令和元年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至です。
 質問に先立ち、このたびの台風第19号により犠牲になられた皆様に対し哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、このたび9月の選挙戦を終え、初当選し、早速一般質問をさせていただくこととなりました。私は、これまで4期15年、北上市議会議員として活動してまいりましたが、今定例会の一般質問は準備期間の限られた中での質問となりますので、過去の県議会での質問との重複などの点につきましては、御容赦いただきたいと思います。
 さて、今回の県議会議員選挙から、議員も選挙ビラ、いわゆるマニフェストの発行が認められました。このマニフェストに関しては、その実効性や意義に関してさまざまな議論があるところでありますが、投票をする県民にとっては、立候補者の考え、人となりを知る機会が提供される点からも大変意義深いものと思います。また、当選者としては、このマニフェストがこれから4年間の活動方針となりますので、今回の質問は、私のマニフェストに掲げた項目を踏まえ、質問いたしたいと思います。
 期せずして、本年は昨年度策定したいわて県民計画(2019〜2028)のスタートの年でもあります。これからの県政の方向性について質問いたしたいと思います。
 ここで、マニフェストに記載した内容を紹介いたします。
 初めに、県議選立候補に至った経緯について記載いたしました。
 住民生活を支えるサービスをつくり出す行政の基本は市町村であります。これまで4期15年、市議会議員として魅力あふれるまちの実現に向け、市民と行政、議会の協働のまちづくり、政策づくりに取り組んできました。しかし、市町村単独でできる事業は限られております。市議会議長として、国や県への要望活動を通じて、県や国との連携の必要性を実感いたしました。県と市町村をつなぎ、それぞれの地域が笑顔あふれる魅力的なまちづくりを進めることで、人口減少社会に立ち向かい、若者が集い、活気あふれる持続可能な地域を形成し、県域全体が輝く岩手の実現を目指す決意をいたしました。そして、県政の政策に関して5項目を掲げております。
 1、なりわいの創出―地域特性を生かした産業の振興。
 地域に合った産業―農林水産業、工業、観光、サービス業―の振興と、住民一人一人のなりわいの充実を目指します。
 2、安心と幸福感の向上―医療、福祉、子育て環境の充実。
 広大な岩手県内、市町村格差のない、充実した福祉サービスの提供を目指します。
 3、未来への人づくり―教育、芸術、文化、スポーツの振興。
 まちづくりは人づくり。幼児教育、学校教育の充実とともに、伝統芸能など、地域の資源や地域の特性を生かした芸術、文化、スポーツの振興を目指します。
 4、新しい価値の創造―ILC誘致や若者や女性の活躍する場の創出。
 自動車産業の拡大や東芝メモリ―現キオクシア―の進出は、大きな雇用を創出しました。しかし、若者や女性の流出はとまりません。ILC誘致を初め、各種研究機関、開発部門の誘致や女性が活躍できる多様な働く場の創出、起業家の支援など、若者や女性が生き生きした地域を目指します。
 そして5、安全で暮らしやすいまちづくり―社会インフラの整備。
 近年、想定外の大災害が頻発しております。東日本大震災からの一日も早い復興、災害に強く暮らしやすい社会インフラの整備を進めます。
 そして最後に、県議会議員としての活動方針について、6として、地域との対話を重視した議会、議員活動。
 上記の政策を進めるに当たり、北上市議会においても取り組んだ市民参加と開かれた議会を目指し、地域住民、市町村との対話を重視した活動に取り組みますと記載いたしました。
 紙面が限られており、当然のことながら大枠のことしか書いておりませんが、このことを踏まえ、これからの県政の基本となるいわて県民計画(2019〜2028)及び各プラン、また、重要課題である人口減少対策に関して岩手県ふるさと振興総合戦略等関連計画、その他県政課題から8項目質問いたします。
 1項目め、人口減少社会への対応について質問いたします。
 今年度から新しいいわて県民計画(2019〜2028)がスタートいたしましたが、岩手県における最大の課題は、人口減少と少子高齢化の急速な進展への対応であり、県内市町村がそれぞれに置かれた環境の中で、いかに持続可能なまちを実現するかにあります。
 まず、計画をつくる上で基礎となる人口に関して、岩手県ふるさと振興総合戦略〜岩手県まち・ひと・しごと総合戦略〜と岩手県人口ビジョンから質問いたします。
 県と市町村の目標値の関係と目標達成の見込みについて。
 初めに、目標値の設定方法について伺います。
 岩手県の将来人口の目標はどのように設定しているのでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所では、全国の市町村ごとにその推計を発表しており、県内の市町村も、まち・ひと・しごと総合戦略や人口ビジョンを策定し、それぞれの目標を定めて取り組んでおります。そこで、県の将来人口の目標設定と市町村それぞれが策定した将来人口の目標との関係はどのようになっているでしょうか。
 あわせて、目標達成の見込みについて伺いますが、平成31年3月に改定された岩手県の計画では、施策推進目標として若者の仕事や移住に関する願いに応え、2020年には社会減ゼロを目標としています。これまでに社会減が最少だったのは、バブル崩壊後、都市部に仕事が少なかった平成7年が最少でありましたが、それでもプラスではありません。それ以降は、2、000人を下回ったことがないのが現状であります。
 2040年に人口100万人を目指すとしていますが、岩手県全体としての目標達成のためには、県内の市町村がそれぞれ目標を達成しなければ実現できないのではないでしょうか。
 続いて、目標達成に向けた市町村との連携について。
 人口減少対策の取り組みに関して、総合戦略の推進と市町村との協働については、基礎自治体である市町村の取り組みが十分な効果を上げないと実現が難しいと思われます。目標達成に向けて、人口減少対策は各地域によって特性が異なることから、広域連携による取り組みを重視しつつ、細やかに市町村との連携を進めて取り組むべきではないでしょうか。
 2項目めに、地域特性を生かした農山漁村振興について質問いたします。
 人口減少と少子高齢化は、中山間地域、農山漁村地域において特に厳しい状況であります。先般、西和賀町のリンドウやグラジオラスなどの花卉を栽培している生産者を訪問したところ、高齢化により、いつまで生産を続けることができるか難しいとの声がありました。また、地域活動をリードするリーダーの高齢化も進んでいます。本県の農山漁村においては、このような生産者や地域活動をするリーダーなどの高齢化とともに人口減少が進行しており、今後、さらなる地域活力の低下が懸念されます。
 一方、少しずつではありますが、地域おこし協力隊などで移住してきた若者が、ソバを栽培して、そのソバの実を活用した飲食店を開業するなど、新たな取り組みも出てきております。農山漁村に若者を呼び込みながら、地域の活力を高めていくよう取り組んでいくことが重要と考えます。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、農山漁村を支える人材の育成と地域活動等の支援を推進方策として掲げております。今後、農山漁村の地域活力を高めていくため、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 3項目め、市町村格差のない医療、福祉体制について質問いたします。
 少子化対策として、安心した医療体制の充実は子育て支援策としてどこの市町村に住んでいてもなくてはならない要素です。本来であれば、国を挙げて取り組むべき項目ですが、なかなか制度が進まず、市町村によって取り組みの状況に差が出ております。
 市町村の医療費助成への取り組みについて。
 子供の医療費助成制度は、現在、高等学校まで拡大している市町村も多くなりましたが、所得制限の有無などの条件も加味しますと、住むところによって住民サービスの格差が生まれているのが現状です。県内の格差をどのように捉えているのかお伺いいたします。
 また、市町村の格差をなくすため、県の助成対象を高等学校まで拡大すべきではないでしょうか。
 次に、医療費助成の現物給付の拡大について。
 また、医療費助成の給付方法に関しては、窓口負担のないいわゆる現物給付について、8月から小学生まで広げる措置がとられました。
 今月4日に、岩手県子どもの生活実態調査報告書が公表になりました。この報告は中間報告であり、今後さらに分析を進める中で修正が生じることがあるとのことですが、子供の健康状態においては憂慮される状況が明らかになっております。
 過去1年間に子供を受診させたほうがよいと思ったが受診させなかった経験の有無について、世帯の収入が中央値の2分の1未満及び就学援助世帯では2割以上があると回答しております。そして、受診させなかった理由は、多忙で医療機関に連れていく時間がなかったためが最も多いのですが、収入の中央値の2分の1未満及び就学援助世帯では、2割以上が医療機関での自己負担金を支払うことができなかったためと回答しております。医療が必要であるにもかかわらず、受診させることができない状況はあってはならず、親にとって安心して子育てのできる状況ではありません。
 初日の一般質問の答弁で、現物給付を中学生まで拡大することに関しては、来年の8月をめどに準備を進めたいとの答弁がありましたが、低所得者世帯に対して、少なくとも義務教育である中学校まで医療費助成の現物給付の拡大は早急に実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 4項目めに、中学校の部活動のあり方について質問いたします。
 スポーツ振興における中学校の部活動のあり方について。
 平成29年6月、文部科学省は、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導、運営体制の構築のため、学校における働き方改革に関する総合的な方策について中央教育審議会に諮問を行いました。これを受け、中央教育審議会では、同年8月には、学校における働き方改革に係る緊急提言を、12月には、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導、運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策についての中間まとめを答申しました。これを受け、文部科学省は、学校における働き方改革に関する緊急対策が示されました。
 岩手県教育委員会が平成30年6月に策定した岩手県教職員働き方改革プランの取り組みの柱のその1として、教職員の負担軽減の取り組みの中に部活動の適正な運営があり、平成30年度から具体的な取り組みとして部活動指導員を配置しております。また、生徒数減少により、学校単位での部活動運営が困難な状況が生じたり、学校外のスポーツ活動や文化的活動等に取り組む生徒が見られたりするようになっていることや、生徒の身体的負担や教職員の勤務負担軽減の必要性などから、岩手県として部活動の在り方に関する方針を策定しております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 この方針は、スポーツ庁が平成30年3月に示した運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインにのっとり、岩手県教職員働き方改革プランとあわせて策定され、文化庁が平成30年12月に示した文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定を受け、本年8月に改定されております。この方針は、中学校段階及び高等学校段階における運動部及び文化部を対象としておりますが、義務教育である中学校段階における対策と分けて考える必要があるのではないでしょうか。
 少子化の進行により生徒数が減少し、部活動の多様性が失われてきております。このことから、生徒数の少ない学校はさらに生徒数が減少し、学校単位の部活動そのものが難しい状況になります。また、一方で、学校以外のクラブチームに参加して活動する生徒もふえてきております。しかし、クラブチーム所属の生徒は、種目によっては中学校体育連盟の大会には参加できないこともあります。
 今回改定された方針では、生徒の多様な学びの場である部活動の教育的意義を認識しつつ、今後においても持続可能な部活動とするため、本方針をもって、学校、保護者、地域、関係機関及び団体等が一体となって望ましい部活動の実現に向けて取り組むとしています。この方針は、学校部活動の持続可能性に主眼が置かれております。教職員の負担を減らすための部活動指導員の配置や、指導、運営体制の方針は、学校の教育課程と関連を図りながら維持できる方策を検討しつつ、一方で、部活動は生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであり、参加を義務づけたり強制したりしないとしております。そして、方針の最後に、生徒のニーズを踏まえたスポーツ、芸術文化に親しむ環境の整備には、生徒のニーズを踏まえた部の設置、運動部活動における地域との連携等、文化部活動における地域との連携等として、学校部活動を中心に考え、地域や関係団体の協力関係を構築するとしております。
 県の部活動の在り方に関する方針を受けて、生徒を中心に自主的、主体的な活動ができるスポーツ、文化活動の環境を考え、学校と地域、関係組織や団体が一体となって、特に中学校のスポーツ、文化活動の環境全体のあり方、抜本的な中学校の部活のあり方、スポーツ、文化振興のあり方を整理した上で検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 5項目め、ILC誘致について質問いたします。
 この取り組みについては、これまでの一般質問で何度も取り上げられておりますので、簡単に質問いたします。
 高エネルギー加速器研究機構―KEKは、ILCの建設経費の負担のあり方について提言を公表いたしました。この提言を機に、本格的な政府の取り組みを期待したいところでありますが、事業決定までに残された時間は余りない状況であります。今回の発表を受け、県としてのこれからの取り組みや政府に対する働きかけをどのように進めていくのかお伺いします。
 次に、改めていわて県民計画(2019〜2028)で示すILCプロジェクトの意義と展望について伺います。
 プロジェクトの狙いは、ILCの実現により、世界トップレベルの頭脳や最先端の医術、高度な人材が蓄積されることから、イノベーションを創出する環境の整備などを進めることにより、知と技術が結集した国際研究拠点を目指すとしています。このことは、外から人材や技術を岩手に結集することを目指しておりますが、世界最先端の研究機関の誘致は、国外や県外からものづくりの人材の受け皿ばかりではなく、関連研究を含めて幅広い分野に先端技術を生かしたい岩手の若者の受け皿ができることになります。この先進的な研究機関や国際研究機関の誘致は、高度に専門的な学びをした若者の受け皿をつくる意味でも、ILC誘致の成否にかかわらず取り組むべき事業ではないかと考えられます。
 岩手県では、今年度からILC推進局が設置され、本年度予算に1億1、500万円ほど盛り込まれておりますが、国の事業決定前における本年度の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 6項目め、若者、女性が活躍する場の創出について質問いたします。
 人口の社会減ゼロを実現するためには、県内新卒者の就職先の確保が一番に考えられます。近年、全国的な景気の動向から、岩手県の有効求人倍率が1を超える状況が続いております。その一方で、既存の中小企業では求人難と人材不足が続いております。
 新卒者の県内就職率の動向につきましては、高校卒業者については、平成27年3月卒の63.4%から年々増加し、平成31年3月卒は69%まで上昇しております。一方、大学卒業者は、平成27年3月の43.2%からほぼ横ばい、短大卒業者も、平成27年3月の69.7%からほぼ横ばい、専修学校卒業者では、平成27年3月の61%から50.4%と減少しております。自動車産業の拡大やキオクシアの進出は大きな雇用を創出しましたが、多様な職業、企業がないと若者の流出はとまりません。ものづくりなどの企業集積が進む中、男性が希望する企業が多いのではないかと考えられます。
 高校生の男女別の県内就職率のデータは持ち合わせていないようですが、女性の就業、活躍する場の分析は必要ではないかと考えます。特に、女性の働く場が少なければ地域内での出会いの場も少なくなり、結果的には家庭を持って子育てをする機会も少なくしてしまいます。
 このように、新卒者を初めとした若者や女性などの求職者ニーズと、求人する企業のニーズのミスマッチについて、現状と課題をどのように捉えているか、また、若者、女性が活躍できる職場をどのようにふやしていくのかお伺いします。
 また、求人難の状況から企業ニーズと、教育や人材育成といった供給面との関係についてお伺いします。
 近年の自動車産業の集積やキオクシアの操業など、ものづくり産業の拡大により、関連中小企業を含め関連する分野の求人が拡大し、その分野の人材確保が課題となっております。
 岩手県立大学は、看護学部、社会福祉学部、ソフトウェア情報学部、総合政策部という四つの学部で構成され、平成10年度の開学以来、約1万4、000人の高度な専門性を身につけた人材を輩出しています。その間、18歳人口の減少、少子高齢化、地域社会経済のグローバル化の急速な進展、地域の高等教育機関の改編など、開学当初と比べ、大学をめぐる環境は大きく変化してきております。
 一方、岩手県における人材育成の観点からは、先ほど申し上げたとおり、自動車産業の拡大など岩手の産業構造という面で見た場合、とりわけ集積が進むものづくり産業における企業ニーズに対応していく必要があると考えますが、そのために人材育成をどのように進められているのかお伺いします。
 7項目め、社会インフラの整備について質問いたします。
 現在、北上市から主要地方道一関北上線及び一般県道相去飯豊線を結ぶ仮称新国見橋の要望が出ているところですが、その内容は、主要地方道一関北上線は北上川左岸に、一般県道相去飯豊線は右岸に位置し、それぞれ北上市の主要な道路であり、両路線を利用して、物流貨物車はもとより、奥州市江刺から北上南部工業団地などへ、または北上市から江刺中核工業団地へ通勤する自家用車も多数通行しております。一方、主要地方道一関北上線と一般県道相去飯豊線は、沿岸から国道107号を経由して北上金ケ崎インターチェンジまでつなぐバイパスルートとなっていますが、両路線を結ぶ橋は道幅が狭く、歩道もない北上市が管理する国見橋のみです。沿岸の港湾施設を利用した物流を促進するとともに、車両の安全な運行を図るためにも、両路線を結ぶ新たなルートの確保が必要となりますというものです。
 ことし3月、釜石市と内陸をつなぐ東北横断自動車道釜石秋田線が完成し、自動車や半導体関連産業が集積する北上市、金ケ崎町からの製品の輸送が大幅に改善されました。特に、トヨタ自動車東日本の生産する完成車や北上南部工業団地への物流拠点の集積を考えると、輸送コストや時間からも、金ケ崎町から釜石港へのルートの改良がさらなる企業活動の活性化につながるものと考えます。さらなる産業振興のために、北上金ケ崎インターチェンジから江刺田瀬インターチェンジまでのバイパスルートの設置を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、介護、保育人材の確保策について伺います。初めに、保育人材の確保であります。
 この10月から保育料の無償化が始まりました。しかし、保育ニーズが高まる一方で、待機児童の解消が課題となっております。保育施設の不足もありますが、事業者からは、保育人材の確保が難しいという声もよく聞きます。平成30年度の岩手県の指定保育士養成施設の卒業者のうち、保育関係施設に就職した者に占める県内施設への就職率は68.5%となっており、30%以上が県外施設への就職となっております。
 そこで、まず、県内の指定保育士養成施設への入学者の状況はどのようになっているのか、定員は足りているのかお伺いします。
 次に、県においては、指定保育士養成施設への修学に関して貸付金を用意し、一定期間、県内の保育所等に勤務すると償還を免除する制度にも取り組んでおりますが、保育士確保に向けどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、介護人材の確保について質問いたします。
 保育人材以上に不足しているのが介護人材であります。平成30年度の県内介護福祉士養成施設―専門学校の卒業者は91人で、そのうち79人が県内に就職しているようですが、介護福祉士を目指す生徒が減少しており、県内にある養成施設5校のうち、平成31年度には2校が募集を停止しております。
 介護福祉士の魅力の向上や処遇改善などに取り組まなければ人材不足は解消できないと感じますが、その対策を伺います。
 ここ数年、国内だけでは人材確保できず、海外からの労働者の受け入れもふえてきております。外国人材の受け入れは、国の経済連携協定、外国人技能実習制度、在留資格介護、特定技能の各制度により行われていますが、外国人受け入れ拡大に向けた県の取り組み状況についてお伺いいたします。
 以上です。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋穏至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、市町村の医療費助成への取り組みについてでありますが、県では、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、厳しい財政状況にはありますが、市町村等と協議の上、助成対象を小学生の入院まで拡大してまいりましたほか、本年8月からは、現物給付の対象を小学生まで拡大するなど、医療費助成制度の拡充に取り組んできているところであります。
 県内各市町村においては、人口減少対策や子育て支援施策としてさまざまな施策が展開されており、医療費助成の対象についても、それぞれの政策的判断のもとに、単独事業として拡充が進められ、結果として取り組みに相違が生じているものと考えております。
 総合的な子育て支援は、岩手県ふるさと振興総合戦略を展開していく上で重要な施策でありますが、子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、これまで、国に対し、県の政府予算提言、要望や全国知事会要望などにおいて、全国一律の制度を創設するよう要望してきたところであります。
 県の助成について高校生までの対象拡大や所得制限の撤廃等を行う場合、多額の財源の確保が必要となりますが、本県では、県立病院等事業会計負担金が多額になっているという事情もありますことから、今後、国の動向を注視しながら、県の医療、福祉政策全体の中で、総合的に検討する必要があると考えております。
 次に、医療費助成の現物給付の拡大についてでありますが、子供の医療費助成の給付方式を現物給付化することにより、その効果として、子育て家庭の経済的な負担が軽減され、その置かれた環境に左右されることなく、子供の適正な医療の確保が図られることが期待されるところであります。
 これまで、その対象を小学生まで拡大してまいりましたが、今般、県内全市町村で中学生への医療費助成を開始したことを機に、さらに中学生までの拡大に向け市町村との協議を進めることとしたところであり、議員御紹介のような、経済的理由により必要な受診を控える世帯の減少にもつなげていきたいと考えております。
 拡大時期につきましては、小学生までの拡大の経緯を踏まえますと、最短で、来年度の受給者証の更新時期である令和2年8月と想定されますことから、当面、これを念頭に、市町村等と具体的な協議を進めてまいります。
 次に、ILC誘致についてでありますが、本年7月に日仏、日独の政府レベルでディスカッショングループの設置が合意され、今月2日には、高エネルギー加速器研究機構が、国際ワーキンググループの議論を取りまとめ、国際分担等に関する提言を公表したことから、政府の決断に向けては、国内のマスタープランの審議とともに、こうした国際的な議論を加速させていくことが極めて重要と考えております。
 このため県としては、国内外の動向に臨機に対応し、超党派国会議員連盟や研究機関、推進団体などと連携を一層密にして、東日本大震災津波からの創造的復興や地方創生、そして、新しい東北の扉をあける、そうした思いで、政府への要望や国民理解の増進など、ILCの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、本年度の具体的な取り組みについてでありますが、県ではこれまで、建設候補地として、施設整備に向けた地質等の基礎調査や海外からの研究者等が安心して暮らせる受け入れ環境の整備、県内外での普及啓発活動、ILC関連産業の振興などに取り組んできたところであります。
 今年度は、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げるILCプロジェクト推進の初年度として、これまでの取り組みも踏まえながら、ILCによる地域振興ビジョンを策定し、全庁挙げてILCの実現と受け入れに万全を期すよう取り組んでいるところであります。
 具体的には、外国人向けのワンストップサービスを想定したIoT機器等の実証試験や、外国人子弟の受け入れに向けた小中学校の条件整備の検討など、関係市町や関連団体と連携して、本県の実情に即した取り組みを進めています。
 特に、ILCを初めとする今後の科学技術分野を支える人材育成については、これまで行ってきたILC推進モデル校の取り組みに加えて、今年度新たに、県内高校生を対象とした理工系の研究コンテストを開催し、最優秀のチームをスイスにある世界最大規模の素粒子物理学研究所―CERNに派遣する事業など、積極的に取り組んでおります。
 ILCの実現に向けては、建設候補地における事前の準備や中長期的な取り組みが政府の判断にも大きくつながるものと考えておりまして、今後とも、地域振興ビジョンを踏まえ、建設候補地としての取り組みを進めてまいります。
 次に、若者、女性が活躍する場の創出についてでありますが、本県の8月時点の有効求人倍率は1.39倍と高い水準にありますが、職業別で見ると、例えば事務的職業で0.35倍、建設業では3.64倍と、その倍率に10倍以上の開きがあるなど、求人と求職のミスマッチが見られます。
 このミスマッチの解消に向けては、近年、企業の業容の拡大や生産技術の革新等により、ものづくり産業を初め、農林水産業、建設業や福祉等のさまざまな分野において、若者や女性の活躍の場が広がっているところであり、今後、より一層これを拡大していく必要があります。
 そのため県では、いわてで働こう推進協議会を核として、働き方改革の取り組みを進め、ライフスタイルに応じた働きやすい職場環境づくりをそれぞれの分野で進めるとともに、いわて女性の活躍促進連携会議を設置し、女性の活躍を支援する機運の醸成など、就業促進等の取り組みも進めているところであります。
 また、このように、本県ではさまざまな分野で若者や女性が活躍できる環境が整ってきていますが、そのことを高校生や大学生など若者が十分に知らないまま進路を決めている場合もあり、岩手の現状をしっかりと認識してもらうことも重要と考えております。
 このため、昨年度から、いわてWalkerの発行など、これまでにない情報発信にも取り組んでいるところであり、今後とも、訴求力の高い広報媒体の活用や、いわて働き方改革アワードにおける先進事例の表彰、広報など、一層の情報発信に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、県と市町村の将来人口の目標値の関係と目標達成の見込みについてでございますが、岩手県の将来人口につきましては、平成27年度に策定いたしました岩手県人口ビジョンにおいて、国立社会保障・人口問題研究所の推計をベースに、国の人口の長期ビジョンにおける合計特殊出生率の向上や、国の総合戦略の基本目標の一つである2020年時点で東京圏から地方への転出、転入を均衡させるとの前提を踏まえ、県全体の将来人口推計をし、2040年に100万人程度の人口を確保することを展望しているものでございます。
 また、市町村の人口ビジョンにつきましては、国や県の人口ビジョン、それから、ふるさと振興総合戦略を勘案しながら、地域ごとの人口の推移や課題等を踏まえ、それぞれの市町村で独自に推計を行っているものでございます。
 県の人口ビジョンの策定に当たりましては、市町村と意見交換を重ねて作成を進めたものでございまして、県の2040年の人口見通しが103万9、000人であるのに対しまして、各市町村の人口ビジョンの将来人口の合計値は105万7、000人余と、おおむね同様の見通しとなっているところでございます。
 各市町村の目標達成が県全体の目標達成につながるよう、市町村とより一層連携を密にし、人口減少対策を推進してまいります。
 次に、目標達成に向けた市町村との連携についてでありますが、人口減少対策は、現在、県が策定を進めております次期岩手県ふるさと振興総合戦略に加え、今年度多くの市町村が策定を予定しております次期総合戦略のもと、県と市町村が連携して取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このため、県におきましては、広域連携の観点も含め、広域振興局ごとに、県、市町村地方創生推進連絡会議を開催し、次期総合戦略の策定について情報交換を行うとともに、副市町村長との意見交換の場などにおきまして情報共有を図っておりますほか、岩手県立大学と連携し、市町村の総合戦略の見直し等について助言を行うなどの支援を行っているところでございます。
 引き続き、国の地方創生推進交付金等を活用しつつ、住民に身近な市町村の総合戦略に掲げる施策と県の施策が効果的、相乗的に発揮されるよう、県と市町村の連携を強化してまいります。
 次に、企業ニーズに対応した県立大学における人材育成についてでございますが、県立大学ソフトウェア情報学部では、これまで、次世代自動車の技術開発に関連する研究など、大学の第3期中期目標に掲げる社会の変化に適切に対応した学術研究の推進や、実学実践教育、地域志向教育を通じて、知的探究心と創造力を備え、地域の魅力を切り拓く人材の育成に取り組んできたところでございます。
 また、同学部では、今後ますます成長が期待されているビッグデータ、IoT、ロボット、AIなどの先端技術分野で活躍できる人材育成のニーズに応じるため、今年度から、これまでの教育研究組織やカリキュラムを見直し、コンピューター工学や人工知能など時代の変化に対応した四つのコースの導入や、博士前期課程も含めた6年制の一貫教育体制の整備を行い、高度な専門性を有する技術者の育成を図っているところでございます。
 さらに、県立大学に設置されております、いわてものづくりソフトウェア融合テクノロジーセンターにおきましては、学生や社会人を対象とした講習会を開催し、ハードウエアやソフトウエア、ものづくりプロセス等を理解し、新製品、新技術開発に貢献する高度技術者を育成しております。
 こうした取り組みに加えまして、県内企業や業界団体等と連携した、いわて情報産業就職フォーラムの開催や、県内企業等から提示された課題の解決に取り組むキャリア学習の実施、低学年向けの業界研究セミナーの開催など、県内への就職、定着の促進にも取り組みながら、ものづくり産業などの企業ニーズに対応した人材育成に取り組んでいるところでございまして、県としても、こうした取り組みを支援し、推進してまいります。
   〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) 地域特性を生かした農山漁村振興についてでありますが、農山漁村の活性化に向けては、地域の立地条件を生かした農林漁業の生産振興とともに、生産者や地域住民など多様な主体の連携、協働による地域活動の活発化などの取り組みを進めていくことが重要でございます。
 このため県では、中山間地域等直接支払制度や県独自のいわて農山漁村コミュニティ活性化支援事業などによりまして、地域特産物の生産振興や6次産業化、グリーンツーリズムによる交流人口の拡大など、地域の創意工夫にあふれる取り組みを支援しております。
 また、高齢化や人口減少が進む中にあって、地域活動をリードする人材の育成が重要なことから、岩手大学等と連携いたしまして、いわてアグリフロンティアスクールに農村地域活動に係る講座を開設するなど、地域リーダーの育成に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みにより、例えば、奥州市におきまして、経験豊かなリーダーが地域をまとめ、新たに加工用トマトの栽培と、その加工品の開発を進め、地域の特産品として高い評価を受け、ふるさと納税の返礼品にまで活用されている事例や、また、北上市において、集落営農組織が、自治会や郷土芸能保存会と連携し、地域の伝統芸能と農産物を活用しながら交流人口の拡大につなげている事例など、地域の活性化に向けた新たな取り組みが県内各地で展開されております。
 県としては、今後とも、地域の主体的な取り組みを支援しながら、農山漁村の活性化に向け積極的に取り組んでまいります。
   〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 社会インフラの整備についてでありますが、自動車産業や半導体関連産業が集積する北上市や金ケ崎町から釜石港への物流につきましては、今後、さらに拡大していくことが見込まれておりまして、江刺田瀬インターチェンジへのアクセス性の向上が重要であると考えております。
 この主なアクセスルートとしましては、国道4号と国道107号を経由するルートが利用されていると認識しております。このルートの混雑緩和や隘路の解消などを図るために、国道4号については、国において金ケ崎拡幅、北上拡幅による4車線化が進められておりまして、また、国道107号については、県において江刺田瀬インターチェンジに直結する札押工区の改良整備や急勾配区間となっていた簗川―口内工区のトンネル整備などを進めてきております。
 この簗川―口内工区からさらに西側の区間につきましては、これらの整備効果を踏まえつつ、本年3月9日の東北横断自動車道釜石―花巻間の全線開通による物流の変化や周辺の開発動向などを見きわめながら、物流ルートとして整備が必要な区間やその道路規格等について、検討を進めてまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、保育人材の確保についてでありますが、県内の保育士養成施設は、平成29年度に2施設増加し、その定員も340人から435人にふえたところでありますが、入学者数は、近年400人程度で推移している状況にございます。
 県では、保育士の確保に向け、議員御指摘の保育士を目指す学生への保育士修学資金の貸し付けを実施しているほか、保育所に勤務する保育士資格を持たない方への資格取得費用の補助による保育士資格の取得支援や、保育士・保育所支援センターが行う潜在保育士の掘り起こしや、施設とのマッチング支援等による潜在保育士の確保対策、保育士等の賃金改善を行う施設に対する給付費の加算等による保育士等の処遇改善や、新任保育士の就業継続研修の実施による保育士の離職防止対策などに取り組んでおり、引き続き、保育士の確保、県内施設への定着に向け総合的に対応してまいります。
 次に、介護人材の確保についてでありますが、議員御指摘のとおり、介護人材の確保は喫緊の課題であり、介護職員の処遇改善や介護の仕事の魅力の発信などの取り組みが重要と認識しています。
 このため県では、処遇改善加算の取得促進、介護ロボットの導入支援などによる介護職員の処遇改善や負担軽減を図るとともに、フリーペーパーやテレビCM等を活用した魅力発信などに取り組んでいるところです。
 そのほか、介護人材キャリア支援員による就労支援や潜在有資格者に対する再就業支援、経営層向けセミナーの開催による労働環境の整備、改善、市町村や関係団体と連携して行う研修による資質の向上などに取り組んでいるところです。
 さらに、介護人材が不足している中、外国人の方々についても介護人材として有望な存在であると認識しており、県内でも外国人受け入れへの関心が高まっていることを踏まえ、今年度、外国人介護人材に関する理解促進を図るセミナーを開催し、円滑な受け入れを支援していくこととしています。
 県としては、参入の促進、労働環境、処遇の改善及び専門性の向上の三つの視点から総合的に取り組み、引き続き介護人材の確保に努めてまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) 中学生の部活動のあり方についてでありますが、生徒数の減少等によって学校単位での部活動運営が難しくなり、合同部活動を実施している学校が増加している状況にあります。
 具体的には、県内の合同部活動実施チーム数は、昨年度の18チームに対して、今年度は39チームと倍増しています。さらに、3年生が引退してからの新人大会では、その傾向が顕著になり、例えば今年度の県中学校新人大会野球競技の場合、県内13地区のうち3地区の代表が合同チームであるなど、チーム編成が難しい状況で大会に臨んでいるという現状にあります。
 また、近年は、学校の部活動のほか、学校外でスポーツや芸術文化活動に取り組むなど、活動が多様化している現状もあるところです。
 県教育委員会としては、このような状況を踏まえ、望ましい部活動のあり方を検討する必要があると捉えており、中学生のスポーツ、文化活動についての研究を進めることとしたところです。
 研究を進めるに当たり、今般、プロジェクトチームを立ち上げたところであり、本県中学生や関係者の意向等を調査することから始め、部活動を含めた中学生のスポーツ、芸術文化活動の全体像を把握し、関係団体及び有識者からの御意見を参考にしながら、生徒本位の有意義な活動の方向性について検討していくこととしています。
〇11番(高橋穏至君) それでは、4点、再質問をさせていただきます。
 初めに、一番の根源になるのが、やはり人口ビジョンではないかと考えております。答弁をいただきましたが、答弁の中で計画のつくり方についての説明はあったのですが、まず、前提としている2020年、これは来年ですが、社会減ゼロにするという計画はそのままでありますし、2040年に100万人を維持する、この組み立ての根拠は示されたのですけれども、現状の数値から見て、これの達成のめどはどうなのかという部分の回答がなかったのではないかと私は思っておりました。
 この組み立ての根拠として国立社会保障・人口問題研究所の推計、あるいは国の施策から持ってきているということで、各市町村もそれにのっとってつくっているので、積み上げるとそんなに差はないという説明があったのですが、そもそも国の動向がこうなればという前提の目標自体どうなのかということが問題なのではないかと思っております。
 この人口ビジョンは、2040年に100万人、そして、さらに超長期の展望を最後に書いていましたが、国の戦略に沿う形で希望が実現し、出生率が2040年に2.07に向上し、また、県外転出については、先ほど申し上げたとおり、2020年に均衡する、こういった前提では、全く希望の目標ではないかと。
 そして、出生率に関しては、首都圏より地方のほうが高いことから、過去の実績から見ても、全国平均が2.07であれば、岩手県はもっと高くなることが考えられるという想定にしてあります。
 ところが、2014年の出生率が1.44である現状において、2040年に2.07の出生率は現時点で高い水準であることから、2060年まではこの水準を保ち、2060年以降、出生率が向上して、2080年にかけて2.3に上昇するという仮定を立てているとか、そういった後半のくだりになっているのですが、現実にほとんど沿っていないのではないか。
 また、次期総合戦略を今つくっているわけですが、それも、この枠組みを受け継ぐとしているのです。これは非常に私には理解できないのです。
 そしてもう一つ、今までの取り組みの振り返りに関しては、KPIの目標がほぼ達成しているのに、人口減少はとまらず、出生率も上がらない。このことは、この結果をもたらす目標になっているのか、指標と目標の関係をもう一度しっかり見直す必要があるのではないか。もっとこの出生率の目標達成にコミットした計画を立てなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 たくさん質問をしたのですが、例えば、高卒者の就職率が少し上がってきていますよと言うものの、高校卒業者、20年前の平成10年は1万7、286人、10年前は1万3、283人、そしてことしは1万1、172人と、10年間で15.9%、20年間では35.4%減少しているわけです。母数そのものがもうどんどん減ってきている。そんな中で、仮に100%県内就職しても人が足りないのではないかという話になってしまいます。これは、出生率が上がらない限り、ずっとこの傾向は続くわけですね。
 そういった意味からも、出生率に関してもっとコミットした現実的な計画をつくるべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
 続きまして、答弁の中で勘違いといいますか行き違いがあったかと思うのですが、医療費助成についてですけれども、高校まで拡大してはどうかという提言をさせていただきましたが、県内では所得制限も含めてばらばらですよという前提のもとに、貧困に関する調査のことから、例えば低所得者に関しては、少なくとも受けられるように拡大してはどうかという意図で質問したつもりなのですが、そこがちょっと伝わっていなかったのかと。2段階でいいので、まずはそこからスタートするべきではないかという意図での質問でしたので、再度よろしくお願いいたします。
 続いて、中学生の部活動のあり方について取り上げさせていただきました。私は、学生時代にやったスポーツの経験から、地元に帰ってきまして、出身の中学校の校長先生から、部活動をつくりたいけれども、指導者がいないのでお願いしたいということで、20代のころには、地域の指導者として活動した経験がありました。その後、体育指導員等、それから教育委員の任にもつきましたし、子供も3人おりまして、それぞれ部活動をしていたのですが、そういったクラブ活動全般、あるいはPTA会長も七、八年やりましたかね。その中で、部活動の育成会をつくりまして、学校とも連携しながら、子供の部活動をどうしたらいいかということで本当に話し合いをしました。
 制度を考える上で、単独の市町村でできることには本当に限界があります。やはり県全体としてやらなければもうこれは無理だということから、今回取り上げさせていただきました。例えば、私の息子はサッカーをやっていましたが、小学校時代は、学校区の垣根がないので、結構クラブチームがあってやっているのですが、中学校に上がると、学区の関係で学校単位になってしまうから、結局それが分解されてしまうとか、さまざまな課題がありました。
 今回も中間で策定されたこういう計画の中では、やっぱり学校の部活動を基本として、それに対して地域とか関係団体がどうするかというスタンスなのですが、そもそも義務教育である中学校において、スポーツをつくる環境をどうしたらいいのかは、教育委員会単独では絶対無理だと思うのですね。
 そういった意味においては、スポーツ振興の部局、知事部局とも一緒になって、先ほど研究会をつくると言いましたので、一緒になってつくっていただきたい。これは全国に先駆けて、もっと先進的な取り組みを研究してもいいのではないかと思いますので、その取り組みについてどう考えるかお伺いしたいと思います。
 それから……
〇議長(関根敏伸君) 質疑の途中でありますが、本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇11番(高橋穏至君)(続) 昨日の一般質問の中でも佐藤ケイ子議員から高規格道路の話が出ました。北上金ケ崎インターチェンジから江刺田瀬インターチェンジまでのルートですが、確かに今、国道4号の拡幅事業が進められてきております。
 ただ、やはり別なルートは考えられないのかということでいろいろ考えて、実際に私、走行してみました。北上金ケ崎インターチェンジから国道4号に出て、国道107号に行って、江刺田瀬インターチェンジまで。これがどれぐらい距離があるのか、時間がどれぐらいかかるか。時間については交通事情、時間帯によっても違いますので一概に言えませんが、距離は、車ではかりましたので正確ではないと思うのですが、大体24キロメートルありました。
 では、これにかわるルートはどこかと考えたとき、ちょうど新国見橋の要望が北上市から出ているなということで、こっちのルートを考えたとき、江刺田瀬インターチェンジから、新しくできました口内簗川トンネルを通って、国道456号を下って、途中の県道255号広瀬三ケ尻線、そして稲瀬に向けて国見橋を渡って戻るルート。結構まだ既存のルートが通っていますので、距離的には若干ですが、逆に1キロメートルほど長かったです。当然、国見橋の位置が変わるだけで2キロメートル、3キロメートル変わってしまいますので、そういった効果もあろうかと思うのですが、時間的には、信号がほとんどありませんし、道路も、1車線ではなく片側1車線、要は2車線になっていますので、このルートで行ったらかなり時間は短縮になると思いながら実際に走ってみました。
 この国道456号に関しては、実はこれも北上市から要望が出ておりまして、口内町新町、荒町地区の町なかの部分が狭くなっているのですね。そこの拡幅、もしくはバイパスルートの建設を要望するというのが何年か前からずっと出ておりました。そうすると、ちょうどこのバイパスルートが、先ほどのトンネルの出口から国道につながるルートとなるのですが、この二つが実現すると、かなり時間の短縮にもなり、しかも国道4号は、金ケ崎町から行くものばかりではなくて、キオクシアとかいろいろなルートを通る、あるいは県立病院へのルートとか、もともと交通量が多いところですので、そういった物流の観点から検討してはどうかと感じたわけですが、いかがでしょうか。
〇政策地域部長(白水伸英君) まず再質問の1点目、人口の関係でございます。
 2020年に社会減ゼロという目標の達成の状況はどうかということでございますが、議員御承知のとおり、現時点で5、000人を超える社会減があるということで極めて厳しい状況にございます。この社会減ゼロの目標につきましては、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の創出等が図られて、さまざまな施策を講じてきたところですが、やはり近年の景気それから雇用情勢などによって、特に若年層を中心に東京圏への転入超過数が拡大しているということもございます。国も2020年社会減ゼロという目標を立てておりましたが、東京圏への流入がむしろ拡大しているという状況です。こういったこともあわせて、国に対してはしっかり言っていきたいと考えております。
 それから二つ目でございますが、国の目標の前提自体はどうなのかということで、特に出生率の関係で、これは現実に沿ったものではないのではないかという指摘でございます。
 これは、2030年に出生率1.8、2040年に2.07―人口置換水準ということでございますが―国のほうで、将来をこうするという結論ありきで目標を立ててきたといったところがございます。これの妥当性については、我々も地方自治体としても言うべきことは言っていくということではあると思いますが、いずれにいたしましても、次期総合戦略を今国でもつくっておるところでございますので、その状況は注視しつつ、一方で、我々岩手県としての特性あるいは市町村との連携で、国の示したことを踏まえつつでありますけれども、分析をしていかなければいけないと思いますので、これについては市町村とも連携して、今後しっかり対応してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 2点目の御質問でございます。議員の御質問の趣旨としては、低所得世帯に対して中学生までの医療費助成……(「高校生まで」と呼ぶ者あり)高校生まで、所得制限ということでございますけれども、県の基準としては、低所得者の方は当然に対象になっております。
 児童扶養手当の所得限度額プラス80万円より所得の多い方に関しましては一部御負担をいただいていますが、それより所得の少ない低所得者の方に関しましては、医療費の助成の対象にしておりまして、それに関しましては、県の基準としては小学校の入院まで、そして通院までというところでございます。そして現状、県内の各市町村が独自の政策的な判断により、それ以上の上乗せの支援をしている状況でございます。
 ことしの8月の段階で、県内全ての市町村が中学生までの入院、通院の医療費助成をしておりまして、一部所得制限をしている市町村もございますけれども、低所得者に関しましては全て対象として実施をしています。
 そして、高校生に関しましては、22の市町村で実施をしておりまして、そちらに関しましては低所得者の方々は当然に対象になってくるというものでございます。
 低所得者だけ対象ということではなくて、当然に低所得者の方々もこの医療費助成制度は対象としているものでございまして、高校生まで拡充するということは、低所得者の方々まで拡充するという趣旨でございますので、県が県全体でそれを支援するとなりますと多額の財政の負担が生じるということで、それに関しましては総合的な視点で検討が必要であると考えているものでございます。
〇教育長(佐藤博君) 議員の御指摘のとおり、中学校の部活動以外でも、実際に例えば市町村であるとか学校を超えて活動が今行われつつあると思います。そういったことから、今回、このプロジェクトチームをつくって研究を進めるということにしておりまして、例えば関係団体というお話をしましたけれども、県体育協会あるいは統合型地域スポーツクラブ、あるいは地域団体、さまざまな活動団体があると思いますので、そういったところに今回いろいろと実際の活動状況等も調査をさせていただきまして、そして、文化スポーツ部のほうからもこのプロジェクトチームに入っていただいて、そして研究を進めるということで取り組んでいきたいと考えております。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 新たなバイパスルートとして、例えば新国見橋のルートの検討はいかがかという御質問でございましたが、議員御案内のとおり、北上市からの要望をいただいているところでありますし、国道456号についても隘路区間の改良、例えばバイパス等の要望をいただいていることも事実でございますが、いろいろなルートというのはもちろん検討の余地はあるかと思いますが、そもそも今あるルートがいろいろな歴史の中で改良されてきたルートでございまして、新たなルートを引くということになりますと、いろいろな研究、勉強会等で検討していかなければならないことと思っております。
 北上川も大きな河川でありますので、新たに大きな橋をかけることになるということはかなり大規模な事業にもなりますので、こういったことはまた要望元の北上市ともいろいろと意見を交換しながら、道路ネットワークのあり方について検討してまいりたいと考えております。
〇11番(高橋穏至君) 時間が限られておりますのでまたの機会にしたいのですが、一つだけ、人口減少に関してはかなり問題があると認識しております。そこで、ひとつ知事の決意を聞きたいのですが、14日の新聞で、元鳥取県知事で後に総務大臣、地方制度調査会副会長を歴任した片山善博早稲田大学大学院教授の記事が目にとまりました。
 これは、国の地方制度調査会で検討している自治体戦略2040構想について、人口減少社会に対し圏域行政を進める構想とあります。その議論の進め方は官僚主導であり、構想の筋書きや組み立てが典型的な官僚仕様であると。そして、圏域行政構造は便法であるとも指摘しておりました。そして最後に、地域百年の計は、国からこづかれたり誘導されたりして決めるのではなく、住民自身が真剣に考えることから始めなければ展望が開けないと結んでおります。
 先ほどの答弁でも、国がどうこうしたから県がこういう目標を立てたということではないはずなのです。現状をしっかりと自分たちで考えて、どう目標設定したらいいかという分析をしなければ、失敗したときは国のせいで済むかもしれませんけれども、その被害は結局県民に及ぶわけでして、今、かなり無理な論理構成になっている目標ではないかと私は感じざるを得ません。そういった意味においても、岩手県民が、岩手に暮らして岩手で家庭を持って、そして岩手で子育てをするという基礎的な部分をどうつくるかというところにコミットしていかないと、確かに、新しい視野として、交流人口ということで外から呼び入れることも進めましょうというのはあるのですが、基本的に、ここに暮らしている人が持続可能なまちをそれぞれつくっていかなければならない、これは県もそうですし各市町村もそうです。そういったことをしっかりと情報を共有しながら現実性のある計画でないと、本当に国から言われましたからつくりましたではいけないと思うのです。そういった計画づくりをしなければならないという危機感を私は持っているのですが、その辺の認識について知事にお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 5年前に地方創生が始まったころ、地方消滅ということが言われていたわけでありますけれども、この地方消滅は日本消滅に結びつくと。地方消滅というのは、そのまま日本消滅の危機なのだから、国を挙げて地方創生をやらなければならないということで、まず国の人口ビジョンと総合戦略、そこで東京への毎年10万人水準の人口流入をゼロにすると。そういう国の人口ビジョンや総合計画をまず参考にして、各都道府県や市町村も、この人口ビジョンと総合戦略をつくってくださいと、法律でそうせよということになったわけであります。東京流入をゼロにするということは、全国の各地方の人口流出がそれぞれゼロになれば東京流入はゼロになるということで平仄が合うし、例えば、岩手県からの人口流出がゼロになるときには、県内の全ての市町村の人口流出、県外への人口流出がゼロになればそれは実現できると、そういう平仄が国、県、市町村と合うような形で、5年前、いわゆる計画がつくられたと考えております。
 議員御指摘のとおり、平成7年は岩手からの人口流出は329人にとどまっていて、ほとんどゼロであり、岩手からの人口流出をゼロにすることは不可能ではいと思っております。
 あのときは、特に岩手でも電気関係の民間投資があり、全国的に民間投資がふえ、そして国も地方交付税を手厚くし、また公共事業をふやすなど、地方財政を豊かにして地方経済を活性化させるような手を打った結果、岩手は329人のマイナスでしたが、流入がプラスになった県もそのころはありまして、平成7年―1995年のような状況をつくれば、国、県、市町村、日本全体が目標としていることは可能になるのだと思っております。
 そして5年前は、国の事業で、市町村は国費でコンサルタント、シンクタンクを雇って、委託して市町村の計画に助言が得られるようになり、岩手県内でもかなりの市町村が、シンクタンクやコンサルタント会社に委託して、それを参考にして市町村の計画も立てた。まさに、国、県、市町村が一貫した基本的考え方と目指す方向性を軌を一にしながら、国、県、市町村が連携してやったのが5年前。
 今回は、国費で市町村がコンサルタントやシンクタンクを雇えるという事業はないものですから、県が県立大学等と一緒になって、市町村に助言するということがかなりふえると思っておりまして、県と市町村の連携はより強まると思っております。ですから、今つくっている国の人口ビジョンと国の総合戦略が本当にそれでいいのか、それを前提にした計画を県や市町村もつくるのかということを、よくよく県と市町村で相談しながらつくっていきたいと思います。
〇11番(高橋穏至君) もう時間もありませんけれども、ですから国費で、コンサルタントを入れなくても、その職員には経験、ノウハウもあるはずです。職員で知恵を出して、そして県立大学も使いながら、しっかりとつくらなければならない。だから国がどうこうではなくて、知事にそういうリーダーシップを持ってやってもらいたいというのが1点です。
 それから、教育長は、先ほど関係団体から意見を聞いてそれでつくり上げると言いましたが、やはりこれも人口ビジョンと同じで、この地域の中でこうあればいいのではないかという、ある程度の理想を持った上で説明していかないと、現状に合わせた計画づくりだけでは発展性がないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇教育長(佐藤博君) まさに主体的に、みずからどうやって子供たちの部活動あるいはスポーツ、芸術活動をしっかり支えていくかということでありますので、そこはいろいろと御意見を頂戴しながら、そして自分たちで知恵を出しながら取り組んでいくという形で調査を進めていきたいと考えております。
   
   日程第2 議案第42号令和元年度岩手県一般会計補正予算(第2号)
〇議長(関根敏伸君) 次に、日程第2、議案第42号令和元年度岩手県一般会計補正予算(第2号)を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。八重樫総務部長。
   〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) ただいま議題とされました案件について説明申し上げます。
 議案第42号は、令和元年度岩手県一般会計補正予算(第2号)であります。これは、養豚農場における野生動物の侵入防止を目的とした防護柵の整備等について、緊急に支援するための経費を措置するため、3億500万円余の増額補正をするものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時16分 散 会
第 2 回 岩 手 県 議 会 定 例 会 会 議 録(第5号)
令和元年10月21日(月曜日)
   

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