令和元年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇41番(五日市王君) 希望いわての五日市王でございます。
 初めに、9月に発生した台風第15号、そして、今般発生した台風第19号に伴う災害で犠牲になられた方々に、心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた全ての皆様に、お見舞い申し上げます。
 当局におかれましては、一刻も早い全容把握並びに一日も早い復旧、復興に万全を期すようお願い申し上げますとともに、希望いわてとしても、全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 それでは、代表質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、一部私見も含みますが、会派を代表して質問をいたします。
 私ども希望いわては、旧改革岩手を前身に、さきの県知事選挙において、達増知事を支える希望郷いわてを実現する会のメンバーを中心に、9月18日に14名で船出をいたしました。二元代表制の一翼を担う議会の役割をしっかりと果たすべく積極果敢に活動をしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、先ほど冒頭に総務部長から説明がありました台風第19号に伴う災害についてお伺いします。
 全体の被害状況については詳しい調査結果を受けてからとなりますが、報道等で知る限り、河川等の土砂災害で被災された方々の生活再建の問題や沿岸の水産業や全県的な農林被害、さらには、震災後8年を経て新たなスタートを切った三陸鉄道が再び大きな被害を受けるなど、県民は大きな不安を抱えているものと存じます。
 今後、被災市町村の災害復旧対策にどのように対応されるのかお聞かせ願います。
 次に、岩手県知事選挙の総括についてお伺いいたします。
 9月8日に投開票が行われた岩手県知事選挙において、達増知事は、40万2、803票対15万5、504票という圧倒的な大差と県民の皆様からの絶大なる信任を得、県内全市町村で相手候補の得票を上回るという絶対的な勝利で、千田正知事以来となる4期目の当選を果たされました。
 達増知事におかれましては、平成19年4月に就任以降、岩手・宮城内陸地震や東日本大震災津波など、幾多の大規模災害に立ち向かい、その復旧、復興にほとんどの精力を傾けられた12年間であったと拝察いたします。
 今後は、台風第19号からの早期復旧、復興はもとより、来る4年間の任期中には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2021年の北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録の可否や東北デスティネーションキャンペーン、2022年には天皇、皇后両陛下をお迎えしての全国植樹祭と、毎年のように大きな事業が予定されておりますので、これらを県民とともに、ぜひとも成功に導いていただきますよう御期待申し上げます。
 さて、今回の選挙は8年ぶりの選挙戦であり、これまでの3期12年の実績への評価と、今後4年間を誰に託すのかが問われた選挙戦でありました。
 知事におかれても、県内各地をくまなく回られ、政策を訴えるとともに、県民の皆様の声に耳を傾けてこられたと思います。民意は達増県政の継続を選択いたしましたが、今回の選挙戦の総括をどのように捉えているのかお伺いいたします。
 知事は、選挙戦において希望マニフェスト2019―2023を示し、岩手県民の知恵と力を合わせてつくったいわて県民計画(2019〜2028)を推進し、その基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを実現するとし、東日本大震災津波からの復興、地域振興、幸福度の向上、産業振興、新時代に対応する地方自治の体制強化の五つの柱を公約に掲げました。
 これらの政策は、前県民計画に掲げた危機を希望に変える希望郷いわてを新たなステージに進化させ、幸福を守り育てる希望郷いわてに移行するものですが、これまで3期12年にわたり県政運営のかじ取りをしてこられた知事の思いと、新たなステージに進まれる知事の決意のほどをお聞かせ願います。
 また、さきの知事演述において、被災された方々の国民健康保険等の一部負担金の免除を来年も継続する方針を示されましたが、希望マニフェスト2019―2023の中には、このほかにも、水道事業の広域化推進や子供の医療費現物給付の中学校卒業時までの拡大など、いわて県民計画(2019〜2028)には含まれていない新たな政策が13項目盛り込まれております。
 希望マニフェスト2019―2023に掲げるこれらの新たな政策については、今後、予算化をされていくものと思いますが、最優先で取り組む政策について、スケジュールも含めお伺いいたします。
 あわせて、これらの政策や計画に掲げる新たなプロジェクトを進めるに当たっては、市町村との連携はもとより、組織体制の見直しや強化が必要と思いますが、知事の考えをお示し願います。
 次に、希望マニフェスト2019―2023の中から、復興とILC、県北振興についてお伺いいたします。
 初めに、東日本大震災津波からの復興についてであります。
 発災から8年7カ月が経過し、被災地の復興は着実に前進を続けております。特に、道路や住宅などのインフラ整備においては、復興道路である東北横断自動車道釜石秋田線の全線開通を初め、三陸沿岸道路は61%、宮古盛岡横断道路は41%の進捗率となっており、全体では、事業化延長359キロメートルに対する進捗率は236キロメートル、66%となり、来年度中の全線開通に向け、大いに期待が高まっているところでございます。
 また、災害公営住宅の整備状況は、建設予定戸数5、833戸に対し、完成戸数は5、693戸、進捗率は98%であり、一日も早い完成をお願いするものであります。
 こうした状況の中、6月から8月にかけての三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019の岩手県釜石市開催、9月22日には高田松原津波復興祈念公園、東日本大震災津波伝承館“いわてTSUNAMIメモリアル”等関連施設の一部がオープンするなど、国内外から多くの方々に被災地に足を運んでいただき、力強い復興の姿をごらんいただけたものと存じます。関係者の皆様のこれまでの御尽力に対し、改めて敬意を表する次第でございます。
 そこでお伺いしますが、6月1日から8月7日までの68日間に開催された三陸防災復興プロジェクト2019の事業実施による来場者数や経済波及効果など、成果はどうだったのかお伺いいたします。
 また、現在、本県釜石市を含め各地で開催されているラグビーワールドカップ2019日本大会が、日本代表チームのすばらしい活躍も加わり大変な盛り上がりを見せております。何より、東北唯一の開催である釜石鵜住居復興スタジアムにおいて9月25日に行われたフィジー代表対ウルグアイ代表の試合では、地元の小中学生を初め、これまでの復興支援への感謝を世界中に発信する見事な応援が印象的でありました。
 10月13日の試合は、台風の影響により残念ながら中止となりましたが、このラグビーワールドカップ2019岩手県釜石市開催の成功を、復興五輪を理念とする来年の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会につなげ、そのレガシーを真の復興、地域振興に結びつけていく必要があると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、復興10年の節目以降の県の全体像についてお伺いいたします。
 2021年3月には、震災発災から10年の大きな節目を迎えます。国が重点支援する復興創生期間も2020年度末で終了することから、復興を支える仕組みや後継組織のあり方など、復興のその後の対応に大きな注目が集まっているところであります。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)では、マニフェストサイクルに合わせ、2022年度までを復興推進プラン等のアクションプランに基づき取り組みを進め、その後は復興の状況等を見ながら判断するとされております。
 復興については、被災地におけるハード事業の総仕上げ段階であるとともに、心のケアやコミュニティー支援など息の長い支援が必要であり、誰ひとり取り残さない覚悟が必要であります。同時に、今後の人口減少社会や県全体のバランスを考えたとき、復興10年を大きな節目と捉え、内陸部に対しても厚く支援していくことが必要ではないでしょうか。そのことが内陸部に新たな活力を生み、さらなる復興支援につながるものと期待するところであります。
 知事は、復興10年の節目となる2021年をどのように捉え、どのように迎えようとお考えなのかお伺いします。同時に、復興10年の節目以降の県政運営のかじ取りをどのようにお考えか、お伺いいたします。
 特に、公共事業に関しては、復興事業の完了とともに、工事量の減少が懸念されているところであります。県においても、いわて建設業振興中期プラン2019の中で、建設投資額の確保を第1の課題として掲げ、必要な事業量を計画的に確保していくこととしております。今定例会においても、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に対応した大型の補正予算が組まれており歓迎するものですが、今後の公共事業費確保の見通しについてお聞かせ願います。
 次に、ILCについてお伺いいたします。
 ILC誘致に関しましては、本年3月に、現時点では誘致の表明には至らないとの政府初の見解が示された一方、議論継続と政府が関心を示したことに歓迎と期待の声が上がりました。
 これを受けまして、県議会においても、4月に岩手、宮城両県議会議員で構成するILC建設実現議員連盟で、国内誘致の早期実現の要望活動を行い、また、県当局においては、岩手県議会ILC建設実現議員連盟からの体制強化の要請を受け、8月からILC推進室を局に格上げし、ILCによる地域振興ビジョンを策定するなど、その受け入れ態勢に万全を期しているところでございます。
 今月2日には、高エネルギー加速器研究機構が建設費用の国際分担案に関する提言書を公表したところでもございます。
 今後は、日本学術会議が策定する次期マスタープランや欧州素粒子物理戦略の議論が正念場を迎えますが、ILC誘致にかける知事の意気込みと今後の取り組み方針についてお伺いいたします。
 次に、県北振興についてお伺いいたします。
 知事の希望マニフェスト2019―2023では、県北地域に対しては、岩手県北部の大学や研究機関と連携した地域振興が掲げられており、いわて県民計画(2019〜2028)でいうところの北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの推進が大きなテーマであります。
 去る10月9日には、産学官、異業種で連携して県北振興に取り組む北いわて未来づくりネットワークが設立され、新たな推進基盤体制が整備されました。これまで、震災からの復興という過程の中にあっても、県北振興への取り組みを着実に推進してこられたことに、改めて感謝を申し上げます。
 私は、さきの県議会議員選挙において5度目の議席を賜りましたが、これまで一貫して、県北の発展なくして県勢の発展なしとのスローガンを掲げてまいりました。
 思い起こせば、増田県政時代の平成18年1月に県北・沿岸振興本部が設置され、県北沿岸振興は県政の最重要課題と位置づけられました。そして、その志は翌年4月に就任された達増知事に引き継がれ、県北沿岸部に住む住民は、期待に胸を大きく膨らませていたものの、その矢先に東日本大震災津波が発生し、沿岸地域の復旧、復興にオール岩手で全精力を傾けてきた8年間でありました。その被災地の復興も間もなく10年の節目を迎えます。
 また、県内の他圏域においては、県央には人口が集中し、県南には大企業の進出やILCなどの大型事業の可能性がございます。これに対し、県北への振興に係る取り組みはインパクトが薄いと捉える住民が多いように感じております。
 さらに、県民意識調査においても、幸福だと答える人の割合が、県北広域振興圏では47%と県内で最も低い数値となっており、県北地域の幸福度向上は喫緊の課題でもあります。
 そこで提案ですが、復興10年の節目を迎える2021年以降、つまり2022年から2年間ないし4年間を県北振興重点支援期間と位置づけ、重点かつ集中的な人的配置や予算配分を行い、東日本大震災津波からの復興の総仕上げと同時並行で取り組んでみてはいかがでしょうか。特に、いまだ要望の多い道路や情報、農業基盤などのインフラ整備を飛躍的に前進させることは、県北地域住民の悲願でもあります。知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、県北振興の大きな目玉となる北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録について質問いたします。
 一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群は、2021年の世界文化遺産登録に向け、本年7月、国内推薦候補に選定されました。2009年のユネスコ暫定リスト入りから10年、実に7度目の挑戦で日本代表の座を射とめたことは、地元住民はもとより、県民の大きな喜びであり、関係各位のこれまでの御尽力に謹んで敬意を表する次第でございます。
 今後は、ユネスコへの推薦書提出、イコモスの現地調査などを経て、最短で2021年に世界遺産登録へと進みますが、世界遺産登録が実現すれば、平泉―仏国土を表す建築・庭園及び考古学的遺産群、及び釜石市の橋野鉄鉱山が構成資産である明治日本の産業革命遺産に続く本県三つ目の世界文化遺産となります。これは、奈良県と並び国内世界遺産保有第1位でもあり、本県の豊かな文化を広く国内外に知らしめるまたとない機会となります。
 世界遺産登録推進本部では、登録に向けた機運醸成を図るためフォーラム開催等に取り組んでいるところですが、県民一人一人の理解をより一層深めるためには、御所野遺跡に焦点を当てた本県独自の周知活動をさらに充実していく必要がございます。
 また、世界遺産登録が実現すれば、平泉町、釜石市、一戸町と、県南から沿岸、そして県北へと県内周遊による他地域への波及効果も大いに期待されるところであります。
 そこでお伺いしますが、来るべき北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向け、本県独自の周知活動をどのように行うのか、また、観光を初めとした県北振興策をどのように展開していくのかお伺いいたします。
 次に、地域医療についてお伺いいたします。
 厚生労働省は、先月26日、公的公立病院のうち、診療実績が特に少ない、診療実績が類似かつ近接しているなどの理由から、再編統合について特に議論が必要とされる424病院の実名公表に踏み切りました。本県では、国立病院機構盛岡医療センターなど10施設が対象となり、うち県立病院では、東和、江刺、一戸、軽米の4病院が名指しされ、大きな波紋を広げております。本県においては、既に9医療圏ごとに地域医療構想調整会議が発足し、医療機関ごとに病床機能や病床数について一定の見直しが行われていることに加え、対象となった4県立病院には、それぞれの地域でそれぞれの重要な役割や特徴があり、地域医療に欠かせない存在となっております。
 私の住む二戸圏域では二つの県立病院が対象とされましたが、一戸病院においては、2019年に一般病床数を95床から48床に削減したことに加え、県北部における精神医療の拠点としての役割を果たしております。さらに、4月からは地域包括ケア病床が新設され、同時に在宅医療の体制強化と重度認知症患者デイケアが開始されるなど、地域になくてはならない存在です。また、軽米病院においても、県北部唯一の日本糖尿病学会認定教育施設となるなど、特色のある治療に注力しているところでもあります。
 こうした地域の事情や努力を念頭に置かない機械的な国の線引きに、住民の不安は募るばかりであります。今回の国の再編を促す公表に対する知事の見解と、今後の対応策についてお伺いいたします。
 最後に、豚コレラ対策についてお伺いいたします。
 2018年9月に岐阜市において国内26年ぶりに発生した豚コレラは、9月には埼玉県で、また、今月4日には群馬県の野生のイノシシで確認され、その感染被害は東海地方から関東地方へと北上しており、東北地方での感染も時間の問題と、生産者の皆様は危機感を募らせていることから、早急な防疫対策が求められております。
 国では、豚コレラの防疫指針を改定し、感染した野生のイノシシを確認した10県を予防的ワクチン投与の推奨地域に指定しましたが、本県においても、家畜伝染病に関する水際対策や農場における衛生管理及び発生予防策の徹底などの対策が急務であります。今後の対策と、発生に備えた準備態勢をどのように講じていくのかお伺いいたします。
 以上で質問を終わりますが、幕末の儒学者である佐藤一斎先生の重職心得箇条には、政事は大小軽重の弁を失ふべからず、緩急先後の序を誤るべからずの一節がございます。つまり、政治とは、変化する状況における決断であると考えます。県民の皆様から大きな信頼と期待を得た達増知事におかれましては、激動する時代や県民ニーズに的確に適応し、政策の優先順位を見きわめ、希望郷いわての実現に向け、全力で取り組んでいただきますよう御期待を申し上げ、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
 台風第19号災害により犠牲になられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 県では、災害発生前の10月12日に災害対策本部を立ち上げ、関係機関と連携し、人命第一の方針のもと、速やかな救援、物資等の支援、早期の被害情報の集約等に取り組んできたところであります。
 御質問の台風第19号に伴う被災市町村の災害復旧対策への対応についてでありますが、10月13日未明にかけて本県に最接近した台風第19号は、県内で初めての大雨特別警報が発令され、沿岸部を中心に過去最大級の豪雨災害が発生しました。被害状況については、その全容を把握するため、現在、市町村と連携して鋭意情報収集を行っているところでありますが、道路、水道、電気などのライフラインを初めとして、東日本大震災津波からの復興に取り組んでいる被災地を中心に、生活基盤や産業基盤に再び甚大な被害をもたらしたことが次第に明らかになってきております。
 県といたしましては、被災した市町村それぞれの状況や、被災者の視点に立ち支援していくことが必要と考えておりまして、市町村からの要望等を丁寧にお聞きし、可能な限り早期に必要な支援等を行ってまいります。また、国において必要な財政措置等が講じられるよう、私自身も早期に国に出向き要望するなど、被災市町村と連携しながら復旧、復興を進めてまいります。
 次に、知事選挙についてでありますが、得票率が自己最高の72.1%、また、県内全ての市町村でトップというのは、岩手に対する私の思いと、岩手県民の私への支持が一層強く結びついたと感じられるような大変うれしい結果であり、一方で、千田正知事以来となる4期目の任期ということで、より大きな責任も感じております。
 いわて県民計画(2019〜2028)について、その基本目標であります、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてに始まり、復興と地域振興を中心に、主な政策を紹介しながら選挙運動を進めた結果、県民の皆さんに広くお知らせすることができたものと考えております。
 幸福を守り育てる希望郷いわては、全ての岩手県民と岩手にかかわる全ての人を幸福にできる県であり、知事選での私への投票という形でこの目標に大きな賛同をいただいたことから、お互いを幸福にするという岩手県民の覚悟を、全国、そして海外にも示すことができたと思います。
 マスコミの出口調査によりますと、私を御推薦いただきました4政党はもちろん、そうでない政党支持者や支持政党なしの無党派層からも幅広く支持をいただいたということであり、県民党的な支持の広がりがあったものと受けとめております。選挙で示された民意に基づき、いわて県民計画(2019〜2028)の遂行に取り組みながら、県民本位の県政を力強く進めてまいります。
 次に、幸福を守り育てる希望郷いわてに係る決意についてでありますが、これまで、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げるいっしょに育む希望郷いわての基本目標のもと県政の推進に取り組んできたところであり、特に印象が深いものを挙げますと、順不同ではありますが、東日本大震災津波からの復興の進展に伴う新しい交通ネットワークの形成や、平成28年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功、また、ものづくり、半導体産業集積の一層の加速、いわて花巻空港における国際定期便の開設、そして、県立療育センターと県立盛岡となん支援学校の開所、開校など、短い時間では語り尽くせないものがございます。これらは、県民を初め多様な主体と一体になって一歩一歩着実に歩んできた成果であり、県民一人一人が希望を持つことのできる社会経済環境はかなり整ってきているものと考えております。
 今後は、このような成果を土台とし、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、より県民一人一人の視点に立った政策を展開し、岩手が全ての岩手県民と岩手にかかわる全ての人を幸福にできる県になることを目指し、基本目標に掲げるお互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを実現していきたいと考えます。
 次に、希望マニフェスト2019―2023に掲げる新たな政策についてでありますが、このたびの知事選挙では、東日本大震災津波からの復興をなし遂げるとともに、地域振興を推進するため、いわて県民計画(2019〜2028)の推進に加え、幾つかの新しい政策を選挙公約に掲げました。
 東日本大震災津波からの復興は引き続き岩手県の最重要課題であり、被災者の健康面、経済面での不安を軽減し、医療や介護サービス等を受ける機会を確保するため、国民健康保険等の一部負担金免除を来年も継続する旨、知事演述で申し上げました。
 また、子供医療費の現物給付の中学校卒業時までの拡大については、最短で来年度の受給者証の更新時期である令和2年8月からの開始が想定されるところであり、これを念頭に市町村等と具体的な協議を進めていきたいと考えております。
 水道事業の広域化の推進など、選挙公約に掲げたその他の新たな政策につきましては、市町村を初め、関係団体と連携、調整を図りながら、可能な限り早期にその具体化を図り、オール岩手でいわて県民計画(2019〜2028)を力強く推進してまいります。
 次に、組織体制の見直しや強化についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる政策を着実に推進していくためには、議員御指摘のとおり、市町村、そして団体、企業など多様な主体と連携、協働し、県民本位の行政経営を進めていくことが重要であります。特に市町村との連携については、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトを初めとする新しい時代を切り拓くプロジェクトの効果的な展開など、地域の価値を高めていく取り組みを市町村と緊密に連携しながら強力に進めてまいります。こうした視点に立ち、市町村との連携、協力の強化や、政策立案、調整機能の一層の充実を図る部局体制の整備について、12月定例会にお諮りできるよう検討してまいります。
 次に、三陸防災復興プロジェクト2019の成果についてでありますが、このプロジェクトには、国、外国政府、国際機関、企業、団体、そして次世代を担う若者など多くの方々に参画いただき、多様な主体とのつながりも復興の力とする開かれた復興の意義を確認するとともに、岩手の復興が、世界、そして未来に広がっていく形を共有することができました。特に、いわて絆まつりin宮古2019では、県民の力を結集し、三陸沿岸を初め県内全市町村の郷土芸能が一堂に会するとともに、県内各市町村長等にも出席をいただき、改めてオール岩手で復興のゴールに向かって進んでいくことに、誓いを新たにしました。
 これらの事業への参加者数は約18万3、000人と聞いており、実行委員会の事業と軌を一にして市町村等が実施した関連事業を含め、本プロジェクトによる地域経済への影響を推計しましたところ、35億円を超える経済波及効果があったと聞いています。このプロジェクトの成果をいわて県民計画(2019〜2028)の基本目標である、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向けた取り組みにつなげ、三陸のよりよい復興と岩手の未来に向けて歩みを進めていきたいと考えております。
 次に、ラグビーワールドカップ2019岩手県釜石市開催のレガシーを生かした復興の取り組みについてでありますが、ラグビーワールドカップ2019日本大会は、アジアで初めての開催となる画期的な大会であり、その中で、釜石鵜住居復興スタジアムも名誉ある地位を占めることができたと考えております。
 10月13日の試合が中止になったことはまことに残念でありますが、9月25日の試合におけるスタジアムで行われた地元小中学生による復興支援に対する感謝のパフォーマンスは世界中に感動を与え、また、ファンゾーンや県内各地で行われたパブリックビューイングでは日本代表の活躍などにより大きな盛り上がりを見せ、ラグビーを通じ、ふだん触れ合うことのない海外の人々との新しいつながりが各地で生まれたものと受けとめております。
 このように、今回の大会により、ラグビー、そしてスポーツの力が県民に大きな活力を与えることを改めて認識いたしますとともに、ラグビー県岩手という側面も国内外に強力に打ち出すことができたものと考えております。こうした高まりを、次は復興五輪を理念とする東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会につなげるため、県では市町村と共同してホストタウン登録などに取り組んでおり、現在のところ、東京都に次ぐ全国2位の登録数となります17市町村がさまざまな交流事業などの取り組みを進めています。
 今後におきましては、ラグビーを初めとするスポーツ振興に引き続き取り組むとともに、ラグビーワールドカップ2019を通じて生まれた世界各国との交流を強いきずなにしていきたいと考えております。そして、復興が進む姿とあわせ、本県のすぐれた食、自然、世界遺産や郷土芸能等の歴史、文化の魅力などを積極的に発信し、人的、経済的交流をより一層活発化させ、復興を含めた地域振興につなげてまいります。
 次に、今後の復興の推進についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、復興の目指す姿として掲げた、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現に向け、引き続き東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組んでまいります。
 海岸保全施設を初めとする社会資本などの整備に係る事業については、早期の完了を目指して実施してまいります。また、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、農林水産業や商工業の振興など、中長期的な視点から必要な事業については、被災地の状況を踏まえながら、2021年度以降においても着実に実施してまいります。これらに加えて、東日本大震災津波伝承館の運営のほか、防災教育の推進など、教訓の伝承に係る事業については、未来のために永続的に実施してまいります。
 復興10年目以降の県政運営についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、引き続き復興に取り組みながら、東日本大震災津波からの復旧、復興の取り組みの中で学び、培った経験を生かし、人々の暮らしや仕事を起点とする政策を展開してまいります。さらに、北上川流域や三陸、県北圏域を初めとする北岩手などの地域について、既に取り組みを始めていますが、長期的な視点のもと、人口減少など社会経済環境の変化に的確に対応し、それぞれの地域の強み、特徴を生かす地域振興を推進してまいります。
 次に、今後の公共事業の見通しについてでありますが、社会資本の整備や適切な維持管理は、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の産業振興を支えるために不可欠なものであり、将来にわたり必要な公共事業費を安定的に確保していくことが重要と考えます。
 このため、県では、本年3月、いわて建設業振興中期プラン2019を策定し、施策の第1項目として公共事業を計画的に確保していくことを掲げました。今般定めた令和2年度当初予算の予算要求、調整基準におきましては、昨年度に引き続き、通常分の公共事業費について5%のプラスシーリングとしたところであります。
 また、必要な公共事業を進めていく上では国費の確保が重要でありますことから、さまざまな機会を捉えて国に強く働きかけていくなど、公共事業費の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
 次に、ILCについてでありますが、ILCは、我が国が標榜する科学技術創造立国のシンボルともなるアジア初の大型国際研究機関であり、本県にとっては、新産業の創出やグローバル人材の育成、多文化共生社会の実現など、世界に開かれた地方創生のモデルとなるプロジェクトであります。いわて県民計画(2019〜2028)に新しい時代を切り拓く重要なプロジェクトとしてILCを掲げ、県を挙げてILCの実現と受け入れに万全を期すよう取り組んでいるところであります。
 本年3月7日の日本政府による関心表明以降、政府レベルでは日仏、日独のディスカッショングループの設置が合意され、今月2日には、高エネルギー加速器研究機構が国際ワーキンググループの議論を取りまとめて国際分担等に関する提言を公表するなど、国内外で議論が進んでおり、ILC実現に向けて重要な局面を迎えています。
 今後、国内外の動向に臨機に対応し、超党派国会議員連盟や研究機関、推進団体などと連携を一層密にし、東日本大震災津波からの創造的復興や、地方創生、そして、新しい東北の扉をあける、そのような思いで政府への要望や国民理解の増進など、ILCの実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、県北振興に係る重点支援についてでありますが、これまで、県北、沿岸の発展なくして岩手の発展はあり得ないという基本的な考え方のもと、県北・沿岸振興本部を中心として、全庁を挙げて県北・沿岸振興に取り組んでまいりました。いわて県民計画(2019〜2028)では、県北・沿岸圏域において全県に先行して人口減少が進行していることから、10年間の計画期間を通じて、すぐれた地域資源を最大限に生かした産業振興を図り、復興とその先を見据えた地域経済の基盤強化を強めることとしています。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにより、今年度は、県と岩手県立大学との連携協力協定に基づく北いわて産業・社会革新推進部門の設置、地方自治研究機構との共同による地域資源を活用した持続可能な地域社会の形成に係る調査研究事業の実施、県と北岩手13市町村による北いわて未来戦略推進連絡会議の開催などに取り組んでいます。
 引き続き、全国の自治体、企業等で構成されますプラチナ構想ネットワークや、岩手県立大学、研究機関などの高度な知見を活用し、食や再生可能エネルギーなどのポテンシャルを最大限に生かして地域課題の解決を図ってまいります。
 さらに、地域振興プランにおいても、営農の効率化に向けた基盤整備を初め、地域経済や暮らしを支える社会基盤の整備に取り組むこととしておりまして、これらを着実に進めることによって県北地域の振興を図ってまいります。
 次に、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みについてでありますが、10月9日に開催された北海道・北東北知事サミットにおきまして、今後、国内外でのさらなる普及啓発、機運醸成等に全力で取り組むこととしたところであります。
 県といたしましては、平成23年度以降、地元一戸町を初め、盛岡市を会場として県民を対象としたフォーラムの開催やパネル展を実施してきましたほか、縄文時代に触れて学んで楽しむ総合イベント御所野縄文WEEKなどを実施しています。加えて今年度は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ2019の関連イベントの機会を捉えて御所野遺跡を中心にPR活動を展開していますほか、KOUGEI EXPO IN IWATEなど全国的なイベントでも情報発信を行うこととしております。こうした取り組みを通じて、御所野遺跡の世界遺産登録について県民の一層の理解増進を図ってまいります。
 次に、観光を初めとする県北振興策についてでありますが、御所野遺跡は、県北地域への誘客を図る上で重要な観光資源であり、世界遺産登録を目指す縄文遺跡群の最も南に位置しますことから、首都圏等からの玄関口の役割も期待されているところであります。
 令和3年4月から9月にかけて、東北6県が連携した東北デスティネーションキャンペーンの展開が予定されており、国内外から多くの方々に来訪いただく機会でもありますので、資産を構成する青森県、秋田県と連携し、北東北周遊の観光の核として、旅行商品の造成など、誘客に向けた売り込みを強化してまいります。あわせて、この機会を捉え、県北地域の食、自然環境、歴史、文化などの豊かな地域資源を生かした観光地域づくりの推進により、国内外からの交流人口の拡大が図られるよう引き続き取り組んでまいります。
 次に、地域医療についてでありますが、今回、国が全国一律の基準による分析のみで再編統合の必要性について特に議論が必要な公立、公的医療機関等の病院名を公表したことは、公立、公的病院が機械的に再編統合されるという住民の不安を招き、地域の個別事情を無視するものであり、公平な視点に基づくものとは言いがたいと考えております。
 国においては、地方からのさまざまな批判を受けて、今回の取り組みについては、必ずしも医療機関そのものの統廃合を要するものではなく、ダウンサイジングや機能分化等の方向性を機械的に決めるものでもない旨を強調しております。また、国が分析に用いたデータは2年前の平成29年度のものですが、本県ではこの間、公表された10病院のうち8病院において一定程度病床機能の転換や病床数の見直しが実施または検討されていますことから、今回の公表内容がそのまま病院機能の大幅な見直しにつながるものではないと考えております。
 県といたしましては、県内9圏域に設置している地域医療構想調整会議において、個々の医療機関の機能や診療実績の実態も確認しながら協議を行い、効率的で質の高い医療提供体制の構築に向けて取り組んでまいります。
 さらに、国が求める2025年に向けた公立、公的医療機関等の具体的対応方針の再検証が地域の実情に十分即したものとなるよう、国に対して知事要望を行うこととし、全国知事会とも連携しながら、今回新たに設置された地域医療確保に関する国と地方の協議の場などを通じて国に対して訴えてまいります。
 次に、豚コレラ対策についてでありますが、本県の養豚産業は、全国7位、東北1位の産出額を誇り、また、農場の規模拡大が進み、地域の雇用の場としても重要な役割を果たしており、一たび豚コレラが発生した場合、発生農場の被害のみならず、地域経済全体に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
 昨年9月に岐阜県で発生した豚コレラは、先月には関東地域まで拡大し、事態の切迫度が増しています。県では、豚コレラ発生以降、岩手県豚疾病防疫連絡会議を3回開催し、養豚生産関係機関、団体などに対して、飼養衛生管理の遵守、農場入場時の手指消毒などの豚コレラウイルスの侵入防止対策の徹底、異状発見時の早期連絡などを要請してきたところであります。また、国と連携し、いわて花巻空港において、外国人旅行者の豚肉製品の持ち込み検査や靴底消毒を実施するなど、水際対策の徹底を図っております。
 国は8月に、豚コレラの感染拡大などを阻止するため、感染の主な要因と指摘されている野生イノシシを対象とした侵入防止柵の整備費用に対する助成制度を創設しました。県では、各農場に対してこの制度の周知を図りますとともに、全ての農場において侵入防止柵が早期に設置されるよう、生産者の負担を軽減する県独自の支援策を講じることとし、本議会に予算案を追加提案する準備を鋭意進めております。
 今後とも、国、生産者、関係機関、団体等と連携を図りながら、豚コレラウイルスの侵入防止に全力を挙げて取り組んでまいります。
〇議長(関根敏伸君) 次に、城内よしひこ君。
   〔34番城内よしひこ君登壇〕(拍手)

前へ 次へ