令和元年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 まずもって、このたびの台風第19号被害により亡くなられた方々に対し心から哀悼の意をあらわすとともに、負傷された方々、そして家屋等の被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げます。
 さて、いわて県民クラブは、このたびの改選を経て現職全員が当選を果たし、再結成することができました。我々が再選を果たした意義は、有権者の皆様から、県政の重要課題に果敢に政策提言を行うこと、また、県政に対する行政品質管理を徹底することをミッションとして預かったものと考えており、より強力に活動を進めていくことをここに宣言し、以下、質問いたします。
 まず、このたびの台風第19号による大きな被害を受けまして、国土強靱化の取り組みについてお聞きします。
 近年の自然災害の強大化はすさまじく、減災対策の見直しは喫緊の課題です。
   〔副議長退席、議長着席〕
 国では国土強靱化対策を推進し、本年も国土強靱化年次計画2019を既に公表しております。その中で、災害の教訓、技術の進展等を踏まえ追加した新たな取り組みで、気候変動を考慮した治水対策を進めるため将来予測の定量的な評価を進めるとともに、代表的な河川における気候変動を踏まえた治水対策の見直しを推進するとあり、国は、県、市町村への地域計画の策定支援に取り組むとされています。
 そこで伺いますが、県内市町村における地域計画の策定状況はどのようになっているか、県の策定に向けた支援状況とあわせてお示しください。
 また、このたびの台風第19号の被害状況を受け、計画についての見直しの必要性をどのように認識しているのかお尋ねいたします。
 次に、知事の政治姿勢と二元代表制に係る知事の考え方について伺います。
 知事は、選挙直後の記者会見にて、岩手県知事選挙の得票数から、達増派ではない県議会議員に対し、その県議会議員を支持している有権者も達増拓也と書いたのは票差から間違いないので、何が何でも達増反対というスタンスをとらないでほしいとのコメントをされています。議会は、知事選挙の票差をもって服従しろとも聞こえます。二元代表制の一翼を担う私たち議会人の立場としては容認できない発言です。知事は議会に何を期待しているのか、発言の趣旨を踏まえてこの際明確にお答えください。
 また、選挙結果を経て、達増知事はみずから容共容社の保守のニュータイプ知事と申しておりますが、何の効果を期待して県内外に発信しているのでしょうか。
 また、野党系の支持が広がれば県民党としての支持が広がるという意味は、私は理解が進まないので、解説をしていただきたいと思います。
 以下、質問席にて質問いたします。
   〔48番飯澤匡君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国土強靱化地域計画についてでありますが、強くしなやかな岩手の県土づくりのため、県の国土強靱化地域計画とあわせて、市町村における計画の策定が重要であります。県内市町村では、平成30年9月に二戸市が策定していますほか、その他の複数の市町村でも策定に向けた検討が進められていると承知しております。
 県といたしましては、市町村における計画策定支援のため、これまで市町村担当者を対象とした説明会や個別の市町村との意見交換会等を行ってきたところであり、引き続き市町村に対する必要な支援を行ってまいります。
 平成27年度に策定した本県の地域計画については、平成28年台風第10号災害の際に被害状況等を踏まえた改定を行うなど、随時見直しを実施してきたところであり、今回の台風第19号災害につきましても、被害状況や被災原因等を踏まえ、現行の計画に盛り込んだ想定リスクや脆弱性評価、重点施策等について必要な見直しを行ってまいります。
 次に、知事の政治姿勢についてでありますが、私は、選挙で選ばれた者は、その選挙で示された民意を尊重すべきと考えております。岩手県知事選挙において私は、推薦を受けた政党の支持者からはもちろん、それ以外の政党支持者からも多くの支持をいただいたということを踏まえ、私を推薦しなかった政党の支持者の思いも尊重すべきと考えております。
 県議会議員選挙において、次点となった知事候補を応援しながら当選した議員の方々がいらっしゃいます。そのような議員の方々に投票した有権者の中には、知事選挙では私に投票したケースが少なくなかったようでございます。そのような有権者の皆さんの思いも尊重することが大事なのではないかという私の考えを、記者会見での質問に対して答えたものでございます。いずれにせよ、県議会に対しましては、民意を尊重することを期待いたします。
 ニュータイプ論につきましては、私はかねてから、冷戦時代の右翼と左翼の対立を超えた政治のあり方を確立することが、国政、地方政治を通じた日本における政治改革の最大の要点と考えてきておりました。今、日本が直面する諸課題、それは、かなりの部分、地方における暮らしや仕事の現場が直面する課題でありますが、左翼、右翼を超えた政治スタンスが広まってそれらの問題が解決することを期待し、ニュータイプ論を発信したものであります。
 岩手におきましては、直近2度の参議院議員選挙と今般の岩手県知事選挙によって、ニュータイプの政治スタンスに県民党的な支持が広がったと言うことができると考えております。
〇48番(飯澤匡君) 台風第19号の件につきましては、国の施策ともしっかり呼応して、県、市町村を―県はもう既に策定が進んでおりますけれども―支援をしっかり行っていただきたいと思います。今回の教訓というのも新たに発見されたと思いますので、しっかりその点をお願いします。
 さて、二元代表制に対する知事のお答えはありませんでした。有権者の思いをもってと、どういう根拠で言っているのか私にはよくわかりませんけれども、二元代表制の私たち議会に対してどういうスタンスで臨むのかという問いに対して答えがありませんでしたので、再度お答え願います。
〇知事(達増拓也君) 先ほど申し上げましたように、県議会におかれては、県議会の議員の皆さんも民意を尊重することを期待します。
〇48番(飯澤匡君) 民意を尊重するということと、あなたが言った何が何でも反対ということと、どういうことなのですか。説明がつかないのですけれども。きちんと納得するような説明をしてください。
〇知事(達増拓也君) 私が記者会見の際に質問に対して答えたのは、自分の選挙においても、私を推薦した政党以外の政党の支持者の方々からも投票、得票をいただいているので、そうした皆さんの思い、民意も踏まえて知事として行動しなければならないと考えているという趣旨のことを申し上げ、県議会議員の方々においては、やはり同様に民意を尊重することが大事なのではないかという考えを述べたところであります。
〇48番(飯澤匡君) 全然、記者会見で言っていることと違いますよ。僕はビデオを見なかったのですが、字づらだけ見ると、非常に高圧的なイメージですよ。自分は70%の票をとったのだから、あなた方の支持者も達増拓也と書いているでしょうと。したがって、これに反対することはできませんよと、そういうふうに言っているじゃないですか。民意を尊重するということをすかさないでくださいよ。それに対する整合性は全く答えていないから、きちんと答えてください。
〇知事(達増拓也君) 今、御指摘のような言葉は、記者会見において使っておりません。
〇48番(飯澤匡君) いいですか、きちんとここに書いてありますよ。県議の皆さんにも―これは私たち、私たちと言っていいかどうかわからない、反対派と言われている―自分に投票した県民の皆さんの民意を尊重しながら、何が何でも達増反対というようなスタンスはとらないでいただきたいと思っています。こういうふうに言っているじゃないですか。では、これは撤回するということですか。
〇知事(達増拓也君) それは、先ほど私が説明したとおりの内容であると思います。
〇48番(飯澤匡君) まあ、そういうことですよ。いずれ二元代表制については、我々はしっかりとした地方行政のシステムにのっとって行政の監視をする。この間の令和元年度希望郷いわてモニターアンケート調査結果を見ると、県議会に期待することは何かという質問に対し、県行政に県民の多様な意見を反映させること、構成率81.3%。県行政が正しく行われているかチェックすること、59.6%。県議会での質疑等を通じて県行政の内容を県民に明らかにすること、67.7%。やはり、我々にしっかりとした監視能力を発揮してほしいということをモニターの方々はきちんと言っている。
 民意を尊重するという、何かそういう言葉でごまかしたって、ごまかしにしか聞こえないですね。恐らく選挙後でかなり意気揚々とされて答えたと思うけれども、この前段については、ここで言うのにも本当にちょっとはばかるような内容ですから、これはあえて私は言いません。二元代表制のことについて、民意を尊重すると言ったのであるなら、私たちがいろいろ政策提言をしたり、独立の二元代表制の一翼を担う立場として皆さん方にも政策提言をするということになりますけれども、これから4期目の達増知事は、どのような姿勢で私たち県議会に対応するか、その点をお聞きします。
〇知事(達増拓也君) さまざまな論点があると考えますけれども、今議論になっている、私が記者会見において発言した、民意を尊重することが大事なのではないか。私自身もそうですし、県議会議員の皆さんも、やはり民主主義の基本は民意ですし、それが選挙という貴重な場において、有権者が直接民意を表明する数少ない機会であるこの選挙において示された民意を尊重するということは、やはり大事であると思います。
 県議会議員の皆さんが民意を尊重することが大事ではないかという私の考えは変わりませんし、私自身も、民意を尊重しながら、この議会にも臨んでまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) 民意を尊重するということに包含させて、自分が言っている、何が何でも反対というようなスタンスについては言及されませんでしたけれども、いずれ、これはホームページにも掲載されて、誰もが見ているわけですね。誰もが見ているのです。私は、このような発言をすることの影響をいかに考えて発言したのかということを問題視したいと思います。
 県職員も、この発言を聞いて、ああ、そうなんだと。達増知事は70%も票をとって、こういうスタンスなのだから、県議会に対しても、達増派、非達増派、こういう区別をしていいのだなというような考えを持つ人も出るかもしれない。その点について、知事は想像もできなかったですか。
〇知事(達増拓也君) 例えば、わかりやすく例を挙げれば、自民党という政党は、今回の岩手県知事選挙で私を推薦せず、次点となられた候補を推薦されたわけですけれども、その自民党支持層からも私は得票をいただいていますので、自民党支持者の民意も尊重しなければならないと思っています。それは、イコール自民党だからという形式で、所属で全て反対するというスタンスはとらない、何が何でも反対というスタンスはとらないということであります。
 ですから、県議会議員の方々も、何が何でも達増には反対という、形式であるとか、あるいは達増が言うことは全てだめというスタンスはとられないことがいいのではないかと、質問に対して答えたところであります。
〇48番(飯澤匡君) 知事ね、我々の最大の権能は議決権なのですよ。議決をすることが最大の権能なわけ。その中で多くの多様性を持って議論することは、とても大事なことです。だから、反対とか賛成とか、そういうことではなくて、大いに我々の言っていることに対して耳を傾け、それをいかにして県民利益のために政策化するかということが大事なのであって、だから、反対とか、そうであるとかという言葉を使うことが、私はとても貧困で、とても情けない思いをしているわけです。
 この件については、いずれもう終わったことだし、我々議会としても、私たちが議決権であったり、それから議論をする、皆さんに、知事は特に、人事権、予算編成権、予算執行権、とんでもない権限を持っているわけだから、我々はしっかり監視する義務があると思っていますので、これからもしっかりやっていきます。
 今、参議院議員選挙のお話が出ましたので、私がちょっとどころではなく違和感を感じたのは、祝勝会において、勝った候補者に対して金メダルをやりましたね。県知事の立場として、選挙に勝ったから特定の方に金メダルをやるというのは、一方で、いろいろな方が県民の中にいるわけで、これがまた、いろいろな変なメッセージを与えたのではないかと思うのです。
 私は、候補者についてどうこうということはないです。あなたの行為に対して、県民がどういう思いを持っているかということを背景に思ってやったのかどうか。この点を確認させていただきたい。
〇知事(達増拓也君) 議員はただいま祝勝会とおっしゃいましたけれども、あれは、候補者の選挙事務所で、関係者や支持者が集まって、一緒に投開票の様子を見るという場においてのことと記憶しております。
 私も、議員御指摘の参議院議員の選挙に当たりましては、積極的に応援いたしましたし、その当選を心からお祝いする気持ちを御本人に伝えるに当たって、御本人が、過去、パラリンピックには出場しましたけれども、メダル獲得までには至らなかった。しかし、新たに政治の道を歩み始め、初当選という形でいわばメダルを手にした。今までできなかったことができるようになる。それを、御本人もですけれども、岩手全体、そして日本全体にも、できなかったことができるようになる、そういう政治を広めてほしいという思いで、手づくりの金メダルをプレゼントしたところであります。
〇48番(飯澤匡君) 私は、知事の役目というのは、敗者に対する思いであるとか、やはりその勝者、敗者、県民全体のことを考えて行動していただきたいと思います。自分が志向している政治というものを追求するのは、とめるわけにいかないし、やぶさかではないけれども、あなたは知事なのだから、現職の知事なのだから。例えば、やはりそういう表彰をするというのは、県民のために何か大きな功績を上げたとか、そういう方々が代表して県知事からもらうということで大きな名誉をもらうわけだから。そうじゃないですかね。私はそのように思っています。
 次の質問に移ります。いわて県民計画(2019〜2028)の取り組みの中で、人口減少問題についてお伺いします。
 国では、税と社会保障の一体改革、人づくりへの財源の確保、外国人労働者の一部雇用枠の拡大、それらは次世代に対する備えとして政策化が図られていますが、私も決して十分とは言えないと思います。
 実際に数値を検証しますと、人口減少どころか、先進国の中でも群を抜いて我が国は減少率が激しく、2016年国連統計によりますと、2060年には、我が国を除くG7では14.9%増加していくのに対し、我が国は32.1%減少。まるで次元が違うわけです。
 さらに、少子高齢化と人口減少問題を同時に考えなくてはならない唯一の先進国であることを認識しなければなりません。
 人口減少は、それだけで深刻なデフレ要因であり、縮小した経済の中で、何とか日本人の足るを知るの考え方で自立すればよいとの甘い考え方が心の奥底にある限り、産業面では、グローバル社会の中で生き残れないとの識者の指摘もあります。
 そこで本県の対応でありますが、2月定例会の代表質問でも指摘いたしましたが、今年度からスタートした長期計画には明確な政策軸としての体系化がされていません。知事は、いわて県民計画(2019〜2028)をさきの選挙のマニフェストとして使用されたようですが、パラダイムシフトに至らない本計画で果たして問題の解決が図れるのか、いまだに私は疑問を拭えません。
 改めて、今後10年先の本県の姿を明確に示しながら、少子高齢化と人口減少の問題の施策展開についてお尋ねいたします。私は計画の中身については私はわかっていますので、どうやって戦略的に動かすのかということを具体的に、県民にわかるように示してください。
〇知事(達増拓也君) 動かし方ということでございますので、計画の推進に当たりましては、いわて県民計画(2019〜2028)の10の政策分野ごとに設置した政策推進クロス・ファンクショナル・チーム、また、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトごとに設置したワーキンググループによって、部局横断の推進体制を構築したところであります。
 そして、人口減少対策の推進には、多様な主体の参画と協働が重要でありますので、特に市町村との連携を進めるため、取り組みを進めていくところであります。
 また、国の第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の内容を反映させることも重要でございますので、先ほど来、質問への答弁の中で申し上げておりますけれども、交流人口、関係人口の増大、SDGsの視点の導入、そして、5Gなどの先端技術の活用といったところもつけ加えまして取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) それは2月定例会でも聞きました。今回、いわて県民計画(2019〜2028)の概要版が私のところにも来ましたが、人口減少対策についてはこう書いています。さまざまな生きにくさを生きやすさに転換していくことが重要ですと。これで県民はわかりますか。
 これは喫緊の課題です。先ほど私が申し上げましたように、10年先、どんどん人口が減っていく。その中で、これから財政問題も聞きますけれども、岩手県はどうやって自立していくのかという岐路に立っている。ですから、私は、今までのような政策の体系の中では、岩手県ふるさと振興総合戦略の中でも、令和2年度では、目標値、人口の社会減がゼロ、それから、合計特殊出生率についても1.45。これは本当になかなか難しい。
 先ほども議論があったところでありますけれども、いわて県民計画(2019〜2028)と岩手県ふるさと振興総合戦略はどういう相関関係で、何をもって戦略的に行っていくのか、これをどう進めていくのか教えてください。
〇知事(達増拓也君) 簡単に申し上げれば、先ほども申し上げましたとおり、いわて県民計画(2019〜2028)の中にも人口減少対策の政策は盛り込まれておりますけれども、そこに、さらに今、政府で最終的に詰めている関係人口、交流人口の要素、SDGsの要素、そして5G等の先端技術の要素をつけ加える総合戦略でありますので、これを戦略として整理して、いわて県民計画(2019〜2028)とは違った、さまざまな主体が取り組みやすい戦略の形に整理することで臨んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) 今までの10年間を見て、今までの焼き直し、それから、新戦略として今説明があったけれども、どうも私はなかなか手応えを感じない。
 前の方の答弁でも推移を注視するという言葉がありました。注視するだけじゃだめなのですよ。これから質問しますけれども、もっと抜本的に、産業構造とかについても強力に、政策軸として打ち立てていかないと、10年先はどうなっていくのかというのが目に見えて出てこない。どんどん減りました、やりましたけれども、だめでしたではだめなのですよ。そこら辺の覚悟について、知事はどう思っていますか。
〇知事(達増拓也君) 注視するというのは、国の最終的な新しい地方創生総合戦略の完成度合いを注視し、最大限の相乗効果が上がるように、県の新しい総合戦略に反映させていくという意味でございます。
 過去に行ったことの焼き直しとおっしゃいましたけれども、半導体産業集積、自動車産業集積の取り組みについては、かなりの程度で新たな雇用の創出につながっており、これはさらに力を入れてやっていかなければならないと思っております。
 また、復興への取り組みにつきましても、復興事業の中でさまざま、復興道路などの新たな交通インフラができ、また、それぞれの市町村ごとのまちづくり計画で、今までなかったような商店街、今までなかったようなまちづくり拠点ができています。これもやはり活用していくことが大事と考えております。
 そして、生きにくさということがわかりにくいとおっしゃいましたが、就職のしにくさ、結婚のしにくさ、出産、子育てのしにくさということ、それらをまとめて生きにくさという言い方をするのは、日本全体としてかなり前から、特に若者問題について関心のある向きには、かなり浸透している表現ではないかと思っております。
 例えば母子家庭への支援のような、これは、極端を言えば、戦後の混乱の中でも行われていたような、技術を身につけてもらって仕事ができるようにし、それでも子育てが大変な部分は社会的に支援するといったような、人を支援し、エンパワーする基本的な部分については、かなりオーソドックスな、やらなければならないことを着実にやることが重要と考えております。
〇48番(飯澤匡君) いわて県民計画(2019〜2028)の中で、なかなかわかりにくいですよ。いずれ、単年度予算の中で議案として出るわけですから、それはしっかりと注視をしていきたいのですが、やはりこの人口減少対策については、しっかり政策軸として再考いただきたいと思います。知事がずっと5期も6期もやるというのなら別だけれども。
 それでは、財政問題についてお伺いします。
 10年後の歳入見込み、それから財源対策基金残高の見込みについて、長期計画なのだから、腹づもりの中でどれくらいの財政規模になっているのか。これはもちろん想定した中で進んでいると思いますので、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) 10年後の歳入の見込みと財源対策基金残高の見込み額については、国においても、10年後の制度や景気動向等を踏まえた地方財政に関する見込みは有しておらず、県といたしましては、他の自治体と同様に、比較的確実性の高い中期の財政見通しを作成しているところであります。
 そのような中で10年後について述べますと、一般論になり恐縮ですが、今後も引き続き見込まれる高齢化に伴う社会保障関係費や老朽施設の適正管理に要する経費の増大等に対応し、持続可能な財政運営を行っていくためには、安定的な歳入の確保が必要であると考えております。
 そして、財源対策基金につきましては、毎年度の予算編成と執行段階において、歳入の確保や経費の節減に努めるなど、収支ギャップの圧縮を図りながら、災害対策等、将来の財政需要に対応できるよう残高の確保に努めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) ことしの中期財政見通しを見ましたけれども、消費税の増税分、これは地方配分を見込んだ形で、私はかなり楽観的な見通しではないかと思っています。復興期間が限定される状況を見れば、これから歳入確保は大変難しい。人口もどんどん減っていきます。
 そうした中で、知事は今、歳入確保に努めると言いますけれども、具体的にどのようにやっていきますか。
〇知事(達増拓也君) 県といたしましては、先ほど半導体、自動車関連産業集積の伸びについて申し上げましたが、やはり企業誘致、また中小企業の育成強化などによる産業振興、そして地域振興策も合わせた税源涵養プラス、全ての事業における国費の活用や県税等の徴収強化や未利用資産の有効活用など、あらゆる手法による歳入確保に取り組んでまいります。また、地方財政は、我が県のみならず、国の制度、地方財政計画に大きな影響を受けますので、必要な財源確保について、全国知事会等とも連携し、国に求めてまいります。
〇48番(飯澤匡君) それで、本県財政運営の課題として、突出して大きい義務的経費の中で固定費化している県立病院等事業会計の繰出金の是非について、私はこれは絶対必要だと思っていますが、この繰出金がかなり高額に上っています。これから国の関与もあるでしょう。財政当局として、今後どのようにしてこの点を考えていくのかをお尋ねします。
〇知事(達増拓也君) 財政当局としてという御質問でありましたが、財政当局を監督する知事の立場から答弁いたします。岩手県におきましては、山間地が多いことや民間の医療機関が不足している地域が多いといった状況から、公的医療機関が本県医療の主要な機能を担ってきたところであります。県立病院は、僻地医療、救急医療、小児医療、高度、専門医療など、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を担うなど、地域に必要な医療を提供してきたものであり、国が定める繰出基準等を踏まえて、不採算医療などの提供に要する経費に対し、一般会計から繰り出して負担しているところであります。その繰出金は、平成24年度に200億円を超える水準に達し、令和元年度には235億円の負担となっております。
 この繰出金への交付税措置は5割から6割程度にとどまっており、十分になされていない状況にありますので、引き続き国に対して、実情に応じた財源措置を強く働きかけ、県民や地域にとって必要な医療を確保してまいります。
〇48番(飯澤匡君) なかなか答えにくい質問だと思います。ぜひとも、その措置といいますか、確保は絶対に必要です。この件については、今答弁にもあったように、こちらが要求している分、満額来ていないわけです。そこが問題なのです。これから国は、恐らく今、地方制度調査会でも人口減少対策についていろいろ議論を進めていて、私は、自治体の統合であるとか、連携であるとか、その中にこういう病院も、なかなか拒否できないというか、そういうふうに追い込まれていくのではないかという懸念を持っているのです。
 これは、ぜひ県として、伝統ある県立病院ですから、そこら辺の確保も初め、財政的にも大変でしょうけれども、その点はしっかり留意していただきたいと思います。
 大分時間が押しているので、質問を飛ばすところが多くなりますので御注意ください。
 それでは次、2020年代の産業構造について。ここでは、私は生産性の向上についてだけ聞きます。
 人口減が進んでいくので、生産性を向上させていかなければなりません。本県としてはどのようにやっていくのか。今までのモデルは人口増加モデルなのです。全て経済の発展というのは。だから、生産性を向上させなければ、これからの企業は成り立っていかないということが、どの書物を見ても書かれています。本県はどのように対応していきますか。
〇知事(達増拓也君) 本県の目指す産業構造についてでありますが、国際競争力が高く成長の牽引役となるものづくり産業や、食産業、観光業、農林水産業など、いわゆる域外市場産業について、地元調達や付加価値を高めながら強化することに加えて、商業やサービス業の振興によって、地域内経済の循環を拡大していく総合的な産業政策が重要と考えております。
 このような考えのもと、いわて県民計画(2019〜2028)にもありますように、ものづくり産業振興と観光産業の総合産業化、そして農林水産業の持続的な発展など、本県の特徴を生かした施策を推進してまいります。
 また、生産性の向上に向けては、先端技術、ロボット等の積極的な導入の促進、また、生産現場におけるカイゼン等の取り組みの支援、そして、やはり人材の育成などに取り組んでまいります。
〇48番(飯澤匡君) 時間がないので、私の考えていることをまず申し上げますが、やはり第1次産業の人づくり、今のアカデミーではだめですよ。もっと進めていかないと。そこに人材投資をすべきだと思います。
 以前、いわて林業アカデミーについても、京都府では、もう林業大学校というような形で進んでおります。やはり岩手県においては、本県の広大な県土を生かす方策、これは長期的に投資するような考え方、それからもう一つ、生産性の向上については、今いかに技術をスキルアップさせていくかということであります。
 ですから、今言われているのは、生涯学習をいかにするか。再教育を促す機関の設置、これこそ公共機関が担う役目だと言われていますが、なかなかこの長期計画にも書かれていない。だから、片手落ちだと私は思うわけです。
 今、岩手県では多くの中小企業が地方経済を支えているわけですが、今後の行方、どう支援していくのか、どうあるべきか。その点について知事の考え方を問いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 中小企業支援のあり方という大変大きい御質問をいただきましたが、県議会においても大いに議論いただきながら策定した中小企業振興基本条例と、これに基づく基本計画がございます。その基本的な考え方は、岩手の中小企業振興をその業界の関係者だけの問題として捉えるのではなく、県民全体に共通する問題として捉えることとしております。県民の子弟がこれからそこに就職するかもしれない。また、そこで生産されている材やサービスは県民広く利用することができる。県民みんなで中小企業を支え、伸ばしながら、そして、中小企業の側も、雇用面、また、材やサービスの生産を通じて地域に貢献していく。そのような構造の中で中小企業振興を図ることが大事と考えておりまして、具体的な施策については、それぞれ条例、計画の中に盛り込み、毎年度の事業に反映させているところであります。
〇48番(飯澤匡君) 中小企業の抽象論で、なかなか納得のいかない内容でした。
 後継者問題については公明党とかが一生懸命やっていますけれども、私は、いろいろ組合などもありますが、どんどん枯渇していく生産年齢人口の確保のため、いろいろな企業統合などをどんどん進めていくような時代になっていくと思います。やはり時代を見据えて、しっかりやっていただきたいと思います。
 もう一つ、外国人技能労働者の雇用拡大について、今、民間では、ことし4月から法制化されているわけですが、今後の対策について伺います。私は、県も支援する窓口をしっかりつくって、岩手県内企業の要望に応えるべきだと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) ことし7月にいわて外国人県民相談・支援センターを設置して、外国人労働者が生活する上でのさまざまな相談に、ワンストップ窓口として関係機関と連携して対応しているところであります。
〇48番(飯澤匡君) まだまだそれは広報が足りないです。しっかりやってください。
 それでは、地域医療の確保について伺います。先ほど来議論がありましたので、私は1問目だけ聞きます。
 再編統合について、厚生労働省が全国の公立、公的病院のリストを発表しました。これは極めて一方的で、地域事情に即していないやり方だと、私も感じています。
 一方で、危機管理として、増額する医療費を抑制するため、国はあらゆる手段を講じて圧力をかけてくる予兆とも思料されます。知事からは、先ほど来答弁がありましたが、知事との連携とか、今回の補正予算にもいろいろシンポジウムの開催などを書いています。国立大学法人東北大学とか―2枠増員すると言いますけれども―もっと深く切り込んで、岩手県は本当は大学間の医師の招聘にもう少し注力すべきだと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) まず、国があらゆる手段を講じて圧力をかけてくる予兆ということに関しましては、全国知事会としても、社会保障常任委員会の委員長をしている鳥取県の平井伸治知事が国に対して要求し、国と地方の協議の場が設けられるという、今回の病院リストの発表前には全くなかったことを緊急に提案して実現に持ち込んだところでもあり、さまざまなやり方をもって、議員御指摘のような圧力には屈しないように努めてまいりたいと思います。
 そして、さまざまな病院への働きかけにつきましては、国立大学法人東北大学に新たに地域枠2名を設けることができました。これは、1年間に2名というと少ないように感じられるかもしれませんが、学校法人自治医科大学の定員は最近2名か3名、最初は2名ということで、それが毎年毎年と重なりますと、今、岩手の県立病院の院長を務められたりして枢要な役割を果たす病院勤務医にもなられていますので、それをまず第一としながら、さらに関係の大学への働きかけを強めてまいりたいと思います。
〇48番(飯澤匡君) どんどん質問を進めます。
 次は、県南県境地域における振興策、ILCについてですが、これは県南県境だけではありません。これは日本が初めてやる国際プロジェクトですから、これほどの千載一遇のチャンスを逃すことはないと私も思っていますし、椎名素夫先生から授かったさまざまな課題でありますので、私も一生懸命やっておるつもりであります。
 そこで知事にお伺いしますが、前者の方々への答弁で、一生懸命頑張ってやりますという答えでした。一つお伺いしますけれども、知事は9月20日に上京し、野党4党の代表に挨拶回りされたと報道されていますが、9月11日には新しく文部科学大臣の萩生田光一氏が就任されています。これだけの大プロジェクトでありますから、県を代表する知事としてはまさか会わないで帰ったということはないと思いますが、どういう状況だったのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 安倍内閣の今般の内閣改造を踏まえた政府要望につきましては、現在、日程調整しているところでございます。
 また、選挙の話が冒頭にもございましたけれども、政党推薦を得ての選挙というのは、政党に対する報告、挨拶等は政務の枠の中では非常に大事なことでありますので、9月8日の投開票から余り日がたたないうちに推薦いただいた政党訪問は済まそうと思い、まずはそのことをやったところであります。
〇48番(飯澤匡君) 私は、知事の立場としては何が何でも会いに行って、岩手県がこれから進めようとする考え方だとか、あらゆる手段を講じて、あらゆる機会を通じてやるべきだと思います。すごく歯がゆいのです、私は。今、東日本大震災津波以来、財務省が強くなってしまって、地域主権とかそういうのは残念ながら吹っ飛んでしまいました。これは政府が決めることですから、地方の、そして岩手の自治体の長として、これは是が非でも実現しなければならないということで、調整中というのではなく、あらゆる手段を使って私はやるべきだと思います。きょうはこの辺にとどめておきます。
 ILCによる地域振興ビジョンについては、常任委員会でも何回も質問していますので、これは後に回したいと思います。
 最後に、県南の振興策について、知事は、1期目のマニフェストで、県南の県境をフロンティアとして特別予算枠を配して振興を図るとされましたが、その成果を具体的に示していただきたい。
〇知事(達増拓也君) ただいま御質問がありました平成19年の岩手県知事選挙で掲げたマニフェストについてでありますが、その中で、他の圏域や県と接する地域は、広域間交流拠点とし、特段の措置を講ずるとしたところでありまして、現在の地域経営推進費の前身であります地域振興推進費に県際連携枠を設け、県南振興圏においては、県際地域での広域観光推進研究会の開催や共同PRなどの取り組みを実施しました。
 その後、ILC誘致に向けて、東北ILC推進協議会の設立に参画し、宮城県を初め東北各県と連携して誘致活動を行う、また、北上川流域地域に自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積や、平泉の文化遺産を核にした広域観光を推進するという形で、県際地域の振興を図りながら、広く県南の振興を図るということに取り組んできたものであります。
〇48番(飯澤匡君) その中で、最後にこれは必ず聞かなければならないのですけれども、やはり、横軸連携は観光振興にも絶対必要な案件です。県南地域については、復興支援道路として国道343号、国道284号が指定されていますけれども、なかなか経済効果が期待できるような状況、満足できるような状況にはなっていません。
 なぜ県南地域だけ取り残されたような格好になってしまったのか。交流人口や新産業創出の観点からも、私は不可欠な社会資本整備であると考えますが、改めて県の姿勢について伺います。
〇知事(達増拓也君) まず、復興道路や、国で言うところの復興支援道路につきましては、東日本大震災津波発災当時に既に計画、事業化されていた国の直轄事業についてその早期完成を求め、その結果、10年で完成させることとなったものでございます。
 国道343号は、気仙地区と内陸部を結び、沿岸地域の復興や県民の安全・安心、観光振興等を支える路線であり、ILCを推進する上でも重要な位置づけを持つ路線であります。
 笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することについては―これはまだ質問されていないので、失礼いたしました。
〇48番(飯澤匡君) では、その点についてお答えください。これは重要な課題ですから。
〇知事(達増拓也君) 多額の事業費が必要と見込まれますことから、安定的な事業予算の確保が課題となるとともに、事業効果などを確認することが必要と考えております。
〇48番(飯澤匡君) この間、椎名悦三郎氏没後40年の記念シンポジウムがありまして、私も参加しました。1970年に椎名悦三郎氏は、東北の地でも岩手県が道路整備は一番おくれていると。考え方として、内陸部はいわゆる奥座敷だと。その奥座敷との間に山があって、峠を三つや四つ越えなければならないということ、海から見ればそういうことになっている。これを征服しなければ岩手県はだめだということで道路政策をやっている。まさに観点が違うのですね。私は慧眼だと思っています。
 ぜひとも知事、これからの岩手県の振興、ILC、しっかり国道343号についても頑張っていただきたい、やっていただきたいと思います。
 以上、終わります。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって飯澤匡君の一般質問を終わります。
   
   日程第2 臨時的な協議等の場の設置の件
〇議長(関根敏伸君) 次に、日程第2、臨時的な協議等の場の設置の件を議題といたします。
 お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしておりますとおりでありますが、会議規則第115条第2項の規定により、岩手県議会災害対策連絡本部を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(関根敏伸君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時55分 散 会

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