令和元年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 台風第19号の豪雨で犠牲となられた方々に、お悔やみを申し上げます。被災された皆さんに、お見舞いを申し上げます。
 県知事選挙、県議会議員選挙後初めての県議会ですので、公約実現、知事と締結した14項目にわたる政策協定実現の立場で質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 まず最初に、台風第19号災害の被害の状況と復旧、被災者の生活再建への支援について質問いたします。
 被害の状況はどうなっているでしょうか。特に、住宅被害の状況をどう把握されているでしょうか。全壊、半壊、一部損壊等の住宅被害の状況、そして、住宅被害に対して被災者生活再建支援金の対象となるのか。
 住宅再建は生活再建の土台であります。東日本大震災津波被害への対応を参考に、国に対して、また県独自に、市町村と協力して住宅再建への具体的な支援策を講じるべきと考えますがいかがでしょうか。
 三陸鉄道は、昨日の日本共産党岩手県議団の調査では、線路被害77カ所、電力信号通信被害15カ所で、釜石―宮古間、田老―久慈間の全面復旧に数カ月はかかる見込みと報告をいただきました。東日本大震災津波からの復興のときも、三陸鉄道の復旧、復興は、被災者を励まし、復興のシンボルとも言われました。
 現段階での復旧の見通しと復旧に対する国、県の支援はどうなっているでしょうか。東日本大震災津波からの復興の途上での大災害であり、東日本大震災並みの国の支援を強く求めるべきと考えますが、どう取り組んでいるでしょうか。
 台風第19号被害の特徴は、広範囲で大きな被害となったこと。19日現在、71河川、130カ所で堤防が決壊したことが被害を大きくした特徴でありました。
 決壊しにくい堤防の抜本的な強化など治水対策の転換が求められていると考えますが、今回の災害をどう受けとめて対応しようとしているでしょうか。
 あとは質問席から一問一答で行います。
   〔37番斉藤信君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 台風第19号災害の被害の状況及び住宅再建への支援策についてでありますが、被害状況については、道路、水道、電気などのライフラインを初めとして、東日本大震災津波からの復興に取り組んでいる被災地を中心に、生活基盤や産業経済に再び甚大な被害をもたらしたことが明らかになってきております。
 住宅の被害については、10月21日現在で、全壊18棟、半壊311棟、一部損壊666棟、床上浸水373棟、床下浸水742棟などとなっています。
 被災者生活再建支援制度については、都道府県単位で適用となる場合の要件が、100世帯以上の住宅全壊被害の発生とされており、今後の調査により適用となる可能性もあると考えております。
 被災者への住宅再建の支援としては、被災者生活再建支援制度が適用された場合、全壊及び大規模半壊の住家被害を受けた世帯に対し支援金が支給されますが、東日本大震災津波においては、国から特別に措置された財源を活用し、県独自の上乗せ支援を行ったところであります。
 また、平成28年台風第10号災害に際しては、同制度では支給対象とならない半壊及び床上浸水世帯に対し、県の一般財源で県単独事業を創設し支援を行ったところであります。
 県といたしましては、被災者一人一人に丁寧に寄り添いながら、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すことが重要と考えており、引き続き、被災者生活再建支援金の増額や支援対象の半壊世帯等への拡大などの制度の充実を国に要望してまいりますほか、平成28年台風第10号災害と同様の県単独事業の実施を検討してまいります。
 次に、三陸鉄道の復旧支援についてでありますが、三陸鉄道は、被災箇所が相当数に上り、また、路盤が流出するなど大規模な被災箇所も多い中、早期の運行再開が可能な箇所については、復旧作業を行うとともに、被害の大きい区間については、復旧工事に向けた調査を進めています。
 議員御指摘のとおり、三陸鉄道は、東日本大震災津波による壊滅的な被害に対し、国による特例的な支援を受けて南北リアス線の全線復旧を果たし、その後、JR東日本から山田線の宮古―釜石間の移管を受け、本年3月、全国最長の第三セクター鉄道、三陸鉄道リアス線として開業したところであり、まさに復興のシンボルとして、三陸沿岸の復興を牽引する大切な役割を担っています。
 したがって、県といたしましては、国に対し、いまだ本県が東日本大震災津波からの復興途上にあることを踏まえ、震災時の復旧スキームと同程度の支援となるよう、国庫補助率の最大限の引き上げや地方財政措置の拡充などを要望していくとともに、今回の台風第19号の甚大な被害からの一日も早い復旧に向け、県としても、三陸鉄道に対し最大限の支援を行ってまいります。
 三陸鉄道は、地域の住民生活の足として、また、国内外からの観光客に移動手段や魅力的な乗車体験を提供する地域振興の基盤として、必要不可欠な交通インフラであり観光資源であることから、県としては、市町村、関係団体、全国の三鉄ファンなどと一体となって、一日も早い全面復旧に向け全力で取り組んでまいります。
 次に、治水対策についてでありますが、今般の台風第19号では、大雨特別警報が1都12県に発表されるなど、これまでに経験したことのないような豪雨により、関東甲信越や東北地方の広い範囲で堤防が決壊し、多数の家屋が浸水するなど甚大な洪水被害がもたらされました。
 こうした堤防決壊による被害の状況を受けて、国では、長野県の千曲川、宮城県の吉田川、宮城県と福島県にまたがる阿武隈川など7河川において、調査委員会を10月18日までに立ち上げたと承知しています。
 この調査委員会においては、河川工学などの有識者により、堤防決壊の原因究明と復旧工法等の検討がなされることとされており、この検討の状況を注視してまいりたいと思います。
 また、このような激甚化、頻発化している豪雨災害を踏まえ、県といたしましては、河川改修やダムの建設、河道掘削や立ち木の伐採などの洪水対策を着実に進めていくとともに、施設の能力を超える洪水は発生するという認識のもと、住民の円滑かつ迅速な避難を促すため、水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定拡大などのソフト施策をあわせ、県土の強靱化に向けた取り組みを進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 昨日、日本共産党岩手県議団で宮古市、山田町、そして三陸鉄道と被災地を調査してまいりました。宮古市は全壊が21棟、大規模半壊12棟、山田町は全壊が13棟、大規模半壊16棟と県の把握より多いので、私は、そういう把握をしっかりやっていただきたいと。特に山田町の場合は、田の浜地域で、津波で被災して6年前に新築した住宅が、大規模半壊、全壊の被害を受けております。山田町長は、心が折れて震災関連死が心配だ、こういう話までもしておりました。
 宮古市、山田町からの要望をお伝えします。東日本大震災津波並みの地元負担なしの対策をぜひとってほしいと。住宅再建については、津波災害に続く住宅被害もあるので、特段の対策をとっていただきたい。そして、三陸鉄道もそうなのですけれども、原状復旧ではなく改良復旧をやっていただきたい。実は、釜石―宮古間というのは、災害に弱いと言われてきた戦前に整備されたままの原状復旧にとどまっているということであります。ですから、本当に今回のように300ミリメートル、400ミリメートル雨が降っても、路盤がしっかり守られる、そういう対策をぜひとってほしいということでございました。
 災害のごみ、そして、住宅の解体、撤去についても、東日本大震災津波並みの対策をという要望をいただきましたので、知事、政府に行くようですから、一言答弁を。
〇知事(達増拓也君) 議員御指摘のとおり、東日本大震災津波からの復旧、復興の途上での今回の台風第19号被害でありますし、また、重ねて被害を受けた方々も多くいらっしゃるということで、やはりここは、東日本大震災津波の際と同様の支援を国に求めてまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) それでは次に、岩手県知事選挙の結果についてお聞きします。
 岩手県知事選挙は、達増知事が40万2、803票を獲得し、得票率72.15%、33の全ての市町村で圧勝する画期的な勝利となりました。
 私は、県政最大の課題である東日本大震災津波からの復興で、被災者の医療費、介護保険利用料の免除を9年連続実施するなど、被災者の立場に立った復興の取り組みが県民に評価されたこと、この4年間でも2度にわたり子供の医療費助成を拡充し、8月からは小学校までの窓口無料化を実施するなど、県民の暮らしと福祉の充実の取り組みも評価された結果だと評価しています。
 また、官邸総ぐるみの戦いとなった参議院議員選挙と連動し、市民と野党の共闘で知事選挙を戦ったことも、無党派層を含め多くの県民の支持を広げ、知事選圧勝の大きな要因となったと考えますが、達増知事はどう受けとめているでしょうか。今後の抱負を含めて示してください。
〇知事(達増拓也君) 私は、東日本大震災津波からの復興では、既存の国の制度にとらわれず、被災者本位の復興を推進しなければならないと考え、被災者の幸福追求権の保障を基本原則として全力で取り組み、その姿勢を県政全体にも広げながら、いわて県民計画(2019〜2028)の策定に当たりましても、同じ姿勢を貫いたと考えております。
 今回の知事選挙によって、今までの復興の取り組みに評価をいただき、いわて県民計画(2019〜2028)にも賛同いただいたということは、大変嬉しく受けとめております。
 政党との関係につきましても、御推薦いただいた4政党に加え、いわゆる市民、無党派層とも力を合わせて選挙運動を展開することができ、県民的な大きな支持をいただくことができました。
 選挙中も何度も繰り返した、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現を目指し、いわて県民計画(2019〜2028)の遂行に取り組みながら、選挙で示された民意を尊重し、県民本位の県政を力強く進めてまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 次に、東日本大震災津波からの復興の課題について質問します。
 東日本大震災津波から8年7カ月余が経過しました。知事が所信表明演述で、被災者の医療費、介護保険利用料等の免除を来年も実施すると言明したことは、被災者の切実な要望に応える知事の公約実現の第一歩として高く評価するものであります。
 昨年度の実績と被災者の反応を含めて、実施する意義について示してください。10年目となる来年も実施することは重要ですが、被災者の切実な実態と要求は10年で解消されるものではありません。この取り組みをその後にどのように継続し、生かしていくのかも検討していく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 平成31年3月末における医療費等の免除対象者は約3万3、000人で、免除額は、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険及び障がい福祉サービス合わせて年間約35億4、000万円となっております。
 東日本大震災津波の被災地等におきましては、いまだ多くの被災者の方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされている状況にあり、被災者の方々からは、免除延長で大変助かっている、免除がなくなると医療費を減らしていくしかないなどの声があるものと承知しております。
 被災者の医療等の一部負担金免除については、被災者の健康面、経済面での不安を軽減し、医療や介護サービス等を受ける機会を確保するという意義があるものと考えておりまして、こうした考えのもと、被災地や被災者状況を考慮するとともに、市町村の意向を踏まえて、来年も継続することとしたところであります。
 その後につきましては、これまで財政支援を継続するに当たっては、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を総合的に勘案しつつ、市町村の意向を踏まえ、毎年度、財政支援の継続を判断してきたところであります。
 今後につきましては、被災者を取り巻く環境が変化していく中、健康面で不安を抱える被災者の医療や介護サービス等を受ける機会を確保するという本制度の意義を十分に踏まえつつ、引き続き、被災者が必要とする医療等を受けられる支援のあり方について、市町村と意見交換を行いながら検討していく必要があると考えております。
〇37番(斉藤信君) 岩泉町は、3年前の平成28年台風第10号災害が東日本大震災津波よりも大きな被害となりました。東日本大震災津波の被災者と同じように、町独自に医療費の免除を台風被災者にも実施しています。県の支援が必要だと考えますがいかがですか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 平成28年台風第10号災害の被災者に対する医療費等の免除についてでありますが、岩泉町が行っている免除措置に要する経費については、国民健康保険等の制度において、減免した額の8割が国の特別調整交付金で交付されているほか、県におきましても、関係部局が連携し、医療費免除等の町負担分を含む復旧、復興事業に係る多額の一般財源負担に対し、県単独の交付金による包括的な財政支援を行ってきたところであります。
 今後も、岩泉町の復旧、復興事業の進捗や課題等を把握しつつ、町の財政状況等を踏まえた上で必要な支援を検討してまいります。
〇37番(斉藤信君) 県単独交付金は、3年目の今も実施されているのでしょうか。それは後でお答えください。
 次に、災害公営住宅のコミュニティー確立への支援について質問いたします。
 被災者の状況は、9月末現在、応急仮設住宅に430戸914人、みなし仮設住宅に153戸383人、合計583戸1、297人となっています。災害公営住宅には4、998戸8、841人が入居しています。県営の災害公営住宅の場合、65歳以上の高齢者のひとり暮らし世帯が31.4%、高齢者のいる世帯は55.3%となっています。高齢者が多く、孤立化、孤独化が進行しているのが大きな問題です。
 高齢者の見守りとコミュニティーの確立は緊急で切実な課題であります。どう取り組まれているでしょうか。災害公営住宅での孤独死の状況、自治会の設立状況、入居者名簿の整備と提供、集会所の活用状況を含めて示してください。
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、1問目の岩泉町に対する交付金の状況でございますが、議員御承知のとおりでございますが、平成28年度、平成29年度と交付してきたところでございます。平成30年度につきましては、岩泉町とも十分調整したところ、財源につきましては、特別交付税等の措置があったということで、交付の必要なしということで調整したところでございます。
 いずれにしても、引き続き岩泉町の状況や要望をしっかり伺って、対応してまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 災害公営住宅のコミュニティー対策についてでありますが、災害公営住宅でのひとり暮らしでお亡くなりになられた後に発見された、いわゆる孤独死につきましては、令和元年9月末現在で45人ございました。
 自治会の設立状況につきましては、令和元年8月末現在ですが、県管理の災害公営住宅28団地中18団地が設立済みでございます。
 自治会の入居者名簿については、令和元年8月末現在で、五つの自治会で整備しているところでございます。
 県から自治会へ提供する入居者情報につきましては、自治会からの要請があった場合に、速やかに提供できるよう対応しているところでございます。
 集会所の活用状況につきましては、28団地全てで活用がありまして、1カ月当たりの使用回数で見ると、少ないところでは月2回程度、多いところでは月20回を超えているところもあったところでございます。
 このような状況に鑑みまして、高齢者の見守りとコミュニティーの確立は非常に重要な課題であり、災害公営住宅におきまして高齢者が孤立を深めることがないよう、災害公営住宅コミュニティ形成支援事業などによりまして、コミュニティー形成に関する相談、団地内の花壇の手入れなどの美化活動や入居者交流イベントなどの開催、共助の場面を設定した防災訓練といったものを実施しているところでありまして、引き続き、入居者が相互に支え合う取り組みを進めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 災害公営住宅での孤独死は昨年度18人、これは3倍に急増したのです。そして、ことし9月までに今年度も11人です。孤独死が急増していると。私は、この事態を本当に深刻に受けとめて対応することが必要だと思います。
 そこで、災害公営住宅のコミュニティーの核になるのは自治会です。そして、その場所は集会所なのです。私は、自治会に対して名簿の提供をずっと一貫して求めてきました。名簿を提供するとなったけれども、その取り組みが遅々として進まない。私は、自治会の会長から、要求しても出してくれなかったという声を聞いているから取り上げているのですよ。これをしっかりやってください。
 そして、集会所の活用ですけれども、部長の答弁は本当に正確ではない。28団地のうち、10回以上やっているところは2カ所しかないのです。あとは全部2回から4回とか5回から6回、週1回程度なのですよ。いわばコミュニティーの拠点としての役割を果たしていないのが、今の災害公営住宅の実態です。孤立化、孤独化する一方で、行き場がないのです。
 この集会所が活用されて、さまざまな交流が行われるように、私は、県土整備部だけではない、行政の具体的な支援も必要だと思いますがいかがでしょうか。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) ただいまの自治会支援、それから、集会所活用策ということでございますが、自治会への支援につきましては、災害公営住宅コミュニティ形成支援事業によりまして、2名のコミュニティ形成支援員を配置いたしまして、入居者からの相談に応じた市町村や支援団体等との連絡調整、それから、入居者交流会の開催の支援とか自治会設立の支援など、コミュニティー形成に向けましたきめ細かな対応をしていただいていると承知しております。
 入居者名簿の提供の取り扱いにつきましては、入居世帯の氏名や生年月日、それから、災害時の支援の必要性の有無などの個人情報の提供の可否について、あらかじめ全戸に対して意向確認を現在行っております。これによりまして、議員から御案内のありますとおり、自治会からの要請があった場合には、速やかに情報として提供できるように対応してまいります。
 それから、入居者情報の提供に当たりましては、個人情報の保護というルールもございますことから、このルール作成に係るマニュアルを各自治会長様宛てに提供しておりまして、引き続き、コミュニティ形成支援員等を活用して、こういった取り扱いルールの作成についても進むように取り組んでまいりたいと思います。
 集会所の活用につきましては、集会所は自治会活動の拠点となるような施設でもありますので、これも、コミュニティ形成支援員によりまして、入居者の交流会開催を支援するなど、より活発な活用が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 長々と答えたけれども、中身が全くない。残念。いいですか、これまでの取り組みがあって、災害公営住宅の自治会は、まだ10の団地で自治会がつくられていない。そして、集会所が今言ったように週に1回、せいぜい2回ぐらいしか使われていない。だからどうするのですかと私は聞いているのですよ。今までの不十分な取り組みをここで説明したって解決にならないのです。
 本当に今8、800人余が、そしてその3割はひとり暮らし高齢者です。行き場がないのです。一人一人が孤立しているのです。そこをどうやってつなげて新しいコミュニティーをつくるか、そこに思い切った支援が必要だと。
 知事、一言。これまでの延長線上ではだめですよ。思い切ってここで対策をとらないと、阪神・淡路大震災の二の舞になると私は思います。そのことを一言答えて。
〇知事(達増拓也君) 病気で亡くなるリスクのある高齢者が、1人でいわば放っておかれる状態はあってはならないことであります。また、見守り等のケアを、個人の善意でありますとか、あるいは団体、NPOとかの自主的な動きだけに頼るのではやはり不確かでありまして、自治会の活動等の制度的な対応が求められていると考えます。
 今、自治会設立、また名簿の作成などについて県で対応しているという話がありましたけれども、やはり、さらに力を入れて、実質的に孤独死が起きないようなコミュニティーづくりを進めていきたいと思います。
〇37番(斉藤信君) ぜひ、従来の延長線上ではない、やはり津波で助かった命を再び犠牲にしてはならないという立場で、思い切った手だてをとっていただきたい。
 次に、漁業と水産加工業の現状とその打開策についてお聞きします。
 沿岸被災地のなりわいの再生を図ることは、地域経済と雇用の確保、地域社会の持続的発展のかなめをなす問題であります。沿岸の基幹産業である漁業と水産加工業が、サケ、サンマ、スルメイカなど主要魚種の大不漁と、ワカメ、ホタテなど養殖生産量の減少で危機的状況に直面しています。現状とその打開策について示してください。
〇農林水産部長(上田幹也君) 水産加工業の現状と打開策についてでありますが、昨年の漁期における主要な水産物の水揚げ量でございますが、震災前と比較いたしまして、サケが約4割、サンマが約5割、スルメイカが約2割、ワカメが約6割、そしてホタテが約3割と、いずれも下回っておりまして、水産加工業者の多くは原料確保が課題となっております。
 このため県では、計画的な種卵確保などによるサケの資源回復を進めてまいっているほか、国の資源管理制度と連動しながら、サンマやスルメイカの資源回復にも取り組んでおります。
 さらに、養殖生産では、漁協と連携いたしまして、ワカメやホタテの生産性向上や養殖棚の増設などを進めているほか、新たにサケ、マス類の海面養殖試験を開始しております。
 こうした取り組みに加えまして、11月からはマイワシの小型漁船による捕獲を認めるほか、サバやイワシを捕獲するまき網漁船の誘致も支援しておりまして、引き続き、加工原料の安定確保に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 大船渡市の水産加工会社、商工会議所に行ってきましたけれども、ことしはサンマの危機的な不漁と言っていました。5年ぐらい戻らない、こういう認識で対応しなければならないと。復興途上での大不漁ですので、せっかく再建した水産加工業者が何とか経営を持ちこたえて地域経済の核として前進できるように、この点でもあらゆる手だてを尽くしていただきたい。
 次に、子供の医療費の現物給付化、窓口無料化を中学生まで拡充する課題について質問します。
 これも知事演述で言明された課題であります。本会議の答弁で知事は、来年8月の実施を目指して市町村と協議を進めていると答えました。市町村も大歓迎する課題だと思いますが、市町村との協議の状況を含めて実現の見通しを示してください。また、小学校までの窓口無料化実施の成果をどう把握されているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 中学生への対象拡大につきましては、既に具体的な協議に向けて市町村の意向確認調査を行っておりまして、これまでのところ、拡大に反対する意見は寄せられておりません。
 拡大時期については、市町村によってさまざまな意見がありますが、小学生までの拡大の経緯を踏まえますと、最短で来年度の受給者証の更新時期であります令和2年8月と想定されますことから、当面、これを念頭に協議を進めてまいりたいと思います。
 また、小学生への対象拡大については、本年8月の実施以降、受給者や医療機関等関係者からの照会等はなく、円滑な移行が行われたものと認識しておりまして、子育て家庭の経済的負担の軽減が図られ、子供の適正な医療の確保につながっているものと考えております。
〇37番(斉藤信君) ぜひ来年の8月を目指してこれは進めていただきたい。本当に若いお母さん方は、お金の心配しないで病院にかかれると、大変な歓迎の声が私のところにも寄せられております。
 次に、高過ぎる国保税引き下げの課題について質問いたします。
 国民健康保険制度は、昨年度から県が国保財政に責任を持ち、市町村と共同で運営する制度となりました。最大の問題は、国保税が高過ぎることです。中小企業の労働者が加入する協会けんぽと比べると、年収400万円で子供2人、片働きの世帯主が40歳未満の4人家族の場合、協会けんぽの保険料は20万円、盛岡市の国保税は40万円であります。この格差をどう受けとめているでしょうか。全国知事会は、高過ぎる国保税の打開へ政府に対してどのような提言を行っているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 国民健康保険は、構造的に被保険者の年齢構成が高く医療費水準が高いことに加え、年金生活者や無所得世帯の割合が高く、所得水準が低いことが保険税負担が被用者保険よりも重くなっている原因であると認識しております。
 今般の国保制度改革においては、国の財政支援の拡充により財政基盤の強化が図られ、保険税負担の伸びの抑制が図られているものの、必ずしもこうした構造的な課題の解決に結びついていないものと考えております。
 全国知事会においては、医療保険制度間の公平と子育て支援の観点から、子供に係る均等割保険料軽減措置の導入について、国の責任と負担により速やかに実現を図るとともに、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の確立を図るため、国庫負担率の引き上げ等、さまざまな財政支援の方策を講じるよう継続して提言、要望を行っているところであります。
〇37番(斉藤信君) 実は、全国知事会は、かなり踏み込んで大胆な提案をしているのですね。全国知事会は二つ要求しています。一つは、協会けんぽ並みに引き下げる。もう一つは、医療保険間の負担の公平を図ることです。それで、公費1兆円の投入による国保税の大幅な引き下げを全国知事会は国に求めております。
 あわせて、今、知事からも答弁がありましたけれども、ことしの国に対する提言では、医療保険制度の公平と子育て支援の観点から、子供に係る均等割の保険料軽減措置の導入について、国の責任と負担による見直しの結論を出すようにと。いわば国保の一番の問題は、なぜ高いかというと、均等割といって、世帯一人一人に課税されるのです。盛岡市だったら1人当たり2万8、000円ですよ。2人だったらそれだけで5万6、000円になってしまう。子供が多ければ多いほど国保税が高くなる。これは異常なシステム、昔の人頭割です。全国知事会も、これは国の責任で軽減すべきだと。
 そこで、実は岩手県宮古市がことし4月から18歳以下の子供の均等割は全額免除すると。これは全国から注目されている取り組みであります。私は、基本的には国の責任でやるべきだけれども、岩手県内でこういうすばらしい先駆的な取り組みが生まれたと。これを県内市町村に広げるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 全国知事会において、国に対し、国庫負担率の引き上げなどさまざまな財政措置の方策を講じ、構造的な課題を解決し、医療保険制度間の公平性を確保し、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう要望してきているところであります。これについては、県としても政府予算提言、要望において同様に要望を行ってきておりますが、今後も、他の都道府県と連携しながら、財政措置の拡充について国に働きかけてまいりたいと思います。
 そして、子供の均等割の減免についてでありますが、全国知事会から子供に係る均等割保険料軽減措置を導入するよう国に要望を行っております。宮古市では、子育て支援施策の一環として子供の国保税均等割の免除を実施しているところであり、これに伴う国保税収入の減少については、一般会計からの繰り出しにより対応しているものと承知しております。
 本来、子供の均等割軽減措置等は、個別の市町村が財源負担を行いながら導入するものではなく、また、各自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で子育て世代の負担解消が行われるべきであり、まずは、全国知事会等を通じて、国において必要な措置が講じられるよう求めていきたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 宮古市は、これはふるさと納税を使って一般会計から繰り入れしてやっているということですから、国も文句は出ないと。ぜひこういう取り組みを紹介して、本当に高過ぎる国保税ですから、せめて子育て支援として軽減する、そういう取り組みを岩手県内から広げるように進めていただきたい。
 次に、高過ぎる国保税の値上げを抑える市町村の一般会計からの繰り入れの実績をどう評価しているかお聞きします。
〇保健福祉部長(野原勝君) 一般会計からの繰り入れについてでございます。
 平成30年度におきましては、11市町村で総額3億4、200万円余のいわゆる法定外繰り入れが行われております。法定外繰り入れにつきましては、市町村の判断により行うことができるものと考えておりますが、市町村と協議の上、策定いたしました岩手県国民健康保険運営方針におきましては、国保財政の健全化を図るため、決算補填を目的とした法定外繰り入れは解消に努める必要があるとしているところでございます。
 一方で、今般の国保制度改革で算定方式が変更になったことに伴う保険税負担の激変緩和が行われている間においては、改革施行前後における被保険者の負担の変化にも十分配慮した対応が必要であり、県といたしましては、市町村に対してこうしたことも踏まえた適切な対応を促しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 協会けんぽと比べて、所得が低い国保税が2倍も高いのですよ。その高過ぎる国保税を値上げしないために、11市町村が一般会計から繰り入れしているのです。こんなすばらしい取り組みはないじゃないですか。それに対して、県の国民健康保険運営方針が赤字補填はやめるようにと。方針が間違っていると思いますよ、私は。高過ぎると認めていて、あなたたちは、一般財源から繰り入れをやめなさいなんていう指導をしたら、県民に背を向けるということになりませんか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 先ほども申し上げましたけれども、国民健康保険運営方針につきましては、県のみで決めたものではなく、市町村と協議をした上で、市町村の合意の上で決めたものでございます。したがいまして、県が上から市町村に対して指導というものではなく、市町村と協議をして決めたものでございます。
 また、繰り返しになりますが、先ほど、一方でということで、今の状況を踏まえて対応するようにということで市町村に促しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) そういう責任逃れの答弁はだめなのですよ。どこに県の責任があるのですか。
 いいですか。滞納の実態について示すと、盛岡市の場合、滞納世帯の比率は14.84%、7世帯に1世帯ですよ。国保の制度は機能していないのです。高過ぎて払えない。それを放置したら、どうやって県民の幸福を守れるのですか。一般会計から繰り入れして、せめて値上げをさせない。当たり前じゃないですか。それを、赤字補填の一般会計からの繰り入れはやらないなんていう国保方針を堅持していたら、幸福の実現はないではないですか。もう一回お聞きします。
〇知事(達増拓也君) この運営方針につきましては、市町村と協議の上、適切な時期には見直すことになっておりまして、議員から御紹介いただいた視点なども市町村からあるかもしれませんが、さまざまな意見をいただきながら、市町村と共同で適切に協議をしながら改定をするものと考えております。
〇37番(斉藤信君) もっとひどいのは、高過ぎて払えない対象者に対して、保険証を取り上げて、3カ月の短期保険証、資格証明書を発行する。ひどいのは資産差し押さえをする。滞納者に対してこういうペナルティーをかけることが県民の幸福を実現する県政としてあり得るのですか。
 私は前にも紹介しましたけれども、滋賀県野洲市は、滞納した世帯に対して、滞納してありがとう、生活再建を支援して国保の納入を進めている。こういう県政こそ今、必要なのではないですか。いかがですか。簡潔に答えてください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 滞納処分等、また、資格証等の取り扱いにつきましては、適切に運用するよう、県としても市町村に促しているところでございます。
 議員御紹介の野洲市の取り組みにつきましては、県内の各市町村におきましても同様にさまざま苦労して取り組んでいる事例がございますので、こうした事例につきまして各市町村に紹介してまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 国民健康保険制度というのは、住民にとって一番重税感の高い、そして県政、市政の政治姿勢があらわれる課題ですから、本当に県民一人一人の幸福を実現するいわて県民計画(2019〜2028)の精神に立って、今、国保がどうあるべきか真剣に考えていただきたい。
 次に進みます。
 幼児教育、保育の無償化の課題と市町村の対応について質問します。
 安倍政権の幼児教育、保育の無償化は、消費税増税とセットという問題とともに、3歳から5歳までの場合は副食費が有償となり、ゼロ歳から2歳までの場合も非課税世帯しか無償化とならない重大な矛盾と問題を抱えたものであります。
 そこで、多くの市町村が副食費の無償化、ゼロ歳から2歳までの無償化を実施していますが、その状況を示してください。
〇保健福祉部長(野原勝君) 幼児教育、保育の無償化に係る市町村の対応についてでございます。
 3歳から5歳までの子供の副食費の無償化については、現在、27市町村において実施しているところであり、そのうち、全世帯に対応するものとして、全ての子供を対象としているものが14市町村、一部世帯に対応するものとして、低所得世帯や多子世帯の子供を対象としているのが13市町村となっております。また、ゼロ歳から2歳までの子供につきましては、3市町村において、副食費を含め保育料を無償化している状況となっております。
 このように、市町村におきましては、それぞれの地域の実情等を踏まえながら、副食費の無償化を含むさまざまな子育て支援施策に取り組んでいると承知しております。
 県といたしましては、必要に応じまして、効果的な事業実施に向けた助言等を通じて、保育の実施主体である市町村を支援してまいります。
〇37番(斉藤信君) 余りにも矛盾に満ちて問題が多いから、今、答弁があったように27市町村が副食費の全面無償化、一部無償化、ゼロ歳から2歳までも3市町村は全面無償化しているのですね。
 私、宮古市を調査しました。宮古市の場合、これまでの保育料軽減分の削減額が1億5、000万円。副食費、ゼロ歳から2歳児までの全面無償化の経費は1億1、000万円、こういうことでした。いわばおつりが来るのです、こういう対策をとっても。
 ほとんどの市町村がこれまで保育料の軽減に取り組んでおり、新たな負担なしに宮古市のような取り組みができると考えますが、全県的な保険料軽減額は今回の無償化でどのぐらいになりますか。
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、二つ目の質問からお答えさせていただきます。
 県内市町村の保育料が今回の無償化でどれぐらい軽減されるかという点に関しましては、平成31年4月時点の利用児童の状況をもとに一定の条件のもとで粗い試算を行った場合、今回の無償化による県内市町村の保育料軽減額の総額は年間18億5、000万円程度が見込まれます。
 また、議員御指摘のとおり、今般の無償化の措置によりまして、これまで市町村が利用者負担額を軽減するために独自に負担していた経費に国及び県の負担等が入ることにより、市町村独自の財政負担は軽減されることになります。
 こうしたことについては、本年9月に国から無償化の実施に当たっての留意事項に関する通知があり、その中で、今般の無償化の実施に伴って経済的負担が増加する世帯が生じることのないよう、軽減される財政負担分を活用してさらなる子育て支援の充実等に配慮することが望まれるとされており、県では、これを踏まえて市町村に通知をしているところでございます。市町村におきましては、本通知の趣旨や、それぞれの地域の実情等を踏まえながら、副食費の無償化を含むさまざまな子育て支援施策に取り組んでいると承知しております。
 県といたしましては、必要に応じ、効果的な事業実施に向けた助言等を通じて、保育の実施主体である市町村を支援してまいります。
〇37番(斉藤信君) やっぱり県内で本当に真剣に取り組んでいる宮古市のような例があるわけだから、そして、決して財源的にも新たな持ち出しは必要ないと。私はかなりの市町村でそういう状況ではないかと思います。保育料の軽減というのは、全県平均すると47.2%なのです。それが18億5、000万円ということになると思うのです。だから、県がいい取り組みについては積極的に普及して、広がるようにやっていただきたい。
 次に、県立病院の医師、看護師確保対策についてお聞きいたします。
 県立病院の医師、看護師確保でありますが、東北大学が県立中部病院から3人の産婦人科医師を引き揚げるとの報道があって、地域住民の方々に大きな不安が広がりました。その後、県当局の努力もあって、岩手医科大学が対応して地域周産期母子医療センターの機能が確保されるということですが、現在の5人の産婦人科医師が確保される見通しでしょうか。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 岩手医科大学から派遣される医師の数についてでありますが、こちらにつきましては現在、調整中でございますが、医局の人事の都合がございますので、現時点では確定しておらないところでございます。医療局といたしましては、可能な限り現在の県立中部病院の産婦人科体制が維持できるよう岩手医科大学に要請しているところでございます。
 今後も、関係部と連携し、県立中央病院や北上済生会病院などの盛岡、県南地域の周産期母子医療センター及び開業医等の協力を得ながら、地域の方々が安心して出産できる環境の確保に努めていく考えでございます。
〇37番(斉藤信君) 私、岩手医科大学の機敏な対応は本当に評価したいと思います。
 同時に、東北大学の医師派遣というのも大変重要な役割を果たしているので、仕方がないというのではなく、これまで以上に東北大学に対する医師派遣の要請を強めていただきたい。
 そこで、産婦人科医師の確保は県内どの地域でも切実で深刻な課題です。産婦人科医師の現状と、診療所がどう推移しているか。今後、産婦人科医師確保のために特別の取り組みが必要だと考えますが、どのように検討し、取り組まれているでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 産婦人科医師の確保についてでございます。
 県内の産婦人科医師数は、平成24年は98人、平成26年は100人、平成28年は102人となっております。また、県内の分娩を取り扱う医療機関は、平成27年の33施設から本年10月時点で27施設と、減少傾向にあるところでございます。
 こうした状況の中、県ではこれまでも医師確保対策アクションプランに基づきさまざまな取り組みを行ってきているところでございますが、昨年度からは、産婦人科、小児科を専攻した奨学金養成医師に対して、義務履行とキャリア形成の両立を支援し、義務履行の全期間を地域周産期母子医療センターでの勤務に専念できる特例措置を設けたところでございます。
 また、現在、策定中の医師確保計画の中では、産科及び小児科については、周産期医療圏、小児医療圏ごとの医師偏在指標をもとに具体的な偏在対策を盛り込み、必要な医師の確保と偏在解消に取り組んでいく考えであります。
〇37番(斉藤信君) 今の答弁だと産婦人科医師は微増のようでありますけれども、恐らくこれは登録医師でしょう。実際に勤務されている、仕事をされている数ではないのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
 私は、産婦人科医師―小児科医師もそうですけれども、この養成、確保というのは、努力されているけれども、さらなるインセンティブ、特別な手だてを講じて、本気でこの岩手における産婦人科医師を養成、配置していく取り組みが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 産婦人科の実態でございますけれども、確かに議員御指摘のとおり、医師・歯科医師・薬剤師調査で調べておりまして、例えば分娩を取り扱わず婦人科だけやっている医師もこの数にカウントされておりますので、分娩を取り扱う医師ということになりますと実態をあらわしていないものと認識しております。
 また、産科、小児科の医師の確保につきましては、これはもう我々行政にとりましても極めて重要な課題と認識しております。したがいまして、先ほど御答弁しましたが、来年度、今、医師確保計画を策定しておりますけれども、さらなる確保、育成策に向けまして検討を進めてまいりたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 次に、厚生労働省が突然、病床削減、医療費削減の目的から、全国の公立、公的病院424病院の統廃合を検討するよう求めると驚くべきことがありました。県内では、県立東和病院、江刺病院、一戸病院、軽米病院の4病院を含め、盛岡市立病院など10病院が名指しで公表されました。中身も機械的で、地域医療の実態を無視するものであります。公表の仕方も検討を求めるやり方も極めて強権的で、異常なものであります。
 解決すべきは、産婦人科医師など絶対的不足の状況にある医師の抜本的な増員ではないでしょうか。知事の受けとめと今後の対応についてお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 今回、国が全国一律の基準による分析のみで、再編統合の必要性について特に議論が必要な公立、公的医療機関等の病院名を公表したことは、公立、公的病院が機械的に再編統合されるという住民の不安を招き、地域の個別事情を無視するもので、公平な視点に基づくものとは言いがたいと考えております。
 また、国が分析に用いたデータは2年前の平成29年度のものであり、本県では、この間、公表された10病院のうち8病院において一定程度病床機能の転換や病床数の見直しが実施または検討されていますことから、今回の公表内容がそのまま病院機能の大幅な見直しにつながるものではないと考えております。
 県では、今回の再検証が地域の実情に十分即したものとなるよう、国に対して知事要望を行うこととしていますほか、全国知事会と連携して、さまざまな機会を捉えて国に対して訴えてまいります。
 住民が適切な医療を将来にわたって持続的に受けられる医療提供体制を構築するためには、産婦人科医師を含む医師の不足と地域偏在の解消に国を挙げて取り組む必要があると考えておりまして、県としては、県境を越えた医師の適正な配置調整などについて、同様の課題を持つ医師少数県で連携して国に強く働きかけてまいります。
〇37番(斉藤信君) 看護師の増員についてお聞きします。
 看護師の現状は厳しいものがあります。月9日を超える夜勤が昨年度は706件ありました。年次有給休暇の取得率は平均で7.9日。今年度から、労働基準法の改正で、年間年次有給休暇の取得が5日未満の場合、罰則、罰金が科せられます。
 県立病院の実態は、1、641人、31.3%が5日未満です。看護師の場合は798人、24.9%が5日未満です。この改善のためには大幅な看護師の増員が必要だと考えますが、いかがですか。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 年次有給休暇の取得に向けた看護職員の増員についてでございますけれども、今年度から、使用者が労働者に対して年5日の年次有給休暇を取得させることが義務化されたことに伴い、年次有給休暇の予定を職員に聴取の上、その状況を確認し、取得が進んでいない職員へ取得を促すなど、法令に定める日数以上の年次有給休暇を取得していただくよう取り組んでいるところであります。
 また、採血業務の検査技師へのタスクシフティングなどによる看護業務の省力化を図るとともに、夜勤専従制度などの多様な勤務形態の運用などによりまして、看護師の負担軽減や働きやすい職場環境づくりに努めているところでございます。
 現岩手県立病院等の経営計画に定めた職員配置計画におきましては、機能分担と連携の推進や、人口減に伴う患者数の減少に見合った看護職員の適正配置、医療の質の向上、育児休業及び産前産後休暇等の取得者を代替する正規職員の充実など、6年間の計画期間中に66人を増員する計画としているところでございます。
 今年度におきましては、年度当初に9人を増員いたしましたほか、年度途中に、来年度採用予定者から前倒し可能な方を4名採用したところでございます。
 今後も、経営状況を踏まえながら、病院の状況を確認いたしまして、必要な人員の確保に努めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 3人に1人が5日未満ですよ。私、調べてびっくりしました。まさにブラックそのものです。今の答弁だったら、全然改善の見通しが出てこない。
 看護師の声を紹介します。もう限界です、助けてください。家庭も体もぼろぼろで、続けていく自信がありません。人員がふえない中、業務量はふえていく。年次有給休暇を30日以上捨てる現実。疲れた。
 本当に深刻な実態で、これまた私、職員、労働者の幸福が守られるのかと、そういうことが本当に突きつけられていると思います。医療局の審査でもっと突っ込んでやりますけれども、改善の方向を示すようにひとつお願いしたい。
 続いて、教育の課題について質問いたします。
 県立高校のバレー部員の自殺事件について。
 昨年、県立高校のバレー部員が自殺するという痛ましい事件が起きました。顧問の教師による暴言等がその要因となったのではないかという遺族の真相の解明を求める要請に基づいて、第三者委員会が設置されました。第三者委員会の検証課題、検証項目と検証状況はどうなっているでしょうか。調査結果報告書の公表の見通しはどうなっているでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 第三者委員会についてでありますが、第三者委員会の所掌事項は、当該事案に至るまでの事実経過及び背景、学校及び県教育委員会による事案への対応の妥当性、今後の再発防止に関する提言等となっております。これまで11回の委員会が開催され、全校生徒へのアンケート、部員及びその保護者、教職員、その他関係者への聞き取り調査等の結果をもとに検証を行っていると聞いております。
 調査結果報告書の公表については、委員会の主体的な判断によりまして、しかるべき時期に行われるものと認識しております。
〇37番(斉藤信君) 第三者委員会の調査も大詰めを迎えているのではないかと。この調査結果を注目したいと思います。
 そこで、盛岡一高事件、これまた同じバレー部の顧問教師による暴言、体罰でありました。生徒と家族に多大な精神的苦痛を与えた事件の高等裁判所の判決が、ことし2月1日に下されました。顧問教師による暴言も体罰も教師の裁量を超えた違法行為と認定されて、一審判決より重い40万円の罰金が科されたものであります。
 教育長は、この判決をどのように受けとめているでしょうか。学校が十分な調査をしなかった、顧問教師が暴言、体罰を否定してきたことを含め、何が問題だったと反省しているのでしょうか。判決が確定したことを踏まえて、多大な精神的苦痛を与えた被害者とその家族に対して誠意を持った謝罪が行われるべきですが、どう対応してきたのでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 県立高校の事案についてでありますが、高等裁判所の判決では、教諭の行為が違法行為と認定されたものであり、判決を重く受けとめております。当該教諭の行為について、県教育委員会が本人及び関係者からの聞き取りなどにより確認した事実と判決において認定された事実とが異なるものとなったことについては、真摯に受けとめております。
 県教育委員会では、判決後の本年3月に、判決において、教員による違法行為が認定されたことについて重く受けとめるとともに、その行為により、元生徒に精神的負担をおかけしたことについて深くおわび申し上げる旨、教育長名の文書を相手方に対しお送りしたところでございますが、改めて、相手方に対し、おわび申し上げたいと考えております。
 児童生徒の人権を侵害する行為は、いかなる場合であっても絶対に許されないものであり、あらゆる機会を通じ、根絶に向けて取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 一片の謝罪のタイトルもない通知で終わったというのが実態でありました。私はびっくりしました。まさに、さらなる精神的苦痛を与えているのが実態です。
 そこで、もう一つお聞きします。暴言と体罰が違法行為と認定された顧問教師の懲戒処分が、3月1日に決定されました。その内容は減給10分の1、1カ月という余りにも軽いものでありました。
 顧問教師は、学校の調査には暴言も体罰も否定した結果、被害者と家族は、真相を解明するために裁判に訴えるしかありませんでした。長期にわたって多大な精神的苦痛を与えたこの事件の処分は、県教育委員会の懲戒処分の基準から見ても軽過ぎる、甘過ぎるのではないでしょうか。
 県教育委員会の懲戒処分の基準、標準処分例では、不適切な言動により児童生徒に重度の精神的苦痛を与えた職員は、免職又は停職とされています。私はこれに当たるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇教育長(佐藤博君) 仙台高等裁判所判決では、当該教諭の行った行為等が違法行為と認定されまして、この判決により認定された事実に基づき、処分に関する基準及びこれまでの処分事例等を踏まえ、厳正に処分を行ったものであります。
〇37番(斉藤信君) 一度決定した処分は簡単には覆らないと思いますけれども、今、第三者委員会で同じ顧問教師が問われていますから、私は、この結果次第も含めてね。しかし、今までの体罰の処分は全体として甘過ぎます。甘過ぎる例を前提にして今回もやられているのです。裁判に訴えざるを得なかった、これだけ多大な精神的苦痛を与えた。減給1カ月ですよ、こんなばかな話はないでしょう。県民の常識からかけ離れています。私はそのことを指摘しておきたいと思います。
 次に、テストづけの教育について質問いたします。
 子供たちを苦しめている課題にテストづけの教育の問題があります。3月5日公表された国連子どもの権利委員会の日本政府に対する総括所見では、ストレスの多い学校環境(過度に競争的なシステムを含む)から子供を解放するための措置を強化することと勧告しています。
 私は、子供が苦しんでいる一つのあらわれが、不登校の増加に示されているのではないかと思います。先週10月17日に公表された平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果では、年間30日以上欠席した中学生の不登校の生徒は、昨年より1万人以上ふえて、全国で11万9、687人であります。
 日本財団の調査では、学校には行くが教室に入れない、授業を受けられないなどの不登校傾向がある隠れ不登校が約33万人、不登校の約3倍、10人に1人に当たると報告しています。不登校生徒と合わせれば7人に1人であります。
 岩手県における不登校の実態、国連子どもの権利委員会の総括所見を教育長はどう受けとめているでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 本県における不登校の実態についてでございますが、本県の小中学校は、ここ数年、全国と同様に不登校の出現率が増加傾向にございます。一方で、高等学校は2年連続で減少しております。本県は、全国と比較しますと不登校の出現率は低い傾向がしばらく続いているところではございます。
 この不登校の要因や背景は多様化、複雑化しているところでございまして、本人に係る要因、学校に係る要因、それから、家庭に係る要因が複合的に絡んでいると把握しているところでございます。
 それから、国連子どもの権利委員会の総括所見の受けとめについてでございますが、社会性を身につける途上にある児童生徒が集団で活動する場合には、しばしば対人的なストレスのほか、悩みや緊張などのストレスなどの発生の側面があることは承知しているところでございます。
 不登校やいじめなどの生徒指導上の課題に対する未然防止の取り組みとして、学校においては、児童生徒が安心して自己存在感や充実感が感じられる居場所づくりの取り組みや、全ての児童生徒が主体的に取り組む活動を通し、みずからがきずなを感じ取り、紡いでいくきずなづくりの取り組みを進めています。
〇37番(斉藤信君) 日本財団の調査では、不登校傾向にある子供の実態調査で、中学校に行きたくない理由は、授業がよくわからない、よい成績がとれない、テストを受けたくないなど学習面での理由が指摘されています。競争主義とテストづけの教育に悲鳴を上げているのではないでしょうか。
 そして、隠れ不登校の問題は、5月のNHKスペシャルでも、44万人の衝撃ということで、NHK独自の調査を含めて報道された内容です。隠れ不登校の実態は把握されているでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) 不登校の要因については、先ほども御答弁申し上げましたように、本人に係る要因、あるいは学校、家庭に係る要因ということで、背景が複雑に絡み合っているということであります。それから、隠れ不登校というお話がございましたが、やはりこういった子供たちを日々よく観察し、よく見、一人一人、それぞれ自分のペースで学びたいとか、いろいろ特性であるとか個性を持つ児童生徒もいると思いますので、やはりそういった一人一人に寄り添った形で支援を行っていく必要があると認識しております。
〇37番(斉藤信君) 隠れ不登校の実態は把握していないと。学校に行くといるのですよ、教室に入れないけれども、学習室にいる。これだけ社会問題になっているのだから、県教育委員会としてもしっかり把握すべきです。
 不登校の原因で、学校の報告と子供たちの訴えに大きな差があります。NHKが1万8、000人の子供たちをLINEで調査しました。子供たちの訴えは、先生との関係23%、いじめを受けた21%、決まりや校則になじめない21%。学校の報告と大きな乖離があるのですよ。だから、学校の勝手な解釈ではなくて、子供たちの声に耳を傾けるべきだと、私は率直にこのことを訴えたいと思います。
 そこで、子どもを苦しめている学力テストの実態と教師の多忙化についてお聞きいたします。
 テストづけの教育の実態は深刻です。4月末に実施される小学校6年生と中学校3年生の全国学力・学習状況調査、県教育委員会による岩手県中学校新入生学習状況調査、10月2日には、岩手県小・中学校学習定着度状況調査、小学校5年生と中学校2年生が対象です。さらに、全ての市町村教育委員会が独自に、小学生、中学生を対象に学力テストをやっています。
 重大なことは、学力テストのたびに過去問題などの事前学習が実施されていることです。まさにテストづけ。点数で評価され子供たちが苦しめられている。そして、その採点などで教員に過度な負担が押しつけられているのではないでしょうか。
 全国では県独自の学力テストをやっていないところも十数県あります。私は、今こそ県独自の学力テストは見直して中止すべきと思いますがいかがですか。
〇教育長(佐藤博君) まず、諸調査の趣旨についてでございますが、国や県の諸調査は、児童生徒の学習上の課題を踏まえ、身につけるべき学力を具体的な問題の形で示しておりまして、学習上のつまずきや教員の学習指導上の課題などを明らかにしながら、授業改善を推進し、学習状況の改善や学習意欲の向上を含む確かな学力の定着を目指すものでございます。
 県教育委員会としては、市町村や学校等の序列化や過度な競争が生じないよう県全体の状況のみを公表するとともに、そうした趣旨を市町村教育委員会や各学校に指導しているところです。また、過去の調査問題等といった事前対策についても、平成29年度にガイドラインを作成しまして、厳に慎むように指導しているところでございます。
 それから、全国の実施状況と県学調のあり方については、平成30年度に、議員御指摘のとおり、独自の学力調査を実施した都道府県は、小学校が30道府県、中学校は32都府県でございます。
 県学習状況調査のあり方については、現在、他県の実施状況に関する情報収集などを行っているところであり、また、県内においては、各市町村で独自に調査を実施している実態もあります。こうしたことから、市町村教育委員会等と意見交換を行いながら、全体的な調査のあり方について、引き続き慎重に検討を進めていく考えです。
〇37番(斉藤信君) 全国学力テストの実施要領では、調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響に十分配慮することが重要だと。これは全国学力テスト。
 県教育委員会の過去の諸調査問題の活用ガイドラインについてはこうなっているのですよ。いわば過去の問題などを適正にやりなさい、こういう指示を出しているのです。私はこれは抜け穴だと思います。
 ここでは、不適切かつ効果のない活用例というので、調査実施前に授業時間や授業外の時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させることはやめなさいと。このガイドラインに基づいて実態を把握していますか。
〇教育長(佐藤博君) このガイドラインでは、単に数値データの上昇のみを目的としているととられかねないような取り扱いは、不適切かつ効果のない活用例であるということで指導しているところです。
〇37番(斉藤信君) 答弁になっていないのですよ。ガイドラインに基づいて実態を把握しているかと言っているのです。
 いいですか、小学校の6割は全国学力テストの過去問をやっているのですよ。県学習状況調査でもそうなのです。これは岩手県教職員組合が調べているのです。県教育委員会がガイドラインを出したら、きちんと調査すべきではないですか。
 テストづけだということを私は厳しく指摘しておきたい。これは世界の非常識なのです。本当に子供たち一人一人に寄り添った、子供たちが学ぶ喜びを培える、そういう教育、学校をぜひ実現していただきたい。
 次に、国政の問題についてお聞きいたします。
 消費税の10%増税が10月から強行されました。多くの県民、事業者から、とても暮らしていけない、商売をやっていられないと切実な声が広がっています。消費不況と実質賃金が下落する中で、この増税はまさに愚策というべきものであり、私たちの暮らしと経済を破壊させるものであります。
 消費税が導入されて31年になりますが、消費税の導入がもたらしたものは何かを検証すべきです。第1に、消費税は、社会保障のためにも財政再建のためにも使われませんでした。この31年間の消費税収は397兆円、一方で、法人3税の税収は298兆円減り、所得税、住民税の税収も275兆円減りました。結局、庶民、弱者から吸い上げて、大企業と富裕層を潤す、これが消費税の実態だったのではないでしょうか。
 第2に、消費税の導入と引き上げによって、日本は世界でも異常な経済成長できない国になってしまいました。この20年間で、アメリカはGDPで2.3倍、イギリスは1.7倍、フランスは1.8倍、ドイツは1.7倍。ところが、日本は20年間で1.02倍、わずか2%しか伸びていない。OECD36カ国で断トツの最下位。その原因は、消費税の増税によって消費不況に陥った。特に5年前の8%増税以来、年間の消費支出は1世帯当たり20万円も減少し、労働者の実質賃金は年間で15万円も下がりました。安倍政権は2度にわたって消費税を5%から10%に、13兆円もの大増税を強行しました。
 日本共産党は、安倍政権の増税前の5%に減税を実施することを国民の暮らしと日本経済を立て直す緊急課題として国民に提案しています。消費税がもたらしたもの、その打開の道について知事の見解を求めます。
〇知事(達増拓也君) 消費税率の引き上げは、経済的に弱い立場にある方々や、我が国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることになるため、国民生活に多大な影響を及ぼすことが懸念されます。
 また、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害、先般発生した台風第19号災害の被害を受けた地域においては、暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることが危惧されます。
 消費税率が8%となった際の本県の影響を見ると、平成26年の県内経済においては、物価上昇の動き、大型小売店舗販売額、新車登録台数など個人消費の落ち込み、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数の前年割れなど、税率引き上げや駆け込み需要の反動減などの影響が見られたところであり、今回も同様の影響が懸念されます。
 県といたしましては、経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないよう、また、地域に根差した産業に十分配慮して、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことがないよう、本年6月に政府予算提言、要望を行ったところであり、引き続き、全国知事会などと連携し、十分な対策を講じるよう国に対応を求めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 私は、安倍政権による2度の消費税増税、この時期は何だったのか。東日本大震災津波の被災地で、復興に取り組む中で2度も増税が行われた。復興にも、被災者の生活再建にも、事業者の再建にとっても大きな打撃になったと思いますが、知事、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 国家的な大災害で国民経済、また社会的にも非常に打撃を受けているような状況であれば、被害を受けた方々、弱っている部分について、むしろ減税のような措置が望まれたのではないかと思います。
〇37番(斉藤信君) それでは、最後に県警察にかかわる諸問題についてお聞きいたします。
 警察本部長に質問いたします。岩手競馬にかかわる禁止薬物事件が昨年7月、9月、10月、12月の4回にわたって発生しました。極めて異常で悪質な事件であります。ことし1月23日に岩手県競馬組合によって刑事告発が行われましたが、捜査の状況はどうなっているでしょうか。
〇警察本部長(島村英君) 競馬法違反事件の捜査状況についてでありますが、現在も鋭意捜査を継続しております。その具体的内容につきましては、内容を明らかにすることによって捜査の相手方に手のうちをさらすこととなり、捜査に支障を及ぼすおそれがありますので、答弁を差し控えさせていただきます。
〇37番(斉藤信君) この禁止薬物事件は、鋭意捜査中だということですね。
 それでは伺いますが、2014年7月の週刊文春で報道された岩手医科大学教授―当時ですね―による覚醒剤疑惑事件について、当事者の教授は翌年3月末までに岩手医科大学を退職されました。既に5年以上が経過しましたけれども、捜査されたのでしょうか。もみ消されたのではないでしょうか。
〇警察本部長(島村英君) まず、岩手医科大学の元教授の覚醒剤疑惑についてでありますが、一般論として、個別の事件を捜査しているかしていないか、あるいはその捜査状況につきましては、捜査の相手方に手のうちをさらし、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがありますので、答弁を差し控えさせていただきます。
 次に、もみ消されたのではないかとの御質問がありましたが、もみ消しておりません。
〇37番(斉藤信君) 今、重大な答弁がありましたね。もみ消していないと。もみ消していない根拠はどこにあるのですか。
〇警察本部長(島村英君) もみ消していないので、なぜもみ消していないのかと言われても、もみ消しがない以上、もみ消していないということでございます。
〇37番(斉藤信君) この事件は極めて深刻な事件で、週刊文春に報道されるまさにその時期に、岩手医科大学は調査特別委員会を設置したのですよ。私は素早い対応だと思いました。ところが、この調査特別委員会は、何の結果も出さないで、大変有名な教授だったのですね、日本内視鏡外科学会の会長を務めていた岩手医大の看板教授です。それが、何の理由も示さずに3月にやめたのです。おかしいのではないですか。
 それで、一番ひどいのは、当時の捜査の責任者であった刑事部長が、事件発生の翌年に岩手医科大学の病院長顧問に再就職、いわゆる天下りしたのです。覚醒剤疑惑事件が発生し、捜査の状況も曖昧なまま、当事者というべき大学に捜査の責任者が再就職するなどということが全国的にあるのでしょうか。
 現在も岩手医科大学に警察本部職員がどのぐらい再就職していますか。
〇警察本部長(島村英君) 岩手医科大学に係る元刑事部長の再就職についてでありますが、退職者の再就職は、雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知しており、御質問のような事例が全国にあるかどうかは把握しておりません。
 次に、岩手医科大学に係る警察本部職員の再就職の状況についてでありますが、元刑事部長が平成27年4月に、元紫波警察署長が平成29年4月に、元宮古警察署長が平成31年4月に、それぞれ岩手医科大学に再就職した事実について承知しております。
〇37番(斉藤信君) この事件は、覚醒剤を打たれたという相手の愛人の女性が告発したのですよ、当事者が。本来なら、直ちにこれを捜査して、尿検査するなり何なりすればすぐ立件できた。5年以上たって、捜査しているかしていないかも明らかにできない。やっていないということでしょう。これをもみ消しと言わないで何と言うのですか。
 公安委員長にお聞きいたします。今、ここで私はかなりリアルにお話しいたしました。岩手医科大学の当時の教授による覚醒剤疑惑事件は直ちに捜査すべき事件だと考えますが、覚醒剤事件に対する基本認識をお聞きしたい。
 覚醒剤疑惑事件が発生し、岩手医科大学も調査委員会を設置した。ところが、調査結果も出さずに、当事者の教授をやめさせてもみ消した。その大学に捜査の責任者である刑事部長が再就職するなどということがあっていいのか。いかがですか。
〇公安委員会委員長(小野公代君) まず、覚醒剤事件に対する基本認識でありますが、覚醒剤等薬物事件については、治安維持上、重要な事件と認識しております。
 次に、岩手医科大学に係る元刑事部長の再就職についてでありますが、県警察からは、これまでの県議会における斉藤議員からの御質問と、これに対する答弁の内容について報告を受け、関係法令に照らして違反行為と認められる事実はなく、適正に行われているものと説明を受けております。癒着はないものと認識しております。
 公安委員会といたしましては、退職者の再就職について、民間企業等がどのような人材を必要とし、どのような採用を行うかについては、あくまで当該企業等の独自の判断によるところであり、再就職は、雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知しております。
〇37番(斉藤信君) 公安委員会というのは、市民の立場で警察を管理するのですよ。今の答弁は市民の感覚と完全にずれています。
 いいですか、覚醒剤事件というのは初動が大事なのです。ましてや、これは覚醒剤を打たれた当事者が告発した事件ですよ。直ちに捜査すれば、すぐ立件できた。5年間も放置するような事件じゃないのです。覚醒剤事件に対する対応が全く不十分だったと思いませんか。
 そして、そのことが疑われている大学に、刑事部長、当時の捜査の責任者が再就職、天下りする。これを市民の感覚では癒着というのです。
 公安委員長は市民の代表なのだから、丸め込まれないで、市民の常識で物事を判断し、そして、これは個別の事件じゃない、警察のあり方が問われている問題なので、最後、お聞きをしたい。
〇公安委員会委員長(小野公代君) 繰り返しになりますが、元刑事部長の再就職については、関係法令に照らして違反行為と認める事実や癒着が疑われるような事実は承知しておりません。
 公安委員会が行う管理は、個々の事務執行を含まず、大綱方針を定めて、これによる事前事後の監督を行うものと承知しております。
 私ども公安委員会は、県民の代表として誠実に職務に当たっているところであり、今後とも県警察をしっかり管理してまいります。
〇37番(斉藤信君) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
   
〇副議長(中平均君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時16分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 松 倉 史 朋 君
8  番 高橋 こうすけ 君
9  番 米 内 紘 正 君
10  番 武 田   哲 君
11  番 高 橋 穏 至 君
12  番 千 葉 絢 子 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 田 村 勝 則 君
15  番 佐々木 朋 和 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 岩 渕   誠 君
20  番 名須川   晋 君
21  番 佐々木 宣 和 君
22  番 臼 澤   勉 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 吉 田 敬 子 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 軽 石 義 則 君
31  番 郷右近   浩 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 工 藤 勝 子 君
39  番 中 平   均 君
40  番 工 藤 大 輔 君
41  番 五日市   王 君
42  番 関 根 敏 伸 君
43  番 佐々木 順 一 君
44  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 岩 崎 友 一 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時33分 再開
〇副議長(中平均君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(中平均君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(中平均君) 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
   〔26番小西和子君登壇〕(拍手)

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