令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(吉田敬子君) 無所属の吉田敬子です。
このたびの一般質問の機会をいただきましたことに対し、先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
それでは、通告に従い、順次質問してまいります。
初めに、子供を産み育てやすい環境づくりについて伺います。
胸塞がるような虐待の事件が後を絶ちません。虐待死の実に65.3%はゼロ歳児です。加害者は実の母親が最も多く、さらにつらい事実です。
虐待にはさまざまな背景がありますが、産後鬱は、その原因の一つと考えられています。産後鬱は、出産後にホルモンのバランスが不安定になることに加えて、24時間休みない育児による睡眠不足や、精神的にも、肉体的負担に疲労こんぱいし、そこに子育ての支援者がいないという事態が重なることで起こると言われています。産後鬱は出産経験者の7人から10人に1人が経験するというもの。決して特別な話ではなく他人事でもありません。
また、2016年までの2年間で、産後1年までに自殺した妊産婦は全国で少なくとも102人いたと、全国規模の初めての調査結果を厚生労働省が昨年発表しました。妊産婦の死因では、がんなどを上回り自殺が最も多く、産後鬱などのメンタルヘルスの悪化で自殺に至るケースも多い状況です。
これらのことから、児童虐待の発生予防や早期発見、産後鬱予防のためには、特に妊産婦への早期介入策と支援の強化が重要と私はこれまでも提言しています。
日本では、妊娠、出産期と出産後1カ月以降で、母子支援を主に担う機関が分断されており、行政にとっては母親学級は妊婦との接点となる機会ですが、主に初産婦のみの対象となっており、経産婦との接点にはなっていないのも現状です。
妊産婦、乳幼児等の状況を継続的、包括的に把握し、妊産婦や保護者の相談に保健師等の専門家が対応し、必要な支援の調整や関係機関と連絡調整するなど、妊産婦や乳幼児等に対して切れ目のない支援を提供できるよう、子育て世代包括支援センターの設置が全国で進んでいます。岩手県でも、昨年度までに9市町、今年度から2市町、今年度中に2町が設置検討中とのことです。
子育て世代包括支援センターは国の目指す2020年までの設置が急務ではありますが、各市町村においてセンターが果たすべき役割がしっかり機能することが重要です。児童虐待は、主に妊娠期からその傾向が疑われるという調査研究結果もありますが、現状では、周産期以降、産後に焦点を当てたものがほとんどで、妊娠初期からの取り組みは薄いと感じています。
県では、乳幼児健診の未受診者数は把握していますが、妊婦健診の未受診者数について把握されていないとのことです。虐待因子を抱えている特定妊婦やハイリスク妊婦への継続したアプローチや医療機関との連携等の取り組みはどのような工夫により行われているのでしょうか。
また、妊娠の届け出を受けての母子健康手帳交付時においては、ほぼ全ての妊婦と接点を持つことができる貴重な機会であり、センター設置済みの場合は、このときにセンターの存在周知とともに、その後の妊娠期や出産後も継続して相談しやすい、頼りやすい、顔の見える環境や関係づくりが重要と考えますが、子育て世代包括支援センター設置済みの市町村も含め、県は、各市町村の現状をどう評価しているのか、今後の取り組み方針についてもお伺いします。
県の積極的な取り組みにより、産前産後サポート事業は、昨年度までに7市町、今年度からさらに5市町で実施、産後ケア事業については、昨年度までに9市町、今年度からさらに8市町で実施と徐々に広がりを見せていることに対し、深く感謝と敬意を表します。一方で、いまだ人材不足等により事業展開できない市町村もあります。茨城県では、助産師何でも出張相談事業として、産後の母親のニーズに応じた助産師による訪問事業を茨城県助産師会に委託し行っています。
本県においても、地域で支える周産期保健医療支援事業を通じて潜在助産師の掘り起こしなどの人材育成に精力的に取り組んでいただいており、県で育成した助産師を産後ケア事業のない市町村等へ派遣する事業展開をしてはいかがかとも考えています。県の御所見と課題に対する今後の取り組みについてお伺いします。
ことし3月には、泣きやまない生後11カ月の次男を母親が床にたたきつけるなどして死なせたというニュースが報じられました。母親は、いわゆるワンオペレーションで三つ子を育て、犯行時、鬱状態にあったといいます。1人の赤ちゃんのお世話をするのでさえ精いっぱいの状況で、それが三つ子育児となるとなおさらです。
30年前に比べて、双子や三つ子などのいわゆる多胎児の生まれる割合はおよそ1.5倍に増加しています。これは、不妊治療の普及が影響しているとも言われています。一方で、多胎育児を支える仕組みづくりが進んでいないのが現状です。
滋賀県大津市では、多胎児のいる家庭に対し、誕生から3歳の前日まで無料で100時間、家事、育児、健診などの外出をサポートするためのホームヘルパーを派遣しています。また、佐賀県では、県内子育てタクシーを利用できる2万円相当の利用券を支給しています。
私は、このように多胎児のいる家庭に対し、産後の家事育児支援が本県においても必要と考えますが、県内各市町村の支援状況も踏まえ、県として多胎児支援のあり方についてどうお考えかお伺いいたします。
母乳育児と仕事の両立支援について伺います。
妊娠、出産しても働き続ける女性がふえています。また、母乳育児をしたいという女性もふえています。厚生労働省の平成27年度乳幼児栄養調査によれば、妊娠中の93.4%の女性が母乳で子供を育てたいと答えています。授乳期の栄養方法は、10年前に比べ母乳栄養の割合が増加し、生後1カ月では51.3%、生後3カ月では54.7%となっています。混合栄養も含めると母乳を与えている割合は、生後1カ月で96.5%、生後3カ月で89.8%。出産後1年未満の母親の就業状況別に母乳栄養の割合を見ると、出産後1年未満に働いていた者は49.3%、育児休業中の者及び働いていない者は56.8%で、10年前に比べ、特に出産後1年未満に働いていた者については、母乳栄養の割合が22.6ポイントも増加しています。
一方で、母乳育児と仕事の両立に悩む多くの産後女性に私は接しました。ある女性は、保育園入園可能性の高い4月の入園を選択せざるを得ず、子供が7カ月のとき職場復帰したけれども、職場で搾乳をする場所も時間的余裕もなく、復帰後間もなく母乳育児を中止せざるを得ませんでした。また、ある女性は、育児休業の復帰後、頑張って母乳育児を続けたけれども、搾乳場所がなくトイレで母乳を搾ったといいます。さらに、ある女性は、お昼休憩中は昼食はとらず、授乳のため会社と保育園を行き来したと言います。
育児休業を1年以上もとれずに職場復帰せざるを得ない環境の中、産後1年未満で職場復帰している女性の多くは、職場と保育所が離れていて直接母乳を与えに行けず、職場で搾乳する時間も場所もなく、不衛生なトイレで搾乳したり、職場復帰に当たって母乳育児を断念しているのが現状です。日本では、母乳育児を支える労働環境が改善されることがないまま現在に至っているのではないでしょうか。
スイスでは、子供が1歳になるまで、搾乳及び職場内外や自宅、保育所で授乳する権利を認めた法律が導入されています。フランスでも同様に1日2回の授乳の権利が認められています。産後ケアが文化になっている台湾でも、職場に搾乳のための場所と冷蔵庫等、必要なものを企業に設置することが義務づけられているそうです。母乳育児だけでなく、ミルク育児であっても、直接授乳させたいという母親の願いにも応えるものです。
日本にはこのような制度がまだ存在しませんが、岩手県独自で母乳育児を支える労働環境を改善するための授乳機会の権利制度を導入し、育児と仕事の両立支援の一つとしてぜひ検討していただきたいと考えますが、現状認識を含め、知事の御所見をお伺いします。
県では、今年度から医療的ケア児等に対する支援が適切に行えるようコーディネーターの養成を開始しました。NICU(新生児集中治療管理室)退院後の生活、保健医療、福祉、教育等の調整業務を切れ目なく連携支援できる環境整備が今後図られること、また、重症心身障がい児・者等の現状及びニーズに関するアンケート調査結果を現在集計中とのことですが、その結果が今後の県の医療的ケア児への支援につながることを切に願います。
日常的に医療的ケアが必要な幼児、児童、生徒を保育所及び公立小学校で受け入れるための支援体制として看護師の配置があります。特別支援学校ではなく、友達やきょうだいが通う地域の学校で育てたい両親の希望をかなえるため、全国的に支援体制を整える自治体がふえており、お隣の青森県でも進んでいます。
平成30年2月定例会の予算特別委員会において、本県においても看護師配置等の家族の負担軽減策を講じていただきたい旨の私の質疑に対し、保育所への看護師配置に向けた取り組みについては、国のモデル事業を実施している他県市町村の取り組みなどの情報収集を行いながら、医療的ケア児の受け入れに向けた必要な支援を検討していく。また、小中学校への配置については、国において看護師の配置や体制整備を進める事業を実施していることから、同事業の導入も含め、市町村教育委員会と連携しながら医療的ケア児への支援体制の構築に取り組んでいくとの御答弁を知事からいただきましたが、これまで、具体的にどのような検討がなされて支援体制の構築につながっているのかお伺いします。
通学路等の安全確保対策についてはこれまでの質疑でも既にありましたが、全国で子供たちが犠牲となる交通事故が後を絶ちません。ことし5月、滋賀県大津市で、保育園の園児が散歩中に巻き込まれる事故が発生しました。これを受け、全国の保育園等では、散歩時の安全対策を強化するため、コースとルールを見直しているところが多い状況です。
保育園周辺の安全対策について、県警察の認識と今後の取り組み方針についてお伺いします。
ここまでは主に子育て支援関係の質問をいたしました。知事は、次期知事選への出馬表明をされました。どんな特色を持って子供を産み育てやすい岩手県を目指すのか、知事の意気込みを具体的にぜひお聞かせください。
次に、農業労働力の確保について伺います。
日本の労働者は、高齢化に伴い年々大きく減少の一途をたどっています。2030年には農業就業人口が現在の半数になるとも予測されています。
県では、農業における高齢化、労働力不足が進む中、担い手の一層の規模拡大、省力化や低コスト化を図るための施策として、スマート農業の実現に向けた取り組みや、次世代施設園芸拠点の整備等を推進しており、また、労働力確保のための農福連携にも取り組んでいます。
JA熊本市では、熊本県の支援により、乳幼児期の子育て中の母親を対象にしたコラボワークに取り組んでおり、農繁期における労働力確保と就労、子育て支援の拡大につなげています。このコラボワークは、仕事も子育ても助け合って行っていくワークシェアリングとして三重県で取り組んでいる事例を参考にしており、熊本県でも、労働力確保に向けて悩んでいる農家と子育てをしながら短時間でも働きたい母親たちのニーズが一致し、実現に至っているといいます。
通年雇用が厳しい農家が多い中、特に農繁期におけるこのような取り組みは、労働力確保につながる一つの取り組みで、また、子育て女性が参画することで、農村の活性化にもつながる取り組みであると感じています。
先般、農林水産委員会で盛岡市のいわて若江農園を視察しました。現場ではスマート農業が導入され、女性も多く作業されていました。
就農人口の維持拡大、スマート農業の導入と同時に、あらゆる手段で多様な労働力の確保を進めていくことが重要と考えますが、県の農業労働力確保の取り組みの成果をどう捉えているか、また、今後の取り組み方針もお伺いします。
次に、いわての森林づくり県民税について伺います。
〔副議長退席、議長着席〕
いわての森林づくり県民税は、全ての県民が森林からさまざまな恩恵を受けており、森林は公共的な財産であるという観点に立ち、その受益者である県民全体で負担することにより、多様な公益的機能を有する森林環境を維持保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐという目的のもと、平成18年度に創設され、県では、この税を財源として、管理が行き届かない公共上重要な森林を整備してきたほか、県内各地において森林環境保全活動を支援してきました。
現在13年目を迎え、2020年度を終期とする第3期の取り組みを推進し、毎年約60万人の県民の皆さんから1、000円を、約2万3、000の法人から2、000円から8万円を徴収し、年間約7.6億円の税収額となっており、いわての森林づくり基金の平成29年度末現在の残額は約18億7、000万円となっています。
一方、県民税を財源として実施されるいわて環境の森整備事業は、整備を行う計画面積に対して、目標達成率は平成25年度から下降傾向にあります。
平成28年度以降も、公益上重要で緊急に整備が必要な森林が約1万ヘクタール存在するとして第3期の取り組みが開始されましたが、現在までの達成率とその課題についてどう捉えているのかお伺いします。
国の森林環境譲与税の創設や、いわての森林づくり県民税が開始から十数年を経過したことを踏まえ、第3期終了後も県民税を継続する場合、県民の皆さんに県民税の成果をより身近に感じていただけるよう、また、森林の恩恵を身近に感じていただけるよう、再造林への支援はもとより、県立森林公園の施設整備やアスレチック施設等への県産材利用、木育の観点から子供の居場所等の木造、木質化、森林セラピーガイド育成、自然保育活動フィールド等の整備など、使途拡大を検討すべきとこれまでも提言させていただいています。
独自で森林税を導入している都道府県では、使途拡大の動きが出ています。これまで何度も取り上げさせていただいておりますが、県民税事業の今後の方向性について、県としてどうお考えか、改めて知事にお伺いします。
次に、地場産業の振興と雇用の拡大についてお伺いします。
本県は18年連続で人口減少の状況が続いています。県では、2015年10月に岩手県人口ビジョンを策定し、自然減は、若年女性の減少と出生率の低迷が原因であり、社会減は、進学期、就職期の若者の転出による影響が大きく、特に就職期の女性の転出が多い傾向があると分析しています。近年の岩手県の有効求人倍率が1倍を超え、雇用の量は確保されている中で、岩手県から東京圏に向かう若者が増加し社会減となっている状況を食いとめるには、質の高い雇用を確保していく必要があります。
ヘルスケア産業は、健康志向の高まりや高齢化等によって今後も成長が見込まれる分野であると考えています。ヘルスケア産業は、一般的には健康増進から医療、介護、福祉など多岐にわたるサービス産業と、これらのサービスに使用するさまざまな機器を製造する製造業を包括するものと言われており、中でも医療機器関連では、県内でもさまざまな動きがあると承知しているところです。
このような中、県でも、医療機器関連産業については、自動車、半導体関連産業に次ぐものづくり産業の柱として位置づけ、ヘルスケア産業集積拠点整備費補助事業として、国から事業費の半分の交付を受け、県工業技術センターの敷地内に総工費約13億円で医療機器関連企業などが入居する貸し研究室を整備しようとしています。
地元企業は下請型の企業が多い中、研究開発に取り組む高付加価値型の企業が集積する拠点を整備することは、研究者や技術者を含めた若者の育成、定着のみならず、産業に厚みを持たせることにつながるものと大いに期待しているところです。
県では、県内医療機器関連産業の現状と今後の展望をどのように捉えているのか、また、この産業における女性活躍のチャンスをどのように捉えているのかお伺いします。
伝統的工芸品産業の振興について伺います。
岩手県の工業統計調査によると、平成28年の本県の伝統的工芸品産業の製造品出荷額は31.4億円となり、5年ぶりに減少しました。品目別に見ると、南部鉄器が分類されるその他の銑鉄鋳物は25億5、000万円と5年ぶりの減少、岩谷堂箪笥が分類される漆器製家具が5億円と3年ぶりの増加、秀衡塗と浄法寺塗が分類される漆器製台所・食卓用品は9、000万円と2年連続で減少となっています。また、ジェトロ盛岡貿易情報センターの岩手の貿易によると、平成29年の南部鉄器を初めとする工芸品の輸出額は3億4、000万円と3年連続で減少しており、特に南部鉄器の北米向けの輸出額の減少が顕著となっています。
そこで、伝統的工芸品産業の製造品出荷額と輸出額が減少している要因と今後の対応についてお伺いします。
また、岩手の伝統的な文化、生活に根差してきた伝統的工芸品産業は、岩手の大事な地場産業の一つであり、次世代に伝統的工芸品産業をしっかり継承していくため、現代のライフスタイルに合ったものづくりや伝統的工芸品産業を担う人づくりが重要であると考えています。
ことし11月の全国の伝統的工芸品が一堂に会するKOUGEI EXPO IN IWATEは、未来に向けた伝統的工芸品の魅力発信や次代を担う若者の理解促進を図ることを目的に開催されますが、この大会を契機に、時代のニーズに合った製品展開と後継者の育成をどのように図っていくのかお伺いします。
次に、地域の活力につながるスポーツの推進についてお伺いします。
少子高齢社会、人口減少の顕在化などが原因となる国内経済の低迷期を迎える中、地域を活気づけ、地域人口をふやす必要があり、定住人口、移住人口、交流人口などの増加施策が求められています。その中でも交流人口の増加は、地域インバウンドの増加による経済効果も見込めるスポーツを通じた地域振興の促進が重要だと提言してまいりました。
従前のスポーツは、教育の一環として、また健康づくりの一環として位置づけられてきたものから、今ではスポーツ観光として経済成長産業の一つとしても位置づけられています。私はこれまでも、トレイルランニング等、岩手の雄大な自然を活用したスポーツアクティビティーによる岩手らしいスポーツツーリズムにもっと力を入れるべきと提言してきました。
県では、スポーツアクティビティーを通じた交流人口の拡大による地域活性化を図るため、平成30年度に岩手の山・川・海・湖を生かしたスポーツアクティビティーの創出に向けた可能性調査を全市町村を対象に実施していますが、これら調査結果の所感も含め、地域の活力につながるスポーツの推進やスポーツツーリズムを具体的にどう展開していくのかお伺いします。
盛岡南公園野球場(仮称)の整備と周辺地域の振興についてお伺いします。
本県と盛岡市との共同で盛岡南公園野球場(仮称)の整備が進んでいます。私はこれまでも、野球場の整備のみならず、公園周辺道路の環境整備も含めた地域振興の観点から取り組むべきと指摘してまいりました。当地区には、盛岡市中央卸売市場、岩手流通センター、盛岡貨物ターミナル駅等が立地し物流拠点が形成されていますが、現在、既に渋滞が起きており、物流の大きな支障にもなっている状況で、さらには岩手医科大学附属病院が矢巾町へ移転することから、アクセス性の向上も重大な課題となっています。
この新野球場は、2万人収容、駐車場1、000台。整備費の概算は約95億円。運営、維持管理費は15年間で約25億円、1年平均で約1億6、000万円とのことです。今定例会では、盛岡南公園球技場をホームグラウンドとするいわてグルージャ盛岡から照明設備整備の請願が提出されており、プロスポーツ推進の観点からも設置が望まれますが、その設置費用は8億円とも聞いており、財源確保が課題と感じています。
これまでの、する、見るのみのスポーツから稼ぐスポーツへ、いわゆるスポーツを通じた地域振興をどのようにお考えか伺います。
また、施設整備にとどまらないその周辺地域一体の振興策につながる交通アクセスや都市計画に対し、県はどのようにかかわっていくのかお伺いします。
最後に、岩手県動物愛護センター(仮称)についてお伺いします。
動物愛護の教育や普及啓発、動物との触れ合い、体験が可能で、命の大切さや適正飼養等を指導する機能をあわせ持った拠点施設である動物愛護センター。昨今は、多頭飼育、高齢者や生活困窮者等の動物飼育放棄、動物の高齢化、及び飼い主のいない猫の増加等が岩手県でも課題となっています。全国で設置していない都道府県は、現在、岩手県を含めた3道県のみとなっている中、このたび、本県と盛岡市との共同で岩手県動物愛護センター(仮称)の整備を検討していると伺っています。
本施設整備に当たり、動物の保護に取り組む団体等からは、設置すればいいというものでなく、動物愛護の趣旨をしっかり踏まえた役割や仕組みづくりが大事との御意見もありました。
全国の自治体で殺処分された犬、猫の数が2017年度初めて5万匹を下回った一方で、動物愛護団体の活動が殺処分減少の原動力になっている実態が浮かび上がっています。環境省によると、全国の自治体で殺処分された犬、猫は、この5年で3分の1に減少。これは、収容した犬、猫を動物愛護団体に引き取ってもらう、いわゆる団体譲渡を行っている自治体が多く、犬、猫の殺処分減は愛護団体頼りとなっているとのことです。
さらには、殺処分ゼロはもちろんのこと、命の大切さや、ともにつながり支え合う県民、市民の心を育む拠点とするためには、獣医師を含めた職員や県内の動物愛護団体との連携等、これまでに培ってきたノウハウの共有が継続して行うことのできる運営体制が重要と考えており、県の考えをお伺いします。
また、岩手県動物愛護推進協議会では、盛岡市動物公園内にセンターを設置する場合、野生動物の施設と家庭に入っている動物の施設を同じ敷地内につくるのは疫学や公衆衛生上かなり注意をしなくてはいけないとの意見が出ておりますが、その懸念について県としてどう捉えているのかお伺いいたします。
以上で質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、母乳育児と仕事の両立支援についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)においては、安心して子供を産み育てられる環境をつくるため、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目のない支援体制の構築や子育てに優しい職場づくりを進めることとしているところでありますが、議員から御紹介ありましたとおり、厚生労働省の調査によると、妊娠中の女性の9割以上の方が母乳での育児を希望されているところであり、仕事と子育ての両立を図る上で、職場等における搾乳や授乳のための環境の整備は重要と認識しております。
県では、仕事と子育ての両立支援などに取り組む企業等の認証を推進しているところでありますが、認証を取得した企業においても搾乳等に係る環境の整備に取り組むことにより認証を取得した事例はない状況であり、一層の取り組みの促進が必要と考えております。
このため、まずは、この認証制度において、職場等における搾乳や授乳のための環境の整備を認証基準として明示することにより企業等における取り組みを促すとともに、議員の御提案の趣旨も踏まえ、子育て家庭の母親や企業、団体等からの意見もお聞きしながら、取り組みの促進に向けた支援のあり方について研究していく考えであります。
次に、医療的ケア児の支援についてでありますが、県では、医療的ケア児が保育や教育の現場等において適切な支援を受けられるよう、保育所に向けては市町村を通じ、小中学校等に向けては市町村教育委員会を通じ国の事業の活用等による看護師の配置を促してきていますが、平成30年度の配置は少数にとどまったところであります。
このため、昨年度、支援に係る関係者間の連携の強化を図ることを目的として、医療や福祉、教育等の分野の委員で構成する岩手県重症心身障がい児・者及び医療的ケア児・者支援推進会議を設置し、今後の施策の方向性や実態把握の手法等について議論したところであります。
こうした議論を踏まえて、各地域における医療的ケア児の支援体制の整備に向け、今年度、新たに、福祉や医療、保育、教育などの関係機関の連携調整を行う人材を養成する医療的ケア児等コーディネーター研修事業を始めたところであり、また、昨年度から今年度にかけて、当事者や関係機関の協力を得て、医療的ケア児の人数や生活状況、介護の負担感、保育所や小中学校などの受け入れ実態、希望するサービス等に関する調査を実施しており、現在、その集計、分析を行っているところです。
県といたしましては、今後、医療的ケア児等コーディネーターの養成と配置により、地域における連携体制の充実を図るとともに、実態調査の分析結果や支援推進会議での御意見を踏まえながら具体的な支援方策について検討し、医療的ケア児の支援体制の構築を進めていく考えであります。
次に、子供を産み育てやすい環境づくりについてでありますが、岩手の子供の産み育てやすさについては、一般財団法人日本総合研究所の全47都道府県幸福度ランキングによると、子育て世代の幸福度ランキングにおいて全国第7位に位置しており、夫の家事、育児貢献度や3世代同居率が全国でも高い水準であるほか、治安のよさや地域のつながりの強さなどから、本県には安心して子供を産み育てるための好条件があるものと考えております。
一方で、少子化対策、子育て支援は、将来に関する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であるという認識のもと、出産や子育てをめぐる現場の声に耳を傾け、個別の県民ニーズに対応し、子育て環境にある県民一人一人が希望を実現できる環境づくりが重要と考えております。
このため、いわて県民計画(2019〜2028)において、いわて幸福関連指標として掲げている東北トップクラスの合計特殊出生率や待機児童数ゼロの達成を目指して、さらなる結婚、子育てに対する機運の醸成や、妊産婦に対する切れ目のない支援の推進、多様な保育ニーズやひとり親家庭等に対するきめ細かな支援など、安心して子供を産み育てやすい岩手の実現に全力で取り組んでまいります。
次に、いわての森林づくり県民税の方向性についてでありますが、いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくことを目的に、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てるものとし、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、地域住民等が取り組む森林づくり活動の支援、森林環境保全の理解醸成などに取り組んでいるところであります。
県民税については、現在、令和2年度を終期とする第3期の取り組みを進めているところであります。第3期終了後の県民税のあり方については、今月からいわての森林づくり県民税事業評価委員会で検討を開始していただいており、今後、県民や市町村等を対象に県民税に関するアンケート調査を実施しますほか、県民や関係団体等の意見を直接伺う県民懇談会を県内4カ所で開催し、これらを踏まえて、年度末を目途に提言を取りまとめていただく予定であります。
県民税のあり方については、その使途も含め、県民の皆様を初め、県議会、市町村の御意見なども広くお伺いしながら検討を進めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、ハイリスク妊婦等への対応についてでありますが、県では、妊産婦のケアや乳幼児の健全な成長に資するため母子保健活動を推進しておりますが、児童虐待の発生予防と早期発見にも資する重要な取り組みとして児童虐待防止アクションプランにも位置づけ、その充実に取り組んでいるところであります。
そうした中、医療機関が妊婦健診などにおいて支援が必要と認められるハイリスクの妊婦等を把握した場合、文書や電話連絡による情報提供のほか、岩手県周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶを通じて市町村と情報共有を行っています。連絡を受けた市町村においては、対象となる妊婦が抱える課題に応じて、保健師が医療機関などと連携を図りながらケース検討会議を実施し、家庭訪問などにより継続的な支援を行うとともに、市町村要保護児童対策地域協議会を通じて関係機関との情報共有を図っているところであります。
次に、子育て世代包括支援センターについてでありますが、現在、11市町で設置されているセンターでは、アンケートや聞き取りなどにより、支援が必要な妊婦を把握し、妊娠初期からの妊婦訪問や、医療機関など関係機関との情報共有と連携により、個々の妊婦の心身の状況や家庭環境などに応じた適切な支援の実施につなげているところです。
妊婦健診の未受診者の把握が難しい中で、母子健康手帳の発行時から妊婦との関係づくりを行い、妊娠や出産に悩む妊婦等が気軽に相談できる窓口となる子育て世代包括支援センターの役割は大きいものと認識しています。
県としては、いわて県民計画(2019〜2028)において子育て世代包括支援センターの設置を促進することとしており、全市町村での設置を目指し、今年度からセンターの活動を後押しするいわての妊産婦包括支援促進事業を実施するなど、市町村の取り組みを促していく考えであります。
次に、産後ケア事業に係る市町村への支援についてでありますが、助産師等の専門職が産後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行う産後ケア事業は、産後も安心して子育てができる支援体制の確保につながる重要な取り組みであり、事業を実施する市町村は徐々にふえてきているところではありますが、県としては、いわて県民計画(2019〜2028)において、全ての市町村で実施されることを目指しています。
事業の実施に当たっては、妊産婦支援を担う専門的人材の確保が不可欠であることから、県では、地域で支える周産期保健医療支援事業を通じて、地域の潜在助産師を掘り起こし、事業に協力いただける助産師のリストアップを行うとともに、産後ケア施設における実地研修等の開催を通じて専門職員の資質向上を図ってきたところであります。
また、市町村の要望に応じて地域の潜在助産師に関する情報の提供を行っているところであり、このような取り組みを通じて、産後ケア事業の実施や、子育て世代包括支援センターの設置に当たり、潜在助産師の活用に至った事例も出てきているところであります。
県としては、今後とも、市町村との意見交換などを通じて、潜在助産師の活用等の働きかけを行うなど市町村を支援していくとともに、他県の事例も参考にしながら、産後ケア事業の拡大に向け、より効果的な支援のあり方について検討してまいります。
次に、多胎児支援のあり方についてでありますが、本県の多胎児の出産件数は、平成29年で78件であり、出生数における多胎児の割合で見れば約1.8%となっており、この30年間で約0.5ポイントの増となっております。
県内では、1市において、子育て家庭の負担、不安軽減を目的として実施している産前産後の家事、育児支援に関する事業の中で、多胎児のいる家庭について対象年齢を拡大していると聞いております。また、議員から御紹介のありました大津市や佐賀県においては、多胎児のいる家庭の経済的、身体的負担軽減の観点から事業を実施していると聞いておりますが、一方では具体的な負担の状況やニーズを精査していく必要があり、多胎児のいる家庭への支援のあり方については、今後、他の自治体の取り組みなども参考にしながら研究していきたいと考えております。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、農業労働力の確保についてでありますが、農業従事者のさらなる減少、高齢化が見込まれる中、本県の農業生産を維持、拡大していくためには、農業経営を支える多様な労働力を安定的に確保することが重要であります。
県ではこれまで、新規就農者の確保に取り組むとともに、就業希望者を対象とした現地見学会や農作業体験、農福連携の取り組みなどを進めてきたところでありますが、農繁期であります平成30年9月期の農林漁業の有効求人倍率は2.05倍であり、全職種1.45倍に比べますと0.6ポイント高く、労働力不足の状況が続いております。
このため、本年4月に、新たに県、農業団体等をメンバーとする岩手県農業労働力確保対策推進会議を設置いたしまして、JAが設置する無料職業紹介所の活動への支援や、雇用の受け皿となる農業経営体を対象といたしました労務管理研修会の開催などに取り組んでいるところであります。また、広域振興局におきましても、地域の実情を踏まえ、農作業アルバイトの募集やマッチング、さらに障がい者の農業分野への就労支援などの取り組みが進められております。
県では、引き続き、関係団体と連携しながら、農業労働力が安定的に確保できるよう積極的に取り組んでまいります。
次に、いわて環境の森整備事業についてでありますが、この事業は、公益上重要で緊急に整備が必要な森林を針広混交林に誘導する強度間伐を実施するものであり、県ではこれまで、関係団体等への働きかけや市町村広報紙等を通じた森林所有者への制度周知を行うなど施工地の確保に努めてきたところでありますが、計画第3期の平成28年度から平成30年度までの直近3カ年での確保面積は4、500ヘクタールの目標に対して2、241ヘクタールとなっており、この間の達成率は約5割にとどまっております。
その要因でありますが、復興工事に伴う支障木の伐採や近年の国産材の需要拡大に伴う主伐の増加により、森林組合等において間伐を担う作業員を確保することが困難となってきていることに加え、事業対象森林の奥地化等によりまして、施工可能な森林の確保が進まないことと認識しております。
こうした課題に対応するため、本年度は、施工地確保に向け、新たな林業事業体の掘り起こしや制度周知のためのテレビCMや新聞等による広報活動を強化するほか、奥地での作業を可能とする作業道補修に必要な経費を新たに補助対象としたところであり、引き続き、関係団体等と連携しながら、いわて環境の森整備事業の着実な推進に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、医療機器関連産業についてでありますが、県ではこれまで、産業支援機関等と連携して、コーディネーターの派遣を初めさまざまな支援に取り組んでまいりました結果、医療機器製造業の登録企業数は、平成25年度末の11社が平成31年3月末時点では22社と大幅に増加し、また、医療機器生産金額は、平成24年の218億円が平成29年には309億円と40%以上増加するなど、本県医療機器関連産業は着実に成長してきているところであります。
現在、県内企業が大学、金融機関、産業支援機関等と連携して医療機器関連のクラスターを形成し、拡大が見込まれる世界市場への参入を見据えた新たな製品、サービスの開発に取り組み始めたところでありまして、今後さらなる成長が見込まれるところでございます。
県といたしましては、これらの取り組みを引き続き支援いたしますとともに、現在、整備を進めている貸し研究所を活用し、製品や技術の共同研究等を支援してまいります。
また、本県医療機器関連産業は、ものづくり産業の中でも女性従業員の割合が高く、研究開発や設計などの部門におきましても女性が活躍しており、働きやすい環境も整っていることから、女性が活躍できる産業としても期待しているところであります。
県では、先ほど申し上げたさまざまな企業支援などが女性が活躍する場の拡大にもつながるよう、医療機器関連産業のさらなる成長を支援してまいります。
次に、伝統的工芸品産業の製造品出荷額等についてでありますが、本県の伝統的工芸品産業の製造品出荷額の減少は、ライフスタイルの変化や安価な生活用品の普及、海外からの輸入品の増加などによる国内需要の低迷と輸出額の減少が主な要因と捉えているところであります。
また、輸出額の減少につきましては、輸出額のほとんどが南部鉄器によるものでありますが、平成22年の上海万博出展を契機といたしました需要の高まりが落ち着いてきたことや、北米における大口の取引先との取引の中断が大きく影響しているものと捉えているところであります。
今後の対応につきましては、国内需要の低迷には、引き続き全国の物産展や工芸品の展示販売会を通じた販路の拡大に取り組みますとともに、購買層を拡大するため、本年11月に開催するKOUGEI EXPO IN IWATEを初め、各種イベントにおきまして、消費者に伝統的工芸品を取り入れた日常生活の豊かさを感じてもらう機会を提供するなどし、本県の伝統的工芸品の需要の拡大に取り組んでまいります。
また、輸出の減少には、海外事務所を通じた企業の販路開拓の支援を初め、海外の見本市や商談会への出展、バイヤーの招聘などにより、経済成長の続く新興国や富裕層の多い先進国の市場開拓に取り組んでまいります。
次に、製品展開と後継者の育成についてでありますが、KOUGEI EXPO IN IWATEでは、伝統的工芸品を生かしたライフスタイルの提案や、若い世代の伝統的工芸品の理解促進を図るための職人の実演や参加者の製作体験などを予定しておりまして、時代のニーズに合った製品展開や後継者の育成につなげる貴重な機会と考えているところであります。
県といたしましては、新たな製品展開のため、今年度、岩手県伝統工芸産業アドバイザーを設置いたしまして、異業種とのコラボレーション商品の開発やブランド展開などの支援をしているところでありまして、工芸品関連の事業者の技術力、デザイン力の高度化を図り、時代のニーズに合った製品展開を促進してまいります。
後継者の育成につきましては、市町村や産地組合が行う人材育成の支援や、産業支援機関と連携したセミナー等に取り組んできたところでありまして、今年度は、県北地域の漆器工房等におきまして、伝統的な技術や技法を体験する機会といたしまして、県内外の大学生や専門学校生を対象としたインターンシップを実施することとしております。
また、KOUGEI EXPO IN IWATEにおきましては、県内の小、中、高校生の大会見学も計画しているところでありまして、伝統的工芸品への理解と関心を高める機会にしたいと考えております。
こうした取り組みを大会のレガシーとしてさらに発展させていくことで、伝統的工芸品産業の振興につなげてまいります。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) まず、地域の活力につながるスポーツの推進についてでありますが、本県は二つの国立公園を有し、また、四季それぞれが恵み豊かであることから、こうした全国に誇れるすぐれた自然環境を生かしたスポーツアクティビティー、スポーツツーリズムの展開は、さまざまな可能性を有しているものと認識しております。
そうしたことから、県内の観光、経済団体、スポーツ関係団体、大学、報道機関及び行政で組織いたしますいわてスポーツコミッションにおいて、昨年度、スポーツアクティビティーの創出に向けた調査を実施したところでありまして、各市町村からは、トレッキング、カヌー、サーフィン、スノーシュートレッキングなど、それぞれの地域特性を生かしたさまざまな提案があり、改めて、本県は数多くのスポーツ資源を有しており、これを市町村等と連携して活用していくことで、地域の活力につながる可能性があると感じているところでございます。
今年度は、この調査結果を踏まえ、今後のスポーツアクティビティーの活用につながる実証事業として、NPOや地域団体などと連携し、地域住民と協働しながら、市町村とともにアクティビティーを楽しめるモデルをつくり上げることとしております。
今後におきましては、こうしたモデルを参考としながら、県内各地において、それぞれの優良な地域資源を活用したスポーツアクティビティーが広く展開され、スポーツツーリズムの拡大につながっていくよう、いわてスポーツコミッションを中心に取り組みを進めてまいります。
次に、これまでのする、見るのみのスポーツから稼ぐスポーツへ、いわゆるスポーツを通じた地域振興についてでありますが、スポーツは、県民にスポーツをする、見るといった楽しみを与えるほか、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功や、本県ゆかりの選手の国内外での目覚ましい活躍が復興に取り組む県民の支えとなっておりますように、地域社会の活力を生み出す力になるなど、多面的な価値を有していると認識しております。
議員御指摘の稼ぐスポーツにつきましては、地域経済の潤いや活力につながるスポーツの活用ということと受けとめておりますが、国におきましては、平成28年に公表いたしましたスタジアム・アリーナ改革指針において、スポーツの効果を生かした野球場などの施設を集客施設とし、人々の地域内交流に加えて、スポーツツーリズム等による地域間対流を促すことにより、まちのにぎわいを創出するなどの波及効果があるとし、さまざまな経済波及効果の中で、飲食、宿泊、観光等の周辺産業への波及効果も挙げているところでございます。
このようなことから、商工観光等の産業団体、大学、報道機関、行政などで組織いたしますいわてスポーツコミッションを中心とし、国内外の大規模な大会やスポーツイベントの誘致に取り組んでいるところでありまして、それら大会等の開催市町村などと連携しながら、スポーツを生かした人的、経済的な交流を通じた地域振興につなげるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 盛岡南公園の周辺地域の交通アクセス対策についてでありますが、盛岡南公園に近接する盛南地域では、盛岡西バイパスの開通や沿道の土地開発の進展などに伴い、近年、交通量が増加しておりますが、ことし9月に予定されている岩手医科大学附属病院の矢巾町への移転などによって、新たな交通需要が発生することも見込まれるところでございます。
こうした状況を踏まえ、県においては、盛岡市や矢巾町などと連携し、盛岡広域圏における医療体系を支える道路ネットワークの整備について国へ要望してきたところであり、国においては、昨年度、盛岡西バイパスを南進する国道4号盛岡南道路の事業化に向けた調査に着手したところです。
県としては、盛南地域における渋滞緩和や医療拠点などへのアクセス性の向上が大いに期待されるこの盛岡南道路の早期事業化に向けて、引き続き国に働きかけていくとともに、国の調査の進展に応じて都市計画の決定手続による事業推進も考えられますことから、国から協議がある場合には、速やかに対応をしてまいります。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) まず、関係者の連携による運営体制についてでありますが、動物愛護センターについては、動物の命を尊重し、返還、譲渡の推進による殺処分ゼロを目指し、動物愛護の普及啓発により、命の大切さや、ともにつながり支え合う心を育む拠点となる施設として、盛岡市と共同で設置する方向で検討を進めてきたところです。
昨年度、盛岡市において、公民連携事業による盛岡市動物公園の再生事業の中で動物愛護センターの設置を含めた検討が行われ、動物愛護センターについては、目指す姿や使命などが新たな動物公園で掲げる将来像と合致するため、動物公園内への設置は可能であるとの検討結果が県に示されたところであり、盛岡市と施設運営等の事業条件を調整した上で、今後設立される予定の動物公園の運営組織との協議が必要になるものと考えているところです。
今後、運営体制を含めた具体的な事業条件について盛岡市と協議していく予定ですが、狂犬病予防法等の行政事務を行う公共施設として、責任を持って飼養動物を適切に管理できる体制とする必要があり、専門的な知識を持った獣医師等の配置や動物愛護団体、ボランティア等の多様な主体との連携についても留意してまいりたいと考えております。
次に、岩手県動物愛護推進協議会からの意見についてですが、平成30年7月に開催された県動物愛護推進協議会において、一部の委員から、野生動物の施設とペットの施設を同じ敷地内に設置すると、疫学上、公衆衛生上の扱いが難しいといった意見が出されていますが、これらの課題については、今後、施設の配置等を検討していく中で、診療、治療施設の専用化、職員の衛生管理の徹底などにより対応は可能と考えております。
動物愛護センターの設置に当たっては、動物愛護推進協議会の委員や専門家の方々の意見などを踏まえ、動物愛護思想や適正飼養に関する普及啓発を行う拠点としてふさわしいものとなるよう、引き続き、その適正なあり方について検討してまいります。
〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) 保育園周辺の安全対策についてでありますが、滋賀県で発生したような大変痛ましい交通事故は、本県内でも発生し得るものであり、子供を交通事故から守る活動を強化する必要があると強く認識しております。
これまでも、児童等の安全な通行を確保するため、小学校、保育園等が所在するゾーン30等におきまして、関係機関、団体等と連携した街頭活動、速度取り締まりなどを推進しているところであります。
こうした中、6月18日、関係閣僚会議において、未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策が決定され、県警察といたしましても、未就学児を中心に、子供が日常的に集団で移動する経路の安全確保について、その緊急点検を含めまして、関係機関、団体等と連携し推進してまいります。
〇14番(吉田敬子君) 御答弁ありがとうございました。
まず、母乳育児と仕事の両立支援についてですが、知事から御答弁いただきました、県の認証制度の中にそういった搾乳する場所等を明記した上で、そういう企業を後押ししていくというかふやしていくということを県が認識されたことに対しては、深く敬意を表したいと思います。
この支援が必要な時期というのは、産後、育児休業を終えて仕事復帰してからの─復帰する時期にもよるのですけれども─本当にせいぜい二、三カ月が多いかと感じているのですね。利用者は少ないかもしれないのですけれども、やはり仕事と育児の両立支援の一番最初のスタート時点で、いかに企業が子育てに対しての理解を進めるかという、私は、社会に対するきっかけづくりとしてはすごく大きな出発点ではないかと思います。
復帰の時点で企業がいかに理解するかが、その搾乳の場所だったり、実際に、本当にトイレで搾乳をして─これは本当に私のことを申して大変恐縮なのですけれども、私は、県議会議長を初め議会の皆さん、事務局を含めてたくさんの御理解をいただいて復帰することができました。本当に感謝いたしております。でも、私みたいなことはまれであって、一般の企業ではこんなことはできません。
本当に、実際に母乳育児を続けたかったけれども、結局は復帰まで、育児休業を1年もとれないのでというような女性がすごく多くて、待機児童も多い中で、やはり保育所を優先して、自分の育児というよりも仕事を優先していかなければいけない状況だという声を、私も今回すごくたくさんのお母さんたちからいただきました。
先ほど知事からは研究していくという答弁をいただきましたけれども、日本全体でそういう機運がない中で、岩手県だけでというのはなかなか難しいかもしれませんが、逆に、岩手県が先駆けてそこに取り組んでいく意義は大いにあるかと思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。これに関しての御所見を伺います。
次に、先ほど妊婦健診の未受診者数を把握することはちょっと厳しいという御答弁をいただきました。私は、本当に未受診者を把握することって難しいのかなという認識でありまして、私も、他県の状況を見たときに、やはり妊娠期に、母子手帳交付時から、いかに母親を継続的に支援するかという必要性を感じ、各市町村で異なる妊娠届を都道府県で統一して、一括にしてやっていこうという自治体があることを知りました。
もちろん、確かに出産するときに、いきなり母子手帳も全くなく病院に駆け込む女性もおります。そこの把握は難しかったとしても、ただ、こういうことをきっかけに、母子手帳の交付、妊娠届をする女性の把握はできるのではないかと私は思っております。もちろん業務の多さというのは大変かもしれませんけれども、いかに児童虐待だったり産後鬱を予防するかということを、本当に切れ目のない支援を県として検討するのであれば、私は妊娠届、母子手帳交付時の介入策を本当に考えるべきだと思っておりますが、改めてこの御答弁を求めます。
もう一つは、野球場の整備についてでありますけれども、先ほど文化スポーツ部長からお話がありました。私は、野球場の整備に関してスポーツツーリズムの観点からということで、結局は、観光になると商工観光労働部が入ってくる、ただ、管轄は文化スポーツ部という、私としても答弁をお願いするときになかなか難しいなと思ったのですが、今回は、結局、野球場だけではなくて公園ですよね。あそこはサッカー場もありまして、今回整備をすることで、プラス交通アクセスの部分になると県土整備部になると。
もちろん縦割りで決めなければいけないことはわかるのですけれども、一方で、県は、野球場の整備にお金を出しているわけです。詳しいところはもちろん盛岡市の意向ではあるけれども、お金を出せば終わりというのは、私は違うのではないかと思っております。
盛岡南公園について、もう少し周辺を生かした、そこの部分は具体的に伺えなかったと思っているのですけれども、スポーツツーリズムの観点から、野球場整備を含めてあの辺をどうしていきたいかということを、改めて御答弁いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) いわて子育てにやさしい企業等認証制度は、企業、団体、また、広く市町村や県民の皆さんにも、搾乳、授乳に関する環境整備についても浸透させていくのに、まずここから広げていけると考えているところであります。
また、ILO─国際労働機関が制定している母性保護条約において、保育中の母親に対しては、1日1回以上の哺乳時間を付与するか労働時間短縮の措置を講ずることがうたわれているということで、スイス、フランス、また台湾もですか、そうしたところは、この条約の考え方に基づいてそれぞれ制度を導入しているということもありますので、そういったところも研究していきたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 妊婦健診の未受診者の把握について御質問いただきました。乳幼児健診につきましては、1歳6カ月児健診、3歳児健診という形で、自治体が実施しているということで直接把握できるものですが、妊婦健診に関しましては、医療機関が実施していることもありまして、その手続等について課題があることから、いわゆる国、我々自治体の公式な統計として把握できていないと理解しています。
また、そのほかにも、我が国の特徴として里帰り分娩というものがございまして、妊娠届を出した市町村、居住している市町村と分娩をする市町村が都道府県をまたがって異なる、健診するところはまた違う自治体で行うこともこうした背景としてあるのではないかと理解していますが、議員からいただいた視点は大変重要だと理解しておりますので、県といたしましても、その手法等については研究してまいりたいと考えております。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 盛岡南公園周辺地区のスポーツ関係での期待といいますか展望ということになるかと思いますが、各施設については、市営であったり、県と市と共同でつくったりという形で、いろいろな施設が整備されていますし、いろいろ活用されていくと考えております。
まさに先ほど答弁したように、スポーツというものが生み出すいろいろな力の中には、地域経済を含めて地域社会にさまざまな活力を与える面がありますし、一方では、所管は違いますが、周辺環境の整備という意味では、住民へのいろいろな配慮も必要となってくるような形でありまして、一部局ではなかなかお答えできない部分もあると思っております。
スポーツの力に関してということで申し上げますれば、まさに大規模な大会等の誘致やスポーツイベント等を活用しながら、さらには、その先には、地域として国内外によく認められるようになりますと、いわゆる民間事業者の大きなスポーツビジネス展開の場にもなってくることも期待されます。
これは、まさに県が世界のひのき舞台で注目され、そして、観光客や交流人口等もふえてくるようなことにもつながると思います。そういった各般にわたる可能性については、それぞれの設置主体である市町村だったり、県、我々といろいろ協議しながら、展望をつくっていくことが重要と考えております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第25 議案第24号主要地方道一関北上線柵の瀬橋旧橋撤去(下部工)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木順一君) この際、日程第2、議案第1号から日程第25、議案第24号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので発言を許します。斉藤信君。

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