多様な主体の参画、協働のもと、政策分野ごとに設定したいわて幸福関連指標の向上を図り、ひいては県民の幸福度を高めてまいります。
〇名須川晋委員 次に、これは、これから質問する環境問題にもかかわってくる質問になるわけでございますが、起債に係るESG―環境、社会、統治の考え方についてお伺いいたします。
 いわて県民計画(2019〜2028)においてはSDGsの考え方が重視されておりますが、この考え方を県の財政運営や資金調達においても反映することが重要と考えます。今、世界的にSDGsのテーマに沿ったESG投資という思想が重視されております。
 ESG投資とは、すなわち、E―エンバイロンメント(環境)、S―ソーシャル(社会)、G―ガバナンス(企業統治)の頭文字をとったもので、環境、社会、企業統治に配慮している企業を選んで投資することであり、企業、ひいては社会の成長や持続性を重視した投資の考え方と言えます。
 岩手県においても、県債の発行に当たって、取引先の金融機関のESGを含む投資政策も参考にしてはどうかと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
〇八重樫総務部長 本県では、県債の発行に当たって、安定的、機動的な資金調達の実現や金利等の調達コストの低減に配慮しながら、発行時期や償還年限等を踏まえ、国債の取扱金融機関なども参考に調達先を決定しているところであります。
 委員御紹介のESG投資につきましては、投融資において企業や社会の持続可能性をより重視するという点から、SDGsの実現に向けた取り組みの一つとしても国内外で注目を集めているものと認識しています。
 現在のところ、地方債の発行に当たり、金融機関のESG投資の取り組み状況を勘案している地方自治体の事例は承知していませんが、本県においては、今後も安定的、機動的な資金調達の実現と公債費負担の軽減を図りながら、他の自治体の動向なども注視してまいります。
〇名須川晋委員 資金運用については、今は現金ということで、ないとは思いますけれども、例えば岩手銀行ですと、岩手県は大株主でもあります。そういうときに、岩手銀行もSDGsの取り組みはやっているようでございますけれども、取引先金融機関を含め、ほかの県との関係がある企業等にSDGsやESG投資についてしっかりと前向きに取り組まれているということを伝えて、そういうところとつき合いを深めていくとか、環境政策においてはそういうところがしっかりしているところからお金をお借りするとか、そういう使い分けもできるのではないか―理想論かもしれませんけれども、そういうところについて考えていただければと思うのですが、何かコメントがありましたらお聞かせください。
〇八重樫総務部長 県内金融機関が環境問題への取り組みなど公益的な活動に取り組むことは、企業価値の向上につながるほか、持続可能な社会の構築を目指していく本県としても望ましいことと考えています。
 県内におきましてもESGの取り組みを進めている金融機関もあると承知しておりまして、本県の県債引受先の複数の金融機関においてもESGの取り組みを進めているものと承知しています。県としても、ESGがSDGsの考え方と軌を一にするものでありますことから、その理念の普及の取り組みを広げていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 できれば前向きに何らかの方法を考えていただいて、ぜひとも岩手県がこの分野において日本の先進事例となっていただければと思います。
 次期ふるさと振興総合戦略についてでございます。この辺も取り上げられた議員の方がいらっしゃいますが、質問はそのままさせていただきますので、ひとつ御答弁をよろしくお願いいたします。
 次期ふるさと振興総合戦略における、人口の社会減についてでございます。
 さきに報告のあった平成30年度の取り組み状況によりますと、人口の社会減は戦略策定以降年々増加を続け、平成30年度は5、000人を超える人口が流出するところまで悪化いたしました。この間、県では、産業振興や移住、定住政策に大きな予算を割き、人口流出対策に取り組まれてきたと思いますが、なかなか結果に結びつかないのは非常に残念です。
 具体的に、県の人口はどこに流れているのでしょうか。来年度からの新戦略においては、詳細な分析の上で、これまでの施策で足りない部分を補っていく必要があると考えますが、県では現状をどのように分析されているか伺います。
〇白水政策地域部長 総務省の平成30年住民基本台帳人口移動報告における本県の転出入数を地域別に見ますと、関東地方の1都6県への転出は8、833人となっております。一方で関東地方から本県への流入は6、159人となっており、2、674人の転出超過となっておりまして、本県の社会減の過半を占めているところでございます。
 また、本県の社会減を年齢別に見ますと、10代、20代で全年代の84%を占めておりまして、こうした状況から、進学や就職のために本県から流出している若者の地元定着、それから首都圏等の若者を対象とした本県への新しい人の流れの創出が重要と考えております。
 なお、こうした傾向は全国の多くの地方で同様に見られる動向でございますことから、地方の取り組みに加えて、国による東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策も不可欠と考えております。
〇名須川晋委員 人口の自然減について、県の平成30年の合計特殊出生率は1.41と、初めて全国平均1.42を下回りました。合計特殊出生率は2.1以上を継続しないと人口は維持できないとされておりますが、それに大きく届かず、かつ全国を下回ったということは大きな衝撃を持って受けとめております。
 県では、この結果をどうお考えになっているか、原因とあわせてお示し願います。
〇白水政策地域部長 合計特殊出生率につきましては、これまで、子育て負担の軽減、仕事と育児の両立支援等に取り組みまして、平成29年までは全国の水準を上回っていたところですが、平成30年になり下回ったところでございまして、推移を注視していく必要があると考えております。
 この合計特殊出生率が低下した要因といたしましては、未婚化、晩婚化の進行、それから子育てや教育に係る経済的な負担、また、育児に対する心理的、肉体的負担などにより子供を持つことをちゅうちょしている、あるいは個人の価値観の変化など、さまざまな要素が影響しているものと考えております。
〇名須川晋委員 新たに示されたふるさと振興総合戦略の骨子案では、施策推進目標のうち、岩手で働く、岩手で育てるという社会減対策、自然減対策の柱について、前期の計画を踏襲する形で、社会減ゼロ、出生率向上という目標を設定することが示唆されております。いずれも意欲的な目標ですが、これまでの成果に鑑みますと大変厳しい目標であるとも思われますが、先ほど示された分析を踏まえ、具体的にどのような施策を講じていくかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 社会減ゼロ、それから出生率の向上等の施策推進目標の設定につきましては、国の次期戦略の検討状況等を踏まえつつ、今後、設定してまいります。
 その前提の上でということでございますが、県としては、社会減対策につながる岩手で働くにおいては、若者を中心とした県外への転出超過に歯どめをかけるため、ものづくり産業や農林水産業等の振興によります産業全体の底上げを図るとともに、岩手への人の流れを一層促進する取り組みを推進していくこととしております。
 また、自然減対策につながります岩手で育てるにおいては、出生率の向上を図るため、安心して子供を産み育てられる環境の整備や、仕事と生活を両立できる環境づくりを推進していくこととしております。
〇名須川晋委員 人口減少対策に向かう知事の決意についてお伺いいたします。
 普仏戦争での敗戦をきっかけにフランスが人口増加対策に本腰を入れたとも言われるように、人口は国力であり、地方自治体が自治体としての能力を発揮するためにも、人口は一定程度の規模が必要であると考えます。
 知事はマニフェストでも人口減少対策を取り上げ、地域振興に取り組むとされておりますが、次期ふるさと振興総合戦略をどのようにまとめ、実行していくお考えか、知事の決意をお伺いいたします。
〇達増知事 岩手は豊かな自然や広大な県土を有し、産業集積が進展し、新たな交通ネットワークが形成されるなど、岩手でより多くの人々が生活し、働くに足る環境や社会基盤を有しています。このような強みが生かされず、人口減少が進行することは大変もったいないことと考えます。
 現在、策定を進めている次期岩手県ふるさと振興総合戦略については、政策地域部長が先ほど答弁しましたような現行の戦略の成果や課題を踏まえますとともに、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の内容も反映させながら成案化を図っていくことが重要と考えております。
 具体的には、現行の岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本の柱は維持しつつ、国の新たな視点である関係人口の創出、拡大の考え方を踏まえて、新たに4本目の柱として岩手とつながるを追加し、岩手ファンの拡大や交流人口の拡大に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。
 さらに、持続可能な開発目標SDGsや科学技術を活用した超スマート社会―ソサエティー5.0の実現などについても、ふるさと振興を進める上で重視する視点として盛り込む方向で検討を進めているところであります。
 今後とも、県議会を初め、市町村、関係団体等の御意見を十分に踏まえ、次期戦略の策定を進めるとともに、次期戦略に基づき、岩手の魅力を高め、岩手への新たな人の流れを生み出す取り組みや、岩手との交流やつながりを拡大する取り組みを力強く推進してまいります。
〇名須川晋委員 防災についてお伺いいたします。
 千葉県で発生した大規模停電の教訓を踏まえた対応策について。
 台風第15号の影響で千葉県では大規模停電が発生し、長期間、住民の方々が大変御不便をかけられたようでございます。倒木や土砂崩れ、あるいは飛来物の影響と推測されるそうですが、複数の要因によって1、000本以上の電柱が倒壊、隠れ停電も相まって、住民は大変な苦労を強いられました。加えて、病院等への電源車の配置がなされず、緊急度に応じて優先順位をつける電力におけるトリアージが機能しなかったとのことであります。現場、自治体、電力会社との情報のやりとりがうまくいっていなかったことも一因とされておりますが、マニュアルを作成するなど、あらかじめその優先順位を電力会社と共有する必要があるのではないでしょうか。
 県は、こうした事態を教訓にどう対応していくのか、しっかりと原因を分析し、対応策を検討し、岩手県地域防災計画との整合性を図るべきと考えますが、見解を伺います。
〇八重樫総務部長 千葉県で発生しました大規模停電では、停電が長期化する中、電源車による電力供給の施設の優先順位について課題になったと伺っています。災害対応においては人命第一で取り組むことが必要でありますことから、どのような順番で電力を供給していくかという電力トリアージの考え方は重要であると考えています。
 県では、災害により停電が発生した場合には、電力事業者と連携を密にし、停電状況の把握に努め、必要に応じて電源車の派遣や市町村が備蓄している非常用発電機の活用を図るとともに、企業、団体との協定に基づき、必要とする被災地に非常用電源をいち早く届けるなどの対応を行うこととしています。
 今後は、国の防災基本計画の見直しや東京電力の検証委員会の動向も踏まえ、電力トリアージの岩手県地域防災計画への反映について検討していきたいと考えております。
〇名須川晋委員 避難所におけるスフィア基準についてでございます。
 県内各自治体における避難所開設とその運営に当たっては、内閣府による避難所運営ガイドラインや本県が策定した市町村避難所運営マニュアル作成モデルをもとにされているものと思いますが、避難所の質の向上を図るため、参考にすべき国際基準であるスフィア基準の理念が共有されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 県におきましては、避難所が多様なニーズに対応できますよう、内閣府がスフィア基準を考慮して策定いたしました避難所運営ガイドラインを参考といたしまして、現在、市町村避難所運営マニュアル作成モデルを県として策定しまして、その普及を市町村に働きかけておりまして、ことし1月現在で20市町村が避難所運営マニュアルを策定しているところでございます。
 この県の作成モデルでは、避難生活の質の向上を図るため、避難所運営で留意すべき事項を時系列で整理し、プライバシーや安全に配慮した専用スペースの確保、男女別トイレの設置など、要配慮者や女性等のニーズに応じた配慮事項を記載しているところでございます。
 今後、県の作成モデルを見直す際には、国のガイドラインはもとより、スフィア基準の理念等も視点に置きながら対応していきたいと考えております。
 また、現在、マニュアルを策定していない13市町村におきましては、県の作成モデルをそのまま準用しているものと承知しておりますが、それぞれの市町村における地域特性を踏まえたマニュアルが整備されますよう、研修会等を通じまして早期の策定を働きかけていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 先ほどの質問も含め、前向きな御答弁ありがとうございます。
 10月21日のある新聞報道でございますが、沿岸のある市の市民センターで寝泊まりしておられます高齢の女性でございますが、市民センターは、布団が足りず、座布団を並べて毛布をかけて寝るが、疲れはとれず、寒い。吐き気に襲われていると嘆くと、こう書かれております。一体何で1週間以上経過しているのに、こういう状況が続いているのか。市民センターです。避難生活が長ければ、もうそういうところも整っていると思いきや、全くそうではなかったということでございます。
 そのマニュアルがつくられていないところか、つくっているところか、今ここでは確認いたしませんけれども、スフィア基準の理念を取り入れた形での、快適と言っていいのかわかりませんが、これから災害がますますふえてくるわけでございますから、ぜひとも過ごしやすい避難所となりますよう、県でもしっかり目を向けていただきたいと思います。
 次に、災害ごみの処理についてでございます。
 今般の台風第19号でも災害ごみが大量に発生しており、被災者の方も自治体も、その処理に苦慮されておりますが、数量や処理方法及び課題等についてお示しください。
〇千葉副知事 今回の台風第19号により発生いたしました災害廃棄物につきましては、県としても生活環境を保全する上でも、迅速かつ適切な処理が求められていると考えております。
 10月25日現在で、被災市町村のうち9市町村において、災害廃棄物の仮置き場が13カ所設置され、その後の円滑な処理のため分別を行い保管しておりますが、その数量につきましては、被災状況の全容がいまだ判明していないことから、現時点では数量は確定していないところでございます。
 災害廃棄物につきましては、原則的には、市町村の処理施設におきまして、可燃ごみは焼却され、不燃ごみは破砕等の後に埋め立て等の処分が行われるところでございますが、災害廃棄物は一度に大量のものが発生いたしますため、腐敗や悪臭のおそれがあり早期の処理が求められる可燃ごみにつきましては、被災市町村の焼却施設だけでは処理できないのではないかという状況も出てきているところでございます。
 県といたしましては、現在、県内他市町村の処理施設での処理が可能となるよう調整を進めているところでございまして、災害廃棄物の処理につきましては、できるだけ迅速かつ適切に進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 水道インフラ対策と下水道インフラ対策については、ちょっと時間がないのでこの場でははしょりまして、時間がありましたら触れさせていただきます。
 森林環境譲与税の活用についてでございます。
 千葉県の大停電が長期化した原因の一つとされているのが、倒木による道路の寸断や通信施設の破壊でありました。国は、令和6年度から森林環境税を賦課することを決定し、地方自治体に対しては、今年度から森林環境譲与税の形で前倒し交付が始まっております。
 森林環境譲与税の使途は主に市町村の財源とされ、森林の整備や整備を担う人材の育成、木材利用の促進等とされておりますが、こうした新たな財源を活用し森林整備を進めることで、倒木被害や河川への流木の流出を防ぐことができるものと考えます。
 市町村の森林整備等について、県は支援する立場にありますが、令和元年度の市町村の森林環境譲与税はどのように活用されているのか伺います。
〇保副知事 ことし8月に県内の市町村に対しまして、今年度の森林環境譲与税の使途について調査を実施しております。その中での使途ですけれども、主なものを挙げますと、今後、市町村が主体になるということもございまして、現在、森林を所有している者に対して、将来の経営動向等について意向調査を行う準備を進めているのが25市町村、それから、森林や林業に関する専門的な知識を有する技術者等の雇用を予定している、そういう形で今後の進め方を検討していくということですが、その雇用を予定しているのが9市町、それから、具体的に林道等の整備、維持修繕といった事業を予定しているのが8市町となっております。
 まだ始まったばかりということもございまして、具体的に手をつけるというのは少ないわけでございますけれども、委員から御紹介がありました、今後、具体的に間伐等の森林整備までやると予定しているのは、三つの市町となっているところでございます。
〇名須川晋委員 訪日外国人への災害情報の周知についてお伺いいたします。
 最近は盛岡市内においても多くのインバウンドのお客様を目にする機会がございます。また、今般の台風第19号は、折悪くラグビーワールドカップ2019釜石大会と重なってしまって、訪日外国人も多く来県していた中、その情報伝達がうまく機能されておりましたでしょうか。県の災害情報は、訪日外国人に対しどのように伝達されることとなっているのかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 まず、訪日外国人への災害情報の周知についてでございますが、県と市町村は、県の地域防災計画に基づきまして、インターネット等を活用した多言語による災害情報の提供を行っております。また、市町村では、災害時において外国人が迅速かつ的確に避難することができるよう、多言語等による避難勧告などの伝達、それから、避難場所や避難経路の表示など、災害に関する案内等を多言語で行うこととしております。
 このため県では、市町村と連携し、県総合防災訓練におきまして、外国人の避難を想定した多言語に対応できるボランティアが参加した訓練、あるいは避難所における多言語による情報伝達訓練を実施するなど、外国人の円滑な避難に向けた取り組みを行っております。
 加えまして、避難所等で外国人を支援する災害時多言語サポーターの養成や、外国人のための防災パンフレットの作成等によりまして、災害時に速やかに外国人を支援する体制の整備に取り組んでおります。
 次に、ラグビーワールドカップ2019釜石開催での対応についてでございますが、台風第19号の接近に伴いまして、釜石開催実行委員会において、英語によりまして、いわて・かまいしラグビー情報のホームページやSNSでの周知、広報、10月12日夜に、ライナーバス等の交通手段を英語版サイトから予約された方々に対するメールの送信、それから、13日、試合開催中止決定後に、釜石市の防災無線でのアナウンスを行いました。そのほか、釜石駅や釜石市民ホールに外国語対応職員を配置する等の取り組みによりまして、訪日外国人には特段の混乱等は見られなかったところでございます。
〇名須川晋委員 今回の台風は1週間ぐらい前から来る、来るという情報が恐らくはそういう方々にも入っていたと思いますから、対応は万全といいますか情報が入手できたと思いますけれども、やはり地震等、予期できぬ災害について、そういうときには外国の方も焦って、なかなか情報の入手方法がわからない可能性があります。その点で、複数のメディアを使いながら、しっかりと適宜適切に情報を流す体制を一度構築してくださいますように、しっかりと目配りをしていただきたいと思います。
 被災者の再建支援についてということで、これは、過日の一般質問で斉藤信議員も質問しておりますが、いま一度取り上げさせていただきます。
 平成28年台風第10号災害においては、被災者生活再建支援法の対象とならない半壊や床上浸水世帯に対する県独自の単独補助金を創設されました。今回の台風第19号でも多くの方が被災し、中には東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害から立て続けに被災した方もおられ、こうした方々に希望を持って再建に向かってもらうためにも前回の単独補助金のような支援策が必要と考えますが、県の考えをお伺いいたします。
〇達増知事 被災者への住宅再建の支援としては、被災者生活再建支援制度が適用された場合、全壊及び大規模半壊の住家被害を受けた世帯に対し支援金が支給されますが、平成28年台風第10号災害など過去の災害に際しては、被災者生活再建支援制度が適用されない場合であっても、県単独事業により同等の支援を行い、同制度で支給対象とならない半壊及び床上浸水世帯に対しても、一定の支援を行ってきたところであります。
 県といたしましては、近年、全国的に豪雨災害などの自然災害が多発し、より手厚い生活再建支援が求められていることに加え、本県においては、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号災害からの復興の途上にある中で二重、三重の被害に遭われた地域もあることを踏まえ、国に対し、被災者生活再建支援金の増額や支援対象の半壊世帯等への拡大など制度の充実を要望してまいりますほか、平成28年台風第10号災害と同様の県単独事業の実施を検討してまいります。
〇名須川晋委員 これから個別の項目の質問になるかと思います。“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポについてお伺いいたします。
 私は使わないで済んだのですが、よほど利用させていただこうかと思いましたけれども、利用しないでしまいましたが、目標未達の原因についてでございます。先月末時点における結婚サポートセンターの会員同士の成婚数は70組140人となりましたが、平成30年度は目標40組に対し23組にとどまり、目指す指標の目標達成度はD判定となりました。
 結婚サポートセンターは、出だしは順調でしたが、結果だけを見ますと伸び悩みの状況とも見てとれますが、現状を県はどのように捉えておりますでしょうか。
〇千葉副知事 i−サポにつきまして、全体数的なことを前提としてまずお話し申し上げますが、開設以来、現在まででございますが、全体数で申しますと、i−サポ設置から本年9月までに入会登録された方は延べ2、165人で、結婚などの理由で退会した会員を除きますと、9月末現在の会員は857人となっております。
 お見合いは1、707件実施しておりまして、このうち交際まで発展した会員は826組となっております。
 成婚率につきましては、ただいま委員からお話がございましたが、今年度は9月までに12組の成婚報告があり、昨年度までの58組と合わせて70組140人となっております。
 このほか、i−サポに登録したことを契機といたしまして、結婚への意識が高まり、婚活に積極的に取り組まれることとなったことなどにより、会員以外の方と結婚し退会した会員が60人おられまして、会員同士で成婚された方140人と合わせ200人の方が成婚に至っております。
 本格的に稼働いたしました平成28年度から3カ年度を各年度別に見てまいりますと、会員数はおおむね1、000人程度で、お見合い件数は500件程度、交際中の会員はおおむね200組程度でそれぞれ推移しているところでございまして、成婚数も20組程度で横ばいとなっております。これが今回の評価につながっているところでございます。
 したがいまして、この成婚数をふやしていくためには、まず、会員数の拡大を図っていくことが重要だと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 この200人という成婚数でございますが、いずれ、この実績のうち60人は登録者同士ではない成婚であり、つまり婚活は複数の手段を利用していると考えられます。
 結婚支援サービスは従来から民間で取り組まれてきた分野であり、県は後発でサポートセンターという形で参入しておりますが、既に実績のある民間企業や地域団体との連携についてはどのようになされてきているでしょうか。今後の方針とあわせお伺いいたします。
〇千葉副知事 民間企業、団体との連携についてでございますが、委員から御指摘のとおり、より効果的に事業を推進していくためには、同様の事業に取り組んでおられます全国的な組織、団体から、婚活支援に関する知見あるいはノウハウ等を習得していくことも必要であると考えております。
 i−サポにおきましては、結婚支援を行う国あるいはNPO団体等が開催する結婚支援セミナーやフォーラムにスタッフを派遣いたしまして、著名な結婚支援アドバイザーの講演の受講や、全国の結婚支援関係者との意見交換などによりまして、運営体制の充実あるいは会員に対する有効な支援方法などの情報収集などにも努めているところでございます。
 なお、本県も含めまして、全国的に都道府県が運営する結婚支援サービスは、公的な機関がかかわることによりまして、低廉な登録料で、安心して利用できるサービス提供を行う趣旨で設置されてきたものと考えております。本県でも同様の経緯で設置したところでございまして、特に、具体的に申し上げますと、企業活動として結婚支援に取り組んでおられる民間企業との業務的な連携は、なかなか難しいものがあると考えるところでございます。
〇名須川晋委員 民間企業等と全国の大きな企業というところだけではなくて、地域のこれまでそういう活動をしてきた団体との連携は果たしてなされているかとなると、なされていないと私は伺っているわけでございます。それぞれの自治体との連携はあるとは思いますけれども、ホームページ等を見ても、そういう地域の民間団体との、これまでそういう紹介をされてきたところとの連携が果たしてなされているかと言えば、そうではないと私は思っております。
 したがいまして、外部の意見を取り入れる第三者委員会のような組織を立ち上げてアドバイスを得ていくことも重要ではないかと思います。現在、その組織図はどのようになっているのかも含めてお知らせください。
〇千葉副知事 現在、i−サポの運営に関しましては、県、市町村に加えまして、商工団体、労働団体など42団体で構成しております、いきいき岩手結婚サポートセンター運営委員会というものが設置されておりまして、意見交換なども行いながら運営を行っているところでございます。
 この運営委員会の構成団体数42のうち、民間が8団体と非常に少ないというところがございます。これは、設立時点で御協力いただけるということで入っていただいたのですが、やはり、まだまだ産業団体とか職業団体に御参加いただく必要があると思っております。
 そのようにウイングを広げることがまず一つは必要だと思っておりますし、その運営委員会のもとに、今、委員から御提案がございましたけれども、より実効性のある具体的な取り組みについて議論ができるような場を運営委員会の中に設けまして、具体的な取り組みを進めていく必要があると認識しておりまして、今後、構成団体と協議を進めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 伸び悩みの現状として、さまざま耳の痛いことも聞けるような組織となっていただきたいと思います。
 次に、次世代移動サービス―MaaSについてでございます。
 これについて、広大な県土を有する本県において、人口減少によるバス等公共交通機能の低下、高齢化による免許返納率の増大等、移動の困難を解消する施策は喫緊の課題となっております。
 さきの一般質問では臼澤議員がこれについて取り上げられておりますけれども、国土交通省と経済産業省は6月、スマートモビリティチャレンジとして、全国から移動サービスの開発を支援する28事業を選定されたものの、東北では福島県のみとなっております。
 MaaSについては、自治体や民間の構想力と実行力が問われていますが、本県での積極性を示していただきたいと思いますけれども、どう対応していくかお考えを伺います。
〇白水政策地域部長 県におきましては、政策推進プランにおきまして、地域公共交通にICカードやスマートフォンアプリを初めとした情報通信技術―ICTの導入を掲げたところでございまして、ICTを活用して公共交通の利便性の向上を図ることは、非常に重要だと認識しております。
 本県におけるMaaSの取り組みについてでございますが、東北運輸局の主導のもと、現在、三陸、釜石地区をモデルに、訪日外国人旅行者がスマートフォンアプリによる交通機関等の検索、予約、決済によりシームレスな移動―継ぎ目のない円滑な移動―を可能とすることなどを目的として、観光地型のMaaSの実証実験が行われているところでございます。
 県といたしましては、国のモデル事業の取り組み結果を踏まえ、MaaS導入時における課題や実効性、持続可能性などの研究を行うとともに、市町村や交通事業者等とも連携し、観光地型のMaaSに加え、デマンド交通などを含む地方都市型のMaaS、あるいは地方郊外、過疎地型MaaSの地域公共交通への導入について検討してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 リノベーションまちづくりについて。
 リノベーションまちづくりは、特に若者層の関心が高く、今後のまちづくりにおける一つの切り札であることから、これまでも議会において取り上げてまいりました。
 平成30年度事業では、県内で先進的な取り組みをしている方々を巻き込み、広く普及啓発やまちづくりの議論を進める経費が予算措置され、実際に若い方々を中心に活動がなされたものと承知しており、この予算も一つの契機として、特に盛岡市、紫波町、花巻市、釜石市で顕著な進展があったと私は考えております。
 一方、令和元年度予算では、専門家、相談窓口の設置や空き家住宅の診断制度活用を促すための宅地建物取引業者への普及経費のほかは、リフォーム補助等の経費が盛り込まれているのみで、関心を喚起するための経費は措置されておりません。
 この事業をどう評価しているか、また、この予算は継続すべきと考えますが、御見解を伺います。
〇保副知事 リノベーションまちづくりについての取り組みは、県では、平成27年度から取り組んでおります。これまでフォーラムやスクール等を開催いたしまして、県内でも機運が醸成できてきていると思います。今、委員御紹介のとおり、幾つかの市町において、市町あるいは若い方々などの民間による独自の取り組みが広がってきているものと考えております。
 これまで、いわゆる普及啓発を中心に県として取り組んでまいりましたけれども、そういった面での効果ということでは、ある一定程度の役割を果たしてきたかと思っております。
 今年度からは、良好な既存の住宅ストックの確保ですとか、円滑な流通を促すという実際に動かしていくための取り組みにも力を入れる必要があるということでございまして、新たに事業の中に既存住宅流通促進支援事業を設けまして、専門の建築士等が住宅の状態をきちんと調査いたしまして、その様子を公表、情報提供することでのインスペクション制度の普及に取り組み始めているところでございます。
 今はまだまだ、やったほうがいいということで、予算として特段の措置はないわけですけれども、引き続き、普及啓発という面では意を用いて進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 スポーツ行政について。プロ野球ドラフトを受けての所感と選手強化対策について。
 ことしのプロ野球ドラフト会議において、大船渡高校の佐々木朗希投手、花巻リトルシニア出身の堀田賢慎投手が、それぞれ千葉ロッテマリーンズ、読売巨人軍にドラフト1位で指名されました。本県出身の野球選手がドラフト1位で2人も指名されることは、かつてない快挙です。私が高校球児として白球を追っていたころにはプロ野球選手は夢のまた夢、まさに隔世の感がありますが、知事の率直な感想をお聞かせください。
 また、こうした快挙につながった背景等を分析することによって、本県スポーツ分野の施策は厚みを増すものと考えますが、県では今後どのような選手強化策を進めていくお考えでしょうか。
〇達増知事 大船渡高校の佐々木朗希投手、そして、花巻リトルシニア出身の堀田賢慎投手と、本県出身の選手2人がドラフト1位での指名を受けたことは、大変喜ばしいことであります。
 これは、選手自身の努力と御家族や指導者、地域の皆さんなど関係者の皆様のお力のたまものであり、敬意を表します。また、県民が大きな喜びと感動を得ることができ、復旧、復興に取り組んでいる方々には大きな励みになるものと受けとめています。
 県では、令和5年度の供用開始を目指し、大規模な屋内練習場を備えた新しい野球場の整備を進めており、これとあわせ、より早い時期からすぐれた指導者のもと、スポーツ医・科学の知見に基づいたサポートを行っていくことも含め、しっかりとした環境のもとで選手育成に取り組むことが重要と考えております。
 今般の2選手は、小中学生期に地域スポーツ少年団やリトルシニアでの指導を受けています。今後、岩手県体育協会等との連携のもと、従来、学校現場を主な対象として実施している最新の指導技術やトレーニング法などを習得する研修について、新たに地域のスポーツ少年団やリトルシニアに所属する指導者にも拡大し、選手育成に向けた環境整備を進めてまいります。
〇名須川晋委員 いきいき茨城ゆめ国体・大会の総括についてでございます。
 いきいき茨城ゆめ国体の総合順位は31位、目標としていた東北1位を逃しております。また、残念ながら、台風第19号の影響によって、いきいき茨城ゆめ大会については中止となっておりますが、これらについて、以前の定位置に戻ってきつつあるのですが、これをどう総括し、これからまた上昇していくような取り組みをするのか、県の障がい者スポーツに対する取り組み状況ともあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、国体順位についてでございますけれども、希望郷いわて国体後の本県の天皇杯順位が年々下がっております要因といたしましては、具体的には、競技種目ごとにさまざまな要因があるものと考えておりますけれども、全体として考えますと、まずは、希望郷いわて国体の際に本県の企業や団体等に所属していた優秀な選手が、その後、岩手に定着していないということが一つ挙げられると思います。また、国体で現在上位を狙えるレベルの若手選手の層が、これまでに比べやや薄いのではないかという指摘もされているところでございます。
 いずれ、今後、安定的に高い順位を目指していくためには、一つは、まず、企業等の協力を得ながら、高い競技力を有するアスリートの県内定着に向けた就職マッチングなどの取り組みを進めること、また、国体を初めとする全国大会で入賞実績のある競技団体や選手に対する大会参加経費あるいは強化合宿経費などの財政支援をすることなどで、全国で上位入賞ができる層の増強を図り、国体順位の向上に結びつけたいと考えております。
 次に、2点目の障がい者スポーツの取り組みについてでございますけれども、先般、残念ながら中止となりましたいきいき茨城ゆめ大会では、本県から9競技種目、60名が出場を予定したところでございまして、バレーボール知的障害の部で男子、女子それぞれが東北ブロック予選で優勝していたことなどから、相当程度の競技結果が期待されていたところでございます。
 県といたしましては、全国障害者スポーツ大会への選手派遣などによりまして、障がい者スポーツの裾野を広げる一方で、パラリンピックなどの国際大会で活躍する選手の輩出を目指し、今年度は14名の障がい者アスリートをいわて障がい者スポーツ強化指定選手に指定し、遠征費等に対する財政支援を行いますとともに、スポーツ医・科学の知識習得やトレーナーによる実技指導などの取り組みも進めているところでございます。
 こうした取り組みなどによりまして、日本国内最高峰のパラスポーツ競技大会でございますジャパンパラ競技大会におきましては、本年度、強化指定選手が9名出場するなど、これまでの競技力向上の取り組みの成果が徐々にあらわれてきているのではないかと考えているところでございます。
 今後とも引き続き、県体育協会、県障がい者スポーツ協会、競技団体、関係団体等と連携いたしまして、アスリートの競技力向上に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 ラグビーワールドカップ2019のカナダ、ナミビア戦が残念ながら中止になりましたが、カナダチームは釜石市内で清掃ボランティア、ナミビアチームはホストタウンの宮古市で市民との交流を行ったということは、大変すばらしいことでございました。
 知事はツイッターで、いつの日かカナダ、ナミビア代表戦が行われることを願っているとコメントしておりましたが、これは釜石市民、岩手県民全員の思いではないでしょうか。
 来年以降の代替開催について夢はつながっていくものと期待したいところですが、改めて知事の思いを伺います。また、あわせて、本県におけるラグビーワールドカップのレガシーについてもお伺いいたします。
〇達増知事 カナダ、ナミビア戦についてでありますが、10月13日に台風第19号の影響を受けカナダ対ナミビア戦が中止になったことは、9月25日のフィジー対ウルグアイ戦や日本代表の活躍などで県内も盛り上がりを見せる中、残念ではありましたが、観客、選手、スタッフ及びボランティアなど、関係者の安全を第一としたワールドラグビーの判断に敬意を表するものであります。
 試合が中止となった当日には、カナダ代表は、土砂の片づけ等、台風災害のボランティアとして活動し、ナミビア代表は、被災した宮古市民を激励する交流会を行い、それぞれ地元の方々とかけがえのない新たなきずなが結ばれ、この様子が世界中に情報発信され、多くの人々に感動を与えました。
 ワールドカップ以外でカナダ代表とナミビア代表という国代表チーム同士の試合を行うことは、テストマッチとしてキャップ数にカウントされるなど格式も高く、ラグビー界にとっても相当の覚悟が必要で、なかなか容易なことではないと考えておりますが、一方で、釜石市、岩手県の地元の思いに加え、カナダ、ナミビア両チーム及び両国関係者の釜石鵜住居復興スタジアムでの試合ということへの思いも相当なものでありますので、試合の実施について、日本ラグビーフットボール協会に相談していくこととしたいと思います。
 本県におけるラグビーワールドカップのレガシーについてでありますが、オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界最大級の国際的スポーツイベントを成功させた経験は、岩手県、釜石市の実行委員会や関係者にとって実務上の大きな財産になります。そして、世界最高水準のラグビーチームとじかに接し、その練習や試合を真剣に見ることを通じ、ラグビー、そしてスポーツ全般に対する洞察を多くの人が深めることができました。
 そして、スタジアムに加え、ファンゾーンや県内各地でのパブリックビューイングなどを通じて、大きな盛り上がりになったことは、地域振興効果がありました。
 また、地元小中学生による復興支援に対する感謝のパフォーマンスが世界中に感動を与え、さらに、公認キャンプ地での小中学生とのラグビー交流もあり、岩手県の子供たちにとっても将来の力になる経験となりました。ふだん触れ合うことのない海外の人々との新しいつながりが各地で生まれたことは、岩手の国際化の新しいページとなりました。
 今回の大会により、復興支援に関する感謝と復興に取り組む姿を世界に向けて発信できました。ラグビー県岩手という側面も国内外に強力に打ち出すことができました。スポーツが県民にとって大きな力となることを改めて認識したところでございます。
 今後、ラグビーを含むスポーツ振興に取り組み、スポーツの力を東日本大震災津波や今般の台風第19号災害からの復旧、復興の力としながら、世界各国との交流を一層深め、強いきずなにしてまいりたいと思います。
 また、今回、本県の食、自然、世界遺産や郷土芸能等の歴史文化などの魅力も発信できましたので、これをステップに、人的、経済的交流をより一層活発にし、復興とその先の地域振興につなげてまいります。
〇名須川晋委員 ぜひともこの中止になった一戦を、御尽力いただいて、いつの日かカナダ、ナミビア戦が行われますことを期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 環境問題で終わりにしたいと思います。グレタ・トゥーンベリさんの国連演説についてでございます。
 スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんは、大人たちが温暖化対策について裏切るのであれば、絶対許さない、How dare you!と最大級の怒りと皮肉を込め演説しましたが、知事はこの演説をどう受けとめ、どう感じたのか、率直に伺います。
〇達増知事 グレタ・トゥーンベリさんの国連演説についてでありますが、地球温暖化により世界は滅びつつあるという強い危機感に基づいた激烈な口調で、年少ながら全身全霊を込めた演説により、世界の多くの人たちの心を揺り動かしたと思います。私も心を動かされましたが、同時に大人たちは、年少者にこれほどの心配をさせることのないように、地球温暖化対策に取り組まなければならないと強く思ったところでございます。
 地球温暖化は、その予想される影響の大きさや深刻さから見て、世界の全ての個人や国家、団体、企業等の組織に迅速かつ確実な行動を求めるものであり、本県においても、県民総参加で地球温暖化対策に取り組んでいかなければならないと改めて感じたところであります。
〇名須川晋委員 そうした中、RE100について、6月定例会一般質問に引き続き伺います。
 再生可能エネルギー100%を目指すRE100について、ソニー、イオン、アスクルといった17社の日本企業に加えて、第一生命、旭化成、パナソニックなども新たに加盟し、今25社まで増加しております。企業の脱二酸化炭素社会への取り組みはますます加速しつつあり、環境省自体も、環境省RE100としてこの取り組みを推進しております。
 本県も決して不可能なものではなく、実現可能な目標として積極性を見せるべきと考えますが、県の取り組み状況と今後の方針について伺います。
〇千葉副知事 RE100につきましては、パリ協定の目標達成に向けまして、事業者が自らの消費電力を再生可能エネルギー100%の電力で賄うことを目指す国際的な取り組みであり、国内外でグローバルな企業などが参加しているところでございます。
 また、このRE100の目指す姿を共有する形で、再生可能エネルギー100%地域を目指す自治体も出ており、県内では雫石町や葛巻町が再生可能エネルギーによる電力自給率100%以上であることを公表しているところでございます。
 本年2月には、久慈市や二戸市など北岩手9市町村と横浜市との間で再生可能エネルギーの供給や交流による地域活力の創出などを通じた脱炭素社会の構築を目指して、再生可能エネルギーに関する連携協定を締結しておりまして、県北広域振興局もオブザーバーとしてその取り組みに参加したところでございますが、今後、県内でこういう取り組みが広がっていくものと認識しているところでございます。
 本県における再生可能エネルギーによります電力自給率は、直近の平成30年度末で29.5%となっており、風力や地熱など全国トップクラスのポテンシャルを背景に、再生可能エネルギーの導入が今後も進み、自給率もさらに上昇するものと見込まれているところでございますし、私どももそのように推進してまいりたいと考えております。
 一方で、この再生可能エネルギーの導入促進のためには、送電網への接続制約などの課題もございますことから、まずは、いわて県民計画の政策推進プランに掲げております令和4年度の再生可能エネルギーによる電力自給率37%の達成に向けて、着実に取り組みを推進していくことが重要と考えております。また、地元企業におきましても、バイオマスなど再生可能エネルギーの発電施設の運転を開始している企業も出てきているところでございます。
 いずれ、県といたしましては、この地域や事業者の自主的な取り組みとして再生可能エネルギーの導入が広がっていくことは、パリ協定の目標達成に地域から貢献する観点からも重要であると考えておりますので、温暖化防止いわて県民会議などを通じまして、引き続き、電力自給率の向上に向けた機運醸成あるいは情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 CO2排出削減については、私たちは、とかく火力発電増設をやめることや電気自動車の利用、再生可能エネルギーの導入等について真っ先に思い浮かびますが、農業分野でのそれは全く関心が低い。低いどころか、農業は環境にいいものだという思い込みだけが頭の中にあり、抑制策が念頭にないのが実情ではないでしょうか。
 緑肥作物を植えるとか、カーボンオフセットと併用してカーボンフリー米も誕生しておりますが、本県のそうした動きについて、例えば二酸化炭素排出量を削減する試みを行っているブランド米があるのか、農林水産業についてもそういう取り組みを進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇保副知事 今、委員からお話のありました、いわゆる二酸化炭素などを排出しない、あるいは抑制した米という形で、二酸化炭素の削減効果を販売PRに活用している事例は、今のところ承知していないところでありますが、全国的に環境に対する消費者の理解と関心が高まっていると受けとめております。ただいま委員から御紹介があったような取り組みも、今後参考にしながら、有効な手段と考えられますので、PRに活用できるかどうか考えていきたいと思います。
 これまで、本県の農業者は、堆肥の投入で農薬を抑えながら、全国的な水準に比べますとおおむね半分程度の農薬でやるとか、環境保全型の取り組みは長年実践してきているという実績もございます。こうした取り組みも、さらに消費者にわかりやすく情報発信していきたいと考えております。
 それから、農業以外の林業あるいは水産業の分野におきましても、今後、生産プロセスの脱炭素化ですとか森林資源を活用した木質バイオマスのさらなる活用も進めながら、農林水産業分野での脱炭素社会の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員長 正午までは若干時間がありますけれども、区切りの関係から、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時48分 休 憩
午後1時3分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。次に、川村伸浩委員。
   〔川村伸浩委員質問者席に着く〕(拍手)
〇川村伸浩委員 自由民主党の川村伸浩でございます。
 10月12日から13日にかけて本県にも来襲した台風第19号は、全国各地に大きな爪跡を残し、今もなお多くの方が不自由な暮らしを強いられております。本県においても2名のとうとい命が失われ、多くの家屋で浸水等の被害が発生しております。亡くなられた方に哀悼の意を表しますとともに、御遺族、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 県当局におかれましては、被災された皆様の生活再建に向けて、また、安全・安心を支えるインフラの復旧に向けて万全の対応をとられるようお願いを申し上げます。
 まず、4期目の任期を迎えた知事に、その政策の方向性についてお伺いいたします。
 平成30年度は、仕事、暮らし、学び・こころの分野ごとに目指す姿を制定し、希望郷いわての実現を目標とし、平成21年度に策定された前いわて県民計画の最終年度に当たります。
 さきに配付された主要施策の成果に関する説明書を見ますと、指標の達成率は、より上位のみんなで目指す姿で81.4%、具体的な推進方策349指標の達成率は84%と高い成果が示されておりますが、その成果を県民の皆様がどの程度実感されているか疑問であります。
 達増知事は、今年度を開始年次とするいわて県民計画(2019〜2028)が自身のマニフェストであるとし、抜粋、加筆する形で希望マニフェスト2019−2023幸福を守り育てる希望郷いわてを掲げ、知事選に挑まれました。前計画の成果をどう総括した上で新たな県民計画を策定されたのでしょうか。今回公表された報告書を踏まえ、御説明をお願いいたします。
〇達増知事 前計画のいわて県民計画では、いっしょに育む希望郷いわての基本目標のもと県政の推進に取り組んできたところでありますが、それぞれのアクションプランの最終年度の政策評価レポートにおいて、取り組みや成果、課題等の総括を行ってまいりました。それらの総括結果や社会経済情勢の変化などを踏まえ、10の政策分野ごとに、強み・チャンス、弱み・リスクとして、前計画の総括や現状認識、今後の展望をまとめ、いわて県民計画(2019〜2028)を策定いたしました。
 今後、計画の推進に当たりましては、委員御指摘の主要施策の成果に関する説明書で明らかになった指標の達成状況や、県民意識調査等で把握した県民の実感、社会経済情勢などを踏まえた政策評価を行って、施策や事務事業の見直しに反映させることで計画の実効性を高めてまいります。
〇川村伸浩委員 新たな県民計画においては、県民一人一人の幸福を守り育てるという基本目標のもと、10の政策分野において、健康寿命、余暇時間を初めとする幸福に関連する指標が制定されており、目標値の達成に向けて県が取り組む具体的な推進方策としてさらに細かな分野で目標値が設定されております。
 県は、具体的な推進方策の達成に向けて事業を進め、その目標値の達成が幸福関連指標の達成に寄与し、そのことが県民の幸福を守り育てることにつながるのだという構成であると私は理解しております。極めて主観的な幸福という状態について、その関連目標を制定し、それを達成することを政策目標とする県民計画のあり方については県議会でもたびたび議論されてきましたが、県民計画は余りにも大部であり、今述べたような政策の推進方策について、少なくとも私の周辺で理解されている方はほとんどいないのが実情であります。
 知事は、この幸福関連指標を初めとする県民計画に掲げる県の政策推進の方策に対する県民理解について、十分に進んでいるとお考えでしょうか。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)を推進する上では、市町村、関係団体、企業、NPOなど、そして県民の皆様とその理念や基本方向等を共有し、理解をいただくことが重要であります。このため、計画策定の各段階におきましては、岩手県総合計画審議会や県議会で御議論いただきますとともに、市町村との意見交換やパブリックコメント、住民説明会等を行い、計画に対する理解醸成に取り組みました。
 また、計画に掲げる政策の展開に当たりましては、計画冊子の作成、配布やワークショップを実施しているところであり、今後さらに、県民フォーラムの開催などさまざまな機会を通じて広く県民の理解醸成に努め、いわて県民計画(2019〜2028)の推進を図ってまいります。
〇川村伸浩委員 冊子なり、あるいはワークショップでというお話でありますけれども、やっぱり県民お一人お一人に、岩手県が幸福を目標としているのだ、県民の幸福度を上げたいのだと伝えていかないとだめだと思うのです。冊子なりワークショップというのは、冊子を見ていただけるのであればよろしいのですけれども、あるいはワークショップに参加していただいている方はそういう理解を持っていただけるかもしれませんけれども、なかなかそこに届かないのではないかと思っております。その辺について知事はどうお考えでしょうか。
〇達増知事 ことし前半の県議会での議論、また、この夏の県知事選挙、県議会議員選挙のそれぞれの運動を通じ、岩手県の新しい県民計画は幸福を基本目標に掲げていて、そして10の政策分野ごとに県の計画が整理されていて、それぞれについて幸福関連指標をチェックすることになっていて、北上川流域や沿岸、県北部など地域ごとの特別なプロジェクトというものがあり、また、特別なプロジェクトにはILCも入っているということは、かなりの県民の皆さんに浸透したのではないかと思います。
 特に市町村行政に直接かかわるような計画の内容は、市町村当局とはそれぞれやりとりをしてかなり理解が進んでいると思いますし、農林水産業関係、それぞれ農業協同組合、信用農業協同組合連合会、漁業協同組合関係の皆さんは県の計画も参照しながらそれぞれの計画を推進していくし、また、教育や保健福祉、それぞれ分野ごとに、それぞれの分野に関係する県民の皆さんについてはそれぞれの理解が広まっているところと感じております。
〇川村伸浩委員 計画についてはそのとおりでありますが、やはり幸福という言葉が県民にどう伝わるかがポイントになってくると思いますので、ぜひその辺を、今後10年間この計画を進めていくわけでありますし、スタートの年でもございます。もうちょっと県民に伝わる施策をお願いしたいと思います。
 幸福度に関連する数値目標を掲げ、その実現に取り組んでいくという高邁な計画の内容も、県民の理解があり、県民の協力があり、初めてなし遂げられるものと考えております。その際、最も県民と近く、身近な行政分野を担う基礎自治体である市町村との連携、計画周知への協力、理解醸成は不可欠であります。
 現在、市町村要望については各広域振興局長がヒアリングし、その内容が知事に伝えられる形式となっており、その是非については議会においてもさまざまな議論が交わされてきました。私は、市町村要望というのは、単に市町村長の何々をしてほしいという要望を聞き取るだけの場ではないと考えております。市町村が日々住民と接する中で解決が必要だと考える問題について共有し、その解決に向けてともに知恵を絞ることこそが県民の実感を踏まえた計画達成のプロセスであり、その過程を通じて初めて県民計画の理念が市町村と共有されるのではないでしょうか。改めて、市町村要望への知事の対応姿勢についてお伺いいたします。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)の策定に当たりましては市町村との連携が特に重要でありますので、素案を取りまとめた早い段階で、全ての市町村長から意見を伺うために、昨年7月下旬から8月上旬にかけ4広域圏ごとに市町村長との意見交換を行い、また、ことし1月にも市町村長といわて県民計画について意見交換を行いました。
 また、委員御指摘の市町村要望につきましては、日常的に地域の実情やニーズを把握している広域振興局長が市町村からの要望を受け、私も含め全庁的に市町村の課題を共有し、具体的な対応を検討しているところであり、現在の一連の仕組みは十分機能していると認識しております。
 なお、市町村における個別の重要な案件によっては市町村長と直接協議するなどしておりまして、今後とも市町村との連携を重視した県政を推進してまいります。
〇川村伸浩委員 どの程度課題意識を共有されているかという部分については、市町村長はそこまで思われていないのではないかと私は考えております。
 知事はこれまで、各地域における県政懇談会を通じ県民からの意見を直接聞いたと説明されておりますが、懇談会に参加されるメンバーは限定的であり、とても地域住民を代表した意見とは言いがたいのではないでしょうか。やはり地域の意見を吸い上げるためには市町村長との意見交換会が不可欠であると考えますが、改めて見解をお伺いいたします。
〇達増知事 毎年度、県政の重要課題について市町村長との意見交換会を行っていますほか、市町村における個別の重要な案件によっては、市町村長と直接協議をしております。また、県市町村連携推進会議を毎年開催し、より実務的な観点で副市町村長と県の各部局長等との意見交換や情報共有を行っております。そのような形で県と市町村との意思疎通については図られていると理解しております。
〇川村伸浩委員 次に、人口減少対策についてお伺いいたします。
 人口減少対策は本県のみの課題ではなく、国を挙げて取り組んでいる我が国最優先の課題であります。国では、第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略の最終年度に当たる今年度、2024年度を目標年次とする第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の年内策定に向け、その方向性が示されているところであります。
 それに呼応し、本県においても次期ふるさと振興総合戦略の策定が進められていると理解しておりますが、現行戦略の最終年度となる本年度までの成果も踏まえた上で次期戦略とする必要があると考えます。
 いわゆる四つの基本目標のうち、地方への新しいひとの流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるの2点については、施策の効果が十分発現していないことを国も認めているところであり、その取り組みが困難を伴うことは承知しておりますが、本県人口の社会減は、平成26年のマイナス2、975人から平成30年はマイナス5、215人と、改善どころか大幅に悪化しております。また、合計特殊出生率についても、平成26年の1.44から平成30年は1.41と悪化しております。
 KPIの達成状況だけを見れば、181指標のうち、おおむね達成以上が80%と高い割合を占めている一方、最終的な施策推進目標の達成状況には結びついていない状況であります。これは、制定されている各KPIと施策推進目標との間に乖離があることを示すものと考えますが、各取り組みの成果は好調であるにもかかわらず、施策推進目標の達成からほど遠い要因をどう分析され、その分析を次期戦略にどう反映させようと考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 総合戦略の三つの施策推進目標のうち、社会減ゼロについては、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の創出等が図られたものの、近年の景気や雇用情勢などにより、特に若年層を中心に東京圏への転入超過数が拡大している状況にあります。
 合計特殊出生率の向上については、子育て負担の軽減や仕事と育児の両立支援等に取り組み、平成29年までは目標を上回っていたものの、平成30年になり下回ったところであり、推移を注視していく必要があります。
 国民所得に対する県民所得水準の乖離縮小については、さまざまな暮らしの環境の整備とともに、ものづくり産業や農林水産業等の振興により1人当たりの県民所得は年々上昇していますものの、全国との経済成長率との差などにより、国民所得の上昇幅のほうが大きいことが背景にあると考えております。
 こうした現行の総合戦略の目標や取り組み内容については、まち・ひと・しごと創生法に基づき、国の総合戦略を勘案した上で、国からの助言を踏まえ策定したものであり、戦略の推進においても、KPI達成のための多数の事業が地方創生推進交付金等の国の交付金事業として採択されるなど、国と歩調を合わせ取り組んできたものであります。
 県では、これまでの成果や課題を踏まえ、現行の3本の柱は維持しつつ、新たな4本目の柱として岩手とつながるを追加した上で、必要な取り組みを16の戦略として再編、強化する方向です。
 また、国の第2期総合戦略を勘案し、ソサエティー5.0の実現、SDGsなどの新たな視点を盛り込んだ次期ふるさと振興総合戦略の策定を進め、人口減少対策に戦略的に取り組んでまいります。
〇川村伸浩委員 現在、示されている今後の取り組みの方向性では、ほぼ現在の取り組みの継続にすぎない印象を受けております。達成できそうな目標数値をKPIに盛り込むのみで、そのKPIが施策推進目標とどう結びつくのかについての検討が浅いのではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
〇達増知事 人口減少問題を解決するためには、次期ふるさと振興総合戦略(骨子案)に掲げる4本の柱に基づく12の戦略と4の分野横断戦略の取り組みを着実に実施することによってKPIを達成し、人口減少に関連する要素一つ一つを改善することが重要と考えております。
 こうした考えのもと、施策推進目標やKPIについては、現行の総合戦略における成果や課題を踏まえますとともに、まち・ひと・しごと創生法に基づき、国の第2期総合戦略を勘案した内容とし、今後、改訂する人口ビジョンにおける人口の展望や、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野に基づく各取り組みの指標との関連性にも留意して適切に設定してまいります。
 戦略の推進に当たりましては、毎年度の取り組み状況について、個別の取り組みのKPIとあわせ、施策推進目標の達成状況等を的確に分析しながら、より効果の高い取り組みを重点化するなど、実効性の高い人口減少対策を展開してまいります。
〇川村伸浩委員 東京一極集中の是正には、国による地方重視の抜本的対策の実施を求めて国へ働きかけていくとされておりますが、どんな内容をどのようなルートで誰に働きかけていくことが実施につながると考えているか見解をお伺いいたします。
〇達増知事 東京圏への年ごとの転入超過数は約14万人と昨年から1万人以上拡大しており、地方の社会減拡大の大きな要因となっていますので、地方の実情を十分に踏まえた、地方重視の経済財政政策の実施が必要であると考えております。
 したがって、国における第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に当たっては、東京圏の転出入均衡に向けた地方への人の流れを創出する抜本的かつ総合的な対策を盛り込み、着実に実施するよう、政府予算要望において内閣府や総務省など関係府省庁への働きかけを行いますほか、さまざまな機会を捉え、そして全国知事会など関係団体とも連携し、国に強く訴えてまいります。
〇川村伸浩委員 全国知事会で統一して要望する、あるいは県の統一要望も大切ではありますけれども、やはり岩手を代表して知事が行動を起こすのが政府への働きかけの一番のインパクトになります。ぜひその辺の行動をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、いわて県民計画、ふるさと振興総合戦略、いずれの達成にもそれを支える行財政基盤の安定は不可欠であります。公共事業を初めとする普通建設事業においては、県債を財源に事業を実施、後年度負担を平準化した上で良好な社会資本の整備を進めていくことに対し、いわゆるソフト事業を戦略的に展開していくためには、当該年度に自由に活用できる財源がどの程度確保されているかが重要であります。
 財政構造の弾力性を示す指標として、人件費や公債費等の経常的な支出が県税や普通交付税等の経常的収入に占める割合である経常収支比率がありますが、岩手県の経常収支比率は96.2%と、全国平均の93%を大きく上回っており、財政の硬直化が進んでおります。その要因について、県ではどのように分析され、比率の改善に向けてどう取り組んでいくつもりなのかお伺いいたします。
〇八重樫総務部長 平成30年度決算に基づく経常収支比率は96.2%と全国平均を上回っていますが、これは、過去の経済対策等に伴い発行した県債の償還に要する費用や、必要な地域医療を提供するための県立病院等事業会計への負担金が高い水準にあること、必要とされる歳出と比較して税収や地方交付税などの一般財源の規模が小さいことなどが要因と捉えています。
 県としては、公債費負担の軽減やあらゆる施策を通じた税源涵養に取り組むとともに、国に対して、地方一般財源総額の確保や地方交付税の充実等について要望することで比率の改善と自由度の高い財源の確保を図っていきます。
〇川村伸浩委員 施策推進のために自由に使える財源を確保していくためには、経常収支比率の分母となる県税、地方交付税を増加させることが必要であります。産業振興による税源涵養などの自主的な取り組みだけでは限界があり、地方財政制度の改正、地方一般財源の拡充を国に対し働きかけていくことが重要と考えます。
 知事は、どのような内容を誰にどう働きかけていくことが財源の拡充につながっていくと考えているのか見解をお伺いいたします。
〇達増知事 地方の役割と重要性が一層増す中、地方が創意工夫を凝らし、人口減少対策、地域振興、雇用対策など、主体的にさまざまな取り組みを行うための安定的な財源の確保が必要であります。
 そのため、税源涵養等の歳入確保の取り組みとあわせ、将来にわたる安定的な財政基盤の確立に向け、交付税を含む地方一般財源総額の確保充実、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系の構築などについて、政府予算要望において総務省や財務省など関係省庁への働きかけを行いますほか、さまざまな機会を捉え、全国知事会など関係団体とも連携して国に強く訴えてまいります。
〇川村伸浩委員 先ほどの項目と同じ流れになりますが、やはり知事が岩手を政府にアピールしていく、そういう姿勢が非常に大切だと思っております。ですから、政府とも良好な関係をとっていただければと思っております。
 次の部分についても同じような内容になります。
 個別の政策課題について、まず、ILCの誘致実現についてお伺いいたします。
 10月2日、高エネルギー加速器研究機構が国際作業部会の報告書をもとに提言書を公表いたしました。5、830億円とされる建設費につきまして、土木建設費を我が国が、加速器本体については利用国との国際分担を促す内容となっております。この費用分担を促す提言について、知事は議論の進展につながるとの見解を示しておられますが、我が国が負担するとされた土木建設費は1、300億円弱と試算され、年額400億円弱ともされる運用経費と合わせ多額の経費を要する同計画は、まさに国家的プロジェクトと言うにふさわしい規模と内容であります。
 本県では、県内の民間事業者の皆様を会員とする岩手県国際リニアコライダー推進協議会を中心に経済界先導で誘致の取り組みが進められておりますが、先ほど述べた莫大な経費を勘案すれば、誘致自治体の長として、知事がリーダーシップを発揮し、国と協調しながら県内産学官民の協力体制を牽引していく姿勢を内外に示すことが重要ではないでしょうか。
 一方、さきの参議院選挙における国政に対する知事の政治スタンスからは、この国家的プロジェクトの誘致実現に向けた国との協調姿勢について疑問視せざるを得ません。
 知事は、誘致実現に向けた国との協調の必要性についてどのように認識しておられるのか、あわせて、今後、より強いリーダーシップが求められる局面において国とどう連携していくのかお伺いいたします。
〇達増知事 県では、1990年代からリニアコライダーに関する情報収集や研究者とのネットワークの構築等を進め、これまで、建設候補地として、施設整備に向けた地質等の基礎調査や、海外からの研究者等が安心して暮らせる受け入れ環境の整備、県内外での普及啓発活動、ILC関連産業の振興などに取り組んでまいりました。また、文部科学省の有識者会議や日本学術会議に対応し、地域住民との対話や環境アセスメントなどに関する取り組みも進めてまいりました。
 この間、平成20年には、国内の産学官が結集した先端加速器科学技術推進協議会及び超党派国会議員で構成されるリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟が結成され、翌平成21年には、現在の東北ILC推進協議会の前身となる東北加速器基礎科学研究会が発足するなど、多くの推進団体が組織され、県と連携しながらILC実現に向けた取り組みを積み重ねてまいりました。こうした県や多くの関係者の取り組みが、本年3月の日本政府によるILC計画への初めての関心表明や、いわゆる骨太の方針2019に反映されたものと捉えております。
 また、県では、建設候補地における取り組み状況の海外への発信など、海外との関係強化にも積極的に取り組んできており、こうした取り組みが日仏、日独のディスカッショングループの設置等にもつながったと考えております。
 さらに、本県から、北海道東北地方知事会や北海道・東北六県議会議長会、東北市長会、東北ILC推進協議会の4団体に呼びかけ、本年6月に政府への要望を合同で行うなど、誘致決断を促す活動を展開しております。
 今後も、長年にわたる取り組みの実績と関係者のつながりを生かし、超党派国会議連や研究機関、推進団体などとともに、政府への要望や国民理解の増進など、ILC実現に向けて取り組んでまいります。
〇川村伸浩委員 このILCにつきましては本当に長い間さまざまな団体が実現に向けて取り組んできたわけでありまして、やはり、ここ一番、県を代表する知事がリーダーシップをとって推進に向けて動くことが非常に大切になってくると思います。ぜひとも知事の行動力に期待するところであります。
 次に、本県における農業振興についてお伺いいたします。
 平成28年、平成29年と2年続けて市場に投入された本県ブランド米、金色の風、銀河のしずくの2銘柄については、平成30年度の作付面積がそれぞれ227.6ヘクタール、1、420ヘクタール、栽培に取り組む経営体数は、それぞれ219経営体、527経営体に上っております。
 まず、当該2銘柄の本年度の作付面積及び取り組み経営体の状況について伺うとともに、市場での評価をどう認識されているのかお伺いいたします。
〇保副知事 まず、作付の状況についてでございますけれども、令和元年産の金色の風でございますが、作付面積は、前年から約67ヘクタール増加し約295ヘクタール、銀河のしずくは、約61ヘクタール増加いたしまして約1、480ヘクタールとなっております。
 また、経営体数についてですけれども、金色の風は180、銀河のしずくは508となっておりまして、若干数は減っておりますが、両品種とも1経営体当たりの作付面積は増加している状況でございます。
 次に、市場の評価ですが、売り込みのフロントに立っております全農岩手県本部の話ですけれども、大手米卸売業者からは、令和元年産の金色の風、銀河のしずく両方とも平成30年産よりも多くの引き合いをいただいているということでございます。また、首都圏の米穀専門店等からは、お客様のリピートも多く、売れ行きは好調であるとの声をいただいておりまして、これまでの両品種のブランド化に向けた県あるいは業界一丸となった取り組みが着実に評価を上げているものと受けとめております。
〇川村伸浩委員 市場での評価が価格に結びつき、高価格での取引が米農家の所得を向上させ、農家の生産意欲の向上につながる好循環を生み出していくことがブランド米の市場投入の意義であります。
 銀河のしずくについては、その品質目標をクリアできない場合は、主力米であるひとめぼれとの価格が逆転する場合もあると聞いております。これでは、つくりなれているひとめぼれから銀河のしずくへの生産シフトの意欲を持つことが難しい状況であります。
 県では、この現状をどう認識し、ブランド米生産が農家のメリットとなるような施策を今度どう展開していくのかお伺いいたします。
〇保副知事 銀河のしずくにつきましては、県が作成いたしております栽培マニュアルにおきまして、食味に関する高い品質目標を設定することにしております。これは、一等米であることや、玄米に含まれるたんぱく質の含有量率といったものを指標にしているものでございます。これをクリアした場合のみ銀河のしずくのブランド名で出荷、販売ということになっているものでございまして、平成30年産米では、その合格率といいますかクリア率が94%となっております。
 全農岩手県本部からは、品質目標を満たさない銀河のしずくは、県中部に適した品質でありますあきたこまち並みの価格を想定していると伺っておりますけれども、こうしたことから、銀河のしずくの栽培農家の皆様に意欲を持って所得アップを図ってもらうためには、栽培研究会の活動を中心といたしまして、確実にこの目標をクリアすることが大事になってきます。
 県といたしましては、この栽培研究会の取り組みをこれまでも支援してまいりましたけれども、今後とも、特に新しい技術―リモートセンシング技術の活用による品質管理や高精度の食味分析機器などを活用した食味向上に向けた生産管理といった技術面での支援を行いながら、安定生産に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇川村伸浩委員 本県は米の収穫量で全国11番目の産地であり、上位の道県に迫るブランド力を市場で獲得していかなければ、産地としての認知度も向上せず、過熱しているブランド米の産地間競争の中で埋没してしまい、これまでの開発期間、費用、関係者の努力が報われない結果を招いてしまいます。
 岩手として二つのブランドを掲げている中、販売の現場では、現実的に売り場での棚確保に苦労するとの話も聞きます。今後の本県の米のブランディングの方向性について知事にお伺いします。
〇達増知事 県では、いわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づいて、生産面では全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、販売面では、大消費地でのトップセールスや米穀専門店を訪問してのPR、県内外でのテレビCMなど積極的なプロモーションを展開してまいりました。その結果、米のヒット甲子園2018において、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターが厳選した全国の銘柄米の中から金色の風が2年連続、銀河のしずくが3年連続して最終審査の9銘柄に選出され、さらに銀河のしずくは、本年6月に開催されたG20大阪サミットの首脳夕食会で提供されるなど、全国的に評価が高まっていると認識しております。
 また、全国最大級の取扱量を誇る大手米卸業者から、岩手は、主力のひとめぼれに加え、高品質、良食味の県オリジナル品種が二つも加わり、高級ブランド米から業務用仕向けの米をそろえる全国有数の産地として強い信頼をいただいており、引き続き、金色の風、銀河のしずくのブランド力の向上が県産米全体、ひいては岩手の農林水産物全体のブランド力の向上につながるよう取り組んでまいります。
〇川村伸浩委員 農業生産者の高齢化、後継者不足の対策として、人材確保の取り組みとスマート農業に代表される新たな技術を活用した取り組みを両輪として進めていくことが重要でありますが、その取り組みを支える農業生産の効率化の基盤である圃場整備による水田整備率は平成28年度で52%と全国平均を下回り、東北最低の水準であります。
 経営体育成基盤整備事業は、平成27年度の35億円から平成30年度決算では81億円と大きく伸びてはおりますが、いまだ潜在的な需要に応える水準ではなく、改良区、農家の皆さんは、自分の地区の採択時期や実施時期が見通せない中で、経営後継者へ良好な水田を残せるか不安な状態で高齢化が進んでいるのが現状であります。
 国の予算額や公共事業規模に左右される中で、将来計画を見通すことは困難であることは承知しておりますが、事業規模や採択率等に一定の過程を置いてでも今後の事業採択や実施時期について圃場整備のロードマップを示すことが営農意欲を高め、担い手の確保にも大きな効果があるのではないかと考えますが、見解についてお伺いいたします。
〇保副知事 経営体育成基盤整備事業の進め方ですけれども、県といたしましては、事業の実施に当たり、地域の合意形成が一定程度進んだ地区から、順次、市町村等から申請を受けて、詳細な現地調査と事業計画の策定作業を行う調査事業を実施いたしまして、国に事業の採択申請を行うという流れになっております。この国に対して採択申請を行った時点で事業に着工する時期がおおむね決定することになります。
 農家の皆様にとりましては、自分のところがいつどうなるのかというのが最大の関心事になるかと思いますけれども、その見通しなどにつきましては、県が、今申し上げました調査事業の過程において、きめ細かくその地域での話し合いを重ねる中で、農家あるいは土地改良区の皆様が農業の将来展望を描けるよう、丁寧に情報提供しながら進めることにしております。
 具体的には、ほかの地区におけるこれまでの実績ということで、地域の合意形成が図られてから着工までの間におおむね平均で約3年を要していることですとか、着工から最終的に全部の事業が完了するところまでは平均で約11年を要しているといったような情報なども伝えまして、その合意形成あるいは御理解をいただきながら事業を進めております。
〇川村伸浩委員 次に、私はこれまで、県議会で何度となく6次産業の振興について取り上げてまいりました。国では、6次産業の市場規模を令和2年度に3.2兆円まで拡大する政策目標のもと、さまざまな支援措置が講じられており、この流れに乗りおくれてしまうことは県内農林水産業の大きな損失となります。
 そんな中、県では、平成29年度からいわてワインヒルズ推進事業を実施し、究極の6次産業とも言える地元産ブドウの加工によるワイン生産の拡大に向け精力的に取り組まれていることを評価いたします。
 同事業は今年度3年目を迎え、地域に適した醸造用ブドウの品種選定を初め、ワイン生産に必要な技術の習得を目的としたいわてワイン生産アカデミーの開講など、県内でのワイン生産への関心を高める事業として一定の成果を上げております。
 一方で、ブドウ産地における生産者の高齢化、後継者不足等への対応、県外、国外への情報発信等については、今後、展開が期待される分野であります。事業開始3年目となる今年度までの成果を踏まえ、さらにブラッシュアップした事業としての継続を期待するものであります。
 そこで、県内ワイナリーの設置状況や生産量、醸造用ブドウの生産状況について、これまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇保副知事 まず、本県のワインをめぐる状況についてでございますが、平成20年度、この年は酒類の製造数量基準の緩和によりましてワイン製造に参入しやすくなった年でございます。この平成20年度と比較いたしますと、現在、ワイナリーは8カ所増加し13カ所。それから、データはちょっと古くなりますが、平成29年度のワインの生産量は634キロリットルで21%の増、醸造用ブドウの生産量は324トンで51%の増となっております。
 6次産業化や交流人口の拡大は中山間地域の活性化にとって大変重要でありまして、委員御紹介のとおり、平成29年度にいわてワインヒルズ推進事業を立ち上げまして、いわてワインヒルズ推進協議会が中心になりましてさまざまな取り組みを図っております。
 中でも、人材育成のためのいわてワイン生産アカデミーというものがございまして、これまで、アカデミーの修了生のうち、4人が新たにワイナリーを開設いたしております。また、5人が新たに醸造用ブドウの生産に取り組むということで、新しい担い手が順調に育ってきているのではないかと考えております。
 本県のワインの特徴というのは、古くからの大規模なワイナリーから参入間もない小規模なワイナリーまでそれぞれバラエティーに富んでおりまして、非常に個性のあふれるワインづくりが進められております。一般消費者からワインの愛好家まで、それぞれに御満足いただけるようなワインを送り出す、そのような産地として評価されるよう、今後ともPR、あるいは交流人口の拡大に生かす、さらには醸造用ブドウの生産拡大といったさまざまなワインをめぐる局面におきまして力を入れていって、ワインを核とした産業の振興を図っていきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 6次産業の振興と同様、農林水産物の輸出についても、令和2年度1兆円の目標を前倒しして達成すべく、国を挙げて取り組まれているところであります。我が国全体では、平成24年に4、497億円であった輸出額は平成30年に9、068億円に達し、その伸び率は102%、1兆円の目標達成も間近であります。本県においても、同期間に10億円から平成30年には32億円と3倍以上の伸びを示しておりますが、輸出額全体に占めるシェアは低く、いわば国の目標1兆円に対する産地間競争において存在感を示しているとは言いがたい現状であります。
 本県は、ソウル、大連、雲南に海外事務所を有し、それを足がかりにした農林水産物の輸出振興策の展開が期待されるところでありますが、農林水産物の輸出促進に向けた海外事務所の活用を含めた振興策について、これまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇保副知事 輸出の振興についてでございますけれども、本県では、いわて農林水産物国際流通促進協議会を組織いたしまして官民一体で取り組んでおります。平成30年の農林水産物の輸出額は、今、御紹介もありましたが約32億円ということで、これは震災前、平成22年がおよそ17億円でございましたので、着実に伸びている状況でございます。
 岩手としてさらなる輸出拡大を図るという面では、現地の流通関係者との強いネットワークの構築、あるいは海外のフェア等を通じて、現地の消費者の高い信頼と評価をかち取ることが重要であります。
 県では、アジアや米国等に太いパイプを持ちます輸出コーディネーターを今、3人委嘱しておりますけれども、その方々を初めとするビジネスパートナーと連携しながら、今後、リンゴの輸入を解禁いたしましたカナダ等の新たな有望市場の開拓、それから、日本食が非常に人気になっております、日本食レストランが増加して牛肉や米の需要が高まっておりますアジア地域、これらをターゲットとして、トップセールスを初め、バイヤーの招聘による産地の商談会、海外でのフェアといったものを通じまして輸出拡大に取り組んでまいります。
 海外事務所は中国と韓国にあるわけですけれども、現在、放射性物質の影響等によるさまざまな輸出規制等もございまして、輸出できる品目が限られている状況であります。これらは、加工食品の形で輸出を着実に進めていくという考えであります。
〇川村伸浩委員 続いて、海外事務所のあり方についてお伺いいたします。
 平成17年4月に宮城県と共同で大連経済事務所を開設して以降、既に14年を超え、その間、ソウル事務所、昨年は雲南事務所を設置するなど、現在、県では三つの海外事務所を設置しております。昨年の相談実績は、大連経済事務所で109件、開設したばかりの雲南事務所で41件であり、交流の拡大に伴う連絡調整業務も年々拡大しているとのことであります。
 しかしながら、現在、いわて花巻空港の定期便が台湾、上海に就航していることからも、本県との経済的結びつき、観光誘客を勘案した場合、現在の海外事務所の体制がふさわしいのか、本格的に検討する時期ではないかと考えます。
 例えば、大連経済事務所について、定期便が就航している上海とは空路で2時間程度の移動が可能な距離とはいえ、その移動には費用や時間のロスがあり、今後、中国における観光、経済交流の拠点となる事務所の場所としてふさわしいか検討すべきではないでしょうか。今後の海外事務所のあり方について、再編、新設等も含めた現時点での知事の考えをお伺いいたします。
〇達増知事 県では、中国及び韓国において、県産品の販路や観光誘客の拡大によって本県経済の活性化を図るため、海外事務所を設置しているところであります。
 大連経済事務所においては、大連市と地域間連携協定を締結し、活動の基盤を強固なものとしながら、上海万博出展を契機とした南部鉄器の普及拡大、大連の大手総合商社と岩手県産株式会社との戦略的パートナー協定の締結による販路拡大などの成果を上げてきたところであります。
 また、雲南事務所においては、雲南省との友好交流協力協定に基づき、経済交流、青少年交流、農業交流等の幅広い交流活動を支援しており、経済分野での工芸品の新規取引の実現や教育分野での教員の相互派遣、農業分野での友好交流協力協定の締結など、着実に実績を上げているところです。
 さらに、北東北三県・北海道ソウル事務所においては、観光分野では、広域的な観光情報の発信により平成30年の韓国からの観光宿泊者数が震災前の水準を初めて上回り、また物産分野では、韓国で人気が高まっている日本酒を中心とした販路拡大の支援により平成30年は日本酒の輸出額が過去最高となったところであります。
 このように、いずれの事務所におきましてもさまざまな成果を上げてきておりまして、当面は、現在の事務所を活動拠点として、さらなる経済交流の拡大に努めていきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 本県の今後の道路整備についてお伺いいたします。
 県では、平成24年度決算において実質公債費比率が18%以上となり、公債費負担適正化計画を策定し、公債費の適正化、ひいては財政の健全化に向け取り組んできたと認識しております。
 その原因については、県では、バブル崩壊に対応するため、国とともに道路や河川などの公共投資を中心とした経済対策を実施したことや、県立大学や東北新幹線延伸、アイーナの建設など公共施設の整備に積極的に取り組んだことによる多額の県債発行を挙げております。
 先般、当該計画の実現が2年前倒しとなり、平成30年度決算において達成されたとの報告がありました。県の見通しによれば、今後も公債費は低下を続け、令和2年度決算では13.8%まで低下するとのことであります。過去の経験に学べば、いたずらに公共投資をふやしていくことは決して望ましいことではありませんが、東日本大震災津波からの復旧、復興事業を全力で進めるため、特に内陸部の道路整備については、必要度の高い箇所、路線まで抑制されてきたと感じております。
 国の復興・創生期間が来年度に終了することを踏まえ、同期間終了後の道路整備を全県的にどう進めていくつもりなのかお伺いいたします。
〇保副知事 国の復興・創生期間が終了いたしますと、復興事業も終息に向かうということでございます。そういったことも見越しまして、県といたしましては、できるだけいわゆる通常分と言われております一般的な公共事業の額については確保していかなければならないという強い認識を持っているわけでございますけれども、とりわけ公共事業の中でも道路の整備に関しては、県内全域の皆様から非常に多くの要望をいただいているところでございます。
 今後は、災害に強い道路ネットワークの構築という面でも非常に大きな意味を持ってくると思います。また、日常生活を支える安全・安心な道路づくり、物流の効率化や生産性の向上などに資するといった面でも道路整備は極めて重要でありまして、計画的に進めることにしたいと考えております。
 そのためには、まず、安定的な予算を確保することが必要でございまして、令和2年度の県当初予算要求・調整基準におきましても、引き続き通常分の公共事業費について5%のプラスシーリングを図るということで進めております。それから、11月1日には、東京都内におきまして、これは初めてのことになりますけれども、岩手県道路整備促進中央大会を開催いたしまして、知事が先頭に立ち、県内全域から市町村長の皆様にも参加いただきまして、復興・創生期間以降の公共事業予算の確保等を国に強く働きかけることとしております。最大限の国費の活用に努めながら、安定的、持続的な予算の確保を図り、道路整備の取り組みを進めてまいります。
〇川村伸浩委員 ぜひとも、限られた予算ではありますが、国の協力を強力にいただきながら、市町村あるいは地域からの要望に応える道路政策を進めていただきたいと思います。
 最後に、主要地方道花巻大曲線の整備状況についてお伺いいたします。
 この路線につきましては、西和賀地区と内陸を結ぶいわゆる8の字ルート交通網に位置づけられ事業展開が図られてきたところであり、花巻市と西和賀町を最短距離で結ぶとともに、岩手県内陸部と秋田県内陸部を接続する広域な重要路線でもあります。先般の台風第19号がもたらした道路被害を鑑みても、安全で安心できる地域づくりのためには災害に強い道路のネットワーク整備を図ることが喫緊の課題となっており、同路線についても、過去に土砂崩れにより国道107号が寸断された際には、改めて迂回路や代替道路としての重要性が認識されたところであります。
 災害に強い道路ネットワークは、交流、連携、防災、減災のために不可欠な基盤であり、一刻も早い本路線の整備完了が待たれるところでありますが、整備状況と完了予定について具体的にお答えをお願いいたします。
〇保副知事 花巻大曲線につきましては、昭和61年度から花巻市の中山地区と西和賀町の川舟地区の間8.5キロメートルで、交通不能区間の解消を目指し、整備を進めてまいりました。
これまでに約7キロメートルの区間を供用しておりますが、未改良となっておりました小倉山の2工区、約1.5キロメートルの改良工事を現在進めているところでございます。
 現在は、橋梁の上部工工事を進めておりますけれども、今年度は、社会資本整備総合交付金の国からの予算内示を受けまして、小倉山4号トンネルの着工が可能となったところでございまして、先般、必要な経費につきましては、9月補正予算におきまして議決いただいたところでございます。今後、鋭意整備を進めてまいります。
 完了予定については、おおむね5年程度を見込んでいるところでございます。
 なお、平成30年度の土砂崩落により全面通行どめになっている現道部分についてですけれども、仮設道路の設置を今進めておりまして、年内の供用開始を目指しているところでございます。
〇川村伸浩委員 6億9、100万円の9月補正予算ということで債務負担行為になったわけでありまして、今、完了予定が5年程度というお話でありましたが、これは、来年度―令和2年度に上部工が完成し、そして、令和3年度からトンネルに着手し、令和5年度に開通予定という認識でよろしいでしょうか。
〇保副知事 おおむね今お話のありましたとおりの見込みということでございます。トンネルは、穴を掘ってから完成させるまで時間が必要でございまして、3年ないし4年ぐらいはかかるのではないかという見込みでございますが、できるだけ早く完工するように努めてまいります。
〇川村伸浩委員 できるだけ早くということでありますが、地元としますと一日も早くということになるわけでありまして、目途としては、令和5年度を目途ということでよろしいでしょうか。再度、済みません、お願いします。
〇保副知事 失礼いたしました。見込みといたしましては、令和6年度までかかるかなというところで、令和6年度までという見込みでございます。
〇川村伸浩委員 令和6年度ということで確認させていただきました。いずれ地元でも大変期待しておりますし、また、広範囲の部分でもこの道路に係るさまざまな期待感があるわけでありますので、順調に進めていただきたいと思います。
 通告しておりました項目が終わりましたので、私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 次に、吉田敬子委員。
〔吉田敬子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇吉田敬子委員 いわて新政会の吉田敬子です。
 まず、台風第19号災害により亡くなられた方々へお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様へお見舞い申し上げます。
 順次質問してまいります。よろしくお願いいたします。
 安心して子供を産み育てられる環境について、まずはお伺いいたします。
 高齢出産、低出生体重児の割合増加に伴い、ハイリスク妊娠、出産に対する医療や高度な新生児医療の需要が一層高まる中、岩手県内の分娩取扱医療機関は、平成22年度の40施設から、現在は27施設にまで減少。分娩取扱病院のある市町村は33市町村中11市町のみ。花巻市では、来年3月に分娩を取りやめる診療所もあるとも聞き、岩手県の周産期医療を取り巻く環境は大変厳しく、産科医、小児科医の不足や地域偏在が存在しているのが現状です。
 2018年度事業は、周産期医療体制の充実のための新たな事業が複数盛り込まれました。岩手県では、年間30名程度の新生児が総合周産期母子医療センターに救急搬送されております。2018年度にドクターヘリに新生児搬送に必要な保育器や人工呼吸器等の医療機器が整備され、新生児ヘリコプター搬送体制が整備されました。岩手医科大学附属病院が矢巾町に移転、開院した後の運用開始ということで、その間の搬送はまだないと伺っております。
 また、救命救急士等を対象とした新生児蘇生法及び母体救急救命の研修を県としては行っておりますが、誰がどの程度それぞれの研修を受講しているのか、その人数は十分との認識か、まずはお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、ドクターヘリによります新生児搬送についてでございますけれども、県におきましては、緊急対応を要する新生児等のドクターヘリによる搬送体制の確保に向けまして、岩手医科大学に対しまして、専用保育器、人工呼吸器等の医療機器の整備に必要な支援を行ったところでございまして、現在、岩手医科大学におきまして運航体制の構築が進められており、今後、運用が開始されるところでございます。
 新生児搬送に当たりましては、救急医療担当のフライトドクター、フライトナースによります通常のドクターヘリの搬送体制に加え、小児科医師1名が搭乗することとなりますが、小児科医師のスタッフは計4名が予定されているところでございます。
 現在、岩手医科大学におきましては、必要な安全教育など運用開始に向けた準備が進められているところでございますが、今後、小児科医師や消防機関等が、実際の機材を用い、さまざまなパターンのシミュレーションのもとに訓練を行い、問題点に対する対策の検討などが重ねられるものと考えておりまして、これらを経て、安全な運航体制の確保が図られるものと考えております。
 次に、新生児蘇生法及び母体救命研修についてでございますけれども、新生児の緊急の救命措置に要する高度な専門技術等の習得を目的といたします新生児蘇生法研修につきましては、平成30年度の受講実績を申し上げますと、210人が受講しており、その内訳は、医師28人、助産師60人、看護師84人、救命救急士38人となっております。
 また、母体救急に要する専門的技術等の習得を目的といたします母体救命研修につきましては、同じく平成30年度におきまして、主に病院内での妊産婦救急蘇生等の高度な専門技術の習得を目的とする研修におきましては、19人が受講し、その内訳は、医師3人、助産師15人、救急救命士1人となっております。
 また、緊急対応を要する妊産婦に対する処置技術等の習得を目的とする研修につきましては、18人が受講し、その内訳は、医師3人、助産師14人、看護師1人となっております。
 これまでの受講者数は、新生児蘇生法研修につきましては延べ857人、母体救命研修につきましては延べ141人に上っているところでございまして、新生児及び妊産婦の救急医療を支える人材は相当程度養成されてきているものと認識しておりますが、ハイリスク妊産婦の増加等に適切に対応していくためには、日進月歩の状況にございます救命救急の専門技術の進歩に応じました人材育成を図る必要があると考えておりまして、これらの研修を継続し、さらなる受講者の拡大を図ってまいります。
〇吉田敬子委員 次に、人材育成、確保の取り組みについてお伺いいたします。
 産科等を専攻する奨学金養成医師は特例措置が設けられましたが、その状況はどうなっていますでしょうか。平成27年度開始のシニアドクター制度は、これまで、採用数20名に対し、退職者が7名出ています。産科医及び小児科医の招聘にもっと力を入れるべきではないでしょうか。
 同じく平成27年度導入の県立病院におけるママドクター制度で確保できたのは、これまで磐井病院の産婦人科の女性医師1名とも聞いております。特に小児科医、産婦人科医ともに女性医師の割合が増加していることから、育児や家庭との両立支援となる具体的なものを県独自でつくるべきと考えますが、県の考えをお伺いいたします。
〇達増知事 産科等を専攻した奨学金養成医師の状況については、平成28年度に県が養成医師の配置を開始して以降、この4年間に養成した132名中、産科が5名、小児科が7名となっており、そのうち、平成30年度の特例措置の運用開始後の1年間で、産科、小児科それぞれ2名が当該診療科を選択しており、増加の兆しが見られるところであります。
 なお、本県出身の自治医科大学卒業医師についても、毎年度3名程度養成されており、今年度新たに配置となった1名が小児科を選択したところであります。
 即戦力医師の招聘については、平成18年9月に医師招聘の専担組織を設置して以降、これまでに延べ157名の医師を招聘しており、そのうち産科医が5名、小児科医が19名となっています。
 産科医、小児科医を初めとした医師の確保については、全国的にも厳しい状況にありますことから、本年度、医師支援推進室の体制を強化し、本年10月1日現在で昨年度の同時期より9名多い13名の医師を招聘し、そのうち小児科医が3名となっています。
 女性医師への支援については、県において、夜勤時のベビーシッターの派遣や育児休業後の復職研修などを実施していますほか、県立病院においても、現場の意見を聞きながら、院内保育所による24時間保育の導入や育児短時間勤務制度の拡充などに取り組んでいまして、今後、さらにニーズが高い病児保育の実施について検討を進めることとしております。
 女性医師については、医師としてのキャリア形成の時期と出産、育児の時期が重なることも多いことから、個々の状況に応じた両立支援が重要と考えており、県としては、県内外の効果的な取り組みを収集し、広く波及させていくことにより、女性医師が働きやすい職場環境づくりに取り組み、産科等の医師の確保、定着につなげてまいります。
〇吉田敬子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 医師等の負担軽減の取り組みについてお伺いいたします。
 周産期医療情報ネットワークいーはとーぶは、平成29年度には県内全ての市町村が参画し、医療機関との情報連携体制が強化されましたが、医師負担軽減にどの程度貢献しているのか伺います。
 また、平成30年度包括外部監査の結果報告書では、課題も指摘されました。システムが稼働して9年が経過いたしますが、医療情報の共有により速やかな支援につながったケースがあり、本格的な運用がなされている一方で、活用が余り進んでいない医療機関もあるといいます。このシステムの利用状況や機能の更新等について、今後の取り組み方針もあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 周産期医療情報ネットワークいーはとーぶにつきましては、平成21年度に、母体の緊急搬送、患者紹介の遠隔化や産後の育児支援等を目的に整備したものでございますが、ハイリスク妊産婦等の受け入れ先医療機関におきまして、健診データや病歴などを瞬時に参照することが可能となることで、リスクレベルに応じた必要な医療の提供までの時間短縮につながるなど、医師の負担軽減にも寄与しているものと認識しているところでございます。
 システムの利用状況につきましては、これまでに延べ6万7、122人の妊産婦の情報が登録されておりますが、全市町村の参加を得ておりますことから、母子健康手帳交付者に対する登録者の割合は、県全体で95%を超えているところでございます。
 また、利用の主な内容は、母体搬送に関する情報が2、801件、市町村や医療機関との間で妊婦情報を共有した件数が4、420件などとなっております。
 このシステムによりまして、ハイリスク妊産婦等に対する迅速な医療提供が可能になりますとともに、市町村との情報共有によります産後鬱等に対する適切な保健指導にもつなげられる面でも極めて重要なシステムであると考えております。
 したがいまして、機能の更新等につきましては、利用上の問題点を検証しながら、逐次、システムの改良を行ってきているところでございますが、さらに、市町村や医療機関が有する他の医療情報システムとの連携や各種統計機能の改良等について、システム開発業者や市町村、医療機関の関係者も交えながら具体的な検討を行っているところでございまして、今後、市町村や医療機関のニーズを踏まえたシステム構築を図ってまいります。
〇吉田敬子委員 次に、産婦健診と産後ケアの取り組みについてお伺いいたします。
 県の積極的な取り組みにより、県内各地で産後ケアを実施する市町村がふえ、17市町に広がりました。しかし、いまだ事業を実施している自治体は限られ、事業の内容にはばらつきがあり、質の向上が課題であると感じております。また、利用に当たっての負担額にも差が生じており、利用をためらう産婦も少なくなく、地域間格差が生じ十分な支援につながっていないのも現状です。
 県では、子供の定期予防接種体制を見直し、広域予防接種パスポートの仕組みをつくっていただき大変感謝しておりますが、産後ケアについても、ぜひ同様の仕組みづくりを検討していただきたいと思っております。例えば、花巻市出身で久慈市民のお母さんが、花巻市で里帰り出産をし、花巻市での産後ケアを受ける際に、花巻市の補助が利用できないのが現状です。
 知事はこれまで、一般質問の質疑で、県は広域的な調整役であると御答弁されておりますが、この予防接種において、里帰り出産のお母さんに対応しているように、産後ケアについても、居住または里帰りの際の隣接する市町村において広域的な利用が可能となるようにするなど、ぜひ検討していただきたいがいかがでしょうか。
 また、市町村では、生後28日以内に新生児訪問と、生後4カ月を迎えるまで、こんにちは赤ちゃん訪問も実施されることとなっておりますが、これらと産後ケア事業の取り組みの状況を県は把握し、仮に未実施の市町村がある場合は、速やかな実施を求めるべきであると考えております。
 さらに、産後鬱の予防や新生児への虐待予防等を図るため、産後2週間、産後1カ月など、出産後間もない時期の産婦健康診査がありますが、県内で公費の助成をする市町村は22市町村になっております。
 県において、産後の女性への支援に地域間格差を生じないよう、また、あらゆる方法で産後鬱予防と児童虐待防止につなげる取り組みと連携を強化していただきたいと思いますが、さきの私の提言に対する所感も含め、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇達増知事 産婦健診と産後ケアの取り組みについてでありますが、新生児訪問事業及び乳児家庭全戸訪問事業は、現在、県内全ての市町村において実施されているところでありますが、産後ケア事業や産婦健康診査事業については、委員御指摘のとおり、全ての市町村における実施には至っておらず、その取り組みは市町村によって違いが見られるところであります。
 県では、こうした母子保健施策が、広く妊産婦等と接触する機会として効果的に実施されることが、悩みを抱える妊産婦等を早期に把握し、産後鬱と児童虐待の発生予防や早期発見等につながると考えておりまして、中でも、心身の不調または育児不安等を抱える産婦に対して実施する産後ケア事業は、その効果が高く、産婦健康診査事業の実施にもつながることから、いわて県民計画(2019〜2028)において、全ての市町村における事業の実施を目標に掲げ、取り組んでいるところであります。
 市町村が産後ケア事業を実施するに当たっては、対応スキルを習得した専門人材の確保に課題があると認識しておりまして、県としては、支援を担う潜在助産師の掘り起こしや、研修会による母子保健指導者等の資質向上などにより市町村の事業導入を支援します。
 また、委員御提言の広域的な連携については、産後ケア事業の実施市町村が半数にとどまっている状況を踏まえ、まずは全県にその取り組みを広げることが必要と考えていますが、今後、広域的な連携のあり方について市町村と意見交換を行ってまいります。
〇吉田敬子委員 産後ケアの事業については、先ほど例えを申しましたとおり、例えばですけれども、花巻市でやっている事業に対して、盛岡市だったり滝沢市からも行っているお母さんたちがいらっしゃいますし、実際に花巻市出身だけれども、里帰りで行っているということで事業が使えない、その補助は使えないということがあります。やはり県としては、広域的にそういう調整役としてやっていただきたいです。各市町村に広げることももちろん大事なのですけれども、現在、17市町で産後ケアの取り組みをやっていますが、負担金がないところもあれば、実際3、000円出さなければいけないところもあったりとか、内容もすごくばらつきがありますので、33市町村全部やればいいということではなく、中身の質もぜひ検討していただきたいと思っております。
 次に、キャリア教育とライフプランニング支援についてお伺いいたします。
 2013年の若者の意識に関する調査では、男女とも年齢が高くなるほど妊娠する確率が下がるなどについて、よく知らない、または知らないと答えた人は、高校生に当たる15歳から19歳までにおいて44%もいるという結果が出ており、特に、妊娠と年齢の関係についてよく知らない人が多いことがわかっております。
 文部科学省では、学校教育段階におけるキャリア教育の推進については、若者がみずからの進路を選択する際に、就職のみならず、結婚、出産、育児等のライフイベントを踏まえた生活のあり方も視野に入れて総合的に考えることができるようにすることが重要だとしております。そのため、高校生が生涯を通じて主体的に生涯の生活を設計したり、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現したりすることができるよう、教材も作成しております。
 過去の予算特別委員会でもキャリア教育とライフプランニング支援については取り上げさせていただきましたが、その後どのように進んでいるのか、課題の認識についてもお伺いいたします。
〇達増知事 教育委員会では、全ての高等学校においてキャリア教育に関する計画を作成し、生徒に身につけさせたい資質、能力を明確にしながら、生徒の実情に応じた取り組みを進めています。
 また、本年5月には、私が盛岡工業高等学校に出向き、岩手で働き、暮らすことを選択してもらえるよう、生徒の保護者に直接説明するなど、教育委員会と知事部局が連携した取り組みも進めているところです。
 ライフプランニングについては、家庭科及び保健体育の教科において、結婚、妊娠、出産、子育てなどのライフイベントを踏まえた人生の見通しについて、補助教材も活用しながら、全ての生徒が学習し、主体的に人生を設計できるライフデザイン能力の育成に努めているところであります。
 一方、今般の学習指導要領の改訂に伴い、令和4年度から実施される高等学校家庭科では、生涯における生活設計の内容の充実が図られたところであり、教員の指導力向上が一層求められていると認識しております。
 このため、昨年度から、家庭科教員に授業の工夫や消費者教育の指導方法等の研修を実施するとともに、教科以外においても、社会人講師による講演会を開催するなど、引き続き、その内容の充実を図りながら、キャリア教育とライフプランニング支援の推進に努めていくこととしております。
〇吉田敬子委員 平成30年度においては、ライフプランニングの内容を取り扱ったのは、小学校で3%、中学校は24%、高校は31.5%という資料もいただいておりますので、引き続き、さらに進むように、ぜひよろしくお願いいたします。
 医療的ケア児への支援についてお伺いいたします。
 県は、10月20日、日常生活を送るために医療行為が必要な医療的ケア児に関する初の実態調査結果を公表いたしました。重度の肢体不自由と知的障がいが重複する重症心身障がい児、かつ医療的ケアが必要な児は129名、医療的ケアのみ必要な児は66名でした。アンケートから、家族の通院時の介護や時間的制約に負担感が大きいこと、一時的な受け入れニーズの対応が不十分であることが示されました。
 また、10月12日には、病気や障がいのある子供たちを支援する、いわてチルドレンズヘルスケア連絡会議が設置されました。新生児医療の発達で救われる命、また医療的ケアを必要とする子供がふえている一方で、ライフステージに応じて、その後の成長を支える切れ目のない取り組みはおくれているのが現状だと感じております。
 医療的ケア児等が適切な医療を受けながら、保育及び学校生活等が送れるよう、平成30年度は既存の岩手県重症心身障がい児・者支援推進会議に保健、保育、教育などの関係者を加えて連携体制を強化されたことに対しては、評価いたします。その後の関係機関の連携強化によって、平成30年度は具体的にどのような成果があったのか、課題とあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 医療的ケア児への支援についてでございますけれども、昨年度、県におきましては、今、委員から御紹介もございましたけれども、岩手県重症心身障がい児・者及び医療的ケア児・者支援推進会議を設置いたしまして、医療や福祉、教育分野の関係者によりまして、今後の施策の方向性や実態把握の手法等について議論を行ったところでございます。
 この会議での議論を踏まえて実施いたしました実態調査についても、今お話が一部ございましたが、在宅の医療的ケア児等153人中、6割を超える101人が保育所や小中学校等に通っていることが明らかになりまして、医療、福祉と教育の両分野におけるサービスの連続性を確保するための関係機関の連絡調整を一層進める必要があると現在認識しているところでございます。
 県ではこれまで、地域におけます医療、福祉、教育等が連携する協議の場の設置を市町村に対して促してきたところでございますが、現在、31市町村において、単独または圏域で設置されているところでございます。この協議の場におきましては、情報の共有はもとより、今般の調査等もございまして、医療的ケア児等の具体的なケース検討に取り組む地域も出てきておりまして、このような動きを加速するため、全ての市町村でこの協議の場が設置されるように取り組んでまいりたいと考えております。
 あわせて、児童生徒が適切な医療的ケアを受けられる環境の構築には、学校現場等で医療的ケアを担う人材の配置が求められますことから、その人材を養成するため、看護師や相談支援専門員等を対象とした研修に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ことし4月に滝沢第二小学校で、滝沢市で初めて医療的ケア児を受け入れるということで、5年生が途中から入ったのですけれども、これは、支援推進会議を県で設置したことによって、こういう事例が市町村に出てきているのか、それをちょっと確認したいと思います。
〇千葉副知事 恐れ入りますが、今手元に資料がございませんので、至急確認させていただきたいと思います。
〇吉田敬子委員 先に次の質問をさせていただきたいと思います。防災、減災対策についてお伺いいたします。
 土砂災害、水害、地震災害等の自然災害が毎年のように発生し、貴重な生命や財産が失われております。さらに、気候変動による大雨の頻度の増加、台風の大型化等に伴い、災害の頻発、激甚化も懸念されております。ハード対策のみでは限界があり、被害の軽減のためにはソフト対策を含めた自助、共助、公助のバランスがとれた総合的な防災対策の推進が重要だと思っております。
 洪水の危険度を住民に伝えるハザードマップについては、国は、市町村に作成、公表を義務づけています。台風第19号による豪雨被害を受けた複数の地域で、自治体のつくったハザードマップはほぼ正確に浸水の範囲を予測していました。行政がもっとハザードマップへの理解を広めていれば助かった命があったかもしれないとも言われております。
 想定外ではなく、想定を生かして命を守り、まちを守る対策が今問われています。県内の各市町村のハザードマップ作成はどうなっているか、住民への周知の取り組みは十分かどうか、県の認識をお伺いいたします。
〇保副知事 ハザードマップの状況ですけれども、ことし9月末現在では、県内28の市町村が洪水ハザードマップを作成し、全世帯に配布を行っておりますほか、ホームページへの掲載、広報誌の活用、地域説明会、出前講座など、それぞれの市町村において工夫しながら住民への周知に取り組んでいるところでございます。
 内閣府の資料によりますと、平成30年7月の西日本豪雨で被害の大きかった倉敷市真備町で被災された方々などのハザードマップの認知についての調査がありまして、存在を知っている人の割合は75%ありましたけれども、内容を理解していた割合は24%であったという報告があります。
 こうしたことを勘案いたしますと、本県におきましても、ハザードマップが実際の避難行動に結びついていくためには、さらなる住民への周知が重要ではないかと考えております。
 県では、国、県、市町村等で構成いたします大規模氾濫減災協議会、これは県内に3協議会、それぞれの水域ごとに三つあるわけでございますけれども、そういった場を通じまして、効果的な市町村の取り組み事例等の共有を図るなど、市町村による住民へのハザードマップの周知がより一層図られますよう支援してまいります。
〇吉田敬子委員 土砂災害や浸水の危険があるハザードエリアについては、まちづくりとの関係で課題があるようにも感じております。コンパクトシティーの取り組みのために、県内の2市では、立地適正化計画を策定、公表済みで、7市町村で策定に向けて取り組みを実施中とのことです。商業施設や住宅を集約するコンパクトシティーの計画には、居住を誘導する区域に災害リスクのあるエリアを含んでいる場合もあるのではないでしょうか。
 ある専門家は、浸水想定地域からインフラ施設や居住を移転させる誘導策の検討も中長期的な課題だとし、短期的には、どう命を守るのか、具体的な避難方法などを住民に理解してもらう必要があると話しております。
 県は、ハザードエリアとまちづくりについてどのような認識であるのかお伺いいたします。
〇保副知事 従来、都市計画法に基づきます都市計画区域は、それぞれのまちの歴史的経緯ですとか、まちの機能の集積の状況等によりまして、その都市計画区域の中に洪水や土砂災害などの危険性を含む場合もあります。
 こうした災害のリスクに対しては、都市計画法のみでの対応はなかなか難しいものがございまして、河川改修や土砂災害対策など、ほかの法律や制度によって、住民の生命や財産を守るような取り組みをこれまでやってまいりました。
 国では、近年の激甚化する自然災害を踏まえ、都市計画法の適正な運用を促す指針の中に、平成26年度に土砂災害特別警戒区域など特に危険性が高いエリアを原則として居住を誘導すべき区域に含めるべきではないと、初めてそのような方針を出したという状況でございます。
 また、同時に、都市再生特別措置法を改正いたしまして、今、委員からお話がありました立地適正化計画制度を創設いたしました。これは、市町村が都市計画区域内に医療や福祉、商業など都市機能を誘導するエリアと居住を誘導するエリアとの二つを設定し、住宅を安全なエリアに誘導できるようにする制度でございます。
 そして、ことし7月、国の社会資本整備審議会の都市計画基本問題小委員会では、この居住を誘導する区域からハザードエリアを除外するような方策を進めるべきであるという提言をまとめたということで、国の動きもいろいろあるところでございまして、今後、国において、具体化に向けた検討が進められると聞いております。
 委員からお話がありましたが、県内ではこの立地適正化計画を花巻市と北上市が公表しております。それから、7市町村において策定に取り組まれておりますが、県といたしましては、国の動向を注視しながら、市町村に対しては、適切に技術的助言を行っていきつつ、居住における安全性に都市計画のアプローチを進めていきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの普及は、地球温暖化対策にも資する上、エネルギー自給率の向上の面からも重要であります。
 一方、大規模な森林伐採を行って太陽光発電施設が整備される事案もあり、土砂災害などの自然災害発生による市民生活への影響や動植物の生態系への影響、また、景観への影響等が懸念されております。
 盛岡市玉山地区や遠野市、奥州市でも、メガソーラー建設をめぐり、住民からの不安の声や厳しい声が挙がっております。先日の環境福祉委員会で、太陽光発電事業における環境影響評価の対象について、県では、国の基準より厳しい事業面積50ヘクタール以上とする説明がありましたが、地域住民の命や安全性の確保を行うため、森林法の規制に関する要件の厳格化と強制力の強化、地域住民への事前説明の義務づけや地元自治体の意見を反映させるなどの仕組みづくりが必要だと考えますが、県としての考えについてお示し願います。
〇保副知事 森林法の関係ですけれども、従来、森林法では、知事が開発行為を許可するに当たりまして、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全という四つの基準に適合するかどうかを基準としておりまして、これが満たされたと認めるときには許可しなければならないという運用になっております。
 したがいまして、現状では、地域住民の皆様にメガソーラー等の開発行為の事業説明を義務づけすることは、現行制度においては難しいわけでございますけれども、県といたしましては、地元住民との合意のもとで開発計画が行われることが適当と考えております。
 そのため、法的な裏づけはございませんが、申請に先立つ事前相談の際に、開発行為をしようとする者に対しまして、地域住民との合意形成を図るよう求めてきておりまして、今後とも、同様にその取り扱いを進めていきたいと考えております。
 また、森林法の規定では、地元市町村長から意見を聞かなければならないとされております。当該市町村長から意見が出た場合には、それに沿って対応するよう、許可の条件として付しているというような取り扱いもしております。
 森林法におきます許可要件の厳格化や強制力の強化という問題につきましては、現在、国におきまして、太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会を設置いたしまして、検討を進めていると聞いております。県としても、その動向を注視して対応していきたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 農林水産業の振興についてお伺いいたします。
 スマート農業の推進について、県では、平成29年度にスマート農業推進研究会を設置し、スマート農業技術の普及やPR活動、研究開発などに取り組んでいます。
 県で開催しているスマート農業祭への参加者数も年々増加し、スマート農業に関する関心は高まりつつあり、また、岩手県農業研究センターでは、さまざまな研究がなされるなどしていますが、実際の農業者や生産現場への普及はどの程度進んでいるのか、また、生産性向上や収益力アップにつながった実績はどの程度あるのか。
 スマート農業は、これまで経験した人は少なく、例えば、メーカーは運転等について教えてくれても、圃場によっての使用方法等まできめ細やかに教えることは難しいのではないでしょうか。また、若手生産者からは、スマート農業機械の導入に関心はあるが、導入コストでちゅうちょしてしまうという声も聞いております。
 平成29年度開始のいわてスマート農業推進事業は今年度で一旦終了となりますが、3カ年の課題も踏まえ、若手担い手等のスマート農業への取り組みを支援する方策についてお伺いいたします。
〇保副知事 スマート農業につきましては、平成29年度から取り組みをスタートいたしまして、着実にその拡大を図ってきております。
 この結果、まず、生産現場への導入状況でございますが、ドローンを例にとりますと、ドローンを使った水稲などへの農薬散布面積は、平成29年度の75ヘクタールから、平成30年度は842ヘクタールと急速に拡大しております。
 また、施設野菜の生産量を飛躍的に高める高度環境制御技術につきましては、初めて導入された平成29年度以降、急速にその導入が進んでおりまして、現在は、12経営体がその技術を導入しております。トマトを例にとりますと、これも事例でございますけれども、県央の経営体では、県平均で10アール当たり7トンという収量に対しまして、その経営体におきますと約40トンというような実績もあり、目覚ましい成果を上げていることで多くの生産者から関心が寄せられているところでございます。
 技術導入にハードルがあるのではないかということもございまして、県では、農業普及員の育成ということで、まずは農業者の高度で多様なニーズに対応できるようにすることを進めておりますほか、農業大学校にスマート農業に向けた最先端の機械、設備を整備いたしまして、そこに農業者の方々に来ていただきまして、技術習得に向けた研修会を開催しております。
 今後とも、幅広い関係者の皆さんと緊密に連携しながら、担い手のスマート農業に関する知識、技術の習得支援、それから、実際の生産現場への普及に積極的に取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 農業女性の子育て支援の取り組みについてお伺いいたします。
 ことし3月、農山漁村男女共同参画推進協議会が主催する農山漁村女性活躍表彰で、一関市のかさい農産が最優秀賞の農林水産大臣賞を受賞されました。子育て世代を中心に、女性の積極的な雇用と子育てや介護の両立が可能な労働環境整備の取り組みが高く評価されたものです。
 日本農業の多くは家族経営によって支えられており、女性は農業生産の重要な担い手となっております。また、病気や出産のときに安心して休むことができる制度的保障や援助制度も確立していないのが現状です。
 また、農家の女性が子供を保育所へ預けようとする際、ハウスなど天候に左右されずに営農できるにもかかわらず、農家は、天候によって休みが不規則で、家が職場だと判断されがちで、入所点数が低い場合が多いです。
 さらには、子育て家庭をサポートするファミリーサポート制度は、農村部だとサポート登録者が手薄なため、実質利用できないことが多いのが現状です。
 6月定例会の一般質問では、多様な人材の確保として、短時間でも働きたい子育て女性と繁忙期の農業をつなぐ仕組みを提言させていただきましたが、例えば、酪農家には酪農ヘルパー制度があるように、子育て応援農業ヘルパーのような制度を構築してはどうかと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
〇保副知事 女性の皆さんが農業経営に重要な役割を果たしていることはそのとおりでございまして、かさい農産が受賞した雇用での取り組みは、非常に高く評価できると思います。
 一方、家族経営が中心となっております農業経営に携わっている女性の皆様におきましては、その子育て環境あるいはこれを支える労働力の確保を充実させていかなければならないということは、そのとおりの認識でございます。
 委員御提案の子育て応援農業ヘルパーといったような、農業分野において、子育てをお母さんがやっている間に農作業のヘルパーをするというような仕組みかと思いますが、一つの有効な案とは考えておりますけれども、酪農の場合とちょっと異なりまして、個々の農家によって農業の作業内容が非常にバラエティーに富んでいることから、そういったことに対応できる人材を確保できるかどうかといった、安定的な運用についてのいろいろな課題もあると受けとめております。
 いずれにしましても、農業における労働力の確保は非常に大事でございますし、子育てを支援する面からも今後とも力を入れていきたいと思います。特に、JAグループが、本年度から、県と連携いたしまして、家族経営を対象といたしまして農作業アルバイトの募集、マッチング、それから、障がい者の皆様の就労支援と結びつけていくといった取り組みも進めております。委員の御提案も参考にさせていただきながら、農業労働力の問題、農家の皆様の子育ての問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 確かに、おっしゃるとおり、いろいろな作業の内容は異なるかと思うのですけれども、実際に熊本県は、JA熊本と連携して子育てシェアという取り組みを2年前ぐらいからやられております。難しい作業をするということではなく、だんだんなれていくということもあるようです。あとは、農業もそうなのですけれども、子育てをしているお母さんたちの体験を通じて、その後に実際に農業の組合とかに就職した事例も熊本県ではあるそうなので、すごく小さいかもしれないですが、そういう取り組みは大事かと感じておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、いわての森林づくり県民税についてお伺いいたします。
 県では、平成18年度にいわての森林づくり県民税を導入し、森林を良好な状態で次の世代に引き継いでいくため、森林環境の保全のための施策を実施しています。
 まず、いわての森林づくり基金の平成30年度末の現在高、令和元年度の取り崩し予算額、令和元年度末の現在高見込み額をお示し願います。
 いわての森林づくり基金を活用する対象事業は、5カ年ごとに事業期間が延長され、令和2年度は第3期計画の4年目となります。いわての森林づくり基金は、公益的機能を有する森林環境を維持、保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐという目的を持っております。
 知事の所信表明にもありましたとおり、2022年には、48年ぶりに天皇、皇后両陛下をお迎えし、本県において全国植樹祭が開催されることとなっており、国民的行事がなされることも契機に、新たな視点を盛り込んで、本県の豊かな森林環境を次の世代にぜひ引き継いでいきませんか。
 県立森林公園の施設整備や市町村が行う新生児への木製品の贈呈など、県民に身近となるようないわての森林づくり県民税の使途拡大についてこれまでも提言させていただいておりますが、ぜひ、次の事業期間における対象事業の見直しに当たっては木育等の子育て支援を盛り込んでほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 いわての森林づくり基金の平成30年度末現在高は22億5、365万3、000円となっています。また、令和元年度の取り崩し予定額は7億8、153万7、000円、令和元年度末の基金残高は21億9、965万3、000円と見込んでいるところであります。
 いわての森林づくり県民税については、現在、事業評価委員会において、令和2年度までの第3期終了後のあり方について検討いただき、年度末を目途に提言の取りまとめをお願いしているところであります。
 委員会におきましては、県民懇談会などを通じて、県民の皆様を初め、県議会、市町村の御意見などを広くお伺いしながら、委員から御提言いただいた使途の拡大も含め、県民税のあり方について議論を深めていただきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 毎回毎回取り上げさせていただいていて、知事の御答弁はいつも同じで大変残念なのですけれども、ぜひ、知事の意向もあれば、委員会でもきっといろいろ動くのではないかと思って、毎回毎回しつこいぐらいに取り上げさせていただいております。
 市町村への森林、環境譲与税の譲与も始まりまして、やはり県独自という、岩手県らしい取り組みが必要だと私は感じておるのと、森林税の認知度が高まっては来ていますが、何か払っているけれども、具体的に何をされているかわからないというような県民の方がやはりまだまだ多く、ぜひ検討していっていただきたいと改めて強く要望します。
 次に、馬事文化振興についてお伺いいたします。
 チャグチャグ馬コや南部流鏑馬などで使用する農用馬の飼養農家数が減少傾向にあります。馬事文化を守るには馬資源の確保が不可欠であります。県では、2017年度から2カ年で馬事文化プロモーション推進事業を実施しましたが、担い手対策など、どのような成果が出たのかお伺いいたします。
〇保副知事 平成23年度(後刻「平成29年度」と訂正)から実施しております馬事文化プロモーション推進事業におきましては、これまで継続いたしまして、県民の皆さんが馬に触れ合うイベントの実施ですとか、専用ホームページによる情報発信などに取り組んでまいりました。
 また、馬に関係する団体や市町村等で構成する馬事文化地域連携連絡協議会を組織いたしまして、馬資源の効果的、効率的な利用や担い手確保のあり方などについて意見交換を進めてきております。平成29年度、平成30年度には馬事文化に関するシンポジウムなども開催し、その意義を普及するというようなこともしてまいりました。
 このような取り組みによりまして、馬事文化に対する県民の御理解が一定程度進んだと考えておりますし、馬事関係者のネットワークが構築され、馬資源の広域的な利用調整などに結びついているということで、一定の成果があったものと考えております。
 今後とも、こうした取り組みを継続しながら、本県の馬事文化の振興を図り、観光客の増加など、さまざまな効果が上がるように継続的に取り組んでまいります。
 失礼しました。私の答弁が、冒頭、平成23年度と申したということでございますが、平成29年度からの誤りでございます。
〇吉田敬子委員 例えば、釜石市では三陸駒舎というところが、ここはネットワークに既に入っているのですけれども、ことしの夏から、障がい児の皆さんのための森の遊び場をオープンされています。本当に各地で馬事文化のさまざまな取り組みがあって、乗馬だけでなく、子供たちに、ホースセラピーとかの普及も含めて一生懸命やっているところがあります。
 馬事文化のネットワークはできているのですけれども、では、具体的に県として、数としてというのはあれですが、何か取り組みの成果が正直見えないのが現状なのかなということと、あとは、実際の馬関係者の方で、雫石町にも乗馬とか流鏑馬ができる施設があるのですが、ネットワークはあるけれども、実際に具体的にみんなで取り組んでいるものが、シンポジウムは確かにやっているかもしれないですが、一緒に何かやっているというところがなかなかないというお話をよくいただくのですが、県として、その部分はどのように承知されているのでしょうか。
〇保副知事 県内各地で、それぞれいろいろな方々が、いろいろな特徴ある取り組みをされているということで、それでは県では何をやっているのかということかと思います。その辺は、何ができるかということにつきましては、引き続き考えさせていただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員長 この際、千葉副知事から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉副知事 先ほど吉田委員から、ことし4月に滝沢第二小学校に滝沢市で初めて医療的ケア児を受け入れたということで、5年生が入ったということでございますけれども、県として支援推進会議を設置したことによってこの事例が出てきたのかを確認したいというお尋ねがございました。
 県が設置しました支援推進会議が直接この滝沢第二小学校への看護師配置につながったかどうかについては、なかなか評価が難しいところではございます。県教育委員会としましては、各市町村教育委員会に対しまして、国の切れ目ない支援体制整備充実事業の活用について促しておりましたので、滝沢市教育委員会が、どこまでその辺のことも含めて御対応になったか現時点ではちょっと確認できませんが、いずれ滝沢市教育委員会において、国庫事業を導入して看護師配置に取り組むこととなったと確認しております。
〇吉田敬子委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時56分 休 憩
午後3時14分 再開
〇佐藤ケイ子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。次に、佐々木努委員。
   〔佐々木努委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木努委員 いわて県民クラブの佐々木努です。会派を代表し、質問いたします。
 まず、知事、4期目の当選、おめでとうございます。そして先日は私に対してもお褒めの言葉をいただきまして、ありがとうございました。私と知事とは国や市町村とのかかわり方で大きな違いはあるわけでありますけれども、岩手をよくしようという思いは同じだと思います。知事はよく何でもかんでも反対をしないでほしいということをおっしゃっていますが、私も含め我々会派は何でもかんでも反対しているわけではなく、是々非々でこれまでも対応してきたと思っていますので、これからも同じ姿勢で議論させていただきたいと思います。
 そして、知事におかれましては40万県民の方々から支持を得て4期目の当選をされたということでありますが、一方で15万人の方が知事には投票しなかったということでもあります。そういう方々も同じ県民だという思いでこれからの県政運営に当たっていただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 初めに、少子化問題についてお伺いいたします。
 先日、厚生労働省から2018年の人口動態統計が公表されました。それによりますと、我が県の2018年の出生数は7、615人、前年から560人も減少したということであり、合計特殊出生率も前年の1.47から0.06も下がり1.41になったということでありました。知事は、このような急激な出生数の減少の要因が何であるとお考えなのか、また、大幅な減少についてどのような所感をお持ちなのか伺います。
〇達増知事 本県の出生数の推移においては、近年、横ばいや減少が小幅だった翌年には比較的大きく減少する傾向も見られるところがございますが、長期的な減少の要因として、子育てや教育に係る経済的な負担や育児に対する心理的、肉体的負担などにより子供を持つことをちゅうちょしていることや、また、個人の価値観の変化なども考えられるところであります。
 本県の平成30年の出生数が平成29年の8、175人から7、615人に減少し、合計特殊出生率も1.47から1.41に低下したことについては残念に感じており、少子化対策、子育て支援に一層注力し、取り組まなければならないという思いを強くしたところであります。
 少子化対策、子育て支援は、将来に対する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であり、いわて県民計画(2019〜2028)の家族・子育て分野において、結婚、家庭、子育てに希望を持てる環境づくり、安全・安心な出産環境の整備、子育て家庭への支援に取り組むこととしていますほか、安定的な雇用や労働環境の整備の促進など、さまざまなニーズに対応した施策を推進していかなければなりません。
 現在、県では、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の動向を踏まえながら次期ふるさと振興総合戦略の策定作業を進めているところでもあり、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、これに岩手とつながるを加え、四つの柱のもとに具体的な戦略を盛り込み、人口減少対策にさらに取り組んでいくこととしております。
〇佐々木努委員 先ほど名須川晋委員もおっしゃっていましたけれども、岩手県が全国の合計特殊出生率を下回ったのは初めてのことで、私は、本当にこれは非常事態だと思うわけであります。
 ちなみに、では他県はどうなっているのか。全国の平均が0.01下がったので全国的にもちろん合計特殊出生率は下がっているのですけれども、その中で上がっているところも実はたくさんありまして、大きいところだと福井県が1.62から1.67、山梨県が1.50から1.53、三重県が1.49から1.54、東北の山形県も1.45から1.48に上昇しています。そういう中で岩手県はこのように大幅に下がってしまった。
 今回は下がってしまっても、全国的に見ると九州は非常に高い。1.7以上をほとんどの県がキープしていますし、それ以外でも、鳥取県は1.61、島根県1.74、香川県1.61、それから北陸の富山県、石川県、福井県はどこも1.50を上回っている。これは、これらの県が、自分の県は日本一の子育て県を目指すのだということをしっかりと掲げて取り組んでいる、そういう県です。そういうところはしっかりと実績を上げているということをぜひ知事には御理解をいただきたいと思います。
 そこで伺うわけですが、県では、今回このように大幅に出生数、合計特殊出生率が下がってしまったことに対して、来年度、特に何か対策を講じていこうと考えているのか。考えているとしたらどのようなことを検討されているのか。子供の医療費の現物支給を中学校卒業まで拡大するということ以外で、あればお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 ただいま知事から御答弁申し上げたとおり、県では次期ふるさと振興総合戦略の策定作業を進めておりまして、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、岩手とつながるの4本柱のもと、具体的な戦略を盛り込み、人口減少対策に取り組むこととしております。
 現在、公表しておりますこの戦略の骨子案におきましては、出生数の減少に対応した岩手で育てるの柱のもと、若者の就労、出会い・結婚・妊娠・出産支援戦略の中で、出会い、結婚支援の強化などについての具体的な施策を盛り込むこととしております。
 具体的な施策の内容については、現在、作業中であり、現時点で確定したことは申し上げる段階ではございませんが、本日もこれまでの質疑の中で御提言いただいておりますハイリスク妊産婦に対する新たな支援などによる周産期医療施策の拡充や、あるいは結婚サポートセンターの支援機能の強化など、さまざまな点で検討すべきものがあると考えておりまして、今後、具体的な検討を進めてまいります。
〇佐々木努委員 まだ来年の予算編成までに時間があると思いますので、できる限り他県の動向、取り組みなども参考にしながら、新たな子育て支援制度を含めた少子化対策の制度づくりを進めていただければと思います。私もこれまで、行政だけの支援では子育て支援、少子化対策には対応し切れないということで、民間の子育て支援を進めるべきだと何度もお話しさせていただきました。その取り組みの一つとして、次世代育成支援対策推進法による一般事業主行動計画、これは法律では101人以上の企業の策定が義務化されていますが、何とか岩手でも条例で100人以下の企業にも適用させるようにするべきだということを提案させていただいております。非常に出生数が減少している中で、やはり民間のこういう取り組みを進めるべきだと思いますが、県では検討するおつもりはないでしょうか。
〇達増知事 県では従来から、岩手労働局と連携したセミナーの開催等により国の助成制度の利用促進を含む普及啓発を行い、また、国に対し助成制度の拡大について要望しながら、企業の一般事業主行動計画策定の支援拡大に努めているところであります。
 また、いわて働き方改革推進運動において、従業員の適正な労働環境の確保のための取り組みに加え、子育て支援や女性活躍支援などの個別のすぐれた取り組みを行う企業を表彰していますほか、一般事業主行動計画の策定を要件としているいわて子育てにやさしい企業等認証制度の優遇措置を順次拡大しながら、一般事業主行動計画の策定を促しているところであります。
 中小企業に対する計画策定範囲の拡大については、法に定める計画策定義務の対象が301人以上から101人以上の企業へと順次拡大してきたところであり、条例化については、県民の理解を初め、企業等に対する影響等も勘案しながら研究していくべき課題であると考えているところであります。
〇佐々木努委員 わかりました。わかりましたというか、きょうは時間がないのでここまでにしておきますけれども、いずれ、今までの県の中小企業に対する子育て支援拡大の取り組みについて、私は不十分だと思います。それが結果として出生数の減少にも影響しているのではないかと思うわけでありまして、他県でも取り組んでいる100人以下の企業に対する義務化については、県ももっと前向きに検討していただきたいと思います。
 次に、結婚支援についてお伺いいたします。これも名須川晋委員が取り上げまして、大分かぶる部分がありますが、再度お聞きしたいと思います。
 平成27年に“いきいき岩手”結婚サポートセンターが設置され4年たつわけでありますが、昨年度の実績も含めてこれまでの実績をお聞きしたいと思います。
〇千葉副知事 i−サポの実績についてでございますが、まずもって、i−サポの設置から本年9月までに入会登録された方は延べ2、165人で、結婚などを理由に退会した会員を差し引きますと9月末現在の会員は857人となっております。平成30年度におきましては、入会登録が延べ373人、平成30年度末現在の会員は934人でございました。
 お見合いにつきましては、これまでに1、707件実施し、このうち交際まで発展した会員が826組となっております。平成30年度におきましては、お見合いが426件、前年度以前にお見合いを実施したケースも含めて、平成30年度に交際まで発展した会員は214組となっております。
 成婚数につきましては、今年度は9月末までに12組の成婚報告があり、昨年度までの58組と合わせ70組140人となっております。平成30年度におきましては、23組46人となっております。
 また、i−サポに登録したことを契機として結婚への意識が高まり、婚活に積極的に取り組むことになったことなどにより会員以外の方と結婚し、退会した会員が60人おりまして、会員同士での成婚数と合わせて200人の会員が成婚に至っております。平成30年度におきましては、同様に、会員以外の方と結婚し退会した会員が16人ございまして、先ほど申し上げた会員同士で成婚された方23組46人と合わせて62人の会員が成婚に至ったところでございます。
〇佐々木努委員 県ではこの実績についてどのように評価されているでしょうか。
〇千葉副知事 i−サポの実績に対する評価でございますが、先ほど御答弁申し上げた会員同士の成婚数につきましては、平成28年度に10組、平成29年度が25組、平成30年度は23組となっておりまして、いわて県民計画第3期アクションプランにおいて掲げた目標値に達していない状況でございます。
 平成28年度からの3カ年を見ますと、会員数が1、000人程度、お見合い件数が500件程度、交際中の会員が200組程度で、おおむね横ばいの状況で推移しているところでございます。会員同士の成婚数も20組程度で横ばいとなっておりまして、今後、成婚数を増加させていくためには、まずもって会員数の拡大を図っていくこと、そして支援体制の強化が必要になるものと考えております。
〇佐々木努委員 完全に頭打ちのような状況で、私も本当に何と言っていいか、残念で仕方がないわけであります。
 全国を見渡しますと実績を上げている県がたくさんあるわけでありまして、茨城県は設置から13年で2、000組、愛媛県も10年で1、000組の成婚を達成させた、そういうところもあるわけであります。
 私もこの4月、愛媛県の結婚サポートセンターに、2回目になるのですけれども行って勉強させていただきました。愛媛県では、タブレットを使ったマッチングのほか、結婚サポーター制度ということで、サポーターの方が出会いから結婚するまでの間お世話をするという制度を持っていまして、先ほど申し上げましたが、1、000組の成婚のうち約半数がサポーターの活動によるものだということであります。これは岩手ではまだ取り組んでいないものであります。そういうことをしていかないと、なかなかこれから成婚がふえていかないと思います。
 それから、私、愛媛県に行った際、パンフレットをいっぱいいただいてきました。サポーターのガイドとか協賛企業の募集とかこんなに。これは一部です。こんなにいっぱい出して、企業とかそういう方々に働きかけを行っているということです。我がほうはこれだけなので、これでは、本気度もそうだし周知もなかなか進まないと思うわけでありまして、これから愛媛県等を参考にしながら、サポーター制度もそうですけれども、もっともっと周知、企業に対する働きかけをやっていってほしいと思います。
 それができていないのは、もしかしたらセンターの体制が不十分なのかもしれません。そういうところもやはり見直しをしなくてはいけないのかなと思いますが、今後、スタッフ増員、あるいは結婚支援サポーター制度の導入等、検討をするべきだと思いますが、そのお考えはないでしょうか。
〇千葉副知事 まず、i−サポの体制につきましては、会員数の拡大、あるいは会員の利便性の向上のため、平成29年度に3カ所目の拠点として県南地区にi−サポ奥州を設置いたしましたほか、二戸市や一関市など県内4カ所への出張サービスの強化にも取り組んでおりまして、設置当初は9名だったスタッフを12名まで増員し、現在、対応しているところでございます。
 また、成婚数を増加させていくためには、先ほど申しました会員数拡大の取り組みを強化いたしますとともに、会員へのお見合いに向けた心構えに関するアドバイスや、マッチング後の交際における悩みの相談などに対応するi−サポスタッフの対人スキルの継続的なスキルアップも図っていく必要があると考えておりまして、全国的な研修にスタッフ職員を派遣しております。
 委員から御案内がありました他県で実施されております結婚支援サポーター制度につきましては、本県でも同種の制度を一部市町村で導入しているところでございまして、また、このマッチングシステムとサポーター制度の両方を導入している県の中には、20歳以上人口10万人当たりの成婚件数が高い傾向がある団体―具体的には、今、委員からもお話がございました愛媛県などがそうだと思いますけれども―と見られますことから、まず、このサポーター制度の導入について、こうした先進事例を参考にしながら検討したいと思います。
 また、先ほど名須川委員のところで御答弁いたしましたが、会員数の増加につきまして、いろいろな関係団体、職能団体にも今後、このi−サポの運営する会議に御参画いただいて、具体的にどのような形で御協議いただけるか、ただいまさまざまなパンフレットのお示しもいただきましたが、そういうものも含めて協力体制が組めるように考えていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 2018年の人口動態調査では、我が県の婚姻率は、ことしも秋田県に次いでワースト2でありました。もうずっとワースト2の座を守り続けているのが岩手県でありまして、結婚がなかなかできないことが少子化の大きな要因でもあると思いますから、婚姻率を少しでも向上させるための手段としてi−サポの機能充実を何とかよろしくお願いしたいと思います。
 次に、地域医療問題について伺います。
 通告していた質問の前に知事にお伺いしたいのですが、先日の一般質問で、政権がかわれば医師不足が解消すると知事が誰かに話していたという城内議員の発言中に知事が何度も首を縦に振られていましたが、医師不足解消の参考のために、なぜ政権がかわると医師不足が解消されるのか御教授いただきたいと思います。
〇達増知事 政権交代というのは現状打破には非常に有効な手段でございまして、特定の政権のもとでずっと変わらないでいる構造的な問題、そこに変化を引き起こすには政権交代というのは極めて有効な手段でありますので、そのとおりそのとおりとうなずいていたところであります。
〇佐々木努委員 わかりました。
 では、通告していた質問に入ります。
 初めに、周産期医療についてお聞きしたいと思います。
 東北大学が県立中部病院から産科の医師を来年3月いっぱいで引き揚げるというニュースが流れたときは本当に私もびっくりいたしました。その後、岩手医科大学がかわりの医師を派遣することになっているということで安心したわけでありますけれども、岩手医科大学とて産科医の先生方に余力があるとは思っていませんので、果たして現状のとおり派遣していただけるのか非常に不安なわけです。この間、一般質問の際も岩手医科大学と今、調整中だということですが、県として、具体的に岩手医科大学にどのような形の派遣を求めて要請しているのかお聞きしたいと思います。
〇千葉副知事 県立中部病院の産婦人科につきましては、来春から岩手医科大学が診療に参加していただく方向で、現在、岩手医科大学と派遣医師数等の具体的な調整を行っているところでございます。
 岩手医科大学から派遣される医師の数は、医局人事の関係もあり現時点で確定しておりませんが、県といたしましては、現在の県立中部病院の産婦人科体制が維持できるよう岩手医科大学に要請しておりまして、また、私も直接小川理事長ともお会いしましたが、その方向で今、努力しているというお言葉を頂戴いたしております。
〇佐々木努委員 現状は維持できるということでよろしいでしょうか。そういう要請をしているということでよろしいのでしょうか。くれぐれも県内の他の県立病院から回されるということがないように、それはお願いしたいと思います。
 先日、東北大学の医療関係者と懇談する機会がありまして、東北大学の産科の状況についていろいろお話を伺いました。東北大学も今、若い先生方が長時間労働で非常に疲弊しているということで、今回の中部病院の産科医の引き揚げもそういうものが要因の一つとなっていると私は認識したところであります。
 現在、東北大学では県立磐井病院にも産科医を派遣しているわけでありますけれども、東北大学がそういう状況であれば、いずれ磐井病院からも引き揚げるなどということにならなければいいなと思っているのですが、県ではどのような認識をお持ちか伺います。
〇千葉副知事 今回の県立中部病院への産婦人科医師の派遣の見直しに関しまして、東北大学からは、産婦人科の医局員である医師がふえない中で宮城県のみならず他県へも多くの医師を派遣しなければならず、医師の配置が難しくなっているという説明をいただいているところであります。
 現在、県立病院において東北大学から産婦人科医師の派遣を受けておりますのは、県立磐井病院及び中部病院の2病院となっておりますが、東北大学からは、県立磐井病院への産婦人科医師の派遣は継続するという説明を医療局長が受けているところでございます。
 医療局におきましては、関係大学から派遣される医師を安定的に確保していく上で、日ごろからさまざまな場面を通じた医師の派遣についての要請、あるいは情報交換を行うことが重要と考えておりまして、今後も派遣要請等の取り組みを行う中で、関係大学との協力体制は一層強化していかなければならないと考えているところであります。
〇佐々木努委員 これまで、産科医の派遣元の大学にはどのような形で派遣要請をしてきているのでしょうか。
〇千葉副知事 まず、医療局におきましては、医療局長や医師支援推進監等が関係大学を訪問し、教授等と面談の上、奨学金養成医師の県立病院への配置を含めました医師の派遣につきまして要請、調整を行っております。平成30年度におきましては、産科医の派遣要請を含めました関係大学への訪問回数は約160回に及んでいるところでございます。
 また、医療局の事業運営や医師確保に関する御意見や御助言をいただくため、特に多くの医師を派遣していただいております岩手医科大学及び東北大学医学部の代表者に医療局顧問に就任していただき、医療局長が定期的に意見交換を行うなど、県立病院の医師体制の確保に努めているところでございます。
 医療局では、このような日常的なかかわりの中で関係大学との良好な協力体制を築いてきたところでございまして、両大学からの県立病院への産科医の派遣数は、本年10月1日現在で25名―岩手医科大学が17名、東北大が8名―と県立病院全体の産科医の約8割を占めておりまして、両病院が産婦人科体制の確保に貢献いただいているものと考えております。
〇佐々木努委員 ちなみに、知事が東北大学に行って医師を要請するなどということはこれまであったのでしょうか。
〇達増知事 東北大学とは長い関係もあり、今、副知事が答弁したように、専門性を有する知事部局の担当や、また、県立病院の経営の権限を持つ医療局長等が訪問しているものであります。
〇佐々木努委員 今回の中部病院からの医師の引き揚げも本当にこれは重大なことだと私は思って、そういうときに知事が東北大学に出向くとか、これまでも12年間時間があったと思うので、年に1度は東北大学に行って、県立病院にかかわらず岩手県に医師を派遣してほしいという要請をしてコミュニケーションを図るということはマイナスには絶対にならないし、岩手の思いを東北大学に伝えることにもつながると思うので、これからでも構いませんので、ぜひ年に1度ぐらいは訪問していただければと思っています。トップセールスというのは、私はそういうことだと思います。
 今、東北大学もそうですが、産科医が非常に少なくて厳しい状況になっていて、これからの岩手県の産科医療、周産期医療がどうなるのか私は心配なわけですけれども、県として今後の岩手の周産期医療はどのようになると見通しているのか。また、今後、維持、充実していくにはどのような取り組みが必要で、どういう取り組みをこれからしていかなければならないと考えていらっしゃるのか、それをお聞きします。
〇達増知事 県内にはハイリスク分娩にも対応できる周産期母子医療センターを整備している一方で、精力的に病院並みの分娩件数を取り扱っている産科診療所もあり、医療機関の機能分担や連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制を整備してきたところであります。
 また、使命感を持って周産期医療の分野での活躍を志す若い医師や、長年にわたって周産期医療に従事し後進の指導に当たっている医師など多くの人材により本県の周産期医療が支えられているところであり、これらの人材を大切にしながら、新たな人材を育成していくことが重要であります。
 県では、これまでの医師確保対策アクションプランに基づくさまざまな取り組みに加え、昨年度から、産婦人科、小児科を専攻した奨学金養成医師に対して、義務履行とキャリア形成の両立を支援し、義務履行の全期間を地域周産期母子医療センターでの勤務に専念できる特例措置を設けるなど、産科医師の増加のための取り組みをしております。
 さらに、現在、策定中の医師確保計画において、産科及び小児科については、周産期医療圏、小児医療圏ごとの医師偏在指標をもとに具体的な対策を盛り込むこととしておりまして、これらのことに取り組みながら、県内どの地域においても安心して出産できる体制の構築に努めてまいります。
〇佐々木努委員 私もこういう形で岩手県の周産期医療体制をつくり上げていかなければならないという思いはありますが、きょうは時間がありませんので、また別な機会にさせていただきます。
 次に、病院の統合再編問題について伺います。
 これは、先日の一般質問でも多くの議員が取り上げました。厚生労働省が発表した全国424の統合再編が必要だと言われる病院の件であります。この件について知事は、今回の公表は地域の個別事情を無視するもので、公平な視点に基づくものとは言いがたい、そして、今回の公表内容がそのまま病院機能の大幅な見直しにつながるものではないというふうに県の考え方を示されましたが、これは、実名を公表された岩手の医療機関については、今後、統合再編について議論をする必要がないというふうに捉えていいのか、その辺をお聞かせください。
〇達増知事 本県では、公表された医療機関の大半において、一定程度病床機能の転換や病床数の見直しが実施または検討されております。国においては、今回の公表について、必ずしも医療機関そのものの再編統合を決めるものではなく、また、今回の分析では判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、地域医療構想調整会議の議論を活性化し、2025年のあるべき姿に向けて必要な医療機能の見直しを行うことという考え方を示していますので、そういう方向に沿いながら、県といたしましても、限られた医療資源を有効に活用し、地域における切れ目のない医療提供体制を構築するために、さまざまな議論を重ねながら、地域の実情に即した議論を行ってまいります。
〇佐々木努委員 もっと議論を深めたいところですが、私は、今回の厚生労働省の実名公表については、むしろ実名公表をしてもらってよかったのではないかと思っています。これからの地域医療のあり方というのは、ただ単に今ある医療資源をそのまま守っていくということではなく、もっと10年後、20年後を考えた医療のあり方を考えていく、そういう考え方で進めるべきだと思うので、県の積極的な関与をお願いして質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 次に、千田美津子委員。
   〔千田美津子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千田美津子委員 日本共産党の千田美津子です。会派を代表し、質問いたします。
 まず最初に、ただいまも質疑がありましたが、地域医療について質問いたします。
 深刻な医師不足が続いておりますが、厚生労働省の医師需給分科会は、将来、医師数は過剰になるという報告を出し続けており、医師確保策をもっぱら医師偏在にとどめる態度に終始しております。しかし、これでは根本の解決にはなりません。医師不足の解消のためには、医師の養成数を抜本的にふやし、計画的にOECD加盟国平均並みの医師数にしていくべきであり、そのためには、医学部の定員をふやし、教育、研修体制の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 委員御提言の医学部の入学定員の増員は、医師の絶対数の確保を図る上で有効な解決手段の一つであると考えておりまして、県では、岩手医科大学における入学定員の増について、これまで岩手医科大学と一体となって取り組みを進めてまいりました。
 その結果として、入学定員は、当初の80名から現在の130名まで順次拡大が図られてきたところでありますが、国の方針では、現状の定員増は令和3年度までの臨時的措置とされており、県では、これを恒久的な措置とするよう、国に対し要望を行っているところであります。
 今後、高齢化等に伴う医療ニーズの多様化、医療の高度化、専門化が進むことに加え、医師の働き方改革を推進していく必要があり、医師の確保に最優先で取り組むとともに、医療ニーズの変化に対応した人材育成が重要でありますことから、大学医学部の入学定員増とあわせて大学の教育環境の充実についても引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
〇千田美津子委員 恒久的な制度にということで要望しているということですが、これから始まる医師確保策は、国が示した数式に基づいて各都道府県が医師偏在指標を算出して、偏在解消の立場から医師確保計画を策定して実行していくものであります。しかし、医師の絶対的な不足を解消しないまま、国がただ自治体に偏在解消を号令しても、地域間の医者の取り合いになるだけであり、私は、知事にはこの認識に立って引き続き取り組んでいただきたいと思いますが、再度お聞きいたします。
〇達増知事 やはり全国的な医師の偏在があって、岩手というところで見ればそれが医師不足という現象となってきているわけであります。岩手の中だけで偏在是正ということにしますと、医師不足状態を解消しないままの偏在是正というのは困難なわけでありますので、やはり日本全体における医師不足の解消、医師の偏在の是正が必要と認識しております。
〇千田美津子委員 不足する産科医確保対策として、私は抜本的な対策が必要ではないかと考えます。
 先日、県医師会の役員の皆さんとの懇談会がありまして、その席上、胆江地域の産科医療は10年以内に壊滅するとの発言がなされました。胆江地域では、現在、3人の産科の開業医が昨年は346人の赤ちゃんを取り上げておりますけれども、これは地域で産まれてくる子供の約半分にすぎません。ですから、里帰り出産もできない状況となっています。この状況を知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 本県では、胆江地域を初め全県的に産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や後継者不足等により分娩取り扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題であると認識しております。
 県では、こうした状況に対応するため、胆江地域については、県南圏域の中に配置された複数の地域周産期母子医療センター等、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の確保を図っていますほか、産婦人科を専攻した奨学金養成医師に対する義務履行とキャリア形成の両立を可能とする特例措置や、産科診療所の確保に向けた分娩取扱診療所の再開、開設への支援などを行うことにより、地域における産科医の確保に取り組んでいるところであります。
〇千田美津子委員 現状はそのとおりでありますが、改善が必要であります。
 そこで、昨今の大変な産科医不足を解消するためには、思い切った施策、抜本的な手だてが必要と考えています。例えば自治医科大学は、医療に恵まれない僻地等における医療の確保向上及び地域住民の福祉の増進を図るため設立されております。医学の進歩と地域住民の福祉の向上を図ることを使命としており、地域医療に責任を持つ全国の都道府県が共同して設立した学校法人によって運営されています。
 今、まさに自治医科大学を設立したような手法で産科医に特化した産科医大学を設置することも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 自治医科大学は、各都道府県の入学枠が確保され、本県では毎年3名程度入学しており、卒業後は医師として県内の公的病院等で地域医療に従事し、義務履行後も多くは岩手に残り、地域医療の中核的な役割を担いながら大きな存在感を発揮しています。
 委員御提言の産科医の養成に特化した大学の設置については、全国各地で産科医不足の深刻な状況が続く中、その解消に向け、産科医を志望する学生を集め、その育成を図る点において意義を有するものと考えます。
 一方、特定の診療科に特化した医科大学を設置する場合の医学教育課程のあり方や、多数の産科医を教員として確保することに伴う全国の医療機関への影響など検討すべきさまざまな課題も存在すると考えられ、まずは、県の奨学金による医師養成の取り組み等を通じて、産科医確保のための施策を講じていくことが肝要と考えるものであります。
〇千田美津子委員 ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 それでは次に、防災、減災対策についてお聞きします。
 要配慮者利用施設の避難計画策定の状況についてお聞きいたします。
 国土交通省は、要配慮者利用施設の避難確保計画の策定率を2021年までに100%にし、逃げおくれによる人的被害ゼロの実現を目指すとしておりますが、県内の実態はどうなっているでしょうか。
 次もまとめて質問します。
 私はこの間、人命優先のためにも避難確保計画策定を国よりも前倒しして策定すべきと主張してきましたが、策定率が残念ながら上がっていない市町村がありますが、その理由は何か。また、策定率がゼロの市町村が3カ所見受けられましたが、これはなぜでしょうか、お聞きいたします。
〇八重樫総務部長 県内の避難確保計画策定の状況でございますけれども、本年4月1日現在の対象施設数は1、179施設となっておりまして、このうち、避難確保計画を策定した施設数は716施設、60.7%となっていたところですが、本年9月1日現在で、避難確保計画を策定した施設数は791施設、67.1%となっているところであります。
 策定率が上がらない理由についてでありますが、ただいま申し上げました本年4月と9月の策定率を比較しますと、策定率が上がっていないのは3市町あり、理由といたしましては、市町村地域防災計画で施設の指定を行っていないこと、対象施設への計画策定の説明が十分に行われていないことが挙げられています。
 また、策定率がゼロの市町村は3村ございますが、理由といたしましては、村の地域防災計画にまだ反映できていないことが理由として挙げられています。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきましたけれども、やはり避難確保計画は、多発する豪雨災害から人命を守るという点で、まさに一刻を争う大事な課題だと思っています。今回の連続する台風等でも、計画がないまま浸水した施設も多い状況にあります。ですから、策定がおくれている施設については特段の支援を行って100%の策定を目指すべきだと考えますが、どうでしょうか。
〇八重樫総務部長 県では、まずは計画未策定施設が多い市町村を重点的に支援することとしておりまして、今年度は、10月に奥州市で開催された避難確保計画未策定施設向け講習会へ講師として参加し、奥州市を支援したところであります。
 今後は、策定率がゼロまたは策定率が上がっていない市町村向けに、市町村消防防災主管課長会議などさまざまな機会を通じて市町村地域防災計画に早期に反映させるよう働きかけるとともに、市町村で施設向け講習会等を開催する場合には、講師を派遣するなど、積極的に計画策定促進を支援していきたいと考えています。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、避難行動要支援者名簿と個別計画の作成はどういう状況にあるでしょうか。
〇千葉副知事 本年5月1日現在で行った調査によりますと、避難行動要支援者名簿は県内全市町村で作成されておりまして、その総数は8万5、589人で、前年同期から4、166人の増となっております。
 避難行動要支援者の避難支援等を行うための個別計画は、県内15市町村において1万7、103人分が策定済みとなっており、前年同期から2団体315人分の増となっております。
 個別計画を策定していなかった18市町村のうち、現時点では、新たに策定に着手したのが1団体、年度内に着手する見込みが1団体となっておりますほか、2団体で具体的な検討が進められており、取り組みが拡大しているところでございます。
〇千田美津子委員 今、御答弁にもありましたが、名簿は4、110人ふえたのに対して計画は315人分しかふえていないということで、これは作成率で見ますと20.6%から20%に減っているわけです。今こういう状況の中で、減るということ自体が私は大変なことだと思いますので、ぜひこれをもっと進めるために努力をお願いしたいと思います。
 次に移ります。
 風水害対策支援チームの活動についてお聞きします。
 今回の台風第19号への対応も含め、風水害対策支援チームの取り組み状況と課題についてお聞きします。
 あわせて、避難情報についてお聞きします。
 避難情報は、多くの住民の命を守る上で大変重要なものであり、今回の台風第19号でも生死を分ける重要なものとなりました。
 そこで、避難勧告と避難指示が出されておりますが、その違いについて、住民にはどう指導、周知がなされているでしょうか。また、住民の避難行動をどう評価しているでしょうか。さらに、県内でも幾つかの市町村において真夜中の避難勧告、避難指示が出されましたが、これへの対応の状況はどうだったでしょうか。
〇八重樫総務部長 風水害対策支援チームでは、これまで、台風等による風水害が予想される場合に、河川や気象に関する情報などをもとに被害が予想される地域の絞り込みを行うとともに、市町村が行うべき対応について助言を行ってきたところであります。
 今回の台風第19号の接近に際しては、市町村の警戒態勢の構築のため、風水害対策支援チーム会議を開催し、市町村に対し、特に警戒を要する地域や、明るい時間帯に避難を完了すること等について2回の助言を行い、必要な対応を促したところであります。
 市町村への助言に当たっては、適切なタイミングと風水害が予想される地域の絞り込みが重要と考えておりまして、さらには助言の時期や内容を高めていく必要があることから、今回の助言に対する市町村の意見も伺いながら、必要な対応について検討していきたいと考えております。
 避難勧告等についてでありますが、国におきましては、平成30年7月豪雨の教訓を踏まえ、住民の方々が避難情報等の意味を直感的に理解できるように避難勧告等に関するガイドラインを改訂し、これまでの言葉による情報に加えて、警戒レベルを5段階の数字で示すこととされました。これにより、レベル3は避難準備、高齢者等避難開始、レベル4は避難勧告、避難指示(緊急)とされ、避難勧告については災害発生のおそれがある場合に、避難指示(緊急)については、地域の状況に応じて緊急的または重ねて避難を促す場合に発令することとされました。
 県においては、今回のガイドラインの改正の内容について市町村消防防災主管課長会議で周知したほか、県民に対しては、いわてグラフやホームページを活用して広報を行いました。また、市町村におきましては、広報への掲載や地区及び消防団の集まり等で周知を図っていると聞いているところです。
 今回の台風第19号の接近時における市町村の避難勧告等の発令状況を踏まえ、今後とも住民への効果的な周知がなされるよう取り組んでいきます。
 続きまして、住民の避難行動についてでありますけれども、県からの明るい時間帯の避難完了の助言を踏まえ、ほとんどの市町村では、警戒レベル3の高齢者などが避難に該当する避難準備、高齢者等避難開始または警戒レベル4の全員避難に該当する避難勧告の発令を12日の日中に行っておりまして、市町村においては迅速に警戒態勢がとられたものと認識しております。
 避難者数は、災害情報システム上で確認しているところですけれども、市町村によるシステム入力時間と実際に避難所に避難した時間とではタイムラグがあり、実際に真夜中に避難したかどうかは把握できていません。県としては、市町村から実際の避難の状況を確認することなどにより、今後の災害において、より適切な住民避難につなげるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 情報は情報として、避難訓練が日常的になされているか否かで対応が違ったと思います。引き続き適切な行動がなされるように指導をお願いしたいと思います。
 次に、避難所の環境改善についてお聞きします。
 午前中にもスフィア基準のお話がありましたが、今回の大災害におきましても、赤ちゃん連れの家族の皆さんが、体育館などでは赤ちゃんの泣き声が迷惑になるとして車等に移動する姿が見受けられました。私は、こういう方々が安心して避難できる、体育館ではなくて別の部屋を最初から用意しておく必要があると思いますが、本県ではどのように対応されようとしているのかお聞きします。
〇千葉副知事 本県では、東日本大震災津波の経験も踏まえ、避難所を運営する市町村の参考としていただくため、平成25年度に市町村避難所運営マニュアル作成モデルを作成したところでございますが、その中で、要介護高齢者、在宅療養者、障がい者、乳幼児や妊産婦、感染症患者等、特別の配慮を要する要配慮者のために、避難所におきましては医務室の近くなどに福祉避難室を設けるよう記載しているところでございます。
 また、避難所運営において配慮すべき点として、これら要配慮者につきましては、要配慮者の状態などに応じて、本人や家族の希望を確認した上で福祉避難所や医療機関等への移送を手配するよう記述し、配慮を求めているところでございます。
 これを受けまして、各市町村の避難所運営マニュアルにおきましても、福祉避難室等、要配慮者に対応するための特別な部屋を設置するとともに、福祉避難所や医療機関等への移送についても記述されているところでございます。
 今後の災害におきましても、避難所運営の主体でございます市町村や福祉避難所となります施設等関係団体、医療機関等と連携しながら、避難を余儀なくされた要配慮者の方々の生活の質の維持向上に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、災害と地球温暖化対策についてお聞きします。
 近年の豪雨災害等の多発は全国各地で大変な被害をもたらしております。これらは地球温暖化と大きな関係があるとともに、今回の台風第19号のようなスーパー台風が常態化するとの指摘があります。日本の年平均気温が長期的には100年当たり約1.2度の割合で上昇し、特に1990年以降、高温となる年が続出していることに対し、多くの関係者が警鐘を鳴らしています。
 今まさに防災対策の充実とともに、温室効果ガス排出、温暖化対策に真剣に取り組む必要があると考えますが、改めて知事の御所見をお聞きいたします。
〇達増知事 地球温暖化の進行に伴い、今後、猛暑や豪雨のリスクがさらに高まることが予測されていることから、温室効果ガスの排出削減は喫緊の課題であります。
 地球温暖化対策は、環境分野のみならず、エネルギー、産業、経済、交通、運輸、林業など、各分野にわたる施策を総合的に推進していくことが重要であります。
 このため、県としては、知事を本部長とし、副知事、各部局長等で構成する岩手県地球温暖化対策推進本部を中心に、地球温暖化対策や再生可能エネルギーの導入、気候変動への適応策の推進に向けて、全庁的な施策推進の取り組みの強化や関係部局による連携を図っているところであります。
 自然環境や資源、エネルギー、社会基盤などを持続可能なものとして次世代に引き継いでいくことが求められており、低炭素社会の実現に向け、引き続き推進本部を中心としながら、全庁挙げて地球温暖化対策に取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 次に、児童虐待への対応についてお聞きします。
 昨年の東京都目黒区の死亡事例や、ことしに入り、千葉県野田市での死亡事例、そして直近では札幌市の死亡事例など、子供が犠牲となる事件が多発しており、県内でも、昨年、北上市で男児が死亡しています。いずれも事例の重症度を高く見積もらなかった中で見落としが生じ、基本的にとるべき対応として蓄積されてきた手順が十分に実施されていなかった結果、発生したのではないかと言われています。
 県内の児童虐待相談の県、市町村それぞれの件数と児童相談所の相談種別ごとの受け入れ状況はどのような状況でしょうか。
 また、児童福祉司の配置の実態と1人当たりの相談対応件数はどうなっているでしょうか。
 もう一つあわせて質問しますが、児童相談所の体制の強化についてお聞きします。
 先日、児童相談所を訪問した際、新規相談は1人50件から60件、継続も含めると100件ともお聞きしました。全国的に1人当たりの相談対応件数は140件程度と言われています。ちなみに、イギリスでは1人当たり16.8ケースであり、欧米では約20ケース程度と言われております。
 このように日本の1人当たりの相談対応件数が100件を超えている状況では、一つ一つのケースにしっかりと対応することは現実的に無理ではないかと考えます。日本では1人当たり相談件数40件を目標としていますが、私は、さらに踏み込んで、諸外国並みに人員増や組織体制の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 県内の児童虐待相談への対応状況でございますけれども、平成30年度におけます本県の児童虐待相談対応件数は、児童相談所が対応したものが前年度から90件増の1、178件、市町村が対応したものが388件増の805件となっており、県全体では1、983件と、前年度に比べ478件、31.8%増加しているところでございます。
 また、児童相談所におけます相談種別ごとの受け付け状況は、今申し上げました児童虐待対応件数1、178件を含む養護相談が1、407件、障がい相談が1、077件、育成相談が281件、非行相談が93件、保健相談が2件、その他の相談が105件で、合計で2、965件と、前年度に比べて162件、5.8%増加しているところでございます。
 年々このように増加しております児童虐待相談に適切に対応していくため、県では、児童福祉司等、専門職員の増員に努めているところでございまして、今年度は専任の児童福祉司を7人増員し、福祉総合相談センターに25人、一関児童相談所に11人、宮古児童相談所に8人ということで、合わせて44人。この中には一部兼務職員もございますが、44人を配置し、令和4年度から適用される国の配置基準を一応前倒しで達成しているところでございます。
 また、この44人をベースにした、児童福祉司1人当たりの相談対応件数については、平成30年度の児童虐待相談対応件数と前年度からの継続件数の合計件数から換算いたしますと、1人当たりの件数は37.5件となっているところでございます。
 なお、ただいま委員からお話がございました1人50件から60件という数字につきましては、専任の児童福祉司で割り返した場合の御説明をしたのではないかと考えております。
 次に、今後の体制の強化についてでございますが、先ほど申しましたことと一部重複いたしますが、昨年12月に国から示されました児童虐待防止対策体制総合強化プランにおきましては、児童福祉司1人当たりの業務量が40ケース相当となるよう、平成31年4月時点で4万人に1人以上である児童福祉司配置基準を令和4年度当初までに3万人に1人以上に引き上げることが盛り込まれたところでございます。
 したがいまして、今御答弁申し上げたとおり、今年度、児童福祉司7人を増員いたしまして兼務職員を含め44人を配置し、国の基準は満たしたところでございまして、1人当たりの相談対応件数も37.5件と国の目標である40件は達成したところでございます。
 しかしながら、本年度スタートいたしましたいわて県民計画(2019〜2028)政策推進プランにおきましては、児童相談所の業務体制をさらに強化するため、令和4年度までに専任の児童福祉司のみで1人当たり40件とする指標を掲げたところでございまして、引き続き、児童福祉司業務を担える専門職員の計画的な増員を図ってまいることとしております。
〇千田美津子委員 私は、広い岩手県にとって、今、児童福祉司をふやすことと同時に、人口だけではなくて面積も勘案した体制の強化が必要だと考えています。現在3カ所の児童相談所がありますけれども、住民にとってより利便性が高く身近な存在になることが、私は必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 もう一つ、市町村の体制強化でお聞きしますが、虐待相談では身近な市町村への相談がふえています。北上市の事例などからも、市町村における体制の充実と人材育成が必要と考えますが、県内市町村の現状はどうでしょうか。また、市町村の子ども家庭総合支援拠点の整備の現状はどうでしょうか。
〇千葉副知事 児童相談所の増設についてでございますが、児童福祉法におきまして、市町村は、子育て家庭のさまざまな相談に応じ身近な窓口となることが求められていることに対しまして、児童相談所は、児童に関する専門的知識及び技術が必要とされる相談に応じることとなっております。
 そのため、児童福祉司や児童心理司等の専門職員が児童虐待に対応するための専門性を身につけるためには、長期的に相当な期間をかけ組織的に教育訓練を行うことが必要不可欠でございまして、また、専門的な児童相談体制には、このような訓練を受けた一定規模の職員数が必要と考えております。
 したがいまして、県といたしましては、まずは現状の3児童相談所体制で増員となっております児童福祉司、児童心理司等の専門職員を育成しながら、市町村が教育機関、医療機関、警察などの参画を得て設置しております要保護児童対策地域協議会等、関係機関との一層の連携による地域の見守り体制の充実を図り、児童虐待の発生予防から早期発見、早期対応、再発予防に至るまでの児童虐待防止対策を進めていくことが、まずは当面の取り組みと考えているところでございます。
 次に、市町村の体制強化についてでございますが、現在、県内の市町村では、虐待相談に関係機関が連携して対応していくため、今申し上げました市町村要保護児童対策地域協議会におきまして、対応ケースの進行管理と全体調整を行う専門職員として74名の有資格者を配置しておりまして、昨年度に比べまして15名増加していただいているところでございます。
 これらの専門職員は、虐待通告の対応などにおいて高度な知見を必要といたしますことから、その人材の確保と育成及び専門性の向上が課題となっておりまして、児童福祉司任用前講習会や調整担当者研修などを通じて、対応力のさらなる強化を図っているところでございます。
 また、児童福祉法に基づき、市町村におけます虐待相談対応の中心的役割を担う組織でございます、子ども家庭総合支援拠点につきましては、昨年度設置いたしました盛岡市に次いで、本年度、遠野市が設置したところであり、今後、1市において設置を検討していると伺っているところでございます。
 国におきましては、この子ども家庭総合支援拠点を全市町村で設置するよう求めているところでございまして、県といたしましては、今申し上げましたような先行事例あるいは国庫補助制度の活用などについて情報を提供することなどにより、市町村の体制強化の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 児童相談所も市町村も体制が強化されてきていることは非常に重要でありますけれども、ただ、残念ながら、経験の少ない3年未満の職員がふえているという現状が全国的にもあります。これらの改善も含めて、ぜひ前向きな取り組みをお願いしたいと思います。
 一つ質問を飛ばします。最後に、児童虐待を生み出さない地域づくりについてお聞きします。
 子供は国の宝、地域の宝であります。これまで、全国で虐待により子供が犠牲となる痛ましい事件が多発している背景には、子育て家庭が地域から孤立していることが原因の一つであると考えられます。
 児童虐待を生み出さないためには、子育て家庭を地域から孤立させない、児童虐待を許さない地域づくりが重要と考えますが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 子育ての孤立化を防ぎ、児童虐待の発生を予防するためには、育児等の相談しやすい環境の整備が必要でありますことから、県では、児童虐待防止アクションプランに基づき、市町村等と連携し、民生委員、児童委員、ボランティア、子育て支援組織などの地域の資源やネットワークを活用しながら、子供や子育て家庭への支援の充実に努めてまいりました。
 また、昨年4月に北上市で発生した虐待による死亡事案の検証報告において、地域での見守り支援体制の充実や住民に対する意識啓発などにより、地域全体で児童虐待防止の取り組みを推進するよう提言されたところであり、子供や保護者を支えていくための地域づくりの重要性を改めて認識したところであります。
 県では、児童虐待防止フォーラムの開催やオレンジリボン・キャンペーン等による県民への啓発を行いますほか、警察との相互連携の推進、民生委員、児童委員等を対象としたスキルアップ研修などにより、地域における見守り活動等の取り組みを支援し、市町村と連携しながら児童虐待のない地域づくりを推進してまいります。
〇千田美津子委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 次に、木村幸弘委員。
〔木村幸弘委員質問者席に着く〕(拍手)
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘でございます。
 通告してあります質問の中身には幾つか重複している点もありますが、順次質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、台風第19号災害と今後の防災対策について伺います。
 改めて、このたび被災されました、犠牲となった方々へのお悔やみを申し上げますとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 今回、史上最強勢力と言われた台風第19号は、先月の台風第15号による被害の復旧もままならない中で、各地に甚大な被害をもたらしました。
 この現状を踏まえ、本県におけるこれまでの災害対策や防災に対する取り組みについて、どのような認識を持たれたのか伺いたいと思います。
〇達増知事 県では、平成28年台風第10号災害で得られた教訓を踏まえ、新たな風水害に対応した防災体制の整備に係る報告書を取りまとめ、地域防災計画に反映させてまいりました。
 これに基づき、河川改修や砂防施設の整備などのハード対策に加え、風水害対策支援チームによる台風接近時の避難勧告等の発令や避難所開設に係る市町村への助言、水位周知河川や土砂災害警戒区域等の指定、中小河川への危機管理型水位計の設置、市町村長へのホットラインなどのソフト対策の実施などに取り組んでまいりました。
 今般の台風第19号の接近に際しては、10月13日日曜日の明け方に県内への最接近が見込まれたことから、10月11日金曜日に風水害対策支援チーム会議を開催し、県から市町村に対し、早期の警戒を行うよう1回目の助言を行いました。
 また、10月12日土曜日にも風水害対策支援チーム会議を開催し、特に警戒を必要とする地域や、明るい時間帯に避難を完了すること等について2回目の助言を行い、必要な対応を促したところであります。
 さらに、1週間前から、雨量、水位の観測体制の再確認を実施し、台風が接近した当日は、避難判断水位に達する見込みなどの河川水位の状況を、ホットラインで市町村に対して注意喚起を行ったところであります。
 今回の災害対応においては、これまでの災害の教訓も踏まえ適切な対処が行われたものと認識しており、また、約1万人が避難を行うなど、県民の防災意識の高まりも認められたところであります。今後におきましても、予期せぬ風水害の発生に対応できるよう、地域防災力の強化を図ってまいります。
〇木村幸弘委員 今回の台風で、全国各地のダムにおいて貯水量の急増による決壊を防止するため、緊急放流が実施されました。緊急放流の判断基準等のあり方については、国が設置した異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調整機能に関する検討会において、西日本豪雨災害の教訓に基づき、異常豪雨の頻発化に備えた効果的なダムの洪水調節操作や有効活用の方策、操作にかかわる有効な情報提供等について検討を進め、平成30年12月に提言を取りまとめたところでありますが、本県のこれまでの取り組みと今回の台風における対応状況はどうなっていたのか伺います。
〇保副知事 ダムの緊急放流は、ダムの容量を超えるおそれのある洪水が発生した際に、ダムに流入する河川の流量をそのまま下流に放流するものでございまして、正式には、異常洪水時防災操作と言われております。これを行うためには、放流ゲートを任意に開閉できる機能を有するダムであることが必要でございまして、県管理の治水ダムにおきましては、久慈市の滝ダムが一つ該当するものでございます。
 滝ダムにおきましては、今、委員の御紹介にありました国が設置した検討会からの提言を参考にいたしまして、ダムの下流域の全世帯を対象にいたしまして、いわゆる緊急放流を行うことに関する説明会の開催、チラシ等の配布、ダム操作前の放流の警報について、開始30分前といったこれまでのルールに加えまして、新たに1時間前、3時間前というタイミングを追加したこと、それから、県から久慈市に電話で直接伝達するホットラインの構築、そのような取り組みを行ってきたところでございます。
 今回の台風第19号では、豪雨が予想されておりました2日前の10月11日から、可能な限りダムの貯水容量を確保するため事前の放流を開始しておりまして、この際、久慈市などの関係機関とダム操作の見通し等について情報共有を行ったところであり、結果的に、幸いにして、いわゆる緊急放流の操作は実施に至らなかったものであります。
 今後とも、施設の能力を超える洪水は発生するという認識のもと、住民の円滑かつ迅速な避難を促すため、住民への丁寧な情報提供や久慈市、関係機関との一層の連携を図りながら、滝ダムの適切な運用に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 次に、避難生活環境の確保について伺います。
 先ほどから各委員からも質問があったわけでありますけれども、今回、改めて、各地で医療、福祉関係施設が浸水や停電により治療や支援が困難となるケースが発生しておりました。本県の医療、福祉関係施設や福祉避難所の指定施設における食料、電源、医療介護用品等の備蓄について、避難生活環境の確保とあわせて、どのような取り組みが行われてきたのか伺います。
〇千葉副知事 避難生活環境の確保についてでございますが、まず、医療機関につきましては、厚生労働省医政局長通知、災害時における医療体制の充実強化についてに基づきまして、被災することを想定して災害対策マニュアルや業務継続計画を策定するよう国から求められているところでございまして、国におきましては、この策定率の低い業務継続計画の策定に向けた研修会を実施し、電源の確保や医療用品の備蓄等を含む当該計画の策定を促しているところでございます。
 また、特に災害拠点病院におきましては、同通知に基づき、自家発電機及び3日分程度の燃料、食料、飲料水、医薬品等を備蓄し、災害発生時には災害医療を行う医療機関を支援する準備が求められており、本県においては、その整備がなされているところでございます。
 次に、社会福祉施設につきましては、厚生労働省通知、社会福祉施設等における災害時に備えたライフライン等の点検についてに基づきまして、災害時にあってもサービス提供が維持できるよう、飲料水、食料等の備蓄やライフラインが寸断された場合の対策などについて、県が各施設に対し助言を行っているところでございます。
 また、福祉避難所につきましては、内閣府が策定いたしました福祉避難所の確保・運営ガイドラインに基づき、市町村は、施設管理者と連携し、介護用品や飲料水、要配慮者に適した食料、電池など福祉避難所における必要な物資、機材の備蓄を図ることとなっているところであります。
 県といたしましては、市町村との会議等の機会を通じ、福祉避難所におけます物資、機材の備蓄を要請いたしますとともに、災害発生時におきまして市町村の災害用備蓄が不足した場合には、県備蓄物資の供給を通じて市町村を支援することに加え、企業等との間で締結しております災害時応援協定に基づき、必要な物資を市町村に提供することといたしております。
〇木村幸弘委員 次に、自助、共助、公助の取り組みについて伺います。
 今回の台風第19号被害を受け、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる実効的な防災、減災体制の整備を着実に推進するため、これまでの認識あるいは想定を上回る規模の災害発生に備え、風水害、土砂災害対策等、具体的な取り組みについて早急に検討する必要があると考えますが、所見を伺います。
 また、みんなで取り組む防災活動促進条例に基づく県の実施施策について、平成30年度の施策実施状況と令和元年度の実施予定施策が公表されておりますが、改めて、自助、共助が発揮される社会の実現に向け、今後どのような取り組みが必要であると考えるか、あわせて伺いたいと思います。
〇八重樫総務部長 風水害、土砂災害対策等については、風水害対策支援チームによる市町村への助言や大規模氾濫減災協議会における洪水ハザードマップの作成促進及び要配慮者利用施設の避難確保計画作成支援など、総合的な減災対策を推進してきたところであります。
 今般の台風第19号災害への対応では、県から市町村に対し、明るい時間帯に避難を完了すること等について助言を行ったところでありますが、今後の予期せぬ風水害に対応できるよう、市町村の意見も聞きながら、助言の時期や内容を高めるなど、必要な対応について検討していきたいと考えています。
 また、みんなで取り組む防災活動促進条例に基づき、より一層の防災知識の習得支援、普及啓発や地域が主体となった防災活動がより活発となるよう、自助においては、住民参加型の総合防災訓練の実施、地域防災サポーター派遣や学校における防災教育の推進など、県民一人一人の防災意識の高揚に努めることとしています。
 共助では、地域コミュニティーの中心的な役割を担う消防団の強化及び担い手の確保に取り組むとともに、自主防災組織の中核人材を育成するための防災士養成研修事業や自主防災組織活性化モデル事業を継続して実施するなど、市町村の取り組みを支援し、自助、共助、公助による防災体制づくりを推進していきます。
〇木村幸弘委員 今回の台風第19号は、その進路において、本県の内陸部を縦断することは避けられたわけでありますけれども、他県の状況を見ると、内陸部を含めて大変な被害を受けたわけでありますから、そういった今回の事例をシミュレーションするなどしながら、改めて、しっかりとした万全な対策をとっていただきたいと思います。
 次に、地球温暖化に対する認識と本県の温室効果ガス削減の取り組みについて伺います。
 今回の台風第19号の猛威を受けて、改めて、地球規模の気候変動に起因する大規模自然災害の多発化に対する不安が拡大しております。
 10月14日の岩手日報に掲載された名古屋大学の坪木和久教授の話では、肌感覚として、気象災害がふえている背景に地球温暖化があるとして、災害の規模や頻度は、新たなステージに入ったと考えて対策をしなければならないと語っています。
 また、国際社会においては、地球規模の問題として危機感を募らせており、9月23日にニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミットは、来年、本格始動するパリ協定をめぐる温室効果ガスの大幅削減に向け、各国が具体的、実効性のある行動にどう取り組むのか、あわせて、パリ協定から離脱を表明したアメリカの対応やスウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんの抗議活動が注目を集めたところであります。
 世界の為政者らに訴えかけたグレタ・トゥーンベリさんの行動に対する所感と、そして、我が国の姿勢として、国連デビューされた小泉環境大臣の、気候変動のような大きな問題は、楽しく、クールでセクシーに取り組むべきだという発言について、私のような凡人にはその真意がわからずにおりますけれども、知事の感想を伺いたいと思います。
〇達増知事 グレタ・トゥーンベリさんの行動に対する所感と小泉環境大臣の発言についての感想でありますが、地球温暖化により世界は滅びつつあるという強い危機感に基づいた激烈な口調で、年少ながら全身全霊を込めた演説によって、グレタ・トゥーンベリさんは、世界の多くの人たちの心を揺り動かしたと思います。私も心を動かされましたが、同時に、大人たちは、年少者にこれほどの心配をさせることのないように、地球温暖化対策に取り組まなければならないと強く思ったところであります。
 地球温暖化は、その予想される影響の大きさや深刻さから見て、世界の全ての個人や国家、団体、企業等の組織に迅速かつ確実な行動を求めるものであり、本県においても、県民総参加で地球温暖化対策に取り組んでいかなければならないと改めて感じました。
 小泉環境大臣の発言については、まさに日本政府を代表しての発言と感じられるところであります。地球温暖化に大きな疑問を持つ米国のトランプ大統領の影響などにより、国際社会全体の地球温暖化への取り組みに混乱が見られる中で、日本政府としての考え方や行動を対外的に明確に発信できる形になっていないことが問題であり、国民的な議論を踏まえて、日本政府としての姿勢を対外的に明確にできるようにすべきと考えます。
〇木村幸弘委員 そういう発言を踏まえて、知事自身は、地球温暖化問題の現状認識とパリ協定に基づく行動について、政府はどのような取り組み姿勢を示すべきと考えるか伺いたいと思います。
〇達増知事 地球温暖化は、生活や産業、生物の多様性にも深刻な影響を与えるものであり、国内のみならず、世界の全ての国々が協力していかなければ解決できない問題と捉えております。
 国では、地球温暖化対策計画において、パリ協定を踏まえた長期的目標として、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すとともに、中期目標として、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度と比べて26%削減することとしています。
 まずは、2030年度の温室効果ガス削減目標の確実な達成に向けて、国内における低炭素社会の形成に向けた取り組みを加速させるよう、国、地方公共団体、事業者、国民の各主体が具体的に何をするべきかを明らかにして、それぞれの主体が迅速に取り組みを推進できるようにしていくことが重要と考えます。
〇木村幸弘委員 いずれ、小泉環境大臣の発言については、野党からの質問趣意書でも、正確な訳出は困難だという答弁が閣議決定されたそうですから、大変困ったものだなと思っております。
 次に、岩手県地球温暖化対策実行計画について伺います。
 過日公表された2016年度県内の温室効果ガス排出量について、本県の温室効果ガス排出量は、基準年と比較し0.9%減少したものの、1、397万2、000トンと依然高い水準にあるとしています。改めて、岩手県地球温暖化対策実行計画に掲げる2020年度排出量を基準年比25%削減する目標を推進するため、今後の具体的、現実的な実行策について伺います。
〇千葉副知事 県におきましては、岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして、温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けた施策といたしまして、温室効果ガス排出抑制等の対策、再生可能エネルギーの導入促進、森林吸収源対策の3本の柱を掲げ、柱ごとの施策の推進方向に基づき取り組みを進めております。
 このうち温室効果ガス排出抑制等の対策につきましては、温室効果ガスの排出量が、東日本大震災津波からの復興事業等によりまして、平成25年度以降、横ばい傾向で推移しており、今後、復興の状況も踏まえながら、さらなる取り組みが必要だと考えているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、いわて県民計画(2019〜2028)におきましては、政策項目として、地球温暖化防止に向けた低炭素社会の形成を掲げ、家庭部門におきましては、エネルギー消費量の見える化の推進、住宅の省エネルギー性能の情報提供などによりますエネルギー消費の少ないライフスタイルへの転換の促進、産業部門におきましては、事業所におけます環境マネジメントシステムの普及、省エネルギー性能の高い設備、機器の導入などによる事業活動における低炭素化の推進、運輸部門におきましては、次世代自動車の普及、公共交通機関の利用促進などによる自動車交通における環境負荷の低減などに取り組むこととしております。
 これらの取り組みを効果的に進めるため、今後、気候変動対策に関する理解増進を目的とした総合イベントの開催や省エネルギー活動に積極的に取り組む事業所を認定するいわて地球環境にやさしい事業所認定制度のさらなる普及促進、次世代自動車への乗りかえキャンペーンの実施など、全県的な団体、機関で組織しております温暖化防止いわて県民会議を中心に、温暖化防止に向けました具体的な行動に取り組む県民運動を展開し、総合的な温室効果ガスの排出削減対策を推進してまいります。
〇木村幸弘委員 一つ質問を飛ばしまして、最後に、選挙戦を踏まえての県政課題への認識と今後の取り組みについて伺いたいと思います。
 今回の知事選挙の投票率は過去最低の53.46%となりました。一部報道では、県議会議員選挙の無投票区の増加が影響した、復興が争点となり得なかった、相次ぐ選挙の疲れなど、さまざまな要因が伝えられております。
 本県を取り巻く県政課題の中で、これまでも議論されているように、人口減少や高齢化の進展、生活基盤の基本である医療、福祉、環境、産業、地域振興施策の展望などは、県民の関心も高く、このような課題に対し、どれだけ明確な政策を訴えることができたか否かが、選挙に対する県民の関心や投票率を高める上で重要であると考えております。
 知事は、いわて県民計画(2019〜2028)を公約に掲げ知事選挙を戦ってきたところでありますが、政策の訴えはどの程度県民に浸透したと考えるのか、今回の選挙結果も踏まえ、所見を伺います。
〇達増知事 このたびの知事選挙では、県内全市町村、各地域を回り、多くの県民の皆様と直接接し、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標を繰り返し紹介しながら、東日本大震災津波からの復興や岩手全体あるいは北上川流域、沿岸、県北部ごとの地域振興、健康・余暇、仕事・収入等の10の政策分野の推進などを選挙公約として掲げ、県民の皆様に御説明してきたところであり、一定程度の理解を得ることができたものと考えております。
 計画の推進に当たり、計画冊子の作成、配布やワークショップ、また、県民フォーラムの開催など、さまざまな機会を通じて、さらに広く県民の理解醸成を図ってまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 そうした理解を深める取り組みは大変重要でありますが、今回、知事自身が選挙遊説を行う中で、多くの県民と触れ合い、あるいは交流する機会があったと思います。選挙後のコメントでは、いわて県民計画の推進への賛同を得たと表現しております。
 今回の選挙戦において、特に県民からどのような期待や課題、要望、意見を受けとめてきたのか。また、その中で、地域医療や周産期医療問題などにも言及されていたと記憶していますが、それらの認識と今後の施策推進についての考え方を伺います。
〇達増知事 このたびの知事選挙では、県内市町村、各地域を回り、多くの県民の皆様と直接接し、課題や要望を伺ってきたところでありますが、東日本大震災津波からの復興に向け、被災地における健康支援、生活支援、事業者支援、また、内陸を含めた県の施策については、地域振興、保健、福祉、医療、子育て支援などの課題に対応していく必要があると受けとめております。
 特に、委員御指摘の地域医療や周産期医療の課題については、人口10万人当たりの医師数は全国と比較して低い水準にあり、沿岸・県北地域の医師や周産期医療を担う産婦人科医、小児科医の不足など、深刻な医師不足と偏在の状況にあると認識しております。
 今後につきましては、奨学金による医師の養成、確保や養成医師の計画的な配置などの医師確保対策に引き続き取り組むとともに、今般、医師偏在指標により改めて全国的な医師の偏在が明らかにされたことを踏まえ、本県で提言している全国的な地域偏在を根本的に解消することを目的とした(仮称)地域医療基本法の制定とあわせ、医師少数県に位置づけられた他の県と連携し、実効性のある施策に国を挙げて取り組むよう、国に強く働きかけてまいります。
〇木村幸弘委員 最後に、いわて県民計画(2019〜2028)の主眼であります、知事演述でもまとめの総論として述べられている幸福度を高めるという目標について伺います。
これまでも、この幸福度に対する考え方や意見はさまざまあるわけでありますけれども、具体的な形として今回のいわて県民計画に示された幸福度指標を、単なる形式的な数値化という形でまとめてしまうのではなくて、あるいはそういうことにとどめるのではなくて、県民一人一人の肌感覚の中で、幸福が実感できる成果をしっかりと評価されるように推進していくことが大変重要であろうと思いますけれども、改めて、そうした点について知事の決意を伺いたいと思います。
〇達増知事 いわて県民計画(2019〜2028)の推進に当たりましては、いわて幸福関連指標の状況や県民意識調査等で把握した県民の幸福に関する実感、また、社会経済情勢などを勘案して、評価を行い、マネジメントサイクルを機能させるとともに、取り組みの成果や幸福度について県民の理解を深めていくことが重要であると考えております。
 このため、評価の結果やいわて幸福関連指標の動きについて情報発信を強化しますとともに、県民意識の変化と政策や社会経済情勢等の関連性について分析を行い、これを踏まえた取り組みを展開することにより、計画の実効性を高め、県民の幸福度の向上につなげてまいります。
〇木村幸弘委員 終わります。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 次に、小林正信委員。
〔小林正信委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小林正信委員 公明党の小林正信です。
 まずは、過日の台風第19号によって亡くなられた方の御冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた全ての方々にお見舞いを申し上げます。
 それでは、平成30年度の予算執行において、県民の求める豊かな生活に行政がどれだけ応えることができたのかという観点から、所得、県民の安心・安全、医療、子育ての四つのテーマについて質問させていただきます。
 まず、県民所得について伺います。
 所得のみで県民の生活の豊かさや幸福度をはかれるものではありませんが、所得を一つの目安としてお伺いいたします。
 平成28年度の調査における県民1人当たりの所得は273万7、000円。国民所得は308万7、000円なので、全国と比べた所得水準は88.7となっております。平成30年度において、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づき県民所得向上に向け努力がなされたことは承知しておりますが、県内各市町村においても所得の格差はあり、こうした状況を県としてどのように把握されているのかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 委員御指摘のとおり、直近の平成28年度におけます本県の1人当たり市町村民所得でございますが273万7、000円となっておりまして、市町村平均を100とした水準で広域振興圏別に見ますと、県央が105.1、県南が94.8、沿岸が103.3、県北が95.1となっております。
 また、震災前の平成22年度と比較いたしますと、平成22年度におきましては、1人当たり市町村民所得が227万5、000円、広域振興圏別で見ますと、県央が111.3、県南が96.8、沿岸が88.1、県北が89.8となっておりまして、1人当たり市町村民所得が、平成22年度と比べますと46万2、000円の増加となるとともに、各広域振興圏の差も縮小してきている状況ではございます。
 このように、1人当たりの所得水準は年々上昇しているものの、これまでも御答弁申し上げておりますが、全国との経済成長率等の差などによりまして、国民所得の上昇幅のほうが大きいことから、このふるさと振興総合戦略の施策推進目標の一つとしてきました国民所得に対する県民所得水準の乖離縮小の目標達成には至っていないところでございます。次期総合戦略の策定に当たりましては、各地域の資源や特性を生かした産業振興や地域振興策を再編、強化してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 続いて、半導体産業大手の工場新設に伴い、県南部を中心として労働人口の大幅な増加が見込まれますが、県民所得に対する影響について、どのように捉えておられるのかお伺いいたします。
〇保副知事 個別企業の立地におきまして、それがどれだけ県民所得に影響を与えるのかを試算するのは非常に難しいわけでございますけれども、一つの推計といたしまして、平成30年工業統計調査に基づいて県で独自に試算してみたものがございます。この試算は、誘致企業の従業者1人当たりの年間の平均現金給与総額が幾らになるかという推計ですが、これが約410万円と出ております。
 今般の該当の工場新設におきましては、新規雇用がその1社だけで1、000人以上と報道もされておるところでございます。粗い試算ではございますが、この410万円に1、000人を掛け合わせるというやり方ですと約41億円ということになります。この額をもって県民所得の向上には相当程度の寄与があるものと考えております。
〇小林正信委員 わかりました。これからも県民所得向上の取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、県民の生活における安心・安全の確保についてお伺いします。
 国土強靱化地域計画に関して、県内市町村における策定は二戸市だけと伺っております。現在、策定予定の市町村をお示し願います。また、策定に関して、計画の策定に非常に手間がかかるため、各市町村では二の足を踏んでいる部分もあると聞いております。各市町村に対しては説明会を行っているとのことですが、場合によっては、二戸市の策定などを参考にして、計画策定のノウハウを教えるなど、県が一緒になって策定に向けて動かなければなかなか前進しないのではないかと考えております。知事の見解についてお伺いいたします。
〇達増知事 県内市町村においては、二戸市が平成30年9月に計画策定済みであるほか、今後、滝沢市が策定予定としており、その他の複数の市町村でも策定に向けた検討が進められているものと承知しております。
 県では、市町村の地域計画策定に向けて、市町村担当者を対象とした説明会や、個別の市町村との意見交換会等を継続的に行ってまいりました。
 国においては、災害の頻発化、激甚化を踏まえ、地域計画に基づく取り組みに対し、来年度以降、予算の重点配分や優先採択等を行うこととしていますことから、県としては、引き続き、市町村の計画策定が進むよう、国とも連携し、県や先行自治体の計画の内容や策定プロセスの共有など、積極的に支援を行ってまいります。
〇小林正信委員 説明会等も行っておられるということで、これからも計画策定に努力されるということでしたが、できれば市町村に計画を策定するための専門の人員配置または専門の部署を設置して、例えば県から出向いて市町村に支援をするとか、そういった部分も考えられるかと思うのですけれども、御所見をお伺いします。
〇白水政策地域部長 県におきましては、庁内に岩手県国土強靱化地域計画連絡会議を設置いたしまして、部局横断的な体制により、市町村の計画策定支援を初め、国土強靱化の取り組みを推進しているところでございます。また、事務局を担う政策推進室に総合土木職の職員を配置いたしまして、専門的な見地から計画推進を図る体制としております。
 加えまして、外部有識者会議であります岩手県国土強靱化地域計画推進アドバイザリー会議に計画の取り組み状況を諮り、その推進について意見等をいただいているところでございます。
 平成28年台風第10号災害が発生した際も、こうした体制のもと、県の地域計画を見直しまして、強靱化施策の充実強化を図ったところでございます。
 近年、災害が頻発化、激甚化する中で、国土強靱化は喫緊の課題でございまして、引き続き、全庁挙げた部局横断の体制により、国土強靱化に係る県地域計画の推進、それから、市町村の地域計画の策定支援に積極的に取り組んでまいります。
〇小林正信委員 現時点では二戸市のみ、そして滝沢市が策定に向けて動いているということでしたけれども、ぜひ全33市町村が策定をしっかり進めるようにお願いしたいと考えております。
 さて、昨年、北海道を襲った胆振東部地震においては、約50時間にわたる大規模停電が発生し、また、本年の台風第15号による千葉県の大規模停電は、復旧に大変な労力と時間を要し、その影響によって深刻な水不足も発生いたしました。広範囲にわたって電力の供給が途絶えてしまういわゆるブラックアウトは、県民の生活及びあらゆる産業に影響を与え、人命にもかかわる事態が想定されます。
 岩手県においては、どのような場合にブラックアウトが発生すると想定されるか、また、ブラックアウトが発生した場合、どのような影響があるとお考えかお伺いします。
〇千葉副知事 昨年、北海道で発生いたしましたいわゆるブラックアウトは、電力の約半分を供給しておりました大規模な発電所が地震の被害により停止したことをきっかけに、供給力が徐々に失われていったことにより発生したものと承知しております。
 本県を含みます東北電力管内におきましては、発電所を分散配置していること、基幹送電線を新たに整備したこと、他地域からの電力融通が可能で送電量も多いことなどにより、本県では広域停電は起こりにくいと関係者からは聞いております。
 いずれにせよ、大規模な停電は、住民生活にさまざまな面で多大な影響を与えますことから、今後とも、自立・分散型エネルギー供給体制の構築に向けまして、市町村庁舎、病院等の防災拠点や避難所、被災家屋等への太陽光発電など再生可能エネルギーの導入などを進め、災害対応力を強化してまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いいたします。
 また、地震や台風による停電を防ぐ対策の一つとして、電線類の地中化、無電柱化の取り組みがあります。地中化にはある程度の道路幅が必要であり、また、電柱設置に比べ10倍から20倍程度のコストがかかるとされ、早急に電線の地中化を進めるのは困難であるとは思いますが、岩手県における平成30年度までの地中化の進捗状況、また、どういった地域を優先して地中化を図ってきたのか、及び今後の計画についてお伺いいたします。
〇保副知事 岩手県内の無電柱化は、平成30年度末現在で、国の管理する道路におきましては約28キロメートル、岩手県の管理するところでは約30キロメートル、市町村管理の道路では約36キロメートルとなっておりまして、合計でおよそ94キロメートルができているという状況でございます。
 この推進に当たりましては、国の基本方針として、まず防災、二つ目に安全、円滑な交通の確保、三つ目に景観形成、観光振興に資する、このような三つの柱を立てて、それぞれに該当するところに優先的に実施することにされております。
 県でも、それを受けまして、まず防災面では、国道106号などの幹線道路の主に市街地の区間、それから、安全、円滑な交通の確保という観点からは、盛岡停車場線―盛岡駅のところでございます―それから一関停車場線―これも一関駅のところでございます―などの歩行者が多い区間、それから、三つ目の景観形成、観光振興という視点からは、景観形成区域内になっております平泉厳美渓線について整備をこれまで進めてまいりまして、現在は、令和2年度の完成を目指しまして、平泉停車場中尊寺線―これは平泉の駅前のところでございますけれども、鋭意整備を進めているところでございます。
 委員からもお話がございましたとおり、非常にコストがかかるということ、それから、関係者が多くて、この調整も必要だということでなかなか進まない部分もございますが、国におきましては、現在、コスト縮減を推進するため、さまざまな実証実験等も行っているところで、県としましても、そういった取り組みを踏まえまして、今後とも無電柱化の推進には継続して取り組んでまいりたいと考えております。
〇小林正信委員 よろしくお願いします。
 続いて、医療についてお伺いいたします。
 県内の医療を支える医師数は全国平均を大きく下回っており、県内の医師不足は深刻な状況であると思います。こうした状況に対し、県では独自の奨学金制度を創設し、平成28年度から、この奨学金を利用した医師が県内各地に配置されていると承知しております。
 県内の奨学金による医師の養成状況、また、現時点での配置状況と医師定着の取り組みについてお示しください。
〇千葉副知事 奨学金によります医師の養成についてでありますが、県では、医師確保対策アクションプランに基づきまして、平成20年度から、現行の奨学金制度により医師養成に取り組んできたところでございまして、今年度は、県、県医療局及び岩手県国民健康保険団体連合会が所管しています三つの奨学金を合わせて46名に貸し付けを行っており、これまでの貸与者は537名となっております。
 奨学金養成医師は、平成28年度に初めて16名を配置して以来、毎年度10名程度ずつ拡大し、今年度は53名の養成医師を県内全ての医療圏の公的基幹病院に配置したところでございまして、今後は、比較的規模の小さい地域病院等にも順次配置を進めることとしております。
 養成医師の円滑な義務履行と県内定着に向けまして、医学部在学中の奨学生に対しましては、将来の地域医療への従事に向けました意識の共有を図ることなどを目的といたしましたセミナー等を開催いたしますとともに、医師になった後は、県立病院長経験者であります医師支援調整監などが、初期臨床研修の段階から養成医師と面談を重ね、キャリアアップのための助言等を行っております。
 今後におきましても、専門医資格の取得などの養成医師のキャリア形成にも配慮しながら、着実な義務履行と県内定着につながる取り組みを行ってまいります。
〇小林正信委員 次に、救急医療について。
 総務省消防庁の救急救助の現状によると、平成29年において、通報を受けてから病院に患者を収容するまでの時間は、全国平均で39分18秒だったとのことです。
 岩手県においては、平成29年中の収容までの時間は43分54秒と伺っておりますが、救急車の到着、病院収容時間削減のための道路整備について、どのような取り組みがなされたのかお伺いいたします。
〇保副知事 救急医療確保の観点からの道路整備についてでございますけれども、県はこれまで、より高度な医療を必要といたします重篤な患者の病院間の転院搬送の患者の負担を軽減するため、主にそういった観点から救急搬送ルートを設定いたしまして、交通隘路の箇所等の解消を目的として、道路整備の路線数で申し上げますと8路線、13カ所、34.5キロメートルを設定いたしまして整備を進めてきたところでございます。これは、いわて県民計画(2019〜2028)においても、引き続き救急医療や地域医療を支援する道路整備を推進するとうたいまして、今後とも進めてまいります。
 現在、国において整備が進められております復興道路や復興支援道路によりまして、一例ですけれども、陸前高田市役所から県立大船渡病院への所要時間が開通前に比べまして16分短縮というような効果も出ております。特に沿岸部におきまして、県内の救急医療施設へのアクセスは、令和2年度の全線開通で大きく向上するものと考えております。
 県におきましては、引き続き、国道281号久慈市下川井工区、あるいは国道343号一関市渋民工区、岩手医科大学附属病院へのアクセスルートでございます県道大ケ生徳田線の徳田橋の整備などを進めているところでありまして、今後も救急搬送ルートの観点からの道路整備を進めてまいります。
〇小林正信委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 また、平成24年からは、本県においてもドクターヘリが導入され、この間、各消防本部と医療機関の連携においても充実が図られてきたところと思います。このドクターヘリの運航について、内陸から沿岸に向かう際、天候その他の影響により北上高地を越えることができない事態もあったとお伺いいたしましたが、そうした事例はこれまでどの程度あったのかお伺いします。
〇千葉副知事 ドクターヘリの運航状況についてでございますが、平成24年5月に岩手医科大学を運航主体として導入いたしました本県ドクターヘリに係ります天候不良による未出動状況は、運航開始以来、本年9月末現在で、合計の要請回数4、108回に対し551回、要請回数に対する割合は13.4%となっているところでございますが、特に沿岸地域からの要請について部分的に取り上げますと、要請回数1、421回に対し264回、要請回数に対する割合は18.6%となっているところでございます。
〇小林正信委員 承知いたしました。ドクターヘリに関しては、沿岸地域においても、岩手医科大学附属病院に準ずるようなヘリポート基地または医療機関の設置が必要と考えますが、その可能性について専門的な見地からお伺いいたします。
〇千葉副知事 現在、岩手医科大学附属病院に整備しております本県のドクターヘリ基地は、県のほぼ中央に位置しておりますことから、全県を効率的にカバーできているものと考えております。また、沿岸地域や県境地域につきましても、隣接県との広域連携により補完されているものと認識しているところでございます。
 ドクターヘリの配備先は、国の救急医療対策事業実施要綱に基づきまして、救命救急センターであることが求められておりまして、ドクターヘリの運航を担うためには、救命救急センターにおける365日高度な救急医療の提供に対応できる救命救急の専門スタッフの十分な確保が必須となっております。
 沿岸地域へのヘリポート基地等の設置につきましては、こうしたことから課題も多く、本県の運航状況や他県の状況等を見きわめながら、中長期的に検討してまいる課題であると考えております。
〇小林正信委員 次に、子育てに関して。
 10月から消費税2%の増税分を財源として、幼児教育・保育の無償化が実施されております。政府においては、少子化対策の一環として教育費負担の軽減を進めており、今回の無償化はその大きな一歩と考えられます。しかしながら、無償化に伴う待機児童の増加や保育所、幼稚園の負担増が懸念され、無償化と同時に対策が必要であります。
 特に、保育士の確保に関してはどのような取り組みがなされ、その結果はどうであったのか、また、待機児童対策に関しては、保育所の増設はもちろん、保育コンシェルジュの設置など、保育所と保護者のマッチングが重要と考えますが、昨年度までにとられた対策と今後の方針についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 保育士の確保についてでございますけれども、県におきましては、保育士の確保に向けまして、保育士の資格を持ちながら保育所等に勤務していない、いわゆる潜在保育士の再就職を支援するため、平成25年度に岩手県保育士・保育所支援センターを岩手県社会福祉協議会への委託により設置いたしまして、保育所等とのマッチングや相談への対応、悩み相談会等の開催に取り組んでおりまして、昨年度までに潜在保育士525人の再就職を支援してきたところでございます。
 また、平成29年度に、保育士を目指す学生を対象とする保育士修学資金貸付事業を創設し、平成30年度には貸付枠を20人から33人に拡大したところであり、これまでに66人に対する修学資金の貸し付けを行い、この春に卒業した17名については、全て県内の保育所及び認定こども園に就職しているところでございます。
 さらに、今年度は新たに年度途中に発生する待機児童の解消を図るため、あらかじめ年度当初から保育士を採用し加配する保育所等に対しまして、その人件費の一部を補助いたします保育士確保・保育所等受入促進モデル事業を創設したところであり、現在、2市において、当該事業を活用した対策を進めているところでございます。
 なお、保育所等の整備につきましては、この4年間で、15市町における48施設の整備により886人の利用定員の増加が図られたところでございます。
 次に、保育コンシェルジュについてでございますが、子供を預ける保育所の決定につきましては、市町村が保護者から希望を伺い、調整するものでございますけれども、国におきましては、平成27年度から、市町村に保育サービスの利用希望者等を支援する専門職員であります保育コンシェルジュを設置する事業が始まったところであり、現在、県内では4市町において実施されているところでございます。
 この取り組みは、専門の職員が、第1希望の保育所等の利用が難しい場合であっても、希望にかなう別の施設を紹介し、利用につなげることで、待機児童の解消にも効果があるものと考えておりまして、県といたしましては、引き続きその拡大に向け、事業内容の周知等に努めるなど市町村の取り組みを促してまいります。
〇小林正信委員 丁寧な御答弁ありがとうございました。以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員長 お諮りいたします。午後5時も過ぎましたので、続く総括質疑は明後日行うことにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤ケイ子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 明後日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時13分 散 会

前へ 次へ